(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】頭蓋固定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 90/14 20160101AFI20230915BHJP
A61B 90/11 20160101ALI20230915BHJP
【FI】
A61B90/14
A61B90/11
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515387
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2020075003
(87)【国際公開番号】W WO2022053123
(87)【国際公開日】2022-03-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130426
【氏名又は名称】ブレインラボ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】フリーリングハウス,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】シュトップ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ホフベルガー,シュテファン
(57)【要約】
本発明は、支柱取付アダプタ(1)および固定支柱(2)を含む頭蓋固定システムに関する。支柱取付アダプタ(1)は、固定支柱(2)を患者の頭蓋(14)に剛性的に連結される頭蓋孔ベース部材(13)に連結するために適している。支柱取付アダプタ(1)は、支柱取付アダプタ(1)を頭蓋孔ベース部材(13)に固定的に接続するため、対応するように形成された頭蓋孔ベース部材(13)と係合するように構成された1つ以上の係合部材を有する第1の接続部を含む。支柱取付アダプタ(1)は、支柱取付アダプタ(1)を固定支柱(2)に接続するために、固定支柱(2)の対応するように形成された接続部(6)と係合するように構成された第2の接続部(5)と、支柱取付アダプタ(1)を通って延び、第1の接続部において第1の通路開口を有すると共に、対向する第2の通路開口を有する通路(7)と、をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱取付アダプタ(1)および固定支柱(2)を含む頭蓋固定システムであって、支柱取付アダプタ(1)は、
支柱取付アダプタ(1)を剛構造に固定的に接続するために、対応するように形成された剛構造と係合するように構成された1つ以上の係合部材(4)を有する第1の接続部(3)と、
支柱取付アダプタ(1)を固定支柱(2)に接続するために、固定支柱(2)の、対応するように形成された接続部(6)と係合するように構成された第2の接続部(5)と、
支柱取付アダプタ(1)を貫通して延び、第1の接続部(3)における第1の通路開口部(8)と、対向する第2の通路開口部(9)とを有する通路(7)と、を含む頭蓋固定システム。
【請求項2】
前記1つ以上の係合部材(4)は、摩擦嵌め接続を確立するように構成されており、特に、前記1つ以上の係合部材(4)は、ねじ部を含んでいる、請求項1に記載の頭蓋固定システム。
【請求項3】
前記1つまたは複数の係合部材(4)は、形状嵌め接続を確立するように構成されており、特に、前記1つまたは複数の係合部材(4)は、弾性的に変形可能であり、および/またはアンダーカット部分(10)を含んでいる、請求項1に記載の頭蓋固定システム。
【請求項4】
前記1以上の係合部材(4)は、前記支柱取付アダプタ(1)の前記第1の接続部(3)から突出している、請求項1から3のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項5】
前記1つ以上の係合部材(4)は、前記通路(7)の周りに配置され、特に対称的に配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項6】
前記固定支柱(2)の前記第2の接続部(5)および前記対応するように形成された接続部(6)は、前記支柱取付アダプタ(1)および前記固定支柱(2)の相対位置の予め定められた範囲内で互いに係合させることができるように構成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項7】
前記固定支柱(2)の前記第2の接続部(5)および前記対応するように形成された接続部(6)のうちの少なくとも1つは、前記支柱取付アダプタ(1)および前記固定支柱(2)の位置を互いに対して固定するために適したロック機構(11)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項8】
