(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチドを増幅するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6806 20180101AFI20230915BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20230915BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20230915BHJP
C12Q 1/6855 20180101ALI20230915BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
C12Q1/6806 Z ZNA
C12Q1/6837 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6855 Z
C12N15/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580750
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 US2021048064
(87)【国際公開番号】W WO2022055729
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ベトリー,ジェイソン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS26
4B063QS32
4B063QX02
(57)【要約】
第1の領域及び第2の領域を含む基材を含むポリヌクレオチドを増幅するための組成物が提供される。第1の複数の捕捉プライマーは、基材の第1の領域に結合される。第2の複数の捕捉プライマーは、基材の第2の領域に結合される。第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも長い。第1の複数の直交捕捉プライマーは、基材の第1の領域に結合される。第2の複数の直交捕捉プライマーは、基材の第2の領域に結合される。第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーよりも短い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチドを増幅するための組成物であって、
第1の領域及び第2の領域を含む基材と、
前記基材の前記第1の領域に結合された第1の複数の捕捉プライマーと、
前記基材の前記第2の領域に結合された第2の複数の捕捉プライマーであって、前記第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーが、前記第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも長い、第2の複数の捕捉プライマーと、
前記基材の前記第1の領域に結合された第1の複数の直交捕捉プライマーと、
前記基材の前記第2の領域に結合された第2の複数の直交捕捉プライマーであって、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーよりも短い、第2の複数の直交捕捉プライマーと、を含む、組成物。
【請求項2】
標的ポリヌクレオチドを含む流体を更に含み、前記標的ポリヌクレオチドの各々が、前記第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプターと、前記第1及び第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーに相補的である第2のアダプターと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーよりも短く、前記標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーよりも短い、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの第1の直交捕捉プライマーにハイブリダイズするか、又は、前記標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの第1の捕捉プライマーにハイブリダイズする、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターと、前記直交捕捉プライマーのうちの前記第1の直交捕捉プライマーとの間の前記ハイブリダイゼーションから形成された二本鎖が、約40℃超の融解温度(Tm)を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合した第1のアンプリコンを更に含み、前記第1のアンプリコンが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第2のアダプターを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに共有結合した第2のアンプリコンを更に含み、前記第2のアンプリコンが、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第1のアダプターを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合した第3のアンプリコンを更に含み、前記第3のアンプリコンが、前記第1の複数の捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない第2のアダプターを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第2のアダプターが前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことが、前記第3のアンプリコンの増幅を阻害する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第3のアンプリコンの前記第2のアダプターと前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちのいずれかとの間の任意の部分二本鎖が、約20℃未満の融解温度(Tm)を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに共有結合した第4のアンプリコンを更に含み、前記第4のアンプリコンが、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない第1のアダプターを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1のアダプターが前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことが、前記第4のアンプリコンの増幅を阻害する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、P5捕捉プライマーであり、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、P7捕捉プライマーである、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、短縮されたP5捕捉プライマーであり、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、短縮されたP7捕捉プライマーである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーよりも少なくとも5塩基短く、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーよりも少なくとも5塩基短い、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第1の複数の捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記基材の前記第1の領域が、前記基材の前記第2の領域に隣接している、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記基材の前記第1の領域が、前記基材の前記第2の領域を取り囲んでいる、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記基材の前記第2の領域が、前記基材の前記第1の領域を取り囲んでいる、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
ポリヌクレオチドを増幅するための組成物であって、
第1の領域及び第2の領域を含む基材と、
前記基材の前記第1の領域に結合された第1の複数の捕捉プライマーと、
前記基材の前記第1の領域に結合された第1の複数の直交捕捉プライマーと、
前記基材の前記第2の領域に結合された第2の複数の捕捉プライマーと、
前記基材の前記第2の領域に結合された第2の複数の直交捕捉プライマーと、
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーに結合された第1の複数の除去可能な遮断基と、
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーに結合された第2の複数の除去可能な遮断基と、を含む、組成物。
【請求項22】
標的ポリヌクレオチドを含む流体を更に含み、前記標的ポリヌクレオチドの各々が、前記第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプターと、前記第1及び第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーに相補的である第2のアダプターと、を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターが、前記第1及び第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーとほぼ同じ長さであり、前記標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターが、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズするか、又は前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターが、前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズする、請求項22又は請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターと前記捕捉プライマーのうちの1つとの間のハイブリダイゼーションから形成された二本鎖が、約40℃超の融解温度(Tm)を有するか、又は、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターと前記直交捕捉プライマーのうちの1つとの間の前記ハイブリダイゼーションから形成された二本鎖が、約40超℃の融解温度(Tm)を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターが、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズするか、又は、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第2の標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズする、請求項22~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記捕捉プライマーのうちの1つに結合された前記除去可能な遮断基が、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害するか、又は、前記直交捕捉プライマーのうちの1つに結合された前記除去可能な遮断基が、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合したアンプリコンを更に含み、前記アンプリコンが、前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第2のアダプターを有する、請求項21~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに共有結合したアンプリコンを更に含み、前記アンプリコンが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第1のアダプターを有する、請求項21~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記第1及び第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、P5捕捉プライマーであり、前記第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、P7捕捉プライマーである、請求項21~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項21~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項21~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記基材の前記第1の領域が、前記基材の前記第2の領域に隣接している、請求項21~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記基材の前記第1の領域が、前記基材の前記第2の領域を取り囲んでいる、請求項21~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記基材の前記第2の領域が、前記基材の前記第1の領域を取り囲んでいる、請求項21~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
ポリヌクレオチドを増幅するための方法であって、
組成物を流体と接触させることであって、前記組成物が、
第1の領域及び第2の領域を含む基材と、
前記基材の前記第1の領域に結合された第1の複数の捕捉プライマーと、
前記基材の前記第2の領域に結合された第2の複数の捕捉プライマーであって、前記第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーが、前記第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも長い、第2の複数の捕捉プライマーと、
前記基材の前記第1の領域に結合された第1の複数の直交捕捉プライマーと、
前記基材の前記第2の領域に結合された第2の複数の直交捕捉プライマーであって、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーよりも短い、第2の複数の直交捕捉プライマーと、を含み、
前記流体が、
標的ポリヌクレオチドであって、前記標的ポリヌクレオチドの各々が、前記第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプターと、前記第1及び第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーに相補的である第2のアダプターと、を含む、標的ポリヌクレオチドを含む、接触させることと、
前記標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターを、前記第1又は第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズさせるか、又は、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターを、前記第1又は第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズさせることと、次いで、
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドを増幅することであって、前記増幅することが、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドのアンプリコンを生成させることを含む、増幅することと、を含む、方法。
【請求項37】
前記標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーよりも短く、前記標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーよりも短い、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターと、前記直交捕捉プライマーのうちの第1の直交捕捉プライマーとの間の前記ハイブリダイゼーションから形成された二本鎖が、約40℃超の融解温度(Tm)を有する、請求項37又は請求項38に記載の方法。
【請求項39】
前記アンプリコンが、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズする、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドを脱ハイブリダイズし、次いで前記アンプリコンを増幅することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第1のアンプリコンを、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させ、前記第1のアンプリコンの第2のアダプターを、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズさせることを更に含む、請求項36~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
第2のアンプリコンを、前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させ、前記第2のアンプリコンの第1のアダプターを、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズさせることを更に含む、請求項36~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
第3のアンプリコンを、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを更に含み、前記第3のアンプリコンの第2のアダプターを、前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第2のアダプターが前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことが、前記第3のアンプリコンの増幅を阻害する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第3のアンプリコンの前記第2のアダプターと前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちのいずれかとの間の任意の部分二本鎖が、約20℃未満の融解温度(Tm)を有する、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
第4のアンプリコンを前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを更に含み、前記第4のアンプリコンの第1のアダプターを、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない、請求項36~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1のアダプターが前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことが、前記第4のアンプリコンの増幅を阻害する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、P5捕捉プライマーであり、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、P7捕捉プライマーである、請求項36~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、短縮されたP5捕捉プライマーであり、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、短縮されたP7捕捉プライマーである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーよりも少なくとも5塩基短く、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーよりも少なくとも5塩基短い、請求項36~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項36~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第1の複数の捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項36~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記基材の前記第1の領域が、前記基材の前記第2の領域に隣接している、請求項36~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記基材の前記第1の領域が、前記基材の前記第2の領域を取り囲んでいる、請求項36~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記基材の前記第2の領域が、前記基材の前記第1の領域を取り囲んでいる、請求項36~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
