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特表2023-540200マルチスペクトル幾何学的キャリブレーションのためのターゲット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】マルチスペクトル幾何学的キャリブレーションのためのターゲット
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20230914BHJP
【FI】
H04N23/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512438
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 IL2021051008
(87)【国際公開番号】W WO2022038606
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/066,844
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523057611
【氏名又は名称】フォーサイト オートモーティヴ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー,モーシェ
(72)【発明者】
【氏名】ブロシュ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤルデン,シャクド
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA16
5C122EA01
5C122FA18
5C122GE24
5C122GE26
5C122HA81
5C122HB01
(57)【要約】
IRカメラユニットのターゲットおよびキャリブレーション方法が開示される。ターゲットは、実質的に平坦な金属プレートであって、第1の表面がN9~N10の表面粗さを有するような金属プレートと、第1の表面に塗布されたポリマーインクから作製されたパターンとを含み得る。該方法は、カメラユニットに含まれるIRカメラから、赤外線スペクトルで撮影されたターゲットの画像を受信するステップと、カメラに関連し画像を形成するパラメータを抽出するステップと、抽出された第1のパラメータに基づいてカメラを較正するステップとを含み得る。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチスペクトル幾何学的キャリブレーションのためのターゲットであって、
(a)実質的に平坦な金属プレートであって、第1の表面がN9~N10の表面粗さを有する金属プレートと、
(b)前記第1の表面上に塗布されたポリマーインクから作製されたパターンと
を備えるターゲット。
【請求項2】
前記金属プレートは、アルミニウム合金から作製される、請求項1に記載のターゲット。
【請求項3】
前記平坦な金属プレートの第2の表面に取り付けられた少なくとも1つの加熱要素をさらに備える、請求項1または請求項2に記載のターゲット。
【請求項4】
前記平坦な金属プレートの第2の表面に取り付けられた加熱要素のアレイを備える、請求項3に記載のターゲット。
【請求項5】
前記加熱要素を制御して前記ターゲットを加熱するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項3または請求項4に記載のターゲット。
【請求項6】
前記コントローラは、前記加熱要素を制御して前記ターゲットを室温よりも1℃~5℃高い温度に加熱するように構成される、請求項5に記載のターゲット。
【請求項7】
前記第1の表面は、0.1未満の放射率を有することを特徴とし、前記パターンは、0.8超の放射率を有することを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項8】
前記パターンは、異なる色を有する少なくとも2つの要素を備える、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項9】
第1の要素は、第1のグレーレベルを特徴とし、第2の要素は、第1のグレーレベルより暗い第2のグレーレベルを特徴とする、請求項8に記載のターゲット。
【請求項10】
第1の要素は、第1の色を特徴とし、第2の要素は、前記第1の色とは異なる第2の色を特徴とする、請求項8に記載のターゲット。
【請求項11】
IRカメラユニットのキャリブレーション方法であって、
前記カメラユニットに含まれる第1のIRカメラから、赤外スペクトルで撮影されたターゲットの第1の画像を受信するステップと、
前記第1のカメラに関連し前記第1の画像を形成する第1のパラメータを抽出するステップと、
前記抽出された第1のパラメータに基づいて、前記第1のカメラを較正するステップと
を含み、
前記ターゲットは、
(a)実質的に平坦な金属プレートであって、第1の表面がN9~N10の表面粗さを有する金属プレートと、
(b)前記第1の表面上に塗布されたポリマーインクから作製されたパターンと
を備える、キャリブレーション方法。
【請求項12】
前記カメラユニットに含まれる第2のIRカメラから、赤外線スペクトルで撮影された前記ターゲットの第2の画像を受信するステップと、
前記第2のカメラに関連し前記第2の画像を形成する第2のパラメータを抽出するステップと、
前記抽出された第1のパラメータおよび前記抽出された第2のパラメータに基づいて、前記第1のカメラおよび前記第2のカメラを較正するステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記IRスペクトルは、NIR、SWIR、MWIRおよびLWIRを含む、請求項11または請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ターゲットを室温よりも1℃~5℃高い温度に加熱するステップをさらに含む、請求項11~請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ターゲット全体にわたる温度偏差は、0.5℃未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記前記ターゲット内のパターンは、異なる色を有する少なくとも2つの要素を含み、前記方法は、
