(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】非円形断面のオリフィス形状を伴うチューブの製造のための装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/12 20060101AFI20230914BHJP
B29C 43/36 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
B29C33/12
B29C43/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511822
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2021055014
(87)【国際公開番号】W WO2022049425
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521031501
【氏名又は名称】アイサパック ホールディング エスエー
【氏名又は名称原語表記】AISAPACK HOLDING SA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ファーブル, ドミニク
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AD05
4F202AD08
4F202AH55
4F202CA09
4F202CB01
4F202CB12
4F202CK52
4F202CK73
4F202CL02
4F202CL28
4F202CL50
4F202CQ01
4F202CQ05
(57)【要約】
本発明は、特に、物品を成形するための装置に関し、物品は、ある用量の溶融状態の材料(14)を圧縮成形することによって得られるとともに、圧縮成形工程後に少なくとも1つのオリフィス(23)を備え、前記装置は、少なくとも1つのダイ(10)と、前記ダイ(10)と協働して用量の圧縮成形工程を行なう1つのマンドレル(11)と、前記ダイ(10)内で摺動する1つのオリフィスロッド(12)とを備え、前記装置は、マンドレル(11)とオリフィスロッド(12)との間に配置されて物品のオリフィス(23)を形成する型エンドピース(13)を更に備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を成形するための装置であって、前記物品が、ある用量の溶融状態の材料(14)を圧縮成形することによって得られるとともに、圧縮成形工程後に少なくとも1つのオリフィス(23)を備え、前記装置が、少なくとも1つのダイ(10)と、前記ダイ(10)と協働して前記用量の圧縮成形工程を行なう1つのマンドレル(11)と、前記ダイ(10)内で摺動する1つのオリフィスロッド(12)とを備え、前記装置が、前記マンドレル(11)と前記オリフィスロッド(12)との間に配置されて前記物品の前記オリフィス(23)を形成する型エンドピース(13)を更に備える、装置。
【請求項2】
前記型エンドピースが前記ロッド(12)上若しくは前記マンドレル(11)上にある、又は、部分的に前記ロッド上にあり、部分的に前記マンドレル上にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記型エンドピース(13)を介して前記マンドレル(11)及び前記オリフィスロッド(12)を接触状態に維持するための少なくとも1つの手段(30)を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記手段が機械的ばね又は空気圧ばね(30)である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ロッド(12)の軸方向移動の振幅を調整するためのロッド出口当接部(32)を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
