(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】表面への複数の防汚ユニットの適用
(51)【国際特許分類】
B08B 17/02 20060101AFI20230914BHJP
【FI】
B08B17/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516068
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2021076134
(87)【国際公開番号】W WO2022069326
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ヒエットブリンク ローラン ボードウィン
(72)【発明者】
【氏名】サルタース バート アンドレ
(57)【要約】
防汚ユニット1は、表面上に配置されるように構成され、防汚光を放射するように構成された発光装置31を含む少なくとも1つの電気回路30を有する。さらに、防汚ユニット1は、少なくとも1つの電気回路30を担持するキャリアスラブ40を有し、キャリアスラブ40は、少なくとも1つの電気回路30が配置される少なくとも1つのアクティブスラブゾーン42と、防汚機能を劣化させることなく別々のピースに防汚ユニット1を分割することを可能にするように構成される、アクティブスラブゾーン42の外側の少なくとも1つのパッシブスラブゾーン43とを含み、少なくとも1つの電気回路30の発光装置31は、少なくとも1つのアクティブスラブゾーン42の位置と少なくとも1つのパッシブスラブゾーン43の位置との両方で防汚機能を実現するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に配置されるように構成された防汚ユニットであって、
前記防汚ユニットは、防汚光を放射するように構成された発光装置を含む少なくとも1つの電気回路と、前記少なくとも1つの電気回路を担持する板状のキャリアスラブとを有し、
前記キャリアスラブは、前記少なくとも1つの電気回路の前記発光装置からの光が前記防汚ユニットの外へと通過することを可能にする放射面であって、それにより当該放射面の外部およびその周辺に防汚作用を及ぼすように構成された放射面を有し、
前記キャリアスラブは、前記少なくとも1つの電気回路が配置される少なくとも1つのアクティブスラブゾーン、および、前記アクティブスラブゾーン以外の少なくとも1つのパッシブスラブゾーンを含み、前記少なくとも1つのパッシブスラブゾーンは、前記少なくとも1つの電気回路の機能を維持しながら、所定の表面部分に適合するように前記防汚ユニットを別々のピースに分割することを可能にするように構成され、
前記少なくとも1つの電気回路の前記発光装置は、前記アクティブスラブゾーンの位置および前記パッシブスラブゾーンの位置の両方において、前記放射面の外部およびその周辺に防汚作用を及ぼすように構成される、防汚ユニット。
【請求項2】
前記パッシブスラブゾーンが前記キャリアスラブの周囲の少なくとも一部に沿って延在する、請求項1に記載の防汚ユニット。
【請求項3】
少なくとも1つの発光装置を含む電気回路を2つ有し、パッシブスラブゾーンが、一方の電気回路が配置されるアクティブスラブゾーンと他方の電気回路が配置される他のアクティブスラブゾーンとの間に延在する、請求項1または2に記載の防汚ユニット。
【請求項4】
前記放射面における前記少なくとも1つのアクティブスラブゾーンのサイズに対する前記放射面における前記少なくとも1つのパッシブスラブゾーンのサイズの比が0.1から10の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の防汚ユニット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電気回路が、前記発光装置に給電するために使用されるべき電力を前記防汚ユニットの外部から受け取るように構成された受電装置をさらに有し、前記受電装置が、互いに独立して機能するように構成された少なくとも2つの電気コイルを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の防汚ユニット。
【請求項6】
単一の電気回路を有し、当該単一の電気回路が、前記発光装置に給電するために使用されるべき電力を前記防汚ユニットの外部から受け取るように構成された受電装置をさらに有し、前記受電装置装置が、前記キャリアスラブの中央に配置された電気コイルを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の防汚ユニット。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電気回路が、前記キャリアスラブの材料に埋め込まれている、請求項1から6の一項に記載の防汚ユニット。
【請求項8】
オブジェクトと、当該オブジェクトの表面上に配置された請求項1から7のいずれか一項に記載の複数の防汚ユニットとからなるアセンブリ。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の防汚ユニットを、表面上への当該防汚ユニットの少なくとも部分的な配置のために準備する方法であって、前記少なくとも1つの電気回路の機能を維持しながら、少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置において、前記防汚ユニットを別々のピースに分割する、方法。
【請求項10】
前記防汚ユニットの前記別々のピースの1つの形状が、前記別々のピースの前記1つによって占有されるべき前記表面上の所定の輪郭および関連する空間の表面部分に適合するように実現される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記防汚ユニットが、前記少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置において切断作用を受ける、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載の複数の防汚ユニットを表面に適用する方法であって、前記防汚ユニットが、平面充填パターンで前記表面上に配置され、少なくとも幾つかの防汚ユニットが、前記少なくとも1つの電気回路の機能を維持しながら、少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置において、別々のピースに分割される、方法。
【請求項13】
前記防汚ユニットが、密接に隣接するように互いに並んで前記表面上に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
