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特表2023-540131導電性構造物の表面および内部の不連続性を高温で検出するためのEMATシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】導電性構造物の表面および内部の不連続性を高温で検出するためのEMATシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/24 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
G01N29/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515259
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-16
(86)【国際出願番号】 IB2021059408
(87)【国際公開番号】W WO2022054036
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】2009138
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523080516
【氏名又は名称】ステレマト エスエー アールエル
【氏名又は名称原語表記】STEELEMAT S.A R.L
【住所又は居所原語表記】16 rue Erasme 1468 Luxembourg (LU)
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】エフドギモフ、アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】サボティン、アテミ
(72)【発明者】
【氏名】マリンカ、セルゲイ
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA06
2G047CA02
2G047EA10
(57)【要約】
要約
厚みのある導電性の構造物(90)の表面および内部の不連続面(2)を高温で検出するた
めのEMATシステム(1)であって、静磁場(SMF)を発生する磁石(4)と、材料(14)の
渦電流を誘導する、または誘導されるための高周波電気コイル(6)とを備えたもの。高
周波電気コイル(6)と検査対象(3)の間に配置された、強磁性体を組み込んだ多数の開
口した高周波のアクティブなラミネート(29)と開口した絶縁パッシブなラミネート(53
)からなる穴の空いたマトリクスアレイ積層磁心(22)により構成される。各ラミナ(29
、53)にはトラフホール(41、57)が開けられ、溝付きの円筒形開口部(39)が形成され
ている。誘導電流ループ(43)は、高周波のアクティブなラミネート(29)の各磁気トラ
フホール(41)を取り囲んでいる。冷却手段(58)は、熱伝達流体(60)を溝付き円筒形
開口部(39)を通過するように強制する。
要約[図6]に添付すべき図の数字
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の検査対象(3)における表面および内部の不連続性(2)を検出するための電磁超
音波探触子(EMAT)(1)であって、以下を備えるもの。
少なくとも1つの磁石(4)または電磁石で、検査対象物(3)に対して静的または準静的
な磁場(SMF)を発生させるように構成されているもの。
少なくとも1つの高周波(HF)電気コイル(6)であって、以下のようなもの
EMAT(1)を送信モード(EM)で使用する場合、放出された高周波電磁界(HFEMF)の高周
波電磁送信機(9)として構成され、次に、超音波周波数で高周波電気コイル(6)の高周
波交流(AC)を駆動する少なくとも一つのAC電流源(11)の出力に接続されるもの。
検査対象(3)の方向に高周波電磁界(HFEMF)を誘導する。
検査対象(3)の表面に材料渦流(14)を発生させる。
材料渦電流(14)と静磁場(SMF)や磁歪との相互作用により、検査対象料(3)に超音波
周波数でローレンツ力(15)を発生させる。
それにより検査対象(3)に一次超音波(17)を発生させる。
さらにEMAT(1)が受信モード(RM)で使用される場合、高周波の電磁受信機(18)とし
て構成され、超音波周波数で二次超音波電気信号(88)が横断し、
これは高周波電磁界(HFEMF)により発生する。
また、超音波源の影響を受け、静磁場(SMF)と相互作用する二次超音波(21)によって
検査対象(3)の検査面(8)に生じる材料渦流(14)によって誘導され、検査対象(3)
の表面および内部の不連続面(2)を示す。
少なくとも1つの穴の空いたマトリクス積層磁気コア(22)で、放出された高周波電磁界
(HFEMF)を集中させて検査材料(3)の方向に向くように構成されるもので、サンドイッ
チマトリクス(23)のように構成されるもの。
これは、マトリックス軸(25)に沿って積層された多数の積層ラミネート(24)から構成
されており、このラミネート(24)は、サンドイッチマトリックス(23)の2つの主なマ
トリックス面(26)の間に、そのスタッキングプラン( Stacking Plan)(27)と平行に
配置される。
さらに、複数の横方向エッジ面(35)を有しており、これはスタッキングプラン(27)に
対して実質的に垂直に、かつマトリックス軸(25)に対して垂直に延びている。
そのうちの1つのマトリックス(23)の第1端面(36)は、検査対象(3)の被検査面(8)
と対向する。
また、マトリックス(23)の第2エッジ面(37)は、第1エッジ面(36)と実質的に反対側
に位置し、高周波電気コイル(6)と対向する。
マトリックス(23)の積層ラミネート(24)のそれぞれが、
マトリックス(23)内の隣接するラミネート(24)のものと同様の空間幾何学的形状およ
び横方向寸法を有する。
また、、2つの主要な横方向シート面(32)を有しており、これはスタッキングプラン(2
7)に平行である。
各薄型シート(24)に隣接する周辺エッジ(33)は、マトリックス(23)の溝付きエッジ
面(34)を構成しており、これがマトリックス軸(25)を囲む。
マトリックス(23)のコア軸(38)を定義し、実質的に第1エッジ面(36)と第2エッジ面
(37)の中心を結び、マトリックス軸(25)に対して実質的に垂直に配置されている。
このサンドイッチマトリックス(23)は、高周波のアクティブなラミネート(29)(また
はそのようなラミナのグループ)の少なくとも1つの第1マルチチュード( Multitude)(
28)を含み、それぞれが以下の特徴を有する。
互いに離れている。
外部に導電性材料を備えており、その周辺エッジ(33)上で、導電性層で覆われている。
強磁性体であり、キュリー温度(TC)を有する磁性体を内部に備えている。
この電磁超音波探触子(EMAT)(1)は、その組み合わせに特徴がある。
溝付きの円筒形の開口部(アパーチャ)(39)で構成される。
マトリックス(23)の各ラミネート(24)を貫通し、、サンドイッチマトリックス(23)
のアパーチャ軸(40)に沿ってマトリックス軸(25)に実質的に平行であり、コア軸(38
)に垂直である。
2つの側面のマトリックス面(26)のそれぞれに開いている。
多数の磁気ビアホール(41)から構成されており、以下の特徴を有する。
断面寸法が同様である。
マトリックス(23)の高周波の穴の空いたアクティブラミナ(29)のそれぞれをほぼ中心
点で貫通する。これは検査対象面(8)に実質的に平行である。
マトリックス(23)の開口軸(40)に沿ってビアホールの長手方向エンベロープ(42)を
有する。また横方向の周囲が連続的に閉じられている。
整列することにより、溝付きの円筒形の開口部(39)を形成する。
複数の閉じた誘導電流ループ(43)で構成され、EMAT(1)が動作しているときに以下の
ようになることを特徴とする。
高周波コイル(6)内の超音波周波数の高周波交流(AC)によって放出される高周波電磁界(HF
EMF)によって誘導され、検査対象(3)において超音波周波数で材料渦流(14)により放
出される。
穴の空いたマトリクスの積層磁性コア(22)の各高周波のアクティブなラミネート(29)
の外周のアクティブなラミネートのスキン(48)内に位置する。
ループマッピング(LM)に従って配置され、すべての誘導電流ループ(43)のトポロジー
と相対的な位置が定義される。
各高周波のアクティブなラミネート(29)の各磁気ビアホール(41)が、検査面(8)に
面した第1エッジ面(36)と高周波の電気コイル(6)に面した第2エッジ面(37)の間に
位置する。
溝付き円筒形開口部(39)の各磁気ビアホール(41)は、内部に硬い物質がなく、電気導電体
が自由に通過できる。
ループスマッピング(LM)は、トポロジー的に離散的に配置されている。さらに互いに離
れた高周波のアクティブなラミネート(29)の誘導電流ループ(43)(またはそのような
高周波活性ラミネートのグループ)のマルチチュードから構成される。

遠隔誘電流ループ(43)(またはその類似のグループ)。
高周波のアクティブなラミネート(29)の周辺エッジ(33)上のアクティブなラミネート
のスキン(48)内に誘電するもの。
それぞれがスタッキングプラン(27)に平行で、検査対象(3)の表面に対して実質的に
垂直に、かつループの平面に沿って配置されるもの。
それぞれの高周波のアクティブなラミネート(29)の間で、実質的に平行であり、互いに
離れているもの。
高周波のアクティブなラミネート(29)の磁気ビアホール(41)を取り囲み、その周りを
回るもの。
穴の空いたマトリックス積層磁気コア(22)の各コアのスペーシングスライス(49)およ
びその表面は、高周波のアクティブなラミネート(29)(またはグループ)の間に位置し
ており、ここには誘電流ループ(43)が存在しない。

このように、穴の空いたマトリックス積層磁性体コア(22)内では、複合的でインタラクテ
ィブな二重の物理的な効果が発生する。
高周波のアクティブなラミネート(29)の複数の誘電流ループ(43)は、平行かつトポロ
ジー的に離れて設置されており、以下を生じることに特徴がある。
高周波磁界を発生させる。
高周波のアクティブなラミネート(29)に面する検査面(8)の狭い局所的にアクティブ
な部分(44)と、HF電気コイル(6)との間の高周波磁気結合を、個別にかつ局所的に増
大させる。
EMAT(1)の高周波磁気リラクタンスの低減。

マトリックス(23)の各高周波のアクティブなラミネート(29)の各磁気ビアホール(41
)の内周(45)は以下の特徴を有する。
熱伝導性・対流性表面(46)を形成する。
高周波のアクティブなラミネート(29)の特定の誘導電流ループ(43)によって生成され
た局所的な電気エネルギーおよび熱量エネルギーの一部を消散させ、内部熱冷却効果をう
む。
EMAT(1)の効率化に寄与する。
【請求項2】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)であり、以下を特徴とするもの。
マトリックス(23)の高周波のアクティブなラミネート(29)(またはそのグループ)は
、互いに分離している。これは、隣接するコアスペーシングスライス(49)のレベルにお
いて、電気絶縁材料からなるパッシブなラミネート(53)の第2のマルチチュード(54)
に置ける少なくとも一つのシートによるものである。
各パッシブなラミネート(53)は、スペーサビアホール(57)によって穿孔されている。
各パッシブなラミネート(53)は、以下のように位置決めされ、また構成される。
マトリックス(23)の高周波のアクティブなラミネート(29)の第1マルチチュード(28
)の磁気ビアホール(41)、およびサンドイッチマトリックス(23)のパッシブなラミネ
ート(53)の第2マルチチュード(54)のスペーサビアホール(57)である。
マトリックス軸(25)と平行に設置され、それより溝付きの円筒形の開口部(39)を形成
する。

さらにこの電磁超音波探触子(EMAT)(1)は以下を特徴とする。
各パッシブなラミネート(53)の各スペーサービアホール(57)は、以下の間に設置され

検査対象(3)に対向する第1端面(36)と
高周波の電気コイル(6)に面する第2エッジフェイス(37)
溝付き円筒形開口部(39)の各スペーサービアホール(57)が
その内部には硬いものは一切有しない。
特に電気伝導体が存在しない。
そのため、マトリックス(23)の各パッシブなラミネート(53)の各スペーサービアホー
ル(57)の内周は、以下のようになる。
熱伝導・対流面(46)がパッシブなラミネート(53)の中心に存在する。
隣接する高周波のアクティブなラミネート(29)の誘導電流ループ(43)によって発生す
る電気エネルギーと熱エネルギーの一部を放散することでスペーサ・ビアホール(57)に
おいて内部熱冷却効果を生み出し、EMAT(1)の効率向上に寄与する。
【請求項3】
請求項2の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、少なくとも一つのパッシブのラミネート(ラ
ミナ)(53)が以下の特徴を有することが好ましいもの。
その周辺部のエッジ(33)に、表面を覆う導電性物質が存在しない。
そのため穿孔マトリックス積層磁性コア(22)の溝付きエッジ面(34)は、連続的に覆わ
れておらず、さらに導電性層によって構成されていない。それとは逆に、別のエッジから
構成されている。これは高周波のアクティブなラミネート(29)の周りの導電性リングで
あり、またパッシブラミネ(53)の周りの絶縁リングで構成されたものである。
【請求項4】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下から構成されるもの。
冷却手段 (58)
冷却温度(TF)で伝熱流体(60)の冷却流(59)を発生させる。
冷却流(59)がマトリックス(23)の溝付き円筒形開口部(39)を通過するように構成し
たもの。
この電磁超音波探触子(EMAT)(1)は以下のような特徴を有する。
冷却流(59)が以下のように構成されるもの。
第1のマルチチュード(28)の少なくとも1つの磁気ビアホール(41)を連続して通過させ
る。または第2マルチチュード(54)の少なくとも1つのスペーサビアホール(57)を通過
させる。
マトリックス(23)の各連続する磁気ビアホール(41)や各スペーサービアホール(57)
のホール壁面(62)に沿って進む
マトリックス(23)の各高周波のアクティブなラミネート(29)において内部の熱冷却効
果を高める。またそれぞれが誘導電流ループ(43)と熱放散の対象である。
冷却流(59)の冷却温度(TF)は、各高周波のアクティブなラミネート(29)の磁性材料
の特定のキュリー温度(TC)よりも50℃以上低い。
【請求項5】
請求項4の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
穴の空いたマトリクス積層磁性コア(22)の少なくとも1枚(好ましくは多数)のラミネ
ート(24)が、以下の特徴を有するもの
クッション孔(63)を貫通しているか、クッション切欠(64)が設けられており、ビアホ
ール(41、57)と、検査対象(3)に面する第1端面(36)の部分との間に形成された環状
壁(65)を、スタッキングプラン(27)と平行に通過するもの。
薄いシート(24)のビアホール(41、57)と検査対象(3)に面する第1端面(36)との間
にクッション凹部(66)を形成する。


冷却手段 (58) が以下から構成されるもの。
ビアホール(41、57)を流れる冷却流(59)から、クッシング(クッション)流体流(67
)を取り出す。
このクッション流体流(67)は、クッションの凹部(66)を通って取り出される。
穴の空いたマトリクスの積層磁性体コア(22)と検査対象(3)の間に、検査対象(3)に
面したクッション凹部(66)の高さでリフトエアクッション(70)を生成する。
これにより、穴の空いたマトリックス積層磁性体コア(22)をクッションギャップ(68)
から検査対象(3)の上方に持ち上げることができる。
【請求項6】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
マトリクス面(26)上に位置する2つの外側のラミネートのシート面(32)が、導電性材
料で構成されるか、導電性被覆層(69)で覆われている。
磁気ビアホール(41)と横の寸法がほぼ同様のビアホールが、2つの導電性被覆層(69)
を貫通している。
マトリックス(23)の複数のラミネート(24)と2つの導電性被覆層(69)が、互いに相
対して設置されている。これにより溝付きの円筒形の開口部(39)を形成する

