(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(54)【発明の名称】液体分配スプレーノズルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B05B 1/10 20060101AFI20230913BHJP
B05B 1/06 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B05B1/10
B05B1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515608
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021049676
(87)【国際公開番号】W WO2022056136
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595170502
【氏名又は名称】スプレイング システムズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コプリン, トーマス
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033AA00
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA05
4F033GA03
4F033GA11
4F033JA02
4F033JA06
4F033LA03
4F033NA01
(57)【要約】
各モジュールがモジュール本体、スプレーノズル、およびノズルからの液体の分配を制御するためのピストンを有するモジュール式液体分配システム。各モジュールは、ピストンを開放位置に移動させるとともに、閉鎖位置へのより迅速な戻り移動を容易にする空気圧動作システムを有し、高粘性液体の正確に制御された小滴サイズの量の分配を可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーノズルにおいて、
液体入口と、前記液体入口と流体連通する膨張キャビティとを有し、前記膨張キャビティは下流端部壁で終端する、ノズルシートと、
内周面を画定する略中空の円筒構成を有する、ノズル本体と、
前記ノズル本体の内部に配置され、涙滴形状のピントルと、環状放出通路とを含む、内部ノズルコアと、
を備え、
前記涙滴形状のピントルは、前記膨張キャビティの上流端部壁に隣接する上流端部セクションと、前記上流端部セクションに隣接する径方向外側に湾曲したセクションと、径方向内側にテーパが付けられた円錐形の終端部セクションと、を有し、
前記環状放出通路は、前記ピントルの外面と前記ノズル本体の内周面との間に画定され、前記ノズルシートの前記膨張キャビティと流体連通する、スプレーノズル。
【請求項2】
前記ノズルシートの前記膨張キャビティの前記下流端部壁は、液体の移動方向に対して凹形の構成を有する、請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項3】
前記ノズルシートの下流端部壁は、周方向に間隔を置いて配置された複数のオリフィスを含み、各オリフィスは、前記放出通路と流体連通している、請求項2に記載のスプレーノズル。
【請求項4】
前記周方向に間隔を置いて配置されたオリフィスの各々は、前記液体入口の横断面領域以上の横断面領域を有する、請求項3に記載のスプレーノズル。
【請求項5】
前記ノズル本体の前記内周面は、前記ピントルの外側に湾曲したセクションに対して取り囲む関係で延びる径方向外側に向けられたセクションと、ピントルの残りの長さに対して取り囲む関係で延びる一様な直径セクションとを含む、請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項6】
前記放出通路の入口セクションは、前記ノズル本体の前記内周面の径方向外側に向けられたセクションと前記ピントルの前記外側に湾曲したセクションとの間に画定され、前記入口セクションが前記下流方向に延びるほど横断面領域が大きくなる横断面領域を有する、請求項5に記載のスプレーノズル。
【請求項7】
前記放出通路は、前記入口セクションの下流側に安定化セクションを含み、前記安定化セクションは、前記入口セクションの下流端部の横断面領域よりも小さい横断面領域を有する、請求項6に記載のスプレーノズル。
【請求項8】
前記放出通路は、前記安定化セクションの下流側に膨張セクションを含み、前記膨張セクションは、前記膨張セクションが前記下流方向に延びるにつれて漸次増加する横断面領域を有する、請求項7に記載のスプレーノズル。
