(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】ガラス処理システム用関節型配置
(51)【国際特許分類】
C03B 23/03 20060101AFI20230915BHJP
C03B 35/16 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
C03B23/03
C03B35/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514884
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 US2021048827
(87)【国際公開番号】W WO2022051467
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507367091
【氏名又は名称】グラステック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニチェケ、デイビッド・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ニチェケ、ディーン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ラインハート、クリスティン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スニダー、スチーブン・デー
(72)【発明者】
【氏名】シュナベル、ジュニア、ジェイムス・ピー
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015AA08
4G015AB03
4G015AB05
4G015AB10
4G015GA01
(57)【要約】
上型と共に使用するための関節型下型配置は、加熱されたガラス板を曲げるように構成された型部を含んでいる。前記型部は、第1の端部と、ガラスシートの端部を曲げるための前記第1の端部に近接した鋭角曲げ領域と、前記第1の端部の反対側で、前記鋭角曲げ領域から離間した第2の端部と、を有する。前記配置は、前記第1の端部に近接した第1の位置で前記型部に接続された第1のガイド部材と、前記第2の端部に近接し、前記鋭角曲げ領域から間隔を置いた第2の位置で、前記型部に接続された第2のガイド部材と、をさらに含んでもよい。前記型部及び前記ガイド部材は、前記ガラスシートの前記端部を上方に移動させるために、前記型部の前記第1の端部が下降位置から上昇位置へ移動することを可能にするように、協働可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス曲げシステムにおいて上型と共に使用するための関節下型配置であり、前記関節下型配置は、
加熱されたガラスシートを曲げるように構成された型部であり、第1の端部と、前記ガラスシートの端部を曲げるために前記第1の端部に近接した鋭角曲げ領域と、前記第1の端部の反対側で前記鋭角曲げ領域から離間された第2の端部と、を有する前記型部と
前記第1の端部に近接した第1の位置で、前記型部に接続された第1のガイド部材と、
前記第2の端部に近接し、前記鋭角曲げ領域から離間した第2の位置で、前記型部に接続された第2のガイド部材と、
を備え、
前記型部、前記第1のガイド部材、及び前記第2のガイド部材は、前記ガラスシートの前記端部を上方に移動させるために、前記型部の前記第1の端部が、下降位置から上昇位置まで移動するように協働し、
前記型部の前記第1の端部は、前記ガラスシートの前記端部の端縁によって取られる経路と実質的に同じ経路に沿って移動し、
前記型部の前記第2の端部は、実質的に水平方向に移動可能である、関節下型配置。
【請求項2】
前記第1のガイド部材は、前記第1の位置で前記型部に枢動可能に接続された第1リンクを備え、前記第1リンクは、前記第1の位置を通って延伸する第1軸を中心に枢動可能であり、
前記第1リンクは、さらに第1支持部材に枢動可能に接続され、
前記第2のガイド部材は、前記第2の位置で前記型部に枢動可能に接続された第2リンクを備え、前記第2リンクは、前記第2の位置を通って延伸する第2軸を中心に枢動可能であり、
前記第2リンクは、さらに第2支持部材に枢動可能に接続されている、請求項1に記載の関節下型配置。
【請求項3】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、支持構造の一部である、請求項2に記載の関節下型配置。
【請求項4】
前記ガラスシートを支持するために、前記型部の内部に少なくとも部分的に配置されたガラス支持パッドをさらに備え、
前記型部は、前記ガラス支持パッドに対して移動可能である、請求項1に記載の関節下型配置。
【請求項5】
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の一方は、ローラ又はローラ用ガイドを備える、請求項1に記載の関節下型配置。
【請求項6】
前記第1のガイド部材は、前記第1の位置で前記型部に枢動可能に接続された第1リンクを備え、前記第1リンクは、前記第1の位置を通って延伸する第1軸を中心に枢動可能である、
前記第1リンクは、さらに第1支持部材に枢動可能に接続され、
前記第2のガイド部材は、前記第2の位置で前記型部に回転可能に連結されたローラを備え、
前記ローラは、第2支持部材に連結されているガイドに沿って移動可能である、請求項1に記載の関節下型配置。
【請求項7】
前記ガイドに沿って前記ローラの移動を容易にするために、前記型部の側面に係合するように配置されたサイドローラをさらに含む、請求項6に記載の関節下型配置。
【請求項8】
加熱されたガラスシートを曲げるための上型と共に使用するための関節下型配置であり、前記関節下型配置は、
第1の側部及び第2の側部を備え、
前記第1の側部及び第2の側部のそれぞれは、
外端縁、内端縁、外型領域及び内型領域を画定する型面、を有する側型部と、
前記外型領域は、前記ガラスシートのそれぞれの端部を曲げるために、前記側型部の前記外端縁に近接して位置する鋭角曲げ領域を含み、
前記内型領域は、前記外型領域から前記側型部の前記内端縁に延伸し、及び、平坦領域又は前記鋭角曲げ領域より大きな曲率半径を有する曲線領域を備え、
前記外端縁に近接する第1の位置で、前記側型部に接続された第1のガイド部材と、
前記内端縁に近接した第2の位置で前記側型部に接続され、前記鋭角曲げ領域から水平方向に間隔を空けて配置された、第2のガイド部材と、
を備え、
各側部について、前記側型部、前記第1のガイド部材、及び前記第2のガイド部材は、前記側型部の前記外端縁が下降位置から上昇位置に動くことを可能にするために協働し、前記ガラスシートのそれぞれの前記端部が、前記上型の型面に向かって移動し、
前記側型部の前記外端縁は、前記ガラスシートの前記端部の端縁によって取られる経路と実質的に同じ経路に沿って移動し、
前記側型部の前記内端縁は、他の前記側型部の前記内端縁に向かって、実質的に水平方向に移動可能である、関節下型配置。
【請求項9】
前記側型部のそれぞれは、下部プレスリングの一部を形成し、
前記側型部それぞれの前記内端縁は、前記下部プレスリングの垂直中心面に近接して配置されている、請求項8に記載の関節下型配置。
【請求項10】
前記側型部の前記内端縁は、側型部のそれぞれが上昇位置にあるときに、互いに接触し、又は、0.3cm以下の距離だけ互いに離間している、請求項9に記載の関節下型配置。
【請求項11】
前記側型部の間に配置された中間型部をさらに備え、
各側型部は、前記中間型部に対して移動可能であり、各側型部は前記中間型部の長さと少なくとも同じ長さを有する、請求項8に記載の関節下型配置。
【請求項12】
各側型部について、前記側型部が上昇位置にあるときに、前記内端縁が前記中間型部に接触する、又は、前記中間型部から0.3cm以下の距離だけ離れている、請求項11に記載の関節下型配置。
【請求項13】
加熱されたガラスシートを曲げる方法であって、前記方法は、
ガラスシートを、関節下型配置の上型及び下型部の間に位置決めする工程と、
前記下型部及び前記上型の間で前記ガラスシートの端部を曲げるために、前記下型部を前記上型に向かって上方に移動させる工程と、
を含み、
前記下型部は、第1の端部と、前記ガラスシートの前記端部を曲げるために第1の端部に近接した鋭角曲げ領域と、前記第1の端部の反対側で、前記鋭角曲げ領域から間隔を置いた第2の端部と、を含み、
前記下型配置は、前記下型部の移動をガイドするために、前記下型部に関連する移動促進組立体をさらに含み、
前記移動促進組立体は、前記第1の端部に近接した第1の位置で、及び、前記第2の端部に近接し、前記鋭角曲げ領域から水平方向に距離を置いた第2の位置で、前記下型部に接続されており、
前記移動促進組立体は、前記下型部の前記第1の端部が、前記ガラスシートの前記端部の端縁が取る経路と実質的に同じ経路に沿って動くようにガイドし、前記下型部の前記第2の端部を実質的に水平方向に動くようにガイドするように、構成されている、方法。
【請求項14】
前記移動促進組立体は、前記第1の位置で前記下型部に接続された第1のガイド部材と、前記第2の位置で前記下型部に接続された第2のガイド部材と、を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のガイド部材は、前記第1の位置で前記下型部に枢動可能に接続された第1のリンクを備え、
前記第1のリンクは、前記第1の位置を通って延伸する第1の軸を中心に枢動可能であり、
第2のガイド部材は、前記第2の位置で前記下型部に枢動可能に接続された第2のリンクを備え、
