(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】電気分解による、高純度の水素およびハライドガスの共生成
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20210101AFI20230915BHJP
C25B 13/08 20060101ALI20230915BHJP
C25B 1/02 20060101ALI20230915BHJP
C25B 11/081 20210101ALI20230915BHJP
C25B 1/26 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
C25B9/00 F
C25B13/08 301
C25B1/02
C25B11/081
C25B1/26 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514749
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 US2021048782
(87)【国際公開番号】W WO2022051446
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591049136
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ サウス カロライナ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ミーキンス,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】シンパリー,シリバッチ
(72)【発明者】
【氏名】マードック,ローラ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】リキト-アヌラック,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ベニスビッチ,ブライアン・シー
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011AA32
4K011DA05
4K021AA01
4K021AA03
4K021BC09
4K021DB18
4K021DB31
4K021DC03
(57)【要約】
酸非依存性膜抵抗およびより小さい膜抵抗の両方をより高い作動温度とともに可能にする、ポリベンゾイミダゾール(PBI)またはスルホン化ポリベンゾイミダゾール(s-PBI)膜、ならびにアノードおよびカソードにおける金属触媒を有するプロトン交換膜様式電気分解装置、ならびにこれらを用いてプロトン交換膜様式電気分解装置を作製する方法が、本明細書で記載される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜と、
ルテニウムおよびイリジウムを含む金属触媒を有する少なくとも1つのアノード、ならびに白金を含む金属触媒を有する少なくとも1つのカソードと
を含むプロトン交換膜様式電気分解装置であって、前記膜が、実質的に0.05オーム・cm
2の酸非依存性膜抵抗を含む、前記プロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項2】
前記ポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜が、導電性を保つための外部水和を必要としないことをさらに含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項3】
実質的に乾燥した状態で作動する、請求項2に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項4】
少なくとも1つの無水生成物ガス流を生成する、請求項2に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアノードに供給される少なくとも1種の無水酸ガスをさらに含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのカソードに供給される少なくとも1種の不活性ガスをさらに含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項7】
全てのカソード入口がキャップされている、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアノードが、供給された前記無水酸に対応するハライドガスを生成する、請求項5に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのカソードが水素ガスを生成する、請求項6に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項10】
酸素が前記少なくとも1つのカソードに供給された場合、前記少なくとも1つのカソードが水および水素ガスを生成する、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項11】
プロトン交換膜様式電気分解装置を形成するための方法であって、
少なくとも1つのポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜を形成するステップと、
ルテニウムおよびイリジウムを含む金属触媒を有する少なくとも1つのアノード、および白金を含む金属触媒を有する少なくとも1つのカソードを形成するステップと、
実質的に0.05オーム・cm
2の酸非依存性膜抵抗を有するように前記膜を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
導電性を保つための外部水和を必要としないように、ポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜を形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
