(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】非結合型ビリルビンのためのマイクロ流体に基づく検定評価
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20230919BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230919BHJP
G01N 33/72 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
G01N1/00 101F
G01N37/00 101
G01N33/72 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514971
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021049203
(87)【国際公開番号】W WO2022051703
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518371445
【氏名又は名称】バービーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAEBIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エイ バスマジアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー エルダーブルーム
(72)【発明者】
【氏名】マイスリ クリシュナムルティ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ブルデ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ボソ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ハル
(72)【発明者】
【氏名】レイナー ウン
(72)【発明者】
【氏名】ビジェイ スリニバサン
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナ シスタ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァムシー パムラ
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA53
2G045FB01
2G045FB12
2G045HA01
2G045HA10
2G045JA07
2G052AA30
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052CA03
2G052CA04
2G052CA08
2G052DA05
2G052DA22
2G052DA23
2G052GA28
2G052GA29
2G052HA12
2G052HA19
2G052HC03
2G052HC06
2G052HC32
2G052HC42
2G052JA06
2G052JA07
2G052JA08
2G052JA13
(57)【要約】
血液試料をマイクロ流体デバイスに装填することと、血液試料を、界面活性剤を含む緩衝試薬と結合させて、希釈された血液試料を提供し、検定評価を行うこととによって、血液試料中の分析物を検定評価する方法。界面活性剤は、血液試料を使用した液滴操作を行うように、電気湿潤の使用を許可し、かつ、蛍光に基づく液滴操作の使用を許可するように選択される。検定評価は、非結合型ビリルビン検定評価であることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料中の分析物を検定評価する方法であって、
a.検定評価される1つ以上の分析物を含む血液試料をマイクロ流体デバイスに装填することと、
b.前記血液試料を、界面活性剤を含む緩衝試薬と結合させて、希釈された血液試料を提供することであって、前記界面活性剤は、前記血液試料を使用した液滴操作を行うよう電気湿潤を可能とするように選択されることと、
c.前記希釈された血液試料から1つ以上の試料液滴を前記マイクロ流体デバイスの液滴操作ギャップに分注することであって、前記ギャップがオイル填隙剤液体を含むことによって、希釈された血液試料液滴を提供することと、
d.希釈された血液試料液滴を検定評価反応ゾーンに移送することと、
e.生化学的検定評価を開始することと、
f.任意に、ステップ(d)および(e)を1回以上繰り返すことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記血液試料は、全血試料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、前記希釈された血液試料を処理して、検定評価される1つ以上の分析物を含む処理済み血液試料を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理は、前記希釈された血液試料を溶解することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記処理済み血液試料は、血液成分を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記血液成分は、血漿を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記緩衝試薬は、更に、グルコース試薬を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記界面活性剤は、前記全血試料の有意な溶解を引き起こすことなく、全血試料液滴を電気湿潤することを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記界面活性剤は、蛍光信号を最小化または排除するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記非イオン性界面活性剤は、Tween(登録商標)80を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記非イオン性界面活性剤は、Facade(登録商標)-TEMを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤は、双性イオン界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記双性イオン界面活性剤は、11:0 Lyso PCを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記生化学的検定評価は、血漿液滴中の非結合型ビリルビンを測定するための酵素的蛍光に基づく検定評価である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
血漿液滴中の非結合型ビリルビンを測定する方法であって、
a.グルコース緩衝剤を含む血漿液滴と、電気湿潤媒介液滴操作を使用して蛍光に基づく非結合型ビリルビン検定評価を実施して、検定評価ステップを実行するのに適した界面活性剤とを提供することと、
b.前記血漿液滴を少なくとも3つの試料液滴に分裂させ、前記非結合型ビリルビン検定評価を開始することであって、
i.第1の試料液滴を緩衝剤液滴と結合させて、対照反応液滴を提供し、
ii.第2の試料液滴を酵素試薬液滴と結合させて、短い反応液滴を提供し、
iii.第3の試料液滴を第2の酵素試薬液滴と結合させて、長い反応液滴を提供する
ことと、
c.時間t1にて、前記対照反応液滴および前記短い反応液滴を停止反応液滴と結合させて、対照反応液滴および短い反応液滴を提供し、前記短い反応液滴中のあらゆる非結合型ビリルビンを酸化することによって、t1分解物液滴を提供することと、
d.時間t2にて、前記長い反応液滴を停止反応液滴と結合させて、長い反応液滴を提供し、前記長い反応液滴中に残っているあらゆる非結合型ビリルビンを酸化することによって、t2分解物液滴を提供することと、
e.前記対照反応液滴、t1分解物液滴、およびt2分解物液滴を緩衝試薬で希釈して、検出試薬と結合するための希釈された対照反応液滴、希釈されたt1分解物液滴、および希釈されたt2分解物液滴を提供することと、
f.前記希釈された対照反応液滴、t1分解物液滴、およびt2分解物液滴を検出試薬と結合させて、対照/検出試薬液滴、短い反応/検出試薬液滴および長い反応/検出試薬液滴を提供することと、
g.前記対照/検出試薬液滴、短い反応/検出試薬液滴、および長い反応/検出試薬液滴中の反応生成物を検出して、前記血漿液滴中の非結合型ビリルビンの量を決定することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記酵素試薬液滴は、グルコースオキシダーゼ(GOD)およびペルオキシダーゼ(POD)を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記停止反応液滴は、アスコルビン酸を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
時間t1は、約48秒である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記時間t2は、約120秒である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
希釈された各反応液滴を検出試薬と結合させることは、希釈された反応液滴を、乾燥検出試薬を含む特定の液滴操作電極に移送し、前記乾燥検出試薬を再構成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
非結合型ビリルビンを検出するための前記乾燥検出試薬は、UnaGである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
反応生成物の検出は、UnaG蛍光信号を測定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記血漿液滴中の非結合型ビリルビンの前記量を決定することは、前記対照/検出試薬液滴と、短いおよび長い反応/検出試薬液滴との間の前記UnaG蛍光信号の差を決定することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
血液試料中の分析物を検定評価する方法であって、
a.血液試料または希釈された血液試料から1つ以上の試料液滴を前記マイクロ流体デバイスの液滴操作ギャップに分注することと、
b.前記1つ以上の試料液滴のそれぞれに対して生化学的検定評価を開始して、前記希釈された血液試料液滴中の非結合型ビリルビンを検出することと、
を含む、方法。
【請求項26】
前記試料液滴はそれぞれ、約5mL未満の体積を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記マイクロ流体デバイスは、電気湿潤カートリッジを含み、前記装填すること、結合すること、分注すること、および/または開始することは、電気湿潤媒介液滴操作を使用して実行される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記血液試料は、全血、血漿または血清である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
コンピュータプロセッサおよび電気湿潤カートリッジを備えるシステムであって、前記プロセッサが前述した請求項のいずれか一項に記載の前記方法を実行するようにプログラムされている、システム。
【請求項30】
電気湿潤カートリッジと、前述した請求項のいずれか一項に記載の前記方法を実行するのに十分な試薬とを含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年9月4日に出願された米国仮特許出願第63/074580号および2020年12月9日に出願された米国仮特許出願第63/123138号の優先権および利益を主張するものであり、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
主題は、血液中の高ビリルビンレベル(高ビリルビン血症)について新生児をスクリーニングするためのデバイスおよび方法に関し、より具体的には、マイクロ流体プラットフォームを利用して、血液中の結合していない高レベルの非抱合型(間接)ビリルビンについて新生児をスクリーニングすることに関する。
【背景技術】
【0003】
ビリルビンスクリーニングは、血液中の高ビリルビンレベル(高ビリルビン血症)について新生児をスクリーニングする一般的な方法である。ビリルビンは、結合型および非結合型の2つの形態で血液中に存在し得る。結合型ビリルビンは、アルブミンに結合した非抱合型(または間接)ビリルビンである。非結合型ビリルビンには、アルブミンに結合していない非抱合型(間接)ビリルビンおよび抱合型(直接)ビリルビンが含まれる。新生児の場合、問題となり得るのは、高レベルの結合していない非抱合型(間接)ビリルビンであり、何故なら、分子が比較的小さく、血液脳関門を通過して核黄疸として知られる状態を引き起こし得るからである。
