(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】非担体添加銅-64の調製のための精製プロセス
(51)【国際特許分類】
G21G 4/08 20060101AFI20230915BHJP
G21G 1/10 20060101ALN20230915BHJP
【FI】
G21G4/08 Z
G21G1/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514725
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 US2021049039
(87)【国際公開番号】W WO2022051608
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516236702
【氏名又は名称】キュリウム ユーエス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】パイプス, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ラドフォード, ローレン
(72)【発明者】
【氏名】ウーラント, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】レグナ, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ブランクホースト, クレイグ
(57)【要約】
高レベルの高比活性銅-64を含む組成物、及び該組成物を調製するためのプロセス。組成物は、約2Ci~約15Ciの銅-64を含み、銅1マイクログラム当たり最大約3800mCiの銅-64の比活性を有する。該組成物を調製するためのプロセスは、ニッケル-64標的を低エネルギーの高電流陽子ビームで照射することと、イオン交換クロマトグラフィーを含むプロセス又は抽出クロマトグラフィーとイオン交換クロマトグラフィーとの組み合わせを含むプロセスによって他の金属から銅-64を精製することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約2Ci~約15Ciの銅-64(
64Cu)を含み、最大約3800mCi
64Cu/μgCuの比活性を有する組成物。
【請求項2】
前記組成物が、単一のサイクロトロン運転から取得される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、約2時間~約4時間の単一のサイクロトロン運転の照射終了(EOB)時に、約2Ci~約5Ciの
64Cuを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、約6時間の単一のサイクロトロン運転の照射終了(EOB)時に、約5Ci~約9Ciの
64Cuを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、約8時間~約12時間の単一のサイクロトロン運転の照射終了(EOB)時に、約4Ci~約15Ciの
64Cuを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約140mCi
64Cu/μgCu~約3800mCi
64Cu/μgCuの比活性を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、約350mCi
64Cu/μgCu~約2300mCi
64Cu/μgCuの比活性を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、約5百万分率(ppm)未満の微量金属の総含有量を有し、前記微量金属が、コバルト、銅、金、鉄、鉛、水銀、ニッケル、及び亜鉛である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、約0.001M~約3Mのモル濃度を有する塩酸(HCl)の溶液を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記HClの前記モル濃度が、約0.05Mである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記
64Cuが、[
64Cu]CuCl
2として存在する、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、前記
64Cuがその中に配位される、キレート剤又は二官能性キレート剤を更に含み、前記キレート剤又は前記二官能性キレート剤が、大環式化合物、架橋大環式化合物、二環式化合物、又は非環式化合物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記二官能性キレート剤が、DOTAである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
ニッケル-64(
64Ni)から銅-64(
64Cu)を調製するためのプロセスであって、
(a)
64Niを含むサイクロトロン標的を陽子ビームで照射して、照射された標的を生成することと、
(b)前記照射された標的を、約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積の塩酸(HCl)で剥離させて、
64Ni、
64Cu、
61Co、及び1つ以上の他の金属を含む剥離液を形成することと、
(c)前記
64Cuを前記剥離液から精製することであって、
(i)イオン交換樹脂を含む第2のカラムに直列で接続された抽出樹脂を含む第1のカラムに前記剥離液を通し、その結果、前記1つ以上の他の金属が、前記第1のカラム内の前記抽出樹脂に結合し、
64Cu及び
61Coが、前記第2のカラム内の前記イオン交換樹脂に結合し、
64Niが、第1のフロースルー画分として前記第1及び第2のカラムを通ることと、
(ii)約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで前記第1及び第2のカラムを洗浄して、残留
64Niを第2のフロースルー画分として溶出させることと、
(iii)約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで前記第2のカラムを洗浄して、
61Coを第1の廃棄物画分として溶出させることと、
(iv)約0.01M~約3Mのモル濃度を有するHCl中の約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積の塩化ナトリウム(NaCl)で前記第2のカラムを洗浄して、残留
61Coを第2の廃棄物画分として溶出させること、又は約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで前記第2のカラムを洗浄して、残留
61Coを第2の廃棄物画分として溶出させることと、
(v)約0.01M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを前記第2のカラムに添加して、
64Cuを含む生成物画分として前記
64Cuを溶出させることと、による、精製することと、を含む、プロセス。
【請求項15】
(a)における前記陽子ビームが、約12MeV~約14MeVのエネルギーを有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
(a)における前記照射が、約1時間~約6時間進行し、前記照射された標的が、照射終了(EOB)時に、約2Ci~約12Ciの
64Cuを含む、請求項14又は15に記載のプロセス。
【請求項17】
(a)における約2時間~約4時間の照射後、前記照射された標的が、EOB時に約2Ci~約5Ciの
64Cuを含む、請求項14又は15に記載のプロセス。
【請求項18】
(a)における約6時間の照射後、前記照射された標的が、EOB時に約5Ci~約9Ciの
64Cuを含む、請求項14又は15に記載のプロセス。
【請求項19】
(a)における約8時間~約12時間の照射後、前記照射された標的が、EOB時に約4Ci~約15Ciの
64Cuを含む、請求項14又は15に記載のプロセス。
【請求項20】
(b)における前記剥離が、前記照射された標的を9MのHClと接触させることを含み、(b)における前記剥離が、約65℃~約100℃の温度で行われる、請求項14~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
(c)(i)における前記第1のカラム内の前記抽出樹脂が、官能基としてトリブチルフォスフェートを含み、(c)(i)における前記第2のカラム内の前記イオン交換樹脂が、官能基として三級アミンを含む、請求項14~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
(c)(ii)における前記洗浄が、9MのHClを含む、請求項14~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記第1及び第2のフロースルー画分が、
64Ni回収画分として組み合わされる、請求項14~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記標的
64Niの少なくとも90%が、前記
64Ni回収画分中で回収される、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
(c)(iii)における前記洗浄が、4MのHClを含み、(c)(iv)における前記洗浄が、0.05MのHCl中の5MのNaClを含むか、又は(c)(iv)における前記洗浄が、4MのHClを含む、請求項14~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記
64Cuが、0.05MのHClで(c)(v)において溶出される、請求項14~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記剥離液中に存在する前記
64Cuの少なくとも80%が、
64Cuを含む前記生成物画分中で回収される、請求項14~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
64Cuを含む前記生成物画分が、約2Ci~約15Ciの
64Cuを含み、最大約3800mCi
64Cu/μgCuの比活性を有する、請求項14~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
64Cuを含む前記生成物画分が、約5ppm未満の微量金属の全含有量を有し、前記微量金属が、コバルト、銅、金、鉄、鉛、水銀、ニッケル、及び亜鉛である、請求項14~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
64Cuを含む前記生成物画分中の前記
64Cuが、[
64Cu]CuCl
2として存在する、請求項14~29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
請求項14~30のいずれか一項に記載のプロセスによって調製された
64Cuを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高レベルの高比活性銅-64を含む組成物、及び該組成物を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
診断用核医学は、単一光子放射断層撮影(SPECT)及び陽電子放射断層撮影(PET)の2つの撮像技術を、多くの場合、コンピュータ断層撮影(CT)又は磁気共鳴撮像(MRI)と組み合わせて使用する。2つの撮像技術のうち、PETは、より高解像度の画像及び定量的な情報を提供する。PETの能力の向上により、この技術を使用して撮像されることが可能な放射性医薬品に対する需要が高まっており、それにより、日常的な臨床使用のためにPETが可能な商業的な量の放射性前駆体の生成が必要とされている。
【0003】
一般的な臨床的に使用されるPET同位体としては、酸素-15(15O)、窒素-13(13N)、炭素-11(11C)、フッ素-18(18F)、及びガリウム-68(68Ga)が挙げられる。しかしながら、これらの同位体の各々は、比較的短い半減期を有し、このことが、過度の放射性崩壊又は薬剤分解が発生する前に、それらをPET撮像デバイスに近接して生成し、それらを撮像剤に組み込むことを必要とする。68Ga用の発生器システムが利用可能であるが、これは取得することが困難であり、1日に調製され得る量の数を大幅に制限する可能性がある。短い半減期の放射性核種の限界に対処するために、比較的長い半減期を有するPET同位体が、新しい診断用PET剤の開発のために研究されている。
【0004】
