(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】女性のリプロダクティブ・ヘルスのための医療デバイスとその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/425 20060101AFI20230915BHJP
A61B 1/303 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
A61B17/425
A61B1/303
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514743
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021049087
(87)【国際公開番号】W WO2022051637
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520414424
【氏名又は名称】イノメッド・ファイブ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】InnoMed Five, L.L.C.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100206140
【氏名又は名称】大釜 典子
(72)【発明者】
【氏名】フォークナー,ピーター ティ
(72)【発明者】
【氏名】プレサラ,カービー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】クラム,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160HH20
4C161AA16
4C161CC06
4C161FF36
4C161HH04
4C161VV02
(57)【要約】
子宮内膜掻爬および/またはHSG処置を実行するための単一の手持ち医療デバイスが開示される。好ましい実施形態は、その遠位端に関節部材を備えたアームに一体的に接続されたハンドルを含んでいる本体を含む。ハンドルは、流体を貯蔵して子宮内に圧送するための手段を含み、超音波またはX線を使用して子宮内の関節部材の位置を特定する。アームは、デバイスのアームとスライド可能に係合するように動作可能なシールドデバイスをさらに含み、シールドおよびアームは、使用中の逆流を防止するために、子宮頸部の外子宮口を覆って、密閉して係合するように構成される。任意の表示手段が開示され、それは、デバイスに実装可能に取り付けられかつアーム内に配置されたスコープと通信する、画像スクリーンを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および遠位端を有するアームであって、その内部に配置されて前記近位端から前記遠位端までアームの長さに沿って延在している関節管腔を備える、アームと、
トリガーと、ハンドル内に配置された流体カセットと、を含むハンドルと、
第1端から第2端まで延在する穴を含み、前記関節管腔内に配置された関節チューブと、を含み、
前記流体カセットは、前記穴と流体連通しており、
前記デバイスは、流体を前記流体カセットから前記穴を通してポンプで送るための手段をさらに含み、
前記トリガーは、前記関節チューブの前記第2端が前記アームの前記遠位端を越えて延びるように動作可能であり、
前記アームの前記遠位端は、前記アームの前記遠位端から出ると上方向にカールするように動作可能である、医療デバイス。
【請求項2】
前記アーム内に配置された光学管腔を含み、前記光学管腔はスコープを受容するように構成されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
遠位端にカメラを備えたスコープと、表示スクリーンを含む画像デバイスと、を含み、
前記画像デバイスは、前記ハンドルに実装可能に取り付けられ、
前記画像デバイスは、前記スコープと通信し、
前記カメラからの画像は、前記表示スクリーンに表示される、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記関節チューブは、形状記憶特性を有する材料から作製される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記関節チューブを長手軸に沿って回転させるように動作可能な回転子を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記関節チューブを、固定された伸長位置にロックするように動作可能な回転ロックを含む、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記トリガーは、前記関節チューブを受容するように動作可能なチャネルを含み、
前記ハンドルと前記トリガーは、アーチ型ヒンジ接続部によって一体的に接続された一体型本体を形成し、
前記トリガーは、前記ハンドルから離れるように付勢され、
前記アームは、前記トリガーに固定して取り付けられ、
前記トリガーが前記ハンドルに向かって近位方向に引っ張られると、前記関節チューブの前記第2端は前記アームの遠位端を越えて延びる、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記子宮頸部の外子宮口に密閉して係合するように動作可能なシールドを備え、前記シールドは、前記アームとスライド可能に係合するように構成された穴を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項9】
近位端および遠位端を有するアームであって、その内部に配置されて前記近位端から前記遠位端までアームの長さに沿って延在している関節管腔および光学管腔を含むアームと、
