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特表2023-540636ベンゾ酸素含有複素環化合物及びその医薬用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】ベンゾ酸素含有複素環化合物及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 317/54 20060101AFI20230915BHJP
   C07D 407/12 20060101ALI20230915BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230915BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230915BHJP
   A61K 31/36 20060101ALI20230915BHJP
   A61K 31/357 20060101ALI20230915BHJP
   C07D 317/66 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
C07D317/54
C07D407/12 CSP
A61P3/10
A61P43/00 111
A61K31/36
A61K31/357
C07D317/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516184
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2021117623
(87)【国際公開番号】W WO2022053013
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】202010947909.3
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516367073
【氏名又は名称】上海愛博医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】AB PHARMA LTD
【住所又は居所原語表記】133-99 Guang Zhong Road Minhang District Shanghai China
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン-ユン・ツァン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB08
4C063CC81
4C063DD76
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA13
4C086BA14
4C086GA02
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、式Ib又はIIbで表される化合物、そのシス-トランス異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、互変異性体、溶媒和物、水和物、又は薬学的に許容される塩もしくはそれらの混合物、当該化合物を含む医薬組成物、及びGPR40アゴニストとして使用される前記化合物の使用を公開し、ここで、n、E、G、L、L、R、R、R、R、R、R5b、R、R、X、X、X、Y、Y、Z、Z及び化合物における各元素の可能な同位体置換標識は、明細書で定義されている通りである。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ibで示される化合物、そのシス-トランス異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、互変異性体、溶媒和物、水和物、又は薬学的に許容される塩もしくはそれらの混合物:
【化1】
(ここで、
n=0、1又は2であり;
n=0の場合、Yは存在せず、Yと、Yに隣接するZとは単結合で直接結合して5員の複素環を形成し;
EとGが直接結合して環状化合物を形成していない場合、Eは、水素、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、又は複素環アリールから選択され;GはCH、又はC(Rb)であり;ここで、Rbは水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカンアミノ、シクロアルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、複素環基、複素環アリール、又は複素環アリールオキシであり、又はRbとRとは互いに結合してシクロアルキル又は複素環基を形成することができ;
EとGが結合して環状化合物を形成する場合、Gは-C-であり;Eは-O-、-C(RcRd)-、-OC(RcRd)-、-C(RcRd)O-、又は-NRe-であり;ここで、Rc及びRdはそれぞれ水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ヒドロカルビル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、複素環基、複素環アリール、又は複素環アリールオキシであり、RcとRdとは互いに結合してシクロアルキル、又は複素環基を形成することができ;Reは水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、又はアリールスルホニルであり;
及びLはそれぞれ独立して-O-、-S-、-C(O)-、-S(O)-、-CH-、-C(R)-、-OC(R)-、-C(R)O-、-N(Re)-、-N(Rc)C(R)-、又は-C(R)N(Re)-であり;ここで、R及びRはそれぞれ水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、複素環基、複素環アリール、又は複素環アリールオキシであり、Reの定義は前記EにおけるReの定義と同じであり;
、R及びRはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリール、アリールオキシ、又は複素環アリールであり;ここで、式IbにおけるRとLとは互いに結合して4~8員の複素環化合物を形成することができ、Lは-CH-であり;
、R及びR5bはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトリル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルコキシ、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリール、アリールオキシ、又は複素環アリールであり;ここで、RとR5bとは互いに結合してシクロアルキル、複素環基、又は複素環アリールを形成することができ;
はカルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボニル、シクロアルキルスルホニルアミノカルボニル、複素環基、又は複素環アリールであり;又はRとオルト位の置換基Rとは互いに結合して複素環基、又は複素環アリールを形成することができ;
、X及びXはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、ヘテロ原子に置換されたアルコキシ、アルキルアミノ(NR)、ヘテロ原子に置換されたアルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、複素環アリール、複素環アリールオキシ、又は複素環アリールアミノであり;ここで、R及びRはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、アリール、アリールオキシカルボニル、アリールアミノカルボニル、複素環アリールであり、又はRとRとは互いに結合してヘテロ原子を1~3個含む3~8員の複素環を形成し;
Y及びYはそれぞれ独立して-O-、-S-、-CH-、-CHF-、-CF-、-CCl-、-C(R)-、又は-N(Re)-であり;ここで、R及びRの定義はそれぞれ前記LにおけるR及びRの定義と同じであり、Reの定義は前記EにおけるReの定義と同じであり;
Z及びZはそれぞれ独立して-O-、-S-、-CH-、-CHF-、-CF-、-C(R)-、-N(Re)-、又は-C(O)-から選択され;ここで、R及びRの定義はそれぞれ前記LにおけるR及びRの定義と同じであり、Reの定義は前記EにおけるReの定義と同じである)。
【請求項2】
前記化合物はIIbの構造を有する、請求項1に記載の化合物、そのシス-トランス異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、互変異性体、溶媒和物、水和物、又は薬学的に許容される塩もしくはそれらの混合物:
【化2】
(ここで、
n、E、G、L、R、R、R、R、R、R5b、X、X、X、Y、Y、Zの定義は請求項1におけるn、E、G、L、R、R、R、R、R、R5b、X、X、X、Y、Y、Zの定義と同じであり;
はヒドロキシル、アルコキシ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、複素環アミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリールオキシ、複素環アリールオキシ、アリールアミノ、又は複素環アリールアミノであり;又はRとオルト位の置換基Rとは互いに結合して複素環を形成することができる)。
【請求項3】
n=0又は1であり;
n=0の場合、Yは存在せず、Yと、Yに隣接する酸素とは単結合で直接結合して5員の複素環を形成し;
n=1の場合、Yは-CH-であり;
EとGが直接結合して環状化合物を形成していない場合、Eは水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はアルコキシであり;Gは-CH-、又は-C(Rb)-であり;ここで、Rbは水素、アルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、アルコキシ、又はRbとRとが互いに結合して酸素を含む複素環基であり;Rは水素、アルキル、アルコキシ、任意に置換されたアルキニル、又はRとRbとが互いに結合して酸素を含む複素環基であり;
EとGが直接結合して環状化合物を形成する場合、Eは-OC(RcRd)-であり、Gは-C-であり、Rは水素であり、ここでRc及びRdはそれぞれ独立して水素であり;
は-CH-であり、又は式IIbにおけるRとLとが互いに結合して5~6員の複素環化合物を形成する場合、Lは-OCH-であり;
、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル又はアルコキシであり;
は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アルキル又はアルコキシであり;
5bは水素、ハロゲン、アルキル又はアルコキシであり;
はアルコキシ、ヒドロキシル、アルキルスルホニルアミノ、又はシクロアルキルスルホニルアミノであり;
は水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ(NR)、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリール、又はアリールオキシカルボニルアミノであり;ここで、R及びRはそれぞれ独立して水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、又はシクロアルコキシカルボニルであり;
及びXはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、C-Cアルキルアミノ又はC-Cアルコキシカルボニルアミノであり;
Yは-CH-、又はn=0の場合、Yは存在しなく;
は-CH-、-CHF-、-CF-、又は-C(CH-であり;
Zは-O-、又は-CH-である、ことを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
n=0であり、Yは存在しなく;
EとGが直接結合して環状化合物を形成していない場合、Eは水素、又はハロゲンであり;Gは-CH-、又は-C(Rb)-であり、ここで、Rbはアルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシであり;Rは水素、アルキル又はアルコキシであり;
EとGが直接結合して環状化合物を形成し、Eは-OC(RcRd)-であり、Gは-C-であり、Rは水素であり、ここでRc及びRdはそれぞれ独立して水素であり;
は-CH-であり、又は式IIbにおけるRとLとが互いに結合して5~6員の複素環化合物を形成する場合、Lは-OCH-であり;
、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、又はアルコキシであり;
は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アルキル又はアルコキシであり;
5bは水素、ハロゲン、アルキル又はアルコキシであり;
はアルコキシ、ヒドロキシル、アルキルスルホニルアミノ、又はシクロアルキルスルホニルアミノから選択され;
は水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ(NR)、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリール、又はアリールオキシカルボニルアミノであり;ここで、R及びRはそれぞれ独立して水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、又はシクロアルコキシカルボニルであり;
は水素、重水素(D)、ハロゲン、C-Cアルキルアミノ又はC-Cアルコキシカルボニルアミノであり;
は水素であり;
は-CH-、-CHF-、-CF-、又は-C(CH-であり;
Zは-O-である、ことを特徴とする請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物は以下の群から選択される構造を有することを特徴とする請求項2に記載の化合物:
【化3】
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩、並びに薬学的に許容される希釈剤及び/又は賦形剤を含む組成物。
【請求項7】
GPR40アゴニストとして使用される医薬の製造における請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又は請求項6に記載の組成物の使用。
【請求項8】
治療有効量の請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又は請求項6に記載の組成物を患者に投与することを含むことを特徴とする糖尿病又は関連するメタボリックシンドロームを治療又は予防する方法
【請求項9】
糖尿病又は関連するメタボリックシンドロームを治療又は予防するための医薬の製造における請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又は請求項6に記載の組成物の使用。
【請求項10】
前記糖尿病はII型糖尿病である、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なベンゾ酸素含有複素環化合物、特にベンゾ5員酸素含有複素環化合物に関し、前記化合物はGPR40標的のアゴニストとして使用でき、膵島β細胞を刺激してインスリンを放出させることにより血糖値を低下させ、II型糖尿病などの疾患を安全かつ効果的に治療することができる。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、インスリン分泌の欠陥、インスリン抵抗性、又は、両方の併存によって引き起こされる高血糖値を特徴とする慢性内分泌及び代謝性疾患である。糖尿病は、身体の様々な主器官系に重大な損傷を与え、心臓病、脳卒中、神経損傷、腎不全、失明、及び切断につながる感染症を引き起こし、この疾患には多くの合併症があり、障害率及び死亡率が高い。
【0003】
II型糖尿病は糖尿病症例の総数の約90%を占め、患者は通常独自のインスリンを生成することができるが、十分なインスリンを生成することができないか、または適切に利用することができない。臨床的に一般的に使用される糖尿病治療薬として、既存の1線血糖降下薬であるインスリン分泌促進薬があり、このような医薬にはグリピジド等のスルホニルウレア、メトホルミン等の非スルホニルウレアがある。血糖降下薬の主な一般的な副作用は、胃腸の不快感、浮腫、低血糖などである。一部の患者では、低血糖の副作用により、強い空腹感、冷や汗、全身の脱力感、動悸、手足の震え、めまい、頭痛、眠気などの症状が現れ、重症の場合は昏睡状態になる。従って、安全性が高く、低血糖の副作用がなく、経口投与が便利で効果的である新規な抗II型糖尿病薬の研究開発は、依然として科学者の努力の方向である。
【0004】
最近の研究では、遊離脂肪酸受容体1(FFAR1)、又はGタンパク質共役受容体40(GPR40)が、インスリン生成の刺激と調節において重要な役割を果たしていることがわかっている。食後に血中の葡萄糖と脂肪酸が上昇したときに、GPR40アゴニストは膵島β細胞を刺激し、インスリンを放出させることにより、血糖値を低下させる。従って、GPR40を活性化させる薬物は、糖尿病患者がより多くのインスリンを放出するのを助けることにより、血糖値を効果的に制御することができる。このタイプの薬物は、血糖値が高いときにのみインスリンの分泌を促進させることを特徴とするため、低血糖のリスクを大幅に軽減できる。このタイプの代表的な薬物は、日本の武田薬品工業株式会社が開発した選択的GPR40アゴニストであるTAK-875であり、第III相臨床試験に入っていたが、血糖値が正常な場合、TAK-875はインスリンの分泌に効果がないという研究結果があった。臨床的には、1日1回、50mgの薬物投与量で、患者の治療効果が良好であり、耐性も良好であり、かつこれによる低血糖のリスクは対照群のスルホニルウレア薬物よりも有意に低下し、TAK-875に誘導されたインスリン分泌が血糖値依存性であることが確認された。TAK-875は優れた治療効果を示したが、日本の武田薬品工業株式会社は、その薬物によって産生される肝毒性の問題のため、2013年にその臨床研究を終了した。TAK-875の肝毒性に関する研究には、薬剤の作用機序とは何の関係もなく、主にその分子構造設計が安全ではないという問題があることを示すことに言及する価値がある。従って、GPR40標的は依然として優れた開発アイデアであり、非常に重要な応用の見通しがある。
【化1】
【0005】
現在公開されている一連のGPR40アゴニストの特許出願には、W02005087710、W02007106469A1、WO2004106276A1、W02010143733A1、CN103030646A1、WO2013104257A1、WO2015062486A1などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2005087710号
【特許文献2】国際公開2007106469号
【特許文献3】国際公開2004106276号
【特許文献4】国際公開2010143733号
【特許文献5】中国特許公開103030646号公報
【特許文献6】国際公開2013104257号
【特許文献7】国際公開2015062486号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Remington:The Scienc and Practice of Pharmacy、第20版Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、この分野においてある程度の進歩が達成されていることにもかかわらず、当技術分野では、糖尿病及び関連する代謝性疾患の治療のためのGPR40標的を特異的に活性化できるGPR40アゴニス及び関連組成物、並びに疾患治療方法が依然として大きに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このニーズに対処し、他の関連する利点を提供する。
【0010】
本発明はGPR40標的を活性化できる化合物、及び前記化合物のシス-トランス異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、互変異性体、溶媒和物、水和物、又は薬学的に許容される塩もしくはそれらの混合物に関する。本発明はまた、GPR40標的の活性化から有益な効果を得ることができる糖尿病及び関連する代謝性疾患などの疾患の治療のための、前記化合物を含む薬学的に許容される組成物、及び関連方法に関する。
【0011】
本発明は、既存の構造とは異なるベンゾ酸素含有複素環化合物を提供する。本発明のベンゾ5員酸素含有複素環化合物は、II型糖尿病に対してより優れた阻害活性を有し、II型糖尿病患者の治療により効果的に使用することができ、かつより優れた安全性を有する。
【0012】
本発明の第1の形態は、式Ibで示される化合物、そのシス-トランス異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、互変異性体、溶媒和物、水和物、又は薬学的に許容される塩もしくはそれらの混合物を提供する。
【化2】

ここで、
n=0、1又は2であり;
n=0の場合、Yは存在せず、Yと、Yに隣接するZとは単結合で直接結合して5員の複素環を形成し;
EとGが直接結合して環状化合物を形成していない場合、Eは、水素、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、又は複素環アリールから選択され;GはCH、又はC(Rb)であり;ここで、Rbは水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカンアミノ、シクロアルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、複素環基、複素環アリール、又は複素環アリールオキシであり、又はRbとRとは互いに結合してシクロアルキル又は複素環基を形成することができ;