銅-64(64Cu)は、診断用核医学に使用され得る「非標準同位体」である。これは、PET撮像に対して優れた特性を有する放射性核種である。その平均陽電子エネルギー278.2keVは、高解像度の画像を提供し、その中程度の半減期(12.7時間)は、生成、精製、担体分子(例えば、ペプチド、小分子、抗体など)への組み込み、及び最終使用製品としての医療施設への配布を可能にするのに好適な長さである。
【0005】
商業規模における64Cuの広範な利用可能性のために、大量の64Cu(すなわち、Ci又はGBq量)が、放射性前駆体としての使用のために、高純度で化学的に有用な形態(例えば、64Cu塩化銅)で生成され、単離されなければならない。64Cu塩化銅の調製物は、同位体濃縮ニッケル-64(64Ni)標的から生成され、64Cuは、イオン交換クロマトグラフィーを使用して精製されている。2020年時点の参考文献では、生成された64Cuの最高報告生成量は、照射終了時(EOB)において報告された、1.5Ciである。この量は、患者用量を調製するために十分であるが、製造中(すなわち、製剤化、滅菌、分配、品質制御、包装及び出荷)の崩壊及び収率損失を考慮に入れると、-1.5 CiのEOB時の64Cuは、最良のケースシナリオで50回の患者用量をもたらし得る(平均患者用量が4mCi、製造及び出荷のために32時間、及び15%の収率損失を想定)。理論上の患者用量の数は、利用可能な量の64Cu塩化銅前駆体を増加させることによって著しく改善され得る。64Cuは、高純度の化学物質と放射性核種でなければならない。
【0006】
64Cu塩化銅の比活性(すなわち、総Cuの質量当たりの64Cuの活性)は、その化学純度の指標であり、多くの場合、mCi/μg又はCi/mmolの単位で表される。2020年時点の参考文献では、精製された64Cu塩化銅の最高報告比活性は、348mCi/μgCuであった。これは放射性標識には十分であるが、比活性における改善が、放射性前駆体の純度及び反応性を改善し得、それによって、放射性標識された医薬品の生成に必要な担体分子の必要量を減少させる。これは、患者の安全性に対して影響を及ぼし、放射性医薬品の診断能力を高める可能性がある。64Cuの比活性における改善は、生成された放射性前駆体の量を増加させること、微量金属汚染物質の混入の可能性を制限すること、及び堅牢な精製プロセスを作成することによって成され得る。
【0007】
64Cuが広く利用可能である場合、既存のPETセンターの機能を強化し、また施設内68Ge/68Ga発生器を有しない、及び/又は局所的なサイクロトロンに依存しない医療センターでPET研究を実施することも可能になる。本明細書において説明されるのは、改善された化学的及び放射性核種の純度、並びにPET及び医療センターの商業的臨床的ニーズを供給するのに好ましい比活性を有する精製された64Cuを作製する方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の様々な態様の中には、高純度かつ高比活性を有する高レベルの64Cuを含む組成物、及び該組成物を調製するためのプロセスがある。
【0009】
本開示の一態様は、照射終了(EOB)時、約2Ci~約15Ciの64Cuを含む組成物を提供する。組成物は、1回のサイクロトロン運転中に単一の標的から取得される。組成物は、最大約3800mCi64Cu/μgCuの比活性を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、64Cuが、[64Cu]CuCl2として存在するように、塩酸の溶液を含む。
【0010】
本開示の更なる態様は、64Niから64Cuを調製するためのプロセスを包含する。プロセスは、(a)64Niを含むサイクロトロン標的を陽子ビームで照射して、照射された標的を生成することと、(b)約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで照射された標的を剥離させて、64Ni及び64Cuを含む剥離液を形成することと、(c)イオン交換クロマトグラフィーによって剥離液から64Cuを精製することであって、イオン交換クロマトグラフィーは、(i)64Cuが、イオン交換樹脂に結合し、64Niが、フロースルーとしてカラムを通るように、剥離液を、イオン交換樹脂を含むカラムに通すことと、(ii)約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIでカラムを洗浄することと、(iii)約0.5M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを添加して、64Cuをイオン交換樹脂から溶出させ、64Cuを含む溶出物を収集することと、を含む、精製することと、を含む。
【0011】
本開示の別の態様は、64Niから64Cuを調製するための追加のプロセスを包含し、64Cuは、抽出クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせによって精製される。プロセスは、(a)64Niを含むサイクロトロン標的を陽子ビームで照射して、照射された標的を生成することと、(b)約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで照射された標的を剥離させて、64Ni、64Cu、61Co、及び他の金属を含む剥離液を形成することと、(c)クロマトグラフィーによって剥離液から64Cuを精製することであって、クロマトグラフィーは、(i)イオン交換樹脂を含む第2のカラムに直列で接続された抽出樹脂を含む第1のカラムに剥離液を通し、その結果、1つ以上の他の金属が、第1のカラム内の抽出樹脂に結合し、64Cu及び61Coが第2のカラム内のイオン交換樹脂に結合し、64Niが、第1のフロースルー画分として両方のカラムを通ることを含む、精製することと、を含む。プロセスは、(ii)第1及び第2のカラムを、約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで洗浄して、第2のフロースルー画分として残留64Niを取り出すことと、(iii)第2のカラムを、約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで洗浄して、第1の廃棄物画分として61Coを溶出させることと、(iv)約0.01M~約3Mのモル濃度を有するHCl中の約3M~6Mのモル濃度を有する、ある体積のNaClで、又は約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで、第2のカラムを洗浄して、第2の廃棄物画分として残留61Coを溶出させることと、(v)約0.01M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを第2のカラムに添加して、64Cuを含む生成物画分として64Cuを溶出させることと、を更に含む。
【0012】
本開示の他の態様及び反復は、以下に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】イオン交換クロマトグラフィーを含む精製プロセスの概略図を示す。
【
図2A】抽出クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせを含む、精製プロセスの様々な実施形態を提示する。
【
図3】陽子ビーム半径の関数としての陽子エネルギーの描画である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
高レベルの高比活性64Cuを含む組成物、及び該組成物を調製するためのプロセスが本明細書において提供される。本明細書に開示されるプロセスは、1回の連続的なサイクロトロン照射(すなわち、サイクロトロン運転)中に、単一の標的から高レベルの64Cuを生成することができる。これらのプロセスによって生成される64Cuは、高い比活性、並びに高い化学的及び放射性核種の純度を有する。好ましくは、本明細書に開示されるプロセスによって生成される64Cu組成物はまた、コバルト、鉄、ニッケル、及び鉛などの低レベルの金属不純物を有する。
【0015】
(I)組成物
本明細書において開示された64Cu組成物は、高レベルの高比活性64Cuを含む。概して、64Cu組成物は、最大約15Ciの64Cuを含み、最大約3800mCi64Cu/μgCuの比活性を有する。64Cu組成物は、セクション(II)及び(III)において以下で説明されるプロセスによって調製され得る。
【0016】
64Cu活性(Ci又はBq)は、ガンマ分光法(例えば、高純度ゲルマニウム(HPGe)検出器)、用量較正器、又は同様の手段によって測定され得る。比活性(mCi64Cu/μgCu)は、誘導結合プラズマ光学発光分光法(ICP-OES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、又は滴定を含む様々な方法によってCuの質量を測定することによって判定され得る。
【0017】
概して、本明細書に開示される組成物は、照射終了(EOB)時、約2Ci~約15Ciの64Cuを含む。64Cuのレベルは、EOB時又は後の時点において判定され得る。当業者は、64Cu活性のレベルが、経時的に低下することを理解する。いくつかの実施形態では、組成物は、約2Ci~約3Ci、約3Ci~約4Ci、約4Ci~約5Ci、約5Ci~約6Ci、約6Ci~約7Ci、約7Ci~約8Ci、約8Ci~約9Ci、約9Ci~約10Ci、約10Ci~約11Ci、約11Ci~約12Ci、約12~約13Ci、約13~約14、又は約14~約15Ciの64Cuを含み得る。他の実施形態では、組成物は、約4.0~4.5Ci、約4.5~5.0Ci、約5.0~5.5Ci、約5.5~6.0Ci、約6.0~6.5Ci、約6.5~7.0Ci、約7.0~7.5Ci、約7.5~8.0Ci、約8.0~8.5Ci、約8.5~9.0Ci、約9.0~12.0、約12.0~15.0、約4.0~5.5Ci、約5.5~7.0Ci、約6.0~7.5Ci、約7.0~8.5Ci、約7.5~9.0Ci、又は約9.0~15.0Ciの64Cuを含み得る。
【0018】
他の実施形態では、組成物は、EOB時に約2Ci~約5Ciの64Cu、EOB時に約5Ci~約9Ciの64Cu、又はEOB時に約9Ci~約15Ciを含み得る。更なる実施形態では、組成物は、約2~4時間の照射後(EOB時)約2Ci~約5Ciの64Cu、又は約6時間の照射後(EOB時)約5Ci~約9Ciの64Cu、又は約8~12時間の照射後(EOB時)約4Ci~約15Ciの64Cuを含み得る。
【0019】
本明細書において開示される組成物の各々は、単一のサイクロトロン運転中に生成され得、及び/又は単一のサイクロトロン照射から取得され得る。
【0020】
本明細書に開示される64Cu組成物の放射性核種純度は、概して、約98.5%超、約99%超、約99.5%超、又は約99.9%超である(照射の翌日の午前6時に参照)。
【0021】
本明細書に開示される組成物中の64Cuの比活性は、EOB時に約3800mCi64Cu/μgCuと同じ高さであり得る。当業者は、組成物の比活性が経時的に減少することを理解する。様々な実施形態では、比活性は、約100mCi64Cu/μgCu~約500mCi64Cu/μgCu、約500mCi64Cu/μgCu~約1000mCi64Cu/μgCu、約1000mCi64Cu/μgCu~約1500mCi64Cu/μgCu、約1500mCi64Cu/μgCu~約2500mCi64Cu/μgCu、約2500mCi64Cu/μgCu~約3000mCi64Cu/μgCu、又は約3000mCi64Cu/μgCu~約3800mCi64Cu/μgCuの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、比活性は、約35064Cu/μgCu~約2300mCi64Cu/μgCuの範囲であり得る。更なる実施形態では、比活性は、EOB時に約35064Cu/μgCu~約500mCi64Cu/μgCu、EOB時に約50064Cu/μgCu~約1000mCi64Cu/μgCu、又はEOB時に約100064Cu/μgCu~約2300mCi64Cu/μgCuの範囲であり得る。
【0022】
概して、本明細書において開示される64Cu組成物は、低レベルの金属汚染物質を含む。金属汚染物質は、放射性又は非放射性であり得る。金属汚染物質としては、カルシウム、コバルト、銅、金、鉄、鉛、水銀、ニッケル、及び亜鉛が挙げられ得る。例えば、以下の実施例5において説明された2MのHCl溶出物は、0ppmのAu、0ppmのHg、<0.02ppmのCo、<0.2ppmのFe、<0.4ppmのPb、<0.5ppmのNi、<0.6ppmのCu、及び<1.5ppmのZnを含む。概して、本明細書に開示される64Cu組成物は、合計で約6ppm未満、合計で約5ppm未満、合計で約4ppm未満、又は合計で約3ppm未満のコバルト、銅、金、鉄、鉛、水銀、ニッケル、及び亜鉛を含む。