トリガーを含むハンドルと、
第1端および第2端を有し、前記関節管腔内に配置された関節部材と、を含み、
前記トリガーは、前記関節部材の前記第2端が前記アームの前記遠位端を越えて延びるように動作可能であり、
前記光学管腔は、スコープを受容するように構成されている、 医療デバイス。
【請求項10】
近位端と遠位端を有し、その遠位端にカメラを備えたスコープと、表示スクリーンを含む画像デバイスと、を含み、
前記画像デバイスは、前記ハンドルに実装可能に取り付けられ、
前記画像デバイスは、前記スコープと通信し、
前記カメラからの画像は、前記表示スクリーンに表示される、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記ハンドルは流体カセットを含み、
前記関節部材は、前記第1端から前記第2端まで延在する穴を含み、
前記流体カセットは、前記穴と流体連通しており、
前記デバイスは、流体を前記流体カセットから前記穴を通してポンプで送るための手段をさらに含む、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記関節チューブは、形状記憶特性を有する材料から作製される、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記関節チューブを長手軸に沿って回転させるように動作可能な回転子を含む、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記関節チューブを、固定された伸長位置にロックするように動作可能な回転ロックを含む、請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記トリガーは、前記関節チューブを受容するように動作可能なチャネルを含み、
前記ハンドルと前記トリガーは、アーチ型ヒンジ接続部によって一体的に接続された一体型本体を形成し、
前記トリガーは、前記ハンドルから離れるように付勢され、
前記アームは、前記トリガーに固定して取り付けられ、
前記トリガーが前記ハンドルに向かって近位方向に引っ張られると、前記関節チューブの前記第2端は前記アームの遠位端を越えて延びる、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項16】
前記子宮頸部の外子宮口に密閉して係合するように動作可能なシールドを備え、前記シールドは、前記アームとスライド可能に係合するように構成された穴を含む、請求項9に記載の医療デバイス。
【請求項17】
子宮内膜の内層の掻爬を行う方法であって、
医療デバイスを提供する工程であって、
該医療デバイスは、
近位端および遠位端を有するアームと、
第1端および第2端を有し、前記関節管腔内に配置された関節チューブと、
トリガーと、ハンドル内に配置された流体カセットと、を含むハンドルと、を含み、
前記流体カセットは、前記関節チューブと流体連通しており、
前記デバイスは、流体を前記流体カセットから前記関節チューブを通してポンプで送るための手段をさらに含み、
前記トリガーは、前記関節チューブの前記第2端が前記アームの前記遠位端を越えて延びるように動作可能であり、
前記アームの前記遠位端は、前記アームの前記遠位端から出ると上方向にカールするように動作可能である、医療デバイスを提供する工程と、
排卵前に患者の子宮腔内に前記医療デバイスの前記アームを導入する工程と、
超音波またはX線で見ることができるように動作可能である、患者の子宮に流体を注入する工程と、
前記関節チューブの前記遠位端を子宮内膜に沿った位置に誘導する工程と、
子宮内膜掻爬を行う工程と、
前記医療デバイスを取り外す工程と、を含む方法。
【請求項18】
前記患者の卵管から閉塞を除去するために、子宮に流体を注入する前記工程を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年9月3日に出願した米国仮出願第63,074,096号、2020年11月6日に出願された米国仮出願第63,110,544号、2020年12月10日に出願された米国仮出願第63,123,694号、および2021年1月12日に出願された米国仮出願番号第63,136,338号の優先権を主張する。上記出願の全ての内容は、本明細書に全て記載されているものとして、を参照して本明細書に組み込む。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、女性の生殖手技に使用される医療デバイスに関する。より具体的には、本発明は、妊娠前および妊娠時の子宮内環境を改善するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生殖補助医療(「ART」)は新しい概念ではない。妊娠に成功する可能性を阻害または低下させ得る数多くの問題が存在している。ARTは、女性の生殖能力に関して繰り返し発生する問題を解決するために特定の技術的進歩を遂げてきたが、受精卵が子宮内壁に首尾よく着床する可能性を高めることはほとんど行われていない-これは妊娠プロセスの重要なステップである。
【0004】
卵子が受精すると、それ自身が子宮壁に首尾よく着床して胎盤形成が起こる必要があり、それにより受精卵は母体から必要な栄養分を受け取ることができるようになる。残念ながら、受精に成功したとしても、ARTを使用している母体では反復着床不全(「RIF」)がしばしば発生する。このような着床不全は、着床時の子宮内膜の異常または母体の免疫系の異常に起因することが多い。
【0005】
現在、医師は、排卵前に子宮腔内で炎症反応を引き起こすために、意図的に子宮内膜層を引っ掻く。引っ掻き傷をつけた後に起こる体の自然な創傷治癒反応により、子宮内膜の環境が改善され、それにより胚の着床と妊娠が起こりやすくなる。
【0006】
