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特表2023-540198空気収集器内においてオーバーラップしている吸込み管を有する空気供給装置、空気供給装置を有する内燃機関、および、原動機付き車両
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  • 特表-空気収集器内においてオーバーラップしている吸込み管を有する空気供給装置、空気供給装置を有する内燃機関、および、原動機付き車両 図1
  • 特表-空気収集器内においてオーバーラップしている吸込み管を有する空気供給装置、空気供給装置を有する内燃機関、および、原動機付き車両 図2
  • 特表-空気収集器内においてオーバーラップしている吸込み管を有する空気供給装置、空気供給装置を有する内燃機関、および、原動機付き車両 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】空気収集器内においてオーバーラップしている吸込み管を有する空気供給装置、空気供給装置を有する内燃機関、および、原動機付き車両
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20230914BHJP
   F02B 29/02 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
F02M35/104 R
F02M35/104 Y
F02B29/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512361
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2021072130
(87)【国際公開番号】W WO2022058090
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】102020124070.8
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ミーリチュ・ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘール・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ガッツカ・ノルベルト
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、内燃機関100のための空気供給装置10に関し、この空気供給装置が、少なくとも1つの空気収集器20と少なくとも2つの吸込み管40、50とを有しており、これら吸込み管が、少なくとも1つの前記空気収集器20と結合されており、それぞれに前記内燃機関100のそれぞれのシリンダー102、104の空気供給のための形成されており、および、これら吸込み管が、それぞれの吸込み管端部分42、52を有しており、これら吸込み管端部分に、それぞれに少なくとも1つの吸気開口部44、54が割り当てられており、前記吸気開口部を介して、空気が、少なくとも1つの前記空気収集器20の空気収集器内側室22から、少なくとも2つの前記吸込み管40、50のそれぞれの吸込み管内側室41、51内へと導入可能であり、且つ、前記吸込み管内側室41、51を介して、前記シリンダー102、104に供給可能である。少なくとも2つの前記吸込み管40、50のそれぞれの前記吸込み管端部分42、52が、前記空気収集器内側室22内において終端しており、且つ、少なくとも1つの前記吸込み管端部分42、52の、少なくとも1つの中心軸線43、53に対して垂直に整向されている少なくとも1つの方向Rにおいて、共通のオーバーラップ領域12においてオーバーラップしている。
本発明の更に別の観点は、空気供給装置10を有する内燃機関100、並びに、空気供給装置10及び/または内燃機関100を有する原動機付き車両Kに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(100)のための空気供給装置(10)であって、この空気供給装置が、
少なくとも1つの空気収集器(20)と少なくとも2つの吸込み管(40、50)とを有しており、
これら吸込み管が、少なくとも1つの前記空気収集器(20)と結合されており、それぞれに前記内燃機関(100)のそれぞれのシリンダー(102、104)の空気供給のための形成されており、および、
