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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】薬剤送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
A61M5/14 582
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515247
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 US2021049009
(87)【国際公開番号】W WO2022055799
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/076,005
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】フレドリクソン、ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ライデッカー、ローレン
(72)【発明者】
【氏名】スオン、ナルン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB03
4C066CC01
4C066CC09
4C066DD02
4C066DD07
4C066EE15
4C066FF01
4C066HH12
4C066KK19
(57)【要約】
薬剤送達装置(10)が、1つ以上の流体(17A、17B)を収容するように構成され、薬剤送達装置の近位端部(12)にある1つ以上の薬剤容器(24)と、1つ以上のルーメン(14)を画定するチューブ(23)を含むとともに、1つ以上の流体が薬剤容器から1つ以上のルーメンに流れて1つ以上のルーメンの1つ以上の出口(32)から出ることができるように、薬剤容器に結合された挿入部(20)と、挿入部の遠位端部(30)にあり、衝突面(51)を備え、衝突面が、1つ以上の出口から分注された1つ以上の流体に衝突して、治療部位(40)に流体をかけるために1つ以上の流体の混合を引き起こすように1つ以上の出口に対して配置される、遠位衝突構造体(34)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置であって、
前記薬剤送達装置は、前記薬剤送達装置の近位端部にある1つ以上の薬剤容器を備え、前記1つ以上の薬剤容器は、1つ以上の流体を収容するように構成されており、
前記薬剤送達装置は、前記1つ以上の薬剤容器の近位端部に接続された挿入部を備え、前記挿入部は1つ以上のルーメンを画定するチューブを含み、前記挿入部は、前記1つ以上の流体が前記薬剤容器から前記1つ以上のルーメンに流れて前記1つ以上のルーメンの1つ以上の出口から出ることができるように、前記薬剤容器に結合されており、
前記薬剤送達装置は、前記挿入部の遠位端部にある遠位衝突構造体を備え、前記遠位衝突構造体は衝突面を含み、前記衝突面は、前記1つ以上の出口から分注された前記1つ以上の流体に衝突して、治療部位に前記流体をかけるために前記1つ以上の流体の混合を引き起こすように前記1つ以上の出口に配置される、
薬剤送達装置。
【請求項2】
前記1つ以上の薬剤容器が2つのシリンジを含み、前記1つ以上のルーメンが2つのルーメンを含み、各シリンジが、前記2つのルーメンのそれぞれのルーメンと流体連通しており、前記2つのシリンジの作動により、前記1つ以上の流体が前記2つのルーメンを通して流れる、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記2つのシリンジを前記挿入部に固定するコネクタ要素を更に備え、前記チューブが可撓性である、請求項2に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記遠位衝突構造体が、前記チューブの遠位端部を前記衝突面に接続する底面を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記衝突面と前記1つ以上のルーメンのそれぞれの長手方向軸線とが、45度~160度の角度を形成している、請求項4に記載の薬剤送達装置。
【請求項6】
前記遠位衝突構造体が、
前記衝突面から遠位方向に延び、前記底面と実質的に平行である上面と、
前記上面から延び、前記衝突面と実質的に平行である、遠位方向を向いた面と、
を含む、請求項5に記載の薬剤送達装置。
【請求項7】
前記底面とは反対側にある前記衝突面の縁から延びる遠位方向を向いた面を更に含み、前記遠位方向を向いた面が、前記底面の平面と実質的に垂直である、請求項4~6のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項8】
前記底面が、前記1つ以上のルーメンの長手方向軸線と実質的に平行な方向に延びる1つ以上の円筒形ロッドからなる、請求項4~7のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項9】
前記1つ以上のルーメンが、前記チューブの遠位面から遠位方向にそれぞれ延びる2つのルーメンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項10】
