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特表2023-540602風力タービンブレード部品を風力タービンブレードシェル部材に取り付けるためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】風力タービンブレード部品を風力タービンブレードシェル部材に取り付けるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/10 20160101AFI20230915BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
F03D13/10
F03D1/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515564
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2021074776
(87)【国際公開番号】W WO2022053544
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】2014252.7
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521178493
【氏名又は名称】ブレード ダイナミクス リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521176558
【氏名又は名称】エルエム・ウインド・パワー・アクスイェ・セルスカプ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ニトフト,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】アンダーセン,ジェッペ
(72)【発明者】
【氏名】エリクセン,ジョニー
(72)【発明者】
【氏名】トッド,ポール・ダミアン・マイケル
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC02
3H178DD67Z
3H178DD70X
(57)【要約】
【課題】本発明は、風力タービンブレード部品を部品取付位置で風力タービンブレードシェル部材の表面に取り付けるためのシステム及び方法に関する。システムは、ブレードシェル部材を支持するためのブレードシェル部材支持体と、治具であって、治具台、及びブレードシェル部材の少なくとも一部の上方の第1の位置に風力タービンブレード部品を受け入れて保持するための部品プラットフォームであって、治具台上に配置され、かつ風力タービンブレード部品を第1の位置から部品取付位置まで下げることができるように移動手段によって治具台に対して少なくとも垂直方向に移動させることができる部品プラットフォームを備える治具とを備える。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンブレード部品(303,304)を部品取付位置で風力タービンブレードシェル部材(940,1540)の表面(940,1540)に取り付けるためのシステム(900,1500)であって、
前記ブレードシェル部材を支持するためのブレードシェル部材支持体(930,1530)と、
治具であって、(i)治具台(905,1505)、及び(ii)前記ブレードシェル部材の少なくとも一部の上方の第1の位置で前記風力タービンブレード部品を受け入れて保持するための部品プラットフォーム(915,1515)であって、前記治具台上に配置され、かつ前記風力タービンブレード部品を第1の位置から前記部品取付位置まで下げることができるように移動手段によって前記治具台に対して少なくとも垂直方向に移動させることができる部品プラットフォーム(915,1515)を備える治具と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記治具が、前記治具台に対する前記部品プラットフォームの動きを制限するように構成された位置制御手段を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記風力タービンブレード部品が、対応ピン接合スパービームを受け入れるためのピン接合受箱(303)である、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記風力タービンブレード部品が、対応ピン接合受箱と嵌合させるためのピン接合スパービーム(304)である、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記部品プラットフォームが、前記トラックシステム(910,1510)によって画成されるトラックに沿って前記治具台に対して移動できるように構成されたトラックシステム(910,1510)によって支持される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記トラックが直線トラックである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記トラックシステムが、前記トラックに沿った対応する1以上の所定の位置で前記部品プラットフォームを停止させるように構成された1以上のトラックストップを含む、請求項5又は請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記移動手段が、1以上のアクチュエータ(902,903,904,1502,1503)を備えるアクチュエータシステムを備える、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記移動手段が、前記アクチュエータシステム内に1以上の油圧アクチュエータを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記部品プラットフォームと前記治具台が、前記1以上のアクチュエータの少なくとも1つを介して相互接続される、請求項8又は請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記治具台と前記ブレードシェル部材支持体が、互いに固定された位置関係で配置される、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記治具台が、前記ブレードシェル部材支持体にしっかりと取り付けられるか或いは一体化される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記部品プラットフォームが、前記風力タービンブレード部品を前記部品プラットフォームに対して所定の位置に付勢するように構成された付勢手段(921,922,923)を備える、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記風力タービンブレード部品を前記部品プラットフォームに一時的に固定するための締結手段(1221,1222,1223,1224,1232,1234,1509、1514)を備える、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記風力タービンブレード部品が、対応ピン接合スパービームを受け入れるためのピン接合受箱であり、前記部品プラットフォームが、前記ピン接合受箱と嵌合して保持するための雄部材(1515)を備える、請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記雄部材が調節可能な断面幅及び/又は断面高さを有していて、前記雄部材を、異なる断面幅及び/又は断面高さの一連のピン接合受箱とぴったりと係合するように調節することができる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ブレードシェル部材支持体(930,1530)が、前記風力タービンブレードシェル部材を製造するための風力タービンブレードシェルモールドである、請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記治具が、前記部品プラットフォームを上記ブレードシェル部材支持体の上方ではない位置に移動できるように構成されている、請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記表面が、前記風力タービンブレードシェル部材の内面である、請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
風力タービンブレード部品を部品取付位置で風力タービンブレードシェル部材の表面(940,1540)に取り付ける方法であって、当該方法が、
治具であって、(i)治具台(905,1505)、及び(ii)前記ブレードシェル部材の少なくとも一部の上方の第1の位置で前記風力タービンブレード部品を受け入れて保持するための部品プラットフォーム(915,1515)であって、前記治具台上に配置され、かつ前記風力タービンブレード部品を第1の位置から前記部品取付位置まで下げることができるように移動手段によって前記治具台に対して少なくとも垂直方向に移動させることができる部品プラットフォーム(915,1515)を備える治具を用意するステップと、
前記部品取付位置での前記ブレードシェル部材上に接着剤を供給するステップと、
前記風力タービンブレード部品を下降させて前記接着剤と接触させるステップと、
前記接着剤を硬化させるステップと、
前記風力タービンブレード部品を前記部品プラットフォームから解除するステップと
を含む方法。
【請求項21】
当該方法が、前記風力タービンブレード部品を前記部品プラットフォームに固定するステップと、前記部品取付位置での前記ブレードシェル部材上に接着剤を供給するステップとの間に、
前記部品を部品取付位置に下降させるステップと、
前記部品の輪郭の少なくとも一部、例えば全部を前記ブレードシェル部材上にマークするステップと、
前記部品プラットフォームを前記部品取付位置から離れるように移動させるステップと、
実質的に前記部品の輪郭内に接着剤を供給し、もって余分な接着剤の量を減らすステップと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記治具が、前記部品取付位置の前記ブレードシェル部材上及び/又は前記部品取付位置における前記ブレードシェル部材と接触する前記部品の表面の少なくとも一部に接着剤を供給するように構成されている、請求項20又は請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記表面が前記風力タービンブレードシェル部材の内面である、請求項20乃至請求項22のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンブレードシェル部材への風力タービンブレード部品の取り付けに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは通常、タワー、発電機、ギアボックス、ナセル及び1以上のロータブレードを備える。風力タービンブレードは、公知の翼形原理を利用して風の運動エネルギーを捉える。最新の風力タービンには、100mを大幅に上回る長さのロータブレードを有することがある。
【0003】
風力タービンブレードは、通常、織布又は繊維の層と樹脂マトリックスから2つのシェル部材又はシェル半体を形成することによって製造される。スパーキャップ又はメインラミネートをシェル半体に一体化し、せん断ウェブ又はスパービームと組み合わせて支持構造を形成することができる。スパーキャップ又はメインラミネートは、シェル半体の内側に接合又は一体化される。