これら吸込み管が、それぞれの吸込み管端部分(42、52)を有しており、これら吸込み管端部分に、それぞれに少なくとも1つの吸気開口部(44、54)が割り当てられており、
前記吸気開口部を介して、空気が、少なくとも1つの前記空気収集器(20)の空気収集器内側室(22)から、少なくとも2つの前記吸込み管(40、50)のそれぞれの吸込み管内側室(41、51)内へと導入可能であり、且つ、前記吸込み管内側室(41、51)を介して、前記シリンダー(102、104)に供給可能である上記空気供給装置において、
少なくとも2つの前記吸込み管(40、50)のそれぞれの前記吸込み管端部分(42、52)が、前記空気収集器内側室(22)内において終端しており、且つ、
少なくとも1つの前記吸込み管端部分(42、52)の、少なくとも1つの中心軸線(43、53)に対して垂直に整向されている少なくとも1つの方向(R)において、共通のオーバーラップ領域(12)においてオーバーラップしていることを特徴とする装置。
【請求項2】
それぞれの少なくとも1つの前記吸気開口部(44、54)は、互いに反対の方に向けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気供給装置(10)。
【請求項3】
前記空気供給装置(10)は、少なくとも2つの前記吸込み管(40、50)を介して前記シリンダー(102、104)に供給可能な、それぞれの空気量の調節のための、少なくとも2つの絞り要素(60、62)を備えており、および、
少なくとも2つの前記絞り要素(60、62)が、それぞれに少なくとも間接的に調節要素(70)と連結されており、この調節要素を用いて、前記絞り要素(60、62)が共に位置調節可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気供給装置(10)。
【請求項4】
少なくとも2つの前記絞り要素(60、62)の内の少なくとも1つの絞り要素は、前記空気収集器内側室(22)内において配置されていることを特徴とする請求項3に記載の空気供給装置(10)。
【請求項5】
少なくとも2つの前記絞り要素(60、62)は、少なくとも1つの前記調節要素(70)を用いて、同期的に位置調節可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の空気供給装置(10)。
【請求項6】
少なくとも2つの前記絞り要素(60、62)は、それぞれの絞り弁として形成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一つに記載の空気供給装置(10)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記調節要素(70)は、軸として形成されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一つに記載の空気供給装置(10)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つによる空気供給装置(10)を有する内燃機関(100)。
【請求項9】
前記内燃機関(100)は、少なくとも2つのシリンダーバンクを備えており、および、前記シリンダー(102、104)の内の少なくとも1つのシリンダーが、前記シリンダーバンクのそれぞれ1つのシリンダーバンクに割り当てられていることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関(100)。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一つによる空気供給装置(10)、及び/または、請求項8または9による内燃機関(100)を有する原動機付き車両(K)、特にオートバイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に従う、内燃機関のための空気供給装置に関する。本発明の更に別の観点は、空気供給装置を有する内燃機関、並びに、空気供給装置及び/または内燃機関を有する原動機付き車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この様式の空気供給装置において、内燃機関のそれぞれの燃焼室内における燃料の燃焼のために必要な空気は、この空気供給装置の空気収集器内へと到達し、且つ、
