(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】加飾ホイルの製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20230915BHJP
B41M 3/00 20060101ALI20230915BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B41M3/00 Z
B32B27/16
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023525123
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 ES2020070445
(87)【国際公開番号】W WO2022008763
(87)【国際公開日】2022-01-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523010513
【氏名又は名称】トランスフォルマド、エスエーユー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メネンデス クラレット、カルレス
(72)【発明者】
【氏名】チェッキーニ、ロレンツォ
【テーマコード(参考)】
2H113
4F100
【Fターム(参考)】
2H113BA15
2H113BB02
2H113BB06
2H113BB22
2H113FA08
2H113FA32
2H113FA43
2H113FA45
4F100AK25A
4F100AK25C
4F100AK51A
4F100AK51C
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AT00
4F100BA03
4F100CA05A
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4F100CA07A
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4F100CA07H
4F100CC022
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4F100DG10B
4F100DG15B
4F100EH462
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4F100EJ522
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4F100EJ82C
4F100GB07
4F100HB31D
4F100JB14A
4F100JB14C
4F100JD01
4F100JJ04
4F100JL09
(57)【要約】
本発明は、野外用及び屋内用の表面ライニング用にデザインされた、高性能樹脂飽和加飾ホイルの製造プロセスに関する。加飾ホイルは、HPL(ハイプレッシャーラミネート)パネル及びCPL(連続圧力積層(continuous-pressure laminate))パネル用の加飾ライニングとして、また、任意の平坦又は曲面した2D表面へ接着させる目的で使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の実行を含む、加飾ホイルの製造方法:
基材を準備する第1のステップ;
前記基材の一方の面を第1の樹脂で封止する第2のステップ;
前記第1の樹脂で封止された面を乾燥及び/又は硬化させる第3のステップ;
前記第1の樹脂で封止された面とは反対側の基材の面において、放射線硬化性官能基を含む無水樹脂で前記基材を含浸させる第4のステップ;
上記のステップで得られた副産物を硬化させる第5のステップ;
上記のステップで得られた副産物の2つの面のうちの一方に、1つ又は複数の樹脂の層を1層又は複数層付与する第6のステップであって、ここで、少なくとも1つの樹脂は放射線硬化性官能基を含む第6のステップ;
上記のステップの全てを経て得られたホイルを乾燥及び/又は硬化させる第7のステップ。
【請求項2】
前記基材が、
重量が25g/m
2~200g/m
2、好ましくは50g/m
2~140g/m
2、より好ましくは60g/m
2~120g/m
2であるセルロース系紙;又は
重量が5g/m
2~100g/m
2、好ましくは10g/m
2~60g/m
2、より好ましくは15g/m
2~50g/m
2である不織布生地
からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の樹脂の種類が、物理乾燥性、放射線硬化性、熱開始剤誘導型重合、ヒドロキシル化された基と遊離及び/又はブロック化イソシアネートとの間の架橋、及びこれらの任意の組み合わせから選択され;
前記第1の樹脂はさらに、
接着を促進するように構成される場合には、重量は1g/m
2~30g/m
2、好ましくは2g/m
2~25g/m
2、より好ましくは5g/m
2~20g/m
2であり、
接着剤として作用するように構成される場合には、重量は1g/m
2~80g/m
2、好ましくは20g/m
2~60g/m
2、より好ましくは25g/m
2~55g/m
2であり、基材に浸透する樹脂の量は1g/m
2~30g/m
2、好ましくは1g/m
2~25g/m
2、より好ましくは1g/m
2~15g/m
2である、
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第3のステップ中、乾燥及び/又は硬化プロセスは、紫外線硬化、電子ビーム照射、物理的乾燥から選択される少なくとも1つのプロセスにより行われる、請求項1~請求項3のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項5】
第4のステップ中、放射線硬化性官能基は、熱開始剤、及び/又はヒドロキシル化された基並びに遊離及び/又はブロック化イソシアネートを伴う、請求項1~請求項4のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項6】
第4のステップからの樹脂が、不飽和アクリレート及び/又はメタクリレート基を有するモノマーを50%以上、好ましくは75%より多く、より好ましくは85%より多く、含む、請求項1~請求項4のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項7】
第5のステップにおいて、硬化が、1~90kGy、好ましくは10~80kGy、より好ましくは20~60kGyの線量、80~300kV、好ましくは100~300kV、より好ましくは120~250kVの電圧、物理的不活性化技術により得られる最低値から大気中の自然な酸素含量と同等の濃度までの範囲の酸素含量で、電子ビームにより行われる、請求項1~請求項6のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項8】
酸素が、ホイルの2つの面のうちの少なくとも一方上における表面硬化を部分的に又は完全に阻害するように、硬化が、部分的に酸素富化された不活性雰囲気下で行われるか、又は、不活性化無しで行われてもよい、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
硬化する第5のステップの後、かつ1種又は複数種の放射線硬化性樹脂の層を1層又は複数層付与する第6のステップの前に実行可能な、いずれかの面上に装飾デザインを印刷することを含む任意選択的な(optional)ステップを含む、請求項1~請求項8のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項10】
デジタル印刷が使用され、インクが紫外線及び/又は電子ビームにより部分的に硬化され、
部分的に硬化される場合、画像が加飾ホイル上に固定化されるが、同時に、第6のステップにおけるその後の層との共有結合を確立できるように、表面反応性基の少なくとも一部が活性のまま残る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第6のステップの前又は後に、1種又は複数種の接着促進及び/又は接着樹脂を1層又は複数層付与することを含む任意選択的な(optional)ステップを含み、