前記2つのルーメンの長手方向軸線が、前記1つ以上の流体が前記衝突面に接触する前に、前記出口から分注された前記1つ以上の流体の混合を引き起こすように交差している、請求項9に記載の薬剤送達装置。
【請求項11】
前記1つ以上の出口から分注された前記1つ以上の流体が、前記衝突面及び前記上面の上に流体流れを形成する、請求項6~10のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項12】
前記1つ以上のうちの前記1つ以上の出口に近接して圧縮ガスを送達するように構成された追加のルーメンを前記チューブ内に更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項13】
前記1つ以上の流体が、薬剤の2つの異なる成分を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項14】
前記遠位衝突構造体がJ字型ワイヤを備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【請求項15】
前記チューブが3.8mm未満の直径を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は概して、薬剤送達システム、装置及び関連する方法に関する。本開示の例は、予防薬等の薬剤を治療部位、例えば組織欠損部に送達するためのシステム、装置及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療/手術中、並びに/又は手術前及び手術後に、特に、胃腸(GI)管の内視鏡及び切開外科処置中又は処置後に、体内の標的治療部位に薬剤を送達して、それらの部位を組織分解から保護する必要がある。GI管の内視鏡及び切開外科処置の例として、とりわけ、結腸切除、肥満手術、食道切除、胃バイパス術及びスリーブ胃切除術が挙げられる。処置は、管の穿孔、手術後漏出又は他の創傷をもたらすことがある。上記の事項を全てふまえると、本開示の改良は有用であり得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、とりわけ、複数の部分/成分を有する薬剤を含む薬剤を標的治療部位に送達するためのシステム、装置及び方法に関する。本明細書に開示する態様はそれぞれ、開示する他の態様のいずれかに関連して説明する特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0004】
本開示のある態様によると、薬剤送達装置は、薬剤送達装置の近位端部にあり、1つ以上の流体を収容するように構成された1つ以上の薬剤容器を備え、薬剤送達装置は、1つ以上の薬剤容器の近位端部に接続された挿入部を備え、挿入部は1つ以上のルーメンを画定するチューブを含み、挿入部は1つ以上の流体が薬剤容器から1つ以上のルーメンに流れて1つ以上のルーメンの1つ以上の出口から出ることができるように、薬剤容器に結合されており、薬剤送達装置は、挿入部の遠位端部にある遠位衝突構造体を備え、遠位衝突構造体は衝突面を含み、衝突面が、1つ以上の出口から分注された1つ以上の流体に衝突して、治療部位において流体をかけるために1つ以上の流体の混合を引き起こすように1つ以上の出口に対して配置される。
【0005】
薬剤送達装置は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。1つ以上の薬剤容器は、2つのシリンジを含んでもよく、1つ以上のルーメンは、2つのルーメンを含んでもよく、各シリンジは、2つのルーメンのそれぞれのルーメンと流体連通しており、2つのシリンジの作動により、1つ以上の流体が2つのルーメンを通して流れる。薬剤送達装置は、2つのシリンジを挿入部に固定するコネクタ要素を更に備えることができ、チューブは可撓性である。1つ以上のルーメンは、チューブの遠位面から遠位方向にそれぞれ延びる2つのルーメンを含んでもよく、2つのルーメンの長手方向軸線が、1つ以上の流体が衝突面に接触する前に、出口から分注された1つ以上の流体の混合を引き起こすように交差している。1つ以上の流体は、薬剤の2つの異なる成分を含むことができる。遠位衝突構造体は、J字形ワイヤを備えることができる。チューブは、3.8mm未満の直径を有することができる。
【0006】
薬剤送達装置はまた、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。薬剤送達装置の遠位衝突構造体は、チューブの遠位端部を衝突面に接続する底面を更に備えることができる。衝突面と1つ以上のルーメンのそれぞれの長手方向軸線とは、45度~160度の角度を形成することができる。遠位衝突構造体は、衝突面から遠位方向に延び、底面と実質的に平行である上面と、上面から延び、衝突面と実質的に平行である、遠位方向を向いた面とを含み得る。薬剤送達装置は、底面とは反対側にある衝突面の縁から延びる遠位方向を向いた面を更に備えることができ、その遠位方向を向いた面は、底面の平面と実質的に垂直である。底面はまた、1つ以上のルーメンの長手方向軸線と実質的に平行な方向に延びる1つ以上の円筒形ロッドからなることができる。1つ以上の出口から分注された1つ以上の流体は、衝突面及び上面の上に流体流れを形成し得る。
【0007】
