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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ソマトスタチン調節因子の製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4709 20060101AFI20230913BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230913BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230913BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230913BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20230913BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20230913BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61K9/20
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K9/14
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/08
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/24
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515559
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021049282
(87)【国際公開番号】W WO2022055880
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/076,024
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519006414
【氏名又は名称】クリネティックス ファーマシューティカルズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーク,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】イエーツ,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ブロフスキー,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】キブルツ,カイル
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,クレイトン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076DD23
4C076DD29
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD40
4C076DD41
4C076DD45
4C076EE06
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C076FF04
4C076FF06
4C076FF09
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZC422
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
(a)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、(b)薬学的に許容されるポリマーと、を含み、該APIが、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散している、噴霧乾燥固体分散体。該噴霧乾燥固体分散体と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される成分と、を含む、錠剤。経口投与によるヒトにおける先端巨大症若しくは神経内分泌腫瘍又はその両方の治療における使用のための該錠剤。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧乾燥固体分散体であって、
(a)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、
(b)薬学的に許容されるポリマーと、を含み、
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が、前記薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散している、噴霧乾燥固体分散体。
【請求項2】
前記薬学的に許容されるポリマーが、高いガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項3】
前記薬学的に許容されるポリマーが、アルキルエーテル、アルキルエステル、フタレートエステルのいずれかの組み合わせで任意選択で官能化されたセルロース、ビニルアルコール、ビニルアセテート、プロピレングリコール、ピロリドン、ビニルピロリドン、オキシエチレン、オキシプロピレン、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチレングリコール、エチレングリコールグリセリド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2-エチル-2-オキサゾリン、マレイン酸、メチルビニルエーテル、ビニルカプロラクタム、又はそれらの組み合わせのポリマーを含む、請求項1又は2に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項4】
前記薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールポリビニルアセテートコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)、ポリエチレンポリビニルアルコールコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、モノ、ジ、及びトリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノ及びジエステルとで構成されるポリエチレングリコールグリセリド、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンオキシドブロックとプロピレンオキシドブロックとのコポリマー、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(マレイン酸/メチルビニルエーテル)、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、エチレンオキシド/プロピレンオキシドテトラ官能基ブロックコポリマー、d-アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、又はそれらの組み合わせである、請求項1又は2に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項5】
前記薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)である、請求項1又は2に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項6】
前記薬学的に許容されるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートグレードM(HPMCAS-M)である、請求項1又は2に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項7】
前記薬学的に許容されるポリマーが、6:4の比のポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA64)である、請求項1又は2に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項8】
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、前記薬学的に許容されるポリマーとの重量比が、約1:10~約10:1である、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項9】
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、前記薬学的に許容されるポリマーとの重量比が、約1:1~約1:10である、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項10】
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、前記薬学的に許容されるポリマーとの重量比が、約1:4~約1:6である、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項11】
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、前記薬学的に許容されるポリマーとの重量比が、約1:1.5~約1:6である、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項12】
前記噴霧乾燥固体分散体が、少なくとも約5重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項13】
前記噴霧乾燥固体分散体が、少なくとも約10重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項14】
前記噴霧乾燥固体分散体が、約15重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項15】
前記噴霧乾燥固体分散体が、約35重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項16】
非水性溶媒を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項17】
前記非水性溶媒が、tert-ブタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、エチルアセテート、アセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアセテート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項18】
前記非水性溶媒が、メタノール、アセトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16又は17に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項19】
前記非水性溶媒がメタノールである、請求項16~18のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項20】
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が、実質的に非晶質である、請求項1~19のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項21】
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物である、請求項1~20のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体。
【請求項22】
錠剤であって、
請求項1~21のいずれか一項に記載の噴霧乾燥固体分散体と、
1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される成分と、
任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、錠剤。
【請求項23】
錠剤であって、
薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、
1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の崩壊補助剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される成分と、
任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、錠剤。
【請求項24】
薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した前記3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物が、噴霧乾燥固体分散体である、請求項23に記載の錠剤。
【請求項25】
前記1つ以上の薬学的に許容される成分が、微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン クロスカルメロースナトリウム クロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項26】
前記錠剤が、
約2重量%~約20重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項27】
前記錠剤が、
約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14%重量%、又は約15重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項28】
前記錠剤が、前記薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約35重量%の前記ポリマーマトリックスを含む、請求項23~27のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項29】
前記錠剤が、
薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した約2重量%~約15重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物であって、前記ポリマーマトリックス中の前記分散した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物が、前記錠剤の約約20重量%~約35重量%である、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、
1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される、約40重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、
任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、請求項23~28のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項30】
前記錠剤が、
薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した約20重量%~約40重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物の噴霧乾燥分散体と、
1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の崩壊補助剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される、約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、
任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、請求項23又は24に記載の錠剤。
【請求項31】