【0023】
本明細書に開示される64Cu組成物は、溶液が[64Cu]CuCl2を含むように、塩酸(HCl)の溶液を含み得る。HClの溶液は、約0.005M~約3.0MのHClを含んでよい。いくつかの実施形態では、HClの溶液は、約0.01M~約2.0M、約0.02M~約1.0M、又は0.04M~約0.06Mのモル濃度においてHClを含み得る。特定の実施形態では、64Cu組成物は、約0.05MのHClの溶液を含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、銅が二官能性キレート剤と複合体化し得るように、少なくとも1つの二官能性キレート剤を更に含み得る。二官能性キレート剤は、大環式化合物、架橋大環式化合物、二環式化合物、又は非環式化合物であり得る。好適な二官能性キレート剤としては、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラ酢酸(DOTA)、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリアセチン酸(NOTA)、1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラ酢酸(TETA)、5-(8-メチル-3,6,10,13,16,19-ヘキサアザ-ビシクロ[6.6.6]イコサン-1-イルアミノ)-5-オキソペンタン酸(MeCOSar)、5-((8-アミノ-3,6,10,13,16,19-ヘキサアザビシクロ(6.6.6)エイコス-1-イル)アミノ)-5-オキソペンタン酸(sar-CO2H)、ジ及びトリメチルチアゾリル1,4,7-トリアザシクロノナン(TACN)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、3,6,9,15-テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンダデカ-1(15),11,13-トリエン-3,6,9-トリ酢酸(PCTA)、類似体、又はその誘導体が挙げられる。特定の実施形態では、二官能性キレート剤は、DOTAであり得る。二官能性キレート剤は、ペプチド、タンパク質、抗体、又はその断片などの細胞標的化剤に連結され得る。
【0025】
(II)銅-64を生成するためのプロセス-イオン交換クロマトグラフィーによる精製
本明細書において、64Niから64Cuを調製するためのプロセスもまた提供され、64Cuは、高い比活性、高い化学純度、及び高い放射性核種純度を有する。64Ni核が陽子を捕捉し、次いで次の反応、64Ni+p→64Cu+nに示されるように中性子を放出するとき、64Cuが形成される。64Cuの陽子励起生成は、サイクロトロンにおいて発生する。本明細書において開示されるプロセスは、生成プロセス中に非活性材料又は担体が意図的に添加されないという点で、「非担体添加」である。
【0026】
本明細書において開示されるプロセスは、1回のサイクロトロン運転において高収率かつ高比活性で64Cuを生成することができる。別の言い方をすれば、64Cuを含む高収率及び高比活性組成物は、1回のサイクロトロン運転中に単一のサイクロトロン標的から取得可能である。様々なパラメータに応じて、本明細書において開示されるプロセスを使用して、約40Ciの64Cuと同じような高収率が達成され得る。
【0027】
生成プロセスは、
64Ni標的を陽子ビームで照射し、その結果
64Cuが生成され、コバルト-61(
61Co)が副産物として生成される。プロセスの次の工程は、強酸(例えば、6M~約12.1MのHCl)で照射された標的から金属を剥離させて、剥離液を形成することを含む。生成プロセスの最後の工程は、イオン交換クロマトグラフィーによって
64Cuを精製することを含む。イオン交換クロマトグラフィープロセスは、(i)
64Cuが、イオン交換樹脂に結合し、
64Niが、フロースルーとしてカラムを通るように、イオン交換樹脂を含むカラムに剥離液を通すことと、(ii)約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIでカラムを洗浄することと、(iii)約0.5M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIをカラムに添加して、イオン交換樹脂から
64Cuを溶出させ、
64Cuを含む溶出物を収集することと、を含む。
図1は、プロセスの反復の概略図を提示する。
【0028】
(a)標的の照射
64Ni標的を介した64Cuの陽子励起生成は、サイクロトロンにおいて発生する。好適なサイクロトロンとしては、低エネルギーサイクロトロン(例えば、3~20MeVのエネルギー範囲)及び中エネルギーサイクロトロン(例えば、15~30MeVの範囲)が挙げられる。該サイクロトロンの標的は、湾曲されるか又は平坦であり得る。以下の実施例3に詳述されるように、本開示は、サイクロトロン標的が、およそ12MeV~13MeVの陽子を有する高電流で照射され得ることを明らかにする。
【0029】
サイクロトロン標的は、約50μmの厚さまで金で電気めっきされた銅ベース層を含み得る。次いで、金めっきされたサイクロトロン標的は、濃縮された64Niでめっきされ得る。64Niは、約98%、約99%、約99.6%、又は約99.9%の64Niに濃縮され得る。濃縮64Niの標的質量は、約40mg~約60mg、約45mg~約55mg、約48mg~約52mg、又は約50mgの範囲であり得る。めっき面積は、約3.0cm2~約5.0cm2、約3.2cm2~約4.8cm2、約3.6cm2~約4.4cm2、約3.8cm2~約4.2cm2、又は4.0cm2の範囲であり得る。64Niのめっき層は、約8μm~約20μm、約10μm~約18μm、約12μm~約16μm、又は約14μmの厚さを有し得る。
【0030】
本明細書で開示されるプロセスでは、64Ni標的面積は、64Cuを生成するために低エネルギー陽子で照射される。概して、サイクロトロンの陽子ビームは、標的に対して約20MeV未満のエネルギーを有するように調整される。いくつかの実施形態では、標的における陽子ビームのエネルギーは、約5MeV~約20MeV、約7MeV~約17MeV、約10MeV~約15MeV、約11MeV~約14MeV、約10MeV~約14MeV、約11MeV~約12MeV、又は約12MeV~約13MeVの範囲であり得る。特定の実施形態では、標的における実際の陽子ビームエネルギーは、約12MeVである。
【0031】
陽子ビームの電流は、最大約250μAの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、陽子ビームの電流は、約10μA~約30μA、約30μA~約100μA、約100μA~約175μA、又は約175μA~約250μAの範囲であり得る。特定の実施形態では、陽子ビームの電流は、約190μA~約230μA、又は約200μA~約225μAの範囲であり得る。
【0032】
陽子ビームは、ある角度で標的面積に当たる。いくつかの実施形態では、陽子ビームの角度は、約1°~約20°、約2°~約10°、2°~約8°、約3°~約6°、又は約4°の範囲であり得る。他の実施形態では、陽子ビームの角度は、標的領域に対して接線方向であり得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、陽子ビームの標的半径は、約24cm~約32cm、約26cm~約30cm、約27cm~約29cm、又は約28cmの範囲であり得る。ある実施形態では、陽子ビームの標的半径は、約27.9cmであり得る。いくつかの実施形態では、陽子ビームは、標的面全体の約20~25%、約15~30%、又は約10~35%と衝突し得る。他の実施形態では、ビームによって覆われる総面積は、約1cm2~約16cm2、約2cm2~約8cm2、約3cm2~約6cm2、又は約3.5cm2~約4.5cm2の範囲であり得る。更に他の実施形態では、ビームによって覆われる総面積は、約3.0cm2、約3.5cm2、約4.0cm2、約4.5cm2、約5.0cm2、又は約6.0cm2であり得る。
【0034】
照射時間は、約0.5時間~約24時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、照射時間は、0.5時間~約8時間、約8時間~約16時間、又は約16時間~約24時間の範囲であり得る。他の実施形態では、照射時間は、1時間~約8時間、約2時間~約8時間、約4時間~約8時間、約5時間~約8時間、又は約5時間~約7時間の範囲であり得る。ある実施形態では、照射時間は、約1時間~約6時間、約2時間~約6時間、約3時間~約6時間、約4時間~約6時間、又は約5時間~約6時間の範囲であり得る。他の実施形態では、照射時間は、8時間未満、7.5時間未満、7時間未満、6.5時間未満、6時間未満、5.5時間未満、5.0時間未満、4.5時間未満、又は4時間未満であり得る。更なる実施形態では、照射時間は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、又は約8時間であり得る。特定の実施形態では、照射時間は、約2時間~約4時間の範囲であり得、又は照射時間は、約6時間であり得る。
【0035】
特定の実施形態では、50mgの64Niを含むサイクロトロン標的は、約12MeVのエネルギー及び200μA又は225μAのビーム電流を有する陽子ビームで約1時間、2時間、3時間、4時間、又は6時間照射される。
【0036】
照射された標的は、照射終了(EOB)時、約2Ci~約15Ciの64Cuを含み得る。照射された標的はまた、照射プロセス中にも生成される未反応の64Ni及び61Coを含む。様々な実施形態では、照射された標的は、約2Ci~約3Ci、約3Ci~約4Ci、約4Ci~約5Ci、約5Ci~約6Ci、約6Ci~約7Ci、約7Ci~約8Ci、約8Ci~約9Ciの64Cu、約9Ci~約10Ci、約10Ci~約11Ci、約11Ci~約12Ci、約12~約13Ci、約13~約14Ci、又は約14~約15Ciの64Cuを含み得る。概して、より長い照射時間は、より高いレベルの64Cuをもたらす。例えば、約2時間~約4時間の照射時間は、EOB時に約2Ci~約5Ciの64Cuをもたらし、約6時間の照射時間は、EOB時に約5Ci~約9Ciの64Cuをもたらし、約12時間の照射時間は、EOB時に約7Ci~約15Ciの64Cuをもたらし得る。概して、本明細書において開示されるプロセスは、約1Ci/時間~約1.5Ci/時間の照射を、約12MeVのエネルギー及び最大約225μAの電流を有する陽子ビームで生成し得る。
【0037】
(b)照射された標的の剥離
プロセスの次の工程は、64Ni、64Cu、61Co、及び他の金属を照射された標的から剥離させることを含む。金属は、1未満のpKaを有する強酸で標的から剥離される。好適な強酸としては、塩酸、硝酸、臭化水素酸、及び硫酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、照射された標的は、約6M~約12.1Mのモル濃度を有するHCl(濃縮HCl)で剥離される。例えば、照射された標的は、約6MのHCl、約7MのHCl、約8MのHCl、約9MのHCl、約10MのHCl、約11MのHCl、又は約12.1MのHClで剥離され得る。特定の実施形態では、照射された標的は、約9MのHClで剥離される。
【0038】
剥離は、照射された標的を含むチャンバ又は保持容器にある体積の強酸を添加することを含み得、標的は、約65℃~約100℃の温度に加熱される。特定の実施形態では、剥離は、約75℃の温度で行われる。約3~5分後、酸が取り出され、第1の剥離液として保存され得る。標的は、強酸と更に数回接触させられ、得られた溶液は、第1の剥離液と組み合わせることができる。次いで、標的を保持するチャンバは、強酸で洗浄され、洗浄液は、最終的な剥離液からの剥離液と組み合わせることができる。特定の実施形態では、照射した標的は、約3mLの強酸(例えば、9MのHCl)に3回曝露されて、およそ9mLの剥離液を生成し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、剥離液は、乾燥状態又は少量まで蒸発し得、残渣は、カラムクロマトグラフィーのための所望のモル濃度(例えば、9M)のHCl中で再構成され得る。
【0040】
特定の実施形態では、剥離することは、照射された標的を、約65℃~約100℃の温度で、9MのHClのいくつかのアリコートと接触させることと、アリコートを剥離液として収集することと、を含む。照射された標的を保持するチャンバは、9MのHClで洗浄され、洗浄液は、剥離液と組み合わされ得る。
【0041】
(c)イオン交換クロマトグラフィーによる64Cuの精製
