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特表2023-540192レンズプレート及びレンズプレートを有する照明デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】レンズプレート及びレンズプレートを有する照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   F21V 5/04 20060101AFI20230914BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230914BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230914BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230914BHJP
   G02B 3/04 20060101ALI20230914BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20230914BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230914BHJP
【FI】
F21V5/04 350
F21V5/00 530
F21V5/04 400
F21S2/00 481
F21V5/04 200
G02B3/00 A
G02B3/04
F21Y105:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512273
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2021072811
(87)【国際公開番号】W WO2022038122
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/110567
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】20202021.0
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】デン ラン
(72)【発明者】
【氏名】ワン リー
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA11
3K244BA15
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244GA01
3K244GA14
3K244GB17
(57)【要約】
レンズプレートが、光源に面するための光入力面を形成する頂部と、光出射面を形成する基部とをそれぞれ有する、凸レンズのアレイを有する。各凸レンズは、高さHと、基部における直径Dとを有し、H/D>0.85である。レンズプレートは、例えば、1.5mm~5mmの範囲である、凸レンズの基部から頂部までの高さを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズプレートであって、前記レンズプレートが、
凸レンズのアレイであって、各凸レンズが、光源に面するための光入力面を形成する頂部と、光出射面を形成する基部とを有し、前記基部が、前記アレイに共通の基材上に配置されるか、又は前記アレイに共通の基材を画定する、アレイを備え、
各凸レンズが、高さHと、前記基部における直径Dとを有し、H/D>0.85であり、
前記レンズプレートが、1.5mm~5mmの範囲である、前記凸レンズの前記基部から前記頂部までの高さ(H)を有する、レンズプレート。
【請求項2】
各凸レンズが、前記頂部と前記基部との間に焦点を有する、請求項1に記載のレンズプレート。
【請求項3】
各頂部の中央領域に形成された微細構造を更に備える、請求項1又は2に記載のレンズプレート。
【請求項4】
各微細構造が拡散性又は散乱性である、請求項3に記載のレンズプレート。
【請求項5】
各微細構造が、
マイクロレンズのアレイ、
エンボス加工パターン、又は
埋め込み粒子の配列を備える、請求項4に記載のレンズプレート。
【請求項6】
各凸レンズの前記基部及び前記共通の基材が平坦である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレンズプレート。
【請求項7】
各凸レンズの前記頂部が、光軸に関して回転対称である突出部を形成する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレンズプレート。
