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特表2023-540649カンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法及びソウカ精油
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】カンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法及びソウカ精油
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/02 20060101AFI20230919BHJP
   B01D 11/02 20060101ALI20230919BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20230919BHJP
   A61K 36/9064 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
C11B9/02
B01D11/02 A
A61P31/10
A61K36/9064
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560336
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2021106838
(87)【国際公開番号】W WO2023272798
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110730849.4
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521440596
【氏名又は名称】中国▲熱▼▲帯▼▲農▼▲業▼科学院▲熱▼▲帯▼作物品▲種▼▲資▼源研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】于 福来
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲シュアン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 丹
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 悦
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ 小▲麗▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲凱▼
【テーマコード(参考)】
4C088
4D056
4H059
【Fターム(参考)】
4C088AB81
4C088AC04
4C088BA08
4C088CA03
4C088CA15
4C088CA23
4C088NA20
4C088ZB32
4D056AB12
4D056AC22
4D056CA01
4D056CA05
4D056CA15
4D056CA28
4D056DA01
4D056DA05
4D056DA06
4D056DA10
4H059BC12
4H059BC23
4H059CA11
4H059CA18
4H059CA72
4H059CA74
(57)【要約】
本発明は、カンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法及びソウカ精油を提供し、前記抽出方法は、ソウカの成熟果実を粉砕して、30~50メッシュの篩にかけて、粉末を得ることと、粉末を水と混合して2~5h静置して、180~260℃で5~8h水蒸気蒸留することとを含む。本発明は、水蒸気蒸留法でソウカ精油の高効率抽出を実現し、抽出率が1.7%以上である。本発明により得られたソウカ精油は、カンジダ・トロピカリスに対して非常に高い阻害活性を示す。阻止円の直径は15mm以上であり、MICは0.195μL/mL以下であり、MBCは0.781μL/mL以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソウカの成熟果実を粉砕して、30~50メッシュの篩にかけて、粉末を得ることと、粉末を水と混合して2~5h静置して、180~260℃で5~8h水蒸気蒸留することと、を含むことを特徴とする、カンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法。
【請求項2】
前記ソウカの成熟果実の含水量が13%未満であることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項3】
前記ソウカの成熟果実は、採集された成熟果実をpH5.0~6.0の水に浸漬して、含水量が13%未満になるまで乾燥させることにより得られることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項4】
pH5.0~6.0の水への浸漬時間が3~5hであることを特徴とする請求項2に記載の抽出方法。
【請求項5】
粉末と水の質量比が1:8~10であることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項6】
