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特表2023-540563解剖学的マップに超音波画像を位置合わせする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】解剖学的マップに超音波画像を位置合わせする方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515149
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2021074531
(87)【国際公開番号】W WO2022053440
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】20195407.0
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】コレン アレクサンダー フランシスクス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル マーク マルティヌス ベルナルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】ガイスバース ジェラルドゥス ヘンリクス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ハークス ホデフリドゥス アントニウス
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD14
4C601DD15
4C601EE09
4C601FE01
4C601FE04
4C601FE07
4C601GA19
4C601GA25
4C601JC08
(57)【要約】
誘電撮像プロセスを使用して生成された解剖学的マップに超音波画像を位置合わせするための機構が開示される。超音波プローブと共に移動する電極の位置は、解剖学的マップを生成したのと同じ誘電撮像システムを使用して監視される。超音波画像が生成される位置が捕捉され、この情報は、解剖学的マップに対して超音波画像を位置合わせするために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波撮像プロセス中に超音波プローブを使用して取得された少なくとも1つの超音波画像を、誘電撮像プロセスを使用して取得された解剖学的マップに位置合わせするためのシステムにおいて、
誘電撮像プロセスを使用して対象の関心体積の解剖学的マップを生成するように構成された誘電撮像システムと、
前記関心体積の1つ以上の超音波画像を生成するように構成された超音波撮像システムであって、 前記超音波撮像システムが、
超音波撮像プロセス中に前記関心体積の超音波データを取得するように構成された超音波プローブ、
前記超音波撮像プロセス中に取得された前記超音波データを処理し、前記関心体積の少なくとも1つの超音波画像を生成するように構成された超音波処理モジュール、及び
前記誘電撮像システムに接続可能であり、前記超音波プローブの移動と共に移動するように構成された2つ以上の電極、
を有し、
前記誘電撮像システムが、前記超音波撮像システムの前記2つ以上の電極に接続し、前記超音波撮像プロセス中に、前記2つ以上の電極の位置を監視し、それによって前記超音波プローブを監視するように更に構成される、
当該超音波撮像システムと、
前記超音波プローブの前記監視された位置を使用して、前記関心体積の前記解剖学的マップに対する少なくとも1つの超音波画像の各々の位置を位置合わせするように構成された位置合わせモジュールと、
を有する、システム。
【請求項2】
前記誘電撮像システムは、前記対象において誘起された1つ以上の電場に対する各電極の電気応答を監視することによって、前記2つ以上の電極の位置を監視するように構成される、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記超音波撮像システム、前記誘電撮像システム、及び/又は前記位置合わせモジュールは、前記少なくとも1つの超音波画像の各々の撮像方向を決定するように構成され、
前記位置合わせモジュールは、前記少なくとも1つの超音波画像の各々の前記決定された撮像方向に基づいて、前記関心体積の前記解剖学的マップに対する前記少なくとも1つの超音波画像の各々の向きを位置合わせするように構成される、
請求項1又は2のいずれかに記載の撮像システム。
【請求項4】
前記超音波撮像プローブは、前記超音波撮像プロセス中に、前記関心体積に対する前記超音波プローブの向きを監視するように構成された加速度計を更に有し、
前記撮像システムは、前記超音波撮像プロセス中に、前記超音波プローブの前記監視された向きに基づいて、前記少なくとも1つの超音波画像の各々の撮像方向を決定するように構成される、
請求項3に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記位置合わせモジュールは、少なくとも1つの超音波画像について、前記超音波画像及び前記解剖学的マップに対して画像特徴マッチングプロセスを実行し、それによって、前記解剖学的マップに対する前記少なくとも1つの超音波画像の各々の撮像方向を識別するように構成される、
請求項3又は4のいずれかに記載の撮像システム。
【請求項6】
前記位置合わせモジュールは、少なくとも1つの超音波画像について、前記解剖学的マップに対する前記少なくとも1つの超音波画像の向きを示すユーザ入力を受信するように構成される、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記超音波撮像システムの前記2つ以上の電極は、前記超音波プローブの長手方向軸に沿って配置された2つ以上の非円筒形電極を有し、
前記誘電撮像システムは、前記非円筒形電極によって電場、したがって前記3D位置を監視することによって、前記2つ以上の電極、したがって前記超音波プローブの向きを決定するように構成される、
請求項3乃至6のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記超音波システムの前記電極のうちの少なくとも1つが、前記超音波プローブの1つ又は複数の要素のための支持構造として使用される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記超音波システムは、前記超音波プローブの移動と共に移動する光ファイバを更に有し、
前記撮像システムは、前記超音波システムの前記光ファイバに沿って電磁放射を送信及び受信して、前記光ファイバの形状を監視し、それによって、前記光ファイバ及び前記超音波プローブの位置及び/又は向きを監視するように構成された光学形状決定モジュールを更に有する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記撮像システムは、少なくとも前記関心体積を含む、前記患者の3次元医用画像を取得するように構成された3次元医用画像取得部を更に有し、
前記位置合わせモジュールは、前記3次元医用画像に対して、前記少なくとも1つの超音波画像、及び任意選択的に前記解剖学的マップの位置を更に位置合わせするために、前記光ファイバの前記監視された形状を使用するように構成される、