成形の終了時に高圧を及ぼすための第2の加圧要素(31)を備え、前記第2の加圧要素が、短距離移動ラムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の加圧要素によって及ぼされる低圧から前記第2の加圧要素によって及ぼされる高圧に切り替えるための移行当接部を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記用量を中心に集めるためのブッシュ(37)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
ある用量の溶融状態の材料(14)からオリフィスを備える物品を形成する方法であって、マンドレル(11)と協働するダイ(10)と、オリフィスロッド(12)と、前記マンドレル(11)と前記オリフィスロッド(12)との間に配置される型エンドピース(13)とを使用し、前記物品が、前記ダイと前記マンドレルとの間で前記用量を圧縮成形することによって形成され、前記物品の前記オリフィスが、圧縮成形工程中に材料によって取り囲まれる前記型エンドピースによって形成される、方法。
【請求項10】
第1の加圧手段を使用して、モールドが閉じている間に前記型エンドピース、前記マンドレル、及び前記オリフィスロッドを接触させ、第2の加圧手段を使用して、成形の終了時に高圧を及ぼす、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
移行当接部を使用して、前記第1の加圧手段によって及ぼされる圧力から前記第2の加圧手段によって及ぼされる圧力に切り替える、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの中央面(25)と、1つの外周面(26)と、型エンドピース(13)によって形成された1つのオリフィス(23)とを備え、前記オリフィス(23)が前記中央面(25)で開口し、前記中央面及び前記外周面(25、26)が互いに対してオフセットされる、物品(1、2)。
【請求項13】
前記面間の前記オフセットが凹部(27)又は突出部(28)を形成する、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記オリフィス(23)が、同じ幾何学的形状又は異なる幾何学的形状を有する少なくとも2つの別個のオリフィス(23a、23b、23c、23d)を備える、請求項12又は13に記載の物品。
【請求項15】
チューブヘッド又はチューブである、請求項12~14のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【対応出願】
【0001】
本出願は、AISAPACK HOLDING SAという名称で2020年9月7日に出願された先の欧州特許出願第20194767.8号の優先権を主張し、この先の出願の全内容は、参照により本願に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、そのヘッドが圧縮成形によって製造されるチューブに関し、成形工程は、チューブ状スカートをチューブヘッドに溶着するためにも使用される。本発明は、その断面が円形ではなく、パッケージ分野、特に練り歯磨きなどのクリーム又はペーストを収容するようになっている可撓性チューブの分野に適用されるオリフィス形状の製造を可能にする。また、本発明は、そのヘッドを製造するための方法及びそのようなヘッドを有するチューブにも関連する。
【従来技術】
【0003】
ある用量の樹脂を溶融状態で圧縮成形することによって製造されるチューブヘッドは、長年にわたって知られており、例えば、国際公開第2007/125481号パンフレットに記載され、その内容は参照により本願に組み入れられる。これらのチューブヘッドは、ある用量の材料からヘッドを形成する圧縮成形工程と共同でチューブのスカートに溶着される。この方法において、溶着工程は、チューブヘッドを成形するために使用される溶融樹脂の熱以外の熱の印加を必要としない。この方法によって得られるチューブは、溶着ゾーンにおいて有利な審美的特性を有する。特に、スカートとチューブヘッドとの間の移行部は、滑らかで連続的な表面を形成する。このパッケージにおいて、チューブのスカートとチューブヘッドとの間の移行ゾーンはユーザが知覚できず、このことは、化粧品の分野で使用されるチューブにとって大きな利点に相当する。しかしながら、既知の従来技術の装置では、チューブヘッド内に非円形断面オリフィスを形成することが不可能である。
【0004】
本発明は、特に、この欠点を改善できるようにする。