【請求項9】
前記ノズル本体の下流端部はノズル口を画定し、前記ピントルの終端部は前記ノズル口を越えて延びている、請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項10】
前記ノズルシートは、前記ノズル本体の上流端部の内部に係合され、前記ノズルコアは、上流装着フランジを有し、前記上流装着フランジは、前記ノズル本体内の環状レッジ上に位置し、前記ノズルシートによって所定の位置に保持される、請求項1に記載のスプレーノズル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
【0002】
[0001]この特許出願は、2020年9月9日に出願された米国仮特許出願第62/076,001号の利益を主張するものであり、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[発明の分野]
【0004】
[0002]本発明は、液体分配システムに関し、特に、制御された少量の高粘性液体を分配するためのノズルを有する液体分配システムに関する。
【0005】
[発明の背景]
【0006】
[0003]多くの産業では、少量の制御された量の高粘性液体を分配する必要がある。例えば、食品産業では、ピザの商業的生産において、ピザ生地に小滴サイズの量のソースを分配することが必要とされる。ソースの濃厚な性質のために、所望のように厳密に制御された小液滴を迅速に分配することは困難である。その上、ソースがノズル通路を詰まらせる可能性のある固体を含む場合には、流体経路のサイズを大きくしなければならず、これにより小滴の分配を制御することがさらに困難になり、しばしば放出ソースの望ましくない飛散をもたらす。さらに、分配装置が空気動作式液体制御ピストンを使用する場合、ピストンの迅速な作動は制御空気の圧縮性によって制限される。加えて、空気動作装置がバネ戻りされるとき、バネ戻り力は、装置を開放ために使用される空気圧力の約半分まで制限することができ、これは、急速なピストン閉鎖に抵抗する。
【0007】
【発明の目的および概要】
【0008】
[0004]本発明の目的は、高粘性液体の小滴サイズ量を正確に制御して分配するのに有効なスプレーノズルを有する液体分配システムを提供することである。
【0009】
[0005]別の目的は、液体の望ましくない飛散を生じることなく、正確に制御されたピクセルサイズの液滴を迅速に堆積させるのに効果的である、上記のように特徴付けられた液体分配システムを提供することである。
【0010】
[0006]さらなる目的は、スプレーノズルが、液体中の固体含有量による目詰まりの影響を受けにくい、より大きな入口通路で動作可能な、上記の種類の液体分配システムを提供することである。
【0011】
[0007]さらに別の目的は、異なるサイズの正確に制御された小液滴を分配するために選択的に動作可能な、そのような液体分配システムを提供することである。
【0012】
[0008]別の目的は、より迅速に動作可能な、このような液体分配システムを提供することである。
【0013】
[0009]さらに別の目的は、システムを動作させるのに使用される空気圧に対して、その機能があまり耐性のない戻りバネを備えた空気動作式ピストンを有する、このようなタイプの液体分配システムを提供することである。
【0014】
[0010]さらに別の目的は、設計が比較的単純であり、経済的な製造および効率的な使用に適した前述のタイプの液体分配システムを提供することである。
【0015】
[0011]本発明の他の目的および利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明による例示的なモジュール構成の液体分配システムの断片的な斜視図である。
【
図2】
図2は、完全に組み立てられた液体分配システムの斜視図である。
【
図3】
図3は、例示された液体分配システムの液体分配モジュールのうちの1つの垂直断面である。
【
図4】
図4は、
図3に示す液体分配モジュールの中央液体制御ピストンアセンブリの拡大垂直断面である。
【
図5】
図5は、例示されたシステムの液体分配モジュールのうちの1つのスプレーノズルアセンブリの垂直断面における拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すスプレーノズルアセンブリの垂直断面である。
【
図7】
図7は、
図5および
図6に示すスプレーノズルアセンブリの分解斜視図である。
【
図8】