この空気供給装置の前記空気収集器と結合されたそれぞれの吸込み管を介して、この内燃機関のそれぞれのシリンダーに到達し、これらシリンダーに、それぞれの燃焼室が割り当てられている。
【0003】
従って、例えば、特許文献1から、内燃機関のための吸気装置が公知として見て取れ得、この吸気装置が、貯蔵部を備えるサクションマニホールドを有し、このサクションマニホールドが、流入側で1つの吸気接続用パイプを、および、流出側で複数の個別吸込み管を有しており、これら個別吸込み管が、内燃機関のシリンダーヘッドに開口し、且つ、個々のシリンダー結合されている。
吸気接続用パイプは空気案内装置を有しており、この空気案内装置が、ほぼ中間の両方の吸込み管の間で延びる平面に至るまで延在し、且つ、これら吸込み管の内側開口部に整えられた空気案内装置の壁部を、これら開口部に対して離間されて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第0656993A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、燃焼エンジン的な作動における複数のシリンダーへの均等な空気供給が達成され得、且つ、存在する構造空間が特に有効に利用され得る、冒頭に記載された様式の空気供給装置、内燃機関、並びに、原動機付き車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する空気供給装置、請求項8の特徴を有する内燃機関、並びに、請求項10の特徴を有する原動機付き車両によって解決される。本発明の合目的な更なる構成を有する有利な実施形態は、従属請求項内において提示されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1の観点は、
内燃機関のための空気供給装置に関し、この空気供給装置が、
少なくとも1つの空気収集器と少なくとも2つの吸込み管とを有しており、
これら吸込み管が、少なくとも1つの前記空気収集器と結合されており、それぞれに前記内燃機関のそれぞれのシリンダーの空気供給のための形成されており、および、
これら吸込み管が、それぞれの吸込み管端部分を有しており、これら吸込み管端部分に、それぞれに少なくとも1つの吸気開口部が割り当てられており、
前記吸気開口部を介して、空気が、少なくとも1つの前記空気収集器の空気収集器内側室から、少なくとも2つの前記吸込み管のそれぞれの吸込み管内側室内へと導入可能であり、且つ、前記吸込み管内側室を介して、前記シリンダーに供給可能である。
空気収集器は、同様にいわゆるエアーボックスとも称され得る。空気供給装置は、少なくとも1つの流入開口部を有しており、この流入開口部を介して、空気が、空気供給装置の周囲環境から、空気収集器内側室内へと流入可能である。
【0008】
空気供給装置は、空気供給装置の周囲環境からの空気の吸気のために形成された、同様に吸気チャネルとも称され得る流入チャネルを備えている。同様に空気供給装置が少なくとも1つのフィルター要素を備えていることも可能であり、このフィルター要素が、少なくとも1つの流入開口部を介して、少なくとも間接的に空気収集器内側室内へと流入する空気のろ過のために、形成および配置されていることは可能である。
空気供給装置が、フィルター要素の収容のためのフィルター容器を備えていることは可能であり、このフィルター容器が空気収集器に割り当てられていることは可能である。
【0009】
本発明に従い、少なくとも2つの前記吸込み管のそれぞれの前記吸込み管端部分が、前記空気収集器内側室内において終端しており、且つ、
少なくとも1つの前記吸込み管端部分の、少なくとも1つの中心軸線に対して垂直に整向されている少なくとも1つの方向において、共通のオーバーラップ領域においてオーバーラップしていることは意図されている。
このことは有利である。何故ならば、共通のオーバーラップ領域における、吸込み管端部分のオーバーラップにより、いわゆる吸込み管の間の相互作用、即ちこれら吸込み管の間の内燃機関の作動の際に生じるガス交換サイクルに起因する圧力脈動の伝達が著しく減少され得、このことによって、相応する吸込み管を介してのそれぞれのシリンダーの均等な空気供給が行われることが、保障され得るからである。
更に、オーバーラップ領域内におけるオーバーラップによって、空気収集器内側室内において存在する構造空間は、特に有効に利用され得る。
【0010】
