(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ストレスの判定および管理技術
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20230919BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20230919BHJP
A61B 5/0531 20210101ALI20230919BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20230919BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
A61B5/16 110
A61B5/352 100
A61B5/0531
A61B5/11 200
A61B5/16 130
A61B5/0245 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580878
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 US2021044300
(87)【国際公開番号】W WO2022031671
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517230219
【氏名又は名称】フィットビット・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FITBIT LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブデル-ガッファール,サミー・アフメド
(72)【発明者】
【氏名】トゥロー,スチュアート・ブランシェ
(72)【発明者】
【氏名】ヘネガン,コナー・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ペレス,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】トムセン,ユリア・マリー・ドロテア
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AA14
4C017AA16
4C017AA19
4C017AA20
4C017AB02
4C017AC16
4C017AC26
4C017BB12
4C017BC11
4C017BC16
4C017BC21
4C017BC23
4C017CC02
4C017DD17
4C038PP03
4C038PQ06
4C038PS00
4C127AA02
4C127GG02
4C127GG05
4C127GG11
4C127GG15
4C127GG18
(57)【要約】
ストレス情報は、1つ以上のセンサを含むウェアラブルコンピューティングデバイスを着用しているユーザ等の、ウェアラブルデバイスに関連付けられたユーザについて判定することができる。このセンサデータのうち少なくともいくつかを、ユーザによって提供される関連データと組合わせることで、当該ユーザの現在のストレスレベルまたはストレス耐性レベルに対応し得るもの等のストレススコアを計算することができる。このストレススコアの変化は経時的に監視することができ、ユーザに情報または助言を与えるため、またはウェアラブルコンピューティングデバイスの動作を修正する等のために適切なアクションを取ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルデバイスのユーザに関するストレススコアを正確かつ自動的に計算するための方法であって、
前記ウェアラブルデバイス上の1つ以上の外部センサから、前記ウェアラブルデバイスの前記ユーザの状態に対応する第1の特徴データを受信するステップと、
前記ユーザによって提供されるとともに前記ユーザの前記状態に対応する第2の特徴データを、前記ウェアラブルデバイスのプロセッサを介して取得するステップと、
前記ウェアラブルデバイスの前記プロセッサを介して、前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データを用いてストレススコアを計算するステップと、
前記ウェアラブルデバイスの前記プロセッサを介して、前記計算されたストレススコアに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのアクションを実行するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記ストレススコアは、前記ウェアラブルデバイスの前記ユーザの現在のストレスレベルまたはストレス耐性レベルのうち少なくとも1つを表わす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の特徴データは、前記ウェアラブルデバイス上の少なくとも1つの外部EDAセンサを用いて取込まれた皮膚電気活動(electro-dermal activity:EDA)データを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの外部EDAセンサは、前記ウェアラブルデバイスのうち前記ユーザの手首から遠い側に装着される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データは、睡眠特徴、活動特徴、および心臓特徴から選択される特徴データを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データを用いて前記ストレススコアを計算するステップはさらに、前記睡眠特徴、前記活動特徴、および前記心臓特徴の加重和として前記ストレススコアを計算するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記睡眠特徴は、浅い睡眠、中断、睡眠蓄積レベル、深い睡眠/レム睡眠の持続時間、深い睡眠の潜時、または悪夢発生のうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記活動特徴は、アクティブ・ゾーン時間もしくは活動レベル、運動もしくは活動メトリクス、労作メトリクス、活動タイプ、動きパターン、または歩数カウントもしくは動きのうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記心臓特徴は、深い睡眠時の心拍数変動(heart rate variability:HRV)、安静時心拍数(heart rate:HR)上昇、安静時心拍数(resting heart rate:RHR)を超える睡眠HRのうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データは、フィットネス疲労スコア、血圧、血液組成、呼吸数、体温、代謝データ、血糖値、体重もしくは体組成、心理状態、知覚ストレス、うつ状態、声の韻律/音調/圧、血中コルチゾール/エピネフリン/ノルエピネフリンのレベル、低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein:LDL)レベル、BMI×運動、性別特有の値、または気分記録データのうち少なくとも1つから選択される特徴データを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアクションは、インターフェイスを生成すること、通知を提供すること、前記ウェアラブルデバイスの動作を修正すること、前記ユーザに助言を与えること、または、分析用のデータを送信することのうち少なくとも1つを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ウェアラブルコンピューティングデバイスであって、
1つ以上のセンサと、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を含む少なくとも1つのメモリデバイスとを備え、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記ウェアラブルコンピューティングデバイスに、
前記1つ以上のセンサから、前記ウェアラブルデバイスのユーザの状態に対応する第1の特徴データを受信することと、
前記ユーザによって提供されるとともに前記ユーザの前記状態に対応する第2の特徴データを取得することと、
前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データを用いてストレススコアを計算することと、
前記計算されたストレススコアに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのアクションを実行することとを行なわせる、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記ストレススコアは、前記ウェアラブルデバイスの前記ユーザの現在のストレスレベルまたはストレス耐性レベルのうち少なくとも1つを表わす、請求項12に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記第1の特徴データは、前記ウェアラブルデバイス上のEDAセンサを用いて取込まれた皮膚電気活動(EDA)データを含む、請求項11から13のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データは、睡眠特徴、活動特徴、および心臓特徴から選択される特徴データを含む、請求項11から14のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記命令はさらに、前記ウェアラブルコンピューティングデバイスに、前記睡眠特徴、前記活動特徴、および前記心臓特徴の加重和として前記ストレススコアを計算させる、請求項11から15のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記睡眠特徴は、浅い睡眠、中断、睡眠蓄積レベル、深い睡眠/レム睡眠の持続時間、深い睡眠の潜時、または悪夢発生のうち少なくとも1つを含む、請求項16に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記活動特徴は、アクティブ・ゾーン時間もしくは活動レベル、運動もしくは活動メトリクス、労作メトリクス、活動タイプ、動きパターン、または歩数カウントもしくは動きのうち少なくとも1つを含む、請求項16に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記心臓特徴は、深い睡眠時の心拍数変動(HRV)、安静時心拍数(HR)上昇、安静時心拍数(RHR)を超える睡眠HRのうち少なくとも1つを含む、請求項16に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つのアクションは、インターフェイスを生成すること、通知を提供すること、前記ウェアラブルデバイスの動作を修正すること、前記ユーザに助言を与えること、または、分析用のデータを送信することのうち少なくとも1つを含む、請求項12に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年8月7日に出願された米国仮特許出願第63/062,818号の利益を主張するものであって、その全体が引用により本明細書に援用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
背景