【請求項8】
凸レンズの前記アレイの前記レンズが、前記レンズプレートの有効領域を完全に占め、前記レンズが、0.5mm~5mmの範囲のピッチを有し、前記有効領域が、光源からの前記光出力をビーム成形するように意図された、前記レンズプレートの領域である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレンズプレート。
【請求項9】
前記凸レンズの前記基部が、一緒に合わさる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレンズプレート。
【請求項10】
各凸レンズが、
楕円線、
ベジェ曲線、
放物線、又は
多項式非球面曲線を含む部分曲線を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のレンズプレート。
【請求項11】
照明デバイスであって、
LEDのアレイと、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のレンズプレートとを備え、LEDの前記アレイの各LEDの光出力面が、前記レンズプレートの前記凸レンズの前記頂部に面する、照明デバイス。
【請求項12】
前記LEDアレイが、0.5mm~3mmの範囲である、前記LED間のピッチを有し、かつ/又は
前記LEDの前記光出力面と前記凸レンズの前記頂部との間の前記光軸に沿った距離(d)が、3mm~7mmの範囲である、
請求項10に記載の照明デバイス。
【請求項13】
前記レンズプレートが、各頂部の中央領域に形成された微細構造を備え、前記微細構造が、関連する前記凸レンズの前記光軸に沿って、前記LEDの前記出力面の平面上の点から10~15度の範囲である半角(θ)に対応する領域にわたって広がる、請求項11又は12に記載の照明デバイス。
【請求項14】
前記LEDアレイからの前記光の15%未満が、0~30度の範囲の角度で出射し、
前記LEDアレイからの前記光の70%超が、30~70度の範囲の角度で出射し、
前記LEDからの前記光の5%~20%が、70~90度の範囲の角度で出射する、
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、LEDのアレイからの光出力を成形するための、照明器具の一部としてのレンズプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の照明器具には、均一な照明、すなわち、照明器具の下の(水平)平面内の領域にわたって比較的一定の光強度を有する照明を生成することが望まれる。
【0003】
これには、(光が更に照明平面に伝わる必要があるため大きな放出角度からの光がより大きな光強度を有するような、放出角度に関する関数を有する光出力強度が必要となる。望ましい光出力強度分布の例が、いわゆるコウモリ翼形状の(batwing)強度分布である。
【0004】
LED光源のランバート光強度分布など、光源からの出力光強度分布を所望のコウモリ翼形状の強度分布に変換するために、レンズ又はレンズプレートを使用することが知られている。
【0005】
現在、そのような均一な照明のための大きなビーム角度を生成するために凹凸レンズが使用されている。
【0006】
典型的な凹凸レンズ及びその光線軌跡図が、図1に示されている。
【0007】
図1は、光出力面の上にレンズ20を備えたLED光源10を示す。レンズ20は、凹状光入射面22と凸状光出射面24とを有する。この種のレンズは通常、LEDチップとレンズとの間の1対1の対応関係で使用されるか、又はレンズの下に1組のLEDチップがある場合がある。レンズとLEDとの間のこの対応関係がもたらされない場合、所望の光学性能を達成することは困難である。
【0008】
図2は、凸球面マイクロレンズ32のアレイとして形成されたレンズプレート30の代替設計を示す。この種のレンズ設計は、マイクロレンズの小さなサイズのため、レンズプレートと光源との間の異なる位置合わせを許容することができる。それは、より良好な色均一性も達成するが、出力ビーム角度は、ネイティブ光源と大きく異ならない。
【0009】
図2は、3つのLED光源10の光軌跡を示す。所望の広いビーム光出力が達成されず、出力ビーム幅が入力ビーム幅に一致することが分かる。マイクロレンズの焦点FP1が、レンズプレートのLED光源とは反対側にあり、レンズ表面からLED光源とほぼ同じ距離にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
