(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】抗菌表面および関連する方法
(51)【国際特許分類】
C09D 183/04 20060101AFI20230913BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20230913BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20230913BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20230913BHJP
A01N 59/20 20060101ALI20230913BHJP
A01N 25/10 20060101ALI20230913BHJP
C09D 5/14 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
C09D183/04
A01P1/00
A01P3/00
A01N59/16 A
A01N59/20 Z
A01N25/10
C09D5/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515370
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 US2021049417
(87)【国際公開番号】W WO2022055965
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516344753
【氏名又は名称】エヌビーディー ナノテクノロジーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NBD NANOTECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】Building C,Suite 400A,99 Hayden Avenue,Lexington,Massachusetts 02421 US
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、 ボン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ガルベス、 ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】サルヒ、 フアド
【テーマコード(参考)】
4H011
4J038
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011AA03
4H011AA04
4H011BA01
4H011BB18
4H011BC16
4H011BC19
4H011DA08
4H011DH07
4J038DL031
4J038DL071
4J038DL091
4J038NA05
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC04
4J038PC08
(57)【要約】
いくつかの実施形態によれば、抗菌組成物(例えば、抗菌コーティング)および関連する方法が一般的に記載される。抗菌組成物は、1以上の微生物および/またはバクテリアを殺し、増殖を阻害し、緩和し、および/または保持を阻害するために使用され得る。組成物の抗菌特性は、金属イオンで官能化されたシラン化合物(例えば、第1のシラン化合物)を含む微生物抑制材料によって提供され得る。組成物はまた、好ましくは疎水性であり得るシラン化合物(例えば、第2のシラン化合物)を含む指紋抑制材料を含み得る。指紋抑制材料は、指紋非視認性材料および/または指紋抑制材料を含むことができる。指紋非視認性材料は、指紋を光学的に(例えば、人間の目に対して)見えにくくすることによって指紋を隠すように構成され、指紋抑制材料は、指紋の保持を抑制するように構成され得る。抗菌性および耐指紋性を提供することに加えて、組成物は、化学的に不活性、機械的に堅牢、および/または光学的に透明であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン化合物と金属イオンを含有する微生物抑制材料を含有する抗菌コーティングであって、シラン化合物は、金属イオンに結合した官能基を含む抗菌コーティング。
【請求項2】
官能基が、窒素原子、硫黄原子、および/またはリン原子を含む、請求項1に記載の抗菌コーティング。
【請求項3】
シラン化合物が構造
【化1】
(式中、
R
1は、-C
1-C
x+1アルキル-S(R
3)
y(M)、-C
2-C
x+2アルケニル-S(R
3)
y(M)、-C
3-C
x+3アルキニル-S(R
3)
y(M)、-C
1-C
xアルキル-N(R
3)
y(M)、-C
2-C
xアルケニル-N(R
3)
y(M)、-C
3-C
xアルキニル-N(R
3)
y(M)、-C
1-C
x+1アルキル-P(R
3)
y(M)、-C
2-C
x+2アルケニル-P(R
3)
y(M)、-C
3-C
x+3アルキニル-P(R
3)
y(M)であり、式中、xは1以上20以下、yは1以上3以下、Mは金属イオンであり、
各R
2は、同じかまたは異なり、繰り返し構造の別のSi原子への結合であるか、または水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
3-C
10アルキニルからなる群から選択され、
R
1およびR
2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
3、-CO
2H、C(O)OR
3、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-C(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-SC
1-C
10アルキル、S(O)C
1-C
10アルキル、-S(O)
2C
1-C
10アルキル、-S(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-S(O)
2NH(C
1-C
10アルキル)、S(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1-C
10アルキル)
2、-NR
3、-NH
2、-C
2H
8N
2、-NH(C
1-C
10アルキル)、-P(C
1-C
10アルキル)
2、-P(O)(C
1-C
10アルキル)
2、-PO
3H
2または-Si(-OC
1-C
10アルキル)
3で置換されていてもよく、
各R
3は、結合、水素、重水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
2-C
10アルキニル、-C
3-C
10シクロアルキル、および-C
1-C
10アルキル-O-C
1-C
10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよく、
nは、正の整数である)
を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の抗菌コーティング。
【請求項4】
金属イオンが銀である、請求項1~2のいずれか一項に記載の抗菌コーティング。
【請求項5】
金属イオンが銅である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗菌コーティング。
【請求項6】
抗菌コーティングが微生物に曝露された後、微生物の保持が99%以上減少する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗菌コーティング。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の抗菌コーティングを含む物品。
【請求項8】
シラン化合物が基材上に固定化されている、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
基材が、ガラス、セラミック、金属、金属酸化物、および/またはポリマーを含む、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
シラン化合物が、-Si-O-結合を介して基材上に固定化されている、請求項8~9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
金属イオンを含む微生物抑制部分および
シラン化合物を含む指紋抑制部分を含むコーティング。
【請求項12】
指紋抑制部分のシラン化合物が、第2のシラン化合物であり、微生物抑制部分が、第2のシラン化合物とは異なる第1のシラン化合物をさらに含む、請求項11に記載のコーティング。
【請求項13】
第1のシラン化合物が、金属イオンに結合した官能基を含む、請求項12に記載のコーティング。
【請求項14】
官能基が、窒素原子、硫黄原子、および/またはリン原子を含む、請求項13に記載のコーティング。
【請求項15】
第1のシラン化合物が構造
【化2】
(式中、
R
1は、-C
1-C
x+1アルキル-S(R
3)
y(M)、-C
2-C
x+2アルケニル-S(R
3)
y(M)、-C
3-C
x+3アルキニル-S(R
3)
y(M)、-C
1-C
xアルキル-N(R
3)
y(M)、-C
2-C
xアルケニル-N(R
3)
y(M)、-C
3-C
xアルキニル-N(R
3)
y(M)、-C
1-C
x+1アルキル-P(R
3)
y(M)、-C
2-C
x+2アルケニル-P(R
3)
y(M)、-C
3-C
x+3アルキニル-P(R
3)
y(M)であり、式中、xは1以上20以下、yは1以上3以下、Mは金属イオンであり、
各R
2は、同じかまたは異なり、繰り返し構造の別のSi原子への結合であるか、または水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
3-C
10アルキニルからなる群から選択され、
R
1およびR
2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
3、-CO
2H、C(O)OR
3、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-C(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-SC
1-C
10アルキル、S(O)C
1-C
10アルキル、-S(O)
2C
1-C
10アルキル、-S(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-S(O)
2NH(C
1-C
10アルキル)、S(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1-C
10アルキル)
2、-NR
3、-NH
2、-C
2H
8N
2、-NH(C
1-C
10アルキル)、-P(C
1-C
10アルキル)
2、-P(O)(C
1-C
10アルキル)
2、-PO
3H
2または-Si(-OC
1-C
10アルキル)
3で置換されていてもよく、
各R
3は、結合、水素、重水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
2-C
10アルキニル、-C
3-C
10シクロアルキル、および-C
1-C
10アルキル-O-C
1-C
10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよく、
nは、正の整数である)
を含む、請求項12~13のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項16】
金属イオンが銀である、請求項11~15のいずれか一項に記載の抗菌コーティング。
【請求項17】
金属イオンが銅である、請求項11~15のいずれか一項に記載の抗菌コーティング。
【請求項18】
第2のシラン化合物が構造
【化3】
(式中、
R
1は、-C
1-C
20アルキル、-C
2-C
20アルケニル、および-C
3-C
20アルキニルからなる群から選択され、これらのいずれも場合により少なくとも部分的にハロゲン化されていてもよく、
各R
2は、同じかまたは異なり、基材への結合であるか、または水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、および-C
3-C
10アルキニルからなる群から選択され、
R
1およびR
2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
3、-CO
2H、C(O)OR
3、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-C(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-SC
1-C
10アルキル、S(O)C
1-C
10アルキル、-S(O)
2C
1-C
10アルキル、-S(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-S(O)
2NH(C
1-C
10アルキル)、S(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1-C
10アルキル)
2、-NR
3、-NH
2、-C
2H
8N
2、-NH(C
1-C
10アルキル)、-P(C
1-C
10アルキル)
2、-P(O)(C
1-C
10アルキル)
2、-PO
3H
2または-Si(-OC
1-C
10アルキル)
3で置換されていてもよく、
各R
3は、水素、重水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
2-C
10アルキニル、-C
3-C
10シクロアルキル、および-C
1-C
10アルキル-O-C
1-C
10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよい)
を含む、請求項11~17のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項19】
コーティングが微生物に暴露された後、微生物の保持が99%以上減少する、請求項11~18のいずれか一項に記載のコーティング。