前記噴霧乾燥分散体は、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85~約35/65である、請求項30に記載の錠剤。
【請求項32】
前記錠剤が、
薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した約20重量%~約35重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物の噴霧乾燥分散体であって、
前記噴霧乾燥分散体は、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85~約35/65である、噴霧乾燥分散体と、
微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される、約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、
任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、請求項23に記載の錠剤。
【請求項33】
前記錠剤が、
薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、又は約35重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物の噴霧乾燥分散体であって、
前記噴霧乾燥分散体は、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85又は約35/65である、噴霧乾燥分散体と、
1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の崩壊補助剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される、約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、
任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、請求項23~32のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項34】
前記錠剤が、
薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、又は約35重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物の噴霧乾燥分散体であって、
前記噴霧乾燥分散体は、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85又は約35/65である、噴霧乾燥分散体と、
微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される、約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、
任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、請求項23~32のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項35】
前記錠剤が、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、又は約80mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~34のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項36】
前記錠剤が、約10mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~35のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項37】
前記錠剤が、約20mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~35のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項38】
前記錠剤が、約30mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~35のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項39】
前記錠剤が、約40mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~35のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項40】
前記錠剤が、約50mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~35のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項41】
前記錠剤が、約60mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む、請求項22~35のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項42】
ヒトにおいて先端巨大症若しくは神経内分泌腫瘍又はその両方を治療する方法であって、先端巨大症若しくは神経内分泌腫瘍を有する前記ヒトに、請求項22~41のいずれか一項に記載の錠剤を経口投与することを含む、方法。
【請求項43】
前記錠剤が、1日1回投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記錠剤が、食事の少なくとも30分前に投与される、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記錠剤が、食事の少なくとも60分前に投与される、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記錠剤が、食事の少なくとも30分前に空腹の状態でコップ1杯の水と一緒に投与される、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物のバイオアベイラビリティが、プロトンポンプ阻害剤、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、又は制酸剤の同時投与による影響を実質的に受けない、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記錠剤が、プロトンポンプ阻害剤、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、又は制酸剤と同時投与される、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に援用される2020年9月9日出願の米国仮特許出願第63/076,024号の利益を主張するものである。
【0002】
本明細書では、ソマトスタチン調節因子を含む医薬組成物及び薬品、かかる医薬組成物及び薬品を作製する方法、並びにかかる医薬組成物及び薬品を、ソマトスタチン活性を調節することから利益を得るであろう状態、疾患、又は障害の治療に使用する方法が説明される。
【背景技術】
【0003】
ソマトスタチンは、内分泌系を調節し、Gタンパク質共役型ソマトスタチン受容体との相互作用及び多数の二次ホルモンの放出の阻害を介して神経伝達及び細胞増殖に影響を及ぼすペプチドホルモンである。6つのサブタイプのソマトスタチン受容体タンパク質(SSTR1、SSTR2a、SSTR2b、SSTR3、SSTR4、SSTR5)が同定されており、これらは、5つの異なるソマトスタチン受容体遺伝子によってコードされている。特定のサブタイプのソマトスタチン受容体又はそれらの組み合わせの調節は、ソマトスタチン活性の調節から利益を得るであろう状態、疾患、又は障害の治療に魅力的である。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、噴霧乾燥固体分散体が本明細書に提供され、本噴霧乾燥固体分散体は、(a)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、(b)薬学的に許容されるポリマーとを含み、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散している。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、高いガラス転移温度(Tg)を有する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、アルキルエーテル、アルキルエステル、フタレートエステルのいずれかの組み合わせで任意選択で官能化されたセルロース、ビニルアルコール、ビニルアセテート、プロピレングリコール、ピロリドン、ビニルピロリドン、オキシエチレン、オキシプロピレン、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチレングリコール、エチレングリコールグリセリド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2-エチル-2-オキサゾリン、マレイン酸、メチルビニルエーテル、ビニルカプロラクタム、又はそれらの組み合わせのポリマーを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールポリビニルアセテートコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)、ポリエチレンポリビニルアルコールコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、モノ、ジ、及びトリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノ及びジエステルとで構成されるポリエチレングリコールグリセリド、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンオキシドブロックとプロピレンオキシドブロックとのコポリマー、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(マレイン酸/メチルビニルエーテル)、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、エチレンオキシド/プロピレンオキシドテトラ官能基ブロックコポリマー、d-アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートグレードM(HPMCAS-M)である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、6:4の比のポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA64)である。
【0006】
いくつかの実施形態では、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容されるポリマーとの重量比は、約1:10~約10:1である。いくつかの実施形態では、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容されるポリマーとの重量比は、約1:1~約1:10である。いくつかの実施形態では、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容されるポリマーとの重量比は、約1:4~約1:6である。いくつかの実施形態では、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容されるポリマーとの重量比は、約1:1.5~約1:6である。
【0007】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも約5重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも約10重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも約15重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、非水性溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、非水性溶媒は、tert-ブタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、エチルアセテート、アセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアセテート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非水性溶媒は、メタノール、アセトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、非水性溶媒はメタノールである。
【0009】
いくつかの実施形態では、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、実質的に非晶質である。
【0010】
いくつかの実施形態では、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物である。
【0011】
別の態様では、錠剤であって、本明細書に記載の噴霧乾燥固体分散体と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、錠剤が本明細書に提供される。
【0012】
別の態様では、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、錠剤が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散している3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物は、本明細書に記載の噴霧乾燥固体分散体である。いくつかの実施形態では、1つ以上の薬学的に許容される成分は、微結晶性セルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の薬学的に許容される成分は、微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン クロスカルメロースナトリウム クロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、約2重量%~約20重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、約2重量%~約15重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14%重量%、又は約15重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約30重量%のポリマーマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約20重量%~約35重量%のポリマーマトリックスを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約30重量%のポリマーマトリックスに分散した、約2重量%~約10重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される約40重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約35重量%のポリマーマトリックスに分散した、約2重量%~約10重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される約40重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した約20重量%~約40%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物の噴霧乾燥分散体と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の崩壊補助剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される、約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥分散体は、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85~約35/65である。
