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特表2023-540159ロボット制御装置及び方法、並びにロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】ロボット制御装置及び方法、並びにロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20230914BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20230914BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J13/00 Z
G05B19/18 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576375
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2021094043
(87)【国際公開番号】W WO2022057292
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】202010974687.4
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517441262
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンス、インコーポレイテッド オブ チューハイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フ、ユーシェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チャンカイ
(72)【発明者】
【氏名】フ、フェイペン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、チンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、シャンツァイ
(72)【発明者】
【氏名】レイ、レイ
【テーマコード(参考)】
3C269
3C707
【Fターム(参考)】
3C269AB33
3C269BB11
3C269CC09
3C269MN09
3C269MN32
3C269PP02
3C269PP03
3C707BS15
3C707HT40
3C707MS12
(57)【要約】
ロボット制御装置である。この装置は、ロボットが緊急停止をトリガする場合に、ロボットの本体スイッチがターンオンされると、ロボットの本体スイッチがターンオンされているというスイッチ・ターンオン信号を取得するように構成された信号取得ユニットと、イネーブル解除制御信号を出力するように構成された制御ユニットと、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行して、手動解除信号を出力し、イネーブル解除制御信号が受け取られると、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行して、イネーブル解除信号を出力するように構成された論理処理ユニットと、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、バンド・ブレーキを解除するようにロボットのモータを制御するように構成されている信号出力ユニットと、を備えている。SCARAロボットのモータ・バンド・ブレーキに対して解除制御を実行することによって、潜在的な安全性欠陥を消去するために、ロボット又は周辺デバイスへの二次損害を回避することが可能になる。方法及びロボットが、更に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号取得ユニットと、制御ユニットと、論理処理ユニットと、信号出力ユニットとを備えたロボット制御デバイスであって、
前記信号取得ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガして前記ロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合に、前記ロボットの本体スイッチがターンオンされると前記ロボットの前記本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を取得するように構成され、
前記制御ユニットは、前記ロボットが前記緊急停止をトリガして前記ロボットの前記モータの前記ブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合に、イネーブル解除制御信号を出力するように構成され、
前記論理処理ユニットは、前記スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、前記スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、手動解除信号を出力し、前記イネーブル解除制御信号が受け取られると、前記イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル解除信号を出力するように構成され、
前記信号出力ユニットは、前記手動解除信号又は前記イネーブル解除信号が受け取られると、解除されるように前記ロボットの前記モータの前記ブレーキングを制御するように構成されている、ロボット制御デバイス。
【請求項2】
前記ロボットの前記本体スイッチは自己リセット・スイッチを備えており、前記自己リセット・スイッチの第1の端子は前記信号取得ユニットの入力端子に接続され、前記自己リセット・スイッチの第2の端子は接地され、前記自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされ、
前記ロボット制御デバイスは、
前記ロボットが前記制御ユニットを通じて前記緊急停止をトリガして前記ロボットの前記モータにブレーキがかけられる場合に、前記ロボットの前記自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、前記ロボットの前記自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するように構成された前記信号取得ユニットと、
前記スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、前記スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するように構成された前記論理処理ユニットと、
前記ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するように前記ロボットの前記モータを制御するように構成された前記信号出力ユニットとを更に備える、請求項1に記載のロボット制御デバイス。
【請求項3】
前記ロボットのブレーキ信号線上の電流信号を収集するように構成されたサンプリング・ユニットを更に備えており、
前記制御ユニットは、更に、前記ロボットの本体の前記電流信号と、前記ロボットの前記本体スイッチのスイッチ信号とに従って、前記ロボットの前記本体の状態を監視するように構成されており、
前記ロボットの前記本体スイッチの前記スイッチ信号は、前記ロボットの前記本体スイッチがターンオンされていることを示す前記スイッチ・ターンオン信号か、又は前記ロボットの前記本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む、請求項1に記載のロボット制御デバイス。
【請求項4】
前記制御ユニットが、前記ロボットの前記本体の前記電流信号と、前記ロボットの前記本体スイッチの前記スイッチ信号とに従って、前記ロボットの前記本体の前記状態を監視することは、
前記ロボットが正常動作している場合に、前記ロボットが正常動作していることを前記電流信号が示し、前記ロボットの前記本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることを前記スイッチ信号が示すならば、停止するように前記ロボットを制御し、前記ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えることと、
前記ロボットがブレーキング状態にある場合に、前記ロボットが前記ブレーキング状態にあることを前記電流信号が示し、前記ロボットの前記本体スイッチが前記ターンオフ状態からターンオンされていることを前記スイッチ信号が示すならば、起動を無効化するように前記ロボットを制御することとを含む、請求項3に記載のロボット制御デバイス。
【請求項5】
前記信号取得ユニットの出力端子の個数と、前記論理処理ユニットの個数と、前記信号出力ユニットの個数とは、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることが必要な前記ロボットにおける前記モータの個数と一致しており、
ブレーキがかけられること又は前記ブレーキングから解除されることが必要な前記ロボットにおける前記モータの個数が2である場合には、前記ブレーキがかけられること又は前記ブレーキングから解除されることが必要な前記ロボットにおける前記モータは、第1のモータと第2のモータとを含む、前記信号取得ユニットの前記出力端子は、第1の出力端子と第2の出力端子とを含み、前記論理処理ユニットは、第1の論理処理ユニットと第2の論理処理ユニットとを含み、前記信号出力ユニットは、第1の信号出力ユニットと第2の信号出力ユニットとを含み、
前記信号取得ユニットの前記第1の出力端子は、前記第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続され、前記第1の論理処理ユニットの出力端子は、前記第1の信号出力ユニットの入力端子に接続され、前記第1の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又は前記ブレーキングを解除するための前記第1のモータの制御端子に接続されており、
前記信号取得ユニットの前記第2の出力端子は、前記第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続され、前記第2の論理処理ユニットの出力端子は、前記第2の信号出力ユニットの入力端子に接続され、前記第2の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又は前記ブレーキングを解除するための前記第2のモータの制御端子に接続されており、
前記制御ユニットの第1のイネーブル制御端子は、前記第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続され、前記制御ユニットの第2のイネーブル制御端子は、前記第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続される、請求項1から4までのいずれか一項に記載のロボット制御デバイス。
【請求項6】
前記信号取得ユニットは、第1のオプトカプラ・モジュールと、第1のスイッチ・モジュールと、第2のスイッチ・モジュールとを備え、
前記第1のオプトカプラ・モジュールのダイオード側は、前記ロボットの前記本体スイッチに接続され、前記第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側は、前記ロボットの前記本体スイッチのスイッチ信号を出力することができ、
前記ロボットの前記本体スイッチの前記スイッチ信号は、前記第1のスイッチ・モジュールによって処理された後で、前記第1の論理処理ユニットの前記第1の入力端子に出力され、
前記ロボットの前記本体スイッチの前記スイッチ信号は、前記第2のスイッチ・モジュールによって処理された後で、前記第2の論理処理ユニットの前記第1の入力端子に出力され、
前記ロボットの前記本体スイッチの前記スイッチ信号は、更に、前記制御ユニットのフィードバック端子に出力される、請求項5に記載のロボット制御デバイス。
【請求項7】
前記第1のスイッチ・モジュールの構造は、前記第2のスイッチ・モジュールの構造と同じであり、前記第1のスイッチ・モジュールは、第1の三極トランジスタ・モジュールを含み、
前記第1の三極トランジスタ・モジュールのベースは、前記第1のオプトカプラ・モジュールの前記トランジスタ側のエミッタに接続され、前記第1の三極トランジスタ・モジュールのコレクタは、前記第1のスイッチ・モジュールの出力端子として、前記第1の論理処理ユニットの前記第1の入力端子に接続される、請求項6に記載のロボット制御デバイス。
【請求項8】
前記第1の論理処理ユニットの構造は、前記第2の論理処理ユニットの構造と同じであり、前記第1の論理処理ユニットは、第1のANDゲート・モジュールを備え、
前記第1のANDゲート・モジュールの第1の入力端子は、前記信号取得ユニットの前記第1の出力端子に接続され、前記第1のANDゲート・モジュールの第2の入力端子は、前記制御ユニットの前記第1のイネーブル制御端子に接続され、前記第1のANDゲート・モジュールの出力端子は、前記第1の信号出力ユニットの前記入力端子に接続される、請求項5に記載のロボット制御デバイス。
【請求項9】
前記第1の信号出力ユニットの構造は、前記第2の信号出力ユニットの構造と同じであり、前記第1の信号出力ユニットは、第2のオプトカプラ・モジュールを備え、
前記第2のオプトカプラ・モジュールのダイオード側のカソードは、前記第1の論理処理ユニットの前記出力端子に接続され、前記第2のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタは、ブレーキング又は前記ブレーキングを解除するために前記第1のモータの制御端子に接続される、請求項5に記載のロボット制御デバイス。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の前記ロボット制御デバイスを備えている、ロボット。
【請求項11】
ロボット制御方法であって、
ロボットが緊急停止をトリガして前記ロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合には、前記ロボットの本体スイッチがターンオンされると、信号取得ユニットによって、前記ロボットの前記本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を取得するステップと、
前記ロボットが前記緊急停止をトリガして前記ロボットの前記モータの前記ブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合には、制御ユニットによって、イネーブル解除制御信号を出力するステップと、
論理処理ユニットにより、前記スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、前記スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、手動解除信号を出力し、前記イネーブル解除制御信号が受け取られると、前記イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル解除信号を出力するステップと、
前記手動解除信号又は前記イネーブル解除信号が受け取られると、信号出力ユニットによって、解除されるように前記ロボットの前記モータの前記ブレーキングを制御するステップと、
を含む、ロボット制御方法。
【請求項12】
前記ロボットの前記本体スイッチは自己リセット・スイッチを備えており、前記自己リセット・スイッチの第1の端子は前記信号取得ユニットの入力端子に接続され、前記自己リセット・スイッチの第2の端子は接地され、前記自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされ、
前記ロボット制御方法は、
前記信号取得ユニットによって、前記ロボットが前記制御ユニットを通じて前記緊急停止をトリガして前記ロボットの前記モータにブレーキがかけられる場合に、前記ロボットの前記自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、前記ロボットの前記自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するステップと、
前記論理処理ユニットによって、前記スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、前記スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するステップと、
前記信号出力ユニットによって、前記ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するように前記ロボットの前記モータを制御するステップと、
を更に含む、請求項11に記載のロボット制御方法。
【請求項13】
サンプリング・ユニットによって、前記ロボットのブレーキ信号線上の電流信号を収集するステップと、
前記制御ユニットによって、前記ロボットの前記本体の前記電流信号と、前記ロボットの前記本体スイッチのスイッチ信号とに従って、前記ロボットの本体の状態を監視するステップであって、前記ロボットの前記本体スイッチの前記スイッチ信号は、前記ロボットの前記本体スイッチがターンオンされていることを示す前記スイッチ・ターンオン信号か、又は前記ロボットの前記本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む、ステップと、
を更に含む、請求項11又は12に記載のロボット制御方法。
【請求項14】
前記ロボットの前記本体の前記電流信号と、前記ロボットの前記本体スイッチの前記スイッチ信号とに従って、前記ロボットの前記本体の前記状態を、前記制御ユニットによって前記監視するステップは、
前記ロボットが正常動作している場合に、前記ロボットが正常動作していることを前記電流信号が示し、前記ロボットの前記本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることを前記スイッチ信号が示すならば、停止するように前記ロボットを制御し、前記ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えるステップと、
前記ロボットがブレーキング状態にある場合に、前記ロボットが前記ブレーキング状態にあることを前記電流信号が示し、前記ロボットの前記本体スイッチが前記ターンオフ状態からターンオンされていることを前記スイッチ信号が示すならば、起動を無効化するように前記ロボットを制御するステップと、
を含む、請求項13に記載のロボット制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月16日に中国国家知識産権局に出願された「ロボット制御装置及び方法並びにロボット」と題する中国特許出願第202010974687.4号の優先権を主張し、その中国特許出願の全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ロボットの技術分野に関し、詳しくは、ロボット制御デバイス、ロボット制御方法及びロボットに関し、特に、モータのブレーキングを解除するためのSCARAロボットの制御デバイス、方法及びロボットに関する。
【背景技術】
【0003】
産業上の自動化改革の急上昇に伴い、様々な産業用ロボットが、多くの企業にとっての好適なソリューションとなっている。SCARA(組立動作において用いられるロボティック・アームである、スカラ型組立ロボティック・アーム)ロボットは、広範に用いられるようになったロボットのタイプである。しかし、緊急停止保護がSCARAロボットによってトリガされると、そのロボティック・アームは、電源オフ及び再起動がなければ、動かすことが不可能であって、これはロボット又は周辺機器に二次損害を生じさせる場合があり、よって深刻で潜在的な安全性欠陥を提示する。
【0004】
上述のコンテンツは、本開示の技術的ソリューションの理解を助けるためにのみ用いられており、上述のコンテンツが従来技術であるとの承認を表すものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、SCARAロボットによって緊急停止保護がトリガされたときに、電源をオフにして再起動しなければ、そのロボティック・アームを動かすことが不可能であるという課題を解決するために、ロボット制御デバイス、ロボット制御方法及びロボットを提供することであるが、それは、この課題のために、ロボット又は周辺機器に対する二次損害が生じる場合があり得るし、それによって、深刻で潜在的な安全性欠陥が引き起こされているからである。したがって、ロボット又は周辺機器への二次損害を回避し、SCARAロボットのためのブレーキングを解除する制御を通じて安全性欠陥を除去するという効果を達成することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、信号取得ユニットと、制御ユニットと、論理処理ユニットと、信号出力ユニットとを備えたロボット制御デバイスを提供するが、信号取得ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合に、ロボットの本体スイッチがターンオンされるとロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を取得するように構成され、制御ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合に、イネーブル解除制御信号を出力するように構成され、論理処理ユニットは、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、手動解除信号を出力し、イネーブル解除制御信号が受け取られると、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル解除信号を出力するように構成され、信号出力ユニットは、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、解除されるようにロボットのモータのブレーキングを制御するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施例では、ロボットの本体スイッチは、自己リセット・スイッチを備えており、自己リセット・スイッチの第1の端子は信号取得ユニットの入力端子に接続され、自己リセット・スイッチの第2の端子は接地され、自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされ、ロボット制御デバイスは、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガしてロボットのモータにブレーキがかけられる場合に、ロボットの自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、ロボットの自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するように構成された信号取得ユニットと、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するように構成された論理処理ユニットと、ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するようにロボットのモータを制御するように構成された信号出力ユニットとを更に備える。
【0008】
いくつかの実施例では、このロボット制御デバイスは、ロボットのブレーキ信号線上の電流信号を収集するように構成されたサンプリング・ユニットを更に備えており、制御ユニットは、更に、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視するように構成されており、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号か、又はロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む。
【0009】
いくつかの実施例では、制御ユニットが、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視することは、ロボットが正常動作している場合に、ロボットが正常動作していることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、停止するようにロボットを制御し、ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えることと、ロボットがブレーキング状態にある場合に、ロボットがブレーキング状態にあることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、起動を無効化するようにロボットを制御することとを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、信号取得ユニットの出力端子の個数と、論理処理ユニットの個数と、信号出力ユニットの個数とは、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることが必要なロボットにおけるモータの個数と一致しており、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることが必要なロボットにおけるモータの個数が2である場合には、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることが必要なロボットにおけるモータは、第1のモータと第2のモータとを含み、信号取得ユニットの出力端子は、第1の出力端子と第2の出力端子とを含み、論理処理ユニットは、第1の論理処理ユニットと第2の論理処理ユニットとを含み、信号出力ユニットは、第1の信号出力ユニットと第2の信号出力ユニットとを含み、信号取得ユニットの第1の出力端子は、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続され、第1の論理処理ユニットの出力端子は、第1の信号出力ユニットの入力端子に接続され、第1の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又はブレーキングを解除するための第1のモータの制御端子に接続されており、信号取得ユニットの第2の出力端子は、第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続され、第2の論理処理ユニットの出力端子は、第2の信号出力ユニットの入力端子に接続され、第2の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又はブレーキングを解除するための第2のモータの制御端子に接続されており、制御ユニットの第1のイネーブル制御端子は、第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続され、制御ユニットの第2のイネーブル制御端子は、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続されている。