複数のタイプのLED光源に適し、レンズ構造に対する光源の相対位置に左右されず、所望の広いビーム出力、例えばコウモリ翼形状の光強度分布を達成する、レンズ構造が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、請求項によって定義される。
【0012】
本発明の一態様による例によれば、レンズプレートであって、レンズプレートが、
凸レンズのアレイであって、各凸レンズが、光源に面するための光入力面を形成する頂部と、光出射面を形成する基部とを有し、基部が、アレイに共通の基材上に配置されるか、又はアレイに共通の基材を画定する、アレイを備え、
各凸レンズが、高さHと、基部における直径Dとを有し、H/D>0.85である、レンズプレートが提供される。レンズプレートは、例えば、1.5mm~5mmの範囲である、凸レンズの基部から頂部までの高さを有する。凸レンズの高さHは、1mm~4mmの範囲であることが好ましい。
【0013】
このレンズプレートの凸レンズは、高さ対直径比の結果として、縦長で細い弾丸形状を有する。よって、凸レンズは、非球面であり、非常に短い焦点距離を有する。球面レンズ、すなわちH/D=0.5、を備えたレンズプレートでは、出力ビーム角度が、光源ビームと大きく異ならない(近軸光線が近軸に留まる)。H/D>0.85の弾丸形状のレンズは、レンズ本体の内部に位置する焦点をもたらし、このことは、近軸光線の発散が非常に大きいことを意味する。軸外光線も軸外に留まり、その結果、コウモリ翼形状の光出力強度が、LED光源のランバート出力から得られ得る。
【0014】
レンズプレートは、光出力特性が、光源、例えばLEDアレイの上のレンズプレートの位置に左右されないことを可能にする。同じレンズ構造は、異なる光源設計にも適する。
【0015】
各凸レンズは、好ましくは頂部と基部との間に焦点を有する。よって、各レンズの頂部は、焦点がレンズ本体内にあるように、非常に短い焦点距離で焦点に集束する。よって、大きな収束角度、ひいては焦点後の発散がもたらされ、このことは、軸外光線が、基部から大きな角度で放出されることを意味する。
【0016】
レンズプレートは、各頂部の中央領域に形成された微細構造を更に備えてもよい。
【0017】
アレイの凸レンズ及び微細構造はそれぞれ、光源から放出された光をより分散させる。各凸レンズの凸頂部の中央微細構造は、光源からの小さな角度の光線を拡散させる。
【0018】
各微細構造は、好ましくは拡散性又は散乱性である。このことは、光源からの小さな角度の光線の所望の分散をもたらす。
【0019】
各微細構造は、
マイクロレンズのアレイ、
エンボス加工パターン、又は
埋め込み粒子の配列を備えてもよい。
【0020】
よって、微細構造のための様々な可能な設計がある。
【0021】
各凸レンズの基部及び共通の基材は、好ましくは平坦である。よって、光学機能は、この場合、光源に面する頂面によって完全に規定され、レンズプレートは、頂面と底面との間の位置合わせの必要性がなく、製造が簡単である。
【0022】
各凸レンズの頂部は、例えば、光軸に関して回転対称である突出部を形成する。
【0023】
凸レンズのアレイのレンズは、好ましくは、レンズプレートの有効領域を完全に占める。レンズプレートの有効領域を満たすことにより、処理されるべき全ての光がレンズを通過する。有効領域は、光源からの光出力をビーム成形するように意図された、レンズプレートの領域である。
【0024】
レンズは、例えば、0.5mm~5mmの範囲のピッチを有する。このことは、光出力をレンズプレートと光源との間の位置合わせに左右されなくするのを助ける小さなレンズピッチをもたらす。
【0025】
凸レンズの基部は、好ましくは一緒に合わさる。合わされたレンズ基部は、レンズプレートの有効領域が上述のように完全に覆われることを可能にし、頂部の小さなピッチのアレイを可能にする。
【0026】
各凸レンズは、
楕円線、
ベジェ曲線、
放物線、又は
多項式非球面曲線を含む部分曲線を有してもよい。
【0027】
レンズプレートは、好ましくは成形部品を備える。
【0028】
本発明はまた、照明デバイスであって、
LEDのアレイと、
上で規定されたレンズプレートと、を備え、LEDのアレイの各LEDの光出力面が、レンズプレートの凸レンズの頂部に面する、照明デバイスを提供する。
【0029】
LEDアレイは、例えば、0.5mm~3mmの範囲であるLED間のピッチを有する。
【0030】
LEDの光出力面と凸レンズの頂部との間の光軸に沿った距離が、例えば3mm~7mmの範囲である。この間隔は、熱条件が満たされることを可能にする。