本開示の別の態様によれば、薬剤送達装置が、薬剤送達装置の近位端部にあり、1つ以上の流体を収容する1つ以上の薬剤容器と、1つ以上の薬剤容器の近位端部に接続された可撓性挿入チューブであって、少なくとも1つの送達ルーメン及び第2のルーメンを画定し、1つ以上の流体が薬剤容器から少なくとも1つの送達ルーメンに流れて少なくとも1つの送達ルーメンの1つ以上の出口から出ることができるように、薬剤容器に結合された、可撓性挿入チューブと、近位端部が第2のルーメンの遠位端部に取り付けられ、遠位端部に衝突面を画定する第1の衝突ワイヤであって、衝突面が、1つ以上の出口から分注された1つ以上の流体に衝突するように少なくとも1つの送達ルーメンに対して配置された、第1の衝突ワイヤと、を備える。
【0008】
薬剤送達装置は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。衝突面は、少なくとも1つの送達ルーメンの長手方向軸線を横切ることができる。薬剤容器は、2つの容器を含み、少なくとも1つの送達ルーメンは、薬剤容器のそれぞれ1つと流体連通してそれぞれ配置される一対のルーメンを含むことができる。薬剤送達装置は、近位端部が第3のルーメンの遠位端部に取り付けられ得る第2の衝突ワイヤを含むことができ、第2の衝突ワイヤは、第2の衝突ワイヤの遠位端部に配置され、1つ以上の出口から分注された1つ以上の流体に衝突するように一対のルーメンの1つに対して配置された、第2の衝突面を含むことができる。
【0009】
本開示の別の態様によると、薬剤を治療部位に送達するための方法が、薬剤送達装置の遠位先端において、2つ以上のルーメンから噴出された2つ以上の流体薬剤成分を受けることと、遠位先端において、2つ以上の流体薬剤成分に衝突することと、薬剤成分が2つ以上のルーメンから噴出された後に、遠位先端に近接して、2つ以上の流体薬剤成分を組み合わせることと、組み合わされた薬剤成分に治療部位を被覆させることと、を含む。
【0010】
開示する実施形態の追加の目的及び利点は、以下の説明において部分的に記載され、説明から部分的に明らかになるか、又は開示する実施形態の実践によって習得することができる。開示する実施形態の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘する要素及び組み合わせによって実現及び達成される。
【0011】
前述の一般的な説明及び以下の「発明を実施するための形態」は両方とも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるように、本開示を限定するものでないことが理解され得る。
【0012】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の例示的な態様を示し、説明とともに本開示の原理を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の態様による、近位端部と、可撓性挿入部と、遠位衝突構造体を含む遠位端部とを含む、例示的な医療装置の斜視図。
図2】本開示の態様による、近位端部と、可撓性挿入部と、遠位衝突構造体を含む遠位端部とを含む、例示的な医療装置の斜視図。
図3】本開示の態様による遠位衝突構造体の上面図。
図4】本開示の態様による、図3の遠位衝突構造体の側面図。
図5】本開示の態様による、出口高さを特徴とする遠位衝突構造体の別の例示的な実施形態の側面図。
図6】本開示の態様による、円筒形ロッドからなる底面を含む遠位衝突構造体の更なる例示的な実施形態の側面図。
図7】本開示の態様による、交差軸線を有するルーメンを含む遠位衝突構造体の別の例示的な実施形態の上面図。
図8】本開示の態様による、スプレー角度を有する遠位衝突構造体の例示的な実施形態の側面図。
図9A】本開示の態様による、遠位衝突構造体の様々な実装形態の側面図。
図9B】本開示の態様による、遠位衝突構造体の様々な実装形態の側面図。
図9C】本開示の態様による、遠位衝突構造体の様々な実装形態の側面図。
図9D】本開示の態様による、遠位衝突構造体の様々な実装形態の側面図。
図10】本開示の態様による、出口と平行な衝突面を有する衝突ワイヤを備える遠位衝突構造体の例示的な実施形態の斜視図。
図11】本開示の態様による、出口に対して傾斜した衝突面を有する衝突ワイヤを備える別の遠位衝突構造体の例示的な実施形態の斜視図。
図12】本開示の態様による、2つの出口と、出口に面する衝突面を有する2つの衝突ワイヤとを備える、更なる遠位衝突構造体の例示的な実施形態の斜視図。
図13】本開示の態様による、治療部位に薬剤を送達する例示的な方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の態様は、例えば、標的組織部位を更なる組織分解から保護するための、それらの部位におけるマルチパート薬剤の適用に関する。いくつかの予防薬は、標的組織部位に効果的に付着するために複数の部分を含む。そのようなマルチパート薬剤を送達するための現在の装置及び方法は、限られている。有効な治療の選択肢及びツールがないため、標的治療部位に薬剤を適用して、それらの部位を更なる組織分解から保護する必要がある。いくつかの薬剤(例えば、特定の予防薬)は、標的組織を治癒することができるように、又は標的組織に付着したままであるように、複数のパートを必要とすることがある。送達される多くの薬剤はまた、感光性硬化(すなわち光硬化)等の二次的硬化手段が実装されない限り、カテーテル内で潜在的に硬化することもある。薬剤を送達するためのカテーテルはまた、内部での薬剤の硬化に起因して、重大な詰まりの問題を有することもある。