粉末を水と混合した後にpHを7.0~8.0に調整することを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項7】
粉末を水と混合した後にpHを7.3に調整することを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項8】
水蒸気蒸留の温度が220~260℃であることを特徴とする請求項1に記載の抽出方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抽出方法によって製造されることを特徴とする、カンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医薬の技術分野に属し、具体的にはカンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法及びソウカ精油に関する。
【背景技術】
【0002】
ソウカ(学名:Amomum tsaoko Crevost et Lemarie)は、アモムム属の植物の成熟果実であり、ソウカシとも呼ばれ、薬用も食用もできる中国の伝統的な生薬であり、主に雲南、広西、貴州、四川などの地域に分布している。ソウカ精油は、抗菌、抗炎症、抗酸化、防腐、抗腫瘍などの作用を有し、近年、その効果に対する研究及び調査が盛んに行われている。
【0003】
李国林ら(李国林、張忠、畢陽ら、8種類の植物精油の体外静菌効果の比較[J]、食品工業科学技術、2013、34(7):130-133)は、水蒸気蒸留法でソウカなどの8種類の植物精油を得て、4種類の真菌(アルテルナリア、トリコセシウム・ロゼウム、ペニシリウム・エクスパンザム、アスペルギルス・フラバス)に対するこれらの8種類の植物精油の体外静菌活性を検証した。結果は、ペニシリウム・エクスパンザムとアスペルギルス・フラバスを除いて、真菌に対するソウカ精油の阻害作用が全体的に弱いことを示した。現在、様々な真菌に対するソウカ精油の阻害作用に関する研究は少ない。出願人は、研究によると、ソウカ精油がカンジダ・トロピカリスに対して明らかな阻害作用を有し、その阻害効果が精油の抽出方法に関連していることを発見した。
【0004】
精油を異なる抽出方法で抽出する場合にその化学成分なども大きく異なり、精油の用途に応じて適切な抽出方法を選択する必要がある(王瑶ら、2017、Bakkali et al、2008)。したがって、カンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】李国林、張忠、畢陽ら、8種類の植物精油の体外静菌効果の比較[J]、食品工業科学技術、2013、34(7):130-133
【非特許文献2】王瑶ら、2017、Bakkali et al、2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の欠点に鑑み、上記問題を解決するために、本発明の目的は、カンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法及びソウカ精油を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決手段は、以下の内容を含む。
【0008】
カンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法は、
ソウカの成熟果実を粉砕して、30~50メッシュの篩にかけて、粉末を得ることと、粉末を水と混合して2~5h静置して、180~260℃で5~8h水蒸気蒸留し、水蒸気を沸騰に伴って凝縮管に入らせて冷却し、油水分離した後にソウカ精油を得て、マイクロシリンジで吸い出して、精油中に無水硫酸ナトリウムを添加して乾燥させ、精油に含まれる水分を吸い取り、精油を茶色の精油ボトルに入れて、4℃の冷蔵庫で保存することとを含む。
【0009】
好ましくは、前記ソウカの成熟果実の含水量が13%未満である。
【0010】
好ましくは、前記ソウカの成熟果実は、採集された成熟果実をpH5.0~6.0の水に浸漬して、含水量が13%未満になるまで乾燥させることにより得られる。
【0011】
好ましくは、pH5.0~6.0の水への浸漬時間が3~5hである。
【0012】
好ましくは、粉末と水との質量比が1:8~10である。
【0013】
好ましくは、粉末を水と混合した後にpHを7.0~8.0に調整する。
【0014】
好ましくは、粉末を水と混合した後にpHを7.3に調整する。
【0015】
好ましくは、水蒸気蒸留の温度が220~260℃である。
【0016】
他の態様では、本発明は、本発明の方法で抽出して得られたソウカ精油を提供し、該精油はカンジダ・トロピカリスに対して高い阻害作用を示す。
【0017】
本発明によって達成される有益な効果は以下のとおりである。
【0018】
本発明に係るカンジダ・トロピカリスを阻害するソウカ精油の抽出方法は、水蒸気蒸留法で該ソウカ精油の高効率抽出を実現し、抽出率が1.7%以上である。
【0019】
本発明の抽出方法は、操作しやすく、化学試薬を大量に使用する必要がなく、安全かつ効率的である。
【0020】
本発明により得られたソウカ精油は、カンジダ・トロピカリスに対して非常に高い阻害活性を示す。阻止円の直径は15mm以上であり、MICは0.195μL/mL以下であり、MBCは0.781μL/mL以下である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の技術内容をよりよく理解するために、具体的な実施例を以下に提供して、本発明をさらに説明する。