吸込み管が、空気収集器の互いに向かい合って位置する空気収集器側面において、空気収集器内側室内に入ることは可能である。それに応じて、空気収集器内側室の外側に配置され且つ吸込み管端部分と連結されているそれぞれの吸込み管部分が、少なくとも領域的に、同様に空気収集器の空気収集器壁領域とも称される、互いに向かい合って位置する空気収集器側面に沿って延びることは可能である。
このことによって、吸込み管の均等な配置が可能にされ、且つ、存在する構造空間が、特に有利には利用され得る。
【0011】
本発明は、吸込み管端部分における、吸込み管の領域的なオーバーラップにより、一方では特に場所を取らない配置が達成されており、且つ、更に、これら吸込み管の間の相互作用が著しく減少され得、または、しかもその上、完全に回避され得ることの認識を基礎としている。
更に、オーバーラップは、例えばそれぞれの吸込み管の固定の更に別の可能性を開く。従って、それぞれの吸込み管が、例えば、空気収集器内側室内におけるこれら吸込み管の吸込み管端部分において、互いに連結されていることは可能である。
このことによって、それぞれの吸込み管の特に安定的な固定は、少なくとも1つの空気収集器においてだけでなく、接し合って、および、空気収集器壁領域からある間隔をおいて、並びに、空気収集器内側室内において与えられている。
【0012】
本発明の有利な更なる構成において、それぞれの少なくとも1つの前記吸気開口部は、互いに反対の方に向けられている。
このことは有利である。何故ならば、吸込み管の間の相互作用が、互いに反対の方に向けられた吸気開口部によって、特に有効に減少され得、または、しかもその上、完全に排除され得るからである。
それぞれの吸気開口部が互いに反対の方に向けられているということの表現のもとで、今ここで問題になっている当該のケースにおける開示内容の範囲内において、それぞれの吸気開口部が、例えば、空気収集器の互いに向かい合って位置する空気収集器壁領域のそれぞれに1つの空気収集器壁領域の方に向けられていることが可能であるということが理解され得る。
【0013】
本発明の更に別の有利な更なる構成において、前記空気供給装置は、少なくとも2つの前記吸込み管を介して前記シリンダーに供給可能な、それぞれの空気量の調節のための、少なくとも2つの絞り要素を備えており、および、
少なくとも2つの前記絞り要素が、それぞれに少なくとも間接的に調節要素と連結されており、この調節要素を用いて、前記絞り要素が共に位置調節可能である。
このことは有利である。何故ならば、このことによって、特に、少なくとも2つの絞り要素の少ない経費での操作が、調節要素、特に共通の調節要素を介して行われ得るからである。
一般的に、これら絞り要素のそれぞれ1つの絞り要素が、これら吸込み管のそれぞれの1つの吸込み管に割り当てられていることは可能である。換言すれば、即ち、これら吸込み管のそれぞれ1つの吸込み管において、これら絞り要素の内のそれぞれ1つの絞り要素が配置されていることは可能である。
【0014】
本発明の更に別の有利な更なる構成において、少なくとも2つの前記絞り要素の内の少なくとも1つの絞り要素は、前記空気収集器内側室内において配置されている。
このことは有利である。何故ならば、このことによって、空気収集器内側室の内側での相応する絞り要素の特に場所を取らない配置と、それに加えて場合によっては有り得る環境の影響からの特に更に十分な保護とが提供されているからである。
有利には、空気供給装置の、少なくとも2つの絞り要素、特に全ての絞り要素は、空気収集器内側室内において配置されており、このことによって、特に場所を取らない配置は提供されている。
【0015】
本発明の更に別の有利な更なる構成において、少なくとも2つの前記絞り要素は、少なくとも1つの前記調節要素を用いて、同期的に位置調節可能である。
このことは有利である。何故ならば、このことによって、それぞれの吸込み管を介しての、内燃機関のシリンダーへの特に均等な空気供給が保障され得るからである。
このことによって、例えば、内燃機関のシリンダーに割り当てられているそれぞれのピストンを用いて駆動され得る、この内燃機関のクランクシャフトの許容されていない強度な回転不均等性が減少されることは可能である。
【0016】
本発明の更に別の有利な更なる構成において、少なくとも2つの前記絞り要素は、それぞれの絞り弁として形成されている。
このことは有利である。何故ならば、絞り弁として形成されている絞り要素は、特に簡単な且つ強靭な構造を有しており、且つ、内燃機関のそれぞれのシリンダーへの合目的な空間供給のために、特に少ない経費で位置調節され得るからである。
【0017】
本発明の更に別の有利な更なる構成において、少なくとも1つの前記調節要素は、軸として形成されている。