前記ターゲットを少なくとも2つの異なる温度に加熱するステップと、
前記少なくとも2つの異なる温度で撮影された前記ターゲットの画像を受信するステップと、
前記画像内の前記少なくとも2つの要素間の変化を識別するステップと、
前記識別された変化に基づいて前記カメラを較正するステップと
をさらに含む、請求項11~請求項15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年8月18日に出願された米国特許第63/066844号の優先権の利益を主張するものである。この特許の内容は参照により本願明細書に援用される。
【0002】
本発明は、全般的には、マルチスペクトルキャリブレーションに関する。より具体的には、本発明は、マルチスペクトル幾何学的キャリブレーションのためのターゲットに関する。
【背景技術】
【0003】
カメラは、高分解能で正確なデータをキャプチャするために利用可能な最も精密な機器である。人間の目と同様に、カメラは、レーダ、超音波、およびレーザを含む、他のセンサが照合させることができないような細部を有するシーンの分解能、詳細、および鮮明さをキャプチャする。
【0004】
製造プロセスに起因して、多くの収差がセンサの画質を乱す可能性がある。これらの収差は、歪み、焦点ぼけ、および画質に影響を及ぼし得るほとんどの任意の他のパラメータであり得る。これは、全てのスペクトル帯域においてデータをキャプチャする全てのタイプのカメラまたはセンサ、特に、典型的には可視LWIRスペクトル(0.4μm~14μm)の範囲にある撮像センサに言えることである。
【0005】
これらの製造および組立の差異および誤差を補正するために、各撮像センサにおいて一連のテストおよびキャリブレーション(とりわけ、レンズ焦点合わせ、鮮明度テスト、MTFを使用したレンズ品質テスト、1つのセンサ(内部)および互いに幾何学的に較正された2つ以上のセンサ(外部)の幾何学的キャリブレーション、ならびにダイナミックレンジテストを含む)を実行する必要がある。
【0006】
上記の各プロセスは周知であり、可視光撮像装置のために、これまで長年にわたって開発されてきた。過去数十年以内で、0.7μm(700nm)~14μm(14000nm)のスペクトルにおいて、NIR(近赤外)、SWIR(短波赤外)、MWIR(中波赤外)およびLWIR(長波赤外)で始まる他の波長において画像をキャプチャすることを可能にする新しいタイプの撮像装置が開発されている。
【0007】
新しい技術の製造は、どのように製造し、センサを用いて情報をキャプチャするかだけでなく、どのように撮像システムを合焦させまたは較正し、それらをテストするかという課題を提起する。波長が長いほど、撮像システムの全ての標準化された周知のプロセスを実行するのは容易ではない。
【0008】
例えば、幾何学的キャリブレーションは、既存の単眼および多視点幾何ベースのコンピュータビジョンアルゴリズムおよびアプリケーションにおいて必要である。製造プロセスに起因して、歪みがカメラに導入され、物体が画像上で歪んで見えるようになる。レンズ歪みは、ピクセルが画像の境界に近づくにつれて増大する。このような光学的歪みは、3次元(3D)対象点と2次元(2D)像点との間の不正確な変換マップにつながる。幾何学ベースビジョンでは、正確な3Dから2Dへのマッピングが必要とされる。したがって、幾何学的キャリブレーションは、アルゴリズムおよびアプリケーションの精度および性能に直接影響を及ぼす重要なステップである。コモングラウンドのディスカッションのために光学システム(センサおよびレンズ)の全ての幾何学的測光パラメータをテストし、既知のターゲットに対して撮像システムを較正することによって補正計算を適用する必要がある。これらのテストおよびキャリブレーションの多くは周知であり、特に可視光撮像システムにおいて数十年にわたって実施されてきた。
【0009】
従来技術のターゲットおよびキャリブレーション方法のいくつかの具体例を図1図5に示す。
【0010】
図1は、標準キャリブレーションチェッカーボードターゲット23の図である。
【0011】
可視光撮像システムは、白色領域1と黒色領域2との間のコントラスト差を検出し、そのことによりコーナー検出アルゴリズムが製造および組立プロセスにおける幾何学的収差および誤差を較正することが可能になる。
【0012】
図2は、標準MTFターゲットの図である。
【0013】
可視光撮像システムは、白色領域3と黒色領域4との間のコントラスト差を検出し、そのことにより変調伝達関数(MTF)アルゴリズムが撮像システムの分解能、空間周波数、および鮮明度を計算することが可能になる。
【0014】
図3は、標準合焦ターゲットの図である。
【0015】
可視光撮像システムは、白色領域5と黒色領域6との間のコントラスト差を検出し、そのことにより焦点および鮮明度アルゴリズムが撮像システムの理想的な焦点を計算することが可能になる。
【0016】
図4Aおよび図4Bは、標準チェッカーボードターゲットのLWIRサーマルカメラ(図4B)と可視光カメラ(図4A)とのコーナー鮮明度の比較を示す図である。
【0017】
ボール紙または他の材料上に印刷された標準チェッカーボードターゲットを使用する場合、可視光撮像システムは、ピクセルおよびサブピクセル精度7まで正確なコーナーを検出および計算することができるが、LWIRカメラは、黒色および白色の正方形の正確なコーナーを区別することができず、したがって、正確なコーナー検出の統計的誤差につながり、不正確な幾何学的キャリブレーション補正8をもたらす。これは、黒色領域2および白色領域1が異なる放射率特性を有し、投光照明でまたは太陽の下でしばらく加熱されて、黒色領域2と白色領域1との間に温度差が生じる場合であっても同じである。
