(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】ガス捕捉プロセスの速度の向上
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20230919BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20230919BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20230919BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
B01D53/14 210
B01D53/18 ZAB
B01D53/14 220
B01D53/62
B01D53/78
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503092
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 GB2021051805
(87)【国際公開番号】W WO2022013550
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516172064
【氏名又は名称】シー-キャプチャー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】C-CAPTURE LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】スホールデルマン,カスパル
(72)【発明者】
【氏名】ホールズワース,ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】レイナー,クリストファー
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002AC01
4D002AC05
4D002AC07
4D002AC10
4D002BA02
4D002CA01
4D002CA04
4D002CA07
4D002CA20
4D002DA01
4D002DA04
4D002DA16
4D002DA19
4D002EA08
4D002FA01
4D020AA03
4D020BA01
4D020BA09
4D020BA19
4D020BA30
4D020BB03
4D020BC01
4D020CB08
4D020CB18
4D020CB25
4D020CB28
(57)【要約】
本発明は、CO
2をガス流から捕捉する方法に関する。当該方法は、2液相の捕捉組成物を用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO
2を含むガス流からCO
2を捕捉するための方法であって、当該方法は、充填捕捉組成物を生成させるために、気液接触装置において、CO
2を含むガス流を捕捉組成物と接触させる工程を含み、
前記捕捉組成物が、
(iii)第1液相、および
(iv) 第2液相
を含み、
前記第1液相は、少なくとも1つの捕捉試薬を含み、
前記第2液相は、CO
2に対して有効な溶媒であり、なおかつ、CO
2に対して化学的に不活性であり、
前記第1液相は、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩の水溶液を含み、
当該方法は、さらに、前記充填捕捉組成物から前記CO
2を放出させることを含む、
方法。
【請求項2】
前記ガス流を前記捕捉組成物と接触させる工程は、気液接触装置において行われ、前記気液接触装置が、充填カラム(不規則充填物または規則充填物を有し、コ・フロー、カウンター・フローまたはクロス・フローの構成である)、スプレー・タワー、プレート・カラムもしくはトレー・カラム、撹拌タンク・リアクタ(連続またはバッチ式の構成のいずれかである)、チューブラー・フロー・リアクタ(層流または乱流の条件下のいずれかである)、バブル・カラム・リアクタ、流下膜式リアクタまたはメンブレン・コンタクタから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはその混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのカルボン酸は、炭素、水素および酸素のみを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのカルボン酸は、少なくとも1つのC
1~C
8の脂肪族カルボン酸である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのカルボン酸の塩に対応する前記少なくとも1つのカルボン酸は、酢酸、プロパン酸、ブチル酸およびその分岐鎖状の誘導体、ペンタン酸およびその分岐鎖状の誘導体、ヘキサン酸およびその分岐鎖状の誘導体、ヘプタン酸およびその分岐鎖状の誘導体、ならびにオクタン酸およびその分岐鎖状の誘導体を含むリストから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1液相は、少なくとも1つの炭酸塩をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの炭酸塩は、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩またはその混合物を含むリストから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1液相が、酵素をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記酵素は、天然の炭素脱水酵素または操作された炭素脱水酵素である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの捕捉試薬が、2M~15Mの範囲内の濃度で前記第1液相に存在する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2液相が、有機溶媒である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2液相が、シリコーン/シロキサンおよびエーテルを含むリストから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2液相が、1,2-ジメトキシプロパン、1,2-ジエトキシプロパン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジ-イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ブチルアセテート、ペンチルアセテート、ペンチルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、ヘキシルブチレート、ヘプチルブチレート、ガンマ(γ)-ブチロラクトン、ガンマ(γ)-オクタノラクトン、2-ペンタノン、3-ヘプタノン、4-オクタノン、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、デカナールから選択される溶媒である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1液相:前記第2液相の比は、1:3~9:1(容量)の範囲内であってよい、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2液相におけるCO
2の物理溶解性は、前記第1液相におけるCO
2の物理溶解性よりも高い、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記CO
2を含むガス流は、燃焼プロセスからの排出物を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記CO
2は、
(i) 前記充填捕捉組成物を加熱すること、および/または
(ii) 前記充填捕捉組成物をストリッピング・ガス(例えば、空気)のストリームに供すること、および/または
(iii)ストリッピングされた捕捉組成物を提供するために、前記充填捕捉組成物の上方において圧力を低下させること
によって放出される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
CO
2を含むガス流からCO
2を捕捉するための方法であって、当該方法は、充填捕捉組成物を生成させるために、気液接触装置において、CO
2を含むガス流を捕捉組成物と接触させる工程を含み、
前記捕捉組成物が、
(v) 第1液相、および
(vi)第2液相
を含み、
前記第1液相は、C
2~C
5の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液を含み、前記水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:15の範囲内になるような濃度を有し、
前記第2液相は、以下の式(I)の溶媒または1以上の以下の式(I)の溶媒の混合物
R
1-O-(CH
2CHR
2-O)
n-R
3 (I)
[式中、
R
1およびR
3は、それぞれ、独立して、不飽和のC
1~C
4のアルキルであり、
R
2は、独立して、それぞれの場合において、HおよびMeから選択され、
nは、1、2、3および4から選択される整数である]
を含む、方法。
【請求項20】