現在のところ、医師が患者の体内にあるデバイスの位置を見ながら、医師が子宮内膜層に沿って精密な「引っ掻き傷」を作ることができるように調整されたデバイスはない。現在、医療従事者は、カテーテルまたは他の類似のデバイスを手に取り、見えない状態で、何らかの抵抗を感じるまでデバイスを前方に押し進める。そして、医療従事者は、その抵抗が子宮壁によるものであると信じて、引っ掻き始めるだろう。この一見して古風で野蛮な施術方法は、子宮壁の不必要に深い穿刺や、さらには完全な穿孔の原因となる。
【0007】
患者の卵管に閉塞がない場合、妊娠が成功する可能性が高くなる。子宮卵管造影(HSG)は、患者の卵管が開いている(通っている)かどうか、および子宮の内部が正常かどうかを確認するために、女性患者に対して実行されるX線検査である。HSGは、通常5分もかからない外来処置である。通常、月経が終わった後、排卵前に行われる。
【0008】
典型的なHSG手技では、女性はテーブル上の透視装置(検査中に写真を撮ることができるX線撮像装置)の下に配置される。その後、婦人科医または放射線科医が患者の子宮を検査し、彼女の膣に検鏡を置く。子宮頸部を洗浄し、デバイス(カニューレ)を子宮頸部の開口部に挿入する。医師は、カニューレを通して、ヨウ素を含む流体(X線で確認できる流体)で子宮をゆっくり満たす。コントラストは画像上で白く見え、流体がカニューレから子宮内に移動し、そして卵管を通るときの子宮の輪郭を示すことができる。コントラストが卵管に入ると、卵管の長さの輪郭が描かれ、卵管が開いている場合は卵管の端からこぼれる。子宮腔内の異常は、その異常によって流体の動きが妨害された(disrupted)ときに、X線画像を観察している医師によって検出されることもある。多くの場合、子宮と卵管の側面視は、女性にテーブル上で体勢を変えてもらうことにより得られる。この手技では、典型的には、医師は、X線で卵管の画像を見ながら、カテーテル、注射器、および色素漏れを防ぐデバイスの位置決めなど、複数のツールを全て同時に使用する必要がある。
【0009】
典型的には、HSG手技は、子宮内膜層に擦り傷をつける(または掻爬する:abrasion)手技とは別に実行される。これにより、患者は2つの手技を受ける必要があり、医師は複数のツールを使用することを求められる。これらの既存の手技では、関連するさまざまな器具を制御するために、同時に作業する複数の手も必要となる。したがって、片手で手動制御でき、かつ、不必要な外傷や怪我を回避しながら正確に子宮内に誘導でき、それと同時に患者の卵管の閉塞を解放できる、単一のデバイスが強く求められている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、医師が子宮頸管を通って子宮腔内にデバイスを慎重に誘導することを可能にすることによって、この技術分野における既存の課題を解決するものである。さらに、子宮内に入ると、デバイスの関節アーム(articulating arm)により、医療従事者は、子宮壁を穿刺または貫通するリスクを回避しながら子宮内膜壁に正確に小さい擦り傷をつける(または小さく掻爬する:small abrasion)ことができる。
【0011】
開示された医療デバイスにより、ユーザは片手で器具を制御しながら、掻爬手技および/またはHSG手技を行うことができる。好ましい実施形態は、関節チューブを収容するアームに一体的に接続されたハンドルを含む本体を含んでいる。ハンドルは、関節チューブおよびトリガーと連通する流体カセットを含む。トリガーが作動すると、関節チューブはアームの遠位端を越えてカールするように動作可能である。ハンドルは、流体をカセットから関節チューブを通してポンプで送るための手段をさらに含む。アームは、デバイスのアームとスライド可能に係合するように動作可能なシールドデバイス(または遮蔽デバイス)をさらに含み、シールドおよびアームは、使用中の逆流を防止するために、子宮頸部の外子宮口を覆って、密閉して係合するように構成される。
【0012】
医療デバイスの別の実施形態は、医療デバイスのアーム内に配置された柔軟なスコープ(または鏡:scope)と、デバイスの本体に実装可能に取り付けられた表示スクリーンとの使用を含む、デジタル表示手段を含む。
【0013】
医療デバイスの別の実施形態は、引き込み式バルーン、エンスネア(または罠の:ensnare)先端、またはワイヤを含む、掻爬を実行するための他の手段を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態は、正確な子宮内膜掻爬および/またはHSG手技を行うための、開示された医療デバイスの使用方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る医療デバイスの等角図であり、後退位置にある関節チューブを示している。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい実施形態に係る医療デバイスの等角図であり、伸長位置にある関節チューブを示している。
【
図3】
図3は、本発明の好ましい実施形態に係る医療デバイスの別の等角図であり、伸長位置にある関節チューブを示している。
【
図4】
図4は、本発明の好ましい実施形態に係る医療デバイスの側面図であり、伸長位置にある関節チューブを示している。
【
図5】
図5は、本発明の好ましい実施形態に係る医療デバイスの上面図であり、伸長位置にある関節チューブを示している。
【
図6】
図6は、本発明の好ましい実施形態に係る医療デバイスの切断断面図であり、アーム内に配置された管腔を示している。
【
図7】
図7は、本発明の好ましい実施形態に係る医療デバイスの分解図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の実施形態の側面図である。
【
図9】
図9は、本発明の別の実施形態の側面図であり、ワイヤ先端を示している。
【
図10】
図10は、本発明の別の実施形態の斜視図であり、後退位置にあるワイヤ先端を示している。
【
図11】
図11は、本発明の別の実施形態の斜視図であり、伸長位置にあるワイヤ先端を示している。
【
図12】
図12は、本発明の別の実施形態の側面図であり、拡張位置にある膨張可能なバルーン先端を示している。
【
図13】
図13は、本発明の別の実施形態の斜視図であり、拡張位置にある膨張可能なバルーン先端を示している。
【
図14】
図14は、本発明の別の実施形態の側面図であり、エンスネア先端を示している。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係るシールドデバイスの断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係るシールドデバイスの上面図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係るシールドデバイスの底面図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施形態に係る、画像デバイスを有する医療デバイスの断面図である。
【
図19】
図19は、注射器を封入し関節先端を有する、本発明の実施形態に係る医療デバイスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~7を参照すると、医療デバイス5の好ましい実施形態が示されている。
図1~
図2に示すように、医療デバイス5は、アーチ型ヒンジ接続部45によってアーム15に取り付けられたハンドル35を含む一体型本体10を含んでいる。
【0017】
アーム15は、近位端20および遠位端25を有し、関節管腔30がその内部に配置されて近位端20から遠位端25までアーム15の長さに沿って延在している。関節管腔30は、開口の第1端(open first end)と反対側の開口の第2端(open second end)52(
図6)とを有しその全長に延在する内部穴(an internal bore)を含む関節チューブ50を受容するように、動作可能である。アーム15と関節チューブ50は、医師またはユーザが、アームを膣および子宮頸部を通って子宮内に誘導可能にするのに十分な、柔軟性を有する材料から形成しなければならない。
【0018】
ハンドル35は、トリガー40と、流体カセット61を受容できるように構成されたカートリッジポート60とを含む。
図4に示すように、関節チューブ50の第1端は、好ましくは、クイック・コネクト・ファスナ(quick-connect fasteners)65を備えた接続チューブ64を介して、流体カセット61と流体連通している。ハンドル35は、流体カセット61を適所に固定するように動作可能なヒンジハンドル62をさらに含む。ヒンジハンドル62は、ハンドル35と一体化した部分を形成してもよいし、ハンドル25に取り外し可能に取り付けられてもよい。代わりに、好ましい実施形態に見られるように、ヒンジハンドル62は、U字型であってもよく、ハンドル35を保持しながらユーザの手で容易に作動するように構成された人間工学に基づいたプランジャ66を含んでもよい。ユーザがプランジャ66を絞る(または握る:squeezes)と、流体カセット61上に配置されたブラダ63に内向きの力が向けられ、その結果、流体が、流体カセット61から接続チューブ64を介して関節チューブ50の第1端に絞り出される。流体は、開口の第2端52(
図6)から分散される。
【0019】
アーム15の近位端20は、ハンドル25のトリガー40がハンドル25に向かって近位方向に引っ張られると、関節チューブ50がアーム15の遠位端25を越えて延びるように、トリガー40に固定して取り付けられている。関節チューブ50の第2端51は、伸長位置(extended position)(
図2)では関節チューブの長手軸から90°までカールするように動作可能であり、後退位置(retracted position)(
図1)では関節管腔30内に後退するのに十分な柔軟性を有する。例えば、関節チューブ50は、例えばニッケルチタン(または「NiTi」)を含む形状記憶特性を有する材料から作製され得る。アーチ型ヒンジ接続部45は、形状を保持しながら、トリガー40を引いたときに曲がることができる半剛性の柔軟な材料(例えば、TR-90ナイロン)から形成する。実施形態においては、トリガーとハンドルは一体化されていないが、関節チューブ50全体がアーム15の軸方向に移動可能である限り、任意のヒンジ接続を使用することができる。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、医療デバイス5は、関節チューブ50の第2端52が伸長したカール位置にあるときに関節接合(または関節運動:articulate)できるように、関節チューブ50をその長手軸に沿って回転させるように動作可能な回転子55を含む。
図1~2に示すように、ユーザが、手でデバイス5の制御を維持しながら、親指または他の指で回転子55を作動させることができるように、回転子55は、好ましくはハンドル35に近接して配置される。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態では、医療デバイス5は回転ロック(rotational lock)56を含む。回転ロック56は、作動させると、関節チューブ50を特定の伸長位置にロックしつつ、関節チューブ50はまた自由に回転できるようにする働きをする。回転ロック56により、ユーザはトリガー40を離す(または解放する:disengage)ことができ、ユーザは、トリガー40に一定の力を加える必要なしに、手技に集中できるようになる。
【0022】
