(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】調整式心房間分流器と関連のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513342
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 US2021047573
(87)【国際公開番号】W WO2022046921
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フェイヒー, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロバートソン, スコット
(72)【発明者】
【氏名】アンドリオラ, ピーター
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC03
4C160CC06
4C160CC40
4C160MM33
(57)【要約】
本技術は、概して、埋め込み式医療機器と関連方法を対象とする。例えば、本技術の実施形態により構成されたシステムには、患者に埋め込み可能であり、形状変化を起こすように構成された本体を含めることができ、本体は、伝導性路を有し、伝導性路は、選択的加熱及び/又は優先的加熱のために、伝導性路の一部分が可変伝導率を有する。本体は、エネルギを本体及び/又は伝導性路に送達して、本体において形状変化を促進することができるエネルギ源と結合させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整式分流器であって、
分流要素であって、患者の左心房と右心房とを流体接続するように構成された、前記分流要素を通って延在する内腔を有する、分流要素と、
前記内腔の幾何学的形状を調整するように構成された細長い作動部材を有する流れ制御機構であって、前記細長い作動部材が、
第1の電気伝導率を有する形状記憶材料から形成された途切れのない基礎材料と、
前記基礎材料の周囲に位置決めされ、前記基礎材料の長さに沿って延在する伝導性材料の外層であって、前記第1の電気伝導率よりも高い第2の電気伝導率を有する、外層と、
前記外層に1つ以上の電気的途切れを画定する、前記外層にある1つ以上の少なくとも部分的な間隙と、を備える、流れ制御機構と、
を備える、調整式分流器。
【請求項2】
前記形状記憶材料の一部分が、形状記憶変化を起こすように構成されている、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項3】
前記1つ以上の電気的途切れが、前記形状記憶変化を起こすように構成された前記一部分の近くに位置する、請求項2に記載の調整式分流器。
【請求項4】
前記基礎材料と前記外層とが一緒になって、前記1つ以上の間隙間に途切れのない断面を形成する、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項5】
前記1つ以上の途切れにおける断面積が、前記基礎材料及び前記外層を有する断面積よりも小さい、請求項4に記載の調整式分流器。
【請求項6】
前記1つ以上の途切れには、前記伝導性材料が実質的にない、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項7】
前記1つ以上の電気的途切れが、断面において、前記外層を完全に通って延在している、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項8】
断面において、前記1つ以上の電気的途切れが、前記外層の他の部分の断面積の約10%以下の前記伝導性材料の断面積を含む、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項9】
前記1つ以上の電気的途切れが、前記第2の電気伝導率よりも低い第3の電気伝導率を有するドーパント材料を含む、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項10】
前記基礎材料が、前記細長い部材の中央部分を含み、前記外層が、前記基礎材料の上の環状層を含む、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項11】
断面において、前記環状層には、前記中央部分の周囲で実質的に途切れがない、請求項10に記載の調整式分流器。
【請求項12】
前記第2の電気伝導率が、前記第1の電気伝導率の少なくとも約10倍高い、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項13】
前記形状記憶材料が、約摂氏40°(C)未満ではマルテンサイト相又はR相である、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項14】
前記形状記憶材料が、約42℃を上回るオーステナイト開始温度を有する、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項15】
前記伝導性材料には、Ag、Au、W、Pt、Pd、Ni、Ta、Ti、Cu、Fe、Co、Cr、Mo、Rh、Nb、及び/又はそれらの混合物が含まれる、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項16】
前記伝導性材料及び/又は前記形状記憶材料が生体適合性である、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項17】
前記間隙が空隙である、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項18】
前記間隙が前記形状記憶材料から形成されている、請求項1に記載の調整式分流器。
【請求項19】
調整式分流システムであって、
開口及び/又は内腔を、流体が前記開口及び/又は前記内腔を流れることを可能にするように少なくとも部分的に画定する1つ以上のストラットを備える本体であって、形状記憶材料から形成され、形状記憶変化を起こすように構成されている部分を有する、本体と、
前記1つ以上のストラットの周囲に位置決めされた外層であって、前記1つ以上のストラットの長さに沿って伝導性路を画定する伝導性材料から構成される、外層と、
前記伝導性路における少なくとも1つの中断部であって、前記中断部内で相対的により低い伝導率をもたらす、少なくとも1つの中断部と、を備える、調整式分流システム。
【請求項20】
前記中断部には前記伝導性材料がない、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記中断部が前記形状記憶材料を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記中断部が、前記形状記憶変化を起こすように構成された前記一部分の近くに位置決めされている、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記本体及び/又は前記伝導性路に結合されたエネルギ源を更に備え、前記エネルギ源がエネルギを送達して、前記形状記憶材料を加熱するように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記伝導性材料が伝導性であり、前記エネルギ源が、電気エネルギを送達して、前記形状記憶材料を抵抗加熱するように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記伝導性材料が熱伝導性であり、前記エネルギ源が、熱エネルギを送達して、前記形状記憶材料を加熱するように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記エネルギ源が、前記本体及び/又は前記伝導性路と遠隔で結合されるように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記エネルギ源が、前記本体及び/又は前記伝導性路と電気的に結合されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記本体が、熱印加に応じて形状を変えるように構成された相変化セクションを備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
前記相変化セクションの一部分が、蛇行、起伏、及びそれらの組み合わせの形状である、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つの中断部が、前記相変化セクションの領域に位置決めされている、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
調整式分流器の作動要素を加熱する方法であって、
第1の電気伝導率を有する前記作動要素の第1の領域に電流を流すことであって、前記第1の領域が形状記憶部材の第1の部分を含む、流すことと、
前記第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を有する前記作動要素の第2の領域に前記電流を流すことであって、前記第2の領域が前記形状記憶部材の第2の部分を含む、流すことと、を含み、
前記第2の電気伝導率が前記第1の電気伝導率よりも低いことにより、前記電流が、前記形状記憶部材の前記第1の部分と比べて、前記形状記憶部材の前記第2の部分を優先的に加熱する、方法。
【請求項32】
前記形状記憶作動要素の前記第1の領域が、前記形状記憶部材の前記第1の部分に結合された伝導性材料を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記形状記憶作動要素の前記第2の領域には前記伝導性材料が全くない、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の領域において、前記電流が、前記形状記憶部材の前記第1の部分と比べて前記伝導性材料に優先的に流れる、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記電流が、前記形状記憶部材の前記第1の部分を上回る程度に前記形状記憶部材の前記第2の部分を抵抗加熱する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の伝導率が、前記第2の伝導率よりも少なくとも10倍高い、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記形状記憶部材の前記第2の部分を優先的に加熱することによって、前記調整式分流器の内腔及び/又は開口の幾何学的形状が調整される、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
埋め込み式医療機器に使用するための複合要素を作る方法であって、
形状記憶材料を含む細長い本体に少なくとも1つの屈曲部を形成して、第1の幾何学的形状を画定することと、
前記形状記憶材料の形状設定を前記第1の幾何学的形状に画定するように前記細長い本体を構成することと、
前記細長い本体を少なくとも部分的に覆って伝導性材料を取り付けることであって、前記伝導性材料が、前記形状記憶材料の抵抗率よりも相対的に低い抵抗率を有する、取り付けることと、
前記細長い本体の一部分から前記伝導性材料を少なくとも部分的に取り除いて、少なくとも1つの中断部を有する伝導性経路を形成することと、を含む、方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの中断部が、前記細長い本体において前記少なくとも1つの屈曲部の近くに形成される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの中断部における前記伝導性経路の第1の伝導率が、前記伝導性材料を有する領域における前記伝導性経路の第2の伝導率よりも低い、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記伝導性材料が、クラッディング、ろう付け、溶接、塗装、スパッタリング、物理蒸着、及び/又は化学蒸着を経て取り付けられる、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの屈曲部を形成する前記工程が、前記伝導性材料を少なくとも部分的に取り除く前記工程の後に行われる、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月25日に出願された、米国仮特許出願第63/070,007号の利益を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、概して、埋め込み式医療機器に関し、具体的には、心臓の右心房と左心房との間の血流を選択的に制御するための埋め込み式心房間システム及び関連方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