【0018】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物の約20重量%~約35%の噴霧乾燥分散体であって、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85~約35/65である、噴霧乾燥分散体と、微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物の約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、又は約35重量%の噴霧乾燥分散体であって、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85又は約35/65である、噴霧乾燥分散体と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の崩壊補助剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物の約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、又は約35重量%の噴霧乾燥分散体であって、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85又は約35/65である、噴霧乾燥分散体と、微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される、約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、又は約80mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、又は約80mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、約10mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、約20mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、約30mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、約40mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、約50mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本錠剤は、約60mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物を含む。
【0023】
一態様では、ヒトにおいて先端巨大症若しくは神経内分泌腫瘍又はその両方を治療する方法が本明細書に記載され、本方法は、先端巨大症若しくは神経内分泌腫瘍を有するヒトに、本明細書に記載の噴霧乾燥分散体錠剤のうちのいずれか1つを経口投与することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本錠剤は、食事の少なくとも30分前に投与される。いくつかの実施形態では、本錠剤は、食事の少なくとも60分前に投与される。いくつかの実施形態では、本錠剤は、食事の少なくとも30分前に、空腹の状態でコップ1杯の水と一緒に投与される。いくつかの実施形態では、本錠剤からの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物のバイオアベイラビリティは、プロトンポンプ阻害剤、ヒスタミンH2受容体拮抗剤、又は制酸剤の同時投与による影響を実質的に受けない。
【0025】
本明細書に記載される組成物、化合物、及び方法のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。しかしながら、本開示の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者には明らかとなるため、詳細な説明及び具体的な例は、特定の実施形態を示すものの、例示目的のみで付与されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】化合物A-HClのHMGカプセル製剤又はSDD錠剤製剤を投与されたヒトにおける観察された用量比例性を例示する。
図2】ペンタガストリン前処理を行った又は行わなかったイヌにおける化合物A-HClのHMGカプセル製剤及びSDD錠剤製剤の性能を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ソマトトロピン放出阻害因子(SRIF)としても知られるソマトスタチン(SST)は、最初に、ovine hypothalamii由来の14-アミノ酸ペプチドとして単離された(Brazeau et al.,Science 179,77-79,1973)。14-アミノ酸ソマトスタチンと類似した生物活性を有するN末端伸長28-アミノ酸ペプチドが、その後単離された(Pradayrol et al.,FEBS Letters,109,55-58,1980、Esch et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U S A,77,6827-6831,1980)。SSTは、他の神経ペプチド、神経伝達物質、ホルモン、サイトカイン、及び成長因子に応答して、いくつかの細胞型によって産生される調節ペプチドである。SSTは、内分泌経路と傍分泌経路との両方を介して作用し、その標的細胞に影響を及ぼす。これらの効果の多くは、他のホルモン、中でも特に成長ホルモン(GH)の分泌の阻害に関係する。これらは、中枢神経系(CNS)及び腸の多種多様な細胞型によって産生され、成長ホルモン(GH)、インスリン、グルカゴン、及び抗増殖性である多くの他のホルモンの分泌の調節を含む複数の機能を有する。
【0028】
ソマトスタチンのこれらの多面的作用は、6つのソマトスタチン受容体タンパク質(SSTR1、SSTR2a、SSTR2b、SSTR3、SSTR4、SSTR5)によって媒介される。6つのソマトスタチン受容体タンパク質は、5つの異なるソマトスタチン受容体遺伝子によってコードされる(Reisine and Bell,Endocr Rev.16,427-442,1995、Patel and Srikant,Trends Endocrinol Metab 8,398-405,1997)。全ての受容体は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)スーパーファミリーのクラスAサブグループのメンバーである。SST2A受容体は、ヒト腫瘍において最も広く発現されるサブタイプであり、GH分泌を抑制する主要な受容体である。別途記載のない限り、SSTR2という用語は、SSTR2aを意味する。
【0029】
ソマトスタチン受容体サブタイプのうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを選択的に調節することが可能である。いくつかの実施形態では、ソマトスタチン受容体サブタイプのうちのいずれか1つを、他のソマトスタチン受容体サブタイプ、又はそれらの組み合わせに対して選択的に調節することは、様々な臨床用途で有用である。いくつかの実施形態では、ソマトスタチン受容体サブタイプのうちのいずれか1つを他のソマトスタチン受容体サブタイプに対して選択的に調節することで、様々な臨床用途で望ましくない副作用が低減される。
【0030】
例えば、SSTR2活性の調節は、下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)放出及び膵臓からのグルカゴン放出の阻害を媒介する。SSTR2はまた、限定されないが、細胞増殖、侵害受容、炎症、及び血管新生などの多くの他の生物学的機能にも関与している。いくつかの実施形態では、選択的なSSTR2調節因子は、先端巨大症、腸神経内分泌腫瘍、疼痛、神経障害、腎症、及び炎症、並びに異常な血管成長から生じる網膜症の治療に使用される。いくつかの他の実施形態では、選択的SSTR2調節因子は、とりわけ、関節炎、疼痛、がん、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、クッシング病、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群、並びに眼科疾患、例えば、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、及びグレーブス眼科学の治療に使用される。
【0031】
いくつかの実施形態では、SSTR3作動剤は、インスリン分泌を阻害する。いくつかの実施形態では、SSTR4作動剤は、抗炎症効果及び抗侵害受容効果を呈する。いくつかの実施形態では、SSTR5作動剤は、インスリン分泌を阻害する。加えて、SSTR5は、成長ホルモンの放出の調節にも関与している。
【0032】
ソマトスタチンペプチド及びその受容体サブタイプは、脳内でも広く発現され、その活性の妨害又は減少は、いくつかの精神疾患及び神経変性疾患に関与する可能性がある。例えば、脳皮質及び海馬におけるソマトスタチンの濃度は、統合失調症において低下し、この患者群において最も一貫性のある神経病理学的所見のうちの1つは、ソマトスタチンを発現する皮質の阻害性介在ニューロンの欠損である。ソマトスタチンはまた、発作と関連付けられる脳領域でも高度に発現され、癲癇において重要な役割を有することも示唆されている。ソマトスタチンのレベルは、アルツハイマー病患者及びパーキンソン病患者の海馬で減少し、そのシグナル伝達の回復を、可能性のある神経変性のための薬物標的として示唆している。
【0033】
一態様では、化合物3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリド又はその溶媒和物は、ソマトスタチン調節因子を用いた治療を必要とする哺乳動物への経口投与に適している選択的非ペプチドSST2バイアス作動剤である。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、幅広い治療用途にわたって有用性がある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、限定されないが、先端巨大症、神経内分泌腫瘍、網膜症及び他の眼障害、神経障害、腎症、呼吸器疾患、がん、疼痛、神経変性疾患、炎症性疾患、並びに精神障害及び神経変性障害などの様々な疾患又は状態の治療に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、哺乳動物における先端巨大症、神経内分泌腫瘍、又はその両方の治療に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、哺乳動物における先端巨大症の治療に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、神経内分泌腫瘍の治療に使用される。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、哺乳動物における様々なホルモン及び栄養素の分泌を阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、限定されないが、GH、インスリン、グルカゴン、及びプロラクチンなどのある特定の内分泌物を抑制するために使用される。ある特定の内分泌物の抑制は、先端巨大症、カルチノイド、VIP産生腫瘍、インスリノーマ、及びグルカゴン産生腫瘍などの内分泌腫瘍、又は網膜症、神経障害、及び腎症を含む糖尿病及び糖尿病関連病理などの障害の治療に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、AIDS又はコレラなどの疾患と関連付けられる、膵炎、瘻孔、出血性潰瘍、及び下痢などの障害の治療のために、膵臓、胃、及び腸における外分泌物を抑制するために使用される。本明細書に記載の化合物の投与によって治療され得るIGF-1などの栄養素(及びいくつかの内分泌因子)の自己分泌物又は傍分泌物が関与する障害には、乳房、前立腺、及び肺(小細胞類表皮と非小細胞類表皮との両方)のがん、並びにヘパトーマ、神経芽細胞腫、結腸及び膵臓腺がん(腺管型)、軟骨肉腫、及び黒色腫、糖尿病性網膜症、及び血管グラフト及び血管形成術後の再狭窄と関連付けられるアテローム性動脈硬化が挙げられる。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、神経原性炎症のメディエーター(例えば、物質P又はタキキニン)を抑制するために使用され、リウマチ性関節炎;乾癬;日光皮膚炎、湿疹、又は他の掻痒源と関連付けられるものなどの局所炎症;炎症性腸疾患;過敏性腸症候群;喘息及び他の呼吸器疾患を含むアレルギーの治療に使用され得る。いくつかの他の実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、中枢神経系において神経調節因子として機能し、アルツハイマー病及び他の形態の認知症、疼痛、及び頭痛の治療に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のソマトスタチン受容体調節因子は、肝硬変及び食道静脈瘤を含む、内臓血流が関与する障害において細胞保護を提供する。
【0037】
化合物Aは、本明細書に記載の治療方法に有用なソマトスタチン調節因子である。
【0038】
化合物A
本明細書で使用される場合、化合物Aは、以下に示される化学構造を有する、3-(4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル)-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルを指す。
【0039】
【化1】
【0040】
化合物Aは、選択的非ペプチドSST2バイアス作動剤である。臨床試験において、化合物Aは、推定バイオアベイラビリティが約70%であり、観察半減期が約42~約50時間であることが示された。いくつかの実施形態では、化合物Aは、先端巨大症、神経内分泌腫瘍、又はその両方を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、化合物Aは、先端巨大症を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、化合物Aは、神経内分泌腫瘍を治療するために使用される。
【0041】
いくつかの実施形態では、化合物Aの遊離塩基形態は、本明細書に記載の製剤に組み込まれる。いくつかの実施形態では、化合物Aは、薬学的に許容される塩として本明細書に記載の製剤に組み込まれる。いくつかの実施形態では、化合物Aは、薬学的に許容される溶媒和物として本明細書に記載の製剤に組み込まれる。
【0042】
「薬学的に許容される」は、本明細書で使用される場合、担体又は希釈剤などの材料を指し、これは、化合物の生物活性又は特性を破壊せず、比較的非毒性である、すなわち、材料が、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、又はそれが含有される組成物の成分のうちのいずれとも有害な様式で相互作用することなく、個体に投与されるものである。
【0043】