子宮内膜の掻爬を行う場合、子宮内膜に対する関節チューブ50の第2端52の位置を知ることが重要である。これを達成する方法の1つは、流体または色素(dye)を子宮内に分散させて、子宮を超音波またはX線で見ることができるようにすることである。いずれの方法においても、超音波色素(the ultrasound dye)または蛍光透視法(fluoroscopy)は、流体カセット61に含まれる流体であり得る。
【0023】
医療デバイス5の別の実施形態は、ユーザが子宮内の関節チューブ50の位置を知ることを可能にする追加の撮像手段を含む。
図6に示すように、アーム15は、追加の光学管腔(optical lumen)71を含み得る。
図7に示すように、光学管腔71は、アーム15の遠位端25に配置されたカメラを備える柔軟なスコープ75(例えば、光学スコープ、光ファイバースコープ、または子宮鏡)を受容するように適合される。アーム15は、スコープ75を受容して収容するように動作可能なポート72とアダプタ74を含む。デバイス5を保持しながら視覚能力(viewing capabilities)を向上させるために、画像スクリーン76が本体10に実装可能に取り付けられている。画像スクリーン76は、スコープ75と通信して、スコープ75を通して表示される画像が画像スクリーン76上で強調される。
【0024】
子宮を拡張して、X線または超音波で観察する場合、または代わりに、HSG手技を実行している間、その手技の間じゅう子宮が拡張したままであることが重要である。そのため、流体が子宮に注入されたら、子宮頸部からの流体の逆流を防ぐことが重要である。さらに別の実施形態では、医療デバイス5は、前述の手技中に子宮頸部の外子宮口(external os)に密閉して係合するように動作可能なシールドデバイス79を含む。シールドデバイス79の例示的な実施形態は、シールド80と、シールド79に固定されたシールドデバイスアーム81とを含む。シールドデバイス79は、アーム15とスライド可能に係合するように動作可能な穴(bore)を含む。シールドデバイスアーム81は子宮頸部に挿入され、シールド80およびアーム81は、子宮頸部口(cervical os)からの逆流を防止するように動作可能である。シールドデバイス79の他の例示的な実施形態については、
図15~
図17で論じる。
【0025】
図8~19を参照すると、本発明の別の実施形態が示されている。この出願の目的のために、ここで適用可能な、
図8~19に開示された医療デバイス100の他の実施形態および構成要素は、
図1~7に開示される医療デバイス5の好ましい実施形態に組み込まれてもよい。
【0026】
図8に示すように、医療デバイス100は、アーム端106の反対側にハンドル端104を有する本体102を含む。本体102は、金属、プラスチック、または炭素繊維などの材料から作ることができる。ハンドル108は、本体102によって画定される。アーム112が本体102に接続されている。一実施形態では、ハンドル108は、アーム112の長手方向平面からオフセットされている。アーム112は、遠位端116の反対側に近位端114を有する。アーム112は、例えば、ポリマー、熱可塑性樹脂、または熱硬化性材料などの柔軟な材料から作ることができる。柔軟な材料で作られた実施形態では、アーム112は、医師が患者の子宮内の掻爬のために任意の平面内の領域をターゲットにできるように曲げられて成形されるように、操作可能である。別の実施形態では、アーム112は、例えば、金属、プラスチック、または炭素繊維などの剛性材料から作ることができる。マーキング113は、患者の体内のデバイス100の深さを示し、本明細書に開示される任意の実施形態に適用することができる。
【0027】
1つの別の実施形態では、
図8~9に示すように、医療デバイス100は、医療デバイスを通して分散流体を保持する代替手段を含む。医療デバイス100の本体102は、生理食塩水または色素のカートリッジ168などの流体カートリッジを受容して固定するように動作可能なカートリッジポート166を画定する。本体102は、カートリッジポート166にアクセスするためのヒンジまたはスライドドア182を含み得る。本体102は、生理食塩水カートリッジ168を見ることができるように、透明な材料から製造され得る。ポンプ170は、生理食塩水をカートリッジ168から流体通路134を通して患者の体内に圧送(pump)するように動作可能である。ポンプ170は、電池164によって電力供給され、ポンプ170に電子的に接続されたボタン174によって作動され得る。いくつかの実施形態では、ポンプ170に電力供給するように電池164を作動させるためにプルタブ184が使用される。この段落に開示された流体分散手段は、
図8~14に示されるように、
図1~7に記載された好ましい実施形態を含む本明細書に開示された実施形態のいずれかと共にだけでなく、関節先端(articulating tip)120、ワイヤ124、エンスネア(または罠の:ensnare)先端125、および膨張可能なバルーン128を含むいずれかのタイプの先端と共に、使用できるように動作可能である。導管118は、
図8に示されるように、アーム112によって画定される。アーム112は、例えば直径3mmであるだろう。高流量出力ポート119は、アーム112の端部に配置され、流体通路134を通って流れる流体を受容して排出するように動作可能である。
【0028】
医療デバイス100は、患者の子宮内膜を掻爬するように動作可能な様々な先端を備えて構成され得る。各タイプの先端は、本明細書に開示された本発明の他の特徴と共に機能するように動作可能である。一実施形態では、
図8に示すように、関節先端120が提供される。関節先端120は、アーム112の遠位端116に配置される。ハンドル108は、トリガー122を引くことによって関節先端120を様々な平面方向にカールさせるように動作可能なバネ仕掛けのトリガー機構110を含む。好ましくは、ハンドル108は、子宮腔内へのアーム112の誘導を容易にするために、アーム112の長手方向平面から約45°オフセットされており、そして、前記ハンドル108は、ユーザの人差し指(図示せず)がトリガー122を容易に作動させることができるように配置される。