医療分野で使用される埋め込み式機器は、数分、数時間、若しくは数日間にわたって一時的に埋め込まれたままにするか、又は数年間にわたって恒久的に埋め込まれたままにすることが意図され得る。このような機器の例としては、ステント、分流器、及びペーシングリードが挙げられる。これらの医療機器は、多くの場合、耐食性、生体適合性、及び電気伝導性を含み得るいくつかの特性を必要とする。更に、これらの医療機器は、通常、静脈又は動脈の曲がりくねった路などの曲がりくねった路を通って、当該医療機器の標的生体構造に到達し、標的生体構造の中に展開するように操られ得るようにカテーテルされる能力を必要とする。時には、医療機器は、体温と一致することがある、所定の温度に達すると、所定の幾何学的形状に遷移するような形状記憶効果を保持する場合がある(追加として)。埋め込み物全体又はその一部分が変形して熱弾性エネルギを貯蔵し、その熱弾性エネルギがその後放出され、熱印加時に変形が回復すると、形状記憶効果が達成される。
【0004】
超弾性材料及び形状記憶材料は、様々な用途で医療機器に広範に使用されている。時には、これらの用途には、望ましい効果を達成するために、身体の選択領域への電位又は熱の送達が伴う。用途によっては、身体の選択領域に対応する医療機器の1つ以上の選択部分に電位又は熱を向けることが望ましい。超弾性材料及び形状記憶材料に伴う課題は、それらが通常、電気伝導性及び熱伝導性に乏しく、望ましい効果を達成するにはかなりの量の印加エネルギを必要とすることがあることである。時には、望ましい効果を達成するために送達されるエネルギ量が、電気ショック又は熱傷害などによる身体への傷害のリスクを高める場合がある。
【0005】
埋め込み式医療機器に必要なエネルギの量を減らす1つの手法は、超弾性材料又は形状記憶材料の伝導率を向上させることである。伝導率は、伝導性材料と超弾性材料又は形状記憶材料との組み合わせを使用することによって向上させることができる。電気伝導を促進するように組み合わされた材料の一例は、ペースメーカリードに使用される延伸充填管(drawn filled tube、DFT)又は延伸ろう付けストランド(drawn brazed strand、DBS)である。DFTとしては、第1の材料よりも高い電気伝導率を有する第2の材料が充填された第1の材料の外殻が挙げられる。このような従来のDFTでは、外殻材料の望ましい加熱効果を達成するのに必要なエネルギが低減されるが、エネルギは、DFTの本体全体にわたって比較的一様に伝導される。したがって、従来のDFTの使用は、依然として、超弾性材料又は形状記憶材料の選択部分において目標電位又は目標温度を達成するのに、医療機器にとってあまりにも多くのエネルギを必要とし得る。
【0006】
形状記憶材料の別の使用は、アクチュエータとしてである。このようなアクチュエータは、多くの場合、形状記憶効果を生じさせるように抵抗(ジュール)加熱をもたらす電流印加によって、電気的に作動する。アクチュエータの作動停止は、通常、周囲環境への自由対流熱伝達によって起こる。形状記憶材料の作動は、時間領域において非対称であることが多く、作動時間が相対的に素早く、非作動時間が相対的に遅い。非作動時間を改善(短縮)しようとする1つの方法は、「遅延」であり、熱ペーストを形状記憶材料に施して、伝導によって熱を急速に伝達することである。この方法は、非作動時間の短縮及び時間領域におけるより対称的な作動プロファイルをもたらすことができるが、この方法に伴う1つの問題は、所与の作動力を達成するのに必要とされる電流が増えることである。
【0007】
これらの課題を克服し、医療機器に必要とされるエネルギ総量を低減し、その好ましい部分へのエネルギ送達を改善することが有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示には、上で述べた目的を達成するのに使用する形状記憶材料を含む本体が含まれる。本体は、バイアス電気伝導性路及び/又は熱伝導性路を形成する比較的伝導性の高い材料の層を含み、バイアス電気伝導性路及び/又は熱伝導性路は、伝導性路の抵抗率が途切れで高くなるように、途切れを層に画定する1つ以上の間隙を有する。間隙の位置は、加熱されると形状変化を促進する熱弾性回復可能材料を収納するように構成されている本体の部分に相関させることができる。本体は、形状変化を起こすように、抵抗加熱及び/又は熱加熱用に構成されていてもよい。伝導性路に沿った抵抗率のばらつきにより、いくつかの利点がもたらされる。本開示の利点は、本体が形状を変えるときに、熱弾性エネルギの相対的により大きな貯蔵を担う1つ以上の領域において本体を優先的に加熱することができることである。本開示の別の利点は、本体に形状変化を生じさせるのに必要とされるエネルギ総量を減らすことができることである。本開示の別の利点は、形状記憶材料に形状変化を生じさせるのに必要とされる時間を短縮することができる(所与の印加エネルギに対して)ことである。
【0009】
本開示の一態様において、医療機器が、第1の電気抵抗率を有する形状記憶材料から形成された基礎材料を含む細長い部材(例えば、ワイヤ/ストラット)と、基礎材料の周囲に位置決められ、細長い部材の長さに沿って延在する外層であって、第1の電気抵抗率よりも小さい第2の電気抵抗率を有する伝導性材料を含む、外層と、外層に1つ以上の途切れを画定する外層にある間隙と、を含む。実施形態によっては、形状記憶材料の一部分が、形状記憶変化を起こすように構成されている。実施形態によっては、1つ以上の途切れが、形状記憶変化を起こすように構成された部分の近くに位置する。実施形態によっては、基礎材料と外層とが一緒になって、細長い部材の長さに沿って途切れのない断面を形成する。更なる実施形態において、1つ以上の途切れにおける断面が、この途切れに隣接する長さなど、細長い部材に沿った他の場所の断面とは異なる。実施形態によっては、1つ以上の途切れには、実質的に伝導性材料がない。実施形態によっては、1つ以上の途切れが、断面において、外層を完全に通って延在している。実施形態によっては、断面において、1つ以上の途切れが、外層の他の部分にある量の約10%以下の量の伝導性材料を含む。実施形態によっては、1つ以上の途切が、第2の電気抵抗率よりも高い第3の電気抵抗率を有する第3の材料を含む。実施形態によっては、基礎材料が、細長い部材の中心部分を含み、外層が、基礎材料の上の環状層を含む。更なる実施形態において、断面では、環状層が、中央部分の周囲で実質的に途切れがない。実施形態によっては、第1の電気抵抗率が、第2の電気抵抗率よりも少なくとも約10倍高い。実施形態によっては、形状記憶材料が、摂氏約40度(℃)未満では主にマルテンサイト相又はR相で存在するニチノールである。実施形態によっては、形状記憶材料の変換開始(例えば、オーステナイト開始)温度が、約42℃を上回る。実施形態によっては、伝導性材料には、Ag、Au、W、Pt、Pd、Ni、Ta、Ti、Cu、Fe、Co、Cr、Mo、Rh、Nb、又はこれらの材料の混合物が含まれる。実施形態によっては、伝導性材料及び/又は形状記憶材料が生体適合性である。実施形態によっては、間隙が、空隙又は空所である。実施形態によっては、間隙が、形状記憶材料から形成されている。
【0010】
本開示の一態様において、患者に埋め込むためのシステムが、形状記憶材料から形成された1つ以上のストラット含む本体であって、形状記憶変化を起こすように構成された部分を有する本体と、本体の周囲に位置決められた外層であって、本体の長さに沿った伝導性路と、伝導性材料の抵抗率よりも相対的に高い低効率を有する、伝導性路にある少なくとも1つの中断部と、を画定する伝導性材料を含む、外層と、を含む。実施形態によっては、中断部には、伝導性材料がない。実施形態によっては、中断部が形状記憶材料を含む。実施形態によっては、中断部が、形状記憶変化を起こすように構成された部分の近くに位置決められている。実施形態によっては、システムが、本体及び/又は伝導性路と結合されたエネルギ源を更に含み、エネルギ源が、エネルギを送達して、形状記憶材料を加熱するように構成されている。更なる実施形態において、エネルギ源が、電気エネルギを送達して、形状記憶材料を抵抗加熱するように構成されている。更なる実施形態において、エネルギ源が、熱エネルギを送達して、形状記憶材料を加熱するように構成されている。実施形態によっては、伝導性材料が伝導性である。実施形態によっては、伝導性材料が熱伝導性である。実施形態によっては、エネルギ源が、本体及び/又は伝導性経路と遠隔で結合されるように構成されている。実施形態によっては、エネルギ源が、本体及び/又は伝導性経路と電気的に結合されている。実施形態によっては、本体が、熱印加に応じて形状を変えるように構成された相変化セクションを含む。実施形態によっては、相変化セクションの一部分が、蛇行、起伏、及びこれらの組み合わせの形状である。実施形態によっては、少なくとも1つの中断部が、相変化セクションの領域に位置決められている。実施形態によっては、エネルギ源が、身体に電気エネルギを放出するように構成されている。実施形態によっては、エネルギ源がスーパーキャパシタである。
【0011】
本開示の一態様において、形状記憶医療機器の一部分を優先的に加熱する方法が、医療機器の細長い部材の伝導性経路を通してエネルギを送達することであって、伝導性経路が、伝導性材料と、伝導性材料よりも低い抵抗率を有する伝導性材料にある少なくとも1つの中断部とから形成されている、送達することと、送達エネルギにより、伝導性経路の少なくとも1つの中断部において伝導性経路と結合されている形状記憶材料を優先的に加熱することと、を含む。実施形態によっては、伝導性経路が伝導性である。実施形態によっては、エネルギを送達することが、電圧を印加することを含む。実施形態によっては、伝導性経路が熱伝導性である。実施形態によっては、エネルギを送達することが、伝導性経路に衝突するようにエネルギビームを向けることを含む。実施形態によっては、方法が、優先的加熱によって、形状記憶材料の少なくとも一部分に形状記憶変化を生じさせることを更に含む。実施形態によっては、形状記憶変化を生じさせることが、少なくとも1つの中断部においてである。
【0012】
本開示の一態様において、埋め込み式医療機器に使用するための複合要素を作る方法が、形状記憶材料を含む細長い本体に少なくとも1つの屈曲部を形成して、第1の幾何学的形状を画定することと、細長い本体を熱機械的に処理して、形状記憶材料の形状設定を第1の幾何学的形状に画定することと、細長い本体を、形状記憶材料の抵抗率よりも相対的に低い抵抗率を有する伝導性材料でコーティングすることと、細長い本体の一部分から伝導性材料を少なくとも部分的に取り除いて、伝導性経路に少なくとも1つの中断部を有する伝導性経路を形成することと、を含む。実施形態によっては、少なくとも1つの中断部が、細長い本体において少なくとも1つの屈曲部の近くに形成されている。実施形態によっては、少なくとも1つの中断部が、伝導性材料よりも相対的に高い抵抗率を有するように形成されている。実施形態によっては、コーティングが、クラッディング、ろう付け、溶接、塗装、スパッタリング、物理蒸着、又は化学蒸着によって本体に接合された材料を含む。実施形態によっては、少なくとも1つの屈曲部を形成すること及び/又は熱処理することが、コーティングすること及び伝導性材料を少なくとも部分的に取り除くことの後に順次続く。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示のある実施形態により、心臓に埋め込まれ、構成された心房間機器の概略図である。
【
図2A】本開示のある実施形態による、本体における動き及びエネルギ貯蔵を示す、本体の概略図である。
【
