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特表2023-540505人工心臓弁のためのデリバリーシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】人工心臓弁のためのデリバリーシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514761
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021049004
(87)【国際公開番号】W WO2022051584
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/082,977
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/074,185
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438652
【氏名又は名称】インキュービー8・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】inQB8 Medical Technologies LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ラッツ,ジェイ ブレント
(72)【発明者】
【氏名】クアドリ,アーシャッド
(72)【発明者】
【氏名】スタイバーズ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マー,デビン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC14
4C097CC18
4C097MM10
(57)【要約】
人工心臓弁を心臓の自然心臓弁に配送するためのデリバリーシステムおよび方法を開示する。例示的なデリバリーシステムが、少なくとも1つのシャフト、少なくとも1つのステアリングワイヤ、および少なくとも1つのプルワイヤを有するシャフト部分を含む。システムはさらに、シャフト部分の近位端に連結されたハンドル部分と、シャフト部分の遠位端に連結されたカプセル部分とを含む。カプセル部分は、人工心臓弁を収納するように構成される。デリバリーシステムの少なくとも1つの部分が、人工心臓弁が心臓の自然心臓弁に移植される場合に、人工心臓弁と係合するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁を心臓の自然心臓弁に配送するためのデリバリーシステムであって、
少なくとも1つのシャフト、少なくとも1つのステアリングワイヤ、および少なくとも1つのプルワイヤを含むシャフト部分と、
シャフト部分の近位端に連結されたハンドル部分と、
シャフト部分の遠位端に連結され、人工心臓弁を収納するように構成されたカプセル部分と、を備え、
デリバリーシステムの少なくとも1つの部分が、人工心臓弁が心臓の自然心臓弁に移植される場合に、人工心臓弁と係合するように構成され、そのため人工心臓弁は、デリバリーシステムによって、展開の後に回収および/または再位置決めできる、デリバリーシステム。
【請求項2】
カプセル部分は、チューブ状部分を備え、該チューブ状部分は、チューブ状部分の周囲を越えて拡張するように構成された拡張可能フレームを含む、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項3】
拡張可能フレームは、複数のフレーム部材を備え、
1つ以上のフレーム部材は、人工心臓弁の対応する1つ以上の部分に連結される、請求項2に記載のデリバリーシステム。
【請求項4】
フレーム部材のうちの1つ以上が、締結具を備え、
各締結具は、人工心臓弁に装着するように構成される、請求項3に記載のデリバリーシステム。
【請求項5】
各締結具と人工心臓弁との間の接触を維持するように構成されたチューブをさらに備える、請求項4に記載のデリバリーシステム。
【請求項6】
少なくとも1つのプルワイヤは、前記チューブに装着されている、請求項5に記載のデリバリーシステム。
【請求項7】
シャフト部分は、内側シャフトを含み、
内側シャフトの遠位部分が、チューブ状部分の管腔内に配置される、請求項2に記載のデリバリーシステム。
【請求項8】
カプセル部分は、内側シャフトの遠位部分に連結されたテーパー状ヘッド部材を含む、請求項7に記載のデリバリーシステム。
【請求項9】
テーパー状ヘッド部材の少なくとも一部が、チューブ状部分の中に配置される、請求項8に記載のデリバリーシステム。
【請求項10】
シャフト部分は、複数の入れ子式シャフトを含み、
複数の入れ子式シャフトは、内側シャフトを含む、請求項7に記載のデリバリーシステム。
【請求項11】
複数の入れ子式シャフトのうちの少なくとも1つのシャフトが、内側シャフトまたは外側シャフトのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のデリバリーシステム。
【請求項12】
チューブ状部分は、ハンドル部分に対して人工心臓弁の位置を調整するように構成される、請求項2に記載のデリバリーシステム。
【請求項13】
ステアリングワイヤは、シャフト部分を、ハンドル部分の長手方向軸から約125度までの角度に曲げるように構成される、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項14】
ステアリングワイヤは、シャフト部分を、ハンドル部分の長手方向軸から約30度までの角度に曲げるように構成される、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項15】
少なくとも1つのステアリングワイヤは、第1ステアリングワイヤおよび第2ステアリングワイヤを含み、
第1ステアリングワイヤは、シャフト部分を、ハンドル部分の長手方向軸から第1平面内で曲げるように構成され、
第2ステアリングワイヤは、シャフトを、長手方向軸から第2平面内で曲げるように構成される、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項16】
少なくとも1つのプルワイヤの近位端が、ハンドル部分の内部に配置され、
少なくとも1つのプルワイヤの遠位端が、カプセル部分の内部に配置される、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項17】
プルワイヤは、デリバリーシステムからの人工心臓弁の解放を制御するように構成される、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項18】
シャフト部分を人工心臓弁に連結するための少なくとも1つのテザーをさらに備える、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項19】
少なくとも1つのシャフトは、
外側シャフトの管腔内に配置された内側シャフトを備え、
該内側シャフトは、少なくとも1つのスレッドが連結される少なくとも1つのピンを含み、
該外側シャフトは、少なくとも1つのスレッドが通過する少なくとも1つのアパーチャを含み、
外側シャフトの内部での内側シャフトの変位が、少なくとも1つのスレッドを少なくとも1つのピンから分離する、請求項18に記載のデリバリーシステム。
【請求項20】
カプセル部分は、少なくとも1つの平面内で曲がるように構成された可撓性チューブを含む、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項21】
可撓性チューブは、第1側に沿った第1の複数のアパーチャおよび第2側に沿った第2の複数のアパーチャを画定する金属チューブを含み、
第1側は、第2側とは反対側である、請求項20に記載のデリバリーシステム。
【請求項22】
デリバリーシステムの少なくとも1つの部分は、人工心臓弁を再捕捉するように構成される、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項23】
デリバリーシステムの少なくとも1つの部分は、自然血管にアクセスして、人工心臓弁を心臓に配送するように構成される、請求項1に記載のデリバリーシステム。
【請求項24】
人工心臓弁を心臓の自然心臓弁に配送するための方法であって、
人工心臓弁を収納するカプセル部分を備えるデリバリーシステムによって、人工心臓弁を、自然血管を経由して自然心臓弁の近くに前進させるステップと、
人工心臓弁を自然心臓弁に移植するステップと、を含み、
移植の際に、デリバリーシステムの一部が人工心臓弁と係合し、人工心臓弁は、展開の後に、デリバリーシステムによって回収および/または再位置決めできる、方法。
【請求項25】
カプセル部分の拡張可能フレームを拡張するステップであって、拡張可能フレームは、人工心臓弁が配置される空間を画定する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
移植ステップの際、拡張可能フレームの1つ以上のフックを介して人工心臓弁の係合を維持することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
デリバリーシステムの少なくとも1つのプルワイヤを後退させることによって、人工心臓弁をデリバリーシステムから解放するステップをさらに含み、
プルワイヤは、拡張可能フレームの1つ以上のフックに連結されている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前進ステップは、デリバリーシステムの少なくとも1つのステアリングワイヤを介して、カプセル部分を自然心臓弁に操縦することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
人工心臓弁を自然心臓弁に移植した後に、人工心臓弁を再捕捉するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
デリバリーシステムであって、
少なくとも1つのシャフト、少なくとも1つのステアリングワイヤ、および少なくとも1つのプルワイヤを含むシャフト部分と、
シャフト部分の近位端に連結されたハンドル部分と、
シャフト部分の遠位端に連結され、人工心臓弁を収納するように構成されたカプセル部分と、を備え、
インプラントが被験者の内部で展開される際に、デリバリーシステムの少なくとも1つの部分が、インプラントと係合するように構成され、インプラントは、展開の後に再位置決めでき、
デリバリーシステムは、1つ以上のピンと、1つ以上のアパーチャと、1つ以上のスレッド状エレメントとを備える、デリバリーシステム。
【請求項31】
インプラントは、人工心臓弁である、請求項30に記載のデリバリーシステム。
【請求項32】
デリバリーシステムは、人工心臓弁を自然心臓弁の自然リーフレットに装着するように構成される、請求項1~31のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項33】
人工心臓弁を心臓の自然心臓弁に配送するためのデリバリーシステムであって、
少なくとも1つのシャフト、少なくとも1つのステアリングワイヤ、および少なくとも1つのプルワイヤを含むシャフト部分と、
シャフト部分の近位端に連結されたハンドル部分と、
シャフト部分の遠位端に連結され、人工心臓弁を収納するように構成されたカプセル部分と、を備え、
デリバリーシステムは、拡張可能フレームの1つ以上のフックを介して人工心臓弁の係合を維持する、デリバリーシステム。
【請求項34】
デリバリーシステムは、3つ以上のフックを含む、請求項1~33のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項35】
第1端および第2端を有する1つ以上のスレッド状エレメントをさらに備え、
第1端は、デリバリーシステムのシャフトの1つ以上のピンに装着し、
第2端は、人工心臓弁に装着する、請求項1~34のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【請求項36】
デリバリーシステムは、人工心臓弁を展開し、そして展開の後に、展開した人工心臓弁を再位置決めするように構成される、請求項1~35のいずれかに記載のデリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に移植可能な心臓デバイスに関し、より詳細には、人工心臓弁のためのデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デリバリーシステムは、インプラントを身体の種々の部分に展開するために長い期間使用されている。例えば、デリバリーシステムを使用して、インプラントを脳、耳、脊椎、種々の筋肉などに搬送できる。従来のシステムは、典型的には、インプラントを搬送しつつ、配送中に身体への可能性ある外傷を低減しようとするように設計されている。しかしながら、殆どのシステムは、こうした損傷を最小化するのに成功していない。さらに、インプラントが、デリバリーシステムによって身体内で解放でき、展開の後にインプラントの位置を調整したり、インプラントを回収する能力を備えていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、人工心臓弁などのプロテーゼを配送するためのデリバリーシステムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態は、プロテーゼを身体の中に配送し、および/または、プロテーゼを自然組織に固定し、および/または、プロテーゼを本体から取り出すための方法を含む。
