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特表2023-540134蠕動式ポンプおよび減衰装置を使用して薬学的組成物を生産するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】蠕動式ポンプおよび減衰装置を使用して薬学的組成物を生産するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/71 20220101AFI20230913BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230913BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230913BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230913BHJP
   C07K 14/74 20060101ALI20230913BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20230913BHJP
   B01F 25/30 20220101ALI20230913BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20230913BHJP
   B01F 33/84 20220101ALI20230913BHJP
   B01F 101/22 20220101ALN20230913BHJP
【FI】
B01F35/71
A61P43/00 111
A61K9/127 ZNA
A61K9/51
A61K47/18
A61K47/24
A61K31/7088
A61K31/7115
A61K31/7125
A61P35/00
C12N15/11 Z
C07K14/74
B01F25/10
B01F25/30
B01F25/40
B01F33/84
B01F101:22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515379
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021049261
(87)【国際公開番号】W WO2022055867
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/075,723
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519258736
【氏名又は名称】バイオエヌテック エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オヴァディア, ロバート ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ペトリー, クリストファー アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リム, フレデリック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハース, ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヘレナー, ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ベイツ, フェルディア
(72)【発明者】
【氏名】キント, トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルガー, ペール アンドレ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4G035
4G036
4G037
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA65
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC29
4C076DD49
4C076DD63
4C076FF31
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086EA18
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA24
4C086MA41
4C086NA10
4C086NA13
4C086ZB26
4C086ZC02
4G035AC01
4G035AC22
4G035AC44
4G035AE13
4G035AE17
4G036AC70
4G037AA02
4G037EA01
4H045AA30
4H045BA10
4H045EA34
4H045FA74
(57)【要約】
蠕動式ポンプとともに使用するための方法およびシステムがここに提供される。より具体的には、脂質およびRNAを含む薬学的組成物および製剤を含む薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、かつ/または製造するために、蠕動式ポンプシステムからの流量の脈動を低減するための減衰装置を含む蠕動式ポンプシステムがここに提供される。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合物を形成するためのチュービングキットであって、
第1の組成物を収容する容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第1の部分と、
第2の組成物を収容する容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第2の部分と、
前記チュービングの第1の部分に流体的に接続され、かつ前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置と、
前記チュービングの第1の部分からの前記第1の組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記第2の組成物を混合するための混合装置と、
前記混合装置から、混合された前記第1の組成物および第2の組成物を収集するための混合物容器と、
を備え、
前記チュービングの第1の部分は、前記第1の組成物を収容する前記容器から前記混合物容器に前記第1の組成物を圧送するための少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、前記チュービングの第2の部分は、前記第2の組成物を収容する前記容器から前記混合物容器に前記第2の組成物を圧送するための少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている、チュービングキット。
【請求項2】
前記減衰装置が、封入されたある体積の流体を含む、請求項1に記載のチュービングキット。
【請求項3】
前記流体が空気である、請求項2に記載のチュービングキット。
【請求項4】
前記減衰装置がチュービング減衰装置である、請求項1~3のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項5】
前記減衰装置が柔軟な膜を備える、請求項1に記載のチュービングキット。
【請求項6】
前記減衰装置と、前記チュービングの第1の部分と、チュービングの第1の混合装置入力部分とを流体的に接続する第1のT字型コネクタをさらに備え、前記チュービングの第1の混合装置入力部分が前記混合装置に流体的に接続する、請求項1~5のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項7】
前記減衰装置と、前記チュービングの第2の部分と、チュービングの第2の混合装置入力部分とを流体的に接続する第2のT字型コネクタをさらに備え、前記チュービングの第2の混合装置入力部分が前記混合装置に流体的に接続する、請求項6に記載のチュービングキット。
【請求項8】
前記チュービングの第1の部分が、チュービングの第1のセグメントとチュービングの第2のセグメントとを備え、前記チュービングの第1のセグメントおよび前記チュービングの第2のセグメントは、並列して流体的に接続される、請求項1~7のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項9】
前記チュービングの第1のセグメントが、第1の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、前記チュービングの第2のセグメントが、第2の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている、請求項8に記載のチュービングキット。
【請求項10】
前記チュービングの第2の部分が、チュービングの第3のセグメントとチュービングの第4のセグメントとを備え、前記チュービングの第3の部分および前記チュービングの第4の部分は、並列して流体的に接続される、請求項1~8のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項11】
前記チュービングの第3のセグメントが、第3の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、前記チュービングの第4のセグメントが、第4の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている、請求項10に記載のチュービングキット。
【請求項12】
前記混合装置が、前記チュービングの第1の部分に流体的に接続された入力部と、前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された入力部と、前記混合物容器に流体的に接続された出力部とを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項13】
前記混合装置が、Y字型コネクタ、らせん型混合装置または静的混合装置を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項14】
前記チュービングの第1の部分を前記減衰装置および前記混合装置に流体的に接続する第1の減衰装置コネクタと、前記チュービングの第2の部分を前記減衰装置および前記混合装置に流体的に接続する第2の減衰装置コネクタとをさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項15】
前記混合物容器が、袋、器または瓶である、請求項1~14のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項16】
薬学的組成物または薬学的組成物の混合物を形成するためのシステムであって、
第1の薬学的組成物を収容する第1の容器と、
第2の薬学的組成物を収容する第2の容器と、
前記第1の容器に流体的に接続されたチュービングの第1の部分と、
前記第2の容器に流体的に接続されたチュービングの第2の部分と、
前記チュービングの第1の部分に流体的に接続され、かつ前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置と、
前記チュービングの第1の部分からの前記第1の薬学的組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記第2の薬学的組成物を混合するための混合装置と、
前記混合装置から、混合された前記第1の薬学的組成物および第2の薬学的組成物を収集するための混合物容器と、
を備える、システム。
【請求項17】
前記第1の組成物を収容する前記容器から前記混合物容器に前記第1の組成物を圧送するために前記チュービングの第1の部分に接続された少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドと、前記第1の組成物を収容する前記容器から前記混合物容器に前記第2の組成物を圧送するために前記チュービングの第2の部分に接続された少なくとも1つの蠕動式ポンプとをさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の組成物または前記第2の組成物が、核酸、1つ以上の脂質、1つ以上のタンパク質、または緩衝剤を含む、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の組成物が核酸を含み、前記第2の組成物が1つ以上の脂質を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の組成物がRNAを含み、前記第2の組成物が1つ以上の脂質を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記RNAが、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する10~20のネオエピトープをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記RNAが、リポプレックスナノ粒子またはリポソーム中に製剤化される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記リポプレックスナノ粒子またはリポソームが、前記RNAを封入する多層構造を形成する1つ以上の脂質を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つ以上の脂質が、少なくとも1つのカチオン性脂質および少なくとも1つのヘルパー脂質を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記1つ以上の脂質が、(R)-N,N,N-トリメチル-2,3-ジオレイルオキシ-1-プロパンアミニウムクロリド(DOTMA)および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
生理的pHにおいて、前記リポソームの正電荷対負電荷の全電荷比が1.3:2(0.65)である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記RNAが、5’→3’方向に、
(1)5’キャップと、
(2)5’非翻訳領域(UTR)と、
(3)分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、
(4)腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、
(5)主要組織適合複合体(MHC)分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列と、
(6)3’UTRであって、
(a)Amino-Terminal Enhancer of Split(AES)mRNAの3’非翻訳領域またはその断片と、
(b)ミトコンドリアにコードされた12S RNAの非コードRNAまたはその断片と、
を含む、3’UTRと、
(7)ポリ(A)配列と、
を含むRNA分子を含む、請求項20~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記RNA分子が、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、前記アミノ酸リンカーをコードする前記ポリヌクレオチド配列および前記1つ以上のネオエピトープの第1をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成し、前記第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成する前記ポリヌクレオチド配列が、5’→3’方向に、前記分泌シグナルペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列と、前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部をコードする前記ポリヌクレオチド配列との間にある、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記アミノ酸リンカーが、配列GGSGGGGSGG(配列番号21)を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記アミノ酸リンカーをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列GGCGGCUCUGGAGGAGGCGGCUCCGGAGGC(配列番号19)を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記RNA分子が、5’→3’方向に、少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールをさらに含み、前記少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールが、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列と、ネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列とを含み、前記第2のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成する前記ポリヌクレオチド配列が、5’→3’方向に、前記第1のリンカー-ネオエピトープモジュールの前記ネオエピトープをコードする前記ポリヌクレオチド配列と、前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部をコードする前記ポリヌクレオチド配列との間にあり、前記第1のリンカー-エピトープモジュールの前記ネオエピトープが、前記第2のリンカー-エピトープモジュールの前記ネオエピトープとは異なる、請求項28~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記RNA分子が5のリンカー-エピトープモジュールを含み、前記5のリンカー-エピトープモジュールがそれぞれ異なるネオエピトープをコードする、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記RNA分子が10のリンカー-エピトープモジュールを含み、前記10のリンカー-エピトープモジュールがそれぞれ異なるネオエピトープをコードする、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記RNA分子が20のリンカー-エピトープモジュールを含み、前記20のリンカー-エピトープモジュールがそれぞれ異なるネオエピトープをコードする、請求項31に記載のシステム。
【請求項35】
前記RNA分子が、アミノ酸リンカーをコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含み、前記アミノ酸リンカーをコードする前記第2のポリヌクレオチド配列が、3’方向に最も遠位にあるネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部をコードする前記ポリヌクレオチド配列との間にある、請求項28~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記5’キャップが、構造:
のD1ジアステレオ異性体を含む、請求項28~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記5’UTRが、配列UUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号5)を含む、請求項28~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記5’UTRが、配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号3)を含む、請求項28~37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記分泌シグナルペプチドが、アミノ酸配列MRVMAPRTLILLLSGALALTETWAGS(配列番号9)を含む、請求項28~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記分泌シグナルペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列AUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号7)を含む、請求項28~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部が、アミノ酸配列IVGIVAGLAVLAVVVIGAVVATVMCRRKSSGGKGGSYSQAASSDSAQGSDVSLTA(配列番号12)を含む、請求項28~40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記MHC分子の前記膜貫通ドメインおよび前記細胞質ドメインの前記少なくとも一部をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCC(配列番号10)を含む、請求項28~40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記AES mRNAの前記3’非翻訳領域が、配列CUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCC(配列番号15)を含む、請求項28~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
前記ミトコンドリアにコードされた12S RNAの前記非コードRNAが、配列CAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCG(配列番号17)を含む、請求項28~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記3’UTRが、配列CUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号13)を含む、請求項28~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記ポリ(A)配列が、120のアデニンヌクレオチドを含む、請求項28~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記RNAが、5’→3’方向に、
ポリヌクレオチド配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACCAUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号1)と、
前記腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、
ポリヌクレオチド配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCCUAGUAACUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号2)と、
を含むRNA分子を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項48】
蠕動式ポンプを使用して薬学的組成物を移送するための方法であって、
少なくとも1つの蠕動式ポンプを使用して、チュービングの第1の部分を通して第1の容器から第1の組成物を圧送することと、
少なくとも1つの蠕動式ポンプを使用して、チュービングの第2の部分を通して第2の容器から第2の組成物を圧送することと、
前記チュービングの第1の部分に流体接続され、かつ前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置を使用して、前記チュービングの第1の部分における前記第1の組成物の流体流中の脈流を減衰させることおよび前記チュービングの第2の部分における前記第2の組成物の流体流中の脈流を減衰させることと、
を含む、方法。
【請求項49】
前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置内で、前記チュービングの第1の部分からの前記第1の組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記第2の組成物とを混合することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の組成物と前記第2の組成物とを含有する混合物を、前記混合物に流体的に接続された混合物容器中に堆積させることをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の組成物または前記第2の組成物が、核酸、1つ以上の脂質、1つ以上のタンパク質、または緩衝剤を含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記第1の組成物が核酸を含み、前記第2の組成物が1つ以上の脂質を含む、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の組成物がRNAを含み、前記第2の組成物が1つ以上の脂質を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記RNAが、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する10~20のネオエピトープをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記RNAが、リポプレックスナノ粒子またはリポソームに配合される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記リポプレックスナノ粒子またはリポソームが、前記RNAを封入する多層構造を形成する1つ以上の脂質を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記1つ以上の脂質が、少なくとも1つのカチオン性脂質および少なくとも1つのヘルパー脂質を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記1つ以上の脂質が、(R)-N,N,N-トリメチル-2,3-ジオレイルオキシ-1-プロパンアミニウムクロリド(DOTMA)および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
生理的pHにおいて、前記リポソームの正電荷対負電荷の全電荷比が1.3:2(0.65)である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記RNAが、5’→3’方向に、
(1)5’キャップと、
(2)5’非翻訳領域(UTR)と、
(3)分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、
(4)腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する前記1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、
(5)主要組織適合複合体(MHC)分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列と、
(6)3’UTRであって、
(a)Amino-Terminal Enhancer of Split(AES)mRNAの3’非翻訳領域またはその断片と、
(b)ミトコンドリアにコードされた12S RNAの非コードRNAまたはその断片と、
を含む、3’UTRと、
(7)ポリ(A)配列と、
を含むRNA分子を含む、請求項53~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記RNA分子が、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、前記アミノ酸リンカーをコードする前記ポリヌクレオチド配列および前記1つ以上のネオエピトープの第1をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成し、前記第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成する前記ポリヌクレオチド配列が、5’→3’方向に、前記分泌シグナルペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列と、前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部をコードする前記ポリヌクレオチド配列との間にある、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記アミノ酸リンカーが、配列GGSGGGGSGG(配列番号21)を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記アミノ酸リンカーをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列GGCGGCUCUGGAGGAGGCGGCUCCGGAGGC(配列番号19)を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記RNA分子が、5’→3’方向に、少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールをさらに含み、前記少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールが、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列と、ネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列とを含み、前記第2のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成する前記ポリヌクレオチド配列が、5’→3’方向に、前記第1のリンカー-ネオエピトープモジュールの前記ネオエピトープをコードする前記ポリヌクレオチド配列と、前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部をコードする前記ポリヌクレオチド配列との間にあり、前記第1のリンカー-エピトープモジュールの前記ネオエピトープが、前記第2のリンカー-エピトープモジュールの前記ネオエピトープとは異なる、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記RNA分子が5のリンカー-エピトープモジュールを含み、前記5のリンカー-エピトープモジュールがそれぞれ異なるネオエピトープをコードする、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記RNA分子が10のリンカー-エピトープモジュールを含み、前記10のリンカー-エピトープモジュールがそれぞれ異なるネオエピトープをコードする、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記RNA分子が20のリンカー-エピトープモジュールを含み、前記20のリンカー-エピトープモジュールがそれぞれ異なるネオエピトープをコードする、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記RNA分子が、アミノ酸リンカーをコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含み、前記アミノ酸リンカーをコードする前記第2のポリヌクレオチド配列が、3’方向に最も遠位にあるネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部をコードする前記ポリヌクレオチド配列との間にある、請求項61~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記5’キャップが、構造:
のD1ジアステレオ異性体を含む、請求項61~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記5’UTRが、配列UUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号5)を含む、請求項61~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記5’UTRが、配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号3)を含む、請求項61~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記分泌シグナルペプチドが、アミノ酸配列MRVMAPRTLILLLSGALALTETWAGS(配列番号9)を含む、請求項61~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記分泌シグナルペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列AUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号7)を含む、請求項61~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部が、アミノ酸配列IVGIVAGLAVLAVVVIGAVVATVMCRRKSSGGKGGSYSQAASSDSAQGSDVSLTA(配列番号12)を含む、請求項61~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記MHC分子の前記膜貫通および細胞質ドメインの前記少なくとも一部をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCC(配列番号10)を含む、請求項61~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記AES mRNAの前記3’非翻訳領域が、配列CUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCC(配列番号15)を含む、請求項61~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記ミトコンドリアにコードされた12S RNAの前記非コードRNAが、配列CAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCG(配列番号17)を含む、請求項61~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記3’UTRが、配列CUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号13)を含む、請求項61~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記ポリ(A)配列が、120のアデニンヌクレオチドを含む、請求項61~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記RNAが、5’→3’方向に、
ポリヌクレオチド配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACCAUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号1)と、
前記腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する前記1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、
ポリヌクレオチド配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCCUAGUAACUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号2)と、
を含むRNA分子を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項81】
蠕動式ポンプを使用して薬学的組成物を移送するための方法であって、
第1の流量で、少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第1の部分を通して第1の容器から第1の組成物を圧送することと、
第2の流量で、少なくとも1つの蠕動式ポンプを使用して、チュービングの第2の部分を通して第2の容器から第2の組成物を圧送することと、
前記チュービングの第1の部分に流体的に接続され、かつ前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置を使用して、前記チュービングの第1の部分における前記第1の組成物の流体流中の脈流を減衰させることおよび前記チュービングの第2の部分における前記第2の組成物の流体流中の脈流を減衰させることであって、前記減衰装置の後ろの前記チュービングの第1の部分における前記第1の流量の流量脈動のレベル(LoP)が10未満であり、前記減衰装置の後ろの前記チュービングの第2の部分における第2の流量の流量脈動のレベル(LoP)が10未満である、減衰させることと、
を含む、方法。
【請求項82】
核酸および1つ以上の脂質を含む薬学的組成物を製造するための方法であって、
第1の流量で、少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第1の部分を通して第1の容器から核酸を含む第1の組成物を圧送することと、
第2の流量で、少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第2の部分を通して第2の容器から1つ以上の脂質を含む第2の組成物を圧送することと、
前記チュービングの第1の部分に流体的に接続され、かつ前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置を使用して、前記チュービングの第1の部分における前記第1の組成物の流体流中の脈流を減衰させることおよび前記チュービングの第2の部分における前記第2の組成物の流体流中の脈流を減衰させることと、
前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置内で、前記チュービングの第1の部分からの前記核酸を含む前記第1の組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記1つ以上の脂質を含む前記第2の組成物とを混合することと、
前記核酸および前記1つ以上の脂質を含む組成物を、前記混合物に流体的に接続された容器中に堆積させることと、
を含む、方法。
【請求項83】
前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分が、同じ蠕動式ポンプのポンプヘッドに接続されるように構成される、請求項1~82のいずれか一項に記載のチュービングキット、システムまたは方法。
【請求項84】
前記チュービングの第1の部分、前記チュービングの第2の部分、前記減衰装置、前記混合装置および/または前記混合物容器が使い捨て材料で構成される、請求項1~83のいずれか一項に記載のチュービングキット、システムまたは方法。
【請求項85】
前記チュービングキットもしくはシステムが無菌の(aespetic)クローズドチュービングキットもしくはシステムであるか、または前記方法が無菌のクローズドシステム内で行われることをさらに含む、請求項1~84のいずれか一項に記載のチュービングキット、システムまたは方法。
【請求項86】
混合物を形成するためのチュービングキットであって、
第1の組成物を収容する第1の容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第1の部分と、
第2の組成物を収容する第2の容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第2の部分と、
前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された、封入されたある体積の流体を含むチュービング減衰装置と、
前記流体減衰装置から下流で前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置であって、前記チュービングの第1の部分からの前記第1の組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記第2の組成物とを混合するように構成された混合装置と、
前記混合装置に流体的に接続された混合物容器であって、前記混合装置からの混合された前記第1の組成物および第2の組成物を収集するように構成された混合物容器と、
を備え、
前記チュービングの第1の部分は、前記第1の容器から前記混合物容器に前記第1の組成物を圧送するための、前記チュービング減衰装置の上流の第1の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、前記チュービングの第2の部分は、前記第2の容器から前記混合物容器に前記第2の組成物を圧送するための、前記チュービング減衰装置の上流の第2の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている、
チュービングキット。
【請求項87】
薬学的組成物または薬学的組成物の混合物を形成するためのシステムであって、
第1の薬学的組成物を収容する第1の容器と、
第2の薬学的組成物を収容する第2の容器と、
前記第1の容器に流体的に接続されたチュービングの第1の部分と、
前記第2の容器に流体的に接続されたチュービングの第2の部分と、
前記第1の容器から前記第1の薬学的組成物を圧送するための、前記チュービングの第1の部分に接続された第1の蠕動式ポンプヘッドと、前記第2の容器から前記第2の薬学的組成物を圧送するための、前記チュービングの第2の部分に接続された第2の蠕動式ポンプヘッドとを備える蠕動式ポンプと、
前記蠕動式ポンプから下流で前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された、封入されたある体積の流体を含むチュービング減衰装置と、
前記流体減衰装置から下流で前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置であって、前記チュービングの第1の部分からの前記第1の薬学的組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記第2の薬学的組成物とを混合するように構成された混合装置と、
前記混合装置に流体的に接続された混合物容器であって、前記混合装置からの混合された前記第1の薬学的組成物および第2の薬学的組成物を収集するように構成された混合物容器と、
を備える、システム。
【請求項88】
蠕動式ポンプを使用して薬学的組成物を移送するための方法であって、
第1の蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第1の部分を通して第1の容器から第1の組成物を圧送することと、
第2の蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第2の部分を通して第2の容器から第2の組成物を圧送することと、
前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された、封入されたある体積の流体を含むチュービング減衰装置を使用して、前記第1の蠕動式ポンプヘッドの下流の前記チュービングの第1の部分における前記第1の組成物の流体流中の脈動を減衰させることおよび前記第2の蠕動式ポンプヘッドの下流の前記チュービングの第2の部分における前記第2の組成物の流体流中の脈動を減衰させることと、
前記流体減衰装置から下流で前記チュービングの第1の部分および前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置内で、前記チュービングの第1の部分からの前記第1の組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記第2の組成物とを混合することと、
混合された第1の組成物および第2の組成物を含む組成物を、前記混合装置に流体的に接続された容器中に堆積させることと、
を含む、方法。
【請求項89】
混合物を形成するためのチュービングキットであって、
第1の組成物を収容する容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第1の部分と、
第2の組成物を収容する容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第2の部分と、
前記チュービングの第1の部分に流体的に接続された第1の減衰装置と、
前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された第2の減衰装置と、
前記チュービングの第1の部分からの前記第1の組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記第2の組成物を混合するための混合装置と、
前記混合装置から混合された前記第1の組成物および第2の組成物を収集するための混合物容器と、
を備え、
前記チュービングの第1の部分は、前記第1の組成物を収容する前記容器から前記混合物容器に前記第1の組成物を圧送するための少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、前記チュービングの第2の部分は、前記第2の組成物を収容する前記容器から前記混合物容器に前記第2の組成物を圧送するための少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている、チュービングキット。
【請求項90】
前記第1の減衰装置および/または前記第2の減衰装置が、封入されたある体積の流体を含む、請求項89に記載のチュービングキット。
【請求項91】
前記流体が空気である、請求項90に記載のチュービングキット。
【請求項92】
前記第1の減衰装置および/または前記第2の減衰装置が、チュービング減衰装置である、請求項89~91のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項93】
前記減衰装置が、柔軟な膜を備える、請求項89に記載のチュービングキット。
【請求項94】
前記第1の減衰装置と、前記チュービングの第1の部分と、チュービングの第1の混合装置入力部分とを流体的に接続する第1のT字型コネクタをさらに備え、前記チュービングの第1の混合装置入力部分が前記混合装置に流体的に接続する、請求項89~93のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項95】
前記第2の減衰装置と、前記チュービングの第2の部分と、チュービングの第2の混合装置入力部分とを流体的に接続する第2のT字型コネクタをさらに備え、前記チュービングの第2の混合装置入力部分が前記混合装置に流体的に接続する、請求項94に記載のチュービングキット。
【請求項96】
前記チュービングの第1の部分が、チュービングの第1のセグメントとチュービングの第2のセグメントとを備え、前記チュービングの第1のセグメントおよび前記チュービングの第2のセグメントは、並列して流体的に接続される、請求項89~95のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項97】
前記チュービングの第1のセグメントが、第1の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、前記チュービングの第2のセグメントが、第2の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている、請求項96に記載のチュービングキット。
【請求項98】
前記チュービングの第2の部分が、チュービングの第3のセグメントとチュービングの第4のセグメントとを備え、前記チュービングの第3の部分および前記チュービングの第4の部分は、並列して流体的に接続されている、請求項89~97のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項99】
前記チュービングの第3のセグメントが、第3の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、前記チュービングの第4のセグメントが、第4の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている、請求項98に記載のチュービングキット。
【請求項100】
前記混合装置が、前記チュービングの第1の部分に流体的に接続された入力部と、前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された入力部と、前記混合物容器に流体的に接続された出力部とを備える、請求項89~99のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項101】
前記混合装置が、Y字型コネクタ、らせん型混合装置または静的混合装置を備える、請求項89~100のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項102】
前記チュービングの第1の部分を前記第1の減衰装置および前記混合装置に流体的に接続する第1の減衰装置コネクタと、前記チュービングの第2の部分を前記第2の減衰装置および前記混合装置に流体的に接続する第2の減衰装置コネクタとをさらに備える、請求項89~101のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項103】
前記混合物容器が、袋、器または瓶である、請求項89~102のいずれか一項に記載のチュービングキット。
【請求項104】
流体ポンプ用の脈動減衰装置であって、
流体入口および流体出口を備えるバイオプロセシングバッグであって、前記流体入口は流体ポンプの下流に流体的に接続されるように構成されたバイオプロセシングバッグと、
前記バイオプロセシングバッグを受容するように構成された筐体であって、前記筐体は、基部と、前記バイオプロセシングバッグのための空洞を形成する複数の側壁とを備え、少なくとも1つの側壁が、前記バイオプロセシングバッグの前記流体入口および流体出口へのアクセスを提供するように構成された1つ以上の切り込みを備える、筐体と、
前記複数の側壁に取り付けられ、前記筐体を閉鎖するように構成された筐体蓋と、
を備える、
脈動減衰装置。
【請求項105】
前記バイオプロセシングバッグが気体入口を備え、前記気体入口は気体源に流体的に接続されるように構成されている、請求項104に記載の脈動減衰装置。
【請求項106】
前記1つ以上の切り込みが、前記バイオプロセシングバッグの前記気体入口へのアクセスを提供するように構成されている、請求項105に記載の脈動減衰装置。
【請求項107】
筐体の前記基部が窓を備える、請求項104~106のいずれか一項に記載の脈動減衰装置。
【請求項108】
前記窓が、前記筐体の前記基部中の開口部または前記筐体の前記基部中の透明な材料を備える、請求項107に記載の脈動減衰装置。
【請求項109】
前記筐体蓋が窓を備える、請求項104~109のいずれか一項に記載の脈動減衰装置。
【請求項110】
前記窓が、前記筐体蓋中の開口部または前記筐体蓋中の透明な材料を備える、請求項109に記載の脈動減衰装置。
【請求項111】
筐体の側壁および/または前記筐体蓋の少なくとも1つに接続されるように構成された前板をさらに備え、前記前板は、前記流体入口および流体出口を受容するように構成された少なくとも1つの開口部を備える、請求項104~110のいずれか一項に記載の脈動減衰装置。
【請求項112】
前記流体ポンプが循環ポンプである、請求項104~111のいずれか一項に記載の脈動減衰装置。
【請求項113】
前記循環ポンプが蠕動式ポンプである、請求項112に記載の脈動減衰装置。
【請求項114】
前記流体出口が、流体貯蔵容器に流体的に接続されるように構成されている、請求項104~113のいずれか一項に記載の脈動減衰装置。
【請求項115】
前記流体出口が、逆止め弁を備える、請求項104~114のいずれか一項に記載の脈動減衰装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる2020年9月8日に出願された米国仮特許出願第63/075,723号に対する優先権を主張する。
【0002】
配列表
本出願は配列表を含み、ASCIIテキストファイル上の以下の提出物の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる:配列表(ファイル名:146392048140SEQLIST.TXT、記録日:2021年9月3日、サイズ:9,549バイト)のコンピュータ可読形式(CRF)。
【0003】
分野
本開示は、薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、および/または製造するための方法およびシステムに関する。いくつかの態様において、薬学的混合物を形成するための蠕動式ポンプとともに使用するためのチュービングキットが提供される。より具体的には、本開示は、脂質(例えば、リポソームまたはリポプレックス)およびRNAを含む薬学的組成物および製剤を含む薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、および/または製造するために、蠕動式ポンプシステムからの流量の脈動を低減するための減衰装置を含む蠕動式ポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
背景
蠕動式ポンプは、様々な流体を圧送するために使用することができる容積移送式ポンプである。典型的には、蠕動式ポンプは、ケーシングの内部に装着または接続されたチューブと、チューブを圧縮するロータとを備えた循環ポンプケーシングを含む。ロータは、ロータの外周に取り付けられた複数のローラを含む。ロータが回転すると、チューブの圧縮された部分が塞がれ、それによってチューブを通して強制的に流体を移動させる。回転ごとに一定量の流体が送り出されるので、送り出される流体の量を大まかに測定するために蠕動式ポンプを使用することができる。
【0005】
蠕動式ポンプの1つの主な欠点は、蠕動式ポンプが不均一な流れを提供し得ることである。ポンプケーシング内のチュービングを圧縮するためにローラを使用するため、蠕動式ポンプからの流量は脈動または振動する。したがって、滑らかで一貫した流れが必要とされる場合、蠕動式ポンプはあまり適していない。
【0006】
DNAおよびRNAのような核酸は、様々な治療的処置のために関心が高まっている。様々な報告は、核酸の投与のためのアプローチを記載している。例えば、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れられる米国特許第10485884号を参照されたい。1つのアプローチは、特定の細胞内へのDNAまたはRNAの細胞取り込みを促進するために、(DNA/RNA濃縮を誘導する)カチオン性リポソームの能力を活用することである。カチオン性リポソームは、通常、DOTMAおよび/またはDOTAPなどのカチオン性脂質と、DOPEなどの1つ以上のヘルパー脂質とからなる。いわゆる「リポプレックス」は、カチオン性(正に帯電した)リポソームおよびアニオン性(負に帯電した)核酸から形成されることができる。リポプレックスは、正に帯電したリポソームと負に帯電した核酸との間での静電的相互作用によって駆動されて、核酸をリポソームと混合することによって自発的に形成し得る。したがって、RNAおよび脂質(例えば、リポソーム)を含む薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、および/または製造するための方法およびシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
概要
本明細書では、システム内の蠕動式ポンプからの流量の脈動または振動を低減するための減衰装置を含む蠕動式ポンプシステムが提供される。いくつかの態様において、これらのシステムは、例えば、RNAとリポプレックスまたはリポソームを含む脂質とを含む組成物および製剤を含む薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、および/または製造するのに有用である。上で説明したように、蠕動式ポンプからの流量は、蠕動式ポンプの性質のために経時的に脈動または振動し得る。したがって、蠕動式ポンプは、滑らかなまたは一貫した流量が必要とされるある種の用途には適していないことがあり得る。そのような使用の例は、薬学的組成物を転位させるために蠕動式ポンプを使用する場合であり得る。これらの薬学的組成物は、繊細で高価な成分を含み得る。さらに、薬学的組成物中の所定の成分の量は、その薬学的組成物がその意図された用途に関して有効かつ安全であるかどうかにとって極めて重要であり得る。例えば、RNAおよび脂質(リポプレックスまたはリポソームなど)を含む薬学的組成物および製剤は、(1)混合に際して薬学的組成物が形成されるときの核酸および脂質/リポソームの動的比率ならびに;(2)混合中に使用される平均流量に影響を受ける。核酸の動的流量が操作中に動的に変化すると、混合操作全体を通じて脂質/リポソームに対する核酸の比が変化し、その結果、得られるリポプレックスの品質属性(サイズ、分子量分散度、表面電荷など)の不均一性がより大きくなる。核酸およびリポソーム/脂質(例えば、RNAおよび脂質を含む)を混合して、RNAワクチンの製造において有用なリポプレックスを形成するために、シリンジポンプを使用することができる(例えば、Oberli M.A et al.,Nano Lett.2017,17,1326-1335、またはKauffman,K.J.et al.Nano Lett.2015,15,7300-7306;国際公開第2019077053号も参照)。シリンジポンプは、比較的低い脈動を有する流れを生成し、2つ以上の溶液の混合比を良好に制御することができる。しかしながら、シリンジバレル内に流体を充填するためにシリンジプランジャが引っ張られる前にシリンジバレルの内側が周囲環境に曝されているので、通常のシリンジは、グレードAのクリーンルーム環境の外側では、閉鎖された無菌の境界を提供しない。これは、無菌グレードのフィルタを通過するにはリポソームおよび/またはリポプレックスが大きすぎ、有意な分解なしに最終的に滅菌することができない系にとって特に重大である。対照的に、蠕動式ポンプは、無菌処理および滅菌保証を維持するためにグレードAのクリーンルーム環境での操作を必要としない完全に閉じた流体経路で使用することができる。グレードAのクリーンルーム環境は維持に費用がかかり、時間のかかる環境監視制御を必要とするため、これは大きな利点である。したがって、本出願人らは、例えば、RNAとリポプレックスまたはリポソームを含む脂質とを含む組成物および製剤、例えばRNAワクチンなどの薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、および/または製造するのに有用な、蠕動式ポンプからの脈動または振動を劇的に低減するための減衰装置を含む蠕動式ポンプを使用する方法およびシステムを発見した。本明細書に開示される減衰装置は蠕動式ポンプと組み合わせて論述されるが、減衰装置は、その作用機構(例えば、膜、ピストンなどを含む)の一部として脈動を生成する任意のポンプシステムと組み合わせることができるので、ポンプシステムは必ずしも蠕動式ポンプシステムである必要はない。例えば、シリンジポンプシステムは、本明細書に開示される減衰装置を使用することができる。いくつかの態様において、減衰装置を含む蠕動式ポンプを使用するこれらの方法およびシステムは、例えばRNAワクチンを含む、RNAおよび脂質(リポプレックスまたはリポソームを含む)を含む薬学的組成物を生産し、混合し、移送し、および/または製造するために円滑なまたは一貫した流量を確保するのに適している。
【0008】
いくつかの態様において、混合物を形成するためのチュービングキットは、第1の組成物を収容する容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第1の部分と、第2の組成物を収容する容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第2の部分と、チュービングの第1の部分に流体的に接続されかつチュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置と、チュービングの第1の部分からの第1の組成物とチュービングの第2の部分からの第2の組成物を混合するための混合装置と、混合装置から混合された第1の組成物および第2の組成物を収集するための混合物容器と、を含み、チュービングの第1の部分は、第1の組成物を収容する容器から混合物容器に第1の組成物を圧送するための少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、チュービングの第2の部分は、第2の組成物を収容する容器から混合物容器に第2の組成物を圧送するための少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている。いくつかの態様において、減衰装置は、封入されたある体積の流体を含む。いくつかの態様において、流体は空気である。いくつかの態様において、減衰装置はチュービング減衰装置である。いくつかの態様において、減衰装置は柔軟な膜を備える。いくつかの態様において、チュービングキットは、減衰装置と、チュービングの第1の部分と、チュービングの第1の混合装置入力部分とを流体的に接続する第1のT字型コネクタを含み、チュービングの第1の混合装置入力部分は混合装置に流体的に接続する。いくつかの態様において、チュービングキットは、減衰装置と、チュービングの第2の部分と、チュービングの第2の混合装置入力部分とを流体的に接続する第2のT字型コネクタを含み、チュービングの第2の混合装置入力部分は混合装置に流体的に接続する。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分は、チュービングの第1のセグメントとチュービングの第2のセグメントとを備え、チュービングの第1のセグメントおよびチュービングの第2のセグメントは、並列して流体的に接続されている。いくつかの態様において、チュービングの第1のセグメントは、第1の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、チュービングの第2のセグメントは、第2の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている。いくつかの態様において、チュービングの第2の部分は、チュービングの第3のセグメントとチュービングの第4のセグメントとを備え、チュービングの第3の部分およびチュービングの第4の部分は、並列して流体的に接続されている。いくつかの態様において、チュービングの第3のセグメントは、第3の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、チュービングの第4のセグメントは、第4の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている。いくつかの態様において、混合装置は、チュービングの第1の部分に流体的に接続された入力部と、チュービングの第2の部分に流体的に接続された入力部と、混合物容器に流体的に接続された出力部とを備える。いくつかの態様において、混合装置は、Y字型コネクタ、らせん型混合装置または静的混合装置を備える。いくつかの態様において、チュービングキットは、チュービングの第1の部分を減衰装置および混合装置に流体的に接続する第1の減衰装置コネクタと、チュービングの第2の部分を減衰装置および混合装置に流体的に接続する第2の減衰装置コネクタとを含む。いくつかの態様において、混合物容器は袋、器または瓶である。
【0009】
