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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】関節形成のためのサイザーシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/17 20060101AFI20230915BHJP
【FI】
A61B17/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515632
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2021074259
(87)【国際公開番号】W WO2022053389
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】20195454.2
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクシス バウオックス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ジルアール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL09
4C160LL12
4C160LL28
(57)【要約】
本発明は、膝関節形成術のための大腿骨サイザーシステム(1)に関し、この大腿骨サイザーシステムは、メインブロック(2)であって、遠位基準のために、大腿骨(F)の処理された遠位面と接触して配置される平らな背面(5)と、後方基準のために、背面(5)に対して主に垂直に、背面(5)から離れるように延びる少なくとも1つの、好ましくは2つの固定足部(6)と、対応する接続ユニット(8)とドッキングするためのドッキングユニット(7)とを有するメインブロックと、大腿骨(F)の前面と接触して配置されるスタイラス先端(10)を有する前方スタイラス(3)であって、前方スタイラス(3)は、メインブロック(2)に取り付けられるまたは取り付け可能であり、スタイラス先端(10)の位置を調整するように適合されている、前方スタイラスと、反転可能な配向ガイド(4、4’)であって、反転可能な配向ガイドは、解剖学的目印の基準のために、大腿骨において基準ピンを実現するために設けられ適合された、好ましくは2つのドリル穴(9)の形態の少なくとも2つの基準配向点と、ドッキングユニット(7)に対応し、ドッキングユニットと相互作用する接続ユニット(8)とを有し、反転可能な配向ガイド(4、4’)は、反転可能な配向ガイド(4、4’)の少なくとも2つの異なる面が、どの面かに応じて、メインブロック(2)に対して2つの基準配向点の2つの異なる位置をもたらすように、その接続ユニット(8)を介して、メインブロック(2)のドッキングユニット(7)に反転可能に、取り外し可能に着脱されるように適合されている、反転可能な配向ガイドとを有し、その結果、大腿骨サイザーシステム(1)は、右膝関節ならびに左膝関節に使用されるように構成されている。さらに、本発明は、大腿骨サイザーを含む膝関節形成システムに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節形成術のための大腿骨サイザーシステム(1)であって、
遠位基準のために大腿骨(F)の処理済みの遠位面と接触して配置される平らな背面(5)と、後方基準のために前記背面(5)に対して主に垂直に、それから離れるように延びる少なくとも1つ、好ましくは2つの固定された足部(6)と、対応する接続ユニット(8)とドッキングするためのドッキングユニット(7)と、を有するメインブロック(2)と、
前記大腿骨(F)の前面と接触して配置されるスタイラス先端(10)を有する前方スタイラス(3)であって、前記前方スタイラス(3)が、前記メインブロック(2)に取り付けられるまたは取り付け可能であり、前記スタイラス先端(10)の位置を調整するように適合されている、前方スタイラス(3)と、
反転可能な配向ガイド(4、4’)であって、反転可能な配向ガイド(4、4’)が、解剖学的目印の基準のために前記大腿骨において基準ピンを実現するために設けられ適合された、好ましくは2つのドリル穴(9)の形態の少なくとも2つの基準配向点と、前記ドッキングユニット(7)に対応し、それと相互作用する接続ユニット(8)とを有し、反転可能な配向ガイド(4、4’)は、反転可能な配向ガイド(4、4’)の少なくとも2つの異なる面が、面に応じて、前記メインブロック(2)に対して2つの前記基準配向点の2つの異なる位置をもたらすように、その前記接続ユニット(8)を介して前記メインブロック(2)の前記ドッキングユニット(7)に反転可能に取り外し可能に着脱されるように適合された反転可能な配向ガイド(4、4’)と、を備え、それにより、前記大腿骨サイザーシステム(1)が、右膝関節および左膝関節に使用されるように構成されている、大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項2】
前記反転可能な配向ガイド(4、4’)の前記メインブロック(2)に面する第1面、ならびに、前記反転可能な前記配向ガイド(4、4’)の前記メインブロック(2)に面する第2面、特に、前記第1面に対向する/対向した/反対を向く面に関して、前記ドッキングユニット(7)と前記接続ユニット(8)は、それぞれの幾何学的形状を介して、互いに形状嵌合するように適合されることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項3】
前記メインブロック(2)の前記ドッキングユニット(7)は、平らな前記背面(5)に対して垂直に、少なくとも1つの前記足部(6)の延長部と反対の方向に突出する、ブロック(24)の形態、好ましくは、矩形ブロックの形態であり、
前記反転可能な配向ガイド(4、4’)の前記接続ユニット(8)は、前記ブロック(24)に相補的なガイド開口(26)の形態であり、錠と鍵の原理を実現することを特徴とする、請求項2に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項4】
前記反転可能な配向ガイド(4、4’)を適所に維持し、前記反転可能な配向ガイド(4、4’)が適切に接続されたことをユーザにフィードバックするためのスナップ嵌合システムを実現するために、前記メインブロック(2)の前記ドッキングユニット(7)は、前記接続ユニット(8)と、好ましくは前記接続ユニット(8)の対応するトラフまたは凹部と相互作用し、特に前方方向に予め張力をかけられた、好ましくは係止ボールの形態の、特にばね付勢された係止部材(27)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項5】
外旋を実現するために、前記反転可能な配向ガイド(4、4’)は、それぞれの対称面に平行な軸を中心として回転角度(α)回転される前記接続ユニット(8)を除いて、軸対称に設計されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項6】
前記反転可能な配向ガイド(4、4’)は、正面から見たときにT字形状であり、特に外向きの先端を有する雨滴の特定の形態である2つの翼部(28)を有し、各翼部(28)は、経上顆軸アライメントのために、好ましくは前記ドリル穴(9)の形態の少なくとも2つの前記基準配向点のうちの1つを備え、前記反転可能な配向ガイド(4、4’)は、ホワイトサイドラインの基準のために2つの前記基準配向点(9)を結ぶ仮想線に対して垂直に延びるインジケータ壁(30)を有することを特徴とする、請求項5に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項7】
2つの前記基準配向点を結ぶ前記仮想線に対して、前記インジケータ壁(30)は、前記接続ユニット(8)とは反対側にあることを特徴とする、請求項6に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項8】
前記前方スタイラス(3)は、別個のコンポーネントであり、前記メインブロック(2)に取り外し可能に着脱されるように適合されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項9】
前記メインブロック(2)は、対称面(S)に対して対称に設計されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項10】
前記メインブロック(2)は、左長手軸(15)を有し、好ましくは円形断面を有する、左受容開口(14)と右長手軸(15)を有し、好ましくは円形断面を有する右受容開口(14)を有し、好ましくは、前記左長手軸(15)は、前記右長手軸(15)と平行であり、
前記前方スタイラス(3)は、前記メインブロック(2)に取り外し可能に着脱されるように、前記左受容開口(14)と前記右受容開口(14)に形状嵌合し、好ましくは略円筒形の外面を有する、スタイラスアダプタ部(32)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項11】
前記スタイラスアダプタ部(32)は、前記スタイラスアダプタ部(32)の長手正中線に対して垂直な中央貫通スリット(34)を有し、それにより、2つの対称な弾性脚部(35)が形成されており、前記スタイラスアダプタ部(32)は、力係止形状嵌合によって前記前方スタイラスを各受容開口において軸方向にスナップ嵌めするために各弾性脚部(35)の自由端において、径方向外向きに突出するスナップ式ノーズ(36)をさらに備えることを特徴とする、請求項10に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項12】
より正確なサイジングとするために、前記前方スタイラス(3)は、制限された回転範囲内で前記メインブロック(2)に対して回転可能であるように適合されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項13】