実質的に乾燥した状態で作動するように、前記プロトン交換膜様式電気分解装置を形成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの無水生成物ガス流を生成するように、プロトン交換膜様式電気分解装置を形成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアノードに少なくとも1種の無水酸ガスを供給するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのカソードに少なくとも1種の不活性ガスを供給するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
全てのカソード入口をキャップするステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
供給された前記無水酸に対応するハライドガスを生成する前記少なくとも1つのアノードをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
水素ガスを生成する前記少なくとも1つのカソードをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
以下:
【化1】
に示される合成経路を介して前記ポリベンゾイミダゾール膜を形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書で開示される主題は一般に、酸非依存性である膜抵抗およびより小さい膜抵抗の両方をより高い作動温度とともに可能にする、ポリベンゾイミダゾール(PBI)またはスルホン化ポリベンゾイミダゾール(s-PBI)膜、ならびにアノードおよびカソードにおける金属触媒を有するプロトン交換膜様式電気分解装置、およびこれらを用いてプロトン交換膜様式電気分解装置を作製する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002]現在、化学プラントが一部の形態のハロゲン化水素を生成すると、この副生成物は、現場で処理されるか、または55ガロンのドラム缶に保存され、処理されるべく現場外に持ち出されなければならない。これらの副生成物が修復および再使用されうるのであれば、それが環境的にも財政的にもよりよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]したがって、スルホン化ポリベンゾイミダゾール(s-PBI)またはポリベンゾイミダゾール(PBI)膜、ならびにアノードおよびカソードにおける金属触媒を有するプロトン交換膜様式電気分解装置が、本開示の目的である。この膜を使用すると、Nafion(商標)が酸濃度の増大につれて膜抵抗の指数関数的増大を呈するのに対し、約0.05オーム・cm2の酸非依存性膜抵抗が可能となる。さらに、PBIおよびs-PBI膜は導電性を保つための外部水和を必要とせず、そのためこのPEM様式電気分解装置は完全に乾燥した状態で作動させることができ、完全に乾燥した生成物ガス流をもたらす。
【0004】
[0004]本出願におけるあらゆる文書の引用または指定は、そのような文書が、本開示に対する先行技術として利用可能であると認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]上記の目的は、本開示に従って、一実施形態において、プロトン交換膜様式電気分解装置を提供することにより達成される。電気分解装置は、少なくとも1つのポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜と、ルテニウムおよびイリジウムを含む金属触媒を有する少なくとも1つのアノード、ならびに白金を含む金属触媒を有する少なくとも1つのカソードとを含んでいてよく、膜は、実質的に0.05オーム・cm2の酸非依存性膜抵抗を含む。さらに、ポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜は、導電性を保つための外部水和を必要としなくてもよい。さらに、プロトン交換膜様式電気分解装置は、実質的に乾燥した状態で作動しうる。さらにまた、プロトン交換膜様式電気分解装置は、少なくとも1つの完全に乾燥した生成物ガス流を生成しうる。さらに、少なくとも1種の無水酸ガスが、少なくとも1つのアノードに供給されてよい。さらにまた、少なくとも1種の不活性ガスが、少なくとも1つのカソードに供給されてよい。さらになお、全てのカソード入口がキャップされていてもよい。さらにまた、少なくとも1つのアノードは、供給された無水酸に対応するハライドガスを生成しうる。さらに、少なくとも1つのカソードは、水素ガスを生成しうる。さらにまた、酸素が少なくとも1つのカソードに供給された場合、少なくとも1つのカソードは水および水素ガスを生成しうる。
【0006】
[0006]さらなる実施形態において、プロトン交換膜様式電気分解装置を形成するための方法が提供される。この方法は、少なくとも1つのポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜を形成するステップと、ルテニウムおよびイリジウムを含む金属触媒を有する少なくとも1つのアノード、ならびに白金を含む金属触媒を有する少なくとも1つのカソードを形成するステップと、実質的に0.05オーム・cm2の酸非依存性膜抵抗を有するように膜を形成するステップとを含んでいてよい。さらに、ポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜は、導電性を保つための外部水和を必要としないように形成されてよい。さらに、プロトン交換膜様式電気分解装置は、実質的に乾燥した状態で作動するように形成されてよい。またさらに、プロトン交換膜様式電気分解装置は、少なくとも1つの完全に乾燥した生成物ガス流を生成するように形成されてよい。さらに、少なくとも1種の無水酸ガスが、少なくとも1つのアノードに供給されてよい。さらにまた、少なくとも1種の不活性ガスが、少なくとも1つのカソードに供給されてよい。さらになお、全てのカソード入口がキャップされていてもよい。またさらに、少なくとも1つのアノードは、供給された無水酸に対応するハライドガスを生成しうる。さらに、少なくとも1つのカソードは、水素ガスを生成しうる。さらに、ポリベンゾイミダゾール膜は、以下に示される合成経路を介して形成されてよい。
