IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アヤー・ラブス・インコーポレーテッドの特許一覧

特表2023-540496光データ通信システムおよび関連方法
<>
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図1A
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図1B
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図1C
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図2
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図3
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図4A
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図4B
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図4C
  • 特表-光データ通信システムおよび関連方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】光データ通信システムおよび関連方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 14/02 20060101AFI20230915BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20230915BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
H04J14/02
G02B6/12 301
G02B6/12 341
G02F1/01 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514705
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-24
(86)【国際出願番号】 US2021048384
(87)【国際公開番号】W WO2022051258
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/074,394
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519011669
【氏名又は名称】アヤー・ラブス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AYAR LABS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シサク・マシュー
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
5K102
【Fターム(参考)】
2H147AB02
2H147AB04
2H147AB16
2H147AC04
2H147BD03
2H147CA01
2H147CA17
2H147CB02
2H147CD02
2H147DA10
2H147EA12D
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2K102AA28
2K102BA16
2K102BB03
2K102BC10
2K102BD02
2K102DB02
2K102DC07
2K102DC08
2K102EA05
2K102EB20
5K102AD01
5K102AH02
5K102AH22
5K102AL11
5K102AL13
5K102PA01
5K102PB12
5K102PB18
5K102PC04
5K102PC12
5K102PC16
5K102PH01
5K102PH11
5K102PH47
5K102PH48
5K102RB03
5K102RB14
(57)【要約】
【解決手段】光データ通信システムが、複数の共振器構造と、複数の共振器構造へ光学的に接続されている複数のレーザを含むレーザアレイと、を備える。各共振器構造は、それぞれの自由スペクトル波長範囲およびそれぞれの共振波長を有する。複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差は、複数の共振器構造における任意の共振器構造の最小自由スペクトル波長範囲よりも小さい。複数のレーザにおける各レーザは、それぞれの波長を有する連続波光を生成するよう構成されている。レーザアレイは、中心波長を有する。中心波長の変動は、複数の共振器構造における任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差よりも大きい。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光データ通信システムであって、
複数の共振器構造と、前記複数の共振器構造における各共振器構造は、それぞれの自由スペクトル波長範囲およびそれぞれの共振波長を有し、前記複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差は、前記複数の共振器構造における任意の共振器構造の最小自由スペクトル波長範囲よりも小さく、
前記複数の共振器構造と光学的に接続されている複数のレーザを含むレーザアレイと、を備え、前記複数のレーザにおける各レーザは、それぞれの波長を有する連続波光を生成するよう構成され、前記レーザアレイは、中心波長を有し、前記中心波長の変動は、前記複数の共振器構造における任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差よりも大きい、光データ通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記レーザアレイの前記中心波長の前記変動は、所定の標的波長に対する前記レーザアレイの前記中心波長の最大許容量の変動に対応する、光データ通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記レーザアレイにおけるスペクトル的に隣接するレーザの間の連続波光波長の差は、前記複数の共振器構造における対応するスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の差と実質的に等しい、光データ通信システム。