請求項9に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記少なくとも2つの電極が、前記超音波プローブを収容するシース内又は上に配置される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記誘電撮像システムは、前記超音波撮像プローブの前記2つ以上の電極を使用して誘電撮像プロセスを実行することによって、前記関心体積の前記解剖学的マップを生成するように構成される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項13】
前記誘電撮像システムによって生成された前記解剖学的マップと、
前記超音波撮像システムによって取得された1つ以上の超音波画像であって、少なくとも前記解剖学的マップに対する前記1つ以上の超音波画像の各々の前記位置合わせされた位置に基づいて、前記解剖学的マップにオーバーレイする当該1つ以上の超音波画像と、
を表示するように構成されたディスプレイを更に有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の撮像システム。
【請求項14】
超音波撮像プロセス中に超音波プローブを使用して取得された少なくとも1つの超音波画像を解剖学的マップに位置合わせするためのコンピュータ実施方法において、
誘電撮像を使用して解剖学的マップを取得するように構成された誘電撮像システムを使用して生成された対象の体積の解剖学的マップを取得するステップと、
前記超音波撮像プロセス中に、前記誘電撮像システムを使用して前記対象に対する前記超音波プローブの位置を監視するステップであって、前記超音波プローブは、前記誘電撮像システムによって検出可能な2つ以上の電極を有する、ステップと、
前記超音波プローブを使用して生成された少なくとも1つの超音波画像を前記解剖学的マップ内のそれぞれの位置に位置合わせし、それによって少なくとも1つの超音波画像を前記解剖学的マップに位置合わせするために、前記超音波プローブの前記監視された位置を使用するステップと、
を有する方法。
【請求項15】
コンピュータ又は処理システムによって実行されると、前記コンピュータに請求項14に記載の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラム。
【請求項16】
超音波撮像システムにおいて、
超音波画像プロセス中に対象の関心体積の超音波データを取得するように構成された超音波プローブと、
誘電撮像プロセスを使用して前記関心体積の解剖学的マップを生成するように構成された誘電撮像システムに接続可能であり、前記超音波プローブの移動と一緒に移動するように構成された2つ以上の電極であって、前記システムが、磁気位置センサを有さない、前記2つ以上の電極と、
を有する超音波撮像システム。
【請求項17】
前記関心体積の少なくとも1つの超音波画像を生成するように、前記超音波撮像プロセス中に取得された前記超音波データを処理するように構成された超音波処理モジュールと、前記誘電撮像システムを使用して取得された解剖学的マップに前記少なくとも1つの超音波画像を位置合わせするためのシステムとを更に有する、請求項16に記載の超音波撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用撮像の分野に関し、特に、異なる撮像モダリティを一緒に位置合わせする分野に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の治療を助けるために、患者の関心体積、例えば、患者の心臓についての臨床医の理解を改善することには、継続的な関心がある。MRI、CT、及び超音波撮像技術などの、関心体積の(2D又は3D)画像又は再構成を生成するための様々な撮像技術が提案されている。
【0003】
医用撮像における最近の発展は、誘電撮像である。誘電撮像プロセスは、患者内の関心体積内に挿入されたカテーテルの電極間に生成された電場と、患者の外部に配置され、カテーテル電極によって監視される電極間に生成された電場とを監視して、カテーテルを直接的に囲む組織の誘電特性を導出することを含む。次いで、得られた情報が、関心体積の解剖学的マップを構築するのに使用される。そのような情報から解剖学的マップを構築するための一例のアプローチは、WO2018/130974A1に記載されるが、他の例も、当業者には明らかであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、誘電撮像は、関心体積の構造に関する有用な情報を提供するが、関心体積の壁の後ろの情報を取得することは困難であり、関心体積の内及び後ろの特徴に関するリアルタイム及び/又は高解像度の情報が臨床医によって識別されることができることを保証することも、望まれている。
【0005】
したがって、患者の追加の「リアルタイム」情報が取得され、関心体積の解剖学的マップと一緒に提供されることができる機構を提供することが、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項により規定される。
【0007】
本発明の一態様による例によれば、超音波撮像プロセス中に超音波プローブを使用して取得された少なくとも1つの超音波画像を、誘電撮像プロセスを使用して取得された解剖学的マップに位置合わせするための撮像システムが、提供される。
【0008】
撮像システムは、誘電撮像プロセスを使用して対象の関心体積の解剖学的マップを生成するように構成された誘電撮像システムと、関心体積の1つ又は複数の超音波画像を生成するように構成された超音波撮像システムであって、超音波撮像システムが、超音波撮像プロセス中に関心体積の超音波データを取得するように構成された超音波プローブ、好ましくは心臓内エコーカテーテルプローブ、超音波撮像プロセス中に取得された超音波データを処理して関心体積の少なくとも1つの超音波画像を生成するように構成された超音波処理モジュール、及び誘電撮像システムに接続可能であり、超音波プローブの移動と共に移動するように構成された2つ以上の電極を有し、誘電撮像システムが、超音波撮像システムの2つ以上の電極に接続し、超音波撮像プロセス中に2つ以上の電極の位置を監視し、それによって超音波プローブを監視するように更に構成される、超音波撮像システムと、超音波プローブの監視された位置を使用して関心体積の解剖学的マップに対して少なくとも1つの超音波画像の各々の位置を位置合わせするように構成された位置合わせモジュールとを有する。
【0009】
超音波プローブは、体内超音波撮像に対して設計されたプローブであり、「体内超音波プローブ」と称される。例は、血管内超音波プローブ(すなわち、1つ以上の血管を通過するように設計されたプローブ)、内視鏡超音波プローブ、経直腸超音波プローブ等を含む。いくつかの例では、超音波プローブは、心臓内エコーカテーテルプローブである。
【0010】
本開示は、誘電撮像システムを使用して関心体積内の超音波プローブの位置を追跡するための機構を提案する。これは、超音波プローブと共に移動する2つ以上の電極を有するように超音波撮像システムを構成することによって達成される。誘電撮像システムは、2つ以上の電極を制御及び/又は監視し、それによって、関心体積内の2つ以上の電極の相対位置を決定する。
【0011】