【0005】
仏国特許出願公開第2846594号明細書は、プラスチック成形部品、特にパッケージ容器上にノズルを形成する要素、好ましくはチューブをパッケージ化するためのヘッドを製造するための方法及び装置を開示する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、特に、チューブを製造するための手段及び方法に関し、チューブのヘッドは圧縮成形によって製造され、製品を抽出するのに役立つチューブのオリフィスは、非円形断面を有し及び/又は方向付けられ及び/又は複雑な断面を有し、及び/又は、異なる形状の複数のオリフィスを備える。また、本発明に係る手段及び方法は、材料の分布を最適化して製造されたヘッドの欠陥を防止できるようにもする。
【0007】
また、本発明は、そのオリフィスの幾何学的形状が例えばスカート上の印刷に対して又はキャップに対して方向付けられるチューブにも関する。
【0008】
また、本発明は、複雑な断面のオリフィス形状又は異なる形状の複数のオリフィスを有するチューブにも関する。
【0009】
本発明に係るチューブは、特に、中央面及び外周面を伴う首部の上面によって特徴付けられ、オリフィスが中央面で開口し、2つの面が互いに対してオフセットされている。
【0010】
また、本発明は、複数のオリフィスを含むチューブにも関する。
【0011】
また、本発明は、本発明を実施する方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、従来技術にしたがって製造されたチューブを示す。
【
図2】
図2は、従来技術のチューブ1を上から見た図を示す。
【
図3】
図3は、チューブヘッド及びチューブを製造するための本発明に係る装置の実施形態を断面で示す。
【
図4】
図4は、チューブヘッド及びチューブを製造するための本発明に係る装置の実施形態を断面で示す。
【
図5】
図5は、チューブヘッド及びチューブを製造するための本発明に係る装置の実施形態を断面で示す。
【
図6】
図6は、チューブヘッド及びチューブを製造するための本発明に係る装置の実施形態を断面で示す。
【
図7】
図7は、本発明に係るヘッド及びチューブ並びにオリフィスの幾何学的形状の実施形態を断面図で示す。
【
図8】
図8は、本発明に係るヘッド及びチューブ並びにオリフィスの幾何学的形状の実施形態を上から見た図で示す。
【
図9】
図9は、本発明に係るヘッド及びチューブ並びにオリフィスの幾何学的形状の実施形態を断面図で示す。
【
図10】
図10は、本発明に係るヘッド及びチューブ並びにオリフィスの幾何学的形状の実施形態を上から見た図で示す。
【
図11】
図11は、本発明に係るヘッド及びチューブ並びにオリフィスの幾何学的形状の実施形態を上から見た図で示す。
【
図12】
図12は、チューブヘッドとスカートとの間の移行ゾーンのレベルにおけるチューブの特徴を示す。
【
図13】
図13は、本発明に係る装置で使用される手段の実施形態を示す。
【
図14】
図14は、本発明に係る装置で使用される手段の実施形態を示す。
【
図15】
図15は、本発明に係る装置で使用される手段の実施形態を示す。
【
図16】
図16は、本発明に係る装置で使用される手段の実施形態を示す。
【
図17】
図17は、本発明に係る装置で使用される手段の実施形態を示す。
【
図18】
図18は、チューブヘッド及びチューブを製造するための本発明に係る装置の実施形態を断面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(符号の説明)
1:チューブ
2:チューブヘッド
3スカート
4オリフィス
5:移行ゾーン
6スカート3の外面
7:
8固定手段(例えばキャップ用)
9外周面
10ダイ
11マンドレル
12オリフィスロッド
13:型エンドピース
14:
15:
16:
17:
18:
19:
20チューブ
21チューブヘッド
22スカート
23、23a、23b、23c、23d:オリフィス
24固定手段(例えばねじ山)
25内面
26外周面
27凹部
28突出部
29並進ガイド要素
30加圧要素
31加圧要素
32ロッド出口当接部
33:移行当接部
34:ロッドブシュ相対位置当接部
35:ロッドブシュ相対位置当接部
36:ブシュ-ダイ位置合わせ当接部
37ブシュ
