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特表2023-540189曲げ自在表示部を有する車内システムのためのガラス物品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】曲げ自在表示部を有する車内システムのためのガラス物品
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230914BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
G09F9/00 312
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512134
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021045301
(87)【国際公開番号】W WO2022039969
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/067,526
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,マシュー リー
(72)【発明者】
【氏名】ボッグス,ジョーダン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】センパ,マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガーガン,ケヴィン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】キスター,エヴァン グレイ
(72)【発明者】
【氏名】ミーナクシ サンダラム,バラムルガン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ディヴィッド エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート,ジェイソン スコット
【テーマコード(参考)】
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA01
5C094BA03
5C094BA27
5C094DA06
5C094HA05
5G435AA01
5G435BB05
5G435CC09
5G435DD03
5G435EE02
5G435EE03
5G435EE13
5G435EE14
5G435EE50
5G435GG43
5G435HH02
5G435HH05
5G435KK02
5G435KK07
5G435LL17
(57)【要約】
曲げ自在表示部を有する曲げ自在ガラス物品を開示する。ガラス物品は、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートを含む。ヒンジ機構は、ガラスシートの第2の主面上に配置される。ヒンジ機構は、ガラスシートを、第1側部と第2側部に分割する。曲げ自在表示部は、ガラスシートの第2の主面に接合し、ガラスシートとヒンジ機構の間に配置される。接着材料は、表示部の周りでガラスシートの第2の主面上に配置される。第1側部は、ヒンジ機構を中心に、第2側部に対して曲げ自在で、曲げ自在表示部は、接着材料内に気密封止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品において、
第1の主面、および、該第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートと、
前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置されて、該ガラスシートを第1側部と第2側部に分割するヒンジ機構と、
前記ガラスシートの前記第2の主面に接合して、該ガラスシートと前記ヒンジ機構の間に配置された曲げ自在表示部と、
前記表示部の周りで前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置された接着材料と
を含み、
前記第1側部は、前記ヒンジ機構を中心に、前記第2側部に対して曲げ自在であり、
前記曲げ自在表示部は、前記接着材料内に気密封止されたものであるガラス物品。
【請求項2】
前記曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、該前側表示面と該裏面を接続する周縁面を含むものであり、
前記接着材料は、前記周縁面および前記裏面に接合したものである、請求項1に記載のガラス物品。
【請求項3】
前記ヒンジ機構の横で前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置された少なくとも1つの枠部を、
更に含み、
前記接着材料は、前記枠部を前記ガラスシートの前記第2の主面に接合し、該接着材料は、前記ヒンジ機構と前記曲げ自在表示部の間の領域で、該ヒンジ機構に接合しないものである、請求項2に記載のガラス物品。
【請求項4】
前記曲げ自在表示部は、前記少なくとも1つの枠部の上に延伸するものである、請求項3に記載のガラス物品。
【請求項5】
前記曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、該前側表示面と該裏面を接続する周縁面を含むものであり、
間隙が、前記接着材料と、前記周縁面および前記裏面との間に設けられたものである、請求項1に記載のガラス物品。
【請求項6】
前記曲げ自在表示部の前記裏面の上に配置されたスペーサ、または、
前記曲げ自在表示部の前記周縁面の周りに配置されたスペーサを、
更に含む、請求項5に記載のガラス物品。
【請求項7】
前記曲げ自在表示部は、前記ヒンジ機構の少なくとも片側を過ぎて延伸するものである、請求項5または6に記載のガラス物品。
【請求項8】
前記接着材料と前記ヒンジ機構の間に配置されたバッキングシートを、
更に含む、請求項5または6に記載のガラス物品。
【請求項9】
前記ヒンジ機構の横に少なくとも1つの枠部を、
更に含み、
前記接着材料は、前記少なくとも1つの枠部、および、前記ガラスシートの前記第2の主面に接合したものである、請求項5または6に記載のガラス物品。
【請求項10】
前記ヒンジ機構は、突出部を含み、前記曲げ自在表示部は、該ヒンジ機構の該突出部と接触するものであるか、または、
前記ヒンジ機構は、窪み部を含み、前記曲げ自在表示部の前記周縁面の少なくとも一部は、該窪み部によって囲まれたものである、請求項9に記載のガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2020年8月19日出願の米国仮特許出願第63/067,526号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、ガラス物品に関し、特に、曲げ自在表示部を有する車内システムのための曲げ自在ガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
乗物の車内は、様々な表示画面を含む。そのような表示画面を乗物全体としての美的設計に組み込むための努力が重ねられてきた。このように、表示部を、例えば、ダッシュボードなどの連続面に組み込むことが試みられてきた。更に、美的設計と機能性の両方を高めるために、これらの連続面を形成するのにガラスを用いてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガラスの使用により、自動車産業で開発に長い時間が掛けてきた他の従来のプラスチック、金属、および、複合材料と比べて、更なる設計上の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある態様によれば、本開示の実施形態はガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートを含む。ヒンジ機構が、ガラスシートの第2の主面上に配置されている。ヒンジ機構は、ガラスシートを第1側部と第2側部に分割する。曲げ自在表示部は、ガラスシートの第2の主面に接合して、ガラスシートとヒンジ機構の間に配置される。接着材料は、表示部の周りでガラスシートの第2の主面上に配置される。第1側部は、ヒンジ機構を中心に、第2側部に対して曲げ自在であり、曲げ自在表示部は、接着材料内に気密封止されたものである。
【0006】
他の態様によれば、本開示の実施形態は、乗物の車内システムに関する。車内システムは、乗物の中心線軸を横切るように配置されたダッシュボード基部を含む。中心線軸は、乗物を運転手側と助手席側に縦に分割する。ガラス物品は、ダッシュボード基部に取り付けられる。ガラス物品は、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートを含む。ガラスシートは、第1側部、および、第2側部を含む。第1側部は、中心線軸の運転手側に位置する。ヒンジ機構は、ガラスシートの第2の主面上に配置される。ヒンジ機構は、ガラスシートを第1側部と第2側部に分割する。曲げ自在表示部は、ガラスシートの第2の主面に接合して、ヒンジ機構とガラスシートの間に配置される。接着材料は、曲げ自在表示部の周りでガラスシートの第2の主面上に配置される。表示部は、接着材料とガラスシートの間に気密封止される。曲げ自在表示部は、ガラスシートの第2側部がヒンジ機構を中心に曲がる時に、曲げ構成と平面構成の間で変化するように構成されたものである。
【0007】
