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特表2023-540749一時的抗菌性セメントスペーサ、アセンブリ、キット、及び製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】一時的抗菌性セメントスペーサ、アセンブリ、キット、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/72 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
A61B17/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514957
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 IB2021058075
(87)【国際公開番号】W WO2022049546
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】63/074,516
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ベイル・ジェフリー・ナバロ
(72)【発明者】
【氏名】フロレク・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】アームブラスター・デビッド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】クミーク・ジュニア・スタンレー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】コッツォーネ・エリック・エム
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】グッド・マイケル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL43
(57)【要約】
本開示は、一時的な抗菌剤溶出セメントスペーサインプラント(1)、及びアセンブリ、キット、並びにこれらを形成する方法を対象とする。特に好ましい開示は、モジュール式スペーサ、アセンブリ、及びキット、並びにこれらを製造する方法であり、スペーサのモジュール性により、特定の所望の長さのスペーサの選択だけでなく、抗菌化合物及び投与量、並びにこれらを形成するための構成要素及びプロセスの選択が可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時的セメントスペーサであって、
スペーサコアであって、
前記スペーサコアの中心軸を画定し、近位ロッド端部と、前記中心軸に沿って前記近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部と、を有するロッドであって、前記ロッドが前記近位ロッド端部と前記遠位ロッド端部との間に延在する外側ロッド表面を更に画定している、ロッドと、
遠位固定端部と、前記中心軸に沿って前記遠位固定端部の反対側の近位固定端部とを画定する固定構成要素であって、前記遠位固定端部が前記近位ロッド端部で前記ロッドに取り付けられ、前記固定構成要素が前記中心軸に対して半径方向に前記固定構成要素を通って延在する少なくとも1つの固定孔を更に画定し、前記少なくとも1つの固定孔が固定ねじを受容するように構成されている、固定構成要素と、
近位キャップ端部と、前記中心軸に沿って前記近位キャップ端部の反対側の遠位キャップ端部とを画定するキャップであって、前記近位キャップ端部が前記遠位ロッド端部に取り付けられている、キャップと
を含む、スペーサコアと、
前記外側ロッド表面の少なくとも一部を取り囲むセメントコーティングであって、前記セメントコーティングがセメント材料と1つ以上の抗菌剤との混合物を含む、セメントコーティングと、を備え、
前記キャップが埋め込み中に前記一時的スペーサの先端を画定するように構成されている、
一時的セメントスペーサ。
【請求項2】
前記外側ロッド表面が前記近位ロッド端部にねじ切り表面を含み、前記遠位固定端部が前記近位ロッド端部とねじ係合するように構成された遠位固定開口部を画定し、
前記外側ロッド表面が前記遠位ロッド端部に別のねじ切り表面を含み、前記近位キャップ端部が前記遠位ロッド端部とねじ係合するように構成された近位キャップ開口部を画定している、請求項1に記載の一時的セメントスペーサ。
【請求項3】
前記固定構成要素が、前記近位固定部が前記中心軸に対して約5度~約20度の範囲の角度だけ角度的にオフセットされるように、前記遠位固定端部から前記近位固定端部まで軸方向に延在している、請求項1又は請求項2に記載の一時的セメントスペーサ。
【請求項4】
前記キャップが、前記中心軸に垂直な平面において断面積を画定し、前記キャップ断面積が、前記一時的スペーサの最大断面積の少なくとも約90パーセントである、請求項1~3のいずれか一項に記載の一時的スペーサ。
【請求項5】
前記固定構成要素が、前記近位固定端部から前記遠位固定端部まで延在する外側固定表面を画定している、請求項1~4のいずれか一項に記載の一時的スペーサ。
【請求項6】
前記外側固定表面の大部分が、主要凹表面部と、前記少なくとも1つの固定孔を取り囲む少なくとも1つの突出部とを画定し、前記少なくとも1つの突出部が、前記主要凹表面部から半径方向外向きに離間した外側表面を画定し、前記セメントコーティング(1)が、前記主要凹表面部から半径方向外向きに延在し、(2)が前記外側突出表面と同一平面である、請求項5に記載の一時的スペーサ。
【請求項7】
前記主要凹表面部が、前記遠位固定端部から前記近位固定端部に向かって延在し、前記固定構成要素の外周全体の周りに更に延在している、請求項6に記載の一時的スペーサ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの突出部が、互いに向かって、かつ前記中心軸に向かって内向きに先細になる対向する側面を画定している、請求項6又は請求項7に記載の一時的スペーサ。
【請求項9】
前記キャップが、前記中心軸の周りで中心に位置する遠位キャップ開口部を備え、前記キャップが、前記遠位キャップ開口部と流体連通し、前記遠位キャップ開口部から前記キャップ近位端部に向かって延在する複数のチャネルを画定している、請求項1~8のいずれか一項に記載の一時的スペーサ。
【請求項10】
前記キャップが、前記遠位キャップ開口部を画定する遠位キャップ部と、前記遠位キャップ部から近位に離間された近位ハブと、前記遠位キャップ部から前記近位ハブまで近位に延在する複数のアームとを画定し、前記チャネルが、前記アームのうちのそれぞれの隣接するものの間に円周方向に画定されている、請求項9に記載の一時的スペーサ。
【請求項11】
一時的スペーサを形成するためのモールドアセンブリであって、
スペーサコアであって、
前記モールドアセンブリの中心軸を画定し、近位ロッド端部と、前記中心軸に沿って前記近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部とを有するロッドであって、前記ロッドが前記近位ロッド端部と前記遠位ロッド端部との間に延在する外側ロッド表面を更に画定している、ロッドと、
遠位固定端部と、前記中心軸に沿って前記遠位固定端部の反対側の近位固定端部とを画定する固定構成要素であって、前記遠位固定端部が前記近位ロッド端部で前記ロッドに取り付けられ、前記固定構成要素が、前記中心軸に対して半径方向に前記固定構成要素を通って延在する少なくとも1つの固定孔を更に画定し、前記少なくとも1つの固定孔が固定ねじを受容するように構成されている、固定構成要素と、
を含む、スペーサコアと、
前記中心軸に沿って延在するモールド本体であって、前記モールド本体が、近位モールド端部と、前記中心軸に沿って前記近位モールド端部の反対側の遠位モールド端部とを画定し、前記近位モールド端部が近位モールド開口部を含み、前記遠位モールド端部が遠位モールド開口部を含み、前記モールド本体が、前記近位モールド開口部と前記遠位モールド開口部との間に延在する内側モールド表面を画定し、前記内側モールド表面がモールド内腔を画定し、前記スペーサコアが、前記固定構成要素が前記近位モールド端部において前記モールド内腔内に配置されるように、前記モールド内腔内に配置されている、モールド本体と、
前記少なくとも1つの固定孔内に配置された少なくとも1つの孔プラグと、
前記遠位モールド端部で前記モールド本体に動作可能に結合するように構成されたアダプタであって、前記アダプタが、骨セメント注入デバイスから前記遠位モールド開口部を通って前記モールド内腔への流体経路を提供するように、前記モールド本体を前記骨セメント注入デバイスに動作可能に結合するように構成されている、アダプタと
を備える、モールドアセンブリ。
【請求項12】
前記モールド本体が、少なくとも1つのモールド孔を更に備え、前記少なくとも1つのモールド孔が、前記中心軸に対して半径方向に前記モールド本体及び前記モールド内腔を通って延在し、前記少なくとも1つの孔プラグが、前記少なくとも1つのモールド孔内に配置されるように構成されている、請求項11に記載のモールドアセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのモールド孔が、前記少なくとも1つの固定孔と位置合わせされ、前記少なくとも1つの孔プラグが、前記少なくとも1つの固定孔と前記少なくとも1つのモールド孔の両方の中に配置されている、請求項12に記載のモールドアセンブリ。
【請求項14】
前記モールド本体を長手方向に沿って測定される所望の長さに切断するように構成されたブレードを有する切断デバイスを更に備え、前記中心軸が、前記長手方向に沿って方向付けられ、前記半径方向が、前記長手方向に垂直である、請求項11~13のいずれか一項に記載のモールドアセンブリ。
【請求項15】
前記切断デバイスが、前記ブレードが前記長手方向に対して垂直な横断方向に沿って方向付けられるように、前記モールド本体を受容し、前記ブレードに対して前記モールド本体を保持するように構成された第1の取り付け形成部を有する、請求項14に記載のモールドアセンブリ。
【請求項16】
前記切断デバイスが、前記ブレードが前記長手方向に沿って方向付けられるように、前記モールド本体を受容し、前記モールド本体を前記ブレードに対して保持するように構成された第2の取り付け形成部を更に有し、前記ブレードが、前記モールド本体を前記近位モールド端部から前記遠位モールド端部まで長手方向にスライスするように構成されている、請求項14又は請求項15に記載のモールドアセンブリ。
【請求項17】
一時的セメントスペーサを形成するためのキットであって、
近位ロッド端部及び前記近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部を画定する少なくとも1つのロッドと、
前記ロッドに動作可能に結合するように構成された固定構成要素であって、前記固定構成要素が、遠位固定端部及び前記遠位固定端部の反対側の近位固定端部を画定し、前記遠位固定端部が、前記近位ロッド端部で前記ロッドに取り付けられるように構成され、前記固定構成要素が、前記固定構成要素を通って延在し、固定ねじを受容するように構成された少なくとも1つの固定孔を更に画定し、前記少なくとも1つのロッド及び前記固定構成要素が、動作可能に結合されたときにスペーサコアを形成するように構成されている、固定構成要素と、
前記少なくとも1つの固定孔の中に取り外し可能に配置されるように構成された少なくとも1つの孔プラグと、
近位モールド端部と、前記近位モールド端部の反対側の遠位モールド端部と、前記近位モールド端部及び前記遠位モールド端部から延在する外側モールド表面とを画定するモールド本体であって、前記モールド本体が、前記近位モールド端部における近位モールド開口部と、前記遠位モールド端部における遠位モールド開口部と、前記近位モールド開口部と前記遠位モールド開口部との間に延在する内側モールド表面とを更に画定し、前記内側モールドサービスが、それらの間に延在するモールド内腔を画定し、前記スペーサコアが、前記モールド内腔内に配置されるように構成されている、モールド本体と、
前記遠位モールド端部で前記モールド本体に動作可能に結合するように構成されたアダプタであって、前記アダプタが、骨セメント注入デバイスから前記モールド内腔への流体経路を提供するように、前記遠位モールド開口部に前記セメント注入デバイスを結合するように更に構成されている、アダプタと、
前記遠位ロッド端部に動作可能に結合するように構成されたキャップと、
を備える、キット。
【請求項18】
前記少なくとも1つのロッドが、複数のロッドを備え、前記複数のロッドのうちの各ロッドが、前記近位ロッド端部と前記遠位ロッド端部との間で測定された長さを有し、各ロッドの長さが、前記複数のロッドの任意の他のロッドの長さと異なる、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
挿入器具を更に備え、前記挿入器具が、前記固定構成要素の前記近位端部に動作可能に結合するように構成され、前記挿入器具が、前記一時的スペーサを埋め込むように構成されている、請求項17又は請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記キャップの遠位表面に対して相補的な形状を有する近位ツール表面を有するツールを更に備え、前記ツールが、前記近位表面から陥凹した複数のチャネルを画定し、前記ツールが、余剰セメントを前記キャップから除去する方法で、前記遠位キャップ表面を前記近位ツール表面と係合するように構成され、前記複数のチャネルが、前記余剰セメントの少なくとも一部を前記キャップから離れるように方向付けるように構成されている、請求項17~19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
抗菌剤溶出一時的セメントスペーサを準備する方法であって、前記方法が、
スペーサコアをモールド本体の内腔に挿入する工程であって、前記スペーサコアが、ロッドと、前記ロッドに接続された固定構成要素とを含み、前記固定構成要素が少なくとも1つの固定孔を含む、工程と、
骨セメント注入デバイスをアダプタを介して前記モールド本体に結合して、前記骨セメント注入デバイスから前記モールド本体の前記内腔内への流体経路を提供する工程と、
少なくとも1つの孔プラグを前記少なくとも1つの固定孔内に配置する工程と、
1つ以上の抗菌剤を含む骨セメント材料を、前記流体経路を通して、かつ前記ロッドの外側表面の少なくとも一部に沿って、前記モールド本体の前記内腔内に注入する工程と、
前記スペーサコア上にセメントコーティングを形成するように、前記外側ロッド表面上の前記骨セメント材料を硬化させ、それによって前記抗菌剤溶出一時的セメントスペーサを形成する工程と、
前記骨セメント注入デバイスを前記モールド本体から切り離す工程と、
前記少なくとも1つの孔プラグを前記少なくとも1つの固定孔から取り外す工程と、
前記モールド本体を前記抗菌剤溶出一時的セメントスペーサから分離する工程と
を含む、方法。
【請求項22】
前記スペーサコアを前記モールド内腔に挿入する前記工程の前に、前記ロッドを前記固定構成要素に接続する工程を更に含み、前記接続する工程が、前記ロッドの近位端部を前記固定構成要素の遠位端部に動作可能に結合する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記モールド本体が、近位モールド端部から対向する遠位モールド端部まで測定されたモールドの長さを画定し、前記方法が、前記近位モールド端部又は前記遠位モールド端部のいずれかから前記モールド本体の長さの一部を取り外す工程を含む、請求項21又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記モールド本体が、前記近位モールド端部から前記遠位モールド端部まで延在する外側モールド表面を画定し、前記モールド本体が、前記外側モールド表面から前記モールド内腔を通って延在する少なくとも1つのモールド孔を含み、前記方法が、前記少なくとも1つの固定孔を前記少なくとも1つのモールド孔と位置合わせする工程を含み、前記少なくとも1つの孔プラグを前記少なくとも1つの固定孔内に配置する前記工程が、前記少なくとも1つの孔プラグを前記少なくとも1つのモールド孔内に配置する工程を更に含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
キャップを前記ロッドに取り付ける工程を更に含み、前記キャップが、近位キャップ端部及び対向する遠位キャップ端部を画定し、前記近位キャップ端部が、前記ロッドの遠位端部に動作可能に結合され、骨セメント材料を注入する前記工程が、前記遠位キャップ端部から前記近位キャップ端部に向かって前記キャップを通って延在する複数のチャネルを通して前記骨セメント材料を押し出す工程を含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
骨セメント材料を注入する前記工程が、前記骨セメント材料を、遠位キャップ開口部を通して、前記複数のチャネルを通して、前記モールド内腔内に押し出す工程を含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、Navarro Valeらの名前で2020年9月4日に出願された米国仮特許出願第63/074,516号の利益を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一時的な抗菌剤溶出セメントスペーサインプラント、及びアセンブリ、キット、並びにこれらを形成する方法を対象とする。特に好ましい開示は、モジュール式スペーサインプラント、アセンブリ、及びキット、並びにこれらを製造する方法であり、スペーサのモジュール式性質により、特定の所望の長さのスペーサの選択だけでなく、抗菌剤化合物及び投与量、並びにこれらを形成するための構成要素及びプロセスの選択が可能となる。