前記塩:前記水のモル比が、1:2.5~1:5の範囲内である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ガス流(又は気流又はガス・ストリーム)からCO2を捕捉(又はキャプチャ)する方法に関する。当該方法は、2相の液体の捕捉組成物(又はツー・フェーズ・リキッド・キャプチャ・コンポジション)を使用する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒトの活動の結果としての気候変動は、世界中の何十億もの人々の健康と繁栄に対する脅威である。2015年のパリ協定により、国際社会は、今世紀の世界の気温上昇を産業革命以前の水準と比べて上昇を2℃未満で十分に低く抑え、なおかつ、気温上昇をさらに1.5℃に抑える努力を追求することに合意した。気候変動に顕著に寄与するものは、多くの産業によって大量に排出されるCO2であり、特に化石燃料またはバイオ燃料のいずれかによる燃焼によるエネルギーの生成によって大量に排出されるCO2である。パリ協定を達成するためには、地球規模でのエネルギー供給に対する我々の全体的な考え方(又はアプローチ)を見直す必要がある。
【0003】
炭素捕捉技術(又はカーボン・キャプチャ・テクノロジー)によって、エネルギー・システム(又はエネルギー系)およびインダストリアル・プロセス(又は産業プロセス又は工業プロセス)を短期間(又は短時間)で脱炭素化(又はデカーボナイゼーション)することができる。つまり、時間を買うことによって、それらをカーボン・ニュートラルな代替のシステムまたはプロセスに置き換えることができる。そして、BECCS(Biomass Energy with Carbon Capture & Storage)などのバリエーションは、現在の技術では容易に脱炭素化(又はデカーボナイゼーション)できない分野(又はセクター)(例えば、航空機産業など)からの排出(又はエミッション)を相殺(又はオフセット)するために、負のCO2排出(又はネガティブCO2エミッション)を促進する可能性も秘めている。
【0004】
WO2015/092427は、混和性溶媒の混合物を含む組成物を用いた炭素捕捉(又はカーボン・キャプチャ)の方法を記載している。
【発明の概要】
【0005】
(発明の要旨)
本発明の第1の態様は、CO2を含むガス流(又は気流又はガス・ストリーム)からCO2を捕捉(又はキャプチャ)するための方法である。当該方法は、充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)を生成(又は形成)させるために、気液接触装置において、CO2を含むガス流を捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)と接触させること(又は工程又はステップ)を含む。
捕捉組成物は、以下の(i)第1液相と、(ii)第2液相とを含む。
(i) 第1液相は、少なくとも1つの捕捉試薬(又はキャプチャ試薬又はキャプチャ・リエージェント)を含む。
(ii)第2液相は、CO2とは化学的に不活性(又はイナート)である。
第2液相は、典型的には、CO2に対して有効(又は効果的)な溶媒である。
第2液相におけるCO2の溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)(例えば、物理溶解性(又はフィジカル・ソリュビリティ))は、第1液相におけるCO2の溶解性(例えば、物理溶解性)よりも高いものであってよい。
【0006】
第1液相および第2液相は、別々の相である(又は別個の相又は分離された相である)。すなわち、捕捉組成物は、2つの液相(又はリキッド・フェーズ)を含んで成る。従って、かかる2つの液相に含まれる成分(又はコンポーネント)および相対的な量(かかる成分が存在する量)は、捕捉組成物が2つの液相を含むように選択される。
【0007】
本発明は、CO2捕捉メカニズム(又はCO2キャプチャ・メカニズム)の物理的な工程(又はステップ)および化学的な工程(又はステップ)を一部の発明者が理解したことに起因する。捕捉メカニズム(又はキャプチャ・メカニズム)の最初の工程(又はステップ)は、捕捉試薬(又はキャプチャ試薬又はキャプチャ・リエージェント)を含む捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)にCO2を物理的に溶解させることである。CO2が捕捉組成物に物理的に溶解すると、次に、捕捉試薬との化学反応を受けることができる。CO2が捕捉組成物に溶解する速度(又は割合又はレート)は、気相(又はガス・フェーズ)におけるCO2のアベイラビリティ(又は利用可能性又は利用率)、すなわち、その体積濃度(分圧)によって部分的に支配される。したがって、気液相の境界における溶解/反応のためのCO2のアベイラビリティに部分的に支配される。
【0008】
本発明者らは、2つの液相を使用することによって、CO2の捕捉(又はキャプチャ)の速度(又は割合又はレート)が向上することを見出した。理論に縛られることは望まないが、CO2に対して第1液相よりもより有効(又は効果的)な溶媒である第2液相を含ませること(又は組み込むこと)によって、捕捉メカニズムの物理的な要素(又はエレメント)をわずかに変化させることができる。しかし、重要な変化を遂げる可能性がある。第2液相が存在すると、CO2は最初に第2液相に溶解することができ、気相に存在するよりも高い濃度で溶解することができる。次いで、第1液相に移行してよく、そこで、捕捉試薬と反応することができる。第2液相の全体的な効果(又はオーバーオール・エフェクト)は、特に液相-液相の境界において、第1液相中の捕捉試薬がCO2をより利用しやすくすることができることであってよい。したがって、CO2吸収(又はCO2アブソープション)の全体的な速度(又は割合又はレート)(又はオーバーオール・レート)を増加させる。本質的には、第2液相は、CO2を濃縮する手段として機能してよい。その後、少なくとも1つの捕捉試薬を含む第1液相への溶解および第1液相での反応を受けることになる。さらに、第2相は、CO2にさらされる第1液相の表面積を増加させるものであってよい。これは、高速反応および動力学的に向上した物質移動(又はマス・トランスファ)にとって、とても重要なことである。ここで、物質移動の速度(又は割合又はレート)(又はマス・トランスファ・レート)は、界面の表面積に正比例するようになる。さらに、2つの液相が部分的に混和している場合、界面の抵抗(又はレジスタンス)を減少させることによって、界面の物質移動の抵抗がさらに減少する可能性がある。
【0009】
本発明の第2の態様において提供されるものは、ガス(又は気体)を含むガス流(又は気流又はガス・ストリーム)からのガスを反応性の液体(又は反応性液体又はリアクティブ・リキッド)と反応させるための方法である。
当該方法は、生成組成物(又は製品組成物又はプロダクト組成物)を生成(又は形成又は発生又は製造)するために、気液接触装置において、ガスを含むガス流を組成物と接触させること(又は工程又はステップ)を含む。
当該組成物は、
(i) 第1液相、および
(ii)第2液相
を含む。
第1液相は、上記ガスと反応するための試薬(又はリエージェント)を含む。
第2液相は、上記ガスに対して、化学的に不活性(又はイナート)である。
【0010】
第2液相は、典型的には、CO2に対して有効(又は効果的)な溶媒である。第2液相におけるCO2の溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)は、第1液相におけるCO2の溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)よりも高いものであってよい。
【0011】
第1液相および第2液相は、別々の相(又は別個の相又は分離された相)である。すなわち、組成物は、2つの液相(又はリキッド・フェーズ)を含んで成る。したがって、2つの液相に含まれる成分(又はコンポーネント)およびその相対的な量(これらの成分が存在する量)は、この組成物が2つの液相(又はリキッド・フェーズ)を含むように選択されるものである。
【0012】
CO2捕捉システムにおいて本発明者らが確立した原則(又はプリンシパル)は、他の気液反応システム(又は他の気液反応系)にも等しく適用されるものである。
【0013】
第1液相および第2液相は、非混和性であってよい。第1液相および第2液相は、部分的に混和性であってよい。第1液相および第2液相が部分的に混和性である場合、第1液相および第2液相は、気液接触工程(又は気液接触ステップ)の条件(すなわち、温度、圧力および2つの液相の相対的な割合(又はプロポーション))において、完全に混和性ではない。
【0014】
気相および液相(または溶液相)の試薬の両方が関与する化学反応は、製造スケールにおいて、特に挑戦的(又はチャレンジング)である。なぜなら、反応の様々な成分を一緒にすることが難しいからである。かかる問題を解決するために様々な気液接触器(又は気液コンタクタ)が開発されている。充填カラム(不規則充填物または規則充填物を有し、コ・フロー、カウンター・フローまたはクロス・フローの構成(又はコンフィギュレーション)である)、スプレー・タワー、プレート・カラムもしくはトレー・カラム、撹拌タンク・リアクタ(連続およびバッチ式の構成(又はコンフィギュレーション)の両方である)、チューブラー・フロー・リアクタ(層流および乱流の条件下の両方である)、バブル・カラム・リアクタ、流下膜式リアクタおよびメンブレン・リアクタが挙げられるが、これらに限定されるものではない。より最近に開発されたものは、スピニング・ディスク・リアクタおよび回転充填ベッド・リアクタである。
【0015】
所定の用途に関して、最適なリアクタを選択するための選択基準は、その用途に対して、具体的であり、かかる基準に対する設計は、プロセス・エンジニアのスキルの一部を構成するものである。決定的な設計の基準の例として、プラントの資本コストを最小にすること、またはプラントの反応収量の効率を最大にすること、またはプラントの電気エネルギーの要求(又はデマンド)を最小にすることが挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。これらの適切な用途に関して、プロセスの強化は、プロセス・エンジニアリングの研究および開発の分野において活発(又はアクティブ)であり、“targeted improvement of a process at the unit operations, tasks and phenomena scales in order to increase process efficiency and improve sustainability” (Anantasarn N., Babi D. K., Suriyaprapphadilok U., Gani R., Comput. Aided Chem. Eng., 2016, 38, 1093-1098, https://doi.org/10.1016/B978-0-444-63428-3.50187-9)に規定されている通りである。
