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2023-540393カテプシンC阻害剤により転移を治療するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】カテプシンC阻害剤により転移を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230914BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230914BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/553 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/655 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/277 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20230914BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 111
A61P15/00
A61P11/00
A61P1/18
A61P1/00
A61P1/16
A61P19/08
A61K31/553
A61K31/454
A61K31/404
A61K31/655
A61K31/495
A61K31/277
A61K31/497
A61K31/4545
A61K31/496
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516107
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 CN2021117698
(87)【国際公開番号】W WO2022053019
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】202010955820.1
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521438021
【氏名又は名称】シャンハイ インスティチュート オブ ニュートリション アンド ヘルス,チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー,グオホン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】ツオン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,チェンシー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA96
4C084ZB26
4C084ZC20
4C084ZC41
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086BC50
4C086CB05
4C086CB09
4C086DA30
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA96
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA13
4C206NA14
4C206ZA59
4C206ZA66
4C206ZA75
4C206ZA81
4C206ZA96
4C206ZB26
4C206ZC20
4C206ZC41
(57)【要約】
有効量のカテプシンC(CTSC)阻害剤を含む医薬組成物によりがんの転移を治療するための方法が本明細書に提供される。CTSC阻害剤は、いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩、例えば、ブレンソカチブである。本治療方法により、転移の進行が阻害されるか、遅延するか、又は逆転する。いくつかの実施形態では、本方法は、好中球浸潤及び/又は好中球細胞外トラップ(NET)の形成を低減させることを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原発がんの治療又は阻害のための、カテプシンC阻害剤又はカテプシンC阻害剤を含む組成物の使用。
【請求項2】
がんの転移の治療又は阻害のための、カテプシンC阻害剤又はカテプシンC阻害剤を含む組成物の使用。
【請求項3】
前記カテプシンC阻害剤が、ブレンソカチブ:
【化1】
その薬学的に許容される塩、又はそのプロドラッグである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記カテプシンC阻害剤が、
【化2】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
前記転移が、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、又は肺がんの骨転移である、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記転移が、肺がんの転移である、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記肺がんが、小細胞肺がんである、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記肺がんが、非小細胞肺がんである、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記転移が、乳がんの転移である、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記乳がんが、ルミナール乳がん、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記転移が、膵がん又は胃がんの転移である、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記転移が、骨がん、肝がん、胃がん、又は大腸がんの転移である、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記原発がんが、肝がんである、請求項1及び3~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記原発がんが、乳がんである、請求項1及び3~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記原発がんが、肺がんである、請求項1及び3~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
がんの転移を治療することを、それを必要とする患者において行う方法であって、治療を必要とする前記患者に、治療期間にわたって、有効量のカテプシンC阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含み、前記治療することにより、前記転移の進行が、阻害されるか、遅延するか、又は逆転する、方法。
【請求項17】
原発がんを治療することを、それを必要とする患者において行う方法であって、治療を必要とする前記患者に、治療期間にわたって、有効量のカテプシンC阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含み、前記治療することにより、前記原発がんの進行が、阻害されるか、遅延するか、又は逆転する、方法。
【請求項18】
前記カテプシンC阻害剤が、
【化3】
から選択される、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記CTSC阻害剤が、式(I)の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
【化4】
式中、
が、
【化5】
であり、
が、H、F、Cl、Br、OSO(C1-3)アルキル、及び(C1-3)アルキルからなる群から選択され、
が、水素、F、Cl、Br、CN、CF、SO1-3アルキル、CONH、又はSONRであり、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成し、
Xが、O、S、又はCFであり、
Yが、O又はSであり、
Qが、CH又はNであり、
が、(C1-3)アルキルであり、前記(C1-3)アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのフッ素原子で置換され、前記(C1-3)アルキル基が、任意選択で、OH、O(C1-3)アルキル、N[(C1-3)アルキル]、シクロプロピル、又はテトラヒドロピラニルから選択される置換基で置換され、
が、H、F、Cl、又はCHである、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
が、
【化6】
であり、Rが、水素、F、Cl、Br、OSO1-3アルキル、又はC1-3アルキルであり、Rが、水素、F、Cl、Br、CN、CF、SO1-3アルキル、CONH、又はSONRであり、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
が、水素、F、Cl、又はC1-3アルキルであり、Rが、水素、F、Cl、CN、又はSO1-3アルキルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
が、水素、F、又はCNである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
が、
【化7】
であり、
Xが、O、S、又はCFであり、
Yが、O又はSであり、
Qが、CH又はNであり、
が、C1-3アルキルであり、前記C1-3アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、及び任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランによって置換され、
が、水素、F、Cl、又はCHである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
が、
【化8】
である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
が、
【化9】
である、請求項19又は23に記載の方法。
【請求項26】
が、
【化10】
である、請求項19又は23に記載の方法。
【請求項27】
Xが、O、S、又はCFであり、Yが、O又はSであり、Rが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、及び任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランによって置換された、C1-3アルキルであり、Rが、水素、F、Cl、又はCHである、請求項19及び24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
が、
【化11】
であり、Xが、O、S、又はCFであり、Rが、C1-3アルキルであり、前記C1-3アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、Rが、水素、F、Cl、又はCHである、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
が、
【化12】
であり、Xが、Oであり、Rが、C1-3アルキルであり、前記C1-3アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、Rが、水素である、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
が、C1-3アルキルである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
が、メチルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
が、エチルである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
が、プロピルである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
が、水素、F、Cl、Br、OSO1-3アルキル、又はC1-3アルキルである、請求項19及び23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
が、水素、F、Cl、又はC1-3アルキルである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
が、水素、F、又はC1-3アルキルである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
が、水素、F、Cl、CN、又はSO1-3アルキルである、請求項19及び24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
が、水素、F、又はCNである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
が、C1-3アルキルであり、前記C1-3アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、及び任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランから選択される1つの置換基によって置換される、請求項19及び24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
が、C1-3アルキルであり、前記C1-3アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
が、メチル又はエチルである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
が、メチルである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
が、水素、F、Cl、又はCHである、請求項19及び24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
が、水素である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
Xが、Oであり、Rが、C1-3アルキルであり、前記C1-3アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、Rが、水素である、請求項19及び24~26に記載の方法。
【請求項46】
前記式(I)の化合物が、ブレンソカチブ:
【化13】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項19に記載の方法。
【請求項47】
前記式(I)の化合物が、ブレンソカチブ:
【化14】
である、請求項19に記載の方法。
【請求項48】
前記転移が、乳がんの転移である、請求項16及び18~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記乳がんの転移が、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、又は乳がんの脳転移である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記乳がんの転移が、乳がんの肺転移である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記乳がんが、ルミナール乳がん、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記転移が、肺がんの骨転移、膵がんの肝転移、大腸がんの肝転移、又は胃がんの肝転移である、請求項16及び18~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記転移が、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、乳がんの脳転移、肺がんの骨転移、膵がんの肝転移、又は胃がんの肝転移である、請求項16及び18~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記転移が、肺がんの転移である、請求項16及び18~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記肺がんが、非小細胞肺がんである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記肺がんが、小細胞肺がんである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記転移が、膵がん又は胃がんの転移である、請求項16及び18~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記転移が、骨がん、肝がん、胃がん、又は大腸がんの転移である、請求項16及び18~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記原発がんが、肝がんである、請求項17~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記原発がんが、乳がんである、請求項17~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記乳がんが、ルミナール乳がん、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記原発がんが、肺がんである、請求項17~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記肺がんが、非小細胞肺がんである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記肺がんが、小細胞肺がんである、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
投与が、経口投与を含む、請求項16~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
投与が、非経口投与を含む、請求項16~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
投与が、静脈内投与を含む、請求項16~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記投与が、前記治療期間中、1日に1回、1日に2回、2日に1回、又は3日に1回行われる、請求項16~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記投与が、前記治療期間中、1日に1回行われる、請求項16~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記治療期間が、約6か月~約36か月である、請求項16~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記治療期間が、約6か月~約24か月である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記治療期間が、約6か月~約18か月である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記治療期間が、約6か月~約12か月である、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記治療期間が、約12か月~約36か月である、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記治療期間が、約18か月~約36か月である、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
前記化合物が、前記医薬組成物中に約10ミリグラム(mg)~約70mgで存在する、請求項16~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記化合物が、前記医薬組成物中に約10mg~約40mgで存在する、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記化合物が、前記医薬組成物中に約25mgで存在する、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記化合物が、前記医薬組成物中に約40mgで存在する、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記治療期間の前に、前記患者が、カテプシンC(CTSC)の上昇した血清レベルを有する、請求項16~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記CTSCの上昇した血清レベルが、がんを有しない対象と比較して上昇している、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記治療することが、前記CTSCタンパク質の上昇した血清レベルを、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記CTSCタンパク質の血清レベルと比較して約25%~約75%低減させることを更に含む、請求項80又は81に記載の方法。
【請求項83】
前記治療することが、前記患者におけるインターロイキン1ベータ(IL-1β)の循環レベルを、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記患者のIL-1βの循環レベルと比較して低減させることを更に含む、請求項16~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記転移の体積が、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記転移の体積と比較して約5%~約25%低減する、請求項16、18~58、及び65~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記転移の体積が、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記転移の体積と比較して約25%~約50%低減する、請求項16、18~58、及び65~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記転移の体積が、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記転移の体積と比較して約50%~約75%低減する、請求項16、18~58、及び65~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記原発がんの体積が、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記原発がんの体積と比較して約5%~約25%低減する、請求項17~47及び59~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記原発がんの体積が、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記原発がんの体積と比較して約25%~約50%低減する、請求項17~47及び59~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記原発がんの体積が、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記原発がんの体積と比較して約50%~約75%低減する、請求項17~47及び59~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記患者の生存率が、前記医薬組成物を投与されていないがん患者の生存率と比べて増加する、請求項16~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記治療することが、前記原発がんにおける前記患者の好中球細胞外トラップ(NET)を、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記原発がんにおける前記患者のNETの数と比較して低減させることを更に含む、請求項16~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記治療することが、前記転移における前記患者の好中球細胞外トラップ(NET)を、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記転移における前記患者のNETの数と比較して低減させることを更に含む、請求項16、18~58、65~86、及び90~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記治療することが、前記転移における好中球遊走を、前記治療期間中に又は前記治療期間の後に、前記治療期間前の前記転移における好中球遊走と比較して低減させることを更に含む、請求項16、18~58、65~86、及び90~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記転移における好中球遊走を低減させることが、前記転移における好中球遊走を、同じ転移を有するが前記医薬組成物を投与されていない第2の患者における好中球遊走と比較して、約25%~約75%低減させることを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記転移における好中球遊走を低減させることが、前記転移における好中球遊走を、同じ転移を有するが前記医薬組成物を投与されていない第2の患者における好中球遊走と比較して、約25%~約50%低減させることを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
前記転移における好中球遊走を低減させることが、前記転移における好中球遊走を、同じ転移を有するが前記医薬組成物を投与されていない第2の患者における好中球遊走と比較して、少なくとも約25%低減させることを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項97】
前記転移における好中球遊走を低減させることが、前記転移における好中球遊走を、同じ転移を有するが前記医薬組成物を投与されていない患者における好中球遊走と比較して、少なくとも約50%低減させることを含む、請求項93に記載の方法。
【請求項98】
前記転移におけるNETの数が、前記治療期間前の前記転移におけるNETの数と比較して少なくとも50%低減する、請求項92に記載の方法。
【請求項99】
前記転移におけるNETの数が、前記治療期間前の前記転移におけるNETの数と比較して少なくとも約25%~約75%低減する、請求項92に記載の方法。
【請求項100】
前記治療することが、前記患者における1つ以上のタンパク質の発現レベルを低減させることを更に含み、前記1つ以上のタンパク質が、カテプシンC(CTSC)、インターロイキン6(IL-6)、C-Cモチーフケモカインリガンド3(CCL3)、又はRELA(p65)である、請求項16~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記治療することが、腫瘍様塊サイズを低減させることを更に含む、請求項16~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記治療することが、前記原発がんの腫瘍様塊サイズを低減させることを更に含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記腫瘍様塊サイズが、画像化によって測定される、請求項101又は102に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月11日に出願された中国特許出願第CN202010955820.1号の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、腫瘍学の分野に関し、より詳細には、原発腫瘍又は転移等の腫瘍の治療におけるカテプシンC阻害剤の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの腫瘍の中で、転移は患者の死亡を引き起こす主な要因であり、腫瘍患者の死亡の90%は転移によって引き起こされる。肺は、乳がんの転移の最も一般的な標的器官であり、また人体における空気交換のための場所でもある。肺転移の発生は、腫瘍患者にとって致命的な脅威である。
【0004】