更なる特徴および利点を、次の詳細な記載に示し、それは、部分的には、当業者には、その記載から明らかであるか、または、次の詳細な記載、請求項、および、添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって分かるだろう。
【0008】
ここまでの概略的記載および次の詳細な記載の両方が、例示にすぎず、請求項の本質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図すると、理解すべきである。添付の図面は、更なる理解のために提供されたものであり、本明細書に組み込まれ、その一部を形成する。
【0009】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの態様を示し、明細書の記載と共に、発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な実施形態によるガラス物品を含む乗物の車内を示し、リビングヒンジが乗物のダッシュボードと一体化されている。
図2】例示的な実施形態による図1のガラス物品を示す。
図3】例示的な実施形態によるリビングヒンジを有するガラス物品を簡略に示す側面図である。
図4】例示的な実施形態によるのガラス物品の分解斜視図である。
図5A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図5B図5AのA‐A線に沿った図5Aの実施形態の断面図である。
図6A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図6B図6AのA‐A線に沿った図6Aの実施形態の断面図である。
図7A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図7B図7AのA‐A線に沿った図7Aの実施形態の断面図である。
図8A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図8B図8AのA‐A線に沿った図8Aの実施形態の断面図である。
図9A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図9B図9AのA‐A線に沿った図9Aの実施形態の断面図である。
図10A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図10B図10AのA‐A線に沿った図10Aの実施形態の断面図である。
図11A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図11B図11AのA‐A線に沿った図11Aの実施形態の断面図である。
図12A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図12B図12AのA‐A線に沿った図12Aの実施形態の断面図である。
図13A】例示的な実施形態のガラス物品の断面図である。
図13B図13AのA‐A線に沿った図13Aの実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、乗物の車内システムの曲げ自在ガラス物品に関し、車内システムは、ガラス物品の曲げ自在領域を横切る表示部を有する。実施形態において、ガラス物品は、乗物のダッシュボード上のインフォテイメント画面、計器パネル、および、乗物周囲カメラなど、多数の表示画面を組み込むように構成される。ガラス物品の1つの端部は、曲げ軸を中心に、例えば、乗物の運転手の方に回転するように構成されて、その中に収容された画面の視認性を高める。曲げ自在表示画面は、曲げ軸を横切って備えられて、曲げ自在表示画面が、湾曲または平面のいずれかになりうる。曲げ自在性を備えるために、曲げ自在表示画面は、薄く可撓性の有機発光ダイオード(OLED)表示部などの表示部である。しかしながら、OLED表示部をガラス物品に組み込むことで、載置機構から表示部に伝達される機械的応力によるOLED表示部の破損も防ぎながらOLED表示部を適切に封止することについて、課題を生じる。
【0012】
OLED表示部の有機層は、非常に薄く、ほとんどの場合、OLED表示部は、化学活性材料を主材料とするので、空気中の湿気または酸素に曝されて破損し易い。更に、電極として用いられる薄い金属層は、非常に腐食し易い。したがって、ガラス物品は、OLED表示部の機械的な信頼性も提供しながら、OLED表示部を気密封止すべきである。
【0013】
これらの、および、他の態様および利点を、以下に記載し図面に示した実施形態について記載する。これらの実施形態は、例示のためであって、限定するためではない。
【0014】
図1は、ダッシュボード基部12を含む乗物の車内10を示している。実施形態において、ダッシュボード基部12は、センターコンソール領域14、および、計器パネル領域16を含む。概して、ダッシュボード基部12は、乗物の中心線軸18を横切って配置される。中心線軸18は、乗物を運転手側部20と助手席側部22に縦に分割する。計器パネル領域16は、中心線軸18の運転手側部20上であり、センターコンソール領域14は、中心線18を横切って延伸して、運転手側部20と助手席側部22の両方の上でありうる。実施形態において、センターコンソール領域14は、第1の表示画面24を含み、計器パネル領域16は、第2の表示画面26を含む。実施形態において、ダッシュボード基部12は、1つ以上の更なる表示領域28を含み、各表示領域は、更なる表示画面30を含みうる。実施形態において、第1の表示画面24、第2の表示画面26、および、更なる表示画面30は、プラズマ表示部、発光ダイオード(LED)表示部、有機LED(OLED)表示部、マイクロLED表示部、または、液晶表示部(LCD)の任意のものでありうる。
【0015】
実施形態において、センターコンソール領域14の第1の表示画面24は、情報、および、制御パネルを、乗物の運転手、および/または、助手席の人に提供するインフォテイメントセンターである。例えば、第1の表示画面24は、乗物情報、GPSの方向、気候制御、オーディオ制御などを表示しうる。実施形態において、計器パネル領域16の第2の表示画面26は、速度計、燃料計、タコメータ、冷却水温度などを表示しうる。更なる表示画面30を含む実施形態において、更なる表示画面30は、例えば、遠隔カメラで撮像された乗物の前方、乗物の後方、または、乗物の1つ以上の死角の景色を表示しうる。実施形態において、第1の表示画面24、第2の表示画面26、および/または、更なる表示画面30は、タッチ画面として構成されうる。
【0016】
第1の表示画面24、第2の表示画面26、および、更なる表示画面30(それが含まれる場合)は、全て、同じ湾曲したガラス物品32に組み込まれる。後述するように、第2の表示画面26(および、更なる画面30)は、ダッシュボード12の計器パネル領域16に固定され、センターコンソール領域14の第1の表示画面24は、第2の表示画面26に対して曲げ自在である。実施形態において、第1の表示画面24は、第1の表示画面24が運転手側部20と助手席側部22に略均等に向いた第1の位置から、第1の表示画面24が運転手側部20に向いた第2の位置へ曲げられる。曲げを可能にするために、ガラス物品32は、第1の表示画面24側に自由端を有する。
【0017】
より完全に後述するように、ガラス物品32は、曲げ自在表示部33を、第1の表示画面24と第2の表示画面26の間の領域に含み、そこで、ガラス物品32が曲がる。ガラス物品の曲げ領域の表示部は、情報を、見る人(特に、運転手)の共通焦点面に配置するのを可能にして、見る人の眼精疲労を最小にし、反応時間を改良する。更に、曲げ領域に表示された情報は、画面の使用可能な面積を増加させて、より多くの情報を、より大きいフォントサイズで、追加のグラフィクスなども表示可能にしうる。更に、表示部のグラフィクスを、乗物の車内スタイリングと調和するように設計しうる。更に、実施形態において、第1の表示画面24、第2の表示画面26、および、曲げ自在表示部33を別々の表示モジュールとして記載しているが、第1の表示画面24、第2の表示画面26、および、曲げ自在表示部33は、単一の連続した表示部でありうる。いずれの記載した実施形態においても、曲げ自在表示部33を、タッチ画面としても構成しうる。そのような実施形態において、曲げ自在表示部33は、ガラス物品32の曲げを調節する制御機構を提供しうる。
【0018】
図2は、第1の表示画面24、第2の表示画面26、更なる表示画面30、および、曲げ自在表示部33を含むガラス物品32を示している。第1の表示画面24は、ガラス物品32の第1側部34に備えられ、第2の表示画面26、および、更なる表示画面30は、ガラス物品32の第2側部36に備えられる。曲げ自在表示部33は、少なくとも部分的に、各第1側部34および第2側部36の上に配置される。図2の実施形態に示すように、ガラス物品32は、1つ以上の湾曲部38a~38dを含みうる。図示したように、湾曲部38a~38dの組合せは、第2の表示画面26を、第1の表示画面24、および、更なる表示画面30より後方に配置しうる。この文脈において、「後方に」という用語は、第2の表示画面26が、第1の表示画面24および更なる表示画面30が位置する平面より、運転手から遠い平面に位置することを意味する。実施形態において、第1の表示画面24、および、更なる表示画面30は、同じ平面に位置しうるものであり、更に、他の実施形態において、第1の表示画面24、および、更なる表示画面30は、異なる平面に位置しうる。更に、実施形態において、表示画面24、26、30が位置する各平面は、いずれの他の平面とも平行でないか、他の平面の1つと平行か、他の2つの平面と平行に位置しうる。図2に示した配置を実現するために、ガラス物品32は、第1の凸状湾曲部38a、および、第2の凹状湾曲部38bを、更なる表示画面30と第2の表示画面26の間に含む。更に、ガラス物品は、第3の凹状湾曲部38c、および、第4の凸状湾曲部38dを、第2の表示画面26と第1の表示画面24の間に含む。