【0018】
図5Aおよび図5Bは、可視光カメラ(図5A)およびLWIRサーマルカメラ(図5B)で撮影されたMTFボール紙ターゲットの例示的な画像である。ボール紙または他の材料上に印刷された標準MTFターゲットを使用する場合、可視光撮像システムは、極めて正確かつ精密な撮像システムの分解能、空間周波数9、および鮮明度を有する。しかしながら、図5Bに示すように、LWIRカメラは、高空間周波数10において黒線を白線と区別することができず、したがって、統計的誤差につながり、LWIR撮像システムの非理想的な焦点、分解能テストおよび空間周波数特性をもたらす。これは、黒色領域4および白色領域3が異なる放射率特性を有し、投光照明でまたは太陽の下でしばらく加熱されて、黒色領域4と白色領域3との間に温度差が生じる場合であっても同じである。
【0019】
したがって、MWIRおよびLWIRのような非可視光撮像システムに対して可視光カメラのための既知の方法およびターゲットを適用することは、非実用的である。スペクトル応答は、通常のキャリブレーションターゲットとテストターゲットとの間で異なるので、良好な応答および正確な結果を受信するために材料の複数の解決策を組み合わせる必要があり、同時に、周囲環境(キャプチャされた画像のコントラストを損なう、さらに完全に使用不可能なデータおよび情報をもたらす可能性もある)からの望ましくない反射を排除する必要がある。
【0020】
マルチスペクトル幾何学的カメラユニットのキャリブレーションおよびテストの背後にある課題は、対象となる全ての波長帯において同時に十分な画像コントラストを生成するキャリブレーションターゲットを有することにある。環境条件(温度、湿度、照明、風、反射など)が時間とともに変化する屋外でキャリブレーションを行わなければならない場合、状況はさらに複雑になる。幾何学的キャリブレーションを実行するために、全てのセンサによって生成された画像において、ターゲットの特徴が抽出され、位置特定されなければならない。コントラスト(またはSNR)が良好であるほど、キャリブレーションターゲット特徴の位置特定が良好であり、画像の空間照合がより正確である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、可視光カメラの同時キャリブレーションに使用することができる、IRカメラを較正するための安価で製造しやすいターゲットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のいくつかの態様は、マルチスペクトル幾何学的キャリブレーションのためのターゲットであって、
(a)実質的に平坦な金属プレートであって、第1の表面がN9~N10の表面粗さを有する金属プレートと、
(b)第1の表面上に塗布されたポリマーインクから作製されたパターンと
を備えるターゲットを対象とし得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、金属プレートはアルミニウム合金から作製される。いくつかの実施形態では、ターゲットは、平坦な金属プレートの第2の表面に取り付けられた少なくとも1つの加熱要素を含む。いくつかの実施形態では、ターゲットは、平坦な金属プレートの第2の表面に取り付けられた加熱要素のアレイを含む。いくつかの実施形態では、ターゲットは、加熱要素を制御してターゲットを加熱するように構成されたコントローラを含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、加熱要素を制御してターゲットを室温よりも1℃~5℃高い温度に加熱するように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の表面は、0.1未満の放射率を有することを特徴とし、パターンは、0.8超の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態では、パターンは、異なる色を有する少なくとも2つの要素を含む。 いくつかの実施形態では、第1の要素は、第1のグレーレベルを特徴とし、第2の要素は、第1のグレーレベルより暗い第2のグレーレベルを特徴とする。いくつかの実施形態では、第1の要素は第1の色を特徴とし、第2の要素は、第1の色とは異なる第2の色を特徴とする。
【0025】
本発明のいくつかの追加の態様は、IRカメラユニットのキャリブレーション方法であって、カメラユニットに含まれる第1のIRカメラから、赤外線スペクトルで撮影されたターゲットの第1の画像を受信するステップと、第1のカメラに関連し第1の画像を形成する第1のパラメータを抽出するステップと、抽出された第1のパラメータに基づいて第1のカメラを較正するステップとを含む方法を対象とし得る。いくつかの実施形態では、ターゲットは、実質的に平坦な金属プレートであって、第1の表面がN9~N10の表面粗さを有する金属プレートと、第1の表面に塗布されたポリマーインクから作製されたパターンとを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、該方法は、カメラユニットに含まれる第2のIRカメラから、赤外線スペクトルで撮影されたターゲットの第2の画像を受信するステップと、第2のカメラに関連し第2の画像を形成する第2のパラメータを抽出するステップと、抽出された第1のパラメータおよび抽出された第2のパラメータに基づいて、第1のカメラおよび第2のカメラを較正するステップとをさらに含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、IRスペクトルは、NIR、SWIR、MWIRおよび/またはLWIRを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、該方法はさらに、ターゲットを室温よりも1℃~5℃高い温度に加熱するステップを含む。いくつかの実施形態では、ターゲット全体にわたる温度偏差は0.5℃未満である。