このような1種又は複数種の接着促進及び/又は接着樹脂の1層又は複数層は、第6のステップが実行されたか又は実行される面とは反対側の面に付与され、続いて、必要であれば、乾燥及び/又は硬化ステップを行ってもよい、請求項1~請求項10のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ又は複数の接着促進及び/又は接着層が、物理乾燥性、放射線硬化性、熱開始剤誘導型重合、ヒドロキシル化基と遊離及び/又はブロック化イソシアネートとの間の架橋、及びこれらの任意の組み合わせから選択され;
このような1種又は複数種の樹脂が接着を促進するように構成される場合には、重量は1g/m
2~30g/m
2、好ましくは2g/m
2~25g/m
2、より好ましくは2g/m
2~10g/m
2であり、
このような1種又は複数種の樹脂が接着剤として作用するように構成される場合には、重量は10g/m
2~80g/m
2、好ましくは20g/m
2~60g/m
2、より好ましくは25g/m
2~55g/m
2である、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第7のステップにおいて、硬化が1~90kGy、好ましくは10kGy~80kGy、より好ましくは20kGy~60kGyの線量、80~300kV、好ましくは100kV~300kV、より好ましくは150kV~250kVの電圧、物理的不活性化条件下で、又は酸素含量が1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、より好ましくは200ppm未満の不活性雰囲気下で、電子ビームにより行われる、請求項1~請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
放射線硬化性成分が、不飽和アクリレート及びメタクリレート基から選択されている、請求項1~請求項13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
第6のステップにおける放射線硬化性成分が、エポキシアクリレートオリゴマー、好ましくはポリエステルアクリレートオリゴマー、特にウレタンアクリレートオリゴマー又は対応するメタクリレートオリゴマー、例えば放射線重合可能なポリマーなどから形成され、適切である場合には、単官能及び/又は多官能アクリレートモノマー及び/又はその対応するメタクリレートで希釈されている、請求項1~請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
第6のステップにおけるプレポリマーが、ジアクリレート又はトリアクリレートモノマーで適宜希釈されている脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーである、請求項1~請求項15のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項17】
HPLパネル、CPLパネル、及び仕上げホイルで裏打ちされた2D平坦若しくは曲面要素から選択されるパネルにおける、請求項1~請求項16のいずれかに記載の方法により得られる加飾ホイルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<技術分野>
本発明は、野外用及び屋内用の表面ライニング用にデザインされた、高性能樹脂飽和加飾ホイルの製造プロセスに関する。加飾ホイルは、HPL(ハイプレッシャーラミネート)パネル及びCPL(連続圧力積層(continuous-pressure laminate))パネル用の加飾ライニングとして、また、任意の平坦又は曲面の2D表面へ接着させる目的で使用することができる。
【0002】
ハイプレッシャーラミネート(HPL)パネル及び連続圧力積層(CPL)パネルは、耐傷性、耐摩耗性、化学的攻撃、又はあらゆる種類の破壊行為に対する耐性を必要とする用途で使用され、さらに色の堅牢性を維持するという特殊性を有する異なる材料から作られるパネルの一例である。これらの特定の特徴を達成するために、それぞれの場合に要求される特性を満たすことが可能な変性メラミン樹脂を含浸させた加飾パネル及びコーティングからなる表面は、技術水準において説明されている。
【0003】
メラミン含浸紙は、酸による攻撃に対する耐性が限られており、特に、屋外用途で使用するにはあまり適切ではない。この問題は、米国特許第4927572号に記載され、部分的に解決されており、以下のステップを含む、加飾パネルを製造する方法が開示されている:下張りを準備すること;当該下張りに加飾層を付与すること;上記加飾層に、放射線重合性混合物から本質的になる液体コーティングを付与すること;上記加飾層上に放射線重合層を形成するために放射線を付与すること;及び、1.5ニュートン以上の耐傷性が達成されるように、昇温及び加圧条件下で、上記下張り、上記加飾層及び上記放射線重合層を共に加熱プレスする。
【0004】
さらに、欧州特許第EP 1631454 B1号には、担持層の片面又は両面上に加飾層を含む加飾パネルが開示されており、上記加飾層は基材層と表面層とを含み、基材層は印刷紙であり、表面層は1以上の放射線硬化成分を含む合成樹脂であり、担持層と加飾層との間に接着層が存在し、この接着層は、基材層と表面層との間に、不飽和(メタ)アクリレート類の群から選ばれる放射線硬化性成分を含む合成樹脂からなる、透明層が存在することを特徴とする基材層に接するものである。
【0005】
欧州特許第EP 2406086 B1号には、基材に含浸させる水性樹脂を用いた加飾紙及び加飾パネルの製造方法が開示されている。
【0006】
より具体的には、欧州特許第EP 2406086 B1号には、以下のステップを含む方法が開示されている:紙を準備すること;紙に第1の活性放射線硬化性樹脂を含浸させること;前のステップで得られた紙を乾燥するステップ;前のステップで得られた乾燥済みの紙に第2の活性放射線硬化性樹脂を付与すること;及び前のステップで得られた紙を硬化させて樹脂含浸加飾紙を得ること;ここで、上記乾燥ステップ後に得られる重量に基づいて計算される残留水分<5%の初期乾燥プロセスを特徴とする。
【0007】
欧州特許第EP 2574476 B1も関連しており、樹脂含浸基材紙及び1つ以上のトップ層を含む加飾フィルムの製造方法が開示されている。この方法は以下のステップを含む:樹脂含浸基材紙を準備すること;インクジェット技術を用いて基材紙をインク組成物で印刷すること;先の通り印刷した基材紙を乾燥及び/又は硬化処理に付すこと;前のステップで得られた紙に、1つ以上の透明トップ層を付与すること;前のステップからの紙を硬化すること。この方法の更なる特徴は、第1工程で使用される樹脂含浸基材紙の含浸の程度が、ベースとして使用される基材紙の乾燥重量を基準にして、30%~60%であることである。基材紙に存在する樹脂は反応性基を含み、樹脂は基材紙の全厚さに渡って存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記技術水準に開示されているプロセスは、一般的に言って、メラミン樹脂含浸パネルの特徴を改善するが、以下の点でまだいくつかの限界が観察される:層間の接着が不十分であること、紙の内部凝集力が不十分であること、加飾紙の不浸透性が不十分であること、平坦な製品の実現が困難であること、使用前であっても加飾ホイルの寿命が早すぎること、製品の安定した加工が困難であること、大気条件に対する耐性が不十分であること、浸透性の多孔性又は不飽和紙の領域のリスクが高いこと、紙の飽和を確実にするための外部接着層への依存、並びにホルムアルデヒドを含む樹脂に対する接着剤としての内容又は依存を低減若しくは除去できないこと、など。本発明の目的の一つは、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された製造方法及びその結果得られるパネルによりこれらの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<発明の説明>
本発明の目的の一つは、加飾ホイルの製造方法である。本発明に係る方法は、ホイルを無水樹脂で飽和させることができ、この樹脂は、非限定的な方法で、紫外線及び/又は電子ビームを通して硬化させることができ、内部結合強度又は「Z強度」としても知られている、紙の表面の平面に垂直な方向における紙の牽引力に関して優れた機械特性を示す一方で、高架橋密度を有することができるという事実にかかわらず、製品をカールさせてその用途を強く複雑にする高架橋レベル由来の縮みの問題を有しないものである。この目的は、請求項1の方法によって達成される。従属請求項には、本発明に係る特定の及び/又は好ましい実施形態の詳細が記載されている。
【0010】
より具体的には、本発明は、以下の実行を含む方法を開示する:
基材を準備する第1のステップ;
基材の一方の面を第1の樹脂で封止する第2のステップ;