38ブシュ-ダイ位置合わせ
【0014】
(従来技術(
図1及び
図2))
図1は、従来技術にしたがって製造されたチューブを示す。このチューブ1は、チューブヘッド2と、圧縮成形によってオーバーモールドされたスカート3と、円形断面オリフィス4とを備える。ヘッドは、キャップのための固定手段、例えばねじ山8と、外周面9とを更に備える。参照符号5は、圧縮成形製造方法のおかげにより滑らかで連続的な表面を形成するヘッド2とスカート3との間の移行ゾーンを示す。
【0015】
図2は、従来技術のチューブ1を上から見た図を示す。この図では、従来技術に対応するオリフィス4の円形形状を見ることができる。
【0016】
図1及び
図2によるチューブを得るための手段及び方法は、参照により本願に組み入れられる刊行物である国際公開第2007/125481号パンフレット、特に
図1~
図8及びそれらの図の説明に記載される。
【0017】
(本発明の実施形態)
図3~
図6及び
図18は、チューブヘッド及びチューブを製造するための本発明に係る装置の実施形態を断面で示す。
【0018】
図7~
図11は、本発明に係るヘッド及びチューブ並びにオリフィスの幾何学的形状の実施形態を断面図及び上から見た図で示す。
【0019】
図12は、チューブヘッドとスカートとの間の移行ゾーンのレベルにおけるチューブの特徴を示す。
【0020】
図13~
図17は、本発明に係る装置で使用される手段の実施形態を示す。
【0021】
実施形態において、本発明は、物品を成形するための装置に関し、物品は、ある用量の溶融状態の材料を圧縮成形することによって得られるとともに、圧縮成形工程後に少なくとも1つのオリフィスを備え、装置は、少なくとも1つのダイと、前記ダイと協働して用量の圧縮成形工程を行なう1つのマンドレルと、前記ダイ内で摺動する1つのオリフィスロッドとを備え、装置は、マンドレルとオリフィスロッドとの間に配置されて物品のオリフィスを形成する型エンドピースを更に備える。
【0022】
本発明の実施形態において、型エンドピースは、ロッド上若しくはマンドレル上にあってもよく、又は、部分的にロッド上にあり、部分的にマンドレル上にあってもよい。
【0023】
本発明の実施形態において、装置は、型エンドピースを介してマンドレルとオリフィスロッドとを接触状態に維持するための少なくとも1つの手段を備える。
【0024】
本発明の実施形態では、手段が機械的ばね又は空気圧ばねであってもよい。
【0025】
本発明の実施形態において、装置は、ロッドの軸方向移動の振幅を調整するためのロッド出口当接部を備える。
【0026】
本発明の実施形態において、装置は、成形の終了時に高圧を及ぼすための第2の加圧要素を備え、前記第2の要素が、短距離移動ラムである。
【0027】
本発明の実施形態において、前記装置は、第1の加圧要素によって及ぼされる低圧から第2の加圧要素によって及ぼされる高圧に切り替えるための移行当接部を備える。
【0028】
本発明の実施形態において、前記装置は、用量を中心に集めるためのブシュを備える。
【0029】
実施形態において、本発明は、ある用量の溶融状態の材料からオリフィスを備える物品を形成する方法に関し、前記方法は、マンドレルと協働するダイと、オリフィスロッドと、マンドレルとオリフィスロッドとの間に配置される型エンドピースとを使用し、物品は、ダイとマンドレルとの間で前記用量を圧縮成形することによって形成され、圧縮成形工程中に材料によって取り囲まれる前記型エンドピースによって物品のオリフィスが形成される。
【0030】
本発明の実施形態では、第1の加圧手段を使用して、ダイが閉じている間に型エンドピース、マンドレル、及び、オリフィスロッドを接触させ、第2の加圧手段を使用して、成形の終了時に高圧を及ぼす。
【0031】
本発明の実施形態では、移行当接部を使用して、第1の加圧手段によって及ぼされる圧力から第2の加圧手段によって及ぼされる圧力に切り替える。
【0032】
実施形態において、本発明は、少なくとも1つの中央面と、1つの外周面と、型エンドピースによって形成された1つのオリフィスとを備え、オリフィスが中央面で開口し、前記中央面及び前記外周面が互いに対してオフセットされる、物品に関する。
【0033】
本発明の実施形態では、面間のオフセットが凹部又は突出部を形成する。
【0034】