乳がんは、国内外で発生率及び死亡率が最も高い女性腫瘍である。現在、治療効果が最悪のトリプルネガティブ乳がんサブタイプでは、肺転移が治療の失敗及び患者の死亡の主な原因である。腫瘍細胞による微小環境制御は、腫瘍細胞の転移形成のあらゆる段階において重要な役割を果たす。多くの研究は、プロテアーゼ、サイトカイン、成長因子、細胞外マトリックスタンパク質などを含む腫瘍細胞によって分泌される細胞外タンパク質が、がん細胞による腫瘍微小環境の制御プロセスにおいて重要な役割を果たすことを示している。
【0005】
重要な腫瘍微小環境制御分子の一種として、プロテアーゼは、腫瘍細胞転移に密接に関連する一連のプロセスに関与する。したがって、腫瘍関連分泌タンパク質、特にプロテアーゼ活性を有する分泌因子が、転移をどのように制御するかに関する研究は、重要な生物学的意義及び臨床応用価値を有する。
【0006】
カテプシンC(CTSC)は、1984年にGutman及びFrutonによって発見されたジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)とも呼ばれる。染色体11q14.1-q14.3に位置するCTSCは、重要な共通プロテアーゼである。しかしながら、CTSCが腫瘍転移において果たした関連する役割についての報告はほとんどない。
【0007】
したがって、腫瘍転移に対するプロテアーゼの影響、特に腫瘍転移に対するCTSCの影響を研究し、これに基づいて、腫瘍転移を阻害するための新規の医薬製剤を開発し、それによって生存期間を延長し、腫瘍患者の生存の質を改善することが緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、がんの転移を治療若しくは阻害する、又は原発がんを治療するためのCTSC阻害剤の使用に関する。一実施形態では、がんは、乳がんである。一実施形態における転移、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、又は肺がんの骨転移。更なる実施形態では、転移は、乳がんの肺転移である。別の実施形態では、転移は、肺がんである。
【0009】
別の態様では、治療を必要とする患者においてがんの転移を治療するための方法が提供される。この方法は、治療を必要とする患者に、治療期間にわたって、CTSC阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含み、治療することにより、転移の進行が、阻害されるか、遅延するか、又は逆転する。
【0010】
別の態様では、治療を必要とする患者において原発がんを治療するための方法が提供される。この方法は、治療を必要とする患者に、治療期間にわたって、CTSC阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含み、治療することにより、原発がんの進行が、阻害されるか、遅延するか、又は逆転する。
【0011】
一実施形態では、CTSC阻害剤は、ブレンソカチブ(以前はAZD7986として知られていた)、又はその薬学的に許容される塩である。
【化1】
更に別の実施形態では、CTSC阻害剤は、本明細書の表1に示される阻害剤の1つである。
【0012】
本明細書において提供される方法の一実施形態では、方法は、患者に、治療期間にわたって、有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み、
【化2】
式中、
は、
【化3】
であり、
は、水素、F、Cl、Br、OSO1-3アルキル、又はC1-3アルキルであり、
は、水素、F、Cl、Br、CN、CF、SOアルキル、CONH、又はSONRであり、
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成し、
Xは、O、S、又はCFであり、
Yは、O又はSであり、
Qは、CH又はNであり、
は、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランから選択される1つの置換基によって置換され、
は、水素、F、Cl又はCHであり、治療することにより、原発がん又は転移の進行が、阻害されるか、遅延するか、又は逆転する。
【0013】
方法の一実施形態では、医薬組成物は、式(I)の化合物を含み、式中、Rは、
【化4】
である。更なる実施形態では、Rは、
【化5】
であり、Xは、O、S又はCFであり、Rは、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ又は3つのFで置換され、Rは、水素、F、Cl又はCHである。更なる実施形態では、Rは、水素である。
【0014】
一実施形態では、医薬組成物は、有効量のブレンソカチブを含む。
【0015】
本明細書に提供されるがんの転移を治療するための方法の一実施形態では、転移は、乳がんである。更なる実施形態では、乳がんの転移は、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、又は乳がんの脳転移である。更なる実施形態では、乳がんの転移は、乳がんの肺転移である。一実施形態では、乳がんは、管腔乳がん、ヒト表皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである。
【0016】
本明細書に提供される原発がんの治療の一実施形態では、原発がんは、肺がん、肝がん、又は乳がんである。更なる実施形態では、原発がんは、乳がんである。更なる実施形態では、乳がんは、管腔乳がん、ヒト表皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである。別の実施形態では、原発がんは、肝がんである。更に別の実施形態では、原発がんは、肺がんである。更なる実施形態において、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。別の実施形態では、肺がんは、小細胞肺がんである。
【0017】
本明細書に提供されるがんの転移を治療するための方法の別の実施形態では、転移は、肺がんの骨転移、膵がんの肝転移、又は胃がんの肝転移である。本明細書に提供されるがんの転移を治療するための方法の更に別の実施形態では、転移は、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、乳がんの脳転移、肺がんの骨転移、膵がんの肝転移、結腸がんの肝転移、又は胃がんの肝転移である。更に別の実施形態では、転移は、肺がんの転移である。一実施形態では、転移は、膵がん又は胃がんの転移である。更に別の実施形態では、転移は、骨がん、肝がん、胃がん、又は大腸がんの転移である。
【0018】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、医薬組成物は、経口投与される。更なる実施形態では、投与は、治療期間中、1日に1回である。
【0019】
本明細書に提供される方法のいくつかの実施形態によれば、治療期間は、約6か月~約36か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約6か月~約24か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約6か月~約18か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約6か月~約12か月である。別の実施形態では、治療期間は、約12か月~約36か月である。更に別の実施形態では、治療期間は、約18か月~約36か月である。
【0020】
本明細書に提供される原発がん又はがんの転移を治療するための方法の一実施形態では、原発がん(原発腫瘍)又は転移の体積は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の原発がん(原発腫瘍)又は転移の体積と比較して低減する。更なる実施形態では、体積は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の体積と比較して約5%~約25%、又は約25%~約50%、又は約50%~約75%低減する。
【0021】
本明細書に提供される原発がん又はがんの転移を治療するための方法のいくつかの実施形態では、治療は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の患者の循環NETの数と比較して、又は同じ原発がん又は転移を有するが医薬組成物を投与されていない第2の患者の循環NETの数と比較して、患者の循環好中球細胞外トラップ(NET)を低減することを伴う。更なる実施形態では、循環NETの数は、治療期間前の循環NETの数と比較して少なくとも50%低減する。
【0022】
本明細書に提供されるがんの転移を治療するための方法の更に別の実施形態では、本方法は、治療期間前の原発がん(原発腫瘍)又は転移におけるNETの数と比較して、治療期間中に又は治療期間の後の原発がん(原発腫瘍)転移におけるNETを低減することを含む。更なる実施形態では、原発がん(原発腫瘍)又は転移におけるNETの数は、治療期間前のNETの数と比較して少なくとも50%低減する。
【0023】
本明細書に提供される原発がん又はがんの転移を治療するための方法のいくつかの実施形態では、治療は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の好中球遊走と比較して、又は同じ原発がん又は転移を有するが医薬組成物を投与されていない第2の患者における好中球遊走と比較して、原発がん又は転移における好中球遊走を低減することを伴う。更なる実施形態では、好中球遊走は、約25%~約75%、約25%~約50%、又は少なくとも約25%低減する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】乳がんの臨床試料における肺転移にCTSCタンパク質発現を相関する。図1Aは、対になった原発腫瘍及び肺転移における相対的なCTSCタンパク質レベルの免疫蛍光(IF)画像を示し、図1Bは、IFによって決定される7人の乳がん患者の対での原発腫瘍及び肺転移病変の試料における相対的なCTSCタンパク質レベルをプロットしたものであり、ここでプロットのスケールは100μmである。図1Cは、乳がん患者の原発腫瘍(74例)及び肺転移病変(29例)からなる103個の腫瘍試料におけるCTSCタンパク質発現レベルを比較したものである。図1Dは、肺転移あり又はなしの乳がん患者の血清CTSCレベルを比較したものである。図1Eは、低血清CTSCレベル及び高血清CTSCレベルのいずれかを有する肺転移のない乳がん患者の生存率を比較したものである。図1Fは、低及び高CTSC組織レベルで群分けした場合の乳がん患者の生存曲線分析を示す。
図1B】乳がんの臨床試料における肺転移にCTSCタンパク質発現を相関する。図1Aは、対になった原発腫瘍及び肺転移における相対的なCTSCタンパク質レベルの免疫蛍光(IF)画像を示し、図1Bは、IFによって決定される7人の乳がん患者の対での原発腫瘍及び肺転移病変の試料における相対的なCTSCタンパク質レベルをプロットしたものであり、ここでプロットのスケールは100μmである。図1Cは、乳がん患者の原発腫瘍(74例)及び肺転移病変(29例)からなる103個の腫瘍試料におけるCTSCタンパク質発現レベルを比較したものである。図1Dは、肺転移あり又はなしの乳がん患者の血清CTSCレベルを比較したものである。図1Eは、低血清CTSCレベル及び高血清CTSCレベルのいずれかを有する肺転移のない乳がん患者の生存率を比較したものである。図1Fは、低及び高CTSC組織レベルで群分けした場合の乳がん患者の生存曲線分析を示す。
図1C】乳がんの臨床試料における肺転移にCTSCタンパク質発現を相関する。図1Aは、対になった原発腫瘍及び肺転移における相対的なCTSCタンパク質レベルの免疫蛍光(IF)画像を示し、図1Bは、IFによって決定される7人の乳がん患者の対での原発腫瘍及び肺転移病変の試料における相対的なCTSCタンパク質レベルをプロットしたものであり、ここでプロットのスケールは100μmである。図1Cは、乳がん患者の原発腫瘍(74例)及び肺転移病変(29例)からなる103個の腫瘍試料におけるCTSCタンパク質発現レベルを比較したものである。図1Dは、肺転移あり又はなしの乳がん患者の血清CTSCレベルを比較したものである。図1Eは、低血清CTSCレベル及び高血清CTSCレベルのいずれかを有する肺転移のない乳がん患者の生存率を比較したものである。図1Fは、低及び高CTSC組織レベルで群分けした場合の乳がん患者の生存曲線分析を示す。
図1D】乳がんの臨床試料における肺転移にCTSCタンパク質発現を相関する。図1Aは、対になった原発腫瘍及び肺転移における相対的なCTSCタンパク質レベルの免疫蛍光(IF)画像を示し、図1Bは、IFによって決定される7人の乳がん患者の対での原発腫瘍及び肺転移病変の試料における相対的なCTSCタンパク質レベルをプロットしたものであり、ここでプロットのスケールは100μmである。図1Cは、乳がん患者の原発腫瘍(74例)及び肺転移病変(29例)からなる103個の腫瘍試料におけるCTSCタンパク質発現レベルを比較したものである。図1Dは、肺転移あり又はなしの乳がん患者の血清CTSCレベルを比較したものである。図1Eは、低血清CTSCレベル及び高血清CTSCレベルのいずれかを有する肺転移のない乳がん患者の生存率を比較したものである。図1Fは、低及び高CTSC組織レベルで群分けした場合の乳がん患者の生存曲線分析を示す。
図1E】乳がんの臨床試料における肺転移にCTSCタンパク質発現を相関する。図1Aは、対になった原発腫瘍及び肺転移における相対的なCTSCタンパク質レベルの免疫蛍光(IF)画像を示し、図1Bは、IFによって決定される7人の乳がん患者の対での原発腫瘍及び肺転移病変の試料における相対的なCTSCタンパク質レベルをプロットしたものであり、ここでプロットのスケールは100μmである。図1Cは、乳がん患者の原発腫瘍(74例)及び肺転移病変(29例)からなる103個の腫瘍試料におけるCTSCタンパク質発現レベルを比較したものである。図1Dは、肺転移あり又はなしの乳がん患者の血清CTSCレベルを比較したものである。図1Eは、低血清CTSCレベル及び高血清CTSCレベルのいずれかを有する肺転移のない乳がん患者の生存率を比較したものである。図1Fは、低及び高CTSC組織レベルで群分けした場合の乳がん患者の生存曲線分析を示す。
図1F】乳がんの臨床試料における肺転移にCTSCタンパク質発現を相関する。図1Aは、対になった原発腫瘍及び肺転移における相対的なCTSCタンパク質レベルの免疫蛍光(IF)画像を示し、図1Bは、IFによって決定される7人の乳がん患者の対での原発腫瘍及び肺転移病変の試料における相対的なCTSCタンパク質レベルをプロットしたものであり、ここでプロットのスケールは100μmである。図1Cは、乳がん患者の原発腫瘍(74例)及び肺転移病変(29例)からなる103個の腫瘍試料におけるCTSCタンパク質発現レベルを比較したものである。図1Dは、肺転移あり又はなしの乳がん患者の血清CTSCレベルを比較したものである。図1Eは、低血清CTSCレベル及び高血清CTSCレベルのいずれかを有する肺転移のない乳がん患者の生存率を比較したものである。図1Fは、低及び高CTSC組織レベルで群分けした場合の乳がん患者の生存曲線分析を示す。
図2A】CTSCの過剰発現が、乳がんの肺転移を促進することを実証する。図2Aは、ウェスタンブロットによるSCP28細胞におけるCTSCの過剰発現のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図1B~Dは、マウスにおけるCTSC過剰発現SCP28細胞の尾静脈注射後の肺の蛍光シグナル(B)、マウスにおけるCTSC過剰発現SCP28細胞の尾静脈注射後の肺表面転移性結節の数(C)、及びSCP28細胞を注射したマウスの対照群と比較した、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスの生存分析(各群についてn=10)(D)を示す。
図2B】CTSCの過剰発現が、乳がんの肺転移を促進することを実証する。図2Aは、ウェスタンブロットによるSCP28細胞におけるCTSCの過剰発現のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図1B~Dは、マウスにおけるCTSC過剰発現SCP28細胞の尾静脈注射後の肺の蛍光シグナル(B)、マウスにおけるCTSC過剰発現SCP28細胞の尾静脈注射後の肺表面転移性結節の数(C)、及びSCP28細胞を注射したマウスの対照群と比較した、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスの生存分析(各群についてn=10)(D)を示す。
図2C】CTSCの過剰発現が、乳がんの肺転移を促進することを実証する。図2Aは、ウェスタンブロットによるSCP28細胞におけるCTSCの過剰発現のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図1B~Dは、マウスにおけるCTSC過剰発現SCP28細胞の尾静脈注射後の肺の蛍光シグナル(B)、マウスにおけるCTSC過剰発現SCP28細胞の尾静脈注射後の肺表面転移性結節の数(C)、及びSCP28細胞を注射したマウスの対照群と比較した、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスの生存分析(各群についてn=10)(D)を示す。
図2D】CTSCの過剰発現が、乳がんの肺転移を促進することを実証する。図2Aは、ウェスタンブロットによるSCP28細胞におけるCTSCの過剰発現のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図1B~Dは、マウスにおけるCTSC過剰発現SCP28細胞の尾静脈注射後の肺の蛍光シグナル(B)、マウスにおけるCTSC過剰発現SCP28細胞の尾静脈注射後の肺表面転移性結節の数(C)、及びSCP28細胞を注射したマウスの対照群と比較した、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスの生存分析(各群についてn=10)(D)を示す。
図3A】CTSCノックダウンが乳がんの肺転移を阻害することを示す。図3Aは、ウェスタンブロットによるLM2-4175細胞におけるCTSCノックダウンのmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図3B~Dは、マウスにおけるCTSC低減LM2-4175細胞の尾静脈注射後の肺の蛍光シグナル(B)、マウスにおけるCTSC低減LM2-4175の尾静脈注射後の肺表面転移性結節の数(C)、及びLM2-4175細胞を注射したマウスの対照群と比較した、CTSC低減LM2-4175を注射したマウスの生存分析(各群についてn=10)(D)を示す。
図3B】CTSCノックダウンが乳がんの肺転移を阻害することを示す。図3Aは、ウェスタンブロットによるLM2-4175細胞におけるCTSCノックダウンのmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図3B~Dは、マウスにおけるCTSC低減LM2-4175細胞の尾静脈注射後の肺の蛍光シグナル(B)、マウスにおけるCTSC低減LM2-4175の尾静脈注射後の肺表面転移性結節の数(C)、及びLM2-4175細胞を注射したマウスの対照群と比較した、CTSC低減LM2-4175を注射したマウスの生存分析(各群についてn=10)(D)を示す。
図3C】CTSCノックダウンが乳がんの肺転移を阻害することを示す。図3Aは、ウェスタンブロットによるLM2-4175細胞におけるCTSCノックダウンのmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図3B~Dは、マウスにおけるCTSC低減LM2-4175細胞の尾静脈注射後の肺の蛍光シグナル(B)、マウスにおけるCTSC低減LM2-4175の尾静脈注射後の肺表面転移性結節の数(C)、及びLM2-4175細胞を注射したマウスの対照群と比較した、CTSC低減LM2-4175を注射したマウスの生存分析(各群についてn=10)(D)を示す。
図3D】CTSCノックダウンが乳がんの肺転移を阻害することを示す。図3Aは、ウェスタンブロットによるLM2-4175細胞におけるCTSCノックダウンのmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図3B~Dは、マウスにおけるCTSC低減LM2-4175細胞の尾静脈注射後の肺の蛍光シグナル(B)、マウスにおけるCTSC低減LM2-4175の尾静脈注射後の肺表面転移性結節の数(C)、及びLM2-4175細胞を注射したマウスの対照群と比較した、CTSC低減LM2-4175を注射したマウスの生存分析(各群についてn=10)(D)を示す。
図4A】CTSC発現が、免疫完全マウスにおける乳がんの肺転移を促進することを示す。図4Aは、4T07細胞におけるCTSCの過剰発現及びウェスタンブロットによる4T1細胞におけるCTSCの低減のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図4Bは、マウスにおけるCTSC過剰発現4T07細胞の尾静脈注射後、又はCTSC低減4T1細胞の乳脂肪パッド注射後の肺の蛍光シグナルを示す。図4Cは、CTSC過剰発現4T07細胞を注射したマウス対対照4T07細胞の表面転移性結節の数を示す(各群についてn=10)。図4D~Eは、CTSC低減4T1細胞を注射されたマウス対4T1対照細胞を注射されたマウスの腫瘍体積(D)及び肺転移性結節(E)の数の変化を示す(各群についてn=10)。
図4B】CTSC発現が、免疫完全マウスにおける乳がんの肺転移を促進することを示す。図4Aは、4T07細胞におけるCTSCの過剰発現及びウェスタンブロットによる4T1細胞におけるCTSCの低減のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図4Bは、マウスにおけるCTSC過剰発現4T07細胞の尾静脈注射後、又はCTSC低減4T1細胞の乳脂肪パッド注射後の肺の蛍光シグナルを示す。図4Cは、CTSC過剰発現4T07細胞を注射したマウス対対照4T07細胞の表面転移性結節の数を示す(各群についてn=10)。図4D~Eは、CTSC低減4T1細胞を注射されたマウス対4T1対照細胞を注射されたマウスの腫瘍体積(D)及び肺転移性結節(E)の数の変化を示す(各群についてn=10)。
図4C】CTSC発現が、免疫完全マウスにおける乳がんの肺転移を促進することを示す。図4Aは、4T07細胞におけるCTSCの過剰発現及びウェスタンブロットによる4T1細胞におけるCTSCの低減のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図4Bは、マウスにおけるCTSC過剰発現4T07細胞の尾静脈注射後、又はCTSC低減4T1細胞の乳脂肪パッド注射後の肺の蛍光シグナルを示す。図4Cは、CTSC過剰発現4T07細胞を注射したマウス対対照4T07細胞の表面転移性結節の数を示す(各群についてn=10)。図4D~Eは、CTSC低減4T1細胞を注射されたマウス対4T1対照細胞を注射されたマウスの腫瘍体積(D)及び肺転移性結節(E)の数の変化を示す(各群についてn=10)。
図4D】CTSC発現が、免疫完全マウスにおける乳がんの肺転移を促進することを示す。図4Aは、4T07細胞におけるCTSCの過剰発現及びウェスタンブロットによる4T1細胞におけるCTSCの低減のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図4Bは、マウスにおけるCTSC過剰発現4T07細胞の尾静脈注射後、又はCTSC低減4T1細胞の乳脂肪パッド注射後の肺の蛍光シグナルを示す。図4Cは、CTSC過剰発現4T07細胞を注射したマウス対対照4T07細胞の表面転移性結節の数を示す(各群についてn=10)。図4D~Eは、CTSC低減4T1細胞を注射されたマウス対4T1対照細胞を注射されたマウスの腫瘍体積(D)及び肺転移性結節(E)の数の変化を示す(各群についてn=10)。
図4E】CTSC発現が、免疫完全マウスにおける乳がんの肺転移を促進することを示す。図4Aは、4T07細胞におけるCTSCの過剰発現及びウェスタンブロットによる4T1細胞におけるCTSCの低減のmRNA及びタンパク質レベルの検証を示す。図4Bは、マウスにおけるCTSC過剰発現4T07細胞の尾静脈注射後、又はCTSC低減4T1細胞の乳脂肪パッド注射後の肺の蛍光シグナルを示す。図4Cは、CTSC過剰発現4T07細胞を注射したマウス対対照4T07細胞の表面転移性結節の数を示す(各群についてn=10)。図4D~Eは、CTSC低減4T1細胞を注射されたマウス対4T1対照細胞を注射されたマウスの腫瘍体積(D)及び肺転移性結節(E)の数の変化を示す(各群についてn=10)。
図5A】CTSCが、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成に関与していることを実証する。図5Aは、SCP28対照細胞と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射されたマウスにおける肺転移の生物発光イメージング(BLI)の結果を示し、CTSC過剰発現マウスにおける肺転移の増加を示している。図5Bは、肺切片の免疫蛍光染色によって検出されるように、経時的にCTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞の播種の増加を示す。図5Cは、マウスにおけるCTSC過剰発現細胞が、マウスにおける対照細胞よりも増殖性であることを示す。一方、図5Dは、CTSCをノックダウンしたLM2細胞を注射したマウスの肺における転移形成の低減を示し、図5E~Fは、マウスにおけるCTSC低減細胞のがん細胞播種(E)及び増殖(F)の低減を示す。図5Gは、CTSCがノックダウンされたLM2細胞を注射した6週間後にKi67染色することによって、マウスにおける肺転移を視覚的に比較したものである。
図5B】CTSCが、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成に関与していることを実証する。図5Aは、SCP28対照細胞と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射されたマウスにおける肺転移の生物発光イメージング(BLI)の結果を示し、CTSC過剰発現マウスにおける肺転移の増加を示している。図5Bは、肺切片の免疫蛍光染色によって検出されるように、経時的にCTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞の播種の増加を示す。図5Cは、マウスにおけるCTSC過剰発現細胞が、マウスにおける対照細胞よりも増殖性であることを示す。一方、図5Dは、CTSCをノックダウンしたLM2細胞を注射したマウスの肺における転移形成の低減を示し、図5E~Fは、マウスにおけるCTSC低減細胞のがん細胞播種(E)及び増殖(F)の低減を示す。図5Gは、CTSCがノックダウンされたLM2細胞を注射した6週間後にKi67染色することによって、マウスにおける肺転移を視覚的に比較したものである。
図5C】CTSCが、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成に関与していることを実証する。図5Aは、SCP28対照細胞と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射されたマウスにおける肺転移の生物発光イメージング(BLI)の結果を示し、CTSC過剰発現マウスにおける肺転移の増加を示している。図5Bは、肺切片の免疫蛍光染色によって検出されるように、経時的にCTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞の播種の増加を示す。図5Cは、マウスにおけるCTSC過剰発現細胞が、マウスにおける対照細胞よりも増殖性であることを示す。一方、図5Dは、CTSCをノックダウンしたLM2細胞を注射したマウスの肺における転移形成の低減を示し、図5E~Fは、マウスにおけるCTSC低減細胞のがん細胞播種(E)及び増殖(F)の低減を示す。図5Gは、CTSCがノックダウンされたLM2細胞を注射した6週間後にKi67染色することによって、マウスにおける肺転移を視覚的に比較したものである。
図5D】CTSCが、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成に関与していることを実証する。図5Aは、SCP28対照細胞と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射されたマウスにおける肺転移の生物発光イメージング(BLI)の結果を示し、CTSC過剰発現マウスにおける肺転移の増加を示している。図5Bは、肺切片の免疫蛍光染色によって検出されるように、経時的にCTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞の播種の増加を示す。図5Cは、マウスにおけるCTSC過剰発現細胞が、マウスにおける対照細胞よりも増殖性であることを示す。一方、図5Dは、CTSCをノックダウンしたLM2細胞を注射したマウスの肺における転移形成の低減を示し、図5E~Fは、マウスにおけるCTSC低減細胞のがん細胞播種(E)及び増殖(F)の低減を示す。図5Gは、CTSCがノックダウンされたLM2細胞を注射した6週間後にKi67染色することによって、マウスにおける肺転移を視覚的に比較したものである。