前記第2のリンクは、前記第2の位置を通って延伸する第2の軸を中心に枢動可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のガイド部材及び前記第2のガイド部材の一方は、ローラ又はローラ用ガイドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のガイド部材は、前記第1の位置で前記下型部に枢動可能に連結された第1のリンクを備え、
前記第1のリンクは、前記第1の位置を通って延伸する第1の軸を中心に枢動可能であり、
前記第1のリンクは、さらに第1の支持部材に枢動可能に連結されており、
前記第2のガイド部材は、前記第2の位置で前記下型部に回転可能に連結されたローラを備え、
前記ローラは、第2の支持部材に連結されているガイドに沿って移動可能である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ガラスシートをコンベヤシステム上で追加の上型の下の位置まで移動させる工程と、
リフト装置を操作して、前記ガラスシートを前記コンベヤシステムから離して、前記追加の上型に向かって持ち上げる工程と、
前記追加の上型の表面で真空を引いて、前記ガラスシートを前記追加の上型に対して保持する工程と、
前記追加の上型を前記下型部の上の位置まで移動させる工程と、
前記追加の上型の表面の真空を減少させて、前記ガラスシートを下型部上にリリースし、前記ガラスシートを前記下型部と前記上型の間に配置する工程と、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記ガラスシートをコンベヤシステム上で追加の上型の下の位置まで移動させる工程と、
リフト装置を操作して、前記ガラスシートを前記コンベヤシステムから離して、前記追加の上型に向かって持ち上げる工程と、
前記追加の上型の表面で真空を引いて、前記ガラスシートを前記追加の上型に対して保持する工程と、
前記下型部を前記追加の上型の下に移動させる工程と、
前記追加の上型の表面の真空を減少させて、前記ガラスシートを下型部上に解放する工程と、
前記下型部を上型の下の位置に移動させて、前記ガラスシートを前記下型部と前記上型との間に位置させる工程と、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記ガラスシートをコンベヤシステム上で前記上型の下の位置まで移動させる工程と、
リフト装置を操作して、前記ガラスシートを前記コンベヤシステムから前記上型に向かって持ち上げる工程と、
前記下型部を前記上型の下に移動させ、前記ガラスシートを前記下型部と前記上型との間に配置する工程と、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記下型部を前記上型に向かって上方に移動させる前に、前記下型配置のパッド上で前記ガラスシートを少なくとも部分的に支持する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
加熱されたガラスシートを曲げるための方法であり、前記方法は、
前記ガラスシートを関節下型配置と上型との間に位置決めする工程と、
側型部の外端縁を前記上型に向かって上方に移動させ、前記ガラスシートの端部を、前記側型部と前記上型との間で曲げる工程と、
を含み、
前記下型配置は、第1の側型部と、第2の側型部と、を含み、
前記第1の側型部及び第2の側型部はそれぞれ、外端縁と、前記ガラスシートのそれぞれの端部を曲げるために、前記外端縁に近接した鋭角曲げ領域と、前記外端縁の反対側で、前記鋭角曲げ領域から間隔をあけて離れた内端縁と、平坦領域又は前記内端縁に近接して配置され、前記鋭角曲げ領域より大きい曲率半径を有する曲面領域と、を含み、
前記下型配置は、第1の移動促進組立体と、第2の移動促進組立体と、をさらに含み、
前記第1の移動促進組立体及び前記第2の移動促進組立体は、前記側型部の移動をガイドするために、前記第1の側型部及び前記第2の側型部にそれぞれ関連し、
各移動促進組立体は、前記側型部の前記外端縁に近接した第1の位置で、及び、前記側型部の前記内端縁に近接し、前記側型部の前記鋭角曲げ領域から水平方向に間隔をあけて離れた第2の位置で、それぞれの側型部に接続され、
前記移動促進組立体は、前記側型部の前記外端縁をガイドするように構成され、
前記側型部の前記内端縁が互いに向かって実質的に水平方向に移動する間に、各外端縁は、前記ガラスシートの前記端部の端縁が取る経路と実質的に同じ経路に沿って上方に移動する、方法。
【請求項23】
前記側型部のそれぞれは、下部プレスリングの一部を形成し、
前記側型部それぞれの前記内端縁は、前記下部プレスリングの垂直中心面に近接して配置されている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記側型部が上方に移動した後に、前記側型部の前記内端縁が互いにに接触する、又は0.3cm以下の距離だけ互いに離れている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記下型配置は、前記側型部の間に位置する中間型部をさらに備え、
各側型部は前記中間型部の長さと少なくとも同じ長さを有し、
前記側型部を上方に移動させる工程は、前記中間型部に対して各側型部を移動させる工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
各側型部について、前記側型部が上方に移動した後に、前記内端縁は前記中間型部に接触する、又は0.3cm以下の距離だけ前記中間型部から離れている、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス加工システムにおいて、ガラスシートを曲げるための関節型配置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下部プレスリングの形態のガラスシート型配置の例は、米国特許第9,452,948号及び国際公開第02/24588A1号に開示されている。
【発明の概要】
【0003】
本開示による一実施形態では、ガラス曲げシステムにおいて上型(上モールド)と共に使用するために、関節下型配置が提供される。前記関節下型配置は、加熱されたガラスシートを曲げるように構成された型部(モールド部)を含んでいる。前記型部は、第1の端部と、ガラスシートの端部を曲げるために前記第1の端部に近接した鋭角曲げ領域(シャープベンディング領域)と、前記第1の端部の反対側で、前記鋭角曲げ領域から離間して位置する第2の端部と、を有する。前記型配置は、前記第1の端部に近接した第1の位置で前記型部に接続された第1のガイド部材と、前記第2の端部に近接した第2の位置で前記型部に接続され、前記鋭角曲げ領域から離間する第2のガイド部材と、を、さらに含んでもよい。前記型部、並びに、前記第1ガイド部材及び前記第2のガイド部材は、前記ガラスシートの前記端部を上方に移動させるために、前記型部の前記第1の端部が下降位置から上昇位置へ移動できるように協働し、前記型部の前記第1の端部は、前記ガラスシートの端部の端縁によって取られる経路と実質的に同じ経路に沿って移動し、前記型部の前記第2の端部が実質的に水平方向に移動することも可能である。
【0004】
加熱されたガラスシートを曲げるための方法も提供される。前記方法は、前記ガラスシートを関節型下型配置の下型部(下モールド部)と上型との間に位置決めする工程を含んでもよい。前記下型部は、第1の端部と、前記ガラスシートの端部を曲げるために前記第1の端部に近接した鋭角曲げ領域と、前記第1の端部の反対側で、前記鋭角曲げ領域から離間する第2の端部と、を含んでもよい。前記下型配置は、前記下型部の移動をガイドするために、前記下型部に関連する移動促進組立体を、さらに含んでもよい。前記移動促進組立体は、前記第1の端部に近接した第1の位置で、及び、前記第2の端部に近接し、前記鋭角曲げ領域から水平方向に離間した第2の位置で、前記下型部に接続されてもよい。前記方法は、前記下型部を前記上型に向かって上方に移動させて、前記下型部と前記上型との間で前記ガラスシートの前記端部を曲げる工程を、さらに含んでもよい。さらに、前記移動促進組立体は、前記下型部の前記第1の端部を、前記ガラスシートの前記端部の端縁がとる経路と実質的に同じ経路に沿って移動するようにガイドし、前記下型部の前記第2の端部を実質的に水平方向に移動するようにガイドするように、構成されてもよい。
【0005】
例示的な実施形態が図示され開示されているが、このような開示は、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び代替設計がなされ得ることが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、処理中に加熱されたガラスシートを曲げるための、本開示による関節型配置を有する成形ステーションを含む、ガラスシート処理システムの概略立面図である。
【0007】
【
図2】
図2は、
図1の線2-2に沿って取られた断面図であり、第1の上型及び第2の上型、並びに、水平方向の曲率を有する高温ガラスシートの3段階成形を行うための下型配置として構成された関節型配置を含む、成形装置を示す図である。
【0008】
【
図3】
図3は、システムの動作のサイクル中に下型配置の上に配置された第1の上型を示す、
図2の成形ステーションの部分斜視図である。
【0009】
【
図4】
図4は、ガラスシートをプレス成形するために下型配置と協働する第2の上型を示す、
図2の成形ステーションの部分斜視図である。
【0010】
【0011】
【
図6】
図6は、下降した位置にある側型部(サイドモールド部)を示す、下型配置の部分側面図である。
【0012】
【