【請求項4】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記複数の共振器構造における各共振器構造の前記自由スペクトル波長範囲は、実質的に等しい、光データ通信システム。
【請求項5】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の前記差は、固定波長範囲の整数倍と実質的に等しい、光データ通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の光データ通信システムであって、前記固定波長範囲は、前記自由スペクトル波長範囲を前記複数の共振器構造における共振器構造の数で割った値と等しい、光データ通信システム。
【請求項7】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記レーザアレイの前記中心波長の前記変動は、前記複数の共振器構造における任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の前記最小差の2倍よりも大きい、光データ通信システム。
【請求項8】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記レーザアレイの前記中心波長の前記変動は、前記複数の共振器構造における任意の共振器構造の前記自由スペクトル波長範囲よりも大きい、光データ通信システム。
【請求項9】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記複数の共振器構造における各共振器構造は、実質的に同じ形状およびサイズを有するよう構成されている、光データ通信システム。
【請求項10】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記複数の共振器構造における異なる共振器構造は、異なる形状、異なるサイズ、もしくは、異なる形状および異なるサイズを有するよう構成されている、光データ通信システム。
【請求項11】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記複数の共振器構造における各共振器構造は、実質的にリング形状またはディスク形状である、光データ通信システム。
【請求項12】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記レーザアレイは、前記複数の共振器構造を備えるデバイスから物理的に離れている、光データ通信システム。
【請求項13】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、前記複数の共振器構造における各共振器構造は、独立的な共振波長チューニングを有するよう構成されている、光データ通信システム。
【請求項14】
請求項1に記載の光データ通信システムであって、さらに、
前記複数の共振器構造における各共振器構造へのチューニング接続を有するチューニング制御システムを備え、
前記チューニング制御システムは、前記レーザアレイによって生成される連続波光の最も近い波長と実質的に一致するように、前記複数の共振器構造における各共振器構造の前記共振波長をシフトさせるよう構成されている、光データ通信システム。
【請求項15】
請求項14に記載の光データ通信システムであって、さらに、
前記複数の共振器構造に近接してそれぞれ配置されている複数のヒータを備え、
前記複数のヒータの各々は、前記チューニング制御システムへ電気接続され、前記チューニング制御システムによって独立制御可能である、光データ通信システム。
【請求項16】
光データ通信システムを構成するための方法であって、
複数の共振器構造を備えた光データ通信のための電子/フォトニックデバイスを準備し、前記複数の共振器構造における各共振器構造は、それぞれの自由スペクトル波長範囲およびそれぞれの共振波長を有し、前記複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差は、前記複数の共振器構造における任意の共振器構造の最小自由スペクトル波長範囲よりも小さく、
レーザアレイを前記電子/フォトニックデバイスへ光学的に接続すること、を備え、前記レーザアレイは、前記複数の共振器構造へ光学的に接続されている複数のレーザを含み、前記複数のレーザにおける各レーザは、それぞれの波長を有する連続波光を生成するよう構成され、前記レーザアレイは、中心波長を有し、前記中心波長の変動は、前記複数の共振器構造における任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差よりも大きい、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記レーザアレイの前記中心波長の前記変動は、所定の標的波長に対する前記レーザアレイの前記中心波長の最大許容量の変動に対応する、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、前記レーザアレイにおけるスペクトル的に隣接するレーザの間の連続波光波長の差は、前記複数の共振器構造における対応するスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の差と実質的に等しい、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、前記複数の共振器構造における各共振器構造の前記自由スペクトル波長範囲は、実質的に等しい、方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法であって、前記複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の前記差は、固定波長範囲の整数倍と実質的に等しい、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記固定波長範囲は、前記自由スペクトル波長範囲を前記複数の共振器構造における共振器構造の数で割った値と等しい、方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法であって、前記レーザアレイの前記中心波長の前記変動は、前記複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の前記最小差の2倍よりも大きい、方法。
【請求項23】