別々のピースに分割された前記防汚ユニットの各々の前記別々のピースの1つの形状が、前記別々のピースの前記1つによって占有されるべき前記表面上の所定の輪郭および関連する空間の表面部分に適合するように実現される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも幾つかの前記防汚ユニットの別々のピースへの分割が、前記防汚ユニットの2つを、それぞれの防汚ユニットのパッシブスラブゾーンが重なるように互いに対して配置し、重なっているパッシブスラブゾーンを通して単一の切断を行うことを含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1に、本発明は、表面上に配置されるように構成された防汚ユニットに関し、防汚ユニットは、防汚光を放射するように構成された発光装置を含む少なくとも1つの電気回路と、少なくとも1つの電気回路を担持する板状のキャリアスラブとを備え、キャリアスラブは、少なくとも1つの電気回路の発光装置からの光が防汚ユニットの外へと通過することを可能にし、それによって放射面の外側およびその周囲を防汚作用にさらすように構成された放射面を有する。
【0002】
第2に、本発明は、オブジェクトの組立体と、オブジェクトの表面上に配置された複数の上述の防汚ユニットとに関する。
【0003】
第3に、本発明は、表面上に少なくとも部分的に配置される防汚ユニットの製造方法に関する。
【0004】
第4に、本発明は、上述の複数の防汚ユニットを表面に適用する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
一般に、本発明は、表面の防汚の分野に関する。少なくとも寿命の一部の間、水に曝露される表面の汚損は、多くの分野において重大な問題を引き起こす周知の現象である。例えば、船舶の分野では、船体上の生物汚損は、船舶の抗力の激しい増加を引き起こし、ひいては船舶の燃料消費を増加させることが知られている。この点において、燃料消費の40%までの増加は、生物汚損に起因し得ると推定される。
【0006】
一般に、生物汚損は、微生物、植物、藻類、小動物などが表面に蓄積することである。いくつかの推定によれば、4,000 を超える生物を含む1,800 種を超える種が生物汚損の原因である。したがって、生物汚損は、多種多様な生物によって引き起こされ、フジツボおよび海藻の表面への付着よりもはるかに多くのものを含む。生物汚損は、バイオフィルム形成および細菌付着を含むマイクロファウリングと、より大きな生物の付着を含むマクロファウリングとに分けられる。それらが定着するのを妨げるものを決定する別個の化学および生物学のために、生物はまた、硬質または軟質に分類される。硬質汚損生物には、フジツボ、外皮小体、軟体動物、多毛類および他の管虫などの石灰質生物、ならびにゼブライガイが含まれる。軟質汚損生物には、海藻、ハイドロイド、藻類およびバイオフィルム「粘菌」などの非石灰質生物が含まれる。これらの生物は一緒になって汚損コミュニティを形成する。
【0007】
生物汚損は、上述した船舶の抗力の増加以外の2つの負の結果のみを言及すると、機械類が作動を停止し、入水口の詰まりを引き起こす可能性がある。いずれにしても、生物汚損防止の話題、すなわち、生物汚損を除去および/または防止するプロセスは既知である。
【0008】
WO 2020/058333 A1は、海洋オブジェクトの生物付着防止の分野にあり、海洋オブジェクトの表面領域に適用されるように構成され、汚損防止光を放射するように構成された1つの光源を含む発光ユニットを開示している。
【0009】
US 2020/148318 A1 は、光学媒体を介して汚損表面に汚損防止光を提供することによって、オブジェクトの汚損表面上の生物汚損を防止または低減するように構成された汚損防止照明システムを開示しており、汚損防止照明システムは、汚損防止光を生成するように構成された光源を備える照明モジュールを備える。
【0010】
EP 3 438 520 A1は、表面上の防汚作用を実現する状況を含む、様々な状況で使用されることができる発光デバイスを開示している。この発光デバイスは、表面の少なくとも実質的な部分を覆うための平面充填パターンに配置された発光ユニットを備える。
【0011】
WO 2014/188347 A1は、表面が液体環境、特に水性または油性環境に少なくとも部分的に浸漬されている間の表面の汚れを防止する方法を開示している。この方法は、防汚光を提供することと、そのような保護される表面に近接して光学媒体を提供することとを含み、光学媒体は、実質的に平坦な放射面を有する。光の少なくとも一部は、保護される表面に実質的に平行な方向に光学媒体を通って分配され、防汚光は保護される表面から離れる方向に、光学媒体の放射面から発せられる。防汚光は、紫外線であってもよく、光学媒体は紫外線透過性シリコーン、すなわち、紫外線に対して実質的に透過性であるシリコーン、および/または紫外線グレードの溶融シリカ、特に石英を含んでもよい。
【0012】
WO 2014/188347 A1から公知の方法を適用することによって、生物汚損から清浄に保たれるべき保護表面を、少なくともかなりの程度まで、殺菌光を発する層で覆うことが可能である。保護される表面は、先に述べたように、船舶の船舶体とすることができるが、この方法は他の種類の表面にも同様に適用できる。
【0013】
WO 2014/188347 A1はさらに、上述の方法を実施するために使用されるのに適した照明モジュールを開示している。したがって、照明モジュールは、防汚光を生成するための少なくとも1つの光源と、光源からの防汚光を分配するための光学媒体とを備える。少なくとも1つの光源および/または光学媒体は、保護される表面から離れる方向に防汚光を放射するように、保護される表面の中、上、および/または近くに少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0014】
WO 2014/188347 A1から知られる照明モジュールは、保護される表面への適用に適したフォイルとして提供されてもよい。フォイルは、タイル形状の防汚ユニットを提供するように、フォイルの厚さ方向に垂直な2つの直交方向において実質的にサイズ制限されることができ、別の実施形態では、フォイルは、防汚フォイルの細長いストリップを提供するように、フォイルの厚さ方向に垂直な1つの方向のみにおいて実質的にサイズ制限される。
【0015】
タイル形状の防汚ユニットを有するというコンセプトは、大きな表面(これは最大1万m2より大きい表面であってもよい)を防汚作用にさらすことになる場合に、特に興味深い。特に、表面の少なくとも実質的な部分を覆うために、防汚ユニットを平面充填パターンに配置することが想定され得る。防汚ユニットは、任意の適切な形状およびサイズであり得る。例えば、船体上に防汚発光装置を形成するために、正方形のユニットが船体上に規則的なパターンで使用され、配置されてもよく、各ユニットは、船体の約1m2を覆うように寸法決めされてもよい。いずれの場合も、防汚ユニットは表面上に配置されるように構成され、その表面は保護表面と称され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述のように、本発明はi)防汚光を放射するように構成された発光装置を含む少なくとも1つの電気回路と、ii)前記少なくとも1つの電気回路を担持する板状のキャリアスラブとを備える防汚ユニットに関し、キャリアスラブは、少なくとも1つの電気回路の発光装置からの光が防汚ユニットの外へと通過することを可能にし、それによって、放射面の外側およびその周囲を防汚作用にさらすように構成された放射面を有する。