【0015】
本開示の諸態様は、対象(例えば患者)内の標的組織部位に薬剤を送達するための装置及び方法を含む。本開示の例は、マルチパート薬剤を標的組織部位に付着させるための装置及び方法を更に含む。いくつかの態様では、送達は、遠位衝突構造体を使用して、2パート薬剤を混合し、標的組織部位に適用することを含む。薬剤の送達及び配置は、生来の開口を介してGI管に挿入されたカテーテル、スコープ(内視鏡、気管支鏡、結腸鏡等)、チューブ又はシースを介することができる。開口は、例えば、鼻、口又は肛門であることができ、配置は、食道、胃、十二指腸、大腸又は小腸を含むGI管の任意の部分であることができる。送達及び配置はまた、GI管、任意の他の生来の開口若しくは体管、又は身体切開部を介して到達可能な他の体腔内又は器官内であることもできる。
【0016】
ここで、本開示の態様を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同じ又は同様の部分を指すために、図面を通して同じ又は同様の参照番号を使用する。「遠位」という用語は、装置を患者に導入するときにユーザから最も遠い部分を指す。対照的に、「近位」という用語は、装置を対象内に配置するときにユーザに最も近い部分を指す。本明細書で使用する場合、用語「備える/からなる(comprises)」、「備えている/からなる(comprising)」、又はそれらの任意の他の変形は、要素の列挙を含むプロセス、方法、物品又は装置が、必ずしもそれらの要素のみを備えるのではなく、明示的に列挙していない、又はそのようなプロセス、方法、物品若しくは装置に固有の、他の要素を含み得るように、非排他的な包含をカバーするよう意図されている。「例示的」という用語は、「理想的」という意味でなく、「例」という意味で使用する。本明細書で使用する場合、「約」、「実質的に」及び「およそ」という用語は、述べられた値の+/-10%以内の範囲の値を示す。
【0017】
本開示の例は、様々な医療処置を行う、かつ/又は大腸(結腸)、小腸、盲腸、食道、胃腸管の任意の他の部分及び/若しくは任意の他の好適な患者の解剖学的構造(本明細書では「標的治療部位」と総称する)の部分を治療するための装置及び方法に関し得る。本明細書で説明する様々な例は、単回使用すなわち使い捨ての医療装置を含む。ここで、上で説明し、また添付の図面に示す本開示の例を詳細に参照する。可能な限り、同じ又は同様の部分を指すために、図面を通して同じ参照番号を使用する。
【0018】
図1及び図2は、本開示の例による医療装置10(例えば薬剤送達装置)を示す。医療装置10は、近位端部12、可撓性挿入部20及び遠位端部30を含む。近位端部12は、1つ以上の薬剤容器、例えばシリンジ24を含むことができ、各シリンジは、プランジャフランジ13、バレルフランジ11、バレル16、シール19及びノズル18を備える。1つ以上の薬剤容器はそれぞれ、ノズル18から可撓性挿入部20内に分散可能である薬剤成分17A、17Bを収容する。この実施形態に関しては例示としてシリンジを開示しているが、薬剤成分を収容し、ユーザによる作動時に薬剤成分を送達するための同様の構造を有する他の薬剤容器も、本開示の範囲内であると考えられる。いくつかの実施形態では、薬剤成分は、予防薬の2つのパートのうちの一方であり、各シリンジ24は、予防薬の各パートのうちの1つを収容する。薬剤成分17A、17Bは、別々の個々の組成物であることができるが、いくつかの実施形態では、薬剤成分17A、17Bは同じ薬剤成分であってもよい。更に、より少ない薬剤成分、又は、例えば、薬剤成分17C、17Dを有する等、追加の薬剤成分を医療装置10に組み込むことができる。
【0019】
可撓性挿入部20は、可撓性チューブ23と、可撓性挿入部の近位端部から遠位端部まで薬剤成分17A、17Bを輸送するための、可撓性挿入部20内に収容されたルーメン14と、ノズル18とルーメン14との間の流体連通を維持するための、ノズル18とルーメン14との間のコネクタ21とを備える。コネクタ21は、シリンジ24(薬剤容器)の遠位端部及び可撓性チューブ23の近位端部に、例えば、接着剤、熱収縮、スナップ嵌め接続、ねじ結合、圧着接続等によって固定されるように構成され得る。ルーメン14は、ノズル18と流体連通する可撓性チューブの近位端部から遠位端部まで、可撓性チューブ23を通って延びることができる。本開示を通してルーメンについて説明するが、可撓性挿入部20は、独立したカテーテル、ニードル、カニューレ、共押出成形品、及び/又は薬剤成分を輸送するための2つ以上のルーメン押出成形品等、任意の別々の可撓性チャンバを備えてもよい。いくつかの実施形態では、可撓性挿入部20を通して少なくとも2つの薬剤成分が輸送される。追加の実施形態において、可撓性挿入部20は、内視鏡処置中に、身体の外側にある医療装置の近位端部から身体内の治療部位まで薬剤成分を輸送するのに十分な長さである。可撓性挿入部20は、生来の開口を介してGI管に挿入され得る。開口は、例えば、鼻、口又は肛門であることができ、配置は、食道、胃、十二指腸、大腸又は小腸を含む、GI管の任意の部分であることができる。送達及び配置はまた、GI管、任意の他の生来の開口若しくは体管又は身体切開部を介して到達可能な、他の体腔内又は器官内であることができる。
【0020】