提案されたアプローチは、超音波画像の位置が誘電撮像システムによって生成された解剖学的マップに対して位置合わせされることを可能にする。特に、同じシステムが、解剖学的マップを生成し、超音波プローブを追跡するために使用されるので、解剖学的マップに対する超音波画像の位置は、容易に導出されることができる。
【0012】
この機構は、リアルタイムで高品質の超音波画像が解剖学的マップと一緒に提示されることを可能にし、関心体積のユーザの理解を改善する。特に、機構は、超音波画像のためのコンテキストを提供するために、解剖学的構造に対して超音波画像の場所を位置合わせするためのアプローチを提供する。
【0013】
誘電撮像システムは、対象内で誘起された1つ以上の電場に対する各電極の電気応答を監視することによって、2つ以上の電極の位置を監視するように構成されてもよい。本開示は、関心体積内の電極の場所が、関心体積内に(例えば、対象の外部の電極によって)誘導された電場に対するその電極の電気応答(例えば、電圧応答)を監視することによって監視されることができることを認識する。
【0014】
いくつかの例では、超音波撮像システム、誘電撮像システム、及び/又は位置合わせモジュールは、少なくとも1つの超音波画像の各々の撮像方向を決定するように構成され、位置合わせモジュールは、少なくとも1つの超音波画像の各々の決定された撮像方向に基づいて、関心体積の解剖学的マップに対して少なくとも1つの超音波画像の各々の向きを位置合わせするように構成される。
【0015】
超音波撮像プローブは、超音波撮像プロセス中に、関心体積に対する超音波プローブの向きを監視するように構成された加速度計を更に有してもよく、撮像システムは、超音波撮像プロセス中に超音波プローブの監視された向きに基づいて、少なくとも1つの超音波画像の各々の撮像方向を決定するように構成されてもよい。
【0016】
オプションでは、位置合わせモジュールは、少なくとも1つの超音波画像について、超音波画像及び解剖学的マップに対して画像特徴マッチング処理を実行し、それによって、解剖学的マップに対する少なくとも1つの超音波画像の各々の撮像方向を識別するように構成される。
【0017】
位置合わせモジュールは、少なくとも1つの超音波画像について、解剖学的マップに対する少なくとも1つの超音波画像の向きを示すユーザ入力を受信するように構成され得る。
【0018】
超音波撮像システムの2つ以上の電極は、超音波プローブの長手方向軸に沿って配置された2つ以上の非円筒形電極を有してもよい。誘電撮像システムは、電場、したがって非円筒電極による3D位置を監視することによって、2つ以上の電極、したがって超音波プローブの向きを決定するように構成され得る。
【0019】
オプションでは、超音波システムの電極のうちの少なくとも1つは、超音波プローブの1つ又は複数の要素のための支持構造として使用される。特に、超音波プローブの要素のための既存の金属支持体は、解剖学的マップに対する超音波プローブの位置(及びそれによって超音波画像の位置)を監視するための電極として使用するために再利用されることができる。
【0020】
いくつかの例では、超音波システムは、超音波プローブの移動と共に移動する光ファイバを更に有し、撮像システムは、光ファイバの形状を監視し、それによって光ファイバ及び超音波プローブの位置及び/又は向きを監視するために超音波システムの光ファイバに沿って電磁放射を送信及び受信するように構成された光学形状決定モジュールを更に有するように構成される。
【0021】
オプションで、撮像システムは、少なくとも関心体積を含む患者の3次元医用画像を取得するように構成された3次元医用画像取得部を更に有し、位置合わせモジュールは、3次元医用画像に対して、少なくとも1つの超音波画像、及びオプションで解剖学的マップの位置を更に位置合わせするために、光ファイバの監視された形状を使用するように構成される。3次元医用画像は、例えば、コンピュータ断層撮影(CT)画像であってもよい。
【0022】
少なくとも2つの電極は、超音波プローブを収容するシース内又はシース上に配置されてもよい。他の例では、それらは、超音波プローブ自体の上に配置される。
【0023】
誘電撮像システムは、超音波撮像プローブの2つ以上の電極を使用して誘電撮像プロセスを実行することによって、関心体積の解剖学的マップを生成するように構成され得る。
【0024】
撮像システムは、誘電撮像システムによって生成された解剖学的マップと、超音波撮像システムによって取得された1つ又は複数の超音波画像とを表示するように構成されたディスプレイを更に有してもよく、1つ又は複数の超音波画像は、解剖学的マップに対する各1つ又は複数の超音波画像の少なくとも位置合わせされた位置に基づいて解剖学的マップに重なる。
【0025】
超音波撮像プロセス中に超音波プローブを使用して得られた少なくとも1つの超音波画像を解剖学的マップに位置合わせするためのコンピュータ実施方法も、提案されている。
【0026】
コンピュータ実施方法は、解剖学的マップを得るために誘電撮像を使用するように構成された誘電撮像システムを使用して生成された対象の体積の解剖学的マップを取得するステップと、超音波撮像プロセス中に、誘電撮像システムを使用して対象に対する超音波プローブの位置をモニタリングするステップであって、超音波プローブは、誘電撮像システムによって検出可能な2つ以上の電極を有する、ステップと、超音波プローブを使用して生成された少なくとも1つの超音波画像を解剖学的マップ内のそれぞれの位置に対して位置合わせするのに超音波プローブのモニタリングされた位置を使用するステップであって、これによって少なくとも1つのty法音波画像を解剖学的マップに位置合わせする、ステップと、を有する。
【0027】
適切なコンピュータ又は処理システムによって実行される場合に、コンピュータに、本明細書に記載の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラム製品も、提案される。
【0028】
本開示は、また、プログラムがコンピュータ又は処理システムによって実行されるときに、コンピュータ又は処理システムに、本明細書で説明される任意の方法(のステップ)を実行させる命令を有するコンピュータプログラム(製品)を提案する。コンピュータプログラム(製品)は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され得る。
【0029】
同様に、コンピュータ又は処理システムによって実行される場合に、コンピュータ又は処理システムに、本明細書に記載される任意の方法(のステップ)を実行させる命令を有するコンピュータ可読(記憶)媒体も、提案される。前述のコンピュータプログラム(製品)を記憶したコンピュータ可読データキャリアも、提案される。前述のコンピュータプログラム(製品)を搬送するデータキャリア信号も、提案される。
【0030】
当業者は、本明細書に記載の装置、システム、及び/又はプロセッサの実施形態を反映するように、本明細書に記載の任意の方法を容易に適応させることができ、逆もまた同様である。同様の理解が、コンピュータプログラム(製品)に関して当業者によってなされるであろう。
【0031】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、これを参照して説明される。
【0032】
