(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】マイクロ流体チップ型液滴プロセッサ
(51)【国際特許分類】
B01D 17/06 20060101AFI20230919BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20230919BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20230919BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20230919BHJP
G01N 37/00 20060101ALN20230919BHJP
【FI】
B01D17/06
G01N35/08 A
G01N1/00 101F
B01J19/00 321
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513788
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 US2021043926
(87)【国際公開番号】W WO2022046353
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】フローリー,クルト・エイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ダスティン
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー,ケリー
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
4G075
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052CA04
2G052DA09
2G052ED14
2G052FB03
2G052GA11
2G058CC05
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2G058GA01
4G075AA13
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4G075BB10
4G075CA14
4G075DA02
4G075DA12
4G075DA13
4G075EB50
4G075EC21
4G075FA12
4G075FB02
(57)【要約】
非水系流体内に分散された水系流体の1つ以上の液滴を形成するマイクロ流体装置が記載されている。マイクロ流体装置は、第1のマイクロ流体チャネルであって、第1のマイクロ流体チャネルを通して水系流体を流すように構成される、第1のマイクロ流体チャネルと、第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体チャネルであって、第2のマイクロ流体チャネルを通して第1のマイクロ流体チャネル内に非水系流体を流すようになっている第2のマイクロ流体チャネルとを備える。マイクロ流体リザーバは、第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、第1の水系流体の複数の液滴を受け取るように構成されている。マイクロ流体装置は、第1の電極及び第2の電極を更に備え、第1の電極及び第2の電極は、第1の電極に電圧を印加することにより、水系流体の1つ以上の液滴を第1の方向に移動させ、第2の電極に電圧を印加することにより、水系流体の1つ以上の液滴を第2の方向に移動させるように位置決めされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の水系流体の流れを流すようになっている第1のマイクロ流体チャネルと、
前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体チャネルであって、前記第1のマイクロ流体チャネル内に第1の非水系流体の流れを流すようになっている第2のマイクロ流体チャネルと、
前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第1のマイクロ流体チャネルによって形成されて前記第1の非水系流体内に分散される前記第1の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成されている第1のマイクロ流体リザーバと、
前記第1のマイクロ流体リザーバ内に画定され、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を配列するように構成される第1のリザーバ整列部と、
電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を第1の方向に移動させるように位置決めされている第1の電極と、
電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を第2の方向に移動させるように位置決めされている第2の電極と
を備える、マイクロ流体環境において液滴を処理するマイクロ流体装置。
【請求項2】
第2の水系流体を流すようになっている第3のマイクロ流体チャネルと、
前記第3のマイクロ流体チャネルに流体接続される第4のマイクロ流体チャネルであって、前記第3のマイクロ流体チャネル内に第2の非水系流体を流すようになっている第4のマイクロ流体チャネルと、
前記第3のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第3のマイクロ流体チャネルによって形成されて前記第2の非水系流体内に分散される前記第2の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成されている第2のマイクロ流体リザーバであって、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を配列するように構成されている、前記第2のマイクロ流体リザーバ内に画定されている第2のリザーバ整列部を含む、第2のマイクロ流体リザーバと
を更に備える、請求項1に記載のマイクロ流体装置。
【請求項3】
前記第1の電極に電圧を印加することにより、前記第2のリザーバ整列部における前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を第3の方向に移動させる、請求項2に記載のマイクロ流体装置。
【請求項4】
第5のマイクロ流体チャネル及び第6のマイクロ流体チャネルを更に備え、前記第5のマイクロ流体チャネルは、前記第1のマイクロ流体リザーバの前記第1のリザーバ整列部及び前記第2のマイクロ流体リザーバの前記第2のリザーバ整列部に流体接続され、それらの間に配置され、前記第6のマイクロ流体チャネルは、前記第1のリザーバ整列部に流体接続されている、請求項2又は3に記載のマイクロ流体装置。
【請求項5】
前記第1のマイクロ流体リザーバを通した前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴の輸送は、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用する第1の浮力を利用し、前記第2のマイクロ流体リザーバを通した前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴の輸送は、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用する第2の浮力を利用する、請求項2~4のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項6】
前記第1のマイクロ流体リザーバは、前記第1のマイクロ流体リザーバ内に流れる過剰量の前記第1の非水系流体を収集するように構成される第1の廃棄ポートを備え、前記第2のマイクロ流体リザーバは、前記第2のマイクロ流体リザーバ内に流れる過剰量の前記第2の非水系流体を収集するように構成される第2の廃棄ポートを備える、請求項2~5のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項7】
前記第1の電極は、第1の取り付けられた電極部及び第1の接地電極部を含み、前記第2の電極は、第2の取り付けられた電極部及び第2の接地電極部を含み、前記第1の接地電極部は、前記第1の電極の第1の基準電位を確立し、前記第2の接地電極部は、前記第2の電極の第2の基準電位を確立する、請求項2~6のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項8】
前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、鋭角電極部を含む、請求項7に記載のマイクロ流体装置。
【請求項9】
前記第1の取り付けられた電極部は、第1の取り付けられた鋭角電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の取り付けられた鋭角電極部を含む、請求項7に記載のマイクロ流体装置。
【請求項10】
前記第1の電極をアクティベートすることにより、前記第1の取り付けられた鋭角電極部の先端部に集中する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極をアクティベートすることにより、前記第2の取り付けられた鋭角電極部の先端部に集中する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、請求項9に記載のマイクロ流体装置。
【請求項11】
前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、湾曲した電極部を含む、請求項7に記載のマイクロ流体装置。
【請求項12】
前記第1の取り付けられた電極部は、第1の曲率半径を有する第1の取り付けられた湾曲した電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の曲率半径を有する第2の取り付けられた湾曲した電極部を含む、請求項7に記載のマイクロ流体装置。
【請求項13】
前記第1の電極をアクティベートすることにより、前記第1の取り付けられた湾曲した電極部の前記第1の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極をアクティベートすることにより、前記第2の取り付けられた湾曲した電極部の前記第2の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、請求項12に記載のマイクロ流体装置。
【請求項14】
前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、円形電極部を含む、請求項7に記載のマイクロ流体装置。
【請求項15】
前記第1の取り付けられた電極部は、第1の曲率半径を有する第1の取り付けられた円形電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の曲率半径を有する第2の取り付けられた円形電極部を含む、請求項7に記載のマイクロ流体装置。
【請求項16】
前記第1の電極をアクティベートすることにより、前記第1の取り付けられた円形電極部の前記第1の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極をアクティベートすることにより、前記第2の取り付けられた円形電極部の前記第2の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、請求項15に記載のマイクロ流体装置。
【請求項17】
前記第1の電極を選択的にアクティベートすることにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第1の取り付けられた電極部に向かうようにする引力がもたらされ、前記第1の水溶液及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴が前記第5のマイクロ流体チャネル内に移動するようになっている、請求項2~16のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項18】
前記第1の電極をアクティベートすることによって生じる前記引力により、前記第5のマイクロ流体チャネルにおいて、前記第1の水系流体の1つ以上の液滴が前記第2の水系流体の1つ以上の液滴と融合し、融合された液滴を形成する、請求項17に記載のマイクロ流体装置。
【請求項19】
前記第2の電極を選択的にアクティベートすることにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第2の取り付けられた電極部に向かうようにする引力がもたらされ、前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴が前記第6のマイクロ流体チャネル内に移動するようになっている、請求項2~16のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項20】
前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴を評価するために、可視光及び蛍光のうちの少なくとも一方を含む液滴評価デバイスを更に備え、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの一方の選択的なアクティベーションは、前記液滴評価デバイスによって実行される評価に基づく、請求項2~18のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項21】
前記第1のマイクロ流体リザーバ及び/又は前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第1の連続流チャネルと、
前記第1のマイクロ流体リザーバ及び/又は前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第2の連続流チャネルと、
前記第1の連続流チャネルに隣接して位置決めされている第1のチャネルの取り付けられた電極部と、前記第2の連続流チャネルに隣接して位置決めされている第2のチャネルの取り付けられた電極部と、前記第1の連続流チャネルと前記第2の連続流チャネルとの間に位置決めされているチャネル接地電極部とを含む第3の電極であって、前記第1のチャネルの取り付けられた電極部を選択的にアクティベートすることにより、前記融合された液滴を前記第1の連続流チャネル内に移動させ、前記第2のチャネルの取り付けられた電極部を選択的にアクティベートすることにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第2の連続流チャネル内に移動させる、第3の電極と
を更に備える、請求項2~20のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項22】
前記第1の連続流チャネルは、前記第1のマイクロ流体リザーバの前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第1の連続流チャネルは、前記融合された液滴を前記第1のマイクロ流体チャネルに戻すように輸送し、前記融合された液滴が前記第1のマイクロ流体リザーバ内に輸送されるようにする、請求項21に記載のマイクロ流体装置。
【請求項23】
前記第5のマイクロ流体チャネルに流体接続される第3のマイクロ流体リザーバを更に備え、第3の浮力が前記融合された液滴に作用して、前記融合された液滴を前記第5のマイクロ流体チャネルから前記第3のマイクロ流体リザーバに輸送する、請求項4~20のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項24】
前記第6のマイクロ流体チャネルに流体接続される廃棄物収集ステージを更に備え、前記第6のマイクロ流体チャネルにおいて第4の浮力が前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴に作用して、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第6のマイクロ流体チャネルから前記廃棄物収集ステージに輸送する、請求項4~20のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項25】
第1のマイクロ流体チャネルを通して第1の水系流体を流すことと、
前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体チャネルを通して第1の非水系流体を流すことと、
前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第1のマイクロ流体リザーバ内に前記第1の水系流体及び前記第1の非水系流体が流れる際に、前記第1の水系流体の1つ以上の液滴を形成することと、
前記第1の非水系流体内に分散された前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第1のマイクロ流体リザーバの第1のリザーバ整列部に輸送することと、
前記第1のマイクロ流体リザーバ内に画定される前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を評価することと、
前記第1の水系流体の1つ以上の液滴が、前記第1のリザーバ整列部から第1の方向及び第2の方向のうちの一方に移動するように、前記第1のリザーバ整列部において電界を発生させることと
を含む、マイクロ流体環境において液滴を処理する方法。
【請求項26】
前記第1のマイクロ流体リザーバを通して前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記輸送することは、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用する第1の浮力を利用する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第3のマイクロ流体チャネルを通して第2の水系流体を流すことと、
前記第3のマイクロ流体チャネルに流体接続される第4のマイクロ流体チャネルを通して第2の非水系流体を流すことと、