図1及び図2を更に参照すると、医療装置10の遠位先端には、遠位衝突構造体34がある。遠位衝突構造体34は、ルーメン14と流体連通する出口32を備え得る。遠位衝突構造体34の近位端部は、例えば、接着剤、熱収縮、スナップ嵌め接続、ねじ結合、圧着接続等により、可撓性チューブ23の遠位端部に固定されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、遠位衝突構造体は、ルーメン14に接続されてもよく、又はルーメン14の一体部分であってもよく、その例について、図10図12に提示しており、以下で更に説明する。
【0021】
シリンジ24のプランジャ15を作動させると、シール19により、薬剤成分17A、17Bがノズル18からルーメン14の入口22に分注される。シリンジ24は、薬剤成分17A、17Bを同時にかつ/又は連続して分注するように作動され得る。本明細書ではシリンジについて説明するが、薬剤成分を保持し、薬剤成分をルーメン14に送達するためのあらゆる薬剤容器が本開示内であると考えられる。薬剤成分17A、17Bは、その後、出口32を介してルーメン14から流出する。次いで、薬剤成分17A、17Bの流れは、遠位衝突構造体34に接触する。薬剤成分17A、17Bの流れ及び遠位衝突構造体34の構造により、薬剤成分が環境(例えば空気)中で混合され、組み合わされた薬剤42が治療部位40を被覆する。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のルーメンを使用して、圧縮ガス、液体又は他の薬剤を表面に適用することができる。いくつかの実施形態では、第3のルーメンを使用して圧縮ガスを運ぶことができ、圧縮ガスは、遠位先端に及んで、薬剤成分17A、17Bの放出部分に更なる速度を加えることができる。いくつかの実施形態では、遠位衝突構造体34は、遠位先端において薄い分離壁を有しながら、角度形成によって遠位ルーメンを合流させることを含むことにより、薬剤部分を混合するように適合され得る一方、2つの流れは、カテーテルの外側の空気中で合流する。適合は加えて、薬剤を更に混合、ミスト化及び/又は霧化するための開閉器を含むことができる。
【0022】
治療部位40は、例えば、潰瘍、瘻孔、又は粘膜、粘膜下層、又は全層欠損等の標的組織であってもよい。いくつかの実施形態において、図2に示すように、第3の薬剤成分17Cが治療部位に予め適用されることができ、それにより、上で説明したような、組み合わされた薬剤の治療部位への被覆により、より速い若しくはより効率的な治癒又は追加の予防効果がもたらされる。追加の実施形態において、薬剤成分17Cを適用する前に、治療部位40では、他の治療手段による有機物又は化学残留物(例えば、剥離剤、染料、粘膜粘液、血液及び損なわれた組織)等の汚染物質を洗い流すことができる。表面を整えるために、ルーメン14の1つ、又は追加のルーメン若しくは装置が、標的部位へと延ばされ、粘膜、粘膜下層又は筋肉層を整えるように適合され得る。追加のルーメンは、ノズル、ジェットニードル及び/又は霧化器先端を含むことができ、ミストを放出することができる。
【0023】
薬剤成分17A、17Bは、体内の組織部位に適用される任意の薬剤又はその成分であってもよい。例えば、薬剤成分17A、17Bは、GI管内に保護被覆を提供する粘着性及び生体接着性の基質を形成することができる。この目的での薬剤成分の例として、多糖類(例えば、キトサン、セルロース、アルギン酸塩等)、ポリ(エチレンオキシド)(「PEO」)、ポリ(エチレングリコール)(「PEG」)及びデキストランを挙げることができる。別の例として、薬剤成分17A、17Bは、穿孔、縫合糸、切り取られた組織等のための保護被覆又はシールを提供することができる。この目的での薬剤成分の例として、ポリアミドアミン(「PAMAM」)、ポリリジン、酸化多糖類及びポリウレタンを挙げることができる。
【0024】
図3は、図1に示す装置のような医療装置の遠位先端に配置された遠位衝突構造体34の上面図である。いくつかの実施形態では、遠位衝突構造体34は、底面50と、可撓性チューブ23の遠位面25に面する衝突面51と、上面52とを含む。ルーメン14は、可撓性チューブ23を通して薬剤成分17A、17Bを運ぶ。ルーメン14は、薬剤成分17A、17Bを分注するための出口32を可撓性チューブ23の遠位面25に含む。図3に示すような遠位面25は、可撓性チューブ23の平らな、遠位方向を向いた部分断面であるが、任意の好適な形状であってもよい。遠位面25は、薬剤成分を遠位衝突構造体34に送達するために、ルーメン、ノズル、出口又は他の同様の構造を通過させるように構成される。底面50は、図3に示すように長方形の形状であるが、任意の他の好適な形状又は寸法を有することができる。衝突面51は、図3に示すように縁が面取りされた又は湾曲した長方形の形状であることができ、又は薬剤成分17A、17Bの流れに衝突するための任意の他の好適な形状を有することができる。例えば、ホタテ貝形切欠き形状又は谷形状の衝突面51により、狭いスプレープルームが生成され、このことは、スプレー方向を定めるために更に有益であり得る。上面52は、図3に示すように、平らであることができ、若しくは湾曲していてもよく、かつ部分的に円筒形であることができ、又は任意の好適な形状を有することができる。いくつかの実施形態において、薬剤成分17A、17Bは十分な速度で出口32から分注され、薬剤成分17A、17Bの一部が底面50、衝突面51及び/又は上面52の上に1つ以上の流れを形成する。