【請求項20】
請求項11~19のいずれか一項に記載のコーティングを含む物品。
【請求項21】
第1のシラン化合物が基材上に固定化されている、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
第1のシラン化合物が、-Si-O-結合を介して基材上に固定化されている、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
第2のシラン化合物が基材上に固定化されている、請求項20~22のいずれか一項に記載の物品。
【請求項24】
第2のシラン化合物が、-Si-O-結合を介して基材上に固定化されている、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
基材が、ガラス、セラミック、金属、金属酸化物、および/またはポリマーを含む、請求項20~24のいずれか一項に記載の物品。
【請求項26】
基材をコーティングする方法であって、
基材を活性化し、
基材の少なくとも第1の部分上に微生物抑制成分を形成し、微生物抑制成分は金属イオンを含み、
基材の少なくとも第2の部分に指紋抑制成分を形成することを含む方法。
【請求項27】
微生物抑制成分を形成する工程と指紋抑制成分を形成する工程とが実質的に同時に行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
基材がプラズマへの曝露によって活性化される、請求項26~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
微生物抑制成分を形成する工程が、
チオールおよび/またはアミン官能基を含む第1のシラン前駆体化合物を基材上に堆積させ、それによって、基材上に固定化した第1のシラン化合物を形成し、および
第1のシラン化合物を金属イオンと反応させることを含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
第1のシラン前駆体化合物を堆積させることが、噴霧、スピニング、浸漬、または物理蒸着を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第1のシラン前駆体化合物が構造:
(R
2O)
3SiR
1、
(式中、
R
1は、-C
1-C
x+1アルキル-S(R
3)
y、-C
2-C
x+2アルケニル-S(R
3)
y、-C
3-C
x+3アルキニル-S(R
3)
y、-C
1-C
xアルキル-N(R
3)
y、-C
2-C
xアルケニル-N(R
3)
y、-C
3-C
xアルキニル-N(R
3)
y、-C
1-C
x+1アルキル-P(R
3)
y、-C
2-C
x+2アルケニル-P(R
3)
y、-C
3-C
x+3アルキニル-P(R
3)
yであり、式中、xは1以上20以下、yは1以上3以下であり、
各R
2は、同じかまたは異なり、水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
3-C
10アルキニルからなる群から選択され、
R
1およびR
2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
3、-CO
2H、C(O)OR
3、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-C(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-SC
1-C
10アルキル、S(O)C
1-C
10アルキル、-S(O)
2C
1-C
10アルキル、-S(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-S(O)
2NH(C
1-C
10アルキル)、S(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1-C
10アルキル)
2、-NR
3、-NH
2、-C
2H
8N
2、-NH(C
1-C
10アルキル)、-P(C
1-C
10アルキル)
2、-P(O)(C
1-C
10アルキル)
2、-PO
3H
2または-Si(-OC
1-C
10アルキル)
3で置換されていてもよく、
各R
3は、水素、重水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
2-C
10アルキニル、-C
3-C
10シクロアルキル、および-C
1-C
10アルキル-O-C
1-C
10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよい)
を含む、請求項29~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
第1のシラン前駆体化合物が、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシランおよび11-(2-アミノエチル)アミノウンデシルトリエトキシシランからなる群から選択される、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
金属イオンが銀である、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
金属イオンが銅である、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
基材上に指紋抑制成分を形成することが、第2のシラン前駆体化合物を基材上に堆積させ、それによって基材上に固定化された第2のシラン化合物を形成することを含む、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
第2のシラン前駆体化合物を堆積することが、噴霧、スピニング、浸漬、または物理蒸着を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
第2のシラン前駆体化合物が構造:
(R
2O)
3SiR
1、
(式中、
R
1は、-C
1-C
20アルキル、-C
2-C
20アルケニル、および-C
3-C
20アルキニルからなる群から選択され、これらのいずれも場合により少なくとも部分的にハロゲン化されていてもよく、
各R
2は、同じかまたは異なり、水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
3-C
10アルキニルからなる群から選択され、
R
1およびR
2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
3、-CO
2H、C(O)OR
3、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-C(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-SC
1-C
10アルキル、S(O)C
1-C
10アルキル、-S(O)
2C
1-C
10アルキル、-S(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-S(O)
2NH(C
1-C
10アルキル)、S(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1-C
10アルキル)
2、-NR
3、-NH
2、-C
2H
8N
2、-NH(C
1-C
10アルキル)、-P(C
1-C
10アルキル)
2、-P(O)(C
1-C
10アルキル)
2、-PO
3H
2または-Si(-OC
1-C
10アルキル)
3で置換されていてもよく、
各R
3は、水素、重水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
2-C
10アルキニル、-C
3-C
10シクロアルキル、および-C
1-C
10アルキル-O-C
1-C
10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよい)
を含む、請求項35~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
第2のシラン前駆体化合物が、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11ウンデシリニカ酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン、および(11-ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
基材が、ガラス、セラミック、金属、金属酸化物、および/またはポリマーを含む、請求項26~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
微生物抑制材料を含む組成物で基材をコーティングすることを含む方法であって、
微生物抑制材料が、
第1のシラン化合物および
金属イオンを含み、
第1のシラン化合物は、金属イオンに結合した官能基を含み、
コーティングが微生物に曝露された後、コーティングは微生物の保持が99%以上減少する方法。
【請求項41】
官能基が、窒素原子、硫黄原子、および/またはリン原子を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
第1のシラン化合物が基材上に固定化される、請求項40~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
基材が、ガラス、セラミック、金属、金属酸化物、および/またはポリマーを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第1のシラン化合物が、-Si-O-結合を介して基材上に固定化される、請求項42~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
第1のシラン化合物が構造
【化4】
(式中、
R
1は、-C
1-C
x+1アルキル-S(R
3)
y(M)、-C
2-C
x+2アルケニル-S(R
3)
y(M)、-C
3-C
x+3アルキニル-S(R
3)
y(M)、-C
1-C
xアルキル-N(R
3)
y(M)、-C
2-C
xアルケニル-N(R
3)
y(M)、-C
3-C
xアルキニル-N(R
3)
y(M)、-C
1-C
x+1アルキル-P(R
3)
y(M)、-C
2-C
x+2アルケニル-P(R
3)
y(M)、-C
3-C
x+3アルキニル-P(R
3)
y(M)であり、式中、xは1以上20以下、yは1以上3以下、Mは金属イオンであり、
各R
2は、同じかまたは異なり、繰り返し構造の別のSi原子への結合であるか、または水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
3-C
10アルキニルからなる群から選択され、
R
1およびR
2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
3、-CO
2H、C(O)OR
3、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-C(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-SC
1-C
10アルキル、S(O)C
1-C
10アルキル、-S(O)
2C
1-C
10アルキル、-S(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-S(O)
2NH(C
1-C
10アルキル)、S(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1-C
10アルキル)
2、-NR
3、-NH
2、-C
2H
8N
2、-NH(C
1-C
10アルキル)、-P(C
1-C
10アルキル)
2、-P(O)(C
1-C
10アルキル)
2、-PO
3H
2または-Si(-OC
1-C
10アルキル)
3で置換されていてもよく、
各R
3は、結合、水素、重水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
2-C
10アルキニル、-C
3-C
10シクロアルキル、および-C
1-C
10アルキル-O-C
1-C
10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよく、
nは、正の整数である)
を含む、請求項40~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
金属イオンが銀イオンである、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
金属イオンが銅イオンである、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
組成物が指紋抑制材料をさらに含む、請求項40~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
指紋抑制材料が第2のシラン化合物を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
第2のシラン化合物が、基材上に固定化される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
第2のシラン化合物が、-Si-O-結合を介して基材上に固定化される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
第2のシラン化合物が構造
【化5】
(式中、
R
1は、-C
1-C
20アルキル、-C
2-C
20アルケニル、および-C
3-C
20アルキニルからなる群から選択され、これらのいずれも場合により少なくとも部分的にハロゲン化されていてもよく、
各R
2は、同じかまたは異なり、基材への結合であるか、または水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、および-C
3-C
10アルキニルからなる群から選択され、
R
1およびR
2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