【背景技術】
【0003】
現在、米国では、感染した釘によって生じた空洞を充填しながら、脛骨のような長骨の髄内管の局所感染を治療するための、一時的な髄内抗菌剤溶出スペーサとしてとして表示された、規制当局によって承認された製品は市販されていない。長年にわたって、外科医は、認可外の入手可能な製品の使用に頼って、髄内固定釘と比較して安定性が制限され、抗菌薬の局所放出速度の制御が制限されたインプラントを作製してきた。
【0004】
現在の治療プロトコルは、ポリ(メチルメタクリレート)(poly(methyl methacrylate)、PMMA)セメントに抗菌剤を混合して、薬物溶出特性を有する骨セメントを作製し、次いで、胸腔チューブを使用して成形するか又は手動圧延し、剛性及び固定性を高めるために金属コアを挿入することからなる。手術中に作られる手製の脛骨スペーサ釘は、手術中にインプラントを作製するのに必要な時間及び複雑さ、セメントが破砕する可能性、取り外し時に破砕したセメントを回収する手法がないこと、患者によってインプラントの形が不均一であること、インプラントの作製が複雑であること、及び不十分な又は不規則なセメント被覆のためにインプラントを再作製する必要が時折生じることを含む多くの問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、手術中に抗菌剤を充填したセメント髄内スペーサを準備し、感染治療プロトコルが終了したときにそれらを確実に取り外すことを、外科医が確実に行うことができる、標準化されたケア治療が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本開示は、感染した埋め込み型医療デバイスを含む手術部位感染(surgical site infection、SSI)の治療を対象とする。より具体的には、本開示は、一時的な抗菌剤溶出セメントスペーサインプラント、及びアセンブリ、キット、並びにこれらを形成する方法を対象とする。特に好ましい開示は、モジュール式スペーサ、アセンブリ、及びキット、並びにこれらを製造する方法であり、スペーサのモジュール性により、特定の所望の長さのスペーサの選択だけでなく、抗菌化合物及び投与量、並びにこれらを形成するための構成要素及びプロセスの特定の選択が可能となる。特に有益なのは、外科医又は他の資格のある医療専門家が、手術時に存在する特定の患者の状態の必要性に特化したスペーサを周術期に設計できることである。
【0007】
典型的には、これらの一時的スペーサインプラントは、修正手術が必要となる、例えば、大腿骨又は脛骨に使用される髄内釘のような、感染した整形外科インプラントの場合に使用される。
【0008】
本開示によれば、抗菌剤溶出一時的セメントスペーサが開示され、一時的セメントスペーサは、
スペーサコアであって、
スペーサコアの中心軸を画定し、近位ロッド端部と、中心軸に沿って近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部とを有するロッドであって、ロッドが近位ロッド端部と遠位ロッド端部との間に延在する外側ロッド表面を更に画定している、ロッドと、
遠位固定端部と、中心軸に沿って遠位固定端部の反対側の近位固定端部とを画定する固定構成要素であって、遠位固定端部が近位ロッド端部でロッドに取り付けられ、固定構成要素が中心軸に対して半径方向に固定構成要素を通って延在する少なくとも1つの固定孔を更に画定し、少なくとも1つの固定孔が固定ねじを受容するように構成されている、固定構成要素と、
近位キャップ端部と、中心軸に沿って近位キャップ端部の反対側の遠位キャップ端部とを画定するキャップであって、近位キャップ端部が遠位ロッド端部に取り付けられている、キャップとを含む、スペーサコアと、
外側ロッド表面の少なくとも一部を取り囲むセメントコーティングであって、セメントコーティングがセメント材料と1つ以上の抗菌剤との混合物を含む、セメントコーティングと、を備え、
キャップは、埋め込み中に一時的スペーサの先端を画定するように構成されている。
【0009】
特定の実施形態によれば、外側ロッド表面は、近位ロッド端部にねじ切り表面を含み、遠位固定端部は、近位ロッド端部とねじ係合するように構成された遠位固定開口部を画定する。追加の実施形態では、外側ロッド表面は、遠位ロッド端部にねじ切り表面を含み、近位キャップ端部は、遠位ロッド端部とねじ係合するように構成された近位キャップ開口部を画定する。更に別の実施形態では、ロッドの外側表面は、遠位ロッド端部から近位ロッド端部まで延在する連続的なねじ切り表面を含む。
【0010】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの固定孔は、複数の固定孔を含む。
【0011】
特定の実施形態によれば、固定構成要素は、近位固定端部が中心軸に対して半径方向に角度シータθだけ角度オフセットされ得るように、遠位固定端部から近位固定端部まで軸方向に延在する。特定の実施形態では、角度オフセット角は、約5度~約20度の範囲内である。
【0012】
特定の実施形態では、キャップは、中心軸に垂直な平面内に断面積を画定し、キャップ断面積は、一時的スペーサの最大断面積を画定する。
【0013】
特定の実施形態によれば、一時的スペーサは、外側ロッド表面から半径方向外向きに延在する1つ以上のセンタリング部材を含む。更なる実施形態では、1つ以上のセンタリング部材の各センタリング部材は、4つのアームを画定し、各アームは、外側ロッド表面から半径方向外向きに延在する。
【0014】
追加の実施形態によれば、固定構成要素は、近位固定端部から遠位固定端部まで延在する外側固定表面を画定する。更なる実施形態では、外側固定表面は、近位固定端部から遠位固定端部への方向に延在する少なくとも1つの平面部を画定することができる。更に別の実施形態では、少なくとも1つの平面部は、複数の平面部を含み、複数の平面部の各々は、外側固定表面に沿って平面部のうちの別の平面部から等距離に離間される。
【0015】
更に追加の実施形態によれば、外側固定表面は、近位固定端部から遠位固定端部への方向に延在する少なくとも1つの表面チャネルを更に画定する。特定の追加の実施形態では、少なくとも1つの表面チャネルは、少なくとも1つの平面部のうちの少なくとも1つに直接隣接する。特定の実施形態によれば、少なくとも1つの表面チャネルは、複数の表面チャネルの各表面チャネルが少なくとも1つの平面部に直接隣接するように、複数の表面チャネルを含む。
【0016】
特定の実施形態によれば、キャップは、遠位キャップ端部から近位キャップ端部まで中心軸と略同軸の方向にキャップを通って延在する複数の開窓を画定する。特定の実施形態では、複数の開窓は、キャップの周囲に均等に分布される。
【0017】
特定の実施形態によれば、硬化性ポリマー材料は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はそのコポリマーを含む。
【0018】
特定の実施形態によれば、抗菌剤は、抗生物質、抗真菌剤、又はそれらの組み合わせを含む。例えば、特定の適切な抗生物質クラスには、アミノグリコシド及びグリコペプチドが含まれ得る。具体的な薬剤としては、例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、バンコマイシン、アミカシン、リファンピン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、コリスチン、リネゾリド、ダプトマイシン、ホスホマイシン、及びアンホテリシンB、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。好ましい薬剤としては、ゲンタマイシン、トブラマイシン、及びバンコマイシン、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0019】
特定の実施形態によれば、ロッドは、金属若しくは金属合金、又は熱可塑性ポリマー材料を含む。更なる実施形態によれば、固定構成要素は、金属若しくは金属合金、又は熱可塑性ポリマー材料を含む。更に別の実施形態では、キャップは、金属若しくは金属合金、又は熱可塑性ポリマー材料を含む。
【0020】
本開示によれば、一時的セメントスペーサを形成するためのモールドアセンブリが開示され、モールドアセンブリは、
スペーサコアであって、
モールドアセンブリの中心軸を画定し、近位ロッド端部と、中心軸に沿って近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部とを有するロッドであって、ロッドが近位ロッド端部と遠位ロッド端部との間に延在する外側ロッド表面を更に画定している、ロッドと、
遠位固定端部と、中心軸に沿って遠位固定端部の反対側の近位固定端部とを画定する固定構成要素であって、遠位固定端部が近位ロッド端部でロッドに取り付けられ、固定構成要素が中心軸に対して半径方向に固定構成要素を通って延在する少なくとも1つの固定孔を更に画定し、少なくとも1つの固定孔が固定ねじを受容するように構成されている、固定構成要素とを含む、スペーサコアと、
中心軸に沿って延在するモールド本体であって、モールド本体が近位モールド端部と、中心軸に沿って近位モールド端部の反対側の遠位モールド端部とを画定し、近位モールド端部が近位モールド開口部を含み、遠位モールド端部が近位モールド開口部を含み、モールド本体が近位モールド開口部と遠位モールド開口部との間に延在する内側モールド表面を画定し、内側表面がモールド内腔を画定し、スペーサコアが、固定構成要素が近位モールド端部でモールド内腔内に配置されるように、モールド内腔内に配置されている、モールド本体と、
少なくとも1つの固定孔内に配置された少なくとも1つの孔プラグと、
遠位モールド端部でモールド本体に動作可能に結合するように構成されたアダプタであって、アダプタが、骨セメント注入デバイスから遠位モールド開口部を通ってモールド内腔への流体経路を提供するように、モールド本体を当該セメント注入デバイスに動作可能に結合するように構成された、アダプタと、を備える。
【0021】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの固定孔は、複数の固定孔を含む。特定の実施形態では、少なくとも1つの孔プラグは、複数の孔プラグを含む。特定の追加の実施形態では、複数の固定孔の各固定孔は、複数の固定孔の数が複数の孔プラグの数に等しくなるように、その中に配置された複数の孔プラグのうちの1つの孔プラグを有する。代替的な実施形態では、複数の固定孔の第1の部分は、その中に配置された複数の孔プラグを有し、複数の固定孔の第2の部分は、その中に配置された複数の孔プラグを有さない。
【0022】
特定の実施形態によれば、モールド本体は、少なくとも1つのモールド孔を更に備え、少なくとも1つのモールド孔は、中心軸に対して半径方向にモールド本体及びモールド内腔を通って延在し、少なくとも1つの孔プラグは、少なくとも1つのモールド孔内に配置されるように構成されている。特定の実施形態では、少なくとも1つのモールド孔は、少なくとも1つの孔プラグが少なくとも1つの固定孔、及び少なくとも1つのモールド孔の両方の中に配置され得るように、少なくとも1つの固定孔と位置合わせされている。特定の実施形態では、少なくとも1つのモールド孔は、複数のモールド孔を含む。
【0023】
特定の実施形態によれば、モールド本体は、近位モールド端部から遠位モールド端部まで軸方向にモールド本体に沿って延在する分離手段を備える。特定の実施形態では、モールド本体は、近位モールド端部と遠位モールド端部との間に延在する外側モールド表面を更に画定し、分離手段は、外側モールド表面内の複数の穿孔、外側モールド表面内の溝、若しくはモールド本体内に配置されるストリップ材、又はそれらの組み合わせを備える。特定の実施形態では、モールド本体は、1つ以上の補強部材を更に備える。更に別の実施形態では、モールドアセンブリは、モールド本体の近位モールド端部又は遠位モールド端部のいずれかに配置された1つ以上のタブを更に備える。
【0024】
特定の実施形態によれば、スペーサコアは、遠位ロッド端部に動作可能に結合するように構成されたキャップを更に備える。
【0025】
特定の実施形態によれば、アダプタは、モールド本体の遠位端部に動作可能に結合され、近位開口部を画定する近位端部を画定している。加えて、アダプタは、骨セメント注入デバイスに動作可能に結合するように構成され、遠位開口部を有する対向する遠位端部を更に画定し、アダプタは、遠位開口部と近位開口部との間に延在するアダプタ凹部を備え、アダプタ凹部は、連続的な流体経路を提供する。特定の追加の実施形態では、アダプタは内壁を備え、内壁は、レセプタクル開口部を有するアダプタレセプタクルを画定し、ロッドの遠位端部は、アダプタレセプタクル内に配置されている。
【0026】
特定の実施形態によれば、モールドアセンブリは、スペーサコアの遠位端部に動作可能に結合するように構成されたキャップを更に備える。特定の実施形態では、キャップは、遠位キャップ端部から近位キャップ端部までキャップを通って軸方向に延在する複数の開窓を画定する。
【0027】
本開示によれば、一時的セメントスペーサを形成するためのキットが開示され、キットは、
近位ロッド端部及び近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部を画定する少なくとも1つのロッドと、
ロッドに動作可能に結合するように構成された固定構成要素であって、固定構成要素が、遠位固定端部及び遠位固定端部の反対側の近位固定端部を画定し、遠位固定端部が、近位ロッド端部でロッドに取り付けられるように構成され、固定構成要素が、固定構成要素を通って延在し、固定ねじを受容するように構成された少なくとも1つの固定孔を更に画定し、少なくとも1つのロッド及び固定構成要素が、動作可能に結合されたときにスペーサコアを形成するように構成されている、固定構成要素と、
少なくとも1つの固定孔の中に取り外し可能に配置されるように構成された少なくとも1つの孔プラグと、
近位モールド端部と、近位モールド端部の反対側の遠位モールド端部と、近位モールド端部及び遠位モールド端部から延在する外側モールド表面とを画定するモールド本体であって、モールド本体が、近位モールド端部における近位モールド開口部と、遠位モールド端部における遠位モールド開口部と、近位モールド開口部と遠位モールド開口部との間に延在する内側モールド表面とを更に画定し、内側モールドサービスが、それらの間に延在するモールド内腔を画定し、スペーサコアが、モールド内腔内に配置されるように構成されている、モールド本体と、
遠位モールド端部でモールド本体に動作可能に結合するように構成されたアダプタであって、アダプタがセメント骨注入デバイスからモールド内腔への流体経路を提供する経路を提供するように、遠位モールド開口部に当該セメント注入デバイスを結合するように更に構成されている、アダプタと、
遠位ロッド端部に動作可能に結合するように構成されたキャップと、を備える。
【0028】
特定の更なる実施形態によれば、少なくとも1つのロッドは複数のロッドを備え、複数のロッドのうちの各ロッドは、近位ロッド端部と遠位ロッド端部との間で測定された長さを有し、各ロッドの長さは、複数のロッドの任意の他のロッドの長さと異なる。特定の実施形態では、少なくとも1つのロッドは、近位ロッド端部から遠位ロッド端部まで延在する外側ロッド表面を画定し、更に、外側ロッド表面は、連続的なねじ切り表面を備える。
【0029】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの孔プラグは、複数の孔プラグを含む。
【0030】
特定の実施形態によれば、キットは、少なくとも1つの固定骨ねじを更に備え、少なくとも1つの固定ねじは、少なくとも1つの固定孔内に配置されるように構成され、一時的スペーサを骨に固定するように更に構成されている。
【0031】
特定の実施形態によれば、キットは、挿入器具を備え、挿入器具は、固定構成要素の近位端部に動作可能に結合するように構成され、挿入器具は、一時的スペーサを埋め込むように構成されている。
【0032】
本開示によれば、抗菌剤溶出一時的セメントスペーサを形成する方法が説明され、本方法は、
スペーサコアをモールド本体の内腔に挿入する工程であって、スペーサコアが、ロッドと、ロッドに接続された固定構成要素とを含み、固定構成要素が少なくとも1つの固定孔を含む、工程と、
骨セメント注入デバイスをアダプタを用いてモールド本体に結合して、骨セメント注入デバイスからモールド本体内腔内への流体経路を提供する工程と、
少なくとも1つの孔プラグを少なくとも1つの固定孔内に配置する工程と、
1つ以上の抗菌剤を含む骨セメント材料を、流体経路を通して、かつロッドの外側表面の少なくとも一部に沿って、モールド本体内腔内に注入する工程と、
スペーサコア上にセメントコーティングを形成するように、外側ロッド表面上の骨セメント材料を硬化させ、それによって、抗菌剤溶出一時的セメントスペーサが形成される工程と、
骨セメント注入デバイスをモールド本体から切り離す工程と、
少なくとも1つの孔プラグを少なくとも1つの固定孔から取り外す工程と、
モールド本体を抗菌剤溶出一時的セメントスペーサから分離する工程とを含む。
【0033】