【0019】
既に記載したように、ガラス物品32の第2側部36は、ダッシュボード基部12に固定され、ガラス物品32の第1側部34は、曲げ軸40を中心に、ガラス物品32の第2側部36に対して曲げ自在である。実施形態において、第4の凸状湾曲部38dは、曲げ軸40上に形成される。このように、第1側部34は、第4の凸状湾曲部38dが可変なように曲げ自在で、特に、ガラス物品32から外しうる。つまり、ガラス物品32の第1側部34を、ガラス物品32が第3の凹状湾曲部38cとガラス物品32の第1側部34の間で略平面になるように曲げうる。曲げ自在表示部33を曲げ軸40の上に配置して、曲げ自在表示部33も湾曲するか、または、略平面になるようにしうる。
【0020】
実施形態において、第1の表示画面24が運転手側部20に向いた構成で、ガラス物品32の第2側部36の少なくとも一部は、第1側部34と約180°の(つまり、略平面である)角度を形成する。実施形態において、第1の表示画面が運転手側部20と助手席側部22の間に向いた構成で、第2側部36の少なくとも一部は、第1側部34と190°から約360°の角度を形成する。「約360°」とは、第1側部34を第2側部36に対して半分に折り畳みうることを意味する。したがって、曲げ自在表示部33も、略平面か(例えば、180°の角度を形成するか)、または、半分に折り畳みうる。
【0021】
図3は、ガラス物品32の概略を簡略に示す側面図であり、第4の湾曲部38dの領域を示している。図面から分かるように、ガラス物品32は、第1の主面44および第2の主面46を有するガラスシート42を含む。第2の主面46は、第1の主面44の反対側であり、厚さT1(平均厚さ、または、最大厚さ)が、第1の主面44と第2の主面46の間に画定する。実施形態において、厚さは、平均で、0.3mmから2.0mm、特に、0.4mmから1.1mmである。周縁面48は、ガラスシート42の周囲に延伸し、第1の主面44と第2の主面46を接続する。
【0022】
第2の主面46には、ヒンジ機構50が配置される。実施形態において、ヒンジ機構50は、ガラスシート42を第1側部34と第2側部36に分割し、第1側部34を、ガラス物品32の第2側部36に対して曲げ自在にする。実施形態において、第1側部34が第1側部34の最大進行位置同士の間(つまり、運転手側に向いた平面構成と、運転手側と助手席側に均等に向いた曲げ構成の間)の任意の角度になるように、ヒンジ機構50を配置しうる。更に、実施形態において、ヒンジ機構50は、手動で作動しうるものであり、つまり、ユーザは、ガラス物品32の第1側部34を手で配置しうる。他の実施形態において、ヒンジ機構50を電子機械的に作動可能で、ユーザが作動部を作動させて、例えば、タッチ特徴物、音声コマンド、または、押ボタンを用いて、第1側部34を配置する。ヒンジ機構50は、曲げ軸40を提供するのに適した様々なヒンジ、例えば、リビングヒンジ、マンドレルヒンジ、弾性ヒンジ、格子ヒンジ、または、リンクスヒンジなどの任意のものでありうる。
【0023】
実施形態において、ヒンジ機構50は、単一のヒンジである。実施形態において、単一のヒンジ50は、第1側部34と第2側部36の間で、曲げ軸40の10%から全長まで延伸する。他の実施形態において、少なくとも2つのヒンジ50が、曲げ軸40に沿って、第1側部34と第2側部36の間に備えられる。そのような実施形態において、ヒンジ50は、曲げ軸40に沿って、等間隔で離間しうる。
【0024】
接着材料52は、ガラスシート42の第2の主面46の少なくとも一部に成形または塗布される。実施形態において、接着材料52は、ガラスシート42を封止、支持、および/または、保護するように選択される。特に、接着材料52を、ガラスシート42の自由端部54での縁部応力から、ガラスシート42を保護するのに用いうる。更に、実施形態において、接着材料52は、第2の主面46の一部だけではなく、周縁面48の少なくとも一部も覆う。更に他の実施形態において、接着材料52は、ガラスシート42の第1の主面44の一部を覆いうる。実施形態において、接着材料52は、ヒンジ50を、ガラスシート42の第2の主面46に接合する。他の実施形態において、ヒンジ機構50は、ガラスシート42の第2の主面46に接合しないが、接着材料52によって固定されうる。
【0025】
実施形態において、接着材料52は、例えば、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、および、反応射出成形材料を含む。本明細書で用いるように、「反応射出成形材料」は、射出成形手順の間に金型内で硬化する熱硬化性ポリマーを含む。実施形態において、反応射出成形材料は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイソシアヌレート、ポリエステル、ポリフェノール、ポリエポキシド、および、ナイロン6を含む。実施形態において、接着材料52は、ガラス繊維、または、雲母などの補強剤を含みうる。
【0026】
図3から分かるように、ヒンジ機構50は、(概して、枠部56と称する)第1の枠部56aおよび第2の枠部56bに接続されるか、組み込まれうる。後述するように、枠部56を用いて、ガラス物品32の自由端部54を配置し、ガラス物品32を乗物車内の基部に取り付けうる。実施形態において、枠部56は、アルミニウム合金、合金鋼、または、アクリル材料で製作される。図3は、接着材料52によって気密封止されるように接着材料52に埋め込まれた曲げ自在表示部33(例えば、OLED表示部、マイクロLED表示部、または、可撓性LCD)も示している。
【0027】
図4は、本開示によるガラス物品32の分解斜視図を示している。図4から分かるように、第1の枠部56a、および、第2の枠部56bは、各々、(概して、開口部58と称する)第1の開口部58a、および、第2の開口部58bを含み、(概して、表示部60と称する)第1の表示部60a、および、第2の表示部60b、例えば、(図1、2に示すような)第1の表示画面24、および、第2の表示画面26を収容する。更に、第1の表示部60a、および、第2の表示部60bは、各々、(概して、支持部材62と称する)第1の支持部材62a、および、第2の支持部材62bによって機械的に補強される。実施形態において、ヒンジ機構50は、枠部56に接続せず、その代わりに、支持部材62に接続する。(後述する実施形態を含む)そのような実施形態において、ガラス物品32は、枠部56を含まないものでありうる。更に、実施形態において(例えば、図3に示すように)、ヒンジ機構50は、接着材料52に埋め込まれて、枠部56と支持部材62のいずれにも直に接続されないものでありうる。
【0028】
図4の示す実施形態に戻り、接着材料52は、枠部56、および、ヒンジ機構50を、ガラスシート42に接着する。光学透明接着剤を用いて、表示部60を、各枠部56の開口部58内のガラスシート42に接合しうる。他の接着剤層(不図示)は、支持部材62を、表示部60の裏面に連結するか、および/または、支持部材62は、枠部56と機械的に連結しうる。
【0029】
ガラス物品32の構成要素を概説したが、図5A~13Bは、そのような構成要素がガラス物品32に組み立てられた様々な実施形態を示している。
【0030】
まず、図5Aを参照すると、ガラス物品32の第4の湾曲部38dの幅方向の断面を示している。特に、図5A(および、図6A~13A)に示した向きについて、曲げ軸は、紙面に対して垂直(換言すれば、各図5B~13Bに示した平面に平行)である。図5Aから分かるように、ガラス物品32の本実施形態は、塗布された接着材料52を有するヒンジ機構50を含む。接着材料52は、曲げ自在表示部33を囲み、ガラスシート42の第2の主面46をヒンジ機構50に接合する。実施形態において、曲げ自在表示部33は、前側表示面、周縁表示面、および、裏側表示面を含む。曲げ自在表示部33の前側表示面は、ガラスシート42の第2の主面46に、光学透明接着剤64を用いて接合する。接着材料52は、曲げ自在表示部33の周縁表示面および裏側表示面に接合する。
【0031】
図5Bは、図5AのA‐A線に沿った、ガラス物品32の第4の湾曲部38dの他の断面を示している。図5Bから分かるように、接着材料52は、曲げ自在表示部33を完全に囲み、ガラスシート42をヒンジ機構50に接着するだけでなく、曲げ自在表示部33をヒンジ機構50に接着する。実施形態において、接着材料52は、ガラスシート42とヒンジ機構50の間の第2の厚さ、例えば、5μmから10mmを画定し、接着材料52は、曲げ自在表示部33の裏側表示面とヒンジ機構50の間の第3の厚さ、例えば、5μmから10mmを画定する。更に、接着材料52は、周縁表示面、および、裏側表示面に接合することによって、曲げ自在表示部33を、ガラスシート42と接着材料52の間で気密封止する。
【0032】
図6Aは、ガラス物品32の他の実施形態の第4の湾曲部38dの断面を示している。ガラス物品32は、接着材料52が曲げ自在表示部33の周縁面にも裏面にも接合しない点を除いて、図5Aに示したものと同様である。接着材料52は、ここでも、ガラスシートの第2の主面46を、ヒンジ機構50に接合し、接着材料52は、ヒンジ機構50と曲げ自在表示部33の間に配置される。図6Aにおいて、接着材料52と曲げ自在表示部33の間の間隙66が示されている。実施形態において、間隙66は、曲げ自在表示部33を、接着材料52から、距離d、例えば、1μmから10mmで離間させる。
【0033】