3、-CO
2H、C(O)OR
3、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-C(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-SC
1-C
10アルキル、S(O)C
1-C
10アルキル、-S(O)
2C
1-C
10アルキル、-S(O)NH(C
1-C
10アルキル)、-S(O)
2NH(C
1-C
10アルキル)、S(O)N(C
1-C
10アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1-C
10アルキル)
2、-NR
3、-NH
2、-C
2H
8N
2、-NH(C
1-C
10アルキル)、-P(C
1-C
10アルキル)
2、-P(O)(C
1-C
10アルキル)
2、-PO
3H
2または-Si(-OC
1-C
10アルキル)
3で置換されていてもよく、
各R
3は、水素、重水素、-C
1-C
10アルキル、-C
2-C
10アルケニル、-C
2-C
10アルキニル、-C
3-C
10シクロアルキル、および-C
1-C
10アルキル-O-C
1-C
10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよい)
を含む、請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
微生物が大腸菌および/または黄色ブドウ球菌を含む、請求項40~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
シラン化合物が、金属イオンに結合するように構成された官能基を含む、シラン化合物および
金属イオンを含む微生物抑制成分および
指紋抑制成分を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、その開示が、全体が参照により本明細書に組み込まれる2020年9月8日に出願された米国仮出願第63/075,654号の25U.S.C.119(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
抗菌組成物、および関連する物品、方法、およびキットが一般的に記載されている。
【背景技術】
【0003】
抗菌コーティングは、表面の微生物を殺したり軽減したりするために使用される。たとえば、金属イオンは、細菌、ウイルス、酵母、真菌、および原生動物のさまざまな細胞成分に不可逆的に結合することによって抗菌活性を提供し、その結果、正常な再生および成長サイクルを妨害し、細胞の死をもたらす。しかし、多くの金属化合物は光または熱に敏感であり、商用製品での利用が困難になっている。さらに、従来の抗菌コーティングは、多くの場合、耐久性および/または有効性に欠ける。
【0004】
したがって、改良された組成物、および関連する物品、方法、およびキットが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
本明細書に記載されるのは、抗菌組成物および関連する物品、方法、およびキットである。本発明の主題は、場合によっては、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替策、および/または1以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用法を含む。
【0006】
特定の実施形態によれば、抗菌コーティングが記載されており、抗菌コーティングは微生物抑制材料を含む。いくつかの実施形態では、微生物抑制材料は、シラン化合物および金属イオンを含む。特定の実施形態では、シラン化合物は、金属イオンに結合した官能基を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、コーティングが記載される。特定の実施形態によれば、コーティングは、金属イオンを含む微生物抑制部分と、シラン化合物を含む指紋抑制部分とを含む。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、基材をコーティングする方法が記載される。この方法は、いくつかの実施形態では、基材を活性化すること、基材の少なくとも第1部分上に金属イオンを含む微生物抑制成分を形成すること、および基材の少なくとも第2部分上に指紋抑制成分を形成することを含む。
【0009】
特定の実施形態では、微生物抑制材料を含む組成物で基材をコーティングすることを含む方法が記載される。微生物抑制材料は、いくつかの実施形態では、第1のシラン化合物および金属イオンを含み、第1のシラン化合物は、金属イオンに結合した官能基を含む。
特定の実施形態によれば、コーティングが微生物に曝露された後、コーティングは、微生物の保持において99%以上の減少を有する。
【0010】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮されるとき、本発明の様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書および参照により組み込まれる文書が相反するおよび/または矛盾する開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照して例として説明されるが、これらの図面は概略的であり、一定の縮尺で描かれることを意図していない。図面において、図示された同一またはほぼ同一の各構成要素は、通常、単一の数字によって表される。明確にするために、すべての図ですべての構成要素がラベル付けされているわけではなく、当業者が本発明を理解できるようにするために図示が必要でない場合、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。
【0012】
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による、コーティングを含む例示的な物品の概略図を示す。
【
図1B】
図1Bは、いくつかの実施形態による、基材上にコーティングを形成するための例示的な方法の概略図を示す。
【0013】
【
図2A】
図2Aは、いくつかの実施形態による、抗菌組成物を使用した大腸菌の微生物抑制を示す。
【
図2B】
図2Bは、いくつかの実施形態による、抗菌組成物を使用した黄色ブドウ球菌の微生物抑制を示す。
【0014】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、多数の摩耗後の抗菌組成物の耐久性を示す。
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実施形態による、シラン化合物およびエチレンジアミンを銅塩溶液とpH2で反応させることによって形成される抗菌組成物を使用した大腸菌の微生物抑制を示す図である。
【
図4A】
図4Bは、いくつかの実施形態による、シラン化合物およびエチレンジアミンを銅塩溶液とpH4で反応させることによって形成される抗菌組成物を使用した大腸菌の微生物抑制を示す図である。
【0015】
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態による、シラン化合物およびトリス-エチレンジアミンまたは6-メルカプトピリジン-2,3-ジカルボン酸のいずれかを銅塩溶液と反応させることによって形成される抗菌組成物を使用した大腸菌の微生物抑制を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実施形態による、シラン化合物およびトリス-エチレンジアミンまたは6-メルカプトピリジン-2,3-ジカルボン酸のいずれかを銅塩溶液と反応させることによって形成される抗菌組成物を使用した大腸菌の微生物抑制を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態による、指紋抑制成分を含む指紋抑制組成物の接触角および表面エネルギーを示す図である。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態による、指紋抑制成分を含む指紋抑制組成物の接触角および表面エネルギーを示す図である。
【0016】
【
図7A】
図7Aは、いくつかの実施形態による、多数の摩耗後の抗菌および抗指紋組成物の耐久性を示す。
【
図7B】
図7Bは、いくつかの実施形態による、多数の摩耗後の抗菌および抗指紋組成物の耐久性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
いくつかの実施形態によれば、抗菌組成物(例えば、抗菌コーティング)および関連する方法が一般に記載される。抗菌組成物は、1以上の微生物および/または細菌を殺し、増殖を阻害し、緩和し、および/または保持を阻害するために使用され得る。組成物の抗菌特性は、金属イオンで官能化されたシラン化合物(例えば、第1のシラン化合物)を含む微生物抑制材料によって提供され得る。組成物はまた、好ましくは疎水性であり得るシラン化合物(例えば、第2のシラン化合物)を含む指紋抑制材料を含み得る。指紋抑制材料は、指紋非視認性材料および/または指紋抑制材料を含むことができる。指紋非視認性材料は、指紋を光学的に(例えば、人間の目に対して)見えにくくすることによって指紋を隠すように構成され、指紋抑制材料は、指紋の保持を抑制するように構成され得る。理論に拘束されることを望むものではないが、微生物抑制成分は、コーティングに抗菌性を提供する。指紋抑制成分は、コーティングに化学的耐久性と改善された化粧品機能を提供する。抗菌性および耐指紋性を提供することに加えて、組成物は、化学的に不活性、機械的に堅牢、および/または光学的に透明であってもよい。
【0018】
本明細書に記載のコーティング、物品、および方法は、従来のコーティングおよび関連する方法と比較して有利な特性を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコーティングは、比較的耐久性のある抗菌性の指紋非視認性特性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗菌組成物は、金属イオンを還元することなく(例えば、ナノ粒子を形成するために)抗菌特性を提供する。例えば、銀ナノ粒子は一般に還元工程を使用してそのようなナノ粒子を形成する。
【0019】
有利なことに、本明細書に記載のコーティングは、いくつかの実施形態において、化学的に安定であり、比較的安価であり、抗菌性、指紋非視認性、および/または耐指紋性を統合することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコーティングは、望ましい光学特性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコーティングは、(例えば、本明細書に記載の1以上の利点を維持しながら)グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌に対して有効であり得る。
【0020】
抗菌組成物は、基材上に微生物抑制成分および指紋抑制成分を堆積(例えば、スプレーコーティング、浸漬コーティング、化学蒸着)することによって形成され得る。成分の堆積の結果として、第1のシラン化合物および第2のシラン化合物は、基材表面に(例えば、-Si-O-結合を介して)化学的に結合する。(例えば、微生物抑制材料の)第1のシラン化合物は、基材上に第1のシラン化合物を堆積する前または後に、金属イオンと反応させることができる。従来の抗菌コーティングは、多くの場合、抗菌金属イオン(銀イオンなど)を生成するために強力な還元剤を必要とするナノ粒子(銀ナノ粒子など)を使用する。金属イオンは、基材上の、または基材上に堆積されるシラン化合物の官能基と反応するため、本明細書に記載の抗菌コーティングには強力な還元剤は必要ない。したがって、本明細書に記載の組成物は、化学的に安定であり、単純であり、従来の抗菌組成物よりも安価である。
【0021】
抗菌コーティングは、様々な適切な用途のいずれにも使用することができる。いくつかの実施形態では、例えば、コーティングは、例えば、これらに限定されないが、携帯電話、コンピューターモニター、テレビ画面、タッチスクリーン、電化製品などの電気ディスプレイに用いられるガラスまたはプラスチックなどの基材に適用することができる。特定の実施形態では、コーティングは、輸送車両(例えば、自動車、航空機)および/または建築設備で使用するための基材に適用され得る。
【0022】
ここで図を参照する。
図1Aは、本明細書に記載のいくつかの実施形態による、例示的な物品の概略図を示す。いくつかの実施形態では、物品100は、基材110およびコーティング120を含む。いくつかの実施形態では、コーティング120は、抗菌組成物および/または指紋抑制組成物を含む。本明細書で使用される場合、指紋抑制組成物は、一般に、肉眼で指紋を光学的に見えにくくすることによって指紋を隠すように構成された材料(例えば、指紋非視認性材料)および/または指紋の付着防止するように構成された材料(指紋抑制材料など)を指す。いくつかの実施形態では、指紋非視認性材料は疎水性および親油性であってもよく、指紋抑制材料は疎水性および疎油性であってもよい。いくつかの実施形態では、指紋抑制材料はフルオロポリマーを含む。指紋抑制材料(例えば、指紋非視認性材料および指紋抑制材料)については、以下でより詳細に説明する。
【0023】
コーティング120は均一な厚さの滑らかな層として描かれているが、当業者は、これは例示のみを目的としており、いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは特定の粗さを有し、および/または厚さが異なる場合があることを理解するであろう。しかし、いくつかの実施形態では、コーティングは、基材の少なくともかなりの部分(例えば、コーティングを含む基材の表面積の75%以上)にわたって比較的均一な厚さ(例えば、全厚の10%以下)であってもよい。
【0024】