ポリヌクレオチドを増幅するための方法であって、
組成物を流体と接触させることであって、前記組成物が、
第1の領域及び第2の領域を含む基材と、
前記基材の前記第1の領域に結合された第1の複数の捕捉プライマーと、
前記基材の前記第1の領域に結合された第1の複数の直交捕捉プライマーと、
前記基材の前記第2の領域に結合された第2の複数の捕捉プライマーと、
前記基材の前記第2の領域に結合された第2の複数の直交捕捉プライマーと、
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーに結合された第1の複数の除去可能な遮断基と、
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーに結合された第2の複数の除去可能な遮断基と、を含み、
前記流体が、標的ポリヌクレオチドを含み、前記標的ポリヌクレオチドの各々が、前記第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプターと、前記第1及び第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーに相補的である第2のアダプターと、を含む、接触させることと、
前記標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターを、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの第1の直交捕捉プライマーにハイブリダイズさせること、又は
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターを、前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの第1の捕捉プライマーにハイブリダイズさせることと、
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドを増幅することであって、前記増幅することが、前記基材の前記第1の領域内の前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアンプリコンを生成させることを含む、増幅することと、
前記第1及び第2の複数の除去可能な遮断基を除去することと、次いで、
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドを更に増幅することであって、前記増幅することが、前記基材の前記第2の領域内の前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの追加のアンプリコンを生成させることを含む、増幅することと、を含む、方法。
【請求項57】
前記標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターが、前記第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さであり、前記標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターが、前記第1及び第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターと、前記捕捉プライマーのうちの1つとの間の前記ハイブリダイゼーションから形成された二本鎖が、約40℃超の融解温度(Tm)を有するか、又は、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第1の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターと、前記直交捕捉プライマーのうちの1つとの間の前記ハイブリダイゼーションから形成された二本鎖が、約40℃超の融解温度(Tm)を有する、請求項56又は請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの前記第1のアダプターが、前記第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズするか、又は、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第2の標的ポリヌクレオチドの前記第2のアダプターが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズする、請求項56~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記捕捉プライマーのうちの1つに結合された前記除去可能な遮断基が、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害するか、又は、前記直交捕捉プライマーのうちの1つに結合された前記除去可能な遮断基が、前記標的ポリヌクレオチドのうちの前記第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つにアンプリコンを共有結合させることを更に含み、前記アンプリコンが、前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第2のアダプターを有する、請求項56~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
アンプリコンを前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを更に含み、前記アンプリコンが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第1のアダプターを有する、請求項56~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第1及び第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、P5捕捉プライマーであり、前記第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーが、P7捕捉プライマーである、請求項56~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記第1の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項56~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記第2の複数の捕捉プライマーの前記捕捉プライマーが、前記第1の複数の直交捕捉プライマーの前記直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである、請求項56~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記基材の前記第1の領域が、前記基材の前記第2の領域に隣接している、請求項56~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記基材の前記第1の領域が、前記基材の前記第2の領域を取り囲んでいる、請求項56~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記基材の前記第2の領域が、前記基材の前記第1の領域を取り囲んでいる、請求項56~66のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月14日出願の「Compositions and Methods for Amplifying Polynucleotides」と題された米国特許出願第63/077,857号の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年8月26日に作成された当該ASCIIコピーは、IP-1997-PCT_SL.txtと命名され、サイズは2,300バイトである。
【背景技術】
【0003】
クラスタ増幅は、例えば、遺伝子シークエンシングにおける使用を意図する、ポリヌクレオチドを増幅するためのアプローチである。標的ポリヌクレオチドは、フローセル内の基材表面に結合されたプライマー(例えば、P5及びP7プライマー)によって捕捉され、表面上のランダムな場所に「シード」(seed)を形成する。増幅サイクルを実行して、各シードの周囲の表面上にクラスタを形成する。クラスタは、シードポリヌクレオチドのコピー及び相補的コピーを含む。いくつかの状況では、基材は、それぞれのクラスタで充填され得るウェルなどの異なるクラスタに結合した領域を画定するようパターン化される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で提供される例は、ポリヌクレオチドの増幅に関する。かかる増幅を実施するための組成物及び方法が開示される。
【0005】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドを増幅するための組成物が提供される。組成物は、第1の領域及び第2の領域を含む基材と、基材の第1の領域に結合された第1の複数の捕捉プライマーと、基材の第2の領域に結合された第2の複数の捕捉プライマーと、を含み得る。第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも長くし得る。組成物はまた、基材の第1の領域に結合された第1の複数の直交捕捉プライマーと、基材の第2の領域に結合された第2の複数の直交捕捉プライマーと、を含み得る。第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーよりも短くし得る。
【0006】
いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの第1の直交捕捉プライマーにハイブリダイズし、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの第1の捕捉プライマーにハイブリダイズする。いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターと直交捕捉プライマーのうちの第1の直交捕捉プライマーとの間のハイブリダイゼーションから形成される二本鎖は、約40℃超の融解温度(melting temperature、Tm)を有する。
【0007】
いくつかの例では、組成物は、第1の複数の直交捕捉プライマーのうちの1つの直交捕捉プライマーに共有結合した第1のアンプリコンを更に含み、第1のアンプリコンは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第2のアダプターを有する。
【0008】
いくつかの例では、組成物は、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに共有結合した第2のアンプリコンを更に含み、第2のアンプリコンは、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第1のアダプターを有する。
【0009】
いくつかの例では、組成物は、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合した第3のアンプリコンを更に含み、第3のアンプリコンは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない第2のアダプターを有する。第2のアダプターが第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことは、いくつかの例では、第3のアンプリコンの増幅を阻害し得る。いくつかの例では、第3のアンプリコンの第2のアダプターと第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのいずれかとの間のいずれかの部分二本鎖は、約20℃未満の融解温度(Tm)を有する。
【0010】
いくつかの例では、組成物は、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに共有結合した第4のアンプリコンを更に含み、第4のアンプリコンは、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない第1のアダプターを有する。いくつかの例では、第1のアダプターが第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことは、第4のアンプリコンの増幅を阻害する。
【0011】
いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、P5捕捉プライマーであり、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、P7捕捉プライマーである。いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、短縮されたP5捕捉プライマーであり、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、短縮されたP7捕捉プライマーである。
【0012】
いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも少なくとも5塩基短く、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーよりも少なくとも5塩基短い。
【0013】
いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第2の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第1の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。
【0014】
いくつかの例では、基材の第1の領域は、基材の第2の領域に隣接している。いくつかの例では、基材の第1の領域は、基材の第2の領域を取り囲んでいる。いくつかの例では、基材の第2の領域は、基材の第1の領域を取り囲んでいる。
【0015】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドを増幅するための別の組成物が提供される。組成物は、第1の領域及び第2の領域を含む基材と、基材の第1の領域に結合された第1の複数の捕捉プライマーと、基材の第1の領域に結合された第1の複数の直交捕捉プライマーと、を含み得る。組成物はまた、基材の第2の領域に結合された第2の複数の捕捉プライマーと、基材の第2の領域に結合された第2の複数の直交捕捉プライマーと、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーに結合された第1の複数の除去可能な遮断基と、第2の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマーに結合された第2の複数の除去可能な遮断基と、を含み得る。
【0016】
いくつかの例では、組成物は、標的ポリヌクレオチドを含む流体を更に含み、標的ポリヌクレオチドの各々は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプターと、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーに相補的である第2のアダプターと、を含む。いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターは、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーとほぼ同じ長さであり、標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターは、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。
【0017】
いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドのうちの標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの第1の直交捕捉プライマーにハイブリダイズし、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズする。いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターと、捕捉プライマーのうちの1つとの間のハイブリダイゼーションから形成された二本鎖は、約40℃超の融解温度(Tm)を有し、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1アダプターと、直交捕捉プライマーのうちの1つとの間のハイブリダイゼーションから形成された二本鎖は、約40℃超の融解温度(Tm)を有する。
【0018】
いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターは、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズし、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズする。いくつかの例では、捕捉プライマーのうちの1つに結合された除去可能な遮断基は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害するか、又は、直交捕捉プライマーのうちの1つに結合された除去可能な遮断基は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害する。
【0019】
いくつかの例では、組成物は、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合したアンプリコンを更に含み、アンプリコンは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第2のアダプターを有する。
【0020】
いくつかの例では、組成物は、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに共有結合したアンプリコンを更に含み、アンプリコンは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第1のアダプターを有する。
【0021】
いくつかの例では、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、P5捕捉プライマーであり、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、P7捕捉プライマーである。
【0022】
いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。
【0023】
いくつかの例では、基材の第1の領域は、基材の第2の領域に隣接している。いくつかの例では、基材の第1の領域は、基材の第2の領域を取り囲んでいる。いくつかの例では、基材の第2の領域は、基材の第1の領域を取り囲んでいる。
【0024】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドを増幅するための方法が提供される。この方法は、組成物を流体と接触させることを含む。組成物は、第1の領域及び第2の領域を含む基材と、基材の第1の領域に結合された第1の複数の捕捉プライマーと、基材の第2の領域に結合された第2の複数の捕捉プライマーと、を含み得る。第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも長くし得る。組成物はまた、基材の第1の領域に結合された第1の複数の直交捕捉プライマーと、基材の第2の領域に結合された第2の複数の直交捕捉プライマーと、を含み得る。第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーよりも短くし得る。流体は、標的ポリヌクレオチドを含み得、標的ポリヌクレオチドの各々は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプターと、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーに相補的である第2のアダプターと、を含む。この方法は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターを、第1又は第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーにハイブリダイズさせること、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2のアダプターを、第1又は第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーにハイブリダイズさせることと、次いで、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドを増幅することを含み得、増幅することは、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドのアンプリコンを生成させることを含む。
