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特表2023-540671生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニット
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/26 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
B29D30/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502822
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 NL2022050367
(87)【国際公開番号】W WO2023282739
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】2028684
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519009895
【氏名又は名称】ブイエムアイ・ホラント・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】VMI Holland B.V.
【住所又は居所原語表記】Gelriaweg 16,8161 RK EPE,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】スロッツ、アントニー
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215AM32
4F215VA02
4F215VD01
4F215VL13
4F215VM05
(57)【要約】
本発明は、生タイヤ(9)取り出し用のタイヤ取り出しユニット(1、301)に関し、ここにおいて、生タイヤ(9)は、タイヤ軸(X)の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面(90)を有し、タイヤ取り出しユニット(1、301)は、基部(10)と、基部(10)に対して生タイヤ(9)を外部に面した周方向トレッド面(90)において下から支持するための支持部材(11、12)と、生タイヤ(9)を外部に面した周方向トレッド面(90)において上から安定させるための、基部(10)から突出した上部アーム(2)と、を備え、上部アーム(2)は、第1の横方向境界部材(31)と、第2の横方向境界部材(32)と、中間境界部材(33)と、を備え、これらは、生タイヤの輪郭に密接に適合するように個々に移動可能であり、生タイヤが経時的に僅かに潰れたときでさえも、上記輪郭と接触したままである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットにおいて、前記生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、前記タイヤ取り出しユニットは、基部と、前記基部に対して前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、前記基部から突出した上部アームと、を備え、前記上部アームは、前記基部から横方向に突出し、待機位置と、前記待機位置よりもクランプ方向において前記支持部材により近い保持位置との間で、前記基部に対して前記クランプ方向に移動可能なアーム本体を備え、前記上部アームは、前記アーム本体によって支持された、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、を備え、前記第1の横方向境界部材及び前記第2の横方向境界部材は、前記生タイヤに少なくとも部分的に沿って、前記横方向において前記生タイヤの両側に配置可能であり、前記上部アームは、前記第1の横方向境界部材と前記第2の横方向境界部材との間に、前記アーム本体上に前記横方向に並んで位置する複数の中間境界部材を備え、前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体に対して及び互いに対して、個々に前記クランプ方向に移動可能である、タイヤ取り出しユニット。
【請求項2】
前記複数の中間境界部材のうちの1つ以上の中間境界部材は、前記横方向に垂直な法平面に対して、前記法平面に平行な第1の状態から、前記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である、請求項1に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項3】
前記法平面は、垂直に又は実質的に垂直に延在する、請求項2に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項4】
前記タイヤ取り出しユニットは、前記第1の横方向境界部材と、前記第2の横方向境界部材と、前記中間境界部材と、を備えるグループの両側に前記横方向において前記上部アーム上に動かないように配置された、第1の軸方向固定部材と、第2の軸方向固定部材と、を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項5】
前記タイヤ取り出しユニットは、前記第1の横方向境界部材と、前記第2の横方向境界部材と、前記中間境界部材と、を備えるグループの両側に前記横方向において前記上部アーム上に配置された、第1の軸方向固定部材と、第2の軸方向固定部材と、を更に備え、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの少なくとも1つは、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちのもう1つから離れるように前記横方向に移動可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項6】
前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの前記少なくとも1つは、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの前記もう1つに向かって移動するように付勢される、請求項5に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項7】
前記グループの各境界部材が、前記横方向に垂直な法平面に対して、前記法平面に平行な第1の状態から、前記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である、請求項5又は6に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項8】
前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材には、前記第1の横方向境界部材及び前記第2の横方向境界部材に、それぞれ、前記第1の状態から前記第2の状態に移動する自由を与えるために、それぞれ、前記グループに面した、第1の面取り面と、第2の面取り面と、が設けられている、請求項7に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項9】
前記第1の面取り面及び前記第2の面取り面は、互いに対して点対称に延在する、請求項8に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項10】
前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体を受容するための前記横方向における貫通開口部を有する境界本体をそれぞれ備え、前記アーム本体は、前記クランプ方向におけるアーム本体高さを有し、前記貫通開口部は、前記アーム本体高さより大きい、前記クランプ方向における開口部高さを有し、前記境界本体は、前記アーム本体高さと前記開口部高さとの間の差によって画定される範囲内で、前記クランプ方向において前記アーム本体上を摺動可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項11】
前記アーム本体には、前記クランプ方向に平行に延在する2つの反対側に面した案内面が設けられ、前記貫通開口部は、前記アーム本体のそれぞれの前記案内面に沿って摺動するための、前記クランプ方向に平行に延在する2つの互いに対向する摺動面を有する、請求項10に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項12】
前記アーム本体は、前記横方向に垂直な矩形断面を有する、請求項11に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項13】
前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体に対して前記クランプ方向に移動可能であるように、前記アーム本体における対応する貫通孔において摺動可能に受容されている境界本体をそれぞれ備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項14】
前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、重力の影響下で、前記アーム本体に対して前記クランプ方向に移動可能である、請求項1~13のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項15】
前記支持部材は、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための、前記基部から前記横方向に突出した第1の下部アームを備える、請求項1に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項16】