請求項16に記載の方法であって、前記レーザアレイの前記中心波長の前記変動は、前記複数の共振器構造における任意の共振器構造の前記自由スペクトル波長範囲よりも大きい、方法。
【請求項24】
請求項16に記載の方法であって、前記複数の共振器構造における各共振器構造は、実質的に同じ形状およびサイズを有するよう構成されている、方法。
【請求項25】
請求項16に記載の方法であって、前記複数の共振器構造における異なる共振器構造は、異なる形状、異なるサイズ、もしくは、異なる形状および異なるサイズを有するよう構成されている、方法。
【請求項26】
請求項16に記載の方法であって、前記複数の共振器構造における各共振器構造は、実質的にリング形状またはディスク形状である、方法。
【請求項27】
請求項16に記載の方法であって、前記レーザアレイは、前記複数の共振器構造を備えるデバイスから物理的に離れている、方法。
【請求項28】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記複数の共振器構造の各共振器構造の前記共振波長を独立制御するようチューニング制御システムを動作させることを備える、方法。
【請求項29】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記レーザアレイによって生成される連続波光の最も近い波長と実質的に一致するように、前記複数の共振器構造における各共振器構造の前記共振波長をシフトさせるよう、チューニング制御システムを動作させることを備える、方法。
【請求項30】
請求項16に記載の方法であって、さらに、
前記複数の共振器構造に近接してそれぞれ配置されている複数のヒータを制御するようチューニング制御システムを動作させることを備え、
前記複数のヒータの各ヒータは、前記レーザアレイによって生成される連続波光の最も近い波長と実質的に一致するように、前記複数の共振器構造における各共振器構造の前記共振波長をシフトさせるよう、前記チューニング制御システムによって独立制御される、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
【技術分野】
【0002】
本発明は、光データ通信に関する。
【0003】
【背景技術】
【0004】
光データ通信システムは、デジタルデータパターンを符号化するためにレーザ光を変調することによって動作する。変調レーザ光は、光データネットワークを通して送信ノードから受信ノードへ送信される。受信ノードに到達した変調レーザ光は、元のデジタルデータパターンを取得するために復調される。したがって、光データ通信システムの実装および動作は、光信号変調用および光信号受信用の信頼性の高い効率的なデバイスを有することに依存する。本発明は、このような背景の下で生まれた。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態例において、光データ通信システムが開示されている。光データ通信システムは、複数の共振器構造を備える。複数の共振器構造における各共振器構造は、それぞれの自由スペクトル波長範囲およびそれぞれの共振波長を有する。複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差は、複数の共振器構造における任意の共振器構造の最小自由スペクトル波長範囲よりも小さい。光データ通信システムは、さらに、複数の共振器構造へ光学的に接続されている複数のレーザを含むレーザアレイを備える。複数のレーザにおける各レーザは、それぞれの波長を有する連続波光を生成するよう構成されている。レーザアレイは、中心波長を有する。中心波長の変動は、複数の共振器構造における任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差よりも大きい。
【0006】
一実施形態例において、光データ通信システムを構成するための方法が開示されている。方法は、複数の共振器構造を備えた光データ通信のための電子/フォトニックデバイスを準備することを備える。複数の共振器構造における各共振器構造は、それぞれの自由スペクトル波長範囲およびそれぞれの共振波長を有する。複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差は、複数の共振器構造における任意の共振器構造の最小自由スペクトル波長範囲よりも小さい。方法は、さらに、レーザアレイを電子/フォトニックデバイスへ光学的に接続することを備える。レーザアレイは、複数の共振器構造へ光学的に接続されている複数のレーザを含む。複数のレーザにおける各レーザは、それぞれの波長を有する連続波光を生成するよう構成されている。レーザアレイは、中心波長を有する。中心波長の変動は、複数の共振器構造における任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差よりも大きい。
【0007】
開示されている実施形態のその他の態様および利点については、開示されている実施形態を例示した添付図面を参照しつつ行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】いくつかの実施形態に従って、複数の光ファイバの各々で複数の波長のCWレーザ光を提供するためにレーザアレイおよび光分配ネットワークが用いられる光データ通信システムのためのリモート光パワー供給装置の一例を示す図。
【0009】
図1B】いくつかの実施形態に従って、光ファイバの各々が、実質的に等しい強度(パワー)の複数の波長のCWレーザ光の各々をどのように受信するのかを示す図。
【0010】
図1C】いくつかの実施形態に従って、CMOS/SOIフォトニック/電子チップの一例を示す図。
【0011】
図2】いくつかの実施形態に従って、複数の共振器構造の内の所与の共振器構造の透過スペクトルを示す図。
【0012】
図3】いくつかの実施形態に従って、複数の共振器構造の内の各共振器構造が、複数の共振器構造の内の他の共振器構造とは異なる共振波長を有するように、複数の共振器構造が構成されている様子を示す図。
【0013】
図4A】いくつかの実施形態に従って、1セットの4つの共振器構造に対する透過スペクトル例と、1セットの4つの共振器構造の共振波長に対するレーザアレイによって生成される連続波レーザ光の波長のスペクトル位置決めとを示す図。
【0014】
図4B】いくつかの実施形態に従って、レーザ光の中心波長が許容変動の下端にある場合の、1セットの4つの共振器構造の共振波長に対するレーザアレイによって生成される連続波レーザ光の波長のスペクトル位置決めを示す図。