このプロセスは、イオン交換クロマトグラフィーによって、剥離液中の他の金属から64Cuを単離することを更に含む。概して、イオン交換クロマトグラフィーは、強アニオン交換樹脂を利用する。強アニオン交換樹脂は、概して、四級アンモニウム基を含む。例えば、強アニオン交換樹脂は、塩化トリアルキルアンモニウム(例えば、トリアルキルベンジルアンモニウム又はトリメチルベンジルアンモニウム)表面基、又は塩化ジアルキル2-ヒドロキシエチルアンモニウム(例えば、ジメチル-2-ヒドロキシエチルベンジルアンモニウム)表面基を含み得る。トリメチルベンジルアンモニウム基を含む好適な強アニオン交換樹脂の例としては、AG(登録商標)1-X8(Bio-Radから入手可能)及びDowex(登録商標)1×8樹脂が挙げられる。特定の実施形態では、強アニオン交換樹脂は、AG(登録商標)1-X8、100-200メッシュ、塩化物形態であり得る。
【0042】
様々なカラムサイズ及び床体積が、剥離液中の他の金属から64Cuを精製するために使用され得る。このプロセスは、約1cmの内径を有するカラム中の約4.5gの強アニオンイオン交換樹脂を使用して、約50mgの64Ni標的材料から生成された64Cuを効果的に単離するために開発された。本開示の範囲から逸脱することなく、強アニオン交換樹脂の量は、約4.0g~約5.0gの範囲であり得、カラムの内径は、約0.7cm~約1.25cmの範囲であり得ることが理解される。同様に、カラムを通る溶出物の体積は、カラムのサイズ及び体積、並びに/又は64Ni標的材料の量に応じて変化し得る。概して、イオン交換カラムは、クロマトグラフィープロセスの前に、HCl(例えば、9MのHCl)で平衡化される。
【0043】
(i)64Niの取り出し
イオン交換分離プロセスは、剥離液を調製したイオン交換カラム、並びに保持容器を洗浄するために使用される追加の1mLの9MのHClに通すことを含む。剥離液は、複数のより小さいアリコート(例えば、3×3mL、2×4.5mLなど)内に添加され得るか、又は剥離液は、一度に全て添加され得る。剥離液中のNiは、強アニオン交換樹脂に結合せず、カラムを通り、一方でCu及びCo並びに他の金属は、強アニオン交換樹脂に結合する。カラムフロースルーは、Ni回収画分として収集され得る。カラムは、カラムから任意の残留Niを完全に取り出すために、剥離液と同じモル濃度を有する追加の体積のHCIで洗浄され得る。例えば、カラムは、約10mLの9MのHClで洗浄され得る。10mLが、複数のより小さいアリコート(例えば、5×2mL、3×3.333mLなど)内に添加され得るか、又は10mLが、一度に全て添加され得る。洗浄液からのカラムフロースルーが回収され、元のNi回収画分と組み合わされ得る。組み合わされたNi回収画分は、64Niを回収するために更に処理されてもよく、次いで、リサイクルされ、追加のサイクロトロン標的をめっきするために使用されてもよい。ニッケル回収プロセスは、当業者に周知である。平均して、剥離液中に存在する標的64Niの約82%が、Ni回収画分から回収され得る。様々な実施形態では、回収画分中で回収された64Niのパーセンテージは、開始64Niの約40%~約99%の範囲であり得る。
【0044】
(ii)61Coの取り出し
イオン交換精製プロセスは、イオン交換カラムに約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを添加して、61Coを溶出させることを更に含む。様々な実施形態では、ある体積の3MのHCl、4MのHCl、5MのHCl、又は6MのHCIが、イオン交換カラムに添加され得る。特定の実施形態では、ある体積の4MのHCIが、イオン交換カラムに添加され得る。例えば、約10mLの4MのHClが、カラムに添加され得る。溶出物は、より小さいアリコート(例えば、5×2mL、3×3.33mLなど)内に、又はボーラスとして添加され得る。カラム溶出物は、主に61Coを含む廃棄物画分として回収され得る。
【0045】
(iii)64Cuの単離
精製プロセスは、イオン交換カラムに約0.5M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを添加して、64Cuを溶出させることを更に含む。ある実施形態では、ある体積の0.5のHCl、1MのHCl、2MのHCl、又は3MのHClが、イオン交換カラムに添加され得る。特定の実施形態では、64Cuは、ある体積の2MのHCIでイオン交換カラムから溶出され得る。例えば、約8mL~約20mLの2MのHClが、カラムに添加され得る。溶出物は、より小さいアリコート(例えば、4×2mL、4×5mL等)内に、又はボーラスとして添加され得る。64Cuを含む溶出物は、プロセスの生成物として回収される。平均して、剥離液中に存在する64Cuの約80%が、64Cuを含む溶出物中で回収され得る。様々な実施形態では、64Cuを含む溶出物中で回収された64Cuのパーセンテージは、約60%~約100%の範囲であり得る。溶出物中の64Cuは、[64Cu]CuCl2として存在する。
【0046】
64Cuを含む最終溶出物は、乾燥状態(又はより小さい体積)まで蒸発され得、得られた残渣は、約0.001M~約1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCI中で再構成され得る。様々な実施形態では、残渣は、約0.005M~約0.5M、約0.010M~約0.2M、約0.025M~約0.1M、又は約0.04M~約0.06Mのモル濃度を有するHCl中で再構成され得る。具体的な実施形態では、残渣は、0.05MのHCl中で再構成されて、64Cuを含む最終生成物を形成し得る。
【0047】
本明細書において開示されたプロセスによって調製される64Cu組成物は、上記のセクション(I)において説明される。
【0048】
(iv)例示的なイオン交換クロマトグラフィー精製プロセス
9MのHCl剥離液は、イオン交換カラムを通り、64Cu及び61Coは、樹脂に結合し、64Niは、カラムを通って流れる。カラムは、残留64Niを取り出すために9MのHClで洗浄される。初期カラムフロースルー及び9MのHCL洗浄液は、Ni回収画分として組み合わされ得る。カラムは、4MのHClで洗浄されて、廃棄物画分である、61Coを溶出させる。最後に、64Cuは、2MのHClでカラムから溶出される。
【0049】
(III)銅-64を生成するためのプロセス-抽出クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーによる精製
本開示の別の態様は、抽出クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせによって、剥離液中の他の金属から
64Cuを精製するための追加のプロセスを包含する。プロセスは、(a)
64Niを含むサイクロトロン標的を陽子ビームで照射して、照射された標的を生成することと、(b)約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで照射された標的を剥離させて、
64Ni、
64Cu、
61Co、及び他の金属を含む剥離液を形成することと、(c)クロマトグラフィーによって剥離液から
64Cuを精製することであって、クロマトグラフィーは、(i)イオン交換樹脂を含む第2のカラムに直列で接続された抽出樹脂を含む第1のカラムに剥離液を通し、その結果、1つ以上の金属(例えば、カチオン鉄)が、第1のカラム内の抽出樹脂に結合し、
64Cu及び
61Coが、第2のカラム内のイオン交換樹脂に結合し、
64Niが、第1のフロースルー画分として両方のカラムを通ることと、(ii)約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで第1及び第2のカラムを洗浄して、残留
64Niを第2のフロースルー画分として取り出すことと、(iii)約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで第2のカラムを洗浄して、第1の廃棄物画分として
61Coを溶出させることと、(iv)約0.01M~約3Mのモル濃度を有するHCI中の約3M~6Mのモル濃度を有する、ある体積のNaClで第2のカラムを洗浄して、第2の廃棄物画分として残留
61Coを溶出させることか、又は約3M~約6Mのモル濃度を有する追加の体積のHCIで第2のカラムを洗浄して、第2の廃棄物画分として
61Coを溶出させることと、(v)約0.01M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを第2のカラムに添加して、
64Cuを含む生成物画分として
64Cuを溶出させることと、を含む、精製することと、を含む。
図2A、
図2B、及び
図2Cは、デュアルクロマトグラフィー精製プロセスの概略図又はいくつかの実施形態を提示する。
【0050】
(a)標的の照射
好適なサイクロトロン及びサイクロトロン標的は、上記セクション(II)(a)において説明される。サイクロトロン標的は、約50μmの厚さまで金で電気めっきされた銅ベース層を含み得る。次いで、金メッキされたサイクロトロン標的は、濃縮された64Niでメッキされ得る。64Niは、約98%、約99%、約99.6%、又は約99.9%の64Niに濃縮され得る。濃縮64Niの標的質量は、約675mg~約825mg、約700mg~約800mg、約720mg~約780mg、又は約750mgの範囲であり得る。めっき面積は、約17.3cm2~約28.8cm2、約18.4cm2~約27.6cm2、約20.7cm2~約25.3cm2、約21.8cm2~約24.2cm2、約22.0cm2~約24.0cm2、又は約23.0cm2の範囲であり得る。64Niのめっき層は、約21μm~約53μm、約26μm~約48μm、約32μm~約42μm、又は約37μmの厚さを有し得る。
【0051】
本明細書で開示されるプロセスでは、64Ni標的面積は、64Cuを生成するために低エネルギー陽子で照射される。概して、サイクロトロンの陽子ビームは、標的に対して約20MeV未満のエネルギーを有するように調整される。いくつかの実施形態では、標的における陽子ビームのエネルギーは、約5MeV~約20MeV、約7MeV~約18MeV、約9MeV~約16MeV、約10MeV~約15MeV、約11MeV~約14MeV、約12MeV~約13MeV、又は約12MeV~約14MeVの範囲であり得る。特定の実施形態では、標的における実際の陽子ビームエネルギーは、約12MeVである。
【0052】
陽子ビームの電流は、最大約408μAの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、陽子ビームの電流は、約100μA~約150μA、約150μA~約200μA、約200μA~約250μA、約250μA~約300μA、約300μA~約350μA、又は約350μA~約410μA、約405μA~約410μA、又は約408μAの範囲であり得る。特定の実施形態では、陽子ビームの電流は、約325μA~約375μA、又は約350μA~約408μAの範囲であり得る。
【0053】
陽子ビームは、ある角度で標的面積に当たる。いくつかの実施形態では、陽子ビームの角度は、約1°~約20°、約2°~約10°、2°~約8°、約3°~約6°、又は約5°の範囲であり得る。他の実施形態では、陽子ビームの角度は、標的領域に対して接線方向であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、ビーム衝突は、短軸及び長軸を有する楕円形状を有する。短軸は、約25.8mm~約34.2mm、約27.9mm~約32.1mm、約28.8mm~約31.2mm、又は約30.0mmの範囲であり得る。長軸は、約84.4mm~約63.6mm、約79.2mm~約68.8mm、約77.0mm~約71.0mm、又は約74.0mmの範囲であり得る。ある実施形態では、楕円ビーム衝突の短軸及び長軸は、それぞれ約30.0mm及び74.0mmであり得る。いくつかの実施形態では、陽子ビームは、標的面全体の約70~80%、約60~90%、又は約55~95%に衝突し得る。他の実施形態では、ビームによって覆われる総面積は、約14.0cm2~約30.0cm2、約28.0cm2~約16.0cm2、約26.0cm2~約18.0cm2、又は約25.0cm2~約20.0cm2、又は23.0cm2の範囲であり得る。
【0055】