【0016】
気液接触工程(又は気液接触ステップ)は、0.1~200Bar(abs)の総ガス圧(又はトータル・ガス・プレッシャー)で行ってよい。気液接触工程(又は気液接触ステップ)は、0.1~100Bar(abs)の総ガス圧(又はトータル・ガス・プレッシャー)で行ってよい。気液接触工程(又は気液接触ステップ)は、0.1~50Bar(abs)の総ガス圧(又はトータル・ガス・プレッシャー)で行ってよい。
【0017】
気液接触工程(又は気液接触ステップ)は、0~200℃の温度で行われてよい。気液接触工程(又は気液接触ステップ)は、0~100℃の温度で行われてよい。気液接触工程(又は気液接触ステップ)は、20~50℃の温度で行われてよい。
【0018】
性能の向上に影響を与えるために必要な第2液相の最適な割合(又は比率又はプロポーション)は、気液接触プロセスを行う様式(又は方法又はマナー)に依存する。典型的には、第2液相は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全容量(又は全容積又は全体積又は全ボリューム又はオバーオール・ボリューム)の1~85%の範囲内の量で存在する。第2液相は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全容量の10~70%の範囲内の量で存在してよい。第2液相は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全容量の40~60%の範囲内の量で存在してよい。第2液相は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全容量の20~50%の範囲内の量で存在してよい。
【0019】
従って、第1液相:第2液相の比(又はレシオ)は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全容量において、99:1~1:4(容量)の範囲内であってよいものであってよい。第1液相:第2液相の比は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全容量において、9:1~1:3(容量)の範囲内であってよいものであってよい。第1液相:第2液相の比は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全容量において、3:2~2:3(容量)の範囲内であってよいものであってよい。第1液相:第2液相の比は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全容量において、4:1~1:1(容量)の範囲内であってよいものであってよい。
【0020】
(CO2捕捉(又はCO2キャプチャ))
上記の説明は、ガス流(又は気流又はガス・ストリーム)からのガスを反応性の液体と反応させる特許請求の範囲に記載の全ての方法に適用されるものである(本発明の第1の態様のCO2捕捉(又はCO2キャプチャ)の方法を含む)。以下の説明は、特に本発明の第1の態様のCO2捕捉(又はCO2キャプチャ)の方法に関する。
【0021】
第1液相は、水を含んでよい。第1液相は、少なくとも1つの捕捉試薬(又はキャプチャ試薬又はキャプチャ・リエージェント)を含む水溶液であってよい。
【0022】
少なくとも1つの捕捉試薬(又はキャプチャ試薬又はキャプチャ・リエージェント)は、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩であってよい。第1液相は、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩の水溶液であってよい。
【0023】
少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩は、少なくとも1つの金属塩であってよい。金属のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属(すなわち、周期表の第1族および第2族)およびそれらの混合物から選択されてよい。カルボン酸の塩は、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウム)の塩であるものであってよい。カルボン酸の塩は、カリウム塩であるものであってよい。
【0024】
本発明の目的のために、脂肪族、芳香族または複素芳香族(又はヘテロ芳香族)のカルボン酸の塩(例えば、脂肪族または芳香族のカルボン酸の塩)を使用してよい。適切な脂肪族のカルボン酸は、直鎖状、分岐鎖状または環状のカルボン酸から選択されてよい。かかるカルボン酸は、飽和であっても、不飽和であってもよく、置換基、複素原子(又はヘテロ原子)、芳香環または複素芳香環系(又はヘテロ芳香環系)のもので置換されていても、置換されていなくてもよい。カルボン酸または各カルボン酸は、単一(又は1つ又はシングル)のカルボン酸基を含んでよい。また、ポリカルボン酸(例えば、ジ、トリまたはテトラカルボン酸)は、ポリマーの酸(又はポリマー酸)(例えば、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸)ならびに天然由来の生体高分子(又はバイオポリマー)のカルボン酸(例えば、アルギン酸(海藻に由来するもの)およびペクチン(植物の細胞壁に由来するもの)として適切である。また、芳香族または複素芳香族(又はヘテロ芳香族)のカルボン酸(例えば、安息香酸)の塩は、本発明の目的に適している。かかる塩は、溶液、スラリーまたはディスパージョン(又は分散体又は分散液)の形態であってよい。
【0025】
典型的には、上記の少なくとも1つのカルボン酸は、少なくとも1つのC1~C20の脂肪族カルボン酸、より典型的には、少なくとも1つのC1~C8の脂肪族カルボン酸または少なくとも1つのC1~C6の脂肪族カルボン酸である。上記の脂肪族カルボン酸(単数または複数)は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。例示の酸として、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸(又は酪酸)(n-ブチル酸(又はn-酪酸)およびイソブチル酸(又はイソ酪酸)の両方を含む)、ペンタン酸(n-ペンタン酸および分岐鎖状のペンタン酸(例えば、ピバル酸)の両方を含む)およびヘキサン酸(n-ヘキサン酸および分岐鎖状のヘキサン酸の両方を含む)が挙げられる。特定の具体的な実施形態において、その塩は、脂肪族カルボン酸のカリウム塩であり、例えば、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいC1~C6の脂肪族カルボン酸のカリウム塩である。
【0026】
第1液相は、カルボン酸の単一(又は1つ又はシングル)の塩を含むものであってよい。第1液相は、カルボン酸の2またはそれよりも多くの塩の混合物を含むものであってよい。第1液相が2またはそれよりも多くの塩の混合物を含む場合、2またはそれよりも多くの塩は、同じカチオン性のカウンターイオン(又は対イオン)を含むものであってよい(ただし、異なるカルボン酸から誘導されるものである)。そして/または、2またはそれよりも多くの塩は、同じカルボン酸から誘導されるものであってよい(ただし、様々なカチオン性のカウンターイオン(又は対イオン)を有するものである)。直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいC1~C4の脂肪族カルボン酸の少なくとも1つの塩と、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいC5~C6の脂肪族カルボン酸の少なくとも1つの塩との混合物であってよい。塩は両方とも、上記で示したカルボン酸のカリウム塩であるものであってよい。
【0027】
直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい脂肪族カルボン酸は、置換基(複素原子(又はヘテロ原子)(すなわち、CまたはHではない原子)を含む置換基)で置換されていないものであってよい。脂肪族カルボン酸は、窒素を含む置換基で置換されていないものであってよい。しかし、脂肪族カルボン酸は、酸素(O)を含む置換基(例えば、ヒドロキシル基、アルコシ基またはアリールオキシ基)で置換されていてよい。例として、乳酸が挙げられる。上記の少なくとも1つのカルボン酸は、炭素、水素および酸素だけを含んでよい。
【0028】
また、カルボン酸がアミノ酸でないものであってもよく、または各カルボン酸がアミノ酸でないものであってもよい。カルボン酸が窒素を含んでいないものであってもよく、または各カルボン酸が窒素を含んでいないものであってもよい。捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)がアミノ酸を実質的に含まないものであってもよい。捕捉組成物が、窒素を含む有機化合物を実質的に含まないものであってもよい。「実質的に含まない(又は実質的にフリー)(substantially free)」との用語は、捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)の25重量%以下が、アミノ酸または窒素を含む有機化合物であることを意味するものと考えてよい。捕捉組成物の10重量%以下がアミノ酸または窒素を含む有機化合物であることを意味してよい。捕捉組成物の5重量%以下がアミノ酸または窒素を含む有機化合物であることを意味してよい。捕捉組成物の2重量%以下がアミノ酸または窒素を含む有機化合物であることを意味してよい。捕捉組成物の1重量%以下が、アミノ酸または窒素を含む有機化合物であることを意味してよい。