EとGが結合して環状化合物を形成する場合、Gは-C-であり;Eは-O-、-C(RcRd)-、-OC(RcRd)-、-C(RcRd)O-、又は-NRe-であり;ここで、Rc及びRdはそれぞれ水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ヒドロカルビル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、複素環基、複素環アリール、又は複素環アリールオキシであり、RcとRdとは互いに結合してシクロアルキル、又は複素環基を形成することができ;Reは水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、又はアリールスルホニルであり;
及びLはそれぞれ独立して-O-、-S-、-C(O)-、-S(O)-、-CH-、-C(R)-、-OC(R)-、-C(R)O-、-N(Re)-、-N(Rc)C(R)-、又は-C(R)N(Re)-であり;ここで、R及びRはそれぞれ水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、複素環基、複素環アリール、又は複素環アリールオキシであり、Reの定義は前記EにおけるReの定義と同じであり;
、R及びRはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリール、アリールオキシ、又は複素環アリールであり;ここで、式IbにおけるRとLとは互いに結合して4~8員の複素環化合物を形成することができ、Lは-CH-であり;
、R及びR5bはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトリル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルコキシ、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリール、アリールオキシ、又は複素環アリールであり;ここで、RとR5bとは互いに結合してシクロアルキル、複素環基、又は複素環アリールを形成することができ;
はカルボキシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボニル、シクロアルキルスルホニルアミノカルボニル、複素環基、又は複素環アリールであり;又はRとオルト位の置換基Rとは互いに結合して複素環基、又は複素環アリールを形成することができ;
、X及びXはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、ヘテロ原子に置換されたアルコキシ、アルキルアミノ(NR)、ヘテロ原子に置換されたアルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、複素環アリール、複素環アリールオキシ、又は複素環アリールアミノであり;ここで、R及びRはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、アリール、アリールオキシカルボニル、アリールアミノカルボニル、複素環アリールであり、又はRとRとは互いに結合してヘテロ原子を1~3個含む3~8員の複素環を形成し;
Y及びYはそれぞれ独立して-O-、-S-、-CH-、-CHF-、-CF-、-CCl-、-C(R)-、又は-N(Re)-であり;ここで、R及びRの定義はそれぞれ前記LにおけるR及びRの定義と同じであり、Reの定義は前記EにおけるReの定義と同じであり;
Z及びZはそれぞれ独立して-O-、-S-、-CH-、-CHF-、-CF-、-C(R)-、-N(Re)-、又は-C(O)-から選択され;ここで、R及びRの定義はそれぞれ前記LにおけるR及びRの定義と同じであり、Reの定義は前記EにおけるReの定義と同じである。
【0013】
本発明の第2の形態は式IIbの化合物を提供する。
【化3】

ここで、
n、E、G、L、R、R、R、R、R、R5b、X、X、X、Y、Y、Zの定義は請求項1におけるn、E、G、L、R、R、R、R、R、R5b、X、X、X、Y、Y、Zの定義と同じであり;
はヒドロキシル、アルコキシ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、複素環アミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリールオキシ、複素環アリールオキシ、アリールアミノ、又は複素環アリールアミノであり;又はRとオルト位の置換基Rとは互いに結合して複素環を形成することができる。
【0014】
いくつかの好ましい実施形態において、n=0又は1であり;
n=0の場合、Yは存在せず、Yと、Yに隣接する酸素とは単結合で直接結合して5員の複素環を形成し;
n=1の場合、Yは-CH-であり;
EとGが直接結合して環状化合物を形成していない場合、Eは水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はアルコキシであり;Gは-CH-、又は-C(Rb)-であり;ここで、Rbは水素、アルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、アルコキシ、又はRbとRとが互いに結合して酸素を含む複素環基であり;Rは水素、アルキル、アルコキシ、任意に置換されたアルキニル、又はRとRbとが互いに結合して酸素を含む複素環基であり;
EとGが直接結合して環状化合物を形成する場合、Eは-OC(RcRd)-であり、Gは-C-であり、Rは水素であり、ここでRc及びRdはそれぞれ独立して水素であり;
は-CH-であり、又は式IIbにおけるRとLとが互いに結合して5~6員の複素環化合物を形成する場合、Lは-OCH-であり;
、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル又はアルコキシであり;
は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アルキル又はアルコキシであり;
5bは水素、ハロゲン、アルキル又はアルコキシであり;
はアルコキシ、ヒドロキシル、アルキルスルホニルアミノ、又はシクロアルキルスルホニルアミノであり;
は水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ(NR)、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリール、又はアリールオキシカルボニルアミノであり;ここで、R及びRはそれぞれ独立して水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、又はシクロアルコキシカルボニルであり;
及びXはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、C-Cアルキルアミノ又はC-Cアルコキシカルボニルアミノであり;
は-CH-、-CHF-、-CF-、又は-C(CH-であり;
Zは-O-、又は-CH-である。
【0015】
いくつかのより好ましい実施形態において、n=0であり、Yは存在しなく;
EとGが直接結合して環状化合物を形成していない場合、Eは水素、又はハロゲンであり;Gは-CH-、又は-C(Rb)-であり、ここで、Rbはアルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシであり;Rは水素、アルキル又はアルコキシであり;
EとGが直接結合して環状化合物を形成し、Eは-OC(RcRd)-であり、Gは-C-であり、Rは水素であり、ここでRc及びRdはそれぞれ独立して水素であり;
は-CH-であり、又は式IIbにおけるRとLとが互いに結合して5~6員の複素環化合物を形成する場合、Lは-OCH-であり;
、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、又はアルコキシであり;
は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、アルキル又はアルコキシであり;
5bは水素、ハロゲン、アルキル又はアルコキシであり;
はアルコキシ、ヒドロキシル、アルキルスルホニルアミノ、又はシクロアルキルスルホニルアミノから選択され;
は水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ(NR)、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリール、又はアリールオキシカルボニルアミノであり;ここで、R及びRはそれぞれ独立して水素、アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、又はシクロアルコキシカルボニルであり;
は水素、重水素(D)、ハロゲン、C-Cアルキルアミノ又はC-Cアルコキシカルボニルアミノであり;
は水素であり;
は-CH-、-CHF-、-CF-、又は-C(CH-であり;
Zは-O-である。
【0016】
いくつかの具体的な実施形態において、本発明の化合物は以下の群から選択される構造を有する:
【化4】
【0017】
本発明のもう1つの実施形態は、(i)治療有効量の少なくとも1つの式Ib又はIIbの化合物、そのシス-トランス異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、互変異性体、溶媒和物、水和物、又は薬学的に許容される塩もしくはそれらの混合物、並びに(ii)薬学的に許容される希釈剤及び/又は賦形剤を含む組成物を提供する。
【0018】
本発明は、GPR40アゴニストとして使用される医薬の製造における前記化合物又は組成物の使用にも関する。
【0019】
本発明はまた、治療有効量の前記化合物又は組成物を患者に投与することを含む、糖尿病又は関連するメタボリックシンドロームを治療又は予防する方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、糖尿病又は関連するメタボリックシンドロームを治療又は予防するための医薬の製造における前記化合物又は組成物の使用に関する。
【0021】
好ましい実施形態において、本発明の化合物又は組成物は、II型糖尿病の治療に特に適している。本発明の化合物は、II型糖尿病患者の血糖値が高い場合にのみインスリンの分泌を促進するため、患者の低血糖のリスクを効果的に減らすことができる。同時に、市販薬と比較して、本発明の化合物はGPR40標的の選択性及び安全性がより良好である。
【0022】
本発明の上記の実施形態及び他の形態は、以下の詳細な説明から明らかになる。この目的のために、特定の背景情報、手順、化合物及び/又は組成物をより詳細に説明する様々な参考文献が本明細書に記載されており、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
【0024】
以下の説明では、本発明の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、いくつかの特定の詳細が説明される。しかし、当業者は、本発明がこれらの詳細なしに実施され得ると理解されるべきである。文脈が別段の説明をしない限り、本発明の明細書及び特許請求の範囲全体を貫いて、「含む」という言葉及びその変形は、例えば、「含む」、「包括する」が、オープンで包括的である(即ち、「包括する(含む)が、限定されるものではない」)と理解される。
【0025】
本明細書に言及される「1つの実施形態」又は「1種の実施形態」は、その実施形態に関連して説明される具体的な特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書のさまざまな場所に現れる「1つの実施形態において」又は「1種の実施形態において」という語句は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、具体的な特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0026】
I.定義
【0027】
本発明において、特に指定のない限り、上記の「アルキル」とは、炭素原子と水素原子のみから構成される1~20個の炭素原子を含む分岐鎖及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を指す。好ましい実施形態において、前記アルキルは、1~12個の炭素原子(C1-C12アルキル)、1~8個の炭素原子(C1-C8アルキル)、又は1~6個の炭素原子(C1-C6アルキル)を有し、分子の残りの部分に単結合で結合されている。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びそれらのさまざまな異性体等が挙げられる。前記アルキルは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アルキルウレイド、アリール、アリールオキシ、複素環アリール、複素環アリールオキシ、縮合環アリール、縮合環複素環アリール、縮合環オキシ、縮合環アリールオキシ、縮合環複素環アリールオキシ、アリールウレイド、又は複素環アリールウレイドからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよい。
【0028】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「アルキレン基」とは、ここで、「サブ」は、1~20個の炭素原子を含むアルキル基から1個の水素原子をさらに除去することによって誘導される二次基、例えば、メチレン、エチリデン、プロピリデンなどを指す。
【0029】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「アリール」とは、各環に7個までの炭素原子を含む任意の安定な単環式、二環式、三環式又は四環式の環であって、少なくとも1つの環が芳香族の炭化水素環系基であることを指す。例示的なアリールは、水素、6~9個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香環を含む炭化水素環系基;水素、9~12個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香環を含む炭化水素環系基;水素、12~15個の炭素原子及び少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素環系基;又は水素、15~18個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香環を含む炭化水素環系基である。本発明の目的のために、アリールは、単環式、二環式、三環式又は四環式の環系であることができ、縮合環系又は架橋環系を含むことができる。アリール基には、ベンゼン、ビフェニル、アントラセン、アズレン、フルオレン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナントレン、ピレンなどから誘導されるアリール基が含まれるが、これらに限定されない。「任意に置換されたアリール」とは、アリール基又は置換されたアリール基を指す。前記アリールは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキル-スルホニル-アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アリール、アリールオキシ、複素環アリール、縮合環アリール、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルキル、縮合環オキシ、未置換又は上記の任意の置換基を1~4個含むベンゼンもしくはビフェニルからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよい。
【0030】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「複素環アリール」とは、各環に7個までの炭素原子を含む安定な単環式、二環式又は三環式の環であって、少なくとも1つの環が芳香族環であり、かつ少なくとも1つの環がO、N、及び/又はSから選択される1~4個のヘテロ原子を含むことを指す。この定義の範囲内の複素環アリールには、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フリル、チエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、キノリニル、イソキノリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが含まれるが、これらに限定されない。さらに、「複素環アリール」はまた、任意の窒素含有複素環アリールの第四級アンモニウム塩又はN-オキシド誘導体を含むと理解されるべきである。前記複素環アリールは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アリール、アリールオキシ、複素環アリール、縮合環アリール、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルキル、縮合環オキシ、未置換又は上記の任意の置換基を1~4個含むベンゼンもしくはビフェニルからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよい。
【0031】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「縮合環アリール」は、各環が7個までの原子を含む安定な二環式又は三環式の環であって、少なくとも1つの環が芳香環であることを指す。前記縮合環アリールは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アリール、アリールオキシ、複素環アリール、縮合環アリール、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルキル、縮合環オキシ、未置換又は上記の任意の置換基を1~4個含むベンゼンもしくはビフェニルからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよい。
【0032】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「縮合環複素環アリール」は、各環が7個までの原子を含む安定な二環式又は三環式の環であって、少なくとも1つの環が芳香環で、かつO、N、及び/又はSから選択される1~4個のヘテロ原子を含むことを指す。前記縮合環複素環アリールは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アリール、アリールオキシ、複素環アリール、縮合環アリール、縮合シクロアルキル、縮合シクロアルキル、縮合環オキシ、未置換又は上記の任意の置換基を1~4個含むベンゼンもしくはビフェニルからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよい。
【0033】
[段33]

アルコキシ基の例には、-O-メチル(メトキシ)、-O-エチル(エトキシ)、-O-プロピル(プロポキシ)、-O-イソプロピル(イソプロポキシ)、-O-tert-ブチル(tert-ブトキシ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「アルケニル」は、2~20個の炭素原子を含み、1~3個の「炭素-炭素二重結合」を含む分岐鎖及び直鎖の不飽和脂肪族アルケニルを指し、好ましくは2~10個の炭素原子を含み(C-C10アルケニル)、より好ましくは2~8個の炭素原子を含み(C-Cアルケニル)又は2~6個の炭素原子を含み(C~Cアルケニル)、及びそれらの様々な異性体などであり、分子の残り部分に単結合で結合されている。アルケニルの例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。前記アルケニルは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アルキルウレイド、アリール、複素環アリール、縮合環アリール、縮合環複素環アリール、アリールウレイド、又は複素環アリールウレイドからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよい。
【0035】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「アルキニル」は、2~20個の炭素原子を含み、1~2個の「炭素-炭素三重結合」を含む分岐鎖及び直鎖の不飽和脂肪族アルキニルを指し、好ましくは2~10個の炭素原子を含み(C-C10アルキニル)、より好ましくは2~8個の炭素原子を含み(C-Cアルキニル)又は2~6個の炭素原子を含み(C~Cアルキニル)、及びそれらの様々な異性体などであり、分子の残り部分に単結合で結合されている。アルキニルの例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが含まれるが、これらに限定されない。前記アルキニルは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アルキルウレイド、アリール、複素環アリール、縮合環アリール、縮合環複素環アリール、アリールウレイド、又は複素環アリールウレイドからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよい。
【0036】
[段36]
【0037】
[段37]

【0038】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「アリールアミノ」は、「NH」中の1つの水素がアリールで置換されたアミンを指し、ここで、アリールの定義は上記のアリールと同じである。
【0039】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「複素環アリールアミノ」は「NH」中の1つの水素が複素環アリールで置換されたアミンを指し、ここで、複素環アリールの定義は上記の複素環アリールと同じである。