図8は、それぞれの液体分配モジュールに関連するソレノイド制御弁の概略図である。[0020]本発明は、種々の変形および代替的な構成の影響を受けやすいが、その特定の例示的な実施形態が図面に示されており、以下に詳細に説明される。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定する意図はなく、逆に、本発明の精神および範囲内にある全ての変形、代替構成、および等価物をカバーする意図があることを理解すべきである。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0017】
[0021]次に図面の
図1-
図3をより具体的に参照すると、本発明による例示的な液体分配システム10が示されている。例示された液体分配システム10は、複数の個別の液体分配モジュール12を含むモジュール式弁マニホールド11の形態であり、複数の個別の液体分配モジュール12は、タイロッド15とナット16によって互いに固定された両端のエンドブロック13と14との間に、密封されて並んで積み重ねられた関係で支持され保持されている。各モジュール12は、モジュールノズル支持本体20を含み、このモジュールノズル支持本体20は、上流端ブロック13の液体入口ポート23と下流端ブロック14の液体出口ポート24との間を連通する共通の液体供給通路22を画定するために、隣接するモジュール12の液体供給ポート21と整列した関係で設けられた液体供給ポート21で形成されている。従って、入口23に向けられた液体は、積まれたモジュール12の各々を通して連通する。
【0018】
[0022]例示された各モジュール12は、それぞれのスプレーノズル30を有し、スプレーノズル30は、液体供給通路22と連通する上流液体入口31を上側に有するモジュールノズル支持本体20の下側に応じて装着されている。共通液体供給通路22からモジュール12のスプレーノズル入口31への液体を制御するために、ピストン32は、スプレーノズル入口31の上方で各モジュール本体20内に支持され、上昇した入口開放位置と下降した入口閉鎖位置との間で往復運動する。
【0019】
[0023]この場合、各ピストン32は、それぞれのモジュール本体20の垂直開口部34内に密封関係で装着されたキャリア33内で選択的に相対移動するように支持され、ピストン32の下流端部は、スプレーノズル入口31と係合するために液体供給通路22を通って延びている。ピストン32を下降位置に付勢してスプレーノズル入口31を閉鎖するために、ピストン32のヘッド32aと、本体開口部34の上端部の内部に固定され、本体開口部34の上端部内に螺合された保持キャップ38によって保持された保持スリーブ37との間の挿入関係で、戻りバネ35がモジュール本体20のバネ室36の内部に設けられている。この場合、保持スリーブ37は、
図3および
図4に最もよく示されているように、戻りバネ35およびピストンヘッド32aの周りを下方に延びる。この場合、バネ保持スリーブ37およびモジュール本体20の開口部34は、保持スリーブ37の周りに環状の空気流路40(
図3)を画定し、この空気流路40は、バネ保持スリーブ37内の円周方向にオフセットされた穴41によってバネ室36に連通し、バネ室36を貫通する。ピストンヘッド32aの対向する軸方向端部とキャリア42(
図4)との間には、密封されたピストン室42が形成されている。
【0020】
[0024]本実施形態の重要な特徴に従って、各モジュール本体は、ピストンを開放位置に移動させる加圧空気がピストンの閉鎖位置への急速な移動も増大させるように、それぞれの弁によって制御される加圧空気通路システムを有する。例示された実施形態において、各モジュール12のピストン32の開放位置および閉鎖位置の間の動作は、
図3および
図8に最もよく示されているように、それぞれの電磁弁43によって制御される。各モジュールの電磁弁43は、ソレノイド装着ブロック44がネジ45によってそれぞれのモジュール本体20に密封された関係で装着された状態で、それぞれのモジュール本体20に取り付けられる。モジュール本体20はそれぞれ、隣接する各モジュール本体の空気供給ポート50と整列した空気供給ポート50を有し、端部ブロック14内のシステム空気入口ポート51と連通する共通空気入口通路を画定する。さらに、モジュール本体20は、それぞれ、端部ブロック14のシステム排気出口ポート53と連通する共通出口空気通路を画定するように整列された空気出口ポート52を有する。モジュール本体20の空気供給ポート50は、モジュール本体20内の入口空気通路63,63aおよびソレノイド装着ブロック44を介して電磁弁43の空気入口ポート55aに連通している。モジュール本体20の空気出口ポート52は、出口通路60を介して、保持スリーブ37の孔41およびスリーブ37周りの環状通路40を介して戻りバネ室36と連通し、モジュール本体20の出口通路61,61aおよびソレノイド装着ブロック44は、電磁弁43の排気ポート55bと連通している。ピストン室42は、モジュール本体20内の作業通路62、62aおよびソレノイド装着ブロック44を介して、ソレノイド制御弁43の作業ポート55cと連通している。