【0029】
少なくとも1つの捕捉試薬(又はキャプチャ試薬又はキャプチャ・リエージェント)(すなわち、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩)は、0.5M~15Mの範囲の濃度で第1液相に存在してよい。少なくとも1つの捕捉試薬(すなわち、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩)は、1M~15Mの範囲の濃度で第1液相に存在してよい。少なくとも1つの捕捉試薬(すなわち、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩)は、2M~15Mの範囲の濃度で第1液相に存在してよい。少なくとも1つの捕捉試薬(例えば、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩)は、3M~12Mの範囲の濃度で第1液相に存在してよい。少なくとも1つの捕捉試薬(例えば、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩)は、4M~9Mの範囲の濃度で第1液相に存在してもよい。これらの濃度は、第1液相における濃度である(全体として捕捉組成物におけるものではない)。
【0030】
第1液相は、少なくとも1つの捕捉剤(又はキャプチャ・エージェント)(すなわち、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩)の水溶液を含むものであってよい。第1液相は、C2~C5の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液を含むものであってよい。水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:15の範囲内となるような濃度を有するものであってよい。水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:12.5の範囲内にあるような濃度を有するものであってよい。水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:10の範囲内にあるような濃度を有するものであってよい。水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:7.5の範囲内にあるような濃度を有するものであってよい。水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:5の範囲内にあるような濃度を有するものであってよい。
【0031】
第1液相は、塩基性の添加剤(又はベース添加剤)をさらに含むものであってよい。
【0032】
塩基性の添加剤(又はベース添加剤)は、1M~10Mの範囲の濃度で第1液相に存在してよい。塩基性の添加剤は、1.5M~6Mの範囲の濃度で第1液相に存在してよい。塩基性の添加剤は、2M~4Mの範囲の濃度で第1液相に存在してよい。これらの濃度は、第1液相における濃度である(全体としての捕捉組成物におけるものではない)。
【0033】
塩基性の添加剤(又はベース添加剤)は、CO2捕捉反応(又はCO2キャプチャ反応)が行われる条件下において、塩をもたらすカルボン酸を脱プロトン化することができる化学種(又はケミカル・スピーシーズ)である。したがって、塩基性の添加剤は、CO2捕捉反応が行われる条件下において、塩をもたらすカルボン酸よりも高いpKaを有する共役酸を含む種(又は化学種又はスピーシーズ)である。塩基性の添加剤は、希薄な水溶液で測定されるpKaが、5~14であってよい。これらの実施形態において、カルボン酸の塩は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいC5~C8の脂肪族カルボン酸の塩であるものであってよい。カルボン酸の塩は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいC5~C8の脂肪族カルボン酸のカリウム塩であるものであってもよい。
【0034】
塩基性の添加剤(又はベース添加剤)は、塩であってもよい。したがって、塩基性の添加剤は、窒素塩基ではないもの(すなわち、アミンを含まないもの)であってもよい。
【0035】
塩基性の添加剤(又はベース添加剤)は、炭酸塩(又はカーボネート塩又はカーボネート・ソルト)であってもよい。炭酸塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(すなわち、周期表の第1族および第2族)の炭酸塩(又はカーボネート)およびそれらの混合物であってもよい。炭酸塩は、カリウム、ナトリウム、リチウム、マグネシウムまたはカルシウムの炭酸塩、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0036】
塩基性の添加剤(又はベース添加剤)が塩(例えば、炭酸塩またはフェノールの塩)である場合、塩は、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩と同じカチオン性のカウンターイオン(又は対イオン)を含んでよい。塩基性の添加剤は、カリウム塩であってもよい。
【0037】
第1液相が酵素をさらに含むものであってよい。酵素は、二酸化炭素(CO2)の捕捉(又はキャプチャ)および/または、二酸化炭素(CO2)の放出(又はリリース)を促進する。酵素は、炭酸およびその塩(すなわち、炭酸塩(又はカーボネート)および重炭酸塩(又はビカーボネート))を形成するための二酸化炭素の水和(又はハイドレーション)を触媒すること、および/または、二酸化炭素を形成するための炭酸およびその塩(すなわち、炭酸塩(又はカーボネート)および重炭酸塩(又はビカーボネート))の脱水(又はデハイドレーション)を触媒することによって、二酸化炭素(CO2)の捕捉(又はキャプチャ)および/または二酸化炭素(CO2)の放出(又はリリース)を促進させることができる。したがって、酵素は、炭酸脱水酵素であってよい。酵素が天然(またはネイティブ)の炭酸脱水酵素であるものであってよい。酵素は、捕捉組成物において促進剤としての性能(又はパフォーマンス)を最適化するように操作(又は設計又は遺伝子組み換え)された炭酸脱水酵素であるものであってよい。操作(又は設計又は遺伝子組み換え)された炭酸脱水酵素の例として、天然の炭酸脱水酵素に対して化学的および生化学的に修飾(又はモディフィケーション)されたものが挙げられる。このことは、天然酵素を入手し、それ自体に修飾(又はモディフィケーション)を施すことを意味してよい。あるいは、修飾された酵素が構成部分(又はコンポーネント・パーツ)から産生(又は生成又は形成)されることを意味してもよい。
【0038】
酵素は、0.01~5g/L(例えば、0.5~1.5g/L)の範囲内の濃度で第1液相に存在してよい。かかる濃度は、第1液相における濃度である(全体としての捕捉組成物におけるものではない)。
【0039】
第1液相は、イオン液体(又はイオン液(ionic liquid))を含んでよい。
【0040】
第1液相は、必ずしも、単一(又は1つ又はシングル)の純粋な溶媒である必要はないが、混合物が全体として上記の条件を満たす限り、2以上の化合物の混合物であってもよい。第1液相の性質(又は特徴又はネーチャー)または独自性(又は同一性又はアイデンティティ)に応じて、捕捉プロセスの管理(又はマネージメント)を助けるために他のマイナーな成分(又はコンポーネント)、例えば、第1液相成分の酸化的な分解を防止または低減するための抗酸化剤(又はアンチオキシダント)、あるいは気液接触器(又は気液コンタクタ)における第1液相の泡立ち(又はフォーミング)を防止または低減するための消泡剤(又はアンチフォーミング剤)を組み込む必要があるかもしれない。これらの役割を果たすのに適した種(又は化学種又はスピーシーズ)は、当業者にはよく知られている。ただし、本発明の基礎をなすものではない。これらのマイナー成分の性質(又は特徴又はネーチャー)、独自性(又は同一性又はアイデンティティ)および量は、捕捉の用途および第2液相の独自性(又は同一性又はアイデンティティ)に固有なものである。
【0041】
第2液相におけるCO2の溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)(例えば、物理溶解性)は、第1液相におけるCO2の溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)(例えば、物理溶解性)よりも大きいものであってよい。
【0042】
第2液相は、少なくとも1つの有機溶媒を含んでよい。少なくとも1つの有機溶媒は、第1液相と非混和性または部分的に混和性であるように選択される。少なくとも1つの有機溶媒は、水素原子、ケイ素原子、炭素原子および酸素原子のみ、例えば、水素原子、炭素原子および酸素原子のみを含んでよい。少なくとも1つの有機溶媒は、少なくとも1つの酸素原子を含んでよい。CO2に対して高い溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)を典型的に有する有機溶媒のクラスそして、以下のものが挙げられる:
エーテル(類)(環状および非環状のエーテルが挙げられる)、ポリエーテル(類)(例えば、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテルおよびブチレングリコールエーテルならびにそれらの末端がアルキル化された誘導体)、シリコーン(類)/シロキサン(類)(環状および非環状の変形物(又は異形物又はバリアント)が挙げられる)、炭化水素(類)(例えば、アルカン(類)、シクロアルカン(類)、アレーン(類)、アルキル化されたアレーン(類)およびそれらのパーフルオロ化(又は過フッ素化)された誘導体)、およびカルボニル化合物(類)(例えば、エステル(類)、ラクトン(類)、ケトン(類)およびアルデヒド(類))。