前記大腿骨の前記遠位面の可視化を改善するために、前記メインブロック(2)は、前記左受容開口(14)と前記右受容開口との間に上側孔(19)を備えることを特徴とする、請求項10に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項14】
前記前方スタイラス(3)は、受容部(40)と、前記スタイラス先端(10)を有するスタイラスタブ(41)とを備え、前記スタイラスタブ(41)は、前記スタイラスタブ(41)および前記スタイラス先端(10)の位置を調整するために、前記受容部(40)内に摺動可能に配置されており、前記受容部(40)は、前記スタイラスタブ(41)をその現在の位置でスナップ嵌合させ、個別のステップおよびサイズのみを可能にするために、前記スタイラスタブ(41)の溝(42)に作用するスナップ嵌合システムをさらに備えることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)を備える膝関節形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイザーシステムまたは関節形成のためのサイザー、特に、膝関節形成のための大腿骨サイザーシステムに関する。さらに、本発明は、膝関節形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関節は、人体の骨同士の間の接続部である。その特別な構造によって、様々な程度および種類の運動が可能となる。肘関節および肩関節の他に、自己潤滑性で摩擦がほぼなく、強い圧縮および負荷に耐えることができる膝関節がある。
【0003】
膝関節は、運動中に人の脚が屈曲して関節運動することを可能にし、上の骨(相対的に見て近位骨である大腿骨)を下の骨(遠位骨である脛骨)に接続している。しかしながら、膝関節は、長期にわたって過度に使われたり、疾患、または外傷によって、ほぼまたは完全に機能しなくなってしまうことがある。ほとんどの場合、最良の治療法は、全置換術(関節形成術)である。全膝関節形成術の際、膝において接合される大腿骨表面および脛骨表面が、機械的なインプラントコンポーネントへ置き換えられる。
【0004】
通常、術前計画の後に、大腿骨遠位部切除および脛骨近位部切除が行われ、その後、前方切断、後方切断、および面取りの挿入が実施される。大腿骨の遠位端の処理が終わると、大腿骨コンポーネントのサイズおよび向きが、特に前顆および後顆の位置によって、決定される。内側後顆切断によって、人工顆面を、非関節炎膝とほぼ同位置にすることができる。
【0005】
外旋が望まれる場合、特別な外科技術を用いて外旋を定めることができる。正常な膝では、約20度屈曲した後に外側部に弛緩があり、これによって、正常な膝で見られる内側旋回動作が可能となる。しかしながら、膝蓋骨トラッキングを補助しながら大腿骨コンポーネントを外旋させると、外側後顆が正常よりも突き出てしまい、正常な膝で見られる内側旋回トラッキング動作を妨げてしまう可能性がある。合理的な妥協案は、左膝および右膝に対して、それぞれの膝に対して符号の異なる約α=3度の外旋角度でインプラントコンポーネントを配置することである。
【0006】
これは、大腿骨サイザーとその後の大腿骨インプラントコンポーネントとを、ホワイトサイドラインにアライメントするという試みを必要とする。サイザーが正確にアライメントされると、ピンが、大腿骨遠位部(顆)の切断面に対して垂直に、サイザーの適切なドリル穴に配置されるかまたは挿入される。その後、サイザーが取り外され、切断ブロックがピンの上に配置されて、切断ブロックの位置が適切な位置での切断をもたらすか否かを外科医が最終的に判断する。
【0007】
従来技術から、大腿骨のサイズを測定可能な大腿骨サイザーまたは大腿骨サイザーシステムを提供することが知られている。ここで、従来技術の1つのモジュール大腿骨サイザー(システム)は、メインブロックの背面に垂直なサイザーの足部としてプレート形状のベースを有するメインブロックを備える。大腿骨外旋のための様々な角度を有し、それぞれの側(左、右)に従う、複数の回転配向ガイドの1組から1つの回転配向ガイドを選択する必要がある。選択された回転配向ガイドは、複数のピン上へ特定の一方向にスライドさせることによって、後方基準大腿骨サイザーとしてメインブロックに接続される。その後、両方の後顆がベースに固定された状態で、後方基準大腿骨サイザーが、大腿骨遠位部の切断縁に対して平坦に配置される。
【0008】
メインブロックは、高さおよび位置を調整可能な旋回式の前方スタイラスをさらに備える。前方スタイラスが(外側)前方大腿骨皮質の前面突出部と接触し、後方メインブロックおよびベースが内側後顆および外側後顆と接触するまで、高さが下げられる。すると、大腿骨サイザーの前で大腿骨のサイズを見ることができ、長さを調節可能である前方スタイラス上で大腿骨のサイズを選択することによって、サイザーの位置を改善することができる。
【0009】
外旋は、上顆軸基準を使用して、いわゆる上顆軸とのアライメントを考慮に入れて確認することもできる。サイザーが納得のいく位置に配置されると、事前穿孔およびドリル穴へのピンの挿入が実施され得る。
【0010】
しかしながら、多数の様々なガイドのせいで、システムは、非常に複雑であり、洗浄および滅菌しづらい。大腿骨サイザーは、右膝だけでなく左膝用にも様々な配向ガイドを必要とする。さらに、大腿骨サイザーは、様々な外旋角度αのために様々な配向ガイドを必要とする。さらに、そのようなシステムは、特に左右の膝用に適切なガイドを見つけるのに多くの時間を必要とし、手術の進行を遅らせ、効率を低下させる。加えて、メインブロックが、大腿骨の遠位端への視野を覆ってしまうので、経上顆軸(transepicondylar axis)およびホワイトサイドラインが認識しづらい。したがって、外科医が大腿骨サイザーを正確にアライメントすることは困難である。
【0011】
従来技術による別の大腿骨サイザーシステムは、膝(大腿骨)の左側または右側で前方スタイラスを組み付けるために、(正面から見て)左面および右面に受容穴を有するセクションを使用する。このセクションは、外旋を設定するために、近位-遠位軸を中心に2フィート回転するスイベル/回転ジョイントを介して連結される。セクション上に付けられた基準線と上顆とを並べることによって、確認が行われ、ホワイトサイドラインを評価するために別のチェックが行われる。次いで、大腿骨サイザーの足を後顆の下でスライドさせることによって、アセンブリが切除済みの大腿骨遠位部に配置され、前方スタイラス先端が骨の前面に載置される。サイジング中に、大腿骨前方スタイラスシャフト上の罫書きマークの位置によって、サイズが特定される。
【0012】
しかしながら、このような大腿骨サイザーシステムは、滅菌しづらく、特に外科医の視野が著しく制限されてしまうので、調整が複雑である。さらに、外旋が設定された後、システムは、適所に保持される必要があり、エラーの影響を受けやすい。
【0013】
測定された大腿骨のサイジングおよび回転のための別の大腿骨サイザーシステムは、回転ジョイント/スイベルジョイントと、大腿骨サイズおよび回動する前方スタイラスを固定するためのサイズ係止ノブとを備える。このシステムでは、後方足部が後顆に接触している状態で、サイザーが大腿骨遠位部の切除面に対して配置される。回転レバーを握って、サイザーの足部に対して前セクションを回転させることによって、外旋の度合いが上顆軸に平行になるように調整される。回転マーキングは、外旋の度合いを示す。次いで、大腿骨コンポーネントのサイズを示すように、前方スタイラスの後方-前方位置が調整される。前方ダウンピン穴を通る線はサイズを示し、サイズ係止ノブをねじることによって、サイズ位置が係止される。基準のために、ユニバーサルピンがピン穴/ドリル穴に挿入される。
【0014】
しかしながら、この大腿骨サイザーも、大腿骨に設置し、大腿骨から取り外すのには複雑である。さらに、システムの事前情報や深い知識なしにこのシステムを使用するのは容易ではなく、また、外科医の視界が機械的調整コンポーネントによって妨げられてしまう。加えて、既知の緩みや測定されたサイズの損失に関するセキュリティリスクが存在する。そして最後に、システムの組み立て、分解、滅菌が困難である。
【発明の概要】
【0015】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を回避または少なくとも低減することであり、具体的には、骨のサイズ、特に大腿骨のサイズを判断可能であり、構造および機能がシンプルであり、システムの調整に関する豊富なノウハウがなくても容易に使用することができ、さらに設計に起因する侵襲的介入を最小限に抑えるサイザーシステム、特に大腿骨サイザーシステムを提供することである。特に、このサイザー/サイザーシステムは、構造スペースが小さく、構成に使用される材料が少なくて済む。さらに、より正確かつ効率的な介入を行うために、ホワイトサイドラインおよび(経)上顆軸などの解剖学的目印への(サイザーシステムの)アライメントのためのより良い可視化が提供されるべきである。
【0016】
一般的なサイザーまたはサイザーシステムに関して、本発明のこの目的は、請求項1の特徴による本発明によって解決される。一般的な膝関節形成システムに関して、本発明の目的は、独立請求項15の特徴によって解決される。
【0017】
要するに、本発明は、前方スタイラスを有するメインブロックと、メインブロックに着脱可能である着脱式の(取り外し可能な)反転可能な配向ガイド/ブロックとを備えるモジュラーサイザーシステム、特にモジュラー大腿骨サイザーシステムを提供する。この配向ガイドは、その反転可能な設計により、左関節および右関節、特に左膝および右膝に使用することができる。このサイザーシステムは、例えば3度などの特定の角度/度合いの外旋1つのために、左膝および右膝に1つの(単一の)配向ガイドのみを使用するように適合されている。反転可能な配向ガイドは、その取り付け方向に応じて、メインブロックに対して第1位置およびアライメントでメインブロックに取り付けられるように、ならびに、第1位置およびアライメントとは異なる第2位置およびアライメントでメインブロックに取り付けられるように構成されている。2つの基準配向点、好ましくは2つのドリル穴は、アライメントに応じて異なるので、左右の膝の2つの異なる外旋角度を、1つの反転可能な配向ガイドだけで実現することができる。したがって、モジュラーコンポーネントの量が少なくて済み、システムの複雑さを低減することができるので、医療従事者は当該サイザーシステムをより容易に使用することができる。加えて、後述するように、このような設計は、外科医の視界を改善するので、介入が改善される。