いくつかの態様において、薬学的組成物または薬学的組成物の混合物を形成するためのシステムは、第1の薬学的組成物を収容する第1の容器と、第2の薬学的組成物を収容する第2の容器と、前記第1の容器に流体的に接続されたチュービングの第1の部分と、前記第2の容器に流体的に接続されたチュービングの第2の部分と、前記チュービングの第1の部分に流体的に接続されかつ前記チュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置と、前記チュービングの第1の部分からの前記第1の薬学的組成物と前記チュービングの第2の部分からの前記第2の薬学的組成物を混合するための混合装置と、前記混合装置から前記混合された第1の薬学的組成物および第2の薬学的組成物を収集するための混合物容器と、を含む。いくつかの態様において、システムは、第1の組成物を収容する容器から混合物容器に第1の組成物を圧送するためにチュービングの第1の部分に接続された少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドと、第1の組成物を収容する容器から混合物容器に第2の組成物を圧送するためにチュービングの第2の部分に接続された少なくとも1つの蠕動式ポンプとを含む。いくつかの態様において、第1の組成物または第2の組成物は、核酸、1種以上の脂質、1種以上のタンパク質、または緩衝剤を含む。いくつかの態様において、第1の組成物は核酸を含み、第2の組成物は1種以上の脂質を含む。いくつかの態様において、第1の組成物はRNAを含み、第2の組成物は1種以上の脂質を含む。いくつかの態様において、RNAは、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する10~20のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、RNAはリポプレックスナノ粒子またはリポソームに配合される。いくつかの態様において、リポプレックスナノ粒子またはリポソームは、RNAを封入する多層構造を形成する1種以上の脂質を含む。いくつかの態様において、1種以上の脂質は、少なくとも1種のカチオン性脂質および少なくとも1種のヘルパー脂質を含む。いくつかの態様において、1種以上の脂質は、(R)-N,N,N-トリメチル-2,3-ジオレイルオキシ-1-プロパンアミニウムクロリド(DOTMA)および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む。いくつかの態様において、生理的pHでは、リポソームの正電荷対負電荷の全電荷比は1.3:2(0.65)である。いくつかの態様において、RNAは、5’→3’方向に、(1)5’キャップと、(2)5’非翻訳領域(UTR)と、(3)分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、(4)腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、(5)主要組織適合複合体(MHC)分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列と、(6)3’UTRであって、(a)Amino-Terminal Enhancer of Split(AES)mRNAの3’非翻訳領域またはその断片と、(b)ミトコンドリアにコードされた12S RNAの非コードRNAまたはその断片と、を含む3’UTRと、(7)ポリ(A)配列とを含むRNA分子を含む。いくつかの態様において、RNA分子は、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、アミノ酸リンカーおよび1つ以上のネオエピトープの第1をコードするポリヌクレオチド配列は、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成し、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成するポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にある。いくつかの態様において、アミノ酸リンカーは、配列GGSGGGGSGG(配列番号21)を含む。いくつかの態様において、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列は、配列GGCGGCUCUGGAGGAGGCGGCUCCGGAGGC(配列番号19)を含む。いくつかの態様において、RNA分子は、5’→3’方向に、少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールをさらに含み、少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールは、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列と、ネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列とを含み、第2のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成するポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールのネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にあり、第1のリンカー-エピトープモジュールのネオエピトープは、第2のリンカー-エピトープモジュールのネオエピトープとは異なる。いくつかの態様において、RNA分子は5つのリンカー-エピトープモジュールを含み、5つのリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、RNA分子は10のリンカー-エピトープモジュールを含み、10のリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、RNA分子は20のリンカー-エピトープモジュールを含み、20のリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、RNA分子は、アミノ酸リンカーをコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含み、アミノ酸リンカーをコードする第2のポリヌクレオチド配列は、3’方向に最も遠位にあるネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にある。いくつかの態様において、5’キャップは、以下の構造のD1ジアステレオ異性体を含む:
いくつかの態様において、5’UTRは、配列UUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号5)を含む。いくつかの態様において、5’UTRは、配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号3)を含む。いくつかの態様において、分泌シグナルペプチドは、アミノ酸配列MRVMAPRTLILLLSGALALTETWAGS(配列番号9)を含む。いくつかの態様において、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、配列AUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号7)を含む。いくつかの態様において、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部は、アミノ酸配列IVGIVAGLAVLAVVVIGAVVATVMCRRKSSGGKGGSYSQAASSDSAQGSDVSLTA(配列番号12)を含む。いくつかの態様において、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列は、配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCC(配列番号10)を含む。いくつかの態様において、AES mRNAの3’非翻訳領域は、配列CUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCC(配列番号15)を含む。いくつかの態様において、ミトコンドリアによりコードされる12S RNAの非コードRNAは、配列CAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCG(配列番号17)を含む。いくつかの態様において、3’UTRは、配列CUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号13)を含む。いくつかの態様において、ポリ(A)配列は120のアデニンヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、RNAは、5’→3’方向に、ポリヌクレオチド配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACCAUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号1);腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列;およびポリヌクレオチド配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCCUAGUAACUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号2)を含むRNA分子を含む。
いくつかの態様において、蠕動式ポンプを使用して薬学的組成物を移送するための方法は、少なくとも1つの蠕動式ポンプを使用して、チュービングの第1の部分を通して第1の容器から第1の組成物を圧送することと、少なくとも1つの蠕動式ポンプを使用して、チュービングの第2の部分を通して第2の容器から第2の組成物を圧送することと、チュービングの第1の部分に流体接続されかつチュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置を使用して、チュービングの第1の部分における第1の組成物の流体流中の脈動を減衰させることおよびチュービングの第2の部分における第2の組成物の流体流中の脈動を減衰させることと、を含む。いくつかの態様において、前記方法は、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置内で、チュービングの第1の部分からの第1の組成物とチュービングの第2の部分からの第2の組成物とを混合することを含む。いくつかの態様において、前記方法は、第1の組成物と第2の組成物とを収容する混合物を、該混合物に流体的に接続された混合物容器中に堆積させることを含む。いくつかの態様において、第1の組成物または第2の組成物は、核酸、1種以上の脂質、1種以上のタンパク質、または緩衝液を含む。いくつかの態様において、第1の組成物は核酸を含み、第2の組成物は1種以上の脂質を含む。いくつかの態様において、第1の組成物はRNAを含み、第2の組成物は1種以上の脂質を含む。いくつかの態様において、RNAは、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する10~20のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、RNAはリポプレックスナノ粒子またはリポソームに配合される。いくつかの態様において、リポプレックスナノ粒子またはリポソームは、RNAを封入する多層構造を形成する1種以上の脂質を含む。いくつかの態様において、1種以上の脂質は、少なくとも1種のカチオン性脂質および少なくとも1種のヘルパー脂質を含む。いくつかの態様において、1種以上の脂質は、(R)-N,N,N-トリメチル-2,3-ジオレイルオキシ-1-プロパンアミニウムクロリド(DOTMA)および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む。いくつかの態様において、生理的pHでは、リポソームの正電荷対負電荷の全電荷比は1.3:2(0.65)である。いくつかの態様において、RNAは、5’→3’方向に、(1)5’キャップと、(2)5’非翻訳領域(UTR)と、
(3)分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、(4)腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、(5)主要組織適合複合体(MHC)分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列と、(6)3’UTRであって、(a)Amino-Terminal Enhancer of Split(AES)mRNAの3’非翻訳領域またはその断片と、(b)ミトコンドリアにコードされた12S RNAの非コードRNAまたはその断片と、を含む3’UTRと、(7)ポリ(A)配列とを含むRNA分子を含む。いくつかの態様において、RNA分子は、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、アミノ酸リンカーおよび1つ以上のネオエピトープの第1をコードするポリヌクレオチド配列は、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成し、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成するポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にある。いくつかの態様において、アミノ酸リンカーは、配列GGSGGGGSGG(配列番号21)を含む。いくつかの態様において、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列は、配列GGCGGCUCUGGAGGAGGCGGCUCCGGAGGC(配列番号19)を含む。いくつかの態様において、RNA分子は、5’→3’方向に、少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールをさらに含み、少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールは、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列と、ネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列とを含み、第2のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成するポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールのネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にあり、第1のリンカー-エピトープモジュールのネオエピトープは、第2のリンカー-エピトープモジュールのネオエピトープとは異なる。いくつかの態様において、RNA分子は5つのリンカー-エピトープモジュールを含み、5つのリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、RNA分子は10のリンカー-エピトープモジュールを含み、10のリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、RNA分子は20のリンカー-エピトープモジュールを含み、20のリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、RNA分子は、アミノ酸リンカーをコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含み、アミノ酸リンカーをコードする第2のポリヌクレオチド配列は、3’方向に最も遠位にあるネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にある。いくつかの態様において、5’キャップは、以下の構造のD1ジアステレオ異性体を含む:
いくつかの態様において、5’UTRは、配列UUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号5)を含む。いくつかの態様において、5’UTRは、配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号3)を含む。いくつかの態様において、分泌シグナルペプチドは、アミノ酸配列MRVMAPRTLILLLSGALALTETWAGS(配列番号9)を含む。いくつかの態様において、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、配列AUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号7)を含む。いくつかの態様において、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部は、アミノ酸配列IVGIVAGLAVLAVVVIGAVVATVMCRRKSSGGKGGSYSQAASSDSAQGSDVSLTA(配列番号12)を含む。いくつかの態様において、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列は、配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCC(配列番号10)を含む。いくつかの態様において、AES mRNAの3’非翻訳領域は、配列CUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCC(配列番号15)を含む。いくつかの態様において、ミトコンドリアによりコードされる12S RNAの非コードRNAは、配列CAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCG(配列番号17)を含む。いくつかの態様において、3’UTRは、配列CUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号13)を含む。いくつかの態様において、ポリ(A)配列は120のアデニンヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、RNAは、5’→3’方向に、ポリヌクレオチド配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACCAUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号1);腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列;およびポリヌクレオチド配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCCUAGUAACUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号2)を含むRNA分子を含む。
【0010】
いくつかの態様において、蠕動式ポンプを使用して薬学的組成物を移送するための方法は、第1の流量で、少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第1の部分を通して第1の容器から第1の組成物を圧送することと、第2の流量で、少なくとも1つの蠕動式ポンプを使用して、チュービングの第2の部分を通して第2の容器から第2の組成物を圧送することと、チュービングの第1の部分に流体的に接続されかつチュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置を使用して、チュービングの第1の部分における第1の組成物の流体流中の脈動を減衰させることおよびチュービングの第2の部分における第2の組成物の流体流中の脈動を減衰させることであって、減衰装置の後ろのチュービングの第1の部分における第1の流量の流量脈動のレベル(LoP)が10未満であり、減衰装置の後ろのチュービングの第2の部分における第2の流量の流量脈動のレベル(LoP)が10未満である、減衰させることと、を含む。
【0011】
いくつかの態様において、核酸および1種以上の脂質を含む薬学的組成物を製造するための方法は、第1の流量で、少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第1の部分を通して第1の容器から核酸を含む第1の組成物を圧送することと、第2の流量で、少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第2の部分を通して第2の容器から1種以上の脂質を含む第2の組成物を圧送することと、チュービングの第1の部分に流体的に接続されかつチュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置を使用して、チュービングの第1の部分における第1の組成物の流体流中の脈動を減衰させることおよびチュービングの第2の部分における第2の組成物の流体流中の脈動を減衰させることと、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置内で、チュービングの第1の部分からの核酸を含む第1の組成物とチュービングの第2の部分からの1種以上の脂質を含む第2の組成物とを混合することと、核酸および1種以上の脂質を含む組成物を、混合物に流体的に接続された容器中に堆積させることと、を含む。
【0012】
いくつかの態様において、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分は、同じ蠕動式ポンプのポンプヘッドに接続されるように構成されている。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分、チュービングの第2の部分、減衰装置、混合装置および/または混合物容器は使い捨て材料で構成されている。チュービングキットまたはシステムは、無菌の(aespetic)クローズドチュービングキットもしくはシステムであるか、または前記方法は無菌のクローズドシステム内で行われる。
【0013】
いくつかの態様において、混合物を形成するためのチュービングキットは、第1の組成物を収容する第1の容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第1の部分と、第2の組成物を収容する第2の容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第2の部分と、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に流体的に接続された、封入されたある体積の流体を含むチュービング減衰装置と、流体減衰装置から下流でチュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置であって、チュービングの第1の部分からの第1の組成物とチュービングの第2の部分からの第2の組成物とを混合するように構成された混合装置と、混合装置に流体的に接続された混合物容器であって、混合装置からの混合された第1の組成物および第2の組成物を収集するように構成された混合物容器と、を含み、チュービングの第1の部分は、第1の容器から混合物容器に第1の組成物を圧送するための、チュービング減衰装置の上流の第1の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、チュービングの第2の部分は、第2の容器から混合物容器に第2の組成物を圧送するための、チュービング減衰装置の上流の第2の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている。
【0014】
いくつかの態様において、薬学的組成物または薬学的組成物の混合物を形成するためのシステムは、第1の薬学的組成物を収容する第1の容器と、第2の薬学的組成物を収容する第2の容器と、第1の容器に流体的に接続されたチュービングの第1の部分と、第2の容器に流体的に接続されたチュービングの第2の部分と、第1の容器から第1の薬学的組成物を圧送するための、チュービングの第1の部分に接続された第1の蠕動式ポンプヘッドと、第2の容器から第2の薬学的組成物を圧送するための、チュービングの第2の部分に接続された第2の蠕動式ポンプヘッドとを備える蠕動式ポンプと、蠕動式ポンプから下流でチュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に流体的に接続された、封入されたある体積の流体を含むチュービング減衰装置と、流体減衰装置から下流でチュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置であって、チュービングの第1の部分からの第1の薬学的組成物とチュービングの第2の部分からの第2の薬学的組成物とを混合するように構成された混合装置と、混合装置に流体的に接続された混合物容器であって、混合装置からの混合された第1の薬学的組成物および第2の薬学的組成物を収集するように構成された混合物容器と、を含む。
【0015】
いくつかの態様において、蠕動式ポンプを使用して薬学的組成物を移送するための方法は、第1の蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第1の部分を通して第1の容器から第1の組成物を圧送することと、第2の蠕動式ポンプヘッドを使用して、チュービングの第2の部分を通して第2の容器から第2の組成物を圧送することと、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に流体的に接続された、封入されたある体積の流体を含むチュービング減衰装置を使用して、第1の蠕動式ポンプヘッドの下流のチュービングの第1の部分における第1の組成物の流体流中の脈動を減衰させることおよび第2の蠕動式ポンプヘッドの下流のチュービングの第2の部分における第2の組成物の流体流中の脈動を減衰させることと、流体減衰装置から下流でチュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に流体的に接続された混合装置内で、チュービングの第1の部分からの第1の組成物とチュービングの第2の部分からの第2の組成物とを混合することと、混合された第1および第2の組成物を含む組成物を、混合装置に流体的に接続された容器中に堆積させることと、を含む。
【0016】
いくつかの態様において、混合物を形成するためのチュービングキットは、第1の組成物を収容する容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第1の部分と、第2の組成物を収容する容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第2の部分と、チュービングの第1の部分に流体的に接続された第1の減衰装置と、チュービングの第2の部分に流体的に接続された第2の減衰装置と、チュービングの第1の部分からの第1の組成物とチュービングの第2の部分からの第2の組成物を混合するための混合装置と、混合装置から混合された第1の組成物および第2の組成物を収集するための混合物容器と、を含み、チュービングの第1の部分は、第1の組成物を収容する容器から混合物容器に第1の組成物を圧送するための少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、チュービングの第2の部分は、第2の組成物を収容する容器から混合物容器に第2の組成物を圧送するための少なくとも1つの蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている。いくつかの態様において、第1および/または第2の減衰装置は、封入されたある体積の流体を含む。いくつかの態様において、流体は空気である。いくつかの態様において、第1および/または第2の減衰装置はチュービング減衰装置である。いくつかの態様において、減衰装置は柔軟な膜を備える。いくつかの態様において、チュービングキットは、第1の減衰装置と、チュービングの第1の部分と、チュービングの第1の混合装置入力部分とを流体的に接続する第1のT字型コネクタを含み、チュービングの第1の混合装置入力部分は混合装置に流体的に接続する。いくつかの態様において、チュービングキットは、第2の減衰装置と、チュービングの第2の部分と、チュービングの第2の混合装置入力部分とを流体的に接続する第2のT字型コネクタを含み、チュービングの第2の混合装置入力部分は混合装置に流体的に接続する。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分は、チュービングの第1のセグメントとチュービングの第2のセグメントとを備え、チュービングの第1のセグメントおよびチュービングの第2のセグメントは、並列して流体的に接続されている。いくつかの態様において、チュービングの第1のセグメントは、第1の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、チュービングの第2のセグメントは、第2の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている。いくつかの態様において、チュービングの第2の部分は、チュービングの第3のセグメントとチュービングの第4のセグメントとを備え、チュービングの第3の部分およびチュービングの第4の部分は、並列して流体的に接続されている。いくつかの態様において、チュービングの第3のセグメントは、第3の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されており、チュービングの第4のセグメントは、第4の蠕動式ポンプヘッドに接続されるように構成されている。いくつかの態様において、混合装置は、チュービングの第1の部分に流体的に接続された入力部と、チュービングの第2の部分に流体的に接続された入力部と、混合物容器に流体的に接続された出力部とを備える。いくつかの態様において、混合装置は、Y字型コネクタ、らせん型混合装置または静的混合装置を備える。いくつかの態様において、チュービングキットは、チュービングの第1の部分を第1の減衰装置および混合装置に流体的に接続する第1の減衰装置コネクタと、チュービングの第2の部分を第2の減衰装置および混合装置に流体的に接続する第2の減衰装置コネクタとを含む。いくつかの態様において、混合物容器は袋、器または瓶である。
【0017】
いくつかの態様において、流体ポンプ用の脈動減衰装置は、流体入口および流体出口を備えるバイオプロセシングバッグであって、流体入口は流体ポンプの下流に流体的に接続されるように構成された、バイオプロセシングバッグと、バイオプロセシングバッグを受容するように構成された筐体であって、筐体は、基部と、バイオプロセシングバッグのための空洞を形成する複数の側壁とを備え、少なくとも1つの側壁が、バイオプロセシングバッグの流体入口および流体出口へのアクセスを提供するように構成された1つ以上の切り込みを備える、筐体と、複数の側壁に取り付けられ、筐体を閉鎖するように構成された筐体蓋と、を含む。いくつかの態様において、バイオプロセシングバッグは気体入口を備え、気体入口は気体源に流体的に接続されるように構成されている。いくつかの態様において、1つ以上の切り込みは、バイオプロセシングバッグの気体入口へのアクセスを提供するように構成されている。いくつかの態様において、筐体の基部は窓を備える。いくつかの態様において、窓は、筐体の基部中の開口部または筐体の底部中の透明な材料を備える。いくつかの態様において、筐体蓋は窓を備える。いくつかの態様において、窓は、筐体蓋中の開口部または筐体蓋中の透明な材料を備える。いくつかの態様において、減衰装置は、筐体の側壁および/または筐体蓋の少なくとも1つに接続されるように構成された前板を含み、前板は、流体入口および流体出口を受容するように構成された少なくとも1つの開口部を備える。いくつかの態様において、流体ポンプは循環ポンプである。いくつかの態様において、循環ポンプは蠕動式ポンプである。いくつかの態様において、流体出口は、流体貯蔵容器に流体的に接続されるように構成されている。いくつかの態様において、流体出口は逆止め弁を備える。
【0018】
さらなる利点は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。本明細書の実施例および説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
例示的な態様は、添付の図面を参照して説明される。
【0020】
図1図1は、本明細書に開示されるいくつかの態様による、蠕動式ポンプの流量を測定するための実験装置の一例を示す。
【0021】
図2図2は、実験1において達成された蠕動式ポンプを通る水の流量を示す。
【0022】
図3図3は、本明細書に開示されるいくつかの態様による、減衰装置を有する蠕動式ポンプの流量を測定するための実験装置の一例を示す。
【0023】
図4図4は、本明細書に開示される様々なT字型コネクタを有するシリンジ減衰装置の画像である。
【0024】
図5図5は、実験2において達成された蠕動式ポンプを通る流量を示す。
【0025】
図6図6は、実験4において達成された蠕動式ポンプを通る流量を示す。
【0026】
図7図7は、実験6において達成された蠕動式ポンプを通る流量を示す。
【0027】
図8図8は、本明細書に開示されるT字型コネクタを有する膜減衰装置の画像である。
【0028】
図9図9は、本明細書に開示されるいくつかの態様によるT字型コネクタチュービングコネクタの一例を示す。
【0029】
図10図10は、本明細書に開示されるいくつかの態様による十字型チュービングコネクタの一例を示す。
【0030】
図11図11は、本明細書に開示されるいくつかの態様による、減衰装置を有する2源の蠕動式ポンプシステムの流量を測定するための実験装置の一例を示す。
【0031】
図12図12は、2つの別個の流体ラインを接続する減衰装置ループの一例を示す。
【0032】
図13図13は、実験19において達成された蠕動式ポンプシステムを通る水の流量を示す。
【0033】
図14図14は、実験20において達成された蠕動式ポンプを通る水の流量を示す。
【0034】
図15図15は、本明細書に開示されるいくつかの態様によるチュービングキットの一例を示す。
【0035】
図16図16は、例示的RNA分子(すなわち、ポリネオエピトープRNA)の一般構造を示す。この図は、定常5’キャップ(β-S-ARCA(D1))、5’および3’非翻訳領域(それぞれhAg-コザックおよびFI)、N末端およびC末端融合タグ(それぞれsec2.0およびMITD)、ならびにポリ(A)尾部(A120)ならびに、GSリッチリンカーによって融合されたネオエピトープ(neo1~10)をコードする腫瘍特異的配列を有するRNA薬物物質の一般構造の概略図である。
【0036】
図17図17は、例示的RNA分子(配列番号24)の定常領域のリボヌクレオチド配列(5’→3’)である。最初の2つのG残基間の結合は、5’-キャッピング構造について図18に示されるような異常な結合(5’→5’)-ppp-である。患者のがん特異的配列の挿入部位は、C131残基とA132残基との間である(太字でマークされている)。「N」は、(任意のリンカーによって分離された)1つ以上の(例えば、1~20の)ネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列の位置を指す。
【0037】