図2B】本開示のある実施形態による、可変伝導性路を概略的に示す電気回路図である。
【
図3】本開示のある実施形態による、可変伝導性路を有する本体の概略図である。
【
図4】本開示のある実施形態による、様々な可変伝導性路構成を有する形状記憶構成要素を作動させる際の時間と印加エネルギとの関係を描写する、チャートである。
【
図5】本開示のある実施形態による、伝導性コーティングを有する形状記憶構成要素の作動順序を描写したものである。
【
図6】本開示のある実施形態による、伝導性コーティングが施されていない形状記憶構成要素の作動順序を描写したものである。
【
図7】本開示のある実施形態による、可変伝導性路を形成するコーティングを有する形状記憶構成要素の作動順序を描写したものである。
【
図8】本開示のある実施形態により構成された心房間分流機器の概略図である。
【
図9】本開示のある実施形態による、医療機器において形状記憶材料の一部分を優先的に加熱する方法のフローチャートである。
【
図10】本開示のある実施形態による、形状記憶材料を含み、可変伝導性経路を有する、本体を形成する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本技術は、概して、形状記憶材料から少なくとも部分的に形成された複合体を含む、埋め込み式医療機器を対象とし、複合体は、その選択部分の優先的加熱用に可変伝導率(したがって、可変抵抗)路を有する。実施形態によっては、複合体は、形状記憶材料の伝導率よりも高い伝導率(したがって、それよりも低い抵抗率)を有する材料から形成されている。実施形態によっては、埋め込み式医療機器が、身体に埋め込まれている間に形状変化を起こすように構成され、優先的加熱が、伝導性路における伝導率が下がり、抵抗が上がった領域で起こる。優先的加熱は、形状変化の間/後に歪み(実質的な)を起こす複合体の部分に向けられてもよい。実施形態によっては、伝導性路の可変性(例えば、抵抗の上昇)は、伝導性路のそれ以外の部分に対して、第2の材料の存在下の選択変化(例えば、低下)によって形成される。
【0015】
本明細書全体を通して、「一実施形態」又は「ある実施形態」と言うとき、その実施形態との絡みで説明する特定の特徴、構造、又は特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所で「一実施形態では」又は「ある実施形態では」という句が現れても、必ずしも全てが同じ実施形態のことを言っている訳ではない。また、特定の特徴又は特性は、1つ以上の実施形態においていかなる適した方法で組み合わされてもよい。
【0016】
本明細書全体を通して、例えば、「約」及び「ほぼ」などの相対的な用語を言うとき、本明細書では、述べた値プラス又はマイナス10%を意味するのに使用される。
【0017】
本明細書で使用される際、「心房間機器」、「心房間分流機器」、「IAD」、「IASD」、「心房間分流器」、及び「分流器」という用語は、少なくとも1つの構成において、患者の第1の領域(例えば、心臓のLA)と第2の領域(例えば、心臓のRA又は冠状静脈洞)との間に血流をもたらす分流要素を含む機器のことを指すために互換的に使用される。心房、すなわちLAとRAとの間の分流器に関して説明したが、この技術が、心臓の他の室と通路との間、心血管系の他の部分間、又は身体の他の部分間に位置決められた機器にも等しく適用できることが分かるであろう。例えば、「心房間の」と称されるものを含む、本明細書に記載の分流器のいずれも、それにも関わらず、LAと冠状静脈洞との間、又は右肺静脈と上大静脈との間を分流するのに使用することができかつ/又は修正することができる。更に、本明細書に開示の用途では、主に、心臓内の血液を分流するための医療機器を説明するが、本技術は、他の流体を分流する医療機器、例えば、房水分流又は脳脊髄液分流に使用される機器に難なく適合され得る。本技術はまた、分流器に加えて、様々な埋め込み式医療機器にも適合され得る。例えば、本技術は、電気構成要素の断面サイズを縮小し、かつ/又は機器の電力要件を減らすことによって、自己誘導式機器及び/又は操向可能機器(例えば、カテーテル)の機能性を向上させることができる。
【0018】
本明細書で使用される際、「流れ制限要素」及び「流れ制限器」という用語は、分流器内腔又は流路を通して流れ抵抗を変えることができるいかなる構造も指すために互換的に使用される。
【0019】
本明細書で使用される際、「幾何学的形状」という用語には、要素及び/又は本体のサイズ及び/又は形状を含めることができる。したがって、本開示で幾何学的形状の変化を説明するとき、それは、要素のサイズの変化(例えば、より小さい円からより大きい円への移行)、要素の形状の変化(例えば、円から楕円への移行)、及び/又は要素の形状及びサイズの変化(例えば、より小さい円からより大きい楕円への移行)のことを指し得る。
【0020】
本明細書に提供する見出しは、便宜上のものに過ぎず、特許請求された本技術の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0021】
A.心不全の治療用の心房間分流器
心不全は、患者が経験する駆出率に基づいて少なくとも2つのカテゴリ:(1)歴史上、拡張期心不全と称されるHFpEF、又は(2)歴史上、収縮期心不全と称されるHFrEF、のうちの1つに分類することができる。HFrEFの1つの定義は、35%~40%より低い左心室駆出率である。関連しているが、各心不全分類に対して根底にある病態生理学及び処置レジメンは、かなりばらつきがある場合がある。例えば、HFrEFの症状を治療するのを助けることができ、時には疾患の進行を遅らせるか又は逆転させることができる薬物療法が確立されているが、疑わしい効能しかないことでHFpEFに利用可能な薬物療法は限られている。
【0022】
心不全患者において、左心室(left ventricle、LV)における異常な機能は、LAにおける圧力上昇につながる。これは、LAに供給する肺静脈系におけるより高い圧力に直接つながる。肺静脈圧の上昇により、毛細血管から肺へと流体が押し出される。この液溜りは、軽度の身体活動であっても息切れ及び骨折りの徴候を含む、肺うっ血及び多くの心不全症状につながる。HFの危険因子としては、腎機能障害、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満、老齢、及び閉塞性睡眠時無呼吸が挙げられる。HF患者は、拡張期中の左心室弛緩の低下を引き起こすLVの硬直が高まる可能性があり、圧力上昇及び心室の不十分な充填をもたらす。HF患者はまた、心房細動及び肺高血圧症のリスクが高まる可能性があり、通常は、治療選択肢を複雑にする可能性がある他の併存疾患を抱える。
【0023】
心房間分流器は、上昇した左心房圧を下げるやり方として最近提案されており、この新たに出現したクラスの心血管治療介入には、有意な臨床的有望性があることが実証されている。
図1には、LAとRAとの間の中隔壁における分流器の従来の配置を示す。ほとんどの従来の心房間分流器(例えば、分流器10)は、穴を作り出すこと、又は内腔を備える埋め込み物を心房中隔壁に挿入し、それによって、LAとRAとの間に流体連通経路を作り出すことを伴う。したがって、LAの負担をRA内に降ろすことによって、左心房圧の上昇を部分的に緩和することができる。初期の臨床試験において、この手法により、心不全症状が改善されることが示されている。
【0024】
多くの従来の心房間分流器に伴う1つの課題は、分流器内腔の最も相応しいサイズ及び形状を決めることである。内腔が小さすぎると、LAの負荷が十分には軽減されず、症状が緩和されない場合があり、内腔が大きすぎると、より全体的にRA及び右心臓に過負荷が掛かり、患者に新たな問題を引き起こす場合がある。また、圧力低下と臨床転帰との関係、また最適化転帰に必要とされる圧力低下の程度は、部分的に、HFpEF(またそれほどでもない程度に、HFrEF)の病態生理学が完全には理解されていないので、依然として完全には理解されていない。したがって、臨床医は、相応しいサイズの分流器を選択する際に最良の推測を行うこと(限られた臨床的証拠に基づいて)を余儀なくされ、通常、経時的に定寸を調整することができない。更に悪いことに、臨床医は、個々の患者の健康及び予想される応答ではなく、一般的な要因(例えば、患者の解剖学的構造のサイズ、時間内に1つのスナップショットで取られた患者の血行動態測定値など)及び/又は利用可能な機器の設計に基づいて、分流器のサイズを選択しなければならない。従来の機器では、臨床医は、いったん機器が埋め込まれると、例えば、疾患の進行などの変わる患者状態に応じて、治療を調整又は滴定する能力をもっていない。対照的に、本技術の実施形態により構成された心房間分流システムは、臨床医に、患者に基づいて術中又は埋め込み後にサイズを選択することを可能にさせる。
【0025】
したがって、本技術では、調整式心房間分流システムを提供する。本明細書で提供される調整式心房間分流システムには、例えば、患者のLAとRAとを流体的に接続してそれらの間の血流を促進することができる中隔壁において、又は中隔壁に隣接して患者に埋め込み可能な分流要素を含めることができる。実施形態によっては、システムの1つ以上の態様は、LAとRAとの間の分流要素を通る血流を選択的に制御するように調整可能である。例えば、システムには、複数の幾何学的形状(例えば、形状、サイズ、向き、位置など)間で遷移することができる流れ制御要素を含めることができ、各幾何学的形状は、分流要素を通して所与の流体抵抗と関連付けられる。実施形態によっては、流れ制御要素は、内腔のサイズ及び/又は形状を選択的に変えることができる。例えば、内腔の直径を選択的に大きくし、かつ/又は内腔の直径を選択的に小さくするように、流れ制御要素を構成することができる。本開示全体を通して、直径を調整する(例えば、直径を大きくする、直径を小さくする、など)とは、内腔の水力直径を調整する、内腔の特定の場所における直径を調整する、及び/又は内腔の長さ(例えば、全長)に沿って直径を調節することを指し得る。他の実施形態において、流れ制御要素は、内腔を通る流れに別のやり方で影響を及ぼすように構成されている。例えば、実施形態によっては、流れ制御要素は、内腔に対して流入ポート及び/又は流出ポートを少なくとも部分的に塞ぐことができる。したがって、流れ制御要素は、分流要素に結合することができ、かつ/又は分流要素内に含めることができる。
【0026】
B.可変抵抗/伝導性路を備える形状記憶アクチュエータ
上で示したとおり、本明細書に記載の調整式分流システムには、分流器のサイズ、形状、又は他の特性を調整するための流れ制御機構又は流れ制御要素を含めることができる。そうするために、流れ制御機構又は流れ制御要素には、形状記憶アクチュエータ(「形状記憶作動要素」とも称される)を含めることができる。形状記憶アクチュエータとしては、形状記憶材料(例えば、形状記憶合金、形状記憶ポリマ、など)から構成された少なくとも1つの作動要素であるか、又は少なくともそれを含む。形状記憶合金としては、ニチノール、又はニチノール系合金(例えば、NiTiCu)を挙げることができる。外部印加応力及び/又は形状記憶効果の使用を通して(例えば、温度変化によって駆り立てられた際)、作動要素の作動をもたらすことができる。形状記憶効果により、要素をその元の幾何学的構成から変えた変形を、作動要素の動作中に大部分又は完全に元に戻すことが可能になる。例えば、十分な加熱により、アクチュエータ材料における材料状態の少なくとも一時的な変化(例えば、相変化)をもたらし、元の幾何学的構成への形状変化を促進する一時的な内部応力増強を誘発することができる。この機構は、熱弾性エネルギ貯蔵又は熱弾性回復と称され、すなわち、貯蔵エネルギの回復(「弾性」)が、熱を加えることで材料の貯蔵エネルギを回復させる相変化を引き起こすことによって達成される。ある例では、材料状態の変化を伴う幾何学的変化により、製造後に材料になされた変形を元に戻すことができる。形状記憶合金では、状態の変化は、より低い温度でのマルテンサイト相(代わりに、R相)からより高い温度でのオーステナイト相又はR相(代わりに、R相)への変化であるとすることができる。形状記憶ポリマでは、ガラス転移温度又は溶融温度を経て状態を変えることができる。材料状態の変化により、アクチュエータ要素に外部から応力を加えずとも、材料の変形、例えば、その元の(例えば、製造後の)幾何学的構成に対する変形を回復させることができる。すなわち、第1の温度(例えば、体温)で材料に存在する変形は、材料を第2の温度(例えば、より高い)に上げることによって、部分的又は完全に回復させかつ/又は変えることができる。実施形態によっては、第1の温度への復帰(及び材料状態の復帰、例えば、マルテンサイト相に戻る)時、アクチュエータ要素は、その幾何学的構成をほぼ保持することができる(例えば、熱印加からもたらされる構成のままであることができる)。実施形態によっては、第1の温度への復帰時に、アクチュエータ要素は、加熱された熱弾性回復構成の30%以内に、その幾何学的構成をほぼ保持することができる。しかし、材料が相対的により冷たい温度に戻るとき(例えば、熱印加を止めた後に体温まで冷えるとき)、材料は、十分に加熱された温度の材料と比べ、材料を熱弾性的に変形させるのに相対的により低い力又は応力で済む場合があり、したがって、いかなるその後の印加外部応力でも、アクチュエータ要素を元の幾何学的構成から再び変形させる可能性がある。その結果、ほぼ完全な幾何学的回復を妨げ得る例外がある。具体的には、力又は応力が要素に印加される場合、力は、完全な幾何学的形状の回復を防ぐのに十分であり得る。例としては、作動可能な分流器と連通する第2の分流器(例えば、バイアス分流器)の設置である。第2の例は、分流器への弾性膜(例えば、不透過性血液バリア布)の設置である。