【0029】
別の実施形態では、
図9~11に示すように、ワイヤ124が遠位端116に提供される。ワイヤ凹状開口126は、アーム112の遠位端116によって画定される。ワイヤ124は、導管118内に配置される。ワイヤ124は、ワイヤ凹状開口126を通って伸長するように動作可能である。トリガー機構110は、ハンドル108内に配置され、ワイヤ124を、ワイヤ凹状開口126を通して伸縮させるように操作可能である。トリガー機構110は、例えば、バネ仕掛けであってもよい。一実施形態では、ワイヤ124は、湾曲して弧を形成し、ワイヤ凹状開口126を通って伸長するように動作可能である。
【0030】
別の実施形態では、
図12~13に示すように、膨張可能なバルーン128が遠位端116に提供される。膨張可能なバルーン128は、アーム112の遠位端116に配置される。トリガー機構110は、ハンドル108内に配置され、バルーン118を膨張および収縮(または萎む:deflate)させるように動作可能である。トリガー機構110は、例えば、バネ仕掛けであってもよい。トリガー機構110は、例えば、空気圧、油圧、または外部の注射器からの流体の注入によって、バルーン128を膨張させることができる。バルーン128を膨張させるための手段は、例えば、デバイス100内に含まれるポンプ、またはデバイス100に取り付けられた外部ポンプによるものであり得る。
【0031】
さらに別の実施形態では、
図14に示すように、エンスネア先端125が提供される。エンスネア凹状開口部127は、アーム112の遠位端116によって画定される。エンスネア先端125は、エンスネア凹状開口部127内に後退して圧縮するように動作可能であり、エンスネア凹状開口部127から伸長するように動作可能である。トリガー機構110は、ハンドル108内に配置され、エンスネア凹状開口部127からエンスネア先端125を伸長および後退させるように動作可能である。トリガー機構110は、例えば、バネ仕掛けであってもよい。エンスネア先端125を含む医療デバイス100の実施形態では、エンスネア先端125が患者の子宮内膜と接触すると圧縮するので、開業医が患者の子宮内膜に対する掻爬する力を緩和することを可能にし、それによって、たとえば、硬い掻爬ツールとは対照的に、子宮内膜に加えられる力を低減する。太いワイヤは、細いワイヤよりも高いばね力を提供するため、エンスネア先端125を含むワイヤのゲージは、子宮内膜に接触するときのエンスネア先端125の収縮をさらに緩和する。
【0032】
前述の実施形態のいずれにおいても、インジケータが本体102に含まれ、関節先端120が真っ直ぐであるかカールしているか、ワイヤ124またはエンスネア先端125が伸長しているか後退しているか、またはバルーン128が膨張しているか収縮して(または萎んで:deflated)いるかを示すように動作可能である。医療デバイス100の前述の実施形態のすべては、シールドデバイス140を含むように構成される。シールドデバイス150の追加の例示的な実施形態が、
図15~17に示されている。シールドデバイスアーム144は、内部穴(an internal bore)154を画定する。患者の外子宮口を取り囲む子宮頸部の輪郭の一部に適応するように、シールド142は、凹面側と凸面側を有する凹面形状を有してもよく、医療デバイス100が所定の位置にあるとき、シールド142の凹面側は外子宮口に面し、凸面側は膣腔に面する。
【0033】
一実施形態では、シールドデバイスアーム144は、膨張して、患者の子宮頸部の内部輪郭にさらに適合するように動作可能である。シールドデバイスアーム144は、例えば注射器から、例えばシールドデバイス140上のポート(図示せず)に注入することによって膨張可能であってもよい。シールド142は、シールド110の凹面側が、患者の外子宮口および外子宮口を取り囲む子宮頸部組織に対して同一平面に適合するように成形され得る。シールド142の曲率は、異なる患者のために調整することができる。シールドデバイスアーム144は、シールド142の凹面側に固定されてもよい。さらに、シールド142は、概ね円形の形状を有することができ、シールドデバイスアーム144は、シールドの概ね中央でシールド142に固定することができる。代わりに、シールド142は、楕円形など、患者の外子宮口を覆うのに適した別の形状であってもよい。
【0034】
シールドデバイスアーム144は、シールド142に永久的に固定されてもよい。例えば、シールドデバイスアーム144とシールド142は、材料の一体部品(a unitary piece)として成形することができる。あるいは、シールドデバイスアーム144は、接着剤でシールド142に固定されてもよい。シールドデバイスアーム144の患者の頸管への出入りを容易にするために、シールドデバイスアーム144は、ほぼ円筒形の形状を有することができる。医療デバイス100のアーム112は、医療デバイス100の使用時にシールドデバイス140の穴154に挿入するように構成されている。一実施形態では、シールドデバイス140は、アーム112に永久的に取り付けられる。一実施形態では、シールドデバイス140は、アーム112に沿ってスライドし、そこから取り外されるように動作可能である。
【0035】