【0011】
いくつかの実施例では、信号取得ユニットは、第1のオプトカプラ・モジュールと、第1のスイッチ・モジュールと、第2のスイッチ・モジュールとを備え、第1のオプトカプラ・モジュールのダイオード側は、ロボットの本体スイッチに接続され、第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側は、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号を出力することができ、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、第1のスイッチ・モジュールによって処理された後で、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力され、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、第2のスイッチ・モジュールによって処理された後で、第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力され、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、更に、制御ユニットのフィードバック端子に出力される。
【0012】
いくつかの実施例では、第1のスイッチ・モジュールの構造は、第2のスイッチ・モジュールの構造と同じであり、第1のスイッチ・モジュールは、第1の三極トランジスタ・モジュールを含み、第1の三極トランジスタ・モジュールのベースは、第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタに接続され、第1の三極トランジスタ・モジュールのコレクタは、第1のスイッチ・モジュールの出力端子として、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続されている。
【0013】
いくつかの実施例では、第1の論理処理ユニットの構造は、第2の論理処理ユニットの構造と同じであり、第1の論理処理ユニットは、第1のANDゲート・モジュールを備えており、第1のANDゲート・モジュールの第1の入力端子は、信号取得ユニットの第1の出力端子に接続され、第1のANDゲート・モジュールの第2の入力端子は、制御ユニットの第1のイネーブル制御端子に接続され、第1のANDゲート・モジュールの出力端子は、第1の信号出力ユニットの入力端子に接続されている。
【0014】
いくつかの実施例では、第1の信号出力ユニットの構造は、第2の信号出力ユニットの構造と同じであり、第1の信号出力ユニットは、第2のオプトカプラ・モジュールを備えており、第2のオプトカプラ・モジュールのダイオード側のカソードは、第1の論理処理ユニットの出力端子に接続され、第2のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタは、ブレーキング又はブレーキングを解除するための第1のモータの制御端子に接続されている。
【0015】
上述したデバイスに相応して、本開示の別の態様は、上述のロボット制御デバイスを備えたロボットを提供する。
【0016】
上述したロボットに相応して、本開示の別の態様は、ロボット制御方法を提供し、このロボット制御方法は、ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合に、ロボットの本体スイッチがターンオンされると、信号取得ユニットによって、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を取得するステップと、ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合には、制御ユニットによって、イネーブル解除制御信号を出力するステップと、論理処理ユニットにより、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、手動解除信号を出力し、イネーブル解除制御信号が受け取られると、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル解除信号を出力するステップと、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、信号出力ユニットによって、解除されるようにロボットのモータのブレーキングを制御するステップと、を含む。
【0017】
いくつかの実施例では、ロボットの本体スイッチは自己リセット・スイッチを備えており、自己リセット・スイッチの第1の端子は信号取得ユニットの入力端子に接続され、自己リセット・スイッチの第2の端子は接地され、自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされ、このロボット制御方法は、信号取得ユニットによって、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガしてロボットのモータにブレーキがかけられる場合に、ロボットの自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、ロボットの自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するステップと、論理処理ユニットによって、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するステップと、信号出力ユニットによって、ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するようにロボットのモータを制御するステップと、を更に含む。
【0018】
いくつかの実施例では、このロボット制御方法は、サンプリング・ユニットによって、ロボットのブレーキ信号線上の電流信号を収集するステップと、制御ユニットによって、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視するステップとを含み、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号か、又はロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む。
【0019】
いくつかの実施例では、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を、制御ユニットによって監視するステップは、ロボットが正常動作している場合に、ロボットが正常動作していることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、停止するようにロボットを制御し、ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えるステップと、ロボットがブレーキング状態にある場合に、ロボットがブレーキング状態にあることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、起動を無効にするようにロボットを制御するステップと、を含む。
【0020】
したがって、本開示のソリューションでは、ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、SCARAロボットが緊急状態にあるか、又はどの駆動ループも使用不可能であるときに、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解除し、ロボティック・アームを移動させることが可能になり、それによって、どの駆動ループも使用不可能なときでも、SCARAロボットの緊急移動が可能になる。したがって、SCARAロボットのモータのブレーキング制御を解除することを通じて、安全性欠陥を除去するために、ロボット又は周辺機器への二次損害を回避することが可能になる。
【0021】
本開示の他の特徴及び長所は、以下の説明で与えられることで、以下の説明において部分的に明瞭になり、本開示の実装を通じて、知られることになる。
【0022】
以下では、本開示の技術的ソリューションが、添付の図面と実施例とを参照して、更に、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示のロボット制御デバイスのある実施例の概略的な構造図である。
図2】SCARAロボットのある実施例の概略的な構造図である。
図3】ロボットとコントローラとのある実施例の概略的な構造図であり、具体的には、ロボット本体の配線の回路図である。
図4】ロボットとコントローラとの別の実施例の概略的な構造図である。
図5図4のコントローラの制御回路のある実施例の概略的な構造図である。
図6】本開示のロボット制御方法のある実施例の概略的なフローチャートである。
図7】本開示の方法において、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持するある実施例の概略的なフローチャートである。
図8】本開示の方法において、ロボットの本体状態をモニタするある実施例の概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の目的と、技術的ソリューションと、効果とを更に明瞭にするため、本開示の技術的ソリューションが、本開示の特定の実施例と対応する図面との組合せとして、明瞭且つ完全に、説明される。明らかに、説明されている実施例は、本開示の実施例の一部に過ぎず、その実施例の全部ではない。本開示の実施例に基づき創造的な努力なくして当業者によって得られるすべての他の実施例は、本開示の保護範囲に含まれるものとする。
【0025】
本開示のある実施例によると、ロボット制御デバイスが、提供される。図1を参照すると、本開示のデバイスのある実施例の概略的な構造図が、示されている。このロボット制御デバイスは、SCARAロボットのモータのブレーキング制御の解除に適用されることが可能である。SCARAロボットのモータのブレーキング制御デバイスの解除は、信号取得ユニットと、制御ユニットと、論理処理ユニットと、信号出力ユニットとによって構成される。制御ユニットのためには、FPGAが用いられることが可能である。
【0026】
具体的には、信号取得ユニットは、ロボットの(自己リセット・スイッチなどの)本体スイッチに接続されており、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合には、ロボットの本体スイッチがターンオンされると、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を取得するように構成されている。
【0027】
具体的には、制御ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合に、イネーブル解除制御信号を出力するように構成される。
【0028】
具体的には、論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合に、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、手動解除信号を出力し、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合に、イネーブル解除制御信号が受け取られると、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル解除信号を出力するように構成される。
【0029】
具体的には、信号出力ユニットは、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、ロボットのモータのブレーキングが解除されるように制御するように構成される。ブレーキング信号は、ロボットにおける1つ又は複数のモータに対し、別々に、提供される。ブレーキ信号ラインは相互に接続されているのではなくて独立に提供されており、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号のみが唯一の信号入力として用いられるため、本体スイッチが押下されるかどうか、又は内部のソフトウェア制御がイネーブルされているかどうかとは関係なく、ブレーキングが解除されることが可能である。非緊急状態では、それぞれの軸が、ソフトウェアによって別々にイネーブルされ、制御される。
【0030】
例えば、ブレーキ解除信号とイネーブル信号とが送信される場合には、2つのブレーキ解除状況の両方が、ハードウェア・ループを追加した後で、達成されることが可能になる。具体的には、「ロボット」上のスイッチを押下することを通じて、ソフトウェア制御なしで、ブレーキの解除の達成が可能である。また、モータのブレーキングは、イネーブル信号がソフトウェア制御によって送信されると、ロボットに対して、解除可能になる。
【0031】
ブレーキングが手動で解除される場合には、自己リセット・スイッチが押下され、「SW_IN」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)が出力される。この状況では、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされておらず、ネットワーク「SW」及び「SW_0」が、プルアップされ、ハイ・レベルを出力する。次に、三極トランジスタ回路がターンオンされ、「SW_SIG」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)を出力する。Y=A・Bにより、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することにより、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、その結果、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力されて、ブレーキングが解除されることがわかる。
【0032】
FPGA制御がイネーブルされている場合には、FPGAによってANDゲート(すなわち、第2の論理ゲート回路)に入力される信号ネットワーク「F_BRK0」及び「F_BRK1」は、ロー・レベル(論理レベル0)を出力するように、ソフトウェアによって制御される。Y=A・Bにより、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することが、わかる。次に、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力され、ブレーキングが解除される。
【0033】
したがって、ハードウェア制御ループが形成されることが可能であり、ソフトウェア制御ループは、信号取得ユニット、制御ユニット、論理処理ユニット及び信号出力ユニットと互換性を有することが可能であり、これによって、どの駆動ループも利用可能でないSCARAロボットの緊急移動が可能になる。例えば、SCARAロボットが緊急状態にあるか、又はどの駆動ループも利用不可能であるときに、緊急停止の後に、電源オフ及び再起動なしではロボティック・アームを動かせないという問題、また例えば、緊急状態では、ユーザがSCARAロボットの第3及び第4軸を迅速にブレーキ解除する必要があるという問題に関して、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解放してロボティック・アームを動かすことが可能であり、それにより安全性を向上させることができる。
【0034】
いくつかの実施例では、ロボットの本体スイッチは、自己リセット・スイッチを備えており、自己リセット・スイッチの第1の端子は信号取得ユニットの入力端子(SW_IN端子など)に接続され、自己リセット・スイッチの第2の端子は接地されている(例えば、アナログ・グランドGNDに接続されている)。自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされる。例えば、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、信号入力としてのみ用いられ、ブレーキ線には直接接続されていない。
【0035】
緊急停止制御の間は、制御は、制御ユニットによって実行されることが可能である。具体的には、ロボットが緊急停止をトリガする必要があると、制御ユニットが、イネーブル・ブレーキ制御信号を出力する。論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガする必要があり、イネーブル・ブレーキ制御信号が受け取られると、イネーブル・ブレーキ制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル・ブレーキ信号を出力する。信号出力ユニットは、イネーブル・ブレーキ信号を受け取ると、ブレーキをかけるようにロボットのモータを制御する。
【0036】
制御ユニットを通じてロボットのモータが緊急停止をトリガしてある場合には、自己リセット・スイッチがリセットされるとしても、モータのブレーキングの状態は、影響を受けない。詳細については、以下の例示的な説明を参照してほしい。
【0037】
ロボット制御デバイスは、具体的には以下の通りに、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持するプロセスを、更に含む。
【0038】
信号取得ユニットは、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガして、ロボットのモータにブレーキがかけられる場合には、ロボットの自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされていると、ロボットの自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するように、構成される。
【0039】
論理処理ユニットは、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガして、ロボットのモータにブレーキがかかっている場合に、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するように構成される。
【0040】
信号出力ユニットは、ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するようにロボットのモータを制御するように構成される。
【0041】
ブレーキング状態では、モータは、制御されていないときには、ブレーキング状態にあるはずであって、すなわち、「BRK1」及び「BRK2」信号は、ハイ・レベル状態にあるはずである。制御されていないモータとは、ソフトウェア制御されていないモータを意味する。ハードウェア・ループを追加する時点では、「BRK1」及び「BRK2」信号のハイ・レベル状態を実現することが、依然として必要である。
【0042】
モータがソフトウェア制御されていないときには、FPGAによって第2の論理ゲート回路(すなわち、ANDゲート)に入力される信号ネットワークF_BRK0及びF_BRK1は、プルアップされ、ハイ・レベル(論理レベル1)を出力する。その時点で、スイッチはターンオフ状態にあり、「SW_IN」ネットワークが、「24V_CTRL」電源ネットワークによって、プルアップされる。この状況で、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされていない。「SW」及び「SW_0」ネットワークは、接地されている。この状況では、三極トランジスタ回路は、ターンオンされておらず、「SW_SIG」ネットワークが、プルアップされ、ハイレベル(論理レベル1)が出力される。Y=A・Bにより、論理レベル1が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がハイ・レベルを出力することが、わかる。この場合に、後段のオプトカプラ回路もターンオンされておらず、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」は、「24V_IO」によって直接プルアップされることにより、ハイ・レベルを出力して、モータがブレーキング状態に入るのであるが、これは要件と矛盾しない。
【0043】
ロボットの本体スイッチは自己リセット・スイッチであるから、ボタンを解除することで、それ自体を、自動的に開(閉ではない)状態に戻すことになるが、その状況では、生じた信号は、ある意味で、ハードウェア回路が追加される前の信号と、まったく異ならない。したがって、それは、ソフトウェアと互換性がある。
【0044】
したがって、自己リセット・スイッチは、ロボットの本体スイッチとして用いられるため、遅滞なくブレーキをかけないことによって生じる安全問題に関する心配は、不要である。具体的には、自己リセット・スイッチは、ロボットの本体スイッチとして、用いられる。自己リセット・スイッチは、ブレーキが手動で解除されるときに、採用される。オペレータが、ボタンをリセットすることを偶然に失念しても、ロボティック・アームは、それ以外の危険を回避するために、制御不能に落下することはなく、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。
【0045】
いくつかの実施例では、このデバイスは、サンプリング・ユニットを更に備えている。ロボットの本体の状態を監視するプロセスは、具体的には、下記の通りである。
【0046】
サンプリング・ユニットは、ロボットのブレーキ信号線上の電流信号を収集し、収集された電流信号を、制御ユニットのフィードバック端子にフィードバックするように構成される。収集された電流信号は、モータに接続されたBRK1-又はBRK2-信号線上の電流信号である。
【0047】
制御ユニットは、更に、ロボットの本体の電流信号とロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視するように構成されており、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号か、又はロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む。具体的には、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、信号取得ユニットにおける第1のオプトカプラなどの前段のオプトカプラ回路のトランジスタ側のエミッタによって出力される、スイッチ信号である。
【0048】
例えば、ハードウェア制御ループを追加することに加え、スイッチ信号が導入される。このスイッチ信号は、一方(SW_SIG)がブレーキング解除に関与する信号入力であり、他方(SW)がFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)に入力されるフィードバック信号である、2つの信号に分割されることが可能である。FPGAに入力されるスイッチ信号と、FPGAに入力されるサンプリングされた電流信号とは、本体ブレーキング(又は、ブレーキング解除)ループの状態を監視する安全フィードバック・ループを形成することができる。
【0049】
したがって、ハードウェア制御ループを追加することに加えて、電流サンプリング回路との組合せとしてスイッチ信号を導入することによって、安全フィードバック・ループが形成され、その結果、ロボットの安全性を更に向上させる。
【0050】
いくつかの実施例では、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視する制御ユニットは、下記の通りである。
【0051】
この制御ユニットは、更に、ロボットが正常動作している場合に、ロボットが正常動作していることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、ロボットの本体スイッチが誤動作のためにターンオンされていると判断し、停止するようにロボットを制御し、ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えるように構成されている。
【0052】
この制御ユニットは、ロボットがブレーキング状態にある場合に、ロボットがブレーキング状態にあることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、ロボットは間違いによって起動されていると判断し、起動を無効にするようにロボットを制御するように構成されている。
【0053】
例えば、ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとが互換性を有する場合には、システム全体が緊急状態にない(すなわち、緊急停止ボタンが押下されていない)ときには、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとの両方によって、制御されることが可能である。その場合、スイッチ信号は、2つの信号に分割され得るのであって、その一方(SW_SIG)はブレーキングの解除に関与する信号であり、他方(SW)はフィードバック信号としてFPGAに入力される。
【0054】
ロボットの内部プログラムが正常に動作しているならば、ロボティック・アームは、その元の状態を維持電流によって維持し、ロー・レベルのSW信号を受け取るはずがない。ロボットの本体スイッチ(すなわち、自己リセット・スイッチ)が、ロボットの正常動作中に、人為ミスによって生じる安全事故を回避するために、押下される場合には、フィードバック信号SWが関与することになる。FPGAが、異常なロー・レベルを検出し、ロボットを停止させ、アラートを発する。本体スイッチがデバッギングのために押下され、その場合に、誰かがロボットを起動させることを望むならば、FPGAが、サンプリングされた電流信号(ADチップによってデジタル信号に変換され、本体状態のフィードバックとしてFPGAに入力される)とSW信号(本体スイッチを制御する信号)とに基づいて、ロボットの起動を無効にし、それにより、安全事故を回避する。
【0055】
