(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】P53におけるR273C又はY220Cの変異を認識するT細胞受容体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20230913BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20230913BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20230913BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20230913BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230913BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20230913BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230913BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20230913BHJP
C12Q 1/6886 20180101ALI20230913BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230913BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230913BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230913BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230913BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230913BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230913BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230913BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230913BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230913BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230913BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230913BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230913BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230913BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20230913BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230913BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20230913BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230913BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230913BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230913BHJP
【FI】
C12N15/12
C07K14/725 ZNA
C12N15/867 Z
C12N15/86 Z
C12N5/10
C12N5/0783
C12P21/02 C
C12Q1/04
C12Q1/6886 Z
C12N15/62 Z
C07K19/00
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P1/16
A61P17/00
A61P1/04
A61P15/00
A61P11/00
A61P25/00
A61P43/00 105
A61P1/02
A61P11/02
A61P11/04
A61P1/18
A61P13/10
A61K48/00
A61P37/04
A61K35/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515071
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 US2021048786
(87)【国際公開番号】W WO2022051449
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510002280
【氏名又は名称】アメリカ合衆国
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】キム、サンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ザカラキス、ニコラオス
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ、スティーヴン エー.
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QR77
4B063QS34
4B063QX01
4B064AG20
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA05
4B064DA14
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA341
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZB091
4C084ZB211
4C084ZB261
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087CA04
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA34
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA67
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZB09
4C087ZB21
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA42
4H045DA50
4H045EA28
4H045EA51
4H045FA74
(57)【要約】
ヒトP53
R273C又はヒトP53
Y220Cに対する抗原特異性を有する単離又は精製されたT細胞受容体(TCR)が開示される。関連するポリペプチド及びタンパク質、並びに関連する核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、及び医薬組成物も提供される。また、哺乳類におけるがんの存在を検出する方法及び哺乳類におけるがんを治療又は予防する方法も開示される。
【選択図】
図3D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトP53
R273C又はヒトP53
Y220Cのアミノ酸配列に対する抗原特異性を有する単離又は精製されたT細胞受容体(TCR)であって、
(1)配列番号2~7の全て;
(2)配列番号21~26の全て;
(3)配列番号40~45の全て;
(4)配列番号59~64の全て;又は
(5)配列番号78~83の全て
のアミノ酸配列を含むTCR。
【請求項2】
(1)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(2)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(3)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(4)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(5)配列番号121のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(6)配列番号121のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号122のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(7)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(8)配列番号119のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(9)配列番号119のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(10)配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(11)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(12)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(13)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(14)配列番号125のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(15)配列番号125のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号126のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(16)配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号124のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(17)配列番号123のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(18)配列番号123のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号124のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(19)配列番号46のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(20)配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(21)配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(22)配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(23)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(24)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(25)配列番号46のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(26)配列番号127のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(27)配列番号127のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(28)配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(29)配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(30)配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(31)配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(32)配列番号133のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(33)配列番号133のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号134のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(34)配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(35)配列番号131のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(36)配列番号131のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(37)配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(38)配列番号86のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(39)配列番号88のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号89のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(40)配列番号88のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(41)配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号89のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(42)配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(43)配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(44)配列番号135のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;又は
(45)配列番号135のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方
を含む、請求項1に記載のTCR。
【請求項3】
(1)配列番号8及び9の両方;
(2)配列番号10及び11の両方;
(3)配列番号12及び13の両方;
(4)配列番号12及び11の両方;
(5)配列番号121及び13の両方;
(6)配列番号121及び122の両方;
(7)配列番号8及び120の両方;
(8)配列番号119及び9の両方;
(9)配列番号119及び120の両方;
(10)配列番号27及び28の両方;
(11)配列番号29及び30の両方;
(12)配列番号31及び32の両方;
(13)配列番号31及び30の両方;
(14)配列番号125及び32の両方;
(15)配列番号125及び126の両方;
(16)配列番号27及び124の両方;
(17)配列番号123及び28の両方;
(18)配列番号123及び124の両方;
(19)配列番号46及び47の両方;
(20)配列番号48及び49の両方;
(21)配列番号50及び51の両方;
(22)配列番号50及び49の両方;
(23)配列番号129及び51の両方;
(24)配列番号129及び130の両方;
(25)配列番号46及び128の両方;
(26)配列番号127及び47の両方;
(27)配列番号127及び128の両方;
(28)配列番号65及び66の両方;
(29)配列番号67及び68の両方;
(30)配列番号69及び70の両方;
(31)配列番号69及び68の両方;
(32)配列番号133及び70の両方;
(33)配列番号133及び134の両方;
(34)配列番号65及び132の両方;
(35)配列番号131及び66の両方;
(36)配列番号131及び132の両方;
(37)配列番号84及び85の両方;
(38)配列番号86及び87の両方;
(39)配列番号88及び89の両方;
(40)配列番号88及び87の両方;
(41)配列番号137及び89の両方;
(42)配列番号137及び138の両方;
(43)配列番号84及び136の両方;
(44)配列番号135及び85の両方;又は
(45)配列番号135及び136の両方
のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のTCR。
【請求項4】
(a)
(i)配列番号141の1位のXが、Asn、Asp、His、若しくはTyrであり;
(ii)配列番号141の48位のXが、Thr若しくはCysであり;
(iii)配列番号141の112位のXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iv)配列番号141の114位のXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;
(v)配列番号141の115位のXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである
配列番号141のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域であって、
任意で、配列番号97若しくは145のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域;
(b)配列番号142の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号142のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域であって、
任意で、配列番号99若しくは140のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項5】
(a)
(i)配列番号141の1位のXが、Asn、Asp、His、若しくはTyrであり;
(ii)配列番号141の48位のXが、Thr若しくはCysであり;
(iii)配列番号141の112位のXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iv)配列番号141の114位のXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;
(v)配列番号141の115位のXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである
配列番号141のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域であって、
任意で、配列番号97若しくは145のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域;
(b)配列番号142の57位のXが、Ser若しくはCysである、配列番号142のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域であって、
任意で、配列番号99若しくは140のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項6】
(1)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(2)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(3)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(4)配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(5)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(6)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(7)配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(8)配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(9)配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(10)配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(11)配列番号73のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号74のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(12)配列番号75のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号76のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(13)配列番号90のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(14)配列番号92のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号93のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;又は
(15)配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項7】
(1)配列番号14及び15の両方;
(2)配列番号16及び17の両方;
(3)配列番号18及び19の両方;
(4)配列番号33及び34の両方;
(5)配列番号35及び36の両方;
(6)配列番号37及び38の両方;
(7)配列番号52及び53の両方;
(8)配列番号54及び55の両方;
(9)配列番号56及び57の両方;
(10)配列番号71及び72の両方;
(11)配列番号73及び74の両方;
(12)配列番号75及び76の両方;
(13)配列番号90及び91の両方;
(14)配列番号92及び93の両方;又は
(15)配列番号94及び95の両方
のアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項8】
前記ヒトP53
R273Cアミノ酸配列が、SGNLLGRNSFEV
CVCACPGRDRRTE(配列番号117)である、請求項1~7のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項9】
前記ヒトP53
Y220Cアミノ酸配列が、DRNTFRHSVVVP
CEPPEVGSDCTTI(配列番号115)である、請求項1~7のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項10】
SGNLLGRNSFEV
RVCACPGRDRRTE(配列番号116)の野生型ヒトP53アミノ酸配列に対する抗原特異性を有しない、請求項1~8のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項11】
DRNTFRHSVVVP
YEPPEVGSDCTTI(配列番号114)の野生型ヒトP53アミノ酸配列に対する抗原特異性を有しない、請求項1~7及び9のいずれか一項に記載のTCR。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のTCRの機能的部分を含む、単離又は精製されたポリペプチドであって、
(1)配列番号2~7の全て;
(2)配列番号21~26の全て;
(3)配列番号40~45の全て;
(4)配列番号59~64の全て;又は
(5)配列番号78~83の全て
のアミノ酸配列を含むポリペプチド。
【請求項13】