このことは有利である。何故ならば、軸として形成されている調節要素は、特に簡単な且つ強靭な構造を有しているからである。それに加えて、この軸が、場所を取らず且つ少ない経費で、空気供給装置の、それぞれの吸込み管端部分において配置されているそれぞれの軸受けにおいて、回転可能に支承されていることは可能である。
【0018】
本発明の第2の観点は、本発明の第1の観点に従う空気供給装置を有する内燃機関に関する。
この内燃機関において、燃焼エンジン的な作動の際の複数のシリンダーへの均等な空間供給は達成され得、且つ、存在する構造空間が特に有効に利用され得る。
【0019】
本発明の有利な更なる構成において、前記内燃機関は、少なくとも2つのシリンダーバンクを備えており、および、前記シリンダーの内の少なくとも1つのシリンダーが、前記シリンダーバンクのそれぞれ1つのシリンダーバンクに割り当てられている。
これらシリンダーバンクが、互いに適宜のバンク角度を成しており、従って、内燃機関が、例えばV字型エンジンとして形成されていることは可能である。このバンク角度に依存せずに、この空気供給装置を用いてのそれぞれのシリンダーへの有利な空気供給は、保証されている。
有利には、この内燃機関が、例えば水平対向エンジンとして形成されていることは可能である。このことは有利である。何故ならば、この内燃機関のシリンダーが、このことによって、いわゆる水平対向配置において、および、これに伴って、互いに向かい合って位置するように、即ち180°のバンク角度において配置されていることは可能であり、このことによって、この内燃機関が特に少ない構造高さを有することは可能であるからである。
【0020】
本発明の第3の観点は、本発明の第1の観点に従う空気供給装置、及び/または、本発明の第2の観点に従う内燃機関を有する原動機付き車両、特にオートバイに関する。
原動機付き車両のこの内燃機関において、燃焼エンジン的な作動における複数のシリンダーへの均等な空気供給が達成され得、且つ、存在する構造空間が、特に有効に利用され得る。内燃機関のそれぞれのシリンダーが、横たわって、且つ、このことによって、原動機付き車両の長手延在方向と横延在方向とにおいて延在する平面内において配置されていることは可能である。
この平面内において、内燃機関の、それぞれのシリンダーに割り当てられているそれぞれのピストンは、行ったり来たり移動可能であり、このことによって、この内燃機関が、この平面内に対して垂直方向に整向された、原動機付き車両の高さ延在方向において、特に少ない構造空間しか必要としない。特に有利には、原動機付き車両が、オートバイとして形成されていることは可能であり、このオートバイにおいて、シリンダーのこの様式で横たわった配置は、特に構造空間を節約する効果を現す。
【0021】
これら観点の内の1つの観点に関して提示された、有利な実施形態、および、これら実施形態の利点は、相応して、本発明のそれぞれの他の観点に適用され、および、その逆もまたその通りである。
【0022】
前記でこの明細書内において述べられた特徴および特徴の組み合わせ、並びに、以下で図の説明内において述べられる、及び/または、図内において単独に示される特徴および特徴の組み合わせは、本発明の範囲を離れること無しに、それぞれに提示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせまたは単独の状態においても使用可能である。
【0023】
本発明の、更なる利点、特徴、および、詳細は、請求の範囲、有利な実施形態の以下の説明から、並びに、図に基づいて与えられる。
【0024】
以下で、本発明を、再度、具体的な実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】強度に抽象化されて図示された内燃機関の、概略的に図示された空気供給装置の透視図であり、その際、この内燃機関が、強度に抽象化されて図示された、オートバイとして形成された原動機付き車両内において配置されている。
図2】空気供給装置の概略的な透視図であり、この空気供給装置において、この空気供給装置の空気収集器が断面図において示されており、且つ、空気供給装置の2つの吸込み管のそれぞれの吸込み管端部分が、空気収集器の互いに向かい合って位置する空気収集器壁領域において、この空気収集器と結合されており、および、この空気収集器の空気収集器内側室内に挿入されている。