前記第1のマイクロ流体チャネル及び前記第2のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体リザーバを通して前記第2の水系流体の1つ以上の液滴を輸送することであって、前記第2のマイクロ流体リザーバを通して第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記輸送することは、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用する第2の浮力を利用することと、
前記第2のマイクロ流体リザーバ内に画定される第2のリザーバ整列部における前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を評価することと
を更に含む、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記評価することは、前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴を評価するために、可視光及び蛍光のうちの少なくとも一方を含む液滴評価デバイスを利用する、請求項25~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
第1の電極を、前記第1のマイクロ流体リザーバの前記第1のリザーバ整列部と前記第2のマイクロ流体リザーバの前記第2のリザーバ整列部との間に位置決めすることと、
第2の電極を、前記第1のリザーバ整列部に隣接して位置決めすることと、
前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの一方を選択的にアクティベートし、前記第1の電極に第1の電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第2のマイクロ流体リザーバに向かって移動させ、前記第2のリザーバ整列部における前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第1のマイクロ流体リザーバに向かって移動させ、前記第2の電極に第2の電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第2のマイクロ流体リザーバから離れるように移動させるようにすることと
を更に含む、請求項25~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の電極を選択的にアクティベートすることにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴が、前記第1のリザーバ整列部及び前記第2のリザーバ整列部に流体接続され、それらの間に配置される第5のマイクロ流体チャネル内に入るようにする引力をもたらす誘電泳動力が発生する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の電極を選択的にアクティベートすることによって発生する前記引力により、前記第5のマイクロ流体チャネルにおいて、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴と融合し、融合された液滴を形成する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第3の浮力が前記融合された液滴に作用して、前記融合された液滴を、前記第5のマイクロ流体チャネルに流体接続される第3のマイクロ流体リザーバ内に輸送する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の電極を選択的にアクティベートすることにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴が、前記第1のリザーバ整列部に流体接続される第6のマイクロ流体チャネル内に入るようにする引力をもたらす誘電泳動力が発生する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
第4の浮力が前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用して、前記第6のマイクロ流体チャネル内の前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第6のマイクロ流体チャネルに流体接続される廃棄物収集ステージに輸送する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のマイクロ流体リザーバ及び/又は前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第1の連続流チャネルを通して第2の非水系流体を流すことと、
前記第1のマイクロ流体リザーバ及び/又は前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第2の連続流チャネルを通して第3の非水系流体を流すことと、
前記第1の連続流チャネルに隣接して位置決めされている第1のチャネルの取り付けられた電極部と、前記第2の連続流チャネルに隣接して位置決めされている第2のチャネルの取り付けられた電極部と、前記第1の連続流チャネルと前記第2の連続流チャネルとの間に位置決めされているチャネル接地電極部とを含む第3の電極を位置決めすることと、
前記第1のチャネルの取り付けられた電極部又は前記第2のチャネルの取り付けられた電極部のうちの一方を選択的にアクティベートすることであって、前記第1のチャネルの取り付けられた電極部を選択的にアクティベートすることにより、前記融合された液滴を前記第1の連続流チャネル内に移動させ、前記第2のチャネルの取り付けられた電極部を選択的にアクティベートすることにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第2の連続流チャネル内に移動させることと
を更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の連続流チャネルは、前記第1のマイクロ流体リザーバの前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第1の連続流チャネルを通して前記第2の非水系流体を流すことにより、前記融合された液滴を前記第1のマイクロ流体チャネルに戻すように輸送し、前記融合された液滴が前記第1のマイクロ流体リザーバ内に輸送されるようにする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第1のマイクロ流体チャネルによって形成されて第1の非水系流体内に分散される第1の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成される第1のマイクロ流体リザーバと、
前記第1のマイクロ流体リザーバ内に画定され、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を配列するように構成される第1のリザーバ整列部と、
第3のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第3のマイクロ流体チャネルによって形成されて第2の非水系流体内に分散される第2の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成される第2のマイクロ流体リザーバと、
前記第2のマイクロ流体リザーバ内に画定され、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を配列するように構成される第2のリザーバ整列部と、
第1の電極であって、該第1の電極に電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を第1の方向に移動させ、前記第2のリザーバ整列部における前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を第2の方向に移動させるように位置決めされている第1の電極と、
第2の電極であって、該第2の電極に電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を第3の方向に移動させるように位置決めされている第2の電極と
を備える、マイクロ流体環境において液滴を処理するマイクロ流体装置。
【請求項38】
前記第1のマイクロ流体リザーバ及び前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される1つ以上の追加のマイクロ流体リザーバを更に備え、マルチステージマイクロ流体装置を形成する、請求項37に記載のマイクロ流体装置。
【請求項39】
第1の浮力が前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用して、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第1のマイクロ流体リザーバを通して前記第1のリザーバ整列部に輸送するとともに、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第2のマイクロ流体リザーバを通して前記第2のリザーバ整列部に輸送する、請求項37又は38に記載のマイクロ流体装置。
【請求項40】
前記第1の電極は、第1の取り付けられた電極部及び第1の接地電極部を含み、前記第2の電極は、第2の取り付けられた電極部及び第2の接地電極部を含み、前記第1の接地電極部は、前記第1の電極の第1の基準電位を確立し、前記第2の接地電極部は、前記第2の電極の第2の基準電位を確立する、請求項37~39のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項41】
前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、鋭角電極部を含む、請求項40に記載のマイクロ流体装置。
【請求項42】
前記第1の取り付けられた電極部は、第1の取り付けられた鋭角電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の取り付けられた鋭角電極部を含む、請求項40に記載のマイクロ流体装置。
【請求項43】
前記第1の電極をアクティベートすることにより、前記第1の取り付けられた鋭角電極部の先端部に集中する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極をアクティベートすることにより、前記第2の取り付けられた鋭角電極部の先端部に集中する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、請求項42に記載のマイクロ流体装置。
【請求項44】
前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、湾曲した電極部を含む、請求項40に記載のマイクロ流体装置。
【請求項45】
前記第1の取り付けられた電極部は、第1の曲率半径を有する第1の取り付けられた湾曲した電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の曲率半径を有する第2の取り付けられた湾曲した電極部を含む、請求項40に記載のマイクロ流体装置。
【請求項46】
前記第1の電極をアクティベートすることにより、前記第1の取り付けられた湾曲した電極部の前記第1の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極をアクティベートすることにより、前記第2の取り付けられた湾曲した電極部の前記第2の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、請求項45に記載のマイクロ流体装置。
【請求項47】
前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、円形電極部を含む、請求項40に記載のマイクロ流体装置。
【請求項48】
前記第1の取り付けられた電極部は、第1の曲率半径を有する第1の取り付けられた円形電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の曲率半径を有する第2の取り付けられた円形電極部を含む、請求項40に記載のマイクロ流体装置。
【請求項49】
前記第1の電極を選択的にアクティベートすることにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第1の取り付けられた電極部に向かうようにする引力がもたらされ、前記第1の水溶液及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴が、前記第1のマイクロ流体リザーバ及び前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第5のマイクロ流体チャネル内に移動するようになっている、請求項40~48のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項50】
前記第1の電極をアクティベートすることによって生じる前記引力により、前記第5のマイクロ流体チャネルにおいて、前記第1の水系流体の1つ以上の液滴が前記第2の水系流体の1つ以上の液滴と融合し、融合された液滴を形成する、請求項49に記載のマイクロ流体装置。
【請求項51】
前記第2の電極を選択的にアクティベートすることにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第2の取り付けられた電極部に向かうようにする引力がもたらされ、前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴が、前記第1のマイクロ流体リザーバに流体接続される第6のマイクロ流体チャネル内に移動するようになっている、請求項40~49のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【請求項52】
前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴を評価するために、可視光及び蛍光のうちの少なくとも一方を含む液滴評価デバイスを更に備え、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの一方の選択的なアクティベーションは、前記液滴評価デバイスによって実行される評価に基づく、請求項37~51のいずれか1項に記載のマイクロ流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、マイクロ流体環境においてエマルション(emulsion)から液滴を分離及び選別する装置及び方法に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年8月31日付出願の米国仮特許出願第63/072,629号、及び2021年2月26日付出願の米国仮特許出願第63/154,146号の優先権及び利益を主張し、それらの内容は、全体がそれぞれ引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
マイクロ流体デバイスは、微量流体(minute fluid amount)の輸送、制御、及び操作における幅広い有利な特徴を提供することができる。例えば、生物学、化学、及び生化学アッセイ(assay:分析)の性能は、ラブオンチップ(Lab-on-a-Chip)デバイス等のマイクロ流体システムを利用して或る動作が小規模で実施される場合に、大きな利点を享受する。マイクロ流体デバイスを使用するミクロン規模(及びそれ未満)の水系液滴の処理は、必要とする試薬の量が低減され、生成される化学廃棄物の量が低減されることから、多くの利点を有する。具体的には、小体積の利用により、特定のアッセイについてのこれまでにない感度及び制御の機会がもたらされる。さらに、或るマイクロ流体デバイスは、集中型実験室においてサンプルを分析するのに代わり、必要とされるあらゆる場所でのサンプル分析を可能にする。結果として、マイクロ流体デバイスは、幅広い種類の重要な用途に使用することができる。
【0004】
マイクロ流体デバイス及び/又はラブオンチップデバイス(つまり、マイクロ流体デバイス又はラブオンチップデバイスあるいはそれらの両方)は、「単相(single-phase)」プラットフォームと「液滴化(dropletized)」プラットフォームとに分けることができる。単相プラットフォームは、マイクロ流体及び/又はラブオンチップデバイスを満たし、それを通って流れる単一の流体媒体中に浸漬又は分散(suspend:懸濁)された分析物(例えば、細胞、分子、又は化学成分)を利用する。液滴化プラットフォームは、連続的な非水系流体(例えば、非混和性流体相)中に浸漬又は分散された個々の(典型的には)水系液滴内に分注された分析物を利用する。液滴化プラットフォームの利点は、各個々の液滴が、希釈及びクロスコンタミネーションを低減しながら、小体積(例えば、ピコリットル及びナノリットル)での化学的又は生物学的反応を行うように、別個の隔離された区画を形成することである。多くの蛍光に基づく分析技法が、液滴内容物の高スループット及び高感度の分析のために開発されており、多様な化学的、生物学的、及び他のそのような用途においてマイクロ液滴の使用を可能にしている。
【0005】
現在の液滴化又は液滴型プラットフォームのほとんどは、非水系流体(non-aqueous fluid)(例えば、非混和性流体相(immiscible fluid phase))の連続流によって液滴を搬送するか、そうでなければ輸送するように設計される。したがって、アッセイ動作は、周囲の非水系流体の連続流によって規定されるタイミングで、確立された順序において行う必要がある。したがって、これらの液滴型プラットフォームを一般化し、より柔軟で、プログラム可能であり、個々の液滴に対して行われる中間測定に適応的に応答するようにするための継続的な努力が進行中である。例えば、液滴型プラットフォームをより柔軟にするには、液滴を異なる後続のワークフローへと選別及び/又は誘導(つまり、選別又は誘導あるいはそれらの両方を)し、或る評価条件に基づいて個々の液滴に適切な試薬を添加するために、個々の動作を行う。
【0006】
デジタルマイクロフルイディクス(DMF:Digital Microfluidics)は、より一般化された液滴型プラットフォームを開発及び実施する試みにおいて利用される現行技術のうちの1つである。典型的なDMFプラットフォームは、液滴が点在する非水系流体の準二次元(quasi-two dimensional)(準2D:quasi-2D)体積を封入する2つの平行な基板を備える。DMFプラットフォームの1つの基板表面は、金属パッドの2Dアレイによって覆われ、各パッドは、電圧供給部に制御可能に接続される。特定の金属パッドを電圧源に順次接続及び接続解除すると、エレクトロウェッティング(electrowetting force)の力によって液滴を2Dアレイの周りに制御可能に移動させることができる。個々の金属パッドのこの起動(activation:アクティベーション)及び停止(deactivation)は、典型的には、コンピュータ制御され、単純な動作のために単純なスクリプト又はアプリケーションをプログラムすることができるため、アッセイ実施のより高レベルのプログラミング制御が可能になっている。