前記第2の接続部(5)は、前記第1の通路開口部(8)と前記第2の通路開口部(9)との間に配置され、特に、前記第2の接続部(5)と前記通路(7)とは、互いに対して同心状に配置される、請求項1から7のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項9】
前記第2の接続部(5)は、少なくとも断面に関して凸面、特に球状リング面を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項10】
前記第1の接続部(3)と前記第2の接続部(5)は、実質的に反対の方向において、それぞれ剛構造および前記固定支柱(2)と係合させられるように構成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項11】
前記第1の接続部(3)、および
前記固定支柱(2)の前記接続部(6)を伴う前記第2の接続部(5)、
のうちの少なくとも1つは、スナップイン機構として構成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の頭蓋装具システム。
【請求項12】
前記第1の接続部(3)および/または前記第2の接続部(5)は、それぞれ対応するように形成された剛構造および前記固定支柱(2)の前記接続部(6)に解放可能に係合するように構成され、および/または、前記第2の接続部(5)は、前記固定支柱(2)の前記接続部(6)に調整可能に係合するように構成される、請求項1から11のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項13】
前記支柱取付アダプタ(1)および前記固定支柱(2)のうちの少なくとも1つは、前記固定支柱(2)を介して剛構造に印加される所定の負荷で変形または破断するために適した専用の過負荷保護部(12)を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項14】
前記剛構造は、患者の頭蓋(14)に剛性的に接続するために適しており、アクセス通路(15)と、該アクセス通路(15)を閉塞する対応するように形成された頭蓋孔カバーと解放可能に係合するように構成された接続部とを含む頭蓋孔ベース部材(13)によって構成され、特に、頭蓋固定システムはこのような頭蓋孔ベース部材(13)を含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【請求項15】
前記1つ以上の係合部材(4)は、前記頭蓋孔ベース部材(13)の接続部と解放可能に係合するように構成されている、請求項1から14のいずれか1項に記載の頭蓋固定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の頭蓋を医療器具に対して所望の空間位置に保持するための固定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の頭部に行われる外科的処置、例えば、患者の脳に深部脳刺激(DBS)電極を配置することを含む神経外科的処置の場合、患者の頭部に対して器具及びインプラントを保持または案内するために用いられる医療器具に対して、患者の頭部が静的な空間位置に留まることが、処置の成功のための基本要件である。
【0003】
患者の頭部を固定された空間位置に保持するための以前のアプローチは、患者の頭蓋骨に係合し、重い移動式台車に接続されるいくつかのピンを有するU字型ヘッドクランプの使用をしばしば伴う。しかしながら、そのような台車は嵩張り、したがって面倒であるとともに取り扱いが困難である。
【0004】
さらに、米国特許公開第2016/30631号および国際公開第2020/020432号は、複数の調節可能な脚部を介して患者の頭蓋骨に接続し、患者の頭部に対して軌道に沿って細長い医療装置を案内するように適合されたシステムを提案している。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、外科用器具およびインプラントを保持または案内するための医療器具に患者の頭蓋を剛性的に接続し、患者の頭蓋とこれらの器具との間の空間的相対位置を維持する、使いやすく安価なシステムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、患者の頭部に行われる外科的処置、例えば深部脳刺激手術の文脈で使用することができ、ブレインラボ社(Brainlab AG)の製品であるCirq(登録商標)などの高精度位置決め用支持システムの使用を伴うこともあり得る。
【0007】
以下に、本発明の態様、例および例示的なステップ、並びにそれらの実施形態が開示される。本発明の様々な例示的な特徴は、技術的に有利かつ実現可能である限り、本発明に従って組み合わせることができる。
【0008】
(本発明の例の簡単な説明)
本発明は、支柱取付アダプタおよび固定支柱を含む頭蓋固定システムに関する。支柱取付アダプタは、患者の頭蓋に剛性的に接続される頭蓋孔ベース部材に固定支柱を接続するように構成され、一方、固定支柱は、外科用器具およびインプラントを保持または案内するための医療用支持構造、特に関節式支持アームに接続するように構成される。