いくつかの実施形態において、薬剤成分17A、17Bの相当な部分が、治療部位への適用前に衝突面51のみに接触する。他の実施形態では、薬剤成分17A、17Bの一部が、底面50、衝突面51及び上面52を横切って流れる。ルーメン14、出口32、底面50、衝突面51及び上面52は、薬剤成分17A、17Bが混ざり合って、治療部位に適用される組み合わされた薬剤42を生成するように構成される。この実施形態の遠位衝突構造体34により、流れが衝突面51に接触した後の混合が著しく高まる。例えば、図3に更に示すように、薬剤成分17A、17Bの2つの別々の流れが出口32から出て、衝突面51に接触する。接触後に、流れは半径方向及び遠位方向に向けられ、例えば、流れは2つの速度成分を有し、第1の速度成分が遠位方向に標的治療部位に向かい、第2の速度成分がルーメン14の軸線から半径方向に離れる。流れが衝突構造体から更に離れるにつれて、エネルギーの方向転換及び消散により、流れが拡散される。流れを混合することに加えて、流れが拡散するにつれて、薬剤成分17A、17Bの要素が、中心で混ざり合い、流れの収束及び混合をもたらし、最終的に、治療部位に適用される組み合わされた薬剤42をもたらす。
【0025】
図4は、図3の遠位衝突構造体34の側面図である。遠位衝突構造体34は、底面50と、可撓性チューブ23の遠位面25に面する衝突面51と、上面52と、外面55と、衝突面角度57とを含み得る。図3と同様に、遠位面25は、薬剤成分を遠位衝突構造体34に送達するために、ルーメン、ノズル、出口又は他の同様の構造体を通過させるように構成される、可撓性チューブ23の平らな部分断面であることができる。底面50は、図4に示すように、実質的に平らかつ長方形の形状であってもよいが、任意の他の好適な形状又は寸法を有することができる。衝突面51は、図4に示すように縁が面取りされた若しくは湾曲した長方形の形状であることができ、又は薬剤成分17A、17Bの流れに衝突するための任意の他の好適な形状を有することができる。上面52は、図4に示すように部分的に円筒形であることができ、又は任意の好適な形状を有することができる。いくつかの実施形態では、外面55は、衝突面51と平行であってもよい。衝突面51は衝突面角度57を有し、衝突面角度とは、衝突面の、遠位衝突構造体34の底面50によって画定された平面に対する角度である。いくつかの実施形態では、衝突面角度は、出口32又はその付近で取られたルーメン14の長手方向軸線に対する衝突面51の角度であってもよい。衝突面角度57は、薬剤成分17A、17Bの流れが衝突面51に衝突し、成分17A、17Bを組み合わせて、標的組織に適用される組み合わされた薬剤42にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、衝突面角度57は、45度~160度であってもよい。追加の実施形態では、可撓性チューブの直径は3.8mm未満である。更なる実施形態では、出口32と衝突面51との間の距離は3mm未満である。他の実施形態では、遠位面25から上面52の最も近い部分までの距離は3mm未満である。いくつかの実施形態では、出口32のそれぞれの中心の間の距離は0.1~3.8mmであってもよい。
【0026】
図5は、図1に示すような医療装置と共に使用するための遠位衝突構造体34の代替的な実施形態の側面図である。遠位衝突構造体34は、可撓性チューブ23の遠位端部と、ルーメン14と、出口32と、底面50と、衝突面51と、外面55と、出口高さ61とを含み得る。出口高さ61は、底面50の平面からルーメン14及び/又は出口32までの距離であることができる。いくつかの実施形態では、出口高さ61は、底面50と出口32の底部との間のおよその距離である。出口高さ61は、表面張力によって生じ得る底面50上での材料の残留撹拌(residual puddling)を低減するように構成される。いくつかの実施形態では、出口高さは、薬剤成分17A、17Bのうち底面50に接触する部分を低減させる一方で、薬剤成分17A、17Bのうち衝突面51に接触する部分を増加させるために選択される。いくつかの実施形態では、出口高さは0.025mm~3.8mmである。
【0027】
図6は、図1に示すもののような医療装置で使用するための遠位衝突構造体34の代替的な実施形態の側面図である。遠位衝突構造体34は、可撓性チューブ23の遠位面25に面する衝突面51と、外面55と、円筒形ロッド65とを含み得る。円筒形ロッド65は、可撓性チューブ23を衝突面51に接続することができ、薬剤成分17A、17Bの一部が円筒形ロッド65の間又は周囲を流れ得るように構成される。いくつかの実施形態では、出口32は、表面張力によって生じ得る円筒形ロッド上での流体の残留撹拌を低減するために、円筒形ロッド65の間の間隙の真上に配置される。いくつかの実施形態では、円筒形ロッド65は、互いに平行であってもよく、かつ/又はルーメン14と平行であってもよい。円筒形ロッド65は更に、剛性であってもよい。円筒形ロッド65はまた、ルーメン14が遠位面25から延びるよりも遠くまで、遠位面25から延びることもできる。いくつかの実施形態では、円筒形ロッド65は、図6に示すように、合計で2つの円筒形ロッドを含み得る。円筒形ロッドは更に、円形断面を有することができる。
【0028】