照射時間は、約0.5時間~約24時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、照射時間は、0.5時間~約8時間、約8時間~約20時間、又は約20時間~約24時間の範囲であり得る。他の実施形態では、照射時間は、1時間~約24時間、約2時間~約24時間、約4時間~約24時間、約5時間~約24時間、又は約5時間~約23時間の範囲であり得る。ある実施形態では、照射時間は、約1時間~約19時間、約2時間~約19時間、約3時間~約19時間、約4時間~約19時間、又は約5時間~約19時間の範囲であり得る。他の実施形態では、照射時間は、19時間未満、18時間未満、17.5時間未満、17時間未満、16.5時間未満、16時間未満、15.5時間未満、又は15時間未満であり得る。更なる実施形態では、照射時間は、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、又は約15時間であり得る。特定の実施形態では、照射時間は、約1時間~約12時間の範囲であり得、又は照射時間は、約12時間であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、約750mgの64Niを含む標的は、約12MeV~約14MeVのエネルギー、及び約350μA~約408μAのビーム電流を有する陽子ビームで、約10時間、12時間、14時間、16時間、又は19時間照射され得る。特定の実施形態では、各々約750mgの64Niを含む2つの標的は、約12MeV~約14MeVのエネルギー、及び約350μA~約408μAの、各標的に入射したビーム電流を有する陽子ビームで、約10時間、12時間、14時間、又は19時間、同時に照射され得る。
【0057】
照射された標的は、照射終了(EOB)時、約58Ci~約80Ciの64Cuを含み得る。照射された標的はまた、照射プロセス中に生成される、未反応の64Ni及び61Coを含む。様々な実施形態では、照射された標的は、約38Ci~約52Ci、約43Ci~約59Ci、約48Ci~約66Ci、約52Ci~約72Ci、約56Ci~約77Ci、又は約58Ci~約80Ciの64Cuを含み得る。概して、より長い照射時間は、より高いレベルの64Cuをもたらす。例えば、約12時間~約16時間の照射時間は、EOB時に約43Ci~約72Ciの64Cuをもたらし得、約19時間の照射時間は、EOB時に約58Ci~約80Ciの64Cuをもたらし得る。概して、本明細書において開示されるプロセスは、約3.3Ci/時間~約3.8Ci/時間の照射を、約13MeVのエネルギー及び約350μA又は約408μAの電流を有する陽子ビームで生成し得る。
【0058】
(b)照射された標的の剥離
プロセスの次の工程は、照射された標的から金属を剥離することを含む。金属は、1未満のpKaを有する強酸で標的から剥離される。好適な強酸としては、塩酸、硝酸、臭化水素酸、及び硫酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、照射された標的は、約6M~約12.1Mのモル濃度を有するHClで剥離される。例えば、照射された標的は、約6MのHCl、約7MのHCl、約8MのHCl、約9MのHCl、約10MのHCl、約11MのHCl、又は約12.1MのHClで剥離され得る。特定の実施形態では、照射された標的は、約9MのHClで剥離される。
【0059】
剥離は、照射された標的を含むチャンバ又は保持容器にある体積の強酸を添加することを含み得、標的は、約65℃~約100℃の温度に加熱される。特定の実施形態では、剥離は、約75℃の温度で行われる。約3~5分後、酸が取り出され、第1の剥離液として保存され得る。標的は、強酸と更に数回接触させられ、得られた溶液は、第1の剥離液と組み合わせることができる。次いで、標的を保持するチャンバは、強酸で洗浄され、洗浄液は、最終的な剥離液からの剥離液と組み合わせることができる。特定の実施形態では、照射された標的及び保持チャンバは、強酸(例えば、HCl)のアリコート(例えば、5~10mL)と数回接触させて、およそ20mL~40mLの最終剥離液を生成し得る。
【0060】
特定の実施形態では、剥離することは、照射された標的を、約65℃~約100℃の温度で、9MのHClのいくつかのアリコートと接触させることと、アリコートを剥離液として収集することと、を含む。照射された標的を保持するチャンバは、9MのHClで洗浄され、洗浄液は、剥離液と組み合わされ得る。剥離液は、64Ni、64Cu、61Coを含み、他の金属(例えば、Fe)を含有することができる。
【0061】
(c)抽出クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーによる64Cuの精製
プロセスの最後の工程は、2つのクロマトグラフィーカラムによって、剥離液中の他の金属から64Cuを精製することを含む。プロセスは、剥離液を直列に接続された2つのカラムに通すことを含み、第1のカラムは、抽出樹脂を含み、第2のカラムは、イオン交換樹脂を含む。
【0062】
抽出クロマトグラフィー樹脂は、概して、ポリマーの細孔構造内に有機錯化化合物又は抽出物を保持するマクロ多孔性ポリマーを含む。好適な抽出クロマトグラフィー抽出剤としては、トリブチルフォスフェート(TBP)、カルバモイル-メチルホスフィンオキシド(CMPO)、ジ-(2-エチルヘキシル)-リン酸(D2EHPA)、及びジペンチル ペンチルフォスフォネート(DP[PP])が挙げられる。いくつかの実施形態では、抽出クロマトグラフィー抽出剤は、CMPO及びTBP(例えば、TRU樹脂;TrisKem)の混合物であり得る。特定の実施形態では、抽出クロマトグラフィー抽出剤は、TBPである。TBPを含有する好適な含浸マクロ多孔性ポリマー(すなわち、樹脂)の一例は、TrisKemTBP樹脂である。特定の実施形態では、抽出樹脂は、TBP樹脂、100~150メッシュ、及び塩化物形態であり得る。
【0063】
イオン交換カラムは、弱アニオン交換樹脂を含む。弱アニオン交換樹脂は、概して、官能基として一級、二級、又は三級アミノ基を含有するポリスチレン又はポリアクリルエステルフレームを含む。好適な弱アニオン官能基としては、ジエチルアミノエチル(DEAE)及びジメチルアミノエチル(DMAE)が挙げられる。三級アンモニウム基を含む好適な弱アニオン交換樹脂の例としては、AmberLite(商標)FPA53(Dupontから入手可能)及びTrisKem TK201樹脂が挙げられる。具体的な実施形態では、弱アニオン交換樹脂は、TK201樹脂、50~100メッシュであり、塩化物形態である。
【0064】
様々なカラムサイズ及び床体積が、剥離液中の他の金属から64Cuを精製するために使用され得る。このプロセスは、直列に接続された抽出樹脂及び弱アニオン交換樹脂を含有する2つの異なるカラムを使用して、約750mgの64Ni標的材料から生成された64Cuを効果的に単離するために開発された。第1のカラムは、0.5cmの内径を有するカラム中に約300mgの抽出樹脂を含む。抽出樹脂の量は、約270mg~約330mgの範囲であり得、カラムの内径は、本開示の範囲から逸脱することなく、約0.4cm~約0.6cmの範囲であり得ることが理解される。第2のカラムは、約1cmの内径を有するカラムにおいて、約2.7gの弱アニオン交換樹脂を使用する。弱アニオン交換樹脂の量は、約2.4g~約3.0gの範囲であり得、カラムの内径は、本開示の範囲から逸脱することなく、約0.7cm~約1.25cmの範囲であり得ることが理解される。同様に、カラムを通る溶出物の体積は、カラムのサイズ及び体積、並びに/又は64Ni標的材料の量に応じて変化し得る。概して、抽出樹脂及びイオン交換樹脂を含有するカラムは、クロマトグラフィープロセスの前に、HCl(例えば、9MのHCl)で平衡化される。
【0065】
(i)カチオン性Fe及び64Niの取り出し
分離プロセスは、調製されたイオン交換カラムに直列に接続された調製された抽出カラムに、剥離液を添加することを含む。このプロセスでは、剥離液体積は、約20mL~約40mLを含む。剥離液は、複数のより小さいアリコート(例えば、4×10mL、2×10mLなど)内に添加され得るか、又は剥離液は、一度に全て添加され得る。剥離液中のFeは、第1のカラム中の抽出剤(例えば、TBP)に結合する。剥離液中のNiは、クロマトグラフィー樹脂に結合せず、両方のカラムを自由に通り、一方でCu及びCo並びに他の金属は、イオン交換カラムに結合する。カラムフロースルー体積は、Ni回収画分として収集され得る。
【0066】
カラムは、カラムから任意の残留Niを完全に取り出すために、剥離液と同じモル濃度を有する追加の体積のHCIで洗浄され得る。例えば、カラムは、約8mL~約10mLの9MのHClで洗浄され得る。例えば、カラムは、約8mLの9MのHClで洗浄され得る。ある体積のHCIは、複数のより小さいアリコート(例えば、4×2mL、2×4mLなど)内に添加され得るか、又はある体積のHCIは、一度に全て添加され得る。9MのHCl洗浄からのカラムフロースルーは、回収され、元のNi回収画分と組み合わされ得る。組み合わされたNi回収画分は、64Niを回収するために更に処理されてもよく、次いで、リサイクルされ、追加のサイクロトロン標的をめっきするために使用されてもよい。ニッケル回収プロセスは、当業者に周知である。平均して、64Cu精製を模倣したトレーサー研究では、模擬剥離液中に存在する標的Niの約98%が、Ni回収画分から回収され得る。様々な実施形態では、回収画分中で回収されたNiのパーセンテージは、開始Niの約40%~約99%の範囲であり得る。
【0067】
(ii)61Coの取り出し
分離プロセスは、約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを、イオン交換樹脂を含む第2のカラムに添加して、61Co(及びCu以外の金属)を溶出させることを更に含む。様々な実施形態では、ある体積の3MのHCl、4MのHCl、5MのHCl、又は6MのHCIが、イオン交換カラムに添加され得る。特定の実施形態では、ある体積(例えば、約10mL~約20mL)の4MのHClが、イオン交換カラムに添加され得る。例えば、約10mLの4MのHClが、イオン交換カラムに添加され得る。溶出物は、より小さいアリコート(例えば、5×2mL、3×3.33mLなど)内に添加され得るか、又は溶出物は、一度に全て添加され得る。イオン交換カラム溶出物は、主に61Coを含む、第1の廃棄物画分として回収され得る。
【0068】
イオン交換カラムは、約0.01M~約3Mのモル濃度を有するHCl中の約3M~6Mのモル濃度を有する追加の体積(例えば、約8mL~約10mL)のNaClで洗浄されて、残留61Coを溶出し得る。特定の実施形態では、0.05MのHCl中のある体積(例えば、8mL)の5MのNaClが、イオン交換カラムに添加され得る。溶出物は、より小さいアリコート(例えば、4×2mL、2×4mLなど)内に添加され得るか、又は溶出物は、一度に全て添加され得る。61Coを含有する5MのNaCl溶出物からのイオン交換カラム溶出物は、回収され、61Coを含有する第1の廃棄物画分と組み合わされ得る。
【0069】
代替的に、イオン交換カラムは、約3M~約6Mのモル濃度を有する追加の体積(例えば、約8mL~約10mL)のHClで洗浄されて、残留61Coを溶出し得る。特定の実施形態では、ある体積(例えば、8mL)の4MのHCIが、イオン交換カラムに添加され得る。溶出物は、より小さいアリコート(例えば、4×2mL、2×4mLなど)内に添加され得るか、又は溶出物は、一度に全て添加され得る。61Coを含有する5MのHCI溶出物からのイオン交換カラム溶出物は、回収され、61Coを含有する第1の廃棄物画分と組み合わされ得る。
【0070】
(iii)64Cuの単離
分離プロセスは、イオン交換カラムに約0.01M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを添加して、64Cuを溶出させることを更に含む。ある実施形態では、ある体積の0.05のHCl、1MのHCl、2MのHCl、又は3MのHClが、イオン交換カラムに添加され得る。特定の実施形態では、64Cuは、ある体積の0.05MのHCIでイオン交換カラムから溶出され得る。例えば、約10mLの0.05MのHClが、イオン交換カラムに添加され得る。溶出物は、より小さいアリコート(例えば、5×2mL、4×2.5mLなど)内に添加され得るか、又は溶出物は、一度に全て添加され得る。64Cuを含む溶出物は、プロセスの生成物として回収される。平均して、64Cu精製を模倣したトレーサー研究では、模擬剥離液中に存在するCuの約89%が、Cuを含む溶出物中で回収され得る。様々な実施形態では、64Cuを含む溶出物中で回収された64Cuのパーセンテージは、約60%~約100%の範囲であり得る。溶出物中の64Cuは、[64Cu]CuCl2として存在する。
【0071】
64Cuを含む最終溶出物は、乾燥状態(又はより小さい体積)まで蒸発され得、得られた残渣は、約0.001M~約1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCI中で再構成され得る。様々な実施形態では、残渣は、約0.005M~約0.5M、約0.010M~約0.2M、約0.025M~約0.1M、又は約0.04M~約0.06Mのモル濃度を有するHCl中で再構成され得る。具体的な実施形態では、残渣は、0.05MのHCl中で再構成されて、64Cuを含む最終生成物を形成し得る。
