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特表2023-540469メタボリックシンドロームの治療に使用するための新たな特性を有する新規の系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】メタボリックシンドロームの治療に使用するための新たな特性を有する新規の系
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/21 20160101AFI20230915BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230915BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20230915BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
A23L33/21
A61P3/04
A61K45/06
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513428
(86)(22)【出願日】2021-08-24
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 IB2021057750
(87)【国際公開番号】W WO2022043869
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】102020000020467
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515126341
【氏名又は名称】アボカ エッセ.ピ.ア.ソシエタ アグリコラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メルカーティ 、バレンティノ
(72)【発明者】
【氏名】マリーニ、フランセスカ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE06
4B018MD01
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD15
4B018MD18
4B018MD27
4B018MD37
4B018MD47
4B018MD48
4B018MD94
4B018ME01
4B018ME14
4B018MF02
4C084AA24
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA70
4C084ZC751
(57)【要約】
本発明は、混合物又は組成物の形態の新たな特性を有する新規の系、及びメタボリックシンドローム又はそれに関連する1つ若しくは複数の症状の治療又は治療の補助におけるその使用を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
56重量%~84重量%の食物繊維であって、前記混合物の31重量%~47重量%が可溶性繊維によって表され、前記混合物の25重量%~37重量%が不溶性繊維によって表される、食物繊維と、0.28重量%~0.42重量%の植物性脂肪と、0.08重量%~0.16重量%の植物性フェノールと、0.52重量%~0.78重量%の植物性テルペンと、1.62重量%~2.70重量%の植物性糖と、6.2%~9.3%の水と、3.6重量%~5.7重量%の植物起源の無機化合物と、1.84重量%~2.76重量%の植物起源の窒素含有物質と、を含む、混合物。
【請求項2】
前記食物繊維が59.7重量%~80.8重量%の植物繊維であり、前記混合物の33.2重量%~45重量%が可溶性繊維によって表され、前記混合物の26.5重量%~35.8重量%が不溶性繊維によって表されるか、又は前記食物繊維が63重量%~77重量%の植物繊維であり、前記混合物の35重量%~43%重量%が可溶性繊維によって表され、前記混合物の28重量%~34重量%が不溶性繊維によって表される、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
前記不溶性食物繊維の少なくとも30%がα-セルロースであり、前記不溶性食物繊維の少なくとも15%がリグニンであるか、又は前記不溶性食物繊維の少なくとも35%がα-セルロースであり、前記不溶性食物繊維の少なくとも17%がリグニンであるか、又は前記不溶性食物繊維の少なくとも40%がα-セルロースであり、前記不溶性食物繊維の少なくとも18%がリグニンである、請求項1又は2のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項4】
前記食物繊維が、麻、綿、竹、コンニャク、グルコマンナン、エンバク、スペルトコムギ、米、トウモロコシ、小麦、大麦、バオバブ、ニンジン、ウチワサボテン、ダイコン、カンキツのアルベド、ステビア、シナノキ、リネン、タチアオイ、ゼニアオイ、アカシア、キサンタンガム、カラマツ、クラスタマメ(Cyamopsis tetragonoloba)、ゴウシュウアオギリ、イナゴマメ、キクイモ、エンドウ、ダイズ、アメリカオオバコ、セイヨウタンポポ、チコリ、アマランサス、アガベ、カルカデ、アロエベラの食物繊維のうちの少なくとも2つであり、粉、粉末及び/又は水性抽出物若しくは水アルコール抽出物の形態で前記混合物の内部に存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の混合物。
【請求項5】
前記食物繊維が、グルコマンナン、エンバク、ウチワサボテン、ステビア、イヌリン及びアラビアガムの繊維を含む、請求項4に記載の混合物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の混合物と、少なくとも1つの薬学的に許容される又は食品グレードの賦形剤及び/又は担体及び/又は天然香料とを含む組成物であって、前記混合物が前記組成物の有効成分を構成する、組成物。
【請求項7】
顆粒剤若しくは錠剤の形態の請求項1から5のいずれか一項に記載の混合物、又は顆粒剤、錠剤、又はカプセル剤の形態の請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
メタボリックシンドロームの治療において又はメタボリックシンドロームの治療におけるアジュバントとして使用するための、請求項1から5のいずれか一項に記載の混合物又は請求項6若しくは7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記混合物又は組成物が、主食事の前に適切な投与量で投与される、請求項8に記載の使用のための混合物又は組成物。
【請求項10】
前記混合物又は組成物が、各主食事の前に1.5~2.5gの投与量で投与される、請求項9に記載の使用のための混合物又は組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合物又は組成物の形態の新たな特性を有する新規の系、及びメタボリックシンドローム又は1つ若しくは複数の関連症状の治療又は治療の補助におけるその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームは、内臓肥満に関連する一連の代謝変化であり、これらの変化には、インスリン抵抗性、高血圧、脂質異常症(高トリグリセリド血症、低HDLレベル)、並びに内臓肥満が含まれる。
【0003】