いくつかの実施例では、信号取得ユニットの出力端子の個数と、論理処理ユニットの個数と、信号出力ユニットの個数とは、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることを必要とするロボットにおけるモータの個数と一致している。つまり、信号取得ユニットの出力端子の個数と、論理処理ユニットの個数と、信号出力ユニットの個数とは、ブレーキング制御の解除を必要とするロボットにおけるモータの個数、又はブレーキング制御を必要とするモータの個数とまったく同じである。つまり、信号取得ユニットの出力端子の個数と、論理処理ユニットの個数と、信号出力ユニットの個数とは、すべてが1つ又は複数であり、1つ又は複数の信号出力ユニットは、それぞれが、ブレーキングからの解除を必要とするロボットにおけるモータに対応する。ブレーキングを解除する制御は、ブレーキングからの解除を必要とするロボットにおけるモータで実行されることが可能である。例えば、具体的には、1つ又は複数の信号出力ユニットは、第1の信号出力ユニットと第2の信号出力ユニットとを含む2つの信号出力ユニットであり得るが、これらは、ブレーキがかけられている2つのモータに対する解除制御信号を出力することが可能である。
【0056】
いくつかの実施例では、ブレーキがかけられること又はブレーキングからの解除が必要なロボットにおけるモータの個数が2である場合、ブレーキがかけられること又はブレーキングからの解除が必要なロボットにおけるモータは、例えば、SCARAロボットの第3軸のモータと第4軸のモータとである、第1のモータと第2のモータとを含む。信号取得ユニットの出力端子は、第1の出力端子と第2の出力端子とを含む。論理処理ユニットは、第1の論理処理ユニットと第2の論理処理ユニットとを含む。信号出力ユニットは、第1の信号出力ユニットと第2の信号出力ユニットとを含む。
【0057】
信号取得ユニットの第1の出力端子は、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続される。第1の論理処理ユニットの出力端子は、第1の信号出力ユニットの入力端子に接続される。第1の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又はブレーキングを解除するための第1のモータの制御端子に接続される。
【0058】
信号取得ユニットの第2の出力端子は、第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続される。第2の論理処理ユニットの出力端子は、第2の信号出力ユニットの入力端子に接続される。第2の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又はブレーキングを解除するための第2のモータの制御端子に接続される。モータのブレーキングのため又はブレーキングを解除するためのロボットの制御端子は、モータのブレーキングのため又はロボットのブレーキングを解除するためのブレーキ・ラインであり得る。
【0059】
制御ユニットの第1のイネーブル制御端子は、第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続される。制御ユニットの第2のイネーブル制御端子は、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続される。
【0060】
例えば、ブレーキングを解除する制御プロセスでは、信号取得ユニットの第1の出力端子が、信号取得ユニットによって取得されロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力する。制御ユニットの第1のイネーブル制御端子は、イネーブル解除制御信号を、第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に出力する。ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合には、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、第1の論理処理ユニットが、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、第1のモータのための手動解除信号を出力する。ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合には、イネーブル解除制御信号が受け取られると、第1の論理処理ユニットが、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、第1のモータのためのイネーブル解除信号を出力する。第1の信号出力ユニットは、第1のモータのための手動解除信号又は第1のモータのためのイネーブル解除信号を受け取ると、ブレーキングを解除するようにロボットの第1のモータを制御する。
【0061】
更に、信号取得ユニットの第2の出力端子が、信号取得ユニットによって取得されロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に出力する。制御ユニットの第2のイネーブル制御端子は、イネーブル解除制御信号を、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に出力する。ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合には、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、第2の論理処理ユニットが、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、第2のモータのための手動解除信号を出力する。ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合には、イネーブル解除制御信号が受け取られると、第2の論理処理ユニットが、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、第2のモータのためのイネーブル解除信号を出力する。第2の信号出力ユニットは、第2のモータのための手動解除信号又は第2のモータのためのイネーブル解除信号を受け取ると、ブレーキングを解除するようにロボットの第2のモータを制御する。
【0062】
別の実例であるが、制御ユニットのイネーブルを通じてのブレーキング制御のプロセスでは、すなわち、緊急停止制御の間に、ロボットが緊急停止をトリガすることを必要とする場合には、制御ユニットの第1のイネーブル制御端子が、第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に、イネーブル・ブレーキ制御信号を出力する。第1の論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガすることを必要とする場合に、イネーブル・ブレーキ制御信号が受け取られると、イネーブル・ブレーキ制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル・ブレーキ信号を、第1の信号出力ユニットに出力する。第1の信号出力ユニットは、イネーブル・ブレーキ信号を受け取ると、ブレーキをかけるようにロボットの第1のモータを制御する。
【0063】
更に、ロボットが緊急停止をトリガすることを必要とする場合には、制御ユニットの第2のイネーブル制御端子が、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に、イネーブル・ブレーキ制御信号を出力する。第2の論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガすることを必要とする場合に、イネーブル・ブレーキ制御信号が受け取られると、イネーブル・ブレーキ制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル・ブレーキ信号を、第2の信号出力ユニットに出力する。第2の信号出力ユニットは、イネーブル・ブレーキ信号を受け取ると、ブレーキをかけるようにロボットの第2のモータを制御する。
【0064】
別の実例であるが、ブレーキング維持制御プロセスにおいては、信号取得ユニットの第1の出力端子が、信号取得ユニットによって取得されロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力する。ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガしてロボットのモータにブレーキがかけられる場合には、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、第1の論理処理ユニットが、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、第1のモータのためのブレーキング維持信号を出力する。第1の信号出力ユニットは、第1のモータのためのブレーキング維持信号を受け取ると、ブレーキングを維持するようにロボットの第1のモータを制御する。
【0065】
更に、信号取得ユニットの第2の出力端子が、信号取得ユニットによって取得されロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に出力する。ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガしてロボットのモータにブレーキがかけられる場合には、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、第2の論理処理ユニットが、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、第2のモータのためのブレーキング維持信号を出力する。第2の信号出力ユニットは、第2のモータのためのブレーキング維持信号を受け取ると、ブレーキングを維持するようにロボットの第2のモータを制御する。
【0066】
したがって、ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、SCARAロボットが緊急状態にあるか、又はどの駆動ループも有していないときに、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解除して、ロボティック・アームを動かすことが可能である。したがって、ユーザは、緊急状態にあるSCARAロボットの第3及び第4軸のためのモータのブレーキングを迅速に解除することができ、それにより、安全性を向上させる。
【0067】
いくつかの実施例では、信号取得ユニットは、第1のオプトカプラ・モジュールと、第1のスイッチ・モジュールと、第2のスイッチ・モジュールとを備えている。第1のオプトカプラ・モジュールのダイオード側は、ロボットの本体スイッチに接続される。第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側は、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号を出力することができる。
【0068】
ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、第1のスイッチ・モジュールによって処理された後で、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力される。第1のスイッチ・モジュールの出力端子は、信号取得ユニットの第1の出力端子である。
【0069】
ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、第2のスイッチ・モジュールによって処理された後で、第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力される。第2のスイッチ・モジュールの出力端子は、信号取得ユニットの第2の出力端子である。
【0070】
ロボット制御デバイスがサンプリング・ユニットを更に備えている場合には、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、更に、制御ユニットのフィードバック端子(FPGAのSW端子など)に出力される。例えば、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、更に、サンプリング・ユニットによってサンプリングされる電流信号を用いて安全フィードバック・ループを形成し、ロボット本体のブレーキング(又は、ブレーキングの解除)ループの状態を監視するために、FPGAのフィードバック端子に出力される。
【0071】
例えば、第1のオプトカプラ・モジュールは、抵抗R1と、第1のオプトカプラOC1などの前段のオプトカプラ回路とを備えている。抵抗R1は、第1のオプトカプラOC1のダイオード側のアノードとカソードとの間に、並列に接続される。
【0072】
したがって、第1のオプトカプラ・モジュールと第1のスイッチ・モジュールと第2のスイッチ・モジュールとによって信号取得ユニットを構築することを通じて、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号が、高い信頼性で取得されることが可能になる。こうして、モータは、スイッチ信号に従って、ブレーキングを解除するように制御されることが可能になり、モータの状態が監視されることが可能になることによって、ハードウェア制御とソフトウェア監視とが達成される。
【0073】
いくつかの実施例では、第1のスイッチ・モジュールの構造は、第2のスイッチ・モジュールの構造と同じである。第1のスイッチ・モジュールは、第1の三極トランジスタ・モジュールを含む。第1の三極トランジスタ・モジュールのベースは、第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタに接続される。第1の三極トランジスタ・モジュールのコレクタは、第1のスイッチ・モジュールの出力端子として、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続される。
【0074】
例えば、第1の三極トランジスタ・モジュールは、三極トランジスタ回路を用いることができる。三極トランジスタ回路は、抵抗R2と、抵抗R3と、抵抗R4と、抵抗R5と、コンデンサC1と、ダイオードD1と、トライオードQ1とを有する。
【0075】
したがって、第1の三極トランジスタ・モジュールを主に用いて第1のスイッチ・モジュールを形成することにより、第1のオプトカプラ・モジュールによって取得されたロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、処理され、第1の論理処理ユニットに出力されることが可能である。この構造は、単純で、信頼性が高く、安全である。
【0076】
いくつかの実施例では、第1の論理処理ユニットの構造は、第2の論理処理ユニットの構造と同じである。第1の論理処理ユニットは、第1のANDゲート・モジュールを備えている。
【0077】
第1のANDゲート・モジュールの第1の入力端子は、信号取得ユニットの第1の出力端子に接続される。第1のANDゲート・モジュールの第2の入力端子は、制御ユニットの第1のイネーブル制御端子に接続される。第1のANDゲート・モジュールの出力端子は、第1の信号出力ユニットの入力端子に接続される。論理ゲート回路により、ロボットは、ロボットの本体スイッチが押下されず、コントローラの内部ソフトウェアがブレーキング信号を提供する場合にのみ、ブレーキをかけることが可能である。
【0078】
したがって、ANDゲート・モジュールを第1の論理処理ユニットとして用いることを通じて、どのような駆動ループも利用不可能であるときでも、ハードウェアとソフトウェアとの両方により、SCARAロボットの緊急移動を可能にするようなモータのブレーキ解除が、制御可能になる。
【0079】
いくつかの実施例では、第1の信号出力ユニットの構造は、第2の信号出力ユニットの構造と同じである。第1の信号出力ユニットは、第2のオプトカプラ・モジュールを備えている。
【0080】
第2のオプトカプラ・モジュールのダイオード側のカソードは、第1の論理処理ユニットの出力端子に接続される。第2のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタは、ブレーキング又はブレーキングを解除するために、第1のモータの制御端子に接続される。第2のオプトカプラOC2は、第2のオプトカプラ・モジュールとして用いられることが可能である。ダイオードが、第2のオプトカプラOC2のトランジスタ側のエミッタと直流電源との間に、提供される。
【0081】
例えば、ロボットの本体スイッチすなわち自己リセット・スイッチのスイッチ信号が、前段のオプトカプラ回路と三極トランジスタ回路とを通過した後で、第1の論理ゲート回路の入力端子に入力される。FPGAの制御信号は、駆動回路を通じて、第1の論理ゲート回路の入力端子に入力される。2つの信号が第1の論理ゲート回路に入力されると、第1の論理ゲート回路は、後段のオプトカプラ回路の入力端子に出力されるブレーキング(又は、ブレーキング解除)制御信号を出力する。後段のオプトカプラ回路の出力信号は、プルアップされ、外部のロボット・モータに出力される。
【0082】
したがって、第2のオプトカプラ・モジュールを第1の信号出力ユニットとして用いることにより、第1の論理処理ユニットの出力信号は分離された後で、ブレーキング又はブレーキング解除のために、第1のモータの制御端子に出力され、その結果として、モータは、ハードウェア又はソフトウェア制御に基づいて、信頼性が高く安全な様態でブレーキングから解除されるように制御されることが可能になる。
【0083】
本開示の技術的ソリューションは、多数の試験を通じて、検証されている。ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、正常動作中であれば、追加されたハードウェア回路は、ソフトウェア制御に影響することはなく、安全事故が発生し緊急停止ボタンが遅滞なく押下されると、ロボティック・アームは、救助若しくは資産保護のために移動させて遠ざける必要があるし、又はロボティック・アームを移動して安全範囲に戻すことが必要である。この状況では、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御を通じてのみ、達成可能であって、ハードウェア制御では、ロボット又は周辺機器に対する二次的損害を回避して安全性欠陥を除去するために、ブレーキ解除制御が、SCARAロボットのモータに対して、実行されることが可能である。
【0084】
本開示のある実施例によると、ロボット制御デバイスに対応するロボットが、更に、提供される。このロボットは、上述したロボット制御デバイスを備える。
【0085】
SCARAロボットは、(1)コンパクトな構造、業務空間の高い利用効率、(2)柔軟な動作、高速性、高い反復精度、高い業務効率、(3)操作の容易性、多様な設置方法、(4)部品の少なさ、低い製造コスト、分解及び維持の容易性など、という長所を有しており、そのために、精度が大きく要求される狭い場所で広く用いられている。例えば、SCARAロボットは、組み立て、解体及びソーティングのために、3C電子産業で、一般的に、用いられている。
【0086】
図2は、SCARAロボットのある実施例の概略的な構造図である。図2に示されているように、SCARAロボットは、第1軸、第2軸及び第4軸の水平方向回転ジョイントと、第3軸の上下ジョイントという、4つのジョイント(すなわち、第1のジョイント、第2のジョイント、第3のジョイント及び第4のジョイント)の動きを制御するために、4つのモータを用いる。一般的には、端部でのツーリング固定具の重力などの慣性の影響があるので、第3軸モータと第4軸モータに関しては、電源喪失の場合にモータ内部のブレーキ保持によってジョイント・アームが落下することを回避するため、ブレーキ保持能力を備えたモータが選択されるべきであるが、第1軸モータと第2軸モータとに関しては、それらがブレーキング機能を有している必要があるかどうかは、ロボットの組立方法に従って、柔軟に判断することが可能である。
【0087】
更に、ブレーキを備えたモータの使用は、実際の使用において、例えば下記のように、いくつかの課題を生じさせる可能性がある。
【0088】
一方で、製造プロセスの間には、元の予め設定されたルーチンから離れて動作するロボット・プログラムのために、SCARAロボットの端部固定具が、周囲の物体又は設備と衝突することがあり得る。そのような状況では、ユーザは、緊急停止スイッチ(デモンストレータ緊急停止又は外部緊急停止など)と、第3軸モータ及び第4軸モータのブレーキとを押下し得るのであって、それにより、ロボット・コントローラが、主回路の接続を断つことになる。いったん緊急安全回路(すなわち、緊急停止)がトリガされると、ロボットは、動作モードとは関係なく直ちに停止し、アラームに対する確認応答(すなわち、緊急停止が解除され、パワーアップ・ボタンがパワーアップされる)がなければ、再起動が不可能になるのであって、その場合、ロボットは、もはやソフトウェア・プログラムによって制御されなくなり、オペレータが、デモンストレータを通じてロボットを動作させることは、不可能である。したがって、ロボティック・アームを動かすためには、別のループが必要となる。その場合には、ロボットや周囲の設備への二次的損害を回避するため、衝突しているロボティック・アームをユーザが遅滞なく移動させることができるように、ユーザに対し、第3軸及び第4軸のブレーキを迅速に解除する方法を提供することが必要である。
【0089】
他方で、ブレーキを備えたモータの通常使用の間には、ブレーキが正常に解除可能であることが保証されなければならず、そうでなければ、ロボット動作プロセスが、容易にロボット過負荷アラームを生じさせる又はモータを損傷することになり得る。
【0090】
図3は、ロボット及びコントローラのある実施例の概略的な構造図であり、具体的には、ロボット本体の配線の回路図である。
【0091】
いくつかのロボット製造業者によって用いられている、ブレーキを迅速に解除可能なハードウェアでのブレーキ解除のソリューションは、主に2つ存在する。第1のソリューションでは、2つの軸のブレーキ信号線を接続するのに、スイッチ(外部ブレーキング・スイッチなどであり、図2の第3のジョイントのブレーキ解除スイッチを参照のこと)が用いられる(接続に関しては、図3に示されている実例を参照可能である)。スイッチが押下されると、2つの軸のブレーキが、同時に解除される。しかし、電源がオンのときには、ブレーキングを解除するように一方の軸を独立に制御するのは、不可能である。第2のソリューションでは、特定の線を別々に制御するために、一方の軸のブレーキング信号にだけ接続されるのであるが、一方のブレーキ線だけが、制御可能である。更に、2つのソリューションのどちらも、閉ループ制御ループを完成させることがなく、これらのどちらもが状態監視ループを欠いており、ブレーキング解除状態を監視できない。
【0092】
いくつかの実施例において、本開示のソリューションは、SCARAロボットのために、モータのブレーキ解除制御のソリューションを提供する。
【0093】
本開示のソリューションは、ロボットに対して緊急停止がトリガされた後では、電源をオフにして再起動しなければ、ロボティック・アームを動かすことが不可能であるという課題に向けられており、これは、例えば、緊急状況において、ユーザが、SCARAロボットの第3及び第4軸のブレーキングを迅速に解除できる必要があるという課題である。ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、どの駆動ループも利用可能でないときでも、SCARAロボットの緊急動作が可能になる。このようにして、SCARAロボットが緊急状態にあるとき、又はどの駆動ループも利用不可能な場合でも、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解除し、ロボティック・アームを移動させることが可能である。
【0094】
ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、どの駆動ループも利用不可能なときでも、SCARAロボットの緊急の動きが可能になる。正常な動作の際には、追加されたハードウェア回路は、ソフトウェア制御に影響しない。安全事故が発生し、緊急停止ボタンが遅滞なく押下される場合には、救済若しくは資産保護のためにロボティック・アームを移動させ遠ざけることが必要であり、又は安全範囲に戻すためにロボティック・アームを移動させることが必要である。そのような状況では、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御を通じてのみ、達成可能である。ハードウェアによるブレーキング解除がなければ、ブレーキがかかったロボティック・アームを移動させることは非常に困難であり、そのような移動は、クレーン及びそれ以外の特別なツールによってのみ、行うことが可能である。したがって、ハードウェア制御ループが、非常に重要である。本開示のソリューションでは、論理ゲート回路によって、ロボットの本体スイッチが押下されておらずコントローラの内部ソフトウェアがブレーキング信号を出力する場合にのみ、モータのブレーキングが生じる。自己リセット・スイッチがロボットの本体スイッチとして用いられるため、遅滞なくブレーキをかけないことによって生じる安全問題に関する心配は、不要である。加えて、ブレーキ信号線は、相互に接続されるのではなく、独立に提供される。ロボットの本体スイッチのスイッチ信号だけが、唯一の信号入力として、用いられる。したがって、本体スイッチが押下されているかどうか、又は内部ソフトウェア制御がイネーブルされているかどうかとは関係なく、ブレーキングの解除が可能である。非緊急状態では、ソフトウェアによって、それぞれの軸を別々にイネーブルすることが可能である。
【0095】
本開示のソリューションは、ハードウェアによるブレーキ解除回路を追加した後で、ソフトウェアによりそれぞれの軸に対してユーザがブレーキ制御を解除することの必要性に対処する。自己リセット・スイッチは、ブレーキを手動で解除するように構成されており、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。このように、自己リセット・スイッチは、ブレーキを手動で解除するように構成されている。オペレータが、ボタンをリセットすることを偶然に失念しても、ロボティック・アームは、それ以外の危険を回避するために、制御不能に落下することはなく、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。