【0072】
このプロセスによって調製される64Cu組成物は、上記のセクション(I)において説明される。
【0073】
(iv)例示的な抽出及びイオン交換クロマトグラフィー精製プロセス
9MのHCl剥離液は、弱アニオン交換樹脂を含む第2のカラムと直列に接続された、抽出樹脂を含む第1のカラムを通る。剥離液中のFeは、第1のカラム内の抽出樹脂に結合し、64Cu及び61Coは、第2のカラム内のイオン交換樹脂に結合し、64Niは、両方のカラムを通って流れる。第1及び第2のカラムは、残留64Niを取り出すために9MのHClで洗浄される。初期カラムフロースルー及び9MのHCL洗浄液は、Ni回収画分として組み合わされ得る。イオン交換カラムは、4MのHClで洗浄されて、61Coを溶出し、次いで0.05MのHCl中の5MのNaCl又は更に4MのHClで残留61Coを溶出する。最後に、64Cuは、0.05MのHClでイオン交換カラムから溶出される。
【0074】
(IV)本開示の具体的な組成物及び方法
したがって、本開示は、特に、以下の非限定的な組成物及び方法に関する。
【0075】
第1の組成物である、組成物1において、本開示は、約2Ci~約15Ciの銅-64(64Cu)を含み、最大約3800mCi64Cu/μgCuの比活性を有する組成物を提供する。
【0076】
別の組成物、組成物2において、本開示は、単一のサイクロトロン運転の照射終了(EOB)時に、約2Ci~約15Ciの64Cuを含む組成物を提供する。
【0077】
別の組成物である、組成物3において、本開示は、約2時間又は約4時間の単一のサイクロトロン運転のEOB時に、約2Ci~約5Ciの64Cuを含む組成物を提供する。
【0078】
別の組成物である、組成物4において、本開示は、約6時間の単一のサイクロトロン運転のEOB時に、約5Ci~約9Ciの64Cuを含む組成物を提供する。
【0079】
別の組成物である、組成物5において、本開示は、約12時間の単一のサイクロトロン運転のEOB時に最大約15Ciの64Cuを含む組成物を提供する。
【0080】
別の組成物である、組成物6において、本開示は、組成物1~5のいずれか一項に提供される組成物を提供し、組成物は、約140mCi64Cu/μgCu~約3800mCi64Cu/μgCuの比活性を有する。
【0081】
別の組成物である、組成物7において、本開示は、組成物1~6のいずれか一項に提供される組成物を提供し、組成物は、約350mCi64Cu/μgCu~約2300mCi64Cu/μgCuの比活性を有する。
【0082】
別の組成物である、組成物8において、本開示は、組成物3~7のうちのいずれか1つにおいて提供されるような組成物を提供し、単一のサイクロトロン運転は、約12MeV~約14MeVのエネルギーを有する陽子のビームでニッケル64標的を照射することを含む。
【0083】
別の組成物である、組成物9において、本開示は、組成物1~8のうちのいずれか1つにおいて提供されるような組成物を提供し、組成物は、約5百万分率(ppm)未満の微量金属の総含有量を有し、微量金属は、コバルト、銅、金、鉄、鉛、水銀、ニッケル、及び亜鉛である。
【0084】
別の組成物である、組成物10において、本開示は、組成物1~9のうちのいずれか1つにおいて提供されるような組成物を提供し、組成物は、塩酸(HCl)の溶液を含む。
【0085】
別の組成物である、組成物11において、本開示は、組成物10において提供されるような組成物を提供し、溶液は、約0.001M~約3MのHClを含む。
【0086】
別の組成物である、組成物12において、本開示は、組成物10又は11において提供されるような組成物を提供し、溶液は、約2MのHClを含む。
【0087】
別の組成物である、組成物13において、本開示は、組成物10~12のうちのいずれか1つにおいて提供されるような組成物を提供し、溶液は、約0.05MのHClを含む。
【0088】
別の組成物である、組成物14において、本開示は、組成物10~13のうちのいずれか1つにおいて提供されるような組成物を提供し、64Cuは、[64Cu]CuCl2として存在する。
【0089】
別の組成物である、組成物15において、本開示は、組成物1~14のうちのいずれか1つにおいて提供されるような組成物を提供し、組成物は、64Cuが内部に配位されるキレート剤又は二官能性キレート剤を更に含む。
【0090】
別の組成物である、組成物16において、本開示は、組成物15において提供されるような組成物を提供し、キレート剤又は二官能性キレート剤は、大環式化合物、架橋大環式化合物、二環式化合物、又は非環式化合物である。
【0091】
別の組成物である、組成物17において、本開示は、組成物15又は16において提供されるような組成物を提供し、二官能性キレート剤は、DOTAである。
【0092】
別の組成物である、組成物18において、本開示は、(i)最大約3800mCi64Cu/μgCuの比活性を有する、約2Ci~約15Ciの64Cu、及び(ii)HClを含む溶液を提供する。
【0093】
別の組成物である、組成物19において、本開示は、組成物18に提供されるような組成物を提供し、溶液の比活性は、約350mCi64Cu/μgCu~約2300mCi64Cu/μgCuである。
【0094】
別の組成物である、組成物20において、本開示は、組成物18又は19に提供されるような組成物を提供し、HClは、約0.001M~約3Mの濃度を有する。
【0095】
別の組成物である、組成物21において、本開示は、組成物18~20のいずれか1つに提供されるような組成物を提供し、HClは、約0.5Mの濃度を有する。
【0096】
別の組成物である、組成物22において、本開示は、組成物18~21のうちのいずれか1つに提供されるような組成物を提供し、64Cuは、[64Cu]CuCl2として存在する。
【0097】
別の組成物である、組成物23において、本開示は、組成物18~22のうちのいずれか1つにおいて提供されるような組成物を提供し、溶液は、約5ppm未満の微量金属の総含有量を有し、微量金属は、コバルト、銅、金、鉄、鉛、水銀、ニッケル、及び亜鉛である。
【0098】
別の組成物である、組成物24において、本開示は、組成物18~23のうちのいずれか1つにおいて提供されるような組成物を提供し、溶液は、64Cuが内部に配位されるキレート剤又は二官能性キレート剤を更に含む。
【0099】
別の組成物である、組成物25において、本開示は、組成物25において提供されるような組成物を提供し、キレート剤又は二官能性キレート剤は、大環式化合物、架橋大環式化合物、二環式化合物、又は非環式化合物である。
【0100】
別の組成物である、組成物26において、本開示は、組成物24又は25において提供されるような組成物を提供し、二官能性キレート剤は、DOTAである。
【0101】
第1のプロセスである、プロセス1において、本開示は、ニッケル-64(64Ni)から銅-64(64Cu)を調製するためのプロセスを提供し、プロセスは、(a)64Niを含むサイクロトロン標的を陽子ビームで照射して、照射された標的を生成することと、(b)約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積の塩酸(HCl)で照射した標的を剥離して、64Ni及び64Cuを含む剥離液を形成することと、(c)64Cuを、イオン交換クロマトグラフィーによって剥離液から精製することであって、(i)64Cuが、イオン交換樹脂に結合し、64Niが、フロースルーとしてカラムを通るように、イオン交換樹脂を含むカラムに剥離液を通すことと、(ii)約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIでカラムを洗浄することと、(iii)約0.5M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIをカラムに添加して、イオン交換樹脂から64Cuを溶出させ、64Cuを含む溶出物を収集することと、を含む、精製することと、を含む。
【0102】
別のプロセスである、プロセス2において、本開示は、プロセス1に提供されるようなプロセスを提供し、サイクロトロン標的は、約4.0cm2の面積内にめっきされた約50mgの64Niを含む。
【0103】
別のプロセスである、プロセス3において、本開示は、プロセス1又は2に提供されるようなプロセスを提供し、陽子ビームは、約10MeV~約14MeVのエネルギー及び約100μA~約250μAの電流を有する。
【0104】
別のプロセスである、プロセス4において、本開示は、プロセス1~3のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、陽子ビームは、約12MeVのエネルギー及び最大約225μAの電流を有する。
【0105】
別のプロセスである、プロセス5において、本開示は、プロセス1~4のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、照射は、約1時間~約6時間進行する。
【0106】
別のプロセスである、プロセス6において、本開示は、プロセス1~5のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、照射後、照射された標的は、照射の終了(EOB)時に約2Ci~約12Ciの64Cuを含む。
【0107】
別のプロセスである、プロセス7において、本開示は、プロセス6に提供されるようなプロセスを提供し、約2時間~約4時間の照射の後、照射された標的は、EOB時に約2Ci~約5Ciの64Cuを含む。
【0108】
別のプロセスである、プロセス8において、本開示は、プロセス6に提供されるようなプロセスを提供し、約6時間の照射の後、照射された標的は、EOB時に約5Ci~約9Ciの64Cuを含む。
【0109】
別のプロセスである、プロセス9において、本開示は、プロセス1~8のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、照射された標的の剥離は、約65℃~約100℃の温度で行われる。
【0110】
別のプロセスである、プロセス10において、本開示は、プロセス1~9のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、剥離することは、各回約3~5分間、9MのHClのアリコートと照射した標的を3回接触させることと、剥離液としてアリコートを収集することと、を含む。
【0111】
別のプロセスである、プロセス11において、本開示は、プロセス1~10のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、照射された標的は、9MのHClの追加のアリコートで洗浄され、次いで、剥離液に添加される。
【0112】
別のプロセスである、プロセス12において、本開示は、プロセス1~11のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、イオン交換樹脂は、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド基を含む強アニオン交換樹脂である。
【0113】
別のプロセスである、プロセス13において、本開示は、プロセス1~12のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、カラムを通る剥離液からのフロースルーは、64Ni回収画分として収集される。
【0114】
別のプロセスである、プロセス14において、本開示は、プロセス1~13のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、剥離液をカラムに通した後、更にある体積の9MのHCIが、カラムに添加され、そのフロースルーが64Ni回収画分と組み合わされる。
【0115】
別のプロセスである、プロセス15において、本開示は、プロセス14に提供されるようなプロセスを提供し、平均約82%の標的64Niは、64Ni回収画分中で回収される。
【0116】
別のプロセスである、プロセス16において、本開示は、プロセス1~15のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、洗浄は、カラムに4MのHClを添加して、廃棄物画分として収集される、コバルトを溶出させることを含む。
【0117】
別のプロセスである、プロセス17において、本開示は、プロセス1~16のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、64Cuは、2MのHClを有するカラムから溶出される。
【0118】
別のプロセスである、プロセス18において、本開示は、プロセス1~17のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、剥離液中に存在する平均約80%の64Cuは、64Cuを含む溶出物中で回収される。