【0004】
血液試料中の非結合型ビリルビンを測定するために、様々な検定評価が開発されてきた。例えば、酸化分解反応を使用して、非結合型ビリルビンを酸化し、吸光度損失率を使用して試料中の非結合型ビリルビンの量を判定することができる(非特許文献1および非特許文献2、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。しかしながら、酸化分解法は、非抱合型ビリルビンに特異的なものではない。
【0005】
より最近では、非抱合型ビリルビンに特異的なタンパク質であるUnaGを使用して非抱合型ビリルビンを検出するための蛍光に基づく方法が記載されている(非特許文献3、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。酸化分解とUnaG結合との組み合わせを使用した非結合型ビリルビンのスクリーニング方法が記載されている(「Measurement method for unbound bilirubin in blood sample」と題された特許文献1、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。しかしながら、非結合型(非抱合型)ビリルビンをスクリーニングするための現在の技術は、出生時の検査システムでは容易に提供されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際出願PCT/JP2016/060327号明細書
【特許文献2】米国特許第6911132号明細書
【特許文献3】米国特許出願第11/343284号明細書
【特許文献4】国際出願PCT/US2006/047486号明細書
【特許文献5】米国特許第6773566号明細書
【特許文献6】米国特許第6565727号明細書
【特許文献7】米国特許出願第10/343261号明細書
【特許文献8】米国特許出願第11/275668号明細書
【特許文献9】米国特許出願第11/460188号明細書
【特許文献10】米国特許出願第12/465935号明細書
【特許文献11】米国特許出願第12/513157号明細書
【特許文献12】米国特許第7547380号明細書
【特許文献13】米国特許第7163612号明細書
【特許文献14】米国特許第7641779号明細書
【特許文献15】米国特許第6977033号明細書
【特許文献16】米国特許第7328979号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2006/0039823号明細書
【特許文献18】国際公開第2009/003184号パンフレット
【特許文献19】米国特許出願公開第2009/0192044号明細書
【特許文献20】米国特許第7052244号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2008/0124252号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2009/0321262号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2005/0179746号明細書
【特許文献24】国際出願PCT/US2010/040705号明細書
【特許文献25】米国特許第7727466号明細書
【特許文献26】国際公開第2008/101194号パンフレット
【特許文献27】米国特許出願公開第2011/0118132号明細書
【特許文献28】国際公開第2010/027894号パンフレット
【特許文献29】国際公開第2009/021173号パンフレット
【特許文献30】国際公開第2008/098236号パンフレット
【特許文献31】米国特許出願公開第2008/0283414号明細書
【特許文献32】国際出願PCT/US2008/072604号明細書
【特許文献33】国際出願PCT/US2017/030425号明細書
【特許文献34】国際出願PCT/JP2016/060327号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Jacobsen, J. and R.P. Wennberg, Clin Chem. (1974) 20(7):783
【非特許文献2】Nakamura, H., and Y. Lee, Clin Chim Acta. (1977) 79(2): 411-417
【非特許文献3】Kumagai, A., et. al., Cell (2013) 153:1602-1611
【非特許文献4】Dhindsa et al., “Virtual Electrowetting Channels: Electronic Liquid Transport with Continuous Channel Functionality,” Lab Chip, 10:832-836 (2010)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、血液試料中の非結合型ビリルビンを検定評価する方法を提供する。この方法は、血液試料または希釈された血液試料から1つ以上の試料液滴をマイクロ流体デバイスの液滴操作ギャップに分注することを含むことができる。この方法は、1つ以上の試料液滴のそれぞれに対して生化学的検定評価を開始することで、希釈された血液試料液滴中の非結合型ビリルビンを検出することを含み得る。試料液滴は、例えば、それぞれ約5mL未満の体積を有することができる。マイクロ流体デバイスは、電気湿潤カートリッジであってもよい。装填すること、結合すること、分注すること、および/または開始することは、電気湿潤媒介液滴操作を使用して実行することができる。血液試料は、例えば、全血、血漿あるいは血清、または前述のいずれかの処理済みまたは希釈されたバージョンであることができる。
【0009】
本発明は、血液試料中の分析物を検定評価する方法を提供する。この方法は、例えば、検定評価される1つ以上の分析物を有する血液試料をマイクロ流体デバイス上に装填することを含むことができる。この方法は、例えば、血液試料を、界面活性剤を有する緩衝試薬と結合させて、希釈された血液試料を提供することを含むことができ、界面活性剤は、例えば、電気湿潤により、血液試料を使用して液滴操作を行うことを可能にするように選択することができる。この方法は、例えば、希釈された血液試料から1つ以上の試料液滴をマイクロ流体デバイスの液滴操作ギャップに分注することを含むことができ、このギャップがオイル填隙剤液体を有することによって、希釈された血液試料液滴を提供する。この方法は、例えば、希釈された血液試料液滴を検定評価反応ゾーンに移送することを含むことができる。この方法は、例えば、生化学的検定評価を開始することを含むことができる。緩衝試薬は、例えば、グルコース試薬を含み得る。
【0010】
血液試料は、例えば、全血試料を含み得る。この方法は、例えば、希釈された血液試料を処理して、検定評価される1つ以上の分析物を有する処理済み血液試料を提供することを含み得る。処理は、例えば、希釈された血液試料を溶解することを含み得る。処理済み血液試料は、例えば、血液成分を含み得る。血液成分は、例えば、血漿であることができる。
【0011】
界面活性剤は、例えば、全血試料の有意な溶解を引き起こすことなく、全血試料液滴の電気湿潤を可能にするように選択することができる。界面活性剤は、例えば、蛍光信号を最小化または除去するように選択することができる。界面活性剤は、例えば、非イオン性界面活性剤を含み得る。非イオン性界面活性剤は、例えば、Tween(登録商標)80を含み得る。非イオン性界面活性剤は、例えば、Facade(登録商標)-TEMを含み得る。界面活性剤は、例えば、双性イオン界面活性剤を含み得る。双性イオン界面活性剤は、例えば、11:0 Lyso PCを含み得る。
【0012】
生化学的検定評価は、例えば、血漿液滴中の非結合型ビリルビンを測定するための酵素的蛍光に基づく検定評価であることができる。
【0013】
この方法は、血漿液滴中の非結合型ビリルビンを測定する方法を提供する。この方法は、例えば、グルコース緩衝剤を有する血漿液滴と、電気湿潤媒介液滴操作を使用して蛍光に基づく非結合型ビリルビン検定評価を実行して、検定評価ステップを実行するのに適した界面活性剤とを提供することを含み得る。この方法は、例えば、血漿液滴を少なくとも3つの試料液滴に分裂させ、非結合型ビリルビン検定評価を開始することを含み得る。第1の試料液滴は、例えば、緩衝液滴と結合させて、対照反応液滴を提供することができる。第2の試料液滴は、例えば、酵素試薬液滴と結合させて、短い反応液滴を提供することができる。第3の試料液滴は、例えば、第2の酵素試薬液滴と結合させて、長い反応液滴を提供することができる。この方法は、例えば、時間t1にて、対照反応液滴および短い反応液滴を停止反応液滴と結合させて、対照反応液滴および短い反応液滴を提供することを含むことができ、短い反応液滴中のあらゆる非結合型ビリルビンを、例えば、酸化することによって、t1分解物液滴を提供することができる。この方法は、例えば、時間t2にて、長い反応液滴を停止反応液滴と結合させて、長い反応液滴を提供することを含むことができ、長い反応液滴中に残っているあらゆる非結合型ビリルビンを、例えば、酸化することによって、t2分解物液滴を提供することができる。この方法は、例えば、対照反応液滴、t1分解物液滴およびt2分解物液滴を緩衝試薬で希釈して、検出試薬と結合させるための希釈された対照反応液滴、希釈されたt1分解物液滴、および希釈されたt2分解物液滴を提供することを含むことができる。この方法は、例えば、希釈された対照反応液滴、t1分解物液滴、およびt2分解物液滴を検出試薬と結合させて、対照/検出試薬液滴、短い反応/検出試薬液滴および長い反応/検出試薬液滴を提供することを含み得る。この方法は、例えば、対照/検出試薬液滴、短い反応/検出試薬液滴、および長い反応/検出試薬液滴中の反応生成物を検出して、血漿液滴中の非結合型ビリルビンの量を決定することを含み得る。
【0014】
酵素試薬液滴は、例えば、グルコースオキシダーゼ(GOD)およびペルオキシダーゼ(POD)を含み得る。停止反応液滴は、例えば、アスコルビン酸を含み得る。時間t1は、例えば、約48秒であることができる。時間t2は、例えば、約120秒であることができる。
【0015】
希釈された各反応液滴を検出試薬と結合させることは、例えば、希釈された反応液滴を、乾燥検出試薬を有する特定の液滴操作電極に移送し、乾燥検出試薬を再構成することを含み得る。非結合型ビリルビンを検出するための乾燥検出試薬は、例えば、UnaGであり得る。反応生成物を検出することは、例えば、UnaG蛍光信号を測定することを含み得る。
【0016】
血漿液滴中の非結合型ビリルビンの量を決定することは、例えば、対照/検出試薬液滴と、短いおよび長い反応/検出試薬液滴との間のUnaG蛍光信号の差を決定することを含み得る。
【0017】
本発明は、コンピュータプロセッサおよび電気湿潤カートリッジを有するシステムを提供し、プロセッサは、例えば、本発明の方法のうちのいずれか1つの方法をカートリッジ上で実行するようにプログラムすることができる。カートリッジは、例えば、電気湿潤媒介液滴操作デバイスであってもよい。本発明は、電気湿潤カートリッジと、本発明の方法のいずれかを電気湿潤媒介液滴操作デバイス上で実行するのに十分な試薬とを有するキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】液滴中で生化学的検定評価を実施するための、例示的なマイクロ流体デバイスの一部を示す断面図である。
【
図2】マイクロ流体デバイス上で非結合型ビリルビンについてGOD-POD-UnaG検定評価を行うように構成された、液滴操作電極の配置例を示す概略図である。
【
図3】マイクロ流体デバイス上でGOD-POD-UnaG検定評価を使用して血液試料中の非結合型ビリルビンを測定するための、例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図4】試験した96個の洗浄剤に対する、t=3分におけるRFUの%バイアスを示すプロット図である。
【
図5】UnaG-ビリルビン蛍光検定評価における干渉をスクリーニングするのに使用される、Detergent Screenキット中の96個の洗浄剤のマイクロタイタープレートレイアウトを示す表である。
【
図6】
図6A ~
図6Bは、n=35の界面活性剤試料におけるヘモグロビンのスペクトルスキャンを示すプロット図である。
【
図7】n=35の選択範囲を狭められた界面活性剤のうちの一部のプライミング/分注検定評価のためのデータシートを示すスクリーンショットである。
【
図8】変更された界面活性剤濃度を使用する、n=8の界面活性剤の第2の選択範囲を狭められたセットの電気湿潤検定評価のためのデータシートを示すスクリーンショットである。
【
図9】
図9Aは、蛍光干渉をスクリーニングするのに使用される7個の界面活性剤および12個の血漿試料についての対照からのパーセントバイアスを示す表である。
図9Bは、試験した7個の界面活性剤についての、t=3分における界面活性剤なしの対照からのパーセントバイアスを示すプロット図である。