【0009】
(本発明の一般的な説明)
一般に、本発明は、支柱取付アダプタおよび固定支柱を含む頭蓋固定システムであって、支柱取付アダプタは、
支柱取付アダプタを剛構造に固定的に接続するために、対応するように形成された剛構造と係合するように構成された1つ以上の係合部材を有する第1の接続部と、
支柱取付アダプタを固定支柱に接続するために、固定支柱の、対応するように形成された接続部と係合するように構成された第2の接続部と、
支柱取付アダプタを貫通して延び、第1の接続部における第1の通路開口部と、対向する第2の通路開口部とを有する通路と、を含む頭蓋固定システム、
を提供することによって前述の目的を達成するものである。
言い換えれば、本発明の固定システムは、2つの主要な部分、すなわち支柱取付アダプタおよび固定支柱を含み、これらは、共通のインターフェースにおいて、特に同一形状の表面部分を介して、互いに接続する。固定構造はさらに、例えば共通のインターフェースから離れた部分で、関節式支持アームのような医療器具に接続するために適しているものであってもよい。一方、支柱取付アダプタは、例えば共通のインターフェースから離れた部分で、剛構造または物体に接続するためにさらに適しており、剛構造または物体は患者の頭蓋に接続するものである。全体として、固定支柱および支柱取付アダプタは、一方では医療機器、他方では患者の頭蓋の間に強固な相互接続を提供するために適している。
【0010】
より具体的な例では、剛構造は、頭蓋孔ベース部材によって構成されるものであってもよい。頭蓋孔ベース部材は、患者の頭蓋に剛性的に接続するために適しており、患者の頭蓋の穿頭孔と位置が合わせられるアクセス通路を含む。特に、頭蓋孔ベース部材は、アクセス通路を閉塞する対応するように形成された頭蓋孔カバーと、解放可能に係合するように構成された接続部をさらに含むものであってもよい。
【0011】
さらなる例では、本発明の頭蓋固定システムは、支柱取付アダプタに固定的に接続するために適しており、対応するように形成された剛構造として、このような頭蓋孔ベース部材を含む。さらに、1つ以上の係合部材は、初期的には頭蓋孔カバーのそれぞれの部分に接続するために備えられた頭蓋孔ベース部材の接続部分に、解放可能に係合するように構成されるものであってもよい。
【0012】
さらに、支柱取付アダプタは、細長い器具またはインプラントが支柱取付アダプタを通過することを可能にする中空通路または貫通ボアを含む。
【0013】
このような器具またはインプラントの可動域を最大限に確保するために、通路は、その開口部の一方または両方において広がっているものであってもよい。
【0014】
本発明のより具体的な実施形態は、摩擦嵌め(friction-fit)接続を確立するように適合された支柱取付アダプタの1つ以上の係合部材を含み、特に、1つ以上の係合部材は、ねじ部分を含む。具体的な例では、1つ以上の係合部材は、対応するように形成されたねじに接続することができるねじ付きボアまたはねじ付きボルトを形成し、これによって、支柱取付アダプタは、1つ以上のネジ接続を介して剛構造に接続されるものであってもよい。特に、支柱取付アダプタは、剛構造に、したがって患者の頭蓋にも、ねじ止めされるものであってもよい。
【0015】
加えて、または代わりに、支柱取付アダプタの1つ以上の係合部材は、形状嵌め(form-fit)接続を確立するように構成されるものであってもよい。特に、1つ以上の係合部材は、弾性を有していてもよく、すなわち、弾性的に変形可能であってもよい。1つ以上の係合部材は、形状嵌めを確立するためのアンダーカット部分を有するものであってもよく、このようなアンダーカット部分は、対応するように形成された剛構造がアンダーカット部分に到達することを可能にし、それによって支柱取付アダプタの係合部材を定位置に保持するものである。一般に、1つ以上の係合部材は、剛構造の弾性的に変形可能な部分と係合するために剛性(例えば、固いまたは寸法的に安定)であることが考えられるが、1つ以上の係合部材は、剛構造の剛性部分と接続するために弾性的に変形可能であることも考えられる。これらの両方の場合において、支柱取付アダプタは、いわゆる「スナップ嵌め(snap-fit)」接続で剛構造に接続することになる。
【0016】
さらなる例では、支柱取付アダプタの1つ以上の係合部材は、支柱取付アダプタから延びる突出部として形成される。このような場合、支柱取付アダプタは、対応するように形成された係合部材を受け入れる1つ以上の凹部を含む剛構造に接続するように構成される。代わりにまたは加えてに、1つ以上の係合部材は、剛構造の、対応するように形成された突出部を受け入れるために適した凹部として形成されるものであってもよい。
【0017】
さらに、1つ以上の係合部材は、通路の周囲に、特に対称的におよび/または互いに等距離に、配置されるものであってもよい。
【0018】