【0040】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「シクロアルキル」は各環が二重結合又は三重結合を含まない、全炭素の単環式又は多環式基を指す。環は、好ましくは3~20個の炭素原子、3~15個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子、3~8個の炭素原子、3~6個の炭素原子、3~5個の炭素原子、4個の炭素原子、又は3個の炭素原子を有する。シクロアルキルの例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。前記シクロアルキルは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アルキルウレイド、アリール、アリールオキシ、複素環アリール、複素環アリールオキシ、縮合環アリール、縮合環複素環アリール、縮合環オキシ、縮合環アリールオキシ、縮合環複素環アリールオキシ、アリールウレイド、又は複素環アリールウレイドからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよく、ここで、アリールの定義は上記のアリールと同じである。
【0041】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「シクロアルケニル」は全炭素の単環式又は多環式基であって、1つの環又は各環が「二重結合」を1個又は複数個含むことを指す。環は、好ましくは、3~20個の炭素原子、3~15個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子、3~8個の炭素原子、3~6個の炭素原子、3~5個の炭素原子、4個の炭素原子の環原子、又は3個の炭素原子を有する。シクロアルケニルの例としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。前記シクロアルケニルは、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ(NH)、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、複素環基、アルキルウレイド、アリール、アリールオキシ、複素環アリール、複素環アリールオキシ、縮合環アリール、縮合環複素環アリール、縮合環オキシ、縮合環アリールオキシ、縮合環複素環アリールオキシ、アリールウレイド、又は複素環アリールウレイドからなる群から選択される基で任意に置換されていてもよい。シクロアルケニルの置換基が炭素-炭素二重結合に置換し、二重結合を飽和させると、シクロアルキルを形成することができる。
【0042】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「シクロエーテル基」は環にエーテル基を有するシクロアルキルを指す。
【0043】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「複素環基」はO、N及びSから選択されるヘテロ原子を1個又は複数個含む芳香族又は非芳香族の複素環であり、二環式基を含むことを指す。従って、「複素環基」には、上記の複素環アリール及びそれらのジヒドロ又はテトラヒドロ類似体が含まれ、またベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、イソベンゾフリル、ピリドピリジルが含まれるが、これらに限定されない。複素環基は、炭素原子又はヘテロ原子を介して他の有機小分子基と結合して、薬効のある新しい化合物を形成することができる。
【0044】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「縮合環アリール」は、2個又は2個以上のアリール及び/又は複素環アリールが、縮合環により形成される多環式有機化合物を指し、前記縮合環アリールは、本発明で定義されるアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールアミノ、複素環基、シクロアルキル、シクロアルコキシ、シクロアルコキシカルボニル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルケニル、シクロエーテル基、アリール、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、複素環アリールなどの基に合理的な方式で置換されてもよく;ナフタレン、アントラセン、キノン、フェナントレン、フルオレン、ベンズイミダゾリル、フロフリル、チエノチエニル、アセナフチル、
【化5】
【0045】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「縮合シクロアルキル」は縮合環アリールにおける1つ又は複数の二重結合が還元された後に形成される非芳香族多環式環系であって、炭素数がC1020であるものを指す。
【0046】
本発明において、特に指定のない場合、上記の「縮合シクロアルキルアリール」はアリールにおける炭素上の水素が縮合シクロアルキルで置換された後に形成される基であって、炭素数がC1520であるものを指す。
【0047】
[段47]

【0048】
[段48]
【0049】
[段49]
【0050】
[段50]
【0051】
[段51]
【0052】
[段52]
【0053】
[段53]
【0054】
[段54]
【0055】
[段55]
【0056】
[段56]
【0057】
[段57]
【0058】
[段58]
【0059】
[段59]
【0060】
[段60]
【0061】
[段61]
【0062】
[段62]
【0063】
[段63]
【0064】
[段64]
【0065】
[段65]
【0066】
本発明において、前記用語「ハロゲン」は「フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子」を指す。
【0067】
[段67]

【0068】
[段68]
【0069】
[段69]
【0070】
[段70]
【0071】
[段71]
【0072】
[段72]
【0073】
[段73]
【0074】
[段74]
【0075】
[段75]
【0076】
用語「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0077】
II.本発明の化合物
【0078】
[段78]

(ここで、Rはハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、又は置換されていてもよい脱離基)を革新的に導入して設計し、II型糖尿病を効果的に治療できる新規なGPR40標的アゴニストとしてのベンゾ5員酸素含有複素環化合物を合成した。
【0079】
本発明は一般に、式Ibに包含される化合物、そのシス-トランス異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、互変異性体、溶媒和物、水和物、又は薬学的に許容される塩もしくはそれらの混合物に関する:
【化6】
【0080】
式Ibの化合物について、n、E、G、L、L、R、R、R、R、R、R5b、R、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Ri、Rj、X、X、X、Y、Y、Z及びZは明細書で定義される通りである。
【0081】
Ibの化合物の具体的な実施形態も以下に記載する。
【0082】
1つの実施形態において、n=0、Yは存在せず、YとZが単結合で直接結合している。
【0083】
1つの実施形態において、EとGが結合して環状化合物を形成する。1つの好ましい実施形態において、EとGが結合して5員の環状化合物を形成する。1つの好ましい実施形態において、Gは-C-であり、Eは-O-、-C(RcRd)-、-OC(RcRd)-又は-C(RcRd)O-である。1つの実施形態において、Rc及びRdは独立して水素、重水素(D)、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、シクロアルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、複素環基、複素環アリール、又は複素環アリールオキシから選択される。もう1つの実施形態において、Rc及びRdは互いに結合してシクロアルキル或複素環基を形成できる。好ましい実施形態において、Gは-C-であり、Eは-OC(RcRd)-又は-C(RcRd)O-であり、ここで、Rc及びRdは独立して水素、重水素(D)、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル基、C-Cアルコキシ、C-Cシクロアルコキシ、C-Cアルコキシカルボニル、C-Cアルキルアミノ、C-Cシクロアルキルアミノ、C-Cアルキルアミノカルボニル、C-Cシクロアルキルアミノカルボニル、アリール、アリールオキシ、複素環基、複素環アリール、又は複素環アリールオキシから選択される。より好ましい実施形態において、Gは-C-であり、Eは-OC(RcRd)-又は-C(RcRd)O-であり、ここでRc及びRdはそれぞれ水素である。
【0084】
1つの実施形態において、L及びLはそれぞれ独立して-O-、-S-、-C(O)-、-SO-、-CH-、-C(RfRg)-、-OC(RfRg)-、-C(RfRg)O-、-N(Re)-、-N(Rc)C(RfRg)-、又は-C(RfRg)N(Re)-から選択される。1つの好ましい実施形態において、L及びLの一方は-CH-であり、もう一方は-O-である。もう1つの好ましい実施形態において、式IbにおいてRとLは互いに結合して5-6員の複素環化合物を形成し、L及びLの少なくとも1つは-OCH-である。
【0085】
1つの実施形態において、R、R及びRはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトリル、ヒドロキシル、アミノカルボニル(HNCO)、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルコキシカルボニル、C-Cアルキルアミノカルボニル、C-Cアルキルカルボニルアミノ、アリール、アリールオキシ、又は複素環アリールである。好ましい実施形態において、R、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、又はC-Cアルコキシである。
【0086】
1つの実施形態において、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、又はアルコキシから選択される。好ましい実施形態において、R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、又はC-Cアルコキシである。
【0087】
1つの実施形態において、Rは-CORである。1つの好ましい実施形態において、Rは-OH、アルコキシ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、複素環アミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリールオキシ、複素環アリールオキシ、アリールアミノ、又は複素環アリールアミノであり;或いはRとオルト位の置換基Rとは互いに結合して複素環を形成することができる。1つの好ましい実施形態において、RはC-Cアルコキシ、ヒドロキシル、C-Cアルキルスルホニルアミノ、又はC-Cシクロアルキルスルホニルアミノである。
【0088】
1つの実施形態において、Yは-酸素-、-硫黄-、-CH-、-CHF-、-CF-、-CCl-、-C(R)-、又は-N(Re)-から選択される。好ましい実施形態において、YはCH、-CHF-、CF、又はC(CHから選択される。
【0089】
1つの実施形態において、Z及びZは独立して-O-、-S-、-CH-、-CHF-、-CF-、-C(R)-、-N(Re)-、又は-C(O)-から選択され;ここで、R及びRの定義分はそれぞれ上記LにおけるR及びRの定義と同じであり、Reの定義は前記EにおけるReの定義と同じである。1つのより好ましい実施形態において、Z及びZの少なくとも1つは-O-である。1つのより好ましい実施形態において、Z及びZの両方は-O-である。
【0090】
1つの実施形態において、Zは-O-である。
【0091】
1つの実施形態において、Zは-O-である。
【0092】
1つの実施形態において、X、X及びXはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノカルボニル(HNCO)、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、ヘテロ原子に置換されたアルコキシ、アルキルアミノ(NR)、ヘテロ原子に置換されたアルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、シクロアルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールアミノカルボニル、アリールカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、複素環アリール、複素環アリールオキシ、又は複素環アリールアミノであり;ここで、R及びRはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、シクロアルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、アリール、アリールオキシカルボニル、アリールアミノカルボニル、複素環アリールであり、或いはRとRは互いに結合してヘテロ原子を1~3個含む3~8員の複素環を形成する。
【0093】
1つの実施形態において、Xは水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、アミノ(NH)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C-Cアルキル、C-Cアルコキシ、C-Cアルキルアミノ、C-Cアルキルカルボニルアミノ、C-Cアルキルアミノカルボニルアミノ、C-Cアルコキシカルボニルアミノ、C-Cシクロアルコキシカルボニルアミノ、C-Cアルキルスルホニルアミノ、C-Cシクロアルキルスルホニルアミノ、アリール、又はアリールオキシカルボニルアミノから選択される。好ましい実施形態において、Xは水素、重水素(D)、ハロゲン、ニトリル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C-Cアルコキシカルボニルアミノから選択される。
【0094】
1つの実施形態において、X及びXはそれぞれ独立して水素、重水素(D)、ハロゲン、C-Cアルキルアミノ又はC-Cアルコキシカルボニルアミノから選択される。好ましい実施形態において、Xは水素、重水素(D)、ハロゲン、C-Cアルキルアミノ又はC-Cアルコキシカルボニルアミノから選択され、Xは水素から選択される。
【0095】
本発明の化合物は様々な異性体形態、ならびに2つの単一互変異性体及び互変異性体の混合物を含む1つ又は複数の互変異性体形態で存在することができる。「異性体」という用語は、前記化合物の互変異性体を含む、本発明の化合物のすべての異性体形態を包含することを意図している。
【0096】
本明細書に記載の化合物のいくつかは、不斉中心を有し、従って、異なるエナンチオマー及びジアステレオマーの形態で存在することができる。本発明の化合物は、光学異性体又はジアステレオマーの形態であってもよい。従って、本発明は、本発明の化合物、並びに本明細書に記載のそれらの光学異性体、ジアステレオマー、及びそれらの混合物(ラセミ混合物を含む)形態での使用を包含する。本発明の化合物の光学異性体は、不斉合成、キラルクロマトグラフィー、又は光学活性分割剤を用いた立体異性体の化学的分割などの既知の技術によって得ることができる。
【0097】
特に明記しない限り、「立体異性体」は、化合物の他の立体異性体を実質的に含まない、化合物の1つの立体異性体を指す。従って、1つのキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物は、その化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有する立体異性的に純粋な化合物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性的に純粋な化合物は、当該化合物の1つの立体異性体を約80重量%超、当該化合物の他の立体異性体を約20重量%未満を含み、例えば、当該化合物の1つの立体異性体を約90重量%超、当該化合物の他の立体異性体を約10重量%未満を含み、又は当該化合物の1つの立体異性体を約95重量%超、当該化合物の他の立体異性体を約5重量%未満を含み、又は当該化合物の1つの立体異性体を約97重量%超、当該化合物の他の立体異性体を約3重量%未満を含む。
【0098】
記述された構造と構造に付けられた名前との間に差異がある場合は、記述された構造を基準にする。さらに、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば、太線又は破線で示されていない場合、構造又は構造の一部は、そのすべての立体異性体を包含すると理解されるべきである。ただし、複数のキラル中心が存在する場合には、関連する立体化学を説明するのに役立つように、構造と名前を単一のエナンチオマーで表す場合がある。有機合成の分野の技術者は、前記化合物がそれらの単一のエナンチオマーと同じ方法で調製される状況を認識している。
【0099】
本明細書において、「薬学的に許容される塩」とは、本発明の化合物の薬学的に許容される有機又は無機の酸又は塩基の塩である。典型的な薬学的に許容される塩には、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、水溶性塩及び水不溶性塩、例えば酢酸塩、アミノスチルベンスルホン酸塩(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホン酸塩)、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カンファースルホン酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、ラウリル硫酸塩プロピオン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸、グルタミン酸、グリコレートアサネート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキシルレゾルシノール塩、ハラミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ素酸塩、イソチオ硫酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、メタンスルホン酸塩、ムチン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メチレン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクレート、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、亜酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、スラナート、タンナート、酒石酸塩、8-クロロテオフィリン塩塩、トシラート、ヨウ化トリエチル、及びペンタノエートを含む。薬学的に許容される塩は、その構造に複数の荷電原子を持つことができる。そのような場合、薬学的に許容される塩は、複数の対イオンを有することができる。従って、薬学的に許容される塩は、1つ又は複数の荷電原子及び/又は1つ又は複数の対イオンを有することができる。
【0100】
本発明の化合物は、1つ又は複数の原子が異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換される同位体で標識されることができる。式Ib又はIIbの化合物に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素又はヨウ素の同位体が含まれる。このような同位体の例は、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iである。これらの放射性標識化合物を使用して、生体内分布、組織濃度、及び生物学的組織(標識化合物を投与された被験者を含む)からの輸送及び排泄の動力学を測定できる。標識化合物は、治療効果、作用部位又は作用様式、及び薬理学的に重要な標的に対する候補治療薬の結合親和性を決定するためにも使用される。従って、式Ib又はIIbの特定の放射性標識化合物は、薬物及び/又は組織分布研究において有用である。放射性同位体である三重水素即ちHと、炭素-14即ち14Cは、組み込みが容易で、検出手段がすぐに利用できるため、この目的に特に有用である。
【0101】
重水素、即ちHなどの重い同位体での置換は、より高い代謝安定性(例えば、重水素含有化合物の生体内半減期の延長)のため、特定の治療上の利点を与えることができる。水素を重水素に置換すると、治療効果を達成するために必要な投与量を減らすことができるため、発見又は臨床環境に好適に使用することができる。
【0102】
陽電子放出同位体(例えば11C、18F、15O及び13N)による置換は、例えば物質受容体占有率の検出のための陽電子放出断層撮影法(PET)研究において有用な本発明の化合物の標識類似体を提供することができる。同位体で標識された式Ib又はIIbの化合物は、一般に、適切な同位体標識試薬を使用して、当業者に知られている従来の技術によって、又は以下に記載される調製及び実施例のセクションに記載される方法と同様の方法で調製することができる。
【0103】
