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▶ カナリー メディカル スウィッツァーランド アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】検出機能を備えた閉塞器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230914BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513323
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 US2021047390
(87)【国際公開番号】W WO2022046801
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/069,935
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/217,693
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】522327463
【氏名又は名称】カナリー メディカル スウィッツァーランド アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】アドラー マーク エイ
(72)【発明者】
【氏名】グロス ジェフリー エム
(72)【発明者】
【氏名】シラー ピーター ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C117
4C160
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB04
4C117XC21
4C117XD25
4C117XE05
4C117XE15
4C117XE16
4C117XE37
4C117XE52
4C117XE62
4C117XH02
4C160DD53
4C160DD62
4C160MM33
4C160NN04
(57)【要約】
植え込み型センサ組立体を血管構造中に送り込むシステム及び方法。センサ組立体は、患者の1つ以上の生理学的パラメータを検出してセンサデータを生成することができる。1つ以上の生理学的パラメータは、血管構造を通る血液の流れの指標となることができる。センサ組立体は、センサデータを受信器にワイヤレス送信することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植え込み型センサシステムであって、
患者の動脈瘤内に植え込み型センサを含み、前記センサは、前記患者の1つ以上の生理学的パラメータを検出してセンサデータを生成することができ、
前記センサと電気的連絡状態にあるアンテナを含み、前記アンテナは、前記患者の前記1つ以上の生理学的パラメータに関連したセンサデータを受信機に伝送し、前記アンテナは、デリバリシステム中に装填可能に圧縮可能であり、前記デリバリシステムからの放出時に拡張可能である、植え込み型センサシステム。
【請求項2】
前記アンテナは、センサデータを連続的に伝送する、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項3】
前記アンテナは、センサデータを間欠的に伝送する、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項4】
前記センサは、前記1つ以上の生理学的パラメータを連続的に検出する、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項5】
前記センサは、前記1つ以上の生理学的パラメータを間欠的に検出する、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項6】
前記センサに接合される繋留構造体をさらに含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項7】
前記アンテナは、前記センサを少なくとも部分的に包囲している、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項8】
前記アンテナは、白金、白金/イリジウム合金、及び/又はニチノールから成る、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項9】
前記アンテナは、単軸ループ、二軸ループ、又は球状ループから成る、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項10】
前記アンテナは、パリレンフィルム、金材料、及び/又は白金材料でコーティングされている、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項11】
前記アンテナは、動脈瘤内での前記センサの位置を安定化することができる、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項12】
前記患者内の植え込み型センサ組立体の位置を突き止めるために放射線不透過性マーカーをさらに含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項13】
前記センサは、分析物材料、分析物成分、及び/又は血液中のある特定の細胞相互作用もしくは交換又は血液相互作用もしくは交換により生じる副生成物に基づいて前記センサデータを生成する、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項14】
前記センサは、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、又は酸素センサから成る、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項15】
前記1つ以上の生理学的パラメータは、前記患者の前記血液中の酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースを含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項16】
前記センサは、圧力センサである、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項17】
前記1つ以上の生理学的パラメータは、運動情報を含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項18】
前記アンテナは、RF信号を送受信する、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項19】
前記センサを気密封止する封止層をさらに含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項20】
前記患者の血液と接触したときに溶解する溶解メンブレン層をさらに含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項21】
前記溶解メンブレン層は、前記溶解メンブレン層が溶解するときに凝血エンハンサを放出する、請求項20記載の植え込み型センサシステム。
【請求項22】
前記センサに電力を供給する電源をさらに含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項23】
前記電源は、充電式である、請求項22記載の植え込み型センサシステム。
【請求項24】
前記センサは、前記患者の外部に位置する電源によって電力供給可能である、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項25】
前記センサは、誘導センサである、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項26】
前記センサに電力を供給するスーパーキャパシタをさらに含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項27】
センサデータを記憶するメモリデバイスをさらに含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項28】
前記センサの場合とは異なる生理学的パラメータを検出することができる第2のセンサをさらに含む、請求項1記載の植え込み型センサシステム。
【請求項29】
キットであって、
請求項1記載の前記植え込み型センサシステムと、
前記植え込み型センサ組立体を血管構造中に放出することができるデリバリシステムと、を含む、キット。
【請求項30】
植え込み型センサシステムであって、
動脈瘤中に植え込み型センサを含み、前記センサは、患者の1つ以上の生理学的パラメータを検出してセンサデータを生成することができ、
前記センサと電気的連絡状態にあるアンテナを含み、前記アンテナは、前記患者の前記1つ以上の生理学的パラメータに関連した前記センサデータを受信機に伝送することができ、
前記動脈瘤中の前記センサの位置を維持するアンカー構造体を含む、植え込み型センサシステム。
【請求項31】
前記アンカー構造体は、前記センサとは別体であり、前記アンカー構造体は、植え込み時に前記センサに接触する、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項32】
前記アンカー構造体は、前記センサ及び/又は前記アンテナに直接的に又は間接的に結合されている、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項33】
前記アンテナは、前記センサデータを連続的に伝送する、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項34】
前記アンテナは、センサデータを間欠的に伝送する、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項35】
前記センサは、前記1つ以上の生理学的パラメータを連続的に検出する、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項36】
前記センサは、前記1つ以上の生理学的パラメータを間欠的に検出する、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項37】
前記センサは、分析物材料、分析物成分、及び/又は血液中のある特定の細胞相互作用もしくは交換又は血液相互作用もしくは交換により生じる副生成物に基づいて前記センサデータを生成する、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項38】
前記センサは、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、又は酸素センサから成る、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項39】
前記1つ以上の生理学的パラメータは、前記患者の前記血液中の酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースを含む、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項40】
前記センサは、圧力センサである、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項41】
前記1つ以上の生理学的パラメータは、運動情報を含む、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項42】
前記患者の体内の前記植え込み型センサシステムの位置を突き止めるために放射線不透過性マーカーをさらに含む、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項43】
前記アンカー構造体は、前記センサに融着された本体部分を有する、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項44】
前記1つ以上の生理学的パラメータは、前記動脈瘤中への血液の流れの指標である、請求項43記載の植え込み型センサシステム。
【請求項45】
前記1つ以上の生理学的パラメータは、前記動脈瘤からの血液の流れの指標である、請求項43記載の植え込み型センサシステム。
【請求項46】
前記アンテナは、RF信号を送受信する、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項47】
前記アンカー構造体は、1つ以上のコイルから成る、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項48】
前記アンカー構造体は、メッシュ又は織物構造から成る、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項49】
前記アンカー構造体は、バスケットから成る、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項50】
前記アンカー構造体は、前記血管構造を通る血液の流れを閉塞することができる、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項51】
薬剤コーティングをさらに含む、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項52】
前記アンカー構造体は、前記薬剤を担持している、請求項51記載の植え込み型センサシステム。
【請求項53】
前記薬剤は、凝固剤である、請求項51記載の植え込み型センサシステム。
【請求項54】
前記センサに電力を供給する電源をさらに含む、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項55】
前記電源は、充電式である、請求項54記載の植え込み型センサシステム。
【請求項56】
前記センサは、前記患者の外部に位置する電源によって電力供給可能である、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項57】
前記センサは、誘導センサである、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項58】
前記センサに電力を供給するスーパーキャパシタをさらに含む、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項59】
センサデータを記憶するメモリデバイスをさらに含む、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項60】
前記センサの場合とは異なる生理学的パラメータを検出することができる第2のセンサをさらに含む、請求項30記載の植え込み型センサシステム。
【請求項61】
キットであって、
請求項30記載の前記植え込み型センサシステムと、
前記植え込み型センサシステムを血管構造体内に放出することができる1つ以上のデリバリシステムと、を含む、キット。
【請求項62】
植え込み型センサ組立体であって、
血液の流れに応動する導電率スイッチを含み、前記導電率スイッチは、
血液の流れの第1のレベルの指標である第1の出力及び血液の流れの第2のレベルの指標である第2の出力を提供することができ、
前記導電率スイッチと電気的連絡状態にあるアンテナを含み、前記アンテナは、前記第1の出力及び前記第2の出力を受信機に伝送することができる、植え込み型センサ組立体。
【請求項63】
前記第2の出力は、実質的に血液の流れが生じていないという指標である、請求項62記載の植え込み型センサシステム。
【請求項64】
植え込み型センサシステムであって、
患者の体内の血管構造を治療することができる薬剤と、
コンピュータ実行可能命令を記憶するよう構成されたメモリデバイスと、
前記メモリデバイスと連絡状態にあるプロセッサとを含み、前記コンピュータ実行可能命令は、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに前記植え込み型センサシステムから前記薬剤を放出させる、植え込み型センサシステム。
【請求項65】
スイッチをさらに含み、前記コンピュータ実行可能命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記スイッチを動作させ、前記スイッチが前記植え込み型センサシステムにより担持された前記薬剤を放出させる、請求項64記載の植え込み型センサシステム。
【請求項66】
前記患者の外部からの送信を受信することができるワイヤレス受信機をさらに含み、前記送信の受信により前記プロセッサは、前記コンピュータ実行可能命令を実行する、請求項64記載の植え込み型センサシステム。
【請求項67】
前記プロセッサは、前記植え込み型センサシステムの植え込みに続く所定の時間後に前記コンピュータ実行可能命令を実行する、請求項64記載の植え込み型センサシステム。
【請求項68】
前記薬剤は、凝固剤である、請求項64記載の植え込み型センサシステム。
【請求項69】
血管構造を通る血液の流れをモニタする電子デバイスであって、前記電子デバイスは、
アプリケーションを記憶するよう構成されたメモリデバイスと、
前記アプリケーションを実行するよう構成されたプロセッサと、を有し、前記プロセッサは、それにより、
前記血管構造内に植え込まれたセンサ組立体とワイヤレス通信し、前記センサ組立体は、前記血管構造を通る血液の流れの指標である1つ以上の生理学的パラメータをモニタすることができ、
血液の流れの指標となる前記1つ以上の生理学的パラメータの値を求め、
ディスプレイ上に表示可能にユーザに提供可能な前記値を出力するようになっている、電子デバイス。
【請求項70】
前記値は、前記血管構造の閉塞度の指標であるメトリックを提供する、請求項69記載の電子デバイス。
【請求項71】
前記プロセッサは、前記アプリケーションを実行して前記値を通信ネットワーク経由でコンピューティングシステムに伝えるよう構成されている、請求項69記載の電子デバイス。
【請求項72】
前記プロセッサは、前記アプリケーションを実行して、設定値調節指令を前記センサ組立体に送って、前記1つ以上の生理学的パラメータをモニタするための設定値を調節するよう構成されている、請求項69記載の電子デバイス。
【請求項73】
前記プロセッサは、前記センサ組立体とBluetooth(商標)プロトコル、Wi-Fi、ZigBee、医療用インプラント通信サービス(“MICS”)、医療デバイス無線通信サービス(“MedRadio”)、又は携帯電話経由でワイヤレス通信するよう構成されている、請求項69記載の電子デバイス。
【請求項74】
前記センサ組立体と組み合わせて用いられる、請求項69記載の電子デバイス。
【請求項75】
患者の動脈瘤をモニタする方法であって、前記方法は、
植え込み型センサシステムを用いて前記動脈瘤の1つ以上の生理学的パラメータを検出するステップと、
前記1つ以上の生理学的パラメータと関連したセンサデータを遠隔場所に伝送するステップとを含む、方法。
【請求項76】
前記動脈瘤をアンカー構造体で閉塞するステップをさらに含む、請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記アンカー構造体から薬剤を放出して前記血管構造を治療するステップをさらに含む、請求項76記載の方法。
【請求項78】
前記植え込み型センサ組立体から薬剤を放出して前記動脈瘤を治療するステップをさらに含む、請求項75記載の方法。
【請求項79】
前記1つ以上の生理学的パラメータは、前記患者の前記血液中の酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースを含む、請求項75記載の方法。
【請求項80】
前記1つ以上の生理学的パラメータは、運動情報を含む、請求項75記載の方法。
【請求項81】
前記植え込み型センサシステムは、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、又は酸素センサを含む、請求項75記載の方法。
【請求項82】
1つ以上の生理学的パラメータを検出する前記ステップは、前記1つ以上の生理学的パラメータを間欠的に検出するステップを含む、請求項75記載の方法。
【請求項83】
1つ以上の生理学的パラメータを検出する前記ステップは、前記1つ以上の生理学的パラメータを連続的に検出するステップを含む、請求項75記載の方法。
【請求項84】
前記センサ組立体の電源を充電するステップをさらに含む、請求項75記載の方法。
【請求項85】
前記動脈瘤は、神経血管動脈瘤から成る、請求項75記載の方法。
【請求項86】
前記血管構造は、腹大動脈瘤から成る、請求項75記載の方法。
【請求項87】
前記動脈瘤は、前記患者の後方循環系中の動脈内に位置する、請求項75記載の方法。
【請求項88】
前記動脈瘤は、脳底動脈瘤から成る、請求項75記載の方法。
【請求項89】
前記動脈瘤は、分岐動脈瘤から成る、請求項75記載の方法。
【請求項90】
前記動脈瘤は、側壁動脈瘤から成る、請求項75記載の方法。
【請求項91】
前記1つ以上数の生理学的パラメータは、酸素を含む、請求項75記載の方法。
【請求項92】
前記1つ以上の生理学的パラメータがグルコースを含む、請求項75記載の方法。
【請求項93】
前記センサデータに応答して前記薬剤を放出するステップをさらに含む、請求項78記載の方法。
【請求項94】
前記センサデータに基づいて分流器を送達するステップをさらに含む、請求項75記載の方法。
【請求項95】
前記センサデータに基づいて凝固剤を送達するステップをさらに含む、請求項75記載の方法。
【請求項96】
センサシステムを患者の血管構造中に植え込む方法であって、前記方法は、
センサシステムを担持したデリバリシステムを血管構造まで前進させるステップを含み、前記センサシステムは、センサ組立体及びアンカー構造体を含み、
前記センサ組立体を前記血管構造中に放出するステップと含み、及び
前記アンカー構造体を前記血管構造内に放出するステップを含む、方法。
【請求項97】
前記血管構造を前記アンカー構造体で閉塞するステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項98】
前記デリバリシステムを経皮的に導入するステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項99】
前記デリバリシステムをガイドワイヤ上で該ガイドワイヤに沿って前進させるステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項100】
前記デリバリシステムを案内カテーテル中に前進させるステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項101】
前記アンカー構造体を前記センサ周りに位置決めするステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項102】
前記センサを前記アンカー構造内に位置決めするステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項103】
前記センサと前記アンカー構造体を同時に放出するステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項104】
前記血管構造内の1つ以上の生理学的パラメータを検出するステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項105】
前記1つ以上の生理学的パラメータに関連したセンサデータを遠隔場所に伝送するステップをさらに含む、請求項104記載の方法。
【請求項106】
前記センサ組立体を充電するステップをさらに含む、請求項96記載の方法。
【請求項107】
前記血管構造は、前記患者の後方循環系内の動脈の動脈瘤から成る、請求項96記載の方法。
【請求項108】
前記血管構造は、神経血管から成る、請求項96記載の方法。
【請求項109】
前記血管構造は、心臓血管構造から成る、請求項96記載の方法。
【請求項110】
前記血管構造は、脳底動脈瘤から成る、請求項96記載の方法。
【請求項111】
前記血管構造は、分岐動脈瘤から成る、請求項96記載の方法。
【請求項112】
前記血管構造は、側壁動脈瘤から成る、請求項96記載の方法。
【請求項113】
前記血管構造は、動脈管から成る、請求項96記載の方法。
【請求項114】
センサ組立体を患者の血管構造中に送達することができるデリバリシステムであって、前記デリバリシステムは、
ルーメンを備えたシャフトを含み、
前記センサ組立体を担持することができる偏向性遠位先端部を含み、前記ルーメンは、前記偏向性遠位先端部を貫通して延び、
ハンドルを含み、前記ハンドルは、
前記センサ組立体を前記偏向性遠位先端部から放出する第1のユーザにより動作可能な機構体と、
前記偏向性遠位先端部をかじ取りする第2のユーザにより動作可能なシステムと、を有する、デリバリシステム。
【請求項115】
前記シャフトは、ガイドワイヤルーメンを有する、請求項114記載のデリバリシステム。
【請求項116】
前記第2のユーザにより動作可能なシステムは、前記偏向性遠位先端部のかじ取りを機械的に制御する、請求項114記載のデリバリシステム。
【請求項117】
前記第2のユーザにより動作可能な機構体は、前記偏向性遠位先端部のかじ取りを電気的に制御する、請求項116記載のデリバリシステム。
【請求項118】
前記シャフトに被せたデリバリスリーブをさらに含む、請求項114記載のデリバリシステム。
【請求項119】
前記デリバリスリーブは、前記偏向性遠位先端部のかじ取りを実施可能にする、請求項118記載のデリバリシステム。
【請求項120】
前記デリバリシステムをフラッシするための流体ポートをさらに含む、請求項114記載のデリバリシステム。
【請求項121】
前記シャフトは、前記偏向性遠位先端部のかじ取りを実施可能にするよう構成された第2のルーメンを有する、請求項114記載のデリバリシステム。
【請求項122】
前記偏向性遠位先端部は、前記ルーメンとは別個の装填チャンバを有し、前記装填チャンバは、前記センサ組立体を担持する、請求項114記載のデリバリシステム。
【請求項123】
前記シャフトは、ポリマー材料から成る、請求項114記載のデリバリシステム。
【請求項124】
前記ハンドルは、前記偏向性遠位先端部の位置を安定化するための第3のユーザにより動作可能な機構体をさらに有する、請求項114記載のデリバリシステム。
【請求項125】
植え込み型センサシステムであって、
動脈瘤内に植え込み型であって、生理学的パラメータを測定するセンサ組立体を含み、
前記動脈瘤内における前記センサ組立体の位置を維持するアンカー構造を含み、前記アンカー構造体は、前記センサ組立体に接合され、
前記センサ組立体と電気的連絡状態にあるアンテナを含む、植え込み型センサシステム。
【請求項126】
前記センサ組立体は、グルコースセンサを含む、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項127】
前記センサ組立体は、導電率スイッチを含む、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項128】
前記センサ組立体は、前記センサにより収集されたデータを少なくとも部分的に処理するプロセッサを含む、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項129】
前記プロセッサは、気密封止されている、請求項128記載の植え込み型センサシステム。
【請求項130】
前記センサ組立体の外面は、山部及び谷部を有する、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項131】
前記センサ組立体に電力供給するためのスーパーキャパシタをさらに含む、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項132】
前記スーパーキャパシタは、前記アンカー構造体に接合される、請求項131記載の植え込み型センサシステム。
【請求項133】
前記アンカー構造体は、前記センサ組立体と前記スーパーキャパシタとの間に位置決めされる、請求項131記載の植え込み型センサシステム。
【請求項134】
前記センサ組立体は、前記アンテナと前記アンカー構造体との間に位置決めされる、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項135】
前記アンカー構造体は、前記センサ組立体から半径方向外側に延びて前記動脈瘤の壁に接触する、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項136】
前記アンカー構造体は、複数のループ型アンカー部分を有する、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項137】
前記複数のアンカー部分は、前記センサ組立体周りに周方向に位置決めされる、請求項136記載の植え込み型センサシステム。
【請求項138】
前記複数のアンカー部分の各々は、前記動脈瘤の壁に接触する無外傷性端部分を含む、請求項136記載の植え込み型センサシステム。
【請求項139】
前記アンカー構造は、薬剤でコーティングされている、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項140】
前記センサ組立体は、前記センサデータを記憶するメモリデバイスを含む、請求項125記載の植え込み型センサシステム。
【請求項141】
センサシステムを血管構造内に配備するデリバリシステムであって、前記デリバリシステムは、
ハンドル部分を含み、
前記ハンドル部分から遠位側に延びるデリバリシースを含み、
前記デリバリシースを貫通する内側シャフトを含み、前記内側シャフトは、ルーメンを画定するシャフト壁を有し、
前記内側シャフトを貫通した保持ワイヤを含み、前記保持ワイヤは、前記センサシステムを前記内側シャフトの外壁と前記デリバリシースの内壁との間の空間内に保持するよう構成されている、デリバリシステム。