図18図18は、RNA定常領域の5’末端で使用される5’-キャッピング構造β-S-ARCA(D1)(m 7・2’・OGpppG)である。ステレオジェニックP中心は、「D1」異性体においてRp配置である。注:β-S-ARCA(D1)と基本キャップ構造mGpppGとの相違;構成要素mGのC2’位における-OCH3基およびβ-ホスフェートにおける非架橋酸素の硫黄による置換が赤色で示されている。ステレオジェニックP中心(*で標識されている)の存在により、ホスホロチオエートキャップ類縁体β-S-ARCAは2つのジアステレオマーとして存在する。逆相高速液体クロマトグラフィーにおける溶出順序に基づいて、これらを01および02と命名した。
【0038】
図19図19は、本明細書で説明される実験において使用されるHPPD装置の概略図である。
【0039】
図20図20は、ガラス瓶をHPPDとして利用する実験装置を示す。
【0040】
図21図21は、図20のガラス瓶減衰装置が一定した圧力を達成するのに要する時間、およびポンプが停止した後に同じHPPDがこの取得された圧力を消失させるのに要する時間を示すグラフである。
【0041】
図22図22は、一定期間にわたる様々な流量での図20のガラス瓶減衰装置の変位を示すグラフである。
【0042】
図23図23は、増大した空気ポケットサイズの関数としてのガラス瓶HPPD装置にわたる圧力差(HPPD前の圧力対HPPD後の圧力)を表示するグラフである。
【0043】
図24図24は、実験室用フラスコをベースとしたHPPD(左)および取り外し可能なライナーを備え、HPPDを理論的に単回使用装置として扱うことを可能にする同じ装置(右)を示す。
【0044】
図25図25は、ライナー(すなわち、ブラダー減衰装置)ありおよびなしでの、図24のHPPD減衰装置の効率を示すグラフである。
【0045】
図26図26は、背圧が高い場合に送り出された流体の逆流洗浄が起こらないようにするために位置を高くした入口チューブと、バッグに気体クッションを事前充填して装置の呼び水効率を改善するためにガスの挿入を可能にする追加の第3の点とを含む改変されたバイオプロセシングバッグをベースとした柔軟な単回使用HPPDデザインを示す。
【0046】
図27図27は、紙箱の覆いを有するバイオプロセシングバッグ減衰装置を示す。
【0047】
図28A図28Aは、本明細書に開示されるいくつかの態様によるHPPDの分解立体図である。
【0048】
図28B図28Bは、本明細書に開示されるいくつかの態様によるHPPDの筐体である。
【0049】
図28C図28Cは、本明細書に開示されるいくつかの態様による使用時のHPPDである。
【0050】
図29A図29Aは、蠕動式ポンプ実験装置および流れプロファイル結果を示す。
【0051】
図29B図29Bは、シリンジポンプ実験装置および流れプロファイル結果を示す。
【0052】
図29C図29Cは、本明細書に開示されるHPPD減衰装置を有する蠕動式ポンプ実験装置および流れプロファイル結果を示す。
【0053】
図30図30は、市販のCole-Parmer HPPDを示す。
【0054】
図31A図31Aは、Cole-Parmer HPPD装置の流れプロファイルを示す。
【0055】
図31B図31Bは、本明細書に開示されるHPPD減衰装置の流れプロファイルを示す。
【0056】
図32図32は、本明細書に開示されるHPPD減衰装置のデッドボリュームおよび増加する流量に伴う減衰装置入口での圧力を示す。
【0057】
図33A図33Aは、本明細書に開示されるように、脈動に対する1.6mmの内径の影響を示す。
【0058】
図33B図33Bは、本明細書に開示されるように、脈動に対する3.2mmの内径の影響を示す。
【0059】
図33C図33Cは、本明細書に開示されるように、脈動に対する6mmの内径の影響を示す。
【0060】
図34A図34Aは、本明細書に開示されるように、脈動に対する1メートルのチュービング長の影響を示す。
【0061】
図34B図34Bは、本明細書に開示されるように、脈動に対する2メートルのチュービング長の影響を示す。
【0062】
図34C図34Cは、本明細書に開示されるように、脈動に対する20メートルのチュービング長の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
詳細な説明
本出願人らは、蠕動式ポンプからの脈動または振動を劇的に低減するための減衰装置を含む蠕動式ポンプを使用する方法およびシステムを発見した。本明細書に開示される方法およびシステムは、減衰を達成するために必要な部品の数を最小限に抑えることができる。さらに、本明細書に開示されているキットおよびシステムは、単回使用の使い捨てキットおよびシステムであり得、例えば、RNAとリポプレックスまたはリポソームを含む脂質とを含む組成物および製剤を含む薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、および/または製造するために多大な利点を提供することができる。本明細書に開示されるいくつかの態様において、RNAとリポプレックスまたはリポソームを含む脂質とを含む組成物および製剤はRNAワクチンである。
【0064】
本開示はまた、例えば、本明細書に記載される薬学的組成物、特に、RNA-リポプレックス、RNAリポソームまたはRNAワクチンを含む最終薬学的組成物を作製し、移送し、または製造するために混合することができる、RNA、RNA分子またはRNAワクチンを含む第1の薬学的組成物、および1種以上の脂質を含む第2の薬学的組成物を含む、2つの流体源との使用に適した蠕動式ポンプ、減衰装置およびチュービングキットシステムを提供する。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法およびシステムは、蠕動式ポンプを使用するときに通常観察される流量の脈動または振動の実質的な低減を必要とするGMP製造過程において有用である。
【0065】
I.定義
本発明を詳細に説明する前に、本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことを理解するべきである。
【0066】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記ならびに他の技術的および科学的用語または語法は、特許請求される主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有することが意図される。いくつかの場合において、一般的に理解される意味を有する用語は、明確性および/または容易な参照のために本明細書に定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、必ずしも、当技術分野において一般的に理解されるものに対する実質的な相違を表すと解釈されるべきではない。
【0067】
本明細書で使用される、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確にそうでないと示さない限りは、複数形を同様に含むことが意図されている。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のあらゆる可能な組み合わせを指し、それらを包含することも理解されたい。本明細書で使用される場合、「含む(includes)」、「含む(including)」、「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素および/または単位の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、単位および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されるべきである。
【0068】
本開示を通して、様々な局面が範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜および簡潔さのためのものであり、本開示に対する変更できない限定として解釈されるべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の記載は、すべての可能な部分範囲の他、その範囲内の個々の数値をも具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各介在する値、およびその記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値が本開示では包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、そのより小さい範囲に独立して含まれることができ、また、記載された範囲内のいずれかの特に除外された限界に従うことを条件として、本開示に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それら包含される限界のいずれかまたは両方を除いた範囲もまた、本開示に含まれる。これは、範囲の幅に関わらず適用される。
【0069】
本明細書で使用される「約」という用語は、容易に理解されるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」に続く値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする態様を含む(かつ記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。いくつかの態様において、「約」は、当業者によって理解されるように、±25%、±20%、±15%、±10%、±5%、または±1%を指し得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、組成物は、細胞を含む1つ以上の生成物、物質または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性またはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「蠕動式ポンプ」は、様々な流体を圧送するために使用することができる容積移送式ポンプの一種を指す。蠕動式ポンプとしては、Masterflex Pump(HV-77921-75)およびWatson Marlow Flexicon(PD12I)が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、蠕動式ポンプは、以下の2つの理由のためにバイオ医薬品において使用される。(1)システムは、クローズドシステムを介して流体を圧送することができる(すなわち、露出したポンプ部分が流体と接触しない)、および(2)せん断応力が緩やかである。
【0072】
「減衰装置」という用語は、例えば蠕動式ポンプを含むポンプからの流量の脈動および/または振動を低減することができる任意の構成要素、装置または機構を指す。
【0073】
「チュービングキット」という用語は、チューブ/チュービングとチューブ/チュービングと相互作用することができる他の構成要素との組立品を指す。
【0074】
「薬学的組成物」または「薬学的製剤」または「薬学的組成物および製剤」という用語は、調製物に含まれる有効成分の生物活性が有効になるような形態をしており、また薬学的組成物が投与されるであろう対象に対して容認できないほど毒性のある追加の成分を含まない、調製物を指す。そのような製剤は無菌である。「薬学的に許容され得る」賦形剤(ビヒクル、添加物)は、対象哺乳動物に適度に投与されて、用いられる有効用量の活性成分を提供することができるものである。薬学的に許容され得る担体には、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるいくつかの態様において、薬学的組成物は、核酸(例えば、RNA、mRNAまたはRNAワクチンを含む)および/または1種以上の脂質(例えば、カチオン性脂質および/または中性「ヘルパー」脂質を含む)を含む。
【0075】
「個体」、「対象」または「患者」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えば、サル)、ウサギおよびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれるが、これらに限定されない。特定の局面において、個体または対象はヒトである。
【0076】
「核酸」または「核酸分子」または「ポリヌクレオチド」との用語は、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物および/または物質を含む。各ヌクレオチドは、塩基、具体的にはプリン塩基またはピリミジン塩基(すなわち、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)またはウラシル(U))、糖(すなわち、デオキシリボースまたはリボース)、およびリン酸基で構成されている。多くの場合、核酸分子は塩基の配列によって記述され、前記塩基は核酸分子の一次構造(線状構造)を表す。塩基の配列は、典型的には、5’から3’に向かって表される。本明細書では、核酸分子という用語は、例えば相補的DNA(cDNA)およびゲノムDNAを含むデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、特にメッセンジャーRNA(mRNA)、DNAまたはRNAの合成形態、およびこれらの分子の2つ以上を含む混合ポリマーを包含する。核酸分子は線状または環状であり得る。これに加え、核酸分子という用語は、センス鎖およびアンチセンス鎖、ならびに一本鎖形態および二本鎖形態の両方を含む。さらに、本明細書で記載される核酸分子は、天然に存在するヌクレオチドまたは天然に存在しないヌクレオチドを含むことができる。天然に存在しないヌクレオチドの例には、誘導体化された糖またはリン酸骨格結合または化学的に修飾された残基を有する修飾ヌクレオチド塩基が含まれる。「単離された」核酸は、その天然環境の構成要素から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、通常核酸分子を含む細胞内に含まれる核酸分子が含まれるが、核酸分子は、染色体外に、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0077】
「RNA」または「RNA分子」という用語は、リボヌクレオチド残基を含み、好ましくは完全にまたは実質的にリボヌクレオチド残基から構成される分子に関する。「リボヌクレオチド」は、β-D-リボフラノシル基の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドに関する。この用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、部分的に精製されたRNAなどの単離されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換え生産されたRNA、ならびに1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または変化によって天然に存在するRNAとは異なる修飾されたRNAを含む。そのような変化は、RNAの末端または内部などに、例えばRNAの1つ以上のヌクレオチドに非ヌクレオチド材料の付加を含むことができる。RNA分子中のヌクレオチドはまた、天然に存在しないヌクレオチドまたは化学的に合成されたヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドなどの非標準的なヌクレオチドを含むことができる。これらの変化したRNAは、類縁体または天然に存在するRNAの類縁体と呼ばれ得る。
【0078】
「RNA」という用語はまた、「メッセンジャーRNA」を意味し、DNAを鋳型として使用して生成され得、ペプチドまたはタンパク質をコードする「転写産物」に関する「mRNA」を含み、好ましくは「mRNA」に関する。mRNAは、典型的には、5’非翻訳領域(5’-UTR)、タンパク質またはペプチドコード領域および3’非翻訳領域(3’-UTR)を含む。mRNAは、細胞およびインビトロにおいて限られた半減期を有する。mRNAは、DNA鋳型を用いたインビトロ転写または化学合成によって生産され得る。インビトロ転写方法は当業者に公知である。例えば、市販されている様々なインビトロ転写キットが存在する。
【0079】
本明細書で使用される「RNAワクチン」は、1つ以上の抗原をコードし、対象または個体に投与されたときに免疫応答(例えば、抗原に対する防御免疫)を誘導するRNA、RNAポリヌクレオチドまたはRNA分子を指す。いくつかのRNAワクチンが記載されている。例えば、Pardi et al.”mRNA vaccines-a new era in vaccinology”を参照されたい。Nat Rev Drug Discov17,261-279(2018).https://doi.org/10.1038/nrd.2017.243。
【0080】
「リポプレックス」または「RNAリポプレックス」という用語は、脂質とRNAなどの核酸の複合体を指す。リポプレックスは、しばしば中性「ヘルパー」脂質も含むカチオン性脂質および/またはリポソームが核酸と混合されると、自然に形成される。
【0081】
本開示が正電荷、負電荷もしくは中性電荷またはカチオン性化合物、負の化合物もしくは中性化合物などの電荷を指す場合、これは一般に、言及された電荷が、生理的pHなどの選択されたpHにおいて存在することを指す。例えば、「カチオン性脂質」という用語は、生理的pHなどの選択されたpHにおいて正味の正電荷を有する脂質を意味する。「中性脂質」という用語は、正味の正または負の電荷を有さず、生理的pHなどの選択されたpHにおいて無電荷または中性の両性イオンの形態で存在することができる脂質を意味する。本明細書において「生理的pH」とは、約7.5のpHを意味する。
【0082】
本発明で使用するための本明細書に記載される脂質担体は、例えばRNAと複合体を形成することによって、またはRNAがその中に封入もしくはカプセル化された小胞を形成することによって、RNAと会合することができる任意の物質またはビヒクルを含む。これは、裸のRNAと比較してRNAの安定性の増加をもたらし得る。特に、血中でのRNAの安定性が増加し得る。
【0083】
カチオン性脂質、カチオン性ポリマーおよび正電荷を有する他の物質は、負に帯電した核酸と複合体を形成し得る。これらのカチオン性分子は、核酸を複合体化し、それによって、例えば、いわゆるリポプレックスまたはポリプレックスをそれぞれ形成するために使用することができる。
【0084】
リポソームは、しばしばリン脂質などの小胞形成脂質の1つ以上の二重層を有する微視的脂質小胞であり、RNAなどの薬物または核酸分子を封入することができる。多重層小胞(MLV)、小型単層小胞(SUV)、大型単層小胞(LUV)、立体的に安定化されたリポソーム(SSL)、多胞性小胞(MV)、および大型多胞性小胞(LMV)、ならびに当技術分野で公知の他の二重層形態を含むがこれらに限定されない様々な種類のリポソームが本発明の文脈で使用され得る。リポソームのサイズおよび層状性は調製方法に依存し、使用されるべき小胞の種類の選択は好ましい投与様式に依存する。ラメラ相、六方相および逆六方相、立方相、ミセル、単層から構成される逆ミセルを含む、脂質が水性媒体中に存在し得るいくつかの他の形態の超分子構造が存在する。これらの相は、DNAまたはRNAと組み合わせて得られることもでき、RNAおよびDNAとの相互作用が相状態に実質的に影響を及ぼし得る。
【0085】
想定されるRNAリポプレックスを製造するのに適したリポソームを提供する限り、リポソームの形成のためには、リポソームを形成する任意の適切な方法を使用することができる。リポソームは、逆蒸発法(REV)、エタノール注入法、脱水-再水和法(DRV)、超音波処理または他の適切な方法などの標準的な方法を使用して形成され得る。リポソーム形成後に、リポソームは、実質的に均一なサイズ範囲を有するリポソームの集団を得るために、サイズによって分けることができる。
【0086】
二重層形成脂質は、典型的には、2つの炭化水素鎖、特にアシル鎖と、極性または非極性のいずれかの頭部基を有する。二重層形成脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチド酸、ホスファチジルイノシトールおよびスフィンゴミエリンなどのリン脂質を含む天然に存在する脂質または合成起源の脂質から構成され、2つの炭化水素鎖は典型的には約14~22個の炭素原子の長さであり、様々な不飽和度を有する。本発明の組成物において使用するための他の適切な脂質には、糖脂質およびコレステロールおよびリポソームにも使用することができるその様々な類縁体などのステロールが含まれる。
【0087】
カチオン性脂質は、典型的には、ステロール、アシルまたはジアシル鎖などの親油性部分を有し、全体の正味の正電荷を有する。脂質の頭部基は、典型的には正電荷を有する。カチオン性脂質は、好ましくは、1価~10価の正電荷、より好ましくは1価~3価の正電荷、より好ましくは1価の正電荷を有する。カチオン性脂質の例としては、1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA);ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);1,2-ジアシルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン;1,2-ジアルキルオキシ-3-ジメチルアンモニウムプロパン;ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、1,2-ジミリストイルオキシプロピル-1,3-ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム(DMRIE)、および2,3-ジオレオイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミウム(propanamium)トリフルオロアセタート(DOSPA)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいのは、DOTMA、DOTAP、DODACおよびDOSPAである。最も好ましいのは、DOTMAである。
【0088】
II.概要
システム内の蠕動式ポンプからの流量の脈動または振動を低減するための減衰装置を含む蠕動式ポンプシステム、ならびに例えば、RNAとリポプレックスまたはリポソームを含む脂質とを含む組成物および製剤を含む薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、および/または製造するためのこれらのシステムの使用方法が本明細書で提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物および製剤は、RNA、RNA分子またはRNAワクチンを含む。
【0089】
本開示はまた、例えば、本明細書に記載される薬学的組成物、特に、RNA-リポプレックス、RNAリポソームまたはRNAワクチンを含む最終薬学的組成物を作製または製造するために混合または移送することができる、RNA、RNA分子またはRNAワクチンを含む第1の薬学的組成物、および本明細書に記載される1種以上の脂質を含む第2の薬学的組成物を含む、2つの流体源との使用に適した蠕動式ポンプ、減衰装置およびチュービングキットシステムを提供する。
【0090】
III.蠕動式ポンプ、減衰装置およびチュービングキットシステム
蠕動式ポンプシステムとともに使用するためのチュービングキットが本明細書で提供される。いくつかの態様において、蠕動式ポンプは、4つのローラを有し、複数のポンプヘッドを有するように適合させることができるMasterflexポンプ(HV-77921-75)であり得る。いくつかの態様において、蠕動式ポンプは、Watson Marlowであり得る。いくつかの態様において、チュービングキットは、薬学的組成物、製剤および/または混合物を形成するために使用することができる。いくつかの態様において、直列で混合して薬学的組成物、製剤および/または混合物を形成するために、チュービングキットを使用することができる。いくつかの態様において、薬学的組成物、製剤および/または混合物は、第1の薬学的組成物を第2の薬学的組成物と混合することによって形成することができる。図15は、チュービングキット1の一例を示す。チュービングキットは、容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第1の部分を含むことができる。チュービングの第1の部分の例が、チュービング2の一部として図15に示されている。
【0091】
チュービング2の一部は、入口チュービング2a、ポンプチュービング2bおよび2c、ポンプ出口チュービング2d、ならびに減衰装置の後ろチュービング2eを含むことができる。入口チュービング2aは、流体源または容器に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分は、チュービングの第1の部分を流体源または容器に流体的に接続するためのコネクタ4を含むことができる。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分を流体源または容器に流体的に接続するコネクタは、無菌コネクタであり得る。いくつかの態様において、容器からチュービングへの任意のコネクタが機能することができる。いくつかの態様において、容器は、第1の流体または組成物を含むことができる。いくつかの態様において、第1の組成物は、例えば脂質またはRNAを収容する組成物を含む第1の薬学的組成物であり得る。いくつかの態様において、容器は、袋、瓶および/または器などの流体容器であり得る。
【0092】
チュービングの第1の部分は、チュービングの第1のセグメントおよびチュービングの第2のセグメントを含むことができる。いくつかの態様において、チュービングの第1のセグメントおよびチュービングの第2のセグメントは、並列して流体的に接続されている。例えば、図15に示すように、チュービングの第1の部分は、ポンプチュービング2bおよびポンプチュービング2cを含む。いくつかの態様において、チュービングの第1のセグメントは、蠕動式ポンプの第1のヘッドに接続または装着されるように構成されており、チュービングの第2のセグメントは、蠕動式ポンプの第2のヘッドに接続または装着されるように構成されている。
【0093】
いくつかの態様において、入口チュービング2aは、コネクタ5を介してポンプチュービング2bおよび2cに流体的に接続することができる。いくつかの態様において、入口チュービングをポンプチュービングに流体的に接続するコネクタは、Y字型コネクタまたは混合装置(例えば、静的、らせん状など)である。いくつかの態様において、ポンプチュービングは、図15に示されるように並列ポンプチューブに分割される必要はない。したがって、コネクタは必要でないことがあり得、入口チュービングおよびポンプチュービングは同じ1つのものであり得る。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分は、蠕動式ポンプに接続または装着されるように構成することができる。いくつかの態様において、蠕動式ポンプは、デュアルヘッド蠕動式ポンプなどのマルチヘッド蠕動式ポンプであり得る。いくつかの態様において、ポンプチュービング2bおよび2cは、第1の蠕動式ポンプに接続または装着される。例えば、蠕動式ポンプがデュアルヘッド蠕動式ポンプである場合、ポンプチュービング2bは1つのポンプヘッドに接続または装着することができ、ポンプチュービング2cは別のポンプヘッドに接続または装着することができる。2つより多くのヘッドを有するポンプにも同じロジックを使用することができる。複数の態様において、第1の蠕動式ポンプは、シングルヘッドの蠕動式ポンプである。したがって、ポンプチュービング2bまたは2cの一方のみが第1の蠕動式ポンプに接続もしくは装着されるか、または単一の入口チュービング/ポンプチュービングが第1の蠕動式ポンプに接続もしくは装着され得る。
【0094】
いくつかの態様において、ポンプチュービングまたは入口/ポンプチュービングは、ポンプ出口チュービングに流体的に接続することができる。いくつかの態様において、ポンプチュービング2bおよび2cは、コネクタ5(例えば、Y字型コネクタ)を介してポンプ出口チュービング2dに流体的に接続される。いくつかの態様において、ポンプチュービングは、並列ポンプチューブに分割される必要はない。したがって、ポンプの後のコネクタは必要でないことがあり得、ポンプチュービングとポンプ出口チュービングは同じ1つのものであり得る。例えば、チュービングは、入口、ポンプおよびポンプ出口チュービングであり得る。
【0095】
いくつかの態様において、チュービングキットは、チュービングの第1の部分に流体的に接続された減衰装置を含むことができる。チュービングの第1の部分は、コネクタを介して減衰装置に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、このようなコネクタは、T字型コネクタ、4方向コネクタまたは様々な他のタイプのコネクタであり得る。図15は、コネクタ6を介して減衰装置7に流体的に接続されたチュービング2の第1の部分を示す。具体的には、ポンプ出口チュービング2dは、コネクタ6を介して減衰装置7に流体的に接続されている。いくつかの態様において、チュービング2の第1の部分は、独自の第1の減衰装置に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、減衰装置はまた、減衰装置の後ろチュービングに流体的に接続することができる。いくつかの態様において、ポンプ出口チュービングは、コネクタ(例えば、図15に示されるようなコネクタ5)を介して減衰装置の後ろチュービングに流体的に接続される。いくつかの態様において、減衰装置、ポンプ出口チュービング、コネクタおよび減衰装置の後ろチュービングは、流体的に接続されている。
【0096】
チュービングキットはまた、容器に流体的に接続されるように構成されたチュービングの第2の部分を含むことができる。チュービングの第2の部分の一例が、チュービング3の一部として図15に示されている。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分は、並列して流体的に接続されている。
【0097】
チュービング3の一部は、入口チュービング3a、ポンプチュービング3bおよび3c、ポンプ出口チュービング3d、ならびに減衰装置の後ろチュービング3eを含むことができる。入口チュービング3aは、流体源または容器に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、チュービングの第2の部分は、チュービングの第2の部分を流体源または容器に流体的に接続するためのコネクタ4を含むことができる。いくつかの態様において、チュービングの第2の部分を流体源または容器に流体的に接続するコネクタは、無菌コネクタであり得る。いくつかの態様において、容器からチュービングへの任意のコネクタが機能することができる。いくつかの態様において、容器は、第1の流体または組成物とは異なる第2の流体または組成物を含むことができる。いくつかの態様において、容器は、第1の流体または組成物と同じ流体または組成物を含むことができる。いくつかの態様において、第2の組成物は、例えば脂質またはRNAを収容する組成物を含む第2の薬学的組成物であり得る。いくつかの態様において、容器は、袋、瓶および/または器などの流体容器であり得る。
【0098】
チュービングの第2の部分は、チュービングの第3のセグメントおよびチュービングの第4のセグメントを含むことができる。いくつかの態様において、チュービングの第3のセグメントおよびチュービングの第4のセグメントは、並列して流体的に接続されている。例えば、図15に示すように、チュービングの第2の部分は、ポンプチュービング3bおよびポンプチュービング3cを含む。いくつかの態様において、チュービングの第3のセグメントは、蠕動式ポンプの第1のヘッドに接続または装着されるように構成されており、チュービングの第4のセグメントは、蠕動式ポンプの第2のヘッドに接続または装着されるように構成されている。いくつかの態様において、チュービングの第2の部分に接続または装着された蠕動式ポンプは、チュービングの第1の部分に接続または装着された蠕動式ポンプとは異なる。いくつかの態様においては、同じ蠕動式ポンプがチュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分に接続または装着される。したがって、チュービングの第1の部分は、蠕動式ポンプの1つまたは複数の第1のヘッドに接続または装着することができ、チュービングの第2の部分は、蠕動式ポンプの1つまたは複数の第2のヘッドに接続または装着することができる。
【0099】
いくつかの態様において、入口チュービング3aは、コネクタ5を介してポンプチュービング3bおよび3cに流体的に接続することができる。いくつかの態様において、入口チュービングをポンプチュービングに流体的に接続するコネクタは、Y字型コネクタまたは混合装置(例えば、静的、らせん状など)である。いくつかの態様において、ポンプチュービングは、図15に示されるように並列ポンプチューブに分割される必要はない。したがって、コネクタは必要でないことがあり得、入口チュービングおよびポンプチュービングは同じ1つのものであり得る。いくつかの態様において、チュービングの第2の部分は、第2の蠕動式ポンプに接続または装着されるように構成することができる。いくつかの態様において、蠕動式ポンプは、デュアルヘッド蠕動式ポンプなどのマルチヘッド蠕動式ポンプであり得る。いくつかの態様において、ポンプチュービング3bおよび3cは、第2の蠕動式ポンプに接続または装着される。例えば、蠕動式ポンプがデュアルヘッド蠕動式ポンプである場合、ポンプチュービング3bは1つのポンプヘッドに接続または装着することができ、ポンプチュービング3cは別のポンプヘッドに接続または装着することができる。2つより多くのヘッドを有するポンプにも同じロジックを使用することができる。いくつかの態様において、第2の蠕動式ポンプは、シングルヘッドの蠕動式ポンプである。したがって、ポンプチュービング3bまたは3cの一方のみが第2の蠕動式ポンプに接続もしくは装着されるか、または単一の入口チュービング/ポンプチュービングが第2の蠕動式ポンプに接続もしくは装着され得る。