【0004】
一態様では、本開示は、人工心臓弁を心臓の自然心臓弁に配送するためのデリバリーシステムを特徴とする。システムは、少なくとも1つのシャフトと、少なくとも1つのステアリングワイヤと、少なくとも1つのプルワイヤとを有するシャフト部分を含むことができる。システムは、シャフト部分の近位端に連結されたハンドル部分と、シャフト部分の遠位端に連結されたカプセル部分とをさらに含むことができる。カプセル部分は、人工心臓弁を収納するように構成されてもよい。デリバリーシステムの少なくとも一部が、人工心臓弁が心臓の自然心臓弁に移植される場合に、人工心臓弁と係合するように構成できる。
【0005】
デリバリーシステムの種々の実施形態は、下記の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0006】
カプセル部分は、チューブ状部分を含むことができ、これは、チューブ状部分の周囲を越えて拡張するように構成された拡張可能フレームを含む。拡張可能フレームは、複数のフレーム部材を備え、1つ以上のフレーム部材は、人工心臓弁の対応する1つ以上の部分に連結される。フレーム部材のうちの1つ以上が、締結具を備え、各締結具は、人工心臓弁に装着するように構成される。デリバリーシステムは、各締結具と人工心臓弁との間の接触を維持するように構成されたチューブを含んでもよい。少なくとも1つのプルワイヤは、チューブに装着されてもよい。
【0007】
シャフト部分は、内側シャフトを含み、内側シャフトの遠位部分が、チューブ状部分の管腔内に配置される。カプセル部分は、内側シャフトの遠位部分に連結されたテーパー状ヘッド部材を含んでもよい。テーパー状ヘッド部材の少なくとも一部が、チューブ状部分の中に配置される。シャフト部分は、複数の入れ子式シャフトを含んでもよく、複数の入れ子式シャフトは、内側シャフトを含む。複数の入れ子式シャフトのうちの少なくとも1つのシャフトが、内側シャフトまたは外側シャフトのうちの少なくとも1つを含んでもよい。チューブ状部分は、ハンドル部分に対して人工心臓弁の位置を調整するように構成してもよい。ステアリングワイヤは、シャフト部分を、ハンドル部分の長手方向軸から約125度までの角度に曲げるように構成してもよい。ステアリングワイヤは、シャフト部分を、ハンドル部分の長手方向軸から約30度までの角度に曲げるように構成してもよい。
【0008】
少なくとも1つのステアリングワイヤは、第1ステアリングワイヤおよび第2ステアリングワイヤを含んでもよい。第1ステアリングワイヤは、シャフト部分を、ハンドル部分の長手方向軸から第1平面内で曲げるように構成され、第2ステアリングワイヤは、シャフトを、長手方向軸から第2平面内で曲げるように構成される。少なくとも1つのプルワイヤの近位端が、ハンドル部分の内部に配置されてもよく、少なくとも1つのプルワイヤの遠位端が、カプセル部分の内部に配置される。プルワイヤは、デリバリーシステムからの人工心臓弁の解放を制御するように構成してもよい。デリバリーシステムは、シャフト部分を人工心臓弁に連結するための少なくとも1つのテザー(綱)をさらに含んでもよい。
【0009】
少なくとも1つのシャフトは、外側シャフトの管腔内に配置された内側シャフトを含んでもよい。内側シャフトは、少なくとも1つのスレッドが連結される少なくとも1つのピンを含んでもよく、外側シャフトは、少なくとも1つのスレッドが通過する少なくとも1つのアパーチャを含んでもよく、外側シャフトの内部での内側シャフトの変位が、少なくとも1つのスレッドを少なくとも1つのピンから分離してもよい。カプセル部分は、少なくとも1つの平面内で曲がるように構成された可撓性チューブを含んでもよい。可撓性チューブは、第1側に沿った第1の複数の切り欠きおよび第2側に沿った第2の複数の切り欠きを画定する金属チューブを含んでもよく、第1側は、第2側とは反対側でもよい。デリバリーシステムの少なくとも1つの部分は、人工心臓弁を再捕捉するように構成してもよい。デリバリーシステムの少なくとも1つの部分は、自然血管にアクセスして、人工心臓弁を心臓に配送するように構成してもよい。
【0010】
他の態様では、本開示は、人工心臓弁を心臓の自然心臓弁に配送するための方法を特徴とする。方法は、人工心臓弁を収納するカプセル部分を備えるデリバリーシステムによって、人工心臓弁を、自然血管を経由して自然心臓弁の近くに前進させるステップと、人工心臓弁を自然心臓弁に移植するステップと、を含み、移植の際に、デリバリーシステムの一部が人工心臓弁と係合する。
【0011】
人工心臓弁を配送するための方法の種々の実施形態は、下記の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0012】
方法は、カプセル部分の拡張可能フレームを拡張するステップを含んでもよく、拡張可能フレームは、人工心臓弁が配置される空間を画定する。方法は、移植ステップの際、拡張可能フレームの1つ以上のフックを介して人工心臓弁の係合を維持してもよい。方法は、デリバリーシステムの少なくとも1つのプルワイヤを後退させることによって、人工心臓弁をデリバリーシステムから解放してもよく、プルワイヤは、拡張可能フレームの1つ以上のフックに連結されている。前進ステップは、デリバリーシステムの少なくとも1つのステアリングワイヤを介して、カプセル部分を自然心臓弁に操縦することを含んでもよい。方法は、人工心臓弁を自然心臓弁に移植した後に、人工心臓弁を再捕捉するステップを含んでもよい。人工心臓弁を自然心臓弁に移植した後に人工心臓弁を再回転させることを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の非限定的な実施形態は、添付図面を参照して例として説明しているが、これらの図面は概略的であり、スケールどおり描かれることは意図していない。図面において、図示された同一またはほぼ同一の各構成要素は、典型的には単一の数字によって表される。明確さのために、全ての図において全ての構成要素が符号付けされておらず、本発明の各実施形態の全ての構成要素が示されておらず、当業者が本発明を理解できるようにするため図示は必要ではない。
【0014】
図1】正常生理時と三尖弁逆流の疾患状態時の心臓の右側の生体構造を説明する心臓の断面図である。
図2】右心臓にアクセスするための静脈経路を示す心臓の断面図である。
図3】一実施形態に係る、デリバリーシステムの斜視図である。
図4】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムのシャフト部分の断面図である。
図5】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの遠位端の斜視図である。
図6】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムのカプセル部分の断面図である。
図7A】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第3シャフトの遠位端の側面図である。
図7B】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第3シャフトの遠位端の側面断面図である。
図7C】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第3シャフトの遠位端の斜視図である。
図7D】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第3シャフトの遠位端の側面図である。
図7E】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第3シャフトの遠位端の断面側面図である。
図8A】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第2シャフトおよび第3シャフトの遠位端の断面図を示す。
図8B】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第2シャフトおよび第3シャフトの遠位端の断面図を示す。
図8C】一実施形態に係る、デリバリーシステムに装着された人工心臓弁の斜視図である。
図8D】一実施形態に係る、デリバリーシステムに装着された人工心臓弁の斜視図である。
図9】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第2シャフトおよび第3シャフトの遠位端の断面図である。
図10】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第2シャフトおよび第3シャフトの遠位端の断面図である。
図11A】一実施形態に係る、人工心臓弁をデリバリーシステムに装着するように構成された2つのスレッド状エレメントを示す。
図11B】一実施形態に係る、人工心臓弁をデリバリーシステムに装着するように構成された2つのスレッド状エレメントを示す。
図12】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第2シャフトおよび第3シャフトの遠位端の断面図である。
図13A】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第2シャフトの遠位端の図である。
図13B】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムの第2シャフトの遠位端の図である。
図14】一実施形態に係る、デリバリーシステムに装着された人工心臓弁の側面図である。
図15】一実施形態に係る、フレア状遠位端を備えたデリバリーシステムのカプセルの断面側面図である。
図16】一実施形態に係る、ノッチ付き遠位端を備えたデリバリーシステムのカプセルの他の上面図である。
図17】一実施形態に係る、遠位端に設置されたスロットおよび嵌め合い付属物を備えたデリバリーシステムのカプセルの側面図である。
図18】一実施形態に係る、拡張可能な支持構造を備えたデリバリーシステムのカプセルの側面図である。
図19】一実施形態に係る、拡張可能な支持構造を備えたデリバリーシステムのカプセルの他の側面図であり、拡張可能な支持構造はフレア位置にあり、カプセルがカプセルの内側表面に接触するライニング材料を有する。
図20】一実施形態に係る、軸方向断面平面の第1側から生じて、軸方向断面平面の第2側で終端するスロットを有するデリバリーシステムのカプセルの斜視図である。
図21】一実施形態に係る、折り畳み構成で示す図3のデリバリーシステムの拡張可能フレームの斜視図である。
図22】一実施形態に係る、拡張構成で示す図3のデリバリーシステムの拡張可能フレームの斜視図である。
図23】一実施形態に係る、圧縮構成における図3のデリバリーシステムの拡張可能フレームの斜視図である。
図24】一実施形態に係る、拡張構成で示す図3のデリバリーシステムの拡張可能フレームの側面図であり、少なくとも1つのチューブが拡張可能フレームの少なくとも1つのアームを取り囲むように構成される。
図25】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムのシースの斜視図である。
図26】一実施形態に係る、図3のデリバリーシステムのシースの側面断面図である。
図27】折り畳み構成で示す図3のデリバリーシステムの拡張可能フレームの側面図であり、少なくとも1つのチューブが、拡張可能フレームの近位支柱を内側で横断し、拡張可能フレームの遠位支柱を内側で横断するアタッチメント部材を有する。
図28A】一実施形態に係る、人工心臓弁の締結具に接続されたデリバリーシステムの締結具の実施形態の側面断面図である。
図28B】一実施形態に係る、人工心臓弁の締結具に接続されたデリバリーシステムの締結具の実施形態の側面断面図である。
図29A】一実施形態に係る、拡張構成から展開構成に移動するデリバリーシステムに装着された人工心臓弁を示す。
図29B】一実施形態に係る、拡張構成から展開構成に移動するデリバリーシステムに装着された人工心臓弁を示す。
図29C】一実施形態に係る、拡張構成から展開構成に移動するデリバリーシステムに装着された人工心臓弁を示す。
図30A】一実施形態に係る、展開構成から移植構成に移動するデリバリーシステムに装着された人工心臓弁を示す。