【請求項142】
前記内側シャフトは、前記シャフト壁に設けられた複数の開口部を有する、請求項141記載のデリバリシステム。
【請求項143】
前記複数の開口部は、前記シャフト壁に沿って軸方向に間隔を置いて配置されている、請求項141記載のデリバリシステム。
【請求項144】
前記複数の開口部の各々は、回転的に整列する、請求項142記載のデリバリシステム。
【請求項145】
前記複数の開口部の少なくとも1つは、前記複数の開口部の別の1つから回転的にオフセットしている、請求項142記載のデリバリシステム。
【請求項146】
前記保持ワイヤは、前記センサシステムを前記内側シャフトに当てて保持するよう1つ以上のループ部分を形成する、請求項143記載のデリバリシステム。
【請求項147】
前記保持ワイヤは、前記シャフト壁に設けられた第1の開口部から前記内側シャフトと前記デリバリシースとの間の前記空間中に延び、そして前記シャフト壁に設けられた第2の開口部を通って前記内側シャフトの前記ルーメン中に戻り、それにより前記1つ以上のループ部分のうちの1つを形成する、請求項146記載のデリバリシステム。
【請求項148】
前記保持ワイヤは、前記シャフト壁に設けられた第1の開口部から前記内側シャフトと前記デリバリシースとの間の前記空間中に延び、そして前記シャフト壁に設けられた前記第1の開口部を通って前記内側シャフトの前記ルーメン中に戻り、それにより前記1つ以上のループ部分のうちの1つを形成する、請求項146記載のデリバリシステム。
【請求項149】
前記内側シャフトの遠位部分は、偏向可能である、請求項141記載のデリバリシステム。
【請求項150】
前記内側シャフトの遠位部分は、前記内側シャフトの前記遠位部分を前記血管構造中に偏向させるようかじ取り可能である、請求項141記載のデリバリシステム。
【請求項151】
センサシステムを動脈瘤内に配備する方法であって、前記方法は、
センサシステムを担持したデリバリシステムを親動脈まで前進させるステップを含み、前記センサシステムは、前記デリバリシステムの内側シャフトによって担持され、
前記センサシステムを抜くステップを含み、
前記センサシステムを前記動脈瘤内に配備するステップを含む、方法。
【請求項152】
前記センサシステムを配備する前記ステップは、保持ワイヤを引き抜いて前記センサシステムを前記動脈瘤内に放出するステップを含む、請求項151記載の方法。
【請求項153】
前記保持ワイヤを引き抜くことにより、前記保持ワイヤが前記センサシステムのアンカー構造体から放出される、請求項151記載の方法。
【請求項154】
前記センサシステムを配備することにより、前記センサシステムのアンカー構造体が拡張して、前記動脈瘤内の前記センサシステムの位置を安定化する、請求項151記載の方法。
【請求項155】
前記センサシステムを前記動脈瘤内に配備することにより、前記センサシステムのセンサが前記動脈瘤の壁から遠ざかって位置決めされる、請求項154記載の方法。
【請求項156】
前記センサシステムを前記動脈瘤内に配備した後、治療デバイスを前記動脈瘤内に配備するステップをさらに含む、請求項155記載の方法。
【請求項157】
前記治療デバイスを配備する前記ステップは、前記治療デバイスを前記センサ周りに配備するステップを含む、請求項156記載の方法。
【請求項158】
前記センサシステムを配備する前記ステップは、前記センサシステムのアンカー構造体を放出する前に、前記センサシステムの通信回路系を前記動脈瘤内に放出するステップを含む、請求項151記載の方法。
【請求項159】
前記センサシステムを前記動脈瘤内に配備する前に、前記内側シャフトの遠位先端部を前記動脈瘤中にかじ取りするステップをさらに含む、請求項151記載の方法。
【請求項160】
前記センサシステムを前記動脈瘤内に配備する前に、前記センサシステムを前記動脈瘤のネックに当てて位置決めするステップをさらに含む、請求項151記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(本発明)は、一般に、センサを備えた医療器具、かかる医療器具を含むシステム、かかる器具及びシステムならびにこれらから生じるデータを用いる方法、ならびにセンサを備えた植え込み医療器具と関連した問題を解決する器具及び方法に関する。
【0002】
〔優先権主張出願の参照による引用〕
外国又は国内の優先権主張が本願と共に提出された出願データシートに特定されている任意かつあらゆる出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
体内外傷又は他の体内欠陥を治療した後において患者の回復の進捗状況をモニタすることが困難な場合がある。例えば、動脈瘤は、患者の動脈壁が弱くなり、この弱体化領域が膨らむことによって起こる。動脈瘤は、体全体にわたり(例えば、大動脈、脳、又はどこか他の場所)で起こる場合がある。動脈瘤のある患者は、動脈瘤が破裂するまで症状をきたさない場合が多い。動脈瘤が破裂すると、その結果として、内出血や脳卒中が起こり、場合によっては致命的であることがある。
【0004】
背景技術の項で説明する主題の全ては、必ずしも先行技術ではなく、背景技術の項における先行技術の説明の結果としてのみ先行技術であるとみなされるべきではない。このような議論の流れに沿って、背景技術の項で説明し又はかかる主題と関連した先行技術における問題の何らかの認識は、先行技術に関する明示の記載がなければ、先行技術として扱われるべきではない。そうではなくて、背景技術の項における任意の主題についての説明は、特定の問題に対する本発明者のアプローチの一部として扱われるべきであり、これまた、それ自体かつおのずと、発明性を持つ場合がある。
【発明の概要】
【0005】
この発明の概要の項は、詳細な説明においていかにさらに詳細に説明する単純化された形態である特定の概念を導入するために設けられている。別段の明示の指定がない限り、この発明の概要の項は、クレーム請求された発明内容の重要な又は必須の特徴を特定するものではなく、しかも、クレーム請求された発明の範囲を限定するものではない。
【0006】
1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明において記載する。1つの例示の実施形態と関連して図示し又は説明する特徴を、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。かくして、本明細書において説明する種々の実施形態のうちの任意のものを互いに組み合わせて、別の実施形態を提供することができる。本明細書に挙げる種々の特許、出願、及び刊行物の概念を採用することが必要な場合、実施形態の諸観点を改造して、さらに別の実施形態を提供することができる。他の特徴、他の目的、及び他の利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになろう。
【0007】
動脈瘤を治療する一方法は、コイル塞栓術である。この手技の間、医師は、構造体、例えば金属コイルを動脈瘤中に植え込んで動脈瘤を閉鎖又は隔離して出血の恐れを軽減する。手技後、特に動脈瘤が脳の中に位置している場合には、動脈瘤の経過をモニタすることが困難である。この結果、医師のもとへ多数回にわたってフォローアップ来院が行われ、それにより、患者の医療費が増大する場合がある。さらに、動脈瘤のネック(すなわち、親動脈と動脈瘤との間の移行部)のところにコンパクション(compaction)が生じる場合がある。現在、治療後に動脈瘤を高信頼度でモニタする仕組みは存在しない。
【0008】
本発明のある特定の観点は、任意の血管構造、例えば動脈瘤内に植え込み可能な植え込み型センサシステムに関する。センサシステムは、1つ以上のセンサ及び/又はアンテナを含むのがよい。アンテナは、センサと電気的連絡状態にあるのがよい。センサは、患者の1つ以上の生理学的パラメータを連続的に又は間欠的に検出して、センサデータを生成することができる。アンテナは、患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連したセンサデータを、受信機に連続的に又は間欠的に伝送することができ、受信機は、患者の体内又は患者の体外に配置可能である。アンテナは、血管構造内におけるセンサの位置を安定化することができるのがよい。
【0009】
上述のセンサシステムは、1つ以上の以下の特徴を備えるのがよい。アンテナは、デリバリシステム中に装填可能にセンサ周りに圧縮可能であり、デリバリシステムからの放出時には拡張可能であるのがよい。アンテナは、センサを少なくとも部分的に又は全体的に包囲するのがよい。アンテナは、センサの1つ以上の表面を横切って延びるのがよい。例えば、アンテナは、センサ周りに単軸ループ、二軸ループ、又は球状ループを形成することができる。アンテナは、RF信号を伝送するとともに/あるいは受信することができる。アンテナにより受信された信号は、センサシステムの動作、例えば、モニタされている生理学的パラメータの周波数もしくは種類、又はセンサシステムのパワーマネジメントを調節することができる。幾つかの形態では、センサは、患者の体外からの指令を受信したときのみ機能を実行することができる。アンテナは、白金、白金/イリジウム合金、及び/又はニチノールを含むのがよい。アンテナは、無線周波数の性能で機能する能力を備えた植え込み型材料を含むのがよい。アンテナは、パリレンフィルム、金材料、及び/又は白金材料で被覆されるのがよい。
【0010】
センサは、患者内のセンサの位置を突き止めるために放射線不透過性マーカーをさらに含むのがよい。センサは、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、酸素センサ、又は他のセンサであるのがよい。センサは、分析物材料、分析物成分、又は血液中のある特定の細胞相互作用もしくは交換又は血液相互作用もしくは交換により生じる副生成物、及び/又は運動情報に基づいてセンサデータを生成するのがよい。例えば、センサは、患者の血液中の酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースを検出することができるのがよい。
【0011】
センサシステムは、センサ組立体又はセンサ組立体の個々のコンポーネントを気密封止する封止層を含むのがよい。センサシステムは、患者の血液と接触したときに溶解する溶解メンブレン層をさらに含むのがよい。溶解メンブレン層は、溶解メンブレン層が溶解するときに凝血エンハンサを放出するのがよい。
【0012】
センサシステムは、センサシステム内に設けられた電源、例えば、バッテリ又はスーパーキャパシタを含むのがよい。変形例として、センサは、患者の体外に設けられた電源によって電力供給されてもよい。幾つかの形態では、センサは、誘導センサであるのがよい。電源は、充電式であってもよい。センサシステムは、センサデータ又はセンサシステムのプロセッサによって実行されるべきコンピュータにより実行可能な命令を記憶するメモリデバイスを含むのがよい。プロセッサは、センサに実装されていてもよく、あるいはセンサとは別体であってもよい。
【0013】
センサシステムは、動脈瘤内に植え込み可能であるのがよい。センサシステムは、動脈瘤に出入りする血液の流れ(流量)及び/又は動脈瘤内の血液凝固レベルの指標となる1つ以上の生理学的パラメータを検出するのがよい。
【0014】
センサは、血液の流れの第1のレベルの指標である第1の出力及び血液の流れの第2のレベルの指標である第2の出力を提供することができるのがよい。第1の出力は、血管構造内に血液凝固が生じていないという指標であるのがよい。第1の出力に応答して、臨床医は、閉塞器具を送達し又は凝固促進剤を送達するよう選択することができる。第2の出力は、血管構造内に血液凝固が生じているという指標であるのがよい。幾つかの形態では、センサは、導電率スイッチであるのがよい。
【0015】
本発明のある特定の観点は、本明細書において説明する特徴の任意のものを有するセンサ組立体を含む植え込み型センサシステムに関する。植え込み型センサシステムは、血管構造内のセンサの位置を維持するアンカー構造体を含むのがよい。センサ組立体は、アンカー構造体によって構成された内部空間内に配置されるのがよい。アンカー構造体は、センサとは別個のコンポーネントであるのがよい。センサ組立体のアンテナは、植え込み時、アンカー構造体に接触するのがよい。この接触により、センサのデータ送信を促進することができる。他の形態では、センサ組立体は、アンカー構造体に直接的に又は間接的に結合されるのがよい。例えば、アンテナ及び/又はセンサは、アンカー構造体に直接的に又は間接的に結合されるのがよい。
【0016】
アンカー構造体は、血管構造を閉塞することができる。アンカー構造体は、1つ以上のコイルを含むのがよい。アンカー構造体は、メッシュ又は織物構造を含むのがよい。アンカー構造体は、バスケット構造体、管状構造体、ルーメンのない構造体、又は他の構造体を含むことができる。
【0017】
幾つかの形態では、アンカー構造体は、アンカーとして単独で又は別個のアンテナと組み合わせ状態で作用することができる。アンカー構造体は、アンテナと同種の材料で作られるのがよい。幾つかの形態では、アンカー構造体は、センサ組立体の一部を成すのがよい。例えば、アンカー構造体は、これがセンサ組立体の積み重ね形態の一部であることができるようにする材料から作られるのがよい。
【0018】
アンカー構造体では、動脈瘤内の血液凝固及び動脈瘤の封止を支援する治癒促進物質、又は動脈瘤内の血液凝固を検出するとともにこれに応答する機能の持続時間を維持するために動脈瘤内のセンサシステムに生物が付着しないようにする阻害剤を担持したり放出したりする複合化学物質がその内面又は外面に施されるのがよい。
【0019】
センサ組立体及び/又はアンカー構造体は、薬剤を溶出して閉塞を促進することができるのがよい。薬剤は、植え込み時に又は植え込み後の所定の時間で溶出されるのがよい。薬剤は、センサから収集したデータに応答して溶出されるのがよい。
【0020】
本明細書において説明するセンサ組立体又はシステムのうちの任意のものは、患者の血管構造を治療することができる薬剤(例えば、凝固剤)を担持することができる。薬剤は、センサ組立体又はアンカー構造体に塗布されるのがよく又はセンサ組立体又はアンカー構造体に設けられた空所内に蓄えられるのがよい。センサシステムは、コンピュータにより実行可能な命令を記憶するメモリデバイスを含むのがよい。センサシステムは、メモリデバイスと連絡状態にあるプロセッサを含むのがよい。コンピュータ実行可能命令は、プロセッサにより実行されると、プロセッサにセンサシステム又はアンカー構造体から薬剤を放出させる。コンピュータ実行可能命令は、プロセッサによって実行されると、スイッチを動作させるのがよく、このスイッチが植え込み型センサシステムにより担持された薬剤を放出させる。プロセッサは、アンテナの一部として又はアンテナとは別体のワイヤレス受信機を有するのがよい。プロセッサは、患者の外部からのワイヤレス送信の受信時にコンピュータ実行可能命令を実行するのがよい。プロセッサは、植え込み型センサシステムの植え込みに続く所定の時間後にコンピュータ実行可能命令を実行するのがよい。
【0021】
本明細書において説明するセンサ又はセンサ組立体のうちの任意のものは、Bluetooth(商標)、Wi-Fi、ZigBee、携帯電話、医療用インプラント通信サービス(“MICS”)、医療デバイス無線通信サービス(“MedRadio”)、又は他のプロトコルを用いて電子デバイス(例えば、基地局又は他のコンピューティングデバイス)とワイヤレス通信することができるのがよい。電子デバイスは、メモリデバイス及びプロセッサを含むのがよい。メモリデバイスは、アプリケーションを記憶するよう構成されているのがよい。プロセッサは、アプリケーションを実行して、本明細書において説明する機能のうちの任意のものを実行することができる。例えば、プロセッサは、血管構造内に植え込まれたセンサ組立体とワイヤレス通信するのがよい。プロセッサは、血液の流れの指標である1つ以上の生理学的パラメータの値を算定するのがよい。プロセッサは、ディスプレイ上に表示可能にユーザに提供可能な値を出力するのがよい。この値は、血管構造の閉塞度の指標であるメトリックを提供することができる。プロセッサは、アプリケーションを実行してこの値を通信ネットワーク経由でコンピューティングシステムに伝えるのがよい。プロセッサは、アプリケーションを実行して、設定値調節指令をセンサ組立体に送って、1つ以上の生理学的パラメータをモニタするための設定値、例えばデータを収集するタイミングを調節するのがよい。追加的に又は代替的に、設定値調節指令は、センサ組立体の異なる動作、例えばパワーマネジメントを調節することができる。幾つかの形態では、センサ組立体は、プロセッサから受信した指令にのみに応答してデータを収集するのがよい。
【0022】
本発明のある特定の観点は、本明細書において説明した特徴のうちの任意のものを有する植え込み型センサ組立体及び/又はアンカー構造体を含むキットに関する。キットは、植え込み型センサ組立体及び/又はアンカー構造体を血管構造内に放出することができるデリバリシステムをさらに含むのがよい。同一又は異なるデリバリシステムを用いてセンサ組立体及びアンカー構造体を送達することができる。オプションとして、キットは、本明細書において説明する電子デバイスを含むのがよい。
【0023】
本発明のある特定の観点は、本明細書において説明するセンサ組立体のうちの任意のものを用いて血管構造をモニタする方法に関する。血管構造は、神経血管又は心血管構造を含むのがよく、かかる構造としては、患者の後方循環系内の動脈の動脈瘤、脳底動脈瘤、分岐動脈瘤、側壁動脈瘤、動脈管、頸動脈、又は静脈構造が挙げられるが、これらには限定されない。本方法は、植え込み型センサ組立体を用いて、血管構造内の1つ以上の生理学的パラメータを連続的に又は間欠的に検出するステップを含むのがよい。本方法は、1つ以上の生理学的パラメータに関連したセンサデータを、患者の体内又は患者の体外に位置する遠隔場所に連続的に又は間欠的に伝送するステップを含むのがよい。
【0024】
上述の方法は、1つ以上の以下のステップを含むのがよい。本方法は、血管構造をアンカー構造体で閉塞するステップを含むのがよい。センサ組立体は、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、酸素センサ、又は他のセンサを含むのがよい。本方法は、分析物材料、分析物成分、又は血液中のある特定の細胞相互作用もしくは交換又は血液相互作用もしくは交換により生じる副生成物、及び/又は運動情報に基づいてセンサデータを生成するステップを含むのがよい。センサ組立体は、1つ以上の生理学的パラメータを検出するのがよく、1つ以上の生理学的パラメータとしては、患者の血液中の酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースが挙げられるが、これらには限定されない。本方法は、センサ組立体を充電するステップを含むのがよい。本方法は、センサ組立体を充電するステップを含むのがよい。
【0025】
本発明のある特定の観点は、センサ組立体のうちの任意のものを患者の血管構造中に植え込む方法に関する。本方法は、センサシステムを担持したデリバリシステムを血管構造まで経皮的に前進させるステップ及び、センサ組立体を血管構造中に放出するステップを含むのがよい。本方法は、デリバリシステムをガイドワイヤ上でこれに沿って、又は案内カテーテルを通って前進させるステップを含むのがよい。デリバリシステムは、センサ組立体をデリバリシステムから押し出すプッシャを含むのがよい。本方法は、アンカー構造体を血管構造中に同時又は別々に放出するステップをさらに含むのがよい。アンカー構造体を放出するステップは、アンカー構造体をセンサ組立体周りに位置決めするステップを含むのがよい。他の方法では、センサ組立体をアンカー構造体内の内部空間内に放出するのがよい。アンカー構造体は、血管構造を閉塞することができる。
【0026】
本発明のある特定の観点は、本明細書において説明するセンサ組立体及び/又はシステムのうちの任意のものを血管構造に送達するためデリバリシステムに関する。デリバリシステムは、ハンドル、遠位先端部、及びこれらの間のシャフトを含むのがよい。遠位先端部は、能動的に又は受動的に偏向可能である。能動的な偏向方式の実施形態では、遠位先端部は、機械的及び/又は電子的制御を用いてかじ取りされるのがよい。遠位先端部は、センサ組立体を担持する装填チャンバを有するのがよい。ハンドルは、センサ組立体及び/又はセンサシステムを放出し、遠位先端部を制御するとともに/あるいはデリバリシステムを安定化する1つ以上のユーザにより動作可能な機構を含むのがよい。シャフトは、1つ以上のルーメン、例えばガイドワイヤルーメン、流体デリバリルーメン、かじ取りルーメン、及び/又はプッシャを運ぶためのルーメンを含むのがよい。幾つかの形態では、デリバリシステムは、シャフトに被せられるデリバリスリーブを含む。デリバリスリーブは、遠位先端部の偏向を直接的に又は間接的に生じさせることができる。
【0027】
本発明のある特定の観点は、動脈瘤又は他の血管構造内に植え込み可能な植え込み型センサシステムに関する。センサシステムは、動脈瘤内に植え込み可能であって生理学的パラメータを測定することができるセンサ組立体を含むのがよい。センサ組立体は、1つ以上のセンサを含むのがよく、かかるセンサとしては、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、酸素センサ、導電率スイッチ、又は運動センサが挙げられるが、これらには限定されない。センサ組立体は、1つ以上のセンサにより収集されたデータを少なくとも部分的に処理するプロセッサを含むのがよい。プロセッサは、プロセッサを体液から保護するよう気密封止されるのがよい。センサ組立体は、センサデータを記憶するメモリデバイスを含むのがよい。センサ組立体の外面は、内皮化を軽減するよう形作られ、処理され、又は違ったやり方で改造されるのがよい。例えば、センサ組立体の外面は、山部及び谷部を有するのがよい。センサシステムは、センサ組立体に電力供給するバッテリ又はスーパーキャパシタを含むのがよい。センサシステムは、センサ組立体と電気的連絡状態にあるアンテナを含むのがよい。センサ組立体は、アンテナとアンカー構造体との間に位置決めされるのがよい。
【0028】
センサシステムは、動脈瘤内におけるセンサ組立体の位置を維持するアンカー構造体を含むのがよい。アンカー構造体は、センサ組立体に接合されてもよく、あるいはセンサ組立体とは別体であってもよい。幾つかの形態では、アンカー構造体は、センサ組立体とバッテリ又はスーパーキャパシタとの間に位置決めされた状態で接合されるのがよい。アンカー構造体は、センサ組立体の輪郭から半径方向外方に延びるのがよい。アンカー構造体は、動脈瘤の壁に接触するよう外方に延びるのがよい。アンカー構造体は、複数のアンカー部分を有するのがよく、これらアンカー部分は、ループの形をしており、コイルの形をしており、又は違ったやり方でセンサ組立体の輪郭から外方に延びるのがよい。複数のアンカー部分は、互いに周方向に間隔を置いて配置されるのがよい。複数のアンカー部分の各々は、動脈瘤の壁に接触する無外傷性の端部分を有するのがよい。幾つかの実施形態では、アンカー構造体は、薬剤で被覆されるのがよい。
【0029】
本発明のある特定の観点は、本明細書において説明するセンサシステムのうちの任意のものを配備するデリバリシステムに関する。デリバリシステムは、ハンドル部分を含むのがよい。デリバリシステムは、内側シャフトを挿通させることができるデリバリシース又はカテーテルを含むのがよい。デリバリシステムは、内側シャフトを貫通する保持ワイヤを含むのがよい。保持ワイヤは、内側シャフトの外壁とデリバリシースの内壁との間の空間内に、又は内側シャフト内にセンサシステムを保持するのがよい。内側シャフトの遠位部分は、偏向可能又はかじ取り可能であるのがよい。
【0030】
幾つかの実施形態では、内側シャフトは、シャフト壁に設けられた複数の開口部を有するのがよい。複数の開口部は、シャフト壁に沿って軸方向に間隔を置いて配置されるのがよい。幾つかの形態では、複数の開口部は、回転的に整列する。他の形態では、複数の開口部の少なくとも1つは、複数の開口部の別の1つから回転的にオフセットしている。保持ワイヤは、センサシステムを内側シャフの外壁又は内壁に当てて保持するよう1つ以上のループ部分を形成するのがよい。例えば、保持ワイヤは、シャフト壁に設けられた第1の開口部から内側シャフトとデリバリシースとの間の空間中に延び、そしてシャフト壁に設けられた第2の開口部を通って内側シャフトのルーメン中に戻り、それにより1つ以上のループ部分のうちの1つを形成するのがよい。もう1つの例として、保持ワイヤは、シャフト壁に設けられた第1の開口部から内側シャフトとデリバリシースとの間の空間中に延び、そしてシャフト壁に設けられた第1の開口部を通って内側シャフトのルーメン中に戻り、それにより1つ以上のループ部分のうちの1つを形成するのがよい。
【0031】
本発明のある特定の観点は、動脈瘤内にセンサシステムを配備する方法に関する。本方法は、センサシステムを担持したデリバリシステムを親動脈まで前進させるステップを含むのがよい。センサシステムは、デリバリシステムの内側シャフトによって担持されるのがよい。本方法は、センサシステムをシースから抜くステップ、及びセンサシステムを動脈瘤内に配備するステップを含むのがよい。本方法は、動脈瘤内へのセンサシステムの配備に先立って、内側シャフトの遠位先端部を動脈瘤中にかじ取りするステップ、又は動脈瘤内へのセンサシステムの配備に先立って、センサシステムを動脈瘤のネックに当てて位置決めするステップを含むのがよい。
【0032】
センサシステムを配備するため、本方法は、保持ワイヤを引き抜いてセンサシステムを動脈瘤内に放出するステップを含むのがよい。保持ワイヤを引き抜くことにより、保持ワイヤがセンサシステムのアンカー構造体から放出される。センサシステムを配備することにより、センサシステムのアンカー構造体が拡張して、動脈瘤内のセンサシステムの位置を安定化する。センサシステムのセンサは、配備されると、動脈瘤の壁から遠ざかって位置決めされる。センサシステムを動脈瘤内に配備した後、治療器具を動脈瘤内に、例えばセンサ周りに配備するのがよい。センサシステムを配備するステップは、センサシステムのアンカー構造体を放出する前に、センサシステムの通信回路系を動脈瘤内に放出するステップを含むのがよい。
【0033】
本発明の例示の特徴、その性質及び種々の利点は、添付の図面及び種々の実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになろう。非限定的かつ非包括的な実施形態について添付の図面を参照して説明するが、同一のラベル又は参照符号は、別段の指定がなければ、種々の図全体を通じて同一の部分を指している。図面の中の要素の寸法及び相対的な位置は、必ずしも縮尺通りには描かれていない。例えば、種々の要素の形状を、図面を分かりやすくするために選択し、拡大し、そして位置設定することができる。描かれている要素の特定の形状は、図面の中で認識しやすいよう選択されたものである。以下において、添付の図面を参照して1つ以上の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明のある特定の観点に係る例示のセンサ利用環境を示す図である。
図2図2A及び2Bは、本発明のある特定の観点に従って動脈瘤内に植え込まれた例示のセンサ組立体を示す図である。
図3図3A、3B、及び3Cは、本発明のある特定の観点に従って動脈瘤内に植え込まれた互いに異なる例示のセンサシステムを示す図である。
図4】本発明のある特定の観点に従って動脈瘤内に植え込まれた例示のセンサを示す図である。
図5図5A、5B、5C、及び5Dは、本発明のある特定の観点に係る例示のセンサ組立体の略図である。
図6】本発明のある特定の観点に係る例示のセンサの表面の詳細図である。
図7A】本発明のある特定の観点に係る例示のセンサ組立体のある特定の部品の概略平面図である。
図7B図7Aに示すセンサ組立体の断面図である。
図7C図7Aに示すセンサ組立体の断面図である。
図7D図7Aに示すセンサ組立体の断面図である。
図8A】本発明のある特定の観点に係る例示のセンサ組立体のある特定の部品の平面図である。
図8B図8Aに示すセンサ組立体の断面図である。
図8C図8Bに示す断面の別の形態示す図である。
図9A】本発明のある特定の観点に係る例示のセンサ組立体のある特定の部品の略図である。
図9B】別の例示のセンサ組立体のある特定の部品の略図である。
図10A】開示したセンサ組立体と相互作用することができる異なる装用具を示す図である。
図10B】開示したセンサ組立体と相互作用することができる異なる装用具を示す図である。
図11】本発明の特定の観点に従って例示のセンサシステムを患者の体内に植え込む例示の方法の流れ図である。
図12】本発明の特定の観点に従って例示のセンサシステムを患者の体内に植え込む例示の方法の流れ図である。
図13】本発明のある特定の観点に係るデリバリシステムを示す図である。
図14】本発明のある特定の観点に係る別のデリバリシステムを示す図である。
図15A】センサシステムを示す図である。
図15B】動脈瘤内におけるセンサシステムの部品を示す図である。
図15C】動脈瘤内におけるセンサシステムの部品を示す図である。
図15D図15Aに示すセンサシステムの繋留又はアンカー構造体を示す図である。
図15E図15Aに示すセンサシステムの一部分の略図である。
図15F】センサ組立体の表面輪郭を示す図である。
図16A】センサシステムを配備する別のデリバリシステムを示す図である。
図16B図16Aに示すデリバリシステムの近位部分を示す図である。
図16C図16Bに示すハンドルの本体部分を示す図である。
図16D図16Aに示すデリバリシステムの遠位部分を示す図である。
図16E】センサシステムの配備状態を示す図である。
図16F】センサシステムの配備状態を示す図である。
図17A】センサシステムを配備する別のデリバリシステムを示す図である。