【0004】
後から接合して最終ブレードを形成できる複数のセグメントに分けて風力タービンブレードを製造することによって、大規模製造空間の必要性のような寸法に関連する課題、並びに風力タービンブレードの輸送に関連する課題を軽減し得る。
【0005】
現在、ピン接合式セグメントブレードは、まず完全な長さのブレードにピン接合システムのような完全な接合システムを接着し、次いで、別々に処理して風力タービンサイトで再接合することのできる複数のセグメントへとブレードを切断することによって製造される。
【0006】
この方法は、セグメントブレードを構成する2つのブレードセグメントを正確にぴったりと合わせることができるようにするための不可欠な方法と考えられてきた。
【0007】
しかるに、本発明は、ブレードセグメントを別々に製造しながらも、正確にぴったりと合わせることができる方法を提供する。
【0008】
本発明の実施形態は、他のタイプの部品を風力タービンブレードシェル部材に高精度で取り付けるのにも使用できる。
【発明の概要】
【0009】
第1の態様では、本発明は、風力タービンブレード部品を部品取付位置で風力タービンブレードシェル部材の表面に取り付けるためのシステムを提供する。本システムは、
ブレードシェル部材を支持するためのブレードシェル部材支持体と、
治具であって、治具台、及びブレードシェル部材の少なくとも一部の上方の第1の位置で風力タービンブレード部品を受け入れて保持するための部品プラットフォームであって、治具台上に配置され、かつ風力タービンブレード部品を第1の位置から部品取付位置まで下げることができるように移動手段によって治具台に対して少なくとも垂直方向に移動させることができる部品プラットフォームを備える治具と
を備える。
【0010】
第1の態様に係るシステムは、風力タービンブレード部品をブレードシェル部材上に高精度で位置決めすることができる。精度は風力タービンブレードのあらゆる態様で極めて重要である。ピン接合部品はミスアラインメントがあってはならない。さもないと、ブレードセグメントをぴったりと合わせることができない。そのため、ブレードセグメントが正確にぴったりと合わさるように、各ピン接合部品はそれぞれのブレードシェル部材に取り付けなければならない。ピン接合部品に対して許容されるバラツキは非常に小さく、このことが、今日セグメントブレードの製造が、ピン接合構造を組み立てた状態でブレード全体を形成した後にセグメントへと切断することによって行われていることの理由である。本方法では、ブレードセグメントが完璧に合わさる。
【0011】
ブレードシェル部材支持体と治具は互いに固定された位置関係にあり、それによって、部品を部品プラットフォーム上に配置したときに、治具台に対する部品プラットフォームの位置をブレードシェル部材支持体に対する部品位置へと並進させることができるように担保される。
【0012】
自明であろうが、工場の床が治具台を構成していてもよい。ただし、多くの場合、工場の床のような床で支持された別個の治具台を使用すると、システムの柔軟性を高めることができる。かかる実施形態では、治具を、例えばモールドの近くに移動させて、治具台を工場の床にボルト止めするだけでモールドに対して位置固定することができる。
【0013】
通例、部品が取り付けられる表面はブレードシェル部材の内面であるが、外面、つまりブレードが生産モードにあるときに周囲環境に面する表面であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、風力タービンブレード部品は、対応するピン接合スパービームを受け入れるためのピン接合受箱である。いくつかの実施形態では、風力タービンブレード部品は、対応するピン接合受箱と嵌合させるためのピン接合スパービームである。ただし、特定の部品の用途とは無関係に、本システムの実施形態は、特定のブレードシェル部材支持体上に配置すべき特定のブレードシェル部材上の特定の位置での特定の部品の取り付けを取り扱えるように入念に構成しなければならない。部品プラットフォームは、明確に定義された簡単に繰り返すことのできるやり方で部品に係合できるようにしなければならず、また、移動量のような部品プラットフォームの変位は、部品及びブレードシェル部材支持体に適していなければならない。実際には、本システムは、例えば部品の寸法及び形状並びにブレードシェル部材支持体の寸法及び形状などを考慮して設計される。
【0015】
部品は、ブレードシェル部材上に部品全体が配置される位置へと移動してもよいし、或いは部品の一部がブレードシェル部材の外側に延在していてもよい。これは、部品の形状及び取付位置によってある程度決まる。さらに、システムは、問題の部品をブレードシェル部材に下げることができるように構成しなければならない。
【0016】
いくつかの実施形態では、システムは、部品を部品取付位置に移動させる前に部品に接着剤を塗工するための接着剤塗工システムを備える。ブレードシェル部材と接触させる部品の表面の一部又は全部に接着剤を添加する。加えて/或いは、風力タービンブレードシェル部材に接着剤を加えてもよい。
【0017】
加えて/或いは、接着剤は外部システム又は作業員によって用意され、例えば部品及び/又は風力タービンブレードシェル部材に塗工される。
【0018】
部品を接着剤と接触させる際に、接着剤を押し退けるのに比較的大きな力が必要とされる高い粘度を接着剤が有していることがあるため、治具を介して追加の力を加えなければならないことがある。
【0019】