前記支持部材は、前記第1の下部アームと共に、2つの周方向に離間した支持位置において、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための、前記基部から前記横方向に突出した第2の下部アームを更に備える、請求項15に記載のタイヤ取り出しユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生タイヤ(green tire)又は未加硫タイヤの取り出し用のタイヤ取り出しユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
生タイヤは、タイヤ組立てドラム上で組み立てられ、タイヤ組立てが完了すると、タイヤ取り出しユニットを使用して、上記タイヤ組立てドラムから取り外される。既知のタイヤ取り出しユニットには、2つの下部アームと、1つの上部アームと、が設けられており、これらは、移送リングとタイヤ組立てドラムとの間の空間に挿入可能であり、その結果、生タイヤは、タイヤ組立てドラムの後退より前又は後退中に、タイヤ取り出しユニットに既に移送されている場合がある。上部アームは、タイヤ取り出しユニットにおける生タイヤを安定させるために、2つの下部アームに向かって移動可能である。続いて、上部アームは、2つの下部アームから離れるように移動されて、ロボットによる生タイヤの計量及び/又はタイヤ取り出しユニットからの生タイヤの取り外しを可能にする。
【発明の概要】
【0003】
前述のタイヤ組立てドラムからの生タイヤの取り外し及びタイヤ取り出しユニットへの移送の欠点は、これら工程が、タイヤ組立てのサイクル時間を低減させるために、比較的迅速に行われるということである。移送リング、タイヤ組立てドラムは、上記生タイヤを不安定にし得る力を生タイヤに意図せずに加え得る。上部アームは、生タイヤがタイヤ取り出しユニット内で転倒するのを防止するために、生タイヤ上に比較的強く押し下げられなければならない。生タイヤ上に上部アームを強い力で適用すると、圧痕(imprints)が生じ得る。それは、生タイヤの一般的な形状を変形させることさえあり得る。
【0004】
更に、上部アームの最初の押し下げ後、生タイヤは、上部アームの到達範囲より下のレベルまで、僅かに潰れ得、生タイヤを安定させようとする先の試みにもかかわらず、それを転倒させる。
【0005】
本発明の目的は、生タイヤを確実に安定させ得る、生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットを提供することである。
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットを提供し、ここにおいて、生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、タイヤ取り出しユニットは、基部と、基部に対して生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、基部から突出した上部アームと、を備え、上部アームは、基部から横方向に突出し、待機位置と、待機位置よりもクランプ方向において支持部材により近い保持位置との間で、基部に対してクランプ方向に移動可能なアーム本体を備え、上部アームは、上記アーム本体によって支持された、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、を備え、これらは、上記生タイヤに少なくとも部分的に沿って(alongside)、横方向において生タイヤの両側に配置可能であり、上部アームは、第1の横方向境界部材と第2の横方向境界部材との間に、アーム本体上に横方向に並んで位置する複数の中間境界部材を備え、第1の横方向境界部材、第2の横方向境界部材、及び複数の中間境界部材は、アーム本体に対して及び互いに対して、個々にクランプ方向に移動可能である。
【0007】
待機位置では、横方向境界部材が生タイヤのそれぞれの側部において生タイヤに沿って延在する保持位置へと上部アームを下方に移動させる前に、上記上部アームは、上記それぞれの側部において横方向境界部材を正確に位置合わせするために、生タイヤの上方を横方向に移動され得る。
【0008】
特に、移送リングと組み合わせて使用される場合、上部アームは、待機位置において、横方向境界部材を含む上部アームが、上記移送リングとタイヤ組立てドラムとの間の空間にうまく収まる(fits)ように、移送リング及びタイヤ組立てドラムに対して配置されている。
【0009】
中間境界部材は、生タイヤをよりしっかりと保持するために、横方向境界部材間の領域で生タイヤに接触するために使用され得る。更に、中間境界部材は、生タイヤの輪郭に密接に追従又は適合し得、生タイヤが経時的に僅かに潰れたときでさえも、上記輪郭と接触したままであり得る。
【0010】
中間境界部材は独立して移動可能であるので、横方向境界部材と中間境界部材のセットは、異なる形状及びサイズの生タイヤを確実に安定させるために使用され得る。特に、生タイヤの幅が横方向境界部材間の距離より小さい場合、生タイヤのそれぞれの側部に最も近い中間境界部材が、最も外側の横方向境界部材から横方向境界部材の機能を引き継ぎ得る。従って、任意の幅の生タイヤを確実に安定させ得る。
【0011】
更に、横方向境界部材及び中間境界部材は、生タイヤの外部に面した周方向トレッド面の断面輪郭に、可能な限り密接及び/又は正確に追従するように個々に配置され得る。特に、「ショルダ部(shoulder)」としても知られている、外部に面した周方向トレッド面からサイドウォールまでの移行部において位置する、横方向境界部材と、中間境界部材のグループとが、上記ショルダ部の曲率に密接に追従するように、クランプ方向に漸進的に配置され得る。このようにして、生タイヤは、転倒を防げるのみならず、例えば、支持部材に対する生タイヤの最小限の移動も防止することによって、支持部材上のその位置が、より確実にしっかりと固定され得る。
【0012】
好ましい実施形態では、複数の中間境界部材のうちの1つ以上の中間境界部材は、横方向に垂直な法平面に対して、上記法平面に平行な第1の状態から、上記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である。好ましくは、法平面は、垂直に又は実質的に垂直に延在する。上記タイヤ組立てドラムから生タイヤを取り外すための取り外し方向において、代替のタイヤ取り出しユニットとタイヤ組立てドラムとの間に相対移動が生成されるとき、タイヤ組立てドラムからの生タイヤの解放における遅延が存在し得るか、又は、生タイヤは、タイヤ組立てドラムから全く外れない場合がある。境界部材の枢動は、上記生タイヤを損傷することなく、生タイヤの取り外しにおける初期遅延を吸収し得る。それはまた、生タイヤが深刻な損傷を受ける前に、取り外しプロセスを停止させるためのいくらかの時間を提供し得る。
【0013】
別の実施形態では、タイヤ取り出しユニットは、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、中間境界部材と、を備えるグループの両側に横方向において上部アーム上に動かないように配置された、第1の軸方向固定部材と、第2の軸方向固定部材と、を更に備える。
【0014】
代替として、タイヤ取り出しユニットは、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、中間境界部材と、を備えるグループの両側に横方向において上部アーム上に配置された、第1の軸方向固定部材と、第2の軸方向固定部材と、を更に備え、ここにおいて、第1の軸方向固定部材及び第2の軸方向固定部材のうちの少なくとも1つは、第1の軸方向固定部材及び第2の軸方向固定部材のうちのもう1つから離れるように横方向に移動可能である。これは、タイヤ組立てドラムからの生タイヤの取り外し中の予期せぬエラーに応答して、境界部材のグループに横方向へのある程度の移動の自由を与え得る。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、第1の軸方向固定部材及び第2の軸方向固定部材のうちの少なくとも1つは、第1の軸方向固定部材及び第2の軸方向固定部材のうちのもう1つに向かって移動するように付勢されている。従って、境界部材のグループは、少なくとも1つの軸方向固定部材に加えられる力が付勢力を超えるまでは、上記少なくとも1つの軸方向固定部材が固定されているかのように、アーム本体上の定位置に保たれ得る。
【0016】
本発明の更なる実施形態では、グループの各境界部材が、横方向に垂直な法平面に対して、上記法平面に平行な第1の状態から、上記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である。これは、この特徴を導入する先の実施形態に関連して述べたものと同じ技術的利点を有する。
【0017】
好ましくは、第1の軸方向固定部材及び第2の軸方向固定部材には、第1の横方向境界部材及び第2の横方向境界部材に、それぞれ、第1の状態から第2の状態に移動する自由を与えるために、それぞれ、グループに面した、第1の面取り面と、第2の面取り面と、が設けられている。従って、軸方向固定部材が存在するにもかかわらず、これら境界部材は、枢動することが可能である。
【0018】
より好ましくは、第1の面取り面及び第2の面取り面は、互いに対して点対称に延在する。このようにして、これら面取り面は、境界部材が枢動するための空間を提供する。
【0019】
別の実施形態では、第1の横方向境界部材、第2の横方向境界部材、及び複数の中間境界部材は、アーム本体を受容するための横方向における貫通開口部を有する境界本体をそれぞれ備え、ここにおいて、アーム本体は、クランプ方向におけるアーム本体高さを有し、貫通開口部は、アーム本体高さより大きい、クランプ方向における開口部高さを有し、境界本体は、アーム本体高さと開口部高さとの間の差によって画定される範囲内で、クランプ方向においてアーム本体上を摺動可能である。従って、境界本体は、生タイヤとのそれぞれの境界部材の接触に応じて、アーム本体の周りでクランプ方向に上下に摺動し得る。