消費者デバイスを通じて利用可能な技術を含む技術の近年の進歩により、健康の検出および監視についても対応して進歩が進められてきた。例えば、フィットネストラッカーおよびスマートウォッチ等のデバイスは、当該デバイスを着用している人の脈拍または動きに関する情報を判定することができる。しかしながら、従来のデバイスの能力が原因で、このような情報の収集が制限されているため、このようなデバイスを用いて判定することができる健康情報の量およびタイプに関して技術的問題が生じる。特に、従来のデバイスは、ユーザのストレスを正確かつ自動的に示すパラメータを検出することができる能力に制限がある。
【0003】
したがって、本開示は、上述の技術的問題に対する技術的解決/利益を目指している。このため、本開示は、ウェアラブルデバイスのユーザに関するストレススコアを計算するためのシステムおよび方法を対象とする。特定の実施形態では、例えば、ストレススコアは、ユーザがウェアラブルデバイスを着用している間にEDAセンサから収集された皮膚電気活動(electro-dermal activity:EDA)データを用いて計算することができる。より具体的には、交感神経系は、人の身体全体にわたってミクロレベルの発汗を誘発させることができ、このため、ウェアラブルデバイス上のEDAセンサとユーザの手または指先との間のコンダクタンスが発汗レベルの上昇に応じて上昇するだろう。したがって、ユーザの掌または指がEDAセンサの隣りに置かれると、EDAセンサは、ユーザのストレスを正確かつ自動的に計算するためにウェアラブルデバイスが使用可能なデータを生成することができる。
【0004】
概要
本発明の局面および利点は、以下の記載に部分的に説明され得るか、または当該記載から明らかとなり得るか、または本発明を実施することで習得され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ウェアラブルデバイスのユーザに関するストレススコアを正確かつ自動的に計算するための方法を対象とする。本方法は、当該ウェアラブルデバイス上の1つ以上の外部センサから、当該ウェアラブルデバイスの当該ユーザの状態に対応する第1の特徴データを受信するステップを含む。当該方法はまた、当該ユーザによって提供されるとともに当該ユーザの当該状態に対応する第2の特徴データを、当該ウェアラブルデバイスのプロセッサを介して取得するステップを含む。さらに、当該方法は、当該ウェアラブルデバイスの当該プロセッサを介して、当該第1の特徴データおよび当該第2の特徴データを用いてストレススコアを計算するステップを含む。加えて、当該方法は、当該ウェアラブルデバイスの当該プロセッサを介して、当該計算されたストレススコアに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのアクションを実行するステップを含む。
【0006】
一実施形態では、当該ストレススコアは、当該ウェアラブルデバイスの当該ユーザの現在のストレスレベルまたはストレス耐性レベルのうち少なくとも1つを表わす。
【0007】
別の実施形態では、当該第1の特徴データは、当該ウェアラブルデバイス上の少なくとも1つの外部EDAセンサを用いて取込まれた皮膚電気活動(electro-dermal activity:EDA)データを含む。このような実施形態では、当該外部EDAセンサは、当該ウェアラブルデバイスのうち当該ユーザの手首から遠い側に装着され得る。
【0008】
さらなる実施形態では、当該第1の特徴データおよび当該第2の特徴データは、睡眠特徴、活動特徴、および心臓特徴から選択される特徴データを含み得る。このような実施形態では、当該第1の特徴データおよび当該第2の特徴データを用いて当該ストレススコアを計算するステップはさらに、当該睡眠特徴、当該活動特徴、および当該心臓特徴の加重和として当該ストレススコアを計算するステップを含む。
【0009】
付加的な実施形態では、当該睡眠特徴は、浅い睡眠、中断、睡眠蓄積レベル、深い睡眠/レム睡眠の持続時間、深い睡眠の潜時、または悪夢発生のうち少なくとも1つを含み得る。
【0010】
特定の実施形態では、当該活動特徴は、アクティブ・ゾーン時間もしくは活動レベル、運動もしくは活動メトリクス、労作メトリクス、活動タイプ、動きパターン、または歩数カウントもしくは動きのうち少なくとも1つを含み得る。
【0011】
さらなる実施形態では、当該心臓特徴は、深い睡眠時の心拍数変動(heart rate variability:HRV)、安静時心拍数(heart rate:HR)上昇、安静時心拍数(resting heart rate:RHR)を超える睡眠HRのうち少なくとも1つを含み得る。
【0012】
さらに付加的な実施形態では、当該第1の特徴データおよび当該第2の特徴データは、フィットネス疲労スコア、血圧、血液組成、呼吸数、体温、代謝データ、血糖値、体重もしくは体組成、心理状態、知覚ストレス、うつ状態、声の韻律/音調/圧、血中コルチゾール/エピネフリン/ノルエピネフリンのレベル、低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein:LDL)レベル、BMI×運動、性別特有の値、または気分記録データのうち少なくとも1つから選択される特徴データを含み得る。
【0013】
別の実施形態では、当該アクションは、インターフェイスを生成すること、通知を提供すること、当該ウェアラブルデバイスの動作を修正すること、当該ユーザに助言を与えること、または、分析用のデータを送信することのうち、少なくとも1つを含み得る。
【0014】
別の局面では、本開示は、ウェアラブルコンピューティングデバイスを対象とする。当該ウェアラブルデバイスは、1つ以上のセンサと、少なくとも1つのプロセッサと、命令を含む少なくとも1つのメモリデバイスとを備え、当該命令は、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、当該ウェアラブルコンピューティングデバイスに、当該1つ以上のセンサから、当該ウェアラブルデバイスのユーザの状態に対応する第1の特徴データを受信することと、当該ユーザによって提供されるとともに当該ユーザの当該状態に対応する第2の特徴データを取得することと、当該第1の特徴データおよび当該第2の特徴データを用いてストレススコアを計算することと、当該計算されたストレススコアに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのアクションを実行することとを行なわせる。
【0015】
図面の簡単な説明
本開示に従った様々な実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】様々な実施形態に従ってユーザ健康情報を取得および分析するために使用可能な例示的なデバイスを示す図である。
【
図1B】様々な実施形態に従ってユーザ健康情報を取得および分析するために使用可能な例示的なデバイスを示す図である。
【
図2】様々な実施形態に従って通信することができるデバイスの例示的なセットを示す図である。
【
図3】様々な実施形態に従って利用可能な例示的なストレススコアアルゴリズムを示す図である。
【
図4】様々な実施形態に従って提供可能な例示的なインターフェイスを示す図である。
【
図5】様々な実施形態に従って提供可能な例示的なインターフェイスを示す図である。
【
図6】様々な実施形態に従って提供可能な例示的なインターフェイスを示す図である。
【
図7】様々な実施形態に従って利用可能なストレススコアを判定するための例示的なプロセスを示す図である。
【
図8】様々な実施形態に従って利用可能なユーザに関するストレスを監視するための例示的なプロセスを示す図である。
【
図9】様々な実施形態の局面が実現可能な例示的な環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
以下の説明では様々な実施形態について説明する。説明の目的で、実施形態を完全に理解できるようにするために、具体的な構成および詳細を記載する。しかしながら、これらの実施形態が具体的な詳細なしに実施され得ることも当業者に明らかとなるだろう。さらに、記載する実施形態を不明瞭にしないために、周知の特徴は省略または簡略化される可能性もある。
【0018】
コンピューティングデバイスがより広く普及するとともに携帯可能になるにつれ、健康モニタリングおよび診断の分野において多くの利点が認められようになってきている。コンピューティングデバイス、特に、ユーザが着用または携行できるデバイスは、ユーザおよび/またはユーザ周囲の環境に関する生理学的情報を検出するための1つ以上のセンサを含み得る。この情報は、従来な診療所または実験室の外で様々な健康状態を観察、検出または診断するために用いることができる。例えば、ストレスを監視する状況では、携帯可能または着用可能な電子デバイスは、ユーザの交感神経系がユーザの身体全体にわたるミクロレベルの発汗をいつ引起こすのかを検出可能であり得る。加えて、コンピューティングデバイスは、健康評価を判定するために、ユーザおよび/または環境に関して検出された情報を記録および翻訳することが可能であり得る。前述の例と同様に、着用可能な電子デバイスは、時間のスライディングウィンドウ内の皮膚コンダクタンスのスパイク数に着目して、比較的高頻度の皮膚コンダクタンス反応(skin conductance response:SCR)を記録し、ユーザがストレスを受けているという評価を生成することが可能であり得る。
【0019】
様々な実施形態に従ったアプローチは、ユーザのストレスまたは他のこのような状態を示し得る要因の判定、予測および/または監視を行なう。少なくとも1つの実施形態では、この判定は、
図1Aの実施形態に示すデバイス100等のウェアラブルコンピュータによって収集されるデータに少なくとも部分的に基づいて行なうことができる。本明細書に記載の様々な実施形態では、人は、自身の健康または快適さについての少なくともいくつかの局面を自動的に測定または判定することができるデバイス100を着用または利用することができる。特に、
図1Aに示すように、デバイス100はスマートウォッチ104であるが、スマート式またはコネクティッド式のフィットネスバンドまたはトラッカ、腕時計、リング、イヤホン、電話、衣服など他のデバイスも、様々な実施形態の範囲内で利用可能である。この例では、人は、腕102または手首にデバイス100を着用することができ、健康情報を含み得るようなコンテンツをデバイスのディスプレイ106上で閲覧することができる。多くの実施形態では、ディスプレイ106はタッチセンサ式ディスプレイであって、本明細書の他の部分で説明するように、人が自身の健康または状態に関する情報の入力または注釈付けできるようにするものである。
【0020】
ここで
図1Bを参照すると、デバイス100は、デバイス100の背面
図150に示すように、様々な測定構成要素152、154(本明細書ではセンサとも称する)を含み得る。より具体的には、図示のとおり、デバイス100は、1つ以上の内部センサ152および/または1つ以上の外部センサ154を含んでもよく、これらセンサは、ユーザに関する情報を測定または検出するのに使用可能なEDAセンサならびに/または動きセンサおよび温度センサ等の任意の好適なタイプのセンサを含んでもよい。さらに、一実施形態では、測定構成要素152、154は、光学測定サブシステムを含み得るかまたはそれに関連し得る。この例では、光学測定サブシステムは、少なくとも1つの光エミッタおよび少なくとも1つの受光器を含む。エミッタは1以上の波長の光を発することができ、当該光は、着用者の皮膚表面から反射され得るか、または、当該皮膚表面の下を移動した後に拡散反射され、当該エミッタのうち少なくとも1つによって検出され得る。このような光学アセンブリは、人がデバイスを着用している間にスマートウォッチが様々なタイプの情報を測定することを可能にし得る。さらに別の実施形態では、外部センサ154は、ユーザの掌または指によって容易にアクセス可能なEDAセンサを含んでもよく、このため、ユーザはEDAセンサに容易に接触することができ、これにより、センサは、ユーザのストレスを正確かつ自動的に計算するためにデバイス100が使用可能なデータを生成することができる。したがって、本開示は、EDAセンサ154を介してユーザのストレスを正確かつ自動的に計算する実際的な用途に関連している。