【0100】
いくつかの態様において、第1の蠕動式ポンプは、第2の蠕動式ポンプと同じポンプであり、チュービングの様々な部分は、ポンプの別個のヘッドに接続または装着されるように構成されている。したがって、ポンプチュービング2bは第1のポンプヘッドに接続または装着することができ、ポンプチュービング2cは第2のポンプヘッドに接続または装着することができ、ポンプチュービング3cは第3のポンプヘッドに接続または装着することができ、ポンプチュービング3bは第4のポンプヘッドに接続または装着することができる。または、ポンプチュービング2bもしくは2cの一方のみを第1のポンプヘッドに接続もしくは装着することができ、または第1の単一の入口チュービング/ポンプチュービングを第1のポンプヘッドに接続もしくは装着することができ、およびポンプチュービング3bもしくは3cの一方のみを第2のポンプヘッドに接続もしくは装着することができ、または第2の単一の入口チュービング/ポンプチュービングを第2のポンプヘッドに接続もしくは装着することができる。
【0101】
いくつかの態様において、ポンプチュービングまたは入口/ポンプチュービングは、ポンプ出口チュービングに流体的に接続することができる。いくつかの態様において、ポンプチュービング3bおよび3cは、コネクタ5(例えば、Y字型コネクタ)を介してポンプ出口チュービング3dに流体的に接続される。いくつかの態様において、ポンプチュービングは、並列ポンプチューブに分割される必要はない。したがって、ポンプの後のコネクタは必要でないことがあり得、ポンプチュービングとポンプ出口チュービングは同じ1つのものであり得る。例えば、チュービングは、入口、ポンプおよびポンプ出口チュービングであり得る。
【0102】
いくつかの態様において、チュービングキットは、チュービングの第2の部分に流体的に接続された減衰装置を含むことができる。いくつかの態様において、減衰装置は、チュービングの第1の部分に流体的に接続されており、かつチュービングの第2の部分に流体的に接続されている。いくつかの態様において、減衰装置は、T字型コネクタ、4方向コネクタなどのコネクタを介して、チュービングの第1の部分および/またはチュービングの第2の部分に流体的に接続されている。
【0103】
減衰装置は、封入されたある体積の流体によって減衰が実行される任意の装置であり得る。いくつかの態様において、減衰装置内の流体の体積は、流量および/または露出した表面積に依存し得る。いくつかの態様において、減衰装置は、封入されたある体積の空気によって脈動を減衰させる。いくつかの態様において、減衰装置は、シリンジ減衰装置、膜減衰装置(例えば、柔軟膜減衰装置)またはチュービング減衰装置であり得る。いくつかの態様において、チュービング減衰装置は、減衰装置の一端がチュービングの第1の部分またはチュービングの第2の部分に流体的に接続され、減衰装置の他端が閉鎖されるような、デッドエンドチュービング減衰装置であり得る。いくつかの態様において、減衰装置の他端は、クランプ、エンドキャップによって閉鎖することができ、別の減衰ライン、または環境から気体を封入することができる別の部分に接続することができる。いくつかの態様において、チュービング減衰装置はシリコーンチューブから作製される。
【0104】
いくつかの態様において、チュービング減衰装置の一端は、チュービングの第1の部分に流体的に接続され、チュービング減衰装置の他端は、チュービングの第2の部分に流体的に接続され、それによってループチュービング減衰装置を形成する。いくつかの態様においては、チュービングの第1の部分および/または第2の部分からの最小限の流体が減衰装置に入らず、空気が減衰装置内に残存するように、ループチュービング減衰装置は、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分の上方にある。例えば、溶液が表面上で水平に流れている場合、ポンピング中に空気ポケットが液面より上に留まるように、減衰装置は意図された流体経路を超える高さで垂直に堆積させることができる。いくつかの態様において、ループチュービング減衰装置は、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分より上に配置し、または取り付けることができる。いくつかの態様において、ループチュービング減衰装置は、水平バー上に取り付けることができ、またはチュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分より上に貼り付ける(すなわち、テープで貼る)ことができる。
【0105】
チュービングの第2の部分は、コネクタを介して減衰装置に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、このようなコネクタは、T字型コネクタ、4方向コネクタまたは様々な他のタイプのコネクタであり得る。図15は、コネクタ6を介して減衰装置7に流体的に接続されたチュービング3の第2の部分を示す。具体的には、ポンプ出口チュービング3dは、コネクタ6を介して減衰装置7に流体的に接続されている。いくつかの態様において、チュービング3の第2の部分は、独自の第2の減衰装置に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、ポンプ出口チュービング2dは独自の減衰装置に流体的に接続されており、ポンプ出口チュービング3dはそれ独自の異なる減衰装置に接続されている。いくつかの態様において、減衰装置はまた、減衰装置の後ろチュービングに流体的に接続することができる。いくつかの態様において、ポンプ出口チュービングは、コネクタ(例えば、図15に示されるようなコネクタ5)を介して減衰装置の後ろチュービングに流体的に接続される。いくつかの態様において、減衰装置、ポンプ出口チュービング、コネクタおよび減衰装置の後ろチュービングは、流体的に接続されている。
【0106】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるチュービングキットは、チュービングの第1の部分からの第1の流体または組成物と、チュービングの第2の部分からの第2の流体または組成物とを混合するための混合装置を含むことができる。したがって、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分は、混合装置に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分およびチュービングの第2の部分は、減衰装置から下流で混合装置に流体的に接続されている。いくつかの態様において、チュービングの第1の部分の減衰装置の後ろチュービング(すなわち、チュービングの第1の混合装置入力部分)およびチュービングの第2の部分の減衰装置の後ろチュービング(すなわち、チュービングの第2の混合装置入力部分)は、混合装置に流体的に接続されている。いくつかの態様において、コネクタ(例えば、コネクタ6)は、減衰装置、チュービングの第1の部分およびチュービングの第1の混合装置入力部分を流体的に接続する。いくつかの態様において、コネクタ(例えば、コネクタ6)は、減衰装置、チュービングの第2の部分およびチュービングの第2の混合装置入力部分を流体的に接続する。いくつかの態様において、第1の減衰装置コネクタは、チュービングの第1の部分を減衰装置および混合装置に流体的に接続し、第2の減衰装置コネクタはチュービングの第2の部分を減衰装置および混合装置に流体的に接続する。
【0107】
いくつかの態様において、混合装置は、チュービングの第1の部分に流体的に接続された入力部と、チュービングの第2の部分に流体的に接続された入力部と、出力部とを含む。いくつかの態様において、混合装置は、Y字型コネクタ、らせん型混合装置または静的混合装置であり得る。いくつかの態様において、出力部はチュービング(例えば、出力チュービング8)に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、混合装置は、混合物容器(例えば、第1および第2の供給源混合物容器9)に流体的に接続された出力部を含む。混合物容器は、混合された第1の流体または組成物および第2の流体または組成物を混合装置から収集することができる。いくつかの態様において、混合物容器は、袋、瓶および/または器などの流体容器であり得る。
【0108】
いくつかの態様において、チュービングの第1の部分は、容器から混合物容器に第1の流体または組成物を圧送するための第1の蠕動式ポンプまたはポンプヘッドに接続または装着されるように構成される。いくつかの態様において、チュービングの第2の部分は、容器から混合物容器に第2の流体または組成物を圧送するための第2の蠕動式ポンプまたはポンプヘッドに接続または装着されるように構成される。いくつかの態様において、チュービングキットを通して圧送される流体または組成物は、例えば脂質またはRNAを収容する組成物を含む薬学的組成物である。本明細書に開示される薬学的組成物は、核酸(例えば、RNAまたはmRNAを含む)、1種以上の脂質、タンパク質、緩衝剤、小分子、アミノ酸および/またはポリペプチドを含むことができる。いくつかの態様において、核酸は、RNA(例えば、mRNAを含む)および/またはDNAであり得る。いくつかの態様において、1種以上の脂質は、リポソームまたはリポプレックスの形態であり得る。いくつかの態様において、薬学的組成物は、リポプレックスをともに形成する核酸および脂質を含む、個別化がんワクチンまたはRNAワクチンの成分であり得る。
【0109】
本明細書に開示されるチュービングキット、方法および/またはシステムは、流体が1つまたは2つの源から来る蠕動式ポンプからの流量の脈動または振動を低減するための減衰装置を含む。いくつかの態様において、流体が1つまたは2つの源から来る蠕動式ポンプとともに使用される本明細書に開示されるチュービングキット、方法および/またはシステムの脈動のレベル(「LoP」)は、約40未満、約35未満、約30未満、約25未満、約20未満、約15未満、約12未満、約10未満、約9未満、約8未満、約7未満、約6未満、約5未満、約4未満、約3未満、約2未満または約1未満である。いくつかの態様において、流体が1つまたは2つの源から来る蠕動式ポンプとともに使用される本明細書に開示されるチュービングキット方法および/またはシステムの脈動のレベル(「LoP」)は、約7~約40または約10~約20である。いくつかの態様において、流体が1つまたは2つの源から来る蠕動式ポンプとともに使用される本明細書に開示されるチュービングキット方法および/またはシステムの脈動のレベル(「LoP」)は、約7、約8、約10、約15,約20または約25であり得る。
【0110】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるチュービングキット、方法および/またはシステムを使用する、流体が1つまたは2つの源から来る蠕動式ポンプの脈動の減少のレベル(「LoP」)は、本明細書に記載される減衰装置を欠く、流体が1つまたは2つの源から来る蠕動式ポンプのLoPと比較して、約98%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%または約20%である。
【0111】
実施例および説明の大部分は、薬学的組成物および製剤に対して減衰装置を使用することを論じているが、本明細書に開示される減衰装置およびポンプシステムは、薬学的組成物および製剤における使用に限定されない。例えば、本明細書に開示されるポンプシステムは、一貫した流量を有することが有利であり得る場合に、蠕動式ポンプを使用して作業を満たすか、または単に容器間で溶液を移動させるために使用することができる。本明細書に開示されるシステムは、ピストン、隔膜、ねじなどを含むがこれらに限定されない蠕動式ポンプ以外の任意のポンプとともに、任意の流量で、任意の種類の減衰装置ならびに任意のチュービング寸法およびチュービング材料(例えば、パイプ、プラスチック、ステンレス)とともに使用することができる。いくつかの態様においては、チュービングシステムは製品に接触するので、チュービングシステムは、使用(sue)前に滅菌することができる。このような滅菌は、オートクレーブ、ガンマ線などを用いて行うことができる。
【0112】
IV.流体圧式脈動減衰装置
上で説明したように、蠕動式ポンプなどの循環ポンプシステムを使用すると、圧力および流量の変動がポンプの下流の流体経路で発生し得る。このいわゆる脈動は、閉じ込められた流体(例えば、気体)クッションの圧縮によって脈動を吸収して、低減された脈動および安定した滑らかな流体の流れをもたらすことができる流体圧式脈動減衰装置(HPPD)を含む様々な技術的解決策を使用することによって低減することができる。
【0113】
初期の実験では、この概念は、脈動を吸収するための圧縮可能な気体(例えば、空気)を捕捉するために、圧送される流体(例えば、水)中に浸漬された入口および出口を有するガラス瓶を使用して有効であることが示された。この概念を図19に示す。無菌製造シナリオをシミュレートするために、500mLの実験用ボトルから作製されたHPPDを様々な流量で試験し、一定の圧力まで上昇し、ポンプの停止後にその圧力から下降するのに必要とされる時間(すなわち、流体経路圧力を正常化するために必要とされる時間)にわたって評価した。図20は、流体(水)リザーバ、蠕動式ポンプ、2つのポート(そのうちの1つは圧送可能な流体中に浸漬されている)からなるキャップで閉じられた500mLの実験用フラスコ、および流体経路の出口に位置する収集容器からなる初期のHDDP装置を示す。図21に示されるように、より低い流量では、より高い流量において上昇時間および下降時間が同等に留まった約150mL/分の流量まで、圧力を増大させる時間は急速に増加した。これは、それぞれ、一定の圧力まで増大させるのに約75秒、圧力を消失させてゼロに戻すのに約40秒であった。
【0114】
このガラス瓶減衰装置については、変位速度に対する残留背圧の影響も測定された。図22は、HPPDシステムを加圧および減圧するためにかなりの時間が必要とされるが、HPPD一体型システムの実際の変位は一定であり、ポンプから出口に至る単純な設定と同等であることを確認する。
【0115】
圧力差に対するボトルサイズの影響も調査した。具体的には、250~2000mLのサイズの実験用ボトルを使用して作製されたHPPDを通して一定の速度で圧送することによって、空気ポケットサイズの影響を調査した。図23は、空気体積が小さいほど、入口での背圧がより高くなるが、ポンプを出口に直接接続することと比較してHPPD装置全体で圧力損失がより低くなることを実証している。この圧力損失は、出口での流れの滑らかさに影響を及ぼさないことが観察された。
【0116】
HPPDの単回使用設計の概念を試験するために、実験用フラスコ中にライナーを挿入し、それによって各使用後に接触面および流体経路を交換することを可能にした。これを図24に示す。図25に示されるように、このライナーの追加は、柔軟なライナーの増加した柔軟性のために、HPPDのスループットを大幅に低下させることが分かった。ライナー減衰装置(すなわち、ブラダー減衰装置)は、流体流の正常化に関しても良好に機能し、ライナー減衰装置はポンピング過程中に流体流が空気と接触しないようにするので有利であった。しかしながら、ポンプが停止された後の残留圧力および流体流出の形態でのポンピング効率の著しい低下は、システムに効率の著しい低下を引き起こした。
【0117】
したがって、ガラス瓶減衰装置は、脈動を首尾よく低減することが実証された。さらに、ガラス瓶減衰装置は、比較的大きな一般的に入手可能な実験用ボトルが、システムの圧縮可能性を増大させることができ、それ故、エネルギー損失を通じて出口圧力を低下させることができる大きなデッドボリュームおよび大きな空気ポケットをもたらすことができるという利点を有していた。欠点は、ライナーがないと、ガラス瓶が単回使用に適合せず、事前の組み立てが必要になることであった。さらに、システムを平衡化し、停止させるために長い呼び水時間と流出時間が必要とされ、その結果、大きなデッドボリュームをもたらした。
【0118】
デッドボリュームをさらに減少させ、堅牢な単回使用の優良医薬品製造基準(GMP)設計を達成するために、ガラス瓶を図26に示される50mLのFLEXBOY(登録商標)バイオプロセシングバッグなどのバイオプロセシングバッグに交換した。FLEXBOY(登録商標)バッグは、位置を高くした入口チューブを含むように改変することができる。この入口チューブの入口は、図26に示されるように、バッグの周囲から離れてバッグの中央に向かうように堆積させることができる。対照的に、気体入口(例えば、無菌空気、窒素気体)および出口は、バッグの周囲に堆積させることができる。バイオプロセシングバッグへの入口チューブをバッグの中央に向かって堆積させることは、背圧が高い場合に、圧送された流体の逆流洗浄が起こらないようにするのに役立ち得る。さらに、気体入口は、バッグに気体クッションを予め充填してHPPDの呼び水効率を改善するために、ガスの挿入を可能にすることができる。
【0119】
バッグに剛性を加え、ポンプ流量および圧力の増加に伴うバッグの膨張を最小限に抑え、それによって圧送される流体の通過流を改善するために、図27に示されるように紙箱から試作のケーシングも作製した。具体的には、図27に示されるように、FLEXBOY(登録商標)バッグを紙箱ケーシング内に固定した。これは、バッグがそれ以上膨張することができないようにし、気体クッションを作製できるようにするのに役立った。これは、デッドボリュームの減少およびより短いプライマー時間をもたらすのに役立ち得ることが見出された。しかしながら、紙箱の材料が弱いため、HPPDはある一定の圧力までしか安定的でなかった。したがって、出願人は、紙箱をより剛性の高い筐体と交換することを発見した。
【0120】
具体的には、図28Aは、流体ポンプ用の脈動減衰装置100の分解立体図を示す。いくつかの態様において、脈動減衰装置は、バイオプロセシングバッグ102を含むことができる。バイオプロセシングバッグは、FLEXBOY(登録商標)バッグとすることができる。例えば、バイオプロセシングバッグは、50mLのFLEXBOY(登録商標)バッグであり得るが、他のサイズのバイオプロセシングバッグ(例えば、5mL~50Lのいずれも)も使用することができる。バイオプロセシングバッグは、流体入口105および流体出口106を含むことができる。いくつかの態様において、流体入口および/または流体出口はチュービングに流体的に接続することができる。いくつかの態様において、流体入口および/または流体出口は、チュービング自体を含むことができる。いくつかの態様において、流体入口および/もしくは流体出口または流体入口/出口に接続された流体チュービングは、図26に示されるように、バッグの周囲から離れてバッグの中央に向かうように堆積させることができる。いくつかの態様において、流体入口は、循環ポンプ(例えば、蠕動式ポンプ)などの流体ポンプの下流に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、流体出口は、流体貯蔵容器に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、流体出口は逆止め弁を含むことができる。いくつかの態様において、逆止め弁は、約0.05~0.5バール、約0.05~0.4バール、約0.05~0.3バール、約0.1~0.2バールまたは約0.14バールのブレークスルー抵抗を有することができる。
【0121】
いくつかの態様において、バイオプロセシングバッグは気体入口107を含むことができる。気体入口は、気体源に流体的に接続されるように構成することができる。いくつかの態様において、気体源は空気(例えば、無菌空気)および/または窒素である。気体入口は、バッグが脈動減衰用の気体クッションを含むように、バイオプロセシングバッグに気体を供給することができる。
【0122】
いくつかの態様において、脈動減衰装置100は、筐体101を含むことができる。図28Bは、脈動減衰装置の他の構成要素なしで筐体101を示す。筐体は、バイオプロセシングバッグを受容するように構成することができる。いくつかの態様において、筐体は基部111を含むことができる。基部は基板とすることができる。いくつかの態様において、筐体は、複数の側壁104を含むことができる。いくつかの態様において、複数の側壁は、基部の周囲に沿って基部から離れるように延びることができる。いくつかの態様において、複数の側壁は、基部の周囲に接続することができる。いくつかの態様において、複数の側壁および基部は、単一の一体化した構成要素とすることができる。いくつかの態様において、基部および複数の側壁は、バイオプロセシングバッグを受容/保持するように構成された空洞を形成することができる。
【0123】
いくつかの態様において、筐体の側壁の少なくとも1つは、1つ以上の切り込み108を有することができる。図28Bに示されるように、筐体101は、側壁104に3つの切り込み108を含む。1つまたは複数の切り込みは、筐体の少なくとも1つの側壁中への窪みまたは凹部とすることができる。いくつかの態様において、1つ以上の切り込みは、バイオプロセシングバッグの流体入口、流体出口および/または気体入口へのアクセスを提供するように構成することができる。いくつかの態様において、1つ以上の切り込みは、バイオプロセシングバッグの流体入口、流体出口および/または気体入口を受容するように構成することができる。以下でより詳細に説明されているように、筐体は、筐体蓋を介して閉じることができる。したがって、バイオプロセシングバッグにアクセスする任意の流体または流体チュービングは、筐体の側壁の少なくとも1つの1つ以上の切り込みを通って入る/出ることができる。
【0124】
いくつかの態様において、筐体は窓110を含むことができる。いくつかの態様において、筐体の基部は窓を含むことができる。いくつかの態様において、窓は、筐体の基部中の開口部とすることができる。いくつかの態様において、窓は、筐体の基部中の透明材料(例えば、ガラスまたは透明プラスチック)とすることができる。窓は、使用中にバイオプロセシングバッグの目視検査を可能にすることができる。
【0125】
いくつかの態様において、減衰装置100は、筐体蓋103を含むことができる。バイオプロセシングバッグが筐体および筐体蓋によって包まれるように、筐体は、筐体を閉じるように構成することができる。いくつかの態様において、筐体蓋は、筐体の複数の側壁に取り付けられるように構成される。いくつかの態様において、筐体蓋は、任意の取り付け機構(例えば、とりわけ、接着剤、ねじ、釘、ボルト、ベルクロ、クリップ(図28Cに示されているような)、ロック機構)を介して筐体に取り付けることができる。いくつかの態様において、筐体蓋が筐体用のドア(すなわち、ヒンジ機構)として作用するように、筐体蓋は少なくとも1つの側壁に取り付けることができる。いくつかの態様において、筐体蓋は窓を含むことができる。いくつかの態様において、窓は、筐体蓋中の開口部とすることができる。筐体の基部中の任意の窓と同様に、窓は、筐体の基部中の透明材料(例えば、ガラスまたは透明プラスチック)とすることができる。
【0126】
いくつかの態様において、減衰装置100は前板109を含むことができる。いくつかの態様において、前板は、筐体101および/または筐体蓋103の少なくとも1つの側壁104に接続することができる。前板は、バイオプロセシングバッグの流体入口、流体出口および/または気体入口を受容するように構成された少なくとも1つの開口部を含むことができる。前板は、バイオプロセシングバッグの入口/出口または対応するチュービングの任意が確実に減衰装置100の筐体内の所定の位置に保持されるようにするために含めることができる。いくつかの態様においては、前板は、バイオプロセシングバッグの入口/出口または対応するチュービングがその使用全体を通じて確実に一定の均一な圧力下にあるようにするために含めることができる。
【0127】
いくつかの態様において、筐体および/または筐体蓋は、剛性材料(例えば、プラスチック/ポリマー、金属、セラミック)で作ることができる。いくつかの態様において、筐体および/または筐体蓋は、3D印刷することができる。いくつかの態様において、減衰装置100の内部寸法は、90×80×10mmとすることができ、50mLのFLEXBOY(登録商標)バイオプロセシングバッグに適合するように設計することができる。この減衰装置は、流量の変動を最小限に抑制するために気体状クッションを用いて、発生する脈動を吸収することができる流体流システム用の単回使用組立品とすることができる。いくつかの態様において、デッドボリュームは、筐体内のバイオプロセシングバッグの高さでの相対的位置に依存し得る。したがって、減衰装置の高さは、流体経路の必要条件(例えば、流量および流速、ポンプヘッドによって生成される脈動の大きさ、システムの背圧など)に対して一定のデッドボリュームおよび/または最適な減衰効果を確保するように定めることができる。
【0128】
脈動減衰装置は、以下の2つの流体を含むことができる。(1)変位される脈動する流体(例えば、水);および(2)圧縮可能な流体(例えば、空気)。変位される流体がバイオプロセシングバッグを通って圧送されると、捕捉された圧縮可能な流体は、変位される流体内の脈動を吸収することができ、安定した脈動のない流れでのみ圧送することができる。
【0129】
本セクションに開示されている減衰装置の脈動減衰能力は、減衰装置ありおよびなしの蠕動式ポンプ、ならびにシリンジポンプを使用した基準設定を使用して、異なる流量で体系的に試験された。以下でより詳細に説明されるように、減衰装置は、脈動がないと仮定されるシリンジポンプシステムで達成されるレベルよりさらに低いレベルまで脈動を著しく減少させることが示された。
【0130】
図29Aは、3.6mmの内径を有するチュービングを使用する蠕動式ポンプの装置を示す。脈動は、0.1秒の時間分解能および0.8mL/分の値分解能を有する超音波流量センサ(Levitronix)を用いて測定した。水をシステムに圧送した。図29Aは、100秒の合計期間にわたる試験されたシステムの流れプロファイルも示す。システムは、蠕動式ポンプおよび流量センサからなった。試験した流量は、50、60、70および100mL/分であった。蠕動式ポンプの回転に起因して高い脈動が観察された。
【0131】
図29Bは、3.6mmの内径を有するチュービングを使用するシリンジポンプからなる装置を示す。脈動は、0.1秒の時間分解能および0.8mL/分の値分解能を有する超音波流量センサを用いて測定した。水をシステムに圧送した。図29Bは、100秒の合計期間にわたる試験されたシステムの流れプロファイルも示す。試験した流量は、50、60、70および100mL/分であり、低い脈動が測定された。
【0132】
図29Cは、3.6mmの内径を有するチュービングを使用する蠕動式ポンプと、これに接続された本明細書に開示されるHPPD減衰装置とからなる装置を示す。HPPD減衰装置の出口を、0.14バールのブレークスルー抵抗を有する逆止め弁に接続した。脈動は、0.1秒の時間分解能および0.8mL/分の値分解能で超音波流量センサを用いて測定した。水をシステムに圧送した。図29Cは、HPPD減衰装置を用いた流れプロファイルも示す。図示されるように、著しい減少した脈動(より低い振幅)が存在した。HPPD効果が、首尾よく(数値的に)観察された。さらに、HPPD装置は、シリンジポンプよりさらに低い流量の変動をもたらした。
【0133】
この強固な減衰装置を試験するために、図30に示されるように、本セクションに開示されているHPPD減衰装置とCole-Parmer HPPDとの間で比較可能性研究を行った。Cole-Parmer HPPDの減衰原理は、閉じ込められた空気ポケットの圧縮に基づいている。具体的には、Cole-Parmer HPPDの内部体積は約190mLである。圧送している間のデッドボリュームは約40~50mLである。これは、50mLバイオプロセシングバッグを使用しながら、本セクションに開示されているHPPD減衰装置と比較すると、より高いデッドボリュームである。さらに、Cole-Parmer HPPDは、呼び水を行うのにより時間がかかり、脈動減衰効果を生み出すために固定された水平位置に配置されなければならない。対照的に、本セクションに開示されたHPPD装置は、水平である必要はなく、使用中に任意の方向に向けることができる。以下でより詳細に説明されているように、本セクションに記載されているHPPD減衰装置は、Cole-Parmer HPPDと比較すると、様々な流量でさらに高い減衰効率を示しながら、はるかに小さく、より予測可能なデッドボリュームおよび低下した呼び水時間を有する。
【0134】
図31Aは、100秒の合計期間にわたるCole-Parmer HPPDを用いた流れプロファイルを示す。システムは、蠕動式ポンプ、Cole-Parmer HPPDおよび流量センサからなる。50、60、70および100mL/分の試験流量で水を圧送した。水は、蠕動式ポンプを用いて、3.6mmの内径を有するチュービングを通して圧送した。脈動は、0.1秒の時間分解能および0.8mL/分の値分解能を有する超音波流量センサを用いて測定した。
【0135】
図31Bは、100秒の合計期間にわたる試験されたシステム(図29C)の流れプロファイルを示す。水は、50、60、70および100mL/分の流量で試験した。水は、蠕動式ポンプを用いて、3.6mmの内径を有するチュービングを通して圧送した。HPPDの出口に、0.14バールのブレークスルー抵抗を有する逆止め弁を接続した。再び、脈動は、0.1秒の分解能および0.8mL/分の値分解能を有する超音波流量センサを用いて測定した。Cole-Parmerと本セクションに開示されているHPPDとの間で脈動減衰の有意な差は見られなかった。
【0136】
次に、システムがその動作平衡に達したときに、呼び水後の圧送流量の関数として、充填体積および圧力を記録した。本明細書に開示されるHPPD減衰装置のデッドボリュームは、約70mL/分以上の流量に達した後も一定を保ち得ることが示された。試験するために、本セクションに開示されているHPPD減衰装置に接続された蠕動式ポンプで水を圧送した。HPPD減衰装置の入口上および0.14バールの抵抗を有する逆止め弁を有する出口上に、圧力センサを設置した。流量は、0.1秒の時間分解能および0.8mL/分の値分解能を有する超音波流量センサを用いて測定した。
【0137】
図32は、増加する流量に伴う、本セクションに開示されるHPPD減衰装置のデッドボリュームおよび減衰装置入口での圧力を示す。具体的には、減衰装置の入口における圧力は、流量に比例して増加する。デッドボリュームは70mL/分の流量で安定する。デッドボリュームは、バイオプロセシングバッグの総容積を低下させることによって減少させることができる。しかしながら、強固な筐体は、安定した減衰効果を達成するという大きな役割を果たした。デッドボリュームおよび圧力に影響を及ぼし得る追加のパラメータは、ポンプ、減衰装置および流体容器の相対位置によって調整することができる動圧の変化であり得る。動圧の変化は、減衰装置内の圧力平衡に影響を及ぼすことができ、したがって減衰装置内のデッドボリュームに影響を及ぼすことができる。この効果は、より高い流量(例えば、200mL/分)では無視できるものであり得る。別のパラメータは、起点の流体容器、ポンプおよび減衰装置の間の空のチュービングの容積であり得る。減衰装置内部の空気の量は、システムの最初の充填工程が行われている間に減衰装置内に圧送される空のチュービング内の空気の体積によって決定することができる。図32では、菱形の記号はデッドボリュームの値を表し、正方形は測定された圧力を表す。
【0138】
次に、脈動に対するチュービング直径および長さの影響を調べた。減衰効果は、シリコーンチュービングの弾性による脈動の吸収によって得られる。蠕動式ポンプを使用して、一定流量で3つの異なるチュービング直径を調査した。チュービング直径が減少するにつれて、測定された脈動が有意に低下することが示された。測定するために、1メートルの一定の長さを有する異なる内径のチュービングに接続された蠕動式ポンプ(モデルWatson Marlow 323)で水を圧送した。チュービングの内径が増加するにつれて、一定の流束を達成するためにポンピングRPMが減少した。脈動は、MASTERFLEX(登録商標)超音波流量センサを用いて20msの測定間隔で測定した。分析のために、設定ごとに300個の測定点を分析し、算術平均および標準偏差を計算した。流量標準偏差の低下は、改善された脈動減衰を示す。
【0139】
図33Aは、1.6mmの内径、1メートルの固定長を有するチュービングに対する、285rpmのポンプ速度での脈動の調査を示す。算術平均は75.6mL/分であり、標準偏差は3.4mL/分である。図33Bは、3.2mmの内径、1メートルの固定長を有するチュービングに対する、70rpmのポンプ速度での脈動の調査を示す。算術平均は77.3mL/分であり、標準偏差は6.7mL/分である。図33Cは、6mmの内径、1メートルの固定長を有するチュービングに対する、20rpmのポンプ速度での脈動の調査を示す。算術平均は77.3mL/分であり、標準偏差は6.7mL/分である。より小さいチュービング内径およびそれぞれのより高い圧送速度を使用すると、流量の標準偏差が有意に減少し、同時に脈動が低下した。