更に、実施形態において、ガラスシート42の第2の主面46は、飛散防止フィルム(ASF)68、例えば、ポリエステルフィルム材料を含む。ASF68は、衝撃および加圧に対して、ガラスシート42を保護する。図6Aに示すように、ASF68は、曲げ自在表示部33を囲み、実施形態において、ASF68は、曲げ自在表示部33とガラスシート42の間にも配置されうる。実施形態において、ASF68は、表示部33の周りの縁取り部を提供し、縁取り部は、曲げ自在表示部33と、それを囲むヒンジ機構50および/または枠部56の間で接触を防ぎ、(例えば、そうでない場合には、ガラスシート42、ヒンジ機構50、および/または、枠部56の材料の熱膨張の違いにより生じうる)機械的応力の伝達を最小にする。実施形態において、ASF68の縁取り部の厚さは、1μmから10mmである。
【0034】
図6Bは、図6AのA‐A線に沿った、ガラス物品32の第4の湾曲部38dの他の断面を示している。図6Bから分かるように、接着材料52は、曲げ自在表示部33を完全に囲む。更に、図6Bから分かるように、間隙66も、曲げ自在表示部33の全体に亘っても延伸する。更に、実施形態において、ASF68は、曲げ自在表示部33の全体に延伸する。図6A、6Bの実施形態において、接着材料52は、ここでも、曲げ自在表示部33を気密封止するが、曲げ自在表示部33は、ヒンジ機構50に接合しないので、ヒンジ機構50から曲げ自在表示部33への機械的な力の伝達が減少する。このように、ヒンジ機構50は、曲げ自在表示部33を邪魔せず、ヒンジ機構50からの振動が減少する。更に、曲げ自在表示部33とヒンジ機構50の間の熱による剪断応力が分離され、曲げ自在表示部33のガラスシート42からの剥離を防ぐのを助けうる。更に、間隙66が備えられた場合、ユーザのタッチ力に対する曲げ自在表示部33の応答を調整しうる。曲げ自在表示部33とヒンジ機構50が接合しないにも関わらず、詳細に後述するように、ヘッドフォーム衝撃試験(HIT)性能には悪影響がない。
【0035】
図7Aは、ガラス物品32の他の実施形態の第4の湾曲部38dの断面を示している。図7Aの実施形態は、図7Aでは、スペーサ70が接着材料52と曲げ自在表示部33の間の間隙66に備えられた点を除いて、図6Aの実施形態と実質的に同様である。スペーサ70は、その構成、および/または、その材料に従って製作される。実施形態において、スペーサ70は、ハニカム構造材料、ラバーガスケット、または、エアブラダーなどを含む。実施形態において、スペーサ70は、表示部60と接着材料52のいずれにも接合しないが、それらの両方と接触する。他の実施形態において、スペーサ70は、曲げ自在表示部33または接着材料52の一方のみと接合する。実施形態において、スペーサ70は、曲げ自在表示部33と接着材料52の間の間隙66を充填する。更に、図7Aに示すように、スペーサ70は、曲げ自在表示部33の裏面と同じに広がるが、他の実施形態において、スペーサ70は、曲げ自在表示部33より大きい面積を有するか、または、曲げ自在表示部33より僅かに小さい面積を有しうる。スペーサ70が曲げ自在表示部33と同じに広がるか、または、曲げ自在表示部33より小さい面積を有する実施形態において、曲げ自在表示部33の周りの空間は、非接触領域を提供し、応力を削減して、遮熱部を生成する。更に、空間は、他の構成要素(例えば、ワイヤ、または、表示またはタッチ機能に関係するボタンを含む他の電子機器)を収容する余地を提供する。既に記載した実施形態と同様に、ASF68は、ガラスシート42の第2の主面46上に備えられて、ガラスシート42への衝撃および加圧による破損を防ぎうる。
【0036】
図7Bは、図7AのA‐A線に沿った、ガラス物品32の第4の湾曲部38dの他の断面を示している。既に記載した実施形態と同様に、接着材料52は、ここでも、表示部60を気密封止するが、曲げ自在表示部33がヒンジ機構50に接合しないので、ヒンジ機構50から曲げ自在表示部33への機械的な力の伝達が減少する。このように、ヒンジ機構50は、曲げ自在表示部33を邪魔せず、ヒンジ機構50からの振動が減少する。更に、曲げ自在表示部33とヒンジ機構50の間の熱による剪断応力が分離され、曲げ自在表示部33のガラスシート42からの剥離を防ぐのを助けうる。更に、ユーザのタッチ力に対する曲げ自在表示部33の応答を調整しうる。更に、曲げ自在表示部33とヒンジ機構50の間のスペーサ70を用いることで、ヘッドフォーム衝撃試験性能を高める。更に、例えば、ハニカムアルミニウム構造を有するスペーサを用いることで、曲げ自在表示部33のヒートシンクを提供して、曲げ自在表示部33から放出される熱の伝達を改良しうる。
【0037】
図8Aは、ガラス物品32の他の実施形態の第4の湾曲部38dの断面を示している。図8Aの実施形態は、図8Aでは、ガラス物品32がヒンジ機構50に追加で(例えば、図3、4に示したように)枠部56を含むという点を除いて、図5Aの実施形態と実質的に同様である。曲げ自在表示部33は、ヒンジ機構50とガラスシート42の間に配置される。接着材料52は、ガラスシート42を枠部56に、曲げ自在表示部33の領域の外側で接合し、曲げ自在表示部33の領域の中では、接着材料52は、曲げ自在表示部33をヒンジ機構50に、少なくとも曲げ自在表示部33の下の領域で接合しない。したがって、図8Aに示すように、(実際には、接着材料52は、ヒンジ機構50に接触するが、接合しないものでありうるが)間隙をヒンジ機構50と接着材料52の間に示している。特に、図8Aにおいて、接着材料52は、第4の湾曲部38dの幅に亘って、ヒンジ機構50に全く接合しない。しかしながら、図8Bにおいて、接着材料52は、曲げ自在表示部33の外側の領域の長さに沿って、ヒンジ機構に接合する。それでも、他の実施形態において、ヒンジ機構50は、第4の湾曲部38dの長さ、および、幅の両方に沿って、全く接合しないものでありうる。
【0038】
既に記載した実施形態と同様に、接着材料52とヒンジ機構50を分離することで、ヒンジ機構50から曲げ自在表示部33への熱的および機械的応力の伝達を削減する。それでも、接着材料52は、曲げ自在表示部33の周縁面および裏面に接合して、ここでも、曲げ自在表示部33を気密封止して、動作の信頼性を高める。
【0039】
図9A、9Bは、図8A、8Bに示した上記実施形態と実質的に同様の実施形態を示している。上記実施形態と図9A、9Bの実施形態の主な違いは、曲げ自在表示部33がヒンジ機構50の片側で枠部56を過ぎて延伸することである。しかしながら、他の実施形態において、曲げ自在表示部33は、ヒンジ機構50の両側の両方の枠部を過ぎて延伸する。例えば、上記のように、曲げ自在表示部33、第1の表示画面24、および、第2の表示画面26は、第1側部34から第2側部36へ曲げ軸を横切って延伸する1つの連続した表示部でありうる。
【0040】
図10Aは、ガラス物品32の他の実施形態の第4の湾曲部38dの断面を示している。図10Aの実施形態では、曲げ自在表示部33は、接着材料52に接合しない。しかしながら、接着材料は、ヒンジ機構50と枠部56の両方に接合する。曲げ自在表示部33と接着材料52の間に間隙を示しているが、他の実施形態において、曲げ自在表示部33は、接着材料52と(接合せず)接触しうる。曲げ自在表示部33を接合しないことにより、曲げ自在表示部33は、ガラス物品32を曲げた時に、中立応力平面に近くなり、曲げ自在表示部33への剪断応力を最小にする。更に、スペーサ70が、曲げ自在表示部33の周りに備えられる。特に、スペーサ70は、曲げ自在表示部33の周りの縁取り部を提供して、曲げ自在表示部33と、ヒンジ機構50、および/または、枠部56との接触を防ぐ。更に、スペーサ70は、曲げ自在表示部33に接合しないので、剪断応力は、スペーサ70から曲げ自在表示部33へ伝達されないものでありうる。スペーサ70は、図7A、7Bについて記載のスペーサ70と同じでありうる。更に、既に記載した実施形態と同様に、曲げ自在表示部33は、ヒンジ機構50の少なくとも片側で枠部56を過ぎて延伸する。
【0041】
図10Bは、図10AのA‐A線に沿った、ガラス物品32の第4の湾曲部38dの他の断面を示している。図10Bから分かるように、接着材料52は、曲げ自在表示部33を囲む。したがって、既に記載した実施形態と同様に、接着材料52は、曲げ自在表示部33を気密封止する。更に、接着材料52は、曲げ自在表示部33をヒンジ機構50に結合しないので、機械的および熱的応力は、ヒンジ機構50から曲げ自在表示部33へ伝達されない。
【0042】
図11A、11Bは、ガラス物品32の他の実施形態の第4の湾曲部38dの断面を示している。図11A、11Bの実施形態において、ヒンジ機構50は、延伸して曲げ自在表示部33と接触する突出部72を含む。図11A、11Bから分かるように、曲げ自在表示部33は、突出部72に接合しない。その代わりに、曲げ自在表示部33は、ガラスシート42の第2の主面46に接合し、ガラスシート42の第2の主面46は、ヒンジ機構50および枠部56に接着材料52を介して接合する。図11A、11Bの実施形態において、突出部72は、曲げ自在表示部33から放出される熱を伝達する。しかしながら、曲げ自在表示部33は突出部72に接合しないので、ヒンジ機構50からの機械的および熱的応力の少なくとも一部は、曲げ自在表示部33に伝達されない。更に、本実施形態において、ガラスシート42、接着材料52、および、ヒンジ機構50の間で気密封止を生成する。
【0043】