図7】
図7は、上昇した位置にある側型部を示す、
図6と同様の部分側面図である。
【0013】
【
図8】
図8は、下降した位置に示されている、側型部に取り付けられた、リンク組立体として構成された、移動促進組立体の一部を示す、下型配置の部分透視斜視図である。
【0014】
【
図9】
図9は、リンク組立体の別の部分を示す下型配置の部分透視図であり、
図9は、上昇位置にある下型配置の2つの側型部を示している。
【0015】
【
図10】
図10は、下型配置の側型部を移動させるためのアクチュエータおよび関連するリンク組立体を示す、下型配置の部分透視図である。
【0016】
【
図11】
図11は、下降位置にある各側型部を示す下型配置の側面図である。
【0017】
【
図12】
図12は、第2の上型に隣接して位置決めされた下型配置の側面図である。
【0018】
【
図13】
図13は、各側型部が上昇した位置にある状態で、第2の上型に隣接して位置決めされた下型配置の側面図である。
【0019】
【
図14】
図14は、本開示による関節型配置を含む3段成形ステーションの別の実施形態を示す断面概略図である。
【0020】
【
図15】
図15は、本開示による関節型配置を含む成形ステーションの別の実施形態を示す断面概略図である。
【0021】
【
図16】
図16は、その間にガラスシートを曲げるための上型と共に使用するための、本開示による関節型配置の一部の概略図であり、関節型配置の側型部が下降位置にある状態で示されている。
【0022】
【
図17】
図17は、上昇した位置にある関節型配置の側型部を示す、
図16と同様の概略図である。
【0023】
【
図18】
図18は、本開示による、関節型配置の一部の概略図であり、関節型配置の側型部の移動をガイドするための移動促進組立体の別の例示的構成を含み、側型部は下降位置で示されている。
【0024】
【
図19】
図19は、上昇した位置にある関節型配置の側型部を示す、
図18と同様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
必要に応じて、詳細な実施形態が本明細書に開示されるが、開示された実施形態は単に例示的であり、様々な代替形態が採用され得ることが理解される。図は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、いくつかの特徴は誇張または最小化されている場合がある。したがって、本明細書に開示された特定の構造的及び機能的な詳細は、限定的に解釈されるものではなく、単に当業者に教えるための代表的な基礎として解釈されるものである。さらに、当業者であれば理解できるように、いずれか1つの図を参照して図示及び説明した実施形態の様々な特徴は、1つ以上の他の図に図示された特徴と組み合わせて、明示的に図示又は説明されていない実施形態を生成することができる。さらに、他の実施形態は、以下の説明で説明される特定の特徴の1つまたは複数がなくても実施することができる。
【0026】
太陽光発電収集用途のガラスミラーパネル、車両のフロントガラス、リアウィンドウ、又は任意の他の適切な製品などのガラスシート製品の製造において、成形又は曲げ作業(例えば、ガラスシートを型ツールに対して徐々に巻き付け、押し付ける)に関連して、ガラスシートを成形又は曲げることが望まれる場合がある。本開示では、ガラス処理を改善するために(例えば、関節型配置における切断によって型傷が生じることなく、よりタイトな半径の曲げがなされ得るように)、そのような操作中にガラスシートを曲げるための方法及び装置が提供される。
【0027】
図1及び
図2には、ガラスシートGを処理するためのガラス処理システム10が示されている。システム10は、ガラスシートGを加熱するための炉12のような加熱装置又はステーションと、加熱されたガラスシートGそれぞれを所望の形状に成形又は曲げるための成形又は曲げステーション(ベンディングステーション、湾曲ステーション)14と、ガラスシートGそれぞれを冷却するよう構成されたアニールステーション又は急冷ステーション16などの冷却ステーションと、炉12、曲げステーション14、及び急冷ステーション16の動作を制御する制御システム18と、を備えている。
図1及び
図2に示す実施形態では、システム10は、本開示に係る関節型配置20をさらに含んでいる。関節型配置20は、以下に詳細に説明するように、成形又は曲げ工程中にガラスシートGを曲げるために曲げステーション14の一部として設けられている。
【0028】
炉12は、ガラスシートGを加熱するための任意の適切な構成を有していてもよい。例えば、炉12は、任意の適切な加熱要素(図示せず)を含んでいてもよい。当該加熱要素は、コンベヤ又はコンベヤシステム22の上及び/又は下に位置する。コンベヤ又はコンベヤシステム22は、炉12を通る搬送平面Cに沿って概ね水平に延びる向きでガラスシートGを搬送するために使用され得る。より詳細な例として、加熱要素は、電気ヒータなどの放射加熱要素、及び/又は熱ガス又は熱風分配器などの対流加熱要素を含んでもよい。コンベヤシステム22は、ローラ23を含むローラコンベヤ型であってもよい。当該コンベヤシステムは、米国特許第3,806,312号(McMASTER)、米国特許第3,934,970号(McMASTER et al.)、米国特許第3,947,242号(McMASTER et al.)、及び、米国特許第3,994,711号(McMASTER et al.)、よって開示されているようなコンベヤシステムであり、これらは参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0029】
同様に、曲げステーション14は、ガラスシートGそれぞれを特定の形状に熱間ガラス成形するための又は曲げるための任意の適切な構成を有していてもよい。例えば、曲げステーション14は、コンベヤ又はコンベヤシステム24を有していてもよい。コンベヤ又はコンベヤシステム24は、別個のコンベヤシステム又はコンベヤシステム22の一部であってもよい。これは、加熱されたガラスシートGを受け取るためのものである。曲げステーション14は、ガラスシートGを成形又は曲げるための、
図1に概略的に示されるガラスシート成形装置又は曲げ装置26を有していてもよい。さらに、曲げステーション14は、加熱チャンバ28(例えば、610-725℃の範囲の温度、または少なくとも600℃の温度に加熱される)を規定する絶縁ハウジング27を備えている。その中では曲げ装置26が少なくとも部分的に配置されている。
【0030】
図2を参照すると、曲げ装置(ベンディング装置)26は、ガラスシートGを複数段(例えば、3段)で曲げるための複数段曲げ装置として構成されてもよい。
図2に示す実施形態では、曲げ装置26は、熱間ガラス板成形又は曲げ加工の第1段階中に機能する第1の上型30と、熱間ガラスシート成形のプレス成形段階中に機能する第2の上型32とを含む。上述したように、本開示による関節型配置20は、成形又は曲げ工程中にガラスシートGを曲げるための曲げステーション14の一部として設けられていてもよい。例えば、関節型配置20は、曲げ装置26の関節下型配置34(例えば、関節下型プレスリング配置)として機能してもよい。さらに、下型配置34は、重力たるみのために、第1の上型30からガラスシートGを受け取るように構成されてもよい。これは、第1の上型30が
図2に示すピックアップ位置から、
図3に示す下型配置34の上方の受渡位置に水平移動した後に行われる。第1の上型30によって下型配置34上にガラスシートGが配置された後、第1の上型30は、
図3に示す受渡位置から
図2に示すピックアップ位置まで戻るように移動する。さらに、
図4に示すように、下型配置34が上方に移動し、及び/又は第2の上型32が下方に移動する。これにより、第2の上型32が下型配置34と協働してガラスシートGをプレス成形する。下型配置34は、以下に詳細に説明するように、第2の上型32に対してガラスシートGの端部を巻き付けたり曲げたりする機能も有していてもよい。成形後、第2の上型32は、ガラスシートGをそれに対して支持したまま、吸引された真空によって上方に移動する。
図2に示す搬送型(搬送モールド)35が、アクチュエータ36によって、急冷ステーション16から成形ステーション14内に移動する。これは、急冷のため、ガラスシートGが急冷ステーション16に戻る移動のために、ガラスシートGを受けるためである。急冷ステーション16は、下部急冷ヘッド37a及び上部急冷ヘッド37bそれぞれの間に設けられている。
【0031】
図2に示すように、第1の上型30は、下方に凸の形状を有する下向き表面38を有する。型面(モールド面)38はまた、直線要素または概略直線要素(例えば、それぞれが5mm以下のクロスベンドを有する線要素)を有していてもよい。直線要素または概略直線要素は、円筒形状または部分円錐形状により設けられている。第1の上型30はまた、フレーム40を有している。フレーム40は、接続部46を介してアクチュエータ44によって動かされる細長い梁42(1つのみ図示)によって支持されている。梁42は、接続部46を介して、アクチュエータ50によって移動させられる。これら梁42は、アクチュエータ50によって取り付けられる関連するローラ48によって支持される。これにより、その動作中に、梁の垂直移動、ひいては第1の上型30の垂直移動が実行される。より具体的には、第1の上型30を、コンベヤシステム24から約1/2インチ(例えば、12-16mm)下方に移動させることができる。これは、ガラスシートGの最初のピックアップのためである。その後、第1の上型30を、上方に移動させることができる。コンベヤローラ23の端に位置する高温端カバー52より上に移動するようにするためである。これにより、曲げステーションの内部からローラの高温端のベアリングへの熱流を低減できる。水平方向ローラ54も梁42に接触して、第1の上型30の移動中に水平方向の位置決めをすることができる。第1の上型30は、