【0119】
別のプロセスである、プロセス19において、本開示は、プロセス1~18のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、64Cuを含む溶出物は、乾燥状態まで蒸発し、0.05MのHCl中で再構成され、それによって、64Cuを含む最終生成物を形成する。
【0120】
別のプロセスである、プロセス20において、本開示は、プロセス19に提供されるようなプロセスを提供し、64Cuを含む最終生成物は、約2Ci~約12Ciの64Cuを含む。
【0121】
別のプロセスである、プロセス21において、本開示は、プロセス19又は20に提供されるようなプロセスを提供し、64Cuを含む最終生成物は、最大約3800mCi64Cu/μgCuの比活性を有する。
【0122】
別のプロセスである、プロセス22において、本開示は、プロセス19~21のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、64Cuを含む最終生成物は、約350mCi64Cu/μgCu~約2300mCi64Cu/μgCuの比活性を有する。
【0123】
別のプロセスである、プロセス23において、本開示は、プロセス19~22のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、64Cuを含む最終生成物は、約5ppm未満の微量金属の総含有量を有し、微量金属は、コバルト、銅、金、鉄、鉛、水銀、ニッケル、及び亜鉛である。
【0124】
別のプロセス、プロセス24において、本開示は、ニッケル-64(64Ni)から銅-64(64Cu)を調製するための追加のプロセスを提供し、64Cuは、抽出クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーの組み合わせによって精製される。プロセスは、(a)64Niを含むサイクロトロン標的を陽子ビームで照射して、照射された標的を生成することと、(b)約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで照射された標的を剥離させて、64Ni、64Cu、61Co、及び1つ以上の微量金属を含む、剥離液を形成することと、(c)クロマトグラフィーによって剥離液から64Cuを精製することであって、クロマトグラフィーは、(i)イオン交換樹脂を含む第2のカラムに直列で接続された抽出樹脂を含む第1のカラムに剥離液を通し、その結果、1つ以上の他の微量金属が、第1のカラム内の抽出樹脂に結合し、64Cu及び61Coが第2のカラム内のイオン交換樹脂に結合し、64Niが、第1のフロースルー画分として両方のカラムを通ることを含む、精製することと、を含む。プロセスは、(ii)第1及び第2のカラムを、約6M~約12.1Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで洗浄して、第2のフロースルー画分として残留64Niを取り出すことと、(iii)第2のカラムを、約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIで洗浄して、第1の廃棄物画分として61Coを溶出させることと、(iv)約0.01M~約3Mのモル濃度を有するHCl中の約3M~6Mのモル濃度を有する、ある体積のNaClで第2のカラムを洗浄して、第2の廃棄物画分として残留61Coを溶出させるか、又は約3M~約6Mのモル濃度を有する、ある追加の体積のHCIで、第2のカラムを洗浄して、第2の廃棄物画分として残留61Coを溶出させることと、(v)約0.01M~約3Mのモル濃度を有する、ある体積のHCIを第2のカラムに添加して、64Cuを含む生成物画分として64Cuを溶出させることと、を更に含む。
【0125】
別のプロセスである、プロセス25において、本開示は、プロセス24に提供されるようなプロセスを提供し、(a)におけるサイクロトロン標的は、約23.0cm2の面積内にめっきされた約750mgの64Niを含む。
【0126】
別のプロセスである、プロセス26において、本開示は、プロセス24又は25に提供されるようなプロセスを提供し、(a)における陽子ビームは、約10MeV~約15MeVのエネルギー及び約350μA~約408μAの電流を有する。
【0127】
別のプロセスである、プロセス27において、本開示は、プロセス24~26のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、陽子ビームは、約13MeVのエネルギー及び約350μA~約408μAの電流を有する。
【0128】
別のプロセスである、プロセス28において、本開示は、プロセス24~27のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、照射(a)は、約12時間~約24時間進行し、照射された標的は、照射の終了(EOB)時に約46Ci~約82Ciの64Cuを含む。
【0129】
別のプロセスである、プロセス29において、本開示は、プロセス28に提供されるようなプロセスを提供し、(a)における約16時間~約20時間の照射の後、照射された標的は、EOB時に約75Ciの64Cuを含む。
【0130】
別のプロセスである、プロセス30において、本開示は、プロセス28に提供されるようなプロセスを提供し、(a)における約19時間の照射の後、照射された標的は、EOB時に約62Ci~約73Ciの64Cuを含む。
【0131】
別のプロセスである、プロセス31において、本開示は、プロセス24~30のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、(b)における剥離は、照射された標的を9MのHCIと接触させることを含み、(b)における剥離は、約65℃~約100℃の温度で行われる。
【0132】
別のプロセス、プロセス32において、本開示は、プロセス24~31のいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、(c)(i)における第1のカラム内の抽出樹脂は、官能基としてトリブチルフォスフェートを含み、(c)(i)における第2のカラム内のイオン交換樹脂が、官能基として三級アミンを含む。
【0133】
別のプロセスである、プロセス33において、本開示は、プロセス24~32のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、(c)(ii)における洗浄は、9MのCHIを含む。
【0134】
別のプロセスである、プロセス34において、本開示は、プロセス24~33のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、第1及び第2のフロースルー画分は、64Ni回復画分として組み合わされる。
【0135】
別のプロセスである、プロセス35において、本開示は、プロセス34に提供されるようなプロセスを提供し、平均約98%の標的64Niは、64Ni回収画分中で回収される。
【0136】
別のプロセス、プロセス36において、本開示は、プロセス24~35のいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、(c)(iii)における洗浄は、4MのHClを含み、(c)(iv)における洗浄は、0.05MのHCl又は追加の4MのHCl中の5MのNaClを含む。
【0137】
別のプロセスである、プロセス37において、本開示は、プロセス24~36のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、64Cuは、0.05MのHClで、(c)(v)において溶出される。
【0138】
別のプロセスである、プロセス38において、本開示は、プロセス24~37のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、剥離液中に存在する平均約89%の64Cuは、64Cuを含む生成物画分中で回収される。
【0139】
別のプロセスである、プロセス39において、本開示は、プロセス24~38のいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、64Cuを含む生成物画分は、約2Ci~約15Ciの64Cuを含み、最大約3800mCi64Cu/μgCuの比活性を有する。
【0140】
別のプロセスである、プロセス40において、本開示は、プロセス24~39のうちのいずれか1つに提供されるようなプロセスを提供し、64Cuを含む生成物画分は、約5ppm未満の微量金属の総含有量を有し、微量金属は、コバルト、銅、金、鉄、鉛、水銀、ニッケル、及び亜鉛である。
【0141】
定義
一実施形態に関連して本明細書において開示される特徴、構造、工程、又は特徴は、任意の好適な様式で、1つ以上の代替的な実施形態で組み合わされ得る。
【0142】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、明確にそれに反して示されない限り、不定冠詞「a」及び「an」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0143】
特許請求の範囲において、並びに上述の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「で構成される」などの全ての移行句は、非限定型である、すなわち、それらを含むが、それらに限定されないことを意味すると理解されるべきである。「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれ、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03に記載されているように、限定型、又は半限定型の移行句となる。
【0144】
数値に先行する「約」及び「実質的に」という用語は、列挙された数値の±10%を意味する。
【0145】
値の範囲が提供される場合、範囲の上端と下端との間の各値は、本明細書に具体的に企図され、説明される。
【0146】
本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、放射能がその後の全ての化学的及び物理的プロセスにおいて正常に挙動することを確実にするために、特定の放射性物質に意図的に添加された非活性材料を指す。
【0147】
「非担体添加」という用語は、問題の元素の安定同位体を「含まない」放射性同位体の調製を指す。より正確には、同位体担体が意図的に添加されておらず、同じ元素の安定同位体の照射によって生成されなかった、高比活性の放射性同位体の調製である。
【実施例】
【0148】
以下の実施例は、本開示の様々な非限定的な実施形態を例解する。
【0149】
実施例1:イオン交換クロマトグラフィーを介する金属の分離
文献によれば、照射されたNi標的は、典型的には、6Mの塩酸(HCl)中に溶解され、結果として生じる溶液は、アニオン交換クロマトグラフィーを介して精製される。ニッケルがカラムから完全に溶出した後、溶出物は、低モル濃度HCl(多くの場合、≦0.5M)又は水に変化し、銅は、カラムから放出される際に収集される。しかしながら、この方法で調製された64Cuは、典型的には、4MのHCl以下の樹脂からのCo溶出物として、いくつかの61Coを含有する。それにより、Co及びCuのより良い分離を取得するため、6M、4M、及び2MのHClの溶液を使用する様々な金属の試験分離を実施して、それぞれNi、Co、及びCuを溶出させた。
【0150】
6MのHCl中に5.0mg/mLのNi並びに25μg/mLのCo、Cu、Fe、Zn、Hg及びPbの各々を含有する溶液を調製して、未精製の混合物を模倣した。ガラスEconoカラム(0.7cm×20cm)を、4.5gのAG1-X8樹脂(16cmの床高さ、6mLの床体積)で乾燥充填した。樹脂を、30mLのChelex処理H2O、続いて30mLの6MのHClでカラムを洗浄することによって前処理した。この洗浄サイクルを再度繰り返し、その結果、最終洗浄を6MのHClで行った。カラムを重力排出し、液滴形成が停止すると、各洗浄が完了したとみなした。
【0151】
カラムを、10mLの金属溶液(50mgのNi、250μgの各添加金属)で充填し、フロースルーを、2×5mLの画分(充填画分)として収集した。カラムを以下のように溶出させた:6MのHClの5×2mLアリコート(6M画分)、4MのHClの5×2mLアリコート(4M画分)、2MのHClの5×2mLアリコート(2M画分)、及び0.5MのHClの1×5mLアリコート(0.5M画分)。初期未精製混合物の各溶出物及びアリコートを、誘導結合プラズマ光学放出分光法(ICP-OES)によって分析した。表1は、各画分中に存在する金属の量を、初期未精製混合物中に存在したもののパーセンテージとして提示する。