【0022】
上記ソウカは、ショウガ科の植物であるソウカAmomum tsao-ko Crevost et Lemaireの成熟果実であり、毫州生薬市場から購入されたものである。
【0023】
試験例1 粉砕度への考察
ソウカの成熟果実(採集後に含水量<13%まで直接的に乾燥させた成熟果実)をそれぞれ粉砕して10、20、30、40、50、60メッシュの篩にかけて、粒子サイズの異なる粉末を得て、粒子サイズの異なる粉末をそれぞれ50g秤量し、10倍の質量の蒸留水を添加し、2h浸漬し、220℃で2h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2020年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0024】
結果は、サンプル粒子が30~50メッシュである場合、抽出率は高く、1.5~1.7%であることを示した。
【0025】
試験例2 固液比への考察
ソウカの成熟果実(採集後に含水量<13%まで直接的に乾燥させた成熟果実)を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、5、8、10、12倍の質量の蒸留水をそれぞれ添加し、2h浸漬し、220℃で2h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2020年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0026】
結果は、固液比が1:5~12である場合、抽出率は徐々に高くなり、固液比が1:8~10である場合、抽出率は1.7%であることを示した。
【0027】
試験例3 蒸留時間への考察
ソウカの成熟果実(採集後に含水量<13%まで直接的に乾燥させた成熟果実)を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、10倍量の蒸留水に浸漬し、2h浸漬し、220℃でそれぞれ3、4、5、6、7、8h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2015年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0028】
結果を以下に示した:蒸留時間が3~8hである場合、ソウカ精油の抽出率が急激に上昇する。蒸留時間が5~8hである場合、抽出率が大きく変化せず、最大抽出率が1.8%である。
【0029】
試験例4 蒸留温度への考察
ソウカの成熟果実(採集後に含水量<13%まで直接的に乾燥させた成熟果実)を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、10倍量の蒸留水に浸漬し、2h浸漬し、140、180、220、260、300℃でそれぞれ5h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2020年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0030】
結果は、蒸留温度が260℃である場合、ソウカ精油の抽出率が最も高く、その後に低くなることを示した。
【0031】
試験例5 浸漬時間への考察
ソウカの成熟果実(採集後に含水量<13%まで直接的に乾燥させた成熟果実)を粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、10倍量の蒸留水に浸漬し、1、2、3、4、5、6h浸漬し、220℃で5h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2015年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0032】
結果は、浸漬時間が2~5hである場合、精油抽出率が高く、その後に経時的に低くなることを示した。
【0033】
試験例6 サンプル前処理への考察
ソウカの成熟果実1)(採集後に含水量<13%まで直接的に乾燥させた成熟果実)、ソウカの成熟果実2)~5)(採集後にそれぞれpH4.0、5.0、6.0、7.0の水で5h浸漬してから55℃で含水量<13%まで乾燥させた成熟果実)をそれぞれ粉砕して40メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、10倍量の蒸留水に浸漬し、2h浸漬し、220℃で5h水蒸気蒸留し、試験を3回繰り返した。2015年版の《中国薬典》で規定された精油測定法の「方法I」に従って精油抽出率を測定した。精油抽出率(%)=精油体積(mL)/植物粉末質量(g)×100%。
【0034】
結果は、果実1)からの精油抽出率が高いことを示した。
【0035】
試験により、以下のソウカ精油の抽出条件を特定した:
ソウカの成熟果実(採集後に含水量<13%まで直接的に乾燥させた成熟果実)を粉砕して、30~50メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末と水とを質量比1:8~10で混合して2~5h静置して、180~280℃で5~8h水蒸気蒸留する。
【0036】
該条件下で、ソウカ精油の抽出率は1.7%以上である。50メッシュまで粉砕し、固液比を1:8とし、5h浸漬し、260℃で6h蒸留する場合、ソウカ精油の抽出率は1.9%である。