【0021】
[0025]この場合、電磁弁43がその自然状態または非通電状態にあるとき、電磁弁ポート空気入口55aにおける入口圧は、電磁弁43(
図8)の機構43a(この場合はステムの形態)によって遮断され、モジュール本体20の空気供給ポート50における加圧空気が、ソレノイド装着ブロック44およびモジュール本体20内の通路62a、62を介してピストン室42に連通することを防止する。電磁弁43がその自然状態または非通電状態にあるときの追加の通路経由は、電磁弁43のポート55c、55bを接続し、ピストン室42とモジュール本体20内の出口ポート52との間の空気の連通を、モジュール本体20及びソレノイド装着ブロック44内の通路62、62a、ソレノイド装着ブロック44及びモジュール本体20内の出口通路61a、61、孔41を介してバネ35を貫通する環状通路40、および出口通路60を介して可能にする。
【0022】
[0026]電磁弁43が通電されると、ソレノイドは作動機構43aをシフトさせて排気ポート55bを閉じ、ポート55cの大気への接続を除去し、電磁弁ポート55a、55cを接続する。次に、モジュール本体20の空気供給ポート50で加圧された空気は、モジュール本体20及びソレノイド装着ブロック44内の通路63,63a、電磁弁ポート55a,55cおよび通路62a,62を介して圧力室42と連通し、ピストン32を上方にストロークさせ、ノズル入口31を開放し、戻りバネ35を圧縮する。ピストンヘッド32aの上方へのストロークは、バネ室36の内部に正の空気変位を与え、その結果、僅かな圧力増加が生じる。バネキャビティ36内の圧力上昇は、バネ保持スリーブ37内の孔41、環状通路40、出口通路60、および空気出口ポート52を通って大気圧に排出される(
図3および
図4)。ノズル入口31は開放されたままであり、ソレノイドが付勢されている間、共通液体供給通路22からスプレーノズル30を通って大気へ液体が流れることを可能にする。
【0023】
[0027]通電されていないとき、電磁弁43は自然状態に戻る。ソレノイドポート55aにおける入口空気圧力は再び遮断され、加圧空気が装置に入るのを防止する。ピストン室42内の加圧された空気の急速な減圧は、ピストン室42内のシステム圧力が解放され、大気と等しくなるにつれて、モジュール本体20およびソレノイド装着ブロック44内の通路62、62a、電磁弁43のポート55cおよび55b、ソレノイド装着ブロック44およびモジュール本体20内の出口通路61aおよび61、バネ室36、出口通路60、および出口ポート52内に、上昇圧力の泳動(migration)を引き起こす。環状通路40内の泳動する圧力は、バネ保持スリーブ37内の孔41を介して連通し、バネ室36内に上昇圧力を生じさせ、バネ室36内のピストンヘッド32aの表面領域に作用し、その結果、ピストン室42内の減圧圧力に対向する戻りバネ35からの一定の下向きの力を補足する瞬間的な下向きの力が生じ、ピストン32をその自然状態に戻し、通路31を閉鎖し、共通液体供給通路22からのスプレーノズル30を通る液体の流入を停止させる。ピストン32をその自然状態に戻すのに必要な時間のかなりの減少は、バネ室36の内部の圧力の瞬間的な増加に帰せられる。バネ室36を含む電磁弁43の下流の全ての通路およびキャビティは、本質的に、出口ポート52を介して大気圧に戻り、ピストンヘッド32aに加えられる過渡圧力を効果的に除去する。
【0024】
[0028]ソレノイド43を再び付勢することによる液体分配モジュール12の更なる動作は、増加圧力が一時的であり、かつ、ピストン32の閉鎖ストロークに影響を与えることなくピストン32の開放ストロークに所望の効果を与えることを可能にする大気圧に迅速に戻るので、バネ室36内の増加圧力の前のサイクルによる影響を受けない。明らかになるように、電磁弁43は、ピストンの32の可変開放時間で特定の分配動作のために所定の速度でサイクルされて、可変ピクセル容積を提供することができる。
【0025】