【0018】
言い換えれば、(膝)関節形成術のための(大腿骨)サイザーシステムは、3つの主要な機能的要素、すなわち、メインブロック、前方スタイラス、反転可能な配向ガイドを備える。本発明によるサイザーシステムは、大腿骨(遠位面)の処理された(大腿骨)顆と接触して配置される平らな(大腿骨)背面と、後方基準(大腿骨の後面)のために、平らな(大腿骨)背面に対して主に垂直にかつ背面から離れるように延びる少なくとも1つ、好ましくは2つの固定された足部(固定され/調整不可能で、特に回転不可能である足部)と、対応する接続ユニットとドッキング/接続するためのドッキングユニット/セクションとを有するメインブロックを備える。サイザーシステムは、大腿骨の前面/前皮質と接触して配置されるスタイラス先端/点(前方スタイラスの基準のための自由端)を有する前方(表面)スタイラスをさらに備えており、前方スタイラスは、メインブロックに取り付けられるかまたは取り付け可能であり、スタイラス点の位置を調整するように適合されている。サイザーシステムは、特に2つのドリル穴の形態の少なくとも2つの基準配向点であって、大腿骨において基準ピンを実現するために設けられ適用される基準配向点と、ドッキングユニットに対応し、ドッキングユニットと相互作用する接続ユニットとを有する外配向のための反転可能な配向ガイド/ブロックをさらに備え、反転可能な配向ガイドは、反転可能な配向ガイドの2つの異なる面がメインブロックに面した状態で、メインブロックのドッキングユニットに(接続ユニットを介して)反転可能に、取り外し可能に連結されるように適合されており、これによって、大腿骨サイザーシステムは、右膝関節ならびに左膝関節の両方に使用されるように構成されている。
【0019】
大腿骨が主な適用分野を構成しているので、本明細書で使用される方向は、人体、特に大腿骨の医学的規定を参照する。本明細書において、前方および後方は、身体または大腿骨の正面側(前方)および背面側(後方)を指す。さらに、内側および外側は、身体および大腿骨の内部側(内側)および外部側(外側)を指す。近位および遠位は、本体へ向かう方向(近位)および本体から離れる方向(遠位)を指す。もちろん、これらの方向は、X-Y-Z方向などの他の方向と関連して表現されてもよいし、置き換えられてもよい。例えば、人体を参照せずに本発明の大腿骨サイザーシステムを説明するために、近位-遠位方向は、X方向に関連して表現されるかまたはX方向に置き換えられてよく、内側-外側方向は、Y方向に関連して表現されるかまたはY方向に置き換えられてよく、前方-後方方向は、Z方向に関連して表現されるかまたはZ方向に置き換えられてよい。しかしながら、以下では、大腿骨についての医学的参照が使用される。これは、そのような参照が、例示的であり、理解しやすいからである。以下では、コンポーネントを近位方向で見たときに、コンポーネント(身体ではない)の「正面(front side)」という用語が使用されることに留意されたい。これは、通常、特に参照のために、外科医は近位方向を見ているからである。逆に、メインブロックの背面など、コンポーネントの「背面(back side)」という用語は、コンポーネントを遠位方向で見たときに使用される。
【0020】
メインブロックの平らな(大腿骨)背面は、主に、後方-前方方向(大腿骨の遠位面と接触して位置する)および内側-外側方向に平行にアライメントされる。言い換えると、平らな背面は、前方-後方方向および内側-外側方向に延在している。後方基準のための少なくとも1つの足部、好ましくは2つの足部は、背面に垂直に(近位方向に)延びており、よって、主に、近位-遠位方向に平行にアライメントされる(大腿骨の後面と接触して位置する)。好ましくは、少なくとも1つの足部が、近位-遠位方向ならびに内側-外側方向に延びる平らな上側基準面を有する(基準面はこれらの方向に平行である)。したがって、大腿骨側へ向けられるメインブロックのこの部分、特に、その基準面(平らな背面と少なくとも1つの足部の基準面)は、内側-外側方向に見たときに、L字形に設計されている(2つの面の間で、ほぼ又はちょうど90°をなす)。メインブロックのこの形状によって、メインブロックの自由度は、2つの方向または他の方向に制限され、本発明のサイザーシステムは、骨の処理済みの遠位端に対して容易に配置され、アライメントされ、その後固定されることができる。
【0021】
本発明によれば、反転可能な配向ガイドは、好ましくはドリル穴の形態の、少なくとも2つの基準配向点を有し、これらは、解剖学的目印を基準にするために、大腿骨において基準ピンを実現するように設けられ適合される。これらの基準配向点は、メインブロックに対して外旋角度αを構成する。さらに、サイザーシステムがホワイトサイドラインおよび経上顆軸に正確にアライメントされている時は、これらの2つの基準配向点、ひいては基準ピンは、ホワイトサイドラインに対称的にアライメントされ、経上顆軸に平行にアライメントされるのが好ましい。それによって、ピンは、コンポーネントのための基準、特に、後の切断ブロックのための基準を構成する。反転可能な配向ガイドは、ドッキングユニットに対応し、ドッキングユニットと相互作用する接続ユニットを有し、反転可能な配向ガイドは、反転可能な配向ガイドの少なくとも2つの異なる面を用いて、メインブロックのドッキングユニットに反転可能に、取り外し可能に着脱されるように適合されており、それによって、大腿骨サイザーシステムは、右膝関節ならびに左膝関節に使用されるように構成されている。配向ガイドが、2つの外面/外表面を有し、これらの外面/外表面が、互いに反対を向いている/背を向けているか、または大まかに言うと、配向ガイドにおいて対向するように設けられており、配向ガイドは、反転可能またはひっくり返されることが可能であり、(180度)反転したまたはひっくり返った後の配向ガイドの向き/アライメント/方向に応じて、第1外面または第2外面がメインブロックに面した状態で、配向ガイドをメインブロックに取り付けることができることが好ましい。このように、配向ガイドは、2つの基準配向点によって、メインブロックに対して正の角度を有する外旋角度αを実現するか、または、180度反転させた場合は、異なる符号、すなわち負の符号の同じ外旋角度αを実現する。このように、配向ガイドを単に反転させる/裏返すことによって、反転可能な配向ガイドを左膝と右膝の両方に使用することができる。基準配向点が、好ましくは近位-遠位方向に(平行に)延在するドリル穴の形態である場合、外科医は、基準ピンのための穴を容易に(事前)穿孔することができ、その後、介入を継続することができる。
【0022】
言い換えれば、反転可能な配向ガイドは、右膝関節ならびに左膝関節の外旋に関して調整されるように組み付けられるよう構成されている。これは、反転可能な配向ガイドのドッキング方向にのみ依存する。すなわち、反転可能な配向ガイドは、メインブロックとドッキングするための少なくとも2つのドッキング方向を有する/実現するように設けられ、適合されている。第1ドッキング方向において、配向ガイドは、近位-遠位方向の軸を中心として(メインブロックに対して)第1回転角度だけ回転された2つの基準配向点によって、第1外旋角度を実現する。第2ドッキング方向において、(同じ)配向ガイドは、近位-遠位方向の軸を中心として第2回転角度だけ回転された2つの基準配向点によって、第1ものとは異なる第2外旋角度を実現する。特に、第1回転角度と第2外旋角度は、同じであるが、符号が異なる(正負、例えば、+3°と-3°)。
【0023】
これにより、サイザーシステムの使用が容易となり、複雑さが低い堅固なものとなる。さらに、大腿骨サイザーシステムは、そのシンプルな構造および特殊な境界条件のおかげで、高い自由度で設計され得るので、切欠きを使うことが可能となり、必要な構成材料が少なくて済み、その結果、サイザーシステムのアライメントの可視化、特に、ホワイトサイドラインおよび経上顆軸アライメントなどの解剖学的目印に対する取外し可能かつ反転可能な配向ガイド/ブロックのアライメントの可視化が大幅に改善される。反転可能な配向ブロックの少なくとも2つの基準配向点、好ましくは2つのドリル穴は、後部切除、面取りの追加、および前部切除などの次の手術ステップのための基準として機能する。
【0024】
本発明において開示されるメインブロックおよび/または前方スタイラス、または、メインブロックおよび/または反転可能な配向ガイドは、別の出願において独立して特許請求されてもよいことが示唆される。これらのモジュールは、それ自体で範囲が定められた別々の主題である。言い換えれば、メインブロック自体、または前方スタイラス自体、または反転可能な配向ガイド自体だけでなく、メインブロックと前方スタイラスの組合せ、またはメインブロックと反転可能な配向ガイドの組合せも、別々の出願で独立して特許請求されてよい。
【0025】
有利な実施形態は、サブクレームにおいて特許請求され、以下に説明される。
【0026】
好ましい実施形態では、ドッキングユニットと接続ユニットとが互いに形状嵌合するように適合されている。言い換えれば、配向ガイドのメインブロックに面する第1面、ならびに、配向ガイドのメインブロックに面する第2面、特に第1面と対向する/対向した/反対を向く面に関して、ドッキングユニットと接続ユニットとが、幾何学的形状を介して互いに形状嵌合する。ドッキングユニットと接続ユニットは、ドッキングユニットが接続ユニットにまたは接続ユニット内に嵌合するように、または、その逆に嵌合するように、互いに対して幾何学的に適合される。ドッキングセクションは、(遠位方向に延在する)少なくとも1つの足部の延在部とは反対の方向へ大腿骨背面に対して垂直に突出するブロックの形態をしており、反転可能な配向ガイドは、当該ブロックに相補的な対応するガイド開口/ガイド孔を接続ユニットとして備えることが好ましい。この構成では、反転可能な配向ガイドの対向する両面に、反転可能な配向ガイドのガイド開口を用いてよい。もしくは、この構成は逆であってもよく、つまり、メインブロックが、メインブロック開口を有してよく、反転可能な配向ガイドが、両面において近位-遠位方向に延びる対応する突出ブロック、言い換えると、両面における2つの突出ブロックを有してよい。
