(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】パルプ化プロセスにおける凝縮物を処理する方法
(51)【国際特許分類】
D21C 9/08 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
D21C9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578688
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 BR2021050264
(87)【国際公開番号】W WO2021253107
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521023425
【氏名又は名称】スザノ・エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】SUZANO S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】522490538
【氏名又は名称】ニケデ・コメルシオ・エー・リプリゼンタソィンス・エリテーデーアー
【氏名又は名称原語表記】NIKEDE COMERCIO E REPRESENTACOES LTDA
【住所又は居所原語表記】Avenida Lucas Nogueira Garcez,795 sala 11,Centro,09750-670 Sao Bernardo do Campo-SP,Brazil
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】デ・モライス、ディマス
(72)【発明者】
【氏名】フィリオ、オタビオ・マンブリム
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AC06
4L055AG80
4L055AH22
4L055BC03
4L055BC04
4L055EA29
4L055EA32
4L055EA35
4L055FA22
4L055FA23
(57)【要約】
本発明は、物理的、化学的、化学物理的処理の少なくとも1つ、またはこれらの組合せによって凝縮物を処理することによって、有機物を実質的に含まない処理された凝縮物を生産する方法に関する。さらに、凝縮物を繊維ラインに供給する前に、少なくとも処理された凝縮物に閉鎖型ループ内を循環させる複数の洗浄段階を利用する、パルプ加工繊維ラインにおける凝縮物を処理する方法であって、a)凝縮物中のコロイド状有機化合物を同定する工程、b)凝縮物を、少なくとも1つの化学的、物理的、化学物理的処理またはこれらの組合せに供する工程、およびc)凝縮物の異物混入を低減し、これを最後の洗浄器段階に、またはパルプ化のいくつかの他の段階に供給する工程を備える、方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ化プロセスにおける凝縮物を処理する方法であって、前記凝縮物を、物理的、化学的、化学物理的の少なくとも1つの処理、またはこれらの組合せによって処理することを特徴とする、方法。
【請求項2】
a)前記凝縮物中のコロイド状有機化合物を同定する工程、
b)前記凝縮物を、化学的、物理的、化学物理的処理の少なくとも1つ、またはこれらの組合せに供する工程、および
c)前記凝縮物の異物混入を低減し、これを最後の洗浄器段階に、または前記パルプ化プロセスのいくつかの他の段階に供給する工程
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機化合物が実質的にピッチである、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項4】
前記凝縮物が、工程(a)において少なくとも30mg/Lの全炭素含有量(TOC)を有する、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の前記処理が、凝固、フロック形成の少なくとも1つ、またはこれらの組合せである、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記凝固が、少なくともカチオン性ポリアミン、アニオン性ポリアミンまたはこれらの組合せを使用して実行される、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項7】
凝固が、1グラムの有機物に対して、0.2g~10gの凝固剤を使用して実行される、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項8】
前記凝縮物が、少なくとも2分の間、好ましくは少なくとも5分の間、前記凝固剤と接触する、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記フロック形成が、少なくともカチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミドまたはこれらの組合せを使用して実行される、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項10】