【0140】
次に、チュービングの長さを増加させることの脈動減衰効果を調査した。これは、チュービング直径の低下に加えて、チュービングの長さを増加させることが、脈動をさらに低下させることができることを実証することができる。しかしながら、これは増加した圧力損失をもたらす。試験のために、異なるチュービング長さおよび1.6mmの一定の内径に接続された蠕動式ポンプを用いて水を圧送した。高い背圧のため、他の設定と同等の流量に達するために、20メートルのチュービング長ではポンピングRPMを増加させた。脈動は、超音波流量センサを用いて20msの測定間隔で測定した。分析のために、設定ごとに300個の測定点を分析し、算術平均および標準偏差を計算した。流量標準偏差の低下は、改善された脈動減衰を示す。
【0141】
図34Aは、1メートルの固定長、1.6mmの内径および285rpmのポンプ速度を有するチュービングに対する脈動の調査を示す。算術平均は75.6mL/分であり、標準偏差は3.4mL/分である。図34Bは、2メートルの固定長、1.6mmの内径、285rpmのポンプ速度を有するチュービングに対する脈動の調査を示す。算術平均は77.7mL/分であり、標準偏差は2.0mL/分である。図34Cは、20メートルの固定長、1.6mmの内径および400rpmのポンプ速度を有するチュービングに対する脈動の調査を示す。算術平均は85.8mL/分であり、標準偏差は1.6mL/分である。より長いチュービングおよびそれぞれのより高い圧送速度を使用すると、流量の標準偏差を有意に減少させ、脈動を低減することができる。本明細書に開示されるHPPD減衰装置を利用することと比較して、デッドボリュームをさらに減少させることができ、脈動減衰のためのチュービングのみを使用する場合、別個の呼び水工程をスキップすることができる。しかしながら、チュービングの延長された長さにわたる圧力損失は、HPPD減衰装置を利用するときよりもはるかに大きかった。
【0142】
上記の実験に使用した器具を以下の表に示す:
【0143】
V.RNAワクチン
本開示の特定の局面は、個別化がんワクチン(PCV)を含む薬学的組成物の生産、混合または製造に関する。いくつかの態様において、PCVは、例えばmRNAワクチンを含むRNAワクチンである。例示的なRNAワクチンの特徴を以下に記載する。いくつかの態様において、本開示は、以下に記載されるRNAワクチンの特徴/配列の1つ以上を含むRNAポリヌクレオチドまたはRNA分子を提供する。いくつかの態様において、RNAポリヌクレオチドまたはRNA分子は一本鎖mRNAポリヌクレオチドである。他の態様において、本開示は、以下に記載されるRNAワクチンの特徴/配列の1つ以上を含むRNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドを提供する。
【0144】
個別化がんワクチンは、潜在的な免疫刺激活性を有すると同定された個別化ネオ抗原(すなわち、患者のがんにおいて特異的に発現される腫瘍関連抗原(TAA))を含む。本明細書に記載の態様において、PCVは核酸、例えばメッセンジャーRNAである。したがって、理論に拘束されることを望むものではないが、投与されると、個別化がんワクチンは、抗原提示細胞(APC)によって取り込まれ、翻訳され、発現されたタンパク質は、APCの表面上の主要組織適合複合体(MHC)分子を介して提示されると考えられる。これは、TAAを発現するがん細胞に対する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)およびメモリーT細胞依存性免疫応答の両方の誘導をもたらす。
【0145】
PCVは、典型的には、複数のネオ抗原エピトープ(「ネオエピトープ」)、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、28個、29個もしくは30個のネオエピトープ、または少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、28個、29個もしくは30個のネオエピトープを含み、任意に個々のネオエピトープ間にリンカー配列を有する。いくつかの態様において、本明細書で使用されるネオエピトープは、患者のがんに特異的であるが、患者の正常細胞には見られない新規エピトープを指す。いくつかの態様において、ネオエピトープは、MHCに結合した場合にT細胞に提示される。いくつかの態様において、PCVは、5’mRNAキャップ類縁体、5’UTR、シグナル配列、抗原発現を促進するドメイン、3’UTR、および/またはポリA尾部も含む。いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異から生じる10~20個のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する少なくとも5のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する5~20のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する5~10のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。
【0146】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、アミノ酸リンカーをコードする1種以上のポリヌクレオチド配列を含む。例えば、アミノ酸リンカーは、2つの患者特異的ネオエピトープ配列の間、患者特異的ネオエピトープ配列と融合タンパク質タグ(例えば、MHC複合体ポリペプチドに由来する配列を含む)の間、または分泌シグナルペプチドと患者特異的ネオエピトープ配列の間で使用することができる。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は複数のリンカーをコードする。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する5~20個のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含み、各エピトープをコードするポリヌクレオチドは、リンカー配列をコードするポリヌクレオチドによって分離されている。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する5~10個のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含み、各エピトープをコードするポリヌクレオチドは、リンカー配列をコードするポリヌクレオチドによって分離されている。いくつかの態様において、リンカー配列をコードするポリヌクレオチドはまた、N末端融合タグ(例えば、分泌シグナルペプチド)をコードするポリヌクレオチドとネオエピトープのうちの1つをコードするポリヌクレオチドとの間、および/またはネオエピトープのうちの1つをコードするポリヌクレオチドとC末端融合タグ(例えば、MHCポリペプチドの一部を含む)をコードするポリヌクレオチドとの間に存在する。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子によってコードされる2つ以上のリンカーは、異なる配列を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、複数のリンカーをコードし、そのすべてが同じアミノ酸配列を共有する。
【0147】
様々なリンカー配列が当技術分野で公知である。いくつかの態様において、リンカーは柔軟なリンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、G、S、Aおよび/またはT残基を含む。いくつかの態様において、リンカーはグリシン残基およびセリン残基からなる。いくつかの態様において、リンカーは、約5~約20アミノ酸長または約5~約12アミノ酸長、例えば、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19または約20アミノ酸長である。いくつかの態様において、リンカーは、配列GGSGGGGSGG(配列番号21)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子のリンカーは、配列GGCGGCUCUGGAGGAGGCGGCUCCGGAGGC(配列番号19)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子のリンカーは、配列GGCGGCTCTGGAGGAGGCGGCTCCGGAGGC(配列番号20)を含むDNAによってコードされる。
【0148】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、5’キャップを含む。基本的なmRNAキャップ構造は、2つのヌクレオシド(例えば、2つのグアニン)と遠位グアニン上の7-メチル基、すなわち、mGpppGとの間に5’-5’三リン酸結合を含むことが知られている。例示的なキャップ構造は、例えば、米国特許第8,153,773号および同第9,295,717号、ならびにKuhn,A.N.ら(2010)Gene Ther.17:961-971に見ることができる。いくつかの態様において、5’キャップは、構造m 7,2’-OGpppGを有する。いくつかの態様において、5’キャップはβ-S-ARCAキャップである。S-ARCAキャップ構造は、(例えば、mGのC2’位に)2’-Oメチル置換およびリン酸基の1つ以上にS置換を含む。いくつかの態様において、5’キャップは、以下の構造を含む:
【0149】
いくつかの態様において、5’キャップは、β-S-ARCAのD1ジアステレオ異性体(例えば、米国特許第9,295,717号を参照)である。上記構造中の*は、2つのジアステレオ異性体(D1およびD2と命名)中に存在することができるステレオジェニックP中心を示す。β-S-ARCAまたはβ-S-ARCAのD1ジアステレオマー(D1)は、β-S-ARCAのD2ジアステレオマー(β-S-ARCA(D2))と比較してHPLCカラムで最初に溶出し、したがってより短い保持時間を示すβ-S-ARCAのジアステレオマーである。HPLCは、好ましくは分析HPLCである。一態様において、好ましくは以下のフォーマット:5μm、4.6×250mmのSupelcosil LC-18-T RPカラムが分離のために使用され、1.3ml/分の流量を適用することができる。一態様において、15分以内の酢酸アンモニウム中のメタノールの勾配、例えば0.05M酢酸アンモニウム中のメタノール、pH=5.9の0~25%の直線勾配が使用される。UV検出(VWD)は260nmで行うことができ、蛍光検出(FLD)は280nmでの励起および337nmの検出で行うことができる。
【0150】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、5’UTRを含む。mRNA中のタンパク質コード配列に対して5’に見出される特定の非翻訳配列は、翻訳効率を高めることが示されている。例えばKozak,M.(1987)J.Mol.Biol.196:947-950を参照されたい。いくつかの態様において、5’UTRは、ヒトアルファグロビンmRNAからの配列を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、UUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号5)の5’UTR配列を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の5’UTR配列は、配列TTCTTCTGGTCCCCACAGACTCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号6)を含むDNAによってコードされる。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の5’UTR配列は、配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号3)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の5’UTR配列は、配列GGCGAACTAGTATTCTTCTGGTCCCCACAGACTCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号4)を含むDNAによってコードされる。
【0151】
本明細書において提供される方法のいくつかの態様において、例示的RNAワクチンの定常領域は、配列番号24のリボヌクレオチド配列(5’→3’)を含む。最初の2つのG残基間の結合は、例えば、5’キャッピング構造について表6および図18に示されるような異常な結合(5’→5’)-ppp-である。「N」は、(任意のリンカーによって分離された)1つ以上の(例えば、1~20の)ネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列の位置を指す。腫瘍特異的配列の挿入部位(C131~A132;太字でマークする)を太字で示す。例示的なRNA配列中の修飾塩基および一般的でない連結については表6を参照されたい。
【0152】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。当技術分野で公知のように、分泌シグナルペプチドは、翻訳時にポリペプチドを小胞体から分泌経路に輸送するように指示するアミノ酸配列である。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、MHCポリペプチド等のヒトポリペプチドに由来する。例えば、ヒト樹状細胞におけるMHCクラスIおよびIIエピトープのプロセシングおよび提示を改善する例示的な分泌シグナルペプチドを記載するKreiter,S.ら(2008)J.Immunol.180:309-318を参照されたい。いくつかの態様において、翻訳時に、シグナルペプチドは、RNAワクチンによってコードされる1種以上のネオエピトープ配列に対してN末端にある。いくつかの態様において、分泌シグナルペプチドは、配列MRVMAPRTLILLLSGALALTETWAGS(配列番号9)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の分泌シグナルペプチドは、配列AUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号7)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の分泌シグナルペプチドは、配列ATGAGAGTGATGGCCCCCAGAACCCTGATCCTGCTGCTGTCTGGCGCCCTGGCCCTGACAGAGACATGGGCCGGAAGC(配列番号8)を含むDNAによってコードされる。
【0153】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、少なくとも膜貫通および細胞質ドメインの一部をコードするポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様において、膜貫通および/または細胞質ドメインは、MHC分子の膜貫通/細胞質ドメインに由来する。「主要組織適合複合体」という用語および略語「MHC」は、すべての脊椎動物で生じる遺伝子の複合体に関する。正常な免疫応答におけるリンパ球と抗原提示細胞との間のシグナル伝達におけるMHCタンパク質または分子の機能は、それらがペプチドに結合し、T細胞受容体(TCR)による可能な認識のためにそれらを提示することを含む。MHC分子は、細胞内プロセシング区画内のペプチドに結合し、抗原提示細胞の表面上のこれらのペプチドをT細胞に提示する。HLAとも呼ばれるヒトMHC領域は、6番染色体上に位置し、クラスI領域およびクラスII領域を含む。クラスIアルファ鎖は、約44kDaの分子量を有する糖タンパク質である。このポリペプチド鎖は、350アミノ酸残基を幾分超える長さを有する。これは、3つの機能的領域、すなわち外部、膜貫通および細胞質領域に分けることができる。外部領域は、283アミノ酸残基の長さを有し、アルファ1、アルファ2およびアルファ3の3つのドメインに分けられる。これらのドメインおよび領域は、通常、クラスI遺伝子の別個のエクソンによってコードされる。膜貫通領域は、原形質膜の脂質二重層に及ぶ。これは、通常、アルファヘリックスに配置された23個の疎水性アミノ酸残基からなる。細胞質領域、すなわち細胞質に面し、膜貫通領域に接続している部分は、典型的には32アミノ酸残基の長さを有し、細胞骨格の要素と相互作用することができる。アルファ鎖は、ベータ2-ミクログロブリンと相互作用し、したがって、細胞表面上にアルファ-ベータ2二量体を形成する。「MHCクラスII」または「クラスII」という用語は、主要組織適合複合体クラスIIタンパク質または遺伝子に関する。ヒトMHCクラスII領域内には、クラスIIα鎖遺伝子およびβ鎖遺伝子のDP、DQおよびDRサブ領域が存在する(すなわち、DPα、DPβ、DQα、DQβ、DRαおよびDRβ)。クラスII分子は、それぞれアルファ鎖およびベータ鎖からなるヘテロ二量体である。両方の鎖は、31~34kDa(a)または26~29kDA(ベータ)の分子量を有する糖タンパク質である。アルファ鎖の全長は229~233アミノ酸残基まで変動し、ベータ鎖の全長は225~238残基まで変動する。アルファ鎖およびベータ鎖はいずれも、外部領域、接続ペプチド、膜貫通領域および細胞質尾部からなる。外部領域は、2つのドメイン、アルファ1およびアルファ2、またはベータ1およびベータ2からなる。接続ペプチドは、それぞれアルファ鎖およびベータ鎖中のベータおよび9残基長である。接続ペプチドは、アルファ鎖およびベータ鎖の両方において23アミノ酸残基からなる膜貫通領域に2つのドメインを接続する。細胞質領域、すなわち細胞質に面し、膜貫通領域に接続している部分の長さは、アルファ鎖では3~16残基、ベータ鎖では8~20残基で変化する。例示的な膜貫通/細胞質ドメイン配列は、米国特許第8,178,653号および同第8,637,006号に記載されている。いくつかの態様において、翻訳時に、膜貫通および/または細胞質ドメインは、RNAワクチンによってコードされる1種以上のネオエピトープ配列のC末端にある。いくつかの態様において、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインは、配列IVGIVAGLAVLAVVVIGAVVATVMCRRKSSGGKGGSYSQAASSDSAQGSDVSLTA(配列番号12)を含む。いくつかの態様において、MHC分子の膜貫通および/または細胞質ドメインは、配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCC(配列番号10)を含む。いくつかの態様において、MHC分子の膜貫通および/または細胞質ドメインは、配列ATCGTGGGAATTGTGGCAGGACTGGCAGTGCTGGCCGTGGTGGTGATCGGAGCCGTGGTGGCTACCGTGATGTGCAGACGGAAGTCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCTACAGCCAGGCCGCCAGCTCTGATAGCGCCCAGGGCAGCGACGTGTCACTGACAGCC(配列番号11)を含むDNAによってコードされる。
【0154】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、1種以上のネオエピトープ配列に対してN末端である分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、1種以上のネオエピトープ配列に対してC末端である膜貫通および/または細胞質ドメインをコードするポリヌクレオチド配列の両方を含む。そのような配列を組み合わせることにより、ヒト樹状細胞におけるMHCクラスIおよびIIエピトープのプロセシングおよび提示が改善されることが示されている。例えば、Kreiter,S.ら(2008)J.Immunol.180:309-318を参照されたい。
【0155】
骨髄DCでは、RNAはサイトゾル中に放出され、ポリ-ネオエピトープペプチドに翻訳される。ポリペプチドは、抗原提示を増強するための追加の配列を含む。いくつかの態様において、ポリペプチドのN-末端のMHCI重鎖からのシグナル配列(sec)を使用して、新生分子を小胞体に標的化し、これはMHCI提示効率を高めることが示されている。理論に拘束されることを望むものではないが、MHCI重鎖の膜貫通および細胞質ドメインは、MHCII提示を改善することが示されたエンドソーム/リソソーム区画にポリペプチドを誘導すると考えられる。
【0156】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、3’UTRを含む。mRNA中のタンパク質コード配列に対して3’に見出される特定の非翻訳配列は、RNA安定性、翻訳およびタンパク質発現を改善することが示されている。3’UTRとしての使用に適したポリヌクレオチド配列は、例えば、PG公開番号、米国特許出願公開第20190071682号に記載されている。いくつかの態様において、3’UTRは、AESの3’非翻訳領域もしくはその断片および/またはミトコンドリアにコードされた12S RNAの非コードRNAを含む。「AES」というは、スプリットのアミノ末端エンハンサー(Amino-Terminal Enhancer Of Split)に関し、AES遺伝子を含む(例えば、NCBI遺伝子ID:166を参照)。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、タンパク質のgroucho/TLEファミリーに属し、ホモオリゴマーとして、または他のファミリーメンバーとのヘテロオリゴマー(ologimer)として機能して、他のファミリーメンバー遺伝子の発現を優位に抑制することができる。例示的なAES mRNA配列は、NCBI参照配列アクセッション番号NM_198969で提供される。「MT_RNR1」という用語は、ミトコンドリアにコードされる12S RNAに関し、MT_RNR1遺伝子(例えば、NCBI遺伝子ID:4549を参照)を含む。このRNA遺伝子はMt_rRNAクラスに属する。MT-RNR1に関連する疾患には、拘束型心筋症および聴覚神経障害が含まれる。その関連経路の中には、真核生物におけるリボソーム生合成およびCFTR翻訳忠実度(クラスI変異)がある。例示的なMT_RNR1RNA配列は、NCBI参照配列アクセッション番号NC_012920の配列内に存在する。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の3’UTRは、配列CUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCC(配列番号15)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の3’UTRは、配列CAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCG(配列番号17)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の3’UTRは、配列CUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCC(配列番号15)および配列CAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCG(配列番号17)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の3’UTRは、配列CUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号13)を含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の3’UTRは、配列CTGGTACTGCATGCACGCAATGCTAGCTGCCCCTTTCCCGTCCTGGGTACCCCGAGTCTCCCCCGACCTCGGGTCCCAGGTATGCTCCCACCTCCACCTGCCCCACTCACCACCTCTGCTAGTTCCAGACACCTCC(配列番号16)を含むDNAによってコードされる。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の3’UTRは、配列CAAGCACGCAGCAATGCAGCTCAAAACGCTTAGCCTAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGTGATTAACCTTTAGCAATAAACGAAAGTTTAACTAAGCTATACTAACCCCAGGGTTGGTCAATTTCGTGCCAGCCACACCG(配列番号18)を含むDNAによってコードされる。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の3’UTRは、配列CTGGTACTGCATGCACGCAATGCTAGCTGCCCCTTTCCCGTCCTGGGTACCCCGAGTCTCCCCCGACCTCGGGTCCCAGGTATGCTCCCACCTCCACCTGCCCCACTCACCACCTCTGCTAGTTCCAGACACCTCC(配列番号16)および配列CAAGCACGCAGCAATGCAGCTCAAAACGCTTAGCCTAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGTGATTAACCTTTAGCAATAAACGAAAGTTTAACTAAGCTATACTAACCCCAGGGTTGGTCAATTTCGTGCCAGCCACACCG(配列番号18)を含むDNAによってコードされる。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子の3’UTRは、配列CTGGTACTGCATGCACGCAATGCTAGCTGCCCCTTTCCCGTCCTGGGTACCCCGAGTCTCCCCCGACCTCGGGTCCCAGGTATGCTCCCACCTCCACCTGCCCCACTCACCACCTCTGCTAGTTCCAGACACCTCCCAAGCACGCAGCAATGCAGCTCAAAACGCTTAGCCTAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGTGATTAACCTTTAGCAATAAACGAAAGTTTAACTAAGCTATACTAACCCCAGGGTTGGTCAATTTCGTGCCAGCCACACCGAGACCTGGTCCAGAGTCGCTAGCCGCGTCGCT(配列番号14)を含むDNAによってコードされる。
【0157】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、その3’末端にポリ(A)尾部を含む。いくつかの態様において、ポリ(A)尾部は、50個超または100個超のアデニンヌクレオチドを含む。例えば、いくつかの態様において、ポリ(A)尾部は120個のアデニンヌクレオチドを含む。このポリ(A)尾部は、RNA安定性および翻訳効率を高めることが実証されている(Holtkamp,Sら(2006)Blood 108:4009-4017)。いくつかの態様において、ポリ(A)尾部を含むRNAは、少なくとも50、100または120個のアデニン連続ヌクレオチドをコードするポリヌクレオチド配列およびIIS型制限エンドヌクレアーゼに対する認識配列を転写の5’→3’方向に含むDNA分子を転写することによって生成される。翻訳を改善する例示的なポリ(A)尾部および3’UTR配列は、例えば、米国特許第9,476,055号に見られる。
【0158】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、以下の一般構造を(5’→3’方向に)含む。(1)5’キャップ;(2)5’非翻訳領域(UTR);(3)分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列;(4)主要組織適合複合体(MHC)分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列;(5)3’UTRであって、(a)Amino-Terminal Enhancer of Split(AES)mRNAの3’非翻訳領域またはその断片と、(b)ミトコンドリアにコードされた12S RNAの非コードRNAまたはその断片と、を含む3’UTRと、(6)ポリ(A)配列。いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、5’→3’方向に、ポリヌクレオチド配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACCAUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号1);およびポリヌクレオチド配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCCUAGUAACUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号2)を含む。有利には、構造または配列のこの組合せおよび配向を含むRNAワクチンは、RNA安定性の改善、翻訳効率の向上、抗原提示および/またはプロセシングの改善(例えば、DCによる)、ならびにタンパク質発現の増加のうちの1つ以上を特徴とする。
【0159】
いくつかの態様において、本開示のRNAワクチンまたはRNA分子は、配列番号24の配列を(5’→3’方向に)含む。例えば、図17を参照されたい。いくつかの態様において、Nは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または30の異なるネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を指す。いくつかの態様において、Nは、1つ以上のリンカー-エピトープモジュール(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または30の異なるリンカー-エピトープモジュール)をコードするポリヌクレオチド配列を指す。いくつかの態様において、Nは、1つ以上のリンカー-エピトープモジュール(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または30の異なるリンカー-エピトープモジュール)および3’末端の追加のアミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列を指す。
【0160】
いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、少なくとも1種のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列をさら含み、少なくとも1種のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にある。いくつかの態様において、RNA分子は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または20個の異なるネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0161】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、5’→3’方向に、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列、およびネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む。いくつかの態様において、アミノ酸リンカーおよびネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列は、リンカー-ネオエピトープモジュール(例えば、同じオープンリーディングフレーム内の5’→3’方向の連続配列)を形成する。いくつかの態様において、リンカー-ネオエピトープモジュールを形成するポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間、または配列番号1の配列と配列番号2の配列との間にある。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、28個、29個または30個のリンカー-エピトープモジュールを含む。いくつかの態様において、リンカー-エピトープモジュールのそれぞれは、異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個のリンカー-エピトープモジュールを含み、RNAワクチンまたはRNA分子は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または20個の異なるネオエピトープをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、5個、10個または20個のリンカー-エピトープモジュールを含む。いくつかの態様において、リンカー-エピトープモジュールのそれぞれは、異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、リンカー-エピトープモジュールは、同じオープンリーディングフレーム内で5’→3’方向に連続配列を形成する。いくつかの態様において、第1のリンカー-エピトープモジュールのリンカーをコードするポリヌクレオチド配列は、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の3’である。いくつかの態様において、最後のリンカー-エピトープモジュールのネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列は、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列の5’である。