【請求項7】
:請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
各高周波のアクティブなラミネート(29)の各磁気ビアホール(41)の外周が長方形であ
る。
【請求項8】
請求項7の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
各磁気ビアホール(41)の中心が、高周波のアクティブなラミネート(29)の実質的にそ
の重心に位置する。
各磁気ビアホール(41)の穴は、その高周波のアクティブなラミネート(29)の周囲の一
定のリング距離(Rd)に位置する。
各高周波のアクティブなラミネート(29)は、その周囲に発生する誘導電流ループ(43)
の加熱から熱力学的に冷却された矩形のアクティブリング(71)として構成される。
【請求項9】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
穴の空いたマトリックス積層磁性体コア(22)の第2エッジ面(37)が、高周波電気コイ
ル(6)と直接向かい合っている。
マトリックス(23)の第2エッジ面(37)の一方と、HF電気コイル(6)の他方面の間には、磁石
は配置されない。
【請求項10】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
マトリックス(23)の第2エッジ面(37)に位置する各高周波のアクティブなラミネート
(29)の回路の対向エッジ(72)の向き、ピッチ、サイズ、HF電気コイル(6)と向き合
う形状を決める。
これは回路対面エッジ(72)の各々に連続して対面する高周波電気コイル(6)の導体画
分(75)の向き、ピッチ、サイズ、形状などの幾何学的パラメータと一致し、相関してい
る。
【請求項11】
請求項11の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
高周波の電気コイル(6)は、少なくとも1つの直線導体のフラクション( Fraction of L
inear Conductor)(73)を有する。
この直線導体のフラクション(73)は、回路フェイシング・エッジ(72)に近接して真上
に配置され、HF電気コイル(6)に面したマトリクス(23)の第2エッジ面(37)に位置す
る高周波のアクティブなラミネート(29)の周囲に近い部分で、平行に接続している。
この電磁超音波探触子(EMAT)(1)は、直線導体のフラクション(73)と穴の空いたマト
リクスラミネート磁性コア(22)との組み合わせにより、EMAT(1)の動作時に、誘導電
流ループ(43)が以下のように構成されることを特徴とする。
高周波のアクティブなラミネート(29)の外周にあるアクティブなラミネートのスキン(
48)に郵電される。
磁気ビアホール(41)を取り囲む。
これにより、局所的に高周波磁気結合を以下の間に発生させる。
高周波のアクティブなラミネート(29)の周囲を超えて、それに沿って延びる直線導体の
フラクション(73)により駆動される高周波の交流(AC)
高周波のアクティブなラミネート(29)に面した検査面(8)のローカルアクティブフラ
クション(44)に発生する材料渦電流(14)
【請求項12】
請求項11の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
高周波電気コイル(6)は、多数の(少なくとも2つの)直線導体のフラクション(73)を
有する。これはミアンダ回路(74)のように、互いに平行かつ隣接している。
この複数の直線導体のフラクション(73)は、
HF電気コイル(6)に面するマトリックス(23)の第2エッジ面(37)に位置する高周波の
アクティブなラミネート(29)の回路の縁面(72)に連続して近接し、かつその真上に配
置されており
平行に隣接する直線導体(73)から連続して流れる高周波の交流(AC)が交互に逆方向を
向くように構成される。
少なくとも1つの導体HF磁束ループ(76)が、直線導体(73)の各フラクションを実質的
に垂直に取り囲み、それに面した高周波のアクティブなラミネート(29)の内部を実質的
に垂直に貫通する。
この電磁超音波探触子(EMAT)(1)は、送信モード(EM)にあるとき、高周波電気コイ
ル(6)の直線導体(73)と穴の空いたマトリクス積層磁性体コア(22)が以下のように
構成されていることを特徴としている。
隣接する2つの高周波のアクティブなラミネート(29)の上に、隣接する2つの直線導体(73)
が乗っている。
隣接する2つの誘導電流ループ(43)がアクティブなラミネートのスキン (48)を横切ってい
る。これは高周波電流で構成されており、この電流は開口軸(40)を中心に、時計回りと反
時計回りに交互に回転している。
【請求項13】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
その穴の空いたマトリクスの積層磁性体コア(22)の溝付きの円筒形開口部(39)の、開
口部の深さ (Od) が、開口軸(40)に沿っているもの。
EMAT(1)の少なくとも1つのHF電気コイル(6)の第1の横断寸法(FTd)が実質的に等し
いもの。
【請求項14】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。
穴の空いたマトリックス積層磁性体コア(22)の溝付きの第2のエッジ面(37)が、高周
波コイル(6)に面している。
マトリックス(23)の開口軸(40)に垂直な方向において、EMAT(1)の少なくとも1つの
HF電気コイル(6)の第2横断寸法(STd)と実質的に等しい横断寸法を有する。
【請求項15】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。 穿孔されたマトリッ
クス積層磁気コア(22)の穿孔されたラミネート(24)のシートの幾何公差や、その穿孔
されたマトリックス積層磁気コア(22)の幾何公差が以下の理由から選ばれるもの
送信された高周波の電磁界(Emitted HF Electro-Magnetic Field (HFEMF))の主要な高調
波の波長から生成されていること。
EMAT(1)の動作周波数の超音波で、穴の空いたマトリックス積層磁性体コア(22)の機
械的共振を防止すること。
【請求項16】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、以下を特徴とするもの。 穴の空いたマトリッ
クス積層磁性体コア(22)の穴の空いたラミネート(24)のシートの幾何公差が、EMAT(
1)の動作時の超音波周波数であるもの。
これらの薄いシート (24)が生成する超音波の波長よりも低い。
あるいは、これらの薄いシート (24)が生成する超音波の波長の4分の1の奇数にほぼ等し
い。
【請求項17】
請求項1の電磁超音波探触子(EMAT)(1)で、 検査対象(3)に面する穴の空いたマトリッ
クスのラミネート磁性コア(22)の溝付きの第1エッジ面(36)と溝付き円筒形開口部(3
9)とが電気絶縁材料で覆われているか、絶縁層(81)で覆われているタイプであるもの
。またこのEMATは一方の面を絶縁層(81)で覆われており、これが以下を特徴とする。
溝付き円筒形開口部(39)に面して配置されている。
第1エッジ面(36)に属するエッジ上で、開口したHFアクティブラミネ(29)の各々の周
囲を覆っている。
【請求項18】
導電性の検査対象(3)を、この検査対象(3)から超音波信号を受信して検査するための、レ
ーザ-EMATプローブ(LEMAT)(82)であって、以下の組み合わせからなることを特徴とす
るもの。
請求項1から17の電磁超音波探触子(EMAT)(1)であり、以下から構成されるもの。
検査対象(3)から超音波信号を受信するための受信モード(RM)に構成される。
そのうちの高周波電気コイル(6)は、高周波電磁波受信機(18)として構成される。
検査対象(3)から放出される高周波電磁界(HFEMF)により誘電する。
検査材料(3)の表面や内部の不連続面(2)を表す二次超音波(21)により、検査材料(
3)に発生する材料渦流(14)によって生成される。
穴の空いたマトリックス積層磁性体コア (22) で、以下の特徴を有するもの。
EMAT(1)の高周波電気コイル(6)と検査対象(3)の表面との間に位置しており、
高周波電気コイル(6)に直接面している。
以下から構成されるレーザー (84)
検査対象(3)の表面の発射点(86)に高エネルギーのレーザー(85)を照射するもの。
検査対象(3)の表面や内部に伝わる一次超音波(17)を生成する超音波を発生させる。
検査対象物(3)の表面や内部に伝播する、不連続部(2)と一次超音波(17)の相互作用
のエコーの結果生じる二次超音波(21)を生成する。
検査対象(3)の表面での材料渦流(14)の発生を引き起こす。これはEMAT (1), の磁石
(4) が発する静磁場(SMF)によって、二次超音波(21)の機械的振動によるものである

高周波電磁界(HFEMF)を誘電する。これは検査対象(3)の表面や内部の不連続面(2)
の形状および位置を表し、検査対象(3)の表面に存在する材料渦流(14)によって放出
されるものである。
このレーザーEMATプローブ(LEMAT)(82)は、以下の点に特徴がある。
多数の並列・遠隔誘導電流ループ(43)が
レーザー光源(84)の影響を受け、検査対象(3)の超音波周波数の材料渦流(14)から
放出される高周波電磁界(HFEMF)を誘電する。
穴の空いたマトリックス積層磁性コア(22)の各高周波のアクティブなラミネート(29)
の周辺エッジ(33)のアクティブなラミネートのスキン(48)内で生じる。
高周波のアクティブラミナ(29)のこの誘導電流ループ(43)は、
互いに離れている
スタッキングプラン(27)に平行に設置されているループ面に沿って配置されている。実
質的に対象(3)に対して垂直になる。
高周波のアクティブなラミネート(29)の磁気ビアホール(41)を取り囲み、その周りを
回転する。
は、検査対象(3)に面する第1エッジフェイス(36)と高周波電気コイル(6)に面する
第2エッジフェイス(37)の間に位置する。
2つのエッジ面(36、37)に対して実質的に垂直に配置される。
これにより穴の空いたマトリックス積層磁性体コア(22)内で、複合的かつインタラクティ
ブな二重の物理効果が発生する。
高周波のアクティブラミナ(29)の複数の平行かつトポロジー的に離散したディスクリー
ト誘導電流ループ(43)であり、
高周波磁界を発生させる。
高周波のアクティブラミナ(29)に面する被検査面(8)の狭いローカルアクティブフラ
クション(44)と、高周波の電気コイル(6)との間の高周波磁気結合を、別々に、局所
的に増大させる。
高周波結合を均質化し、相互作用によって高周波磁気リラクタンスのグローバルな低減と
EMAT (1)の解像度向上に貢献する。
マトリックス(23)の高周波のアクティブラミナ(29)の各磁気ビアホール(41)の内周
(45)が、
高周波のアクティブラミナ(29)の中心に、内部の自由な熱伝導性・対流性表面(46)を
作り出し
その特定の高周波のアクティブなラミネート(29)の誘導電流ループ(43)によって生成
された局所的な電気エネルギーと熱量エネルギーの一部を消散させるために、内部の熱冷
却効果を生成する。
さらに、EMAT(1)の効率化に資する。
【請求項19】
動くことが可能な円筒形の導電性構造体(90)内部の表面や内部の不連続性(2)を検出
するための、マルチレーザー-EMAT3Dスキャナー(MLEMAT)(89)であって、以下の組み
合わせからなることを特徴とするもの。
3D 走査する導電性構造体(90)が、
導電性の検査対象(3)で構成されている。
構造軸(91)に沿って生成された円筒構造を有する。
実質的に一定の構造(92)を有する。
シャーシフレーム(93)で、
導電性構造体(90)をフレーム距離(Fd)で取り囲むように構成されるもの。
フレームの平面(95)が、導電性構造体(90)の構造軸(91)に対して実質的に垂直であ
るもの。
請求項18に記載の少なくとも2つのレーザー-EMATプローブ(LEMAT)(82)からなるプロ
ーブマルチチュード(96)であって、前記レーザー-EMATプローブ(LEMAT)(82)の各々
が以下の特徴を有するもの。
シャーシフレーム(93)に固定されている。
穴の空いたマトリクス積層磁性体コア(22)の第1エッジ面(36)の各々が導電構造(90
)に面するような位置に配置することが可能である。
直線的に移動するように構成された変位手段(97)で、
シャーシフレーム(93)に対して円筒形の導電性構造体(90)を相対的に配置するもの。
その配置が構造軸(91)と実質的に一致する変位方向(Md)に沿っているもの。
このMulti-Laser-EMAT 3Dスキャナ(MLEMAT)(89)は、以下の点に特徴がある。
アパーチャループ(99)が
MLEMAT(89)のレーザーEMATプローブ(LEMAT)(82)の各EMAT(1)の穴の空いたマトリ
クス積層磁性コア(22)の連続する溝型の円筒形の開口(39)の中心を結ぶ仮想線によっ
て構成されている。
導電性構造体(90)を取り囲む。
【請求項20】
請求項19に記載のマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)で、レーザ-EMATプロー
ブ(LEMAT)(82)からなるプローブマルチチュード(96)が以下のようにシャーシフレ
ーム(93)に取り付けられ、位置決めされ、構成されるもの。
レーザーEMAT(LEMAT)プローブ(82)の穴の空いたマトリクス積層磁気コア(22)に隣
接する多数の第1エッジ面(36)の設置方法が、検査対象(3)に面して実質的に連続して
いる。
実質的に連続した溝状の検査用リング(100)を構成しており、これは導電性構造体(90
)のフレーム面(95)に近い構造部(92)において、導電性構造体(90)の周囲を取り囲
んでいる。
【請求項21】
請求項19に記載のマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)で、以下の特徴を有す
るもの。
各LEMAT(82)のレーザ光源(84)がフレーム面(95)に固定され、導電構造(90)に面
する発射端(102)を有する光ファイバ(101)で構成されているもの。
各光ファイバー(101)がレーザー発生装置(103)に結合されているもの。
このマルチレーザー-EMAT 3Dスキャナ(MLEMAT)(89)は、レーザーファイアリングルー
プ(104)を備えており、
MLEMAT(89)の各レーザーEMAT プローブ(LEMAT)(82)の照射点(102)を結ぶ仮想線
で、
導電性構造体(90)を囲み、アパーチャループ(99)と実質的に平行であるもの。
【請求項22】
請求項19に記載のマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)で、冶金スラブ(105)
の表面や内部の不連続部(2)を検出するためのものであり、以下の特徴を有するもの。
導電性構造体(90)は、MLEMAT(89)に対して相対的に移動可能な円筒形の冶金スラブ(
105)である。
マルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)は以下の特徴を持つ。
アパーチャループ(99)はMLEMAT(89)のレーザーEMATプローブ(LEMAT)(82)に隣接す
るEMAT(1)の穴の空いたマトリクス積層磁気コア(22)の溝付き円筒形アパーチャ(39
)の中心を結ぶ仮想線によって構成されており、移動が可能な円筒形の金属スラブ(105
)の周りを囲んでいる。
【請求項23】
請求項22に記載のマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)で冶金スラブ(105)の
表面や内部の不連続部(2)を検出するためのものであり、以下の特徴を有するもの。
導電構造(90)は、鋼スラブ(105)の移動が可能な連続鋳造のものであり、1000℃を超
える鋳造温度(TS)で鋳造されるものであり、
MLEMAT(89)の各隣接するEMAT(1)の穴の空いたマトリックス積層磁性コア(22)の開
口した高周波のアクティブなラミネート(29)は、例えば、鋳造温度(TS)よりも低いキ
ュリー温度(TC)を有するタイプの強磁性またはフェリ磁性の磁気材料で作られる。
このマルチレーザ-EMAT 3Dスキャナ(MLEMAT)(89)は、MLEMAT(89)のEMAT(1)の穴
の空いたマトリクス積層磁性コア(22)の溝の入った円筒の開口(39)が、熱伝達流体(
60)の冷却流(59)を生成する冷却手段(58)に結合しており、以下を特徴とする。
圧力により、MLEMAT(89)に隣接する各EMAT(1)の穴の空いたマトリックス積層磁性コ
ア(22)の溝付きの円筒形の開口部(39)の各ビアホール(41、57)内に押し込まれる。
この時の冷却温度(TF)は、開口した高周波のアクティブなラミネート(29)の磁性材料
のキュリー温度(TC)より50℃以上低いものである。
【請求項24】
請求項23に記載のマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)であり、1000℃を超え
る鋳造温度(TS)で連続鋳造された鋼スラブ(105)のダイナミックソフトリダクション
(DSR)の動的パラメータの自動調整を行うものであり、以下を特徴とするもの。
鋼スラブ(105)の連続鋳造でダイナミックソフトリダクション装置(DSRD)に連続的に
押し込み、鋼スラブ(105)の連続鋳造中にマクロ偏析帯およびポロシティ帯の形成を抑
制し、これにより鋼の凝固収縮をダイナミックに補償するとともに、中央のぐにゃぐにゃ
の部分(106)の残留溶融金属の吸引流量を遮断する。
The MLMAT (89)はダイナミックソフトリダクション装置(DSRD)に接続する。
ダイナミック3Dマッピングシステム(3DMS)はスチールスラブ(105)の連続鋳造のダイ
ナミック3Dマッピング(3DM)を生成する。
コンピュータ化されたDSR最適化システム(DSRM)は、ダイナミック3Dマッピング(3DM)
および連続鋳造のパラメータに基づいて、ダイナミックDSR最適化パラメータ(PCSD)を
生成する。
デジタルDSRアクティベーター(ASR)は、DSRMによって生成されたPCSDに基づいて、ダイ
ナミックソフトリダクションデバイス(DSRD)のDSRアクションパラメータ(PASD)をダ
イナミックに調整する。
このマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)は以下を特徴とする。
1)の高周波の電気コイル(6a、6)は、それぞれダイナミック3Dマッピングシステム(3D
MS)に接続されており、それを2次超音波電気信号 (88a, 88b, 88)に送る。これが各EMAT
(1a,1b,1)に部分的に対面する鋼スラブ(105)の検査対象(3)の正面(110)上の材料
渦電流(14)により各高周波の電気コイル(6a,6b,6)に誘電される。
このDSR最適化システム(DSRM)は、以下のように構成されたアナログ・デジタル処理手
段(MDAN)を備える。
多数の2次超音波電気信号(88a,88b,88)を受信すること。ここにはMLEMAT(89)の各L
aser-EMAT(82a,82b,82)の高周波の電気コイル(6a,6b,6)を横断する2次超音波電
流(19a,19b,19)が含まれる。
局所的にアクティブな部分(44a、44b)の不連続性(2)に起因する、レーザーEMAT(82a
、82b、82)の2次超音波電気信号(88a、88b、88)の変化と摂動を識別する。そしてレ
ーザーEMAT(82a、82b、82)に面する検査対象(3)をデジタル的に演繹して、この局所
的にアクティブな部分(44a、44b、44)の欠陥のトポロジー (DTa, DTb, DT)を生成する

