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特表2023-540410リアルタイムな心肺蘇生(CPR)の指示、装置、及び使用方法のフィードバック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】リアルタイムな心肺蘇生(CPR)の指示、装置、及び使用方法のフィードバック
(51)【国際特許分類】
   A61H 31/00 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
A61H31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570349
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 US2020035991
(87)【国際公開番号】W WO2020247543
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】62/856,544
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/972,574
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/972,544
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521516019
【氏名又は名称】コフラー,アビゲイル リン
【氏名又は名称原語表記】KOHLER, Abigail Lynn
【住所又は居所原語表記】35 Rock Ridge Rd., Newtown, Connecticut 06470 (US)
(71)【出願人】
【識別番号】323008268
【氏名又は名称】ブードロー-フィンヌ,グレゴリー
【氏名又は名称原語表記】BOUDREAU-FINE,Gregory
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】コフラー,アビゲイル リン
(72)【発明者】
【氏名】ブードロー-フィンヌ,グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074AA04
4C074BB04
4C074CC13
4C074DD06
4C074GG01
(57)【要約】
心肺蘇生(CPR)を、心肺蘇生を必要な患者に施す際に支援する第一応答者及び医療従事者用の装置。更に、装置は、工程に関する初期指示と学生の技術のリアルタイムモニタリングとを提供することによって、あるいは、学生が技術を改善するように学生にリアルタイムの指導的フィードバックを提供することによって、心肺蘇生を適切に行う方法について個人を訓練するのに用いることができる。また、本開示は、心肺蘇生を必要とする患者に対して心肺蘇生(CPR)を実施する際に、装置を用いて、第一応答者及び医療専門家をコーチングする方法、及び、装置を用いて心肺蘇生(CPR)について学生に教える方法を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一応答者によって用いられ、
心肺蘇生を、当該心肺蘇生を必要とする患者に施す際に、選択したパラメータの測定をすることが可能な
心肺蘇生監視装置。
【請求項2】
前記測定の値をリアルタイムに提供する
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項3】
前記パラメータは、前記患者に適用される胸骨圧迫の深さ、及び前記患者に施される前記胸骨圧迫の頻度からなる群から選択される
請求項2に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項4】
移動中の救急車において用いることが可能な
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項5】
軽量の手袋を装着した第一応答者によって用いられることが可能な
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項6】
前記パラメータを評価するプログラム記述を含み、
問題を同定し、前記問題を修正する方法に関する案内を第一応答者に提供する
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項7】
1以上のセンサを含む
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項8】
前記センサは、前記パラメータを検知する
請求項7に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項9】
前記パラメータは、前記患者に適用される圧迫の深さ、及び前記患者に施される圧迫の頻度からなる群から選択される
請求項8に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項10】
前記第一応答者の手に該装置を固定する手段を更に備える
請求項7に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項11】
前記1以上のセンサは、該装置に取付けられ、第一応答者の下側の手、第一応答者の手の中、又は第一応答者の手の甲に配置される
請求項10に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項12】
フィードバックデータ送信システムを更に含む
請求項11に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項13】
前記フィードバックデータ送信システムは、心肺蘇生が施されている患者に関する視覚情報、聴覚情報、及び触覚情報を送信する
請求項12に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項14】
前記視覚情報、前記聴覚情報、及び前記触覚情報を表示することが可能な視覚フィードバックインタフェースを更に備える
請求項13に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項15】
前記視覚フィードバックインタフェースは、前記第一応答者の手に該装置を固定する手段に組み込まれ、患者に対する心肺蘇生の施行の際に前記第一応答者によって該装置が装着されたときに、第一応答者に可視できるように配置される
請求項14に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項16】
心肺蘇生を必要とする前記患者に貼付された基準装置を更に備える
請求項14に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項17】
前記基準装置は、心肺蘇生を必要とする患者に配置される
請求項16に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項18】
前記基準装置は、頚部、若しくは肋骨の遠位部、又は患者の任意の安定部分に配置される
請求項17に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項19】
前記第一応答者の手に該装置を固定する手段に組み込まれた1以上の加速度計を更に備え、
前記1以上の加速度計は、前記患者に対して胸骨圧迫を行う際の第一応答者の手の変位の深さ、及び前記心肺蘇生が行われている場合の前記患者に施された胸骨圧迫の頻度を測定する
請求項16に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項20】
前記心肺蘇生が行われている場合の前記患者に配置される前記基準装置に組み込まれた1以上の加速度計を更に含む
請求項16に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項21】
前記1以上の加速度計は、前記心肺蘇生が行われている場合の前記患者の位置の変化を測定する
請求項20に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項22】
1以上のマイクロプロセッサを更に備える
請求項19に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項23】
前記1以上のマイクロプロセッサは、前記第一応答者の手に該装置を固定する手段に組み込まれ、前記患者に貼付された前記基準装置に組み込まれる
請求項22に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項24】
前記マイクロプロセッサは、前記患者の移動と前記第一応答者の手の移動とを区別するようにプログラムされる
請求項22に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項25】
前記患者に配置された前記基準装置は、前記患者の移動を記録する
請求項22に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項26】
前記患者の移動のデータは、前記患者に配置された前記基準装置に組み込まれた前記マイクロプロセッサによって収集される
請求項25に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項27】
前記患者の移動のデータは、前記患者に配置された前記基準装置に組み込まれたマイクロプロセッサから、前記第一応答者の手に該装置を固定する手段に組み込まれたマイクロプロセッサに無線送信される
請求項25に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項28】
前記患者に配置された前記基準装置に組み込まれたマイクロプロセッサから、前記第一応答者の手に該装置を固定する手段に組み込まれたマイクロプロセッサに前記患者の移動のデータを送信する電線を更に備える
請求項25に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項29】
前記第一応答者の右手又は左手のいずれかに装着されるように設計される
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項30】
男性又は女性の一方又は双方の性別の前記第一応答者に装着されるように設計される
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項31】
前記視覚フィードバックインタフェースは、前記胸骨圧迫の深さが十分か、浅いか、又は深いかを呈示可能な
請求項14に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項32】
周波数インジケータを更に備える
請求項10に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項33】
前記周波数インジケータは、所望の胸骨圧迫ペースが達成されたときにパルスすることが可能な振動モータ、点滅するダイオード、及び/又はスピーカを有する
請求項32に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項34】
電源を更に備える
請求項33に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項35】
前記電源は、バッテリである
請求項34に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項36】
前記電源を該装置に固定する手段を更に備える
請求項34に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項37】
フィードバックデータ送信システム、1以上の加速度計、及びマイクロプロセッサ、並びに/又は電力を必要とする他の電子部品を、前記電源に接続する留め金を更に備える