「薬学的に許容される塩」という用語は、好適なアニオンと組み合わせた治療活性剤のカチオン性形態、又は代替的実施形態では、好適なカチオンと組み合わせた治療活性剤のアニオン性形態からなる治療活性剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use.International Union of Pure and Applied Chemistry,Wiley-VCH 2002.S.M.Berge,L.D.Bighley,D.C.Monkhouse,J.Pharm.Sci.1977,66,1-19.P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA,2002.薬学的塩は、典型的には、非イオン性種よりも胃及び腸液中で可溶性であり、より急速に溶解できるため、固形剤形において有用である。更に、それらの溶解性は、多くの場合、pHの関数であるため、消化管の1つ又は別の部分における選択的溶解が可能であり、この能力は、遅延放出挙動及び持続放出挙動の1つの側面として操作することができる。また、塩形成分子は中性形態において平衡であることができるため、生体膜の通過を調節することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は、本明細書に開示の化合物を酸と反応させることによって得られる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の化合物(すなわち、遊離塩基形態)は、塩基性であり、有機酸又は無機酸と反応する。無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、及びメタリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸には、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタルン酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウ酸(+)、ショウノウ-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(-L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、及びウンデシレン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
いくつかの実施形態では、化合物Aは、化合物Aヒドロクロリド及び化合物Aメタンスルホン酸から選択される薬学的に許容される塩形態として、本明細書に記載の製剤に組み込まれる。いくつかの実施形態では、化合物Aの塩形態は、化合物Aモノヒドロクロリドである。いくつかの実施形態では、化合物Aの塩形態は、化合物Aジヒドロクロリドである。いくつかの実施形態では、化合物Aの塩形態は、化合物Aモノメタンスルホン酸である。いくつかの実施形態では、化合物Aの塩形態は、化合物Aジメタンスルホン酸である。
【0046】
一態様では、化合物Aモノヒドロクロリド(化合物A-HCl)は、本明細書に記載の医薬組成物に組み込まれる。化合物Aモノヒドロクロリド(化合物A-HCl)は、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモノヒドロクロリドとしても知られ、以下の構造を有する。
【0047】
【化2】
【0048】
いくつかの実施形態では、化合物Aの塩形態は、非晶質である。いくつかの実施形態では、化合物Aモノヒドロクロリドは、非晶質である。
【0049】
いくつかの実施形態では、化合物Aの塩形態は、結晶質である。いくつかの実施形態では、化合物Aモノヒドロクロリドは、結晶質である。
【0050】
薬学的に許容される塩への言及は溶媒付加形態を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかである溶媒を含有し、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどを用いた結晶化プロセス中に形成される。溶媒が水である場合には、水和物が形成され、又は溶媒がアルコールである場合には、アルコラートが形成される。本明細書に記載の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載のプロセスの間に、簡便に調製又は形成される。加えて、本明細書に提供される化合物は、任意選択的で、非溶媒和形態及び溶媒和形態で存在する。
【0051】
ヒトなどの哺乳動物に投与可能な治療薬は、規制ガイドラインに従って調製しなければならない。こうした政府規制ガイドラインは、製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)と称される。GMPガイドラインは、例えば、最終製品中の残留溶媒の量などの活性治療薬の許容可能な汚染レベルを概説する。好ましい溶媒は、GMP施設での使用に好適であり、産業安全への関心と合致する溶媒である。溶媒のカテゴリーは、例えば、International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(ICH),“Impurities:Guidelines for Residual Solvents,Q3C(R3)(2005年11月)に定義されている。
【0052】
溶媒は、3つのクラスに分類される。クラス1の溶媒は、毒性であり、回避すべきものである。クラス2の溶媒は、治療薬の製造中に使用が制限される溶媒である。クラス3の溶媒は、毒性の可能性が低く、ヒトの健康に対するリスクが低い溶媒である。クラス3の溶媒に関するデータは、急性又は短期の試験で毒性が低く、遺伝毒性試験で陰性であることを示す。
【0053】
回避すべきクラス1の溶媒には、ベンゼン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエテン、及び1,1,1-トリクロロエタンが含まれる。
【0054】
クラス2の溶媒の例は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N-メチルピロリジン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、及びキシレンである。
【0055】
低毒性を保有するクラス3の溶媒には、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、及びテトラヒドロフランが含まれる。
【0056】
医薬品有効成分(API)中の残留溶媒は、APIの製造に由来する。ほとんどの場合、溶媒は、実用的な製造技法によって完全には除去されない。溶媒をAPI合成のために適切に選択することで、収率を増強するか、又は結晶形態、純度、及び溶解性などの特性を決定することができる。したがって、溶媒は合成プロセスにおいて重要なパラメータである。
【0057】
いくつかの実施形態では、化合物A-HClを含む組成物は、残留量の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、化合物A-HClを含む組成物は、残留量のクラス2又はクラス3の溶媒を含む。いくつかの実施形態では、化合物A-HClを含む組成物は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、ヘプタン、イソプロパノール、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン、及びエタノールから選択される残留量の溶媒を含む。
【0058】
別途記載のない限り、本出願で使用される以下の用語は、以下に付与する定義を有する。「含む(including)」という用語、及び他の形態、例えば、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んだ(included)」の使用は、限定的なものではない。本明細書で使用される節の見出しは、整理のみを目的としており、記載される主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0059】
「調節する(modulate)」という用語は、本明細書で使用される場合、単に例として、標的の活性を増強すること、標的の活性を阻害すること、標的の活性を制限すること、又は標的の活性を延長することを含めて、標的の活性を変化させるために、直接的又は間接的に標的と相互作用することを意味する。
【0060】
「調節因子」という用語は、本明細書で使用される場合、直接的又は間接的に標的と相互作用する分子を指す。相互作用には、作動剤、部分作動剤、逆作動剤、拮抗剤、分解剤、又はそれらの組み合わせの相互作用が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、調節因子は作動剤である。
【0061】
「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などの用語は、本明細書で使用される場合、化合物又は組成物の所望の生物学的作用部位への送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法には、経口投与経路が含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、本明細書に記載の化合物及び方法と併用され得る投与技法に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物及び組成物は、経口投与される。
【0062】
「同時投与」などの用語は、本明細書で使用される場合、単独の患者への選択された治療薬の投与を包含することが意図され、薬剤が、同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同じ若しくは異なる時間に投与される治療レジメンを含むことが意図される。
【0063】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、治療される疾患又は状態の症状のうちの1つ以上をある程度まで軽減することになる、投与される薬剤又は化合物の十分な量を指す。結果には、疾患の徴候、症状、若しくは原因の低減及び/若しくは緩和、又は生体系の任意の他の望ましい変更が含まれる。例えば、治療用途についての「有効量」は、疾患症状の臨床的に意義のある減少をもたらすために必要とされる、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々の場合における適切な「有効」量は、用量漸増試験などの技法を使用して任意選択で決定される。
【0064】
「増強する」又は「増強すること」という用語は、本明細書で使用される場合、望ましい効果を効力又は期間のいずれかにおいて増加させる又は延長することを意味する。このため、治療薬の効果の増強に関して、「増強すること」という用語は、他の治療薬の系に対する効果を、効力又は期間のいずれかにおいて増加させる又は延長する能力を指す。「増強有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の系における別の治療薬の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0065】
「薬学的組み合わせ」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ超の活性成分の混合又は組み合わせから生じる生成物を意味し、活性成分の固定された組み合わせと固定されていない組み合わせとの両方を含む。「固定された組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば、本明細書に開示の化合物又はその薬学的に許容される塩と、併用薬との両方が、単一の実体又は調剤の形態で同時に患者に投与されることを意味する。「固定されていない組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば、本明細書に開示の化合物又はその薬学的に許容される塩と、併用薬とが、同時に(simultaneously)、併行して(concurrently)、又は特定の介在時間制限なしで連続して、別個の実体として患者に投与され、このような投与により、患者の体内で2つの化合物の有効レベルがもたらされることを意味する。後者は、カクテル療法、例えば、3つ以上の活性成分の投与にも当てはまる。
【0066】
「製造物品」及び「キット」という用語は、同義語として使用される。
【0067】
「対象」又は「患者」という用語は哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、哺乳綱の任意の構成員:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、並びに他の類人及びサル種、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物、ラット、マウス、及びモルモットなどの齧歯類を含む実験動物などが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、哺乳動物はヒトである。
【0068】
「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、又は「治療(treatment)」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患若しくは状態の少なくとも1つの症状の緩和、軽快、若しくは改善、更なる症状の防止、疾患若しくは状態の阻害、例えば、疾患若しくは状態の発現の阻止、疾患若しくは状態の軽減、疾患若しくは状態の退縮を引き起こすこと、疾患若しくは状態によって引き起こされる状態の軽減、又は予防的及び/若しくは治療的な疾患若しくは状態の症状の停止を含む。
【0069】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、医薬組成物に製剤化される。医薬組成物は、薬学で使用される調製物への活性化合物の処理を容易にする、1つ以上の薬学的に許容される不活性成分を使用して、従来の様式で製剤化される。適当な製剤化は、選択された投与経路に左右される。本明細書に記載の医薬組成物の概要は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975、Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980、及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)に見出され、これらは、かかる開示について参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、単独で、又は医薬組成物中で薬学的に許容される担体、賦形剤、若しくは希釈剤と組み合わせて、投与される。本明細書に記載の化合物及び組成物の投与は、化合物の作用部位への送達を可能にする任意の方法によって実施することができる。これらの方法には、限定されないものの、経腸経路(経口を含む)投与を介した送達が含まれるが、最も好適な経路は、例えば、レシピエントの状態及び障害に左右され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、経口投与に好適な医薬組成物は、各々が所定量の活性成分を含有するカプセル又は錠剤などの別個の単位として、又は粉末若しくは顆粒として提示される。
【0072】
経口で使用することができる医薬組成物としては、錠剤、ゼラチンから作製される押し込み型カプセル、及びゼラチンとグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤とから作製される軟質の密封カプセルが挙げられる。錠剤は、任意選択で1つ以上の副成分を伴って、圧縮又は成形によって作製されてもよい。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を、任意選択で、結合剤、不活性希釈剤、又は潤沢剤、界面活性剤、若しくは分散剤と混合して、好適な機械で圧縮することによって調製されてもよい。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製されてもよい。いくつかの実施形態では、錠剤は、コーティング又はスコアリングされ、その中の活性成分の徐放又は制御放出をもたらすように製剤化される。経口投与のための全ての製剤は、このような投与に好適な用量であるべきである。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの潤沢剤、並びに任意選択で安定剤と混合して、活性成分を含有することができる。軟質カプセルでは、活性化合物は、脂肪酸、流動パラフィン、又は流動ポリエチレングリコールなどの好適な液体に溶解又は懸濁されてもよい。いくつかの実施形態では、安定剤が添加される。糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的には、濃縮糖溶液が使用されてもよく、これには、任意選択で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、並びに/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒若しくは溶媒混合物が含まれてもよい。識別のため、又は活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、染料又は色素を錠剤に添加してもよい。
【0073】