(1)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(2)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(3)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(4)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(5)配列番号121のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(6)配列番号121のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号122のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(7)配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(8)配列番号119のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(9)配列番号119のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(10)配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(11)配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(12)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(13)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(14)配列番号125のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(15)配列番号125のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号126のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(16)配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号124のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(17)配列番号123のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(18)配列番号123のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号124のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(19)配列番号46のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(20)配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(21)配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(22)配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(23)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(24)配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(25)配列番号46のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(26)配列番号127のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(27)配列番号127のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(28)配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(29)配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(30)配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(31)配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(32)配列番号133のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(33)配列番号133のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号134のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(34)配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(35)配列番号131のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(36)配列番号131のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(37)配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(38)配列番号86のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(39)配列番号88のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号89のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(40)配列番号88のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(41)配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号89のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(42)配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(43)配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(44)配列番号135のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;又は
(45)配列番号135のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方
を含む、請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項14】
(1)配列番号8及び9の両方;
(2)配列番号10及び11の両方;
(3)配列番号12及び13の両方;
(4)配列番号12及び11の両方;
(5)配列番号121及び13の両方;
(6)配列番号121及び122の両方;
(7)配列番号8及び120の両方;
(8)配列番号119及び9の両方;
(9)配列番号119及び120の両方;
(10)配列番号27及び28の両方;
(11)配列番号29及び30の両方;
(12)配列番号31及び32の両方;
(13)配列番号31及び30の両方;
(14)配列番号125及び32の両方;
(15)配列番号125及び126の両方;
(16)配列番号27及び124の両方;
(17)配列番号123及び28の両方;
(18)配列番号123及び124の両方;
(19)配列番号46及び47の両方;
(20)配列番号48及び49の両方;
(21)配列番号50及び51の両方;
(22)配列番号50及び49の両方;
(23)配列番号129及び51の両方;
(24)配列番号129及び130の両方;
(25)配列番号46及び128の両方;
(26)配列番号127及び47の両方;
(27)配列番号127及び128の両方;
(28)配列番号65及び66の両方;
(29)配列番号67及び68の両方;
(30)配列番号69及び70の両方;
(31)配列番号69及び68の両方;
(32)配列番号133及び70の両方;
(33)配列番号133及び134の両方;
(34)配列番号65及び132の両方;
(35)配列番号131及び66の両方;
(36)配列番号131及び132の両方;
(37)配列番号84及び85の両方;
(38)配列番号86及び87の両方;
(39)配列番号88及び89の両方;
(40)配列番号88及び87の両方;
(41)配列番号137及び89の両方;
(42)配列番号137及び138の両方;
(43)配列番号84及び136の両方;
(44)配列番号135及び85の両方;又は
(45)配列番号135及び136の両方
のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項15】
(a)
(i)配列番号141の1位のXが、Asn、Asp、His、若しくはTyrであり;
(ii)配列番号141の48位のXが、Thr若しくはCysであり;
(iii)配列番号141の112位のXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iv)配列番号141の114位のXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;
(v)配列番号141の115位のXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである
配列番号141のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域であって、
任意で、配列番号97若しくは145のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域;
(b)配列番号142の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号142のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域であって、
任意で、配列番号99若しくは140のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項16】
(a)
(i)配列番号141の1位のXが、Asn、Asp、His、若しくはTyrであり;
(ii)配列番号141の48位のXが、Thr若しくはCysであり;
(iii)配列番号141の112位のXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iv)配列番号141の114位のXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;
(v)配列番号141の115位のXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである、
配列番号141のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域であって、
任意で、配列番号97若しくは145のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域;
(b)配列番号142の57位のXが、Ser若しくはCysである、配列番号142のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域であって、
任意で、配列番号99若しくは140のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域;又は
(c)(a)及び(b)の両方
を更に含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項17】
(1)配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(2)配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(3)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(4)配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(5)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(6)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(7)配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(8)配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(9)配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(10)配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(11)配列番号73のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号74のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(12)配列番号75のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号76のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(13)配列番号90のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;
(14)配列番号92のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号93のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方;又は
(15)配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列及び配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列の両方
を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項18】
(1)配列番号14及び15の両方;
(2)配列番号16及び17の両方;
(3)配列番号18及び19の両方;
(4)配列番号33及び34の両方;
(5)配列番号35及び36の両方;
(6)配列番号37及び38の両方;
(7)配列番号52及び53の両方;
(8)配列番号54及び55の両方;
(9)配列番号56及び57の両方;
(10)配列番号71及び72の両方;
(11)配列番号73及び74の両方;
(12)配列番号75及び76の両方;
(13)配列番号90及び91の両方;
(14)配列番号92及び93の両方;又は
(15)配列番号94及び95の両方
のアミノ酸配列を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項19】
(1)配列番号2~4の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号5~7の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(2)配列番号21~23の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号24~26の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(3)配列番号40~42の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号43~45の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;
(4)配列番号59~61の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号62~64の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は
(5)配列番号78~80の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号81~83の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖
を含む、単離又は精製されたタンパク質。
【請求項20】
(1)第1のポリペプチド鎖が、配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(2)第1のポリペプチド鎖が、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(3)第1のポリペプチド鎖が、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(4)第1のポリペプチド鎖が、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(5)第1のポリペプチド鎖が、配列番号121のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(6)第1のポリペプチド鎖が、配列番号121のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号122のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(7)第1のポリペプチド鎖が、配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(8)第1のポリペプチド鎖が、配列番号119のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(9)第1のポリペプチド鎖が、配列番号119のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号120のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(10)第1のポリペプチド鎖が、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(11)第1のポリペプチド鎖が、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(12)第1のポリペプチド鎖が、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(13)第1のポリペプチド鎖が、配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(14)第1のポリペプチド鎖が、配列番号125のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(15)第1のポリペプチド鎖が、配列番号125のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号126のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(16)第1のポリペプチド鎖が、配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号124のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(17)第1のポリペプチド鎖が、配列番号123のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(18)第1のポリペプチド鎖が、配列番号123のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号124のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(19)第1のポリペプチド鎖が、配列番号46のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(20)第1のポリペプチド鎖が、配列番号48のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(21)第1のポリペプチド鎖が、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(22)第1のポリペプチド鎖が、配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(23)第1のポリペプチド鎖が、配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(24)第1のポリペプチド鎖が、配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号130のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(25)第1のポリペプチド鎖が、配列番号46のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(26)第1のポリペプチド鎖が、配列番号127のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(27)第1のポリペプチド鎖が、配列番号127のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号128のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(28)第1のポリペプチド鎖が、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(29)第1のポリペプチド鎖が、配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(30)第1のポリペプチド鎖が、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(31)第1のポリペプチド鎖が、配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(32)第1のポリペプチド鎖が、配列番号133のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(33)第1のポリペプチド鎖が、配列番号133のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号134のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(34)第1のポリペプチド鎖が、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(35)第1のポリペプチド鎖が、配列番号131のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(36)第1のポリペプチド鎖が、配列番号131のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号132のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(37)第1のポリペプチド鎖が、配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(38)第1のポリペプチド鎖が、配列番号86のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(39)第1のポリペプチド鎖が、配列番号88のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号89のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(40)第1のポリペプチド鎖が、配列番号88のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(41)第1のポリペプチド鎖が、配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号89のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(42)第1のポリペプチド鎖が、配列番号137のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号138のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(43)第1のポリペプチド鎖が、配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(44)第1のポリペプチド鎖が、配列番号135のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号85のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;又は
(45)第1のポリペプチド鎖が、配列番号135のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号136のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む
請求項19に記載のタンパク質。
【請求項21】
(1)第1のポリペプチド鎖が、配列番号8のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含む;
(2)第1のポリペプチド鎖が、配列番号10のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号11のアミノ酸配列を含む;
(3)第1のポリペプチド鎖が、配列番号12のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号13のアミノ酸配列を含む;
(4)第1のポリペプチド鎖が、配列番号12のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号11のアミノ酸配列を含む;
(5)第1のポリペプチド鎖が、配列番号121のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号13のアミノ酸配列を含む;
(6)第1のポリペプチド鎖が、配列番号121のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号122のアミノ酸配列を含む;