いくつかの実施形態では、治具は、治具台に対する部品プラットフォームの動きを制限するように構成された位置制御手段を備える。これは、例えば、治具台に対して1箇所以上の所定の位置で部品プラットフォームを停止できるように構成された電動精密駆動装置であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、部品プラットフォームは、トラックシステムによって画成されるトラックに沿って治具台に対して部品プラットフォームを移動できるように構成されたトラックシステムを介して、治具台によって支持される。トラックは、例えば直線トラック及び/又は曲線トラックを含むことができる。いくつかの実施形態では、部品プラットフォームは、治具台上に配置されたトラックシステムによって全体的に支持される。
【0021】
トラックシステムは、対応する1箇所以上の所定の位置で部品プラットフォームを停止させるように構成された1以上のトラックストップを含んでいてもよい。これは、部品台を治具台に対する所定の位置に高精度で停止させることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、移動手段は、1以上のアクチュエータを備えるアクチュエータシステムを備える。移動手段は、例えば、アクチュエータシステム内に1以上の油圧アクチュエータを備えることができる。加えて/或いは、移動手段は、例えば、線形ステージなどの1以上のステージを備えることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、部品プラットフォームと治具台は、1以上のアクチュエータの少なくとも1つを介して相互接続される。いくつかの実施形態では、部品を取り付けるプラットフォームは、治具台に直接接続されていなくてもよい。むしろ、部品プラットフォームは、例えば上述のようにトラックを介して治具台から分離されていてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータは治具台に接続される。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、治具台と直接接触する中間キャリアに取り付けられる。
【0024】
上述の通り、治具台とブレードシェル部材支持体は、少なくとも部品をブレードシェル部材に取り付ける際に、互いに固定された位置関係で配置される。いくつかの実施形態では、治具台は、例えば永続的に、ブレードシェル部材支持体にしっかりと取り付けられるか或いは一体化される。いくつかの実施形態では、治具は、ブレードシェル部材支持体に対して移動可能であり、例えば治具台を床にボルトで固定することによって、ブレードシェル部材支持体に対して適切な位置に固定される。
【0025】
いくつかの実施形態では、部品プラットフォームは、風力タービンブレード部品を部品プラットフォームに対して所定の位置に付勢するように構成された付勢手段を備える。例えば、部品プラットフォームは、部品上の対応する部材(例えば、部品プラットフォーム上の部品の明確な静止位置を与えるために溝と噛み合うことができる突出部材など)と係合できる溝を備えていてもよい。これによって、部品の簡単で繰り返し可能な位置決め、特に正確に規定された位置決めが担保される。これは、自己整列式部品位置決めシステムとみなすことができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、部品プラットフォームは、風力タービンブレード部品を部品プラットフォームに一時的に固定するための締結手段を備える。これは、作業員の安全性を向上させる。さらに、高粘度の接着剤を使用して部品をブレードシェル部材に取り付ける場合、ブレードシェル部材と接着剤によって部品に加わる力により、部品が部品プラットフォームから外れてしまったり、少なくともプラットフォームに対して位置ずれしてしまうおそれがあり、そのため部品の取付け精度が損なわれてしまうおそれがある。
【0027】
いくつかの実施形態では、部品プラットフォームは、ピン接合受箱と嵌合して保持するための雄部材を備える。これは、風力タービンブレード部品が、対応するピン接合スパービームを受け入れるピン接合受箱である場合に特に効果的である。
【0028】
いくつかの実施形態では、雄部材は、調節可能な断面幅及び/又は断面高さを有していて、雄部材を、様々な断面幅及び/又は断面高さの一連のピン接合受箱と正確に係合するように調節することができる。これによって、様々な受箱でシステムを確実に使用できるようにするために雄部材を交換する必要がなくなり、様々なピン接合受箱を取り扱えるように同一のシステムを簡単に構成できるようになる。
【0029】
いくつかの実施形態では、風力タービンブレードシェル部材を製造するための風力タービンブレードシェルモールドが、システムにおけるブレードシェル部材支持体として用いられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、治具は、部品プラットフォームをブレードシェル部材支持体の上方ではない位置に移動できるように構成される。これは、例えばブレードシェル部材の製造に使用されるブレードシェル部材モールドの隣に治具が配置される場合に有利である。部品プラットフォームをモールドから移動できるようにすることによって、作業員がブレードシェル部材を製造する際(例えば繊維をレイアップする際及び/又は樹脂を含浸する際、特に樹脂含浸前にモールドの周りに真空バッグを配置する際)に、邪魔にならないように移動させることができる。
【0031】
本発明の第2の態様は、風力タービンブレード部品を部品取付位置で風力タービンブレードシェル部材の表面に取り付ける方法を提供する。本方法は、
治具であって、治具台、及びブレードシェル部材の少なくとも一部の上方の第1の位置で風力タービンブレード部品を受け入れて保持するための部品プラットフォームであって、治具台上に配置され、かつ風力タービンブレード部品を第1の位置から部品取付位置まで下げることができるように移動手段によって治具台に対して少なくとも垂直方向に移動させることができる部品プラットフォームを備える治具を用意するステップと、