図17B図17Aに示すデリバリシステムの遠位部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、本明細書に含まれる「センサ組立体」又は「センサシステム」の例示の形態についての以下の詳細な説明を参照すると容易に理解できる。以下の説明は、添付の図面と一緒になって、種々の開示する実施形態の徹底的な理解を提供するために、ある特定の細部を記載している。しかしながら、当業者であれば認識されるように、開示する実施形態をこれら特定の細部のうちの1つ以上のない状態で、又は他の方法、他のコンポーネント又は部品、器具、材料などを用いて種々の組み合わせ状態で実施できる。他の場合、通信システム及びネットワーク(これらには限定されない)を含む本発明の環境と関連した周知の構造又はコンポーネントは、実施形態についての説明を不必要にあいまいにしないようにするために図示されておらず又は説明されていない。加うるに、種々の実施形態は、方法、システム、メディア、又は器具であってよい。したがって、様々な実施形態は、全体がハードウェアの実施形態、全体がソフトウェアの実施形態、全体がファームウェアの実施形態、又はソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェア観点のコンビネーションであり又はサブコンビネーションである実施形態であってよい。
【0036】
本発明を詳細に説明する前に、本明細書で用いられる特定の用語についての定義を提供することが、本発明の理解に有益な場合がある。追加の定義を、本開示全体を通じて記載する。原文明細書における“include”(訳文では「~を含む」としている場合が多い)及び“comprise”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)ならびにこれらの変形語は、限定のない包括を意味している。本明細書における「又は」は、包括的であり、「及び/又は」を意味している。本明細書における「~と関連し」及び「上記と関連し」ならびにこれらの変形表現は、~を含み、~内に含まれ、~と相互結合し、~を含有し、~内に含有され、~に連結され、~と結合され、~と連絡可能であり、~と協働し、~との交互配置が行われ、~と並置が行われ、~の近くに位置し、~に結び付けられ、~を有し、~の特性を有するなどを意味する場合がある。本明細書における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、少なくとも1つの動作を制御する任意のデバイス、システム、又はその一部を意味し、かかるデバイスは、ハードウェア(例えば、電子回路系)、ファームウェア、もしくはソフトウェアで、又はこれらのうちの少なくとも2つの組み合わせの状態で具体化できる。任意特定のコントローラと関連した機能は、局所的であれ遠隔的であれいずれにせよ、集中型であってもよく分散型であってもよい。ある特定の用語及び語句の他の定義が本願文書内で提供される場合がある。当業者であれば理解されるように、大抵の場合でなくても多くの場合、かかる定義は、かかる定義された用語及び語句の従来の使用ならびに将来における使用に当てはまる。
【0037】
本開示において用いられる「インテリジェント医療器具」は、被験者の生まれつきの身体部分に所望ならば取って代わり又は機能的に補完する植え込み型又は植え込み済みの医療器具である。インテリジェント医療器具は、開示するセンサ組立体のうちの1つ及び/又は繋留構造体(例えば、金属コイル又はバスケット)を有するのがよい。センサ組立体は、植え込み型報告プロセッサ(“IRP”)とも呼ばれるコントローラ又はプロセッサを含み又はこれと関連する。一形態では、インテリジェント医療器具は、本明細書において説明する機能を実行するよう配置されたIRP付きのセンサ組立体を有する植え込み済み又は植え込み型医療器具である。センサ組立体は、インテリジェント医療器具の植え込み後の状態を特徴付けるために、以下の例示の作用、すなわち、インテリジェント医療器具又はインテリジェント医療器具の一部分を(例えば、センサ組立体、あるいはインテリジェント医療器具又はインテリジェント医療器具の一部分に関する1つ以上の一義的な識別コードを認識することによって)識別する作用、インテリジェント医療器具又はインテリジェントプロテーゼの一部分(例えば、センサ組立体)に関する動作上の、生理学的、運動学的又は他のデータを収集するためにパラメータを検出し、検知するとともに/あるいは測定する(これらをひとまとめに「パラメータをモニタする」という場合がある)操作、及びかかるデータをオプションとして時間の関数として収集することができるようにする作用、収集したデータをインテリジェント医療器具又はインテリジェント医療器具の一部分(例えば、センサ組立体)内に記憶する作用、及び収集したデータ及び/又は記憶したデータをワイヤレス手段によりインテリジェント医療器具又はインテリジェント医療器具の一部分(例えば、センサ組立体)から外部コンピューティングデバイスに伝える作用のうちの1つ以上を行うことができる。外部コンピューティングデバイスは、例えば、パーソナルコンピュータ、基地局、コンピュータネットワーク、クラウドベースの記憶システム、又は係る記憶装置へのアクセス可能な別のコンピューティングデバイス上に見受けられる少なくとも1つのデータ格納場所を有するのがよく、又は違ったやり方でかかる少なくとも1つのデータ格納場所へのアクセスが可能であるのがよい。インテリジェント医療器具の形態に関する非限定的かつ非網羅的なリストは、動脈瘤内に植え込まれるよう構成された金属コイルを含む。
【0038】
本明細書で用いられる「モニタリングデータ」という表現は、特定の植え込み型センサ組立体と関連するとともに、特定の植え込み型センサシステムの外部における通信に利用できる幾つかの又は全てのデータを個別的に又はひとまとめに含む。例えば、モニタリングデータは、センサ組立体の1つ以上のセンサからの生データを含むことができる。1つ以上のセンサは、患者の1つ以上の生理学的パラメータと関連したデータを生じさせる血液中の分析物(例えば、グルコース)、血液中の分析物成分(例えば、酸素又は二酸化炭素)などを検出するよう構成されているのがよい。例えば、患者の1つ以上の生理学的パラメータは、患者の動脈瘤がコイル塞栓術などにより治療された後における患者の動脈瘤と関連しているのがよい。モニタリングデータは、1つ以上のセンサからの処理済みデータ、特定のセンサ組立体と関連した状態データ、動作データ、制御データ、障害データ、時間データ、スケジュール設定データ、イベントデータ、ログデータなどをさらに含むことができる。幾つかの場合、高解像度モニタリングデータは、センサ組立体のセンサのうちの1つ、多く、又は全てからのモニタリングデータを含み、かかるモニタリングデータは、より多くのセンサから、より多くの量で、より高い解像度で、しかもより頻繁になどの状態で収集される。
【0039】
「センサ」は、身体組織の1つ以上の互いに異なる観点(例えば、解剖学的構造、生理学的特性、代謝、及び/又は機能)及び/又はスマート医療器具又はセンサシステムの1つ以上の観点の検出、測定、及び/又はモニタのうちの1つ以上を実施するために利用できるデバイスを指している。本発明における使用に適したセンサの代表的な例としては、例えば、酸素センサ、流体圧力センサ、流体量センサ、接触センサ、位置センサ、パルス圧力センサ、血液量センサ、血液流量センサ、化学センサ(例えば、血液及び/又は他の流体向きの)、代謝センサ(例えば、血液及び/又は他の流体向きの)、加速度計、機械的応力センサ及び温度センサが挙げられる。ある特定の形態の範囲内に置いて、センサは、ワイヤレスセンサであってもよく、あるいは、他の形態の範囲内において、ワイヤレスマイクロプロセッサに接続されたセンサであってもよい。別の形態の範囲内において、センサのうちの1つ以上(全てを含む)は、センサを具体的に同定する固有のセンサ識別番号(“USI”)を有するのがよい。
【0040】
「センサ組立体」は、1つ以上のコンポーネントを指す場合がある。例えば、「センサ組立体」は、センサに実装される処理及びワイヤレス送信方式を備えた単一部品型センサであってよい。他の例では、「センサ組立体」は、本明細書において説明する1つ以上の機能を実行するセンサ及び他のコンポーネントを含む多数のコンポーネントであってよい。
【0041】
本明細書において提供される本発明の種々の観点をさらに理解するため、以下の項が提供され、すなわち、I.概観、II.センサ組立体、A.アンテナ、B.センサ、C.プロセッサ/コントローラ、D.電源、E.センサ組立体形態、III.センサシステムの使用方法、IV.キット、V.デリバリシステム、VI.追加の実施形態及び用語、及びVII.実施態様である。
【0042】
I.概観
本明細書において開示する装置、システム、及び方法は、患者の血管系内の血管構造を治療する際に使用できる。例示の血管構造としては、神経血管又は心血管構造が挙げられ、かかる構造としては、動脈瘤、頸動脈、静脈構造、動脈管、又は他の血管構造が挙げられるが、これらには限定されない。例示の動脈瘤としては、患者の後方循環系中の動脈の動脈瘤、脳底動脈瘤、分岐動脈瘤、頭蓋内動脈瘤、及び側壁動脈瘤が挙げられる。動脈瘤、特に頭蓋内動脈瘤の治療状態をモニタすることは困難な場合がある。かくして、インプラント(例えば、金属コイル)付きのインテリジェント医療器具及び/又はセンサシステムを動脈瘤内に植え込んで、治療状態をモニタすることが有益である。
【0043】
図1は、例示のセンサ利用環境10を示している。利用環境10では、1つ以上のセンサ組立体100a,100bが、医療従事者2によって患者1の体内に植え込まれるのがよい。センサ組立体100a,100bは、関連の植え込み型報告プロセッサ(“IRP”)を含むのがよく、IRPは、例えば、センサ組立体100a,100bと関連した患者1に関連付けられた医療及び健康データ、ならびにセンサ組立体100a,100b自体の動作データを含むデータを収集するよう配置されるとともに構成されているのがよい。センサ組立体100a,100bは、患者1をモニタする種々の段階中、1つ以上の基地局4又は1つ以上のコンピューティングデバイス3と通信するのがよい。センサ組立体100a,100bはまた、患者の身体1内に植え込まれる間、バーコードスキャナ5と通信することができ、その結果、バーコードスキャナ5は、患者1の体内に植え込まれた特定の組立体100a,100bを識別することができるようになっている。バーコードスキャナ5及び/又は基地局4は、1つ以上のコンピューティングデバイス3と通信することができる。
【0044】
例えば、医療手技と関連して、センサ組立体100a,100bを患者の身体1内に植え込むのがよい。センサ組立体100a,100bは、手術室にある基地局4と通信することができる。患者1が自宅にいる間であって、医療手技から十分に回復した後、センサ組立体100a,100bは、家庭基地局(図示せず)及び/又は診療所の基地局(図示せず)と通信するよう構成されているのがよい。センサ組立体100a,100bは、短距離ネットワークプロトコル、例えば医療用インプラント通信サービス(“MICS”)、医療デバイス無線通信サービス(“MedRadio”)、又はセンサ組立体100a,100bの使用に適した他のワイヤレス通信プロトコルにより各基地局と通信することができる。
【0045】
センサ組立体100a,100bは、スタンドアロン型医療器具であってもよく、あるいは、より大型のシステム内のコンポーネントであってもよく、かかるコンポーネントとしては、望ましくは、患者医療データ、器具動作データ、又は他の有用なデータを収集したり現場で提供したりすることができるアンカー構造体、例えば金属コイル又はバスケットが挙げられる。
【0046】
センサ組立体100a,100bは、情報及びデータを収集することができる1つ以上の測定ユニット、例えば、センサを含むのがよく、かかる情報及びデータとしては、センサ組立体100a,100bが関連する患者1に関連付けられた医療及び健康データ、ならびにセンサ組立体100a,100bそれ自体の動作データが挙げられる。
【0047】
センサ組立体100a,100bは、患者1のモニタリングプロセス中、種々の異なる時点でかつ種々の異なる速度でデータを収集することができる。幾つかの形態では、センサ組立体100a,100bは、患者のモニタリング中全体にわたって、複数の異なる相で動作することができる。例えば、センサ組立体100a,100bは、センサ組立体100a,100bが患者1の体内に植え込まれた直後に比較的多くのデータを収集し、患者1が治癒するにつれてかつその後においては、比較的少ないデータを収集するのがよい。センサ組立体100a,100bにより収集されるデータの量及び種類は、患者ごとに異なる場合があり、収集されるデータの量及び種類は、一人の患者についても変化する場合がある。例えば、特定の患者のセンサ組立体100a,100bにより収集されたデータを研究する医療従事者は、センサ組立体100a,100bが将来のデータをどれほど収集するかについて調節し又は違ったやり方で制御することができる。センサ組立体100a,100bにより収集されるデータの量及び種類は、異なる身体の部分、異なる形式の患者の病態、異なる患者層、又は他の差異について異なる場合がある。代替的に又は追加的に、収集されるデータの量及び種類は、他の要因、例えば患者がどのように治癒しているか又は感じているか、モニタリングプロセスがどれほど長く続くと見積もられているか、バッテリ電力がどれほど多く残存していてどれほど多くを保存すべきであるか、モニタ対象の運動の形式、モニタされている身体の部分などに基づいて経時的に変化する場合がある。幾つかの場合、収集データは、患者により提供される個人的記述情報、例えば、主観的な疼痛データ、生活の質に関するメトリックデータ、併存疾患、患者がセンサ組立体100a,100bと関連して抱く認識又は期待などで補完できる。
【0048】
センサ組立体100a,100bを患者1の体内に植え込むことは、図2に示すように、手術室で行われるのがよい。本明細書で用いられる手術室は、センサ組立体100a,100bを患者の体内に植え込むことができる任意の診療所、部屋、建物、又は施設を含む。例えば、手術室は、センサ組立体100a,100bが患者の体内に植え込まれる病院内の典型的な手術室、外科クリニック又は医師の診療所内の手術室、任意他の手術室、インターベンション室、集中治療病室、救急治療室などであるのがよい。手術室基地局4は、センサ組立体100a,100bが患者1の体内に植え込まれるときに、センサ組立体100a,100bを構成するとともに初期化するよう利用されるのがよい。例えば、手術室基地局4によって伝送されるポーリング信号及びセンサ組立体100a,100bにより伝送される応答信号に基づいて、センサ組立体100a,100bと手術室基地局4との間に通信関係を確立させるのがよい。
【0049】
センサ組立体100a,100bの植え込みに先立って起こる場合の多い通信関係を確立したとき、手術室基地局4は、初期設定情報をセンサ組立体100a,100bに伝送するのがよい。初期設定情報としては、時刻印、日付印、センサ組立体100a,100bの種類及び配置状態の識別、センサ組立体100a,100bと関連した他のインプラントに関する情報、外科医に関する情報、患者識別、手術室に関する情報などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0050】
幾つかの形態では、初期設定情報を一方向に流すのがよい。幾つかの実施形態では、初期設定情報を双方向に流すことができる。初期設定情報は、センサ組立体100a,100bによるデータの収集と関連した少なくとも1つのパラメータを定めるのがよい。例えば、初期設定情報は、1つ以上の動作モードの各々のためにセンサ組立体100a,100bの1つ以上のセンサについての設定値を特定するのがよい。初期設定情報は、他の制御情報、例えばセンサ組立体100a,100bの初期動作モード、動作モードの変更をトリガする特定のイベント、無線機設定値、データ収集情報(例えば、センサ組立体100a,100bがデータの収集でどれほど頻繁に起動するか、センサ組立体がどれほど長くデータを収集するか、どれほど多くデータを収集するか)、家庭基地局(図示せず)、コンピューティングデバイス3、及び接続済みパーソナルアシスタント識別情報、ならびにセンサ組立体100a,100bの植え込み又は動作と関連した他の制御情報をさらに含むのがよい。スマートスピーカーとも呼ばれる接続済みパーソナルアシスタントの例としては、Amazon Echo(登録商標)、Amazon Dot(登録商標)、Google Home(登録商標)、Philips (登録商標)患者モニタ、コムキャスト(Comcast)社の健康追跡スピーカー、及びApple HomePod(登録商標)が挙げられる。幾つかの形態では、初期設定情報は、手術室基地局4上に又は関連するコンピューティングデバイス3上にあらかじめ記憶してあるのがよい。他の形態では、外科医、外科技術師、又は他の何らかの医療従事者2は、制御情報及び他のパラメータをセンサ組立体100a,100bに送信可能に手術室基地局4に入力するのがよい。少なくとも1つのかかる形態では、手術室基地局4は、手術室設定コンピューティングデバイス3と通信するのがよい。手術室設定コンピューティングデバイス3は、医療従事者がセンサ組立体100a,100bに関する設定情報を入力することができるようにするグラフィカルユーザインターフェースを有するアプリケーションを含むのがよい。種々の形態では、手術室設定コンピューティングデバイス3上で実行されるアプリケーションは、医療従事者2によって調節可能であってもよく調節可能でなくてもよい設定情報のうちの幾つかを既定の状態にするのがよい。手術室設定コンピューティングデバイス3は設定情報を図1に示すように、設定情報をセンサ区他100a,100bに伝えることができるワイヤードネットワーク接続又はワイヤレスネットワーク接続により(例えば、USB接続、Bluetooth(商標)接続、Bluetooth(商標) Low Energy(“BTLE”)接続、又はWi-Fi 接続により)手術室基地局4に伝送することができる。
【0051】
手術室設定コンピューティングデバイス3はまた、センサ組立体100a,100b又は手術室基地局4に関する情報を、外科医、外科技術師、又は他の医療従事者2に表示するのがよい。例えば、手術室設定コンピューティングデバイス3は、センサ組立体100a,100bが設定情報を記憶し又はこれにアクセスすることができない場合、センサ組立体100a,100bが無応答の場合、センサ組立体100a,100bが初期セルフテスト中にセンサ又は無線機に関する問題を突き止めた場合、手術室基地局4が無応答又は誤動作する場合、又は他の理由の場合、エラー情報を表示するのがよい。手術室基地局4及び手術室設定コンピューティングデバイス3を別々のデバイスとして説明しているが、実施形態は、これには限定されず、これとは異なり、手術室設定コンピューティングデバイス3及び手術室基地局4の機能を、単一のコンピューティングデバイスに、又は図示のように別々のデバイスに含めることができる。このように、医療従事者2は、一実施形態では、設定情報を手術室基地局4に直接入力することができるようにされているのがよい。
【0052】
図1を参照すると、センサ組立体100a,100bがいったん患者の体内に植え込まれて患者が自宅に戻ると、家庭基地局、コンピューティング又はスマートデバイス(例えば、患者のスマートフォン)、接続済みパーソナルアシスタント、又は家庭基地局、コンピューティング又はスマートデバイス、接続済みパーソナルアシスタントのうちの2つ以上のものは、センサ組立体100a,100bと通信することができる。センサ組立体100a,100bは、定められた速度及び時間、可変速度及び時間、又は制御可能な速度及び時間でデータを収集することができる。データ収集は、センサ組立体100a,100bが手術室で初期化されたとき、医療従事者2によって指図を受けたとき、又はある後の時点で、開始するのがよい。センサ組立体100a,100bにより収集された少なくとも幾分かのデータを家庭基地局に直接、スマートデバイスに直接、接続済みパーソナルアシスタントに直接、スマートデバイス及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの一方又は両方を介して基地局に、基地局及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの一方又は両方を介してスマートデバイスに、又はスマートデバイス及び基地局のうちの一方又は両方を介して接続済みパーソナルアシスタントに伝送することができる。ここで用いた「一方又は両方」という表現は、一アイテムだけにより、両方のアイテムにより連続的に又は並行して、を意味している。例えば、センサ組立体100a,100bにより収集されたデータをスマートデバイス単独で、接続済みパーソナルアシスタント単独で、スマートデバイス及び接続済みパーソナルアシスタントにより連続的に、接続済みパーソナルアシスタント及びスマートデバイスにより連続的に、そしてスマートデバイスと接続済みパーソナルアシスタントの両方により直接的に、場合によっては同時に家庭基地局に伝送することができる。同様に、センサ組立体100a,100bによって収集されたデータは、家庭基地局単独で、接続済みパーソナルアシスタント単独で、家庭基地局及び接続済みパーソナルアシスタントにより連続的に、接続済みパーソナルアシスタント及び家庭基地局により連続的に、そして家庭基地局と接続済みパーソナルアシスタントの両方により直接的に、場合によっては同時にスマートデバイスに伝送することができる。さらに、一例として、センサ組立体100a,100bにより収集されたデータを、スマートデバイス単独で、家庭基地局単独で、スマートデバイス及び家庭基地局により連続的に、家庭基地局及びスマートデバイスにより連続的に、そしてスマートデバイスと家庭基地局の両方により直接的に、場合によっては同時に接続済みパーソナルアシスタントに伝送することができる。種々の形態では、家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上は、センサ組立体100a,100bが家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上の通信範囲内にあるかどうかを確かめるために定期的な時刻に、所定の時刻に、又は他の時刻にセンサ組立体100a,100bをピング(Ping)することができる。センサ組立体100a,100bからの応答に基づき、家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上は、センサ組立体100a,100bが通信範囲内にあることを確かめ、そしてセンサ組立体100a,100bに、要求を出し、指令を出し、又は違ったやり方で命令を出して、センサ組立体が収集したデータを家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上に伝送するのがよい。
【0053】
家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上の各々は、幾つかの場合、それぞれの任意のユーザインターフェースを備えるのがよい。ユーザインターフェースは、1つ以上の形式のマルチメディア情報(例えば、映像、音声、触覚など)を一方向又は双方向に流すマルチメディアインタフェースとして形成されるのがよい。家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上のそれぞれのユーザインターフェースにより、患者1又は患者1の関係者(図1には示さず)は、他のデータを入力してセンサ組立体100a,100bにより収集されたデータを補完するのがよい。例えば、ユーザは、個人記述情報(例えば、年齢変化、体重変化)、医学的状態、併存疾患、疼痛レベル、生活の質、もしくは他の主観的メトリックデータの変化、医療従事者向けの個人的メッセージなどを入力することができる。これらの形態では、個人記述情報は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイクロホン、ワイヤード又はワイヤレスコンピューティングインターフェース、又は他の何らかの入力手段で入力されるのがよい。個人記述情報が収集される場合、個人記述情報は、この情報をセンサ組立体100a,100b、患者、関連医療従事者、関連医療施設などに関連付ける1つ以上の識別子を含むのがよく、又は違ったやり方でこれと関連するのがよい。固有の識別子に情報を関連付ける1つ以上の識別子を含むか、又は他の方法で関連付けることができる。
【0054】
これらの場合の幾つかに関し、家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタント又はデバイスのうちの1つ以上の各々の任意のユーザインターフェースもまた、センサ組立体100a,100bと関連した情報を、例えば、医療従事者2からユーザに送るよう構成されているのがよい。これらの場合、ユーザに送られた情報を、映像スクリーン、音声出力デバイス、触覚変換機、ワイヤード又はワイヤレスコンピューティングインターフェース、又は他の何らかの同様の手段により送るのがよい。
【0055】
家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上が、患者ポータルデバイスに通信的に結合可能に構成された内部ユーザインターフェースを含むのがよいユーザインターフェースを備える。患者ポータルデバイスは、スマートフォン、タブレット、身体着用デバイス、体重又は他の健康測定デバイス(例えば、体温計、体重計など)、又はワイヤードもしくはワイヤレス通信可能な他の何らかのコンピューティングデバイスであってよい。これらの場合、ユーザは、個人記述情報を入力することができ、また、ユーザは、センサ組立体100a,100bと関連した情報を入手することができる場合がある。
【0056】
家庭基地局は、収集したデータをクラウドに伝送するために患者の家庭用ネットワークを利用することができる。ローカルエリアネットワークであるのがよい家庭用ネットワークは、患者の自宅からワイドエリアネットワーク、たとえばインターネットへのアクセスを可能にする。幾つかの形態では、家庭基地局は、家庭用ネットワークに接続してインターネットにアクセスするためにWi-Fi接続を利用するのがよい。他の実施形態では、家庭基地局は、患者の家庭用コンピュータ(図示せず)に、例えばそれ自体家庭用ネットワークに接続されるUSB接続により接続されるのがよい。スマートデバイスは、センサ組立体100a,100bと例えばBluetooth(登録商標)準拠信号により直接通信することができ、そして収集したデータをクラウドに送るために患者の家庭用ネットワークを利用することができ、又は例えばセルラーネットワークによりクラウドと直接通信することができる。変形例として、スマートデバイスは、基地局と接続済みパーソナルアシスタントのうちの一方又は両方と、例えば、Bluetooth(登録商標)準拠信号により直接通信するよう構成されてもよいが、センサ組立体100a,100bと直接通信するようには構成されない。
【0057】
さらに、接続済みパーソナルアシスタントは、センサ組立体100a,100bと、例えばBluetooth(登録商標)準拠信号により直接通信することができ、また、収集したデータを患者の家庭用ネットワークを利用してクラウドに送ることができ、又は、クラウドと例えばモデム/インターネット接続又はセルラーネットワークにより直接通信することができる。変形例として、接続済みパーソナルアシスタントは、基地局とスマートデバイスのうちの一方又は両方と、例えばBluetooth(登録商標)準拠信号により直接通信するよう構成されてもよいが、センサ組立体100a,100bと直接通信するようには構成されない。
【0058】
収集したデータをクラウドに送るとともに、家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上もまた、クラウドから直接あるいは家庭用ネットワークによりデータ、指令、又は他の情報を得ることができる。家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上は、受信したデータ、指令、又は他の情報のうちの何割か又は全てをセンサ組立体100a,100bに提供することができる。かかる情報の例としては、アップデートされた設定情報、センサ組立体100a,100bが適正に機能しているかどうかを判定するための診断リクエスト、データ収集リクエスト、及び他の情報が挙げられるが、これらには限定されない。
【0059】
クラウドは、センサ組立体100a,100b、から収集したデータ及び幾つかの場合には患者から収集された個人記述情報を他のインテリジェント植え込み型器具から収集したデータ、及び幾つかの場合には他の患者から収集した個人記述情報と統合するために1つ以上のサーバコンピュータ又はデータベースを含むのがよい。このように、クラウドは、別々の患者に植え込まれた複数のインテリジェント植え込み型器具の各々からの収集データに関して多種多様なメトリックを作ることができる。この情報は、インテリジェント植え込み型器具が適正に機能しているかどうかを判定する上で役に立つ場合がある。収集された情報はまた、他の目的、例えば、どの特定の器具が正しく機能していないかを突き止めるため、インテリジェント植え込み型器具と関連した手技又は状態が患者に役に立っているかどうか(例えば、センサ組立体100a,100bを含むセンサシステムが正しく動作しているかどうか)を判定するため、及び他の医学的情報を判定する上で役に立つ場合がある。
【0060】
モニタリングプロセス全体を通じて種々の時点で、患者は、経過観察の予約を得るために医療従事者のもとを訪ねるよう要求される場合がある。この医療従事者は、センサ組立体100a,100bを患者の体内に植え込んだ外科医の場合があり、又はモニタリングプロセス、物理療法、及び患者の回復を監督する別の医療従事者の場合がある。様々な理由で、医療従事者は、制御された環境においてセンサ組立体100a,100bからのリアルタイムのデータを収集したいと思う場合がある。幾つかの場合、医療従事者のもとを訪ねるためのリクエストは、家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上の各々のそれぞれのオプションとしての双方向ユーザインターフェースにより送られる場合がある。
【0061】
医療従事者は、センサ組立体100a,100bと通信する診療所基地局を利用して、追加のデータを診療所基地局とセンサ組立体100a,100bとの間で伝えることができる。代替的に又は追加的に、医療従事者は、診療所基地局を利用して指令をセンサ組立体100a,100bに伝えてもよい。幾つかの形態では、診療所基地局は、センサ組立体100a,100bに命令を出して高解像度モードに入り、短時間で収集されるデータの転送速度又は種類を一時的に増大させることができる。高解像度モードは、センサ組立体100a,100bに命令を出してこのセンサ組立体は、医療従事者もまた患者をモニタしている活動の間、データの異なる(例えば、多くの)量のデータを収集する。