本発明をより良く理解するため、及び本発明がどのように実施されるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】誘電撮像システムを示す。
図2】解剖学的マップを生成するためのプロセスを示す。
図3】超音波システムを示す。
図4】超音波プローブを示す。
図5】別の超音波システムを示す。
図6】方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0035】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は、単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。また、同じ参照番号が、同じ又は類似の部分を示すために、図面全体にわたって使用されることを理解されたい。
【0036】
本発明は、誘電撮像プロセスを使用して生成された解剖学的マップに超音波画像を位置合わせするための機構を提供する。超音波プローブと共に移動する電極の位置は、解剖学的マップを生成したのと同じ誘電撮像システムを使用して監視される。超音波画像が生成される位置が、捕捉され、この情報は、解剖学的マップに対して超音波画像を位置合わせするために使用される。
【0037】
実施形態は、解剖学的マップを生成するために電極の位置を追跡する同じ誘電撮像システムが、解剖学的マップに対して任意の生成された超音波画像を位置合わせするために、超音波プローブ上の電極を追跡するために使用されることができるという認識に基づく。言い換えれば、超音波画像と解剖学的マップとの間の相対的空間位置は、超音波画像を取得するときに超音波プローブの位置を識別することによって導出されることができる。
【0038】
本発明の概念は、血管内(及び好ましくは心臓内)のような体内超音波撮像が望まれる任意の適切な医療環境において使用されることができる。
【0039】
図1は、誘電撮像プロセスを使用して、(関心体積、すなわち、血管、心臓(心室)、胃、又は肺などの、解剖学的空洞の)解剖学的モデルを生成するための誘電撮像システム100を示す。
【0040】
誘電撮像システム100は、複数の電極によって生成された電場に対する関心体積を囲む組織の影響を測定することによって、対象190内の関心体積180(例えば、空洞、血管、又は空隙)の解剖学的モデルを構築する。これは、関心体積の境界、縁、又は周囲がマッピングされることを可能にし、それによって、関心体積の解剖学的モデルを構築する。
【0041】
誘電撮像システム100は、対象190(例えば、対象の皮膚上に設けられたパッチ電極)に対して外部に配置される電極111、112、113(「外部電極」)の第1のセット110を有する。電極の第1のセット110は、互いに対して角度を付けられた(例えば、互いに対して直角に配置された)複数の電極を有してもよく、その結果、電極によって生成される任意の電場は、互いに対して角度を付けられる。電極の第1のセット110は、また、基準電極114を有し得る。図示された数よりも多い数の外部電極が存在し得ることに留意されたい。
【0042】
誘電撮像システム100は、また、関心体積内に配置される電極121、122、123(「内部電極」)の第2のセット120を有する(例えば、関心体積内に挿入されるカテーテル125又は他の血管内装置上に配置される電極)。電極の第2のセットの各々の間の距離は、予め決められていてもよく、かつ/又は既知であってもよい。カテーテル又は他の血管内装置の位置の高品質追跡のために、少なくとも2つの電極が、必要とされる。
【0043】
誘電撮像プロセッサ150は、誘電撮像プロセスを実行するために、電極110、120からの信号を提供及び受信するように構成される。誘電撮像プロセッサ150は、(例えば、カテーテル125が関心体積を通って移動するとき)関心体積の解剖学的モデルを構築し、関心体積180に対する内部電極120の相対位置を追跡することができる。
【0044】
誘電撮像システム100は、外部電極を使用して、任意選択的に内部電極を介して局所電場と共に、大域的体内電場を生成することによって動作する。外部電極(及び局所電場を生成するために使用される場合には、内部電極)は、10乃至100kHzの周波数範囲内であり得る(ただし、他のより大きい/より小さい範囲が企図される)電場のすべてのエミッタ及びレシーバの両方である。基準電極は、全ての電圧測定のための電気基準として機能する。
【0045】
誘起された電場の分布は、インタロゲートされた組織の異なる誘電特性及び吸収速度(導電率に関連する)のために、本質的に不均一である。外部電極は、大域的な全般的効果及び歪んだ電場を測定するように作用し、一方、内部電極は、局所的な効果及び組織応答を測定する。
【0046】
誘電撮像プロセッサ150は、異なる周波数(及び異なる方向)の電場を生成するように外部電極を制御し得る。これは、関心体積内のその相対位置に基づいて、外部から印加される電場に対して異なる応答を有する内部電極をもたらす。
【0047】
例えば、互いに対して角度が付けられた(例えば、ほぼ直交する)様々な周波数の電場(E1、E2、E3)を放出するように配置された3つの外部電極111、112、113が存在する場合、内部電極の電圧応答(V1、V2、V3)(例えば、これら3つの周波数の各々における(例えば、電極と基準電極との間、又は電極と電場を生成する電極との間の)電圧を識別する)は、関心体積内の位置に応じて異なる。他の形態の応答(例えば、内部電極と各外部電極との間のインピーダンス/キャパシタンスの変化を示す、インピーダンス応答又は容量性応答)は、当業者に明らかであろう。
【0048】
撮像プロセスを通して、(例えば、外部から印加された電場に対する)内部電極の応答が、記録される。誘電撮像プロセッサは、記録された各電気的応答(例えば、電圧)をユークリッド座標(R空間)に変換する伝達関数(「V2R関数」)を適用し、一方で、既知のカテーテル特性(例えば、電極間隔)並びに他の制約のセットが維持されることを保証する。
【0049】
このようにして、(既知のユークリッド座標を有する)点のR空間群は、内部電極が関心体積内で移動されるにつれて、構築され、更新されることができる。点のR空間群を使用して、再構成アルゴリズムは、関心体積の解剖学的モデルを生成する。解剖学的モデルは、例えば、関心体積(の境界)を描写又はモデル化する3D表面であってもよい。
【0050】
解剖学的モデルは、ディスプレイ又はユーザインターフェース(図示せず)に出力され得る。
【0051】
点群から解剖学的モデルを再構成するプロセスは、図2に概念的に示されており、これは、R空間点210の群(「点群」)が解剖学的モデル220に変換されるプロセス250を示す。図示の例では、これは、点群データから(3D)表面を作成することによって実行され、その方法は、j当業者には容易に明らかであろう。
【0052】
例えば、点群は、表面再構成アプローチを使用して、ポリゴンメッシュ又は三角形メッシュモデル(又は他の表面モデル)に変換されることができる。様々な適切なアプローチが、Berger, Matthew, et al. "A survey of surface reconstruction from point clouds." Computer Graphics Forum. Vol. 36. No. 1. 2017において論じられている。