【0027】
図2Aには、弾性エネルギ及び熱弾性エネルギの貯蔵を説明するために、ジグザク形幾何学的形状を有する形状記憶アクチュエータ20の簡略化された幾何学的形状の実施形態を示す。簡単に言えば、弾性エネルギ貯蔵は、力が部品に加えられたときに貯蔵される位置エネルギであり、その力が解放されると、部品は貯蔵エネルギを解放し、その元の形状に戻り、例えば、ゴムバンドが伸ばされてから、解放される。熱弾性エネルギ貯蔵は、貯蔵エネルギの回収を作動するのに熱を必要とするものである。
図2Aに示す例では、第1の(例えば、非変形の)構成200、第2の(例えば、伸長した)構成210、第3の(例えば、中間)構成220、及び第4の(例えば、回復した)構成230を含む、複数の構成で、形状記憶アクチュエータ20を示す。形状記憶アクチュエータ20は、直線セクション201及び屈曲セクション202(例えば、頂点)を含む。直線セクション201は、歪みがほとんど掛からない領域であり、屈曲セクション202は、歪みが集中する領域である。形状記憶アクチュエータ20を第1の構成200から第2の構成(210)に伸ばすように形状記憶アクチュエータ20に力が加えられると、いくつかのセクション(例えば、直線セクション211)は形状が、比較的変化しないままであるが、他のセクション(例えば、屈曲セクション202)は、ヒンジ領域のように優先的に変形する。通常、例えば、ニチノールでは、直線セクション201は、ほぼ約1%以下の材料歪みのある領域を画定し、一方、屈曲セクション202は、ほぼ1~9%の材料歪みを有する。第2の構成210にあるときに形状記憶アクチュエータ20から力が解放されると、貯蔵弾性エネルギが回復されるが、熱弾性エネルギは保持される。これは、第3の構成230をもたらす。この構成では、直線セクション201は、弾性的に跳ね返っているので、第1及び第2の構成におけるそれらの以前の形状と形状が匹敵し、一方、屈曲セクション202は、第1の構成200におけるそれらの非拘束形状と第2の構成210におけるそれら変形形状との間のどこかの形状で部分的に変形したままである。第3の構成では、屈曲セクション202は、熱印加によって回復することができる熱弾性エネルギをこの時、保持している。いくつもの手段、例えば、抵抗加熱、直接加熱、誘導加熱などによって、熱を印加することができる。加熱されると、屈曲セクション202の頂点にある貯蔵エネルギが解放され、屈曲セクションは、閉じて、第1の構成200の元の形状にほぼ等しくなる。その結果、形状記憶アクチュエータ全体は、第1の構成200に近似する第4の構成230をとる。この伸び、解放、及び加熱のプロセスを多数回繰り返すことができる。ある少量の熱弾性エネルギが、ほぼ直線のセクションに更に貯蔵されることがあり、このエネルギが加熱時に回収されることが、当業者には分かる。しかし、本開示の実施形態にとって好都合なことに、著しく高い量の熱弾性エネルギを貯蔵する範囲(この例では屈曲セクション/ヒンジ点)は、バイアス伝導性経路に都合が良い領域である。例えば、バイアス伝導性経路は、ある閾値(例えば、1%)を上回る材料歪みがある領域において、その閾値を下回る領域の伝導性路とは異なる伝導性路を形成する。実際には、最大の貯蔵熱弾性エネルギを備えるこれらの領域に向かって熱を絶縁する(又は偏らせる)ことは、大きな形状変化をもたらす一方で、その変化を駆り立てる熱エネルギ入力を最小限に抑える。
【0028】
貯蔵熱弾性エネルギを作動/解放するために、熱エネルギは、貯蔵熱弾性エネルギの領域(例えば、屈曲セクション202)に送達されなければならない。したがって、かなりの量の貯蔵熱弾性エネルギがない領域(例えば、直線領域201)に印加された熱エネルギは、これらの領域に熱を印加しても、意味のある形状回復をもたらさないので、無駄になる。結果として、システムに加えられなければならない加熱エネルギ総量を最小限に抑えるには、又は形状記憶アクチュエータ20を作動させるのに必要な時間を短縮するには、熱エネルギを屈曲セクション202に優先的に向け、直線セクション201を避けることが望ましい。
【0029】
図2Bは、形状記憶アクチュエータ20を通る伝導性経路を示す概略電気回路
図250であり、この伝導性経路では、直線セクション201における熱エネルギの放散を最小限に抑えながら、熱エネルギを屈曲セクション202に優先的に向けることをもたらす。具体的には、電気回路
図250には、電流が流れることができる2つの路、すなわち、直線部セクション201及び屈曲セクション202の両方を流れる矢印Aで表される第1の路と、直線領域201を避ける電気バイパス203を流れる矢印Bで表される第2の路とを示す。注目すべきことに、直線セクション201よりも高い伝導率と、直線セクション201よりも低い抵抗を有する材料から、電気パイパス203を構成することができる。したがって、電流は、直線セクション201(すなわち、流路A)よりも電気バイパス203(すなわち、流路B)に優先的に流れる。電気バイパス203の相対的に高い伝導率に起因して、電気バイパス203における熱放散は比較的少ないか又は全くない。しかし、電流が屈曲セクション202に流れ込むと、屈曲セクション202の相対的により低い伝導率及び相対的により高い抵抗が、屈曲セクション202の抵抗加熱をもたらし、形状記憶アクチュエータ20の作動を駆り立てる。また、電流が優先的に電気バイパス203を流れるので、電気バイパス203は、直線セクション201を流れる電流を最小限に抑え、したがって直線セクション201における望ましくない熱放散を最小限に抑えることが期待される。これにより、屈曲セクション202に更に加熱が集中することが期待される。もちろん、いくらかの電流が依然として直線セクション201を流れることになる。しかし、直線セクション201を流れる電流量、したがって直線セクション201で失われる熱は、電気バイパス203のない実施形態に比べて少なくなる。概略的に示しているが、当業者であれば、
図2Bで説明し、図示した伝導性経路を、以下に記載の技法及びプロセスを使用して様々な形状の形状記憶アクチュエータに適用することができることが分かるであろう。
【0030】
図2Bに関して説明したような好ましい伝導性経路の設置により、バイアス加熱経路が達成される。形状記憶アクチュエータの長さに沿って伝導性をばらつかせることによって好ましい伝導性経路を達成することができる。例えば、
図2Bに関して説明した電気バイパスとして作用するように、形状記憶アクチュエータのある領域に沿って伝導性材料を取り付けることができる。本明細書で使用する際、「伝導性材料」という用語は、それが覆っている材料(例えば、ニチノールなどの形状記憶材料)よりも相対的により高い伝導率を有する材料を指す。
【0031】
図3には、伝導性材料又は伝導性層を使用して形状記憶アクチュエータ300に沿って伝導性を変化させる代表的な実施形態を示す。アクチュエータ300は、形状記憶アクチュエータ20の構成と同様の構成を有し、それによって、貯蔵熱弾性エネルギをほとんど又は全く含まない領域301(例えば、
図2Aの直線セクション201に概ね対応する直線領域)と、力を加える間に熱弾性エネルギが貯蔵される領域310(例えば、
図2Aの屈曲セクション202に概ね対応する屈曲領域)とが存在する。更に、アクチュエータ300は、基礎となる形状記憶材料320とは異なる(例えば、より高い)伝導率を有する材料の追加の層315と共に設置される。以下に説明するように、追加の層315は、
図2Bに関して上に述べた電気バイパスを形成することができる。示すように、ほぼ歪みのない領域305、すなわち、貯蔵熱弾性エネルギをほとんど又は全く運ばない領域は、高度に歪んだ領域310、すなわち、貯蔵熱弾性エネルギを運ぶ領域とは異なるようにコーティングされている。例えば、追加の伝導性層315は、歪みのない領域305にあるが、歪み領域310では任意選択的である。
【0032】
実質的に歪みのない領域305に存在する伝導性材料又は伝導性層315は、基礎となる形状記憶材料伝導率よりも高い伝導率のものであり、好ましくは≧5倍(例えば、≧8倍、≧10倍、≧12倍、≧15倍、≧20倍、≧50倍、≧100倍など)の伝導率のものである。例えば、基礎となる形状記憶材料がニチノール(NiTi)である場合、追加の層(又は複数の層)材料は、銀(Ag)、金(Au)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、又はこれら若しくは他の材料の混合物であってもよい。もちろん、層315には、基礎となる形状記憶材料よりも低い抵抗率(例えば、抵抗率≦8.20x10-7を有する材料)及び/又は基礎となる形状記憶材料よりも高い伝導率(例えば、伝導率≧1.22×106を有する材料)を有する、他の材料及び/又は本明細書でははっきりと述べられていない材料の混合物を含めることもできる。以下の表1には、標準条件下での特定の材料の代表的な伝導率及び抵抗率を挙げる。
【0033】
【0034】
実施形態によっては、層315は、生体適合性材料から構成され、かつ/又は不透過性生体適合性コーティングで覆われている。実施形態によっては、伝導性層315は、1つの層又は1つの材料を含む。実施形態によっては、伝導性層315は、複数の層及び/又は複数の材料を含む。実施形態によっては、所与の層が1つの材料を含む。実施形態によっては、所与の層が少なくとも2つの材料を含む。このほぼ歪みのない領域に加えられた層の様々な実施形態を305a~gとして示す。形状記憶材料の内部又は外部のいずれかに伝導性敷設があってもよい。また、形状記憶材料の1つの側面又は複数の側面を覆う層があってもよい。この領域の断面図は、より伝導性の材料の層(又は複数の層)と組み合わされた基礎形状記憶材料の複合構造を示す。複合断面の伝導率は、形状記憶材料単独の伝導率よりも高い。その結果、電気エネルギ及び熱エネルギは、それほどでもない抵抗(障害物)でこの領域を流れ、それによって、セクション310に対してこの領域における局所的な加熱の低減をもたらす。
【0035】
実質的に歪んだ領域310には、伝導性材料315がなくてもよく、又は任意選択的に伝導性材料315の層を含んでもよい。この領域における任意選択的な層の伝導率は、基礎となる形状記憶材料の伝導率よりも高くても低くてもよい。しかしながら、この領域におけるバイアス加熱を促進するために、複合断面310a~gの伝導率は、ほぼ歪みのない材料305a~gの領域の伝導率よりも実質的に低くなければならない。伝導率の低下を含む領域は、本明細書では、時には、例えば、伝導性路における「中断部」、「途切れ」、又は「間隙」と称される。実施形態310a~gに示すように、このバイアス伝導性複合材断面は、追加の層を完全になくす(又は取り去る)ことによって達成することができる。その代わりに又は更に、領域310における伝導率のこの低下は、領域310における基礎となる形状記憶材料の断面積310a~gを305よりも縮小することによって達成することができる。その代わりに又は更に、伝導性材料315及び/又は形状記憶材料320よりも低い伝導率を有する材料325が、領域310において形状記憶材料に加えられてもよい。その代わりに又は更に、範囲305及び310に対して同じ伝導性材料が選ばれる場合、領域310における層材料の断面積は、領域305における層材料の断面積よりも小さくなる。その代わりに又は更に、層材料が領域305と310とで異なる場合、領域310における複合断面306a~gの伝導率が領域305における複合断面305a~gの伝導率よりも低くなるような層の厚さが選ばれる。