【表1】
【0152】
予想通り、Niは、充填画分及び6MのHCl画分中に存在した。Cuの大部分は、2MのHCl画分中に存在し、少量(9.6%)が、4MのHCl画分中に存在した。Coが充填画分、6MのHCl画分、及び4MのHCl画分中に観察され、2MのHCl画分中のCuを有する共溶出はなかった。それゆえ、Ni及びCoはCuから良好に分離され、Ni又はCoのいずれも共溶出せずに2MのHCl画分中で収集された総Cuは80.6%であった。2MのHCl画分中に存在する他の試験金属は、少量のPb及びFeのみであった。
【0153】
実施例2:開始酸の変化するモル濃度
Coの早期のブレイクスルー並びに2MのHCl画分中のPbブレイクスルーを低減させることができるかどうかを判定するために、出発酸のモル濃度を、9MのHClに増加させた。
【0154】
9MのHCl中に5.0mg/mLのNi並びに25μg/mLのCo、Cu、Fe、Zn、Hg及びPbの各々を含有する溶液を調製した。4.5gのAG1-X8樹脂を含むカラムを、上記実施例1において説明されたように調製した。カラム樹脂を、30mLのChelex処理H
2O、続いて30mLの9MのHClで前処理した。この洗浄サイクルを再度繰り返し、その結果、最終洗浄を9MのHClで行った。調製カラムを、10mLのNi溶液(50mgのNi、250μgの各添加金属)で充填し、2×5mLの画分として収集した。次いで、カラムを溶出させ、画分を以下のように収集した:9MのHClの5×2mL画分、4MのHClの5×2mL画分、2MのHClの5×2mL画分、及び0.5MのHClの1×5mL。溶出物のサンプル及び初期未精製混合物を、ICP-OESを介して分析した。これらのデータは、表2に提示される。
【表2】
【0155】
開始酸濃度としての9MのHClの使用は、Co及びPbの溶出プロファイルをシフトさせることによって、全体的な分離プロセスを改善した。Coの大部分は、(以前の画分ではなく)4MのHCl画分中に溶出し、Pbの大部分は、(4MのHCl画分ではなく)充填画分中及び9MのHCl画分中で溶出した。2MのHCl画分は、主に低パーセンテージのFeを有するCu、並びに微量のCo及びPbを含有した。
【0156】
実施例3:陽子ビームエネルギーを低減させるためのCS-30サイクロトロンの調整
銅-64は、濃縮ニッケル-64を低エネルギー陽子(例えば、14MeV未満)で照射することによって生成され得る。より高いビームエネルギーにおいて、61Co及び安定63Cuの生成が増加し、64Cuの生成が減少し、したがって、(p、n)反応を介する64Niからの64Cuの生成が、12MeV陽子で最も良好に実施される。
【0157】
概して、CS-30サイクロトロンは、陽子ビームを最大約30MeVに加速させる可能性があるため、64Cuの生成には好適ではないと、想定されている。概して、サイクロトロンは、最大エネルギーの半分より低いビームエネルギーを達成することができないことが理解される。それゆえ、CS-30サイクロトロンで達成可能な最低エネルギーは、理論的には、約15MeVである。
【0158】
サイクロトロンの出力エネルギーは、方程式E=(rqB)
2/2mによって与えられ、Eは粒子エネルギーであり、rは標的が挿入される半径であり、qは対象の粒子上の電荷であり、Bは磁場であり、mは加速している粒子の質量である。陽子は加速しているため、質量及び電荷は、それぞれ、1.672x10
-27kg、及び1.602x10
-19Cである。CS-30サイクロトロン内で使用される磁場は1.847Tである。
図3は、陽子ビーム半径の関数としての陽子エネルギーを示す。この描画は、約12MeVのビームエネルギーを達成するために、約27.9cmの目標半径を予測する。
【0159】
それゆえ、12MeVの所望の陽子ビームエネルギーを生成するために、陽子ビームが約27.9cmのより小さい半径で標的に衝突するように、標的の場所をサイクロトロン内で調整した。
【0160】
CS-30の曲線標的を用いた初期のビーム衝突は、陽子ビームが、端部までの全てにおいて標的の一方の縁部に沿って非常に遠くなり、標的面の大部分にビームがなく、反対側の縁部が完全に欠落していることを示した。標的面全体の約25%のみがビームを有し、その半分は、使用不可能な縁部上にあった。この配置により、ビームの多くが失われ、したがって不適切である。これは、平坦な標的を湾曲した標的に置き換えることによって是正された。平坦な標的を使用することは、ビームが、総標的面積の約5分の1(例えば、標的の端部から約5分の1)に衝突することを可能にした。ビームによって覆われた総面積は、4cm2であった。平坦な標的からのビーム衝突は、許容可能であった。CS-30のチューニングパラメータが、27.9cmの新しい半径で最良のビーム衝突を与えるために判定された。それゆえ、平坦な標的を使用することにより、標的半径を低減させ、陽子ビームのエネルギーを、約12MeVに低減させることができる。
【0161】
実施例4:濃縮ニッケル-64の標的照射
上記実施例3において説明されるように調整されたCS-30サイクロトロンを使用して、
64Cuを生成した。このため、約50mgの
64Ni(約99%同位体濃縮)を、約50μmの厚さまで金で電気めっきした銅ベース層を含むCS-30サイクロトロンの平坦な標的上で電気めっきした。めっき面積は、約4.0cm
2であった。標的を、約12MeVのビームエネルギー、200μA又は225μAのビーム電流、及び1~6時間の照射時間で照射した。標的を、9MのHClで剥離させ、結果として得られた溶液を、HPGeガンマ分光法によって分析して、照射終了(EOB)時の
64Cu収率を判定した。表3は、予備運転の結果を示す。
【表3】
【0162】
実施例5:照射されたニッケル-64標的からの銅-64の精製
50μmの金で電気めっきされた平坦なCS-30サイクロトロン標的を、約50mgの質量及び4.0cm2のめっき面積を標的として、濃縮64Niでめっきした。標的を、約12MeVのビームエネルギー及びおよそ200μA又は225μAのビーム電流で1~6時間照射した。照射された標的を、9MのHClの3つの3.0mLアリコートを使用して剥離させた。この間、標的剥離セルを、75℃に加熱し、各アリコートを3~5分間保持した。保持時間の後、3mLのアリコートを取り出し、保持容器に設置した。アリコートを、1つのおよそ9mLの剥離液としてともに回収した。
【0163】
64Cuを単離し、アニオン交換クロマトグラフィーによって本質的に上記の実施例2において説明されるように精製した。このため、ガラスイオン交換カラム(内径=1.0cm、長さ=20cm)を硝酸洗浄し、高抵抗水で洗浄し、4.5gのAG1-X8樹脂(塩化物形態)、100~200メッシュ(8cmの床高さ、6mLの床容積)で充填した。カラム樹脂を、Chelex処理した18.2MΩ.cm抵抗水、続いて9MのHClで2回洗浄することによって前処理した。
【0164】
9-mLの剥離液を、剥離液を保持する容器を洗浄するために使用した追加の1mLの9MのHClとともに、前処理されたイオン交換カラム上に充填した。10mLの充填体積を、充填画分として1分当たり約1mLで重力によりカラムから溶出させた。カラムを通る全ての溶液に重力濾過を使用した。次いで、カラムを別の10mLの9MのHClで洗浄し、溶出物を充填画分と組み合わせた。組み合わせた画分(およそ20mL)は、64Ni回収画分を含んでいた。64Ni回収画分をカラムから収集した後、10mLの4MのHClを、カラムに添加した。コバルトを含む溶出物を、廃棄物画分として別々に回収した。4MのHCl画分をカラムから収集した後、8mLの2MのHClを、カラムに添加した。2MのHCl溶出物を、別のバイアル内に回収し、64Cu生成物を含有した。2MのHCl溶出物を、乾燥状態まで蒸発させ、およそ1.25Ci/mLの標的放射性濃度に0.05MのHCl中で再構成した。
【0165】
剥離液及び溶出物のアリコートを、ガンマ分光法及び/又は用量較正器によって分析して、64Cu活性を判定し、ICP-OESを介して、金属含有量を判定した。15回運転したEOB時の64Cuの収率は、674mCi(200μAで1時間の照射)~8,706mCi(200μAで6時間の照射)の範囲であった。6時間の照射時間及び200~225μAのビーム電流を有する8回運転したEOB時の64Cuの平均収率は、67132.6mCi(s.d.=1189.1)であった。15回運転した(剥離液に対する)2MのHCl溶出物中の64Cuの平均回収率は、約80%(s.d.=20%)であった。0.05MのHCl中で64Cuを再構成した後、結果として得られた[64Cu]CuCl2の比活性は、容量較正器によって測定されるとき、EOB時に平均965.8mCi64Cu/μgCu(s.d.=658)、及びHPGe検出器によって測定されるとき、EOB時に平均1,724.2mCi64Cu/μgCu(s.d.=750)であった。Cu含有量を、ICP-OESを介して判定した。更なる分析では、用量較正器とHPGe検出器との間に統計的に有意な差は認められなかった。用量較正器法は、製造中により簡単に使用できるため好ましかった。15の処理された標的からの(64Ni回収画分中の)64Niの平均回収率は、約82%であった。
【0166】
以下に、3つの代表的な運転からの精製された生成物の詳細な分析を提示する。これらの運転のために、標的を、およそ12MeVのビームエネルギー及び200又は225μAのビーム電流で6時間照射した。総活性は、
64Cu用に較正された用量較正器で測定した。表4は、精製プロセス後に収集された
64Cuの活性を示す。表4はまた、(用量較正器によって判定されるように)剥離液の総活性当たり
64Cuの量としての精製プロセス収率を示す。
【表4】
表5は、2MのHCl溶出物中の微量金属のレベルを提示する。
【表5】
【0167】
表6は、0.05MのHCl溶液中の
64Cu生成物の比活性を提示する。
【表6】
【0168】
実施例6.抽出及びイオン交換クロマトグラフィーを介する金属の分離
抽出クロマトグラフィーとイオン交換クロマトグラフィーとの組み合わせを使用して、様々な金属の試験分離を実施して、最大750mgのNi、Co、Fe、及び他の遷移金属の質量からより効果的にCuを分離した。
【0169】
ポリエチレン(PE)カラム(0.7cm×20cm)を、2.7gのTK201樹脂(約5cm~6cmの床高さ、約1mL~2mLの床体積)を有する、20mLの0.05MのHClを使用して真空包装した。包装された樹脂床の上にPEフリットを、確実に設置した。TK201樹脂を含有する真空PEカラムを、20mLの0.05MのHClで、真空下で洗浄した。包装されたPEカラムを、キャップし、4.4℃で貯蔵した。
【0170】
0.05MのHCl中に4.4℃で貯蔵された、2.7gのTK201樹脂を含有する予備包装されたPEカラム、及び300mgのTBP樹脂を含有する2mLのPEカラムを、各カラムを10mLの高抵抗水(HRW)、続いて10mLの9MのHClで洗浄することによって予め処理した。HRW及び9MのHClを、シリンジポンプを使用して1mL/分の流量で各カラムに通した。液滴形成が停止すると、各洗浄を完了したとみなした。
【0171】
25.0mg/mLのNi、20.4μg/mLのCo、8.6μg/mLのCu、8.1μg/mLのFe、及び10.3μg/mLのPbを含有する溶液を、9MのHCl中で調製して、照射された標的の剥離液を模擬した。
【0172】
直列に接続されたPEカラムを、30mLの金属溶液(746mgNi、259μgCu、611μgCo、244μgFe、309μgPb)を有するシリンジポンプを使用して、1mL/分の流量で充填し、フロースルーを、単一の30mLの画分(充填画分)として収集した。2つのカラムを、9MのHCl(9M画分)の2×4mLアリコートで溶出させ、フロースルーを回収した。次いで、イオン交換カラムを、以下のように溶出させた:4MのHClの2×5mLアリコート(4M画分)、0.05MのHCl中の5MのNaClの2×4mLアリコート(5MのNaCl画分)、及び0.05MのHClの2×5mLアリコート(0.05M画分)。初期混合物の各溶出物及びアリコートを、誘導結合プラズマ光放出分光法(ICP-OES)によって分析した。表7は、模擬剥離液混合物中の開始量のパーセンテージとして、各画分中に存在する金属の量を提示する。
【表7】
【0173】
予想通り、Niは、充填画分及び9MのHCl洗浄画分中に存在した(98.4%)。Cuは、0.05MのHCl画分中でのみ測定された(86.5%)。Coは、充填画分、9MのHCl画分、4MのHCl画分、及び5MのNaCl画分中に観察され、0.05MのHCl画分中のCuの共溶出はなかった。それゆえ、Ni及びCoはCuから良好に分離され、Ni又はCoのいずれも共溶出せずに0.05MのHCl画分中で収集された総Cuは86.5%であった。
【国際調査報告】