図15に示すように、シールドデバイスアーム144は、使用中にシールドデバイスアーム144が頸管に挿入された状態でデバイス100を所定位置に維持するのを助けるために円周方向の膨らみ(bulge)146を有することができる。膨らみ146は、シールドデバイスアーム144の中間点と、シールドデバイスの遠位端148との間に、シールドデバイスアーム144の長さに沿って配置される。シールドデバイスアーム144の中間点よりも、シールドデバイスアーム144の遠位端148の近くに配置されることが好ましい。シールドデバイスアーム144が頸管に挿入されると、円周方向の膨らみ146のより広い直径が、子宮頸管からシールドデバイスアーム144が取り外されることに対する抵抗を提供し、それによって、生理食塩水などの流体を子宮頸管または子宮腔に導入した後の一定期間、医療デバイス100を所定位置に保持するのを助けて、医療デバイス100が子宮頸管から膣腔への流体が漏出するのを防止する。膨らみ146は、好ましくは、シールドデバイスアーム144を子宮頸管に挿入するときの不快感を防止するために、曲線状の表面(または起伏のある表面:contoured surface)を有する。
【0036】
シールドデバイス140は、シールドデバイスアーム144の遠位端および近位端に配置されたバルブ150をさらに含んでもよい。バルブ150は、開位置と閉位置との間で動作可能である。バルブ150は、閉位置にあるとき、バルブ150を通る流体が漏出するのを防止するために、実質的に液密シール(または液密封止:fluid-tight seal)を形成する。
図15~17に示す実施形態では、バルブ150は、医療デバイスのアーム112がバルブ150を通過してアーム112の周りにシールを形成することを可能にする、小さな円形開口を有する円形バルブである。別の実施形態では、バルブ150は、シールドデバイスアーム144の端部に一体的に取り付けられた複数の弾性フラップを含む。バルブ190が閉位置にあるときに、弾性フラップは、穴154の中心に向かって内側方向に、互いに対して弾力的に付勢されている。弾性フラップは、穴154の開口部上に実質的に液密シールを形成するようにサイズ決定および成形される。本明細書で使用される「弾性(elastomeric)」の用語は、材料が撓むおよび/または伸張でき、その後にその元の位置に戻ることができるように、可撓性および/または伸張性である任意の材料を指す。この場合、元の位置とは、バルブの閉位置のことである。好ましくは、バルブ150は、それぞれが略三角形の形状を有する3つの弾性フラップを有する。バルブ150が閉位置にあるとき、3つの三角形のフラップは互いに嵌合して実質的に液密シールを形成して、バルブ150を通って流体が漏出するのを防止する。
【0037】
患者の子宮内膜にHSG手技および/または子宮内膜掻爬を行う手技の間、医療デバイス100のアーム112は、シールドデバイス140全体を通して挿入され、それに固定される。アーム112が穴154に押し込まれると、アーム112がバルブ150を押し通して、それによってバルブ150の内部開口を外側に押し出して、アーム112の周りにシールを形成する。このようにして、医療デバイス100は、シールドデバイス140を通過して、生理食塩水などの流体を子宮腔内に送達し、そして、子宮内膜掻爬を実行することができる。シールドデバイス140が患者の子宮頸部口に対して固定されると、漏出防止シールが形成され、注入された流体は子宮内に留まる。
【0038】
図18に示すように、撮像手段を組み込んだ本発明の別の実施形態が示されている。 ここでは、画像デバイス156は、医療デバイス100と一体である。一体化した撮像(integrated imaging)を含む実施形態では、医師は、画像デバイスのビデオ出力を見ることによって医療デバイスを配置および操作することができるので、超音波は必要ではなくなる。画像デバイス156は、アーム112の遠位端116に配置され、電子コネクタ158を介して患者の子宮の内部の画像を送信するように動作可能である。画像デバイス156は、例えば、光学スコープ、光ファイバースコープ、子宮鏡、またはカメラであってもよい。一実施形態では、内視鏡検査システムを画像デバイス156として利用することができ、それは無線の手持ちの(またはハンドヘルドの:handheld)内視鏡検査システム(図示せず)である。このようなシステムは、例えば、内視鏡カニューレ、使い捨てマウント、フォーカス/ズーム機能、ワイヤレスカメラ(a wireless scamera)、ラップトップまたはその他のモニタと連携して使用される2.4GHzの高解像度カメラ、および撮像と電源の制御を含むことができる。電子コネクタ158は、導管118内に配置され、患者の子宮内部の画像を接続ポート160に送信するように動作可能である。導管118は、電子コネクタ158、流体通路134、および先端を操作するための機械的機構を取り囲むように操作可能である。接続ポートは、本体によって画定され、電子コネクタ158から患者の子宮の画像を受信するように動作可能であり、取り付け可能なスクリーン186またはコンピューティングデバイスなどのディスプレイに画像を送信するように動作可能であり得る。一実施形態では、ディスプレイは、医療デバイス100の本体102に一体的に組み込まれてもよい。接続ポート160は、ディスプレイに取り付けるように構成することができる。接続ポート160は、イーサーネットまたはUSBなどの有線接続、またはBluetoothまたはWi-Fiなどの無線手段によって画像を送信するように構成されてもよい。接続ポート160はさらに、フラッシュドライブ、外部ストレージドライブ、またはクラウドストレージなどのコンピュータ可読媒体に画像を送信するように動作可能であり得る。
【0039】
一実施形態では、医療デバイス100は、画像デバイス156、光源162、およびディスプレイ186に電力を供給するように動作可能な、バッテリなどの電源188または外部電源を接続するように動作可能な電源ケーブルを含む。プルタブ190は、電源188を作動させるように操作可能である。電源164は、例えば、バッテリパック、または外部電源を接続するように動作可能な電源ケーブルであってもよい。電源164はさらに、ポンプ170を含む本発明の実施形態に電力を供給するように動作可能である。