【0007】
【0008】
[0007]
[0008]例示的実施形態の、これらおよび他の態様、物、特性、および利点は、例示的実施形態についての以下の詳細な記載を考慮すると、当業者には明らかとなるはずである。
【0009】
[0009]本開示の特性および利点についての理解は、本開示の原理が利用可能な例示的な実施形態を示す以下の詳細な記載、および添付の図面を参照することにより得られるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]Uhde法による、液相HCLの電気分解のグラフプロットを示す図である。
【
図2】[0011]本開示の方法についてのグラフプロットを示す図である。
【
図3】[0012]本開示の実験機構の一実施形態を示す図である。
【
図4】[0013]1M、3.5M、7Mおよび9M濃度のHCL濃度に対する効果を示す図である。
【
図5】[0014]各種HCL濃度での触媒に対する効果を示す図である。
【
図6】[0015]本開示の電解槽組立品の一実施形態を示す図である。
【
図7】[0016]本開示の実験電気分解装置機構を示す図である。
【
図8】[0017]分極曲線および膜抵抗プロットによる電解槽性能を示す図である。
【
図9】[0018]本開示の膜の画像を示す図である。
【
図11】[0020]一定流速、温度および触媒による本開示の膜に対する電流密度の効果を示す図である。
【
図12】[0021]本開示の膜に対する温度および流速の効果を示す図である。
【
図13】[0022]本開示の膜に対するカソード触媒および流速の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0023]本明細書の図は、説明のみを目的としており、必ずしも正確な縮尺率で描かれていない。
[0024]本開示がより詳細に記載される前に、本開示が、記載される具体的な実施形態に限定されず、そのためもちろん変動しうるということが理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語が、具体的な実施形態を記載するためだけのものであり、限定的であることを意図されないということも理解されるべきである。
【0012】
[0025]具体的に指定されない限り、この文書において使用される用語および句、およびそれらの変形形態は、別途明確に指定されない限り、限定的と対立するオープンエンドなものとして解釈されるべきである。同様に、接続詞「および」でつながる項目の群は、それらの項目の一つ一つが集団に存在することを求めるものとして判読されるべきでなく、別途明確に指定されない限り、「および/または」として判読されるべきである。同様に、接続詞「または」でつながる項目の群は、群内で相互に排他的であることを求めるものとして判読されるべきでなく、別途明確に指定されない限り、これも「および/または」として判読されるべきである。
【0013】
[0026]さらに、本開示の項目、要素または成分が単数形で記載または請求されることがあるが、単数形に限定されることが明確に指定されない限り、複数形がその範囲内に入ることが意図される。範囲を広げる語および句、例えば一部の例として「1つまたは複数」、「少なくとも」、「に限定されない」または他の同様の句の存在は、そのような範囲を広げるための句が存在しない例では、より範囲の狭い場合が意図または必要とされることを意味すると判読されるべきでない。
【0014】
[0027]別途定義されない限り、本明細書で使用される専門および科学用語は全て、本開示が属する分野の技術者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものと同様または同等の任意の方法および材料も、本開示の実施または試験において使用可能であるが、好ましい方法および材料がここで記載される。
【0015】
[0028]本明細書で引用される出版物および特許は全て、引用される出版物が関連する方法および/または材料を開示および記載するために引用される。そのような出版物および特許は全て、個々の出版物または特許が参照により組み込まれることを具体的にかつ個別に示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。そのような参照による組込みは、引用される出版物および特許に記載される方法および/または材料に明確に限定され、引用される出版物および特許での辞書上の定義にまでは及ばない。本出願でも明確に繰り返されない、引用される出版物および特許での辞書上の定義は、そのようなものとして扱われるべきでなく、添付の請求項に登場する用語を定義するものとして判読されるべきでない。任意の出版物の引用は、申請日前にそれを開示するためのものであり、本開示が、先に開示されたという理由でそのような出版物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきでない。さらに、提供される出版日は実際の出版日と異なることがあり、独立して確認される必要がありうる。
【0016】
[0029]本開示を読めば当業者には明らかなように、本明細書で記載および例示される個々の実施形態の各々は、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特性から容易に分離されるか、またはそれらと容易に組み合わされることが可能な個別の成分および特性を有する。列挙される方法はいずれも、列挙される事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実施可能である。
【0017】