少なくとも1つの有機溶媒が、シリコーン(類)、シロキサン(類)およびエーテル(類)から選択されるものであってよい。
【0043】
第1液相が水溶液である場合、本発明の方法における使用に適した例示の溶媒として、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2-ジメトキシプロパン、1,2-ジエトキシプロパン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジ-イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ブチルアセテート(又は酢酸ブチル)、ペンチルアセテート(又は酢酸ペンチル)、ペンチルプロピオネート(又はプロピオン酸ペンチル)、ヘキシルプロピオネート(又はプロピオン酸ヘキシル)、ヘキシルブチレート(又は酪酸ヘキシル)、ヘプチルブチレート(又は酪酸ヘプチル)、ガンマ(γ)-ブチロラクトン、ガンマ(γ)-オクタノラクトン、2-ペンタノン、3-ヘプタノン、4-オクタノン、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、デカナール。
【0044】
第2液相は、必ずしも、単一(又は1つ又はシングル)の純粋な溶媒である必要はないが、混合物が全体として上記の条件を満たす限り、2以上の化合物の混合物であってよい。第2液相の性質(又は特徴又はネーチャー)や独自性(又は同一性又はアイデンティティ)に応じて、発泡(又はフォーミング)、溶媒劣化(又は溶媒デグレデーション)、腐食(又はコロジョン)などを抑制するために、捕捉プロセス(又はキャプチャ・プロセス)の管理(又はマネージメント)を助けるために他のマイナー成分を配合する必要があってよい。これらのマイナー成分の性質(又は特徴又はネーチャー)、独自性(又は同一性又はアイデンティティ)および量は、捕捉(又はキャプチャ)の用途および第1液相の独自性(又は同一性又はアイデンティティ)に固有のものである。
【0045】
典型的には、第2液相は、CO2捕捉反応(又はCO2キャプチャ反応)が行われる条件下でCO2に対して化学的に不活性(又はイナート)な成分(又はコンポーネント)のみを含む。
【0046】
捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)は、以下の(i)第1液相と、(ii)第2液相とを含んでよい。
(i) 第1液相は、C2~C5の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液を含む。この水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:15の範囲内であるような濃度を有する。
(ii)第2液相は、以下の式(I)の溶媒または1以上の以下の式(I)の溶媒の混合物を含む。
R1-O-(CH2CHR2-O)n-R3 (I)
式中、
R1およびR3は、それぞれ、独立して、不飽和のC1~C4のアルキルであり、
R2は、独立して、それぞれの場合において、HおよびMeから選択され、
nは、1、2、3および4から選択される整数である。
【0047】
捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)は、以下の(iii)第1液相と、(iv)第2液相とを含むものであってよい。
(iii)第1液相は、C2~C5の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液を含む。この水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:5の範囲内であるような濃度を有する。
(iv) 第2液相は、以下の式(I)の溶媒または1以上の以下の式(I)の溶媒の混合物を含む。
R1-O-(CH2CHR2-O)n-R3 (I)
式中、
R1およびR3は、それぞれ、独立して、不飽和のC1~C4のアルキルであり、
R2は、独立して、それぞれの場合において、HおよびMeから選択され、
nは、1、2、3および4から選択される整数である。
【0048】
疑義がないように、成分(又はコンポーネント)(塩、水、溶媒または式(I)の溶媒)の相対的な量は、2種類の液体が別々の相を形成するような量である。
【0049】
式(I)の溶媒は、水に部分的に可溶(性)であってよい。したがって、第1相は、式(I)の溶媒、または1以上の式(I)の溶媒の混合物をさらに含んでよい。したがって、第1相は、水、C2~C5のカルボン酸のアルカリ金属塩、および式(I)の溶媒、または式(I)の溶媒の混合物から構成されてよい。
【0050】
アルカリ金属は、好ましくは、カリウムである。
【0051】
カルボン酸は、好ましくは、C3~C5のカルボン酸である(例えば、プロピオン酸、ブチル酸(又は酪酸)またはペンタン酸)。カルボン酸は、C3~C4のカルボン酸であってよい。カルボン酸は、プロピオン酸であってよい。カルボン酸は、ブチル酸(又は酪酸)であってよい(例えば、イソブチル酸(又はイソ酪酸))。カルボン酸は、官能基を含む複素原子(又はヘテロ原子)(例えば、O、N、S)で置換されていないものであってよい(又は非置換であってよい)。
【0052】
R2は、それぞれの場合において、Hであってよい。R2は、それぞれの場合において、メチルであってよい。
【0053】
R1およびR3は、それぞれ、独立して、非置換(又は置換されていない)のC1~C3のアルキルであるものであってよい。R1およびR3は、それぞれ、独立して、非置換(又は置換されていない)のC2~C3のアルキルであるものであってよい。R1およびR3は、それぞれ、独立して、メチル、エチルおよびプロピルから選択されるものであってよい。R1およびR3は、それぞれ、独立して、エチルおよびプロピルから選択されるものであってよい。R1およびR3は、同一であってもよい。R1およびR3は、異なるものであってよい。R1およびR3は、それぞれ、エチルであってよい。R1およびR3は、それぞれ、プロピルであってよい。
【0054】
nは、2および3から選択される整数であってよい。nは、1であってよい。nは、2であってよい。nは、3であってよい。nは、4であってよい。
【0055】
第2液相は、組成物(例えば、捕捉組成物(又はキャプチャ組成物))の全体の容量(又はオーバーオール・ボリューム)の10~70%の範囲内の量で存在してよい。第2液相は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全体の容量の40~60%の範囲内の量で存在してよい。第2液相は、組成物(すなわち、捕捉組成物)の全体の容量の20~50%の範囲内の量で存在してよい。
【0056】
第1液相:第2液相の比(又はレシオ)は、組成物(例えば、捕捉組成物(又はキャプチャ組成物))の全体の容量(又はオーバーオール・ボリューム)において、9:1~1:3(容量(又は容積又は体積又はボリューム))の範囲内であってよい。第1液相:第2液相の比(又はレシオ)は、組成物(例えば、捕捉組成物)の全体の容量において、3:2~2:3(容量)であってよい。第1液相:第2液相の比(又はレシオ)は、組成物(例えば、捕捉組成物)の全体の容量において、4:1~1:1(容量)であってよい。
【0057】
CO2を含むガス流(又は気流又はガス・ストリーム)は、燃焼プロセスからの排出物(又は放出物又は排出又は放出又はエミッション)(燃焼プロセスとしてエネルギー生成または工業プロセスが挙げられるが、これらに限定されるものではない)を含んでよく、あるいは非燃焼の工業プロセスからの排出物(又は放出物又は排出又は放出又はエミッション)を含んでよい。
【0058】
当該工業プロセスとして、二酸化炭素の分離(又はセパレーション)が、そのプロセスには不可欠な部分であるプロセス(例えば、天然ガスの除去(又はスウィートニング)/精製、バイオガスの改質(又はアップグレード)、水素の製造、および合成ガス(又はシンガス)の製造)ならびに進行中の気候危機への影響を軽減する手段として炭素捕捉(又はカーボン・キャプチャ)が提案されているプロセス(例えば、発酵、鉄および鋼の製造、セメントの製造、ガラスの製造、およびアルミニウムの溶解)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
CO2を含むガス流(又は気流又はガス・ストリーム)は、大気から直接的に得られるものであってよい。
【0060】
CO2を含むガス流(又は気流又はガス・ストリーム)は、閉鎖した環境から得られるものであってよい。閉鎖した環境として、潜水艦および宇宙船が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
典型的には、上記の捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)とCO2を接触させること(又は工程又はステップ)は、CO2を含むガス流を上記捕捉組成物に通すこと(又は通過させること)(例えば、バブル・トレイ・カラム)を用いて通過させること)(又は工程又はステップ)によって、あるいは、CO2を含むガス流を並行して上記捕捉組成物に通すこと(又は通過させること)(例えば、充填カラムを通して通過させること)(又は工程又はステップ)によって、あるいは、当業者に知られている任意の他のプロセスを用いること(又は工程又はステップ)によって、首尾よく達成されてよい。
【0062】
当該方法は、以下のこと(又は工程又はステップ)をさらに含んでよい:
充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)を加熱すること(又は工程又はステップ)によって、上記CO2を放出(又はリリース)すること(又は工程又はステップ)、および/または、
充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)をストリッピング・ガス(例えば、空気(又はエア))のストリーム(又は流れ)に供すること(又は工程又はステップ)によって、上記CO2を放出(又はリリース)すること(又は工程又はステップ)、および/または、