前記欠陥のトポロジー (DTa, DTb, DT)をデジタル的に組み合わせ、さらに前記の2次超
音波電気信号(88a、88b、88)の組み合わせた信号のデジタル解析に基づいて、フレーム
平面(95)の構造部分(92)の検査リング(100)に面した正面エリア(110)において、
鋼スラブ(105)の連続鋳造の内部をMLEMAT(89)によって物理観測する3次元ダイナミッ
クマッピング(3DM)をデジタルで生成する
冷却手段(58)は、伝熱流体(60)の冷却流(59)を発生させる。
圧力により、MLEMAT(89)に隣接する各EMAT(1a ,1b,1)の穴の空いたマトリクス積層磁
性コア(22)の溝付き円筒開口(39)の各ビアホール(41,57)内に押し込む
これを、開口した高周波のアクティブなラミネート(29)の磁性材料のキュリー温度(TC
)よりもかなり低い(少なくとも50°C)冷却温度(TF)で行う。
これにより、MLEMAT(89)によって物理的に観察した鋼スラブ(105)の連続鋳造の動的3
Dマッピング(3DM)に基づいて、動的ソフトリダクション装置(DSRD)のDSRアクション
パラメータ(PASD)を、1000℃以上の鋳造温度(TS)において、最適な方法で動的かつ自
ダイナミックに調整できるようにする。
【請求項25】
請求項24に記載のマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)であり、動的ソフトリ
ダクション(DSR)の動的パラメータの自動調整を行うもの。この時1000℃を超える鋳造
温度(TS)で連続鋳造された鋼スラブ(105)の連続鋳造のダイナミック二次冷却(DSC)
のセットアップをさらに可能にするのために、MLEMAT(89)が、ダイナミック二次冷却装
置(DSCD)に結合されていており、以下を備えることを特徴とする。
コンピューターによるDSC最適化システム(DSCM)、動的DSC最適化パラメータ(PCSC)の
生成。
MLEMAT(89)のレーザー-EMAT(82a、82b、82)の複数の2次超音波電気信号(88a、88b、
88)の組み合わせとデジタル解析により、フレーム平面(95)の構造部(92)において、
鋼スラブ(105)の連続鋳造のダイナミック3Dマッピング(3DM)を物理的に観察すること
ができるもの。
それが鋳造のパラメーターに影響を与えるもの。
デジタルDSCアクティベータ(ASC)、ダイナミック二次冷却(DSC)の水流量のDSCアクシ
ョンパラメータ(PASC)を、DSC最適化システム(DSCM)によって生成されたPCSCに基づ
いてダイナミックに調整するもの。これはMLEMAT(89)によって物理的に観測されたダイ
ナミック3Dマッピング(3DM)に基づいている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波非破壊試験(UNDT)に関するものである。具体的には超音波非破壊試験(
UNDT)用の電磁超音波探触子(EMAT)と、その実施形態と産業への応用手法に関するもの
である。
本発明の技術分野は、特にEMATに関するものであり、以下を備えるものである。
機械的な振動がなく、電磁気的に超音波の機械的な振動を誘導または受信する無振動タイ
プのトランジューサー(探触子)である。
トランスミッターを使用して素材を分析・研究したり、電磁気的手段により、導電性の試
験体に超音波を誘発させたり、超音波を対象に照射もしくは受け止めることによりその物
体の中身を見るために使用するものである。
また、国際特許分類 Int. Cl. G01N 29/24や、米国特許Nos. Cl. 73/643に関するもので
ある。
本発明の分野は以下を備える EMATに限定される。
探触子 の能動電磁部品と検査の対象の間に設置した電磁結合手段を備えているもの。こ
れにより探触子の能動的な電磁部品と渦電流が流れる導電性試験体の表面との間の高周波
磁場の結合を増加させる。
前記電磁結合手段が特定の種類のもので、強磁性またはフェリ磁性のいずれかを内部に組
み込んだ薄い板を積層したマトリックスからなる積層磁心から構成されるもの。
前記電磁結合手段が特定の種類のもので、能動的冷却手段を備えているもの。これにより
電磁結合手段の積層ラミネートの外周に誘起される電流ループによって発生する熱エネル
ギーを消散させる。
本発明は、レーザー-EMAT装置やEMAT-EMAT装置で実施することが好ましく、高出力パルス
レーザーや超音波発生装置からなる超音波発生装置と、超音波発生装置からなる超音波EM
AT受信装置の両方を備えたものが理想である。
本発明の好ましい使用方法は、大型構造物や厚さのある構造物のほか、部品の生産ライン
において、表面や内部を高いスループットにより3D物理 走査や超音波非破壊UNDT試験を
行うことである。例えば1000℃以上の高温環境下で、鋳造中の鋼スラブなどの導電性材料
から製造された構造物の生産ラインにおいて、表面および内部の不連続性を高いスループ
ットで検査することなどが挙げられる。
本発明は、製鉄所での鋼撚り線の鋳造において、1000℃を超える温度での動的減圧(DNS
)や動的二次冷却(DSC)のパラメータの設定を自ダイナミックに最適化するために使用
することができる。
【背景技術】
【0002】
EMATは、導電性材料で作られた構造物の非破壊検査に使用される。非破壊検査(NDT)は
、様々な形状やサイズの構造物や部品を損傷することなく構造の監視や検査のために一般
的に利用されている。しかし、動作条件や温度、実装の種類、検査対象部品のサイズ、構
造の複雑さによって、効果的に使用できるNDTの種類や用途が制限される。従来技術のNDT
システムによって得られるデータは、製鉄所での鋼スラブの連続鋳造のように1000℃を超
える温度または極めて高温の動作条件で製造される大型の部品の欠陥や立体的な構造を高
度に深く検出するのには適していない。
超音波非破壊検査(UNDT)は、検査対象物や機器内へ超音波を利用する非破壊検査の一種
である。従来のUNDT検査では、超音波プローブを検査対象物に当てて検査していた。従来
のUNDTでは超音波発生用の探触子(プローブ)から照射する短波長・高周波の機械波を使
用する。これを検査の対象に照射して、同じプローブや別の機械でその波形を読み取り、
構造物の欠陥を発見するものである。UNDTで使用する主なプローブは、圧電振動子、レー
ザー振動子、電磁超音波探触子(EMAT)である。従来の圧電素子によるUNDTテストは、安
全性、柔軟性、コストなど、多くの利点がある。 しかし、圧電素子による試験には、カ
ップリングが必要であり、表面状態が良好であることなどの一定の限界がある。そのため
、検査対象とプローブを接触させる必要がある。しかし、高温の試験の場合、温度が上が
れば上がるほど、UNDT圧電試験をするためのカップリングが困難になる。一般的には100
°C以上では実施できない。
本発明の主な先行技術は電磁超音波探触子(EMAT)に関するものである。UNDTのEMAT方式
は、磁気によるカップリングをベースにしている。音波は対象物の中で発生し、対象の表
面と接触することでは発生しない。EMATは、従来の圧電振動子に比べて高い利点を備えて
いる。EMATは、導電性材料や強磁性材料においては、対象に物理的または液体的に接触す
ることなく、さまざまな波形を生成・受信することができる。 このような非接触・非結
合の機能により、テストの信頼性を高めている。なぜなら、伝送路の物理的な特性は変わ
らないからである。 さらに、EMATプローブでテストするパーツのポジションなどに求め
られる耐久仕様も柔軟である。このため、従来のEMATは、平均検査温度(最大600℃)や
、動作中の対象物の表面状態が悪い場合に適している。
EMATは大きく分けて2つの要素から構成される。ひとつは磁石、もうひとつは高周波の電
気コイルである。磁石は永久磁石でも電磁石でも、静磁場や準静磁場を発生させるもので
あれば構わない。電気コイル(または電気回路)には高周波電流が流れている。これは高
周波磁場により発生する。EMAT現象は可逆的である。そのため、同じEMATプローブでも、
対象に超音波を照射する場合と、対象が発した超音波信号を受信する場合との2つを組み
合わせて使用することが可能である。先行技術では、金属製品の厚み測定、パイプライン
の欠陥検出、レールの欠陥検出、鋼材の欠陥検出など、幅広い用途でEMATが使用されてい
る。
対象物に対向するEMATの移動による磁石や電気コイル回路の摩耗から保護するために、EM
ATにウェアプレートを取り付けることは、すでに先行技術に採用されている。ウェアプレ
ートは対象とEMATの磁石や電気コイル回路などの間に配置されることが一般的である。一
般的なウェアプレートは、EMATの磁気的な部分と対象の間に高いリラクタンス(磁気抵抗
)を作ってしまうという問題がある。
一般的に、EMATの課題は、磁石によって発生する静磁場と放射または受信する高周波磁場
の両方において、EMATプローブが低い磁気伝導効率に悩まされることである。 先行技術
では、磁気の照射機と磁気の受信機の間に、強磁性またはフェリ磁性タイプの誘電率の高
い材料でできた磁気コアを導入することにより、誘導磁界の強度が数百倍または数千倍に
するものがある。磁石のコア自体が磁場を発生させ、その磁場がさらに照射される磁場に
加えられる。磁界の増幅効果は、磁石のコアの誘電率に依存する。またコアを介在させる
ことで、コアに発生する渦電流と連動し、高周波磁場に悪影響を及ぼすことが知られてい
る。このため、高周波の磁界の周波数に依存するエネルギーに大きなロスが発生する。こ
の磁石のコアが一つずつ繋げたものである場合、高周波の磁界によって、コアを流れる電
流が閉ループ状になり、高周波の磁界に大きな渦電流が発生する。この渦電流は、その材
料の抵抗により、ジュール効果によって大きなロスを生じることになる。このため、従来
の技術では、強磁性またはフェリ磁性タイプの磁気素材からなる薄いシートを、薄い絶縁
シートで分離して積層したマトリックス型の磁石のコアを使用している。薄い絶縁性パッ
シブシートは渦電流を防ぐバリアとして機能する。このため、渦電流はこのシートの厚み
の中で、放出される磁場に対して垂直な細いループを描くように循環するにとどまる
【0003】
この磁気抵抗を克服するため、EMATを使用する米国特許No. 7,546,770 B2 では、薄い磁
石のコアを積み重ねたものを使用している。これはサンドイッチの形状であり、層状に配
置された多数の薄い強磁性積層シートで構成されている。薄い絶縁シートを薄い強磁性シ
ートの間に挟み、薄い層を積み重ねた磁気コアのサンドイッチ状のマトリクスを構成する
。 EMATについては、高周波電気コイルが対象の表面に渦電流を誘起しつつも、それを受
けない構成で具体的に説明されている。したがって、この先行技術はEMATの送信機として
のプローブであり、受信機ではないことに留意する必要がある。薄い層を積み重ねた磁石
のコアは、磁石と対象の間に配置する。 高周波の電気コイルに直接対向して配置される
ことはなく、薄い層を積み重ねた磁石のコアの外表面全体は、導電性材料からなる連続的
な導電層で覆われている。コイルの形状の電気コイルは、コイルの内部を通る円渦の軸に
平行な多数の磁界ループからなる磁力線の束を生成することが知られている。各磁場ルー
プの絶対強度は変わるものであり、その通過点とコイルの中心からの距離に依存する。ま
た、高周波の磁場のループは、その中心付近に置かれた物質に渦電流を発生させることが
知られており、その方向は高周波磁場ループに対して垂直になる。その結果、この先行技
術には記載されていないが、このEMATを高周波を発信するモードで動作させると、今度は
その電気コイルが、渦巻きの中心を通って磁気コアの方向に対して、絶対強度が可変の多
数の高周波の磁場のループを発生させることが理解いただけるであろう。説明されている
電気コイルの軸は、薄い層の積層面に対して実質的に平行である。したがって、高周波の
交流磁場のループは、薄い層を積み重ねた磁石のコアの積層面に対して実質的に平行とい
うことになる。そのため、薄い層を積み重ねた磁石のコアを完全に包む導電層の表面に、
多数の誘導電流のループが生成される。このループは、トポロジー的に導電層の表面に不
均一、非組織的、連続的、かつ非離散的に分布する。それらは、上記の導電層上の位置に
応じて、可変かつ不均一な絶対強度を持ち、薄いシートを積み重ねた面に対して実質的に
垂直に向いている。したがって、導電層の表面に生じる電流ループは、強い磁性を持つ薄
い層を積み重ねたものに対して実質的に垂直となる。 その結果、誘導電流ループがその
周囲を取り囲まないことになる。導電層の表面に生じる電流ループは、そのほとんどが対
象の表面に対して平行である。
この先行技術の積層磁性体コアは、磁石と高周波の電気コイルを保護する。また、磁石か
ら対象への静磁束の伝達を向上させることができる。この積層磁性体コアは、高周波の電
気コイルと、プローブと高周波の電気コイルに面する対象物表面の渦電流との間に、高周
波で、全体にわたるが、ぼやけたような非均質なカップリングを提供することになる。こ
の高周波の磁場のカップリングは、外側の連続導電層によって全体的かつ均質に行われ、
内側の薄い強磁性の積層シートと個別にカップリングすることはない。
この先行技術によれば、高周波の電気コイルは、積層磁心および対象からかなり距離を置
いて、磁石の上に配置されている。このような磁石の配置では、高周波の電気コイルと対
象との間に電磁エネルギーを伝送する際に、さらにロスが生じることになる。このEMATの
積層磁性体コアの配置は、磁石が発生する静磁場からのロスを最小限に抑えることができ
るが、プローブに面する対象の表面の渦電流とEMATの高周波の電気コイルとの高周波の磁
界のカップリングの質を低下させることになる。この高周波の磁気結合(カップリング)
は、強度が不均衡であり、一方では強磁性積層ラミネートの各エッジで局部的に活性して
いたり、別の面では高周波の電気コイルで活性したりしている。
この先行技術によれば、積層型磁性コアは熱力学的にパッシブ(受身的)である。磁石の
コアの強磁性の積層ラミネートの外周の表面に誘起される電流ループによって発生する熱
エネルギーに対して、能動的な冷却手段を一切含んでいないからである。そのため、この
EMATは熱保護されていないため、600℃を超える温度では持続的かつ信頼性の高い方法で
動作させることはできない。
従来のEMATでは、こうした保護は、絶縁材料でできた電磁気的にパッシブな保護板が探触
子ーの作動側に固定され、パーツを対象から遠ざけることで確保している。
この保護の板の厚さは、機械的な耐性、必要な動作温度、EMATの伝導効率との調整して決
められる。
先行技術では、中空で、ラミネートされていないパッシブな磁石のコアを備えたEMATも提
供されているが、これも高温での動作用に冷却手段を備えていたり、備えていなかったり
している。しかしながら、これらの先行技術のEMATは、マグマのような熱を持つ薄い層を
重ねた部分と、そうしたコアに内蔵された冷却手段とを組み合わせておらず、高周波の磁
気のカップリングを最適化していないだけでなく、均一化もされておらず、高周波の電気
コイルと対象との間の高周波磁場の磁束の漏れを最小化できていない。
EMATの受信モードでの超音波信号の受信は、EMATの照射モードと同じ動作である。受信の
際のEMATの方向は、簡単に電子的に変更することが可能である。この指向性により、受信
モードで動作するEMATの高いS/N比を実現することが可能である
従来技術のEMATの運用は、複雑な環境や1000℃を超える高温条件下の場合、非常に限定さ
れていた。なぜなら、パイプやレールなどの検査の際に低温時に使用されるのと同様の方
法で、板状の可動構造物の広い領域を一箇所から連続的かつ移動可能なインラインによっ
て走査するためである。
先行技術の2つめの点はレーザー-EMAT UNDTに関するものである。これはEMATを用いたUN
DTシステムの全体的な感度と、600℃までの範囲の平均温度で動作する適応性を改善する
ものである。UNDTには、超音波発生器と超音波受信器を必要とする。
一般的なレーザー-EMATシステムは、高出力パルスレーザーによる超音波発生装置と、超
音波受信機としてEMATの受信モードを組み合わせたものである。先行技術には、構造物の
表面や内部の不連続性を検出するためのこうしたUNDT複合装置について言及している。こ
れは以下の複合的な運用をベースとするものである。 i) パルスレーザーで作られた超音
波発信器が、レーザーを構造物に向けて照射し、パルスレーザーが構造物に吸収されると
、構造物に超音波の表面波とせん断波を発生させる。ii)受信モードのEMATからなる超音
波受信機が、超音波表面波や超音波せん断波を検出点で検出する。 高エネルギー密度の
レーザーを鋼板などの被検査部材の表面に照射すると、局所パルスにより急速加熱され、
表面でプラズマが爆発する。こうした爆発により対象の全体に超音波を発生させる。また
レーザーによって2つの異なるタイプの波を発生する。まず、部品の表面やその近傍を伝
搬するものがある。これは、部品の表面に対して横方向に伝搬するもので、最も大きな検
出の信号である。もう一つは、対象の広い部分に、広い角度で、深く伝搬するものである
。素材が導電性の場合、発生した超音波をレーザーEMATシステムの超音波EMAT受信機が高
周波電気コイルと磁石の組み合わせで検出する。レーザーによって生成された超音波信号
による対象の表面と内部の振動は、不連続性のエコーとその位置に影響を受け、発生する
渦電流を介して超音波EMAT受信機の検出回路にHF電流を起こす。高周波電気コイルの電流
の信号を処理して、検査材料の不連続性に起因する受信超音波信号の変化と妨害を識別す
ることによって、 レーザーとEMAT超音波受信機の間に位置する対象の表面と内部の不連
続性を検出して、位置を特定することができる。
このUNDTを組み合わせた装置は、EMATをベースにした送信と受信の両方で使用するEMAT装
置単独よりも、不連続性の検出において優れた効率性を示す。これは、パルスレーザーが
従来のEMATの送信機に比べて、超音波放射器としての効率、指向性、パワーが高いからで
ある。一般的なレーザーEMATシステムの主な欠点は、上に示したように、受信機として使
用する場合に一般的なEMAT受信機が持つ欠点がそのまま存在することにある。レーザーは
、600℃を超える高温で動作させることができる。しかし、先行技術の従来のEMATはそれ
を行うことができない。
本発明の先行技術の第3は、ダイナミックソフトリダクション(DSR)パラメータの最適な
自動調節に関するものであ理、これは例えば製鉄所の生産において、約1200℃の温度での
鋼部品の連続鋳造、例えば鋼のスラブやビレットの連続鋳造に利用される。 スラブは板
、プレート、帯鉄のロール、パイプ、チューブなどの完成鋼材に加工されることが通常で
ある。
連続鋳造の鋼が固まる際に、金属の固相と液相の間に、完全な固体でも液体でもない領域
が存在する。この「ぐにゃぐにゃ」の領域に含まれる固体の割合(%)は、熱特性と鋼の
構造による液体から固体に変化すると、連続鋳造の温度低下に伴う密度の変化により鋼の
体積は小さくなる。これにより、樹枝間構造隙間が生じる。 最終凝固のクレーターでは
、中心部に偏析帯が生じる。スラブの連続鋳造の際に発生する内部偏析欠陥やスラブの中
央のポロシティは、その後にスラブから製造される完成鋼材の特性に極めて悪い影響を与
える。この中心部の偏析は、鋼材、特に厚鋼板の品質を低下させる。機械的性質のばらつ
きが生じ、最終製品に不具合が生じる可能性がある。
こうした連続鋳造中に発生する中心の偏析といった欠点を低減または無害化しようとする
多くの試みがなされてきた。その一般的な方法は、鋳造の速度を低下させることである。
もちろん、全体的な流量に影響を与えることになる。先行技術の別の実施態様では、凝固
の最終段階でソフトリダクション(「ソフトリダクション」または軽圧下、以下SR)を適
用することや、動的な二次冷却(DSC)を用いるものがある。基本的な考え方は、凝固に
よる収縮を補って、残りの鋼の引っ張る流れを遮断することによって、中心部の偏析とポ
ロシティの形成を抑制するものである。SRの運用はピンチローラーなどの専用の機器を使
い、最終固化工程のぐにゃぐにゃした状態に対して垂直方向に行う必要がある。SRは、連
続鋳造において中央がまだ硬くなっていないところでのみ行うことができる。最適なポイ
ントは凝固帯が終わるポイントである。圧下させる間隔はスラブの固液二相域と連続鋳造
が凝固する間でなければならない。これはストランド中央部の密度と均質性を向上させる
ためである。だが、この最適な凝固完了点の正確な位置が、鋼スラブの連続鋳造の最中で
あるために変動しやすい上によくわかっておらず、先行技術でも不明確である。
【0004】
「凝固末期でのソフトリダクション手法」(LSR)は、連続鋳造、スラブの連続鋳造中に、
圧下させる領域に近い複数の間隔を推定して、複数の圧下させるためのローラー設置する
ものである。LSRは、連続鋳造の中心や溶融軟鋼流のボイドの発生を徐々に圧下させる方
法である。固定ニップロールのギャップの調整を行う静的ソフトリダクション(SSR)は
、先行技術によって、連続鋳造の鋼スラブの内部品質を改善するために採用された。しか
しながら、ピンチローラーの位置は固定されているので、正確な鋳造パラメータを有する
ものでしか利用できない。つまり、鋳造自体をできる限り安定させる必要がある。 SSRの
圧下域の固定は、鋳造全体に制約を与えてしまっている。運用上の都合により鋳造パラメ
ータの定常状態を長時間維持することは困難である。さらに、鋳造速度や過熱度などの鋳
造パラメータは、鋳造中に変化することがある。その結果、凝固範囲が工程中に移動する
。そのため、SSR法の操業効率は低い。
従来の技術では、良好な内部品質を維持しつつ、運用の柔軟性を高めるために、過渡的な
鋳造条件、進化的な凝固過程、検査材料の挙動を考慮した動的ソフトリダクション(DSR
)システムが提案されている。DSRは動的二次冷却(DSC)を併用する場合としない場合が
あり、SSRよりも効率的に鋳造ストランド(鋼床版)の偏析とポロシティを最小化できる
ことが分かっているDSRのパラメータは、中心の偏析を効果的に無くして、鋳造スラブの
内部品質を向上させるために、慎重に定義する必要がある。ソフトリダクションでは、固
化の段階でピンチローラーの間隔を正確にして、正しい位置に塗布することが重要である
。DSRが早すぎると、スラブの外側の面を変形させるだけで、中心部まで効果的に浸透す
ることはない。遅すぎるとスラブが完全に固まってしまい、変形に対する抵抗が大きくな
りすぎて、装置のローラーに過大な負荷がかかる。ダイナミックソフトリダクションポジ
ションDSRの効率を決定する、圧下に影響を与える主なパラメータは、スラブの形式、鋳
造速度、鋼の組成(熱特性)、過熱速度と冷却速度である。効率的な動的ソフトリダクシ
ョンDSRの実現のためには、連続鋳造の現状と過去のデータから、内部凝固過程を計算し
てピンチローラの間隔を開けることが必要であり、好ましくはその位置をダイナミックに
制御することが必要である。
さらに、以下の点について正確な時間で供給する必要がある。 I)連続鋳造するスラブの
動的3Dマッピング(3DM)、 ii) 鋼スラブの中心偏析領域の3D位置と偏析欠陥の位置。
この時、鋳造のダイナミック3Dマッピングシステム(3DMS)から得られる情報は、ダイナ
ミックソフトリダクションDSRやダイナミック二次冷却DSCを効果的に実施するための基本
的な要件となる。
先行技術のDSR/DSCシステムは、一般に以下の手段で構成される。
鋼鋳造のダイナミック3D(3次元)マッピングシステム(3DMS)。
コンピュータ化されたDSR最適化システム(DSRM)。これは3DMSシステムにより得られる
動的3Dマッピング(3DM)と鋳造パラメータに基づいて、動的DSR最適化パラメータ(PCSD
)を生成するもの。
デジタルDSRアクチベーター(ASR)。これはDSRMによって生成されたPCSDの関数を用いて
、DSRアクションパラメータ(PASD)をダイナミックに調整するもの。
任意であるが、DSC最適化システム(DSCM)。これは3DMSシステムによって提供される動
的3Dマッピング(3DM)と鋳造パラメータに基づいて、動的DSC最適化パラメータ(PCSC)
を生成する。
任意であるが、デジタル DSC アクティベーター(ASC)。これはDSCM によって生成され
た PCSC の関数を使用して、DSC の水流速の DSC 動作パラメータ(PASC)をダイナミッ
クに調整する。
【0005】
コンピュータによる最適化モデルDSRMのアルゴリズムでは、減速部の位置と形状、ダイナ
ミクスと減速率、減速部のローラの間隔の値といったDSRの減速に重要な3つのパラメータ
を網羅的に考慮する必要がある。
従来の鉄鋼鋳造用ダイナミック3Dマッピングシステム(3DMS)は、シミュレーションでの
み、以下のように動作する。
理論的アルゴリズムに基づく数値シミュレーション予測。また、スラブの連続鋳造の内部
の熱伝達と凝固の数学モデルもベースとする。
鋳造した鋼スラブの内部の実際のダイナミック3Dマッピング(3DM)の物理的な検出では
なく、スラブの連続鋳造の中央部のぐにゃぐにゃした部分の正確な位置と不連続面の位置
の検出。
先行技術における鋳鋼用ダイナミック3Dマッピングシステム(3DMS)の最近のバリエーシ
ョンは、2Dの熱トラッキングのデータのアルゴリズム的解釈に基づくものであり、これは
システムを開発してスラブの連続鋳造の外側の熱を採用したものである。
先行技術の鋼鋳造用の動的3Dマッピングシステム(3DMS)は、いずれもスラブの連続鋳造
の圧下や凝固ゾーンにおける不連続性の3Dマッピングのほか、スラブの中央のぐにゃぐに
ゃした部分の位置、偏析欠陥に関する客観的で、正確、かつ信頼できる定義を提供してい
ない。圧下(リダクション)の位置や形状、ダイナミックな圧下率、圧下するローラーの
間隔といったソフトリダクションのDSRのパラメータは、先行技術でも調節されているも
のだが、理論モデルをベースにしており、このモデルは中央のぐにゃぐにゃのエリアとス
ラブの連続鋳造の内部の不連続性について客観的でなく、盲信的でさえある。そのため、
DSRやDSCのパラメータは、連続鋳造において不適切であったり、効果がないことがしばし
ばである。そして、連続鋳造したスラブの中央部の凝固時の偏析や過剰なポロシティを、
ダイナミックソフトリダクションや二次ダイナミック冷却によって調整することもできな
い。
【発明の概要】
【0006】
本発明が解決しようとする課題
上記の先行技術の分析から、超音波非破壊検査(UNDT)の以下の技術的課題を解決するた
めに、別のアプローチが必要であることがわかった。
以下の3つの技術的課題を1台のEMATプローブで解決する。
電気コイルと対象の表面で発生する渦電流の間の高周波磁場のエネルギー伝達を増加させ
、高周波磁気結合を最大化し、高周波磁場の磁束の漏れを最小化すること。
プローブに面する検査対象の表面で、前記電気コイルと前記渦電流との間の、この高周波
電磁結合のトポロジー的均質性を提供する
検査対象が1000℃を超える高温で動作可能。
以下の2つの技術的課題については、1台のUNDT装置で解決する。
厚い金属の表面および深部の不連続性の検出の解像度を最適化
検査対象が1000℃を超える高温で動作可能。
以下の2つの技術的課題を導電性構造物の3Dスキャナーにより複合的に解決する。
冶金スラブなどの大きな厚い導電性移動構造物のラインごとに3D 走査を提供し、表面や
深部の不連続性の位置を提供することによって、高解像度で確認できる3Dマッピングを生
成する
難しい環境でも、検査対象が1000℃を超える高温で動作可能。
製鉄所の鋼スラブの連続鋳造の動的ソフトリダクション(DSR)のDSR動作パラメータ(PA
SD)や動的二次冷却(DSC)のDSC動作パラメータ(PASC)の最適な自動調整を、鋳造した
スラブの内部を客観的に観察した結果に基づいて行うことを可能とする。また、以下の4
つの技術的課題の組み合わせを1つの装置で解決する。
鋳造したスラブの内部のダイナミックな3次元マッピング(3DM)を継続的に提供する
スラブや偏析欠陥の中央のぐにゃぐにゃの位置を、実際の3Dのデータ基づいて定義する。
数学的モデルに基づく理論的アルゴリズムによる数値シミュレーションの予測によらない