【0021】
図2は、様々な実施形態の局面が実現可能である例示的な環境200を示す。この例では、人は、少なくとも1つの無線通信プロトコルを用いて通信することができるいくつかの様々なデバイスを有し得る。この例では、ユーザはスマートウォッチ202またはフィットネストラッカーを有してもよく、ユーザは、これを通じてスマートフォン204およびタブレットコンピュータ206と通信できることを望む可能性がある。複数のデバイスと通信することができるので、ユーザが、スマートフォン204またはタブレットコンピュータ206にインストールされたアプリケーションを用いて、スマートウォッチ上のセンサを用いて取込まれた心拍数データ等の情報をスマートウォッチ202から取得することが可能になり得る。ユーザはまた、スマートウォッチ202がサービスプロバイダ208または他のこのようなエンティティと通信可能であることを望む可能性もある。このサービスプロバイダ208または他のこのようなエンティティは、当該スマートウォッチからデータを取得して処理することができるとともに、スマートウォッチ上または個々のデバイス上にインストールされたアプリケーション上では利用できない可能性のある機能を提供することができるものである。スマートウォッチ202は、インターネットまたはセルラーネットワーク等の少なくとも1つのネットワーク210を介してサービスプロバイダ208と通信可能であってもよく、または、少なくとも1つのネットワークを介して通信することのできる個々のデバイスのうちの1つと、Bluetooth(登録商標)等の無線接続を介して通信してもよい。様々な実施形態では、他のタイプのいくつかの通信または通信についてのいくつかの根拠があり得る。
【0022】
簡潔に通信できることに加えて、ユーザはまた、デバイスがいくつかの方法でまたは特定の局面で通信可能となることを望む可能性もある。例えば、ユーザは、特にデータが個人の健康データまたは他のこのような通信情報を含み得る場合、デバイス間の通信がセキュリティ保護されていることを望む可能性がある。デバイスまたはアプリケーションプロバイダも、少なくともいくつかの状況においてこの情報をセキュリティ保護することが要求される可能性がある。ユーザは、デバイス同士が順々にではなく同時に互いと通信できることを望む場合もある。これは、ペアリングが必要とされ得る場合に特に当てはまり得る。というのも、ユーザは、各デバイスのペアリングが多くても一回であること、または手動でのペアリングが不要であることを好む可能性があるからである。ユーザはまた、ユーザ側での手動介入がほとんど不要となるだけではなく、デバイスが可能な限り多くの他のタイプのデバイスと通信することも可能となる(これは様々な独自仕様フォーマットの場合には該当しないことが多い)ように、可能な限り標準規格ベースでの通信を所望する可能性もある。このため、ユーザは、1つのデバイスを携帯して部屋中を歩き回りながら、ユーザ側での労力を殆どまたは全く要することなく当該デバイスを別の目標デバイスと自動的に通信させることを可能にすることを望む場合もある。様々な従来のアプローチでは、デバイスは、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area networking:WLAN)を用いて他のデバイスと通信するためにWi-Fi(登録商標)等の通信技術を利用するだろう。多くのモノのインターネット(Internet of Thing:loT)デバイス等のより小型またはより低容量のデバイスは、代わりに、Bluetooth(登録商標)、特に、極めて低電力消費のBLE(Bluetooth Low Energy)等の通信技術を利用する。
【0023】
さらなる実施形態では、
図2に示す環境200は、いくつかの様々な方法でデータを取込み、処理し、表示することを可能にする。例えば、データはスマートウォッチ202上のセンサを用いて取込まれてもよいが、そのスマートウォッチ上のリソースが限られているため、データは処理のためにスマートフォン204またはサービスプロバイダ208(またはクラウドリソース)に転送されてもよく、次いで、その処理の結果が戻されて、スマートウォッチ202、スマートフォン204、またはそのユーザに関連付けられた別のこのようなデバイス、例えばタブレットコンピュータ206等の上で当該ユーザに提示されてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、ユーザはまた、これらのいずれかのデバイス上のインターフェイスを用いて、健康データ等の(後にその判定時に考慮され得る)入力を提供することが可能であり得る。
【0024】
少なくとも1つの実施形態では、ユーザに関して判定されたデータを用いて、そのユーザの現在のストレスレベルまたは状態に関連し得るような状態情報を判定することができる。このデータのうち少なくともいくつかは、ユーザの局面を測定または検出することができるセンサまたは構成要素を用いて判定することができる一方、他のデータは、そのユーザによって手動で入力され得るかまたは別の方法で取得され得る。少なくとも1つの実施形態では、いくつかの様々な入力を入力として採用するストレス判定アルゴリズムを利用することができ、この場合、様々な入力は手動で、自動的に、または別の方法で取得することができる。少なくとも1つの実施形態では、このようなアルゴリズムは、様々なタイプの要因を採用し、これらの要因を用いてストレススコアを生成することができる。このようなストレススコアの1つは、
図3のアプローチ300に示すように計算することができる。この例では、ストレススコアは、様々なタイプの要因の加重和として計算される。少なくとも1つの実施形態では、これらのタイプの要因は、睡眠特徴(例えば、浅い睡眠、中断)、活動特徴(例えば、相対的AZM、相対的歩数)、および/または、心臓特徴(例えば、HF/LF HRV、安静時の心拍数上昇)、並びに、電気皮膚活動(EDA)等の入力を含み得る。この場合、EDAは電気皮膚反応を測定するために用いることができる。少なくとも1つの実施形態では、これらの要因を正規化し、次いで、テスト、機械学習、または他のこのようなアプローチによって重みを判定することができる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、これらの要因は少なくとも12の様々なメトリクスで構成され得る。しかしながら、様々な数、選択肢、タイプ、または変形例が様々な実施形態に従った様々なアルゴリズムと共に使用可能であることを理解されたい。睡眠特徴に関する第1の特徴タイプは以下のような特徴を含み得る。浅い睡眠の値の睡眠スコアは、睡眠中の動きの量の尺度を提供することができ、これは、30日等の期間にわたって一人の人について正規化され得る。浅い睡眠は公知の生理学的ストレスマーカである。中断特徴は、30分等の時間の閾値量よりも長く人が目覚めていた回数(WASO)を示すことができ、30日等の期間にわたる平均として正規化され得る。中断された睡眠は生理学的ストレスマーカであることも公知である。睡眠蓄積レベルは、人が、例えば、人口レベルに対して正規化されたスコアに影響を及ぼす日がより少ない過去1週間の間どれだけ十分に睡眠したかを示す。このメトリクスは、この過去1週間からユーザの睡眠を分析して、複数回の質の悪い夜間睡眠を必ずしも1回の夜間睡眠だけで回復させることができるわけではないという事実を説明するものである。睡眠の持続時間全体も感情調節不良の原因となる可能性があり、良質な夜間睡眠後にストレスを誘発し得ないような状況はストレスがたまり易くなる可能性がある。少なくとも1つの実施形態では、ユーザの睡眠蓄積レベルが枯渇するペースを計算するために1セットの定数を判定および/または利用することができる。睡眠蓄積レベルは、直近の期間にわたってユーザが取った安らかな睡眠(例えば、過去7日間の睡眠)の蓄積量を表わし得る。ユーザがいくらか断続的な睡眠、非常に浅い睡眠または非常に短い睡眠を取っていた場合、この蓄積レベルが枯渇し、様々なペースでゼロに近づくこととなる。ユーザが、過去7日にわたり毎日少なくとも7時間睡眠して非常に十分に休息していた場合、この値は1という最大正規化値により近くなる可能性がある。このようなアプローチでは、ユーザ自身の睡眠が不足する割合を判定したり、特定の睡眠期間がどのように蓄積し得るかを睡眠の点から判定したりすることを可能にする特定の定数を用いて、正規化された睡眠蓄積スケールに睡眠計算をマッピングし得る。一実施形態では、第1の睡眠期間は安らかな睡眠としてカウントされず、その最初の期間を超える睡眠のみが安らかな睡眠としてカウントされると判定される。この最初の期間の後、ユーザは睡眠を蓄積していると判定され得る。次いで、その最初の期間後の睡眠の状態またはタイプにより、回復中である安眠状態の量または割合を判定することができる。
【0026】
深い睡眠および/またはREM睡眠の持続時間は、例えば、過去30日等の期間にわたる人口統計学的な群平均を用いて正規化された、直近の一晩の間に深い睡眠が何分あったかと、当該一晩にわたる急速眼球運動(rapid eye movement:REM)睡眠のパーセンテージとを示し得る。深い睡眠の潜時の特徴は、眠りに落ちた後に最初に深い睡眠に入る前の数分を示すことができ、これは、例えば、過去30日にわたる個人平均を用いて正規化することができる。睡眠の開始と最初の深い睡眠の期間との間の潜時がより長い場合、これは生理学的ストレスマーカであることが知られている。
【0027】