部品取付位置でのブレードシェル部材上に接着剤を供給するステップと、
風力タービンブレード部品を下降させて接着剤と接触させるステップと、
接着剤を硬化させるステップと、
部品プラットフォームから風力タービンブレード部品を解除するステップと
を含む。
【0032】
第1の態様に関して説明した特徴及び考察は、第2の態様に関しても必要な変更を加えて適用される。
【0033】
いくつかの実施形態では、本方法は、風力タービンブレード部品を部品プラットフォームに固定するステップと、部品取付位置でのブレードシェル部材上に接着剤を供給するステップとの間に、
部品を部品取付位置に下降させるステップと、
部品の輪郭の少なくとも一部、例えば全部をブレードシェル部材上にマークするステップと、
部品プラットフォームを部品取付位置から離れるように移動させるステップと
実質的に部品の輪郭内に接着剤を供給し、もって余分な接着剤の量を減らすステップと
をさらに含む。
【0034】
このアプローチの利点は、不要な場所に接着剤が供給されないことである。これによって、接着剤の使用を最小限に抑える。
【0035】
いくつかの実施形態では、治具は、部品取付位置のブレードシェル部材上に及び/又は部品取付位置でブレードシェル部材と接触する部品の表面の少なくとも一部に接着剤を供給するように構成される。これは、例えば、接着剤を塗工すべき場所を(例えば接触センサー又は視覚センサーによって)検出するように制御されるロボット手段を用いて達成することができる。或いは、ロボット手段に、部品の少なくとも一部の形状並びに部品に接着剤を塗工する手順を事前にプログラミングしてもよい。
【0036】
或いは、部品取付位置でのブレードシェル部材に接着剤を供給するのとは対照的に、接着剤は部品の表面だけに塗工される。接着剤はブレードシェル部材に取り付けられる部品の領域にしか塗工されないので、部品に接着剤を供給すると、接着剤の使用量を減らすことができる。ただし、システム及び方法がすでに高精度であるので、接着剤をブレードシェル部材に極めて正確に容易に塗工することができる。上述のマーキングステップは、これを確保するための1つの方法である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下、図面に示す実施形態を参照して本発明を詳細に説明する。
図1】風力タービンの概略図を示す。
図2】風力タービンブレードの概略図である。
図3】セグメント風力タービンブレードの概略図である。
図4】セグメント風力タービンブレードの先端セグメントの概略図である。
図5】セグメント風力タービンブレードの根元セグメントの概略図である。
図6】セグメント風力タービンブレードのピン接合用のスパービームの概略図である。
図7】セグメント風力タービンブレードのピン接合用の受箱の概略図である。
図8】対応するピン接合スパービームと嵌合したピン接合受箱の概略図である。
図9】本発明の一実施形態を示す。
図10】本発明の一実施形態を示す。
図11】本発明の一実施形態を示す。
図12】本発明の一実施形態を示す。
図13】本発明の一実施形態を示す。
図14】本発明の一実施形態を示す。
図15】本発明の別の実施形態を示す。
図16】本発明の別の実施形態を示す。
図17】本発明の別の実施形態を示す。
図18】本発明の別の実施形態を示す。
図19】本発明の別の実施形態を示す。
図20】本発明の別の実施形態を示す。
図21】本発明の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、タワー4と、ナセル6と、実質的に水平なロータシャフトを有するロータとを備えるいわゆる「デンマーク型」の従前の最新アップウィンド式風力タービン2を示す。ロータは、ハブ8と、ハブ8から半径方向に延在する3枚のブレード10とを含んでおり、各ブレードはハブに最も近いブレード根元16と、ハブ8から最も遠いブレード先端14とを有する。ロータはRで示す半径を有する。
【0039】
図2は、風力タービンブレード10の概略図を示す。風力タービンブレード10は、従前の風力タービンブレードの形状を有しており、ハブに最も近い根元領域30と、ハブから最も離れた輪郭又は翼形領域34と、根元領域30と翼形領域34との間の遷移領域32とを備える。ブレード10は、ブレードをハブに装着したときに、ブレード10の回転方向に面する前縁18と、前縁18と逆方向に向いた後縁20とを備える。ブレード10の最も外側の点は先端15である。
【0040】
翼形領域34(輪郭領域とも呼ばれる)は、揚力の発生に関して理想的又はほぼ理想的なブレード形状を有しているが、根元領域30は構造的な考慮により実質的に円形又は楕円形の断面を有しており、例えばハブにブレード10を取り付けるのが簡単かつ安全になる。根元領域30の直径(又は翼弦)は、根元領域30全体に沿って一定であってもよい。遷移領域32は、根元領域30の円形又は楕円形から翼形領域34の翼形輪郭へと徐々に変化する遷移輪郭を有する。遷移領域32の翼弦長は、通例、ハブからの距離rが増すに伴って長くなる。翼形領域34は、ブレード10の前縁18と後縁20との間に延在する翼弦を有する翼形輪郭を有する。翼弦の幅は、ハブからの距離rの増加に伴って減少する。
【0041】
ブレード10のショルダ40は、ブレード10の翼弦長が最大となる位置として定義される。ショルダ40は、通例、遷移領域32と翼形領域34との境界に設けられる。図2には、ブレードの長手方向範囲Lも示してある。
【0042】
図3は、セグメント風力タービンブレード10の概略を示す。これは、少なくとも根元セグメント301と先端セグメント302から構成される。根元セグメント301と先端セグメント302とを接合できるようにするため、2つのセグメント301,302は受箱303と対合スパービーム304を備えていてもよい。受箱303とスパービーム304とは、例えばピンで互いに固定される。