3Dの物理的な観察に基づいて、鋳造したスラブの圧下点の位置を精密に検出する
連続鋳造したスラブ素線の1000℃を超える温度でのダイナミックソフトリダクション(DN
S)やダイナミック二次冷却(DSC)のパラメータの自動調整の精度及び信頼性を向上させ
る。これにより製鉄所での連続鋳造プロセスにおける鋼スラブ素線の構造の融合における
偏析欠陥および中央のぐにゃぐにゃの部分のポロシティを低減させる。
【0007】
問題の解決方法
簡単に言えば、導電性検査材料の表面および内部の不連続性を検出するための電磁超音波
探触子(EMAT)を提供する。これは、上記(a)の技術的課題に対する技術的解決をもた
らすものである。これは、当業者にとって直感に反する態様であり、また、積層磁性体コ
アを用いた従来技術のEMATの構成とは異なるものである。本発明の技術的解決手段は次の
点にある。
積層磁性体コアの高周波の薄い板内部の渦電流ループの面積を小さくすることは求めてい
ない。それとは逆に、本発明は、(強磁性)活性高周波の薄い板に誘導される電流ループ
の面積と効果を増大させようとするものである。これをトポロジー的に適切な形で構成し
た配置と方向にすることで、結合の効率と均質性、EMATの性能を向上させることができる