【0025】
いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーよりも短く、標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも短い。
【0026】
いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターと、直交捕捉プライマーのうちの第1の直交捕捉プライマーとの間のハイブリダイゼーションから形成される二本鎖は、約40℃超の融解温度(Tm)を有する。いくつかの例では、アンプリコンは、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズする。いくつかの例では、方法は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドを脱ハイブリダイズし、次いでアンプリコンを増幅することを含む。
【0027】
いくつかの例では、方法は、第1のアンプリコンを、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させ、第1のアンプリコンの第2のアダプターを、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズさせることを含む。
【0028】
いくつかの例では、方法は、第2のアンプリコンを、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させ、第2のアンプリコンの第1のアダプターを、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズさせることを含む。
【0029】
いくつかの例では、方法は、第3のアンプリコンを、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを含み、第3のアンプリコンの第2のアダプターを、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない。いくつかの例では、第2のアダプターが第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのいずれかに完全にハイブリダイズすることができないことは、第3のアンプリコンの増幅を阻害する。いくつかの例では、第3のアンプリコンの第2のアダプターと第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのいずれかとの間のいずれかの部分二本鎖は、約20℃未満の融解温度(Tm)を有する。
【0030】
いくつかの例では、方法は、第4のアンプリコンを、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを含み、第4のアンプリコンの第1のアダプターを、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない。いくつかの例では、第1のアダプターが第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことは、第4のアンプリコンの増幅を阻害する。
【0031】
いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、P5捕捉プライマーであり、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、P7捕捉プライマーである。いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、短縮されたP5捕捉プライマーであり、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、短縮されたP7捕捉プライマーである。いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも少なくとも5塩基短く、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーよりも少なくとも5塩基短い。いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第2の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第1の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。
【0032】
いくつかの例では、基材の第1の領域は、基材の第2の領域に隣接している。いくつかの例では、基材の第1の領域は、基材の第2の領域を取り囲んでいる。いくつかの例では、基材の第2の領域は、基材の第1の領域を取り囲んでいる。
【0033】
いくつかの例では、ポリヌクレオチドを増幅するための別の方法が提供される。この方法は、組成物を流体と接触させることを含み得る。組成物は、第1の領域及び第2の領域を含む基材と、基材の第1の領域に結合された第1の複数の捕捉プライマーと、基材の第1の領域に結合された第1の複数の直交捕捉プライマーと、を含み得る。組成物は、基材の第2の領域に結合された第2の複数の捕捉プライマーを更に含み得る。基材の第2の領域に結合された第2の複数の直交捕捉プライマーと、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーに結合された第1の複数の除去可能な遮断基と、第2の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマーに結合された第2の複数の除去可能な遮断基と、を含み得る。流体は、標的ポリヌクレオチドを含み得、標的ポリヌクレオチドの各々は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプターと、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーに相補的である第2のアダプターと、を含む。この方法は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターを、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの第1の直交捕捉プライマーにハイブリダイズさせること、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターを、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの第1の捕捉プライマーにハイブリダイズさせることを含み得る。この方法は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドを増幅することを含み得、増幅することは、基材の第1の領域内の標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアンプリコンを生成させることを含む。この方法は、第1及び第2の複数の除去可能な遮断基を除去することと、次いで標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドを更に増幅することと、を含み、増幅することは、基材の第2の領域内の標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの追加のアンプリコンを生成させることを含む。
【0034】
いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターは、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さであり、標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターは、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。
【0035】
いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターと、捕捉プライマーのうちの1つとの間のハイブリダイゼーションから形成された二本鎖は、約40℃超の融解温度(Tm)を有するか、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターと、直交捕捉プライマーのうちの1つとの間のハイブリダイゼーションから形成された二本鎖が、約40超℃の融解温度(Tm)を有する。
【0036】
いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターは、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズするか、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズする。いくつかの例では、捕捉プライマーのうちの1つに結合された除去可能な遮断基は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害するか、又は、直交捕捉プライマーのうちの1つに結合された除去可能な遮断基は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害する。
【0037】
いくつかの例では、方法は、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つにアンプリコンを共有結合させることを更に含み、アンプリコンは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第2のアダプターを有する。
【0038】
いくつかの例では、方法は、アンプリコンを第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを更に含み、アンプリコンは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第1のアダプターを有する。
【0039】
いくつかの例では、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、P5捕捉プライマーであり、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、P7捕捉プライマーである。いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーとほぼ同じ長さである。
【0040】
いくつかの例では、基材の第1の領域は、基材の第2の領域に隣接している。いくつかの例では、基材の第1の領域は、基材の第2の領域を取り囲んでいる。いくつかの例では、基材の第2の領域は、基材の第1の領域を取り囲んでいる。
【0041】
本明細書に記載されるような本開示の態様のそれぞれの任意の対応する特徴/実施例は、適切な組み合わせで共に実施されてもよいことを理解されたい。また、これらの態様のうちの任意の1つ以上からの任意の特徴/実施例は、本明細書に記載されるような利点を得るために、任意の適切な組み合わせで本明細書に記載されるような(複数の)他の態様の特徴のいずれかとともに実施されてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1A】基材上のポリヌクレオチドを増幅する例を概略的に示す。
【
図1B】基材上のポリヌクレオチドを増幅する例を概略的に示す。
【
図1C】基材上のポリヌクレオチドを増幅する例を概略的に示す。
【
図2A】基材上のポリヌクレオチドを増幅する追加の例を概略的に示す。
【
図2B】基材上のポリヌクレオチドを増幅する追加の例を概略的に示す。
【
図2C】基材上のポリヌクレオチドを増幅する追加の例を概略的に示す。
【
図2D】基材上のポリヌクレオチドを増幅する追加の例を概略的に示す。
【
図3A】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3B】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3C】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3D】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3E】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3F】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3G】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3H】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3I】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図3J】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4A】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4B】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4C】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4D】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4E】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4F】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4G】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4H】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4I】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4J】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4K】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図4L】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
【
図5A】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
【
図5B】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
【
図5C】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
【
図5D】第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
【
図6A】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
【
図6B】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
【
図6C】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
【
図6D】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
【
図7】第1及び第2の基材領域における異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するための方法における、操作の例示的な流れを示す。
【
図8】第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅するための方法における、操作の例示的な流れを示す。
【
図9】増幅効率に対する捕捉プライマー長の効果を特徴付けるための、溶液ベースのモデル組成物を概略的に示す。
【
図10】異なる捕捉プライマー長を用いた増幅から生じた蛍光強度を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本明細書で提供される例は、ポリヌクレオチドの増幅に関する。かかる増幅を実施するための組成物及び方法が開示される。
【0044】
標的ポリヌクレオチドの増幅から生じるクラスタのモノクローナル性は、そのクラスタ中の標的ポリヌクレオチドが続いて、例えば、合成による配列決定(sequencing-by-synthesis、SBS)を使用して配列決定され得る容易さに影響を及ぼし得る。互いに同じ配列を有するポリヌクレオチドは「モノクローナル」であると考えられるが、異なる配列を有するポリヌクレオチドは「ポリクローナル」と考えられる。クラスタのモノクローナル性が大きいほど、すなわち、そのクラスタにおいて互いに同じ配列を有するポリヌクレオチドの数が大きいほど、そのクラスタ内のポリヌクレオチドのアンサンブルからのシグナルが、SBSを使用して最大数アンプリコンを有するポリヌクレオチドを正しく配列決定するのに十分である可能性が高い。そのクラスタがポリクローナルであり得る場合であっても、ポリヌクレオチドを正しく配列決定するのに十分な同じポリヌクレオチドのいくつかのアンプリコンを有するクラスタは、「機能的にモノクローナル」であるとみなされる。例示的に、SBSシグナルの約60%以上が特定のポリヌクレオチドのアンプリコンから得られ、SBSシグナルの約40%以下が1つ以上の他のポリヌクレオチドのアンプリコン由来であるクラスタは、機能的にモノクローナルであり得、そのため、SBSを使用して正確に配列決定され得る。いくつかの例では、SBSシグナルの量は、ポリヌクレオチドの量とほぼ直線的関係であり、並びに特定のポリヌクレオチドのアンプリコンの約60%以上、及び1つ以上の他のポリヌクレオチドのアンプリコンの約40%以下のクラスタは、機能的にモノクローナルであり得る。
【0045】
所与のクラスタがモノクローナルである程度は、いくつかの因子に関連し得る。例えば、
図1A~
図1Cは、基材上のポリヌクレオチドを増幅する例を概略的に示す。
図1Aに示すように、基材領域101上の単一シード111の捕捉及び増幅は、基材領域を満たし得るモノクローナルクラスタ121をもたらし得、SBSに容易に使用され得る(破線及び点線の円は、経時的なクラスタの拡大を表すことが意図される)。比較すると、
図1Bに示すように、基材領域101上の2つのシード112、113の捕捉及び増幅は、シード112の増幅から生じる第1の領域122と、シード113の増幅から生じる第2の領域123とを有するポリクローナルクラスタをもたらし得る。この例では、クラスタがポリクローナルである程度は十分に低くなり得、クラスタがSBSに有用であり得る。例えば、基材領域101からのシグナルの約60%以上は、第1の領域122内のシード112のアンプリコンからであり得、基材領域101からのシグナルの約40%以下は、第2の領域123内のシード113のアンプリコンからのものであり得る。例えば、基材領域101の約60%以上は、第1の領域122内のシード112のアンプリコンによって覆われ得、基材領域101の約40%以下は、第2の領域123内のシード113のアンプリコンによって覆われ得る。かかるポリクローナルクラスタ122、123は、機能的にモノクローナルであり得る。
【0046】
しかしながら、基材上の異なるシードの相対位置は、クラスタがポリクローナルである程度、及びクラスタがSBSに使用可能であり得る程度に影響を及ぼし得る。例えば、
図1Cに示されるように、基材領域101上の2つのシード114、115の捕捉及び増幅は、シード112の増幅から生じる第1の領域124と、シード115の増幅から生じる第2の領域125と、を有するポリクローナルクラスタをもたらすが、第2の領域125は、シード115がシード113よりも中央に位置するため、
図1Bの第2の領域123よりも大きい。例えば、基材領域101からのシグナルの約60%未満は、第1の領域124内のシード114のアンプリコンからのものであり得、基材領域101からのシグナルの約40%超は、第2の領域125内のシード115のアンプリコンからであり得、またポリクローナルクラスタ124、125は、機能的にモノクローナルでない場合があり得る。例えば、基材領域101の約60%未満は、第1の領域124内のシード114のアンプリコンによって覆われ得、基材領域101の約40%超は、第2の領域125内のシード115のアンプリコンによって覆われ得る。かかるポリクローナルクラスタ124、125は、機能的にモノクローナルでない可能性がある。この例では、クラスタがポリクローナルである程度は、クラスタがSBSに有用であるためには高すぎると考えられる。
【0047】
所与の基材領域上に着地すると予想され得るシードの数は、基材のサイズとともに増加し得る。基材のパターン形成は、クラスタがポリクローナルである程度、及びかかるクラスタがSBSに有用である程度に更に影響を及ぼし得る。例えば、
図2A~
図2Dは、基材上のポリヌクレオチドを増幅する追加の例を概略的に示す。基材は、
図3Aを参照して記載するような様式で互いに異なる表面処理を有し得る第1の領域201及び第2の領域202を含み得る。それは、領域201、202の両方の同じ標的ポリヌクレオチドのコピーに対して同時のペアエンドリードを行い、例えば、領域201の第1の方向及び領域202の逆方向のコピーに対してSBSリードを行い、次に、ソフトウェアを使用して、結果を整列配置することにより、互いに相補的でなければならず、したがって、互いと同じ配列を示さなければならないことを確認して、読み出しの信頼性を高めることが望ましいと考えられ得る。