【0020】
より好ましくは、アーム本体には、クランプ方向に平行に延在する2つの反対側に面した案内面が設けられ、ここにおいて、貫通開口部は、アーム本体のそれぞれの案内面に沿って摺動するための、クランプ方向に平行に延在する2つの互いに対向する摺動面を有する。案内面と摺動面との間の相互作用は、境界本体がアーム本体に対してクランプ方向以外のその他任意の方向に移動することを防止し得る。特に、アーム本体を中心とした境界本体の回転を防止し得る。従って、アーム本体に対して境界本体の向き(orientation)が維持され得る。
【0021】
最も好ましくは、アーム本体は、横方向に垂直な矩形断面を有する。境界本体は、上記矩形断面の平行な辺に沿って摺動し得る。
【0022】
代替の実施形態では、第1の横方向境界部材、第2の横方向境界部材、及び複数の中間境界部材は、上記アーム本体に対してクランプ方向に移動可能であるように、アーム本体における対応する貫通孔において摺動可能に受容されている境界本体をそれぞれ備える。従って、境界本体は、生タイヤとのそれぞれの境界部材の接触に応じて、アーム本体を通ってクランプ方向に上下に摺動され得る。境界部材は、アーム本体におけるそれぞれの貫通孔によって、横方向が既に制限されているので、それらを上記横方向において固定する必要はない。
【0023】
更なる実施形態では、第1の横方向境界部材、第2の横方向境界部材、及び複数の中間境界部材は、重力の影響下で、アーム本体に対してクランプ方向に移動可能である。換言すれば、境界部材は、それぞれの境界部材の位置において、シャフトと生タイヤとの間の距離が下方への移動を可能にするとき、クランプ方向において上記下方に自由に移動する。その結果、境界部材を能動的に押し下げるための別個の駆動装置は必要ない。
【0024】
更なる実施形態では、支持部材は、生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための、基部から横方向に突出した第1の下部アームを備える。第1の下部アームは、基部から突出し、生タイヤの下に延在して、少なくとも1つの支持位置において、上記生タイヤを下から支持し得る。単一の下部アームは、狭い空間、即ち、ドラムと移送リングとの間に残された空間にうまく収まるように、十分に細く(lean)あり得る。
【0025】
より好ましくは、支持部材は、第1の下部アームと共に、2つの周方向に離間した支持位置において、生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための、基部から横方向に突出した第2の下部アームを更に備える。これら2つの下部アームは、生タイヤのためのより安定した2点支持を提供し得る。
【0026】
第2の態様によれば、本発明は、生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットを提供し、ここにおいて、生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、タイヤ取り出しユニットは、基部と、基部に対して生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、基部から突出した上部アームと、を備え、上部アームは、基部から横方向に突出し、待機位置と、待機位置よりもクランプ方向において支持部材により近い保持位置との間で、基部に対してクランプ方向に移動可能なアーム本体を備え、上部アームは、少なくとも部分的に生タイヤ上に、又は生タイヤに沿って、横方向において上記生タイヤの両側に配置可能である、上記アーム本体によって支持された、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、を備え、第1の横方向境界部材及び第2の横方向境界部材は、アーム本体上の固定位置に配置されている。従って、上部アームは、これら横方向境界部材が生タイヤのそれぞれの側部に沿ってクランプ方向において揃えられた状態で、生タイヤの上に配置され得、その後、上部アームは、上記横方向境界部材を、横方向において生タイヤのそれぞれの側部に沿って配置させるために、下に移動され得る。
【0027】
第3の態様によれば、本発明は、生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットを提供し、ここにおいて、生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、タイヤ取り出しユニットは、基部と、基部に対して生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、基部から突出した上部アームと、を備え、上部アームは、基部から横方向に突出し、待機位置と、待機位置よりもクランプ方向において支持部材により近い保持位置との間で、基部に対してクランプ方向に移動可能なアーム本体を備え、上部アームは、少なくとも部分的に生タイヤ上に、又は生タイヤに沿って、横方向において上記生タイヤの両側に配置可能である、上記アーム本体によって支持された、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、を備え、第1の横方向境界部材及び第2の横方向境界部材は、アーム本体に対して、横方向において互いに向かって及び互いから離れるように移動可能である。この特定の実施形態では、横方向境界部材の横方向の位置は、生タイヤの幅に一致するように調整され得る。従って、可変タイヤ幅が、横方向境界部材を横方向において適切に配置することによって、横方向境界部材間に正確に収納され(enclosed)得る。
【0028】
好ましくは、アーム本体は、反対向きにねじ切りされたセクションを有するスピンドルであり、ここにおいて、上部アームは、スピンドルを回転させるためのスピンドル駆動装置と、第1の横方向境界部材及び第2の横方向境界部材を、それぞれ、反対向きにねじ切りされたセクションに結合するための第1のナット及び第2のナットと、を更に備える。スピンドルを回転させることによって、これらナットは、反対方向に同期して駆動され得、それによって、横方向境界部材を互いに接近させるか、又は互いから離れるように移動させる。
【0029】
第4の態様によれば、本発明は、生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットを提供し、ここにおいて、生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、タイヤ取り出しユニットは、基部と、基部に対して生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、基部から突出した上部アームと、を備え、上部アームは、基部から横方向に突出し、待機位置と、待機位置よりもクランプ方向において支持部材により近い保持位置との間で、基部に対してクランプ方向に移動可能なアーム本体を備え、上部アームは、上記アーム本体によって支持された、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、を備え、これらは、上記生タイヤに少なくとも部分的に沿って、横方向において生タイヤの両側に配置可能であり、第1の横方向境界部材及び第2の横方向境界部材のうちの少なくとも1つは、横方向に垂直な法平面に対して、上記法平面に平行な第1の状態から、上記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である。
【0030】
少なくとも1つの横方向境界部材の枢動は、本発明の第1の態様による枢動境界部材と同様の方法で、タイヤ組立てドラムからの上記生タイヤの取り外しに遅延が存在するときに、生タイヤへの損傷を防止し得る。
【0031】
好ましくは、法平面は、垂直に又は実質的に垂直に延在する。
【0032】
別の実施形態では、第1の横方向境界部材及び第2の横方向境界部材のうちの少なくとも1つは、第2の状態から第1の状態に移動するように付勢されている。従って、少なくとも1つの横方向境界部材は、付勢力を超える力が上記少なくとも1つの横方向境界部材に加えられるまでは、生タイヤが転倒するのを防止するために、その通常位置をとり得る。
【0033】
第5の態様によれば、本発明は、生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットを提供し、ここにおいて、生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、タイヤ取り出しユニットは、基部と、基部に対して生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、基部から突出した上部アームと、を備え、上部アームは、待機位置と、待機位置よりもクランプ方向において支持部材により近い保持位置との間で、基部に対してクランプ方向に移動可能な第1のアーム部と、第1のアーム部が保持位置に留まっている間、第1のアーム部に対してストローク距離にわたってクランプ方向に移動可能である第2のアーム部と、を備える。
【0034】
このようにして、第2のアーム部は、生タイヤが、第1のアーム部の到達範囲より下であるが、ストローク距離内で第2のアーム部の到達範囲内であるレベルまで、経時的に僅かに潰れるにつれて、生タイヤに追従し得、それによって、上部アームの安定効果が有効なままであることを確実にする。
【0035】
一実施形態では、第1のアーム部は、基部から生タイヤにわたって横方向に突出するように配置されており、ここにおいて、第2のアーム部は、生タイヤの上方で第1のアーム部によって支持されるように配置されている。従って、第2のアーム部は、横方向において、生タイヤの幅にわたって、第1のアーム部によって支持され得る。