図7は、図1に示すもののような医療装置と共に使用できる別の遠位衝突構造体34の例示的な実施形態の上面図である。遠位衝突構造体34は、可撓性チューブ23と、ルーメン14と、出口32と、底面50と、衝突面51とを含み得る。ルーメン14は更に、交差する長手方向軸線を有することができる。軸線は、衝突面51又はその付近で交差することができる。ルーメン14は、薬剤がルーメン14の出口32から拡散されるにつれて薬剤成分17A、17Bの混合を促すように構成され、組み合わされた薬剤42の治療部位への適用をもたらす。いくつかの実施形態では、ルーメンは、流れが、衝突面51に接触する前に互いに実質的に接触しないように構成される。
【0029】
図8は、図1に示すもののような医療装置と共に使用するための遠位衝突構造体34の例示的な実施形態の側面図である。遠位衝突構造体34は、可撓性チューブ23の遠位端部と、ルーメン14と、出口32と、底面50と、衝突面51と、外面55とを含んでもよく、スプレー角度71を生成するように更に構成され得る。スプレー角度71は、薬剤成分17A、17Bの一部が底面50の平面に対して流れる角度である(この場合、その平面は、出口32又はその付近で各ルーメン14の長手方向軸線と平行である)。いくつかの実施形態では、スプレー角度71は、薬剤成分17A、17Bの相当な部分又は大部分が底面50の平面に対して流れる角度である。スプレー角度71は、(図4に示す)衝突面角度57によって少なくとも部分的に決定される。
【0030】
図9A図9Dは、遠位衝突構造体34の追加例の側面図である。例えば、衝突面51、上面52及び外面55は、図9Aに示すように構成され得る。図9Aに更に示すように、上面52及び外面55は、薬剤成分17A、17Bの一部が衝突面51、上面52及び外面55の上を流れやすくするために、丸みを帯びた上縁を有するようにフィレット加工又は面取りすることができる。上面52は、平らであってもよく、ルーメン14及び/又は底面50の軸線と実質的に平行であってもよい。このことは、用途/使用に応じて望ましい場合もあり、望ましくない場合もある。図9Bに関して、上面52及び外面55は、外面55が衝突面51と実質的に平行であり(従って、遠位方向及び半径方向外向きに面し)、外面55の周囲における薬剤成分17A、17Bの流れが低減するように構成され得る。図9Bの上面52は、図9Aの上面よりも実質的に短くてもよく、更に、上面52と外面55との間に面取りがなく、それにより、2つの面の間に縁を画定することができる。図9Cに関して、衝突面51は、例えば、上面52を含まずに、外面55と直接相互作用するように構成され得る。代わりに、衝突面51と外面55は、ルーメン14の軸線を横切る(例えば、垂直である)縁で出会う。加えて、図9Cの外面55は、底面50の平面及びルーメン14の軸線と実質的に垂直であり、これにより、外面55の上の薬剤成分17A、17Bの流れが更に低減する。図9Dに反映されたまた別の実施形態において、衝突面51及び外面55は、底面50の平面(及び/又はルーメン14の軸線)に対して異なる角度で構成されてもよく、それにより、外面55の上の薬剤成分17A、17Bの流れを無くすか又はほぼ無くすことができる。例えば、上面52は省略することができ、衝突面51と外面55は縁で出会うことができる。衝突面51と外面55との間の縁は、ルーメン14の軸線を横切る(また、いくつかの実施形態では、垂直である)。底面50及びルーメン14の長手方向軸線に対する衝突面51の角度は、底面50及びルーメン14の長手方向軸線に対する外面55の角度よりも大きくてもよい。外面55は更に、遠位方向及び半径方向外向きに面することができる。
【0031】
図10は、本開示の例による別の例示的な遠位衝突構造体の斜視部分断面図を示す。遠位衝突構造体1034は、ノズル1020と、可撓性チューブ1023と、出口1032と、衝突面1051と、衝突ワイヤ1055とを備える。ルーメン1014は、組み合わされた薬剤1042を可撓性チューブ1023を通して送達し、ルーメン1014の遠位端部に固定されたノズル1020の出口1032を介して組み合わされた薬剤1042を噴出するように構成される。ルーメン1014は、カテーテル内、ニードル内、カニューレ内、共押出成形品内、及び/又は薬剤成分を輸送するための2つ以上のルーメン押出成形品内の任意のチャンバを備えることができる。組み合わされた薬剤1042の供給源は、ルーメン1014の近位にあってもよい。その供給源は、薬剤成分17A、17Bを運ぶマルチルーメンカテーテル、薬剤成分17A、17Bを提供するためのシリンジ(又は他の薬剤容器)等、図1図9Bに示す実施形態の要素を含む、そのような薬剤を送達する任意の好適な供給源であってもよい。ルーメン1015は、その遠位端部で、衝突ワイヤ1055の近位端部を保持するように構成される。いくつかの実施形態では、衝突ワイヤ1055は、ルーメン1015の遠位端部に取り付けられるか又は固定される。衝突ワイヤ1055は、図10に示すような円形の断面形状を有するJ字形ワイヤであってもよく、又は他の形状(U字形、L字形等)及び/若しくは断面形状(楕円形、正方形、長方形等)を有することができる。衝突ワイヤ1055はまた、衝突面1051も含む。衝突面1051は、出口1032のサイズ及び形状に一致するように構成されてもよく、又は出口1032よりも直径が大きく若しくは小さくなるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、衝突面1051は、出口1032と整合するように配置されてもよい。出口1032で噴出された組み合わされた薬剤1042は、組み合わされた薬剤1042の治療面1040への適用のために表面1051に衝突する。いくつかの実施形態では、衝突面1051は、出口1032の平面と平行であり、それにより、組み合わされた薬剤1042を治療部位に適用するためにドーナツ(環状)形状のスプレーが生成される。衝突ワイヤ1055は、金属、ガラス、プラスチック、ポリマー等を含むがこれらに限定されない、任意の好適な材料からなることができる。