[0030]範囲が表される場合、さらなる実施形態は、一方の特定の値から、かつ/または他方の特定の値までを含む。端点による数値範囲の列挙は、各範囲内に包含される全ての数値および小数部、さらには列挙される端点を含む。値の範囲が提供される場合、その範囲および任意の他の指定される範囲の上限と下限との間の、文脈が明確に別途規定しない限り下限の単位の10分の1までの、間にある各値、またはその指定される範囲の間にある値が、本開示に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、そのより小さい範囲に独立して含まれていてよく、指定される範囲の具体的に除外される限度に従ってこれも本開示に包含される。指定される範囲が限度のうちの一方または両方を含む場合、それらの含まれる限度のうちのいずれかまたは両方を除外する範囲も本開示に含まれる。例えば、指定される範囲が限度のうちの一方または両方を含む場合、それらの含まれる限度のうちのいずれかまたは両方を除外する範囲も本開示に含まれ、例えば句「x~y」は、範囲「x」~「y」、さらには範囲「x」超および「y」未満を含む。範囲は上限、例えば「約x、y、z、またはそれ以下」として表されてもよく、特定の範囲「約x」、「約y」、および「約z」さらには範囲「x未満」、「y未満」、および「z未満」を含むと解釈されるべきである。同様に、句「約x、y、z、またはそれ超」は、特定の範囲「約x」、「約y」、および「約z」さらには範囲「x超」、「y超」、および「z超」を含むと解釈されるべきである。さらに、句「約『x』~『y』」は、「x」および「y」が数値であれば、「約『x』~約『y』」を含む。
【0018】
[0031]比、濃度、量、および他の数値データが、本明細書では範囲形式で表されうることが留意されるべきである。範囲のうちの各々の端点が、他の端点に関連して、かつ他の端点とは独立して重要であることがさらに理解されるはずである。本明細書で開示される複数の値があり、各値が本明細書で、その特定の値自体に加えて「約」その特定の値としても開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。範囲は本明細書で、「約」1つの特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値まで、と表されることがある。同様に、値が、先行する「約」の使用により近似値として表される場合、特定の値がさらなる態様を形成することが理解されるはずである。例えば、値「約10」が開示される場合、「10」も開示される。
【0019】
[0032]そのような範囲形式が利便性および簡潔性のために使用され、ゆえに、範囲の限度として明確に列挙される数値を含むだけでなく、各数値および部分範囲が明確に列挙されるかのように、その範囲内に包含される個々の数値または部分範囲も全て含むように、柔軟に解釈されるべきであることが理解されるべきである。例示のため、数値範囲「約0.1%~5%」は、明確に列挙される値約0.1%~約5%を含むだけでなく、示される範囲内の個々の値(例えば、約1%、約2%、約3%、および約4%)および部分範囲(例えば、約0.5%~約1.1%、約5%~約2.4%、約0.5%~約3.2%、および約0.5%~約4.4%、および他の可能な部分範囲)も含むように解釈されるべきである。
【0020】
[0033]本明細書で使用される場合、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に規定しない限り、単数および複数の指示対象両方を含む。
【0021】
[0034]本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、「実質的に」、および同様のものは、パラメーター、量、時間、および同様のものなどの測定可能な変数に関連して使用される場合、実験誤差(例えば所与のデータセット、技術分野において許容されている標準、および/または例えば所与の信頼区間(例えば平均から90%、95%、またはそれ超の信頼区間)により決定可能)内の値を含む指定された値の、および指定された値からの変動、例えば指定された値の、および指定された値からの+/-10%またはそれ以下、+/-5%またはそれ以下、+/-1%またはそれ以下、および+/-0.1%またはそれ以下の変動を、そのような変動が本開示において機能するのに好適である限りにおいて、包含することが意図される。本明細書で使用される場合、用語「約」、「近似の」、「それ自体または約」および「実質的に」は、問題の量または値が、正確な値であってもよく、または請求項に列挙されるかもしくは本明細書で教示されるものと同等の結果または効果をもたらす値であってもよいことを意味しうる。すなわち、量、サイズ、配合、パラメーター、ならびに他の分量および性質は正確ではなく、かつ正確である必要はないが、同等の結果または効果が得られるように、必要に応じて、公差、変換係数、丸め、測定誤差および同様のもの、および当業者に既知の他の因子を反映して、近似および/またはより大きいかもしくはより小さくてよいことが理解される。一部の状況では、同等の結果または効果をもたらす値は、合理的に決定することができない。概して、量、サイズ、配合、パラメーターまたは他の分量もしくは性質は、そうであると明確に指定されているかどうかにかかわらず、「約」、「近似の」または「それ自体または約」である。「約」、「近似の」または「それ自体または約」が定量値の前で使用される場合、パラメーターは、別途特に指定されない限り、特定の定量値自体も含むことが理解される。
【0022】
[0035]用語「任意の」または「任意で」は、それに続く記載された事象、状況または置換基が発生してもしなくてもよく、記載が、事象または状況が発生する例および発生しない例を含むことを意味する。
【0023】
[0036]本明細書で使用される場合、「有形的表現媒体」は、物理的に有形または接触可能であり、単なる抽象的思考でも記録されていない話し言葉でもない媒体を指す。「有形的表現媒体」は、セルロースもしくはプラスチック材料上の語、または適切なコンピューター読み取り可能な記憶形態として保存されたデータを含むが、これらに限定されない。データは、フラッシュメモリーもしくはCD-ROMなどの単位素子、または例えばウェブインターフェースを介してユーザーがアクセス可能なサーバーに保存可能である。
【0024】