【0036】
代替として、第1のアーム部は、第2のアーム部と基部との間に位置し、ここにおいて、第2のアーム部は、第1のアーム部によって支持され、且つ第1のアーム部から生タイヤにわたって横方向に突出するように配置されている。その結果、第2のアーム部は、横方向において生タイヤにわたって延在する唯一の部分であり、それによって、生タイヤの真上の位置における上部アームの構造を単純化し、及び/又はその重量を低減させる。
【0037】
第6の態様によれば、本発明は、生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットを提供し、ここにおいて、生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、タイヤ取り出しユニットは、基部と、基部に対して生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、生タイヤを外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、基部から突出した上部アームと、を備え、上部アームは、基部から横方向に突出し、待機位置と、待機位置よりもクランプ方向において支持部材により近い保持位置との間で、基部に対してクランプ方向に移動可能なアーム本体を備え、上部アームは、少なくとも1つの境界部材がタイヤ軸と一致する垂直中央平面に対して斜角をなして配置可能であるように、アーム本体によって支持される少なくとも1つの境界部材を更に備える。
【0038】
生タイヤをタイヤ取り出しユニットから取り外すとき、保持位置にある上部アームの位置が、タイヤ取り出しユニットからの生タイヤの取り外しの妨げになり得ることが分かった。更に、生タイヤが検査後にタイヤ取り出しユニットに戻されるとき、それは、上部アームと下部にある支持部材との間に挟まり得、それによって、生タイヤが完全にその元の位置に戻されることを阻止する。生タイヤは、例えば、支持部材の上部アームと、下部アームのうちの一方のみとの間にクランプされ得る。少なくとも1つの境界部材の斜めの向きは、検査のためにタイヤ取り出しユニットから生タイヤをより容易に取り外すことを可能にし、生タイヤが、検査後にタイヤ取り出しユニットに戻されるときに、支持部材上で、より具体的には、上記支持部材の両方の下部アームによって、再び適正に支持され得ることを更に確実にし得る。具体的には、斜めの向きにより、生タイヤに接触する境界部材の表面は、生タイヤの周囲に対してより接する(more tangent to)及び/又はより鋭角でない角度をなして延在し、従って、上記生タイヤの取り出し又は戻しを妨害する可能性が低い。
【0039】
好ましくは、少なくとも1つの境界部材は、アーム本体を受容するための横方向における貫通開口部を有する境界本体を備え、ここにおいて、アーム本体には、クランプ方向に平行に延在する2つの反対側に面した案内面が設けられ、貫通開口部は、クランプ方向においてアーム本体のそれぞれの案内面に沿って摺動するための、クランプ方向に平行に延在する2つの互いに対向する摺動面を有し、少なくとも1つの境界部材は、クランプ方向が垂直面に対して斜角をなして延在するように、アーム本体によって支持される。従って、少なくとも1つの境界部材は、斜めに配置されたアーム本体と同じ向きをとり得る。
【0040】
一実施形態では、アーム本体は、矩形断面を有し、ここにおいて、矩形断面は、垂直中央平面に対して斜角をなして配置されている。従って、境界部材は、アーム本体と同じ向き、即ち、固定された斜角において保持され得る。
【0041】
代替として、アーム本体は、円形断面を有し、ここにおいて、少なくとも1つの境界部材は、上記斜角に対応する斜めの位置へと上記アーム本体を中心として回転可能である。自由に回転可能な境界部材は、検査のために生タイヤを取り外すのに便利な位置又は向きをとり得、また、それは、生タイヤが戻されたときの適正な支持を確実にし得る。
【0042】
本明細書に記載され、示された様々な態様及び特徴は、可能な限り、個別に適用され得る。これらの個々の態様、特に、添付の従属請求項に記載される態様及び特徴は、分割特許出願の主題となり得る。
【0043】
本発明は、添付の概略的な図面に示される例示的な実施形態に基づいて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、待機位置にある、本発明の第1の例示的な実施形態によるタイヤ取り出しユニットの側面図を示す。
図2図2は、保持位置にある、本発明の第1の例示的な実施形態によるタイヤ取り出しユニットの側面図を示す。
図3図3は、図2の線III-IIIに沿ったタイヤ取り出しユニットの断面図を示す。
図4図4は、本発明の第2の例示的な実施形態による、代替のタイヤ取り出しユニットを示す。
図5図5は、本発明の第3の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットの断面図を示す。
図6図6は、本発明の第4の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットの断面図を示す。
図7図7は、本発明の第5の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットの断面図を示す。
図8図8は、本発明の第6の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットの断面図を示す。
図9図9は、本発明の第7の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットの断面図を示す。
図10図10は、本発明の第8の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットの断面図を示す。
図11図11は、本発明の第9の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットの側面図を示す。
図12図12は、本発明の第10の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1図3は、本発明の第1の例示的な実施形態による、生タイヤ又は未加硫タイヤ9の取り出し用のタイヤ取り出しユニット1を示す。生タイヤ9は、タイヤ組立てドラム上で組み立てられ、タイヤ組立てが完了すると、タイヤ取り出しユニット1によって、上記タイヤ組立てドラムから取り外される。タイヤ取り出しユニット1は、タイヤ組立てプロセスが依然として作動状態にあるか又は完了されているときに、例えば、1つ以上のタイヤ構成要素をタイヤ組立てドラムに移送するための移送リングが、依然としてドラムの周りの位置にあるときに、タイヤ組立てドラムの周りの位置に既に移動させられ得る。生タイヤ9がタイヤ取り出しユニット1によって係合されたとき、タイヤ組立てドラム及び/又は移送リングは、その後、後退させられ得、及び/又は離れるように移動させられ得る。代替として、タイヤ組立てドラムは、定位置に留まり得、タイヤ取り出しユニット1が、後退させられ得、及び/又は離れるように移動させられ得る。タイヤ組立てドラム及び/又はタイヤ取り出しユニット1の移動は、好ましくは、線形駆動装置、例えばサーボモータによって制御される。生タイヤ9は(一旦安定すると)、最終的な取り出しより前に、上記タイヤ取り出しユニット1において、分析、検査、測定、重量測定、及び/又はタグ付けされ得る。
【0046】
生タイヤ9は、外部に面した周方向トレッド面90、即ち、半径方向外方に面した円周面を有する。トレッド面90は、タイヤ軸Xを中心として周方向及び/又は同心円状に延在する。タイヤ取り出しユニット1は、生タイヤ9を、直立した向きで、即ち、タイヤ軸Xが水平に又は実質的に水平に延在している状態で、保持するように配置されている。生タイヤ9は、上記タイヤ軸Xに平行な横方向Lにおいて、第1の側部S1と、第1の側部S1とは反対側の第2の側部S2と、を更に有する。
【0047】
図1及び図2に示すように、タイヤ取り出しユニット1は、固定されたワールド(the fixed world)を表すフレーム又は基部10を備える。基部10は、地面、即ち、工場の床に設置され得る。タイヤ取り出しユニット1は、2つの周方向に離間した支持位置において、生タイヤ9を外部に面した周方向トレッド面90において下から支持するための、横方向Lにおいて基部10から突出する、第1の下部アーム11と、第2の下部アーム12と、を備える支持部材11、12を更に備える。
【0048】
代替として、タイヤ取り出しユニット1には、生タイヤ9を下から確実に支持するのに好適な幅又は幾何学的形状を有する、単一の下部アーム、テーブル、プラットフォーム、又は別の好適な支持要素が設けられ得る。
【0049】
支持部材11、12は、タイヤ組立てドラムにおける生タイヤ9と接触するように、基部10に沿って移動可能であるように配置され得る。
【0050】
タイヤ取り出しユニット1は、生タイヤ9を外部に面した周方向トレッド面90において上から安定させるための、基部10から突出する上部アーム2を更に備える。上部アーム2は、生タイヤ9をトレッド面90において上から安定させるための、基部から横方向Lに突出したアーム本体20を備える。アーム本体20は、シャフト状、棒状、又は梁状に形成されている。アーム本体20は、図1に示されるような待機位置と、待機位置よりもクランプ方向Cにおいて第1の下部アーム11により近い、図2に示されるような保持位置との間で、基部10に沿って又は基部10に対してクランプ方向Cに移動可能である。この例では、クランプ方向Cは、垂直又は実質的に垂直である。上部アーム2は、生タイヤ9が依然としてタイヤ組立てドラム上にあるときに、基部10に沿って両側から生タイヤ9をクランプするために、支持部材11、12と協働し得る。
【0051】