【0062】
幾つかの形態では、診療所基地局は、医療従事者にイベントマーカーを入力することを可能にし、かかるイベントマーカーをセンサ組立体100a,100bによって収集される高解像度データと同期させることができる。例えば、センサ組立体100a,100bが、頭蓋内動脈瘤中に植え込まれるようになったセンサシステムの一コンポーネントであると仮定する。経過観察の来院の際、医療従事者は、センサ組立体100a,100bを高解像度モードにするのがよい。医療従事者は、センサ組立体100a,100bからのセンサデータをレビューして、動脈瘤内に血液凝固が生じているかどうかを判定することができる。センサデータにより動脈瘤内に血液凝固が生じていないらしいことが分かった場合、医療従事者は、薬物を患者に投与するのがよい。医療従事者は、ベータ遮断薬及び/又はカルシウムチャネル遮断薬を投与して、患者の血圧を下げるとともに患者の血管を弛緩させるのがよい。別法として、医療従事者は、血液凝固を促進する抗線維素溶解薬(例えば、アプロチニン、トラネキサム酸、イプシロン‐アミノカプロン酸)を投与する場合がある。医療従事者が薬物を患者に投与した後、医療従事者は、診療所基地局のイベントマーカーボタンをクリックして薬物の投与に印をつけることができる。診療所基地局は、そのマーカー及びマーカーが入力された時刻を記録する。このマーカーのタイミングと収集した高解像度データのタイミングが一致すると、医療従事者は、データを分析して薬物の作用効果を確認することができる。他の形態では、診療所基地局は、アップデートした設定情報をセンサ組立体100a,100bに提供するのがよい。センサ組立体100a,100bは、このアップデート後の設定情報を記憶するのがよく、かかるアップデート後の設定情報は、データの収集と関連したパラメータを調節するよう使用できる。例えば、患者が経過良好である場合、医療従事者は、センサ組立体100a,100bがデータを収集する頻度の減少を指図することができる。これとは逆に、欠陥又は損傷が治癒していない場合(例えば、動脈瘤内に血液凝固が生じていない場合)、医療従事者は、センサ組立体100a,100bに命令を出して所定の期間にわたり(例えば、数日間)、追加のデータを収集するのがよい。医療従事者は、追加データを用いて特定の問題を診断して対処するのがよい。幾つかの場合、追加のデータは、患者が医療従事者のもとから立ち去ってもはや診療所基地局の通信範囲内に存在しなくなった後、患者により提供される個人記述情報を含むのがよい。これらの場合、個人記述情報は、家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上により収集されて送られるのがよい。センサ組立体100a,100b及び/又は基地局内のファームウェアは、かかる強化されたモニタリングの期間を制限するセーフガードを提供して、バッテリがインプラントのライフサイクルの間続くのに十分な電力を保持するようにすることができる。追加的に又は代替的に、センサ組立体100a,100bは、センサ組立体100a,100bのモニタリングの制限を助ける導電率スイッチを含んでもよく、これについては以下にさらに説明する。
【0063】
種々の形態では、診療所基地局は、診療所設定コンピューティングデバイスと通信するのがよい。診療所設定コンピューティングデバイスは、医療従事者が指令及びデータを入力することができるようにするグラフィカルユーザインターフェースを有するアプリケーションを含むのがよい。指令、データ、及び他の情報のうちの何割か又は全ては、後で、診療所基地局経由でセンサ組立体100a,100bに伝送されるのがよい。例えば、幾つかの形態では、医療従事者は、グラフィカルユーザインターフェースを用いてセンサ組立体100a,100bに命令を出し、それによりその高解像度モードに入ることができる。他の形態では、医療従事者は、グラフィカルユーザインターフェースを用いてセンサ組立体100a,100bに関する設定情報を入力し又は変更することができる。診療所設定コンピューティングデバイスは、情報(例えば、指令、データ、又は他の情報)をワイヤード又はワイヤレスネットワーク接続経由で(例えば、USB接続、Bluetooth (登録商標)接続、又はWi-Fi 接続経由で)診療所基地局に伝送することができ、かかるワイヤード又はワイヤレスネットワーク接続は、情報のうちの何割か又は全てをセンサ組立体100a,100bに伝送することができる。
【0064】
診療所設定コンピューティングデバイスはまた、センサ組立体100a,100bに関する情報、患者に関する他の情報(例えば、個人記述情報)、又は診療所基地局に関する他の情報を医療従事者に表示することができる。例えば、診療所設定コンピューティングデバイスは、センサ組立体100a,100bにより収集されて、診療所基地局に伝送された高解像度データを表示することができる。診療所設定コンピューティングデバイスはまた、センサ組立体100a,100bが設定情報を記憶し又はこれにアクセスすることができない場合、センサ組立体100a,100bが無応答の場合、センサ組立体100a,100bがセンサ又は無線機のうちの1つに関する問題を確認した場合、診療所基地局が無応答又は誤動作を起こしている場合、又は他の理由でエラー情報を表示することができる。幾つかの形態では、診療所設定コンピューティングデバイスは、クラウドへのアクセスを行うことができる。少なくとも1つの実施形態では、医療従事者は、診療所設定コンピューティングデバイスを利用して、クラウドに記憶されているデータにアクセスすることができ、かかるデータは、前もってセンサ組立体100a,100bによって収集されて、家庭基地局及びスマートデバイスのうちの一方又は両方経由でクラウドに伝送されている。同様に、診療所設定コンピューティングデバイスは、センサ組立体100a,100bから得られた高解像度データを診療所基地局経由でクラウドに伝送することができる。幾つかの形態では、診療所基地局は、インターネットアクセスが可能であり、それにより、診療所設定コンピューティングデバイスを用いないで高解像度データをクラウドに直接伝送することができるようになっているのがよい。
【0065】
種々の形態では、医療従事者は、患者が医療従事者の診療所内にいないときに、センサ組立体100a,100bの設定情報をアップデートすることができる。これらの場合、医療従事者は、診療所設定コンピューティングデバイスを利用して、アップデートされた設定情報をクラウド経由でセンサ組立体100a,100bに伝送することができる。家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上は、クラウドからアップデート済み設定情報を得ることができ、そしてアップデートされた設定情報をクラウドに伝えることができる。これにより、医療従事者は、患者が医療従事者の診療所に来院することなく、センサ組立体100a,100bの動作を遠隔調節することができる。また、これにより、例えば、患者によって提供されて、家庭基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上により診療所基地局に送られた個人記述情報に応答して、医療従事者が患者にメッセージを送ることができる。
【0066】
診療所基地局及び診療所設定コンピューティングデバイスを別々のデバイスとして説明したが、構成はそのように限定されることはなく、これとは異なり、診療所設定コンピューティングデバイス及び診療所基地局の機能を単一のコンピューティングデバイスに含めることができ又は別々のデバイスに含めることができる(図示のように)。このように、医療従事者は、1つの形態では、設定情報又はマーカーを直接診療所基地局に入力して、診療所基地局上のディスプレイから高解像度データ(及び同期したマーカー情報)をレビューすることができるようになっている。
【0067】
依然として図1を参照すると、別の形態が想定されている。例えば、基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントの各々は、基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントの別の1つ又は2つ経由でセンサ組立体100a,100b及びクラウドのうちの一方又は両方と通信するよう構成されているのがよい。さらに、スマートデバイスは、センサ組立体100a,100bに対するインターフェースとして一時的に契約されてもよく、かかるスマートデバイスは、スマートフォン以外の任意適当なデバイスであってよく、例えば、センサ組立体100a,100bへのインターフェースとして働くことができる、スマートウォッチ、スマートパッチ、及び任意のIoTデバイス、例えばコーヒーポットである。加うるに、基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上は、1人以上の患者の体内に植え込まれた多数のセンサ組立体100a,100bのための通信ハブとして働くことができる。さらに、基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上は、患者の入力又はセンサ組立体100a,100bの入力(例えば、疼痛レベル、血液凝固レベル)に応答して処方箋又は医療用品(例えば、カルシウムチャネル遮断薬)を自動的に注文し又は再注文することができ、ただし、医療専門家及び保険会社がかかる注文又は再注文をあらかじめ認可していることを条件とし、変形例として、基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上は、注文又は再注文を行うための認可を医療専門家や保険会社から要求するよう構成されていてもよい。さらに、基地局、スマートデバイス、及び接続済みパーソナルアシスタントのうちの1つ以上は、パーソナルアシスタント、例えばAlexa (登録商標)又はSiri(登録商標)を搭載するのがよい。
【0068】
II.センサ組立体
図2A及び図2Bは、種々のタイプの動脈瘤を示している。図2Aは、分岐動脈瘤20aを示している。分岐動脈瘤20aのネック21aは、親動脈23aと2本の娘側枝22aとの間の二又部のところに位置している。分岐動脈瘤20aは、二又部が動脈瘤に加わる大きな圧力を生じさせるので特に危険な場合がある。図2Bは、側壁動脈瘤20bを示している。側壁動脈瘤20bは、親動脈23bと側壁動脈瘤20bとの間の移行部のところ又はその近くに位置するネック21bを有する。本明細書において説明するセンサ組立体100は、図2A及び図2Bに示すタイプの動脈瘤を含む任意の血管構造内に植え込み可能である。
【0069】
図3A図3Cに示すように、センサ組立体100は、1つ以上のセンサ102及び/又は1つ以上のアンテナ112を含むのがよい。1つ以上のセンサ102は、1つ以上の生理学的パラメータをモニタすることができる。1つ以上の生理学的パラメータは、患者の血管系を通る血液の流れ又は患者の他の状態の指標となることができる。例えば、1つ以上のセンサ102は、1つ以上の生理学的パラメータを連続的に、一定の時間間隔で間欠的に、又は指令時にモニタすることができる。1つ以上のアンテナ112は、センサデータを患者の体外に設けられた受信機に伝送することができる。例えば、1つ以上のアンテナ112は、センサデータを連続的に、間欠的に、一定の時間間隔で間欠的に、又は指令時に伝送することができる。
【0070】
センサ組立体100は、血管構造、例えば図3A図3Cに示すような動脈瘤20を通る血液の流れの指標となる1つ以上の生理学的パラメータをモニタすることができる。センサ組立体100は、患者の他の状態、例えば動きをモニタするための1つ以上のセンサを含むのがよい。例えば、センサ組立体100は、患者が立っているか又は寝ているかをモニタするための加速度計を含むのがよい。
【0071】
センサ組立体100は、センサシステム150に組み込まれるのがよく、センサシステム150は、繋留又はアンカー構造体106をさらに含むのがよい。例えば、図3Aは、デリバリシステム300によって動脈瘤20中に植え込まれているセンサシステム150を示している。アンカー構造106aは、センサ組立体100と動脈瘤20の壁との間に位置決めされるのがよい。アンカー構造体106aは、動脈瘤の入り口を維持するとともに/あるいは動脈瘤を安定化するよう、1つ以上のフレーミングコイル又は他の構造部材の形態を取るのがよい。例えば、アンカー構造体106aは、センサ組立体100を少なくとも部分的に包囲するとともに動脈瘤20動脈瘤20の壁に接触するのがよい。別の見方では、センサ組立体100は、アンカー構造体106aにより画定された内部空間内に設けられるのがよい。アンカー構造体106aは、センサ組立体100に直接的に又は間接的に接触するのがよい。例えば、アンカー構造体106aは、アンテナ112及び/又はセンサ102に接触するのがよい。幾つかの形態では、アンカー構造体106aは、センサ組立体100に直接的に又は間接的に結合されるのがよい。他の形態では、アンカー構造体106aは、センサ組立体100に全く接触しなくてもよい。
【0072】
アンカー構造体は、種々の形態を取ることができる。例えば、図3Bは、動脈瘤20中に植え込まれたセンサシステム150を示している。アンカー構造体106bは、メッシュ又は織物構造、例えばバスケットの形をしているのがよい。アンカー構造体106bは、センサシステムから延びる多数のループ、例えば、2つのループ、3つのループ、又は4つ以上のループの形をしていてもよい。オプションとして、多数のループは、単一の平面内に位置する。オプションとして、多数のループは、各々同一サイズのものである。アンカー構造体106bは、動脈瘤20の壁に接触するのがよい。図3Cは、センサシステム150をこれがアンカー構造体106cにより分岐動脈瘤20内に植え込まれた後の状態で示している。アンカー構造体106cは、閉塞を促進するために1つ以上のコイルを含むのがよい。センサシステム150を動脈瘤20中に植え込んだ後、血液は、親血管23から関連する娘血管22中に流れることができる(矢印で示すように)。センサシステム150は、血液が動脈瘤20中に流れるのを止めることができ、それにより、動脈瘤20が成長する恐れを減少させる。
【0073】
図4は、動脈瘤20内におけるセンサ102又はセンサ組立体100の考えられる位置決め状態を示している。図4に示すように、動脈瘤20は、ネック21を有する場合があり、ネック21は、親動脈23に隣接して位置する。動脈瘤20は、高さHを有する場合があり、ネック21は、幅Wを有する場合がある。センサ102は、動脈瘤20の高さHの中間部のところ又はその近くのところにかつネック21の幅Wの中間部のところ又はその近くに位置決めされるのがよい。1つ以上のセンサ102又はセンサ組立体100の位置決めは、重要である。例えば、センサ102が親血管23から遠すぎるところに位置決めされた場合、センサ102は、血液の流れを検知することができない場合がある。センサ102がネック21に近すぎるところに位置決めされた場合、センサ102は、治療の際に望ましくない閉塞及び他の問題を引き起こす場合がある。さらに、センサ102は、例えば親血管23の血液の流れによって動脈瘤20から偶発的に流れ出てしまう場合がある。
【0074】
A.アンテナ
上述したように、センサ組立体100は、1つ以上のアンテナ112を含むのがよい。アンテナ112は、センサ組立体100の1つ以上の他のコンポーネント、たとえばセンサ102と電気的連絡状態にあるのがよい。アンテナ112は、センサ組立体100に関連したセンサデータ又は他のデータを受信機(例えば、体内及び/又は基地内のハブ、又は体外に位置する他のコンピューティングデバイス)に伝送することができる。例えば、アンテナ112は、指令の受け取り時に、センサデータを連続的に伝送し、センサデータを所定の時間間隔で間欠的に伝送することができる。アンテナ112は、外部送信機(例えば、体内及び/又は基地局内のハブ、又は体外に位置する他のコンピューティングデバイス)からデータを受信するよう構成されているのがよい。アンテナ112は、RFトランシーバを含み、又はRFトランシーバとして働くのがよく、RFトランシーバは、センサ組立体100が、センサ組立体100に用いられるよう構成された基地局(図5A図5Cには示さず)と通信できるように構成された、従来型トランシーバであってよい。例えば、アンテナ112は、任意適当な形式のトランシーバ(例えば、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)Low Energy(BTLE)、及びWi-Fi(登録商標))であってもよく、任意適当なプロトコル(たとえば、MICS、ISM 、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BTLE)、Zigbee、及びWi-Fi(登録商標))に従って動作するよう構成されていてもよく、そして1MHzから5.4GHzまでの範囲内にあり、又は任意の他の適当な範囲内にある周波数帯で動作可能に構成されていてもよい。
【0075】
アンテナ112は、フィルタ(図示せず)を有するのがよい。フィルタは、任意適当な帯域通過フィルタであってよく、例えば、表面音響波(“SAW”)フィルタ又はバルク音響波(“BAW”)フィルタである。アンテナ112は、RFトランシーバ及び/又はアンテナ112がアンテナ112によって送信可能に信号を発生させる周波数帯域、及び基地局がアンテナ112によって受信可能に信号を発生させる周波数帯域について適しているのがよい。
【0076】
アンテナ112は、1つ以上の材料(例えば、純材料又は合金材料)から構成されるのがよい。例えば、アンテナ112は、以下の物質、すなわち、白金イリジウム、白金、又は被覆形状記憶ワイヤのうちの1つ以上から構成されるのがよい。被覆形状記憶ワイヤは、2MHz~500MHzの周波数で動作することができる電気的/RF信号導通性材料で覆われるとともに/あるいはメッキされた内側ニチノールワイヤを含むことができる。1つ以上の材料は、1.0~6.0×106S/Mの導電率を有するのがよい。1つ以上の材料は、センサ102と相互作用し、又はセンサ102に対して中立であるよう構成されるのがよく、というのは、センサ102が治療ゾーンと相互作用するからである。
【0077】
アンテナ112は、センサ組立体100が圧縮形態と拡張形態との間で移行することができるよう、十分に可撓性、柔軟性、かつ/あるいは適合性であるのがよい。例えば、アンテナ112は、フレックス型パリレンアンテナを含むことができる。1つ以上のアンテナ112は、圧縮形態に圧縮されてデリバリシステム中に装填されるのがよい。さらに、アンテナ112が患者の体内にいったん植え込まれると、アンテナ112は、拡張して拡張形態になり、センサ組立体100を患者の体内(例えば、治療ゾーン内又はその近く)に一時的に繋留又は固定するのがよい。拡張形態では、アンテナ112は、治療ゾーンの又はその近くの内面(例えば、動脈瘤の内面)に適合するように寸法決めされるとともに構成されているのがよい。
【0078】
アンテナ112は、センサシステム150のための繋留構造体を形成することができる。アンテナ112は、血管構造又は他の繋留構造体と接触する能力を高めるために、単軸ループ、二軸ループ、又は球状ループを含むのがよい。アンテナは、センサ組立体100を患者の体内に(例えば、動脈瘤ネック入口周りの位置)に配置するのがよい。センサ組立体100が患者の体内に植え込まれると、アンテナ112は、例えば、動脈瘤壁と相互作用し、動脈瘤と関連する親動脈との間の流体交換の適切なモニタリングを可能にするためにセンサ組立体100の位置を維持するよう動脈瘤とアンカー接触手段として働くのがよい。例えば、アンテナ112は、動脈瘤の内壁と相互作用することができる1つ以上のプロング及び/又はプロング延長部を有するのがよい。1つ以上のプロング及び/又はプロング延長部は、プロング及び/又はプロング延長部が無外傷性であるよう丸形端部を有するのがよい。変形例として、別個の繋留構造体106を追加してセンサ組立体100を患者の体内で支持してもよい。これらの形態では、別個の繋留構造体106は、アンテナ112に直接的に又は間接的に接触し又は結合するのがよい。アンテナ112は、アンテナが別個の繋留構造体106の植え込みを妨害しないよう配備されるのがよい。別個の繋留構造体106は、治療ゾーンの又はその近くの内面に適合するのがよい。
【0079】
センサ組立体100のアンテナ112又は他のコンポーネントは、1つ以上のセンサに関して以下にさらに説明するように、治療法の望む相互作用を補完し又は禁止する材料を運ぶよう製造されるのがよい。例えば、アンテナ112は、アンテナ112の外部又は内部が分解可能な物質で被覆されるのがよく、それにより、この物質のうちの何割か又はこの物質の分解の他の副生成物を治療部位に放出することができる。例えば、かかる物質又は他の副生成物を導電率スイッチに基づいて放出するのがよく、導電率スイッチについては、センサシステムを参照して以下にさらに説明する。アンテナ112は、センサ102のためのコイルインプラントとして作用し、そしてコイル又は球形インプラントとして働き、動脈瘤ゾーンを満たしたり動脈瘤ゾーン中及び動脈瘤ゾーン周りの流れを妨げたりするのがよい。
【0080】
図5A図5Dは、センサ組立体100の種々の形態を示している。アンテナ112は、センサ102と電気的連絡状態にあるのがよい。アンテナ112は、センサ102と同一のチップ上に設けられてもよく、あるいはセンサ102とは異なるチップ上に設けられてもよい。上述したように、センサ組立体100は、圧縮形態と拡張形態との間で移行することができるようになっているのがよい。例えば、1つ以上のアンテナ112をデリバリシステム中に装填可能にセンサ102及び/又はキャリア104周りに圧縮して、デリバリシステムからの放出時に拡張させるのがよい。この拡張形態では、アンテナ112は、安定化又は繋留機能を発揮することができる。
【0081】
図5Aに示すように、センサ組立体100cは、1つ以上のセンサ102、キャリア104、及び/又は1つ以上のアンテナ112a,112bを含むのがよい。1つ以上のアンテナ112a,112bは、アンテナ112a,112bをセンサ102及び/又はキャリア104周りに圧縮することができるよう可撓性であるのがよい。1つ以上のアンテナ112a,112bは、1つ以上のセンサ102及び/又はキャリア104を少なくとも部分的に包囲するのがよい。図示のように、センサ102は、キャリア104の第1の側に設けられるのがよく、アンテナ112a,112bは、キャリア104の反対側に設けられるのがよい。センサ102とアンテナ112a,112bは、一緒になって、キャリア104を実質的に包囲する。
【0082】
図5Bに示すように、センサ組立体100dは、センサ102を少なくとも部分的に包囲した1つ以上のアンテナ112a,112bを含むのがよい。例えば、センサ102は、第1のアンテナ112aと第2のアンテナ112bとの間に位置決めされるのがよい。第1のアンテナ112aは、センサ102の第1の側に設けられるのがよく、第2のアンテナ112bは、センサ102の反対側に設けられるのがよい。
【0083】
図5Cに示すように、センサ組立体100eは、キャリア104によって支持された1つ以上のセンサ102a,102bを含むのがよい。例えば、キャリア104は、センサ102a,102b相互間に位置決めされるのがよい。第1のセンサ102aは、キャリア104の第1の側にもうけられるのがよい。第2のセンサ102bは、キャリア104の反対側に設けられるのがよい。1つ以上のアンテナ112a,112bは、1つ以上のセンサ102a,102b及び/又はキャリア104を少なくとも部分的に包囲するのがよい。第1のアンテナ112aは、キャリア104の第1の側に設けられるのがよい。第2のアンテナ112bは、キャリア104の反対側に設けられるのがよい。各センサ102a,102bは、キャリア104とアンテナ112a,112bとの間に位置決めされるのがよい。
【0084】
図5Dに示すように、センサ組立体100fは、1つ以上のセンサ102を少なくとも部分的に包囲する球形構造体を形成する1つ以上のアンテナ112a~112eを含むのがよい。アンテナ112a~112eは、1つ以上のセンサ102周りに巻き付けられるのがよい。1つ以上のアンテナ112a~112eは、各端が互いに連結されるのがよい。
【0085】
幾つかの形態では、アンテナ112のサイズは、送信距離を限定する場合がある。センサシステム150は、送信距離を延ばすために、患者の体内に又は体外に追加のトランシーバを含んでもよい。例えば、トランシーバは、ウェアラブル型器具又は衣服に一体化されるのがよい。図10A及び図10Bに示すように、センサ組立体100は、外部トランシーバ402と通信するようになっているのがよい。外部トランシーバ402は、持続気道陽圧(“CPAP”)器械のユーザインターフェース、ヘッドバンド400a、キャップ400b、又は他の着用具に取り付けられるのがよい。外部トランシーバ402は、1つ以上の信号(例えば、RF信号)をセンサ組立体100から受信するようになっているのがよい。外部トランシーバ402は、内蔵バッテリ又はキャパシタ付きバッテリを含むのがよい。外部トランシーバ402は、受信プラットフォーム、例えば基地局又は他のコンピューティングデバイスと通信するようになっているのがよい。例えば、外部トランシーバ402は、作成した情報をダウンロードしてクラウドに伝送するために基地局に間接的又は直接的に接続されるのがよい。
【0086】
B.センサ
依然として図5A図5B図5C及び図5Dを参照すると、上述したように、センサ組立体100は、1つ以上のセンサ102を含むのがよい。「センサ」は、身体組織の1つ以上の種々の観点(例えば、解剖学的構造、生理学的特徴、代謝及び機能)、身体又は身体セグメントの状態又は機能の1つ以上の観点(例えば、動脈瘤内の血液凝固)、及び/又はセンサ組立体100の1つ以上の観点の検出、測定及び/又はモニタのうちの1つ以上を行うよう利用できるデバイスを指している。
【0087】
センサ組立体100内における使用に適したセンサの代表的な例としては、例えば、流体圧力センサ、流体量センサ、接触センサ、位置センサ、パルス圧力センサ、血液量センサ、血液流量センサ、化学センサ(例えば、血液及び/又は他の流体向きの)、代謝センサ(例えば、血液及び/又は他の流体向きの)、インピーダンスセンサ、電極、加速度計、ジャイロスコープ、機械的応力センサ及び温度センサが挙げられる。ある特定の形態の範囲内において、1つ以上のセンサ102のうちの少なくとも1つのセンサは、ワイヤレスセンサであってもよく、あるいは他の形態の範囲内において、ワイヤレスマイクロプロセサに接続されてもよい。幾つかの形態の範囲内において、1つ以上のセンサ102のうちの少なくとも1つのセンサは、センサを具体的に識別する固有のセンサ識別番号(“USI”)を有するのがよい。
【0088】
1つ以上のセンサ102は、植え込み後におけるセンサ組立体100の状態に関する情報を検出し、測定するとともに/あるいはモニタするよう構成されているのがよい。センサ組立体100の状態としては、センサ組立体100の健全性、センサ組立体100の動き、センサ組立体100に加わる力、及び植え込まれた状態のセンサ組立体100に関する他の情報が挙げられる。
【0089】
1つ以上のセンサ102は、センサ組立体100の植え込み後における身体組織に関する情報(例えば、患者の1つ以上の生理学的パラメータ)を検出し、測定するとともに/あるいはモニタするよう構成されているのがよい。身体組織のモニタリングは、血圧、患者の血液中のpHレベル、酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースを含むのがよい。1つ以上のセンサ102は、流体圧力センサ、流体量センサ、パルス圧力センサ、血液量センサ、血液流量センサ、化学センサ(例えば、血液及び/又は他の流体向きの)、代謝センサ(例えば、血液及び/又は他の流体向きの)を含むのがよい。
【0090】
放射線不透過性マーカー又は他の形式のマーカーを、1つ以上のセンサ102に組み込むのがよい。放射線不透過性マーカーは、標準型X線透視検査法により、血管系内の1つ以上のセンサ102の存在場所を追跡することができる。
【0091】
図6に示すように、1つ以上のセンサ102のうちの少なくとも1つは、化学反応CRを利用した検出機構を含むのがよい。例えば、センサ102は、センサ102上の化学反応CR及び白金表面、例えばアンテナ112上の結果としての出力相互作用を管理するのに十分な特定の化学当量及び分析物灌流速度を含む外側メンブレン103を有するのがよく、この外側メンブレン103は、当該ゾーンの送信及びモニタリングのための信号を発生させる。アンテナ112は、センサ102から延びるのがよい。動脈瘤閉鎖治療、がん、塞栓治療、塞栓血管閉鎖治療(動脈又は静脈)などに対処する際に用いられるブロークンコンテインメント(broken containment)法により、信号は、化学反応CRが親動脈から動脈瘤、すなわち空所への血液の生物学的な伝播の漸減作用という作用モードにあるか、漸増作用という作用モードにあるかを判定することができる。
【0092】
化学反応CRの持続時間は、1日以上かつ/あるいは360日以下であるのがよい。例えば、持続時間は、1日以上及び/又は180日以下であるのがよい。持続時間は、1日以上及び/又は約90日以下であるのがよい。持続時間は、1日以上及び/又は約30日以下であるのがよい。持続時間は、1日以上及び/又は約10日以下であるのがよい。化学反応CRのデータ出力変動性は、化学反応CRが存在するか化学反応CRが存在しないかの測定指標に基づいて、1%というわずかな偏差から99%超という大きな偏差までの範囲にわたる場合がある。例えば、導電率スイッチ又はセンサを用いることができ、これについては以下にさらに説明する。化学的相互作用に基づき、センサ102は、結果としての生物学的反応を検出することができ、これは、生物学的流れの減少/制限、生物学的流れのインパクション及び/又は生物学的シールの測定値を求めるために使用できる。信号の劣化及び/又は非劣化は、センサ組立体100及び/又はセンサシステム150が配置される領域/ゾーンにおける治療の機能の決定因子である場合がある。
【0093】
C.プロセッサ/コントローラ