【0043】
図4は、図1図3に示すセグメントブレード10の先端セグメント302を示す。ブレードの空力輪郭を形成するシェルの他に、先端セグメントは、上述のスパービーム304をさらに備える。先端セグメントのスパービーム304は先端セグメントシェルを越えて(外側に)延在し、スパービームを、根元セグメント301に配置された対応する受箱303と係合できるようにする。
【0044】
図5は、セグメントブレード10の根元セグメント301を示す。上述のように、根元セグメントは、先端セグメント302のスパービーム304を受入れて、根元セグメントと先端セグメントとを互いにしっかりと接合できるようにする受箱303を備える。最終ブレードは、スパービーム304を受箱303と嵌合してそれらを固定し、2つのブレードセグメントが交わる領域を封止し、ブレードに仕上げタッチを与えることによって得られる。
【0045】
図6は、セグメント風力タービンブレードのピン接合のためのスパービーム304の概略図である。ビーム自体に加えて、ピン接合式スパービームは、ピンを受け入れるための穴602,603を有する。さらに、このスパービーム304は、安定性を向上させるため受箱のスロットと係合するボルト601を有する。これは、使用時のスパービーム304と受箱303との間の不要な運動を低減するのに役立つ。
【0046】
図7は、図6に示すスパービーム304と係合する受箱303の概略図である。スパービーム304と同様に、受箱303は、ピンを受け入れるための穴602,603を備える。受箱は、スパービーム304のボルト601としっかりと嵌合するように構成されたスロット705を有するボルトスロットプレート704をさらに備える。ボルトがスロットプレートと係合すると、受箱に対するスパービームの翼弦方向の動きが阻害される。
【0047】
スロットプレート704、スロット705、穴602,603,702,703の位置並びにスパービーム304及び受箱303の形状及び寸法は、本発明において必須の事項ではない。さらに、穴-ピンシステムは、受箱とスパービームを一緒に固定するための方策の一つにすぎない。
【0048】
図8は、受箱303とスパービーム304が係合した状態を示すものであり、スパービーム304が受箱303に挿入され、ボルト601が受箱ボルトスロットプレート704のボルトスロット705と係合している。図8に概略を示すピン801は、穴602,603,702,703と係合して、遠心力/向心力下で先端セグメントと根元セグメントが接続状態を維持するのを担保する。
【0049】
確実で耐久性のある接合をもたらすために必要とされる精密な公差が決まると、スパービーム304及び受箱303を、上述のように、それぞれのシェル部材301,302に高精度で取り付けなければならない。本発明に係るシステム及び方法は、ブレード全体を製造してからセグメントへと切断する現在の方法とは対照的に、セグメントブレードを最初から2つの部材として製造できるようにしつつ、この精度を達成する方策を提供する。
【0050】
図9は、本発明の一実施形態に係るシステム900を示す。本システム900は、ブレードシェル部材940を保持するためのブレードシェル部材支持体930と、部品を保持するための部品プラットフォーム915と、部品プラットフォーム915を支持する治具台905とを備える。部品プラットフォーム915は、治具台905に対して移動可能であり、本例では、油圧シリンダ902,903,904(及び図では視認できない追加の油圧シリンダ)による垂直移動及びトラックシステム910による水平移動が可能である。部品プラットフォーム915は、スパービーム304をブレードシェル部材940に取り付ける際に、スパービーム304を固定位置に保持する溝921,922,923を備える。穴932(及び溝921及び923の周りの対応する穴)のような固定手段によって、クランプを用いて部品プラットフォーム915にスパービームを固定することができる。
【0051】
図9では、部品プラットフォームは上昇構成にあり、ブレードシェル部材支持体930に当接した位置にある。
【0052】
ブレードシェル部材940は、例えば、図3及び図4に示す先端セグメント302のような先端セグメント用のブレードシェル部材であってもよい。
【0053】
図9の部品プラットフォーム915は、ピン接合用のスパービームに特に適している。部品プラットフォーム915は、例えばクレーンを使用してスパービームを載せることができる台座を備える。
【0054】
図10は、ブレードシェル部材モールド930から離した治具を示す。図9及び図10に示すように、治具は、使用中に動かないようにするため地面に固定してもよい。
【0055】
図11は、部品プラットフォームを支持体930から離して移動させた後退状態にある部品プラットフォームを備える治具を示す。いくつかの実施形態では、支持体930は、ブレードシェル部材が製造されるブレードシェル部材モールドである。トラック910は、プラットフォーム915を支持体915から離れるように移動させることができ、ブレードシェル部材940を製造しながら、支持体930の周りで作業員がさらに自由に作業できるようになる。
【0056】
図12は、スパービーム304が載置された部品プラットフォームを示す。スパービーム304は、ボルト601及びピン1224を介して部品プラットフォームに固定される。ピン1224は、図6に示す穴602,603を通る。クランプ1221,1222,1223は、ボルト601及びピン1224を部品プラットフォームに固定する。クランプ1221,1222,1223は、例えば、図9に示す対応ねじ穴932,934と係合するねじボルト1232,1234で部品プラットフォーム915に取り付けることができる。クランプ1221,1222,1223を所定に位置に保持してスパービーム304を部品プラットフォームに固定するために穴とボルトが用いられる。