第1の樹脂で封止された面を乾燥及び/又は硬化させる第3のステップ;
第1の樹脂で封止された面とは反対側の基材の面において、放射線硬化性官能基を含む無水樹脂で上記基材を含浸させる第4のステップ;
上述のステップで得られた副産物を硬化させる第5のステップ;
上述のステップで得られた副産物の2つの面のうちの一方に、1つ又は複数の樹脂の層を1層又は複数層付与する第6のステップであって、ここで、少なくとも1つの樹脂は放射線硬化性官能基を含む第6のステップ;及び
上記の全てのステップを経て得られたホイルを乾燥及び/又は硬化させる第7のステップ。
【0011】
本発明の一実施形態において、上記プロセスの実行は、規定された順序で、順次行われる。しかし、本発明の他の実用的な実施形態では、中間ステップの追加又はステップの重複を含む(がこれに限定されない)方法の実行順序があり得る。
【0012】
本発明では、樹脂での封止(第2のステップ)と樹脂での含浸(第4のステップ)との違いを強調する必要がある。この説明では、樹脂を含浸させるとは、基材が受けることが可能な限りの樹脂を、付与した樹脂で上記基材が飽和するまで(すなわち、この樹脂で「詰まる」まで)付与することを意味する。一方、樹脂で封止するとは、少なくとも一時的には、含浸樹脂が染み込まないように、基材を不浸透にする表層の樹脂膜又は層を生成することを意味する。
【0013】
また、本発明では、樹脂の乾燥と硬化とを区別しているが、これらは技術的に同等とはいえないからである。乾燥プロセスでは、溶媒を蒸発させることにより抽出する一方、硬化する際には重合反応を行う。したがって、本明細書によれば、放射線硬化プロセスは、非限定的な方法で、紫外線照射プロセス並びに媒体及び電子ビーム照射プロセス並びに媒体の両方を含んでいる。これは、両方の技術が当業者によく知られており、放射エネルギー源であるからである。
【0014】
以上のことから、本発明の文脈において、放射線硬化性樹脂とは、非限定的ではあるが紫外線放射源又は電子線などの、放射線源に曝されると重合する樹脂を意味する。
【0015】
本発明では、不活性化には2つの形態がある。一つは、不活性雰囲気を生じることを含み、最も一般的には、高純度窒素を用いて、樹脂と接触する空気中の酸素を減少させる方法である。もう一つは、物理的な不活性化であり、空気中に含まれる酸素と表面との間に物理的なバリアを作ることにより、表面から酸素の存在を排除することにより達成される。これは、樹脂をフィルムと、又は樹脂の表面を平面又は円筒形の表面と、(非限定的な方法で)直接接触させることで、酸素の存在を防ぐことが可能である。例えば、樹脂をBOPETフィルムと接触させ、未硬化の樹脂が酸素と接触しないようにすることが考えられる。
【0016】
本発明において、部分的に酸素富化した雰囲気とは、酸素の存在により表面硬化が著しく阻害される雰囲気のことをいう。放射線硬化性成分が不飽和アクリレート及びメタクリレート基から選択されている系では、酸素の値が200ppmを超えると表面硬化阻害現象が見られる。
【0017】
本明細書に記載されている方法及び製品のおかげで、加飾ホイルの異なる層の間で相互かつ耐久性のある良好なレベルの接着が得られると同時に、基材との接着も達成されるため、架橋及び永久共有化学結合が確保され、それらの全てにおいて1又は複数の化学反応メカニズムを使用することができる。基材の含浸は、無色又は顔料であり得、異なる悪天候に対する一定の耐性を達成するために配合可能であるという特殊性を有する。特に、基材の含浸は、紫外線にさらされるにもかかわらず、高い色安定性を示すように配合することが可能である。その結果、既に印刷された基材にも含浸させることが可能であり、太陽光線による劣化の影響を最小限に抑えることが可能である。
【0018】
この耐紫外線性は、屋外用途だけでなく、紫外線による消毒がより頻繁である医療及び病院用に使用される表面でも重要な意味を持つようになっている。
【0019】
さらに、本発明では、パネルを一体化する加飾ホイルを非吸湿性樹脂で完全に飽和させ、外的要因に関係なく、基材に接着する前に不透過性にすることが可能である。HPL又はCPLパネルの場合、プレスする基材の樹脂、又は圧力及び温度プロセスなどに依存することがない。さらに、外部接着剤によって接着される場合、加飾ホイルの不浸透性は使用される接着剤に依存することはない。
【0020】
上述の特性は特に重要である。樹脂又は外添剤の転写に依存する場合、外添剤は流動可能であることと同時に、基材中に滞留する空気を吸引する必要があるため、制御が非常に難しいプロセスであることが観察されている。また、屋外での使用では湿気が染み込んでホイルが劣化することもあり得るので、不飽和な部分が残らないことを確実にするが難しいことが観察されている。任意の部分が不飽和なまま残っていないかどうか確認することが煩雑なため、付与前にその効果を発見することは極めて困難であり、手遅れになる可能性がある。また、樹脂又は接着剤が基材を流れるような用途では、共有結合の化学的接着を得ることが難しく、基材と樹脂の剥離が発生する可能性があることも留意しなければならない。
【0021】
また、本発明における加飾ホイルは、輸送及び保管に伴うような悪条件においても、その接着能力を保持する。そのため、通常、現状で適用されているメラミン-ホルムアルデヒド及びフェノール-ホルムアルデヒドなどの樹脂は、化学反応が鈍化しているものの阻害されていない樹脂であるため、安定性に限界があることがわかる。これらとは異なり、本発明では、接着性を確保するために使用される樹脂は、ゆっくりとした化学反応を行わないため、その安定性及び完全な接着性がはるかに長い期間保証され、加飾ホイルの経年劣化による接着性の漸減がなく、使用前の製品の寿命を延ばすことが可能である。
【0022】
最後に、本発明における加飾ホイルは、HPL若しくはCPLパネル、又は仕上げホイル(Finish-Foil)で被覆された2次元平面若しくは曲線要素に使用することが可能であり、記載された本発明の方法の下、樹脂を含浸させた後、伝統的な技術又は他のデジタル印刷を用いて印刷可能であるという特殊性を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<本発明の好ましい実施形態及び実施例>
上述の通り、本発明は、加飾ホイルの製造方法、並びにその結果物及び異なる種類のパネルにおいてその用途を開示しており、上記製造方法は以下の実行を含む:
基材を準備する第1のステップ;
基材の一方の面を第1の樹脂で封止する第2のステップ;
第1の樹脂で封止された面を乾燥及び/又は硬化させる第3のステップ;
第1の樹脂で封止された面とは反対側の基材の面において、放射線硬化性官能基を含む無水樹脂で前記基材を含浸させる第4のステップ;
上述のステップで得られた副産物を硬化させる第5のステップ;
上記のステップで得られた副産物の2つの面のうちの一方に、1つ又は複数の樹脂の層を1層又は複数層付与する第6のステップであって、ここで、少なくとも1つの樹脂は放射線硬化性官能基を含む第6のステップ;及び
上記のステップの全てを経て得られたホイルを乾燥及び/又は硬化させる第7のステップ。
【0024】
次に、本発明について異なる実用的な実施形態、並びに、本明細書に含まれる請求項の方法を非限定的な方法で説明する実用的な実施例について分析する。本明細書全体を通して、「実施形態」という表現は、実施形態に関して説明される特徴、構造、又は特定の特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して複数の箇所で「一実施形態」という表現が出現するのは、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではなく、単なる説明的な非限定的な言及に過ぎない。さらに、本発明のいくつかの実施形態及び実施例は、その異なる構成要素の代替案とともに、本明細書において参照することができる。このような実施形態、実施例、及び代替案は、それらの間の事実上の等価物として解釈されるべきではなく、本発明の独立した実施形態として解釈されるべきである。さらに、本明細書に記載された特徴、構造又は特性は、1又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。本説明では、本発明の実施形態の包括的な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が供給される。しかし、当業者であれば、本発明は、これらの具体的な詳細の1つ以上がなくても、あるいは他の方法、構成要素、材料、又はプロセスにおける追加のステップを使用して実施できることを認識可能であろう。