【0036】
実施形態によっては、歪みのない領域全体に、伝導性材料(例えば、コーティング)が一様に取り付けられる。
【0037】
実施形態によっては、歪みのない領域には、非一様な伝導性材料(例えば、コーティング)が取り付けられてもよい。これは、その層の厚みのばらつき、又は完全な欠如であることがある。非一様な伝導性材料としては、マイクロドットアレイを挙げることができる。
【0038】
実施形態によっては、貯蔵熱弾性エネルギ310の全ての領域は、実質的に同一の伝導率(製造ばらつきの範囲内の)で構築される。このような実施形態では、全ての歪み領域310が、実質的に一様に作動すると期待される。
【0039】
実施形態において、貯蔵熱弾性エネルギのいくつかの領域は、貯蔵熱弾性エネルギの他の領域とは異なる伝導性層で構築される。これらの実施形態は、歪み領域を様々に作動させることを目的としている。具体的には、1つの電力入力が頂点の部分集合のみを作動させるのに対して、頂点の他の部分集合を作動させるには、より大きな電力入力が必要とされる。
【0040】
いくつかのやり方で伝導性路を外部に形成することができる。伝導性材料は、機械的結合(例えば、形状記憶コアを備えるDFT)を形成する、形状記憶材を覆うクラッディングであってもよい。任意選択的に、マスキング及びめっき(電気化学めっき)によって伝導性材料を施すことができる。化学蒸着又は物理蒸着(CVD(Chemical Vapor Deposition)又はPVD(Physical Vapor Deposition))によって伝導性材料を加えることができる。機械的接合法(圧入、溶接、圧着など)を経て伝導性材料を加えることができる。蒸発法、例えば、コロイド金属スプレーコーティングを経て、伝導性材料を加えることができる。伝導性材料及び形状記憶材料を付加製造(3D印刷)することができる。
【0041】
いったん設置されると、望ましい領域(例えば、大きい貯蔵弾性エネルギを備える領域)における厚みを薄くするように伝導性路(又は伝導性経路)を更に修正することができる。これは、機械的手段、例えば、ピーニング、ブラスティング、タンブリング、やすりがけ、研磨除去などによって達成することができる。これは、化学的手段-酸エッチング、電解研磨などによって達成することができる。
【0042】
いくつかのやり方で伝導性路を内部に形成することができる。実施形態によっては、形状記憶材料が伝導性材料を覆って被覆され、機械的結合(例えば、形状記憶シェルを有するDFT)を形成する。実施形態によっては、CVD又はPVDを経て伝導性材料が内層に取り付けられる。実施形態によっては、3D印刷を経て伝導性材料を内層に取り付けることができる。
【0043】
伝導性材料にはいくつかの特性があり得る。これらの伝導性材料としては、形状記憶材料に比べて、相対的に高い(例えば、10倍、50倍、100倍、若しくはそれより高い)コンダクタンス、生体適合性、耐電解腐食性、及び/又は任意選択的に、(伝導性コーティングが取り付けられた後に、形状設定若しくは時効熱処理を行って、形状記憶材料を修正する場合)形状記憶材料の形状設定温度(600℃超)に耐えるための高融点を呈する材料を含み得る。実施形態によっては、1つ以上の非伝導性層を形成して、上に述べた特性のうちの1つ以上を付与することができる。非伝導性層は、セラミック材料、有機材料、又はポリマ材料を含んでもよい。
【0044】
図4には、伝導性層が含まれる場合の形状記憶構成要素を作動させるのに必要とされる時間又はエネルギのいずれかの低減の代表的なチャート400を示す。これらのデータは、
図5~
図7に示す実験結果に基づき、形状記憶材料単独(405)が、作動するのに最も高いエネルギ(及び最も長い時間)を必要とし、伝導性コーティング(410)で完全に覆われた形状記憶埋め込み物が、作動するのに相対的により少ないエネルギ(及び比較的短い時間)で済み、伝導性コーティングが直線セクション(415)のみに取り付けられた形状記憶埋め込み物が作動するのに最も少ないエネルギ(及び最も短い時間)で済むことを示す。
【0045】
図5~
図7には、選択的伝導性コーティング(選択的領域/部分における伝導性コーティング)の利点を示す実験結果を示す。これらの実験は、形状記憶ニチノールワイヤ上の銀殻から構成される延伸充填管(DFT)から形成された実験ワイヤを用いて行った。銀対ニチノールの比(面積による)は、この例では、ほぼ5:95であった。実験は、いずれかの端で結合されたリード線を経てエネルギ源によってワイヤを抵抗(ジュール)加熱することを含み、印加電力は、各実験で一定に保たれた。変形状態から熱回復状態への実験ワイヤの作動に必要とされる時間を、構築された3つの構成のそれぞれに対して測定した。一番目は、銀コーティングが完全に無傷のまま残されたものである(
図5、500)。二番目は、マイクロブラスティングを使用して銀コーティングが完全に取り除かれたものである(
図6、600)。最後は、マイクロブラスティングを使用して各ジグの先端だけでしか銀コーティングが取り除かれていないものである(
図7、700)。各構成で、赤外線スペクトルで撮像するカメラが、ワイヤ内の加熱を経時的に記録した。全体的にクラッディングされた第1の構成500では、ワイヤを変形状態505から回復状態510に完全に作動させるのに必要とされる時間は、ほぼ3秒(sec)であった。クラッディングがない(全てのクラッディングが取り除かれた)第2の構成600では、ワイヤを変形状態605から回復状態610に完全に作動させるのに必要とされる時間は、ほぼ9秒であった。クラッディングを選択的に(先端で)取り除いた第3の構成700では、ワイヤを変形状態705から回復状態710に完全に作動させるのに必要とされる時間は、ほぼ1.5秒であった。ワイヤの熱画像が、構成500及び600では、加熱がワイヤの本体全体にわたって比較的一様に起こっていたが、構成700では、加熱が先端に集中していた(優先的に)ことを示したことが分かる。
図5~
図7の画像は、歪みのない領域(すなわち、好ましい実施形態)において選択的コーティングのみを有するプロトタイプ(
図7)を作動させるためのエネルギ(又は時間)が、伝導性コーティング全体(
図5)のエネルギ(又は時間)のほぼ50%であり、形状記憶材料のみ(
図6)のエネルギ(又は時間)のほぼ15%であったことを実証してる。好都合に利用可能なAg:NiTiの比を用いて、この概念の証明を行い、また伝導性層厚を選択的に修正するのにマイクロブラストを使用したが、その設計を限定することがこれらの実験の意図ではなかった。代わりに、伝導性材料選択、SMA材料に対する伝導比、層の場所の選択、及び本明細書の他の箇所で説明される製造方法のいくつもの並べ替えを使用して、この優先的加熱機構を具体化することができる。
【0046】
C.形状記憶アクチュエータを備える分流システムの選択実施形態
上で示したように、本技術は、形状記憶アクチュエータを作動させるのに必要とされるエネルギを低減させることなどによって性能を改善するために、高伝導性材料の領域を有する形状記憶アクチュエータ(例えば、形状記憶作動要素)を含む。状態の変化が起こる遷移温度(例えば、オーステナイト開始温度、オーステナイト最終温度など)が閾値温度(例えば、体温)を上回るように、形状記憶作動要素を処理することができる。例えば、遷移温度は、約42℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、又は別のより高い若しくはより低い温度に設定することができる。実施形態によっては、アクチュエータ材料は、第1の状態(例えば、体温における熱弾性マルテンサイト相又は熱弾性R相)における材料の上部プラトー応力(例えば、「UPS_体温」)が、加熱状態(例えば、超弾性状態)における材料の上部プラトー応力(例えば、「UPS_作動温度」)よりも低くなるような、オーステナイト開始温度を上回る(又はその代わりにR相開始温度を上回る)温度まで体温から加熱され、部分的又は完全な幾何学的形状の回復を達成する。例えば、UPS_作動温度>UPS_体温となるように、アクチュエータ材料を加熱することができる。実施形態によっては、アクチュエータ材料は、第1の状態(例えば、体温での熱弾性マルテンサイト相又は熱弾性R相)における材料の上部プラトー応力が、加熱状態(例えば、超弾性状態)における材料の下部プラトー応力(例えば、「LPS」)よりも低くなるような、オーステナイト開始温度を上回る(又はその代わりに、R相開始温度を上回る)温度まで体温から加熱され、部分的又は完全な幾何学的形状の回復を達成する。例えば、LPS_作動温度>UPS_体温となるように、アクチュエータ材料をエージングすることができる。実施形態によっては、アクチュエータ材料は、第1の状態(例えば、熱弾性マルテンサイト相又は熱弾性R相)における材料の上部プラトー応力が、加熱状態における材料の下部プラトー応力よりも高くなるような、オーステナイト開始温度を上回る(又はその代わりに、R相開始温度を上回る)温度まで体温から加熱され、部分的な幾何学的形状の回復を達成する。例えば、LPS_作動温度<UPS_体温となるように、アクチュエータ材料をエージングすることができる。
【0047】
図8は、本技術の実施形態により構成された心房間分流システム800(「システム800」)の概略図である。システム800は、それを通る内腔804を画定する分流要素805を含む。中隔壁801に埋め込まれると、システム800は、内腔804を介して左心房LAと右心房RAとを流体接続する。HFpEFを治療するためにシステム800が埋め込まれると、血液が、通常、内腔804を流れ方向Fに(例えば、左心房LAから右心房RAに)流れる。システム800は、分流要素805に結合され、内腔804を通る流れを調整するために幾何学的形状及び/又はサイズを変えるように構成された流れ制御機構810を含む。分流要素805の開口(端)及び/又は内腔を調整するように流れ制御機構810を適合することができる。流れ制御機構810(形状記憶アクチュエータ又は形状記憶作動要素とも称される)には、本明細書に記載のように、少なくとも部分的に形状記憶材料で形成され、可変伝導性路を有する本体を含めることができる。アンカー要素によって分流要素805を所定位置に固定することができる。例えば、分流要素805には、中隔壁の左心房側に位置決められた1つ以上の第1のアンカー要素(図示せず)と、中隔壁の右心房側に位置決められた1つ以上の第2のアンカー要素806とを含めることができる。実施形態によっては、分流要素805は、中隔壁の片側のみに位置決められたアンカー要素を使用して所定位置に固定される。また他の実施形態では、システム800は、アンカー要素を含まず、分流要素805は、半径方向外向きの圧力を及ぼすことによって、又は他の適した機構によって、所定位置に固定される。
【0048】