【0057】
溝923と協働するボルト601並びに溝921及び922と協働するピン1224も、スパービーム304が極めて精密な位置に配置されるように担保する。こうして、スパービーム304が最終的にブレードシェル部材940上の所望の位置に高精度で配置されるように担保される。
【0058】
図12及び図13において、部品プラットフォームは上昇位置にあり、ブレードシェル部材940とスパービーム304との間に空間がもたらされる。したがって、作業員は、ブレードシェル部材940上に接着剤1331を加えることができる。必要に応じて、さらにアクセスを高めるため、部品プラットフォームをさらに上昇させることができる。通例、スパービーム304を部品プラットフォーム915に載置する前に、接着剤1331を加える。いくつかの実施形態では、部品プラットフォームは、ブレードシェル部材支持体930から離れた部品プラットフォームに部品(本例ではスパービーム304)を取り付けられるように、移動範囲を長くしてもよい。接着剤1331を加えた後、スパービーム304をブレードシェル部材940の上方の位置に並進移動させて、最終部品取付位置まで下降させることができる。
【0059】
接着剤1331は、最終的にスパービーム304をブレードシェル部材に接着させる。
【0060】
追加のステップとして、接着剤を塗工する前にスパービーム304を下降させて、スパービームの輪郭をブレードシェル部材940上にマークしてもよい。さらに追加のステップとして、接着剤を塗工する前にスパービーム304を再び上昇させる。接着剤を塗工する際は、接着剤はマークした輪郭の内側だけに塗工される。こうして、不要な箇所に接着剤が塗工されるのを防ぐことができる。
【0061】
図14は、油圧シリンダ902,903,904)及び第4の(図では視認できない)シリンダを用いて部品プラットフォーム915を下降させた状態を示す。こうして、スパービーム304は、ブレードシェル部材940に塗工された接着剤1331に押し込まれる。接着剤1431は、通例、スパービームを下降させると、スパービーム304の下から押し出される。なお、スパービーム304は、ブレードシェル部材まですっかり下降させない。さもないと、部品304とブレードシェル部材940との接着性が弱まるためである。このように、部品の下から接着剤を押し出しすぎないように、スパービームを下降させて接着剤と係合させる。
【0062】
入念に制御された油圧シリンダ又はステージは、スパービームをブレードシェル部材の接着剤に正確に配置するのに役立つ。かかる手段は、接着剤の粘性が非常に高くて押し退けにくい場合でも、スパービーム304の正確な位置決めを容易に担保することができる。
【0063】
上述のシステムは、セグメント風力タービンブレード10(図3参照)の先端セグメント302(図3及び図4を参照)内にスパービーム304を非常に高精度で位置決めするのに役立つ。
【0064】
図9図14に示すとともに上記で説明してきたスパービーム位置決めシステム900と同様に、根元セグメントシェル部材にピン接合の受箱を配置するためのシステム1500を、図15~21に示すとともに以下で説明する。
【0065】
図15は、本発明の別の実施形態に係るシステム1500を示す。システム1500は、ブレードシェル部材1540を保持するためのブレードシェル部材支持体1530と、部品を保持するための部品プラットフォーム1515と、部品プラットフォーム1515を支持する治具台1505とを備える。部品プラットフォーム1515は、治具台1505に対して移動可能であり、本例では、油圧シリンダ1502,1503(及び図ではかすかに視認できる2つの追加の油圧シリンダ)による垂直移動及びトラックシステム1510による水平移動が可能である。
【0066】
図15では、部品プラットフォーム1515は、下降構成にあり、ブレードシェル部材支持体1530から離れた位置にある。
【0067】
図15の部品プラットフォーム1515は、ピン接合受箱をブレードシェル部材に取り付けるのに特に適している。
【0068】
スパービーム304をブレードシェル部材に取り付けるのに特に適した実施形態900とは対照的に、システム1500の部品プラットフォーム1515は、ブレードシェル部材1540に配置される受箱303を保持するのに適した雄部材を備える。
【0069】
部品プラットフォーム1515は、受箱303をブレードシェル部材1540に取り付ける際に受箱303と正確に協働するように、スパービーム304とかなり似ている。
【0070】
スパービーム304をブレードシェル部材940に取り付けるためのシステム900と同様に、図15のシステム1500は、部品プラットフォーム1515をブレードシェル部材1540に対して接近及び離隔して移動させることのできるトラックを有する。受箱303と係合刺せるのが雄部材1515であるので、トラック1510は、システム900でスパービーム304の取り付けに用いられるトラックに比べると実質的に長い。
【0071】
本例では、部品プラットフォーム1515は、部品プラットフォームに対して正確に規定された位置に受箱303を保持するために、ピンを介して受箱303と係合するように構成された穴1512を備える。こうして、受箱の位置が十分に制御されて受箱が固定されるように担保され、ひいては、スパービーム304を含む先端セグメントに根元セグメントを正確に接合するのに必要とされる取付位置に受箱303を高精度で取り付けることができるようになる。
【0072】