【0027】
別の好ましい実施形態によると、メインブロックのドッキングユニットは、少なくとも1つの足部の延在部と反対の方向へ平らな背面に対して垂直に突出するブロックの形態であってよく、好ましくは、近位方向に見たときに矩形のブロックの形態であってよい。したがって、ブロックは、遠位方向に突出しており、反転可能な配向ガイドは、ブロックに相補的な接続部としてガイド開口を備え、錠と鍵の原理を生じさせる。ドッキングユニットが、平坦な/平らな側壁を有することが好ましいブロックの形態である場合、その断面の輪郭は、遠位方向において同じである。同様に、同じ断面輪郭、特にドッキングユニットのブロックと同じ断面輪郭を有し、ドッキングユニットであるブロックへのアダプタの一種として機能する配向ガイドのガイド開口は、配向ガイドを貫通するガイド開口の両側でドッキングユニットに嵌合する。言い換えれば、連続するガイド開口は、配向ガイドの両面においてドッキングユニットのための2つの入口を有しているので、配向ガイドの2つの異なる面がメインブロックに面した状態で、ドッキングユニットひいてはメインブロックに反転可能な配向ガイドを取り付けることができる。ドッキングユニットの遠位方向の長さは、ガイド開口の遠位方向の長さであることが好ましい。ドッキングユニットの近位方向の断面輪郭が、接続ユニットの近位方向の断面輪郭よりもわずかに小さいことが好ましく、これにより、配向ガイドはドッキングユニットに容易に嵌合できる。ドッキングユニットのブロックは、遠位方向の少なくとも1つの面取りされた縁部、特に2つの面取りされた縁部を有することが好ましい。ブロックは、その縁部のうち遠位方向に延在する2つの縁部を面取りされており、これら2つの縁部は、ブロックの前面の縁部であることが好ましい。ガイド開口は、配向ガイド全体を貫通してもよいし、または、配向ガイドの対向面にあってもよく、この場合、互いに同軸にアライメントされることが好ましい。
【0028】
反転可能な配向ガイドを適所に維持し、反転可能な配向ガイドが適切に接続されたということをユーザにフィードバックするためのスナップ嵌合システムを実現するために、メインブロックのドッキングユニットは、接続ユニット、好ましくは接続ユニットのトラフ/トレイと相互作用する、好ましくは係止ボールの形態の、特にばね付勢された係止部材を備えることが好ましい。具体的には、ブロックの形態のドッキングユニットが、その前面に凹部を有しており、この凹部に、係止ボールとばね部材が挿入されている。ばねまたはゴムなどの弾性材料といったばね部材は、係止ボールを前方方向に押すが、幾何学的制約があるため、係止ボールはドッキングユニットのブロックから出ることができない。このように、係止ボールは、前方方向にばね付勢され、凹部またはトラフと共に、特にガイド開口の前面の円形凹部と共に、スナップ嵌合システムを形成する。
【0029】
別の実施形態によると、反転可能な配向ガイドは、それぞれの対称面に平行な軸を中心としてある回転角度だけ回転される接続ユニットを除いて、軸対称に設計されてよい。組み立てられた状態において正面で見たとき、つまり、近位方向に見たとき、配向ガイドは、その対称軸に対して、同じ構造および形状を有する左側および右側を有し、左側および右側は、対称軸に関して鏡映対称である。しかしながら、接続ユニットは、対称的ではないまたは対称的にアライメントされておらず、(組み立てられた状態において)近位-遠位方向の軸を中心として外旋角度だけ回転されている。したがって、配向ガイドのうちメインブロックに接続される唯一の部分が接続ユニットなので、配向ガイド全体もその外旋角度だけ回転され、その結果、組み立てられた状態において、対称的な配向ブロックは、メインブロックに対してちょうどその外旋角度だけ回転されている。配向ガイドは、メインブロックに反転可能に取り付けられるので、配向ガイドの一方の面では外旋角度は正であり、他方の面では回転角度は負である。このように、配向の符号が異なるので、配向ガイドは、右膝と左膝の両方に使用することができるよう提供される。
【0030】
本発明の別の態様によれば、反転可能な配向ガイドは、正面で見たときに、T字形状であってよく、特に外向きの先端を有する雨滴の形態の2つの翼(翼状)部を(T字の短手部分として)有し、各翼部は、経上顆軸アライメントのために、組み立てられた状態において近位-遠位方向の、好ましくはドリル穴の形態である、少なくとも2つの基準配向点のうちの1つを備えてよい。加えて、配向ガイドは、ホワイトサイドラインを参照するための好ましくは2つのドリル穴の形態である2つの基準配向点を結ぶ仮想線に対して垂直に延びるインジケータ壁を有してよい。インジケータ壁は、好ましくは平坦で薄く、(組み立てられた状態において)近位-遠位方向の寸法および/または前方-後方方向の寸法よりも内側-外側方向の寸法のほうが小さい。重量を最小限に抑え、外科医の視界を最適化するために、インジケータ壁が、内側-外側方向に壁孔を有することが好ましい。インジケータ壁が、外側-内側方向に見たときに、矩形の外側輪郭と壁孔の矩形の内側輪郭を有する平らな金属シートの形態であることが好ましい。インジケータ壁の前方方向、近位方向、および遠位方向を向く/指す外面は、好ましくは近位方向、前方方向、および遠位方向のそれぞれの面のすべての縁部において、面取りされていることが好ましい。これにより、外科医の視界を良くすることができる。
【0031】
接続ユニットを除いて、反転可能な配向ガイドは、第1対称面および第1対称面に対して垂直に立つ第2対称面に軸対称であることが好ましい。特に、第1対称面は近位-遠位方向に延在し、第2対称面は内側-外側方向に延在する。したがって、外旋角度を規定する接続ユニットを除いて、配向ガイドは、第1面として同じ「正面」および第2面として同じ「背面」、ならびに「同じ左」面および「右面」を有する。
【0032】
本発明の別の態様によれば、翼部は平らな前面を有し、これらの前面の両方は1つの平面内でアライメントされている。これら2つの前面は、組み立てられた状態において近位方向に見たときに、経上顆軸に平行となるはずである。この設計により、外科医が解剖学的目印を可視化しやすくなる。特に、翼部は、メインブロックの側部切欠きの領域に配置されるので、近位方向に見たときに、外科医は大腿骨の遠位面を見ることができ、前面を用いて経上顆軸アライメントを確認することができる。アライメントされると、基準のために、ドリル穴を介して、近位方向に2つの穴が穿孔されてよい。
【0033】
本発明の別の態様によれば、2つのドリル穴の形態であることが好ましい2つの基準配向点を結ぶ仮想線に対して、インジケータ壁は、前方-後方方向において接続ユニットと反対側に配置されてよい。言い換えれば、インジケータ壁と接続ユニットは、反転可能な配向ガイドの両側にある。
【0034】
前方スタイラスが、別個のコンポーネントであってよく、メインブロックに取り外し可能に着脱されるように適合されていることが好ましい。特に、前方スタイラスがメインブロックの左側または右側に連結され(つまり、内側-外側方向に連結され)、前方スタイラスを取り外し可能に着脱できる場合、システムおよび多数のコンポーネントに対して必要な前方スタイラスは1つだけなので、コスト削減に加えて、複雑さを低減することができる。
【0035】
メインブロックが、対称面(S)に対して対称に設計され、対称面が、近位-遠位方向および前方-後方方向に延在することが好ましい。これにより、設計および構造をシンプルかつ効率的なものにすることができる。さらに、メインブロックは、右関節または右膝と左関節または左膝との両方に使用されるように適合されている。
【0036】
本発明の一態様によれば、メインブロックは、好ましくは円形断面を有し、左長手軸を有する左受容開口と、好ましくは円形断面を有し、右長手軸を有する右受容開口とを有し、好ましくは、右長手軸は左長手軸に平行である。さらに、前方スタイラスは、好ましくは略円筒形の外形を有するスタイラスアダプタ部を備えてよく、スタイラスアダプタ部は、メインブロックに取り外し可能に着脱されるように、左受容開口および右受容開口に形状嵌合する。この構成では、スタイラスアダプタを、ボア穴の形態であることが好ましい左受容開口およびボア穴の形態であることが好ましい右受容開口に配置することができる。ボア穴の形態である場合、ボア穴は、前方-後方方向に存在し、互いに平行である。ボア穴それぞれの長さは、同じであり、好ましくは、ボア穴の直径寸法の少なくとも2倍であることが好ましい。特にボア穴の形態の受容開口の直径が、同じであることが好ましい。
【0037】
前方スタイラスが、完全に挿入されたときに、受容開口に、特にボア穴にスナップ嵌合するスナップ嵌合システムを備えることが好ましい。言い換えれば、前方スタイラスは、受容開口に完全に挿入されたときに、前方スタイラスが取り外されるまたは簡単に取り外されることを防止する、力で実行可能な形状嵌合クリックシステムを有する。スナップ嵌合システムは、挿入された前方スタイラスの保持力として機能する。スタイラスアダプタ部が、アダプタ部の長手方向の中心線に対して垂直な中心貫通スリット/貫通スロット/スリットスルーを有し、これによって2つの弾性脚部が形成されることが好ましい。
【0038】
力係止形状嵌合によって前方スタイラスを各受容開口において軸方向にスナップ嵌合させるために、スタイラスアダプタ部が、各弾性脚部の自由端において、径方向外側へ突出するスナップ式ノーズをさらに備えていることが好ましい。弾性脚部の弾性と2つの弾性脚部間の空間である貫通スリットのおかげで、脚部は、径方向内側へわずかに屈曲することができる。径方向外側へ突出するスナップ式ノーズと併せて、アダプタ部は、挿入される際に、アダプタ部の断面輪郭の寸法を小さくするために、弾性に抗して弾性脚部を互いに押し付けるための特定の力を必要とする。しかしながら、受容開口、特にボア穴に挿入されて、スナップ式ノーズが径方向に制限されなくなると、弾性脚部は、非張力状態で径方向外側へ再び屈曲することができる。それによって、スナップ式ノーズは、右長手軸または左長手軸の方向にアンダーカットを形成し、前方スタイラスが受容開口から脱落することを防止する。