[0029]本実施形態の更なる態様によれば、各スプレーノズルモジュール12は、液体がかなりの固体含有量を有する場合であっても、ピストン32の循環に付随して、高粘性液体の制御された小さな円形ピクセルサイズの小滴を分配するように動作可能である。
図5、
図6および
図7を特に参照して、各スプレーノズル30は、この場合、ノズル本体70と、ノズルシート71と、内部ノズルコア72とを備える。この場合、ノズルシート71は、ノズル本体70の上流円筒形端部74内に螺合されてノズルコア92をノズル本体70内に固定する外ネジ付き円筒形下流端部73を有する。ノズルシート71の上流端部75は、アセンブリの上流端部にある所定のサイズの液体入口31を画定する。この場合、ノズルコア72は、上流円筒形装着フランジ78を有し、この上流円筒形装着フランジ78は、ノズル本体70内の環状レッジ79上に位置され、ノズルシート71によって所定の位置に保持されるが、ノズルコア72をノズル本体70の内部に固定するために他の方法を使用してもよいことは理解されるであろう。
【0026】
[0030]コア72の円筒形装着フランジ78は、円周方向に間隔を置いて軸方向に配向された複数の液体オリフィス81で形成された(流体の流入方向に対して)凹形に構成された下流端部壁80を有する。これらの液体オリフィスは、ノズルシート71の膨張キャビティ82と、ノズルコア72とノズル本体70との間に画定された環状に構成された液体放出通路との間で連通して、後に明らかになるように小さな液滴形態で最適に分配するために制御された様式で液体を導く。例示されたノズル30は、複数の部品からなるアセンブリを備えているが、代替的に、1つの部品からなる構造を有してもよいし、より少ないまたはより多いアセンブリ部品を有してもよいことが理解されるであろう。
【0027】
[0031]本実施形態のこの態様を実行する際、ノズルコア72は、涙滴形状のピントル83を有し、このピントル83は、周囲のノズル本体70の内周面と共に、分配された液体の出口速度を減少させて高粘性放出液体の所望の流量および一定の液滴サイズを維持する膨張放出通路85を画定する。その目的のために、例示されたピントル83(
図5、
図6および
図7参照)は、装着フランジ78から中心に延びる比較的小さい直径の上流端部セクション86と、上流端部に隣接して径方向外側に延びる湾曲したセクション87と、内側にテーパが付けられた比較的長い円錐形の終端部セクション90とを有する。上述したように、ノズル本体70は、ほぼ中空の円筒形の構成を有し、ノズル本体70の内周面は、コアセクション72の周りの環状放出通路85の外壁を画定する。放出通路85の内壁は、ピントル83の外面によって画定されている。この場合、ノズル本体70の内周面は、ノズルコア72の外側に湾曲したセクション87に対して取り囲む関係で延び径方向外側に向けられたセクション91と、ピントル83のほぼ残りの長さだけ下流に延びる一様な直径セクション84とを含む。この設計は、環状放出通路を通る流入がノズル本体を通る移動中に粘性液体の内側への膨張をもたらすという点で独特である。ピントルの幾何学的形状は、環状流路の内径壁を画定するとともに、流入膨張による真空を形成することができる構造を提供する。膨張する環状放出経路内の液体の減速は、真空を引いて流入に抵抗する毛管力および表面張力の関数である。
【0028】
[0032]動作中、
図3を引き続き参照すると、ピストン32が上昇した入口開放位置にあるとき、液体は、制御された様式でノズル入口31を通過して、ノズルシート71の円筒形下流端部の内部に画定された膨張キャビティ82内に入ることが可能とされる。ノズル入口31を通る液体は、膨張キャビティ82の凹形下流端部壁80によって画定される衝突面に向けられる。これにより、液体が膨張キャビティ82を満たし、その後、一連の周方向に間隔を置いて配置されたオリフィス81を通って膨張キャビティから放出出通路85内に押し出される。さらに、オリフィス81の大きさは、少なくともノズル入口31と同じ大きさであり、液体中の固体粒子が膨張キャビティ82から流体放出通路85に目詰まりすることなく流れることができる。周方向に間隔を置いて配置されたオリフィス81の集合領域は、オリフィス81を通過する液体の速度がオリフィス81のサイズとノズル入口31のサイズとの比に反比例するように、ノズル入口31の領域よりも大きい。
【0029】