さらなる実施形態では、支柱取付アダプタの第2の接続部および固定支柱の対応するように形成された接続部は、支柱取付アダプタと固定支柱の相対位置の予め定められた範囲内で互いに係合させることができるように構成される。言い換えれば、固定構造は、支柱取付アダプタに対して予め定められた空間位置の範囲内にある位置を取る限り、支柱取付アダプタと係合状態にすることができる。支柱取付アダプタと固定支柱が、ボール型部材を受けるソケット型部材を有するボールジョイントのような形で互いに接続する場合がその例である。ソケット型部材が、ボール型部材がソケット開口部を介してソケットに入ることができる弾性特性を有すると仮定すると、インターフェースの対応する部分同士、すなわち支柱取付アダプタと固定支柱は、支柱取付アダプタと固定支柱との間の特定の相対位置の範囲内で互いに係合させることができる。これは、支柱取付アダプタと固定支柱が、互いに接続される前に、既にそれぞれの構造物(すなわち、患者の頭蓋と支持アームのそれぞれ)に剛性的に接続されている場合に特に望ましい。
【0019】
さらに、支柱取付アダプタの第2の接続部および固定支柱の対応するように形成された接続部のうちの1つは、支柱取付アダプタおよび固定支柱の位置を互いに対して固定するために適したロック機構を含むものであってもよい。言い換えれば、支柱取付アダプタとブレーシングストラットとの間の、初期的にはこれらの要素間の相対的な運動を可能にする接続は、変動のない接続を確立するように「ロック」されるものであってもよい。
【0020】
このようなロック機構は、例えば、クランプ機構を含むものであってもよい。具体的な場合では、ソケット型部材は、ソケット型部材内にボール型部材をくさび止め(Wedging)できるようにするスロット部を含んでいてもよい。
【0021】
さらなる例では、支柱取付アダプタの第2の接続部は、第1の通路開口部と第2の通路開口部との間に配置されるものであってもよい。言い換えれば、支柱取付アダプタが固定支柱に接続する部分には、中空通路が通るものである。具体的な例では、第2の接続部は、半径方向に通路の周囲に達していてもよく、特に、通路に対して同心円状に配置されていてもよい。更なる具体例では、支柱取付アダプタの第2の接続部は、少なくとも断面に関して凸面、特に少なくとも断面に関して球面、具体的には球状リング面を含む。一方、固定支柱は、支柱取付アダプタを受け入れるための凹面を備えた対応するように形成されたソケットを含む。特に、対応する面は、少なくとも断面に関して同一であってもよい。
【0022】
さらに、支柱取付アダプタの第1の接続部および第2の接続部は、実質的に反対方向においてそれぞれ剛構造および固定支柱と係合させられるように構成されるものであってもよい。言い換えれば、剛構造および固定支柱は、支柱取付アダプタの位置から見て、支柱取付アダプタに向かって実質的に反対方向に移動させられることによって、支柱取付アダプタとの係合位置にもたらされる。特に、剛構造は支柱取付アダプタの「下」から支柱取付アダプタに嵌め込まれ、一方、固定支柱は支柱取付アダプタの「上」から支柱取付アダプタに嵌め込まれ、またはその逆も可能である。
【0023】
さらなる実施形態では、支柱取付アダプタの第1の接続部は、支柱取付アダプタが剛構造物にスナップ嵌めされ得るように、スナップイン機構として構成される。加えて、または代わりに、支柱取付アダプタと固定支柱との間の接続にも、同様のことが適用され得る。
【0024】
さらに、支柱取付アダプタは、解放可能な方法で固定支柱および/または剛構造に接続することができる。この場合、それぞれの接続は、例えば固定システムが使用された後に、再び解放することができる。
【0025】
上記で既に示されたように、支柱取付アダプタの第2の接続部は、固定支柱のその接続部と調整可能に係合するように構成されるものであってもよい。この場合、支柱取付アダプタに対する固定支柱の位置は、患者の頭蓋を強固に固定するために固定される前に、所望により再調整することができる。さらなる例では、支柱取付アダプタおよび固定支柱のうちの少なくとも1つは、固定支柱を介して剛構造に印加される負荷が予め定められた閾値を超過するとすぐに変形または破断するために適した専用の過負荷保護部を含んでいてもよい。これにより、患者の頭蓋との相互接続が過度に緊張して骨構造が折れる危険性が高まることを防止することができる。
【0026】
さらに、支柱取付アダプタは、1つ以上の放射線不透過性の位置合わせ基準(fiducials)を含んでいてもよく、したがって、患者の頭蓋に接続されるときにマーカー構造として機能するものであってもよい。
【0027】
本書における「固定(相対)位置」という表現およびこれと同様の表現は、固定位置にある2つの物体が、明示的かつ意図的に変化が開始されない限り、変化しない相対位置を有することを意味する。固定位置は、特に、位置を変更するために所定の閾値を超える力またはトルクを印加する必要がある場合に与えられる。この閾値は、10Nまたは10Nmであってもよい。特に、構造物の位置は、他の構造物に対して固定されたままである。固定位置は、例えば、ある物体を別の物体に剛性的に取り付けることで実現できる。位置の一部分である空間的位置は、特に、(2つの物体間の)距離だけで、または(2つの物体を結ぶ)ベクトルの方向だけで記述することができる。位置の別の部分であるアライメントは、特に、配向の(2つの物体間の)相対的な角度だけで記述することができる。