【0096】
自己リセット・スイッチは、ブレーキを手動で解除するように構成されており、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。スイッチがそれ自体をリセットできず、手動でのリセットだけが可能である場合に、オペレータが、ボタンをリセットすることを偶然に失念すると、ロボティック・アームは、制御不能に落下することがあり得るのであって、他の危険を生じさせることがあり得る。
【0097】
本開示のソリューションは、状態検出においてハードウェアでのブレーキ解除が考慮されず、ハードウェアによるブレーキ解除回路に対する安全フィードバックが欠如しているという問題に対処することができる。ハードウェア制御ループを追加することに加え、電流サンプリング回路との組合せでスイッチ信号を導入することによって安全フィードバック・ループが形成され、その結果としてロボットの安全性を更に増加させる。別言すると、制御フィードバック・ループが、動作及び制御安全性のために追加され、全体的なシステムを、閉ループ制御システムとして、より安定させる。このように、ハードウェア制御ループを追加することに加え、スイッチ信号が導入される。スイッチ信号は、一方(SW_SIG)はブレーキング解除に関与する信号入力であり、他方(SW)はFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)に入力されるフィードバック信号である、2つの信号に分割されることが可能である。FPGAに入力されるスイッチ信号と、FPGAに入力されるサンプリングされた電流信号とは、本体ブレーキング(又は、ブレーキング解除)ループの状態を監視する安全フィードバック・ループを形成することができる。
【0098】
本開示の具体的な実装例の例示的な説明は、図4及び5に示されている実例との関係で、後述される。
【0099】
図4は、ロボットとコントローラとの別の実施例の概略的な構造図である。図3との比較では、「コントローラ」と「ロボット」の本体の配線との両方が、図4では変更されている。全体的には、制御ループでスイッチ制御信号が得られる方法が、変更されている。すなわち、図3でロボットの本体スイッチを「ロボット」上のブレーキ線に直接接続しているのとは異なり、ロボットの本体スイッチが、信号入力として、ブレーキ線に直接接続されていない。この場合には、ロボットの本体スイッチは、「コントローラ」の内部論理ゲートを通じて、ブレーキ信号線の信号を、間接的に制御している。図3及び4に示されている実例では、コントローラにおける「FPGA_BRK1」、「FPGA_BRK0」、「SW」などは、すべて、ネットワーク名である。「3#」及び「4#」は、それぞれが、第3軸のモータと第4軸のモータとである。「自己リセット・スイッチ」は、ボタン・スイッチであり、押下されるとターンオンされ、解除されるとターンオフされるため、「自己リセット」と付される。
【0100】
図5は、図4のコントローラの制御回路のある実施例の概略的な構造図である。図4及び5に示されている実例では、「F_BRK0」、「BRK0-」、「SW」、「SW_0」、「SW」、「SW_SIG」などは、すべて、ネットワーク名である。「ADチップ」は、電流サンプリング・チップであり、その出力信号は、フィードバック信号である。「AND論理ゲート」は論理デバイスであり、その演算表現はY=A・Bであって、この演算表現において、A及びBはそれぞれが入力論理レベルであり、Yは出力論理レベルである。図4では、信号ネットワーク名(例えば、「BRK0-」)と「AND論理ゲート」デバイスとの間に、一対一対応が存在する。
【0101】
図4に示されているように、本開示のソリューションによって提供されるSCARAロボットのモータ・ブレーキ解除制御デバイスは、前段のオプトカプラ回路と、三極トランジスタ回路と、駆動回路(図示せず)と、論理ゲート回路と、後段のオプトカプラ回路とを有する。第1の論理ゲート回路と第2の論理ゲート回路とを有する、2つの論理ゲート回路が存在する。前段のオプトカプラ回路は第1のオプトカプラOC1を有し、後段のオプトカプラ回路は第2のオプトカプラOC2と第3のオプトカプラOC3とを有する。抵抗R1が、第1のオプトカプラOC1のダイオード側のアノードとカソードとの間に、並列に接続されている。また、第2のオプトカプラOC2のトランジスタ側のエミッタと直流電源との間には、ダイオードが提供されている。また、第3のオプトカプラOC3のトランジスタ側のエミッタと直流電源との間にも、ダイオードが提供されている。
【0102】
駆動回路(又は、駆動チップ)が、FPGAの出力ネットワーク「FPGA_BRK0/1」と論理ゲート回路の入力ネットワーク「F_BRK0/1」との間に配置され、これは、FPGA側から出力されるブレーキング信号ネットワークの負荷容量(すなわち、駆動能力)を向上させることが可能である。このチップは、駆動チップである。
【0103】
前段のオプトカプラのダイオード側の抵抗は、バイパス抵抗であり、後段のオプトカプラのダイオードを保護する目的で、シャント及びバイパスのために用いられる。
【0104】
後段のオプトカプラのトランジスタ側におけるダイオードの役割は、電流連続性として作用するために、その単一導体特性を用いることである。後段のオプトカプラは誘導性負荷に接続されているから、この誘導性負荷は、大きな逆起電力を生じる。ブレーキ・コイルの電源がオフになる(ロボットが、ブレーキ解除状態からブレーキング状態に変化する)瞬間に、並列に接続されているコイルとダイオードとが、誘導された逆起電力のための放電経路を提供するループを形成し、これが、電流連続性の効果を有する。
【0105】
ロボットの本体スイッチ(自己リセット・スイッチ)のスイッチ信号は、前段のオプトカプラ回路と三極トランジスタ回路とを通過した後で、第1の論理ゲート回路の入力端子に入力される(図5に示されている実例を参照のこと)。FPGAの制御信号は、駆動回路を通過して、第1の論理ゲート回路の入力端子に入力される。2つの信号が第1の論理ゲート回路に入力されるが、第1の論理ゲート回路は、後段のオプトカプラ回路の入力端子に出力されるブレーキング(又は、ブレーキングを解除する)制御信号を出力する。後段のオプトカプラ回路の出力信号は、プルアップされ、外部ロボット・モータに出力される。「AND論理ゲート」と「前段オプトカプラ」との間にあるダイオード、コンデンサ、抵抗、三極トランジスタ、及びそれ以外のコンポーネントは、図4では、割愛されている。更に、図4には2つの制御信号が存在するが、2つの信号の回路は同一であるから、第5では1つだけが描かれている。
【0106】
図5に示されているように、三極トランジスタ回路は、抵抗R2と、抵抗R3と、抵抗R4と、抵抗R5と、コンデンサC1と、ダイオードD1と、トライオードQ1とを有する。また、抵抗R6も、第2の論理ゲート回路(AND論理ゲートなど)の出力端子に接続されている。第1のオプトカプラOC1のトランジスタ側のエミッタは、抵抗R2を介して、ダイオードD1のアノードに接続され、また、コンデンサC1を介して、トライオードQ1のエミッタにも接続されている。ダイオードD1のカソードは、トライオードQ1のベースに接続され、トライオードQ1のベースは、また、抵抗R3を介して、トライオードQ1のエミッタにも接続されている。トライオードQ1のコレクタは、抵抗R5を介して、第2の論理ゲート回路(例えば、AND論理ゲート)の入力端子に接続されている。トライオードQ1のコレクタは、また、抵抗R4にも接続されている。
【0107】
三極トランジスタ回路において、抵抗R2は、バッファリング及び保護のための電流制限抵抗である。抵抗R2とコンデンサC1とは、RCフィルタ回路を構成する。抵抗R3は、プルダウン抵抗であり、トランジスタにバイアス電圧を提供し、シャントして、トランジスタを保護し、抵抗R4は、プルアップ抵抗であり、抵抗R5は、電流制限抵抗又は吸収抵抗であり、論理デバイスを保護することができ、抵抗R6は、プルアップ抵抗であり、ダイオードD1は、ダイオードの一方向性伝導特性を利用して、前段のオプトカプラを保護することができる。
【0108】
上述したSCARAロボットのモータのブレーキ解除制御デバイスの制御プロセスが、以下で説明される。
【0109】
ブレーキング状態では、下記の通りである。
【0110】
モータは、制御されていないときには、ブレーキング状態にあるはずであって、すなわち、「BRK1」及び「BRK2」信号は、ハイ・レベル状態にあるはずである。制御されていないモータとは、ソフトウェア制御されていないモータを意味する。ハードウェア・ループを追加する時点では、「BRK1」及び「BRK2」信号のハイ・レベル状態を実現することが、依然として必要である。
【0111】
図4及び5に示されている実例では、モータがソフトウェアによって制御されていないときに、FPGAによって第2の論理ゲート回路(すなわち、ANDゲート)に入力される信号ネットワークF_BRK0及びF_BRK1は、プルアップされ、ハイ・レベル(論理レベル1)を出力する。その時点で、スイッチはターンオフ状態にあり、「SW_IN」ネットワークが、「24V_CTRL」電源ネットワークによって、プルアップされる。この状況で、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされていない。「SW」及び「SW_0」ネットワークは、接地されている。この状況では、三極トランジスタ回路は、ターンオンされておらず、「SW_SIG」ネットワークが、プルアップされて、ハイレベル(論理レベル1)が出力される。Y=A・Bにより、論理レベル1が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がハイ・レベルを出力することが、わかる。この状況では、後段のオプトカプラ回路もターンオンされておらず、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」は、「24V_IO」によって直接プルアップされることにより、ハイ・レベルを出力して、モータがブレーキング状態に入るのであるが、これは要件と矛盾しない。
【0112】
ロボットの本体スイッチは自己リセット・スイッチであるから、ボタンを解除することで、それ自体を、自動的に開(閉ではない)状態に戻すことになるが、その状況では、生じた信号は、ある意味で、ハードウェア回路が追加される前の信号と、まったく異ならない。したがって、それは、ソフトウェアと互換性がある。
【0113】
ブレーキ解除信号とイネーブル信号とが送信される状況では、以下の通りである。
【0114】
ソフトウェアによる制御なしで、ロボットのスイッチを押下することによってブレーキングの解除を実現すること、そして、ソフトウェア制御によってイネーブル信号が送信された後でロボットのモータのブレーキングが解除可能であることも、要求される。
【0115】
図4及び5に示されている実例では、手動でのブレーキング解除の場合には、自己リセット・スイッチが押下され、「SW_IN」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)が出力される。この状況では、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされておらず、ネットワーク「SW」及び「SW_0」が、プルアップされ、ハイ・レベルを出力する。次に、三極トランジスタ回路がターンオンされ、「SW_SIG」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)を出力する。Y=A・Bにより、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することにより、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、その結果、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力されて、ブレーキングが解除されることがわかる。
【0116】
図4及び5に示されている実例では、FPGA制御がイネーブルされている場合には、FPGAによってANDゲート(すなわち、第2の論理ゲート回路)に入力される信号ネットワーク「F_BRK0」及び「F_BRK1」は、ロー・レベル(論理レベル0)を出力するように、ソフトウェアによって制御される。Y=A・Bにより、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することが、わかる。次に、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力され、ブレーキングが解除される。
【0117】
このようにして、ブレーキングを解除する2つの状況が、ハードウェア・ループを追加した後で、達成可能となる。
【0118】
ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとが互換性を有する状況では、下記の通りである。
【0119】
システムの全体が緊急状態にない(すなわち、緊急停止ボタンが押下されていない)ときには、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとの両方によって、制御されることが可能である。その場合、スイッチ信号は、2つの信号に分割され得るのであって、その一方(SW_SIG)はブレーキングの解除に関与する信号であり、他方(SW)はフィードバック信号としてFPGAに入力される。ロボットの内部プログラムが正常に動作しているときには、ロボティック・アームは、その元の状態を維持電流によって維持し、ロー・レベルのSW信号を受け取ることはない。ロボットの本体スイッチ(すなわち、自己リセット・スイッチ)が、ロボットの正常動作中に、人為ミスによって生じる安全事故を回避するために、押下される場合には、フィードバック信号SWが関与することになる。FPGAが、異常なロー・レベルを検出し、ロボットを停止させ、アラートを発する。
【0120】
本体スイッチがデバッギングのために押下され、その状況で、誰かがロボットを起動させることを望む場合には、FPGAが、サンプリングされた電流信号(ADチップによってデジタル信号に変換され、本体状態のフィードバックとしてFPGAに入力される)とSW信号(本体スイッチを制御する信号)とに基づいて、ロボットの起動を無効化し、それにより、安全事故を回避する。
【0121】
本開示のソリューションは、主に、ハードウェア制御回路の変更後に、ソフトウェアとの組合せとして、よりよい様態で又は元の機能の減縮を伴わずに、ブレーキングの解除が達成可能であるという効果を達成し、それにより、ソフトウェア・プログラムとハードウェア回路との共同制御を達成することである、と理解可能である。加えて、本開示のソリューションにおいて用いられるハードウェア回路制御ユニットは、リレー及び38デコーダや単純な増幅器ではなく、オプトカプラ回路、三極トランジスタ回路、NANDゲート、NOTゲートなどである。NANDゲートとANDゲートとは、AND論理機能を実現するために、直列接続される。
【0122】
この実施例におけるロボットによって達成される処理と機能とは、上述した図1に示されているデバイスの実施例、原理、及び実例と実質的に対応するため、この実施例において説明されてない詳細については、本明細書で再度説明することはないので、上述の実施例における関係の説明を参照してほしい。
【0123】
本開示の技術的ソリューションは、多数の試験を通じて、検証されている。ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することにより、自己リセット・スイッチが手動のブレーキング解除として用いられることにより、モータが動作中に常にブレーキング解除状態にあることが回避され、それによって、安全性が保証される。
【0124】
本開示のある実施例によると、ロボットに対応するロボット制御方法が、更に提供される。図6は、本開示の方法のある実施例の概略的なフローチャートである。このロボット制御方法は、SCARAロボットのモータ・ブレーキング解除制御に適用可能であり、SCARAロボットのこのモータ・ブレーキング解除制御方法は、ステップS110からS140を含む。
【0125】
ステップS110では、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングの手動解除が可能である場合に、ロボットの本体スイッチがターンオンされると、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号が、ロボットの本体スイッチ(自己リセット・スイッチなど)に接続されている信号取得ユニットによって取得される。
【0126】
ステップS120では、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングのイネーブル制御による解除が可能である場合に、イネーブル解除制御信号が、制御ユニットによって出力される。
【0127】
ステップS130では、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングの手動解除が可能である場合に、スイッチ・ターン信号が受け取られると、そのスイッチ・ターンオン信号に対して論理処理が実行された後で、手動解除信号が、論理処理ユニットによって出力され、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングのイネーブル制御による解除が可能である場合に、イネーブル解除制御信号が受け取られると、そのイネーブル解除制御信号に対して論理処理が実行された後で、イネーブル解除信号が、論理処理ユニットによって出力される。
【0128】
ステップS140では、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、ロボットのモータのブレーキングが、信号出力ユニットによって解除されるように制御される。ブレーキング信号は、ロボットの1つ又は複数のモータに対し、別々に提供される。ブレーキ信号ラインは、相互に接続されるのではなく、独立に提供されており、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号だけが唯一の信号入力であるから、ブレーキングは、本体スイッチが押下されているかどうか、又は内部ソフトウェア制御がイネーブルされているかどうかとは関係なく、解除可能である。非緊急状態では、それぞれの軸が、ソフトウェアによって、別々にイネーブル可能である。
【0129】
例えば、ブレーキ解除信号とイネーブル信号とが送信される場合には、ハードウェア・ループを追加した後で、2つのブレーキ解除状況の両方が、達成可能である。具体的には、「ロボット」上のスイッチを押下することを通じて、ソフトウェア制御なしで、ブレーキングの解除が達成可能である。また、イネーブル信号がソフトウェア制御によって送信されると、そのロボットに対するモータのブレーキングも解除可能である。
【0130】
手動でブレーキを解除する場合には、自己リセット・スイッチが押下され、「SW_IN」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)が出力される。この状況では、前段のオプトカプラ回路がターンオンされ、ネットワーク「SW」及び「SW_0」がプルアップされて、ハイ・レベルを出力する。次に、三極トランジスタ回路がターンオンされ、「SW_SIG」ネットワークが接地されて、ロー・レベル(論理レベル0)を出力する。Y=A・Bに従い、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することがわかり、次に、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、その結果として、モータに出力される信号「BRK1」及び「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力され、ブレーキングが解除される。
【0131】
FPGAがイネーブルされると、FPGAによってANDゲート(すなわち、第2の論理ゲート回路)に入力される信号ネットワーク「F_BRK0」及び「F_BRK1」は、ソフトウェアによって、ロー・レベル(論理レベル0)を出力するように制御される。Y=A・Bに従い、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することがわかる。次に、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、モータに出力される信号「BRK1」及び「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力され、ブレーキングが解除される。
【0132】
したがって、ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを、信号取得ユニットと制御ユニットと論理処理ユニットと信号出力ユニットとによって、形成することが可能であり、それによって、どの駆動ループも利用可能でないときに、SCARAロボットの緊急動作がイネーブルされる。例えば、ロボットが緊急停止をトリガした後で、電源オフ及び再起動なしでロボティック・アームを動かすことができないという問題に対して、緊急状態における、すなわち、SCARAロボットが緊急状態にあって、どの駆動ループも利用できないときに、ユーザはSCARAロボットの第3及び第4の軸のブレーキングを迅速に解除する必要があるが、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解除してロボティック・アームを移動させることが可能であり、それによって、安全性が向上する。
【0133】
いくつかの実施例では、ロボットの本体スイッチは、自己リセット・スイッチを含む。自己リセット・スイッチの第1の端子は信号取得ユニットの入力端子(SW_IN端子など)に接続され、自己リセット・スイッチの第2の端子は接地されている(アナログ・グランドGNDに接続されるなど)。自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされる。例えば、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、信号入力として用いられるだけであり、ブレーキ・ラインに直接接続されることはない。
【0134】
緊急停止制御の間は、制御は、制御ユニットによって実行されることが可能である。具体的には、ロボットが緊急停止をトリガする必要がある場合には、制御ユニットが、イネーブル・ブレーキ制御信号を出力する。論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガする必要があり、イネーブル・ブレーキ制御信号が受け取られる場合には、そのイネーブル・ブレーキ制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル・ブレーキ信号を出力する。信号出力ユニットは、イネーブル・ブレーキ信号を受け取る場合に、ロボットのモータにブレーキをかけるように制御する。
【0135】
ロボットのモータが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガした場合には、自己リセット・スイッチがリセットされても、モータのブレーキングの状態は、影響を受けない。詳細については、以下の例示的な説明を参照してほしい。
【0136】
いくつかの実施例では、このロボット制御方法は、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持する処理を更に含む。
【0137】
図7は、本開示の方法において、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持する実施例の概略的なフローチャートであるが、その図7との関係で、以下では、ステップS210からS230を含む、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持する具体的なプロセスが、更に説明される。
【0138】
ステップ210では、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガして、ロボットのモータにブレーキがかけられる場合に、ロボットの自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、ロボットの自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号が、信号取得ユニットによって取得される。
【0139】
ステップS220では、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガして、ロボットのモータにブレーキがかけられる場合に、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られるならば、そのスイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理が実行された後で、ブレーキング維持信号が、論理処理ユニットによって出力される。
【0140】
ステップ230では、ブレーキング維持信号が受け取られる場合には、ロボットのモータは、信号出力ユニットによって、ブレーキング状態を維持するように制御される。
【0141】
ブレーキング状態では、モータは、制御されていないときには、ブレーキング状態になければならない、すなわち、「BRK1」及び「BRK0」信号は、ハイ・レベル状態になければならない。モータが制御されていないとは、モータがソフトウェア制御されていないことを意味する。ハードウェア・ループを追加する時点では、「BRK1」及び「BRK0」信号のハイ・レベル状態を実現することが、依然として必要である。
【0142】
モータがソフトウェア制御されていないときには、FPGAによって第2の論理ゲート回路(すなわち、ANDゲート)に入力される信号ネットワークF_BRK0及びF_BRK1は、プルアップされ、ハイ・レベル(論理レベル1)を出力する。その時点で、スイッチはターンオフ状態にあり、「SW_IN」ネットワークは、「24V_CTRL」電源ネットワークによってプルアップされる。この状況では、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされていない。「SW」及び「SW_0」ネットワークは、接地される。この状況では、三極トランジスタ回路はターンオンされておらず、「SW_SIG」ネットワークはプルアップされ、ハイ・レベル(論理レベル1)が出力される。Y=A・Bにより、論理レベル1が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がハイ・レベルを出力することが、わかる。この場合、後段のオプトカプラ回路もターンオンされておらず、モータへの信号「BRK1」及び「BRK2」出力は、「24V_IO」によって直接プルアップされることにより、ハイ・レベルを出力して、モータがブレーキング状態に入るのであるが、これは要件と矛盾しない。