多くのそのような防汚ユニットで平坦な表面部分を覆うことはそれほど問題ではないが、非平坦な曲面部分、ならびに、溶接継ぎ目、マーキングおよび表面の中断などの不規則性が存在する表面部分を覆うことは、かなりの難題となる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、表面部分が湾曲している、および/または不規則性が存在する表面部分であっても、表面の任意の部分を少なくとも1つの防汚ユニットで確実に覆う方法を提供することである。そこで、本発明は、表面上に配置されるように構成された防汚ユニットを提供し、該防汚ユニットは、防汚光を放射するように構成された発光装置を含む少なくとも1つの電気回路、および、前記少なくとも1つの電気回路を担持する板状のキャリアスラブを有し、前記キャリアスラブは、前記少なくとも1つの電気回路の発光装置からの光が前記防汚ユニットの外へと通過することを可能し、それにより前記放射面の外部およびその周囲に防汚作用を及ぼすように構成された放射面を有し、前記キャリアスラブは、前記少なくとも1つの電気回路が配置される少なくとも1つのアクティブスラブゾーンと、前記アクティブスラブゾーン以外の少なくとも1つのパッシブスラブゾーンとを含み、 少なくとも1つのパッシブスラブゾーンは、少なくとも1つの電気回路の機能を維持したまま、所定の表面部分に適合するように、防汚ユニットを別々のピースに分割できるように構成され、前記少なくとも1つの電気回路の発光装置は、前記少なくとも1つのアクティブスラブゾーンの位置と前記少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置の両方において前記放射面の外部とその周囲に防汚作用を及ぼすように構成されている。
【0018】
本発明はまた、オブジェクトと、当該オブジェクトの表面上に配置された、前段落で定義された複数の防汚ユニットとのアセンブリに関する。オブジェクトは海洋オブジェクトであってもよく、その場合、用語「海洋オブジェクト」は、オブジェクトの寿命の少なくとも一部の間、生物付着生物を含有する汚損液中に少なくとも部分的に浸漬されることが意図される少なくとも1つの表面を含むオブジェクトを指すものとして理解されるべきである。本文脈において、用語「海洋オブジェクト」は、塩水中で使用するためのオブジェクトに限定されず、淡水中で使用するためのオブジェクトも含むように理解されるべきである。海洋オブジェクトの例には、船舶、海洋ステーション、海上の油またはガス設備、浮力装置、海上での風力タービンのための支持構造、波/潮力エネルギーを収穫するための構造、シーチェスト、水中工具などが含まれる。
【0019】
本発明によれば、特に、防汚ユニットのキャリアスラブが、防汚ユニットの少なくとも1つの電気回路が配置される少なくとも1つのアクティブスラブゾーンと、アクティブスラブゾーン以外の少なくとも1つのパッシブスラブゾーンとを含み、少なくとも1つのパッシブスラブゾーンが、少なくとも1つの電気回路の機能を維持しながら、防汚ユニットを別々のピースに分割することを可能にするように構成されるように設計され、防汚ユニットの設計が調整されるとき、1つまたは複数の防汚ユニットで保護表面の非平坦および/または非平滑部分を1つまたは複数の防汚ユニットで覆う際に遭遇する困難が軽減される。さらに、少なくとも1つの電気回路に含まれる発光装置は、キャリアスラブの放射面の外部および放射面の周囲を、少なくとも1つのアクティブスラブゾーンの位置および少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置の両方で防汚作用にさらすように構成され、その結果、防汚ユニットの全体が少なくとも1つの電気回路の発光装置の防汚作用の下にある。
【0020】
少なくとも1つのアクティブスラブゾーンおよび少なくとも1つのパッシブスラブゾーンを有する防汚ユニットの設計に基づいて、少なくとも1つの電気回路の機能性を損なわずに保ちながら防汚ユニットを別々のピースに分割することが可能となる。したがって、防汚ユニットを非平坦および/または非平滑な表面部分に取り付ける必要がある場合、これは、防汚ユニットを2つ以上の別個のピースに適切な方法で分割することによって、およびそれぞれのピースの位置において表面上にこうして得られた少なくとも1つの別個のピース、好ましくは少なくとも1つのアクティブスラブゾーンを含む少なくとも1つの別個のピースを、所望に応じて表面上に防汚機能を有するように配置することによって行うことができる。
【0021】
キャリアスラブにおける少なくとも1つのアクティブスラブゾーンおよび少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの分布は、本発明の枠組みにおいて自由に選択することができる。例えば、少なくとも1つのパッシブスラブゾーンが、キャリアスラブの周囲の一部に沿って、またはキャリアスラブの周囲全体に沿って延在する場合、実用的であり得る。このような場合、少なくとも1つのアクティブスラブゾーンとキャリアスラブの周囲との間の少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの幅が10cm以下であるか、またはおそらく9cmである場合、有利であり、このようにして、キャリアスラブの現在知られている実現可能な材料の光吸収特徴を考慮して、少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの完全な防汚カバレッジを保証することができる。一方、そのような場合、少なくとも1つのアクティブスラブゾーンとキャリアスラブの周囲との間の少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの幅が、キャリアスラブのサイズを適合させて所定の表面部分にキャリアスラブを適合させることを可能にするように、大きな柔軟性を有するように、7cmまたは8cmよりも大きい場合が有利である。
【0022】
実際的な可能性によれば、防汚ユニットは、少なくとも1つの発光装置を含むタイプの2つの電気回路を含むことができる。このような場合、防汚ユニットが、一方の電気回路が配置されるアクティブスラブゾーンと他方の電気回路が配置される別のアクティブスラブゾーンとの間に延在するパッシブスラブゾーンを備える場合、これは、防汚ユニットを、アクティブスラブゾーンを含む2つの別個のピースに容易に分割することを可能にするので、さらに実用的である。紫外LEDのような現在知られている防汚光源の適用を前提とする少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの完全な防汚カバレッジを保証することに関する前述の見解に鑑みて、一方の電気回路が位置するアクティブスラブゾーンと他方の電気回路が位置する他方のアクティブスラブゾーンとの間のパッシブスラブゾーンの幅が20cm以下またはおそらく18cmである場合が有利である。防汚ユニットの使用の最適な柔軟性のために、防汚ユニットの実施形態は、一方の電気回路が位置するアクティブスラブゾーンと、他方の電気回路が位置する他方のアクティブスラブゾーンとが異なるサイズであるように実現可能である。