図30B】一実施形態に係る、展開構成から移植構成に移動するデリバリーシステムに装着された人工心臓弁を示す。
図30C】一実施形態に係る、展開構成から移植構成に移動するデリバリーシステムに装着された人工心臓弁を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に説明する詳細な説明は、本技術の種々の構成を記載しており、本技術を実施できる唯一の構成を表現することは意図していない。詳細な説明は、本技術の完全な理解を提供する目的のための特定の詳細を含む。従って、寸法は、限定されない例として特定の態様に関して提供することがある。しかしながら、本技術はこれらの特定の詳細なしに実施できることは当業者には明らかであろう。いくつかの例では、本技術の概念を不明瞭にするのを回避するために、周知の構造および構成要素はブロック図の形態で示している。
【0016】
本開示は、本技術の例を含み、添付した請求項の範囲を限定しないことは理解すべきである。本技術の種々の態様が、特定の非限定的な例に従って開示されている。本開示に記載された種々の実施形態は、様々な方法および変形例で、所望の応用または実装例に従って実行できる。
【0017】
下記詳細な説明では、本開示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が説明されている。しかしながら、当業者には、本開示の実施形態は、特定の詳細のいくつかなしに実施できることは明らかであろう。他の例では、本開示を不明瞭にしないように、周知の構造および技術は詳細に示していない。
【0018】
一般に、大動脈弁および僧帽弁の交換がデバイス開発の焦点であったため、三尖弁逆流(TR)のための解決の必要性が存在する。特に、TRがより高い死亡率と関連し、他の心臓弁が対処されていても未治療のままにすべきでないことを示す証拠が増加している。
【0019】
人工三尖弁およびそれを移植する方法の例は、国際出願第PCT/US2020/024765号(名称"PROSTHETIC HEART VALVE"、2020年3月25日出願)に見つけることができ、これは参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0020】
三尖弁は、図1に示すように、右心房と右心室との間で心臓の右側に位置する房室位置にある。図1は、自然心臓の2つのバージョン100a,100bの側面断面図を示す。バージョン100aは、自然心臓の正常な生体構造を描写しており、血液が右心房102から三尖弁104を通って右心室106に流れ、そして肺動脈弁を通って肺動脈に流れる。右心房102を心臓の他の部分(例えば、左心房)から分離しているのは、心房中隔壁107である。バージョン100bは、三尖弁逆流を備えた自然心臓を描写しており、血液が右心室106から三尖弁104を通って右心房102に漏れている。図1には、自然三尖弁104の2つのリーフレット108が示され、バージョン100bでは、リーフレットの心室側に装着された腱索110を有しており、これは弁104のアパーチャを制御するために機能する。
【0021】
弁104は、外科的にアクセスできるが、低侵襲的アプローチは、三尖弁手術に関連する周術期および術後死亡率を減少させる可能性を有し、また、三尖弁の完全な交換のための経カテーテル解決策は現在では存在しない。右心臓にアクセスする経カテーテル手段は、ありふれたことであり、図2に示すように、頸静脈での切開部を経由した上大静脈(SVC)、または鼠径部近傍の大腿静脈での切開を経由した下大静脈(IVC)のいずれかを最も一般的に使用する。ここで説明する技術革新は、主として人工心臓弁を自然三尖弁に配送することを意図しているが、こうしたデリバリーシステムの革新的な態様は、例えば、心臓の他の3つの弁(即ち、肺動脈弁、大動脈弁、および僧帽弁)のいずれかなど、他の生体構造的目標に到達することを意図したデリバリーシステムのための関連する改善を提供できる。例えば、ここで説明するデリバリーシステムは、説明したように、または、例えば、自然心臓の中隔の欠陥の治療のため、または、経中隔穿刺を介して自然心臓の左側にアクセスするための更なる変更とともに使用できる。さらに、用語「三尖弁」は、三尖位置について優先的に意図しているが、他の心臓弁にも使用できる人工弁を参照して、ここでは使用している。
【0022】
(人工三尖弁のデリバリーシステム)
本開示の態様によれば、人工三尖弁のためのデリバリーシステムがここに提供される。図3に示すように、デリバリーシステム300は、遠位端および近位端と、近位端より近位側にあるハンドル部分302と、ハンドル部分より遠位側にあるシャフト部分304と、シャフト部分より遠位側にあるカプセル部分306とを含む。デリバリーシステム300は、自然血管、例えば、IVCまたはSVCにアクセスし、自然心臓の右心房に入り、人工三尖弁を自然心臓の自然三尖弁に配送するように構成される。デリバリーシステム300はさらに、デリバリーシステムのシャフト部分を第1平面内で少なくとも125度の角度まで曲げるように構成される。ある場合には、シャフト部分304は、約125度(例えば、±5度、±10度など)の角度まで曲がってもよい。デリバリーシステム300は、デリバリーシステムのシャフト部分304を第2平面内で少なくとも30度の角度まで曲げるように構成できる。ある場合には、シャフト部分は、第2平面内で約30度(例えば、±1度、±3度など)の角度まで曲がってもよい。デリバリーシステム300は、デリバリーシステムのハンドル部分に対して人工心臓弁の深さを増加または減少させるように構成できる。
【0023】
いくつかの実施形態では、ここで説明するデリバリーシステムは、インプラント(例えば、人工心臓弁、心臓弁修復デバイスなど)を被験者の内部場所に配送するように構成される。いくつかの実施形態では、ここで説明するデリバリーシステムは、インプラントの位置を展開前、展開中または展開後に調整するように構成される。いくつかの実施形態では、ここで説明するデリバリーシステムは、インプラントを回収するように構成される。ここで説明するデリバリーシステムは、以前のインプラントデリバリーシステムに対して多くの利点を提供する。例えば、好都合には、ここで説明するデリバリーシステムは、自然組織を損傷することなく、インプラントを配送し、インプラントの位置を調整し、および/または展開後にインプラントを回収するために有用になる。実施形態の例示的セットでは、以下でより詳細に説明するように、デリバリーシステムは、インプラントが自然心臓弁の自然リーフレットに装着するようにインプラントを展開するように構成される。他の展開および構成も可能であり、以下でより詳細に説明している。
【0024】
ここで使用する「患者」または「被験者」は、一般に、哺乳動物(例えば、人間)などの任意の動物を参照する。被験者の非限定的な例は、人間、非ヒト霊長類、牛、馬、豚、ヒツジ、ヤギ、犬、猫、または齧歯動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、鳥、魚、またはモルモットなどを含む。一般に、ここで説明する発明は、人間との使用に関する。しかしながら、他の被験者も可能である。いくつかの実施形態では、被験者は、例えば、ここで説明する弁の移植について健康上の利益を実証できる。
【0025】
人工三尖弁が自然三尖弁の置換用に構成される種々の例がここでは説明しているが、ここに開示した人工三尖弁を使用して、他の自然心臓弁(例えば、他の房室弁)および/または他の非心臓弁を置換するために適切な変更を行うことができることは理解すべきである。
【0026】
いくつかの例示的な実施形態では、デリバリーシステムは、生体力学的な人工三尖弁を展開するように構成される。ここで参照するように、人工三尖弁に関する用語「生体力学的」とは、人工三尖弁が、心臓の自然三尖弁の内部で軸方向安定化を維持でき、自然三尖弁の両側での交互式の圧力差に応答して自然三尖弁内で移動でき、自然三尖弁の自然弁輪または自然コード(腱索)に直接に装着することなく、または、これにより自然弁輪の自然な動きを保存できるようにする人工三尖弁の構成を参照する。詳細には、人工三尖弁は、弁輪の力または直接的な環状またはコードの装着に依存するのではなく、自然三尖弁の自然リーフレットを把持することによって、自然三尖弁内で軸方向に安定化される。ここで参照するように、自然三尖弁内に設置された人工三尖弁に関する用語「軸方向安定化」は、人工三尖弁の一部が、自然三尖弁の自然弁輪上の2つの直径方向に対向する点の間に介在していることを参照する。
【0027】
いくつかの実施形態では、人工三尖弁は、1つ以上の支持構造を含む。例えば、さらに詳細に後述するように、人工三尖弁は、ある場合には、1つ、2つ、3つまたは4つ以上の支持構造を含むことができる。1つ以上の支持構造の少なくとも1つは、いくつかの実施形態では、心房端部および心室端部を有する円筒形部分を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の支持構造の円筒形部分は、人工三尖弁の細長い中央通路を画定する。いくつかの実施形態では、細長い中央通路の中心軸(「長手方向軸」とも称される)が、円筒形部分の心房端部から円筒形部分の心室端部までの細長い中央通路内に延びている。人工三尖弁が心臓の自然三尖弁内で移植された構成である場合、血液は、一般に、細長い中央通路の中心軸に沿って、心臓の心房から心臓の心室へ人工三尖弁の細長い中央通路を通って流れる。さらに、いくつかの追加の実施形態では、複数のリーフレットエレメントが、1つ以上の支持構造に装着され、細長い中央通路を通る血流の制御のために細長い中央通路内に配置される。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上の支持構造の円筒形部分の第1端から延びる心室アームは、心臓の心室の中に延びて自然リーフレットの心室表面に接触し、一方、1つ以上の支持構造の円筒形部分の第1端と反対側の第2端から延びる心房アームは、心房の中に延びて自然リーフレットの心房表面に接触する。好都合には、いくつかの実施形態では、ここで説明する人工三尖弁の種々の機構は、経カテーテル移植、再位置決めおよび/または取り出しのための弁を構成する。例えば、ここで説明する人工三尖弁は、広範囲の患者に容易に位置決めして展開でき、展開を制御し、完全な機能性を評価する能力を備え、および/または、完全解除の前にインプラントを再捕捉し除去する能力を維持できる。
【0029】
いくつかの実施形態では、ここで開示されるデリバリーシステム300は、1つ以上のシャフトを含む。図4は、一実施形態の断面図であり、デリバリーシステム300のシャフト部分304は、第1シャフト602aと、第2シャフト602bと、第3シャフト602cと、第4シャフト602dと、第5シャフト602eと、第6シャフト602f(602と総称し、そのうち602fのみ図示)と、第1ステアリングワイヤ604aと、第2ステアリングワイヤ604bと、第3ステアリングワイヤ604cと、第4ステアリングワイヤ604d、第5ステアリングワイヤ604e(604と総称する)と、3つのプルワイヤ606a,606b,606c(606と総称する)と、を含む。図4の実施形態では、第1シャフト602aは、第2シャフト602bの管腔内に設置され、第2シャフト602bは、第3シャフト602cの管腔内に設置され、第3シャフト602cは、第4シャフト602dの管腔内に設置され、第4シャフト602dは、第5シャフト602eの管腔内に設置され、第5シャフト602eは、第6シャフト602fの管腔内に設置される。図4の実施形態では、3つのプルワイヤ606および3つのステアリングワイヤ604は、第6シャフト602fの管腔内で第5シャフト602eの外部に設置される。ここで説明するシャフト602、プルワイヤ606、および/またはステアリングワイヤ604のいずれも、内側ライナーおよび/または外側ライナーを含むことができる。ステアリングワイヤおよびプルワイヤとして使用されるワイヤは、例えば、任意のタイプのテザー(tether)またはリンケージ、例えば、ライン、コード、ケーブル、ロープ、チェインなどでもよい。内側および/または外側ライナーは、シリコーン、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン、(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリアミド、他のポリマー材料、シリコーンヒドロゲルなどのヒドロゲル材料、または他の可撓性材料で製作できる。
【0030】
いくつかの実施形態では、プルワイヤ606またはステアリングワイヤ604のうちの1つ以上は、1つ以上の管腔、例えば、1つの中心管腔を含むことができる。いくつかの実施形態では、プルワイヤ606および/またはステアリングワイヤ604のうちの1つ以上は、ソリッドワイヤ、リボン、フラットワイヤ、楕円ワイヤ、略矩形断面を備えたワイヤなどを含むことができる。シャフトのいずれかも、生体適合性材料、好ましくは金属材料、例えば、ニチノール、ステンレス鋼、チタン、または金などで製作できる。