【0007】
有用な液滴型プラットフォームを形成するために、デバイスは、液滴を生成し、液滴を輸送し、液滴を選別し、液滴を選択された試薬液滴と融合し、液滴を次のプラットフォームステップの特定のワークフローに輸送することが可能であるべきである。そのような実施態様は、小型のマイクロ流体チップ上で多様な生物学、化学、及び生化学アッセイを行う柔軟で強力な手段を可能にする。しかしながら、有用でロバストなDMFプラットフォームを生産することは非常に困難であることがわかっている。ロバストなDMFプラットフォームの生産における問題の多くは、必要な電気特性及び流体特性を有して基板表面上に金属パッドのアレイを製造することが困難であることに起因して生じる。例えば、パッドのそれぞれに対する個別の電気的アクセスには、アレイの下に位置するプリント回路基板と、付随する電気フィードスルー(feed-through)とが必要である。そのような構成では、疎水性及び電気絶縁性のコンフォーマル層(conformal layer)の堆積に必要とされる非常に平滑な表面を維持するのが困難となる。典型的に、製造されるパッド表面は、フィードスルー領域において不均一部を有し、これらの不均一部は、その後堆積される電気絶縁性及び疎水性層に断絶を生じる場合がある。結果として、これらの不均一部は、これらの形状部の上を輸送される際に液滴に許容不能な抗力をもたらし、より壊滅的には、絶縁層にわたる電気的絶縁破壊(electrical breakdown)をもたらす。電気的絶縁破壊により、更なる表面劣化、水の電解(及び分析物流体との更なる電気化学反応)、及び気泡形成が生じる。元の表面は、電気的に破壊されると、損傷した表面にわたって液滴を輸送しようと試みる際、液滴に大きな抗力を及ぼす。エレクトロウェッティングによる輸送力を増大させるために、印加される電圧を増大させると、絶縁破壊を悪化させ、表面を更に損傷させるおそれがある。この根本的難点及び関連する問題点は、望ましい広範なマイクロ流体アッセイを行うようにDMFプラットフォームを実施することを不可能にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
DMFプラットフォームの魅力の多くは、液滴を柔軟に保持/評価/選別/混合するとともに、これらの操作を特定のアッセイに必要なだけ行うことができる(アッセイステップの追加にはプラットフォームのプログラム制御スクリプトを拡張するだけでよい)ことにある。しかしながら、多くの重要なアッセイは、少数の保持/評価/選別/混合操作のみによって完了する。したがって、実用的な実施の観点から、これらの液滴操作を柔軟でロバストでコスト効果的な方法で行うことができ、これらの操作のうちのいくつかをユーザ固有の制御シーケンスで行うためのデバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様として、マイクロ流体環境において液滴を処理するマイクロ流体装置が提供される。マイクロ流体装置は、第1のマイクロ流体チャネルであって、第1のマイクロ流体チャネルを通して第1の水系流体(first aqueous fluid)の流れを流すようになっている、第1のマイクロ流体チャネルと、第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体チャネルとを備える。第2のマイクロ流体チャネルは、第2のマイクロ流体チャネルを通して第1のマイクロ流体チャネル内に第1の非水系流体(first non-aqueous fluid)の流れを流すようになっている。マイクロ流体装置はまた、第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、第1のマイクロ流体チャネルによって形成されて第1の非水系流体内に分散される第1の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成される第1のマイクロ流体リザーバと、第1のマイクロ流体リザーバ内に画定され、第1の水系流体の1つ以上の液滴を配列(arrange)するように構成される第1のリザーバ整列部(first reservoir queue portion)とを備える。マイクロ流体装置はまた、第1の電極に電圧を印加することにより、第1のリザーバ整列部における第1の水系流体の1つ以上の液滴を第1の方向に移動させるように位置決めされている第1の電極と、第2の電極に電圧を印加することにより、第1のリザーバ整列部における第1の水系流体の1つ以上の液滴を第2の方向に移動させるように位置決めされる第2の電極とを備える。
【0010】
別の態様として、マイクロ流体環境において液滴を処理する方法が提供される。本方法は、第1のマイクロ流体チャネルを通して第1の水系流体を流すことと、第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体チャネルを通して第1の非水系流体を流すこととを含む。本方法はまた、第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第1のマイクロ流体リザーバ内に第1の水系流体及び第1の非水系流体が流れる際に、第1の水系流体の1つ以上の液滴を形成することを含む。本方法はまた、第1の非水系流体内に分散された第1の水系流体の1つ以上の液滴を、第1のマイクロ流体リザーバの第1のリザーバ整列部に輸送することと、第1のマイクロ流体リザーバ内に画定される第1のリザーバ整列部における第1の水系流体の1つ以上の液滴を評価することとを含む。本方法はまた、第1の水系流体の1つ以上の液滴が、第1のリザーバ整列部から第1の方向及び第2の方向のうちの一方に移動するように、第1のリザーバ整列部において電界を発生させることを含む。
【0011】
更に別の態様として、マイクロ流体環境において液滴を処理するマイクロ流体装置が提供される。マイクロ流体装置は、第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、第1のマイクロ流体チャネルによって形成されて第1の非水系流体内に分散される第1の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成されている第1のマイクロ流体リザーバと、第1のマイクロ流体リザーバ内に画定され、第1の水系流体の1つ以上の液滴を配列するように構成される第1のリザーバ整列部とを備える。マイクロ流体装置はまた、第3のマイクロ流体チャネルに流体接続され、第3のマイクロ流体チャネルによって形成されて第2の非水系流体内に分散される第2の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成されている第2のマイクロ流体リザーバと、第2のマイクロ流体リザーバ内に画定され、第2の水系流体の1つ以上の液滴を配列するように構成されている第2のリザーバ整列部とを備える。第1の電極は、第1の電極に電圧を印加することにより、第1のリザーバ整列部における第1の水系流体の1つ以上の液滴を第1の方向に移動させ、第2のリザーバ整列部における第2の水系流体の1つ以上の液滴を第2の方向に移動させるように位置決めされている。第2の電極は、第2の電極に電圧を印加することにより、第1のリザーバ整列部における第1の水系流体の1つ以上の液滴を第3の方向に移動させるように位置決めされている。
【0012】
本方法及び装置のこれらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲とともに、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の例示的な実施形態に係るマイクロ流体デバイスの概略図である。
【
図2】
図1のマイクロ流体デバイスがマイクロ流体デバイスの第2のステージに結合された概略図であり、液滴の選択と、マイクロ流体デバイスの次のステージへの1つ以上の選択された液滴の輸送とを示している。
【
図3A】液滴の選択、液滴の融合、マイクロ流体デバイスの次のステージへの1つ以上の融合された液滴の輸送を示す、本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な実施形態の部分概略図である。
【
図3B】液滴の選択、液滴の融合、マイクロ流体デバイスの次のステージへの1つ以上の融合された液滴の輸送を示す、本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な実施形態の部分概略図である。
【
図3C】液滴の選択、液滴の融合、マイクロ流体デバイスの次のステージへの1つ以上の融合された液滴の輸送を示す、本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な実施形態の部分概略図である。
【
図4A】液滴の選択、及びマイクロ流体デバイスの廃棄物収集ステージへの選択された液滴の輸送を示す、本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な実施形態の部分概略図である。
【
図4B】液滴の選択、及びマイクロ流体デバイスの廃棄物収集ステージへの選択された液滴の輸送を示す、本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な実施形態の部分概略図である。
【
図4C】液滴の選択、及びマイクロ流体デバイスの廃棄物収集ステージへの選択された液滴の輸送を示す、本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な実施形態の部分概略図である。
【
図5】マイクロ流体デバイスの例示的な実施形態のマイクロ流体リザーバに流体接続された第1の連続流チャネル及び第2の連続流チャネルを示す概略図である。
【
図6A】本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な実施形態の電極の起動によって生成される電界を示す概略図である。
【
図6B】
図6A及び
図6Cの電極の起動によって生成される液滴融合メカニズムを示す概略図である。
【
図6C】本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な実施形態の電極の起動によって生成される電界を示す概略図である。
【
図7A】取り付けられた電極部の異なる形状のうちの1つを示す、本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な電極の概略図である。
【
図7B】取り付けられた電極部の異なる形状のうちの1つを示す、本開示のマイクロ流体デバイスの例示的な電極の概略図である。
【
図8】
図7A及び
図7Bの例示的な電極の取り付けられた電極部によって発生した誘電泳動(DEP)力を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本教示は、添付の図面とともに読まれるときに、以下の詳細な説明から最も良く理解される。それらの特徴は必ずしも縮尺通りに描かれていない。実用的なときはいつでも、類似の参照符号は類似の特徴を指している。
【0015】
[定義される術語]
本明細書において使用される術語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものでないことは理解されたい。定義される用語は、定義された用語の技術的な意味及び科学的な意味に加えて、本教示の技術分野において一般的に理解され、受け入れられるような意味を有する。
【0016】
本明細書において使用される場合、「実質的な(substantial)」又は「実質的に(substantially)」という用語は、それらの通常の意味に加えて、当業者にとって許容可能な限度又は程度内であることを意味する。
【0017】
本明細書において使用される場合、「略(approximately)」及び「約(about)」という用語は、当業者にとって許容可能な限度又は量内であることを意味する。「約」という用語は、概して、示した数字のプラス又はマイナス15%を指す。例えば、「約10」は、8.5~11.5の範囲を示すことができる。例えば、「略同じ」は、当業者が比較されている項目が同じであるとみなすことを意味する。本開示において、数値範囲は、その範囲を規定する数字を含むことが理解される。
【0018】
「接続された(connected)」という用語は、2つのコンポーネントが流体接続される又は物理的に接続される又は両方であることを意味する。「流体接続された(fluidically connected)」という用語は、2つのコンポーネントが、流体連通状態にあり、2つのコンポーネント間の直接接続、及び1つ以上の他のコンポーネントが流路内で2つのコンポーネント間にある間接接続を含むことを意味する。例えば、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントは、第1のコンポーネントからの出口が第2のコンポーネントの入口に物理的に接続される場合、又は、導管が第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを接続する場合、又は、流体が第1のコンポーネントから第2のコンポーネントに又はその逆に流れるとき、弁、ポンプ、又は他の構造等の1つ以上の介在するコンポーネントが2つのコンポーネント間にある場合に、流体接続される。コンポーネントは、フェルール(ferrule)を使用すること、ろう付け、及び他のアプローチによって等で、任意の適切な方法で物理的に接続することができる。一般的に、液密(fluid-tight:流体密封)である及び/又は死容積(dead-volume)を最小にする(つまり、液密である又は死容積を最小にする、あるいはそれらの両方の)物理的接続が、本装置のために所望される。
【0019】
様々な実施形態を記載する前に、本開示の教示は記載される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら変更することができることを理解されたい。また、本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、本教示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定するものとして意図されないことを理解されたい。
【0020】
他に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本教示の実施又は試験に際して使用してもよいが、いくつかの例示的な方法及び材料をこれより記載する。
【0021】
本明細書で参照される全ての特許及び出版物は、それらの全体が引用することにより明示的に本明細書の一部をなすものとする。
【0022】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「一つの(a, an)」及び「その、前記の(the)」という用語は、文脈において明確な別段の指示がない限り、単数の対象物及び複数の対象物の双方を含む。したがって、例えば、「部分(a moiety)」は、1つの部分及び複数の部分を含む。なお、「及び/又は」は、その句によってつながれる二以上の要素の一要素、それらの任意の組み合わせ、あるいはそれらの総体をカバーする意味で使われる。
【0023】
本明細書において使用される場合、「マイクロ流体環境(microfluidic environment)」という用語は、数十ミクロン~数百ミクロンの寸法を有するチャネルのネットワークを含む基板を意味する。チャネルは、マイクロリットル~ピコリットルの範囲の流体を流動、操作、及び、そうでなければ制御するように構成される。
【0024】
本発明の1つの態様として、非水系流体(例えば、非混和性油(immiscible oil))の流れ中に浸漬又は分散された水系液滴の内容物をマイクロ流体リザーバに効率的に輸送する、マイクロ流体装置又はデバイス(例えば、マイクロ流体チップ)が提供される。マイクロ流体装置は、水系流体の液滴形成、生じた液滴を輸送液滴の保持又は整列形態(queue formation)にして輸送すること、液滴の検査、及び1つ以上の液滴の連続的な処理を容易にする。
【0025】
[詳細な説明]
図1は、第1のマイクロ流体チャネル110と、第2のマイクロ流体チャネル120と、第1のマイクロ流体チャネル110及び第2のマイクロ流体チャネル120に流体接続される第1のマイクロ流体リザーバ130と、第3のマイクロ流体チャネル140と、第4のマイクロ流体チャネル150と、第3のマイクロ流体チャネル140及び第4のマイクロ流体チャネル150に流体接続される第2のマイクロ流体リザーバ160と、第1のマイクロ流体リザーバ130と第2のマイクロ流体リザーバ160との間に配置され、それらに流体接続される第5のマイクロ流体チャネル170と、第1のマイクロ流体リザーバ130に流体接続される第6のマイクロ流体チャネル180と、第1のマイクロ流体リザーバ及び第2のマイクロ流体リザーバの頂部に画定される第1の基本論理ユニット(BLU:basic logic unit)190とを備える、例示的なマイクロ流体デバイス100を示している。
【0026】
図示の例示的な実施形態において、第1のマイクロ流体チャネル110(本明細書において「マイクロ流体チャネル」とも称する)は、マイクロ流体チャネル110を通る、矢印112によって表される流体流路を画定するチャネル入口110a及びチャネル出口110bを含む。例えば、水系流体(例えば、水系流体中に分散された細胞、分子、化学物質等を含む分析物流体)は、チャネル入口110aを介して第1のマイクロ流体チャネル110に入り、チャネル出口110bを介してマイクロ流体チャネル110を出る。図示の例示的な実施形態において、チャネル入口110aは、第1の直径(本明細書において「直径」とも称する)を有し、チャネル出口110bは、第1の直径よりも大きい又は小さい異なる第2の直径(本明細書において「直径」とも称する)を有する。1つの非限定的な例において、チャネル出口110bは、チャネル入口110aよりも小さい直径を有する。そのような実施形態において、第1のマイクロ流体チャネル110の直径寸法は、所望の液滴サイズ(例えば、10μm~50μm)を有する水系液滴を形成するように構成するか、そうでなければ選択される。
【0027】