【0025】
本発明の方法の異なるステップを実際にどのように実施できるかについて、いくつかの実用的な非限定的な実施形態を以下に説明する。上述したように、これらの実施形態は単に実用的な実施例であり、一つに組み合わせることはできない。同時に、特に指示しない限り、以下の例で与えられる樹脂の全てのパーセンテージ及び重量は、それらの乾燥量に基づくものである。
【0026】
第1のステップ:基材の提供
第1のステップの実用的な非限定的な実施形態において、25g/m2~200g/m2、好ましくは50g/m2~140g/m2、より好ましくは60g/m2~120g/m2、の重量を有するセルロースベースの紙(ホイル)が提供される。さらに、この紙ホイルは、その質量中に顔料及び/又はミネラルフィラーを含み得るか、及び/又は、当該技術分野において知られている伝統的及び/又はデジタル印刷によって得られる加飾効果を有し得る。このように、この紙は、本発明の方法の下で連続して付与される他の全ての樹脂層のための基材として構成される。実用的な実施形態では、セルロースベースの紙が使用されるが、例えば不織布のような他のタイプの材料も使用することができ、この場合、その重量は、5g/m2~100g/m2、好ましくは10g/m2~と60g/m2、より好ましくは15g/m2~50g/m2となるであろう。
【0027】
第2のステップ:基材の一方の面を第1の樹脂で封止すること
次に、基材の一方の面を第1の樹脂で封止する。樹脂の量は、基材の一方の面を不浸透化するのに十分であるべきであり、その結果、本発明の方法の次のステップにおいて反対側の面に付与される液体樹脂を押さえられるであろう。特定の実施形態では、封止材として使用されるこのような第1の樹脂の層は、オリゴマー、モノマー、接着促進添加剤、レオロジー調整剤、隣接する面との固定を確実にするための化学架橋剤として作用可能な架橋試薬、又はこれらの任意の組合せを含む。先に述べたように、この第2のステップでは含浸がないことを強調することが重要であり、すなわち、第1の樹脂が基材の内部を完全に満たすことはないが、その後のステップで付与される他の全ての液体樹脂が基材に染み込まないように不浸透性層が生成される。
【0028】
HPLパネルを製造するための特定の実施形態において、物理的に乾燥可能及び/又は放射線硬化可能な第1の水系樹脂を使用するが、その粘度、及び紙内への浸透性を調整するために適宜希釈する。その粘度及びチキソトロピーを調整するために、増粘剤として非晶質シリカを使用することができる。この実施形態例で使用されるこの第1の樹脂は、良好な封止を可能にし、この実用的な実施例では加飾ホイルである基材の一方の面上に得られる表面膜のおかげで不浸透化を可能にする。上記不浸透層は、基材又は紙の反対側の面上に順次付与される液状樹脂の浸入を防止するように構成される。この第1の封止樹脂の配合量は、1~30g/m2、好ましくは2~25g/m2、より好ましくは5~20g/m2である。さらに、第1の樹脂の乾燥重量の最大20%まで(好ましくは15%以下、より好ましくは乾燥重量の5~10%)のブロック化イソシアネートが望ましい。また、110℃を超える定格アンブロッキング温度、特に130℃以上の定格アンブロッキング温度を有するブロック化イソシアネートの分散液を含むことも望ましい。
【0029】
このHPLパネルの実施例について説明した第1の封止樹脂は、たとえ同じ架橋化学的性質を共有していなくても、最終産物における隣接した層の両方(すなわち、本発明の方法で完成した加飾ホイルに隣接する層)と共有結合を拡張して、適切に架橋するように構成した化学機能性を示し、したがって、それ自身の間で自然には反応しない化学基間のつながりを確立する。
【0030】
さらに、この実施例におけるホイルが適用される下地基材がフェノール-ホルムアルデヒド樹脂を含浸させたクラフト紙であることを考慮すると、このような樹脂は、高温高圧プレスステップ中に、封止層において利用可能なブロック化イソシアネートと架橋反応し、本発明の方法から得られる紙が適用される加飾板又は最終産物が得られる。
【0031】
仕上げホイルを製造するための別の特定の実施形態では、接着剤でもある封止層が付与され、その目的のために、封止層は、ブロック化イソシアネートなどの、物理乾燥性のビニル樹脂又はビニル-アクリル樹脂を含む。このようにして、本発明の方法から得られるホイルは、圧力及び温度を介して接着することができ、他の外部接着剤を加える必要はない。この用途では、付与される封止層の重量は、主に封止層が接着される基材に応じて、1~80g/m2、好ましくは20~60g/m2、より好ましくは25~55g/m2であるが、基材に浸透する量は、依然として1~30g/m2、好ましくは1~25g/m2、より好ましくは1~15g/m2であろう。
【0032】
第3のステップ:第1の樹脂で封止した面を乾燥及び/又は硬化すること
第1の樹脂による封止層を含む基材は、その直後に、第3のステップにおいて乾燥及び/又は硬化させられる。この乾燥及び/又は硬化プロセスは、非限定的に、紫外線による硬化、電子線による硬化、重合熱開始剤による硬化、水分への暴露による硬化、酸化による硬化、熱硬化、水の物理乾燥、溶剤除去による乾燥、又はこれらの組み合わせから選択される。また、隣接する層と共有結合で化学反応させるために、ブロック化イソシアネートなどの熱分解性の成分を添加する場合には、早期の反応が起こらないように、適用する乾燥及び/又は硬化技術が調整され得る。
【0033】
第4のステップ:第1の樹脂で封止された面とは反対側の基材の面において、放射線硬化性官能基を含む無水樹脂を基材に含浸させること
基材の一方の面を封止する第1の樹脂を乾燥及び/又は硬化させた後、第1の樹脂で封止された面とは反対側の紙の面において、含浸により基材を飽和させる程度の量で無水樹脂を含浸させる。本発明のプロセスでは、この含浸樹脂はホルムアルデヒドを含まない樹脂であり得る。第1の樹脂がその片面に形成している膜は、上述のように、基材のその面を不浸透化するので、第2の樹脂が滲出せずに、製品製造ラインの支持面及び搬送面と接触するため、製品の汚染及び接触部分の汚れが防止される。この無水樹脂は、異なる実施形態では、透明樹脂又は顔料樹脂であり得る。
【0034】
第1の樹脂で形成された封止膜は、無水樹脂、溶剤、又はホルムアルデヒドである可能性があるにもかかわらず、官能基の密度が高く、粘度が非常に低い低分子量の樹脂であり得る含浸樹脂を基材の反対側に付与することを可能にする。そのため、たとえ片面だけ含浸させたとしても、その中の空気を全て抜き取ることで、基材を素早く飽和させることが可能である。このような含浸が反対側の面に染み込むことで生じる問題もなく、化学反応性及び含浸とは異なる特性を有し得る封止層を有する基材を得ることが可能である。
【0035】
この方法の第4のステップ中、基材に組み込まれたこの無水樹脂は、完成した最終産物の隣接層との共有結合による架橋を確実にし、基材を完全に飽和させ、その後の水分の浸入を防ぐ(悪天候にさらされる屋外用途では特に重要である)。この第4のステップにおいて付与される無水樹脂は、非限定的に、異なる実用的な実施形態において、オリゴマー、モノマー、隣接層との共有結合タイプの界面架橋を得るのに適した特性を有する添加剤、並びに顔料、フィラーナノ粒子、レオロジー調整剤、保湿剤、相溶化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、重合熱開始剤及び/又は上記の任意の組み合わせの混合物を含み得る。
【0036】
基材本体に架橋ポリマーの強固なネットワークを得るために、第4のステップにおいて付与される無水樹脂は、非限定的に、グローバル官能性が好ましくは2以上のメタクリル及びアクリルモノマー及び/又はオリゴマーを含み得る。ネットワークを生成可能な異なる単官能及び多官能モノマーが組み合わされことにより、産物の可撓性を改変可能な多官能の柔軟化オリゴマー及び/又は鎖延長剤が、任意に含まれることになる。
【0037】
任意選択的に、オリゴマー又はオリゴマー混合物を使用することができ、これは、オリゴマー前駆体として、エポキシアクリレート、好ましくはポリエステルアクリレート、より好ましくはウレタンアクリレート及び/又はそれらの対応メタクリレートの組み合わせを、アクリレートモノマー及びそれらの対応モノメタクリレート及び多官能メタクリレートと共に含むことができる。これらはいずれも、ヒドロキシル化された官能基(-OH)及び/又は遊離もしくはブロック化イソシアネート官能基(-N=C=O)を取り込むこともできる。アクリレートオリゴマーも使用でき、また、その鎖中に官能基及び/又はエトキシル化メラミン基を含む対応するメタクリレートも使用できる。