【0029】
いくつかの実施形態では、ターゲット内のパターンは、異なる色を有する少なくとも2つの要素を含み、該方法はさらに、ターゲットを少なくとも2つの異なる温度に加熱するステップと、少なくとも2つの異なる温度で撮影されたターゲットの画像を受信するステップと、画像内の少なくとも2つの要素間の変化を識別するステップと、識別された変化に基づいてカメラを較正するステップとを含む。
【0030】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明は、添付図面と併せて解読されたときに、構成および操作方法の両方に関して、その目的、特徴、および利点とともに、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来技術のキャリブレーションチェッカーボードターゲットの図である。
図2】従来技術のMTFターゲットの図である。
図3】従来技術の合焦ターゲットの図である。
図4A-4B】従来技術のチェッカーボードターゲットのLWIRサーマルカメラ(図4B)のコーナー鮮明度と可視光カメラ(図4A)のコーナー鮮明度との比較を示す図である。
図5A-5B】可視光カメラおよびLWIRサーマルカメラを用いたMTFボール紙ターゲットの従来技術の画像の図である。
図6A-6B】本発明のいくつかの実施形態に係る、可視光カメラおよびIRサーマルカメラを使用して金属プレート上に印刷されたMTFターゲットの画像の図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態に係るアルミニウムプレートの図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態に係る、アルミニウムプレートの裏側に加熱要素を備えるシステムの図である。
図9】本発明のいくつかの実施形態に係る、異なる温度コントローラに接続された複数の加熱要素を備えるシステムの図である。
図10A】本発明のいくつかの実施形態に係る、キャリブレーションターゲットを備えるシステムの図である。
図10B】本発明のいくつかの実施形態に係る、IRカメラユニットを較正する方法のフローチャートである。
図11】本発明のいくつかの実施形態に係る、室温より高い温度に加熱されていないときの図10Aの熱IR画像の図である。
図12】本発明のいくつかの実施形態に係る、室温より高い温度に加熱された図10Aの熱IR画像の図である。
図13】本発明のいくつかの実施形態に係る、IRサーマルカメラと可視光カメラとの間で同時に行われる外部キャリブレーションプロセスの図である。
図14】本発明のいくつかの実施形態に係る、サーマルカメラによってキャプチャされた画像を示す図である。
図15】本発明のいくつかの実施形態に係る、特別な研磨仕上げおよび加熱要素を伴う提案キャリブレーションターゲットのサーマルカメラおよび可視光カメラによってキャプチャされた画像を示す図である。
図16】本発明のいくつかの実施形態に係る、ダイナミックレンジテストターゲットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
説明を簡単かつ明確にするために、図に示される要素は、必ずしも原寸に比例して描かれていないことが理解されよう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確にするために他の要素に対して誇張されている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、参照番号は、対応する要素または類似の要素を示すために複数の図面において繰り返され得る。
【0033】
当業者は、本発明が、その趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得ることを理解するであろう。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載される本発明を限定するものではなく、あらゆる点で例示であると見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内に入る全ての変更は、その中に包含されるものとする。
【0034】
以下の詳細な説明において、本発明を十分に理解することができるように、多くの具体的詳細を説明する。しかしながら、本発明がこれらの具体的詳細なしに実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の事例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および構成要素は詳細に説明されていない。一実施形態に関して説明されるいくつかの特徴または要素は、他の実施形態に関して説明される特徴または要素と組み合わせられてもよい。明確にするために、同じまたは類似の特徴または要素の説明は繰り返されない場合がある。
【0035】
本発明のいくつかの態様は、可視光から長波赤外(LWIR)(例えば、0.4μm~14μm)までの波長で画像をキャプチャするように構成された多種多様なカメラを較正するために使用され得る単一のキャリブレーションターゲットに関連し得る。このようなターゲットは、可視光における異なるコントラスト視認性と、IR範囲についての放射率差とを有する必要がある。
【0036】