図示の例示的な実施形態において、第2のマイクロ流体チャネル120(「マイクロ流体チャネル」とも称する)は、マイクロ流体チャネル110に流体接続されるチャネルの第1の分岐部120a及びチャネルの第2の分岐部120bを含む。非水系流体(例えば、Novec 7500又は他のそのような非混和性流体)は、矢印122a及び122bによってそれぞれ示されるチャネルの第1の分岐部120a及び第2の分岐部120bのうちの1つ以上を通って流れる。図示の例示的な実施形態において、チャネルの第1の分岐部120a及び第2の分岐部120bは、互いに軸方向に位置合わせされ、チャネル入口110aとチャネル出口110bとの間でマイクロ流体チャネル110の両側に流体接続されるが、チャネルの第1の分岐部120a及び第2の分岐部120bの他の構成及び/又は配置(つまり、構成又は配置、あるいはそれらの両方)が可能である。したがって、マイクロ流体デバイス100は、第1のチャネル入口110a、第2のチャネルの第1の分岐部120a、及び第2のチャネルの第2の分岐部120bが、第1のチャネル出口110bに流体接続される3方向又はT字形接合部を形成することを示しているが、或る実施形態は、2方向接合部(例えば、第2のマイクロ流体チャネルの単一の分岐部が第1のチャネル入口に結合される)又は他の所望の構成等の代替的な構成を利用することができることが理解されよう。
【0028】
図示の例示的な実施形態において、第1のマイクロ流体リザーバ130(「マイクロ流体リザーバ」とも称する)は、マイクロ流体チャネル110のチャネル出口110bに隣接するリザーバ受取り部132を含む。マイクロ流体リザーバ130は、リザーバ受取り部132によって受け取った複数の水系液滴136を配列する及び/又はそうでなければ編成するように構成されるリザーバ整列部134を更に含む。図示の例示的な実施形態において、リザーバ受取り部132は、第1の幅(本明細書において「幅」とも称する)を有し、リザーバ整列部134は、液滴受取り部132の幅と比較して異なる第2の幅(本明細書において「幅」とも称する)を有する。図示の例示的な実施形態において、リザーバ整列部134は、液滴受取り部132よりも小さい幅を有し、第1のマイクロ流体リザーバ130の先細り部を画定する。すなわち、リザーバ受取り部132の幅寸法は、マイクロ流体リザーバ130の幅広な端部を画定し、リザーバ整列部134の幅寸法は、マイクロ流体リザーバ130の先細り及び/又は幅狭(つまり、先細り又は幅狭、あるいはそれらの両方)の端部を画定する。
【0029】
図示の例示的な実施形態において、第3のマイクロ流体チャネル140(本明細書において「マイクロ流体チャネル」とも称する)は、マイクロ流体チャネル140を通る、矢印142によって表される流体流路を画定するチャネル入口140a及びチャネル出口140bを含む。例えば、流体(例えば、水系試薬又は他のそのような流体)は、チャネル入口140aを介してマイクロ流体チャネル140に入り、チャネル出口140bを介してマイクロ流体チャネル140を出る。図示の例示的な実施形態において、チャネル入口140aは、第1の直径(本明細書において単に「直径」とも称する)を有し、チャネル出口140bは、第1の直径よりも大きい又は小さい異なる第2の直径(本明細書において「直径」とも称する)を有する。1つの非限定的な例において、チャネル出口140bは、チャネル入口140aよりも小さい直径を利用する。そのような実施形態において、第3のマイクロ流体チャネル140の直径寸法は、所望の液滴サイズ(例えば、10μm~50μm)を有する試薬液滴を形成するように構成するか、そうでなければ選択される。
【0030】
図示の例示的な実施形態において、第4のマイクロ流体チャネル150(「マイクロ流体チャネル」とも称する)は、第3のマイクロ流体チャネル140に流体接続されるチャネルの第1の分岐部150a及びチャネルの第2の分岐部150bを含む。非水系流体(例えば、Novec 7500又は他のそのような非混和性流体)は、矢印152a及び152bによってそれぞれ示されるチャネルの第1の分岐部150a及び第2の分岐部150bのうちの1つ以上を通って流れる。例示的な実施形態において、チャネルの第1の分岐部150a及び第2の分岐部150bは、互いに軸方向に位置合わせされ、チャネル入口140aとチャネル出口140bとの間でマイクロ流体チャネル140の両側に流体接続されているが、チャネルの第1の分岐部150a及び第2の分岐部150bの他の構成及び/又は他の位置(つまり、他の構成又は他の位置、あるいはそれらの両方)が可能である。したがって、マイクロ流体デバイス100は、チャネル入口140a、チャネルの第1の分岐部150a、及びチャネルの第2の分岐部150bが、チャネル出口140bに流体接続されている3方向又はT字形接合部を形成することを示しているが、或る実施形態は、2方向接合部(例えば、第4のマイクロ流体チャネルの単一の分岐部が第3のチャネル入口に結合される)又は他のそのような構成等の代替的な構成を利用することができることが理解されよう。
【0031】
図示の例示的な実施形態において、第2のマイクロ流体リザーバ160(「マイクロ流体リザーバ」とも称する)は、第4のマイクロ流体チャネル140のチャネル出口140bに隣接するリザーバ受取り部162を含む。マイクロ流体リザーバ160は、リザーバ受取り部162によって受け取った1つ以上の試薬液滴166を配列する及び/又はそうでなければ編成するように構成されるリザーバ整列部164を更に含む。図示の例示的な実施形態において、リザーバ受取り部162は、第1の幅(本明細書において「幅」とも称する)を有し、リザーバ整列部164は、リザーバ受取り部162の幅と比較して異なる第2の幅(本明細書において「幅」とも称する)を有する。したがって、試薬液滴166は、リザーバ受取り部162を通して輸送され、マイクロ流体リザーバ160のリザーバ整列部164に収集される。図示の例示的な実施形態において、リザーバ整列部164は、リザーバ受取り部162よりも小さい幅を有し、マイクロ流体リザーバ160の先細り部を画定する。すなわち、リザーバ受取り部162の幅寸法は、第2のマイクロ流体リザーバ160の幅広端部を画定し、第2のリザーバ整列部164の幅寸法は、第2のマイクロ流体リザーバ160の先細り及び/又は幅狭の端部を画定する。
【0032】
図示の例示的な実施形態において、第1のBLU190(「BLU」とも称する)は、第1のマイクロ流体リザーバ130及び第2のマイクロ流体リザーバ160に隣接して位置決めされる第1の電極172と、第1のマイクロ流体リザーバ130に隣接して位置決めされる第2の電極182とを備える。第1の電極172(「電極」とも称する)は、取り付けられた電極部172aと、接地電極部172bと、取り付けられた電極部172aに電気的に結合される電圧源174とを備える。したがって、電圧源174の起動(アクティベーション)により、第1の電極172に所望の電圧が印加される。例えば、図示の例示的な実施形態において、取り付けられた電極部172aは、第5のマイクロ流体チャネル170の少なくとも一部に隣接して及び/又は重なって(つまり、隣接して又は重なって、あるいはそれらの両方で)位置決めされる電極点又は先端部を画定する、三角形状を有する比較的鋭い電極として構成される。或る実施形態において、取り付けられた電極部172aは、最も幅狭(すなわち、電極の尖端になる場所)であり、ここは、接地電極部172bに最も近い(すなわち、取り付けられた電極部及び接地電極部の先端部を接続する流体経路に沿った最短分離距離を有する)。取り付けられた電極部172aは、鋭い又は尖った電極として示されているが、例えば、湾曲又は円形構成を有する取り付けられた電極を含む、取り付けられた電極部の他の形状及び/又は他の構成が可能であることを理解すべきである。接地電極部172bは、実質的に矩形の形状を有するとともに、第2のマイクロ流体リザーバ160のリザーバ整列部164の少なくとも一部に隣接して及び/又は重なって位置決めされる、比較的長く真っ直ぐな電極として構成される。様々な実施形態において、接地電極部172bは、第1の電極172の起動によって発生する電界のソース(source)(又はシンク(sink))として機能する基準電位を提供する。電界は、第1のマイクロ流体リザーバ130及び第2のマイクロ流体リザーバ160から液滴(例えば、液滴136及び166)を駆動するために利用される電界領域を画定する。
【0033】
図示の例示的な実施形態において、第2の電極182(「電極」とも称する)は、取り付けられた電極部182aと、接地電極部182bと、取り付けられた電極部182aに電気的に結合される電圧源184とを備える。したがって、電圧源184の起動(アクティベーション)により、電極182に所望の電圧が印加される。例えば、図示の例示的な実施形態において、取り付けられた電極部182aは、第6のマイクロ流体チャネル180の少なくとも一部に隣接して及び/又は重なって位置決めされる電極点又は先端部を画定する、三角形状を有する比較的鋭い電極として構成される。或る実施形態において、取り付けられた電極部182aは、最も幅狭(すなわち、電極の尖端になる場所)であり、ここは、接地電極部182bに最も近い(すなわち、取り付けられた電極部及び接地電極部の先端部を接続する流体経路に沿った最短分離距離を有する)。取り付けられた電極部182aは、鋭い又は尖った電極として示されているが、例えば、湾曲又は円形構成を有する取り付けられた電極を含む、取り付けられた電極部の他の形状及び構成が可能であることを理解すべきである。接地電極部182bは、実質的に矩形の形状を有するとともに、第1のマイクロ流体リザーバ130のリザーバ整列部134の少なくとも一部に隣接して及び/又は重なって位置決めされている、比較的長く真っ直ぐな電極として構成されている。様々な実施形態において、接地電極部182bは、電極182の起動によって発生する電界のソース(又はシンク)として機能する基準電位を提供する。電界は、第1のマイクロ流体リザーバ130から液滴(例えば、液滴136)を駆動するために利用される電界領域を画定する。
【0034】
図示の例示的な実施形態において、マイクロ流体デバイス100は、水系分析物流体を液滴化し、生じた水系液滴を第1のマイクロ流体リザーバ130を通して輸送するように構成するか、そうでなければ設計される。したがって、マイクロ流体デバイス100を利用して、分析物を含む1つ以上の水系液滴を監視、選別、及び処理することができ、所望に応じて、液滴をワークフローの次のステージに向けることができるようになっている。図示の例示的な実施形態において、マイクロ流体デバイス100はまた、
図1に示されているように、水系試薬流体を液滴化し、1つ以上の試薬液滴を第2のマイクロ流体リザーバ160を通して輸送するように構成され、それにより、マイクロ流体デバイス100を利用して、分析物を含む或る水系液滴を1つ以上の水系試薬液滴と融合するか、そうでなければ組み合わせ、シングルステップのアッセイを行うことができる。
【0035】
或る実施形態において、マイクロ流体デバイスは、
図1のマイクロ流体デバイス100等の、シングルステップアッセイを行うシングルステージデバイスとして構成される。或る他の実施形態において、複数のマイクロ流体デバイスは、マルチステージデバイスを形成するように流体的に連結するか、そうでなければ接続することができる。
図2は、マルチステップのアッセイを行うことが可能なマルチステージマイクロ流体デバイス200の1つの非限定的な例を示している。図示の例示的な実施形態において、マイクロ流体デバイス200は、第3のマイクロ流体リザーバ230に流体接続される
図1のマイクロ流体デバイス100と、第7のマイクロ流体チャネル240と、第8のマイクロ流体チャネル250と、第7のマイクロ流体チャネル240及び第8のマイクロ流体チャネル250に流体接続される第4のマイクロ流体リザーバ260と、第3のマイクロ流体リザーバ230と第4のマイクロ流体リザーバ260との間に配置されるとともに、それらに流体接続される第9のマイクロ流体チャネル270と、第3のマイクロ流体リザーバ230に流体接続される第10のマイクロ流体チャネル280と、第3のマイクロ流体リザーバ230及び第4のマイクロ流体リザーバ260の頂部に画定される第2の基本論理ユニット(BLU)290とを備える。
【0036】
図示の例示的な実施形態において、第3のマイクロ流体リザーバ230(「マイクロ流体リザーバ」とも称する)は、マイクロ流体デバイス100の第5のマイクロ流体チャネル170に流体接続されるリザーバ入口チャネル214を備える。すなわち、リザーバ入口チャネル214は、マイクロ流体デバイス100の第1のマイクロ流体リザーバ130及び/又は第2のマイクロ流体リザーバ160(つまり、第1のマイクロ流体リザーバ130又は第2のマイクロ流体リザーバ160、あるいはそれらの両方)を第3のマイクロ流体リザーバ230に流体的に結合し、水系液滴136及び試薬液滴166を融合することによって形成された1つ以上の液滴236を、第5のマイクロ流体チャネル170からリザーバ入口チャネル214を通して第3のマイクロ流体リザーバ230内に輸送するようになっている。所望の場合、リザーバチャネル214は、融合されていない液滴をマイクロ流体リザーバ230内に輸送するのにも同様に利用することができることを理解すべきである。
【0037】
図示の例示的な実施形態において、第3のマイクロ流体リザーバ230は、リザーバ入口チャネル214に隣接するリザーバ受取り部232を含む。第3のマイクロ流体リザーバ230は、マイクロ流体リザーバ230によって受け取った1つ以上の液滴236を配列する及び/又はそうでなければ編成するように構成されるリザーバ整列部234を更に含む。図示の例示的な実施形態において、リザーバ受取り部232は、第1の幅(本明細書において「幅」とも称する)を有し、リザーバ整列部234は、液滴受取り部232の幅と比較して異なる第2の幅(本明細書において「幅」とも称する)を有する。図示の例示的な実施形態において、リザーバ整列部234は、液滴受取り部232よりも小さい幅を有し、第3のマイクロ流体リザーバ230の先細り部を画定する。すなわち、リザーバ受取り部232の幅の寸法は、マイクロ流体リザーバ230の幅広の端部を画定し、リザーバ整列部234の幅の寸法は、マイクロ流体リザーバ230の先細り及び/又は幅狭の端部を画定する。
【0038】
図示の例示的な実施形態において、第7のマイクロ流体チャネル240(「マイクロ流体チャネル」とも称する)は、第4のマイクロ流体リザーバ260(「マイクロ流体リザーバ」とも称する)に流体接続され、第7のマイクロ流体チャネル240を通る、矢印242によって表される流体流路を画定するチャネル入口240a及びチャネル出口240bを含む。例えば、流体(例えば、水系試薬)は、チャネル入口240aを介してマイクロ流体チャネル240に入り、チャネル出口240bを介してマイクロ流体チャネル240を出る。図示の例示的な実施形態において、チャネル入口240aは、第1の直径(本明細書において「直径」とも称する)を有し、チャネル出口240bは、第1の直径よりも大きい又は小さい異なる第2の直径(本明細書において「直径」とも称する)を有する。1つの非限定的な例において、チャネル出口240bは、チャネル入口240aよりも小さい直径を利用する。そのような実施形態において、第7のマイクロ流体チャネル140の直径寸法は、所望の液滴サイズ(例えば、10μm~50μm)を有する試薬液滴を形成するように構成するか、そうでなければ選択される。
【0039】
図示の例示的な実施形態において、第8のマイクロ流体チャネル250(「マイクロ流体チャネル」とも称する)は、第7のマイクロ流体チャネル240に流体接続されるチャネルの第1の分岐部250a及びチャネルの第2の分岐部250bを含む。非水系流体(例えば、Novec 7500又は他のそのような非混和性流体)は、矢印252a及び252bによってそれぞれ示されるチャネルの第1の分岐部250a及び第2の分岐部250bを通って流れる。図示の例示的な実施形態において、チャネルの第1の分岐部250a及び第2の分岐部250bは、互いに軸方向に位置合わせされ、チャネル入口240aとチャネル出口240bとの間でマイクロ流体チャネル240の両側に流体接続されるが、チャネルの第1の分岐部250a及び第2の分岐部250bの他の構成及び位置が可能である。したがって、マイクロ流体デバイス200は、チャネル入口240a、チャネルの第1の分岐部250a、及びチャネルの第2の分岐部250bが、第7のチャネル出口240bに流体接続される3方向又はT字形接合部を形成することを示しているが、或る実施形態は、2方向接合部(例えば、第8のマイクロ流体チャネルの単一の分岐部が第7のチャネル入口に結合される)又は他のそのような構成等の代替的な構成を利用することができることが理解されよう。
【0040】
図示の例示的な実施形態において、第4のマイクロ流体リザーバ260(「マイクロ流体リザーバ」とも称する)は、マイクロ流体チャネル240のチャネル出口240bに隣接するリザーバ受取り部262を含む。マイクロ流体リザーバ260は、マイクロ流体リザーバ260によって受け取った1つ以上の液滴266を配列する及び/又はそうでなければ編成するように構成されるリザーバ整列部264を更に含む。図示の例示的な実施形態において、リザーバ受取り部262は、第1の幅(本明細書において「幅」とも称する)を有し、リザーバ整列部264は、リザーバ受取り部262の第1の幅と比較して異なる第2の幅(本明細書において「幅」とも称する)を有する。したがって、試薬液滴266は、第4のリザーバ受取り部262を通して輸送され、第4のマイクロ流体リザーバ260のリザーバ整列部264に収集される。図示の例示的な実施形態において、リザーバ整列部264は、リザーバ受取り部262よりも小さい幅を有し、第4のマイクロ流体リザーバ260の先細り部を画定する。すなわち、リザーバ受取り部262の幅の寸法は、マイクロ流体リザーバ260の幅広の端部を画定し、リザーバ整列部124の幅の寸法は、第4のマイクロ流体リザーバ260の先細り及び/又は幅狭の端部を画定する。
【0041】