フロック形成が、1グラムの有機物に対して、0.3g~20gのフロック形成剤を使用して実行される、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項11】
フロック形成が、ゼータ電位が実質的に-1mV~-50mVになるまで実行される、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記凝縮物が、パルプ化操作の蒸発工程から、より好ましくは黒液蒸発工程からのものである、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項13】
前記処理された凝縮物が、向流で前記パルプ化操作に戻される、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項14】
前記処理された凝縮物が、前記パルプ化操作における洗浄システムにおいて向流で戻される、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項15】
前記パルプ化プロセスが、クラフトパルプ化または修正クラフトプロセスである、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項16】
前記凝縮物が、閉鎖型ループにおける前記パルプ化プロセスの前記洗浄システムに戻される前に、前記凝縮物の処理が実行される、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項17】
前記凝縮物の前記処理が、少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは90重量%、いっそうより好ましくは98重量%という前記処理された凝縮物中のピッチの低減をもたらす、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項18】
処理されていない凝縮物と比較した場合、前記処理された凝縮物において、前記TOCの少なくとも10%のTOCの低減、好ましくは20%の低減、より好ましくは前記処理された凝縮物において、前記TOCの40%の低減、いっそうより好ましくは前記処理された凝縮物において、前記TOCの60%の低減をもたらす、以前の請求項の何れかに記載の方法。
【請求項19】
前記処理された凝縮物が60mg/L未満のTOC値を有する、以前の請求項の何れか何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、物理的、化学的、化学物理的処理の少なくとも1つ、またはこれらの組合せによって凝縮物を処理することによって、有機物およびコロイド状ピッチを実質的に含まない処理された凝縮物を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]収穫された木材からのセルロースリッチパルプの生産のための工業プロセスは周知であり、典型的には、木材のより小さなピースおよび粒子への物理的破壊工程、続いて、構成成分であるセルロース系繊維質バイオマスからリグニンを溶解させ、分離するための、高温高圧下での化学的蒸解工程を含む。
【0003】
[0003]化学的パルプ化では、木材チップは化学的溶液によって蒸解されてリグニンの一部を可溶化し、その効果は、リグニン、抽出物、および無機物の除去である。最も通常の蒸解手順は、亜硫酸塩、ソーダ、硫酸塩、またはクラフトおよび修正クラフトプロセスである。
【0004】
[0004]木材の蒸解工程および洗浄工程の後に得られる材料は、一般に、暗色に着色したセルロース繊維である。暗色は、蒸解中にリグニンのすべてが除去されているとは限らず、残りのリグニンが化学的に改質されていることに起因する。この暗色パルプは、一般に、未晒しパルプまたは褐色原料と称される。これは、紙の色が重要でない場合は、製紙操作に直接移ってもよく、そうでない場合、未晒しリグノセルロース系パルプは漂白される。漂白は、パルプが活性漂白剤、たとえば塩素、二酸化塩素、オゾン、酸素、過酸化水素、酵素またはこれらの混合物によって、制御された時間、温度およびpHで処理される、半化学的または化学的工程に適用される用語である。これらの反応の望ましい結果は、パルプをさらに高いレベルの白色度に増白することである。パルプ漂白は、ほとんどの場合、塩素または塩素含有化合物、たとえば次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸ナトリウムおよび二酸化塩素を利用する多段階プロセスである。リグノセルロース系パルプの塩素漂白は、当技術分野において周知のプロセスである。
【0005】