特定の実施形態によれば、本方法は、スペーサコアをモールド内腔に挿入する工程の前に、ロッドを固定構成要素に接続する工程を更に含む。特定の実施形態では、本方法は、ロッドの近位端部を固定構成要素の遠位端部に動作可能に結合する工程を更に含む。
【0034】
特定の実施形態によれば、ロッドは、近位ロッド端部から対向する遠位ロッド端部まで測定されたロッドの長さを有し、本方法は、スペーサコアを挿入する工程の前に、近位ロッド端部又は遠位ロッド端部のいずれかからロッドの長さの一部を取り外す工程を更に含む。
【0035】
追加の実施形態によれば、モールド本体は、近位モールド端部から対向する遠位モールド端部まで測定されたモールドの長さを画定し、本方法は、近位モールド端部又は遠位モールド端部のいずれかからモールド本体の長さの一部を取り外す工程を含む。
【0036】
特定の実施形態によれば、モールド本体は、近位モールド端部から遠位モールド端部まで延在する外側モールド表面を画定し、モールド本体は、外側モールド表面からモールド内腔を通って延在する少なくとも1つのモールド孔を含み、本方法は、少なくとも1つの固定孔を少なくとも1つのモールド孔と位置合わせする工程を含む。更なる実施形態によれば、少なくとも1つの孔プラグを少なくとも1つの固定孔内に配置する工程は、少なくとも1つの孔プラグを少なくとも1つのモールド孔内に配置する工程を更に含む。
【0037】
特定の実施形態によれば、本方法は、キャップをロッドに取り付ける工程を更に含むことができる。追加の実施形態では、キャップを取り付ける工程は、骨セメント注入デバイスからモールド本体を切り離す工程の後に行われる。
【0038】
特定の更なる実施形態では、キャップは、近位キャップ端部及び対向する遠位キャップ端部を画定し、近位キャップ端部は、ロッドの遠位端部に動作可能に結合され、キャップは、遠位キャップ端部から近位キャップ端部までキャップを通って延在する複数の開窓を備え、複数の開窓は、セメント注入デバイスからモールド内腔への流体経路を提供するように構成され、本方法は、骨セメント材料を注入する工程が、キャップ開窓を通してモールド内腔に骨セメント材料を注入する工程を含む工程を、更に含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】本開示の実施形態による、一時的セメントスペーサの側面図画である。
図1B】特定の実施形態による、ロッド、固定構成要素、及びキャップを含む、スペーサコアの側面図である。
図1C図1Bによるスペーサコアの分解図であり、ロッドの近位端部及び遠位端部におけるねじ外側表面を示す。
図1D】ロッドの完全なねじ外側表面を示す代替実施形態の分解図である。
図2A図1Cに示される固定構成要素の断面側面図である。
図2B】近位端部から見た図1Cに示される固定構成要素の断面図である。
図2C】複数のオフセットされた半径方向孔を示す代替固定構成要素の斜視図である。
図3図1Bに示されるキャップの断面側面図である。
図4A】複数の軸方向開窓を示す図3のキャップの代替実施形態の側面図である。
図4B図4Aのキャップの断面側面図である。
図5A】本開示の実施形態による、モールドアセンブリの斜視図である。
図5B図5Aに示されるモールドアセンブリの分解図である。
図6】モールド本体に沿って軸方向に延在する複数の穿孔を示す、特定の実施形態によるモールド本体の断面側面図である。
図7】モールド本体に埋め込まれ、軸方向に延在する2つのストリップ材を示す、特定の実施形態によるモールド本体の代替実施形態の斜視図である。
図8A】モールド本体の外側表面に沿って軸方向に延在する一対の溝を示す、モールド本体の別の代替実施形態の斜視図である。
図8B図8Aに示されるモールド本体の断面図である。
図8C図8A図8Bに示されるモールド本体の代替的なモールド本体の断面図であり、モールド本体の補強を示す。
図8D図8A図8Bに示されるモールド本体の代替的なモールド本体の断面図であり、モールド本体の補強を示す。
図9A】アダプタによって骨セメント注入デバイスに結合された図5Aのモールドアセンブリの側断面図である。
図9B図9Aの円A内の領域の拡大図である。
図9C図9Aのアダプタの遠位端部の斜視図である。
図9D図9Aのアダプタの近位端部の斜視図である。
図10A】特定の実施形態による、アダプタ、骨セメント注入デバイス、及びモールド本体の遠位端部の代替実施形態の断面側面図である。
図10B図10Aに示されるアダプタの遠位端部の斜視図である。
図11】挿入ハンドルと共に示される図5Aのモールド本体アセンブリの近位端部の斜視分解図である。
図12】本開示の追加の実施形態による、モールドアセンブリの斜視分解図である。
図13A図12に示されるモールドアセンブリの固定構成要素の斜視図である。
図13B図13Aの断面線13B~12Bに沿った固定構成要素の断面端面図である。
図13C図13Aに示される固定構成要素の近位端部の斜視図である。
図13D】本開示の追加の実施形態による、端部プラグが結合された図13Aに示される固定構成要素の近位端部の断面斜視図である。
図14A図12に示されるモールドアセンブリのキャップの斜視図である。
図14B】キャップによって画定されたセメントチャネルを示す、図14Aに示されるキャップの別の斜視図である。
図14C図14Aの切断線14C~14Cに沿ったキャップの断面端面図である。
図15A図12に示されるモールドアセンブリのモールド本体の側面図である。
図15B図15Aの円15B内のモールド本体の一部の断面側面図である。
図16A図15Aに示されるモールド本体を切削するための切削工具の斜視図である。
図16B図16Aに示される切削工具の別の斜視図であり、モールド本体の横方向の切削を行うように方向付けられた切削工具を示す。
図16C図16Aに示される切削工具の別の斜視図であり、長手方向のスライスをモールド本体の長さに沿って行うように方向付けられた切削工具を示す。
図17図15Aに示されるモールド本体を切断するための切断ツールの別の実施形態の斜視図である。
図18A図12に示されるモールドアセンブリのアダプタの斜視図である。
図18B図18Aに示されるアダプタの断面側面図である。
図18C図15Aに示されるモールド本体に結合された図18Aに示されるアダプタの断面斜視図である。
図19A図18Aに示されるアダプタと共に使用するためのハンドル部材の斜視図である。
図19B図18Cに示されるアダプタに結合された図19Aに示されるハンドル部材の斜視図である。
図20A図12に示されるモールドアセンブリの余剰セメントを除去するための成形ツールの斜視図である。
図20B図20Aに示される成形ツールの断面側面図である。
図20C図14Aに示されるキャップと係合して示されている、図20Aの成形ツールの部分断面側面図である。
図21図12に示されるモールドアセンブリを含むキットの平面図である。
図22図12図21に示されるモールドアセンブリ及び関連構成要素から構成された一時的スペーサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示は、手術部位感染症(SSIs)の治療に使用するための、一時的な抗菌剤溶出セメントスペーサインプラント、並びにアセンブリ、キット、及びこれらを形成する方法を対象とする。典型的には、これらの一時的スペーサインプラントは、ポリマー又はセラミックセメント材料に混合された抗菌剤を用いて形成され、修正手術が必要となる、例えば、大腿骨又は脛骨に使用される髄内釘のような、感染した整形外科インプラントの場合に使用される。一時的スペーサは、概して、取り外された感染インプラントの形状に近似する。感染したインプラントが取り外されると、一時的な抗菌剤溶出スペーサインプラントが同じ位置に挿入され、抗菌剤を含むセメント材料が、感染を低減し、インプラント部位におけるスペーサ上での細菌増殖を防止するために抗菌剤を溶出する、局所的な薬物デポーを提供する。感染から回復すると、一時的スペーサが取り外され、次いで、新しい恒久的な修正インプラントが、その位置に留置される。
【0041】
本開示は、特に、モジュール式一時的スペーサを対象にし、スペーサのモジュール性により、特定の所望の長さのスペーサの選択、及びセメント材料に混合される抗菌化合物及び投与量の特定の選択の両方を可能にする。加えて、一時的セメントスペーサは、スペーサを隣接する骨に固定するために固定ねじと共に利用することができ、これは、一時的スペーサの位置及び安定性を所望の位置に維持する利点を提供する。本質的に、本開示の一時的スペーサは、個々の患者の特定の基準に合わせてカスタマイズ可能であり、埋め込まれると適切に固定されることができる。更なる利点は、外科医又は他の資格のある医療専門家が、手術時に、又は手術間近に、本開示による一時的スペーサを周術期に設計及び形成できることである。したがって、外科医は、感染したインプラントを取り外すときの状況を評価し、同時に、手術部位の状態に最も適切に対処するための一時的スペーサインプラントを準備することができる。
【0042】
以下でより詳細に説明するように、本開示は、一時的スペーサを形成する際に使用されるモールド本体及びスペーサコアを含むアセンブリ及びキットを含む。モールド本体は、スペーサコアを収容し、注入された抗菌性セメント材料を受容するように構成された内腔を有し、抗菌性セメント材料は、硬化してスペーサコアの周りにセメントコーティングを形成することになり、したがって、モールド本体は、一時的スペーサの形状を実質的に画定するように構成される。本開示は、加えて、モールド本体、スペーサコア、及び抗菌性セメント材料を利用して一時的スペーサを形成する方法を説明する。
【0043】
「近位」及び「遠位」などの解剖学的参照を表す単語及び語句は、本明細書に説明されるインプラント、アセンブリ、キット、及び方法、並びに患者の自然な解剖学的構造の両方に関して、本開示を通して使用され得る。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野の両方において十分に理解された意味を有する。本明細書及び特許請求の範囲におけるこのような用語の使用は、特に明記しない限り、それらの広く理解された意味と一致するものとする。
【0044】
本開示によれば、図1A図1Dを参照すると、抗菌剤溶出一時的スペーサ1が開示されており、一時的スペーサ1は、スペーサコア5と、スペーサコア5の少なくとも一部を取り囲む抗菌性セメントコーティング85とを含む。セメントコーティング85は、1つ以上の抗菌剤と混合された硬化性ポリマー材料又は硬化性セラミック材料を含むセメント材料を含み、感染症の治療における使用のために構成される。一時的スペーサコア5は、一時的スペーサ1の構造の骨組みを提供するように構成され、ロッド20と、固定構成要素40と、キャップ60とを含む。固定構成要素40及びキャップ60は、以下により詳細に説明されるように、ロッド20の対向する端部(すなわち、近位端部及び遠位端部)に結合するように構成される。
【0045】
特定の実施形態によれば、硬化性ポリマー材料は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はそのコポリマーを含む。
【0046】
特定の実施形態によれば、抗菌剤は、抗生物質、抗真菌剤、又はそれらの組み合わせを含む。例えば、特定の適切な抗生物質クラスには、アミノグリコシド及びグリコペプチドが含まれ得る。具体的な薬剤としては、例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、バンコマイシン、アミカシン、リファンピン、クリンダマイシン、エリスロマイシン、コリスチン、リネゾリド、ダプトマイシン、ホスホマイシン、及びアンホテリシンB、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。好ましい薬剤としては、ゲンタマイシン、トブラマイシン、及びバンコマイシン、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0047】
特定の実施形態によれば、ロッド20は、金属若しくは金属合金、又は熱可塑性ポリマー材料を含む。更なる実施形態によれば、固定構成要素40は、金属若しくは金属合金、又は熱可塑性ポリマー材料を含む。更に別の実施形態では、キャップ60は、金属若しくは金属合金、又は熱可塑性ポリマー材料を含む。適切な金属としては、例えば、316Lステンレス鋼、チタン、Ti-6Al-4V合金、Ti-6Al-7Nb合金、又はコバルトクロム合金などの標準的な整形外科インプラントグレードの金属又は合金を挙げることができる。適切な熱可塑性プラスチックとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリアリールエーテルケトン系の任意のポリマー又はコポリマー、並びにポリエチレン、ポリプロピレン、又はナイロンを含むことができる。
【0048】
図1A図1Dを参照すると、ロッド20は、長手方向Lに細長く、長手方向に延在するスペーサコア5及び一時的スペーサ1の両方の中心軸Cを画定する。本明細書で使用される場合、「軸方向」若しくは「軸方向に」などの用語、又はそれらの派生語は、中心軸Cと実質的に又は完全に同一の広がりを有する方向成分を定義することが意図される。
【0049】
ロッド20は、近位ロッド端部22と、中心軸Cに沿って近位ロッド端部22の反対側の遠位ロッド端部24と、近位ロッド端部22から遠位ロッド端部24まで延在する外側ロッド表面26とを更に画定する。
【0050】
ロッド20は、近位ロッド端部22で固定構成要素40に取り付けられるように構成される。ロッド20は、加えて、遠位ロッド端部24においてキャップ60に取り付けられるように構成される。したがって、図1Cを参照すると、近位ロッド端部22における外側ロッド表面26の一部は、固定構成要素40とねじ係合することができるように、ねじ切り表面28として構成されることができる。加えて、遠位ロッド端部24における外側ロッド表面26の一部は、キャップ60とねじ係合することができるように、ねじ切り表面28として構成されることができる。あるいは、図1Dを参照すると、外側ロッド表面26の実質的に全体が、ねじ切り表面28として構成されることができる。ねじ切り表面28に関して本明細書で使用される場合、「実質的に」は、外側ロッド表面26の少なくとも50%から100%までの範囲(例えば、50%、60%、70%、80%、90%、若しくは100%、又は本明細書に列挙されるパーセンテージから導き出せる任意の適切な部分範囲)がねじ切り表面28であることを意味する。例えば、図1Dに示されるように、外側ロッド表面26の100%が、ねじ切り表面28として構成され、その結果、外側ロッド表面26は、遠位ロッド端部24から近位ロッド端部22まで延在する連続的なねじ切り表面28であると言うことができる。連続的にねじ切りされたロッド20のこの特定の例は、前述した一時的スペーサ1のモジュール性に関して利点を提供する。連続的にねじ切りされたロッド20を用いて、外科医は、ロッド20を任意の所望の長さに切断し、なおかつ、近位ロッド端部22及び遠位ロッド端部24の両方でねじ切り表面28を維持して、固定構成要素40及びキャップ60の両方とそれぞれねじ係合することができる。
【0051】
図1B図2Cを参照すると、スペーサコア5は、近位ロッド端部22でロッド20に取り付けられるように構成された固定構成要素40を含む。固定構成要素40は、以下により詳細に説明されるように、一時的スペーサ1を隣接する骨に固定するための固定ねじの構造を提供するように構成される。固定構成要素40は、概して、軸方向に細長い(すなわち、ロッド20と同じ方向に中心軸Cに沿って細長い)。固定構成要素40は、近位ロッド端部22に取り付けられるように構成された遠位固定端部44と、中心軸Cに沿って遠位固定端部44の反対側の近位固定端部42とを含む。外側固定表面46は、近位固定端部22から遠位固定端部46まで延在する。
【0052】
遠位固定端部46は、近位ロッド端部22に動作可能に結合するように構成され、遠位固定開口部32と、遠位固定開口部32から近位固定端部42に向かって近位に延在する遠位固定凹部35を画定する内側遠位固定表面33とを含むことができる。遠位固定凹部35は、ロッド20が固定構成要素40に動作可能に結合されると、近位ロッド端部22が少なくとも部分的に遠位固定凹部35内に配置されるように、近位ロッド端部22を受容するように構成される。図2Aに示されるような特定の例では、内側遠位固定表面33は、ねじ切りされ、前述したように、近位ロッド端部22の対応するねじ切り表面28とねじ接続するように構成されることができる。
【0053】
図1C図2A、及び図2Cを参照すると、固定構成要素40は、一時的スペーサ1を隣接する骨に固定することができる固定ねじを受容するように構成された少なくとも1つの固定孔55を含む。固定ねじは、整形外科インプラントの分野において周知であり、インプラント内の開口部を貫通し、インプラントに隣接する骨内に固定されるために使用される。少なくとも1つの固定孔を含む固定構成要素40を利用する1つの利点は、固定ねじの使用を通じて患者の中に埋め込まれると、あるレベルの安定性を提供できることである。固定ねじの使用は、標準的な整形外科インプラントにおけるような重量支持安定性を提供することを意図していないが、一時的スペーサ1を部分的に安定させられることにより、一時的スペーサ1が患者に埋め込まれている間に一時的スペーサ1が損傷するか、そうでなければ意図された位置から移動する可能性を最小限に抑える。
【0054】