請求項36に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項38】
前記電源に接続された導電性条片を更に含み、前記導電性条片が前記留め金に電流を流す
請求項37に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項39】
底部壁、4つの垂直壁、及びカバーを有する筐体を更に備える
請求項36に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項40】
前記筐体は、前記第一応答者の手に該装置を固定する手段の部品である
請求項39に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項41】
前記筐体は、前記1以上のセンサ、フィードバックデータ送信システム、1以上の加速度計、マイクロプロセッサ、前記周波数インジケータ、前記電源、及び、選択的に、前記患者に取付けられた基準装置から前記患者の移動のデータを送信するのに用いられる電線の終端を含む
請求項40に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項42】
前記筐体は、上面カバーを有する
請求項41に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項43】
前記視覚フィードバックインタフェースは、前記筐体の前記上面カバーに埋め込まれる
請求項42に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項44】
前記振動モータ、ダイオード、又はスピーカは、前記筐体の前記上面カバーに埋め込まれる
請求項43に記載の心肺蘇生監視装置
【請求項45】
前記第一応答者の手に該装置を固定する手段は、接着材である
請求項38に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項46】
前記接着材は、非導電性である
請求項45に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項47】
前記接着材は、前記筐体の前記底面壁に貼付される
請求項45に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項48】
前記筐体は重合体から生成される
請求項39に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項49】
前記重合体は、半可撓性を有する
請求項48に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項50】
前記電源及び接着手段は、処分可能かつ交換可能である
請求項49に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項51】
滅菌可能かつ再利用可能である
請求項50に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項52】
処分可能な前記電源は、非対称的な方法で導電性条片に取付けがなされ、更に、非対称的な前記取付けにより、ユーザが、該装置を損傷する装置の極性を逆転させる方法において、前記電源を該装置に挿入するのを防止する
請求項51に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項53】
電源の極性とは別個に動作可能な手段を更に備える
請求項34に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項54】
心肺蘇生が実施されている前記患者の胸部を適切に反跳できているかをユーザに呈示可能な
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項55】
該装置の筐体に埋め込まれた加速度計からのデータを比較するプログラム記述を更に含む
請求項54に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項56】
比較された前記データは、心肺蘇生が前記患者に行われる際に到達する、下方移動の陥凹の深さ及び上方への反跳の高さからなる
請求項55に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項57】
前記下方移動の陥凹の深さが上方への反跳の高さよりも大きい場合、胸部の反跳が不十分なことを前記第一応答者に報知する
請求項56に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項58】
前記視覚フィードバックインタフェースは、前記患者の胸部が適切に反跳していないことを呈示する
請求項57に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項59】
胸骨圧迫の移動を、前記患者の移動、前記第一応答者の移動、及び/又は前記患者の周囲の他の移動と区別する手段を更に備える
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項60】
該装置は、周波数分析を用いて、前記移動を区別する
請求項59に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項61】
心肺蘇生が実施される前記患者の身体的特徴を用いて、前記パラメータを最適化するプログラム記述を更に含む
請求項3に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項62】
前記身体的特徴は、心肺蘇生を前記患者に施す前に該装置に入力される
請求項61に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項63】
前記身体的特徴は、患者の物理的大きさ、年齢、体重、体格、及びそれらの組合せからなる群から選択される
請求項62に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項64】
前記筐体に含まれるマイクロプロセッサに送信されるデータを収集する追加センサを更に備え、
前記追加センサからの前記データは、外部のコンピュータシステム及び/又はディスプレイに送信及び/又は格納される
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項65】
送信された前記データは、心肺蘇生が施されている前記患者の健康を評価すべく第三者によって利用される
請求項64に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項66】
別個の主体又は第三者からデータを受信し、前記データに反応する
請求項65に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項67】
前記別個の主体又は第三者は、心肺蘇生が施されている前記患者を治療する一般開業医及び/又は専門医である
請求項66に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項68】
別個の電源、無線送信装置、及びマイクロプロセッサを含む別個の筐体を更に備える
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項69】
接着手段を更に備える
請求項68に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項70】
前記筐体は、心肺蘇生を必要とする患者に心肺蘇生を施す際に用いられる前記第一応答者の手の下部、又は前記患者の身体に取付けられる
請求項69に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項71】
前記第2の筐体は、患者の胸部に取付けられる
請求項70に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項72】
1以上の加速度計及び/又は1以上の圧力センサを更に備え、
前記1以上の加速度計及び/又は前記1以上の圧力センサは、心肺蘇生の施行の際に胸骨圧迫及び胸部の反跳の深さを測定する
請求項68に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項73】
前記電源は、再充電可能である
請求項34に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項74】
充電ポートを更に備える
請求項73に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項75】
前記電源を無線充電する手段を更に含む
請求項74に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項76】
前記第一応答者の手に該装置を固定する手段は、前記第一応答者が装着する手袋である請求項14に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項77】
前記視覚フィードバックインタフェースは、前記手袋の外表面に埋め込まれる
請求項10に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項78】
前記第一応答者の手に該装置を固定する手段は、1以上のフック、及び係蹄接着式の拘束具を含む
請求項10に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項79】
前記第一応答者の手に該装置を固定する手段は、外側に延びるアームを有する手動把持具を含み、
前記患者への心肺蘇生の施行の際に第一応答者が前記視覚フィードバックインタフェースを観察可能にすべく、前記視覚フィードバックインタフェースが、前記外側に延びるアームの末端で、前記第一応答者の手に固定される
請求項44に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項80】
別個のセットの1以上のセンサ、フィードバックデータ送信システム、1以上の加速度計、マイクロプロセッサ、周波数インジケータ、電源、及び、選択的に、前記患者に取付けられた前記基準装置から前記患者の移動のデータを送信するのに用いられる電線の終端、並びに/又は、振動モータ、ダイオード、及び/若しくはスピーカを更に備える
請求項44に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項81】
前記別個のセットの1以上のセンサ、フィードバックデータ送信システム、1以上の加速度計、マイクロプロセッサ、周波数インジケータ、電源、及び、選択的に、前記患者に取付けられた前記基準装置から前記患者の移動のデータを送信するのに用いられる電線の終端、並びに/又は、振動モータ、ダイオード、及び/若しくはスピーカを収容する上蓋を有する別個の筐体を更に備え、
視覚的フィードバックインタフェースは、前記筐体の前記上蓋に埋め込まれ、前記第2の筐体により、心肺蘇生を必要とする患者に心肺蘇生を施す複数の第一応答者の監視が可能となる
請求項44に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項82】
前記フィードバックデータ送信システムは、心肺蘇生が行われている前記患者の近傍の物体に持続的又は一時的に貼付される
請求項12に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項83】
心肺蘇生が行われている前記患者の近傍の物体は、病院のベッド、車輪付き担架、担架、病院の緊急用カート、及び第一応答者によって用いられる救急車又は他の輸送装置の内部からなる群から選択される
請求項82に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項84】
前記フィードバックデータ送信システムは、ハブ、又は従属的な装置用の外側筐体及び/若しくは格納容器に、持続的若しくは一時的に、又は着脱可能に貼付されている