図2Aに示されるように、基材領域202(又は同等に、基材領域201)上の単一シード211の捕捉及び増幅は、第1の領域221及び第2の領域222内のモノクローナルクラスタをもたらし、これは両方の基材領域を充填し、同時にペアエンドリードに容易に使用され得る。
【0048】
比較すると、
図2Bに示すように、基材領域201、202に架橋している第1のシード212及び基材領域201上の第2のシード213の捕捉及び増幅は、基材領域201の中でのシード212の増幅から生じた第1の領域223と、基材領域201の中でのシード213の増幅から生じた第2の領域225と、を有する、基材領域201中のポリクローナルクラスタと、基材領域202の中でのシード212の増幅から生じた基材領域202中のモノクローナルクラスタ224と、をもたらす。この例では、クラスタがポリクローナルである程度は十分に低く、基材領域201は機能的にモノクローナルであり得る。したがって、領域201及び202は、一緒に機能的にモノクローナルであり得、クラスタ223、224は、同時ペアエンドリードに有用であり得る。例えば、同時ペアエンドリードの場合、両方の基材領域が独立して、少なくとも機能的にモノクローナルであり、両方の基材領域がまた、少なくとも機能的にモノクローナルであることも有用であり得る。
【0049】
図1B~
図1Cを参照して記載した実施例の場合と同様に、基材上の異なるシードの相対位置は、クラスタがポリクローナルである程度、及びクラスタがSBSに使用可能であり得る程度、特に同時ペアエンドリードに影響を及ぼし得る。例えば、
図2Cに示すように、基材領域201、202に架橋している第1のシード214及び基材領域201上の第2のシード215は、基材領域201の中でのシード214の増幅から生じた第1の領域226と、基材領域201の中でのシード215の増幅から生じた第2の領域228と、を有する、基材領域201中のポリクローナルクラスタと、基材領域202の中でのシード214の増幅から生じた基材領域202中のモノクローナルクラスタ227と、をもたらす。
図2Cの例では、シード215がシード213よりも中央に位置するため、第2の領域228は、
図2Bの第2の領域225よりも大きい。この例では、基材領域201は、機能的にモノクローナルであることなくポリクローナルであるが、基材領域202はモノクローナルである。したがって、領域201及び202は、一緒には、機能的にモノクローナルでない可能性があり、クラスタがポリクローナルである程度は、クラスタ226、228が同時にペアエンドリードに有用であるためには高すぎると考えられる。更に、領域201は機能的にモノクローナルではないため、領域201は配列決定に有用ではない場合があるが、領域202は配列決定のために独立して使用され得る。
【0050】
別の例では、
図2Dに示すように、基材領域202上の第1のシード216及び基材領域201上の第2のシード217は、基材領域201内のシード217の増幅から生じる基材領域201内のモノクローナルクラスタ229と、基材領域202内のシード216の増幅から生じる基材領域202内の第2のモノクローナルクラスタとをもたらす。クラスタ229、230はそれぞれモノクローナルであるが、それらは異なる標的ポリヌクレオチドのコピーを互いに異なる標的ポリヌクレオチドのコピーを有し、ソフトウェアを使用して互いに整列されないことがあるため、同時にペアエンドリードに有用ではない場合がある。それにもかかわらず、クラスタ229、230の各々はモノクローナル、又は少なくとも機能的にモノクローナルであるため、それらのクラスタは、配列決定のために独立して使用され得るが、2つのクラスタ内の配列は互いに相補的ではない。
【0051】
本明細書で提供される実施例は、標準的なP5及びP7プライマーの使用によって達成され得るモノクローナル性と比較して、修飾されたプライマーの(限定されないが、例えば複雑な表面を有する基材上での)使用を通じて、クラスタがモノクローナルである程度を増強し得る。かかる修飾プライマーは、修飾配列、修飾された長さ、非ヌクレオチド部分の使用、及び他の修飾プライマーと一緒の使用、のうちの一つ以上の任意の好適な組み合わせを含み得る。修飾されたプライマーは、クラスタのモノクローナル性を増強するために、有効増幅面積を低減するか、又はそうでなければ増幅をバイアスするために使用され得る。例えば、
図1A~
図1C及び
図2A~
図2Dを参照して記載される実施例では、基材の所与領域で増幅されることが予想され得るシードの数は、ポアソン分布に従うと予想され得る。比較すると、本明細書で提供されるような修飾されたプライマーの使用は、ポアソン分布によって予測されるであろうモノクローナル性を提供し得る。
【0052】
最初に、本明細書で使用されるいくつかの用語を簡単に説明する。次いで、ポリヌクレオチドを増幅するためのいくつかの例示的な組成物及び例示的な方法を記載する。
【0053】
用語
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。用語「含む(including)」、並びに他の形態、例えば、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」の使用は、限定的ではない。更に、用語「有する(having)」、並びに他の形態、例えば、「有する(have)」、「有する(has)」、及び「有した(had)」の使用は、限定的ではない。本明細書で使用されるとき、移行句又は請求項の本文において、用語「含む(comprise)」及び「含む(comprising)」は、オープンエンドの意味を有するものとして解釈されるべきである。すなわち、上記の用語は、語句「少なくとも有する」又は「少なくとも含む」と同義であると解釈されるべきである。例えば、プロセスの文脈において使用される場合、用語「含む(comprising)」は、プロセスが少なくとも列挙された工程を含むが、追加の工程を含み得ることを意味する。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含み得ることを意味する。
【0054】
本明細書全体を通して使用される「実質的に」、「およそ(approximately)」、及び「約」という用語は、処理のばらつきなどに起因する小さな変動を記載及び考慮するために使用されている。例えば、それらは、±5%以下など、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下などの、±10%以下を指し得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイズ」は、それらのポリマーの長さに沿って第1のポリヌクレオチドを第2のポリヌクレオチドに非共有結合させて、二重の鎖となった「二本鎖」を形成することを意図する。例えば、2つのDNAポリヌクレオチド鎖は、相補的な塩基対合を介して会合し得る。第1及び第2のポリヌクレオチド間の会合の強度は、それらのポリヌクレオチド内のヌクレオチド配列間の相補性とともに増加する。ポリヌクレオチド間のハイブリダイゼーションの強度は、二本鎖の50%のポリヌクレオチド鎖が分離する融解温度(Tm)によって特徴付けられ得る。互いに「部分的に」ハイブリダイズしたポリヌクレオチドは、それらが互いに相補的な配列を有するが、かかる配列が、それらの長さの一部のみに沿って互いにハイブリダイズして部分二本鎖を形成することを意味する。ハイブリダイズすることが「できない」ポリヌクレオチドは、互いにハイブリダイズするように互いに接触し得る塩基の数が不十分な状態で、互いに物理的に分離されたものを含む。
【0056】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語は、糖及び少なくともリン酸基、並びにいくつかの例では核酸塩基と、を含む分子を意味することを意図する。核酸塩基を欠くヌクレオチドは、「脱塩基」と称され得る。ヌクレオチドには、デオキシリボヌクレオチド、修飾デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、ペプチドヌクレオチド、修飾ペプチドヌクレオチド、修飾ホスフェート骨格ヌクレオチド、及びそれらの混合物が含まれる。ヌクレオチドの例としては、アデノシン一リン酸(adenosine monophosphate、AMP)、アデノシン二リン酸(adenosine diphosphate、ADP)、アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate、ATP)、チミジン一リン酸(thymidine monophosphate、TMP)、チミジン二リン酸(thymidine diphosphate、TDP)、チミジン三リン酸(thymidine triphosphate、TTP)、シチジン一リン酸(cytidine monophosphate、CMP)、シチジン二リン酸(cytidine diphosphate、CDP)、シチジン三リン酸(cytidine triphosphate、CTP)、グアノシン一リン酸(guanosine monophosphate、GMP)、グアノシン二リン酸(guanosine diphosphate、GDP)、グアノシン三リン酸(guanosine triphosphate、GTP)、ウリジンリン酸(uridine monophosphate、UMP)、ウリジン二リン酸(uridine diphosphate、UDP)、ウリジン三リン酸(uridine triphosphate、UTP)、デオキシアデノシンモノホスファート(deoxyadenosine monophosphate、dAMP)、デオキシアデノシン二リン酸(deoxyadenosine diphosphate、dADP)、デオキシアデノシン三リン酸(deoxyadenosine triphosphate、dATP)、デオキシサイミジン一リン酸(deoxythymidine monophosphate、dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(deoxythymidine diphosphate、dTDP)、デオキシチミジン三リン酸(deoxythymidine triphosphate、dTTP)、デオキシシチジン二リン酸(deoxycytidine diphosphate、dCDP)、デオキシシチジン三リン酸(deoxycytidine triphosphate、dCTP)、デオキシグアノシンモノホスファート(deoxyguanosine monophosphate、dGMP)、デオキシグアノシン二リン酸(deoxyguanosine diphosphate、dGDP)、デオキシグアノシン三リン酸(deoxyguanosine triphosphate、dGTP)、デオキシウリジンモノホスファート(deoxyuridine monophosphate、dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(deoxyuridine diphosphate、dUDP)及びデオキシウリジン三リン酸(deoxyuridine triphosphate、dUTP)が挙げられる。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ヌクレオチド」という用語はまた、天然に存在するヌクレオチドと比較して、修飾された核酸塩基、糖、及び/又はリン酸部分を含むヌクレオチドのタイプである任意のヌクレオチド類似体を包含することが意図される。例示的な修飾核酸塩基としては、イノシン、キサチアニン、ヒポキサチアニン、イソシトシン、イソグアニン、2-アミノプリン、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、2-アミノアデニン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、2-プロピルグアニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、15-ハロウラシル、15-ハロシトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル、4-チオウラシル、8-ハロゲンアデニン若しくはグアニン、8-アミノアデニン若しくはグアニン、8-チオールアデニン若しくはグアニン、8-チオアルキルアデニン若しくはグアニン、8-ヒドロキシルアデニン若しくはグアニン、5-ハロゲン置換ウラシル若しくはシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、8-アザグアニン、8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン等が挙げられる。当技術分野で知られているように、特定のヌクレオチド類似体、例えば、アデノシン5’-ホスホ硫酸塩などのヌクレオチド類似体は、ポリヌクレオチドに組み込まれることができない。ヌクレオチドは、任意の好適な数のホスフェート、例えば、3、4、5、6、又は6個を超えるホスフェートを含み得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、互いに結合したヌクレオチドの配列を含む分子を指す。ポリヌクレオチドは、ポリマーの非限定的な一例である。ポリヌクレオチドの例としては、デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)、リボ核酸(ribonucleic acid、RNA)、及びそれらの類似体が挙げられる。ポリヌクレオチドは、RNA又は一重鎖DNAなどのヌクレオチドの一重鎖配列であり得、二重鎖DNAなどのヌクレオチドの二重鎖配列であるか、又はヌクレオチドの一重鎖及び二重鎖配列の混合物を含み得る。二重鎖DNA(double stranded DNA、dsDNA)には、ゲノムDNA並びにPCR及び増幅による産物が含まれる。一重鎖DNA(single stranded DNA、ssDNA)はdsDNAに変換され得、逆もまた同様である。ポリヌクレオチドには、エナンチオマーDNAなどの天然に存在しないDNAが含まれ得る。ポリヌクレオチド中のヌクレオチドの正確な配列は、既知であっても未知であってもよい。以下は、ポリヌクレオチドの例である:遺伝子又は遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、発現配列タグ(expressed sequence tag、EST)、又は遺伝子発現連続分析(serial analysis of gene expression、SAGE)タグ)、ゲノムDNA、ゲノムDNA断片、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(messenger RNA、mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いかなる配列の単離されたDNA、いかなる配列の単離されたRNA、核酸プローブ、前述のいずれかのプライマー又は増幅されたコピー。
【0059】
本明細書で使用される場合、「ポリメラーゼ」は、ヌクレオチドをポリヌクレオチドに重合することによってポリヌクレオチドを組み立てる活性部位を有する酵素を意味することを意図している。ポリメラーゼは、プライミングされた一重鎖標的ポリヌクレオチドに結合し、ヌクレオチドをプライマーに連続的に付加して成長させ、標的ポリヌクレオチドの配列に相補的な配列を有する「相補的コピー」ポリヌクレオチドを形成することができる。次いで、別のポリメラーゼ、又は同じポリメラーゼは、その相補的コピーポリヌクレオチドの相補的コピーを形成することによって、標的ヌクレオチドのコピーを形成することができる。かかるコピーのいずれも、本明細書では「アンプリコン」と称され得る。DNAポリメラーゼは、標的ポリヌクレオチドに結合し、次いで、標的ポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチド鎖の3’末端の遊離ヒドロキシル基に連続的に付加して成長させ(アンプリコン成長)つつ、標的ポリヌクレオチドを下流へ移動することができる。DNAポリメラーゼは、DNA鋳型から相補的DNA分子を合成し得、RNAポリメラーゼは、DNA鋳型からRNA分子を合成し得る(転写)。ポリメラーゼは、短いRNA又はDNA鎖(プライマー)を使用して、鎖成長を開始し得る。いくつかのポリメラーゼは、それらが鎖に塩基を付加する部位の上流の鎖を置換し得る。かかるポリメラーゼは、鎖置換であるとも言われ得、これは、ポリメラーゼによって読み取られる鋳型鎖から相補鎖を除去する活性を有すると言われ得る。鎖置換活性を有する例示的なポリメラーゼには、Bst(バチルス・ステアロサーモフィルス)ポリメラーゼの大断片、exo-Klenowポリメラーゼ、又はシークエンシンググレードのT7 exo-ポリメラーゼが含まれるが、これらに限定されない。いくつかのポリメラーゼは、それらの前の鎖を切断し、それを成長する鎖に効果的に置き換える(5’エキソヌクレアーゼ活性)。いくつかのポリメラーゼは、それらの後ろの鎖を分解する活性を有する(3’エキソヌクレアーゼ活性)。いくつかの有用なポリメラーゼは、3’及び/又は5’エキソヌクレアーゼ活性を低減又は排除するために変異又は他の方法で修飾されている。
【0060】
本明細書で使用される場合、「プライマー」という用語は、ヌクレオチドが遊離3’OH基を介して付加され得るポリヌクレオチドとして定義される。プライマーは、ブロックが除去されるまで重合を防止する3’ブロックを含み得る。プライマーは、カップリング反応を可能にするか、又はプライマーを別の部分にカップリングすることを可能にするための、5’末端の修飾を含み得る。プライマーは、例えば、UV光、化学物質、酵素などの適切な条件下で切断され得る1つ以上の部分を含み得る。プライマーの長さは、任意の適切な数の塩基の長さであり得、天然及び/又は非天然ヌクレオチドの適切な組み合わせを含み得る。標的ポリヌクレオチドは、プライマーにハイブリダイズする(それに相補的な配列を有する)「アダプター」を含み得、プライマーの遊離3’OH基にヌクレオチドを付加することによって相補的コピーポリヌクレオチドを生成するよう増幅され得る。「捕捉プライマー」は、基材に結合し、標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターにハイブリダイズし得るプライマーを意味することが意図され、「直交捕捉プライマー」は、基材に結合し、その標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターにハイブリダイズし得るプライマーを意味することが意図される。第1のアダプターは、直交捕捉プライマーのものと相補的な配列を有し得、第2のアダプターは、捕捉プライマーの配列と相補的な配列を有し得る。捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーは、互いに異なる独立した配列を有し得る。更に、捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーは、少なくとも1つの他の特性において互いに異なり得る。例えば、捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーは、互いに異なる長さを有し得、該捕捉プライマー又は該直交捕捉プライマーのいずれかは、該捕捉プライマー又は該直交捕捉プライマーの他方が有しない非核酸部分(遮断基又は除去部分など)を含み得、又はかかる特性の任意の好適な組み合わせを含み得る。
【0061】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、本明細書に記載の組成物の担体として使用される材料を指す。例示的な基材材料としては、ガラス、シリカ、プラスチック、石英、金属、金属酸化物、有機ケイ酸塩(例えば、多面体有機シルセスキオキサン(polyhedral organic silsesquioxanes、POSS))、ポリアクリレート、酸化タンタル、相補金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。POSSの一例は、Kehagias et al.,Microelectronic Engineering 86(2009),pp.776-778に記載されているものであり得、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、本出願で使用される基材としては、ガラス、縮合シリカ、又は他のシリカ含有材料などのシリカ系基材が挙げられる。いくつかの例では、基材は、シリコン、窒化ケイ素、又は水素化シリコーンを含み得る。いくつかの例では、本出願で使用される基材には、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、及びポリ(メチルメタクリレート)などのプラスチック材料又は成分が含まれる。例示的なプラスチック材料としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、及び環状オレフィンポリマー基材が挙げられる。いくつかの例では、基材は、シリカ系材料又はプラスチック材料又はそれらの組み合わせであるか、又はそれらを含む。特定の例では、基材は、ガラス又はシリコン系ポリマーを含む少なくとも1つの表面を有する。いくつかの例では、基材は金属を含み得る。いくつかのかかる例では、金属は金である。いくつかの例では、基材は、金属酸化物を含む少なくとも1つの表面を有する。一例では、表面は、酸化タンタル又は酸化スズを含む。アクリルアミド、エノン、又はアクリレートはまた、基材材料又は成分として利用され得る。他の基材材料としては、ガリウムヒ素、インジウムホスフィド、アルミニウム、セラミック、ポリイミド、石英、樹脂、ポリマー、石英、樹脂、ポリマー及びコポリマーが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの例では、基材及び/又は基材表面は、石英であり得るか、又は石英を含み得る。いくつかの他の例では、基材及び/又は基材表面は、GaAs又はITOなどの半導体であり得るか、又はそれを含み得る。前述のリストは、本出願において例示することを意図しているが、限定するものではない。基材は、単一の材料又は複数の異なる材料を含み得る。基材は、複合材又は積層体であり得る。いくつかの例では、基材は、有機シリケート材料を含む。基材は、平坦、円形、球形、棒状、又は任意の他の好適な形状であり得る。基材は、剛性又は可撓性であり得る。いくつかの例では、基材はビーズ又はフローセルである。