図12A、12Bは、ガラス物品32の他の実施形態の第4の湾曲部38dの断面を示している。図12A、12Bの実施形態において、ヒンジ機構50は、曲げ自在表示部33がその中に延伸する窪み部74を含む。図12A、12Bから分かるように、曲げ自在表示部33は、窪み部74に接合しない。その代わりに、曲げ自在表示部33は、ガラスシート42の第2の主面46に接合して、ガラスシート42の第2の主面46は、ヒンジ機構50および枠部56に、(例えば、1μmから10mmの厚さを有する)接着材料52を介して接合する。そのような実施形態において、間隙が、曲げ自在表示部33の裏面と窪み部74の底面の間、および/または、曲げ自在表示部33の周縁面と窪み部74の側壁部の間に備えられうる。図12A、12Bの実施形態において、窪み部74は、曲げ自在表示部33から放出される熱を伝達する。そのような実施形態において、窪み部74は、熱伝達ペーストで充填されうる。他のそのような実施形態において、曲げ自在表示部33の周縁面、および/または、裏面と、窪み部74の側壁部、および/または、底面との間に間隙がなく、曲げ自在表示部33は、窪み部74の底面、および/または、側壁部と接触する。しかしながら、曲げ自在表示部33は、窪み部74に接合しないので、ヒンジ機構50からの機械的および熱的応力の少なくとも一部は、曲げ自在表示部33に伝達されない。
【0044】
図13Aは、ガラス物品32の他の実施形態の第4の湾曲部38dの断面を示している。図6A、6Bの実施形態と同様に、図13Aのガラス物品32は、曲げ自在表示部33と接着材料52の間に間隙66を含む。その実施形態と同様に、曲げ自在表示部33は、ガラスシート42の第2の主面46に光学透明接着剤64を介して接合する。曲げ自在表示部33も、ASF68で囲まれうる。接着材料52は、ガラスシート42の第2の主面46に、曲げ自在表示部33が位置する領域の外側で接合する。更に、接着材料52は、バッキングシート76に接合し、ヒンジ機構50は、バッキングシート76に接続する。実施形態において、バッキングシート76は、薄く、曲げ自在の(例えば、アルミニウムまたは合金鋼などの金属、特に、ステンレス鋼の)材料のシートである。他の実施形態において、バッキングシート76は、曲げるために分割されうる。実施形態において、バッキングシート76は、2mm以下(例えば、10μmから1mm)の厚さを有する。実施形態において、バッキングシート76は、500,000サイクルまでの繰り返し曲げに耐えるように構成される。
【0045】
図13Bの(図13AのA-A線に沿った)断面図から分かるように、ヒンジ機構50は、既に記載した実施形態と比べて小さく、ガラス物品32の最上部と底部のみに亘って延伸し、質量を減らして、低費用で構成する可能性がある。実施形態において、バッキングシート76は、封止されたポートを含み、例えば、曲げ自在表示部33への接続、および/または、ケーブル管理などのために、曲げ自在表示部33へアクセス可能にする。
【0046】
ガラス物品32の様々な実施形態を記載したが、ここで、ガラス物品32の形成方法を記載する。実施形態において、接着材料52は、射出成形処理によって、ガラスシート42上に成形される。例えば、ガラス物品32は、ガラスシート42を金型(例えば、クラムシェル型)に配列し、任意の枠部56を含むヒンジ機構50、支持部材62、および/または、バッキングシート76を金型内に配置することによって形成される。更に、金型を、曲げ自在表示部33を配置する空隙部を生成するように形成するか、取外し自在な成形ブロックを、曲げ自在表示部33を配置する空隙部を生成するように配列しうる。その後、接着材料52を、第2の主面46および周縁面48を望ましく覆うように、金型に注入する。更に、接着材料52は、更なる接着剤を必要とせずに、ガラスシート42、ヒンジ機構50、バッキングシート76、枠部56、および/または、支持部材62に接合する。したがって、接着材料52は、ガラスシート42、ヒンジ機構50、バッキングシート76、枠部56、および/または、支持部材62も、一体のガラス物品32の中に連結する。実施形態において、接着材料52との接合を容易にするために、下塗り材を、記載した構成要素の1つ以上に塗布しうる。
【0047】
ガラス物品32の特に第2側部36の湾曲部38a~38cは、熱間成形または冷間成形によって製作しうる。「冷間成形」という用語は、湾曲部38がガラスシート42に、ガラスの軟化点より低い温度で導入されることを意味する。特に、冷間成形は、200℃より低い温度、100℃より低い温度、または、室温で行われる。これに対し、「熱間成形」は、ガラスシート42の軟化点以上の温度で、圧縮機、サギング装置、成形徐冷窯などを用いて行われる。冷間成形と熱間成形の更なる違いは、熱間成形で導入された湾曲部38は永久で、ガラスシート42が軟化点以上の温度で再成形されるまで、湾曲部が保持されることである。
【0048】
冷間成形によって導入された湾曲部は、永久ではない。特に、冷間成形中に、ガラスシート42に圧力が加えられて、ガラスシート42が望ましい形状と一致するようにする。圧力を、真空圧、機械的押圧、ローラなど、様々な異なる方法で加えうる。次に、ガラスシート42を、支持構造(例えば、枠部56)に接合して、ガラスシート42を、冷間成形された形状で保持する。しかしながら、支持構造から外れると、ガラスシート42は跳ね返って、平面構成に戻ってしまう。この特徴を、図2に示した第4の湾曲部38dに利用し、ヒンジ機構50を用いて、ガラスシート42は、(運転者側部20に向いた)平面構成と(運転者側部20と助手席側部22の間に向いた)曲げ構成の間で曲がるのを可能にする。しかしながら、他の湾曲部38a~38cは固定しており、第2側部36は、冷間成形位置で保持されうる。
【0049】
実施形態において、ガラスシート42は、接着材料52の射出成形または塗布前に熱間成形されて、望ましい湾曲部38a~38cを導入する。他の実施形態において、ガラスシート42は、接着材料52の射出成形または塗布前に冷間成形されて、望ましい湾曲部38を導入する。更に他の実施形態において、ガラスシート42は、接着材料52の射出成形または塗布中に冷間成形されて、望ましい湾曲部38を導入する。
【0050】
有利なことに、本明細書に記載のガラス物品32は、ヘッドフォーム衝撃試験(HIT)要件を満たすように構成される。HIT中に、乗物の内面が検査されて、車内システムが、車内システムを用いた衝突時の模擬頭部衝撃に基づいて、関連する頭部傷害基準(HIC)を満たすか判断される。特に、人間の頭部を模擬したヘッドフォームを用いて、試験した車内システムでの衝撃の減速特性を判断する。減速の大きさ、および、減速に掛かる時間の両方を減らすことで、試験に合格する。US DOT FMVSS201に決められたように、ヘッドフォームが時速15マイル(時速約24km)で衝突した場合、ヘッドフォームは、3ミリ秒より長く80gを超えるべきではない。更に、ガラスシート42は、HITの後も無傷で、怪我につながりうる尖ったガラス片を生じないことが望ましい。
【0051】
開示したガラス物品32のHIT性能を、上記構成を通して操作しうる。具体的には、ヒンジ機構50、枠部56、支持部材62、接着材料52の接合または非接合領域、間隙66、スペーサ70、および/または、バッキングシート76を調整して、大きすぎる減速を生じるほどには高すぎず、ガラスシート42の破損につながる大きすぎる反りを生じるほどには低すぎない、ある程度の剛性および曲げ剛性を提供しうる。これらの考慮点は、乗物内部の任意のガラス面に関係し、本開示のガラス物品32は、更に、第1側部34が第2側部36に対して曲がることが可能なことに基づいて、ガラス物品32の動的動きを考慮する点を提起している。それでも、ガラス物品32は、本明細書に開示の構成を通して、HITに合格するのに必要な剛性および曲げ剛性を提供するように構成されうる。
【0052】
次の段落では、図1~3を参照して、ガラスシート42の様々な幾何学的特徴、および、ガラスシートの組成を提供する。既に記載したように、ガラスシート42は、第1の主面44と第2の主面46の間の距離として画定された略一定の厚さT1を有する。様々な実施形態において、T1は、0.3mmから2.0mmである。更に、ガラスシート42は、厚さT1に直交し第1の主面44または第2の主面46の一方の第1の最大寸法として画定された幅W、および、厚さT1および幅の両方に直交し第1の主面44または第2の主面46の一方の第2の最大寸法として画定された長さLを有する。他の実施形態において、幅Wおよび長さLは、各々、ガラスシート42の平均幅、および、平均長さであり、他の実施形態において、幅Wおよび長さLは、各々、ガラスシート42の最大幅および最大長さでありうる(例えば、変化する幅または長さを有するガラスシート42について)。様々な実施形態において幅Wは、5cmから250cmの範囲であり、長さLは、約5cmから約1500cmの範囲である。更に、様々な実施形態において、ガラス物品32の各湾曲部38a~38dは、約20mmから約10,000mmの範囲の曲率半径を有しうる。
【0053】
更に、車内システムの様々な実施形態を、電車、自動車(例えば、車、トラック、バスなど)、船舶(ボート、船、潜水艦など)、航空機(ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプターなど)などの乗物に組み込みうる。
【0054】
実施形態において、ガラスシート42を強化しうる。1つ以上の実施形態において、ガラスシート42を、表面から圧縮深さ(DOC)まで延伸する圧縮応力を含むように強化しうる。圧縮応力領域は、引張応力を示す中心部分によって相殺される。DOCにおいて、応力は、正の(圧縮)応力から、負の(引張)応力に変わる。
【0055】
様々な実施形態において、物品の部分同士の間の熱膨張率のミスマッチを利用して、圧縮応力領域と引張応力を示す中心領域を生成することによって、ガラスシート42を機械的に強化しうる。いくつかの実施形態において、ガラスをガラス転移点より高い温度まで加熱して、次に急冷することによって、ガラスシートを熱的に強化しうる。