特定の実施形態では、抗菌組成物は、微生物抑制材料を含む。微生物抑制材料は、いくつかの実施形態では、シラン化合物(例えば、第1のシラン化合物)を含み得る。いくつかの実施形態によれば、微生物抑制材料のシラン化合物(例えば、第1のシラン化合物)は、金属イオンに結合した官能基を含む。金属イオンの例は、本明細書でさらに詳細に説明される。いくつかの実施形態では、官能基は、例えば、窒素原子、硫黄原子、リン原子、または酸素原子を含む。官能基の非限定的な例には、アミン(例えば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン)、ジアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン)、トリアミン、エタノールアミン、チオ尿素、またはホスフィン官能基が含まれる。当業者には理解されるように、金属イオンに結合するように構成された他の官能基も可能である。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、微生物抑制材料のシラン化合物(例えば、第1のシラン化合物)は、式(I)の構造を含む。
【化1】
いくつかの実施形態では、
式(I)のR
1は、-C
1-C
x+1アルキル-S(R
3)
y(M)、-C
2-C
x+2アルケニル-S(R
3)
y(M)、-C
3-C
x+3アルキニル-S(R
3)
y(M)、-C
1-C
xアルキル-N(R
3)
y(M)、-C
2-C
xアルケニル-N(R
3)
y(M)、-C
3-C
xアルキニル-N(R
3)
y(M)、-C
1-C
x+1アルキル-P(R
3)
y(M)、-C
2-C
x+2アルケニル-P(R
3)
y(M)、-C
3-C
x+3アルキニル-P(R
3)
y(M)からなる群から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、nは正の整数である。例えば、いくつかの実施形態では、nは正の整数であり、1以上、2以上、10以上、20以上、50以上、100以上、200以上、300以上、400以上、または450以上である。いくつかの実施形態では、nは正の整数であり、500以下、450以下、400以下、300以下、200以下、100以下、50以下、20以下、10以下、5以下、または2以下である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、1以上500以下、1以上300以下)。他の範囲も可能である。
【0027】
一部の実施形態では、xは正の整数である。例えば、いくつかの実施形態では、xは正の整数であり、1以上、2以上、4以上、6以上、8以上、10以上、12以上、14以上、16以上、18以上である。いくつかの実施形態では、xは正の整数であり、20以下、18以下、16以下、14以下、12以下、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、20以下で1以上)。他の範囲も可能である。
【0028】
いくつかの実施形態では、yは正の整数である。例えば、いくつかの実施形態では、yは1以上、2以上、または3以上である。いくつかの実施形態では、yは、4以下、3以下、または2以下である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、4以下で1以上)。他の範囲も可能である。
【0029】
いくつかの実施形態では、Mは金属イオンである。本明細書で使用される場合、「金属イオン」という用語は、当技術分野での通常の意味が与えられ、一般に、電荷(例えばカチオン)を有する金属原子を指す。特定の実施形態では、金属イオンは銀イオン(例えば、Ag+)である。いくつかの実施形態では、金属イオンは、銅イオン(例えば、Cu+、Cu2+)であってもよい。一部の実施形態では、抗菌特性を有する他の金属イオンも使用することができ、例えば、チタン(例えば、Ti3+、Ti4+)、バナジウム(例えば、V2+、V3+)、クロム(例えば、Cr2+、Cr3+)、マンガン(例:Mn2+、Mn4+)、鉄(例:Fe2+、Fe3+)、コバルト(例:Co2+、Co3+)、ニッケル(例:Ni2+)、亜鉛(例:Zn2+)、ジルコニウム(例:Zr2+)、パラジウム(例:Pd2+)、カドミウム(例:Cd2+)、プラチナ(例:Pt2+、Pt4+)、金(例:Au+、Au3+)、水銀(例:Hg2+)、テルビウム(例:Tb3+)、タングステン(例:W4+)、アルミニウム(例:Al3+)、ガリウム(例:Ga3+)、ゲルマニウム(例:Ge2+)、ヒ素(例:As3+)、セレン(例:Se2+)、スズ(例:Sn2+)、アンチモン(例:Sb3+)、テルル(例えば、Te2+)、鉛(例えば、Pb4+)、ビスマス(例えば、Bi3+)、および/またはそれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない。他の金属イオンも可能である。本明細書に記載の実施形態は一般に金属イオンに言及しているが、本明細書の教示に基づいて当業者によって理解されるように、本開示はこれに関して限定されることを意図しておらず、金属も可能である。例えば、Mは金属であってよく、Ag、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Pd、Cd、Pt、Au、Hg、W、Al、Ga、Ge、Tb、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Biからなる群から選択されてよい。他の金属および/または金属イオンも可能である。金属イオンを提供するために使用される適切な金属源塩(例えば、金属塩、金属ナノ粒子)は、本明細書において以下により詳細に記載される。
【0030】
いくつかの実施形態では、式(I)の各R2は、同じかまたは異なり、繰り返し構造の別のSi原子への結合であるか、または水素、-C1-C10アルキル、-C2-C10アルケニル、-C3-C10アルキニルからなる群から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、R1およびR2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR3、-CO2H、C(O)OR3、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-C10アルキル)、-C(O)N(C1-C10アルキル)2、-SC1-C10アルキル、S(O)C1-C10アルキル、-S(O)2C1-C10アルキル、-S(O)NH(C1-C10アルキル)、-S(O)2NH(C1-C10アルキル)、S(O)N(C1-C10アルキル)2、-S(O)2N(C1-C10アルキル)2、-NR3、-NH2、-C2H8N2、-NH(C1-C10アルキル)、-P(C1-C10アルキル)2、-P(O)(C1-C10アルキル)2、-PO3H2または-Si(-OC1-C10アルキル)3で置換されていてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、各R3は、結合、水素、重水素、-C1-C10アルキル、-C2-C10アルケニル、-C2-C10アルキニル、-C3-C10シクロアルキル、および-C1-C10アルキル-O-C1-C10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよく、nは、正の整数である。
【0033】
特定の実施形態において、微生物抑制材料のシラン化合物(例えば、第1のシラン)は、基材上に固定化される。シラン化合物は、いくつかの実施形態では、基材に化学的に結合され得る。いくつかの実施形態では、例えば、シラン化合物は、共有結合および/または非共有結合によって基材に結合される。結合相互作用の例には、いくつかの実施形態では、イオン結合、ファンデルワールス力、水素結合、双極子相互作用、配位、キレート化などが含まれる。いくつかの実施形態によれば、例えば、微生物抑制材料のシラン化合物は、-Si-O-結合を介して基材上に固定化されてもよく、(例えば、式(I)に示されるように)酸素原子は基材に結合している。例示的な基材は、本明細書でさらに詳細に説明される。
【0034】
抗菌組成物は、様々な適切な量のいずれかで微生物抑制材料を含んでもよい。特定の実施形態によれば、抗菌組成物は、抗菌組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上の量で微生物抑制材料を含む。特定の実施形態では、抗菌組成物は、抗菌組成物の総重量に基づいて、100重量、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下の量で微生物抑制材料を含む。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、抗菌組成物は、抗菌剤の総重量に基づいて、0.1重量%以上100重量%以下の量で微生物抑制材料を含む、抗菌組成物は、抗菌組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以上1重量%以下の量で微生物抑制材料を含むなど)。他の範囲も可能である。
【0035】
特定の実施形態では、抗菌組成物は、指紋抑制材料を含む。指紋抑制材料は、いくつかの実施形態では、シラン化合物(例えば、第2のシラン化合物)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、指紋抑制材料のシラン化合物(例えば、第2のシラン化合物)は、疎水性を提供することができる。いくつかの実施形態では、指紋抑制材料は、疎水性で親油性の指紋非視認性材料、および/または疎水性で疎油性の指紋抑制材料を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、指紋抑制材料のシラン化合物(例えば、第2のシラン化合物)は、式(II)の構造を含む:
【化2】
いくつかの実施形態では、式(II)のR
1は、-C
1-C
20アルキル、-C
2-C
20アルケニル、および-C
3-C
20アルキニルからなる群から選択され、これらのいずれも場合により少なくとも部分的にハロゲン化(例えば、フッ素化)されていてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、指紋抑制材料は、指紋非視認性材料を含む。理論にとらわれたくないが、指紋非視認性材料は、いくつかの実施形態では、材料に指紋を隠す能力を有利に提供する比較的高い表面エネルギーを有することができる。いくつかの実施形態では、指紋抑制材料は、式(II)のR1が少なくとも部分的にハロゲン化(例えば、フッ素化)されている指紋抑制材料を含む。理論にとらわれたくないが、いくつかの実施形態では、少なくとも部分的にハロゲン化された化合物は、有利なことに、指紋抑制材料を疎油性にし、および/またはハロゲン化(例えばフッ素化)材料の表面エネルギーが低いため、耐指紋特性を向上させる。いくつかの非限定的な実施形態では、例えば、指紋抑制材料は(パー)フルオロポリエーテルシランを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、式(II)の各R2は、同一または異なり、基材への結合であるか、または水素、-C1-C10アルキル、-C2-C10アルケニル、および-C3-C10アルキニルからなる群から選択される。
【0039】
いくつかの実施形態では、R1およびR2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR3、-CO2H、C(O)OR3、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-C10アルキル)、-C(O)N(C1-C10アルキル)2、-SC1-C10アルキル、S(O)C1-C10アルキル、-S(O)2C1-C10アルキル、-S(O)NH(C1-C10アルキル)、-S(O)2NH(C1-C10アルキル)、S(O)N(C1-C10アルキル)2、-S(O)2N(C1-C10アルキル)2、-NR3、-NH2、-C2H8N2、-NH(C1-C10アルキル)、-P(C1-C10アルキル)2、-P(O)(C1-C10アルキル)2、-PO3H2または-Si(-OC1-C10アルキル)3で置換されていてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、各R3は、水素、重水素、-C1-C10アルキル、-C2-C10アルケニル、-C2-C10アルキニル、-C3-C10シクロアルキル、および-C1-C10アルキル-O-C1-C10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよい。
【0041】
指紋抑制材料のさらなる例は、参照により全体が本明細書に組み込まれる2019年12月5日に公開され、2019年5月24日に出願された「指紋非視認性コーティングおよびそれを形成する方法」と題する米国特許公開第2019/0367773号に記載されている。
【0042】
いくつかの実施形態において、指紋抑制材料のシラン化合物(例えば、第2のシラン化合物)は、基材上に固定化される。特定の実施形態によれば、指紋抑制材料のシラン化合物(例えば、第2のシラン化合物)は、-Si-O-結合を介して基材上に固定化され、(例えば、式(II)に記載されるように)酸素原子は基材に結合している。
【0043】
抗菌組成物は、指紋抑制材料を様々な適切な量のいずれかで含むことができる。特定の実施形態によれば、抗菌組成物は、抗菌組成物の総重量に基づいて、0.1重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上の量で指紋抑制材料を含む。特定の実施形態では、抗菌組成物は、抗菌組成物の総重量に基づいて、100重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下の量で指紋抑制材料を含む。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、抗菌組成物は、指紋抑制材料を、抗菌組成物の総重量に基づいて0.1重量%以上かつ100重量%以下の量で指紋抑制材料を含み、抗抗菌組成物は、抗菌組成物の総重量に基づいて0.1重量%以上かつ1重量%以下の量で指紋抑制材料を含む)。他の範囲も可能である。
【0044】