請求項12に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項85】
前記フィードバックデータ送信システムは、従属的な装置用の前記外部筐体及び/又は格納容器の外表面に貼付されている
請求項12に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項86】
前記1以上のセンサ、フィードバックデータ送信システム、1以上の加速度計、マイクロプロセッサ、周波数インジケータ、電源、及び、選択的に、前記患者に取付けられた基準装置から前記患者の移動のデータを送信するのに用いられる電線の終端、並びに/又は、振動モータ、ダイオード、及び/若しくはスピーカを有する前記筐体が、前記ハブ、又は従属的な装置用の前記外部筐体又は格納容器の内部に配置される
請求項85に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項87】
ハブの内部に格納される
請求項85に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項88】
前記ハブは、電源を必要とする該装置の様々な部品を再充電する手段を含む
請求項87に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項89】
前記様々な部品を再充電可能な前記ハブに含まれる手段に、該装置の様々な部品を接続する手段を更に含む
請求項88に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項90】
前記様々な部品を再充電可能な前記ハブに含まれる手段に、該装置の様々な部品を接続する手段は、1以上の電線を含む
請求項89に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項91】
該装置の様々な部品を再充電する手段は、前記部品を無線再充電することが可能である
請求項89に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項92】
心肺蘇生を必要とする前記患者に貼付された前記基準装置は、前記患者からの生体計測学的なデータを記録し、前記第一応答者に取付けられた筐体の内部にあるプロセッサ、及び/又は外部装置に前記データを送信する手段を更に含む
請求項16に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項93】
前記外部装置に送信される生体計測学的な前記データは、心肺蘇生が行われている患者の治療医師によって用いられて、前記治療医師が前記患者の健康を評価又は監視することを可能にする
請求項92に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項94】
前記心肺蘇生を必要とする前記患者に心肺蘇生を行う第一応答者の1以上の指に装着されるように設計される
請求項92に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項95】
前記第一応答者の1以上の指に装着されるように設計され、乳児又は小さな子供に心肺蘇生を行うために用いられる
請求項94に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項96】
該装置をメトロノームとして実行させるプログラム記述を更に含む
請求項9に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項97】
前記第一応答者は、前記患者に施す圧迫を、該装置のメトロノーム機能の拍子に合致させる
請求項96に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項98】
該装置のメトロノーム機能の各々の拍子に対し、音を送信可能な1以上のスピーカを更に備える
請求項97に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項99】
前記音は、ビープ音又はブザー音である
請求項98に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項100】
該装置のメトロノーム機能の各々の拍子に対し、振動させることが可能な1以上の振動モータを更に備える
請求項97に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項101】
該装置のメトロノーム機能の各々の拍子に対し、迅速に点灯及び消灯する電球を更に備える
請求項97に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項102】
心肺蘇生が実施されている患者に前記第一応答者が胸骨圧迫を施していない場合に、出力データを抑制するソフトウェアを更に含む
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項103】
入力された前記身体的特徴は、標的となる圧迫の深さ及び標的となる反跳の高さを決定して、心肺蘇生が行われている前記患者に対する最適な治療を実現すべく、該装置によって用いられる
請求項63に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項104】
前記標的となる圧迫の深さ及び前記標的となる反跳の高さが実現されない場合に、前記第一応答者にフィードバックを提供するのみである
請求項103に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項105】
前記第一応答者の訓練用に用いられるように設計されている
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項106】
自動体外式の除細動器と共に用いられるように設計されている
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項107】
前記除細動器は、除細動を必要とする前記患者の胸部に接着するパッドを含む
請求項106に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項108】
前記パッドは、加速度計である
請求項107に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項109】
ジャイロスコープを更に備える
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項110】
前記視覚フィードバックインタフェースは、色盲である第一応答者によって解読されるように設計される
請求項14に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項111】
心肺蘇生が行われている前記患者の体温を測定するセンサを更に備える
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項112】
心肺蘇生を必要とする前記患者に心肺蘇生を最初に施してから経過した時間を呈示する手段を更に備える
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項113】
履歴又は胸骨圧迫を記録し、前記視覚フィードバックインタフェースに前記履歴を表示するプログラム記述を更に含む
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項114】
従属的な装置と相互作用可能な手段を更に備える
請求項1に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項115】
前記従属的な装置から収集されたデータは、視覚フィードバックインタフェースに表示される
請求項114に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項115】
前記視覚フィードバックインタフェースは、連続したモニタのディスプレイである
請求項14~113のいずれか一項に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項116】
格納容器又はハブと、
請求項1~114のいずれか一項に記載の心肺蘇生監視装置と、
選択的に1以上のバッテリと、
1以上の処分可能な接着装置と
を備え、
前記格納容器又はハブは、前記心肺蘇生監視装置を含み、
前記格納容器又はハブは、前記処分可能な接着装置を格納する入口が形成される
キット。
【請求項117】
CPRを開始する前に指示を提供する
請求項14に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項118】
前記指示は、救急サービスに通知するように第一応答者に指示する
請求項117に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項119】
前記指示は、該装置の使用方法について第一応答者に呈示する
請求項117に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項120】
胸骨圧迫が開始される時期を検知するようにプログラムされている
請求項117に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項121】
胸骨圧迫が検知されたときに、指示の提供からフィードバックの提供に切り替える
請求項120に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項122】
胸骨圧迫を計数及び表示するようにプログラムされている
請求項14に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項123】
経過時間を記録し、表示するようにプログラムされている
請求項14に記載の心肺蘇生監視装置。
【請求項124】
胸骨圧迫を含む心肺蘇生が必要な患者の特定する工程と、
請求項1~114のいずれか一項に記載の心肺蘇生監視装置を始動させる工程と、
心肺蘇生を必要とする患者の心肺蘇生を開始する工程と、
前記心肺蘇生監視装置からのフィードバックに基づき、胸骨圧迫を調整する工程と
を含む
心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【請求項125】
前記心肺蘇生監視装置からのデータを受信する別個の主体又は第三者からの指示を受信する更なる工程を更に含む
請求項124に記載の心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【請求項126】
心肺蘇生を練習する学生によって行われる
請求項124に記載の方法。
【請求項127】
前記学生は、マネキンで心肺蘇生を練習する
請求項126に記載の方法。
【請求項128】
心肺蘇生監視装置を用いる方法であって、
該装置及びソフトウェアを始動する工程と、
前記システムを手に把持する工程、手に取付ける工程、又はシステムを手の下に配置する工程のいずれかの工程と、
マネキンで心肺蘇生を開始する工程と、
前記心肺蘇生監視装置から学生の心肺蘇生技術に関するフィードバックを受信する工程と、
前記学生の心肺蘇生技術を修正することにより前記フィードバックに応答する工程と、
当該心肺蘇生の講習会を終了する工程と
を含む
心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【請求項129】
前記始動する工程の前後に、前記心肺蘇生監視装置に関する指導内容を再検討する更なる工程を含む
請求項128に記載の心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【請求項130】
前記指示内容は、別個の装置にアップロードされる
請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記指示内容は、映像若しくは一連の映像、及び/又は視聴覚的な記録を含む
請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記指示内容は、画像又は一連の画像を含む