図2に示すそのピックアップ位置と
図3に示すその受け渡し位置との間に設けられている。
【0032】
さらなる曲げステーションの詳細は、米国特許第9,452,948号に開示されており、この特許は参照によりその全体が本開示に組み込まれる。
【0033】
曲げステーション14は、加熱されたガラスシートGを第1の上型30に向かって持ち上げるための、ガスリフトジェットアレイなどの、リフト装置56をさらに含んでもよい。リフト装置56は、ガラスシートGの搬送平面Cの下方に位置する。リフト装置56は、ノズル、注ぎ口(スパウト)、又はポンプなどの、複数の、間隔を空けて配置されたリフトジェット出口又はガスジェット出口58を含んでいる。これらは、上方に向けられたガスジェット(例えば、ジェットストリーム)を供給する。ガスジェットは、ガラスシートGをコンベヤシステム24から上方に持ち上げて、ガラスシートを第1の上型30の下向き表面38に対して最初に成形し支持するためのものである。その後、
図3に示すように、ガラスシートGをその下向き表面38に対して支持した状態で、その送達位置へと水平方向に移動させる。第1の上型30の下向き表面38は、真空孔の配列を有することも可能である。当該真空孔を介して真空が引かれ、それにより、ガラスシートGの最初の持ち上げが補助され、その後下向き表面38に対してガラスシートを支持される。
【0034】
図2に示すように、曲げステーション14の第2の上型32は、曲げステーションハウジング27の加熱チャンバ28内で下型配置34の上方に配置される。第2の上型32は、アクチュエータ60及び接続部62によって垂直方向に移動可能である。第2の上型32の垂直移動は、
図2及び
図3に示す上方位置と、
図4に示す下方位置との間で、プレス成形を行うためのものである。第2の上型32は、下向き凸形状の下向き表面64を有している。当該形状は水平方向に曲率を有しており、直線要素はない。また、第2の上型32は、真空孔の配列をその下向き表面64に有している。これは、成形サイクル中に加熱されたガラスシートGを第2の上型32に対して成形支持するためのものである。
【0035】
真空源(図示せず)は、第1の上型30の下向き表面38及び第2の上型32の下向き表面64に、それぞれ真空を提供するように動作可能である。実際には、真空源は、それぞれ第1の上型30及び第2の上型32上のガスジェットポンプに供給される正圧空気によって提供することができる。ジェットポンプは、米国特許第4,202,681号及び第4,222,763号に開示のタイプのものであってよい。これにより、成形操作中にガラスシート解放を行うための、正圧空気を提供するだけでなく、真空の様々な程度を引き出すことができる。以下さらに詳述する。
【0036】
図2及び3を参照すると、下型配置34は上向きに面し、水平方向の上向きに凹形状を提供するように構成されてもよい。当該形状は、第2の上型32の下向き表面64の下向きに凸の形状と相補的である。図示されているような下型配置34は、支持構造によって支持されている。当該支持構造は、フレームワーク68のような支持構造であり、スクリュージャッキのようなアクチュエータ70によって垂直移動のために支持されている。この垂直移動により、第1の上型30が、下型配置34の上を移動できるように、下方に移動し、次いで、上方に移動することができる。第1の上型30が上方に移動することにより、ガラスシートGは、位置決めを制御するために、より密接な間隔関係となる位置で、解放される。さらに、下型配置34の垂直移動は、第2の上型32の垂直移動と協働して、プレス曲げを行うことも可能である。
【0037】
図5を参照すると、下型配置34は、ガラスシートGのプレス曲げを容易にする新規な設計を有している。例えば、下型配置34は、次のような関節型配置として構成され得る。すなわち、ガラスシートGの端縁又は部分の曲げを行い、曲げ位置でガラスシートGの欠陥を低減又は排除することができる関節型配置である。
図5に示す実施形態では、下型配置34は、支持構造又はフレーム71と、中間又は中央型部又は部分72と、第1の側部又は部分74及び第2の側部又は部分76それぞれと、中央ガラス支持パッド77と、を含んでいる。支持構造又はフレーム71は、フレームワーク68によって支持される(例えば、固定的に接続される)。中間又は中央型部又は部分72(例えば、中間リング部又はセグメント)は、ガラスシートGの中間又は中央部分を支持するために、フレーム71に固定的に接続されている。第1の側部又は部分74及び第2の側部又は部分76それぞれは、中間型部72の反対側に延伸する。中央ガラス支持パッド77は、側部74及び76の間に延伸し、フレーム71に固定的に取り付けられてもよい。パッド77は、ガラスシートGの大部分を支持し、第2の上型32の下向き表面64に近接させる。これにより、下向き表面64で引かれた真空が、ガラスシートGの中央領域を、下向き表面64に向かって引き寄せることができる。別の実施形態では、下型配置34は、パッド77を設けずに設けてもよい。
【0038】
中間型部72は、フレーム71に固定的に取り付けられてもよい。これにより、中間型部72は、フレーム71及びフレームワーク68(
図2に示す)に対して固定される。各側部74、76は、側型部78と、移動促進組立体と、を含んでいる。側型部78(例えば。ウィングまたはサイドリング部またはセグメント)は、フレーム71に移動可能に取り付けられ、ガラスシートGのそれぞれの端部を曲げることができる。移動促進組立体は、リンク組立体80などの移動促進組立体である。移動促進組立体は、側型部78が、フレーム71、中間型部72、及びパッド77(もし含まれていれば)に対して、下降位置から上昇位置に相対的に移動可能に構成されている。これにより、ガラスシートのそれぞれの端部を上方に移動させて、ガラスシートGの端部を第2の上型32の下向き表面64に対して包むように配置することができる。その点で、パッド77は、もし含まれる場合、フレーム71に定置的に取り付けられてもよい。これにより、パッド77は、側部74,76の側型部78の内側(例えば、外側の境界内)に配置され、側型部78がパッド77に対して移動可能となる。さらに、各リンク組立体80は、それぞれの側型部78を水平方向に移動させることもできる。
【0039】
図示された実施形態では、各側型部78は、第1又は外端縁81と、第2又は内端縁82と、それぞれ外型領域83及び内型領域84などの第1型領域及び第2型領域を画定する型表面と、を有する。外型領域83は、長さが30cm以下であってもよく、例えば、側型部78の外端縁81に隣接して配置されていればよい。外型領域83は、鋭角曲げ領域を含んでいる。鋭角曲げ領域は、側型部78の外端縁81に近接または近傍に配置されている。鋭角曲げ領域は、ガラスシートGのそれぞれの端部を曲げるために設けられている。例えば、鋭角曲げ領域の中央部は側型部78の外端縁から2-28cm以内に配置され得る。また、外型領域83は、鋭角曲げ領域のすぐ先まで内側に延伸する。外型領域83は、鋭角曲げ領域と側型部78の外側端縁との間に配置された、比較的平坦な領域を含んでいてもよい。内型領域84は、外型領域83から側型部78の内側端部82まで延伸する。内型領域84は、平坦な領域または鋭角曲げ領域よりも大きな曲率半径を有する曲面領域を含んでいる。外型領域及び内型領域のプロファイル例は、例えば
図16-
図19に模式的に示されており(
図19にはラベルが付されている)、これらの図については、後により詳述する。
【0040】
図5に示す実施形態では、第2の側部76の側型部78は下降位置に示されている。第1の側部74の側型部78は上昇位置に示されている。
図6を参照すると、各側型部78が下降位置にあるとき、各側型部分78の内端縁82と中間型部72との間には、隙間が存在する。
図7を参照すると、各側型部78が上昇位置にあるとき、各側型部78は、隙間が小さくなるように、又は無くなるように、中間型部72に近接して位置決めされる。例えば、各側型部78の内端縁82は、側型部78が上昇位置にあるとき、中間型部72から0.3cm以下以内にある(例えば、0.01-0.3cmの範囲の距離で中間型部72から離れる)。
【0041】
図6は、下降位置にある第2の側部76の側型部78を示している。
図7は、上昇位置にある第2の側部76の側型部78を示している。第1の側部74の側型部78も同様に移動可能である。さらに、各側型部78は、水平方向Lで測定した長さが、中間型部72の長さと少なくとも同じ長さ、または少なくとも2倍の長さを有していてもよい。別の実施形態では、下型配置34は、中間型部を設けずに提供されてもよい。
【0042】
図6-9を参照すると、各リンク組立体80は、第1のガイド部材又は第1のリンク85aを含んでいる。第1のガイド部材又は第1のリンク85aは、側型部78の外端縁81に近接した第1の場所で、枢動部材(ピボット部材)又は枢動軸(ピボットシャフト)86を用いるなどして、それぞれの側型部78に枢動可能に連結されている。これにより、第1のリンク85aは、第1の場所を通って延伸する第1の軸87(
図8に示す)を中心に枢動可能である。第1のリンク85aは、枢動部材(ピボット部材)又は枢動軸(ピボットシャフト)89などで第1の支持部材88にさらに枢動可能に接続される。これにより、第1のリンク85aは、第1の支持部材88を通って延伸する軸90を中心に枢動可能にもなる。第1の支持部材88は、軸受部材やフレーム部材など、任意の適切な支持部材であってよい。図示の実施形態では、第1の支持部材88は、フレーム71のフレーム部材に取り付けられる軸受ブロックである。さらに、図示の実施形態では、枢動軸89は、それぞれの側型部78が下降位置(