【0031】
図4に示す実施形態では、第1ステアリングワイヤ604aは、第3ステアリングワイヤ604cから半径方向に約180度に位置決めされ、第2ステアリングワイヤ604bは、第1ステアリングワイヤ604aから半径方向に約90度、第2ステアリングワイヤ604cから約90度に位置決めされ、3つのプルワイヤ606は、第1および第2ステアリングワイヤ604b,604cの両方から約90度近接して位置決めされる。他の実施形態では、ステアリングワイヤ604およびプルワイヤ606は、異なる半径場所に位置決めされてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、シャフト602、プルワイヤ606およびステアリングワイヤ604のいずれもが、デリバリーシステムのハンドル部分からデリバリーシステムのシャフト部分304を通ってデリバリーシステムのカプセル部分306まで延びるように構成できる。シャフト602、プルワイヤ606およびステアリングワイヤ604の各々は、遠位端および近位端を含み、シャフト602、プルワイヤ606および/またはステアリングワイヤ604の近位端は、デリバリーシステムのハンドル部分302の内部に設置されてもよい、シャフト602、プルワイヤ606および/またはステアリングワイヤ604の遠位端は、デリバリーシステムのシャフト部分304および/またはカプセル部分306の内部に設置されてもよい。図4の実施形態では、3つのプルワイヤ606の近位端は、デリバリーシステムのハンドル部分302の内部に設置され、3つのプルワイヤ606の遠位端は、デリバリーシステムのカプセル部分306の内部に設置され、人工心臓弁へのデリバリーシステムの装着を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、デリバリーシステムは、3つより少ないプルワイヤ606または3つより多いプルワイヤ606を含んでもよい。例えば、デリバリーシステムは、6つまたは9つのプルワイヤ606を含むことができる。
【0033】
図4の実施形態では、3つのステアリングワイヤ604の遠位端は、第5シャフト602eに装着され、ステアリングワイヤ604の近位端のうちの1つ以上を引っ張ることによって、デリバリーシステムのシャフト部分304および/またはカプセル部分306での屈曲を実行するように構成される。図4の実施形態では、第1および第3ステアリングワイヤ604a,604cは、第1平面の第1方向においてデリバリーシステムの6つのシャフト602での第1屈曲と、第1平面の第1方向とは略反対である第1平面の第2方向においてデリバリーシステムの6つのシャフト602での第2屈曲と実行するように構成される。第2ステアリングワイヤ604bは、第1平面に対してほぼ横断する第2平面の第1方向においてデリバリーシステムの6つのシャフト602に第3屈曲を実行するように構成される。いくつかの実施形態は、3つ未満のステアリングワイヤ604を含むことができ、例えば、デリバリーシステムは、図4の第1ステアリングワイヤ604aおよび図4の第3ステアリングワイヤ604cだけを含んでもよい。いくつかの実施形態は、3つより多いステアリングワイヤ604を含むことができ、例えば、第4ステアリングワイヤは、第2平面の第1方向とは略反対である第2平面の第2方向においてデリバリーシステムの6つのシャフトに第4屈曲を実行するために含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ステアリングワイヤ604は、保護チューブによって包囲されてもよく、これは、望ましくは、特にデリバリーシステムのシャフト部分が屈曲構成に移動する場合、ステアリングワイヤ604を損傷から保護できる。いくつかの実施形態では、保護チューブは、コイルまたは螺旋形状のものでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、ここで開示するデリバリーシステムは、人工心臓弁がデリバリーシステムのカプセル部分306の内部に封入されたクリンプ(圧縮)構成から、人工心臓弁がカプセル部分306の外部にある拡張構成に人工心臓弁を配送するように構成される。デリバリーシステムはさらに、自然三尖弁において人工心臓弁を展開構成に位置決めするように構成され、人工心臓弁は、デリバリーシステムのカプセル部分306の1つ以上の部材と係合する。展開構成である場合、人工心臓弁の1つ以上の態様が、自然三尖弁の1つ以上の態様、例えば、自然三尖弁の1つ以上の自然リーフレット、自然三尖弁の弁輪、自然三尖弁の1つ以上の腱索、自然心臓の周囲組織などと直接連通している。ここで説明するデリバリーシステムの利点は、展開構成にある場合、人工心臓弁と係合したままにする能力であり、これにより人工心臓弁を自然心臓内に移植された構成に係合を外す前に、人工心臓弁の血流力学的機能の評価が可能になる。
【0035】
いくつかの実施形態では、デリバリーシステムは、人工三尖弁を展開構成から拡張構成へ、または展開構成からクリンプ構成へ、または拡張構成からクリンプ構成へ位置決めするように構成される。こうしてデリバリーシステムのオペレータは、人工心臓弁の血流力学的評価を観察した後に、デリバリーシステムおよび人工心臓弁を身体から完全に除去する能力を維持し、これは、患者の安全性の最良の利益になる。
【0036】
図5は、一実施形態のカプセル部分306を示し、カプセル部分306は、人工心臓弁を受け入れるように構成されたチューブ1102と、チューブ1102の内側に嵌まるように構成された拡張可能フレーム1104と、図4の第1シャフト602aと、図4の第2シャフト602bと、図4の第3シャフト602cとを含み、第1シャフト602aは、第2シャフト602bの管腔の内側に嵌まるように構成され、第2シャフト602bは、第3シャフト602cの内側に嵌まるように構成され、第3シャフト602cは、拡張可能フレーム1104の内側に嵌まるように構成される。カプセル部分306はさらに、いくつかの実施形態では、第1シャフト602aの遠位部分に堅固に接続されたテーパー状ヘッド部材1106を含む。いくつかの実施形態では、チューブ1102は、遠位端と、近位端と、遠位端と近位端との間に配置された中間部分とを備えた単一の管腔を含むことができる。第1シャフト602a、第2シャフト602b、第3シャフト602cおよび第4シャフト602dは、チューブ1102の管腔を通ってチューブ1102の遠位端を越えて遠位側に延びるように構成される。第5シャフト602eは、チューブ1102の管腔内でチューブ1102の中間部分の中に延びるように構成される。第6シャフト602fは、チューブ1102の管腔内に延びて、チューブ1102の中間部分に堅固に装着するように構成され、そのため第6シャフト602fの遠位端は、第5シャフト602eの遠位端より近位側にある。いくつかの実施形態では、デリバリーシステムの遠位端は、デリバリーシステムの中間部分の中心軸(長手方向軸とも称される)に対して70~90度の角度で位置決めできる。好ましい実施形態では、遠位端は、中心軸に対して約75度(例えば、±5度)の角度であり、これは、SVCを介して三尖弁にアクセスする場合に、人工心臓弁を自然三尖弁内に位置決めするために望ましいことがある。いくつかの実施形態では、デリバリーシステムの遠位端は、デリバリーシステムの中間部分の中心軸に対して90~130度の角度で位置決めできる。好ましい実施形態では、遠位端は、中心軸に対して約125度(例えば、±5度)の角度であり、これは、IVCを介して三尖弁にアクセスする場合に、人工心臓弁を自然三尖弁内に位置決めするために望ましいことがある。
【0037】
いくつかの実施形態では、カプセル部分306はさらに、1つ以上(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上)のアパーチャ(開口)1110を含む内側チューブ1108を備える。いくつかの実施形態では、カプセル部分306はさらに、内側チューブ1108とは独立して移動可能であり、その内部に配置されたピン1112を備える。アパーチャおよびピンは、より詳細に後述する。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1シャフト602aの遠位部分は、少なくとも1つの曲線を有し、これは、好都合には、デリバリーシステムのカプセル部分306が、自然心臓の組織または自然血管の組織を損傷したり、これに絡まるのを防止できる。いくつかの実施形態では、第1シャフト602aは、造影剤を自然心臓に配送するように構成でき、これは、望ましくは、蛍光透視イメージングを使用して人工心臓弁の移植の前または後に心臓の血流力学の視覚化を容易にできる。
【0039】
図5のテーパー状ヘッド部材1106は、遠位部分と、中間部分と、近位部分とを有し、遠位部分は、中間部分の直径よりも小さい直径を有し、近位部分は、中間部分の直径よりも小さい直径を有する。いくつかの実施形態では、近位部分は、図6に示すように、カプセル部分のチューブ内に確実に入れ子(nest)になるように構成される。図6に示すように、中間部分の最大直径は、テーパー状ヘッド部材の近位部分の最大直径よりも大きく、近位部分の直径は、チューブの遠位部分の内部にぴったりと嵌るようにサイズ設定され、一方、中間部分の最大直径は、チューブの遠位部分の外径とほぼ一致するようにサイズ設定される。こうしてテーパー状ヘッド部材は、チューブの内部に確実に入れ子にでき、チューブとの意図しない係合外れを防止でき、そうでなければ、チューブの遠位端を露出させ、使用中に自然組織への損傷を引き起こす可能性がある。
【0040】
再び図5を参照して、テーパー状ヘッド部材1106は、任意の種類の可撓性材料、例えば、PTFE、ポリエステル、シリコーン、PU、PE、PVC、PTFE、ETFE、FEP、PEBA、ポリアミド、またはヒドロゲル材料などで製作できる。好ましい実施形態では、テーパー状ヘッド部材1106は、ウレタンまたはポリウレタン(PU)で製作される。いくつかの実施形態では、テーパー状ヘッド部材1106はさらに、テーパー状ヘッド部材1106の潤滑性を増加させるように構成されたコーティング、カバー、ライナー、またはフィルムを含んでもよく、これは、身体の血管を経由してデリバリーシステムの挿入を容易にできる。いくつかの実施形態では、テーパー状ヘッド部材1106はまた、例えば、テーパー状ヘッド部材1106の遠位端および/または近位端において、1つ以上の放射線不透過性部品を含むことができ、これは、望ましくは蛍光透視イメージングを使用してテーパー状ヘッド部材1106の全長を容易に識別できる。
【0041】
いくつかの実施形態では、第2シャフトの遠位端に設置された1つ以上のピンは、人工心臓弁の1つ以上のアームと係合するように構成される。いくつかの実施形態では、デリバリーシステム(例えば、1つ以上のピンを介して)は、人工心臓弁のアームを上昇および/または下降させるように(例えば、それが位置決めできるように)構成される。実施形態の例示のセットでは、デリバリーシステムは、人工心臓弁の1つ以上のアーム(例えば、人工心臓弁の心房アームセットおよび/または心室アームセット)と係合するように構成され、そのため1つ以上のアームは、上昇または下降できる。好都合には、ここで説明するデリバリーシステムは、人工心臓弁のアームを上昇および/または下降させるように構成でき、そのため人工心臓弁は、最終のアンカー固定状態に位置決めできる(例えば、自然心臓弁の自然リーフレットに装着される)。
【0042】
いくつかの実施形態では、例えば、図7A図7Bに示すもののように、デリバリーシステムのカプセル部分306の第2シャフト602bはさらに、1つ以上の略円筒形状のピン2302を含み、各ピンは、近位面を備えた近位端と、遠位面を備えた遠位端とを有する。1つ以上のピンは、第2シャフトの遠位端に設置できる。いくつかの実施形態では、1つ以上のピン2302の各々の遠位端が、第2シャフトの遠位端よりもさらに遠位側に延びることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のピン2302は、3つのピンを含むことができ、第2シャフトの周囲に等間隔で、第3シャフトに対して平行な方向に位置合わせできる。いくつかの実施形態では、3つのピン2302の遠位面は、ほぼ平行でもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のピンは、例えば、溶接、はんだ接合、接着接合、または他の機械接続によって、第2シャフトに堅固に接続できる。いくつかの実施形態では、1つ以上のピンおよび第2シャフトは、例えば、レーザ切断、機械加工、放電加工(EDM)、鋳造、押出などによって、単一のコンポーネントから形成できる。
【0043】