図3図2内において破線で描かれて取り囲まれた領域Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、強度に抽象化された図示において、原動機付き車両Kを示しており、この原動機付き車両が、今ここで問題になっている当該のケースにおいて、オートバイとして形成されている。原動機付き車両Kは、同様に抽象化され且つ今ここで問題になっている当該のケースにおいて、点線において並びに部分的に図示された内燃機関100を備えており、この内燃機関が、水平対向エンジンとして形成されており、且つ、空気供給装置10を備えている。
原理的に、内燃機関100が、少なくとも2つのシリンダーバンクを備えていることは可能であり、これらシリンダーバンクが、基本的に互いに適宜のバンク角度を成している。シリンダー102、104のそれぞれ1つのシリンダーは、その際、同様に図1に基づいても認識可能であるように、これらシリンダーバンクのそれぞれ1つのシリンダーバンクに割り当てられている。
【0027】
内燃機関100は、2つのシリンダー102、104、即ち第1のシリンダー102と第2のシリンダー104とを備えており、これらシリンダーが、水平対向配置において、および、これに伴って互いに向かい合って位置するように、180°のバンク角度において配置されている。シリンダー102、104は、横たわって配置されており、その理由で、これらシリンダー102、104のそれぞれの(示されていない)シリンダー中心軸線が、原動機付き車両K、内燃機関100、および、空気供給装置10の長手延在方向xおよび横延在方向yにおいて延在する1つの平面内において位置している。
シリンダー102、104に割り当てられた、今ここで問題になっている当該のケースにおいて見通しの理由からしかしながら更に図示されていない、内燃機関100のそれぞれのピストンは、内燃機関100の燃焼エンジンの作動の際に、この平面内において、および、シリンダー中心軸線に沿って移動する。
【0028】
長手延在方向xは、同様に横延在方向yも、今ここで問題になっている当該のケースにおいて、図1内におけるそれぞれの矢印によって明瞭に示されている。原動機付き車両K、内燃機関100、および、空気供給装置10の高さ延在方向zは、この平面に対して垂直に整向されている。
【0029】
空気供給装置10は、今ここで問題になっている当該のケースにおいて、2つの流入チャネル30、32、即ち第1の流入チャネル30と第2の流入チャネル32とを備えている。これら流入チャネル30、32は、同様にエアインテークシュノーケルとも称され得る。
それに加えて、空気供給装置10は、フィルター容器24を備えており、このフィルター容器内において、更には示されていない且つ今ここで問題になっている当該のケースにおいてエアフィルターとして形成されている、フィルター要素が収容されている。更に、空気供給装置10は、空気収集器20を備えている。
内燃機関100に空気供給のために、原動機付き車両K、内燃機関100、および、空気供給装置10の周囲環境からの空気は、流入チャネル30、32を介して、および、これら流入チャネル30、32に割り当てられていることが可能である今ここで問題になっている当該のケースにおいて更に示されていない流入開口部を通り抜けて、少なくとも間接的に、図2および図3内において認識可能な、空気収集器20の空気収集器内側室22内へと到達する。
【0030】
この空気は、今ここで問題になっている当該のケースにおいて、(示されていない)流入開口部を介して、先ず第一に空気収集器20内へと到達し、且つ、フィルター要素を通り抜けて、および、空気収集器20の浄化空気領域26内へと流入し、この浄化空気領域が、長手延在方向xにおいてフィルター容器24に後接続されている。
浄化空気領域26から、フィルター要素を用いてろ過された空気は、空気収集器20の取出し領域28内へと到達する。浄化空気領域26は、今ここで問題になっている当該のケースにおいて、長手延在方向xにおいてフィルター容器24と取出し領域28との間に位置する。空気収集器内側室22が、浄化空気領域26と取出し領域28とにわたって延在していることは可能である。
【0031】
それに加えて、空気供給装置10は、2つの吸込み管40、50、即ち、第1の吸込み管40と第2の吸込み管50とを備えている。これら吸込み管40、50は、取出し領域28において、空気収集器20と結合されており、且つ、それぞれに内燃機関100の燃焼エンジン的な作動の間じゅうの、それぞれのシリンダー102、104の空気供給のために利用される。この燃焼エンジン的な作動の際に、シリンダー102、104に割り当てられているそれぞれの(示されていない)燃焼室に、吸込み管40、50を介して、燃料の燃焼のためおよびこれに伴ってピストンの移動のための空気は、供給され得る。