本発明の実施形態において、前記オリフィスは、同じ幾何学的形状又は異なる幾何学的形状を有する少なくとも2つの別個のオリフィスを備える。
【0035】
本発明の実施形態では、物品がチューブヘッド又はチューブであってもよい。
【0036】
(詳細な説明)
図1は、従来技術にしたがって製造されたチューブを示す。このチューブ1は、少なくとも1つのチューブヘッド2と、圧縮成形によってオーバーモールドされた1つのスカート3と、円形断面の1つのオリフィス4とを備える。チューブヘッド2は、ある用量の溶融状態のプラスチック材料を圧縮成形することによって製造される。スカート3は、スカートをモールド内に配置することと、成形されたプラスチック材料の熱を使用してチューブヘッド2とスカート3との間の組み立てを行なうこととから成る、いわゆるオーバーモールド工程によって、ヘッドの成形中にチューブヘッド2に組み付けられる。この方法にしたがって製造された従来技術のチューブは、スカート3とチューブヘッド2との間に完全な移行ゾーン5を有するという利点を有する。このため、チューブは、パッケージの審美的基準が最も重要である化粧品分野で使用されることが多い。
【0037】
図2は、従来技術のチューブ1を上から見た図を示す。特に、円形断面開口を形成するオリフィス4の幾何学的形状が見られる。このオリフィス4は、パッケージから製品を抽出するために使用される。
【0038】
それにもかかわらず、幾つかの場合には、そのオリフィスが異なる断面、すなわち、特に非円形断面を有する、例えば、実用性の理由又はマーケティングの理由又は他の理由のために、例えばチューブに含まれる製品及び/又はその使用に起因する、任意の形状を有する又は実際に任意の形状の複数のオリフィスを含むヘッドを有するチューブを製造することが必要とされる。そのような自由度を何ら許容しない国際公開第2007/125481号パンフレットから知られている装置は、以下に記載されるように本発明にしたがって修正される。
【0039】
したがって、本発明の目的は、既知の製品及び方法を改善することである。
【0040】
より正確には、本発明の1つの目的は、任意の形状のオリフィスを有するチューブの形態の容器の圧縮成形による製造を可能にする手段を提案することである。
【0041】
本発明の他の目的は、現在稼働中の機械に容易に適合させることができる簡単で信頼性の高い解決策を提案することである。したがって、根本的に異なる解決策及び手段を回避する必要があり、むしろ既存の機械に容易に適用可能な手段を提案する必要がある。
【0042】
したがって、
図3は、オリフィスの断面が円形ではない、本発明に係るチューブヘッド又はチューブを製造するための本発明に係る装置の一実施形態を示す。この装置は、少なくとも1つのダイ10と、1つのマンドレル11と、1つのオリフィスロッド12と、型エンドピース13とを備えるモールドを備える。オリフィスロッド12は、ダイ10内で摺動し、その端部に前記型エンドピース13を含む。
【0043】
本発明に係るチューブ(スカート3上にヘッド2を圧縮成形する工程においては、例えば国際公開第2007/125481号パンフレットの
図6及び
図7を参照)の形成中、型エンドピース13は、マンドレル11と接触した状態に維持され、圧縮成形工程中にダイ10とマンドレル11との間の相対移動によって駆動される。
【0044】
より正確には、オリフィスロッド12は、国際公開第2007/125481号パンフレットのような連続形状(断面)をもはや有しておらず、マンドレル11と接触するその端部に、チューブのオリフィス23の幾何学的形状をもたらすために使用される型エンドピース13を備える。この構造により、ロッド12を大幅に変更することなく、チューブ(又はチューブヘッド)の任意の形状のオリフィス23を形成することが可能である。エンドピース13は、ロッドの材料中に直接に形成されてもよく、又は、取り付けられた部品(例えば、ねじ込まれる、溶着される、又は貼り付けられるなど)であってもよい。材料は、同じ材料であってもよく又は異なる材料であってもよい。
【0045】
成形工程中に型エンドピース13とマンドレル11との間の接触を維持するとともに溶融材料がマンドレル11とエンドピース13との間に入るのを防ぐために、ロッド12に力が及ぼされる。
【0046】