図8に示すように)にあるときと上昇位置にあるときに、枢動軸86の内側に配置され、枢動軸86の下方に延在している。
【0043】
さらに、各リンク組立体80は、第2のガイド部材又は第2のリンク91aを含んでいる。第2のガイド部材又は第2のリンク91aは、側型部78の内端縁82に近接し、第1の位置及び鋭角曲げ領域から離間した第2の位置で、それぞれの側型部78に、枢動可能に接続される。これにより、第2のリンク91aは、第2の軸92(
図9に示す)の周りで回動可能である。第2の軸92は、第2の位置を通って延伸する。図示された実施形態では、第2のリンク91aは、枢動部材又は枢動軸94と共にブラケット93に枢動可能に接続される。ブラケット93は、1つ又は複数の留具及び/又は溶接を用いるなどして、それぞれの側型部78に固定的に取り付けられる。下型配置34の右側のブラケット93は、様々な図において、中間型部72を示すために、破断されている。中間型部72は、ブラケット93の背後に配置され、ブラケット93に接続されていない。別の実施形態では、第2のリンク91aは、それぞれの側型部78に直接枢動可能に取り付けられてもよい。第2のリンク91aは、軸受部材又はフレーム部材などの第2の支持部材96に、さらに枢動可能に接続される。これにより、第2のリンク91aは、軸97を中心に枢動可能である。軸97は、第2の支持部材96を通って延伸する。図に示す実施形態では、第2の支持部材96は、フレーム部材98に取り付けられる軸受ブロックである。さらに、第1の支持部材88及び第2の支持部材96、並びに支持部材88及び96が取り付けられているフレーム部材は、全てフレーム71の一部と見なすことができる。さらに、フレーム71とフレームワーク68とを合わせて、下型配置34の共通の支持構造とみなしてもよい。
【0044】
各側部74、76について、側型部78とリンク85a、91aは、側型部78が
図6に示すような下降位置から
図7に示すような上昇位置へ移動できるよう協動し、その移動をガイドするよう構成される。これにより、側型部78は、ガラスシートGの少なくとも一部(例えば、端部)を上方に移動させる。さらに、各側部74,76について、側型部78が下降位置から上昇位置に移動する際に、側型部78とリンク85a、91aは、側型部78が中間型部72に向かって水平方向に移動できるように協働する。その結果、そして上述したように、側型部78が下降位置にあるときにそれぞれの側型部78と中間型部72との間に存在し得る隙間は、側型部78が上昇位置に移動したときに、減少または排除され得る。例えば、各側部74、76について、側型部78とリンク85a、91aとがフレーム71との間で4本バー連結を形成する。各4本バー連結が、それぞれの側型部78の上方枢動移動をガイドしつつ、側型部78の側方移動をガイドするように構成されてもよい。
【0045】
さらに、
図6を参照すると、図示された実施形態における各側部74、76について、第1のリンク85aは第1有効長さl1を有し、第2リンク91aは第1有効長さl1の少なくとも2倍の長さの第2有効長さl2を有している。図示された実施形態では、鋭角曲げ領域が比較的短いので、第1リンク85aの第1有効長l1は比較的短いが、第1有効長l1及び第2有効長l2は、作られるガラス形状に強く依存するので、有効長l1及びl2はそれぞれ任意の適切な長さであってもよい。上記いずれの構成においても、中間型部72に隣接して配置された各側型部78の端部(例えば、内側端部)は、僅かに垂直移動するだけでよい。これは、側型部78を下降位置から上昇位置に移動させる際に、中間型部72に向かって水平方向にも移動しつつ、行われてもよい。例えば、各側型部78が下降位置から上昇位置に移動するとき、側型部78の内端縁82は、0.05-3.0cmの範囲の距離だけ垂直方向に移動し、一方で0.3-15cmの範囲の距離だけ側方に内側に移動してもよい。
【0046】
図8及び
図9を参照すると、各リンク組立体80は、対応する第1のガイド部材又はリンク85b及び第2のガイド部材又はリンク91bを含むことができる。第1のガイド部材又はリンク85b及び第2のガイド部材又はリンク91bは、それぞれ、側型部78の側に配置される。当該側は、第1のリンク85a及び第2のリンク91aがそれぞれ配置されている側とは反対側である。さらに、各リンク組立体80について、同期軸99などの連結部材によって、第1のリンク85a及び85bは、一緒に連結されてもよい。これにより、第1のリンク85a及び85bは、一緒に動く。同様に、各リンク組立体80について、第2のリンク91a及び91bは、同期軸100などの連結部材によって、一緒に連結されてもよい。これにより、第2のリンク91a及び91bが一緒に動く。
図8及び
図9に示す実施形態では、それぞれの側型部78の反対側にある第1のリンク85a及び85bは。互いに鏡像である。それぞれの側型部78の反対側にある第2のリンク91a及び91bもまた、互いに鏡像である。
【0047】
図10及び
図11を参照すると、下型配置34は、フレームワーク68に取り付けられた1つ以上のアクチュエータ102を、更に含んでいる。アクチュエータ102は、各側型部78(例えば、各外端縁81)を下降位置と上昇位置との間で移動させるためのものである。図示された実施形態では、下型配置34は、リンク組立体104を介して各側型部78に接続されたアクチュエータ102を含む。各アクチュエータ102は、
図1に示された制御システム18によって制御されてもよい。各リンク組立体104は、それぞれの側型部78の移動を促進するための任意の適切な部材またはリンクを含んでもよい。例えば、各リンク組立体104は、第1の部材又はクランク106と、第2の部材又はリンク108と、第3の部材又はクランク軸110と、第4の部材又はリンク112と、を含むことができる。第1の部材又はクランク106は、アクチュエータ102の出力軸として固定的に接続される。第2の部材又はリンク108は、クランク106に枢動可能に接続される。第3の部材又はクランク軸110は、第2のリンク108に枢動可能に接続される。第4の部材又はリンク112は、クランク軸(クランクシャフト)110に枢動可能に接続され、側型部78に枢動可能に接続される。
図10及び
図11に示す実施形態では、第2のリンク108は、フレームワーク68の中に延伸する。クランク軸110は、90°離れた端部を有する2つのクランクアームを有する軸(シャフト)である。軸(シャフト)は、2つの支持部材又はブロックに、回転可能に装着されている。2つの支持部材又はブロックのうち、ブロック113として示す1つは、
図10に示すようにフレームワーク68に固定されている。
図8及び
図10を参照すると、両端にクレビスを有する第4のリンク112は、軸又はピン114に回動可能に連結されてもよい。軸又はピン114は、取付ブロック116にロックされるバーによって、側型部78に固定的に連結される
【0048】
各アクチュエータ102は、関連するリンク組立体104を、
図11及び
図12に示す第1の構成と、
図13に示す第2の構成と、の間で動かすように動作可能である。これは、
図11及び12に示す下降位置と、
図13に示す上昇位置の間で、関連する側型部78を移動させるためである。これにより、以下に詳細に説明するように、側型部78が、ガラスシートGの端部を曲げ得ることができる。
図10、11、12及び13において、リンク85a及び取付ブロック88を含むリンク組立体80は、その位置から下および内側に移動されている。これは、各側型部78の外端縁81における移動経路を作り出すために必要となり得るものである。当該移動経路は、下型配置34の動作中にガラスシートGのそれぞれの端部の経路に一致し得るものである。この位置の移動は、これらの図において、関連するリンク組立体104のリンク112をより明確に示すためになされたものである。この位置の移動は、使用時のそれらの実際の位置を表すものではない場合がある。さらに、ガラスシートGは、分かりやすくするために、
図11では薄いシートとしてのみ示されている。
【0049】
次に、
図1-4及び11-13を参照しながら、システム10の動作をより詳細に説明する。システム10におけるガラスシートGの処理は、炉12においてガラスシートGを加熱し(例えば、575℃-675℃の範囲の温度、又は少なくとも575℃の温度まで)、その後ガラスシートGを曲げステーション14に搬送してプレス成形又は曲げ動作を開始することによって、開始されてもよい。その後、リフト装置56を操作して、ガラスシートGをコンベヤシステム24から、第1の上型30の下向き型面38に対して持ち上げてもよい。ガラスシートGが第1の上型30に対して支持された後、第1の上型30は、上方に移動して、ロール端カバー52をクリアし、その後、
図2に示すそのピックアップ位置から、水平に移動してもよい。当該水平移動は、ガラスシートGが下型配置34上に放出される
図3に示す送達位置まで行われる。したがって、第1の上型30は、加熱されたガラスシートGを、コンベヤシステム24から下型配置34に移送するための搬送装置として、機能し得る。ガラスシートGが第1の上型30によって下型配置34上に配置された後、第1の上型30は、別のガラスシートをピックアップするために、
図3に示すその搬送位置から
図2に示すそのピックアップ位置まで戻される。第2の上型32はまた、
図4及び
図12に示すように、下方に移動され、及び/又は下型配置34が上方に移動される。これにより、第2の上型32がガラスシートGをプレス成形する際に、下型配置34と協働することができる。下型配置34が第2の上型32に隣接して配置されると、アクチュエータ102は、リンク組立体104を、