【0023】
放射面における少なくとも1つのアクティブスラブゾーンのサイズと比較した放射面における少なくとも1つのパッシブスラブゾーンのサイズは、本発明による防汚ユニットの異なる実施形態に関して異なっていてもよい。この点において、本発明は、以下のオプションの全てを包含することに留意されたい: i)放射面における少なくとも1つのパッシブスラブゾーンのサイズが、放射面における少なくとも1つのアクティブスラブゾーンのサイズよりも小さいというオプション、ii)放射面における少なくとも1つのパッシブスラブゾーンのサイズが、放射面における少なくとも1つのアクティブスラブゾーンのサイズと同じであるというオプション、およびiii)放射面における少なくとも1つのパッシブスラブゾーンのサイズが、放射面における少なくとも1つのアクティブスラブゾーンのサイズよりも大きいというオプション。放射面における少なくとも1つのアクティブスラブゾーンのサイズに対する、放射面における少なくとも1つのパッシブスラブゾーンのサイズの比の適切な範囲は、0.1~10である。
【0024】
本発明の枠組みでは、キャリアスラブの周囲の形状に関して、様々な有利なオプションが存在する。キャリアスラブの周縁部は例えば台形であってもよいし、六角形であってもよい。
【0025】
少なくとも1つの電気回路は、発光装置の他に、発光装置に電力を供給するために使用される防汚ユニットの外部から電力を受け取るように構成された受電装置を含む場合、実用的である。とりわけ、受電装置が互いに独立して機能するように構成された少なくとも2つの電気コイルを備えることが可能であり、それにより、外部給電装置に対する防汚ユニットの少なくともアクティブスラブゾーンの機能的位置に関して単一の所定の可能性のみが存在する状況が回避される。このような場合、少なくとも2つの電気コイルがキャリアスラブ内の回転対称位置に配置されていると実用的であり得る。例えば、キャリアスラブの周囲の形状が長方形である場合、2つの電気コイルは、キャリアスラブを表面に関して半回転、すなわち、キャリアスラブを180°回転させたときにコイルが同じ位置にあるように、配置され得る。一方、キャリアスラブの周囲の形状が長方形である場合、1つの電気コイルがキャリアスラブの短辺に沿って配置され、別の電気コイルがキャリアスラブの長辺に沿って配置される場合、防汚ユニットは外部電力供給構成に対して2つの異なる位置のうちの1つに配置されることができ、異なる位置は、キャリアスラブの90°回転に関連する。さらに、長方形のキャリアスラブ、または多かれ少なかれ真っ直ぐな辺を含む別の形状のキャリアスラブの各辺に電気コイルを有することが可能である。
【0026】
外部給電装置に対する防汚ユニットの位置決めを1つの可能性のみに制限することを防止するという同じ目的のために、防汚ユニットが受電装置を含む電気回路を1つのみ含むケースでは、キャリアスラブの中央に配置された電気コイルを受電装置が含む場合、実用的であり得る。この点において、電気コイルがリング形状であり、キャリアスラブの重心が電気コイルによって囲まれた領域内にある場合に有利であることに留意されたい。
【0027】
キャリアスラブに関して、キャリアスラブの適切な材料の一例はシリコーンであることに留意されたい。さらに、少なくとも1つの電気回路がキャリアスラブの材料に埋め込まれる項dリが可能である。発光装置に関して、発光装置は例えば、少なくとも1つのLEDを含んでもよいことに留意されたい。防汚光に関して、本発明は、紫外線の使用を含む、任意の適切なタイプの防汚光の使用を包含することに留意されたい。
【0028】
本発明はまた、表面上に少なくとも部分的に配置するための、前述の防汚ユニットを用意する方法に関する。このような方法は、少なくとも1つの電気回路の機能を維持しながら、防汚ユニットを少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置で別々のピースに分割することを含む。防汚ユニットの別個のピースの1つの形状が、当該別個のピースの1つによって占有されるべき表面上の所定の輪郭および関連する空間の表面部分に適合するように実現される場合、特に有利である。防汚ユニットを別々のピースに分割する実用的な方法は、防汚ユニットを少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置で切断作用にさらすことを含み、任意の適切な切断ツールを利用することができる。本発明による防汚ユニットに関して、これは、少なくとも1つのパッシブスラブゾーンが、切断作用によって防汚ユニットを別々のピースに分割することを可能にするように構成されている場合に実用的であることを意味する。
【0029】
本発明はまた、上記で定義された複数の防汚ユニットを表面に適用する方法に関する。そのような方法は、表面上に防汚ユニットを平面充填パターンで配置することと、少なくとも1つの電気回路の機能を維持しながら、少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置で少なくともいくつかの防汚ユニットを別々のピースに分割することとを含む。この方法では、防汚ユニットは、隣接するように互いに並んで表面上に配置されてもよい。実用的な可能性によれば、前述において既に説明された本発明の態様に従い、複数の防汚ユニットを表面に適用する方法は、別個のピースのうちの1つによって占有されるべき表面上の所定の輪郭および関連する空間の表面部分に適合するように別個のピースに分割された防汚ユニットの各々の別個のピースのうちの1つの形状を実現することを含み得る。また、上記で既に説明した本発明の態様によれば、別個のピースに分割された防汚ユニットの各々が、少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置で切断作用を受ける場合、実用的である。
【0030】
完全性のために、「平面充填パターン」という用語は、実際的な意味で理解されるべきであり、すなわち、防汚ユニットが表面上に近接して配置されて防汚ユニットの間に実質的に空間がない上述のオプション、および、防汚ユニットがそれらの間に狭い空間のみを伴って互いに横に配置されるオプションを含む、その用語により当業者によって通常示される様々なオプションをカバーするように理解されるべきであることに留意されたい。一般に、この用語は、防汚ユニットが表面の連続的なカバーを形成するように配置されるパターンと、防汚ユニットが中断部が設けられた表面のカバーを形成するように配置されるパターンの両方に適用可能であり、中断部は防汚ユニット間の小さな領域以下であり、パターンの総面積のより大きいピースが防汚ユニットによって占められる。いずれの場合も、特に、防汚ユニット間の相互距離が、防汚ユニットの一般的な寸法よりも著しく小さくなるようにすることができる。
【0031】