【0015】
図4C】いくつかの実施形態に従って、レーザ光の中心波長が許容変動の上端にある場合の、1セットの4つの共振器構造の共振波長に対するレーザアレイによって生成される連続波レーザ光の波長のスペクトル位置決めを示す図。
【0016】
図5】いくつかの実施形態に従って、光データ通信システムを構成するための方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明を理解できるように、多くの具体的な詳細事項について説明する。ただし、当業者にとって明らかなように、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全部がなくとも実施可能である。また、本発明が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の詳細な説明は省略している。
【0018】
光データ通信用途においては、高帯域幅、多波長のWDM(波長分割多重化)システムが、増大する相互接続帯域幅の要件を満たすために必要である。これらのWDMシステムのいくつかの実施例においては、リモートレーザアレイが、複数の波長のレーザ光を多くの光ポートの各々へ提供するために光分配ネットワークを通して結合される複数の波長の連続波(CW)レーザ光を生成するよう構成されている。複数の波長のレーザ光は、光ポートの内の任意の1または複数から、光データ通信システムにおいてデータを送受信するCMOS(相補型金属酸化膜半導体)および/またはSOI(シリコン・オン・インシュレータ)フォトニック/電子チップへ伝送される。いくつかの実施例において、多波長レーザ光源は、光分配ネットワークの複数の光出力ポートの各々へ各入力波長のCWレーザ光をルーティングする光分配ネットワーク(例えば、光マルチプレクサ)のそれぞれの光入力へ光学的に接続されている出力を有するレーザのアレイを備える。次いで、複数の波長のCWレーザ光は、光分配ネットワークの所与の光出力ポートから、CMOS/SOIフォトニック/電子チップ(Ayar Labs社製のTeraPHY(商標)チップなど)の所与の光入力ポートへルーティングされる。
【0019】
図1Aは、いくつかの実施形態に従って、複数の光ファイバ107の各々で複数の波長のCWレーザ光を提供するためにレーザアレイ103および光分配ネットワーク105が用いられる光データ通信システムのためのリモート光パワー供給装置100の一例を示す。レーザアレイ103は、複数のレーザ素子103-1~103-Nを含み、複数のレーザ素子103-1~103-Nの各々は、N個の波長の内の異なる1波調のレーザ光を生成するよう動作する。光分配ネットワーク105は、複数のレーザ素子103-1~103-Nによって生成されたN個の波長の各々のレーザ光を、複数の(M個の)光出力ポート108へルーティングする。いくつかの実施形態において、M個の光出力ポート108の所与の1つに提供されるN個の複数の波長のレーザ光は、光ファイバ107の対応する1つへ直接伝送される。いくつかの実施形態において、M個の光出力ポート108の所与の1つに提供されるN個の複数の波長のレーザ光は、光増幅器109を通して光ファイバ107の対応する1つへ伝送される。
【0020】
図1Bは、いくつかの実施形態に従って、光ファイバ107の各々が、実質的に等しい強度(パワー)の複数の波長のCWレーザ光の各々をどのように受信するのかを示す図である。光ファイバ107の各々は、リモート光パワー供給装置100から受信した複数の波長のCWレーザ光をCMOS/SOIフォトニック/電子チップ111へルーティングするように接続されうる。
【0021】
図1Cは、いくつかの実施形態に従って、CMOS/SOIフォトニック/電子チップ(以降「チップ」)111の一例を示す図である。チップ111は、M個の送信マクロ115-1~115~MおよびM個の受信マクロ127-1~127-Mを備える。各送信マクロ115-1~115-Mは、リモート光パワー供給装置100から多波長のCWレーザ光を受信するために、光ファイバ107-1~107-Mの内の対応する1つに接続されている光入力ポート117-1~117-Mをそれぞれ備える。いくつかの実施形態において、リモート光パワー供給装置100に必要な光ファイバ107-1~107-Mの数Mは、チップ111の送信マクロ115-1~115-Mの光入力ポート117-1~117-Mの数と等しい。
【0022】
光学入力ポート117-1~117-Mは、それぞれ、光導波路121-1~121-Mへ光学的に接続されている。光導波路121-1~121-Mの各々は、複数の共振器構造119-x-y(例えば、マイクロリング共振器構造119-x-y)のそばを通って伸びており、ここで、(x)は、送信マクロの数であり、(y)は、CWレーザ光の複数の波長の内の特定の1つを指定している。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yは、複数の光マイクロリング変調器119-x-yとして構成されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの各々は、10マイクロメートル未満の外径を有するマイクロリング共振器である。様々な実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの各々は、対応する送信マクロxおよびチップ111の機能に適合する基本的に任意の形状および/またはサイズを有する周回導波路構造として規定されている。例えば、いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの内の1または複数は、環状リング形状の断面を有するリング形状共振器構造として構成されている。例えば、いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの内の1または複数は、ディスク形状の断面を有するディスク形状共振器構造として構成されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの内の1または複数は、リング形状でもディスク形状でもないが周回形状である断面形状を有するよう構成されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの各共振器構造は、実質的に同じ形状およびサイズを有するよう構成されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの各共振器構造は、複数の共振器構造119-x-yの内の1または複数の他の共振器構造の形状および/またはサイズの+/-20%の範囲にある形状および/またはサイズを有するよう構成されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yにおける異なる共振器構造は、異なる形状、異なるサイズ、もしくは、異なる形状および異なるサイズを有するよう構成されている。複数の共振器構造119-x-yの具体的な形状およびサイズに関わらず、複数の共振器構造119-x-yの各々は、それぞれの共振波長(y)を有するような形状およびサイズであり、その結果、それぞれの共振波長(y)の光が、それぞれの共振波長(y)を有する共振器構造119-x-yのモードへ光結合することを理解されたい。