少なくとも1つの実施形態では、いくつかの様々な活動特徴が存在し得る。これはアクティブ・ゾーン時間(分)(active zone minute:AZM)特徴を含み得る。このAZM特徴は、例えば、推奨される150/週に対する人口群レベルを用いて正規化された、アクティブ・ゾーン時間の週単位の数を含む。特徴値は、AZMが約150の範囲よりも大きいかまたは小さい場合に増加し得る。少なくともいくつかの実施形態では、これらのアクティブ・ゾーン時間は、デバイス上の動きセンサおよび心拍数センサ等のセンサを用いて判定され得る。毎週の活動が少なすぎると、結果としてコルチゾールレベルが上昇し、ストレス要因としての知覚イベントによってより影響され易くなる可能性がある。なぜなら、軽度から中程度の運動がストレスに対する「防御」として作用するからである。運動は定義上ストレス要因であるので、毎週の活動が多すぎると、結果として疲労をもたらす可能性がある。ストレス要因は、過労または緊張の状態を引起こし、結果としてストレス反応をもたらす刺激またはイベントを表わす。ストレス反応または症状は、身体がホメオスタシスを維持しようと試みてストレス要因に反応した時にこの身体に起こる生理学的変化および心理学的変化を表わしている。単一のストレス要因によって複数のストレス反応が誘発され得る。心理学的ストレス反応は人と環境との間の関係を表わしており、この関係は、人のリソースに重い負担が掛かるかまたは当該リソースを超過してしまい、その人の健康健全性が脅かされた時にこの人自身によって評価される。別の特徴は、1日当たり等の期間にわたる歩数合計に対応する歩数カウント値であり得る。これは、30日等の期間にわたる人口統計学的な群平均を用いて正規化することができる。毎日の歩数が少な過ぎると、結果としてコルチゾールレベルが上昇し、ストレス要因としての知覚イベントによってより影響され易くなる可能性がある。なぜなら、軽度から中程度の運動がストレスに対する「防御」として作用するからである。運動は定義上ストレス要因であるので、毎日の歩数が多すぎると疲労をもたらす可能性がある。活動を示す他の要因も存在し得る。この場合、様々なタイプのデータを分析して、様々なタイプまたは量の活動を判定する。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、ストレス判定に含まれる様々な心臓特徴が存在し得る。1つの心臓特徴は、深い睡眠時の低周波(low-frequency:LF)心拍値(heart rate value:HRV)に対する高周波(high-frequency:HF)HRVである。少なくとも1つの実施形態では、これは交感神経活動/副交感神経活動間の交感神経迷走神経バランスを取込んだものであり、30日等の期間にわたる人口統計学的な群平均によって正規化することができる。深い睡眠およびREM睡眠が不足すると、感情調節がより困難になり、良質な夜間睡眠後にストレスを誘発し得ないような状況はストレスがたまり易くなる可能性がある。心拍数変動(heart rate variability:HRV)は、心拍間の変動を時間単位で定量化したものである。多くの様々なHRVメトリクスが存在し、高周波(HF)パワーに対する低周波(LF)パワーは、交感神経迷走神経バランスを定量化したものであり、数字が大きいほどSNS活動が多いことを意味し、数字が小さいほどPNS活動が多いことを意味する。このメトリクスは、日中にSNSが最も高い場合、最も安らかな睡眠となるので、深い睡眠の期間中のLF/HR HRVのみを考慮する。別の特徴は、安静時の心拍数(HR)の上昇に関連し得る。これは、30日等の期間にわたる個人平均を用いて正規化され得るような、閾値を上回る安静時HRの量および大きさに対応し得る。日中の安静時の心拍数の上昇は交感神経系バランスの上昇を示す徴候であり、これは、交感神経系(sympathetic nervous system:SNS)活動が過剰であり、副交感神経系(parasympathetic nervous system:PNS)活動が充分でないことを意味する。ストレスは結果として交感神経迷走神経バランスを上昇させる一方で、貧血、カフェイン、アルコール、発熱、高血圧もしくは低血圧、(場合によっては脱水症による)電解質不均衡、甲状腺機能亢進症、喫煙、または薬物療法を含む他の多くのものが心拍数の上昇をもたらす可能性がある。
【0029】
安静時心拍数(resting heart rate:RHR)を上回る睡眠時心拍数は、未処理のパーセンテージとして絶対メトリクスを用いて正規化され得るような、ユーザのHRが安静時HRを上回る睡眠中の時間のパーセンテージを示し得る。安静時HRの上昇と同様に、これは交感神経-迷走神経バランスの尺度でもあるが、日中ではなく睡眠中のHRを定量化したものである。このメトリクスは多くの要因によって高くなり得るが、特に睡眠前にアルコールを飲むと高くなる。30日~90日等の期間にわたる個人の最小範囲/最大範囲を用いて正規化され得るように、運動の疲労効果と運動のフィットネス効果とのバランスを取って単一のスコアにしたフィットネス疲労スコアを計算することができる。このスコアは、心拍数によって測定されるような、長期にわたる個人のフィットネスレベルと短期にわたる個人の疲労とに対して運動がもたらす二重の寄与を測定したものである。毎週の活動および毎日の歩数と同様に、高い疲労レベルは、定義上、安静を必要とするストレスである。フィットネス疲労は人の心臓を線形系としてみなし得る。ある期間にわたって心拍数を測定することにより、フィットネス疲労スコアによって定量化されるように、人体の疲労量の蓄積を表わすことができる。ユーザが運動のような高心拍数イベントを経験すると、この運動の疲労効果を反映してこのスコアが下がる時間が発生することとなる。その期間後、体調がより良くなって運動に対する体の耐性が上がり、将来の運動イベントに対する準備がより適切に整ったという事実を反映するように、スコアが上昇する期間が生じることとなる。
【0030】
少なくとも1つの実施形態では、EDAデータは上述のようにストレス判定要因とみなすこともできる。EDAデータを取込むかまたは判定するためのアプローチは、「覚醒の開始に対する検出および反応(DETECTION AND RESPONSE TO AROUSAL ACTIVATIONS)」と題された同時係属出願に記載されており、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に援用されている。交感神経系の活動は発汗を引起こし、EDAはユーザの皮膚にわたるコンダクタンスの量を測定して、現在のSNS活動の量を定量化する。このメトリクスは、少なくともいくつかの実施形態ではPNSを測定しないので、他の心臓関連のメトリクスとは異なり、交感神経迷走神経バランスの真の尺度ではなく、単にSNS活動だけを提供し得る。特徴値は、瞑想セッションおよびチェックインセッション中のEDA活動に関連し得る。例えば、ユーザがEDAセッションを用いて瞑想セッションまたは「チェックイン」セッションを記録した場合、すべてのセッションにわたるそれらの平均EDAスコアをそれらのベースライン値と比較することができ、特徴は、例えば0ポイント、1ポイントまたは2ポイントのスコアを受取ることができる。セッションが記録されなかった場合、受信し得るのは1ポイントであり得る。一実施形態では、その日にEDAを記録しなかったユーザは1ポイントを得る可能性があり、ガイド付きEDAセッションを行なったユーザは(アライメントに関係なく)2ポイントを得る可能性があり、ガイドなしEDAセッションを行なったユーザは、有効なEDAセッションのうち最後の30日に対するセッションの平均を用いる。セッションが平均より高い場合、それらのユーザは0ポイントを得る。セッションが平均前後である場合、ユーザは1ポイントを得る。セッションが平均未満である場合、ユーザは2ポイントを得る。
【0031】
少なくとも1つの実施形態では、ストレススコア計算でのEDAの重み付けは、EDA値の精度または個々のユーザに関するそのデータの相対的重要性等の要因に部分的に依存し得るように変動する可能性がある。少なくとも1つの実施形態では、EDAは、交感神経系活動の量を定量するためのプロキシとしての役割を果たし得る。このデータは、瞬間的に起こるこの活動を表わし得る。交感神経系は、人の身体全体にわたってミクロレベルの発汗を誘発させることができ、このため、発汗レベルが上昇するのに応じて、センサとユーザの手または指先との間のコンダクタンスが上昇するだろう。より高いコンダクタンスが検出される場合、これは、より高い交感神経系活動を表わし得る。少なくとも1つの実施形態では、少なくとも2つの異なるEDAメトリクスを監視することができる。第1のメトリクスは皮膚コンダクタンスレベルと呼ばれる色調メトリクスであり、経時的に絶対レベルをチェックして、その値が増加しているかまたは減少しているかを調べる。第2のメトリクスは皮膚コンダクタンス反応(SCR)を表わしており、持続時間中の1分のウィンドウ等の時間のスライディングウィンドウ内の皮膚コンダクタンスのスパイク数を調べたものである。したがって、SCRは、EDAコンダクタンスレベルでのスパイクの1分当たりのカウントを表わし得る。少なくとも1つの実施形態では、このような目的のために連続的なEDA判定が実施できる一方で、離散的または周期的なEDA信号はこのような粒度判定をサポートしない可能性がある。
【0032】
少なくとも1つの実施形態では、アルゴリズムは、これらの特徴および/または他のこのような特徴のうちの少なくともいくつかを利用して、ユーザの現在、過去または将来のストレス状態を表わすストレススコアを生成することができる。このようなスコアを利用するシステムまたはサービスは、身体的ストレスおよび/または知覚ストレスと相関させることができるリアルタイムメトリクスを提供し得る。このようなシステムは、物理的ストレスまたは知覚ストレスに関連するデータの収集に関連し得るようなユーザによる手動入力を提供し得る。少なくとも1つの実施形態では、このようなシステムは、広範なユーザ分布にわたって慢性ストレスを測定したものである知覚ストレススケール(perceived stress scale:PSS)調査結果を取込むことができる。このようなシステムはまた、毎日の生理学的ストレスおよび/またはストレス容量のメトリクスを生成することができる。少なくとも1つの実施形態では、アルゴリズムは、ストレス容量および/またはストレス耐性を反映するように転化され得る生理学的ストレスの「専門家ガイド付き」判定を表わすストレススコアを計算することができる。少なくとも1つの実施形態では、低いストレス容量または耐性スコアは高レベルのストレスを示し得るが、高い耐性スコアは、その日の認知的/感情的/身体的な要求に対する準備状態を示し得る。
【0033】
図4は、少なくとも1つの実施形態に従ってユーザに提供可能な例示的なディスプレイまたはインターフェイスを示す。この例では、第1のインターフェイス400は、ストレススコアフィールドを含む情報、ならびに追加のストレスデータを取得するためのオプションを提供する。第2のインターフェイス410は、この場合は特定の週にわたって経時的にプロットされたストレススコアのセットを提供する。このような情報は、ユーザが傾向を識別するのを助け得るとともに、別々の日のイベントを別々のストレスレベルまたはスコアと相関させるのを助け得る。図示のように、ユーザは、比較のために日毎にプロットすることもできる様々なレベルのストレスに対するフィードバックを提供できる可能性もある。第3のインターフェイス420は、その週または期間にわたる気分等の他の情報を提供することができる。少なくとも1つの実施形態では、反応性、労作バランス、または睡眠パターンもしくは睡眠スコアに関連し得るような、ストレススコアに対する様々なサブスコアまたはコンポーネントが存在し得る。第4のインターフェイス430は、ユーザが現在の気分または状態に関するフィードバックを提供することを可能にし得る。
【0034】
図5は、別の実施形態に従ってユーザに提供可能な追加のインターフェイスを示す。この例では、各インターフェイスは、ユーザによってストレスの絶対レベルとして解釈され得るストレススコアではなく、ストレス耐性に関連する情報を提示する。第1のインターフェイス500は、ストレス耐性スコアとともに、直近に提示されたストレス状態(およびその状態が提示された時間)を提示することができる。第2のインターフェイス510は、ストレス耐性データの入力または取得をまだ開始していないユーザに対して、例えば当該ユーザが少なくともいくつかのデータまたは許可をその提示前に必要とし得る場合などに、提示され得る。第3のインターフェイス520は、上述したような個々のストレス耐性コンポーネントについてのデータを含む、経時的なストレス耐性の様々な表示を提供する。このようなインターフェイスは、提示のためにこのような値の判定時に使用可能な新しい、追加の、または更新済みのフィードバックをユーザが提供することも可能にし得る。
【0035】