引き続き図1C図2A、及び図2Cを参照すると、固定構成要素20の少なくとも1つの固定孔55は、固定構成要素40を通って中心軸Cに対して半径方向Rに延在する。本明細書で使用される場合、「半径方向」若しくは「半径方向に」などの用語、又はそれらの派生語は、中心軸Cに対して定義される方向又は位置であり、中心軸Cに向かう半径方向内向きの方向、及び中心軸Cから離れる半径方向外向きの方向を含むことができる。特定の例では、半径方向は、中心軸Cに垂直に方向付けられ、他の例では、半径方向は、中心軸Cに垂直であるが中心軸Cと同軸又は平行ではない方向から角度オフセットされることができる。好ましくは、少なくとも1つの固定孔55の半径方向延在部は、中心軸Cに対して垂直である。
【0055】
図1C図1D及び図2A及び図2Cを参照すると、少なくとも1つの固定孔55は、2つ、3つ、4つ、5つ、最大6つの固定孔55のような複数の固定孔55を備えることができる。複数の固定孔55の利点は、外科医に、所望に応じて1つ又は複数の固定ねじを用いて、隣接する骨に一時的スペーサ1を固定するための複数の手法を提供することができることである。一時的スペーサ1を受容する解剖学的領域は、既に侵襲性感染の影響を受けていると同時に、感染した一次インプラントの取り外しに関連して罹患していることを理解されたい。そのため、特に外科医が通常固定ねじで一時的スペーサ1を固定しようと試みる領域には、組織損傷、特に損傷した骨組織が存在する可能性がある。したがって、健康な骨組織を位置決めして固定するための複数の選択肢を提供することは、外科医が一時的スペーサ1を首尾よく埋め込む際に有益である。
【0056】
固定構成要素40は、一時的スペーサ1を患者の所望の解剖学的位置に配置する際に外科医又は他の医療専門家を支援する1つ以上の挿入器具と係合するように更に構成されることができる。一例では、図2Aに示されるように、近位固定端部42は、近位固定開口部50と、近位固定開口部50から遠位固定端部44に向かって遠位に延在する近位固定凹部53を画定する近位固定内側表面51とを含む。図11に示され、以下で更に詳細に説明されるような特定の例では、近位固定端部42は、近位固定凹部53内に挿入器具300を受容するように構成される。特定の実施例では、近位固定内側表面51は、ねじ切りされ、挿入器具300の対応するねじ切りされた構成要素又は表面とねじ接続するように構成されることができる。
【0057】
図1Bに示されるような特定の例では、固定構成要素40は、近位固定端部42が中心軸Cの方向に対して角度シータθだけ遠位固定端部44から半径方向にオフセットされ得るように、遠位固定端部44から近位固定端部42まで軸方向に延在することができる。角度オフセットの目的は、必要に応じて、一時的スペーサ1を挿入する工程、及び埋め込み完了後に適切な解剖学的位置合わせを維持する工程の両方に関して、一時的スペーサ1の形状を、一時的スペーサ1が埋め込まれる患者の骨の自然な解剖学的構造とより良好に位置合わせすることである。特定の実施形態では、角度オフセットθは、約5度~約20度の範囲、例えば、約5度~約15度、若しくは約8度~12度の範囲、又は本明細書に列挙される範囲終点の任意の部分組み合わせのいずれかであることができる。
【0058】
図1B図1D及び図3図4Bを参照すると、キャップ60は、遠位ロッド端部24でロッド20に取り付けられるように構成された近位端部62を画定する。キャップ60は、中心軸Cに垂直な平面で測定される断面積を更に画定し、キャップ60の断面積は、一時的スペーサ1の最大断面積を画定することができる。換言すれば、キャップ60は、好ましくは、一時的スペーサ1の最も広い部分であるように設計されるが、他の実施形態では、固定構成要素は、一時的スペーサ1の最大断面積を画定することができる。最大断面積を画定するキャップ60は、2つの利点を提供する。第1に、埋め込み中、キャップ60は、一時的スペーサ1の先端となるように構成され、したがって、圧縮力及びせん断力などの大きな機械的力を頻繁に受ける可能性がある。したがって、キャップ60は、これらの力を吸収し、一時的スペーサ1が所望の解剖学的位置に貫入するときに経路を空けるための前方バットレスを提供する。これは、セメントコーティング85の一部が、破損するか、又は他の様態で一時的スペーサ1から脱落し、インビボで一時的スペーサ1の機能性を損傷することから保護する。第2に、前述のように、本開示の一時的スペーサ1は、臨床的に処方された抗菌治療期間が終了すると、摘出を必要とする。摘出中のキャップ60の機能は、生成された任意のセメントコーティング85の破片を収集することである。換言すれば、キャップ60は、好ましくは、一時的スペーサ1が患者から取り外されるときに、キャップ60が、一時的スペーサ1の摘出中又は摘出前に外れた又は破砕されたセメントコーティング85からあらゆる破砕セメント片を上方に押し上げる(又は収集する)ように機能するように設計される。
【0059】
引き続き図3及び図4A図4Bを参照すると、キャップ60は、中心軸Cに沿って近位キャップ端部62の反対側に遠位キャップ端部64を含む。外側キャップ表面66は、近位キャップ端部62から遠位キャップ端部64まで延在する。近位キャップ端部62は、キャップ開口部70と、キャップ開口部70から遠位キャップ端部64に向かって遠位方向Dにキャップ60内に延在するキャップ凹部73を画定する内側キャップ表面71とを含むので、キャップ凹部73は、キャップ開口部70から遠位に延在すると言うことができる。キャップ凹部73は、遠位ロッド端部24を受容するように構成され、それにより、結合されたときに、遠位ロッド端部24は、少なくとも部分的にキャップ凹部73内に配置される。図3及び図4Bに示されるような特定の例では、内側キャップ表面71は、ねじ切りされて、遠位ロッド端部24の対応するねじ切り表面28とねじ接続するように構成されることができる。
【0060】
図1B図1Cを参照すると、特定の例では、一時的スペーサ1のスペーサコア5は、外側ロッド表面26から半径方向外向きに延在する1つ以上のセンタリング部材31を含むことができる。以下でより詳細に説明されるように、例えば図5Aに示されるような一時的スペーサ1を形成するために、スペーサコア5がモールド本体120に挿入されるように構成されたモールドアセンブリ100が開示される。したがって、特定の例では、一時的スペーサ1を形成する際にモールド本体120と相互作用するように機能するスペーサコア5の要素が存在する。特定の実施形態では、センタリング部材31は、ロッド20に取り付けられることができ、代替的な実施形態では、ロッド20及びセンタリング部材31を単一のモノリシック構造として形成することができる。センタリング部材31は、ロッド20とモールド本体120との間にオフセットを提供し、(例えば、図5Aに示されるように)ロッド20がモールド本体120内に配置されたとき、ロッド20を中心軸Cに沿って位置合わせされたままにするように機能する。中心軸Cに沿った長手方向のロッド20のこの位置合わせは、ロッド20がモールド本体120内で中心に置かれるので、スペーサコア5の周りにセメントコーティング85を形成するために使用されるセメント材料の均一な分布を形成するのを補助する。
【0061】
センタリング部材31は、ロッド20から半径方向外向きに延在する少なくとも単一のアームを含むことができる。例えば、センタリング部材31の各々が、複数のアームを含むことができる。センタリング部材31のアームは、外側表面の周りで互いに円周方向に離間することができる。例えば、図1B図1C(及び図5A図5B)に示されるように、2つのセンタリング部材31が、ロッド20に取り付けられ、実質的に十字形(又はX字形)の断面を有し、4つのアームがロッド20から半径方向外向きに延在する。この十字形の設計は、センタリング部材のアーム間に空間を提供し、セメントコーティング85を形成するプロセス中に、セメント材料がセンタリング部材31を通過して流動し、外側ロッド表面26をコーティングすることを可能にする。また、センタリング部材31は、流体セメント材料の流動を遮断しない、又は別様に阻害しない限り、任意の適切な断面形状をとることができることを理解されたい。
【0062】
前述したように、本開示の一時的スペーサ1は、患者の解剖学的構造の特定の状態に応じて、外科医が所望の長さのロッド20を使用することを可能にするモジュール式の機能を有するように設計される。したがって、ロッド20の所望の選択された長さに応じて、2つよりも多い又は少ないセンタリング部材31がロッド20から延在してもよいことを理解されたい。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は8つまでのセンタリング部材31が、ロッド20から外向きに延在することができる。
【0063】
図1B図1C及び図2A図2Cを参照すると、外側固定表面46は、近位固定端部42から遠位固定端部44への方向に延在する、少なくとも1つの平面部48を画定することができる。これは、モールド本体120と共に機能して一時的スペーサ1を形成するように構成されたスペーサコア5の追加要素である。平面部48の潜在的な利点は、スペーサコア5がモールド本体120内に配置されるときに、モールド本体120と固定構成要素40との間に隙間又は空洞を形成することである。この隙間又は空洞は、セメントコーティング85を形成するためにセメント材料がモールド本体120に注入されるときに、外側固定表面46の一部に沿ってアクセスするための空間を提供する。特定の例では、図2Bに示されるように、外側固定表面46が、複数の平面48、例えば2つの平面部48を含むことができる。好ましい実施形態では、平面部48が、固定外側表面46上で互いに等距離に配置される。
【0064】
特定の更なる実施形態では、図2A図2Cを引き続き参照すると、外側固定表面46が、近位固定端部42から遠位固定端部44への方向に延在する、少なくとも1つの表面チャネル47を画定することができる。外側表面46に沿って表面チャネル47を含むことの利点は、セメントコーティング85を形成する流体セメント材料がモールド本体120に流入すると、少なくとも1つの表面チャネル47を充填して硬化することができ、いったん硬化すると、固定構成要素40からのセメントコーティング85の破砕又は剥離を引き起こし得る埋め込み中又は摘出中に、セメントコーティング85に作用する力(例えば、ねじれ)に対する抵抗を提供することである。換言すれば、セメントコーティング85の一部分は、表面チャネル47内で、スペーサコア5からセメントコーティング85を不注意にこじ開ける、除去する、又は破砕する可能性がある、埋め込み中又は摘出中に生じる機械力から遮蔽される。一例では、図2Bに示されるように、少なくとも1つの表面チャネル47が、平面部48に隣接している。少なくとも1つの表面チャネル47は、複数の表面チャネル47、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、最大8つの表面チャネル47を含むことができる。いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも1つの表面チャネル47が、平面部48に直接隣接する外側固定表面46上に配置されることができる。特に好ましい実施形態では、平面部48が、直接隣接する2つの表面チャネル47を有し、1つの表面チャネル47は平面部48の一方の側に直接隣接し、第2の表面チャネル47は平面部48の反対側に直接隣接する。
【0065】
特定の例では、図3を参照すると、キャップ60が中実体として形成されることができる。キャップ60が中実体である実施形態では、キャップ60は、流体セメント材料がモールド本体120内に注入された後にロッド20に取り付けられる。しかしながら、代替実施形態では、図4A図4Bを参照すると、キャップ60は、複数の開窓12を含むことができる。開窓12は、セメントコーティング85を形成するためにモールド本体120内への流体セメント材料の流動を可能にするように構成される。開窓12を有するキャップ60の利点は、スペーサコア5がモールド本体120内に挿入される前に、キャップ60をロッド20に取り付けることができる一方で、モールド本体120内にセメント材料を導入してセメントコーティング85を形成するために、遠位キャップ端部64でモールド本体120内に1つ以上の流体経路を依然として提供することである。
【0066】
引き続き図4A図4Bを参照すると、複数の開窓12は、キャップ60を通って遠位キャップ端部64から近位キャップ端部62まで延在する。特定の実施形態では、開窓12が、中心軸Cと略同軸の方向に延在する。特定の実施形態では、開窓が、略直線方向に延在する。図4A図4Bに示されるような特定の例では、開窓12が、キャップ60の周囲に均等に分散される。しかしながら、遠位キャップ端部64からモールド本体120内への流体経路を提供する限り、任意の種類の幾何学形状又は形状を呈する任意の数の開窓12が存在し得ることを理解されたい。
【0067】
本開示によれば、図5A図5Bを参照すると、一時的セメントスペーサ1を形成するためのモールドアセンブリ100が説明され、モールド本体120と、モールド本体120内に配置されるように構成された前述のスペーサコア5と、固定構成要素40の少なくとも1つの固定孔55内に配置されるように構成された少なくとも1つの孔プラグ155と、モールド本体120を、スペーサコア1のセメントコーティング85を形成するセメント材料でモールド本体120を充填する骨セメント注入デバイスに動作可能に結合するように構成されたアダプタ180とを含む。
【0068】
モールドアセンブリ100に関する説明の目的のため、及び簡潔さのために、スペーサコア5(例えば、ロッド20、固定構成要素40、キャップ60など)に関して前述された特徴並びに実施形態、組み合わせ、及び部分的組み合わせのすべては、モールドアセンブリ100に関する開示、並びにキット及び製造方法に関する任意の後続の開示の範囲内にあるとみなされる。
【0069】
前述したように、本開示では、少なくとも1つの利点が、一時的スペーサ1の長さを患者の解剖学的構造に適合するようにカスタマイズする能力を外科医に提供することであるように、一時的スペーサ1の製造にモジュール式の態様を提供する。したがって、特定の実施形態によれば、外科医がロッド20、したがってスペーサコア5の適切な長さを決定すると、モールド本体120は、その所望の長さに一致するようにカスタマイズ可能な長さを有するように構成される。したがって、モールド本体120は、一時的スペーサ1の決定された長さに対応するように、必要に応じてその長さの一部が取り外されるように構成される。モールド本体120は、一例では、外科用鋏又はメスを使用して所望の長さに切断することができる。特定の実施形態では、モールド本体120は、所望の長さを決定するための視覚的補助を提供するように、特定の長さ(例えば、1mm間隔)に対応する間隔マーキング又は刻み目を含んでもよい。したがって、モールド本体120は、1つ以上のエラストマーを含む材料から形成されることが好ましい。好適なエラストマー材料としては、例えば、シリコーン若しくはポリウレタン(polyurethane、PUR)、又はそれらのコポリマーを挙げることができる。特定の追加の実施形態では、モールド本体120は、1つ以上の熱可塑性材料を含む。好適な熱可塑性材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ペルフルオロアルコキシアルカン(perfluoroalkoxy alkane、PFA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)、又はそれらのコポリマーを挙げることができる。
【0070】
モールド本体120の以下の開示に関して、モールド本体120の方向関係及び位置、又はモールド本体120に沿った方向関係及び位置を説明する便宜及び容易さの目的のために、すべての参照は、一時的スペーサ1及びスペーサコア5に使用される以前に識別された方向識別子に関連して行われる。これは、主に、モールドアセンブリ100がモールド本体120内に配置されたスペーサコア5を含むためである。したがって、例えば、「軸方向の」、「半径方向の」、「近位の」、「遠位の」、「長手方向の」、及びそれらの任意の派生形などの用語の使用は、先に定義された一時的スペーサ1及びスペーサコア5と、更に説明されるモールドアセンブリ100及びモールド本体120との間で一致していることが意図されている。例えば、以下に説明するように、モールド本体120の中心軸Cが、一時的スペーサ1及びスペーサコア5に関して前述したのと同じであることが意図されている。したがって、モールドアセンブリ100は、ロッド20によって画定される中心軸Cが同様にモールド本体120の中心軸Cを画定するように、ロッド20と同じ長手方向Lに細長いモールド本体120を含む。モールド本体120は、近位モールド端部121と、中心軸Cに沿って近位モールド端部121の反対側の遠位モールド端部123と、それらの間に延在する外側モールド表面124とを更に画定する。
【0071】
モールド本体120は、加えて、近位モールド端部121における近位モールド開口部131と、遠位モールド端部123における遠位モールド開口部133と、それらの間に延在する内側モールド表面138とを画定する。内側モールド表面138は、モールド内腔136を画定する。モールド内腔136は、その中に配置されたスペーサ5を有するように構成される。換言すれば、モールドアセンブリ100は、例えば図5Aに示されるように、モールド内腔136内に配置されたスペーサコア5を含む。
【0072】