請求項130に記載の方法。
【請求項133】
前記指示内容は、テキストを含む
請求項130に記載の方法。
【請求項134】
1以上のクイズの質問に応答する更なる工程を含む
請求項129に記載の心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【請求項135】
前記学生は、マットレス、枕、クッション、又は圧迫可能な物体で心肺蘇生を練習する
請求項126に記載の心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【請求項136】
前記心肺蘇生は、空中で行われる
請求項124に記載の心肺蘇生監視装置を使用する方法。
【請求項137】
指導者は、前記方法の工程を前記学生に教示する
請求項126に記載の心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【請求項138】
前記指導者は、電子通信によって前記学生を教示する
請求項137に記載の心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【請求項139】
前記電子通信は、映像及び音声の記録を含む
請求項138に記載の心肺蘇生監視装置を用いる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本開示は、2020年2月10日付けで出願した米国仮特許出願第62/972,574号、2020年2月10日付けで出願した米国仮特許出願第62/972,544号、及び2019年6月3日付けで出願した米国仮特許出願第62/856,544号の優先権及びその利益を主張し、各々の内容の全体は本明細書において引用により組み込まれる。
【0002】
[本開示の分野]
本開示は、医療装置の分野に関する。更に具体的には、心肺蘇生(CPR)又は心肺蘇生をするための学習を行う際の、第一応答者(ファーストレスポンダー)、医療専門家、及び他の救助者が用いる指示又は支援装置に関する。
【背景技術】
【0003】
胸骨圧迫は、救助者又は第一応答者が一方の手を他方の手の上に置き、理想的には医学的指針、例えばアメリカ心臓協会(AHA:American Heart Association(登録商標))の指針(非特許文献1)により、被害者の胸部を押圧する重要な部分又はCPRである。これらの圧迫の目標は、被害者の心臓が不規則に拍動している場合、又は全く拍動していない場合に、被害者の身体に対する血流及び酸素供給を維持することである。救助者又は第一応答者は、被害者のために十分な血液循環を生成すべく、十分な力及び頻度で圧迫を印加することが重要である。正確になされた場合、CPRは、被害者の生存の可能性を向上できる。
【0004】
しかしながら、CPRを正確に施すことは困難な場合がある。救助者若しくは第一応答者、又は第一応答者は、多くの場合、ストレスの多い状況において、広範な期間にわたって胸骨圧迫を行わなければならない。救助者又は第一応答者が疲労し、病巣が損なわれることがある。これらの条件下において、被害者の胸部に印加する必要のある力、又は被害者に適切な血液循環を与えるために必要な圧迫の頻度を、効果的に推定することは非常に困難である。訓練を受けた専門家であっても、多くの場合、CPRを行う際にこれら2つのパラメータを誤判断し、その結果、被害者のためにCPRを十分に提供されず、生存の可能性が損なわれることを研究が実証している。
【0005】
上述のため、リアルタイムで、救助者又は第一応答者のCPRの実行の様々なパラメータを測定し、効果的な方法で、フィードバックを提供できる実用的な装置が必要とされている。これは、現実の医学的緊急事態において有用であり、又は訓練の設定においてCPRを練習するのに有用である。これを支援すべく装置が提案されている。この一例は、被害者の胸部に配置された装置を開示し、圧力センサを用いて圧迫の力とタイミングとを測定する特許文献1(Kelley)である。当該装置は、圧力センサを保持するのと同一の筐体に構築された視聴覚的なフィードバックシステムが組み込まれている。これにより、装置が同一の場所に固定されないため、移動中の救急車の後ろ等の特定の条件において用いるのが困難な場合がある。例えば、救助者又は第一応答者が装置を能動的に保持していない場合、例えば、救助者又は第一応答者は胸骨圧迫の間に人工呼吸を行っている際は、常に装置は自由に移動できる。更に、救助者又は第一応答者の手と患者の胸部との間に粗大な筐体を追加することは、救助者又は第一応答者にとって不慣れ又は不快であるため、軽量の手袋のみを装着して、CPRを行うように訓練されるのが通常である。
【0006】
CPR支援装置の別の例は、特許文献2(Centenら)に記載されており、救助者又は第一応答者の手の一方に依拠して、CPRパラメータを測定する、装着可能な装置を開示している。視覚的なフィードバックをユーザに表示するために、特許文献2は、「表示用のパソコン又は携帯無線装置といった別個の計算装置に」データを送信することを記載している。これは、別個の計算装置により救助者又は第一応答者の注意が被害者から遠ざかることになるため所望されない。別個の装置を被害者及び圧迫部位の近くに移動させたとしても、システムに不必要な複雑さを添加し、例えば移動中の救急車で用いられた場合に、不安定となる可能性がある。特許文献2は更に、手袋を装着している手の甲にフィードバックが表示される代替的な装置について記載している。救助者又は第一応答者はCPRを行う際に一方の手をもう一方の手の上に置く必要があるため、これは上手く機能しないであろう。センサとディスプレイとを有する手の甲は、もう一方の手で妨げられるであろう。
【0007】
CPR支援装置の別の例は、特許文献3(Halperinら)に記載されており、患者の胸部の固定位置に加速度計を用いて、圧迫の深さを測定するCPR支援装置を開示している。特許文献3は、任意の基準データと別個に圧迫の深さを決定する。当該システムは、胸骨圧迫により生じない患者の身体の動きを示す基準データがないため所望されない。救急車のような移動中の車両で用いられる場合、胸骨圧迫により生じる動きと車両の移動とを識別できない可能性がある。可能なデータフィルタリング方法を考慮した場合、ノイズは更に装置の精度に影響を与える。加速度計のような追加の基準装置を用いることにより、移動の頻度が同一であり、移動が他の特性を共有している場合でも、装置のプロセッサが胸骨圧迫の移動と被害者の身体の他の動きとを更に効果的に区別可能となるであろう。
【0008】
CPR支援装置の別の例は、特許文献4(Centen)に記載されている。特許文献4は、CPRの際の胸骨圧迫の深さを決定するために「場の発生装置、場の検知装置、及びプロセッサ」を用いるCPR支援装置を開示している。場の発生装置は、基準として作用して、患者の身体とともに移動するため、場の検知器は、この場の発生装置に対する移動のみを測定する。これは、胸骨圧迫の移動と患者の身体の移動とを区別する適切な方法であろう。しかしながら、当該方法で用いられる任意の形式の電界又は磁界は、患者のペースメーカー又は他の移植した金属若しくは電子機器と干渉する可能性があるため所望されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5496257号
【特許文献2】米国特許第9028259号
【特許文献3】米国特許第8147433号
【特許文献4】米国特許第9585603号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Virani SS et al.,(2020),Circulation,141(9):e139-56
【非特許文献2】Minami K et al.,(2016),Resuscitation,99:e11-12
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、胸骨圧迫の質及び/又は胸骨圧迫を修正すべき方法についてリアルタイムにフィードバックを与えることにより、CPRを更に効果的に行い、救助者若しくは第一応答者、又は複数の第一応答者を支援する医療装置である。当該装置は更に、学生(CPRを学習又は練習する人物)がCPRの胸骨圧迫を行っている際に同様の方法で用いることができる。当該装置は、救助者又は第一応答者のCPRの胸骨圧迫の質に関する1以上のパラメータを検知するための1以上のセンサを含む。当該センサは、救助者又は第一応答者の下側の手と被害者の胸部との間、救助者若しくは第一応答者の手の甲、又はセンサが検知するのに十分な他の任意の位置に配置できる。
【0012】
当該装置は更に、ディスプレイ又は他のフィードバックシステムを含む。当該システムは、CPRに関する指示を提供する。当該システムは、更に良いCPRを行うための視覚的なCPRフィードバック又は待ち行列を提供するのに用いられる。当該装置は更に、聴覚及び/又は触覚出力を含み、視覚的な表示システムと協働又は代替できる。記載の装置及び方法を用いることにより、救助者又は第一応答者は、CPRを行う際に推定される最良の治療を提供可能となり、被害者に最適な生存確率を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、救助者又は第一応答者11が被害者14にCPRを施すことを示す図である。
図2図2は、図1に示した主装置12の上面視の概略図である。
図3図3は、図1に示したな装置12の分解図を示している。
図4図4は、接着部品の分解図を示している。
図5図5は、基準装置13の分解図を示している。
図6図6は、データ処理の経路を記述するフローチャートである。
図7図7は、中央位置として用いられて装置を保存するための容器又はハブ71を例示している。
図8図8は、被害者14にCPRを施した救助者又は第一応答者11を示している。
図9図9は、装置のハードウエア部品を示している。
図10図10は、CPRの適正な施行にユーザを導くために、CPR前の指示及びCPRの際のフィードバックを提供するように用いることが可能な工程を示している。
図11図11は、アルゴリズムが加速度計からのデータを処理及び分析し、それを基準と比較し、救助者又は第一応答者にフィードバックを提供する工程を示している。当該工程は、救助者又は第一応答者がCPRを行っている限り反復する。
図12図12は、マネキン13でCPRを練習している学生11を示している。本明細書に記載のCPR支援装置12の実施形態は、CPRを練習している際に、学生の上側の手11の甲に取付けられる。一部の好適な実施形態においては、CPR支援装置は、本明細書に記載される好適な機能を含むスマートフォン11にできる。
図13図13は、CPRの適正な施行を訓練又は練習するためにシステムが用いる工程を示している。
図14図14は、CPRの適切な施行を訓練又は練習するためにカメラを用いる方法を示す。
図15図15は、CPRの適切な施行を訓練又は練習するために、マネキン又は人形が指導者によって送信され、学生によって受信される工程を示している。
図16図16は、生成された認証キーを使用してソフトウェアをロック解除及びロックする工程を示している。
図17図17は、静的認証キーを使用してソフトウェアをロック及びロック解除する工程を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示されているのは、CPRの実施において救助者又は第一応答者を支援するか、あるいはCPRの学習又は練習におい学生を支援するための新規の装置及び方法である。
【0015】
[装置]