図6は、さらに別の実施形態に従ってユーザに提供可能な追加のインターフェイスを示す。第1のインターフェイスページ600はストレス耐性データの別の表示を経時的に提示するものであり、特に、耐性値を提示するのではなく、別々の日についてのストレスレベルまたはストレス状態の分布を提示する。第2のインターフェイス610は、これらのスコア、これらスコアに含まれるもの、および様々なスコアが表わすものをユーザが理解するのを助ける情報を提示する。他の様々なデータおよびインターフェイスが様々な実施形態に従って同様に使用可能である。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、データは、3つのストレススコア群、すなわち、労作群、心臓群および睡眠パターン群に分類することができる。このような実施形態では、労作群は、毎週の活動、毎日の歩数、およびフィットネス疲労スコア、または労作バランスに関するデータを含み得る。心臓群は、安静時のHRの上昇、RHRを超える睡眠HR、深い睡眠HRV、および場合によってはEDAを含み得る。このデータは、ユーザの神経系、反応性、神経刺激、神経測定基準および刺激を表わし得る。睡眠パターン群は、浅い睡眠、睡眠中断、深い睡眠の潜時、深い睡眠およびレム睡眠の持続時間、ならびに睡眠蓄積レベルに関するデータを含み得る。
【0037】
少なくとも1つの実施形態では、ストレススコアは0~100の範囲の値を有し得る。この場合、100の値は、ユーザの身体が多くのストレスの徴候を示していたことを意味し得る。代替的には、100のストレス耐性スコアは、ユーザがストレスの徴候をほとんどまたは全く示していないことを意味し得る。他の値またはメトリクスも同様に使用可能である。
【0038】
このようなインターフェイスおよび情報は、全体的な管理ツールを提供しよう試みる可能性もある。したがって、このようなアプローチは物理的ストレスおよび精神的ストレスの両方を分析することができる。ユーザが睡眠スコア等の他のスコアとともに自身の毎日または現在のストレススコアを直ちに得ることを可能にするインターフェイスを提供することができる。このような情報はまた、ユーザが自分の気分について回顧すること、および、その情報の記録または提供をユーザに思い出させることを支援し得る。上述したように、ユーザは、追加のデータ、例えば、現在のストレス状態またはスコアならびにその判定のために使用される様々なコンポーネントに関する付加的情報を当該ユーザが取得することができるストレス詳細ページ等、にアクセスすることもできる。少なくともいくつかの実施形態では、ユーザは、対象の追加情報を得るためにデータコンポーネントを掘り下げて調査することが可能であり得る。いくつかの実施形態では、ユーザが1日、1週間、または1ヶ月等にわたる傾向を閲覧したい場合などに利用可能な複数の画面も存在し得る。様々な実施形態に示すように、センサおよびデバイスは身体的ストレスに関するデータを提供できるかもしれないが、ユーザは、少なくとも特定のタイプの精神的ストレスデータに関する精神的ストレスデータの最良のソースであり得る。ユーザは、現在の気分もしくは知覚ストレスレベルを記録するかまたは他のこのような情報を提供することが可能であり得る。少なくとも1つの実施形態では、相関性改善のために提供するためにEDAスキャン後に気分またはストレスのデータを入力するようにユーザに促すことができる。このようなアプローチは、EDAデータをユーザの身体的健康および精神的健康の全体像に組込むのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、ストレス判定を経時的に動的に更新するために使用可能である周期的または連続的なEDA測定を提供することができる。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、ストレススコア判定アルゴリズムは、ユーザのストレスレベルに影響を及ぼし得る様々な要因を考慮に入れる。これらの要因の重み付けは、複数のユーザまたは様々なタイプのユーザに関して判定することができる。少なくともいくつかの実施形態では、これらの重み付けは、精度を向上させるために個々のユーザに適合させることもできる。例えば、睡眠段階アルゴリズムは、特定のユーザにとってストレスレベルに有意な影響を及ぼす可能性のある睡眠期間を区別するために使用することができる。さらに、一晩全体に対する特定の睡眠状態でのHRV等の要因を調べることにより、追加の見通しを提供することができる。例えば、深い睡眠持続時間とレム睡眠持続時間とを組合わせることで、これらの期間が概して体調をより回復させる期間であるという有益な見通しを提供することができる。8時間の浅い睡眠を取ることと、4時間の浅い睡眠および4時間の深い睡眠およびREM睡眠を取ることとの間には有意な差があり得る。さらに、精神的ストレス要因は身体的ストレス要因よりも様々なユーザに対してより重大な影響を及ぼす可能性があるが、これら両方の要因はこのようなアルゴリズムによって考慮され得る。心拍数/心拍数変動ならびにEDAまたは他のこのようなデータとともに、運動または労作、睡眠、および自律神経系活動の代わりとなるものについて様々な領域にわたって様々なタイプのメトリクスを調べることにより、追加の利益を得ることができる。身体的ストレスレベルを知覚ストレスレベルと比較することもユーザにとって有用な利益となり得、これにより、ユーザは自身のストレスをより良く理解することができる。
【0040】
少なくともいくつかの実施形態では、ストレス判定は、加重要因および正規化要因の線形または非線形の組合わせであり得る。この場合、これらの要因は個人の分類、人口統計学的分類または他のこのような分類に基づいて正規化され得る。いくつかの実施形態では、いくつかの要因は反転される必要があるかもしれない。この場合、いくつかの要因はより高いストレスレベルを表わし、他の要因はより低いストレスレベルを表わしている。例えば、一実施形態では、反転された要因は、深い睡眠およびレム睡眠の持続時間、睡眠蓄積レベル、およびフィットネス疲労スコアを含む。いくつかの要因はzスコアベースのアプローチを利用することができ、1のzスコアは平均を上回る1つの標準偏差などを表わしている。上述のように、要因は、ユーザごとまたは人口統計群ごとなど、様々な期間および様々な分類群にわたって正規化することもできる。いくつかの実施形態では、測距関数をzスコアリングの後に適用して、すべての値を0と1との間等の判定された範囲内に収めることができる。いくつかの実施形態では、これは線形の整流および補間を含み得る。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、ストレススコアは、100のスケールに対して80等の単一のスコアがすべてのユーザに関して同じストレスレベルまたはストレス耐性を表わすように判定することができる。他の実施形態では、値は、別々のユーザに関する別々の物事を意味し得る。この場合、たとえば、第1のユーザが50の平均ストレスレベルを有し得る一方で、別のユーザが80の平均ストレスレベルを有し得るものであり、このため、70の値はそれらの2人のユーザに関する別々の物事を意味し得ることとなる。
【0042】
さらに、様々なアルゴリズムにおいて、または様々なユーザに関して、様々な要因が考慮され得る。例えば、非常に活動的であるユーザには、活動的ではないユーザとは異なるアルゴリズムが利用され得る一方で、様々なタイプの入力が利用可能である様々なデバイスのために様々なアルゴリズムも利用され得るか、または、ユーザは、特定のセンサを停止させるオプションもしくは収集すべきデータのタイプを制限するオプションを有し得る。一実施形態では、睡眠特徴、活動特徴、および心臓特徴(または「反応性」特徴)を含む少なくとも3つのカテゴリの要因を収集することができる。いくつかの実施形態では、EDAまたは同様のデータが同様に利用されてもよい。いくつかの実施形態では、利用され得るこれらのカテゴリ内の要因は、浅い睡眠、中断、睡眠蓄積レベル、深い睡眠/レム睡眠の持続時間、深い睡眠の潜時、アクティブ・ゾーン時間または活動レベル、歩数カウントまたは運動、深い睡眠HRV、安静時のHRの上昇、RHRを上回る睡眠HR、およびフィットネス疲労スコアを含み得る。他の要因は、様々な運動または活動のメトリクス、ならびに労作バランスメトリクスを含み得る。さらなる要因として、利用可能な場合、血圧、血液組成、呼吸数、体温、代謝データ、血糖値、体重もしくは体組成、心理状態、知覚ストレス、うつ状態、活動タイプ、または現在の運動パターン(例えば、歩行)を含み得る。他の要因として、声の韻律/音調/圧、血中コルチゾール/エピネフリン/ノルエピネフリンのレベル、低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein:LDL)レベル、BMI×運動、性別特有の値、または気分記録データを含み得る。
【0043】
ここで
図7を参照すると、利用可能なユーザのストレススコアを判定するための例示的なプロセス700の一実施形態のフロー図が示されている。本明細書に記載のプロセスには、特に規定しない限り、様々な実施形態の範囲内で、同様の順序もしくは代替的な順序で、または少なくとも部分的に並行して実行される、追加のステップ、より少ないステップ、または代替的なステップが存在し得ることを理解されたい。この実施形態では、(702)に示すように、プロセス700は、ウェアラブルデバイスに関連付けられたユーザに関するストレス判定を開始するステップを含む。この開始は、他のこのようなソースの中でも特に、ユーザ、ウェアラブルデバイスまたは関連デバイスから行なうことができる。プロセス700は、判定の一環として、(704)に示すように、ユーザの状態に関係するデータ、例えば心拍数、睡眠状態、EDA、活動、または本明細書で説明および提案する他のこのような情報に関係し得るようなデータを、ウェアラブルデバイス上の1つ以上のセンサまたは構成要素から受信するステップを含む。(706)に示すように、プロセス700は、ユーザの知覚状態データに関連し得るような、ユーザによって提供される追加データを取得するステップを含む。(708)に示すように、プロセス700は、このデータおよび他の関連データのうち少なくともいくつかを用いて、そのユーザに関するストレススコア(またはストレス耐性スコア)を計算するステップを含む。このストレススコアまたはストレス値は、ユーザの現在のストレスレベルまたはストレス耐性レベル等の様々なストレスメトリクスに関連し得る。この例では、(710)に示すように、プロセス700は、この計算されたスコアに少なくとも部分的に基づいて、ウェアラブルデバイス(または関連するデバイス)に対して少なくとも1つのアクションを実行するステップを含む。これらのアクションは、インターフェイスを生成すること、データを提示すること、通知を提供すること、ウェアラブルデバイスの動作を更新もしくは修正すること、または、別のこのようなアクションを実行することに関連し得るような、多種多様なアクションのいずれかを含み得る。
【0044】
図8は、様々な実施形態に従って利用可能なユーザについてのストレスを監視するための別の例示的なプロセス800を示す。この例では、(802)に示すように、プロセス800は、ウェアラブルデバイスに関連付けられたユーザについてのストレス監視を開始するステップを含む。最初のストレス判定は、
図7に関連付けて説明したように実行することができる。監視中、(804)に示すように、プロセス800は、新しいもしくは更新済みのセンサデータおよび/またはユーザ提供データを受信するステップを含む。(806)に示すように、プロセス800は、この新しいデータまたは更新済みデータに少なくとも部分的に基づいて更新済みのストレススコアを計算するステップを含む。(808)に示すように、プロセス800は、直前の値判定などを基準としてストレススコアの変化を分析するステップを含む。(810)に示すように、プロセス800は、上記変化が、変化閾値を超える変化、許容可能な範囲外にある変化、またはアクション閾値を満たす変化などの、アクション可能な変化であるかどうかを判定するステップを含む。アクション可能な変化でない場合、プロセス800は引き続き、新しい更新済みデータを受信するステップに進み得る。変化がアクション可能な変化であると判定された場合、(812)に示すように、変化に対応する少なくとも1つのアクションを実行することができる。これらのアクションは、上述の最初のストレススコア計算に関連付けて説明したアクションを含み得る。