【0053】
このようにして、「大域的磁場」測定結果(すなわち、内部電極に対する外部電極の効果)が、関心体積の粗い解剖学的モデルを生成するのに使用されることができる。
【0054】
解剖学的モデルの境界及び特徴のより正確な識別は、局所磁場測定結果(例えば、他の内部電極によって生成された場)に対する内部電極の応答を監視することによって、又は大域的磁場測定結果の追加の処理によって、実行されることができる。
【0055】
組み合わされた大域的及び局所的磁場測定結果は、不一致及び異常値、(例えば、位置相互相関を測定することによる)電極遮蔽/カバレッジのレベル、ペーシング(飽和)、並びに生理学的ドリフトの高度な検出及び効果的な処理を可能にする。ドリフトは、例えば、経時的移動ウィンドウを使用して検出され、連続的に補正されることができ、それによって、カテーテル位置は、処置全体にわたって正確なままであり、システムをドリフトに対して弾力的にする。
【0056】
誘電撮像システムの上述の説明は、一例に過ぎず、当業者であれば、説明された誘電撮像システムを適切に修正することが容易に可能であろう。例えば、他のタイプの電気的応答が、電極の位置を監視するために及び/又は解剖学的マップを生成するために監視されることができる。
【0057】
本開示は、誘電撮像システムの存在及び動作を利用して、誘電撮像システムを使用して生成された解剖学的マップへの(内部で取得された)超音波画像の位置合わせを容易にする。言い換えれば、本開示は、解剖学的マップ及び超音波画像が同じ座標系を共有することを可能にする、すなわち、超音波画像及び解剖学的マップを互いに位置合わせするための機構を提案する。更に別の言い方をすれば、解剖学的マップと1つ又は複数の超音波画像との間の空間的関係が、決定されることができる。
【0058】
本開示の実施形態は、誘電撮像システムの動作を利用して、解剖学的モデルに対して超音波撮像プローブと共に移動する電極の位置を追跡する、すなわち、電極追跡システムとして機能することを提案する。
【0059】
関心体積の解剖学的モデルが、関心体積内の内部電極の応答を使用して構築されると、解剖学的モデルに対する内部電極の位置が、容易に規定されることができることは明らかであろう。例えば、(応答をユークリッド座標に変換する)伝達関数は、内部電極の応答を使用して任意の他の内部電極の相対位置を計算/予測するのに使用されることができる。
【0060】
このようにして、電場に対する電極の応答が、解剖学的マップに対するその電極の相対位置を識別するのに使用されてもよい。これは、「V2R関数」を用いて、電極の電場に対する応答を座標に変換することによって実行されることができる。
【0061】
本開示は、超音波撮像プローブが患者の(解剖学的マップを有する)関心体積内で移動されるときに移動する2つ以上の電極を有する超音波撮像システムを提供することを提案する。次いで、誘電撮像システムは、(誘電撮像システムの内部電極の相対位置が追跡される方法と同様の方法で)関心体積内の超音波撮像プローブの相対位置を追跡するのに使用されることができる。言い換えれば、超音波撮像システムの電極の相対位置は、解剖学的マップを生成するために使用される電極と同じ3D空間内で追跡される。これは、解剖学的マップに対する、超音波プローブによって生成された超音波画像の(空間的)位置合わせを容易にする。
【0062】
解剖学的マップに対する(超音波画像を撮影するときの)超音波プローブの位置(及び好ましくは向き/角度)が知られると、超音波プローブによって生成された超音波画像が、解剖学的マップに対して正確にマッピング又は位置合わせされることができることが認識される。特に、超音波画像のソースの位置(すなわち、超音波画像が撮影される点の位置)が、監視され、解剖学的マップに対して超音波画像を空間的に位置合わせするために使用されることができる。
【0063】
その性質上、超音波画像によって表される領域と超音波プローブとの位置関係が、知られている。すなわち、超音波画像によって提供される視野の方向及び原点、又は「視野円錐」は、超音波画像を撮影するときの超音波プローブの位置に依存する。したがって、解剖学的マップに対する超音波プローブの位置を決定することによって、超音波画像と解剖学的マップとの間の位置関係も、決定されることができる。これは、特定の解剖学的領域の表現を提供する超音波画像が、同じ解剖学的領域を表す解剖学的マップの部分にマッチされることができることを意味する。
【0064】
任意選択的に、関心体積内の超音波プローブの向きが、例えば解剖学的マップ上の超音波画像の正確な重ね合わせを容易にするように、解剖学的マップに対する、超音波プローブを使用して生成された超音波画像の位置合わせを改善するために、決定されることもできる。
【0065】
超音波プローブの向きは、解剖学的マップの3D空間内の超音波プローブの長手方向軸の位置/角度を規定する。これは、長手方向軸の周りの超音波プローブの回転を規定し、それによって、超音波プローブの長手方向軸からの撮像方向を規定する、超音波プローブの「回転」又は「ロール」とは区別されるべきである。
【0066】
超音波画像を撮影するときに、超音波プローブの向きを決定することによって、解剖学的マップに対する超音波画像の角度も、決定されることができる。同様の理解が、超音波プローブのロールを使用して明らかになるであろう。
【0067】
図3は、一例の実施形態で使用するための超音波画像システム300を示す。超音波画像システムは、撮像システム30全体の一部を形成してもよい。
【0068】
超音波システム300は、例えば超音波アレイ311を使用して、超音波データを取得するように構成された超音波プローブ310を有する。
【0069】
超音波プローブは、患者の関心体積の内部超音波撮像を実行するように設計された任意の適切な超音波プローブを有してもよい。したがって、超音波プローブは、心臓内エコー(ICE)カテーテルプローブ、内視鏡超音波プローブ、経直腸超音波プローブ等のような血管内(IV)超音波プローブであってもよい。
【0070】
超音波プローブ310は、超音波パルスを生成し、超音波エコーを受信し、超音波エコーに応答して超音波データを生成するように構成され得る。超音波プローブの操作手順は、当技術分野において周知である。
【0071】
超音波システム300は、また、超音波処理モジュール320を有する。超音波処理モジュールは、超音波プローブ310によって提供される超音波データを処理することによって、関心体積の少なくとも1つの超音波画像を生成するように構成される。例えば、超音波データは、1つ又は複数の超音波画像(例えば、2D/3D超音波画像、超音波ビデオ、及び/又はドップラーフローなどの混合メディアデータ)を生成するのに使用されることができる。
【0072】
超音波システム300は、また、誘電撮像システムに接続可能であり、超音波プローブの移動と共に移動するように構成された、2つ以上の電極331、332を有する。電極と超音波プローブとの間の空間的関係は、既知であってもよく、又は予め決められていてもよい。各電極は、超音波プローブ300の長手方向軸に対して異なる位置に配置されてもよい。
【0073】
したがって、誘電撮像システム150は、電極から/電極において電気信号を監視及び/又は制御することができてもよい。
【0074】