図1は、主装置12及び基準装置13の2つの部品を含む本開示の一実施形態を示している(以降においては、「装置」と総称する)。主装置21は、限定しないが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、並びに、ナイロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエン(ABS)、ポリウレタン(PU)、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(マサチューセッツ州スターリングのBMP Medical社)から選択した半可撓性の重合体から生成された筐体からなり、非導電性の接着材(又は使用後に交換及び廃棄可能な医学的に認可された接着パッド)(コネティカット州トリントンのPanacol-USA社)を片側に(図示せず)、ユーザフィードバックディスプレイ12Aを逆側に有している。CPRを行う準備をする場合、主装置12は、救助者若しくは第一応答者の手11の甲又は手袋(図示せず)を貼付されるか、あるいは救助者又は第一応答者によって保持される。図1に示すように、救助者又は第一応答者の手11を適切な位置に置いてCPRを行う際に上側になる手11の甲又は手袋に接着できる(処分可能な接着パッドは図示せず)。装置12は、加速度計、及び、場合によっては他のセンサからのデータを用いて、CPRによる胸骨圧迫を行う際の救助者又は第一応答者の手の変位の深さを測定できる。変位の深さに基づいて、装置12は、図2(主装置21の上面図)に示すように、必要に応じて、各々の圧迫で概ねの力を印加できるように、救助者又は第一応答者11に視覚的なフィードバック又は他のフィードバックを与える。救助者又は第一応答者11は、マーク、すなわち「マイナス(-)」、「レ点」、又は「プラス(+)」が、深さが小さすぎるか、十分であるか、又は多すぎるかを示す連続モニタ23で、圧迫の深さが表示されるのを見ることができる。更に、周波数インジケータ22は、正確な圧迫ペースで脈動する振動モータ、点滅するダイオード、又はスピーカ25のいずれかからなる。
【0016】
図3及び図4に示すように、各々の主装置12は、CR1620(日本国大阪府門真市のPanasonic(登録商標)社)又は他の時計用バッテリ(ミズーリ州セントルイスのEnergizer(登録商標)Holdings社)などの電源44と、LIS3DH三軸加速度計(ニューヨーク州ニューヨークのAdafruit(登録商標)Industries社)などの加速度計39と、ATMEGA32U4-AU(AVR AVR(登録商標)ATmega Microcontroller IC 8-Bit 16MHz 32KB(16K×16)FLASH44-TQFP(10×10)(アリゾナ州チャンドラーのMicrochip Technology社)などのプロセッサ38と、Nokia(登録商標)5110/3310 monochrome LCD(フィンランド国エスポーのNokia(登録商標)社)などのフィードバックディスプレイ35とを格納する筐体33を備える。更に、1以上の振動モータ36(ニューヨーク州ニューヨークのAdafruit(登録商標)Industries社)及び/又は有線又は無線のデータ送信システム34を格納できる。非導電性の接着層41(コネティカット州トリントンのPanacol-USA)は、バッテリ44用に筐体42に取付けられている。バッテリ44は、装置の最上層45に埋め込まれた留め金46及び48に電流を流す導電性条片43及び47に接続されている。非導電性の接着パッド31に埋め込まれた留め金32及び37を備える非導電性の接着パッド31は、電子機器をバッテリ44に接続する。装置は、スクリーン35と、振動モータ、点滅ダイオード、又はスピーカ36とを格納する上面カバー40を有する。
【0017】
主装置12は、図1に示す基準装置13と対をなす。図示するように、CPRを行う際に、主装置12は救助者又は第一応答者の上側の手11の甲に接着させる。基準装置13は、被害者14の頸部に貼付される。基準装置13は更に、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、並びに、ナイロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエン(ABS)、ポリウレタン(PU)、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(マサチューセッツ州スターリングのBMP Medical社)から選択した半可撓性の重合体から生成された筐体からなり、非導電性の接着材(又は使用後に交換及び廃棄可能な医学的に承認された接着パッド)(コネティカット州トリントンのPanacol-USA社)を片側に有している(図示せず)。救助者又は第一応答者11が被害者14にCPRを行う準備をしている場合、基準装置13は、非導電性の接着材(又は使用後に交換及び廃棄可能な医学的に承認された接着パッド)(コネティカット州トリントンのPanacol-USA社)を用いて、被害者14の頸部の側面、第6肋間近傍の被害者14の椎骨の遠位にある肋骨、被害者14の背部、又は被害者14の身体の別の安定部分に貼付される。基準装置13は、被害者14の移動を測定し、被害者14の胴体と共に移動するが、被害者14に施される胸骨圧迫と別個に移動する被害者14の一部に配置すべきである。
【0018】
図4及び図5に示すように、基準装置13は、非導電性の接着パッド51(コネティカット州トリントンのPanacol-USA社)と、CR1620(日本国大阪府門真市のPanasonic(登録商標)社)又は他の時計用バッテリ(ミズーリ州セントルイスのEnergizer(登録商標)Holdings社)などの電源と、LIS3DH三軸加速度計(ニューヨーク州ニューヨークのAdafruit(登録商標)Industries社)などの加速度計57と、ATMEGA32U4-AU(AVR AVR(登録商標)ATmega Microcontroller IC 8-Bit 16MHz 32KB(16K×16)FLASH44-TQFP(10×10)(アリゾナ州チャンドラーのMicrochip Technology社)などのプロセッサ56と、有線又は無線のデータ送信システムとを備える。基準装置13は、電子機器をバッテリ(図示せず)に接続する留め金52及び55を用いて接着パッド51を接続する層を含む。電子機器が埋め込まれた筐体53が更にある。装置は更に、上面カバー58を含む。
【0019】
装置は、図6は、基準装置13及び主装置12の双方からのデータが主装置12に送信される方法を示した図6のように動作する。主装置12が始動すると、主装置12の加速度計39及び基準装置13の加速度計57がデータの収集を開始する。主装置の加速度計39からのデータは、主装置12のプロセッサ38に送信される。同時に、基準装置13の加速度計57からのデータは、基準装置13のプロセッサ56に送信される。次いで、基準装置13のプロセッサ56からのデータは、主装置12のプロセッサ38に(無線又は有線で)送信される。主装置12のプロセッサ38は、双方の加速度データのセットを、速度データと変位データとに変換する。次いで、主装置12内のプロセッサ38は、救助者又は第一応答者11が圧迫を行っているか否かを判定し、救助者又は第一応答者11の胸骨圧迫の変位が、所定の2つの閾値のセットの上下にあるか否かを確認する。変位が両方の閾値を下回っている場合、プロセッサ38は、主装置12の視覚ディスプレイ35を始動し、更なる力を用いるよう救助者又は第一応答者11に指示する。閾値の間に変位がある場合、プロセッサ38は、主装置12の視覚ディスプレイ35を始動し、力の使用が適切であることを示す。変位が両方の閾値よりも大きい場合、プロセッサ38は、主装置12の視覚ディスプレイ35を始動し、更なる小さい力を用いるように救助者又は第一応答者に指示する。
【0020】
好適な装置の実施形態によると、非導電性の接着材41及び51、並びに/又は、主装置12及び基準装置13に動力供給するバッテリ44は、処分可能かつ交換可能にできる。し、CPRを行う際に救助者又は第一応答者の上側の手11の甲に取付けられる、本明細書に記載のCPR支援装置12の別の実施形態を示す図8のように、装置の処分可能な部分は、主装置12又は基準装置13とともに用いることができる。この方法では、各々の使用後に、部分的に消耗したバッテリを新しいバッテリと交換でき、及び/又は、単回使用の非導電性の接着材を、装置の次回の使用の準備に新しい非導電性接着材と交換することができる。一方、装置の他の全ての電子部品は、滅菌して再利用できるように、滅菌可能な材料で生成されるか、あるいは滅菌可能な材料で格納される。装置の処分可能な部分は、再利用可能部分の電気部品について、処分可能な部分におけるバッテリの極性を反転不可能なように、非対称的な方法で再利用可能な部分に取付けられる。代替的には、装置の再利用可能な部分は、バッテリの極性と別個に動作可能なように設計及び配線できる。
【0021】
別の実施形態においては、主装置12は更に、救助者又は第一応答者11が、患者14の胸部を適切に反跳(リコイル(recoil))可能にしているかを示すフィードバックを与えるように生成できる。これは、圧迫の下方への移動に対応する主装置12の加速度計39のデータを、上方への移動に対応するデータと比較することにより行うことができる。救助者又は第一応答者11が引き上げるよりも遠くまで押圧した場合、装置はフィードバックインタフェースを介して不十分な胸部の反跳があることを呈示する。
【0022】
代替的な実施形態においては、主装置12は、基準装置13なしで動作させて、装置のコストを低減できる。基準装置13を用いて患者の身体14の動きを監視する代わりに、主装置12は、患者の身体14が安定していると仮定するか、あるいは周波数解析を用いて胸骨圧迫の移動を他の移動と区別する。これは、患者が単に病床に横たわっている病院の設定のような状況では有用であるが、救急車のように移動中の車両においてCPRが施される状況ではほぼ所望されない。
【0023】
別の代替的な実施形態においては、上述の段落0019において記載した閾値は、救助者又は第一応答者11によって設定できるか、他の場合は、患者14の大きさ、年齢、体重、若しくは体格に基づいて、又は他のパラメータに基づいて、CPRを行う前、CPRを行っている際、又はCPRを行った後に修正できる。
【0024】
別の代替的な実施形態においては、データを収集するために、主装置12又は基準装置13に追加のセンサを装備することができる。このデータは、ユーザフィードバックディスプレイ35を起動又は変更して、救助者又は第一応答者11に追加のフィードバックを提供するようにプログラムされる主装置13のプロセッサ38に送信することができる。主装置12又は基準装置13によって集められた追加データは、外部コンピュータシステム又は表示(図示せず)に送信及び/又は保存することもできる。さらに、患者の健康状態を評価するために他のデータと比較することができた。
【0025】
別の代替的な実施形態は、別個のバッテリ、マイクロプロセッサ、及び無線送信装置が
救助者又は第一応答者11の下側の手の平又は手の甲に配置された更なる非導電性の接着部品を備える。これは更に、被害者14の胸部に配置された装置の形態をとることができる。それは加速度計及び/又は圧力センサ(非特許文献2と同様のもの)を含み、施行中のCPRの胸骨圧迫の質に関する更に多くのデータを収集する。これによって、更なるデータを提供することにより、装置の精度を向上できる。
【0026】
別の代替的な実施形態においては、主装置12又は基準装置13のバッテリ44は、交換する代わりに再充電されるように生成できる。主装置12及び/又は基準装置13は、更に充電ポート又は無線充電能力を備える。
【0027】
他の代替的な実施形態は、基準装置13と別個に動作可能な、別の方法で格納された主装置12に存在するのと同一の電気部品を含む。この実施形態による主装置12は、救助者又は第一応答者11の上側の手に装着され、視覚ディスプレイ35が同一の手の甲にある手袋である。この装置は更に、視覚的フィードバックディスプレイが手の甲にあるように、フック、及び拘束具(商標名Velcro(登録商標)(ベルギー国ダインゼのVelcro(登録商標)社)で市販されている)のような係蹄固定手段で救助者又は第一応答者11の上側の手に取付けることができる。別の装置の実施形態は、使用の際に救助者又は第一応答者11の下側の手の下方に保持された硬性のプラスチック部品からなるようにできる。救助者又は第一応答者11の手の周りに取付け部分を有し、救助者又は第一応答者11の手の上方に視覚的フィードバックディスプレイを提供する。これらの代替的な装置の筐体の全ては、上述したのと同様にデータを取り、フィードバックを行う。
【0028】
本開示の別の実施形態においては、装置を変更して、2以上の主装置を共通の基準に接続できる。これにより、複数の救助者若しくは第一応答者、又は第一応答者が胸骨圧迫を施す順番が採用可能となり、1人の救助者又は第一応答者が疲労を感じた場合に交互に行うことができる。