(7)第1のポリペプチド鎖が、配列番号8のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号120のアミノ酸配列を含む;
(8)第1のポリペプチド鎖が、配列番号119のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号9のアミノ酸配列を含む;
(9)第1のポリペプチド鎖が、配列番号119のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号120のアミノ酸配列を含む;
(10)第1のポリペプチド鎖が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号28のアミノ酸配列を含む;
(11)第1のポリペプチド鎖が、配列番号29のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号30のアミノ酸配列を含む;
(12)第1のポリペプチド鎖が、配列番号31のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号32のアミノ酸配列を含む;
(13)第1のポリペプチド鎖が、配列番号31のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号30のアミノ酸配列を含む;
(14)第1のポリペプチド鎖が、配列番号125のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号32のアミノ酸配列を含む;
(15)第1のポリペプチド鎖が、配列番号125のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号126のアミノ酸配列を含む;
(16)第1のポリペプチド鎖が、配列番号27のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号124のアミノ酸配列を含む;
(17)第1のポリペプチド鎖が、配列番号123のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号28のアミノ酸配列を含む;
(18)第1のポリペプチド鎖が、配列番号123のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号124のアミノ酸配列を含む;
(19)第1のポリペプチド鎖が、配列番号46のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号47のアミノ酸配列を含む;
(20)第1のポリペプチド鎖が、配列番号48のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号49のアミノ酸配列を含む;
(21)第1のポリペプチド鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号51のアミノ酸配列を含む;
(22)第1のポリペプチド鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号49のアミノ酸配列を含む;
(23)第1のポリペプチド鎖が、配列番号129のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号51のアミノ酸配列を含む;
(24)第1のポリペプチド鎖が、配列番号129のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号130のアミノ酸配列を含む;
(25)第1のポリペプチド鎖が、配列番号46のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号128のアミノ酸配列を含む;
(26)第1のポリペプチド鎖が、配列番号127のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号47のアミノ酸配列を含む;
(27)第1のポリペプチド鎖が、配列番号127のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号128のアミノ酸配列を含む;
(28)第1のポリペプチド鎖が、配列番号65のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号66のアミノ酸配列を含む;
(29)第1のポリペプチド鎖が、配列番号67のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号68のアミノ酸配列を含む;
(30)第1のポリペプチド鎖が、配列番号69のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号70のアミノ酸配列を含む;
(31)第1のポリペプチド鎖が、配列番号69のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号68のアミノ酸配列を含む;
(32)第1のポリペプチド鎖が、配列番号133のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号70のアミノ酸配列を含む;
(33)第1のポリペプチド鎖が、配列番号133のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号134のアミノ酸配列を含む;
(34)第1のポリペプチド鎖が、配列番号65のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号132のアミノ酸配列を含む;
(35)第1のポリペプチド鎖が、配列番号131のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号66のアミノ酸配列を含む;
(36)第1のポリペプチド鎖が、配列番号131のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号132のアミノ酸配列を含む;
(37)第1のポリペプチド鎖が、配列番号84のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号85のアミノ酸配列を含む;
(38)第1のポリペプチド鎖が、配列番号86のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号87のアミノ酸配列を含む;
(39)第1のポリペプチド鎖が、配列番号88のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号89のアミノ酸配列を含む;
(40)第1のポリペプチド鎖が、配列番号88のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号87のアミノ酸配列を含む;
(41)第1のポリペプチド鎖が、配列番号137のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号89のアミノ酸配列を含む;
(42)第1のポリペプチド鎖が、配列番号137のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号138のアミノ酸配列を含む;
(43)第1のポリペプチド鎖が、配列番号84のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号136のアミノ酸配列を含む;
(44)第1のポリペプチド鎖が、配列番号135のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号85のアミノ酸配列を含む;又は
(45)第1のポリペプチド鎖が、配列番号135のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号136のアミノ酸配列を含む
請求項19に記載のタンパク質。
【請求項22】
(a)第1のポリペプチド鎖が、
(i)配列番号141の1位のXが、Asn、Asp、His、若しくはTyrであり;
(ii)配列番号141の48位のXが、Thr若しくはCysであり;
(iii)配列番号141の112位のXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iv)配列番号141の114位のXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;
(v)配列番号141の115位のXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである
配列番号141のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域を含み、
任意で、第1のポリペプチド鎖が、配列番号97若しくは145のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域を含み;
(b)第2のポリペプチド鎖が、配列番号142の57位におけるXが、Ser若しくはCysである、配列番号142のアミノ酸と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域を含み、
任意で、第2のポリペプチド鎖が、配列番号99若しくは140のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域を含む
請求項19~21のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項23】
(a)
(i)配列番号141の1位のXが、Asn、Asp、His、若しくはTyrであり;
(ii)配列番号141の48位のXが、Thr若しくはCysであり;
(iii)配列番号141の112位のXが、Ser、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpであり;
(iv)配列番号141の114位のXが、Met、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、若しくはTrpであり;
(v)配列番号141の115位のXが、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Met、若しくはTrpである
配列番号141のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域を含む、第1のポリペプチド鎖であって;
任意で、配列番号97若しくは145のアミノ酸配列を含むα鎖定常領域を含む、第1のポリペプチド鎖;及び
(b)配列番号142の57位のXが、Ser若しくはCysである、配列番号142のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域を含む、第2のポリペプチド鎖であって、
任意で、配列番号99若しくは140のアミノ酸配列を含むβ鎖定常領域を含む第2のポリペプチド鎖
を更に含む、請求項19~21のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項24】
(1)第1のポリペプチド鎖が、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(2)第1のポリペプチド鎖が、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(3)第1のポリペプチド鎖が、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(4)第1のポリペプチド鎖が、配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(5)第1のポリペプチド鎖が、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(6)第1のポリペプチド鎖が、配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号38のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(7)第1のポリペプチド鎖が、配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(8)第1のポリペプチド鎖が、配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号55のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(9)第1のポリペプチド鎖が、配列番号56のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号57のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(10)第1のポリペプチド鎖が、配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号72のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(11)第1のポリペプチド鎖が、配列番号73のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号74のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(12)第1のポリペプチド鎖が、配列番号75のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号76のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(13)第1のポリペプチド鎖が、配列番号90のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;
(14)第1のポリペプチド鎖が、配列番号92のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号93のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む;又は
(15)第1のポリペプチド鎖が、配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む
請求項19~23のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項25】
(1)第1のポリペプチド鎖が、配列番号14のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号15のアミノ酸配列を含む;
(2)第1のポリペプチド鎖が、配列番号16のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号17のアミノ酸配列を含む;
(3)第1のポリペプチド鎖が、配列番号18のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号19のアミノ酸配列を含む;
(4)第1のポリペプチド鎖が、配列番号33のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号34のアミノ酸配列を含む;
(5)第1のポリペプチド鎖が、配列番号35のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号36のアミノ酸配列を含む;
(6)第1のポリペプチド鎖が、配列番号37のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号38のアミノ酸配列を含む;
(7)第1のポリペプチド鎖が、配列番号52のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号53のアミノ酸配列を含む;
(8)第1のポリペプチド鎖が、配列番号54のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号55のアミノ酸配列を含む;
(9)第1のポリペプチド鎖が、配列番号56のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号57のアミノ酸配列を含む;
(10)第1のポリペプチド鎖が、配列番号71のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号72のアミノ酸配列を含む;
(11)第1のポリペプチド鎖が、配列番号73のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号74のアミノ酸配列を含む;
(12)第1のポリペプチド鎖が、配列番号75のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号76のアミノ酸配列を含む;
(13)第1のポリペプチド鎖が、配列番号90のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号91のアミノ酸配列を含む;
(14)第1のポリペプチド鎖が、配列番号92のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号93のアミノ酸配列を含む;又は
(15)第1のポリペプチド鎖が、配列番号94のアミノ酸配列を含み、第2のポリペプチド鎖が、配列番号95のアミノ酸配列を含む
請求項19~23のいずれか一項に記載のタンパク質。
【請求項26】
請求項1~11のいずれか一項に記載のTCR、請求項12~18のいずれか一項に記載のポリペプチド、又は請求項19~25のいずれか一項に記載のタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む、単離又は精製された核酸。
【請求項27】
5’から3’に向かって、第1の核酸配列及び第2のヌクレオチド配列を含む単離又は精製された核酸であって、前記第1及び第2のヌクレオチド配列が、それぞれ、配列番号8及び9;9及び8;10及び11;11及び10;12及び13;13及び12;12及び11;11及び12;121及び13;13及び121;121及び122;122及び121;8及び120;120及び8;119及び9;9及び119;119及び120;120及び119;14及び15;15及び14;16及び17;17及び16;18及び19;19及び18;27及び28;28及び27;29及び30;30及び29;31及び32;32及び31;31及び30;30及び31;125及び32;32及び125;125及び126;126及び125;27及び124;124及び27;123及び28;28及び123;123及び124;124及び123;33及び34;34及び33;35及び36;36及び35;37及び38;38及び37;46及び47;47及び46;48及び49;49及び48;50及び51;51及び50;50及び49;49及び50;129及び51;51及び129;129及び130;130及び129;46及び128;128及び46;127及び47;47及び127;127及び128;128及び127;52及び53;53及び52;54及び55;55及び54;56及び57;57及び56;65及び66;66及び65;67及び68;68及び67;69及び70;70及び69;69及び68;68及び69;133及び70;70及び133;133及び134;134及び133;65及び132;132及び65;131及び66;66及び131;131及び132;132及び131;71及び72;72及び71;73及び74;74及び73;75及び76;76及び75;84及び85;85及び84;86及び87;87及び86;88及び89;89及び88;88及び87;87及び88;137及び89;89及び137;137及び138;138及び137;84及び136;136及び84;135及び85;85及び135;135及び136;136及び135;90及び91;91及び90;92及び93;93及び92;94及び95;又は95及び94のアミノ酸配列をコードしている単離又は精製された核酸。
【請求項28】
第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間に挿入される第3のヌクレオチド配列を更に含み、前記第3のヌクレオチド配列が、切断可能なリンカーペプチドをコードしている、請求項27に記載の単離又は精製された核酸。
【請求項29】
前記切断可能なリンカーペプチドが、RAKRSGSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号100)のアミノ酸配列を含む、請求項28に記載の単離又は精製された核酸。
【請求項30】
配列番号20、39、58、77、及び96からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードしている、請求項29に記載の単離又は精製された核酸。
【請求項31】
請求項26~30のいずれか一項に記載の核酸を含む、組み換え発現ベクター。
【請求項32】
トランスポゾン又はレンチウイルスベクターである、請求項31に記載の組換え発現ベクター。
【請求項33】
請求項26~30のいずれか一項に記載の核酸又は請求項31若しくは32に記載のベクターによってコードされている、単離又は精製されたTCR、ポリペプチド、又はタンパク質。
【請求項34】
請求項26~30のいずれか一項に記載の核酸又は請求項31若しくは32に記載のベクターが細胞内で発現した結果得られる、単離又は精製されたTCR、ポリペプチド、又はタンパク質。
【請求項35】
DRNTFRHSVVVP
CEPPEVGSDCTTI(配列番号115)又はSGNLLGRNSFEV
CVCACPGRDRRTE(配列番号117)のペプチドに対する抗原特異性を有するTCRを発現する宿主細胞を生成する方法であって、請求項31又は32に記載のベクターの前記細胞への導入を可能にする条件下で、前記細胞を該ベクターと接触させることを含む方法。
【請求項36】
請求項26~30のいずれか一項に記載の核酸又は請求項31若しくは32に記載の組換え発現ベクターを含む、単離又は精製された宿主細胞。
【請求項37】
ヒトリンパ球である、請求項36に記載の宿主細胞。
【請求項38】
T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞からなる群から選択される、請求項36に記載の宿主細胞。
【請求項39】
請求項36~38のいずれか一項に記載の宿主細胞を含む、単離又は精製された細胞の集団。
【請求項40】
請求項1~11、33、若しくは34のいずれか一項に記載のTCR、請求項12~18、33、若しくは34のいずれか一項に記載のポリペプチド、又は請求項19~25、33、若しくは34のいずれか一項に記載のタンパク質を生成する方法であって、前記TCR、ポリペプチド、又はタンパク質が生成されるように、請求項36~38のいずれか一項に記載の宿主細胞又は請求項39に記載の宿主細胞の集団を培養することを含む方法。
【請求項41】
(a)請求項1~11、33、若しくは34のいずれか一項に記載のTCR、請求項12~18、33、若しくは34のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項19~25、33、若しくは34のいずれか一項に記載のタンパク質、請求項26~30のいずれか一項に記載の核酸、請求項31若しくは32に記載の組み換え発現ベクター、請求項36~38のいずれか一項に記載の宿主細胞、又は請求項39に記載の細胞の集団と、(b)薬学的に許容し得る担体と、を含む医薬組成物。
【請求項42】
哺乳類におけるがんの存在を検出する方法であって、
(a)前記がんの細胞を含むサンプルを、請求項1~11、33、若しくは34のいずれか一項に記載のTCR、請求項12~18、33、若しくは34のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項19~25、33、若しくは34のいずれか一項に記載のタンパク質、請求項26~30のいずれか一項に記載の核酸、請求項31若しくは32に記載の組み換え発現ベクター、請求項36~38のいずれか一項に記載の宿主細胞、請求項39に記載の細胞の集団、又は請求項41に記載の医薬組成物と接触させ、それによって、複合体を形成させることと;
(b)前記複合体を検出することと、
を含み、
前記複合体の検出が、前記哺乳類におけるがんの存在を示す方法。
【請求項43】
哺乳類におけるがんに対する免疫応答の誘導において使用するための、請求項1~11、33、若しくは34のいずれか一項に記載のTCR、請求項12~18、33、若しくは34のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項19~25、33、若しくは34のいずれか一項に記載のタンパク質、請求項26~30のいずれか一項に記載の核酸、請求項31若しくは32に記載の組み換え発現ベクター、請求項36~38のいずれか一項に記載の宿主細胞、請求項39に記載の細胞の集団、又は請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項44】
哺乳類におけるがんの治療又は予防において使用するための、請求項1~11、33、若しくは34のいずれか一項に記載のTCR、請求項12~18、33、若しくは34のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項19~25、33、若しくは34のいずれか一項に記載のタンパク質、請求項26~30のいずれか一項に記載の核酸、請求項31若しくは32に記載の組み換え発現ベクター、請求項36~38のいずれか一項に記載の宿主細胞、請求項39に記載の細胞の集団、又は請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記細胞の集団が、前記哺乳類に対して自己である、請求項43若しくは44に記載の通り使用するための細胞の集団を含む、前記細胞の集団又は医薬組成物。