センサ組立体100は、1つ以上のセンサ102及び/又はアンテナ112と電気的連絡状態にあるプロセッサを含むのがよい。1つ以上のセンサ102及びプロセッサは、プリント回路板に実装されるのがよい。変形例として、1つ以上のセンサ102のうちの何割か又は全ては、プリント回路板とは別個のセンサ組立体100の別の構造体内に又はこの上に配置されてもよい。プロセッサは、任意適当なマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサであってよく、このプロセッサは、センサ組立体100の他のコンポーネントのうちの1つ以上の設定及び動作を制御するよう構成されているのがよい。例えば、プロセッサは、1つ以上のセンサ102を制御して、当該センサが関連する測定データ又は生理学的パラメータを検出し、1つ以上のセンサによって生成される測定データをメモリに記憶させ、記憶データをペイロードとして含むメッセージを生成し、メッセージをパケット化し、メッセージパケットを受信機(例えば、患者の体内のハブ又は患者の体外に位置する基地局もしくは他のコンピューティングデバイス)に送信可能にアンテナ112に提供するよう構成されているのがよい。プロセッサは、アンテナ112経由で基地局又は他のコンピューティングデバイスから受け取った指令を実行するよう構成されているのがよい。例えば、プロセッサは、基地局から設定データを受け取り、そして基地局が設定データを指示したセンサ組立体100のコンポーネントに設定データを提供するよう構成されているのがよい。基地局が設定データをプロセッサに指示する場合、プロセッサは、設定データに応答してそれ自体を設定することができる。
【0094】
プロセッサにより、1つ以上のセンサ102は、測定、検出、及び測定値が適切な又は有効な測定値であるかどうかの判定、有効測定値を表すデータの記憶を行うことができ、そして、それにより、アンテナ112が記憶したデータをセンサ組立体100の外部に位置する基地局又は他のソースに送信することができるようにする。基地局により又はセンサ組立体100の外部に位置する別のデバイスによってポーリングされたことに応答して、プロセッサは、ペイロード及びヘッダを含む従来のメッセージを作成することができる。ペイロードのスキャンは、1つ以上のセンサ102によって生じた信号の記憶されたサンプルを含む。ヘッダは、ペイロード中のサンプル区切り、センサ102がサンプルを取得した時刻を指示する時刻印、センサ組立体100の識別子(例えば、シリアル番号)、及び/又は患者の識別子(例えば、番号又は名前)を含むのがよい。プロセッサは、従来型データパケット化プロトコルに従って、メッセージを含むデータパケットを生成することができる。各パケットは、パケットヘッダをさらに含むのがよく、パケットヘッダは、例えば、パケットのシーケンス番号を含み、したがって、受信デバイスはパケットが順番通りではない状態で送受信された場合であっても、パケットを適正に順番付けることができるようになっている。プロセッサは、例えば従来の暗号化アルゴリズムに従ってデータパケットの各々の幾つか又は全ての部分を暗号化し、そして暗号化したデータパケットをエラーコード化する。例えば、プロセッサは、少なくともセンサ組立体100及び患者識別子を暗号化して、データパケットを医療保険の携帯性と責任に関する法律(“HIPAA ”)に準拠させるようにするのがよい。プロセッサは、暗号化されエラーコード化されたデータパケットをアンテナ112に提供するのがよく、アンテナ112は、フィルタ経由でデータパケットを宛先、例えば基地局4(図1に示す)又はセンサシステム150の外部に位置する受信機に送信する。アンテナ112は、任意適当なデータパケット送信プロトコルに従ってデータパケットを送信するのがよい。
【0095】
センサ組立体100及び/又はセンサシステム150の別の形態が想定される。例えば、アンテナ112は、プロセッサに代えて、あるいはプロセッサを補完して、暗号化又はエラーコード化を行うことができる。さらに、センサ組立体100及びセンサシステム150は、本明細書において説明したコンポーネントとは別のコンポーネントを有することができ、かつ本明細書において説明したコンポーネントのうちの1つ以上を省くことができる。
【0096】
センサ組立体100は、メモリ回路(図示せず)を含むのがよく、かかるメモリ回路は、任意適当な不揮発性メモリ回路、例えば、EEPROM又はフラッシュメモリであるのがよい。メモリは、プロセッサ、アンテナ112、及び/又は1つ以上のセンサ102と電気的連絡状態にあるのがよい。メモリは、例えば、プロセッサ又はアンテナ112によって書き込まれたデータを記憶し、そしてこのデータをプロセッサからの読み取り指令に応答して提供するよう構成されているのがよい。
【0097】
D.電源
センサ組立体100は、1つ以上の電源を含むのがよい。例えば、センサ組立体は、1つ以上のバッテリ及び/又はスーパーキャパシタを含むのがよい。電源は、センサ組立体100の残部とともに血管構造内に嵌まり込むような寸法であるのがよい。他の形態では、センサ組立体100は、患者の体内か患者の体外かのいずれかで、血管構造から離れた場所にある電源によって電力供給されるのがよい。
【0098】
電源は、任意適当なバッテリであってよく、例えば、センサ組立体100の予想ライフタイム(例えば、少なくとも1ヶ月又は少なくとも6か月)にわたってプロセッサに電力供給するためのエネルギーを貯めることができる一フッ化リチウム炭素(LiCFx)バッテリもしくはソリッドステートバッテリ、又は他の蓄電セル(例えば、スーパーキャパシタ)である。電源は、マイクロコントローラの記憶装置、リアルタイムクロック及び/又はSRAMのスリープモードを持続させることができる最小限の電力容量を維持するのに十分なエネルギーをセンサ反応副生成物から受け取ることができる。
【0099】
患者の体内に植え込まれた電源を交換することは、少なくとも、費用が比較的高くつく場合があり、しかも副作用、例えば感染や痛みを生じさせる場合のある侵襲的な手技を伴うので望ましくない場合が多い。かくして、電源は、充電可能であるのがよい。例えば、電源は、ASICチップ上に実装された集積回路を用いて充電されるのがよい。別の例として、バッテリは、誘導充電可能であるのがよい。図10A及び図10Bに示すウェアラブル型衣類、又は他のウェアラブル型医療装置(例えば、CPAPデバイス)は、誘導充電を容易にするよう構成されているのがよい。
【0100】
E.センサ組立体形態
図7A図7B図7C図7D図8A図8B図8C図9A及び図9Bは、本明細書において説明するシステム及び方法の任意のものに使用できるセンサ組立体の種々の形態を示している。以下の例を特定の形式のセンサについて説明するが、以下に説明するセンサ形態は、他の化学的相互作用又は他形式のセンサに利用できる。
【0101】
図7Aは、センサ組立体200の概略平面図である。図7B図7C及び図7Dは、図7Aに示すセンサ組立体200の概略断面図である。断面は、図7Aに示す線に沿ってとられている。センサ組立体200は、約1.5mm以下、又は約1.0mm以下の長さ及び/又は幅を有するのがよい。センサ組立体200の厚さは、500ミクロン以下、又は300ミクロン以下でるのがよい。
【0102】
センサ組立体200は、部品を取り付けるための基板層210、たとえばシリコン基板を含むのがよい。基板層210は、電源220上に積み重ねられるのがよい(図7B及び図7Cを参照)。
【0103】
センサ組立体200は、1つ以上のアンテナ212及び1つ以上のセンサ202(例えば、グルコースセンサ、酸素センサ、代謝センサ、運動センサ、又は本明細書において説明した他のセンサ)を含むのがよい。図示のように、センサ202及び/又はアンテナ212は、白金、白金合金、金、銀、又は他の適当な材料を含むのがよい(図7Bを参照)。オプションとして、センサ組立体200は、信号をクリーンにするために参照電極又はバランサー222を含むのがよい。参照電極222は、貴金属、例えば銀又は酸化銀を含むのがよい。基板層210の一領域205は、追加のデバイスのダイ接着のために汚れのない状態に保たれるのがよい。
【0104】
センサ組立体200は、部品連結のために1つ以上の接触パッド206を含むのがよい。接触パッド206は、絶縁層207によって支持されるのがよい(図7C参照)。センサ組立体200は、回路導管及びスイッチ相互作用のために1つ以上の接地パッド208を含むのがよい。接地パッド208は、電源220によって支持されるのがよい(図7D参照)。図示のように、接触パッド206は、接地パッド208とセンサ102との間に位置決めされるのがよい。
【0105】
図7B図7C及び図7Dに示すように、センサ組立体200は、電源220を含むのがよい。例えば、電源220は、1つ以上のバッテリ及び/又はスーパーキャパシタを含むのがよい。各バッテリ又はスーパーキャパシタは、約150μm以下の厚さを有するのがよい。
【0106】
図8Aは、センサ組立体200aの概略平面図である。図8Bは、センサ組立体200aの断面を示している。センサ組立体200aは、センサ組立体200を参照して上述した特徴のうちの任意のものを含むことができる。
【0107】
センサ組立体200aは、2つのセンサ202a、202bを含むのがよい。例えば、第1のセンサ202aは、グルコースセンサであるのがよく、第2のセンサ202bは酸素センサであるのがよい。グルコースセンサ202aは、白金又は白金合金パッドを含むのがよい。グルコースセンサ202aは、0.5mm2以上の表面積を有するのがよい。酸素センサ202bは、酸素を主成分とするオキシダーゼを備えたパッドを有するのがよい。グルコースセンサパッド202aは、酸素センサパッド202bよりも広い表面積を有するのがよい。例えば、グルコースセンサパッド202aの表面積は、酸素センサパッド202bの表面積の少なくとも2倍又は少なくとも3倍であるのがよい。グルコースセンサパッド202aの表面積は、参照電極222の表面積の少なくとも5倍又は少なくとも10倍であるのがよい。
【0108】
センサ組立体200aは、1つ以上の接触パッド206及び/又は1つ以上の接地パッド208を含むのがよい。センサ組立体200とは異なり、1つ以上の接触パッド206は、センサ組立体200aの1つの次元に沿って配置されるのがよく、1つ以上の接地パッド208は、センサ組立体200aの別の次元に沿って配置されるのがよい。例えば、参照電極222は、センサ202a,202bと1つ以上の接触パッド206との間に位置決めされるのがよい。
【0109】
図8B及び図8Cは、センサ組立体200aの概略断面図である。図8Bに示すように、センサ組立体200bは、少なくとも1つの電源220上に積み重ねられた形態プラットフォーム221を含むのがよい。形態プラットフォーム221は、金属融着により連結された積み重ね形態を含むのがよい。例えば、形態プラットフォーム221は、基板層210、第2の基板層214、及びこれら基板層相互間に位置する信号処理チップ234及び/又はキャパシタ232を有するのがよい。基板層210は、1つ以上の接触パッド206を支持するのがよい。第2の基板層214は、センサ202及び/又は参照電極222を支持するのがよい。第2の基板層214は、少なくとも1本のチャネル228,230、例えばエッチングにより形成されたチャネルを有するのがよい。例えば、第2の基板層214は、センサ202の各側に設けられた少なくとも1本のチャネル228,230を有するのがよい。少なくとも1本のチャネル228は、センサ202と参照電極222との間に配置されるのがよい。チャネル228,230は、センサ202周りにシールを形成するようポリマーメンブレンを受け入れ又は係合するのがよい。
【0110】
図8Cに示すセンサ組立体200bは、以下に説明する特徴を除き、センサ組立体200aの特徴の全てを含むのがよい。図8Cに示すように、第2の基板層214は、信号処理チップ234周りにキャップを形成している。第2の基板層214は、気密シールを提供すよう基板層210に結合されるのがよい。例えば、第2の基板層214は、共晶接着のために金属化ボンドゾーン216を用いて基板層210に結合されるのがよい。1本以上のチャネル228,230に加えて又は該チャネルに代えて、センサ組立体200bは、ポリマーメンブレンに係合してセンサ202周りにシールを形成するよう、センサ組立体200bの表面から延びる1つ以上の隆起縁部227を有するのがよい。
【0111】
本明細書において説明しているアンテナ112に加えて又は該アンテナに代えて、チャネル228,230の内部は、1つ以上のアンテナ(図示せず)を有するのがよい。例えば、チャネル228,230は、パッケージ内アンテナ(Antenna in a Package:“AIP”)型アンテナを処理システムのための外部通信を補完し又は通信を受信するためのプラットフォーム形態でおさめるのがよい。アンテナをチャネル228,230内に位置決めすることにより、センサ202に利用できる表面積が増大する。チャネル228,230内のアンテナの長さは、10mm以下又は7mm以下であるのがよい。チャネル228,230内のアンテナの厚さは、5ミクロン以下又は3ミクロン以下であるのがよい。
【0112】
図8B及び図8Cに示す積み重ね形態により、能動検出領域に利用できる表面積が増大する。積み重ね形態は、外部ポリマーパッケージング方式を用いないで、センサ組立体のある特定の処理部品(例えば、信号処理チップ234及びキャパシタ232)を気密封止する。有利には、積み重ね形態は、センサ組立体についての最終組立体中の部品の堆積を減少させることができる。図8B及び図8Cに示すセンサ組立体は、積み重ね形態の状態にあるよう示されているが、センサ組立体は、任意適当な形態をしていてもよい。
【0113】
図9Aは、センサ組立体200cの概略平面図である。センサ組立体200cは、上述のセンサ組立体の特徴の任意のものを含むことができる。
【0114】
センサ組立体200cは、1つ以上のセンサ202c,202dを含むのがよい。例えば、センサ組立体200cは、作用センサ又は作用電極202c、例えばグルコースセンサ、及びカウンターセンサ又はカウンター電極(対極)202d、例えば酸素センサを含むのがよい。グルコースセンサは、白金又は白金合金のベースを有するのがよい。グルコースセンサは、化学反応(例えば、グルコース及び酸素の血液流体要素抽出に対するオキシダーゼベース)による化学反応を生じさせるよう頂部透過性メンブレンを有するのがよい。酸素センサは、化学反応により流体交換の検出を支えて、化学反応によって信号を発生させることができる。オプションとして、センサ組立体200cは、上述の参照電極222を含むのがよい。参照電極222は、補完バランサーであるのがよく、この参照電極は、CPU信号中の雑音をなくすことができる。作用電極202cとカウンター電極202dの表面積の比は、1:1~1:10であるのがよい。作用電極202cとカウンター電極202d及び参照電極222の組み合わせの表面積の比は、1:10~1:15、例えば1:11又は1:13であるのがよい。カウンター電極が大きいと、参照電極222は、全体的な比に合うよう、小さいのがよく、又はその逆の関係が成り立つ。
【0115】
センサ組立体200cは、導電率スイッチを含むのがよい。例えば、導電率スイッチは、1つ以上のパッド244、例えば接地導管パッド及びバランス導管パッドを有するのがよい。流体の豊富な環境中の流体がしきい量まで増大すると、2つのパッド244相互間の信号が増大する。流体の量が減ると、信号は、無視できるレベルまで低減する。導電率スイッチは、親動脈から動脈瘤ネックを通って動脈瘤中への流体伝播を識別することができる。導電率スイッチは、センサ組立体の流体の流れの唯一の識別手段であってもよく、あるいは、導電率スイッチは、本明細書において説明している別のセンサとの組み合わせで用いられてもよい。臨床医が長期間にわたって信号の観察を続ける場合、これは、動脈瘤中の血液が凝固していないことの指標であるといってよい。この情報に基づき、臨床医は、薬剤又は追加の医療器具を送達して塞栓を促進するよう選択するのがよい。
【0116】
幾つかの形態では、センサ組立体200cは、導電率スイッチが流体と接触状態にあるときに、ある特定の機能のみを実行するのがよい。例えば、センサ202c,202dは、信号がしきい量を超えた場合にのみ動作するようになっているのがよい。もう1つの例として、センサ組立体200cは、信号がしきい量を超えたときに薬剤を放出させるのがよい。作用電極と参照電極との比に応じて、カウンター電極をなくすことが可能である場合がある。これらのセンサ形態では、電圧レベルが十分に低いので、ノイズを除去するためのカウンター電極が必要ではない場合がある。カウンター電極を省くことにより、小型のセンサ組立体の配備が可能である。例えば、図9Bは、参照電極222及びグルコースセンサであるのがよい作用電極202cを含むセンサ組立体200dを示しているが、これにはカウンター電極が設けられていない。センサ組立体200dは、センサ組立体200dの他の回路部品に接続可能に1つ以上の電気パッド244を含むのがよい。カウンター電極が設けられていない場合、センサ組立体200dのX方向寸法又はY方向寸法は、約1.5mm以下又は約1.0mm以下であるのがよい。作用電極202cと参照電極222の表面積の比は、1:1であるのがよい。
【0117】
図15Aを参照すると、別の例示の実施形態としてのセンサシステム1050が示されている。センサシステム1050は、多くの点で上述のセンサシステム150に似ている。したがって、センサシステム150の特徴を特定するために用いられている参照符号は、センサシステム1050と同一の特徴を特定するために、多くは100の位の数値を1000の位の数値にする。
【0118】
1つ以上のセンサシステム1050は、1つ以上の生理学的パラメータを測定するために動脈瘤内に配備されるのがよい。幾つかの形態では、単一のセンサシステム1050が1つ以上の生理学的パラメータを測定するために1つ以上のセンサを含むのがよい。他の形態では、多数のセンサシステム1050が動脈瘤内に配備されるのがよく、各センサシステム1050は、異なる生理学的パラメータを測定する。
【0119】
図15Aに示すように、センサシステム1050は、1つ以上のセンサ、たとえば上述の任意の1つのセンサ102,202を備えたセンサ組立体1000を含むのがよい。センサ組立体1000は、上述のセンサ組立体100,200,200a~200dの特徴のうちの任意のものを含むことができる。センサ組立体1000は、データを連続的に、間欠的に、かつ/あるいは要求に応じて収集することができる。センサシステム1050は、動脈瘤の内部空間内におけるセンサ組立体1000の位置を安定化するよう構成された繋留又は繋留構造体1006を含むのがよい。センサシステム1050は、電源1020、例えば1つ以上のバッテリ又はスーパーキャパシタを含むのがよい。繋留構造体1006は、センサ組立体1000と電源1020との間に位置決めされるのがよいが、これらの繋留構造体1006、センサ組立体1000、及び電源1020が互いに接合された他の形態、例えばセンサ組立体1000が繋留構造体1006と電源1020との間に位置決めされる他の形態が採用可能である。センサ組立体1000及び/又は電源1020は、図8Cに示すセンサ組立体200a又は本明細書において説明した他のレイアウトに類似した積み重ね形態を含むのがよい。上述のレイアウトとは異なり、センサ組立体1000と電源1020との間に図15Eに示すように、繋留構造体1006のための空間が設けられてもよい。センサ組立体1000とその電源1020の組み合わせは、約1mm以下又は約0.75mm以下の高さを有するのがよい。
【0120】
センサシステム1050は、リモート電子デバイスとワイヤレス通信する通信回路を含むのがよい。通信回路は、1つ以上のアンテナ1012を含むのがよく、かかるアンテナは、アンテナ112の特徴のうちの任意のものを有することができる。アンテナは、無線周波数性能で機能する能力を備えた植え込み可能な材料を含むのがよい。アンテナ1012は、1つ以上のセンサ1002により収集されたセンサデータを、身体内の別の場所又は体外の場所に送信することができる。センサデータは、生のセンサデータであってもよく、センサ組立体1000内のプロセッサによりパラメータの状態に部分的に処理された(例えば、信号濾波又は信号調整)データであってもよく、あるいはパラメータの状態に完全に処理されたデータであってもよい。1つ以上のアンテナ1012は、センサ組立体1000又は繋留構造体1006とは別個の部品であってもよく、又はセンサ組立体1000又は繋留構造体1006に固定された別個の部品であってもよい。センサシステム1050が単一の部品である場合、センサシステム1050全体は、単一のデリバリシステムで配備できる。
【0121】
図15Bに示すように、アンテナ1012は、動脈瘤20の頂部又は最も内側の壁に当てて位置決めされるのがよい。アンテナ1012は、センサ組立体1000と動脈瘤20の頂部又は最も内側の壁との間に位置決めされるのがよい。代替的に又は追加的に、アンテナ1012が閉塞具としての二次的機能を実行し、又はセンサ組立体1000を動脈瘤20内に維持するよう、動脈瘤20のネック21のところに位置決めされてもよい。オプションとして、1つ以上の治療器具、例えばコイルがアンテナ1012とセンサ組立体1000との間の空間、又はセンサ組立体1000と動脈瘤壁との間の空間内に位置決めされるのがよい(例えば図3C参照)。アンテナ1012は、別個の部品として概略的に示されているが、センサ組立体1000及び/又はアンカー構造体1006に固定されるのがよい。繋留構造体1006は、センサ組立体1000に接合されるのがよい。繋留構造体1006は、センサ組立体1000に化学的に及び/又は機械的に接合されるのがよい。例えば、繋留構造体1006は、繋留構造体1006をセンサ組立体1000に接合するための本体部分1009を含むのがよい。本体部分1009は、センサ組立体1000に融着され又は機械的にクリップ止めされるのがよい。一例では、本体部分1009は、繋留構造体1006をセンサ組立体1000に融着するためにセンサ組立体1000の基板と同一の材料を含む犠牲ウェハであるのがよい。
【0122】
繋留構造体1006は、デリバリカテーテル中に装填可能な形態に潰れ又は曲がることができる弾性構造体であるのがよい。繋留構造体1006は、放出時に拡張形態に移るのがよい。繋留構造体1006は、配備時に動脈瘤20内に互いに逆の向きの力をもたらし、少なくとも治療器具を動脈瘤20内に配備することができるようになるまでセンサシステム1050を安定化するのがよい。図15B及び図15Cに示すように、繋留構造体1006は、センサ組立体1000の位置(図示せず)を内部空間内にかつ動脈瘤壁から離した状態に維持して治療器具の配置を妨害しないようにする。繋留構造体1006は、動脈瘤20の壁の穴あけ又は引き裂きを回避するよう無外傷性であるのがよい。繋留構造体1006は、センサシステム1050を動脈瘤壁に固定することなく、動脈瘤20内の1つ以上のセンサ1002の位置を安定化することができる。
【0123】
図15Dに示すように、アンカー構造体1006は、1つ以上のアンカー部分1006′を有するのがよい。少なくとも2つのアンカー部分1006′及び/又は10個以下のアンカー部分1006′、例えば、3つ、4つ、5つ、又は6つのアンカー部分1006′が設けられるのがよい。1つ以上のアンカー部分1006′は、1つ以上のアンカー部分1006′が動脈瘤20周りの1つ以上の位置で動脈瘤壁に接触するよう、周方向に間隔を置いて配置されるのがよい。
【0124】
アンカー部分1006′は、センサシステム1050の残部から延びるアームであるのがよい。図示のように、アンカー部分1006′は、各アンカー部分1006′内に開放空間を画定するワイヤループ形状をとるのがよいが、他の形態では、アンカー部分1006′は、コイル、プロング、延長部、又は他のアンカー形状であってもよい。アンカー部分1006′は、本体部分1009に一体形成されてもよく、又は本体部分1009に接合されてもよい。かかるループ形態により、1つ以上の治療器具は、アンカー部分1006′の開放空間を貫通することができる。各アンカー部分1006′は、動脈瘤壁との無外傷性接触状態をもたらすよう丸形縁部を有するのがよい。各アンカー部分1006′は、実質的に同一の形状を有するのがよいが、サイズは異なっていてもよい。図15Dに示すように、X軸に沿う2つのアンカー部分1006′は、Y軸に沿う2つのアンカー部分1006′よりも大きい。アンカー部分1006′は、所望の形態に形状設定されるのがよい。例えば、アンカー部分1006′は、所望の形態に形状設定できるニチノール、白金、イリジウム、又は任意の物質を含むのがよい。
【0125】
図示のように、本体部分1009は、アンカー構造体1006内の中心に位置決めされるのがよい。しかしながら、他の実施形態では、本体部分1009は、アンカー構造体1006全体に対してオフセンター状態であってもよい。アンカー構造体1006は、単一の平面、例えば図15Dに示すX軸及びY軸を含む平面を横切って延びるのがよい。他の形態では、少なくとも1つのアンカー部分1006′は、1つ以上の他のアンカー部分1006′とは異なる平面に位置決めされてもよい。例えば、互いに異なるアンカー部分1006′が互いに異なるが互いに平行な平面内に位置してもよい。もう1つの例として、少なくともアンカー部分1006′が1つ以上の他のアンカー部分1006′に垂直な方向に、例えば、図15Dに描かれている紙面から出る方向に延びるのがよい。
【0126】
繋留構造体1006は、図15Dに示すX軸及び/又はY軸に関して対称であるのがよい。例えば、アンカー部分1006′は、センサ組立体1000の周囲に沿って等間隔を置いて配置されるのがよい。X軸に沿う繋留構造体1006の長さは、Y軸に沿う繋留構造体1006の長さと同一であるのがよいが、本体部分1009の寸法に応じて、個々のアンカー部分1006′の長さは同一であってもよく異なっていてもよい。X軸及び/又はY軸に沿うセンサ組立体1000の長さは、少なくとも約4mmでありかつ/あるいは約10mm以下、例えば約8mmであるのがよい。動脈瘤の寸法形状に応じて、Y軸に沿う繋留構造体1006の長さは、X軸に沿った長さとは異なっていてもよい。
【0127】
各アンカー部分1006′は、本体部分1009からさらに間隔を置いた場所と比較して、本体部分1009の近くの場所の方が幅が狭いのがよい。各アンカー部分1006′は、0゜の角度よりも大きな角度及び/又は約90゜以下の角度、例えば約15゜~75゜の角度、又は30゜~60゜の角度、例えば約45゜の角度にわたるのがよい。アンカー部分1006′が同一平面内にある場合、第1のアンカー部分1006′の中心軸線と周方向に隣接して位置する第2のアンカー部分1006′との間の角度は、約90゜以下かつ/あるいは約45゜以上、例えば約45゜~約60゜、約60゜~約75゜、又は約75゜~約90゜であるのがよい。アンカー部分1006′が異なる平面内にある場合、第1のアンカー部分1006′の中心軸線と周方向に隣接して位置する第2のアンカー部分1006′との間の角度は、約60゜又は45゜以下かつ/あるいは約0゜以上、例えば約0゜~約15゜、約15゜~約30゜、及び約30゜~約45゜であるのがよい。
【0128】
デリバリカテーテル中への装填のため、個々のアンカー部分1006′は、より細長い形状を形成するよう内方に曲がり又は折り畳まれるのがよい。アンカー部分1006′はまた、デリバリカテーテル中に装填可能により細長い形態に互いに向かって曲がるのがよい。例えば、X軸に沿う2つのアンカー部分1006′は、より細長い輪郭となるようY軸に沿うアンカー部分1006′に向かって曲げ又は折り畳まれるのがよく、あるいは周方向に隣接して位置するアンカー部分1006′がより細長い輪郭を形成するよう互いに近づく状態に曲がり又は折り畳まれるのがよい。
【0129】
図15Fは、センサ組立体1000の外面1000aの輪郭を示している。外面1000aは、細胞の内皮化を阻止するよう形作られ又は改変されるのがよい。内皮化は、センサ組立体1000と周囲流体の相互作用を妨げ又は制止する。図15Fに示す表面輪郭は、センサ組立体1000の機能的寿命を延ばす。
【0130】
図示のように、外面1000aは、一連の山部及び谷部を有するのがよい。山部及び谷部は、細胞の内皮化を阻止する。波高hは、約20μm以上かつ/あるいは約500μm以下であるのがよく、例えば、約100μm以下、又は約40μm以下である。山部相互間の距離は、約20μm以上かつ/あるいは約500μm以下であるのがよく、例えば、約100μm以下、又は約40μm以下である。
【0131】
チップ製造プロセス中、当初に堆積させた基板は、山部と谷部を備えた輪郭を有するのがよい。基板の山部及び谷部は、基板の表面をエッチングし、粗面化し、又は違ったやり方で改質することによって作られるのがよい。基板レベルの頂部上に堆積させた各層、及び最終的にセンサ組立体の外側層1000aは、山部及び谷部を備えた類似の表面輪郭有する。
【0132】
他の実施形態では、センサ組立体1000は、細胞内皮化を阻止するよう薬剤でコーティングされるのがよい。この表面輪郭をセンサ組立体1000に関して説明したが、上述のセンサ組立体100、200、200a~200dのうちの任意のものにも利用可能である。
【0133】
III.センサシステムの使用方法
本明細書において説明している植え込み型センサ組立体100及び/又は植え込み型センサシステム150のうちの任意のものを、患者の体内に植え込んで患者の任意の解剖学的構造をモニタすることができる。例えば、動脈瘤中への血液の流れをモニタするためにセンサ組立体100及び/又は植え込み型センサシステム150を動脈瘤中に植え込むことができる。血液の流れが少ないということにより動脈瘤内の血液が凝固していることが分かり、血液の流れが多いということにより動脈瘤内の血液が凝固していないということが分かる。以下の説明は、センサ組立体100及びセンサシステム150に関するが、本方法は、センサ組立体200,200a~d,1000、及びセンサシステム1050を含む、本明細書において記載したセンサ組立体のうちの任意のものに利用できる。
【0134】