【0062】
いくつかの例では、表面はパターン化された表面である。「パターン化された表面」は、基材の露出層内又はその上における、異なる領域の配置を指す。例えば、1つ以上の領域は、1つ以上の捕捉プライマーが存在する特徴であり得る。この特徴は、捕捉プライマーが存在しない間隙領域によって分離され得る。いくつかの例では、パターンは、行及び列にある特徴のx-yフォーマットであり得る。いくつかの例では、パターンは、特徴及び/又は間隙領域の反復配列であり得る。いくつかの例では、パターンは、特徴及び/又は間隙領域のランダム配列であり得る。いくつかの例では、基材は、表面にウェル(窪み)のアレイを含む。ウェルは、実質的に垂直な側壁によって提供され得る。ウェルは、フォトリソグラフィ、スタンピング技術、成形技術、及びマイクロエッチング技術を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して、当該技術分野において一般的に知られているように製造することができる。当該技術分野において理解されるように、使用される技術は、アレイ基板の組成及び形状に依存する。
【0063】
基材のパターン付き表面内の特徴としては、パターン化された、ポリ(N-(5-アジドアセトアミルペンチル)アクリルアミド-co-アクリルアミド)(poly(N-(5-azidoacetamidylpentyl)acrylamide-co-acrylamide)、PAZAM)などの共有結合性のゲルが、ガラス、シリコン、プラスチック、又は他の適切な材料の上にアレイ状に並んだウェルなどが挙げられ得る。このプロセスは、シークエンシングのために使用されるゲルパッドを作成し、これは、多数のサイクルでシークエンシング操作にわたって安定であり得る。ポリマーをウェルに共有結合することは、様々な用途の間に、構造化基材の寿命全体にわたってゲルを構造化特徴部に維持するのに有用であり得る。しかしながら、多くの例では、ゲルは、ウェルに共有結合される必要はない。例えば、いくつかの条件では、構造化基材のどの部分にも共有結合されていないシランフリーのアクリルアミド(silane free acrylamide、SFA)をゲル材料として使用することができる。
【0064】
特定の例では、構造化基材は、ウェル(例えば、マイクロウェル又はナノウェル)を用いて適切な材料をパターニングし、パターニングされた材料をゲル材料(例えば、PAZAM、SFA、又はその化学修飾された変異体、例えばSFAのアジド化型(アジド-SFA)など)でコーティングし、ゲルでコーティングされた材料を、例えば化学的研磨又は機械的研磨によって研磨することによって作製することができ、それによって、ウェル内にゲルが保持されるが、ウェル間の構造化基材の表面の間隙領域からは、実質的に全てのゲルを除去されるか又は不活性化される。プライマーは、ゲル材料に結合され得る。次いで、標的ポリヌクレオチド(例えば、断片化されたヒトゲノム又はその一部)の溶液を、個々の標的ヌクレオチドがゲル材料に付着したプライマーとの相互作用を介して個々のウェルにシードされるように、研磨された基材と接触させ得るが、標的ポリヌクレオチドは、ゲル材料が存在しないか又はそれが不活性であるため、間隙領域を占有しない。標的ポリヌクレオチドの増幅は、間隙領域内のゲルの不在又は不活性により、クラスタの外向きの移動を防止するため、ウェル内に限局され得る。このプロセスは、簡便な製造が可能であり、スケーラブルであり、また従来のマイクロ又はナノ製造方法を利用するものである。
【0065】
パターン化された基材としては、例えば、スライド又はチップにエッチングされたウェルが挙げられ得る。ウェルのエッチング及び幾何学形状のパターンは、様々な異なる形状及びサイズとすることができ、かかる特徴は、互いに物理的又は機能的に分離可能であり得る。かかる構造的特徴を有する特に有用な基材としては、ミクロスフェアなどの、固体粒子のサイズを選択し得るパターン化基材が挙げられる。これらの特性を有する例示的なパターン化された基材は、BEADアレイ技術(Illumina、Inc.、San Diego、Calif.)に関連して使用されるエッチングされた基材である。
【0066】
いくつかの例では、本明細書に記載の基材は、フローセルの少なくとも一部を形成するか、又はフローセル内に位置するか、又はフローセルに結合される。フローセルは、複数のレーン又は複数のセクターに分割された流動チャンバーを含み得る。本明細書に記載の方法及び組成物で使用され得るフローセルの製造のためのフローセル及び基材の例としては、Illumina,Inc.(San Diego,CA)から市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本明細書で使用される場合、「直接」という用語は、基材の表面を覆う層に関して使用される場合、層が、例えば、接着層又はポリマー層などの有意な中間層なしで基材の表面を覆うことを意味することを意図する。表面を直接覆う層は、共有結合又は非共有結合などの任意の化学的又は物理的相互作用を通してこの表面に付着させることができる。
【0068】
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドに関して使用される場合、「固定化された」という用語は、共有結合又は非共有結合を介した基材への直接的又は間接的な付着を意味することが意図される。特定の例では、共有結合を使用してもよく、又は、基材を使用することが意図される条件下、例えばポリヌクレオチドの増幅又はシークエンシングにおいてポリヌクレオチドが静止又は基材に付着したままである任意の他の好適な結合を使用し得る。捕捉プライマーとして、又は標的ポリヌクレオチドとして使用されるポリヌクレオチドは、酵素による伸長のために3’末端が利用可能であり、配列の少なくとも一部が相補的配列にハイブリダイズすることができるよう、固定化され得る。固定化は、表面付着オリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを介して起こり得、その場合、固定化オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、3’~5’の向きであり得る。代替的に、固定化は、共有結合などの塩基対合ハイブリダイゼーション以外の手段によって生じ得る。
【0069】
本明細書で使用するとき、用語「アレイ」とは、相対的な位置に従って互いに区別することができる基材領域の集団を指す。アレイの異なる領域にある異なる分子(ポリヌクレオチドなど)は、アレイ内の領域の位置に従って互いに区別することができる。アレイの個々の領域は、特定の種類の1つ以上の分子を含み得る。例えば、基材領域は、特定の配列を有する単一の標的ポリヌクレオチドを含み得るか、又は基材領域は、同じ配列(又はその相補的配列)を有するいくつかのポリヌクレオチドを含み得る。アレイの領域は、同じ基材上で互いに異なる特徴を含み得る。例示的な特徴としては、基質中のウェル、基質中又は基質上のビーズ(又は他の粒子)、基質からの突出部、基質上の隆起部、又は基質内のチャネルが挙げられるが、これらに限定されない。アレイの領域は、互いに異なる基材上の異なる領域をそれぞれ含み得る。別個の基材に付着した異なる分子は、基材が会合する表面上の基材の位置に従って、又は液体若しくはゲル内の基材の位置に従って特定され得る。別個の基質が表面上に配置される例示的なアレイとしては、ウェル内にビーズを有するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語「複数の」とは、2つ以上の異なるメンバーの集団を意味することを意図する。複数とは、小さい、中程度、大きい、から非常に大きいサイズまでの範囲であり得る。小さいサイズの複数とは、例えば、数メンバー~数十メンバーの範囲であり得る。中程度のサイズの複数とは、例えば、数十メンバー~約100メンバー又は数百メンバーの範囲であり得る。大きい複数とは、例えば、約数百メンバー~約1000メンバー、数千メンバー、及び数万メンバーの範囲であり得る。非常に大きな複数とは、例えば、数万メンバー~約数十万、数百万、数千万、又は数億以上のメンバーの範囲であり得る。したがって、複数は、2~1億以上にわたるサイズでもあり、並びに、上記の例示的な範囲の間の、及びそれ以上のメンバーの数として測定される全てのサイズの範囲であり得る。例示的なポリヌクレオチド複合体には、例えば、約1×105以上、5×105以上、又は1×106以上の異なるポリヌクレオチドの集団が含まれる。したがって、この用語の定義は、2より大きい全ての整数値を含むことが意図される。複数値の上限は、例えば、試料中のポリヌクレオチド配列の理論的多様性によって設定され得る。
【0071】
本明細書で使用される場合、「二重鎖」という用語は、ポリヌクレオチドに関して使用される場合、ポリヌクレオチド中のヌクレオチドの全て又は実質的に全てが、相補的ポリヌクレオチド内のそれぞれのヌクレオチドに水素結合していることを意味することが意図される。「部分的に」二重鎖のポリヌクレオチドは、その少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%のヌクレオチドであって、その全てよりも少ないヌクレオチドが、相補的ポリヌクレオチド中のヌクレオチドに水素結合している。
【0072】
本明細書で使用される場合、「一重鎖」という用語は、ポリヌクレオチドに関して使用される場合、ポリヌクレオチド中のヌクレオチドのいずれも、相補的ポリヌクレオチド中のそれぞれのヌクレオチドに水素結合していないことを意味する。別のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることが「できない」ポリヌクレオチドは、一重鎖であり得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、「標的ポリヌクレオチド」という用語は、分析又は作用の対象であるポリヌクレオチドを意味することが意図される。分析又は作用は、ポリヌクレオチドを増幅、配列決定、及び/又は他の手順に供することを含む。標的ポリヌクレオチドは、分析される標的配列に追加されるヌクレオチド配列を含み得る。例えば、標的ポリヌクレオチドは、分析される標的ポリヌクレオチド配列に隣接する、プライマー結合部位として機能するアダプターなどの1つ以上のアダプターを含み得る。捕捉プライマーにハイブリダイズした標的ポリヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドの全てが伸長に適さないように、捕捉オリゴヌクレオチドの5’又は3’末端を超えて伸長するヌクレオチドを含み得る。特定の例では、複数の標的ポリヌクレオチドは、互いに異なる配列を有し得るが、互いに同じである第1及び第2のアダプターを有し得る。特定の標的ポリヌクレオチド配列に隣接し得る2つのアダプターは、互いに同じ配列、又は互いに相補的配列を有し得るか、又は2つのアダプターは、異なる配列を有し得る。したがって、複数の標的ポリヌクレオチド中の種は、例えば、シークエンシング(例えば、SBS)によって評価される未知の配列領域が隣接した、既知の配列領域を含み得る。いくつかの例では、標的ポリヌクレオチドは、単一の末端でアダプターを担持し、かかるアダプターは、標的ポリヌクレオチドの3’末端又は5’末端のいずれかに位置し得る。標的ポリヌクレオチドは、アダプターなしで使用され得、その場合、プライマー結合配列は、標的ポリヌクレオチドに存在する配列を直接用い得る。
【0074】
用語「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」は、本明細書においては交換可能に使用される。用語の違いは、特に明記しない限り、サイズ、配列、又は他の特性の任意の特定の違いを示すことを意図するものではない。説明を明確にするために、いくつかのポリヌクレオチド種を含む特定の方法又は組成物を説明する際に、1つの種のポリヌクレオチドを別の種と区別するために用語を使い分けてもよい。
【0075】
本明細書で使用するとき、用語「アンプリコン」は、核酸に関して使用する場合、核酸の複製による生成物を意味し、この生成物は、核酸のヌクレオチド配列の少なくとも一部と実質的に同じ又は相補的なヌクレオチド配列を有する。「増幅」及び「増幅すること」は、ポリヌクレオチドのアンプリコンを作製するプロセスを指す。標的ポリヌクレオチドの第1のアンプリコンは、典型的には相補的なコピーであり得る。更なるアンプリコンは、第1のアンプリコンの生成後に、標的ポリヌクレオチド又は第1のアンプリコンから作成されたコピーである。後続のアンプリコンは、標的ポリヌクレオチドと実質的に相補的であるか、又は標的ポリヌクレオチドと実質的に同一である配列を有し得る。ポリヌクレオチドの(例えば、増幅アーチファクトによる)少数の変異が、そのポリヌクレオチドのアンプリコンを生成するときに起こり得ることは理解されるであろう。
【0076】
実質的に所与のポリヌクレオチドのアンプリコンのみを含む基材領域は、「モノクローナル」と称され得るが、互いに異なる配列を有するポリヌクレオチドのアンプリコンを含む基材領域は、「ポリクローナル」と称され得る。ポリヌクレオチドの配列決定に使用される所与のポリヌクレオチドの十分な数のアンプリコンを含む基材領域は、「機能的にモノクローナル」と称され得る。例示的に、アンプリコンの約60%以上が所与のポリヌクレオチドである基材領域は、「機能的にモノクローナル」であるとみなされ得る。追加的又は代替的に、シグナルの約60%以上が所与のポリヌクレオチドのアンプリコンに由来する基材領域は、「機能的にモノクローナル」であるとみなされ得る。基材のポリクローナル領域は、それぞれモノクローナルである異なるサブ領域を含み得る。かかるモノクローナル領域はそれぞれ、より大きなポリクローナル領域内又はそれ自体であるかにかかわらず、「シード」から生成された「クラスタ」に対応し得る。「シード」は、単一の標的ポリヌクレオチドを指し得るが、「クラスタ」は、その標的ポリヌクレオチドのアンプリコンの集合体を指し得る。
【0077】
ポリヌクレオチドを増幅するための組成物及び方法
本明細書で提供される例は、クラスタが生成される基材領域に選択された特徴を有する捕捉プライマーを提供することによって、実質的にモノクローナルであるクラスタを生成させることに関する。本明細書の実施例は、増幅ポリヌクレオチドの配列が第1の基材領域内のSBSを使用して読み取られる同時ペアエンドリードで使用するためのクラスタを生成させることに特に適しており、そのポリヌクレオチドの相補的配列は、互いに平行に第2の基材中のSBSを使用して読み取られるが、実施例は、一般に任意のタイプのクラスタに適用可能であることを理解されたい。
【0078】
いくつかの例では、様々なポリヌクレオチドによるシーディングは、ポアソン分布に従って第1及び第2の基材領域上のどこでも起こり得るが、第1及び第2の領域の基材に結合された捕捉プライマーは、境界から遠くに捕捉されるポリヌクレオチドと比較して、それら領域間の境界に十分に近くに捕捉される標的ポリヌクレオチドが優先的に増幅されるように選択され得る。かかる優先的な増幅は、いくつかの例では、第1の領域内の他の捕捉プライマー(例えば、完全長P7プライマー)と比較して、第1の領域内の捕捉プライマー(例えば、P5*プライマー)のサブセットを短縮し、他の捕捉プライマー(例えば、完全長P5プライマー)と比較して、第2の領域内の捕捉プライマー(例えば、P7*プライマー)のサブセットを短縮し、短いアダプター(例えば、cP5及びcP7の短縮型)を有する標的ポリヌクレオチドを提供することによって達成され得る。以下でより詳細に説明するように、これらの様々な短縮された捕捉プライマー及び短縮されたアダプターは、基材に結合され得る特定の標的ポリヌクレオチドの増幅をバイアスし得る。例えば、第1及び第2の領域間の境界にシードを形成する標的ポリヌクレオチドは、境界から十分に離れたシードを形成するポリヌクレオチドよりも容易に増幅され得る。結果として生じるアンプリコンは、標的ポリヌクレオチドと比較して、全長アダプター(例えば、完全長cP5及びcP7アダプター)を含むように伸長され得、したがって、基材の第1及び第2の領域の両方にわたるそのアンプリコンのその後の増幅を促進する。
【0079】
例えば、
図3A~
図3Jは、第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するためのプロセスフローにおける例示的な組成物及び操作を概略的に示す。最初に
図3Aを参照すると、組成物3000は、基材300と、それに結合された複数のプライマーと、を含む。この例では、基材300は、互いに隣接し得る第1の領域301及び第2の領域302を含む。任意選択で、第1の領域301及び第2の領域302は、互いに異なる表面処理、例えば、互いに異なるポリマー、又は互いに同じポリマーを有することができるが、異なる捕捉プライマーが選択的に結合され得る異なる部分が結合され得る。以下に説明するように、第1及び第2の領域301、302にそれぞれ結合されたプライマーは、少なくとも1つの特性で互いに異なる捕捉プライマー、及び少なくとも1つの特性で互いに異なる直交捕捉プライマーを含み得、かかる捕捉プライマー又は直交捕捉プライマーの増幅を阻害して、第1及び第2の領域間の境界310から十分に遠くにある領域での標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害する。
【0080】
例えば、第1の複数の捕捉プライマー331は、基材300の第1の領域301に結合され得、第2の複数の捕捉プライマー341は、基材300の第2の領域302に結合され得る。第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341は、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー331よりも長くてもよい。第1の複数の直交捕捉プライマー332は、基材300の第1の領域301に結合され得、第2の複数の直交捕捉プライマー342は、基材の第2の領域302に結合され得る。第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー342は、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332よりも短くてもよい。
【0081】
例示的に、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー331は、いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341よりも少なくとも2塩基短くてもよく、例えば、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341よりも、少なくとも3塩基短く、少なくとも4塩基短く、少なくとも5塩基短く、少なくとも6塩基短く、少なくとも7塩基短く、少なくとも8塩基短く、少なくとも9塩基短く、少なくとも10塩基短い。第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー342は、いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341よりも少なくとも2塩基短くてもよく、例えば、第1の複数の直交捕捉プライマーの捕捉プライマー332よりも、少なくとも3塩基短く、少なくとも4塩基短く、少なくとも5塩基短く、少なくとも6塩基短く、少なくとも7塩基短く、少なくとも8塩基短く、少なくとも9塩基短く、少なくとも10塩基短い。
【0082】
基材300に結合された全てのプライマーは、互いに異なる長さである必要があるわけではない。例えば、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー331は、いくつかの例では、第2の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマー342とほぼ同じ長さであり得る。第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341は、いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332とほぼ同じ長さであり得る。しかしながら、捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーの任意の好適なそれぞれの長さが、基材300の適切な領域に使用され得ることを理解されたい。以下により詳細に記載されるように、第1及び第2の領域において互いに異なる長さの捕捉プライマー331、341、及び第1及び第2の領域において互いに異なる長さの捕捉プライマー332、342は、境界310から十分に離れて着地する標的ポリヌクレオチドと比較して、第1及び第2の領域間の境界310に十分に近接して着地する標的ポリヌクレオチドを優先的に増幅させ得る。次いで、アンプリコンは、以下により詳細に記載されるように、境界310から十分に遠くに着地する標的ポリヌクレオチドと比較して、第1及び第2の領域全体にわたって更に優先的に増幅され得る。
【0083】