【0040】
図11に示されるように、先端192は、
図1~19に開示されるように関節先端、バルーン、エンスネア先端、またはワイヤであり得、または患者の子宮の内部で掻爬を行うのに適したその他のデバイスであり得る。高流量出力ポート119は、例えば、アーム112によって画定される穴、またはアーム112の周囲を囲む円周スリットであり得る。
図18に示すように、画像デバイス156は、アームの先端192の後ろに配置され、医師が先端192を見ることができるようにする。回転ノブ155により、アーム112を回転させて先端192を所望の平面内に移動させることができる。一実施形態では、医療デバイス100は、患者の子宮の内部を照明するように動作可能な光源162を含む。光源162は、例えば、1つまたは複数の発光ダイオードまたは光送達ファイバであってもよい。
【0041】
図19に示すように、本発明の一実施形態200は、アーム端220の反対側にハンドル端部218を有する注射器キャビティ216を画定する本体202を含み、注射器222を受容して固定するように動作可能である。マーキング213は、患者の体内におけるデバイス200の深さを示す。注射器222は、例えば、注射器キャビティ216内の所定の位置に留める(またはスナップする:snap)ことができる。ロック224は、注射器キャビティ216のアーム端220に配置され、注射器216の先端226を受容して固定するように動作可能である。ロック224は、ロック224と注射器222の先端226との間に漏れ防止シールを形成するように動作可能である。ロック224はさらに、注射器222の先端226と導管214の流体入力端215との間の流体連通を可能にするように動作可能である。ハンドル208は、注射器222内に含まれる流体を前進させるためにプランジャ230を注射器222内に駆動するように動作可能な、例えば、フィンガーリング(または指輪:finger ring)などのバネ仕掛けのトリガー機構228を含む。一実施形態では、機械的駆動デバイス231は、プランジャ230の内部プッシュパッドを注射器222内に駆動し、注射器222内に収容された流体を、導管214を通して高流量出力ポート219から患者の子宮および卵管内に駆動するように、動作可能である。HSG手技は、例えば、30ccの色素を利用することができる。関節レバー229は、関節レバー229を引くことによって、アーム210を様々な方向にカールさせるように操作可能である。医療デバイス200は、関節先端、バルーン、エンスネア先端、ワイヤ、または患者の子宮の子宮内膜を掻爬するのに適した他のデバイスなど様々な先端で構成され得る。
【0042】
本発明の実施形態によれば、前述の実施形態のいずれかを使用して子宮内膜掻爬および/またはHSG手技を行う方法が提供される。この方法は、(a)定義された医療デバイス5、100を提供する第1のステップ;(b)排卵前に患者の子宮腔内に医療デバイス5、100を導入して、シールドデバイス79、140が患者の子宮頸部口に対してしっかり配置され、子宮内に注入された流体に漏れ防止シールを提供する;(c)生理食塩水または色素などの流体を患者の子宮に注入して子宮を満たしてHSG手技を実行し、患者の卵管から閉塞を除去する、および/または(d)超音波またはX線を使用して、患者の卵管および患者の子宮内の医療デバイス5、100を見る。画像デバイスを含むデバイス5、100の実施形態では、医師は、超音波またはX線によってデバイスを見るのではなく、ステップ(d)で画像デバイスに表示された患者の子宮の画像を使用するだろう。
この方法はさらに、(e)超音波、X線、または画像デバイスを使用して医療デバイス5、100を位置決めし、本明細書で定義された関節チューブ、ワイヤ、エンスネア先端、またはバルーンを作動させることによって、所望の位置で子宮内膜掻爬を行うステップを含む。この方法は、(f)医療デバイス5、100を患者から取り外すステップ316を含む。
【0043】
前述の実施形態のいずれについても、医療デバイス100の一部または全部を透明な材料から製造して、医師が、患者に送り込んだ生理食塩水の量を見ることができるようにしてもよい。さらに、5cc、10cc、15cc、および20ccを示すマーキングを含んでもよい。これにより、医師は正しい量の生理食塩水を注入して子宮を満たすことができる。
【0044】
本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に示された好ましい実施形態を参照し、これらの実施形態を説明するために特定の文言が使用されてきた。しかしながら、この特定の文言は、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、本発明は、当業者にとって通常起こるであろうすべての実施形態を包含すると解釈されるべきである。本明細書に示され、記載された特定の実施は、本発明の例示的な例であり、本発明の範囲をなんらかの方法で制限することを意図するものではない。簡潔にするために、システムの従来の態様(およびシステムの個々の動作コンポーネントの構成要素)は、詳細に説明されない場合がある。さらに、提示した様々な図に示された接続線またはコネクタは、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または様々な要素間の例示的な物理的または論理的結合を表すことを意図している。実際のデバイスには、多くの代替または追加の機能的関係、物理的接続または論理的接続が存在するであろうことに留意されたい。さらに、要素が「必須の」または「重要な」として具体的に記載されていない限り、いかなる項目または構成要素も本発明の実施に必須ではない。当業者には、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、多くの修正および適合が容易に明らかになるであろう。
【国際調査報告】