植え込み型センサ組立体100及び/又は植え込み型センサシステム150をデリバリシステムにより患者の体内に植え込むことができる。図11は、センサ組立体100及び/又はセンサシステム150を関心のある解剖学的構造(例えば、動脈瘤)中に支持し又は送達する例示の方法500を示している。方法500を動脈瘤に関して説明するが、本方法は、センサ組立体100を他の血管構造に送達するのに使用できる。画像化技術を用いると、臨床医は、患者の体内の関心のある解剖学的構造を識別することができる。ブロック502では、臨床医は、ガイド構造体、例えば、ガイドワイヤ又は案内カテーテルを標的部位まで前進させることができる。オプションとして、ブロック504では、臨床医は、向き及び動脈瘤接近状態を管理するための1つ以上のフレーミングコイルで動脈瘤に枠組みを作ることができる。ブロック506では、臨床医は、デリバリシステムの遠位端部を動脈瘤ネックに通して位置決めするのがよい。例えば、臨床医は、デリバリシステムの遠位端部をネックのほぼ真ん中に通して位置決めすることができる。ブロック508では、臨床医は、センサ組立体100を動脈瘤内に、例えば動脈瘤の真ん中もしくはその近くに、又は動脈瘤の壁及びネックから遠ざかって位置決めするのがよく、その結果、センサ組立体100が動脈瘤中への血液の流れを検出することができるようになっている。ブロック510では、臨床医は、繋留構造体106(例えば、金属コイル又はバスケット)をセンサ組立体100の周りに、又はセンサ組立体100と血管構造の壁との間に配備するのがよい。ブロック512では、センサシステム150が動脈瘤内にいったん植え込まれると、臨床医は、センサシステム150を始動させてこれを受信機にリンクさせ、それによりセンサデータをセンサシステム150から受信するのがよい。
【0135】
図12は、センサ組立体100及び/又はセンサシステム150を、患者の関心のある解剖学的構造、たとえば動脈瘤に送達する別の例示の方法600を示している。方法600を動脈瘤に関して説明するが、本方法は、センサ組立体100を他の血管構造に送達するために使用できる。ブロック602では、デリバリシステム又は配備システムを取り出して滅菌場所に配置するのがよい。ブロック604では、臨床医は、デリバリシステムのシャフトのかじ取り及び制御、ならびにシャフトの遠位区分の偏向状態を確認するのがよい。ブロック606では、臨床医は、デリバリシステムの遠位先端部にセンサ組立体100が装填されているかどうかを確認するのがよい。デリバリシステムにセンサ組立体100があらかじめ装填されていない場合、臨床医は、遠位先端部にセンサ組立体100を装填するのがよい。ブロック608では、医療従事者は、装填状態のデリバリシステムをフラッシして、センサ組立体100の導電率スイッチ(設けられている場合)が機能していること、及びセンサ組立体100が外部トランシーバとの接続を行うことができていることを確認するのがよい。ブロック610では、医療従事者は、ガイドワイヤ又は案内カテーテルを動脈瘤の入口又はネックの近くの位置まで挿入するのがよい。オプションとして、ブロック612では、臨床医は、1つ以上のフレーミングコイルを動脈瘤に送達するのがよい。ブロック614では、臨床医は、カテーテルハンドルを用いて必要に応じてシャフトの遠位区分を偏向させることによって、デリバリシステムを動脈瘤に送達するのがよい。ブロック616では、医療従事者は、センサ組立体100を動脈瘤中に送達するのがよい。センサ組立体100が動脈瘤内にいったん植え込まれると、ブロック618において、臨床医は、カテーテルを患者の体内から引っ込めて、繋留構造体106、例えばフレーミングコイル又はフィラーコイルをセンサ組立体100の周りに又はセンサ組立体100と血管構造の壁との間に植え込むのがよい。センサシステム150が動脈瘤内にいったん植え込まれると、臨床医は、センサ組立体150を始動させてこれを受信機にリンクさせて、センサデータをセンサシステム150から受信するのがよい。
【0136】
センサシステム150がいったん患者の体内に植え込まれて、最初に設定されると、センサシステム150は、患者の1つ以上の生理学的パラメータに関連付けられたセンサデータを連続的に又は間欠的に生成するのを開始することができる。例えば、センサシステム150の導電率センサスイッチが患者の血液にさらされると、センサシステム150は、患者の1つ以上の生理学的パラメータの検出を開始するスイッチをオンにするのがよい。センサシステム150は、センサデータを連続的に、規則的な又は不規則な時間間隔で間欠的に、又は要求に応じて、受信機に送信するのがよい。受信機は、例えば、基地局、スマートデバイス、コンピューティングデバイス、又は外部トランシーバ402でるのがよい。
【0137】
IV.キット
本明細書において説明している植え込み型センサ組立体及び/又はアンカー構造体のうちの任意のものが、1つ以上のデリバリシステムとともにキットに含まれるのがよい。同じデリバリシステムを用いてセンサ組立体及びアンカー構造体を送達するのがよい。変形例として、キットは、センサ組立体及びアンカー構造体について別々のデリバリシステムを含むことができる。
【0138】
デリバリシステムには、パッケージ化に先立ってセンサ組立体をあらかじめ装填することができ、又はデリバリシステムは、センサ組立体とは別個にキットに含めることができる。デリバリシステムは、別々に提供される場合、臨床医によってセンサ組立体が装填されるのがよい。
【0139】
デリバリシステムは、センサ組立体を支持する装填チャンバを含むのがよい。例えば、装填チャンバは、デリバリシステムのルーメン内に設けられるのがよい。ルーメンは、センサシステムをデリバリシステムから放出するための放出機構体、例えばプッシャを支持するのがよい。装填チャンバは、ガイドワイヤと同一のルーメン内に又は異なるルーメン内に配置可能である。装填チャンバは、ガイドワイヤルーメン及び/又は流体デリバリルーメンとは別個独立であってもよい。
【0140】
デリバリシステムは、偏向性遠位先端部を含むのがよい。偏向性先端部は、標準的な傾向透視技術により血管系内におけるデリバリシステムの存在場所を追跡するために放射線不透過性マーカーを含むのがよい。偏向性遠位先端部は、センサ組立体を標的部位までかじ取りするよう能動的にかつ/あるいは受動的に偏向されるのがよい。能動偏向方式のデリバリシステムでは、デリバリシステムは、偏向性遠位先端部を機械的にかつ/あるいは電気的にかじ取りすることができるハンドルを含むのがよい。例えば、ハンドルは、ハンドルと偏向性遠位先端部との間の1本以上のケーブル、ワイヤ、又は他の連結具により偏向性遠位先端部の偏向を直接引き起こすことができる。もう1つの例として、ハンドルは、外側スリーブを偏向させ、それにより偏向性遠位先端部の偏向を力づくで生じさせ、そのようにすることによって偏向性遠位先端部の偏向を間接的に引き起こすことができる。
【0141】
デリバリシステムは、ロボット手術システムへの連結のためのアダプタを備えるのがよい。臨床医は、ロボット手術システムを用いて、デリバリシステムを標的部位に能動的にかじ取りすることができる。ロボット手術システム、遠隔操作手術システムなどが本発明のデリバリシステムに接続して本発明の植え込み型検出又はセンサ組立体を患者の体内に送達して植え込むよう用いられ又は構成でき、かかるロボット手術システム、遠隔操作手術システムなどは、幾つかの会社によって商業化されている。本発明の実施形態の使用可能対象であるかかる遠隔操作、コンピュータ支援手術システム(例えば、テレプレゼンスを提供するロボットシステム)の一例は、インテュイティヴ・サージカル・インコーポレーテッド(Intuitive Surgical,Inc.)により製造されたダヴィンチ手術システムである。これについては、例えば、米国特許第9,358,074号明細書、同第9,295,524号明細書、及び同第8,852,208号明細書、米国特許出願公開第20140128886号明細書、同第20200253678号明細書、同第20190192132号明細書、同第20190254763号明細書、同第20180318020号明細書、同第20170312047号明細書、同第20170172671号明細書、同第20170172674号明細書、同第20170000575号明細書、同第20170172670号明細書、同第20130204271号明細書、及び同第20120209305号明細書、ならびに国際公開第WO2020150165号パンフレットをされたい。なお、これら特許文献の各々を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。もう1つの例は、メドトロニック・インコーポレーテッド(Medtronic, Inc.)(米国ミネソタ州ミネアポリス所在、及び関連会社、例えば米国マサチューセッツ州マンスフィールド所在のコヴィディエン・エルピー(Covidien LP)及び米国コロラド州ルイスビル所在のメドトロニック・ナビゲーション・インコーポレーテッド(Medtronic Navigation, Inc.))のデジタル・サージェリー部門及びサージカル・ロボティックス部門であり、当該会社は、種々のロボット補助手術(RAS)ソリューションを商業化している。これについては、例えば、米国特許出願公開第20200222127号明細書、同第20190365477号明細書、20190214126号明細書、同第20190069964号明細書、及び同第20130289439号明細書を参照されたい。なお、これら特許文献の各々を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。さらにもう1つの例は、オーリス・ヘルス・インコーポレーテッド(Auris Health, Inc.)(米国カリフォルニア州レッドウッドシティ所在、オーリス・ヘルス・インコーポレーテッドは、ジョンソン・アンド・ジョンソン・メディカル・デバイシズ・カンパニーズ(Johnson & Johnson Medical Devices Companies)の一部門であり、オーリス・ヘルス・インコーポレーテッドの旧名称は、オーリス・サージカル・ロボティックス・インコーポレーテッド(Auris Surgical Robotics, Inc.)である)であり、オーリス・ヘルス・インコーポレーテッドは、モナーク(Monarch)プラットフォームを商業化した。これについては、例えば、米国特許出願公開第20200198147号明細書、同第20200100845号明細書、同第20200100853号明細書、同第20200100855号明細書、同第20200093554号明細書、同第20200060516号明細書、同第20200046434号明細書、同第20200000537号明細書、同第20190365209号明細書、及び同第20190365486号明細書を参照されたい。なお、これら特許文献の各々を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。さらに、ストライカー・コーポレーション(Stryker Corp.)(米国ミシガン州カラマズー所在)は、例えば、米国特許出願公開第260374770号明細書及び同第20140276949号明細書でロボット手術システムを開示しており、これら特許文献の両方を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。これについてはさらに、例えば、米国特許出願公開第20200046978号明細書、同第20200001053号明細書、同第20200197111号明細書、同第20190262084号明細書、同第20190231447号明細書、及び同第20190090957号明細書、ならびに国際公開第WO2019195841号パンフレット、及び同第WO2019082224号パンフレットを参照されたい。なお、これらの出願公開の各々を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。1つの実施形態では、本発明のデリバリシステムのハンドルは、ロボット外科システムのアームとドッキングするよう構成されている。1つの実施形態では、本発明のデリバリシステムは、患者の体内への本発明の植え込み型検出又はセンサ組立体のロボット補助送達及び植え込みを可能にするようロボット手術システムと統合している。1つの実施形態では、本発明は、ロボット補助方式を用いて、本明細書において説明している植え込み型センサ組立体及び/又はシステムのうちの任意のものを患者の血管系中に前進させる方法を提供する。
【0142】
V.デリバリシステム
図13は、本明細書において説明する植え込み型センサ組立体及び/又はシステムのうちの任意のものを血管系中に前進させるデリバリシステム700を示している。デリバリシステム700は、偏向性遠位先端部702、ハンドル706、及び遠位先端部とハンドルとの間に位置するシャフト704を含むのがよい。幾つかの技術的背景において、デリバリシステム700は、神経血管系中に送り進められるのに十分に寸法決めされているのがよい。例えば、シャフト704の外径は、1mm以下であるのがよい。本明細書で用いられる相対的な用語としての「近位(側)」及び「遠位(側)」は、デリバリシステムから見て定められているものとする。かくして、近位側は、デリバリシステムの制御端の方向を指し、遠位側は、遠位先端部の方向を指している。
【0143】
偏向性遠位先端部702は、センサ組立体を支持するのがよい。例えば、偏向性遠位先端部702にはセンサ組立体があらかじめ装填されるのがよく、その後、センサ組立体を患者の体内に導入する。センサ組立体は、ガイドワイヤルーメン又は流体デリバリルーメンとは別個の装填チャンバ内にあらかじめ装填されてもよい。センサ組立体は、装填チャンバに取り付けられてもよく、又は装填チャンバ内に自由な状態で置かれてもよい。センサ組立体を、装填前に滅菌してもよく、又はデリバリシステム700と一緒に滅菌してもよい。他の送達方法では、デリバリシステム700を標的部位に前進させた後にセンサ組立体を偏向性遠位先端部702に前進させるのがよい。
【0144】
ハンドル706を用いて偏向性先端部702を能動的に偏向させて、センサ組立体の正確な配置を容易にするのがよい。例えば、ハンドル706内に設けられたユーザにより作動可能な機構体を用いて偏向性先端部702を機械的に偏向させることができる。ユーザにより作動可能な機構体は、シャフト704の壁を貫通し、又はシャフト704の内面及び/又は外面に沿って延びる1本以上のケーブル又はワイヤを制御して、偏向性遠位先端部702を操縦することができる。追加的に又は代替的に、偏向性遠位先端部702は、受動的に偏向するのに十分に可撓性であるのがよい。偏向性遠位先端部702は、偏向性遠位先端部の位置及び/又は方向をモニタするために1つ以上のマーカーを有するのがよい。
【0145】
偏向性遠位先端部702は、1種類以上のポリマー材料、例えば、Pebax(登録商標)ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、又は他のポリマー材料で構成されるのがよい。偏向性遠位先端部702は、編組材料で支持されてもよく、あるいは支持されなくてもよい。
【0146】
シャフト704は、1つ以上の内部ルーメンを有するのがよい。例えば、シャフト704は、デリバリシステム700を標的部位まで追跡するためにガイドワイヤルーメンを有するのがよい。ガイドワイヤルーメンは、ハンドル706に設けられたガイドワイヤルーメンポート714から延び、そして偏向性遠位先端部702を通って延びるのがよい。シャフト704は、流体をデリバリ部位に送達するために流体デリバリルーメンを有するのがよい。
【0147】
シャフト704は、1種類以上のポリマー材料、例えば、Pebax(登録商標)ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、又は他のポリマー材料で作られるのがよい。シャフト704は、プッシャビリティ及び/又はトルク管理を促進するよう編組材料で補強されるのがよい。シャフト704は、第1のポリマー材料、及びライナー及び/又は外側層と同時押し出し成形されるのがよい。ライナー及び/又は外側層は、テトラフルオロエチレン又はポリテトラフルオロエチレンを含むのがよい。
【0148】
ハンドル706は、デリバリシステム700の異なる機能を制御する1つ以上のユーザにより作動可能な機構体を有するのがよい。例えば、ハンドル706は、センサ組立体をデリバリシステム700から放出することができる第1のユーザにより作動可能な機構体710を有するのがよい。ハンドル706は、シャフト704及び/又は偏向性遠位先端部702をかじ取りすることができる第2のユーザにより作動可能な機構体708を有するのがよい。本明細書で用いられる「第1」及び「第2」のユーザにより作動可能な機構体は、互換的に使用可能である。例えば、「第1」のユーザにより作動可能な機構体は、本明細書において説明する任意の制御特徴部を意味する場合がある。
【0149】
第1のユーザにより作動可能な機構体710は、センサ組立体をデリバリシステム700の遠位先端部702から押し出すことができる。例えば、第1のユーザにより作動可能な機構体710は、シャフト704に設けられたルーメンを貫通したプッシャを制御することができる。もう1つの形態では、第1のユーザにより作動可能な機構体710は、遠位先端部702をセンサ組立体に対して引き出してセンサ組立体を放出することができる。図示のように、第1のユーザにより作動可能な機構体710は、軸方向スライダであるのがよいが、他の形態では、第1のユーザにより作動可能な機構710は、ボタン、スイッチ、レバー、回転可能なノブ、回転可能なダイヤルその他であってよい。
【0150】
第2のユーザにより作動可能な機構体708は、シャフト704及び/又は偏向性遠位先端部702をかじ取りすることができる。図示のように、第2のユーザにより作動可能な機構体708は、可撓性シャフト704及び/又は遠位先端部702の方向を制御することができる回転ノブであるのがよい。回転ノブは、ハンドル706の長手方向軸線回りに回転することができる。他の形態では、第2のユーザにより作動可能な機構体710は、異なる方向に回転することができる。
【0151】
図13に示すように、第1のユーザにより作動可能な機構体710は、第2のユーザにより作動可能な機構体708の近位側に位置決めされるのがよい。他の形態では、第2のユーザにより作動可能な機構体708は、第1のユーザにより作動可能な機構体710に対して近位側に又はどこか他の場所に位置決め可能である。
【0152】
ハンドル706は、1つ以上のポートをさらに有するのがよい。例えば、ハンドル706は、流体をデリバリシステム700中に導入するフラッシポート712を有するのがよい。ハンドル706は、別個のガイドワイヤルーメンポート714を有するのがよい。図示のように、1つ以上のポートが、ユーザにより作動可能な機構体の近位側に配置されているが、デリバリシステム702に沿うどこかの場所に配置されてもよい。ハンドル706は、ポリマー材料から成形されるのがよい。例えば、ポリマー材料としては、ABS、ポリプロピレン、Pebax(登録商標)、又は他の材料が挙げられる。
【0153】
オプションとして、デリバリシステム700は、シャフト704に被せたデリバリシース716を含むのがよい。デリバリシース716は、導入器として働くことができる。デリバリシース716は、デリバリシース716とシャフト704との間の空間を通って患者から流体が流れ出るのを阻止するための1つ以上のシールを有するのがよい。例えば、デリバリシース716は、デリバリシース716の近位側の近くに位置するシールを有するのがよい。デリバリシース716は、デリバリシース716をフラッシし又はデリバリシース716とシャフト704との相互作用を円滑にするために別個のポート718を有するのがよい。幾つかの形態では、デリバリシース716は、血管系を通るデリバリシステム700のかじ取り性及び追跡性を高めることができる。例えば、デリバリシース716は、偏向性遠位先端部702のかじ取りを可能にするよう偏向性遠位先端部702に連結されるのがよい。もう1つの例として、デリバリシース716は、偏向性遠位先端部702に係合しなくてもよく、デリバリシース716を曲げることにより遠位先端部702の偏向が生じる。
【0154】
デリバリシース716は、偏向性遠位先端部702と同種の又は異種の材料で構成できる。例えば、デリバリシース716は、ポリマー材料、例えば、Pebax(登録商標)ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、又は他のポリマー材料で構成されるのがよい。デリバリシース716は、編組材料で支持されてもよく、支持されなくてもよい。
【0155】
図14は、本明細書において説明している植え込み型センサ組立体又はシステムのうちの任意のものを血管系中に前進させるもう1つのデリバリシステム800を示している。デリバリシステム800は、デリバリシステム700に関して上述した特徴のうちのいずれかを含むことができる。デリバリシステム800は、偏向性遠位先端部802、ハンドル806、及び遠位先端部とシースとの間に位置するシャフト804を含むのがよい。
【0156】
偏向性遠位先端部802は、センサ組立体を支持する装填チャンバを有するのがよい。装填チャンバは、偏向性遠位先端部802を貫通して延びる任意のガイドワイヤルーメン、流体デリバリルーメン、及び/又は他のルーメンとは別個であるのがよい。
【0157】
偏向性遠位先端部802は、成形され又は熱的に再形成されたポリマーを含むのがよい。例えば、偏向性遠位先端部802は、1種類以上のポリマー材料、例えば、Pebax(登録商標)ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、又は他のポリマー材料を含むのがよい。偏向性遠位先端部802は、編組材料で支持されてもよく、あるいは支持されなくてもよい。例えば、偏向性遠位先端部802は、別個のポリマー層、例えば、テトラフルオロエチレン又はポリテトラフルオロエチレンで内張りされるとともに/あるいはコーティングされ、あるいはオーバーモールド成形された編組構造を含むのがよい。
【0158】
シャフト804は、1つ以上の内部ルーメンを有するのがよい。例えば、シャフト804は、デリバリシステム800を標的部位まで追跡するためにガイドワイヤルーメンを有するのがよい。ガイドワイヤルーメンは、ハンドル806に設けられたガイドワイヤルーメンポート814から延び、そして偏向性遠位先端部802を通って延びるのがよい。シャフト804は、流体をデリバリ部位に送達するために流体デリバリルーメンを有するのがよい。シャフト804は、1種類以上のポリマー材料、例えば、Pebax(登録商標)ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、又は他のポリマー材料を含むのがよい。
【0159】
ハンドル806は、デリバリシステム800の種々の機能を制御する1つ以上のユーザにより作動可能な機構体を有するのがよい。例えば、ハンドル806は、センサ組立体をデリバリシステム800から放出することができる第1のユーザにより作動可能な機構体810を有するのがよい。ハンドル806は、シャフト804及び/又は偏向性遠位先端部802をかじ取りすることができる第2のユーザにより作動可能な機構体808を有するのがよい。第2のユーザにより作動可能な機構体808は、回転可能なノブであるのがよいが、他の形態では、第2のユーザにより作動可能な機構体808は、ボタン、スイッチ、レバー、スライダ、回転可能なダイヤルその他であってよい。ハンドル806は、シャフト804及び/又は偏向性遠位先端部802の向きを安定化するために第3のユーザにより作動可能な機構体820を有するのがよい。例えば、第3のユーザにより作動可能な機構体820は、トグルロックであるのがよい。本明細書で用いられる「第1」、「第2」、及び「第3」のユーザにより作動可能な機構体は、互換的に使用できる。例えば、「第1」のユーザにより作動可能な機構体は、本明細書において説明している任意の制御特徴を指す場合がある。ユーザにより作動可能な機構体は、手技中、これらの使用法に対応した順序で位置決めされるのがよい。
【0160】
ハンドル806は、偏向性先端部802及び/又はシャフト804をかじ取りする制御部822を有するのがよい。例えば、ハンドル806は、偏向性遠位先端部802及び/又はシャフト804をかじ取りする機械的かつ/あるいは電気的制御機構体を有するのがよい。例えば、デリバリシステム800は、1本以上のワイヤ又はケーブルを備えたスライダ又はキャリッジ組立体を含むのがよい。デリバリシステム800は、偏向機構体を作動させる電圧制御部を含むのがよい。ワイヤ又はケーブルは、エネルギーを電気的に伝えて偏向性遠位先端部802及び/又はシャフト804をかじ取りすることができる。追加的に又は代替的に、この機械的及び/又は電気的制御機構体は、シャフト804に被せたデリバリシースに利用できる。
【0161】
図16Aは、デリバリシステム700,800の特徴のうちの任意のものを含むことができるもう1つのデリバリシステム1100を示している。したがって、デリバリシステム700,800の特徴を特定するために用いられている参照符号は、デリバリシステム1100と同一の特徴を特定するために、100の位までの数値を1100番台の数値にして示されている。デリバリシステム1100は、センサシステム1050を関連して以下に説明するが、かかるデリバリシステムを本明細書において説明しているセンサシステム又はセンサ組立体のうちの任意のものと組み合わせて使用することができる。
【0162】
デリバリシステム1100は、近位部分1106(図16Bに示されている)及び遠位部分1102(図16Dに示されている)を含むのがよい。図16Bに示すように、近位部分1106は、ハンドル本体1107を有する。デリバリシース1116がハンドル本体1107から遠位側に延びている。シャフト1104がデリバリシース1116のルーメンを貫通している。図16Cは、ハンドル本体1107の断面を示している。ハンドル本体1107は、ルーメン1109を有し、保持ワイヤ1130がこのルーメンを貫通するのがよい。
【0163】
図16Dに示すように、保持ワイヤ1130は、シャフト1104を貫通するのがよい。保持ワイヤ1130は、シャフト1104の側壁に設けられた開口部1132a,1132cから延び出て、シャフト1104の側壁に設けられた異なる開口部1132b,1132d中に戻って延び、それにより1つ以上のループ部分1130′、例えば2つのループ部分(図16D参照)又は4つのループ部分(図17B参照)を形成するのがよい。ループ部分1130′は、シャフト1104の遠位先端部から10cm以内のところに、シャフト1104の遠位先端部から5cm以内のところに、シャフト1104の遠位先端部から2cm以内のところに、又はシャフト1104の遠位先端部から1cm以内のところに配置されるのがよい。図16Dに示すように、保持ワイヤ1130は、シャフト1104の側壁に設けられた第1の開口部1132aを通ってシャフト1104から延び出て、隣の第2の開口部1132bを通ってシャフト1104中に戻って延びるのがよい。保持ワイヤ1130は、シャフト1104の遠位先端部の近くに設けられた第3の開口部1132cを通ってシャフト1104から延び出て戻り、隣の第4の開口部1132dを通ってシャフト1104中に戻って延びるのがよい。保持ワイヤ1130の遠位端部は、シャフト1104の遠位先端部から延び出るのがよい。ループ部分1130′は、軸方向に互いに離隔して位置するのがよいが、シャフト1104に沿って回転的に整列するのがよい。他の実施形態では、隣り合うループ部分は、回転的にオフセットしているのがよい(図17B参照)。
【0164】
各ループ部分1130′は、センサシステム1050の1つ以上のアンカー部分1006′を保持するよう構成されている。ループ部分1130′は、センサシステム1050をシャフト1104の外部に保持する。例えば、センサシステム1050は、シャフト1104の外壁とデリバリシース1116の内壁との間の空間内に保持されるのがよい。他の実施形態では、保持ワイヤ1130は、デリバリシース1116とシャフト1104との間の空間を貫通して、シャフト1104に出入りするよう延び、それによりシャフト1104内にループ部分1130′を形成するのがよく、その結果、センサシステム1050をシャフト1104内に保持することができるようになっている。
【0165】
図16Eに示すように、各ループ部分1130′は、2つのアンカー部分1006′を保持するよう構成されているのがよい。保持ワイヤ1130が第1の開口部1132aを通ってシャフト1104から延び出ると、保持ワイヤ1130を1つ以上のループ形アンカー部分1006′中に通すのがよく、その後第2の隣の開口部1132bを通ってシャフト1104中に戻って延び、それによりアンカー部分1006′をループ部分1130′内に捕捉するのがよい。保持ワイヤ1130は、第3の開口部1132cを通ってシャフト1104から延び出て戻り、1つ以上の追加のループ形アンカー部分1006′を通り、そして第4の隣接の開口部1132dを通ってシャフト1104中に戻って延び、それにより追加のアンカー部分1006′をループ部分1130′内に捕捉するのがよい。この形態では、センサ組立体の繋留構造体1006は、細長くコンパクトな形態で、デリバリシステム1100内に、かつシャフト1104に当てて保持されるのがよい。
【0166】
ループ部分1130′を順次放出してセンサシステム1050を配備するのがよい。保持ワイヤ1130を近位側に引き抜いているとき、保持ワイヤ1130の遠位端部を開口部1132a~1132dから引き出し、それによりループ部分1130′及び対応のアンカー部分1006′を放出する。図16Fでは、保持ワイヤ1130は、最も遠位側のループ部分1130′及び対応のアンカー部分1006′を放出するよう第3及び第4の開口部1132c,1132dから引き出されている。保持ワイヤ1130の引き抜きを続けると、残りのアンカー部分1006′が放出される。アンカー部分1006′は、動脈瘤内に放出されると、センサシステム1050を、図15Bに示すように動脈瘤内に保持する。
【0167】