この問題を解決するために、比較的高い放射率(例えば、0.8超)を有する材料から作製されたパターンによって部分的に覆われた低い放射率(例えば、0.1未満)を特徴とする第1の表面を有するプレートから特殊なターゲットが作製された。さらに、第1の表面およびパターンは、2つの異なる色を有することによって可視的に(可視光において)区別され得る。したがって、表面上に印刷されたパターンは、例えば、第1の表面の温度上昇に応答して、可視光スペクトルおよびIRスペクトルの両方において検出され得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、IRスペクトルは、0.8~0.9μmの近IR(NIR)、0.9~2.5μmの短波IR(SWIR)、3~5μmの中波IR(MWIR)、および7~14μmのLWIRを含む。IRスペクトルは、0.8~14μmの波長を有する。
【0038】
本明細書で使用される場合、可視光は、0.4~0.8μmの波長を有する光を含む。
【0039】
本発明者らが克服しなければならない主な障害は、鮮明で検出可能なエッジを生成することができるIRスペクトルにおける放射率差を有するパターンをどのように作成するかである。従来技術の方法は全て、テスト能力およびキャリブレーション能力に関して不十分であることが分かった。
【0040】
さらに、IRキャリブレーションのために高い放射率差を有する領域を生成するための従来技術は、可視光スペクトルおよびIRスペクトル(例えば、LWIR)における高反射領域をもたらす。一般的に、光沢のある材料は放射率が低く、光沢のない材料は放射率が高いので、放射率の差を生じさせると、必然的にターゲットの一部は光沢があって反射性を有することになる。
【0041】
さらに、ターゲットの視野上の他の物体または被写体からの反射もまた、低コントラストおよびさらに位相反転(「黒色」領域の一部が「白色」になり、逆もまた同様である)をもたらし得る。特に、キャリブレーションまたはテストが屋外または制御されていない環境で行われる場合、周囲からの全ての小さな反射を制御することは非常に困難であり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、これらの問題および障害を克服するために、N9~N10の表面粗さを特徴とする第1の表面を有する金属プレートから作製されたターゲットが提案された。非限定的な例では、艶消しアルミニウムバックボードが使用された。バックボードは、可視光を反射しないように粗く艶消しされた。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、N9~N10の粗さを有する表面が、人体、モニタ、さらには電球などの環境エミッタからのIR(例えば、LWIRさえも)反射を捕捉することを発見した。その結果、IRスペクトルにおいて反射のない低放射率ターゲット(例えば、0.1未満)が得られた。
【0043】
いくつかの実施形態では、ターゲットは、ポリマーインクから作製された任意の所望のパターンおよび/または色で印刷される。ポリマーインクは、非常に高い放射率(例えば、0.8超)を有し得る。非限定的な例では、艶消しアルミニウムバックボードの明るいグレー色と比較して、可視光におけるコントラストを有する黒色ポリマーインクが使用された。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の加熱要素が、プレートの背面(例えば、第2の表面)に取り付けられ得る。非限定的な例は、3次元(3D)印刷された加熱パッドを含み得る。1つまたは複数の加熱要素は、プレートを室温より0.5℃、1℃、1.5℃、2℃、2.5℃、3℃、3.5℃、4℃、4.5℃、5℃以上高い温度に加熱するように制御され得る。いくつかの実施形態では、より広い温度範囲が、熱スペクトルのダイナミックレンジテストに使用されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の要素は、プレートを均一に加熱し得る。例えば、第1の表面全体にわたる温度差は、0.5℃を超えなくてもよい。 いくつかの実施形態では、第1の表面全体にわたる温度差は、0.4℃を超えなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の表面全体にわたる温度差は、0.3℃を超えなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の表面全体にわたる温度差は、0.2℃を超えなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の表面全体にわたる温度差は、0.1℃を超えなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の表面全体にわたる温度差は、0.05℃を超えなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の表面全体にわたる温度差は、0.0.1℃を超えなくてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、導電性金属プレートはほぼ即座に加熱されるが、第1の表面の放射率は0に近く、その上に印刷されたインクの放射率は1(または100%)に近いので、サーマルIRカメラは、周囲環境からの反射なしに、印刷領域と背景プレートとの差を検出することができる。
【0047】
ここで、図6Aおよび図6Bを参照する。図6Aおよび図6Bは、可視光カメラ(図6A)およびIRサーマルカメラ(図6B)を使用した、金属プレート上に印刷された単一のMTFターゲットの画像の図である。ターゲット10は、実質的に平坦な金属プレート11を含み得る。金属プレート11は、N9~N10の表面粗さを有する第1の表面11aを含み得る。プレート11の図は、図7に関して図示され、説明されている。
【0048】