【0032】
図11は、本開示の例による遠位衝突構造体1134の別の斜視部分断面図を示す。遠位衝突構造体1134は、衝突面1151が楕円形であり、スプレーを半径方向に出口1032から離してより良好に導くために出口1032の平面に対して傾斜して設けられることを除いて、図10の遠位衝突構造体1034と同一である。
【0033】
図12は、遠位衝突構造体1234の例示的な実施形態の追加の斜視部分断面図を示す。遠位衝突構造体1234は、ノズル1220と、出口1232と、衝突面1251と、衝突ワイヤ1255とを備える。対をなすルーメン1214が、可撓性チューブ1223を通して薬剤成分1217A、1217Bを送達し、ルーメン1214の遠位端部に固定されたノズル1220の出口1232を介して薬剤成分1217A、1217Bを噴出するように構成される。ルーメン1214は、カテーテル内、ニードル内、カニューレ内、共押出成形品内、及び/又は薬剤成分を輸送するための2つ以上のルーメン押出成形品内の任意のチャンバを備えることができる。ルーメン1215は、それらの遠位端部で、衝突ワイヤ1255の近位端部を保持するように構成される。衝突ワイヤ1255は、図12に示すような円形の断面形状を有するJ字形であってもよく、又は他の形状(U字形、L字形等)及び/若しくは断面形状(楕円形、正方形、長方形等)を有することができる。衝突ワイヤ1055はまた、衝突面1051も含む。衝突面1051は、出口1032のサイズ及び形状に一致するように構成されてもよく、又は出口1032よりも直径が大きく若しくは小さくなるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、衝突面1051はまた、出口1032と整列するように構成され得る。出口1232で噴出された薬剤成分1217A、1217Bは、空気中での混合を促すように衝突面1251に衝突し、それにより、組み合わされた薬剤1242が治療部位1240に適用される。いくつかの実施形態では、衝突面1251は、出口1032の平面に対して傾斜して設けられる。いくつかの実施形態では、衝突面1251は、薬剤成分スプレーを出口1232から離して導くように傾斜させることができる。接着剤の場合、これにより、ノズル1220及び出口1232を通る流れが詰まったり、妨げられたりする可能性が低減する。いくつかの実施形態では、ルーメン1014とノズル1220と出口1232は、薬剤成分1217A、1217Bの流れの均一な混合を促すために、近位にあり、互いに実質的に平行であってもよい。いくつかの実施形態では、衝突ワイヤ1255は、材料を実質的に均一な円形状で治療部位1240に適用するために、互いに鏡像であり、同一の形状、断面形状及び衝突面1251を有することができる。他の実施形態では、衝突ワイヤ1255は、治療部位での異なる適用プロファイルを達成するために、異なる形状、断面形状及び/又は衝突面1251を有することができる。
【0034】
図13は、本開示の態様による、治療部位に薬剤を送達する例示的な方法を示すフローチャートを示す。ステップ1305において、図1図12に関して上で説明した遠位先端等、薬剤送達装置の遠位先端が、2つ以上のルーメンから噴出された2つ以上の流体薬剤成分を受ける。ステップ1310において、遠位先端は、図1図12に関して上で説明したように、2つ以上の流体薬剤成分に衝突する。ステップ1315において、遠位先端に近接して、2つ以上の流体薬剤成分は、薬剤成分が2つ以上のルーメンから噴出された後に組み合わせられる。ステップ1320において、図1図12に関して上で説明したように、組み合わされた薬剤が治療部位を被覆する。
【0035】
前述のシステム、装置、アセンブリ及び方法はそれぞれ、薬剤の1つ以上の成分を治療部位に送達することにより、治療部位を保護及び/又は治療するために使用することができる。薬剤を部分的に送達するための複数のルーメンを医療装置に設け、ルーメンから薬剤を分注した後に遠位先端衝突構造体を使用して成分を混合することにより、侵襲的外科処置並びに/又はカテーテルの早期硬化及び詰まりに関連する既知の問題が回避される。従って、医師は、全体的な処置時間を短縮し、処置の効率を高めることができ、かつ/又は胃腸(GI)管の内視鏡及び切開外科処置から生じ得る穿孔、手術後漏出又は他の創傷を治療するための他のツール/装置の限定された能力によって生じる、対象の身体への不要な危害を回避することができる。
【0036】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示した装置及び方法において様々な変更及び変形を行い得ることが当業者には明らかであろう。本開示の他の態様は、本明細書の考察及び本明細書に開示する特徴の実践から当業者には明らかであろう。明細書及び例が例示にすぎず、本開示の真の範囲が以下の特許請求の範囲及びその均等物によって示されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】