代表的なシステム800には、様々な電子構成要素を含めることができる。例えば、システム800には、エネルギ受け取り構成要素830及び1つ以上のエネルギ貯蔵構成要素815を含めることができる。エネルギ受け取り構成要素830は、患者の身体の内部又は外部に位置決められたエネルギ源からエネルギを受け取るように構成され得る。例えば、エネルギ受け取り構成要素830は、内部源又は外部源からシステム800に伝送される磁気エネルギ(又は他のエネルギ、例えば、RF又は熱)を受け取るように適合された金属コイルであってもよい。実施形態によっては、高周波(radiofrequency、RF)周波数範囲において伝送されるエネルギを受け取るように、コイルを構成することができる。他の実施形態では、磁気又は他の形態のエネルギを受け取るように、エネルギ受け取り構成要素830を構成することができる。エネルギ受け取り構成要素830は、銅若しくは銀、又はこれらの複合材料などの高伝導性金属の金属コイルであってもよい。エネルギ受け取り構成要素830によって受け取られたエネルギを貯蔵するように、エネルギ貯蔵構成要素815を構成することができる。エネルギ貯蔵構成要素815としては、エネルギを保持することができる、バッテリ、スーパーキャパシタ、及び/又は他の適した要素を挙げることができる。エネルギ受け取り構成要素830によって受け取られ、かつ/又はエネルギ貯蔵構成要素815内に貯蔵されたエネルギを流れ制御機構810が使用して、分流要素805を通る流れを調整し(例えば、流れ制御機構810の少なくとも一部分を抵抗加熱することによって)、かつ/又はエネルギ入力を必要とする他の工程に電力供給することができる(例えば、センサ(図示せず)に電力供給する)。実施形態によっては、エネルギ貯蔵構成要素815及び/又はエネルギ受け取り構成要素830は、有線接続によって本体805及び/又は流れ制御機構810に結合されている。実施形態によっては、結合としては、可変伝導性路の1つ以上の部分への接続が挙げられる。実施形態によっては、エネルギ貯蔵構成要素815及び/又はエネルギ受け取り構成要素830は、本体805及び/又は流れ制御機構810に無線で結合されている。無線結合としては、磁気、マイクロ波、高周波(RF)、又は超音波エネルギを使用するように適合された構成要素を挙げることができる。
【0049】
実施形態によっては、流れ制御機構810は、システム内に含まれる1つ以上のエネルギ源(例えば、エネルギ貯蔵構成要素)を使用して、電力供給されかつ/又は制御される。他の実施形態では、流れ制御機構810は、エネルギを流れ制御機構810に直接送達するように構成された調整モジュール又は調整ツールを使用して電力供給されかつ/又は制御される。例えば、実施形態によっては、1つ以上のエネルギモダリティを介して流れ制御機構810を調整することができる。医療従事者は、エネルギモダリティを使用して、流れ制御機構810の位置を巧みに操り、それによって、LAとRAとの間の流量を巧みに操ることができる。好適なエネルギモダリティとしては、例えば、磁気、高周波、超音波などを挙げることができる。実施形態によっては、エネルギが非侵襲的に印加されるように、患者の外部に、エネルギ源を位置付けることができる。しかし、他の実施形態では、流れ制御機構810をエネルギの対象とする前に、体内にエネルギ源を位置付けることができる(例えば、カテーテルを介して)。実施形態によっては、流れ制御機構810が望ましい位置になるまで、比較的短時間(例えば、約0.1秒未満、約1秒未満、約10秒未満など)にわたってエネルギが印加され、システム800を取り囲む組織及び/又は流体が過熱するリスクを下げる。
【0050】
D.本技術の選択方法
図9は、医療機器において形状記憶材料の一部分を優先的に加熱する方法のフローチャート900である。工程例905には、医療機器の伝導性経路を通してエネルギを送達することであって、伝導性経路が伝導性材料に少なくとも1つの中断部を有し、中断部が、伝導性材料より低い抵抗率を有する、送達することが含まれる。工程例910には、少なくとも1つの中断部において伝導性経路の一部分を形成する形状記憶材料を、送達エネルギで優先的に加熱することが含まれる。
【0051】
図10は、形状記憶材料を含み、可変伝導性経路を有する本体を形成する方法のフローチャート1000である。工程例1005には、形状記憶材料と、形状記憶材料の伝導率とは異なる伝導率を有する第2の材料との複合材料を含む細長い本体に少なくとも1つの屈曲部を形成して、第1の幾何学的形状を画定することが含まれる。工程例1010には、細長い本体を熱機械的に処理して、細長い本体の形状設定を第1の幾何学的形状に画定することが含まれる。実施形態によっては、熱機械的成形には、熱処理、塑性成形、又は付加製造(例えば、レーザ焼結)が含まれる。工程例1015には、細長い本体の一部分から第2の材料を少なくとも部分的に取り除いて、細長い本体に可変伝導率を有する伝導性経路を形成することが含まれる。上記は、一連の工程として与えられているが、それより少ない又は多い工程が行われてもよく、かつ/又は工程のうちの1つ以上が異なる順序で行われてもよく、又は完全に除かれてもよいことが分かるであろう。例えば、実施形態によっては、第2の材料を少なくとも部分的に取り除くことが、熱処理の前に行われる。実施形態によっては、一連の工程には、第2の材料を伝導性コーティングとして施すことと、細長い本体を熱機械的に形成して形状設定を画定することと、伝導性コーティングを選択的に取り除いて、可変伝導性経路を形成することと、が含まれる。実施形態によっては、(伝導性)コーティングが、付加製造(例えば、レーザ焼結)、PVD、無電解堆積、電気化学堆積、スプレーコーティング、及び/又はクラッディングによって施されてもよい。実施形態によっては、第2の材料の選択的取り除きとしては、化学的取り除き、ブラスティング、サンディング、研削、又は機械加工を挙げることができる。実施形態によっては、一連の工程には、細長い本体を熱機械的に形成して、形状設定を画定することと、伝導性コーティングを形状設定本体に施すことと、伝導性コーティングを選択的に取り除いて、可変伝導性経路を形成することと、が含まれる。実施形態によっては、一連の工程には、形状設定を画定するように細長い本体を熱機械的に形成することと、可変伝導性経路を形成するように形状設定本体の部分に伝導性コーティングを選択的に施すことと、が含まれる。別の例では、細長い本体のいかなる後続の熱機械成形も伴わずに、ヒンジ形状を直接レーザ切断することができる。
【0052】
D.実施例
本技術のいくつかの態様を以下の実施例で記載する。
【0053】
1. 伝導性部材を含む医療機器であって、
伝導性部材が、
第1の電気伝導率を有する基礎材料と、
基礎材料と接触して位置決められ、基礎材料の少なくとも一部分に沿って延在する第2の材料層であって、第1の電気伝導率とは異なる第2の電気伝導率を有する伝導性材料から構成される、第2の材料層と、を備え、
第2の層の断面積が、部材の長さに沿って変化する、医療機器。
2. 第2の材料層が、基礎材料の外面と界面を成す外側材料層である、実施例1に記載の医療機器。
3. 第2の材料層が、基礎材料によって少なくとも部分的に取り囲まれている内側材料層である、実施例1に記載の医療機器。
4. 基礎材料及び/又は第2の層材料が、形状記憶性を有するように製造された材料である、実施例1に記載の医療機器。
5. 形状記憶材料の一部分が、刺激に応じて幾何学的変化を起こすように構成されている、実施例4に記載の医療機器。
6. 前記刺激が、印加温度及び/又は誘導温度である、実施例5に記載の医療機器。
7. 第2の材料層の1つ以上の断面ばらつきが、形状記憶効果に伴う幾何学的変化の間に、少なくとも1%の材料歪みを起こす部材の一部分の近くに位置する、実施例4に記載の医療機器。
8. 形状記憶材料が、主に、約40℃未満の温度では第1の材料相であるように製造されたニチノール又はニチノール系合金(例えば、NiTiCu)である、実施例4に記載の医療機器。
9. 材料相が、マルテンサイト相又はR相である、実施例8に記載の医療機器。
10. 第2の材料層の1つ以上の断面ばらつきが、刺激が部材に印加されるのに応じて材料相変化を起こす部材の一部分の近くに位置する、実施例8に記載の医療機器。
11. 形状記憶材料が、オーステナイト開始温度が約42℃を上回るように製造されたニチノール又はニチノール系合金(例えば、NiTiCu)である、実施例4に記載の医療機器。
12. 第2の電気伝導率が、第1の電気伝導率よりも高い、実施例1に記載の医療機器。
13. 第2の電気伝導率が、第1の電気伝導率よりも低い、実施例1に記載の医療機器。
14. 第2の材料層の少なくとも1つの領域が、ほぼゼロの断面を有し、第2の層に事実上の間隙又は途切れをもたらす、実施例1に記載の医療機器。
15. 部材の本体に沿って、第2の層の複数の間隙又は途切れが存在する、実施例14に記載の医療機器。
16. 伝導性部材が、その本体の少なくとも一部分に沿って電流が送られるように適合されている、実施例1に記載の医療機器。
17. 部材が、抵抗加熱の結果として温度が変わるように適合されている、実施例16に記載の医療機器。
18. 第2の材料層の様々な断面積を有するセクションが、電流が部材に沿って印加されるのに応じて、様々な温度変化を受ける、実施例17に記載の医療機器。
19. 第2の材料層のより小さい断面積を有する部材のセクションが、第2の材料層のより大きな断面積を有する部材のセクションよりも大きい温度上昇を受ける、実施例18に記載の医療機器。
20. 第2の層が、基礎材料の長さに沿って途切れのない構造を形成する、実施例1に記載の医療機器。
21. その長さに沿ったあるセクションにおける部材の断面積が、その長さに沿った第2のセクションにおける断面積とは異なる、実施例20に記載の医療機器。
22. 断面積の差異が、外層の質量のばらつきに起因する、実施例21に記載の医療機器。
23. 断面において、部材の第1のセクションにおける第2の層材料の質量が、部材の第2のセクションにある第2の層の質量の約10%以下である、実施例1に記載の医療機器。
24. 部材の第1のセクションの電気伝導率が、部材の第2のセクションの電気伝導率と少なくとも5倍異なる、実施例1に記載の医療機器。
25. 第1及び第2の電気伝導率とは異なる(例えば、それより低い)第3の電気伝導率を有する第3の材料を更に含む、実施例1に記載の医療機器。
26. 基礎材料が、部材の中央部分を含み、第2の層が、基礎材料の上に配置された環状外層を含む、実施例1に記載の医療機器。
27. 部材の1つ以上のセクションでは、断面において、環状層が、基礎材料を円周方向に実質的に均一に取り囲む、実施例26に記載の医療機器。
28. 第1の電気伝導率が、第2の電気伝導率と少なくとも約8倍異なる、実施例1に記載の医療機器。
29. 第2の層材料には、Ag、Au、W、Pt、Pd、Ni、Ta、Ti、Cu、Fe、Co、Cr、Mo、Rh、Nb、又はこれらの材料の混合物が含まれる、実施例1に記載の医療機器。
30. 第2の層材料及び/又は基礎材料が、生体適合性である、実施例1に記載の医療機器。
31. 患者に埋め込むためのシステムであって、
伝導性材料で形成された1つ以上の屈曲部を含む本体と、
本体材料とは異なる電気伝導率及び/又は熱伝導率を有する第2の伝導性材料から成る第2の材料層であって、本体にわたって均一に分布しないような、本体の周囲に位置決められたものであり、その長さに沿って変化する電気伝導率及び/又は熱伝導率を有する構造をもたらす、第2の材料層と、を含む、システム。
32. 第2の材料層が、本体の外面の周りに配置されている外側材料層である、実施例31に記載のシステム。
33. 本体の選択範囲が、その範囲における外層材料の断面積の縮小に起因して、電気伝導率が低下する、実施例32に記載のシステム。
34. 本体の選択範囲では、その範囲に外層材料がないことに起因して、電気伝導率が低下する、実施例32に記載のシステム。
35. 伝導率の差異が、主に、形状記憶効果に伴う幾何学的形状変化の間に、少なくとも1%の材料歪みを受ける本体の領域において起こる、実施例33又は34に記載のシステム。
36. 第2の材料層の少なくとも一部分が、刺激に応じてその幾何学的構成を変えるように適合されている形状記憶材料から成る、実施例31に記載のシステム。
37. 本体の少なくとも一部分が、刺激に応じてその幾何学的構成を変えるように適合されている形状記憶材料から成る、実施例31に記載のシステム。
38. 本体の形状記憶セクションの一部分が、蛇行、起伏、及び/又はそれらの組み合わせの形状である、実施例37に記載のシステム。
39. 第2の層材料断面積の縮小が、エネルギ印加に続いて材料相変化を起こすように構成された本体の領域に位置する、実施例37に記載のシステム。
40. 本体及び/又は伝導性路と結合されたエネルギ源を更に備え、エネルギ源が、エネルギを本体材料に送達するように構成されている、実施例31に記載のシステム。
41. エネルギ源が、電気エネルギを送達して、本体材料を抵抗加熱するように構成されている、実施例40に記載のシステム。
42. エネルギ源が、熱エネルギを送達して、本体材料を加熱するように構成されている、実施例40に記載のシステム。
43. 本体材料が、形状記憶性を有する材料である、実施例40に記載のシステム。
44. エネルギ源が、本体及び/又は伝導性経路と遠隔で結合されるように構成されている、実施例40に記載のシステム。
45. エネルギ源が、誘導加熱を可能にする回路を経て本体に熱エネルギを提供する、実施例44に記載のシステム。