【
図10】
図10Aは、蛍光干渉をスクリーニングするのに使用される3個の界面活性剤および10個の血漿試料についての、t=3分における対照からのパーセントバイアスを示す表である。
図10Bは、蛍光干渉をスクリーニングするのに使用される3個の界面活性剤および10個の血漿試料についての、t=10分における対照からのパーセントバイアスを示す表である。
【
図11】変動性を検定評価するのに使用されるオンベンチ蛍光干渉検定評価についての経時的なRFUを示す表である。
【
図12】変更された蛍光干渉検定評価を使用して実施した、例示的なUnaG-ビリルビン結合測定を示すプロット図である。
【
図13】
図13Aは、5.5mg/dLのTBIL血漿試料および界面活性剤Tween(登録商標)20またはTween(登録商標)80を使用した反応における、経時的なRFUを示すプロット図である。
図13Bは、5.5mg/dLのTBIL血漿試料および界面活性剤Facade(登録商標)-TEMを使用した反応における、経時的なRFUを示すプロット図である。
【
図14】
図14Aは、UnaG蛍光検定評価におけるTween(登録商標)80、Facade(登録商標)-TEM、およびTween(登録商標)20についての、t=3分における対照からのパーセントバイアスを示す表である。
図14Bは、UnaG蛍光検定評価におけるTween(登録商標)80、Facade(登録商標)-TEM、およびTween(登録商標)20についての、t=10分における対照からのパーセントバイアスを示す表である。
【
図15】
図15Aは、13.1mg/dLのTBIL血漿試料および界面活性剤なしの対照を使用した、n=2の反応についての、経時的なRFUを示すプロット図である。
図15Bは、13.1mg/dLのTBIL血漿試料および0.1%のTween(登録商標)20を使用した、n=2の反応についての、経時的なRFUを示すプロット図である。
図15Cは、13.1mg/dLのTBIL血漿試料および0.1%のTween(登録商標)80を使用した、n=2の反応についての、経時的なRFUを示すプロット図である。
【
図16】Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、およびFacade(登録商標)-TEMランについてのG6PD、アルブミン(ALB)、およびTBILの検定評価値を示す表である。
【
図17】GOD-POD-UnaG蛍光検定評価におけるTween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、およびFacade(登録商標)-TEMについての対照からのパーセントバイアスを示す表である。
【
図18】
図18Aは、Tween(登録商標)20についてArrow UB Analyzerが割り当てた値に対するRFU(対照-反応試料)値の比較を示すプロット図である。
図18Bは、Tween(登録商標)80についてArrow UB Analyzerが割り当てた値に対するRFU(対照-反応試料)値の比較を示すプロット図である。
図18Cは、Facade(登録商標)-TEMについてArrow UB Analyzerが割り当てた値に対するRFU(対照-反応試料)値の比較を示すプロット図である。
【
図19】Tween(登録商標)80についてArrow UB Analyzerが割り当てた値に対するRFU(対照-反応試料)値の下位3つのデータ点の比較を示す、
図18のプロット図の拡大図である。
【
図20】カートリッジ上で実施したGOD-POD-UnaG検定評価のRFU値と、オンベンチで実施したGOD-POD-UnaG検定評価の「対照-反応」RFU値とを示す表である。
【
図21】
図21Aは、Tween(登録商標)20およびTween(登録商標)80を使用してカートリッジ上で得られた、RFU(対照-反応試料)値対DLS TBILを示すプロット図である。
図21Bは、オンベンチ検定評価で得られたRFUに対して、Tween(登録商標)20およびTween(登録商標)80を使用してカートリッジ上で得られたRFU(対照-反応試料)値を示すプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.定義
本明細書で使用されている次の用語は、以下に示す意味を有する。
【0020】
1つ以上の電極に関して「活性化する」とは、1つ以上の電極の電気的状態の変化に影響を及ぼすことを意味し、液滴の存在下では、液滴操作をもたらす。電極の活性化は、交流または直流を使用して実施することができる。任意の適切な電圧を使用することができる。例えば、電極は、約150Vを超える、または約200Vを超える、または約250Vを超える、または約275V~約1000V、または約300Vの電圧を使用して活性化することができる。交流が使用される場合、任意の適切な周波数を使用することができる。例えば、電極は、約1Hz~約10MHz、または約10Hz~約60Hz、または約20Hz~約40Hz、または約30Hzの周波数を有する交流を使用して活性化することができる。
【0021】
「液滴アクチュエータ」は、液滴を操作するためのデバイスを意味する。液滴アクチュエータの例としては、2005年6月28日に発行された「Apparatus for Manipulating Droplets by Electrowetting-Based Techniques」と題するPamula氏等の特許文献2;2006年1月30日に出願された「Apparatuses and Methods for Manipulating Droplets on a Printed Circuit Board」と題するPamula氏等の特許文献3;2006年12月11日に出願された「Droplet-Based Biochemistry」と題するPollack氏等の特許文献4;2004年8月10日に発行された「Electrostatic Actuators for Microfluidics and Methods for Using Same」と題するShenderov氏の特許文献5および2000年1月24日に発行された「Actuators for Microfluidics Without Moving Parts」と題する特許文献6;2003年1月27日に出願された「Electrowetting-driven Micropumping」と題するKimおよび/またはShah氏等の特許文献7、2006年1月23日に出願された「Method and Apparatus for Promoting the Complete Transfer of Liquid Drops from a Nozzle」と題する特許文献8、2006年1月23日に出願された「Small Object Moving on Printed Circuit Board」と題する特許文献9、2009年5月14日に出願された「Method for Using Magnetic Particles in Droplet Microfluidics」と題する特許文献10、および2009年4月30日に出願された「Method and Apparatus for Real-time Feedback Control of Electrical Manipulation of Droplets on Chip」と題する特許文献11;2009年6月16日に発行された「Droplet Transportation Devices and Methods Having a Fluid Surface」と題するVelev氏の特許文献12;2007年1月16日に発行された「Method, Apparatus and Article for Microfluidic Control via Electrowetting, for Chemical, Biochemical and Biological Assays and the Like」と題するSterling氏等の特許文献13;2010年1月5日に発行された「Method and Apparatus for Programmable fluidic Processing」と題するBeckerおよびGascoyne氏等の特許文献14および2005年12月20日に発行された「Method and Apparatus for Programmable Fluidic Processing」と題する特許文献15;2008年2月12日に発行された「System for Manipulation of a Body of Fluid」と題するDecre氏等の特許文献16;2006年2月23日に公開された「Chemical Analysis Apparatus」と題するYamakawa氏等の特許文献17;2008年12月31日に公開された「Digital Microfluidics Based Apparatus for Heat-exchanging Chemical Processes」と題するWu氏の特許文献18;2009年7月30日に公開された「Electrode Addressing Method」と題するFouillet氏等の特許文献19;2006年5月30日に発行された「Device for Displacement of Small Liquid Volumes Along a Micro-catenary Line by Electrostatic Forces」と題するFouillet氏等の特許文献20;2008年5月29日に公開された「Droplet Microreactor」と題するMarchand氏等の特許文献21;2009年12月31日に公開された「Liquid Transfer Device」と題するAdachi氏等の特許文献22;2005年8月18日に公開された「Device for Controlling the Displacement of a Drop Between two or Several Solid Substrates」と題するRoux氏等の特許文献23;Dhindsa氏等の非特許文献4を参照されたい。これら文献の開示全体が、それらの優先権書類と共に、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0022】
若干の液滴アクチュエータは、液滴操作ギャップを基板間に配置した1つ以上の基板と、1つ以上の基板に関連した(例えば、層状に積層、付着、および/または埋設した)電極であって、1回以上の液滴操作を行うよう配列した、該電極とを有する。例えば、若干の液滴アクチュエータは、ベース(または底部)基板、基板に関連した液滴操作電極、基板および/または電極上の1つ以上の誘電体層、並びに、任意に、液滴操作表面を形成する基板、誘電体層および/または電極上の1つ以上の疎水性層を有する。
【0023】
頂部基板も設けることができ、この頂部基板は、液滴操作表面からギャップを介して分離させ、一般に、このギャップは液滴操作ギャップと称することができる。頂部および/または底部基板における種々の電極構成は、上で参照した特許および出願に記載されており、若干の新規の電極構成が本発明の明細書に記載されている。液滴操作中、液滴は、接地または基準電極と連続接触または頻繁な接触を維持することが好適である。接地または基準電極は、ギャップに対向する頂部基板もしくはギャップに対向する底部基板に関連させる、またはギャップ内に配置することができる。電極を双方の基板に設ける場合、電極を液滴アクチュエータ機器に接続して電極を制御またはモニタリングするための電気接点は、一方または双方の基板に関連させることができる。いくつかの事例において、一方の基板における電極は、他方の基板に電気的に接続し、一方の基板のみが液滴アクチュエータに接触するようにする。
【0024】
一実施形態において、導電性材料(例えば、ニュージャージー州ハッケンサックのマスターボンド社から入手可能なMASTER BOND(登録商標)ポリマーシステムEP79のようなエポキシ)が一方の基板における電極と他方の基板における電気経路との間に電気的接続を生じ、例えば、頂部基板における接地電極が底部基板における電気経路に対してこのような導電性材料によって接続される。
【0025】
複数の基板を使用する場合、基板間にスペーサを設けて、基板間ギャップの高さを決定し、また分注リザーバを画定する。スペーサ高さは、例えば、約5μm~約600μm、または約100μm~約400μm、または約200μm~約350μm、または約250μm~約300μm、または約275μmであることができる。スペーサは、例えば、頂部または底部の基板から突出する突起層、および/または頂部基板と底部基板との間に挿入した材料から形成することができる。
【0026】
1個以上の開口部を1つ以上の基板に設け、液滴操作ギャップに液体を送給できる液体経路を形成することができる。1個以上の開口部は、場合によっては、1つ以上の電極と相互作用するように整列されてもよく、例えば、開口部を通って流れる液体が1つ以上の液滴操作電極と十分に近接して、液滴操作が液体を用いた液滴操作電極によって影響を受けることを可能にするように整列されてもよい。ベース(または底部)および頂部の基板は、いくつかの事例において、1個の一体コンポーネントとして形成することができる。1個以上の基準電極をベース(または底部)および/または頂部の基板上および/またはギャップ内に設けることができる。基準電極構成の例は、上に参照した特許および特許出願に記載されている。