【0056】
様々な実施形態において、ガラスシート42を、イオン強化によって、化学強化しうる。イオン交換処理において、ガラスシートの表面、または、その近くのイオンが、同じ原子価または酸化状態を有する、より大きいイオンと置き換えられるか、交換される。ガラスシートがアルカリアルミノケイ酸ガラスを含む実施形態において、物品の表面層のイオン、および、より大きいイオンは、Li、Na、K、Rb、および、Csなどの一価のアルカリ金属カチオンである。その代わりに、表面層の一価のカチオンは、アルカリ金属カチオン以外である、Agなどの一価のカチオンと置き換えられうる。そのような実施形態において、ガラスシートの中に導入された一価のイオン(または、カチオン)は、応力を生成する。
【0057】
イオン交換処理は、典型的には、ガラスシートを、ガラスシートの中の小さいイオンと交換される大きいイオンを含む溶融塩浴(または、2つ以上の溶融塩浴)に浸漬させることによって行われる。塩水溶液浴も用いうることに留意すべきである。更に、浴(または、複数の浴)の組成物は、1つより多くの種類の大きいイオン(例えば、Na、および、K)、または、単一の大きいイオンを含みうる。限定するものではないが、浴の組成および温度、浸漬時間、ガラスシートを塩浴(または、複数の浴)に浸漬させる回数、多数の塩浴の使用、並びに、アニーリング、洗浄などの追加の工程を含むイオン交換処理のパラメータは、概して、(物品の構造、および、任意の結晶相があるかを含む)ガラスシートの組成、並びに、強化により生じるのが望ましいガラスシートのDOCおよびCSによって決定されることが、当業者には分かるだろう。例示的な溶融浴の組成物は、大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、および、塩化物を含みうる。典型的な硝酸塩は、KNO、NaNO、LiNO、NaSO、および、それらの組合せを含む。溶融塩浴の温度は、典型的には、約380℃から約450℃の範囲であり、浸漬時間は、ガラスシートの厚さ、浴の温度、および、ガラス(または、一価のイオン)の拡散率に応じて、約15分から約100時間である。しかしながら、上記温度および浸漬時間とは異なるものも用いうる。
【0058】
1つ以上の実施形態において、ガラスシートを、約370℃から約480℃の温度を有する100%NaNOの溶融塩浴、100%KNOの溶融塩浴、または、NaNOとKNOの組合せの溶融塩浴に浸漬させうる。いくつかの実施形態において、ガラスシートを、約5%から約90%のKNO、および、約10%から約95%のNaNOを含む溶融混合塩浴に浸漬させうる。1つ以上の実施形態において、ガラスシートを、第1の浴に浸漬させた後に、第2の浴に浸漬させうる。第1の浴と第2の浴は、互いに異なる組成、および/または、温度を有しうる。第1および第2の浴への浸漬時間は、異なりうる。例えば、第1の浴への浸漬は、第2の浴への浸漬より長くしうる。
【0059】
1つ以上の実施形態において、ガラスシートを、約420℃未満(例えば、約400℃、または、約380℃)の温度を有するNaNOおよびKNO(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴に、約5時間未満、または、約4時間以下浸漬させうる。
【0060】
イオン交換条件を調整して、「スパイク」を提供するか、または、応力プロファイルの傾斜を、結果的に得られるガラスシートの表面または表面近くで増加させうる。スパイクは、大きい表面CS値を生じうる。このスパイクは、単一の浴、または、多数の浴によって、単一の組成または混合組成を有する浴(または、複数の浴)を用いて、本明細書に記載のガラスシートで用いられるガラス組成物の特有の物性により実現しうる。
【0061】
1つより多くの一価のイオンがガラスシートの中に導入される1つ以上の実施形態において、異なる一価のイオンは、ガラスシートの中の異なる高さに導入される(そして、ガラスシートの中の異なる深さで異なる大きさの応力を生成する)。その結果、応力生成イオンの相対深さが決定されて、応力プロファイルの異なる特徴を生じる。
【0062】
CSは、株式会社折原製作所製造のFSM-6000などの市販の計器を用いた表面応力メータ(FSM)など、従来から知られた手段を用いて測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存する。次に、SOCを、ファイバ曲げ法、4点曲げ法など、従来から知られた方法で測定し、どちらの方法も、ASTM規格C770-98(2013)に「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」という名称で記載されており、その内容は、参照により、全体として本明細書に組み込まれる。本明細書で用いるように、CSは、圧縮応力層内で測定された最高圧縮応力値である「最大圧縮応力」でありうる。いくつかの実施形態において、最大圧縮応力は、ガラスシートの表面に位置する。他の実施形態において、最大圧縮応力は、表面より下の深さで生じて、「埋まったピーク」が現れる圧縮プロファイルを生じる。
【0063】
DOCを、強化方法および条件に応じて、FSM、または、(Glasstress Ltd.、Tallinn、Estoniaから入手可能なSCALP-04散乱光偏光器などの)散乱光偏光器(SCALP)によって測定しうる。ガラスシートをイオン交換によって化学強化する場合、どのイオンをガラスシートの中にイオン交換で導入するかに応じて、FSMまたはSCALPを用いうる。カリウムイオンをガラスシートの中に導入することによって、ガラスシートに応力を生成する場合、FSMを用いて、DOCを測定する。ナトリウムイオンをガラスシートの中に導入することによって、ガラスシートに応力を生成する場合、SCALPを用いて、DOCを測定する。カリウムイオンとナトリウムイオンの両方をガラスシートの中に導入することによって、ガラスシートに応力を生成する場合、SCALPを用いて、DOCを測定し、なぜなら、ナトリウムイオンの交換深さはDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさ変化(但し、圧縮応力から引張応力への変化ではない)を示すと考えられるからであり、そのようなガラスシートの中のカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定する。中心張力またはCTは、最大引張応力であり、SCALPによって測定される。
【0064】
1つ以上の実施形態において、ガラスシートは強化されて、(本明細書に記載のように)ガラスシートの厚さTの部分として示されるDOCを示しうる。例えば、1つ以上の実施形態において、DOCは、約0.05T以上から約0.25Tの範囲でありうる。いくつかの例において、DOCは、約20μmから約300μmの範囲でありうる。更に、1つ以上の実施形態において、強化されたガラスシートは、(ガラスシートの表面、または、ガラスシートの中のある深さで見つけうる)約200MPa以上、約500MPa以上、または、約1000MPa以上のCSを有しうる。1つ以上の実施形態において、強化されたガラスシートは、約20MPa以上、約50MPa以上、または、約85MPa以上の最大引張応力または中心張力(CT)を有しうる。
【0065】
ガラスシート42として用いるのに適したガラス組成物は、ソーダライムガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウアルミノケイ酸ガラス、含アルカリアルミノケイ酸ガラス、含アルカリホウケイ酸ガラス、および、含アルカリホウアルミノケイ酸ガラスを含む。
【0066】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、SiOを、約66モル%から約80モル%の範囲の量で、Alを、約4モル%から約15モル%の範囲の量で、Bを、約0モル%から約5モル%の範囲の量で、Pを約0モル%から2モル%の範囲の量で、ROを、約8モル%から約20モル%の範囲の量で、ROを、約0モル%から約2モル%の範囲の量で、ZrOを、約0モル%から約0.2モル%の範囲の量で、SnOを、約0モル%から約0.2モル%の範囲の量で含む。上記組成物で、ROは、LiO、NaO、KO、RbO、および、CsOなどのアルカリ金属酸化物の合計量を称する。特に、NaOは、約8モル%から約20モル%の範囲の量で存在し、KOは、約0モル%から約4モル%の範囲の量で存在しうる。更に、上記組成物において、ROは、CaO、MgO、BaO、ZnO、および、SrOなどのアルカリ土類金属酸化物の合計量を称する。特に、CaOは、約0モル%から約1モル%の範囲の量で存在し、MgOは、約0モル%から約7モル%の範囲の量で存在しうる。
【0067】
実施形態において、ガラス組成物は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、Moなどの他の金属の酸化物を含みうる。特に、Feの中のFeは、約0モル%から約1モル%の範囲の量で存在し、TiOは、約0モル%から約5モル%の範囲の量で存在しうる。
【0068】
例示的なガラス組成物は、SiOを、約65モル%から約75モル%の範囲の量で、Alを、約8モル%から約14モル%の範囲の量で、NaOを、約12モル%から約17モル%の範囲の量で、KOを、約0モル%から約0.2モル%の範囲の量で、MgOを、約1.5モル%から約6モル%の範囲の量で含む。任意で、SnOを、本明細書で別に開示した量で含みうる。
【0069】