本明細書に記載の本発明の実施形態はまた、式Ib又はIIbの化合物の生体内代謝産物を包含することを意図している。これらの産物は、例えば、本発明の化合物が投与された時に酵素活性に主に起因する酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などの過程から生じ得る。従って、このような化合物は、本発明に包括され、これらは本発明の化合物を、代謝産物を生成させるように哺乳動物に十分な期間投与した後に、本発明の化合物に対する酵素活性又は非酵素活性の発揮に基づいて副産物の形態として生成される。代謝産物、特に医薬活性を有する代謝産物は、典型的には、ラット、マウス、モルモット、サル又はヒトなどの対象に、放射性標識された本発明の化合物の検出可能な用量を投与し、このプロセスにおいて代謝産物を生成させるための十分な時間を持続し;及び、前記放射性標識化合物を投与された対象から得られた尿、血液、又はその他の生物学的サンプルから前記代謝産物を分離することによって同定される。
【0104】
本発明はまた、式Ib又はIIbの化合物の薬学的に許容される塩の形態を提供する。本発明の範囲は、薬学的に適切な酸又は薬学的に適切な塩基を本発明の化合物と接触させることによって形成される酸付加塩及び塩基付加塩を包含する。
【0105】
「薬学的に許容される酸付加塩」とは、生物学的有効性及び遊離塩基の特性を保持し、生物学的又はその他の点で望ましくないものではなく、かつ無機酸及び有機酸を使用して形成される塩を指す。無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれるが、これらに限定されない。有機酸には、例えば、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、樟脳酸、樟脳-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ラウリル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソグルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、ビスヒドロキシナフトエ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
「薬学的に許容される塩基付加塩」とは、生物学的有効性及び遊離酸の特性を保持し、生物学的又はその他の点で望ましくないものではない塩を指す。これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に添加することによって調製される。無機塩基に由来する塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが含まれるが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩である。有機塩基に由来する塩には、以下の物質の塩が含まれるが、これらに限定されない。即ち、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒバミン、コリン、ベタイン、フェネチルベンジルアミン、ベンザチンペニシリン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などが挙げられる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
【0107】
結晶化は、一般に、本発明の化合物の溶媒和物を生成する。本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物の1つ又は複数の分子と溶媒とを含む1つ又は複数の分子凝集体を指す。溶媒は水であってもよく、その場合、溶媒和物は水和物であってもよい。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。従って、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含む水和物の形態、ならびに対応する溶媒和物の形態で存在することができる。本発明の化合物は真の溶媒和物であってもよいが、他の場合には、本発明の化合物は、不特定の水のみを保持するもの、又は水と何らかの不特定の溶媒の混合物であってもよい。
【0108】
「立体異性体」とは、同じ原子が同じ結合で結合しているが、異なる三次元構造を持ち、互換性がない化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体及びそれらの混合物を想定し、かつ「エナンチオマー」を含み、これは、2つの立体異性体の分子が互いに重ね合わせることができなく、鏡像を形成していることを指す。
【0109】
本発明の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、1つ又は複数の不斉中心を含むことができ、それによってエナンチオマー、ジアステレオマー、及び絶対立体化学に関して識別可能な他の立体異性体形態、例えば、(R)-及び(S)-、或いはアミノ酸の場合の(D)-又は(L)-を生じさせる。本発明は、すべてのそのような可能な異性体、ならびにそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを意図している。光学活性な(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、又は(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントン又はキラル試薬を使用して調製するか、クロマトグラフィーや分別結晶化などの従来の技術によって分割することができる。個々の鏡像異性体の調製/分離のための従来の技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用したラセミ体(又は塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合又は他の幾何学的不斉中心を含む場合、特に明記しない限り、当該化合物はE及びZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、すべての互変異性体も含むことが意図される。
【0110】
III.医薬組成物
【0111】
1つの実施形態において、式Ib又はIIbの化合物は、一定量の式Ib又はIIbの化合物を含む薬学的に許容される組成物の形態で処方され、医薬組成物を哺乳動物に投与した後、上記量は関心の特定の疾患又は症状を治療するのに有効である。本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせて、式Ib又はIIbの化合物を含んでもよい。
【0112】
この目的のために、「薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤」には、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味料、希釈剤、保存剤、染料/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定化剤、等張剤、溶媒、又は乳化剤が含まれるが、これらに限定されない。これらはすべて、米国食品医薬品局によってヒト又は家畜に許容されるものとして承認されている。
【0113】
さらに、「哺乳動物」には、ヒト及び家畜、例えば、実験動物及び家畜ペット(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)、及び非家畜、例えば、野生動物などが含まれる。
【0114】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を適切な薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせることによって調製することができ、かつ固体、半固体、液体又は気体の形態(例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、ミクロスフェア、及びエアロゾル)の製剤に調製することができる。このような医薬組成物の典型的な投与経路には、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬、直腸、膣、及び鼻腔内が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される非経口という用語には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術が含まれる。本発明の医薬組成物は、組成物を患者に投与した後、その中に含まれる活性成分が生物学的に利用可能となるように処方される。対象又は患者に投与される組成物は、1つ又は複数の投与単位の形態であってもよく、例えば、錠剤は単一の投与単位であってもよく、エアロゾル形態の本発明の化合物の容器は複数の投与単位を含んであってもよい。そのような剤形を調製する実際の方法が知られているか、または当業者には明らかである。例えば、非特許文献1:Remington:The Scienc and Practice of Pharmacy、第20版Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000を参照できる。任意の場合に投与される組成物は、本発明の教示に従って関心の疾患又は症状を治療するために、治療有効量の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0115】
本発明の医薬組成物は、固体又は液体の形態であってもよい。一態様では、担体は顆粒であり、それによって組成物は、例えば、錠剤又は粉末の形態である。担体は液体であってもよく、ここで、前記組成物は、例えば経口投与用のシロップ、注射用液体、又は例えば吸入による投与に使用できるエアロゾルである。経口投与を意図する場合、医薬組成物は好ましくは固体又は液体の形態であり、ここで、半固体、半液体、懸濁液及びゲル形態は、本明細書で企図される固体又は液体形態に含まれる。
【0116】
経口投与用の固体組成物として、当該医薬組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、丸剤、カプセル、チューインガム、フレークなどに処方することができる。このような固体組成物は、一般に、1つ又は複数の不活性希釈剤又は食用担体を含む。さらに、次の物質の1つ又は複数が存在することができる:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガント、又はゼラチンなどの結合剤;デンプン、ラクトース、又はデキストリンなどの賦形剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はステロテックス(Sterotex)などの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味料;ミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香味剤などの香料、及び着色剤。
【0117】
当該医薬組成物がカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態である場合、上記のタイプの物質に加えて、ポリエチレングリコール又は油などの液体担体を含むことができる。
【0118】
当該医薬組成物は、エリキシル、シロップ、溶液、エマルジョン又は懸濁液などの液体形態であってもよい。当該液体は、2つの例として、経口投与用又は注射による送達用であってもよい。経口投与が意図される場合、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味剤、保存剤、染料/着色剤及び風味増強剤の1つ又は複数を含むことができる。注射による投与が意図される組成物については、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤及び等張剤の1つ又は複数を含むことができる。
【0119】
本発明の液体医薬組成物は、それらが溶液、懸濁液又は他の類似した形態であるかにかかわらず、以下のアジュバントの1つ又は複数を含むことができる:注射用水、塩水溶液(好ましくは生理食塩水)、リンゲル液、等張塩化ナトリウムなどの無菌希釈剤;溶媒又は懸濁媒体として使用できる合成モノグリセリド又はジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、又はその他の溶媒などの不揮発性油;ベンジルアルコール又はp-ヒドロキシル安息香酸メチルなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤酸;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝液、及び塩化ナトリウム又はグルコースなどの張力を調節するための等張化剤。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス製もしくはプラスチック製の複数回投与バイアルに封入することができる。生理食塩水は好ましいアジュバントである。注射可能な医薬組成物は無菌であることが好ましい。
【0120】
本発明の医薬組成物は、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。例えば、注射による投与が意図される医薬組成物は、本発明の化合物を滅菌蒸留水と組み合わせて溶液を形成することによって調製することができる。界面活性剤を添加して、均一な溶液又は懸濁液の形成を容易にすることができる。界面活性剤は、本発明の化合物と非共有結合的に相互作用して、水性送達系における前記化合物の溶解又は均一な懸濁を容易にする化合物である。
【0121】
IV.治療への使用
【0122】
治療有効量の本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩が投与されるが、前記治療有効量は、使用される特定の化合物の活性、化合物の代謝安定性及び作用の持続時間、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与方法と投与時間、排泄率、併用薬、特定の疾患又は症状の重症度、及び治療を受けている対象を含む様々な要因によって変化する。
【0123】
「有効量」又は「治療有効量」とは、(哺乳動物、好ましくはヒトに投与された場合に)当該哺乳動物(好ましくはヒト)におけるMnk関連症状又は疾患の有効な治療を提供するのに十分である本発明の化合物の一定量を指す。「治療有効量」を構成する本発明の化合物の量は、化合物、症状及びその重症度、投与方法、及び治療される哺乳動物の年齢に応じて変化するが、当業者の知識及び本発明の内容に基づいて通常に決定される。
【0124】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1つ又は複数の他の治療薬の投与前、投与と同時に、又は投与後に投与されることができる。このような併用療法には、本発明の化合物及び1つ又は複数の他の活性物質を含む単一の医薬投与製剤を投与すること、ならびに本発明の化合物及び各活性物質を別々の医薬投与製剤で投与することが含まれる。例えば、本発明の化合物及び他の活性物質は、単一の経口投与組成物(例えば錠剤又はカプセル)で一緒に患者に投与することができ、又は各物質を別々の経口投与製剤で投与することができる。別個の投与製剤が使用される場合、本発明の化合物及び1つ又は複数の他の活性製剤は、実質的に同じ時間に(すなわち同時に)、又は別々の時間をずらして(すなわち順次に)投与されることができる。併用療法にはそのような全ての投与方式が含まれることが理解されるべきである。
【0125】
本発明はまた、構造-効果関係(SAR)を通じてGPR40標的アゴニスト化合物の式Ib?IIbの構造をさらに研究、最適化し、低血糖のリスクを効果的に低減し、II型糖尿病をより安全かつ効果的に治療することができる。
【0126】
本発明のベンゾ酸素含有複素環化合物は、GPR40標的を活性化し、膵島β細胞を刺激し、インスリンを放出させることによって血糖値を低下させることができ、このような式Ib-IIbの化合物は、II型糖尿病患者での血糖濃度が高い場合にのみ、インスリンの分泌を促進することを特徴とするため、患者の低血糖のリスクを効果的に減らすことができ、かつGPR40標的の選択性及び安全性がより良好である。
【0127】
[発明を実施するための形態]
【0128】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は前記実施例の範囲に限定されるものではない。以下の実施例に具体的な条件が示されない実験方法は、従来の周知の方法及び条件に従って、又は商品の説明書に従って実施された。
【0129】
本発明の新規ベンゾ酸素含有複素環化合物を合成する過程における化学試薬及び溶媒の英語の略語及び注記は、実施例の機器及び原料の説明のセクションにすべてまとめて記載されている。
【0130】
本発明の重要な革新点は、以下のスキーム1及び2に示される合成反応ルート1又は2に従うことであり、まず原料RM-1bを原料SM-1(以下のSM-1a又はRM-1b構造の試薬)とそれぞれ反応させ、目的生成物Ib-IIb又は中間体RM-2bをそれぞれ調製し;Rがアルコキシル基(例えばR=OCH又はOEt)である場合、さらにLiOH加水分解反応により本発明の式IIbにおけるRがヒドロキシル基である各目的生成物を合成することができる。
【化7】
【0131】
上記合成反応ルート1bは以下の通りである:
【化8】
【0132】
上記合成反応スキーム1bにおいて、操作は以下の通りである:
【0133】
1.RM-2bの合成:原料RM-Ib(1.0eq)、SM-1b(1.0eq)、及びDIADとPPh(1.2eq)をそれぞれ丸底反応フラスコにTHF(5x)に加え、窒素置換して保護し、反応が終了するまでTLC及び/又はHPLCによって反応を監視及び検出し、後処理などの通常の操作の後にRM-2b(又はRM-IIb)を得た。
【0134】
2.目的生成物Ib-IIbの合成:RM-Ib(又はRM-IIb、1eq)をそれぞれ丸底反応フラスコで、LiOHのMeOH-HO混合溶液(1:1、10X)中で加水分解し、反応が終了するまでTLC及び/又はHPLCによって検出し、後処理及び精製などの通常の操作を経て、目的生成物Ib-IIbを得た。
【0135】
合成反応ルート2bは以下の通りである:
【化9】
【0136】
上記合成反応スキーム2において、操作は以下の通りである:
【0137】
1.RM-2bの合成:原料RM-Ib(1.0eq)、SM-1b(1.0eq)、及びアルカリ試薬(例えばリン酸カリウム又は炭酸カリウム、2-3eq)をそれぞれ丸底反応フラスコにDMF(5x)に加え、窒素で置換して反応を保護し、反応が終了するまでTLC及び/又はHPLCによって監視及び検出し、反応溶液を撹拌しながら40X氷水にゆっくりと注ぎ、後処理及び精製などの通常の操作の後にRM-Ib(又はRM-IIb)を得た。
【0138】
2.目的生成物IIbの合成:RM-Ib(又はRM-IIb)をそれぞれ丸底反応フラスコでLiOHのMeOH-HO混合溶液(1:1、10X)中で加水分解し、反応が終了するまでTLC及び/又はHPLCによって検出し、後処理及び精製などの通常の操作を経て、目的生成物Ib-IIbを得た。
【0139】
上記合成の式Ib-IIb化合物におけるn、L、R、R、R、R、R5b、R、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、X、X、Y、Y、及びZは、本発明の請求項1~4に記載のn、L、R、R、R、R、R5b、R、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、X、X、Y、Y、及びZの定義と同じである。
【0140】
本発明の式Ib-IIbの化合物の合成反応例はそれぞれ以下の3に示され、構造の異なる各特定化合物の製造工程では、それぞれ次の表1のベンゾ酸素含有複素環原料RM-1b及び表2の原料SM-1を採用して合成した。
【0141】
【表1】
【0142】
【表2】
【0143】
上記原料RM-1bとSM1を用いて、下記スキーム3の合成反応ルートを経て中間体RM-2bを合成し、最後に加水分解反応により式Ib~IIbの各特定化合物をそれぞれ合成した。具体的な反応例は以下の通りである。
【0144】
【化10】
【0145】
上記スキーム3の合成反応例において:
【0146】
第1ステップの反応:まず、原料RM-Ib-01と他の原料SM1-01とを無機塩基(例えばKPO)の作用下で、溶媒(例えばDMSO又はDMF)に反応させ、重要な中間体化合物(RM-Ib-01)を得た;
【0147】
第2ステップの反応:次に、中間体(RM-2b-01)を溶媒(例えばMeOH又はメタノールと水の混合溶媒)中、無機塩基(例えばLiOH)の作用下で加水分解して、目的生成物Ib-01を得た。
【0148】
上記スキーム1、2、3の合成反応ルートの第1ステップの反応でそれぞれ得られた中間体化合物RM-2bの中間体構造はそれぞれ以下のRM-2b構造式シリーズに示されており;そして第2ステップの加水分解反応でそれぞれ得られた式IIbの目的生成物の構造は、それぞれ次の式IIbの構造式シリーズに示されている。
【0149】
【表3】
【0150】
【表4】
【0151】
各ステップの反応の具体的な実験条件と生成物分析結果は、それぞれ実施例に記載されている。
【0152】
具体的には、上記の各式Ib~IIbの新規な構造化合物の合成及び分析結果について、詳細については本発明の最後の実施例を参照し、各化合物の化学的性質及びキラル不斉純度は、キラルクロマトグラフィーカラムHPLCによって決定され、対応する化学構造は、それぞれLC-MS及び/又は水素核磁気共鳴(H-NMR)分析によって決定された。
【0153】
以下、実施例により本発明の様々な中間体及び化合物の合成及び効果を説明する。
【0154】
実施例に係わる機器及び原材料の説明は、以下の通りである:
【0155】
赤外スペクトルデータはThermo Nicolet会社のFourier Transform AVATAR(商標) 360 E.S.P(商標)赤外線装置によって分析され、単位としてcm-1で表された。