【0143】
「BRK1」及び「BRK2」とは、第3軸のモータ・ブレーキング信号と、第4軸のモータ・ブレーキング信号とである。第3軸の後段のオプトカプラは、第3軸のモータ・ブレーキング信号を出力し、第4軸の後段のオプトカプラは、第4軸のモータ・ブレーキング信号を出力する。
【0144】
「F_BRK0」及び「F_BRK1」とは、駆動回路を通過した後で論理デバイスに入力される、FPGAによって出力される第3軸のブレーキング信号と、駆動回路を通過した後で論理デバイスに入力される、FPGAによって出力される第4軸のブレーキング信号とである。
【0145】
「BRK0-」及び「BRK1-」とは、論理デバイスの処理の後で後段のオプトカプラに入力される第3軸のブレーキング信号と、論理デバイスの処理の後で後段のオプトカプラに入力される第4軸のブレーキング信号とである。
【0146】
「24V_CTRL」とは、コントローラの前段のオプトカプラにおける24Vの電源ネットワークである。
【0147】
「24V_IO」とは、コントローラの後段のオプトカプラにおける24Vの電源ネットワークである。
【0148】
「SW」、「SW_0」、及び「SW_SIG」とは、前段のオプトカプラによってFPGAに出力されるスイッチ・フィードバック信号と、前段のオプトカプラによって三極トランジスタ回路に出力されるスイッチ信号と、三極トランジスタ回路によって論理デバイスに出力されるスイッチ信号とである。
【0149】
ロボットの本体スイッチは自己リセット・スイッチであるから、ボタンを解除することで、それ自体を、自動的に開(閉ではない)状態に戻すことになるが、その状況では、信号は、ある意味で、ハードウェア回路が追加される前の信号と、まったく異ならない。したがって、それは、ソフトウェアと互換性がある。
【0150】
したがって、自己リセット・スイッチは、ロボットの本体スイッチとして用いられるため、遅滞なくブレーキをかけないことによって生じる安全問題に関する心配は、不要である。具体的には、自己リセット・スイッチは、ロボットの本体スイッチとして用いられる。自己リセット・スイッチは、ブレーキが手動で解除されるときに、採用される。オペレータが、ボタンをリセットすることを偶然に失念しても、ロボティック・アームは、それ以外の危険を回避するために、制御不能に落下することはなく、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。
【0151】
いくつかの実施例では、この方法は、ロボットの本体の状態を監視するプロセスを、含む。
【0152】
図8は、本開示の方法において、ロボットの本体の状態を監視する実施例の概略的なフローチャートであるが、その図8との関係で、以下では、ステップS310及びS320を含む、ロボットの本体の状態を監視する具体的なプロセスが、更に説明される。
【0153】
ステップS310では、サンプリング・ユニットにより、ロボットのブレーキ信号線上の電流信号が収集され、収集された電流信号は、制御ユニットのフィードバック端子にフィードバックされる。
【0154】
ステップS320では、ロボットの本体の状態が、ロボットの本体の電流信号とロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従い、制御ユニットによって、監視される。ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号、又はロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む。具体的には、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、情報取得ユニットにおける第1のオプトカプラなど前段のオプトカプラ回路のトランジスタ側のエミッタによって出力されるスイッチ信号である。
【0155】
例えば、ハードウェア制御ループを追加することに加えて、スイッチ信号が導入される。スイッチ信号は、一方(SW_SIG)はブレーキング解除に関与する信号入力であり、他方(SW)はFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)に入力されるフィードバック信号である、2つの信号に分割されることが可能である。FPGAに入力されるスイッチ信号と、FPGAに入力されるサンプリングされた電流信号とは、本体ブレーキング(又は、ブレーキ解除)ループの状態を監視する安全フィードバック・ループを形成することができる。
【0156】
したがって、ハードウェア制御ループを追加することに加えて、電流サンプリング回路との組合せとしてスイッチ信号を導入することによって、安全フィードバック・ループが形成され、その結果、ロボットの安全性を更に向上させる。
【0157】
いくつかの実施例では、ステップS320における、ロボットの本体の電流信号とロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従ってロボットの本体の状態を制御ユニットによって監視する具体的なプロセスは、以下の監視状況のいずれかを含む。
【0158】
第1の監視状況では、ロボットが正常動作している場合に、ロボットは正常動作をしていると電流信号が示し、ロボットの本体スイッチはターンオフ状態からターンオンされているとスイッチ信号が示すのであれば、それは、ロボットの本体スイッチが誤動作のためにターンオンされていると判断し、ロボットは停止するように制御され、ロボットは正常動作中に誤動作されているというアラート・メッセージが伝えられる。
【0159】
第2の監視状況では、ロボットがブレーキング状態にある場合に、ロボットはブレーキング状態にあると電流信号が示し、ロボットの本体スイッチはターンオフ状態からターンオンされているとスイッチ信号が示すのであれば、それは、ロボットが間違いにより起動されていると判断し、ロボットは起動を無効化するように制御される。
【0160】
例えば、ハードウェア制御ループがソフトウェア制御ループと互換性がある場合、システム全体が緊急状態にない(すなわち、緊急停止ボタンが押下されていない)と、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとの両方によって制御される。この場合、スイッチ信号は、一方(SW_SIG)はブレーキング解除に関与する信号であり、他方(SW)はフィードバック信号としてFPGAに入力される、2つの信号に分割されることが可能である。
【0161】
ロボットの内部プログラムが正常に動作するならば、ロボティック・アームは、維持電流によってその元の状態を維持し、ロー・レベルSW信号を受け取ることはない。ロボットの本体スイッチ(すなわち、自己リセット・スイッチ)が、人為的ミスによって生じた安全事故を回避するために、ロボットの正常動作中に押下されるならば、SWのフィードバック信号が関与することになる。FPGAは、異常なロー・レベルを検出し、ロボットを停止させて、アラートを発する。本体スイッチがデバッギングのために押下され、その状況で、誰かがロボットを起動させることを望む場合には、FPGAが、サンプリングされた電流信号(ADチップによってデジタル信号に変換され、本体状態のフィードバックとしてFPGAに入力される)とSW信号(本体スイッチを制御する信号)とに基づいて、ロボットの起動を無効化し、それにより、安全事故を回避する。
【0162】
この実施例の方法によって達成される処理と機能とは上述されたロボットの実施例、原理、及び実例と実質的に対応するので、この実施例において説明されない詳細については、上述した実施例における関連する説明を参照してほしいため、ここでは再説しない。
【0163】
本開示の技術的ソリューションは、多数の試験を通じて検証されている。ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することにより、そのハードウェア制御ループを追加したことに加えて、電流サンプリング回路との組合せとしてスイッチ信号を導入することにより、安全フィードバック・ループが形成され、その結果として、ロボットの安全性を更に向上させる。
【0164】
要約するならば、上述された優れた方法が、衝突なしに既存の装置と自由に組み合わせ、重ね合わせることが可能だということを、当業者が理解することは容易である。
【0165】
上述した説明は、本開示の実施例に過ぎず、本開示を限定することは意図されない。当業者にとって、本開示は、様々な修正及び変更を有し得るであろう。本開示の趣旨及び原理の範囲に含まれるいずれの修正、均等な代替、又は改善は、本開示の特許請求の範囲の範囲に包括される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年9月16日に中国国家知識産権局に出願された「ロボット制御装置及び方法並びにロボット」と題する中国特許出願第202010974687.4号の優先権を主張し、その中国特許出願の全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ロボット制御デバイス、ロボット制御方法及びロボットに関する。
【背景技術】
【0003】
産業上の自動化改革の急上昇に伴い、様々な産業用ロボットが、多くの企業にとっての好適なソリューションとなっている。SCARA(組立動作において用いられるロボティック・アームである、スカラ型組立ロボティック・アーム)ロボットは、広範に用いられるようになったロボットのタイプである
【0004】
上述のコンテンツは、本開示の技術的ソリューションの理解を助けるためにのみ用いられており、上述のコンテンツが従来技術であるとの承認を表すものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、信号取得ユニットと、制御ユニットと、論理処理ユニットと、信号出力ユニットとを備えたロボット制御デバイスを提供するが、信号取得ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合に、ロボットの本体スイッチがターンオンされるとロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を取得するように構成され、制御ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合に、イネーブル解除制御信号を出力するように構成され、論理処理ユニットは、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、手動解除信号を出力し、イネーブル解除制御信号が受け取られると、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル解除信号を出力するように構成され、信号出力ユニットは、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、解除されるようにロボットのモータのブレーキングを制御するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施例では、ロボットの本体スイッチは、自己リセット・スイッチを備えており、自己リセット・スイッチの第1の端子は信号取得ユニットの入力端子に接続され、自己リセット・スイッチの第2の端子は接地され、自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされ、ロボット制御デバイスは、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガしてロボットのモータにブレーキがかけられる場合に、ロボットの自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、ロボットの自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するように構成された信号取得ユニットと、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するように構成された論理処理ユニットと、ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するようにロボットのモータを制御するように構成された信号出力ユニットとを更に備える。
【0007】
いくつかの実施例では、このロボット制御デバイスは、ロボットのブレーキ信号線上の電流信号を収集するように構成されたサンプリング・ユニットを更に備えており、制御ユニットは、更に、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視するように構成されており、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号か、又はロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む。
【0008】
いくつかの実施例では、制御ユニットが、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視することは、ロボットが正常動作している場合に、ロボットが正常動作していることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、停止するようにロボットを制御し、ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えることと、ロボットがブレーキング状態にある場合に、ロボットがブレーキング状態にあることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、起動を無効化するようにロボットを制御することとを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、信号取得ユニットの出力端子の個数と、論理処理ユニットの個数と、信号出力ユニットの個数とは、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることが必要なロボットにおけるモータの個数と一致しており、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることが必要なロボットにおけるモータの個数が2である場合には、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることが必要なロボットにおけるモータは、第1のモータと第2のモータとを含み、信号取得ユニットの出力端子は、第1の出力端子と第2の出力端子とを含み、論理処理ユニットは、第1の論理処理ユニットと第2の論理処理ユニットとを含み、信号出力ユニットは、第1の信号出力ユニットと第2の信号出力ユニットとを含み、信号取得ユニットの第1の出力端子は、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続され、第1の論理処理ユニットの出力端子は、第1の信号出力ユニットの入力端子に接続され、第1の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又はブレーキングを解除するための第1のモータの制御端子に接続されており、信号取得ユニットの第2の出力端子は、第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続され、第2の論理処理ユニットの出力端子は、第2の信号出力ユニットの入力端子に接続され、第2の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又はブレーキングを解除するための第2のモータの制御端子に接続されており、制御ユニットの第1のイネーブル制御端子は、第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続され、制御ユニットの第2のイネーブル制御端子は、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続されている。
【0010】
いくつかの実施例では、信号取得ユニットは、第1のオプトカプラ・モジュールと、第1のスイッチ・モジュールと、第2のスイッチ・モジュールとを備え、第1のオプトカプラ・モジュールのダイオード側は、ロボットの本体スイッチに接続され、第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側は、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号を出力することができ、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、第1のスイッチ・モジュールによって処理された後で、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力され、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、第2のスイッチ・モジュールによって処理された後で、第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力され、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、更に、制御ユニットのフィードバック端子に出力される。
【0011】
いくつかの実施例では、第1のスイッチ・モジュールの構造は、第2のスイッチ・モジュールの構造と同じであり、第1のスイッチ・モジュールは、第1の三極トランジスタ・モジュールを含み、第1の三極トランジスタ・モジュールのベースは、第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタに接続され、第1の三極トランジスタ・モジュールのコレクタは、第1のスイッチ・モジュールの出力端子として、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続されている。
【0012】
いくつかの実施例では、第1の論理処理ユニットの構造は、第2の論理処理ユニットの構造と同じであり、第1の論理処理ユニットは、第1のANDゲート・モジュールを備えており、第1のANDゲート・モジュールの第1の入力端子は、信号取得ユニットの第1の出力端子に接続され、第1のANDゲート・モジュールの第2の入力端子は、制御ユニットの第1のイネーブル制御端子に接続され、第1のANDゲート・モジュールの出力端子は、第1の信号出力ユニットの入力端子に接続されている。
【0013】
いくつかの実施例では、第1の信号出力ユニットの構造は、第2の信号出力ユニットの構造と同じであり、第1の信号出力ユニットは、第2のオプトカプラ・モジュールを備えており、第2のオプトカプラ・モジュールのダイオード側のカソードは、第1の論理処理ユニットの出力端子に接続され、第2のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタは、ブレーキング又はブレーキングを解除するための第1のモータの制御端子に接続されている。
【0014】
上述したデバイスに相応して、本開示の別の態様は、上述のロボット制御デバイスを備えたロボットを提供する。
【0015】
上述したロボットに相応して、本開示の別の態様は、ロボット制御方法を提供し、このロボット制御方法は、ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合に、ロボットの本体スイッチがターンオンされると、信号取得ユニットによって、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を取得するステップと、ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合には、制御ユニットによって、イネーブル解除制御信号を出力するステップと、論理処理ユニットにより、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、手動解除信号を出力し、イネーブル解除制御信号が受け取られると、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル解除信号を出力するステップと、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、信号出力ユニットによって、解除されるようにロボットのモータのブレーキングを制御するステップと、を含む。
【0016】
いくつかの実施例では、ロボットの本体スイッチは自己リセット・スイッチを備えており、自己リセット・スイッチの第1の端子は信号取得ユニットの入力端子に接続され、自己リセット・スイッチの第2の端子は接地され、自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされ、このロボット制御方法は、信号取得ユニットによって、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガしてロボットのモータにブレーキがかけられる場合に、ロボットの自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、ロボットの自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するステップと、論理処理ユニットによって、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するステップと、信号出力ユニットによって、ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するようにロボットのモータを制御するステップと、を更に含む。
【0017】
いくつかの実施例では、このロボット制御方法は、サンプリング・ユニットによって、ロボットのブレーキ信号線上の電流信号を収集するステップと、制御ユニットによって、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視するステップとを含み、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号か、又はロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む。
【0018】
いくつかの実施例では、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を、制御ユニットによって監視するステップは、ロボットが正常動作している場合に、ロボットが正常動作していることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、停止するようにロボットを制御し、ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えるステップと、ロボットがブレーキング状態にある場合に、ロボットがブレーキング状態にあることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、起動を無効にするようにロボットを制御するステップと、を含む。
【0019】
本開示の他の特徴及び長所は、以下の説明で与えられることで、以下の説明において部分的に明瞭になり、本開示の実装を通じて、知られることになる。
【0020】
以下では、本開示の技術的ソリューションが、添付の図面と実施例とを参照して、更に、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示のロボット制御デバイスのある実施例の概略的な構造図である。
図2】SCARAロボットのある実施例の概略的な構造図である。
図3】ロボットとコントローラとのある実施例の概略的な構造図であり、具体的には、ロボット本体の配線の回路図である。
図4】ロボットとコントローラとの別の実施例の概略的な構造図である。
図5図4のコントローラの制御回路のある実施例の概略的な構造図である。
図6】本開示のロボット制御方法のある実施例の概略的なフローチャートである。
図7】本開示の方法において、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持するある実施例の概略的なフローチャートである。
図8】本開示の方法において、ロボットの本体状態をモニタするある実施例の概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の目的と、技術的ソリューションと、効果とを更に明瞭にするため、本開示の技術的ソリューションが、本開示の特定の実施例と対応する図面との組合せとして、明瞭且つ完全に、説明される。明らかに、説明されている実施例は、本開示の実施例の一部に過ぎず、その実施例の全部ではない。本開示の実施例に基づき創造的な努力なくして当業者によって得られるすべての他の実施例は、本開示の保護範囲に含まれるものとする。
【0023】
本開示の発明者らは、本発明者らに公知の関連技術において、SCARAロボットで緊 急停止保護が作動すると、そのロボットアームは、電源を切って再起動しなければ動かす ことができず、ロボット又は周囲の機器に二次的な損傷を与える可能性があり、それによ って潜在的な安全上の危険があることを見出した。
【0024】
これに鑑み、本開示の実施形態は、SCARAロボットの緊急停止保護が作動すると、 そのロボットアームは電源オフ及び再起動しなければ動かすことができず、ロボット又は 周辺機器に二次的損害を与え、それによって重大な安全上の危険が潜在するという課題を 解決するロボット制御装置、ロボット制御方法、又はロボットを提供するものである。し たがって、SCARAロボットの制動解除制御により、ロボットや周辺機器の二次的な損 傷を防止し、安全上の危険を排除することができるという効果を奏することができる。
【0025】
本開示のある実施例によると、ロボット制御デバイスが、提供される。図1を参照すると、本開示のデバイスのある実施例の概略的な構造図が、示されている。このロボット制御デバイスは、SCARAロボットのモータのブレーキング制御の解除に適用されることが可能である。SCARAロボットのモータのブレーキング制御デバイスの解除は、信号取得ユニットと、制御ユニットと、論理処理ユニットと、信号出力ユニットとによって構成される。制御ユニットのためには、FPGAが用いられることが可能である。