電極は、誘電撮像システムを使用して、例えば誘電撮像システムの任意の外部電極の位置に対する、関心体積内の超音波プローブ(の先端)の相対位置の追跡又は「位置特定」を容易にする。したがって、誘電システムは、関心体積内の超音波プローブの位置を監視することができる。
【0075】
位置合わせモジュール390は、超音波プローブの監視された位置を使用して、関心体積の解剖学的マップに対する少なくとも1つの超音波画像の各々の位置を位置合わせするように構成されることができる。したがって、位置合わせモジュールは、解剖学的マップ及び1つ又は複数の超音波画像を同じ座標系に配置し得る。
【0076】
これは、解剖学的マップを生成するときに使用される内部電極を追跡するために使用されるのと同じシステムが、超音波プローブの位置を追跡するために使用されるので、達成可能である。したがって、超音波プローブの移動/位置は、解剖学的マップに関して位置特定されることができ、これは、各超音波画像の位置(すなわち、超音波画像を生成するために使用される超音波データを取得するときに超音波プローブが配置される位置)が、取得され、解剖学的マップに対する対応する位置にマッピングされることができることを意味する。
【0077】
更に、超音波プローブに対する2つ以上の電極の使用は、超音波プローブの長手方向軸の位置、すなわち超音波プローブの向きの決定を容易にする。特に、解剖学的モデルに対する超音波プローブの電極の各々の位置が既知であり、電極間の空間的関係が既知である場合、解剖学的モデルに対する超音波プローブの長手方向軸の位置は、追跡されることができる。これは、電極が(解剖学的マップに対する)長手方向軸の少なくとも2つの点の位置を規定し、超音波プローブの長手方向軸(したがって、可能な撮像方向の範囲)が決定されることを可能にするからである。
【0078】
これは、超音波プローブを使用して生成された任意の超音波画像を解剖学的マップに位置合わせする際の容易さの増大を容易にする。
【0079】
これは、撮像方向に関する情報、すなわち、超音波画像が解剖学的マップにどのように関連するかに関する情報が、2つ以上の電極の使用によって得られることができることを意味する。したがって、他の位置センサが、使用される必要はない。特に、磁気位置センサが、使用される必要はない。磁気位置センサは、典型的には、米国特許第6,690,963号に記載されるような3つの非同心コイル(図示せず)を有する。
他のそのような磁気位置センサは、任意の数の同心又は非同心コイル、ホール効果センサ、又は磁気抵抗センサを有する。
【0080】
電極331、332は、(図示のように)超音波プローブ310上に直接的に取り付けられてもよい。いくつかの例では、電極は、リング電極又は部分リング電極などの専用電極を有してもよい。
【0081】
超音波プローブは、例えば超音波プローブの他の要素を支持、保護、又は補強するために、1つ又は他の既存の金属構造(超音波アレイを保護するための金属補強材など)を有することができることが認識される。いくつかの例では、任意の既存の金属構造のうちの1つ又は複数が、(例えば、既存の金属構造をワイヤに接続することによって)電極として更に動作するように再利用されてもよい。
【0082】
他の例では、2つ以上の電極331、332は、超音波プローブの移動と共に移動するように取り付けられてもよいが、その上に直接的には取り付けられない。例えば、超音波プローブは、電極が取り付けられるシース内に取り付けられるカテーテルを有してもよい。電極をシース上に配置することは、異なるタイプの超音波プローブ(例えば、更新されたバージョン)が、同じタイプのシースと共に使用されることができる一方で、依然として、誘電撮像システムの外部電極に対する超音波プローブの相対位置を監視する能力を保持することを意味する。
【0083】
他の例は、当業者には明らかであろう。
【0084】
関心体積の解剖学的マップに対して少なくとも1つの超音波画像の位置を位置合わせすることは、ディスプレイ(例えば、スクリーン)が一緒に位置合わせされる解剖学的マップ及び少なくとも1つの超音波画像の視覚的表現を提供することを可能にする。
【0085】
言い換えれば、誘電撮像システムによって生成される解剖学的マップの視覚的表現は、解剖学的マップ上に/解剖学的マップをオーバーレイする1つ又は複数の超音波画像を示すことによって増強されることができる。1つ又は複数の超音波画像は、例えば、2D/3D、X平面、又はドップラ超音波画像を有し得る。
【0086】
ディスプレイは、例えば、誘電撮像によって導出された、関心体積の解剖学的マップ上にオーバーレイされた直近に取得された超音波画像を表示するように、リアルタイムで制御されてもよい。
【0087】
いくつかの例では、撮像システム30は、誘電撮像システムによって生成された解剖学的マップを表示するように構成されたディスプレイ395と、超音波撮像システムによって取得された1つ又は複数の超音波画像とを更に有し得、1つ又は複数の超音波画像は、少なくとも解剖学的マップに対する各1つ又は複数の超音波画像の位置合わせされた位置に基づいて解剖学的マップをオーバーレイする。
【0088】
超音波プローブの撮像方向又は視野(すなわち、超音波データが取得される方向又は向き)は、超音波プローブの向き又は「ロール」にも依存し得ることが明らかであろう。特に、超音波プローブが関心体積内でその長手方向軸(ロール)の周りを回転する場合、超音波データは、関心体積に対する超音波プローブの長手方向軸からの異なる方向から取得され得る。
【0089】
解剖学的マップに対する超音波プローブの撮像方向を決定することは、有益であり得る。これは、関心体積の超音波画像が(例えば、ディスプレイ内で)解剖学的マップに対して正確に配向/配置されることを可能にし、撮像される関心体積の領域の臨床医の理解を改善する。
【0090】
いくつかの例では、位置合わせモジュール390は、超音波プローブの決定されたロールに更に基づいて、解剖学的マップと1つ又は複数の超音波画像とを一緒に位置合わせするように構成され得る。
【0091】
解剖学的マップに対する超音波プローブの相対ロールを決定するための様々な機構が、想定される。
【0092】
一例では、超音波撮像システム300は、超音波撮像プロセス中に、関心体積に対する超音波プローブのロール及び任意選択的に向きを監視するように構成された加速度計を更に有する。撮像システムは、それによって、超音波撮像プロセス中に超音波プローブの監視された向きに基づいて、少なくとも1つの超音波画像の各々の撮像方向を決定するように構成されることができる。
【0093】
別の例では、位置合わせモジュール390は、少なくとも1つの超音波画像について、超音波画像及び解剖学的マップに対して画像特徴マッチングプロセスを実行し、それによって、解剖学的マップに対する少なくとも1つの超音波画像の各々の超音波プローブのロール又は撮像方向を識別するように構成され得る。
【0094】
言い換えれば、位置合わせモジュールは、超音波画像及び解剖学的マップの両方に存在する特徴(例えば、解剖学的ランドマーク)を識別し、超音波画像及び解剖学的マップの両方における類似の/同じ画像特徴の存在に基づいて、超音波プローブの撮像方向を決定してもよい。ほんの一例として、関心体積が心臓の心腔である場合、識別された特徴は、肺静脈、左心耳、又は僧帽弁などのランドマークを含みうる。
【0095】