この病的状態は、「国際糖尿病連合(IDF)によって2006年に公表されたメタボリックシンドロームのIDFコンセンサス世界的定義」において正確に定義される。この状態は、この刊行物に記載され、以下の用語集に報告されている変化の少なくとも2つを伴う高い腹囲の存在に基づいて診断され、心血管、肝臓及び膵臓の代償不全のリスク因子の増加が決定される。これらの代謝不均衡は、体内の多くの器官及び組織に実際の変化を引き起こすインスリン抵抗性の発症に関連しているが、主にアテローム性動脈硬化症、肝脂肪症及び膵臓におけるベータ細胞の減少の原因である。これは、メタボリックシンドロームが、西洋人集団の主な死因の1つである心血管疾患及びII型糖尿病を発症するリスクの増加と強く相関している理由を説明するのに役立つ。最近のデータは、民族性、年齢、生活様式(食事、身体活動)に依存する変動性を有して、この症候群が人口の10~40%に影響を及ぼすことを示している。これに関連して、近年、この症候群の有意な増加、カロリー摂取量の増加、よりエネルギー密度が高い食物の消費の増加、高レベルの飽和脂肪及び糖を含むが栄養素が不足していること、身体活動の減少、肥満の頻度の増加をもたらした全ての状態、特に現在の実際の流行と考えられる高い腹囲(代謝不均衡の指標)によって決定される増加があったことを強調することが有用である。世界保健機関のデータによれば、2016年に、19億人を超える成人(18歳以上)が過体重(BMI≧25)であり、これらのうち、6億5000万人が肥満(BMI>30)であった。パーセンテージとして表されたこれらのデータは、世界人口を次のように表し、2016年には成人の約13%(男性の11%及び女性の15%)が肥満であり、39%(男性の39%及び女性の40%)が過体重であった。更に、2016年には、約4100万人の5歳未満の小児が過体重又は肥満であると推定され、3億4000万人の小児及び青年(5~19歳)が過体重又は肥満であった。小児の肥満はまた、内臓脂肪、インスリン抵抗性の増加を特徴とすることが多く、2型糖尿病及びメタボリックシンドロームの予測マーカに関連する。南イタリアの小児を含む2006年のイタリアの研究では、肥満の小児の40.8%及び肥満の青年の41.2%がインスリン抵抗性を示すHOMA値(それぞれ>2.5及び>4.0)を有し、一方、正常体重の小児及び/又は正常体重の青年の3.0%のみがインスリン抵抗性を示すHOMA値(それぞれp<0.0001及びp<0.002)を有したことが報告された。したがって、肥満の度合いが大きいほど、肥満の小児が肥満の成人になるリスクが大きいことは明らかであり、したがって、一連の生物学的制約及び心理社会的制約に起因して、肥満の十代の若者を永続的に減量させることがより困難であることも考慮して、予防介入及び治療介入を青年期の前に設定しなければならない。
【0004】
したがって、メタボリックシンドロームは多因子疾患であり、生活様式(食事及び身体活動)に作用する治療が最も効果的であるが、従うことが難しいため、治療が困難な疾患である。一般に、行動上のアドバイスに加えて、本発明者らは、例えば、メトホルミンを用いた糖血症、スタチン及びフィブラートを用いた脂質異常症、抗高血圧薬を用いた高血圧症などの個々の代謝不均衡を治療する傾向があるが、このアプローチは、その複雑性の問題を治療しないだけでなく、多剤療法によって引き起こされる更なる医原性障害及び疾患をもたらすので、成功しないと結論付けることは容易である。多剤療法は、複雑な治療に対する不十分な遵守、副作用の増加、不適切な処方、医師と患者とのコミュニケーション不足、及び患者の教育不足に起因することが多い、治療の失敗に逆説的に関連することも周知である(Volpe,M.,G.Pignatelli and F.Paneni.「Polytherapy in cardiovascular prevention:Open problems.」Italian Journal of Cardiology 13(2012):503-510)。IDFによって報告されたものによれば、メタボリックシンドロームの個々の構成要素に対する様々な治療法には、例えば、以下の、
アテローム性脂質異常症を、TGを低下させること並びにApoB及び非HDLコレステロールレベルを低下させること、HDL-cレベルを上昇させること、LDL-cレベルを低下させることを目的として、例えば、副作用によって複雑化され得るフィブラート(αPPARアゴニスト)、スタチン又はそれらの組み合わせを投与することによって治療すること、
例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシン受容体遮断薬によって高血圧を治療すること、
メトホルミン、チアゾリンジオン、アカルボース等を用いてインスリン抵抗性及び高血糖を治療することが挙げられる。
【0005】
多剤療法アプローチは、代謝不均衡が体重に実質的に関連している若年対象では推奨されない。これに関連して、薬物療法及び急速な体重減少は、高度肥満の小児、95パーセンタイルのBMI>2単位、12歳を超え、1年間の食事療法及び行動療法に抵抗性であり、著しい腹部脂肪症、耐糖能障害又はインスリン抵抗性、肝脂肪症及び高アンドロゲン症、呼吸障害などを有する場合に使用することができる極端な介入と考えられる。
【0006】
メタボリックシンドロームに関連する1つ又は複数の症状の治療又は治療の補助において有効性を示す様々な薬物又は組成物が文献に報告されている。天然起源の物質に基づく生成物の中で、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン及び粘液に基づく多糖複合体が報告されており(Stagi et al 2017「Retrospective Evaluation of Metformin and/or Metformin Plus a New Polysaccharide Complex in Treating Severe Hyperinsulinism and Insulin Resistance in Obese Children and Adolescents with Metabolic Syndrome」、及びStagi et al 2015「Policaptil Gel Retard significantly reduces body mass index and hyperinsulinism and may decrease the risk of type 2 diabetes mellitus(T2DM)in obese children and adolescents with family history of obesity and T2DM」Ital J Pediatr.2015 Feb 15、41:10.doi:10.1186/s13052-015-0109-7)、これは、薬物並びに/又は適切な生活様式及び食事に関連して、BMI及びインスリン抵抗性を更に低下させ、したがって一般的な代謝回復に有利に働く。文献に報告されたデータは、メタボリックシンドロームの治療における多剤療法アプローチとは異なるアプローチの可能性を示している。
【0007】
メタボリックシンドロームの症例数が非常に多く、この病理学的状態の平均発症年齢が絶えず低下していることは、好ましくは天然の活性物質、したがって合成ではない活性物質に基づき、メタボリックシンドロームを治療又は治療を補助するための新規の組成物を同定する緊急性を強調し、実際には、メタボリックシンドロームに関連する病理学的変化の1つ又は複数を正常なパラメータにする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、メタボリックシンドロームの治療のための、又はメタボリックシンドロームの治療における補助剤として、全体として活性物質の系を表す物質のクラスの混合物によって表される、新たな特性を有する系を提供し、これは、前述の多因子病理学的状態を全身的アプローチと対比し、以下のような全ての病因病原因子に対して効果的かつ同期的に作用する。
過剰及び/又は不正確な栄養(カロリー及び栄養素が多すぎて、肝臓によって管理するのが困難な血糖及び脂質ピークを引き起こす)に対抗することで、空腹感を低下させ、脂質及び炭水化物の吸収を減速させ、減少させる。
不均衡な微生物叢(これは、全身性炎症、脂肪の蓄積及び脂肪肝を促進する)に対抗することで、腸内容物をより正常にし、
身体の代謝バランスを整えることができるため、過度な腹囲(これは、糖異常症及び脂質異常症に起因する肝脂肪症及び全身性炎症を引き起こす)を減少させる。
【0009】
混合物又は組成物の形態で本明細書に提示される本発明の系は、生理学的作用のみによって生物全体の代謝管理を再平衡化するように作用する。
【0010】
したがって、有利には、病理学に寄与する各臨床症状が個別に治療される現在の多剤療法アプローチとは異なり、本発明の系は、メタボリックシンドロームに寄与する様々な因子に対する治療効果を同時に伴う全身的(全体的)アプローチを可能にする。治療効果とは、本発明の系(混合物又は組成物)が、適切な投与及び投与レジメンで、メタボリックシンドロームに関連する変化したパラメータの1つ又は複数、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つを改善又は改善を補助することができることを意味する。
【0011】
更に、本発明の混合物又は組成物は、その有利な機構を利用することによって生物の生理機能と調和して作用するので、代謝レベルで副作用を引き起こさない。