実用的な可能性によれば、少なくともいくつかの防汚ユニットを別々のピースに分割することは、2つの防汚ユニットを互いに対して位置決めする動作を含み、それぞれの防汚ユニットのパッシブスラブゾーンを重複配置にして、重複したパッシブスラブゾーンを通して単一の切断を行う。そのようにして、防汚ユニットのパッシブスラブゾーンが重なり合い、防汚ユニットの残りのピースが、重なり合ったパッシブスラブゾーンが存在する領域の異なる側(その領域の多かれ少なかれ反対側であるだろう)に延びるように防汚ユニットを互いに対して適切な位置に配置して、結合したパッシブスラブゾーンを一回で切断し、その後、このようにして得られた防汚ユニットの端部の形状が、それらの端部が直ちに密接に隣接した配置をとることができるように、互いに対して正確に適合されるだけなので、一方の防汚ユニットが他方の防汚ユニットに密接に隣接する構成を、複雑な対策を講じることなく正確に実現する方法が得られる。
【0032】
本発明の上記および他の態様は、表面上に配置されるように構成された防汚ユニットの実際の実施形態および防汚ユニットを取り扱う実際的な方法の以下の詳細な説明から明らかになり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明は、図面を参照してより詳細に説明され、図面において、等しい又は類似の部分は同じ参照符号によって示される。
【
図1】本発明の第1の実用的な実施形態による防汚ユニットを概略的に示す図。
【
図2】本発明の第2の実用的な実施形態によるいくつかの防汚ユニットを概略的に示し、防汚ユニットが円錐面を覆うためにどのように使用され得るかを示す図。
【
図3】本発明の第2の実用的な実施形態による防汚ユニットのパターンと、防汚ユニットがどのように別個のピースに分割され得るかを示す図。
【
図4】本発明の第3の実用的な実施形態によるいくつかの防汚ユニットを概略的に示し、防汚ユニットが球面を覆うためにどのように使用され得るかを示図。
【
図5】本発明の第4の実用的な実施形態による防汚ユニットと、給電ストリップの一部とを概略的に示す図。
【
図6】本発明の第5の実用的な実施形態によるいくつかの防汚ユニットが表面上の溶接継ぎ目の間に位置する表面部分を覆うためにどのように使用され得るかを示す図。
【
図7】本発明の第5の実用的な実施形態によるいくつかの防汚ユニットが表面上の溶接継ぎ目の間に位置する表面部分を覆うためにどのように使用され得るかを示す図。
【
図8】本発明の第6の実用的な実施形態による防汚ユニットを給電ストリップに対して位置決めすることができる2つの異なる方法を示す図。
【
図9】本発明の第7の実用的な実施形態による防汚ユニットのパターンに関する可能性を示す図。
【
図10】本発明の第7の実用的な実施形態による防汚ユニットを給電ストリップに対して位置決めすることができる方法を示す図。
【
図11】本発明の第8の実用的な実施形態による防汚ユニットを概略的に示す図。
【
図12】本発明の第9の実用的な実施形態による防汚ユニットを概略的に示す図。
【
図13】本発明の第10の実用的な実施形態による防汚ユニットを概略的に示す図。
【
図14】本発明の第11の実用的な実施形態による防汚ユニットを概略的に示す図。
【
図15】本発明の第12の実用的な実施形態による防汚ユニットを概略的に示す図。
【
図16】防汚ユニットの電気回路の構成に関する実用的なオプションを示す図。
【
図17】防汚ユニットの電気回路の構成に関する実用的なオプションを示す図。
【
図18】防汚ユニットのキャリアスラブの側面図を概略的に示す図。
【
図19】防汚ユニットがどのように別々のピースに分割され得るかを示す図。
【
図20】防汚ユニットがどのように別々のピースに分割され得るかを示す図。
【
図21】防汚ユニットがどのように別々のピースに分割され得るかを示す図。
【
図22】防汚ユニットの端部の密接に隣接する配置を実現するために、2つの防汚ユニットがどのように切断され得るかを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の第1の実際の実施形態による防汚ユニット1を概略的に示す。防汚ユニット1は、表面20上に配置されるように構成され、防汚光を放射することによって防汚作用を実行するように動作可能である。表面20の一例が
図2に概略的に示されている。表面20は例えば、海洋オブジェクトの外面であってもよい。
図2に示される表面20は円錐形状であり、本発明による少なくとも1つの防汚ユニットが配置され得る多数の種類の表面の単なる一例である。
【0035】
一般に、本発明による防汚ユニットは、防汚光を放射するように構成された発光装置31を含む少なくとも1つの電気回路30と、少なくとも1つの電気回路30を担持する板状のキャリアスラブ40とを備える。この点において、少なくとも1つの電気回路30がキャリアスラブ40の材料に埋め込まれていると実用的であり得る。キャリアスラブ40は、少なくとも1つの電気回路30の発光装置31からの光が防汚ユニットの外へと通過し、それによって、放射面41の外部およびその周囲を防汚作用にさらすことを可能にするように構成された放射面41を有する。完全性のために、防汚ユニットが表面20上に配置されるとき、防汚ユニットは、キャリアスラブ40の放射面41とは別の表面を通して表面20に接触することに留意されたい。防汚ユニットが表面20の非平坦部分の形状に従うことを可能にする目的のために、キャリアスラブ40の材料が可撓性である場合が実用的である。さらに、キャリアスラブ40の材料が防汚光に対して透明であれば実用的であり、例えば、キャリアスラブ40は、防汚光を分配するように構成されてもよい。
【0036】
本発明の第1の実際の実施形態による防汚ユニット1のキャリアスラブ40は、正方形の周縁を有する。表面20に加えて、
図2は、本発明の第2の実際の実施形態による多数の防汚ユニット2を概略的に示す。本発明の第2の実際の実施形態による防汚ユニット2のキャリアスラブ40は、台形の周縁を有する。一般に、本発明の枠組みでは、キャリアスラブ40の周縁の多数の形状が可能である。キャリアスラブ40の周縁の正方形の形状は、
図12および13にも見ることができ、これらはそれぞれ、本発明の第9の実際の実施形態による防汚ユニット9および本発明の第10の実際の実施形態による防汚ユニット10に関する。キャリアスラブ40の周囲の台形形状は、本発明の第7の実際の実施形態による防汚ユニット7に関連する
図9および10、ならびに本発明の第8の実際の実施形態による防汚ユニット8に関連する
図11にも見ることができる。キャリアスラブ40の周囲の形状の他の例としては、
図4、
図14及び
図15に見られるような六角形状が挙げられ、これらはそれぞれ、本発明の第3の実際の実施形態による防汚ユニット3、本発明の第11の実際の実施形態による防汚ユニット11及び本発明の第12の実際の実施形態による防汚ユニット12に関し、並びに、
図5、
図6及び
図8に見られるような矩形状も挙げられ、これらは本発明の第4の実際の実施形態による防汚ユニット4、本発明の第5の実際の実施形態による防汚ユニット5及び本発明の第6の実際の実施形態による防汚ユニット6に関連する。
【0037】
図2および