【0037】
試験例7 静菌活性への研究
7.1 材料、菌種、試薬
材料:採集後に含水量<13%まで直接的に乾燥させた成熟果実と、採集後にそれぞれpH4.0、5.0、6.0、7.0の水で5h浸漬してから55℃で含水量<13%まで乾燥させた成熟果実とを、それぞれ粉砕して50メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、8倍量の蒸留水に浸漬し、5h浸漬し、220℃で6h水蒸気蒸留して得られた精油1)~精油5)。精油6):成熟果実を採集した後にpH5.0の水で5h浸漬してから55℃で含水量<13%まで乾燥させて得られた成熟果実を、粉砕して50メッシュの篩にかけて、粉末を得て、粉末を50g秤量し、8倍量の蒸留水に浸漬し、5h浸漬し、260℃で6h水蒸気蒸留して得られたものである。
【0038】
菌種:カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis ATCC 20962)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペスギルス・ニガー(Aspergillus niger ATCC 16404)は、北京北納創聯生物工学研究院から購入された。
【0039】
試薬:培地、アンフォテリシンBなどは、いずれも北京索ライ宝科学技術有限公司から購入された。
【0040】
7.2 試験方法
7.2.1 阻止円の測定
濾紙寒天ディスク拡散法を使用して、ピペットを用いて20μLの精油又はコントロールを滅菌環境条件下で滅菌濾紙(d=6mm)に滴下し、濾紙が精油又はコントロールを完全に吸収してから、各細菌溶液(細菌溶液の濃度が10cfu/mlで、塗布量が60μLである)を均一に塗布した培地プレート(PDA、d=6cm)に当該濾紙を貼り付け、マークを付け、各細菌に対して3回繰り返し、陰性コントロールが滅菌水であり、陽性コントロールがアンフォテリシンB(濃度15ug/m)であり、真菌培養条件がインキュベータ内で28℃で48h培養することである。培養した後、阻止円の有無及び直径の大きさを感度の判断基準として観察して記録し、クロス法で阻止円の直径を測定し、その平均値を測定結果とした。結果標準は、阻止円の直径が20mmを超えると、感度が非常に高いとし、直径が15~20mmであると、感度が高いとし、直径が10~15mmであると、感度が中程度であるとし、直径が10mmよりも小さいと、感度が低いとする(蘭仕梅ら、2018)ことである。
【0041】
7.2.2 最小発育阻止濃度(MIC)
MIC試験を微量二倍希釈法で96ウェルプレートで実施し、A1を第1のウェルとして使用して、左から右に順に行い、各プレートの1~12個のウェルに薬液を入れ、プレートごとに3つのブランク、陽性コントロール及び陰性コントロールを作成し、陰性コントロールが滅菌水であり、陽性コントロールがアンフォテリシンBである。まずピペットを用いて各列の第1のウェルに180μLの各細菌懸濁液(細菌濃度10cfu/ml)を添加し、第2~12のウェルにそれぞれ100μLの各細菌懸濁液を添加し、次に20μLの精油を第1のウェルにそれぞれ吸引し、精油の濃度をそれぞれ100、50、25、12.5、6.25、3.125、1.563、0.781、0.391、0.195、0.097μL/mLにするように第1~12のウェルに対して順に段階希釈を行い、十分かつ均一に混合し、3回繰り返し、真菌培養条件がインキュベータ内で28℃で48h培養することであり、その後にマイクロプレートリーダーで真菌の吸光度を測定し、抗菌率が80%であるサンプルの濃度を該細菌に対する該サンプルの最小発育阻止濃度(MIC)とする。
【0042】
7.2.3 最小殺菌濃度(MBC)の測定
寒天培地プレート法を使用して、「7.2.2」での各サンプルのMIC値に対応する溶液を対応する培地に均一に塗布し、培養条件がインキュベータ内で28℃で培養することであり、その後に培地において菌株が増殖しているか否かを観察し、該薬物のMBCはコロニー数が5個よりも少ないプレートに対応するウェルでの最低濃度である。
【0043】
7.3 結果及び分析
結果を表1~3に示す。結果は、3種の真菌では、ソウカ精油がカンジダ・トロピカリスに対して最も高い阻害活性を示すことを示した。そのうち、カンジダ・トロピカリスに対する精油3)と精油4)の阻害及び殺菌効果が最も高かった。
表1 3種の菌に対する各サンプルの阻止円の直径
【表1】
同じ列の異なる文字は、クリアランス率の差異が顕著である(p<0.05)ことを示し、「-」は、阻止円がないことを示す。
表2 3種の菌に対する各サンプルのMIC値
【表2】
表3 3種の菌に対する各サンプルのMBC値
【表3】
上記試験例7に基づいて、本発明はまた、粉末を水と混合した後にpHを7.0~8.0に調整して静置して浸漬することにより得られた精油が、pHを調整せずに得られた精油と比較して、カンジダ・トロピカリスに対してより高い阻害効果(p<0.05)を示すことを発見した。pHが7.3である場合、阻止円の直径は20mmを超える。
【0044】
以上の記載は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の構想及び原則内に行われた全ての修正、均等置換及び改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】