いくつかの実施形態では、例えば、図7C図7Eに示す実施形態のように、第3シャフト602cは、近位端および遠位端を含む。いくつかの実施形態では、第3シャフトの遠位端は、1つ以上のアパーチャ2502を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアパーチャは、3つのアパーチャを含むことができ、第3シャフト602cの円周の周りに等間隔で配置できる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアパーチャ2502は、第3シャフト602cの遠位端の近くに設置される。いくつかの実施形態では、第3シャフト602cの形状は、1つ以上のアパーチャ2502の略矩形形状を画定しているが、他の実施形態では、アパーチャ2502は、円形、楕円形、または他の幾何形状を有してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、例えば、図7C図7Eに示すもののように、第2シャフト602bの1つ以上のピン2302の遠位端は、第3シャフト602cの遠位端よりも遠位側に設置される。いくつかの実施形態では、第3シャフト602cの遠位端は、第2シャフトの遠位端よりも遠位側に設置される。
【0045】
図8A図8Bの実施形態では、デリバリーシステムのカプセル部分306はさらに、第1端および第2端を有する1つ以上のスレッド(糸)状エレメント2802を含むことができ、第1端は、第2シャフトの1つ以上のピン2302に装着するように構成でき、第2端は、人工心臓弁のある部分に装着するように構成できる。図8A図8Bの実施形態では、1つ以上のスレッド状エレメント2802は、第3シャフト602cの1つ以上のアパーチャ2502を通じて供給できる。第2シャフト602bは、第3シャフト602cに対して軸方向に移動するように構成でき、そのため第2シャフト602bの遠位端が第3シャフト602cの遠位端に対して近位側に移動する場合、1つ以上のピン2302の遠位端は、第2シャフト602bの1つ以上のアパーチャ2502の場所よりも近位側に移動できる。こうして第2および第3シャフト602b,602cの相対移動は、第2シャフト602bの1つ以上のピン2302から1つ以上のスレッド状エレメント2802の解放をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、スレッド状エレメント2802の第1端および/または第2端は、ループを形成するように構成でき、これは、好都合には1つ以上のピン2302または人工心臓弁への装着を容易にできる。いくつかの実施形態では、第2シャフト602bおよび/または第3シャフト602cは、特定の距離を超える軸方向移動を防止するように構成でき、例えば、第2シャフト602bが第3シャフト602cに対して遠位側に遠くに移動し過ぎるのを防止し、これは、人工心臓弁および/または1つ以上のスレッド状エレメント2802への損傷のリスクを与える可能性がある。
【0046】
図9の実施形態は、第1端と、第2端と、第1端と第2端との間に配置された中間部分とを含むことができるスレッド状エレメント2802を含み、第1端は、第2シャフトのある部分に装着され、第2端は、第2シャフトの1つ以上のピンに装着される。1つ以上のスレッド状エレメントの中間部分は、第3シャフトの遠位端を出て、人工心臓弁の一部に装着して、第3シャフトの1つ以上のアパーチャを通過するように構成される。図9の実施形態では、第1端は、第2シャフトに確実に装着され、一方、第2端は、第2シャフトの1つ以上のピンに装着され、1つ以上のピンの遠位端が第3シャフトの1つ以上のアパーチャよりも近位側になる場合、例えば、図8A図8Bに示す1つ以上のスレッド状エレメントの解放など、第2端部は、1つ以上のピンから外れることができる。
【0047】
図10の実施形態では、1つ以上のスレッド状エレメントの第1端および第2端が、第2シャフトの一部に堅固に装着される。スレッド状エレメントの中間部分は、第3シャフトの遠位端を出て、人工心臓弁のある部分に装着し、第3シャフトの1つ以上のアパーチャを通過するように構成される。スレッド状エレメントの中間部分はさらに、第1シャフトの1つ以上のピンに装着するように構成され、第2シャフトの遠位端に対して近位側への第1シャフトの遠位端の近位端の移動が、第1シャフトの1つ以上のピンからスレッド状エレメントの解放をもたらすことができる。
【0048】
図8Aは、デリバリーシステムの一実施形態を示し、1つ以上のスレッド状エレメント2802は、9つのスレッド状エレメントを含み、これらは、人工心臓弁に装着された第1端セットと、第2シャフトのピンに装着された第2端セットとを有する。いくつかのこうした実施形態では、第3シャフトは、3つのアパーチャを含み、3つのスレッド状エレメントは、第2シャフトの各ピンに装着され、スレッド状エレメントの3つの中間部分がそれぞれ第3シャフトのアパーチャの1つを通過する。第2シャフトおよび第3シャフトは、デリバリーシステムの他のエレメントに対して軸方向に移動するように構成でき、人工心臓弁を拡張構成から展開構成へと移行でき、その逆も同様に移行できる。第2および第3シャフトはさらに、互いに対して軸方向に移動するように構成でき、人工心臓弁を展開構成から移植構成に移行できる。
【0049】
図8Dは、デリバリーシステムの一実施形態を示し、1つ以上のスレッド状エレメントは、人工心臓弁に装着された第1端セットと、第2シャフトのピンに装着された第2端セットとを有する6つのスレッド状エレメントを含む。いくつかのこうした実施形態では、第3シャフトは、3つのアパーチャを含み、2つのスレッド状エレメントが第2シャフトの各ピンに装着され、スレッド状エレメントの2つの中間部分は、それぞれ第3シャフトのアパーチャのうちの1つを通過する。図8Dに示すように、人工心臓弁のある部分を通してスレッド状エレメントを経路設定する方法は、好都合には、必要とされるスレッド状エレメントの数を減少させ、またはスレッド状エレメントをデリバリーシステムおよび/または人工心臓弁に装着するために必要とされる時間を削減できる。他の実施形態は、より多い、またはより少ない数のスレッド状エレメントおよびアパーチャを含むことができ、アパーチャを通って出るスレッド状エレメントの異なる構成を備える。
【0050】
いくつかの実施形態では、図11A図11Bに示すもののように、人工心臓弁は、1つ以上のスレッド状エレメントを含むことができ、それぞれが第1ループを備えた第1端と、第2ループを備えた第2端とを有する。図11A図11Bの実施形態では、第1ループは、人工心臓弁に装着でき、第2ループは、第2シャフトの1つ以上のピンに装着できる。第2および第3シャフトは、前述したように、第2シャフトの1つ以上のピンから1つ以上の第2ループを係合解除するように動作でき、これにより人工心臓弁および1つ以上のスレッド状エレメントを解放して移植できる。
【0051】
いくつかの実施形態では、人工心臓弁は、周方向に非対称形状を有してもよく、これは、ここで以前に説明したものよりも、デリバリーシステムへの異なる装着手段を必要とすることがある。図13の実施形態は、9つのスレッド状エレメントを含み、スレッド状エレメントのうちの2つは、等しいサイズであり、他の7つのスレッド状エレメントよりも短く、これら自体は等しいサイズである。この実施形態では、スレッド状エレメントは、デリバリーシステムのコンポーネントとして、または人工心臓弁のコンポーネントとして含まれてもよい。こうして、異なる長さを有するスレッド状エレメントは、異なる長さのアンカー部材を有する人工心臓弁にデリバリーシステムを装着するように構成される。また図12には、デリバリーシステムのカプセル部分を示しており、第2シャフトは、異なる長さの1つ以上のピンを含み、第1ピンの遠位端が第2ピンおよび第3ピンの遠位端よりさらに遠位側に延びている。図12の実施形態の第3シャフトの1つ以上のアパーチャも、異なる軸方向位置を有し、第1アパーチャは、第2アパーチャよりもさらに遠位側に設置される。他の実施形態は、異なるアパーチャの組合せ、第3シャフトの周りに円周方向および第3シャフトの長さに沿って軸方向の両方で異なるアパーチャの場所、異なるピンの数、異なるピンの長さ、および/または、1つ以上のピンの遠位端の異なる軸方向場所を有してもよい。こうして、人工心臓弁のアンカー部材は、アンカー部材の各々の長さまたは形状に関係なく制御できる。
【0052】
図13A図13Bは、他の実施形態を示しており、第2シャフトのピンが異なる軸方向長さを有する。この実施形態では、4つのピンが含まれており、これは、望ましくは、3つの異なる長さおよび/または形状および/または円周方向場所を備えたアンカー部材を有する人工心臓弁に装着できる。
【0053】
図14は、他の実施形態を示しており、人工心臓弁は、異なる長さのアンカー部材を有する。この実施形態では、デリバリーシステムの拡張可能フレームは、拡張可能フレームの2つの軸方向部材の間に位置決めされた少なくとも1つのクロスバーを含む。この実施形態はさらに、1つ以上のスレッド状エレメントを含み、スレッド状エレメントの第1端がデリバリーシステムの第2シャフトの1つ以上のピンに装着され、1つ以上のピンへの1つ以上のスレッド状エレメントの装着ポイントが少なくとも1つのクロスバー部材よりもさらに遠位側に移動する場合に、1つ以上のスレッド状エレメントの中間部分が少なくとも1つのクロスバーの近位側に接触するように構成される。こうしてデリバリーシステムは、異なる長さを有する人工心臓弁のアンカー部材に装着された場合に、1つ以上のスレッド状エレメント内の張力を平衡させるように構成できる。
【0054】
いくつかの実施形態では、スレッド状エレメントが、第1ループを備えた第1端と、第2ループを備えた第2端と、中間部分とを有する。デリバリーシステムは、いくつかのスレッド状エレメント用いて人工心臓弁に接続でき、スレッド状エレメントの第1端は、人工心臓弁に接続され、スレッド状エレメントの第2端は、デリバリーシステムの第2シャフトのピンに接続される。この実施形態ではまた、第2端がデリバリーシステムから外れている少なくとも1つのスレッド状エレメントが示されている。
【0055】
1つ以上のスレッド状エレメント(テザーとも称される)は、例えば、PTFE、ポリエステル、シリコーン、PU、PE、PVC、PTFE、ETFE、FEP、PEBA、ポリアミド、ヒドロゲル材料、ニチノール、ステンレス鋼、金、白金、チタン、他の生体適合性金属、またはシルクなどの天然繊維などの材料を用いて、任意のタイプの生体適合性スレッド、ストリング、ワイヤ、ケーブル、またはラインから製作できる。いくつかの実施形態では、1つ以上のスレッド状エレメントは、例えば、ポリゾーブ(Polysorb)またはバイクリル(Vicryl)などの生体吸収性材料から製作できる。1つ以上のスレッド状エレメントは、例えば、ワイヤまたはロッドに類似した連続的材料から製作でき、または、ケーブル、コード、ロープなどに類似した1つ以上の個別長さの材料から編組(braid)してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、第2シャフトまたは第3シャフトは、1つ以上の長手方向リブを含んでもよく、これは、第2シャフトまたは第3シャフトが、1つ以上の長手方向リブの断面平面に対して垂直な平面に沿って屈曲可能なように構成され、これは、好都合には、第2シャフトまたは第3シャフトを屈曲させ、これにより人工心臓弁を自然心臓の内部に位置決めするのを可能にする。
【0057】
図15図18は、ここに開示されるデリバリーシステムのカプセル部分のチューブのいくつかの実施形態を示す。いくつかの実施形態では、チューブが、遠位部分と、遠位部分より近位側にある1つ以上の長手方向リブを含む第1リブセクションと、第1リブセクションより近位側にある第1リング部分と、第1リング部分より近位側にある第2リブセクションと、第2リブセクションより近位側にある第2リング部分と、第2リング部分より近位側にある第3リブ部分と、近位端とを含む。いくつかの実施形態では、第1リング部分、第2リング部分、および近位部分は、チューブの内側ライナーとチューブの外側ライナー(図示せず)が互いに接触可能にして、これにより内側ライナーを外側ライナーに固定するのを支援するように構成された少なくとも1つのアパーチャを含む。第1リブセクション、第2リブセクション、および第3リブセクションはそれぞれ、リブセクションが、1つ以上の長手方向リブの断面平面に対して垂直な平面に沿って屈曲できるようにし、これによって人工心臓弁を自然心臓の内部に位置決め可能にするように構成された1つ以上の長手方向リブを含む。いくつかの実施形態では、チューブは、1つ、2つ、または3つより多いリブセクションを含む。いくつかの実施形態では、チューブは、1つ、または2つより多いリング部分を含む。いくつかの実施形態では、遠位部分はまた、1つ以上のアパーチャを含む。いくつかの実施形態では、リング部分または近位部分のいずれかが、円周方向に途切れておらず、即ち、アパーチャを含まない。いくつかの実施形態では、リブセクションの各々の軸方向長さは、リング部分または遠位端または近位端の各々の軸方向長さよりも長い。しかしながら、いくつかの実施形態では、リング部分または遠位端または近位端のうちの1つ以上の軸方向長さは、リブセクションのうちの1つ以上の軸方向長さよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、図16に示すように、アパーチャは円形でもよいが、他の実施形態では、アパーチャは、長方形、楕円形、ドッグボーン(犬骨)形などでもよい。