【0027】
種々の実施形態において、液滴アクチュエータによる液滴の操作は、電極媒介、例えば、電気湿潤媒介または誘電泳動媒介またはクーロン力媒介で行うことができる。
【0028】
本発明の液滴アクチュエータで使用し得る液滴操作を制御する他の技術の例としては、流体力学的流体圧力を誘発するデバイス、例えば、機械的原理(例えば、外部シリンジポンプ、空気圧薄膜ポンプ、振動薄膜ポンプ、真空デバイス、遠心力、圧電/超音波ポンプおよび音響放射力);電気的または磁気的な原理(例えば、電気浸透流、動電学的ポンプ、磁性流体プラグ、電気流体力学的ポンプ、磁力を用いる吸引または反発および磁気流体力学的ポンプ);熱力学的原理(例えば、気体バブル発生器/相転移誘発体積膨張);他の種類の表面湿潤原理(例えば、電気湿潤、および光電湿潤、並びに化学的、熱的、構造的および放射能誘発表面張力勾配);重力;表面張力(例えば、毛細管作用);静電気(例えば、電気浸透流);遠心フロー(コンパクトディスク上に配置して回転させられる基板);磁力(例えば、周期振動するイオンが流れを発生させる);磁気流体力学的力;および真空または差圧に基づいて動作するデバイスがある。
【0029】
若干の実施形態において、上述した技術の2つ以上の組合せを用いて本発明の液滴アクチュエータにおける液滴操作を行うことができる。同様に、上述した技術のうち1つ以上を使用して液体を液滴操作ギャップ内に送給する、例えば、他のデバイスにおけるリザーバまたは液滴アクチュエータの外部リザーバ(例えば、液滴アクチュエータ基板に関連させたリザーバおよびリザーバから液滴操作ギャップ内に至る流路)から送給することができる。
【0030】
本発明の若干の液滴アクチュエータの液滴操作表面は、疎水性材料から形成する、または疎水性を持たせるようコーティングまたは処理することができる。例えば、いくつかの事例において、液滴操作表面の一部または全部に対して低表面エネルギー材料または化学物質で誘導体化し、この誘導体化は、例えば、溶液内または重合可能なモノマー内におけるポリフッ素化合物または過フッ素化合物のような化合物を用いた析出またはその場の合成によって行うことができる。例としては、TEFLON(登録商標)AF(デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手可能である)、サイトップ(cytop)材料群のうちの材料、疎水性および超疎水性コーティングであるFLUOROPEL(登録商標)群(メリーランド州ベルツビルのサイトニクッス社から入手可能である)におけるコーティング、シランコーティング、フルオロシランコーティング、疎水性ホスホン酸誘導体(例えば、アクロン社によって市販されている)、およびNOVEC(登録商標)電子コーティング(ミネソタ州セントポールの3M社から入手可能である)、プラズマ助長化学蒸着法(PECVD)用の他のフッ素化モノマー、およびPECVD用のオルガノシロキサン(例えば、SiOC)がある。いくつかの事例において、液滴操作表面に、約10nm~約1,000nmの範囲にわたる厚さを有する疎水性コーティングを設けることができる。
【0031】
更に、いくつかの実施形態において、液滴アクチュエータの頂部基板は、導電性有機ポリマーを有し、次にこの導電性有機ポリマーに疎水性コーティングをコーティングする、または液滴操作表面を疎水性にする処理を施す。例えば、プラスチック基板上に堆積する導電性有機ポリマーは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸塩)(PEDOT:PSS)とすることができる。導電性有機ポリマーおよび代替的導電層の他の例は、「Droplet Actuator Devices and Methods」と題するPollack氏等の特許文献24に記載されており、この特許文献は参照により全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0032】
一方または双方の基板は、印刷回路板(PCB)、ガラス、インジウムスズ酸化物(ITO)被覆ガラス、および/または半導体材料を基板として用いて作製することができる。基板がITO被覆ガラスであるとき、ITOコーティングは、約20~約200nm、好ましくは約50~約150nm、または約75~約125nm、または約100nmの範囲の厚さであることが好ましい。
【0033】
いくつかの事例において、頂部および/または底部の基板は、PCB基板を有し、この基板をポリイミド誘電体のような誘電体でコーティングし、いくつかの事例においては、このような誘電体に対して液滴操作表面を疎水性にするコーティングまたは他の処理を施すことができる。基板がPCBを有するとき、以下の材料が適当な材料の例であり、即ち、MITSUI(登録商標)BN-300(カリフォルニア州サンホセの三井ケミカル・アメリカ社から入手可能である);ARLON(登録商標)11N(カリフォルニア州サンタアンナのアーロン社から入手可能である);NELCO(登録商標)N4000-6およびN5000-30/32(ニューヨーク州メルヴィルのパーク・エレクトロケミカル社から入手可能である);ISOLA(登録商標)FR406(アリゾナ州チャンドラーのイソラグループ社から入手可能である)、特に、IS620;フッ素ポリマー群(低背景蛍光発光を有するために蛍光発光検出に適する);ポリイミド群;ポリエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリエーテルエーテルケトン;液晶ポリマー;シクロオレフィン共重合体(COC);シクロオレフィン重合体(COP);アラミド;THERMOUNT(登録商標)不織アラミド補強材(デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手可能である);NOMEX(登録商標)ブランドのファイバ(デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手可能である);および紙が適当である。
【0034】
種々の材料も基板の誘電体コンポーネントとして使用するのに適する。例としては、PARYLENE(登録商標)C(特に、ガラス上の)、PARYLENE(登録商標)N、およびPARYLENE(登録商標)HT(~300℃の高温用)のような蒸着誘電体(テキサス州カティのパリレーンコーティングサービス社から入手可能である);TEFLON(登録商標)AFコーティング;サイトップ;液体写真品質画像はんだマスクのようなはんだマスク(例えば、PCB上の)であって、例えば、TAIYO(登録商標)PSR4000シリーズ、TAIYO(登録商標)PSRおよびAUSシリーズ(ネバダ州カーソンシティーのタイヨーアメリカ社から入手可能である)(熱制御を含む用途向けの良好な熱特性を有する)、およびPROBIMER(登録商標)8165(カリフォルニア州ロスアンゼルスのハンツマン・アドバンスド・マテリアル・アメリカ社から入手可能である)のようなはんだマスク;VACREL(登録商標)乾式フィルムはんだマスク製品群(デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手可能である)におけるような乾式フィルムはんだマスク;ポリイミドフィルム(例えば、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社から入手可能なKAPTON(登録商標)ポリイミドフィルム)、ポリエチレン、およびフッ素ポリマー(例えば、FEP)のようなフィルム誘電体;ポロテトラフルオロエチレン;ポリエステル;ポリエチレンナフタレート;シクロオレフィン共重合体(COC);シクロオレフィン重合体(COP);および任意な他の先に列挙したPCB基板材料;ブラックマトリクス樹脂;およびポリプロピレンが含まれる。
【0035】
液滴移送電圧および周波数は、特定の検定評価プロトコルに使用する試薬とともに使用するよう選択することができる。策定パラメータは変動し、例えば、アクチュエータ上リザーバの数および配置、独立電極接続部の数、異なるリザーバのサイズ(容積)、磁石/ビード洗浄ゾーンの配置、電極サイズ、電極間ピッチ、およびギャップ高さ(頂部基板と底部基板との間における)は、特定試薬、プロトコル、液滴体積量等での使用によって変動し得る。いくつかの事例において、本発明の基板は、例えば、溶液内または重合可能なモノマー内におけるポリフッ素化合物または過フッ素化合物のような化合物を用いた析出またはその場の合成によって誘導体化することができる。例としては、浸漬または噴霧コーティング用のTEFLON(登録商標)AFコーティングおよびFLOROPEL(登録商標)コーティング、プラズマ助長化学蒸着法(PECVD)用の他のフッ素化モノマー、およびPECVD用のオルガノシロキサン(例えば、SiOC)がある。
【0036】
更に、いくつかの事例において、液滴操作表面の一部または全部を、PCB基板からの背景蛍光発光のような背景ノイズを減少する物質でコーティングすることができる。例えば、ノイズ減少コーティングには、日本の東レ株式会社から入手可能なブラックマトリクス樹脂のようなブラックマトリクス樹脂がある。
【0037】
液滴アクチュエータの電極は、典型的には、それ自体システムの一部をなすコントローラまたはプロセッサによって制御され、このコントローラまたはプロセッサは、処理機能並びにデータおよびソフトウェアの保存、並びに入力および出力能力を有することができる。
【0038】
試薬は、液滴操作ギャップ内または液滴操作ギャップに流体接続したリザーバ内における液滴アクチュエータに供給することができる。試薬は、液滴のような液状形態とし、または液滴操作ギャップ内または液滴操作ギャップに流体接続したリザーバ内で、再構成可能な形態で供給することができる。再構成可能な試薬は、典型的には、再構成のために液体と組み合わせることができる。本発明と共に使用に適した再構成可能な試薬の例は、2010年6月1日に特許が付与された「Disintegratable films for diagnostic devices」と題するMeathrel氏等の特許文献25に記載された試薬を含む。
【0039】
「液滴操作」は、液滴アクチュエータにおける液滴の任意な取扱い操作を意味する。液滴操作としては、例えば、液滴を液滴アクチュエータ内に装填する;液滴源から1滴またはそれ以上の液滴を分注する;一滴の液滴を2滴またはそれ以上の液滴に分裂、分離または分割する;液滴を1つの場所から任意な方向に他の場所に移送する;2滴またはそれ以上の液滴を単独液滴に合体または結合する;液滴を希釈する;液滴を混合する;液滴を撹拌する;液滴を変形させる;液滴を所定位置に保持する;液滴を培養する;液滴を加熱する;液滴を蒸発させる;液滴を冷却する;液滴を廃棄する;液滴を液滴アクチュエータから送出する;本明細書に記載した他の液滴操作をする;および/または上述の行為の任意の組合せをすることがあり得る。
【0040】
用語「合体する(merge)」、「合体させる(merging)」、「組み合わせる(combine)」、「組み合わさる(combining)」等は、2滴以上の液滴から1滴の液滴を生ずることを記述するのに使用する。このような用語は、2滴以上の液滴につき使用するとき、2滴以上の液滴が1滴の液滴に組み合わさるのに十分な液滴操作の任意な組合せで使用できる。例えば、「液滴Aを液滴Bに合体させる」は、液滴Aを静止している液滴Bに接触するよう移送する、液滴Bを静止している液滴Aに接触するよう移送する、または液滴AおよびBを互いに接触するよう移送することによって達成することができる。
【0041】
用語「分裂する(splitting)」、「分離(separating)」、および「分割(dividing)」は、結果として生じた液滴の特定の分量を含意することは意図しない(即ち、結果として生じた液滴の量は、同一または異なるものであり得る)、または結果として生じた液滴の個数を含意することは意図しない(結果として生じた液滴の数は、2、3、4、5またはそれ以上であり得る)。
【0042】
用語「混合(mixing)」は、液滴内で1つ以上の成分がより均一に分布する結果となる液滴操作に言及する。
【0043】
「装填(loading)」液滴操作の例としては、微小透析装填、圧力支援装填、ロボット装填、受動的装填、およびピペット装填がある。
【0044】
液滴操作は、電極媒介で行うことがあり得る。いくつかの事例において、液滴操作は、更に、表面上における親水性および/または疎水性の領域の使用、および/または物理的障害物によって容易になる。液滴操作の例としては、「液滴アクチュエータ」の定義につき上に引用した特許および特許出願を参照されたい。時折、インピーダンスまたは容量に関する感知、または撮像技術を使用して、液滴操作の成果を決定または確認することあり得る。このような技術の例は、2008年8月21日に公開された「Capacitance Detection in a Droplet Actuator」と題するSturmer氏等の特許文献26に記載されており、この文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0045】