図3を参照すると、それぞれの防汚ユニットのキャリアスラブ40の重複を回避しながら、平面充填パターンで防汚ユニットで非平坦面20を覆うことが意図されるとき、困難に遭遇することに留意されたい。表面20の形状に起因して、防汚ユニットは、良好に互いに嵌合することができない。本発明によれば、この問題を軽減するために、防汚ユニットは、キャリアスラブ40が少なくとも1つの電気回路30が配置される少なくとも1つのアクティブスラブゾーン42と、アクティブスラブゾーン42以外の少なくとも1つのパッシブスラブゾーン43とを含むように設計される。少なくとも1つのパッシブスラブゾーン43の存在に基づいて、少なくとも1つの電気回路30の機能性を維持しながら、防汚ユニットを別々のピースに分割する可能性が得られる。事実、防汚ユニットはパッシブスラブゾーン43の位置で切断動作などを受けることができ、電気回路30が防汚ユニット内のパッシブスラブゾーン43以外の位置に存在するという事実を考慮すると、少なくとも1つの電気回路30は、加工の際に接触されない。有利には、防汚ユニットを別々のピースに分割するプロセスは、少なくとも1つのピースが、被覆されるべき表面20の所定の部分、特に、隣接する防汚ユニットまたはその部分によって画定される表面20上の所定の輪郭および関連する空間の部分に適合するように得られるように行われる。ピースは、好ましくは、少なくとも1つのアクティブスラブゾーン42を含むピースであり、これは所望であれば、防汚ユニットの以前のパッシブスラブゾーン43の材料のみを含むピースが使用されることも可能であるという事実を変えず、これは例えば、比較的小さいおよび/または狭い表面部分が覆われる必要がある場合であり得る。
【0038】
図3は、防汚ユニットが所定の表面部分に嵌合するために、3つのピース51、52、53にどのように分割され得るかの例を示す。暗い色で示された2つのピース52、53は、表面20上で使用されることを意図しておらず、互いに、より大きな残りのピース51から分離され、ここで、2つのピース52、53がパッシブスラブゾーン43にあると仮定して、これは何の問題もなく行うことができる。少なくとも1つのパッシブスラブゾーン43が、キャリアスラブ40の周囲の少なくとも一部に沿って延在する場合、1つまたは複数の周囲ピース52、53をキャリアスラブ40から除去することによって、区画すべき大きい残りのピース51を成形/切断することが可能である。
【0039】
図4は、キャリアスラブ40の周囲が球面20上で六角形の形状である防汚ユニット3を使用する場合に、表面20の防汚ユニット3による被覆を平面充填パターンで得るために、防汚ユニット3の少なくともいくつかにおいて、より大きくかつ中央の残りのピース55からループ形状の周囲ピース54を除去することが有利であり得ることを示す。これは、防汚ユニット3のキャリアスラブ40がキャリアスラブ40の周囲に沿って延在するパッシブスラブゾーン43を含む場合、防汚ユニット3の発光機能を損なうことなく行うことができることに留意されたい。
【0040】
本発明によれば、防汚ユニットの完全な防汚カバレッジを得るために、特に防汚ユニットをピースに分割する必要がないとき、防汚ユニットの少なくとも1つの電気回路30の発光装置31は、少なくとも1つのアクティブスラブゾーンの位置と少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの位置との両方において、放射面41の外部およびその周囲を防汚作用にさらすように構成される。紫外線LEDなどの一般的に利用可能な光発生器/光源の一般的な発光性能を考慮すると、キャリアスラブ40の周囲の少なくとも一部に沿って延在する少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの実用的なオプションを仮定して、少なくとも1つのアクティブスラブゾーンとキャリアスラブ40の周縁との間の少なくとも1つのパッシブスラブゾーンの幅は、10cm以下またはおそらく9cm以下であることが安全である。
【0041】
上述のように、本発明の第1の実施形態に係る防汚ユニット1では、キャリアスラブ40が正方形の周縁を有する。さらに、防汚ユニット1は、単一の電気回路30を備える。
図1において、電気回路30の発光装置31に含まれる光源32は、矩形として概略的に描かれている。電気回路30はまた、発光装置31に電力を供給するために使用される防汚ユニット1の外部からの電力を受け取るように構成された受電装置33を備える。受電装置33は、
図1に楕円形として概略的に示されている2つの電気コイル34を備える。
【0042】
受電装置33を備える本発明による防汚ユニットの電気回路30の場合、受電装置33は電気コイルの受電機能に依存し、受電装置33内の電気コイル34の数は1つ以上であってもよい。受電装置33が少なくとも2つの電気コイル34を備える場合、少なくとも2つの電気コイル34が互いに独立して機能するように構成されていてもよく、その結果、電気回路30への電力供給は電気コイル34のいずれか1つを介して実現することができ、これにより、表面20上の特定の所定の位置でしか電力を拾うことができないと仮定すると(これは、表面20上に電力供給ストリップ21などが存在する場合である)、表面20上に防汚ユニットを位置決めする際の自由度を高めることが可能になる。電力ストリップ21の一例が
図5に概略的に示されており、電力ストリップ21が、行に配置された複数の電気コイル22を備える場合に実用的であり得ることに留意されたい。
【0043】
本発明の第1の実際の実施形態による防汚ユニット1では、キャリアスラブ40が1つのアクティブスラブゾーン42と2つのパッシブスラブゾーン43とを含み、パッシブスラブゾーン43はアクティブスラブゾーン42の両側に延在する。アクティブスラブゾーン42とそれぞれのパッシブスラブゾーン43との間の区切りは、
図1に一点鎖線で示されている。
【0044】
図5に概略的に示される本発明の第4の実際の実施形態による防汚ユニット4は、少なくとも1つの発光装置31を含む2つ以上の電気回路30と、1つの電気回路30が位置するアクティブスラブゾーン42と、少なくとも1つの他の電気回路30が位置するアクティブスラブゾーン42との間に延在するパッシブスラブゾーン43とを備える防汚ユニットの例である。特に、本発明の第4の実際の実施形態による防汚ユニット4は、少なくとも1つの発光装置31を含む最大3つの電気回路30を備え、電気回路30のうちの第1および第2のものがそれぞれ位置する異なるアクティブスラブゾーン42はパッシブスラブゾーン43によって分離され、電気回路30のうちの第2および第3のものがそれぞれ位置する異なるアクティブスラブゾーン42は別のパッシブスラブゾーン43によって分離される。それぞれのアクティブスラブゾーン42は任意のサイズであってもよく、ここで、示された例の場合のように、アクティブスラブゾーン42の各々が別のサイズを有する場合に実用的であり得、防汚ユニット4に基づいて作り出され得るような別個のピースの多種多様な外観を得ることができることに留意されたい。完全性のために、防汚ユニット4は、パッシブスラブゾーン43の一方または両方の位置で切断作用などを実行することによって、2つまたは3つの別個のピースに分割することができることに留意されたい。
【0045】
図6および