【0031】
レンズプレートが(上で説明されたように)各頂部の中央領域に形成された微細構造を備えるとき、微細構造は、関連する凸レンズの光軸に沿って、LEDの出力面の平面上の点から10~15度の範囲である半角に対応する領域にわたって広がってもよい。
【0032】
対応する入射角度がこの半角(例えば、12度)よりも大きいとき、出発光線の角度が急激に増加する。隣りのLEDからの入射光線が、微細構造から離れた凸レンズの側面に(再び、この半角よりも大きな入射角で)当たり、このことは、例えば、60~80度の出発角度をもたらす。
【0033】
照明装置は、
LEDアレイからの光の15%未満が、0~30度の範囲の角度で出射し、
LEDアレイからの光の70%超が、30~70度の範囲の角度で出射し、
LEDからの光の5%~20%が、70~90度の範囲の角度で出射することを満たしてもよい。
【0034】
よって、光出力分布は、30~60度の範囲の最大光強度を有するコウモリ翼形状の形状をとる。
【0035】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以降で説明される実施形態から明らかとなり、当該の実施形態を参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明をよりよく理解するために、及び、どのようにして本発明が遂行され得るかをより明確に示すために、次に、ほんの一例として、添付図面が参照される。
図1】典型的な凹凸レンズ及び光線軌跡図を示す図である。
図2】凸球面マイクロレンズのアレイとして形成されたレンズプレートの代替設計を示す図である。
図3】本発明の例によるレンズプレートを示す図である。
図4図3と同じレンズプレートを示すが、凸レンズの他の部分を通過する光線を示す図である。
図5】小さな角度の入射ビームについて、微細構造なしの凸レンズ設計の光学性能を示す図である。
図6】大きな角度の入射ビームについて、微細構造なしの凸レンズ設計の光学性能を示す図である。
図7】レンズプレートに対して更に大きな入射角度を有する、光源からの入力光が、より大きなビーム角度を有する出力光にどのように再変換されるかを示す図である。
図8】凸レンズの可能な設計を説明するために使用される図である。
図9】LEDの同心リングを備えるLEDアレイの例を示す図である。
図10】レンズの正方形グリッドを備える凸レンズアレイの例を示す図である。
図11】レンズプレートの頂面の斜視図を示す図である。
図12】中出力LEDのアレイの上に設けられたレンズプレートの性能のシミュレーションを極強度図として示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明が、図を参照して説明される。
【0038】
詳細な説明及び具体例は、装置、システム、及び方法の例示的実施形態を示すものであるが、単に例示目的に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではない点を理解されたい。本発明の装置、システム、及び方法の、これら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の請求項、及び添付の図面から、より良好に理解されるであろう。これらの図は、概略的なものに過ぎず、縮尺通りに描かれていない点を理解されたい。また、同じ参照番号は、これらの図の全体を通して、同じ部分又は同様の部分を示すために使用されている点も理解されたい。
【0039】
本発明は、凸レンズのアレイを有するレンズプレートであって、各凸レンズが、光源に面するための光入力面を形成する頂部と、光出射面を形成する基部とを有する、レンズプレートを提供する。各凸レンズは、高さHと、基部における直径Dとを有し、H/D>0.85である。
【0040】
図3は、本発明の例によるレンズプレート40を示す。レンズプレートは、凸レンズ44のアレイ42を備える。各凸レンズ44は、光源に面するための光入力面を形成する頂部44aと、光出射面を形成する基部44bとを有する。基部は、平坦であり、共通の平坦な基材48の上に取り付けられるか、又は基材と一体的に形成される。光源はLED10のアレイであり、LEDアレイの各LEDの光出力面が、レンズプレートの凸レンズの頂部44aに面する。
【0041】
よって、凸レンズは、一方の側(光源10に面する側)のみにビーム成形面を有し、例えば射出成形による、製造を容易にする。凸レンズは非球面を有する。特に、頂部44aの曲率は、高さHと、基部における直径Dとを有する形状(H/D>0.85)に対応する。