図5E】CTSCが、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成に関与していることを実証する。図5Aは、SCP28対照細胞と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射されたマウスにおける肺転移の生物発光イメージング(BLI)の結果を示し、CTSC過剰発現マウスにおける肺転移の増加を示している。図5Bは、肺切片の免疫蛍光染色によって検出されるように、経時的にCTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞の播種の増加を示す。図5Cは、マウスにおけるCTSC過剰発現細胞が、マウスにおける対照細胞よりも増殖性であることを示す。一方、図5Dは、CTSCをノックダウンしたLM2細胞を注射したマウスの肺における転移形成の低減を示し、図5E~Fは、マウスにおけるCTSC低減細胞のがん細胞播種(E)及び増殖(F)の低減を示す。図5Gは、CTSCがノックダウンされたLM2細胞を注射した6週間後にKi67染色することによって、マウスにおける肺転移を視覚的に比較したものである。
図5F】CTSCが、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成に関与していることを実証する。図5Aは、SCP28対照細胞と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射されたマウスにおける肺転移の生物発光イメージング(BLI)の結果を示し、CTSC過剰発現マウスにおける肺転移の増加を示している。図5Bは、肺切片の免疫蛍光染色によって検出されるように、経時的にCTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞の播種の増加を示す。図5Cは、マウスにおけるCTSC過剰発現細胞が、マウスにおける対照細胞よりも増殖性であることを示す。一方、図5Dは、CTSCをノックダウンしたLM2細胞を注射したマウスの肺における転移形成の低減を示し、図5E~Fは、マウスにおけるCTSC低減細胞のがん細胞播種(E)及び増殖(F)の低減を示す。図5Gは、CTSCがノックダウンされたLM2細胞を注射した6週間後にKi67染色することによって、マウスにおける肺転移を視覚的に比較したものである。
図5G】CTSCが、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成に関与していることを実証する。図5Aは、SCP28対照細胞と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射されたマウスにおける肺転移の生物発光イメージング(BLI)の結果を示し、CTSC過剰発現マウスにおける肺転移の増加を示している。図5Bは、肺切片の免疫蛍光染色によって検出されるように、経時的にCTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞の播種の増加を示す。図5Cは、マウスにおけるCTSC過剰発現細胞が、マウスにおける対照細胞よりも増殖性であることを示す。一方、図5Dは、CTSCをノックダウンしたLM2細胞を注射したマウスの肺における転移形成の低減を示し、図5E~Fは、マウスにおけるCTSC低減細胞のがん細胞播種(E)及び増殖(F)の低減を示す。図5Gは、CTSCがノックダウンされたLM2細胞を注射した6週間後にKi67染色することによって、マウスにおける肺転移を視覚的に比較したものである。
図6A】肺転移における好中球動員がCTSC発現レベルの影響を受けることを裏付ける。図6Aは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射したマウス、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおける、肺転移のCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球の量をパーセンテージで定量するフローサイトメトリー結果を示す。図6Bは、同様に処置されたマウス群の肺実質におけるCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球についての比較可能なフローサイトメトリー結果を示す。図6Cは、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞に近接したCD11bLy6G好中球のクラスタリングの増加、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおけるクラスタリングの減少を示す。図6Dは、CD11bLy6G好中球凝集をEdU標識播種腫瘍細胞増殖と相関させたものであり、図6E~Gは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射する前にLy6Gクリアランス抗体でマウスを処置すると、好中球凝集(E)、増殖(F)、及び肺結節形成(G)が低減することを示す。
図6B】肺転移における好中球動員がCTSC発現レベルの影響を受けることを裏付ける。図6Aは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射したマウス、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおける、肺転移のCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球の量をパーセンテージで定量するフローサイトメトリー結果を示す。図6Bは、同様に処置されたマウス群の肺実質におけるCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球についての比較可能なフローサイトメトリー結果を示す。図6Cは、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞に近接したCD11bLy6G好中球のクラスタリングの増加、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおけるクラスタリングの減少を示す。図6Dは、CD11bLy6G好中球凝集をEdU標識播種腫瘍細胞増殖と相関させたものであり、図6E~Gは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射する前にLy6Gクリアランス抗体でマウスを処置すると、好中球凝集(E)、増殖(F)、及び肺結節形成(G)が低減することを示す。
図6C】肺転移における好中球動員がCTSC発現レベルの影響を受けることを裏付ける。図6Aは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射したマウス、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおける、肺転移のCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球の量をパーセンテージで定量するフローサイトメトリー結果を示す。図6Bは、同様に処置されたマウス群の肺実質におけるCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球についての比較可能なフローサイトメトリー結果を示す。図6Cは、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞に近接したCD11bLy6G好中球のクラスタリングの増加、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおけるクラスタリングの減少を示す。図6Dは、CD11bLy6G好中球凝集をEdU標識播種腫瘍細胞増殖と相関させたものであり、図6E~Gは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射する前にLy6Gクリアランス抗体でマウスを処置すると、好中球凝集(E)、増殖(F)、及び肺結節形成(G)が低減することを示す。
図6D】肺転移における好中球動員がCTSC発現レベルの影響を受けることを裏付ける。図6Aは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射したマウス、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおける、肺転移のCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球の量をパーセンテージで定量するフローサイトメトリー結果を示す。図6Bは、同様に処置されたマウス群の肺実質におけるCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球についての比較可能なフローサイトメトリー結果を示す。図6Cは、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞に近接したCD11bLy6G好中球のクラスタリングの増加、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおけるクラスタリングの減少を示す。図6Dは、CD11bLy6G好中球凝集をEdU標識播種腫瘍細胞増殖と相関させたものであり、図6E~Gは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射する前にLy6Gクリアランス抗体でマウスを処置すると、好中球凝集(E)、増殖(F)、及び肺結節形成(G)が低減することを示す。
図6E】肺転移における好中球動員がCTSC発現レベルの影響を受けることを裏付ける。図6Aは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射したマウス、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおける、肺転移のCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球の量をパーセンテージで定量するフローサイトメトリー結果を示す。図6Bは、同様に処置されたマウス群の肺実質におけるCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球についての比較可能なフローサイトメトリー結果を示す。図6Cは、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞に近接したCD11bLy6G好中球のクラスタリングの増加、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおけるクラスタリングの減少を示す。図6Dは、CD11bLy6G好中球凝集をEdU標識播種腫瘍細胞増殖と相関させたものであり、図6E~Gは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射する前にLy6Gクリアランス抗体でマウスを処置すると、好中球凝集(E)、増殖(F)、及び肺結節形成(G)が低減することを示す。
図6F】肺転移における好中球動員がCTSC発現レベルの影響を受けることを裏付ける。図6Aは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射したマウス、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおける、肺転移のCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球の量をパーセンテージで定量するフローサイトメトリー結果を示す。図6Bは、同様に処置されたマウス群の肺実質におけるCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球についての比較可能なフローサイトメトリー結果を示す。図6Cは、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞に近接したCD11bLy6G好中球のクラスタリングの増加、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおけるクラスタリングの減少を示す。図6Dは、CD11bLy6G好中球凝集をEdU標識播種腫瘍細胞増殖と相関させたものであり、図6E~Gは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射する前にLy6Gクリアランス抗体でマウスを処置すると、好中球凝集(E)、増殖(F)、及び肺結節形成(G)が低減することを示す。
図6G】肺転移における好中球動員がCTSC発現レベルの影響を受けることを裏付ける。図6Aは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射したマウス、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおける、肺転移のCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球の量をパーセンテージで定量するフローサイトメトリー結果を示す。図6Bは、同様に処置されたマウス群の肺実質におけるCD45免疫細胞におけるCD11bLy6G好中球についての比較可能なフローサイトメトリー結果を示す。図6Cは、CTSC過剰発現SCP28細胞を注射したマウスにおけるがん細胞に近接したCD11bLy6G好中球のクラスタリングの増加、及び低減CTSCを有するLM2細胞を注射したマウスにおけるクラスタリングの減少を示す。図6Dは、CD11bLy6G好中球凝集をEdU標識播種腫瘍細胞増殖と相関させたものであり、図6E~Gは、過剰発現CTSCを有するSCP28細胞を注射する前にLy6Gクリアランス抗体でマウスを処置すると、好中球凝集(E)、増殖(F)、及び肺結節形成(G)が低減することを示す。
図7A】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7B】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7C】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7D】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7E】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7F】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7G】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7H】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7I】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図7J】CTSCによる好中球動員が、PR3-IL-1b-NF-kB経路調節によって増強されることを実証する。図7A~Bは、制御培地における好中球動員に対するCTSCの過剰発現又は低減の効果を示す。図7Bの画像は、IL-6、CCL2、CCL3、G-CSF、及びTNFR1の各々が、CTSC過剰発現4T07がん細胞で前処理される好中球において上方制御されることを示す。図7Cのウェスタンブロット画像は、6つの好中球由来セリンプロテアーゼのセットのうち、PR3のみが好中球細胞質膜上に発現されることを示す。図7Dは、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞のCMで培養したヒト好中球のPR3活性が、PR3の阻害剤(Silvelestat)による処理時に低減することを示す。図7E~Gは、Silvelestatが、CTSC(E)を過剰発現する4T07細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球の移行を低減し、CTSC(F-G)を過剰発現するSCP28がん細胞の周りの好中球凝集を低下させることを示す。図7Hは、Silvelestatが、CTSCを有するSCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1bレベルを低下させる一方で、NF-B阻害剤(BAY11-7082)は低下させないことを示す。図7I~Jに見られるように、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植されたマウスをIL-1bブロッキング抗体で処置すると、IgG処置と比較して、肺転移(I)及び肺表面結節形成(J)が低減する。
図8A】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図8B】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図8C】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図8D】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図8E】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図8F】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図8G】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図8H】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図8I】腫瘍CTSCが好中球を動員してNETosisを誘導することを示唆する。図8AのIF結果は、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養された好中球が広範なNETを形成することを示す。マウスの採取された肺のIF結果は、CTSC過剰発現がん細胞(SCP28)の近くで有意なNET形成を示すが、低減CTSC発現を有するがん細胞(LM2)の近くではNET形成はほとんどないことを示している(図8B)。図8Cは、4T07がん細胞の馴化培地で前処理したマウス好中球におけるROSレベルを、Silvelestatを添加したものと添加しなかったものとで比較している。図8Dは、CTSC発現レベルにかかわらず、4T1馴化培地及び/又はrhPR3を添加した組換えヒト活性PR3で前処理したマウス好中球におけるp38リン酸化の増加を示す。CTSCを過剰発現する4T07細胞で前処理したマウス好中球では、ROS産生が増加するが、p38阻害剤(SB203580)の添加は、この効果を逆転させる(図8E)。4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処理することにより、CTSCによって誘導されるNET形成がブロックされ(図8F)、同じ効果が、Silvelestat又はDNase Iで更に処理されるCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスにおいて見られる(図8G)。図8Hは、rmTSP-1は好中球培地中で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックできないが、a-IL6及び/又はDNase Iの更なる添加は、スフェロイド増殖を様々な程度まで抑制することを示す。
図9A】CTSCの発現を、乳がんの肺転移の臨床試料中の好中球浸潤及びNET形成と相関する。図9Aは、CTSC発現、NETの数、及び好中球浸潤が、肺転移試料において、原発腫瘍試料と比較して高いことを実証する。図9Bは、CTSC発現レベルが、原発腫瘍及び肺転移の両方におけるNET形成及び好中球浸潤と強く相関することを示す。図9Cは、循環NETレベルが非転移性腫瘍よりも肺転移性腫瘍において高いことを示し、図9Dは、原発腫瘍及び肺転移を一緒に考慮した場合、血清CTSC発現レベルが血清中の循環NETレベルと強く相関することを示す。図9Eは、3つの異なる臨床乳がんサブタイプにおいて、より高いレベルのCTSC、NETosis、及び好中球遊走が観察されることを示す。
図9B】CTSCの発現を、乳がんの肺転移の臨床試料中の好中球浸潤及びNET形成と相関する。図9Aは、CTSC発現、NETの数、及び好中球浸潤が、肺転移試料において、原発腫瘍試料と比較して高いことを実証する。図9Bは、CTSC発現レベルが、原発腫瘍及び肺転移の両方におけるNET形成及び好中球浸潤と強く相関することを示す。図9Cは、循環NETレベルが非転移性腫瘍よりも肺転移性腫瘍において高いことを示し、図9Dは、原発腫瘍及び肺転移を一緒に考慮した場合、血清CTSC発現レベルが血清中の循環NETレベルと強く相関することを示す。図9Eは、3つの異なる臨床乳がんサブタイプにおいて、より高いレベルのCTSC、NETosis、及び好中球遊走が観察されることを示す。
図9C】CTSCの発現を、乳がんの肺転移の臨床試料中の好中球浸潤及びNET形成と相関する。図9Aは、CTSC発現、NETの数、及び好中球浸潤が、肺転移試料において、原発腫瘍試料と比較して高いことを実証する。図9Bは、CTSC発現レベルが、原発腫瘍及び肺転移の両方におけるNET形成及び好中球浸潤と強く相関することを示す。図9Cは、循環NETレベルが非転移性腫瘍よりも肺転移性腫瘍において高いことを示し、図9Dは、原発腫瘍及び肺転移を一緒に考慮した場合、血清CTSC発現レベルが血清中の循環NETレベルと強く相関することを示す。図9Eは、3つの異なる臨床乳がんサブタイプにおいて、より高いレベルのCTSC、NETosis、及び好中球遊走が観察されることを示す。
図9D】CTSCの発現を、乳がんの肺転移の臨床試料中の好中球浸潤及びNET形成と相関する。図9Aは、CTSC発現、NETの数、及び好中球浸潤が、肺転移試料において、原発腫瘍試料と比較して高いことを実証する。図9Bは、CTSC発現レベルが、原発腫瘍及び肺転移の両方におけるNET形成及び好中球浸潤と強く相関することを示す。図9Cは、循環NETレベルが非転移性腫瘍よりも肺転移性腫瘍において高いことを示し、図9Dは、原発腫瘍及び肺転移を一緒に考慮した場合、血清CTSC発現レベルが血清中の循環NETレベルと強く相関することを示す。図9Eは、3つの異なる臨床乳がんサブタイプにおいて、より高いレベルのCTSC、NETosis、及び好中球遊走が観察されることを示す。
図9E】CTSCの発現を、乳がんの肺転移の臨床試料中の好中球浸潤及びNET形成と相関する。図9Aは、CTSC発現、NETの数、及び好中球浸潤が、肺転移試料において、原発腫瘍試料と比較して高いことを実証する。図9Bは、CTSC発現レベルが、原発腫瘍及び肺転移の両方におけるNET形成及び好中球浸潤と強く相関することを示す。図9Cは、循環NETレベルが非転移性腫瘍よりも肺転移性腫瘍において高いことを示し、図9Dは、原発腫瘍及び肺転移を一緒に考慮した場合、血清CTSC発現レベルが血清中の循環NETレベルと強く相関することを示す。図9Eは、3つの異なる臨床乳がんサブタイプにおいて、より高いレベルのCTSC、NETosis、及び好中球遊走が観察されることを示す。
図10A】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10B】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10C】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10D】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10E】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10F】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10G】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10H】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10I】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10J】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図10K】CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肺転移を阻害することを示す。図10Aは、マウス中のCTSC低減4T1細胞を注射してから7日後のブレンソカチブ投与後の腫瘍細胞増殖を観察することによって得られた腫瘍体積対時間を示す。図10B~Eは、ブレンソカチブ処置が、4T1細胞を注射したマウスへのブレンソカチブの投与後の肺転移性結節の形成を抑制し(B)、体重減少を低減し(C)、生存率を増加させ(D)、肺病変中の好中球浸潤を低減する(E)ことを示す。図10Fは、4T1(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。同様の効果は、CTSC過剰発現AT3がん細胞を同所的に注射し、次いでブレンソカチブで処置したマウスで観察される(図10G~J)。ブレンソカチブ処置はまた、IL-1bの循環レベルの低減をもたらす(図10K)。
図11A】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11B】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11C】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11D】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11E】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11F】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11G】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11H】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11I】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11J】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11K】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11L】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11M】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11N】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図11O】様々な転移性がん細胞による好中球動員、NETosis誘導、及び腫瘍様塊形成を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図11Aは、弱い(MDA-MB-231、略して231)、中程度(SP16)、及び強い(SP16L)肝転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Bは、弱い又は強い骨転移性乳がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Cは、弱い又は強い骨転移性肺がん細胞におけるCTSC発現レベルを示す。図11Dは、肺転移性乳がん細胞LM2-4175にブレンソカチブを投与した後のNET分子マーカー(ミエロペルオキシダーゼMPO)、(シトルリン化ヒストンH3(Ci-H3))での免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Eは、SCP2馴化培地(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理された好中球培地中で培養された骨転移性SCP2乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Fは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Gは、異なる肝転移性乳がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11Hは、SCP16(CM)のCM、又はブレンソカチブで前処理した好中球培地中で培養した肝転移性(SCP16)乳がん細胞の腫瘍様塊形成を示す。図11Iは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後の免疫蛍光染色によって観察されるように、がん細胞馴化培地による刺激下での好中球におけるNETの形成を示す。図11Jは、異なる骨転移性肺がん細胞にブレンソカチブを投与した後のがん細胞馴化培地における好中球動員を分析したものである。図11K~Pは、がん細胞のCM(CM)、又はブレンソカチブ(Bren)で前処理した好中球培地中で培養した、結腸がん細胞SW480(K)、肺がん細胞A549(L)、胃がん細胞AGS(M)、肝細胞がん細胞HUH7(N)及び膵がん細胞KP4(O)の腫瘍様塊形成を示す。