図7は、本発明の第5の実際の実施形態によるいくつかの防汚ユニット5が表面20上の溶接継ぎ目24の間に位置する表面部分23を覆うためにどのように使用され得るかを示す。
図6には、防汚ユニット5の発光機能を低下させることなく防汚ユニット5を別々のピースに分割することができない場合に、防汚ユニット5を表面部分23上にどのように配置する必要があるかが示されている。これは最適な構成ではなく、右側に示される2つの防汚ユニット5のピースは、防汚機能を果たすためにもはや動作可能ではないという代償を払って、表面部分23上に全体の構成を適合させるような寸法であることが分かる。
図6には、本発明により、中央のアクティブスラブゾーン42の2つの対向する辺において周辺パッシブスラブゾーン43を防汚ユニット5にどのように設けることができるかが示されており、
図7には、防汚ユニット51をピースに分割した後に得られ、防汚ユニット5の中央のアクティブスラブゾーン42を含む防汚ユニット5のいくつかのピース56を、表面部分23を覆うためにどのように使用することができるかが示されている。各ピース56は、所望の防汚機能を果たすのに有効である。さらに、表面部分23上の電力ストリップ21の可能な配置が
図7に示されており、各電力ストリップ21はピース56に対して中央位置でピース56の後方に延在し、これは、ピース56に含まれる電気回路30が多かれ少なかれ中央位置に電気コイルなどの受電配置を含むと仮定すると有効である。
【0046】
図8は、本発明の第6の実際の実施形態による防汚ユニット6を電力供給ストリップ21に対して位置決めすることができる2つの異なる方法を示している。先に述べたように、本発明の第6の実際の実施形態による防汚ユニット6のキャリアスラブ40の周囲は、矩形の形状である。
図8の左側に示されるように、電力ストリップ21が延びる方向に長軸が延びるように防汚ユニット6を配置するオプションと、
図8の右側に示されるように、電力ストリップ21が延びる方向に短軸が延びるように防汚ユニット6を配置するオプションとの両方を可能にするために、受電装置33がキャリアスラブ40の中央に配置される電気コイル34を備えることが有利である。特に、図示のように、電気コイル34はリング形状であってもよく、キャリアスラブ40の重心は電気コイル34によって囲まれた領域内にある。代替として、防汚ユニット6に少なくとも2つの電気コイル34を設けることが可能であり、1つの電気コイル34はキャリアスラブ40の短辺に沿って延在するように配置され、別の電気コイル34はキャリアスラブ40の長辺に沿って延在するように配置される。
【0047】
図9は、本発明の第7の実際の実施形態による防汚ユニット7をどのように行に配置することができるかを示す。先に述べたように、本発明の第7の実際の実施形態による防汚ユニット7のキャリアスラブ40の周囲は台形の形状である。キャリアスラブ40の台形形状の特性は、図示のように対称な台形形状とすると、防汚ユニット7を表面20上で交互に180°回転させることにより、防汚ユニット7を直線状に並べることができることである。キャリアスラブ40の台形形状に基づいて、防汚ユニット7は、
図2および3において既に示唆されているような凸状の曲面20、または凹状の曲面20を覆うために使用するのにさらに非常に適している。したがって、台形の周囲を有するキャリアスラブ40を備える防汚ユニットは、表面20の異なる曲率半径に相当するようなサイズにキャリアスラブ40を切断することができるので、より広く使用することができる。
【0048】
図10は、本発明の第7の実際の実施形態による防汚ユニット7が単一の電気回路30内に2つの独立した受電電気コイル34を備えることができ、コイル34の一方を防汚ユニット7のキャリアスラブ40の台形形状の基部に沿って配置することができ、コイル34の他方を台形形状の頂部に沿って配置することができることを示す。このようにして、防汚ユニット7は、電力供給ストリップ21に対して2つの異なる方法で位置決めされ、それでもまさに同じ態様で動作可能であることが達成される。
【0049】
図11、
図12、
図13、
図14および
図15は、防汚ユニットのキャリアスラブ40の周辺形状、ならびに防汚ユニット内の受電電気コイル34の数および位置決めに関して、異なるオプションを示す。
図11はキャリアスラブ40の形状が台形であり、受電コイル34の数が2つであること、および受電コイル34の位置決めが台形形状の鏡面対称の軸に沿って台形形状の傾斜辺のそれぞれの近くにあることのオプションを示しており、それによって、受電コイル34の位置決めは、
図10に示されるものとは異なる。
図12はキャリアスラブ40の形状が正方形であり、受信電気コイル34の数が2つであること、受信電気コイル34の位置決めが正方形の2つの対向する辺にあるオプションを示す。
図13はキャリアスラブ40の形状が正方形であり、受電コイル34の数が4つであること、受電コイル34の位置決めが正方形の各辺にあることのオプションを示しており、1つまたは2つの電力ストリップ21に対して防汚ユニット10を配置する際の自由度が高められている。
図14は、キャリアスラブ40の形状が六角形であり、受信電気コイル34の数が6つであること、および六角形形状の各辺における受信電気コイル34の位置決めのオプションを示す。
図15はキャリアスラブ40の形状が六角形であり、受電電気コイル34の数が1つであること、受電電気コイル34がキャリアスラブ40の中央位置に配置されているオプションを示している。
【0050】
本発明の枠組みでは、前述のもの以外の多くのオプションが実現可能である。例えば、キャリアスラブ40の三角形状または平行六面体形状を有することが実用的であり得、キャリアスラブ40の各側面に受信コイル34を有すること、または単一の中央に配置された受信コイル34を有することがさらに実用的であり得る。
【0051】
図16は電気回路30の構成に関する第1の実用的なオプションを示し、図示の電気回路30は、LEDである2つの光源32と、2つの受電電気コイル34とを含む。
図17は電気回路30の構成に関する第2の実用的なオプションを示し、図示の電気回路30は、LEDである2つの光源32と、4つの受電電気コイル34とを含む。
【0052】
本発明による防汚ユニットの前述の実施例の説明から、本発明はパッシブスラブゾーン43の位置で2つ以上の別個のピースに分割することができる防汚ユニットを提供し、その結果、表面部分23に嵌合することができる少なくとも1つのピースを得ることができ、また、その少なくとも1つのピースは、防汚ユニットのキャリアスラブ40の少なくとも1つのアクティブスラブゾーン42を含むと仮定すると、発光によって防汚機能を実行するように依然として動作可能である。したがって、表面20上に本発明による複数の防汚ユニットを配置することが意図される場合、本発明は、1つ以上のパッシブスラブゾーン43にわたって2つ以上の別個のピースに防汚ユニットを分割することによって、占有されるべき表面部分23の詳細に従って、少なくともいくつかの防汚ユニットを調整することを可能にする。
【0053】
本発明の基本的な態様を、
図18、
図19、
図20および
図21にさらに示す。