センサシステム1050を動脈瘤20内に放出するため、デリバリシステム1100の遠位部分1102を親動脈内に、かつ動脈瘤ネック21に隣接して位置決めするのがよい。シャフト1104の遠位部分をシース1116の遠位端部の遠位側に前進させることにより、又はシース1116を近位側に引き抜いてセンサ組立体1050をむき出しにすることによって、センサ組立体1050を動脈瘤ネック21に対して露出させるのがよい。シャフト1104の遠位部分のところの開口部1132a~1132dを動脈瘤ネック21に当てて位置決めするのがよく、その結果、保持ワイヤ1130が開口部1132a~1132dから放出されると、センサシステム1050が動脈瘤20内に配備されるようになる。他の方法では、シャフト1104の遠位部分が動脈瘤20中に延びて、センサシステム1050を動脈瘤20内に放出するのがよい。先の実施形態において言及したように、シャフト1104の遠位部分は、シャフト1104の遠位端部を動脈瘤20中に案内することができるよう舵取り可能であるのがよい。その後、別個のデリバリシステムを用いて治療器具を送達するのがよい。図17Aは、デリバリシステム1100の特徴のうちの任意のものを含むことができる、もう1つのデリバリシステム1200を示している。デリバリシステム1200は、以下に説明する特徴を除き、デリバリシステム1100と類似している。デリバリシステム1100,1200の特徴は、互換性がある。
【0168】
デリバリシステム1100とは異なり、デリバリシステム1200は、個々のアンカー部分1006′のためのループ部分1230′を含む。例えば、4つのアンカー部分1006′を備えたセンサシステム1050に関し、デリバリシステム1200は、これらに対応した4つのループ部分1230′を含むのがよい。さらに、各ループ部分1230′は、シャフト1204から延び出て、同一の開口部を通ってシャフト1204中に戻ることによって形成されるのがよい。図17Bに示すように、各開口部1232a~1232dは、ループ部分1230′を受け入れる細長い開口部であるのがよい。開口部1232a~1232dは、軸方向に互いに離隔して配置されるのがよい。開口部1232cの少なくとも1つは、隣の開口部1232d,1232bから見て回転的にオフセットしているのがよい。
【0169】
保持ワイヤ1230が第1の開口部1232aを通ってシャフト1204から延び出ると、保持ワイヤ1230をループ形アンカー部分1006′中に通すのがよく、その後同一の第1の開口部1232aを通ってシャフト1204中に戻って延び、それによりアンカー部分1006′をループ部分1230′内に捕捉するのがよい。保持ワイヤ1230は、第2の開口部1232bを通ってシャフト1204から延び出て別のループ形アンカー部分1006′を通って戻り、そして同一の第2の開口部1232bを通ってシャフト1204中に戻り、それにより追加のアンカー部分1006′をループ部分1230′内に捕捉するのがよい。この形態では、センサ組立体の繋留構造体1006は、細長くコンパクトな形態で、デリバリシステム1200内に、かつシャフト1204に当てて保持されるのがよい。
【0170】
デリバリシステム1100と同様、ループ部分1230′を順次放出して、センサシステム1050を放出するのがよい。保持ワイヤ1230を近位に引き抜いているとき、保持ワイヤ1230の遠位端部を開口部1232a~1232dから引き出し、それによりループ部分1230′及び対応のアンカー部分1006′を放出する。
【0171】
VI.追加の実施形態及び用語
本明細書において言及されるとともに/あるいは出願データシートに列挙された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、非特許文献の全てを、参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。かかる特許文献及び非特許文献を、例えば本開示内容と関連して用いられる可能性のある文献中に記載された材料及び方法論を記載するとともに開示する目的で参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。上述し、また本テキスト全体を通じて記載されている出願公開は、本願の出願日に先立ってこれらの開示がなされている場合にのみ与えられている。本明細書のいかなる内容も、本発明者が先の出願によって任意の引用文献として挙げた出願公開に対して先行する権利を持たないことを承認するものと理解されるべきではない。
【0172】
ある特定の方法を動脈瘤に関して本明細書において説明したが、本明細書において説明した方法を任意の血管構造、例えば動脈管に利用することができる。ある特定の実施形態及び実施例を本明細書において説明したが、当業者であれば理解されるように、本開示において図示するとともに説明したセンサ組立体の多くの観点を種々の形で組み合わせるとともに/あるいは改造して、さらに別の実施形態又は許容可能な実施例を作ることができる。かかる改造及び変形は全て、本発明の範囲に含まれることが意図されている。多種多様な設計及びアプローチが採用可能である。本明細書において開示した特徴、構造、又はステップのうちで、必須であり又は不可欠であるようなものは存在しない。
【0173】
本開示の目的上、ある特定の観点、ある特定の利点、及び新規な特徴が本明細書に記載されている。理解されるべきこととして、かかる必ずしもかかる利点の全てが任意の特定の実施形態に従って達成できるわけではない。かくして、例えば、当業者であれば認識されるように、本発明は、必ずしも本明細書において教示され又は示唆できるように他の利点を達成することなく、本明細書において教示されるような1つの利点又は一群の利点を達成する仕方で、具体化でき又は実施できる。
【0174】
さらに、例示の実施形態を本明細書において説明したが、均等な要素、改造、省略、組み合わせ(例えば、種々の実施形態全体を通じて示された観点の組み合わせ)、適合及び/又は変形を含む任意及び全ての実施形態の範囲は、本開示に基づいて当業者により理解されよう。特許請求の範囲における限定は、請求項において採用されている文言に基づいて広く解されるべきであって、本明細書中に又は本願の手続き中に記載された実施例には限定されず、かかる実施例は、非排他的に解されるべきである。さらに、開示したプロセス及び方法の作用又はステップは、任意の仕方で改造可能であり、かかる改造としては、作用の順序を変えることによりかつ/あるいは追加の作用を加えるとともに/あるいは作用を削除することによることが挙げられる。したがって、本明細書及び実施例は、例示としてのみ解されるべきであり、真の範囲及び精神は、特許請求の範囲の記載に及びその全均等範囲に基づいて定められるべきである。
【0175】
本明細書で用いられている「ほぼ」、「約」、及び「実質的に」は、所望の機能を依然として実行し、又は所望の機能を依然として達成する、記載された量に近い量を表している。例えば、「ほぼ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、記載された量の10%未満の範囲内、5%未満の範囲内、1%未満の範囲内、0.1%未満の範囲内、及び0.01%未満の範囲内の量を指す場合がある。
【0176】
原文明細書で用いられる条件を表す言葉、例えばとりわけ、“can”(訳文では「できる」としている場合がある)、“might”(「かもしれない」)、“may”(「場合がある」)、“e.g.”(「例えば」)などは、特段の別の記載がなければ、あるいは、用いられている文脈の範囲内で別段の理解があれば、一般的に言って、幾つかの実施形態の中には、ある特定の特徴、ある特定の要素、及び/又はある特定の状態を含むものがあれば、他の実施形態の中には、ある特定の特徴、ある特定の要素、及び/又はある特定の状態を含まないものもあるということを意味するようになっている。かくして、かかる条件を表す言葉は、一般的に言って、特徴、要素、ブロック、及び/又は状態が1つ以上の実施形態にとって必要な任意の仕方にあること、又は1つ以上の実施形態が必然的に、著者の入力又はプロンプト表示の有無に関わらず、これらの特徴、要素及び/又は状態が任意特定の実施形態に含まれるかどうか、あるいは任意特定の実施形態で実施されるべきであるかどうかを決定するための論理を含むことを示唆することを意図しているわけではない。
【0177】
本明細書に開示した方法は、臨床医によって取られるある特定の措置を含む場合があるが、本方法は、明示的に又は暗示的に、かかる作用の任意の第三者による命令をさらに含む場合がある。例えば、「センサ組立体を放出する」という作用は、「センサ組立体の放出を命令する」を含む。
【0178】
本明細書において開示された実施形態と関連して説明する種々の例示の論理ブロック、モジュール、ルーチン、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はこれら両方の組み合わせとして具体化できる。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に例証するため、種々の例示のコンポーネント、ブロック、モジュール、及びステップを、一般的にこれらの機能の面で上述した。かかる機能がハードウェアとして又はソフトウェアとして具体化されるかどうかは、特定のアプリケーション及びシステム全体に課される設計上の制約で決まる。説明した機能は、各特定のアプリケーションに関して、様々な仕方で具体化できるが、かかる具体化の決定は、本開示の範囲から逸脱を引き起こすものとして解されてはならない。
【0179】
さらに、本明細書において開示した実施形態と関連して説明した種々の例示の論理ブロック及びモジュールは、本明細書において説明した機能を実行するよう設計された機械、例えば、汎用プロセッサデバイス、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラム可能論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又はこれらの任意の組み合わせによって具体化され又は実行できる。汎用プロセッサデバイスは、マイクロプロセッサであるのがよいが、変形例では、かかるプロセッサデバイスは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、これらの組み合わせなどであってよい。プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理するよう構成された電気回路を含むのがよい。もう1つの実施形態では、プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理しないで論理演算を実行するFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサデバイスはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のかかる形態として具体化できる。プロセッサデバイスを主としてデジタル技術に関して本明細書において説明したが、プロセッサデバイスは、主としてアナログコンポーネントを含んでもよい。例えば、本明細書において説明した信号処理アルゴリズムのうちの幾つか又は全てをアナログ回路又は混合型アナログ・デジタル回路で具体化できる。コンピューティング環境は、任意の形式のコンピュータシステムを含むことができ、かかるコンピュータシステムとしては、幾つか例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯型コンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又はアプライアンス内の計算エンジンを利用したコンピュータシステムが挙げられるがこれらには限定されない。本明細書において開示した実施形態と関連して説明した方法、プロセス、ルーチン、又はアルゴリズムの要素をハードウェアで、プロセッサデバイスによって実行されるソフトウェアモジュールで、又はこれら2つの組み合わせで直接実施できる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ及びROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD‐ROM、又は任意の他の形式の非一過性コンピュータ可読記憶媒体に存在するのがよい。例示の記憶媒体は、プロセッサデバイスが記憶媒体から情報を読み出したり、記憶媒体に情報を書き込んだりすることができるよう、プロセッサデバイスに結合されるのがよい。変形例では、記憶媒体は、プロセッサデバイスと一体であってもよい。プロセッサデバイス及び記憶媒体は、ASICに内蔵されるのがよい。ASICは、ユーザ端末に内蔵されるのがよい。変形例として、プロセッサデバイス及び記憶媒体は、別々のコンポーネントとしてユーザ端末に存在するのがよい。
【0180】
VII.実施態様
以下の実施態様は、本明細書において開示した特徴の組み合わせの考えられる幾つかの並び替えを特定しているが、ただし、特徴の組み合わせの他の並び替えもまた可能である。
〔実施態様項1〕
植え込み型センサシステムであって、
上記センサは、上記患者の1つ以上の生理学的パラメータを検出してセンサデータを生成することができ、
上記センサと電気的連絡状態にあるアンテナを含み、上記アンテナは、上記患者の上記1つ以上の生理学的パラメータに関連したセンサデータを受信機に伝送し、上記アンテナは、デリバリシステム中に装填可能に上記センサ周りに圧縮可能であり、上記デリバリシステムからの放出時に拡張可能である、植え込み型センサシステム。
〔実施態様項2〕
上記アンテナは、センサデータを連続的に伝送する、実施態様項1記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項3〕
上記アンテナは、センサデータを間欠的に伝送する、実施態様項1記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項4〕
上記センサは、上記1つ以上の生理学的パラメータを連続的に検出する、実施態様項1記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項5〕
上記センサは、上記1つ以上の生理学的パラメータを間欠的に検出する、実施態様項1記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項6〕
上記センサは、上記患者の血管構造内に植え込み可能であることを特徴とする、実施態様項1~3のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項7〕
上記血管構造は、動脈瘤であることを特徴とする、実施態様項6記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項8〕
前記アンテナは、前記センサを少なくとも部分的に包囲している、実施態様項1~7のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項9〕
上記アンテナは、上記センサの第1の表面を少なくとも部分的に横切って延びていることを特徴とする、実施態様項8記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項10〕
上記アンテナは、上記センサの第2の表面を少なくとも部分的に横切って延び、上記第2の表面は、上記第1の表面とは反対側に位置していることを特徴とする、実施態様項9記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項11〕
上記アンテナは、単軸ループ、二軸ループ、又は球状ループから成る、実施態様項1~10のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項12〕
前記アンテナは、白金、白金/イリジウム合金、及び/又はニチノールから成る、実施態様項1~11のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項13〕
上記アンテナは、パリレンフィルム、金材料、及び/又は白金材料でコーティングされている、実施態様項1~12のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項14〕
上記アンテナは、動脈瘤内での上記センサの位置を安定化することができる、実施態様項1~13のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項15〕
上記患者内の植え込み型センサ組立体の位置を突き止めるために放射線不透過性マーカーをさらに含む、実施態様項1~14のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項16〕
上記センサは、分析物材料、分析物成分、及び/又は血液中のある特定の細胞相互作用もしくは交換又は血液相互作用もしくは交換により生じる副生成物に基づいて上記センサデータを生成する、実施態様項1~15のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項17〕
上記センサは、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、酸素センサ 又は圧力センサから成る、実施態様項1~16のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項18〕
上記1つ以上の生理学的パラメータは、上記患者の上記血液中の酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースを含む、実施態様項1~17のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項19〕
上記1つ以上の生理学的パラメータは、運動情報を含む、実施態様項1~17のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項20〕
上記アンテナは、RF信号を送受信する、実施態様項1~19のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項21〕
上記センサ組立体を気密封止する封止層をさらに含む、実施態様項1~20のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項22〕
上記患者の血液と接触したときに溶解する溶解メンブレン層をさらに含む、実施態様項1~21のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項23〕
上記溶解メンブレン層は、上記溶解メンブレン層が溶解するときに凝血エンハンサを放出する、実施態様項22記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項24〕
上記センサに電力を供給する電源をさらに含む、実施態様項1~23のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項25〕
上記電源は、充電式である、実施態様項24記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項26〕
上記センサは、上記患者の外部に位置する電源によって電力供給可能である、実施態様項1~23のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項27〕
上記センサは、誘導センサである、実施態様項1~23のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項28〕
スーパーキャパシタをさらに含む、実施態様項1~23のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項29〕
センサデータを記憶するメモリデバイスをさらに含む、実施態様項1~28のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項30〕
上記センサの場合とは異なる生理学的パラメータを検出することができる第2のセンサをさらに含む、実施態様項1~29のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項31〕
キットであって、
実施態様項1~30のうちいずれか一に記載の上記植え込み型センサシステムと、
上記植え込み型センサ組立体を血管構造中に放出することができるデリバリシステムとを含む、キット。
〔実施態様項32〕
植え込み型センサシステムであって、
上記センサは、患者の1つ以上の生理学的パラメータを検出してセンサデータを生成することができ、
上記センサと電気的連絡状態にあるアンテナを含み、上記アンテナは、上記患者の上記1つ以上の生理学的パラメータに関連した上記センサデータを受信機に伝送することができ、
血管構造内における上記センサの位置を維持するアンカー構造体を含み、上記センサは、上記アンカー構造体によって画定された空間内に設けられる、植え込み型センサシステム。
〔実施態様項33〕
上記アンカー構造体は、上記センサとは別体であり、上記アンカー構造体は、植え込み時に上記センサに接触する、実施態様項32記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項34〕
上記アンカー構造体は、上記センサ及び/又は上記アンテナに直接的に又は間接的に結合されている、実施態様項32記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項35〕
上記アンテナは、上記センサデータを連続的に伝送する、実施態様項32~34のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項36〕
上記アンテナは、センサデータを間欠的に伝送する、実施態様項32~34のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項37〕
上記センサは、上記1つ以上の生理学的パラメータを連続的に検出する、実施態様項32~36のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項38〕
上記センサは、上記1つ以上の生理学的パラメータを間欠的に検出する、実施態様項32~36のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項39〕
上記センサは、分析物材料、分析物成分、及び/又は血液中のある特定の細胞相互作用もしくは交換又は血液相互作用もしくは交換により生じる副生成物に基づいて上記センサデータを生成する、実施態様項32~38のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項40〕
上記センサは、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、酸素センサ、又は圧力センサから成る、実施態様項32~39のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
【0181】
〔実施態様項41〕
上記1つ以上の生理学的パラメータは、上記患者の上記血液中の酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースを含む、実施態様項32~40のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項42〕
上記1つ以上の生理学的パラメータは、運動情報を含む、実施態様項32~40のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項43〕
上記患者内の植え込み型センサシステムの位置を突き止めるために放射線不透過性マーカーをさらに含む、実施態様項32~42のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項44〕
上記血管構造は、動脈瘤であることを特徴とする、実施態様項32~43のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項45〕
上記1つ以上の生理学的パラメータは、上記動脈瘤中への血液の流れを表している、実施態様項44記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項46〕
上記1つ以上の生理学的パラメータは、上記動脈瘤からの血液の流れを表している、実施態様項44記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項47〕
上記アンテナは、RF信号を送受信する、実施態様項32~46のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項48〕
上記アンカー構造体は、1つ以上のコイルから成る、実施態様項32~47のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項49〕
上記アンカー構造体は、メッシュ又は織物構造から成る、実施態様項32~47のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項50〕
上記アンカー構造体は、バスケットから成る、実施態様項32~47のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項51〕
上記アンカー構造体は、上記血管構造を通る血液の流れを閉塞することができる、実施態様項32~50のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項52〕
薬剤をさらに含む、実施態様項32~51のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項53〕
上記アンカー構造体は、上記薬剤を担持している、実施態様項52記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項54〕
上記薬剤は、凝固剤である、実施態様項52又は53記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項55〕
上記センサに電力を供給する電源をさらに含む、実施態様項32~54のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項56〕
上記電源は、充電式である、実施態様項55記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項57〕
上記センサは、上記患者の外部に位置する電源によって電力供給可能である、実施態様項32~54のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項58〕
上記センサは、誘導センサである、実施態様項32~54のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項59〕
スーパーキャパシタをさらに含む、実施態様項32~54のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項60〕
センサデータを記憶するメモリデバイスをさらに含む、実施態様項32~59のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項61〕
上記センサの場合とは異なる生理学的パラメータを検出することができる第2のセンサをさらに含む、実施態様項32~60のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項62〕
キットであって、
実施態様項32~61のうちいずれか一に記載の上記植え込み型センサシステムと、
上記植え込み型センサシステムを血管構造体内に放出することができる1つ以上のデリバリシステムとを含む、キット。
〔実施態様項63〕
植え込み型センサ組立体であって、
血液の流れに応動する導電率スイッチを含み、上記導電率スイッチは、血液の流れの第1のレベルを表している第1の出力及び血液の流れの第2のレベルを表している第2の出力を提供することができ、
上記導電率スイッチと電気的連絡状態にあるアンテナを含み、上記アンテナは、上記第1の出力及び上記第2の出力を受信機に伝送することができる、植え込み型センサ組立体。
〔実施態様項64〕
上記第2の出力は、実質的に血液の流れが生じていないことを表している、実施態様項63記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項65〕
植え込み型センサシステムであって、
患者の体内の血管構造を治療することができる薬剤と、
コンピュータ実行可能命令を記憶するよう構成されたメモリデバイスと、
上記メモリデバイスと連絡状態にあるプロセッサとを含み、上記コンピュータ実行可能命令は、上記プロセッサにより実行されると、上記プロセッサに上記植え込み型センサシステムから上記薬剤を放出させる、植え込み型センサシステム。
〔実施態様項66〕
スイッチをさらに含み、上記コンピュータ実行可能命令は、上記プロセッサによって実行されると、上記スイッチを動作させ、上記スイッチが上記植え込み型センサシステムにより担持された上記薬剤を放出させる、実施態様項65記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項67〕
上記患者の外部からの送信を受信することができるワイヤレス受信機をさらに含み、上記送信の受信により上記プロセッサは、上記コンピュータ実行可能命令を実行する、実施態様項65又は66記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項68〕
上記プロセッサは、上記植え込み型センサシステムの植え込みに続く所定の時間後に上記コンピュータ実行可能命令を実行する、実施態様項65又は66記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項69〕
上記薬剤は、凝固剤である、実施態様項65~68のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項70〕
血管構造を通る血液の流れをモニタする電子デバイスであって、上記電子デバイスは、
アプリケーションを記憶するよう構成されたメモリデバイスと、
上記アプリケーションを実行するよう構成されたプロセッサとを有し、上記プロセッサは、それにより、
上記血管構造内に植え込まれたセンサ組立体とワイヤレス通信し、上記センサ組立体は、上記血管構造を通る血液の流れの指標である1つ以上の生理学的パラメータをモニタすることができ、
血液の流れの指標となる上記1つ以上の生理学的パラメータの値を求め、