解剖学的マップ及び超音波画像の両方において類似の画像特徴を識別するための方法は、当業者には明らかであり、例えば、画像認識プロセス及び/又は機械学習アプローチを使用して類似の特徴を認識する。
【0096】
更に別の実施形態では、位置合わせモジュール390は、少なくとも1つの超音波画像について、解剖学的マップに対する超音波プローブのロールを示すユーザ入力SINを受信するように構成されてもよい。これは、例えば、解剖学的マップ上に超音波画像をオーバーレイしやすさを容易にするように、臨床医が超音波画像の撮像方向を示すのに彼らの専門知識を使用することを可能にし得る。
【0097】
別の例では、統合された光学形状感知ファイバが、超音波プローブの3D形状及び位置をリアルタイムで測定するために超音波プローブに追加されることができる。
【0098】
特に、超音波システム300は、超音波プローブ310の移動と共に移動する光ファイバを更に有してもよい。(撮像システムの)光学形状決定モジュールは、超音波システムの光ファイバに沿って電磁放射を送信及び受信して、光ファイバの形状、それによって、光ファイバ及び超音波プローブ(の両方)の位置、向き、及び/又はロールを監視するように構成され得る。
【0099】
このアプローチは、解剖学的マップとの超音波画像の位置合わせを容易にする。光学的形状感知技術を使用することは、患者の空洞、腔、血管又は小室内のカテーテル又は他のプローブの相対的な位置、向き及び/又はロールに関する高度に正確な情報を提供することが知られている。
【0100】
更に、光学形状感知ファイバの固有の3D位置特定精度は、誘電撮像システムの電極位置特定精度を改善するための基準を提供することもでき、これは、電場(例えば、人間の胸郭によって引き起こされるものなど)の非線形性に敏感であり得る。
【0101】
言い換えれば、超音波プローブが、一体化された光学形状感知ファイバを有する場合、超音波プローブの決定された位置は、誘電撮像システムによって実行される電極位置特定の精度を高めるのに使用されることができる。これは、例えば、誘電撮像システムに、光学形状感知ファイバによって実行される高精度の電極位置特定に基づいて解剖学的マップを修正させることができる。
【0102】
更に、超音波プローブが配置される血管系の患者固有の3D形状は、事前に記録された医用画像(例えば、CT画像)又は記録に対する超音波画像及び/又は解剖学的マップの位置合わせを可能にする。例えば、関心体積までの血管経路の患者固有の空間及び長さが、視覚化されることができる。超音波プローブは、この特徴的な血管の形状/長さの内側に配置され、したがって、事前に記録されたCTと、処置中に得られた形状と、3D解剖学的マップとの間の位置合わせが、行われることができる。
【0103】
言い換えれば、超音波画像及び/又は解剖学的マップは、(画像/マップの位置合わせを支援するために既存の医用画像において識別されることができるユーザの血管の形状を追跡することができるため)光学形状感知ファイバの使用によって他の医用画像と位置合わせされることができる。
【0104】
超音波プローブのロールを検出するための他の例は、超音波プローブのロール(及び撮像方向)を決定するように誘電撮像システムの動作を利用するのに適切に構成された電極を使用してもよい。
【0105】
特に、電極は、非無限の回転対称性を有するように、すなわち、非円形、非環状等であるように構成されてもよい。言い換えれば、電極は、超音波プローブの全周にまたがるのではなく、外周の一部分のみをカバーし得る。このようにして、誘電撮像システムによって(例えば、誘電撮像システムの外部電極によって)誘起される電場に対する電極の応答は、超音波プローブのロールに応じて異なる。このようにして、設定が超音波画像アレイの撮像方向(すなわち、超音波プローブのロール)とどのように相関するかは、先験的に知られていることができる。
【0106】
いくつかの例では、異なる電極が、超音波プローブ(又は接続された要素)の異なる側に露出され得る。このようにして、(例えば、誘電撮像システムの外部電極によって誘起される)電場に対する各電極の応答の差が、関心体積内の超音波プローブの相対回転/ロールを決定するのに使用されることができる。
【0107】
図4は、超音波プローブ410の一部を示す。超音波プローブ410は、図3に示される超音波プローブ310の一例である。
【0108】
超音波プローブ410は、超音波データを捕捉するための超音波アレイ415を有する。
【0109】
超音波撮像システムの電極451乃至453は、ここでは超音波プローブ上に取り付けられているものとして示されている。しかしながら、それらは、超音波プローブと共に移動する他の要素(例えば、シース490)上に取り付けられてもよい。これは、超音波撮像システムとの標準的な又は「既製の」超音波プローブの使用を容易にすることができる。
【0110】
電極451乃至453は、非無限の回転対称性を有するように構成され、また、超音波プローブの異なる側面に露出されるように配置される。これは、先に説明したように、超音波プローブの回転(すなわち、「ロール」)の決定を容易にする。
【0111】
他の例では、電極は、リング電極(例えば、回転対称)であってもよいが、電極の1つ又は複数の部分は、非無限回転対称の電極を提供するのと同じ効果を有するように、(例えば、適切に構成されたシースなどを使用して)遮蔽されてもよい。
【0112】
図5は、例示的な実施形態で使用するための超音波撮像システム50を示す。
【0113】
超音波撮像システム50は、超音波撮像プロセス中に関心体積についての超音波データを取得するように構成された超音波プローブ510を有する。この超音波データは、超音波撮像プロセス中に1つ又は複数の超音波画像を取得するように、超音波処理モジュール540によって処理される。
【0114】
超音波プローブ510は、超音波パルスを送信し、送信された超音波パルスのエコーを受信し、それによって超音波データを生成するように制御可能なトランスデューサアレイ515を有する。トランスデューサアレイは、関心体積に到達するために患者の血管/ダクト(例えば、静脈)を通して挿入されることができるカテーテル520上に取り付けられる。
【0115】
カテーテル520は、シース525を通過し得、シースは、関心体積への移動中に、超音波プローブの敏感な構成要素(トランスデューサ515など)が露出される前に、これらを保護することができる。
【0116】
超音波プローブは、超音波アレイ515を関心体積に移動するように、患者へのカテーテルの挿入中に臨床医によって保持されることができるハンドル530を更に有する。制御要素は、ハンドル上に取り付けられてもよい。
【0117】
トランスデューサアレイから超音波データを送信するための1つ又は複数のワイヤは、(例えば、ハンドル530内で終端するように)カテーテル520の長さにわたり得る。特に、ワイヤは、超音波データを取得し、それを処理して1つ又は複数の超音波画像を生成することができる超音波処理モジュール540に電気的に接続可能であり得る。もちろん、超音波処理モジュール540は、当業者に周知であるように、超音波アレイ515の動作を同様に制御してもよい。
【0118】
超音波撮像システム50は、また、ここでは超音波プローブ510(特に、カテーテル520)上に取り付けられる複数の電極551乃至553を有する。他の例では、それらは、シース525又は別の付随するコンポーネント上に取り付けられる。