特定の実施形態によれば、抗菌組成物は、微生物抑制材料および指紋抑制材料を様々な適切な比率のいずれかで含む。いくつかの実施形態では、例えば、抗菌組成物(例えば、抗菌組成物を含むコーティング)は、微生物抑制材料と指紋抑制材料を、20:1以下、15:1以下、10:1以下、9:1以下、8:1以下、7:1以下、6:1以下、5:1以下、4:1以下、3:1以下、2:1以下、1:1以下、1:2以下、1:3以下、1:4以下、1:5以下、1:6以下、1:7以下、1:8以下、または1:9以下の比率で含む。特定の実施形態では、抗菌組成物は、微生物抑制材料および指紋抑制材料を、1:20以上、1:15以上、1:10以上、1:9以上、1:8以上、1:7以上、1:6以上、1:5以上、1:4以上、1:3以上、1:2以上、1:1以上、2:1以上、3:1以上、4:1以上、5:1以上、6:1以上、7:1以上、8:1以上、9:1以上の比率で含む。上に挙げた範囲の組み合わせも可能である(例えば、抗菌組成物は、微生物抑制材料と指紋抑制材料を1:20以上20:1以下の比で含む。抗菌組成物は、微生物抑制材料と指紋抑制材料を、3:1以上5:1以下、1:10以上1以下の比率で含み、抗菌組成物は、微生物抑制材料と指紋抑制材料を1:3以上1:5以下の比率で含む)。他の範囲も可能である。
【0045】
特定の実施形態では、抗菌組成物は、抗菌材料が微生物に曝露された後、微生物の保持を低下させる。理論に束縛されることを望むものではないが、微生物の保持の減少は、当業者によって理解されるように、微生物抑制材料によって引き起こされる。特定の実施形態では、例えば、抗菌組成物は、抗菌組成物が微生物に曝露された後、微生物の保持において99%以上かつ99.9%以下の減少を引き起こすは、抗菌組成物が微生物に曝露された後、微生物の保持が、90%以上、95%以上、99%以上、99.5%以上、99.9%以上、または99.99%以上の減少を引き起こす。いくつかの実施形態では、抗菌組成物は、抗菌組成物が微生物に曝露された後、微生物の保持が、100%以下、99.99%以下、99.9%以下、99.5%以下、99%以下、95%以下の減少を引き起こす。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、抗菌組成物は、抗菌組成物が微生物に曝露された後、微生物の保持において90%以上かつ100%以下の減少を引き起こし、抗菌組成物は、抗菌組成物が微生物に曝露された後、微生物の保持において99%以上かつ99.9%以下の減少を引き起こす)。他の範囲も可能である。
【0046】
抗菌材料は、様々な適切な微生物および/または細菌のいずれかの保持を低下させることができる。微生物および/または細菌は、グラム-陽性および/またはグラム陰性微生物である。いくつかの実施形態では、例えば、微生物および/または細菌は、エシェリヒア属、ブドウ球菌属、連鎖球菌属、リステリア属、エンテロコッカス属、サルモネラ属、および/またはシュードモナス属のものである。例えば、いくつかの実施形態では、微生物および/または細菌は、大腸菌(E.coli)および/または黄色ブドウ球菌(S.aureus)であるか、またはそれらを含む。他の微生物および/またはバクテリアも可能である。
【0047】
抗菌材料は、様々な水接触角のいずれかを有することができる。いくつかの実施形態では、例えば、抗菌材料は、60以上、65以上、70以上、75以上、80以上、85以上、90以上、95以上の水接触角を有する。特定の実施形態では、抗菌材料は、100以下、95以下、90以下、85以下、80以下、75以下、70以下、65以下の水接触角を有する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、抗菌材料は60以上100以下の水接触角を有し、抗菌材料は75以上85以下の水接触角を有する)。他の範囲も可能である。
【0048】
抗菌材料は、様々なジヨードメタン接触角のいずれかを有することができる。いくつかの実施形態では、例えば、抗菌材料は、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、55以上のジヨードメタン接触角を有する。特定の実施形態では、抗菌材料は、60以下、55以下、50以下、45以下、40以下、35以下、30以下、25以下のジヨードメタン接触角を有する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、抗菌材料は20以上60以下のジヨードメタン接触角を有し、抗菌材料は35以上45以下のジヨードメタン接触角を有する)。他の範囲も可能である。本明細書に記載の接触角は、接触角度計を使用して決定することができる。
【0049】
従来の光学的に透明な基材とコーティングは機械的摩耗を受けやすく、コーティングの厚さ、透過性、またはコーティング時間の有効性が劣化、摩耗、または減少する。摩耗は、指紋や汚れを取り除くために布でこするなど、ユーザーによる基材の取り扱い中に発生し、これは、透明な基材を通して満足のいく視認性を回復するために定期的に必要である。劣化は、紫外線、熱、寒さ、化学薬品、塩またはその他の腐食性物質、汚れ、その他の摩耗剤、またはその他の環境要素、条件、または物質への暴露によっても生じる場合がある。
【0050】
いくつかの実施形態では、抗菌材料(例えば、抗菌コーティング)は、一定回数の摩耗後の水角によって測定される特定の耐摩耗性を有する。特定の実施形態では、摩耗方法は、1kgの力でCS-10消しゴム摩耗剤を使用するASTM D1044-99に基づいている。いくつかの実施形態によれば、例えば、抗菌材料は、1,000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上、4,500摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、10,000摩耗サイクル以上に耐えた後、特定の水接触角を有してもよい。抗菌材料の水接触角は、例えば、1,000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上、4,500摩耗サイクル以上、6,000摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、10,000摩耗サイクル以上に耐えた後、40°以上、45°以上、50°以上、55°以上、60°以上、65°以上、70°以上、75°以上であってもよい。特定の実施形態では、水接触角は、1,000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上、4,500摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、10,000摩耗サイクル以上に耐えた後、80°以下、75°以下、70°以下、65°以下、60°以下、55°以下、50°以下、45°以下である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、抗菌材料は、1000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上以上、4,500摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、10,000摩耗サイクル以上に耐えた後、40°以上80°以下の水接触角を有し、抗菌材料は、1000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上以上、4,500摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、1,000回以上の摩耗サイクルに耐えた後、55°以上65°以下の水接触角を有する。)他の範囲も可能である。
【0051】
特定の非限定的な実施形態では、抗菌材料は、1,500摩耗サイクル以上および4,500摩耗サイクル以下に耐えた後、45°以上かつ65°以下の水接触角を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、抗菌材料(例えば、抗菌コーティング)は、一定回数の摩耗後のジヨードメタン接触角によって測定される特定の耐摩耗性を有する。特定の実施形態では、摩耗方法は、1kgの力でCS-10消しゴム摩耗剤を使用するASTM D1044-99に基づいている。いくつかの実施形態によれば、例えば、抗菌材料は、1,000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上、4,500摩耗サイクル以上、6,000摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、10,000摩耗サイクル以上に耐えた後、特定のジヨードメタン接触角を有してもよい。抗菌材料のジヨードメタン接触角は、例えば、1,000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上、4,500摩耗サイクル以上、6,000摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、10,000摩耗サイクル以上に耐えた後、30°以上、35°以上、40°以上、45°以上、50°以上、55°以上、60°以上、65°以上、70°以上、75°以上であってもよい。ジヨードメタン接触角は、1,000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上、4,500摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、10,000摩耗サイクル以上に耐えた後、80°以下、75°以下、70°以下、65°以下、60°以下、55°以下、50°以下、45°以下である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、抗菌材料は、1000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上以上、4,500摩耗サイクル以上、6,000摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、10,000摩耗サイクル以上に耐えた後、40°以上80°以下のジヨードメタン接触角を有し、抗菌材料は、1000摩耗サイクル以上、1,500摩耗サイクル以上、3,000摩耗サイクル以上以上、4,500摩耗サイクル以上、6,000摩耗サイクル以上、7,500摩耗サイクル以上、9,000摩耗サイクル以上、1,000回以上の摩耗サイクルに耐えた後、55°以上65°以下のジヨードメタン接触角を有する。)他の範囲も可能である。
【0053】
特定の非限定的な実施形態では、抗菌材料は、1,500摩耗サイクル以上および4,500摩耗サイクル以下に耐えた後、35°以上かつ45°以下のジヨードメタン接触角を有する。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、基材をコーティングする方法が記載される。特定の実施形態によれば、基材は、ガラス、セラミック、金属、金属酸化物、ポリマー(例えば、アクリルポリマー、プラスチック)、電子部品(例えば、シリコンウェーハ)、および/またはそれらの組み合わせを含む。さらなる例示的な基材が本明細書で説明される。
【0055】
図1Bは、いくつかの実施形態による、基材をコーティングするための方法の実例を示す。特定の実施形態では、この方法は、基材(例えば、ガラス基材)の少なくとも一部を活性化することを含む。特定の実施形態によれば、基材は、Ar、Ne、He、N
2、O
2、H
2O、および/またはそれらの混合物などの、これらに限定されない不活性ガスのプラズマに基材をさらすことによって活性化される。いくつかの実施形態では、基材は、表面を金属酸化物または酸エッチング(例えば、フッ化水素酸または塩酸で)で機械的に処理することによって活性化される。理論に縛られることは望まないが、、本明細書でより詳細に記載するように、基材での活性化の結果として、基材表面のヒドロキシル(-OH)部分の密度が増加し、それによって第1のシラン化合物および/または第2のシラン化合物の固定化(例えば、結合)が促進される。
【0056】
いくつかの実施形態では、方法は、基材(例えば、活性化基材)の少なくとも第1の部分上に微生物抑制成分を形成することを含む。微生物抑制成分を形成することは、いくつかの実施形態では、基材の少なくとも第1の部分に第1のシラン前駆体化合物を堆積させることを含む。基材の少なくとも第1の部分上に第1のシラン前駆体化合物を堆積させるために、様々な堆積技術のいずれかを利用することができる。いくつかの実施形態では、例えば、第1のシランを堆積させることは、回転(例えば、スピンコーティング)、噴霧(例えば、スプレーコーティング)、浸漬(例えば、浸漬コーティング)、拭き取り、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)を含み得る。特定の実施形態では、例えば、第1のシランを基材の少なくとも第1の部分に噴霧することができる。別の実施形態では、基材は、第1のシランを含む溶液に浸漬してもよい。さらに別の実施形態では、第1のシランは、物理蒸着を使用して基材上に堆積させることができる。
【0057】