【0012】
上述したように、伝統的な治療は、代わりに、あらゆる単一の不均衡パラメータを強制的に調整することによって症候的に作用するが、その結果、症候群を悪化させ、新たな疾患の発症をもたらす新たな不均衡を生成する。
【0013】
更に、本発明の組成物は、100%環境に優しく生分解性であり、その使用は、その成分が環境中及び水中に蓄積して食物連鎖に悪影響を及ぼす可能性がある薬物とは異なり、環境汚染を引き起こさない。
【0014】
記載及び特許請求の範囲に記載された全ての構成要素のセットのおかげで、本発明による混合物又は組成物は、能動生理学的系(APS)、すなわち、水と接触して配置されると、それ自体の反応速度で均一なゲル系を形成するのを助ける様々な性質の力によって構造化される複雑な系を構成する。本発明の系は、例の項及び図に報告されているように、開始時は粘度が低いが、数分で構造化し、それが数時間続く。その結果、胃腸管の様々な部分に典型的な酸性pH、中性に近いpH又は塩基性pHに置かれてもそのように挙動する均一系が得られる(例を参照)。したがって、この系は、消化管内でのその均一性を維持するので、特定の使い勝手を有し、これらの区画に特徴的なpH変動にもかかわらず、管全体に適応し、食物塊と混合する能力を有する。
【0015】
これは、その全ての構成要素において腸(キロ、微生物叢、腸上皮)との相互作用を促進する。実際、APSは腸内容物(キロ)と相互作用し、物理的特性の変化(粘度の増加)を引き起こし、脂肪及び炭水化物の濃度を希釈する。特に、APS:
特徴的な粘度のおかげで、これらの物質の吸収をより緩やかにし(遅延効果)、同時に吸収される総量を減少させる。
特徴的な粘度のおかげで、腸の輸送を正常化し、脂肪(コレステロール及びトリグリセリド)及び炭水化物(グルコースを含む)の除去を更に促進し、それは腸内細菌叢の再平衡化に続き、代謝機能のより迅速かつ安定した改善に有用である。
特徴的な三次元構造のおかげで、これは胆汁酸の再吸収を減少させ、循環コレステロールのレベルを再平衡化するのを助け、その粘度のおかげで、腸内容物(脂肪及び任意の刺激物が豊富)と粘膜との間に介在し、その保護に役立つ。
【0016】
上記は全て、肝臓による栄養素のより良好な使用を促進し、血糖、コレステロール、トリグリセリド血症の再編成及び腹囲の減少を促進する。
【0017】
生成物系の安定性は、例の項で報告された物理的方法を使用したレオロジー研究及び分画/分離試験によって確認され、これは、ゲルの構造及び均一性を維持しながら、誘発された変形応力に耐えるゲルの能力を強調している。この特徴は、生成物が蠕動刺激による圧迫及びストレスを受ける胃腸通過において特に有用である。
【0018】
したがって、本発明の目的は、以下の通りである。
-56重量%~84重量%の食物繊維であって、当該混合物の31重量%~47重量%が可溶性繊維によって表され、当該混合物の25重量%~37重量%が不溶性繊維によって表される、食物繊維と、0.28重量%~0.42重量%の植物性脂肪と、0.08重量%~0.16重量%の植物性フェノールと、0.52重量%~0.78重量%の植物性テルペンと、1.62重量%~2.70重量%の植物性糖と、6.2%~9.3%の水と、3.6重量%~5.7重量%の植物起源の無機化合物と、1.84重量%~2.76重量%の植物起源の窒素含有物質と、を含む、混合物。
【0019】
本発明によれば、上述の混合物の全ての成分(水を除く)は植物起源である。窒素含有物質は、本質的にタンパク質及びアミノ酸によって表される。
【0020】
したがって、混合物はまた、56重量%~84重量%の植物性食物繊維であって、当該混合物の31重量%~47重量%が可溶性繊維によって表され、当該混合物の25重量%~37重量%が不溶性繊維によって表される、植物性食物繊維と、0.28重量%~0.42重量%の植物性脂肪と、0.08重量%~0.16重量%の植物性フェノールと、0.52重量%~0.78重量%の植物性テルペンと、1.62重量%~2.70重量%の植物性糖と、6.2%~9.3%の水と、3.6重量%~5.7重量%の植物起源の酸及び/又はマクロ元素の塩及び/又はエステルなどの無機化合物と、1.84重量%~2.76重量%の主にタンパク質及びアミノ酸等の植物起源の窒素含有物質と、を含む混合物として定義することができる。
【0021】
-本明細書で提供される実施形態のいずれかによる混合物と、少なくとも1つの賦形剤及び/又は担体及び/又は薬学的に許容される天然香料又は食品グレードとを含む組成物であって、当該混合物が当該組成物の有効成分を構成する、組成物。
【0022】
メタボリックシンドロームの治療又は治療の補助に使用するための、本明細書で提供される実施形態のいずれか一項に記載の混合物又は組成物。
【0023】
用語
本発明におけるメタボリックシンドロームという用語は、国際糖尿病連合によって2006年に公表されたメタボリックシンドロームのIDFコンセンサス世界的定義で定義されるように理解されるべきである。
【0024】
上記の公表は、以下に報告されるパラメータの組み合わせに基づいて、臨床診療で使用されるメタボリックシンドロームの世界的な定義を提供する。
【表1】

【表2】
【0025】
本発明による中心性(腹部)肥満という用語は、医療行為で一般的に使用される意味を有する。この状態は、当業者に公知のパラメータに従って、例えば上記の表に従って、腰周りを使用して容易に評価することができる。インスリン抵抗性を含むメタボリックシンドロームの他の構成要素の各々と独立して関連するこの状態は、IDF2006によって定義されるような症候群の診断のための必要不可欠なリスク因子である。インスリン抵抗性は、日常診療において測定することが困難であり、必須の要件として示されていない。
【0026】
アテローム性脂質異常症という用語は、高トリグリセリド(TG)と低濃度のHDL-cとの組み合わせを、全て独立してアテローム性である上昇したアポリポタンパク質B(ApoB)、小型で高密度のLDL粒子及び小型HDL粒子と共に表す。これは、2型糖尿病及びメタボリックシンドロームの人々に一般的に見られる。
【0027】
低HDL-c及び高TGレベルは、2型糖尿病の有無にかかわらず、インスリン抵抗性に関連していることが多く、両方とも冠動脈疾患(CHD)の危険因子である。
【0028】
本明細書におけるマクロ元素という用語は、栄養学分野において一般に理解されている意味を有し、したがって、その1日の必要量が100mgを超える比較的多量に人体に存在する元素を指す。このカテゴリには、カルシウム、塩素、リン、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び硫黄(微量元素とも呼ばれる)が含まれる。
【0029】
本発明による植物性食物繊維という用語は、最新技術で一般的に使用されているものである。
【0030】
特に、食物繊維という用語は、ヒトの消化酵素に耐性のある植物の細胞壁の残りの骨格、修飾セルロース、植物ガム、リグニン、及びヒトが消化できない全ての種類の多糖類を含む。
【0031】
生理学的定義:「食物繊維は、酵素キットの酵素による分解に耐性のある食事成分である」。
【0032】
化学的定義:「食物繊維は、非デンプン起源の多糖類及びリグニンの総体である」。
【0033】
食物繊維は、エンバクムギ、丸麦、マメ、ジャガイモ、乾燥果実、アンズ、リンゴ、玄米などの多くの植物に存在する。
【0034】
本発明では、植物性食物繊維という用語は、1つ又は複数の植物に存在する食物繊維のセットを指し、精製された個々の繊維、例えば微結晶セルロースなどを指すものではない。
【0035】
「新たな特性を有する系」という用語は、本明細書では、この場合は新たな挙動を示す混合物又は組成物、すなわち、特定の環境(この場合は消化器系)で作動する混合物を構成する薬剤が、系としてより複雑な挙動を引き起こす系を指す。特性自体は容易に予測可能ではなく、系のその後の進化のレベルを表す。複雑な新たな挙動は個々の実体の特性ではなく、低レベルの実体の挙動から容易に認識又は推測することはできない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】USP:リン酸緩衝液pH6.4及びpH8並びに塩化緩衝液pH1.5による3つの緩衝系における異なるpHでのゲル形成動態の巨視的評価を示す図である。2.5gの組成例1及び2.35gの比較例を150mlの液体媒体に分散させ、分散液を1分間ゆっくりと混合した後、37℃に加熱した小浴に入れた。ゲル形成動態の巨視的評価では、組成例1によって形成されたゲルが、比較例とは異なり、高いイオン強度及び強酸性pHの存在下で安定であり、中性に近いpH並びに塩基性pHでも、はるかに均質であり、したがって系の使い勝手がよいことが示されている。