図12A】肝臓原発腫瘍及び転移を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図12A~Bは、CTSC阻害剤ブレンソカチブが、肝臓がん細胞HUH7の原発腫瘍増殖(A)及び肝臓表面結節の形成(B)を抑制することを示す。図12Cは、CTSC阻害剤ブレンソカチブが、膵がん細胞KP4の肝転移を抑制することを示す。
図12B】肝臓原発腫瘍及び転移を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図12A~Bは、CTSC阻害剤ブレンソカチブが、肝臓がん細胞HUH7の原発腫瘍増殖(A)及び肝臓表面結節の形成(B)を抑制することを示す。図12Cは、CTSC阻害剤ブレンソカチブが、膵がん細胞KP4の肝転移を抑制することを示す。
図12C】肝臓原発腫瘍及び転移を阻害するブレンソカチブの能力を示す。図12A~Bは、CTSC阻害剤ブレンソカチブが、肝臓がん細胞HUH7の原発腫瘍増殖(A)及び肝臓表面結節の形成(B)を抑制することを示す。図12Cは、CTSC阻害剤ブレンソカチブが、膵がん細胞KP4の肝転移を抑制することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、CTSCが乳がんの転移を促進するという所見に部分的に基づいている。追加的に、本開示は、転移性微小環境における好中球浸潤及び/又はNETの形成を制御することによって、CTSCが、乳がん細胞上での肺転移及び肝転移の発生を促進し、腫瘍転移の治療のためのCTSCの薬学的阻害剤の同定を促すことを実証する。理論によって拘束されることを望むものではないが、CTSC、好中球浸潤、及びNETの形成を阻害することによって、CTSC阻害剤は、がんの腫瘍微小環境を制御して、他の器官における転移を遅らせるか、低減するか、又は阻害する。
【0026】
したがって、本発明の一態様では、治療を必要とする患者においてがんの転移を治療するための方法が提供される。方法は、有効量のCTSC阻害剤を含む医薬組成物を患者に投与することを含む。治療は、転移の進行を阻害、遅延、又は逆転させ、例えば、転移性増殖のサイズを減少させる。
【0027】
本発明の別の態様では、治療を必要とする患者において原発がんを治療するための方法が提供される。方法は、有効量のCTSC阻害剤を含む医薬組成物を患者に投与することを含む。治療は、原発がんの進行を阻害、遅延、又は逆転させ、例えば、原発腫瘍増殖のサイズを減少させる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「がん」は、異常な細胞増殖によって引き起こされる任意の悪性及び/又は浸潤性増殖又は腫瘍を指す。がんには、それらを形成する細胞のタイプにちなんで名付けられた固形腫瘍、血液がん、骨髄がん、又はリンパ系が含まれる。固形腫瘍の例としては、肉腫及びがん腫が挙げられる。がんにはまた、体内の特定の部位に由来する原発がん、それが始まった場所から体の他の部分に広がった転移性がん、寛解後の元の原発がんからの再発、及び後者とは異なるタイプの以前のがんの病歴を有するヒトの新しい原発がんである二次原発がんも含まれる。「原発がん」又は「原発腫瘍」は、本明細書で使用される場合、対象又は患者における元の又は第1のがん又は腫瘍を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、「転移」という用語は、転移が一次増殖からのがん細胞を含む、がんの原発部位から離れて位置する異なる部位又は二次部位での悪性増殖を指す。例えば、「肺転移」は、他の場所、すなわち原発がんからの肺内の二次がん/腫瘍を指す。「がんの転移」及び「がん転移」は、本明細書では交換可能に使用され、原発がん部位から離れた二次がんの増殖を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、遺伝子又は遺伝子の一部からのmRNAの産生を含み、RNA又は遺伝子又は遺伝子の一部によってコードされるタンパク質の産生を含み、発現に関連する検出物質の出現を含む。例えば、cDNA、遺伝子又は他のオリゴヌクレオチド、タンパク質又はタンパク質断片との結合リガンド(例えば抗体)の結合、及び結合リガンドの発色性部分は全て、「発現」という用語の範囲内である。したがって、免疫ブロット、例えば、ウェスタンブロットのブロット密度の増加もまた、生物学的分子に基づく用語「発現」の範囲内である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、所望の治療的又は予防的結果を達成するために必要又は十分な投薬量及び期間での有効な量を指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、患者が疾患の症状(例えば、腫瘍増殖及び/若しくは転移、又は免疫細胞の数及び/若しくは活性によって媒介される他の効果など)を経験する頻度を減少させることを意味する。この用語は、疾患の症状、合併症、若しくは生化学的指標の発症を予防若しくは遅延させる、症状を緩和する、又は疾患、状態、若しくは障害の更なる発達を停止若しくは阻害するために、本発明の化合物又は薬剤を投与することを含む。治療は、予防的(疾患の発症を予防若しくは遅延させるか、又はその臨床的若しくは亜臨床的症状の発現を予防する)、又は疾患の発現後の症状の治療的抑制若しくは緩和であってもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、ヒト又は動物の対象を示す。好ましい実施形態では、患者は、ヒトである。
【0034】
「薬学的に許容される」という用語は、別段の記載がない限り、部分(例えば、塩、剤形、又は賦形剤)を、健全な医学的判断に従って使用するのに適切であると特徴付けるために使用される。一般に、薬学的に許容される部分は、その部分が有し得る有害な効果を上回る1つ以上の利点を有する。有害な効果としては、例えば、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、並びに他の問題及び合併症が挙げられ得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「C1~3」は、1、2、又は3個の炭素原子を有する炭素基を意味する。
【0036】
「アルキル」という用語は、別段の記載がない限り、直鎖及び分岐鎖の両方のアルキル基を含み、置換されていても非置換であってもよい。「アルキル」基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチル、ペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
「及び/又は」という用語は、2つ以上の項目の列挙で使用される場合、列挙された項目のうちのいずれか1つが、それ自体で、又は列挙された項目のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて使用され得ることを意味する。例えば、「A及び/又はB」という表現は、A及びBのいずれか又は両方、すなわち、A単独、B単独、又はA及びBの組み合わせを意味することを意図している。「A、B、及び/又はC」という表現は、A単独、B単独、C単独、AとBとの組み合わせ、AとCとの組み合わせ、BとCとの組み合わせ、又はAと、Bと、Cとの組み合わせを意味することを意図している。
【0038】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」という単数及び単数形の用語は、例えば、内容によって別段に明確に示されない限り、複数の指示物を含む。
【0039】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、及びその記載された範囲内の任意の他の記載された値又は介在値が、本開示に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、より小さい範囲に独立して含まれてもよく、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界に従って、これらも本開示に包含される。記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれか両方を除外する範囲も本開示に含まれる。「含む」という語句が使用されるときはいつでも、「から本質的になる」及び「からなる」などの変形も企図される。
【0040】
原発がん又はがんの転移を治療するための方法であって、部分的に、有効量のCTSC阻害剤を含む医薬組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む方法が、本明細書に提供される。治療は、原発がん又は転移の進行を阻害、遅延、又は逆転させ、例えば、原発腫瘍又は転移性増殖のサイズを減少させる。ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)としても知られるCTSCは、プロテアーゼであり、その遺伝子配列は染色体11q14.1~q14.3に位置する。
【0041】
CTSCは、免疫細胞において発現されるセリン活性化に重要であることが報告されている。例えば、CTSCは、肥満細胞中の好中球、キマーゼ及びトリプターゼαII/βII/γ、並びにリンパ球中のグランザイムA/Bにおいて、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)、カテプシンG(CTSG)、及び好中球セリンプロテアーゼ4(NSP4)を活性化することができる。
【0042】
CTSCによる好中球のNE、PR3、CTSG、及びNSP4の活性化を例にとると、リソソーム又はゴルジ装置によって位置付けられたCTSCは、N末端で2つのアミノ酸を除去することによって好中球のNE、PR3、及びCTSGの3つのセリンプロテアーゼを活性化し、それにより炎症反応を制御する役割を果たす。好中球成熟プロセスの初期段階、すなわち、形態における骨髄芽細胞及びプロ骨髄球の段階では、NSPは、プロエンザイムの形態で瞬時に発現され、好中球セリンプロテアーゼ(NE、PR3、CTSG、及びNSP4)のプロエンザイムのN末端に含まれる独自の酵素活性をブロックするジペプチドは、ゴルジ装置輸送プロセス中、又は一次顆粒(アズロフィル顆粒)内で、CTSCによって切断され、次いで、活性形態で一次顆粒に格納される。しかしながら、PR3が不活性状態で細胞膜上で構成的に発現されることを報告している文献もある。
【0043】
CTSCは、好中球が正常な免疫機能を有するために重要な役割を果たすが、転移性がんにおけるCTSCの役割は完全には解明されていない。本開示では、病変部位における好中球浸潤を改善し、NETの数を増加させることにより、CTSCは、腫瘍微小環境を改善し、乳がんの肺転移を促進することが見出されている。したがって、本発明の一態様は、治療を必要とする患者のがんの転移を治療するための方法であって、有効量のCTSC阻害剤を含む医薬組成物を患者に投与することを含む方法に関する。治療は、転移の進行を阻害するか、遅延させるか、又は逆転させる。
【0044】
一実施形態では、CTSC阻害剤は、以下の表1又は表2に示されるCTSC阻害剤の1つである。
【表1】
【表2】
【0045】
本明細書に提供される方法で使用するための他のCTSC阻害剤は、米国特許第8,889,708号、米国特許第8,987,249号、及び米国特許第9,073,869号、並びに国際特許出願公開第WO2012/119941号、国際特許出願公開第WO2015/032945号、国際特許出願公開第WO2015/032943号、及び国際特許出願公開第WO2015/032942号に開示されており、それぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の方法における使用に適した他のCTSC阻害剤は、米国特許第8,999,975号、米国特許第9,440,960号、米国特許第9,713,606号、米国特許第9,856,228号、米国特許第9,879,026号、RE47,636E、米国特許第10,238,633号、Bondebjerg et al.,“Novel semicarbazide-derived inhibitors of human dipeptidyl peptidase I (hDPPI),”Bioorg Med Chem.13:4008-4424(2005)、及びBondebjerg et al.,“Dipeptidyl Nitriles as Human Dipeptidyl Peptidase 1 Inhibitors,”Bioorg Med Chem Lett.16:3614-3617(2006)に開示されており、これらのそれぞれの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
本明細書に提供される原発がん又はがんの転移を治療するための方法のいくつかの実施形態では、方法は、治療を必要とする患者に、治療期間にわたって、有効量の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む。
【化6】
式中、
は、
【化7】
であり、
は、水素、F、Cl、Br、OSO1-3アルキル、又はC1-3アルキルであり、
は、水素、F、Cl、Br、CN、CF、SOアルキル、CONH、又はSONRであり、
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成し、
Xは、O、S、又はCFであり、
Yは、O又はSであり、
Qは、CH又はNであり、
は、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランから選択される1つの置換基によって置換され、
は、水素、F、Cl、又はCHであり、
治療は、原発がんの進行を阻害するか、遅延させるか、若しくは逆転させるか、又は進行転移を阻害するか、遅延させるか、若しくは逆転させる。
【0047】
更なる実施形態では、方法は、がんの転移を治療する方法である。
【0048】
一実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物が患者に投与され、式中、Rは、
【化8】
であり、Rは、水素、F、Cl、Br、OSO1~3アルキル、又はC1~3アルキルであり、Rは、水素、F、Cl、Br、CN、CF、SO1~3アルキル、CONH又はSONRであり、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成する。更なる実施形態では、Rは、水素、F、Cl、又はC1~3アルキルであり、Rは、水素、F、Cl、CN、又はSO1~3アルキルである。更なる実施形態では、Rは、水素、F又はCNである。
【0049】
別の実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物が患者に投与され、式中、Rは、
【化9】
であり、Xは、O、S又はCFであり、Yは、O又はSであり、Qは、CH又はNであり、Rは、C1~3アルキルであり、C1-3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ又は3つのFで置換され、任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランで置換され、Rは、水素、F、Cl又はCHである。更なる実施形態では、Rは、
【化10】
である。
【0050】
別の実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物が患者に投与され、式中、Rは、
【化11】
であり、Xは、O、S、又はCFであり、Yは、O又はSであり、Rは、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランによって置換された、C1-3アルキルであり、Rは、水素、F、Cl、又はCHである。更なる実施形態では、
は、
【化12】
である。
【0051】
いくつかの実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物が患者に投与され、式中、
は、
【化13】
であり、Xは、O、S又はCFであり、Rは、C1ー3アルキルであり、C1ー3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ又は3つのFで置換され、Rは、水素、F、Cl又はCHである。
【0052】
更に別の実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物が患者に投与され、式中、
は、
【化14】
であり、Xは、Oであり、Rは、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、Rは、水素である。更なる実施形態では、Rは、C1-3アルキル、すなわち、メチル、エチル、又はプロピルである。更なる実施形態では、Rは、メチルである。
【0053】
更に別の実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物が患者に投与され、式中、Rは、水素、F、Cl、Br、OSO1-3アルキル又はC1-3アルキルである。更なる実施形態では、Rは、水素、F、Cl、又はC1-3アルキルである。更なる実施形態では、Rは、水素、F又はC1-3アルキルである。
【0054】
本明細書に記載の方法の一実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物が患者に投与され、式中、Rは、水素、F、Cl、Br、CN、CF、SO1~3アルキル、CONH又はSONRであり、R及びRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成する。更なる実施形態では、Rは、水素、F、Cl、CN、又はSO1-3アルキルである。更なる実施形態では、Rは、水素、F又はCNである。
【0055】
原発がん又はがんの転移を治療するための本明細書に提供される方法の一実施形態では、有効量の式(I)の化合物を含む医薬組成物が患者に投与され、式中、Rは、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって、及び任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、又はテトラヒドロピランから選択される1つの置換基によって置換される。更なる実施形態では、Rは、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFで置換され、更なる実施形態では、Rは、メチル又はエチルである。更なる実施形態では、Rは、メチルである。
【0056】
更に別の実施形態では、Rは、水素、F、Cl、又はCHである。更なる実施形態では、Rは、水素である。
【0057】
一実施形態では、患者に投与される医薬組成物は、有効量の(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(ブレンソカチブ):
【化15】
又はその薬学的に許容される塩を含む。更なる実施形態では、式(I)の化合物は、ブレンソカチブである。更なる実施形態では、方法は、がんの転移を治療するための方法である。別の実施形態では、有効量のブレンソカチブを含む医薬組成物は、原発がんの治療を必要とする患者に投与される。
【0058】
いくつかの実施形態では、患者に投与される化合物は、以下の式(I)の化合物のうちの1つである:
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
4’-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イルメタンスルホネート、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3’,4’-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-2-(4’-カルバモイル-3’-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4’-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、若しくは
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
又は上記化合物のうちの1つの薬学的に許容される塩。
【0059】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、患者は、有効量のブレンソカチブ:
【化16】
を含む医薬組成物を投与される。いくつかの実施形態では、ブレンソカチブは、米国特許第9,522,894号に開示されている多型形態Aであり、その開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ブレンソカチブは、CuKα放射線を使用して測定される、約12.2±0.2(°2θ)にピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、ブレンソカチブは、CuKα放射線を使用して測定される、約20.6±0.2(°2θ)にピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、ブレンソカチブは、CuKα放射線を使用して測定される、約12.2±0.2及び約20.6±0.2(°2θ)にピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする。いくつかの実施形態では、ブレンソカチブは、CuKα放射線を使用して測定される、約12.2±0.2、約14.3±0.2、約16.2±0.2、約19.1±0.2及び約20.6±0.2(°2θ)にピークを有するX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0060】
当業者は、本開示の化合物が、周知の様式で、様々な手法で調製され得ることを認識するであろう。例えば、一実施形態では、式(I)の化合物は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,522,894号に記載の方法に従って調製される。
【0061】
本明細書に記載されるCTSC阻害剤、例えば式(I)の化合物は、薬学的に許容される塩として医薬組成物中に存在し得る。
【0062】
理論によって拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載されるCTSC阻害剤の薬学的に許容される塩、例えば、式(I)の化合物は、異なる温度及び湿度における安定性、又はHO、油、若しくは他の溶媒中の望ましい溶解性など、その化学的又は物理的特性のうちの1つ以上のために有利であり得る。いくつかの場合では、CTSC阻害剤の単離又は精製を補助するために、塩が使用され得る。
【0063】
CTSC阻害剤が十分に酸性である場合、薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、例えば、Na若しくはK、アルカリ土類金属塩、例えば、Ca若しくはMg、又は有機アミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。CTSC阻害剤が十分に塩基性である場合、薬学的に許容される塩としては、無機又は有機酸付加塩が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、薬学的に許容される塩は、塩化物塩、マレイン酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、メシル酸塩、酒石酸塩、臭化物塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、又はグルコン酸塩である。
【0064】
いくつかの実施形態では、荷電官能基の数及びカチオン又はアニオンの価数に応じて、2つ以上のカチオン又はアニオンが存在し得る。
【0065】
好適な塩、及び本明細書における使用に適した薬学的に許容される塩に関するレビューについては、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,1-19又は“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,selection and use”,P.H.Stahl,P.G.Vermuth,IUPAC,Wiley-VCH,2002を参照されたい。
【0066】
本明細書に記載のCTSC阻害剤は、その塩及び共結晶形態の混合物を形成してもよい。したがって、本明細書に提供される方法は、CTSC阻害剤、例えば、式(I)の化合物のそのような塩/共結晶混合物を使用することができることを理解されたい。
【0067】
塩及び共結晶は、周知の技術、例えば、粉末X線回折、単結晶X線回折(例えば、プロトン位置、結合長さ又は結合角度を評価するため)、固体NMR(例えば、C、N又はP化学シフトを評価するため)又は分光技術(例えば、OH、NH又はCOOHシグナル及び水素結合から生じるIRピークシフトを測定するため)を使用して特徴付けられ得る。
【0068】
CTSC阻害剤は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩又は本明細書に記載の別のCTSC阻害剤の溶媒和物を含む溶媒和形態、例えば水和物で存在し得ることも理解されたい。
【0069】
本明細書に記載のある特定のCTSC阻害剤はまた、連結(例えば、炭素-炭素結合、アミド結合などの炭素-窒素結合)を含有してもよく、結合回転は、その特定の連結の周りで制限され、例えば、環結合又は二重結合の存在に起因して制限される。したがって、本開示が全てのそのような異性体を包含することを理解されたい。加えて、CTSC阻害剤は、複数の互変異性形態を含み得る。立体異性体は、従来の技術、例えば、クロマトグラフィー若しくは分別結晶を使用して分離することができ、又は立体異性体は、立体選択的合成によって作製することができる。
【0070】
一実施形態では、医薬組成物は、有効量の同位体標識された(又は「放射標識された」)CTSC阻害剤、例えば、式(I)の化合物を含む。そのような誘導体は、1つ以上の原子が自然界において典型的に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられる、CTSC阻害剤の誘導体である。組み込まれ得る放射性核種の例としては、H(重水素については「D」とも記述される)が挙げられる。したがって、一実施形態では、CTSC阻害剤は、1つ以上の水素原子が1つ以上の重水素原子によって置き換えられる、本明細書に記載の阻害剤の1つであり、重水素化化合物は、本明細書に提供される方法の1つで使用される。
【0071】
別の実施形態では、CTSC阻害剤は、ヒト又は動物の体内で分解されて、本明細書に記載されるCTSC阻害剤のうちの1つを与えるプロドラッグの形態で投与される。プロドラッグの例としては、式(I)の化合物のインビボ加水分解性エステルが挙げられる。
【0072】
カルボキシ又はヒドロキシ基を含有するCTSC阻害剤化合物のインビボ加水分解性(又は切断可能な)エステルは、例えば、ヒト又は動物の体内で加水分解されて親酸又はアルコールを産生する薬学的に許容されるエステルである。エステルプロドラッグ誘導体の例については、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Curr.Drug.Metab.2003,4,461を参照されたい。様々な他の形態のプロドラッグが当該技術分野で既知であり、本明細書で提供される方法において使用され得る。プロドラッグの例については、あらゆる目的のために参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる、Nature Reviews Drug Discovery 2008,7,255を参照されたい。
【0073】
投与される投薬量は、使用されるCTSC阻害剤及び投与様式に応じて変動する。投与される投薬量は、使用されるCTSC阻害剤及び投与様式とともに変動する。例えば、一実施形態では、CTSC阻害剤の1日投薬量は、体重1キログラム当たり0.05マイクログラム(μg/kg)~体重1キログラム当たり100マイクログラム(μg/kg)の範囲内であり得る。別の実施形態では、CTSC阻害剤が経口投与される場合、本発明の方法で使用される化合物の1日投薬量は、体重1キログラム当たり0.01マイクログラム(μg/kg)~体重1キログラム当たり100ミリグラム(mg/kg)の範囲内であり得る。
【0074】