第1のシラン前駆体化合物は、特定の実施形態では、チオール、アミン(例えば、第一級アミン、第二級アミン、または第三級アミン)、ジアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン)、トリアミン、エタノールアミン、チオ尿素、またはホスフィン官能基を含み得る。いくつかの実施形態では、官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシレート基、エステル基、またはカルボニル基を含む。他の官能基も可能である。いくつかの実施形態では、例えば、官能基はピリジン誘導体(例えば、ビピリジン)を含み得る。さらなる例示的な官能基は、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、官能基(例えば、アミン)は、金属イオンに結合する、および/または金属イオンに電子を供与するように構成される。特定の実施形態では、第1のシラン前駆体化合物は、構造(R2O)3SiR1を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1のシラン前駆体化合物のR1は、-C1-Cx+1アルキル-S(R3)y、-C2-Cx+2アルケニル-S(R3)y、-C3-Cx+3アルキニル-S(R3)y、-C1-Cxアルキル-N(R3)y、-C2-Cxアルケニル-N(R3)y、-C3-Cxアルキニル-N(R3)y、-C1-Cx+1アルキル-P(R3)y、-C2-Cx+2アルケニル-P(R3)y、-C3-Cx+3アルキニル-P(R3)yであり、式中、xは1以上20以下、yは1以上3以下である。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のシラン前駆体化合物の各R2は、同じかまたは異なり、水素、-C1-C10アルキル、-C2-C10アルケニル、-C3-C10アルキニルからなる群から選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、R1およびR2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR3、-CO2H、C(O)OR3、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-C10アルキル)、-C(O)N(C1-C10アルキル)2、-SC1-C10アルキル、S(O)C1-C10アルキル、-S(O)2C1-C10アルキル、-S(O)NH(C1-C10アルキル)、-S(O)2NH(C1-C10アルキル)、S(O)N(C1-C10アルキル)2、-S(O)2N(C1-C10アルキル)2、-NR3、-NH2、-C2H8N2、-NH(C1-C10アルキル)、-P(C1-C10アルキル)2、-P(O)(C1-C10アルキル)2、-PO3H2または-Si(-OC1-C10アルキル)3で置換されていてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、各R3は、水素、重水素、-C1-C10アルキル、-C2-C10アルケニル、-C2-C10アルキニル、-C3-C10シクロアルキル、および-C1-C10アルキル-O-C1-C10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよい。
【0062】
様々な適切な第1のシラン前駆体化合物のいずれかを利用することができる。特定の実施形態では、例えば、第1のシラン前駆体化合物は、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシランおよび11-(2-アミノエチル)アミノウンデシルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0063】
特定の実施形態によれば、基材の少なくとも第1の部分に第1のシラン前駆体化合物を堆積させることは、(例えば、本明細書で説明されるように、-Si-O-結合を介して)基材上に固定化された第1のシラン化合物を提供する。
【0064】
いくつかの実施形態では、微生物抑制成分を形成することは、基材上に固定化された第1のシラン化合物を金属イオン(例えば、銀イオン、銅イオン)と反応させ、それによって式(I)の化合物を提供することを含む。特定の実施形態によれば、基材上に固定化された第1のシラン化合物を金属イオンと反応させることは、基材上に固定化された第1のシラン化合物とともにおよび/または上に金属イオンを堆積させることを含み得る。一実施形態では、例えば、金属イオンの堆積は、回転(例えば、スピンコーティング)、噴霧(例えば、スプレーコーティング)、浸漬(例えば、浸漬コーティング)、拭き取り、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)を含んでもよい。特定の実施形態では、例えば、金属イオンは、基材上に固定化された第1のシラン化合物上に噴霧され得る。別の実施形態では、基材上に固定化された第1のシラン化合物は、金属イオンを含む溶液に浸漬され得る。さらに別の実施形態では、金属イオンは、物理蒸着を使用して基材上に固定化された第1のシラン化合物上に堆積され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、基材の少なくとも第1の部分に第1のシラン前駆体化合物を堆積させる前に、第1のシラン前駆体化合物を金属イオンと反応させることができる。
いくつかのそのような実施形態では、例えば、第1のシラン前駆体化合物(例えば、式(R2O)3SiR1のもの)を金属イオン(例えば、銀イオン、銅イオン)と反応させることができ、それによって金属活性化された第1のシラン前駆体化合物を提供する。次いで、いくつかの実施形態では、金属イオン含有第1のシラン前駆体化合物を基材の少なくとも一部に堆積させ、それによって式(I)の化合物を提供することができる。金属イオン含有第1のシラン前駆体化合物は、本明細書に記載の方法のいずれか、例えば噴霧、浸漬、および/または物理堆積を使用して堆積され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、金属イオンは金属塩として提供される。いくつかの実施形態では、例えば、微生物抑制成分は、第1のシラン化合物(例えば、基材上に固定化されたもの)を金属塩と反応させて式(I)の化合物を提供することによって形成される。
【0067】
様々な適切な金属塩のいずれかを利用することができる。いくつかの実施形態では、例えば、金属イオンは、銅塩として提供される銅イオン(例えば、Cu+、Cu2+)であってもよい。Cu+は、いくつかの実施形態では、硫化銅(I)(CU2S)、チオフェノール銅(I)(C6H5SCu);チオシアン酸銅(I)(CuSCN);シアン化銅(I)(CuCN);塩化銅(I)(CuCl);臭化銅(I)(CuBr);酸化銅(I)(CU2O);セレン化銅(I)(Cu2Se);酢酸銅(I)(Cu(CH3COO));トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)ベンゼン錯体((CF3SO3Cu)2・C6H6);テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート(Cu(NCCH3)4・CF3SO3);またはビス[(ヨウ化テトラブチルアンモニウム)銅(I)](C32H72CU2I4N2)として提供され得る。特定の実施形態では、Cu2+イオンは、酸化銅(II)(CuO)、水酸化銅(II)(Cu(OH)2);硫化銅(CuS)、硝酸銅(II)(Cu(NO3)2;フッ化銅(II)(CUF2);塩化銅(II)(CuCl2);臭化銅(II)(CuBr2);トリフルオロアセチルアセトナート銅(II)(Cu(C5H4F3O2)2);硫酸銅(II)(CuSO4);硫酸銅(II)五水和物(CuSO4・5H2O);トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)((CF3SO3)2Cu);銅(II)アセチルアセトナート(Cu(C5H7O2)2);アセト酢酸エチル銅(II)(C12H18CuO6);ビス(t-ブチルアセトアセタート)銅(II)(C16H26CuO6);2-ピラジンカルボン酸銅(II)(C10H6CuN4O4);銅(II)フタロシアニン(C32H16CuN8);酢酸銅(II)(Cu(CO2CH3)2);または過塩素酸銅(II)(Cu(ClO4)2)として提供されてもよい。他の銅塩も可能である。本明細書では銅塩について記載しているが、本開示はこれに関して限定することを意図していないため、他の金属塩(例えば、銀塩、チタン塩、バナジウム塩、クロム塩、マンガン塩など)も可能である。
【0068】
金属塩は、様々な適切な濃度のいずれかで提供され得る。いくつかの実施形態では、例えば、金属塩は、0.001M以上、0.005M以上、0.01M以上、0.05M以上、0.1M以上、0.5M以上、1M以上の濃度で(例えば、溶液として)提供される。特定の実施形態では、金属塩は、1M以下、0.5M以下、0.1M以下、0.05M以下、0.01M以下、0.005M以下、0.001M以下の濃度で(例えば、溶液として)提供される。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、金属塩は0.001M以上1M以下の濃度で提供され、金属塩は0.01M以上0.1M以下の濃度で提供される。)。上記範囲の他の組み合わせも可能である。
【0069】
いくつかの実施形態では、金属イオンは、金属ナノ構造(例えば、銅ナノ粒子、銀ナノ粒子など)として提供される。
【0070】
特定の実施形態において、微生物抑制成分を形成することは、微生物抑制成分を加熱すること(例えば、硬化、アニーリング)(例えば、基材上に固定化された式(I)の化合物を加熱すること)を含む。微生物抑制成分は、様々な適切な温度のいずれかに加熱することができる。いくつかの実施形態では、例えば、微生物抑制成分は、50℃以上、100℃以上、110℃以上、120℃以上、130℃以上、140℃以上の温度に加熱されてもよい。特定の実施形態では、微生物抑制成分は、150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下の温度に加熱される。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、微生物抑制成分を50℃以上150℃以下の温度に加熱することができ、微生物抑制成分を120℃以上140℃以下の温度に加熱することができる)。
【0071】
微生物抑制成分は、前述の温度のいずれかに、任意のまたは様々な適切な時間加熱することができる。特定の実施形態では、例えば、微生物抑制成分は、1分以上、5分以上、10分以上、15分以上、30分以上、1時間以上、5時間以上加熱される(例えば、硬化される)。いくつかの実施形態では、微生物抑制成分は、10時間以下、5時間以下、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、5分以下加熱される。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、微生物抑制成分を1分以上10時間以下加熱することができ、微生物抑制成分を10分以上30分以下加熱することができる)。他の範囲も可能である。
【0072】
いくつかの実施形態では、微生物抑制成分(例えば、式(I)の化合物)は、150℃より高い温度(例えば、180℃より高い、200℃より高い、300℃より高い温度)で加熱してもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、式(I)の化合物を150℃よりも高い(例えば、180℃よりも高い)温度に加熱することにより、いくつかの実施形態では、還元剤を用いることなく、金属イオンを金属に還元することができる。例えば、式(I)の化合物を加熱すると、官能基に結合した金属イオンは、カチオン酸化状態から中性酸化状態(例えば、Ag+からAg0)に還元され得る。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物を加熱すると、遊離中性金属(例えば、ナノ粒子、ナノクラスター)およびラジカル含有官能基(例えば、チイルラジカル、イミドゲンラジカル)が得られ得る。当業者によって理解されるように、いくつかの実施形態では、ラジカル含有官能基は互いに二量体化することができる。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物をより高い温度150℃(例えば、200℃を超える)に加熱することは、有機成分(例えば、第1のシラン化合物)の蒸発を引き起こす可能性があり、それにより、基材上および/または基材内への金属イオンの焼き戻しおよび/または焼結が生じる。
【0073】
いくつかの実施形態では、この方法は、基材の少なくとも第2の部分上に指紋抑制成分を形成することを含む。特定の実施形態によれば、基材上に指紋抑制成分を形成することは、基材の少なくとも第2の部分に第2のシラン前駆体化合物を堆積させることを含む。基材の少なくとも第2の部分上に第2のシラン前駆体化合物を堆積させるために、様々な堆積技術のいずれかを利用することができる。いくつかの実施形態では、例えば、堆積工程は、スピニング(例えば、スピンコーティング)、噴霧(例えば、スプレーコーティング)、浸漬(例えば、浸漬コーティング)、拭き取り、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)を含む。特定の実施形態では、例えば、第2のシランを基材上に噴霧することができる。別の実施形態では、基材は、第2のシランを含む溶液に浸漬することができる。さらに別の実施形態では、第2のシランは、物理蒸着を使用して基材上に堆積することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、第2のシラン前駆体化合物は、構造(R2O)3SiR1を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、第2のシラン前駆体化合物のR1は、-C1-C20アルキル、-C2-C20アルケニル、および-C3-C20アルキニルからなる群から選択され、これらのいずれも場合により少なくとも部分的にハロゲン化(例えば、フッ素化)されていてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、第2のシラン前駆体化合物の各R2は、同じかまたは異なり、水素、-C1-C10アルキル、-C2-C10アルケニル、-C3-C10アルキニルからなる群から選択される。
【0077】
いくつかの実施形態では、R1およびR2中の各炭素原子および/または水素原子は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR3、-CO2H、C(O)OR3、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1-C10アルキル)、-C(O)N(C1-C10アルキル)2、-SC1-C10アルキル、S(O)C1-C10アルキル、-S(O)2C1-C10アルキル、-S(O)NH(C1-C10アルキル)、-S(O)2NH(C1-C10アルキル)、S(O)N(C1-C10アルキル)2、-S(O)2N(C1-C10アルキル)2、-NR3、-NH2、-C2H8N2、-NH(C1-C10アルキル)、-P(C1-C10アルキル)2、-P(O)(C1-C10アルキル)2、-PO3H2または-Si(-OC1-C10アルキル)3で置換されていてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、各R3は、水素、重水素、-C1-C10アルキル、-C2-C10アルケニル、-C2-C10アルキニル、-C3-C10シクロアルキル、および-C1-C10アルキル-O-C1-C10アルキルからなる群から選択され、置換されていてもよい。