固形経口剤形を製造するための従来技法としては、(1)乾式混合、(2)直接圧縮、(3)粉砕、(4)乾式若しくは非水造粒、又は(5)湿式造粒の方法のうちの1つ又は組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Lachman et al.,The Theory and Practice of Industrial Pharmacy(1986)を参照されたい。他の方法には、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、造粒、流動化床噴霧乾燥又はコーティング(例えば、ウースターコーティング)、接線コーティング、上噴霧(top spraying)、打錠、押出などが含まれる。
【0074】
特に上述した成分に加えて、本明細書に記載の化合物及び組成物は、当該製剤の種類を考慮して、当該技術分野で常用の他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に好適な製剤は、香味剤を含んでもよいことを理解されたい。
【0075】
化合物A又はその薬学的に許容される塩を含む錠剤が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した化合物A-HCl又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される、1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤とを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、(a)化合物A-HCl又はその溶媒和物と、(b)薬学的に許容されるポリマーとを含む噴霧乾燥固体分散体が本明細書に記載され、化合物A-HCl又はその溶媒和物は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散している。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の噴霧乾燥固体分散体を用いて調製される錠剤が本明細書に記載される。
【0078】
噴霧乾燥固体分散体(SDD)
大部分の小分子薬の非晶質状態は、熱力学的に不安定であり、ガラス転移温度(Tg)が十分に高くない限り、動力学的にも不安定である。しかしながら、非晶質状態は、賦形剤マトリックス中の薬物の希釈によって安定させることができる。非晶質分子が高Tgのマトリックスに分散している場合、低分子移動度は、保管時の相分離に必要な分子移動度を阻害する拡散障壁を提供する。薬物が豊富なドメインへの相分離は、結晶核形成の前駆であり、最終的に広範な結晶化が起こり、溶解性の利点が失われる。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体を調製する際に使用するための薬学的に許容されるポリマーは、Tgが高いポリマーである。医薬品有効成分(API)及び賦形剤が、固体状態で互いに熱力学的に混和できない場合、噴霧乾燥分散体(SDD)は、吸収水を含む混合物の得られるTgが典型的な保管条件よりも少なくとも10℃~20℃大きいように製剤化される。更に、非吸湿性ポリマー又は包装形態のいずれかを選択することによって、保管中の水分取り込みに配慮しなければならず、これは、吸収水が分散体を可塑化し、Tgを低下させるためである。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の噴霧乾燥固体分散体中の化合物A-HCl又はその溶媒和物は、実質的に非晶質である。
【0080】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、アルキルエーテル、アルキルエステル、フタレートエステルのいずれかの組み合わせで任意選択で官能化されたセルロース、ビニルアルコール、ビニルアセテート、プロピレングリコール、ピロリドン、ビニルピロリドン、オキシエチレン、オキシプロピレン、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチレングリコール、エチレングリコールグリセリド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2-エチル-2-オキサゾリン、マレイン酸、メチルビニルエーテル、ビニルカプロラクタム、又はそれらの組み合わせのポリマーを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールポリビニルアセテートコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)、ポリエチレンポリビニルアルコールコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、モノ、ジ、及びトリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノ及びジエステルとで構成されるポリエチレングリコールグリセリド、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンオキシドブロックとプロピレンオキシドブロックとのコポリマー、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(マレイン酸/メチルビニルエーテル)、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、エチレンオキシド/プロピレンオキシドテトラ官能基ブロックコポリマー、d-アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、又はそれらの組み合わせである。
【0082】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥分散体は、分散ポリマーを更に含む。分散ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒプロメロースアセテートサクシネート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート;HPMCAS、例えば、HPMCAS-H、HPMCAS-L、又はHPMCAS-M)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールポリビニルアセテートコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)、ポリエチレンポリビニルアルコールコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0083】
HPMCASは、ヒドロキシルで半ランダムに置換された4種類の置換基:メトキシ、ヒドロキシプロピルオキシ、アセテート、及びサクシネートを有するセルロース系ポリマーである。ポリマーは、HPMCAS分子中のアセチル基及びサクシノイル基の含有量(重量%)に基づいて、3つのグレード:L、M、及びHで利用可能である。グレードL:5~9重量%のアセテート、14~18重量%のサクシネート、20~24重量%のメトキシ、5~9重量%のヒドロキシプロピルオキシ。グレードM:7~11重量%のアセテート、10~14重量%のサクシネート、21~25重量%のメトキシ、5~9重量%のヒドロキシプロピルオキシ。グレードH:10~14重量%のアセテート、4~8重量%のサクシネート、22~26重量%のメトキシ、6~10重量%のヒドロキシプロピルオキシ。
【0084】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、PVP/VA 64、PVP 30、HPMCAS-L、HPMCAS-M、HPMCAS-H、Eudragit L100-55、ポリ(メタクリル酸-コ-メチルメタクリレート)(PMMAMA、又は商標Eudragit L100)、Eudragit EPO、HPMC E15、HPMC E3、HPMC E5、HPMCP-HP55、及びSoluplusから選択される。
【0085】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、PVP/VA 64及びHPMCAS-Mから選択される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、PVP/VA 64である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、HPMCAS-Mである。
【0086】
いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:10~約10:1である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:1~約1:10である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:3~約1:8である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:4~約1:7である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:4~約1:6である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:5~約1:6である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:10である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:9である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:8である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:7である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:6である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:5である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:4である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:3である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:2である。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl又はその溶媒和物と分散ポリマーとの重量比は、約1:1である。
【0087】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも5重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも10重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも15重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも20重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも25重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。%の量は、遊離塩基、すなわち化合物Aに基づいて計算される。
【0088】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、又は約25重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約5重量%、約重量6%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、又は約35重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約15%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約35%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。%の量は、遊離塩基、すなわち化合物Aに基づいて計算される。
【0089】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約5重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約6重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約7重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約8重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約9重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約10重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約11重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約12重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約13重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約14重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約15重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約16重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約17重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約18重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約19重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約20重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約21重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約22重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約23重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約24重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約25重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約25重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約27重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約28重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約29重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約30重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約31重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約32重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約33重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約34重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、約35重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。%の量は、遊離塩基、すなわち化合物Aに基づいて計算される。