ターゲット10は、第1の表面上に塗布されたポリマーインク、例えば、図示されている標準USAF-1951 MTFから作製されたパターン13をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ターゲット10は、可視光カメラおよびIRサーマルカメラの両方を較正するために使用され得る。当業者は理解するように、標準USAF-1951 MTFは、単なる一例として示されており、本発明は、全体として、任意の好適なパターン、例えば、チェッカーボード、円形パターンなどを含む。ポリマーインクは、ポリマーマトリックスおよび顔料(例えば、黒色顔料)を含み得る。いくつかの実施形態では、インクの色(例えば、顔料)は、第1の表面11aとパターンとの間に可視スペクトルにおいて検出可能なコントラストを形成するように選択され得る。非限定的な例では、表面11aが明るいグレー色(例えば、艶消しアルミニウム合金)を有する場合、パターン13は、黒色顔料、青色顔料、赤色顔料などを含み得る。いくつかの実施形態では、パターン13は、図16に関して図示され、説明されるように、異なる色を有する少なくとも2つの要素を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.1未満の放射率を有することを特徴とし、パターン13は、0.8超の放射率を有することを特徴とする。
【0050】
いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.09未満の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.08未満の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.06未満の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.03未満の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.01未満の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.001未満の放射率を有することを特徴とする。
【0051】
いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.2未満の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、第1の表面11aは、0.15未満の放射率を有することを特徴とする。
【0052】
いくつかの実施形態において、パターン13は、0.7超の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、パターン13は、0.85超の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、パターン13は、0.9超の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、パターン13は、0.95超の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、パターン13は、0.98超の放射率を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、パターン13は、0.99超の放射率を有することを特徴とする。
【0053】
したがって、印刷領域と金属表面との放射率差により、ターゲットが室温であっても、IRカメラは、背景反射が画像を損なうことなく、パターンのぼやけた画像を検出することができる。
【0054】
図7は、本発明のいくつかの実施形態に係る金属プレート11の図である。金属プレート11は、任意の好適な金属を含み得る。非限定的な例では、プレートは、SAE 5052H-32、SAE 5056、SAE 5059、SAE 5083、SAE 5086、または任意の他の好適なアルミニウム合金を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面11aは、N9~N10a(例えば、6~12μMのRa)の表面粗さを有するように、艶消し、研磨、機械加工、取り付けなどが行われ得る。
【0055】
次に、図8を参照する。図8は、本発明のいくつかの実施形態に係る、カメラを較正するためのシステム50の図である。システム50は、金属プレートの第2の表面11bに取り付けられた1つまたは複数の加熱要素14をさらに備えるターゲット10を含み得る。加熱要素14は、ターゲット10を室温より1℃~5℃高い温度に加熱し得る任意の要素であり得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の要素14は、プレートを均一に加熱し得る。例えば、第1の表面11a全体にわたる温度差は、0.5℃を超えなくてもよい。
【0056】
図8に示す非限定的な例では、加熱パッド14は、任意の接着材料21を使用してプレート11の第2の表面11bに貼り付けられる/接着される。
【0057】
いくつかの実施形態では、システム50は、加熱要素を制御してターゲット10を加熱するように構成されたコントローラ15をさらに含み得る。1つまたは複数の加熱要素14は、ケーブル17を介してコントローラ15に接続され得る。コントローラ15はさらに、ケーブル22を介して電源に接続され得る。電源は、グリッドアウトレット19に接続可能なプラグ18またはバッテリ20から選択され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ15は、1つまたは複数の加熱要素14を制御してターゲットを室温より1℃~5℃高い温度に加熱するように構成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム50は、1つまたは複数の温度センサ(図示せず)を含み得る。温度センサは、ターゲット10の周囲の室温(例えば、周囲温度)を測定するために、1つまたは複数の場所でプレート11に取り付けられ得る、および/またはターゲット10の周囲に配置され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンサは、コントローラ15と無線または有線のいずれかで通信し得る。いくつかの実施形態では、コントローラ15は、1つまたは複数の温度センサから受信した測定値に基づいて1つまたは複数の加熱要素14を制御し得る。