【0023】
複数の共振器構造119-x-yの各々のそばを通って伸びた後、光導波路121-1~121-Mの各々は、それぞれの光出力ポート123-1~123-Mまで伸びている。図1Cの例において、複数の共振器構造119-x-yの各々は、電気信号によって表されるデジタルデータを搬送する変調パターンを有する対応する波長(y)の変調光を生成するために、デジタルデータを表す電気信号に従って、対応する波長(y)の入力CWレーザ光を変調するよう機能する。変調光は、光出力ポート123-1~123-Mから、光データ通信システム内のどこかの送信先へ変調光を運ぶそれぞれの光ファイバ124-1~124-Mへ伝送される。
【0024】
いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの各々は、所定の光波長で動作するよう調整可能である。また、いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの内の所与の1つが動作するよう調整される所定の光波長は、複数の共振器構造119-x-yの内のその他の共振器構造が動作するよう調整される所定の波長とは異なる。いくつかの実施形態において、対応する加熱装置120-x-yが、複数の共振器構造119-x-yの共振波長のサーマルチューニングを提供するために、複数の共振器構造119-x-yの近くにそれぞれ配置されている。いくつかの実施形態において、対応する加熱装置120-x-yが、所与の共振器構造119-x-yの共振波長のサーマルチューニングを提供するために、所与の共振器構造119-x-yによって囲まれた内部領域の中に配置されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの加熱装置120-x-yは、複数の共振器構造119-x-yの共振波長を独立して別個に熱的に調整するよう動作される対応する送信(Tx)スライス内の対応する電気制御回路に接続されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの各々は、共振器構造119-x-yの共振波長を電気的に調整するよう動作される対応する送信(Tx)スライス内の対応する電気チューニング回路に接続されている。様々な実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの各々は、光変調器および/または光マルチプレクサの一部として動作する。
【0025】
いくつかの実施形態において、光入力ポート117-1~117-Mおよび光出力ポート123-1~123-Mは、ポート117-1~117-Mが光入力ポートではなく光出力ポートとして動作し、ポート123-1~123-Mが光出力ポートではなく光入力ポートとして動作するように、逆の方法で動作される。これらの実施形態において、光ファイバ107-1~107-Mは、光パワー供給装置100からポート123-1~123-MへCWレーザ光を伝達するように接続され、光ファイバ124-1~124-Mは、ポート117-1~117-Mから光データ通信システム内の送信先へ変調光を伝達するように接続されている。
【0026】
各受信マクロ127-1~127-Mは、光データ通信システム内の他のデバイスからの様々な波長の変調光を受信するために、光ファイバ126-1~126-Mの内の対応する1つへ光学的に接続されている光入力ポート125-1~125-Mをそれぞれ備える。光学入力ポート125-1~125-Mは、それぞれ、光導波路128-1~128-Mへ接続されている。光導波路128-1~128-Mの各々は、複数の共振器構造129-x-y(例えば、マイクロリング共振器構造129-x-y)のそばを通って伸びており、ここで、(x)は、受信マクロの数であり、(y)は、光の複数の波長の内の特定の1つを指定している。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造129-x-yの各々は、10マイクロメートル未満の外径を有するマイクロリング共振器である。図1Cの例において、複数の共振器構造129-x-yは、複数の光マイクロリング検出器129-x-yとして構成されている。光マイクロリング検出器129-x-yの各々は、特定の波長(y)の入力光を検出して、入力光の変調パターンに従って入力光を電気信号に変換するよう機能し、その結果、電気信号を回路によって処理することで、入力変調光が変調される元となったデジタルデータを再構築できるようになる。チップ111は、CMOS処理を用いて形成された様々な電子回路131を備える。チップ111の電子回路は、複数の共振器構造119-x-yおよび複数の共振器構造129-x-yの制御および動作を提供することを理解されたい。
【0027】
いくつかの実施形態において、複数の共振器構造129-x-yの各々は、所定の光波長で動作するよう調整可能である。また、いくつかの実施形態において、複数の共振器構造129-x-yの内の所与の1つが動作するよう調整される所定の光波長は、複数の共振器構造129-x-yの内のその他の共振器構造が動作するよう調整される所定の波長とは異なる。いくつかの実施形態において、対応する加熱装置130-x-yが、複数の共振器構造129-x-yの共振波長のサーマルチューニングを提供するために、複数の共振器構造129-x-yの近くにそれぞれ配置されている。いくつかの実施形態において、対応する加熱装置130-x-yが、所与の共振器構造129-x-yの共振波長のサーマルチューニングを提供するために、所与の共振器構造129-x-yによって囲まれた内部領域の中に配置されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造129-x-yの加熱装置130-x-yは、複数の共振器構造129-x-yの共振波長を独立して別個に熱的に調整するよう動作される対応する受信(Rx)スライス内の対応する電気制御回路に接続されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造129-x-yの各々は、共振器構造129-x-yの共振波長を電気的に調整するよう動作される対応する受信(Tx)スライス内の対応する電気チューニング回路に接続されている。様々な実施形態において、複数の共振器構造129-x-yの各々は、光検出器および/または光学デマルチプレクサの一部として動作する。