送信EMATは、以下のようには構成されない。
i)磁気コアの高周波の電気コイルによって誘導されるHF磁場ループは、積層磁気コアの
薄い板の積層面に対して実質的に平行で、ii)多数の誘導電流のループが、積層磁性体の
コアを包む連続導電層の表面のみに分布しており、iii) 誘導電流ループが、トポロジー
的に、導電層の表面全体に、不均一で非組織的、連続的かつ非離散的に分布しており、 i
v) 誘導電流のループは、薄い板の積層面に対して実質的に垂直である。これとは逆に、
本発明では、送信EMATは、i)磁気コア内の高周波電気コイルによって誘導される交番磁
場のループが、積層磁気コアの薄い板の積層面に対して実質的に垂直になるように構成さ
れており、誘導された電流のループは,高周波の薄い板の周辺部のみに生じて,周辺を包
む薄い板の平面に平行になることから、検査対象物の表面に対して垂直になる。またiii)
誘導電流ループは、トポロジー的に、高周波の薄い板の周辺に離散的に、しかし均質に
分布しており、 iv)誘導電流ループは、薄いシートの積層面に対して実質的に平行になる

このEMATは、高周のラミネートが固体形状のシートになるようには構成されていない。逆
に、高周波のラミネートは、その中心に貫くように穴が開いており、この穴の周囲を軸に
対して垂直に電流のループが回転するようになっている。
EMAT は、コイル回路で作った電気の高周波コイルで構成するものではなく、積層磁気コ
アから離れており、磁石によって磁気コアから分離されており、送信モードで不均一な絶
対強度の可変の高周波磁場の電束を、磁石のコアの高周波の薄い板に囲まれた導電層に連
続的に送信する。これとは対照的に、本発明では、EMATは、導電体の一連の平行部分
から構成される高周波の蛇行回路からなる電気コイルで構成される。磁気コアは、連続導
電層で覆われていない。各導電体部には、隣接する導電体部とは逆向きの、強さが同程度
の電流が流れている。電気の導体部は、積層磁性コアの高周波のラミネートの真上と上縁
に交互に重ね合わされる。送信では高周波の電気コイルは、高周波のラミネートと同じく
らい強い、垂直な可変磁場電束を放出する。
本発明では、送信の場合隣接する高周波のラミネートは、逆方向に回転する誘導電流ルー
プに取り囲まれる。したがって、積層磁心の高周波のアクティブなラミネートのそれぞれ
に面する対象の表面の正面部では、高周波のアクティブなラミネートごとに反対方向の高
周波の可変磁界磁束が誘導されるが、隣接する高周波のアクティブなラミネートに面する
正面ではそれと等しい強度となる。このように、積層磁性体コアに面する検査対象の表面
には、強度は実質的に等しいが方向は逆である平行ベクトルからなる渦電流行列が誘導さ
れる。このようなトポロジーの構成により、EMATの解像度が向上する。
【0008】
発明の概要
以下から構成されるEMAT
検査対象に静磁場または準静磁場を発生させるように構成された少なくとも1つの磁石ま
たは電磁石。
高周波で動作する少なくとも1つの高周波電気コイル(または電気回路)であって、そEMA
Tを送信で使用する場合は放出した高周波電磁界の高周波送信器として構成され、EMATを
受信で使用する場合は放出された高周波電磁界の高周波受信器として構成される。
放出された高周波の電磁場を集中させ、方向付けるように構成された、少なくとも1つの
マトリックス状の積層磁気コア、マトリックス軸に沿って周期的に積層された多数のラミ
ネートからなる(サンドイッチ)マトリックスからなるもの。
サンドイッチのマトリックスは、第一の多数の高周波のラミネートで構成されている。こ
れは互いに離れている。 内部には高い透磁率を持つ磁性材料が組み込まれている。それ
ぞれの高周波のラミネートは、外部に導電性材料を内蔵、または(および)外周縁を導電
層で覆っている。溝付きの円筒形の開口部は、マトリックスの各ラミネートを貫通して、
2つの横方向のマトリックス面のそれぞれに開いている。磁気のビアホールは、同様の寸
法と断面を持ち、横方向の周囲が閉じており、マトリックスの複数の高周波のアクティブ
なラミネートのそれぞれを貫通し、実質的にその中心に位置する。これらが整列すること
により溝付きの円筒形の開口部を形成する。高周波のラミネートには多数の誘導電流ルー
プが生成される。
このEMATの特長は、次の技術的手段の組み合わせにある。開口された高周波のアクティブ
なラミネートの各磁気のビアホールは、検査対象に面する第1エッジ面と高周波コイルに
面する第2エッジ面の間に配置される溝付きの円筒形の開口部の各磁気ビアホールは、内
部に硬い物質がなく、導電体が通過することもない。EMATが作動しているとき、誘導電流
ループは高周波のアクティブなラミネートの周辺エッジのラミネートの皮内に誘導され、
実質的に平行で、互いに離れている。このループは、高周波のアクティブなラミネートの
磁気ビアホールを取り囲み、その周りを回転する。
本発明の実施形態のバリエーションでは、上記(b)の技術的課題を解決するために、検
査対象から発せられる超音波信号を受信して検査するレーザEMATプローブ(LEMAT)を提
供するものもある。
このLEMATは以下から構成される:
検査対象から超音波信号を受信するための受信モードに設置した上記の本発明によるEMAT