図4は、型エンドピース13がマンドレル11(例えば、接着、溶着又は螺合などによって固定された取り付け部品など)に固定される又はマンドレル11の一部を形成する他の実施形態を示す。原理は、
図3に関連して説明したものと同じである。
【0047】
変形例において、型エンドピース13は、幾つかの部分で、例えば、2つ(又はそれ以上)の部分で、その少なくとも一方がマンドレル11上にあり、他方がロッド12上にあってもよい。
【0048】
図5は、ある用量のプラスチック材料がマンドレル11上に堆積される装置の実施形態を示す。動作原理は
図3又は
図4と同じであり、装置は単に180°回転するだけであり、マンドレル11が下端にあり、ダイ10が上端にある。型エンドピース13は、マンドレル11上又はロッド12上に、或いは、それらの一方に部分的に及びそれらの他方に部分的に配置されてもよい。
【0049】
図6は、
図3の装置を示すが、別の構成では、この
図6において、ロッド12の軸線に沿う型エンドピース13の長さは、以下で説明するように、チューブヘッドの形状が異なるように、外周面26のレベルにおけるチューブヘッドの意図される厚さよりも大きい。
【0050】
図7及び
図8は、例えば
図3~
図5に示される装置を使用して得られる本発明の一実施形態に係るチューブ20を示す。このチューブ20は、矩形断面形状を伴うオリフィス23を有し(
図8参照)、このオリフィスは、例えば薄い厚さを有する製品を送達するのに有利である。本発明に係るチューブ20は、一方では、凹凸のない連続面を形成するスカート22とチューブヘッド21との間の移行ゾーンの品質が上記で使用及び説明された圧縮成形方法に起因するという利点を有し、他方では、意図される用途における製品の抽出により適した複雑な非円形断面オリフィス形状を有するという利点を有する。したがって、一般的に言えば、型エンドピース13は、圧縮成形プロセス中にその形状を形成するようにオリフィス23の形状に対応する形状を有する。
【0051】
図7及び
図8に示される本発明に係るチューブのこの実施形態によれば、チューブヘッド21の首部の前面は、互いに対してオフセットされる中央面25及び外周面26を備える。
図7及び
図8に見られるように、オリフィス23は、面25、26の相対的なオフセットによって形成される凹部27内において中央面25のレベルで首部の中央部に開口している。
【0052】
図9及び
図10は、例えば
図6に示される装置を使用して得られる本発明に係るチューブの他の実施形態を示す。この実施形態において、チューブ1は、例えばマーケティング上の理由で使用され得るオリフィス23の鋭利な形状を有する。
【0053】
図9及び
図10に示されるこの実施形態によれば、チューブヘッド21の首部の前面は、互いに対してオフセットされるが
図3及び
図4の方向とは反対の方向にある中央面25及び外周面26を備える。オリフィス4は、面25、26のオフセットによって形成される突出部28上の中央面25のレベルで首部の中央部に開口する。凹部27又は突出部28の形成は、外周面26のレベルにおいて肩部の意図される厚さに対するエンドピース13の長さによってもたらされ、それにより、
図7のように凹部27を形成する又は
図9のように突出部28を形成する。
【0054】
実際に、ロッド12及びマンドレル11は常に互いに押し付けられた同じ位置にあるため、専ら肩部の厚さに対してエンドピース13の長さを調整することによって凹部27又は突出部28を形成することが可能である。
【0055】
本発明の実施形態によれば、面25と面26との間のオフセットが凹部27を形成する場合(例えば、
図7に示すように)、面25と面26との間のオフセットの値は、5mm未満、好ましくは0.5mm未満である。
【0056】
本発明の実施形態によれば、面7と面9との間のオフセットが突出部28を形成する場合(例えば、
図9に示すように)、面25と面26との間のオフセットの値は、10mm未満、好ましくは0.5mm未満である。
【0057】
本発明の実施形態によれば、面25と面26との間のオフセットはゼロに近い。これらの実施形態において、オフセットの値は、両方向(「凹部」及び「突出部」)で0.4mm未満、好ましくは0.2mm未満である。
【0058】
本発明にしたがって得られるチューブは、特に、同じ生産工程からの多数のチューブにわたって中央面7のレベルで測定されたチューブの壁の厚さは殆ど変化しないが、同じ試料に関して外周面のレベルで測定される厚さはより大きく変化するという事実を特徴とする。