概して、感知または撮像技術を使用して、特定電極における液滴の存在または不在または量を確認することができる。例えば、液滴分注操作に続いての行き先電極における分注された液滴の存在は、液滴分注操作が有効であったことを確認する。
【0046】
同様に、検定評価プロトコルの適切ステップにおける検出スポットに液滴が存在することは、一連の先行液滴操作が検出用液滴生成に成功していたことを確認し得る。
【0047】
液滴移送時間は、極めて迅速にすることができる。例えば、様々な実施形態において、1つの電極から次の電極への液滴移送は約1秒よりも、または約0.1秒よりも、または約0.01秒よりも、または約0.001秒よりも速くすることができる。
【0048】
一実施形態において、電極はACモードで動作するが、撮像用にDCモードに切り換える。液滴操作を行うためには、液滴の占有面積が電気湿潤面積に類似するようにすることが有用であり、換言すると、それぞれ1×、2×、3×液滴は、1個、2個および3個の電極を使用して、制御および操作されることが有用である。液滴占有面積が所定時刻での液滴操作を行うのに利用可能な電極の数より大きい場合、液滴サイズと電極の数との間の差は、一般的に、1より大きくないようにすべきであり、換言すると、2×液滴は、1個の電極を使用して制御するのが有用であり、また3×液滴は、2個の電極を使用して制御するのが有用である。液滴がビードを含むとき、液滴サイズは、液滴を制御する、例えば、液滴を移送する電極の数に等しくするのが有用である。
【0049】
「填隙剤液体」は、液滴アクチュエータの液滴操作基板に関連する液体を意味し、この液体は、液滴相と十分には混和せず、液滴相が電極媒介液滴操作を受けるようにする。例えば、液滴アクチュエータの液滴操作ギャップは、典型的には、填隙剤液体で充満する。填隙剤液体は、例えば、シリコーンオイルまたはヘキサデカンによる填隙剤液体のような低粘性オイルとするまたはそれを含むものとすることができる。填隙剤液体は、フッ素化または過フッ素化したオイルのようなハロゲン化オイルとするまたはそれを含むものとすることができる。填隙剤液体は、液滴アクチュエータのギャップ全体を填隙する、または液滴アクチュエータの1つ以上の表面を被覆することができる。填隙剤液体は、導電性または非導電性とすることができる。填隙剤液体は、液滴操作を改善および/または液滴から試薬または標的物質の損失を減少、微小液滴形成を促進、液滴相互間の交差汚染を減少、液滴アクチュエータ表面の汚染を減少、液滴アクチュエータ材料の劣化を減少、等々をするよう選択することができる。例えば、填隙剤液体は、液滴アクチュエータ材料に対する適合性を有するよう選択することができる。
【0050】
例として、フッ素化填隙剤液体は、フッ素化表面コーティングに採用するのが有用であり得る。フッ素化填隙剤液体は、ウンベリフェロン物質、例えば、6-ヘキサデカノイルアミド-4-メチルウンベリフェロン物質(例えば、クラッベ、ニーマン-ピック、または他の検定評価に使用する)のような脂溶性の化合物の損失を減少するのに有用であり、他のウンベリフェロン物質は、2011年5月19日に公開された特許文献27に記載されており、この文献は参照により全体が本明細書に組み込まれるものとする。適当なフッ素化オイルの例としては、ガルデン製品群、例えば、ガルデンHT170(bp=170℃、粘度=1.8cSt、密度=1.77)、ガルデンHT200(bp=200℃、粘度=2.4cSt、密度=1.79)、ガルデンHT230(bp=230℃、粘度=4.4cSt、密度=1.82)(全てソルヴェイ・ソレキス社から入手可能である);ノベック製品群、例えば、ノベック7500(bp=128℃、粘度=0.8cSt、密度=1.61)、フルオリナートFC-40(bp=155℃、粘度=1.8cSt、密度=1.85)、フルオリナートFC-43(bp=174℃、粘度=2.5cSt、密度=1.86)(全て3M社から入手可能である)がある。
【0051】
概して、過フッ素化填隙剤液体の選択は、動粘性率(<7cStが好適であるが、必ずしも必須ではない)、および沸点(>150℃が好適であるが、DNA/RNAに基づく用途(PCR、等々)での使用には必須ではない)に基づいて行われる。
【0052】
填隙剤液体には、例えば、界面活性剤または他の添加物をドーピングすることができる。例えば、添加剤は、液滴操作を改善および/または液滴から試薬または標的物質の損失を減少、微小液滴形成を促進、液滴相互間の交差汚染を減少、液滴アクチュエータ表面の汚染を減少、液滴アクチュエータ材料の劣化を減少、等々をするよう選択することができる。界面活性剤ドーピングを含む填隙剤液体の組成は、特定検定評価プロトコルに使用される試薬の性能、および液滴アクチュエータ材料との有効な相互作用または非相互作用が得られるように選択することができる。本発明での使用に適した填隙剤液体および填隙剤液体調製の例は、2010年5月11日に公開された「Droplet Actuators, Modified Fluids and Methods」と題するSrinivasan氏等の特許文献28および2009年2月12日に公開された「Use of Additives for Enhancing Droplet Operations」と題する特許文献29;2008年8月14日に公開された「Droplet Actuator Devices and Methods Employing Magnetic Beads」と題するSista氏等の特許文献30;および2007年5月17日に公開された「Electrowetting Devices」と題するMonroe氏等の特許文献31に記載されており、これら文献は参照により全体が本明細書に組み込まれるものとし、また本明細書で引用した他の特許および特許出願にも記載されている。フッ素化オイルは、いくつかの事例において、例えば、ゾニールFSO-100(シグマ・アルドリッチ社)のようなフッ素化界面活性剤、および/または他のフッ素化界面活性剤をドーピングできる。
【0053】
用語「頂部」、「底部」、「上方」、「下方」、および「上」は、本明細書全体を通して、液滴アクチュエータのコンポーネントの相対位置、例えば、液滴アクチュエータの頂部基板および底部基板の相対位置について説明するのに使用される。当然のことながら、液滴アクチュエータは、空間における向きとは無関係に機能する。
【0054】
任意な形態の液体(例えば、移動または静止状態であっても液滴または連続体である)が電極、アレイ、マトリクスまたは表面「上」、「に」、または「上方」に存在すると記載するとき、このような液体は、電極/アレイ/マトリクス/表面に直接接触するか、または液体と電極/アレイ/マトリクス/表面との間に介在する1つ以上の層または薄膜に接触するか、のいずれかとすることができる。一実施例において、填隙剤液体は、このような液体と電極/アレイ/マトリクス/表面との間における薄膜と見なすことができる。
【0055】
液滴が液滴アクチュエータ「上」に存在するまたは液滴を液滴アクチュエータ「上に装填する」と記載するとき、液滴が液滴アクチュエータ上に配置され、この配置は、液滴アクチュエータ使用での1つ以上の液滴操作を液滴に対して行うのが容易となるように行う、または液滴の特性または液滴からの信号を感知するのが容易になるように行う、および/または液滴が液滴アクチュエータで液滴操作を受けて、液滴が液滴アクチュエータ上に配置されるものと理解されたい。
【0056】
2.新生児スクリーニング出生時プラットフォームのための非結合型ビリルビン検定評価
本発明は、生化学的検定評価を実施するデバイスおよび方法を提供する。
【0057】
本発明は、デバイスによる操作を受ける液滴を含むマイクロ流体デバイスを提供し、液滴は、本発明の界面活性剤を含む。液滴は、血液を含むことが好ましい。液滴は、シリコーンオイル等の低粘性オイルのような填隙剤液体によって取り囲まれてもよい。このデバイスは、「Use of additives for enhancing droplet operations」と題する特許文献32に記載されているデバイスのような電気湿潤デバイスであることができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
様々な態様において、本発明は、入力として全血試料を使用して生化学的検定評価を実施する方法を提供し、全血試料は、分析のために全血試料の1つ以上のフラクションに処理することができる。
【0059】
一態様では、全血試料は、マイクロ流体デバイス上で液滴操作を受ける。
【0060】
一態様では、本発明は、蛍光に基づく生化学的検定評価を実施する方法を提供する。
【0061】
一態様では、蛍光に基づく生化学的検定評価は、非結合型ビリルビンの新生児スクリーニング検定評価である。
【0062】
一態様では、非結合型ビリルビンについての蛍光に基づく検定評価は、非結合型/非抱合型ビリルビンに特異的に結合する緑色蛍光タンパク質(GFP)を使用する。
【0063】
本発明の方法は、例えば、「Point-of-birth system and instrument, biochemical cartridge, and methods for newborn screening」と題する特許文献33に記載されるポイントオブバースシステムおよび器具のような、ポイントオブバースシステムおよび器具で処理することができ、この文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0064】
2.1.界面活性剤の選択
本発明の方法は、界面活性剤を利用する。
【0065】
一態様では、界面活性剤は、全血試料の有意な溶解を生じさせることなく、マイクロ流体カートリッジ上で全血試料を電気湿潤するために選択される。
【0066】
全血試料の有意な溶解を生じさせることなく、マイクロ流体カートリッジ上で全血試料を電気湿潤するのに適した界面活性剤の例には、以下の構造を有する非イオン性界面活性剤Tween(登録商標)80(ミズーリ州セントルイスのミリポア・シグマ社から入手可能である)と、
【化1】
以下の構造を有するFacade(登録商標)-TEM(アラバマ州アラバスターのAvanti(登録商標)ポーラーリピッズ社から入手可能である)と、
【化2】
以下の構造を有する双性イオン界面活性剤11:0 Lyso PC(アラバマ州アラバスターのAvanti(登録商標)ポーラーリピッズ社から入手可能である)と、が含まれる。
【化3】
【0067】
一態様では、界面活性剤は、蛍光信号に干渉することなく、マイクロ流体カートリッジ上で蛍光に基づく検定評価を実施するために選択される。
【0068】
一態様では、界面活性剤は、非特許文献3(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるタンパク質UnaGのような、非結合型/非抱合型ビリルビンに特異的に結合する緑色蛍光タンパク質(GFP)を使用する蛍光に基づく検定評価を行うために選択される。
【0069】
2.2.マイクロ流体デバイスおよび方法
本発明は、デバイスによる操作を受ける液滴を含むマイクロ流体デバイスを提供し、液滴は、本発明の界面活性剤を含む。
【0070】
図1は、液滴において生化学的検定評価を実施するための、例示的なマイクロ流体デバイス100の一部を示す断面図である。マイクロ流体デバイス100は、ギャップ114によって分離された底部基板110および頂部基板112を含む。一組の液滴操作電極116、例えば、電気湿潤電極が、例えば、底部基板110上に配置されている。液滴操作電極116は、液滴の装填、分注、分裂、移送、合体、および混合等の液滴操作を行うように配置されている。ギャップ114は、填隙剤液体118で充満されている。填隙剤液体118は、例えば、シリコーンオイルのような低粘性オイルであり得る。
【0071】
水性液滴120は、マイクロ流体デバイス100のギャップ114に存在し得る。一例では、液滴120は、全血液滴または血液成分液滴、または血球を含む液滴、または赤血球を含む液滴のような、評価される試料液体の液滴である。別の例では、液滴120は、酵素液滴、または停止液液滴、または希釈緩衝剤液滴、または検出試薬液滴のような、生化学的検定評価を行うための試薬液滴である。オイル填隙剤液体118は、ギャップ114を満たし、液滴120を取り囲む。
【0072】
液滴120は、電気湿潤を使用して生化学的検定評価を行うのに適した界面活性剤を含むことで、液滴操作を行う。一例では、界面活性剤は、赤血球の有意な溶解を生じさせることなく、血液に基づく検定評価を行うのに適している。一例では、界面活性剤は、酵素的蛍光に基づく生化学的検定評価を行うのに適している。一例では、界面活性剤は、Tween(登録商標)80である。
【0073】
2.3.GOD-POD-UnaG検定評価
本発明は、蛍光に基づく生化学的検定評価を使用して、マイクロ流体デバイス上の非結合型ビリルビンを測定するためのシステム、カートリッジおよび方法を提供する。
【0074】