【0058】
図15の実施形態は、フレア状遠位端を含むデリバリーシステムのチューブの断面側面図を示し、これは、望ましくは、人工心臓弁の進入が、拡張構成からチューブの内部部分内のクリンプ(圧縮)構成へ容易にできる。フレア状遠位端は、人工心臓弁がデリバリーシステムのカプセル部分のチューブに進入する場合に、デリバリーシステムへの力を低減するのを支援でき、人工心臓弁は、圧縮構成にある場合、より小さい最大直径を有することが可能になる。
【0059】
図16図18は、デリバリーシステムのチューブの遠位端のいくつかの実施形態を示し、これは、チューブの残りの部分の直径に対して遠位端の直径を増加させるように構成され、これは、望ましくは、拡張構成からチューブの内部部分内のクリンプ構成への人工心臓弁の進入を容易にできる。いくつかの実施形態では、遠位端は、1つ以上のノッチによって分離された1つ以上のタブを含む。図16は、デリバリーシステムのチューブの遠位端の一実施形態を示し、遠位端は、9つのノッチによって分離された9つのタブを含む。図16の実施形態は、好都合には、等しい数のアンカー部材(例えば、9つ)を有する人工心臓弁と共に使用するために好都合であり、これは、拡張構成からチューブの内部部分内でクリンプ構成に移行するために、ここで開示されるデリバリーシステムと係合するように構成される。いくつかの実施形態では、デリバリーシステムが、ほぼ正弦波状の遠位端を有する。いくつかの実施形態では、デリバリーシステムが、正弦波状の遠位端を備えたフレームを含む。
【0060】
図17は、デリバリーシステムのチューブの遠位端の一実施形態を示し、遠位端は、1つ以上のノッチによって分離された1つ以上のタブを含み、各タブは、1つ以上の円周方向に向けられた付属物を含む。この実施形態では、付属物の1つ以上は、略T字形であり、1つ以上の付属物の近位端の軸方向の幅よりも大きい軸方向の幅を有する遠位端を備える。1つ以上の付属物は、図17に示すように、1つ以上の他の付属物とモザイク嵌めするように構成できる。図17の実施形態は、チューブの遠位端の1つ以上のタブが、チューブの残り部分の直径に対して遠位端の直径を増加させるように半径方向に拡張可能なように構成でき、この半径方向の拡張は、1つ以上の隣接する円周方向の付属物の相対場所によって制限される。チューブの遠位端が拡張した場合、円周方向の付属物の下面は最終的に互いに接触し、これによりチューブの遠位端の更なる拡張を防止する。異なる実施形態では、円周方向の付属物のサイズおよび形状は、必要なものに応じて、チューブの遠位端の異なる最大拡張直径を許容するように変更できる。
【0061】
図18は、デリバリーシステムのチューブの遠位端の一実施形態を示し、遠位端は、ステントを含む。いくつかの実施形態では、ステントは、1つ以上の遠位頂点と、1つ以上の近位頂点とを含み、1つ以上の近位頂点は、デリバリーシステムのチューブに装着される。いくつかの実施形態では、近位頂点は、1つ以上の近位頂点においてチューブに直接装着される。いくつかの実施形態では、ステントの近位頂点は、1つ以上の軸方向部材を介してチューブに装着される。チューブは、ステントが半径方向に拡張できるように構成でき、1つ以上の遠位頂点と1つ以上の近位頂点との間の軸方向距離が減少し、ステントの直径がチューブの直径に対して増加するようになる。いくつかの実施形態では、ステントは、2つ以上の遠位頂点セットおよび1つ以上の近位頂点セットを含み、2つ以上の遠位頂点セットは、少なくとも第1遠位頂点セットおよび第2遠位頂点2セットを含み、2つ以上の近位頂点セットは、少なくとも第1近位頂点セットおよび第2近位頂点セットを含み、第1遠位頂点セットは、第1近位頂点セットよりさらに遠位側にあり、第1近位頂点セットは、第2遠位頂点セットよりさらに遠位側にあり、第2遠位頂点セットは、第2近位頂点2セットよりもさらに遠位側にある。ステントの頂点および頂点セットの数、そしてステントの高さ、幅、厚さおよび形状は、半径方向に拡張した場合にステントの直径を増加または減少させるように調整できる。図19は、デリバリーシステムのチューブのステントを示し、ステントは、拡張構成にある。図19はまた、デリバリーシステムのチューブの内側表面および/または外側表面を覆うように構成できるライナーを示し、拡張構成へのステントの拡張とともに拡張するように構成できる。
【0062】
いくつかの実施形態では、デリバリーシステムが、略正弦波状の遠位端と、1つ以上の軸方向タブを含む近位端とを備える。いくつかの実施形態では、デリバリーシステムのチューブは、それぞれ遠位端および近位端において2つの異なる構造を有するように構成でき、これらは、好都合には遠位端または近位端のいずれかがデリバリーシステムに対して最遠位位置に設置できるようにし、これにより異なるバージョンのチューブを検査するために利用可能に維持すべきチューブコンポーネントの数を低減できる。
【0063】
いくつかの実施形態では、デリバリーシステムのカプセルが、ノッチ状遠位端と、チューブの外側表面を覆う外側ライナーとを備える。いくつかの実施形態では、チューブはさらに、外側ライナーと連続的にできる内側ライナーを含むことができる。いくつかの実施形態では、内側ライナーおよび外側ライナーは、隣接する長手方向リブの間で、または前述したチューブのアパーチャのいずれかを経由して互いに接触できる。いくつかの実施形態では、内側ライナーおよび/または外側ライナーは、デリバリーシステムのチューブの剛性を増加させ、またはチューブの最大可撓量を制限するように構成できる。いくつかの実施形態では、外側ライナーは、チューブの潤滑性を増加させるように構成でき、これは、望ましくは身体の血管を経由したデリバリーシステムの進入を容易にできる。いくつかの実施形態では、内側ライナーおよび/または外側ライナーは、1つ以上の層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、内側ライナーおよび/または外側ライナーは、1つ以上の軸方向ストリップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、内側ライナーおよび/または外側ライナーは、1つ以上の半径方向ストリップを含んでもよい。いくつかの実施形態では、内側ライナーおよび/または外側ライナーは、1つ以上の半径方向に巻かれたストリップを含んでもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、人工心臓弁が、デリバリーシステムのチューブ内部でクリンプ構成にあり、チューブは、ステントおよび外側ライナーを含む遠位端を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、デリバリーシステムのチューブが、円周方向の付属物を備えた遠位端と、内側ライナーとを備え、リブセクションは、1つ以上の長手方向リブの断面平面に対して垂直な平面に沿って屈曲する。
【0066】
図20は、デリバリーシステムのチューブの一実施形態を示し、長手方向リブは、前述したチューブよりも大きな屈曲度を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、1つ以上のアパーチャは、チューブの軸方向の背骨に沿って設置できる。図20の実施形態では、1つ以上のアパーチャは、チューブの近位端および/または遠位端に設置される。1つ以上のアパーチャは、外側ライナーおよび内側ライナーが互いに接触できるように構成できる。
【0067】
いくつかの実施形態では、チューブは、デリバリーシステムのシャフトのうちの1つと連続してもよい。例えば、第6シャフトの遠位端は、チューブおよび第6シャフトが連続しているようなチューブを備えてもよい。いくつかの実施形態では、チューブの外径は、デリバリーシステムのシャフトのうちの1つの外径と同じもよい。いくつかの実施形態では、ライナーが、チューブの外側表面およびデリバリーシステムのシャフトのうちの1つに隣接して配置でき、そのためライナーは、チューブの近位端およびデリバリーシステムのシャフトの遠位端に広がる。いくつかの実施形態では、デリバリーシステムのチューブおよび第6シャフトは、均一な外径および均一な内径を備えた単一のシャフトから製作され、これは、望ましくは人工心臓弁の展開時にデリバリーシステムのシャフトの屈曲角度の損失を低減できる。
【0068】
図21図23は、ここで開示されるデリバリーシステムの拡張可能フレーム6000のいくつかの図および実施形態を示す。図21は、拡張可能フレーム6000が圧縮構成で示される実施形態を示す。拡張可能フレームは、近位リングと、拡張可能な支持構造と、近位リングと拡張可能な支持構造との間に配置された円筒形部分とを含む。いくつかの実施形態では、近位リングは、1つ以上のアパーチャを含み、これは、拡張可能フレームの近位リングの周囲に間隔を空けて配置できる。図21に示す実施形態では、近位リングは、6つのアパーチャを有し、これは、望ましくはデリバリーシステムの1つ以上のシャフトへの装着を容易にでき、または、ケーブル、ワイヤ、コードなどをデリバリーシステムのより遠位部分に方向付けできる。拡張可能フレームの円筒形部分は、1つ以上の軸方向部材を含むことができ、これはそれぞれ近位端および遠位端を有することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の軸方向部材の近位端および遠位端は、軸方向に位置合わせされてもよく、他の実施形態では、例えば、図21に示すもののように、1つ以上の軸方向部材の遠位端は、1つ以上の軸方向部材の近位端の円周場所から円周方向に位相ずれで設置してもよく、これは、望ましくはケーブル、ワイヤ、コードなどをデリバリーシステムのより遠位部分に方向付けるのを支援できる。いくつかの実施形態では、軸方向部材は、人工心臓弁が圧縮構成にある場合、人工心臓弁の1つ以上のアンカー部材が隣接する軸部材の間に入れ子(nest)になることを可能にするようにサイズ設定された空間によって分離でき、これによりデリバリーシステムのチューブへ人工心臓弁の再進入を容易にする。
【0069】
拡張可能フレームは、図22に示すように、圧縮構成において拡張可能フレームの直径よりも大きい直径に拡張するように構成された拡張可能な支持構造を含むことができる。
拡張可能な支持構造は、人工心臓弁に接続するように構成できる。いくつかの実施形態では、拡張可能な支持構造は、拡張可能な支持構造の周囲の周りに等間隔に配置された複数のアームを含む。いくつかの実施形態では、拡張可能な支持構造は、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のアームを含む。いくつかの実施形態では、支持構造は、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、または4個以下のアームを含む。実施形態の例示セットでは、拡張可能な支持構造は、9個のアームを含む。実施形態の例示セットでは、9個のアームのうちの3個は、3つの遠位フックをさらに含み、これらは、人工心臓弁の3つのアンカー部材に装着されるように構成される。いくつかの実施形態では、アームのうち1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個または全ては、1つ以上の遠位フックをさらに含む。いくつかの実施形態では、拡張可能支持構造のアームは、1つ、2つ、または3つより多いフック、例えば、6つまたは9つのフックを含む。いくつかの実施形態では、拡張可能な支持構造は、拡張可能フレームが人工心臓弁に装着された場合(例えば、3つ以上のフックを含むロック/リリース機構を介して)、人工心臓弁に安定化を提供するように構成される。例えば、理論に拘束されることは望まないが、拡張可能フレームと人工心臓弁との間に3つの接触ポイントを有することにより、拡張可能フレームと人工心臓弁との間の揺動(rocking)、回転および/または他の望ましくない動きを防止するための接触面を生成できる。いくつかの実施形態では、拡張可能な支持構造は、1つ以上のステント状機構を含み、これは、図67に示される正弦波状またはZ字状の円周ステントパターンなど。拡張可能フレームに安定化を提供する。こうしたステント状機構は、好都合には、人工心臓弁への拡張可能フレームの接続ポイント間のサポートを提供でき、ある場合には、人工心臓弁を安定化するのに役立つ。例えば、拡張可能な支持構造は、そのクリンプ構成およびその展開構成を含む、人工心臓弁の展開に渡ってこの安定化を提供できる。
【0070】