【0079】
さまざまな適切な第2のシラン前駆体化合物のいずれかを利用することができる。特定の実施形態では、例えば、第2のシラン前駆体化合物は、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、3-(クロロプロピル)(トリエトキシ)シラン、2-(クロロプロピル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、11-(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、 11-(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11-ウンデシル酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン、および(11-ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される。
【0080】
指紋抑制材料を形成するさらなる例は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月5日に公開され、2019年5月24日に出願された「指紋非視認性コーティングおよびそれを形成する方法」と題する米国特許公開第2019/0367773号に記載される。
【0081】
特定の実施形態によれば、基材の少なくとも一部に第2のシラン前駆体化合物を堆積させることは、(例えば、本明細書でさらに詳細に説明するように、-Si-O-結合を介して)基材上に固定化された第2のシラン化合物を提供する。
【0082】
いくつかの実施形態では、微生物抑制成分を形成する工程(例えば、第1のシラン前駆体化合物を堆積させ、第1のシランを金属イオンと反応させる)および指紋抑制成分を形成する工程(例えば、第2のシラン前駆体化合物を堆積させる)は、ほぼ同時に行われる。別の実施形態では、微生物抑制成分を形成する工程(例えば、第1のシラン前駆体化合物を堆積させ、第1のシランを金属イオンと反応させる)は、指紋抑制成分を形成する(例えば、第2のシラン前駆体化合物を堆積させる)前に行われる。さらに別の実施形態では、指紋抑制成分を形成する工程(例えば、第2のシラン前駆体化合物を堆積させる)は、微生物抑制成分を形成する(例えば、第1のシラン前駆体化合物を堆積させ、第1のシランを金属イオンと反応させる)前に行われる。さらに別の実施形態では、第1のシラン前駆体化合物および第2のシラン前駆体化合物が実質的に同時に堆積され、続いて第1のシランが金属イオンと反応する。
【0083】
特定の実施形態によれば、微生物抑制成分および指紋抑制成分を含むキットが記載される。いくつかの実施形態では、微生物抑制成分は、シラン化合物(例えば、第1のシラン化合物)および金属イオンを含む。シラン化合物(例えば、第1のシラン化合物)は、金属イオンを結合するように構成された官能基を含むことができ、たとえば、いくつかの実施形態では、チオール、アミン(例えば、第一級アミン、第二級アミン、または第三級アミン)、ジアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン)、トリアミン、エタノールアミン、チオ尿素、またはホスフィン官能基でありこれらに限定されない。特定の他の実施形態では、キットは、金属イオンに結合した官能基を含むシラン化合物を含む微生物抑制成分を含んでもよい。
【0084】
特定の実施形態では、キットは、微生物抑制成分および/または指紋抑制成分を含む1以上の溶液をさらに含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、第1のシラン化合物を含む第1の溶液、金属イオンを含む第2の溶液、指紋非視認性成分を含む第3の溶液、および指紋抑制成分を含む第4の溶液を含み得る。別の実施形態では、キットは、第1のシラン化合物を含む第1の溶液、金属イオンを含む第2の溶液、および指紋抑制成分(例えば、指紋非視認性成分および/または指紋抑制成分)を含む第3の溶液を含み得る。さらに別の実施形態では、キットは、微生物抑制成分(例えば、第1のシラン化合物および金属イオン)を含む第1の溶液と、指紋抑制成分(例えば、指紋非視認性成分および/または指紋抑制成分)を含む第2の溶液とを含み得る。さらに別の実施形態では、キットは、微生物抑制成分および指紋抑制成分(例えば、指紋非視認性成分および/または指紋抑制成分)を含む溶液を含み得る。
【0085】
特定の実施形態によれば、抗菌コーティングを含む物品が記載される。いくつかの実施形態では、例えば、抗菌組成物は、ガラスまたはプラスチックなどの透明な材料を含む基材上にコーティングされ得る。特定の実施形態によれば、コーティングされた基材は、輸送車両および/または機器における物品としての使用に適している場合がある。例えば、輸送車両および/または機器で使用するための物品には、自動車、航空機、船舶、電車の外装部品、たとえば、外板、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス、サンルーフなど)、ミラー、ディスプレイパネルなど、および自動車、航空機、船舶、および/または電車の内装部品、たとえば、インストルメントパネルなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、コーティングされた基材は、建築設備の物品として使用するのに適している場合がある。例えば、建築設備に使用される物品には、家具、基材(例えば、屋根、ドア、間仕切り、および/または温室用のガラス板またはガラス窓)、ガラスや壁材(セラミック、セメントなど)の代わりに、または加えて使用される透明なプラスチック板または窓が含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
特定の実施形態では、抗菌組成物は、電子デバイスでの使用に適した基材上にコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、例えば、抗菌組成物は、シリコンウェーハなどの電子部品上にコーティングすることができる。特定の実施形態によれば、抗菌組成物は、携帯電話画面、コンピューターモニター、テレビ画面、タッチスクリーン、電化製品、および/またはヘッドアップディスプレイなどの電子ディスプレイで使用するための物品上にコーティングすることができるがこれらに限定されない。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、抗菌組成物は、眼鏡(例えば、眼鏡、サングラス)、マスク(例えば、溶接マスク、手術用マスク)、および/または衣類(例えば、手袋)での使用に適した基材上にコーティングされ得る。
【0088】
特定の官能基および化学用語の定義は、以下でより詳細に説明される。本発明の目的のために、化学元素は、元素の周期表、CASバージョン、化学および物理学ハンドブック、第75版、表紙の内側に従って識別され、特定の官能基は一般に、そこに記載されているように定義される。さらに、有機化学の一般原理、ならびに特定の官能基および反応性は、Organic Chemistry、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
本明細書に記載の化合物は、任意の数の置換基または官能基で置換され得ることが理解されるであろう。一般に、「場合により」という用語が先行するかどうかにかかわらず、「置換された」という用語、および本発明の式に含まれる置換基は、特定の置換基の基による所与の構造中の水素基の置換を指す。所与の構造中の2つ以上の位置が、特定の群から選択される1つ以上の置換基で置換され得る場合、置換基は、すべての位置で同じであっても異なっていてもよい。本明細書で用いられるように、「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容可能な置換基を含むと考えられる。広い観点では、許容可能な置換基には、有機化合物の非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が含まれる。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の任意の許容可能な置換基を有し得る。さらに、本発明は、有機化合物の許容可能な置換基によって決して限定されることを意図していない。本発明によって想定される置換基および変形の組み合わせは、好ましくは、防曇および防汚用途において有用な安定な化合物の形成をもたらすものである。本明細書で使用される「安定な」という用語は、好ましくは、製造を可能にするのに十分な安定性を有し、検出されるのに十分な期間、好ましくは本明細書に詳述されている目的のために有用であるのに十分な期間、化合物の完全性を維持する化合物を指す。
【0090】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、1から10個の炭素原子を有する直鎖または分枝飽和炭化水素基(「C1-C10アルキル」)の基を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から9個の炭素原子を有する(「C1-C9アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から8個の炭素原子を有する(「C1-C8アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から7個の炭素原子を有する(「C1-C7アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から6個の炭素原子を有する(「C1-C6アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から5個の炭素原子を有する(「C1-C5アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から4個の炭素原子を有する(「C1-C4アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から3個の炭素原子を有する(「C1-C3アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から2個の炭素原子を有する(「C1-C2アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1個の炭素原子を有する(「C1アルキル」)。いくつかの実施形態において、アルキル基は、2から6個の炭素原子を有する(「C2-C6アルキル」)。C1-C6アルキル基の例には、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、イソプロピル(C3)、n-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、イソブチル(C4)、n-ペンチル(C5)、3-ペンタニル(C5)、アミル(C5)、ネオペンチル(C5)、3-メチル-2-ブタニル(C5)、第三級アミル(C5)、およびn-ヘキシル(C6)が含まれる。さらなるアルキル基の例には、n-ヘプチル(C7)、n-オクチル(C8)などが含まれる。
【0091】
別段の指定がない限り、アルキル基の各例は、独立して非置換(「非置換アルキル」)であるか、または1以上の置換基で置換される(「置換アルキル」)。特定の実施形態において、アルキル基は、非置換のC1-C10アルキル(例えば、-CH3)である。 特定の実施形態では、アルキル基は置換C1-C10アルキルである。
【0092】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、2~10個の炭素原子を有する直鎖または分枝飽和炭化水素基のラジカルを含み、また少なくとも1つの炭素-炭素二重結合も含む。特定の実施形態において、アルケニルは、有利には、C2-C10、C2-C9、C2-C8、C2-C7、C2-C6、C2-C5、C2-C4、およびC2-C3を含む制限された長さであり得ることが理解されるであろう。
【0093】
本明細書で使用する場合、「アルキニル」という用語は、3~10個の炭素原子を有する直鎖または分枝飽和炭化水素基の基を含み、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合も含む。特定の実施形態において、アルケニルは、有利には、C3-C10、C3-C9、C3-C8、C3-C7、C3-C6、C3-C5、およびC3-C4を含む限定された長さであり得ることが理解される。
【0094】
接尾辞「-エン」を基に付けることは、その基が二価部分であることを示すことを理解すべきである(例えば、アルキレンはアルキルの二価部分であり、ヘテロアルキレンはヘテロアルキルの二価部分である)。基に接尾辞「-イン」を付けることは、その基が三価部分であることを示します(例えば、アルキリンはアルキルの三価部分であり、ヘテロアルキリンはヘテロアルキルの三価部分である)。
【0095】
本明細書で使用する「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、またはヨウ素(ヨード、-I)を指す。
【0096】
本明細書で使用される「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語は、-OH基を指す
【0097】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、-O-(アルキル)または-O-(シクロアルキル)基を指す。代表的なアルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、およびリンクが含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