本例では、部品プラットフォームは簡単に交換できる。これは、スパービーム締結具1514及びクランプ1509によってキャリアに固定される。本例のスパービーム締結具は、部品プラットフォーム1515の穴と係合及び解放するように構成し得る。クランプ1509は、図12に示すスパービーム304を固定するための締結具1221,1222及び1223と同じ原理を用いる。すなわち、クランプ1509は、部品プラットフォーム1515の穴にボルトを挿入することによってクランプされる。破線で示すように、部品プラットフォーム1515は、図15に示すボルト1501及び図6図8及び図12図14に示すボルト601と同様のボルト1508を有する。ボルト1508は、クランプ1509によってクランプされる。
【0073】
図16は、上昇位置にある部品プラットフォーム1515を示し、油圧シリンダ1502,1503を始めとする油圧シリンダを伸長することによって達成される。こうして、受箱303を部品プラットフォーム1515に取り付けるのに必要とされる雄部材1515の周りにワークスペースがもたらさる。
【0074】
図17は、部品プラットフォーム1515と係合させた受箱303を示す。これは、例えばクレーンを用いて達成される。穴1512に通されるピンのような締結手段1712(例えば、図16参照)によって、部品プラットフォーム1515に対して正確に規定された位置に受箱303が配置されるように担保される。(簡潔にするため、図7及び図8に示すスロットプレート704は図17及び図18には記載されていない。)。部品プラットフォームは図17では上昇位置にある。ブレードシェル部材1540の形状及び受箱303の形状に応じて、部品プラットフォーム1515に受箱303を取り付けるのにピンを使用することができてもできなくてもよい。代わりに、短いピン様部材を部品プラットフォームの各々の側に挿入して、受箱303と部品プラットフォーム1515とを正確に整列させることができる。
【0075】
図18は、受箱303をその取付位置に移すプロセスの一環として、ブレードシェル部材支持体1530に向かって移動させた部品プラットフォーム1515を示す。これは、トラック1510を介して部品プラットフォームを移動することによって達成される。
【0076】
図19は、ブレードシェル部材1540の上方の位置の受箱303並びにブレードシェル部材1540上に配置された接着剤1931を示す。接着剤1931は、受箱303をブレードシェル部材の上方の位置に移動する前に加えることもできる。さらに、システム900に関して説明したように、接着剤を加える前に受箱を取付位置まで下降刺せることにでき、接着剤が必要とされる場所を示すために輪郭を画すことができる。図19では、ブレードシェル部材1540に接着剤1931が添加されており、受箱303はブレードシェル部材1540の上方に位置している。
【0077】
次に、部品プラットフォーム1515を下降させて、受箱303を接着剤1931と接触させる。シリンダ1502及び1503を始めとする油圧シリンダは、受箱が必要に応じて正確に配置されるように担保する。この最終位置を図20に示す。実施形態900と同様に、システム1500は、部品(本例ではピン接合用の受箱303)が、風力タービンブレードシェル部材1540の所定の位置に正確に取り付けられて根元セグメント301の受箱303が先端セグメント302のスパービーム304と正確に整列するように担保する。
【0078】
受箱303をブレードシェル部材1540に取り付けた後、図21に示すように、部品プラットフォーム1515を、部品プラットフォームが下降位置にある状態で、トラック1510に沿って移動させることによって引き離す。
【0079】
以上説明した通り、スパービーム304は先端セグメント302の部材940に正確に取り付けられ、受箱303は根元セグメント301の部材1540に正確に取り付けられる。こうしてブレードセグメントを別々に製造することができる。
【0080】
上述のシステムは、ピン接合部品をブレードシェル部材に取り付けるのに用いられるが、本発明の実施形態は、せん断ウェブのような他のタイプの部品をブレードシェル部材に正確に取り付けるのにも使用できる。
【0081】
本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲から逸脱せずに修正又は適合させることができる。
【符号の説明】
【0082】
2 風力タービン
4 タワー
6 ナセル
8 ハブ
10 ブレード
14 ブレード先端
15 先端
16 ブレード根元
18 前縁
20 後縁
30 根元領域
32 遷移領域
34 翼形領域
36 正圧側シェル部材
38 負圧側シェル部材
40 ブレードショルダー
301 根元セグメント
302 先端セグメント
303 ピン接合受箱
304 ピン接合スパービーム
601 ボルト
602,603,702,703 ピン穴
704 ボルトスロットプレート
705 ボルトスロット
801 接合ピン
900 スパービーム治具
902,903,904 下降手段、油圧シリンダ
905 治具台
910 レール、トラック
915 部品プラットフォーム
921,922,923 固定用溝
930 ブレードシェル部材支持体、ブレードシェルモールド
932,934 ねじ穴
940 ブレードシェル部材
1221,1222,1223 部品クランプ
1224 固定用ピン
1232,1234 締結手段、ねじ付きボルト
1331,1431 接着剤
1500 受箱治具
1501 ボルト
1502,1503 下降手段、油圧シリンダ
1505 治具台
1508 ボルト
1509 クランプ
1510 レール、トラック
1512 ピン穴
1514 スパービーム締結具
1515 部品プラットフォーム、雄部材
1530 ブレードシェル部材支持体
1540 ブレードシェル部材
1712 締結手段
1931 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】