[0033]より具体的には、膨張キャビティ82の下流端部の周方向オリフィス81は、ノズル本体70の外側に向けられた壁セクション91とノズルコア72のピントル83との間に画定される放出通路85の入口セクション92と連通する。環状入口セクション92の横断面領域は、セクションが下流方向に延びるにつれて増加してもよく、その結果、この領域内の流体の速度は、放出通路の横断面領域が膨張するにつれて減少し続ける。(やはりピントル83の外面およびノズル本体70の内周面によって画定される)入口セクション92のすぐ下流の放出通路85の後続の安定化セクション93における放出通路85の横断面領域の僅かな減少は、圧力の僅かな増加を提供することができる。この圧力の増加は、一連のオリフィス81を通って放出通路85の入口セクション92に入る流体によって引き起こされる個々の噴流を除去する流入を安定化しかつバランスさせ、ノズル本体70の内壁面に沿った一様流を可能にする。安定化セクション93の横断面領域は、流体が安定性を獲得するときに、この領域を通じて一定である。
【0030】
[0034]安定化セクション93の下流において、液体は、ノズル本体70の下流端部に形成されたノズル口94まで下流に延びるノズルコア72の内側にテーパが付けられた終端部セクション90によって画定された最終膨張セクション95に入る。最終膨張セクション95の漸進的に増加する横断面領域は、ノズル本体70の内周面が一定の直径に維持されている間に、終端部セクション90のピントル83の円錐直径を減少させることによって達成される。ピントル83は、流体を安定化させるのに役立ち、単純な一様な直径を有するノズルコアで達成され得るよりも大きな液体膨張を可能にする。液体と放出通路の内壁面および外壁面との持続的な接触は、液体の表面張力の関数である。
【0031】
[0035]ノズル口94における最終膨張セクション95の横断面領域は液体の出口速度を画定し、これはノズル入口31の領域に関してノズル口94における横断面領域に反比例する。ノズルコア72の終端部セクション90は、好ましくはノズル口94を僅かに越えて延びて、放出液体ストリームの外径に影響を与えることなく、ノズル本体70の内周面で液体の表面張力を破るのを助ける。ノズル本体70の内周面を一定の直径にすることは、液体がノズルを出るときに液体の境界層の一定した直径を確立するのに役立ち、これは目標からのノズルの距離とは無関係に所望の液滴径を維持するのに役立つ。
【0032】
[0036]液体の速度の劇的な減少は、放出通路85の横断面領域を漸進的に増加させることによって達成することができることが分かっている。放出通路85の内側への膨張は、ノズル本体70の内周面を維持しつつ、ピントル83の直径を徐々に小さくすることによって達成される。これは、一定のストリーム直径を有する放出液体を生成するのに役立つ。液体の速度が減少することにより、飛散することなく分配することができる。これによりさらに、より大きなノズル入口オリフィス31を利用して、より大きな固体含有量を有する液体の分配を可能にすることができる。ノズルの放出通路が最初に粘性流体で充填されると、液体の表面張力は、ノズル入口31の開口時に放出される準備ができている液体でノズル30を充填し続ける。液体は実質的に非圧縮性でもよいので、入口31を通ってノズル30に入る液体容積とノズル口94から出る液体との間の正確な関係を維持することができる。50ミリ秒のような速い速度で入口オリフィス31を開閉するようにピストン32を循環させると、小さい一定の液滴の液体が生成され、この液滴は減少した出口速度で放出されることが分かっている。これにより、飛散することなく、ノズルから約2インチ離れた目標等の目標上に放出液滴を付着させることができる。
【0033】
[0037]上述のことから、分配された液体の望ましくない飛散を生じることなく、正確に制御された液滴を分配するために選択的に動作可能な液体分配システムが提供されることが分かる。このシステムはさらに、液体の固体含有量による目詰まりの影響を受けにくいスプレーノズルを含む。しかし、液体分配システムおよびその液体スプレーノズルは、設計が比較的単純であり、経済的な製造および効率的な使用に適している。スプレーノズルは、例示的な液体分配システムに関連して示され、説明されてきたが、スプレーノズルは、制御された比較的少量の液体を分配するための他の用途において使用され得ることが理解されるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーノズルにおいて、
下流膨張キャビティと流体連通する液体入口を有し、前記膨張キャビティは下流端部壁で終端する、ノズルシートと、
内周面を画定する略中空の円筒構成を有する、ノズル本体と、
前記ノズル本体の内部に配置され、涙滴形状のピントルを含む、内部ノズルコアと、
を備え、
前記涙滴形状のピントルは、
前記膨張キャビティの