図3Aに示すように、組成物3000は更に、標的ポリヌクレオチド351、352、353、例えば、増幅され、最終的に配列決定されるポリヌクレオチドを含む流体を含み得る。標的ポリヌクレオチド351、352、353の各々は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332、342に相補的である第1のアダプター354、及び第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー331、341に相補的である第2のアダプター355を含み得る。標的ポリヌクレオチド351、352、353の第1のアダプター354は、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332よりも短くてもよく、いくつかの例では、直交捕捉プライマー332よりも、少なくとも2塩基短くてもよく、例えば、直交捕捉プライマー332よりも、少なくとも3塩基短く、少なくとも4塩基短く、少なくとも5塩基短く、少なくとも6塩基短く、少なくとも7塩基短く、少なくとも8塩基短く、少なくとも9塩基短く、少なくとも10塩基短い。標的ポリヌクレオチド351、352、353の第2のアダプター355は、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341よりも短くてもよく、いくつかの例では、捕捉プライマー341よりも、少なくとも2塩基短くてもよく、例えば、捕捉プライマー341よりも、少なくとも3塩基短く、少なくとも4塩基短く、少なくとも5塩基短く、少なくとも6塩基短く、少なくとも7塩基短く、少なくとも8塩基短く、少なくとも9塩基短く、少なくとも10塩基短い。第1及び第2のアダプター354、355は、必ずしもそうである必要はないが、互いに同じ長さであってもよい。
【0084】
非限定的な一例では、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341は、P5捕捉プライマーであり、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332は、P7捕捉プライマーである。Illumina、Inc.(San Diego、CA)から市販されているP5捕捉プライマーは、配列5’-AATGATACGGCGACCACCGA-3’((配列番号1))を有する。Illumina、Inc.から市販されているP7捕捉プライマーは、配列5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGA-3’(配列番号2)を有する。いくつかの例では、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー331は、短縮されたP5捕捉プライマーであり(本明細書においてP5*と指定され得る)、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、短縮されたP7捕捉プライマーである(P7*と指定され得る)。例えば、P5及びP7の上記の配列は、3’末端から約2~10塩基短縮されて、短縮されたP5捕捉プライマー(P5*)、及び短縮されたP7捕捉プライマー(P7*)をそれぞれ形成し得る。いくつかの例では、短縮されたP7捕捉プライマー(P7*)は、配列5’-TTTTTTCAAGCAGAAGACGGC-3’(配列番号3)を有し得る。いくつかの例では、短縮されたP5捕捉プライマー(P5*)は、配列5’-TTTTTAATGATACGGCGACCA-3’(配列番号4)を有し得る。
【0085】
第2のアダプター355は、短縮された相補的P5アダプター(本明細書においてcP5*と指定され得る)であり得、例えば、完全長の相補P5アダプター(本明細書においてcP5と指定され得る)の短縮型であり得る。全長相補的P5アダプター(cP5)は、配列5’-TCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’(配列番号5)を有し得、Illumina,Inc.から市販されている。短縮された相補的P5アダプター(cP5*)は、配列3’-GCGACCACCGAGATCTACAC-5’(配列番号6)を有し得る。第1のアダプター354は、短縮された相補的P7アダプター(本明細書においてcP7*と指定され得る)であり得、例えば、完全長の相補P7アダプター(本明細書においてcP7と指定され得る)の短縮型であり得る。全長相補的P7アダプター(cP7)は、配列5’-TCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’(配列番号7)を有し得、Illumina,Inc.から市販されている。短縮された相補的P7アダプター(cP7*)は、配列3’-GACGGCATACGAGAT-5’(配列番号8)を有し、太字で示されているGは、いくつかの例では、本明細書の他の箇所に記載されるような切断可能な部分であり得る8-オキソ-Gであり得る。例示的に、cP5及びcP7の上記配列は、3’末端又は5’末端のいずれかから、又は3’末端及び5’末端の両方から、約2~10塩基短縮されて、短縮されたcP7アダプター(cP7*)及び短縮されたcP5アダプター(cP5*)を形成することができる。
【0086】
図3Bに示すように、第1、第2、及び第3の標的ポリヌクレオチド351、352、353のアダプター354、355は、例えばポアソン分布に従って、基材300の異なる位置で異なる捕捉プライマーにランダムにハイブリダイズし得る。特に図示された例では、標的ポリヌクレオチド351の第1のアダプター354は、基材300の第1の領域301内の第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332にハイブリダイズして、二本鎖361を形成する。標的ポリヌクレオチド352の第2のアダプター355は、基材300の第2の領域302内の第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341にハイブリダイズして、二本鎖362を形成する。標的ポリヌクレオチド353の第1のアダプター354は、基材300の第1の領域301内の第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332にハイブリダイズして、二本鎖363を形成する。アダプターと捕捉プライマー又は直交捕捉プライマーとの間のかかる初期ハイブリダイゼーションから生じる二本鎖は、約40℃超の、例えば、約45℃超、又は約50℃超、又は約55℃超、又は約60℃超、又は約65℃超、又は約70℃超の融解温度(Tm)を有し得、例えば、組成物3000が保持される他の温度で比較的安定であり得る。しかしながら、本明細書に記載されるように、標的ポリヌクレオチドアダプターが最初にプライマー又は直交捕捉プライマーを捕捉するようにハイブリダイズする基材上の具体的な位置は、かかるポリヌクレオチドが増幅される程度に影響を及ぼす。例えば、第1及び第2の基材領域301、302の間の境界310に十分にハイブリダイズする標的ポリヌクレオチドは、その境界から十分離れてハイブリダイズするポリヌクレオチドと比較して、容易に増幅され得る。
【0087】
例えば、
図3Cに示されるように、
図3Bに関して記載される初期ハイブリダイゼーション後、第1、第2、及び第3の標的ポリヌクレオチド351、352、353の各々が増幅され得、例えば、第1のアンプリコン351’、第2のアンプリコン352’、及び第3のアンプリコン353’がそれぞれ形成され得る。かかる増幅に続いて、第1、第2、及び第3の標的ポリヌクレオチド351、352、353は、
図3Dに示されるような様式で脱ハイブリダイズされ得、一方、第1、第2、及び第3のアンプリコン351’、352’、353’は、基材300に共有結合したままである。かかる脱ハイブリダイズは必ずしも実施される必要はないことに留意されたい。例えば、第1、第2、及び第3の標的ポリヌクレオチド351、352、353を脱ハイブリダイズする代わりに、かかるポリヌクレオチドは、基材にハイブリダイズしたままであり得、当技術分野で知られているような鎖侵入プロセスを使用して更に増幅され得、ExAmpと称され得る。
【0088】
図3Eに示されるように、
図3C~
図3Dを参照して記載された初期増幅後、得られたアンプリコンは、基材300上の他の捕捉プライマー又は直交捕捉プライマーにハイブリダイズし得るように屈曲し得る。例えば、第2のアンプリコン352’の第1のアダプター354は、反応温度で安定しているように、直交捕捉プライマー342のうちの第2の直交捕捉プライマーに十分にハイブリダイズすることができない。例えば、直交捕捉プライマー342の各々が比較的短く、第2のアンプリコン352’の第1のアダプター354が比較的短いため、第2のアンプリコン352’は、直交捕捉プライマー342のいずれかの配列をアダプター354の配列に十分に合わせるために十分に屈曲できない場合がある。したがって、第2のアンプリコンの第1のアダプター354と任意の直交捕捉プライマー342との間に形成された任意の二本鎖は、反応温度未満の融解温度(T
m)を有し、かかる二本鎖は、第2のアンプリコン352’の増幅を阻害するのに十分急速に融解し得る。例えば、第2のアンプリコン352’の第1のアダプター354と直交捕捉プライマー342のいずれかとの間の最大でも部分的なハイブリダイゼーションから生じる任意の二本鎖365は、約20℃未満、例えば、約15℃未満、約10℃未満、又は約5℃未満の融解温度(Tm)を有し得る。例示的に、上記で提供される例示的な配列を使用して、短縮されたP7捕捉プライマー(P7
*)は、短縮された相補的P7アダプター(cP7
*)と、約5塩基以下のみで重なり得、また、短縮されたP5捕捉プライマー(P5
*)は、短縮された相補的P5プライマーと、約10塩基以下、又は約9塩基以下、又は約8塩基以下、又は約7塩基以下、又は約6塩基以下、又は約5塩基以下、又は約4塩基以下、又は約3塩基以下、又は約2塩基以下、又は約1塩基以下、又は0塩基で重なり得る。したがって、反応温度では、かかる二本鎖は、ポリメラーゼ(具体的には図示せず)が、かかる増幅のプライマーとして任意の直交捕捉プライマー342を使用して、第2のアンプリコン352’のアンプリコンを形成し始めるのに十分な時間形成される可能性が低い。同様に、第1のアンプリコン351’の第2のアダプター355は、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー331のいずれかに十分にハイブリダイズすることができない場合がある。例えば、捕捉プライマー331の各々が比較的短く、アダプター355が比較的短いため、第1のアンプリコン351’は、アダプター355の配列を捕捉プライマー331のいずれかの配列と十分に接触させるように十分に屈曲できない場合がある。かかる十分にハイブリダイズすることができないことは、第1のアンプリコン351’の増幅を阻害し得、例えば、ポリメラーゼ(具体的には図示せず)が、かかる増幅のプライマーとして任意の捕捉プライマー331を使用して、第1のアンプリコン351’のアンプリコンを形成することを阻害し得る。
【0089】
比較すると、第3のアンプリコン353’は、基材300の第1の領域301と第2の領域302との間の境界310に十分に近く、そのアンプリコンの第2のアダプター355は、境界を横断し、基材300の第2の領域302内の第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341に完全にハイブリダイズして、二本鎖366を形成し得る。例えば、捕捉プライマー341は全長であるため、アダプター355が比較的短くても、第3のアンプリコン353’は、アダプター355の配列を捕捉プライマー341の配列と整列させるように十分に屈曲し得る。第3のアンプリコン353’の第2のアダプター355の捕捉プライマー341とのハイブリダイゼーションは、第3のアンプリコン353’の増幅を促進し得、したがって標的ポリヌクレオチド353の更なる増幅を促進し得る。
【0090】
例えば、第3のアンプリコン353’及び捕捉プライマー341のアダプター355の間のハイブリダイゼーションから生じる二本鎖366は、約40℃超の、例えば、約45℃超、又は約50℃超、又は約55℃超、又は約60℃超、又は約65℃超、又は約70℃超の融解温度(Tm)を有し得る。したがって、反応温度では、二本鎖366(並びに
図3Bに関して記載されている二本鎖363)は、ポリメラーゼが、かかる増幅のためのプライマーとして捕捉プライマー341を使用して、第3のアンプリコン353’によりアンプリコンを形成し始めるのに十分な時間の間(具体的に図示ないが)形成されがちである。
【0091】
したがって、「境界に十分に近い」とみなされ得る標的ポリヌクレオチド(又はそのアンプリコン)は、境界310の片側の捕捉プライマーにハイブリダイズし得、境界310の他方の側の直交捕捉プライマーにハイブリダイズし得る。標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)が長いほど、境界から更に、境界310の片側の捕捉プライマー及び境界310の他方の側の直交捕捉プライマーにハイブリダイズすることができ得ることが理解されよう。例示的に、500塩基の長さを有する標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)は、約150nm長であり得る。したがって、標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)が最初にハイブリダイズする場所に応じて、境界310のいずれかの側へ最大約150nmであれば、そのポリヌクレオチドについては「境界の近くに十分に近く」であり得る。逆に、250塩基の長さを有する標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)は、約75nmの長さであり得、1000塩基の長さを有する標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)は、約300nmの長さであり得る。いずれのかかる実施例でも、標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)が到達し得、したがって優先的に増幅され得る境界310をまたいでの距離は、その標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)の物理的長さに関係する。
【0092】
図3Fは、別の増幅操作後の
図3Eの組成物を示す。組成物は、アンプリコン353’の追加のアンプリコン353”を含むことが理解され得る。かかる追加のアンプリコンは、アンプリコン353’にハイブリダイズし得る。
図3Fに示すように、増幅操作は、追加のアンプリコン353”の、第1及び第2のアダプター354、355を、それぞれ第1の直交捕捉プライマー332及び第2の捕捉プライマー341の配列を使用して延長し、伸長された(例えば、完全長の)アダプター354’、355’を形成し得る。比較すると、組成物は、例えば、プライマー又は直交捕捉プライマーを捕捉するためのそれらのアンプリコンのアダプターの不十分なハイブリダイゼーションが、それらのアンプリコンのいかなる増幅も阻害し得るため、任意の更なるアンプリコン351’、352’を含まない可能性がある。増幅操作は、アンプリコン353’、353”の更なるアンプリコンを生成させるために任意の好適な回数繰り返すことができ、それぞれの全長アダプター354’、355’は、それぞれの短縮された捕捉プライマー331、342、又は全長捕捉プライマー332、341と容易にハイブリダイズすることができる。例えば、
図3Gに示すように、アンプリコン353’の全長第1のアダプター354’は、第1の領域301内の第1の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332とハイブリダイズし得、アンプリコン353”の全長第2のアダプター355’は、第2の領域302内の第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341とハイブリダイズし得る。
図3Hに示すように、別の増幅操作に続いて、標的ポリヌクレオチド353の追加のアンプリコン356’、356”が形成され得る。第1及び第2の基材領域401、402がいっぱいになるまで増幅操作が繰り返される場合、得られたアンプリコンの両方のアダプターは、対応する捕捉プライマー又は直交捕捉プライマーにハイブリダイズする必要はなく、そのため、アンプリコンは、
図3Iに示されるように基材から直線的に伸長し得る。
【0093】
増幅操作は、第1及び第2の基材領域301、302の両方を少なくとも機能的にモノクローナルクラスタで、及びいくつかの例では、例えば、標的ポリヌクレオチド353のアンプリコンを用いて、実質的にモノクローナルクラスタの両方を実質的に充填するように、任意の好適な回数形成され得る。例えば、第1及び第2の基材領域301、302の各々内のアンプリコンは、少なくとも約60%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約70%のアンプリコンの1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約80%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約90%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約95%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約98%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約99%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は100%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、を含み得る。上記のように、いくつかの例では、特定の捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーは、非ヌクレオチド部分を含み得る。かかる非ヌクレオチド部分は、これらに限定されないが、捕捉プライマーの一部が選択的に除去される媒介となり得る除去部分、又は
図4A~
図4Lを参照して以下に更に記載されるような遮断基を含み得るが。例えば、
図3A~3Iに示すように、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332は、除去部分333を含み得、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341は、除去部分343を含み得る。除去部分333、343は、任意の好適なプライマーの長さに沿って任意の好適な位置に位置し得、必ずしも必須ではないが、同じタイプの除去部分であり得る。
図3E~3Iを参照して記載されるような所望の数の追加の増幅操作に続いて、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー332の部分は、適切な酵素又は試薬を除去部分333と反応させることによって除去され得、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー341の部分は、適切な酵素又は試薬を除去部分343と反応させることによって除去され得る。除去部分333とともに使用される酵素又は試薬は、除去部分343とともに使用される酵素又は試薬と同じであっても異なっていてもよい。
図3Jに示されるように、除去部分333の反応は、第1の基材領域301内の1つの配向のポリヌクレオチドを除去し、除去部分334の反応は、第2の基材領域302内の他の配向のポリヌクレオチドを除去し、それにより、同時にペアエンドリードが2つの基材領域内で実行され得る。第1及び第2の基材領域301、302における得られた直鎖となったアンプリコンは、少なくとも機能的にモノクローナルであり得、実質的にモノクローナルであり得る。
【0094】
基材の実質的にモノクローナルな領域を生成させる他の方法が本明細書に提供される。例示的に、本明細書で提供される他の例では、標的ポリヌクレオチド及び増幅を用いたシーディングは、基材の第1の領域で実施され、一方、基材の第2の領域内のプライマーは、かかる増幅が最初にその領域で実施されないように遮断され得る。次いで、第2の領域内のプライマーの遮断が解除される。第1の領域で最も増幅された標的ポリヌクレオチドは、第2の領域で更に増幅されることが予想され得、したがって、モノクローナル性を改善する。
【0095】
例えば、
図4A~
図4Lは、第1の基材領域内の遮断されていないプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅し、第2の基材領域内でプライマーを除去可能に遮断するためのプロセスフローにおける、例示的な組成物及び操作を概略的に示す。
図4Aに示される組成物4000は、
図3Aを参照して記載したものと同様であり得る第1の領域401及び第2の領域402を含む基材400を含む。第1の複数の捕捉プライマー431は、基材400の第1の領域401に結合され得、第1の複数の直交捕捉プライマー432は、基材400の第1の領域401に結合され得る。第2の複数の捕捉プライマー441は、基材400の第2の領域402に結合され得、第2の複数の直交捕捉プライマー442は、基材の第2の領域402に結合され得る。
図4Aに示される例では、プライマーの全ては、互いに同じ長さであり得る。例えば、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー431は、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー441とほぼ同じ長さであり得る。第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー441は、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー432とほぼ同じ長さであり得る。代替的に、捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーは、例えば、