[0005]繊維ラインにおけるパルプ化プロセスは、煮沸、褐色原料の洗浄、酸素脱リグニン、およびスクリーニングの一連の基本ユニットを含む。このパルプ化プロセスには、通常、調製された木材繊維チップの化学的または機械的前処理が先行する。パルプ化プロセスの各工程は、付随する保全上の利点を有する向流洗浄によって実行されるように、通常は水洗によって実行されるが、プロセスの他のところから得られる処理液が用いられてもよい。この意味において、現在の繊維ラインは、環境への影響を減少させるため、プロセスから蒸発した水を再使用する。
【0006】
[0006]蒸解が完了した後、一般に黒液と称され、典型的には有機溶媒、可溶化リグニン、固形および微粒子状の単糖、オリゴ糖、多糖ならびに化学的蒸解中に木材から放出される他の有機化合物を備える、セルロース系繊維質パルプを備える固形物が使用済み蒸解液から分離される。
【0007】
[0007]リグニンと、クラフトまたは修正クラフトプロセスから生じる生成物とは黒液を構成し、洗浄プラントにおいて分離され、固形物濃度を上昇させるための蒸発器と回収ボイラーとに送られる。この設備において、黒液は通常、蒸気および電気を生じるための燃料として使用され、ここで、クラフトプロセスに使用される大部分の化学物質が回収される。凝縮物は、典型的には、褐色パルプ洗浄システムにおいて、水を加えてまたは加えることなく、パルプ化プロセスに再導入される。
【0008】
[0008]蒸解からのセルロースパルプの洗浄は、通常、水またはプロセス凝縮物、すなわち黒液蒸発システムを用いて行われ、このシステムは、繊維ライン洗浄器に対して向流で動作する。液体および気体状の廃棄物を減少させるため、洗浄は、プロセスにおいて、閉鎖型液体循環システムによって実行される。パルプ洗浄は一連の多段階向流によって実行され、ここでは、最も清浄な水が最終段階において加えられ、生じた濾液は、連続蒸解器においてブロータンクまたは洗浄ゾーンに達するまでの先行する段階において使用される。
【0009】
[0009]煮沸後に褐色パルプを洗浄することの目的は、漂白プロセスを促進するため、およびプロセスにおいて失われる化学物質を置きかえることのコストを低減するため、最小量の清浄な水またはプロセスから再循環する水を使用して、最大量の木材から溶解した有機材料と、煮沸の終了時にパルプと混合している煮沸液からの溶解性無機材料を除去することである。
【0010】
[0010]有機物、すなわち溶解したリグニンと炭水化物との回収は、プロセスにおけるさらに下流で役割を果たす。酸素脱リグニンおよび/または一連の漂白を有するミルの場合、これらのプロセスに入るパルプ中の有機化学物質を排除することで、操作コストが低減する。これらの段階は性質上酸化的であるため、増強された褐色原料の洗浄を通じて改善したリグニン除去は、低減したプロセス化学物質の消費と、低減した廃棄物および排水処理プラントへの負荷をもたらすことになる。褐色原料の洗浄はまた、望ましくない材料、たとえば、金属、ピッチおよび木材抽出物の除去を支援する。洗浄によってパルプから首尾よく除去されなかった木材抽出物は、下流のプロセスにおいて濃縮して、べたついた付着物を設備上に形成する傾向があり、ひいては、しみおよび孔の形成を通じて品質不良のパルプの生産、ならびに/または品質不良の紙の生産をもたらすことがある。蒸発後の凝縮物のストリッピング法も、有機物質、通常は非凝縮気体を除去するための別の取り組みである。
【0011】
[0011]この意味において、Opedalらは、彼らのレビュー論文であるColloidal stability and removal of extractives from industrial process water in thermomechanical pulpingにおいて、再使用されるであろうプロセス水、すなわち熱力学的パルプ化プロセスからの水における抽出物を分離するためには、物理化学的操作、たとえば、沈殿、フロック形成、濾過およびpH低下が、したがって、熱力学的パルプ化プロセスにおいてピッチ制御を実行することが、効率的であることを教示している。
【0012】
[0012]しかしながら、クラフトパルプ化プロセスを検討すると、黒液を蒸発させることによる凝縮物は、以前は混入物を含まないものと考えられていたが、依然としてかなりの量の有機化合物、具体的には、コロイドとしての有機化合物(ピッチ)を保持することが確認されており、これは、凝縮物が洗浄パルプ化プロセスにおいて使用される場合に、複数の欠点をもたらす。
【0013】
[0013]凝縮物を再使用することの利益は、たとえば、エネルギーおよび水資源の使用の低減、労働条件の改善、褐色物質洗浄システムの改善、低減した漂白化学物質、たとえば、過酸化物、オゾン、二酸化塩素の消費、カーボンフットプリントの低減、燃料消費の低減、存在する熱エネルギーにおいて測定される顕熱の再使用(これはしたがって、水を蒸気に変換するために必要なエネルギーの量を低減する)、環境に対する肯定的な影響、燃料の使用の低減、ならびにCO2、NOx、SOx、AOxの排出の低減など、多数あるため、当技術分野において依然として、パルプ化プロセスにおいて再使用されている凝縮物から、有機混入物を排除する必要性がある。