この例示的な実施形態では、タイヤ取り出しユニット1は、基部10に対してアーム本体20を配置するために、基部10とアーム本体20との間に傾斜部材15を備える。特に、傾斜部材15は、タイヤ軸Xに平行な傾斜軸Tを中心として傾斜するために、基部10にヒンジで動作可能に接続されている(hingably connected)。その結果、アーム本体20は、重力Gの影響下で、上方から生タイヤ9に向かって移動するように、傾斜軸Tを中心としたある程度の移動の自由を有する。
【0052】
図3で最もよく分かるように、上部アーム2は、第1の横方向境界部材31と、第2の横方向境界部材32と、複数の中間境界部材33と、を含む境界部材31~33のセットを備える。横方向境界部材31、32は、横方向Lにおいて、生タイヤ9の両側S1、S2で、上記生タイヤ9に沿って配置可能である。複数の中間境界部材33は、第1の横方向境界部材31と第2の横方向境界部材32との間で、アーム本体20上に横方向Lに並んで位置するか、又は配置される。この例示的な実施形態では、横方向境界部材31、32及び中間境界部材33は、上記アーム本体20によって支持され、クランプ方向Cにおいて上記アーム本体20から下方に突出する。特に、横方向境界部材31、32及び中間境界部材33は、好ましくは、個々に及び/又は独立して、アーム本体20に対してクランプ方向Cに移動可能である。換言すれば、横方向境界部材31、32と、中間境界部材33と、を備えるグループの各境界部材31~33は、グループの他の境界部材31~33に対して、及びアーム本体20に対して、クランプ方向Cに個々に及び/又は独立に移動可能である。
【0053】
この例では、タイヤ取り出しユニット1には、第1の軸方向固定部材51と、第2の軸方向固定部材52と、が設けられ、これらは、横方向Lにおいて上部アーム2上に動かないように配置されている。固定部材51、52は、境界部材31~33によって形成されるグループの両側に位置して、上記グループを横方向Lに対して上部アーム2上の定位置に固定する。
【0054】
図3に示すように、各境界部材31~33は、アーム本体20を受容するための横方向における貫通開口部40を有する境界本体4を備える。この例示的な実施形態では、境界本体4は、平面又は板状であり、好ましくは、図1及び図2に示すように、矩形又は実質的に矩形の断面を有する。代替として、境界本体4は、異なる断面形状、即ち、円形状又は円盤形状を有し得る。
【0055】
図1に示すように、アーム本体20は、クランプ方向Cにおけるアーム本体高さH1を有する。貫通開口部40は、アーム本体高さH1より大きい、クランプ方向Cにおける開口部高さH2を有する。境界本体4は、アーム本体高さH1と開口部高さH2との間の差によって画定されるストローク又は範囲R内で、クランプ方向Cにおいてアーム本体20上を摺動可能である。特に、アーム本体20には、クランプ方向Cに平行に延在する2つの反対側に面した案内面21、22が設けられている。貫通開口部40は、案内面21、22に相補的であり、アーム本体20の上記それぞれの案内面21、22に沿って摺動するための、クランプ方向Cに平行に延在する、2つの互いに対向する摺動面41、42を有する。この例では、アーム本体20は、矩形若しくは正方形の断面、又は実質的に矩形若しくは正方形の断面を有する。好ましくは、貫通開口部40は、矩形の内側輪郭を有する。
【0056】
図3に示すように、境界部材31~33は、重力Gの影響下で、アーム本体20に対してクランプ方向Cに移動可能である。境界部材31~33は、アーム本体20上でそれらの最も低い位置へと下降されて、即ち、範囲Rの端部において、図1の待機位置から動き始める。次いで、アーム本体20は、生タイヤ9に向かって下降され、生タイヤ9と接触すると、生タイヤ9と接触した境界部材31~33は、クランプ方向Cとは反対の上方向Dへ押し上げられる。図3に示されるような保持位置では、各境界部材31~33は、生タイヤ9のトレッド面90に接触するか、又は横方向Lにおいて生タイヤ9に沿って、アーム本体20に対して範囲Rの端部に留まるかのいずれかである。従って、境界部材31~33のグループは、生タイヤ9の輪郭又は断面形状、特に、トレッド面90の輪郭に密接に及び/又は正確に追従することが可能であり、それによって、タイヤ取り出しユニット1における生タイヤ9の移動の自由を制限し、従って、生タイヤ9を効果的に安定させる。より具体的には、生タイヤ9のショルダ部において、その近くに、その周りに、及び/又はそれに沿って、即ち、トレッド面90から側部S1、S2への移行部において延在する境界部材31~33は、生タイヤ9がタイヤ取り出しユニット1において転倒するのを防ぎ得る。
【0057】
図4は、本発明の第2の例示的な実施形態による、代替のタイヤ取り出しユニット101を示し、これは、第1の横方向境界部材31、第2の横方向境界部材32、及び中間境界部材33が、横方向Lに垂直な法平面Vに対して、上記法平面Vに平行な第1の状態(図3と同様)から、上記法平面Vに対して斜角Fをなす第2の状態まで枢動可能であるという点で、本発明の第1の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット1とは異なる。この例では、法平面Vは、垂直に又は実質的に垂直に延在する。上記タイヤ組立てドラム8から生タイヤ9を取り外すための取り外し方向Wにおいて、代替のタイヤ取り出しユニット101とタイヤ組立てドラム8との間に相対移動が生成されるとき、タイヤ組立てドラム8からの生タイヤ9の解放における遅延が存在し得るか、又は、生タイヤ9は、タイヤ組立てドラム8から全く外れない場合がある。境界部材31~33の枢動は、上記生タイヤ9を損傷することなく、生タイヤ9の取り外しにおける初期遅延を吸収し得る。それはまた、生タイヤ9が深刻な損傷を受ける前に、取り外しプロセスを停止させるためのいくらかの時間を提供し得る。
【0058】
図4に示すように、代替のタイヤ取り出しユニット101は、第1の横方向境界部材31と、第2の横方向境界部材32と、中間境界部材33と、を備えるグループの両側に横方向Lにおいて上部アーム102上に配置された、第1の軸方向固定部材151と、第2の軸方向固定部材152と、を更に備える。軸方向固定部材151、152は、第2の軸方向固定部材152が第1の軸方向固定部材151から離れるように横方向Lに移動可能であるという点で、前述の軸方向固定部材51、52とは異なる。従って、第2の軸方向固定部材152は、例えば、タイヤ組立てドラム8からの生タイヤ9の解放における遅延に応答して、境界部材31~33の前述の枢動を可能にするために、境界部材31~33のグループに横方向Lへのある程度の移動の自由を与え得る。
【0059】
この例では、代替のタイヤ取り出しユニット101は、第2の軸方向固定部材152を第1の軸方向固定部材151に向かって付勢するための付勢要素153、例えば、ばねを備える。従って、境界部材31~33のグループは、上記第2の軸方向固定部材152に加えられる力が、上記第2の軸方向固定部材152に付勢要素153によって加えられる付勢力を超えるまでは、第2の軸方向固定部材152が固定されているかのように、アーム本体120上の定位置に保たれ得る。
【0060】
更に、この例では、第1の軸方向固定部材151及び第2の軸方向固定部材152には、第1の横方向境界部材31及び第2の横方向境界部材32に、それぞれ、第1の状態から第2の状態に移動する自由を与えるために、それぞれ、境界部材31~33のグループに面した、第1の面取り面155と、第2の面取り面156と、が設けられている。面取り面155、156は、アーム本体120の中心部を通って延在する水平中央平面Eの両側に位置する。この例示的な実施形態では、第1の面取り面155及び第2の面取り面156は、互いに対して点対称に、特に、上記水平中央平面Eの両側に延在する。より具体的には、面取り面155、156は、平行に、又は互いに平行に、又は同じ方向に傾斜して延在する。
【0061】
オプションで、各軸方向固定部材151、152には、境界部材31~33のグループが、法平面Vの両側に枢動することを可能にするために、水平中央平面Eに関して対称な三角形の先端部分(図示せず)を形成する2つの面取り面が設けられ得る。
【0062】
図5は、本発明の第3の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット201を示し、これは、上部アーム202が、アーム本体220と、横方向L及びクランプ方向Cの両方において、アーム本体220上の固定位置に配置された2つの横方向境界部材231、232と、を備えるという点で、前述のタイヤ取り出しユニット1、101とは異なる。この例示的な実施形態では、横方向境界部材231、232は、アーム本体220と一体化されるか、又はそれと一体になっている。代替として、横方向境界部材231、232は、固定位置においてアーム本体220に締結され得る。アーム本体220は、横方向境界部材231、232が生タイヤ9のそれぞれの側部S1、S2に沿って延在している状態で、生タイヤ9上に下降され、上記生タイヤ9が更なる代替のタイヤ取り出しユニット201において転倒するのを防止する。
【0063】
本発明のこの第3の実施形態では、上部アーム202は、中間境界部材を特徴としない。横方向Lにおける生タイヤ9への横方向境界部材231、232の近さに応じて、生タイヤ9は、依然として、更なる代替のタイヤ取り出しユニット201に対して、いくらかの制限された移動の自由を有し得る。
【0064】