引き続き図5A図5Bを参照すると、モールドアセンブリ100は、固定構成要素40の少なくとも1つの固定孔55内に配置されるように構成された少なくとも1つの孔プラグ155を更に含む。少なくとも1つの孔プラグ155の機能は、少なくとも1つの固定孔55を充填することである。固定孔55は、一時的スペーサ1を骨に固定する1つ以上の固定ねじを受容するように構成されているので、少なくとも1つの孔プラグ155の機能は、セメントコーティング85の形成中にモールド本体120内にセメント材料を注入する間に、いかなるセメント材料も固定孔55内に詰まることを防ぐことである。少なくとも1つの孔プラグ155は、モールド本体120内へのセメント材料のいかなる注入の前にも少なくとも1つの固定孔55内に挿入することができ、一時的スペーサ1が形成されると、少なくとも1つの孔プラグ155は、少なくとも1つの固定孔55から取り外されるように構成される。
【0073】
特定の例では、スペーサコア5は、埋め込み中に固定ねじによって利用されるよりも多くの固定孔55を含むことができる。前述したように、スペーサコア5の固定構成要素40は、複数の固定孔55を含むことができ、外科医に、1つ又は複数の固定ねじを利用して一時的スペーサ1を隣接する骨に固定するための複数の選択肢を提供する。したがって、外科医又は他の医療専門家は、一時的スペーサ1の形成前に、どの、又はいくつの固定孔55が固定ねじを受容するように指定されるかを決定することができ、したがって、対応する数の孔プラグ155を利用して、それらの指定された固定孔55を充填することができる。したがって、孔プラグ155を受容するように指定されていない固定孔55は、開いたままにすることができ、セメント材料は、未使用の半径方向孔55を充填することができる。これは、スペーサコア5へのセメントコーティング85の取り付けを更に強化するのに有利であり得る。したがって、複数の固定孔55の第1の部分は、それらの中に配置された孔プラグ155を含み、固定孔55の第2の部分は、開放しているか、又はそれらの中に配置された孔プラグ155を含まないと言うことができる。
【0074】
あるいは、外科医又は他の医療専門家は、インプラント部位における解剖学的状態を同時に評価するまで、固定ねじを受容するために利用する必要がある固定孔55がどれであるか、又はいくつであるかを決定することができない場合がある。そのような例では、固定ねじのための固定孔55の各々の利用可能性を維持するために、固定孔55の各々は、孔プラグ155で充填されることができる。
【0075】
引き続き図5A図5Bを参照すると、モールド本体120は、孔プラグ155を受容するように構成された少なくとも1つのモールド孔145を含むことができる。少なくとも1つのモールド孔145はまた、スペーサコア5がモールド本体120内に配置されるときに固定孔55のうちの少なくとも1つと位置合わせするように構成される。少なくとも1つのモールド孔145は、モールド内腔136を通って中心軸Cに対して半径方向に延在する。前述したように、モールド本体120に関して使用される方向変更子は、スペーサコア5に関して一致して使用されるものと理解されるべきであり、「半径方向の」若しくは「半径方向に」という用語又はその派生語の使用は、中心軸Cに関して定義される方向又は位置であり、中心軸Cに向かう半径方向内向きの方向、及び中心軸Cから離れる半径方向外向きの方向を含むことができる。特定の例では、半径方向Rは、中心軸Cに対して垂直に方向付けられ、他の例では、半径方向Rは、中心軸Cに対して垂直であるが、中心軸Cと同軸又は平行ではない方向から角度的にオフセットされることができる。
【0076】
少なくとも1つのモールド孔145の機能は、スペーサコア5がモールド本体120内に配置されるときに少なくとも1つの孔プラグ155が少なくとも1つの固定孔55内に挿入されることを可能にし、更に、一時的スペーサ1の形成後(すなわち、セメント材料がモールド本体120内に注入され、セメントコーティング85が形成された後)、一時的スペーサ1がまだモールド本体120内に配置されている間に、少なくとも1つの孔プラグ155を少なくとも1つの固定孔55から取り外すことを可能にすることである。孔プラグ155をスペーサコア5の少なくとも1つの固定孔55及びモールド本体120の少なくとも1つのモールド孔145の両方に嵌合するように構成することの1つの利点は、そのようなモールドアセンブリ100が自己位置合わせ機構として作用することができることである。換言すれば、スペーサコア5がモールド本体120内に配置されるとき、モールド本体120及びスペーサコア5は、モールド孔145及びスペーサコア5の固定孔55が互いに位置合わせされ、例えば図5Aに見られるように孔プラグ155を受容することができるとき、互いに対して適切に方向付けられ位置合わせされているとみなすことができる。したがって、モールドアセンブリ100の特定の例では、少なくとも1つの孔プラグ155は、少なくとも1つの固定孔55及び少なくとも1つのモールド孔145の両方の中に配置され、それらを通って延在すると言うことができる。
【0077】
特定の実施形態では、モールド孔145の数は、固定孔55の数と同じである。代替的な実施形態では、モールド孔145の数は、固定孔55の数よりも少ない。前述したように、スペーサコア5は、外科医によって利用される固定ねじの実際の数を超える数の固定孔55を含むことができる。したがって、特定の実施形態では、モールド本体120は、スペーサコア5に形成された対応する数の固定孔55よりも少ない数のモールド孔145を含むように構成されてもよい。例えば、複数の固定孔55が存在する実施形態では、外科的処置において利用される割合又は可能性がより高いスペーサコア5内での特定の固定孔55の位置と、使用される割合がより低いスペーサコア5の特定の固定孔55の位置が存在してもよい。したがって、モールド本体120は、一方では、スペーサコア5の固定孔55と正確に同じ数のモールド孔145を含むことができ、あるいは、より少ない数を有することができる。より少ないことの潜在的な利点は、セメント材料がモールド本体120に沿って漏出する可能性があり、結果として生じるセメントコーティング85の完全性を損なう可能性がある位置の数を最小限に抑えることができることである。
【0078】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの孔プラグ155は、複数の孔プラグ155、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は更に最大8つの孔プラグ155などを含むことができる。例えば、図5A図5Bに示されるように、2つのモールド孔145及びスペーサコア5の対応する2つの固定孔55の各々内に嵌合するように構成された2つの半径方向孔プラグ155が存在する。
【0079】
引き続き図5A図5B、並びに図9A図9D及び図10A図10Bを参照すると、モールドアセンブリ100は、モールド本体120をセメント注入デバイス210に動作可能に結合して、セメント注入デバイス210からモールド内腔136への連続的な流体経路を提供するように構成されたアダプタ180を更に含むことができ、ここにスペーサコア5が配置されて、セメント材料がスペーサコア5上にセメントコーティング85を形成し、したがって一時的スペーサ1を形成する。アダプタ180の以下の説明及び添付の図面は、モールド本体120の遠位モールド端部123に動作可能に結合されたアダプタ180を説明するが、アダプタ180は、モールド本体120の近位モールド端部121にも結合され得ることを理解されたい。
【0080】
図示のように、アダプタ180は、遠位モールド端部123に結合されたとき、アダプタ180が中心軸Cに沿ってモールド本体120と位置合わせされるように、長手方向Lに沿ってモールド本体120から延在する。アダプタ180は、遠位モールド端部123に結合するように構成された近位アダプタ端部181と、中心軸Cに沿って近位アダプタ端部181の反対側の遠位アダプタ端部183とを画定する。図示のように、遠位アダプタ端部183は、セメント注入デバイス210に動作可能に結合するように構成される。加えて、アダプタ180は、遠位アダプタ端部183における遠位アダプタ開口部193と、遠位アダプタ開口部193から近位アダプタ端部181に向かって延在するアダプタ内壁188とを更に画定する。アダプタ内壁188は、アダプタ凹部186を画定する。アダプタ凹部186は、セメント注入デバイス210からモールド本体内腔136への連続的な流体経路を提供する。図9A図9Dに示されるような特定の実施形態によれば、アダプタ内壁188は、アダプタ180をセメント注入デバイス210に動作可能に結合する工程が、アダプタ180をセメント注入デバイス210とねじ結合する工程を含むように、ねじ切りされることができる。あるいは、図10A図10Bに示されるように、アダプタ180は、セメント注入デバイス210を遠位モールド端部123に確実に結合するために、クランプを含むことができる。
【0081】
引き続き図9A図9Dを参照すると、内壁188は、アダプタ凹部186内に配置され、モールド本体120に向かって近位に延在するアダプタレセプタクル195を更に含むことができる。アダプタレセプタクル195は、近位アダプタ端部181に面するレセプタクル開口部196を有することができる。特定の実施形態では、遠位ロッド端部24は、レセプタクル開口部196と係合し、その中に配置されるように構成されることができる。レセプタクル開口部196の機能は、遠位ロッド端部24がレセプタクル開口部196内に着座したときに、ロッド20をモールド本体内で適切にセンタリングして、ロッド外側表面26に沿った均一なセメントコーティング85の形成をより良好に可能にすることである。特定の実施形態によれば、アダプタレセプタクル195は、内側ねじ切り表面を有することができ、遠位ロッド端部24は、アダプタレセプタクル195にねじ係合することができる。
【0082】
図5図8を参照すると、特定の例では、モールド本体120は、近位モールド端部121から遠位モールド端部123まで中心軸Cにほぼ沿って延在し、モールド本体120を分離するように構成された分離手段を含む。分離手段の機能は、セメントコーティング85が硬化した後に一時的スペーサ1が損傷することなくモールド本体120から解放される方法を提供するように、モールド本体120を分割する又は別の方法で分離することである。
【0083】
特定の実施形態では、図5A図5B及び図6を参照すると、分離手段は、近位モールド端部121から遠位モールド端部123に向かってモールド本体120に沿って軸方向に延在する列に配置された複数の穿孔148を含む。特定の実施形態では、モールド本体120に沿って複数の穿孔148の複数の列が存在することができ、例えば、図6に描写される実施形態に示されるように、穿孔148の2つの別個の列が、近位モールド端部121と遠位モールド端部123との間でモールド本体120に沿って軸方向に延在することができる。
【0084】
あるいは、図7を参照すると、分離手段は、軸方向に延在し、外側モールド表面124と内側モールド表面138との間のモールド本体120内に配置される、少なくとも1つのストリップ材149を含むことができる。例えば、図7に示されるように、近位モールド端部121と遠位モールド端部123との間に軸方向に延在する2つのストリップ材149が存在する。
【0085】
更なる代替実施形態では、図8A図8Dに示されるように、モールド本体120は、近位モールド端部121から遠位モールド端部123に向かってモールド本体120の長さに沿って軸方向に延在する、外側モールド表面124に形成された溝147、又は2つの溝147などの複数の溝147を含むことができる。図8C図8Dを参照すると、モールド本体120は、モールド本体120内に配置された1つ以上の補強部材152を更に含むことができ、これは溝147と組み合わせて、溝147に沿ったモールド本体120の制御された指向性分離を可能にするように構成される。換言すれば、モールド本体120に補強部材152が含まれることにより、溝147の経路に沿ってモールド本体の分離が方向付けられ、モールド本体120が意図しない方向に裂ける可能性を低減する。
【0086】
引き続き図5図8を参照すると、モールド本体120は、近位モールド端部121又は遠位モールド端部123のいずれかに配置された1つ以上のタブ141を更に含むことができる。1つ以上のタブ141は、分離手段の方向に沿ってモールド本体120の分離を開始するために、例えば手動で又は機械的に把持され、引っ張られるように構成される。例えば、使用者は、1つ以上のタブ141を把持して引っ張ることができ、したがって、分離手段が画定された分離手段に沿ってモールド本体120を分離させる力を加えることができる。例えば、モールド本体120が、図5A図5B及び図6に示されるような穿孔148、又は図8に示されるような溝147を含む場合、1つ以上のタブ141を引っ張ると、穿孔148又は溝147の列に沿ってモールド本体120に力が加わり、モールド本体120が分離手段に沿って分割される。モールド本体120が、図7に示されるように、ストリップ材149を含むとき、使用者は、タブ141を引っ張り、ストリップ149が、ストリップ149の線に沿ってモールド本体120をスライスするようにすることができる。
【0087】
前述のように、特定の実施形態では、固定構成要素40は、中心軸Cの方向に対して角度シータθだけオフセットされることができる。固定構成要素40がオフセットされる実施形態では、(固定構成要素40がモールドアセンブリ100内に配置される)近位モールド端部121は、同じ角度シータθだけ中心軸Cから同様にオフセットされることができる(例えば、図9A参照)。
【0088】
本開示によれば、一時的セメントスペーサ1を形成するためのキットが開示される。キットは、モールド本体120、少なくとも1つのアダプタ180、固定構成要素40、少なくとも1つの孔プラグ155、少なくとも1つのロッド20、及びキャップ60を含むことができる。開示された構成要素の各々は、別個の構成要素としてキット中に提供され得ることを理解されたい。あるいは、開示されたキットの構成要素の各々は、前述のものと一致する様式で対応する構成要素又は複数の構成要素と既に接続されて、キット内に提供されることができる。例えば、ロッド20、固定構成要素40、及びキャップ60は、連結されるように構成されたスペーサコア5の要素として既に説明されている。したがって、これらの3つの構成要素の任意の組み合わせは、既に接続されてキット内で提供されることができ、したがって、固定構成要素40に接続されたロッド20、キャップ60に接続されたロッド20、又は固定構成要素40及びキャップ60の両方に接続されたロッド20を含むキットが提供され得る。別の例として、キットは、別個のモールド本体120及びアダプタ180と共に提供され得るか、あるいは、アダプタ80は、モールド本体120に接続されて提供され得る。
【0089】
特定の例では、少なくとも1つのロッド20が、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10個のロッド20などの複数のロッド20を含むことができるキットが提供され得る。好ましい実施形態では、複数のロッド20の各ロッド20は、近位ロッド端部と遠位ロッド端部との間で測定された長さを有し、複数のロッド20の各ロッドの長さは、複数のロッド20の任意の他のロッドの長さと異なる。換言すれば、キットは、異なる長さの複数のロッド20を備えている。先に開示されたように、一側面において、本開示の一時的スペーサ1は、それらの長さに関して、及び外科医がスペーサコア5の長さを決定し、カスタマイズできることに関して、モジュール式であるように構成される。したがって、各ロッド20が異なる長さを有する複数のロッド20を提供することによって、外科医は、患者の解剖学的寸法に最も近似する所望の長さを有するようにスペーサコア5をカスタマイズすることができる。
【0090】
あるいは、前述のように、ロッド20は、実質的に又は完全にねじ切り表面28を備える外側表面26を含むことができる。そのような場合、キットは、連続的なねじ切り表面28を含む単一のロッド20を含むことができ、外科医は、ロッド20の適切な長さを決定し、ロッド20を所望の長さに切断することができる。
【0091】
キットは、少なくとも1つの固定骨ねじを更に含むことができ、例えば、キットは、固定孔55内に配置され、一時的スペーサ1を骨に固定するように構成された2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つの固定ねじなどの複数の固定ねじを含むことができる。
【0092】
図11を参照すると、キットは、固定構成要素40に動作可能に結合するように構成された挿入器具300を含むことができる。図11に示されるように、挿入器具300は、挿入ねじ303を近位固定凹部53内に配置することによって、近位固定端部42に動作可能に結合される。
【0093】
本開示は、抗菌剤溶出一時的セメントスペーサを形成する方法を更に記載する。本方法は、
スペーサコアをモールド本体の内腔に挿入する工程であって、スペーサコアが、ロッドと、ロッドに接続された固定構成要素とを含み、固定構成要素が少なくとも1つの固定孔を含む、工程と、
骨セメント注入デバイスをアダプタを介してモールド本体に結合して、骨セメント注入デバイスからモールド本体内腔内への流体経路を提供する工程と、
少なくとも1つの孔プラグを少なくとも1つの固定孔内に配置する工程と、
1つ以上の抗菌剤を含む骨セメント材料を、流体経路を通して、かつロッドの外側表面の少なくとも一部に沿って、モールド本体内腔内に注入する工程と、
セメントコーティングを形成するように、外側ロッド表面上の骨セメント材料を硬化させ、それによって抗菌剤溶出一時的セメントスペーサを形成する工程と、
骨セメント注入デバイスをモールド本体から切り離す工程と、
少なくとも1つの孔プラグを少なくとも1つの固定孔から取り外す工程と、
モールド本体を抗菌剤溶出一時的セメントスペーサから分離する工程とを含むことができる。