【請求項46】
前記細胞の集団が、前記哺乳類に対して同種である、請求項43若しくは44に記載の通り使用するための細胞の集団を含む、前記細胞の集団又は医薬組成物。
【請求項47】
前記がんが、上皮がんである、請求項42に記載の方法、又は請求項43~46のいずれか一項に記載の通り使用するためのTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、若しくは医薬組成物。
【請求項48】
前記がんが、胆管がん、メラノーマ、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経膠芽腫、子宮頸がん、頭頸部がん、乳がん、膵臓がん、又は膀胱がんである、請求項42に記載の方法、又は請求項43~46のいずれか一項に記載の通り使用するためのTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、若しくは医薬組成物。
【請求項49】
前記がんが、ヒトP53においてR273C又はY220Cの変異を含むことが知られている、請求項42に記載の方法、又は請求項43~48のいずれか一項に記載の通り使用するためのTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、若しくは医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その全体が参照によって本明細書に援用される、2020年9月4日出願の米国仮特許出願第63/074,747号の優先権を主張する。
【0002】
連邦支援の研究又は開発に関する記述
本発明は、米国国立衛生研究所、国立がん研究所によって与えられたプロジェクト番号BC010985の下、政府の支援を受けて成された。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
電子的に提出された文献の参照による援用
本明細書と同時に提出され、以下の通り特定されるコンピュータ可読ヌクレオチド/アミノ酸配列表は、その全体が参照により本明細書に援用される:2021年8月18日付の「757042_ST25.txt」という名称の222,016バイトのASCII(テキスト)ファイル。
【背景技術】
【0004】
一部のがんは、特に該がんが転移性かつ切除不能になったとき、非常に限られた治療法の選択肢しか有しない場合がある。例えば、外科手術、化学療法、及び放射線療法等の治療法の進歩にもかかわらず、多くのがん、例えば、膵臓、結腸直腸、肺、子宮内膜、卵巣、及び前立腺のがんの予後は不良である場合がある。従って、がんの更なる治療法に対するアンメットニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、ヒトP53R273C又はヒトP53Y220Cのアミノ酸配列に対する抗原特異性を有する単離又は精製されたT細胞受容体(TCR)であって、(1)配列番号2~7の全て;(2)配列番号21~26の全て;(3)配列番号40~45の全て;(4)配列番号59~64の全て;又は(5)配列78~83の全てのアミノ酸配列を含むTCRを提供する。
【0006】
本発明の更なる実施形態は、本発明のTCRに関連するポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、及び医薬組成物を提供する。
【0007】
本発明の更なる実施形態は、哺乳類におけるがんの存在を検出する方法、哺乳類におけるがんに対する免疫応答を誘導する方法、及び哺乳類におけるがんを治療又は予防する方法を提供する。
【0008】
本発明の追加の実施形態は、TCRを発現する宿主細胞を生成する方法及びTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を生成する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、患者4343の腫瘍断片番号F1~F7及びF9~F24をDMSO(ビヒクル)又は変異体P53-Y220Cでパルスした自己DCと共培養した後に測定したIFN-γスポット数(2e4細胞あたり)を示すグラフである(
図1A)。変異体P53に対する反応性を有する断片を枠で囲む。
【
図1B】
図1Bは、患者4386の腫瘍断片番号F1~F24をDMSO(ビヒクル)又は変異体P53-R273Cでパルスした自己DCと共培養した後に測定したIFN-γスポット数(2e4細胞あたり)を示すグラフである(
図1B)。変異体P53に対する反応性を有する断片を枠で囲む。
【
図1C】
図1Cは、患者4386の(腫瘍1A又は腫瘍1Bの)新鮮腫瘍消化物からの選別されたT細胞をDMSO(ビヒクル)又は変異体P53-R273Cでパルスした自己DCと共培養した後に測定したIFN-γスポット数(2e4細胞あたり)を示すグラフである。T細胞は、指定の細胞表面マーカーの発現に基づいて選別した。変異体P53に対する反応性を有する選別されたT細胞集団を枠で囲む。
【
図1D】
図1Dは、フローサイトメトリーによって測定した、患者4386からのTILをDMSO(ビヒクル)又は変異体P53-R273Cペプチドでパルスした自己DCと共培養した後のOX40及び4-BBを発現しているT細胞の百分率を示す。
【
図2A】
図2Aは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した際の、4-1BBを発現しているマウスTCR定常領域陽性細胞の百分率を示すグラフである。エフェクター細胞には4343-D TCRを形質導入していた。標的細胞は、図示されるHLAクラスIIヘテロ二量体のうちの1つをトランスフェクトし、P53-Y220C 25merペプチドでパルスしたCOS7細胞であった。
【
図2B】
図2Bは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した際の、4-1BBを発現しているCD3陽性細胞の百分率を示すグラフである。エフェクター細胞は、P53-R273Cを認識するT細胞を含有するTILであった。標的細胞は、図示されるHLAクラスIIヘテロ二量体のうちの1つをトランスフェクトし、P53-R273C 25merペプチドでパルスしたCOS7細胞であった。
【
図3A】
図3Aは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した後に測定したIFN-γ分泌(スポット数/2e4細胞)示すグラフである。エフェクター細胞は、4343-D TCRを形質導入したT細胞であった。標的細胞は、図示されている濃度(μg/mL)のP53-Y220C 25merペプチド(四角)又は対応するWT 25merペプチド(丸)でパルスした自己DCであった。
【
図3B】
図3Bは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した後の4-1BBを発現しているマウスTCR定常領域陽性細胞の百分率を示すグラフである。エフェクター細胞は、4343-D TCRを形質導入したドナーC(3B)からのT細胞であった。標的細胞は、図示されている濃度(μg/mL)のα-アミノ酪酸(AABA)置換を有する対応するWT 25merペプチド(丸)の上方の、AABA置換を有する変異型P53-Y220C 25merペプチド(四角)でパルスした自己B細胞であった。
【
図3C】
図3Cは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した後の4-1BBを発現しているマウスTCR定常領域陽性細胞の百分率を示すグラフである。エフェクター細胞は、4343-D TCRを形質導入したドナーH(3C)からのT細胞であった。標的細胞は、図示されている濃度(μg/mL)のα-アミノ酪酸(AABA)置換を有する対応するWT 25merペプチド(丸)の上方の、AABA置換を有する変異型P53-Y220C 25merペプチド(四角)でパルスした自己B細胞であった。
【
図3D】
図3Dは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した後に測定したIFN-γ分泌(pg/mL)を示すグラフである。エフェクター細胞は、独立して4386-F TCR(
図3D)を形質導入したT細胞であった。標的細胞は、図示されている濃度(ng/mL)のP53-R273C 25merペプチド(四角)又は対応するWT 25merペプチド(丸)でパルスした自己DCであった。
【
図3E】
図3Eは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した後に測定したIFN-γ分泌(pg/mL)を示すグラフである。エフェクター細胞は、独立して4386-G TCR(
図3E)を形質導入したT細胞であった。標的細胞は、図示されている濃度(ng/mL)のP53-R273C 25merペプチド(四角)又は対応するWT 25merペプチド(丸)でパルスした自己DCであった。
【
図3F】
図3Fは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した後に測定したIFN-γ分泌(pg/mL)を示すグラフである。エフェクター細胞は、独立して4386-H TCR(
図3F)を形質導入したT細胞であった。標的細胞は、図示されている濃度(ng/mL)のP53-R273C 25merペプチド(四角)又は対応するWT 25merペプチド(丸)でパルスした自己DCであった。
【
図3G】
図3Gは、標的細胞をエフェクター細胞と共培養した後に測定したIFN-γ分泌(pg/mL)を示すグラフである。エフェクター細胞は、独立して4386-O TCR(
図3G)を形質導入したT細胞であった。標的細胞は、図示されている濃度(ng/mL)のP53-R273C 25merペプチド(四角)又は対応するWT 25merペプチド(丸)でパルスした自己DCであった。
【
図4】
図4は、9つのP53スプライスバリアントのアミノ酸配列のアラインメントを示す。SP|P04637|P53_HUMAN(配列番号1);SP|P04637-2|P53_HUMAN(配列番号101);SP|P04637-3|P53_HUMAN(配列番号102);SP|P04637-4|P53_HUMAN(配列番号103);SP|P04637-5|P53_HUMAN(配列番号104);SP|P04637-6|P53_HUMAN(配列番号105);SP|P04637-7|P53_HUMAN(配列番号106);SP|P04637-8|P53_HUMAN(配列番号107);及びSP|P04637-9|P53_HUMAN(配列番号108)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
腫瘍タンパク質P53(「TP53」又は「P53」とも称される)は、例えば、細胞分裂を制御することによって腫瘍抑制因子として作用する。P53タンパク質は、細胞の核内に局在し、そこでDNAに直接結合する。DNAが損傷を受けると、P53タンパク質は、DNAを修復するか、又は損傷を受けた細胞をアポトーシスさせるかの決定に関与する。DNAを修復することができる場合、P53は他の遺伝子を活性化させて損傷を修復する。DNAを修復することができない場合、P53タンパク質は、細胞が分裂するのを阻止し、該細胞にシグナルを伝達してアポトーシスさせる。変異型の又は損傷を受けたDNAを有する細胞の分裂を停止させることによって、P53は腫瘍の発達を阻止するのを支援する。WT(正常)完全長P53は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0011】
P53タンパク質における変異によって、P53タンパク質の腫瘍抑制因子機能が低下するか又は失われることがある。あるいは又は更に、P53の変異は、ドミナントネガティブ的にWT P53に干渉することによる機能獲得型変異であり得る。変異型P53タンパク質は、様々なヒトがん、例えば、胆管がん、メラノーマ、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経膠芽腫、子宮頸がん、頭頸部がん、乳がん、膵臓がん、又は膀胱がんのいずれかで発現し得る。
【0012】
本発明の実施形態は、変異型のヒトP53R273C又はヒトP53Y220Cのアミノ酸配列(以後、「変異型P53」)に対する抗原特異性を有する、単離又は精製されたT細胞受容体(TCR)を提供する。以後、「TCR」に対する言及は、特に規定のない限り、TCRの機能的部分及び機能的バリアントも指す。P53の変異は、本明細書では、完全長WTP53(配列番号1)のアミノ酸配列を参照することによって定義される。P53の変異は、本明細書では、特定の位置に存在するアミノ酸残基、続いて位置番号、続いて検討中の特定の変異において該残基に置き換わったアミノ酸を参照することによって記載される。P53アミノ酸配列(例えば、P53ペプチド)は、完全長のWT P53タンパク質の全アミノ酸残基よりも少ないアミノ酸残基を含む場合がある。従って、P53アミノ酸配列の特定の例では対応する残基の実際の位置が異なる場合もあるという理解の下、本明細書では、WT完全長P53タンパク質(すなわち、配列番号1)を参照することにより位置番号を定義する。位置は配列番号1によって定義されるので、用語「R273C」は、配列番号1の273位に存在するアルギニンがシステインに置き換わっていることを示し、一方、「Y220C」は、配列番号1の220位に存在するチロシンがシステインに置き換わっていることを示す。例えば、P53アミノ酸配列の具体例が、例えばSGNLLGRNSFEVRVCACPGRDRRTE(配列番号116)(配列番号1の連続アミノ酸残基261~285に対応する例示的なWT P53ペプチド)である場合、「R273C」とは、たとえ配列番号116における下線付きアルギニンの実際の位置が13であろうと、配列番号116における下線付きアルギニンのシステインによる置換を指す。以後、R273C変異を有するヒトP53アミノ酸配列を「R273C」又は「P53R273C」と称する。以後、Y220C変異を有するヒトP53アミノ酸配列を「Y220C」又は「P53Y220C」と称する。本明細書で使用するとき、「変異型P53」とは、ヒトP53R273C又はヒトP53Y220Cを指す。
【0013】
P53は、9種の公知のスプライスバリアントを有する。本明細書に記載のP53変異は、9種のP53スプライスバリアントの全てにわたって保存されている。9種のP53スプライスバリアントのアラインメントを
図4に示す。従って、本発明のTCRは、9種のP53スプライスバリアントのいずれかによってコードされている本明細書に記載の任意の変異型P53アミノ酸配列に対する抗原特異性を有し得る。位置は配列番号1によって定義されるので、P53の特定のスプライスバリアントのアミノ酸配列の実際の位置は配列番号1の対応する位置に対して定義され、配列番号1によって定義される位置が特定のスプライスバリアントにおける実際の位置とは異なる場合がある。従って、例えば、スプライスバリアントにおける実際の位置は異なる場合もあるという理解の下、変異とは、配列番号1の393アミノ酸配列の指定の位置に対応するP53の特定のスプライスバリアントのアミノ酸配列におけるアミノ酸残基の置換を指す。
【0014】
本発明の実施形態では、TCRは、配列番号1によって定義したとき273位に変異を有するヒトP53に対する抗原特異性を有する。273位におけるP53変異は、任意のミスセンス変異であってよい。従って、273位における変異は、273位に存在するネイティブ(WT)アルギニン残基の、アルギニン以外の任意のアミノ酸残基による置換であってよい。本発明の実施形態では、TCRは、ヒトP53R273Cアミノ酸配列に対する抗原特異性を有する。例えば、TCRは、SGNLLGRNSFEVCVCACPGRDRRTE(配列番号117)のヒトP53R273Cアミノ酸配列に対する抗原特異性を有し得る。本発明の実施形態では、TCRは、SGNLLGRNSFEVRVCACPGRDRRTE(配列番号116)の野生型ヒトP53アミノ酸配列に対する抗原特異性を有しない。
【0015】
本発明の実施形態では、TCRは、配列番号1によって定義したとき220位に変異を有するヒトP53に対する抗原特異性を有する。220位におけるP53変異は、任意のミスセンス変異であってよい。従って、220位における変異は、220位に存在するネイティブ(WT)チロシン残基の、チロシン以外の任意のアミノ酸残基による置換であってよい。本発明の実施形態では、TCRは、ヒトP53Y220Cアミノ酸配列に対する抗原特異性を有する。例えば、TCRは、DRNTFRHSVVVPCEPPEVGSDCTTI(配列番号115)のヒトP53Y220Cアミノ酸配列に対する抗原特異性を有し得る。本発明の実施形態では、TCRは、DRNTFRHSVVVPYEPPEVGSDCTTI(配列番号114)の野生型ヒトP53アミノ酸配列に対する抗原特異性を有しない。
【0016】
本発明の実施形態では、本発明のTCRは、HLA(ヒト白血球抗原)分子依存的に変異型P53を認識することができ得る。「HLA分子依存的に」とは、本明細書で使用するとき、TCRが単離された患者によって発現されるHLA分子の枠内で変異型P53に結合した際にTCRが免疫応答を惹起することを意味する。本発明のTCRは、適用可能なHLA分子によって提示された変異型P53を認識することができ得、変異型P53に加えてHLA分子にも結合し得る。
【0017】
本発明の実施形態では、本発明のTCRは、HLAクラスII分子によって提示されるR273Cを認識することができる。これに関して、TCRは、HLAクラスII分子の枠内でR273Cに結合した際に免疫応答を惹起し得る。本発明のTCRは、HLAクラスII分子によって提示されるR273Cを認識することができ、R273Cに加えてHLAクラスII分子にも結合することができる。
【0018】
本発明の実施形態では、HLAクラスII分子は、HLA-DP分子である。HLA-DP分子は、α鎖(DPA)とβ鎖(DPB)とのヘテロ二量体である。HLA-DPA鎖は、任意のHLA-DPA鎖であってよい。HLA-DPB鎖は、任意のHLA-DPB鎖であってよい。本発明の実施形態では、HLAクラスII分子は、HLA-DPA1鎖とHLA-DPB1鎖とのヘテロ二量体である。HLA-DPA1分子の例としては、HLA-DPA1*01:03、HLA-DPA1*01:04、HLA-DPA1*01:05、HLA-DPA1*01:06、HLA-DPA1*01:07、HLA-DPA1*01:08、HLA-DPA1*01:09、HLA-DPA1*01:10、HLA-DPA1*02:01、HLA-DPA1*02:02、HLA-DPA1*02:03、HLA-DPA1*02:04、HLA-DPA1*03:01、HLA-DPA1*03:02、HLA-DPA1*03:03、及びHLA-DPA1*04:01の対立遺伝子によってコードされているものを挙げることができるが、これらに限定されない。HLA-DPB1分子の例としては、HLA-DPB1*01:01、HLA-DPB1*02:01、HLA-DPB1*02:02、HLA-DPB1*03:01、HLA-DPB1*04:01、HLA-DPB1*04:02、HLA-DPB1*05:01、HLA-DPB1*06:01、HLA-DPB1*07:01、HLA-DPB1*08:01、HLA-DPB1*09:01、及びHLA-DPB1*10:01の対立遺伝子によってコードされているものを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、HLAクラスII分子は、HLA-DPA1*01:03鎖とHLA-DPB1*04:02鎖とのヘテロ二量体である。
【0019】
本発明の実施形態では、本発明のTCRのうちの1つは、HLAクラスII分子によって提示されるY220Cを認識することができる。これに関して、TCRは、HLAクラスII分子の枠内でY220Cに結合した際に免疫応答を惹起し得る。本発明のTCRは、HLAクラスII分子によって提示されるY220Cを認識することができ、Y220Cに加えてHLAクラスII分子にも結合することができる。
【0020】
本発明の実施形態では、HLAクラスII分子は、HLA-DRヘテロ二量体である。HLA-DRヘテロ二量体は、α鎖及びβ鎖を含む細胞表面受容体である。HLA-DRのα鎖は、HLA-DRA遺伝子によってコードされている。実施形態では、HLAクラスII分子のアルファ鎖は、HLA-DRA1*01:01:01対立遺伝子によって発現される。HLA-DRのβ鎖は、HLA-DRB1遺伝子、HLA-DRB3遺伝子、HLA-DRB4遺伝子、又はHLA-DRB5遺伝子によってコードされている。HLA-DRB1遺伝子によってコードされている分子の例としては、HLA-DR1、HLA-DR2、HLA-DR3、HLA-DR4、HLA-DR5、HLA-DR6、HLA-DR7、HLA-DR8、HLA-DR9、HLA-DR10、HLA-DR11、HLA-DR12、HLA-DR13、HLA-DR14、HLA-DR15、HLA-DR16、及びHLA-DR17を挙げることができるが、これらに限定されない。HLA-DRB3遺伝子は、HLA-DR52をコードしている。HLA-DRB4遺伝子は、HLA-DR53をコードしている。HLA-DRB5遺伝子は、HLA-DR51をコードしている。本発明の実施形態では、HLAクラスII分子は、HLA-DRB3:HLA-DRAヘテロ二量体である。HLAクラスII分子のベータ鎖は、HLA-DRB3*01:01、HLA-DRB3*02:02、又はHLA-DRB3*03:01の対立遺伝子によって発現され得る。好ましくは、HLAクラスII分子のベータ鎖は、HLA-DRB3*02:02:01対立遺伝子によって発現される。好ましい実施形態では、HLAクラスII分子は、HLA-DRA1*01:01:01鎖とHLA-DRB3*02:02:01鎖とのヘテロ二量体である。
【0021】
養子細胞移入に使用される細胞によって発現された場合を含む、本発明のTCRは、多くの利点のうちのいずれか1つ以上を提供し得る。変異型P53は、がん細胞で発現し、正常非がん性細胞では発現しない。特定の理論又は機序に縛られるものではないが、本発明のTCRは、有利なことに、がん細胞の破壊を標的とするが、一方、例えば毒性を最小化又は排除することによって、正常非がん性細胞の破壊を最小化又は排除し、それによって、低減すると考えられる。更に、本発明のTCRは、有利なことに、例えば化学療法、外科手術、又は放射線照射等の他の種類の治療には応答しない変異型P53陽性がんを成功裏に治療又は予防することができる。更に、本発明のTCRは、操作されていない腫瘍細胞(例えば、インターフェロン(IFN)-γで処理していない、変異型P53及び適用可能なHLA分子の一方又は両方をコードしているベクターをトランスフェクトしていない、P53変異を有するP53ペプチドでパルスしていない、又はこれらの組み合わせの腫瘍細胞)を認識する能力を提供し得る、変異型P53の高い結合活性での(highly avid)認識を提供することができる。全腫瘍の約半数はP53に変異を有しており、そのうちの約半数はミスセンス変異である。全がんの約2.8%がR273C変異を発現し、米国の白人集団の約24%及び米国のヒスパニック集団の約60%~約80%がHLA-DPB1*04:02対立遺伝子を発現する。Y220C変異は、全がんの約1.5%にみられ、米国の白人集団の約33%がHLA-DRB3*02:02対立遺伝子を発現する。R273C及びY220Cの変異は、多くのがん組織診断でみられることから、多様な患者群が本発明TCRの恩恵を受けられる可能性があることが示唆される。従って、本発明のTCRは、免疫療法による治療の適格性を有する可能性のある患者の数を増加させることができる。
【0022】
語句「抗原特異性」とは、本明細書で使用するとき、TCRが、高い結合活性で変異型P53に特異的に結合し、免疫学的に認識できることを意味する。例えば、TCRは、(a)低濃度の変異型P53ペプチド(例えば、約0.05ng/mL~約5ng/mL、0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、又は上記値のうちのいずれか2つによって規定される範囲)でパルスした抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞又は(b)標的細胞が変異型P53を発現するように該変異型P53をコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞と共培養した際に、該TCRを発現している約1×104~約1×105個のT細胞が少なくとも約200pg/mL以上(例えば、200pg/mL以上、300pg/mL以上、400pg/mL以上、500pg/mL以上、600pg/mL以上、700pg/mL以上、1000pg/mL以上、5,000pg/mL以上、7,000pg/mL以上、10,000pg/mL以上、20,000pg/mL以上、又は上記値のうちのいずれか2つによって規定される範囲)のIFN-γを分泌した場合、変異型P53に対して「抗原特異性」を有するとみなしてよい。本発明のTCRを発現している細胞は、より高濃度の変異型P53ペプチドでパルスした抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞と共培養した際にもIFN-γを分泌することができる。
【0023】