【0029】
更なる実施形態においては、基準装置13を病院のベッド、車輪付き担架(gurney)、又は担架に持続的又は一時的に取付けるように設計できる。この実施形態は、装置が患者の身体に直接取付けられることを必要としない。本開示のこの実施形態は、患者が傷ついているか、又は装置が接着される領域に傷を有する状況において用いられる。
【0030】
別の実施形態においては、基準装置13は、中央位置として用いられて、図7に示すような他の装置(及び装置を患者に固定するのに用いられる交換可能なパッド(14))を格納するハブ又は筐体/格納容器71に取付けられるように設計される。基準装置(13)72は、ハブ71の外側に格納され、主装置12(図示せず)又は複数の装置は、ハブ又は筐体/格納容器71の壁にあるスロット又は開口73から分配され、主装置12(図示せず)又は複数の装置及び基準装置72又は複数の装置は、容易に用いることができるように小型の容器に格納される。このハブ又は筐体/格納容器71は更に、1以上の主装置又は基準装置を有線又は無線で再充電する能力も有するようにできる。このハブ又は筐体/格納容器71は、病院の緊急用カート又は救急車の内部に載せておくか、あるいは取付けることができる。一部の状況においては、基準装置72は、本開示を更に合理的に用いるべく、患者に取付けるのではなく、ハブ又は筐体/格納容器71に残存させている。
【0031】
別の代替的な実施形態においては、基準装置13は、患者からの他の生体計測又はデータの点数を記録するように設計できる。当該データは、患者の健康を評価又は監視しながら、他の方法で保存又は使用すべく、主装置12又は外部装置に送信できる。
【0032】
更に別の実施形態においては、救助者又は第一応答者11の指又は親指に取付けるように主装置12を変更して、乳児に施されたCPR胸骨圧迫の深さを追跡することができる。
【0033】
別の実施形態においては、主装置12は、胸骨圧迫の周波数を測定して、次いで所定の目標周波数に対するそれらの周波数の比較の方法に応じて救助者又は第一応答者に視覚的、聴覚的、又は触覚的なフィードバックを提供することにより施される、胸骨圧迫の周波数の救助者又は第一応答者へのフィードバックを提供するように設計できる。代替的に、主装置12は、単にメトロノームとして作用でき、救助者又は第一応答者は、それらの圧迫をメトロノームの拍子と一致させる。メトロノームは、スピーカで生成し、施される拍子ごとに音を生成するか、拍子ごとに振動する振動モータで生成するか、あるいは代替的にはメトロノームの拍子ごとに点滅する小さな光で生成できる。
【0034】
別の代替的な実施態様においては、救助者又は第一応答者が、別の救助者又は第一応答者と交替する際に、救助者又は第一応答者が人工呼吸又は安静を実施している場合に、気が散らないように、救助者又は第一応答者が胸骨圧迫を実施していない場合に出力を抑制するよう装置をプログラムできる。
【0035】
更なる実施形態においては、救助者又は第一応答者が事前にプログラムされた胸骨圧迫の目標から逸脱した場合にのみ、装置はフィードバックを提供する。救助者又は第一応答者が、所定の指針及び目標に合致するCPRを行っている場合、装置は、気が散る任意の情報を提供しない。
【0036】
別の実施形態においては、当該装置は、訓練目的のために教室の設定で用いるのに更に適するように変更できる。主装置の接着材は脱離され、その代わりに、主装置は、部品を交換することなく、装置を再使用できるように、ユーザの手の甲に単に拘束し、保持し、又は別の方法で取付けられる。この実施形態においては、基準装置13は、ほとんどの訓練のシナリオで不要なため、省略できる。
【0037】
別の実施形態においては、装置は、同一の患者に用いられる自動体外式の除細動器(AED)(マサチューセッツ州チェルムズフォードのZOLL(登録商標)Medical社)と同期できる。AED、主装置12、及び基準装置13は、データを双方向に送信するように設計される。患者の胸部に付着したAEDパッド(ジョージア州ケネソーのAED Brands(登録商標)社)は、基準の加速度計としても機能しうる。
【0038】
別の代替的な実施形態においては、加速度計39のデータをフィルタリングして、患者14の胸部に向けられない動作の要素を除去するように、主装置12上のプロセッサ38をプログラムできる。ADXRS290ジャイロスコープ(マサチューセッツ州ノーウッドのAnalog Devices社)のようなジャイロスコープからのデータは、このフィルタリング動作に用いることができ、運動角を更に良好に決定できる。
【0039】
別の実施形態においては、同一のインタフェースにおいて、赤色、緑色、及び黄色の組み合わせを一緒に用いることを回避することにより、色盲の救助者若しくは第一応答者又は第一応答者によって容易に理解できるように設計された視覚フィードバックインタフェースで装置を生成できる。その代わり、青色及び橙色、又は数値差が大きい他の色の組み合わせを用いることができる。
【0040】
特定の実施態様においはて、主装置12又は基準装置13のいずれかは、体温データを分析、保存、又は送信するための体温センサ(スイス国シャフハウゼン州にあるTyco International Services社のTE Connectivity(登録商標))を含むように設計できる。
【0041】
特定の実施形態においては、主装置12は、救助者又は第一応答者が、所定のCPR時間の制限に近づいているか、又はそれを超えているかを知るのを手助けする、使用者がCPRの実行を開始してからの経過時間を示す更なる表示を含むように設計できる。
【0042】
代替的な実施形態においては、装置は、迅速に変化するリアルタイムのフィードバックよりも、救助者又は第一応答者が、解読及び理解するのが容易な、リアルタイムの深さのデータに加えて胸骨圧迫の履歴を示すデータを表示するように設計できる。
【0043】
他の実施形態においては、主装置12のユーザフィードバックは、救助者又は第一応答者の手の甲に表示可能な、胸骨圧迫又は他のデータを収集及び/又は処理する他の装置と対にできる。
【0044】
他の例では、主装置12上のユーザインタフェースディスプレイ35を設計して、各々の移動の全体にわたって圧迫の深さについて、リアルタイムにフィードバックできる。これは、図2に示すような連続的な深度の計測器として表示できる。計測器は、胸部が完全に圧迫された時点、胸部が完全に反跳した時点、及びこれらの位置の間の点の連続体を呈示する。
【0045】
本開示において用いられるハードウエア装置の別の好適な実施形態は、2020年6月3日にインタネットからダウンロードされた
https://store.google.com/us/product/pixel_3a_specs
で議論されたようなGoogle(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのグーグル(商標)社)である。他のスマートフォン、スマートウォッチ、装着可能な装置、又はこれらの構成を備えた他の電子装置は、更に同様に効果的に用いられうる。
【0046】
好ましい実施形態においては、図9の開示は、スイッチ22、バッテリ23、加速度計24などの1以上の移動又は距離センサ、1以上のスピーカ25又はADXRS290ジャイロスコープ(マサチューセッツ州ノーウッドのAnalog Devices社)などのジャイロスコープ26、プロセッサ27、1以上の振動モータ28、及び1以上の内部記憶装置29のような電気部品を含む装置21のハードウエア構成を示している。当該装置は更に、筐体に取付けられ、視覚的指示又はCPRフィードバックを提供できる視覚ディスプレイ30を備える。好適には、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)に含まれる加速度計24、及びGoogle(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)にあるジャイロスコープ26が用いられる。
【0047】
図9は更に、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)に含まれる64ギガバイト型の駆動記憶装置などの1以上の記憶装置29を更に含む、筐体21における運動センサを示している。筐体21は更に、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)に含まれるQualcomm(登録商標)Snapdragon(商標)670(カリフォルニア州サンディエゴのQualcomm Technologies社)などの1以上のプロセッサ27を含むことができる。
【0048】
センサ、記憶装置、及びプロセッサのハードウエアを保持する図9に示した同一の筐体は更に、ユーザに情報、フィードバック、及び/又は指示を伝達するための1以上のアクチュエータを収容している。好ましい実施形態においては、筐体20は、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)に含まれるステレオスピーカなどの1以上のスピーカ25と、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)に含まれる5.6インチの画面などの視覚ディスプレイ30とを保持する。この実施形態は、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)に含まれる振動モータ28などの触覚フィードバックの能力を更に含むことができる。
【0049】
図9に示される本開示のこの実施形態は、同一の筐体21に更に含まれるバッテリ23によって動力供給されている。好適には、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)に含まれるような、3000ミリアンペア時間のバッテリ(コネティカット州ベセルのDuracell(登録商標)社)を用いる。筐体21は更に、装置を始動及び停止するボタン22を含む。好適には、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)にある電源ボタンと同様の電源ボタンが用いられる。電気接続は更に、記載された全ての構成要素をバッテリ及びプロセッサにインタフェース接続するために含まれる。
【0050】
装置のプロセッサ38は、救助者又は第一応答者11がCPRを実行しているときに、加速度計39を用いて患者14の胸部の移動及び/又は救助者又は第一応答者11の手の移動の測定をプログラムでき、記憶装置29に記憶されるデータを転送し、次いで加速度計データを圧迫の深さのデータに変換するアルゴリズムを用いてプロセッサ38によって処理される。この深さのデータは更に、記憶装置29に転送され、記憶装置29に記憶される。
【0051】
図11のアルゴリズムは、圧迫の深さのデータへ変換される加速度計のデータが、装置によって感知される重力場に対応する信号の成分を最初に減じる必要があることを示している。このアルゴリズムは、次いで、残余の成分を取り出し、ハイパスフィルタ(カリフォルニア州フェアオークスのMaxxcom社)又は当業者に公知の任意の他の方法を用いて、任意のノイズをフィルタ除去する。そして、信号は時間に対して2回積分される。信号の過渡成分は、積分の間、及び、両方の積分の後に強調される必要がある。これにより、胸骨圧迫の深さに対応した結果が得られる。非常に多くの代替的なアルゴリズムが、同じ結果を得るために用いられることは明らかである。記載のアルゴリズムは好適である。
【0052】