高エネルギーのレーザビームを検査対象の表面の発射点に引き込むように構成されたレー
ザー光源。
レーザー光源は超音波を発生させ、検査対象の表面、内部、深部を伝搬する一次超音波を
発生させる。これにより、検査対象上やその内部に存在する不連続面との相互作用による
エコーから二次超音波が発生し、その位置によっては、表面や内部に伝搬する。これによ
り、EMATの磁石が発する静磁場の影響を受けながら、超音波の二次波によって検査対象に
材料渦電流が発生する。これにより、検査対象の渦電流から放出される高周波電磁界が発
生し、検査対象の表面や内部の不連続面を表す。
本発明の別の実施形態では、上記(c)の技術的課題に対する技術的解決策を提供するた
めに、円筒型導電性の構造体上や内部の不連続性を検出するためのマルチレーザ-EMAT 3D
スキャナ(MLEMAT)がある。
以下から構成されるMLMAT
3D 走査される導電性構造。
導電性の構造を取り囲むように構成されたシャーシフレーム。
マルチレーザーEMATプローブ(LEMAT)で、シャーシフレーム上に固定され、そのマトリ
クスの積層磁気コアのそれぞれのアクティブな第1のエッジ面が導電性構造に面するよう
に構成されたもの
シャーシフレームに対して円筒形の導電性構造を直線的に移動させる手段
このMLEMATの特徴は、隣接するEMATの穴の空いたマトリクス積層磁性コアの溝付きの円筒
形の開口の中心を結ぶ仮想線で構成される開口ループが、導電体構造を取り囲んでいるこ
とにある。
本発明の別の実施形態では、本発明のマルチレーザ-EMAT 3D走査(MLEMAT)を、1000°C
以上の鋳造温度で、鋼スラブの連続鋳造の動的ソフト圧下(DSR)の自動調整に使用され
ている。これは上記技術課題(d)に対する技術的解決法を提供するものである。
鋼スラブ素線をダイナミックソフトリダクションデバイス(DSRD、動的ソフト圧下装置)
に連続的に通すことで、鋼スラブ素線内部の中央のぐにゃぐにゃした部分におけるマクロ
偏析やポロシティの形成を抑制し、凝固収縮をダイナミックに補うとともに鋼スラブ素線
内の残留溶湯の吸引流を遮断する。MLEMATの各レーザーEMATの高周波電気コイルは、キャ
スティングダイナミック3次元マッピングシステム(3DMS)に接続される。この3DMSは、M
LEMATの各レーザーEMATの電気コイルに放射された2次超音波電流を結合して処理するよう
に構成されたアナログ・デジタル処理手段(MDAN)を備えている。この電流は、鋼スラブ
素線の検査材料のフロントゾーンにおける材料渦電流によってこのレーザーEMATの各高周
波の電気コイルに誘導される。この渦電流は、レーザー光源から発生したエコーと、レー
ザーEMATの第1端面の正面ゾーンにある検査対象料表面および内部の不連続面との相互作
用によって発生する。 MDANは、各EMATの超音波二次電流を組み合わせ、MLEMATの各レー
ザーEMATの複数の超音波二次電流の組み合わせと数値解析に基づいて、フレームの平面に
位置する鋼スラブのストランド構造部のダイナミック3次元マッピング(3 DM)を生成す
る。鋳造ストランドのDSRの最適化システム(DSRM)は、3DMSに接続されている。 DSRMは
スラブ鋼の3DMを受信し、動的DSR最適化パラメータ(PCSD)をデジタル処理で生成する。
デジタルDSRアクティベータ(ASR)はDSRMに接続されており、DSRMによって生成されたPC
SDの関数として、DSRアクションパラメータ(PASD)をダイナミックに調整する。
このMLEMATの特徴は、次の技術的手段の組み合わせにある。 本発明のEMATの冷却手段に
より熱伝達流体の冷却流を発生させる。 この冷却流体は、MLEMATの隣接するEMATの穴の
空いたマトリックス積層磁性コアの溝付きの円筒形の開口部の各磁気ビアホールや、各ス
ペーサービアホール内に、開口した高周波のアクティブなラミネートの磁性材料のキュリ
ー温度(TC)より著しく低い(少なくとも50℃)冷却温度(TF)で送り込む。このように
、ダイナミックソフトリダクション(DSR)とダイナミック二次冷却(DSC)は、1000℃以
上の鋳造温度で、自ダイナミックにダイナミックに調整される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のこれらの特徴、態様、および利点などについては、以下の詳細な説明を添付図面
を参照しながら読むと、よりよく理解されると考える。図面全体において、同様の記号は
同一の部品を表している。
図1】は、本発明のEMAT探触子の透視図である。
図2】は、本発明のEMAT探触子の断面図である。
図3】は、本発明のEMAT探触子の穴の空いたマトリクス積層磁性体コアにおける高周波のラミネートの1つの動作モードを示す概略図であり、送信に使用されるものである。
図4】は、受信モードで使用される、本発明のEMAT探触子の穴の空いたマトリクス積層磁気コアの高周波のアクティブなラミネートの1つの動作モードを示す透視図である。
図5】は、本発明のEMAT探触子の穴の空いたマトリクス積層磁性コアを、その高周波のアクティブなラミネートとパッシブなラミネートを積層して構成した状態を示す透視図である。
図6】は、エミッションモードで使用される、本発明のEMAT探触子ーの穴の空いたマトリクス積層磁気コアの高周波のアクティブなラミネートの電磁的動作の部分的な透視図である。
図7】は、本発明の別の実施形態であり、EMAT探触子の穴の空いたマトリクス積層磁気コアのラミネートである。ここではその穴の空いたマトリックス積層磁気コアを検査対象からダイナミックに浮き上がらせる。
図8】は、本発明によるレーザーEMATプローブ(LEMAT)の断面図である。
図9】は、本発明によるマルチレーザーEMAT 3次元スキャナー(MLEMAT)の側面図である。
図10】は、溶融鋼スラブの連続鋳造の動的ソフトリダクション(DSR)や動的二次冷却(DSC)の自動調整のための、本発明によるマルチレーザーEMAT3次元スキャナー(MLEMAT)の断面図であり、EMATプローブレベルで表示したものである。
図11】は、溶融鋼スラブの連続鋳造の動的ソフトリダクション(DSR)や動的二次冷却(DSC)の自動調整のための、本発明によるマルチレーザー-EMAT3次元スキャナー(MLEMAT)の断面透視図であり、レーザー光源のレベルで表示したものである
図12】は、溶鋼スラブの連続鋳造の動的ソフトリダクション(DSR)や動的二次冷却(DSC)を自動調整するための、本発明によるマルチレーザ-EMAT3次元スキャナ(MLEMAT)の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明を実施するための形態
以下に説明する実施形態は、1000℃以上の導電性構造物(90)の非破壊検査(NDT)に使
用することができる、改良型EMATシステム(1)に関するものである
[図1]および[図3]では、導電性の検査対象(3)の表面および内部の不連続性(2)を検出
するための電磁超音波探触子(EMAT)(1)が示されている。2つの磁石(4)は、検査対
象(3)に静磁場または準静磁場(SMF)を発生させるように構成されている。各磁石(4
)は、電磁石で置き換えることができる。 高周波電気コイル(6)(または電気回路)は
、穴の空いたマトリックス積層磁気コア(22)の真上に設置する。その巻線平面(7)(
または回路平面)は、EMAT(1)に面した検査対象(3)の局所検査面(8)に平行である
。2つの磁石(4)は、穴の空いたマトリックス積層磁性コア(22)の両側に設置する。
[図3]では、EMAT(1)は、送信モード(EM)で使用できることが確認できる。高周波電気
コイル(6)は、放出された高周波電磁場(HFEMF)の高周波電磁送信機(9)として構成
されている。 これは、少なくとも1つの交流電流源(11)の出力に接続され、高周波電気
コイル(6)において超音波周波数の高周波交流(AC)を起こす。 放出された高周波電磁
界は、検査対象(3)の表面に材料渦電流(14)を発生させる。 これにより、材料渦電流
(14)と静磁場(SMF)の相互作用により、検査対象(3)には超音波周波数でローレンツ
力(15)が発生する。また、検査対象がフェリ磁性体の場合、磁歪を発生させることもあ
る。さらに、ローレンツ力(15)の乱れにより、検査対象(3)に直接、超音波一次波(1
7)が発生する。
[図4]では、EMAT(1)は、受信モード(RM)でも使用できることがわかる。また高周波
電気コイル(6)は、高周波電磁レシーバ(18)として構成され、 超音波周波数の二次超
音波電流(19)がそれを横切る。この高周波電流は、材料渦電流(14)によって誘起され
た放出高周波電磁界(HFEMF)によって生成された二次超音波電気信号(88)で構成され
る。これらの渦電流(14)は、外部超音波源の影響下で、二次超音波(21)によって検査
対象(3)の検査面(8)に発生し、静磁場(SMF)と相互作用する。この渦電流(14)は
、検査対象(3)の表面および内部の不連続性(2)を示す。
ここでもう一度[図1]および[図2]を見ると、検査対象(3)の検査面(8)とそれに直
接面する高周波電気コイル(6)との間に、穴の空いたマトリックス積層磁気コア(22)
が配置されていることが分かる。 穴の空いたマトリックスのラミネートの磁性コア(22
)は、EMAT(1)の使用形態が送信か受信かに応じて、放出される高周波電磁界(HFEMF)
を検査対象(3)の方向や、そこから来る方向に集中させ、誘電するように構成されてい
る。 EMATは、多数の薄型シート(24)を積層したサンドイッチ状のマトリックス(23)
から構成される。これはマトリックス(23)の2つの主マトリックス面(26)の間に、マ
トリックス軸(25)に沿って、その積層のプラン(27)に平行に積層される。穴の空いた
マトリックス積層磁気コア(22)は、積層のプラン(27)に対して実質的に垂直で、マト
リックス軸(25)に対して平行に延びる、横方向に隣接する溝を有する複数のエッジ面(
35)を呈している。
また[図2]を見ると、エッジ面(35)の一方、即ちマトリックス(23)の第1エッジ面(36
)は、検査対象(3)の検査面(8)に面していることが分かる。他方の面、即ちマトリッ
クス(23)の第2エッジ面(37)は、第1エッジ面(36)の実質的に反対側に位置し、高周
波電気コイル(6)に面している。
[図1]と[図5]を参照すると、マトリックス(23)の各積層ラミネート(24)は、マト
リックス(23)の隣接ラミネート(24)のものと同様の空間幾何学及び横方向の寸法を有
していることが分かる。これらは、2つの主要な横方向のシート面(32)を有し、それぞ
れが積層のプラン(27)に平行である。
[図1]及び[図5]を参照すると、薄いシート(24)の組み合わせられた連続する隣接する周
辺エッジ(33)は、マトリックス軸(25)を囲むマトリックス(23)の溝付きエッジ面(
34)を形成することが分かる。マトリックス(23)のコア軸(38)は、第1エッジ面(36
)及び第2エッジ面(37)の中心で結合している。これは、マトリックス軸(25)に対し
て実質的に垂直に配置されている
[図5]及び[図6]では、マトリックス(23)は、高周波のアクティブなラミネート(29)(
図では4つが示されている)の第1のマルチチュード(28)、もしくはそうしたラミネート
のグループから構成されることがわかる。各高周波のアクティブなラミネート(29)は、
他のものから分離されてる。これは、高い透磁率を有する磁性材料(特に強磁性またはフ
ェリ磁性)を内部に組み込んでいる。磁性体は、ある一定のキュリー温度(TC)を持つ。
また外部に導電性材料を備えている。または、その外周縁部(33)を導電層で外装すること
も可能である。溝付きの円筒形の穴(アパーチャ)(39)は、マトリックス(23)のアパ
ーチャ軸(40)に沿って、マトリックス(23)の薄いシート(24)を通り、実質的にマト
リックス軸(25)に平行に、コア軸(38)に垂直に配置される。これは、2つのマトリッ
クス面(26)のそれぞれに開口している。類似の断面の寸法で周囲が閉じている磁気ビア
ホールのマルチチュード(41)が、マトリックス(23)からくり抜かれた複数の高周波の
アクティブなラミネート(29)を貫通して中心に穿孔されている。 これにより、マトリ
ックス(23)からくり抜かれた複数の高周波の活性ラミネート(29)のそれぞれを、検査面(8
)に実質的に平行な軸に沿って貫通する。これが被検査面(8)に平行に配置され、それに
より溝付きの円筒形のアパーチャ(39)が形成される。 マトリックス(23)の開口軸(4
0)に沿ってビアホールの長手方向のエンベロープ(42)があり、その横方向の周囲は閉
じられている。[図3]および[図4]では、EMAT(1)が動作しているとき、誘導電流ループ
(43)が放出された高周波電磁界(HFEMF)により誘導されていることがわかる。 図3
示すようにこの電磁界は送信では高周波コイル(6)から超音波周波数の高周波交流(AC
)が放出され、受信では図4のように検査対象(3)から超音波周波数の材料渦電流(14)
が放出される。誘導電流のループ(43)は、穴の空いたマトリクスの積層磁性コア(22)
の高周波のラミネート(29)の外周のアクティブなラミネートのスキン(48)の内側に配
置されている。図6の通り、これはループマッピング(LM)に従って配置されており、す
べての誘導電流ループ(43)のトポロジー、分布、および相対的な位置を定義している。
[図2]では、EMAT(1)には、以下の特徴がある。各高周波のアクティブなラミネート(29
)の各磁気ビアホール(41)が、被検面(8)に面する第1エッジ面(36)と、高周波の電
気コイル(6)に面する第2エッジ面(37)との間に配置されている。溝付きの円筒形のア
パーチャ(39)の各磁気ビアホール(41)の内部には、いかなる硬い物質が存在しない。
特にいかなる電気伝導体も存在しない。[図6]では、ループ・マッピング(LM)がトポロ
ジー的に離散的であり、互いに離れた高周波のラミネート(29)、(またはそのグループ
)の多数の誘導電流ループ(43)から成ることが分かる。[図3]では、高周波のアクティ
ブなラミネート(29)の周辺エッジ(33)上のラミネートのスキン(48)の内部に誘導電
流ループ(43)(またはそのループ群)が発生していることが分かる。これらはそれぞれ
、積層の計画(スタッキングプラン、 Stacking Plan)(27)に対して平行であり、検査
対象(3)の表面に対して垂直である。また実質的に平行であり、それぞれの高周波のア
クティブなラミネート(29)間で離れて設置されている。これが、高周波のラミネート(
29)の磁気のビアホール(41)を囲み、回転する。[図6]では、2つの隣接する高周波のア
クティブなラミネート(29)(又はグループ)の間に位置する穴の空いたマトリクスのラ
ミネート磁気コア(22)の各コア間隔スライス(Core Spacing Slice )(49)及びその表
面は、いかなる誘導電流ループ(43)も存在せず、いかなる誘導電流もないことが分かる