あるいは又は更に、TCRは、(a)低濃度の変異型P53ペプチドでパルスした抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞又は(b)標的細胞が変異型P53を発現するように該変異型P53をコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞と共培養した際に、ネガティブコントロールが発現するIFN-γの量と比較して、該TCRを発現しているT細胞が少なくとも2倍多いIFN-γを分泌した場合、変異型P53に対して「抗原特異性」を有するとみなしてよい。ネガティブコントロールは、例えば、(i)(a)同濃度の無関係のペプチド(例えば、変異型P53ペプチドとは異なる配列を有する幾つかの他のペプチド)でパルスした抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞若しくは(b)標的細胞が無関係のペプチドを発現するように該無関係のペプチドをコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞と共培養した、該TCRを発現しているT細胞、又は(ii)(a)同濃度の変異型P53ペプチドでパルスした抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞若しくは(b)標的細胞が変異型P53を発現するように該変異型P53をコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞と共培養した、形質導入されていないTCR細胞(例えば、該TCRを発現しないPBMC由来)であってよい。IFN-γ分泌は、当技術分野において公知の方法、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって測定することができる。
【0024】
あるいは又は更に、TCRは、(a)低濃度の変異型P53ペプチドでパルスした抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞又は(b)標的細胞が変異型P53を発現するように該変異型P53をコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞と共培養した際に、IFN-γを分泌するネガティブコントロールT細胞の数と比較して、少なくとも2倍多い数の該TCRを発現しているT細胞がIFN-γを分泌した場合、変異型P53に対して「抗原特異性」を有するとみなしてよい。ペプチドの濃度及びネガティブコントロールは、本発明の他の態様に関して本明細書に記載の通りであってよい。IFN-γを分泌する細胞の数は、当技術分野において公知の方法、例えば、酵素免疫スポット(ELISpot)アッセイによって測定することができる。
【0025】
あるいは又は更に、TCRは、(a)低濃度の変異型P53ペプチドでパルスした抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞又は(b)標的細胞が変異型P53を発現するように該変異型P53をコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞と共培養した際に、同じ標的細胞と共培養したネガティブコントロールT細胞についてELISpotによって検出されたスポット数と比較して、TCRを発現しているT細胞についてELISpotによって検出されたスポットが少なくとも2倍多い場合、変異型P53に対して「抗原特異性」を有するとみなしてよい。ペプチドの濃度及びネガティブコントロールは、本発明の他の態様に関して本明細書に記載の通りであってよい。
【0026】
あるいは又は更に、TCRは、(a)低濃度の変異型P53ペプチドでパルスした抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞又は(b)標的細胞が変異型P53を発現するように該変異型P53をコードしているヌクレオチド配列が導入された抗原陰性の適用可能なHLA分子陽性標的細胞と共培養した際に、TCRを発現しているT細胞についてELISpotによって約50個を超えるスポットが検出された場合、変異型P53に対して「抗原特異性」を有するとみなしてよい。ペプチドの濃度は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載の通りであってよい。
【0027】
あるいは又は更に、TCRは、変異型P53を発現している標的細胞で刺激した後に例えばフローサイトメトリーによって測定したとき、該TCRを発現しているT細胞が4-1BB及びOX40の一方又は両方の発現をアップレギュレートした場合、変異型P53に対して「抗原特異性」を有するとみなしてよい。
【0028】
本発明の実施形態は、例えば、TCRのアルファ(α)鎖、TCRのベータ(β)鎖、TCRのガンマ(γ)鎖、TCRのデルタ(δ)鎖、又はこれらの組み合わせ等の2つのポリペプチド(すなわち、ポリペプチド鎖)を含むTCRを提供する。本発明のTCRのポリペプチドは、TCRが変異型P53に対する抗原特異性を有する限り、任意のアミノ酸配列を含んでいてよい。
【0029】
本発明の実施形態では、TCRは、TCRの相補性決定領域(CDR)1、CDR2、及びCDR3を含む可変領域をそれぞれ含む、2本のポリペプチド鎖を含む。本発明の実施形態では、TCRは、α鎖のCDR1(CDR1α)、α鎖のCDR2(CDR2α)、及びα鎖のCDR3(CDR3α)を含む第1のポリペプチド鎖と、β鎖のCDR1(CDR1β)、β鎖のCDR2(CDR2β)、及びβ鎖のCDR3(CDR3β)を含む第2のポリペプチド鎖とを含む。本発明の実施形態では、TCRは、(1)配列番号2~7の全て;(2)配列番号21~26の全て;(3)配列番号40~45の全て;(4)配列番号59~64の全て;又は(5)配列番号78~83の全てのアミノ酸配列を含む。この段落における上述の5つのアミノ酸配列のコレクションのそれぞれ1つは、変異型ヒトP53について抗原特異性を有する5つの異なるTCRのそれぞれの6つのCDR領域を示す。各コレクションにおける6つのアミノ酸配列は、それぞれ、TCRのCDR1α、CDR2α、CDR3α、CDR1β、CDR2β、及びCDR3βに対応する。
【0030】
本発明の実施形態では、TCRは、共に上記CDRのコレクションのうちの1つを含む、α鎖可変領域アミノ酸配列及びβ鎖可変領域アミノ酸配列を含む。これに関して、TCRは、例えば、配列番号8、9、10、11、12、13、27、28、29、30、31、32、46、47、48、49、50、51、65、66、67、68、69、70、84、85、86、87、88、89、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、及び138のいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。例えば、TCRは、(1)配列番号8及び9の両方;(2)配列番号10及び11の両方;(3)配列番号12及び13の両方;(4)配列番号12及び11の両方;(5)配列番号121及び13の両方;(6)配列番号121及び122の両方;(7)配列番号8及び120の両方;(8)配列番号119及び9の両方;(9)配列番号119及び120の両方;(10)配列番号27及び28の両方;(11)配列番号29及び30の両方;(12)配列番号31及び32の両方;(13)配列番号31及び30の両方;(14)配列番号125及び32の両方;(15)配列番号125及び126の両方;(16)配列番号27及び124の両方;(17)配列番号123及び28の両方;(18)配列番号123及び124の両方;(19)配列番号46及び47の両方;(20)配列番号48及び49の両方;(21)配列番号50及び51の両方;(22)配列番号50及び49の両方;(23)配列番号129及び51の両方;(24)配列番号129及び130の両方;(25)配列番号46及び128の両方;(26)配列番号127及び47の両方;(27)配列番号127及び128の両方;(28)配列番号65及び66の両方;(29)配列番号67及び68の両方;(30)配列番号69及び70の両方;(31)配列番号69及び68の両方;(32)配列番号133及び70の両方;(33)配列番号133及び134の両方;(34)配列番号65及び132の両方;(35)配列番号131及び66の両方;(36)配列番号131及び132の両方;(37)配列番号84及び85の両方;(38)配列番号86及び87の両方;(39)配列番号88及び89の両方;(40)配列番号88及び87の両方;(41)配列番号137及び89の両方;(42)配列番号137及び138の両方;(43)配列番号84及び136の両方;(44)配列番号135及び85の両方;又は(45)配列番号135及び136の両方のアミノ酸配列を含み得る。この段落における上述のアミノ酸配列のコレクションのそれぞれ1つは、変異型ヒトP53について抗原特異性を有する異なるTCRのそれぞれの2つの可変領域を示す。各コレクションにおける2つのアミノ酸配列は、それぞれ、TCRのα鎖の可変領域及びβ鎖の可変領域に対応する。
【0031】
本発明のTCRは、定常領域を更に含み得る。定常領域は、例えばヒト又はマウス等の任意の好適な種に由来していてよい。本発明の実施形態では、TCRは、マウス定常領域を更に含む。本明細書で使用するとき、用語「マウス」又は「ヒト」は、本明細書に記載のTCR又はTCRの任意の構成要素(例えば、相補性決定領域(CDR)、可変領域、定常領域、アルファ鎖、及び/又はベータ鎖)に言及するとき、それぞれマウス又はヒトに由来するTCR(又はその構成要素)、すなわち、それぞれマウスT細胞又はヒトT細胞を起源とするか又は該細胞によってかつて発現されたTCR(又はその構成要素)を意味する。本発明の実施形態では、TCRは、マウスα鎖定常領域及びマウスβ鎖定常領域を含み得る。マウスα鎖定常領域は、修飾されていてもよく、修飾されていなくてもよい。修飾マウスα鎖定常領域は、例えば米国特許第10,174,098号に記載の通り、例えば、システイン置換されていてもよく、LVL修飾されていてもよく、又はシステイン置換及びLVL修飾の両方が行われていてもよい。マウスβ鎖定常領域は、修飾されていてもよく、修飾されていなくてもよい。修飾マウスβ鎖定常領域は、例えば米国特許第10,174,098号に記載の通り、例えばシステイン置換されていてもよい。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号97のアミノ酸配列を含むシステイン置換LVL修飾マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号98のアミノ酸配列を含むシステイン置換LVL修飾マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号143のアミノ酸配列を含むシステイン置換LVL修飾マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号144のアミノ酸配列を含むLVL修飾マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号145のアミノ酸配列を含むLVL修飾マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号146のアミノ酸配列を含むLVL修飾マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号147のアミノ酸配列を含むシステイン置換マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号148のアミノ酸配列を含むシステイン置換マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号149のアミノ酸配列を含むシステイン置換マウスα鎖定常領域を含む。本発明の実施形態では、TCRは、配列番号139のアミノ酸配列を含むD1マウスα鎖定常領域を含む。本発明の幾つかの実施形態では、TCRは、配列番号141のアミノ酸配列を含む縮重アミノ酸配列に記載のマウスα鎖定常領域を含む。本発明の実施形態では、TCRは、配列番号99のアミノ酸配列を含むシステイン置換マウスβ鎖定常領域を含む。本発明の実施形態では、TCRは、配列番号140のアミノ酸配列を含む野生型マウスβ鎖定常領域を含む。本発明の実施形態では、TCRは、配列番号142のアミノ酸配列を含む縮重アミノ酸配列に記載のマウスβ鎖定常領域を含む。
【0032】
例示的なCα領域配列及びCβ領域配列を表1及び表2に示す。
【0033】
【0034】
【0035】
本発明の実施形態では、本発明のTCRは、TCRのα鎖及びTCRのβ鎖を含み得る。TCRのα鎖は、α鎖の可変領域及びα鎖の定常領域を含み得る。この種のα鎖は、TCRの任意のβ鎖と対合し得る。β鎖は、β鎖の可変領域及びβ鎖の定常領域を含み得る。
【0036】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるα鎖及び/又はβ鎖のいずれかのアミノ酸配列は、C末端にアミノ酸配列RAKR(配列番号118)を更に含む。
【0037】
本発明の実施形態では、TCRは、配列番号14、15、16、17、18、19、33、34、35、36、37、38、52、53、54、55、56、57、71、72、73、74、75、76、90、91、92、93、94、及び95のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。例えば、TCRは、(1)配列番号14及び15の両方;(2)配列番号16及び17の両方;(3)配列番号18及び19の両方;(4)配列番号33及び34の両方;(5)配列番号35及び36の両方;(6)配列番号37及び38の両方;(7)配列番号52及び53の両方;(8)配列番号54及び55の両方;(9)配列番号56及び57の両方;(10)配列番号71及び72の両方;(11)配列番号73及び74の両方;(12)配列番号75及び76の両方;(13)配列番号90及び91の両方;(14)配列番号92及び93の両方;又は(15)配列番号94及び95の両方のアミノ酸配列を含み得る。この段落における上述のアミノ酸配列のコレクションのそれぞれ1つは、変異型ヒトP53について抗原特異性を有する異なるTCRのそれぞれのα鎖及びβ鎖を示す。各コレクションにおける2つのアミノ酸配列は、それぞれ、TCRのα鎖及びβ鎖に対応する。
【0038】
本明細書に記載の本発明のTCRの機能的バリアントは、本発明の範囲に含まれる。用語「機能的バリアント」とは、本明細書で使用するとき、親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質に対して実質的な又は著しい配列の同一性又は類似性を有するTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を指し、該機能的バリアントは、該機能的バリアントがそのバリアントであるTCR、ポリペプチド、又はタンパク質の生物活性を保持している。機能的バリアントは、例えば、親のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質と同様の程度、同一程度、又はより高程度、親TCRが抗原特異性を有するか又は親のポリペプチド若しくはタンパク質が特異的に結合する変異型P53に特異的に結合する能力を保持している本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質(親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質)のバリアントを包含する。親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質に関連して、機能的バリアントは、例えば、それぞれ親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質に対してアミノ酸配列が少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又はそれ以上同一であってよい。
【0039】
機能的バリアントは、例えば、少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を有する親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のアミノ酸配列を含み得る。保存的アミノ酸置換は、当技術分野において公知であり、特定の物理的及び/又は化学的特性を有するあるアミノ酸が同じ化学的又は物理的特性を有する別のアミノ酸に交換されるアミノ酸置換を含む。例えば、保存的アミノ酸置換は、酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸(例えば、Asp又はGlu)による置換、非極性側鎖を有するアミノ酸の、非極性側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、Ala、Gly、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、Trp、Val等)による置換、塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸(Lys、Arg等)による置換、極性側鎖を有するアミノ酸の、極性側鎖を有する別のアミノ酸(Asn、Cys、Gln、Ser、Thr、Tyr等)による置換等であってよい。
【0040】
あるいは又は更に、機能的バリアントは、少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を有する親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のアミノ酸配列を含み得る。この場合、非保存的アミノ酸置換が機能的バリアントの生物活性に干渉もせず、阻害もしないことが好ましい。好ましくは、非保存的アミノ酸置換は機能的バリアントの生物活性を増強し、その結果、機能的バリアントの生物活性は、親のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質と比べて増大する。
【0041】
TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、本明細書に記載の指定のアミノ酸配列(複数可)から本質的になっていてよく、その結果、該TCR、ポリペプチド、又はタンパク質の他の構成要素、例えば、他のアミノ酸が、該TCR、ポリペプチド、又はタンパク質の生物活性を実質的に変化させることはない。
【0042】
また、本明細書に記載のTCRのいずれかの機能的部分を含むポリペプチドが本発明によって提供される。用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用するとき、オリゴペプチドを含み、そして、1つ以上のペプチド結合によって連結された一本鎖のアミノ酸を指す。
【0043】
本発明のポリペプチドに関して、機能的部分は、変異型P53に特異的に結合する限り、該機能的部分がその一部であるTCRの連続アミノ酸を含む任意の部分であってよい。用語「機能的部分」は、TCRに関して使用されるとき、本発明のTCRの任意の部分又は断片であって、該部分又は断片がその一部であるTCR(親TCR)の生物活性を保持している部分又は断片を指す。機能的部分は、例えば、親TCRと同様の程度、同一程度、又はより高程度、(例えば、適用可能なHLA分子依存的に)変異型P53に特異的に結合するか又はがんを検出、治療、若しくは予防する能力を保持しているTCRの部分を包含する。親TCRに関して、機能的部分は、例えば、親TCRの約10%、約25%、約30%、約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又はそれ以上を構成し得る。
【0044】
機能的部分は、該部分のアミノ末端若しくはカルボキシ末端又は両末端に、親TCRのアミノ酸配列にはみられない追加のアミノ酸を含んでいてもよい。望ましくは、追加のアミノ酸は、例えば、変異型P53に特異的に結合する及び/又はがんを検出する、がんを治療若しくは予防する能力を有する等の機能的部分の生物学的機能に干渉しない。より望ましくは、追加のアミノ酸は、親TCRの生物活性と比較して、生物活性を増強する。
【0045】
ポリペプチドは、本発明のTCRのα鎖及びβ鎖のいずれか又は両方の機能的部分、例えば、本発明のTCRのα鎖及び/又はβ鎖の可変領域(複数可)のCDR1、CDR2、及びCDR3のうちの1つ以上を含む機能的部分を含み得る。本発明の実施形態では、ポリペプチドは、(1)配列番号2~7の全て;(2)配列番号21~26の全て;(3)配列番号40~45の全て;(4)配列番号59~64の全て;又は(5)配列番号78~83の全てのアミノ酸配列を含み得る。
【0046】
本発明の実施形態では、本発明のポリペプチドは、例えば、上記CDR領域の組み合わせを含む本発明のTCRの可変領域を含み得る。これに関して、ポリペプチドは、例えば、(1)配列番号8及び9の両方;(2)配列番号10及び11の両方;(3)配列番号12及び13の両方;(4)配列番号12及び11の両方;(5)配列番号121及び13の両方;(6)配列番号121及び122の両方;(7)配列番号8及び120の両方;(8)配列番号119及び9の両方;(9)配列番号119及び120の両方;(10)配列番号27及び28の両方;(11)配列番号29及び30の両方;(12)配列番号31及び32の両方;(13)配列番号31及び30の両方;(14)配列番号125及び32の両方;(15)配列番号125及び126の両方;(16)配列番号27及び124の両方;(17)配列番号123及び28の両方;(18)配列番号123及び124の両方;(19)配列番号46及び47の両方;(20)配列番号48及び49の両方;(21)配列番号50及び51の両方;(22)配列番号50及び49の両方;(23)配列番号129及び51の両方;(24)配列番号129及び130の両方;(25)配列番号46及び128の両方;(26)配列番号127及び47の両方;(27)配列番号127及び128の両方;(28)配列番号65及び66の両方;(29)配列番号67及び68の両方;(30)配列番号69及び70の両方;(31)配列番号69及び68の両方;(32)配列番号133及び70の両方;(33)配列番号133及び134の両方;(34)配列番号65及び132の両方;(35)配列番号131及び66の両方;(36)配列番号131及び132の両方;(37)配列番号84及び85の両方;(38)配列番号86及び87の両方;(39)配列番号88及び89の両方;(40)配列番号88及び87の両方;(41)配列番号137及び89の両方;(42)配列番号137及び138の両方;(43)配列番号84及び136の両方;(44)配列番号135及び85の両方;又は(45)配列番号135及び136の両方のアミノ酸配列を含み得る。
【0047】
本発明の実施形態では、本発明のポリペプチドは、上記本発明のTCRの可変領域を更に含み得る。これに関して、ポリペプチドは、例えば、(i)配列番号97~99及び139~149のうちの1つ又は(ii)配列番号99、140、及び142のうちの1つ並びに配列97、98、139、141、及び143~149のうちの1つのアミノ酸配列を含み得る。
【0048】
本発明の実施形態では、本発明のポリペプチドは、本発明のTCRのα鎖及びβ鎖を含み得る。これに関して、ポリペプチドは、例えば、(1)配列番号14及び15の両方;(2)配列番号16及び17の両方;(3)配列番号18及び19の両方;(4)配列番号33及び34の両方;(5)配列番号35及び36の両方;(6)配列番号37及び38の両方;(7)配列番号52及び53の両方;(8)配列番号54及び55の両方;(9)配列番号56及び57の両方;(10)配列番号71及び72の両方;(11)配列番号73及び74の両方;(12)配列番号75及び76の両方;(13)配列番号90及び91の両方;(14)配列番号92及び93の両方;又は(15)配列番号94及び95の両方のアミノ酸配列を含み得る。
【0049】
本発明の実施形態は、更に、本明細書に記載のポリペプチドのうちの少なくとも1つを含むタンパク質を提供する。「タンパク質」とは、1本以上のポリペプチド鎖を含む分子を意味する。実施形態では、本発明のタンパク質は、(1)配列番号2~4の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号5~7の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(2)配列番号21~23の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号24~26の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(3)配列番号40~42の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号43~45の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(4)配列番号59~61の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号62~64の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は(5)配列番号78~80の全てのアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号81~83の全てのアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含み得る。
【0050】