図2】0.1~100秒のスリップ勾配に供されたAPS試料組成例1及び比較例の流動曲線を示す図である。
図3】線形粘弾性領域(LVER)、弾性率(G’)及び粘性率(G’’)の測定を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
したがって、本発明は、56重量%~84重量%の食物繊維であって、当該混合物の31重量%~47重量%が可溶性繊維によって表され、当該混合物の25重量%~37重量%が不溶性繊維によって表される、食物繊維と、0.28重量%~0.42重量%の植物性脂肪と、0.08重量%~0.16重量%の植物性フェノールと、0.52重量%~0.78重量%の植物性テルペンと、1.62重量%~2.70重量%の植物性糖と、6.2%~9.3%の水と、3.6重量%~5.7重量%の植物起源の無機化合物と、1.84重量%~2.76重量%の植物起源の窒素含有物質とを含む混合物の形態の新たな特性を有する系に関する。
【0038】
適切な賦形剤及び/又は担体及び/又は天然食品グレード又は薬学的に許容される香料の1つ又は複数を添加することによって製剤化することができるこの系は、メタボリックシンドロームの治療又は治療を補助するために示されている。
【0039】
その製剤の全ての構成要素(可溶性繊維、不溶性繊維及びテルペン)の組み合わせのおかげで、製剤は、その全ての構成要素において腸(キロ、微生物叢、腸上皮)と相互作用することによって作用する能動生理学的システム(APS)を構成する。APSは腸内容物(キロ)と複合体を形成し、物理的特性の変化(粘度の増加)を引き起こし、脂肪及び炭水化物の濃度を希釈する。特に、APS:
・これらの物質の吸収をより緩やかにし(遅延効果)、同時に吸収される総量を減少させる。
・代謝機能のより迅速かつ安定した改善に有用な腸内細菌叢を再平衡化させ、腸の輸送を正常化し、脂肪(コレステロール及びトリグリセリド)及び炭水化物(グルコースを含む)の除去を更に促進する。
・胆汁酸の再吸収を減少させ、循環コレステロールのレベルを再平衡化するのを助け、その粘度のおかげで、腸内容物(脂肪及び任意の刺激物が豊富)と粘膜との間に介在し、その保護に役立つ。
【0040】
本発明の系では、可溶性及び不溶性の植物繊維は、胃腸管の全長に沿って生じる生理学的効果を有する天然ゲルの形成をもたらし、その通過を改善し、胃を空にするのを遅くすることにより満腹感を増加させる。
【0041】
可溶性繊維の高い水吸収能(wbc又は水結合能)は、炭水化物及び脂質及びコレステロールなどの栄養素の吸収の減少を引き起こすゲルの形成をもたらす。
【0042】
この機構により、食後血糖及び脂質のピークが制御させ、これは経時的に糖及び脂肪の代謝パラメータの改善をもたらす。
【0043】
不溶性繊維は、とりわけ、糞便量を増加させ、その総重量を増加させ、その排出を加速し、その結果、栄養素、特に脂質の吸収を減少させることができる薬剤として機能する。
【0044】
肥満/高腹囲並びにメタボリックシンドロームを構成する血糖異常症及び脂質異常症の回復の両方について、脂質及び炭水化物の吸収に対する「活性物質」の存在と、バイオアベイラビリティを低下させ、食後血糖ピークを回避する必要がある。これらの効果は両方とも、本発明の系(混合物又は組成物)に含まれる可溶性及び不溶性繊維の特定の混合物に起因する結果であり、隔離効果と、脂質及び炭水化物並びに任意の他の関連物質の糞便による排出を促進する、より大きな蠕動運動である。
【0045】
両方の条件は、以下の化学的及び物理的特性を有する生成物を必要とする:
繊維の存在と連動して粘性になる能力。
水結合能によって表される、水を結合及び保持する能力。
【0046】
水結合能(本発明の系について≧20%)は、繊維が水と接触して膨潤し、遠心分離などの物理的ストレスにさらされた場合でも水自体をそのマトリックス内に維持する能力を表す。
【0047】
本発明の系の作用機構は、当該特徴から導かれ、4つの基本的な点に要約することができる。
非混合層の肥厚、すなわち、腸粘膜を覆い、脂質及び炭水化物が腸管腔から腸細胞に移動しなければならない経路内の栄養素を部分的に覆い、それらの吸収時間を延長し、これらの物質の吸収を減少させる及び/又はより緩やかにする(遅延効果)、胃腸内部に不活性塊が形成されること、
栄養素と消化酵素との混合とは対照的に、腸内容物の粘度が上昇し、その結果、消化効率が低下し、消化された栄養素の吸収率が低下すること、
胆汁酸の吸着及び捕捉により腸管腔の脂質のエマルジョンが減少し、胃及び膵臓リパーゼの消化効率が低下すること、胆汁酸塩の水溶性繊維の捕捉効果は、腸吸収を妨げ、胆汁酸を新たに産生するために肝臓がコレステロールをより大量に使用するようになり、血中の総コレステロール、LDLの正味の値を低下させ、
高濃度の脂質及び炭水化物との接触から腸粘膜及び微生物叢を保護することである。
【0048】
この調節された作用は、繊維に典型的であり、機械的作用機構にも典型的であり、これは、腸管腔に存在する特定の酵素又は受容体には作用しないが、キロ及び栄養素自体のレオロジー特性に作用するためである。
【0049】
過剰な摂取に起因して栄養素が濃縮されるほど、繊維との相互作用が強くなり、濃縮されなければ、キロのレオロジー特性に対する繊維の介入が少なくなり、吸収が機敏になる。
【0050】
既知の重要な性能パラメータの中には、WBC及び総繊維量がある。腸内容物の総体積の増加は、正確には親水性栄養素及び脂質ミセルが消化酵素と共に溶解する水性部分に依存しており、それによって栄養素の濃度が希釈され、吸収を減少及び減速させる。
【0051】
換言すれば、可溶性及び不溶性繊維並びに本発明の系の他の成分の特定の混合物は、水と接触すると、高レベルのWBCを有する粘性ゲルの生成を引き起こす。
【0052】
本発明者らは、驚くべきことに、当該不溶性食物繊維の少なくとも30%がα-セルロースであり、当該不溶性食物繊維の少なくとも15%がリグニンである、又は当該不溶性食物繊維の少なくとも35%がα-セルロースであり、当該不溶性食物繊維の少なくとも17%がリグニンである、又は当該食物繊維の少なくとも40%がα-セルロースであり、当該不溶性食物繊維の少なくとも18%がリグニンである成分の慎重な選択により、消化管に存在する水との相互作用がpH1.5~pH8の値までの範囲の値で安定であるpH変動に耐性のゲルを発現する系を得ることができることを見出した(例の項を参照)。当該安定性は、胃から腸までの消化器系の全ての部分における系のコンプライアンスを保証する。更に、本発明の系は、擬塑性流体のように挙動し、そのため、その粘度は、変形速度が増加するにつれて減少し(例の項及び図を参照)、37℃、100s-1で約123Pa.sから0.1s-1、0.3Pa.sまで粘度が減少する。これらの粘度値は、消化管において使い勝手がよい遅いゲル形成を示し、消化管の内容物との効果的な混合を可能にする。
【0053】
実施され、例の項に報告された振動試験はまた、驚くべきことに、不溶性繊維の高いリグニン成分(その性質によりゲルの形成に抵抗し、水和物が不十分であるはず)を考慮すると、生成物が広いLVER(線形粘弾性領域)を有することを示し、これにより生成物の安定性が確認される。
【0054】
最後に、分画実験により、本発明の系が、使用される剪断力、圧力及び温度にもかかわらず、ゲル構造を維持しながら分離に抵抗することが示され、系と水との相互作用に由来するゲルが、誘導される変形応力に抵抗し、その構造及び均一性を維持する能力が実証された。この特徴は、生成物が蠕動刺激による圧迫及びストレスを受ける胃腸通過において特に有用である。
【0055】
不溶性繊維が本明細書又は特許請求の範囲による混合物又は組成物のα-セルロース及びリグニンの割合を有さない類似の組成物を用いた比較試験は、消化管における生成物のより良好な有効性のための関連する特徴が驚くほど改善され、それによってメタボリックシンドロームの治療又は治療の補助においてより有効な効果を得ることができることを示している。