好都合には、ここで説明するロック/嵌め合い構成(例えば、拡張可能な支持構造上の締結具(fastener)(例えば、フック)を備える)は、任意の人工心臓弁と嵌め合いするように構成される。いくつかの実施形態では、人工心臓弁は、デリバリーシステムの締結具と係合する嵌め合い締結具(例えば、フック)を備える。別の実施形態では、人工心臓弁は、任意の数の構成を有してもよく、3つ以上の接触ポイントがデリバリーシステムの締結具と係合する。好都合には、ここで説明するデリバリーシステムは、種々の市販される人工心臓弁の配送、再位置決め、および/または回収のために有用になり、ここで説明する特定の心臓弁構成に限定されない。当業者は、本明細書の教示に基づいて、ここで説明するデリバリーシステムをどのように選択し展開して、別の人工心臓弁と係合できることを理解するであろう。
【0071】
図23は、圧縮構成における拡張可能なフレームの一実施形態を示し、円筒形部分は、3つの部材を含み、その遠位端および近位端が軸方向に位置合わせされる。いくつかの実施形態では、圧縮構成における拡張可能フレームは、円筒形部分を含まない。いくつかの実施形態では、拡張可能な支持構造の6つのアームは、タブ状機構を含む各アームの遠位端を含み、これは、人工心臓弁のアンカー部材に接続するように構成できる。
【0072】
図24は、図3のデリバリーシステムのカプセル部分の側面図であり、拡張可能フレームは拡張構成で示してしており、デリバリーシステムは、拡張可能フレームの少なくとも1つのアームを取り囲むように構成された少なくとも1つのシース(鞘)を含む。図24の実施形態では、デリバリーシステムは、3つのシースを含み、その各々は、拡張可能フレームの拡張可能な支持構造の3つのアームの遠位端に配置されたフックを取り囲むように構成される。シースは、拡張可能支持構造のフックと係合した場合、人工心臓弁の少なくとも1つの嵌め合い部分を取り囲むように構成でき、これによりデリバリーシステムを人工心臓弁に確実に接続できる。
【0073】
いくつかの実施形態では、シースは、少なくとも1つのプルワイヤ606に装着でき、図24に示すもののように、これは、近位方向に軸方向に移動して、人工心臓弁の少なくとも1つの嵌め合い部分との係合解除するように構成でき、これにより人工心臓弁をデリバリーシステムから切り離すことができる。いくつかの実施形態では、プルワイヤ606は、拡張可能フレームの近位リングの1つ以上のアパーチャを通って経路設定してもよく、これは、望ましくは少なくとも1つのプルワイヤ606を保護し、および/または、より直接的な進行経路を許容するのに役立つ。
【0074】
いくつかの実施形態では、シースは、ほぼ円形の断面プロファイルを備えたシリンダを形成できる。他の実施形態では、シースは、図24に示される実施形態など、楕円形または長方形の断面プロファイルを有してもよい。図25の実施形態では、シースは、円形の断面プロファイルを備えた遠位端と、遠位端の全周より少なく形成する近位方向タブを含む近位端とを有する。これは、好都合には、シースが拡張可能な支持構造の少なくとも1つのアーム上を摺動できることを確保できる。また、図25には、シースの中間部分の内部に配置された円周方向タブを示している。少なくとも1つのプルワイヤ606は、図26の側断面図に示すように、円周方向タブの近位側に隣接するシースの管腔に進入し、そして円周方向タブの遠位側に隣接するシースの管腔を出るように構成してもよい。
【0075】
図27に示す実施形態では、図3のデリバリーシステムの拡張可能フレームは、折り畳み構成で示されており、少なくとも1つのプルワイヤ606は、少なくとも1つのシースに装着され、拡張可能フレームの円筒形部分の部材を横断する。図27では、少なくとも1つのプルワイヤ606は、拡張可能フレームの円筒形部分の部材を内側で横断し、拡張可能フレームの中間リングを内側で横断する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプルワイヤ606は、拡張可能フレームの円筒形部分の部材を外側で横断し、拡張可能フレームの中間リングを内側で横断する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプルワイヤ606は、拡張可能フレームの円筒形部分を内側で横断し、拡張可能フレームの中間リングを外側で横断する。図27の実施形態は、少なくとも1つのプルワイヤ606を圧縮状態または拡張状態のいずれかでの損傷から保護するための利点を提供できる。ここで開示される拡張可能フレームは、好ましくは、ニチノールで製作されるが、他の生体適合性材料、例えば、ステンレス鋼などで製作してもよい。いくつかの実施形態では、拡張可能フレームは、デリバリーシステムのシャフトのいずれか1つに直接装着してもよい。拡張可能フレームはさらに、人工心臓弁の拡張を制御できる。例えば、いくつかの実施形態では、拡張可能フレームは、デリバリーシステムの第4シャフトに(直接的または間接的に)装着してもよく、そのためデリバリーシステムのチューブに対して遠位方向への第4シャフトの並進により、デリバリーシステムのチューブの遠位端から外へ出る拡張可能フレームおよび拡張可能フレームが接続された人工心臓の並進を生じさせるとともに、拡張可能フレームおよび人工心臓弁を拡張させることも可能にする。従って、デリバリーシステムのチューブに対するデリバリーシステムの第4シャフトの並進を制御することによって、拡張可能フレームおよび人工心臓弁の両方の拡張が制御できる。同様に、拡張可能フレームの後退は、例えば、デリバリーシステムの第4シャフトをデリバリーシステムのチューブに対して近位側に並進させることによって、拡張可能フレームおよび人工心臓弁の折り畳みおよび/またはデリバリーシステムのチューブ内への後退を制御できる。
【0076】
図28は、拡張可能フレーム6000の締結具7802(例えば、フック)の一実施形態を示し、装着されたプルワイヤ606を備えたシース7804がフックを取り囲む。この実施形態では、締結具7802は、人工心臓弁の嵌め合い締結具7806と確実に入れ子になるように構成され、一方、シース7804は、2つの締結具7802,7806の係合解除を防止するように構成される。こうしてシース7804は、1つ以上のシースからの1つ以上のプルワイヤ606が後退して2つのフックの係合解除を可能にするまで、人工心臓弁へのデリバリーシステムの接続を確保するためのロックを提供する。いくつかの実施形態では、人工心臓弁へのデリバリーシステムの接続を確保することによって、人工心臓弁は、デリバリーシステムとの結合を維持しながら、移植位置において自然心臓弁内に位置決めできる。ある場合には、人工心臓弁は、例えば、自然心臓弁における不適切配置、自然心臓に対する認識されるリスク、または他の理由のために、再捕捉される必要がある可能性がある。移植中のデリバリーシステムとの結合は、デリバリーシステムが人工心臓弁を再捕捉することを可能できる。いくつかの実施形態では、人工心臓弁は、デリバリーシステムのカプセル部分の内部に位置決めできる。再捕捉された人工心臓弁は、自然心臓弁内に再位置決めしてもよく、または身体から取り外してもよい。いくつかの実施形態では、人工心臓弁は、任意の適切な回数だけ、展開したり、再位置決めしたり(例えば、再捕捉および位置決め)、再び展開してもよい。例えば、デリバリーシステムは、人工心臓弁の配置を、1回、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上の回数(例えば、人工心臓弁が所望の場所および/または構成に位置決めされるまで、)再位置決めするために使用できる。実施形態の例示セットでは、デリバリーシステムは、人工心臓弁を展開して、人工心臓弁が自然心臓弁の自然リーフレットに装着し、人工心臓弁が自然リーフレットに確実に装着しない場合には、人工心臓弁が自然心臓弁の自然リーフレットに装着するまで、人工心臓弁は再捕捉および/または再位置決めできる。
【0077】
種々の実施形態では、締結具は、任意のタイプの嵌め合いエレメント、例えば、フック、金具(clasp)、クリップ、キャッチ、ピン、かぎホック留め、バックル、ラッチ、ロック、スナップ、ボタン、スライドなどでもよい。
【0078】
プルワイヤ606は、例えば、溶接、圧着または接着接合によってシースに装着できる。シースは、任意の生体適合性材料で製作できるが、好ましくは、金属、例えば、ニチノール、ステンレス鋼、チタン、金などで製作できる。プルワイヤは、ニチノール、ステンレス鋼、チタン、金、PTFE、ポリエステル、シリコーン、PU、PE、PVC、PTFE、ETFE、FEP、PEBA、ポリアミド、ヒドロゲル材料、または天然繊維(例えば、シルク)を含む任意の生体適合性材料で製作できる。プルワイヤは、例えば、ワイヤまたはロッドに類似した連続材料から製作でき、またはケーブル、コード、ロープ等に類似した1つ以上の個別長さの材料から編組(braid)してもよい。他の実施形態では、プルワイヤ606は、1つ以上の相互接続された材料ループから製作してもよい。いくつかの実施形態では、プルワイヤ606は、1つ以上の材料の長さによって接続された1つ以上の本体で製作してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、デリバリーシステムは、拡張可能フレームをデリバリーシステムの第4シャフトに装着するように構成されたアダプタを含む。アダプタは、例えば、拡張可能フレームが第4シャフトとは異なる材料から製作される場合に好都合になる。例えば、拡張可能フレームは、ニチノールから製作でき、第4シャフトは、ステンレス鋼から製作でき、これらは従来の手段では接合することが困難なことがあり、アダプタは、2つのコンポーネント間の接続を容易にするように構成できる。いくつかの実施形態では、アダプタが、近位リングと、遠位リングと、近位リングおよび遠位リングの両方を通過する中央管腔とを含む。近位リングの直径が、遠位リングの直径よりも大きい。1つ以上の軸方向アパーチャは、近位リングの上に設置してもよく、これは、望ましくは1つ以上のプルワイヤ606を通過させることができる。遠位リングは、1つ以上の半径方向アパーチャを含むことができ、これは、例えば、溶接によって、または、ねじ、ボルト、リベットなどの他の構成要素の挿入によって、拡張可能フレームへの装着を容易にするために使用できる。いくつかの実施形態では、アダプタは、3つの軸方向アパーチャと、3つの半径方向アパーチャとを含む。アダプタの中心管腔の直径は、第4シャフトの遠位端の外周にぴったり嵌るように構成さできる。アダプタの遠位リングの外径は、拡張可能フレームの近位リングの内周にぴったり嵌るように構成できる。アダプタは、数多くの異なる生体適合性材料から製作できるが、好ましくは、拡張可能フレームまたは第4シャフトのいずれかと同じ材料から製作され、好ましくはニチノールまたはステンレス鋼から製作される。
【0080】
いくつかの実施形態では、拡張可能フレームは、デリバリーシステムの第4シャフトの遠位端に装着でき、第1シャフト、第2シャフト、第3シャフト、第5シャフト、第6シャフト、およびカプセル部分のチューブは、デリバリーシステムの第4シャフトに対して近位側または遠位側のいずれかで軸方向に移動するように構成できる。こうして人工心臓弁の軸方向深さは、デリバリーシステムの6つのシャフトの第1屈曲部およびデリバリーシステムの6つのシャフトの第2屈曲部を維持しながら、増加または減少させることができ、これにより自然心臓内での人工心臓弁の配置についてより大きい制御を可能にする。
【0081】
いくつかの実施形態では、デリバリーシステムの第6シャフトは、シャフトの長さに沿って異なる部分において異なる可撓性を有するように構成された外側ライナーを含んでもよい。例えば、外側ライナーは、複数の材料、複数の材料デュロメータ、および/または複数の厚さから製作でき、これは、好都合には1つ以上の操縦平面内でのデリバリーシステムシャフトの所望の可撓性レベルを達成できる。いくつかの実施形態では、シャフトの遠位部分が第1材料から製作され、シャフトの近位部分が第2材料から製作されたデリバリーシステムにより、シャフトの曲げ領域は、そうでない場合よりシャフトの遠位部分においてより小さい半径を備えたより短い距離に渡って位置することを可能にする。
【0082】