図6は、本発明の第4の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット301を示し、これは、その上部アーム302が、反対向きにねじ切りされたセクション321、322を有するスピンドルの形態でのアーム本体320と、アーム本体320を回転させるためのスピンドル駆動装置323と、を備える点で、前述したタイヤ取り出しユニット1、101、201とは異なる。上部アーム302は、第1の横方向境界部材331及び第2の横方向境界部材332を、それぞれ、反対向きにねじ切りされたセクション321、322に結合するための第1のナット324及び第2のナット325を更に備える。従って、アーム本体320が回転すると、ナット324、325と、反対向きにねじ切りされたセクション321、322との間の相互作用は、横方向境界部材331、332が、互いに向かって又は互いから離れるように同期して移動し、それによって、生タイヤ9のそれぞれの側部S1、S2に接近するか、又はそれらから離れることを引き起こす。換言すれば、横方向境界部材331、332の横方向の位置は、生タイヤ9の幅に一致又は近似するように調整及び/又は変更され得る。
【0065】
図7は、本発明の第5の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット401を示し、これは、第2の横方向境界部材432が、横方向Lに垂直な法平面Vに対して、上記法平面Vに平行な第1の状態から、上記法平面Vに対して斜角Fをなす第2の状態まで枢動可能であるという点で、本発明の第4の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット301とは異なる。この例では、法平面Vは、垂直に又は実質的に垂直に延在する。示されるような実施形態では、更なる代替のタイヤ取り出しユニット401は、第2の横方向境界部材432の枢動を容易にするためのヒンジ434を備える。更に、更なる代替のタイヤ取り出しユニット401は、第2の横方向境界部材432を第2の状態から第1の状態に向かって及び/又は第1の状態へと付勢するための付勢要素435、例えば、ばねを備える。第2の横方向境界部材432の枢動は、本発明の第2の実施形態による枢動境界部材131~133と同様の方法で、タイヤ組立てドラム8からの上記生タイヤの取り外しに遅延が存在するときに、生タイヤ9への損傷を防止し得る。
【0066】
図8は、本発明の第6の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット501を示し、これは、アーム本体20の周りに嵌合される図3の境界本体4とは対照的に、各境界部材531、532、533が、上部アーム502のアーム本体520を貫通して受容される境界本体504を有するという点で、本発明の第1の実施形態による、前述したタイヤ取り出しユニット1とは異なる。特に、境界本体504は、ピン、針等のような形状であり、これらは、上記アーム本体520に対してクランプ方向Cに移動可能であるように、アーム本体520における対応する貫通孔に摺動可能に挿入されている。境界本体504の上端部において、各境界部材531~533には、境界部材531~533がアーム本体520を通って完全に抜け落ちるのを防止するために、アーム本体520における貫通孔の寸法より幅が広い制限部(limiter)545が設けられている。境界本体504は、生タイヤ9の輪郭及び/又は側部S1、S2と接触するように、アーム本体520を通って自由に及び/又は可変に突出し得る。境界部材531~533は、前述した境界部材31~33と同じように、重力の影響下で移動され得る。
【0067】
図9は、本発明の第7の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット601を示し、これは、上部アーム602が、待機位置と、待機位置よりもクランプ方向Cにおいて支持部材12により近い保持位置との間で、基部10に対してクランプ方向Cに移動可能な第1のアーム部620を備えるという点で、前述のタイヤ取り出しユニット1、201、301、401、501とは異なる。第1のアーム部620は、基部10から生タイヤ9にわたって横方向Lに突出している。
【0068】
上部アーム602は、生タイヤ9の上方で第1のアーム部620によって支持される第2のアーム部603を更に備える。第2のアーム部603は、第1のアーム部620が保持位置に留まっている間、第1のアーム部620に対してストローク距離Kにわたってクランプ方向Cに移動可能である。第1のアーム部620は、例えば、上記第1のアーム部620を基部10に沿って上下に移動させることを担う駆動装置によって、定位置に係止され得る。特に、第2のアーム部603は、第1のアーム部620を受容するための貫通開口部640を有する境界本体604で形成され得る。貫通開口部640は、クランプ方向Cにおける第1のアーム部620の高さより大きい、同じクランプ方向Cにおける高さを有し、従って、ストローク距離Kを画定している。
【0069】
この例では、ストローク距離K内での第1のアーム部620に対する第2のアーム部603の移動は、例えば、重力の影響下での、自由な又は非駆動的な移動である。第2のアーム部603は、例えば、生タイヤ9が、第1のアーム部620の到達範囲より下であるが、ストローク距離K内で第2のアーム部603の到達範囲内であるレベルまで、経時的に僅かに潰れるにつれて、生タイヤ9に追従し得、それによって、上部アーム602の安定効果が有効なままであることを確実にする。
【0070】
前述の実施形態とは対照的に、第2のアーム部603の境界本体604は、生タイヤ9の幅のかなりの部分にわたって延在する単一の一体型本体として形成され得る。
【0071】
図10は、本発明の第8の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット701を示し、これは、その第1のアーム部720が、第2のアーム部703と基部10との間に位置するという点でのみ、本発明の第7の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニットとは異なる。第2のアーム部703は、第1のアーム部720によって支持され、且つ第1のアーム部720から生タイヤ9にわたって横方向Lに突出するように配置されている。この例示的な実施形態では、第1のアーム部720には、垂直スロット724が設けられており、第2のアーム部703には、ストローク距離K内で移動するように摺動可能な方法で上記垂直スロット724に係合する角ピン725が設けられている。代替として、第1のアーム部720に対して第2のアーム部703を支持するために、及び上記第2のアーム部703にストローク距離K内での移動の自由を与えるために、リンク機構又は別の好適な機構が設けられ得る。
【0072】
図11は、本発明の第9の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット801を示し、これは、上部アーム802には、タイヤ軸Xと一致する垂直中央平面Zに対して斜角Aをなして配置されるように、アーム本体820によって支持される少なくとも1つの境界部材31が設けられているという点で、本発明の第1の例示的な実施形態によるタイヤ取り出しユニット1とは異なる。この例では、アーム本体820は、垂直中央平面Zに対して斜角Aをなして配置された矩形断面を有する。特に、少なくとも1つの境界部材31は、アーム本体820を受容するための横方向Lにおける貫通開口部40を有する境界本体4を備える。アーム本体820には、クランプ方向Cに平行に延在する2つの反対側に面した案内面21、22が設けられている。同様に、貫通開口部40は、クランプ方向Cにおいてアーム本体820のそれぞれの案内面21、22に沿って摺動するための、クランプ方向Cに平行に延在する2つの互いに対向する摺動面41、42を有する。従って、少なくとも1つの境界部材31は、クランプ方向Cが垂直面Zに対して斜角Aをなして延在するように、アーム本体820によって支持される。従って、換言すれば、少なくとも1つの境界部材31は、斜めに配置されたアーム本体820と同じ向きをとる。少なくとも1つの境界部材31の斜めの向きは、検査のために更なる代替のタイヤ取り出しユニット801から生タイヤ9をより容易に取り外すことを可能にし、生タイヤ9が、検査後に更なる代替のタイヤ取り出しユニット801に戻されるときに、支持部材上で、より具体的には、上記支持部材の両方の下部アーム11、12によって、再び適正に支持され得ることを更に確実にし得る。
【0073】
図12は、本発明の第10の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット901を示し、これは、上部アーム902が、円形断面を有するアーム本体920を有するという点でのみ、本発明の第9の例示的な実施形態による、更なる代替のタイヤ取り出しユニット801とは異なる。従って、少なくとも1つの境界部材31は、垂直中央平面Zに対して斜角A′に対応する斜めの位置へと、上記アーム本体を中心として、具体的には、上記アーム本体920と同心の回転軸Bを中心として自由に回転され得る。前述した実施形態と同様に、自由に回転可能な境界部材31は、検査のために生タイヤ9を取り外すのに便利な位置又は向きをとり得、また、それは、生タイヤ9が戻されたときに適正な支持を確実にし得る。
【0074】
図11及び図12の実施形態では、更なる代替のタイヤ取り出しユニット801、901には、上部アーム802、902が垂直中央平面Zから離間した位置にあるように、本発明の第1の実施形態による傾斜部材15より著しく短いホルダ815、915が設けられていることに留意されたい。これは、境界部材31と、支持部材の下部アーム11、12との間の空間を更に広げて、生タイヤ9のより円滑な取り外し及び戻しを容易にする。
【0075】
前述のタイヤ取り出しユニット1、101、201、301、401、501、601、701、801、901の各々は、前述したようにそれぞれの上部アーム2、102、202、302、402、502、602、702、802を使用して、タイヤ組立てドラムから生タイヤ9を取り出す又は取り外すための方法において使用され得る。
【0076】
上記の説明は、好ましい実施形態の動作を例示するために含まれており、本発明の範囲を限定するようには意図されないことを理解されたい。上記の説明から、本発明の範囲に更に包含されることになるであろう多くの変形例が、当業者には明らかであろう。
【0077】