ガス交換サイクルの実施のためにそれぞれのシリンダー102、104に割り当てられている、内燃機関100の断続的に開放および閉鎖するそれぞれの吸気バルブと排気バルブは、同様に見通しの理由から、今ここで問題になっている当該のケースにおいて、更に図示されていない。
【0032】
第1のシリンダー102は、第1の吸込み管40を介して、空気収集器20と結合されており、他方、第2のシリンダー104が、第2の吸込み管50を介して、この空気収集器20と結合されている。
【0033】
存在する構造空間の特に有利な利用は、例えば、吸込み管40、50が、横延在方向yにおいて互いに向かい合って位置して配置されており、且つ、それに応じて、横延在方向yにおいて互いに向かい合う、空気収集器20の空気収集器壁領域34、36において、空気収集器20と結合されていることによって与えられる。
第1の吸込み管40は、その際、第1の空気収集器壁領域34と、および、第2の吸込み管50が第2の空気収集器壁領域36と結合されている。
【0034】
第1の吸込み管40は、第1の吸込み管内側室41と、第1の吸込み管部分46と、および、第1の吸気開口部44を有し前記第1の吸込み管部分と特に1つの部分から成るように少なくとも間接的に結合されている第1の吸込み管端部分42とを有している。第2の吸込み管50は、第2の吸込み管内側室51と、第2の吸込み管部分56と、および、第2の吸気開口部54を有し前記第2の吸込み管部分と特に1つの部分から成るように少なくとも間接的に結合されている第2の吸込み管端部分52とを有している。
吸込み管40、50のそれぞれの吸込み管部分46、56は、それぞれに、空気収集器内側室22の外側で延びており、他方、これら吸込み管40、50の吸込み管端部分42、52が、空気収集器内側室22の内側で延びている。
【0035】
吸気開口部44、54を介して、(前もってろ過された)空気は、空気収集器20の空気収集器内側室22から、それぞれの吸込み管40、50のそれぞれの吸込み管内側室41、51内へと導入され得、且つ、吸込み管内側室41、51を介してそれぞれのシリンダー102、104に供給され得る。
【0036】
図2および図3内において認識可能であるように、吸込み管40、50のそれぞれの吸込み管端部分42、52は、空気収集器内側室22内において終端している。更に、吸込み管端部分42、52は、図3内における二方向矢印によって明瞭に示されている方向Rにおいて、共通のオーバーラップ領域12において重なり合っている。この方向Rは、今ここで問題になっている当該のケースにおいて、それぞれの吸込み管端部分42、52の半径延在方向に相応する。
同様に図2および図3に基づいて認識可能であるように、この方向Rが、一般的に、第1の吸込み管端部分42の第1の中心軸線43に対して垂直に、および、第2の吸込み管端部分52の第2の中心軸線53に対して垂直に整向されていることは可能である。
【0037】
図2図3とは、同様に、第1の吸気開口部44と第2の吸気開口部54とが互いに反対の方に向けられていることを示している。第1の吸気開口部44は、その際、第2の空気収集器壁領域36の方に向けられており、即ち第2の空気収集器壁領域36へと開口されており、他方、第2の吸気開口部54が、第1の空気収集器壁領域34の方に向けられており、即ち第1の空気収集器壁領域34へと開口されている。
それぞれの吸気開口部44、54のこの整向によって、それぞれの吸込み管40、50の間の相互作用が、特に有利な方法で防止されることは可能である。
【0038】
図2および図3内において、空気収集器内側室22内において配置された、空気供給装置10の絞り要素60、62、即ち、第1の絞り要素60と第2の絞り要素62が、切断されて図示されている。第1の絞り要素60は、その際、第1の吸込み管40に割り当てられており、他方、第2の絞り要素62が、第2の吸込み管50に割り当てられている。
【0039】
絞り要素60、62は、今ここで問題になっている当該のケースにおいて、それぞれの絞り弁として形成されており、且つ、吸込み管40、50を介してシリンダー102、104に供給可能なそれぞれの空気量の調節のために利用される。絞り要素60、62は、それぞれに軸として形成された調節要素70と連結されている。