【0056】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、当該混合物の31重量%~47重量%が可溶性繊維によって表され、当該混合物の25重量%~37重量%が不溶性繊維によって表される、56重量%~84重量%の植物性食物繊維と、0.28重量%~0.42重量%の植物性脂肪と、0.08重量%~0.16重量%の植物性フェノールと、0.52重量%~0.78重量%の植物性テルペンと、1.62重量%~2.70重量%の植物性糖と、6.2%~9.3%の水と、3.6重量%~5.7重量%の植物起源の酸及び/又はマクロ元素の塩及び/又はエステルなどの無機化合物と、1.84重量%~2.76重量%の主にタンパク質及びアミノ酸等の植物起源の窒素含有物質と、を含む混合物に関する。
【0057】
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、当該混合物の31重量%~47重量%が可溶性繊維によって表され、当該混合物の25重量%~37重量%が不溶性繊維によって表される、56重量%~84重量%の植物性食物繊維と、0.28重量%~0.42重量%の植物性脂肪と、0.08重量%~0.16重量%の植物性フェノールと、0.52重量%~0.78重量%の植物性テルペンと、1.62重量%~2.70重量%の植物性糖と、6.2%~9.3%の水と、3.6重量%~5.7重量%の植物起源の酸及び/又はマクロ元素の塩及び/又はエステルなどの無機化合物と、1.84重量%~2.76重量%の主にタンパク質及びアミノ酸等の植物起源の窒素含有物質と、を含む混合物に関する。
【0058】
好ましい実施形態では、当該食物繊維は、59.7重量%~80.8重量%の植物繊維であり、当該混合物の33.2重量%~45重量%は可溶性繊維によって表され、当該混合物の26.5重量%~35.8重量%は不溶性繊維によって表されるか、又は当該食物繊維は、63重量%~77重量%の植物繊維であり、当該混合物の35重量%~43%重量%は可溶性繊維によって表され、当該混合物の28重量%~34重量%は不溶性繊維によって表される。
【0059】
当該不溶性食物繊維の少なくとも30%がα-セルロースであり、当該不溶性食物繊維の少なくとも15%がリグニンであるか、又は当該不溶性食物繊維の少なくとも35%がα-セルロースであり、当該不溶性食物繊維の少なくとも17%がリグニンであるか、又は当該不溶性食物繊維の少なくとも40%がα-セルロースであり、当該不溶性食物繊維の少なくとも18%がリグニンである実施形態は、例の項に開示されている有利な効果のために特に好ましい。
【0060】
特に好ましい実施形態では、当該食物繊維の約42%がα-セルロースであり、当該不溶性食物繊維の約19%がリグニンである。
【0061】
本発明によれば、混合物及び組成物の両方について記載又は特許請求されている任意の実施形態では、食物繊維は、麻、綿、竹、コンニャク、グルコマンナン、エンバク、スペルトコムギ、米、トウモロコシ、小麦、大麦、バオバブ、ニンジン、ウチワサボテン、ダイコン、カンキツのアルベド、ステビア、シナノキ、リネン、タチアオイ、ゼニアオイ、アカシア、キサンタンガム、カラマツ、クラスタマメ(Cyamopsis tetragonoloba)、ゴウシュウアオギリ、イナゴマメ、キクイモ、エンドウ、ダイズ、アメリカオオバコ、セイヨウタンポポ、チコリ、アマランサス、アガベ、カルカデ、アロエベラの食物繊維のうちの少なくとも2つであり、粉、粉末及び/又は水性抽出物又は水アルコール抽出物の形態で当該混合物の内部に存在する。
【0062】
更に、本発明の混合物又は組成物は、イヌリン、グルコマンナン及び植物ゴム、例えばアラビアガム、キサンタンガム、カラマツガム、コンマカラヤの形態の繊維を含むことができる。
【0063】
上に示される繊維は、麻(植物)、綿(植物、綿毛、種子)、竹(植物)、エンバク(植物、種子、クチクラ)、スペルト小麦(植物、種子、クチクラ)、米(植物、種子、クチクラ)、トウモロコシ(植物、種子、クチクラ)、小麦(植物、種子、クチクラ)、大麦(植物、種子、クチクラ)、バオバブ(果実)、ニンジン(根)、コンニャク(塊茎)、ウチワサボテン(淡色の果実)、ダイコン(西洋ワサビ)(根)、カンキツのアルベド、ステビア(葉、植物)、シナノキ(花及び包葉)、亜麻(種子)、ウスベニタチアオイ(根)、タチアオイ(葉)、アカシア(アラビアガム)(果実、種子、葉)、キサンタンガム、カラマツ(カラマツガム)、クラスタマメ(Cyamopsis tetragonoloba)(グアールガム)、(芽、葉、果実)、ゴウシュウアオギリ(カラヤガム)、イナゴマメ(さや、種子)、キクイモ(根)、エンドウ(植物、果実)、ダイズ、(種子、クチクラ)、アメリカオオバコ(種子)、セイヨウタンポポ(根)、チコリ(根)、アマランサス(葉)、アガベ(植物)、カルカデ(葉、花、種子)、アロエベラ(植物、葉)に見出すことができる。
【0064】
好ましくは、本明細書に記載又は特許請求される任意の実施形態では、本発明の混合物又は組成物は微結晶形態のセルロースを含まず、換言すれば、セルロース成分は実質的に植物性の粉又は粉末に含まれ、そこから精製された物質として含まれない。
【0065】
リグニン成分についても同様である。
【0066】
本発明によれば、可溶性繊維は、上記に列挙した繊維の水性抽出物、又は上記に列挙した果実、植物及び植物の部分の粉に由来することができる。
【0067】
上述のように、不溶性繊維は、以下に列挙される植物を粉砕又は粉末化することから誘導することができる。
【0068】
麻(植物)、綿(植物、綿毛、種子)、竹(植物)、エンバク(植物、種子、クチクラ)、ウチワサボテン(シャベル状部分、果実)、スペルト小麦(植物、種子、クチクラ)、米(植物、種子、クチクラ)、トウモロコシ(植物、種子、クチクラ)、小麦(植物、種子、クチクラ)、大麦(植物、種子、クチクラ)、バオバブ(果実)、カンキツのアルベド、ステビア(葉、植物)、イナゴマメ(さや、種子)、エンドウ(植物、果実、クチクラ)、ダイズ(種子、クチクラ)、アガベ(植物)。
【0069】
本発明では、ウチワサボテンは、任意の実施形態において、ウチワサボテン・フィカス・インディカ(opuntia ficus indica)であってもよい。
【0070】
したがって、好ましい形態では、本発明の混合物又は組成物は、上記の植物又はその部分(括弧内に示す)の粉砕又は粉末化植物の形態の不溶性繊維を含む。
【0071】
括弧内の「植物」という表示は、粉砕物又は粉末が好ましくは植物全体から製造され、植物の個々の部分から製造されないことを示す。
【0072】
本発明によれば、フェノールは、食物繊維を含有する植物の抽出物及び使用される植物粉末から誘導することができる。したがって、そのようなフェノールは、好ましくは、上記の粉末及び/又は粉砕物及び/又は植物の抽出物に含まれる。
【0073】
テルペンは、上記に列挙した植物の1つ又は複数に由来することができる。好ましい実施形態では、本発明の混合物又は組成物に含まれるテルペンは、例えば粉末の形態でそれらの中に存在することができるステビアによって主に提供される。
【0074】
本発明の窒素含有物質は、食物繊維を含む植物の抽出物、及び使用される植物の粉末又は粉砕物にも含まれる。
【0075】
特定の実施形態では、本発明の混合物又は組成物の総繊維は、コンニャク、ウスベニタチアオイ、亜麻、ライム、エンバク、ステビア、ウチワサボテンからのグルコマンナン繊維であり、イヌリン及びアラビアガムも含む。
【0076】
そのうち、可溶性繊維はグルコマンナン、ウスベニタチアオイ、亜麻、シナノキ、イヌリン、アラビアガムであり、不溶性繊維はエンバク、ステビア、ウチワサボテンである。
【0077】
窒素化合物は、グルコマンナン、ウスベニタチアオイ、亜麻、ライム、エンバク、ステビア、ウチワサボテン、イヌリン、アラビアガムと、ウスベニタチアオイ、亜麻、ライム、ステビア、ウチワサボテンからのフェノール化合物と、及びより少ない程度では使用される全ての粉末と、ウスベニタチアオイ、亜麻、ライム、ステビア、ウチワサボテンからの糖及び誘導体と、及びより少ない程度では使用される全ての粉末と、及び実質的にステビアからのテルペンによって提供される。
【0078】
好ましい実施形態では、本発明の混合物又は組成物は、以下を含むか、又は以下からなる。
【表3】
【0079】
「含む」という用語は、混合物の全組成に言及する場合、他の物質の最小パーセンテージに起因して、合計で最大0.5%、1%又は2%が存在し、検出されない又は検出できない可能性があるため、明細書及び特許請求の範囲を通して使用される。
【0080】
一実施形態では、本発明の混合物又は組成物は、以下を含むか、又は以下からなる。
【表4】
【0081】
本発明の混合物は、以下から構成される。
【表5】
【0082】