【0059】
ここで、図9を参照する。図9は、ターゲット10が複数(例えば、4つ)の加熱要素14を備えるシステム50の図である。ターゲット10は、金属プレートの第2の表面11bに取り付けられた複数の加熱要素14を含み得る。いくつかの実施形態では、要素14は、プレートを均一に加熱し得る。例えば、第1の表面全体にわたる温度差は、0.5℃を超えなくてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、システム50は、各々が単一の加熱要素14を制御するように構成された複数のコントローラ15をさらに含み得る。あるいは、2つ以上の加熱要素14が接続され、単一のコントローラ15によって制御され得る。各加熱要素14は、ケーブル17を介してそれぞれのコントローラ15に接続され得る。いくつかの実施形態では、複数のコントローラ15はさらに、接合点22およびケーブル22を介して電源に接続され得る。電源は、グリッドアウトレット19に接続可能なプラグ18またはバッテリ20から選択され得る。
【0061】
ここで、図10Aを参照する。図10Aは、本発明のいくつかの実施形態に係るチェッカーボードキャリブレーションターゲット10を備えるシステム50の図である。図10Aのシステム50は、図8のシステム50と実質的に同じ構成要素を含み得る。ターゲット10上には、N9~N10の表面粗さを有するプレート11の第1の表面11a上に(例えば、ポリマーインクを使用して)標準チェッカーボードパターン23が印刷され得る。
【0062】
ここで、図10Bを参照する。図10Bは、本発明のいくつかの実施形態に係る、IRカメラユニットを較正する方法のフローチャートである。本明細書で使用される場合、カメラユニットは、少なくとも1つのカメラ、例えば、IRカメラを含むユニットを指すこともある。いくつかの実施形態では、カメラユニットは、2つのIRカメラ、1つのIRカメラおよび1つの可視光カメラ、2つのIRカメラおよび2つの可視光カメラなどを含み得る。
【0063】
ステップ110において、赤外線スペクトルで撮影されたターゲット10の第1の画像がカメラユニットに含まれる第1のIRカメラから受信され得る。例えば、図6Bに示す画像または画像25が図11に示すIRカメラ24から受信され得る。いくつかの実施形態では、ターゲット10は、例えば、図12に示すように、例えば、システム50の1つまたは複数の加熱要素14を使用して加熱され得、画像は、加熱後にキャプチャされ得る。いくつかの実施形態では、ターゲット全体にわたる温度偏差は0.5℃未満である。加熱後にIRカメラ24によってキャプチャされた画像26は、図11に示される画像25の白色領域1および黒色領域2と比較して、白色領域1と黒色領域2との間のより高いコントラストを有し得る。
【0064】
図10Bのフローチャートに戻ると、ステップ120において、第1のカメラに関連する第1のパラメータが、第1の画像から抽出され得る。例えば、レンズ合焦に関連するパラメータ、鮮明度に関連するパラメータ、MTFテストを使用して抽出されたレンズ品質に関連するパラメータ、カメラの幾何学的パラメータなどが、図11および図12に示す画像25および画像26などの画像から抽出され得る。
【0065】
ステップ130において、抽出された第1のパラメータに基づいて第1のカメラが較正され得る。例えば、第1のカメラ24は、画像25および/または画像26から抽出されたパラメータに基づいて較正され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、カメラユニット内の単一のカメラ(例えば、各カメラ)に対して行われる内部キャリブレーションに加えて、図13に示すように、2つ以上のカメラ間で外部キャリブレーションプロセスがさらに行われ得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、該方法は、カメラユニットに含まれる第2のIRカメラから、赤外線スペクトルで撮影されたターゲットの第2の画像を受信するステップをさらに含み得る。例えば、第2の画像28は、図13に示すように、第2のIRカメラ27によってキャプチャされ得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、第2のカメラに関連する第2のパラメータは第2の画像から抽出され得、第1のカメラおよび第2のカメラのキャリブレーションは、抽出された第1のパラメータおよび抽出された第2のパラメータに基づいて行われ得る。
実験結果
【0069】
ここで図14を参照する。図14は、本発明のいくつかの実施形態に係る、放射率差のみを使用して特別な研磨仕上げなしでキャリブレーションターゲットのサーマルカメラによってキャプチャされた画像を示す。標準キャリブレーションターゲット23の画像は、LWIR内のサーマルIRカメラで撮影された。黒色パターン13と研磨されていないアルミニウムプレートの第1の表面11aとの間の不明瞭なコントラストは、パターンを形成するインクと第1の表面との間の放射率の差に起因する。パターン13の領域2は、より高い放射率を有し、したがって、熱画像において白く見える。黒い領域1はアルミニウムプレート(研磨されていない)であり、放射率がより低く、したがって背景環境からの熱エネルギーを反射する。環境からの反射は、ボード全体にわたって顕著であり、正方形29のいくつかにおいて位相反転を引き起こし、画像がキャリブレーションおよびテスト目的で使用できなくなる。いくつかの実施形態において、放射率差のみでは、キャリブレーション品質コントラストを受信するのに十分ではない。この欠点を克服するために、ボードは、加熱ガン、投光ランプによって、または太陽の自然光にしばらく曝すことによって外部から加熱され得る。