本発明は、非結合型ビリルビン(即ち、アルブミンに結合していない抱合型および非抱合型ビリルビン)の酵素媒介酸化分解およびUnaG特異的結合を利用して、全血試料中の非結合型(非抱合型)ビリルビンのレベルを測定する。「Measurement method for unbound bilirubin in blood sample」と題する特許文献34(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)には、グルコースオキシダーゼ(GOD)およびペルオキシダーゼ(POD)をUnaGと組み合わせて使用することにより、血液試料中の非結合型ビリルビンを測定する方法が記載されている。GOD-POD-UnaG検定評価には、(1)GOD-POD反応を使用して非結合型ビリルビンを酸化する分解ステップと、(2)分解反応を停止させ、分解物を得る「停止」分解ステップと、(3)(ステップ1の)分解物および未反応試料(即ち、分解ステップ1を受けていない血液試料)を、非抱合型ビリルビンに結合するUnaGと接触させる「接触」ステップと、(4)分解物試料および未反応試料からUnaGの蛍光を検出する検出ステップと、が含まれる。非結合型ビリルビンの量は、検出された値の差から決定される。
【0075】
本発明の方法は、非結合型ビリルビンについてGOD-POD-UnaG検定評価を行うように構成された液滴操作電極の配置を含むマイクロ流体デバイスを使用する。一態様では、GOD-POD-UnaG検定評価を行うための全ての検定評価試薬(例えば、希釈液、緩衝剤、酵素試薬、停止試薬、UnaG検出試薬)は、マイクロ流体デバイス上に「事前装填」されて供給される。
【0076】
図2は、マイクロ流体デバイス上で非結合型ビリルビンについてGOD-POD-UnaG検定評価を行うために構成された液滴操作電極の配置例を示す概略
図200である。液滴操作電極の配置には、希釈溶液、蛍光標準溶液、酵素試薬溶液(例えば、GODおよびPOD溶液)、緩衝液、停止試薬(例えば、アスコルビン酸)を分注するための電極リザーバと、1つ以上の検定評価反応ゾーンと、血液試料を装填および希釈するための試料リザーバと、が含まれる。液滴操作電極の配置には、UnaG検出試薬を乾燥する検出試薬電極も含まれる。
【0077】
図3は、マイクロ流体デバイス上でGOD-POD-UnaG検定評価を使用して血液試料中の非結合型ビリルビンを測定するための例示的な方法300を示すフローチャートである。方法300は、以下のステップのいずれかまたは全て、並びに追加の不特定のステップを含むことができる。
【0078】
ステップ310にて、試料をマイクロ流体デバイスに装填する。例えば、50μLの全血試料をマイクロ流体デバイスの試料リザーバに装填し、グルコース緩衝剤にて希釈する(例えば、グルコース緩衝剤にて1:27に希釈する)。
【0079】
ステップ315にて、試料液滴を分注し、GOD-PODおよび対照反応を開始する。例えば、第1の試料液滴を分注し、緩衝剤液滴と結合させて、対照反応液滴(試料希釈1:54)を生成し、第2の試料液滴を分注し、酵素試薬液滴と結合させて、「短い」反応液滴(試料希釈1:54)を生成し、第3の試料液滴を分注し、酵素試薬液滴と結合させて、「長い」反応液滴(試料希釈1:54)を生成する。GOD-POD酵素試薬は、試料中の非結合型ビリルビンの量に応じた速度で試料を酸化する。
【0080】
ステップ320にて、GOD-PODおよび対照反応を、時間=t1および時間=t2で停止する。例えば、第1の時点t1=48秒にて、停止試薬液滴が分注され、対照反応液滴と結合して、対照反応液滴が生成され、第2の停止試薬液滴が分注され、「短い」酵素反応液滴と結合して、「短い」反応液滴が生成される。時点t=120秒にて、停止試薬液滴が分注され、「長い」酵素反応液滴と結合して、「長い」反応液滴が生成される。
【0081】
ステップ325にて、反応した試料液滴を希釈し、それを用いてUnaG試薬スポットを再水和する。例えば、対照反応液滴、「短い」酵素反応液滴、および「長い」酵素反応液滴を、1:324に希釈する。次に、希釈した各液滴を使用して、乾燥したUnaG試薬スポットを再水和する。
【0082】
ステップ330にて、UnaG/反応液滴を培養する。例えば、対照反応液滴をUnaG試薬と培養して、全ての非抱合型ビリルビン(即ち、非結合型+アルブミン結合)を測定する。「短い」酵素反応液滴および「長い」酵素反応液滴をUnaG試薬と培養して、残りの非抱合型ビリルビンを測定する。
【0083】
ステップ335にて、蛍光を読み取り、非結合型ビリルビンの量を計算する。
【実施例】
【0084】
界面活性剤スクリーニングプロトコルを使用して、電気湿潤フルイディクスカートリッジでのビリルビンに対するUnaGに基づく蛍光検定評価の実施に適合する1つ以上の界面活性剤を識別する。スクリーニングプロトコルは、96個の異なる界面活性剤のパネルで開始され、段階的に進められて、蛍光干渉、全血試料の溶血、並びに電気湿潤の適合性および限界を評価し、その後の各ステップでは、元の界面活性剤パネルのうちの選択範囲を狭めたセットを使用した。
【0085】
3.1.蛍光干渉
オンカートリッジ検定評価において試料および/または反応液滴を電気湿潤する際に使用される界面活性剤は、ビリルビンに結合するUnaGによって生成される蛍光信号と干渉し得る。オンベンチマイクロタイタープレート検定評価を実施して、ビリルビン誘導UnaG蛍光に対する異なる界面活性剤の効果を評価した。
【0086】
この検定評価のために、Detergent Screen(登録商標)キット(カリフォルニア州アリソ・ビエホのハンプトン・リサーチ社から入手可能である)から96個の異なる洗浄剤を使用した。キットの洗浄剤には、イオン性洗浄剤(n=13)、非イオン性洗浄剤(n=46)、双性イオン洗浄剤(n=31)、および非イオン性スルホベタイン(n=6)を含めた。全ての洗浄剤を、0.5×臨界ミセル濃度(CMC)または非ミセル形成界面活性剤用に提供されたストックの1:20の希釈のいずれかで使用した。使用したビリルビン試料は、UnaG結合反応で0.1%Tween(登録商標)20からの有意な蛍光干渉があることが知られている単一の総ビリルビン(TBIL)試料であった。試験用洗浄剤は、試験試料のアリコートにのみ添加し、UnaG試薬には添加しなかった。
【0087】
要約すると、試験TBIL試料をグルコース緩衝剤(1mg/mLグルコースを含むpH7.4の25~100mMリン酸緩衝剤)で1:9に希釈した。各洗浄剤は、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(即ち、CMCまたは提供されたストックから1:10)で2×ストック溶液に希釈した。個々のマイクロタイタープレートウェルで、10μLの希釈試料と10μLの2×ストック洗浄剤とを結合して(即ち、1:1で混合)、室温で7分間培養した。マイクロタイタープレートにわたってピペッティングするのにかかる時間量を考慮して、マイクロタイタープレートの各列には洗浄剤を含まない対照を含めた。培養期間の終わりに、20μLのUnaG(洗浄剤を含まないリン酸緩衝剤中に20μM)を各ウェルに添加し、室温(24.4°)および488/528nmのEx/Emにて蛍光を直ちに読み取った。データ分析では、相対蛍光単位(RFU)のパーセントバイアス(%バイアス;洗浄剤を含まない対照と比較した洗浄剤を含む試料)をt=3分で比較し、カットオフを±10%に設定した。
【0088】
図4は、試験した96個の洗浄剤について、t=3分でのRFUの%バイアスを示すプロット
図400およびプロット
図410である。データは、洗浄剤が蛍光信号を減少させるのではなく増加させる可能性が高いことを示しており、これは、以前の観察と一致する観察である。
【0089】
図5は、UnaG-ビリルビン蛍光検定評価における干渉をスクリーニングするのに使用されるDetergent Screen(登録商標)キット中の96個の洗浄剤のマイクロタイタープレートレイアウトを示す表500である。灰色で陰影付けされたセルは、t=3分で<10%バイアスであった35個の洗浄剤の選択範囲を狭められたセットを示している。n=35の洗浄剤の選択範囲を狭められたセットには、14:0 Lyso PG、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、APO 9、APO 11、C
12E
9、Brij(登録商標)56、Facade(登録商標)-EM、Facade(登録商標)-EPC、Facade(登録商標)-TEG、Facade(登録商標)-TEM、Facade(登録商標)-TFA1、n-ドデシル-β-D-マルトシド、n-ヘキサデシル-β-D-マルトシド、n-テトラデシル-β-D-マルトシド、ウンデシル-β-D-マルトシド、IPTG、Pluronic(登録商標)F-68、Pluronic(登録商標)F-127、Triton(登録商標)X-100、Triton(登録商標)X-114、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、LDAO、スルホベタイン14、スルホベタイン16、06:0 Lyso PC、07:0 Lyso PC、11:0 Lyso PC、14:0 Lyso PC、15:0 Lyso PC、16:0 Lyso PC、18:1 Lyso PC、MAPCHO-14、MAPCHO-16、およびNDSB-211が含まれる。
【0090】
3.2.全血試料の溶血
新生児スクリーニングのためのマルチプレックスオンカートリッジ検定評価では、典型的には、全血試料は、異なる生化学的試験を実施するためにカートリッジ上で2つ以上のアリコートに分裂される。試験のうちの1セット(例えば、アルブミンまたはビリルビン)は、全血試料の血漿フラクション(即ち、全血試料をカートリッジ上で凝集させて血漿試料を生成)を使用して実施することができ、試験のうちの第2のセット(例えば、ヘモグロビンまたはグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD))は、溶解した全血試料を使用して実行することができる(即ち、全血試料は、カートリッジ上で溶解される)。
【0091】
界面活性剤が全血試料の溶血を誘発できるか否かを判定するために、オンベンチマイクロタイタープレート検定評価を実施した。この検定評価では、蛍光干渉検定評価から選択範囲を狭められたn=35の界面活性剤のセットを使用した。全ての界面活性剤は、20×所望の試験濃度であった(即ち、非ミセル形成界面活性剤については、0.5×CMCまたは1:20;21個の界面活性剤については、元のプレートストックで20倍であり、14個の界面活性剤については、使用前に希釈し、ボルテックスした)。
【0092】
要約すると、76μLのダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)を含有する個々のマイクロチューブに、4μLの各20×界面活性剤ストックを添加した。次に、全血試料のアリコート(80μL)を各マイクロチューブに加え、マイクロチューブをフリック/反転させることによって、界面活性剤-全血溶液を混合した。試料を室温で10分間培養し、培養期間中に更に2回混合した。培養期間の終わりに、マイクロチューブを2500RPMで5分間遠心分離した。各上清のアリコート(40μL)を取り出し、96-ウェルハーフエリアプレートに移動した。プレートをスキャンし、ヘモグロビンの光学密度(吸光度)を測定した。ヘモグロビンの量は、ベールの法則および以下:L=0.183cm;E=53,236L/cm*mol;MW=64,500g/mol;DF=3(~50%HCT試料を想定)を使用して、gHb/Lとして定量化した。溶血を誘発するためのカットオフは、対照から>1.5倍の変化に設定した。
【0093】
図6Aおよび
図6Bは、n=35の界面活性剤試料におけるヘモグロビンのスペクトルスキャンを示すプロット
図600である。
図6Bは、
図6Aのプロット
図600の四角で囲まれた領域の拡大図である。データは、3つの界面活性剤試料(LDAO、MAPCHO-14、および15:0 LYSO PC;
図6B参照)が有意な溶血を引き起こし、他の32個の界面活性剤については引き起こさなかったことを示している。
【0094】
3.3.電気湿潤の適合性および限界
電気湿潤との適合性を定性的に評価するために、n=35の界面活性剤の選択範囲を狭められたセットをFINDER(登録商標)カートリッジ(ノースカロライナ州ダーラムのバービーズインコーポレイテッドから入手可能である)で試験した。全ての界面活性剤を0.5×CMCで、または非ミセル形成界面活性剤については1:20で試験した。この評価のために、160μLの界面活性剤をFINDER(登録商標)カートリッジの希釈剤リザーバに装填し、次に、カートリッジをFINDER(登録商標)機器(ノースカロライナ州ダーラムのバービーズインコーポレイテッドから入手可能である)に入れた。FINDER(登録商標)機器でパネル1スクリプトを実行して、各界面活性剤の界面活性剤/希釈剤のプライミングおよび分注を評価した。電気湿潤操作を視覚的に評価し、次のように文字スケールで等級付けした:A+=望ましい;AおよびA-=次のラウンドのスクリーニングに受け入れ可能である。評価には、界面活性剤/希釈剤がリザーバにどのように装填されたか、界面活性剤/希釈溶液がリザーバを上って分配電極までどれだけ速く移動したか、リザーバ外に分配されたか、および通過した電極の数等の観察を含めた。
【0095】