[0037]本明細書で使用される場合、交換可能に使用可能な用語「重量パーセント」、「wt%」、および「wt.%」は、別途指定されない限り、所与の成分の、それが成分である組成物の総重量に基づく、重量によるパーセントを示す。すなわち、別途指定されない限り、wt%値は全て組成物の総重量に基づく。開示される組成物または配合物中の全ての成分についてのwt%値の合計が100に等しいことが理解されるべきである。代わりに、wt%値が組成物中の成分の部分セットの総重量に基づく場合、開示される組成物または配合物中の指定された成分についてのwt%値の合計が100に等しいことが理解されるべきである。
【0025】
[0038]各種実施形態が以下で記載される。具体的な実施形態は、網羅的な記載としても、本明細書で論じられるより広い態様に対する制限としても意図されないことが留意されるべきである。特定の実施形態と併せて記載される一態様は、必ずしもその実施形態に限定されず、任意の他の実施形態を用いて実施されてもよい。本明細書にわたっての、「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特性、構造または性質が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。ゆえに、本明細書にわたっての各種箇所で句「一実施形態において」、「実施形態において」、または「例示的実施形態」が登場すると、全てが同じ実施形態を指すとは限らないが、指すこともある。さらに、特定の特性、構造または性質が、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者には明らかであるように、任意の適切な方式で組み合わされてもよい。さらに、本明細書で記載される一部の実施形態は、他の実施形態に含まれる一部の特性を含むものの他の特性は含まないが、異なる実施形態の特性の組合せは本開示の範囲内にあることが意図される。例えば、添付の請求項において、請求される実施形態のうちのいずれかが任意の組合せにおいて使用されてよい。
【0026】
[0039]本明細書で引用される特許、特許出願、公開済み出願、および出版物、データベース、ウェブサイトおよび他の刊行物は全て、個々の出版物、公開済み特許文書、または特許出願が参照により組み込まれることを具体的にかつ個別に示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
キット
[0040]本明細書で記載される、電気分解装置、または電気分解装置を形成するための方法のいずれも、組合せキットとして提示されてよい。本明細書で使用される場合、用語「組合せキット」または「キットオブパーツ」は、化合物、組成物、配合物、電気分解装置、本開示の要素の組合せまたは単一の要素を包装する、販売する、流通させる、配送する、かつ/または供給するために使用される任意のさらなる成分を指す。そのようなさらなる成分は、包装、シリンジ、ブリスター包装、膜、および同様のものを含むがこれらに限定されない。キットに含まれる、本明細書で記載される化合物、組成物、方法、電解槽、またはそれらの組合せのうちの1種または複数が同時に提供される場合、組合せキットは、プロトン交換膜様式電気分解装置などの単一包装中にそれら成分を含んでいてよい。本明細書で記載される化合物、組成物、粒子、および電気分解装置、またはそれらの組合せおよび/またはキット成分が同時に提供されない場合、組合せキットは、別々の組合せで各成分を含んでいてよい。別々のキット成分は、単一包装またはキット内の別々の包装中に含まれていてよい。
【0028】
[0041]一部の実施形態において、組合せキットは、有形的表現媒体に印刷された、またはこれに別様に含まれる説明書も含む。説明書は、交換膜様式電気分解装置の内容に関する情報、交換膜様式電気分解装置に関する安全情報、電気分解装置に関する情報、使用適応、および/または交換膜様式電気分解装置を創出するための説明書を提供することができる。一部の実施形態において、説明書は、本明細書で記載される電気分解装置および電気分解装置を作製するための方法を提供するための指示およびプロトコルを提供することができる。
【0029】
[0042]本開示は、ポリベンゾイミダゾール(PBI)またはスルホン化ポリベンゾイミダゾール(s-PBI)膜、ならびにアノードおよびカソードにおける金属触媒を有するプロトン交換膜様式電気分解装置を提供する。この膜を使用すると、Nafion(商標)が酸濃度の増大につれて膜抵抗の指数関数的増大を呈するのに対し、約0.05オーム・cm2の酸非依存性膜抵抗が可能となる。さらに、PBIおよびs-PBI膜は導電性を保つための外部水和を必要とせず、そのためこのPEM様式電気分解装置は完全に乾燥した状態で作動させることができ、完全に乾燥した生成物ガス流をもたらす。
【0030】
[0043]無水酸ガスが電気分解装置のアノードに供給される。カソードでは、不活性ガス(窒素、アルゴン)、空気/酸素(水を生成するため)が供給されてもよく、またはガスが全く供給されなくてもよい(カソード入口をキャップする)。アノードにおける生成物は、対応するハライドガス(例えば、HClの供給はCl2ガスを生成する)およびあらゆる未反応のハロゲン化水素である。
【0031】
[0044]カソードにおける生成物は、ガスがカソードに供給されないか、または不活性ガスがカソードに供給された場合は水素ガスである。空気/酸素が供給された場合、生成物は水および水素ガスである。この技術により、副生成物廃棄物を、高価値の燃料および原料に電気化学的に改善することが可能となる。廃棄物を処理するかまたはこれを除去してもらうのに金銭を費やす代わりに、廃棄物が変換および再使用され、金銭を節約し、環境への影響を低減させることができる。この技術は高純度かつ非常に乾燥したガス生成物を生成し、通常は必要とされる高価な分離および乾燥ステップの必要性を取り除く。さらに、電気分解装置の成分は、高い(T<=摂氏230度)作動温度であっても、強い酸性条件に耐えることができる。
【0032】
[0045]ポリベンゾイミダゾール膜を使用することにより、本発明者らは、アノードへの供給流中の水の必要性を省く。さらに本発明者らは高温で作動させることができ、このことが電気分解の反応速度を増強させる。本発明者らは気相中で作動させることで、実質的に全ての大量輸送の制限が取り除かれ、電気分解装置が反応速度のみによって制限されることになる。最終的に、本発明者らは供給流中に水を必要としないことで、生成物は高純度かつ完全に乾燥しており、通常は必要とされる少なくともいくつかの分離および乾燥ステップの必要性を省く。