本発明の実施形態では、タンパク質は、(1)配列番号8のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号9のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(2)配列番号10のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(3)配列番号12のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(4)配列番号12のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号11のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(5)配列番号121のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号13のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(6)配列番号121のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号122のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(7)配列番号8のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号120のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(8)配列番号119のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号9のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(9)配列番号119のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号120のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(10)配列番号27のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号28のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(11)配列番号29のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号30のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(12)配列番号31のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号32のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(13)配列番号31のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号30のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(14)配列番号125のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号32のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(15)配列番号125のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号126のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(16)配列番号27のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号124のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(17)配列番号123のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号28のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(18)配列番号123のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号124のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(19)配列番号46のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号47のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(20)配列番号48のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号49のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(21)配列番号50のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号51のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(22)配列番号50のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号49のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(23)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号51のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(24)配列番号129のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号130のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(25)配列番号46のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号128のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(26)配列番号127のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号47のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(27)配列番号127のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号128のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(28)配列番号65のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(29)配列番号67のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(30)配列番号69のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号70のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(31)配列番号69のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号68のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(32)配列番号133のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号70のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(33)配列番号133のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号134のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(34)配列番号65のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号132のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(35)配列番号131のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号66のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(36)配列番号131のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号132のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(37)配列番号84のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号85のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(38)配列番号86のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号87のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(39)配列番号88のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号89のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(40)配列番号88のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号87のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(41)配列番号137のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号89のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(42)配列番号137のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号138のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(43)配列番号84のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号136のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(44)配列番号135のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号85のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は(45)配列番号135のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号136のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含む。
【0051】
本発明の実施形態では、タンパク質は、例えば、上記本発明のTCRの定常領域を更に含み得る。これに関して、第1のポリペプチド鎖は、配列番号99、140、及び142のうちの1つを含み得、第2のポリペプチド鎖は、配列番号97、98、139、141、及び143~149のうちの1つを含み得る。
【0052】
本発明の実施形態では、タンパク質は、(1)配列番号14のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号15のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(2)配列番号16のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号17のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(3)配列番号18のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号19のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(4)配列番号33のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号34のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(5)配列番号35のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号36のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(6)配列番号37のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号38のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(7)配列番号52のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号53のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(8)配列番号54のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号55のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(9)配列番号56のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号57のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(10)配列番号71のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号72のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(11)配列番号73のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号74のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(12)配列番号75のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号76のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(13)配列番号90のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号91のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;(14)配列番号92のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号93のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖;又は(15)配列番号94のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖及び配列番号95のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖を含む。
【0053】
本発明のタンパク質は、TCRであってよい。あるいは、該タンパク質の第1の及び/又は第2のポリペプチド鎖(複数可)が、他のアミノ酸配列、例えば、免疫グロブリン若しくはその一部をコードしているアミノ酸配列を更に含む場合、本発明のタンパク質は、融合タンパク質であってもよい。これに関して、本発明の実施形態はまた、少なくとも1つの他のポリペプチドと共に、本明細書に記載の本発明のポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む融合タンパク質を提供する。他のポリペプチドは、融合タンパク質の別々のタンパク質として存在してもよく、又は本明細書に記載の本発明のポリペプチドのうちの1つとインフレームで(タンデムに)発現するポリペプチドとして存在してもよい。他のポリペプチドは、免疫グロブリン、CD3、CD4、CD8、MHC分子、CD1分子、例えば、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d等が挙げられるがこれらに限定されない任意のペプチド性若しくはタンパク質性の分子又はこれらの一部をコードしていてよい。
【0054】
融合タンパク質は、1コピー以上の本発明のポリペプチド及び/又は1コピー以上の他のポリペプチドを含み得る。例えば、融合タンパク質は、1、2、3、4、5、又はそれ以上のコピーの本発明のポリペプチド及び/又は他のポリペプチドを含み得る。融合タンパク質を作製する好適な方法は、当技術分野において公知であり、例えば、組み換え法が挙げられる。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態では、本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、α鎖及びβ鎖を連結するリンカーペプチドを含む単一のタンパク質として発現し得る。これに関して、本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、リンカーペプチドを更に含み得る。リンカーペプチドは、有利なことに、宿主細胞における組み換えのTCR、ポリペプチド、及び/又はタンパク質の発現を促進し得る。リンカーペプチドは、任意の好適なアミノ酸配列を含み得る。例えば、リンカーペプチドは、配列RAKRSGSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号100)のアミノ酸配列を含み得る。リンカーペプチドを含むコンストラクトが宿主細胞によって発現されたら、該リンカーペプチドを切断してもよく、その結果、分離されたα鎖及びβ鎖が得られる。本発明の実施形態では、TCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、完全長α鎖、完全長β鎖、及びα鎖とβ鎖との間に位置するリンカーペプチドを含むアミノ酸配列を含み得る。
【0056】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、シグナルペプチドを含む、本明細書に開示されるα鎖及び/又はβ鎖を含む。幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるα鎖及び/又はβ鎖のいずれかのシグナルペプチドの配列は、2位において野生型残基に置き換わったアラニン又はヒスチジンの残基を含む。
【0057】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、シグナルペプチドを欠く、本明細書に開示されるα鎖及び/又はβ鎖の成熟バージョンを含む。
【0058】
本発明のタンパク質は、本明細書に記載の本発明のポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む、組み換え抗体又はその抗原結合部分であってよい。本明細書で使用するとき「組み換え抗体」とは、本発明のポリペプチドのうちの少なくとも1つ、及び抗体のポリペプチド鎖又はその抗原結合部分を含む組み換え(例えば、遺伝的に操作された)タンパク質を指す。抗体のポリペプチド又はその抗原結合部分は、抗体の重鎖、軽鎖、重鎖若しくは軽鎖の可変領域若しくは定常領域、単鎖可変断片(scFv)、又はFc、Fab、若しくはF(ab)2’の断片等であってよい。抗体のポリペプチド鎖又はその抗原結合部分は、組み換え抗体の別々のポリペプチドとして存在してよい。あるいは、抗体のポリペプチド鎖又はその抗原結合部分は、本発明のポリペプチドとインフレームで(タンデムに)発現するポリペプチドとして存在してもよい。抗体のポリペプチド又はその抗原結合部分は、本明細書に記載の抗体及び抗体断片のいずれかを含む、任意の抗体又は任意の抗体断片のポリペプチドであってよい。
【0059】
本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、任意の長さであってよい、すなわち、該TCR、ポリペプチド、又はタンパク質がその生物活性、例えば、変異型P53に特異的に結合する、哺乳類におけるがんを検出する、又は哺乳類におけるがんを治療若しくは予防する能力等を保持している限り、任意の数のアミノ酸を含み得る。例えば、ポリペプチドは、約50~約5000アミノ酸長の範囲、例えば、約50、約70、約75、約100、約125、約150、約175、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、又はそれ以上のアミノ酸長であってよい。これに関して、本発明のポリペプチドは、オリゴペプチドも含む。
【0060】
本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質は、1つ以上の天然に存在するアミノ酸の代わりに合成アミノ酸を含んでいてもよい。このような合成アミノ酸は、当技術分野において公知であり、例えば、アミノシクロヘキサンカルボン酸、ノルロイシン、α-アミノn-デカン酸、ホモセリン、S-アセチルアミノメチル-システイン、トランス-3-及びトランス-4-ヒドロキシプロリン、4-アミノフェニルアラニン、4-ニトロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、4-カルボキシフェニルアラニン、β-フェニルセリンβ-ヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、α-ナフチルアラニン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルグリシン、インドリン-2-カルボン酸、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、アミノマロン酸、アミノマロン酸モノアミド、N’-ベンジル-N’-メチル-リジン、N’,N’-ジベンジル-リジン、6-ヒドロキシリジン、オルニチン、α-アミノシクロペンタンカルボン酸、α-アミノシクロヘキサンカルボン酸、α-アミノシクロヘプタンカルボン酸、α-(2-アミノ-2-ノルボルナン)-カルボン酸、α,γ-ジアミノ酪酸、α,β-ジアミノプロピオン酸、ホモフェニルアラニン、及びα-tert-ブチルグリシンが挙げられる。
【0061】
本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を、例えば、グリコシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、エステル化、N-アシル化、例えばジスルフィド架橋を介して環化、又は酸付加塩に変換、及び/又は任意で二量体化若しくは多量体化、又はコンジュゲートしてもよい。
【0062】
本発明のTCR、ポリペプチド、及び/又はタンパク質は、当技術分野において公知の方法、例えば、デノボ合成によって得ることができる。また、ポリペプチド及びタンパク質は、標準的な組み換え法を使用し、本明細書に記載の核酸を使用して組み換え的に生成することができる。例えば、Green and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(2012)を参照。あるいは、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、及び/又はタンパク質は、様々な商業実体のいずれかによって合成されてもよい。これに関して、本発明のTCR、ポリペプチド、及びタンパク質は、合成であってもよく、組み換え体であってもよく、単離されていてもよく、及び/又は精製されていてもよい。
【0063】
本発明の実施形態は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。「核酸」は、本明細書で使用するとき、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、及び「核酸分子」を含み、一般的に、DNA又はRNAのポリマーを意味し、これらは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、天然の、非天然の、又は改変されたヌクレオチドを含有していてもよく、そして、改変されていないオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間にみられるホスホジエステルの代わりに天然の、非天然の、又は改変されたヌクレオチド間結合、例えば、ホスホロアミデート結合又はホスホロチオエート結合を含有していてもよい。実施形態では、核酸は、相補的DNA(cDNA)を含む。核酸は、任意の挿入、欠失、逆位、及び/又は置換を含まないことが一般に好ましい。しかし、幾つかの例では、本明細書で論じた通り、核酸が1つ以上の挿入、欠失、逆位、及び/又は置換を含むことが好適である場合もある。
【0064】
本発明の実施形態は、5’から3’に向かって、第1のヌクレオチド配列及び第2のヌクレオチド配列を含む単離又は精製された核酸であって、該第1及び第2のヌクレオチド配列が、それぞれ、配列番号8及び9;9及び8;10及び11;11及び10;12及び13;13及び12;12及び11;11及び12;121及び13;13及び121;121及び122;122及び121;8及び120;120及び8;119及び9;9及び119;119及び120;120及び119;14及び15;15及び14;16及び17;17及び16;18及び19;19及び18;27及び28;28及び27;29及び30;30及び29;31及び32;32及び31;31及び30;30及び31;125及び32;32及び125;125及び126;126及び125;27及び124;124及び27;123及び28;28及び123;123及び124;124及び123;33及び34;34及び33;35及び36;36及び35;37及び38;38及び37;46及び47;47及び46;48及び49;49及び48;50及び51;51及び50;50及び49;49及び50;129及び51;51及び129;129及び130;130及び129;46及び128;128及び46;127及び47;47及び127;127及び128;128及び127;52及び53;53及び52;54及び55;55及び54;56及び57;57及び56;65及び66;66及び65;67及び68;68及び67;69及び70;70及び69;69及び68;68及び69;133及び70;70及び133;133及び134;134及び133;65及び132;132及び65;131及び66;66及び131;131及び132;132及び131;71及び72;72及び71;73及び74;74及び73;75及び76;76及び75;84及び85;85及び84;86及び87;87及び86;88及び89;89及び88;88及び87;87及び88;137及び89;89及び137;137及び138;138及び137;84及び136;136及び84;135及び85;85及び135;135及び136;136及び135;90及び91;91及び90;92及び93;93及び92;94及び95;又は95及び94のアミノ配列をコードしている核酸を提供する。