図7は、n=35の選択範囲を狭められた界面活性剤の一部のプライミング/分注評価のためのデータシートを示すスクリーンショット700である。列挙されている各界面活性剤について、データシートには試験濃度、電気湿潤スコア(EWスコア)および観察メモが示されている。各界面活性剤について、データシートには、
図4を参照して説明した最初の蛍光干渉スクリーンからのパーセントバイアス(%バイアス)も列挙する。電気湿潤観察およびパーセントバイアスを使用して、最良のパフォーマンスを示す(即ち、最小の%バイアス、電気湿潤スコア「A」、蛍光干渉なし、および溶血なし)n=8(APO 9、APO 11、Facade(登録商標)-TEM、Facade(登録商標)-TFA1、n-テトラデシル-β-D-マルトシド、Tween(登録商標)80、スルホベタイン16、および11:0 Lyso PC)の第2の選択範囲を狭められた界面活性剤のセットを選択した。
【0096】
第2の電気湿潤スクリーニングを実施して、「A+」スコアで電気湿潤する最低界面活性剤濃度を定義した。この評価では、n=8の界面活性剤の第2の選択範囲を狭められたセットを使用した。この電気湿潤スクリーニングでは、
図7にて以前に「A」または「A-」として記録された界面活性剤の濃度が4倍に増加し、また、以前に「A+」として記録された界面活性剤の濃度は、10倍減少した。
【0097】
図8は、変更された界面活性剤濃度を使用するn=8の界面活性剤の第2の選択範囲を狭められたセットの電気湿潤評価のためのデータシートを示すスクリーンショット800である。電気湿潤操作のプライミング/分注の視覚的観察を、
図7を参照して説明したように実施した。列挙されている各界面活性剤について、データシートには、試験濃度、電気湿潤スコア(EWスコア)、並びに元の評価および変更された界面活性剤濃度を使用した評価からの観察メモが示されている。データシートには、
図4を参照して説明した最初の蛍光干渉スクリーニングからの%バイアスも記載されている。この評価から、1つの界面活性剤(n-テトラデシル-β-D-マルトシド)は、4倍の濃度増加を使用して「A+」段階にもっていくことができなかった。変更された界面活性剤濃度を使用した電気湿潤観察を使用して、n=7(APO 9、APO 11、Facade(登録商標)-TEM、Facade(登録商標)-TFA1、Tween(登録商標)80、スルホベタイン16、および11:0 Lyso PC)の第3の選択範囲を狭められた界面活性剤セットを選択した。
【0098】
3.4.UnaGにおける試料バイアス(変動性)+ビリルビン蛍光検定評価
n=7の界面活性剤(APO 9、APO 11、Facade(登録商標)-TEM、Facade(登録商標)-TFA1、Tween(登録商標)80、スルホベタイン16、および11:0 Lyso PC)の第3の選択範囲を狭められたセットのビリルビン誘導UnaG蛍光における試料間の変動性に対する効果を評価するために、3.5~23.7mg/dLの範囲にわたる既知のTBIL濃度を有する血漿試料(n=12血漿試料)を用いてオンベンチマイクロタイタープレート検定評価を実施した。
【0099】
要約すると、全ての界面活性剤を、グルコース緩衝剤中で2倍の所望の試験濃度に調整した。血漿試料(n=12)を、洗浄剤を含まないグルコース緩衝剤で1:9に希釈した。UnaGを、洗浄剤を含まないリン酸バッファで20μMに希釈した。希釈した血漿試料のアリコート(10μL)をマイクロタイタープレートの指定されたウェルに装填した(列あたりn=8ウェル:n=12血漿試料に対して12列)。マルチチャンネルピペットを使用して、10μLアリコートの洗浄剤をn=12血漿試料の行(即ち、n=7洗浄剤ごとに1行およびグルコースバッファ対照に対して1行)にわたって分注した。プレートを室温で5分間振盪しながら培養した。培養期間の終わりに、20μLのUnaGを各ウェルに添加し、動的蛍光を読み取った。データ分析のために、パーセントバイアス(%バイアス;グルコース緩衝剤のみの対照と比較した洗浄剤を含む試料)をt=3分で比較した。
【0100】
図9Aは、蛍光干渉をスクリーニングするのに使用された7個の界面活性剤および12個の血漿試料についての対照からのパーセントバイアスを示す表900である。表900の一番上の行(灰色の影部)は、試験した各試料のTBIL値である(即ち、3.5=血漿試料1のTBIL値、5.1S=血漿試料2のTBIL値等)。表900の第1の列は、界面活性剤なしの対照(「グルコース緩衝剤」)および7つの洗浄剤(APO 9、APO 11、Facade(登録商標)-TEM、Facade(登録商標)-TFA1、Tween(登録商標)80、スルホベタイン16、および11:0 Lyso PC)と、検定評価において使用される濃度(カッコ内)と、を示す。
【0101】
図9Bは、試験した7個の界面活性剤について、t=3分での界面活性剤なしの対照からのパーセントバイアスを示すプロット
図910である。データポイントは、12個の異なる血漿試料であり、データポイントの「列」は、A=界面活性剤なしの対照(グルコース緩衝剤のみ)、B=APO9、C=APO11、D=Facade(登録商標)-TEM、E=Facade(登録商標)-TFA1、F=Tween(登録商標)80、G=スルホベタイン16、およびH=11:0 Lyso PCである。データは、t=3分で、全てのFacade(登録商標)-TEM試料および1つを除く全てのTween(登録商標)80試料が界面活性剤なしの対照の10%以内であることを示している。A+電気湿潤(
図7、変更された濃度)で増加した濃度で使用された界面活性剤の1つ(Facade(登録商標)-TFA1)は、ここで蛍光と干渉する。3個の界面活性剤(APO9、APO11、およびスルホベタイン16)は、異なる血漿試料間で非常にノイズの多い信号を有した(即ち、試料間の変動性;Tween(登録商標)20について以前に指摘された観察結果)。界面活性剤のうちの3つ(Facade(登録商標)-TEM、Tween(登録商標)80、および11:0 Lyso PC)は、試験した12個の血漿試料全てで一貫していた。全ての血漿試料にわたるパーセントバイアスの一貫性を使用して、n=3の第4の選択範囲を狭められた界面活性剤セット(Facade(登録商標)-TEM、Tween(登録商標)80、および11:0 Lyso PC)を選択した。
【0102】
ビリルビン誘導UnaG蛍光に対するFacade(登録商標)-TEM、Tween(登録商標)80、および11:0 Lyso PC界面活性剤の効果を、1.2~10mg/dLの範囲にわたる既知のTBIL濃度を有する6つの追加の検定評価された血漿試料を使用して更に評価した。
図8では、以前に、4つの血漿試料(即ち、6.9、13.1、14、および23.7)を使用した。この例では、対照(界面活性剤なし)およびFacade(登録商標)-TEM反応の複製を全ての血漿試料に使用した。
【0103】
図10Aは、蛍光干渉をスクリーニングするのに使用された3個の界面活性剤および10の血漿試料について、t=3分での対照からのパーセントバイアスを示す表1000である。表1000の一番上の行(灰色の影部)は、試験した各試料のTBIL値である(即ち、1.2=血漿試料1のTBIL値;4=血漿試料2のTBIL値、等)。表1000の第1の列は、対照(グルコース緩衝剤)および3つの洗浄剤(Facade(登録商標)-TEM、Tween(登録商標)80、および11:0 Lyso PC)を示す。対照およびFacade(登録商標)-TEM反応に対する対照データからのパーセントバイアスは、反復値の平均である。データは、t=3分にて、1つを除く全てのTween(登録商標)80試料が対照の10%以内であることを示している。
【0104】
図10Bは、蛍光干渉をスクリーニングするために使用された3個の界面活性剤および10個の血漿試料について、t=10分での対照からのパーセントバイアスを示す表1010である。データは、t=10分にて、全てのTween(登録商標)80およびFacade(登録商標)-TEM試料が対照の6%以内であることを示している。
【0105】
対照試料およびFacade(登録商標)-TEM試料の複製全体にわたっていくらかのノイズが観察された。また、t=3分での対照からのパーセントバイアスと比較して、t=10分での対照からのパーセントバイアスが減少したことも観察された。この変動性(ノイズ)を調査するために、単一試料の複製(n=8)を使用してオンベンチ蛍光干渉検定評価を実施した。
【0106】
図11は、変動性を評価するために使用されたオンベンチ蛍光干渉検定評価についての経時的なRFUを示す表1100である。蛍光干渉検定評価の変動係数(CV)は、CV=5.4%(n=8複製全体にわたる)であると決定され、平均から-9.7%~+6.4%バイアスの範囲であった。
【0107】
オンベンチ蛍光検定評価における変動は、使用される混合/ピペッティング方法(例えば、マルチチャネルピペッティング)、不十分なUnaG試薬(例えば、より高いレベルのTBILに対する不十分なUnaG)、反応量(信号検出の経路長に対する)、および/または蛍光読み取り時間および温度(例えば、室温対37℃)に起因し得る。これらの可能性に対処するために、オンベンチプロトコルに対していくつかの変更を加えた:(1)UnaGの濃度を10μMに維持しながら、試料希釈を1:36から1:240(または1:120)に増加させた;(2)個々の試料および界面活性剤溶液をマイクロチューブで調製し、次に、マイクロタイタープレートウェルに装填した(マルチチャンネルピペッティングの使用を排除した);(3)ハーフエリアマイクロタイタープレートにおいて、最終的な反応量を40μLから50μLに増加させた(25%だけより長い経路長を提供する);(4)結合反応を開始する前に、試料/界面活性剤溶液およびUnaG試薬を37℃に予熱した;および(5)読み取り時間を10分から20分に増加させた。
【0108】
図12は、変更された蛍光干渉検定評価を用いて実施したUnaG-ビリルビン結合検定評価の一例を示すプロット
図1200である。
【0109】
3.5.Facade(登録商標)-TEM、Tween(登録商標)80、および11:0 Lyso PCに対する電気湿潤改良
電気湿潤スクリーニングを実施して、蛍光干渉検定評価において使用可能であり、かつ効率的な電気湿潤を維持できる最低界面活性剤濃度を更に定義した。(
図7および
図8を参照して説明した)以前の電気湿潤スクリーニングは、0.095mMおよび0.0095mMにてFacade(登録商標)-TEMを;0.006mMおよび0.024mMにてTween(登録商標)80を;0.25mMおよび1mMにて11:0 Lyso PCを使用した。
【0110】
この電気湿潤スクリーニングでは、Facade(登録商標)-TEM(アラバマ州アラバスターのAvanti(登録商標)ポーラーリピッズ社から入手可能である)、Tween(登録商標)80(ミズーリ州セントルイスのミリポア・シグマ社から入手可能である)、および11:0 Lyso PC(アラバマ州アラバスターのAvanti(登録商標)ポーラーリピッズ社から入手可能である)の原液を作製した。以前に試験した濃度の2~3倍上下に調整した濃度を使用した。電気湿潤スクリーニングを実行して、「A+」またはボーダーラインの「A」スコアで電気湿潤する最低の界面活性剤濃度を定義した。
【0111】
電気湿潤との適合性を定性的に評価するために、選択範囲を狭められたn=3の界面活性剤のセットをFINDER(登録商標)カートリッジ(ノースカロライナ州ダーラムのバービーズインコーポレイテッドから入手可能である)で試験した。この評価では、160μLの界面活性剤をFINDER(登録商標)カートリッジの希釈液リザーバに装填し、次に、カートリッジをFINDER(登録商標)機器に配置した。FINDER(登録商標)機器でパネル1スクリプトを実行して、各界面活性剤の界面活性剤/希釈剤のプライミングおよび分注を個別に評価した。電気湿潤操作を(
図7を参照して説明したように)視覚的に評価し、次のように文字スケールで等級付けした:A+=望ましい、AおよびA-=次のラウンドのスクリーニングに受け入れ可能である。
【0112】
この評価から、0.0475mMのFacade(登録商標)-TEM、0.045mMのTween(登録商標)80(または0.006%)、および11:0 Lyso PCの自社製ストックが、蛍光干渉検定評価において効率的な電気湿潤に使用可能であることが決定された。
【0113】
3.6.更新されたUnaG蛍光プロトコルを使用した、Facade(登録商標)-TEMおよびTween(登録商標)80の試料バイアス(変動性)についての再試験
図10および
図11を参照して説明した、更新されたUnaG蛍光プロトコルを使用して、既知のTBIL濃度が1.2~13.1mg/dLの範囲にわたる血漿試料(n=4)(ディスカバリー・ライフ・サイエンス社から入手可能である)を使用して、Facade(登録商標)-TEMおよびTween(登録商標)80の試料間の変動性について再試験した。
【0114】