上記から理解されるように、本明細書で定義されるアルキル、アルキレン、およびアルキレン基は、特定の実施形態において、任意に置換される。置換されていてもよいとは、置換されていても置換されていなくてもよい基(例えば、「置換された」または「置換されていない」アルキル)を意味する。一般に、用語「置換された」は、基に存在する少なくとも1個の水素が、許容される置換基(例えば、置換により、安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離、または他の反応による変形を自発的に受けない化合物を生じる置換基)で置き換えられることを意味する。
【0099】
特に明記しない限り、「置換された」基は、基の1つ以上の置換可能な位置に置換基を有し、任意の所与の位置において2つ以上の位置にある場合、置換基は各位置で同一または異なっている。「置換」という用語は、有機化合物のすべての許容可能な置換基による置換を含むと考えられ、安定な化合物の形成をもたらす本明細書に記載の置換基のいずれかを含む。本発明は、安定な化合物に到達するために、あらゆるそのような組み合わせを企図する。本発明の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たし、安定部分の形成をもたらす本明細書に記載の任意の適切な置換基を有し得る。
【実施例】
【0100】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を説明することを意図しているが、本発明の全範囲を例示するものではない。
例1
ガラス基材上に11-メルカプトウンデシルトリエトキシシランと11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランを重量パーセントで4:1の比率で堆積させることにより、抗菌コーティングを提供した。堆積後、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシラン成分を硝酸銀と反応させた(サンプル72-1)。サンプル72-1は、
図2Aおよび2Bにそれぞれ示されるように、大腸菌および黄色ブドウ球菌において99.999%の減少を示した。サンプル78-2は比較の第4級アンモニウム塩であることに留意すべきである。
【0101】
例2
11-メルカプトウンデシルトリエトキシシランおよび11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランをガラス基材上に1:4の重量パーセント比で堆積させることにより、抗菌コーティングを提供した。
1-HNMRおよび
13C-NMRによって評価されるように、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシランと11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランとの間で副反応は起こらない。堆積後、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシラン成分を硝酸銀と反応させた(サンプル72-2)。サンプル72-2は、
図2Aおよび2Bにそれぞれに示されるように、大腸菌および黄色ブドウ球菌において99.999%の減少を示した。抗菌コーティングの耐久性は、線形摩耗試験を使用して評価した。コーティングの表面は、消しゴムを使用してこすった。
図3に示すように、水およびジヨードメタンの接触角を、摩耗前、1,500回の摩耗後、および3,000回の摩耗後に測定した。サンプル78-2は比較の第4級アンモニウム塩であることに留意すべきである。
【0102】
例3
11-(2-アミノエチル)アミノウンデシルトリエトキシシランおよび11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランをガラス基材上に重量パーセントで1:4の比率で堆積させることにより、抗菌コーティングを提供した。1-HNMRおよび13C-NMRによって評価されるように、11-メルカプトウンデシルトリエトキシシランと11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランとの間で副反応は起こらない。堆積後、11-(2-アミノエチル)アミノウンデシルトリエトキシシランを塩化銅と反応させた。
【0103】
例4
11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランとエチレンジアミンを重量パーセントで4:1の比率でガラス基材上に堆積させ、コーティングを0.2M銅塩溶液とpH2で反応させることにより、第1の抗菌コーティングを提供した。
図4Aに示されるように、コーティングは、大腸菌ATCC8739において99.9%を超える減少を示した。11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランとエチレンジアミンを重量パーセントで4:1の比率でガラス基材上に堆積させ、コーティングを0.2M銅塩溶液とpH4で反応させることにより、第2の抗菌コーティングを提供した。
図4Bに示されるように、コーティングは、大腸菌ATCC8739において99.9%を超える減少を示した。
【0104】
例5
11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランおよびトリス-エチレンジアミンを重量パーセントで4:1の比率でガラス基材上に堆積させ、コーティングを0.01Mの銅塩溶液と反応させることによって、第1の抗菌コーティングを提供した。
図5Aに示されるように、コーティングは、大腸菌ATCC8739において99.9%を超える減少を示した。第2の抗菌コーティングは、11-クロロウンデシル(トリエトキシ)シランと6-メルカプトピリジン-2,3-ジカルボン酸を重量パーセントで4:1の比率でガラス基材上に堆積させ、コーティングを0.01Mの銅塩溶液と反応させることによって提供した。
図5Bに示されるように、サンプルは、大腸菌ATCC8739において99.9%を超える減少を示した。
【0105】
例6
指紋抑制材料を含むいくつかの指紋抑制コーティングの接触角および表面エネルギーを決定した。
図6Aおよび6Bに示されるように、1,000を超える分子量を有するパーフルオロポリエーテルシラン化合物、およびエチレン-ジアミントリアルコキシシラン化合物をさまざまな異なる比率で組み合わせ、ガラス表面に堆積させた。対応するコーティングのそれぞれの水接触角、ジヨードメタン接触角、表面エネルギー、および光沢を測定した。
【0106】
例7
いくつかの抗菌コーティングの耐久性を測定した。パーフルオロポリエーテルシラン化合物とエチレンジアミントリアルコキシシラン化合物を、重量パーセント比8:1で、Novec7200:エタノールの体積パーセント比1:3の溶液中で、酸濃度を0.4g/L、0.7g/L、および1g/Lに変化させて混合した。各材料は、独自のガラス基材上に堆積された。堆積後、コーティングを0.05Mの銅塩溶液と反応させた。抗菌コーティングの耐久性は、線形摩耗試験を使用して評価した。コーティングの表面は、消しゴムを使用してこすった。
図7Aおよび7Bに示すように、摩耗前および3,000回の摩耗後に各コーティングについて水およびジヨードメタンの接触角を測定した。初期の水接触角は100度を超え、初期のジヨードメタン角度は70度を超えていた。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書で説明および図示されてきたが、当業者は、機能を実行し、および/または本明細書に記載された結果および/または、利点を取得しするために種々の他の手段および/または構造を容易に思い描くことができ、そのような変形および/または修正のそれぞれは、本発明の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されたすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が特定の用途または本発明の教示が使用される用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載された本発明の特定の実施形態の多くの同等物を、通常の実験のみを使用して認識するか、または確認することができる。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明は具体的に説明および特許請求された以外の方法で実施できることを理解されたい。本発明は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、物品、材料、および/または方法を対象とする。また、任意の組み合わせ、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法の、そのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0108】
本明細書および参照により組み込まれる文書が相反するおよび/または矛盾する開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。参照により組み込まれている2つ以上の文書に、相互に相反するおよび/または矛盾する開示が含まれている場合は、後の発効日の文書が優先する。
【0109】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書の定義、および/または定義された用語の通常の意味に対して優先するものと理解されるべきである。
【0110】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、反対に明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0111】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という句は、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」句によって具体的に特定される要素以外の他の要素は、明確に反対のことが示されない限り、それらの具体的に特定される要素に関連するかどうかに関係なく、任意に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない文言と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、BなしでA(場合によってはB以外の要素を含む)、別の実施形態では、AなしでB(場合によってA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意に他の要素を含む)などを意味することができる。
【0112】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「または」は、上記で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。たとえば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は包括的であると解釈される。つまり、いくつかの要素または要素のリストの少なくとも1つを含むが、2つ以上を含むことも含まれ、リストにない追加のアイテムも含む。「~の1つだけ」または「正確に~の1つ」、または特許請求の範囲で使用されている「~からなる」など、反対に明確に示されている用語のみが、いくつかの要素または要素のリストの正確に1つ要素を含むことを意味する。一般に、「いずれか」、「~の1つ」、「~の1つだけ」、または「正確に~の1つ」などの排他性の用語が先行する場合に本明細書で使用される「または」という用語は、排他的な選択肢(つまり、「一方または他方であり、両方ではない」)を示すものとして解釈されるものとする。特許請求の範囲で使用される場合、「から本質的になる」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0113】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「少なくとも1つの」という語句は、1以上の要素のリストに関して、要素のリストの任意の1以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。ただし、要素のリスト内に具体的にリストされたいずれおよびすべての要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の組み合わせを除外するものではない。この定義により、「少なくとも1つ」という語句が指す要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、それらの具体的に特定される要素に関連するかどうかに関係なく、任意に存在することもできる。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、場合によっては2つ以上のAを含み、Bは存在しない(および場合によってB以外の要素を含む)、別の実施形態では、少なくとも1つ、場合により2つ以上のBを含み、Aは存在しない(および場合によりA以外の元素を含む)、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの、場合により2つ以上のAを含み、および、少なくとも1つ、場合により2つ以上のBを含む(および場合により他の要素を含む)などを意味する。
【0114】
特許請求の範囲および上記の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持っている(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「関与する(involving)」、「保持する(holding)」などのすべての移行句は、限定されない、すなわち、含むがそれに限定されないことを意味すると理解されるべきである。米国特許庁の特許審査手順マニュアル、セクション2111.03に記載されているように、「~からなる」および「本質的に~からなる」という移行句のみが、それぞれ限定されたまたは半限定移行句となる。
【国際調査報告】