一実施形態では、CTSC阻害剤の1日投薬量は、約5mg~約70mg、約10mg~約60mg、又は約10mg~約40mgである。更なる実施形態では、CTSC阻害剤は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。また更なる実施形態では、化合物は、ブレンソカチブである。別の実施形態では、CTSC阻害剤の1日投薬量は、約10mg、約25mg、約40mg、又は約65mgである。更なる実施形態では、CTSC阻害剤は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。また更なる実施形態では、化合物は、ブレンソカチブである。
【0075】
一実施形態では、CTSC阻害剤は、経口剤形で投与される。一実施形態では、CTSC阻害剤の経口投薬量は、約5mg~約70mg、約10mg~約60mg、又は約10mg~約40mgである。更なる実施形態では、CTSC阻害剤は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。また更なる実施形態では、化合物は、ブレンソカチブである。別の実施形態では、CTSC阻害剤の経口投薬量は、約10mg、約25mg、約40mg、又は約65mgである。更なる実施形態では、CTSC阻害剤は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。また更なる実施形態では、化合物は、ブレンソカチブである。
【0076】
本明細書に提供される方法では、有効量のCTSC阻害剤を含む医薬組成物は、原発がん又はがんの転移の治療を必要とする患者に投与される。
【0077】
医薬組成物は、一実施形態において、固体剤形である。経口投与に使用される固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末、及び顆粒が含まれる。これらの固体剤形の中で、活性化合物は、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの従来の不活性賦形剤(若しくはビヒクル)と混合されるか、又は以下の成分と混合される:(a)充填剤又は相溶化剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸、(b)結合剤、例えばヒドロキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアラビアゴム、(c)保湿剤、例えばグリセリン、(d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン、又はタピオカデンプン、アルギン酸、いくつかの複合ケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、(e)弱溶媒、例えばパラフィン、(f)吸収促進剤、例えば四級アミン化合物、(g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセリルモノステアレート、(h)吸着剤、例えばカオリン、並びに(i)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、又はそれらの混合物。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の剤形はまた、緩衝剤を含有し得る。
【0078】
一実施形態では、医薬組成物は、錠剤形態である。更なる実施形態では、錠剤形態の医薬組成物は、錠剤コーティングを更に含む。
【0079】
錠剤、糖化丸薬、カプセル、丸薬、及び顆粒などの固形剤形は、腸溶性コーティング及び当該技術分野で既知の他の材料などのコーティング及びシェルを使用して調製され得る。それらは、不透明化剤を含んでもよく、更に、そのような組成物中の活性化合物又は化合物は、遅延様式で消化管の一部に放出されてもよい。使用され得る包埋成分の例は、ポリマー材料及びワックス材料である。必要に応じて、活性化合物はまた、上記の賦形剤のうちの1つ以上を含むマイクロカプセルに形成され得る。
【0080】
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、又はチンキ剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤、例えば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、及び油、特に綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、又はこれらの物質の混合物などの、当該技術分野において従来用いられる不活性希釈剤を含有し得る。
【0081】
経口適用のための液体調製物は、シロップ、溶液又は懸濁液の形態であり得る。溶液は、例えば、本発明の方法で使用される化合物を含有してもよく、残りは、糖、並びにエタノール、水、グリセロール及びプロピレングリコールの混合物である。任意選択で、そのような液体調製物は、増粘剤として着色剤、香味剤、サッカリン及び/又はカルボキシメチルセルロースを含有し得る。更に、経口使用のための製剤を作製する場合、当業者に既知の他の賦形剤が使用されてもよい。
【0082】
これらの不活性希釈剤に加えて、組成物は、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、及びスパイスなどのアジュバントを含有してもよい。
【0083】
活性化合物に加えて、懸濁液は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメトキシド、寒天、又はこれらの物質の混合物などの懸濁化剤を含有してもよい。
【0084】
非経口注射のための組成物は、生理学的に許容される無菌水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン、及び無菌注射可能溶液又は分散液への再溶解のための無菌粉末を含み得る。好適な水性及び非水性ビヒクル、希釈剤、溶媒、又は賦形剤としては、水、エタノール、ポリオール、及びそれらの好適な混合物が挙げられる。
【0085】
本明細書に提供される方法で使用される医薬組成物は、一実施形態では、有効量のCTSC阻害剤及び薬学的に許容される担体、アジュバント又は希釈剤を含む。「薬学的に許容される担体、アジュバント又は希釈剤」は、人体での使用に好適であり、十分な純度及び十分に低い毒性を有する必要がある1つ以上の適合性のある固体又は液体の充填剤又はゲル物質を指す。本明細書における「適合性」とは、組成物中の全ての成分が互いに混合され得、本開示による化合物と混合され得るが、化合物の薬効は著しく低下しないことを指す。薬学的に許容される担体、アジュバント又は希釈剤のいくつかの例としては、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、及び酢酸セルロース)、ゼラチン、タルク、固体滑剤(例えば、ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(例えば、大豆油、ゴマ油、ピーナッツ油、及びオリーブ油)、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、及びソルビトール)、乳化剤(例えば、Tween)、湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、着色剤、香料、安定剤、酸化防止剤、保存剤、発熱物質を含まない水などが挙げられる。
【0086】
経口投与のために、CTSC阻害剤は、1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、又は担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、又はアミロペクチン、セルロース誘導体、結合剤、例えば、ゼラチン又はポリビニルピロリドン、崩壊剤、例えば、セルロース誘導体、及び/又は潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ワックス、パラフィンなどと混合され、次いで錠剤に圧縮されてもよい。コーティングされた錠剤が必要な場合、上述のように調製されたコアは、水又は容易に揮発する有機溶媒(複数種可)に溶解又は分散された好適なポリマーでコーティングされ得る。代替的に、錠剤は、例えば、アラビアゴム、ゼラチン、タルカム、及び二酸化チタンを含有し得る濃縮糖溶液でコーティングされてもよい。
【0087】
1つの経口投与実施形態では、経口剤形は、フィルムコーティングされた経口錠剤である。更なる実施形態において、剤形は、インビトロ試験条件下での迅速溶解特性を有する即時放出剤形である。
【0088】
軟質ゼラチンカプセルの調製のために、発明の方法で使用される化合物は、例えば、植物油又はポリエチレングリコールと混合されてもよい。硬質ゼラチンカプセルは、錠剤のための上記賦形剤のような薬学的賦形剤を使用する化合物の顆粒を含有し得る。また、本発明の方法に使用される化合物の液体又は半固体製剤を、硬質ゼラチンカプセルに充填してもよい。
【0089】
一実施形態では、組成物は、経口崩壊性錠剤(ODT)である。ODTは、従来の錠剤とは異なり、全体を飲み込むのではなく、舌の上で溶解するように設計されている。
【0090】
一実施形態では、組成物は、経口薄膜又は経口崩壊性フィルム(ODF)である。そのような製剤は、舌の上に置かれた場合、唾液との相互作用を介して水和し、剤形から活性化合物を放出する。一実施形態では、ODFは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ペクチン、デンプン、ポリ酢酸ビニル(PVA)又はアルギン酸ナトリウムなどのフィルム形成ポリマーを含有する。
【0091】
原発がん又はがんの転移を治療するための本明細書に提供される方法の一実施形態では、医薬組成物は、国際出願公開第WO2019/166626号に記載されている組成物のうちの1つであり、その開示は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
一実施形態では、薬学的に許容される担体、アジュバント又は希釈剤は、滅菌生理食塩水である。本開示の他の態様では、薬学的に許容される担体、アジュバント又は希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。
【0093】
投与経路に応じた好適な医薬製剤の選択及び調製のための従来の手順は、例えば、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる“Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Designs”,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,2nd Ed.2002に記載されている。
【0094】
本明細書に提供される方法では、医薬組成物は、治療期間投与される。一実施形態では、治療期間は、少なくとも1か月、少なくとも3か月、少なくとも6か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月、少なくとも24か月、少なくとも30か月又は少なくとも36か月である。
【0095】
一実施形態では、治療期間は、約6か月~約36か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約6か月~約30か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約6か月~約24か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約6か月~約18か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約6か月~約12か月である。
【0096】
別の実施形態では、治療期間は、約12か月~約36か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約12か月~約30か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約12か月~約24か月である。更なる実施形態では、治療期間は、約12か月~約18か月である。
【0097】
一実施形態では、治療期間中、医薬組成物は、1日1回投与される。更なる実施形態では、医薬組成物は、経口組成物である。更なる実施形態では、医薬組成物は、ほぼ毎日同じ時間、例えば朝食前に投与される。
【0098】
別の実施形態では、治療期間中、医薬組成物は、1日2回投与される。更に別の実施形態では、治療期間中、医薬組成物は、週に1回、2日に1回、3日に1回、週に2回、週に3回、週に4回、又は週に5回投与される。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態では、医薬組成物は、それを必要とする患者に、治療期間を通して1日1回投与される。別の実施形態では、医薬組成物は、それを必要とする患者に、治療期間を通して1日2回投与される。別の実施形態では、医薬組成物は、それを必要とする患者に、治療期間を通して1日に3回投与される。更に別の実施形態では、医薬組成物は、それを必要とする患者に、治療期間を通して2日に1回投与される。更に別の実施形態では、医薬組成物は、それを必要とする患者に、治療期間を通して3日に1回投与される。
【0100】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、治療期間は、少なくとも1か月、少なくとも6週間、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、少なくとも8か月、少なくとも9か月、少なくとも10か月、少なくとも11か月、少なくとも1年、少なくとも13か月、少なくとも14か月、少なくとも15か月、少なくとも16か月、少なくとも17か月、少なくとも18か月、少なくとも19か月、少なくとも20か月、少なくとも21か月、少なくとも22か月、少なくとも23か月、又は少なくとも2年の期間である。
【0101】
本発明は、原発がん及び/又はがんの転移を治療するための方法であって、治療を必要とする患者に、治療期間にわたって、有効量のCTSC阻害剤、例えば、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含む方法に関する。一実施形態では、CTSC阻害剤は、ブレンソカチブである。一実施形態では、CTSC阻害剤は、表1に示される化合物、又はその薬学的に許容される塩のうちの1つである。本発明の方法によれば、治療は、原発がん及び/又は転移の進行を阻害するか、遅延させるか、又は逆転させる。
【0102】
一実施形態では、本方法は、原発がんを治療するための方法である。更なる実施形態では、原発がんは、肝がんである。別の実施形態では、原発がんは、乳がんである。乳がんは、更なる実施形態では、管腔乳がん、ヒト表皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである。更に別の実施形態では、原発がんは、肺がんである。肺がんは、一実施形態では、非小細胞肺がん(NSCLC)である。別の実施形態では、肺がんは、小細胞肺がんである。
【0103】
一実施形態では、方法は、がんの転移を治療するための方法である。更なる実施形態では、転移は、乳がんの転移である。乳がんは、更なる実施形態では、管腔乳がん、ヒト表皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである。
【0104】
一実施形態では、上に示されるように、本明細書に提供される方法は、乳がんの転移を治療するための方法である。更なる実施形態では、乳がんの転移は、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、又は乳がんの脳転移である。更なる実施形態では、乳がんの転移は、乳がんの肺転移である。
【0105】
本明細書に提供されるがんの転移を治療する方法の別の実施形態では、転移は、肺がんの転移である。肺がんは、一実施形態では、非小細胞肺がん(NSCLC)である。別の実施形態では、肺がんは、小細胞肺がんである。
【0106】
本明細書に提供されるがんの転移を治療するための方法の更に別の実施形態では、転移は、肺がんの骨転移、膵がんの肝転移、又は胃がんの肝転移である。本明細書に提供されるがんの転移を治療するための方法の更に別の実施形態では、転移は、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、乳がんの脳転移、肺がんの骨転移、膵がんの肝転移、又は胃がんの肝転移である。
【0107】
本明細書に提供されるがんの転移を治療するための方法の一実施形態では、転移は、膵がん又は胃がんの転移である。更なる実施形態では、転移は、膵がんの転移である。別の実施形態では、転移は、胃がんの転移である。
【0108】
更に別の実施形態では、転移は、骨がん、肝がん、胃がん、又は大腸がんの転移である。
【0109】
本方法の一実施形態では、治療は、原発がんの結果として生じた患者の体重減少を緩和することを更に含む。別の実施形態では、治療は、腫瘍転移の結果として生じた患者の体重減少を緩和することを更に含む。
【0110】
原発がん又はがんの転移を治療するための方法の一実施形態では、治療は、患者におけるCTSCの血清学的レベルを低下させることを更に含む。一実施形態では、原発腫瘍又は転移は、治療期間前のCTSCタンパク質の血清レベルの上昇を含む。一実施形態では、治療期間中又は治療期間後、治療は、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルを少なくとも約10%低減することを含む。更なる実施形態では、治療は、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルを少なくとも約20%低減することを含む。更なる実施形態では、治療は、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルを少なくとも約30%低減することを含む。更なる実施形態では、治療は、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルを少なくとも約40%低減することを含む。更なる実施形態では、治療は、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルを少なくとも約50%低減することを含む。別の実施形態では、治療は、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルを少なくとも約60%低減することを含む。更に別の実施形態では、治療は、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルを少なくとも約70%低減することを含む。更に別の実施形態では、治療は、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルを少なくとも約80%低減することを含む。
【0111】
原発がん又は転移を治療するための方法の一実施形態では、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、患者のCTSCタンパク質の血清レベルは、約10%~約80%低減される。更なる実施形態では、患者のCTSCタンパク質の血清レベルは、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、約10%~約70%低減される。更なる実施形態では、患者のCTSCタンパク質の血清レベルは、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、約10%~約60%低減される。更なる実施形態では、患者のCTSCタンパク質の血清レベルは、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、約10%~約50%低減される。更なる実施形態では、患者のCTSCタンパク質の血清レベルは、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、約10%~約40%低減される。
【0112】
別の実施形態では、患者のCTSCタンパク質の血清レベルは、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、約40%~約80%低減される。更なる実施形態では、患者のCTSCタンパク質の血清レベルは、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、約50%~約80%低減される。更なる実施形態では、患者のCTSCタンパク質の血清レベルは、治療期間前の患者のCTSCタンパク質の血清レベルと比較して、約60%~約80%低減される。
【0113】
本明細書に提供される治療方法の一実施形態では、方法は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の好中球細胞外トラップ(NET)の数と比較して、患者のNETを低減することを更に含む。更なる実施形態では、方法は、治療期間前の転移におけるNETの数と比較して、治療期間中又は治療期間後の転移におけるNETを低減することを含む。別の実施形態では、方法は、治療期間前の原発がんにおけるNETの数と比較して、治療期間中又は治療期間後の原発がんにおけるNETを低減することを含む。一実施形態では、方法は、治療期間前の循環NETの数と比較して、治療期間中又は治療期間後に患者における循環NETを低減することを含む。
【0114】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、治療期間中又は治療期間後のNET(例えば、循環NET又は転移部位(複数可)におけるNET)の数は、治療期間前のNETの数と比較して、少なくとも約10%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、少なくとも約20%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、少なくとも約30%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、少なくとも約40%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、少なくとも約50%低減される。別の実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、少なくとも約60%低減される。更に別の実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、少なくとも約70%低減される。更に別の実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、少なくとも約80%低減される。
【0115】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、治療期間中又は治療期間後のNETの数(例えば、循環NET又は原発腫瘍若しくは腫瘍転移に存在するNET)は、治療期間前のNETの数と比較して、約10%~約80%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、約10%~約70%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、約10%~約60%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、約10%~約50%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、約10%~約40%低減される。
【0116】
本明細書に提供される治療方法の別の実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、約40%~約80%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、約50%~約80%低減される。更なる実施形態では、NETの数は、治療期間前のNETの数と比較して、約60%~約80%低減される。
【0117】
一実施形態では、NETは、免疫蛍光染色によって検出される。
【0118】
本明細書に提供される転移治療方法の別の実施形態では、方法は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の好中球遊走と比較して、又は医薬組成物で治療されていない転移患者と比較して、転移における好中球遊走を低減することを更に含む。更なる実施形態では、好中球遊走は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の転移における好中球遊走と比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%低減される。一実施形態では、好中球遊走は、免疫蛍光染色によって測定される。
【0119】
本明細書に提供される原発がん治療方法の別の実施形態では、方法は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の好中球遊走と比較して、又は医薬組成物で治療されていない原発がん患者と比較して、転移における好中球遊走を低減することを更に含む。更なる実施形態では、好中球遊走は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の原発がんにおける好中球遊走と比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%低減される。一実施形態では、好中球遊走は、免疫蛍光染色によって測定される。
【0120】
本明細書に提供される方法の一実施形態では、治療期間中又は治療期間後の好中球遊走は、治療期間前の好中球遊走と比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者における好中球遊走と比較して、約10%~約80%低減される。更なる実施形態では、治療期間中又は治療期間後の好中球遊走は、治療期間前の好中球遊走と比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者における好中球遊走と比較して、約10%~約70%低減される。更なる実施形態では、治療期間中又は治療期間後の好中球遊走は、治療期間前の好中球遊走と比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者における好中球遊走と比較して、約10%~約60%低減される。更なる実施形態では、治療期間中又は治療期間後の好中球遊走は、治療期間前の好中球遊走と比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者における好中球遊走と比較して、約10%~約50%低減される。更なる実施形態では、治療期間中又は治療期間後の好中球遊走は、治療期間前の好中球遊走と比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者における好中球遊走と比較して、約10%~約40%低減される。
【0121】
本明細書で提供されるのは、原発がん又はがんの転移を治療するための方法であって、部分的に、CTSC阻害剤、例えば式(I)の化合物(例えばブレンソカチブ)を、治療を必要とする患者に投与することを含む方法である。治療は、原発がん又は転移の進行を阻害するか、遅延させるか、又は逆転させる。
【0122】
一実施形態では、方法は、治療期間前のインターロイキン1ベータ(IL-1β)レベルと比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者と比較して、治療期間中又は治療期間後に患者におけるIL-1βレベルを減少させることを更に含む。一実施形態では、患者におけるIL-1βレベルは、治療期間前の患者におけるIL-1βレベルと比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者と比較して、治療期間中又は治療期間後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、低減される。別の実施形態では、方法は、治療期間前の患者のIL-1βレベルと比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者と比較して、治療期間中又は治療期間後に患者のIL-1βレベルを約5%~約25%、約25%~約50%、約50%~約75%、約25%~約75%、又は約5%~約75%減少させることを含む。
【0123】
一実施形態では、IL-1βレベルを減少させることは、原発がんの部位又は転移の部位におけるIL-1βレベルを減少させることを含む。一実施形態では、IL-1βレベルを減少させることは、循環IL-1βレベルを減少させることを含む。
【0124】