要約すると、血漿試料(n=4)を、0.006%のTween(登録商標)80または0.05-mMのFacade(登録商標)-TEMまたは0.1%のTween(登録商標)20(正の干渉対照として使用)の最終的な界面活性剤(即ち、対照試料)濃度を有するまたは有しないグルコース緩衝液で1:240に希釈した。UnaGは、界面活性剤を含まないリン酸緩衝液で20μMに希釈した。試料およびUnaG試薬は、37℃に予熱した。次に、試料をマイクロタイタープレートの別個のウェルに、試料ごとにn=2の複製で個別に装填した。次いで、UnaGを、マルチチャネルピペットを使用して各試料ウェルに等分し、t=3分およびt=10分で蛍光を読み取った。
【0115】
図13Aは、5.5mg/dLのTBIL血漿試料および界面活性剤Tween(登録商標)20またはTween(登録商標)80を使用した反応における経時的なRFUを示すプロット
図1300である。データは、曲線プラトーにて、Tween(登録商標)80試料(プロットライン1325)が対照値(プロットライン1315)の約5%以内であり、Tween(登録商標)20試料(プロットライン1320)が対照値の約9%以内であったことを示している。データは、データ曲線の形状の変化によって証明されるように、Tween(登録商標)20の干渉がより早い時点でより顕著であることも示している。
【0116】
図132Bは、5.5mg/dLのTBIL血漿試料および界面活性剤Facade(登録商標)-TEMを使用した反応における経時的なRFUを示すプロット
図1310である。データは、曲線プラトーにて、Facade(登録商標)-TEM試料(プロットライン1330)が対照値(プロットライン1315)の約5%以内であったことを示している。
【0117】
図14Aは、UnaG蛍光検定評価におけるTween(登録商標)80、Facade(登録商標)-TEM、およびTween(登録商標)20についてのt=3分での対照からのパーセントバイアスを示す表1400である。表1400の一番上の行(灰色の影部)は、試験した各試料のTBIL値である(即ち、1.2(4.0)=血漿試料1のTBIL値;5.5=血漿試料2のTBIL値、等)。反応に対する対照データ(即ち、界面活性剤なし)からのパーセントバイアスは、反復値の平均である。
【0118】
図14Bは、UnaG蛍光検定評価におけるTween(登録商標)80、Facade(登録商標)-TEM、およびTween(登録商標)20についてのt=10分での対照からのパーセントバイアスを示す表1410である。表1310の一番上の行(灰色の影部)は、試験した各試料のTBIL値である(即ち、1.2(4.0)=血漿試料1のTBIL値;5.5=血漿試料2のTBIL値、等)。反応に対する対照データ(即ち、界面活性剤なし)からのパーセントバイアスは、反復値の平均である。
【0119】
図15Aは、13.1mg/dLのTBIL血漿試料および界面活性剤なしの対照を使用した、n=2の反応についての経時的なRFUを示すプロット図である。
【0120】
図15Bは、13.1mg/dLのTBIL血漿および0.1%のTween(登録商標)20を使用した、n=2の反応について経時的なRFUを示すプロット図である。
【0121】
図15Cは、13.1mg/dLのTBIL血漿および0.1%のTween(登録商標)80を使用した、n=2の反応について経時的なRFUを示すプロット図である。
【0122】
3.7.Tween(登録商標)80およびFacade(登録商標)-TEMを使用したFINDER(登録商標)パネル1検定評価
新生児スクリーニングのためのマルチプレックスオンカートリッジ検定評価では、典型的に、異なる生化学的試験を実施するために、全血試料をカートリッジ上で2つ以上のアリコートに分裂させる。一例では、FINDER(登録商標)パネル1カートリッジは、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)、アルブミン、および総ビリルビン(TBIL)の試験を含む。FINDER(登録商標)カートリッジには、全ての試料調製および検定評価試薬が含まれる。
【0123】
FINDER(登録商標)検定評価には、分注、分裂、移送、合体、および混合して、試料および試薬液滴を操作する等の複数の電気湿潤操作が含まれる。Tween(登録商標)80、Facade(登録商標)-TEMがFINDER(登録商標)パネル1検定評価と干渉するか否か、および/または、検定評価においてノイズに寄与し得る電気湿潤あるいは流体不良(例えば、液滴サイズの変化によって証明される)を生じさせるか否かを判断するために、完全な検定評価プロトコルを実行した。
【0124】
要約すると、カバーを外したFINDER(登録商標)カートリッジに、通常の希釈液、または希釈液として0.006%のTween(登録商標)80、または0.05-mMのFacade(登録商標)-TEMのいずれかを装填した。TBILレベルが高いことが知られている血漿試料を添加した全血試料を各カートリッジに装填した。カートリッジをFINDER(登録商標)機器に挿入し、試料調製、G6PD、アルブミン、およびTBILに対する完全なパネル1プロトコルを実行した。
【0125】
図16は、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、およびFacade(登録商標)-TEMランについてのG6PD、アルブミン(ALB)、およびTBILの検定評価値を示す表1600である。全ての検定評価値は、予想した範囲およびノイズの範囲内であった。全ての電気湿潤操作が予想どおりであることを示す実行「フラグ」は、3つの実行のいずれについてもトリガーされなかった。
【0126】
3.8.Tween(登録商標)80およびFacade(登録商標)-TEMを使用したGOD-POD-UnaG検定評価
Tween(登録商標)80またはFacade(登録商標)-TEMがGOD-POD-UnaG検定評価と(例えば、ペルオキシダーゼ反応または停止ステップにて)干渉するか否かを判断するために、完全なオンベンチGOD-POD-UnaG検定評価プロトコルを実施した。
【0127】
要約すると、5.1~14mg/dLの範囲の公知のTBIL値を有する4個の血漿試料を使用して、オンベンチGOD-POD-UnaG検定評価を行った。血漿試料は、0.1%のTween(登録商標)20(正の干渉対照として使用)、0.006%のTween(登録商標)80、または0.05-mMのFacade(登録商標)-TEMの最終的な界面活性剤(即ち、対照試料)濃度を有するまたは有しないグルコース緩衝剤で希釈した。酵素試薬(即ち、グルコースオキシダーゼ(GOD)およびペルオキシダーゼ(POD)および停止試薬(即ち、1%のアスコルビン酸)を0.1%のTween(登録商標)20(正の干渉対照として使用)、0.006%のTween(登録商標)80-、または0.05-mMのFacade(登録商標)-TEMの最終的な界面活性剤(即ち、対照試料)濃度を有するまたは有しないグルコース緩衝剤にて調製した。UnaGは、界面活性剤を含まないリン酸緩衝剤で20μMに希釈した。試料および酵素試薬を結合させて、一定期間培養した。培養期間の終わりに、停止緩衝剤の添加により反応を停止させ、マイクロタイタープレートの個々のウェルに移送した。次に、マルチチャンネルピペットを使用してUnaGを各試料ウェルに等分し、約1分後~約20分後に蛍光を読み取った。この例では、蛍光は、t=3分で読み取った。
【0128】
図17は、GOD-POD-UnaG蛍光検定評価におけるTween(登録商標)20、Tween(登録商標)80、およびFacade(登録商標)-TEMについての対照からのパーセントバイアスを示す表1700である。表1700の左側の列は、試験した各試料に割り当てられたTBIL値である(即ち、5.1mg/dL=血漿試料1のTBIL値;14mg/dL=血漿試料2のTBIL値、等)。データは、Tween(登録商標)80について界面活性剤なしの対照からのパーセントバイアス(対照-全ての試料の反応したRFU値±洗浄剤として計算)が全ての試料について5%以内であることを示しており、0.006%のTween(登録商標)80がUnaG蛍光、PODによるビリルビンの酸化、または1%のアスコルビン酸を使用して酸化反応を停止する能力と干渉しないことを示している。このデータはまた、Facade(登録商標)-TEMの対照からのバイアスが20%にも及ぶほど高かったことも示している。
【0129】
比較のために、GOD-POD-UnaG蛍光検定評価からの値(「対照-反応RFU」;y軸)を、Arrow UB Analyzer(日本、大阪のアローズ社)上で割り当てられた値(x軸)に対してプロットした。「対照-反応RFU」は、GOD-POD-UnaG酸化反応からRFUを差し引いた、対照反応からのRFUである(これは、非抱合型ビリルビンの総量を測定する)。「対照-反応RFU」値は、試料中に存在する非結合型ビリルビンの代用測定を提供する。Arrow UB Analyzerを使用して、アルブミンに結合していないが非抱合型ビリルビンを特異的に検出しないビリルビンを試験する。割り当てられた非結合型ビリルビン(「Arrows UB(μg/dL)」)は、それぞれ、0.28、0.95、1.67、および>3.0μg/dLであった。
【0130】
図18Aは、Tween(登録商標)20についてArrow UB Analyzerが割り当てた値に対するRFU(対照-反応試料)値(「対照」)の比較を示すプロット
図1800である。Tween(登録商標)20のデータポイントを矢印によって示す。
【0131】
図18Bは、Tween(登録商標)80についてArrow UB Analyzerが割り当てた値(「シリーズ2」)に対するRFU(対照-反応試料)値(「シリーズ1」)の比較を示すプロット
図1810である。対照データポイントと重複しないTween80データポイントを矢印によって示す。
【0132】
図18Cは、Facade(登録商標)-TEMについてArrow UB Analyzerが割り当てた値に対するRFU(対照-反応試料)値(「対照」)の比較を示すプロット
図1820である。対照データポイントと重複しないFacade-TEMデータポイントを矢印によって示す。
【0133】
図19は、Tween(登録商標)80についてArrow UB Analyzerが割り当てた値(プロットライン1920)に対するRFU(対照-反応試料)値(プロットライン1910)の下位3つのデータポイントの比較を示すプロット
図1810の拡大図である。対照:y=2637.1x+1149.2、R
2=0.9928;Tween80:y=2553.5x+1091.6、R
2=0.992。
【0134】
3.9.Tween(登録商標)80およびTween(登録商標)20を使用した方法の比較
オンベンチGOD-POD-UnaG検定評価とオンカートリッジGOD-POD-UnaG検定評価との間の比較を、0.3~23.7mg/dLの範囲の既知のTBIL値を有する7個の血漿試料を使用して実施した。オンベンチ検定評価は、界面活性剤なしで実施した。オンカートリッジ検定評価は、Tween(登録商標)20およびTween(登録商標)80を使用して実施した。オンカートリッジ検定評価では、Tween(登録商標)20の濃度は、約0.01%~約1%であることができ、Tween(登録商標)80の濃度は、約0.006%~約0.024%であることができる。この例では、オンカートリッジ検定評価で使用された濃度は、0.1%のTween(登録商標)20および0.006%のTween(登録商標)80であった。
【0135】
図20は、オンカートリッジGOD-POD-UnaG検定評価についてのRFU値およびオンベンチGOD-POD-UnaG検定評価についての「対照-反応」RFU値を示す表2000である。TBIL血漿試料およびそのTBIL値は、「試料」列に示されている。Tween(登録商標)20およびTween(登録商標)80を使用して実行されたオンカートリッジ検定評価の生のRFU値は、表2000の第2および第3の列に示されている(即ち、「Tween 20 RFU」および「Tween 80 RFU」)。Tween(登録商標)20およびTween(登録商標)80検定評価で得られたRFUデータには、機器に依存する蛍光変動の補正係数を適用し、表2000の第4および第5の列に示した(即ち、「Tween 20 C_RFU」および「Tween 80 C_RFU」)。オンベンチGOD-POD-UnaG検定評価の対照-反応RFU値(界面活性剤を添加していない)は、「ベンチ」と表示された列に示されている。
【0136】
図21Aは、Tween(登録商標)20およびTween(登録商標)80を使用してカートリッジ上で得られたRFU(対照-反応試料)値対DLS TBILを示すプロット
図2100である。データは、機器に依存する蛍光変動の補正を適用してプロットした。
【0137】
図21Bは、オンベンチ検定評価で得られたRFUに対する、Tween(登録商標)20およびTween(登録商標)80を使用してカートリッジ上で得られたRFU(対照-反応試料)値を示すプロット
図2110である。データは、機器に依存する蛍光変動の補正を適用してプロットした。
【0138】
前述の主題を、理解を明確にする目的で図解および例示としてある程度詳細に説明してきたが、当業者は、特定の変更および修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実施され得ることを理解されよう。
【国際調査報告】