【0014】
[0014]そのため、凝縮物に混入している前記有機化合物を排除し、ピッチをより良好に制御することを可能にすることになり、したがって、閉鎖型サイクルパルプ化プロセスにおける前述の利益のすべてが達成されることを可能にするため、セルロースプロセス褐色原料蒸発からの凝縮物を処理するためのプロセスはなおも望ましい。
【発明の概要】
【0015】
[0015]本発明は、物理的、化学的、化学物理的処理の少なくとも1つ、またはこれらの組合せによって凝縮物を処理することによって、有機物を実質的に含まない処理された凝縮物を生産する方法に関する。
【0016】
[0016]さらに、凝縮物を繊維ラインに供給する前に、少なくとも処理された凝縮物に閉鎖型ループ内を循環させる複数の洗浄段階を利用する、パルプ加工繊維ラインにおける凝縮物を処理する方法であって、
a)凝縮物中のコロイド状有機化合物を同定する工程、
b)凝縮物を、少なくとも1つの化学的、物理的、化学物理的処理またはこれらの組合せに供する工程、および
c)凝縮物の異物混入を低減し、これを最後の洗浄器段階に、またはパルプ化プロセスのいくつかの他の段階に供給する工程
を備える、方法も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1(A)】[0017]プラント停止後2カ月の凝縮物のサンプルの画像(A)。
【
図1(B)】プラント停止後10カ月の同じ箇所からのサンプルの画像(B)。
【
図2】[0018]矢印によって示される、凝縮物中のコロイド状ピッチを描画している顕微鏡写真による、サンプルAの「修正Papricanコロイド状ピッチ計数法」分析を示す図。
【
図3】[0019]UV-可視分光光度計を使用したピッチの画像。
【
図4】[0020]UV-可視分光光度測定設備Agilent Cary 300 Schematicの模式図。
【
図5】[0021]光減衰の熱的変動を測定する方法の動力学の図示。
【
図6】[0022]デルタと付着ピッチとの比較を示すグラフ。
【
図7】[0023]付着ピッチの質量と比較したデルタを示すグラフ。
【
図8】[0024]複数の単一ハウジングアセンブリフィルターの図示。
【
図10】[0026]本発明の方法の前(左)と後(右)との、凝縮物を濾過するために使用されるフィルターの写真。
【
図11】[0027]本発明の方法の前(左)と後(右)との、凝縮物からの粒子の分散を示す図。
【
図12】[0028]ゼータ電位と粒子電荷との図解。
【
図13】[0029]本発明の凝縮物を処理する方法の適用から1分(左)と10分(右)での凝縮物の写真。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0030]クラフトプロセスを使用するセルロースプラントにおいて、有機材料と無機材料とが豊富な黒液は、副産物である。これらの材料を回収するため、黒液は、蒸発システムを介したこの液の濃縮のプロセスからなる化学物質回収段階へ送られ、続いて回収ボイラーにおいて燃焼されるが、ここで、有機材料は燃焼し、無機材料は焼成され、塩とアルカリとは苛性化プラントに送られて回収される。蒸発システムに達する黒液は、通常、14~18%の固形物含有量を有する。これらの固形物は、通常、60%~70%の木材から溶解した有機材料と、30%~40%の煮沸液からの無機材料とから構成される。一般的な蒸発器システムは、少なくとも複数の効用缶、通常は6つの効用缶を有し、通常は最高150℃の温度で動作する多重効用蒸発器を含む。蒸発した水は、次いで、凝縮器、たとえば、蒸発プラントに続く表面凝縮器、または蒸発プラントからの汚れた凝縮物の浄化に使用されるストリッパーのための凝縮器において凝縮される。
【0019】
[0031]典型的には、洗浄段階においては熱水が使用される。煮沸段階からの希薄黒液は、煮沸段階から蒸発段階へ導かれ、ここで、水の一部が希薄黒液から除去され、そのため、濃厚黒液が生じる。希薄黒液から除去された水、たとえば蒸発からの凝縮物は、通常、褐色原料の洗浄段階に導かれる。蒸発段階において生産された濃厚黒液は、回収ボイラーにおける蒸気と発電とに使用される。このボイラーにおいて、スメルト(燃焼後の黒液)が希薄緑液によって洗浄され、苛性化プラントへ送られる。緑液は、煮沸のために再使用することができる白液を得るためにさらに処理される。褐色原料の洗浄および酸素段階から、パルプが漂白ユニットに導かれる。
【0020】
[0032]黒液は、有機材料、たとえば、リグニン、樹脂化合物、多糖、アルコールから構成される水性溶液である。黒液はまた、パルプ化または煮沸システムからの無機材料を含有する。
【0021】
[0033]蒸発システムの主目的は、有機材料が燃焼することになる回収ボイラーにおいて燃焼するように、理想的な濃度と密度とにおいて、洗浄システムからの黒液を濃縮することである。
【0022】
[0034]蒸発プロセスから回収された凝縮物は、処理水または原水を節約するため、マス洗浄プラントおよび漂白プラントにおいて広く使用される。