【0028】
いくつかの実施形態において、レーザアレイ103は、複数の共振器構造119-x-yを備えたデバイス(例えば、チップ111)から物理的に離れている。図1Aに示したリモート光パワー供給装置100の構成は、例として提供されていることを理解されたい。様々な実施形態において、リモート光パワー供給装置100の構成は、リモート光パワー供給装置100が、複数のレーザ素子103-1~103-Nのレーザアレイ103を備え、複数のレーザ素子103-1~103-Nの各々が、N個の波長の内の異なる1波長のレーザ光を生成するよう動作する限りは、図1Aに具体的に図示したものから変化してもよい。また、図1Cに示したチップ111の構成は、例として提供されていることを理解されたい。様々な実施形態において、チップ111の構成は、チップ111が、複数の共振器構造119-x-yのそばを通って伸びるよう構成されている光導波路121-1~121-Mを備える限りは、図1Cに具体的に図示したものから変化してもよい。
【0029】
図2は、いくつかの実施形態に従って、複数の共振器構造119-x-yの内の所与の共振器構造の透過スペクトルを示す。所与の共振器構造は、所与の共振器構造のモードに対応する複数の共振波長1*λ、2*λ、3*λなどを有する。所与の共振器構造のスペクトル的に隣接する共振波長の間の(隣接するモードの間の)波長範囲は、所与の共振器構造の自由スペクトル波長範囲(FSR)201である。複数の共振器構造119-x-yにおける各共振器構造は、それぞれのFSR201およびそれぞれの共振波長を有する。
【0030】
図3は、いくつかの実施形態に従って、複数の共振器構造119-x-yの内の各共振器構造が、複数の共振器構造119-x-yの内の他の共振器構造とは異なる共振波長を有するように、複数の共振器構造119-x-yが構成されていることを示す。例えば、共振器構造119-x-1は、共振波長λおよびFSR203-x-1を有する。共振器構造119-x-2は、共振波長λおよびFSR203-x-2を有する。共振器構造119-x-3は、共振波長λおよびFSR203-x-3を有する。共振器構造119-x-Nは、共振波長λおよびFSR203-x-Nを有する。
【0031】
図3に示すように、複数の共振器構造119-x-yは、複数の共振器構造119-x-yの内の各共振器構造の共振波長が、複数の共振器構造119-x-yの内の任意の1共振器構造の1つのFSR203の範囲内にあるように構成されている。したがって、複数の共振器構造119-x-yにおける任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差は、複数の共振器構造119-x-yの内の任意の共振器構造の最小FSRより小さい。例えば、共振器構造119-x-1のFSR203-x-1が、複数の共振器構造119-x-yにおける任意の共振器構造の最小FSRであると見なされる場合、図3は、複数の共振器構造119-x-yにおける任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差(λ-λに対応する)が共振器構造119-x-1のFSR203-x-1より小さいことを示している。
【0032】
いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの内の各共振器構造のFSRは、実質的に等しい(例えば、+/-10%の範囲内である)。これは、図3に図示されており、第1共振器構造119-x-1のFSR203-x-1は、第2共振器構造119-x-2のFSR203-x-2と実質的に等しく、FSR203-x-2は、第3共振器構造119-x-3のFSR203-x-3と実質的に等しく、FSR203-x-3は、第N共振器構造119-x-NのFSR203-x-Nと実質的に等しい。
【0033】
また、いくつかの実施形態において、複数の共振器構造119-x-yの内の任意の2つの共振器構造の間の共振波長の差は、固定波長範囲WRの整数倍と実質的に等しい。これは、図3に図示されており、第2共振器構造119-x-2の共振波長λと第1共振器構造119-x-1の共振波長λとの間の差は、1*WRと実質的に等しく、第3共振器構造119-x-3の共振波長λと第1共振器構造119-x-1の共振波長λとの間の差は、2*WRと実質的に等しく、第N共振器構造119-x-Nの共振波長λと第1共振器構造119-x-1の共振波長λとの間の差は、(N-1)*WRと実質的に等しい。また、いくつかの実施形態において、固定波長範囲WRは、複数の共振器構造119-x-yの共振器構造の内の所与の1つの自由スペクトル波長範囲を複数の共振器構造119-x-yにおける共振器構造の数(N)で割った値と実質的に等しい。例えば、図3において、固定波長範囲WRは、複数の共振器構造119-x-yの内の第1共振器構造のFSR203-x-1をNで割った値と実質的に等しく、ここで、Nは、複数の共振器構造119-x-yにおける共振器構造の数である。
【0034】
図1A図1B、および、図1Cに示したように、レーザアレイ103は、チップ111内の複数の共振器構造119-x-yへ光学的に接続されている複数のレーザ103-1~103-Nを含む。各レーザ103-1~103-Nは、それぞれの波長(λ~λ)を有する連続波光を生成するよう構成されている。レーザアレイ103は、中心波長λを有するよう規定されている。いくつかの実施形態において、レーザアレイ103の中心波長λは、複数のレーザ103-1~103-Nの内の1つによって生成される連続波光の特定の波長に対応する。しかしながら、いくつかの実施形態において、レーザアレイ103の中心波長λは、複数のレーザ103-1~103-Nの内のどの1つによって生成される連続波光の特定の波長にも対応していない。いくつかの実施形態において、レーザ光103の中心波長λは、レーザアレイ103によって生成される最大波長および最小波長の間の差の半分と実質的に等しく、すなわち、(λ-λ)/2と実質的に等しい。いくつかの実施形態において、レーザアレイ103の中心波長λの変動は、複数の共振器構造119-x-yにおける任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差よりも大きい。スペクトル的に隣接する共振器構造という用語は、波長スペクトル内で隣接する共振波長を有する複数の共振器構造119-x-yの内の任意の2つの共振器構造を意味する。例えば、図3において、共振器構造119-x-1および119-x-3の各々は、共振器構造119-x-2の隣接共振器構造である。レーザアレイ103の中心波長λの変動は、所定の標的波長λに対するレーザアレイ103の中心波長λの最大許容量の変動に対応する。