【0026】
具体的には、信号取得ユニットは、ロボットの(自己リセット・スイッチなどの)本体スイッチに接続されており、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合には、ロボットの本体スイッチがターンオンされると、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を取得するように構成されている。
【0027】
具体的には、制御ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合に、イネーブル解除制御信号を出力するように構成される。
【0028】
具体的には、論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合に、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、手動解除信号を出力し、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合に、イネーブル解除制御信号が受け取られると、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル解除信号を出力するように構成される。
【0029】
具体的には、信号出力ユニットは、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、ロボットのモータのブレーキングが解除されるように制御するように構成される。ブレーキング信号は、ロボットにおける1つ又は複数のモータに対し、別々に、提供される。ブレーキ信号ラインは相互に接続されているのではなくて独立に提供されており、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号のみが唯一の信号入力として用いられるため、本体スイッチが押下されるかどうか、又は内部のソフトウェア制御がイネーブルされているかどうかとは関係なく、ブレーキングが解除されることが可能である。非緊急状態では、それぞれの軸が、ソフトウェアによって別々にイネーブルされ、制御される。
【0030】
例えば、ブレーキ解除信号とイネーブル信号とが送信される場合には、2つのブレーキ解除状況の両方が、ハードウェア・ループを追加した後で、達成されることが可能になる。具体的には、「ロボット」上のスイッチを押下することを通じて、ソフトウェア制御なしで、ブレーキの解除の達成が可能である。また、モータのブレーキングは、イネーブル信号がソフトウェア制御によって送信されると、ロボットに対して、解除可能になる。
【0031】
ブレーキングが手動で解除される場合には、自己リセット・スイッチが押下され、「SW_IN」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)が出力される。この状況では、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされておらず、ネットワーク「SW」及び「SW_0」が、プルアップされ、ハイ・レベルを出力する。次に、三極トランジスタ回路がターンオンされ、「SW_SIG」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)を出力する。Y=A・Bにより、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することにより、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、その結果、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力されて、ブレーキングが解除されることがわかる。
【0032】
FPGA制御がイネーブルされている場合には、FPGAによってANDゲート(すなわち、第2の論理ゲート回路)に入力される信号ネットワーク「F_BRK0」及び「F_BRK1」は、ロー・レベル(論理レベル0)を出力するように、ソフトウェアによって制御される。Y=A・Bにより、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することが、わかる。次に、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力され、ブレーキングが解除される。
【0033】
したがって、ハードウェア制御ループが形成されることが可能であり、ソフトウェア制御ループは、信号取得ユニット、制御ユニット、論理処理ユニット及び信号出力ユニットと互換性を有することが可能であり、これによって、どの駆動ループも利用可能でないSCARAロボットの緊急移動が可能になる。例えば、SCARAロボットが緊急状態にあるか、又はどの駆動ループも利用不可能であるときに、緊急停止の後に、電源オフ及び再起動なしではロボティック・アームを動かせないという問題、また例えば、緊急状態では、ユーザがSCARAロボットの第3及び第4軸を迅速にブレーキ解除する必要があるという問題に関して、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解放してロボティック・アームを動かすことが可能であり、それにより安全性を向上させることができる。
【0034】
そこで、本開示の解決手段では、ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア 制御ループを追加することを通じて、SCARAロボットが緊急状態にあるとき、又は駆 動ループが利用できないとき、操作者が手動でモータの制動制御を解除してロボットアー ムを動かすことができ、駆動ループが利用できないときのスカラロボットの緊急移動を可 能にする。したがって、スカラロボットのモータの制動制御を解除することで、ロボット や周辺機器の二次災害を防止し、安全上の危険を排除することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、ロボットの本体スイッチは、自己リセット・スイッチを備えており、自己リセット・スイッチの第1の端子は信号取得ユニットの入力端子(SW_IN端子など)に接続され、自己リセット・スイッチの第2の端子は接地されている(例えば、アナログ・グランドGNDに接続されている)。自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされる。例えば、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、信号入力としてのみ用いられ、ブレーキ線には直接接続されていない。
【0036】
緊急停止制御の間は、制御は、制御ユニットによって実行されることが可能である。具体的には、ロボットが緊急停止をトリガする必要があると、制御ユニットが、イネーブル・ブレーキ制御信号を出力する。論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガする必要があり、イネーブル・ブレーキ制御信号が受け取られると、イネーブル・ブレーキ制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル・ブレーキ信号を出力する。信号出力ユニットは、イネーブル・ブレーキ信号を受け取ると、ブレーキをかけるようにロボットのモータを制御する。
【0037】
制御ユニットを通じてロボットのモータが緊急停止をトリガしてある場合には、自己リセット・スイッチがリセットされるとしても、モータのブレーキングの状態は、影響を受けない。詳細については、以下の例示的な説明を参照してほしい。
【0038】
ロボット制御デバイスは、具体的には以下の通りに、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持するプロセスを、更に含む。
【0039】
信号取得ユニットは、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガして、ロボットのモータにブレーキがかけられる場合には、ロボットの自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされていると、ロボットの自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するように、構成される。
【0040】
論理処理ユニットは、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガして、ロボットのモータにブレーキがかかっている場合に、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するように構成される。
【0041】
信号出力ユニットは、ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するようにロボットのモータを制御するように構成される。
【0042】
ブレーキング状態では、モータは、制御されていないときには、ブレーキング状態にあるはずであって、すなわち、「BRK1」及び「BRK2」信号は、ハイ・レベル状態にあるはずである。制御されていないモータとは、ソフトウェア制御されていないモータを意味する。ハードウェア・ループを追加する時点では、「BRK1」及び「BRK2」信号のハイ・レベル状態を実現することが、依然として必要である。
【0043】
モータがソフトウェア制御されていないときには、FPGAによって第2の論理ゲート回路(すなわち、ANDゲート)に入力される信号ネットワークF_BRK0及びF_BRK1は、プルアップされ、ハイ・レベル(論理レベル1)を出力する。その時点で、スイッチはターンオフ状態にあり、「SW_IN」ネットワークが、「24V_CTRL」電源ネットワークによって、プルアップされる。この状況で、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされていない。「SW」及び「SW_0」ネットワークは、接地されている。この状況では、三極トランジスタ回路は、ターンオンされておらず、「SW_SIG」ネットワークが、プルアップされ、ハイレベル(論理レベル1)が出力される。Y=A・Bにより、論理レベル1が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がハイ・レベルを出力することが、わかる。この場合に、後段のオプトカプラ回路もターンオンされておらず、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」は、「24V_IO」によって直接プルアップされることにより、ハイ・レベルを出力して、モータがブレーキング状態に入るのであるが、これは要件と矛盾しない。
【0044】
ロボットの本体スイッチは自己リセット・スイッチであるから、ボタンを解除することで、それ自体を、自動的に開(閉ではない)状態に戻すことになるが、その状況では、生じた信号は、ある意味で、ハードウェア回路が追加される前の信号と、まったく異ならない。したがって、それは、ソフトウェアと互換性がある。
【0045】
したがって、自己リセット・スイッチは、ロボットの本体スイッチとして用いられるため、遅滞なくブレーキをかけないことによって生じる安全問題に関する心配は、不要である。具体的には、自己リセット・スイッチは、ロボットの本体スイッチとして、用いられる。自己リセット・スイッチは、ブレーキが手動で解除されるときに、採用される。オペレータが、ボタンをリセットすることを偶然に失念しても、ロボティック・アームは、それ以外の危険を回避するために、制御不能に落下することはなく、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。
【0046】
いくつかの実施例では、このデバイスは、サンプリング・ユニットを更に備えている。ロボットの本体の状態を監視するプロセスは、具体的には、下記の通りである。
【0047】
サンプリング・ユニットは、ロボットのブレーキ信号線上の電流信号を収集し、収集された電流信号を、制御ユニットのフィードバック端子にフィードバックするように構成される。収集された電流信号は、モータに接続されたBRK1-又はBRK2-信号線上の電流信号である。
【0048】
制御ユニットは、更に、ロボットの本体の電流信号とロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視するように構成されており、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号か、又はロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む。具体的には、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、信号取得ユニットにおける第1のオプトカプラなどの前段のオプトカプラ回路のトランジスタ側のエミッタによって出力される、スイッチ信号である。
【0049】
例えば、ハードウェア制御ループを追加することに加え、スイッチ信号が導入される。このスイッチ信号は、一方(SW_SIG)がブレーキング解除に関与する信号入力であり、他方(SW)がFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)に入力されるフィードバック信号である、2つの信号に分割されることが可能である。FPGAに入力されるスイッチ信号と、FPGAに入力されるサンプリングされた電流信号とは、本体ブレーキング(又は、ブレーキング解除)ループの状態を監視する安全フィードバック・ループを形成することができる。
【0050】
したがって、ハードウェア制御ループを追加することに加えて、電流サンプリング回路との組合せとしてスイッチ信号を導入することによって、安全フィードバック・ループが形成され、その結果、ロボットの安全性を更に向上させる。
【0051】
いくつかの実施例では、ロボットの本体の電流信号と、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従って、ロボットの本体の状態を監視する制御ユニットは、下記の通りである。
【0052】
この制御ユニットは、更に、ロボットが正常動作している場合に、ロボットが正常動作していることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、ロボットの本体スイッチが誤動作のためにターンオンされていると判断し、停止するようにロボットを制御し、ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えるように構成されている。
【0053】
この制御ユニットは、ロボットがブレーキング状態にある場合に、ロボットがブレーキング状態にあることを電流信号が示し、ロボットの本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることをスイッチ信号が示すならば、ロボットは間違いによって起動されていると判断し、起動を無効にするようにロボットを制御するように構成されている。
【0054】
例えば、ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとが互換性を有する場合には、システム全体が緊急状態にない(すなわち、緊急停止ボタンが押下されていない)ときには、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとの両方によって、制御されることが可能である。その場合、スイッチ信号は、2つの信号に分割され得るのであって、その一方(SW_SIG)はブレーキングの解除に関与する信号であり、他方(SW)はフィードバック信号としてFPGAに入力される。
【0055】
ロボットの内部プログラムが正常に動作しているならば、ロボティック・アームは、その元の状態を維持電流によって維持し、ロー・レベルのSW信号を受け取るはずがない。ロボットの本体スイッチ(すなわち、自己リセット・スイッチ)が、ロボットの正常動作中に、人為ミスによって生じる安全事故を回避するために、押下される場合には、フィードバック信号SWが関与することになる。FPGAが、異常なロー・レベルを検出し、ロボットを停止させ、アラートを発する。本体スイッチがデバッギングのために押下され、その場合に、誰かがロボットを起動させることを望むならば、FPGAが、サンプリングされた電流信号(ADチップによってデジタル信号に変換され、本体状態のフィードバックとしてFPGAに入力される)とSW信号(本体スイッチを制御する信号)とに基づいて、ロボットの起動を無効にし、それにより、安全事故を回避する。
【0056】
いくつかの実施例では、信号取得ユニットの出力端子の個数と、論理処理ユニットの個数と、信号出力ユニットの個数とは、ブレーキがかけられること又はブレーキングから解除されることを必要とするロボットにおけるモータの個数と一致している。つまり、信号取得ユニットの出力端子の個数と、論理処理ユニットの個数と、信号出力ユニットの個数とは、ブレーキング制御の解除を必要とするロボットにおけるモータの個数、又はブレーキング制御を必要とするモータの個数とまったく同じである。つまり、信号取得ユニットの出力端子の個数と、論理処理ユニットの個数と、信号出力ユニットの個数とは、すべてが1つ又は複数であり、1つ又は複数の信号出力ユニットは、それぞれが、ブレーキングからの解除を必要とするロボットにおけるモータに対応する。ブレーキングを解除する制御は、ブレーキングからの解除を必要とするロボットにおけるモータで実行されることが可能である。例えば、具体的には、1つ又は複数の信号出力ユニットは、第1の信号出力ユニットと第2の信号出力ユニットとを含む2つの信号出力ユニットであり得るが、これらは、ブレーキがかけられている2つのモータに対する解除制御信号を出力することが可能である。
【0057】
いくつかの実施例では、ブレーキがかけられること又はブレーキングからの解除が必要なロボットにおけるモータの個数が2である場合、ブレーキがかけられること又はブレーキングからの解除が必要なロボットにおけるモータは、例えば、SCARAロボットの第3軸のモータと第4軸のモータとである、第1のモータと第2のモータとを含む。信号取得ユニットの出力端子は、第1の出力端子と第2の出力端子とを含む。論理処理ユニットは、第1の論理処理ユニットと第2の論理処理ユニットとを含む。信号出力ユニットは、第1の信号出力ユニットと第2の信号出力ユニットとを含む。
【0058】
信号取得ユニットの第1の出力端子は、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続される。第1の論理処理ユニットの出力端子は、第1の信号出力ユニットの入力端子に接続される。第1の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又はブレーキングを解除するための第1のモータの制御端子に接続される。
【0059】
信号取得ユニットの第2の出力端子は、第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続される。第2の論理処理ユニットの出力端子は、第2の信号出力ユニットの入力端子に接続される。第2の信号出力ユニットの出力端子は、ブレーキングのため又はブレーキングを解除するための第2のモータの制御端子に接続される。モータのブレーキングのため又はブレーキングを解除するためのロボットの制御端子は、モータのブレーキングのため又はロボットのブレーキングを解除するためのブレーキ・ラインであり得る。
【0060】
制御ユニットの第1のイネーブル制御端子は、第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続される。制御ユニットの第2のイネーブル制御端子は、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に接続される。
【0061】
例えば、ブレーキングを解除する制御プロセスでは、信号取得ユニットの第1の出力端子が、信号取得ユニットによって取得されロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力する。制御ユニットの第1のイネーブル制御端子は、イネーブル解除制御信号を、第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に出力する。ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合には、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、第1の論理処理ユニットが、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、第1のモータのための手動解除信号を出力する。ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合には、イネーブル解除制御信号が受け取られると、第1の論理処理ユニットが、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、第1のモータのためのイネーブル解除信号を出力する。第1の信号出力ユニットは、第1のモータのための手動解除信号又は第1のモータのためのイネーブル解除信号を受け取ると、ブレーキングを解除するようにロボットの第1のモータを制御する。
【0062】
更に、信号取得ユニットの第2の出力端子が、信号取得ユニットによって取得されロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号を、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に出力する。制御ユニットの第2のイネーブル制御端子は、イネーブル解除制御信号を、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に出力する。ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングが手動で解除されることが可能である場合には、スイッチ・ターンオン信号が受け取られると、第2の論理処理ユニットが、スイッチ・ターンオン信号に対して論理処理を実行した後で、第2のモータのための手動解除信号を出力する。ロボットが緊急停止をトリガしてロボットのモータのブレーキングがイネーブル制御によって解除されることが可能である場合には、イネーブル解除制御信号が受け取られると、第2の論理処理ユニットが、イネーブル解除制御信号に対して論理処理を実行した後で、第2のモータのためのイネーブル解除信号を出力する。第2の信号出力ユニットは、第2のモータのための手動解除信号又は第2のモータのためのイネーブル解除信号を受け取ると、ブレーキングを解除するようにロボットの第2のモータを制御する。
【0063】
別の実例であるが、制御ユニットのイネーブルを通じてのブレーキング制御のプロセスでは、すなわち、緊急停止制御の間に、ロボットが緊急停止をトリガすることを必要とする場合には、制御ユニットの第1のイネーブル制御端子が、第1の論理処理ユニットの第2の入力端子に、イネーブル・ブレーキ制御信号を出力する。第1の論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガすることを必要とする場合に、イネーブル・ブレーキ制御信号が受け取られると、イネーブル・ブレーキ制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル・ブレーキ信号を、第1の信号出力ユニットに出力する。第1の信号出力ユニットは、イネーブル・ブレーキ信号を受け取ると、ブレーキをかけるようにロボットの第1のモータを制御する。
【0064】
更に、ロボットが緊急停止をトリガすることを必要とする場合には、制御ユニットの第2のイネーブル制御端子が、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に、イネーブル・ブレーキ制御信号を出力する。第2の論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガすることを必要とする場合に、イネーブル・ブレーキ制御信号が受け取られると、イネーブル・ブレーキ制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル・ブレーキ信号を、第2の信号出力ユニットに出力する。第2の信号出力ユニットは、イネーブル・ブレーキ信号を受け取ると、ブレーキをかけるようにロボットの第2のモータを制御する。
【0065】
別の実例であるが、ブレーキング維持制御プロセスにおいては、信号取得ユニットの第1の出力端子が、信号取得ユニットによって取得されロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力する。ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガしてロボットのモータにブレーキがかけられる場合には、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、第1の論理処理ユニットが、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、第1のモータのためのブレーキング維持信号を出力する。第1の信号出力ユニットは、第1のモータのためのブレーキング維持信号を受け取ると、ブレーキングを維持するようにロボットの第1のモータを制御する。
【0066】
更に、信号取得ユニットの第2の出力端子が、信号取得ユニットによって取得されロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を、第2の論理処理ユニットの第2の入力端子に出力する。ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガしてロボットのモータにブレーキがかけられる場合には、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、第2の論理処理ユニットが、スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、第2のモータのためのブレーキング維持信号を出力する。第2の信号出力ユニットは、第2のモータのためのブレーキング維持信号を受け取ると、ブレーキングを維持するようにロボットの第2のモータを制御する。
【0067】