【0045】
図9は、様々な実施形態に従って利用可能な例示的なシステム900の構成要素を示す。この例では、システム900は、他のこのようなオプションの中でも特に、フラッシュメモリまたはDRAMを含み得るようなメモリデバイス904に格納され得る命令を実行するための中央処理装置(central processing unit:CPU)またはグラフィックス処理装置(graphics processing unit:GPU)等の少なくとも1つのプロセッサ902を含む。当業者に明らかになり得るように、当該デバイスは、多くのタイプのメモリ、データストレージ、またはコンピュータ可読媒体、例えば、プロセッサによって実行すべきプログラム命令のためのデータストレージ等を含み得る。同じストレージまたは別個のストレージを画像またはデータに用いることができ、取外し可能なメモリを他のデバイスと情報を共有するのに利用することができ、任意の数の通信手法を他のデバイスとの共有に利用することができる。加えて、図示のように、システム900は、タッチスクリーン、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)、または液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)等の任意の好適なディスプレイ906を含むが、デバイスは、オーディオスピーカまたはプロジェクタ等の他の手段を介して情報を伝達し得る。
【0046】
トラッカまたは同様のデバイスは、図示のように、デバイスの少なくとも1つの入出力(input/output:I/O)要素910を含み得る少なくとも1つの動き検出センサを含む。このようなセンサは、システム900の向きおよび/または動きを判定および/または検出することができる。このような要素は、例えば、デバイスの動き(例えば、回転運動、角変位、傾斜、位置、向き、非線形経路に沿った動きなど)を検出するように動作可能な加速度計、慣性センサ、高度計、またはジャイロスコープを含み得る。向き判定要素はまた、(例えば、主軸または他のこのようなアスペクトを基準として)デバイスが指していると判定される方向(例えば、北または南)を示し得る電子コンパスまたはデジタルコンパスを含み得る。I/O要素910は、デバイス(またはデバイスのユーザ)の位置を判定するために使用されてもよい。このような位置決め要素は、デバイスの位置についての相対座標を判定するように動作可能なGPSまたは同様の位置判定要素を含み得る。位置決め要素は、デバイスの位置を判定するために位置情報を一斉送信し得るかまたは信号の三角測量を可能にし得る無線アクセスポイント、基地局などを含み得る。他の位置決め要素は、デバイスが位置情報を検出および受信することを可能にするQRコード(登録商標)、バーコード、RFIDタグ、NFCタグなどを含み得るか、または、(例えば、対応する位置に識別子をマッピングすることによって)デバイスが当該位置情報を取得することを可能にする識別子を含み得る。様々な実施形態は、1つ以上のこのような要素をいずれかの適切な組合わせで含み得る。I/O要素910はまた、1つ以上のバイオメトリクスセンサ、光学センサ、気圧センサ(例えば、高度計等)などを含み得る。
【0047】
上述したように、いくつかの実施形態は、当該要素を用いてユーザの位置および/または動きを追跡する。(例えば、GPSを用いて)デバイスの初期位置を決定すると、いくつかの実施形態のデバイスは、当該要素を用いることによって、またはいくつかの例では上述したような向き判定要素を用いることによって、またはそれらの組合わせによって、デバイスの位置を追跡し得る。理解されるように、位置および/または向きを判定するために使用されるアルゴリズムまたはメカニズムは、デバイスにとって利用可能な要素の選択に少なくとも部分的に依存し得る。例示的なデバイスはまた、特定の無線チャネルの通信範囲内で1つ以上の電子デバイスと通信するように動作可能な1つ以上の無線構成要素912を含む。無線チャネルは、デバイス同士が無線で通信することを可能にするために使用される任意の適切なチャネル、例えば、Bluetooth(登録商標)、セルラー方式、NFC、またはWi-Fi(登録商標)チャネルなどであり得る。システム900が当該技術分野で公知である1つ以上の従来の有線通信接続を有し得ることを理解されたい。システム900はまた、1つ以上の電力構成要素908を含み、例えば、従来のプラグイン方式により、または他の方式(例えばパワーマットもしくは他のこのようなデバイスと近接させることによる容量充電等)により、再充電されるように動作可能なバッテリを含み得る。いくつかの実施形態では、システム900は、ユーザから従来の入力を受信することができる少なくとも1つの追加のI/Oデバイス910を含み得る。この従来の入力は、例えば、プッシュボタン、タッチパッド、タッチスクリーン、ホイール、ジョイスティック、キーボード、マウス、キーパッド、または、ユーザがデバイスにコマンドを入力することを可能にする他の任意のこのようなデバイスもしくは要素を含み得る。これらのI/Oデバイスは、いくつかの実施形態では、無線赤外線またはBluetooth(登録商標)または他のリンクによっても接続され得る。いくつかのデバイスはまた、音声コマンドまたは他のオーディオコマンドを受付けるマイクロフォンまたは他の音声取込み要素を含み得る。例えば、デバイスは、ボタンを全く含まなくてもよいが、ユーザがデバイスと接触しなくても当該デバイスを制御することができるように視覚コマンドと音声コマンドとの組合わせによってのみ制御されてもよい。
【0048】
上述したように、多くの実施形態は、トラッカーデバイスを装着している人などの人の身体の1つ以上のメトリクスに関するデータを測定するための1つ以上のエミッタ916と1つ以上の検出器918との少なくともいくつかの組合せを含む。いくつかの実施形態では、これは、周囲環境の画像を取込むことができるとともにデバイス近傍のユーザ、人々または物体を撮像することができる1つ以上のカメラ等の少なくとも1つの撮像要素を伴い得る。画像取込み要素は、ユーザがデバイスを操作しているときにユーザの画像を取込むのに充分な解像度、焦点範囲、および可視領域を有するCCD画像取込み要素等の任意の適切な技術を含み得る。コンピューティングデバイスを備えたカメラ要素を用いて画像を取込むための方法は、当該技術分野では周知であり、本明細書では詳細には説明しない。画像取込みは、単一の画像、複数の画像、周期的な撮像、連続的な画像取込み、画像ストリーミング等を用いて実行可能であることを理解されたい。さらに、デバイスは、ユーザ、アプリケーション、または他のデバイスからコマンドを受信した時等に画像取込みを開始および/または停止する能力を含み得る。
【0049】
図9のエミッタ916および検出器918は、一例では、光フォトプレチスモグラム(photoplethsymogram:PPG)測定値を得るためにも使用可能であり得る。PPG技術の中には、単一の空間位置で光を検出すること、または、2つ以上の空間位置から得られた信号を追加することに依拠するものもある。これらの両方のアプローチから、結果として単一の空間測定値が得られ、そこから、心拍数(heart rate:HR)推定値(または他の生理学的メトリクス)を判定することができる。いくつかの実施形態では、PPGデバイスは、単一の検出器(すなわち、単一の光路)に結合された単一の光源を採用する。代替的には、PPGデバイスは、単一の検出器または複数の検出器(すなわち、2つ以上の光路)に結合された複数の光源を採用してもよい。他の実施形態では、PPGデバイスは、単一の光源または複数の光源(すなわち、2つ以上の光路)に結合された複数の検出器を採用する。場合によっては、光源は、緑色光、赤色光および/または赤外光のうちの1つ以上を発するように構成されてもよい。例えば、PPGデバイスは、単一の光源と、各々が特定の波長または波長範囲を検出するように構成された2つ以上の光検出器とを採用してもよい。場合によっては、各検出器は、互いに異なる波長または波長範囲を検出するように構成される。他の場合には、2つ以上の検出器が、同じ波長または波長範囲を検出するように構成される。さらに別の場合、1つ以上の検出器は、1つ以上の他の検出器とは異なる特定の波長または波長範囲を検出するように構成される。複数の光路を採用する実施形態では、PPGデバイスは、複数の光路から生じる信号の平均を判定してから、HR推定値または他の生理学的メトリクスを判定し得る。このようなPPGデバイスは、個々の光路を分解することができないか、または複数の光路から生じる個々の信号を別々に利用することができない可能性がある。
【0050】
さらに
図9を参照すると、システム900はさらに、他のこのようなオプションの中でも特に、メモリデバイス904、ディスプレイ906、バス、1つ以上の入出力(I/O)要素910、および無線ネットワーキング構成要素912に結合された1つ以上のプロセッサ902を含み得る。しかしながら、特定の実施形態では、ディスプレイおよび/またはI/Oデバイスが省略されてもよい。一実施形態では、システム900はリストバンドの一部であってもよく、ディスプレイ906は、ユーザがリストバンドを着用しているときにディスプレイがユーザの手首の外側から遠ざかる方向を向くように構成される。他の実施形態では、ディスプレイは省略されてもよく、システム900によって検出されるデータは、分析、表示、報告、または他のこのような用途のために、少なくとも1つのネットワーク920を介して、近距離無線通信(near-field communication:NFC)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)または他の好適な無線通信プロトコルによって、無線ネットワーキングインターフェイスを用いて、ホストコンピュータ922に送信されてもよい。
【0051】
メモリ904は、RAM、ROM、FLASH(登録商標)メモリ、または他の非一時的なデジタルデータストレージを含み得るとともに、一連の命令を含む制御プログラムを含み得る。当該命令は、メモリからロードされてプロセッサ902を用いて実行されると、プロセッサ902に本明細書に記載の機能を実行させる。エミッタ916および検出器918は、ドライバ回路を用いて直接的または間接的にバスに結合され得る。当該ドライバ回路により、プロセッサ902は、エミッタ916を駆動して検出器918から信号を取得し得る。ホストコンピュータ922は、1つ以上のローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、および/または地上波リンクもしくは衛星リンクのいずれかを用いるインターネットワークを含み得る1つ以上のネットワーク920を介して無線ネットワーキング構成要素912と通信することができる。いくつかの実施形態では、ホストコンピュータ922は、本明細書に記載の機能のうちのいくつかを実行するように構成された制御プログラムおよび/またはアプリケーションプログラムを実行する。
【0052】