【0065】
本発明の実施形態では、核酸は、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間に介在する第3のヌクレオチド配列を更に含み、該第3のヌクレオチド配列は、切断可能なリンカーペプチドをコードしている。例えば、切断可能なリンカーペプチドは、配列RAKRSGSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号100)のアミノ酸配列を含み得る。本発明の実施形態では、核酸は、配列番号20、39、58、77、及び96からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードしている。例えば、核酸は、配列番号109~113からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み得る。
【0066】
好ましくは、本発明の核酸は、組み換え体である。本明細書で使用するとき、用語「組み換え体」とは、(i)天然若しくは合成の核酸セグメントを生細胞で複製可能な核酸分子に連結させることによって生細胞の外部で構築される分子、又は(ii)上記(i)に記載されているものの複製から得られる分子を指す。本明細書における目的のために、複製は、インビトロ複製であってもインビボ複製であってもよい。
【0067】
核酸は、当技術分野において公知の手順を使用して、化学合成及び/又は酵素ライゲーション反応に基づいて構築され得る。例えば、Green及びSambrookら、上掲を参照。例えば、核酸は、天然に存在するヌクレオチド、又は分子の生物学的安定性を増大させるか若しくはハイブリダイゼーションの際に形成される二本鎖の物理的安定性を増大させるために設計された様々に改変されたヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換ヌクレオチド)を使用して、化学的に合成することができる。核酸を作製するために使用することができる改変ヌクレオチドの例としては、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-置換アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルクエオシン、5-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、及び2,6-ジアミノプリンが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、本発明の核酸のうちの1つ以上は、様々な商業実体のいずれかから購入することもできる。
【0068】
本発明の実施形態では、核酸は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質のいずれかをコードしている、コドン最適化されたヌクレオチド配列を含む。任意の特定の理論又は機序に縛られるものではないが、ヌクレオチド配列のコドン最適化によって、mRNA転写物の翻訳効率が増大すると考えられる。ヌクレオチド配列のコドン最適化は、ネイティブなコドンを、同じアミノ酸をコードしているが細胞内でより容易に利用可能なtRNAによって翻訳され得る別のコドンで置換し、それによって、翻訳効率を増大させることを伴い得る。また、ヌクレオチド配列の最適化は、翻訳に干渉するmRNAの二次構造を低減し、それによって、翻訳効率を増大させることもできる。
【0069】
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載の核酸のいずれかのヌクレオチド配列に対して相補的なヌクレオチド配列、又は本明細書に記載の核酸のいずれかのヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0070】
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列は、好ましくは、高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。「高ストリンジェントな条件」とは、ヌクレオチド配列が、非特異的ハイブリダイゼーションよりも検出可能に多い量で標的配列(本明細書に記載の核酸のいずれかのヌクレオチド配列)に特異的にハイブリダイズすることを意味する。高ストリンジェントな条件は、正確な相補的配列を有するポリヌクレオチド又は幾つかの散在している不一致しか含有していないものを、該ヌクレオチド配列に一致している幾つかの小さな領域(例えば、3~10塩基)を偶然有するランダム配列と識別する条件を含む。このような相補的な小さな領域は、14~17又はそれ以上の塩基の完全長相補体よりも容易に融解するので、高ストリンジェントなハイブリダイゼーションによって容易に識別可能になる。比較的高ストリンジェントな条件は、例えば、約0.02~0.1M NaCl又は等価物、約50~70℃の温度によって提供されるもの等の低塩及び/又は高温条件を含む。このような高ストリンジェントな条件は、ヌクレオチド配列とテンプレート又は標的鎖との間に(もし存在するとしても)わずかな不一致しか許容せず、本発明のTCRのいずれかの発現を検出するのに特に好適である。一般的に、漸増量のホルムアミドを添加することによって、条件をよりストリンジェントにすることができると理解される。
【0071】
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載の核酸のいずれかと少なくとも約70%以上、例えば、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。これに関して、核酸は、本明細書に記載のヌクレオチド配列のいずれかから本質的になっていてよい。
【0072】
本発明の核酸は、組み換え発現ベクターに組み込むことができる。これに関して、本発明の実施形態は、本発明の核酸のいずれかを含む組み換え発現ベクターを提供する。本発明の実施形態では、組み換え発現ベクターは、α鎖、β鎖、及びリンカーペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含む。
【0073】
本明細書における目的のために、用語「組み換え発現ベクター」は、コンストラクトがmRNA、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドをコードしているヌクレオチド配列を含み、宿主細胞内で該mRNA、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを発現させるのに十分な条件下でベクターを該細胞と接触させたとき、該細胞に該mRNA、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを発現させる遺伝的に改変されたオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドのコンストラクトを意味する。本発明のベクターは、全体としては天然に存在しない。しかし、ベクターの一部は天然に存在している場合がある。本発明の組み換え発現ベクターは、DNA及びRNAが挙げられるがこれらに限定されない任意の種類のヌクレオチドを含んでいてよく、該DNA及びRNAは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、合成されても天然源から部分的に入手されてもよく、天然の、非天然の、又は改変されたヌクレオチドを含有していてもよい。組み換え発現ベクターは、天然に存在するヌクレオチド間結合、天然には存在しないヌクレオチド間結合、又は両方の種類の結合を含んでいてよい。好ましくは、天然には存在しないか又は改変されたヌクレオチド又はヌクレオチド間結合は、ベクターの転写も複製も妨げない。
【0074】
本発明の組み換え発現ベクターは、任意の好適な組み換え発現ベクターであってよく任意の好適な宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトするために使用することができる。好適なベクターとしては、プラスミド及びウイルス等、伝播及び増殖用、若しくは発現用、又は両方のために設計されたものが挙げられる。ベクターは、トランスポゾン/トランスポゼースシリーズ、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene,La Jolla,CA)、pETシリーズ(Novagen,Madison,WI)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)、及びpEXシリーズ(Clontech,Palo Alto,CA)からなる群から選択され得る。λGT10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、及びλNM1149等のバクテリオファージベクターを使用してもよい。植物発現ベクターの例としては、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121、及びpBIN19(Clontech)が挙げられる。動物発現ベクターの例としては、pEUK-Cl、pMAM、及びpMAMneo(Clontech)が挙げられる。好ましくは、組み換え発現ベクターは、トランスポゾン又はウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター又はレトロウイルスベクターである。
【0075】
本発明の組み換え発現ベクターは、例えば、Green及びSambrookら、上掲に記載されている標準的な組み換えDNA技術を使用して調製することができる。環状又は線状である発現ベクターのコンストラクトは、原核又は真核の宿主細胞において機能する複製系を含有するように調製することができる。複製系は、例えば、ColEl、2μプラスミド、λ、SV40、ウシパピローマウイルス等に由来していてよい。
【0076】
望ましくは、組み換え発現ベクターは、調節配列、例えば、必要に応じて、そして、ベクターがDNAベースであるかRNAベースであるかを考慮して、ベクターが導入される宿主細胞の種類(例えば、細菌、真菌、植物、又は動物)に特異的な転写及び翻訳の開始及び終止のコドンを含む。
【0077】
組み換え発現ベクターは、形質転換又はトランスフェクトされた宿主細胞の選別を可能にする1つ以上のマーカー遺伝子を含んでいてよい。マーカー遺伝子は、殺生物剤耐性、例えば、抗生物質、重金属等に対する耐性、原栄養性を与えるための栄養要求性宿主における補完等を含む。本発明の発現ベクターに好適なマーカー遺伝子は、例えば、ネオマイシン/G418耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ヒスチジノール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、及びアンピシリン耐性遺伝子を含む。
【0078】
組み換え発現ベクターは、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードしているヌクレオチド配列に、又はTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードしているヌクレオチド配列に相補的であるか若しくはハイブリダイズするヌクレオチド配列に動作可能に連結しているネイティブ又は非ネイティブのプロモータを含んでいてよい。例えば、強い、弱い、誘導性、組織特異的、及び発生段階特異的なプロモータの選択は、当業者の技能の範囲内である。同様に、ヌクレオチド配列とプロモータとの組み合わせも当業者の技能の範囲内である。プロモータは、非ウイルスプロモータ、例えば、ヒト伸長因子-1αプロモータであってもよく、ウイルスプロモータ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、SV40プロモータ、RSVプロモータ、及びマウス幹細胞ウイルスの末端反復配列にみられるプロモータであってもよい。
【0079】
本発明の組み換え発現ベクターは、一過的発現用、安定的発現用、又は両方のために設計してよい。また、組み換え発現ベクターは、構成的発現用又は誘導性発現用に作製してよい。
【0080】
更に、組み換え発現ベクターは、自殺遺伝子を含むように作製してもよい。本明細書で使用するとき、用語「自殺遺伝子」とは、自殺遺伝子を発現している細胞を死に至らしめる遺伝子を指す。自殺遺伝子は、該遺伝子が発現する細胞に剤、例えば薬物に対する感受性を付与し、そして、該細胞が該剤と接触したとき又は該剤に曝露されたときに該細胞を死に至らしめる遺伝子であってよい。自殺遺伝子は、当技術分野において公知であり、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、シトシンデアミナーゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、及びニトロレダクターゼを含む。
【0081】
本発明の別の実施形態は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載する核酸又はベクターのいずれかによってコードされている単離又は精製されたTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を提供する。
【0082】
本発明の更に別の実施形態は、本発明の他の態様に関して本明細書に記載する核酸又はベクターのいずれかが発現した結果得られる、単離又は精製されたTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を提供する。
【0083】
本発明の別の実施形態は、更に、本明細書に記載の核酸のいずれか又は組み換え発現ベクターのいずれかを含む宿主細胞を提供する。本明細書で使用するとき、用語「宿主細胞」とは、本発明の組み換え発現ベクターを含有し得る任意の種類の細胞を指す。宿主細胞は、真核細胞、例えば、植物、動物、真菌、又は藻類であってもよく、原核細胞、例えば、細菌又は原生動物であってもよい。宿主細胞は、培養細胞又は初代細胞、すなわち、生物、例えばヒトから直接単離された細胞であってよい。宿主細胞は、接着細胞又は懸濁細胞、すなわち、懸濁液中で成長する細胞であってよい。好適な宿主細胞は、当技術分野において公知であり、例えば、DH5α大腸菌細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、サルVERO細胞、COS細胞、HEK293細胞等が挙げられる。組み換え発現ベクターを増幅又は複製する目的のために、宿主細胞は、好ましくは、原核細胞、例えばDH5α細胞である。組み換えのTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を生成する目的のために、宿主細胞は、好ましくは、哺乳類細胞である。最も好ましくは、宿主細胞は、ヒト細胞である。例えば、宿主細胞は、ヒトリンパ球であってよい。本発明の実施形態では、宿主細胞は、T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞、及びナチュラルキラー(NK)細胞からなる群から選択される。宿主細胞は、任意の細胞型であってよく、任意の種類の組織を起源としていてよく、任意の発生段階であってよいが、宿主細胞は、好ましくは、末梢血リンパ球(PBL)又は末梢血単核細胞(PBMC)である。より好ましくは、宿主細胞は、T細胞である。
【0084】
本明細書における目的のために、T細胞は、任意のT細胞、例えば、培養T細胞、例えば初代T細胞、又は培養T細胞株由来のT細胞、例えばJurkat、SupT1等、又は哺乳類から得られたT細胞であってよい。哺乳類から得られる場合、T細胞は、血液、骨髄、リンパ節、胸腺、又は他の組織若しくは流体を含むがこれらに限定されない多数の供給源から得ることができる。また、T細胞は、濃縮又は精製されてもよい。好ましくは、T細胞は、ヒトT細胞である。T細胞は、任意の種類のT細胞であってよく、任意の発生段階であってよく、CD4+/CD8+二重陽性T細胞、CD4+ヘルパーT細胞、例えば、Th1及びTh2細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、メモリT細胞(例えば、セントラルメモリT細胞及びエフェクタメモリT細胞)、ナイーブT細胞等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
また、本明細書に記載される少なくとも1つの宿主細胞を含む細胞の集団が本発明の実施形態によって提供される。細胞の集団は、組み換え発現ベクターのいずれも含まない少なくとも1つの他の細胞、例えば宿主細胞(例えば、T細胞)、又はT細胞以外の細胞、例えばB細胞、マクロファージ、好中球、赤血球、肝細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋肉細胞、脳細胞等に加えて、記載される組み換え発現ベクターのいずれかを含む宿主細胞を含む不均一な集団であってよい。あるいは、細胞の集団は、組み換え発現ベクターを含む(例えば、から本質的になる)宿主細胞を主に含む、実質的に均一な集団であってもよい。また、集団は、該集団の全ての細胞が、組み換え発現ベクターを含む単一の宿主細胞のクローンであり、その結果、該集団の全ての細胞が組み換え発現ベクターを含む、細胞のクローン集団であってもよい。本発明の一実施形態では、細胞の集団は、本明細書に記載の組み換え発現ベクターを含む宿主細胞を含むクローン集団である。
【0086】
本発明の実施形態では、集団内の細胞数を、急速に拡大させることができる。T細胞数の拡大は、例えば、米国特許第8,034,334号、同第8,383,099号、米国特許出願公開第2012/0244133号、Dudley et al.,J.Immunother.,26:332-42(2003)、及びRiddell et al.,J.Immunol.Methods,128:189-201(1990)に記載されている通り、当技術分野において公知の多数の方法のいずれかによって実現することができる。実施形態では、T細胞数の拡大は、該T細胞をOKT3抗体、IL-2、及びフィーダーPBMC(例えば、放射線照射された同種PBMC)と共に培養することによって実行される。
【0087】
本発明の実施形態は、DRNTFRHSVVVPCEPPEVGSDCTTI(配列番号115)又はSGNLLGRNSFEVCVCACPGRDRRTE(配列番号117)のペプチドに対する抗原特異性を有するTCRを発現する宿主細胞を生成する方法であって、本明細書に記載のベクターのいずれかの該細胞への導入を可能にする条件下で、該細胞を該ベクターと接触させることを含む方法を提供する。
【0088】
本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、及び宿主細胞(その集団を含む)は、単離及び/又は精製されてもよい。用語「単離された」は、本明細書で使用するとき、その天然環境から取り出されたことを意味する。用語「精製された」は、本明細書で使用するとき、純度が増大したことを意味し、「純度」は相対的な用語であり、必ずしも絶対純度と解釈される訳ではない。例えば、純度は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%であってもよく、約100%であってもよい。
【0089】
本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、及び宿主細胞(その集団を含む)(以後、これらの全てをまとめて「本発明のTCR材料」と称する)は、医薬組成物等の組成物に製剤化してもよい。これに関して、本発明の実施形態は、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、発現ベクター、及び宿主細胞(その集団を含む)のいずれかと、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明のTCR材料のいずれかを含有する本発明の医薬組成物は、1つを超える本発明のTCR材料、例えば、ポリペプチド及び核酸又は2つ以上の異なるTCRを含んでいてもよい。あるいは、医薬組成物は、別の薬学的活性剤(複数可)又は薬物(複数可)、例えば、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン等と組み合わせて本発明のTCR材料を含んでいてもよい。
【0090】
好ましくは、担体は、薬学的に許容し得る担体である。医薬組成物に関して、担体は、検討中の具体的な本発明のTCR材料に従来使用されているもののいずれかであってよい。投与可能な組成物を調製する方法は、当業者に公知であるか又は明らかであり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.,Pharmaceutical Press(2012)により詳細に記載されている。薬学的に許容し得る担体は、使用条件下で有害な副作用も毒性も有しないものであることが好ましい。
【0091】
担体の選択は、具体的な本発明のTCR材料によって、並びに本発明のTCR材料を投与するために使用される具体的な方法によって部分的に決定される。従って、本発明の医薬組成物の様々な好適な製剤が存在する。好適な製剤は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、腫瘍内、又は腹腔内に投与するもののいずれかを含み得る。1つを超える経路を使用して本発明のTCR材料を投与してもよく、特定の例では、特定の経路が別の経路よりも即時かつより有効な応答を提供し得る。
【0092】
好ましくは、本発明のTCR材料は、例えば静脈内に注射することによって投与される。本発明のTCR材料が、本発明のTCRを発現している宿主細胞であるとき、注射するための細胞用の薬学的に許容し得る担体は、任意の等張担体、例えば、通常生理食塩水(水中約0.90%w/v NaCl、水中約300mOsm/L NaCl、又は水1リットルあたり約9.0g NaCl)、NORMOSOL R電解質溶液(Abbott,Chicago,IL)、PLASMA-LYTE A(Baxter,Deerfield,IL)、水中約5%デキストロース、又は乳酸リンゲル液を含んでいてよい。実施形態では、薬学的に許容し得る担体にヒト血清アルブメン(albumen)を補給する。
【0093】
投与される本発明のTCR材料の量又は用量(例えば、本発明のTCR材料が1つ以上の細胞である場合は細胞数)は、適切な時間枠にわたって対象又は動物において例えば治療的又は予防的応答をもたらすのに十分でなければならない。例えば、本発明のTCR材料の用量は、投与時点から約2時間以上、例えば、12~24時間又はそれ以上の期間、がん抗原(例えば、変異型P53)に結合するか又はがんを検出、治療、若しくは予防するのに十分でなければならない。特定の実施形態では、期間は更に長くてもよい。用量は、具体的な本発明のTCR材料の有効性及び動物(例えば、ヒト)の状態、並びに治療される動物(例えば、ヒト)の体重によって決定される。
【0094】
投与される用量を決定するための多くのアッセイが、当技術分野において公知である。例えば、それぞれ異なる用量のT細胞を与えた哺乳類のセット間で、所与の用量の本発明のTCR、ポリペプチド、又はタンパク質を発現しているT細胞を哺乳類に投与した際にこのようなT細胞によって標的細胞が溶解する又はIFN-γが分泌される程度を比較することを含むアッセイを使用して、哺乳類に投与する開始用量を決定することができる。特定の用量の投与した際に標的細胞が溶解する又はIFN-γが分泌される程度は、当技術分野において公知の方法によってアッセイすることができる。
【0095】
本発明のTCR材料の用量は、具体的な本発明のTCR材料の投与に付随し得る任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度によっても決定される。典型的には、主治医は、様々な要因、例えば、年齢、体重、全体的な健康状態、食生活、性別、投与される本発明のTCR材料、投与経路、及び治療されるがんの重症度を考慮して、各個々の患者を治療するための本発明のTCR材料の投与量を決定する。本発明のTCR材料が細胞の集団である実施形態では、注入1回あたりに投与される細胞数は、例えば、約1×106~約1×1012細胞又はそれ以上で変動し得る。特定の実施形態では、1×106細胞未満を投与してもよい。
【0096】
当業者は、本発明のTCR材料を任意の数の方法で修飾してもよく、その結果、該修飾を通して本発明のTCR材料の治療又は予防の有効性が増大することを容易に理解するであろう。例えば、本発明のTCR材料を、直接又は架橋を介して間接的に化学療法剤にコンジュゲートしてもよい。化合物の化学療法剤へのコンジュゲートの実施は、当技術分野において公知である。当業者は、架橋及び/又は化学療法剤が本発明のTCR材料に結合しても本発明のTCR材料の機能、すなわち、変異型P53に結合するか又はがんを検出、治療、若しくは予防する能力には干渉しない限り、本発明のTCR材料の機能に必須ではない本発明のTCR材料の部位が、架橋及び/又は化学療法剤を結合させるのに理想的な部位であることを認識する。
【0097】