したがって、ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、SCARAロボットが緊急状態にあるか、又はどの駆動ループも有していないときに、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解除して、ロボティック・アームを動かすことが可能である。したがって、ユーザは、緊急状態にあるSCARAロボットの第3及び第4軸のためのモータのブレーキングを迅速に解除することができ、それにより、安全性を向上させる。
【0068】
いくつかの実施例では、信号取得ユニットは、第1のオプトカプラ・モジュールと、第1のスイッチ・モジュールと、第2のスイッチ・モジュールとを備えている。第1のオプトカプラ・モジュールのダイオード側は、ロボットの本体スイッチに接続される。第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側は、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号を出力することができる。
【0069】
ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、第1のスイッチ・モジュールによって処理された後で、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力される。第1のスイッチ・モジュールの出力端子は、信号取得ユニットの第1の出力端子である。
【0070】
ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、第2のスイッチ・モジュールによって処理された後で、第2の論理処理ユニットの第1の入力端子に出力される。第2のスイッチ・モジュールの出力端子は、信号取得ユニットの第2の出力端子である。
【0071】
ロボット制御デバイスがサンプリング・ユニットを更に備えている場合には、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、更に、制御ユニットのフィードバック端子(FPGAのSW端子など)に出力される。例えば、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、更に、サンプリング・ユニットによってサンプリングされる電流信号を用いて安全フィードバック・ループを形成し、ロボット本体のブレーキング(又は、ブレーキングの解除)ループの状態を監視するために、FPGAのフィードバック端子に出力される。
【0072】
例えば、第1のオプトカプラ・モジュールは、抵抗R1と、第1のオプトカプラOC1などの前段のオプトカプラ回路とを備えている。抵抗R1は、第1のオプトカプラOC1のダイオード側のアノードとカソードとの間に、並列に接続される。
【0073】
したがって、第1のオプトカプラ・モジュールと第1のスイッチ・モジュールと第2のスイッチ・モジュールとによって信号取得ユニットを構築することを通じて、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号が、高い信頼性で取得されることが可能になる。こうして、モータは、スイッチ信号に従って、ブレーキングを解除するように制御されることが可能になり、モータの状態が監視されることが可能になることによって、ハードウェア制御とソフトウェア監視とが達成される。
【0074】
いくつかの実施例では、第1のスイッチ・モジュールの構造は、第2のスイッチ・モジュールの構造と同じである。第1のスイッチ・モジュールは、第1の三極トランジスタ・モジュールを含む。第1の三極トランジスタ・モジュールのベースは、第1のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタに接続される。第1の三極トランジスタ・モジュールのコレクタは、第1のスイッチ・モジュールの出力端子として、第1の論理処理ユニットの第1の入力端子に接続される。
【0075】
例えば、第1の三極トランジスタ・モジュールは、三極トランジスタ回路を用いることができる。三極トランジスタ回路は、抵抗R2と、抵抗R3と、抵抗R4と、抵抗R5と、コンデンサC1と、ダイオードD1と、トライオードQ1とを有する。
【0076】
したがって、第1の三極トランジスタ・モジュールを主に用いて第1のスイッチ・モジュールを形成することにより、第1のオプトカプラ・モジュールによって取得されたロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、処理され、第1の論理処理ユニットに出力されることが可能である。この構造は、単純で、信頼性が高く、安全である。
【0077】
いくつかの実施例では、第1の論理処理ユニットの構造は、第2の論理処理ユニットの構造と同じである。第1の論理処理ユニットは、第1のANDゲート・モジュールを備えている。
【0078】
第1のANDゲート・モジュールの第1の入力端子は、信号取得ユニットの第1の出力端子に接続される。第1のANDゲート・モジュールの第2の入力端子は、制御ユニットの第1のイネーブル制御端子に接続される。第1のANDゲート・モジュールの出力端子は、第1の信号出力ユニットの入力端子に接続される。論理ゲート回路により、ロボットは、ロボットの本体スイッチが押下されず、コントローラの内部ソフトウェアがブレーキング信号を提供する場合にのみ、ブレーキをかけることが可能である。
【0079】
したがって、ANDゲート・モジュールを第1の論理処理ユニットとして用いることを通じて、どのような駆動ループも利用不可能であるときでも、ハードウェアとソフトウェアとの両方により、SCARAロボットの緊急移動を可能にするようなモータのブレーキ解除が、制御可能になる。
【0080】
いくつかの実施例では、第1の信号出力ユニットの構造は、第2の信号出力ユニットの構造と同じである。第1の信号出力ユニットは、第2のオプトカプラ・モジュールを備えている。
【0081】
第2のオプトカプラ・モジュールのダイオード側のカソードは、第1の論理処理ユニットの出力端子に接続される。第2のオプトカプラ・モジュールのトランジスタ側のエミッタは、ブレーキング又はブレーキングを解除するために、第1のモータの制御端子に接続される。第2のオプトカプラOC2は、第2のオプトカプラ・モジュールとして用いられることが可能である。ダイオードが、第2のオプトカプラOC2のトランジスタ側のエミッタと直流電源との間に、提供される。
【0082】
例えば、ロボットの本体スイッチすなわち自己リセット・スイッチのスイッチ信号が、前段のオプトカプラ回路と三極トランジスタ回路とを通過した後で、第1の論理ゲート回路の入力端子に入力される。FPGAの制御信号は、駆動回路を通じて、第1の論理ゲート回路の入力端子に入力される。2つの信号が第1の論理ゲート回路に入力されると、第1の論理ゲート回路は、後段のオプトカプラ回路の入力端子に出力されるブレーキング(又は、ブレーキング解除)制御信号を出力する。後段のオプトカプラ回路の出力信号は、プルアップされ、外部のロボット・モータに出力される。
【0083】
したがって、第2のオプトカプラ・モジュールを第1の信号出力ユニットとして用いることにより、第1の論理処理ユニットの出力信号は分離された後で、ブレーキング又はブレーキング解除のために、第1のモータの制御端子に出力され、その結果として、モータは、ハードウェア又はソフトウェア制御に基づいて、信頼性が高く安全な様態でブレーキングから解除されるように制御されることが可能になる。
【0084】
本開示の技術的ソリューションは、多数の試験を通じて、検証されている。ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、正常動作中であれば、追加されたハードウェア回路は、ソフトウェア制御に影響することはなく、安全事故が発生し緊急停止ボタンが遅滞なく押下されると、ロボティック・アームは、救助若しくは資産保護のために移動させて遠ざける必要があるし、又はロボティック・アームを移動して安全範囲に戻すことが必要である。この状況では、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御を通じてのみ、達成可能であって、ハードウェア制御では、ロボット又は周辺機器に対する二次的損害を回避して安全性欠陥を除去するために、ブレーキ解除制御が、SCARAロボットのモータに対して、実行されることが可能である。
【0085】
本開示のある実施例によると、ロボット制御デバイスに対応するロボットが、更に、提供される。このロボットは、上述したロボット制御デバイスを備える。
【0086】
SCARAロボットは、(1)コンパクトな構造、業務空間の高い利用効率、(2)柔軟な動作、高速性、高い反復精度、高い業務効率、(3)操作の容易性、多様な設置方法、(4)部品の少なさ、低い製造コスト、分解及び維持の容易性など、という長所を有しており、そのために、精度が大きく要求される狭い場所で広く用いられている。例えば、SCARAロボットは、組み立て、解体及びソーティングのために、3C電子産業で、一般的に、用いられている。
【0087】
図2は、SCARAロボットのある実施例の概略的な構造図である。図2に示されているように、SCARAロボットは、第1軸、第2軸及び第4軸の水平方向回転ジョイントと、第3軸の上下ジョイントという、4つのジョイント(すなわち、第1のジョイント、第2のジョイント、第3のジョイント及び第4のジョイント)の動きを制御するために、4つのモータを用いる。一般的には、端部でのツーリング固定具の重力などの慣性の影響があるので、第3軸モータと第4軸モータに関しては、電源喪失の場合にモータ内部のブレーキ保持によってジョイント・アームが落下することを回避するため、ブレーキ保持能力を備えたモータが選択されるべきであるが、第1軸モータと第2軸モータとに関しては、それらがブレーキング機能を有している必要があるかどうかは、ロボットの組立方法に従って、柔軟に判断することが可能である。
【0088】
更に、ブレーキを備えたモータの使用は、実際の使用において、例えば下記のように、いくつかの課題を生じさせる可能性がある。
【0089】
一方で、製造プロセスの間には、元の予め設定されたルーチンから離れて動作するロボット・プログラムのために、SCARAロボットの端部固定具が、周囲の物体又は設備と衝突することがあり得る。そのような状況では、ユーザは、緊急停止スイッチ(デモンストレータ緊急停止又は外部緊急停止など)と、第3軸モータ及び第4軸モータのブレーキとを押下し得るのであって、それにより、ロボット・コントローラが、主回路の接続を断つことになる。いったん緊急安全回路(すなわち、緊急停止)がトリガされると、ロボットは、動作モードとは関係なく直ちに停止し、アラームに対する確認応答(すなわち、緊急停止が解除され、パワーアップ・ボタンがパワーアップされる)がなければ、再起動が不可能になるのであって、その場合、ロボットは、もはやソフトウェア・プログラムによって制御されなくなり、オペレータが、デモンストレータを通じてロボットを動作させることは、不可能である。したがって、ロボティック・アームを動かすためには、別のループが必要となる。その場合には、ロボットや周囲の設備への二次的損害を回避するため、衝突しているロボティック・アームをユーザが遅滞なく移動させることができるように、ユーザに対し、第3軸及び第4軸のブレーキを迅速に解除する方法を提供することが必要である。
【0090】
他方で、ブレーキを備えたモータの通常使用の間には、ブレーキが正常に解除可能であることが保証されなければならず、そうでなければ、ロボット動作プロセスが、容易にロボット過負荷アラームを生じさせる又はモータを損傷することになり得る。
【0091】
図3は、ロボット及びコントローラのある実施例の概略的な構造図であり、具体的には、ロボット本体の配線の回路図である。
【0092】
いくつかのロボット製造業者によって用いられている、ブレーキを迅速に解除可能なハードウェアでのブレーキ解除のソリューションは、主に2つ存在する。第1のソリューションでは、2つの軸のブレーキ信号線を接続するのに、スイッチ(外部ブレーキング・スイッチなどであり、図2の第3のジョイントのブレーキ解除スイッチを参照のこと)が用いられる(接続に関しては、図3に示されている実例を参照可能である)。スイッチが押下されると、2つの軸のブレーキが、同時に解除される。しかし、電源がオンのときには、ブレーキングを解除するように一方の軸を独立に制御するのは、不可能である。第2のソリューションでは、特定の線を別々に制御するために、一方の軸のブレーキング信号にだけ接続されるのであるが、一方のブレーキ線だけが、制御可能である。更に、2つのソリューションのどちらも、閉ループ制御ループを完成させることがなく、これらのどちらもが状態監視ループを欠いており、ブレーキング解除状態を監視できない。
【0093】
いくつかの実施例において、本開示のソリューションは、SCARAロボットのために、モータのブレーキ解除制御のソリューションを提供する。
【0094】
本開示のソリューションは、ロボットに対して緊急停止がトリガされた後では、電源をオフにして再起動しなければ、ロボティック・アームを動かすことが不可能であるという課題に向けられており、これは、例えば、緊急状況において、ユーザが、SCARAロボットの第3及び第4軸のブレーキングを迅速に解除できる必要があるという課題である。ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、どの駆動ループも利用可能でないときでも、SCARAロボットの緊急動作が可能になる。このようにして、SCARAロボットが緊急状態にあるとき、又はどの駆動ループも利用不可能な場合でも、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解除し、ロボティック・アームを移動させることが可能である。
【0095】
ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することを通じて、どの駆動ループも利用不可能なときでも、SCARAロボットの緊急の動きが可能になる。正常な動作の際には、追加されたハードウェア回路は、ソフトウェア制御に影響しない。安全事故が発生し、緊急停止ボタンが遅滞なく押下される場合には、救済若しくは資産保護のためにロボティック・アームを移動させ遠ざけることが必要であり、又は安全範囲に戻すためにロボティック・アームを移動させることが必要である。そのような状況では、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御を通じてのみ、達成可能である。ハードウェアによるブレーキング解除がなければ、ブレーキがかかったロボティック・アームを移動させることは非常に困難であり、そのような移動は、クレーン及びそれ以外の特別なツールによってのみ、行うことが可能である。したがって、ハードウェア制御ループで可 能な限り問題を解決することができる。本開示のソリューションでは、論理ゲート回路によって、ロボットの本体スイッチが押下されておらずコントローラの内部ソフトウェアがブレーキング信号を出力する場合にのみ、モータのブレーキングが生じる。自己リセット・スイッチがロボットの本体スイッチとして用いられるため、遅滞なくブレーキをかけないことによって生じる安全問題に関する心配は、不要である。加えて、ブレーキ信号線は、相互に接続されるのではなく、独立に提供される。ロボットの本体スイッチのスイッチ信号だけが、唯一の信号入力として、用いられる。したがって、本体スイッチが押下されているかどうか、又は内部ソフトウェア制御がイネーブルされているかどうかとは関係なく、ブレーキングの解除が可能である。非緊急状態では、ソフトウェアによって、それぞれの軸を別々にイネーブルすることが可能である。
【0096】
本開示のソリューションは、ハードウェアによるブレーキ解除回路を追加した後で、ソフトウェアによりそれぞれの軸に対してユーザがブレーキ制御を解除することの必要性に対処する。自己リセット・スイッチは、ブレーキを手動で解除するように構成されており、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。このように、自己リセット・スイッチは、ブレーキを手動で解除するように構成されている。オペレータが、ボタンをリセットすることを偶然に失念しても、ロボティック・アームは、それ以外の危険を回避するために、制御不能に落下することはなく、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。
【0097】
自己リセット・スイッチは、ブレーキを手動で解除するように構成されており、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。スイッチがそれ自体をリセットできず、手動でのリセットだけが可能である場合に、オペレータが、ボタンをリセットすることを偶然に失念すると、ロボティック・アームは、制御不能に落下することがあり得るのであって、他の危険を生じさせることがあり得る。
【0098】
本開示のソリューションは、状態検出においてハードウェアでのブレーキ解除が考慮されず、ハードウェアによるブレーキ解除回路に対する安全フィードバックが欠如しているという問題に対処することができる。ハードウェア制御ループを追加することに加え、電流サンプリング回路との組合せでスイッチ信号を導入することによって安全フィードバック・ループが形成され、その結果としてロボットの安全性を更に増加させる。別言すると、制御フィードバック・ループが、動作及び制御安全性のために追加され、全体的なシステムを、閉ループ制御システムとして、より安定させる。このように、ハードウェア制御ループを追加することに加え、スイッチ信号が導入される。スイッチ信号は、一方(SW_SIG)はブレーキング解除に関与する信号入力であり、他方(SW)はFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)に入力されるフィードバック信号である、2つの信号に分割されることが可能である。FPGAに入力されるスイッチ信号と、FPGAに入力されるサンプリングされた電流信号とは、本体ブレーキング(又は、ブレーキング解除)ループの状態を監視する安全フィードバック・ループを形成することができる。
【0099】
本開示の具体的な実装例の例示的な説明は、図4及び5に示されている実例との関係で、後述される。
【0100】
図4は、ロボットとコントローラとの別の実施例の概略的な構造図である。図3との比較では、「コントローラ」と「ロボット」の本体の配線との両方が、図4では変更されている。全体的には、制御ループでスイッチ制御信号が得られる方法が、変更されている。すなわち、図3でロボットの本体スイッチを「ロボット」上のブレーキ線に直接接続しているのとは異なり、ロボットの本体スイッチが、信号入力として、ブレーキ線に直接接続されていない。この場合には、ロボットの本体スイッチは、「コントローラ」の内部論理ゲートを通じて、ブレーキ信号線の信号を、間接的に制御している。図3及び4に示されている実例では、コントローラにおける「FPGA_BRK1」、「FPGA_BRK0」、「SW」などは、すべて、ネットワーク名である。「3#」及び「4#」は、それぞれが、第3軸のモータと第4軸のモータとである。「自己リセット・スイッチ」は、ボタン・スイッチであり、押下されるとターンオンされ、解除されるとターンオフされるため、「自己リセット」と付される。
【0101】
図5は、図4のコントローラの制御回路のある実施例の概略的な構造図である。図4及び5に示されている実例では、「F_BRK0」、「BRK0-」、「SW」、「SW_0」、「SW」、「SW_SIG」などは、すべて、ネットワーク名である。「ADチップ」は、電流サンプリング・チップであり、その出力信号は、フィードバック信号である。「AND論理ゲート」は論理デバイスであり、その演算表現はY=A・Bであって、この演算表現において、A及びBはそれぞれが入力論理レベルであり、Yは出力論理レベルである。図4では、信号ネットワーク名(例えば、「BRK0-」)と「AND論理ゲート」デバイスとの間に、一対一対応が存在する。
【0102】
図4に示されているように、本開示のソリューションによって提供されるSCARAロボットのモータ・ブレーキ解除制御デバイスは、前段のオプトカプラ回路と、三極トランジスタ回路と、駆動回路(図示せず)と、論理ゲート回路と、後段のオプトカプラ回路とを有する。第1の論理ゲート回路と第2の論理ゲート回路とを有する、2つの論理ゲート回路が存在する。前段のオプトカプラ回路は第1のオプトカプラOC1を有し、後段のオプトカプラ回路は第2のオプトカプラOC2と第3のオプトカプラOC3とを有する。抵抗R1が、第1のオプトカプラOC1のダイオード側のアノードとカソードとの間に、並列に接続されている。また、第2のオプトカプラOC2のトランジスタ側のエミッタと直流電源との間には、ダイオードが提供されている。また、第3のオプトカプラOC3のトランジスタ側のエミッタと直流電源との間にも、ダイオードが提供されている。
【0103】
駆動回路(又は、駆動チップ)が、FPGAの出力ネットワーク「FPGA_BRK0/1」と論理ゲート回路の入力ネットワーク「F_BRK0/1」との間に配置され、これは、FPGA側から出力されるブレーキング信号ネットワークの負荷容量(すなわち、駆動能力)を向上させることが可能である。このチップは、駆動チップである。
【0104】
前段のオプトカプラのダイオード側の抵抗は、バイパス抵抗であり、後段のオプトカプラのダイオードを保護する目的で、シャント及びバイパスのために用いられる。
【0105】
後段のオプトカプラのトランジスタ側におけるダイオードの役割は、電流連続性として作用するために、その単一導体特性を用いることである。後段のオプトカプラは誘導性負荷に接続されているから、この誘導性負荷は、大きな逆起電力を生じる。ブレーキ・コイルの電源がオフになる(ロボットが、ブレーキ解除状態からブレーキング状態に変化する)瞬間に、並列に接続されているコイルとダイオードとが、誘導された逆起電力のための放電経路を提供するループを形成し、これが、電流連続性の効果を有する。
【0106】
ロボットの本体スイッチ(自己リセット・スイッチ)のスイッチ信号は、前段のオプトカプラ回路と三極トランジスタ回路とを通過した後で、第1の論理ゲート回路の入力端子に入力される(図5に示されている実例を参照のこと)。FPGAの制御信号は、駆動回路を通過して、第1の論理ゲート回路の入力端子に入力される。2つの信号が第1の論理ゲート回路に入力されるが、第1の論理ゲート回路は、後段のオプトカプラ回路の入力端子に出力されるブレーキング(又は、ブレーキングを解除する)制御信号を出力する。後段のオプトカプラ回路の出力信号は、プルアップされ、外部ロボット・モータに出力される。「AND論理ゲート」と「前段オプトカプラ」との間にあるダイオード、コンデンサ、抵抗、三極トランジスタ、及びそれ以外のコンポーネントは、図4では、割愛されている。更に、図4には2つの制御信号が存在するが、2つの信号の回路は同一であるから、第5では1つだけが描かれている。
【0107】
図5に示されているように、三極トランジスタ回路は、抵抗R2と、抵抗R3と、抵抗R4と、抵抗R5と、コンデンサC1と、ダイオードD1と、トライオードQ1とを有する。また、抵抗R6も、第2の論理ゲート回路(AND論理ゲートなど)の出力端子に接続されている。第1のオプトカプラOC1のトランジスタ側のエミッタは、抵抗R2を介して、ダイオードD1のアノードに接続され、また、コンデンサC1を介して、トライオードQ1のエミッタにも接続されている。ダイオードD1のカソードは、トライオードQ1のベースに接続され、トライオードQ1のベースは、また、抵抗R3を介して、トライオードQ1のエミッタにも接続されている。トライオードQ1のコレクタは、抵抗R5を介して、第2の論理ゲート回路(例えば、AND論理ゲート)の入力端子に接続されている。トライオードQ1のコレクタは、また、抵抗R4にも接続されている。
【0108】
三極トランジスタ回路において、抵抗R2は、バッファリング及び保護のための電流制限抵抗である。抵抗R2とコンデンサC1とは、RCフィルタ回路を構成する。抵抗R3は、プルダウン抵抗であり、トランジスタにバイアス電圧を提供し、シャントして、トランジスタを保護し、抵抗R4は、プルアップ抵抗であり、抵抗R5は、電流制限抵抗又は吸収抵抗であり、論理デバイスを保護することができ、抵抗R6は、プルアップ抵抗であり、ダイオードD1は、ダイオードの一方向性伝導特性を利用して、前段のオプトカプラを保護することができる。
【0109】
上述したSCARAロボットのモータのブレーキ解除制御デバイスの制御プロセスが、以下で説明される。
【0110】
ブレーキング状態では、下記の通りである。
【0111】
モータは、制御されていないときには、ブレーキング状態にあるはずであって、すなわち、「BRK1」及び「BRK2」信号は、ハイ・レベル状態にあるはずである。制御されていないモータとは、ソフトウェア制御されていないモータを意味する。ハードウェア・ループを追加する時点では、「BRK1」及び「BRK2」信号のハイ・レベル状態を実現することが、依然として必要である。
【0112】
図4及び5に示されている実例では、モータがソフトウェアによって制御されていないときに、FPGAによって第2の論理ゲート回路(すなわち、ANDゲート)に入力される信号ネットワークF_BRK0及びF_BRK1は、プルアップされ、ハイ・レベル(論理レベル1)を出力する。その時点で、スイッチはターンオフ状態にあり、「SW_IN」ネットワークが、「24V_CTRL」電源ネットワークによって、プルアップされる。この状況で、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされていない。「SW」及び「SW_0」ネットワークは、接地されている。この状況では、三極トランジスタ回路は、ターンオンされておらず、「SW_SIG」ネットワークが、プルアップされて、ハイレベル(論理レベル1)が出力される。Y=A・Bにより、論理レベル1が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がハイ・レベルを出力することが、わかる。この状況では、後段のオプトカプラ回路もターンオンされておらず、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」は、「24V_IO」によって直接プルアップされることにより、ハイ・レベルを出力して、モータがブレーキング状態に入るのであるが、これは要件と矛盾しない。
【0113】
ロボットの本体スイッチは自己リセット・スイッチであるから、ボタンを解除することで、それ自体を、自動的に開(閉ではない)状態に戻すことになるが、その状況では、生じた信号は、ある意味で、ハードウェア回路が追加される前の信号と、まったく異ならない。したがって、それは、ソフトウェアと互換性がある。