図示の例示的な実施形態において、第2のBLU290(「BLU」とも称する)は、第3のマイクロ流体リザーバ230及び第4のマイクロ流体リザーバ260に隣接して位置決めされる第3の電極272と、第3のマイクロ流体リザーバ230に隣接して位置決めされる第4の電極282とを備える。第3の電極272(「電極」とも称する)は、取り付けられた電極部272aと、接地電極部272bと、取り付けられた電極部272aに電気的に結合される電圧源274とを備える。したがって、電圧源274の起動(アクティベーション)により、電極272に所望の電圧が印加される。例えば、図示の例示的な実施形態において、取り付けられた電極部272aは、マイクロ流体チャネル270の少なくとも一部に隣接して及び/又は重なって位置決めされる電極点又は先端部を画定する、三角形状を有する比較的鋭い電極として構成される。或る実施形態において、取り付けられた電極部272aは、最も幅狭(すなわち、電極の尖端になる場所)であり、ここは、接地電極部272bに最も近い(すなわち、取り付けられた電極部及び接地電極部の先端部を接続する流体経路に沿った最短分離距離を有する)。取り付けられた電極部272aは、鋭い又は尖った電極として示されているが、例えば、湾曲又は円形構成を有する取り付けられた電極を含む、取り付けられた電極部の他の形状及び/又は構成が可能であることを理解すべきである。接地電極部272bは、実質的に矩形の形状を有するとともに、第4のマイクロ流体リザーバ260のリザーバ整列部264の少なくとも一部に隣接して及び/又は重なって位置決めされている、比較的長く真っ直ぐな電極として構成される。様々な実施形態において、接地電極部272bは、電極272の起動(アクティベーション)によって発生する電界のソース(又はシンク)として機能する基準電位を提供する。電界は、マイクロ流体リザーバ230及び260から液滴(例えば、液滴236及び266)を駆動するために利用される電界領域を画定する。
【0042】
図示の例示的な実施形態において、第4の電極282(「電極」とも称する)は、取り付けられた電極部282aと、接地電極部282bと、取り付けられた電極部282aに電気的に結合される電圧源284とを備える。したがって、電圧源284の起動(アクティベーション)により、電極282に所望の電圧が印加される。例えば、図示の例示的な実施形態において、取り付けられた電極部282aは、第10のマイクロ流体チャネル280の少なくとも一部に隣接して及び/又は重なって位置決めされている電極点又は先端部を画定する、三角形状を有する比較的鋭い電極として構成される。或る実施形態において、取り付けられた電極部282aは、最も幅狭(すなわち、電極の尖端になる場所)であり、ここは、接地電極部282bに最も近い(すなわち、取り付けられた電極部及び接地電極部の先端部を接続する流体経路に沿った最短分離距離を有する)。取り付けられた電極部282aは、鋭い又は尖った電極として示されているが、例えば、湾曲又は円形構成を有する取り付けられた電極を含む、取り付けられた電極部の他の形状及び/又は構成が可能であることを理解すべきである。接地電極部282bは、実質的に矩形の形状を有するとともに、第3のマイクロ流体リザーバ230のリザーバ整列部234の少なくとも一部に隣接して及び/又は重なって位置決めされている、比較的長く真っ直ぐな電極として構成される。様々な実施形態において、接地電極部282bは、電極282の起動によって発生する電界のソース(又はシンク)として機能する基準電位を提供する。電界は、マイクロ流体リザーバ230から液滴(例えば、液滴236)を駆動するために利用される電界領域を画定する。
【0043】
図1及び
図2のマイクロ流体デバイス100及び200は、様々なマイクロ流体チップ製造技法を使用して製造される。図示の例示的な実施形態において、マイクロ流体チャネル及びリザーバ構造は、Z軸に沿ったデバイス寸法(例えば、デバイス構造の深さ)がおおよそ液滴直径以上になるように、準2次元(2D)構成を有して製造される。すなわち、各マイクロ流体チャネル及びリザーバ構造の準2D構成は、液滴サイズに等しい又はそれよりも大きい深さを有する。さらに、例示的なマイクロ流体デバイスの製造は、チャネル、リザーバ、及び他のそのような特徴部をレーザ切断して、三次元マイクロ流体構造を形成するようにともに実質的にスタックされ及び積層される、所望の厚さ(50ミクロン~125ミクロン)を有するポリイミド製シートにすることを含む。薄いポリイミドチップは、マイクロ流体チャネル及びリザーバ構造及び液滴内容物を容易に可視化することを可能にする。或る実施形態において、照明(例えば、透過照明、入射照明、蛍光等)を利用して、マイクロ流体チャネル、リザーバ、及び液滴内容物を可視化することができる。例示的なマイクロ流体デバイスの電極構造は、典型的に、流体構造を形成するポリイミドシートの特定の表面上に蒸着されたおよそ150nmの白金からなり、積層プロセスの前に堆積(deposition:デポジション)が行われる。他の厚さ、プロセス、及びタイプの材料を利用して、電極を製造することができることを理解すべきである。さらに、例示的なマイクロ流体デバイスの製造中、流体表面は、積層プロセスの後に行われるゾルゲルプロセス(sol gel process)を介して疎水性にされる。或る材料及び製造プロセスを上記で論じたが、当業者に既知の代替的な材料及び製造プロセスを採用して、本開示のマイクロ流体デバイスを製造することができることを理解すべきである。
【0044】
1つの非限定的な例において、
図1に概略的に示されているクロスフロー構造(すなわち、マイクロ流体チャネル110及び120)は、非水系流体(例えば、エマルション(emulsion)の安定化のために2%のPicosurf界面活性剤を伴うNovec 7500)の連続的なバックグラウンドにおいて、分析物を含む水系流体を液滴化する。同様に、
図1及び
図2に概略的に示されているクロスフロー構造(すなわち、マイクロ流体チャネル140、150、240、及び250)は、非水系流体(例えば、エマルションの安定化のために2%のPicosurf界面活性剤を伴うNovec 7500)の連続的なバックグラウンドにおいて、水系試薬流体を液滴化する。より具体的には、クロスフロー構造の幾何学形状は、液滴直径が、流体液滴を押し出す又はそうでなければ生じさせるクロスフロー構造の幅(例えば、10ミクロン~50ミクロン)に対応するように構成される。様々な実施形態において、液滴生成速度又は頻度は、或るチャネル幾何学形状(例えば、幅及び深さ)及び流体流量の選択に基づいて1Hz~1KHzに構成することができる。さらに、より小さい液滴(例えば、10ミクロン未満の液滴)が所望される場合、収束型液滴化構造を或るチャネル幾何学形状とともに使用して、チャネルの幅よりも小さい直径(例えば、数百ナノメートル台)を有する液滴を形成することを可能にする仮想チャネル押出孔を形成するか、そうでなければ画定することができる。そのような仮想チャネル押出孔構造は、最大数十KHzの速度で液滴を生じさせるように構成することもできる。
【0045】
様々な実施形態において、マイクロ流体デバイスによって液滴が生成されると、非混和性流体(例えば、Novec 7500)は、水系液滴を含む流体よりもはるかに高い質量密度(例えば、水よりも少なくとも1.5倍大きい)を有するため、水系液滴(例えば、分析物及び試薬液滴)に浮力が作用する。水系液滴に作用する浮力は、以下の式によって定義される。
【数1】
ここで、aは、液滴半径であり、ρ
Nは、Novec 7500の質量密度であり、ρ
Wは、水の質量密度であり、gは、重力に起因する加速度である。したがって、重力が頁の下に向かう方向となるようにマイクロ流体デバイス(例えば、
図1及び
図2のマイクロ流体デバイス100及び200)が方向付けられると、水系液滴は、マイクロ流体リザーバ受取り部からマイクロ流体リザーバ整列部に向かって上方に輸送される。さらに、液滴の浮力ドリフト速度は、液滴が非混和性流体を通過する際の液滴に対するストークス(Stoke's)の抗力に注目することによって推定することができる。
【数2】
ここで、μ
Nは、非混和性流体の動粘度であり、Vは、水系液滴及びバックグラウンドの非混和性流体の相対速度である。これらの力を等式化し、浮力ドリフト速度を解くと、以下のことがわかる。
【数3】
【0046】
例えば、20μmの液滴半径の場合、Vはおよそ0.44mm/sであり、マイクロ流体リザーバが2mm~4mmの高さを有する場合には、液滴は、マイクロ流体リザーバのリザーバ液滴整列部(すなわち、マイクロ流体リザーバの頂部)に10秒未満で到達する。リザーバの高さ又は長さは、任意の所望の値を有することができ、様々な実施形態において、リザーバの高さは、リザーバが特定の数の液滴を保持するための容量を有するように選択される。例えば、水系液滴がおよそ40μmの直径を有し、リザーバが2mmの高さを有する場合、リザーバは、おおよそ「高さにおいて50個の液滴」という容量を有する。さらに、
図1及び
図2に示されている先細りのマイクロ流体リザーバ等の例示的なリザーバ形状において、リザーバの深さが貯蔵を液滴の単一の層に制限する準2Dリザーバを想定すると、マイクロ流体リザーバは、1000個程度の液滴という液滴容量を有するように構成することができる。
【0047】
様々な実施形態において、液滴化プロセス中、大体積の非混和性流体が、水系液滴(例えば、分析物及び試薬液滴)とともにマイクロ流体リザーバ内に注入される。そのような実施形態において、過剰な非混和性流体は、マイクロ流体デバイスの作用体積から除去される。なぜなら、過剰な非混和性流体は、液滴ワークフロー経路に沿って干渉し、アッセイプロトコルの論理演算に混乱をもたらすおそれがあるためである。この問題を軽減するために、マイクロ流体デバイスの様々な実施形態は、マイクロ流体リザーバから過剰な非混和性流体を収集するか、そうでなければ排出するように構成される廃棄ポートを備える。例えば、
図1及び
図2に示されているマイクロ流体デバイス100及び200は、第1のマイクロ流体リザーバ130に流体接続される第1の廃棄ポート138と、第2のマイクロ流体リザーバ160に流体接続される第2の廃棄ポート168と、第4のマイクロ流体リザーバ260に流体接続される第3の廃棄ポート268とを備える。或る実施形態において、廃棄ポートのうちの1つ以上は、受動廃棄ポートとして構成され、その流れコンダクタンスは、マイクロ流体デバイスを通る液滴ワークフロー経路(すなわち、リザーバ受取り部からリザーバ整列部までの流路)の流れコンダクタンスよりも低くなるように設計するか、そうでなければ構成されるようになっている。したがって、廃棄ポートは、マイクロ流体リザーバ内に注入される過剰な非混和性流体のほとんどを受け取るか、そうでなければ収集する。或る他の実施形態において、1つ以上の廃棄ポートは、圧力制御ポンプ(図示せず)に流体接続される能動制御の廃棄ポートとして構成される。したがって、廃棄物除去は、水系流体の液滴化中に、圧力制御ポンプを起動(activate)するとともに、圧力制御ポンプを利用して廃棄ポートの背圧を調整することによって可能にすることができる。
【0048】
上述したように、本開示のマイクロ流体デバイスは、マイクロ流体チャネル及びリザーバ構造の準2D表面が地球表面に対して垂直に方向付けられるように、マイクロ流体デバイスを載置する又はそうでなければ方向付けることによって、マイクロ流体リザーバ内で水系液滴(すなわち、分析物及び試薬液滴)を輸送するための大きい浮力を利用する。したがって、浮力によって水系液滴が輸送され、そこで、水系液滴は、自己凝集して、
図1及び
図2に示されているBLU190及び290内に至る待機列を形成する。様々な実施形態において、BLU190及び290は、マイクロ流体デバイス100及び200のマイクロ流体整列部134、164、234、及び264と、電極172、182、272、及び282とを含む。したがって、BLU190及び290を利用して、マイクロ流体リザーバ(複数の場合もある)の液滴整列部における水系液滴を観察及び/又は評価(つまり、観察又は評価、あるいはそれらの両方を)することができる。さらに、BLU190及び290の電極を選択的に起動(activate)及び停止(deactivate)させ、ワークフローの次のステージへと液滴を操作することができる。例えば、水系液滴が個々の細胞を含む分析物を含む場合、生じた水系液滴に占める細胞はポアソン統計(Poisson statistics)に従ったものとなる。マイクロ流体デバイスを利用して、液滴を所望の液滴と不所望の液滴とに選択的に選別することができる。すなわち、空の液滴又は複数占有された液滴(すなわち、単一の細胞又は分析物材料を伴わない液滴、又は複数の細胞若しくは分析物材料を有する液滴)は廃棄することができ、単一占有された液滴(図の液滴136及び236内の「X」によって示されている)は更なる処理のために受理することができる。
【0049】
様々な実施形態において、液滴の処理及び/又は操作(つまり、処理又は操作、あるいはそれらの両方)は、BLUにおいて行われ、BLUの選択された動作は、各個々の液滴の評価結果に基づく。そのような実施形態において、BLUを利用して、液滴整列部の先頭に位置する1つ以上の液滴を可視化し及び特徴付け、液滴の次のステップを決定することができる。例えば、BLUを利用して、液滴を選別及び/又は液滴を駆動(つまり、液滴を選別又は液滴を駆動、あるいはそれらの両方を)し、分析物を含む水系液滴を試薬液滴と融合することができる。したがって、電極の選択的な起動によって、処理される液滴をマイクロ流体デバイスの適切なチャネルに向け、次のアッセイステップに輸送することができる。マイクロ流体デバイスは、所望の数の論理オプションを有する1つ以上のBLUを有して構成することができることを理解すべきである。例えば、単一のBLUをシングルステップアッセイに利用して、水系液滴の選別及び試薬液滴との融合を行うことができる(例えば、マイクロ流体デバイス100によって行われる液滴選別及び融合BLU)。別の例において、複数のBLUをマルチステップアッセイに使用して、水系液滴の選別及び複数の試薬液滴との融合を行うことができる(例えば、マイクロ流体デバイス200によって行われる液滴選別及び融合BLU並びに液滴融合BLU)。
図2は、2ステップのアッセイのための2つのマイクロ流体デバイスの連結を示すが、マルチステップアッセイのために3つ以上のマイクロ流体デバイスを連結することができることが理解されよう。
【0050】
様々な実施形態において、液滴は、BLU内で、電極の選択的な起動によって発生する誘電泳動(DEP:di electrophoretic)力を使用して駆動される。この力は、
図6Aに示されているように、液滴の誘起電気双極子モーメントと外部に確立された電界勾配との直接的な結合に基づく。誘電泳動力は、以下の式を有する。
【数4】
ここで、
【数5】
であり、к
(1)は、通常のクラウジウス-モソッティ因子(Clausius-Mossotti factor)であり、ε
dropは、液滴の実効誘電率であり、ε
Nは、Novecフッ素油の誘電率であり、aは、液滴半径であり、E
0は、外部に確立された電界である。様々な実施形態において、取り付けられた電極部に電圧を印加することにより、取り付けられた電極部と最も近い接地電極部との間に電界が発生する。
【0051】
例えば、
図6Aに示されているように、電圧は、取り付けられた鋭角電極部672a及び接地電極部672bを含む電極672に印加することができる。電圧源674を介して電極672に電圧を印加することにより、取り付けられた鋭角電極部672aと接地電極部672bとの間に電界675が発生する。取り付けられた鋭角電極部672aの形状及び/又は鋭さ(つまり、形状又は鋭さ、あるいはそれらの両方)に起因して、取り付けられた鋭角電極部672aの鋭角先端部の領域において最高の電界強度を有する強力な電界勾配が存在する。結果として、係合する近位の液滴(すなわち、液滴整列部の先頭の液滴)が、この高電界領域に引き寄せられて液滴を輸送し、したがって、液滴輸送が行われる。様々な実施形態において、鋭角電極部672aと接地電極部672bとの間の分離は、50μm~200μm程度であり、10ボルト以下の印加によってロバストな液滴輸送が達成される。さらに、液滴輸送は印加電圧の周波数とはおおむね独立しており、使用される典型的な周波数は1KHzの範囲である。液滴(複数の場合もある)が、特定のアッセイの次のステージ又はステップへと至るマイクロ流体チャネル内に概して位置決めされている起動された電極へと輸送されると、電極に印加される電圧をオフにすることができる。電界がゼロに降下すると、誘電泳動力は散逸し、液滴が解放される。偏在する浮力によって、液滴が次のマイクロ流体リザーバまで自由に輸送され、次のBLUの液滴整列部内に自己編成される。
【0052】
様々な実施形態において、取り付けられた電極部の精密な形状は、周囲領域における電界分布に大きな影響を与える場合がある。例えば、接地電極に最も近い取り付けられた電極部の先端形状が鋭くなるほど、電界集中がより顕著になり得る。結果として、非常に鋭い電極形状部、電界、及び付随する電界勾配は、取り付けられた電極部の先端部の近くで強く局所化される。式4によって裏付けられるように、この強い電界局所化により、起動された取り付けられた電極部の近位に非常に強いDEP力が発生する。しかしながら、いくつかの状況において、この強い電界局所化は、限られた空間範囲にわたる液滴輸送につながる場合がある。すなわち、非常に鋭い電極形状部は、強い電界局所化を伴う電界を発生させることができ、それにより、液滴を短い距離(例えば、1つ又は2つの液滴の直径に等しい距離)だけ輸送することが可能な強いDEP力が発生する。
【0053】
様々な実施形態において、電極は、より大きい距離(例えば、2つ以上の液滴の直径程度の距離)にわたって液滴を輸送することが可能なDEP力を発生させることが望ましい場合がある。そのような実施形態において、取り付けられた電極部(
図6Aの例示的な電極672等)の鋭角の先端形状は、理想的でない場合がある。いくつかの状況において、鋭角の電極形状部の近くに発生する大きい電界強度は、駆動される液滴内に存在する生物学的実体に有害となり得ることにも留意すべきである。
【0054】
したがって、電界及び電界勾配によって発生する空間範囲(すなわち、液滴輸送距離)の調整を可能にする電極構造は、DEP力の空間的プロファイルの設計においてより高い柔軟性をもたらす。そのような電極構造は、電界発生に必要とされるより低い電圧を利用するデバイス最適化も可能にすることができる。電界の空間範囲を増大させることの更なる利益は、電極配置と液滴位置との間の位置決め公差を緩和することができることである。そのような利益は、デバイスの製造に役立てることができる。
【0055】
1つの非限定的な例において、
図6Cに示されているように、電極673は、電界勾配の空間範囲に延在するとともに、付随するDEP力の範囲に延在するように構成される。この図示の例において、電極673は、取り付けられた円形電極部673a及び接地電極部673bを含む。電圧源676を介して電極673に電圧を印加することにより、取り付けられた円形電極部673aと接地電極部673bとの間に電界678が発生する。図示の例において、発生した電界678は、取り付けられた円形電極部673aの曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する電界強度を有する。そのような実施形態において、取り付けられた円形電極部673aの曲率半径を変更することにより、電界の勾配の空間範囲及び付随するDEP力の範囲に影響を与えることができる。すなわち、液滴の輸送距離は、取り付けられた円形電極部673aの曲率半径に基づいて調整することができる。例えば、液滴輸送の空間範囲は、取り付けられた円形電極部の曲率半径を増大させることによって増大させることができ、液滴輸送の空間範囲は、取り付けられた円形電極部の曲率半径を減少させることによって減少させることができる。