【0042】
図3に示されるように、また以下でより詳細に説明されるように、凸レンズは、それらの基部で一緒に合わさってもよい。そのような場合、直径Dは、残りの凸レンズ表面領域の外挿によって定義される。代わりに、凸レンズは、互いに分離していてもよく(離間しているか、又は接線方向で接触しているかのいずれか)、その場合、直径は、基部における実際の直径である。個々のレンズが分離しているとき、それらは、好ましくは0.1mm未満の間隔を有し、レンズ間の平坦な空隙のサイズを最小化する。
【0043】
外挿は、残りの凸レンズ表面領域、すなわちレンズの頂部44aに対する滑らかな拡張である。頂部44aから凸レンズの一般的な概略的な全体形状を導き出すための曲線外挿法は周知である。この外挿から、直径Dが定義され得る。
【0044】
外挿は、レンズ形状のタイプを考慮する。例として、凸レンズの部分曲線は、例えば、
楕円線、
ベジェ曲線、
放物線、又は
多項式非球面曲線を含む。
【0045】
これらのレンズ形状について、母線は、放物線、ベジェ曲線、円弧、双曲線、又はこれらの組み合わせである。
【0046】
レンズの基部が一緒に合わさるとき、凸レンズのアレイの凸レンズは、レンズプレートの有効領域を完全に占める。特に、レンズの基部は一緒に合わさって、隙間のない中実なプレートを画定する。このことは、平坦なプレートとして機能するレンズ間の空隙を回避する。更に、合わされた基部は、レンズの垂直な円筒状の側壁がないことを意味し、これらの垂直な側壁は、意図された光線偏向にとって望ましくない。凸レンズは、例えば、正方形グリッドを形成する。各凸レンズの頂部は、レンズの光軸に関して回転対称である突出部を形成し、この突出部は、合わされた基部から光源の方に延びる。
【0047】
レンズは、代わりに六角形グリッドとして形成されてもよい。
【0048】
よって、凸レンズは、高さ対直径比の結果として、縦長で細い。これにより、凸レンズは、特にレンズ本体の内部に位置する焦点を有する、非常に短い焦点距離を有する。このことは、図3の光線によって示されるように、近軸光線の発散が非常に大きいことを意味する。
【0049】
軸外光線は軸外に留まり、その結果、コウモリ翼形状の出力強度が、LED光源のランバート出力から得られ得る。
【0050】
図3は、各頂部44aの中央領域に形成された微細構造46の、オプションの追加の設計特徴を示す。各微細構造46は、拡散性又は散乱性である。マイクロレンズのアレイ、エンボス加工パターン、又は埋め込み粒子の配列など、任意の適切な構造が使用されてもよい。
【0051】
凸レンズ設計と微細構造の両方は、光源から放出された光をより拡散させる。微細構造は、光源10からの小さな角度の光線を拡散させ、凸レンズの凸面の他の部分が、所望の目標広角度を達成するように大きな角度の光線を制御するために使用される。よって、構造は、大きな角度の光線を増強し、光源10からの中央の小さな角度の光を減少させる。
【0052】
レンズプレート全体の全高(H及び基材48の厚さ)は、例えば1.5mm~5mmの範囲であり、例えば約3mmである。凸レンズの高さHは、1mm~4mmの範囲であることが好ましい。LED光源10と凸レンズ44の頂部との間の垂直距離dは、例えば3mm~7mmの範囲であり、例えば約5mmである。このことは、レンズの熱条件を満たすのに好ましい。
【0053】
図3は、LEDのピッチが凸レンズのピッチと同じである必要がないことを概略的に示す。実際、レンズプレートは、異なるLEDピッチを有する異なる光源配置で使用されてもよく、レンズプレートと光源との間の相対的な位置合わせは、重要でない。
【0054】
図3は、微細構造化領域を通過する光線を示す。図は、光が広いビーム角度でレンズから出射するように、(微細構造があるか否かにかかわらず)光線が凸レンズの本体内に集束されることを示す。よって、小さな角度の光線は、大きな角度の光線を形成するように屈折される。
【0055】
図4は、同じレンズプレートを示すが、凸レンズの他の部分を通過する光線を示す。これは、(垂直な光軸方向に対して)既に大きな光線角度を有する光源からの光に当てはまる。これらの大きな角度の光線も、より大きなビーム角度を形成するように屈折される。
【0056】
よって、構造は、均一な照明に適した広いビーム角度の光分布を達成する。
【0057】
図5図7は、微細構造なしの凸レンズ設計の光学性能を示す。
【0058】