【0114】
ブレーキ解除信号とイネーブル信号とが送信される状況では、以下の通りである。
【0115】
ソフトウェアによる制御なしで、ロボットのスイッチを押下することによってブレーキングの解除を実現すること、そして、ソフトウェア制御によってイネーブル信号が送信された後でロボットのモータのブレーキングが解除可能であることも、要求される。
【0116】
図4及び5に示されている実例では、手動でのブレーキング解除の場合には、自己リセット・スイッチが押下され、「SW_IN」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)が出力される。この状況では、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされておらず、ネットワーク「SW」及び「SW_0」が、プルアップされ、ハイ・レベルを出力する。次に、三極トランジスタ回路がターンオンされ、「SW_SIG」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)を出力する。Y=A・Bにより、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することにより、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、その結果、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力されて、ブレーキングが解除されることがわかる。
【0117】
図4及び5に示されている実例では、FPGA制御がイネーブルされている場合には、FPGAによってANDゲート(すなわち、第2の論理ゲート回路)に入力される信号ネットワーク「F_BRK0」及び「F_BRK1」は、ロー・レベル(論理レベル0)を出力するように、ソフトウェアによって制御される。Y=A・Bにより、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することが、わかる。次に、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、モータに出力される信号「BRK1」/「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力され、ブレーキングが解除される。
【0118】
このようにして、ブレーキングを解除する2つの状況が、ハードウェア・ループを追加した後で、達成可能となる。
【0119】
ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとが互換性を有する状況では、下記の通りである。
【0120】
システムの全体が緊急状態にない(すなわち、緊急停止ボタンが押下されていない)ときには、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとの両方によって、制御されることが可能である。その場合、スイッチ信号は、2つの信号に分割され得るのであって、その一方(SW_SIG)はブレーキングの解除に関与する信号であり、他方(SW)はフィードバック信号としてFPGAに入力される。ロボットの内部プログラムが正常に動作しているときには、ロボティック・アームは、その元の状態を維持電流によって維持し、ロー・レベルのSW信号を受け取ることはない。ロボットの本体スイッチ(すなわち、自己リセット・スイッチ)が、ロボットの正常動作中に、人為ミスによって生じる安全事故を回避するために、押下される場合には、フィードバック信号SWが関与することになる。FPGAが、異常なロー・レベルを検出し、ロボットを停止させ、アラートを発する。
【0121】
本体スイッチがデバッギングのために押下され、その状況で、誰かがロボットを起動させることを望む場合には、FPGAが、サンプリングされた電流信号(ADチップによってデジタル信号に変換され、本体状態のフィードバックとしてFPGAに入力される)とSW信号(本体スイッチを制御する信号)とに基づいて、ロボットの起動を無効化し、それにより、安全事故を回避する。
【0122】
本開示のソリューションは、主に、ハードウェア制御回路の変更後に、ソフトウェアとの組合せとして、よりよい様態で又は元の機能の減縮を伴わずに、ブレーキングの解除が達成可能であるという効果を達成し、それにより、ソフトウェア・プログラムとハードウェア回路との共同制御を達成することである、と理解可能である。加えて、本開示のソリューションにおいて用いられるハードウェア回路制御ユニットは、リレー及び38デコーダや単純な増幅器ではなく、オプトカプラ回路、三極トランジスタ回路、NANDゲート、NOTゲートなどである。NANDゲートとANDゲートとは、AND論理機能を実現するために、直列接続される。
【0123】
この実施例におけるロボットによって達成される処理と機能とは、上述した図1に示されているデバイスの実施例、原理、及び実例と実質的に対応するため、この実施例において説明されてない詳細については、本明細書で再度説明することはないので、上述の実施例における関係の説明を参照してほしい。
【0124】
本開示の技術的ソリューションは、多数の試験を通じて、検証されている。ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することにより、自己リセット・スイッチが手動のブレーキング解除として用いられることにより、モータが動作中に常にブレーキング解除状態にあることが回避され、それによって、安全性が保証される。
【0125】
本開示のある実施例によると、ロボットに対応するロボット制御方法が、更に提供される。図6は、本開示の方法のある実施例の概略的なフローチャートである。このロボット制御方法は、SCARAロボットのモータ・ブレーキング解除制御に適用可能であり、SCARAロボットのこのモータ・ブレーキング解除制御方法は、ステップS110からS140を含む。
【0126】
ステップS110では、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングの手動解除が可能である場合に、ロボットの本体スイッチがターンオンされると、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号が、ロボットの本体スイッチ(自己リセット・スイッチなど)に接続されている信号取得ユニットによって取得される。
【0127】
ステップS120では、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングのイネーブル制御による解除が可能である場合に、イネーブル解除制御信号が、制御ユニットによって出力される。
【0128】
ステップS130では、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングの手動解除が可能である場合に、スイッチ・ターン信号が受け取られると、そのスイッチ・ターンオン信号に対して論理処理が実行された後で、手動解除信号が、論理処理ユニットによって出力され、ロボットが緊急停止をトリガして、ロボットのモータのブレーキングのイネーブル制御による解除が可能である場合に、イネーブル解除制御信号が受け取られると、そのイネーブル解除制御信号に対して論理処理が実行された後で、イネーブル解除信号が、論理処理ユニットによって出力される。
【0129】
ステップS140では、手動解除信号又はイネーブル解除信号が受け取られると、ロボットのモータのブレーキングが、信号出力ユニットによって解除されるように制御される。ブレーキング信号は、ロボットの1つ又は複数のモータに対し、別々に提供される。ブレーキ信号ラインは、相互に接続されるのではなく、独立に提供されており、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号だけが唯一の信号入力であるから、ブレーキングは、本体スイッチが押下されているかどうか、又は内部ソフトウェア制御がイネーブルされているかどうかとは関係なく、解除可能である。非緊急状態では、それぞれの軸が、ソフトウェアによって、別々にイネーブル可能である。
【0130】
例えば、ブレーキ解除信号とイネーブル信号とが送信される場合には、ハードウェア・ループを追加した後で、2つのブレーキ解除状況の両方が、達成可能である。具体的には、「ロボット」上のスイッチを押下することを通じて、ソフトウェア制御なしで、ブレーキングの解除が達成可能である。また、イネーブル信号がソフトウェア制御によって送信されると、そのロボットに対するモータのブレーキングも解除可能である。
【0131】
手動でブレーキを解除する場合には、自己リセット・スイッチが押下され、「SW_IN」ネットワークが接地され、ロー・レベル(論理レベル0)が出力される。この状況では、前段のオプトカプラ回路がターンオンされ、ネットワーク「SW」及び「SW_0」がプルアップされて、ハイ・レベルを出力する。次に、三極トランジスタ回路がターンオンされ、「SW_SIG」ネットワークが接地されて、ロー・レベル(論理レベル0)を出力する。Y=A・Bに従い、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することがわかり、次に、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、その結果として、モータに出力される信号「BRK1」及び「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力され、ブレーキングが解除される。
【0132】
FPGAがイネーブルされると、FPGAによってANDゲート(すなわち、第2の論理ゲート回路)に入力される信号ネットワーク「F_BRK0」及び「F_BRK1」は、ソフトウェアによって、ロー・レベル(論理レベル0)を出力するように制御される。Y=A・Bに従い、論理レベル0が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がロー・レベルを出力することがわかる。次に、後段のオプトカプラ回路がターンオンされ、モータに出力される信号「BRK1」及び「BRK2」が接地され、ロー・レベルが出力され、ブレーキングが解除される。
【0133】
したがって、ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを、信号取得ユニットと制御ユニットと論理処理ユニットと信号出力ユニットとによって、形成することが可能であり、それによって、どの駆動ループも利用可能でないときに、SCARAロボットの緊急動作がイネーブルされる。例えば、ロボットが緊急停止をトリガした後で、電源オフ及び再起動なしでロボティック・アームを動かすことができないという問題に対して、緊急状態における、すなわち、SCARAロボットが緊急状態にあって、どの駆動ループも利用できないときに、ユーザはSCARAロボットの第3及び第4の軸のブレーキングを迅速に解除する必要があるが、オペレータは、モータのブレーキングを手動で解除してロボティック・アームを移動させることが可能であり、それによって、安全性が向上する。
【0134】
いくつかの実施例では、ロボットの本体スイッチは、自己リセット・スイッチを含む。自己リセット・スイッチの第1の端子は信号取得ユニットの入力端子(SW_IN端子など)に接続され、自己リセット・スイッチの第2の端子は接地されている(アナログ・グランドGNDに接続されるなど)。自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされる。例えば、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、信号入力として用いられるだけであり、ブレーキ・ラインに直接接続されることはない。
【0135】
緊急停止制御の間は、制御は、制御ユニットによって実行されることが可能である。具体的には、ロボットが緊急停止をトリガする必要がある場合には、制御ユニットが、イネーブル・ブレーキ制御信号を出力する。論理処理ユニットは、ロボットが緊急停止をトリガする必要があり、イネーブル・ブレーキ制御信号が受け取られる場合には、そのイネーブル・ブレーキ制御信号に対して論理処理を実行した後で、イネーブル・ブレーキ信号を出力する。信号出力ユニットは、イネーブル・ブレーキ信号を受け取る場合に、ロボットのモータにブレーキをかけるように制御する。
【0136】
ロボットのモータが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガした場合には、自己リセット・スイッチがリセットされても、モータのブレーキングの状態は、影響を受けない。詳細については、以下の例示的な説明を参照してほしい。
【0137】
いくつかの実施例では、このロボット制御方法は、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持する処理を更に含む。
【0138】
図7は、本開示の方法において、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持する実施例の概略的なフローチャートであるが、その図7との関係で、以下では、ステップS210からS230を含む、自己リセット・スイッチがリセットされた後でモータのブレーキングを維持する具体的なプロセスが、更に説明される。
【0139】
ステップ210では、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガして、ロボットのモータにブレーキがかけられる場合に、ロボットの自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、ロボットの自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号が、信号取得ユニットによって取得される。
【0140】
ステップS220では、ロボットが制御ユニットを通じて緊急停止をトリガして、ロボットのモータにブレーキがかけられる場合に、スイッチ・ターンオフ信号が受け取られるならば、そのスイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理が実行された後で、ブレーキング維持信号が、論理処理ユニットによって出力される。
【0141】
ステップ230では、ブレーキング維持信号が受け取られる場合には、ロボットのモータは、信号出力ユニットによって、ブレーキング状態を維持するように制御される。
【0142】
ブレーキング状態では、モータは、制御されていないときには、ブレーキング状態になければならない、すなわち、「BRK1」及び「BRK0」信号は、ハイ・レベル状態になければならない。モータが制御されていないとは、モータがソフトウェア制御されていないことを意味する。ハードウェア・ループを追加する時点では、「BRK1」及び「BRK0」信号のハイ・レベル状態を実現することが、依然として必要である。
【0143】
モータがソフトウェア制御されていないときには、FPGAによって第2の論理ゲート回路(すなわち、ANDゲート)に入力される信号ネットワークF_BRK0及びF_BRK1は、プルアップされ、ハイ・レベル(論理レベル1)を出力する。その時点で、スイッチはターンオフ状態にあり、「SW_IN」ネットワークは、「24V_CTRL」電源ネットワークによってプルアップされる。この状況では、前段のオプトカプラ回路は、ターンオンされていない。「SW」及び「SW_0」ネットワークは、接地される。この状況では、三極トランジスタ回路はターンオンされておらず、「SW_SIG」ネットワークはプルアップされ、ハイ・レベル(論理レベル1)が出力される。Y=A・Bにより、論理レベル1が出力されること、すなわち、ネットワーク「BRK0-」及び「BRK1-」がハイ・レベルを出力することが、わかる。この場合、後段のオプトカプラ回路もターンオンされておらず、モータへの信号「BRK1」及び「BRK2」出力は、「24V_IO」によって直接プルアップされることにより、ハイ・レベルを出力して、モータがブレーキング状態に入るのであるが、これは要件と矛盾しない。
【0144】
「BRK1」及び「BRK2」とは、第3軸のモータ・ブレーキング信号と、第4軸のモータ・ブレーキング信号とである。第3軸の後段のオプトカプラは、第3軸のモータ・ブレーキング信号を出力し、第4軸の後段のオプトカプラは、第4軸のモータ・ブレーキング信号を出力する。
【0145】
「F_BRK0」及び「F_BRK1」とは、駆動回路を通過した後で論理デバイスに入力される、FPGAによって出力される第3軸のブレーキング信号と、駆動回路を通過した後で論理デバイスに入力される、FPGAによって出力される第4軸のブレーキング信号とである。
【0146】
「BRK0-」及び「BRK1-」とは、論理デバイスの処理の後で後段のオプトカプラに入力される第3軸のブレーキング信号と、論理デバイスの処理の後で後段のオプトカプラに入力される第4軸のブレーキング信号とである。
【0147】
「24V_CTRL」とは、コントローラの前段のオプトカプラにおける24Vの電源ネットワークである。
【0148】
「24V_IO」とは、コントローラの後段のオプトカプラにおける24Vの電源ネットワークである。
【0149】
「SW」、「SW_0」、及び「SW_SIG」とは、前段のオプトカプラによってFPGAに出力されるスイッチ・フィードバック信号と、前段のオプトカプラによって三極トランジスタ回路に出力されるスイッチ信号と、三極トランジスタ回路によって論理デバイスに出力されるスイッチ信号とである。
【0150】
ロボットの本体スイッチは自己リセット・スイッチであるから、ボタンを解除することで、それ自体を、自動的に開(閉ではない)状態に戻すことになるが、その状況では、信号は、ある意味で、ハードウェア回路が追加される前の信号と、まったく異ならない。したがって、それは、ソフトウェアと互換性がある。
【0151】
したがって、自己リセット・スイッチは、ロボットの本体スイッチとして用いられるため、遅滞なくブレーキをかけないことによって生じる安全問題に関する心配は、不要である。具体的には、自己リセット・スイッチは、ロボットの本体スイッチとして用いられる。自己リセット・スイッチは、ブレーキが手動で解除されるときに、採用される。オペレータが、ボタンをリセットすることを偶然に失念しても、ロボティック・アームは、それ以外の危険を回避するために、制御不能に落下することはなく、それにより、モータが動作中には常にブレーキング解除状態に留まるという状況を回避し、そのようにして安全性を保証している。
【0152】
いくつかの実施例では、この方法は、ロボットの本体の状態を監視するプロセスを、含む。
【0153】
図8は、本開示の方法において、ロボットの本体の状態を監視する実施例の概略的なフローチャートであるが、その図8との関係で、以下では、ステップS310及びS320を含む、ロボットの本体の状態を監視する具体的なプロセスが、更に説明される。
【0154】
ステップS310では、サンプリング・ユニットにより、ロボットのブレーキ信号線上の電流信号が収集され、収集された電流信号は、制御ユニットのフィードバック端子にフィードバックされる。
【0155】
ステップS320では、ロボットの本体の状態が、ロボットの本体の電流信号とロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従い、制御ユニットによって、監視される。ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、ロボットの本体スイッチがターンオンされていることを示すスイッチ・ターンオン信号、又はロボットの本体スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を含む。具体的には、ロボットの本体スイッチのスイッチ信号は、情報取得ユニットにおける第1のオプトカプラなど前段のオプトカプラ回路のトランジスタ側のエミッタによって出力されるスイッチ信号である。
【0156】
例えば、ハードウェア制御ループを追加することに加えて、スイッチ信号が導入される。スイッチ信号は、一方(SW_SIG)はブレーキング解除に関与する信号入力であり、他方(SW)はFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)に入力されるフィードバック信号である、2つの信号に分割されることが可能である。FPGAに入力されるスイッチ信号と、FPGAに入力されるサンプリングされた電流信号とは、本体ブレーキング(又は、ブレーキ解除)ループの状態を監視する安全フィードバック・ループを形成することができる。
【0157】
したがって、ハードウェア制御ループを追加することに加えて、電流サンプリング回路との組合せとしてスイッチ信号を導入することによって、安全フィードバック・ループが形成され、その結果、ロボットの安全性を更に向上させる。
【0158】
いくつかの実施例では、ステップS320における、ロボットの本体の電流信号とロボットの本体スイッチのスイッチ信号とに従ってロボットの本体の状態を制御ユニットによって監視する具体的なプロセスは、以下の監視状況のいずれかを含む。
【0159】
第1の監視状況では、ロボットが正常動作している場合に、ロボットは正常動作をしていると電流信号が示し、ロボットの本体スイッチはターンオフ状態からターンオンされているとスイッチ信号が示すのであれば、それは、ロボットの本体スイッチが誤動作のためにターンオンされていると判断し、ロボットは停止するように制御され、ロボットは正常動作中に誤動作されているというアラート・メッセージが伝えられる。
【0160】
第2の監視状況では、ロボットがブレーキング状態にある場合に、ロボットはブレーキング状態にあると電流信号が示し、ロボットの本体スイッチはターンオフ状態からターンオンされているとスイッチ信号が示すのであれば、それは、ロボットが間違いにより起動されていると判断し、ロボットは起動を無効化するように制御される。
【0161】
例えば、ハードウェア制御ループがソフトウェア制御ループと互換性がある場合、システム全体が緊急状態にない(すなわち、緊急停止ボタンが押下されていない)と、ブレーキングの解除は、ハードウェア制御ループとソフトウェア制御ループとの両方によって制御される。この場合、スイッチ信号は、一方(SW_SIG)はブレーキング解除に関与する信号であり、他方(SW)はフィードバック信号としてFPGAに入力される、2つの信号に分割されることが可能である。
【0162】
ロボットの内部プログラムが正常に動作するならば、ロボティック・アームは、維持電流によってその元の状態を維持し、ロー・レベルSW信号を受け取ることはない。ロボットの本体スイッチ(すなわち、自己リセット・スイッチ)が、人為的ミスによって生じた安全事故を回避するために、ロボットの正常動作中に押下されるならば、SWのフィードバック信号が関与することになる。FPGAは、異常なロー・レベルを検出し、ロボットを停止させて、アラートを発する。本体スイッチがデバッギングのために押下され、その状況で、誰かがロボットを起動させることを望む場合には、FPGAが、サンプリングされた電流信号(ADチップによってデジタル信号に変換され、本体状態のフィードバックとしてFPGAに入力される)とSW信号(本体スイッチを制御する信号)とに基づいて、ロボットの起動を無効化し、それにより、安全事故を回避する。
【0163】
この実施例の方法によって達成される処理と機能とは上述されたロボットの実施例、原理、及び実例と実質的に対応するので、この実施例において説明されない詳細については、上述した実施例における関連する説明を参照してほしいため、ここでは再説しない。
【0164】
本開示の技術的ソリューションは、多数の試験を通じて検証されている。ソフトウェア制御ループと互換性のあるハードウェア制御ループを追加することにより、そのハードウェア制御ループを追加したことに加えて、電流サンプリング回路との組合せとしてスイッチ信号を導入することにより、安全フィードバック・ループが形成され、その結果として、ロボットの安全性を更に向上させる。
【0165】
要約するならば、上述された優れた方法が、衝突なしに既存の装置と自由に組み合わせ、重ね合わせることが可能だということを、当業者が理解することは容易である。
【0166】
上述した説明は、本開示の実施例に過ぎず、本開示を限定することは意図されない。当業者にとって、本開示は、様々な修正及び変更を有し得るであろう。本開示の趣旨及び原理の範囲に含まれるいずれの修正、均等な代替、又は改善は、本開示の特許請求の範囲の範囲に包括される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記ロボットの前記本体スイッチは自己リセット・スイッチを備えており、前記自己リセット・スイッチの第1の端子は前記信号取得ユニットの入力端子に接続され、前記自己リセット・スイッチの第2の端子は接地され、前記自己リセット・スイッチは、常開スイッチであり、押下されるとターンオンされ、
前記信号取得ユニットは、前記ロボットが前記制御ユニットを通じて前記緊急停止をトリガして前記ロボットの前記モータにブレーキがかけられる場合に、前記ロボットの前記自己リセット・スイッチが自己リセットを通じてターンオフされているならば、前記ロボットの前記自己リセット・スイッチがターンオフされていることを示すスイッチ・ターンオフ信号を取得するように構成され、
前記論理処理ユニットは、前記スイッチ・ターンオフ信号が受け取られると、前記スイッチ・ターンオフ信号に対して論理処理を実行した後で、ブレーキング維持信号を出力するように構成され、
前記信号出力ユニットは、前記ブレーキング維持信号が受け取られると、ブレーキング状態を維持するように前記ロボットの前記モータを制御するように構成される、請求項1に記載のロボット制御デバイス。
【請求項14】
前記ロボットの前記本体の前記電流信号と、前記ロボットの前記本体スイッチの前記スイッチ信号とに従って、前記ロボットの前記本体の前記状態を、前記制御ユニットによって前記監視するステップは、
前記ロボットが正常動作している場合に、前記ロボットが正常動作していることを前記電流信号が示し、前記ロボットの前記本体スイッチがターンオフ状態からターンオンされていることを前記スイッチ信号が示すならば、停止するように前記ロボットを制御し、前記ロボットが正常動作の間に誤動作されているというアラート・メッセージを伝えるステップと、
前記ロボットがブレーキング状態にある場合に、前記ロボットが前記ブレーキング状態にあることを前記電流信号が示し、前記ロボットの前記本体スイッチが前記ターンオフ状態からターンオンされていることを前記スイッチ信号が示すならば、起動を無効化するように前記ロボットを制御するステップと、
を含む、請求項13に記載のロボット制御方法。
【国際調査報告】