下流に上流端部セクションと、前記上流端部セクションに隣接する径方向外側に湾曲したセクションと、径方向内側にテーパが付けられた円錐形の終端部セクションと、を有し、
前記ピントルの外面および前記ノズル本体の前記内周面は、流体が放出される前記膨張キャビティと流体連通する環状の放出通路を画定する、スプレーノズル。
【請求項2】
前記下流端部壁は、液体の移動方向に対して凹形の構成を有する、請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項3】
前記下流端部壁は、周方向に間隔を置いて配置された複数のオリフィスを含み、各オリフィスは、前記放出通路と流体連通している、請求項2に記載のスプレーノズル。
【請求項4】
前記周方向に間隔を置いて配置されたオリフィスの各々は、前記液体入口の横断面領域以上の横断面領域を有する、請求項3に記載のスプレーノズル。
【請求項5】
前記ノズル本体の前記内周面は、前記ピントルの外側に湾曲したセクションに対して取り囲む関係で延びる径方向外側に向けられたセクションと、ピントルの残りの長さに対して取り囲む関係で延びる一様な直径セクションとを含む、請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項6】
前記放出通路の入口セクションは、前記ノズル本体の前記内周面の径方向外側に向けられたセクションと前記ピントルの前記外側に湾曲したセクションとの間に画定され、前記入口セクションが前記下流方向に延びるほど横断面領域が大きくなる横断面領域を有する、請求項5に記載のスプレーノズル。
【請求項7】
前記放出通路は、前記入口セクションの下流側に安定化セクションを含み、前記安定化セクションは、前記入口セクションの下流端部の横断面領域よりも小さい横断面領域を有する、請求項6に記載のスプレーノズル。
【請求項8】
前記放出通路は、前記安定化セクションの下流側に膨張セクションを含み、前記膨張セクションは、前記膨張セクションが前記下流方向に延びるにつれて漸次増加する横断面領域を有する、請求項7に記載のスプレーノズル。
【請求項9】
前記ノズル本体の下流端部はノズル口を画定し、前記ピントルの終端部は前記ノズル口を越えて延びている、請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項10】
前記ノズルシートは、前記ノズル本体の上流端部の内部に係合され、前記ノズルコアは、上流装着フランジを有し、前記上流装着フランジは、
前記膨張室の前記下流端部壁を形成し、前記下流端部壁は、前記ノズル本体内の環状レッジ上に位置し、前記ノズルシートによって適所に保持される、請求項1に記載のスプレーノズル。
【請求項11】
スプレーノズルにおいて、
周期的に動作する液体供給装置に接続するための液体入口を有するノズルシートと、
略中空の円筒構成のノズル本体と、
前記ノズル本体の内部に配置される、内部ノズルコアと、
前記液体入口と前記ノズルコアとの間を連通する前記ノズル本体の内部の膨張室と、
を備え、
前記ノズルコアは、前記膨張室の下流端部に隣接する上流端部と、前記上流端部の下流に延びる涙滴形状のピントルとを有し、前記涙滴形状のピントルは、前記上流端部に隣接する径方向外側に湾曲したセクションと、径方向内側にテーパが付けられた円錐形の終端部セクションとを有し、
前記ノズル本体は、内部円筒壁セクションを有し、前記内部円筒壁セクションは、前記ピントルの径方向内側にテーパが付けられた円錐形の終端部セクションと共に、前記膨張キャビティと流体連通して流体が放出される、スプレーノズル。
【請求項12】
前記ピントルは、前記ノズル本体放出オリフィスと共に下流端部を有し、前記ノズル本体と前記ピントルとの間に環状放出通路を画定する、請求項11に記載のスプレーノズル。
【請求項13】
前記ピントルは、前記ノズル本体を越えて下流に延びる、請求項12に記載のスプレーノズル。
【請求項14】
前記ノズルコアは、上流装着フランジを有し、前記上流装着フランジは、前記膨張室と前記膨張環状通路との間を連通する複数の周方向に間隔を置いて配置された液体流入オリフィスで形成される、請求項11に記載のスプレーノズル。
【請求項15】
前記ノズルシート、ノズル本体およびノズルコアは、互いに組み立てられた別個の部品である、請求項11に記載のスプレーノズル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
[0001]この特許出願は、2020年9月9日に出願された米国仮特許出願第63/076,001号の利益を主張するものであり、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】