本開示の態様(1)は、ガラス物品に関し、それは、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートと、ガラスシートの第2の主面上に配置されて、ガラスシートを第1側部と第2側部に分割するヒンジ機構と、ガラスシートの第2の主面に接合して、ガラスシートとヒンジ機構の間に配置された曲げ自在表示部と、表示部の周りでガラスシートの第2の主面上に配置された接着材料とを含み、第1側部は、ヒンジ機構を中心に、第2側部に対して曲げ自在であり、曲げ自在表示部は、接着材料内に気密封止されたものである。
【0070】
本開示の態様(2)は、態様(1)のガラス物品に関し、曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、前側表示面と裏面を接続する周縁面を含むものであり、接着材料は、周縁面および裏面に接合したものである。
【0071】
本開示の態様(3)は、態様(2)のガラス物品に関し、前側表示面は、ガラスシートの第2の主面に、光学透明接着剤で接合したものである。
【0072】
本開示の態様(4)は、態様(2)または(3)のガラス物品に関し、ヒンジ機構の横でガラスシートの第2の主面上に配置された少なくとも1つの枠部を、更に含み、接着材料は、枠部をガラスシートの第2の主面に接合し、接着材料は、ヒンジ機構と曲げ自在表示部の間の領域で、ヒンジ機構に接合しないものである。
【0073】
本開示の態様(5)は、態様(4)のガラス物品に関し、曲げ自在表示部は、少なくとも1つの枠部の上に延伸するものである。
【0074】
本開示の態様(6)は、態様(1)のガラス物品に関し、曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、前側表示面と裏面を接続する周縁面を含むものであり、間隙が、接着材料と、周縁面および裏面との間に設けられたものである。
【0075】
本開示の態様(7)は、態様(6)のガラス物品に関し、曲げ自在表示部の周りでガラスシートの第2の主面に接合した飛散防止フィルムを、更に含む。
【0076】
本開示の態様(8)は、態様(6)または(7)のガラス物品に関し、曲げ自在表示部の裏面の上に配置されたスペーサを、更に含む。
【0077】
本開示の態様(9)は、態様(6)または(7)のガラス物品に関し、曲げ自在表示部の周縁面の周りに配置されたスペーサを、更に含む。
【0078】
本開示の態様(10)は、態様(8)または(9)のガラス物品に関し、スペーサは、ラバーガスケット、ハニカム構造物、または、エアブラダーの少なくとも1つを含むものである。
【0079】
本開示の態様(11)は、態様(6)から(10)のいずれか1つのガラス物品に関し、曲げ自在表示部は、ヒンジ機構の少なくとも片側を過ぎて延伸するものである。
【0080】
本開示の態様(12)は、態様(6)から(11)のいずれか1つのガラス物品に関し、接着材料とヒンジ機構の間に配置されたバッキングシートを、更に含む。
【0081】
本開示の態様(13)は、態様(12)のガラス物品に関し、バッキングシートは、アルミニウム合金または合金鋼を含むものである。
【0082】
本開示の態様(14)は、態様(6)から(13)のいずれか1つのガラス物品に関し、ヒンジ機構の横に少なくとも1つの枠部を、更に含み、接着材料は、少なくとも1つの枠部、および、ガラスシートの第2の主面に接合したものである。
【0083】
本開示の態様(15)は、態様(14)のガラス物品に関し、ヒンジ機構は、突出部を含み、曲げ自在表示部は、ヒンジ機構の突出部と接触するものである。
【0084】
本開示の態様(16)は、態様(14)のガラス物品に関し、ヒンジ機構は、窪み部を含み、曲げ自在表示部の周縁面の少なくとも一部は、窪み部によって囲まれたものである。
【0085】
本開示の態様(17)は、態様(1)から(16)のいずれか1つのガラス物品に関し、接着材料は、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、または、反応射出成形材料を含むものである。
【0086】
本開示の態様(18)は、態様(1)から(17)のいずれか1つのガラス物品に関し、ヒンジ機構は、アルミニウム合金または合金鋼を含むものである。
【0087】
本開示の態様(19)は、態様(1)から(18)のいずれか1つのガラス物品に関し、曲げ自在表示部は、有機発光ダイオード表示部、有機液晶表示部、または、マイクロ発光ダイオード表示部の少なくとも1つを含むものである。
【0088】
本開示の態様(20)は、態様(1)から(19)のいずれか1つのガラス物品に関し、第1側部は、第2側部に対する平面構成から、第1側部が平面から10°から180°曲がる曲げ構成へと曲げ自在である。
【0089】
本開示の態様(21)は、乗物の車内システムに関し、それは、乗物の中心線軸を横切るように配置されたダッシュボード基部であって、中心線軸は、乗物を運転手側と助手席側に縦に分割するものであるダッシュボード基部と、ダッシュボード基部に取り付けられたガラス物品とを含み、ガラス物品は、第1の主面、および、第1の主面の反対側の第2の主面を有し、中心線軸の運転手側に位置する第1側部、および、第2側部を含むガラスシートと、ガラスシートの第2の主面上に配置されて、ガラスシートを第1側部と第2側部に分割するヒンジ機構と、ガラスシートの第2の主面に接合して、ヒンジ機構とガラスシートの間に配置された曲げ自在表示部と、曲げ自在表示部の周りでガラスシートの第2の主面上に配置された接着材料とを含み、表示部は、接着材料とガラスシートの間に気密封止されたものであり、曲げ自在表示部は、ガラスシートの第2側部がヒンジ機構を中心に曲がる時に、曲げ構成と平面構成の間で変化するように構成されたものである。
【0090】
本開示の態様(22)は、態様(21)の乗物の車内システムに関し、曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、前側表示面と裏面を接続する周縁面を含むものであり、接着材料は、周縁面、および、裏面に接合したものである。
【0091】
本開示の態様(23)は、態様(22)の乗物の車内システムに関し、ヒンジ機構の横でガラスシートの第2の主面上に配置された少なくとも1つの枠部を、更に含み、接着材料は、枠部をガラスシートの第2の主面に接合し、接着材料は、ヒンジ機構と曲げ自在表示部の間の領域で、ヒンジ機構に接合しないものである。
【0092】
本開示の態様(24)は、態様(23)の乗物の車内システムに関し、曲げ自在表示部は、少なくとも1つの枠部の上に延伸するものである。
【0093】
本開示の態様(25)は、態様(22)の乗物の車内システムに関し、曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、前側表示面と裏面を接続する周縁面を含むものであり、間隙が、接着材料と、周縁面および裏面との間に設けられたものである。
【0094】
本開示の態様(26)は、態様(25)の乗物の車内システムに関し、曲げ自在表示部の裏面の上に配置されたスペーサを、更に含む。
【0095】
本開示の態様(27)は、態様(25)の乗物の車内システムに関し、曲げ自在表示部の周縁面の周りに配置されたスペーサを、更に含む。
【0096】
本開示の態様(28)は、態様(25)から(27)のいずれか1つの乗物の車内システムに関し、曲げ自在表示部は、ヒンジ機構の少なくとも片側を過ぎて延伸するものである。
【0097】
本開示の態様(29)は、態様(25)から(28)のいずれか1つの乗物の車内システムに関し、接着材料とヒンジ機構の間に配置されたバッキングシートを、更に含む。
【0098】
本開示の態様(30)は、態様(25)から(29)のいずれか1つの乗物の車内システムに関し、ヒンジ機構の横に少なくとも1つの枠部を、更に含み、接着材料は、少なくとも1つの枠部、および、ガラスシートの第2の主面に接合したものである。
【0099】
本開示の態様(31)は、態様(30)の乗物の車内システムに関し、ヒンジ機構は、突出部を含み、曲げ自在表示部は、ヒンジ機構の突出部と接触するものである。
【0100】
本開示の態様(32)は、態様(30)の乗物の車内システムに関し、ヒンジ機構は、窪み部を含み、曲げ自在表示部の周縁面の少なくとも一部は、窪み部によって囲まれたものである。
【0101】
別段に明示しない限りは、本明細書に示した、いずれの方法も、工程が特定の順序で行われることを要すると解釈されることを意図しない。したがって、方法の請求項が、工程の行われる順序を実際に記載しないか、または、そうではなく、請求項または明細書の記載で、工程は特定の順序に限定されると具体的に記載しない場合には、いかなる点でも、特定の順序が推測されることを全く意図しない。更に、本明細書で用いるように、英語の原文の単数を表す不定冠詞は、1つより多くの構成要素または要素を含むことを意図し、1つのみを意味すると解釈されることを意図しない。
【0102】
当業者であれば、開示した実施形態の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変更および変形が可能なことが明らかだろう。当業者には、開示した実施形態の精神および実質を組み込んで、開示した実施形態に、そのような変更、組合せ、部分組合せ、および、変形が可能なので、開示した実施形態は、添付の請求項、および、その等価物の範囲内の全てを含むものであると解釈されるべきである。
【0103】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0104】
実施形態1
ガラス物品において、
第1の主面、および、該第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスシートと、