【0023】
[0035]蒸発システムは全体として、液中に存在する有機部分に含有される疎水性材料を含む、液の化学に影響を及ぼす。
【0024】
[0036]本開示によれば、抽出物およびピッチは、水および/または有機溶媒によって抽出されうる、セルロースプロセス褐色原料蒸発物からの凝縮物に存在する低分子量の有機物質に関する。有機溶媒に可溶性の物質の例は、脂肪酸およびエステル、長鎖アルコール、ステロイド、フェノール性およびグリコシド物質のクラスである。親油性抽出物は、パルプ化プロセス中に凝集し、ピッチとして公知の付着物を形成しうる。パルプおよび製紙工業において、ピッチの形成および外皮形成は、生産性の低下と、設備メンテナンスによる支出の増加と、最終製品における不具合の大幅な増加とをもたらし、品質の低下をもたらす。
【0025】
[0037]ピッチの例は次の通りである。
【0026】
【0027】
[0038]凝縮物は見かけ上有機物を含まないが、よく調べてみると、凝縮物中の比較的高レベルの有機物、すなわち、ピッチが含まれていることが明らかになっている。
図2は、セルロースプロセス褐色原料蒸発からの凝縮物中のコロイド状ピッチを図示している。
【0028】
[0039]凝縮物中に存在する任意の有機または無機物質の一部は、繊維ラインに取り入れられることになるが、ここで、この物質は存在するべきではなく、プロセスにおいて有害な効果を有しうる。
【0029】
[0040]複雑な有機および無機構造物の存在と、いくらかのレベルの化学的および生物化学的要求量は、通常、凝縮物中に検出される60種超の混入物が存在することに起因し、このことは、さらなる処理プロセスを必要とする。
【0030】
[0041]本発明は、最初に、セルロースプロセス褐色原料蒸発凝縮物におけるコロイド状ピッチを同定することによって、凝縮物を処理するための方法を開示する。本発明によって実行される工程は、凝縮物からの、大部分が有機物から構成されるピッチの分離を生じて、このような化合物と量との測定とさらなる同定とを可能にする。
【0031】
[0042]この意味において、本発明の一態様は、物理的、化学的、化学物理的処理の少なくとも1つ、またはこれらの組合せによって凝縮物を処理することによって、有機物を実質的に含まない処理された凝縮物を生産する方法によって達成される。
【0032】
[0043]好ましくは、クラフトパルプ化プロセスである、パルプ化操作からの凝縮物を処理する方法。本発明は、凝縮性液体を処理する、および凝縮物の再利用を可能にする品質レベルを有する凝縮物を提供し、処理された凝縮物を向流的方法においてパルプ化操作に戻す、繊維ラインの能力に基づく。通常の体積は、少なくとも100m3/時間のオーダーであり、通常はさらに大きい。凝縮物の処理は、実質的に有機物を含まない処理された凝縮物を生産するための方法によって、凝縮物がパルプ化プロセス繊維ラインの閉鎖型ループに戻される前に実行される。好ましくは、本発明の方法は、凝縮物中の有機物の少なくとも10重量%の低減をもたらし、これによって、処理された凝縮物を生産し、好ましくは50%、より好ましくは80%である。あるいは、この方法は、水を繊維ラインに再導入すること以外の異なる送り先、たとえば、任意の他の用途または廃棄が好ましい場合、凝縮物を再循環させることなく利用されてもよい。
【0033】
[0044]凝縮物中には、相対的に高レベルの有機物(ピッチ)が存在する。たとえば、凝縮物は、1.000mg/Lもの高さの全有機炭素(TOC)のレベルで見出されることがある。したがって、本発明の方法は、50~1000mg/lの全有機炭素と疎水性物質とを有する凝縮物を対象とする。
【0034】
[0045]ここで使用される場合、処理された凝縮物は、ここで開示される化学的、物理的または化学物理的処理に供された凝縮物である。本発明の処理された凝縮物は、ピッチを実質的に含まず、60重量%未満のTOCを有する。したがって、本発明の方法は、実質的にピッチである有機物を開示する。
【0035】
[0046]具体的には、本発明は、化学的、物理的、化学物理的処理、またはこれらの組合せを使用する方法によって達成される。凝縮物の処理は、凝固、フロック形成またはこれらの組合せの少なくとも1つを有するシステム内であってもよい。
【0036】
[0047]好ましくは、最初に化学反応が起こり、凝固、フロック形成およびデカンテーションシステムが続き、次いで、フィルターを通じた物理的保持システムが続く。
【0037】
[0048]典型的には、媒体中の有機物の量または濃度は、好ましくは、修正Papricanコロイド状ピッチ計数法によって測定される。この方法は、プロセスパルプをサンプリングすることと、既知の体積においてコロイド状ピッチ粒子の数を計数することとからなる。体積は、Neubauerまたは血球計として公知である。根拠は次の通りである:コロイド状ピッチは、光を散乱する半固体粒子である。粒子散乱の結果として、光を遮る、または光を減衰させることになる。光の減衰はUV-可視分光光度計によって測定され、ピッチ濃度に比例する。粒子濃度は、粒子の数と、粒子の断面積またはサイズとを測定することに関係する。粒子サイズによる散乱は非線形であり、濃度依存性と光の減衰との関係は近似値である。