いくつかの実施形態では、各エミッタ916は個別に制御可能であるか、または、各検出器918は、複数の検出器の使用時に個別に読出すことができ、このような実施形態では、いくつかの様々な光路に沿ったPPGセンサデータを収集することができる。制御プログラムは、収集されたデータを利用して、より正確な推定値またはHRおよび/もしくは他の生理学的メトリクスを提供することができる。関連する局面では、プロセッサ902およびPPGデバイスの他の構成要素は、PPGデバイスをサポートするために、1つ以上の縮小命令セットコンピューティング(reduced instruction set computing:RISC)命令セットならびに/または他のソフトウェアおよびハードウェアを用いる1つ以上の中央処理装置(CPU)コアを含み得るシステムオンチップ(System-on-Chip:SoC)として実現され得る。
【0053】
様々な実施形態では、エミッタ916(または光源)は、LED等の電子半導体光源を含み得るか、または、フィラメント、蛍光体もしくはレーザのうちのいずれかを用いて光を生成し得る。いくつかの実現例では、光源の各々は、同じ中心波長を有するかまたは同じ波長範囲内にある光を発する。他の場合、少なくとも1つの光源は、互いの光源とは異なる中心波長を有する光を発してもよい。光源が発する光の中心波長は495nm~570nmの範囲であり得る。例えば、特定の緑色光源は中心波長が528nmの光を発し得る。他の実施形態では、光源のうち1つ以上は赤色光(例えば、660nmの中心波長)またはIR光(例えば、940nmの中心波長)を発し得る。いくつかの実施形態では、光源のうちの1つ以上は、典型的には650nm~940nmの範囲内にあるピーク波長の光を発し得る。例えば、様々な実施形態では、特定の赤色光源はピーク波長が660nmである光を発し得るとともに、1つ以上の赤外光源はピーク波長が750nm~1700nmの範囲内にある光を発し得る。一例として、特定の赤外光源は、ピーク波長が730nm、760nm、850nm、870nmまたは940nmである光を発し得るが、これらに限定されない。場合によっては、LED等の市販の光源は、約20nm間隔で、製造業者の指定波長から+/-10nmの中心波長公差で出力し得るため、光源にとって有用なピーク波長の実現可能な1つの範囲は650nm~950nmである。緑色光源は、波長が495nm~570nmの範囲である光を発するように構成され得る。例えば、特定の緑色光源は波長が528nmの光を発してもよい。緑色光源は、赤色光源と赤外光源との対として光検出器から等しく離間して配置されてもよい。例えば、光検出器と第1の赤色光源の中心との間の距離が2mmである場合、光検出器と緑色光源との間の距離も2mm(例えば、等距離)であり得る。他のいくつかの場合、光検出器と1つ以上の光源との間の距離は等距離ではない。さらに、いくつかの実施形態では、光源のうちの1つ以上は、複数の検出器に対して同じまたは実質的に同じ(例えば、差が1mm未満である)位置で、緑色波長、赤色波長、および赤外波長等の複数の波長を発する単一のLEDパッケージを備えてもよい。このようなLEDは、単一のパッケージ内の単一のダイを用いて同一場所に配置された複数の半導体素子を含み得る。
【0054】
光源の間隔は、光源の側方または光源の中心から測定され得る。例えば、光源は、各光源の中心が複数の光検出器のうち最も近い光検出器の端縁から第1の距離にあるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の距離は2mmであり得る。いくつかの実現例では、各光源は、複数の光源のうち最も近い光源から第2の距離に位置し、各光検出器は、複数の光検出器のうち最も近い光検出器から第3の距離に位置する。いくつかの実施形態では、第2の距離および第3の距離は第1の距離と同じである。他の実施形態では、第2の距離および第3の距離の各々は第1の距離とは異なる。第2の距離は、第3の距離と同じであっても異なっていてもよい。間隔の特定の大きさは、いくつかの要因に依存する可能性があり、本開示は、当該実施形態を任意の特定の間隔に限定するものではない。例えば、1mm(以下)~10mmの範囲の間隔が様々な実施形態で実現可能であるだろう。
【0055】
いくつかの実施形態では、全ての光源が独立して制御される。他の実施形態では、いくつかの光源は、一式または一群として一緒に制御される。各光源を独立して制御することの利点、または、複数の検出器の各々から独立して読出す(例えば、複数の検出器の各々からの同じ光波長または異なる光波長に基づいて独立した信号を得る)ことの利点は、本明細書でさらに説明するように、HRおよび/または他の生理学的メトリクスの推定を改善させるために複数の光路アプローチが使用され得る点である。
【0056】
光検出器は、光源が発する光の波長を検出するように適合される1つ以上のセンサを含み得る。特定の検出器と組合わされた特定の光源はPPGセンサ等のセンサを備えてもよい。第1のPPGセンサおよび第2のPPGセンサは、同じ光源および/または検出器等の構成要素を共有し得るか、または、様々な構成要素を有し得るので、「PPGセンサ」という語は、その通常の意味を有することに加えて、このような構成のいずれかを指す可能性があるが、実際の実施形態では、PPGセンサを実現する際に複数の構成要素を使用する可能性もある。「PPGデバイス」という語は、その通常の意味を有することに加えて、PPGセンサを含むデバイスを指す可能性もある。光検出器は、一実施形態では、光源によって用いられる光の様々な波長の各々を検出するための1つ以上の検出器を備え得る。例えば、第1の検出器は、560nmの波長を有する光を検出するように構成されてもよく、第2の検出器は、940nmの波長を有する光を検出するように構成されてもよく、第3の検出器は、528nmの波長を有する光を検出するように構成されてもよい。例として、半導体材料から製造されて特定の波長または波長範囲の光のみを透過させる光学フィルタを有するフォトダイオードが挙げられる。光検出器は、フォトダイオード、フォトトランジスタ、電荷結合素子(charge-coupled device:CCD)、サーモパイル検出器、マイクロボロメータ、または相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor:CMOS)センサのいずれかを含み得る。光検出器は、本明細書にさらに記載するように、複数の検出器要素を備えてもよい。検出器のうちの1つ以上はバンドパスフィルタ回路を備えてもよい。
【0057】
他の実施形態では、検出器は、複数の波長の光を検出するように構成された1つ以上の検出器を備え得る。例えば、単一の検出器は、検出器に結合された電気デジタルマイクロプロセッサから受信したデータに基づいて様々な周波数に同調するように構成され得る。別の方法では、当該単一の検出器は複数の活動領域を含み得る。当該複数の活動領域の各々は所与の波長範囲の影響を受け易い。一実施形態では、単一の検出器は、赤色周波数およびIR周波数の波長を有する光を検出するように構成され、第2の検出器は、緑色周波数の波長を有する光を検出するように構成される。さらに、光源の各々は、上述したように、光の1つ以上の異なる波長のうちのいずれかを用いてもよい。
【0058】
一実施形態では、光検出器は、光源が発する波長以外の光の波長をフィルタ除去するように構成された1つ以上のフィルタを備えた筐体内に搭載され得る。例えば、ハウジングの一部は、光源が発する波長の光以外の周囲光を除去するフィルタで覆われていてもよい。例えば、光源からの信号は、検出器によって検出される波長とは異なる波長を有する周囲光を生成する周囲光源をフィルタ除去する周囲光フィルタを通じて、光検出器において受信されてもよい。LEDおよびフォトダイオードは、それぞれ光源および光検出器の例として用いられるが、本明細書で説明する技術が他のタイプの光源に拡張されてもよい。例えば、端面放射型レーザ、表面放射型レーザ、広帯域光を生成するLED励起蛍光体である。本明細書に記載の技術は、光源と検出器との他の組合わせに拡張され得る。例えば、PPGデバイスは、(i)単一または複数のLEDおよび多要素光検出器(例えば、カメラセンサ)と、(ii)LEDアレイおよび単一または複数のフォトダイオードと、(iii)各検出器上に波長選択フィルタを備える広帯域LED励起蛍光体および検出器アレイと、(iv)空間光変調器(spatial light modulator:SLM)(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス[digital micromirror device:DMD]または液晶オンシリコン[liquid crystal on silicon:LCoS]デバイス)、単一もしくは複数のLED、それらの他の組合せ、または、光源および検出器の他の構成と、を含んでもよい。
【0059】
本明細書では、例示的な実施形態によって実行され得る様々な方法を示すために、いくつかのフロー図が示される。フロー図は、任意の適切なプログラミング環境または言語を用いて、PPGデバイスのCPUまたはマイクロコントローラによって実行可能な機械コードを作成するようにプログラムされ得る例示的なアルゴリズムを示す。換言すれば、フロー図は、本開示が関係する当該技術分野の当業者の間で本主題を説明するために通常使用されるのと同じレベルの詳細で提示される、特許請求される主題の局面についてのアルゴリズムを、本明細書における文面とともに開示するものである。様々な実施形態は、アセンブリ、C、OBJECTIVE-C、C++、JAVA(登録商標)、または他の人読取り可能言語を用いて符号化され、次いで、コンパイルされ、アセンブルされ、または、機械コードに変換され、次いで、当該機械コードが、CPUもしくはマイクロコントローラに結合された活動監視装置のROM、EPROM、または他の記録可能メモリにロードされ、さらに、当該CPUまたはマイクロコントローラによって実行され得る。
【0060】
一実施形態では、複数の光路から得られた信号を処理することで、コンピュータプログラムを用いて、ユーザの動きに関連付けられた信号コンポーネントをフィルタリングまたは除外して、信号の動きコンポーネントを識別し、識別された動きコンポーネントを複合信号から除去することで、心臓コンポーネントを残余信号または最終信号として残し得る。
【0061】
一実施形態では、信号は、歩行、運動、または睡眠のそれぞれの期間に関連し得るような、昼間または夜間の様々な活動の際に収集され得る。適切なフィルタを開発するための基礎として、活動または人の姿勢を分類または検出するために、加速度計、ジャイロスコープ、または高度計を含む他のオンデバイスのセンサが使用され得る。これらのフィルタまたは信号処理方法は、複数の光路によるPPGデータの変動を標的を定めて低減させるために使用され得る。一例として、加速度計データを用いて信号処理方法を開発することにより、データをフィルタリングし、特定の姿勢を調べて他の身体の向きを除去することができるが、これには限定されない。これは、データ中のノイズを減らしたり、対応する光路についての対応する生理学的変動をより適切に評価したりするのに役立ち得る。
【0062】
様々な実施形態では、本明細書に記載のアプローチは、監視デバイスもしくはトラッカーデバイス、または二次デバイス上で動作するファームウェア、例えば、監視デバイスにペアリングされたモバイルデバイス、サーバ、ホストコンピュータなどのうちの1つ以上によって実行され得る。例えば、監視デバイスは、動きコンポーネントを除去してHR、SpO2、および/または他の生理学的メトリクスに関する最終推定値を作成するための動作を実行するサーバにアップロードまたは通信される信号を生成することに関連する動作を実行してもよい。代替的には、監視デバイスは、監視信号を生成し、動きコンポーネントを除去して、HR、SpO2および/または監視デバイスに対してローカルな他の生理学的メトリクスに関する最終推定値を生成することに関連する動作を実行してもよい。この場合、最終推定値は、当該値を用いて他の動作を実行するホストコンピュータ等のサーバにアップロードまたは通信され得る。