本発明の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、又は細胞の集団は、がんを治療又は予防する方法において使用できることが企図される。特定の理論に縛られるものではないが、本発明のTCRは変異型P53に特異的に結合し、その結果、TCR(又は関連する本発明のポリペプチド若しくはタンパク質)は、細胞によって発現されたとき、変異型P53を発現している標的細胞に対する免疫応答を媒介することができると考えられる。これに関して、本発明の実施形態は、哺乳類におけるがんを治療又は予防する方法であって、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれか、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組み換え発現ベクター、又は本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしている組み換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞の集団を、哺乳類におけるがんを治療又は予防するのに有効な量、該哺乳類に投与することを含む方法を提供する。
【0098】
本発明の実施形態は、哺乳類におけるがんの治療又は予防において使用するための、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれか、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組み換え発現ベクター、又は本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしている組み換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞の集団を提供する。
【0099】
用語「治療する」及び「予防する」、並びにそれから派生する語は、本明細書で使用するとき、必ずしも100%、すなわち、完全な治療又は予防を意味するものではない。どちらかといえば、当業者が潜在的な利点又は治療効果を有すると認識する、様々な程度の治療又は予防が存在する。これに関して、本発明の方法は、哺乳類における任意の量の任意のレベルのがんの治療又は予防を提供することができる。更に、本発明の方法によって提供される治療又は予防は、治療又は予防されるがんの1つ以上の病態又は症状の治療又は予防を含み得る。例えば、治療又は予防は、腫瘍の退縮を促進することを含み得る。また、本明細書における目的のために、「予防」は、がん又はその症状若しくは病態の発症を遅らせることを包含し得る。あるいは又は更に、「予防」は、がん又はその症状若しくは病態の再発を防ぐか又は遅らせることを包含し得る。
【0100】
本発明の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、又は細胞の集団は、哺乳類におけるがんに対する免疫応答を誘導する方法において使用できることも企図される。これに関して、本発明の実施形態は、哺乳類におけるがんに対する免疫応答を誘導する方法であって、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれか、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組み換え発現ベクター、又は本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしている組み換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞の集団を、哺乳類におけるがんに対する免疫応答を誘導するのに有効な量、該哺乳類に投与することを含む方法を提供する。
【0101】
本発明の実施形態は、哺乳類におけるがんに対する免疫応答の誘導において使用するための、本明細書に記載の医薬組成物、TCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれか、本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、タンパク質のいずれかをコードしているヌクレオチド配列を含む任意の核酸若しくは組み換え発現ベクター、又は本明細書に記載のTCR、ポリペプチド、若しくはタンパク質のいずれかをコードしている組み換えベクターを含む任意の宿主細胞若しくは細胞の集団を提供する。
【0102】
また、哺乳類におけるがんの存在を検出する方法も本発明の実施形態によって提供される。方法は、(i)本明細書に記載の本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、細胞の集団、又は医薬組成物のいずれかを、哺乳類由来の1つ以上の細胞を含むサンプルと接触させ、それによって、複合体を形成させることと、(ii)該複合体を検出することとを含み、該複合体の検出が、哺乳類におけるがんの存在を示す。
【0103】
哺乳類におけるがんを検出する本発明の方法に関して、細胞のサンプルは、全細胞、その溶解物、又は全細胞溶解物の画分、例えば、核若しくは細胞質の画分、全タンパク質画分、又は核酸画分を含むサンプルであってよい。
【0104】
本発明の検出方法の目的のために、接触は、哺乳類に対してインビトロ又はインビボで行ってよい。好ましくは、インビトロで接触させる。
【0105】
また、複合体の検出は、当技術分野において公知の任意の数の方法を通して行うことができる。例えば、本明細書に記載の本発明のTCR、ポリペプチド、タンパク質、核酸、組み換え発現ベクター、宿主細胞、又は細胞の集団を、検出可能な標識、例えば、放射性同位体、フルオロフォア(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE))、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ)、及び元素粒子(例えば、金粒子)等で標識してよい。
【0106】
宿主細胞又は細胞の集団が投与される本発明の方法の目的のために、細胞は、哺乳類に対して同種又は自己である細胞であってよい。好ましくは、細胞は、哺乳類に対して自己である。
【0107】
本発明の方法に関して、がんは、例えば、急性リンパ球性がん、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、骨がん、脳がん、乳がん、肛門、肛門管、又は肛門直腸のがん、眼のがん、肝内胆管のがん、関節のがん、頸部、胆嚢、又は胸膜のがん、鼻、鼻腔、又は中耳のがん、口腔のがん、膣のがん、外陰部のがん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、子宮頸がん、消化管カルチノイド腫瘍、神経膠腫、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、腎臓がん、喉頭がん、肝臓がん、肺がん、悪性中皮腫、メラノーマ、多発性骨髄腫、上咽頭がん、非ホジキンリンパ腫、中咽頭のがん、卵巣がん、陰茎のがん、膵臓がん、腹膜、網、及び腸間膜のがん、咽頭がん、前立腺がん、直腸がん、腎がん、皮膚がん、小腸がん、軟組織がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮のがん、尿管がん、並びに膀胱がんのいずれかを含む任意のがんであってよい。好ましい実施形態では、がんは、変異型P53を発現するがんである。がんは、配列番号1によって定義したとき273位及び220位の一方又は両方に変異を有するP53を発現し得る。がんは、以下のヒトP53変異のうちの一方又は両方を有するP53を発現し得る:R273C及びY220C。本発明の実施形態では、がんは、上皮がんである。本発明の実施形態では、がんは、胆管がん、メラノーマ、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経膠芽腫、子宮頸がん、頭頸部がん、乳がん、膵臓がん、又は膀胱がんである。がんは、ヒトP53におけるR273C又はY220Cの変異を含むことが知られている場合がある。
【0108】
本発明の方法において言及される哺乳類は、任意の哺乳類であってよい。本明細書で使用するとき、用語「哺乳類」とは、げっ歯目の哺乳類、例えばマウス及びハムスター、並びにウサギ目の哺乳類、例えばウサギを含むがこれらに限定されない任意の哺乳類を指す。哺乳類は、ネコ及びイヌを含む食肉目の哺乳類であることが好ましい。哺乳類は、ウシ及びブタを含む偶蹄目、又はウマを含む奇蹄目の哺乳類であることがより好ましい。哺乳類は、霊長目、サル目(Ceboids又はSimoids)(サル)、又は真猿亜目(ヒト及び類人猿)の哺乳類であることが最も好ましい。特に好ましい哺乳類は、ヒトである。
【実施例】
【0109】
以下の実施例は、本発明について更に説明するが、無論、いかなる方法でもその範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0110】
実施例1
この実施例は、患者4343のTILにおける抗P53-Y220C T細胞反応性の同定について示す。
【0111】
ホルモン陽性HER2陽性の転移性乳がんを有する患者4343から切除した腫瘍を23個の断片に切断し、サイトカインIL-2の存在下で培養して、エクスビボでTILを成長させた。断片(F1~F7及びF9~F24と付番)を、DMSO(ビヒクル)又は変異体P53-Y220CペプチドDRNTFRHSVVVP
CEPPEVGSDCTTI(配列番号115)でパルスした自己樹状細胞と共培養することにより、変異体P53を含む腫瘍特異的ネオアンチゲン反応性について試験した。IFN-γの生成をELISpotアッセイによって測定した。結果を
図1Aに示す。断片番号F2、F3、F11、F21、及びF23は、P53-Y220Cを認識するTILを含有すると同定された。
【0112】
実施例2
この実施例は、患者4386のTILにおける抗P53-R273C T細胞反応性の同定について示す。
【0113】
患者4386の左乳房腋窩リンパ節から切除した腫瘍を24個の断片に切断し、サイトカインIL-2の存在下で培養して、エクスビボでTILを成長させた。断片(F1~F24と付番)を、DMSO(ビヒクル)又は変異体P53-R273CペプチドSGNLLGRNSFEV
CVCACPGRDRRTE(配列番号117)でパルスした自己樹状細胞と共培養することにより、変異体P53を含む腫瘍特異的ネオアンチゲン反応性について試験した。IFN-γの生成をELISpotアッセイによって測定した。結果を
図1Bに示す。断片番号F7は、P53-R273Cを認識するTILを含有すると同定された。
【0114】
患者4386の新鮮腫瘍消化物(腫瘍1A又は腫瘍1B)からのT細胞を、CD3並びに細胞表面マーカーCD4、CD8、CD39、PD-1、及びTIGITのうちの1つ以上の発現に基づいて選別した。選別された細胞集団を増幅させ、変異体P53-R273Cペプチド又はDMSOに対する反応性について試験した。IFN-γの生成をELISpotアッセイによって測定した。結果を
図1Cに示す。腫瘍1Aからの2つの細胞集団が、P53-R273Cを認識するT細胞を含有すると同定された:CD3
+CD4
+CD39
+PD-1
+TIGIT
+及びCD3
+CD4
+CD39
+PD-1
+TIGIT
-。
【0115】
ネオアンチゲン反応性T細胞を濃縮するために、患者4386からのTILをインビトロ感作に供し、続いて、DMSO又は変異体P53-R273Cペプチドに対する試験を行った。T細胞活性化マーカーである4-1BB及びOX40をフローサイトメトリーによって測定した。結果を
図1Dに示す。
【0116】
実施例3
この実施例は、実施例1の反応性TILからの抗P53-Y220C TCRの単離について示す。
【0117】
反応性TILを再刺激し、単一細胞T細胞受容体(TCR)シーケンシングのために4-1BBのアップレギュレーションによって選別して96ウェルプレートに入れた。TCR、すなわち、4343-D TCR(TRAV12-3/TRBV27)が見出された。
【0118】
単一細胞TCRシーケンシングによって、TCRのアルファ鎖及びベータ鎖の可変領域の配列を同定した。アルファ鎖及びベータ鎖の可変領域のアミノ酸配列を表3に示す。CDRには下線付きである。N末端シグナルペプチドは太字フォントである。
【0119】
【0120】
実施例4
この実施例は、実施例2の反応性TILからの抗P53-R273C TCRの単離について示す。
【0121】
反応性TILを再刺激し、単一細胞T細胞受容体(TCR)シーケンシングのために4-1BBのアップレギュレーションによって選別して96ウェルプレートに入れた。4つのTCR、すなわち、4386-F TCR(TRAV13-2/TRBV4-3)、4386-G TCR(TRAV3/TRBV20-1)、4386-H TCR(TRAV23/TRBV7-2)、及び4386-O TCR(TRAV13-2/TRBV7-3)が見出された。
【0122】
単一細胞TCRシーケンシングによって、TCRのアルファ鎖及びベータ鎖の可変領域の配列を同定した。アルファ鎖及びベータ鎖の可変領域のアミノ酸配列を表4に示す。CDRは下線付きである。N末端シグナルペプチドは太字フォントである。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
実施例5
この実施例は、実施例3~4のそれぞれのTCRをコードしているレトロウイルスベクターの構築について示す。
【0128】
表3~4のTCRのα鎖及びβ鎖の可変領域をコードしているヌクレオチド配列を得、コドン最適化を行った。TCRβのVDJ領域をマウスTCRβの定常鎖に融合させた。TCRαのVJ領域をマウスTCRαの定常鎖に融合させた。特定の理論又は機序に縛られるものではないが、ヒトのTCRα鎖及びTCRβ鎖の定常領域を対応するマウス定常領域で置換すると、TCRの発現及び機能性が改善すると考えられる(Cohen et al.,Cancer Res.,66(17):8878-86(2006))。
【0129】
更に、マウスのTCRα及びTCRβの定常鎖をシステインで修飾した。マウスTCRαの定常鎖に膜貫通型疎水性変異を導入した。特定の理論又は機序に縛られるものではないが、これら修飾により、導入されたTCR鎖が優先的に対合し、TCRの表面発現及び機能性が高まると考えられる(Cohen et al.,Cancer Res.,67(8):3898-903(2007);Haga-Friedman et al.,J.Immu.,188:5538-5546(2012))。
【0130】
TCR発現カセットのMSGV1ベクター5’NcoI部位へのクローニングを促進し、コザック配列を導入するために、TCRVα鎖のN末端シグナルペプチドにおける2番目のアミノ酸をヒスチジン(H)に変更し、TCRVβ鎖のN末端シグナルペプチドにおける2番目のアミノ酸をアラニン(A)に変更した。
【0131】
定常領域へのこれら修飾を含む、5つのTCRのそれぞれの完全長のα鎖及びβ鎖を表5に示す。表5中、CDRは下線付きであり、定常領域はイタリック体であり、定常領域の修飾アミノ酸残基は下線付きかつ太字である。
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
表5のTCRのα鎖及びβ鎖の可変領域をコードしているヌクレオチド配列を、以下の発現カセット構成を有するMSGV1ベースのレトロウイルスベクターにクローニングした:5’NcoI-VDJβ-mCβ-フリン/SerGly/P2A-VJα-mCα-EcoRI3’。
【0137】
TCRβ鎖及びTCRα鎖は、フリンSer/Gly P2AリンカーRAKRSGSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号100)によって分離されていた。特定の理論又は機序に縛られるものではないが、リンカーによって、2本の鎖の発現効率が同等になると考えられる(Szymczak et al.,Nat. Biotechnol.,22(5):589-94(2004))。
【0138】
レトロウイルスベクターのTCR発現カセットは、5’から3’に向かって、リンカーによって分離されているTCRβ鎖及びTCRα鎖をコードしていた。TCR発現カセットのヌクレオチド配列を表6に示す。
【0139】
【0140】
それぞれの各TCR発現カセットがコードしているアミノ酸配列を表7に示す。表7中、CDRは下線付きであり、定常領域はイタリック体であり、リンカーは太字で示す。
【0141】
【0142】
実施例6
この実施例は、実施例5のレトロウイルスベクターによって発現される抗P53-Y220C TCRの結合活性について示す。
【0143】
同種PBLに、独立して、実施例5の4343-D TCRをコードしているレトロウイルスベクターを形質導入した。自己DCを、
図3Aに示す様々な濃度のうちの1つの変異型P53-Y220C 25merペプチドDRNTFRHSVVVP
CEPPEVGSDCTTI(配列番号115)又は対応するWT 25merペプチドDRNTFRHSVVVP
YEPPEVGSDCTTI(配列番号114)で2時間パルスした。細胞を2回洗浄し、1:1の比で形質導入したT細胞と16時間共培養した。IFN-γの分泌をELISpotアッセイによって測定した。
図3Aに示すように、TCRを形質導入した細胞は、P53-Y220C 25merペプチドでパルスしたDCを特異的かつ強力に(avid)認識することが示された。
【0144】
特定の理論又は機序に縛られるものではないが、WT 25merペプチド(配列番号114)及び変異型P53 Y220C 25merペプチド(配列番号115)中に存在するシステイン残基は、酸化及びホモ二量化を受けやすい可能性があり、これが最終的にT細胞の効力の低下につながる可能性があると考えられる(Sachs et al,J.Immunol.,205(2):539-549(2020))。Y220C変異自体が、追加のシステイン残基を導入する。追加のシステイン残基が、TCRの変異体ペプチドの認識に影響を与える可能性があるという仮説を立てた。
【0145】
野生型及び変異体の両ペプチドの元の配列中のシステイン残基を全て、それ以上酸化も二量化も受けないAABAに改変することによって、この仮説を検証した。改変されたペプチドを表8に示す。
【0146】
【0147】
同種PBLに、独立して、実施例5の4343-D TCRをコードしているレトロウイルスベクターで形質導入した。自己B細胞を、
図3B~3Cに示す様々な濃度のうちの1つのAABA置換を有する変異型P53-Y220C 25merペプチド(配列番号151)又はAABA置換を有する対応するWT 25merペプチド(配列番号150)で2時間パルスした。細胞を2回洗浄し、1:1の比で形質導入したT細胞と16時間共培養した。フローサイトメトリーによりマウスTCR定常領域陽性細胞におけるT細胞活性化マーカー4-1BBのアップレギュレーションを測定することによって、反応性を試験した。
【0148】
図3B~3Cに示すように、結果からこの実施例で上述した仮説が検証された。AABA置換を有する変異型P53-Y220C 25merペプチドでは、AABA置換を有する対応するWT 25merペプチドよりも1対数分又はそれよりも大きなTCR効力が観察された。
【0149】
実施例7
この実施例は、実施例5のレトロウイルスベクターによって発現される抗P53-R273C TCRの結合活性について示す。
【0150】
同種PBLに、独立して、実施例5の4386-F TCR、4386-G TCR、4386-H TCR、又は4386-O TCRをコードしているレトロウイルスベクターで形質導入した。自己DCを、
図3D~3Gに示す様々な濃度のうちの1つのP53-R273C 25merペプチドSGNLLGRNSFEV
CVCACPGRDRRTE(配列番号117)又は対応するWT 25merペプチドSGNLLGRNSFEV
RVCACPGRDRRTE(配列番号116)で2時間パルスした。細胞を2回洗浄し、1:1の比で形質導入したT細胞と16時間共培養した。IFN-γ分泌をELISAによって測定した(
図3D~3G)。
図3D~3Gに示すように、TCRを形質導入した細胞は、変異型P53-R273C 25merペプチドでパルスしたDCを特異的かつ強力に認識することが示された。
【0151】
実施例8
この実施例は、実施例5のレトロウイルスベクターによって発現される抗P53-Y220C TCRが、HLA-DRB3*02/HLA-DRA1*01ヘテロ二量体によって提示される変異型P53を認識することを示す。
【0152】
エクソーム及びmRNAシーケンシングを用いて、患者4343が発現したMHCクラスII分子を決定した。発現したMHCクラスII分子を
図2Aに示す。
【0153】
エフェクター細胞は、4343-D TCRをコードしている実施例5のレトロウイルスベクターを形質導入した同種PBLであった。標的細胞は、独立して
図2Aに示すHLAクラスIIヘテロ二量体のうちの1つをトランスフェクトし、P53-Y220C 25merペプチドDRNTFRHSVVVP
CEPPEVGSDCTTI(配列番号115)でパルスしたCOS7細胞であった。
【0154】
フローサイトメトリーによりマウスTCR定常領域陽性細胞におけるT細胞活性化マーカー4-1BBのアップレギュレーションを測定することによって、反応性を試験した。結果を
図2Aに示す。
図2Aに示すように、4343-D TCR形質導入細胞を、HLA-DRA1
*01:01:01/HLA-DRB3
*02:02:01ヘテロ二量体をコードしているヌクレオチド配列を形質導入したP53-Y220C 25mer負荷標的細胞と共培養したときにのみ反応性が観察された。
【0155】
実施例9
この実施例は、実施例2のTILが、HLA-DPB1*04:02/HLA-DPA1*01ヘテロ二量体によって提示される変異型P53を認識したことを示す。
【0156】
エクソーム及びmRNAシーケンシングを用いて、患者4386が発現したMHCクラスII分子を決定した。発現したMHCクラスII分子を
図2Bに示す。
【0157】
エフェクター細胞は、実施例2で同定したP53-R273Cを認識するT細胞を含有するTILであった。標的細胞は、独立して
図2Bに示すHLAクラスIIヘテロ二量体のうちの1つをトランスフェクトし、P53-R273C 25merペプチドSGNLLGRNSFEV
CVCACPGRDRRTE(配列番号117)でパルスしたCOS7細胞であった。
【0158】
フローサイトメトリーによりCD3陽性細胞におけるT細胞活性化マーカー4-1BBのアップレギュレーションを測定することによって、反応性を試験した。結果を
図2Bに示す。
図2Bに示すように、TILを、HLA-DPA1
*01:03/HLA-DPB1
*04:02ヘテロ二量体をコードしているヌクレオチド配列を形質導入したP53-R273C 25mer負荷標的細胞と共培養したときにのみ反応性が観察された。
【0159】
本明細書に引用した刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参照文献は、各参照文献が個々にかつ具体的に参照によって援用されると示されており、その全体が本明細書に記載されているかのように、参照によって本明細書に援用される。
【0160】
本発明の説明に関連して(特に以下の特許請求の範囲に関連して)用語「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ」、並びに類似の参照対象の使用は、本明細書において他の指定がない限り又は文脈から明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。1つ以上の項目のリストの後の用語「少なくとも1つ」の使用(例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」)は、本明細書において他の指定がない限り又は文脈から明らかに矛盾していない限り、列挙される項目から選択される1つの項目(A又はB)又は列挙される項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は、特に断らない限り、オープンエンドな用語である(すなわち、「含むがこれらに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において他の指定がない限り、単に、範囲内の各別個の値を個々に参照する省略法として機能することを意図し、各別個の値が、本明細書に個々に列挙されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において他の指定がない限り又は文脈から明らかに矛盾していない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供される任意の及び全ての例又は例示的な表現(例えば、「等」)の使用は、特に主張しない限り、単に本発明をより深く解明することを意図し、本発明の範囲の限定を提起するものではない。明細書中の表現はいずれも、任意の請求されていない要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈されるべきではない。
【0161】
本発明を実施するための本発明者らに公知の最良の形態を含む本発明の好ましい実施形態が、本明細書に記載される。好ましい実施形態の変形は、前述の記載を読んだときに当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適宜使用すると予想し、そして、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているのとは別の方法で本発明が実施されることを意図している。従って、本発明は、準拠法によって認められている通り、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される発明主題の全ての変形及び等価物を含む。更に、その全ての可能な変形における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書において他の指定がない限り又は文脈から明らかに矛盾していない限り、本発明によって包含される。
【配列表】
【国際調査報告】