【0038】
[0049]リグニンといくつかの抽出物とは、特定の波長における光子と、芳香族分子における電子軌道との相互作用を通じて光を吸収する。リグニンの光吸光度の波長依存性は、pHに、とりわけpH9~11に敏感である。分光光度計は、参照測定として濾過されたサンプルを使用することによって、リグニンの吸光度を差し引くように構成されてもよい。
【0039】
[0050]分子の吸光度は、UV-可視領域において測定される。UV-可視領域における分子吸光度は、外側の(フロンティア)軌道または芳香族構造と、二重結合の群における電子励起とに起因する。吸光度は、ベールの法則により、光の強度と濃度とに関係する。
【0040】
[0051]光の減衰は、光を減少させる。これは、分子吸光度に起因して起こることもあり、または固体の粒子もしくは構造体が光を遮っているために起こることもある。減衰は、吸光度と比較してより一般的な用語である。固体または相分離粒子、たとえばピッチは、光を減衰させることになる。
【0041】
[0052]ピッチのサイズ範囲(0.1~20ミクロン)の粒子との光の相互作用を説明する科学は、ミー散乱である。
【0042】
[0053]ミー散乱は、光と光の1/10波長よりも大きい粒子との相互作用に対する、数学的アプローチである。光と粒子との相互作用を規定するミー散乱式は、粒子の数、粒子サイズ、粒子が構成される材料の吸光係数を含む、粒子の屈折率に依存する(T.M.Garver,K.H.Boegh,G.S.Hill,D.Henry,H.Y.Yuan,Analysis of the thermal variation of UV-visible attenuance of colloidal substances in whitewater.Pulp and Paper Canada 103,20-24(2002))。
【0043】
[0054]
図5に、UV-可視分光光度測定設備Agilent Cary 300 Schematicの模式図がある。
【0044】
[0055]本発明の一態様では、パルプ化プロセスの凝縮物を処理する方法は、
a)凝縮物中のコロイド状有機化合物を同定する工程、
b)凝縮物を、化学的、物理的、化学物理的処理の少なくとも1つ、またはこれらの組合せに供する工程、および
c)凝縮物の異物混入を低減し、これを最後の洗浄器段階に、またはパルプ化プロセスのいくつかの他の段階に供給する工程
を備える。
【0045】
[0056]パルプ化プロセスの他の段階の一例は、前記プロセスの漂白段階である。
【0046】
[0057]凝縮物を繊維ラインに供給する前に、少なくとも処理された凝縮物に閉鎖型ループ内を循環させる複数の洗浄段階を利用する、パルプ加工繊維ラインにおける凝縮物を処理する方法であって、
a)TOCを分析することによって、凝縮物中のコロイド状有機化合物を同定する工程、
b)凝縮物を、化学的、物理的、化学物理的処理の少なくとも1つの処理、またはこれらの組合せに供する工程、
c)凝縮物を機械的に処理することによって、凝縮物の有機異物混入を低減する工程、
d)凝縮物をパルプ化回路に対して向流で戻す工程
を備える、方法は、本発明のさらに好ましい態様である。
【0047】
[0058]好ましくは、工程(a)におけるTOCの分析はオンラインで行われ、工程(b)における処理は、pH調整および/またはフロック形成剤と凝固剤との添加であり、工程(c)の機械的な処理はデカンテーション、濾過または浮遊選別である。
【0048】
[0059]さらに、凝縮物はパルプ化回路に対して向流で戻され、より好ましくは、凝縮物は、褐色原料プレス設備において、DDW(ドラムディスプレーサウォッシャー)設備において、または両方で凝縮物を加えることによって、パルプ化回路に戻される。
【0049】
[0060]凝縮物の処理は、より好ましくは、フロック形成と凝固との組合せであり、少なくとも1つのデカンテーションと濾過との工程が続く。
【0050】
[0061]本発明はまた、化学的、物理的または化学物理的処理によって具体化されてもよい。さらなる態様は、1つ以上の処理を並列または直接に包含してもよい。
【0051】
[0062]1つの好ましい態様では、本発明は、以下の一連の工程:
a)凝縮物中のTOCをオンラインで分析する工程、
b)信号を処理剤添加システムに送信する工程、
c)凝固剤を凝縮物に、TOCと通知される有機物質1グラム当たり、0.2グラム~10グラムの範囲内で添加する工程、
d)TOCで通知される有機材料1グラム当たり、0.3グラム~20グラムの範囲内で、フロック形成剤を凝縮物に添加して、続行するまで2~15分待機する工程、
e)20~40分の保持時間にわたって、処理された凝縮物をデカンテーションタンクに送る工程、
f)付着材料を含まない凝縮物を、10ミクロンのフィルターによる濾過のための箇所に送る工程、