【0119】
これらの電極551乃至553の動作及び/又は監視は、(超音波処理モジュール540ではなく)誘電撮像システムによって実行される。
【0120】
複数の電極における電場を監視及び/又は制御するためのワイヤは、また、カテーテル520の長さにわたってもよい。ワイヤは、超音波プローブの位置の監視を容易にする(したがって、誘電撮像システムによって生成された解剖学的マップへの超音波画像の位置合わせを可能にする)ために、誘電撮像システムに電気的に接続可能であり得る。
【0121】
図6は、超音波撮像プロセス中に超音波プローブを使用して得られた少なくとも1つの超音波画像を解剖学的マップに位置合わせするための方法60を示す。方法60は、前述の位置合わせモジュールによって実行され得る。
【0122】
この方法は、誘電撮像を使用して解剖学的マップを取得するように構成された誘電撮像システムを使用して生成された対象の体積の解剖学的マップを取得するステップ610を有する。解剖学的マップは、例えば、別個の誘電撮像システムから取得されてもよい。
【0123】
方法60は、超音波撮像プロセス中に、解剖学的マップに対するプローブの位置を監視/決定するステップ620を有する。この処理のための適切な方法は、以前に記載れている。
【0124】
方法60は、プローブの向き、具体的には超音波プローブの長手方向軸の向きを決定するステップ625を有してもよい。本方法は、また、超音波プローブのロール、例えば、長手方向軸の周りのプローブの回転を決定するステップ627を有してもよい。ステップ625及び627を実行するための適切なアプローチは、以前に記載されている。
【0125】
方法60は、超音波プローブの監視/決定された位置を使用して、少なくとも1つの超音波画像を解剖学的マップに位置合わせするステップ630を更に有する。
【0126】
ステップ630は、超音波画像を撮影するときのプローブの決定された位置を使用して、解剖学的マップに対する超音波画像の相対位置を決定することを有してもよい。ステップ630は、前記超音波画像を撮影するときのプローブの決定された向きを使用することによって、解剖学的マップに対して超音波画像を向けてもよい。ステップ630は、更に、超音波の決定されたロールを使用して、解剖学的マップに対して超音波画像を配向又は配置してもよい。
【0127】
方法60は、解剖学的マップ及び位置合わせされた超音波画像を視覚ディスプレイに表示するステップ640を更に有してもよい。ステップ640は、超音波画像の決定された位置及び/又は向きにおいて解剖学的マップをオーバーレイする位置合わせされた超音波画像と共に解剖学的マップを表示することを有してもよい。
【0128】
別の例として、ステップ640は、解剖学的マップと、超音波画像が撮影された観察方向の標示(例えば、原点及び方向を識別する)とを表示することを有してもよい。これは、超音波画像によって撮像される関心体積の領域の視覚的表示を与え得る。超音波画像の別個の表示も、提供され得る。
【0129】
ステップ640は、例えば、ステップ620で決定されたプローブの位置、及び任意選択でステップ625で決定されたプローブの向きに基づいて、解剖学的マップに対する超音波プローブの視覚的表現を表示することを更に有してもよい。
【0130】
誘電撮像システムによって生成される解剖学的マップは、超音波プローブと共に移動するように取り付けられた電極(すなわち、超音波システムの電極)の電気応答を使用して生成されてもよい。他の例では、誘電撮像システムによって生成された解剖学的マップは、別のカテーテル(例えば、超音波プローブの使用前に使用される別の血管内装置)に取り付けられた電極の電気応答を使用して生成されてもよい。更に他の例では、両方のタイプの電極からの電気応答が、使用されることができる。
【0131】
開示される方法は、好ましくはコンピュータで実施される方法であることが理解される。したがって、コンピュータ又は分散プロセッサのセットなどの処理システム上で実行されるときに、任意の記載された方法を実装するためのコンピュータプログラムコードを有するコンピュータプログラムの概念も、提案される。
【0132】
一実施形態によるコンピュータプログラムのコードの異なる部分、ライン、又はブロックは、本明細書に記載の方法を実行するために、処理システム又はコンピュータによって実行され得る。幾つかの代替の実装形態において、ブロック図又はフローチャートに記載される機能が、図面に記載される順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又はブロックは、含まれる機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。
【0133】
本開示は、プログラムがコンピュータ又は処理システムによって実行されると、コンピュータ又は処理システムに、本明細書に記載の任意の方法(のステップ)を実行させる命令を有するコンピュータプログラム(製品)を提案する。コンピュータプログラム(製品)は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され得る。
【0134】
同様に、コンピュータ又は処理システムによって実行されると、コンピュータ又は処理システムに、本明細書に記載される任意の方法(のステップ)を実行させる命令を有するコンピュータ可読(記憶)媒体も提案される。前述のコンピュータプログラム(製品)を記憶したコンピュータ可読データキャリアも提案される。前述のコンピュータプログラム(製品)を搬送するデータキャリア信号も提案される。
【0135】
コンピュータ可読プログラムは、完全に単一のコンピュータ/プロセッサ上で、部分的にコンピュータ/プロセッサ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にコンピュータ/プロセッサ上で及び部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で(例えば、分散プロセッサ処理システムを使用して)実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してコンピュータ/プロセッサに接続されてもよく、又は接続は、外部コンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを介して)行われてもよい。
【0136】
開示された実施形態に対する変形例は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。請求項において、単語「有する」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に列挙されるいくつかの項目の機能を果たしてもよい。 特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で配布されてもよい。「ように適合される」という用語が請求項又は明細書に用いられる場合、「ように適合される」という用語は、「ように構成される」と言う用語と同様であることを意図される。
【0137】
請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】