【0156】
プロトン核磁気共鳴スペクトルは、Varian Mercury Plus 400(400MHz)核磁気分析装置によって分析された。化学シフトは、テトラメチルシランを内部標準として、単位としてppmで表された(CHCl:δ=7.26ppm)。記録されたデータ情報は次の通りである:化学シフトとその分裂定数及び結合定数(s:一重項;d:二重項;t:三重項;q:四重項;br:ブロードなピーク;m:多重項)。
【0157】
質量分析データは、他のニーズ以外に、Finnigan LCQ Advantage会社のLC/MS機器を使用して分析した。本発明における式Ib-IIbの有機カルボン酸(-COOH)化合物の分子量は、主にアニオンモードESI-MS[(MH)]であるが、式RM-IIbのエステル系中間体化合物及びIb-IIbにおいていくつかのアミノなどを含む化合物の分子量は、陽イオンモードESI-MS[(M+H)]であった。
【0158】
本発明に係わる特別な原材料及び中間体は賛南科技有限会社などにより加工、提供され、他のすべての化学試薬は、上海試薬会社、アルドリッチ会社(Aldrich)、アクロス会社(Acros)などの試薬サプライヤーから購入された。合成過程の反応に必要な中間体又は生成物が、次のステップなどの試験に十分でない場合は、十分な量が得られるまで何度も合成を繰り返した。本発明で調製された化合物のGPR40活性試験及び薬理学的、毒物学的試験は、上海、北京及び他の場所のCROサービスユニットによって完了された。
【0159】
本発明及びその実施例に係わる関連する化学原料、試薬及び溶媒の英語の略語や注記は以下の通りである:
【0160】
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
Boc:tert-ブトキシカルボニル
(Boc)O:二炭酸ジ-tert-ブチル
CDI:N,N’-カルボニルジイミダゾール
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
Et:エチル
EDCI:N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
HATU:2-(7-アゾベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
NBS:N-ブロモスクシンイミド
SOCl:塩化チオニル
Pd/C:パラジウム炭素
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
HMTA:ヘキサメチレンテトラミン
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
Py:ピリジン
HBr:臭化水素酸
HCl:塩酸
HOAc:氷酢酸
TFA:トリフルオロ酢酸
TsOH:p-トルエンスルホン酸
NaOH:水酸化ナトリウム
LiOH:水酸化リチウム
ACN:アセトニトリル
DCM:ジクロロメタン
DCE:ジクロロエタン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EtO:ジエチルエーテル
EA:酢酸エチル
PE:石油エーテル
THF:テトラヒドロフラン
TBME:メチルtert-ブチルエーテル
【実施例1】
【0161】
化合物IIb-1の合成
【0162】
合成反応は次の一般式1の通りである:
【化11】

【0163】
第1ステップ:
原料RM-Ib-1(0.051g,0.24mmol)及びSM1-1(0.050g,0.24mmol,1.0eq.)を2mLのDMFに溶解し、撹拌しながら炭酸カリウム(0.050g,0.36mmol,1.5eq.)を加え、窒素保護下で90℃に加熱し、一晩反応させ、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応液を室温まで冷却し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、濃縮して中間体RM-IIb-1(0.1g)を得た。
質量分析による確認の結果、RM-IIb-1のESI-MS[(M+H)]:m/z理論値343.1、実測値343.0。
【0164】
第2ステップ:
中間体RM-IIb-1にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N、1mL)を順次加え、室温で1時間攪拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH約4に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、淡黄色の固体生成物IIb-1(0.040g)を得た。2ステップの収率:50.7%。
検出後、生成物IIb-1のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.07-7.05(m,1H),6.95-6.93(m,1H),6.86-6.79(m,2H),6.52-6.49(m,2H),5.99(s,2H),5.01(s,2H),4.78-4.74(m,1H),4.31-4.27(m,1H),3.83-3.80(m,1H),2.83-2.78(m,1H),2.65-2.59(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-1のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値327.1、実測値327.0。
【実施例2】
【0165】
化合物IIb-2の合成
【0166】
合成反応は次の一般式2の通りである:
【化12】
【0167】
第1ステップ:
原料RM-Ib-2(0.043g,0.19mmol)、SM1-1(0.039g,0.19mmol,1.0eq.)及びPPh(0.146g,0.56mmol,3eq.)を4mLのTHFに溶解し、窒素保護下、氷水浴で冷却し、撹拌しながらDIAD(0.113g,0.56mmol,3eq.)を加え、添加終了後、氷水浴で1時間撹拌し、20-30度で一晩反応させ、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応液を室温まで冷却し、水を加え、DCMを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、濃縮して粗生成物を得;粗生成物をTLCスクレーパーで分離して中間体RM-IIb-2を得た。
質量分析による確認の結果、RM-IIb-2のESI-MS[(M+H)]:m/z理論値421.0、実測値421.1。
【0168】
第2ステップ:
中間体RM-IIb-2にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N,1mL)を加え、室温で1時間撹拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH4程度に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、淡黄色の固体生成物IIb-2(0.025g)を得た。2ステップの収率:33%。
検出後、生成物IIb-2のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.09-7.05(m,2H),6.92(m,1H),6.50-6.46(m,2H),6.01(s,2H),4.95(s,2H),4.79-4.75(m,1H),4.31-4.28(m,1H),3.84-3.79(m,1H),2.84-2.79(m,1H),2.66-2.59(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-2のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値405.0、実測値405.2。
【実施例3】
【0169】
化合物IIb-3の合成
【0170】
化合物IIb-3を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-3が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-3(0.48mmol)を使用して中間体RM-IIb-3を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-3(0.039g)を得た。2ステップの収率:20%。
質量分析による確認の結果、IIb-3のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値405.0、実測値404.8。
【実施例4】
【0171】
化合物IIb-4の合成
【0172】
化合物IIb-4を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-4が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに、化合物RM-Ib-4(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-4を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-4(0.060g)を得た。2ステップの収率:76%。
検出後、生成物IIb-4のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.07-7.05(m,1H),6.91-6.86(m,2H),6.81-6.79(m,1H),6.49-6.45(m,2H),5.96(s,2H),4.91(s,2H),4.78-4.74(m,1H),4.31-4.27(m,1H),3.83-3.79(m,1H),2.84-2.78(m,1H),2.65-2.59(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-4のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値327.1、実測値327.0。
【実施例5】
【0173】
化合物IIb-5の合成
【0174】
化合物IIb-5を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-5が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-5(0.54mmol)を使用して中間体RM-IIb-5を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-5(0.068g)を得た。2ステップの収率:34.8%。
検出後、生成物IIb-5のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.08-7.06(m,1H),6.95(s,1H),6.78(s,1H),6.50-6.46(m,2H),6.02(s,2H),4.95(s,2H),4.79-4.75(m,1H),4.32-4.28(m,1H),3.83-3.80(m,1H),2.84-2.78(m,1H),2.66-2.59(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-5のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値361.1、実測値360.9。
【実施例6】
【0175】
化合物IIb-6の合成
【0176】
化合物IIb-6を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-6が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-6(0.41mmol)を使用して中間体RM-IIb-6を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-6(0.090g)を得た。2ステップの収率:63.6%。
検出後、生成物IIb-6のH NMR(400MHz,DMSO):δ7.10-7.09(m,1H),6.92-6.89(m,1H),6.74-6.71(m,1H),6.46-6.44(m,2H),6.08(s,2H),4.93(s,2H),4.69-4.64(m,1H),4.19-4.15(m,1H),3.69-3.64(m,1H),2.71-2.65(m,1H),2.48-2.43(m,1H)。19F NMR(376MHz,DMSO)δ-120.47。
質量分析による確認の結果、IIb-6のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値345.1、実測値345.0。
【実施例7】
【0177】
化合物IIb-7の合成
【0178】
化合物IIb-7を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-7が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-6(0.35mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.35mmol)を使用して中間体RM-IIb-7を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-7(0.085g)を得た。2ステップの収率:70.8%。
検出後、生成物IIb-7のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.07-7.05(m,1H),6.66-6.63(m,1H),6.56-6.54(m,1H),6.49-6.46(m,2H),6.01(s,2H),4.96(s,2H),4.79-4.74(m,1H),4.31-4.27(m,1H),3.84-3.77(m,1H),2.84-2.79(m,1H),2.66-2.59(m,1H);19F NMR(376MHz,CDCl):δ-119.95。
質量分析による確認の結果、IIb-7のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値345.1、実測値345.2。
【実施例8】
【0179】
化合物IIb-8の合成
【0180】
化合物IIb-8を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-8が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-7(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-8を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-8(0.059g)を得た。2ステップの収率:65.5%。
検出後、生成物IIb-8のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.09-7.07(m,2H),6.79-6.76(m,1H),6.57-6.54(m,2H),5.35(s,2H),4.79-4.75(m,1H),4.32-4.25(m,5H),3.84-3.80(m,1H),2.84-2.79(m,1H),2.65-2.59(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-8のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値419.0、実測値418.9。
【実施例9】
【0181】
化合物IIb-9の合成
【0182】
化合物IIb-9を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-9が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-8(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-9を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-9(0.035g)を得た。2ステップの収率:45%。
質量分析による確認の結果、IIb-9のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値419.0、実測値418.8。
【実施例10】
【0183】
化合物IIb-10の合成
【0184】
化合物IIb-10を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-10が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-9(0.65mmol)を使用して中間体RM-IIb-10を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-10(0.196g)を得た。2ステップの収率:53.2%。
検出後、生成物IIb-10のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.34(s,1H),7.07-7.05(m,1H),7.00(m,1H),6.48(m,1H),6.51-6.46(m,2H),4.98(s,2H),4.79-4.74(m,1H),4.31-4.27(m,5H),3.85-3.78(m,1H),2.84-2.79(m,1H),2.66-2.60(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-10のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値375.1、実測値374.9。
【実施例11】
【0185】
化合物IIb-11の合成
【0186】
化合物IIb-11を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-11が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-10(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-11を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-11(0.033g)を得た。2ステップの収率:37%。
質量分析による確認の結果、IIb-11のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値359.1、実測値359.0。
【実施例12】
【0187】
化合物IIb-12の合成
【0188】
化合物IIb-12を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-12が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-11(0.63mmol)を使用して中間体RM-IIb-12を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-12(0.028g)を得た。2ステップの収率:12.8%。
質量分析による確認の結果、IIb-12のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値345.1、実測値344.9。
【実施例13】
【0189】
化合物IIb-13の合成
【0190】
化合物IIb-13を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-13が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-12(0.43mmol)を使用して中間体RM-IIb-13を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-13(0.060g)を得た。2ステップの収率:40%。
検出後、生成物IIb-13のH NMR(400MHz,CDCl):δ6.92-6.90(m,1H),6.65-6.62(m,1H),6.49-6.39(m,3H),5.90(s,2H),4.90(s,2H),4.62-4.58(m,1H),4.20-4.16(m,1H),3.64-3.61(m,1H),2.87-2.57(m,1H),2.41-2.19(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-13のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値345.0、実測値345.0。
【実施例14】
【0191】
化合物IIb-14の合成
【0192】
化合物IIb-14を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-14が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-13(0.22mmol)を使用して中間体RM-IIb-14を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-14(0.045g)を得た。2ステップの収率:51.3%。
検出後、生成物IIb-14のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.28(s,1H),7.08-7.06(m,1H),7.00(s,1H),6.51-6.47(m,2H),6.09(s,2H),5.00(s,2H),4.79-4.75(m,1H),4.32-4.28(m,1H),3.84-3.79(m,1H),2.84-2.78(m,1H),2.66-2.59(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-14のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値395.1、実測値395.0。