【0039】
より正確なサイジングとなるように、前方スタイラスが、幾何学的に制限された回転範囲内でメインブロックに対して回転可能であるように適合されることが好ましい。したがって、前方スタイラスは、左膝および右膝に関して、前方スタイラスの先端を大腿骨の前面に配置するように、特に前方-後方方向の軸を中心として回転されてよい。少なくとも1つの回転方向、好ましくは2つの方向に回転が制限されることにより、正確なサイズを測定することができる。
【0040】
本発明の別の態様によれば、アダプタ部は、貫通スリットの基端の領域またはその領域内にある径方向外側の表面または面に、少なくとも1つの、好ましくは2つの窪みを有する。言い換えると、後方-前方方向において、窪みが、貫通スリットの基端と同じ位置にあることが好ましい。
【0041】
別の態様によれば、メインブロックは2つの足部を備えてよく、正面で(近位方向に)見たときに、ドッキングユニットと2つの足部のそれぞれとの間に、固定ブロックが配置されており、各固定ブロックは、固定のために、平らな背面に垂直な固定穴を有する。これらの固定穴により、外科医がメインブロックを大腿骨の遠位面に固定する/留めることが可能となる。
【0042】
大腿骨の遠位面の可視化を改善するために、メインブロックは、左受容開口と右受容開口の間に、好ましくは左側の受容開口の受容ブロックから右側の受容開口の受容ブロックまで外側-内側方向に延在する上側孔を備えることが好まましい。さらに、上側孔の後方-前方方向の寸法は、メインブロックの後方-前方方向の長さの半分であってよい。上側孔の内側-外側方向のサイズ/寸法は、前方-後方方向のサイズであることが好ましい。上側孔は、特に丸角を有する矩形の輪郭を有することが好ましい。
【0043】
スタイラス先端の位置を調整するために、前方スタイラスが、受容部/取入部と、受容部に摺動的に配置されるスタイラスタブとを備えることが好ましい。スタイラスタブを現在の位置でスナップ嵌めして、個別のサイズを示すために、受容部が、スタイラスタブの後面の溝に作用するスナップ嵌めシステムまたはばねシステムをさらに備えてよいことがより好ましい。こうすることによって、スタイラスタブが所定の位置にスナップ留めされるので、個別の調整ステップのみを実行することができる。さらに、スナップ嵌めシステムによって、拘束力が実現される。スナップ嵌合システムが、前方方向、または前方方向と遠位方向の両方に予め張力をかけられたばね付勢部材の形態であってよいことが好ましい。スタイラスタブの後面は、溝を有することが好ましく、この溝は、好ましくは、チャネル状であり、内側-外側方向に延在し、予張部材と相互作用する。受容部は、スライダのように、2つの対向する面に2つのスナップイン溝を有するCの形態であってよく、スタイラスタブは、摺動的に再配置されてよい。
【0044】
一般的な膝関節形成システムに関する本発明の目的は、本発明による大腿骨サイザーシステムを備えることによって解決される。このような膝関節形成システムでは、サイズの特定が速く、使用が容易であり、測定がより正確なので、手術がより効率的になり、手術を迅速に進めることができる。
【0045】
さらに、本発明による大腿骨サイザーシステムを使用するための方法に関する本発明の目的は、以下のステップによって解決される:遠位および後方基準のために、大腿骨に対して大腿骨サイザーシステムのメインブロックを配置するステップと、特定の外旋角度を有する反転可能な配向ガイドを選択するステップと、左膝関節(大腿骨)の手術であるか、右膝関節(大腿骨)の手術であるかに応じて、配向ガイドが左または右の大腿骨に合うように、反転可能な配向ガイドを回転させるステップと、配向ガイドの接続ユニットを使って、配向ガイドをメインブロックのドッキングユニットにドッキングさせるステップと、好ましくは、解剖学的目印に対するメインブロックのアライメントを改善するステップと、好ましくは、配向ガイドの正しい外旋角度の選択を確認するステップと、固定穴を使用して、大腿骨サイザーシステムのメインブロックを大腿骨の処理済みの遠位端へ固定するステップと、先端が前面に接触するように前部スタイラスの位置を調整するステップと、スケールの助けを借りてサイズを特定するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0046】
以下、図面と共に好ましい実施形態を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0047】
図1】本発明の好ましい実施形態による、大腿骨サイザーシステムの分解斜視図である。
図2】患者の大腿骨の遠位面と接している図1の大腿骨サイザーシステムの組立てられた状態の斜視図である。
図3図1および図2の大腿骨サイザーシステムを内側-外側方向で見た側面図である。
図4】大腿骨に取り付けられた図1図3の大腿骨サイザーシステムを後方-前方方向で見た上面図である。
図5図1図4の大腿骨サイザーシステムの、5°の所定の角度を有する第1反転可能な配向ガイドの斜視図である。
図6図1図4の大腿骨サイザーシステムの、3°の所定の角度を有する第2反転可能な配向ガイドの斜視図である。
図7】(経)上顆軸およびホワイトサイドラインの形態の解剖学的目印を有する大腿骨の遠位端面の正面図を理解するためのものである。
図8】大腿骨の遠位面に取り付けられた、好ましい実施形態の大腿骨サイザーシステムの正面図である。
【0048】
図面は、概略的な性質のものであり、本発明の開示の理解を向上させることを意図している。同じ要素は、同じ参照符号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1図6および図8は、本発明の好ましい実施形態による膝関節形成術のための大腿骨サイザーシステム1およびコンポーネントを示しており、図2図4および図8は、左大腿骨Fに取り付けられたサイザーシステム1を示している。
【0050】
図1に見られるように、図1では分解状態にある大腿骨サイザーシステム1(以下、サイザーシステムと呼ぶ)は、メインブロック2、前方スタイラス3、および反転可能な配向ガイド4(以下、配向ガイドと呼ぶ)の形態の3つの別個のコンポーネント/モジュールを備える。この実施形態において、サイザーシステム1は、2つの異なる外配向回転度、すなわち3度と5度を有する2つの配向ガイド4、4’の組をさらに備える。これら3つのモジュール2、3、4(4’)は、いかなる工具も必要とせずに、手作業で、組み立てられた状態へと組み立てられ、再び分解状態へ分解されてよく、メインブロック2は、共通接続のためのベースを構成している。
【0051】
メインブロック2は、処理済みの/切除済みの大腿骨Fの遠位面、つまり大腿骨Fの顆それぞれと接触して配置されるように近位方向を向く平らな(大腿骨)背面5を有する(図2参照)。メインブロック2は、対称面Sに対して対称に設計されている。この実施形態では、大腿骨Fの顆の後方基準(後面)のために、2つの固定足部6が、主に背面5に垂直に、近位方向へ背面5から離れるように延在している。
【0052】
従来技術とは対照的に、メインブロック2自体は、外旋を実施するために調整され得るものではないが、固定足部6を有する静止ブロック(構造/設計)を構成している。その代わりに、サイザーシステム1は、外旋のために、以下の特別な構成を有している。
【0053】
具体的には、メインブロック2は、遠位方向に突出するブロックの形態のドッキングユニット/ドッキングセクション7を備え、このドッキングユニット/ドッキングセクションは、反転可能な配向ガイド/反転可能な配向ブロック4、4’(図6も参照)の対応する接続ユニット8と相互作用し、接続ユニットは、配向ガイド4、4’全体を第1面から第1面と対向する第2面まで貫通して延びる貫通(ガイド)開口/孔の形態をしている。ドッキングユニット7と接続ユニット8の設計が反転可能な差し込み式接続の形態であることによって、(取り外し可能な)配向ガイド4、4’を、反転可能に、メインブロック2に取り外し可能に連結および連結解除させることができ、したがって、配向ガイド4、4’の差し込み方向に応じて、配向ガイド4、4’の対向する2つの異なる面の各々がメインブロック2に面することができる。言い換えれば、左膝か右膝かに応じて、配向ガイド4、4’は、ユーザによって、回転されるか、または、面が切り換えられ/ひっくり返され/反転されて、メインブロック2に組み付けられてよい。
【0054】
したがって、配向ガイド4、4’は、メインブロック2とのドッキングのために、互いに反対の2つのドッキング方向を有する。具体的には、接続ユニット8は、2つの実施可能なドッキング方向を有するように適合されており、選択されたドッキング方向に応じて、配向ガイド4、4’の第1面または第2面がメインブロック2に面する。サイザーシステム1の組み立てられた状態において、配向ガイド4、4’は、外部ドリル工具の穿孔の基準のためおよび固定/基準ピンの挿入のために、2つのドリル穴9の形態の2つの基準配向点を有する。以下に説明されるように、2つのドリル穴9を互いに結ぶ横線は、接続ユニット8、ひいてはメインブロック2に対して、+5°または-5°回転され、第2配向ガイドの場合は、+3°または-3°回転される。したがって、反転可能な配向ガイド4、4’がメインブロック2に取り付けられると、メインブロック2に面する配向ガイド4の面に応じて、2つの穴9を結ぶ横線は、第2配向ガイド4’の場合、メインブロック2およびその対称面Sに対して、正の回転方向または負の回転方向に5°または3°回転される。
【0055】
要するに、従来技術とは異なり、本発明の大腿骨サイザーシステム1は、左膝用および右膝用に異なる配向ガイドの組を必要とせず、代わりに、1つの反転可能な配向ガイド4、4’のみを用いて、左膝(関節)および右膝(関節)の外配向回転角度αを決めることができる。例えば、左膝の場合、図8に示され、医療関係者が視認可能な「5°L」で示されるような、配向ガイド4の第1アライメント/配向を使用してよく、医療関係者が右膝へ変更したい場合には、配向ガイド4をその中心軸を中心に180°(ガイド開口8の軸に垂直に)反転させて、反転されたアライメントが使用される。そうすることで、外旋角度の符号が+5°から-5°へ変わる。+3°および-3°を有する第2配向ガイド4’にも同じことが当てはまる。