図12に示す第1の構成から
図13に示す第2の構成に移動させる。これにより、各側型部78(例えば、各外端縁81)を、
図12に示す下降位置から
図13に示す上昇位置に移動させる。これにより、ガラスシートGの端部を上方に曲げて、第2の上型32に押し付ける(すなわち、ガラスシートGの端部を第2の上型32に対して巻き付ける)ことができる。アクチュエータ102は、同時に又は独立して操作されてもよい。これにより、各側型部78が他の側型部78から独立して移動する。さらに、いくつかの用途では、1つの側型部78のみが下降位置と上昇位置との間で移動されるように、1つのアクチュエータ102のみが作動されてもよい。
【0050】
上記の操作方法において、側型部78は、下型配置34が第1の上型30からガラスシートGを受け取る前に、その下降位置に配置される。側型部78は、後述の後に上昇位置に移動される。すなわち、ガラスシートGが、下型配置34のパッド77と第2の上型32の間でプレスされた後(又は下型配置34と第2の上型32のフレーム71がその最終押圧位置に達した後)に、行われる。しかしながら、側型部78は、任意の適切な時期にその上昇位置に移動させることができる。例えば、側型部78は、下型配置34が第1の上型30からガラスシートGを受け取る前に、それらの上昇した位置に移動させられてもよい。次に、側型部78は、ガラスシートGが下型配置34と第2の上型32との間でプレスされる前に、それらの下降位置に移動されてもよい。次に、ガラスシートGが、下型配置34と第2の上型32との間でプレスされているときに、側型部78は、それらの上昇位置に移動させられてもよい。これにより、ガラスシートGの端部は、第2の上型32に対して巻き付けられる。
【0051】
ガラスシートGのプレス成形と巻き付けの後、第2の上型32は、上方に移動される。これは、前述したように、ガラスシートGが、その下向き表面64に対して引かれた真空によって支持された状態で行われる。
図2に示す搬送型35は、ガラスシートGを受け取るために、急冷ステーション16から曲げステーション14へ移動される。これにより、急冷のために、ガラスシートGが、下部急冷ヘッド37a及び上部急冷ヘッド37b間の急冷ステーション16に再び移動する。
【0052】
下型配置34の上記構成は、多数の利点を提供し得る。第1に、側型部78の小半径領域又は鋭角曲げ領域(例えば、複雑な曲げ領域)に又はその近傍に(例えば、図示の側型部78の外端縁81に近接している)、隙間又はヒンジカットがないため、第2の上型32に対してガラスシートGを屈曲させることができる。このとき、端部歪みの大きい領域(例えば、ガラスシートGの端縁に近い湾曲部)において、ガラスシートGの周縁部に歪みや凹凸を生じさせることない。当該領域では、側型部78に対する力が最も大きくなり得る。
図6を参照すると、例えば、下型配置34の任意の隙間又はヒンジカットは、中間部72又は下型配置34の中央平面118(例えば、中央平面118から30cm未満)に近接して配置される。ここでは、ガラスシートGの曲げ半径が非常に大きく、下型配置34がガラスシートGを第2の上型32に対して押すために発揮しなければならない力が非常に小さい。そのため、このような隙間又はヒンジカットが、側型部78の外端縁81から離れて間隔をあけて配置される。しかしながら、先行する下型又はリングの構成は、そのような高い端部歪み領域又はその近傍に隙間又はヒンジカットを含むことがあり、その結果、曲がったガラスシートの端部又はその近傍にヒンジカット跡が残ることがある。
【0053】
第2に、リンク組立体80又は他の移動促進組立体の枢動可能なリンク85、91、又は他の部材もしくは装置は、側型部78の移動をガイドするために使用される。リンク85、91、又は他の部材もしくは装置は、各側型部78の側で円弧状移動経路を提供するように配置してもよい。これは、下型配置34の中央平面118から最も遠いものである。その円弧は、ガラスシートGの対応部分または端縁の移動経路と実質的に同一または密接に一致してもよい。それは、ガラスシートGが第2の上型32、または他の型に対して、ガラスシートGの中心からその端縁まで漸次巻き付けられる際のものである。その結果、側型部78上のガラス端部の相対運動は、最小化される。これは、側型部78がガラスシートGを第2の上型32に強制的に押し付ける際においてである。その結果、下記の可能性(非ヒンジ下型と比較して)を減少させ得る。当該可能性とは、その相対運動が、ガラスシートGの端部からガラスのチップが引き抜かれる可能性である。これは、ガラスシートGの第2の上型32への巻き付けを完了するために、高い力が必要な間に生じるものである。
【0054】
第3に、上記構成では、第2の上型32、又は他の型上の型布(モールドクロス)の寿命が(非ヒンジ下型と比較して)延長される可能性がある。その点、固定形状の下型又はプレスリングと湾曲した上型とを用いてガラスシートを曲げる態様において、上型の側面の曲げ部分が十分に鋭角であれば、上型が平坦なガラスシートを下型に押し付ける際に、上型の布被覆面が、例えばガラスシートの各端部付近の2点でガラスシートに接触することになる。そのうち1つは、ガラスシートの各端部に近い。このとき、ガラスシートと上型との間には、接触点の間に空間が生じることがある。さらに、上型の型面で測定した接触点間の長さは、接触点間のガラスシートに沿って測定した長さよりも小さい。そのため、プレスが継続され、上型の型面における真空がガラスシートの中央部を上型側に引き寄せると、ガラスシートの余分な長さは型布の表面に沿って外側にスライドすることになる。上型の曲がりが鋭く、90度方向に曲がっている場合、ガラスシートと型布の接触力が高く、ガラスシートが型布を滑らずに掴み、型布の繊維を巻き上げながら、ガラスシートは下型と上型の外端縁へ移動することができる。また、端部のガラスシートに付着した塗料がベタベタすることも問題を大きくする。しかし、固定形状の下型やリングでは曲げ始めから存在する、ガラスシートと上型との間の空間は、本開示による関節下型配置を用いることで、ヒンジマークの問題なく回避することが可能である。例えば、上記の関節下型配置では、ガラスシートが関節下型配置と上型との間でプレスされるとき、最初に上型の中央部に接触することができる。さらに、接触領域は中心から徐々に外側に拡大することができ、ガラスシートと上型の2つの接触点の間には決して隙間ができない。よって、ガラスは上型の布で覆われた型面上を、中心から上型の外端縁まで転がり出すことができる。ポケットを挟まないので、余分なガラスが型布の上を滑ることがない。その結果、型布の寿命を延ばすことができる。
【0055】
図14を参照すると、本開示による関節型配置20’が使用され得る、3段階成形または曲げステーションの第2の実施形態14’が示されている。成形ステーション14’は、詳細に上述したガラス処理システム10と同様に、上流炉(図示せず)を有するガラス処理システム10’の一部である。さらに、成形ステーション14’は、同様の符号が同様の構成要素に適用されるように、先に説明した実施形態のものと同様に動作する多くの構成要素を有している。ただし、成形ステーション14’の構成要素の符号がそれぞれプライムマークを含んでもよいことを除く。さらに、先の説明の多くは、成形ステーション14’に適用可能であり、したがって、繰り返さない。さらに、このような形成ステーションの更なる詳細は、米国特許第9,809,485号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
図14に示す実施形態では、第1の上型30’は水平方向に移動可能ではなく、アクチュエータ120及び適切な接続部122などにより、垂直方向にのみ移動可能である。さらに、関節型配置20’は、アクチュエータ124および適切な接続部126などによって、水平方向に移動可能な関節型下型配置34’として構成される。上記構成により、下型配置34に関して上述したフレームワーク68を省略し、代わりに下型配置34’をアクチュエータ124に接続されるスライド可能なシャトルフレームに搭載してもよい。さらに、下型配置34’の側型部78’は、下型配置34に関して上述したような、適切なリンク組立体およびアクチュエータ(図示せず)を介して移動可能であってもよい。
図14に示す下型配置34’では、側型部78’および中間部(図示せず)は、紙面内および紙面外に延びる線に沿って配置されている。これにより、側型部78’のうちの1つの概略断面図のみが見える。さらに、
図14には、下型配置34’および搬送型35’の概略断面図が示されている。
【0057】
図14に示される成形ステーション14’では、上流炉(図示せず)によって加熱され、コンベヤシステム24’上に配置されたガラスシートG’が、リフト装置56’によってコンベヤシステム24’のロールまたはローラ23’から持ち上げられてもよい。これにより、ガラスシートG’が第1の上型30’に受容される。上述したように、第1の上型30’は、真空孔の配列を有することもできる。当該真空孔の配列を介して、ガラスシートG’の最初の持ち上げを支援し、その後ガラスシートを第1の上型30’に対して支持するために、真空が引き込まれ得る。
【0058】
次に、第1の上型30’を
図14に示す上昇位置まで上昇させることができる。これにより、アクチュエータ124によって下型配置34’を第1の上型30’の下の位置に移動させることができる。次いで、第1の上型30’は、下方に移動可能であり、下型配置34’上に搬送するために、ガラスシートG’をリリースする。ガラスシートG’のリリースは、第1の上型30’の型面38’に引かれた真空の終了、及び、リフトジェット装置56’が提供する上向きガスジェットの終了により、行うことができる。これは、型面38’への正圧ガスの供給を行うことと同様である。したがって、第1の上型30’は、加熱されたガラスシートG’をコンベヤシステム24’から下型配置34’に搬送するための搬送装置として機能し得る。次に、第1の上型30’を上方位置まで移動させる。下型配置34’及びその上に支持されたガラスシートG’は、第2の上型32’の下方の位置まで、水平に移動する。それは、