【0038】
特定の実施形態では、非限定的に、ヒドロキシル化された末端基(-OH)を有するアクリレート単官能モノマー、例えば、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4-HBA)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、カルボキシエチルアクリレート(CEA)、及びそれらの対応メタクリル化物が混合物に添加される。
【0039】
別の特定の実施形態では、HDDAモノマー(ヘキサンジオールジアクリレートモノマー)二官能性だけを使用すると、紙の構造に浸透する非常に高い能力を示し、これによりセルロース繊維間に閉じ込められた空気を容易に引き出すことができ、化合物に高い飽和度を与えることが可能である。別の実施形態では、透明仕上げの紙のために、紫外線吸収添加剤、並びに光安定剤及び/又は金属顔料及び/又は虹色顔料(合成マイカ)が使用され得る。最後に、別の実施形態では、第2の樹脂は、粘度を調整し、混合物にチキソトロピックな挙動を与えるように構成された、増粘剤としての非晶質シリカを含むことができる。
【0040】
第5のステップ:上記のステップで得られた副産物を硬化させること
次に、本発明の方法では、第1~第4のステップの実行によって得られた副産物を少なくとも部分的に硬化させ、必要であれば、紙を巻くことさえ可能にする硬化を得ると同時に、コーティング内の隣接する層を接続する化学アンカーポイント及び反応性を確保することを支持する。
【0041】
硬化方法は、電子線による硬化、紫外線による硬化、重合熱開始剤による硬化、湿気による硬化、酸化による硬化、熱硬化、又はこれらの組み合わせから、非限定的に、選択される。
【0042】
好ましくは、前のステップから得られたホイルは、電子ビーム及び/又は紫外線によって硬化され、より好ましくは、電子ビーム(E.B)によって硬化される。いずれの場合も、非限定的に、湿気、酸化、熱機構、2成分樹脂重合、遊離及び/又はブロック化イソシアネート重合への暴露によって、硬化させることも可能であり、全ての層を架橋することによって相互接続を得、したがって界面接着を確実にし、以前に適用したすべての層の硬化を達成する。
【0043】
反りの問題は、この種の製品の主な問題の1つであり、ホイルの或る層が別の層と異なる方法で収縮し、ホイルのバランスを崩す原因となる張力が発生したときに生じる。この反りは、乾燥時及び/又は硬化時に発生し、主に使用する樹脂に応じて大なり小なり発生する。
【0044】
一実施形態では、硬化は電子ビームによって行われる。この実施形態では、含浸に高架橋密度の樹脂が使用され、強い反りにつながるという問題があるにもかかわらず、これは本発明の方法のおかげで最小限に抑えられ、その後の層をまだ付与していない状態で基材のこの部分硬化を行うことによって、基材をより自由に収縮させ得る。したがって、未硬化の官能基を制御することで、残りの収縮量を制御することが可能であり、所望の収縮を次の硬化ステップに委ねるように調整することが可能である。
【0045】
この実施形態では、上記プロセスは、平坦な完成ホイルを得るために硬化を調整することが可能であるため、重要なポイントの1つを大きく制御することを可能とする。本実施形態において、隣接する層(単数又は複数)との接着性を損なうことなく、反りを調整するためには、線量及び電圧の両方を調整し、さらに表面の酸素量を調整できることが判明している。したがって、電子ビーム硬化を用いた例では、以下のようになる。
線量によって、装置から放出される電子の数を調整し得るので、電子が透過する表面の架橋量を制御することができる。1~90kGyの線量で使用することが望ましい。
電圧は、電子の透過曲線を調整し得る。電圧が低い範囲にある場合、透過曲線は非常に急峻に見え、電子が材料に入るにつれて線量は急速に減少していく。80~300kVの電圧を使用することが望ましい。
化学的に活性な表面を得るためには、部分的に酸素が濃縮された不活性雰囲気を使用し得る。また、不活性雰囲気でなくても、酸素がホイルの両面のうちの少なくとも片方の表面硬化を部分的又は全面的に阻害することで、表面硬化を行うことも可能である。
【0046】
これらのパラメータを調整することで、残存収縮を量及び分布の両方の観点で調整し得る。電圧及び/又は表面の酸素レベルを調整することで、重合表面を少なくしたり、非対称な分布にしたりすることも可能である。
【0047】
驚くべきことに、本発明のプロセスのおかげで、不飽和基の密度が高いアクリル樹脂を、有害な反り効果無しに使用でき、強架橋系の固有の脆弱性を最小限に抑えることが可能であることが判明した。さらに驚くべきことに、この電子線硬化の後、高密度の反応性基が表面で活性を維持する結果、隣接する層の反応性基に関して化学量論的に過剰になることさえある。
【0048】
これら全てにより、半透明樹脂を高濃度で飽和させた(任意選択的に顔料を含む)基材は、紫外線に曝されても高い色安定性を示すようになる。また、架橋性及び内部凝集性が高く、硬化プロセスに続くステップにおいて収縮度合いを適度に調整し得る。また、粘度も調整可能であり、巻き取りや印刷が容易で、隣接する層との接触面に反応性基が多く存在し、共有結合を確保し得る。
【0049】
先の特定の実施形態の変形例では、放射線硬化樹脂にヒドロキシル化された官能基(-OH)及び遊離イソシアネート官能基を付加する。この用途では、先の実施形態と同様に電子ビームによる硬化を行うが、放射線による硬化を行う前又は後に熱硬化工程を組み合わせることで、特に表面における遊離イソシアネートの反応を促進し、不粘着性表面に寄与することができ、放射線硬化樹脂のわずかな表面硬化工程でそのような特性を達成できる。この系は、酸素濃度の高い不活性雰囲気下での硬化、又は不活性雰囲気下での硬化が可能である。
【0050】
別の特定の実施形態では、熱硬化は、熱開始剤と一緒になる放射線硬化性官能基、ヒドロキシル化された基、遊離及び/又はブロック化イソシアネートからなる樹脂をあらかじめ含浸させた基材で行われる。まず、遊離イソシアネート及び/又はブロック化イソシアネートの熱硬化工程を行い、放射線硬化性基と所望によりブロック化イソシアネート基が反応するのを保留しておく。そのため、隣接する層と共有結合を形成が可能となる。
【0051】
任意選択的な(optional)第1のステップ:装飾デザインの印刷
任意選択的に、本方法は、第1~第5のステップの実行によって得られた副産物の面の一方上に装飾デザイン印刷ステップを実施する。特別な実施形態では、デジタルプリンターが使用され、印刷された画像は、紫外線及び/又は電子ビームによって部分的に硬化される。部分硬化の際、画像は加飾ホイル上に定着されるが、同時に、表面の反応性基の一部を活性化しておき、その後の層、すなわち第6のステップの放射線照射により放射線硬化性樹脂によって形成される層との共有結合を確立できるようにしておく。
【0052】
第6のステップ:上記のステップで得られた副産物の2つの面のうちの一方に、1つ又は複数の樹脂の層を1層又は複数層付与すること(ここで、少なくとも1つの樹脂は放射線硬化性官能基を含む)
この第6のステップでは、1つ又は数種の樹脂を付与する(すなわち、1種類の樹脂でも数種類の層状樹脂でもよい)が、そのうちの少なくとも1つは放射線硬化性官能基を含む。また、第1のステップから第5のステップ、及び任意選択的な装飾デザイン印刷ステップを経て得られた副産物の表面の両面のいずれかに、非限定的に、水分、酸化、熱機構、2成分樹脂重合、ブロック化イソシアネート重合又は紫外線若しくは電子線以外の他の種類の放射線に曝露することによって、10~300μmの間の厚さで硬化できる。
【0053】
この第6のステップにおいて使用される樹脂は、非限定的に、オリゴマー、モノマー、隣接層との界面架橋を得るのに適した官能性を有する添加剤、並びに機械的引っ掻き硬度及び耐摩耗性を改善する充填剤、ナノ粒子、短繊維、顔料、レオロジー改質剤、保湿剤、表面張力調整剤、太陽光線保護添加剤、酸化防止剤、破壊防止剤(例えば、アンチグラフィティ)、防汚添加剤、抗菌剤、難燃剤、赤外線反射添加剤、帯電防止剤、指紋防止剤、又は上記の任意の組み合わせを含み得る。
【0054】