【0056】
加えて、ドッキングユニット7および接続ユニット8が小さいので、外科医の視野が広げられ、改善される。
【0057】
サイザーシステム1は、大腿骨Fの前面と接触して配置されるスタイラス先端/点10を有する前方(表面)スタイラス3を備える(図2参照)。前方スタイラス3(以下、スタイラスと呼ぶ)は、メインブロック2に着脱可能なリムーバブルコンポーネント/モジュールである。また、スタイラス3は、スタイラス先端10の位置を調整するように適合されている。サイザーシステム1が大腿骨の後顆と接するように配置されると、前方スタイラス(タブ)3の前方スタイラス先端10は、大腿骨のサイズを特定するために、大腿骨Fの前面と接触するように調整される。
【0058】
その結果、大腿骨サイザーシステム1は、いくつかのステップで、(インプラントのサイズに応じて)大腿骨Fのサイズを評価することを可能にし、解剖学的目印に従って、外旋αが容易に決定およびアライメントされる。
【0059】
サイザーシステム1は、多くの調整をすることなく容易に使用することができるシンプルなシステムであり、孔が多くて容積が小さいので、侵襲性の低いシステムでもある。サイザーシステム1は、以下でより詳細に説明される。対称面Sに対称なメインブロック2は、近位-遠位方向で見たときに、X形状を有しており、Xの中心に、ドッキングユニット7が設けられ、Xの下側の脚部16では、各脚部16に、遠位-近位方向の固定穴12を有する固定ブロック11が設けられている。これらの固定穴12は、メインブロック2を大腿骨に固定するための役割をする。固定ブロック11は、近位方向に見たときに、楕円形を有し、互いにV字形に並べられており(固定ブロック11の長手線の仮想延長線の交点を中心に互いに約90°回転)、足部6が、固定ブロック11の自由端まで沿って、それぞれ近位方向に延びる。Xの上側の脚部17は各々、長手軸15を有する受容開口14を有する受容ブロック13を備える。2つの受容ブロック13は、前方-後方方向に延びる矩形ブロックとして設計されている。ここで、受容開口の長手軸15は、両方とも背面5に平行であり、互いに対して平行である。長手軸は、両方とも前方-後方方向にアライメントされている。後述するように、これらの受容開口14は、スタイラス3を受け入れるよう適合されている。受容ブロック13のサイザーシステム1から離れる方向を向く外面には、各外面に、内側-外側方向の穴が設けられており、この穴は、前方スタイラス3を固定するための受容開口14への開口を形成している。
【0060】
Xの2つの上側の脚部17の間、またはメインブロック2の2つの受容ブロック13の間の前面において、2つの受容ブロック13を互いに接続する安定化のための接続ブリッジ(支柱)16が実現されている。
【0061】
言い換えれば、メインブロック2は、近位-遠位方向に見たときに、ドッキングユニット7がある中央部付近に4つの切り欠き(孔)19、20、21を有し、(中央部の両側で)外側-内側方向に2つの切り欠き21を有し、(中央部の両側で)後方-前方方向に2つの切り欠き19、20を有する、平らな背面5を有するある種の平らな金属シートを有しており、上側の切り欠き19は、接続ブリッジ18があるので、孔の形態となっている。全てのブロック、つまり、受容ブロック13、固定ブロック11、およびドッキングユニット7は、この平らな金属シートから遠位方向に延びている。2つの足部6は、反対方向、すなわち近位方向に延びており、大腿骨の後面に接触する平坦な表面を有する(すなわち、図2参照)。
【0062】
受容ブロック13は両方とも、外側-内側方向の外面に、医療従事者による取扱いを改善するための溝付き表面22を有する。同様に、固定ブロック11も、遠位方向の外面に溝付き表面23を有する。
【0063】
ドッキングユニット7は、具体的には、近位方向に延びる矩形ブロック24の形態をしており、このブロックでは、その上部(上(方向)は前方方向を意味し、下(方向)は後方方向を意味する)の4つの縁部のうちの2つが、面取りされた縁部25である。同様に、(組み立てられた状態で見たときに)配向ガイド4、4’のガイド開口26は、矩形孔の形態をしており、その上部に2つの面取りされた縁部を有する。したがって、面取りされた縁部は対称面Sに対称なので、配向ガイド4、4’は、(大まかに言えば)前方-後方方向の軸を中心に回転可能であり、メインブロック2またはメインブロック2のドッキングユニット7にドッキングすることができる。面取りされた縁部を有する特定の幾何学的形状であるため、上下逆さまなどの他のドッキングは除外される。矩形ブロック24の遠位方向の長さは、ガイド開口26と同じ長さである。
【0064】
ドッキングユニット7の矩形ブロック24は、その前面に、ガイド開口26の上面との力係止形状嵌合のために前面表面の中心に配置された埋没ばね付勢ボール27を有する。具体的には、ガイド開口26の上面(前面)は、その中心に、係止ボール27と相互作用する相補的なトラフまたは凹部を有し、これは、配向ガイド4、4’を部分的に固定し、配向ブロック4、4’がメインブロック2に正しく取り付けられている/連結されている/組み付けられているかどうかを外科医にフィードバックするためのクリックシステムを実現する。係止ボール27は、ばね付勢されて前方方向に押圧されている。係止ボールのごく一部のみが矩形ブロック24の表面から出ているので、ガイド開口26の上面は、ばね付勢力に抗して係止ボール27を後方方向へ押すことができ、配向ガイド4、4’が正しい位置につくと、係止ボール27は跳ね返って、トラフ/凹部内へと入る/突き出る。
【0065】
2つの足部6の各々は、後方基準のために大腿骨の後顆と接触させられる、平らな前面を有する板状部の形態をしている。足部6の平らな前面は、メインブロック2の背面5と共に、2つの面の間に90°を有するL字形になっている。
【0066】
特に図5および図6に見られるように、配向ガイド4および4’は、両側で内側-外側方向に延びる2つの翼状部28を有する。近位方向(または上面図/正面図)で見ると、その形状は、(互いに外側を向く)外方向に尖った端部を有する雨滴状である。これらの翼状部28は、反転可能な向きの両方で、互いに距離がある受容ブロック13と固定ブロック11の間に嵌合する。翼状部28の前表面/前面29(組み立てられた状態で)は、平らであり、翼状部28両方の面は両方とも、(組み立てられた状態で)対称面S内に存在する近位-遠位方向の軸を中心に5度または3度回転される1つの平面内にあり、したがって、前面29は、内側-外側方向と平行ではなく、対称面Sに垂直ではなく、3度または5度回転されている。また、翼状部28に設けられたドリル穴9も、近位-遠位方向の軸を中心に5度または3度回転される。言い換えれば、2つのドリル穴9の間の横方向の接続線は、前面29に平行であり、これら両方ともが、対称面S内に存在する近位-遠位方向の回転軸を中心に、外旋角度αだけ回転される。
【0067】
言い換えると、配向ガイド4,4’は、正面から見ると、(ガイド)対称面に対称に設計されているが、ガイド開口26は、(ガイド)対称面に対して回転角度αだけ回転されている。ガイド開口26は、接続構造であり、アラインメントを規定するので、組み付けられると、配向ガイド4,4’全体が回転角度αだけ回転される。
【0068】
配向ガイド4、4’は、2つのドリル穴9の間の仮想接続線に対して垂直に延びるインジケータ壁30をさらに備える。さらに、この壁は、より小さい寸法で、近位-遠位方向にも延びている。このインジケータ壁30は、ホワイトサイドラインに対する正しいアライメントを決定および確認するために使用される。さらに、インジケータ壁は、外側-内側方向を向く壁孔31を有する。この壁孔は、配向ブロックの重量と外科医の視野を良くする。
【0069】
図1図4には、前方スタイラス3が示されている。前方スタイラス3は、長手方向の正中線33を有し、円形断面(円形の外輪郭)を有する円筒状(円筒形)の形態をしているスタイラスアダプタ部/セクション32を有し、これは、メインブロック2の左右の受容開口14の両方に嵌合するよう適合されている。これにより、前方スタイラスをメインブロック2に着脱することができる。アダプタ部32およびそれを有するスタイラス3は、その幾何学的形状により、各受容開口14の長手軸15を中心に回転することができる。
【0070】
さらに、アダプタ部32は、正中線33に垂直な中央スリットスルー/貫通スリット34を備えており、それによって、2つの弾性脚部35が形成されている(図1参照)。さらに、スナップ嵌合システムを実現し、かつ力係止形状嵌合によって各受容開口14において前方スタイラス3を軸方向に固定するために、アダプタ部33は、各脚部35の自由端に、径方向外向きに突出するスナップ式ノーズ36を備える。2つの弾性脚部35が、弾性力に抗して互いに向けて押圧されて、アダプタ部32が、受容ブロック13の左側(L)または右側(R)の受容開口14に挿入されてよい。アダプタ部32の導入/挿入および抜き取りを簡略化/容易化するために、スナップ式ノーズ36は、前方-後方方向の両側に傾斜構造37を有する。挿入時、スタイラス3が後方方向に単に押しこまれると、スナップ式ノーズ36の後方側の傾斜構造37が、その幾何学的形状により、アダプタ部が受容開口14に嵌合するまで弾性脚部35を互いに向けて押圧する。その後、スタイラス3が、最後まで(スタイラス3がメインブロック2に当接するまで)押しこまれると、アダプタ部32の長さが受容開口14の長さより少し長いので、スナップ式ノーズ36が、その予張力に抗して径方向に幾何学的に解放される。
【0071】
メインブロック2の受容ブロック13の下の当接部38と併せた場合の、スナップ式ノーズ36の特定の幾何学的形状の別の利点は、回転方向の両方で回転が制限されることである。スナップ式ノーズ36は、通常、外側-内側方向に延在しているが、スタイラスがその長手方向の正中線33を中心に回転すると、スナップ式ノーズ36も回転する。メインブロック2では、受容開口14が遠位面、ここでは当接部38に非常に近いという設計になっているので、突出するスナップ式ノーズ36は、ある程度の回転内で当接部38に当接する。したがって、スタイラスは、スナップ式ノーズ36によって軸方向に(取り外し可能に)固定されるが、その長手方向の正中線33を中心にある程度の回転の自由度を有している。前方スタイラス3は、前表面(皮質)のより良好な基準点に到達するために、回転可能である。この回転は、より正確なサイジングになるように制限される。