前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置されて、該ガラスシートを第1側部と第2側部に分割するヒンジ機構と、
前記ガラスシートの前記第2の主面に接合して、該ガラスシートと前記ヒンジ機構の間に配置された曲げ自在表示部と、
前記表示部の周りで前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置された接着材料と
を含み、
前記第1側部は、前記ヒンジ機構を中心に、前記第2側部に対して曲げ自在であり、
前記曲げ自在表示部は、前記接着材料内に気密封止されたものであるガラス物品。
【0105】
実施形態2
前記曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、該前側表示面と該裏面を接続する周縁面を含むものであり、
前記接着材料は、前記周縁面および前記裏面に接合したものである、実施形態1に記載のガラス物品。
【0106】
実施形態3
前記前側表示面は、前記ガラスシートの前記第2の主面に、光学透明接着剤で接合したものである、実施形態2に記載のガラス物品。
【0107】
実施形態4
前記ヒンジ機構の横で前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置された少なくとも1つの枠部を、
更に含み、
前記接着材料は、前記枠部を前記ガラスシートの前記第2の主面に接合し、該接着材料は、前記ヒンジ機構と前記曲げ自在表示部の間の領域で、該ヒンジ機構に接合しないものである、実施形態2または3に記載のガラス物品。
【0108】
実施形態5
前記曲げ自在表示部は、前記少なくとも1つの枠部の上に延伸するものである、実施形態4に記載のガラス物品。
【0109】
実施形態6
前記曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、該前側表示面と該裏面を接続する周縁面を含むものであり、
間隙が、前記接着材料と、前記周縁面および前記裏面との間に設けられたものである、実施形態1に記載のガラス物品。
【0110】
実施形態7
前記曲げ自在表示部の周りで前記ガラスシートの前記第2の主面に接合した飛散防止フィルムを、
更に含む、実施形態6に記載のガラス物品。
【0111】
実施形態8
前記曲げ自在表示部の前記裏面の上に配置されたスペーサを、
更に含む、実施形態6または7に記載のガラス物品。
【0112】
実施形態9
前記曲げ自在表示部の前記周縁面の周りに配置されたスペーサを、
更に含む、実施形態6または7に記載のガラス物品。
【0113】
実施形態10
前記スペーサは、ラバーガスケット、ハニカム構造物、または、エアブラダーの少なくとも1つを含むものである、実施形態8または9に記載のガラス物品。
【0114】
実施形態11
前記曲げ自在表示部は、前記ヒンジ機構の少なくとも片側を過ぎて延伸するものである、実施形態6から10のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0115】
実施形態12
前記接着材料と前記ヒンジ機構の間に配置されたバッキングシートを、
更に含む、実施形態6から11のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0116】
実施形態13
前記バッキングシートは、アルミニウム合金または合金鋼を含むものである、実施形態12に記載のガラス物品。
【0117】
実施形態14
前記ヒンジ機構の横に少なくとも1つの枠部を、
更に含み、
前記接着材料は、前記少なくとも1つの枠部、および、前記ガラスシートの前記第2の主面に接合したものである、実施形態6から13のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0118】
実施形態15
前記ヒンジ機構は、突出部を含み、前記曲げ自在表示部は、該ヒンジ機構の該突出部と接触するものである、実施形態14に記載のガラス物品。
【0119】
実施形態16
前記ヒンジ機構は、窪み部を含み、前記曲げ自在表示部の前記周縁面の少なくとも一部は、該窪み部によって囲まれたものである、実施形態14に記載のガラス物品。
【0120】
実施形態17
前記接着材料は、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、または、反応射出成形材料を含むものである、実施形態1から16のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0121】
実施形態18
前記ヒンジ機構は、アルミニウム合金または合金鋼を含むものである、実施形態1から17のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0122】
実施形態19
前記曲げ自在表示部は、有機発光ダイオード表示部、有機液晶表示部、または、マイクロ発光ダイオード表示部の少なくとも1つを含むものである、実施形態1から18のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0123】
実施形態20
前記第1側部は、第2側部に対する平面構成から、該第1側部が平面から10°から180°曲がる曲げ構成へと曲げ自在である、実施形態1から19のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0124】
実施形態21
乗物の車内システムにおいて、
前記乗物の中心線軸を横切るように配置されたダッシュボード基部であって、該中心線軸は、該乗物を運転手側と助手席側に縦に分割するものであるダッシュボード基部と、
前記ダッシュボード基部に取り付けられたガラス物品と
を含み、該ガラス物品は、
第1の主面、および、該第1の主面の反対側の第2の主面を有し、前記中心線軸の前記運転手側に位置する第1側部、および、第2側部を含むガラスシートと、
前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置されて、該ガラスシートを前記第1側部と前記第2側部に分割するヒンジ機構と、
前記ガラスシートの前記第2の主面に接合して、前記ヒンジ機構と該ガラスシートの間に配置された曲げ自在表示部と、
前記曲げ自在表示部の周りで前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置された接着材料と
を含み、
前記表示部は、前記接着材料と前記ガラスシートの間に気密封止されたものであり、
前記曲げ自在表示部は、前記ガラスシートの前記第2側部が前記ヒンジ機構を中心に曲がる時に、曲げ構成と平面構成の間で変化するように構成されたものである車内システム。
【0125】
実施形態22
前記曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、該前側表示面と該裏面を接続する周縁面を含むものであり、
前記接着材料は、前記周縁面、および、前記裏面に接合したものである、実施形態21に記載の車内システム。
【0126】
実施形態23
前記ヒンジ機構の横で前記ガラスシートの前記第2の主面上に配置された少なくとも1つの枠部を、
更に含み、
前記接着材料は、前記枠部を前記ガラスシートの前記第2の主面に接合し、該接着材料は、前記ヒンジ機構と前記曲げ自在表示部の間の領域で、該ヒンジ機構に接合しないものである、実施形態22に記載の車内システム。
【0127】
実施形態24
前記曲げ自在表示部は、前記少なくとも1つの枠部の上に延伸するものである、実施形態23に記載の車内システム。
【0128】
実施形態25
前記曲げ自在表示部は、前側表示面、裏面、および、該前側表示面と該裏面を接続する周縁面を含むものであり、
間隙が、前記接着材料と、前記周縁面および前記裏面との間に設けられたものである、実施形態22に記載の車内システム。
【0129】
実施形態26
前記曲げ自在表示部の前記裏面の上に配置されたスペーサを、
更に含む、実施形態25に記載の車内システム。
【0130】
実施形態27
前記曲げ自在表示部の前記周縁面の周りに配置されたスペーサを、
更に含む、実施形態25に記載の車内システム。
【0131】
実施形態28
前記曲げ自在表示部は、前記ヒンジ機構の少なくとも片側を過ぎて延伸するものである、実施形態25から27のいずれか1つに記載の車内システム。
【0132】
実施形態29
前記接着材料と前記ヒンジ機構の間に配置されたバッキングシートを、
更に含む、実施形態25から28のいずれか1つに記載の車内システム。
【0133】
実施形態30
前記ヒンジ機構の横に少なくとも1つの枠部を、
更に含み、
前記接着材料は、前記少なくとも1つの枠部、および、前記ガラスシートの前記第2の主面に接合したものである、実施形態25から29のいずれか1つに記載の車内システム。
【0134】
実施形態31
前記ヒンジ機構は、突出部を含み、前記曲げ自在表示部は、該ヒンジ機構の該突出部と接触するものである、実施形態30に記載の車内システム。
【0135】
実施形態32
前記ヒンジ機構は、窪み部を含み、前記曲げ自在表示部の前記周縁面の少なくとも一部は、該窪み部によって囲まれたものである、実施形態30に記載の車内システム。
【符号の説明】
【0136】
32 ガラス物品
33 曲げ自在表示部
34 第1側部
36 第2側部
40 曲げ軸
42 ガラスシート
44 第1の主面
46 第2の主面
48 周縁面
50 ヒンジ機構
52 接着材料
56a 第1の枠部
56b 第2の枠部
66 間隙
70 スペーサ
72 突出部
74 窪み部
76 バッキングシート
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
【国際調査報告】