【0162】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、少なくとも800ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチド、または少なくとも1200ヌクレオチドの長さである。いくつかの態様において、RNAワクチンは2000ヌクレオチド未満の長さである。いくつかの態様において、RNAワクチンは、少なくとも800ヌクレオチドであるが2000ヌクレオチド未満の長さ、少なくとも1000ヌクレオチドであるが2000ヌクレオチド未満の長さ、少なくとも1200ヌクレオチドであるが2000ヌクレオチド未満の長さ、少なくとも1400ヌクレオチドであるが2000ヌクレオチド未満の長さ、少なくとも800ヌクレオチドであるが1400ヌクレオチド未満の長さ、または少なくとも800ヌクレオチドであるが2000ヌクレオチド未満の長さである。例えば、上記の要素を含むRNAワクチンの定常領域は、およそ800ヌクレオチド長である。いくつかの態様において、5個の患者特異的ネオエピトープ(例えば、それぞれが27個のアミノ酸をコードする)を含むRNAワクチンは、1300ヌクレオチド長を超える。いくつかの態様において、10個の患者特異的ネオエピトープ(例えば、それぞれが27個のアミノ酸をコードする)を含むRNAワクチンは、1800ヌクレオチド長を超える。
【0163】
リポプレックス/リポソーム
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子は、リポプレックスナノ粒子またはリポソームに配合される。いくつかの態様において、RNAのためのリポプレックスナノ粒子製剤(RNA-リポプレックス)を使用して、本開示のRNAワクチンのIV送達を可能にする。いくつかの態様において、合成カチオン性脂質(R)-N,N,N-トリメチル-2,3-ジオレイルオキシ-1-プロパンアミニウムクロリド(DOTMA)およびリン脂質1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含むRNAがんワクチン用のリポプレックスナノ粒子製剤を、例えばIV送達を可能にするために使用する。DOTMA/DOPEリポソーム成分は、脾臓および他のリンパ器官における抗原-提示細胞のIV送達および標的化のために最適化されている。
【0164】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNA分子は、例えば、(R)-N,N,N-トリメチル-2,3-ジオレイルオキシ-1-プロパンアミニウムクロリド(DOTMA)およびリン脂質1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む1種以上のカチオン性脂質を含む薬学的組成物と混合される。一態様において、薬学的組成物は少なくとも1種の脂質を含む。一態様において、薬学的組成物は少なくとも1種のカチオン性脂質を含む。カチオン性脂質は、モノカチオン性またはポリカチオン性であり得る。任意のカチオン性両親媒性分子、例えば、少なくとも1つの親水性および親油性部分を含む分子は、本発明の意味の範囲内のカチオン性脂質である。一態様において、正電荷は少なくとも1種のカチオン性脂質によって占められ、負電荷はRNAによって占められる。一態様において、薬学的組成物は、少なくとも1種のヘルパー脂質を含む。ヘルパー脂質は、中性またはアニオン性脂質であり得る。ヘルパー脂質は、天然脂質、例えばリン脂質もしくは天然脂質の類縁体、または完全合成脂質、または天然脂質と類似性のない脂質様分子であり得る。一態様において、カチオン性脂質および/またはヘルパー脂質は、二重層形成脂質である。
【0165】
一態様において、少なくとも1種のカチオン性脂質は、1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)またはその類縁体もしくは誘導体、および/または1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)またはその類縁体もしくは誘導体を含む。
【0166】
一態様において、少なくとも1種のヘルパー脂質は、1,2-ジ-(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)またはその類縁体もしくは誘導体、コレステロール(Chol)またはその類縁体もしくは誘導体、および/または1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)またはその類縁体もしくは誘導体を含む。
【0167】
一態様において、少なくとも1種のカチオン性脂質対少なくとも1種のヘルパー脂質のモル比は、10:0~3:7、好ましくは9:1~3:7、4:1~1:2、4:1~2:3、7:3~1:1、または2:1~1:1、好ましくは約1:1である。一態様において、この比において、カチオン性脂質のモル量は、カチオン性脂質のモル量にカチオン性脂質中の正電荷の数を乗じたものから生じる。
【0168】
一態様において、脂質は、当該RNAをカプセル化する小胞に含まれる。小胞は、多層小胞、単層小胞、またはそれらの混合物であり得る。小胞は、リポソームであり得る。
【0169】
本明細書に記載のリポプレックスまたはリポソームは、RNAに対するカチオン性脂質の(+/-)電荷比に応じて正電荷対負電荷を調整し、RNAとカチオン性脂質を混合することによって形成することができる。本明細書に記載の薬学的組成物中のRNAに対するカチオン性脂質の+/-電荷比を、以下の式によって計算することができる。(+/-電荷比)=[(カチオン性脂質量(mol))*(カチオン性脂質中の正電荷の総数)]:[(RNA量(mol))*(RNA中の負電荷の総数)]。RNA量およびカチオン性脂質量は、ナノ粒子の調製時の負荷量を考慮して当業者が容易に決定することができる。例示的な薬学的組成物のさらなる説明については、例えば、PG公開番号、米国特許出願公開第20150086612号を参照されたい。
【0170】
一態様において、薬学的組成物中の正電荷対負電荷の全電荷比(例えば、生理的pHで)は、1.4:1~1:8、好ましくは1.2:1~1:4、例えば1:1~1:3、例えば1:1.2~1:2、1:1.2~1:1.8、1:1.3~1:1.7、特に1:1.4~1:1.6、例えば約1:1.5である。いくつかの態様において、生理的pHでは、ナノ粒子の正電荷対負電荷の全電荷比は、
である。いくつかの態様において、生理的pHでは、薬学的組成物の正電荷対負電荷の全電荷比は、1.6:2(0.8)~1:2(0.5)または1.6:2(0.8)~1.1:2(0.55)である。いくつかの態様において、生理的pHでは、薬学的(pharmacetical)組成物の正電荷対負電荷の全電荷比は1.3:2(0.65)である。いくつかの態様において、生理的pHでは、リポソームの正電荷対負電荷の全電荷比は1.0:2.0以上である。いくつかの態様において、生理的pHでは、リポソームの正電荷対負電荷の全電荷比は1.9:2.0以下である。いくつかの態様において、生理的pHでは、リポソームの正電荷対負電荷の全電荷比は、1.0:2.0以上1.9:2.0以下である。当業者には明らかなように、本開示の薬学的組成物は、RNAを含む第1の薬学的組成物と、脂質を含む第2の薬学的組成物とを含み得、本開示の方法およびシステムを使用して混合した場合、上述の正電荷対負電荷が達成される。
【0171】
一態様において、薬学的組成物は、10:0~1:9、好ましくは8:2~3:7、より好ましくは7:3~5:5のモル比でDOTMAおよびDOPEを含み、DOTMA中の正電荷対RNA中の負電荷の電荷比は、1.8:2~0.8:2、より好ましくは1.6:2~1:2、さらにより好ましくは1.4:2~1.1:2、さらにより好ましくは約1.2:2である。一態様において、薬学的組成物は、10:0~1:9、好ましくは8:2~3:7、より好ましくは7:3~5:5のモル比でDOTMAおよびコレステロールを含み、DOTMA中の正電荷対RNA中の負電荷の電荷比は、1.8:2~0.8:2、より好ましくは1.6:2~1:2、さらにより好ましくは1.4:2~1.1:2、さらにより好ましくは約1.2:2である。一態様において、薬学的組成物は、10:0~1:9、好ましくは8:2~3:7、より好ましくは7:3~5:5のモル比でDOTAPおよびDOPEを含み、DOTMA中の正電荷対RNA中の負電荷の電荷比は、1.8:2~0.8:2、より好ましくは1.6:2~1:2、さらにより好ましくは1.4:2~1.1:2、さらにより好ましくは約1.2:2である。一態様において、薬学的組成物は、2:1~1:2、好ましくは2:1~1:1のモル比でDOTMAとDOPEを含み、DOTMA中の正電荷対RNA中の負電荷の電荷比は1.4:1以下である。一態様において、薬学的組成物は、2:1~1:2、好ましくは2:1~1:1のモル比でDOTMAとコレステロールを含み、DOTMA中の正電荷対RNA中の負電荷の電荷比は1.4:1以下である。一態様において、薬学的組成物は、2:1~1:2、好ましくは2:1~1:1のモル比でDOTAPとDOPEを含み、DOTAP中の正電荷対RNA中の負電荷の電荷比は1.4:1以下である。当業者には明らかなように、本開示の薬学的組成物は、RNAを含む第1の薬学的組成物と、脂質(例えば、DOTMA、DOPE、DOTAPおよび/またはコレステロールを含む)を含む第2の薬学的組成物とを含み得、本開示の方法およびシステムを使用して混合した場合、上述の正電荷対負電荷比および/またはモル比が達成される。
【0172】
一態様において、本開示の方法およびシステムに従って本明細書に記載の2つ以上の薬学的組成物を組み合わせた後に生産または製造されるリポプレックスまたはリポソームのゼータ電位は、-5以下、-10以下、-15以下、-20以下または-25以下である。様々な態様において、リポプレックスまたはリポソームのゼータ電位は、-35以上、-30以上または-25以上である。一態様において、ナノ粒子またはリポソームは、0mV~-50mV、好ましくは0mV~-40mVまたは-10mV~-30mVのゼータ電位を有する。
【0173】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムに従って本明細書に記載される2つ以上の薬学的組成物を組み合わせた後に生産または製造されるリポプレックスまたはリポソームの分子量分散度は、動的光散乱によって測定される場合、0.5以下、0.4以下または0.3以下である。
【0174】
いくつかの態様において、本開示の方法およびシステムに従って本明細書に記載される2つ以上の薬学的組成物を組み合わせた後に生産または製造されるナノ粒子またはリポソームは、動的光散乱によって測定される場合、約50nm~約1000nm、約100nm~約800nm、約200nm~約600nm、約250nm~約700nmまたは約250nm~約550nmの範囲の平均直径を有する。
【0175】
本開示の方法およびシステムとともに使用することができるRNAワクチンまたはRNA分子のいずれかをコードするDNA分子を、本明細書中にさらに提供する。例えば、いくつかの態様においては、本開示のDNA分子は、以下の一般構造(5’→3’方向)を含む:(1)5’非翻訳領域(UTR)をコードするポリヌクレオチド配列;(2)分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列;(3)主要組織適合複合体(MHC)分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列;(4)3’UTRをコードするポリヌクレオチド配列であって、(a)Amino-Terminal Enhancer of Split(AES)mRNAまたはその断片の3’非翻訳領域;および(b)ミトコンドリアにコードされた12S RNAの非コードRNAまたはその断片を含む3’UTR;ならびに(5)ポリ(A)配列をコードするポリヌクレオチド配列。いくつかの態様において、本開示のDNA分子は、5’→3’方向に、ポリヌクレオチド配列GGCGAACTAGTATTCTTCTGGTCCCCACAGACTCAGAGAGAACCCGCCACCATGAGAGTGATGGCCCCCAGAACCCTGATCCTGCTGCTGTCTGGCGCCCTGGCCCTGACAGAGACATGGGCCGGAAGC(配列番号22)およびポリヌクレオチド配列ATCGTGGGAATTGTGGCAGGACTGGCAGTGCTGGCCGTGGTGGTGATCGGAGCCGTGGTGGCTACCGTGATGTGCAGACGGAAGTCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCTACAGCCAGGCCGCCAGCTCTGATAGCGCCCAGGGCAGCGACGTGTCACTGACAGCCTAGTAACTCGAGCTGGTACTGCATGCACGCAATGCTAGCTGCCCCTTTCCCGTCCTGGGTACCCCGAGTCTCCCCCGACCTCGGGTCCCAGGTATGCTCCCACCTCCACCTGCCCCACTCACCACCTCTGCTAGTTCCAGACACCTCCCAAGCACGCAGCAATGCAGCTCAAAACGCTTAGCCTAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGTGATTAACCTTTAGCAATAAACGAAAGTTTAACTAAGCTATACTAACCCCAGGGTTGGTCAATTTCGTGCCAGCCACACCGAGACCTGGTCCAGAGTCGCTAGCCGCGTCGCT(配列番号23)を含む。
【0176】
いくつかの態様において、DNA分子は、5’→3’方向に、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列およびネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む。いくつかの態様において、アミノ酸リンカーおよびネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列は、リンカー-ネオエピトープモジュール(例えば、同じオープンリーディングフレーム内の5’→3’方向の連続配列)を形成する。いくつかの態様において、リンカー-ネオエピトープモジュールを形成するポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間、または配列番号22の配列と配列番号23の配列との間にある。いくつかの態様において、DNA分子は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、28、29、または30のリンカー-エピトープモジュールを含み、各リンカー-エピトープモジュールは異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、DNA分子は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のリンカー-エピトープモジュールを含み、DNA分子は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19または20の異なるネオエピトープをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、DNA分子は、5、10、または20のリンカー-エピトープモジュールを含む。いくつかの態様において、リンカー-エピトープモジュールのそれぞれは、異なるネオエピトープをコードする。いくつかの態様において、リンカー-エピトープモジュールは、同じオープンリーディングフレーム内で5’→3’方向に連続配列を形成する。いくつかの態様において、第1のリンカー-エピトープモジュールのリンカーをコードするポリヌクレオチド配列は、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の3’である。いくつかの態様において、最後のリンカー-エピトープモジュールのネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列は、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列の5’である。
【0177】
いくつかの態様において、本開示のRNAまたはDNA分子は、5’RNAポリメラーゼプロモーターの制御下でRNAが転写されることを可能にし、ポリアデニルカセット(ポリ(A)配列)を含むIIS型制限切断部位を含み、認識配列はポリ(A)配列の3’側に位置するが、切断部位は上流側に位置し、したがってポリ(A)配列内に位置する。IIS型制限切断部位での制限切断は、米国特許第9,476,055号および同第10,106,800号に記載されるように、プラスミドをポリ(A)配列内で線状化することを可能にする。次いで、線状化プラスミドをインビトロ転写のための鋳型として使用することができ、得られた転写物はマスクされていないポリ(A)配列で終わる。米国特許第9,476,055号および同第10,106,800号に記載されているIIS型制限切断部位のいずれかを用いてもよい。
【0178】
本明細書で提供する方法のいくつかの態様において、RNAワクチンまたはRNA分子は、腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する10~20(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のいずれか)のネオエピトープをコードする1種以上のポリヌクレオチドを含む。特定の態様において、RNAワクチンまたはRNA分子はリポプレックスナノ粒子またはリポソームに配合される。特定の態様において、リポプレックスナノ粒子またはリポソームは、RNAワクチンのRNAをカプセル化する多層構造を形成する1種以上の脂質を含む。特定の態様において、1種以上の脂質は、少なくとも1種のカチオン性脂質および少なくとも1種のヘルパー脂質を含む。特定の態様において、1種以上の脂質は、(R)-N,N,N-トリメチル-2,3-ジオレイルオキシ-1-プロパンアミニウムクロリド(DOTMA)および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)を含む。特定の態様において、生理的pHでは、リポソームの正電荷対負電荷の全電荷比は1.3:2(0.65)である。
【0179】
特定の態様において、RNAワクチンは、5’→3’方向に、(1)5’キャップ;(2)5’非翻訳領域(UTR);(3)分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列;(4)腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列;(5)主要組織適合複合体(MHC)分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列;(6)3’UTRであって、(a)Amino-Terminal Enhancer of Split(AES)mRNAの3’非翻訳領域またはその断片;および(b)ミトコンドリアにコードされた12S RNAの非コードRNAまたはその断片を含む3’UTR;ならびに(7)ポリ(A)配列を含むRNA分子を含む。
【0180】
特定の態様において、RNA分子は、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み、アミノ酸リンカーおよび1つ以上のネオエピトープの第1をコードするポリヌクレオチド配列は、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成し、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成するポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にある。特定の態様において、アミノ酸リンカーは、配列GGSGGGGSGG(配列番号21)を含む。特定の態様において、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列は、配列GGCGGCUCUGGAGGAGGCGGCUCCGGAGGC(配列番号19)を含む。
【0181】
特定の態様において、RNA分子は、5’→3’方向に、少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールをさら含み、少なくとも第2のリンカー-エピトープモジュールは、アミノ酸リンカーをコードするポリヌクレオチド配列と、ネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列とを含み、第2のリンカー-ネオエピトープモジュールを形成するポリヌクレオチド配列は、5’→3’方向に、第1のリンカー-ネオエピトープモジュールのネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にあり、第1のリンカー-エピトープモジュールのネオエピトープは、第2のリンカー-エピトープモジュールのネオエピトープとは異なる。特定の態様において、RNA分子は5のリンカー-エピトープモジュールを含み、5のリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。特定の態様において、RNA分子は10のリンカー-エピトープモジュールを含み、10のリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。特定の態様において、RNA分子は20のリンカー-エピトープモジュールを含み、20のリンカー-エピトープモジュールはそれぞれ異なるネオエピトープをコードする。
【0182】
ある態様において、RNA分子は、アミノ酸リンカーをコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含み、アミノ酸リンカーをコードする第2のポリヌクレオチド配列は、3’方向において最も遠位にあるネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列と、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列との間にある。
【0183】
特定の態様において、5’キャップは、以下の構造のD1ジアステレオ異性体を含む:
【0184】
特定の態様において、5’UTRは、配列UUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号5)を含む。特定の態様において、5’UTRは、配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC(配列番号3)を含む。
【0185】
特定の態様において、分泌シグナルペプチドは、アミノ酸配列MRVMAPRTLILLLSGALALTETWAGS(配列番号9)を含む。特定の態様において、分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、配列AUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号7)を含む。
【0186】
特定の態様において、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部は、アミノ酸配列IVGIVAGLAVLAVVVIGAVVATVMCRRKSSGGKGGSYSQAASSDSAQGSDVSLTA(配列番号12)を含む。特定の態様において、MHC分子の膜貫通および細胞質ドメインの少なくとも一部をコードするポリヌクレオチド配列は、配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCC(配列番号10)を含む。
【0187】
特定の態様において、AES mRNAの3’非翻訳領域は、配列CUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCC(配列番号15)を含む。特定の態様において、ミトコンドリアによりコードされる12S RNAの非コードRNAは、配列CAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCG(配列番号17)を含む。特定の態様において、3’UTRは、配列CUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号13)を含む。
【0188】
特定の態様において、ポリ(A)配列は120のアデニンヌクレオチドを含む。
【0189】
特定の態様において、RNAワクチンは、5’→3’方向に、ポリヌクレオチド配列GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACCAUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC(配列番号1);腫瘍標本中に存在するがん特異的体細胞変異に起因する1つ以上のネオエピトープをコードするポリヌクレオチド配列;およびポリヌクレオチド配列AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCCUAGUAACUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU(配列番号2)を含むRNA分子を含む。
【実施例
【0190】
本開示は、以下の実施例を参照することによってより完全に理解されることになる。しかしながら、本実施例は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施例および態様は、例示のみを目的としており、それに照らして様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。
【0191】
本明細書に開示される方法およびシステムを開発する前に、これらの方法およびシステムを理解し、開発し、最適化するために様々な実験を行った。具体的には、以下の3つの段階で実験を行った。(1)蠕動式ポンプ流量の脈動を理解すること(実施例1);(2)脈動のレベル(「LoP」)によって測定される一貫した安定した流量を維持するために減衰装置および蠕動式ポンプ構成を開発および最適化すること(実施例2);ならびに(3)2つの供給源からの流体を有する流れプロセスに対して、減衰装置および蠕動式ポンプの構成を最適化すること(実施例3)。これらの実験は、LoPに影響を及ぼす多数のパラメータの有効性を評価および定量化する機会を提供した。
【0192】
これらの実験の最終目標は、例えばシリンジポンプなどの他の代替物との類似性および/または他の代替物の改善を含む、許容され得るLoPを有し、単回使用材料を使用して無菌のクローズド優良医薬品製造基準(「GMP」)環境で実施することが簡単である(すなわち、本明細書に記載される薬学的製剤とともに使用するための構造材料および滅菌の検討)方法およびシステムを開発することであった。製品接触面が製品中に浸出してはならない(かつ製品は材料からいずれの種も抽出してはならない)ので、構造材料は重要であり得る。したがって、そのような材料は、例えば白金硬化シリコーンチュービングなどの本明細書に記載の薬学的組成物および製剤を含む薬学的組成物を製造または移送させる上での使用に適しているべきである。
【0193】
実施例で使用した測定および計算
非製品接触式流量計(例えば、Keyenceの入力モデルFD-XA1)を使用して、実施例に記載される実験における流量およびLoPを監視した。標的チュービングの外径に基づいて、センサヘッドFD-Xs8をクランプセットFD-XCR2またはFD-XCR1と対にした。各KeyenceメータをKeysight高速データロガー(例えば、U2541A)に接続し、付随するKeysightソフトウェアを使用して10msごとにデータを記録した。流量計を使用してシステム内の動的流量を測定し、定常状態動作中のシステム内の動的流量を使用してLoPを決定した。
【0194】
流量測定からの入口効果を排除するために、流量計は、減衰装置、コネクタ、急なカーブなどの流路のいずれの変化からも最低10内径離れて配置した。各実験の前に、各メータを初期化し、0mL/分の流量を設定する。最低7秒が100Hzのサンプルレートで記録された。1秒間中に複数の期間(すなわち、流量ピーク間の距離)が存在したので、代表的な秒、典型的には第4または第5の秒を脈動計算とデータプロットの両方に対して使用した。いくつかの態様においては、定常状態の流れが確立された時点で、データを10秒の期間から得た。
【0195】
脈動のレベル:脈動のレベル(「LoP」)の計算は、データプロットに使用した代表的な秒に対して行った。この計算は以下の通りである。
【0196】
(最大流量-最小流量)/平均流量×100。
【0197】
最大および最小流量パーセント:最大および最小流量パーセンテージは以下のように計算した:
【0198】
最大流量パーセント=((最大流量-平均流量)/平均流量×100
【0199】
最小流量パーセント=((平均流量-最小流量)/平均流量×100
【0200】
すべての実験について、単一の蠕動式ポンプを使用した。2つのポンプヘッドを用いた実験では、単一のポンプに2つのポンプヘッドを取り付けた。ローラと接触する4つの製品ライン(2つの別々の流れを有するデュアルヘッドポンプ)が存在する実験では、2つのポンプヘッドを有する2つの別々のポンプを使用するのとは対照的に、2つのヘッドを有する単一のポンプを使用し、2つのラインを単一のポンプヘッドに供給した。特に明記しない限り、実施例に記載のポンプの平均流量は約50mL/分であった。
【0201】
[実施例1]蠕動式ポンプ流量脈動を理解する
本明細書に記載されるように、蠕動式ポンプからの流量は、蠕動式ポンプの性質のために時間とともに脈動または振動し得る。例えば、蠕動式ポンプを通って移動する水の流量が所与の期間にわたって測定された実験1(表1A(実験の設定詳細)および表1B(実験1の結果)に記載されている)を参照されたい。簡単に説明すると、実験1は、減衰装置なしで単一のポンプヘッドを使用し、減衰装置から下流に30cmの長さのチュービングを使用して実施した。この装置は、流量変動を低減する試みなしの蠕動式ポンプシステムについて予想されるLoPの実験的ベースラインに相当した。図1は、実験1のための実験装置を示す。この装置は、水の容器、蠕動式ポンプおよび蠕動式ポンプから出る水の流れを測定するための流量計を含んでいた。ポンプの平均流量は約50mL/分であった。
【0202】
図2は、経時的に測定された蠕動式ポンプを通る水の流量を示す。図2に示されるように、流量は時間とともに著しく振動する。表1Aおよび表1Bは、実験1の結果のさらなる詳細および要約を提供する。
【0203】
実験1で観察された最小流量は0未満の値に達した。しかしながら、これは以下の組み合わせに起因するものであった:(1)固有の溶液サックバック;および(2)わずかなセンサ測定誤差。
【0204】
[実施例2]一貫した定常流量を誘導するために蠕動式ポンプシステムにおける減衰装置構成を最適化する
蠕動式ポンプからの脈動を低減する1つの可能な方法は、減衰装置を使用することである。したがって、蠕動式ポンプ後の様々な設計および構成の減衰装置を調べた。高度に圧縮可能であるので、空気および/または気体は減衰装置として使用することができる。したがって、減衰装置の設計は、空気に直接開放することができるか、または流体および空気と接触する膜を有することができる。図3は、1つまたは2つの蠕動式ポンプヘッドおよび1つまたは複数の蠕動式ポンプ後の減衰装置を使用して流量を測定するための実験装置を示す。減衰装置は、蠕動式ポンプによって生成される圧力および流れの変動を低減または排除することができる。具体的には、減衰装置は、ピーク流量の間に余分な流体を吸収し、下落時に放出して流量を平滑化することができる。実験1~3では、1つのポンプヘッドを使用した。本明細書に記載される他のすべての実験は、2つのポンプヘッドを使用した。
【0205】