【0056】
電極673は、円形又は円板状の形状を有する取り付けられた円形電極部673aとともに示されているが、例えば、湾曲した構成を有する取り付けられた電極を含む他の電極形状を利用して、電界勾配の空間範囲及び付随するDEP力の範囲を変更することができることが理解されよう。これらの異なる電極形状の全体的な挙動は、接地電極部の最も近くに位置決めされる取り付けられた電極部の(局所)曲率半径に左右され得ることも理解されよう。
【0057】
様々な実施形態において、マイクロ流体デバイスの電極の選択的な起動によって発生する誘電泳動力は、水系液滴及び試薬液滴を同じ起動電極に向かって同時に駆動する又はそうでなければ引き寄せることができる。例えば、
図1及び
図2に示されているように、電極172を選択的に起動することにより、リザーバ整列部134の先頭にある分析物(すなわち、内部に「X」を有する液滴)及びリザーバ整列部164の先頭にある試薬液滴166(すなわち、試薬液滴)を含む水系液滴136が、マイクロ流体チャネル170内及び第1の電極172の取り付けられた電極部172aに向けてそれぞれ移動する。液滴のエマルションを安定化させる(すなわち、液滴がマイクロ流体リザーバ内で互いに接触したときに同時に融合することを防ぐ)ために、周囲の連続的な非混和性流体(例えば、2%のpicosurf界面活性剤を伴うNovec 7500油)に界面活性剤を添加するか、そうでなければ含ませる。したがって、界面活性剤を非混和性流体に添加することで、液滴の表面エネルギーが低減し、個々の液滴が互いに自発的に融合することを防ぐ。しかしながら、マイクロ流体デバイスの動作中、起動された電極の周りの領域は、マイクロ流体リザーバ内の領域とは異なり、或る液滴が互いに融合することができるようになっている。
【0058】
より具体的には、起動された電極は、起動された電極の周囲領域において電界を発生させ、それにより、発生した電界内の分極性の液滴間に引力を誘起することができる。これらの引力は、電気合体力(electro-coalescence forces)として知られ、この力を利用して、エマルションの液滴間に相対的な引力を発生させることによってエマルションを分裂させることができる。1つの非限定的な例において、印加される電界に応答して一対の液滴が電気双極子モーメントを発生させ、誘起電気双極子モーメントが電界方向に対して位置合わせされる、液滴融合メカニズム(droplet merging mechanism)が、
図6Bに示されている。液滴の誘起された双極子モーメントは、液滴間の協調された向きによって液滴間の引力をもたらすように、互いに相互作用する。すなわち、液滴の誘起された双極子モーメントは、液滴(すなわち、水系液滴636及び試薬液滴666)を互いに引き寄せる。この例において、一対の液滴が受ける正味の電気合体力は、以下に定義される双極子-双極子形態(dipole-dipole form)を有する。
【数6】
ここで、a及びbは2つの液滴の半径であり、ρは、2つの液滴の中心間の距離であり、他の変数は、以前に定義されたとおりである。液滴が互いに近づくと、引力が非常に大きくなり(式6の単純な双極子-双極子相互作用から逸脱する)、液滴が駆動されて融合する。例えば、この動態を利用して、試薬液滴を伴う水系液滴を引き寄せることができる。本開示のマイクロ流体デバイス構造の場合、電極は、(鋭角電極と接地電極との間に)50μm~200μm程度の分離を有して構成することができる。したがって、周囲の非混和性流体(例えば、2%のPicosurfを伴うNovec 7500)内に分散されるか、そうでなければ埋め込まれた水系液滴の電気合体(すなわち、水系液滴及び試薬液滴の合体)は、10ボルト未満の印加電圧によって生じることがわかっている。
【0059】
本明細書に開示され、チップベースのデジタル液滴プロセッサ(DDP:Digital Droplet Processor)と称することもあるマイクロ流体デバイスは、デジタルマイクロ流体(DMF:Digital Microfluidic)デバイス等の以前に開示されたマイクロ流体プラットフォームに勝る多くの利点を享受する。例えば、DDPデバイスは、液滴化(個別化(isolated))された分析物(多くの場合、単一の細胞)に対するDMFデバイスの動作のほとんどを行うことが可能である。いくつかの実施形態において、本開示のマイクロ流体デバイスは、特定のアッセイにおけるステップ間の液滴の動きが、密集した電極の能動的な輸送表面(active transport surface)に依存せず、受動的な浮力動態によって液滴輸送を作動させるという、動作上の大きな利点を有する。これにより、DMFデバイス及び他のそのようなデバイスに固有の表面劣化及び液滴の抗力の問題点等の或る問題点が排除されるとともに、必要なエレクトロニクスを簡略化する。BLUによって行われる各アッセイ動作の後、選択された液滴は、次のマイクロ流体リザーバに受動的に輸送され、次のBLUの入力において編成された(organized)様式で自己凝集する。さらに、いくつかの実施形態において、誘電泳動作用によってBLU内で液滴を移送するのに必要な電圧は、典型的には、10ボルト未満であり、一方、PCB型DMFデバイスは、典型的には、液滴輸送を作動させるのに100ボルト超を必要とする。
【0060】
本開示のマイクロ流体デバイスは、チャネルの1つ以上のネットワークを通る連続的に駆動される流体流による液滴輸送に基づく他のラブオンチッププラットフォームに勝る大きな利点も享受する。これらの従来のデバイスでは、デバイスを通して液滴を搬送する非混和性流体の連続流が存在する。これらのプラットフォームの場合、アッセイの各ステップが各個別の液滴に対して行われるタイミングは概して固定されており、タイミングの遅延を変更して反応の完了を可能にする柔軟性はほとんどない。いくつかの実施形態において、本開示のマイクロ流体デバイスは、BLUの起動の前にマイクロ流体リザーバ内の液滴を監視する及び特徴付けることを可能にすることによって、他のプラットフォームに勝る明らかな利点をもたらす。選択された液滴は、次のワークフローステージに引き渡すことができる。さらに、本開示のマイクロ流体デバイスは、分析物が液滴化されると、デバイスが連続的な流体流を必要としないため、試薬の消費を低減し、化学廃棄物の発生を低減する。
【0061】
様々な実施形態において、本開示のDDPチップデバイスを利用して、複数の異なるアッセイを行うことができる。例えば、想定される異なるアッセイのうちのいくつかは、DDPチップデバイス上で完了させることができ、ここで、最終ステップによって、処理された水系液滴からの信号のオンチップ検出が行われ、検出された信号が、アッセイから所望される最終情報を提供する。代替的に、DDPチップデバイス上での水系液滴処理が、実験を完了させるのに必要な全分析手順の一部のみである、いくつかの他のアッセイもあり得る。そのような例において、DDPチップデバイスは、液滴及び/又はサンプル(つまり、液滴又はサンプル、あるいはそれらの両方)の調製に使用することができ、アッセイは、DDPチップデバイス上で完了することはできない。したがって、アッセイがチップ上で完了しないこれらの手順の場合、DDPチップデバイス上で調製及び/又は処理(つまり、調整又は処理、あるいはそれらの両方を)された個々の液滴を取り出してアクセスする方法がある。
【0062】
図5に示されている1つの非限定的な例において、BLU590は、マイクロ流体リザーバ530のリザーバ液滴整列部534又はマイクロ流体デバイスの他のそのような構造から1つ以上の液滴を選択的に移送することを可能にするように構成される。図示の例示的な実施形態において、BLU590は、第1の連続流チャネル592と、第2の連続流チャネル594と、電極572とを含む。図示の例示的な実施形態において、第1の連続流チャネル592及び第2の連続流チャネル594は、マイクロ流体リザーバ530のリザーバ液滴整列部534に流体接続される。さらに、電極572は、第1の連続流チャネル592に隣接する及び/又は少なくとも部分的に重なる第1の取り付けられた電極部572aと、リザーバ液滴整列部534に少なくとも部分的に重なる接地電極部572bと、第2の連続流チャネル594に隣接する及び/又は少なくとも部分的に重なる第2の取り付けられた電極部572cとを含む。図示の例示的な実施形態において、第1の取り付けられた電極部572aは第1の電圧源574aに結合され、第2の取り付けられた電極部572cは第2の電圧源574bに結合される。したがって、第1の電圧源574aからの電圧の印加によって第1の取り付けられた電極部572aを選択的に起動することにより、1つ以上の液滴536がマイクロ流体リザーバ530のリザーバ整列部534から第1の連続流チャネル592内に輸送される。代替的に、第2の電圧源574bからの電圧の印加によって第2の取り付けられた電極部572cを選択的に起動することにより、1つ以上の液滴536が、マイクロ流体リザーバ530から第2の連続流チャネル594内に輸送される。図示の例示的な実施形態において、第1の取り付けられた電極部572a又は第2の取り付けられた電極部572cを選択的に起動することにより、液滴の所望の特性に基づく液滴536の分離が可能になる。例えば、分析物を含む水系液滴536(内部に「X」を有する液滴として示されている)を、分析物を含まない水系液滴536(空の液滴として示されている)から分離又は選別し、所望に応じて、連続流マイクロ流体チャネル592又は連続流マイクロ流体チャネル594内に向けることができる。
【0063】
或る実施形態において、第1の連続流チャネル592は、1つ以上の水系液滴536及び/又は液滴536(つまり、水系液滴536又は液滴536、あるいはそれらの両方)の内容物をワークフローの次のステージに輸送するように構成される。例えば、第1の連続流チャネル592は、1つ以上の水系液滴536を、マイクロ流体デバイスから、更なる処理及び/又は分析(つまり、処理又は分析、あるいはそれらの両方)を行う1つ以上の後続のステージに輸送することができる。或る実施形態において、第2の連続流チャネル594は、1つ以上の水系液滴536及び/又は液滴536の内容物をマイクロ流体デバイスの廃棄物収集ステージに輸送するように構成される。しかしながら、BLU590は、液滴を所望に応じて操作及び誘導するように、連続流チャネルを構成及び利用することができることを理解すべきである。
【0064】
或る実施形態において、第1の連続流チャネルはマイクロ流体リザーバのマイクロ流体チャネルに流体接続することができ(例えば、第1の連続流チャネルは、
図1の第1のマイクロ流体リザーバ130の第1のマイクロ流体チャネル110に接続される)、第1の連続流チャネルが1つ以上の液滴をマイクロ流体チャネルに戻すように輸送するようになっている。したがって、1つ以上の液滴を、複数回ステージ(例えば、
図1の第1のマイクロ流体リザーバ130)に通過させる又はステージを通して輸送することで、追加のマイクロ流体リザーバ及びBLUを製造する必要なく、有効なアッセイステップの数を増大させることができる。
【0065】
或る例示的な実施形態において、輸送された液滴を液滴形態に保つ(すなわち、液滴をそのままの状態に保つ)ことが望ましい場合がある。したがって、非混和性流体(例えば、Novec 7500)が、第1の連続流チャネル592及び/又は第2の連続流チャネル594(つまり、第1の連続流チャネル592又は第2の連続流チャネル594、あるいはそれらの両方)を通って流れ、液滴536を独立した液滴形態に保つのに利用される。代替的に、或る他の例示的な実施形態において、液滴の内容物を水系流体流へと組み合わせるか、そうでなければ解放して、特定のワークフローの次のステージ(分析ステージ、廃棄物収集ステージ等)に輸送することが望ましい場合がある。そのような例において、水系流体が、第1の連続流チャネル592及び第2の連続流チャネル594を通って流れ、液滴内容物をチャネル内に解放し、液滴536の所望の内容物を次のワークフローステージに輸送するのに利用される場合がある。
【0066】
1つのそのような例において、第1の連続流チャネル592及び第2の連続流チャネル594内の連続流流体が非混和性流体である場合には、流動する流体流内に所望の液滴を引き込む前述したDEP力を使用して、移送動態がもたらされる。そのような例において、BLU590は、液滴移送プロセスを妨げ得るような、流動する流れがDDP構造に流体を押し戻すことがないことを保証するように構成することができる。このことは、DDP構造が底部において「閉め切られている(closed off)」場合、すなわち、流体の更なるアクセス可能な体積が利用可能でない場合には、問題とならない。しかしながら、DDP構造が閉め切られておらず、単に加圧される場合、移送点から連続流チャネルの出力までの連続流チャネルの流れインピーダンスを低くして、連続流チャネルとDDP構造との間の適切な背圧差(back pressure difference)をもたらすために注意をすべきである。これは、デバイス構成要素に取り付けられる圧力駆動ポンプを使用して達成することができる。
【0067】
別のそのような例において、第1の連続流チャネル592及び第2の連続流チャネル594内の連続流流体が水系流体である場合、バルク水系流体がDDP構造に流れることを防ぐために同じ検討事項が適用され、上述した同じ解決策がこれを満たす。しかしながら、マイクロ流体リザーバ530から連続流チャネル内への液滴移送ダイナミクス(dynamic)は、多少異なる。より具体的には、連続流チャネル内の水系流体は伝導性であり、すなわち、チャネル自体が有効な電極として作用し、隣接する起動された電極の機能に充当される。この理由から、
図5に示されているように、第1の連続流チャネル592及び第2の連続流チャネル594は、移送点において比較的鋭い角度を有して形成され、DEP力を発生させる必要な電界集中及び勾配をもたらす「有効な電極(effective electrode)」を生じる。水系液滴を流動水系流と融合させるこの具体的な技法は、米国特許出願第16/399,439号(「Microfluidic Dielectrophoretic Droplet Extraction」)において記載及び実証されており、この特許文献の内容は、その全体が引用することにより明確に本明細書の一部をなすものとする。
【0068】
上述した例において、液滴が連続流チャネルの流体ストリーム(fluid stream)(液滴形態又は単相形態のいずれか)に入ると、チャネルの内容物をワークフロー(workflow)の次のステージ(例えば、オフチップの次のワークフローステージ及び廃棄物収集ステージ)に移送することができる。
【0069】
水系液滴が浸漬される非混和性流体として、2%のPicosurf界面活性剤を伴う(及び伴わない)Novec 7500フッ素油が参照されているが、Novec 7500の代わりに、水系流体よりも大きい質量密度を有する他の非混和性流体を使用することができることを理解すべきである。同様に、Picosurf以外の界面活性剤を液滴の安定化に使用することができ、そのような界面活性剤も当業者に既知である。本開示において論じられる具体的な材料は、単に例示的なものであり、限定的なものではないことが意図されることを更に理解すべきである。
【0070】
[例1]
図3A~
図3C及び
図4A~
図4Cは、
図1及び
図2のマイクロ流体デバイス100及び200のBLU190の例示的な動作を示している。動作中、1つ以上の水系液滴136が形成され、マイクロ流体リザーバ130のリザーバ液滴整列部134に整列されるか、そうでなければ収集される。さらに、1つ以上の試薬液滴166が形成され、マイクロ流体リザーバ160のリザーバ液滴整列部164に整列されるか、そうでなければ収集される。
【0071】
図3Aに示されているように、第1の電極172又は第2の電極182に電圧が印加されていない場合には、分析物(液滴内の「X」によって示されている)を含む水系液滴136は、リザーバ整列部134の先頭に位置決めされたままであり、試薬液滴166は、リザーバ整列部164の先頭に位置決めされたままである。そして、液滴は、液滴の次のステップを決定するために評価される。例えば、水系液滴136は、限定はしないが、画像捕捉分析、光学顕微鏡検査、蛍光検出、光散乱、伝導率測定、及び分析物を含む液滴を調べる他のそのような評価技法等の液滴評価技法を使用して評価される。
図3Aに示されているように、リザーバ液滴整列部134の先頭にある水系液滴136は、所望の分析物(液滴内の「X」によって示されている)を含む。いくつかの実施形態において、ユーザは、限定はしないが、カメラ、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、及び他のそのようなデバイス等の液滴評価デバイス(図示せず)を利用して、リザーバ液滴整列部134の先頭にある1つ以上の液滴を照明及び評価することができる。したがって、液滴評価デバイスを利用して、BLU190の第1の電極172及び第2の電極182のうちの一方を選択的に起動(activate:アクティベート)することによって、1つ以上の所望の水系液滴136を選択し、液滴136を所望の次のワークフローステージへと操作することができる。
【0072】
図3A~
図3Cに示されているように、電極172を選択的に起動することにより、リザーバ整列部134の先頭にある分析物(液滴内の「X」によって示されている)を含む水系液滴136及びリザーバ整列部164の先頭にある試薬液滴166が、取り付けられた電極部172aに向かうようにする引力がもたらされる。図示の例示的な実施形態において、分析物を含む水系液滴136及び試薬液滴166は、マイクロ流体チャネル170内に入り、2つの液滴が融合して、融合された液滴236を形成する。液滴が融合すると、供給電圧をオフにすることで電極172が停止されることにより、前述の浮力に起因して融合された液滴236が上昇する。図示の例において、融合された液滴236は、リザーバ入口チャネル214を通して輸送され、マイクロ流体デバイスの次のステージ(例えば、
図2のマイクロ流体リザーバ230)において他の選択され又は融合された液滴236とともに凝集する。BLU190の電極172によって発生する物理的な力は、上述した誘電泳動(DEP)作用に起因するものである。DEP力は、印加された電界に起因する液滴の電気分極をもたらすことによって作用し、誘起された液滴の分極が、電極172の取り付けられた電極部172a付近の高電界領域に引き寄せられる。さらに、2つの液滴が取り付けられた電極付近の領域等の強力な電界内で互いに隣接する場合、液滴136及び166を融合された液滴236へと形成する液滴融合動作(droplet merge operation)が起こる。これが、上述した電気合体作用である。