【0028】
以下では、背景説明を与え、本発明の特定の実施形態を表す添付図を参照して、本発明を説明する。しかしながら、本発明の範囲は、図の文脈で開示された特定の特徴に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の固定システムの詳細を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すシステムの支柱取付アダプタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の頭蓋固定システムの例示的な実施形態を示している。頭蓋固定システムは、支柱取付アダプタ1および固定支柱2を有しており、これらは、ボールジョイントで構成される共通のインターフェースで相互に接続される。支柱取付アダプタ1は、凸面を有する第2の接続部5を含み、この凸面は、固定支柱2の遠位端に配置された接続部6の、対応するように形成された凹面によって受け入れられる。したがって、接続部6は、支柱取付アダプタ1のボール型接続部5のためのソケットを形成する。ボール型接続部5は、ソケット型接続部6がスロット部を有し、したがって弾性があるため、ボール型接続部5がソケット型接続部6にそのテーパ状の底部開口を通過させて入ることが可能となることによって、ソケット型接続部6に入ることができる。ボール型接続部5がソケット型接続部6に入った状態で、固定支柱2が支柱取付アダプタ1にスナップ嵌めされると、固定支柱2と支柱取付アダプタ1の間の相対位置は、スロットロック機構11を作動させて(例えば、ソケット型接続部6の弾性部分内のボア(図示せず)に達するボルトユニットアセンブリを締め、それによってボール型接続部5をくさび止めして)、設定できる。
【0031】
特に、ボール型接続部5は、支柱取付アダプタ1の底部と頂部においてボールキャップ形の部分が切り落とされた球状リング面となっている。
【0032】
さらに、中央通路7が支柱取付アダプタ1全体を貫通して延びており、これによって、細長い器具またはインプラントを球状リング面の周囲から支柱取付アダプタ1を通過させることができ、支柱取付アダプタ1に接続された固定支柱2も通過させることができる。
【0033】
図1に示すように、患者の頭蓋14には、実質的にリング状の頭蓋孔ベース部材13がそのアクセス通路が穿頭孔と一致するようにねじによって固定され、頭蓋固定システムは、この頭蓋孔ベース部材13によって、患者の頭蓋14内の穿頭孔に対して所定の位置に保持され、穿頭孔と位置合わせされる。支柱取付アダプタ1を頭蓋孔ベース部材13および患者の頭蓋14に解放可能に接続するために、支柱取付アダプタ1は、その底部3において、通路7の周りに均一に分布し、下方向に延びる4つの(図にはそのうちの2つが示される)係合部材4を含む。係合部材4のそれぞれは、テーパ状の底面と平坦な頂面とを有する首部の上に配置されたアンダーカット部分10を有する弾性突出部として形成されている。
【0034】
図2から明らかなように、弾性を有する係合部材4は、そのテーパ面が頭蓋孔ベース部材13の対応するように形成された凹部に接触するとすぐに半径方向内方に曲がるように構成されている。係合部材4は、頭蓋孔ベース部材13の対応する凹部内の最終位置に達するとすぐに、再び半径方向外側に曲がって頭蓋孔ベース部材13の対応する凹部内の位置にスナップ嵌めされる。この時点で、支柱取付アダプタ1は、頭蓋孔ベース部材13に固定的に接続されるが、増大した力で上方に引張ることによって、そこから再び取り外すことができる。さらに、アクティブ支柱取付アダプタ1は、一体的に形成された一体型部材として構成され、これは、さらに、使い捨て品として提供されるものであってもよい。
【0035】
図3は、支柱2の全体を示している。この支柱2は、その遠位部分で支柱取付アダプタ1に接続し、さらに、その近位部分で医療器具(例えば、患者の頭蓋14の穿頭孔を通過する細長い外科用器具またはインプラントを保持および/または案内するために用いられる関節式支持アーム)に接続するために適している。その結果、これらの器具またはインプラントは、固定支柱2が直接かつ剛性的に相互接続するのと同じ構造によって保持又は案内されるので、器具および/またはインプラントは、患者の頭蓋14に対して確実に保持および/または案内される。固定支柱2が頭蓋孔ベース部材13に過大な負荷をかけ、それによって頭蓋孔ベース部材13が患者の頭蓋14から折れる危険性がある状況を回避するために、固定支柱2は、頭蓋孔ベース部材13に過剰な負荷がかかった場合に固定支柱2が分離する専用の過負荷保護部、すなわち狭窄部12を含む。
【国際調査報告】