一実施形態では、本発明の方法は、走化性因子の循環レベルを減少させることを更に含む。更なる実施形態では、走化性因子は、インターロイキン6(IL-6)、C-Cモチーフケモカインリガンド3(CCL3)、又はRELA(p65)である。本明細書に提供される転移治療方法の一実施形態では、方法は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の走化性因子のレベルと比較して、走化性因子のレベルを減少させることを更に含む。一実施形態では、患者における走化性因子レベルは、治療期間前の患者における走化性因子レベルと比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者と比較して、治療期間中又は治療期間後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、低減される。別の実施形態では、方法は、治療期間前の患者の走化性因子レベルと比較して、又は医薬組成物を投与されていない患者と比較して、治療期間中又は治療期間後に患者の走化性因子レベルを約5%~約25%、約25%~約50%、約50%~約75%、約25%~約75%、又は約5%~約75%減少させることを含む。
【0125】
本明細書に提供される転移治療方法の一実施形態では、患者の原発がん又は転移の体積は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の原発がん又は転移の容積と比較して低減される。一実施形態では、体積の低減は、約5%~約75%である。更なる実施形態では、腫瘍体積(原発腫瘍又は二次腫瘍)の低減は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の腫瘍体積と比較して約25%~約50%、又は約50%~約75%である。別の実施形態では、腫瘍体積の低減は、治療期間中又は治療期間後に、治療期間前の腫瘍体積と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%である。
【0126】
本明細書に提供される原発がんのための方法の一実施形態では、原発がんの進行は退縮する。更なる実施形態では、治療期間中又は治療期間後に原発がんの退縮が生じる。例えば、一実施形態では、転移退縮は、治療期間の開始から約1か月後、約2か月後、約3か月後、約4か月後、約5か月後、約6か月後、約7か月後、約8か月後、約9か月後、約10か月後、約11か月後、又は約1年後に検出される。
【0127】
本明細書に提供される転移を治療する方法の一実施形態では、転移の進行は退縮する。更なる実施形態では、治療期間中又は治療期間後に転移の退縮が生じる。例えば、一実施形態では、転移退縮は、治療期間の開始から約1か月後、約2か月後、約3か月後、約4か月後、約5か月後、約6か月後、約7か月後、約8か月後、約9か月後、約10か月後、約11か月後、又は約1年後に検出される。
【0128】
本明細書に提供される方法は、一実施形態では、患者の生存率を改善することを更に含む。一実施形態では、生存率は、医薬組成物を投与されていない患者(すなわち、原発がん患者又は転移患者)の生存率と比較して増加する。一実施形態において、本明細書に提供される方法のうちの1つを受けた患者の生存率は、医薬組成物を投与されていない転移患者の生存率と比較して、平均1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24か月増加する。
【0129】
更に別の実施形態では、方法は、治療期間前の腫瘍様塊サイズと比較して、治療期間中又は治療期間後の原発がん又は転移における腫瘍様塊サイズを低減することを含む。更なる実施形態では、腫瘍様塊サイズは、治療期間中又は治療期後に、治療期間前の腫瘍様塊サイズと比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%低減される。いくつかの実施形態では、腫瘍様塊サイズは、画像化によって測定される。
【0130】
例示的な実施形態
実施形態1.原発腫瘍又は転移の治療又は阻害を必要とする患者において、それを治療又は阻害するための、カテプシンC阻害剤又はカテプシンC阻害剤を含む組成物の使用。
実施形態2.カテプシンC阻害剤が、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
【化17】
式中、
が、
【化18】
であり、
が、H、F、Cl、Br、OSO(C1-3)アルキル、及び(C1-3)アルキルからなる群から選択され、
が、水素、F、Cl、Br、CN、CF、SO1-3アルキル、CONH、又はSONRであり、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成し、
Xが、O、S、又はCFであり、
Yが、O又はSであり、
Qが、CH又はNであり、
が、(C1-3)アルキルであり、(C1-3)アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのフッ素原子で置換され、(C1-3)アルキル基が、任意選択で、OH、O(C1-3)アルキル、N[(C1-3)アルキル]、シクロプロピル、又はテトラヒドロピラニルから選択される置換基で置換され、
が、H、F、Cl、又はCHである、実施形態1の使用。
実施形態3.カテプシンC阻害剤が、ブレンソカチブである、実施形態1の使用。
実施形態4.カテプシンC阻害剤が、表1に記載の阻害剤、又はその薬学的に許容される塩である、実施形態1の使用。
実施形態5.原発腫瘍を治療又は阻害するための、実施形態1~4のいずれか1つの使用。
実施形態6.転移を治療又は阻害するための、実施形態1~4のいずれか1つの使用。
実施形態7.転移が、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、乳がんの脳転移、肺がんの骨転移、膵がんの肝転移、及び胃がんの肝転移である、実施形態6の使用。
実施形態8.転移が、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、又は肺がんの骨転移である、実施形態6の使用。
実施形態9.腫瘍転移が、乳がんの転移である、実施形態6の使用。
実施形態10.乳がんが、管腔乳がん、ヒト表皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである、実施形態9の使用。
実施形態11.転移が、肺がんの転移である、実施形態6の使用。
実施形態12.肺がんが、非小細胞肺がん又は小細胞肺がんである、実施形態11の使用。
実施形態13.原発がんが、肺がんである、実施形態5の使用。
実施形態14.原発がんが、肝がんである、実施形態5の使用。
実施形態15.原発がんが、乳がんである、実施形態5の使用。
実施形態16.阻害剤又は組成物が、経口投与されることを特徴とする、実施形態1~15のいずれか1つの使用。
実施形態17.阻害剤又は組成物が、非経口投与されることを特徴とする、実施形態1~15のいずれか1つの使用。
実施形態18.患者が、カテプシンC(CTSC)タンパク質の上昇した血清レベルを有し、治療又は阻害が、CTSCタンパク質の上昇した血清レベルを少なくとも約25%低減することを含む、実施形態1~17のいずれか1つの使用。
実施形態19.患者が、カテプシンC(CTSC)タンパク質の上昇した血清レベルを有し、治療又は阻害が、CTSCタンパク質の上昇した血清レベルを約25%~約75%低減することを含む、実施形態1~17のいずれか1つの使用。
実施形態20.治療を必要とする患者においてがんの転移を治療する方法であって、
治療を必要とする患者に、治療期間にわたって、有効量のCTSC阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含み、治療することにより、患者における腫瘍転移の進行が、阻害されるか、遅延するか、又は逆転する、方法。
実施形態21.治療を必要とする患者において原発がんを治療する方法であって、治療を必要とする患者に、治療期間にわたって、有効量のCTSC阻害剤を含む医薬組成物を投与することを含み、治療することにより、患者における原発がんの進行が、阻害されるか、遅延されるか、又は逆転する、方法。
実施形態22.CTSC阻害剤が、以下の化合物のうちの1つである、実施形態20又は21に記載の方法。
【表3】
治療は、患者における原発がんの進行を阻害するか、遅延させるか、又は逆転させる。
実施形態23.CTSC阻害剤が、式(I)の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
【化19】
式中、
が、
【化20】
であり、
は、H、F、Cl、Br、OSO(C1-3)アルキル、又は(C1-3)アルキルであり、
が、水素、F、Cl、Br、CN、CF、SO1-3アルキル、CONH、又はSONRであり、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、又はピペリジン環を形成し、
Xが、O、S、又はCFであり、
Yが、O又はSであり、
Qが、CH又はNであり、
が、(C1-3)アルキルであり、(C1-3)アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのフッ素原子で置換され、(C1-3)アルキル基が、任意選択で、OH、O(C1-3)アルキル、N[(C1-3)アルキル]、シクロプロピル、又はテトラヒドロピラニルから選択される置換基で置換され、
が、H、F、Cl、又はCHである。
が、H、F、Cl、又はCHである、実施形態20又は21の方法。
実施形態24.Rが、
【化21】
であり、
Xが、O、S、又はCFであり、
Yが、O又はSであり、
Qが、CH又はNであり、
が、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランからなる群から選択される1つの置換基によって置換され、
が、水素、F、Cl、又はCHである、実施形態23の方法。
実施形態25.Rが、
【化22】
であり、
Xが、O、S、又はCFであり、
Yが、O又はSであり、
が、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルが、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、任意選択で、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)、シクロプロピル、及びテトラヒドロピランからなる群から選択される1つの置換基によって置換され、
が、水素、F、Cl、又はCHである、実施形態23又は24の方法。
実施形態26.Rが、
【化23】
である、実施形態23~25のいずれか1つの方法。
実施形態27.Xが、Oであり、Rが、C1-3アルキルであり、Rが、水素である、実施形態26の方法。
実施形態28.Rが、
【化24】
であり、
Xが、Oであり、
が、C1-3アルキルであり、C1-3アルキルは、任意選択で、1つ、2つ、又は3つのFによって置換され、
が、水素である、実施形態23の方法。
実施形態29.Rが、
【化25】
であり、
Xが、Oであり、
が、C1-3アルキルであり、
が、水素である、実施形態23の方法。
実施形態30.Xが、O、S、及びCFであり、Rが、(C)アルキルであり、(C)アルキルは、任意選択で、1つ、2つ、若しくは3つのフッ素原子で置換され、Rが、Hである、実施形態26の方法。
実施形態31.式(I)の化合物が、ブレンソカチブ、又はその薬学的に許容される塩である、実施形態23の方法。
実施形態32.式(I)の化合物が、ブレンソカチブである、実施形態23の方法。
実施形態33.式(I)の化合物が、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
4’-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イルメタンスルホネート、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3’,4’-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-2-(4’-カルバモイル-3’-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4’-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4’-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4’-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、又は
その薬学的に許容される塩である、実施形態23の方法。
実施形態34.医薬組成物の投与が、経口投与によるものである、実施形態20~33のいずれか1つの方法。
実施形態35.医薬組成物の投与が、非経口投与によるものである、実施形態20~33のいずれか1つの方法。
実施形態36.医薬組成物の投与が、静脈内投与によるものである、実施形態20~33のいずれか1つの方法。
実施形態37.医薬組成物の投与が、注入によるものである、実施形態20~33のいずれか1つの方法。
実施形態38.医薬組成物が、錠剤形態である、実施形態20~33のいずれか1つの方法。
実施形態39.医薬組成物が、錠剤コーティングを更に含む、実施形態20~34のいずれか1つの方法。
実施形態40.式(I)の化合物が、医薬組成物中に約5ミリグラム(mg)~約70mg存在する、実施形態20~39のいずれか1つの方法。
実施形態41.式(I)の化合物が、医薬組成物中に約10ミリグラム(mg)~約60mg存在する、実施形態20~39のいずれか1つの方法。
実施形態42.式(I)の化合物が、医薬組成物中に約10ミリグラム(mg)~約40mg存在する、実施形態20~39のいずれか1つの方法。
実施形態43.式(I)の化合物が、医薬組成物中に約10ミリグラム(mg)で存在する、実施形態20~39のいずれか1つの方法。
実施形態44.式(I)の化合物が、医薬組成物中に約25ミリグラム(mg)で存在する、実施形態20~39のいずれか1つの方法。
実施形態45.式(I)の化合物が、医薬組成物中に約40ミリグラム(mg)で存在する、実施形態20~39のいずれか1つの方法。
実施形態46.式(I)の化合物が、医薬組成物中に約60ミリグラム(mg)で存在する、実施形態20~39のいずれか1つの方法。
実施形態47.投与が、治療期間を通して、1日に1回行われる、実施形態20~46のいずれか1つの方法。
実施形態48.投与が、治療期間を通して、1日に2回行われる、実施形態20~46のいずれか1つの方法。
実施形態49.投与が、治療期間を通して、2日に1回行われる、実施形態20~46のいずれか1つの方法。
実施形態50.投与が、治療期間を通して、3日に1回行われる、実施形態20~46のいずれか1つの方法。
実施形態51.治療期間が、少なくとも1か月である、実施形態20~50のいずれか1つの方法。
実施形態52.治療期間が、少なくとも2か月である、実施形態20~50のいずれか1つの方法。
実施形態53.治療期間が、少なくとも3か月である、実施形態20~50のいずれか1つの方法。
実施形態54.治療期間が、少なくとも6か月である、実施形態20~50のいずれか1つの方法。
実施形態55.治療期間が、約6か月~約24か月である、実施形態20~50のいずれか1つの方法。
実施形態56.治療期間が、約6か月~約18か月である、実施形態55の方法。
実施形態57.治療期間が、約6か月~約12か月である、実施形態55の方法。
実施形態58.治療期間が、約12か月~約24か月である、実施形態55の方法。
実施形態59.治療期間が、約12か月~約18か月である、実施形態55の方法。
実施形態60.患者が、治療期間前に、カテプシンC(CTSC)タンパク質の上昇した血清レベルを呈する、実施形態20~59のいずれか1つの方法。
実施形態61.CTSCタンパク質の上昇した血清レベルが、治療期間中又は治療期間後に少なくとも約25%低減される、実施形態60の方法。
実施形態62.CTSCタンパク質の上昇した血清レベルが、治療期間中又は治療期間後に少なくとも約50%低減される、実施形態60の方法。
実施形態63.CTSCタンパク質の上昇した血清レベルが、治療期間中又は治療期間後に少なくとも約75%低減される、実施形態60の方法。
実施形態64.CTSCタンパク質の上昇した血清レベルが、治療期間中又は治療期間後に約25%~約75%低減される、実施形態60の方法。
実施形態65.患者が、ヒトである、実施形態20~64のいずれか1つの方法。
実施形態66.患者が、治療期間後又は治療期間中に転移の退縮を経験する、実施形態20及び22~65のいずれか1つの方法。
実施形態67.患者が、治療期間後又は治療期間中に原発がんの退縮を経験する、実施形態21~65のいずれか1つの方法。
実施形態68.退縮が、治療期間に入って約2か月又は約3か月で生じる、実施形態66又は67の方法。
実施形態69.退縮が、治療期間に入って約6か月で生じる、実施形態66又は67の方法。
実施形態69.転移が、乳がんの転移である、実施形態20、22~66及び68~69のいずれか1つの方法。
実施形態70.乳がんの転移が、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、又は乳がんの脳転移である、実施形態69の方法。
実施形態71.乳がんの転移が、乳がんの肺転移である、実施形態70の方法。
実施形態72.乳がんが、ルミナール乳がん、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである、実施形態69~71のいずれか1つの方法。
実施形態73.転移が、肺がんの骨転移、膵がんの肝転移、又は胃がんの肝転移である、実施形態20、22~66及び68~69のいずれか1つの方法。
実施形態74.転移が、乳がんの肺転移、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、乳がんの脳転移、肺がんの骨転移、直腸がんの肝転移、膵がんの肝転移、又は胃がんの肝転移である、実施形態20、22~66及び68~69のいずれか1つの方法。
実施形態75.転移が、肺がんの転移である、実施形態20、22~66及び68~69のいずれか1つの方法。
実施形態76.肺がんが、非小細胞肺がんである、実施形態75の方法。
実施形態77.肺がんが、小細胞肺がんである、実施形態75の方法。
実施形態78.転移が、膵がん又は胃がんの転移である、実施形態20、22~66及び68~69のいずれか1つの使用。
実施形態79.転移が、骨がん、肝がん、胃がん、結腸がん、直腸がん又は結腸直腸がんの転移である、実施形態20、22~66及び68~69のいずれか1つの方法。
実施形態80.原発がんが、肺がんである、実施形態21~65及び67~69のいずれか1つの方法。
実施形態81.原発がんが、乳がんである、実施形態21~65及び67~69のいずれか1つの方法。
実施形態82.原発がんが、肝がんである、実施形態21~65及び67~69のいずれか1つの方法。
実施形態83.肺がんが、小細胞肺がんである、実施形態80の方法。
実施形態84.肺がんが、非小細胞肺がんである、実施形態80の方法。
実施形態85.乳がんが、ルミナール乳がん、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陽性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がんである、実施形態81の方法。
実施形態86.治療することが、患者におけるインターロイキン1ベータ(IL-1β)の循環レベルを、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の患者のIL-1βの循環レベルと比較して低減させることを更に含む、実施形態20~85のいずれか1つの方法。
実施形態88.転移の体積が、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の転移の体積と比較して約5%~約25%低減する、実施形態20、22~66、68~79及び86のいずれか1つの方法。
実施形態89.転移の体積が、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の転移の体積と比較して約25%~約50%低減する、実施形態20、22、24~66、68~79及び86のいずれか1つの方法。
実施形態90.転移の体積が、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の転移の体積と比較して約50%~約75%低減する、実施形態20、22、24~66、68~79及び86のいずれか1つの方法。
実施形態91.原発がんの体積が、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の原発がんの体積と比較して約5%~約25%低減する、実施形態21~65、67~69及び80~86のいずれか1つの方法。
実施形態92.原発がんの体積が、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の原発がんの体積と比較して約25%~約50%低減する、実施形態21~65、67~69及び80~86のいずれか1つの方法。
実施形態93.原発がんの体積が、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の原発がんの体積と比較して約50%~約75%低減する、実施形態21~65、67~69及び80~86のいずれか1つの方法。
実施形態94.患者の生存率が、医薬組成物を投与されていない患者の生存率と比べて増加する、実施形態20~93のいずれか1つの方法。
実施形態95.治療することが、患者の循環好中球細胞外トラップ(NET)を、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の患者の循環NETの数と比較して低減させることを更に含む、実施形態20~94のいずれか1つの方法。
実施形態96.治療することが、好中球遊走を、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の転移における好中球遊走と比較して低減させることを更に含む、実施形態20~95のいずれか1つの方法。
実施形態97.好中球遊走を減少させることが、好中球遊走を、医薬組成物を投与されていない第2の患者における好中球遊走と比較して、約25%~約75%低減させることを含む、実施形態96の方法。
実施形態98.好中球遊走を減少させることが、好中球遊走を、医薬組成物を投与されていない第2の患者における好中球遊走と比較して、約25%~約50%低減させることを含む、実施形態96の方法。
実施形態99.好中球遊走を減少させることが、好中球遊走を、医薬組成物を投与されていない第2の患者における好中球遊走と比較して、少なくとも約25%低減させることを含む、実施形態96の方法。
実施形態100.好中球遊走を減少させることが、好中球遊走を、医薬組成物を投与されていない第2の患者における好中球遊走と比較して、少なくとも約50%低減させることを含む、実施形態96の方法。
実施形態101.好中球遊走が、免疫蛍光染色によって測定される、実施形態96~100のいずれか1つの方法。
実施形態102.治療することが、患者の好中球細胞外トラップ(NET)を、治療期間中に又は治療期間の後に、治療期間前の患者のNETの数と比較して低減させることを更に含む、実施形態20~101のいずれか1つの方法。
実施形態103.転移におけるNETの数が、治療期間前の転移におけるNETの数と比較して少なくとも50%低減する、実施形態102の方法。
実施形態104.NETが、免疫蛍光染色によって検出される、実施形態102又は103の方法。
実施形態105.治療することが、患者における1つ以上のタンパク質の発現レベルを低減させることを更に含み、1つ以上のタンパク質が、カテプシンC(CTSC)、インターロイキン6(IL-6)、C-Cモチーフケモカインリガンド3(CCL3)、又はRELA(p65)である、実施形態20~104のいずれか1つの方法。
実施形態106.治療することが、原発がん又は転移における腫瘍様塊サイズを低減させることを更に含む、実施形態20~105のいずれか1つの方法。
実施形態107. 腫瘍様塊サイズが、画像化によって測定される、実施形態106の方法。
【実施例
【0131】
本発明は、以下の実施例を参照することによって更に例示される。しかしながら、実施例は、上述の実施形態と同様に、例示的なものであり、いかなる場合においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0132】
材料及び方法
別段の指示がない限り、以下の材料及び方法を使用して、以下の実施例を実施した。
【0133】
オリゴヌクレオチド配列及びデータ
この研究で使用されるオリゴヌクレオチド配列は、表S2に示されている。セクレトームプロファイリングデータの一部(MDA-MB-231及びそのサブライン)は、以前の研究で公表されている(Zhuang et al.,“Differential effects on lung and bone metastasis of breast cancer by Wnt signalling inhibitor DKK1,”Nat.Cell Biol.19:1274-1285(2017))。残りのデータ(MCF10CA1h対MCF10CA1a、4T1シリーズ)は、この研究において、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Xiao et al.,“Cathepsin C promotes breast cancer lung metastasis by modulating neutrophil infiltration and neutrophil extracellular trap formation,”Cancer Cell 29:1-15(2021)の表S3及びS4として示されている。この研究のオリジナルデータは、Mendeley Data(www(dot)doi(dot)org/10.17632/sb8h3hw84k.1)に保存されている。
【0134】
細胞株
この研究で生成された細胞株及びそれらの親細胞株(MDA-MB-231及びそのサブライン、4T1シリーズ、AT3)は、10%v/vのFBS及び100μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEMで増殖させた。MCF10シリーズ細胞株は、10μg/mlのインスリン、20ng/mlのEFG、0.5μg/mlのヒドロコルチゾン、100μg/mlのペニシリン/ストレプトマイシン、及び20%v/v馬血清を補充したDMEM/F12培地で増殖させた。5~8継代の細胞培養物を使用し、毎週マイコプラズマ汚染について試験した。
【0135】
ヒト乳がん組織及び血液試料
転移状態のフォローアップ情報を有する凍結原発腫瘍標本(管腔、HER2、トリプルネガティブ腫瘍に対してそれぞれn=48、30、10)及び患者血清(n=46)は、患者のインフォームドコンセント及びQilu Institutional Review Boardの承認を得て、Qilu Hospital of Shandong Universityから入手した。これらの88の原発腫瘍検体のうち、58はまた、全体的生存情報を有していた。パラフィン包埋原発腫瘍(管腔、HER2、トリプルネガティブ腫瘍に対してそれぞれn=42、12、20)及び肺転移(n=29)は、全ての対象からのインフォームドコンセント及び病院機関研究倫理委員会からの承認を得て、Shanghai General Hospitalから入手した。上海コホートのこれら74の原発腫瘍のうち、58の試料(管腔、HER2、トリプルネガティブ腫瘍に対してそれぞれ30、9、19)は、転移状態のフォローアップ情報を有していた。フォローアップ情報のある試料は、転移(n=146)及び全体的生存(n=58)のKaplan-Meier分析に使用された。好中球単離のための全血試料を、Shanghai Jiao Tong University Affiliated Sixth People’s Hospital及びZhongshan Hospitalから、センターの治験審査委員会の免除承認下で、収集した。
【0136】
マウス実験