[図3]では放出された高周波電磁界(HFEMF)と穴の空いたマトリクスのラミネートの磁心
(22)は、以下のように構成されていることが分かる。EMAT(1)が作動しているとき、
高周波のコア磁界(HFIMF)は、高周波のコアの横磁界(MFTHF)の重要な要素を有してい
る。これは積層の計画(27)に対して垂直であり、各高周波のアクティブなラミネート(
29)に対して垂直であり、検査対象料(3)の表面に対して実質的に平行になっている。
穴の空いたマトリックスのラミネート磁性コア(22)内の高周波磁束(MFHF)は、大部分
がコア軸(38)に垂直で、検査対象(3)の表面に平行である そのため、検査対象(3)
の検査面(8)に対して垂直ではない。閉じた誘導電流ループ(43)は、各高周波のアク
ティブなラミネート(29)の周辺エッジ(33)上のHFコア横磁場(MFTHF)で生成される
[図5]及び[図6]では、穴の空いたマトリクスのラミネート磁気コア(22)内では、複合的
かつ相互作用的な二重の物理効果が生じることがわかる。 一方、穴の空いた高周波のラ
ミネート(29)の位相的に不連続な誘導電流ループ(43)のそれぞれは、別々に高周波磁
場を発生させる。これにより、その第1エッジ面(36)に面した被検面(8)のアクティブ
フラクション(44)と高周波電気コイル(6)との間で高周波磁気結合が個別的かつ局所
的に増大する。高周波のアクティブなラミネート(29)の平行誘導電流ループ(43)は、
EMAT(1)の高周波磁気リラクタンスの全体的な低減に影響を与えている。一方、マトリ
ックス(23)の各高周波のアクティブなラミネート(29)の磁気ビアホール(41)の内周
(45)は、その高周波アクティブなラミネート(29)の中心に熱伝導および対流表面(46
)を形成する。これにより、各高周波のラミネート(29)の特定の誘導電流ループ(43)
によって生成された局所的な電気エネルギーと発熱エネルギーの一部を放散するための内
部熱冷却効果を生成する。これによりEMAT(1)の効率向上をもたらす。
[図5]では、パッシブなラミネート(53)によって分離された、高周波のアクティブなラ
ミネート(29)を有する穴の空いたマトリックスラミネート磁気コア(22)が示されてい
る。マトリックス(23)(またはそのようなアクティブなラミネートのグループ)のそれ
ぞれの高周波のアクティブなラミネート(29)は、隣接するコア間隔スライス(49)にお
いて、電気絶縁材料でできたパッシブなラミネート(53)の第2のマルチチュード多数(5
4)の少なくとも1枚のシートによって分離されている。各パッシブなラミネート(53)は
スペーサービアホール(57)により穿孔されている。各パッシブなラミネート(53)は、
マトリックス(23)の高周波のアクティブなラミネート(29)の第1のマルチチュード(2
8)の磁気ビアホール(41)とマトリックス(23)のパッシブなラミネート(53)の第2の
多数(54)のスペーサービアホール(57)がマトリックス軸(25)と並行になるように配
置されている。その配置と組み合わせによって、溝付き円筒形開口部(39)を形成してい
る。
この電磁超音波探触子(EMAT)(1)は、次のような特徴を有する。各パッシブなラミネ
ート(53)の各スペーサービアホール(57)は、検査対象(3)に面する第1エッジ面(36
)と、高周波電気コイル(6)に面する第2エッジ面(37)との間に配置されている。溝付
き円筒形開口部(39)の各スペーサービアホール(57)は、内部に硬質材料が存在しない
。特に、いかなる電気伝導体も存在しない。マトリックス(23)の各パッシブなラミネー
ト(53)の各スペーサービアホール(57)の内周は、パッシブなラミネート(53)の中心
で、熱伝導および対流表面(46)を形成することがわかるであろう。これは、隣接する高
周波のアクティブなラミネート(29)の誘導電流ループ(43)によって発生する電気エネ
ルギーと熱エネルギーの放散のために、スペーサ・ビアホール(57)に内部熱冷却効果を
発生させるものである。これにより、EMAT(1)の効率向上に寄与している。
[図5]で示すように、各パッシブなラミネート(53)の周縁のエッジ(33)は、その表面
を覆ういかなる導電性材料もないことが推奨される。これにより、穴の空いたマトリック
ス積層磁気コア(22)の溝付きエッジ表面(34)は導電性層でできているが、逆にそれは
、一方では高周波のアクティブなラミネート(29)の周りに導電リングで、他方ではパッ
シブなラミネート(53)の周りに絶縁リングでできたエッジを持つ交互エッジから構成さ
れています。
[図5]の実施形態では、EMAT(1)の穴の空いたマトリクス積層磁心(22)は、冷却手段(
58)を有する。これは、冷却温度(TF)で熱伝達流体(60)の冷却流(59)を発生させる
。この冷却流(59)は、マトリックス(23)の溝付き円筒形開口部(39)を強制的に通過
する。この構成のEMAT(1)は、次のような特徴を有する。冷却流(59)は、第1のマルチ
チュード(28)の磁気ビアホール(41)の1つを順次通過し、もしくは第2マルチチュード
(54)のスペーサービアホール(57)の少なくとも1つを通過するように構成される。 マ
トリックス(23)のそれぞれの磁気ビアホール(41)や各スペーサービアホール(57)の
ホ壁面(62)のすべてをカバーしている。これにより、マトリックス(23)の各高周波の
アクティブなラミネート(29)における内部熱冷却効果が増大することがわかる。つまり
、誘導電流ループ(43)および熱放散を受けるわけである。 本発明では、冷却流(59)
の冷却温度(TF)は、各開口された高周波のアクティブなラミネート(29)の磁性材料の
特定のキュリー温度(TC)よりかなり低い温度に(少なくとも50℃)調整することが理想
である。
[図7]では、本発明のEMAT(1)の好ましい別の実施形態を示す。穴の空いたマトリックス
積層磁気コア(22)の少なくとも1つ(好ましくは多数の)のラミネート(複数)(24)
は、クッションの穴(63)によって貫通されているか。またはクッションのノッチ(64)を
備えている。これらの開口部は、スタッキングプラン(27)と平行な方向で、ビアホール
(41,57)の間に形成された環状壁(65)と、検査対象(3)に面する第1のエッジ表面(
36)の間を通過する。これにより、薄いシート(24)のビアホール(41,57)と検査対象
(3)に対向する第1のエッジ面(36)との間にクッションの凹部(66)が形成される。冷
却手法(58)は、ビアホール(41、57)を通過する冷却流(59)からクッションの液体流
(67)を抽出するように構成されている。この抽出されたクッション流体流(67)を加圧
してクッション凹部(66)内に流す。これにより、穴の空いたマトリックス積層磁性体コ
ア(22)と検査対象(3)との間に、検査対象(3)に面するクッション凹部(66)の高さ
で、リフトエアクッション( Lift Air Cushion)(70)が形成される。これにより、穴
の空いたマトリックス積層磁性コア(22)は、検査対象(3)クッションのギャップ(68
)の上に持ち上げられる。これは信頼性が高い手法である。これがクッションギャップ(6
8)を自ダイナミックに、かつ機械的に調節を可能にする。この配置により、検査対象(3
)と穴の空いたマトリックス積層磁気コア(22)の間や、作動する部品に伝導する熱エネ
ルギーがかなり減少することが理解できるかと思う。 この配置により、摩擦をなくすこ
とができる。またメンテナンス時の摩耗を抑えることで、EMAT(1)の稼働時間と稼働率
を大幅に向上させることが可能である。
[図5]では本発明のEMAT(1)の別の実施形態を示す。マトリックス面(26)上に位置する
2つの外部側部のエッジ面(35)は、導電性材料のカバー層(69)から構成されるか、ま
たは(図に示す通り)それによって覆われる。本構成のEMAT(1)は、以下の特徴を有す
る。磁気ビアホール(41)と同様の横方向寸法を有するビアホールが、2つの導電性カバ
ー層(69)の各々に穿孔されている。マトリックス(23)の複数のラミネート(24)と2
つの導電性被覆層(69)は、それらの複数のビアホールが、溝付き円筒形開口部(39)を
形成するように、互いに相対的に位置が決められている。
[図(5)]の実施形態によれば、各高周波のアクティブなラミネート(29)に形成された各
磁気ビアホール(41)の周囲は、長方形である。それぞれの磁気ビアホール(41)の中心
は、その高周波のアクティブなラミネート(29)の中心(重心点)に位置している。そし
て、各磁気ビアホール(41)の周囲は、その高周波のアクティブなラミネート(29)の周
辺エッジ(33)の周囲から一定の距離リング( Ring Distance , Rd)に配置される。こ
の構成では、各高周波のアクティブなラミネート(29)は、その周囲に発生する誘導電流
ループ(43)の加熱から熱力学的に冷却された長方形のアクティブなリング(71)として
位相的に構成されることがわかる。
[図1] と [図2]では、本発明のEMAT(1)の別の実施形態を示している。穴の空いたマト
リックス積層磁性コア(22)の第2のエッジ面(37)は、高周波電気コイル(6)に直接面
している。磁石(4)はマトリックス(23)の第2エッジ面(37)と高周波電気コイル(6
)の間には配置されない。
[図6]では、本発明のEMAT(1)の別の実施形態を示す。ここでは高周波の電気コイル(6
)とマトリックス(23)内の高周波のアクティブなラミネート(29)の第1のマルチチュ
ード(28)は、以下のように構成される。回路に面する、高周波のアクティブのラミネー
トのエッジ(72)のそれぞれの向き、ピッチ、サイズおよび形状は、連続的に面する高周
波の電気コイル(6)の導電率(75)の、向き、ピッチ、サイズおよび形状などの幾何パ
ラメータと一致し、また相関している。
上記構成の好ましい形態は、 [図3]に示す。高周波の電気コイル(6)が少なくとも1つの
線状導体の(Fraction of Linear Conductor)(73)を有することが分かる。後者は、回
路に面するエッジ(72)に近接して、その真上に配置される。これは、高周波の電気コイ
ル(6)に面するマトリックス(23)の第2エッジ面(37)に位置する高周波のアクティブ
なラミネート(29)の周囲に存在する平行な軸に沿って、接するようになっている。この
配置は本発明の特徴であり、少量の直線状導体(73)や、マトリクスのラミネート磁気コ
ア(22)が、EMAT(1)の動作時に、高周波のアクティブなラミネート(29)の外周のア
クティブなラミネートのスキン(48)に誘導電流ループ(43)を発生させるように構成さ
れている。これは磁気ビアホール(41)を取り囲んでいる。これにより、一方では高周波の
アクティブなラミネート(29)の周囲に沿って延びる直線状導体(73)により発生する高
周波の交流(AC)、他方では高周波のアクティブなラミネート(29)に面する検査面(8
)の狭い局所活性領域(44)で発生する材料の渦電流(14)間の局所選択的高周波磁気カ
ップリングが発生する。
電流が流れる直線状導体(73)から放出される高周波電磁界(HFEMF)は直交することが
知られている。そのため、高周波磁束線(MFHF)は、実質的に直線状導体(73)を囲む円
で構成されている。
[図3]では、EMAT (1) を示す。ここでは、送信モード(EM)の場合、直線状導体(73)を
流れる高周波の交流(AC)がループ状の直交磁束を生成し、コンダクターの高周波磁束ル
ープ(76)を生成し、高周波のアクティブなラミネート(29)に面して直角の高周波のコ
ア横磁界(MFTHF)を形成する。これにより、高周波のアクティブなラミネート(29)の
アクティブリング(71)の表面で誘導電流ループ(43)が発生する。この誘導電流ループ
(43)は、順番に多数の高周波磁束ループを放出し、渦電流(14)を生成する。この渦電
流は、トポロジー的に順序付けられ、すべてが対面する高周波のアクティブなラミネート
(29)の平面と平行に配置されている。
また、電流が供給されるサーキュラーターン(訳者注: circular turn)では、その軸に
平行に、その中心を通る多数の磁束のループという形で、磁力線の束が生成されることが
知られている。
[図4]では、EMAT(1)を受信モード(RM)で使用する場合、材料の表面で発生するスタッ
キングプラン(27)に平行な渦電流(14)の成分が、外部超音波源の影響下で、高周波の
コア横磁場(MFTHF)を作成する高周波の磁束ループ(77)を誘導することがわかる。外
部超音波源の影響により、高周波磁束ループ(77)が発生し、渦電流(14)に面した高周
波のアクティブなラミネート(29)のアクティブリング(71)に対して垂直に高周波のコ
ア横磁場(MFTHF)が形成される。これにより、アクティブなラミネートのスキン(48)
内に誘導電流ループ(43)が形成さレル。この高周波アクティブなラミネート(29)を長
手方向に取り囲む誘導電流ループ(43)は、次に、この高周波アクティブなラミネート(
29)の周囲沿って接する直線状導体(73)の分数を取り囲む多数の高周波磁束ループを放
出する。 これにより、誘導的に二次超音波電気信号(88)が発生し、直線状導体(73)
に高周波交流(AC)を発生させる。
[図3] 及び[図6]の別の実施形態では、高周波電気コイル(6)は、ミアンダ配線(訳者
注:原文Meander Circuit)(74)である。多数(少なくとも2つ)の直線状導体(73)を
有している([図6]には4つ示す)。それらはお互いに平行であり、隣接している。ミア
ンダ配線(74)の直線状導体(73)は、高周波の電気コイル(6)に面するマトリクス(2
3)の第2エッジ面(37)に位置する高周波のアクティブなラミネート(29)の回路に面す
るエッジ(72)に近接しており、その直上に位置する。これらは、ミアンダ配線(74)に
平行するリニア導体(73)を順次通過する高周波交流(AC)が、交互に反対方向を向くよ
うに構成されている。高周波の導体磁束ループ(76)が、ミアンダ配線(74)の直線状導
体(73)を実質的に垂直に囲み、それに面した高周波のアクティブなラミネート(29)の
内部を実質的に垂直に貫通していることが分かる。また、以下の特徴を有する。ミアンダ
配線(74)の直線状導体(73)と穴の空いたマトリクス・ラミネート磁気コア(22)は、
EMAT(1)が送信モード(EM)にあるとき、隣接する誘導電流ループ(43)によってアク
ティブなラミネートのスキン(48)を横切るように構成される。これらはそれぞれ、磁気
ビアホール(41)を通過するアパーチャ軸(40)の周りに、反対方向の回転(78)で回転
する交互高周波電流で構成されており、一方は時計回り方向で、他方は反時計回り方向で
ある。
【0011】
[図1]では、穴の空いたマトリックス積層磁性コア(22)の溝付きの円筒形開口(39)に
おける、その開口軸(40)に沿った開口(アパーチャ)の深さ(Od)は、EMAT(1)の高
周波電気コイル(6)の第1の横断寸法(FTd)と実質的に等しいことが分かる。さらに、
その穴のマトリックス積層磁性コア(22)の、高周波電気コイル(6)に面する溝付きの
第2のエッジ面(37)は、サンドイッチ(23)のアパーチャ軸(40)に垂直な方向で、EMA
T(1)の高周波電気コイル(6)の第2の横断寸法(STd)と実質的に等しい。
[図5]で示す別の実施形態によれば、マトリックス(23)の穿孔されたラミネート(24)
のシートの幾何公差(79)と、穴の空いたマトリックス積層磁気コア(22)の結合幾何公
差は、放出する高周波の電磁場(HFEMF)の主要な高調波の波長から非相関関係(decorrel
ated)になるように調整される。これにより、EMAT(1)が動作する際の超音波周波数にお
いて、穴の空いたマトリクス積層磁気コア(22)の機械的共振が防止できる
別の実施形態によれば、この穴の空いたマトリクス積層磁気コア(22)の穿孔したラミネ
ート(24)のシートの幾何公差(79)は、ラミネート(24)に発生する超音波の波長より
はるかに小さいか、ラミネート(24)に発生する超音波の波長の4分の1の奇数に実質的に
等しくなるように調整される
[図2]で示す本発明の別の実施形態によれば、検査対象(3)に面し、溝付き円筒形開口部
(39)に平行に設置される穿孔マトリクス積層磁気コア(22)の第1の溝付きの第1エッジ
面(36)は、電気絶縁材料からなる絶縁層(81)(図示の通り)により覆われているか、
または、電気絶縁材料そのもので覆われている。絶縁層(81)の一方の面は、溝付き円筒
形開口部(39)に面して配置され、高周波のアクティブなラミネート(29)の各々の外周
に属する第1エッジ面(36)の縁を覆っている。
本発明のEMAT (1) および上記の例は、上記技術的課題(a)に対する技術的解決策を提供
するものである。このEMAT (1) は、放出する高周波電磁場(HFEMF)のエネルギーの伝達
を増大させる。高周波コイル(6)と検査対象(3)の表面で発生する材料渦電流(14)の
高周波磁気結合を最大化し、放出される高周波電磁界の磁束の漏れを最小化する。さらに
高周波コイル(6)と探触子に面した検査対象の材料渦電流(14)における高周波電磁界
結合のトポロジーの均質性を保証する。しかも1000℃を超える検査対象(3)の高温下で動
作が可能である。
[図8]で示すように、レーザ-EMATプローブ(LEMAT)(82)は、この検査対象(3)から超
音波信号を受信することによって検査対象(3)を検査することが分かる。LEMATは、以下
の組み合わせで構成される。 i) 上述した本発明による電磁超音波探触子(EMAT) (1)、
およびii) レーザー光源(84)である。EMAT(1)は、検査対象(3)の二次超音波電気信
号(88)を受信するための受信モード(RM)に設定される。高周波の電気コイル(6)は
、高周波の電磁レシーバ(18)として構成されている。[図4]で示すように、この二次超
音波電気信号(88)は、検査対象(3)から放出される放出高周波電磁界(HFEMF)により
電気的に誘起される。これは二次超音波(21)によって検査対象(3)に発生する渦電流
(14)によって発生するものである。この渦電流(14)は、検査対象(3)の表面や内部
の不連続性(2)を示すものである。[図8]で示すように、穴の空いたマトリックス積層磁
性コア(22)は、EMAT(1)の高周波電気コイル(6)と検査対象(3)の間に配置されて
いる。これは高周波コイル(6)に直接面している。さらに検査対象(3)と高周波コイル(6)
の間に保護間隔(83)を確保することにもなる。これによりEMAT(1)の磁気リラクタンス
を低減させる。また、 検査対象(3)における高い温度や表面の状態から保護している。
レーザー光源(84)は、検査対象(3)の表面の発射点(86)に高エネルギーレーザービ
ーム(85)を描くように構成される。レーザービーム(85)は、検査対象(3)の表面や
内部を伝搬する一次超音波(17)を発生させる。すると、検査対象(3)の表面や内部の
不連続面(2)と一次超音波(17)の作用により、二次超音波(21)が発生する。この超
音波二次波(21)は、検査対象(3)の表面や内部を伝搬する。この超音波二次波(21)
は、EMAT(1)の磁石(4)が発生する静磁場(SMF)の影響を受け、超音波二次波(21)
が機械的に振動することにより、検査対象(3)の表面で渦電流(14)を発生させる。こ
れにより、検査対象(3)の表面に存在する材料渦電流(14)によって放出される高周波
電磁界HF(HFEMF)が誘導され、これが検査対象(3)の表面および内部の不連続面(2)
の形状や位置を示す。この放出された高周波電磁界(HFEMF)をEMAT(1)を通して処理す
ることにより、高周波電気コイル(6)に二次超音波電気信号(88)が発生する。
【0012】
[図4]では、EMAT(1)が受信モードに設定されており、レーザー-EMATプローブ(LEMAT)
(82)が、以下の技術的特徴を有する。 レーザー(84)による検査材料(3)の材料渦電
流(14)から放出される放出高周波電磁界(HFEMF)により、遠隔誘導電流ループ(43)
が、穴の空いたマトリクス積層磁気コア(22)の各高周波のアクティブなラミネート(29
)の周辺縁部(33)上のアクティブなラミネートのスキン(48)に誘導される。[図6]で
は、高周波の活性ラミナ(29)(またはグループ)のこれらの誘導電流ループ(43)は、
互いに間隔を空けて配置されている。この渦電流誘起のループ(43)は、高周波のアクテ
ィブなラミネート(29)の磁気ビアホール(41)を囲み、磁気アクティブリング(71)の
周りを回転している。これは、検査対象(3)に面する第1エッジ面(36)と高周波コイル
(6)に面する第2エッジ面(37)の間に配置されている。これらの2つのエッジ面(36、3
7)に対して実質的に垂直である。
このLEMAT(82)では、穿孔マトリックス積層磁性コア(22)内で複合的かつインタラクティ
ブな二重の物理効果が発生することがわかる。一方、[図4]のように、穴の空いた高周
波のアクティブなラミネート(29)(またはそのグループ)の複数の離散的かつ平行に流
れる誘導電流ループ(43)は、別々に高周波磁場を生成する。これにより、第1エッジ面
(36)に面する検査面(8)の局所的なアクティブになる部分(44)と、高周波の電気コ
イル(6)との間の高周波磁気結合を増大させる。これにより高周波結合が均質化し、EMA
T(1)の高周波磁気リラクタンスの低減に作用する。一方、[図5]のように、マトリック
ス(23)の各高周波のアクティブなラミネート(29)の各磁気ビアホール(41)の内周(
45)には、その高周波のアクティブなラミネート(29)の中心で自由熱伝導と対流面(46
)が生成されるこれにより、その特定の高周波のアクティブなラミネート(29)の誘導電
流ループ(43)により発生する電気エネルギーと発熱エネルギーの一部を放散させる内部
熱冷却効果が生じる。これにより、EMAT(1)の効率向上に寄与する。
本発明のLEMAT(82)は、上記技術的課題(b)に対する技術的解決策を提供するものであ
る。厚い金属構造における表面や内部の不連続性(2)の検出を最適化するものである。
検査対象(3)が1000℃を超える高温でも使用できる
[図9]では、円筒形の導電性構造体(90)内部の表面や内部の不連続性(2)を検出するた
めのマルチレーザー-EMAT3Dスキャナー(MLEMAT)(89)が示されている。 MLEMAT(89)
は、a)3D 走査する導電性構造体(90)、b)シャーシフレーム(93)、c)本発明による少
なくとも2つのレーザ-EMATプローブ(LEMAT)(82)からなるプローブ群(96)、d)変位
手段(97)から構成される。3D 走査される導電性構造体(90)は、導電性の検査対象(3
)でできている。構造軸(91)に沿って生成された円筒状の構造と、構造部(92)とを有
する。シャーシフレーム(93)は、導電性構造体(90)をフレーム距離(Fd)で囲むよう
に構成される。そのフレーム平面(95)は、導電性構造体(90)の構造軸(91)に対して
実質的に垂直である。変位手段(97)は、構造体軸(91)と実質的に一致する変位方向(
Md)に沿って、シャーシフレーム(93)に対して円筒形の導電性構造体(90)を直線的に
動かすように構成される。
このマルチレーザーEMAT 3Dスキャナー(MLEMAT)(89)は、[図10]で示す以下の特徴を有
している。さらにアパーチャループ(99)は仮想線で構成されており、この仮想線は溝状
円筒開口の中心(39)により構成されている。この溝状円筒開口は、MLEMAT(89)のレー
ザー-EMATプローブ(LEMAT)(82)に隣接している各EMAT(1)の穴の空いたマトリクス
ラミネート磁気コア(22)に設置されており、導体構造(90)を囲んでいる。
【0013】
また、レーザ-EMATプローブ(82)からなるプローブ群(96)は、シャーシフレーム(93
)上に固定されている。この第一のエッジ面 (36)に隣接した配置は、レーザ-EMATプロー
ブ(LEMAT)(82)穴の空いたマトリクス積層磁気コア(22)に隣接しており、 検査対象
(3)に対向する連続した溝付き検査リング(100)を構成している。この溝付き検査リン
グ(100)は、フレーム面(95)に近い導電性構造体(90)の構造部(92)において、導
電性構造体(90)の外周を取り囲んでいる。
[図11]で示すマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)の実施形態では、各MLEMAT(8
2)のレーザ源(84)は、フレーム平面(95)に固定され、導電構造(90)に面した発射
端(102)を有する光ファイバ(101)により構成されている。この光ファイバー(101)は
、レーザー発生装置(103)に接続されている。この構成のマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(
MLEMAT)(89)は、以下の特徴を有する。MLEMAT(89)の隣接する各レーザ-EMATプロー
ブ(LEMAT)(82)の発射端(102)を結ぶ仮想線によって構成されるレーザ発射ループ(
104)が、導電構造(90)を取り囲み、アパーチャループ(99)と実質的に平行である。
本発明のマルチレーザ-EMAT 3Dスキャナ(MLEMAT)(89)の別の実施形態では、金属スラ
ブ(105)の表面や内部の不連続部(2)を検出するために使用される。導電性の構造体(
90)は、円筒形の冶金スラブ(105)であり、これはMLEMAT(89)に対して相対的に動く
ことが可能である。MLEMAT(89)のレーザ-EMATプローブ(LEMAT)(82)に隣接する、各
EMAT(1)のパーフォレイテッドマトリクス積層磁気コア(22)の溝付き円筒形アパーチ
ャ(39)の中心を結ぶ仮想線によって構成されるアパーチャループ(99)は、この円筒形
の金属スラブ(105)を囲んでいる。
本発明のマルチレーザ-EMAT 3Dスキャナ(MLEMAT)(89)の別の実施態様では、1000℃を
超える鋳造温度(TS)で製鉄所で連続鋳造された鋼スラブ(105)の円筒の連続鋳造の表
面や内部の不連続部(2)を検出するために使用される。MLEMAT(89)の隣接する各EMAT
(1)の穴の空いたマトリクス積層磁性コア(22)の開口した高周波のラミネート(29)
は、例えば、鋳造温度(TS)より低いキュリー温度(TC)を有する強磁性またはフェリ磁
性のタイプの磁性材料で作られている。このMulti-Laser-EMAT型3Dスキャナ(MLEMAT)(
89)は、以下の特徴を有する。[図10]で示すように、MLEMAT(89)の隣接するLEMAT(82
)の各EMAT(1)の穴の空いたマトリクス積層磁性コア(22)の各溝型円筒状開口(39)
は、熱を伝達する流体(60)の冷却流(59)を生成する冷却手段(58)に接続される。こ
の熱を伝達する流体(60)は、MLEMAT(89)の各隣接するEMAT(1)の各穿孔マトリック
ス積層磁性コア(22)の溝付き円筒形開口部(39)の各ビアホール(41、57)内に、開口
した高周波のアクティブラミナ(29)の磁性材料のキュリー温度よりかなり低い(少なく
とも50°C)冷却温度(TF)で、押しつけられる。
このMLEMAT(89)および上記で詳述したその変形例は、上記技術的課題(c)に対する技
術的解決策を提供するものである。このMLEMATは、冶金スラブ(105)のような大きくて
厚い可動導電性構造物(90)のラインによる連続3次元走査を1箇所から行い、表面および
深部の不連続性(2)の位置を提供するなど、この構造物の高解像度で観察した3Dマップ
を生成する。さらに検査対象物(3)の温度が1000℃を超えるような高い温度でも使用でき
る。
[図12]ではマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)(89)が示されている。ここでは製
鉄所で1000℃を超える鋳造温度(TS)で連続鋳造された鋼スラブ(105)の動的ソフトリ
ダクション(DSR)のパラメータの自動調整を行うように構成されている。鋼スラブ(105
)の連続鋳造は、鋼スラブ(105)の連続鋳造中に発生するマクロ偏析ゾーンおよびポロ
シティゾーンの形成を抑制するために、ダイナミックソフトリダクション装置(DSRD)を
使用する。これにより、鋼の凝固収縮をダイナミックに補正し、鋼スラブ(105)の中央
のぐにゃぐにゃしたゾーン(106)に残留する溶湯の吸引流量を遮断する。
このMLMAT(89)は、以下から構成されるダイナミックソフトリダクション装置(DSRD)
に結合されている。i) ダイナミック3Dマッピングシステム(3DMS)、鋼スラブ(105)の
連続鋳造ダイナミック3Dマッピング(3DM)を生成する。ii)コンピュータ化されたDSR最
適化システム(DSRM)であって、ダイナミック3Dマッピング(3DM)および連続鋳造パラ
メータに基づいて、ダイナミックDSR最適化パラメータ(PCSD)を生成する。DSRM によっ
て生成された PCSD に基づいて、動的ソフトリダクション装置(DSRD)の DSR アクショ
ンパラメータ(PASD)をダイナミックに調整するデジタル DSR アクティベーター(ASR)
を有する。
このMulti-Laser-EMAT型3Dスキャナ(MLEMAT)(89)は、以下の特徴を有する。MLEMAT(
89)のレーザー-EMAT(82a、82b、82)のEMAT(1a、1b、1)の高周波電気コイル(6a、6b
、6)は、それぞれ、ダイナミック3Dマッピングシステム(3DMS)に接続されている。各E
MAT(1a、1b、1)の一部に対面する鋼スラブ(105)の検査対象(3)の正面(110)上の
材料の渦電流(14)によって、高周波電気コイル(6a、6b、6)によって誘電された2次超
音波電気信号(88a、88b、88)を送信する。DSR最適化システム(DSRM)は、アナログと
デジタル処理手段(Analog And Digital Processing Means(MDAN))を備えている。MDA
Nは、MLEMAT(89)のレーザーEMAT(82a、82b、82)の各高周波の電気コイル(6)を横断
する二次超音波電気電流(19a、19b、19)に含まれる多数の二次超音波電気信号(88a、8
8b、88)を受け取るように構成される。また、MDANは、一部で活性化したフラクション(
44a)における不連続性(2)によって引き起こされる、レーザーEMAT(82a、82b、82)の
各二次超音波電気信号(88a、88b、88)の変化や摂動を特定するように構成されている。
各レーザーEMAT(82a、82b、82)に面する検査対象(3)から、この局所活性の部位(44a
、44b、44)における欠陥の正面トポロジー(DTa、DTb、DT)をデジタル的に推測して生
成する。また、MDANは、欠陥正面のトポロジー(Frontal Topology Of Defects(DTa、DT
b、DT))をデジタル合成して、鋼スラブ(105)の連続鋳造の内部をMLEMAT(89)で物理
観測した3次元マッピング(Dynamic 3D Mapping(3DM))をデジタル生成する。複数の二
次超音波電気信号(88a、88b、88)の合成信号の組み合わせとデジタル解析に基づいて、
フレーム面(95)の構造部(92)において検査リング(100)に面する正面ゾーン(110)
において、複数の二次超音波電気信号の信号を解析する。
[図10]では、冷却手段(58)は、MLEMAT(89)の隣接する各EMAT(1)の各穴の空いたマ
トリックス積層磁性コア(22)の溝付き円筒形開口(39)の各ビアホール(41、57)内に
圧力下で突き出される熱伝達流体(60)の冷却流(59)を生成する。これは開口した高周
波のアクティブラミナ(29)の磁性材料のキュリー温度(TC)よりも著しく低い(少なく
とも50℃)冷却温度(TF)である。
このMLEMAT(89)のおかげで、ダイナミックソフトリダクションデバイス(DSRD)のDSR
アクションパラメータ(PASD)は、MLEMAT(89)によって物理的に観察された鋼スラブ(
105)の連続鋳造におけるダイナミック3Dマッピング (3 DM) に基づいて、1000℃より高
い鋳造温度(TS)で最適方法でダイナミックに調整できることがわかるであろう。
[図12]では、1000℃を超える鋳造温度(TS)で連続鋳造された鋼スラブ(105)の動的二
次冷却(DSC)の設定をさらに可能にするための、動的ソフトリダクション(DSR)の動的
パラメータの自動調整を行うマルチレーザ-EMAT3Dスキャナ(MLEMAT)のバリエーション
(89)を示している。MLMAT(89)は、コンピュータ化されたDSC最適化システム(DSCM)
を含む動的二次冷却装置(DSCD)に結合されており、鋼スラブ(105)の連続鋳造を物理
的に観察する動的3Dマッピング(3DM)に基づいて、動的二次冷却のDSC最適化パラメータ
(PCSC)を生成する。これは各Laser-EMAT(82a、82b、82)における複数の2次超音波電
気信号(88a、88b、88)の信号の組み合わせとデジタル解析により、フレーム面(95)の
構造部(92)において行われる。また、デジタルDSCアクティベータ(ASC)を備えており
、DSCMが生成したPCSCに基づき、動的二次冷却(DSC)の水流量のDSCアクションパラメー
タ(PASC)をダイナミックに調整する。これは、MLEMAT(89)で物理観測したダイナミッ
ク3Dマッピング(3DM)に基づいて行われる。
【0014】
本発明のDSR及やDSCの自動調整用MLEMAT(89)は、上記技術的課題(d)に対する技術的
解決策を提供するものである。つまり、製鉄所において連続的に鋳造された鋼スラブ(10
5)内部を観察した結果に基づき、動的ソフトリダクション(DSR)のDSRアクションパラ
メータ(PASD)や動的二次冷却(DSC)のDSCアクションパラメータ(PASC)の自動調整を
確実に行うものである。鋼スラブ(105)の連続鋳造における内部の動的3Dマッピング(3
DM)を観察しながらこれを連続的に供給するものである。溶鋼スラブ(105)の連続鋳造
における中央のぐにゃぐにゃのゾーン(106)の位置とその偏析欠陥を、3Dモードと観察
方法で、3D物理的観察に基づいて定義するものであり、数学モデルに基づく理論アルゴリ
ズムによる数値シミュレーション予測によって提供するのではない。鋼スラブ(105)の連
続鋳造の減速点を、3次元の物理的な観察に基づいて正確に検出することが可能である。
また1000℃以上の高温で連続鋳造された鋼スラブ(105)の動的ソフトリダクション(DSR
)および動的二次冷却(DSC)のパラメータの自動調整の精度と信頼性を向上させること
もできる。これにより、製鉄所での連続鋳造工程における溶鋼スラブ(105)の組織の偏
析欠陥および中央のぐにゃぐにゃのゾーン(106)のポロシティを低減することが可能と
なる。
【0015】
発明の効果
本発明のDSRおよびDSC用MLEMAT(89)は、鉄鋼業における、鋼スラブの熱間硬化の連続鋳
造の非破壊自動制御において、貴重な工業的利点を提供する。
鋼スラブの鋳造温度が1200℃を超えるような環境下でも動作可能。
鋳造された鋼スラブの3Dマッピングを最高1m/sの速度で連続的に行うことが可能。
鋼スラブの鋳造から圧延まで、一般的な装置でNDTを行うために鋼スラブを最大100℃まで
冷却することなく、実施が可能。
NDT後、圧延前のスラブを1200℃に再加熱するために使用するガスを節約することが可能