【0094】
本方法は、スペーサコア5をモールド内腔136に挿入する工程の前に、ロッド20を固定構成要素40に接続する工程、例えば、前述のように近位ロッド端部22を遠位固定端部44に動作可能に結合する工程を更に含むことができる。
【0095】
前述したように、ロッド20はロッドの長さを有し、本方法は、近位ロッド端部22又は遠位ロッド端部24のいずれかからロッド20の長さの一部を取り外す工程を更に含むことができる。好ましい実施形態では、取り外し工程の後、スペーサコア5の長さは、モールド本体120の長さ以下である。加えて、前述のように、モールド本体120は、長さを有し、本方法は、近位モールド端部122又は遠位モールド端部124のいずれかからモールド本体120の長さの一部を取り外す工程を更に含むことができる。
【0096】
追加の実施形態によれば、モールド本体120は、少なくとも1つのモールド孔145を備え、スペーサコア5をモールド内腔136に挿入する工程は、少なくとも1つのモールド孔145を少なくとも1つの固定孔55と位置合わせする工程を更に含むことができる。加えて、少なくとも1つの孔プラグ155を少なくとも1つの固定孔55内に配置する工程は、少なくとも1つの孔プラグ155を少なくとも1つのモールド孔145及び少なくとも1つの固定孔55内に配置する工程を更に含むことができる。特定の更なる実施形態では、少なくとも1つの固定孔55が複数の固定孔55を含む場合、本方法は、複数の孔プラグ155を複数の固定孔55の各固定孔55内に配置することを含む。あるいは、少なくとも1つの固定孔55が複数の固定孔を含む場合、本方法は、複数の固定孔55のうちの少なくとも1つの固定孔55が孔プラグ155を受容しないように、少なくとも1つの孔プラグ155を複数の固定孔55に挿入する工程を含むことができる。少なくとも1つの固定孔55が孔プラグ155を受容しない実施形態では、骨セメント材料を注入する工程は、孔プラグ155を受容しなかった少なくとも1つの固定孔55を骨セメント材料で充填する工程を含むことができる。更に別の実施形態では、少なくとも1つのモールド本体孔145が複数のモールド孔145を含む場合、本方法は、複数の孔プラグ155を複数のモールド孔145の各モールド孔145内に配置する工程を含む。
【0097】
前述のように、特定の実施形態では、キャップ60は、遠位ロッド端部24に取り付けられるように構成され、そのような場合、スペーサコア5は、ロッド20、固定構成要素40、及びキャップ60を含むと言うことができる。したがって、本方法は、キャップ60をロッド5の遠位ロッド端部24に取り付ける工程を更に含むことができる。更に、説明したように、遠位ロッド端部24がねじ切り表面28を含む場合、工程は、キャップ60を遠位ロッド端部24のねじ切り表面28にねじ込む工程を含むことができる。前述のように、キャップ60は、キャップ60を通って延在する複数の開窓12を含むことができる。そのため、キャップ60が開窓12を含む場合、キャップ60をロッド20に取り付ける工程は、骨セメント材料を注入する工程の前、及び骨セメント注入デバイス210をモールド本体120から切り離す工程の後の任意の時点で行うことができる。したがって、キャップ60が開窓12を含む場合、骨セメント材料を注入する工程は、開窓12を通して骨セメント材料を注入する工程を含むことができる。
【0098】
ここで図12を参照すると、一時的セメントスペーサ1を形成するためのモールドアセンブリ400の追加の実施形態が説明される。モールドアセンブリ400は、モールド本体520と、モールド本体520内に配置されるように構成された一時的スペーサコア405とを含む。スペーサコア405は、一時的スペーサ1の構造の骨組みを提供するように構成され、ロッド420と、固定構成要素440と、キャップ460とを含む。モールドアセンブリは、固定構成要素440の少なくとも1つの固定孔455内に配置されるように構成された少なくとも1つの孔プラグ555を含む。モールドアセンブリ400はまた、スペーサコア1のセメントコーティング485を形成するセメント材料でモールド本体520を充填する骨セメント注入デバイスに、モールド本体520を動作可能に結合するように構成されたアダプタ580を含む。モールドアセンブリ400はまた、固定構成要素の近位端部と結合するように構成された近位プラグ部材470を含むことができる。
【0099】
モールドアセンブリ400に関する説明の目的のため、及び簡潔さのために、スペーサコア5(例えば、ロッド20、固定構成要素40、キャップ60など)に関して上述された特徴並びに実施形態、組み合わせ、及び部分的組み合わせのすべては、モールドアセンブリ400に関する開示、並びにキット及び製造方法に関する任意の後続の開示の範囲内にあるとみなされる。以下の開示は、図1A図11を参照して上述のモールドアセンブリ及び構成要素に対する、モールドアセンブリ400及びその構成要素間の差異に焦点を当てる。
【0100】
ロッド420は、上述のロッド20と同様に構成される。ロッド420は、近位ロッド端部22と、中心軸Cに沿って近位ロッド端部22の反対側の遠位ロッド端部24と、近位ロッド端部22から遠位ロッド端部24まで延在する外側ロッド表面26とを画定する。近位ロッド端部22は、固定構成要素440に取り付けられるように構成される。例えば、近位ロッド端部22における外側ロッド表面26の一部が、固定構成要素440の内側遠位固定表面33などの相補的な固定機構と固定することができる、ねじ切り表面28などの固定機構を画定することができる。遠位ロッド端部24は、キャップ460に取り付けられるように構成される。例えば、遠位ロッド端部24における外側ロッド表面26の一部が、キャップ60のねじインキャップ表面71などの相補的な固定機構と固定することができる、ねじ切り表面28などの固定機構を画定することができる。本実施形態では、ロッド外側表面26は、好ましくは滑らかであり、近位ロッド端部22におけるねじ切り表面28と遠位ロッド端部24におけるねじ切り表面28との間に突出部がない。例えば、本実施形態のロッド外側表面26は、上述のセンタリング部材31などのセンタリング部材を欠いていてもよい。
【0101】
ここで図13A図13Dを参照すると、固定構成要素440は、上述の固定構成要素40と同様に構成される。したがって、固定構成要素440は、例えば、近位固定端部42、近位固定開口部50、近位固定内側表面51、近位固定凹部53、遠位固定端部44、遠位固定開口部32、内側遠位固定表面33、遠位固定凹部35、外側固定表面46、1つ以上の固定孔55、及びオフセット角度θを含む、上述の種々の関連機構を含むことができる。
【0102】
しかしながら、本実施形態における1つの違いは、外側固定表面46が、1つ以上の固定孔55の半径方向外側部分を画定し得る1つ以上の突出部49を画定することができることである。1つ以上の突出部49は、「ボス」又は「アイランド」とも呼ばれ、各々が、半径方向Rに沿って測定された距離R1だけ外側固定表面46の主要凹表面部449から外向きに離間された外側突出表面451を画定することができる。1つ以上の突出部49は、スペーサコア405がモールド本体520内に配置されたときに、モールド本体520と固定構成要素440との間の隙間又は空洞容積を有益に増加させることができる。この増加した隙間又は空洞容積は、セメントコーティング85を形成するためにモールド本体520内に注入されるセメント材料を受容し、それによって占有されるための、外側固定表面46に沿った追加の空間を提供する。
【0103】
図示された実施形態では、1つ以上の突出部49は、少なくとも第1の固定孔55aに沿った第1の対の半径方向に対向する突出部49aと、少なくとも第2の固定孔55bに沿った第2の対の半径方向に対向する突出部49bとを含むことができる。各突出部49は、単一の固定孔55に沿って、又は複数の固定孔55に沿って延在することができることを理解されたい。追加的又は代替的に、1つ以上の突出部49は、近位固定端部42に沿ってなど、他の機構に沿って延在することができる。例えば、1つ以上の突出部49が、挿入器具300などの器具の相補的な幾何学的形状と結合するように構成された近位取り付け突出部49cを含むことができる。近位取り付け突出部49cは、1つ以上の表面チャネル447を画定することができ、これは、セメント85がモールドを通って進行する際にガス(例えば、空気)を排出するように構成されることができる。1つ以上の表面チャネル447はまた、モールドがセメント85で充填された(又は少なくとも実質的に充填された)ときの視覚的表示を有益に提供することができ、加えて、余剰セメント85をモールドから押し出して廃棄し得る簡略化された「クリーンアップ」機構を提供することができる。図示のように、近位取り付け突出部49cは、ダブテール断面プロファイルを有する単一の表面チャネル447を画定することができ、これは、硬化後にセメント85を内部に保持するように構成されることができる。あるいは、表面チャネル447は、非限定的な例として、U字型断面プロファイル又はV字型断面プロファイルなどの他のプロファイル形状を有することができる。近位固定端部42は、好ましくは、種々の挿入器具300(例えば、種々の照準アームなど)のような複数の器具に選択的に搭載するように構成されることを理解されたい。このようにして、スペーサコア405は、患者のニーズに基づいて様々なタイプの外科用器具に取り付け可能であり得る。
【0104】
1つ以上の突出部49はまた、セメントコーティング85と固定構成要素440との間の界面の安定性を向上させるために、硬化後に注入されたセメントと接合するための保持構造を画定することができる。そのような保持構造は、突出部49の1つ以上の様々な側部及び/又は端部に沿って、内向きテーパ状表面又は「ノッチ」を含むことができる。例えば、第1の対の半径方向に対向する突出部49aの一方又は両方が、中心軸Cに向かって半径方向内向きに延在するにつれて、互いに向かって内向きに先細になるテーパ状側面453を含むことができる。追加的又は代替的に、第2の対の半径方向に対向する突出部49bの一方又は両方は、中心軸Cに向かって半径方向内向きに延在するにつれて、互いに向かって内向きに先細になるテーパ状側面457を含むことができる。これらのテーパ状側面457はまた、上述のチャネル47と同様に、セメントコーティング85の一部を受容し、埋め込み中又は摘出中に生じる機械力からの遮蔽を提供し得るチャネルを画定することができる。加えて、テーパ状側面453、457は、それぞれの外側突出表面451を主要凹表面部449のそれぞれの部分に半径方向に張り出させることができ、これにより、特に、固定構成要素440からのセメントコーティング85の破砕又は剥離を引き起こし得る、埋め込み中又は摘出中にセメントコーティング85に作用する力(例えば、ねじれ)にさらされている間、固定構成要素440に沿ったセメントコーティング85の保持を容易にすることができる。1つ以上の突出部49に沿って、他の保持構造の幾何形状を使用することができることを理解されたい。
【0105】
図13Dに示されるように、近位プラグ部材470は、固定構成要素440の近位固定内側表面51と一時的に結合するように構成されることができる。近位プラグ部材470は、近位固定凹部53内に挿入するための遠位挿入部472を含むことができる。好ましくは、遠位挿入部472は、近位固定内側表面51の雌ねじとねじ切り係合するように雄ねじが切られている。このようにして、近位プラグ部材470は、セメント注入プロセス中に近位固定開口部50内へのセメント85の流動を閉塞し、防ぐことができる。したがって、近位プラグ部材470は、固定構成要素440の近位固定端部42のための「ねじプロテクタ」と称することもできる。
【0106】
次に図14A図14Cを参照すると、キャップ460は、上述のキャップ60と同様に構成される。したがって、キャップ460は、例えば、近位キャップ端部62、近位キャップ開口部70、内側キャップ表面71、キャップ凹部73、遠位キャップ端部64、及び外側キャップ表面66を含む、上述の様々な関連機構を含むことができる。しかしながら、本実施形態では、開窓12の代わりに、キャップ460は、好ましくは中心軸Cに対して中心に配置される遠位キャップ開口部75を含むことができる。遠位キャップ端部64は、複数のアーム465によって近位ハブ部463に接続された遠位キャップ部461によって画定され、複数のアームは、中心軸Cの周りで互いに円周方向に離間される。このようにして、キャップ460は、アーム465の間に円周方向に配置され、遠位キャップ開口部75と流体連通してそこを通るセメント85の流動を容易にする開口部又はチャネル466を画定する。このように構成されたキャップ460の1つの利点は、チャネル466をより広くすることができ、上述した開窓12などの開窓よりもキャップ460本体に沿ってより小さい接触表面積を提示することができ、したがって、セメント85の注入中にセメント85に対してより少ない抵抗を提供し得るということである。近位ハブ部463は、近位キャップ端部62、キャップ開口部70、内側キャップ表面71、及びキャップ凹部73を画定することができ、これらは上述のように構成されることができる。
【0107】
示されるように、キャップ460は、3つのアームを有することができ、これらのアームは、好ましくは、中心軸Cの周りで円周方向に(すなわち、120度間隔で)互いに均等に離間される。他の実施形態では、キャップ640は、1つ、2つ、4つ、5つ、又は5つを超えるアーム465を有することができ、これらのアームは、互いに均等に又は不均等に離間され得ることを理解されたい。図示のように、アーム465は、好ましくは、遠位キャップ開口部75を通して注入されるセメント85に対する抵抗(例えば、抗力)を低減するために、前縁部469に向かって先細になる遠位表面467を画定する。アーム463の前縁部469はまた、遠位キャップ部461から近位ハブ部463へと半径方向内向き、かつ遠位に先細になり得る。近位ハブ部463の遠位表面471は、キャップ460を通るセメント85の流動を容易にするように、丸みを帯びているか、又は別の方法で構成され得る。
【0108】
キャップ460は、一時的スペーサ1の最大断面積と同様の最大キャップ断面積を画定することができる。例えば、最大キャップ断面積は、一時的スペーサ1の最大断面積の70パーセント~100パーセントの範囲内、より具体的には一時的スペーサ1の最大断面積の85パーセント~95パーセントの範囲内、又は好ましくは一時的スペーサ1の最大断面積の約88パーセント~約92パーセントの範囲内とすることができる。前述の例示的な範囲について、一時的スペーサ1の最大断面積は、固定構成要素440によって画定され得ることを理解されたい。
【0109】
次に図15A図15Cを参照すると、モールド本体520は、一時的スペーサ1を形成するための上述のモールド本体120と同様に構成される。したがって、例えば、モールド本体520は、例えば、近位モールド端部121、近位モールド開口部131、外側モールド表面124、遠位モールド端部123、遠位モールド開口部133、モールド内腔136、モールド内側表面138、及び1つ以上のモールド孔545を含む、上述の様々な関連機構を含むことができる。上述したモールド本体120と同様に、本実施形態のモールド本体520は、スペーサコア405の所望の長さに合わせてその長さをカスタマイズ可能に構成される。したがって、モールド本体520は、所望の長さを決定するための視覚的補助を提供するために、特定の長さに対応する間隔(例えば、1mm間隔)で離間された一連のマーキング525などの視覚的印を含むことが好ましい。マーキング525は、モールド外側表面524上に描画、塗装、エッチング、陽極酸化、及び/又は刻まれることができる。好ましくは、モールド本体520はまた、半透明又は少なくとも半透明である材料から形成され、それによって、外科医又は他の有資格医療専門家が、形成プロセス中にモールド本体520の内側に配置されたスペーサコア405及び/又はセメントを見ることを可能にする。選択されたロッド420の長さに基づいて、遠位キャップ端部64は、好ましくは、スペーサコア405がモールド本体520に沿って配置されるときに、マーキング525のうちの1つと実質的に位置合わせすることを理解されたい。したがって、外科医は、モールド本体520に沿って遠位キャップ端部64を視覚的に参照して、モールド本体520の所望のカスタマイズされた長さを識別することができる。更に、外科医は、視覚的マーキングのうちの1つを、モールド本体520を切断するための所望の位置として任意選択的に指定することができる。モールド本体520は、好ましくは、マーキング525に沿って刻み目などの弱化部分を画定して、選択マーキング525で切断が行われるのを容易にするか、そうでなければ切断が行われるように方向付ける。
【0110】
ここで図16A図16Cを参照すると、モールド本体520は、モールドアセンブリ400の多機能切断デバイス又は「カッター」550などの切断デバイスを使用して、所望の長さに切断されるように構成される。モールド本体520はまた、非限定的な例として、外科用鋏又はメスなどの他の切断デバイスを使用して所望の長さに切断されることを容易にするように構成されることを理解されたい。本実施形態の多機能カッター550は、以下でより詳細に説明されるように、多機能切断(例えば、選択的な多方向切断)のためにモールド本体520と取り外し可能に結合するためのガイド形成部554を有する第1の支持部材552を含む。カッター550は、ブレード558などの切断部材を保持し、ヒンジ構造部560を介して第1の支持部材552に枢動可能に接続される、第2の支持部材556を含む。本実施形態では、ヒンジ構造部560は、コンプライアント(すなわち、可撓性)部材であり、これは、ヒンジ構造部560に沿った屈曲を誘発するように構成された複数の空洞又は開口によって画定することができる。ヒンジ構造部560は、示されるように、第1の支持部材552及び第2の支持部材556の両方とモノリシックであり得る。