次に、プロセッサ38は、圧迫の深さのデータを、アメリカ心臓協会(登録商標)(テキサス州ダラスのAmerican Heart Association(登録商標)社)によって設定された基準のような圧迫の深さに関する関連基準と比較する。救助者又は第一応答者11の圧迫の深さが基準未満である場合、装置は、1以上のアクチュエータを用いて、救助者又は第一応答者11に、胸部に更に深く押圧する必要があることを呈示する。救助者又は第一応答者11の圧迫の深さが基準を満たしていれば、装置は、1以上のアクチュエータを用いて、救助者又は第一応答者11に、適切な圧迫の深さに到達していることを呈示する。救助者又は第一応答者11の圧迫の深さが基準を超える場合、装置は、1以上のアクチュエータを用いて、救助者又は第一応答者11に、深さを小さく胸部に押圧すべきことを呈示する。好適な実施形態においては、装置が救助者又は第一応答者11に対して胸骨圧迫の深さの提案を呈示している場合、視覚ディスプレイユニット35に当該提案を図及び/又は文書の形で表示する。更に、スピーカ25を用いて、圧迫の深さに関する聴覚的指示を与えることができる。更に、最適な胸骨圧迫の深さに到達したときに振動モータ28を短時間起動するために触覚を用いることができる。聴覚的な出力、視覚的な出力、又は触覚を用いた出力である情報は、記憶装置29に保存され、救助者若しくは第一応答者、又は医療専門家によって後に再検討される。
【0053】
装置は、カメラ、磁気計、ボタン、タッチスクリーン、又は他のセンサなどの更なるセンサを更に含むことができる。装置は更に、加速度計39及び/又は上述の更なるセンサを用いて、胸骨圧迫率、胸部の反跳、経過時間、及びそれ以上の更なるCPR関連のパラメータを測定できる。これらのパラメータは、記憶できる。これらのパラメータのフィードバックは、救助者又は第一応答者にも同様に提供できる。これらのパラメータは更に、情報が医療専門家、訓練された専門家、又は更なるアルゴリズムによって保存及び/又は再検討可能な、別の近傍の装置又は遠隔位置に送信できる。更に、専門家又はアルゴリズムは、受信したデータに対する回答として、指示又は情報を救助者又は第一応答者に返送できる。
【0054】
好適な実施形態においては、CPRフィードバックを提供する装置は、データの送信及び受信を含むワイヤレス接続能力、並びにGoogle(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)にあるような他のファイル、又は当業者によって既知の同様の装置を含む。当該装置は、救助者又は第一応答者によって保持されるか、手又は手首に装着されるか、その他の場合はCPRの実施の際に救助者若しくは第一応答者の手、又は患者の胸部と一緒に移動するように配置される。当該装置は、内蔵された加速度計39とジャイロスコープ26とを用いて、胸骨圧迫の加速度を測定する。これは、記載のような胸骨圧迫の深さを決定するために用いることができる。このデータを用いて更に胸骨圧迫率が測定できる。この情報は、救助者又は第一応答者が見るために、Google(商標)Pixel 3a(登録商標)(カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle(商標)社)が採用した5.6インチの画面などの画面に表示される。聴覚及び触覚のフィードバックは更に、装置に組み込まれたハードウエアを用いて行うことができる。当該実施形態は、図8に示されている。
【0055】
本開示の更なる実施形態は、CPRを行うのに関連する指示情報又は方向を、伝達又は表示することを更に含むことができる。これらの指示は、CPRのフィードバックが行われる前に表示され、文章及び/又は図から構成される。当該指示は、限定しないが、
1)患者が反応しているか否かをチェックする工程と、
2)患者が呼吸しているか否かをチェックする工程と、
3)患者が安定した硬い面にいることを確認する工程と、
4)フィードバック装置を特定の方法で配置する工程と、
5)救助者又は第一応答者の手を特定の方法で配置する工程と、
6)患者の胸骨圧迫を開始する工程と
を含む。救助者又は第一応答者は、訓練レベル並びにCPR及び関連手順への精通度によって、指示の一部若しくは全部を読むことができるように、あるいは指示の全部を読まないように、指示を省略する選択肢を有することができる。これが実現される一つの方法は、多くの指針を必要としない可能性のある専門的な救助者又は第一応答者、並びに更に多くの指針を必要とする可能性のある専門的でない救助者又は第一応答者に対する設定を有することである。専門的な救助者や第一応答者、又は第一応答者の設定では、更なるCPR関連情報及び/又は胸部の反跳若しくは経過時間などのフィードバックをシステムに表示させることも更に可能である。フィードバック及び表示は、他の設定を用いて更にカスタマイズできる。
【0056】
本開示の別の実施形態によれば、救助者又は第一応答者が、CPRを行っている患者の概ねの年齢範囲を選択することを可能にする。これらの範囲には、乳児(0~1歳)、小児(1~8歳)、成人(8歳以上)を含みうる。救助者又は第一応答者は、CPRを開始する前に適切な範囲を選択する。CPRを開始した時点で、収集したデータを選択した年齢群に特有の基準と比較される。したがって、提供されるフィードバックは、任意の年齢層の患者に対し正確になる。
【0057】
本開示の実施形態は更に、圧迫が始まったときに自動検知できる。圧迫を開始した時点で、救助者又は第一応答者の入力を追加せずに、装置は、指示の提供からCPRフィードバックの提供に変更できる。これは、装置の位置又は移動に対応するデータを用いて、胸骨圧迫とは異なる位置又は移動の重要な特徴を探すことによって行うことができる。
【0058】
本開示の実施形態は更に、胸骨圧迫の計数及び/又は時間の記録を行うことができる。この情報は、救助者又は第一応答者が、人工呼吸を行う時期、薬剤を投与する時期、除細動器のショックを印加する時期、又は他の救助者又は第一応答者と胸骨圧迫を行う任務を交替する時期に気付くように、救助者又は第一応答者に対して表示される。
【0059】
本開示の更なる実施形態は更に、ユーザがCPRの基準によって決定された所定の速度で胸骨圧迫を行うのを助けるために、視覚的、触覚的、及び/又は聴覚的なメトロノームを提供することもできる。視覚的なメトロノームは、周期的に振動する標識として表示でき、標識が所定の周波数で合致する振動経路に沿った静的な標識を有している。
【0060】
本開示の実施形態は更に、胸部の反跳を判定できる。胸部の反跳が不十分であると判定した場合、フィードバックシステムが始動し、使用者に胸骨圧迫の間の適切な胸部の反跳を保証する必要があることを知らせる。
【0061】
本開示の実施形態は更に、将来の参照のために収集されたデータを保存及び/又はアップロードできる。胸骨圧迫のパラメータは、同様に、将来の再検討のために保存及び/又はアップロードできる。これは、csvファイル又はその他のファイル形式で保存できる。これらのファイルは、Bluetooth(登録商標)(ワシントン州カークランドのBluetooth(登録商標)Sig社)又はその他の無線技術を用いてクラウドストレージシステム、又は別の装置に送信できる。これは、CPRの実施状況を回顧及び利用するために、あるいはCPRの際に用いられた装置又は他の装置からコードレビューを行うために用いることができる。
【0062】
本開示の更に別の実施形態においては、別個の装置に対するデータ又は胸骨圧迫パラメータは、スマートメガネなどの任意の既知のデータ送信装置、又は聴覚的及び/若しくは視覚的なフィードバックを送信可能な他の装置を用いて送信される。装置は、情報を用いることが可能であり、かつ、胸骨圧迫を行う救助者又は第一応答者に口頭でコーチング可能な別の救助者又は第一応答者により操作できる。このような人のコーチングの方法は、救助者若しくは第一応答者、又は複数の第一応答者にとって好適になり得る。
【0063】
本開示の更なる実施形態は更に、フィードバックシステムを含む装置に格納されていないセンサからデータを収集できる。これらのセンサは、限定しないが、心臓モニタ、心電図、カメラ、血流センサ、及び/又は当業者に公知の他のセンサを含む。これらのセンサを別個に格納し、有線接続又は無線接続を介してデータを主装置12に送信するか、あるいは将来の再検討のために、クラウドストレージシステム又は他の装置に送信できる。
【0064】
本開示の実施形態は更に、地方当局及び専門的医療対応者に報知し、かつ/あるいは、自動的に及び/又は促された場合に位置データを送信できる。
【0065】
本開示の実施形態は、関連するソフトウェアを終了することなく、装置から救急車に直接電話できる。この拡張は、位置データを救急車又は救急車の通信サービスに送信することが含まれる。更なる特徴は、現場への推定到着時間に関する最新情報を送信する救急車を含みうる。
【0066】
本開示の別の実施形態は更に、アプリを用いるために、又は無料トライアル期間が終了した後に、アプリに対してユーザに支払いを求めることができる。
【0067】
[方法]
記載の装置は、専門的及び非専門的な救助者又は第一応答者の双方に用いられることを意図している。使用のためのステップは、任意の順序で、
1)患者がCPRを必要な可能性があることを認識し、装置を始動する工程、
2)装置の指示を調査する工程、
3)CPRと胸骨圧迫とを開始する工程、及び
4)装置からのフィードバック及び待ち行列を用いて、胸骨圧迫の深さ、胸部の反跳、又は他のパラメータを調節する工程
のうちの一部又は全部を含むことができる。本方法の実装は、図10のフローチャートに示される。装置の指示は、患者が反応しているかどうかをチェックする工程、患者が呼吸しているかどうかをチェックする工程、及び装置を適切に位置決めする工程を含みうる。
【0068】
更に、CPRを実施する際、及び/又は、CPRを実施した後にCPR関連データを送信する際に、CPR関連データを送信する工程が追加されうる。ある救助者が上述のように装置を用いている際に、別の救助者又は第一応答者が別の装置を用いて送信データを受信し、第一応答者又は胸骨圧迫を行っている第一応答者に口頭指導を行うことができる。データは更に、医療従事者、救急サービス通信指令員、クラウドストレージユニットにも送信できる。
【0069】
記載の装置は更に、学生がCPRを学習又は練習したりするのを補助すべく、以下の方法で用いることができる。学生は、記述された装置又は装置のセンサ部分を保持するか、手に取付けるか、手首に取付けるか、あるいは圧迫部位でCPRのマネキンの胸部に接触させて手の下に置く。学生が胸骨圧迫を始めると、装置は学生及び/又は指導者に胸骨圧迫の深さ、胸骨圧迫の速度、及び/又は他のCPRパラメータについて、フィードバックを提供する。ついで、学生はフィードバックを見るか、聞くか、あるいは感知する。次いで、学生は、フィードバックに基づき、必要に応じて、胸骨圧迫の速度、深さ、又は他のCPR関連動作を調整できる。図12は、本開示の好適な実施形態の使用方法を示す。図13は、含まれうる工程の実装を示す。更に、学生は、映像、テキスト、及び/又は画像などの指導内容を同一又は別個の装置で見ることができ、かつ/あるいはこの使用方法の一部として1以上のクイズ質問に応答できる。
【0070】
学生がCPRを練習している際にセンサによって収集されたCPRデータ又は収集されたデータ及び他のデータに基づいて計算されたCPRパラメータは、装置の記憶装置に保存できる。これにより、学生がCPRの実施中又は終了後にデータ又はパラメータを再検討できる。更に、適切な深さに達した圧迫の比率などの追加パラメータは、遡及的に算出できる。これは、学生又は学生の指導者によって検討され、学生の成績評価、及び/又は、学生が更なる訓練若しくは練習を要するかどうかの判定ができる。パラメータは更に、学生が自身の成績を更に理解できるように、平均成績、予測成績、又は他人の成績に対応する閾値などの他の閾値と比較できる。
【0071】
加速度計を有する装置を運動センサとして用いる代わりに、カメラの付いた装置が、Dell EMC(登録商標)Inspiron(登録商標)のノートパソコン(テキサス州ラウンドロックのDell社)に組み込まれたカメラなどの、カメラを有する装置が用いられている。カメラはCPRを練習している学生の映像を記録できる。学生の手又はマネキンの胸部には、事実上あるいは物理的に物体追跡用のタグを付すことができる。物理的なタグは、標識、シール、手袋、又はリストバンドを含みうる。画像処理アルゴリズムは、この映像データを用いて、胸骨圧迫の深さ、胸骨圧迫の速度、胸部の反跳、又は他のCPRパラメータを判定できる。
【0072】