【0073】
反対に、
図4A~
図4Cに示されているように、リザーバ液滴整列部134の先頭にある水系液滴136は、空であるか又は不所望の分析物を含む(空の液滴として示されている)。したがって、ユーザは、BLU190の第1の電極172及び第2の電極182のうちの一方を選択的に起動し、液滴136を所望の次のワークフローステージへと操作することができる。図示の例示的な実施形態において、第2の電極182を起動することにより、リザーバ整列部134の先頭にある分析物を含まない水系液滴136が、マイクロ流体チャネル180内に引き寄せられる。水系液滴136がマイクロ流体チャネル180に入ると、第2の電極182を停止(deactivation)することにより、前述した浮力に起因して液滴136が上昇する。図示の例において、水系液滴136は、マイクロ流体チャネル180を通して輸送され、
図1のマイクロ流体デバイス100の廃棄物収集ステージ192において他の空の又は不所望の水系液滴136とともに凝集する。
【0074】
例えば、BLU190の第2の電極182を選択的に起動して、1つ以上の不所望の水系液滴136をリザーバ液滴整列部134からマイクロ流体チャネル180内に引き寄せることができる。次いで、これらの不所望の水系液滴は、マイクロ流体デバイスによって
図1の廃棄物収集ステージ192内に輸送することができる。BLU190内での液滴移動を作動(actuate)させるために電極182によって発生する物理的力は、上述した誘電泳動(DEP)作用に起因する。DEP力は、印加された電界に起因する液滴の電気分極をもたらすことによって作用し、誘起された液滴の分極が、電極182の取り付けられた電極部182a付近の高電界領域に引き寄せられる。
【0075】
BLU190の電極172、182に適切な電圧を印加することにより、液滴がマイクロ流体デバイスの1つのステージから別のステージへと選択されて移送されることが明らかであるが、電圧波形をパルス式にオン及びオフにし、或る及び/又は所望の(つまり、或る又は所望の、あるいはそれらの両方の)液滴の選択的な移送を行うことができることが理解されよう。したがって、マイクロ流体デバイス100及び200は、この特徴を液滴評価デバイス(図示せず)等の追加の構成要素と結合し、特定の液滴をワークフローにおける次のステージ(例えば、第3のマイクロ流体リザーバ230、廃棄物収集ステージ192等)に移送することが望ましいか否かを判断することにより、液滴の選別を行うように更に構成することができる。
【0076】
[例2]
図7A及び
図7Bに示されているように、異なる取り付けられた電極部形状を有する電極間で例示的な比較を行った。例えば、電極772は、鋭角又は三角形の取り付けられた電極部772a及び接地電極部772bを含み、電極773は、取り付けられた円形電極部773a及び接地電極部773bを含む。図示の例において、コンピュータモデリングツール(例えば、COMSOL)を利用して、電極772及び電極773によって発生するDEP力場を比較した。図示の例において、鋭角又は三角形電極部772aを、40μmの底辺、50μmの高さを有して構成した。鋭角又は三角形電極部772aは、接地電極772bから80μm離して位置決めした。図示の例において、取り付けられた円形電極部773aは、30μmの半径を有して構成し、接地電極773bから80μm離して位置決めした。したがって、コンピュータモデリングツールを利用して、均一なガラス基板に埋め込まれる場合にこれらの電極構成によって発生する異なる電界を評価した。より具体的には、図示の例において、モデル化された電極772及び773は、0.5μmの厚さを有するように画定され、接地電極772b、773bは、ゼロ電位にそれぞれ設定され、取り付けられた鋭角又は三角形電極部772a及び取り付けられた円形電極部773aは、1.0ボルトにそれぞれ設定された。
【0077】
図示の例において、各電極構造における電界を数値的に評価した後、量∇xE
0
2(式4においてDEP力を決定する)を、2つの電極の最も近い点の間であるが、2つの電極によって規定される平面から20μmオフセットされている線に沿って評価した(これは、おおよそ典型的なDEP適用に関連する領域である)。この計算されたDEP力プロキシを
図8にプロットした。DEP力グラフ800に示されているように、取り付けられた円形電極によって発生するDEP力810の空間範囲は、発生した鋭角又は三角形の取り付けられた電極によって発生するDEP力820よりも大きい。DEP力グラフ800に更に示されているように、DEP力が顕著である範囲(すなわち、取り付けられた電極部付近)の大部分にわたって、円形電極は、鋭角又は三角形電極のほぼ2倍の力を発生させる。
【0078】
或る実施形態において、鋭角又は三角形電極部の代わりに取り付けられた円形電極部(又は同様の設計意図)を利用することにより、DEP力の空間範囲及び大きさの調整(例えば、増大)が可能になる。より具体的には、「尖った(pointed)」電極を、非ゼロの曲率半径を有する電極の1つに置き換えることにより、DEPの空間範囲が増大する。この非ゼロの曲率半径を有する電極の使用は、電極縁部における電界が大きくなりすぎることを防ぐのに役立つ。結果として、様々な実施形態において、鋭角又は三角形の取り付けられた電極部の代わりに取り付けられた円形電極部を利用することにより、限定はしないが、DEP力の空間範囲の増大、電極構造と下にあるマイクロ流体プラットフォームとの間の位置合わせ要件の緩和、及び、電極縁部付近の電界の大きさを減少させることで、生物学的実体への損傷を軽減することができる等の或る性能利益が可能になる。
【0079】
[例示的な実施形態]
実施形態1.第1のマイクロ流体チャネルであって、該第1のマイクロ流体チャネルを通して第1の水系流体の流れを流すようになっている第1のマイクロ流体チャネルと、前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体チャネルであって、該第2のマイクロ流体チャネルを通して前記第1のマイクロ流体チャネル内に第1の非水系流体の流れを流すようになっている第2のマイクロ流体チャネルと、前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第1のマイクロ流体チャネルによって形成されて前記第1の非水系流体内に分散される前記第1の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成される第1のマイクロ流体リザーバと、前記第1のマイクロ流体リザーバ内に画定され、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を配列するように構成される第1のリザーバ整列部と、第1の電極であって、該第1の電極に電圧を印加することにより前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を第1の方向に移動させるように位置決めされる第1の電極と、第2の電極であって、該第2の電極に電圧を印加することにより前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を第2の方向に移動させるように位置決めされる第2の電極とを備える、マイクロ流体環境において液滴を処理するマイクロ流体装置。
【0080】
実施形態2.第3のマイクロ流体チャネルであって、該第3のマイクロ流体チャネルを通して第2の水系流体を流すようになっている第3のマイクロ流体チャネルと、前記第3のマイクロ流体チャネルに流体接続される第4のマイクロ流体チャネルであって、該第4のマイクロ流体チャネルを通して前記第3のマイクロ流体チャネル内に第2の非水系流体を流すようになっている第4のマイクロ流体チャネルと、前記第3のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第3のマイクロ流体チャネルによって形成されて前記第2の非水系流体内に分散される前記第2の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成される第2のマイクロ流体リザーバであって、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を配列するように構成される前記第2のマイクロ流体リザーバ内に画定される第2のリザーバ整列部を含む第2のマイクロ流体リザーバとを更に備える、実施形態1に記載のマイクロ流体装置。
【0081】
実施形態3.前記第1の電極に電圧を印加することにより、前記第2のリザーバ整列部における前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を第3の方向に移動させる、実施形態2に記載のマイクロ流体装置。
【0082】
実施形態4.第5のマイクロ流体チャネル及び第6のマイクロ流体チャネルを更に備え、前記第5のマイクロ流体チャネルは、前記第1のマイクロ流体リザーバの前記第1のリザーバ整列部及び前記第2のマイクロ流体リザーバの前記第2のリザーバ整列部に流体接続され、それらの間に配置され、前記第6のマイクロ流体チャネルは、前記第1のリザーバ整列部に流体接続される、実施形態2又は3に記載のマイクロ流体装置。
【0083】
実施形態5.前記第1のマイクロ流体リザーバを通した前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴の輸送は、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用する第1の浮力を利用し、前記第2のマイクロ流体リザーバを通した前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴の輸送は、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用する第2の浮力を利用する、実施形態2~4のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0084】
実施形態6.前記第1のマイクロ流体リザーバは、前記第1のマイクロ流体リザーバ内に流れる過剰量の前記第1の非水系流体を収集するように構成される第1の廃棄ポートを備え、前記第2のマイクロ流体リザーバは、前記第2のマイクロ流体リザーバ内に流れる過剰量の前記第2の非水系流体を収集するように構成される第2の廃棄ポートを備える、実施形態2~5のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0085】
実施形態7.前記第1の電極は、第1の取り付けられた電極部及び第1の接地電極部を含み、前記第2の電極は、第2の取り付けられた電極部及び第2の接地電極部を含み、前記第1の接地電極部は、前記第1の電極の第1の基準電位を確立し、前記第2の接地電極部は、前記第2の電極の第2の基準電位を確立する、実施形態2~6のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0086】
実施形態8.前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、鋭角電極部を含む、実施形態7に記載のマイクロ流体装置。
【0087】
実施形態9.前記第1の取り付けられた電極部は、第1の取り付けられた鋭角電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の取り付けられた鋭角電極部を含む、実施形態7に記載のマイクロ流体装置。
【0088】
実施形態10.前記第1の電極を起動することにより、前記第1の取り付けられた鋭角電極部の先端部に集中する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極を起動することにより、前記第2の取り付けられた鋭角電極部の先端部に集中する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、実施形態9に記載のマイクロ流体装置。
【0089】
実施形態11.前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、湾曲した電極部を含む、実施形態7に記載のマイクロ流体装置。
【0090】
実施形態12.前記第1の取り付けられた電極部は、第1の曲率半径を有する第1の取り付けられた湾曲した電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の曲率半径を有する第2の取り付けられた湾曲した電極部を含む、実施形態7に記載のマイクロ流体装置。
【0091】
実施形態13.前記第1の電極を起動することにより、前記第1の取り付けられた湾曲した電極部の前記第1の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極を起動することにより、前記第2の取り付けられた湾曲した電極部の前記第2の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、実施形態12に記載のマイクロ流体装置。
【0092】
実施形態14.前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、円形電極部を含む、実施形態7に記載のマイクロ流体装置。
【0093】
実施形態15.前記第1の取り付けられた電極部は、第1の曲率半径を有する第1の取り付けられた円形電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の曲率半径を有する第2の取り付けられた円形電極部を含む、実施形態7に記載のマイクロ流体装置。
【0094】
実施形態16.前記第1の電極を起動することにより、前記第1の取り付けられた円形電極部の前記第1の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極を起動することにより、前記第2の取り付けられた円形電極部の前記第2の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、実施形態15に記載のマイクロ流体装置。
【0095】
実施形態17.前記第1の電極を選択的に起動することにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第1の取り付けられた電極部に向かうようにする引力がもたらされ、前記第1の水溶液及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴が前記第5のマイクロ流体チャネル内に移動するようになっている、実施形態2~16のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0096】
実施形態18.前記第1の電極を起動することによって生じる前記引力により、前記第5のマイクロ流体チャネルにおいて、前記第1の水系流体の1つ以上の液滴が前記第2の水系流体の1つ以上の液滴と融合し、融合された液滴を形成する、実施形態17に記載のマイクロ流体装置。
【0097】
実施形態19.前記第2の電極を選択的に起動することにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第2の取り付けられた電極部に向かうようにする引力がもたらされ、前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴が前記第6のマイクロ流体チャネル内に移動するようになっている、実施形態2~16のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0098】
実施形態20.前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴を評価するために、可視光及び蛍光のうちの少なくとも一方を含む液滴評価デバイスを更に備え、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの一方の選択的な起動は、前記液滴評価デバイスによって実行される評価に基づく、実施形態2~18のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0099】
実施形態21.前記第1のマイクロ流体リザーバ及び/又は前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第1の連続流チャネルと、前記第1のマイクロ流体リザーバ及び/又は前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第2の連続流チャネルと、前記第1の連続流チャネルに隣接して位置決めされる第1のチャネルの取り付けられた電極部と、前記第2の連続流チャネルに隣接して位置決めされる第2のチャネルの取り付けられた電極部と、前記第1の連続流チャネルと前記第2の連続流チャネルとの間に位置決めされるチャネル接地電極部とを含む第3の電極であって、前記第1のチャネルの取り付けられた電極部を選択的に起動することにより、前記融合された液滴を前記第1の連続流チャネル内に移動させ、前記第2のチャネルの取り付けられた電極部を選択的に起動することにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第2の連続流チャネル内に移動させる第3の電極とを更に備える、実施形態2~20のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0100】
実施形態22.前記第1の連続流チャネルは、前記第1のマイクロ流体リザーバの前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第1の連続流チャネルは、前記融合された液滴を前記第1のマイクロ流体チャネルに戻すように輸送し、前記融合された液滴が前記第1のマイクロ流体リザーバ内に輸送されるようにする、実施形態21に記載のマイクロ流体装置。
【0101】
実施形態23.前記第5のマイクロ流体チャネルに流体接続される第3のマイクロ流体リザーバを更に備え、第3の浮力が前記融合された液滴に作用して、前記融合された液滴を前記第5のマイクロ流体チャネルから前記第3のマイクロ流体リザーバに輸送する、実施形態4~20のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0102】