6~10週齢の雌BALB/c及び無胸腺マウスを全ての動物実験に使用した。直交及び静脈内注射を、以前に説明されたように行った(Zhuang et al.,“Differential effects on lung and bone metastasis of breast cancer by Wnt signalling inhibitor DKK1,”Nat.Cell Biol.19:1274-1285(2017))。EdU標識アッセイのために、ヌードマウスに2×10個のがん細胞を静脈内注射し、続いて100ng/マウスEdU(ThermoFisher、C10640)を肺採取の24時間前に腹腔内(i.p.)注射した。好中球枯渇アッセイについては、マウスに、がん細胞注射の3日前に1A8 Ly6G抗体(BE0075-1,BioXCel)又はラットIgG対照(I4131、Sigma)の2回の初回i.p.注射(200μg/マウス)を行い、次いでがん細胞注射の1週間後に2回、維持注射を行った。Sivelestat又はDNase I処置については、マウスにSivelestat(50mg/kg)又はDNase I(5mg/kg)をがん細胞注射の2時間前に注射し、続いて9日間試薬を毎日注射し、次いで週に2回維持注射した。GSK484処置については、マウスを、AT3又は4T07細胞の同所注射後、GSK484(20mg/kg、i.p.1日1回ショット、7日目から20日間、次いで2日毎に維持ショット)で処置した。IL-1bブロッキング又はIL6R/CCR1阻害アッセイについては、マウスを5×10AT3で同所接種し、マウスを屠殺するまで7日目から2日毎に、IgG若しくはIL-1βブロッキング抗体(マウス当たり100μg)、又はIL6Rブロッキング抗体(マウス当たり100μg)及びCCR1阻害剤BX471(20mg/kg)のi.p.投与で処置した。ブレンソカチブ処置については、BALB/cマウスに1×10個の4T1細胞を同所接種し、C57/BL6マウスに2×10個のAT3を同所接種した。ビヒクル対照(0.5%HPMC、0.1Mクエン酸緩衝液中の0.1%Tween80、pH3)及びブレンソカチブ(5mg/kg)を、マウスを屠殺するまで1日2回経口投与した。同所性腫瘍を、約1cmのサイズで外科的に除去した。1×10個のLM2細胞の静脈内接種後、組換えヒト活性PR3処理(1.5mg/kg)を毎日静脈内投与した。TSP-1分解アッセイについては、マウスに、がん細胞注射の2時間前にGSK484(20mg/kg)をi.p.注射し、続いて毎日処置を行った。次いで、3×10個のAT3又は4T07細胞の注射の72時間後に、血液が除去されるまで、肺に右室を通して50mlの事前冷却PBSを灌流した。BLIをNightOWL II LB983 Imaging System (BERT-hold)及びIVIS Spectrum CT(PerkinElmer)で取得した。全ての動物試験は、実験動物のケア及び使用に関するガイドラインに従って実施され、 Shanghai Institute of Nutrition and Healthの施設動物ケア及び使用委員会によって承認された。
【0137】
ウェスタンブロット
培養細胞をスクレーパーにより収集又はトリプシン処理し、次いで溶解緩衝液(50mMのトリス-HCl、150mMのNaCl、1%のNP-40洗剤、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤を用いた0.1%のSDS)で溶解し、分散させた組織を氷上のRIPA緩衝液中で15分間均質化し、続いて17,000gで15分間遠心分離した。タンパク質濃度をBCAタンパク質アッセイキットで測定した。膜タンパク質、IL-1β処理、p65リン酸化及び他のアッセイについては、それぞれ10μg、80μg、30μgのタンパク質を投入し、8~12%のSDS-ポリアクリルアミドゲル上で分離した。がん細胞馴化培地(CM)収集については、細胞を10cm培養皿内で約80%コンフルエンスまで増殖させた。37℃で無血清培地で3回洗浄した後、細胞を無血清培地中で37℃で24時間インキュベートした。CMを収集し、2,000gで10分間遠心分離し、0.22μmフィルターによって濾過し、使用するまで-80℃で保管した。CM中の分泌タンパク質を、TCA沈殿によって収集した。簡潔に述べると、25%v/vのTCAを、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤とともに1mlのCMに添加し、4℃で一晩インキュベートし、次いで20,000gで60分間遠心分離し、その後、上清を廃棄し、ペレットを1mlの事前冷却アセトンで2回洗浄し、20,000gで4℃で5分間再度遠心分離した。乾燥タンパク質ペレットを溶解緩衝液で溶解し、12%のSDS-ポリ-アクリルアミドゲル上で分離した。
【0138】
肺転移及び転移性ニッチにおける間質成分のFACS分析
間質含有量分析の手順は、以前にZhuang et al.,“Differential effects on lung and bone metastasis of breast cancer by Wnt signalling inhibitor DKK1,”Nat.Cell Biol.19:1274-1285(2017)で説明されている。簡潔に述べると、肺転移を採取し、粉砕し、5mg/mlのコラゲナーゼIII型(LS004182、Worthington)、0.001%(W/V)DNase I(D-4527、Sigma)及び1%(w/w)Dispase(17105-041、Invitrogen)によって37℃で1時間更に消化させた。早期転移性ニッチにおける免疫細胞の分析については、血液が除去されるまで、肺に右室を通して50mlのPBSを灌流した。肺組織の単細胞懸濁液を上記のように調製した。次いで、赤血球をRBC溶解試薬(555899、BD Pharmingen)で溶解した。細胞をCD16/CD32抗体(2.4G2、BD Life Sciences)とともに4℃で10分間インキュベートして、抗体染色の前にFcRをブロックした。フローサイトメトリーをGallious(Beckman)FACSシステムによって実施し、FlowJo V10ソフトウェアによって定量化した。
【0139】
好中球単離
骨髄から好中球を単離するために、8~12週齢のBALB/cマウスからの骨髄細胞を、Ca2+/Mg2+(14185052、Invitrogen)なしの滅菌ハンクス緩衝塩溶液(HBSS)中で採取し、2層Percoll(17089102、GE Healthcare)勾配(HBSS中72%及び63.5%)の上に置き、続いて、1,200gで、25℃で30分間遠心分離した。63.5%~72%の画分の界面で濃縮された好中球は、フローサイトメトリー分析によって>95%の純度のものであることが確認された。マウスの末梢血から好中球を単離するために、心穿刺(動物1匹当たり1ml)を介して全血を収集し、15mMのEDTAを含むHBSS(動物1匹当たり2ml)中に懸濁した。遠心分離(400g、10分、4℃)後、白血球を2mMのEDTAを含む2mlのHBSS中に再懸濁した。次いで、細胞を、3層Percoll勾配(78%、69%、及び52%)で中断なく遠心分離した(1500g、30分、室温)。フローサイトメトリー分析により、69%及び78%の層の界面で濃縮された好中球の純度が95%超であることが確認された。Polymorphprep(1114683、Axis-Shield)を使用して密度勾配分離し、室温で500gで30分間遠心分離することによって、健康な女性ボランティア及び乳がん患者の末梢血からヒト好中球を単離した。単離された好中球の純度を、May-Grunwald-Giemsa染色(40751ES02、Yea-sen)によって決定した。別段の記載がない限り、好中球を、0.2%BSAを含むRPMI1640培地中で培養した。
【0140】
インビトロNET分析
NET形成を評価するために、好中球(2.5×10個の細胞)を、24ウェルプレート中のポリ-L-リジン(P4707、Sigma)でコーティングされたカバースリップに30分間播種した後、10%のがん細胞CM、Sivelestat(10μM)、PMA(20nM、Sigma)、Cl-アミジン(100μM、Selleck)、及び/又はDNase I(1μg/ml)を添加した。37℃で12~16時間後、好中球を4%パラホルムアルデヒド(PFA)で室温で10分間固定し、PBSで2回洗浄し、0.1%Triton X-100中で5分間透過化した。細胞を、5%BSAを含有するPBS中で30分間ブロックし、次いで、4℃で一晩ブロッキング緩衝液中で、抗ヒストンH3(1:50、3680、CST)及び抗NE(1:100、ab68672、ABCAM)、又は抗MPO(1:400、AF3667、R&D)及びCi-H3(1:200、ab5103、ABCAM)でインキュベートした。PBS中で3回洗浄した後、細胞を蛍光色素複合二次抗体(1:500、Invitrogen)で1時間インキュベートし、次いでDAPI(Roche、10236276001)で対比染色してからマウントした(Dako、S3023)。共焦点顕微鏡Cell Observer(ZEISS、ドイツ)で観察及び撮影を行い、Zenブルーエディションソフトウェア(ZEISS、ドイツ)で画像処理及び分析を行った。NET面積定量は、DANA法(Rebernick et al.,“DNA area and NETosis analysis (DANA):a high-throughput method to quantify neutrophil extracellular traps in fluorescent microscope images,”Biol.Proced.Online 20:7(2018))を使用して行った。簡潔に述べると、NET形態を示す構造の面積と、Ci-H3又は全H3について陽性である面積をNETotic細胞面積としてカウントし、NETotic細胞面積を全DNA面積で除した面積としてNET面積パーセンテージを分析した。NETotic細胞のパーセンテージを、前述のように分析した(Valk et al.,“Prognostically useful gene-expression profiles in acute myeloid leukemia,”N.Engl.J.Med.350:1617-1628(2004))。細胞をインキュベートし、細胞透過性SYTO赤色(1μM)及び細胞透過性SY-TOX緑色(1μM)の両方で3時間同時に染色した。次いで、上清を廃棄し、細胞を4℃で、4%のPFAによって固定した。共焦点顕微鏡Cell Observer(ZEISS、ドイツ)によって画像を撮影した。NETotic細胞の数を全細胞数で除したものとして、NETotic細胞のパーセンテージをカウントした。
【0141】
循環NETの検出
循環NETを分析するために、ヒト血清中のMPO-DNA複合体又はマウス血清中の又はNE-DNA複合体を、前述の捕捉ELISA法(Kessenbrock et al.,“Netting neutro-phils in autoimmune small-vessel vasculitis,”Nat.Med.15:623-625(2009)、Teijeira et al.,“CXCR1 and CXCR2 chemokine receptor agonists produced by tumors induce neutrophil extracellular traps that interfere with immune cytotoxicity,”Immunity 52:856-871 e858(2020))をわずかな修飾とともに使用してアッセイした。ヒト血清MPO-DNAを分析するために、96ウェルのMaxiSorp ELISAプレート(44-2404、ThermoFisher)を、4℃で一晩、5μg/mlの抗MPO(0400-0002、Bio-Rad)捕捉抗体でコーティングした。PBS中で3回洗浄した後、室温で45分間、PBS中5%のBSAでウェルをブロックした。次いで、50μlの患者血清をペルオキシダーゼ標識抗DNAモノクローナル抗体(Cell Death Detection ELISA Kit、Roche、11774425001の成分2)とともに添加し、室温で2時間インキュベートし、プレートを洗浄緩衝液(1%BSA、PBS中0.05%Tween-20)で3回洗浄した。マウス血清NETを分析するために、NE-DNA複合体を、製造業者の指示に従って、上記のペルオキシダーゼ標識抗DNAモノクローナル抗体と組み合わせて、マウスNE ELISAキット(ab252356、ABCAM)を使用して捕捉した。PBS洗浄を3回行った後、ペルオキシダーゼ基質(Roche、11774425001)を添加した。37℃で1時間インキュベートした後、シグナルを405nmで測定した。
【0142】
2チャンバー好中球遊走アッセイ
2チャンバー遊走アッセイの手順は、以前に説明されている(Zhuang et al.,“Differential effects on lung and bone metastasis of breast cancer by Wnt signalling inhibitor DKK1,”Nat.Cell Biol.19:1274-1285(2017))。簡潔に述べると、RPMI 1640中の5×10個の新たに単離された好中球を上部チャンバー(363096、BD)に添加し、RPMI 1640とがん細胞CMとの1:1混合物、又はがん細胞CM中で培養された好中球由来の培地を、化学誘引剤として下部チャンバーに添加した。下部チャンバー内の遊走した細胞を、3時間後に数えた。
【0143】
好中球原形質膜タンパク質の単離
HL-60由来好中球の原形質膜タンパク質を、以前に報告されたプロトコル(Suski et al.,“Isolation of plasma membrane-associated membranes from rat liver,”Nat.Protoc.9:312-322(2014);Zhang et al.,“Neutrophil membrane-coated nanoparticles inhibit synovial inflammation and alleviate joint damage in inflammatory arthritis,”Nat.Nanotechnol 13:1182-1190(2018))に従って精製した。HL-60細胞から誘導された好中球を、分化培地(IMDM、10% FBS、1.25%DMSO)中で8日間培養した。膜タンパク質を採取するために、凍結細胞を解凍し、1×10個の細胞胞/mlの密度でプロテアーゼ阻害剤カクテル(539134、Merck)又はシステインプロテアーゼ阻害剤E64d(HY-100229、MCE)を含む低張性溶解緩衝液(225mMのD-マンニトール、30mM pH7.5のトリス-HCl、0.2mMのEGTA、75mMのスクロース)中に懸濁した。細胞を氷冷Dounceホモジナイザ(20パス)内で均質化し、次いで20,000gで20分間4℃で遠心分離し、その後ペレットを廃棄し、上清を100,000gで30分間4℃で再度遠心分離した。上清は、細胞質ゾル分画であった。原形質膜タンパク質を含有するペレットを、低張性溶解緩衝液中で1回洗浄した。Pierce Cell Surface Protein Isolation Kit(Thermo Scientific、89881)を用いて、前述のように、ヒト末梢血由来好中球から原形質膜タンパク質を単離した(Tei-jeira et al.“CXCR1 and CXCR2 chemokine receptor agonists produced by tumors induce neutrophil extracellular traps that interfere with immune cytotoxicity,”Immunity 52:856-871 e858(2020))。簡潔に述べると、細胞を、非細胞透過性及びチオール切断可能なアミン反応性ビオチン化試薬であるThermo Scientific EZ-Link Sulfo-NHS-SS-Biotinで標識した。次いで、Pierce IP溶解緩衝液(25mMのトリス-HCl pH7.4、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1%のNP-40、及び5%のグリセロール)で溶解し、5回の1秒バーストを用いて氷上で超音波処理することによって、細胞溶解物全体を得た。ビオチン化細胞膜タンパク質をNeutrAvidin-agarose樹脂によって精製し、5mMのジチオスレイトールを含有するPierce IP溶解緩衝液でインキュベートすることによって放出した。
【0144】
酵素活性アッセイ
酵素活性アッセイの手順を、以前に報告されたように実施した(Korkmaz et al.,“Neutrophil proteinase 3 and dipeptidyl peptidase I(cathepsin C) as pharmacological targets in granulomatosis with polyangiitis(Wegener granulomatosis),”Semin.Immunopathol.35:411-421(2008))。細胞懸濁液又は遊離酵素によって、PR3特異的基質(Abz)-VADnorVADRQ-(EDDnp)又はNE特異的基質(Abz)-APEEIMRRQ-(EDDnp)の加水分解速度を検出することによって、PR3又はNE酵素活性を定量化した。膜結合PR3活性を分析するために、好中球を、がん細胞CM又は非馴化培地中で培養し、DMSO又はSivelestat(10μM)、Alvelestat(10μM)、及びCTSGi(20μM)を含む様々な阻害剤で、37℃で30~45分間処理した。次いで、細胞を、15μMのPR3特異的基質とともに活性緩衝液(1ml当たり5×10、PBS、4mMのEGTA、pH7.4)中に懸濁し、加水分解の動態に続いて、λex=320nm及びλem=420nmでの蛍光を測定した。単離された形質膜画分におけるPR3の活性化のために、組換えヒトCTSC(1071-CY、R&D)を製造業者の指示に従って活性化した。次いで、形質膜タンパク質を、1ml当たり250μgに希釈し、活性化緩衝液(25mMのMES、50mMのNaCl、5mMのDTT、pH6.0)中で1時間、活性ヒトCTSCとともにインキュベートした。遊離PR3及びNEの活性を、λex=320nm及びλem=420nmでの蛍光を記録することによって、15μMの特異的基質を有するアッセイ緩衝液(50mM Tris、750mM NaCl、pH7.4)中で測定した。
【0145】
サイトカイン抗体アレイ
製造業者の指示に従い、マウスサイトカイン抗体アレイ(ab133994、ABCAM)を使用して、4T07細胞からCMで培養された好中球の培地中でサイトカインを検出した。簡潔に述べると、膜をブロッキング緩衝液で45分間ブロックし、次いでプロテアーゼ阻害剤カクテル(539134、Merck)を含有する試料1mlとともに4℃で一晩インキュベートした。ビオチン結合抗体及びHRP-ストレプトアビジンインキュベーション後、化学発光検出を行った。アレイに含まれるサイトカインは、Xiao et al.,“Cathepsin C promotes breast cancer lung metastasis by modulating neutrophil infiltration and neutrophil extracellular trap formation,”Cancer Cell 29:1-15(2021)の表S5に列挙されている。
【0146】
ELISA
ELISAキットを使用して、製造業者の指示に従い、細胞培養上清又は血清中のヒトIL-1β(88-7621-88、ThermoFisher)、マウスIL-1 β(432604、Biolegend)、マウスIL6(88-7064-88、ThermoFisher)、マウスCCL3(88-56013-88、ThermoFisher)のレベルをアッセイした。簡潔に述べると、96ウェルMaxiSorp(商標)ELISAプレート(44-2404、ThermoFisher)を、コーティング緩衝液(15mMのNaCO、35mMのNaHCO、pH9.6)中で4℃で一晩、捕捉抗体でコーティングした。PBS中で3回洗浄した後、室温で45分間、PBS中5%のBSAでウェルをブロックした。次いで、100μlの細胞培養上清又は血清及び標準試料を、ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートし、プレートを、洗浄緩衝液(1%のBSA、PBS中0.05%のTween-20)で3回洗浄した。次に、2.5%BSA中のビオチン結合検出抗体をウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。洗浄緩衝液で3回洗浄した後、HRP-ストレプトアビジンを室温で45分間インキュベートした。次いで、TMB溶液を使用してシグナルを検出し、450nmで読み取った。
【0147】
免疫蛍光(IF)染色
マウスの肺組織については、血液が除去されるまで、肺に右室を通して50mlのPBSを灌流した。次いで、組織を事前冷却PBSですすぎ、振盪器上で、4℃で4%のPFA中で2時間固定し、PBS中の30%スクロースによって一晩脱水し、OCT(Sakura、4583)中に4℃で1時間埋め込み、続いて、-80℃で凍結した。組織を10μmの厚さに切片化し、PBSで2回洗浄し、0.2%Triton X-100中で15分間透過化し、5%のBSAを含むPBS中で45分間ブロックした。EdU染色には、CLICK PLUS EdU 647 Imaging Kit(ThermoFisher、C10640)を使用した。
【0148】
三次元スフェロイド培養
3Dスフェロイド培養アッセイの手順は、以前に報告されている(Taylor et al.,“Lysyl oxidase contributes to mechanotransduction-mediated regulation of transforming growth factor-beta signaling in breast cancer cells,”Neoplasia 13:406-418(2011))。簡潔に述べると、4T07細胞(ウェル当たり200個)を、スフェロイド培地中の100%増殖因子低減マトリゲル(356231、BD)クッション上の48ウェルプレート(1%FBS DMEMと、がん細胞CM中で培養した好中球由来の培地との1:1混合物、50μg/mlのmTSP-1(7859-TH-050)を補充した50%マトリゲル)で培養した。ゲル化が完了すると、10μg/mlのmTSP-1(7859-TH-050)を含む250μlの培養培地(1%のFBS DMEMと、がん細胞CM中で培養した好中球由来の培地との1:1混合物)を、各ウェルに添加し、培養培地を3日毎に交換した。7~10日目に、スフェロイドの数を分析した。
【0149】
活性酸素種(ROS)分析
ROSレベルを測定するために、好中球を、がん細胞CM又は非馴化培地中で培養し、DMSO又はSivelestat(10μM)、BAY11-7082(10μM)、及びSB203580(10μM)を含む様々な阻害剤で、37℃で1時間処理した。次いで、細胞を採取し、アッセイ緩衝液(PBS、4mMのEGTA、pH7.4、10μMのCM-H2DCFDA、Invitrogenを含む)中で再懸濁し、37℃で15分間、暗闇中でインキュベートし、事前冷却PBSで洗浄し、続いて、30分以内にFACS分析した。
【0150】
臨床的分析
全てのホルマリン固定ヒト乳がん組織をパラフィンに包埋し、試料を6μmの厚さに切片化した。パラフィン包埋切片を脱パラフィン化し、再水和した。抗原回収を、クエン酸溶液(pH6.0)又はTris-EDTA(pH9.0)によって95℃で行った。次いで、切片をPBSで2回洗浄し、0.2%Triton X-100中で15分間透過化し、5%BSAを含有するPBS中で45分間ブロックした。次に、上述のようにIF染色を行った。CTSC、Ci-H3及びMPOの相対染色強度を、DAPI染色強度に対する正規化によって計算した。各試料について、陰性、低、中、又は高としてIFレベルをスコア化した。試料を、Kaplan-Meier生存分析のカットオフとして、全ての染色原発腫瘍の中央値染色強度を有するCTSC高発現又は低発現群に分類した。血清試料を、製造元の指示に従って血液前処理後にCTSC ELISAキット(ELH-Cathepsin C、RayBiotech)で分析した。
【0151】
統計分析
データ分析は、GraphPad Prism 7.0(GraphPad Software、La Jolla、USA)を使用して行った。データ提示及び統計解析は、図の凡例に説明されている。p値<0.05が統計的に有意であると見なされた。図の凡例に示されるように、インビトロでの実験を独立して複数回繰り返し、同様の結果を得た。
【0152】
実施例1:肺転移の可能性が高い乳がん細胞におけるCTSC発現
74個の原発病変及び29個の肺転移病変が、乳がん患者から得られた。これらには、7人の乳がん患者からの対形成された原発腫瘍及び肺転移が含まれる。図1A~Cに示すように、試料のCTSCタンパク質発現レベルを、免疫蛍光染色によって分析する。
【0153】
CTSCが乳がんの肺転移と臨床的に関係することを検証するために、乳がんを有する患者の血清中のCTSCのレベルを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で測定する。次いで、腫瘍試料中のCTSCタンパク質の発現レベルに従って患者を2つの群に分け、第1の群は、高いCTSC発現に対応し、第2の群は、低いCTSC発現に対応する。最後に、Kaplan-Meier生存分析を用いて、2つの群の患者の予後(無転移生存及び全生存)を比較する。
【0154】
免疫蛍光(IF)染色によるCTSCタンパク質発現レベルの分析は、乳がん患者由来の原発腫瘍と比較して、肺転移におけるCTSCタンパク質レベルが有意に上方制御されることを示す(図1A)。図1Aの免疫蛍光画像から、対になった原発腫瘍及び肺転移における相対CTSCタンパク質レベルを、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)染色(図1B)への正規化によって計算する。図1Bに示されるように、CTSC発現は、対になった原発腫瘍と比較して、肺転移において上昇する。更に、図1Cに示されるように、103個の腫瘍試料の全てを一緒に考察すると、一般に、CTSCは肺転移において高度に発現されるが、原発腫瘍の過半数において、CTSC発現が低いか、又は全くない。
【0155】
より高い血清CTSC濃度は、乳がん患者における肺転移の再発と相関する(図1D)。図1Dに示されるように、肺転移の再発を経験する乳がん患者は、転移の再発を伴わない乳がん患者と比較して、血清中のCTSCレベルが有意に高い。そのような血清CTSCレベルの上昇は、より短い無転移及び全患者生存時間に対応することが示されている(図1E~F)。図1Eに示されるように、血清中のCTSC発現レベルが高い患者の肺転移のない生存期間は、Kaplan-Meier分析によれば、低いCTSC血清発現の患者よりも有意に短い。更に、図1Fに示されるように、Kaplan-Meier分析によれば、高CTSC発現群の患者は、低CTSC発現群の患者よりも有意に短い全生存期間を有する。
【0156】
図1A~Fに実証されるデータは、CTSC分泌レベルが、乳がん患者における肺転移の可能性と有意な正の相関を有し、CTSCが、乳がん患者における肺転移のリスクを予測するためのマーカー遺伝子として使用され得ることを示す。
【0157】
実施例2:乳がんの肺転移に対するCTSC過剰発現の影響
CTSCが乳がんの肺転移を機能的に促進することを検証するため、CTSCは、MDA-MB-231のサブラインであるSCP28で過剰発現され、内因性CTSCレベルの中央値と肺転移の低い可能性を示す。肺転移に対するCTSC過剰発現の結果をアッセイするために、尾静脈注射を介して、ルシフェラーゼでタグ付けされたSCP28対照細胞又はCTSC過剰発現ルシフェラーゼでタグ付けされたSCP28細胞をマウスに導入する。ルシフェラーゼシグナルの定量を介して肺転移の程度を検出するために、インビボ画像化を行う。
【0158】
ルシフェラーゼでタグ付けされたSCP28対照細胞(1)又はルシフェラーゼでタグ付けされたCTSC過剰発現SCP28細胞(2)を、尾静脈注射を介してマウスに導入する。マウスの2つの群(すなわち、対照細胞を注射したマウス又はCTSC過剰発現細胞を注射したマウス)の肺組織のルシフェラーゼシグナルを評価し、2つの群の肺表面転移性結節の数を決定し、2つの群の全生存率を計算して、肺転移に対するCTSC過剰発現の結果を決定する。結果を図2A~Dに示す。
【0159】
図2Aの左パネルは、CTSC mRNAレベルが、対照SCP28細胞(「pMSCV群」)と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞においてより高いことを裏付けている。図2Aの右パネルは、CTSCタンパク質レベルが、対照群と比較して実際にCTSC過剰発現群において上方制御されることを示すウェスタンブロット画像を示す。「CM」は、馴化培地である。
【0160】
図2Bの左パネルにグラフ表示されるように、CTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスは、5週間の期間を通して、CTSC過剰発現群における生物発光の全体的なレベルがより高いことによって示されるように、対照マウスと比較して有意に多くの肺転移を示す。図2Bの右パネルに示されるように、CTSCを過剰発現するSCP28細胞を移植したマウスは、注射後35日で対照SCP28細胞を注射されたマウスよりも有意に多くの肺転移を示す。
【0161】
図2Cの左パネルにグラフ表示されるように、CTSCを過剰発現するSCP28細胞を移植されたマウスの肺は、対照SCP28細胞を注射されたマウスと比較して、肺表面転移性結節の平均数が多い。図2Cの中央パネルは、対照SCP28細胞を注射されたマウス及びCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスの全肺画像を示す。CTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスの全肺には、より多くの可視肺表面転移性結節が含まれていることが観察される。図2Bの右パネルは、対照SCP28細胞を注射されたマウス、及びCTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスからのHE染色された肺組織を比較している。CTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスの肺組織の結節密度は、SCP28対照細胞を注射されたマウスの結節密度よりも有意に高いことが観察される。