46. エネルギ源が、本体及び/又は伝導性経路と直に結合されている、実施例40に記載のシステム。
47. エネルギ源が、電気エネルギを本体に放出するように構成されている、実施例40に記載のシステム。
48. エネルギ源がスーパーキャパシタである、実施例40に記載のシステム。
49. 形状記憶医療機器の一部分を優先的に加熱する方法であって、
医療機器の部材の伝導性経路を通してエネルギを送達することであって、伝導性経路が、伝導性形状記憶材料と、形状記憶材料とは異なる伝導率を有する、隣接する第2の伝導性材料とから形成され、第2の伝導性材料が、部材の本体に沿って不均一に又は断続的に施されている、送達することと、
送達エネルギにより、伝導性経路に不可欠な形状記憶材料の選択部分を優先的に加熱することと、を含む、方法。
50. 伝導性経路が伝導性である、実施例49に記載の方法。
51. エネルギを送達することが、電圧及び/又は電流を印加することを含む、実施例50に記載の方法。
52. 伝導性経路が、熱伝導性である、実施例49に記載の方法。
53. エネルギを送達することが、伝導性経路に衝突するようにエネルギビームを向けることを含む、実施例52に記載の方法。
54. 第2の伝導性材料が、形状記憶材料よりも高い伝導率を有する、実施例49に記載の方法。
55. 第2の伝導性材料が、形状記憶材料よりも低い伝導率を有する、実施例49に記載の方法。
56. 第2の伝導性材料の不均一な分布が、その材料における間隙又は途切れを伴うことがある、実施例49に記載の方法。
57. エネルギ送達期間中、優先的に加熱される部材の範囲と優先的に加熱されない部材の範囲との温度差が、少なくとも10℃に達する、実施例49に記載の方法。
58. 優先的な加熱によって、形状記憶材料の少なくとも一部分に幾何学的変化を生じさせる材料相変化を誘発することを更に含む、実施例49に記載の方法。
59. 優先的には加熱されない形状記憶材料の領域が、材料相変化を起こさない、実施例58に記載の方法。
60. 幾何学的変化を生じさせることが、主に、相対的により小さい断面積の第2の伝導性材料がある部材の領域において起こる材料相変化によって駆り立てられる、実施例58に記載の方法。
61. 埋め込み式医療機器に使用するための複合要素を作る方法であって、
形状記憶材料と、形状記憶材料の伝導率とは異なる伝導率を有する、形状記憶材料を取り囲む第2の材料との複合材から構成される細長い本体に少なくとも1つの屈曲部を形成して、第1の幾何学的形状を画定することと、
細長い本体を直に形成するか又は熱機械的に形成して、細長い本体の形状設定構成を第1の幾何学的形状に画定することと、
細長い本体の一部分から第2の材料を少なくとも部分的に取り除いて、本体の長さに沿って可変伝導率を有する伝導性経路を形成することと、を含む、方法。
62. 形状記憶材料の伝導率とは異なる伝導率を有する第2の材料で形状記憶材料を取り囲むステップを更に含む、実施例61に記載の方法。
63. 取り囲むことが、クラッディング、ろう付け、溶接、塗装、スパッタリング、物理蒸着、又は化学蒸着を経て達成される、実施例62に記載の方法。
64. 細長い本体の一部分から第2の材料を少なくとも部分的に取り除くステップが、1つ以上の領域から第2の材料を完全に取り除き、これらの領域において第2の材料の間隙又は途切れを作り出すことを伴う、実施例61に記載の方法。
65. 細長い本体の一部分からの第2の材料の取り除きには、細長い本体にある少なくとも1つの屈曲部の近くの一部分が含まれる、実施例61に記載の方法。
66. 細長い本体の一部分からの第2の材料の取り除きが、細長い本体のその領域が、第2の材料を留めた細長い本体の領域よりも相対的に低い伝導率を有することをもたらす、実施例61に記載の方法。
67. 少なくとも1つの屈曲部を形成する工程が、伝導性材料を少なくとも部分的に取り除く工程の後に行われる、実施例61に記載の方法。
68. 医療機器であって、
細長い部材(例えば、ワイヤ/ストラット)であって、
第1の電気抵抗率を有する形状記憶材料から形成された基礎材料と、
基礎材料の周囲に位置決められ、細長い部材の長さに沿って延在する外層であって、第1の電気抵抗率よりも小さい第2の電気抵抗率を有する伝導性材料を含む、外層と、
外層に1つ以上の途切れを画定する外層にある間隙と、を備える、細長い部材を備える、医療機器。
69. 形状記憶材料の一部分が、形状記憶変化を起こすように構成されている、実施例68に記載の医療機器。
70. 1つ以上の途切れが、エネルギ印加時に形状記憶変化を起こすように構成された一部分の近くに位置する、実施例68に記載の医療機器。
71. 基礎材料と外層とが一緒になって、細長い部材の長さに沿って途切れのない断面を形成する、実施例68に記載の医療機器。
72. 1つ以上の途切れにおける断面が、途切れに隣接する長さなど、細長い部材に沿った他の場所の断面と異なる、実施例71に記載の医療機器。
73. 1つ以上の途切れには、実質的に伝導性材料がない、実施例68に記載の医療機器。
74. 1つ以上の途切れが、断面において、外層を完全に通って延在する、実施例68に記載の医療機器。
75. 断面において、1つ以上の途切れが、外層の他の部分にある量の約10%以下の伝導性材料の断面積を含む、実施例68に記載の医療機器。
76. 1つ以上の途切れが、第2の電気抵抗率よりも高い第3の電気抵抗率を有するドーパント材料を含む、実施例68に記載の医療機器。
77. 基礎材料が細長い部材の中央部分を含み、外層が、基礎材料の上の環状層を含む、実施例68に記載の医療機器。
78. 断面において、環状層が、中央部分の周囲で実質的に途切れがない、実施例77に記載の医療機器。
79. 第1の電気抵抗率が、第2の電気抵抗率よりも少なくとも約10倍高い、実施例68に記載の医療機器。
80. 形状記憶材料が、約摂氏40°(C)未満ではマルテンサイト相又はR相である、実施例68に記載の医療機器。
81. 形状記憶材料が、約42℃を上回るオーステナイト開始温度を有する、実施例68に記載の医療機器。
82. 伝導性材料には、Ag、Au、W、Pt、Pd、Ni、Ta、Ti、Cu、Fe、Co、Cr、Mo、Rh、Nb、又はこれらの材料の混合物が含まれる、実施例68に記載の医療機器。
83. 伝導性材料及び/又は形状記憶材料が生体適合性である、実施例68に記載の医療機器。
84. 間隙が空隙である、実施例68記載の医療機器。
85. 間隙が形状記憶材料から形成されている、実施例68に記載の医療機器。
86. 患者に埋め込むためのシステムであって、
形状記憶材料から形成された1つ以上のストラットを備える本体であって、形状記憶変化を起こすように構成されている一部分を有する、本体と、
本体の周囲に位置決められた外層であって、本体の長さに沿って伝導性路を画定する伝導性材料と、伝導性材料の抵抗率よりも相対的に高い抵抗率を有する、伝導性路にある少なくとも1つの中断部とを含む、外層と、を備える、システム。
87. 中断部には伝導性材料がない、実施例86に記載のシステム。
88. 中断部が形状記憶材料を含む、実施例86に記載のシステム。
89. 中断部が、エネルギの印加中に形状記憶変化を起こすように構成された一部分の近くに位置決められている、実施例86に記載のシステム。
90. 本体及び/又は伝導性路と結合されたエネルギ源を更に備え、エネルギ源が、エネルギを送達して、形状記憶材料を加熱するように構成されている、実施例86に記載のシステム。
91. エネルギ源が、電気エネルギを送達して、形状記憶材料を抵抗加熱するように構成されている、実施例90に記載のシステム。
92. エネルギ源が、熱エネルギを送達して、形状記憶材料を加熱するように構成されている、実施例90に記載のシステム。
93. 伝導性材料が伝導性である、実施例86又は91に記載のシステム。
94. 伝導性材料が熱伝導性である、実施例86又は91に記載のシステム。
95. エネルギ源が、本体及び/又は伝導性経路と遠隔で結合されるように構成されている、実施例90に記載のシステム。
96. エネルギ源が、本体及び/又は伝導性経路と電気的に結合されている、実施例90に記載のシステム。
97. 本体が、熱印加に応じて形状を変えるように構成された相変化セクションを備える、実施例86に記載のシステム。
98. 相変化セクションの一部分が、蛇行、起伏、及びこれらの組み合わせの形状である、実施例86に記載のシステム。
99. 少なくとも1つの中断部が、相変化セクションの領域に位置決められている、実施例97又は98に記載のシステム。
100. エネルギ源が、電気エネルギを本体に放出するように構成されている、実施例90又は96に記載のシステム。
101. エネルギ源がスーパーキャパシタである、実施例90又は100に記載のシステム。
102. 形状記憶医療機器の一部分を優先的に加熱する方法であって、
医療機器の細長い部材の伝導性経路を通してエネルギを送達することであって、伝導性経路が、伝導性材料から形成され、伝導性材料における少なくとも1つの中断部が、形状記憶材料よりも低い抵抗率を有する、送達することと、
少なくとも1つの中断部において伝導性経路と結合されている形状記憶材料を、送達エネルギにより優先的に加熱することと、を含む、方法。
103. 伝導性経路が伝導性である、実施例102に記載の方法。
104. エネルギを送達することが、電圧を印加することを含む、実施例103に記載の方法。
105. 伝導性経路が熱伝導性である、実施例102に記載の方法。
106. エネルギを送達することが、伝導性経路に衝突するようにエネルギビームを向けることを含む、実施例105に記載の方法。
107. 優先的加熱によって、形状記憶材料の少なくとも一部分に形状記憶変化を生じさせることを更に含む、実施例102に記載の方法。
108. 形状記憶変化を生じさせることが、少なくとも1つの中断部においてである、実施例107に記載の方法。
109. 埋め込み式医療機器に使用するための複合要素を作る方法であって、
形状記憶材料を含む細長い本体に少なくとも1つの屈曲部を形成して、第1の幾何学的形状を画定することと、
形状記憶材料の形状設定を第1の幾何学的形状に画定するように細長い本体を構成することと、
細長い本体全体を覆って伝導性材料を取り付けることであって、伝導性材料が、形状記憶材料の抵抗率よりも相対的に低い抵抗率を有する、取り付けることと、
細長い本体の一部分から伝導性材料を少なくとも部分的に取り除いて、少なくとも1つの中断部を有する伝導性経路を形成することと、を含む、方法。
110. 少なくとも1つの中断部が、細長い本体において少なくとも1つの屈曲部の近くに形成される、実施例109に記載の方法。
111. 少なくとも1つの中断部が、伝導性材料の抵抗率よりも相対的に高い抵抗率を有するように形成される、実施例109に記載の方法。
112. 伝導性材料を取り付けることが、クラッディング、ろう付け、溶接、塗装、スパッタリング、物理蒸着、又は化学蒸着を経て達成される、実施例109に記載の方法。
113. 少なくとも1つの屈曲部を形成する工程が、伝導性材料を少なくとも部分的に取り除く工程の後に行われる、実施例109に記載の方法。
114. 埋め込み式医療機器に使用するための複合要素を作る方法であって、
第1の電気伝導率を有する形状記憶材料から構成される細長い本体に少なくとも1つの屈曲部を形成することと、
細長い本体の一部分の周囲に、第1の伝導率よりも高い第2の伝導率を有する伝導性材料を取り付けることであって、伝導性材料が細長い本体の途切れのない被覆を形成するような細長い本体の一部分が、1つ以上の間隙によって分けられる、取り付けることと、を含む、方法。
115. 調整式分流器であって、
分流要素であって、患者の左心房と右心房とを流体接続するように構成された、分流要素を通って延在する内腔を有する、分流要素と、
内腔の幾何学的形状を調整するように構成された細長い作動部材を有する流れ制御機構であって、細長い作動部材が、
第1の電気伝導率を有する形状記憶材料から形成された途切れのない基礎材料と、
基礎材料の周囲に位置決められ、基礎材料の長さに沿って延在する伝導性材料の外層であって、第1の電気伝導率よりも高い第2の電気伝導率を有する、外層と、
外層に1つ以上の電気的途切れを画定する、外層にある1つ以上の少なくとも部分的な間隙と、を備える、流れ制御機構と、を備える、調整式分流器。