【0035】
図4Aは、いくつかの実施形態に従って、1セットの4つの共振器構造119-x-1~119-x-4に対する透過スペクトル例と、1セットの4つの共振器構造119-x-1~119-x-4の共振波長(λ~λ)に対するレーザアレイ103によって生成される連続波(CW)レーザ光の波長(λL1~λL4)のスペクトル位置決めとを示す。図4Aの例において、レーザアレイ103の中心波長λは、複数の共振器構造119-x-yにおける任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差より大きい所定の標的波長λに対する許容変動401を有する。レーザアレイ103の中心波長λが許容変動401内で変化すると、レーザアレイ103によって生成される連続波光の波長(λL1~λL4)の各々がそれに対応して変化することを理解されたい。
【0036】
図4Aは、レーザ光103の中心波長λが所定の標的波長λと実質的に等しい場合の、1セットの4つの共振器構造119-x-1~119-x-4の共振波長(λ~λ)に対するレーザアレイ103によって生成される連続波レーザ光の波長(λL1~λL4)のスペクトル位置決めを示す。図4Bは、いくつかの実施形態に従って、レーザ光103の中心波長λが許容変動401の下端にある場合の、1セットの4つの共振器構造119-x-1~119-x-4の共振波長(λ~λ)に対するレーザアレイ103によって生成される連続波レーザ光の波長(λL1~λL4)のスペクトル位置決めを示す。図4Cは、いくつかの実施形態に従って、レーザ光103の中心波長λが許容変動401の上端にある場合の、1セットの4つの共振器構造119-x-1~119-x-4の共振波長(λ~λ)に対するレーザアレイ103によって生成される連続波レーザ光の波長(λL1~λL4)のスペクトル位置決めを示す。
【0037】
いくつかの実施形態において、レーザアレイ103の中心波長λの変動401は、複数の共振器構造119-x-yにおける任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差の2倍よりも大きい。いくつかの実施形態において、レーザアレイ103の中心波長λの変動401は、複数の共振器構造119-x-yにおける任意の共振器構造の自由スペクトル波長範囲よりも大きい。例えば、図4Aを参照すると、レーザアレイ103の中心波長λの変動は、FSR203-x-1、FSR203-x-2、FSR203-x-3、および、FSR203-x-4のどの1つよりも大きい。
【0038】
上記に鑑みて、光データ通信のための電子/フォトニックデバイス(例えば、チップ111)を備えた光データ通信システムが本明細書で開示されており、ここで、電子/フォトニックデバイスは、複数の共振器構造(例えば、119-x-y)を備える。光データ通信システムは、さらに、レーザアレイ(例えば、103)を備える。複数の共振器構造における各共振器構造は、それぞれの自由スペクトル波長範囲およびそれぞれの共振波長を有する。複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差は、複数の共振器構造における任意の共振器構造の最小自由スペクトル波長範囲よりも小さい。レーザアレイは、複数の共振器構造へ光学的に接続されている複数のレーザ(例えば、103-1~103-N)を含む。複数のレーザにおける各レーザは、それぞれの波長を有する連続波光を生成するよう構成されている。レーザアレイは、中心波長を有する。中心波長の変動は、複数の共振器構造(例えば、119-x-y)における任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差よりも大きい。
【0039】
いくつかの実施形態において、レーザアレイ103は、複数の共振器構造119-x-yにおける共振器構造の異なる共振波長と実質的に一致する異なる波長の連続波(CW)光を生成するよう構成されている。いくつかの実施形態において、レーザアレイ103におけるスペクトル的に隣接するレーザの間の連続波光波長の差は、複数の共振器構造119-x-yにおける対応するスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の差と実質的に等しい。しかしながら、いくつかの実施形態において、レーザアレイ103によって生成される連続波光の異なる波長の内の1または複数は、複数の共振器構造119-x-yにおける共振器構造の対応する共振波長と十分に一致しない。これに対処するために、複数の共振器構造119-x-yにおける各共振器構造は、独立した共振波長チューニングを有するよう構成されている。
【0040】
いくつかの実施形態において、送信マクロ115-1~115-Mの各々は、対応する送信マクロ内の複数の共振器構造119-x-yにおける各共振器構造へのチューニング接続を有するチューニング制御システムを備える。チューニング制御システムは、レーザアレイ103によって生成される連続波光の最も近い波長と実質的に一致するように、複数の共振器構造119-x-yにおける各共振器構造の共振波長をシフトさせるよう構成されている。いくつかの実施形態において、複数のヒータが、送信マクロ115-1~115-M内の複数の共振器構造119-x-yに近接してそれぞれ配置されている。複数のヒータの各々は、対応する送信マクロ内のチューニング制御システムへ電気接続されている。また、複数のヒータの各々は、対応する送信マクロ内のチューニング制御システムによって独立制御可能である。いくつかの実施形態において、送信マクロ内のチューニング制御システムは、電流を用いて、レーザアレイ103によって生成される連続波光の最も近い波長と実質的に一致するように、複数の共振器構造119-x-yにおける各共振器構造の共振波長をシフトさせるよう構成されている。
【0041】