ストリッピング(又はストリップ)された捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)を提供するために、上記充填捕捉組成物において(又は上記充填捕捉組成物の上方において)圧力を低下させること(又は工程又はステップ)によって、上記CO2を放出(又はリリース)すること(又は工程又はステップ)。
また、この工程(又はステップ)は、CO2を提供する。
【0063】
当該方法は、以下のこと(又は工程又はステップ)をさらに含んでよい:
冷却すること(又は工程又はステップ)によって、および/または、ストリッピング(又はストリップ)された上記捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)において(又は上記捕捉組成物の上方において)圧力を増加させること(又は工程又はステップ)によって、上記捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)を再生(又はリジェネレーション)すること(又は工程又はステップ)。
【0064】
CO2の放出(又はリリース)は、典型的には、0℃~300℃の範囲内、最も典型的には40℃~200℃の範囲内、例えば60℃~150℃の範囲内の温度において生じる。
【0065】
CO2の放出(又はリリース)は、従来では、0~150Baraの範囲内の圧力で達成される。具体的な実施形態において、CO2の放出(又はリリース)は、典型的には、約1~5Baraの圧力で達成されてよい。加圧された系(又はシステム)を用いる代替の実施形態において、CO2の放出(又はリリース)は、典型的には、1~30Bar(abs)の範囲内、最も典型的には約20Bar(abs)の圧力で生じてよい。いくつかの実施形態において、CO2の放出(又はリリース)は、0~1Bar(abs)の範囲内の圧力で生じる。
【0066】
本発明の特定の実施形態において、第1液相は、第2液相から分離されない。その後、充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)からCO2を放出(又はリリース)する工程(又はステップ)を行う。したがって、特定の実施形態では、相分離(又はフェーズ・セパレーション)の工程(又はステップ)は、充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)では行われない。その後、CO2を放出(又はリリース)する工程(又はステップ)を行う。疑問がないように、充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)からCO2を放出(又はリリース)させる場合、第1液相および第2液相の両方が存在する。
【0067】
本発明の他の実施形態において、相分離(又はフェーズ・セパレーション)の工程(又はステップ)は、充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)で行われてよい。その後、上記CO2を放出(又はリリース)する工程(又はステップ)を行う。この工程(又はステップ)は、第2液相から第1液相を分離すること(又は工程又はステップ)を含む。上記CO2を放出(又はリリース)する工程(又はステップ)は、次いで、第1液相のみで行う。第2液相は、新鮮(又はフレッシュ)な第1液相と混合されてよいか、あるいは再生(又はリジェネレーション)された第1液相と混合されてよい。アブソーバ(又は吸着装置又は吸収装置)にリサイクル(又は循環)されてよい。このような実施形態によって、上記CO2放出の工程(又はCO2リリース・ステップ)のエネルギー消費を減少させてよい。これは、CO2放出の温度まで加熱する必要がある液体の質量を減少させること(又は工程又はステップ)によるものである。
【0068】
この技術(又はテクノロジー)の特に有用な態様は、閉鎖した系(又は閉鎖したシステム)および/または加圧された系(又は加圧されたシステム)(圧力を高めることができるものである)において、放出プロセス(又はリリース・プロセス)が二酸化炭素(CO2)を発生させることである。このことによって、貯蔵の用途(又はストレージ・アプリケーション)に関して、さらなる圧縮の要件が減るはずである。完全な捕捉(又はコンプリート・キャプチャ)および保存プロセス(又はストレージ・プロセス)に関して、全体(又はオーバーオール)のエネルギー消費の減少について、重要な意味を有する。
【0069】
熱を適用(又は付与)することによって、捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)から、捕捉(又はキャプチャ)されたガス(又は気体)を放出(又はリリース)させることで捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)の再生(又はリジェネレーション)を促進させる。そうすることで、冷却の際にさらにCO2を伴うさらなる捕捉(又はキャプチャ)および放出(又はリリース)の操作(又は運転又はオペレーション)のために使用することができるようになる。
【0070】
ストリッピング・ガス(例えば、空気(又はエア))のストリーム(又は流れ)を適用(又は付与)することによって、捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)から、捕捉(又はキャプチャ)されたCO2を放出(又はリリース)させることは、溶媒のさらなる再生(又はリジェネレーション)を必要としない(このような溶媒は、その後、さらなる捕捉(又はキャプチャ)および放出(又はリリース)の操作(又は運転又はオペレーション)のためにリサイクル(又は再利用又は循環)させることができるものである)。ストリッピング・ガスのストリーム(又は流れ)を介して、捕捉(又はキャプチャ)されたCO2を放出(又はリリース)させることは、熱の適用(又は付与)によって、さらに高められてよい(又は向上してよい)。
【0071】
脱着装置(又は脱離装置又はデソープション装置)において、圧力の低下によって、捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)から、捕捉(又はキャプチャ)されたCO2を放出(又はリリース)させることは、捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)のさらなる再生(又はリジェネレーション)を必要としない(その後、捕捉組成物は、リサイクル(又は再利用又は循環)させることができるものである)(ただし、溶媒を吸着圧力に戻すことを除く)。CO2放出装置(又はCO2リリース装置)において、圧力を低下させることによって、捕捉(又はキャプチャ)されたCO2を放出(又はリリース)させることは、熱の適用(又は付与)によって、さらに高められてよい(又は向上してよい)。
【0072】
本発明の第3の態様において提供されるものは、以下の(i)第1液相と、(ii)第2液相とを含むCO2捕捉組成物(又はCO2キャプチャ組成物)である。
(i) 第1液相は、C2~C5の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液を含む。この水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:15の範囲内であるような濃度を有する。
(ii)第2液相は、以下の式(I)の溶媒または1以上の以下の式(I)の溶媒の混合物を含む。
R1-O-(CH2CHR2-O)n-R3 (I)
式中、
R1およびR3は、それぞれ、独立して、不飽和のC1~C4のアルキルであり、
R2は、独立して、それぞれの場合において、HおよびMeから選択され、
nは、1、2、3および4から選択される整数である。
【0073】
本発明の第3の態様のCO2捕捉組成物は、本発明の第1の態様に関して、上記で説明した捕捉組成物のいずれであってもよい。
【0074】
特に、本発明の第3の態様において、第1液相が、C2~C5の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液を含み、塩:水のモル比が1:2.5~1:5の範囲内であるような濃度を水溶液が有するものであってよい。
【0075】
以下のように番号が付された項目(又は請求項)によって本発明をさらに示す。
【0076】
1.
CO2を含むガス流からCO2を捕捉するための方法であって、当該方法は、充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)を生成させるために、気液接触装置において、CO2を含むガス流を捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)と接触させること(又は工程又はステップ)を含む。
捕捉組成物は、以下の(i)第1液相と、(ii)第2液相とを含む。
(i) 第1液相は、少なくとも1つの捕捉試薬(又はキャプチャ試薬又はキャプチャ・リエージェント)を含む。
(ii)第2液相は、CO2に対して有効(又は効果的)な溶媒であり、なおかつ、CO2に対して化学的に不活性(又はイナート)である。
気液接触装置を通過する(又は通る)捕捉組成物のモーション(又は運動)は、5g以下の加速(又はアクセレレーション)を経験する(又は受ける)ような方法で誘発(又は誘起又は誘導)される。
【0077】
2.
第1項に記載の方法であって、ガス流を捕捉組成物と接触させる工程(又はステップ)は、気液接触装置において行われ、気液接触装置は、充填カラム(不規則充填物または規則充填物を有し、コ・フロー、カウンター・フローまたはクロス・フローの構成(又はコンフィギュレーション)である)、スプレー・タワー、プレート・カラムもしくはトレー・カラム、撹拌タンク・リアクタ(連続またはバッチ式の構成(又はコンフィギュレーション)のいずれかである)、チューブラー・フロー・リアクタ(層流または乱流の条件下のいずれかである)、バブル・カラム・リアクタ、流下膜式リアクタまたはメンブレン・コンタクタから選択される、方法。
【0078】
3.