図3A~
図3Jを参照して記載されるような様式で、基材の異なる領域において互いに異なる長さであり得る。
【0096】
第1の複数の除去可能な遮断基444は、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー441に結合され得、第2の複数の除去可能な遮断基445は、第2の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマー442に結合され得る。以下に記載されるように、遮断基444、445は、第1領域401内の増幅が実質的に完了するまで、第2領域402内の任意の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害するように使用され得る。次いで、かかる遮断基は、第1の領域401で生成された特定のアンプリコンのみの増幅を可能にし、したがって、第2の領域402内のモノクローナル性を改善するように除去され得る。非限定的な一例では、遮断基444、445は、ホスファターゼ又はキナーゼ(逆活性)などの好適な酵素を使用して除去され得る3’-リン酸基を含む。別の非限定的な例では、遮断基444、445は、ジデオキシヌクレオチド(dideoxynucleotide、ddNTP)によって終端されたアリル-T基を含み、パラジウムなどの好適な試薬を使用して除去され得る。別の非限定的な例では、遮断基444、445は、還元剤などの好適な試薬を使用して除去され得る3’-O-アジド部分を含む。別の非限定的な例では、遮断基444、445は、緩衝(pH5.2)された硝酸ナトリウムなどの好適な試薬を使用して除去され得る3’-O-NH2部分を含む。別の非限定的な例では、遮断基444、445は、パラジウムなどの好適な試薬を使用して除去され得る3’-O-アリル部分を含む。別の非限定的な例では、遮断基444、445は、エステラーゼなどの好適な酵素を使用して除去され得る3’-エステル部分を含む。
【0097】
図3A~
図3Jを参照して説明したように、組成物4000は、標的ポリヌクレオチド451、452、453を含む流体を更に含み得る。標的ポリヌクレオチド451、452、453の各々は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー432、442に相補的である第1のアダプター454、及び第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー431、441に相補的である第2のアダプター455を含み得る。
図4Aに示される非限定的な例では、標的ポリヌクレオチド451、452、453の第1のアダプター454は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー432、442とほぼ同じ長さであり、標的ポリヌクレオチド451、452、453の第2のアダプター455は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの捕捉プライマー431、441とほぼ同じ長さである。
【0098】
1つの純粋に例示的な例では、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー431、441は、P5捕捉プライマーであり、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー432、443は、上記のようなP7捕捉プライマーである。第1のアダプター454は、cP7アダプターであってもよく、第2のアダプター455は、上記のようなcP5アダプターであってもよい。捕捉プライマー、直交捕捉プライマー、及びアダプターは全て、全長配列であってもよく、又は、
図3A~
図3Jを参照して記載されるような様式で短縮されていてもよい。
【0099】
図3Bを参照して記載したものと同様の方法で、標的ポリヌクレオチドのアダプター454、455は、例えば、ポアソン分布に従って、捕捉プライマー431、441又は直交捕捉プライマー432、442のそれぞれのランダムにハイブリダイズすることができる。例えば、標的ポリヌクレオチド451の第1のアダプター454は、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー432にハイブリダイズして、二本鎖461を形成し得る。標的ポリヌクレオチド453の第1のアダプター454は、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー432にハイブリダイズして二本鎖463を形成し得、標的ポリヌクレオチド452の第2のアダプター455は、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー442にハイブリダイズして、二本鎖462を形成し得る。アダプターと捕捉プライマー又は直交捕捉プライマーとの間のかかる初期ハイブリダイゼーションから生じる二本鎖は、約40℃超の、例えば、約45℃超、又は約50℃超、又は約55℃超、又は約60℃超、又は約65℃超、又は約70℃超の融解温度(Tm)を有し得、例えば、組成物4000が保持される他の温度で比較的安定であり得る。以下に記載されるように、標的ポリヌクレオチド451、453は、第1の基材領域401内で容易に増幅され得、第2の基材領域402内の遮断基444、445は、標的ポリヌクレオチド402の増幅を阻害し得る。
【0100】
例えば、
図4Cに示されるように、
図4Bを参照して記載された初期ハイブリダイゼーション後、第1及び第3の標的ポリヌクレオチド451、453は、増幅されて、例えば、第1のアンプリコン451’及び第3のアンプリコン453’をそれぞれ形成し得、一方、遮断基444は、第2の標的ポリヌクレオチド452の増幅を阻害し得る。かかる増幅に続いて、第1、第2、及び第3の標的ポリヌクレオチド451、452、453は、
図4Dに示されるような様式で脱ハイブリダイズされ得、第1及び第3のアンプリコン451’、453’は、基材400に共有結合したままである。
【0101】
図4Eに示すように、第1のアンプリコン451’の第2のアダプター455は、第1の複数の直交捕捉プライマーの捕捉プライマー431にハイブリダイズして、二本鎖464を形成し得る。第3のアンプリコン453’の第2のアダプター455は、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー431にハイブリダイズして、二本鎖465を形成し得る。
図3Eを参照して記載したものと同様の方法で、プライマー431を捕捉するためのアンプリコン451’、453’の第2のアダプター455のハイブリダイゼーションは、アンプリコン451’、453’の増幅を促進し得る。例えば、アンプリコン451’、453’及び捕捉プライマー431のそれぞれのアダプター455間のハイブリダイゼーションから生じる二本鎖は、約40℃超の、例えば、約45℃超、又は約50℃超、又は約55℃超、又は約60℃超、又は約65℃超、又は約70℃超の融解温度(Tm)を有し得る。したがって、増幅のための反応温度では、二本鎖464、465(並びに
図4Bを参照して記載された二本鎖461、463)は、ポリメラーゼ(具体的には図示せず)が、かかる増幅のためにプライマーとして捕捉プライマー又は直交捕捉プライマーを使用して、それぞれのアンプリコン451’、453’によりそれぞれのアンプリコン形成をし始めるのに十分な時間形成されがちである。
【0102】
図4Fに示すように、増幅操作は、アンプリコン451’の追加のアンプリコン451”及びアンプリコン453’の追加のアンプリコン453”を生成し、一方、第2の基材領域402は、更に増幅され得るアンプリコンを含まなくてもよい。例えば、標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)のうちの1つの第1のアダプター455が直交捕捉プライマー442のうちの1つにハイブリダイズする場合であっても、その直交捕捉プライマーに結合した除去可能な遮断基445は、その標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)の増幅を阻害し得る。別の例として、標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)のうちの1つの第2のアダプターが捕捉プライマー441のうちの1つにハイブリダイズする場合であっても、その捕捉プライマーに結合された除去可能な遮断基444は、その標的ポリヌクレオチド(又はアンプリコン)の増幅を阻害し得る。例えば、遮断基444、445は、ポリメラーゼが、かかる増幅のプライマーとして捕捉プライマー441又は直交捕捉プライマー442を使用して、標的ポリヌクレオチド(例えば、標的ポリヌクレオチド452)のアンプリコンを形成することを阻害することができる。代替的に、増幅のかかる阻害は、除去可能な遮断基444及び除去可能な遮断基445のうちの1つのみを使用して、又は除去可能な遮断基444及び除去可能な遮断基445の両方を使用して達成され得ることに留意されたい。
【0103】
更なる増幅操作を使用して、第1の基材領域401内の標的ポリヌクレオチドの更なるアンプリコンを生成させることができ、一方、遮断基444、445は、第2の基材領域402の増幅を阻害し続ける。例えば、
図4Gに示されるように、アンプリコン451’、451”、453’、453”のアダプターは、異なる捕捉プライマー又は直交捕捉プライマーにハイブリダイズし、その後、
図4Hに示されるような更なるアンプリコンを生成させるように増幅され得る。第1の基材領域401がいっぱいになるまで増幅操作を繰り返す場合、標的ポリヌクレオチド及びアンプリコンの両方のアダプターは、対応する捕捉プライマー又は直交捕捉プライマーにハイブリダイズする必要はなく、かかる標的ポリヌクレオチド及びアンプリコンは、基材から直鎖状に伸長することができる。
【0104】
かかる増幅後、第1の複数の除去可能な遮断基444を除去することができ、第2の複数の除去可能な遮断基445は、
図4Iに示されるように除去され得る。遮断基444の除去は、例えば、遮断基444、445が、互いに同じタイプの部分を含む場合に、遮断基445の除去と同時であり得る。代替的に、遮断基444は、例えば、遮断基444、445が互いに異なるタイプの部分を含む場合に、遮断基445とは別個のステップで除去され得る。
図4Jに示すように、第1及び第2の複数の除去可能な遮断基444、445を除去することに続いて、標的ポリヌクレオチド451、453のうちの1つのアンプリコンの第1のアダプター454は、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー442にハイブリダイズし、例えば、以前に遮断された直交捕捉プライマーにハイブリダイズする。更に、
図4Jに示すように、第1及び第2の複数の除去可能な遮断基444、445を除去することに続いて、標的ポリヌクレオチド451、453のうちの1つのアンプリコンの第2のアダプターは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー441、例えば、以前に遮断された捕捉プライマーにハイブリダイズする。したがって、捕捉プライマー441及び直交捕捉プライマー442から遮断基を除去することは、第2の基材領域402を第1の基材領域401を使用して生成されたアンプリコンの更なる増幅に利用可能にすることが理解され得る。様々なアンプリコンを更に増幅し、
図4Kに示されるような組成物を得てもよい。
【0105】
更に、
図3A~
図3Jを参照して記載したものと同様の方法で、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー431は、除去部分433を含み得、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー442は、除去部分433を含み得る。除去部分433、443は、同じ種類の除去部分である必要はないが、互いに同じ種類であってもよい。
図4F~
図4Kを参照して記載されるような所望の数の増幅操作に続いて、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマー431の部分は、適切な酵素又は試薬を除去部分433と反応させることによって除去され得、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマー442の部分は、適切な酵素又は試薬を除去部分443と反応させることによって除去され得る。除去部分433とともに使用される酵素又は試薬は、除去部分443とともに使用される酵素又は試薬と同じであっても異なっていてもよい。
図4Lに示されるように、除去部分433の反応は、第1の基材領域401内の1つの配向のポリヌクレオチドを除去し、除去部分434の反応は、第2の基材領域402内の他の配向のポリヌクレオチドを除去し、それにより、同時にペアエンドリードが2つの基材領域内で実施され得る。基材領域401、402の各々は、同時にペアエンドリードを可能にするように、十分にモノクローナルであり得る。例えば、第1及び第2の基材領域401、402の各々内のアンプリコンは、少なくとも約60%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約70%のアンプリコンの1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約80%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約90%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約95%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約98%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は少なくとも約99%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、又は100%の1つの選択された標的ポリヌクレオチドのアンプリコン、を含み得る。
【0106】
図3A~
図3J及び
図4A~
図4Lを参照して記載された実施例は、互いに隣接する第1及び第2の領域を有する平坦な基材の使用を示唆するように示されているが、より複雑な基材が使用され得ることは明らかであろう。例えば、
図5A~
図5Dは、第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための追加の例示的な組成物を概略的に示す。
図5A~
図5Dを参照して記載したような組成物は、例えば、選択された領域においてより効率的に増幅をバイアスするために、
図3A~
図3Jを参照して記載したものと同様の方法で使用され得る。
図5Aの断面図及び
図5Cの平面図に示される例では、基材500は、基材の第1の領域501が基材の第2の領域502を取り囲むウェルを提供する1つ以上の垂直側壁503を含み得る(例えば、垂直側壁503は実質的に円筒形であり得、第1の領域501及び第2の領域502の両方を囲み、第1の領域501は実質的に円形であり得、第2の領域502は実質的に環状であり得る)。代替的に、基材の第2の領域502は、基材の第1の領域501を取り囲むことができる(例えば、垂直側壁503は実質的に円筒形であり得、第1の領域501及び第2の領域502の両方を取り囲み、第2の領域502は実質的に円形であり得、第1の領域501は実質的に環状であり得る)。更に別の代替例として、垂直側壁503は省略されてもよく、基材500は、図示された領域において実質的に平面状であってもよい。第1及び第2の領域501、502は、互いに対して任意の好適な形状及び位置を有し得ることが理解されよう。例えば、第2の領域502は、必ずしも実質的に円形である必要はなく、必ずしも第1の領域501の中央に配設される必要はない。同様に、第1の領域501は、必ずしも実質的に環状である必要はなく、必ずしも第2の領域を対称的に取り囲む必要はない。いずれかのかかる例では、
図3Aを参照して記載したものと同様の方法で、比較的短い捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーを第1の領域501内の基材500に結合してもよく、一方、より長い(例えば、全長)捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーを第2の領域502の基材500に結合してもよい。したがって、増幅は、中央に位置し、より長いプライマーが基材500に取り付けられている場合に、第2の領域502においてより効率的であるようにバイアスされ得る。
【0107】
図5Bの断面図及び
図5Dの平面図で示される実施例では、基材500’は、基材の第2の領域502’を包含するウェルを提供し、基材の第1の領域501’に取り囲まれている1つ以上の垂直側壁503’を含み得る(例えば、垂直側壁503’は実質的に円筒形であり、実質的に円形の第2の領域502’を取り囲み、一方、第1の領域501’は、実質的に環状であり、垂直側壁503’及び第2の領域502’を取り囲み得る)。代替的に、基材の第1の領域501’は、基材の第2の領域502’を取り囲むことができる(例えば、垂直側壁503’は、実質的に円筒形であり得、実質的に円形の第1の領域501’を取り囲み、一方、第2の領域502’は、実質的に環状であり得、垂直側壁503’及び第1の領域501’を取り囲み得る)。更に別の代替例として、垂直側壁503’は省略されてもよく、基材500は、図示された領域において実質的に平面状であってもよい。第1及び第2の領域501’、502’は、互いに対して任意の好適な形状及び位置を有し得ることが理解されよう。例えば、第2の領域502’は、必ずしも実質的に円形である必要はなく、必ずしも第1の領域501’の中央に配設される必要はない。同様に、第1の領域501’は、必ずしも実質的に環状である必要はなく、必ずしも第2の領域を対称的に取り囲む必要はない。いずれかのかかる例では、
図3Aを参照して記載したものと同様の方法で、比較的短い捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーを第1の領域501’内で基材500に結合させてもよく、一方、より長い(例えば、全長)捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーを第2の領域502’で基材500’に結合してもよい。したがって、増幅は、中央に位置し、より長いプライマーが基材500’に付着している場合に、第2の領域502’においてより効率的であるようにバイアスされ得る。
【0108】
図6A~
図6Dは、第1の基材領域内の遮断されていないプライマーと、第2の基材領域内の除去可能に遮断されたプライマーと、を使用して、ポリヌクレオチドを増幅する際に使用するための、追加の例示的な組成物を概略的に示す。
図6A~
図6Dを参照して記載したような組成物は、例えば、選択された領域においてより効率的に増幅をバイアスするために、
図4A~
図4Lを参照して記載したものと同様の方法で使用され得る。
図6Aの断面図及び
図6Cの平面図で示される実施例では、基材600は、基材の第1の領域601が基材の第2の領域602を取り囲むウェルを提供する1つ以上の垂直側壁603を含み得る(例えば、垂直側壁603は実質的に円筒形であり得、第1の領域601及び第2の領域602の両方を取り囲み、第2の領域602は実質的に環状であり得、第1の領域601は実質的に円形であり得る)。代替的に、基材の第2の領域602は、基材の第1の領域601を取り囲むことができる(例えば、垂直側壁603は実質的に円筒形であり得、第1の領域601及び第2の領域602の両方を取り囲み、第2の領域602は実質的に環状であり得、第1の領域601は実質的に円形であり得る)。更に別の代替例として、垂直側壁603は省略されてもよく、基材600は、図示された領域において実質的に平面状であってもよい。第1及び第2の領域601、602は、互いに対して任意の好適な形状及び位置を有し得ることが理解されよう。例えば、第2の領域602は、必ずしも実質的に円形である必要はなく、必ずしも第1の領域601の中央に配設される必要はない。同様に、第1の領域601は、必ずしも実質的に環状である必要はなく、必ずしも第2の領域を対称的に取り囲む必要はない。いずれかのかかる例では、
図4Aを参照して記載したものと同様の方法で、結合された遮断基を有する捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーは、第1の領域601内の基材600に結合され得、一方で、遮断されていない捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーは、第2の領域602の基材600に結合され得る。したがって、増幅は、中央に位置し、遮断基601が省略され得る第2の領域602においてより効率的であるようにバイアスされ得る。
【0109】
図6Bの断面図及び