図14に示すように(
図14では下型配置34’上に位置するガラスシートG’は示されていない)、上昇位置にある間に行われる。この移動の間、ガラスシートG’は、下型配置34’の中間型部(図示せず)及び側型部78’の形状に向かって、重力によりたるんでもよい。または、ガラスシートG’は、下型配置34’のパッド(例えば、上述のパッド77のように)によって、支持されてもよい。次に、第2の上型32’を
図14に示す上方位置から下方位置へ移動させる。これにより、第2の上型32’は下型配置34’と協働し、水平方向に曲率を有するガラスシートG’をプレス成形する。下型配置34’が第2の上型32’に隣接して配置されると、側型部78’の一方または両方が、下方位置から上昇位置に移動される。これは、下型配置34に関して上述したのと同様の方法で行われる。これにより、側型部78’は、第2の上型32’の型面64’に対して上向きに、ガラスシートG’の端縁または一部をプレスまたは包むことができるようにしてもよい。そして、第2の上型32’は、その下向きの表面64’が真空に引かれて、ガラスシートG’を表面64’に対して支持するようにしてもよい。これは、第2の上型32’が
図14に示す上方位置まで上方に移動する際に、行われる。
【0059】
ガラス成形動作は、下型配置34’が第2の上型32’の下から移動され、第1の上型30’の下に戻されることによって、継続される。これは、搬送型35’が急冷ステーション16’における
図14の位置から第2の上型32’の下の位置へ移動され、ガラスシートG’を受容する間に行われる。第2の上型32’で真空が終了するので、ガラスシートG’が搬送型35’上に落下する。その後、搬送型35’は、そのアクチュエータ36’によって、曲げステーション14’から移動される。これは、プレス成形されたガラスシートの搬送またはさらなる処理のために行われる。当該処理は、下部急冷ヘッド37a’及び上部急冷ヘッド37b’間の急冷ステーション16’における急冷などである。
【0060】
図15を参照すると、本開示による関節型配置20’’が使用され得る、成形または曲げステーションの第3の実施形態14’’が示されている。成形ステーション14’’は、詳細に上述したガラス処理システム10と同様に、上流炉(図示せず)を有するガラス処理システム10’’の一部である。さらに、成形ステーション14’’は、既述の実施形態のものと同様に動作する多くの構成要素を有する。成形ステーション14’’の構成要素の符号がそれぞれ二重プライムマークを含んでもよいことを除いて、同様の構成要素に同様の符号が適用される。さらに、これまでの説明の多くは、成形ステーション14’’に適用可能であるため、繰り返さないことにする。さらに、同様の成形ステーションの更なる詳細は、米国特許第4,661,141号に記載されており、この特許は参照によりその全体が組み込まれる。
【0061】
図15に示す実施形態では、成形ステーション14’’は、アクチュエータ120’‘及び適切な接続部122’‘などによる、垂直方向に移動可能な、単一の上型130を含む。関節型配置20’’は、再び、アクチュエータ124’’及び適切な接続部126’’によって、水平方向に移動可能な関節下型配置34’’として構成される。下型配置34’’は、その間にガラスシートをプレス成形するために、上型130の型面132に協動する。下型配置34’’の側型部78’’は、下型配置34に関して上述したような、適切な移動容易化組立体(例えば、図示しないリンク組立体及びアクチュエータ)を介して、さらに移動可能である。
【0062】
図15に図示された成形ステーション14’’において。上流炉(図示せず)によって加熱され、コンベヤシステム24’’上に配置されたガラスシートG’’(鎖線で示す)は、リフト装置56’’によって、コンベヤシステム24’’のロールまたはローラ23’’から持ち上げてもよい。これにより、ガラスシートG’’は、上型130によって受容され得る。上型130はまた、真空孔の配列を有していてもよい。当該真空孔の配列を介して、真空が引かれ得る。これにより、ガラスシートG’’の最初の持ち上げが支援され、その後ガラスシートが第1の上型130に対して支持される。
【0063】
次いで、上型130は、ガラスシートG’’とともに上方上昇位置まで上昇されてもよい。これにより、下型配置34’’は、アクチュエータ124’によって、ホットステーションまたはボックス134などの成形ステーション14’’の加熱領域内の位置から、上型130の下の位置に移動され得る。次に、上型130を下降さることにより、上型130と下型配置34’’との間でガラスシートG’’をプレス成形することができる。リフト装置56’’は、例えば、ガラスシートG’’が下型配置34’’に接触するまで、上型130に対してガラスシートG’’を動作させて支持し続けることができる。下型配置34’’が上型130に隣接して配置されると、側型部78’’の一方または両方が、下方位置から上昇位置に移動させられてもよい。これは、下型配置34に関して上述したのと同様の方法で行われる。これにより、側型部78’’がガラスシートG’’の端部またはウィングを、上型130の型面132に対して、上向きにプレスまたは包むことができる。上型130は、上型130が上昇位置まで上方に移動する際に、ガラスシートG’’を表面132に対して支持するために、その下向きの表面132において真空が引き続けられることができる。
【0064】
ガラス成形作業は、下型配置34’’により継続される。下型配置34’’は、上型130の下から移動され、
図15に示すホットボックス134内の位置に戻る。一方、搬送型35’’は、急冷ステーション16’’における
図15の位置から上型130の下のガラスシートG’’を受ける位置へ移動される。このとき、上型130で真空が終了して、ガラスシートG’’が搬送型35’’の上に落下する。その後、搬送型35’’は、そのアクチュエータ36’’によって、曲げステーション14’’から移動される。これは、プレス成形したガラスシートの搬送のため、又はさらなる処理のために行われる。当該処理とは、下部急冷ヘッド37a’’及び上部急冷ヘッド37b’’の間の急冷ステーション16’における急冷によるものなどである。
【0065】
図15は、搬送型35’’の概略断面図を示していることに留意されたい。さらに、下型配置34’’と上型130はそれぞれ、典型的な向きから垂直軸を中心に90°回転している。これにより、下型配置34’’の側型部78’’と上型130の鋭角曲げ領域が示される。
【0066】
図16及び
図17は、本開示による関節下型配置34’’’の一部を示す概略斜視図である。これは、ガラスシートG’’’をその間に曲げるための上型136と共に使用される。下型配置34’’’は、詳細に上述した下型配置のうちのいずれかで表すことができる。下型配置34’’’の第1の側部74’’’(例えば、左側部)及び中間または中央型部72’’’のみが示されている。しかしながら、下型配置34’’’は、他の下型配置に関して上述したように、第1の側部74’’’と同様の第2側部(例えば、右側部分、図示せず)を含んでもよい。別の選択肢として、下型配置34’’’には、中間部72’’’を設けなくてもよい。その場合、第1及び第2の側部の側型部78’’’は、互いに隣接して配置されることができる。さらに、下型配置34に関して上述したように、下型配置34’’’は、リンク組立体80’’ ’などの移動容易化組立体を含む。これは、それぞれの側部の側型部78’’’の移動をガイドするための、それぞれの側部に対するものである。各リンク組立体80’’’は、それぞれ第1のリンク85’’’及び第2のリンク91’’’などの第1及び第2ガイド部材を含んでもよい。これらは、側型部78’’’が、
図16に示す下降位置から
図17に示す上昇位置への移動するのを、ガイドするためのものである。これにより、側型部78’’’は、ガラスシートG’’’の端部を上方に移動させ、端部を上型136に対して巻き付けることができる。さらに、
図16に示すように、各リンク組立体80’’’は、側型部78’’’のための第1枢動軸又は枢動点90’’’及び第2の枢動軸又は枢動点97’’’をそれぞれ定義している。第1の枢動点90’’’は、第1のリンク85’’’(ガラスシートG’’’の端部を示すために破断して示されており、側型部78’’’に接触する)と共に、及び、側型部78’’’上の枢動軸(ピボットシャフト)または枢動点(ピボット点)87’’’が、側型部78’’’の第1又は外側の端縁の上方への動きを規定する。これにより、第1の枢動点90’’’を中心とする円弧142となる。第2の枢動点97’’’は第2のリンク91’’’と共に、及び、側型部78’’’の枢動軸又は枢動点92’’’は、側型部78’’’の第2または内端縁82’の水平方向の動きを規定する。これにより、第2の枢動点97’’’を中心とする円弧144となる。
【0067】
ガラスシートG’’’が上型136の下向き面に対して曲げられると、ガラスシートG’’’は、型面の中心から型面の鋭角曲げを越えて徐々に外側に巻き付くことになる。ガラスシートG’’’の外端縁146は、