特定の実施形態では、放射線硬化性成分は、不飽和アクリレート及びメタクリレート基から選択されている。別の特定の実施形態において、そのような放射線硬化性成分は、エポキシアクリレートオリゴマー、好ましくはアクリレートポリエステルオリゴマー、特にウレタンアクリレートオリゴマー又はその対応するメタクリレートオリゴマー、例えば放射線重合可能なポリマーによって形成され、適切であれば、単官能及び/又は多官能アクリレートモノマー及び/又はそれらの対応メタクリレートで希釈されている。紫外線にさらされた際の色安定性を高めるための別の特定の実施形態では、プレポリマーは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートモノマー(HDDA)で適宜希釈された脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーである。
【0055】
このステップの特定の実施形態では、第2の紙又はホイル(任意選択的に、離型効果樹脂による表面処理が施されている)上に、前述の樹脂の層を付与しないか、又は、1層若しくは複数層付与することが望ましい。ホイルは、非限定的に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)又は二軸延伸パラフィン熱可塑性樹脂、特にBOPPからなり得、19~90μm、より好ましくは20~50μmの厚さを有し得る。カレンダーによる機械的結合によって、2つのホイルの面は、一方ではこの第2のホイルに、他方では前述のように1層又は複数層の樹脂が付与されたホイルの面に接触するように配置される。
【0056】
任意選択的な第2のステップ:1層又は複数層の接着促進及び/又は接着性樹脂の層の付与
任意選択的に、本発明の方法は、第6のステップにおける層(単数又は複数)が付与された、又は付与される予定とは反対側の面に、接着を促進する及び/又は接着剤として機能する樹脂(単数又は複数)の層を1層又は複数層付与することを含む。その後、必要であれば、非限定的に、紫外線硬化、電子ビーム照射による硬化、重合熱開始剤による硬化、湿気への暴露による硬化、酸化による硬化、水の物理乾燥、溶剤除去による乾燥、又は上記のプロセスのいずれかの組み合わせから選択される乾燥及び/又は硬化ステップを適用することができる。
【0057】
HPLを製造するための実施形態において、水系物理乾燥性及び/又は放射線硬化性樹脂が使用される。この第1の封止樹脂の量は、1~30g/m2、好ましくは2g/m2~25g/m2、より好ましくは2g/m2~10g/m2である。さらに、ブロック化イソシアネートを第1の樹脂の乾燥重量に対して最大10%まで含有させることが望ましいとされてきた。この実施形態では、ブロック化イソシアネートは、110℃を超える定格アンブロッキング温度、特に130℃以上の定格アンブロッキング温度を有することが好ましい。
【0058】
仕上げホイルを製造するための別の特定の実施形態では、物理乾燥性のビニル樹脂又はビニル-アクリル樹脂を含む接着剤層(ブロック化イソシアネートを含む)が付与される。このようにして、本発明の方法から得られるホイルは、圧力及び温度によって接着可能であり、他の接着剤を添加する必要はない。この用途では、樹脂の層の重量としては1~80g/m2が適用され、好ましくは20~60g/m2、より好ましくは25~55g/m2である。
【0059】
第7のステップ:上述のステップの全てを経て得られた産物の乾燥及び/又は硬化
この乾燥及び/又は硬化方法は、電子線による硬化、紫外線による硬化、重合熱開始剤による硬化、水分による硬化、酸化による硬化、熱硬化、溶剤除去による乾燥、又はこれらの組み合わせの中から非限定的に選択される。
【0060】
好ましくは、前のステップ(場合によっては任意選択的なステップを含む)から得られたホイルは、電子ビーム及び/又は紫外線によって硬化され、より好ましくは、電子ビーム(E.B)によって硬化される。いずれの場合も、全ての層の架橋による相互接続を得るために、非限定的に、湿気、酸化、熱機構、二成分樹脂重合、ブロック化イソシアネート重合への暴露によって硬化させることもでき、これにより界面接着を確保し、先に塗布したすべての層の硬化を達成することができる。
【0061】
特定の実施形態では、硬化は、1~90kGy、好ましくは10kGy~80kGy、より好ましくは20~60kGyの線量を、80~300kV、好ましくは100~300kV、より好ましくは150~300kVの電圧で付与することにより、電子ビームによって行われる。これは、物理的不活性化条件下、又は、酸素含量が1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、より好ましくは200ppm未満の不活性雰囲気の条件下で行われる。
【0062】
本発明の方法の詳細な説明を行ったが、本発明の複数の実用的な用途の一連の非限定的な実施例を説明する。
【0063】
<実施例1>
表面に装飾印刷が施された70g/m2の加飾紙(当該技術分野で知られている、顔料質量が多いもの)を準備する。
【0064】
次に、本発明の方法の第2のステップの実用的な実施形態において、ブロック化イソシアネート水系分散体を添加した放射線硬化性基含有水系物理乾燥性ウレタンアクリレート樹脂を乾燥量で7g/m2、ローラーコーターで塗布することにより、装飾印刷の反対側を封止する。
【0065】
非限定的な実用的な実施形態では、この第1の樹脂は、34%~36%の固形分含量を有するLamberti ESACOTE(登録商標)LX 101分散液からなり、Covestro Bayhydur BL2867は、38%の試薬含量を有するブロック化イソシアネートの水系分散液を組み込んでおり、第2の産物の乾燥割合は、樹脂の固形分に関して5%となるようにする。二官能性モノマーであるヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)は、樹脂の乾燥分に基づいて、10%の割合で混合物に組み込まれている。
【0066】
得られた副産物は、ブロック化イソシアネートの反応を誘発しないように、100℃の温度で熱風を噴射する乾燥トンネル内で物理的な乾燥(本発明の第3のステップ)を行い、これは、本発明の方法の第3のステップの非限定的な実用的な実施例に相当する。
【0067】
次に、第4のステップとして、基材又は紙の反対側の面を含浸させる。この含浸は、非限定的に、ローラーコーターで行われ、余分な部分はブレードで取り除かれる。このためには、放射線硬化性HDDAモノマーのみからなる樹脂を35g/m2使用し、これに紫外線吸収剤TINUVIN 400を1%、光安定剤HALS TINUVIN 292を1%添加する。この樹脂は非常に低い粘度を示し、非常に容易に浸透し、第1の樹脂から得られる表面と封止膜との間に構成される基材の部分を完全に飽和させる。
【0068】
その後、前のステップにおいて第1の樹脂及び第2の樹脂を飽和させた紙に、電子ビーフ照射を行い、含浸面には20kGy、200kVの線量を付与し、当該面に500ppmの酸素含量を付与し、封止面には物理的不活性化を行う。
【0069】
この非限定的な実施例において、及び説明したステップの後、半加工品は、その後のステップでさらに加工するために巻き取られる。
【0070】
先に調製した材料上で、第1の樹脂を含む側とは反対側に、80g/m2のウレタンアクリレート樹脂EBECRYL 284を、TINUVIN400 1%+光安定剤HALS TINUVIN 292 1%を加え、HDDAモノマーで希釈して、せん断速度1000s-1で測定して25℃の付与粘度が2000mPa・sである第3の層を付与する。これは、本発明の方法の第6のステップに相当する。
【0071】
最後に、第6のステップの面に電子ビームを照射し、60kGyの線量と200kVの電圧で硬化させる。この工程は、第6のステップの面では酸素含量が200ppm未満の不活性雰囲気下で行われ、反対側では物理的不活性化が行われ、全ての層で放射線による完全な深部硬化が達成される。これにより、封止層のブロック化イソシアネート官能性が保持される。
【0072】
このようにして完成した産物は、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を含浸させたクラフト紙シートのパイル上に、加飾面を外側にして順次配置され、温度160℃、圧力80kg/cm2、20分間のプレス加工を行う。このプレスプロセス中、フェノール樹脂が界面に存在するブロック化イソシアネートと架橋して共有化学結合が得られ、水及び大気中の薬剤の浸入が防止されるため、本特許のホイル状物と下地シートとの化学接着が確実になり、3N/mm2以上の表面引っ張り強度値(DIN 52366のZ強度)が達成される。
【0073】
<実施例2>
表面に装飾印刷が施された70g/m2の加飾紙(当技術分野で知られている、顔料質量が多いもの)を準備する。その後、ローラーコーターで、ウレタンアクリレート系の物理乾燥性樹脂(すなわち、放射線硬化性基を含む第1の水系樹脂)を乾燥量で7g/m2塗布することによって印刷面を封止するが、これは本方法の最初の2つのステップの非限定な実施形態に相当する。