図3の実験装置は、蠕動式ポンプの後に減衰装置を含む。図3に示されるように、減衰装置は、T字型コネクタを有するシリンジ減衰装置である。T字型コネクタは、主ラインへの接続部に対して90度に2つの出口を有するT字型の接続具であり得る。T字型コネクタは、横方向出口を有する短いパイプ片であり得る。T字型の相対的なサイズ/開口部は、減衰効率に影響を与え得る。減衰装置およびT字型コネクタは、図3に示されるように、蠕動式ポンプからの出口チュービングに流体的に接続される。減衰装置の一例は、シリンジ減衰装置である。蠕動式ポンプ後のチュービングは、シリンジ減衰装置に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、蠕動式ポンプ後のチュービングは、シリンジに流体的に接続されたT字型コネクタに流体的に接続することができる。様々なT字型コネクタを有するシリンジ減衰装置の画像の例を図4に示す。シリンジ内の空気の体積を所与の用途に合わせて調整することができるように、シリンジのプランジャは引き戻すことができる。シリンジ内の空気は、蠕動式ポンプが作動しているときに余分な流体を一時的に貯蔵することができる空間バッファとして作用することができる。この一時的な貯蔵は空気圧を増加させることができ、蠕動式ポンプからの流量が減少すると流体を押し出す。
【0206】
以下の変数を調整することによって、図3に示される実験装置に従って水を使用するいくつかの実験(すなわち、実験2~16)を行った:(1)使用されるポンプヘッドの数(N個のポンプヘッドを使用すると、ポンプの設定が同じであれば、おおよそ流量にNを乗じることができる。ほとんどのポンプは、そのポンプのローラの最小および最大RPMに応じて多くの流量に調整することができる。);(2)シリンジ減衰装置またはシリンジ減衰装置なし;(3)使用されるT字型コネクタのサイズ(T字が小さな開口部を有し、現在流量を制限しているまれなシナリオでない限り、ほとんどの場合、T字は流量に影響を与えない可能性がある);(4)チュービング出口長さ(出口チュービングの長さは脈動に影響を及ぼし得る。チュービングの柔軟性が自然にシステムを減衰させるので、出口が長いほど、LoPは低くなり得る);(5)シリンジ内の空気の体積。これらの実験(実験2~9および12~16)のさらなる詳細および結果を表2A(実験の設定詳細)および表2B(実験の結果)に要約する。
【0207】
実験2、4、および6で達成された経時的な流量を、それぞれ図5、6および7に示す。これらの図に示されるように、2つのポンプヘッド、最大空気体積(すなわち、60mL)での60mLシリンジ減衰装置、および60cmのチュービング出口長を使用した実験6の流量(図7)は、実験全体を通じて脈動を有意に低下させた。
【0208】
実験4は、第2のポンプヘッド(例えば、同じモータによって駆動される2つのポンプヘッドが取り付けられた単一のポンプ)の影響を評価した。これは、第2のポンプヘッドに隣接する弁を開くことによって行われた。図3を参照されたい。LoPは134に減少したが、図6に示されるように流量変動が依然として存在した。後続のポンプヘッドを追加すると、LoPがさらに減少する可能性がある。しかしながら、これは、システムのための製品流路およびチュービングキットの複雑さを増大させ、多くの蠕動式ポンプは2つの固定ヘッドしか有さない。
【0209】
実験2および5は、シリンジ減衰装置を追加した。これは、T字および60mLシリンジに取り付けられた弁を開くことによって達成された。図3を参照されたい。弁を開く前に、シリンジを最大位置(60mLの印)に調整し、ルアーロックT字に接続し、T字を出口チュービングに直列に接続し、そこでは溶液は急に曲がることなく流れる。実験2および5では、LoP値はそれぞれ35および23の値まで大きく減少した。このように、シリンジ減衰装置は効果的であることが判明したが、わずかな脈動が依然として観察された。
【0210】
流量変動を低減するための別の可能な方法は、出口チュービングの長さを増加させることである。実験3および6では、実験2および5のものと比較した場合、出口チュービングの長さを30cmから60cmに変更した。LoP値は、35および23(それぞれ、表2B実験2および5を参照)から25および21(それぞれ、表2B、実験3および6を参照されたい。)に減少した。
【0211】
実験12~16では、流れを効果的に減衰させることができる最小体積をよりよく理解するために、60mLシリンジ減衰装置内の空気の体積を調査した。これらの実験では、表2Bに報告されているように、プランジャの位置を60、40、20、10および5ccの体積測定目盛りに調整し、LoPはそれぞれ22、21、22、30および47であった。このように、減衰装置の効果がより低下した10ccと5ccにプランジャ位置が調整されるまでは、LoP間に有意差はなかった。
【0212】
実験中、減衰装置の有効性は、減衰装置/T字型システムにおける空気-液体界面の位置によって影響を受けた。したがって、実験7は、実験6と同じ装置を使用して行われたが、試験中に溶液がT字内に残った実験6とは異なり、実験7中には、溶液がT字を越えて弁内に上昇し、実験の期間中、溶液は弁内に留まることが観察された。LoPは、実験6と実験7の間で21から28に増加し(表2Bを参照)、空気-液体界面表面積が減衰装置の有効性に影響を及ぼし得ることを示唆している。ルアーティーの内径は3.1mmであり、ルアー弁の内径は4.1mmである。このルアーティーは強固ではないと判明したため、9.5mmの内径を有するより大きなティーを実験9で試験した。LoPは18に減少し、減衰装置/ティーシステム中気液界面表面が制御すべきパラメータであることを確認した。
【0213】
蠕動式ポンプ減衰装置を実装する能力は、構造材料、滅菌を行う能力および形状(すなわち、流体パルスに応答して空気圧がどれだけ速く加圧するか)を含む多くの変数に依存し得る。上記の実験1~16は、減衰装置を使用して流量脈動を低下させることができるが、シリンジ減衰装置は、例えばRNAワクチンなどのRNAまたは脂質を含む薬学的組成物を含む本明細書に記載される薬学的組成物とともに使用するための基準(例えば、以下に説明するようなGMP用途のためのLoPおよび/または無菌頑強性)を満たさないことがあり得ることを実証した。実験1~16は、LoPは低下させることが可能であり、LoPの観察された低下を増加させるために追加のパラメータがさらに最適化されたという概念実証を提供した。このようなパラメータの1つは、RNAワクチンなどのRNAまたは脂質を含む薬学的製剤とともに使用するために容易に実施することができる減衰装置を開発することであった。
【0214】
シリンジ減衰装置の他に、使用することができる別のタイプの脈動減衰装置は膜減衰装置である。したがって、蠕動式ポンプ後のチュービングは、膜減衰装置に流体的に接続することができる。いくつかの態様において、蠕動式ポンプ後のチュービングは、膜に流体的に接続されたT字型コネクタに流体的に接続することができる。例示的な膜減衰装置を図8に示す。膜減衰装置は、圧縮性気体がバリアとして膜を有する減衰装置を実行しているという点で、本明細書に開示される他の減衰装置と類似している。いくつかの事例では、気体と溶液の間のバリアとして作用する膜を有する圧縮可能な気体減衰装置を有するクローズドシステムを使用することができる。本明細書に記載される実験では、気体は大気であったため、このシナリオでは十分ではなかったが、クローズドシステムは、圧縮可能な気体および柔軟な膜を用いて設計することができる。膜(柔軟性、表面積、硬度計など)および圧縮可能な気体の微調整は、LoPを低減させることを補助することができる。
【0215】
膜減衰装置の潜在的な影響を調べるために、図3に示される実験装置に従って水を使用する実験を行ったが、シリンジ減衰装置を膜減衰装置で置き換えた。この実験(実験10)のさらなる詳細および結果を表3A(実験の設定詳細)および表3B(実験の結果)に要約する。
【0216】
実験10は、柔軟な膜を備えたT字の減衰装置を評価した。理論的には、大気圧と組み合わせた膜は、減衰装置として作用するはずである。しかしながら、このシステムのLoPは65であり、膜は流量脈動を低減するのにわずかに有効であるに過ぎず、例えば、RNAワクチンなどのRNAまたは脂質を含む薬学的組成物を含む本明細書に記載される薬学的組成物とともに使用するには依然として高すぎることが示唆された。
【0217】
膜またはシリンジの他に、気体が充填されたチュービング自体を脈動減衰装置として使用することができる可能性がある。したがって、蠕動式ポンプ後のチュービングは、チュービング減衰装置に流体的に接続することができる。チュービング減衰装置の例示的な構成が図9および10に示されている。図9に示されるように、チュービング減衰装置は、T字型コネクタチュービング減衰装置とすることができる。このようなT字型コネクタチュービング減衰装置が使用される場合、蠕動式ポンプ後のチュービングは、チュービング減衰装置に流体的に接続されたT字型コネクタに流体的に接続することができる。チュービング減衰装置のチュービングは、蠕動式ポンプ後のチュービングと同じまたは異なる材料から作製することができる。いくつかの態様において、チュービング減衰装置のチュービングは、シリコーンとすることができる。いくつかの態様において、チュービング減衰装置は、T字型コネクタに流体的に接続された端部の反対側のチュービング減衰装置の端部が閉じられるように、クランプまたは他の物体を含むことができる。チュービング減衰装置は、封入された気体が減衰を行うことができるという点で、他の減衰装置と同様に機能する。
【0218】
図10は、十字型または4方向コネクタを有するチュービング減衰装置の一例を示す。T字型コネクタの代わりに、図10の4方向コネクタ(減衰効果は弁開口寸法に依存し得る)は、チュービング減衰装置の一端を閉じるためにクランプまたは他の装置を使用する代わりに、チュービング減衰装置の両端を4方向コネクタに接続することを可能にする。4方向チュービング減衰装置が使用される場合、蠕動式ポンプ後のチュービングは、チュービング減衰装置に流体的に接続された4方向コネクタに流体的に接続することができる。このため、蠕動式ポンプからの流体は、4方向コネクタの開口部のうちの1つに入り、別の開口部から出ることができるのに対して、チュービング減衰装置の両端が4方向コネクタに流体的に接続されるように、チュービング減衰装置を他の2つの使用されていない開口部に接続することができる。4方向チュービング減衰装置は、封入された気体が減衰を行うことができるという点で、他の減衰装置と同様に機能することができる。
【0219】
T字型コネクタチュービング減衰装置(図9に示される)または4方向チュービング減衰装置(図10に示される)の潜在的な影響を調べるために、図3に示される実験装置に従って水を使用する実験を行ったが、シリンジ減衰装置をT字型コネクタチュービング減衰装置または4方向コネクタチュービング減衰装置で置き換えた。これらの実験(実験11、17および18)のさらなる詳細および結果を表4A(実験の設定詳細)および表4B(実験の結果)に要約する。
【0220】
事前準備として、実験11は、T字/減衰装置を30cmの薄壁の柔軟なチュービング(外径7.9mm、壁の厚さ0.8mm)に置き換えた。減衰装置として薄壁の柔軟なチュービングを使用するという考え方は、チュービングの出口長さがより長いほどLoPを低下させた実験3および実験6(表2Bを参照)に基づいている。理論に束縛されるものではないが、流体は、チュービングによって減衰され、チュービングの柔軟性が増加するにつれて(すなわち、硬いチュービングから柔軟なチュービングへの移行)、減衰効果も増加する。このことから、実験3および6で使用したチュービングと比較して、より短い長さの薄壁の柔軟なチュービングが同じLoPを達成し得る。この仮説を試験するために、実験11を行い、30cmの薄壁チュービングを用いると、LoPが134(表2B、実験4を参照、減衰装置なし)から152(表3B参照)に増加した。LoPの増加は、薄壁の柔軟なチュービングを使用することによって最初に観察されたが、実験17および18にさらに記載されているように、減衰装置としてチュービングを使用することの背後にある概念をさらに検討した。1片のチュービング内の封入されたある体積の空気がシリンジの空気を置き換え、LoPを効果的に低減することができれば、滅菌および溶液ホールドアップなどの多くのプロセス要件を満たすことができる。
【0221】
したがって、実験17では、チュービングの長さが42cm(チュービング内の空気が約30cc)であるシリンジの代わりに、末端を塞いだ(すなわち、クランプなどで締められた)シリコーンチュービング(すなわち、図9に示されるようなT字型コネクタチュービング減衰装置)を利用した。さらに、取り付けをより容易にするためにT字の位置を変更したが、これは減衰装置に影響を及ぼさないと仮定した。表3Bに報告されているように、観察されたLoPは19であり、これはシリンジ減衰装置を用いた値に匹敵した(例えば、表2Bを参照)。これらの結果は、末端を塞いだチュービングの減衰のレベルがシリンジ減衰装置の減衰のレベルに匹敵することを示した。前述のように、シリンジの代わりに末端を塞いだチュービングを使用することの的確性は、そのようなシステムが薬学的組成物および製剤に対するGMPプロセス要件を満たすことができることである。いくつかの態様において、減衰装置は、末端が開放された(すなわち、大気に開放されている)チュービング減衰装置であり得る。
【0222】
実験18では、T字を(図10に示されるような)「X」または「十字」のように配置された4方向コネクタと交換し、2つのポートを、ループを形成する単一のシリコーンチュービングと接続し、他の2つのポートを流体の流れのために使用した。実験18の最終目的は、実験17と比較して、この減衰装置の間に何らかの利点が存在するかどうかを評価することであった。実験18のLoPは、実験17のLoPと同一であった。表3Bを参照されたい。
【0223】
本発明者らは、いくつかの減衰装置およびチュービングキットの構成を使用してLoPの有意な低下を観察し、18~22という低いLoP値さえ達成したが、脈動および振動のレベルは、例えばRNAワクチンなどのRNAまたはリポプレックスもしくはリポソームを含む脂質を含む薬学的組成物などの本明細書に記載の薬学的組成物を混合および/または製造するのになお最適ではなく、一般に、代替シリンジポンプ構成を使用した場合に観察されるLoP値よりも高い(表5Aおよび5B、実施例24~26を参照)。したがって、LoP値をさらに低下させるために追加のパラメータを評価した。LoP値を低下させるという本発明者らの目標にかかわらず、当業者は、実施例2で観察されたLoPの低下が、例えば、袋またはバイアルなどの容器中への薬学的組成物の移送および/または充填を含む、他の用途および薬学的組成物に適し得ることを理解するであろう。
【0224】
[実施例3]2つの流体源を有する流れプロセスへの減衰装置構成の適用
実験1~18は、主に1つの流体源を有するシステムを対象とした。しかしながら、蠕動式ポンプは、2つ以上の流体源を有するシステムにおいて使用することもできる。そのような一例は、例えば、RNAまたはRNAワクチンを含む第1の薬学的組成物を1種以上の脂質を含む第2の薬学的組成物と組み合わせて、RNA-リポプレックスまたはRNAリポソームを含む最終薬学的組成物を形成する場合を含む、2つの薬学的組成物を混合または組み合わせて最終薬学的組成物を形成する場合である。薬学的組成物は繊細な成分を含み、高価な成分を含有することがあり得るので、最終薬学的組成物または製剤に使用されるこれらの成分の量は、最終薬学的組成物が有効であり、安全であり、費用効果が高いかどうかにとって極めて重要であり得る。最終薬学的組成物の成分は異なる供給源または容器に由来するので、蠕動式ポンプシステムにおけるこれらの成分または中間薬学的組成物の流量は、中間薬学的組成物の混合物を含む最終薬学的組成物が有効であるための適切な割合でこれらの成分または中間薬学的組成物を効果的に混合することができないような脈動を生じないことが重要であり得る。
【0225】
例えばRNAワクチンなどのRNAまたは脂質を含む薬学的組成物を含む本明細書に記載の薬学的組成物は、RNA-リポプレックスまたはRNAリポソームを含む最終薬学的組成物を作製するためにしばしば混合されるので、2つの蠕動式ポンプを有する2つの異なる流体源を評価する実験を行った。特に、両方の蠕動式ポンプにわたって一貫した流量を達成することができる減衰装置のタイプを評価するために実験を行った。図11は、1つの蠕動式ポンプおよび1つまたは複数の蠕動式ポンプ後の1つまたは複数の減衰装置を使用して2つの流体源システムの流量を測定するための実験装置を示す。図11には1つの蠕動式ポンプのみが示されているが、いくつかの態様においては、蠕動式ポンプは、デュアルヘッド蠕動式ポンプまたは2以上のヘッドを有する蠕動式ポンプであり得る。したがって、各流体源からのチュービングは、ただ1つの蠕動式ポンプが必要とされるように、デュアルヘッド蠕動式ポンプのヘッドに取り付けることができる。いくつかの態様において、流体源の各々は、独自の蠕動式ポンプを有することができる。しかしながら、実験19~20で行われた実験では、各蠕動式ポンプのためのデュアルポンプヘッドの各ポンプヘッドが使用されるように、各供給源からの入口を2つの流れに分割した。実験19および20は単一の蠕動式ポンプを使用したが、ポンプはモータによって駆動される2つのヘッドを有していた。実験21~22では、各デュアルヘッド蠕動式ポンプのポンプヘッドの1つのみを使用した。
【0226】
図3と比較した場合の異なる構成に加えて、図11の実験装置にはさらなる変更が加えられた。まず、使用した蠕動式ポンプはWatson Marlow Flexicon PD12lであり、チュービング出口寸法は3.2mmの内径ではなく2.4mmの内径であった。実験20は、2つの入口ラインに対して減衰装置を使用せずに、この設定で観察されたLoPのベースラインを確立した。最小流量は各入口について約80mL/分であり、これは以前に使用された約50mL/分とは異なる。図11に示されるように、流量計は、両方の入口ポンプの下流のみならず、Y字型コネクタの下流にも配置された。
【0227】
実験19は、減衰装置を実装した。いくつかの態様において、減衰装置は、2つの個別の、末端を塞いだチュービング減衰装置であり得る。しかしながら、出願人らは、減衰チュービングループを形成する際に、単一のチュービング減衰装置を両入口に同時に使用できることを発見した。図12は、減衰装置ループの一例を示す。減衰ループは、ポンプ後入口ライン上の両T字型コネクタに接続することができる。さらに、溶液がループに入るのを防ぐために、減衰ループを流路の上方に取り付けた。
【0228】
実験21および22は、デュアルポンプヘッドを有するのとは対照的に、各入口に対して単一のポンプヘッドを利用することによってチュービングキットをさらに単純化する可能性を評価した。これにより、ポンプヘッドのすぐ上流および下流のY字型コネクタを不要にすることができる。しかしながら、2つの別個の入口の混合に関与するY字型コネクタは依然として必要とされる。
【0229】
図11の設定を用いた実験19~22のさらなる詳細および結果を表5A(実験の設定の詳細)および表5B(実験の結果)に要約する。
【0230】
実験24、25および26は、LoP値を実験19(ループ減衰装置を備えた蠕動式ポンプ)で観察されたものと直接比較することを目標として、2種類のシリンジポンプを使用して行われた。実験24~26のさらなる詳細および結果を表5A(実験の設定の詳細)および表5B(実験の結果)に要約する。
【0231】
実験19.1、20.1、21.1および22.1の結果はすべて、第1の供給源入口に取り付けられた流量計からのものである。実験19.2、20.2、21.2および22.2の結果はすべて、第2の供給源入口に取り付けられた流量計からのものである。実験19.3、20.3、21.3および22.3の結果はすべて、組み合わされた第1および第2の供給源のY字型コネクタまたは混合装置の後の流量計からのものである。表5Bに報告されているように、両方の入口を混合した後に測定された流量は、約91mL/分および161mL/分であり、実験21および22では、それらの対応するLoPは、それぞれ約15(14~16)および約9(8~10)であった。より高い流量(実験22)でのLoPは10以下であったが、実験21のLoPは増加したので、単一のポンプヘッドでの設定は多様な流量にわたって堅牢ではないことがあり得る。
【0232】
表5Bに報告されているように、実験20(減衰なし)での各入口のLoPは80および87であり、出口のLoPは80であった。対照的に、ループ減衰装置を使用した実験19(減衰)のLoPは両方とも7であり、出口でのLoPは8であった。これらの結果は、(例えば、薬学的組成物の適切な混合を確保するために複数のポンプおよび/または流体源の流量を適切に制御するために、およびシリンジポンプで一般的に達成されるものと同等またはより良好なLoP値を達成するために)10未満のLoPを達成するという、例えばRNAワクチンなどの、RNAまたは脂質を含む薬学的組成物などの、本明細書に記載される薬学的組成物および製剤を生産し、混合し、移送し、および/または製造するための許容され得る目標を満たし、減衰ループは、実施するのが簡単で費用対効果が高く、単回使用提供に適合的でありながら、先に要約したGMPプロセス目標のすべてを満たす。図13は、実験19による蠕動式ポンプシステムを通る水の流量を示し、図14は、実験20の実験による蠕動式ポンプを通る水の流量を示す。
【0233】
実験24.1、25.1および26.1の結果はすべて、第1の供給源入口に取り付けられた流量計からのものである。実験14.2、25.2および26.2の結果はすべて、第2の供給源入口に取り付けられた流量計からのものである。実験24.3、25.3、26.3の結果はすべて、組み合わされた第1および第2の供給源のY字型コネクタまたは混合装置の後の流量計からのものである。
【0234】
表5Bに報告されているように、両方の入口を混合した後に測定された流量は、約111mL/分および57mL/分であり、実験24および25では、それらの対応するLoPは、それぞれ約25.5(25~26)および約24.5(21~28)の平均であった。これらの実験は、ポンプ脈動を低減するように特別に設計されていない既成のシリンジポンプを使用したが、標準的なユニットは10未満のLoP値を達成することに関して許容され得る目標を満たさないことを実証している。実験26では、既製のシリンジポンプも使用した。市販のシリンジポンプの脈動は様々であり得るが、このタイプのシステムは無脈動ではない。表5Bに報告されているように、両方の入口を混合した後に測定された流量は約141mL/分であり、対応するLoPは平均で約14(10~18)であった。これらの結果は、実験19(ループ減衰装置)が両方のシリンジポンプシステムよりも良好なLoP値を達成したことを確認した。
【0235】
図15は、例えば、本明細書に記載の薬学的組成物、特に、RNA-リポプレックスまたはRNAリポソームを含む最終薬学的組成物を作製、移送または製造するために混合することができる、RNA、RNA分子またはRNAワクチンを含む薬学的組成物を含む薬学的組成物および1種以上の脂質を含む別の薬学的組成物などの2つの流体源から10未満のLoPを達成することができる蠕動式ポンプ、減衰装置およびチュービングキットシステムを記載する。
【0236】
本出願で参照される特許文献、科学論文およびデータベースを含むすべての刊行物は、あたかも各個々の刊行物が参照により個別に組み入れられたのと同じ程度に、すべての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。本明細書に記載される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願およびその他の刊行物に記載された定義に反するか、あるいは矛盾する場合、本明細書に記載された定義は、参照により本明細書に組み入れられる定義よりも優先する。
【0237】
本発明は、例えば本発明の様々な局面を例示するために提供される特定の開示された態様に範囲が限定されることを意図しない。記載された装置および方法に対する様々な変更は、本明細書の記載および教示から明らかになるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施することができ、本開示の範囲内に属することが意図される。
略式の配列表
すべてのポリヌクレオチド配列は、5’→3方向に表記されている。すべてのポリペプチド配列は、N末端からC末端方向に表記されている。
完全PCV RNA5’定常配列(配列番号1)
GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACCAUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC
完全PCV RNA3’定常配列(配列番号2)
AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCCUAGUAACUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU
完全PCVコザックRNA(配列番号3)
GGCGAACUAGUAUUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC
完全PCVコザックDNA(配列番号4)
GGCGAACTAGTATTCTTCTGGTCCCCACAGACTCAGAGAGAACCCGCCACC
短コザックRNA(配列番号5)
UUCUUCUGGUCCCCACAGACUCAGAGAGAACCCGCCACC
短コザックDNA(配列番号6)
TTCTTCTGGTCCCCACAGACTCAGAGAGAACCCGCCACC
sec RNA(配列番号7)
AUGAGAGUGAUGGCCCCCAGAACCCUGAUCCUGCUGCUGUCUGGCGCCCUGGCCCUGACAGAGACAUGGGCCGGAAGC
sec DNA(配列番号8)
ATGAGAGTGATGGCCCCCAGAACCCTGATCCTGCTGCTGTCTGGCGCCCTGGCCCTGACAGAGACATGGGCCGGAAGC
secタンパク質(配列番号9)
MRVMAPRTLILLLSGALALTETWAGS
MITD RNA(配列番号10)
AUCGUGGGAAUUGUGGCAGGACUGGCAGUGCUGGCCGUGGUGGUGAUCGGAGCCGUGGUGGCUACCGUGAUGUGCAGACGGAAGUCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCUACAGCCAGGCCGCCAGCUCUGAUAGCGCCCAGGGCAGCGACGUGUCACUGACAGCC
MITD DNA(配列番号11)
ATCGTGGGAATTGTGGCAGGACTGGCAGTGCTGGCCGTGGTGGTGATCGGAGCCGTGGTGGCTACCGTGATGTGCAGACGGAAGTCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCTACAGCCAGGCCGCCAGCTCTGATAGCGCCCAGGGCAGCGACGTGTCACTGACAGCC
MITDタンパク質(配列番号12)
IVGIVAGLAVLAVVVIGAVVATVMCRRKSSGGKGGSYSQAASSDSAQGSDVSLTA
完全PCV FI RNA(配列番号13)
CUCGAGCUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCCCAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCGAGACCUGGUCCAGAGUCGCUAGCCGCGUCGCU
完全PCV FI DNA(配列番号14)
CTGGTACTGCATGCACGCAATGCTAGCTGCCCCTTTCCCGTCCTGGGTACCCCGAGTCTCCCCCGACCTCGGGTCCCAGGTATGCTCCCACCTCCACCTGCCCCACTCACCACCTCTGCTAGTTCCAGACACCTCCCAAGCACGCAGCAATGCAGCTCAAAACGCTTAGCCTAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGTGATTAACCTTTAGCAATAAACGAAAGTTTAACTAAGCTATACTAACCCCAGGGTTGGTCAATTTCGTGCCAGCCACACCGAGACCTGGTCCAGAGTCGCTAGCCGCGTCGCT
FエレメントRNA(配列番号15)
CUGGUACUGCAUGCACGCAAUGCUAGCUGCCCCUUUCCCGUCCUGGGUACCCCGAGUCUCCCCCGACCUCGGGUCCCAGGUAUGCUCCCACCUCCACCUGCCCCACUCACCACCUCUGCUAGUUCCAGACACCUCC
FエレメントDNA(配列番号16)
CTGGTACTGCATGCACGCAATGCTAGCTGCCCCTTTCCCGTCCTGGGTACCCCGAGTCTCCCCCGACCTCGGGTCCCAGGTATGCTCCCACCTCCACCTGCCCCACTCACCACCTCTGCTAGTTCCAGACACCTCC
IエレメントRNA(配列番号17)
CAAGCACGCAGCAAUGCAGCUCAAAACGCUUAGCCUAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGUGAUUAACCUUUAGCAAUAAACGAAAGUUUAACUAAGCUAUACUAACCCCAGGGUUGGUCAAUUUCGUGCCAGCCACACCG
IエレメントDNA(配列番号18)
CAAGCACGCAGCAATGCAGCTCAAAACGCTTAGCCTAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGTGATTAACCTTTAGCAATAAACGAAAGTTTAACTAAGCTATACTAACCCCAGGGTTGGTCAATTTCGTGCCAGCCACACCG
リンカーRNA(配列番号19)
GGCGGCUCUGGAGGAGGCGGCUCCGGAGGC
リンカーDNA(配列番号20)
GGCGGCTCTGGAGGAGGCGGCTCCGGAGGC
リンカータンパク質(配列番号21)
GGSGGGGSGG
完全PCV DNA 5’定常配列(配列番号22)
GGCGAACTAGTATTCTTCTGGTCCCCACAGACTCAGAGAGAACCCGCCACCATGAGAGTGATGGCCCCCAGAACCCTGATCCTGCTGCTGTCTGGCGCCCTGGCCCTGACAGAGACATGGGCCGGAAGC
完全PCV DNA 3’定常配列(配列番号23)
ATCGTGGGAATTGTGGCAGGACTGGCAGTGCTGGCCGTGGTGGTGATCGGAGCCGTGGTGGCTACCGTGATGTGCAGACGGAAGTCCAGCGGAGGCAAGGGCGGCAGCTACAGCCAGGCCGCCAGCTCTGATAGCGCCCAGGGCAGCGACGTGTCACTGACAGCCTAGTAACTCGAGCTGGTACTGCATGCACGCAATGCTAGCTGCCCCTTTCCCGTCCTGGGTACCCCGAGTCTCCCCCGACCTCGGGTCCCAGGTATGCTCCCACCTCCACCTGCCCCACTCACCACCTCTGCTAGTTCCAGACACCTCCCAAGCACGCAGCAATGCAGCTCAAAACGCTTAGCCTAGCCACACCCCCACGGGAAACAGCAGTGATTAACCTTTAGCAATAAACGAAAGTTTAACTAAGCTATACTAACCCCAGGGTTGGTCAATTTCGTGCCAGCCACACCGAGACCTGGTCCAGAGTCGCTAGCCGCGTCGCT
キャップ由来の5’GGを有する完全PCV RNA(配列番号24)
GGGGCGAACU AGUAUUCUUC UGGUCCCCAC AGACUCAGAG AGAACCCGCC
ACCAUGAGAG UGAUGGCCCC CAGAACCCUG AUCCUGCUGC UGUCUGGCGC
CCUGGCCCUG ACAGAGACAU GGGCCGGAAG CNAUCGUGGGA AUUGUGGCAG
GACUGGCAGU GCUGGCCGUG GUGGUGAUCG GAGCCGUGGU GGCUACCGUG
AUGUGCAGAC GGAAGUCCAG CGGAGGCAAG GGCGGCAGCU ACAGCCAGGC
CGCCAGCUCU GAUAGCGCCC AGGGCAGCGA CGUGUCACUG ACAGCCUAGU
AACUCGAGCU GGUACUGCAU GCACGCAAUG CUAGCUGCCC CUUUCCCGUC
CUGGGUACCC CGAGUCUCCC CCGACCUCGG GUCCCAGGUA UGCUCCCACC
UCCACCUGCC CCACUCACCA CCUCUGCUAG UUCCAGACAC CUCCCAAGCA
CGCAGCAAUG CAGCUCAAAA CGCUUAGCCU AGCCACACCC CCACGGGAAA
CAGCAGUGAU UAACCUUUAG CAAUAAACGA AAGUUUAACU AAGCUAUACU
AACCCCAGGG UUGGUCAAUU UCGUGCCAGC CACACCGAGA CCUGGUCCAG
AGUCGCUAGC CGCGUCGCUA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA
AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA
AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAA
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図29C
図30
図31A
図31B
図32
図33A
図33B
図33C
図34A
図34B
図34C
【配列表】
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【国際調査報告】