【実施例15】
【0193】
化合物IIb-15の合成
【0194】
化合物IIb-15を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-15が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-14(0.42mmol)を使用して中間体RM-IIb-15を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-15(0.072g)を得た。2ステップの収率:54%。
検出後、生成物IIb-15のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.34(s,1H),7.08-7.06(m,1H),7.00(s,1H),6.48-6.43(m,2H),6.11(s,2H),4.98(s,2H),4.79-4.75(m,1H),4.32-4.28(m,1H),3.83-3.80(m,1H),2.83-2.78(m,1H),2.65-2.59(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-15のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値352.1、実測値352.0。
【実施例16】
【0195】
化合物IIb-16の合成
【0196】
化合物IIb-16を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-16が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-15(0.39mmol)を使用して中間体RM-IIb-16を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-16(0.032g)を得た。2ステップの収率:19.7%。
検出後、生成物IIb-16のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.51-7.48(m,2H),7.29-7.27(m,2H),7.06-7.04(m,1H),6.47-6.43(m,2H),4.97(s,2H),4.78-4.74(m,1H),4.30-4.27(m,1H),3.83-3.78(m,1H),2.83-2.77(m,1H),2.65-2.58(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-16のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値405.0,実測値404.8。
【実施例17】
【0197】
化合物IIb-17の合成
【0198】
化合物IIb-17を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-17が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(0.28mmol)を使用して中間体RM-IIb-17を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-17(0.020g)を得た。2ステップの収率:15.8%。
検出後、生成物IIb-17のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.30-7.18(m,1H),7.10-7.06(m,1H),7.03-7.01(m,1H),6.50-6.46(m,2H),5.07(s,2H),4.79-4.75(m,1H),4.31-4.27(m,1H),3.84-3.79(m,1H),2.83-2.78(m,1H),2.65-2.58(m,1H)。19F NMR(376MHz,CDCl):δ-49.74。
質量分析による確認の結果、IIb-17のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値363.1、実測値362.9。
【実施例18】
【0199】
化合物IIb-18の合成
【0200】
化合物IIb-18を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-18が得られた。ここで、在反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(0.22mmol)を使用し、及び化合物SM1-1反応の代わりに化合物SM1-2(0.22mmol)を使用して中間体RM-IIb-18を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-18(0.009g)を得た。2ステップの収率:11.4%。
検出後、生成物IIb-18のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.20-7.18(m,1H),7.10-7.03(m,2H),7.01(m,1H),6.51-6.46(m,2H),5.07(s,2H),4.79-4.75(m,1H),4.32-4.28(m,1H),3.84-3.79(m,1H),2.85-2.79(m,1H),2.66-2.60(m,1H);19F NMR(376MHz,CDCl):δ-49.63。
質量分析による確認の結果、IIb-18のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値363.1、実測値363.1。
【実施例19】
【0201】
化合物IIb-19の合成
【0202】
化合物IIb-19を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-19が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-17(0.91mmol)を使用して中間体RM-IIb-19を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-19(0.231g)を得た。2ステップの収率:72.8%。
検出後、生成物IIb-19のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.06-7.04(m,1H),7.00-6.98(m,1H),6.84-6.83(m,2H),6.53-6.48(m,2H),5.02(s,2H),4.78-4.74(m,1H),4.30-4.23(m,5H),3.83-3.77(m,1H),2.82-2.77(m,1H),2.63-2.57(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-19のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値341.1、実測値341.0。
【実施例20】
【0203】
化合物IIb-20の合成
【0204】
化合物IIb-20を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-20が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-18(0.64mmol)を使用して中間体RM-IIb-20を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-20(0.166g)を得た。2ステップの収率:71.2%。
検出後、生成物IIb-20のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.05-7.03(m,1H),6.91-6.89(m,1H),6.80-6.76(m,1H),6.70-6.68(m,1H),6.52-6.49(m,2H),4.98(s,2H),4.77-4.73(m,1H),4.30-4.26(m,1H),3.82-3.77(m,1H),2.81-2.76(m,1H),2.62-2.55(m,1H),1.69(s,6H)。
質量分析による確認の結果、IIb-20のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値355.1、実測値355.0。
【実施例21】
【0205】
化合物IIb-21の合成
【0206】
化合物IIb-21を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-21が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-19(0.57mmol)を使用して中間体RM-IIb-21を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-21(0.072g)を得た。2ステップの収率:28.4%。
質量分析による確認の結果、IIb-21のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値441.0、実測値440.8。
【実施例22】
【0207】
化合物IIb-22の合成
【0208】
化合物IIb-22を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-22が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-20(0.43mmol)を使用して中間体RM-IIb-22を得、中間体を加水分解して淡黄色の油状物質IIb-22(0.150g)を得た。2ステップの収率:80%。
質量分析による確認の結果、IIb-22のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値435.0、実測値434.9。
【実施例23】
【0209】
化合物IIb-23の合成
【0210】
化合物IIb-23を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-23が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-21(0.13mmol)を使用して中間体RM-IIb-23を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-23(0.0033g)を得た。2ステップの収率:6.2%。
質量分析による確認の結果、IIb-23のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値397.0、実測値397.3。
【実施例24】
【0211】
化合物IIb-24の合成
【0212】
化合物IIb-24を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-24が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-22(0.38mmol)を使用して中間体RM-IIb-24を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-24(0.028g)を得た。2ステップの収率:18.8%。
質量分析による確認の結果、IIb-24のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値397.0、実測値397.4。
【実施例25】
【0213】
化合物IIb-25の合成
【0214】
化合物IIb-25を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-25が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-5(0.54mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.54mmol)を使用して中間体RM-IIb-25を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-25(0.085g)を得た。2ステップの収率:44%。
検出後、生成物IIb-25のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.07-7.05(m,1H),6.94(m,1H),6.78-6.77(m,1H),6.50-6.45(m,2H),6.02(s,2H),4.95(s,2H),4.79-4.74(m,1H),4.31-4.27(m,1H),3.84-3.79(m,1H),2.84-2.79(m,1H),2.66-2.59(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-25のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値361.0,実測値361.0。
【実施例26】
【0215】
化合物IIb-26の合成
【0216】
化合物IIb-26を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-26が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(0.22mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-3(0.22mmol)を使用して中間体RM-IIb-26を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-26(0.045g)を得た。2ステップの収率:21%。
検出後、生成物IIb-26のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.33(s,1H),7.32-7.30(m,1H),7.13-7.09(m,1H),7.06-7.02(m,1H),6.50(s,1H),5.13(s,2H),4.80-4.76(m,1H),4.32-4.29(m,1H),3.845-3.81(m,1H),2.83-2.78(m,1H),2.67-2.60(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-26のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値441.0,実測値441.0。
【実施例27】
【0217】
化合物IIb-27の合成
【0218】
化合物IIb-27を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-27が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(0.22mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-4(0.22mmol)を使用して中間体RM-IIb-27を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-27(0.070g)を得た。2ステップの収率:28%。
検出後、生成物IIb-27のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.43-7.41(m,1H),7.32(s,1H),7.14-7.10(m,1H),7.06-7.04(m,1H),5.08(s,2H),4.93-4.88(m,1H),4.45-4.41(m,1H),4.00-3.96(m,1H),2.88-2.82(m,2H),2.74-2.67(m,1H);19F NMR(376MHz,CDCl):δ-49.68。
質量分析による確認の結果、IIb-27のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値520.9,実測値520.9。
【実施例28】
【0219】
化合物IIb-28の合成
【0220】
化合物IIb-28を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-28が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(0.48mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-5(0.48mmol)を使用して中間体RM-IIb-28を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-28(0.070g)を得た。2ステップの収率:36%。
検出後、生成物IIb-28のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.29-7.26(m,1H),7.18(s,1H),7.12-7.08(m,1H),7.04-7.02(m,1H),6.50(s,2H),5.14(s,2H),4.80-4.75(m,1H),4.32-4.28(m,1H),3.84-3.80(m,1H),2.83-2.77(m,1H),2.66-2.60(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-28のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値397.0,実測値397.0。
【実施例29】
【0221】
化合物IIb-29の合成
【0222】
化合物IIb-29を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-29が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(1.0mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-6(1.0mmol)を使用して中間体RM-IIb-29を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-29(0.070g)を得た。2ステップの収率:18%。
質量分析による確認の結果、IIb-29のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値381.1,実測値381.0。
【実施例30】
【0223】
化合物IIb-30の合成
【0224】
原料IIb-17(0.188g,0.52mmol)を1mLのTHF及び1mLのMTBEに溶解し、窒素保護下、ドライアイスアセトン浴で-78度に冷却し、LiHMDS(1M,1.4mL,1.4mmol)を滴下し、0.5時間撹拌し、TMSCl(0.14g,1.3mmol)を滴下し、0.5時間撹拌し、NBS(0.11g,0,62mmol)を加え、ゆっくりと室温まで上昇させ、5時間反応し、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応液に水を加え、塩酸(1N)を加えてpH2程度に中和し、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、淡黄色の固体生成物IIb-30(0.055g)を得た。1ステップの収率:24%。
質量分析による確認の結果、IIb-30のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値441.0、実測値440.9。
【実施例31】
【0225】
化合物IIb-31の合成
【0226】
原料IIb-30(0.035g,0.08mmol)を濃アンモニア水(3mL)に加え、100℃の油バスで加熱して2.5時間反応し、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応液を減圧で濃縮乾燥して淡黄色の固体生成物IIb-31(0.025g)を得た。1ステップの収率:83%。
質量分析による確認の結果、IIb-31のESI-MS[(M+H)]:m/z理論値380.1、実測値380.0。
【実施例32】
【0227】
化合物IIb-32の合成
【0228】
第1ステップ:
原料RM-IIb-17(0.29g,0.78mmol)を2mLのTHFに溶解し、窒素保護下、ドライアイスアセトン浴で-70度に冷却し、LiHMDS(1M,0.8mL,0.8mmol)を滴下し、0.5時間撹拌し、(PhSO)NF/THF(0.29g,0.93mmol)溶液を滴下し、ゆっくりと室温まで上昇させ2時間反応し、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応液に水を加え、塩酸(1N)を加えてpH2程度に中和し、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、中間体RM-IIb-30(0.043g)を得た。
【0229】
第2ステップ:
中間体RM-IIb-30にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N,1mL)を順次に加え、室温で1時間撹拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH4程度に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、白色固体生成物IIb-32(0.018g)を得た。2ステップの収率:6%。
質量分析による確認の結果、IIb-32のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値379.1、実測値379.0。
【実施例33】
【0230】
化合物IIb-33の合成
【0231】
第1ステップ:
原料RM-IIb-17(0.24g,0.65mmol)を2mLのTHFに溶解し、窒素保護下、ドライアイスアセトン浴で-70度に冷却し、LiHMDS(1M,0.8mL,0.8mmol)を滴下し、0.5時間撹拌し、(PhSO)NF/THF(0.24g,0.78mmol)溶液を滴下し、ゆっくりと室温まで上昇させ2時間反応し、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応液に水を加え、塩酸(1N)を加えてpH2程度に中和し、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、中間体RM-IIb-31及びRM-IIb-32(0.045g)を得た。
【0232】
第2ステップ:
中間体RM-IIb-31及びRM-IIb-32にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N,1mL)を順次に加え、室温で1時間撹拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH4程度に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、淡黄色の固体生成物IIb-33及びIIb-34(0.030g)を得た。2ステップの収率:12%。
質量分析による確認の結果、IIb-33のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値381.1、実測値381.0。
【実施例34】
【0233】
化合物IIb-34の合成
【0234】
化合物IIb-34を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-34が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(0.36mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-7(0.36mmol)を使用して中間体RM-IIb-32を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-34(0.021g)を得た。2ステップの収率:14%。
質量分析による確認の結果、IIb-34のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値399.0、実測値399.0。
【実施例35】
【0235】
化合物IIb-35の合成
【0236】
化合物IIb-35を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-35が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-6(0.27mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-8(0.27mmol)を使用して中間体RM-IIb-33を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-35(0.056g)を得た。2ステップの収率:60%。
検出後、生成物IIb-35のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.12-7.10(m,1H),6.85(m,1H),6.80-6.78(m,1H),6.69-6.66(m,1H),6.57-6.54(m,1H),6.01(s,2H),4.99(s,2H),3.56-3.52(m,1H),2.92-2.77(m,3H),2.51-2.41(m,2H),1.81-1.74(m,1H)。
質量分析による確認の結果、IIb-35のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値343.1、実測値343.0。
【実施例36】
【0237】
化合物IIb-36の合成
【0238】
化合物IIb-36を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-36が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-6(0.27mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-9(0.27mmol)を使用して中間体RM-IIb-34を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-36(0.072g)を得た。2ステップの収率:75%。
検出後、生成物IIb-36のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.31-7.26(m,2H),6.93-6.91(m,2H),6.69-6.68(m,1H),6.66(m,1H),6.01(s,2H),4.99(s,2H),2.64(s,2H),1.45(s,6H)。
質量分析による確認の結果、IIb-36のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値345.1、実測値345.0。
【実施例37】
【0239】
化合物IIb-37の合成
【0240】
化合物IIb-37を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-37が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-6(0.27mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-10(0.27mmol)を使用して中間体RM-IIb-35を得、中間体を加水分解して淡黄色の固体生成物IIb-37(0.055g)を得た。2ステップの収率:53%。
検出後、生成物IIb-37のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.41-7.39(m,2H),6.95-6.92(m,2H),6.67-6.63(m,1H),6.57-6.55(m,1H),6.03-6.01(m,2H),4.99(s,2H),4.13-4.10(m,2H),3.83-3.82(m,2H),2.98(s,2H)。
質量分析による確認の結果、IIb-37のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値375.1、実測値374.9。
【実施例38】
【0241】
化合物IIb-38の合成
【0242】
化合物IIb-38を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-38が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-23(0.16mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.16mmol)を使用して中間体RM-IIb-36を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-38(0.040g)を得た。2ステップの収率:44%。
質量分析による確認の結果、IIb-38のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値567.2、実測値567.0。
【実施例39】
【0243】
化合物IIb-39の合成
【0244】
化合物IIb-39を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-39が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-5(0.35mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-7(0.35mmol)を使用して中間体RM-IIb-37を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-39(0.021g)を得た。2ステップの収率:15%。
質量分析による確認の結果、IIb-39のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値397.0、実測値397.0。
【実施例40】
【0245】
化合物IIb-40の合成
【0246】
化合物IIb-40を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-40が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-24(0.31mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.31mmol)を使用して中間体RM-IIb-38を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-40(0.067g)を得た。2ステップの収率:47%。
質量分析による確認の結果、IIb-40のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値453.0、実測値453.0。
【実施例41】
【0247】
化合物IIb-41の合成
【0248】
化合物IIb-41を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-41が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-25(0.10mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.10mmol)を使用して中間体RM-IIb-39を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-41(0.014g)を得た。2ステップの収率:36%。
質量分析による確認の結果、IIb-41のESI-MS[(M+H)]:m/z理論値372.1、実測値372.1。
【実施例42】
【0249】
化合物IIb-42の合成
【0250】
化合物IIb-42を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-42が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-26(0.13mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.13mmol)を使用して中間体RM-IIb-40を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-42(0.029g)を得た。2ステップの収率:58%。
質量分析による確認の結果、IIb-42のESI-MS[(M+H)]:m/z理論値372.1、実測値372.1。
【実施例43】
【0251】
化合物IIb-43の合成
【0252】
化合物IIb-43を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-43が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-27(0.09mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.09mmol)を使用して中間体RM-IIb-41を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-43(0.012g)を得た。2ステップの収率:31%。
検出後、生成物IIb-43のH NMR(400MHz,CDCl):δ7.06-7.03(m,2H),6.73(s,1H),6.49-6.46(m,2H),5.96(s,2H),4.95(s,2H),4.78-4.73(m,1H),4.30-4.26(m,1H),3.82-3.78(m,1H),2.83-2.77(m,1H),2.65-2.58(m,1H),1.49(s,9H)。
質量分析による確認の結果、IIb-43のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値442.1、実測値442.2。
【実施例44】
【0253】
化合物IIb-44の合成
【0254】
化合物IIb-43(0.017g,0.04mmol)をHCl/MeOH(6N,2mL)に加え、室温で1時間撹拌し、反応の完了を検出した後、濃縮して白色固体生成物IIb-44(0.015g)を得た。1ステップの収率:91%。
質量分析による確認の結果、IIb-44のESI-MS[(M+H)]:m/z理論値344.1、実測値344.1。
【実施例45】
【0255】
化合物IIb-45の合成
【0256】
化合物IIb-45を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-45が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-28(0.14mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.14mmol)を使用して中間体RM-IIb-42を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-45(0.035g)を得た。2ステップの収率:66%。
質量分析による確認の結果、IIb-45のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値357.3、実測値357.2。
【実施例46】
【0257】
化合物IIb-46の合成
【0258】
化合物IIb-46を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-46が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-29(0.12mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.12mmol)を使用して中間体RM-IIb-43を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-46(0.030g)を得た。2ステップの収率:52%。
質量分析による確認の結果、IIb-46のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値478.4、実測値478.3。
【実施例47】
【0259】
化合物IIb-47の合成
【0260】
第1ステップ:
化合物RM-IIb-41(0.6g,1.31mmol)をHCl/MeOH(6N,12mL)に加え、室温で一晩撹拌し、反応の完了を検出した後、濃縮して白色固体中間生成物RM-IIb-44(0.5g)を得た。
【0261】
第2ステップ:
原料RM-IIb-44(0.050g,0.13mmol)を2mLのDCMに溶解し、DMAP(0.039g,0.32mmol)を加え、氷水浴で冷却し、クロロギ酸メチル(0.015g,0.15mmol)を加え、室温で一晩撹拌し反応させ、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応溶液を処理し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体RM-IIb-45(0.049g)を得た。
【0262】
第3ステップ:
中間体RM-IIb-45にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N,1mL)を順次に加え、室温で1時間撹拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH4程度に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、白色固体生成物IIb-47(0.047g)を得た。2ステップの収率:92%。
質量分析による確認の結果、IIb-47のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値400.4、実測値400.3。
【実施例48】
【0263】
化合物IIb-48の合成
【0264】
第1ステップ:
原料RM-IIb-44(0.050g,0.13mmol)を2mLのDCMに溶解し、DMAP(0.039g,0.32mmol)を加え、氷水浴で冷却し、クロロギ酸シクロペンチル(0.023g,0.15mmol)を加え、室温で一晩撹拌し反応させ、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応溶液を処理し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体RM-IIb-46(0.050g)を得た。
【0265】
第2ステップ:
中間体RM-IIb-46にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N,1mL)を順次に加え、室温で1時間撹拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH4程度に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、白色固体生成物IIb-48(0.040g)を得た。2ステップの収率:70%。
質量分析による確認の結果、IIb-48のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値454.5、実測値454.5。
【実施例49】
【0266】
化合物IIb-49の合成
【0267】
第1ステップ:
原料RM-IIb-44(0.050g,0.13mmol)を2mLのDCMに溶解し、DMAP(0.039g,0.32mmol)を加え、氷水浴で冷却し、クロロギ酸フェニル(0.024g,0.15mmol)を加え、室温で一晩撹拌し反応させ、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応溶液を処理し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体(0.050g)を得た。
【0268】
第2ステップ:
中間体を2mLのDMFに再溶解し、DMAP(0.025g,0.2mmol)和tert-ブチルアミン(0.015g,0.2mmol)を加え、室温で3時間撹拌し反応させ、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応溶液を処理し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体RM-IIb-47(0.040g)を得た。
【0269】
第3ステップ:
中間体RM-IIb-47にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N,1mL)を順次に加え、室温で1時間撹拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH4程度に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、白色固体生成物IIb-49(0.020g)を得た。3ステップの収率:35%。
質量分析による確認の結果、IIb-49のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値441.5、実測値441.4。
【実施例50】
【0270】
化合物IIb-50の合成
【0271】
第1ステップ:
原料RM-IIb-44(0.050g,0.13mmol)を2mLのDCMに溶解し、DMAP(0.039g,0.32mmol)を加え、氷水浴で冷却し、クロロギ酸シクロペンチル(0.023g,0.15mmol)を加え、室温で一晩撹拌し反応させ、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応溶液を処理し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体RM-IIb-48(0.045g)を得た。
【0272】
第2ステップ:
中間体RM-IIb-48にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N,1mL)を順次に加え、室温で1時間撹拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH4程度に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、白色固体生成物IIb-50(0.020g)を得た。2ステップの収率:46%。
質量分析による確認の結果、IIb-50のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値426.7、実測値426.4。
【実施例51】
【0273】
化合物IIb-51の合成
【0274】
第1ステップ:
原料RM-IIb-44(0.050g,0.13mmol)を2mLのDCMに溶解し、DMAP(0.039g,0.32mmol)を加え、氷水浴で冷却し、イソプロピルスルホニルクロリド(0.022g,0.15mmol)を加え、室温で一晩撹拌し反応させ、反応を完了させた。HPLCで反応終了を確認後、反応溶液を処理し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、中間体RM-IIb-49(0.015g)を得た。
【0275】
第2ステップ:
中間体RM-IIb-49にMeOH(2mL)、THF(1mL)及びLiOH水溶液(1N,1mL)を順次に加え、室温で1時間撹拌し、HPLCで反応終了を確認後、反応液を塩酸(1N)でpH4程度に中和し、水を加え、酢酸エチルを加えて抽出し、有機相を合わせ、食塩水で洗浄した後に乾燥し、最後にカラムクロマトグラフィーで分離精製して、白色固体生成物IIb-51(0.009g)を得た。2ステップの収率:16%。
質量分析による確認の結果、IIb-51のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値448.5、実測値448.3。