図18は、防汚ユニットのキャリアスラブ40の側面図を概略的に示す。図では、中央のアクティブスラブゾーン42および2つのパッシブスラブゾーン43が見られ、パッシブスラブゾーン43はアクティブスラブゾーン42の両側で、キャリアスラブ40の周囲に配置されている。アクティブスラブゾーン42の位置では、発光装置31および受電装置33を含む電気回路30がキャリアスラブ40内に存在する。図示の例では、電気回路30は、プリント回路基板35上に配置された複数のUV-C LED32と、プリント回路基板35の側部に配置された受電電気コイル34と、電気コイル34とプリント回路基板35とを相互接続する電気配線36とを備える。UVC-LEDによるUV-C光の放射は、矢印によって概略的に示されている。
【0054】
図19、20および21は、キャリアスラブ40の材料に埋め込まれることができる電気回路30の異なる構成を示す。図のそれぞれにおいて、可能な切断線のいくつかが、破線の形で示されている。
図19は、単一の電気回路30が中央位置に存在し、キャリアスラブ40の周辺に沿って1つ以上の周辺ピースを切断することができる場合、すなわち、中央のアクティブスラブゾーン42が周辺のパッシブスラブゾーン43によって囲まれ、それぞれの防汚ユニットが、電気回路30を含む大きなピースおよび少なくとも1つのより小さい周辺ピースに分割することができる場合に関し、周辺ピースはストリップ形状であってもよい。
図20は、2つの同様の電気回路30が存在し、周囲の近くで切断することが可能であるだけでなく、電気回路30が位置するアクティブスラブゾーン42の間に延在するパッシブスラブゾーン43の位置でも切断することが可能である場合に関する。
図21は、2つの異なる電気回路30が存在し、電気回路30が位置するアクティブスラブゾーン42の間に延在するパッシブスラブゾーン43の位置で切断を行うことが可能である場合に関する。
【0055】
明確にするために、
図16、17、19、20および21の各々は、配線の配置のようなものを示すように見えるが、実際の完全な配線の配置を表すように示されるものは決して解釈されるべきではないことに留意されたい。同様に、
図18の表現は、概略的な特徴のみのものであることに留意されたい。
【0056】
図22は、防汚ユニットの端が密接に隣接する配置を実現するために、2つの防汚ユニットをどのように切断することができるかを示す。一例として、本発明の第1の実際の実施形態による2つの防汚ユニット1がこの図に示されている。切断にむけて防汚ユニット1を準備するために、防汚ユニット1は、図に見られるように、防汚ユニット1のパッシブスラブゾーン43を重ね合わせた配置で互いに対して位置決めされる。図において、考え得る切断線は、破線の形で示されている。図から、切断線に沿って防汚ユニット1の重複するパッシブスラブゾーン43を通して切断が行われると、防汚ユニット1の端の密接に隣接する配置が直ちに実現されるように、両方の防汚ユニット1に相補的な端部が一度に設けられることが理解される。
【0057】
本発明の範囲は、前述の例に限定されず、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、そのいくつかの修正および変更が可能であることは当業者には明らかであろう。本発明は、特許請求の範囲またはその均等物の範囲内に入る限り、そのようなすべての修正および変更を含むものと解釈されることが意図される。本発明が図面および詳細な説明において詳細に図示および説明されてきたが、そのような図示および説明は単なる例示であり、限定するものではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。図面は概略的であり、本発明を理解するために必要とされない詳細は省略されており、必ずしも縮尺通りではない。
【0058】
開示された実施形態に対する変形例は、図面、説明、および添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、達成されることができる。特許請求の範囲において、単語「有する」は他のステップ又は要素を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。請求項におけるいかなる参照符号も、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0059】
特定の実施形態のために、または特定の実施形態に関連して説明される要素および態様は、特に断らない限り、他の実施形態の要素よび態様と適切に組み合わせることができる。したがって、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0060】
本文で使用される用語「有する(comprise)」および「含む(include)」は、用語「からなる(consist of)」を包含するものとして当業者によって理解されるであろう。したがって、用語「有する(comprise)」または「含む(include)」は、ある実施形態に関しては「からなる(consist of)」を意味するが、別の実施形態では「少なくとも定義された種およびオプションとして1つ以上の他の種を含有する/持つ/備える(contain/have/be equipped with)」を意味する場合がある。
【0061】
図を参照して前述した例の文脈では、防汚ユニットが、外部電力供給装置(これも電気コイル22を備える場合がある)から電力を受け取る目的で、1つまたは複数の電気コイル34を備えることができることが示唆される。これは、本発明が電力を供給および受電する他の方法、ならびにそれらの関連する構成要素の使用も含むという事実を変更しない。
【0062】
本発明の注目すべき態様を以下に要約する。防汚ユニットは、表面20上に配置されるように構成され、防汚光を放射するように構成された発光装置31を含む少なくとも1つの電気回路30を有する。さらに、防汚ユニットは、少なくとも1つの電気回路30を担持する板状のキャリアスラブ40を備える。キャリアスラブ40は、少なくとも1つの電気回路30が配置される少なくとも1つのアクティブスラブゾーン42と、アクティブスラブゾーン42以外の少なくとも1つのパッシブスラブゾーン43とを含み、少なくとも1つのパッシブスラブゾーン43は、防汚機能を劣化させることなく、防汚ユニットを別々のピースに分割することを可能にするように構成され、少なくとも1つの電気回路30の発光装置31は、少なくとも1つのアクティブスラブゾーン42の位置と少なくとも1つのパッシブスラブゾーン43の位置との両方で防汚機能を実現するように構成される。
【0063】
溶接継ぎ目24などの凹凸が存在する表面20を複数の防汚ユニットで覆うことが意図される場合、本発明は、凹凸と少なくとも部分的に重なる必要なしに、凹凸に沿って防汚ユニットを配置する可能性を提供する。事実、不規則性の近くに配置される防汚ユニットは、不規則性と並んで表面部分23に適合するようにサイズを決めることができ、防汚ユニットが依然としてそれらの防汚機能を実行することができるように、防汚ユニットのパッシブスラブゾーン43を切断することができる。
【国際調査報告】