調節要素70は、絞り要素60、62と同様に空気収集器内側室22内において配置されており、且つ、少なくとも2つの軸受け72、74、即ち、第1の軸受け72と第2の軸受け74を介して、回転可能に支承されている。第1の軸受け72が、第1の吸込み管端部分42と結合されていることは可能であり、他方、第2の軸受け74が第2の吸込み管端部分52と結合されていることは可能である。
【0040】
今ここで問題になっている当該のケースにおいて、空気供給装置10または内燃機関100の、場合によっては有り得る、それら操作要素を用いて調節要素70が操作され得る該操作要素は、更に示されていない。これら操作要素は、-調節要素70の純粋に機械的または電気的な操作が、行われるべきかどうかによって-、幾つかの例示を挙げることのために、例えば、レバー、引張りケーブルとして、または、電気モーターとして形成されていることは可能である。
【0041】
調節要素70の位置調節、今ここで問題になっている当該のケースにおいて回転によって、この調節要素70と連結されている絞り要素60、62は、共に、且つ、その際に同期的に、この調節要素70を用いて位置調節され得る。
図2および図3内において、絞り要素60、62は、確かに切断されて図示されているが、しかしながら、これら絞り要素60、62が、それぞれに、閉鎖位置において位置することは認識可能であり、この閉鎖位置において、特に少ない空気量が、それぞれの絞り要素60、62の傍らを通って、シリンダー102、104への方向に流動可能である。
調節要素70(ここで:軸)の回転によって、絞り要素60、62は、無段式に、閉鎖位置と、今ここで問題になっている当該のケースにおいて更に示されていない開放位置との間で位置調節され得、および、その際に旋回され得、この開放位置において、相応してより多くの空気量がそれぞれの絞り要素60、62の傍らを通って、シリンダー102、104への方向に流動可能である。
【0042】
空気供給装置10は、一般的に、内燃機関100のガス交換サイクル制御のための装置を具現する。
そのことが例えば旧来の、高性能のオートバイにおいて当てはまるような状況にある絞り弁(ここで:絞り要素60、62)を、内燃機関100のシリンダーヘッドの近傍において、特に吸気接続用パイプにおいて配置することの代わりに、今ここで問題になっている当該のケースにおける空気供給装置10の絞り要素60、62が、上記の代わりに、空気収集器内側室22内において配置されており、このことによって、これら絞り要素60、62の配置によって引き起こされる、このオートバイ(原動機付き車両K)の運転者の障害が回避され得る。
それに加えて、空気供給装置10において、絞り要素60、62の共通の位置調節は、唯一の調節要素70(ここで:軸)によって行われ得る。絞り要素60、62は、別個に、しかしながら共通の軸によって位置調節され得、即ち開放および閉鎖され得、その際、それぞれの吸込み管内側室41、51を通って流動する(ろ過された)空気の長い吸込み道程と、および、これに伴って、個々のシリンダー102、104の相互作用とが回避され得る。
従来技術から公知のシステムにおいて、それに反して、それぞれの絞り弁に、それぞれに、1つの調節装置が割り当てられており、このことに伴って、それぞれの絞り弁の手間暇がかかる操作が同時に現れる。
【0043】
空気収集器内側室22内での、および、これに伴って、同様に内燃機関100の吸気設備とも称され得る空気供給装置10の部材としての空気収集器20の内側での、絞り要素60、62の配置によって、総じて、オートバイの運転者の脚自由性の制限は減少され得る。
【符号の説明】
【0044】
10 空気供給装置
12 オーバーラップ領域
20 空気収集器
22 空気収集器内側室
24 フィルター容器
26 浄化空気領域
28 取出し領域
30 第1の流入チャネル
32 第2の流入チャネル
34 第1の空気収集器壁領域
36 第2の空気収集器壁領域
40 第1の吸込み管
41 第1の吸込み管内側室
42 第1の吸込み管端部分
43 第1の中心軸線
44 第1の吸気開口部
46 第1の吸込み管部分
50 第2の吸込み管
51 第2の吸込み管内側室
52 第2の吸込み管端部分
53 第2の中心軸線
54 第2の吸気開口部
56 第2の吸込み管部分
60 第1の絞り要素
62 第2の絞り要素
70 調節要素
72 軸受け
74 軸受け
100 内燃機関
102 第1のシリンダー
104 第2のシリンダー
K 原動機付き車両
R 方向
x 長手延在方向
y 横延在方向
z 高さ延在方向
図1
図2
図3
【国際調査報告】