【0090】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、非水性溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、非水性溶媒は、検出可能な量で存在する。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、非水性溶媒を含まない。
【0091】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、tert-ブタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、エチルアセテート、アセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアセテート、及びそれらの混合物からなる群から選択される非水性溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、メタノール、アセトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される非水性溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体は、メタノールを更に含む。
【0092】
錠剤
一態様では、錠剤であって、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した化合物A-HCl又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される、1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤とを含む、錠剤が本明細書に記載される。
【0093】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した化合物A-HCl又はその溶媒和物が、本明細書に記載の噴霧乾燥固体分散体である。
【0094】
いくつかの実施形態では、錠剤は、約2重量%~約20重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、約2重量%~約15重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約30重量%のポリマーマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約20重量%~約35重量%のポリマーマトリックスを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約30重量%のポリマーマトリックスに分散した、約2重量%~約10重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約30重量%のポリマーマトリックスに分散した、約2重量%~約10重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤からなる群から選択される約40重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体に加えて、錠剤中の追加の賦形剤は、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の滑剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥固体分散体に加えて、錠剤中の追加の賦形剤は、微結晶性セルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤を含む。充填剤/結合剤/希釈剤は、セルロース(微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及びメチルセルロースなど)、デンプン、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロース、マンニトール、及びラクトースなど)、天然及び合成ガム(アカシア、アルギン酸ナトリウム、パンワーガム(panwar gum)、及びガティガムなど)、ポリビニルピロリジノン、ポリエチレングリコール、ワックス、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、錠剤は、微結晶性セルロース及びマンニトールを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、錠剤総重量の約20重量%~約80重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、錠剤総重量の約40重量%~約65重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、錠剤総重量の約50重量%~約65重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、錠剤総重量の約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、錠剤総重量の約58重量%を構成する。いくつかの実施形態では、錠剤総重量の70重量%未満、65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満、又は50重量%未満が、1つ以上の充填剤/バインダー/希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、錠剤総重量の60重量%未満が、1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の崩壊剤を含む。崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、veegum HV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、錠剤は、クロスポビドンを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、錠剤総重量の約2重量%~約30重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、錠剤総重量の約5重量%~約20重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、錠剤総重量の約10重量%~約20重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、錠剤総重量の約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、錠剤総重量の約15重量%を構成する。いくつかの実施形態では、錠剤総重量の20重量%未満が、1つ以上の崩壊剤を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の潤沢剤を含む。潤沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、水素添加植物油、ポリエチレングリコール、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、錠剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.1重量%~約5重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.1重量%~約2重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.1重量%~約1重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、又は約1重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.5重量%を構成する。いくつかの実施形態では、錠剤総重量の2重量%未満が、1つ以上の潤沢剤を含む。いくつかの実施形態では、錠剤総重量の1重量%未満が、1つ以上の潤沢剤を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の滑剤を含む。滑剤は、粉末に、その流動性を改善するために添加される物質である。滑液の例としては、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、及びタルクが挙げられる。いくつかの実施形態では、錠剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.1重量%~約5重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.1重量%~約2重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.5重量%~約1.5重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、又は約2重量%を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、錠剤総重量の約1重量%を構成する。いくつかの実施形態では、錠剤総重量の2重量%未満が、1つ以上の潤沢剤を含む。いくつかの実施形態では、錠剤総重量の1.5重量%未満が、1つ以上の潤沢剤を含む。
【0107】
追加の賦形剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤は、緩衝剤、滑剤、防腐剤、及び着色剤を含むが限定されない、追加の賦形剤を含む。増量剤、等張化剤、及びキレート剤などの追加の賦形剤は、本実施形態の範囲内である。
【0108】
緩衝剤の非限定的な例としては、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、マグネシウムグルコメート(magnesium glucomate)、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈物、アミノ酸と緩衝剤との混合物、アルミニウムグリシネートと緩衝剤との混合物、アミノ酸の酸塩と緩衝剤との混合物、及びアミノ酸のアルカリ塩と緩衝剤との混合物が挙げられるが、これらに限定されない。追加の緩衝剤には、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、酢酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、及び他のカルシウム塩が含まれる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤は、防腐剤を含む。防腐剤には、抗菌剤、抗酸化剤、及び無菌性を増強する薬剤が含まれる。例示的な防腐剤には、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、BHA、BHT、クエン酸、エリソルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パラベン(メチル-、エチル-、ブチル-)、安息香酸、ソルビン酸カリウム、バニリンなどが含まれる。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の錠剤は、結果として得られる液体形態の識別及び/又は審美的目的のための着色剤を含む。好適な着色剤には、例示として、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Red No.40、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green No.5、D&C Orange No.5、カラメル、酸化第二鉄、及びそれらの混合物が含まれる。
【0111】
追加の賦形剤は、錠剤の実施形態で企図される。これらの追加の賦形剤は、機能、及び本明細書に記載の錠剤組成物との適合性に基づいて選択され、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,PA:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,(Easton,PA:Mack Publishing Co 1975)、Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms(New York,NY:Marcel Decker 1980)、及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed(Lippincott Williams & Wilkins 1999)に見出すことができ、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
更なる実施形態では、本明細書に記載の錠剤は、腸溶コーティング錠、糖衣錠、又はフィルムコーティング錠などのコーティング錠である。
【0113】
一実施形態では、個々の単位用量はまた、経口摂取時又は希釈剤との接触時に崩壊するフィルムコーティングを含む。一実施形態では、これらの製剤は、従来の技法によって製造される。
【0114】
圧縮錠剤は、上記のバルクブレンド製剤を圧縮することによって調製される固体剤形である。様々な実施形態では、口内で溶解するよう設計された圧縮錠剤は、1つ以上の香味剤を含む。他の実施形態では、圧縮錠剤は、最終圧縮錠剤を取り囲むフィルムを含むことになる。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、患者コンプライアンスを助ける(例えば、Opadry(登録商標)コーティング又は糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、典型的には、錠剤重量の約1%~約5%の範囲である。他の実施形態では、圧縮錠剤は、1つ以上の賦形剤を含む。
【0115】
活性成分(例えば、化合物A-HCl)と、錠剤コアを形成し、その後コアをコーティングするための1つ以上の打錠賦形剤との組み合わせを含む、フィルムコーティング錠剤形態が本明細書に提供される。錠剤コアは、従来の打錠プロセスを使用して生成され、その後、圧縮及びコーティングが行われる。
【0116】
腸溶コーティングは、胃酸の作用には抵抗性であるが、腸内では溶解又は崩壊するコーティングである。
【0117】
一態様では、本明細書に開示の経口固形剤形は、腸溶コーティングを含む。腸溶コーティングは、セルロースアセテートフタレート;メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー;セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート);ポリビニルアセテートフタレート(PVAP);メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー;メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテート(並びにそのサクシネート及びフタレートバージョン);スチロールマレイン酸コポリマー;ポリメタクリル酸/アクリル酸コポリマー、ヒドロキシエチルエチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート;セルロースアセテートテトラヒドロフタレート;アクリル樹脂;シェラックのうちの1つ以上を含む。
【0118】
腸溶コーティングは、錠剤、丸剤、カプセル、ペレット、ビーズ、顆粒、粒子などにコーティングを施すことで、それらが小腸に到達するまで溶解しないようにするものである。
【0119】
糖衣錠は、糖衣で取り囲まれた圧縮錠剤であり、この糖衣は、不快な風味又は臭気を覆い隠し、錠剤を酸化から保護するのに有益であり得る。
【0120】
フィルムコーティング錠は、水溶性材料の薄層又はフィルムで覆われた圧縮錠である。フィルムコーティングには、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、及びセルロースアセテートフタレートが含まれるが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般特性を付与する。複数圧縮錠剤は、層状錠剤、及びプレスコーティング又は乾燥コーティングされた錠剤を含む、1つ超の圧縮サイクルによって作製される圧縮錠剤である。いくつかの実施形態では、錠剤は、高速で活性成分を放出するために即時の分解を可能にする、水溶性のpH非依存性フィルムコーティング(例えば、Opadry製品)でコーティングされる。
【0121】
錠剤中の用量
いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約5mg~約100mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約5mg~約80mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約5mg~約60mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約10mg~約40mgである。
【0122】
いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約10mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約20mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約30mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約40mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約50mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約60mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約70mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約80mgである。
【0123】
投薬方法及び治療レジメン
一実施形態では、本明細書に開示の医薬組成物は、ソマトスタチン活性の調節から利益を得るであろう哺乳動物の疾患又は状態の治療のための薬品として使用される。本明細書に記載される疾患又は状態のうちのいずれかの治療を、そのような治療を必要とする哺乳動物において行うための方法には、化合物A又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、治療有効量で当該哺乳動物に投与することが伴う。
【0124】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の化合物Aを含有する組成物は、予防的及び/又は治療的処置のために投与される。ある特定の治療用途では、本組成物は、疾患又は状態に既に罹患している患者に、疾患又は状態の症状のうちの少なくとも1つを治癒又は少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、疾患又は状態の重症度及び経過、以前の療法、患者の健康状態、体重、及び薬物に対する応答、並びに治療担当医の判断に左右される。治療有効量は、任意選択で、用量漸増及び/又は用量決定臨床試験を含むがこれらに限定されない方法によって決定される。
【0125】
しかしながら、概して、ヒト成人の治療に用いられる用量は、典型的には、1日当たり約10mg~約100mgの範囲の化合物Aである。一実施形態では、所望の用量は、単回用量で、又は連続して若しくは適切な間隔で投与される分割用量で、例えば、1日当たり2回、3回、4回、又はそれ以上の部分用量として、簡便に提示される。
【0126】
前述の態様のうちのいずれにおいても、化合物が1日1回投与される更なる実施形態を含む、有効量の化合物の単回投与を含む更なる実施形態である。
【実施例
【0127】
以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、本明細書に提供される特許請求の範囲を限定するものではない。
【0128】
実施例1:経口カプセル
代表的なカプセルを以下で表1に記載する。
【0129】
【表1】
【0130】
ホットメルト造粒カプセルの製造プロセスの代表的な説明は以下の通りである。
【0131】
段階1:高剪断湿式造粒:ビタミンEポリエチレングリコールサクシネート(TPGS)を溶融させる。化合物A-HCl、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及び二酸化ケイ素を、高剪断湿式造粒機に充填し、混合する。溶融させたビタミンE TPGSを造粒成分上に噴霧する。
【0132】
段階2:粉砕:湿式造粒物を、適切なサイズのスクリーンを使用して、スクリーニングミルを通して粉砕する。
【0133】
段階3:ブレンド:フマル酸ステアリルナトリウムを、適切なサイズのスクリーンを使用して篩過する。粉砕された造粒物を、フマル酸ステアリルナトリウムと共に拡散混合器(タンブル)に充填し、ブレンドする。
【0134】
段階4:カプセル化:10mgのカプセルを、自動的にサイズ2のゼラチンカプセルにカプセル化した。
【0135】
実施例2:噴霧乾燥固体分散体
噴霧乾燥固体分散体を、15重量%の化合物A-HClを用いて調製した:15/85の化合物A-HCl/HPMCAS-M及び15/85の化合物A-HCl/PVP VA64。製造は、乾燥ガス容量が150kg/時のBend Lab DryerであるBLD-150を使用して完了した。変更したパラメータは、ノズルのベアディング(bearding)を低減するのに役立つHPMCAS-M SDD製剤に対する溶液固体ローディング、及び臨床製造中に起こり得る変動のリスク除去を行うためのPVP VA64 SDDの乾燥機出口温度であった。元のプロセスパラメータスクリーニングプランでは、より大きな粒子を生成するためにより大きなオリフィスノズルを用いて、減少した乾燥機出口温度条件を製造することが規定されているが、第1の噴霧の結果に基づいて、所望の溶液流量を達成するために必要な噴霧圧は、より大きなオリフィスで溶液を完全に霧化するには低すぎると決定した。乾燥機出口温度は溶液流量よりも変動性が高い傾向があるため、パラメータスクリーンは、液滴の完全な霧化を確保しながら、乾燥機出口温度のみのリスク除去に焦点を当てるようにシフトした。乾燥機出口温度の変動は、SDD中の残留溶媒レベルに影響を与える可能性があり、これは物理的及び化学的安定性に影響を与え得る。全ての噴霧は、良好な収率で首尾よく完了され、両方の製剤に対して堅牢なプロセススペースを示した。
【0136】
15/85の化合物A HPMCAS-M SDD製剤製造の詳細
15/85の化合物A-HCl/HPMCAS-M SDDの3つのサブバッチを噴霧して、製造プロセススペースを探索し、臨床試験製造の準備を行った。サブバッチをまず10重量%の固体で噴霧すると、噴霧プルームに影響を及ぼすように見える顕著なノズルベアディングが溶液上で約45分後に観察された。
【0137】
溶液を8重量%に希釈し、サブバッチを1時間の期間で製造して、ベアディングの低減を確実にした。溶液上で約50分後、このバッチ中に非常に少量のベアディングが観察されたが、これは霧化プルームに影響を与えないように見えたため、8重量%の固体のローディングを選択した。
【0138】
2GPM及び約7℃の冷却水を、全ての噴霧を通して噴霧乾燥機の蓋に流して、蓋を冷えた状態に保ち、付着及び褐色化を防止した。製造全体を通じて、顕著な蓋の蓄積又は褐色化は見られなかった。噴霧間の洗浄は行わず、全ての噴霧は、バッチ2A及び2Cの製造前に追加の溶媒を添加した1つの溶液から完了した。3つのサブバッチ全てに使用した製造パラメータの概要を表2に示す。
【0139】
【表2】
【0140】
15/85の化合物A-HCl/PVP VA64 SDD製剤製造の詳細
15/85の化合物A-HCl/PVP VA64 SDD製剤についても、プロセスパラメータスクリーニング噴霧及びFPN実証バッチを完了した。乾燥機出口温度を変更して、プロセスパラメータ変動性のリスク除去を行い、臨床試験製造を準備した。
【0141】
プロセススペースは、最大乾燥機出口温度、乾燥機出口温度、及び最小の所望の溶液流量による制限を受けた。噴霧乾燥機の蓋の上のSDDの付着又は褐色化を避けるために、最大入口温度を160℃に指定し、十分なスループットを確保するために、最小流量を100g/分に設定した。乾燥機出口の最低温度及び最高温度をそれぞれ40℃及び65℃にし、粒子が十分に乾燥し、乾燥機出口温度が湿潤粒子のTgを超えないことを確実にした。
【0142】
PVP VA64製剤のプロセスパラメータスクリーニング噴霧は、乾燥機出口温度を変更することによって製造スペースを探索した。これにより、粒子残留溶媒含有量、形態、密度、及び安定性に対する乾燥機相対飽和度の影響の調査が可能となった。
【0143】
蓋の蓄積及び褐色化を防止するために、冷却水を全ての噴霧にわたって2GPM及び約7℃で流したところ、どちらも記録されなかった。3つの製造全てにわたって、ノズルのベアディングは観察されなかった。全ての噴霧を1つの溶液から完了した。各サブバッチの製造詳細を表3に要約する。
【0144】
【表3】
【0145】
SDDの特性評価
粒子特性:粒径分布及びバルク及びタップ密度を、化合物A-HCl SDDの各バッチについて測定した。HPMCAS-M SDDは、粒径がより大きく、これは、HPMCAS-M溶液がPVP VA64溶液よりも粘性が高く、所与のノズル構成に対してより大きな液滴をもたらすためである。ロット2Bの溶液中の固体ローディングを増加させることで、粒径がバッチ2A及び2Cよりも大きくなり、これも、噴霧溶液の粘度がより高いことに起因する。全てのPVPVA-64バッチの粒径分布は、予想通り類似している。
【0146】
2A及び2Cのバルク及びタップ密度は類似しているが、バッチ2Bは、恐らく粒子がより大きいことに起因して、密度がわずかに低い。全てのPVPVA-64バッチのバルク及びタップ密度は類似しており、これは、乾燥機出口温度が粉末特性に与える影響に関して、プロセスが堅牢であることを示す。
【0147】
残留溶媒及び水分含有量:6つのSDDの残留メタノール及び水を。それぞれGC及びKFを使用して測定した。全てのSDDは、二次乾燥後の0.3重量%というICHガイドラインを下回る残留メタノールを含有し、40℃/15%RHでの十分な乾燥が示唆された。
【0148】
SEMによる形態:6つ全てのSDDの粒子形態を、SEMを介して評価した。各SDDは典型的な形態を示し、不規則な粒子の証拠はなく、試験した全ての条件について適切な霧化が示唆された。HPMCAS-M粒子は、主に圧潰球形であり、PVP VA64 SDDは、より大部分の球形粒子を含有する。
【0149】
PXRDによる結晶性:6つ全てのSDDを、PXRDを使用して結晶性について評価した。全てのSDDは、PXRDにより非晶質であり、これは、鋭い回折ピークの非存在下で明らかであった。
【0150】
DSCによる熱特性:6つ全てのSDDを、調節されたDSCにより特性評価した。結果を表4にまとめる。製造されたSDDは、DSCにより全て非晶質かつ均質であり、これは、逆方向の熱信号における単一のガラス転移の存在によって明らかであった。いずれの製剤も、Tg後の結晶化の兆候を示さず、両製剤について、これらの温度で化合物Aが結晶化する傾向は低いことを示唆する。更に、両製剤が、周囲温度と比較して高いTgを示し、乾燥条件下で物理的安定性リスクが低いことを示唆する。PVP VA64製剤には、湿度を最小化するための包装が必要となる。
【0151】
【表4】
【0152】
概要
物理的安定性の観察結果:PVP VA64 SDDは、保管の際に潮解するように見え、3か月(40℃/75%RH開放)で結晶が観察された。乾燥剤と一緒に保管することが推奨される。HPMCAS-M SDDは、40℃/75%RH開放で6か月にわたって、物理的に安定であった。
【0153】
化学的安定性の観察結果:安定性に対するHPMCAS-M製剤における酸触媒による劣化の可能性。PVP VA64製剤でもいくらかの劣化が認められるが、HPMCAS-M SDDほど顕著ではない。PVPVA SDDには、物理的な安定性の懸念により、放送が必要となる。
【0154】
15重量%の化合物A/PVP VA64を、主SDD製剤として選択した。
【0155】
12か月間の安定性:15%の化合物A-HCl/PVP-VA64 SDD
12か月のSDD試料を、5℃、25℃/60%RH、及び40℃/75%RHで乾燥剤と共に保持した。カールフィッシャー滴定による水分析用の試料を調製し、即座に分析した。残りの試料を一晩真空乾燥させて、残留水分を除去し、更なる特性評価のためにSDDの物理的状態を維持した。特性評価のために実施された分析試験のリストには、外観、カールフィッシャー滴定による水分含有量、粉末X線回折(PXRD)、走査電子顕微鏡(SEM)、変調示差走査熱量測定(mDSC)による熱特性評価、微量遠心(MCT)試験による溶解性能、HPLCによるアッセイ及び関連物質が含まれた。
【0156】
12か月のSDD安定性試料に対するPXRD分析の結論:安定性条件の各々において12か月で保管した試料に結晶性の証拠はなかった。
【0157】
12か月のSDD安定性試料に対するSEM分析の結論:12か月で、全ての安定性条件にわたって粒子融合は観察されなかった。安定性条件の各々において12か月で保管した試料に結晶性の証拠はなかった。
【0158】
12か月のSDD安定性試料に対するSEM分析の結論:12か月で、全ての安定性条件にわたって粒子融合は観察されない。安定性条件の各々において12か月で保管した試料に結晶性の証拠はなかった。
【0159】
12か月のSDD安定性試料に対するmDSC分析の結論:5℃で保持した12か月のSDD試料の反復分析から得られたサーモグラムは再現不可能であり、この結果の原因は、現時点では分かっていない。5℃の試料は、他の全ての特性評価技法によって物理的に安定であると決定した。25℃/60%RH及び40℃/75%RHで保持した12か月のSDD試料は、124~125℃で単一の再現性のあるTgを示し、これらの条件で乾燥剤と共に12か月保管した後、SDDが安定であるという結論が裏付けられた。
【0160】
12か月のSDD安定性試料に対するMCT溶解分析の結論:12か月の安定性試料の非シンク溶解性能は、-20℃で保存した初期(t)試料と一致する。
【0161】
35/65の化合物A-HCl/PVP VA64 SDD製剤製造の詳細
噴霧乾燥固体分散体を、35重量%の化合物A-HClを用いて調製した:35/65の化合物A-HCl/PVP VA64製剤。
【0162】
SDDの製造は、SD-180実験用乾燥機を使用して完了した。二次乾燥は、Binder Convection Dryerを使用して完了した。製造詳細を表5に要約する。
【0163】
良好な収率で噴霧を首尾よく完了した。
【0164】
【表5】
【0165】
実施例3:経口錠剤
代表的な10mg、20mg、30mg、40mg、及び60mgの噴霧乾燥分散体錠剤を、表6、7、8、9、10、11、12、及び13に提示する。
【0166】
錠剤を調製するために使用した典型的な賦形剤には、微結晶性セルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、及びOpadry White 03K184116(フィルムコーティング)が含まれる。
【0167】
【表6】
【0168】
【表7】
【0169】
【表8】
【0170】
【表9】
【0171】
【表10】
【0172】
【表11】
【0173】
【表12】
【0174】
【表13】
【0175】
【表14】
【0176】
SDD錠剤の製造プロセスの代表的な非限定的説明は以下の通りである。
【0177】
段階1:噴霧乾燥:化合物A-HCl及びコポビドンをMeOHに溶解させる。溶液を噴霧乾燥させた。噴霧乾燥分散体(化合物A-HCl SDD)を収集する。
【0178】
段階2:ローラー圧縮:化合物A-HCl SDD、充填剤、崩壊剤、滑剤、及び潤沢剤からなる造粒ブレンドをブレンドする。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl SDD、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素からなる造粒ブレンドを調製し、ブレンドする。ステアリン酸マグネシウムの顆粒内部分をスクリーンに通し、顆粒ブレンドに添加する。得られたブレンドをブレンドする。造粒ブレンドをローラー圧縮のホッパーに充填し、圧縮してリボンにする。リボンを、インラインの振動ミルを使用してメッシュスクリーンを通過させて、リボンを割り、粉砕して顆粒にする。
【0179】
いくつかの実施形態では、造粒ブレンドは、約20%~約35%(最終錠剤重量のw/w)の化合物A-HCl SDDを含む。いくつかの実施形態では、造粒ブレンドは、約21%、22%、約28%、29%、約33%、約34%(最終錠剤重量のw/w)の化合物A-HCl SDDを含む。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl SDDは、15/85の化合物A-HCl/HPMCAS-M、15/85の化合物A-HCl/PVPVA64、又は35/65の化合物A-HCl/PVPVA 64 SDDを含む。