【0033】
[0046]HClの電気分解は水素の大規模生成に有望であり、低価値の副生成物(HCl)をより有益な原料(Cl2)に変換するというさらなる利点を有する。しかし、文献における利用可能な出版物のほとんどが、水相HClを電解質として使用する。以前、気相臭化水素(HBr)が、水性HBrを1桁上回る電流密度で電気分解することが示された。しかし、水性HBr電気分解は、液相中での拡散が遅いことにより制限された。
【0034】
[0047]本発明者らはここで、気相HClが、水相と比較して、より高い電流密度に反映されるように、より速い反応速度も呈することを示す。
[0048]本研究の目的は、アノード触媒(RuO2およびIrRuO2)の効率および耐久性、ポリマー膜(Nafion(商標)対ポリベンゾイミダゾール)の役割、ならびにプロトン交換膜(PEM)電気分解装置における作動パラメーター(温度、HCl流速、および電流密度)を研究することであった。本発明者らは、塩素がアノードからカソードにクロスオーバーすることが、カソードにおける触媒を損ない、電気分解装置の耐久性の減少および寿命の低下をもたらしうることを見出した。本発明者らは、作動温度、HCl流速、および水和が、電気分解装置の性能にどの程度影響を及ぼすかについても論じる。
【0035】
[0049]塩素(Cl2)の生成は、Cl2が各種産業で必要とされることから重要な態様である。年間のCl2生成は6500万トンであり、エネルギー需要は317兆Btu/年であり、大部分のCl2はブライン(NaCl)から作製される。Cl2生成方法は、カチオン交換膜電解槽(12%)、水銀電解槽(18%)、浸透ダイアフラム電解槽(percolating diaphragm cells)(70%)を含む。2018 Elements of the Business of Chemistry, American Chemical Council. Advanced Chlor-Alkali Technology, U.S. DoE, Office of Energy Efficiency and Renewable Energy http://www.essentialchemicalindustry.org/chemicals/chlorine.html
[0050]膜電解槽は、塩化水素(HCl)電気分解がH2およびCl2を生成する、最もクリーンで最もエネルギー効率の良い方法である。本開示は、低価値の副生成物(HCl)をより有益な原料(Cl2)に変える。さらに、気相(例えば、HBr)は電気分解において水相よりも良好な性能を示す。
【0036】
[0051]1つの考えられるRDE実験装置は、以下のものを含む。
[0052]・ 電位:0.6V~1.6V(対Ag/AgCl)
[0053]・ ディスク掃引速度:50mV/s
[0054]・ 回転子速度:400~1600RPM
[0055]電気分解装置実験パラメーターの一実施形態は、以下のものを含んでいてよい。
【0037】
[0056]・ 電解槽温度:30~180℃
[0057]・ カソード流速:100mL/分 N2
[0058]・ アノード流速:0.1~0.7L/分 HCl(g)
[0059]・ 膜:Nafion(商標)115、117、1110、PBI、s-PBI
[0060]・ 触媒:3mg IrRuO2/cm2(アノード)、1mg Pt/cm2(カソード)
[0061]本開示のPBI膜は硫酸およびリン酸でドープされていてよく、150℃超で機能可能な高温膜をもたらす。温度は、電気分解反応の動力学的速度を増大させる。さらに、耐酸性の増大ももたらされる。
【0038】
[0062]一例の合成経路は、
【0039】
【0040】
を含む。
[0063]
[0064]本開示は、IrRuOxが、RDEにおけるHClに対する触媒として、RuO2よりも良好な性能を示すことを提供する。提案されるPBI膜は、Nafion(商標)膜と比較して、HCl電気分解装置での適用において有望な性能を示す。温度(30~180℃)は電気分解反応速度と正の相関を呈し(すなわち、温度の上昇が電気分解反応速度の増大をもたらす)、Ptは低いCl2クロスオーバーにより問題なく使用可能である。
【0041】
[0065]
図3は、本開示の実験機構300の一実施形態を示す。実験機構300は、回転子302、参照電極304、回転ディスク電極306、および対電極308を含んでいてよい。
【0042】
[0066]
図7は、本開示の実験電気分解装置機構700を示す。電気分解装置(Electroylyzer)機構700は、集電体702、電気分解装置フレーム704、炭素流れ場ブロック706、締付けボルト708、不活性ポリマーガスケット710、および膜電極組立品712を含んでいてよい。
【0043】
[0067]本開示の記載される方法、医薬組成物、およびキットについての各種改変および変形形態が、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであるはずである。本開示は具体的な実施形態に関連して記載されてきたが、さらなる改変が可能であること、および請求される本開示が、そのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきでないことが理解されるはずである。実際に、当業者に明らかな、本開示を実施するための記載される方式の各種改変は、本開示の範囲内にあることが意図される。本出願は、一般に本発明の原理に従い、かつ本開示が関連しかつ本明細書中で先に示した本質的な特徴に適用されうる技術の範囲内の、公知の慣行の範囲内にある本開示からのそのような逸脱を含む、本開示のあらゆる変形形態、使用または変更形態を網羅することを意図するものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトン交換膜様式電気分解装置であって、
ポリベンゾイミダゾール
膜またはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜
を含む膜であって、前記膜が、実質的に0.05オーム・cm
2
の酸非依存性膜抵抗を示す前記膜と、
ルテニウムおよびイリジウムを含む
第一の金属触媒を
含むアノード
と、
白金を含む
第二の金属触媒を
含むカソード
と
を含む、
前記装置。
【請求項2】
前記膜が、
実質的に乾燥した状態において導電性を
保つ、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項3】
実質的に乾燥した状態で作動する
ように構成されている、請求項
1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項4】
少なくとも1つの無水生成物ガス流を生成する
ように構成されている、請求項2に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項5】
前記
1つのアノードに
無水酸ガスを供給
するように構成された第一のガス供給物をさらに含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項6】
前記
カソードに
不活性ガス、空気、又は酸素を供給
するように構成された第二のガス供給物をさらに含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項7】
前記カソードが、
キャップされた入口を含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項8】
前記カソードが、
前記カソードにおいて生成された水及び水素ガスを
送達するよう構成されている、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項9】
前記第一の金属触媒がRuO
2
を含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項10】
前記第一の金属触媒がIrRuO
2
を含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項11】
前記膜が硫酸を含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項12】
前記膜がリン酸を含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
【請求項13】
プロトン交換膜様式電気分解装置を形成するための方法であって、
ポリベンゾイミダゾール
膜またはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜を
含む膜を形成するステップ
であって、前記膜が、実質的に0.05オーム・cm
2
の酸非依存性膜抵抗を示すステップ、
及び
ルテニウムおよびイリジウムを含む
第一の金属触媒を
含むアノード、および白金を含む
第二の金属触媒を
含むカソードを形成するステップ、
を含む、
前記方法。
【請求項14】
以下:
【化1】
に示される合成経路を介して前記ポリベンゾイミダゾール膜を形成するステップをさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
ハロゲン化水素ガスを電気分解するための方法であって、
前記ハロゲン化水素ガスを、電気分解装置のアノードに供給するステップ、
ここで、前記電気分解装置は、
ポリベンゾイミダゾール膜又はスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜を含む膜であって、前記ポリベンゾイミダゾール膜又はスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜が、実質的に0.05オーム・cm
2
の酸非依存性膜抵抗を示す前記膜と、
前記アノードであって、ルテニウムおよびイリジウムを含む第一の金属触媒を含むアノードと、
白金を含む第二の金属触媒を含むカソードとを含み、及び
前記アノードにおいて前記ハロゲン化水素に対応するハライドガスを生成するステップ
を含む、前記方法。
【請求項16】
前記カソードにおいて水素ガスを生成するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
実質的に乾燥した状態で実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ハロゲン化水素ガスが塩化水素を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ハロゲン化水素ガスが臭化水素を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記カソードに不活性ガス、空気、又は酸素を供給するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記カソードに空気又は酸素が供給され、そして前記方法が前記カソードにおいて水を生成するステップを更に含む、請求項20に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
キット
[0040]本明細書で記載される、電気分解装置、または電気分解装置を形成するための方法のいずれも、組合せキットとして提示されてよい。本明細書で使用される場合、用語「組合せキット」または「キットオブパーツ」は、化合物、組成物、配合物、電気分解装置、本開示の要素の組合せまたは単一の要素を包装する、販売する、流通させる、配送する、かつ/または供給するために使用される任意のさらなる成分を指す。そのようなさらなる成分は、包装、膜、および同様のものを含むがこれらに限定されない。キットに含まれる、本明細書で記載される化合物、組成物、方法、電解槽、またはそれらの組合せのうちの1種または複数が同時に提供される場合、組合せキットは、プロトン交換膜様式電気分解装置などの単一包装中にそれら成分を含んでいてよい。本明細書で記載される化合物、組成物、粒子、および電気分解装置、またはそれらの組合せおよび/またはキット成分が同時に提供されない場合、組合せキットは、別々の組合せで各成分を含んでいてよい。別々のキット成分は、単一包装またはキット内の別々の包装中に含まれていてよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