図16においてガラスシートG’の外側端縁の未ラップ、ハーフラップ、フルラップの表現146で示す、空間上の曲線に沿って掃引されることになる。その曲線は、一定の中心点148を中心とする円弧147によって、約1mm以内に近似させることができる。円弧147の中心点に単一の枢動点(ピポット点)を有する型部またはヒンジ付きリングの場合、そのようなリングの外端部のガラス接触部は、ガラスシートの外端縁の経路に実質的に沿うことになる。これは、リングの外端縁が、下降位置から上昇位置へ移動する際に、起こることである。また、本開示の下型配置34’’’のように、側型部78’’’が、円弧142に沿って、第1のリンク85’’’によってガイドされる。このとき、静止支持体(例えば、上述のフレーム71のフレーム部材、又はこのようなフレーム部材に取り付けられるベアリングブロック)上の1つの枢動点90’’’、及び、側型部78’’’に設けられた1つの枢動点87’’’が用いられる。枢動点90’’’がガラスシートG’’’の外端縁の円弧147の中心点148に位置し、側型部78’’’の枢動点87’’’がガラスシートG’’’の外端縁に沿って位置する。このとき、側型部78’’’の円弧147は、ガラスシートG’’’の外端縁の円弧147の上に沿うことになる。側型部78’’’の外端縁81’’’のガラス接触部は、ガラスシートG’’’の外端縁の経路に実質的に追従し得る。これは、ガラスシートG’’’の外端縁が型136に巻き付けられる際に起こる。なお、側型部78’’’の外端縁81’’’の移動経路は、側型部78’’’の内端縁82’’’の移動経路の影響を少なからず受けてもよい。その影響を補うために、枢動点90’’’及び87’’’の位置を若干調整する必要がある場合がある。上述したように、
図16において、側型部78’’’の内端縁82’’’の動きは、第2のリンク91’’’によって、枢動点97’’’を中心とする円弧144に沿うようになされる。側型部78’’’の外端縁81’’’の円弧142は、上方への広がりと水平方向への広がりを有している。外端縁81’’’が円弧142に沿って上方に移動すると、側型部78’’’の外端縁81’’’及び内端縁82’’’の両方が水平方向に移動する。側型部78’’’の内端縁82’’’は、円弧144の頂部に沿うので、実質的に水平方向に移動する。
【0068】
その結果、側型部78’’’の外端縁81’’’、具体的には、ガラスシートG’’’の端部の外端縁に接触する外端縁81’’’の部分、は、ガラスシートG’’’の端部の外端縁がとる経路と実質的に同じ経路142に沿って移動することができる。これは、側型部78’’’が下降位置から上昇位置へ移動する際に行われる。一方、側型部78’’’の内端縁82’’’は、中間型部72’’’、あるいは中間型部72’’’が含まれない場合には、他の側型部(図示せず)に向かって、実質的に水平方向に移動する。例えば、ガラスシートG’’’の端部の外端縁に接触する、外端縁81’’’の部分の経路142は、1.0cm以内、又は0.2cm以内、又は0.05-0.2cm以内であることが好ましい。これは、ガラスシートG’’’の端部の外端縁がとる経路のうちにおいてである。側型部78’’’が下降位置から上昇位置へ移動する際のものである。さらに、内端縁82’’’は、例えば、0.5-15cmの範囲の距離だけ、水平方向に移動する。これにより、内端縁82’’’が、中間型部72’’’、または他の側型部(図示せず)に、接触、または0.01-0.3cmの範囲の距離、もしくは、0.3cm以下の距離を隔てて離れてもよい。これは、側型部78’’’が上昇位置にあるときのものである。さらに、内端縁82’’’は、例えば、0.05-3.0cmの範囲の距離だけ垂直方向に移動してもよい。別の例として、側型部78’’’の内端縁82’’’は、側型部78’’’が下降位置から上昇位置に移動するとき、水平方向に第1の距離だけ移動し、垂直方向に第2の距離だけ移動してもよい。第1の距離は第2の距離の少なくとも4倍、又は少なくとも6倍、又は少なくとも8倍であってよい。
【0069】
図18及び
図19は、関節下型配置34’’’’の一部分の概略図である。関節下型配置34’’’’は、移動促進組立体149の別の例示的構成を含んでいる。これは、関連する側型部78’’’’の移動をガイドするためのものである。さらに、
図18及び
図19に示す移動促進組立体149は、上述した下型配置のいずれにも使用することができる。移動促進組立体149は、第1のガイド部材150及び第2のガイド部材152をそれぞれ含む。これらは、側型部78’’’’の移動をガイドするためのものである。これは、他の下型配置に関して上述したように、側型部78’’’’が、
図18に示す下降位置から
図19に示す上昇位置へ移動させるときに行われる。しかしながら、本実施形態では、ガイド部材150、152の少なくとも1つは、回転可能な部材(例えば、ローラ)、又は回転可能な部材を受けるためのガイドとして形成されている。
【0070】
図示の実施形態では、第1のガイド部材150は、枢動可能なリンクとして形成される。当該枢動可能なリンクは、側型部78’’’’に枢動可能に取り付けられる。上記で詳細に説明したように、当該枢動可能なリンクは、側型部78’’’’の第1または外端縁81’’’’に近接して取り付けられている。ただし、本実施形態では、第1のガイド部材150の枢動軸又は枢動点87’’’’及び90’’’’は、
図16に示す、リンク組立体80’’’の第1のリンク85’’’の枢動軸87’’’及び90’’’と比較して、下方に移動されている。これは、型(モールド)136とのクリアランスを確保し、側型部78’’’’の下を通過する可能性のある同期軸(シンクロシャフト)99’’’との連結部材や連結を短くするためである。これにより、側型部78’’’’の手前側と奥側(紙面内と紙面外)の動きを調整することができる。このように枢動点を移動させても、側型部78’’’’の外端縁81’’’’の経路に与える影響は小さいと考えられる。そのため、対応する側型部経路154とガラスシート端縁経路147’’’’とが実質的に同一となるように、枢動点87’’’’、90’’’’の位置を調整する必要がある場合がある。例えば、
図16に示す下型配置34’’’に関して上述したようなことである。例えば、下降した枢動点87’’’’及び90’’’’の位置は、選択されてもよい(例えば、
図16及び
図17に示す、枢動点87’’’’及び90’’’’に対して水平方向に調整する)。これにより、経路154(例えば、側型部78’’’’上のガラス接触点の円弧)が形成される。これにより、
図16及び
図17から枢動点90’’’の位置を表す枢動軸又は枢動点156を中心とする円弧が、同一または実質的に同一となる。さらに、枢動点156は、円弧147’’’’のための中心点148’’’’と一致させてもよい。
【0071】
さらに、
図18及び
図19に示す実施形態では、第2のガイド部材152は、回転可能部材またはローラ158として形成される。回転可能部材またはローラ158は、側型部78’’’’の第2または内端縁82’’’’に近接して、側型部78’’’’に回転可能に連結される。さらに、ローラ158は、静止ガイド160(例えば、トラックまたはチャネル)に受容される。静止ガイド160は、支持構造体または下型配置34’’’’の中間型部72’’’’上に形成される。下型配置34に関して上述した第2のリンク91と同様に、ローラ158および関連するガイド160は、側型部78’’’’の内端縁82’’’’の移動をガイドするように構成される。これにより、内端縁82’’’’が、中間型部72’’’’又は他の側型部(図示せず)に向かって、実質的に水平方向内側に移動する。これは、側型部78’’’’が下降位置(
図18に示す)から上昇位置(
図19に示す)へ移動するときに行われる。また、ガイド160は、上方にわずかに延びる角度付き部分(例えば。3-10゜の範囲の角度で)、または湾曲した部分を有している。これにより、側型部78’’’’の内端縁82’’’’が水平方向内側に移動する際に、わずかに上方に(例えば、0.05-3cmの範囲の距離)ガイドされてもよい。
図18及び
図19に示す実施形態では、ガイド160は、ローラ158のための湾曲した経路を規定する。これにより、側型部78’’’’の内端縁82’’’’は、
図16に示す円弧144と同一または類似する経路に沿って、移動する。これは、側型部78’’’’が下降位置から上昇位置へ移動する際に行われる。上記の構成は、例えば、利用可能な垂直スペースが限られている場合に有利である。
【0072】
図18及び
図19に示すように、移動促進組立体149は、ローラ162などの1又は複数の側部ガイド部材をさらに含んでもよい。当該側面ガイド部材は、フレーム部材、または他の支持構造に接続される。当該側面ガイド部材は、側型部78’’’’の側面(例えば。垂直な側面)と係合可能である。これにより、側型部78’’’’横断運動(例えば、図示の実施形態では紙面内外の方向)を抑制することができる。これは、側型部78’’’’が、下降位置と上昇位置との間で、フレーム部材または他の支持構造体に対して相対的に移動する際に行われる。別の例として、移動促進組立体149は、1つ又は複数の側部ガイド部材を含んでもよい。側部ガイド部材は、側型部78’’’’に回転可能に取り付けられ、フレーム部材または他の支持構造(例えば、かかるフレーム部材または支持構造の垂直面)と係合可能なローラなどである。このようなローラは、同様に、側型部78’’’’をガイドし、水平方向の動きを抑制することができる。
【0073】
例示的な実施形態が上述されているが、これらの実施形態が本開示によるすべての可能な形態を説明することは意図されない。その点、本明細書で使用される単語は、限定ではなく説明の単語であり、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることが理解される。さらに、様々な実施形態の特徴は、本開示によるさらなる実施形態を形成するために組み合わされてもよい。
【国際調査報告】