図6Dの平面図で示される実施例では、基材600’は、基材の第2の領域602’を包含するウェルを提供し、基材の第1の領域601’に取り囲まれている1つ以上の垂直側壁603’を含み得る(例えば、垂直側壁603’は実質的に円筒形であり、実質的に円形の第2の領域602’を取り囲み、一方、第1の領域601’は、実質的に環状であり、垂直側壁603’及び第2の領域602’を取り囲み得る)。代替的に、基材の第1の領域601’は、基材の第2の領域602’を取り囲むことができる(例えば、垂直側壁603’は、実質的に円筒形であり得、実質的に円形の第1の領域601’を取り囲み、一方、第2の領域602’は、実質的に環状であり得、垂直側壁603’及び第1の領域601’を取り囲み得る)。更に別の代替例として、垂直側壁603は省略されてもよく、基材600は、図示された領域において実質的に平面状であってもよい。第1及び第2の領域601、602は、互いに対して任意の好適な形状及び位置を有し得ることが理解されよう。例えば、第2の領域602は、必ずしも実質的に円形である必要はなく、必ずしも第1の領域601の中央に配設される必要はない。同様に、第1の領域601は、必ずしも実質的に環状である必要はなく、必ずしも第2の領域を対称的に取り囲む必要はない。いずれかのかかる例では、
図4Aを参照して説明したものと同様の方法で、遮断された捕捉プライマー及び遮断された直交捕捉プライマーは、第1の領域601’内で基材600’に結合され得、一方、遮断されていない捕捉プライマー及び遮断されていない直交捕捉プライマーは、第2の領域602’で基材600’に結合され得る。したがって、増幅は、中央に位置し、遮断基601’が省略される第2の領域602’においてより効率的であるようにバイアスされ得る。
【0110】
本明細書に記載されるような例示的な組成物は、ポリヌクレオチドを増幅するための任意の好適な方法で使用され得ることが理解されよう。例えば、
図7は、第1及び第2の基材領域において異なる長さのプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅するための方法700における操作の例示的な流れを示す。方法700は、
図3A~
図3Jを参照して記載される組成物3000、又は
図5A~
図5Dを参照して記載される組成物を使用して実施され得るが、方法700は、任意の他の好適な組成物を使用して実施され得る。
【0111】
ここで
図7を参照すると、方法700は、組成物を流体と接触させることを含む(操作710)。いくつかの例では、組成物は、
図3A、
図5A、又は
図5Bを参照して記載されるようなものであり得る。例示的に、組成物は、第1の領域及び第2の領域、例えば、第1の領域301、501、又は501’、及び第2の領域302、502、又は502’を含む基材を含み得る。第1の複数の捕捉プライマーは、基材の第1の領域に結合され得、例えば、捕捉プライマー331、又は第1の領域内の捕捉プライマー501又は501’である。第2の複数の捕捉プライマーは、基材の第2の領域に結合され得、例えば、捕捉プライマー341、又は第2の領域内の捕捉プライマー502若しくは502’である。第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーよりも長くし得る。第1の複数の直交捕捉プライマーは、基材の第1の領域に結合され得、例えば、直交捕捉プライマー332、又は第1の領域内の直交捕捉プライマー501若しくは501’である。第2の複数の直交捕捉プライマーは、基材の第2の領域に結合され得、例えば、直交捕捉プライマー342、又は第2の領域内の直交捕捉プライマー502若しくは502’である。第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーよりも短くし得る。
【0112】
流体は、標的ポリヌクレオチドを含み得る。標的ポリヌクレオチドの各々は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプター、及び第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーに相補的である第2のアダプター、例えば、
図3Aを参照して記載された第1及び第2のアダプター354、355を含み得る。
【0113】
方法700は更に、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第一のアダプターを第1又は第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーにハイブリダイズさせること、又はその標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターを第1又は第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーにハイブリダイズすることを含み得る(操作720)。例えば、
図3Bを参照して上述したように、標的ポリヌクレオチドは、例えば、ポアソン分布に従って、基材表面全体に分布され得る。しかしながら、
図3E~
図3Iを参照して上述したように、第1及び第2の基材領域間の境界から十分に遠く離れてハイブリダイズする標的ポリヌクレオチドについて、基材のその領域における短縮された捕捉プライマー又は短縮された直交捕捉プライマーは、かかるポリヌクレオチドの他のアダプターのハイブリダイゼーションを完全に又は部分的に阻害し得る。比較すると、第1及び第2の基材領域間の境界に十分に近接してハイブリダイズする標的ポリヌクレオチドの場合、複数のアンプリコンが生成され得る。
【0114】
方法700は、標的ポリヌクレオチドを増幅することを更に含み得、増幅は、その標的ポリヌクレオチドのアンプリコンを生成させることを含む(操作730)。例えば、
図3E~
図3Iを参照して上述したように、基材の第1の領域と第2の領域との間の境界に十分に近い標的ポリヌクレオチドのアンプリコンは、更に増幅され得、境界から十分に遠い標的ポリヌクレオチドのアンプリコンは、更に増幅されない場合がある。例示的に、方法700は、第1のアンプリコンを第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させ、例えば、アンプリコンが基材の第1の領域と第2の領域との間の境界を架橋し、更に増幅されるように、第1のアンプリコンの第2のアダプターを第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズすることを含み得る。代替的に、方法700は、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに第2のアンプリコンを共有結合させ、例えば、アンプリコンが基材の第1の領域と第2の領域との間の境界を架橋し、更に増幅されるように、第2のアンプリコンの第1のアダプターを第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズすることを含み得る。
【0115】
方法700はまた、第3のアンプリコンを第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを含み得るが、第3のアンプリコンの第2のアダプターを第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない。第2のアダプターが第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことは、第3のアンプリコンの増幅であり得、例えば、アンプリコンが基材の第1の領域と第2の領域との間の境界を架橋しない場合がある。いくつかの例では、第3のアンプリコンの第2のアダプターと第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのいずれかとの間のいずれかの部分二本鎖は、約20℃未満の融解温度(Tm)を有する。方法700は更に、又は代替的に、第4のアンプリコンを第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを含み得るが、第4のアンプリコンの第1のアダプターを第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができない。第1のアダプターが第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのいずれにも完全にハイブリダイズすることができないことは、第4のアンプリコンの増幅であり得る。したがって、第1又は第2のアンプリコンは更に増幅され得、一方、第3及び第4のアンプリコンは更に増幅されない場合がある。
【0116】
図8は、第1の基材領域内の遮断されていないプライマーを使用してポリヌクレオチドを増幅し、第2の基材領域内でプライマーを除去可能に遮断するための方法800における操作の例示的な流れを示す。方法800は、
図4A~
図4Lを参照して記載された組成物4000を使用して、又は
図6A~
図6Dを参照して記載された組成物を使用して実施され得るが、方法800は、任意の他の好適な組成物を使用して実施され得る。
【0117】
ここで
図8を参照すると、方法800は、組成物を流体と接触させることを含み得る(操作810)。いくつかの例では、本明細書の他の箇所に記載されるような方法で、組成物は、第1の領域及び第2の領域、例えば、第1の領域401、601、又は601’、及び第2の領域402、602、又は602’を含む基材を含み得る。第1の複数の捕捉プライマーは、基材の第1の領域に結合され得、例えば、捕捉プライマー431、又は第1の領域内の捕捉プライマー601又は601’である。第1の複数の直交捕捉プライマーは、基材の第1の領域に結合され得、例えば、直交捕捉プライマー432、又は第1の領域内の直交捕捉プライマー601若しくは601’である。第2の複数の捕捉プライマーは、基材の第2の領域に結合され得、例えば、捕捉プライマー441、又は第2の領域内の捕捉プライマー602若しくは602’である。第2の複数の直交捕捉プライマーは、基材の第2の領域に結合され得、例えば、直交捕捉プライマー442、又は第2の領域内の直交捕捉プライマー602若しくは602’である。第1の複数の除去可能な遮断基(例えば、遮断基444)は、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーに結合され得る。第2の複数の除去可能な遮断基(例えば、遮断基445)は、第2の複数の捕捉プライマーの直交捕捉プライマーに結合され得る。流体は、標的ポリヌクレオチドを含み得る。標的ポリヌクレオチドの各々は、第1及び第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーに相補的である第1のアダプター、第1及び第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーに相補的である第2のアダプター、例えば、
図4Aを参照して記載された第1及び第2のアダプター454、455を含み得る。
【0118】
方法800は更に、それぞれ、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターを、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズさせるか、又は標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターを、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズすることを含み得る(操作820)。例えば、
図4Bを参照して上述したように、標的ポリヌクレオチドは、例えばポアソン分布に従って、基材表面全体に分布され得、かかる領域に結合されたプライマーとハイブリダイズし得る。かかる標的ポリヌクレオチドのうちの1つ以上は、プライマーが遮断基を含む領域にあってもよく、かかる標的ポリヌクレオチドのうちの1つ以上(例えば、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチド)は、プライマーが遮断基を含まない領域にあってもよい。
【0119】
方法800は更に、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドを増幅することを含み得、増幅は、基材の第1の領域内の標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドのうちの第1のアンプリコンを生成させることを含む(操作830)。例えば、基材の第1の領域内のプライマーが遮断基を欠いているため、増幅は、
図4F~
図4Hを参照して記載されるような様式で第1の領域において容易に行われ得る。例えば、方法800は、アンプリコンを第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを含み得、アンプリコンは、第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第2のアダプターを有する。そのアンプリコンは、基材の第1の領域で更に増幅され得る。代替的に、方法800は、アンプリコンを第1の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つに共有結合させることを含み得、アンプリコンは、第1の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つに完全にハイブリダイズした第1のアダプターを有する。そのアンプリコンは、基材の第1の領域で更に増幅され得る。
【0120】
比較すると、基材の第2の領域内のプライマーが遮断基を含むため、増幅は第2の領域で阻害され得る。遮断基は、基材の第2の領域にハイブリダイズする任意の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害し得る。例えば、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの第1のアダプターは、第2の複数の直交捕捉プライマーの直交捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズし得るか、又は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの第2のアダプターは、第2の複数の捕捉プライマーの捕捉プライマーのうちの1つにハイブリダイズする。捕捉プライマーのうちの1つに結合された除去可能な遮断基は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害し得るか、又は直交捕捉プライマーのうちの1つに結合された除去可能な遮断基は、標的ポリヌクレオチドのうちの第2の標的ポリヌクレオチドの増幅を阻害し得る。
【0121】
方法800は、例えば、
図4Iを参照して記載されるような様式で、第1及び第2の複数の除去可能な遮断基(操作840)を除去することを含み得る。方法800は、次いで、標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドを更に増幅することを含み得、増幅は、例えば、
図4J~
図4Kを参照して記載されるような様式で、基材の第2の領域内の標的ポリヌクレオチドのうちの第1の標的ポリヌクレオチドの追加的なアンプリコンを生成させることを含む(操作850)。本組成物及び方法は、上記の特定の操作での使用に限定されないことが理解されよう。例えば、
図3A~
図3J及び
図4A~
図4Lは、「架橋増幅」又は「表面結合ポリメラーゼ連鎖反応」と一致する操作とみなされ得るが、本組成物及び方法は、他の増幅モダリティとの使用に容易に適合され得ることが理解されよう。1つのかかる増幅モダリティは、「排除増幅」又はExAmpである。排除増幅法は、基材領域当たり単一の標的ポリヌクレオチドの増幅及び基材領域におけるアンプリコンの実質的にモノクローナルな集団の生成を可能にし得る。例えば、基材領域内の第1の捕捉標的ポリヌクレオチドの増幅速度は、基材領域における標的ポリヌクレオチドのより遅い輸送速度及び捕捉に対してより急速であり得る。したがって、基剤領域に捕捉された第1の標的ポリヌクレオチドは、急速に増幅され、基剤領域全体を占有し、したがって同じ基剤領域における更なる標的ポリヌクレオチドの捕捉を阻害し得る。代替的に、第2の標的ポリヌクレオチドが第1のポリヌクレオチドの後に同じ基材領域に結合する場合、第1のポリヌクレオチドの比較的急速な増幅は、合成によってシークエンシングを実施するのに十分に強いシグナルをもたらすよう、基材領域の十分な占有をもたらし得る(例えば、基材領域が少なくとも機能的にモノクローナルであり得る)。排除増幅の使用はまた、モノクローナル基材領域の超ポアソン分布をもたらし得る。すなわち、機能的にモノクローナルであるアレイ内の基材領域の画分は、ポアソン分布によって予測される画分を超え得る。
【0122】
有用なクラスタの超ポアソン分布を増加させることは、より機能的にモノクローナル基材領域がより高い品質のシグナル、したがって改善されたSBSをもたらし得るため、有用である。しかしながら、標的ポリヌクレオチドの基材領域へのシードは、空間ポアソン分布に従い得、占有された基材領域の数を増加させるためのトレードオフは、ポリクローナル基材領域の数を増加させる。より高いスーパーポアソン分布を得る1つの方法は、シーディングが迅速に発生し、続いてシーディングされた標的ポリヌクレオチド間で遅延することである。「動的遅延」と呼ばれる遅延は、生化学反応速度論を通じて生じると考えられるため、シードされたある標的ポリヌクレオチドを他のシードされた標的よりも早く開始させる。排除増幅法は、リコンビナーゼが配列マッチを媒介するときに、リコンビナーゼを使用して、プライマー(例えば、基材領域に結合したプライマー)の二重鎖DNA(例えば、標的ポリヌクレオチド)への浸入を促進することによって機能する。本組成物及び方法は、リコンビナーゼが配列マッチを媒介するときに、本捕捉プライマー及び直交捕捉プライマーの本発明の標的ポリヌクレオチドへの浸入を促進するためのリコンビナーゼとともに使用するために適合され得る。実際、本発明の組成物及び方法は、サーマルPCR、化学変性PCR、及び酵素媒介法などの任意の表面ベースのポリヌクレオチド増幅方法とともに使用するために適合され得る(これは、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)又はExAmpと称され得る)。
【実施例】
【0123】
以下の実施例は、純粋に例示的であることを意図しており、いかなる方法でも限定するものではない。
【0124】
図9は、増幅効率に対する捕捉プライマー長の効果を特徴付けるための、溶液ベースのモデル組成物を概略的に示す。より具体的には、モデル組成物は、クエンチャーがフルオロフォアの蛍光を阻害するように、クエンチャー(ブラックホールクエンチャー、BHQ)に結合されたP5プライマーを含む第2のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたフルオロフォア(蛍光、FAM)に結合された第1のオリゴヌクレオチドを含む二本鎖を含むものであった。P5アダプター、リコンビナーゼ、ポリメラーゼ、及び複数のヌクレオチドを使用して、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA又はExAmp)プロセスにおいて第1及び第2のオリゴヌクレオチド間に二本鎖を侵入させ、第1のオリゴヌクレオチドからの侵入P5プライマーの伸長及び第2のオリゴヌクレオチドの解離を引き起こし、フルオロフォアが蛍光を発生させた。
【0125】
図10は、異なる捕捉プライマー長を用いた増幅から生じた蛍光強度を示すプロットである。より具体的には、トレース1001は、29塩基長であった全長P5プライマーを使用して、
図9を参照して記載されたモデル組成物からの測定された蛍光強度であり、トレース1002は、15塩基長であった修飾P5プライマーを使用するそのシステムからの測定された強度であり、トレース1003は、10塩基長であった修飾P5プライマーを使用するそのシステムからの測定された強度であり、トレース1004は、13塩基長であった修飾P5プライマーを使用するそのシステムからの測定された強度であり、トレース1005は、侵入P5プライマーを使用しなかった系からの測定された強度である(陰性対照)。
図10から、全長P5プライマーを使用したモデル組成物からの初期蛍光強度が最も高かったことが分かり、このプライマーが最も効果的に増幅され、フルオロフォアからのクエンチャーの最も高い解離を引き起こすことを示唆するものである。15塩基長であった修飾P5プライマーを使用したモデル組成物からの蛍光強度は、全長P5プライマーを使用するものよりも有意に低い値で始まるが、全長P5プライマーを使用するものと同様の値に徐々に増加した。それぞれ13及び10塩基長であった修飾P5プライマーをそれぞれ使用するモデル組成物からの蛍光強度は、互いに類似していた。侵入P5プライマーを使用しなかったモデル組成物(陰性対照)からの蛍光強度は最も低かった。
図10から、より短いプライマーがより低い増幅効率を有すると予想され得ることが理解され得る。したがって、
図3A~3Jを参照して説明されるような組成物について、標的ポリヌクレオチドがより長いプライマーにアクセスすることができる境界領域よりも、実質的に標的ポリヌクレオチドのみが短縮されたプライマーにアクセスできる領域において、増幅効率が低いことが予想され得る。
【0126】
更なるコメント
様々な例示的な実施例が上述されているが、本発明から逸脱することなく、様々な変更及び改変がその中で行われ得ることは、当業者には明らかであろう。例えば、組成物は、組成物3000及び組成物4000からの成分の任意の好適な組み合わせを含み得、方法は、方法700及び方法800からの操作の任意の好適な組み合わせを含み得る。添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内にある、かかる全ての変更及び修正を網羅することを意図している。
【0127】
本明細書に記載されるような本開示の態様のそれぞれの任意の対応する特徴/実施例は、適切な組み合わせで共に実施されてもよいことを理解されたい。また、これらの態様のうちの任意の1つ以上からの任意の特徴/実施例は、本明細書に記載されるような利点を得るために、任意の適切な組み合わせで本明細書に記載されるような(複数の)他の態様の特徴のいずれかとともに実施されてもよいことを理解されたい。
【配列表】
【国際調査報告】