図5は、いくつかの実施形態に従って、光データ通信システムを構成するための方法を示すフローチャートである。方法は、複数の共振器構造(例えば、共振器構造119-x-y)を備えた光データ通信のための電子/フォトニックデバイス(例えば、111)を準備する工程501を備える。複数の共振器構造における各共振器構造は、それぞれの自由スペクトル波長範囲およびそれぞれの共振波長を有する。複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最大差は、複数の共振器構造における任意の共振器構造の最小自由スペクトル波長範囲よりも小さい。方法は、さらに、レーザアレイ(例えば、レーザアレイ103)を電子/フォトニックデバイスへ光学的に接続する工程503を備える。レーザアレイは、複数の共振器構造へ光学的に接続されている複数のレーザ(例えば、レーザ103-1~103-N)を含む。複数のレーザにおける各レーザは、それぞれの波長(例えば、λ~λ)を有する連続波光を生成するよう構成されている。レーザアレイは、中心波長(例えば、λ)を有する。中心波長の変動は、複数の共振器構造における任意の2つのスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の最小差よりも大きい。いくつかの実施形態において、レーザアレイは、複数の共振器構造を備えたデバイスから物理的に離れている。
【0042】
いくつかの実施形態において、レーザアレイの中心波長の変動は、所定の標的波長に対するレーザアレイの中心波長の最大許容量の変動に対応する。いくつかの実施形態において、レーザアレイにおけるスペクトル的に隣接するレーザの間の連続波光波長の差は、複数の共振器構造における対応するスペクトル的に隣接する共振器構造の間の共振波長の差と実質的に等しい。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造における各共振器構造の自由スペクトル波長範囲は、実質的に等しい。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造の内の任意の2つの共振器構造の間の共振波長の差は、固定波長範囲の整数倍と実質的に等しい。いくつかの実施形態において、固定波長範囲は、自由スペクトル波長範囲を複数の共振器構造における共振器構造の数で割った値と等しい。
【0043】
いくつかの実施形態において、レーザアレイの中心波長の変動は、複数の共振器構造における任意の2つの共振器構造の間の共振波長の最小差の2倍よりも大きい。いくつかの実施形態において、レーザアレイの中心波長の変動は、複数の共振器構造における任意の共振器構造の自由スペクトル波長範囲よりも大きい。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造の各共振器構造は、実質的に同じ形状およびサイズ(例えば、+/-20%以内)を有するよう構成されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造における異なる共振器構造は、異なる形状、異なるサイズ、もしくは、異なる形状および異なるサイズを有するよう構成されている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造における各共振器構造は、実質的にリング形状またはディスク形状である。いくつかの実施形態において、レーザアレイは、複数の共振器構造を備えたデバイスから物理的に離れている。いくつかの実施形態において、複数の共振器構造における各共振器構造は、10マイクロメートル未満の外径を有するマイクロリング共振器である。
【0044】
いくつかの実施形態において、方法は、複数の共振器構造の各共振器構造の共振波長を独立制御するようチューニング制御システムを動作させる工程を備える。いくつかの実施形態において、方法は、レーザアレイによって生成される連続波光の最も近い波長と実質的に一致するように、複数の共振器構造における各共振器構造の共振波長をシフトさせるよう、チューニング制御システムを動作させる工程を備える。いくつかの実施形態において、方法は、複数の共振器構造に近接してそれぞれ配置されている複数のヒータを制御するようチューニング制御システムを動作させる工程を備え、ここで、複数のヒータの各ヒータは、レーザアレイによって生成される連続波光の最も近い波長と実質的に一致するように、複数の共振器構造における各共振器構造の共振波長をシフトさせるよう、チューニング制御システムによって独立制御される。
【0045】
以上の実施形態の記載は、例示および説明を目的としたものであり、包括的であることも限定的であることも意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されず、適用可能であれば、置き換え可能であり、特に図示も記載もない限りは、選択された実施形態で利用できる。このように、本明細書で開示されている1または複数の実施形態からの1または複数の特徴を、本明細書で開示されている1または複数の他の実施形態からの1または複数の特徴と組み合わせることで、本明細書で明示的に開示されていないが本明細書で暗示的に開示されている別の実施形態を形成することができる。この他の実施形態も、多くの方法で変形されてよい。かかる実施形態の変形例は、本開示からの逸脱と見なされず、すべてのかかる実施形態の変形例および変更例が、本明細書で提供されている開示の範囲内に含まれると意図されている。
【0046】
いくつかの方法工程は、本明細書で具体的な順序で記載されている場合があるが、方法工程の処理が、方法の実施が成功するような方法で実行される限りは、他のハウスキーピング工程が、方法工程の合間に実行されてもよく、および/または、方法工程が、若干異なる時刻または同時に実行されるように調整されてもよく、または、処理に関連する様々な間隔で処理工程が実行されることを許容するシステムに分配されてもよいことを理解されたい。
【0047】
本実施形態は、理解しやすいように、或る程度詳しく説明されているが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更および変形を行ってもよいことは明らかである。したがって、本明細書で開示されている実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、そのため、本明細書に示した詳細のみに限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲および等価物の中で変形されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
【国際調査報告】