【0072】
スタイラス3はさらに、貫通スリット34の基端の範囲の径方向外面に、窪み/凹部39を有する。この窪み39は、弾性脚部35の弾性を高めるのに役立つ。図1図2、または図3に示され、前述されるように、受容ブロック13には、外側-内側方向のボア穴が設けられている。右の受容ブロックの場合、ボア穴は、外側方向の外面に設けられており、左の受容ブロックの場合、ボア穴は、内側方向の外面に設けられている。このボア穴と窪み39によって、前方スタイラス3のアダプタ部32を定位置に固定することが可能である。
【0073】
スタイラス3のアダプタ部32に続いて、スタイラス先端10を有するスタイラスタブ41を摺動可能に収容するように適合された受容部40が設けられている。この実施形態では、スタイラスタブは、内側-外側方向で見たときに、L字形の屈曲金属シートの形態をしている。図3に見られるように、例えば、受容部40(または、その摺動面)は、近位-遠位方向に平行ではなく、この方向に対して約45°の傾斜を有しており、したがって、スタイラスタブ41が受容部40内で摺動するときには、(スタイラス3が回転していない場合)スタイラスタブ41は、近位-遠位方向および前方-後方方向に動く。同様に、スタイラス先端10も、これらの方向に動く。受容部40の範囲内のスタイラスタブ41の上部には、サイズを示すスケール43が設けられている。受容部40での相対的な摺動および大腿骨Fの前面との接触に応じて、外科医は、スケール43を読むことによってサイズを特定することができる。
【0074】
さらに、スタイラスタブ41は、その後面(受容部40の摺動面に面する面)にスタイラス溝42を有し、受容部40は、スタイラス溝に当接するばね付勢部材(ばねシステム、図示せず)を有し、それによって、クリックシステムまたはスナップ嵌合システムが実現され、スタイラスタブ41を摺動させる個別ステップのみが実行され得る。さらに、スタイラスタブ41は、適所に係止される。ばね付勢部材を有するクリックシステム/ばねシステムのおかげで、前方スタイラス3は、各サイズでわずかに係止されることが可能である。
【0075】
スタイラス3の取り扱いを楽にするために、スタイラスタブ41は、その遠位端に、指溝44を有する。
【0076】
図7では、解剖学的目印である経上顆軸およびホワイトサイドラインと共に、大腿骨Fの遠位面が示されている。これらの目印は、サイザーシステム1のための基準である。
【0077】
図8では、サイザーシステム1のメインブロック2が、大腿骨Fの遠位正面に配置されている。大きな上側開口19のおかげで、外科医または医療従事者は、ホワイトサイドラインのアライメントを決めるために、大腿骨Fを良好に見ることができ、良好な可視化および可視性を得ることができる。同様に、側方の切欠き21のおかげで、経上顆軸のアライメントを良好に可視化することができる。配向ブロック4が、ドッキングユニット7(左膝の場合、文字「L」で示される)にドッキングされ、上側開口19の前にあるインジケータ壁30が、大腿骨Fの前で正しいアライメントを示す。ここでは、回転角度αは、対称面Sに対して+5°である。インジケータ壁30はドリル穴9間の接続線に対して垂直に立っているので、基準用のドリル穴9も+5°回転されている。
【0078】
したがって、外科医は、正しい配向ガイド4または4’を選択することによって、外旋αを容易に調整することができ、インジケータ壁30および前面29を解剖学的目印それぞれと比較することができる。
【符号の説明】
【0079】
1.大腿骨サイザーシステム
2.メインブロック
3.前方スタイラス
4.反転可能な配向ガイド
5.背面
6.足部
7.ドッキングユニット
8.接続ユニット
9.配向ガイドのドリル穴
10.スタイラス先端
11.固定ブロック
12.固定穴
13.受容ブロック
14.受容開口
15.受容開口の長手軸
16.下側の脚部
17.上側の脚部
18.接続ブリッジ/支柱
19.上側切り欠き/孔
20.下側切り欠き
21.側方切り欠き(左右)
22.溝付き表面
23.溝付き表面
24.矩形ブロック
25.面取りされた縁部
26.ガイド開口
27.ばね付勢ボール
28.翼形部
29.翼形部の前面
30.インジケータ壁
31.インジケータ壁の孔
32.スタイラスアダプタ部
33.長手正中線
34.スリットスルー
35.弾性脚部
36.スナップ式ノーズ
37.傾斜構造
38.メインブロックの当接部
39.窪み
40.受容部
41.スタイラスタブ
42.スタイラスタブの溝
43.スタイラスタブのスケール
44.スタイラスタブの指溝
F.大腿骨
S.対称面
α.回転角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節形成術のための大腿骨サイザーシステムであって、
遠位基準のために大腿骨の処理済みの遠位面と接触して配置される平らな背面と、後方基準のために前記背面に対して主に垂直に、それから離れるように延びる少なくとも1つの固定された足部と、対応する接続ユニットとドッキングするためのドッキングユニットと、を有するメインブロックと
前記大腿骨の前面と接触して配置されるスタイラス先端を有する前方スタイラスであって、前記前方スタイラスが、前記メインブロックに取り付けられるまたは取り付け可能であり、前記スタイラス先端の位置を調整するように適合されている、前方スタイラスと
反転可能な配向ガイドであって、反転可能な配向ガイドが、解剖学的目印の基準のために前記大腿骨において基準ピンを実現するために設けられ適合された少なくとも2つの基準配向点と、前記ドッキングユニットに対応し、それと相互作用する接続ユニットとを有し、反転可能な配向ガイドは、反転可能な配向ガイドの少なくとも2つの異なる面が、面に応じて、前記メインブロックに対して2つの前記基準配向点の2つの異なる位置をもたらすように、その前記接続ユニットを介して前記メインブロックの前記ドッキングユニットに反転可能に取り外し可能に着脱されるように適合された反転可能な配向ガイドと、を備え、それにより、前記大腿骨サイザーシステムが、右膝関節および左膝関節に使用されるように構成されている、大腿骨サイザーシステム。
【請求項2】
前記反転可能な配向ガイドの前記メインブロックに面する第1面、ならびに、前記反転可能な前記配向ガイドの前記メインブロックに面する第2面に関して、前記ドッキングユニットと前記接続ユニットは、それぞれの幾何学的形状を介して、互いに形状嵌合するように適合されることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項3】
前記メインブロックの前記ドッキングユニットは、平らな前記背面に対して垂直に、少なくとも1つの前記足部の延長部と反対の方向に突出する、ブロックの態であり、
前記反転可能な配向ガイドの前記接続ユニットは、前記ブロックに相補的なガイド開口の形態であり、錠と鍵の原理を実現することを特徴とする、請求項2に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項4】
前記反転可能な配向ガイドを適所に維持し、前記反転可能な配向ガイドが適切に接続されたことをユーザにフィードバックするためのスナップ嵌合システムを実現するために、前記メインブロックの前記ドッキングユニットは、前記接続ユニットと相互作用する係止部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項5】
外旋を実現するために、前記反転可能な配向ガイドは、それぞれの対称面に平行な軸を中心として回転角度回転される前記接続ユニットを除いて、軸対称に設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項6】
前記反転可能な配向ガイドは、正面から見たときにT字形状であり、2つの翼部を有し、各翼部は、経上顆軸アライメントのために、少なくとも2つの前記基準配向点のうちの1つを備え、前記反転可能な配向ガイドは、ホワイトサイドラインの基準のために2つの前記基準配向点を結ぶ仮想線に対して垂直に延びるインジケータ壁を有することを特徴とする、請求項5に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項7】
2つの前記基準配向点を結ぶ前記仮想線に対して、前記インジケータ壁は、前記接続ユニットとは反対側にあることを特徴とする、請求項6に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項8】
前記前方スタイラスは、別個のコンポーネントであり、前記メインブロックに取り外し可能に着脱されるように適合されることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項9】
前記メインブロックは、対称面に対して対称に設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム
【請求項10】
前記メインブロックは、左長手軸をする左受容開口と右長手軸を有する右受容開口を有し
前記前方スタイラスは、前記メインブロックに取り外し可能に着脱されるように、前記左受容開口と前記右受容開口に形状嵌合するスタイラスアダプタ部を有することを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項11】
前記スタイラスアダプタ部は、前記スタイラスアダプタ部の長手正中線に対して垂直な中央貫通スリットを有し、それにより、2つの対称な弾性脚部が形成されており、前記スタイラスアダプタ部は、力係止形状嵌合によって前記前方スタイラスを各受容開口において軸方向にスナップ嵌めするために各弾性脚部の自由端において、径方向外向きに突出するスナップ式ノーズをさらに備えることを特徴とする、請求項10に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項12】
より正確なサイジングとするために、前記前方スタイラスは、制限された回転範囲内で前記メインブロックに対して回転可能であるように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項13】