胸骨圧迫の深さを判定する1つの方法は、基準距離としてカメラのフレームに既知の寸法の物体又は標識を置いて、測定を較正する工程を含む。この装置はタグを認識し、時間をかけてタグの動きを追跡するようにプログラムされる。これを基準距離と比較して、胸骨圧迫の深さを呈示する、タグが移動した距離を決定できる。圧迫の深さを決定する他の方法は更に用いることができる。速度又は胸部の反跳などの他のパラメータは、精度においてこの基準対象を必要としない場合がある。この方法の実装を図14に示す。
【0073】
このCPR訓練法は、任意のCPRマネキンで用いることができるが、低コストのダンボール又は膨張可能なマネキンなどの、フィードバックを与えないマネキンを用いる場合に更に有用である。当該方法は、枕、寝台クッション、他の準拠する対象物、又は空中でも実施できる。
【0074】
このCPR訓練法は、物理的には存在しない指導者によって施されるが、音声又はSkype(登録商標)(アイルランド国ダブリンのSkype(登録商標)社)のような音声チャットを介して、生徒と視覚的に通信できる。更に、スマートフォン又はコンピュータアプリケーションを通して自動的に施すことができる。これにより、利便性が加わり、学生は遠隔で、かつ、自宅などの任意の場所から、CPRの訓練を受けることができる。この状況においては、CPRパラメータ、信号、及び/又はフィードバックは更に、指導者に無線送信できる。
【0075】
この方法に加えることが可能な別の工程は、CPR訓練会社、他の会社、又は個人が、廉価なCPRマネキンを学生若しくは学生の雇用主、又は郵便サービス若しくは他の送達方法を通して近くの場所に送る工程である。これにより、学生にとって更に利便性が加わる。このマネキンがCPRへのフィードバックを与えないか、部分的なフィードバックしか与えない場合には、上述の装置及び方法、並びに/又は以下に記載する更なる工程を用いて、フィードバックを提供できる。マネキン及び/又はCPRのフィードバックを用いるための指示は、マネキンとともに送付されるか、電子的に送付されるか、あるいは指導者によって直接与えられるかである。これに含まれうる工程の実装は図15に示している。
【0076】
胸骨圧迫の信号、パラメータ、又はCPRのフィードバックは、現地で記録されるか、あるいはデータ分析又は成績分析のために指導者、雇用主、又は再検討者に送信されうる。学生にフィードバックすることに加えて、データを用いて、学生がリアルタイムで、又は学生がCPRの実施を終えた後に、更なる指示を必要とするかどうかを決定できる。データは更に、学生が追加の訓練又は練習を必要とするか、又は学生にCPR訓練証明書を発行すべきかを決定するために用いることができる。
【0077】
センサを有する装置がCPRフィードバックを提供するために用いられる場合、装置のフィードバック可能なソフトウェアが訓練のためにのみ用いられるか、あるいは他の承認された状況でのみ用いられることを保証するために、パスコード又は他の認証システムを用いることができる。その1つの実装は、学生がソフトウェアを用いる前に、学生がソフトウェアをロック解除できるように、学生にパスコードを提供することである。プログラムは更に、時間制限、訓練活動の終了、及び/又は指導者からの信号などの条件又は複数の条件が満たされたときに、閉じるか、再度ロックするように設定できる。この工程の図は、図16に示されている。
【0078】
ソフトウェアへのアクセスを許可するために用いられる認証システムの実装は、二重認証システムを含めることができる。静的なパスワード又は他の認証システムは、特定のCPR指導者に選択的に許可できる。静的なパスワードにより、指導者がCPR訓練のソフトウェアパッケージのロック解除又は署名を可能にする。指導者は、指導者が学生に開示する一時的なパスワードを生成する。この一時的なパスワードは、学生が未承認の状況で、パスワードを再利用し、他の方法で自分自身のアクセスを許可することによって、CPRフィードバックソフトウェアを装置で用いるのを可能にするものである。このプロセスの図は、図17に示されている。
【0079】
学生がCPRフィードバックソフトウェアの訓練版を訓練目的のみに用い、現実の緊急事態において用いないことを保証する別の方法は、学生がソフトウェアを訓練目的で用いる時間と、記録したCPRパラメータについて学生がフィードバックを受信した時間との間に待機時間を課すことである。待機時間が十分長ければ、学生がフィードバックを受信する時間が十分に遅延することになるため、学生は緊急事態においてフィードバックソフトウェアを使用できない。待機時間は、訓練映像、クイズ、及びその他のコンテンツで占有できる。
【0080】
装置の使用のための支払いを収集する更なる工程は追加できる。ソフトウェアは、認証キーの使用及び/又は使用回数を記録する。次に、このデータは、学生又は指導者のいずれかに、サービスの使用について正確に請求するために用いられる。この請求工程は自動化できる。
【0081】
[定義]
便宜上、明細書、実施例、及び添付の請求の範囲において用いられている用語は、以下に収集している。これらの定義は、開示に照らして解釈すべきであり、当該技術分野の当業者によって理解されるべきである。
【0082】
本明細書において用いられているように、「アクチュエータ(actuator)」との用語は、機構又はシステムの移動及び制御を担う機械の構成要素のことである。
【0083】
本明細書において用いられているように、「施している(administering)」、「施す(administer)」、又は「施行(administration)」との用語は、分配又は適用する行動のことである。
【0084】
本明細書において用いられているように、「人形(dummy)」又は「マネキン(mannequin)」との用語は、人間の力によって圧迫可能な物体のことである。
【0085】
本明細書において用いられているように、「第一応答者(first responder)」又は「救助者(rescuer)」との用語は、患者に治療を提供する任意の人のことであり、非専門的な救助者若しくは第一応答者、若しくは第一応答者、正義の戦闘者、救急医療技術者、警察官、又は看護師を含むが、これらに限定されない。
【0086】
本明細書において用いられているように、「触覚(haptics)」との用語は、触覚及び運動の感覚を刺激する技術の使用のことであり、具体的には、遠隔操作又はコンピュータシミュレーションにおいて、物理的物体と干渉するするユーザが感知する感覚を再現することをいう。
【0087】
本明細書において用いられているように、「測定する(measure)」又は「測定している(measuring)」との用語は、1以上のセンサを含み得る機器若しくは装置、及び/又はセンサのデータの操作を行うための計算能力を用いることにより、物体の寸法、量、又は度合の確認をすることである。
【0088】
本明細書において用いられているように、「パラメータ(parameter(s))」との用語は、システムの定義、又はその操作の条件の設定を行う集合の1つを形成する、数値的又は他の測定可能な因子のことである。
【0089】
本明細書において用いられているように、「選択された(selected)」との用語は、最良であるか、又は最も好適なものとして注意深く選択を行うことである。
【0090】
本明細書において用いられているように、「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、若しくは「有している(having)」との用語、又はそれらの任意の変化形は、非排他的な含有物を網羅していることを意図する。例えば、列挙した要素を含む工程、方法、物品、又は装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されるものではなく、明確に列挙していない他の要素、又はそのような工程、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含めることができる。更に、「又は、若しくは、あるいは(or)」との文言は、別段の明示的な記載がない限り、包括的な文言であり、排他的な文言ではない。例えば、「条件A又は条件B」は、Aが真であり(又は存在する)Bが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)Bが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つによって満たされる。また、不定冠詞(a,an)の使用は、本開示の要素及び成分を記載するのに用いられる。これは単に便宜のためになされ、本開示の一般的な感覚を提供すべく行われる。本明細書は、1つ(one)又は1以上(at least one)を含むように解釈すべきであり、単数形は、そうではないことを意図することが明白でない限り、複数形も含める。別途定義されないかぎり、本明細書において用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって、一般に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は均等の方法及び材料は、本開示の実行又は試験に用いることができるが、好適な方法及び材料は下記に記載されている。すべての公報、特許出願、特許、及び本明細書において言及した他の参考文献は、その全てが参考文献として取り入れられている。矛盾がある場合、定義を含めて、本明細書が優先される。更に、材料、方法、及び実施例はあくまで例示であり、限定を意図しない。以下の説明においては、本開示の実施形態の理解を提供するために、様々なシステム構成要素の同定など、多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、当業者は、本開示の実施態様が、特定の詳細の1以上がなくても、又は他の方法、成分、材料等とともに実施できることを認識するであろう。更に他の例では、本開示の様々な実施形態の不明瞭な側面を避けるために、既知の構造、材料、又は操作が詳細に示されていないか、記載されていない。本明細書全体の「1つの実施形態(one embodiment)」又は「ある実施形態(an embodiment)」の引用は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特徴が本開示の1以上の実施形態に含まれることを意味している。したがって、この明細書全体の様々な位置における「1つの実施形態において(in one embodiment)」又は「実施形態において(in an embodiment)」との文言の出現により、同一の実施形態が必ずしも全て引用されるわけではない。更に、特別な特徴、構造、又は特質は1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
【0091】
本明細書において用いられているように、「及び(かつ、並びに)/又は(若しくは、あるいは)(and/or)」との用語は、一方若しくは他方、又は両方を有する可能性として定義される。例えば、「A及び/又はB」は、A若しくはBのみ、又はAとBとの組合せを有する筋書きで提供される。クレームがA及び/又はB及び/又はCを解釈する場合、構成は、A、B、又はCのみを含みうるし、A及びBを含みうるがCを含まないし、B及びCを含みうるがAは含まないし、A及びCを含みうるがBは含まないし、あるいは、A、B、又はCの全ての3つの要素を含みうる。
【0092】
[均等物]
本開示の全範囲は、それらの均等物の全範囲とともに請求の範囲によって、かつ、変形例とともに本願明細書によって決定すべきである。
【0093】
特に記載のない限り、明細書及び請求の範囲に用いられている成分、反応条件等の全ての数値の表示量は、全ての場合において、「約(about)」との文言で修飾されていることを理解されたい。したがって、逆の表示がない限り、明細書及び添付の請求の範囲に述べられた数値パラメータは、本開示により得られることを求める所望の特性に依存して変化しうる異なる可能性のある近似値である。
【0094】
上記の議論は、本開示の原理及び種々の実施形態の例示であることを意味する。多数の変形例、組合せ、及び改変は、上記開示が完全に認められれば、当業者に明らかになるであろう。以下の請求の範囲は、そのような全ての変形及び改変を含むものと解釈すべきことを意図している。
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【国際調査報告】