【0111】
ガイド形成部554は、第1及び第2のそれぞれの切断方向に沿って第1及び第2のそれぞれの切断を行うための第1及び第2の取り付け形成部を画定することによって、多方向切断を行うように構成されることができる。例えば、第1の取り付け形成部は、第1のガイド軸X1に沿って位置合わせされた第1の対のスロット562とすることができ、第1のガイド軸X1は、モールド本体520が第1の対のスロット562を通って延在するときに中心軸Cと実質的に同軸であるように構成され、それによって、長手方向Lに実質的に垂直な横方向Tに沿ってブレード558(したがって、第1の切断方向)を位置合わせする。このようにして、モールド本体520を所望の長さに切断するために、モールド本体520を第1の対のスロット562に挿入することができる。ガイド形成部554はまた、ブレード558の切断経路の視覚的基準を外科医に提供するように構成され得る、間に隙間を画定する1つ以上の可視化突出部566などの基準形成部を含むことができる。このようにして、モールド本体520の長さを決定する切断を行うとき、外科医は、基準形成部566を使用して、切断経路を所望のマーキング525と位置合わせすることができる。第2の取り付け形成部は、第2のガイド軸X2に沿って位置合わせされた第2の対のスロット564とすることができ、第2のガイド軸X2は、モールド本体520が第2の対のスロット564を通って延在するときに中心軸Cと実質的に同軸であるように構成され、それによってブレード558(したがって第2の切断方向)を長手方向Lに沿って位置合わせする。このようにして、モールド本体520は、第2の対のスロット564を通って挿入されて、モールド本体520をその長さに沿って長手方向に切断(例えば、スライシング)し、セメントコーティング85が硬化した後にモールド本体520を一時的スペーサ1から切り離すことができる。
【0112】
ここで図17を参照すると、カッター550の別の実施形態では、ヒンジ構造部560は、第1の支持部材552と第2の支持部材556とを枢動可能に接合する枢動ピン568を使用することができる。この実施形態では、第1及び第2の支持部材552、556の近位端部570は、支点として作用する枢動ピン568を中心として互いに向かって押圧され、第1又は第2の対のスロット562、564のうちの1つを通してモールド本体520を挿入するために、カッター550を開くことができる。本実施形態のカッター550は、その他の点では図16A図16Cを参照して上記で説明されるカッター550と同様に構成されることができる。
【0113】
ここで図18A図18Cを参照すると、アダプタ580は、注入シリンジ210の注入管212などのセメント注入デバイス210の構成要素にモールド本体520を動作可能に結合するために、上述のアダプタ180とほぼ同様に構成される。したがって、アダプタ580は、遠位モールド端部123に結合するように構成された近位アダプタ端部181と、中心軸Cに沿って近位アダプタ端部181の反対側の遠位アダプタ端部183とを含む、上述のアダプタの様々な機構を含む。上述したように、遠位アダプタ端部183は、注入管212に動作可能に結合するように構成される。加えて、アダプタ580は、近位アダプタ端部181における近位アダプタ開口部191と、遠位アダプタ端部183における遠位アダプタ開口部193と、近位アダプタ開口部191から遠位アダプタ開口部193まで延在するアダプタ内壁188とを更に画定する。アダプタ内壁188は、注入管212からモールド本体内腔136への連続的な流体経路を提供するアダプタ内腔186を画定する。アダプタ580はまた、アダプタ外側表面587を画定し、これは、アダプタ580の円周又は部分円周に沿って環状に延在することができる外部凹部589などの取り付け形成部を画定することができる。
【0114】
本実施形態では、図18Bに示されるように、アダプタ580は、第1及び第2の保持機構582、584などの1つ以上の内部保持機構を含むことができ、これらは、モールド本体520及びセメント注入デバイス210がアダプタ内腔186内に完全に挿入又は「着座」されたときに、それらをそれぞれ確実に把持するように構成される。例えば、第1及び第2の保持機構582、584は各々、中心軸Cに向かって半径方向内向きに延在する複数のフィンガ又は歯586を有する環状保持リングとすることができる。保持リング582、584は、アダプタ内壁188内のそれぞれの環状凹部585内に存在することができる。歯586は、モールド本体520及び注入管212のそれぞれの外側表面を非破壊的に把持するように構成された幾何学的形状を有することができる。例えば、歯586は、可撓性材料から形成することができ、可撓性材料は、セメント注入プロセスの間、モールド本体520及び注入管212をアダプタ内腔186との位置に「保持する」のに十分な保持力で、それぞれ、モールド本体520及び注入管212を把持することができるが、モールド本体520及び注入管212をその後、歯586から非破壊的に切り離すこともできるようにする。
【0115】
好ましくは、アダプタ580はまた、モールド本体520をアダプタ580から解放するための第1の解放部材588、及び注入管212をアダプタ580から解放するための第2の解放部材590などの1つ以上の解放部材を含む。第1及び第2の解放部材588、590の一方又は両方は、管状挿入本体592と、管状挿入本体592から半径方向外向きに延在する作動フランジ594などのアクチュエータとを含むことができる。第1及び第2の解放部材588、590は、それぞれの中立位置で図18Bに示されている。解放部材588、590は、管状挿入本体592をアダプタ内腔186内に更に押し出すようにそれぞれの作動フランジ594を押圧し、管状挿入本体592の内側端部596をそれぞれの保持リング582、584の歯586に押し付けることによって、解放位置に選択的に作動させることができる。このようにして、解放位置にあるとき、管状挿入本体592は、歯586を偏向させて、それぞれモールド本体520又は注入管212との係合から外すことができ、それによって、外科医が、必要に応じて、それぞれのモールド本体520又は注入管212をアダプタ580から後退させることを可能にする。
【0116】
好ましくは、管状挿入本体592は、モールド本体520及び注入管212の両方ではなく一方をぴったりと受容するように定寸されたそれぞれの内腔599を画定する、内部表面598を画定する。例えば、第1の解放部材588の内部表面598は、遠位モールド端部123が第1の解放部材588の内腔599内にぴったりと受容され得るように、遠位モールド端部123の外径と実質的に等しい内径D1を画定することができる。前述の直径は、第2の解放部材590の内部表面598の内径D2よりも大きくすることができ、この内径D2は、注入管212の外径と実質的に等しくすることができるので、注入管212を第2の解放部材590の内腔599内にぴったりと受容することができる。このようにして、遠位モールド端部123は、第2の解放部材590の内腔599内に嵌合せず、したがって、遠位モールド端部123がアダプタ580の適切な端部(すなわち、近位アダプタ端部181)内に挿入されることを確実にする。したがって、遠位モールド端部123がアダプタ580内に挿入されると、注入管212は、アダプタ580のその関連する端部(すなわち、遠位アダプタ端部183)内にのみ挿入されることができる。他の実施形態では、注入管212は、遠位モールド端部123の外径よりも大きい外径を有することができることを理解されたい。更に他の実施形態では、注入管212及び遠位モールド端部123は、実質的に同等の外径D1、D2を有することができ、それぞれ、両方の解放部材588、590の内腔599内にぴったりと嵌合することができる。
【0117】
遠位アダプタ端部183は、標準タイプの注入シリンジと結合するように構成されるのが好ましく、そうすることで、そのような標準タイプの注入シリンジを使用する多数の様々な注入デバイスと共に注入のためにアダプタ580を使用できるなどの、重要な利点を提供することを理解されたい。
【0118】
ここで図19A図19Bを参照すると、モールドアセンブリ400は、セメント注入プロセス中に外科医に把持支持を提供するために、アダプタ580と共に使用するためなどの把持又は「ハンドル」部材600を含むことができる。ハンドル部材600は、中央マウント部602と、横方向Tに沿ってそこから反対方向に延在する一対の延在部604とを含むことができる。中央マウント部602は、外部凹部589などのアダプタ580の相補的構造に係合するためのスロット605を画定することができる。延在部604は、外科医の指がセメント注入プロセス中にアダプタ580を効果的に把持するための把持支持を提供することができる、フィンガホールドを提供するように構成されたスカロップなどの把持形成部606を含むことができる。
【0119】
ここで図20A図20Cを参照すると、モールドアセンブリ400は、一時的スペーサコア405の遠位端部から余剰セメント85をクリーニングするための成形ツール610を含むことができる。成形ツール610は、近位端部612と、長手方向Lに沿って近位端部612から離間された反対側の遠位端部614と、遠位端部614から近位端部612に向かって延在する把持部616とを有する。把持部616は、外科医による操作を容易にするために、凹部、ローレットなどの把持機構618を画定するのが好ましい。成形ツール610は、近位端部612においてクリーニング形成部620を含む。図20Cに示されるように、クリーニング形成部620は、遠位キャップ端部64に係合するように、遠位モールド端部123においてモールド内腔136内に挿入されるように構成される。クリーニング形成部620は、好ましくはキャップ460の遠位端部64の形状と相補的な凹形状を有する、係合表面622を画定する。クリーニング形成部620はまた、キャップ460から離れる方向に余剰セメントを運ぶための複数のチャネル624を画定する。チャネル624は、螺旋状の経路に沿って延在することができ、クリーニング形成部620から遠位端部614まで延在するツール内腔626と流体連通することができる。チャネル624は、キャップ460から除去された余剰セメント85を受容して収容するように構成されるのが好ましく、また、収容のために余剰セメント85をツール内腔626内に内向きに方向付けるように構成されるのが好ましい。チャネル624は、余剰セメントの一部を内腔626を通して遠位端部614から外へ方向付けることができるが、遠位端部614から外へのそのような搬送は、成形ツール610がキャップ460から余剰セメントを十分にクリーニングするために必要ではないことを理解されたい。
【0120】
ここで図21を参照すると、モールドアセンブリ400は、一時的セメントスペーサ1を形成するためのキット700内に提供され得る。本実施形態のキット700は、モールド本体520、少なくとも1つのアダプタ580、固定構成要素440、少なくとも1つの孔プラグ555、少なくとも1つのロッド420、及びキャップ460を含むことができる。前述の構成要素の様々な組み合わせは、任意選択で、上述のように既に接続されてキット700内に提供され得ることを理解されたい。キット700のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのロッド420は、複数のロッド420、例えば、2本、3本、4本、5本、6本、7本、8本、9本、10本、又は10本を超えるロッド420を含むことができる。好ましい実施形態では、複数のロッド420の各ロッド420は、他の各ロッド420の長さとは異なる長さを有する。したがって、キット700は、外科医又は他の医療専門家が、所望のスペーサの長さを有する一時的スペーサ1を形成するために使用する所望のロッドの長さを有するロッド420を選択することを可能にし、それによって、外科医が、患者固有の解剖学的構造に基づいてスペーサコア405をカスタマイズすることを可能にする。
【0121】
キット700は、一時的スペーサ1を形成するためのシステム全体を含む単回使用キットであってもよいことを理解されたい。そのような実施形態では、キット700は、セメント注入デバイス210と、セメント混合デバイスと、1つ以上の事前包装された量のセメント材料とを含むことができる。そのような実施形態の単回使用キット700はまた、形成された一時的スペーサ1を患者の解剖学的構造に埋め込むための構成要素を含むことができる。例えば、キット700は、挿入器具300と、固定構成要素440の近位端部に結合するための付随する挿入ねじ303とを含むことができる。キット700は、固定孔555内にそれぞれ配置され、一時的スペーサ1を骨に固定するように構成された、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は8つを超える固定ねじなどの複数の固定ねじなど、少なくとも1つの固定骨ねじを更に含むことができる。
【0122】
キット700は、インプラントを取り外して一時的に置き換えるためなどの外科的修正処置を行う方法において使用することができる。この手順は、抗菌剤溶出一時的セメントスペーサ1を形成するか、さもなければ構築する方法を含むことができる。一時的スペーサを構築するためのそのような方法の一実施例は、非限定的実施例として、キット700内の複数のロッド420から、例えば、285mm、315mm、330mm、345mm、360mm、375mm、及び405mmのそれぞれの長さを有する複数の7つのロッド420から、所望の長さを有するロッド420を選択する工程を含む。外科医は、上述の方法で、選択されたロッド420の近位ロッド端部22を固定構成要素440に結合し、遠位ロッド端部24をキャップ460に結合することによって、スペーサコア405を組み立てることができる。所望の長さのモールド本体520は、例えば、組み立てられたスペーサコア405をモールド本体520に沿って配置し、遠位キャップ端部64と位置合わせするモールド本体520上のマーキング525を識別することによって決定されることができる。外科医は、基準形成部566がそれぞれのマーキング525と位置合わせするようにモールド本体520をカッター550の第1の対のスロット562の中に挿入することによって、それぞれのマーキング525で切断するようにモールド本体520を準備することができ、その後、ブレード558を使用して、マーキング525でモールド本体520を切断することができる。次いで、カッター550をモールド本体520から取り外すことができる。
【0123】
その後、外科医は、組み立てられたスペーサコア405を近位モールド開口部131を通して内腔136内に挿入することによって、モールドの組み立てを開始することができる。外科医は、固定構成要素440の固定孔55をモールド本体520内の関連するモールド孔145と位置合わせし、孔プラグ555のうちの1つ以上を、対応の1つ以上のモールド孔145及び対応の1つ以上の固定孔55を通して挿入することができる。各孔プラグ555は、モールド本体520内でのスペーサコア405の適切な方向付けを確実にすることができ、また、モールド本体520内に骨セメントを注入する間に生じる圧力に応答してモールド本体520に対してスペーサコア405が移動するのを防ぐことができることを理解されたい。アダプタ580は、モールド本体520に結合されることができる。特に、遠位モールド端部123は、アダプタ内腔186内に完全に着座するまで近位アダプタ開口部191内に挿入されることができる。この段階で、モールドは、完全に構築されているか、又は少なくとも実質的に完全に構築されていると特徴付けることができる。構築されたモールドは、骨セメントが混合され、モールドへの注入の準備が整うまでの間、放置されることができる。
【0124】
セメント注入を容易にするために、注入デバイス210の注入管212は、アダプタ内腔186内に完全に着座してモールド内腔136と流体連通するまで、遠位アダプタ開口部193内に挿入されることができる。好ましくは、セメントが混合されたらすぐに、注入デバイス210を使用して、混合されたセメントを注入管212を通してモールド内に、具体的には遠位キャップ開口部75を通してチャネル466に沿って、ロッド外側表面26と内側モールド表面138との間の環状空間内に、好ましくは一定の速度で注入する。注入の間、外科医は、半透明のモールド本体520を通して、モールドを通って進行するセメントを観察するのが好ましい。注入は、セメントが固定構成要素440の主要凹表面部449に沿って、その1つ以上の突出部49の周囲に押し込まれるように継続される。好ましくは、注入は、少なくともセメントが固定構成要素440の近位端部でチャネル447に到達するまで継続する。必要であれば、近位プラグ部材470が近位固定内側表面51内に挿入され、その中のねじ山がセメントと接触するのを防ぐことができる。
【0125】
モールドが充填された後、モールド本体520は、アダプタ580から取り外されることができ、これは、上述の方法で第1の解放部材588を押し下げることによって容易に行うことができる。いったん取り外されると、アダプタ580及び注入デバイス210は廃棄され得る。アダプタ580がモールド本体520から取り外された後、成形ツール610が使用され、遠位キャップ端部64から余剰セメントを除去する。特に、クリーニング形成部620は、上述したように、係合表面622が遠位キャップ端部64に係合するように、モールド内腔136内に挿入され得る。外科医は、成形ツール610を中心軸Cの周りに回転させて、余剰セメントを除去することができる。クリーニングする工程は、セメントが硬化する過程で数回繰り返されることができ、硬化プロセスにおいてセメントが練り粉状態に達するまで必然的に繰り返すことができることを理解されたい。好ましくは、遠位キャップ端部64は、クリーニングする工程の終了時に見えるようになる。完全に組み立てられ、注入されたモールドは、骨セメントが完全に硬化するまで放置されることができる。