【0074】
封止混合樹脂は、固形分43%のMIWON MIRAMER W8365NTの水系分散液からなり、これに二官能性モノマーのヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を樹脂乾燥量に基づいて8%の割合で添加する。得られた紙ホイルは、熱風を噴射する乾燥トンネル内で物理的な乾燥、すなわち最初の硬化及び/又は乾燥に供される。
【0075】
基材又は紙を、ローラーコーターで反対側に含浸させ、ブレードで余分な部分を取り除く(第4のステップ)。この目的のために、放射線硬化性HDDAモノマーからなる樹脂が35g/m2必要である。この樹脂、すなわち本発明の方法の第4のステップにおいて適用される樹脂は、非常に低い粘度を示し、非常に容易に浸透し、表面と第1の樹脂からなる封止膜との間に構成される基材の部分を完全に飽和させる。
【0076】
その後、前のステップで第1及び第2の樹脂で飽和された紙に、電子ビーム照射を行い、含浸面には20kGy、135kVの線量を付与し、当該側に500ppmの酸素含量を付与し、封止側には物理的不活性化を行う。この実施例では、これらのステップの後、半加工品は、その後のステップでさらに処理するために巻き取られる。
【0077】
その後、実施例1の第6のステップで説明したものと同じ種類の樹脂を塗布するが、今度は第1の樹脂を塗布した側に塗布する。第2の樹脂を含浸させた側に、封止混合物(すなわち、実施例1における第1の樹脂と同じ第3の樹脂)を5g/m2塗布し、実施例1からの乾燥及び/又は硬化ステップと同じ乾燥工程を行う。
【0078】
最後に、60kGyの線量及び225kVの電圧で、第6のステップの面に電子ビームを付与することにより、産物に対して最後の硬化ステップを行う。これは、第6のステップの面上で、酸素含有が200ppm未満の不活性雰囲気下で、反対側では、物理的不活性化で行われ、全ての層で放射線による完全な深部硬化が達成される。これにより、封止層上のブロック化イソシアネート官能性は保持される。
【0079】
このようにして完成した産物を、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を含浸させたクラフト紙シートのパイル上に、加飾面を外側にして順次配置され、温度160℃、圧力80kg/cm2、20分間のプレス加工を行う。このプレスプロセス中、フェノール樹脂が界面に存在するブロック化イソシアネートと架橋して共有化学結合が得られ、水及び大気中の薬剤の浸入が防止されるため、本特許のホイル状物と下地シートとの化学接着が確実になり、3N/mm2以上の表面引っ張り強度値(DIN 52366のZ強度)が達成される。
【0080】
<実施例3>
80g/m2の白色原紙に、放射線硬化性基を含む物理乾燥性ウレタンアクリレート系樹脂にブロック化イソシアネート水系分散体を加えたものを、ローラーコーターで乾燥量7g/m2で塗布し、白色原紙の2つの面のうちの一方を封止する。
【0081】
非限定的な実用的な実施形態では、この第1の樹脂は、34%~36%の固形分を有するLamberti ESACOTE(登録商標)LX 101分散液からなり、Covestro Bayhydur BL2867は、38%の試薬含有量を有するブロック化イソシアネート水系分散液が組み込まれ、第2の製品の割合は樹脂の固形分に関して5%となるようにする。二官能性モノマーであるヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)は、樹脂の乾燥分を基準として10%の割合で混合物に配合されている。
【0082】
得られた副産物は、ブロック化イソシアネートからの反応を誘発しないように、100℃の温度で熱風を噴射する乾燥トンネルで物理的に乾燥させる(本発明の第3のステップ)が、これは本発明の方法の第3のステップの非限定的な実用的な実施形態に相当する。
【0083】
続いて、紙にローラーコーターを用いて無水樹脂を含浸させ、ブレードで余剰分を除去する。この目的のために、HDDAモノマーからなる樹脂40g/m2と白色顔料KRONOS 2220 20%、さらに紫外線吸収剤TINUVIN 400 1%、光安定剤HALS TINUVIN 292 1%を添加する必要がある。この樹脂は低粘度であり、非常に浸透しやすく、紙を完全に飽和させる。
【0084】
続いて、前のステップにおいて第1及び第2の樹脂を飽和させた紙に、電子ビーム照射を行い、含浸面には20kGy、200kVの線量を付与し、当該面に500ppmの酸素含量を付与し、封止面には物理的不活性化を行う。
【0085】
次に、第2の樹脂を含浸させた面に、無機顔料を含む光反応性インクを用いてデジタルプリンターで印刷を行い、紫外線露光により印刷画像を部分硬化させ、硬化する際に画像を紙上に定着させる。しかし、同時に反応性基が活性化したまま残っているため、次の層との共有結合を作ることが可能である。
【0086】
先に準備した材料の印刷された面に、別の層を塗布する:すなわち、第3の樹脂を塗布する。この層は、80g/m2のウレタンアクリレート樹脂Ebecryl 4680にTinuvin 400 1%+光安定剤HALS Tinuvin 292 1%加え、HDDAモノマーで希釈し、せん断速度1000s-1で測定した25℃での塗布粘度が2000mPa・sとなるようにする。
【0087】
最後に、60kGyの線量及び200kVの電圧で、第6のステップの面上に電子ビームを付与することにより、産物に対して最後の硬化ステップを行う。これは、第6のステップの面上で、酸素含量が200ppm未満の不活性雰囲気下で、反対側では、物理的不活性化で行われ、全ての層で放射線による完全な深部硬化が達成される。これにより、封止層上のブロック化イソシアネート官能性は保持される。
【0088】
このようにして完成した産物は、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を含浸させたクラフト紙シートのパイル上に、加飾面を外側にして順次配置され、温度160℃、圧力80kg/cm2、20分間のプレス加工を行う。このプレスプロセス中、フェノール樹脂が界面で存在するブロック化イソシアネートと架橋して共有化学結合が得られ、水及び大気中の薬剤の浸入が防止されるため、本特許のホイル状物と下地シートとの化学接着が確実になり、3N/mm2以上の表面引っ張り強度値(DIN 52366におけるZ強度)が達成される。
【0089】
<実施例4>
80g/m2の白色原紙(当該技術分野で知られている、顔料質量が多いもの)に、放射線硬化性基を含む物理乾燥性ウレタンアクリレート系樹脂(すなわち、第1の水系樹脂)を乾燥量で7g/m2、ローラーコーターで塗布することにより、白色原紙の一面を封止するが、これは本方法における最初の2つの捨てプの非限定的な実施形態に相当する。
【0090】
封止混合樹脂は、固形分43%のMIWON MIRAMER W8365NTの水系分散液に、二官能性モノマーのヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を樹脂乾燥量基準で8%の割合で添加したものである。この樹脂層は、含浸液が染み込まないように膜を作る役割と、その後の印刷ステップで外面を整える役割の2つの役割を担っている。この薄い膜は、その化学組成上、インクが表面にわずかに浸透するため、定着が向上する。完成した紙ホイルは、熱風を噴射する乾燥トンネルで物理的に乾燥される。
【0091】
続いて、紙にローラーコーターを用いて無水樹脂を含浸させ、ブレードで余分な部分を除去する。この目的のために、HDDAモノマーからなる樹脂40g/m2と白色顔料KRONOS 2220 20%、さらに紫外線吸収剤TINUVIN 400 1%、光安定剤HALS TINUVIN 292 1%を添加する必要がある。この樹脂は低粘度であり、非常に浸透しやすく、紙を完全に飽和させる。
【0092】
続いて、前のステップにおいて第1及び第2の樹脂で飽和された紙に、電子ビーム照射を行い、含浸面には20kGy、135kVの線量を付与し、当該側に500ppmの酸素含量を付与し、封止面には物理的不活性化を行う。これらのステップの後、半加工品は、その後のステップでさらに加工するために巻き取られる。
【0093】
次に、第1の樹脂を含浸させた面に、無機顔料を含む光反応性インクを用いてデジタルプリンターで印刷を行い、紫外線露光により印刷画像を部分硬化させ、硬化する際に画像を紙上に定着させる。しかし、同時に反応性基が活性化したまま残っているため、次の層と共有結合を作ることが可能である。