【0059】
本発明によれば、中央面7のレベルで測定された厚さは、チューブヘッドを成形するために使用される樹脂の用量の重量の変動に依存せず、一方、面9のレベルにおける壁の厚さの変動は、用量の重量の変動に依存することが分かる。
【0060】
その結果、
図9に示されるように及び
図6に示されるような装置を用いて、チューブヘッドが用量の重量の変動に依存する小さな変動を伴う突出部28を含むようにモールドが設計される、又は、
図7に示されるように及び
図3の構成を成す装置を用いて、チューブヘッドが用量の重量の変動に依存する小さな変動を伴う凹部27を含むようにモールドが設計される。
【0061】
したがって、本発明は、用量中の材料の量の変動を回避するとともに本発明に係る圧縮成形方法中に直接に補償して欠陥のない製品を製造できるようにする。
【0062】
図11は、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態において、チューブ20は多数のオリフィス23a、23b、23c及び23dを含む。この実施形態では、オリフィス23a、23cが円形断面形状を有し、オリフィス23b、23dが正方形断面形状を有する。勿論、オリフィスの数と、オリフィスの形状又はサイズとの両方に関して、他の構成が想定され得る。これらのオリフィスは、ロッド13上、マンドレル11上、又はその両方にあってもよい型エンドピース13によって形成される。例えば、1つの幾何学的形状のオリフィスを形成するエンドピースがロッド又はマンドレルのうちの一方にあり、異なる幾何学的形状を伴うオリフィスを形成するエンドピースがロッド及びマンドレルの他方にあることが想定され得る。勿論、状況、必要な形状などに応じて他の構成も想定し得る。
【0063】
本出願に記載された本発明の原理を使用してオリフィスに任意の形状を与えることができ、本発明は非限定的な例として示されたものに限定されない。
【0064】
図12は、ヘッドが圧縮成形によって成形される従来技術のチューブの特徴でもある、本発明にしたがって製造されたチューブ21の特徴を示す。これらのチューブ21は、スカート3とヘッド2との間に高品質の移行ゾーン5を有する。これらのチューブ21は、外面6が完全に連続的であり、ゾーン5に凹凸がないという事実を特徴とし、これは、上記で説明した理由のために本発明との関連で好ましい特徴である。
【0065】
チューブは、例えば円形又は長円形又は楕円形の断面、又は矩形又は正方形であってもよく、本発明の原理は全てのチューブ形状に適用される。
【0066】
説明及び図示された装置は、説明を明確にするために簡略化されている。これらの装置は、図示されていないが、従来技術では原理的に既知であり、特にモールド抽出手段と、開閉手段と、圧縮成形手段を冷却する手段と、チューブのスカートを装填して保持する手段と、ある用量のプラスチック材料を受けて案内する手段とを備える。
【0067】
図13~
図17は、本発明に係る装置及び方法を実施するために使用される手段の実施形態を示す。これらの例では、簡単にするために、本発明に関連した機能部分のみが表わされる。
【0068】
図13は、本発明を実施するために使用される手段の第1の実施形態を示す。この実施形態において、装置は、特に、型エンドピース13を介して圧縮成形工程中にマンドレル11とオリフィスロッド12とを接触状態に維持できるようにする手段を含む。特に、そのような手段は、成形材料が型エンドピース13とマンドレル11との間に挿入されるのを防止するために使用されることが好ましい。
図13に示される第1の実施形態は、この機能を発揮するための機械的ばね又は空気圧ばね30などの受動要素を備える。図示されていない代替形態は、好ましくは圧力制御されたラムなどの活性要素を使用することができる。この解決策は、成形中に使用される力に応じてオリフィスロッド12に作用する軸方向力の調整を可能にする。
図13が示すように、装置は、オリフィスロッド12の軸方向移動を可能にするガイド手段29、及び、ロッド12の軸方向移動の振幅の調整を可能にするロッド出口当接部32も備える。要素30がラムである場合、移動センサの端部が移動当接部の端部として有利に使用される。