[0067]本開示の記載される方法、医薬組成物、およびキットについての各種改変および変形形態が、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであるはずである。本開示は具体的な実施形態に関連して記載されてきたが、さらなる改変が可能であること、および請求される本開示が、そのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきでないことが理解されるはずである。実際に、当業者に明らかな、本開示を実施するための記載される方式の各種改変は、本開示の範囲内にあることが意図される。本出願は、一般に本発明の原理に従い、かつ本開示が関連しかつ本明細書中で先に示した本質的な特徴に適用されうる技術の範囲内の、公知の慣行の範囲内にある本開示からのそのような逸脱を含む、本開示のあらゆる変形形態、使用または変更形態を網羅することを意図するものである。
以下に、出願時の特許請求の範囲の記載を示す。
[請求項1]
少なくとも1つのポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜と、
ルテニウムおよびイリジウムを含む金属触媒を有する少なくとも1つのアノード、ならびに白金を含む金属触媒を有する少なくとも1つのカソードと
を含むプロトン交換膜様式電気分解装置であって、前記膜が、実質的に0.05オーム・cm
2の酸非依存性膜抵抗を含む、前記プロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項2]
前記ポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜が、導電性を保つための外部水和を必要としないことをさらに含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項3]
実質的に乾燥した状態で作動する、請求項2に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項4]
少なくとも1つの無水生成物ガス流を生成する、請求項2に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項5]
前記少なくとも1つのアノードに供給される少なくとも1種の無水酸ガスをさらに含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項6]
前記少なくとも1つのカソードに供給される少なくとも1種の不活性ガスをさらに含む、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項7]
全てのカソード入口がキャップされている、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項8]
前記少なくとも1つのアノードが、供給された前記無水酸に対応するハライドガスを生成する、請求項5に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項9]
前記少なくとも1つのカソードが水素ガスを生成する、請求項6に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項10]
酸素が前記少なくとも1つのカソードに供給された場合、前記少なくとも1つのカソードが水および水素ガスを生成する、請求項1に記載のプロトン交換膜様式電気分解装置。
[請求項11]
プロトン交換膜様式電気分解装置を形成するための方法であって、
少なくとも1つのポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜を形成するステップと、
ルテニウムおよびイリジウムを含む金属触媒を有する少なくとも1つのアノード、および白金を含む金属触媒を有する少なくとも1つのカソードを形成するステップと、
実質的に0.05オーム・cm
2の酸非依存性膜抵抗を有するように前記膜を形成するステップと
を含む、方法。
[請求項12]
導電性を保つための外部水和を必要としないように、ポリベンゾイミダゾールまたはスルホン化ポリベンゾイミダゾール膜を形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
[請求項13]
実質的に乾燥した状態で作動するように、前記プロトン交換膜様式電気分解装置を形成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
[請求項14]
少なくとも1つの無水生成物ガス流を生成するように、プロトン交換膜様式電気分解装置を形成するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
[請求項15]
前記少なくとも1つのアノードに少なくとも1種の無水酸ガスを供給するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
[請求項16]
前記少なくとも1つのカソードに少なくとも1種の不活性ガスを供給するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
[請求項17]
全てのカソード入口をキャップするステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
[請求項18]
供給された前記無水酸に対応するハライドガスを生成する前記少なくとも1つのアノードをさらに含む、請求項15に記載の方法。
[請求項19]
水素ガスを生成する前記少なくとも1つのカソードをさらに含む、請求項16に記載の方法。
[請求項20]
以下:
【化1】
に示される合成経路を介して前記ポリベンゾイミダゾール膜を形成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【国際調査報告】