例えば、図6に示されたようなスピンドル及びナット機構は、その他任意の好適な線形駆動機構、即ち、1つ以上のサーボモータ、ギアラック、タイミングベルト、又は同様のものによって置き換えられ得る。
【0078】
更に、移送リングとタイヤ組立てドラムとの間の利用可能な空間が限られていることを考慮して、上部アームの寸法を最小限に抑えるために、タイヤ取り出しユニットと、移送リング及び/又はタイヤ組立てドラムとの相互作用中に、横方向境界部材がアーム本体の近くに又はそれと平行に保たれる実施形態が想定される。このような横方向境界部材は、タイヤ組立てドラム及び/又は移送リングが、タイヤ取り出しユニットから取り除かれ、及び/又はそれから離れるように移動された後に、展開され(deployed)、延在され、及び/又は外側に向かって折り畳まれ得る。
【0079】
図3に示すように、マーキング装置Mが、上記生タイヤの製造が完了したとき、即ち、取り出しの直前、取り出し中、又は取り出しの後に、生タイヤ9にマーキングするために、タイヤ取り出しユニット1において、又はその近くに設けられ得る。この例では、マーキング装置Mは、完成した生タイヤ9に関連する情報、例えば、シリアル番号、バーコード、QRコード(登録商標)、又は同様のものを有するステッカー91を生成する。代替として、マーキング装置Mは、生タイヤ9に直接マーキングを印刷するプリンタであり得る。なお更なる代替の実施形態では、マーキング装置Mは、生タイヤ9の材料上又は材料中に直接、即ち、彫刻によって、マーキングを生成するように構成され得る。
【0080】
先行技術では、このようなマーキングは、生タイヤ又は未完成の生タイヤの一部、例えば、サイドウォールに、早期に設けられる。更なる製造工程がまだ行われる状態では、早期のマーキングは、例えば、それが、切り取られる生タイヤの一部に適用されたとき、失われるリスクがある。
【0081】
本発明は、上記生タイヤ9の構築が既に完了しているとき、特に、上記生タイヤ9がタイヤ取り出しユニット1において完成状態で保持されているときか、又は取り出し直後に、マーキング91が生タイヤ9に適用される方法を提供する。
【0082】
[参照番号のリスト]
1 タイヤ取り出しユニット
10 基部
11 第1の下部アーム
12 第2の下部アーム
15 傾斜部材
2 上部アーム
20 アーム本体
21 第1の案内面
22 第2の案内面
31 第1の横方向境界部材
32 第2の横方向境界部材
33 中間境界部材
4 境界本体
40 貫通開口部
41 第1の摺動面
42 第2の摺動面
51 第1の軸方向固定部材
52 第2の軸方向固定部材
8 タイヤ組立てドラム
9 生タイヤ
90 外部に面した周方向トレッド面
91 マーキング
101 代替のタイヤ取り出しユニット
102 上部アーム
151 第1の軸方向固定部材
152 第2の軸方向固定部材
153 付勢要素
154 制限部
201 更なる代替のタイヤ取り出しユニット
202 上部アーム
220 アーム本体
231 第1の横方向境界部材
232 第2の横方向境界部材
301 更なる代替のタイヤ取り出しユニット
302 上部アーム
320 アーム本体
321 第1のねじ切りされたセクション
322 第2のねじ切りされたセクション
323 スピンドル駆動装置
324 第1のナット
325 第2のナット
331 第1の横方向境界部材
332 第2の横方向境界部材
401 更なる代替のタイヤ取り出しユニット
402 上部アーム
432 第2の横方向境界部材
434 ヒンジ
435 付勢要素
501 更なる代替のタイヤ取り出しユニット
502 上部アーム
520 アーム本体
531 第1の横方向境界部材
532 第2の横方向境界部材
533 中間境界部材
504 境界本体
545 制限部
601 更なる代替のタイヤ取り出しユニット
602 上部アーム
620 第1のアーム部
603 第2のアーム部
604 境界本体
640 貫通開口部
701 更なる代替のタイヤ取り出しユニット
702 上部アーム
720 第1のアーム部
724 垂直スロット
725 ピン
801 更なる代替のタイヤ取り出しユニット
815 ホルダ
802 上部アーム
820 アーム本体
901 更なる代替のタイヤ取り出しユニット
915 ホルダ
902 上部アーム
920 アーム本体

A 斜角
A′ 斜角
B 回転軸
C クランプ方向
D 上方向
E 水平中央平面
F 斜角
G 重力
H1 アーム本体高さ
H2 開口部高さ
K ストローク
L 横方向
M マーキング装置
R 範囲
S1 第1の側部
S2 第2の側部
T 傾斜軸
X タイヤ軸
V 法平面
W 取り外し方向
Z 垂直中央平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットにおいて、前記生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、前記タイヤ取り出しユニットは、基部と、前記基部に対して前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、前記基部から突出した上部アームと、を備え、前記上部アームは、前記基部から横方向に突出し、待機位置と、前記待機位置よりもクランプ方向において前記支持部材により近い保持位置との間で、前記基部に対して前記クランプ方向に移動可能なアーム本体を備え、前記上部アームは、前記アーム本体によって支持された、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、を備え、前記第1の横方向境界部材及び前記第2の横方向境界部材は、前記生タイヤに少なくとも部分的に沿って、前記横方向において前記生タイヤの両側に配置可能であり、前記上部アームは、前記第1の横方向境界部材と前記第2の横方向境界部材との間に、前記アーム本体上に前記横方向に並んで位置する複数の中間境界部材を備え、前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体に対して及び互いに対して、個々に前記クランプ方向に移動可能である、タイヤ取り出しユニット。
【請求項2】
前記複数の中間境界部材のうちの1つ以上の中間境界部材は、前記横方向に垂直な法平面に対して、前記法平面に平行な第1の状態から、前記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である、請求項1に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項3】
前記法平面は、垂直に延在する、請求項2に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項4】
前記タイヤ取り出しユニットは、前記第1の横方向境界部材と、前記第2の横方向境界部材と、前記中間境界部材と、を備えるグループの両側に前記横方向において前記上部アーム上に動かないように配置された、第1の軸方向固定部材と、第2の軸方向固定部材と、を更に備える、請求項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項5】
前記タイヤ取り出しユニットは、前記第1の横方向境界部材と、前記第2の横方向境界部材と、前記中間境界部材と、を備えるグループの両側に前記横方向において前記上部アーム上に配置された、第1の軸方向固定部材と、第2の軸方向固定部材と、を更に備え、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの少なくとも1つは、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちのもう1つから離れるように前記横方向に移動可能である、請求項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項6】
前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの前記少なくとも1つは、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの前記もう1つに向かって移動するように付勢される、請求項5に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項7】
前記グループの各境界部材が、前記横方向に垂直な法平面に対して、前記法平面に平行な第1の状態から、前記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である、請求項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項8】
前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材には、前記第1の横方向境界部材及び前記第2の横方向境界部材に、それぞれ、前記第1の状態から前記第2の状態に移動する自由を与えるために、それぞれ、前記グループに面した、第1の面取り面と、第2の面取り面と、が設けられている、請求項7に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項9】
前記第1の面取り面及び前記第2の面取り面は、互いに対して点対称に延在する、請求項8に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項10】
前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体を受容するための前記横方向における貫通開口部を有する境界本体をそれぞれ備え、前記アーム本体は、前記クランプ方向におけるアーム本体高さを有し、前記貫通開口部は、前記アーム本体高さより大きい、前記クランプ方向における開口部高さを有し、前記境界本体は、前記アーム本体高さと前記開口部高さとの間の差によって画定される範囲内で、前記クランプ方向において前記アーム本体上を摺動可能である、請求項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項11】