図13に示される装置は、マンドレル上に用量が堆積される
図5に示す成形構成で有利に使用される。
【0069】
図14に示される実施形態は、少なくとも1つの第1の加圧要素30と、1つの第2の加圧要素31とを備える。この実施形態は、オリフィスロッド12が長い軸方向ストロークを有する場合に有利に使用される。これは、用量投入段階中に用量をキャビティ10内で中心に集めるためにオリフィスロッド12が使用される場合である。第1の加圧要素30は、モールドが閉じている間に型エンドピース13とマンドレル11とを接触させることができるようにする。第2の加圧要素31は、成形された樹脂がマンドレル11と型エンドピース13との間に挿入されるのを防止するために、成形の終了時に高い圧力を及ぼすことができるようにする。成形の終了時の圧力が高いため、パッケージのオリフィス23を塞がないように十分な圧力を及ぼす必要がある。第1の加圧要素30は、
図14に示されるような機械的ばね又は空気圧ばねなどの受動要素であってもよい。或いは、この要素は、ラムのように能動的に制御されてもよい。第2の加圧要素31は、好適には、
図14に示されるような短いストロークのピストンである。この種のラムは、成形圧力に応じたオリフィスロッド12を保持する圧力の容易な調整を可能にする。或いは、この要素31は、高剛性の受動ばねであってもよい。また、
図14に示される装置は、オリフィスロッド12の出口ストロークを制限するロッド出口当接部32と、第1の加圧要素30によって及ぼされる低圧から第2の加圧要素31によって及ぼされる高圧への切り替えを可能にする移行当接部33とを備える。
図14に示される実施形態によれば、第1の加圧要素30は、第2の加圧要素31と並列に配置される。
【0070】
図15は、
図14と同様の実施形態を示すが、第1の加圧要素30が第2の加圧要素31と直列に配置される。
【0071】
図16は、
図15と同様の実施形態を示すが、第1の加圧要素30及び第2の加圧要素31がその圧力を調整することができるラムである。
図16は、第1の加圧要素30及び第2の加圧要素31が直列である実施形態を示す。加圧ラム30、31が並列に配置される他の実施形態(図示せず)がもたらされてもよい。
【0072】
図14、
図15及び
図16に示される実施形態は、好適には、用量投入動作中に用量中心に集めるためにオリフィスロッドも使用される
図3、
図4及び
図6に示される成形構成と関連付けられる。
【0073】
図17に示される実施形態は、
図14に示される実施形態と同様であるが、用量投入動作中に用量を中心に集めるために使用されるブシュ37を更に備える。そのようなブシュ37の利用は、用量(一般にトーラスの形状である)の内径がオリフィスロッドの直径と比較して大きい場合に有利である。用量投入ブシュは、
図18に示されるようにモールドのキャビティと位置合わせされる。ブシュダイ位置合わせ当接部36がこの機能を提供できるようにする。ロッド-ブシュ相対位置当接部34がオリフィスロッド32とブシュ37との間の最大相対移動を規定する。
図17に示される実施形態によれば、加圧要素30、31が並列に配置される。加圧要素30、31が直列になっている同様の装置(図示せず)を使用することもできる。
【0074】
図18は、
図17に示される装置に対応する成形構成を示す。成形の終了時に、ブシュ37の軸方向位置は、38におけるブシュ-ダイ位置合わせによって規定され、これにより、ダイ10とブシュ37との接合部に肩部のないヘッド表面を得ることができる。
【0075】
図3~
図6、
図7、
図9、及び
図18にはそれぞれチューブヘッド及びチューブ(すなわち、スカート22に取り付けられたチューブヘッド21)を形成するための装置が表わされるが、本発明の原理がスカートのないチューブヘッド21のみの製造に適用され、本発明が圧縮成形によるチューブヘッドの製造のこの態様も網羅することは明らかである。したがって、スカートの表現は非限定的な実施形態である。
【0076】
説明された実施形態は、例示的な例として説明されており、本発明を限定するものと見なされるべきではない。他の実施形態は、例えば記載された手段と同等の手段を必要とし得る。実施形態は、状況に応じて互いに等しく組み合わせることができ、又は一実施形態で使用される手段を別の実施形態で使用することができる。
【国際調査報告】