116. 形状記憶材料の一部分が、形状記憶変化を起こすように構成されている、実施例115に記載の調整式分流器。
117. 1つ以上の電気的途切れが、形状記憶変化を起こすように構成された一部分の近くに位置する、実施例116に記載の調整式分流器。
118. 基礎材料と外層とが一緒になって、1つ以上の間隙間に途切れのない断面を形成する、実施例115に記載の調整式分流器。
119. 1つ以上の途切れにおける断面積が、基礎材料及び外層を有する断面積よりも小さい、実施例118に記載の調整式分流器。
120. 1つ以上の途切れには、実質的に伝導性材料がない、実施例115に記載の調整式分流器。
121. 1つ以上の電気的途切れが、断面において、外層を完全に通って延在している、実施例115に記載の調整式分流器。
122. 断面において、1つ以上の電気的途切れが、外層の他の部分における断面積の約10%以下の伝導性材料の断面積を含む、実施例115に記載の調整式分流器。
123. 1つ以上の電気的途切れが、第2の電気伝導率よりも低い第3の電気伝導率を有するドーパント材料を含む、実施例115に記載の調整式分流器。
124. 基礎材料が、細長い部材の中央部分を含み、外層が、基礎材料の上の環状層を含む、実施例115に記載の調整式分流器。
125. 断面において、環状層が、中心部分の周囲で実質的に途切れがない、実施例124に記載の調整式分流器。
126. 第2の電気伝導率が、第1の電気伝導率よりも少なくとも約10倍高い、実施例115に記載の調整式分流器。
127. 形状記憶材料が、約摂氏40°(C)未満ではマルテンサイト相又はR相である、実施例115に記載の調整式分流器。
128. 形状記憶材料が、約42℃を上回るオーステナイト開始温度を有する、実施例115に記載の調整式分流器。
129. 伝導性層材料には、Ag、Au、W、Pt、Pd、Ni、Ta、Ti、Cu、Fe、Co、Cr、Mo、Rh、Nb、又はこれらの混合物が含まれる、実施例115に記載の調整式分流器。
130. 伝導性材料及び/又は形状記憶材料が、生体適合性である、実施例115に記載の調整式分流器。
131. 間隙が空隙である、実施例115に記載の調整式分流器。
132. 間隙が形状記憶材料から形成されている、実施例115に記載の調整式分流器。
133. 調整式分流システムであって、
開口及び/又は内腔を、流体が開口を流れることを可能にするように少なくとも部分的に画定する1つ以上のストラットを備える本体であって、形状記憶材料から形成され、形状記憶変化を起こすように構成されている部分を有する、本体と、
1つ以上のストラットの周囲に位置決められた外層であって、1つ以上のストラットの長さに沿って伝導性路を画定する伝導性材料から構成される、外層と、
伝導性路における少なくとも1つの中断部であって、中断部内で相対的により低い伝導率もたらす、少なくとも1つの中断部と、を備える、調整式分流システム。
134. 中断部には伝導性材料がない、実施例133に記載のシステム。
135. 中断部が形状記憶材料を含む、実施例133に記載のシステム。
136. 中断部が、形状記憶変化を起こすように構成された部分の近くに位置決められている、実施例133に記載のシステム。
137. 本体及び/伝導性路と結合されたエネルギ源を更に備え、エネルギ源が、エネルギを送達して、形状記憶材料を加熱するように構成されている、実施例19に記載のシステム。
138. 伝導性材料が伝導性であり、エネルギ源が、電気エネルギを送達して、形状記憶材料を抵抗加熱するように構成されている、実施例137に記載のシステム。
139. エネルギ源が熱伝導性であり、エネルギ源が、熱エネルギを送達して、形状記憶材料を加熱するように構成されている、実施例137に記載のシステム。
140. エネルギ源が、本体及び/又は伝導性路と遠隔で結合されるように構成されている、実施例137に記載のシステム。
141. エネルギ源が、本体及び/又は伝導性路と電気的に結合されている、実施例137に記載のシステム。
142. 本体が、熱印加に応じて形状を変えるように構成された相変化セクションを含む、実施例133に記載のシステム。
143. 相変化セクションの一部分が、蛇行、起伏、及びこれらの組み合わせの形状である、実施例142に記載のシステム。
144. 少なくとも1つの中断部が、相変化セクションの領域に位置決められている、実施例142に記載のシステム。
145. 調整式分流器の作動要素を加熱する方法であって、
第1の電気伝導率を有する作動要素の第1の領域に電流を流すことであって、第1の領域は、形状記憶部材の第1の部分を含む、流すことと、
第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を有する作動要素の第2の領域に電流を流すことであって、第2の領域は、形状記憶部材の第2の部分を含む、流すことと、を含み、
第2の電気伝導率が第1の電気伝導率よりも低いことにより、電流が、形状記憶部材の第1の部分と比べて、形状記憶部材の第2の部分を優先的に加熱する、方法。
146. 形状記憶作動要素の第1の領域が、形状記憶部材の第1の部分に結合された伝導性材料を含む、実施例145に記載の方法。
147. 形状記憶作動要素の第2の領域には、伝導性材料が全くない、実施例146に記載の方法。
148. 第1の領域において、電流が、形状記憶部材の第1の部分よりも伝導性材料に優先的に流れる、実施例146に記載の方法。
149. 電流が、形状記憶部材の第1の部分を上回る程度に形状記憶部材の第2の部分を抵抗加熱する、実施例145に記載の方法。
150. 第1の伝導率が、第2の伝導率よりも少なくとも10倍高い、実施例145に記載の方法。
151. 形状記憶部材の第2の部分を優先的に加熱することによって、調整式分流器の内腔及び/又は開口の幾何学的形状が調整される、実施例145に記載の方法。
152. 埋め込み式医療機器に使用するための複合要素を作る方法であって、
形状記憶材料を含む細長い本体に少なくとも1つの屈曲部を形成して、第1の幾何学的形状を画定することと、
形状記憶材料の形状設定を第1の幾何学的形状に画定するように細長い本体を構成することと、
細長い本体を少なくとも部分的に覆って伝導性材料を取り付けることであって、伝導性材料が、形状記憶材料の抵抗率よりも相対的に低い抵抗率を有する、取り付けることと、
細長い本体の一部分から伝導性材料を少なくとも部分的に取り除いて、少なくとも1つの中断部を有する伝導性経路を形成することと、を含む、方法。
153. 少なくとも1つの中断部が、細長い本体において少なくとも1つの屈曲部の近くに形成される、実施例152に記載の方法。
154. 少なくとも1つの中断部における伝導性経路の第1の伝導率が、伝導性材料により、領域における伝導性経路の第2の伝導率よりも低い、実施例152に記載の方法。
155. 伝導性材料が、クラッディング、ろう付け、溶接、塗装、スパッタリング、物理蒸着、及び/又は化学蒸着を経て取り付けられる、実施例152に記載の方法。
156. 少なくとも1つの屈曲部を形成する工程が、伝導性材料を少なくとも部分的に取り除く工程の後に行われる、実施例152に記載の方法。
【0054】
結論
本開示の実施形態としては、バッテリ、スーパーキャパシタ、又はそれ以外の適した電源と、埋め込み物の動作を駆動するソフトウェア及び/又はファームウェアを格納し、実行させることができる、マイクロコントローラ、FPGA、ASIC、又はそれ以外のプログラム可能な構成要素若しくはシステムと、埋め込み物及び/又はその動作に関連付けられたデータ及び/又はソフトウェア/ファームウェアを格納するためのRAM又はROMなどのメモリと、当技術分野で知られている、Bluetooth(登録商標)、WiFi、又はそれ以外のプロトコルを介して送信するように構成されたアンテナシステムなどのワイヤレス通信ハードウェアと、環境発電手段、例えば、機器に電力を供給し、バッテリを充電し、センサからの読み取りを開始するのに、又はそれ以外の目的で使用され得る外部提供の信号を受信しかつ/又は読み取ることができるコイル又はアンテナと、の構成要素の一部分又は全部を挙げることができる。実施形態としては、当業者に知られている、圧力センサ、インピーダンスセンサ、加速度計、力/歪みセンサ、温度センサ、流量センサ、光センサ、カメラ、マイクロホン若しくはそれ以外の音響センサ、超音波センサ、ECG若しくはそれ以外の心調律センサ、組織及び/又は血液ガスレベルを測定するように適合されたSpO2若しくはそれ以外のセンサ、血液量センサ、及びそれ以外のセンサなどの1つ以上のセンサも挙げることができる。実施形態としては、蛍光透視法、超音波検査、又はそれ以外の撮像方法などの技法を使用して、画像誘導埋め込み又は画像誘導手技を促進する、放射線不透過性及び/超音波反射性である部分を挙げることができる。システムの実施形態としては、埋め込み物を送達し、かつ/又は手技を行うように適合されている特殊送達カテーテル/システムを挙げることができる。システムには、ガイドワイヤ、シース、拡張器、及び複数の送達カテーテルなどの構成要素が含まれてもよい。オーバーザワイヤ、迅速交換、組み合わせ、又はそれ以外の手法を介して構成要素を交換することができる。
【0055】
これまで述べた本技術の実施形態の発明を実施するための形態は、網羅的であること、又は本技術を上で開示された厳密な形態に限ることを目的とするものではない。理解を助けるために、本技術の具体的な実施形態及び例をこれまで述べたが、当業者であれば分かるように、本技術の範囲内で様々な同等の修正形態が考えられ得る。例えば、ステップが所与の順序で提示されているが、代替的な実施形態では、異なる順序でステップを行ってもよい。本明細書に記載の様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することもできる。例えば、本開示は、LAとRAとの間、LVと右心室(RV)との間、又はLAと冠状静脈洞との間に流体連通の路を作り出すのに使用されるものとして通常説明される機器を説明するように書かれているが、同様の実施形態が、心臓の他の室間の分流器に、又は身体の他の領域における分流器に活かすことができるということが分かるはずである。
【0056】
文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、説明及び例全体を通して、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」などの語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包括的な意味で解釈されるべきであり、すなわち、「含むが、それに限られない」という意味である。本明細書で使用される際、用語「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、又はそれらのいかなる変形も、2つ以上の要素間の直接的又は間接的ないかなる接続又は結合も意味する。要素間の接続の結合は、物理的、論理的、又はそれらの組み合わせであってもよい。更に、「本明細書」、「上記」、「下記」という語、また同様の意味の語は、本出願に使用される際、本出願を全体として言うものとし、本出願のいかなる特定の部分のことを言うものではない。文脈が許す場合、単数又は複数を使用する上記の発明を実施するための形態における語は、それぞれ、複数であることも単数であることもある。本明細書に使用される際、「A及び/又はB」に見られる語句「及び/又は」は、Aのみを言うことも、Bのみを言うことも、またA及びBを言うこともある。更に、「備える(comprising)」という用語は、いかなるより多くの同じ特徴及び/又は追加のタイプの他の特徴が除外されないような少なくとも挙げた特徴を含むことを意味するように全体を通して使用される。本明細書では、理解を助けるために具体的な実施形態を述べてきたが、本技術から逸脱しない限り、様々な修正がなされてもよいことも分かるであろう。更に、本技術のいくつかの実施形態に伴う利点をこれらの実施形態の背景で説明してきたが、他の実施形態もこのような利点を呈することがあるが、全ての実施形態が本技術の範囲内に入るために必ずしもそのような利点を呈する必要はない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書ではっきりと示されても説明されていない他の実施形態に及ぶことができる。
【国際調査報告】