本発明はまた、本明細書で提供される実施形態のいずれかによる混合物と、少なくとも1つの賦形剤及び/又は担体及び/又は薬学的に許容される天然香料とを含む組成物に関し、当該混合物は、当該組成物の有効成分を構成する。
【0083】
一実施形態によれば、組成物は、物質のクラス及び相対的割合として、本明細書に開示される本発明の混合物の実施形態のいずれかに対応する。
【0084】
組成の例を以下に提供する。
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】
【0085】
本発明による組成物には、小袋、錠剤、カプセルの形態の粉末を供給することができる。
【0086】
本発明の系(混合物又は組成物)は、本明細書及び特許請求の範囲で提供される実施形態のいずれかにおいて、代謝不均衡の1つ又は複数の主要な指標パラメータが変更された場合、これらの回復のために、又はこれらの回復を補助するために示される。
【0087】
これらのパラメータは以下の通りである(この部分については、12ヶ月以内にデータを提供する必要がある)。
・100mg/dl以上のLDLコレステロール及び/又は男性では40mg/dl未満のHDLコレステロール、女性では50mg/dl未満のHDLコレステロール。
・150mg/dl以上のトリグリセリドレベル。
・100mg/dl超の空腹時血糖値(IFG)及び/又は140~199mg/dlの耐糖能障害(又は耐糖能障害)(IGT)。
・正常体重の対象における高い腹囲値(男性では94cm以上、女性では80cm以上)。
【0088】
本発明の組成物は、例えば、最低3gから最大5g、例えば3、3.5、4、4.4、5gを、好ましくは、2回の投与に分けて、例えば1.5、2、2.25、2.5gずつ主食事の前に投与することができる。
【0089】
食前に摂取される各用量は、顆粒小袋、錠剤又はカプセルなどの単回用量として製剤化することができる。
【0090】
本発明はまた、メタボリックシンドロームの治療に使用するための、又はメタボリックシンドロームの治療における補助剤として、本明細書及び特許請求の範囲に提供される実施形態のいずれかによる混合物又は組成物に関する。
【0091】
治療は、本発明の混合物又は組成物を主食事の前、例えば30分、20分、15分、10分前に摂取することを含む。
【0092】
組成物が顆粒の形態であるならば、水又は液体に懸濁する場合、液体との接触後にゲルを形成する前に摂取しなければならない。
【0093】
投与量の例:成人も8歳以上の小児も、2回の主な食事の前に1日当たり4~5g。
【0094】
治療開始の1ヶ月後に最初の改善は既に見られるが、少なくとも2~3ヶ月間生成物を摂取することが望ましい。しかしながら、年間を通して治療サイクルを数回繰り返すことが可能である。
【0095】
したがって、混合物又は組成物は、主食事の前に投与されることが好ましい。顆粒を使用する場合、顆粒は、水又は他の液体に懸濁して投与され、具体的な症状に応じて、数週間から慢性摂取まで適切な量で適切な時間、ゲルが形成される前に、混合するとすぐに振って摂取することができる。
【0096】
明細書及び特許請求の範囲のいずれの時点においても、含むという用語は、「からなる」という用語に置き換えることができる。
【0097】
以下に報告される例は、その新たな特性を実証する本発明の混合物の化学的及び物理的特性を示す。
【0098】
以下に報告される実験のデータは、組成例1に示される組成物を使用して得られた結果であり、本明細書で提供される他の組成例は同様の結果を与えた(データは示さず)。
【0099】
提供される比較データは、エンバク繊維を微結晶セルロースで置き換えた組成物を使用して得られる。
【0100】

1.生成物の調製
提供される組成例による生成物の成分は、花、果実、根、種子、葉などの植物の異なる部分から出発して、脱皮、切断、洗浄、吹き込み、ふるい分け、乾燥、粉砕及び基準化(例えば、エンバク繊維及びグルコマンナン粉の調製のため)などの当業者に公知の技術を使用して調製される、所定の粒度分布を有する粉末、又は植物の選択及び切断部分を、水若しくは水とアルコールの混合物などの溶媒中に様々な時間、薬物/溶媒比及び温度で保持することによって得られる抽出物である。一旦濃縮され、低温殺菌されると、抽出物は、乾燥、又は乾燥される前にそれらの含有量を標準化するために、様々な種類の基材上での遠心分離、濾過及び吸着の中間工程を経ることができる。
【0101】
生成物は、3種の水性抽出物、特にタチアオイ、シナノキ及びアマニを含有する。
【0102】
以下の図は、例として、ウスベニタチアオイの根の抽出物、ライムの抽出物及びアマニの抽出物の生成プロセスを示す。
【0103】
比較組成物は、エンバク繊維が結晶マイクロセルロースに置き換えられた組成物1によって表される。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】
【0104】
系の密度及び作動性を高めるために、粉末又は乾燥抽出物の形態で詳細な説明に提供された組成例による生成物の成分を秤量し、物理的に混合し、湿式造粒に供した。
【0105】
以下の例は、詳細な説明で提供される組成例1で得られたデータを示す。
【0106】
水中に置かれたときのAPSの全ての成分は、様々な種類の力を介して相互作用し、それ自体の動態を有する均一な生成物系を形成するのに寄与する。この系は、最初は粘度が低下したゲルであるが、数分から数時間のうちに構造化する。その結果、胃腸管の様々な部分に典型的な酸性pH、中性に近いpH又は塩基性pHに置かれてもそのように挙動する均一系が得られる。
【0107】
したがって、この系は、消化管内でのその均一性を維持するので、特定の使い勝手を有し、管全体に適応し、食物塊と混合する能力を有する。
【0108】
生理学的挙動を研究するために、様々なpH時間での生成物の懸濁及びレオロジー特性評価の実験を行った。
【0109】
2.様々なpHでの実験
様々なpHでのゲル形成を評価するために、USPによる3つの緩衝系である塩化物緩衝液pH1.5、リン酸緩衝液pH6.4及びpH8を調製した。2.5gの組成例1及び2.35gの比較例2を150mlの液体媒体に分散させ、分散物を1分間ゆっくりと混合し、その後、37℃に加熱した小浴に入れた。ゲル形成速度論の巨視的評価は、比較例とは異なり、組成例1によって形成されたゲルが、中性に近いpH並びに塩基性pHで、高イオン強度及び強酸性pHの存在下でどのように安定であるかを示し、それははるかに均質であり、したがって系の使い勝手に有利である。
【0110】
3.レオロジー特性
レオロジーは、物質の流れ及び変形の研究である。レオメータでは、試料は剪断変形を受け、すなわち2つの表面間で圧搾される。下面は静止したままである器具の一部と接触し、上面は、材料の種類(固体又は液体)に応じて、又は時間の関数となり得る変形(x)を引き起こす特定の力で移動する表面と接触し、又は材料が液体である場合、全てが特定の速度(v)で回転する。この変形X又は速度Vは、レオメータの移動表面と直接接触している第1の材料層に適用される。直下の材料層は上部から引きずられるが、変形は少なくなり、vは少なくなる。これは、代わりに静止している最も下層までの直下の層などにも適用され、変形を受けないか、又はいかなる速度でも移動しない。したがって、上層が単に移動されるか、又は連続的に移動されるかにかかわらず、勾配が存在する。しかしながら、レオメータでは、推論は力、速度、変位に関するものではない。これらのパラメータは全て、試料サイズの関数として再スケーリングされる。
【0111】
例えば、Fは、それが適用される表面によって分割され、応力が取得される。粘度は、液体が流れに対向する抵抗の尺度であり、剪断応力と流れ勾配との比(Pa.s)によって与えられる。滑り勾配は、回転速度と間隙の厚さとの比によって与えられる。
【数1】
【0112】
粘度及び剪断速度パラメータ
特に、APSを水に導入した後に形成されたゲルを特徴付けるために、組成例1及び比較組成物に対して2種類の試験を行った。
1-流動曲線の決定。
分析パラメータ:剪断速度0.1~100s-1
温度37℃
3反復
2-線形粘弾性領域(LVER)の決定
分析パラメータ:剪断ひずみ0.1~100%
周波数5.0Hz
温度37℃
3反復
機器:回転式レオメータTA機器
構造:プレートコーンC60mm
GAP:29μm
温度:37℃
3反復
【0113】
3.1 試料の調製:
50℃の温度で1Lの恒温の飲料水を2Lビーカに添加した。
【0114】