【0063】
例示的な監視デバイスまたはトラッカーデバイスは、1つ以上のセンサおよび/または外部デバイスから1つ以上のタイプの生理学的データおよび/または環境データを収集し、このような情報を他のデバイス(例えば、ホストコンピュータまたは別のサーバ)に通信または中継し、これにより、例えば、ウェブブラウザまたはネットワークベースのアプリケーションを用いて、収集データが閲覧されることを可能にし得る。例えば、トラッカーデバイスは、ユーザの着用中、1つ以上のセンサを用いて、ユーザの歩数カウントを計算および記憶することによってバイオメトリクス監視を実行してもよい。トラッカーデバイスは、ユーザの歩数カウントを表わすデータを、ウェブサービス(例えば、www.fitbit.com)、コンピュータ、携帯電話、および/またはヘルスステーション上のアカウントに送信してもよく、そこで、当該データは記憶され、処理され、および/またはユーザによって視覚化され得る。トラッカーデバイスは、ユーザの歩数カウントに加えて、またはユーザの歩数カウントの代わりに、他の生理学的メトリクスを測定または計算してもよい。このような生理学的メトリクスは、エネルギー消費、例えば、カロリー消費、階段の上り下り、HR、心拍波形、HR変動、HR回復、呼吸、SpO2、血液量、血糖、皮膚水分および皮膚色素沈着レベル、(例えば、GPS、全地球航法衛星システム(global navigation satellite system:GLONASS)もしくは同様のシステムによる)位置特定および/または進行方向、昇降、歩行速度および/または移動距離、水泳のラップカウント、水泳ストロークの種類および検出カウント、自転車走行の距離および/または速度、血糖、皮膚伝導、皮膚温度および/または体温、筋電図検査によって測定される筋肉状態、脳波検査によって測定される脳活動、体重、体脂肪、カロリー摂取量、食物からの栄養摂取量、薬物摂取量、睡眠期間(例えば、時刻、睡眠段階、睡眠の品質および/または持続時間)、pHレベル、水和レベル、呼吸数、および/または他の生理学的メトリクスを含み得るが、これらに限定されない。
【0064】
例示的なトラッカーデバイスまたは監視デバイスはまた、例えば、気圧、気象条件(例えば、温度、湿度、花粉数、大気質、雨/雪条件、風速)、光曝露(例えば、周囲光、紫外線(UV)暴露、暗所で費やした時間および/または持続時間)、騒音曝露、放射線曝露、および/または磁場などの、ユーザの周囲環境に関連するメトリクスを(例えば、1つ以上の環境センサを用いて)測定または計算し得る。さらに、トラッカーデバイス(および/またはホストコンピュータおよび/または別のサーバ)は、デバイスの1つ以上のセンサからデータを収集し得るとともに、このようなデータから導出されたメトリクスを計算し得る。例えば、トラッカーデバイスは、HR変動、皮膚伝導、騒音公害および/または睡眠品質の組合わせに基づいて、ユーザのストレスレベルまたはくつろぎレベルを計算してもよい。別の例では、トラッカーデバイスは、医薬品摂取、睡眠および/または活動に関するデータの組合せに基づいて、医学的介入、例えば、薬物療法、の有効性を判定し得る。さらに別の例では、トラッカーデバイスは、花粉レベル、薬物摂取量、睡眠および/または活動に関するデータの組合わせに基づいてアレルギー薬物療法の有効性を判定し得る。これらの実施例は、例示のためにのみ提供されるものであって、限定することまたは網羅的であることを意図するものではない。
【0065】
例示的な監視デバイスは、上述したように、コンピュータ可読記憶媒体リーダ、通信デバイス(例えば、モデム、ネットワークカード(無線または有線)、赤外線通信デバイス)、およびワーキングメモリを含み得る。コンピュータ可読記憶媒体リーダは、リモートの、ローカルな、固定された、および/または取外し可能なストレージデバイスを表わすコンピュータ可読記憶媒体、ならびに、コンピュータ可読情報を一時的および/またはより永続的に保持、記憶、送信および検索するための記憶媒体と接続され得るか、またはこれを収容するように構成され得る。監視システムおよび様々なデバイスはまた、典型的には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラム、たとえばクライアントアプリケーションまたはウェブブラウザ等を含む、少なくとも1つのワーキングメモリデバイス内に位置する、いくつかのソフトウェアアプリケーション、モジュール、サービス、または他の要素を含むだろう。代替的な実施形態が上述したものからの多数の変形例を有し得ることを理解されたい。例えば、カスタマイズされたハードウェアが用いられてもよく、および/または、特定の要素がハードウェア、(アプレット等のポータブルソフトウェアを含む)ソフトウェア、またはそれらの両方で実現されてもよい。さらに、ネットワーク入力/出力デバイス等の他のコンピューティングデバイスへの接続が採用されてもよい。
【0066】
コードまたはコードのうちいくつかの部分を収容するための記憶媒体および他の非一時的なコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(digital versatile disk:DVD)もしくは他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、または、所望の情報を記憶するために使用され得るとともにシステムデバイスによってアクセスされ得る他の任意の媒体を含む、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実現される揮発性および不揮発性、取外し可能および取外し不可能な媒体などであるがこれらに限定されない、当該技術分野で公知であるかまたは使用されている任意の適切な媒体を含み得る。当業者であれば、本明細書に記載の開示および教示に基づいて、様々な実施形態を実現するための他の方法および/または手段を認識するだろう。
【0067】
したがって、明細書および添付の図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で解釈されるべきである。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が実施され得ることは明らかであるだろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルデバイスのユーザに関するストレススコアを正確かつ自動的に計算するための方法であって、
前記ウェアラブルデバイス上の1つ以上の外部センサから、前記ウェアラブルデバイスの前記ユーザの状態に対応する第1の特徴データを受信するステップと、
前記ユーザによって提供されるとともに前記ユーザの前記状態に対応する第2の特徴データを、前記ウェアラブルデバイスのプロセッサを介して取得するステップと、
前記ウェアラブルデバイスの前記プロセッサを介して、前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データを用いてストレススコアを計算するステップと、
前記ウェアラブルデバイスの前記プロセッサを介して、前記計算されたストレススコアに少なくとも部分的に基づいて少なくとも1つのアクションを実行するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記ストレススコアは、前記ウェアラブルデバイスの前記ユーザの現在のストレスレベルまたはストレス耐性レベルのうち少なくとも1つを表わす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の特徴データは、前記ウェアラブルデバイス上の少なくとも1つの外部EDAセンサを用いて取込まれた皮膚電気活動(electro-dermal activity:EDA)データを
含む、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの外部EDAセンサは、前記ウェアラブルデバイスのうち前記ユーザの手首から遠い側に装着される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データは、睡眠特徴、活動特徴、および心臓特徴から選択される特徴データを含む、請求項
1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データを用いて前記ストレススコアを計算するステップはさらに、前記睡眠特徴、前記活動特徴、および前記心臓特徴の加重和として前記ストレススコアを計算するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記睡眠特徴は、浅い睡眠、中断、睡眠蓄積レベル、深い睡眠/レム睡眠の持続時間、深い睡眠の潜時、または悪夢発生のうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記活動特徴は、アクティブ・ゾーン時間もしくは活動レベル、運動もしくは活動メトリクス、労作メトリクス、活動タイプ、動きパターン、または歩数カウントもしくは動きのうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記心臓特徴は、深い睡眠時の心拍数変動(heart rate variability:HRV)、安静時心拍数(heart rate:HR)上昇、安静時心拍数(resting heart rate:RHR)を超える睡眠HRのうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の特徴データおよび前記第2の特徴データは、フィットネス疲労スコア、血圧、血液組成、呼吸数、体温、代謝データ、血糖値、体重もしくは体組成、心理状態、知覚ストレス、うつ状態、声の韻律/音調/圧、血中コルチゾール/エピネフリン/ノルエピネフリンのレベル、低密度リポタンパク質(low-density lipoprotein:LDL)レベル
、BMI×運動、性別特有の値、または気分記録データのうち少なくとも1つから選択される特徴データを含む、請求項
1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアクションは、インターフェイスを生成すること、通知を提供すること、前記ウェアラブルデバイスの動作を修正すること、前記ユーザに助言を与えること、または、分析用のデータを送信することのうち少なくとも1つを含む、請求項
1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ウェアラブルコンピューティングデバイスであって、
1つ以上のセンサと、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を含む少なくとも1つのメモリデバイスとを備え、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記ウェアラブルコンピューティングデバイスに
請求項1~11のいずれか1項に記載の方法を行なわせる、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記ウェアラブルデバイスの前記プロセッサによって実行されると前記ウェアラブルデバイスに請求項1~11のいずれか1項に記載の方法を実行させる、プログラム。
【国際調査報告】