【0094】
先に準備した材料の印刷された面に、別の層を塗布する:すなわち、第3の樹脂を塗布する。この層は、80g/m2のウレタンアクリレート樹脂Ebecryl 4680に、Tinuvin 400 1%+光安定剤HALS Tinuvin 292 1%を加え、HDDAモノマーで希釈し、25℃での塗布粘度が2000mPa・sとなるようにする(せん断速度1000s-1で測定)。第2の樹脂が塗布された面に、封止混合物(すなわち、実施例1における第1の樹脂と同じ第3の樹脂)を5g/m2塗布し、実施例1からの乾燥及び/又は硬化ステップと同じ乾燥工程を行う。
【0095】
最後に、60kGyの線量及び225kVの電圧で、第6のステップの面上に電子ビームを付与することにより、産物に対して最後の硬化ステップを行う。これは、第6のステップの面上で、酸素含量が200ppm未満の不活性雰囲気下で、反対側では、物理的不活性化で行われ、全ての層で放射線による完全な深部硬化が達成される。これにより、封止層のブロック化イソシアネート官能性は保持される。
【0096】
このようにして完成した産物は、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を含浸させたクラフト紙シートのパイル上に、加飾面を外側にして順次配置し、温度160℃、圧力80kg/cm2、20分間のプレス加工を行う。このプレスプロセス中、フェノール樹脂が界面で存在するブロック化イソシアネートと架橋して共有化学結合が得られ、水及び大気中の薬剤の浸入が防止されるため、本特許のホイル状物と下地シートとの化学接着が確実になり、3N/mm2以上の表面引っ張り強度値(DIN 52366におけるZ強度)が達成される。
【0097】
<実施例5>
80g/m2の加飾白色紙(伝統技術で知られている、顔料質量が多いもの)に、固形分が100%である放射線硬化性樹脂を8g/m2、ローラーコーターで塗布することにより、白色氏の一面を封止する。
【0098】
封止用樹脂混合物は、4官能ポリエステルアクリレートMIWON Miramer P2291を2官能モノマーHDDAで希釈し、せん断速度1000s-1で測定した25℃での粘度が1000mPa・sとしたものである。ブロック化イソシアネートを5%添加し、固形分100%のCovestro Desmodur BL1100/1と表面光開始剤CIBA Darocure 1173 2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(CAS番号7473-98-5)3%を添加する。
【0099】
得られたホイルは、紫外線照射により表面を部分的に化学乾燥させるが、上記露光中に、ブロック化イソシアネートの反応が誘発されないような温度とするよう特に注意する。基材は、ローラーコーターでもう一方の面で含浸され、ブレードで余分な部分が取り除かれる。この目的のために、放射線硬化性HDDAモノマーからなる樹脂が40g/m2必要である(すなわち、第2の樹脂の含浸)。
【0100】
続いて、前のステップにおいて第1及び第2の樹脂を飽和させた紙に、電子ビーム照射を行い、含浸面には20kGy、200kVの線量を付与し、当該側に500ppmの酸素含量を付与し、封止面には物理的不活性化を行う。これらのステップの後、半加工品は、その後のステップでさらに加工するために巻き取られる。
【0101】
先に準備した材料の、封止樹脂を含む側とは反対側の面に、せん断速度1000s-1で測定した25℃における塗布粘度が2200mPa・sとなるようにHDDAモノマー及び8%酸化黄色顔料Lanxess Bayferrox 3910で希釈したアクリレートウレタン樹脂EBECRYL 284を50g/m2で層を塗布する。
【0102】
微細構造を有する「離型ホイル」BOPETフィルムの一方の面上に、50g/m2のウレタンアクリレート樹脂EBECRYL 284に、ナノクリルナノ粒子を25%添加し、Tinuvin 400+光安定剤HALS Tinuvin 292を1%添加し、HDDAモノマーで希釈して25℃での塗布粘度を2200mPa・s(1000s-1のせん断速度で測定)としたもので層を付与する。両方のホイルの液面をカレンダーで接触させた後、電子ビームによる硬化を行う。
【0103】
最後に、60kGyの線量及び225kVの電圧で、第6のステップの面上に電子ビームを付与することにより、産物に対して最後の硬化ステップを行う。これは、全ての層で放射線による完全な硬化を達成するために、両面の物理的不活性化条件下で行われる。そのため、封止層のブロック化イソシアネート官能性は保持される。PETを分離すると、本願のホイルは、高温高圧のプレス加工を施してもなお残る微細構造を有していることが確認されている。
【0104】
このようにして完成した産物は、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂を含浸させたクラフト紙シートのパイル上に、加飾面を外側にして順次配置され、温度160℃、圧力80kg/cm2、20分間のプレス加工を行う。このプレスプロセス中、フェノール樹脂が界面で存在するブロック化イソシアネートと架橋して共有化学結合が得られ、水及び大気中の薬剤の浸入が防止されるため、本特許のホイル状物と下地シートとの化学接着が確実になり、3N/mm2以上の表面引っ張り強度値(DIN 52366におけるZ強度)が達成される。
【0105】
<実施例6>
表面に装飾印刷を有する80g/m2の加飾紙(伝統技術で知られている、顔料質量が多いもの)に、デザインとは反対側の面上に、ローラーコーターで、放射線硬化性基を有する物理乾燥性ウレタンアクリレート系樹脂を乾燥量で7g/m2塗布することにより封止する。封止樹脂は、ランベルティ社製ESACOTE(登録商標)LX 101分散液であり、固形分は34%~36%である。
【0106】
二官能性モノマーであるヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)は、樹脂乾燥分基準で6%の割合で、また単官能性ヒドロキシル化されたモノマー(-OH)は樹脂乾燥分基準で4%の割合で混合物に配合されている。得られた紙ホイルは、熱風を噴射する蒸発炉で物理乾燥される。
【0107】
この基材の反対側をローラーコーターで含浸させ、ブレードで余分な部分を除去する。この目的のために、放射線硬化型HDDAモノマーからなる樹脂を40g/m2使用し、さらに紫外線吸収剤Tinuvin 400を1%、光安定剤HALS Tinuvin 292を1%添加する必要がある。この樹脂は非常に低粘度であり、非常に浸透しやすく、紙を完全に飽和させることができる。
【0108】
続いて、前のステップにおいて第1及び第2の樹脂で飽和された紙に、電子ビーム照射を行い、含浸面には20kGy、200kVの線量を付与し、当該側に500ppmの酸素含量を付与し、封止面には物理的不活性化を行う。これらのステップの後、半加工品は、その後の工程でさらに加工するために巻き取られる。
【0109】
先に準備した材料の印刷された面に、別の層を塗布する:すなわち、第3の樹脂を塗布する。この層は、80g/m2のウレタンアクリレート樹脂Ebecryl 4680に、Tinuvin 400 1%+光安定剤HALS Tinuvin 292 1%加え、HDDAモノマーで希釈し、せん断速度1000s-1で測定した25℃での塗布粘度が2000mPa・sとなるようにする。
【0110】
最後に、60kGyの線量及び200kVの電圧で、第6のステップの面上に電子ビームを付与することにより、産物に対して最後の硬化ステップを行う。これは、第6のステップの面上で、酸素含量が200ppm未満の不活性雰囲気下で、反対側では、物理的不活性化で行われ、全ての層で放射線による完全硬化が達成される。
【0111】
本実施例で開発した産物は、アルミハニカムパネルに熱可融性ポリウレタン水反応型接着剤(PUR)を用いて接着され、本実施例では、それに合わせた角型アルミ部もラッピングされる。ポリウレタン反応性接着剤と-OH官能基との間に共有化学結合が得られるため、優れた接着性が確実となり、水の浸入が防止され、大気中の薬剤に対して強い耐性が付与され、本特許の積層製品対象物とそれが接着される支持体との間の機械的密着性が確保される。
【0112】
最後に、これまでの実施例は、1又は複数の特定の用途における本発明の原理を説明するものであるが、当業者であれば、発明活動の行使なしに、また、以下の請求項に記載されている本発明の原理及び概念から離れることなく、形態、使用及び実施の細部に多数の変更を加えることができることは明らかであろう。
【国際調査報告】