g)1.0ミクロンのフィルターから構成される濾過システムにおいて、工程の凝縮物を濾過する工程
を備えて自動化されてもよい。
【0052】
[0063]好ましくは、工程(d)において、待機時間は5分であり、工程(e)における保持時間は30分である。
【0053】
[0064]さらに、凝縮物が、異なる挙動と異なる付着速度とを有する異なる分子の塊から構成されることは、言及に値する。したがって、工程(f)において付着していないミセルのフロック形成物を最終的に除去することは、上に記載される工程(g)において実施されることになる。
【0054】
[0065]好適なフィルターまたは濾過プロセスの例は、ポケットフィルター、ケーキフィルター、またはピッチコロイドを保持することができる任意の他のフィルターである。実験的試験において、10ミクロンの粒度分析と、1.0ミクロン未満による粒子のためのアブソリュートと。たとえば、複数のシングルバッグフィルターは、30m3の個々のフィルターを備え、複式で使用されてもよい。
【0055】
[0066]本発明に適切な凝固剤は、カチオン性またはアニオン性のポリアミンである。
【0056】
[0067]本発明に適切なフロック形成剤は、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミドまたはこれらの組合せである。異なる分子量を有するポリアクリルアミドが使用されてもよい。
【0057】
実施例
例1:熱に対するピッチの反応
[0068]大部分の状況下では、溶液温度の上昇は、プロトンの解離と粒子サイズの減少とをもたらすことになる。これは、光の減衰における減少をもたらす。より高い温度において、発明者らはピッチ粒子からのリグニンの解離を観察してきた。
【0058】
[0069]より多くの溶解性脂肪酸が、温度の上昇に伴って解離するであろうことも想定される。
【0059】
[0070]いくつかの状況下では、増加した電荷または減少したサイズに伴って安定化するために、ピッチの表面がプロトンまたは他の構成要素を解離することはできない。これらの状況下では、温度の上昇は凝集をもたらすことがあり、光の減衰が増加する。
【0060】
[0071]測定は、異なる波長および温度においてなされる。データは、消光の温度依存性を特徴付けるために分析される。温度特性評価は、ピッチの安定性と濃度とに関するパラメータを提供する。
【0061】
[0072]デルタは、付着しうるピッチの量が多い場合に高い。これらの結果は、付着の傾向を提供するデルタ測定またはピッチの粘着性の尺度と一致する。
例2:濾過
[0073]本発明の1つの好ましい態様では、凝縮物の処理は濾過であってもよい。好ましくは、濾過は、10μm未満、より好ましくは1μm未満の孔を有するフィルターによって実行される。10μm未満の孔を有するフィルターによって実行された凝縮物精製処理は、0.000082g/Lの滞留物を提供し、1.0μm未満の孔を有するフィルターによって実行された精製は、0.006754g/Lの滞留物を提供し、これは、300m3/時間の凝縮物流速において実行された場合、凝縮物から49kg/日の抽出材料に変換される。ジクロロメタン溶媒分析による抽出物含有量分析とサイトメトリーによれば、たとえば、0.2376mg/Lの抽出物を有する凝縮物の評価と組み合わせた場合、残留全有機物は0.0984g/Lであり、10μmを有する第1のフィルター後に59%の除去効率を提供し、10μmと1μmとの両方のフィルターの後は、全有機物は0.0220g/Lであり、元々の凝縮物のサンプルに対して、91%の除去効率を有する。濾過のみが実行された場合、元々は1.637mg/Lの平均CODと392.9mg/LのTOCとを有する凝縮物から、本発明によれば、1.558mg/Lの平均化学的酸素要求量(COD)が達成され、全有機炭素(TOC)は393.2mg/Lである。この意味において、濾過は、大幅な有機物の除去をもたらすにもかかわらず、CODまたはTOCに大幅な影響を及ぼさない。
例3:pH低下
[0074]本発明の別の態様は、処理された凝縮物を提供するための、凝縮物のpHの低下である。繊維ラインに再び入る前に、硫酸(10%のH2SO4)が加えられ、したがって、凝縮物は、少なくとも6、好ましくは5のpHに供される。実験では、ピッチミセルの計数は、凝縮物における1.1×108から、処理された凝縮物における1.30×108に上昇し、18.4%の増加であった。別の実験では、ピッチミセルの計数は、凝縮物における8.80×106から、処理された凝縮物における1.32×107に上昇し、50%の増加であった。
【0062】
【0063】
例4:濾過およびpH調整