図29A図30Cは、デリバリーシステムに少なくとも最初に装着された例示的な人工心臓弁の一実施形態の種々の展開ステージを示す。図29では、人工心臓弁は、デリバリーシステムの拡張可能フレームに装着されて図示されており、一方、人工心臓弁のアームがいくつかが、いくつかのスレッド状エレメントによってデリバリーシステムに接続される。前述したように、デリバリーシステムのチューブに対して拡張可能フレーム(人工心臓弁も)を前進させることにより、拡張可能フレームおよび人工心臓弁をデリバリーシステムのチューブの遠位端の外に前進させ、デリバリーシステムのチューブの遠位端を越えた空間内で拡張させることができる。図29Bに示すように、スレッド状エレメントを固定するデリバリーシステムのシャフトは、デリバリーシステムの他のシャフトに対して前進させて、人工心臓弁のアームを関節接合できる(例えば、人工心臓弁のアームを展開構成に低下させる)。同様に、スレッド状エレメントを固定するデリバリーシステムのシャフトは、デリバリーシステムの他のシャフトに対して後退させて、人工心臓弁のアームを関節接合できる(例えば、人工心臓弁のアームを折り畳み構成またはクリスプ構成に上昇させる)。こうして人工心臓弁は、自然三尖弁内に展開でき、その際、人工心臓弁は、自然三尖弁の近くまたは内部で完全にアンカー固定または固定でき、一方、人工心臓弁のアームを再関節接合する能力を保持して、人工心臓弁の再位置決めおよび人工心臓弁の後続の再展開を許容する。この能力は、人工心臓弁を自然心臓内での移植構成に係合解除する前に、人工心臓弁の血流力学的機能の評価を可能にする。図29Cは、スレッド状エレメントを解放して、人工心臓弁のアームから係合解除する次のステップを示す。拡張可能フレームはまた、スレッド状エレメントを解放する前または後のいずれかで、人工心臓弁から係合解除してもよく、その説明は図30Cに見える。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態をここで説明し図示したが、当業者は、機能を実施するため、および/または、結果および/またはここで説明した利点の1つ以上を取得するための種々の他の手段および/または構造を容易に想定するであろう。こうした変形および/または変更の各々は、本発明の範囲内にあるとみなされる。より一般には、当業者は、ここで説明した全てのパラメータ、寸法、材料および構成が、例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料および/または構成は、本発明の教示が使用される特定の用途に応じて依存することを容易に理解するであろう。当業者は、ここで説明した本発明の特定の実施形態との多くの等価物を、決まった実験だけを用いて認識するようになり、または解明することができる。従って、前述の実施形態は例としてのみ提示されていること、そして添付の請求項およびその等価物の範囲内で、本発明は具体的に説明され権利請求されたもの以外の方法で実施できることを理解すべきである。本発明は、ここで説明した個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾していなければ、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれる。
【0084】
本明細書および請求項で使用したような不定冠詞"a"、"an"は、反対に明示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解すべきである。
【0085】
本明細書および請求項で使用したような語句「および/または」は、等位接続された要素、即ち、ある場合には接続的に提示され、他の場合には離接的に提示される要素の「何れかまたは両方」を意味すると理解すべきである。語句「および/または」によって具体的に識別される要素以外の他の要素は、明確に反対のことが示されない限り、具体的に識別される要素に関連するか否かに関係なく、必要に応じて存在してもよい。こうして非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への参照が、「備える、含む」などのオープンエンド式文言との組合せで使用した場合、一実施形態では、BなしのAを参照し(必要に応じてB以外の要素を含む)、他の実施形態では、AなしのBを参照し(必要に応じてA以外の要素を含む)、さらに他の実施形態では、AおよびBの両方を参照する(必要に応じて別の要素を含む)。
【0086】
本明細書および請求項で使用される「または」は、上記で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト内の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は包括的なものとして、即ち、いくつかの要素または要素のリストのうち少なくとも1つであるが、2つ以上も含み、必要に応じて追加のリストにない項目の包括と解釈すべきである。例えば、「のうちの1つだけ」または「のうちの正確に1つ」、または請求項で使用されている場合は「からなる」など、反対に明確に示されている用語だけが、いくつかの要素または要素のリストのうちの正確に1つの包括を参照する。一般に、ここで使用する用語「または」は、排他性の用語、例えば、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つだけ」または「のうちの正確に1つ」などで先行する場合、排他的代替物を示すもの(即ち、一方または他方で、両方ではない)として解釈すべきである。「本質的にからなる」は、請求項で使用した場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有することになる。
【0087】
本明細書および請求項で使用した場合、1つまたは複数の要素のリストを参照する語句「少なくとも1つの」は、要素のリスト内にある要素の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解すべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的に記載された個々のおよび全ての要素の少なくとも1つを含まないが、要素のリスト内の要素の任意の組合せを除外していない。この定義により、語句「少なくとも1つ」が参照する要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別される要素に関連するか否かに関係なく、必要に応じて存在してもよい。こうして非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等には、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等には「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のAを含み、Bは存在せず(必要に応じてB以外の要素を含む)、他の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のBを含み、Aは存在せず(必要に応じてA以外の要素を含む)、さらに他の実施形態では、少なくとも1つ、必要に応じて2つ以上のAを含み、そして必要に応じて2つ以上のBを含む(必要に応じて他の要素を含む)ものを参照できる。
【0088】
請求項および上記明細書において、全ての移行句、例えば、「備える」、「含む」、「運ぶ」、「有する」、「含有する」、「関与する」、「保持する」などは、オープンエンド式、即ち、これらを含むがそれに限定されないことを意味すると理解すべきである。米国特許庁の特許審査手順マニュアル、セクション2111.03に記載されているように、「からなる」「本質的にからなる」の移行句だけがクローズ式、またはセミクローズ式の移行句とすべきである。
【0089】
例えば、1つまたは複数の物品、構造、力、場、流れ、方向/軌道、および/またはそのサブコンポーネント、および/またはその組合せ、および/または、そうした用語による特徴付けに従順な上記に記載していない任意の他の有形または無形の要素の、またはそれらの間の形状、配向、位置合わせおよび/または幾何学的関係に関してここで使用するような任意の用語は、別段の定義または指示がない限り、こうした用語の数学的定義への絶対的な適合を必要としないと理解すべきであり、むしろ、こうした主題に最も密接に関連する当業者にとって理解されるように特徴付けられる主題について可能な限り、こうした用語の数学的定義への適合を示すと理解すべきである。形状、配向および/または幾何学的関係に関連するこうした用語の例は、形状(例えば、円形、正方形、ゴンボック(gomboc)、円形の/円、長方形の/長方形、三角形の/三角形、円柱の/円柱、楕円の/楕円、(n)多角形の/(n)多角形など)、角度配向(例えば、垂直、直交、平行、鉛直、水平、共線など)、輪郭および/または軌道(例えば、平面/平面の、共平面の、半球の、半球、線/線形、双曲線、放物線、平面の、曲線の、直線、弓形の、正弦波の、接線/接線のなど)、方向(例えば、北、南、東、西など)、表面および/またはバルク材料特性および/または空間的/時間的分解能および/または、分布(例えば、円滑、反射、透明、クリア、不透明、剛性、不浸透性、均一、不活性、非湿潤性、不溶性、安定、不変、一定、均一など)、そして関連分野の当業者には明らかな他の多くのものの記述的な用語を含むが、これに限定されない。一例として、ここで「正方形」であると説明した製造製品が、完全に平面または直線であり、正確に90度の角度で交差する面または側面を有するこうした製品(実際、こうした製品は、数学的抽象概念としてだけ存在する)を必要とせず、むしろ、こうした製品の形状は、当業者によって理解されるように、または具体的に記載されたものとして、記載された製造技術について典型的に達成可能かつ達成される程度に、数学的に定義される「正方形」に近似するものとして解釈されるべきである。他の例として、「位置合わせされる」としてここで説明する2つ以上の製造製品は、こうした製品が完全に位置合わせされた面または側面を有することを要求することはなく(実際、こうした製品は数学的抽象化としてだけ存在できる)、こうした製品の配置は、当業者によって理解されるように、または具体的に記載されたものとして、記載された製造技術について典型的に達成可能かつ達成される程度に、数学的に定義される「位置合わせ」に近似するものとして解釈されるべきである。
【0090】
単語「例示的」は、「例または例示として機能する」を意味するためにここで使用している。ここで説明した任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいか、または好都合であると解釈すべきではない。一態様では、ここで説明した種々の代替的な構成および動作は、少なくとも等価であると考えられる。
【0091】
語句「態様」とは、こうした態様が本技術にとって必須であること、またはこうした態様が本技術の全ての構成に適用されることを意味しない。ある態様に関する開示が、全ての構成に適用してもよく、または1つ以上の構成に適用してもよい。ある態様が、1つ以上の例を提供してもよい。ある態様などの語句が、1つ以上の態様を参照してもよく、その逆も同様である。「実施形態」などの語句が、こうした実施形態が本技術にとって必須であること、またはこうした実施形態が本技術の全ての構成に適用されることを意味しない。実施形態に関する開示が、全ての実施形態、または1つ以上の実施形態に適用してもよい。実施形態が、1つ以上の例を提供してもよい。実施形態などの語句が、1つ以上の実施形態を参照してもよく、その逆も同様である。語句「構成」とは、こうした構成が本技術にとって必須であること、またはこうした構成が本技術の全ての構成に適用されることを意味しない。構成に関する開示が、全ての構成または1つ以上の構成に適用してもよい。構成は、1つ以上の例を提供してもよい。構成など語句が、1つ以上の構成を参照してもよく、その逆も同様である。
【0092】
ユーザの介入なしに、いくつかまたは全てのステップ、動作またはプロセスが自動的に実施してもよいことは理解される。方法の請求項は、様々なステップ、動作またはプロセスの要素をサンプル順に提示するために提供してよく、提示された特定の順序または階層に限定されることを意味しない。
【0093】
本開示の名称、背景、図面の簡単な説明および請求項は、本開示にここに組み込まれ、本開示の例示的な例として提供され、限定的な説明としてではない。これらは請求項の範囲または意味を限定するために使用されないという理解で考えられる。さらに、詳細な説明では、説明は例示的な例を提供し、種々の特徴は、開示を合理化する目的のために、様々な実施形態において共にグループ化されることが判る。この開示の方法は、権利請求する主題が請求項に明確に記載されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、下記請求項が反映しているため、本発明の主題は、単一の開示された構成または動作の全ての特徴よりも少ない。下記請求項は、詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、別個に権利請求する主題を表現するためにそれ自体に基づいている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A-13B】
図14
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図28A
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図29A
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図29C
図30A
図30B
図30C
【国際調査報告】