第1項または第2項に記載の方法であって、第1液相が、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩の水溶液を含む、方法。
【0079】
4.
第3項に記載の方法であって、少なくとも1つのカルボン酸の少なくとも1つの塩のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはその混合物である、方法。
【0080】
5.
第3項または第4項に記載の方法であって、少なくとも1つのカルボン酸が、炭素、水素および酸素のみを含む、方法。
【0081】
6.
第3項~第5項のいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つのカルボン酸が、少なくとも1つのC1~C8の脂肪族カルボン酸である、方法。
【0082】
7.
第6項に記載の方法であって、少なくとも1つのカルボン酸の塩に対応する少なくとも1つのカルボン酸が、酢酸、プロパン酸、ブチル酸およびその分岐鎖状の誘導体、ペンタン酸およびその分岐鎖状の誘導体、ヘキサン酸およびその分岐鎖状の誘導体、ヘプタン酸およびその分岐鎖状の誘導体、ならびにオクタン酸およびその分岐鎖状の誘導体を含むリストから選択される、方法。
【0083】
8.
第1項~第7項のいずれか1項に記載の方法であって、第1液相が、少なくとも1つの炭酸塩(又はカーボネート塩又はカーボネート・ソルト)をさらに含む、方法。
【0084】
9.
第8項に記載の方法であって、少なくとも1つの炭酸塩が、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩またはその混合物を含むリストから選択される、方法。
【0085】
10.
第1項~第9項のいずれか1項に記載の方法であって、第1液相が、酵素をさらに含む、方法。
【0086】
11.
第10項に記載の方法であって、酵素が、天然の炭素脱水酵素または操作(又は設計又は遺伝子組み換え)された炭素脱水酵素である、方法。
【0087】
12.
第1項~第11項のいずれか1項に記載の方法であって、少なくとも1つの捕捉試薬が、2M~15Mの範囲内の濃度で第1液相に存在する、方法。
【0088】
13.
第1項~第12項のいずれか1項に記載の方法であって、第2液相が、有機溶媒である、方法。
【0089】
14.
第13項に記載の方法であって、第2液相が、シリコーン(類)/シロキサン(類)およびエーテル(類)を含むリストから選択される、方法。
【0090】
15.
第13項に記載の方法であって、第2液相が、1,2-ジメトキシプロパン、1,2-ジエトキシプロパン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジ-イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ブチルアセテート、ペンチルアセテート、ペンチルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、ヘキシルブチレート、ヘプチルブチレート、ガンマ(γ)-ブチロラクトン、ガンマ(γ)-オクタノラクトン、2-ペンタノン、3-ヘプタノン、4-オクタノン、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、デカナールから選択される溶媒である、方法。
【0091】
16.
第1項~第15項のいずれか1項に記載の方法であって、第1液相:第2液相の比(又はレシオ)が、1:3~9:1(容量(又は容積又は体積又はボリューム))の範囲内であってよい、方法。
【0092】
17.
第1項~第16項のいずれか1項に記載の方法であって、第2液相におけるCO2の溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)は、第1液相におけるCO2の溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)よりも高い、方法。
【0093】
18.
第1項~第17項のいずれか1項に記載の方法であって、CO2を含むガス流(又は気流又はガス・ストリーム)が、燃焼プロセス(又は燃焼工程又は燃焼過程)からの排出物(又は放出物又は排出又は放出又はエミッション)を含む、方法。
【0094】
19.
ガス(又は気体)を含むガス流(又は気流又はガス・ストリーム)からのガスを反応性の液体(又は反応性液体又はリアクティブ・リキッド)と反応させるための方法であって、当該方法は、生成組成物(又は製造組成物又はプロダクト組成物)を生成(又は形成又は発生又は製造)するために、気液接触装置において、ガスを含むガス流を組成物と接触させること(又は工程又はステップ)を含む。
組成物は、以下の(i)第1液相と、(ii)第2液相とを含む。
(i) 第1液相は、上記ガスと反応するための試薬(又はリエージェント)を含む。
(ii)第2液相は、上記ガスに対して有効(又は効果的)な溶媒であり、なおかつ、上記ガスに対して化学的に不活性(又はイナート)である。
気液接触装置を通過する(又は通る)捕捉組成物のモーション(又は運動)は、5g以下の加速(又はアクセレレーション)を経験する(又は受ける)ような方法で誘発(又は誘起又は誘導)される。
【0095】
20.
第19項に記載の方法であって、第2液相におけるガスの溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)は、第1液相におけるガスの溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)よりも高い、方法。
【0096】
21.
第19項または第20項に記載の方法であって、ガス流を捕捉組成物と接触させる工程(又はステップ)が、気液接触装置において行われ、気液接触装置が、充填カラム(不規則充填物または規則充填物を有し、コ・フロー、カウンター・フローまたはクロス・フローの構成(又はコンフィギュレーション)である)、スプレー・タワー、プレート・カラムもしくはトレー・カラム、撹拌タンク・リアクタ(連続またはバッチ式の構成(又はコンフィギュレーション)のいずれかである)、チューブラー・フロー・リアクタ(層流または乱流の条件下のいずれかである)、バブル・カラム・リアクタ、流下膜式リアクタまたはメンブレン・コンタクタから選択される、方法。
【0097】
22.
CO2を含むガス流(又は気流又はガス・ストリーム)からCO2を捕捉(又はキャプチャ)するための方法であって、当該方法は、充填捕捉組成物(又は充填、負荷もしくはロードされた捕捉組成物もしくはキャプチャ組成物)を生成させるために、気液接触装置において、CO2を含むガス流を捕捉組成物(又はキャプチャ組成物)と接触させること(又は工程又はステップ)を含む。
捕捉組成物は、以下の(iii)第1液相と、(iv)第2液相捕捉組成物(又は第2液相キャプチャ組成物)とを含む。
(iii)第1液相は、少なくとも1つの捕捉試薬(又はキャプチャ試薬又はキャプチャ・リエージェント)を含む。
(iv) 第2液相捕捉組成物は、以下の(v)第1液相と、(vi)第2液相とを含んでよい。
(v) 第1液相は、C2~C5の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液を含む。この水溶液は、塩:水のモル比が1:2.5~1:5の範囲内になるような濃度を有する。
(vi)第2液相は、以下の式(I)の溶媒または1以上の以下の式(I)の溶媒の混合物を含む。
R1-O-(CH2CHR2-O)n-R3 (I)
式中、
R1およびR3は、それぞれ、独立して、不飽和のC1~C4のアルキルであり、
R2は、独立して、それぞれの場合において、HおよびMeから選択され、
nは、1、2、3および4から選択される整数である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】
図1は、実施例11について、CO
2吸収速度(又はCO
2吸収レート又はCO
2アブソープション・レート)をレイノルズ数の関数として示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
(発明の詳細な説明)
用語「アルキル」は、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖を意味する。例えば、用語「C1-6アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含む直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖を意味する(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシル)。アルキル基は、置換されていなくてもよい(又は非置換であってもよい)。
【0100】
用語「脂肪族カルボン酸」とは、アルキル基に結合したCO2Hを含むカルボン酸を意味する。置換されていないアルキル基に結合したCO2Hを含むカルボン酸を意味してもよい。
【0101】