各試験について、50℃の水150mlを採取し、200mlビーカに入れた。
【0115】
各測定のために、顆粒1袋をビーカに徐々に添加し、懸濁液を手動で1分間撹拌した。
【0116】
ゲルの調製と測定との間に経過した時間は30秒であった。
【0117】
1mlの生成物を測定容器に入れた。
【0118】
3.2 結果:
流動曲線決定試験を使用して、適用した様々な剪断速度で試料の粘度を測定する。得られるのは、剪断速度(γ・、s-1)の関数として粘度傾向(n、Pa.s)を示すグラフである。図2に示すグラフから分かるように、組成例1のAPSによって形成されたゲルの挙動は、偽塑性の非ニュートン流体、すなわち流れ勾配が増加するにつれて減少する粘度を特徴とする流体に匹敵することが見出された。組成例1は、約206Pa.sの粘度を特徴とする比較例と比較して、0.1s-1の流れ勾配で約123Pa.sのより低い粘度を有し、ゲルの形成がよりゆっくりと均一に起こることを示している。これにより、GI管内での使い勝手が向上し、GI管内に存在する内容物とのより均一な混合を可能にし、副作用の低減を可能にし、したがって生成物のコンプライアンスを促進する。
【0119】
線形粘弾性領域(LVER-線形粘弾性領域(Linear Visco Elastic Region))の決定は、試料が変形する剪断ひずみ値(変形γ、%)を特定することによって材料の粘弾性挙動を評価することを可能にする振動法を用いて行われる測定である。強度を増加しながら一定の振動周波数で剪断力を試料に加えることにより、材料の機械的構造は所与の変形で破壊される。この時点で、試料が流れることができる場合、試料は液体のように挙動し始める。この試験によって評価されたパラメータは、G’及びG’’である。G’は、弾性(又は保存的)弾性率であり、弾性変形(可逆的)の形態でエネルギーを蓄積する材料の能力を定義しG’’は粘性(散逸)弾性率であり、滑りによってエネルギーを散逸させる材料の能力を定義する。LVER内では、モジュールG’及び’’は、材料の応答が、加えられる応力に依存しないため、この領域ではシステムがいかなる変化も受けないので、一定の値を有する。図3に示すように、組成例1は、比較例よりも広いLVERを特徴とし、長鎖不溶性繊維であるリグニンの存在が顕著にもかかわらず、組成物1によって形成されたゲルの変形応力に対する安定性が高いことを示している。
【0120】
エンバク繊維はより多量のリグニンを有し、リグニンは、その性質により、グルコマンナンゲルの形成を打ち消し(それとインターカレートし)、水和が不十分になるはずである。リグニンは、実際には、水和能力がほとんどない防水作用を有する植物の二次代謝産物である。しかしながら、水中の試料の観察から、ゲルの形成は明らかであり、実際には、成分が相互作用して均一系を形成し、したがって新たな特性を示す。
【0121】
4.本発明の組成物の水との接触から得られたゲルの破砕試験
試験に使用した生成物(500g)組成例1。
【化5】
【0122】
水中での組成物の懸濁
プロセスの第1段階は、水中での組成物の水和を含む。組成例1の生成物は、約1/50の比で水中で水和された。水中に入ると、生成物はゲルを形成する。
【0123】
ゲルの分離を誘導するために、より多量の水を1/60の割合まで添加した。
【0124】
レオロジー研究から得られた表示から、ゲル相は2日を超える時間間隔で自然に溶解すると予想された。遠心分離は、プロセスをスピードアップすると考えられた。したがって、懸濁液中の生成物を溶解直後に遠心分離したが、相は安定なままであるので、24時間後に再び遠心分離した。24時間待機し、遠心分離機で2回目のスピンを行った後、ゲルの粘性は低く、したがって、望ましくない分解現象を制限するために分画を行った。高分子量繊維の破断を事前に決定しないために、他の機械的又は熱的応力は加えなかった。
【0125】
このプロセスは、可溶性画分及び不溶性画分の分離のための第1の遠心分離工程を用いて実施した。不溶性画分からの可溶性画分の分離は、40000rpmで20分後に得られた。この画分→不溶性画分に関する収率値を以下の一般的な表に示す。
【0126】
4.1 成分の分子寸法の分画及び吸着樹脂に対する親和性による分画
次いで、遠心分離機の上清(可溶性画分)を、10000DaのMWCOで包んだスパイラル膜を用いた限外濾過によって濾過した。)この技術は、それらのサイズ(分子量)に従って半透膜を介して制限された圧力で成分を分離することを可能にする。
【0127】
初期希釈1/60を有する生成物は、依然として粘度が高すぎて限外濾過によって処理することができず、生成物の粘度が高すぎて不規則に動き、膜圧が高すぎ、透過流が少なかった。したがって、生成物を脱塩水で2回目に1:2希釈した(最終希釈1/120)。
【0128】
この希釈により、プロセスは遅く、困難であったが、生成物全体を処理することが可能であった。
【0129】
試験の最後に、使用した膜は性能試験で陰性であり、プロセス中の妨害又は損傷を示している。
【0130】
高分子量の残余画分は、定量的に低く、いずれの場合も予想より低かった。一般に、プロセスは特に複雑であり、高い損失が発生した。低分子量画分(透過液)を回収し、続いて吸着樹脂カラムで処理して、吸着樹脂に対する親和性挙動の関数としてこの画分を更に特徴付けた。
【0131】
吸着樹脂を用いた分画では、画分の残留粘度及びカラム内の遅い流れを決定するフィルム形成活性、カラムの内面への接着性、及びおそらく樹脂粒子の多孔質表面への接着性のために、困難も伴った。その結果、プロセスは、高いプロセス損失を特徴とした。可溶性画分の特徴付けは満足のいくものではない。
【0132】
以下は、組成例1によるAPS系の収率、理論的に予想される結果及び分画から得られた結果を含む表である。
【表12】
【0133】
樹脂に吸着された画分は、予想されたものと比較して定量的に高く、高分子量画分も同様である。
【0134】
したがって、ゲルは非常に安定であり、物理的方法を適用することによって、その主成分クラスで分離に対する耐性を示す。
【0135】
生成物は、様々な成分の分離に使用される物理的分画技術に供されても、使用される剪断力、圧力及び温度にもかかわらずゲル構造を維持することに抵抗し、組成物に基づいて予想されない分画結果を提供し、この実験的観察は、ゲルの新たな挙動を再び支持することを可能にする。
【0136】
5.エンバク繊維及び微結晶セルロースの化学組成物
以下の試料の化学組成を測定した。
-エンバク繊維1の試料
-エンバク繊維2の試料
-微結晶セルロースSF(Chicelmi、18H0105)。
【0137】
特に、以下の量を決定するために分析を行った。
-リグニン。
-α-セルロース(中間ホロセルロース、すなわちヘミセルロースが濃縮されたセルロースの画分の決定を含む手順に従って)。
-ヘミセルロース(差により得られる)。
-灰分。
【0138】
分析を実施する前に、リグノセルロース材料の場合の慣例に従って、40~60メッシュ(0.25~0.42mm)の粒径に達するまで材料をふるい分けした。分析を2連で行った。
【0139】
更に、分析の前に、粉の一部を103℃のオーブンで恒量まで乾燥させた。このようにして、結果は、慣例に従って乾燥重量を参照した。この同じ部分の一部も灰分の測定に使用した。
【0140】
以下の他の測定も、粉末に対して連続して行った。
-有機溶媒中の可溶性抽出物の含有量、
-水性抽出物の含有量、
-酸リグニン(又はクラーソン)、
-ホロセルロース含有量、
-α-セルロースの含有量、
-灰分含有量。
【0141】
有機溶媒中の可溶性抽出物の含有量
有機抽出物含有量の決定は、溶媒として1:2の比のエタノールとトルエンの混合物を使用して、TAPPI T204規格に記載された方法に従ってソックスレー抽出器を使用して行った。
【0142】
水性抽出物の含有量
水性抽出物含有量の測定は、既に有機抽出物を含まない同じ粉を使用して、またこの場合にはソックスレー抽出器を使用して、TAPPI T207規格に記載された方法に従って行った。
【0143】
両方のタイプの抽出物(水性及び有機)の測定は、フラスコ内の溶媒から抽出された残渣が秤量されること、及び使用される有機溶媒にも水にもタンパク質が溶解しない(又はほとんど溶解しない)ことを必要とすることを考慮すると、両方の測定で得られた値は、分析された材料のタンパク質含有量の正味量であると考えることができる。
【0144】
リグニン含有量
リグニンの測定は、TAPPI T222規格に記載の方法を用いて行った。これは一般に酸リグニン又はクラーソンと呼ばれる。この場合、有機抽出物と水性抽出物の両方を既に得ていない粉を使用した。