実施形態24.前記第6のマイクロ流体チャネルに流体接続される廃棄物収集ステージを更に備え、前記第6のマイクロ流体チャネルにおいて第4の浮力が前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴に作用して、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第6のマイクロ流体チャネルから前記廃棄物収集ステージに輸送する、実施形態4~20のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0103】
実施形態25.第1のマイクロ流体チャネルを通して第1の水系流体を流すことと、前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体チャネルを通して第1の非水系流体を流すことと、前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続される第1のマイクロ流体リザーバ内に前記第1の水系流体及び前記第1の非水系流体が流れる際に、前記第1の水系流体の1つ以上の液滴を形成することと、前記第1の非水系流体内に分散された前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第1のマイクロ流体リザーバの第1のリザーバ整列部に輸送することと、前記第1のマイクロ流体リザーバ内に画定される前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を評価することと、前記第1の水系流体の1つ以上の液滴が、前記第1のリザーバ整列部から第1の方向及び第2の方向のうちの一方に移動するように、前記第1のリザーバ整列部において電界を発生させることとを含む、マイクロ流体環境において液滴を処理する方法。
【0104】
実施形態26.前記第1のマイクロ流体リザーバを通して前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記輸送することは、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用する第1の浮力を利用する、実施形態25に記載の方法。
【0105】
実施形態27.第3のマイクロ流体チャネルを通して第2の水系流体を流すことと、前記第3のマイクロ流体チャネルに流体接続される第4のマイクロ流体チャネルを通して第2の非水系流体を流すことと、前記第1のマイクロ流体チャネル及び前記第2のマイクロ流体チャネルに流体接続される第2のマイクロ流体リザーバを通して前記第2の水系流体の1つ以上の液滴を輸送することであって、前記第2のマイクロ流体リザーバを通して第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記輸送することは、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用する第2の浮力を利用することと、前記第2のマイクロ流体リザーバ内に画定される第2のリザーバ整列部における前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を評価することとを更に含む、実施形態25又は26に記載の方法。
【0106】
実施形態28.前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記評価することは、前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴を評価するために、可視光及び蛍光のうちの少なくとも一方を含む液滴評価デバイスを利用する、実施形態25~27のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施形態29.第1の電極を、前記第1のマイクロ流体リザーバの前記第1のリザーバ整列部と前記第2のマイクロ流体リザーバの前記第2のリザーバ整列部との間に位置決めすることと、第2の電極を、前記第1のリザーバ整列部に隣接して位置決めすることと、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの一方を選択的に起動し、前記第1の電極に第1の電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第2のマイクロ流体リザーバに向かって移動させ、前記第2のリザーバ整列部における前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第1のマイクロ流体リザーバに向かって移動させ、前記第2の電極に第2の電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第2のマイクロ流体リザーバから離れるように移動させるようにすることとを更に含む、実施形態25~28のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
実施形態30.前記第1の電極を選択的に起動することにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴が、前記第1のリザーバ整列部及び前記第2のリザーバ整列部に流体接続され、それらの間に配置される第5のマイクロ流体チャネル内に入るようにする引力をもたらす誘電泳動力が発生する、実施形態29に記載の方法。
【0109】
実施形態31.前記第1の電極を選択的に起動することによって発生する前記引力により、前記第5のマイクロ流体チャネルにおいて、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴と融合し、融合された液滴を形成する、実施形態30に記載の方法。
【0110】
実施形態32.第3の浮力が前記融合された液滴に作用して、前記融合された液滴を、前記第5のマイクロ流体チャネルに流体接続される第3のマイクロ流体リザーバ内に輸送する、実施形態31に記載の方法。
【0111】
実施形態33.前記第2の電極を選択的に起動することにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴が、前記第1のリザーバ整列部に流体接続される第6のマイクロ流体チャネル内に入るようにする引力をもたらす誘電泳動力が発生する、実施形態29に記載の方法。
【0112】
実施形態34.第4の浮力が前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用して、前記第6のマイクロ流体チャネル内の前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第6のマイクロ流体チャネルに流体接続される廃棄物収集ステージに輸送する、実施形態33に記載の方法。
【0113】
実施形態35.前記第1のマイクロ流体リザーバ及び/又は前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第1の連続流チャネルを通して第2の非水系流体を流すことと、前記第1のマイクロ流体リザーバ及び/又は前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第2の連続流チャネルを通して第3の非水系流体を流すことと、前記第1の連続流チャネルに隣接して位置決めされる第1のチャネルの取り付けられた電極部と、前記第2の連続流チャネルに隣接して位置決めされる第2のチャネルの取り付けられた電極部と、前記第1の連続流チャネルと前記第2の連続流チャネルとの間に位置決めされるチャネル接地電極部とを含む第3の電極を位置決めすることと、前記第1のチャネルの取り付けられた電極部又は前記第2のチャネルの取り付けられた電極部のうちの一方を選択的に起動することであって、前記第1のチャネルの取り付けられた電極部を選択的に起動することにより、前記融合された液滴を前記第1の連続流チャネル内に移動させ、前記第2のチャネルの取り付けられた電極部を選択的に起動することにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を前記第2の連続流チャネル内に移動させることとを更に含む、実施形態31に記載の方法。
【0114】
実施形態36.前記第1の連続流チャネルは、前記第1のマイクロ流体リザーバの前記第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第1の連続流チャネルを通して前記第2の非水系流体を流すことにより、前記融合された液滴を前記第1のマイクロ流体チャネルに戻すように輸送し、前記融合された液滴が前記第1のマイクロ流体リザーバ内に輸送されるようにする、実施形態35に記載の方法。
【0115】
実施形態37.第1のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第1のマイクロ流体チャネルによって形成されて第1の非水系流体内に分散される第1の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成される第1のマイクロ流体リザーバと、前記第1のマイクロ流体リザーバ内に画定され、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を配列するように構成される第1のリザーバ整列部と、第3のマイクロ流体チャネルに流体接続され、前記第3のマイクロ流体チャネルによって形成されて第2の非水系流体内に分散される第2の水系流体の1つ以上の液滴を受け取るように構成される第2のマイクロ流体リザーバと、前記第2のマイクロ流体リザーバ内に画定され、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を配列するように構成される第2のリザーバ整列部と、第1の電極であって、該第1の電極に電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を第1の方向に移動させ、前記第2のリザーバ整列部における前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を第2の方向に移動させるように位置決めされる第1の電極と、第2の電極であって、該第2の電極に電圧を印加することにより、前記第1のリザーバ整列部における前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を第3の方向に移動させるように位置決めされる第2の電極とを備える、マイクロ流体環境において液滴を処理するマイクロ流体装置。
【0116】
実施形態38.前記第1のマイクロ流体リザーバ及び前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される1つ以上の追加のマイクロ流体リザーバを更に備え、マルチステージマイクロ流体装置を形成する、実施形態37に記載のマイクロ流体装置。
【0117】
実施形態39.第1の浮力が前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴に作用して、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第1のマイクロ流体リザーバを通して前記第1のリザーバ整列部に輸送するとともに、前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴を、前記第2のマイクロ流体リザーバを通して前記第2のリザーバ整列部に輸送する、実施形態37又は38に記載のマイクロ流体装置。
【0118】
実施形態40.前記第1の電極は、第1の取り付けられた電極部及び第1の接地電極部を含み、前記第2の電極は、第2の取り付けられた電極部及び第2の接地電極部を含み、前記第1の接地電極部は、前記第1の電極の第1の基準電位を確立し、前記第2の接地電極部は、前記第2の電極の第2の基準電位を確立する、実施形態37~39のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0119】
実施形態41.前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、鋭角電極部を含む、実施形態40に記載のマイクロ流体装置。
【0120】
実施形態42.前記第1の取り付けられた電極部は、第1の取り付けられた鋭角電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の取り付けられた鋭角電極部を含む、実施形態40に記載のマイクロ流体装置。
【0121】
実施形態43.前記第1の電極を起動することにより、前記第1の取り付けられた鋭角電極部の先端部に集中する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極を起動することにより、前記第2の取り付けられた鋭角電極部の先端部に集中する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、実施形態42に記載のマイクロ流体装置。
【0122】
実施形態44.前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、湾曲した電極部を含む、実施形態40に記載のマイクロ流体装置。
【0123】
実施形態45.前記第1の取り付けられた電極部は、第1の曲率半径を有する第1の取り付けられた湾曲した電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の曲率半径を有する第2の取り付けられた湾曲した電極部を含む、実施形態40に記載のマイクロ流体装置。
【0124】
実施形態46.前記第1の電極を起動することにより、前記第1の取り付けられた湾曲した電極部の前記第1の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第1の電界強度を有する第1の電界が発生し、前記第2の電極を起動することにより、前記第2の取り付けられた湾曲した電極部の前記第2の曲率半径の少なくとも一部の周りに分布する第2の電界強度を有する第2の電界が発生する、実施形態45に記載のマイクロ流体装置。
【0125】
実施形態47.前記第1の取り付けられた電極部及び前記第2の取り付けられた電極部のうちの少なくとも一方は、円形電極部を含む、実施形態40に記載のマイクロ流体装置。
【0126】
実施形態48.前記第1の取り付けられた電極部は、第1の曲率半径を有する第1の取り付けられた円形電極部を含み、前記第2の取り付けられた電極部は、第2の曲率半径を有する第2の取り付けられた円形電極部を含む、実施形態40に記載のマイクロ流体装置。
【0127】
実施形態49.前記第1の電極を選択的に起動することにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第1の取り付けられた電極部に向かうようにする引力がもたらされ、前記第1の水溶液及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴が、前記第1のマイクロ流体リザーバ及び前記第2のマイクロ流体リザーバに流体接続される第5のマイクロ流体チャネル内に移動するようになっている、実施形態40~48のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0128】
実施形態50.前記第1の電極を起動することによって生じる前記引力により、前記第5のマイクロ流体チャネルにおいて、前記第1の水系流体の1つ以上の液滴が前記第2の水系流体の1つ以上の液滴と融合し、融合された液滴を形成する、実施形態49に記載のマイクロ流体装置。
【0129】
実施形態51.前記第2の電極を選択的に起動することにより、前記第1の水系流体の前記1つ以上の液滴が前記第2の取り付けられた電極部に向かうようにする引力がもたらされ、前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴が、前記第1のマイクロ流体リザーバに流体接続される第6のマイクロ流体チャネル内に移動するようになっている、実施形態40~49のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0130】
実施形態52.前記第1の水溶液の前記1つ以上の液滴及び前記第2の水溶液の前記1つ以上の液滴を評価するために、可視光及び蛍光のうちの少なくとも一方を含む液滴評価デバイスを更に備え、前記第1の電極及び前記第2の電極のうちの一方の選択的な起動は、前記液滴評価デバイスによって実行される評価に基づく、実施形態37~51のいずれか1つに記載のマイクロ流体装置。
【0131】
本開示を考慮して、方法及び装置を、本教示を踏まえて実施することができることが留意される。さらに、種々の構成要素、材料、構造、及びパラメータは、単に例証及び例として含まれ、制限的な意味で含まれない。本開示を考慮して、本教示を、添付特許請求項の範囲内に留まりながら、他の用途並びに構成要素、材料、構造、及び機器で実施することができる。
【0132】
本願において、選言(disjunctive)の使用は、連言(conjunctive)を含むことを意図している。定冠詞又は不定冠詞の使用は、数(cardinality)を示すことを意図しない。特に、「the(その、前記の)」を冠した対象又は「a(1つの、ある)」及び「an」を冠した対象への言及は、可能な複数のそのような物体も示すように意図される。さらに、接続詞「又は、若しくは(or)」は、相互に排他的な選択肢の代わりに、同時に存在する特徴を伝えるために使用することができる。換言すれば、接続詞「又は、若しくは」は、「及び/又は」を含むように理解すべきである。「含む(「includes」、「including」、及び「include」)」という用語は、包括的なものであり、それぞれ、「備える(「comprises」、「comprising」、及び「comprise」)」と同じ範囲を有する。
【0133】
別段示されない限り、「第1」、「第2」、「第3」という用語及び他の序数は、本明細書において、本装置及び方法の異なる要素を区別するために使用され、数値的な限定を与えることは意図しない。例えば、第1の開口部及び第2の開口部への言及は、装置が2つの開口部のみを有することを意味するように解釈すべきではない。第1の要素及び第2の要素を有する装置は、別段示されない限り、第3、第4、第5以降も含むことができる。
【0134】
上述の実施形態及び特に任意の「好ましい」実施形態は、実施態様の可能な例であり、本発明の原理を明確に理解するために記載されているにすぎない。本明細書に記載の技法の趣旨及び原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態(複数の場合もある)に対して多くの変形及び変更を行うことができる。全ての変更形態は、本明細書において本開示の範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【国際調査報告】