【実施例52】
【0276】
化合物IIb-52の合成
【0277】
化合物IIb-52を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-52が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-30(0.06mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.06mmol)を使用して中間体RM-IIb-50を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-52(0.004g)を得た。2ステップの収率:15%。
質量分析による確認の結果、IIb-52のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値411.1、実測値411.2。
【実施例53】
【0278】
化合物IIb-53の合成
【0279】
化合物IIb-53を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-53が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-31(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-51を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-53(0.018g)を得た。2ステップの収率:19%。
質量分析による確認の結果、IIb-53のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値395.1、実測値395.2。
【実施例54】
【0280】
化合物IIb-54の合成
【0281】
化合物IIb-54を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-54が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-32(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-52を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-54(0.028g)を得た。2ステップの収率:27%。
質量分析による確認の結果、IIb-54のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値431.0、実測値431.1。
【実施例55】
【0282】
化合物IIb-55の合成
【0283】
化合物IIb-55を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-55が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-33(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-53を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-55(0.020g)を得た。2ステップの収率:22%。
質量分析による確認の結果、IIb-55のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値381.1、実測値381.2。
【実施例56】
【0284】
化合物IIb-56の合成
【0285】
化合物IIb-56を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-56が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-34(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-2(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-54を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-56(0.028g)を得た。2ステップの収率:30%。
質量分析による確認の結果、IIb-56のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値397.0、実測値397.1。
【実施例57】
【0286】
化合物IIb-57の合成
【0287】
化合物IIb-57を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-57が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-35(0.23mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-11(0.23mmol)を使用して中間体RM-IIb-55を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-57(0.018g)を得た。2ステップの収率:21%。
質量分析による確認の結果、IIb-57のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値363.1、実測値363.2。
【実施例58】
【0288】
化合物IIb-58の合成
【0289】
化合物IIb-58を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-58が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-36(0.23mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-11(0.23mmol)を使用して中間体RM-IIb-56を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-58(0.026g)を得た。2ステップの収率:30%。
質量分析による確認の結果、IIb-58のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値379.0、実測値379.1。
【実施例59】
【0290】
化合物IIb-59の合成
【0291】
化合物IIb-59を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-59が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-27(0.23mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-11(0.23mmol)を使用して中間体RM-IIb-57を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-59(0.016g)を得た。2ステップの収率:30%。
質量分析による確認の結果、IIb-59のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値460.1、実測値460.2。
【実施例60】
【0292】
化合物IIb-60の合成
【0293】
化合物IIb-60を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-60が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-27(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-8(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-58を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-60(0.021g)を得た。2ステップの収率:20%。
質量分析による確認の結果、IIb-60のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値442.2、実測値442.1。
【実施例61】
【0294】
化合物IIb-61の合成
【0295】
化合物IIb-61を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-61が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-8(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-59を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-61(0.026g)を得た。2ステップの収率:30%。
質量分析による確認の結果、IIb-61のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値361.1、実測値361.2。
【実施例62】
【0296】
化合物IIb-62の合成
【0297】
化合物IIb-62を調製するための合成方法は実施例1と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-62が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-1の代わりに化合物RM-Ib-16(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-12(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-60を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-62(0.015g)を得た。2ステップの収率:16%。
質量分析による確認の結果、IIb-62のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値373.1、実測値373.1。
【実施例63】
【0298】
化合物IIb-63の合成
【0299】
化合物IIb-63を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-63が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-29(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-8(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-61を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-63(0.020g)を得た。2ステップの収率:17%。
質量分析による確認の結果、IIb-63のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値476.2、実測値476.2。
【実施例64】
【0300】
化合物IIb-64の合成
【0301】
化合物IIb-64を調製するための合成方法は実施例2と同様であり、エーテル化と加水分解反応により生成物IIb-64が得られ、ここで、反応において化合物RM-Ib-2の代わりに化合物RM-Ib-29(0.24mmol)を使用し、化合物SM1-1の代わりに化合物SM1-12(0.24mmol)を使用して中間体RM-IIb-62を得、中間体を加水分解して白色固体生成物IIb-64(0.015g)を得た。2ステップの収率:13%。
質量分析による確認の結果、IIb-64のESI-MS[(M-H)]:m/z理論値488.2、実測値488.3。
【実施例65】
【0302】
化合物のGPR40活性検出方法:
【0303】
本発明で製造された化合物は、以下の前臨床インビトロ阻害活性試験実験を通じてGPR40に対する効果を予備的に測定及びスクリーニングし、臨床試験を通じて治療効果及び安全性をさらに確認することができる。他の方法も当分野の普通の技術者には明らかである。日本の武田薬品工業株式会社によって以前に開発されたGPR40アゴニストTAK-875の前臨床試験及び臨床試験の結果は、インビトロ試験の結果が関連する生体内活性試験の結果と一致することを示している。
【0304】
本発明の化合物、又はそれらの立体異性体、互変異性体、エステル化もしくはアミド化されたプロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩及び混合物は、化合物IIb-01~IIb-64及び1つの参照化合物Ref-1(TAK-875)によるGPR40活性を評価することによって試験され、試験結果の比較により、多くの化合物の阻害活性(EC50)が参照化合物よりも優れていることが分かった。
【0305】
CHO-K1/GPR40細胞を10000細胞/ウェルの播種密度で384ウェルプレートに播種した。細胞を37°C、5%COインキュベーターで24時間インキュベートした。実験後、細胞培養液を捨て、2.5 mM mMProbenecidを含む1X FLIPR(登録商標) Calcium 6色素30μlを各ウェルにすばやく加え、37℃、2時間、暗所でインキュベートした。測定の時、異なる濃度の薬物(15μl/ウェル)をウェルに添加し、蛍光値を読み取った。蛍光励起波長は494nm、発光波長は516nmであった。FLIPR機器データは、式Y=Bottom +(Top-Bottom)/(1+(EC50/X)^HillSlope)に従ってEC50を得た。
【0306】
各式IIbの新規構造化合物のGPR40アゴニスト活性試験結果を以下の表3及び表2に列挙する。ここで、本発明における化合物のGPR40アゴニストの活性効果範囲(EC50)は、<10nMであると「A」としてマークし、活性範囲が10-100nMであると「B」としてマークし、活性範囲が>100nMであると「C」としてマークした。
【0307】
【表5】
【実施例66】
【0308】
化合物毒性スクリーニング試験
【0309】
新しい化合物(IIb-01~IIb-64)におけるいくつかの活性が比較的に高い(EC50<10nM)化合物(IIb-18、IIb-25及びIIb-43)の毒性を試験するために、本発明は18~22gの健康なマウスを採用し、すべて600mg/kgの単回用量を強制経口投与で1回投与し、連続5日以内に実験動物が引き起こす毒性反応を観察して被験物質の身体への毒性を評価し、急性毒性(Acute Toxocity Study、MTD)試験を実施すると、結果はこのタイプの化合物の全体的な毒性が非常に小さい(LD50:>600)ことを示し、投与後のマウスの生存率は100%であり、服用期間及び5日間の回復期間中、体重と生体内外の観察に異常はなく、剖検の結果も心臓、肝臓、肺、腎臓、腸などの各臓器に異常な変化は認められなかった。試験された化合物は、適切な用量で安全で無毒であると一般に考えられている。
【0310】
従って、本発明のいくつかの高活性化合物は、インビトロ実験によって試験され、II型糖尿病に対して良好な治療効果を有するだけでなく、安全で信頼できるものでもある。
【実施例67】
【0311】
化合物BSEP(Bile Salt Export Pump)胆汁塩輸送効果の検出方法:
【0312】
本実験では、基質であるタウロコール酸(Taurocholic Acid、以下TCAと略称する)に対するBSEP胆汁塩トランスポーターの吸収能をLC/MS/MSを用いて検出する方法によって、候補化合物がトランスポーターの輸送過程に阻害作用を有するか否かを予備的に研究した。逆吸収能を有するBSEPタンパク質マイクロカプセルは、Hi5細胞にBSEP遺伝子をトランスフェクトすることにより得られ、このマイクロカプセルはタウロコール酸TCAを吸収・摂取することができる。この実験の原理は、エネルギーATP、基質であるタウロコール酸TCA、及び試験対象の候補化合物が同時に存在する条件下で、BSEPタンパク質マイクロカプセルの基質吸収実験を行い、一定時間の輸送後、マイクロカプセル外の残りのエネルギー、基質、候補化合物を完全に洗い流し、除去した後、マイクロカプセルを切断し、吸収された基質タウロコール酸TCAを放出し、ひいてはLC/MS/MSを使用してタウロコール酸TCAを検出し、候補化合物がTCA輸送過程を抑制するかどうかを判断した。
【0313】
サンプルの処理:
1.化合物を100%DMSOで100mMになるように溶解し、-20°Cの冷蔵庫に保存し、すべての化合物が完全に溶解した。
2.サンプルの初期濃度は100mMで、Bravo装置を使用して2倍連続希釈し、合計11の濃度勾配があり;最低点濃度は97.65μMであった。
3.対照化合物(Glyburide)の初期濃度は20mMで、Bravo装置で2倍連結希釈し、合計11の濃度勾配があり;最低点濃度は19.53μMであった。
4.ECHOオートサンプラーを使用して、300nlの化合物を中央のプレートに移した。
5.陽性対照(HPE)ウェル及び陰性対照(ZPE)ウェルにもそれぞれ300 nlのDMSOを移した。
【0314】
実験操作ステップ:
1.ATP緩衝液14.7μlを、化合物とZPEの対応するウェルにそれぞれ加えた。
2.AMP緩衝液14.7μlをHPEの対応するウェルに加えた。
3.プレートを25°Cで10分間振とうした。
4.BSEP-Hi5-VT Vesicle溶液15μlをすべてのウェルに加え、プレートを25°Cで40分間振とうした。
5.直ちにすべてのウェルに0.5M EDTA溶液5μlを加え、次に65μlの緩衝液Bを加えて、すべての反応を完了した。
6.ピペッティング装置を使用して、反応完了後の化合物プレートからフィルタープレートに95 μlの液を移した。
7.受液プレートをフィルタープレートの下に置いた後、遠心分離機を使用して液を除去し、受プレートに受けた液を廃棄した。
8.90μlの緩衝液Bをフィルタープレートに加え、ステップ7を繰り返し、ステップ7と8を繰り返し、フィルタープレートを合計3回洗浄した。
9.フィルタープレートを一晩乾燥させた。
10.翌日、80%メタノール/水溶液81μlをフィルタープレートに加えた。
11.フィルムを貼り付けた後、フィルタープレートを15分間振動させた。
12.新しい受液プレートをフィルタープレートの下に置き、5分間遠心分離して、フィルタープレート内のすべての液体を受プレートにろ過した。
13.受液プレートの各ウェルに内部標準溶液13.5μlを加え、シールフィルムでプレートをシールした。
14.LC/MS/MSを使用して、受プレート内のタウロコール酸の含有量を測定した。
【0315】
【表6】

注:表4に示す化合物のBSEPに対する阻害結果(IC50)が25μMより低い場合[例えば:Ref-1(TAK-875)の値は7.1であり、25よりも有意に低い]、当該化合物のBSEP阻害性副作用は、体内の肝臓障害の潜在的なリスクがある。
【0316】
上記の表3及び表4の活性試験結果は、以下の事実を示している:(1)本発明の各タイプの新規なベンゾ複素環化合物のうち、酸素原子を1~2個含む5員複素環化合物の活性(EC50)は、類似構造を有する酸素原子が1~2個含む6員複素環化合物よりも明らかに優れている;(2)本発明の式IIb化合物において、Zが「酸素(O)」である場合のベンゾ酸素含有5員複素環化合物の活性は、類似構造におけるZが「CH」である場合の対応する化合物の活性よりも優れている;(3)本発明のベンゾ酸素含有5員複素環化合物IIb-18、IIb-25、IIb-43及びIIb-46は、GPR40標的に対して非常に良好な活性(EC50:<10nM)を示し、同種の対照化合物TAK-875よりも優れ、現在、この研究分野において比較的良好な活性を有し、かつ活性及び安全性などの面で薬学的に有利な新しいタイプのGPR40アゴニストである。
【0317】
上記の表4に記載されている3つのベンゾ酸素含有5員複素環化合物は、良好な活性を示すだけでなく、肝障害を引き起こす可能性があるBSEPの副作用結果はすべて25を超えており、肝毒性の問題により第III相臨床試験を終了した日本の武田薬品会社の新薬TAK-875よりも明らかに優れており、また、完了した急性毒性(Acute Toxocity Study、MTD)の試験結果は、表4に記載されている3つの高活性化合物IIb-18、IIb-25及びIIb-43の安全性がより優れていることを示しており、マウスに新化合物を600mg/1kgの用量で5日間強制経口投与した後の生存率は100%であり、服用期間及び5日間の回復期間中に異常はなく、剖検の結果にも異常は認められなかった。よって、本発明が設計、合成した新規なベンゾ酸素含有5員複素環化合物IIb中のいくつかの高活性化合物は、さらに動物実験及び臨床実験を行い、ならびに普及・応用する価値がある。
【0318】
従って、本発明は、GPR40標的アゴニストの革新的な研究において、より優れた活性及び効果を有するいくつかの化合物(例えばIIb-18、IIb-25及びIIb-43)を発見し、TMD高用量(600mg/kg/日)の急性毒性試験の毒性が非常に低く、BSEP(>25uM)、hERG(>30uM)及びAmesなどの試験結果から、関連する副作用がないことが示され、関連する結果がすべて現在知られている参照化合物TAK-875よりも優れており、より優れたGPR40標的選択性を持つ、II型糖尿病患者を安全かつ効率的に治療できる新しいGPR40標的アゴニスト医薬の発明の基礎を築くことが分かる。
【0319】
上記の詳細な説明に基づいて、実施形態に対してこれら及び他の変更を行うことができる。一般に、特許請求の範囲で使用される用語は、特許請求の範囲を明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するものと解釈されるべきではなく、記載された特許請求の範囲の均等物の全範囲に従うすべての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。従って、特許請求の範囲は本開示の内容によって限定されない。
【国際調査報告】