【0145】
リグニンの測定に非常に濃縮された硫酸が使用されること、タンパク質がそのような酸性溶液に完全に溶解することが考えられ、手順の最後に不溶性残渣が秤量されることを考慮すると、この測定で得られた値は、分析された材料のタンパク質含有量の正味量であると考えることができる。
【0146】
灰分含有量
灰分の測定は、TAPPI T211規格に記載の方法に従って、マッフル炉内に525℃の温度で1時間置くことによって行った。
【0147】
全ての有機材料が作動温度まで分解されたと考えられることを考慮すると、この測定で得られた値は、分析された材料のタンパク質含有量の正味量であると考えることができる。
【0148】
ホロセルロース含有量
ホロセルロースは、一度脱リグニンされた抽出物を含まない木質材料の残存物全てとして定義される。実際、このサイズは、残留セルロースとヘミセルロースの合計に対応するため、差によって決定することができる。
【0149】
特に、以下の式に従って、他の化学成分の和との算術差により、ホロセルロース(H)を得た。
H=100-(L+EO+EA+C)(全て%で表される値)。
【0150】
この式では、一般パラメータP(特定の場合、L、EO、EA、C)は次式で与えられ、
【数2】

式中、Mは考慮されるパラメータの質量であり、MANHYDRは粉の無水質量である。
【0151】
α-セルロースの含有量
α-セルロース含有量は、わずかに変更されたBrowning(Browning,BL,1967,Methods of wood chemistry,Vol.I,Interscience Publishers.A Division of John Wiley and Sons Inc.,New York)(方法IVALSA AC-21)に報告された手順に従って、17.5%ソーダ溶液でのホロセルロース処理からの残渣として直接測定した。α-セルロースの評価のために、Norman及びJenkinsの方法を用いて前駆体として作用するホロセルロースを得て、酸性化した次亜塩素酸ナトリウム及び亜硫酸ナトリウムの一連の交互処理に、抽出した粉を供し、Maule反応の発生による赤色が消失するまで繰り返した。
【0152】
強アルカリ溶液に不溶性のホロセルロースの画分としてのα-セルロースは、リグノセルロース材料中のセルロースの結晶部分に実質的に比例すると一般に考えられている。
【0153】
20%硫酸がホロセルロースの単離のための手順で使用されること、タンパク質がこれらの条件下で溶解すると考えられ、手順の最後に不溶性残渣が秤量されることを考慮すると、この程度まで得られた値は、分析された材料のタンパク質含有量の正味量であると考えることができる。
【0154】
ヘミセルロース含有量
既に述べたように、ヘミセルロースは、技術科学分野で示唆されることが多いように、ホロセルロースとα-セルロースとの差によって得られた。特に、値は、差を計算することによって得られる。
ヘミセルロース=H-α-セルロース
【0155】
結果
【表13】
【0156】
組成例1
統計的方法
定量的データは、平均、標準偏差(sd)、中央値、第1及び第3四分位(Q1~Q3)、最小及び最大、絶対頻度及びパーセンテージとしてのカテゴリデータとして提示されている。
【0157】
BMIを算出し、4つのクラスに分類した。
【0158】
分析は、SAS9.4ソフトウェアを用いて行った。
【0159】
質問表の確認
患者が質問9に変更が存在しないと宣言した場合、質問10には回答がないと予想される。場合によっては、これは起こらなかった。患者が質問9に対して「変更されたパラメータに含まれない」と回答し、質問10に対する回答を入力した場合(合計9人の患者において20回発生)、質問10は修正され、空白(すなわち、症状が存在しない)であるとみなされた。質問10で15人中6人の患者において、血糖値上昇又は耐糖能障害を制御するための組成例1の効果発現時期に関して同時に回答するように求めた。質問9において患者が「変更されたパラメータに含まれない」と回答した場合、質問10の対応する変数は空白のままであり、そうでなければ化合物1のスコアを両方の変数について考慮した。
【0160】
血圧についての質問9に対して患者1-05は、十分及び「バイタルサインに含まれない」の両方を示している。「バイタルサインに含まれない」とみなされた。
【0161】
患者1-03は、質問11では体重が減少していないことを示したが、質問12では体重が減少したことを示した。質問11に対する回答は、「はい」とみなされた。
【0162】
質問3の患者1-01~1-05では、組成例1を摂取する前に体重が記入されたが、他の患者では、質問表の記入日の現在の体重が記入された。質問表に記入するときに全ての患者について体重を考慮し、患者1-01~1-05について、質問12の回答を使用して「初期体重」-「体重減少」として計算された。
【0163】
3人の患者において、質問6で「いいえ」とマークされたが、組成例1を摂取すること加えて、何かがフォローされていることが示された。これらの患者については、「はい」を回答とみなした。
【0164】
結果
データは、15人の患者から回収され、73%(15人中11人)が女性、53%(15人中8人)が31歳~50歳で、100%(15人中15人)が過体重又は肥満であった(表1)。患者の現在の平均体重は97.27(sd14.04)であり、平均BMIは37.41(sd6.21)である。
【0165】
表1~6では、データは母集団全体について提示されている。
【表14】
【0166】
患者の87%(15人中13人)が3ヶ月を超えて組成例1を服用する。15人の患者のうち13人(87%)が他の何かに加えて摂取し、67%(15人のうち10人)が食事プログラムにも従い、15人のうち7人(47%)が定期的な身体活動プログラムにも従い、15人のうち7人(47%)が代謝パラメータを制御するために他の薬物も摂取する。15人の患者のうち5人(33%)が糖尿病を患っており、これらの全て(100%、5人中5人)がこの疾患の治療を受けている。
【表15】
【0167】
患者の87%(15人中13人)が、組成例1がLDLコレステロールを制御するのに「十分」有効であると宣言した。また、87%(15人中13人)がトリグリセリドを制御するのに「十分」有効であると宣言した。患者の40%(15人中6人)が、組成例1がHDLコレステロールを制御するのに「あまり」効果がないと宣言した。患者の93%(15人中14人)が、低下したパラメータに耐糖能が含まれていなかった。また、患者の93%(15人中14人)が、変化したパラメータに血圧が含まれていなかった。
【表16】
【0168】
15人の患者のうち8人(53%)が3ヶ月後に腹囲変化の制御において組成例1からのサポートを受けたが、15人の患者のうち2人(13%)は改善が見られなかった。LDLコレステロールについては、47%(15人中7人)の患者が3ヶ月後にベネフィットを得ることができたが、HDLコレステロールについては40%(15人中6人)の患者が3ヶ月後に支援を受けた。3ヶ月後、患者の43%(14人中6人)がトリグリセリド変化の制御の改善を認めた。空腹時血中グルコースの変化については、患者の57%(7人中4人)が2ヶ月後に組成例1からベネフィットを得た。
【表17】
【0169】
患者の93%(14人中13人)が体重が減少した。患者は平均3.38kg(SD1.2)減少し、平均変化率(体重減少/初期体重100)は3.47%(SD1.3)であった。
【0170】
14人の患者のうち12人(86%)が10%未満の期間、組成例1を摂取することを忘れ、15%(13人のうち2人)が2日を超えて摂取を中止していた。
【表18】
【0171】
患者の50%(14人中7人)が、組成例1を用いると、生活の質が「かなり」改善されると宣言した。9人の患者のうち6人(67%)において、気分が改善され、社会生活、仕事におけるパフォーマンス又は日常行動における注意の改善を報告した患者はいなかった。患者の89%(8/9)が、組成例1は、食事療法プログラム及び通常の身体活動プログラムと組み合わせた場合、代謝パラメータを制御するための薬物の使用を回避することができると宣言している。組成例1の安全性を、56%(9人中5人)が「優れている」とみなし、44%(9人中4人)「良好」とみなした。
【表19】
【0172】
組成例2、3、4及び5についても同じ試験を実施し、組成例1に関する表1~6に報告された結果に匹敵する結果が得られた。
図1
図2
図3
【国際調査報告】