1以上のガス試薬(又は気体試薬又はガス・リエージェント)を含む液相での化学反応について、その反応の速度(又は割合又はレート)は、少なくとも部分的に、上記の液相における気体試薬(単数または複数)のアベイラビリティ(又は利用可能性又は利用率)によって支配され得る。ヘンリーの法則に従って、液相に物理的に溶解したガス(又は気体)の平衡濃度は、その液体の上方の分圧に比例する。その比例係数(又は比例因子又は比例ファクター)は、ヘンリーの法則の定数(又はヘンリーの法則のコンスタント(Henry's law constant))と呼ばれている。換言すると、液相へのガス(又は気体)の物理的な溶解性(又は溶解度又はソリュビリティ)は、ガスの濃度(ガス相中)であり、いくつかの数値(ヘンリーの法則の定数)(気体の種(又はスピーシーズ)の性質、液相の性質、温度(測定が行われている温度)を考慮したもの)を掛け合わせたものである。
【0102】
炭素捕捉(又はカーボン・キャプチャ)の用途(又は応用又は適用又はアプリケーション)に関して、処理されるべきガス流(又は気流又はガス・ストリーム)におけるCO2の濃度は、当該ガス流を生成(又は形成又は発生)するプロセスの性質に依存する。炭素捕捉技術(又はカーボン・キャプチャ・テクノロジー)の多くの潜在的な用途に関して、処理されるべきガス流は、エア・ブレシング燃焼プロセスの生成物(又は産物又はプロダクト)である。結果として、比較的に少ない量のCO2を含むかもしれない(表1)。
炭素が大きく集中し得ると考えられる活動からの排ガスでさえも、その中に含まれるCO2の体積濃度は、比較的に低いものである(例えば、石炭火力発電(表1、エントリー4)またはセメント製造(表1、エントリー8))。このような源(又は発生源又はソース)からCO2を捕捉(又はキャプチャ)することは、技術的に困難なことであってもよい。大規模なアブソーバ(又は吸着装置又は吸収装置)を使用する必要があるかもしれない。捕捉プラント(又はキャプチャ・プラント)の資本コスト(又はキャピタル・コスト)を増加させるかもしれない。あるいは、機械的なプロセス(又はメカニカル・プロセス)の強化を増加させるかもしれない。捕捉プロセス(又はキャプチャ・プロセス)のエネルギー・ペナルティを増加させるかもしれない。
【0103】
【0104】
本明細書で使用する通り、CO2に対して有効(又は効果的)な溶媒は、CO2の所定の分圧のもとで溶媒中に見出されるCO2の平衡体積濃度が、同じ分圧において気相中に見出されるCO2の体積濃度よりも大きくなるようなCO2のヘンリーの法則の定数を有する溶媒を意味する。臨界的なヘンリーの法則の定数の値は、20℃において、約0.041mol/L/Barと計算することができる(表2)。このような状況において、この値よりも大きいヘンリーの法則の定数を有する溶媒は、CO2に対して有効な溶媒とみなすことができる。この値よりも小さいヘンリーの法則の定数を有する溶媒は、CO2に対して有効な溶媒とはみなされない可能性がある。
【0105】
【0106】
さまざまな第1液相と第2液相との組み合わせ(又はコンビネーション)について、このようなアプローチの汎用性は、以下にて記載する通り、様々な実施例を用いることで示されている。かかる実施例は、すべて、温度センサおよび圧力センサを備えたステンレス鋼製の容器(撹拌、ジャケット付)からなる当該気液平衡(vapour-liquid equilibria)(VLE)装置を用いて、我々の研究室で行われた。試験される組成物を容器内で試験温度にし、所定の分圧のCO2を組成物の上方のガス空間に添加する。温度および圧力がモニタリングされた別のレザバからCO2を供給する。反応容器内のCO2の分圧は、レギュレータで維持されている。時間の関数として記録されたCO2レザバの温度および圧力のデータから、CO2吸収の速度および吸収されたCO2の全量(又は総量又は全体量)を計算することができる。以下の実施例のそれぞれについて、塩(単数または複数)および水を所望の比(又はレシオ)で一緒にして、第二液相が出現するまで、有機溶媒を添加した。次いで、この組成物をVLE装置で2回にわたって運転(又は試験)した。1回目は、有機溶媒が塩水溶液に完全に溶解する量で有機溶媒が存在する単相(又はシングル・フェーズ)の組成物を用いた。2回目は、有機溶媒が存在する組成物を用いた(第2液相を形成し、なおかつ、有機溶媒が塩水溶液に溶解する量で用いた)。すべての場合において、組成物が2つの液相を有する運転(又は試験)を実施した(1:1の液相比(容量(又は容積又は体積又はボリューム)))。吸収速度(又はアブソープション・レート)は、「吸収されたCO2のモル数/1リットルの組成物/1バールのCO2分圧/1時間」として報告している。
【実施例】
【0107】
実施例1
プロピオン酸カリウムおよび水(モル比1:3)をイソブタン酸メチル(又はイソ酪酸メチル)と一緒にした。単相吸収実験(又はシングル・フェーズ・アブソープション・エクスペリメント)では、2mol/L/Bar/hの最大吸収速度(又はマキシマム・アブソープション・レート)を示した。二液相吸収実験(又はツー・リキッド・フェーズ・アブソープション・エクスペリメント)では、5mol/L/Bar/hの最大吸収速度(又はマキシマム・アブソープション・レート)を示した。
【0108】
実施例2
酢酸カリウムおよび水(モル比1:3)をジエチレングリコールジメチルエーテルと一緒にした。単相吸収実験では、2.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、6.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0109】
実施例3
7Mの酢酸カリウム(水中)をイソブタン酸メチル(又はイソ酪酸メチル)と一緒にした。単相吸収実験では、2mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、6.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0110】
実施例4
酢酸カリウムおよび水(モル比1:3)をポリメチルヒドロシロキサンと一緒にした。単相吸収実験では、1.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、4.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0111】
実施例5
プロピオン酸カリウムおよび水(モル比1:3.25)を2-ペンタノンと一緒にした。単相吸収実験では、4mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、8mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0112】
実施例6
プロピオン酸カリウムおよび水(モル比1:3.25)を酢酸ブチルと一緒にした。単相吸収実験では、4mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、8mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0113】
実施例7
プロピオン酸カリウムおよび水(モル比1:3.25)をシクロヘキサノンと一緒にした。単相吸収実験では、2.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、5.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0114】
実施例8
プロピオン酸カリウムおよび水(モル比1:3.25)をジエチレングリコールジエチルエーテルと一緒にした。単相吸収実験では、0.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、7mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0115】
実施例9
プロピオン酸カリウムおよび水(モル比1:3.25)を酢酸エチルと一緒にした。単相吸収実験では、4mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、6.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0116】
実施例10
0.6Mのヘキサン酸カリウム(水中)および4Mの炭酸カリウム(水中)をシクロヘキサノンと一緒にした。単相吸収実験では、3.5mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。二液相吸収実験では、6mol/L/Bar/hの最大吸収速度を示した。
【0117】
実施例11
本明細書で提供するこの最終の実施例は、その効果が広い範囲の撹拌速度、すなわち機械的な入力(又はメカニカル・インプット)にわたって、普遍的であることを実証し得るものである。この最終の実施例では、吸収を複数回にわたって実行(又は試験)し、実行(又は試験)の間に撹拌速度を変化させた以外は、実施例1~10と同じ方法で実験を実行(又は試験)した。各実行についてレイノルズ数を計算し、レイノルズ数の関数として、最大吸収速度(上記のようにmol/L/Bar/hで示す)を示すグラフ(
図1)をプロットした。見てわかるように、第2液相の促進効果(又はアクセレレーティング・エフェクト)は、広い範囲の撹拌速度/レイノルズ数にわたって普遍的である。グラフの軸は、対数であり、我々の装置で達成可能な最高のレイノルズ数(Re=約10,000)においてでさえも、二相系への吸収速度は、単相系への吸収速度の約2倍であったことに注意されたい。
【0118】
この最終の実施例に用いた組成物(又は組成又はコンポジション)は、プロピオン酸カリウムおよび水のモル比が1:3.25であり、第2液相として酢酸ブチルを用いたものであった。
【国際調査報告】