連続鋳造設備のパラメータを自動的かつダイナミックに調整するために、鋼スラブの連続
鋳造から連続的に生成される3Dマッピングを提供する。
鋳造された鋼スラブの不連続面(内部および表面)の種類とその座標を、高い精度と信頼
性で連続的に特定可能。
これにより、製造される鋼スラブの標準化、品質管理、品質評価の精度を向上させ、連続
鋳造の付加価値を高めることが可能。
連続鋳造した鋼スラブのDSRやDSCの動的パラメータをリアルタイムで自ダイナミックに精
密に調整することが可能。
鋼スラブの不連続性を早期に発見し、時間、エネルギー、材料、作業を大幅に節約するこ
とで、品質に応じて先行する生産工程への配向を可能にする。
鋳鋼機の性能と生産性を7%以上向上させる。
コンパクトであることから、既存の鋳造設備に大きな構造変更を加えることなく設置する
ことが可能。
【0016】
産業上の利用可能性
本発明は、冶金産業、特に鉄鋼産業において、鉄鋼の連続鋳造ラインにおける1000℃以上
の鋼スラブの熱間硬化の品質検査およびDSRやDSCの自動調整、冶金産業の半製品の品質管
理に産業利用できる。また、鉄道産業においても、鉄道レールの高速制御、輪軸の装着制
御などに応用できる。さらに、本発明は、石油・ガス産業、化学、原子力産業において、
危険な環境や高温環境下でのパイプやパイプライン、掘削装置、機器のインラインテスト
などに応用が可能である。
【0017】
本明細書では、本発明の特定の特徴のみを図示および説明したが、これ以外にも多くのバ
リエーションや変更が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、添付の特
許請求の範囲は、本発明の真の精神に入るこれらすべての修正および変更をカバーするこ
とを意図していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】