【0126】
セメントが硬化した後、外科医は、モールド本体520をスペーサコア405から取り外す準備として、1つ以上の孔プラグ555及び近位プラグ部材470を取り外すことができる。取り外しのために、モールド本体520は、カッター550の第2の対のスロット564内に挿入されることができ、ブレード558を使用して、モールド本体520の長さに沿って第1の長手方向スリットを切断することができる。第1の長手方向スリットが切断された後、モールド本体520は、カッター550に対して中心軸Cを中心に、例えば軸Cを中心に180°回転させることができ、第2の長手方向スリットは、同様にモールド本体520の長さに沿って切断されることができる。第1及び第2の全長スリットが切断された後、外科医は、切断されたモールド本体の対向する部分を把持して、モールド本体をスペーサコア405から分離することができる。以上の工程により形成された一時的スペーサ1を図22に示す。次いで、外科医は、上述したように、一時的スペーサ1を挿入器具300に結合するなど、一時的スペーサ1を埋め込むために準備することができる。
【0127】
上述した一時的スペーサ1、モールドアセンブリ、及びその構成要素の様々な機構は、外科用システムの例示的な機構として提供されていることを理解されたい。これらの特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて調整されることができる。
【0128】
本明細書において、要素、構成要素、寸法、又はそれらの特徴(例えば、「第1の」部材、「第2の」部材など)に関して数的な前置詞(例えば、「第1の」、「第2の」、「第3の」)が使用される場合、かかる数的な前置詞は、当該要素、構成要素、寸法、及び/又は特徴を別のかかる要素、構成要素、寸法、及び/又は特徴から区別するために使用され、その場合に使用される特定の数的な前置詞に限定されるものではないことを更に理解されたい。例えば、「第1の」部材は、数的な前置詞が使用される文脈で当該部材が適切に区別されたままである限り、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる文脈で「第2の」部材と称することもできる。
【0129】
本開示を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、代用、及び改変を行い得る点を理解されたい。更に、本開示の範囲は、本明細書に説明される特定の実施形態に限定されるものではない。特に、前述の実施形態からの特徴のうちの1つ以上は、本明細書の他の実施形態において使用されることができる。当業者がそのプロセスから容易に理解するように、本明細書において説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施する、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は後に開発される機械、製造法、組成物、手段、方法、又は工程は、本開示に従って利用され得る。
【0130】
〔実施の態様〕
(1) 一時的セメントスペーサであって、
スペーサコアであって、
前記スペーサコアの中心軸を画定し、近位ロッド端部と、前記中心軸に沿って前記近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部と、を有するロッドであって、前記ロッドが前記近位ロッド端部と前記遠位ロッド端部との間に延在する外側ロッド表面を更に画定している、ロッドと、
遠位固定端部と、前記中心軸に沿って前記遠位固定端部の反対側の近位固定端部とを画定する固定構成要素であって、前記遠位固定端部が前記近位ロッド端部で前記ロッドに取り付けられ、前記固定構成要素が前記中心軸に対して半径方向に前記固定構成要素を通って延在する少なくとも1つの固定孔を更に画定し、前記少なくとも1つの固定孔が固定ねじを受容するように構成されている、固定構成要素と、
近位キャップ端部と、前記中心軸に沿って前記近位キャップ端部の反対側の遠位キャップ端部とを画定するキャップであって、前記近位キャップ端部が前記遠位ロッド端部に取り付けられている、キャップと
を含む、スペーサコアと、
前記外側ロッド表面の少なくとも一部を取り囲むセメントコーティングであって、前記セメントコーティングがセメント材料と1つ以上の抗菌剤との混合物を含む、セメントコーティングと、を備え、
前記キャップが埋め込み中に前記一時的スペーサの先端を画定するように構成されている、
一時的セメントスペーサ。
(2) 前記外側ロッド表面が前記近位ロッド端部にねじ切り表面を含み、前記遠位固定端部が前記近位ロッド端部とねじ係合するように構成された遠位固定開口部を画定し、
前記外側ロッド表面が前記遠位ロッド端部に別のねじ切り表面を含み、前記近位キャップ端部が前記遠位ロッド端部とねじ係合するように構成された近位キャップ開口部を画定している、実施態様1に記載の一時的セメントスペーサ。
(3) 前記固定構成要素が、前記近位固定部が前記中心軸に対して約5度~約20度の範囲の角度だけ角度的にオフセットされるように、前記遠位固定端部から前記近位固定端部まで軸方向に延在している、実施態様1又は実施態様2に記載の一時的セメントスペーサ。
(4) 前記キャップが、前記中心軸に垂直な平面において断面積を画定し、前記キャップ断面積が、前記一時的スペーサの最大断面積の少なくとも約90パーセントである、実施態様1~3のいずれかに記載の一時的スペーサ。
(5) 前記固定構成要素が、前記近位固定端部から前記遠位固定端部まで延在する外側固定表面を画定している、実施態様1~4のいずれかに記載の一時的スペーサ。
【0131】
(6) 前記外側固定表面の大部分が、主要凹表面部と、前記少なくとも1つの固定孔を取り囲む少なくとも1つの突出部とを画定し、前記少なくとも1つの突出部が、前記主要凹表面部から半径方向外向きに離間した外側表面を画定し、前記セメントコーティング(1)が、前記主要凹表面部から半径方向外向きに延在し、(2)が前記外側突出表面と同一平面である、実施態様5に記載の一時的スペーサ。
(7) 前記主要凹表面部が、前記遠位固定端部から前記近位固定端部に向かって延在し、前記固定構成要素の外周全体の周りに更に延在している、実施態様6に記載の一時的スペーサ。
(8) 前記少なくとも1つの突出部が、互いに向かって、かつ前記中心軸に向かって内向きに先細になる対向する側面を画定している、実施態様6又は実施態様7に記載の一時的スペーサ。
(9) 前記キャップが、前記中心軸の周りで中心に位置する遠位キャップ開口部を備え、前記キャップが、前記遠位キャップ開口部と流体連通し、前記遠位キャップ開口部から前記キャップ近位端部に向かって延在する複数のチャネルを画定している、実施態様1~8のいずれかに記載の一時的スペーサ。
(10) 前記キャップが、前記遠位キャップ開口部を画定する遠位キャップ部と、前記遠位キャップ部から近位に離間された近位ハブと、前記遠位キャップ部から前記近位ハブまで近位に延在する複数のアームとを画定し、前記チャネルが、前記アームのうちのそれぞれの隣接するものの間に円周方向に画定されている、実施態様9に記載の一時的スペーサ。
【0132】
(11) 一時的スペーサを形成するためのモールドアセンブリであって、
スペーサコアであって、
前記モールドアセンブリの中心軸を画定し、近位ロッド端部と、前記中心軸に沿って前記近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部とを有するロッドであって、前記ロッドが前記近位ロッド端部と前記遠位ロッド端部との間に延在する外側ロッド表面を更に画定している、ロッドと、
遠位固定端部と、前記中心軸に沿って前記遠位固定端部の反対側の近位固定端部とを画定する固定構成要素であって、前記遠位固定端部が前記近位ロッド端部で前記ロッドに取り付けられ、前記固定構成要素が、前記中心軸に対して半径方向に前記固定構成要素を通って延在する少なくとも1つの固定孔を更に画定し、前記少なくとも1つの固定孔が固定ねじを受容するように構成されている、固定構成要素と、
を含む、スペーサコアと、
前記中心軸に沿って延在するモールド本体であって、前記モールド本体が、近位モールド端部と、前記中心軸に沿って前記近位モールド端部の反対側の遠位モールド端部とを画定し、前記近位モールド端部が近位モールド開口部を含み、前記遠位モールド端部が遠位モールド開口部を含み、前記モールド本体が、前記近位モールド開口部と前記遠位モールド開口部との間に延在する内側モールド表面を画定し、前記内側モールド表面がモールド内腔を画定し、前記スペーサコアが、前記固定構成要素が前記近位モールド端部において前記モールド内腔内に配置されるように、前記モールド内腔内に配置されている、モールド本体と、
前記少なくとも1つの固定孔内に配置された少なくとも1つの孔プラグと、
前記遠位モールド端部で前記モールド本体に動作可能に結合するように構成されたアダプタであって、前記アダプタが、骨セメント注入デバイスから前記遠位モールド開口部を通って前記モールド内腔への流体経路を提供するように、前記モールド本体を前記骨セメント注入デバイスに動作可能に結合するように構成されている、アダプタと
を備える、モールドアセンブリ。
(12) 前記モールド本体が、少なくとも1つのモールド孔を更に備え、前記少なくとも1つのモールド孔が、前記中心軸に対して半径方向に前記モールド本体及び前記モールド内腔を通って延在し、前記少なくとも1つの孔プラグが、前記少なくとも1つのモールド孔内に配置されるように構成されている、実施態様11に記載のモールドアセンブリ。
(13) 前記少なくとも1つのモールド孔が、前記少なくとも1つの固定孔と位置合わせされ、前記少なくとも1つの孔プラグが、前記少なくとも1つの固定孔と前記少なくとも1つのモールド孔の両方の中に配置されている、実施態様12に記載のモールドアセンブリ。
(14) 前記モールド本体を長手方向に沿って測定される所望の長さに切断するように構成されたブレードを有する切断デバイスを更に備え、前記中心軸が、前記長手方向に沿って方向付けられ、前記半径方向が、前記長手方向に垂直である、実施態様11~13のいずれかに記載のモールドアセンブリ。
(15) 前記切断デバイスが、前記ブレードが前記長手方向に対して垂直な横断方向に沿って方向付けられるように、前記モールド本体を受容し、前記ブレードに対して前記モールド本体を保持するように構成された第1の取り付け形成部を有する、実施態様14に記載のモールドアセンブリ。
【0133】
(16) 前記切断デバイスが、前記ブレードが前記長手方向に沿って方向付けられるように、前記モールド本体を受容し、前記モールド本体を前記ブレードに対して保持するように構成された第2の取り付け形成部を更に有し、前記ブレードが、前記モールド本体を前記近位モールド端部から前記遠位モールド端部まで長手方向にスライスするように構成されている、実施態様14又は実施態様15に記載のモールドアセンブリ。
(17) 一時的セメントスペーサを形成するためのキットであって、
近位ロッド端部及び前記近位ロッド端部の反対側の遠位ロッド端部を画定する少なくとも1つのロッドと、
前記ロッドに動作可能に結合するように構成された固定構成要素であって、前記固定構成要素が、遠位固定端部及び前記遠位固定端部の反対側の近位固定端部を画定し、前記遠位固定端部が、前記近位ロッド端部で前記ロッドに取り付けられるように構成され、前記固定構成要素が、前記固定構成要素を通って延在し、固定ねじを受容するように構成された少なくとも1つの固定孔を更に画定し、前記少なくとも1つのロッド及び前記固定構成要素が、動作可能に結合されたときにスペーサコアを形成するように構成されている、固定構成要素と、
前記少なくとも1つの固定孔の中に取り外し可能に配置されるように構成された少なくとも1つの孔プラグと、
近位モールド端部と、前記近位モールド端部の反対側の遠位モールド端部と、前記近位モールド端部及び前記遠位モールド端部から延在する外側モールド表面とを画定するモールド本体であって、前記モールド本体が、前記近位モールド端部における近位モールド開口部と、前記遠位モールド端部における遠位モールド開口部と、前記近位モールド開口部と前記遠位モールド開口部との間に延在する内側モールド表面とを更に画定し、前記内側モールドサービスが、それらの間に延在するモールド内腔を画定し、前記スペーサコアが、前記モールド内腔内に配置されるように構成されている、モールド本体と、
前記遠位モールド端部で前記モールド本体に動作可能に結合するように構成されたアダプタであって、前記アダプタが、骨セメント注入デバイスから前記モールド内腔への流体経路を提供するように、前記遠位モールド開口部に前記セメント注入デバイスを結合するように更に構成されている、アダプタと、
前記遠位ロッド端部に動作可能に結合するように構成されたキャップと、
を備える、キット。
(18) 前記少なくとも1つのロッドが、複数のロッドを備え、前記複数のロッドのうちの各ロッドが、前記近位ロッド端部と前記遠位ロッド端部との間で測定された長さを有し、各ロッドの長さが、前記複数のロッドの任意の他のロッドの長さと異なる、実施態様17に記載のキット。
(19) 挿入器具を更に備え、前記挿入器具が、前記固定構成要素の前記近位端部に動作可能に結合するように構成され、前記挿入器具が、前記一時的スペーサを埋め込むように構成されている、実施態様17又は実施態様18に記載のキット。
(20) 前記キャップの遠位表面に対して相補的な形状を有する近位ツール表面を有するツールを更に備え、前記ツールが、前記近位表面から陥凹した複数のチャネルを画定し、前記ツールが、余剰セメントを前記キャップから除去する方法で、前記遠位キャップ表面を前記近位ツール表面と係合するように構成され、前記複数のチャネルが、前記余剰セメントの少なくとも一部を前記キャップから離れるように方向付けるように構成されている、実施態様17~19のいずれかに記載のキット。
【0134】
(21) 抗菌剤溶出一時的セメントスペーサを準備する方法であって、前記方法が、
スペーサコアをモールド本体の内腔に挿入する工程であって、前記スペーサコアが、ロッドと、前記ロッドに接続された固定構成要素とを含み、前記固定構成要素が少なくとも1つの固定孔を含む、工程と、
骨セメント注入デバイスをアダプタを介して前記モールド本体に結合して、前記骨セメント注入デバイスから前記モールド本体の前記内腔内への流体経路を提供する工程と、
少なくとも1つの孔プラグを前記少なくとも1つの固定孔内に配置する工程と、
1つ以上の抗菌剤を含む骨セメント材料を、前記流体経路を通して、かつ前記ロッドの外側表面の少なくとも一部に沿って、前記モールド本体の前記内腔内に注入する工程と、
前記スペーサコア上にセメントコーティングを形成するように、前記外側ロッド表面上の前記骨セメント材料を硬化させ、それによって前記抗菌剤溶出一時的セメントスペーサを形成する工程と、
前記骨セメント注入デバイスを前記モールド本体から切り離す工程と、
前記少なくとも1つの孔プラグを前記少なくとも1つの固定孔から取り外す工程と、
前記モールド本体を前記抗菌剤溶出一時的セメントスペーサから分離する工程と
を含む、方法。
(22) 前記スペーサコアを前記モールド内腔に挿入する前記工程の前に、前記ロッドを前記固定構成要素に接続する工程を更に含み、前記接続する工程が、前記ロッドの近位端部を前記固定構成要素の遠位端部に動作可能に結合する工程を含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記モールド本体が、近位モールド端部から対向する遠位モールド端部まで測定されたモールドの長さを画定し、前記方法が、前記近位モールド端部又は前記遠位モールド端部のいずれかから前記モールド本体の長さの一部を取り外す工程を含む、実施態様21又は実施態様22に記載の方法。
(24) 前記モールド本体が、前記近位モールド端部から前記遠位モールド端部まで延在する外側モールド表面を画定し、前記モールド本体が、前記外側モールド表面から前記モールド内腔を通って延在する少なくとも1つのモールド孔を含み、前記方法が、前記少なくとも1つの固定孔を前記少なくとも1つのモールド孔と位置合わせする工程を含み、前記少なくとも1つの孔プラグを前記少なくとも1つの固定孔内に配置する前記工程が、前記少なくとも1つの孔プラグを前記少なくとも1つのモールド孔内に配置する工程を更に含む、実施態様21~23のいずれかに記載の方法。
(25) キャップを前記ロッドに取り付ける工程を更に含み、前記キャップが、近位キャップ端部及び対向する遠位キャップ端部を画定し、前記近位キャップ端部が、前記ロッドの遠位端部に動作可能に結合され、骨セメント材料を注入する前記工程が、前記遠位キャップ端部から前記近位キャップ端部に向かって前記キャップを通って延在する複数のチャネルを通して前記骨セメント材料を押し出す工程を含む、実施態様21~24のいずれかに記載の方法。
【0135】
(26) 骨セメント材料を注入する前記工程が、前記骨セメント材料を、遠位キャップ開口部を通して、前記複数のチャネルを通して、前記モールド内腔内に押し出す工程を含む、実施態様25に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図21
図22
【国際調査報告】