【0070】
これらの加熱方法は、一時的な熱を付与する方法であり、この熱は急速に消えてしまうもので、加熱時間および材料が原因である。
【0071】
ここで図15を参照する。図15は、本発明のいくつかの実施形態に係る、キャリブレーションターゲットのLWIRのサーマルIRカメラ(左)および可視光カメラ(右)でキャプチャされた画像を示す。室温より2度高い温度に加熱された加熱要素を有するキャリブレーションターゲット23の画像は、IRサーマルカメラおよび可視光カメラの両方によって撮影された。IRサーマル熱カメラで撮影された画像のコントラストは、可視光カメラで撮影された画像のコントラストと同様に良好であった。両方の画像において、パターンのコーナーは、可視光画像(コーナー31)およびにサーマルカメラ画像(コーナー32)において検出され得る。このキャリブレーションターゲットおよびキャリブレーション方法は、環境条件に関係なく屋内および/または屋外で使用され得る。なぜなら、特別な金属バックボードは、可視からLWIRまでの波長のいずれにおいてもエネルギーの多くを反射しないからである。加熱は均一で連続的であり、他の波長に影響を与えない。
ダイナミックレンジテスト
【0072】
可視光カメラおよびサーマルカメラのダイナミックレンジをテストするために、ターゲットは、可視光カメラの標準ダイナミックレンジテストターゲットと全く同様に、異なる色コントラストを有し得る。加えて、複数の加熱要素が、プレート(例えば、プレート11)の背面に、着色領域と実質的に同じ位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、要素の各々は、異なる別個の温度に加熱され、マーキングされ得、これは、IRスペクトルにおいても大きなダイナミックレンジコントラストをもたらし得る。したがって、ダイナミックレンジは、IRおよび可視範囲において同時に測定され、テストされ得る。
【0073】
この技術は、可視光カメラ標準から採用される標準方法およびプロトコルを使用して、非常に高いコントラストおよび精度で、屋内または屋外のほとんど任意の条件下で、任意のカメラ(可視光、NIR、SWIR、MWIRおよびLWIR)のキャリブレーションまたはテストを可能にする。
【0074】
次に図16を参照する。図16は、本発明のいくつかの実施形態に係る、ダイナミックレンジテスト測定システムの図である。
【0075】
可視光および/またはサーマルIRカメラのダイナミックレンジテストが行われ、ターゲット33を使用してカメラ(複数可)の動的応答が同時にまたは別々に測定され得る。標準ダイナミックレンジシステムは、それぞれ異なる色またはグレーレベルで印刷された複数の印刷領域34を有するテストターゲット33を含み得る。印刷領域は、可視光カメラを較正するために使用され得る。いくつかの実施形態では、印刷領域は、ターゲット33の第1の表面33a上に印刷され得る。いくつかの実施形態において、第1の表面33aは、N9~N10の表面粗さを有し得る。いくつかの実施形態では、ターゲット33の第2の表面33b上で、複数の加熱要素14が、印刷領域34の位置に対応する位置に配置され得る。いくつかの実施形態では、各加熱要素14は、対応するコントローラ15によってターゲット33内の特定の領域を加熱するように別々に制御され得る。いくつかの実施形態では、全てのコントローラ15が電源18に接続され得る。いくつかの実施形態では、各領域の異なる温度は、対比IR画像を形成し得、印刷領域34の異なる色またはグレーレベルは、対比可視光画像を形成し得る。このようなターゲット33により、標準可視ダイナミックレンジテスト手順と同様のテスト方法を使用してIRスペクトルにおけるダイナミックレンジテストを行うことが可能になる。
【0076】
したがって、本発明の実施形態に係るターゲットにより、IRカメラおよび可視光カメラの両方の屋内(または屋外)テストを行うことが可能になる。カメラが同じ装置(例えば、車両)内に組み立てられる場合、同じ条件下で同じターゲットを使用して両方のタイプのカメラを同時に較正することにより、高品質の画像を受信することが可能になる。いくつかの実施形態では、同時に較正されたカメラによってキャプチャされた画像から集められた情報は、これらのカメラによってキャプチャされた被写体をより良くより正確に認識することができるように組み合わせられ得る。より具体的には、4つのカメラ、2つのIRサーマルカメラ、および2つの可視光カメラによって撮影された3D画像は、被写体、例えば、車両の進行方向に位置する被写体の画像認識を形成するために処理され得る。
【0077】
明示的に述べられていない限り、本明細書で説明される方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに制約されない。さらに、本明細書に記載される全ての方式は、例としてのみ意図され、他のまたは異なる方式が使用されてもよい。加えて、説明される方法の実施形態またはその要素のうちのいくつかは、同じ時点で発生してもよい、または実行されてもよい。
【0078】
本発明の特定の特徴について本明細書で例示および説明したが、当業者は、多くの修正、置換、変更、および均等物を思い付くであろう。したがって、添付の請求項は、本発明の真の趣旨の範囲内にあるこのような修正および変更の全てを網羅することを意図するものであることを理解されたい。
【0079】
様々な実施形態を提示した。これらの実施形態の各々は、当然ながら、提示される他の実施形態からの特徴を含んでもよく、具体的に説明されていない実施形態は、本明細書で説明されている種々の特徴を含んでもよい。
図1
図2
図3
図4A-4B】
図5A-5B】
図6A-6B】
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】