ディスプレイ上に表示可能にユーザに提供可能な上記値を出力するようになっている、電子デバイス。
〔実施態様項71〕
上記値は、上記血管構造の閉塞度の指標であるメトリックを提供する、実施態様項70記載の電子デバイス。
〔実施態様項72〕
上記プロセッサは、上記アプリケーションを実行して上記値を通信ネットワーク経由でコンピューティングシステムに伝えるよう構成されている、実施態様項70又は71記載の電子デバイス。
〔実施態様項73〕
上記プロセッサは、上記アプリケーションを実行して、設定値調節指令を上記センサ組立体に送って、上記1つ以上の生理学的パラメータをモニタするための設定値を調節するよう構成されている、実施態様項70~72のうちいずれか一に記載の電子デバイス。
〔実施態様項74〕
上記プロセッサは、上記センサ組立体とBluetooth(商標)プロトコル、Wi-Fi、ZigBee、医療用インプラント通信サービス(“MICS”)、医療デバイス無線通信サービス(“MedRadio”)、又は携帯電話経由でワイヤレス通信するよう構成されている、実施態様項70~73のうちいずれか一に記載の電子デバイス。
〔実施態様項75〕
上記センサ組立体と組み合わせて用いられる、実施態様項70~74のうちいずれか一に記載の電子デバイス。
〔実施態様項76〕
患者の結果浮こ血管構造をモニタする方法であって、上記方法は、
植え込み型センサ組立体を用いて上記血管構造の1つ以上の生理学的パラメータを検出するステップと、
上記1つ以上の生理学的パラメータと関連したセンサデータを遠隔場所に伝送するステップとを含む、方法。
〔実施態様項77〕
上記血管構造をアンカー構造体で閉塞するステップをさらに含む、実施態様項76記載の方法。
〔実施態様項78〕
上記アンカー構造体から薬剤を放出して上記血管構造を治療するステップをさらに含む、実施態様項77記載の方法。
〔実施態様項79〕
上記植え込み型センサ組立体から薬剤を放出して上記血管構造を治療するステップをさらに含む、実施態様項76~78のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項80〕
上記1つ以上の生理学的パラメータは、上記患者の上記血液中の酸素、二酸化炭素、カリウム、鉄、及び/又はグルコースを含む、実施態様項76~79のうちいずれか一に記載の方法。
【0182】
〔実施態様項81〕
上記1つ以上の生理学的パラメータは、運動情報を含む、実施態様項76~79のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項82〕
上記植え込み型センサ組立体は、血流センサ、血圧センサ、メタボリックセンサ、グルコースセンサ、又は酸素センサを含む、実施態様項76~81のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項83〕
1つ以上の生理学的パラメータを検出する上記ステップは、上記1つ以上の生理学的パラメータを間欠的に検出するステップを含む、実施態様項76~82のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項84〕
1つ以上の生理学的パラメータを検出する上記ステップは、上記1つ以上の生理学的パラメータを連続的に検出するステップを含む、実施態様項76~82記載の方法。
〔実施態様項85〕
上記センサ組立体の電源を充電するステップをさらに含む、実施態様項76~84のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項86〕
上記血管構造は、神経血管構造から成る、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項87〕
上記血管構造は、心臓血管構造から成る、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項88〕
上記血管構造は、上記患者の後方循環系中の動脈瘤内に位置する、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項89〕
上記血管構造は、脳底動脈瘤から成る、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項90〕
上記血管構造は、分岐動脈瘤から成る、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項91〕
上記血管構造は、側壁動脈瘤から成る、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項92〕
上記血管構造は、動脈管から成る、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項93〕
上記血管構造は、頸動脈を含む、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項94〕
上記血管構造は、静脈構造を含む、実施態様項76~85のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項95〕
上記センサデータに基づいて分流器を送達するステップをさらに含む、実施態様項76~94のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項96〕
上記センサデータに基づいて凝固剤を送達するステップをさらに含む、実施態様項76~95のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項97〕
センサシステムを患者の血管構造中に植え込む方法であって、上記方法は、
センサシステムを担持したデリバリシステムを血管構造まで前進させるステップを含み、上記センサシステムは、センサ組立体及びアンカー構造体を含み、
上記センサ組立体を上記血管構造中に放出するステップと含み、及び
上記アンカー構造体を上記血管構造内に放出するステップを含む、方法。
〔実施態様項98〕
上記血管構造を上記アンカー構造体で閉塞するステップをさらに含む、実施態様項97記載の方法。
〔実施態様項99〕
上記デリバリシステムを経皮的に導入するステップをさらに含む、実施態様項97又は98記載の方法。
〔実施態様項100〕
上記デリバリシステムをガイドワイヤ上で該ガイドワイヤに沿って前進させるステップをさらに含む、実施態様項97~99のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項101〕
上記デリバリシステムを案内カテーテル中に前進させるステップをさらに含む、実施態様項97~99のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項102〕
上記アンカー構造体を上記センサ周りに位置決めするステップをさらに含む、実施態様項97~101のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項103〕
上記センサを上記アンカー構造内に位置決めするステップをさらに含む、実施態様項97~101のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項104〕
上記センサと上記アンカー構造体を同時に放出するステップをさらに含む、実施態様項97~101のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項105〕
上記血管構造内の1つ以上の生理学的パラメータを検出するステップをさらに含む、実施態様項97~104のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項106〕
上記1つ以上の生理学的パラメータに関連したセンサデータを遠隔場所に伝送するステップをさらに含む、実施態様項105記載の方法。
〔実施態様項107〕
上記センサ組立体を充電するステップをさらに含む、実施態様項97~106のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項108〕
上記血管構造は、上記患者の後方循環系内の動脈の動脈瘤から成る、実施態様項97~107のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項109〕
上記血管構造は、神経血管構造から成る、実施態様項97~107のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項110〕
上記血管構造は、心臓血管構造から成る、実施態様項97~107のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項111〕
上記血管構造は、脳底動脈瘤から成る、実施態様項97~107のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項112〕
上記血管構造は、分岐動脈瘤から成る、実施態様項97~107のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項113〕
上記血管構造は、側壁動脈瘤から成る、実施態様項97~107のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項114〕
上記血管構造は、動脈管から成る、実施態様項97~107のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項115〕
センサ組立体を患者の血管構造中に送達することができるデリバリシステムであって、上記デリバリシステムは、
ルーメンを備えたシャフトを含み、
上記センサ組立体を担持することができる偏向性遠位先端部を含み、上記ルーメンは、上記偏向性遠位先端部を貫通して延び、
ハンドルを含み、上記ハンドルは、
上記センサ組立体を上記偏向性遠位先端部から放出する第1のユーザにより動作可能な機構体と、
上記偏向性遠位先端部をかじ取りする第2のユーザにより動作可能なシステムとを有する、デリバリシステム。
〔実施態様項116〕
上記シャフトは、ガイドワイヤルーメンを有する、実施態様項115記載のデリバリシステム。
〔実施態様項117〕
上記第2のユーザにより動作可能なシステムは、上記偏向性遠位先端部のかじ取りを機械的に制御する、実施態様項115又は116記載のデリバリシステム。
〔実施態様項118〕
上記第2のユーザにより動作可能な機構体は、上記偏向性遠位先端部のかじ取りを電気的に制御する、実施態様項117記載のデリバリシステム。
〔実施態様項119〕
上記シャフトに被せたデリバリスリーブをさらに含む、実施態様項115~118のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項120〕
上記デリバリスリーブは、上記偏向性遠位先端部のかじ取りを実施可能にする、実施態様項119記載のデリバリシステム。
【0183】
〔実施態様項121〕
上記デリバリシステムをフラッシするための流体ポートをさらに含む、実施態様項115~120のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項122〕
上記可撓性シャフトは、上記偏向性遠位先端部のかじ取りを実施可能にするよう構成された第2のルーメンを有する、実施態様項115~121のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項123〕
上記偏向性遠位先端部は、上記ルーメンとは別個の装填チャンバを有し、上記装填チャンバは、上記センサ組立体を担持する、実施態様項115~122のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項124〕
上記シャフトは、ポリマー材料から成る、実施態様項115~123のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項125〕
上記ハンドルは、上記偏向性遠位先端部の位置を安定化するための第3のユーザにより動作可能な機構体をさらに有する、実施態様項115~124のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項126〕
植え込み型センサシステムであって、
動脈瘤内に植え込み型であって、生理学的パラメータを測定するセンサ組立体を含み、
上記動脈瘤内における上記センサ組立体の位置を維持するアンカー構造を含み、上記アンカー構造体は、上記センサ組立体に接合され、
上記センサ組立体と電気的連絡状態にあるアンテナを含む、植え込み型センサシステム。
〔実施態様項127〕
上記センサ組立体は、グルコースセンサを含む、実施態様項126記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項128〕
上記センサ組立体は、導電率スイッチを含む、実施態様項126又は127記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項129〕
上記センサ組立体は、上記センサにより収集されたデータを少なくとも部分的に処理するプロセッサを含む、実施態様項126~128のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項130〕
上記プロセッサは、気密封止されている、実施態様項129記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項131〕
上記センサ組立体の外面は、山部及び谷部を有する、実施態様項126~130のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項132〕
上記センサ組立体に電力供給するためのスーパーキャパシタをさらに含む、実施態様項126~131のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項133〕
上記スーパーキャパシタは、上記アンカー構造体に接合される、実施態様項132記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項134〕
上記アンカー構造体は、上記センサ組立体と上記スーパーキャパシタとの間に位置決めされる、実施態様項133記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項135〕
上記センサ組立体は、上記アンテナと上記アンカー構造体との間に位置決めされる、実施態様項126~134のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項136〕
上記アンカー構造体は、上記センサ組立体から半径方向外側に延びて上記動脈瘤の壁に接触する、実施態様項126~135のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項137〕
上記アンカー構造体は、複数のループ型アンカー部分を有する、実施態様項126~136のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項138〕
上記複数のアンカー部分は、上記センサ組立体周りに周方向に位置決めされる、実施態様項137記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項139〕
上記複数のアンカー部分の各々は、上記動脈瘤の壁に接触する無外傷性端部分を含む、実施態様項137又は138記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項140〕
上記アンカー構造は、薬剤でコーティングされている、実施態様項126~139のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項141〕
上記センサ組立体は、上記センサデータを記憶するメモリデバイスを含む、実施態様項126~141のうちいずれか一に記載の植え込み型センサシステム。
〔実施態様項142〕
センサシステムを血管構造内に配備するデリバリシステムであって、上記デリバリシステムは、
ハンドル部分を含み、
上記ハンドル部分から遠位側に延びるデリバリシースを含み、
上記デリバリシースを貫通する内側シャフトを含み、上記内側シャフトは、ルーメンを画定するシャフト壁を有し、
上記内側シャフトを貫通した保持ワイヤを含み、上記保持ワイヤは、上記センサシステムを上記内側シャフトの外壁と上記デリバリシースの内壁との間の空間内に保持するよう構成されている、デリバリシステム。
〔実施態様項143〕
上記内側シャフトは、上記シャフト壁に設けられた複数の開口部を有する、実施態様項142記載のデリバリシステム。
〔実施態様項144〕
上記複数の開口部は、上記シャフト壁に沿って軸方向に間隔を置いて配置されている、実施態様項143記載のデリバリシステム。
〔実施態様項145〕
上記複数の開口部の各々は、回転的に整列する、実施態様項143又は144記載のデリバリシステム。
〔実施態様項146〕
上記複数の開口部の少なくとも1つは、上記複数の開口部の別の1つから回転的にオフセットしている、実施態様項143又は144記載のデリバリシステム。
〔実施態様項147〕
上記保持ワイヤは、上記センサシステムを上記内側シャフトに当てて保持するよう1つ以上のループ部分を形成する、実施態様項142~146のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項148〕
上記保持ワイヤは、上記シャフト壁に設けられた第1の開口部から上記内側シャフトと上記デリバリシースとの間の上記空間中に延び、そして上記シャフト壁に設けられた第2の開口部を通って上記内側シャフトの上記ルーメン中に戻り、それにより上記1つ以上のループ部分のうちの1つを形成する、実施態様項147記載のデリバリシステム。
〔実施態様項149〕
上記保持ワイヤは、上記シャフト壁に設けられた第1の開口部から上記内側シャフトと上記デリバリシースとの間の上記空間中に延び、そして上記シャフト壁に設けられた上記第1の開口部を通って上記内側シャフトの上記ルーメン中に戻り、それにより上記1つ以上のループ部分のうちの1つを形成する、実施態様項147記載のデリバリシステム。
〔実施態様項150〕
上記内側シャフトの遠位部分は、偏向可能である、実施態様項142~149のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項151〕
上記内側シャフトの遠位部分は、上記内側シャフトの上記遠位部分を上記血管構造中に偏向させるようかじ取り可能である、実施態様項142~150のうちいずれか一に記載のデリバリシステム。
〔実施態様項152〕
センサシステムを動脈瘤内に配備する方法であって、上記方法は、
センサシステムを担持したデリバリシステムを親動脈まで前進させるステップを含み、上記センサシステムは、上記デリバリシステムの内側シャフトによって担持され、
上記センサシステムを抜くステップを含み、
上記センサシステムを上記動脈瘤内に配備するステップを含む、方法。
〔実施態様項153〕
上記センサシステムを配備する上記ステップは、保持ワイヤを引き抜いて上記センサシステムを上記動脈瘤内に放出するステップを含む、実施態様項152記載の方法。
〔実施態様項154〕
上記保持ワイヤを引き抜くことにより、上記保持ワイヤが上記センサシステムのアンカー構造体から放出される、実施態様項153記載の方法。
〔実施態様項155〕
上記センサシステムを配備することにより、上記センサシステムのアンカー構造体が拡張して、上記動脈瘤内の上記センサシステムの位置を安定化する、実施態様項152~154のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項156〕
上記センサシステムを上記動脈瘤内に配備することにより、上記センサシステムのセンサが上記動脈瘤の壁から遠ざかって位置決めされる、実施態様項152~155のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項157〕
上記センサシステムを上記動脈瘤内に配備した後、治療デバイスを上記動脈瘤内に配備するステップをさらに含む、実施態様項152~156のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項158〕
上記治療デバイスを配備する上記ステップは、上記治療デバイスを上記センサ周りに配備するステップを含む、実施態様項152~157のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項159〕
上記センサシステムを配備する上記ステップは、上記センサシステムのアンカー構造体を放出する前に、上記センサシステムの通信回路系を上記動脈瘤内に放出するステップを含む、実施態様項152~158のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項160〕
上記センサシステムを上記動脈瘤内に配備する前に、上記内側シャフトの遠位先端部を上記動脈瘤中にかじ取りするステップをさらに含む、実施態様項152~159のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項161〕
上記センサシステムを上記動脈瘤内に配備する前に、上記センサシステムを上記動脈瘤のネックに当てて位置決めするステップをさらに含む、実施態様項152~159のうちいずれか一に記載の方法。
【0184】
特許文献及び非特許文献を含む本明細書に記載した文献の全てを参照により引用し、各文献が個別的に明細書に組み込まれているかのごとく、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0185】
理解されるべきこととして、本明細書で用いられている用語は、特定の実施形態だけを説明する目的であり、本発明を限定するものではない。さらに、特段の規定がなければ、本明細書で用いられている用語は、関連分野において知られているその伝統的な意味が与えられるべきものであることが理解されるべきである。
【0186】
本明細書全体を通じて「1つの実施形態」又は「一実施形態」及びその変形例といった場合、当該表現は、諸実施形態と関連して説明する特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味している。かくして、本明細書全体を通じて種々の場所に記載されている語句「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」がみられる場合、これらは、必ずしも全てが同一実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性を1つ以上の実施形態において任意適当な仕方で組み合わせることができる。
【0187】
原文明細書及び原文特許請求の範囲用いられている単数形“a”,“an”,及び“the”は、別段の明示の指定がなければ、複数形、すなわち1つ以上を含む。また、注目されるべきこととして、接続語「及び」及び「又は」は、別段テキストが明示的に、場合によっては包含性又は排他性を示していない場合、「及び/又は」を含むものとして一般的に広義に採用されている。かくして、択一的表現(例えば、「又は」)の使用は、いずれか一方、両方、又はこれらの任意の組み合わせを意味するものと理解されるべきである。加うるに、本明細書において「及び/又は」と記載されている場合、「及び」及び「又は」の構成は、関連のアイテム又は思想の全てを含む実施形態、及び全てよりも少ない関連のアイテム又は思想を含む1つ以上の他の変形実施形態を含むことが意図されている。
【0188】
文脈上別段の必要がなければ、原文明細書及びこれに続く原文特許請求の範囲全体を通じて、用語“comprise”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)及び同義語ならびにその異形語、例えば“have”(訳文では「~を有する」又は「~を備える」としている場合が多い)及び“include”(「~を含む」)、ならびに“comprises”及び“comprising”は、非限定的な包括的意味、例えば“including, but not limited to”(「~を含むが、~には限定されない」)と解されるべきである。表現“consisting essentially of”(「本質的に~から成る」)は、特許請求の範囲を指定された材料又はステップに又はクレーム請求された発明の基本かつ新規な特徴にそれほど影響を及ぼさない材料又はステップに限定する。
【0189】
本明細書に用いられている見出し語は、読者によるその検討に供するよう利用されているに過ぎず、本開示内容、本発明又は特許請求の範囲に記載された発明を任意の仕方で限定するものと解されてはならない。かくして、本明細書に記載されている見出し語及び「要約書」は、便宜上であるに過ぎず、実施形態の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0190】
ある範囲の値が本明細書において記載されている場合、理解されるように、別段の明示の指定がなければ、下限の単位の1/10までかつ上記範囲の上限と下限との間にある各値及び記載された範囲内の任意他の記載され又は間に位置する値は、本開示内容、本発明又は特許請求の範囲の記載に含まれる。狭い範囲に別個独立に含まれる場合のある狭い範囲の上限と下限もまた、その記載された範囲中の任意の特別に排除された制限を受けることを条件として、本開示内容に含まれる。記載された範囲が限界のうちの一方又は両方を含む場合、これら含まれた限界のうちのいずれか一方又は両方を排除する範囲もまた、本開示内容に含まれる。
【0191】
例えば、本明細書において記載されている任意の濃度範囲、百分率範囲、比範囲、又は整数範囲は、別段の指定がなければ、記載された範囲内の任意の整数の値及び該当する場合にはその分数(例えば、整数の1/10及び1/100)を含むものと理解されるべきである。また、物理的特徴、例えばポリマー副次的単位、寸法又は厚さに関する本明細書において記載されている任意の数の範囲は、別段の指定がなければ、この記載された範囲内の任意の整数を含むものと理解されるべきである。本明細書で用いられる「約」は、別段の指定がなければ、指示された範囲、値、又は構造の±20%を意味している。
【0192】
本明細書で言及されるとともに/あるいは出願データシートに一覧表示されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許文献の全てを参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。かかる特許文献及び非特許文献を、例えば本開示内容と関連して用いられる可能性のある文献中に記載された材料及び方法論を記載するとともに開示する目的で参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。上述し、また本テキスト全体を通じて記載されている出願公開は、本願の出願日に先立ってこれらの開示がなされている場合にのみ与えられている。本明細書のいかなる内容も、本発明者が先の出願によって任意の引用文献として挙げた出願公開に対して先行する権利を持たないことを承認するものと理解されるべきではない。
【0193】
本明細書に引用文献として挙げられ又は言及された全ての特許文献、刊行物、科学論文、ウェブサイト、及び他の文献及び論文は、本発明と関連した当業者の通常の知識を表しており、かかる引用文献として挙げた各文献及び論文をこれがあたかも参照により引用されてその記載内容全体を個々に又は全体が記載されているかのような程度まで参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。出願人は、任意のかかる特許文献、刊行物、科学論文、ウェブサイト、電子的入手可能な情報、及び他の研究される論文又は文献からの任意及び全ての論文及び情報を本明細書に物理的に組み込む権利を有する。
【0194】
一般に、以下の特許請求の範囲において、用いられる用語は、請求項の内容を本明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定していると解されてはならず、かかる請求項の内容に対して全ての均等範囲と一緒に全ての考えられる実施形態を含むものと考えられるべきである。したがって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲は、開示内容によっては限定されない。
【0195】
さらに、本願の書面部分は、全ての請求項を含む。さらに、元の全ての請求項ならびに任意及び全ての優先権を主張する文書からの特許請求の範囲を含む全ての請求項を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の書面部分の一部とし、出願人は、任意及び全てのかかる請求項を本願の書面部分又は任意他の部分中に物理的に組み込む権利を有する。かくして、例えば、いかなる場合であっても、特許が申し立てによって請求項の正確な用語が特許の書面部分にこれらの言葉で記載されていないという主張に基づいて請求項について書面部分を提供していないものとして解されることはない。
【0196】
請求項の内容は、法律に従って解釈される。しかしながら、また任意の請求項又はその任意の部分を解釈する上での申し立てにより又は知覚された容易さ又は困難さがあるにもかかわらず、いかなる場合であっても、本願特許をもたらす本願又は複数の出願の手続き中に請求項又はその任意の部分の任意の調節又は補正が、先行技術の要部をなしていない任意及び全てのその均等範囲まで喪失したものと解される場合がない。他の非限定的な実施形態が以下の請求項の範囲にある。特許は、本明細書において具体的にかつ/あるいは明示的に開示された特定の実施例もしくは非限定的な実施形態又は方法に限定されるものと解されてはならない。いかなる場合であっても、特許は、特許商標局の任意の審査官又は任意他の役人又は使用人によりなされた任意の声明によって限定されるものと解されてはならず、ただし、かかる声明が具体的でありかつ資格又は留保なしに、出願人による応答書面に明示的に採用されていないことを条件とする。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図17A
図17B
【国際調査報告】