【0180】
段階3:ブレンド:顆粒内材料を顆粒外賦形剤と混合する。顆粒外賦形剤は、充填剤、崩壊剤、滑剤、及び潤沢剤から選択される1つ以上の賦形剤を含む。顆粒外成分には、微結晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素が含まれる。顆粒外潤沢剤であるステアリン酸マグネシウムを、適切なサイズのスクリーンを使用して篩過した後、ブレンドに添加し、混合する。
【0181】
段階4:圧縮:最終ブレンドを圧縮して錠剤にする。
【0182】
段階5:パンコーティング:Opadry White 03K18416のフィルムコーティング懸濁液を精製水中で調製し、錠剤を有孔コーティングパンにおいてOpadry White 03K18416でコーティングする。
【0183】
実施例4:イヌにおける製剤性能の評価
試験設計
イヌにおける評価した2つの状態*:+Pg前処理(ヒトの空腹時の胃を模倣したもの、pH1~2)及び-Pg前処理(PPI又は制酸剤を摂取しているヒトを模倣したもの、pH3~5)。(*:各条件間で1週間の休薬、Pg=ペンタガストリン。)
【0184】
化合物A-HCl溶液
N=非ナイーブのイヌ4匹。ビヒクル:プロピレングリコール。条件:-Pg。
化合物A-HCl HMGカプセル
【0185】
N=非ナイーブのイヌ4匹。条件:+Pg、-Pg。
【0186】
化合物A-HCl噴霧乾燥分散体錠剤:PVPVA
N=非ナイーブの雄イヌ6匹の2群。条件:+Pg、-Pg。
【0187】
この試験の結果を表15及び16に示す。
【0188】
【表15】
【0189】
表15及び図2に示すように、ペンタガストリンで前処理していないイヌでは、HMGカプセル製剤は不良な性能を示し、一方で噴霧乾燥分散体錠剤は良好な性能を示した。HMGカプセル製剤について、ペンタガストリンなしのAUCは、ペンタガストリンありのAUCの11%に過ぎなかった(917ng*時/mLと比較して98.2ng*時/mL)。比較すると、ペンタガストリンなしのPVPVA SDD錠剤のAUCは、ペンタガストリンありの条件のそれぞれ185%及び124%であった。これらのデータにより、PVPVA SDD錠剤製剤は、胃内pHが高い環境(例えば、PPI又は制酸剤を摂取している対象においてそうであるような環境)下で優れていることが示される。
【0190】
【表16】
【0191】
実施例5:化合物Aの2つの製剤の相対的バイオアベイラビリティ、性能、及び安全性を評価するための第1相マルチコホート単回投与試験
本試験は、最大3つのコホートで実施され、各々に特定の主要目的があった。
【0192】
コホート1:化合物A-HCl塩の噴霧乾燥分散体(SDD)により調製した10mg錠剤の性能の特性評価を行うこと。
【0193】
コホート2:10mgのSDD錠剤の相対的バイオアベイラビリティを、化合物A-HClホットメルト造粒(HMG)製剤、10mgカプセルと比較して評価すること。食物投与のタイミングが低用量の10mgのSDD錠剤の薬物動態に与える影響を決定すること。
【0194】
コホート3:食物投与のタイミングが、20mgより高い用量でのSDD錠剤の薬物動態及び用量比例性に与える影響を決定すること。投薬後の短い絶食期間で、十分な全身曝露をもたらす最適な投薬レジメンを決定すること。
【0195】
試験設計:
最大36名の健康な男性及び女性の対象を登録した。コホート1~2は各々4つの期間からなり、コホート3は3つの期間からなった。
【0196】
コホート1:
SDD錠剤を評価した。最大12名の健康な男性及び女性の対象を各コホートに登録した。コホート1は4つの期間からなった。第1期では、対象にプロトンポンプ阻害剤(ランソプラゾール、15mg BID、3日間(-3日目から)、食事の少なくとも30分前に経口摂取、朝1回、夕1回)を投与した。4日目(試験の1日目)に、絶食した対象に、ランソプラゾール(15mg)の最終投薬を施し、その60分後に20mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×2)を与えた。第2期では、絶食した対象に、20mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×2)を投与した。第3期では、絶食した対象に、20mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×2)を、高脂肪高カロリー食と共に投与した。第4期では、絶食した対象に、80mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×最大8)を与えることになる。実際の用量は、第2期からの薬物動態データに基づいて選択した。
【0197】
第1期:投薬前の夕(-1日目)に、対象に、15mgのランソプラゾールの夕用量を投与し、ランソプラゾールの投与の少なくとも30分後に夕食を提供し、その後-1日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。1日目に、対象に、朝用量(最終用量)の15mgのランソプラゾールを投与し、その少なくとも60分後に、化合物A(10mgのSDD錠剤×2)を投与した。化合物Aの後、対象に2時間の絶食を継続させ、その後、標準食の摂取を許可した。
【0198】
第2期:対象に、7日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。8日目に、20mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×2)を経口投与した。化合物Aの後、対象に2時間の絶食を継続させ、その後、標準食の摂取を許可した。
【0199】
第3期:対象に、14日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。15日目、対象に、30分以内の高脂肪高カロリー食の摂取を許可した。食事の摂取が完了したら、化合物A(10mgのSDD錠剤×2)を投与した(食事開始後30分以内)。化合物Aの投与後少なくとも4時間、追加の食物を提供しなかった。
【0200】
対象は、-1日目の3日前から試験全体を通して、1日30分超の激しい運動を行うことを禁じられた。
【0201】
有害事象(AE)モニタリング、臨床検査、バイタルサイン測定、12誘導ECG、ホルター及び遠隔計測モニタリング(第4期のみ)、並びに身体検査を含むPK及び安全性評価を、試験全体を通じて予定された時間に実施した。
【0202】
コホート2:
コホートは4つの期間からなった。各期間において、20mgの化合物A(10mgのSDD×2)の単回用量を経口投与した。
【0203】
第1期:対象に、-1日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。1日目に、20mgの化合物A(10mgのHMGカプセル×2、参照製剤)の投与の2時間後に低脂肪食を与えた。
【0204】
第2期:対象に、7日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。8日目、対象に、20mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×2、試験製剤)の投与の2時間後に低脂肪食を与えた。
【0205】
第3期:対象に、14日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。15日目、対象に、20mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×2)の投与の1時間後に低脂肪食を与えた。
【0206】
第4期:対象に、21日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。22日目、対象に、20mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×2)の投与の0.5時間後に低脂肪食を与えた。
【0207】
最終の試験来院は29日目であった。対象は、-1日目の3日前から試験全体を通して、1日30分超の激しい運動を行うことを禁じられた。有害事象(AE)モニタリング、臨床検査、バイタルサイン測定、12誘導ECG、及び身体検査を含むPK及び安全性評価を、試験全体を通じて予定された時間に実施した。
【0208】
コホート3:
コホートは3つの期間からなった。各期間において、化合物AのSDD(40、60、又は80mg)の単回用量を経口投与した(10mgのSDD錠剤×4、10mgのSDD錠剤×6、又は10mgのSDD錠剤×8)。化合物Aの各用量の間に少なくとも10日間の休薬期間を入れた。
【0209】
第1期:対象に、-1日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。1日目、対象に、40mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×4)の投与の1時間後に標準食を与えた。
【0210】
第2期:対象に、10日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。11日目、対象に、80の化合物A(10mgのSDD錠剤×8)の投与の1時間又は2時間後に標準食を与えた。食事のタイミング(化合物Aの投与後1時間又は2時間)は、第1期で決定した平均AUC0-24に左右された。
【0211】
第3期:対象に、20日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。21日目、対象に、60又は80mgの化合物A(10mgのSDD錠剤×6又は10mgのSDD錠剤×8)の投与の1時間又は4時間後に標準食を与えた。標準食の分量及びタイミングは、第2期で決定した平均AUC0-24に左右された。
【0212】
最終の試験来院は29日目であった。対象は、-1日目の3日前から試験全体を通して、1日30分超の激しい運動を行うことを禁じられた。有害事象(AE)モニタリング、臨床検査、バイタルサイン測定、12誘導ECG、及び身体検査を含むPK及び安全性評価を、試験全体を通じて予定された時間に実施した。
【0213】
治験対象集団:
18~55歳(端点を含む)である健康な男性又は女性の対象を最大36名登録した。コホート2のみ、スクリーニング時に18~65歳(端点を含む)である男性及び女性の対象。
【0214】
組み入れ基準
各対象は、試験への登録のためには、以下の組み入れ基準の全てを満たす必要があった:スクリーニング時に18~55歳(端点を含む)である男性及び女性の対象。コホート2のみ、スクリーニング時に18~65歳(端点を含む)である男性及び女性の対象。体格指数(BMI)18~30kg/m(端点を含む)であること。-1日目の3日前から試験全体を通して、1日30分超として定義される、激しい不慣れな運動及びスポーツを控える意思があること。対象が異性愛者又は両性愛者女性である場合、妊娠可能でないか、又は非常に有効な、若しくは臨床的に許容可能な2つの避妊法を使用することに同意しなければならない。
【0215】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかを満たす健康な対象を、試験から除外した。化合物Aによる以前の治療。治験参加を危険にする又は治験の評価項目の評価を妨げる可能性がある、制御されていない又は活動性の主要な全身性疾患。十分に治療された皮膚の基底細胞がん又は扁平上皮がんを除く、過去5年以内の悪性腫瘍の既往又は存在。活動性の急性又は慢性感染症。試験薬の初回投薬前、過去60日間又は5半減期のいずれか長い方の内のあらゆる治験薬の使用。入院前48時間のタバコ及び/又はニコチン含有製品、レクリエーショナルドラッグ、又はアルコールの使用、並びに試験全体を通じて使用を控えることへの同意。スクリーニング前1年未満のアルコール乱用歴及び/若しくは他の薬物依存歴又は進行形の乱用及び/若しくは依存。-1日目の14日以内に、いずれかの処方薬又は市販(OTC)薬品又は代替医薬品を使用した。-1日目前48時間、及び全ての後続期間の各健診日前48時間の、カフェイン含有飲料又は食物の使用。スクリーニング前7日以内から試験評価が完了するまでの間、ケシの実を含む食物を摂取した。中程度の又は強力なCYP3A4阻害剤又は誘導剤の服用。-1日目の3日前から試験全体を通した、1日30分超の激しい運動。入院前3か月以内に、500mL以上の失血があったか、又は献血をした。2×ULN超のアミラーゼ及び/若しくはリパーゼレベル、2×ULN超のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び/若しくはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、1.5×ULN超の総ビリルビン(既知のギルバート症候群の場合を除く)、並びに/又は正常上限を超える血清クレアチニンを有する。試験薬中のいずれかの賦形剤に対する過敏性反応の既往。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、又はC型肝炎抗体(HCV-Ab)についてのスクリーニング時の試験で陽性であったか、又は陽性の結果の既往を有する。血清妊娠検査が陽性であるか、又は授乳中である女性の対象。コホート1のみ、CYP2C19の代謝が不良である者又はその代謝が超高速である者と分類される対象。
【0216】
試験製品、用量、及び投与様式:
10mg錠剤(SDD)。所与の期間/コホートに指定された用量に応じて、複数の錠剤を水で嚥下させた。
【0217】
参照療法、用量、及び投与様式:
10mgのHMGカプセル製剤を参照製剤として用いた。所与の期間/コホートに指定された用量に応じて、複数のカプセルを水で嚥下させた。
血漿薬物動態パラメータ:
【0218】
血中PK試料を収集して、化合物Aの血漿濃度を評価した。
【0219】
PKパラメータを化合物Aについて計算し、次のものを以下の表に示す。0~24時間の血漿濃度曲線下面積(AUC0-24)、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度を達成するまでの時間(Tmax)。
【0220】
結果
この臨床試験の結果により、プロトンポンプ阻害剤の同時投与がSDD錠剤の投与で観察された薬物動態に与える影響はわずかしかなく、SDD錠剤を用いてより短い絶食時間が実現され、SDD錠剤がより良好な用量比例薬物動態を提供することが示された。
【0221】
コホート1の結果を表17に提示する。
【0222】
【表17】
【0223】
コホート1(異なる条件下でSDD 10mg×2):PPIを用いた場合と用いない場合の観察された曝露は、ほとんど同等である。コホート1(SDD 10mg×2対10mg×6):比較的用量比例的な曝露の増加が観察された。
【0224】
SDD錠剤と比較して、HMGカプセルでは、比較的用量比例的な曝露の増加は観察されなかった。図1を参照されたい。以前の臨床試験から得られたHMGカプセルの用量比例性データを、表18に提示する。
【0225】
【表18】
【0226】
コホート2の結果を表19に提示する。
【0227】
【表19】
【0228】
コホート2(SDD 10mg×2対HMG、及び異なる投薬後絶食期間):SDD錠剤は、HMGカプセルよりも曝露が良好であるようには見えず、これら2つの製剤は比較的同等であった。SDD錠剤については、投薬後1時間の絶食後のAUC0-24(吸収の程度の尺度)は、投薬後2時間の絶食で観察されるAUCの82%まで減少したが、これは比較的小さな曝露の減少である。
【0229】
異なる投薬後絶食期間のシナリオにおけるSDD錠剤の性能と比較して、以前に完了した臨床試験における異なる投薬後絶食期間のシナリオでは、HMGカプセルの機能は不良であった。12名の対象(N=男性4名、N=女性8名)に20mgの用量(10mgのHMGカプセル×2)を投与した後に得られた薬物動態データを、表20に提示する。
【0230】
【表20】
【0231】
HMGカプセル製剤では、投薬後1時間の絶食と投薬後2時間の絶食とで、およそ30%の吸収の程度の喪失が観察された。
【0232】
2時間絶食のHMGカプセルを、第2相臨床試験で評価した。1時間の絶食は、2時間の絶食よりも望ましい。2時間の絶食と比較して、1時間の絶食では、AUC(0-24)の損失は18%しか観察されなかった。1時間絶食のSDDを、第3相で利用する。重要なことに、SDD錠剤は、HMGカプセルよりも用量比例性が良好であるように見え、これにより、第3相臨床試験で3.0倍用量(すなわち、60mg)を投与することが可能になった。
【0233】
本明細書に記載される例及び実施形態は、例示のみを目的としており、当業者に示唆される様々な修正又は変更は、本出願の趣旨及び権限、並びに添付の特許請求の範囲に含まれるものである。
図1
図2
【国際調査報告】