前記大腿骨の前記遠位面の可視化を改善するために、前記メインブロックは、前記左受容開口と前記右受容開口との間に上側孔を備えることを特徴とする、請求項10に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項14】
前記前方スタイラスは、受容部と、前記スタイラス先端を有するスタイラスタブとを備え、前記スタイラスタブは、前記スタイラスタブおよび前記スタイラス先端の位置を調整するために、前記受容部内に摺動可能に配置されており、前記受容部は、前記スタイラスタブをその現在の位置でスナップ嵌合させ、個別のステップおよびサイズのみを可能にするために、前記スタイラスタブの溝に作用するスナップ嵌合システムをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項15】
請求項1に記載の大腿骨サイザーシステムを備える膝関節形成システム。
【請求項16】
少なくとも2つの前記基準配向点は、2つのドリル穴の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項17】
前記係止部材は、係止ボールの形態であり、前方方向に予め張力をかけられており、前記接続ユニットの対応するトラフまたは凹部を介して、前記接続ユニットを相互作用することを特徴とする、請求項4に記載の大腿骨サイザーシステム。
【請求項18】
前記左長手軸は、前記右長手軸に平行であることを特徴とする、請求項10に記載の大腿骨サイザーシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
したがって、外科医は、正しい配向ガイド4または4’を選択することによって、外旋αを容易に調整することができ、インジケータ壁30および前面29を解剖学的目印それぞれと比較することができる。
本明細書で開示する技術は、以下の事項を含む。
事項1
膝関節形成術のための大腿骨サイザーシステム(1)であって、
遠位基準のために大腿骨(F)の処理済みの遠位面と接触して配置される平らな背面(5)と、後方基準のために前記背面(5)に対して主に垂直に、それから離れるように延びる少なくとも1つ、好ましくは2つの固定された足部(6)と、対応する接続ユニット(8)とドッキングするためのドッキングユニット(7)と、を有するメインブロック(2)と、
前記大腿骨(F)の前面と接触して配置されるスタイラス先端(10)を有する前方スタイラス(3)であって、前記前方スタイラス(3)が、前記メインブロック(2)に取り付けられるまたは取り付け可能であり、前記スタイラス先端(10)の位置を調整するように適合されている、前方スタイラス(3)と、
反転可能な配向ガイド(4、4’)であって、反転可能な配向ガイド(4、4’)が、解剖学的目印の基準のために前記大腿骨において基準ピンを実現するために設けられ適合された、好ましくは2つのドリル穴(9)の形態の少なくとも2つの基準配向点と、前記ドッキングユニット(7)に対応し、それと相互作用する接続ユニット(8)とを有し、反転可能な配向ガイド(4、4’)は、反転可能な配向ガイド(4、4’)の少なくとも2つの異なる面が、面に応じて、前記メインブロック(2)に対して2つの前記基準配向点の2つの異なる位置をもたらすように、その前記接続ユニット(8)を介して前記メインブロック(2)の前記ドッキングユニット(7)に反転可能に取り外し可能に着脱されるように適合された反転可能な配向ガイド(4、4’)と、を備え、それにより、前記大腿骨サイザーシステム(1)が、右膝関節および左膝関節に使用されるように構成されている、大腿骨サイザーシステム(1)。
事項2
前記反転可能な配向ガイド(4、4’)の前記メインブロック(2)に面する第1面、ならびに、前記反転可能な前記配向ガイド(4、4’)の前記メインブロック(2)に面する第2面、特に、前記第1面に対向する/対向した/反対を向く面に関して、前記ドッキングユニット(7)と前記接続ユニット(8)は、それぞれの幾何学的形状を介して、互いに形状嵌合するように適合されることを特徴とする、事項1に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項3
前記メインブロック(2)の前記ドッキングユニット(7)は、平らな前記背面(5)に対して垂直に、少なくとも1つの前記足部(6)の延長部と反対の方向に突出する、ブロック(24)の形態、好ましくは、矩形ブロックの形態であり、
前記反転可能な配向ガイド(4、4’)の前記接続ユニット(8)は、前記ブロック(24)に相補的なガイド開口(26)の形態であり、錠と鍵の原理を実現することを特徴とする、事項2に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項4
前記反転可能な配向ガイド(4、4’)を適所に維持し、前記反転可能な配向ガイド(4、4’)が適切に接続されたことをユーザにフィードバックするためのスナップ嵌合システムを実現するために、前記メインブロック(2)の前記ドッキングユニット(7)は、前記接続ユニット(8)と、好ましくは前記接続ユニット(8)の対応するトラフまたは凹部と相互作用し、特に前方方向に予め張力をかけられた、好ましくは係止ボールの形態の、特にばね付勢された係止部材(27)を備えることを特徴とする、事項1から3のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項5
外旋を実現するために、前記反転可能な配向ガイド(4、4’)は、それぞれの対称面に平行な軸を中心として回転角度(α)回転される前記接続ユニット(8)を除いて、軸対称に設計されていることを特徴とする、事項1から4のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項6
前記反転可能な配向ガイド(4、4’)は、正面から見たときにT字形状であり、特に外向きの先端を有する雨滴の特定の形態である2つの翼部(28)を有し、各翼部(28)は、経上顆軸アライメントのために、好ましくは前記ドリル穴(9)の形態の少なくとも2つの前記基準配向点のうちの1つを備え、前記反転可能な配向ガイド(4、4’)は、ホワイトサイドラインの基準のために2つの前記基準配向点(9)を結ぶ仮想線に対して垂直に延びるインジケータ壁(30)を有することを特徴とする、事項5に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項7
2つの前記基準配向点を結ぶ前記仮想線に対して、前記インジケータ壁(30)は、前記接続ユニット(8)とは反対側にあることを特徴とする、事項6に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項8
前記前方スタイラス(3)は、別個のコンポーネントであり、前記メインブロック(2)に取り外し可能に着脱されるように適合されることを特徴とする、事項1から7のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項9
前記メインブロック(2)は、対称面(S)に対して対称に設計されていることを特徴とする、事項1から8のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項10
前記メインブロック(2)は、左長手軸(15)を有し、好ましくは円形断面を有する、左受容開口(14)と右長手軸(15)を有し、好ましくは円形断面を有する右受容開口(14)を有し、好ましくは、前記左長手軸(15)は、前記右長手軸(15)と平行であり、
前記前方スタイラス(3)は、前記メインブロック(2)に取り外し可能に着脱されるように、前記左受容開口(14)と前記右受容開口(14)に形状嵌合し、好ましくは略円筒形の外面を有する、スタイラスアダプタ部(32)を有することを特徴とする、事項1から9のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項11
前記スタイラスアダプタ部(32)は、前記スタイラスアダプタ部(32)の長手正中線に対して垂直な中央貫通スリット(34)を有し、それにより、2つの対称な弾性脚部(35)が形成されており、前記スタイラスアダプタ部(32)は、力係止形状嵌合によって前記前方スタイラスを各受容開口において軸方向にスナップ嵌めするために各弾性脚部(35)の自由端において、径方向外向きに突出するスナップ式ノーズ(36)をさらに備えることを特徴とする、事項10に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項12
より正確なサイジングとするために、前記前方スタイラス(3)は、制限された回転範囲内で前記メインブロック(2)に対して回転可能であるように適合されていることを特徴とする、事項1から11のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項13
前記大腿骨の前記遠位面の可視化を改善するために、前記メインブロック(2)は、前記左受容開口(14)と前記右受容開口との間に上側孔(19)を備えることを特徴とする、事項10に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項14
前記前方スタイラス(3)は、受容部(40)と、前記スタイラス先端(10)を有するスタイラスタブ(41)とを備え、前記スタイラスタブ(41)は、前記スタイラスタブ(41)および前記スタイラス先端(10)の位置を調整するために、前記受容部(40)内に摺動可能に配置されており、前記受容部(40)は、前記スタイラスタブ(41)をその現在の位置でスナップ嵌合させ、個別のステップおよびサイズのみを可能にするために、前記スタイラスタブ(41)の溝(42)に作用するスナップ嵌合システムをさらに備えることを特徴とする、事項1から13のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)。
事項15
事項1から14のいずれか一項に記載の大腿骨サイザーシステム(1)を備える膝関節形成システム。
【国際調査報告】