[0075]別の実験では、濾過とpH調整との組合せが実行された。10μm、5μmおよび0.6μmのフィルターが、pHを3に調整された凝縮物において使用された。全疎水性粒子が測定され、凝縮物における粒子2.3個/mLという粒子の計数は処理された凝縮物における粒子0.5個/mLに減少し、同時に、凝縮物における5.02粒子/mLという粒子の平均サイズは処理された凝縮物における1μmに減少し、これは、処理された凝縮物における有機物の合計表面積の減少に対応する。さらに、処理されていない凝縮物中の同定された化合物の数は、47種の化合物から、溶媒を乾燥および蒸発させるために回転式蒸発器を使用した、溶媒(DCM/ジオキサン)による抽出により、処理された凝縮物においては30種の化合物に減少した。乾燥後、内容物が抽出される。GC-MSを用いた同定が用いられた。
【0064】
[0076]
図13と14とから、濾過後にはより少量の疎水性粒子を観察することができる。濾過は、通常通りに実行されてもよく、凝縮物に、有機材料を物理的に保持するためのフィルターまたは孔を通過させ、処理された凝縮物を閉鎖型ループに導入する、または処理された凝縮物をここで記載される別の処理に供する。
例5:凝固
[0077]本発明の別の態様は、凝縮物の凝固処理である。本発明に適切な凝固剤は、カチオン性またはアニオン性のポリアミンである。
【0065】
[0078]好ましくは、凝固剤は、処理前の凝縮物に存在する有機物に比例して使用される。好ましくは、1グラムの有機物に対して、0.2g~10gの凝固剤が使用される。
【0066】
[0079]凝固は、通常通りに実行されてもよく、凝縮物をポリマー凝固組成物と混合し、凝固した微粒子を処理された凝縮物から分離し、処理された凝縮物を閉鎖型ループに導入する、または処理された凝縮物をここで記載される別の処理に供する。
例6:フロック形成
[0080]本発明の別の態様は、凝縮物のフロック形成処理である。本発明に適切なフロック形成剤は、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミドまたはこれらの組合せである。異なる分子量を有するポリアクリルアミドが使用されてもよい。
【0067】
[0081]好ましくは、フロック形成剤は、処理前の凝縮物に存在する有機物に比例して使用される。本発明は、1グラムの有機物に対して、0.3g~20gのフロック形成剤を開示する。
【0068】
[0082]フロック形成は、通常通りに実行されてもよく、凝縮物をフロック形成剤組成物と混合し、フロック形成微粒子を処理された凝縮物から分離し、処理された凝縮物を閉鎖型ループに導入する、または処理された凝縮物をここで記載される別の処理に供する。
【0069】
[0083]凝縮物は、ゼータ電位が実質的に-1mV~-50mVに達するまで、フロック形成剤とともに放置される。コロイドにおいて、ゼータ電位は、荷電コロイドイオンの周りのイオン性層を横切る電位差である。言い換えれば、界面二重層中の滑り面における電位である。典型的には、ゼータ電位が高いほど、コロイドはより安定である。-15mVよりも負でないゼータ電位は、典型的には、粒子の凝集の開始を表す。ゼータ電位がゼロに等しい場合、コロイドは、析出して固形物になることになる。懸濁液およびコロイドの物理的特性は、粒子-液体界面の特性によって主に決定されるため、ゼータ電位を知ることは、実用的な用途を有し、その中でも、水および下水の処理中に、望ましくないコロイド状分散体を破壊すること、所望される効果を達成するために必要な最小量、たとえば、水処理中に水に加えられるフロック形成剤の量を計算することによって、添加剤のコストを低減すること、粘土-水系の特性を特徴付けること、その他多数を引き合いに出すことができる。
【0070】
[0084]本発明に従って実行される実験では、15分後、凝縮物からの有機物の分離が認められた。フロック形成が実行された場合、元々は380mg/LのCODと95.3mg/LのTOCとを有する凝縮物から、本発明によれば、281mg/Lの化学的酸素要求量(COD)が達成され、全有機炭素(TOC)は55.2mg/Lである。実験におけるCODは、表2の通りに低下した。
【0071】
【0072】
[0085]凝縮物は、少なくとも1分、好ましくは5分の間、凝固剤と接触したまま放置される。
例7:凝固およびフロック形成
[0086]本発明のさらなる態様では、凝固剤とフロック形成剤との組合せがある。理想的には、主な有機組成として、酪酸、チオフェンカルボン酸、バニリン酸、シリンガ酸、八硫黄、β-シトステロール、ジーヒドロ-2-フラノンおよびグルタル酸などの化合物を有するピッチとするピッチの除去が求められる。
例8:結果
[0087]本発明の方法は、硬化剤および/またはフロック形成剤と濾過との組合せを使用する場合、少なくとも50重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは90重量%、いっそうより好ましくは98重量%という凝縮物中のピッチの低減をもたらす。本発明はまた、60mg/L未満のTOC値を有する凝縮物を提供する。本発明はまた、処理されていない凝縮物と比較した場合、処理された凝縮物において、TOCの少なくとも10%、好ましくは20%の低減、より好ましくは40%の低減、いっそうより好ましくは処理された凝縮物において、TOCの60%の低減という、凝縮物中のTOCを低減する方法を提供する。
【国際調査報告】