【0162】
生存率は、CTSCの過剰発現の影響を受ける。対照SCP28細胞を注射された群と比較して、CTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射されたマウスの生存率は有意に低減する(図2D)。
【0163】
図2A~Dに示されるデータは、CTSCの過剰発現が、マウス尾静脈注射によってアッセイされるように、乳がん細胞の肺転移を機能的に促進し得ることを実証している。
【0164】
実施例3:乳がんの肺転移に対するCTSCノックダウンの影響
乳がん細胞の肺転移に対するCTSC喪失の機能的影響を評価するために、肺転移の可能性が高いことが知られているMDA-MB-231のサブラインであるLM2-4175を使用する。CTSC(shCTSC#1及びshCTSC#2)のレベルが低減した対照ルシフェラーゼタグLM2-4175又はルシフェラーゼタグLM2-4175のマウス尾静脈注射後の肺転移を、実施例2のように評価する。対照ルシフェラーゼタグLM2-4175及びルシフェラーゼタグCTSC低減LM2-4175を注射されたマウスの肺組織の蛍光シグナル及び肺表面転移性結節の数、並びにそれぞれの生存率を計算する。結果を図3A~Dに示す。
【0165】
図3Aの左パネルは、CTSCを標的とするshRNAを有するLM2-4175細胞(「shCTSC#1」及び「shCTSC#2」)において、対照LM2-4175細胞(「pSuper」群)と比較してCTSC mRNAレベルが低いことを裏付けている。図3Aの右パネルは、対照LM2-4175細胞(「pSuper」群)と比較して、LM2-4175細胞(「shCTSC#1」及び「shCTSC#2」)におけるCTSCのshRNAノックダウン後のCTSCタンパク質の低減を裏付けるウェスタンブロット画像を示す。「CM」は、馴化培地である。
【0166】
CTSC低減LM2-4175細胞を有するマウスの尾静脈注射後、肺転移及び肺表面転移性結節形成が低減し(それぞれ図3B及び3C)、無転移生存率が、LM2-4175対照細胞を注射されたマウスと比較して増加する(図3D)。
【0167】
図3A~Dに実証されるデータは、CTSCノックダウンが、マウス尾静脈注射によってアッセイされるように、生存期間を延長するように乳がん細胞の肺転移を減衰させることができることを示す。
【0168】
実施例4:免疫完全マウスにおける乳がんの肺転移に対するCTSC発現の影響
乳がんの肺転移に対するCTSC発現の効果を検証するために、マウスの免疫系が肺転移に及ぼす影響を検証する。無傷免疫系を有するBALB/cマウスモデルを用いて、2種類の実験を行う。
【0169】
第1の種類の実験では、ともにルシフェラーゼでタグ付けされた4T07対照細胞株及び過剰発現CTSCを有する4T07マウス乳がん細胞株を、免疫能のあるBALB/cマウスの尾静脈に注射して、マウスの対照群及びCTSC過剰発現群を生成する。次いで、2つの群のマウスの肺組織の蛍光シグナル及び肺表面転移性結節の数を取得する。結果を図4B~Cに示す。
【0170】
第2の種類の実験では、4T1対照細胞株及び低減したCTSCを有する4T1細胞株を、免疫能のあるBALB/cマウスの乳脂肪パッドに注射して、マウスの対照群及びCTSCノックダウン群を生成する。次いで、2つの群のマウスの腫瘍増殖体積及び肺結節の数を取得する。結果を図4D~Eに示す。
【0171】
図4Aの左パネルは、CTSC mRNAレベルが、対照細胞株と比較して、4T07細胞においてより高いことを裏付けている。図4Aの中央パネルは、CTSCがノックダウンされた4T1細胞(「shCTSC#1」及び「shCTSC#2」)におけるCTSC mRNAレベルが、対照細胞(「pVLX」群)と比較して低いことを裏付けている。図4Aの右パネルは、対応する対照群と比較して、CTSC過剰発現細胞においてCTSCタンパク質レベルが上方制御され、2つのCTSCノックダウン群において下方制御されることを示すウェスタンブロット画像を示す。「CM」は、馴化培地である。
【0172】
図4Bは、過剰発現CTSCを有する4T07細胞を用いて免疫完全マウスを静脈内注射した後、肺への腫瘍転移が上方制御され、それによって、CTSC過剰発現が肺における腫瘍細胞の成長を有意に促進し、この効果がBALB/cマウスの無傷の能力のある免疫系によって影響されないことを示す。
【0173】
図4Cは、過剰発現CTSCを有する4T07細胞を免疫能のあるマウスに静脈内注射した後、CTSC過剰発現群のマウスにおける肺結節の数が、ブランク対照群の肺結節の数よりも有意に多いことを示す。これは、CTSCの過剰発現がマウスの肺表面転移性病変の数を有意に増加させ、この促進効果がBALB/cマウスの無傷の有能な免疫系によって影響されていないことを示している。
【0174】
一方、免疫能のあるマウスにおいて、CTSCがノックダウンされた4T1細胞の同所性注射の後、CTSCノックダウン群では、腫瘍体積及び腫瘍成長率の両方が、対照群と比較して低い(図4D)。更に、免疫能のあるマウスでは、CTSCの低減は、移植部位における4T1細胞のin situ増殖に影響を及ぼさないが、対照群と比較して肺表面転移性結節の形成を有意に減少させる(図4E)。
【0175】
要約すると、図2A~4Eに示されるデータは、CTSCが、免疫不全及び免疫能のあるマウスにおける乳がん細胞の肺転移を促進することを立証している。
【0176】
実施例5:CTSCは、肺転移中の乳がん細胞の早期播種及び持続的増殖を促進する。
CTSCは、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成において役割を果たす。CTSCが過剰発現したSCP28を注射されたマウスの生物発光画像化(BLI)は、注射後の第1週中に有意な肺転移を示す(図5A)。一方、BLIシグナルの減少によって明らかなように、注射後の第1週を通して、CTSC(pMSCV)を過剰発現しない対照細胞を注射されたマウスでは、肺転移が減少するか、又は安定したままである。
【0177】
図5Bに示されるように、CTSCが過剰発現したSCP28細胞で処置したマウスの肺切片の免疫蛍光染色は、注射後24時間、48時間、及び72時間で肺実質中でCTSCを過剰発現するがん細胞の播種の増加を明らかに示している。CTSC過剰発現SCP28細胞を移植したマウスの肺に播種されたがん細胞の増殖を、肺採取の24時間前に5-エチニル-2’-デオキシウリジン(EdU)標識によって評価する。図5Cに示されるように、CTSC過剰発現細胞は、注射後24時間、48時間、及び72時間の時点での肺播種後に、対照細胞よりも増殖性が高い。
【0178】
CTSCの低減は、肺内の乳がん細胞の早期転移性コロニー形成に反対の効果を有することが示されている。CTSCがノックダウンされたLM2細胞を注射されたマウスのBLIは、対照細胞を注射されたマウスと比較して、注射後第1週を通して有意に肺転移が減少したことを示す(図5D)。
【0179】
図5Eに示されるように、CTSCがノックダウンされたLM2で処置したマウスの肺切片の免疫蛍光染色は、注射後72時間での肺実質中のGFPがん細胞の播種の減少を明らかに示している。図5Fの右パネルに示されるように、Edu標識は、注射後72時間での対照細胞と比較して、播種されたCTSC過剰発現細胞の増殖が少ないことを示す。
【0180】
CTSC低減は、後期転移においてがん細胞の転移性増殖を阻害することも示されている。図5Gに示されるように、注射の6週間後にCTSCノックダウン細胞を注射されたマウスの肺のKi67染色は、対照細胞を注射されたマウスの肺と比較して、肺転移の減少を明らかに示している。
【0181】
図5A~Gに実証されるデータは、CTSC発現レベルが、転移の播種段階中の腫瘍細胞の増殖に影響することを示している。
【0182】
実施例6:CTSCは、肺転移における好中球の動員を促進する
CTSCは、肺転移における好中球動員の調節において役割を果たす。処置マウスにおける肺転移のCD45免疫細胞中のCD11bLy6G好中球のパーセンテージは、注射後7週目のフローサイトメトリーによって決定される。図6Aの左パネルに示されるように、CTSCが過剰発現したSCP28細胞は、対照細胞と比較して、より高いパーセンテージのCD11bLy6G好中球を含有する。逆に、図6Aの中央パネルに示されるように、CTSCが低減したLM2細胞は、対照細胞と比較して、より低いパーセンテージのCD11bLy6G好中球を含有する。図6Aの最右パネルは、CTSC過剰発現細胞が、対照細胞(3.8%)と比較して、より高いパーセンテージの好中球(11.7%)(両方のグラフで丸で囲まれている)を有することを示すフローサイトメトリー分析を提示している。
【0183】
処置マウスにおける肺実質中のCD45免疫細胞中のCD11bLy6G好中球のパーセンテージはまた、注射後72時間におけるフローサイトメトリーによって決定される。図6Bの左パネルに示されるように、CTSCが過剰発現したSCP28細胞は、対照細胞よりも高いパーセンテージのCD11bLy6G好中球を含有する。図6Bの右パネルに示されるように、CTSCが低減したLM2細胞は、対照細胞と比較して、より少ないパーセンテージのCD11bLy6G好中球を含有する。
【0184】
マウス肺組織の免疫染色は、対照pMSCV細胞と比較して、CTSC過剰発現SCP28細胞(図6C、左パネル)を注射したマウスにおいて、CD11bLy6G好中球ががん細胞に近接してクラスタ化することを示す。CTSCが低減したLM2細胞を注射したマウスにおいて、対照細胞と比較して、CD11bLy6G好中球のがん細胞との凝集が少ないことが観察される(図6C)。
【0185】
EdU標識された播種腫瘍細胞の増殖と、それらの周りのCD11bLy6G好中球の凝集との間の相関を、図6Dに示す。
【0186】
がん細胞の初期段階の播種及び増殖は、対象マウスにおける好中球が、IgGによる前処理と比較して、SCP28がん細胞の注射前のLy6Gクリアランス抗体による処理によって枯渇した場合に失われる(図6E)。同じことが、EdU標識腫瘍細胞(図6F)の初期段階の播種及び増殖にも当てはまる。加えて、IgGで前処置されたSCP28マウスと比較して、注射後8週間での肺表面転移性結節の形成が、α-Ly6Gで前処置したSCP28マウスで抑制される(図6G)。
【0187】
図6A~Gに実証されるデータは、肺転移におけるCTSCの過剰発現が、好中球動員の増加を促進することを示している。
【0188】
実施例7:CTSCは、PR3-IL-1β-NF-κB軸を制御することによって好中球の動員を増強する
CTSCによる好中球動員の機序を調査する。CTSC過剰発現(4T07細胞)及びCTSC低減(4T1細胞)の両方は、馴化培地(CM)中のがん細胞による好中球の動員に影響を及ぼさない(図7A)。しかしながら、好中球を4T07 CTSC含有がん細胞馴化培地で前処理する場合、好中球培養培地は、CTSCを過剰発現することなく、対照4T07調節培地と比較して、より多くの好中球を引き付けることができる(図7A、左パネル)。
【0189】
CTSC過剰発現4T07で前処理された好中球培地のサイトカインアレイ分析は、12時間のインキュベーション後、インタールキン-6(IL-6)、C-Cモチーフケモカインリガンド2及び3(CCL2及びCCL3)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、及び可溶性腫瘍壊死因子受容体I(TNFRI)が全て、対照4T07での前処理と比較して上方制御されることを明らかに示す(図7B)。図7Bに示されるように、IL-6及びCCL3の上方制御が最も顕著である。
【0190】
図7Cは、好中球由来セリンプロテアーゼ、PR3、NE、及びCTSGの発現レベルを示すが、これらは全て、HL-60由来好中球の様々な細胞画分におけるCTSCの既知の基質である。この実験で使用される画分マーカーは、Na/K ATPase、GRP78、及びβアクチンである。図7Cに示されるように、HL-60由来の好中球の細胞質膜上にはPR3のみが発現され、CTSCが好中球細胞表面上の膜結合PR3を直接制御し得ることを示す。
【0191】
次いで、CTSCを過剰発現するSCP28がん細胞の馴化培地で培養したヒト好中球の膜結合PR3活性を調べる(図7D)。図7Dに示されるように、CTSG阻害剤であるCTSGi又はNE阻害剤であるAlvelestatのいずれかによる処置は、CTSC過剰発現に起因する上方制御されたPR3活性に影響を及ぼさない。しかしながら、PR3阻害剤であるSilvelestatによる処置は、上方制御されたPR3活性を有意に減少させる。
【0192】
図7Eの左パネルに示されるように、4T07(CTSC過剰発現を伴う)がん細胞の馴化培地で前処理された好中球の培地によって動員されたマウス好中球の遊走は、Silvelestatでの処置後に有意に減少する。
【0193】
CTSC過剰発現SCP28の注射から72時間後のマウスの肺内のGFPがん細胞の周りのミエロペルオキシダーゼ陽性好中球の数は、肺組織の免疫染色によって定量化される。がん細胞の周りの好中球凝集は、対照に対して増加するが、Silvelestatによる更なる処置は、好中球凝集の量を減少させる(図7F)。これらの効果は、注射後7週間にわたって持続することが示される(図7G)。図7D~Gに示されるデータは、CTSCが、CTSG又はNEではなく、PR3を通して好中球を制御することを示唆している。
【0194】
図7Hは、Silvelestat、Alvelestat、CTSGi、又はNF-B阻害剤であるBAY11-7082と組み合わせて、CTSC過剰発現を有する、及び有さないSCP28がん細胞の馴化培地で前処理されたヒト好中球のIL-1β分泌を示す。4つの阻害剤のうち、PR3阻害剤Silvelestatのみが、CTSCが過剰発現した(CTSC+、Silvestat+)SCP28がん細胞の馴化培地で前処理された好中球のIL-1βレベルを低減する。BAY11-7082によるそのような処理は、好中球におけるCTSCによるIL-1βの制御がインフラマソーム経路から独立していることを示唆する。
【0195】
CTSC媒介性肺転移におけるIL-1βの役割は、CTSC過剰発現AT3がん細胞の同所移植を受けたマウスにおける実験によって更に検証される。IL-1βブロッキング抗体によるそのようなマウスの更なる処置は、肺BLIデータ(図7I)によって証明されるように、IgGで処置されたマウスと比較して、移植後34日で肺転移を低減する。α-IL-1βでの更なる処置は、IgGで更に処置されたマウスと比較して、CTSC過剰発現AT3がん細胞を移植したマウスの肺における肺表面結節の数を低減する(図7J)。
【0196】
図7A~Jに示されるデータは、CTSCが、好中球PR3を活性化し、PR3-IL-1β-NF-κB経路によるシグナル伝達を促進することによって好中球動員を増強することを示している。
【0197】
実施例8:腫瘍におけるCTSCは、好中球を誘導して転移を支持するNETを形成する
転移性ニッチに動員された好中球による転移制御の機序を調査する。CTSC過剰発現SCP28がん細胞の馴化培地中で培養された好中球の免疫蛍光染色は、ホルボール-12-ミリステート-13-アセテート(PMA)で誘導されたものと同様の数で、肺内に広範な細胞外トラップ(NET)構造を形成する(図8A)。逆に、CTSCノックダウンLM2がん細胞の馴化培地中で培養された好中球は、NET形成の低減を示す。
【0198】
採取した肺のIF分析は、採取が注射後24時間、48時間、及び72時間で行われた場合、対照と比較して、CTSCを過剰発現する近接GFPSCP28がん細胞におけるNETの増加を示し、一方、反対の効果が、肺内のCTSCノックダウンLM2がん細胞で観察される(図8B)。
【0199】
好中球による活性酸素種(ROS)の放出は、NET形成を誘導することが知られている。Kolackzkowska et al.,“Molecular Mechanisms of NET formation and degradation revealed by intravital imaging in the liver vasculature,”Nat.Commum.6,6673(2015)を参照されたい。4T07がん細胞の馴化培地で前処理されたマウス好中球のROS分析は、CTSC過剰発現に起因するROS産生の増加を示し、一方、CTSCが過剰発現された場合、Silvelestatの添加は、ROS産生をブロックする(図8C)。
【0200】
図8Dに示されるように、4T1馴化培地及び/又は組換えヒト活性PR3で前処理されたマウス好中球は、CTSCが4T1細胞内でノックダウンされたかどうかにかかわらず、rhPR3の存在下でp38リン酸化の増加を示す。しかし、この効果は、IL-1βブロッキング抗体を添加することによってブロックされる。
【0201】
4T07馴化培地で前処理されたマウス好中球のROS分析は、CTSC過剰発現によるROS産生結果の増加を示す(図8E)。NF-B阻害剤BAY11-7082の添加は、ROSレベルに影響を及ぼさず、NF-Bシグナル伝達が好中球のROS産生に関与していないことを示唆している。一方、p38阻害剤SB203580の添加は、ROSレベルを有意に低減し、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路が好中球ROS産生及びNETosisに関与することを示している。
【0202】
図8Fに示されるように、4T07又は4T1馴化培地中で培養されたマウス好中球を、Silvelestat(PR3を阻害するため)又はDNase I(NETを消化するため)のいずれかで処置することにより、NETによってカバーされる低いパーセンテージの領域によって証明されるように、CTSCがNET形成を誘導する能力がブロックされる。更に、CTSCを過剰発現するSCP28細胞を注射したマウスにおける肺転移は、図8Gに示されるBLI結果によって明らかなように、注射後最大8週間の間、Silvelestat又はDNase Iのいずれかの更なる処置によって抑制される。
【0203】
転移抑制性ECMタンパク質である組換えマウスTSP-1(rmTSP-1)の添加は、PMAで前処理された好中球培地で培養した4T07がん細胞のスフェロイド増殖をブロックすることができない(図8H)。同様に、rmTSP-1の添加は、4T07馴化培地を過剰発現するCTSCにおけるスフェロイド増殖をブロックしない。しかしながら、DNase Iによる更なる処置は、それぞれの場合においてスフェロイド増殖を縮小させるが、無効化するわけではない。
【0204】
rmTSP-1及びIL6ブロッキング抗体の両方を、4T07馴化培地を過剰発現するCTSCに添加すると、スフェロイド増殖が阻害される(図8I、左パネル)。スフェロイド増殖は、DNase I(図8I、左パネル)の添加により更に阻害される。α-IL6、DNase I、及びそれらの組み合わせのスフェロイド形成に対する阻害効果は、図8Iに示される画像において観察され得る。
【0205】
全体として見ると、図8A~Iに提供されるデータは、CTSCが、好中球におけるp38を活性化し、ROSを増加させることによって、腫瘍におけるNETosisを誘導し、結果として生じるNETが、腫瘍細胞における転移性増殖を支持することを実証する。
【0206】
実施例9:好中球浸潤及びNETに関するヒト乳房腫瘍試料の分析
ヒト乳がんの肺転移に対するNET形成の臨床的関連性を調査する。
【0207】
74のヒト原発性乳房腫瘍のセット及び29の肺転移のセットのIF分析は、CTSCの発現、NETの形成、及び好中球浸潤が、原発腫瘍試料と比較して肺転移試料において有意に高いことを示す(図9A)。更に、CTSC発現レベルは、原発腫瘍及び肺転移の両方におけるNET形成(図9B、左パネル)及び好中球浸潤(図9B、右パネル)と強く相関する。
【0208】
図9Cは、循環NETレベルが非転移性腫瘍よりも肺転移性腫瘍において高いことを示し、図9Dは、原発腫瘍及び肺転移の両方を一緒に考慮した場合、血清CTSC発現レベルが血清中の循環NETレベルと強く相関することを示す。
【0209】
3つの異なる乳がんサブタイプのIF分析においても、より高いレベルのCTSC発現、NET形成、及び好中球遊走が観察される(図9E)。
【0210】
図9A~Eに示されるデータは、臨床試料において、CTSC発現が、乳がんの肺転移における好中球浸潤及びNET形成に関連することを示している。
【0211】
実施例10:CTSC阻害剤ブレンソカチブは、肺における乳がんの転移を阻害する
乳がんの肺転移を治療するためのCTSC阻害剤の使用を調査する。ブレンソカチブ(AZD7986又はINS1007としても知られる)は、非嚢胞性線維症気管支拡張症の治療に使用されるCTSC特異的阻害剤であり、現在第II相臨床試験に入っている。Doyle et al.,“Discovery of second generation reversible covalent DPP1 inhibitors leading to an oxazepane amidoacetonitrile based clinical candidate (AZD7986),”J.Med.Chem.59:9457-9472(2016)を参照されたい。ブレンソカチブは、脂肪パッド注射による4T1細胞の導入の7日後にマウスに投与される。ビヒクル対照群も提供される。経時的な腫瘍体積の変化、形成される肺結節の数、経時的なマウス重量の変化、及びマウス生存率、並びに病変におけるNETの数の統計図を図10A~Eに示す。CTSC阻害剤ブレンソカチブはまた、4T1細胞のNET促進腫瘍様塊形成を抑制する(図10F)。
【0212】
4T1 CTSC低減表現型と一致して、in situ腫瘍体積対時間の変化は、ブレンソカチブ投与群と未処置対照群との間で一貫しており、ブレンソカチブの投与が原発腫瘍増殖に影響を及ぼさないことを示す(図10A)。
【0213】
未処置マウスと比較して、ブレンソカチブで処置したマウスは、有意に低減された肺結節形成を呈し、ブレンソカチブ投与が肺表面上の腫瘍細胞による転移性病変の形成を阻害することができることを示す(図10B)。
【0214】
ブレンソカチブで処置したマウスの体重減少は、未処置マウスよりも低く、ブレンソカチブ投与が肺転移に起因する体重減少を緩和することができることを示す(図10C)。
【0215】
ブレンソカチブによる処置は、未処置マウスと比較してマウスの生存率を有意に改善し、ブレンソカチブ投与がマウスの生存期間を有意に延長することを示す(図10D)。
【0216】
図10Eは、ブレンソカチブで処置されたマウスの肺病変における好中球浸潤が、未処置マウスと比較して低減し、ブレンソカチブ投与が肺転移性病変における好中球浸潤及びNETの形成を有意に阻害することを示す。
【0217】
図10Fは、4T1のCMで前処理された好中球の培地中で培養された4T1乳がん細胞の腫瘍様塊形成が、未処置の対照群と比較してブレンソカチブによって抑制され、CTSC阻害剤ブレンソカチブが乳がん細胞のNET促進腫瘍様塊形成を抑制することを示す。
【0218】
CTSC過剰発現AT3がん細胞の同所性注射後のブレンソカチブによるマウスの処置においても、同様の効果が見られる。ブレンソカチブ処置に起因する肺中葉、循環NET、好中球遊走、及び肺転移性結節形成の減少が、図10G~Iに示されている。また、生存率の有意な増加及びIL-1βの循環レベルの減少が、ブレンソカチブ処置マウスにおいて観察される(図10J~K)。
【0219】
上記のデータは全て、乳がんの肺転移の臨床的治療のための潜在的な新しい標的としてのCTSCを支持している。機構的には、CTSCは、好中球浸潤の増加及び病変部位におけるNETの数の増加によって乳がんの肺転移を促進し、それによって乳がんの肺転移を促進するための腫瘍微小環境をプライミングする。しかしながら、CTSC阻害剤ブレンソカチブは、好中球浸潤を効果的に阻害し、病変部位でのNETの形成を低減し、それによりマウスにおける乳がんの肺転移を阻害する。
【0220】
実施例11:CTSC阻害剤ブレンソカチブは、様々な種類の転移性がん細胞による好中球の動員、NETの形成及び腫瘍様塊形成を阻害する
腫瘍転移における好中球動員及びNETの形成に対するCTSC上方制御の促進効果、並びに好中球機能に対するCTSC阻害剤(ブレンソカチブ)の有益な効果を鑑みて、腫瘍転移の他の疾患(肝臓及び骨への乳がんの転移、並びに骨への肺がんの転移を含む)におけるCTSC阻害剤の使用が考慮される。
【0221】
様々な標的器官への転移(肝臓、骨への乳がんの転移、及び骨への肺がんの転移を含む)の異なる能力を有する腫瘍細胞におけるCTSCタンパク質分泌レベルを調べる。一般に、CTSC発現レベルは、高転移性腫瘍細胞において増加する。骨髄由来の好中球は、ブレンソカチブあり又はなしでこれらの細胞の馴化培地(分泌物)で処理される。次いで、腫瘍分泌物が好中球を引き付ける能力を、Transwell透過性細胞培養チャンバーで評価し、NETの形成を、NET分子マーカー(MPO及びシトルリン化ヒストンH3)の免疫蛍光染色によって分析する。本研究からのデータを図11A~Jに示す。
【0222】
好中球を引き付け(動員し)、NETの形成を誘導する、薬物処置された腫瘍細胞の分泌物の能力は、ブレンソカチブ処置により有意に弱められる。実際に、CTSCタンパク質発現(図11A~C)、NETの形成(図11D、F、I)、及び好中球動員(図11G、J)は、ブレンソカチブで処置されたいくつかの転移性腫瘍細胞型において有意に低減される。
【0223】
インビトロでの骨及び肝転移性乳がん細胞の腫瘍細胞増殖を促進する、薬物処置された好中球の能力は、ブレンソカチブ処置により有意に弱められる。好中球を、ブレンソカチブ処置あり又はなしでがん細胞からの馴化培地で培養してNETosisを活性化し、次いで好中球培地を骨及び肝転移性乳がん細胞の腫瘍様塊形成に使用して、好中球培地の腫瘍細胞増殖を促進する効果を分析した。骨転移性乳がん細胞SCP2についてのデータを図11Eに、また肝転移性乳がん細胞SCP16についてのデータを図11Hに示す。
【0224】
図11A~Jに示されるデータは、CTSC阻害剤ブレンソカチブが、乳がんの肝転移、乳がんの骨転移、及び肺がんの骨転移などの、乳がんの肺転移以外の疾患の早期転移性病変における好中球浸潤、NETの形成及び腫瘍細胞増殖を低下させることができることを示唆している。
【0225】
実施例12:CTSC阻害剤ブレンソカチブは、インビトロでの様々な種類のがんにおけるNET促進腫瘍様塊の形成を低減する
インビトロで異なるがんの種類におけるブレンソカチブの治療効果を試験するために、ブレンソカチブがNET促進腫瘍様塊の形成を阻害する能力を調査する。好中球を、NETosisを活性化するためにブレンソカチブ処置あり又はなしで結腸がん、肝がん、肺がん、胃がん、及び膵がんの腫瘍細胞からの馴化培地で培養し、次いで、好中球培地をこれらのがん細胞の腫瘍様塊形成に使用して、好中球培地の腫瘍細胞増殖を促進する効果を分析した。次いで、各試料中の腫瘍様塊の量を、画像化により決定する。これらのがんの種類のインビトロ腫瘍増殖を阻害するブレンソカチブの効果は、図11K~Oで観察される。
【0226】
実施例13:CTSC阻害剤ブレンソカチブは、インビボでの肝臓における原発腫瘍増殖及び転移を低減する
一連のマウス異種移植片研究を、脾臓注射によってヌードマウスに肝臓及び膵臓腫瘍細胞を注射することによって行う。次いで、マウスをブレンソカチブによって処置し、肝臓における腫瘍の増殖を観察する。ブレンソカチブ処置は、肝臓における肝がん細胞HUH7の腫瘍増殖(図12A、B)、及び肝臓における膵がん細胞KP4の転移性増殖(図12C)を有意に阻害することが分かる。
* * * * * * *
【0227】
本開示は、特定の実施形態を参照して記載されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得、等価物がその要素に置換され得ることが当業者によって理解されるであろう。加えて、記載された発明の客観的な趣旨及び範囲に対して、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスステップ又はステップ(複数)を採用するために多くの修正を行うことができる。全てのそのような修正は、本明細書に添付される特許請求の範囲内であることが意図される。
【0228】
したがって、本開示は、本開示を実施するために企図される最良の様式として開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲及び趣旨に該当する全ての実施形態を含むことが意図される。
【0229】
本明細書で参照される特許、特許出願、特許出願公開、雑誌記事、及びプロトコルは、あらゆる目的のために、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図10J
図10K
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図11I
図11J
図11K
図11L
図11M
図11N
図11O
図12A
図12B
図12C
【国際調査報告】