図5は、3つの異なる入射ビーム角度を有するが、光軸を中心とする光源からの入力光が、それぞれの場合で、上で説明されたのと同じ方法で、より大きなビーム角度を有する出力光にどのように変換されるかを示す。
【0059】
図5は、凸レンズの設計が、焦点FP2がレンズ本体内にある、すなわち、光軸に沿ってレンズ表面からレンズ高さよりも小さな距離にあるようなものであることを示す。よって、焦点はレンズプレート内にある。レンズの焦点は、入射する平行ビームに基づいて定義されるが、表示パネルに対する比較的大きな間隔は、点源として扱われる各LED10からの光が、レンズ本体内の焦点で合焦されることを意味する。このことは、焦点FP1がレンズプレートの下かつレンズ本体の外部にある、図2の従来のレンズ設計とは対照的である。本発明のレンズ設計は、上で説明されたように、近軸光線の大きな発散をもたらす。光は、焦点の前で収束し、焦点の後で発散する。本発明の凸レンズによってもたらされる短い焦点距離は、近軸光線のより大きな偏向をもたらす。
【0060】
図6は、レンズプレートに対して大きな入射角度を有する、光源からの入力光が、上で説明されたのと同じ方法で、より大きなビーム角度を有する出力光にどのように再変換されるかを示す。
【0061】
図7は、レンズプレートに対して更に大きな入射角度を有する、光源からの入力光が、より大きなビーム角度を有する出力光にどのように再変換されるかを示し、そして、このことは、示されるように基材の底面からのいくらかの全内部反射をもたらし得る。
【0062】
図8は、凸レンズの可能な設計を説明するために使用され、上述された寸法D、H及びdをより明確に示す。
【0063】
加えて、光源10の光出力面10aからの光出力の光軸が示されている。
【0064】
微細構造は、LED10の出力面10aの平面から、光軸を中心に10~15度の範囲の半角(θ)に対応する領域にわたって広がる。
【0065】
入射光がこの半角、例えば12度よりも大きな角度であるとき、レンズの基部から出射する光線の角度は、急激に増加し、例えば、光軸に対して60~80度の範囲の角度を有する出射光線をもたらす。
【0066】
LEDアレイのランバート光強度分布による照明の場合、結果として得られる光学性能は、例えば、
LEDアレイからの光の15%未満が、0~30度の範囲の角度で出射し、
LEDアレイからの光の70%超が、30~70度の範囲の角度で出射し、
LEDからの光の5%~20%が、70~90度の範囲の角度で出射するようなものである。
【0067】
図9は、LED10の同心リングを備えるLEDアレイの例を示す。LED間の間隔は、熱分離をもたらすために幅方向及び高さ方向の両方で例えば約1mmである。
【0068】
図10は、レンズ40の正方形グリッドを備える凸レンズのアレイの例を示す。よって、レンズプレートのレンズアレイは、LEDアレイの設計に一致するように設計される必要がなく、同じレンズプレートが異なる光源とともに使用されてもよい。
【0069】
LEDアレイとレンズプレートのピッチは一致する必要がなく、両者の間の位置合わせは重要でない。
【0070】
凸レンズのアレイのレンズは、例えば、0.5mm~5mmの範囲のピッチと、0.5mm~5mmの範囲の基部直径Dとを有する。LEDアレイは、例えば、0.5mm~3mmの範囲のピッチを有する。
【0071】
よって、レンズプレートは、多数の可能なLED構成に適する。小さなピッチと、有効領域を満たすために基部で合わさる方法とにより、多くの凸レンズがある。
【0072】
図11は、レンズプレート40の頂面の斜視図を示す。図は、凸レンズの頂部に微細構造46を備えた正方形グリッド構造を示す。
【0073】
図12は、中出力LEDのアレイの上に設けられたレンズプレートの性能のシミュレーションを示し、極強度図を示す。図は、所望のコウモリ翼形状の強度分布が達成され得ることを示す。
【0074】
微細構造はオプションである。上の例では、それが、各凸レンズの頂面に設けられる。しかし、代わりに、共通の基材上に微細構造があってもよく、又は両方の面に微細構造があってもよい。
【0075】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。
【0076】
特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0077】
用語「ように適合される」が特許請求の範囲または詳細な説明で使用される場合、用語「ように適合される」は、用語「ように構成される」と同等であることを意味する。
【0078】
請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】