前記アーム本体には、前記クランプ方向に平行に延在する2つの反対側に面した案内面が設けられ、前記貫通開口部は、前記アーム本体のそれぞれの前記案内面に沿って摺動するための、前記クランプ方向に平行に延在する2つの互いに対向する摺動面を有する、請求項10に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項12】
前記アーム本体は、前記横方向に垂直な矩形断面を有する、請求項11に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項13】
前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体に対して前記クランプ方向に移動可能であるように、前記アーム本体における対応する貫通孔において摺動可能に受容されている境界本体をそれぞれ備える、請求項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項14】
前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、重力の影響下で、前記アーム本体に対して前記クランプ方向に移動可能である、請求項に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項15】
前記支持部材は、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための、前記基部から前記横方向に突出した第1の下部アームを備える、請求項1に記載のタイヤ取り出しユニット。
【請求項16】
前記支持部材は、前記第1の下部アームと共に、2つの周方向に離間した支持位置において、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための、前記基部から前記横方向に突出した第2の下部アームを更に備える、請求項15に記載のタイヤ取り出しユニット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
本発明は、上記生タイヤ9の構築が既に完了しているとき、特に、上記生タイヤ9がタイヤ取り出しユニット1において完成状態で保持されているときか、又は取り出し直後に、マーキング91が生タイヤ9に適用される方法を提供する。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 生タイヤ取り出し用のタイヤ取り出しユニットにおいて、前記生タイヤは、タイヤ軸の周りに延在する、外部に面した周方向トレッド面を有し、前記タイヤ取り出しユニットは、基部と、前記基部に対して前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための支持部材と、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において上から安定させるための、前記基部から突出した上部アームと、を備え、前記上部アームは、前記基部から横方向に突出し、待機位置と、前記待機位置よりもクランプ方向において前記支持部材により近い保持位置との間で、前記基部に対して前記クランプ方向に移動可能なアーム本体を備え、前記上部アームは、前記アーム本体によって支持された、第1の横方向境界部材と、第2の横方向境界部材と、を備え、前記第1の横方向境界部材及び前記第2の横方向境界部材は、前記生タイヤに少なくとも部分的に沿って、前記横方向において前記生タイヤの両側に配置可能であり、前記上部アームは、前記第1の横方向境界部材と前記第2の横方向境界部材との間に、前記アーム本体上に前記横方向に並んで位置する複数の中間境界部材を備え、前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体に対して及び互いに対して、個々に前記クランプ方向に移動可能である、タイヤ取り出しユニット。
[2] 前記複数の中間境界部材のうちの1つ以上の中間境界部材は、前記横方向に垂直な法平面に対して、前記法平面に平行な第1の状態から、前記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である、[1]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[3] 前記法平面は、垂直に又は実質的に垂直に延在する、[2]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[4] 前記タイヤ取り出しユニットは、前記第1の横方向境界部材と、前記第2の横方向境界部材と、前記中間境界部材と、を備えるグループの両側に前記横方向において前記上部アーム上に動かないように配置された、第1の軸方向固定部材と、第2の軸方向固定部材と、を更に備える、[1]~[3]のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
[5] 前記タイヤ取り出しユニットは、前記第1の横方向境界部材と、前記第2の横方向境界部材と、前記中間境界部材と、を備えるグループの両側に前記横方向において前記上部アーム上に配置された、第1の軸方向固定部材と、第2の軸方向固定部材と、を更に備え、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの少なくとも1つは、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちのもう1つから離れるように前記横方向に移動可能である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
[6] 前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの前記少なくとも1つは、前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材のうちの前記もう1つに向かって移動するように付勢される、[5]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[7] 前記グループの各境界部材が、前記横方向に垂直な法平面に対して、前記法平面に平行な第1の状態から、前記法平面に対して斜角をなす第2の状態まで枢動可能である、[5]又は[6]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[8] 前記第1の軸方向固定部材及び前記第2の軸方向固定部材には、前記第1の横方向境界部材及び前記第2の横方向境界部材に、それぞれ、前記第1の状態から前記第2の状態に移動する自由を与えるために、それぞれ、前記グループに面した、第1の面取り面と、第2の面取り面と、が設けられている、[7]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[9] 前記第1の面取り面及び前記第2の面取り面は、互いに対して点対称に延在する、[8]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[10] 前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体を受容するための前記横方向における貫通開口部を有する境界本体をそれぞれ備え、前記アーム本体は、前記クランプ方向におけるアーム本体高さを有し、前記貫通開口部は、前記アーム本体高さより大きい、前記クランプ方向における開口部高さを有し、前記境界本体は、前記アーム本体高さと前記開口部高さとの間の差によって画定される範囲内で、前記クランプ方向において前記アーム本体上を摺動可能である、[1]~[9]のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
[11] 前記アーム本体には、前記クランプ方向に平行に延在する2つの反対側に面した案内面が設けられ、前記貫通開口部は、前記アーム本体のそれぞれの前記案内面に沿って摺動するための、前記クランプ方向に平行に延在する2つの互いに対向する摺動面を有する、[10]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[12] 前記アーム本体は、前記横方向に垂直な矩形断面を有する、[11]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[13] 前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、前記アーム本体に対して前記クランプ方向に移動可能であるように、前記アーム本体における対応する貫通孔において摺動可能に受容されている境界本体をそれぞれ備える、[1]~[12]のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
[14] 前記第1の横方向境界部材、前記第2の横方向境界部材、及び前記複数の中間境界部材は、重力の影響下で、前記アーム本体に対して前記クランプ方向に移動可能である、[1]~[13]のいずれか一項に記載のタイヤ取り出しユニット。
[15] 前記支持部材は、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための、前記基部から前記横方向に突出した第1の下部アームを備える、[1]に記載のタイヤ取り出しユニット。
[16] 前記支持部材は、前記第1の下部アームと共に、2つの周方向に離間した支持位置において、前記生タイヤを前記外部に面した周方向トレッド面において下から支持するための、前記基部から前記横方向に突出した第2の下部アームを更に備える、[15]に記載のタイヤ取り出しユニット。
【国際調査報告】