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特表2023-540795がんを処置するための方法、治療、および使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】がんを処置するための方法、治療、および使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230919BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230919BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230919BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230919BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230919BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20230919BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230919BHJP
   A61K 31/138 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00 ZNA
A61K31/4439
A61P25/00
A61P43/00 121
A61K31/167
A61K31/573
A61K31/138
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516052
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-04-18
(86)【国際出願番号】 IB2021058229
(87)【国際公開番号】W WO2022053990
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/078,211
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/106,302
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/185,357
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー アニー バーディー ブクサン
(72)【発明者】
【氏名】エロイーザ ヴァージニア バリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アンドリュー ブレーク-ハスキンス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー― ウィン-リン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー チョウ
(72)【発明者】
【氏名】モハメッド エー. エルメリージー
(72)【発明者】
【氏名】ハイケ アイリス クラプカ
(72)【発明者】
【氏名】カイ シン リアウ
(72)【発明者】
【氏名】エーリク ルネ ヴァンデンドリース
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ヴィケイラ
(72)【発明者】
【氏名】ポール スティーヴン ウィッセル
(72)【発明者】
【氏名】アン イヴェール
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC21
4C086DA10
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA05
4C206GA02
4C206GA31
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、がんおよび/またはがん関連疾患の処置のための、単剤および組合せ療法、ならびに使用を記載する。単剤および組合せの治療はBCMA抗体を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてがんを処置する方法であって、以下の投薬レジメン:
(a)80、130、215、360、600もしくは1000μg/kgのQ1Wの皮下(SC)、
(b)80、130、215、360、600もしくは1000μg/kgのQ2W SC、
(c)約16~80mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(d)約16~20、40~44、もしくは76~80mgのQ1W SC、
(e)約16~20、40~44、もしくは76~80mgのQ2W SC、
(f)約40mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(g)約44mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(h)約76mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(i)約80mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(j)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、もしくは約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、続いて約76mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(k)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、続いて約80mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(l)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、もしくは約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(m)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、続いて約80mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約80mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(n)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(o)約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(p)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約80mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬。
(q)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(r)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を23週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(s)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を24週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬
(t)約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(u)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約80mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約80mgのQ2W SCの第2の処置投薬、または
(v)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約80mgのQ1W SCの第1の処置投薬を23もしくは24週間の間、続いて約80mgのQ2W SCの第2の処置投薬
に従ってPF-06863135を対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
対象にPF06863135を、約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬で投与し、少なくとも23週間のそのような第1の処置投薬を受けた後に、対象にPF06863135を76mgのQ2W SCの第2の処置投薬で投与するか、または第1の処置投薬におけるPF06863135を投与し続ける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象においてがんを処置する方法であって、PF-06863135を対象に皮下で、第1の処置投薬を23、24または25週間の間、続いて第2の処置投薬を投与することを含み、
(a)第1の処置投薬が約4mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が約4mgのQ2Wである、
(b)第1の処置投薬が約12mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が約12mgのQ2Wである、
(c)第1の処置投薬が約24mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が約24mgのQ2Wである、
(d)第1の処置投薬が約32mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が約32mgのQ2Wである、
(e)第1の処置投薬が約44mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が約44mgのQ2Wである、または
(f)第1の処置投薬が約76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が約76mgのQ2Wである、方法。
【請求項4】
第1の処置投薬の用量が32mg以上である場合、対象にPF06863135をプライミング投薬において投与し、プライミング投薬を1週間の間投与し、第1の処置投薬における第1の用量を、プライミング投薬を投与する週の直後の週に投与することをさらに含み、
(1)プライミング投薬が単回のプライミング用量であり、単回のプライミング用量が約24mgである、
(2)プライミング投薬が約4mgの第1のプライミング用量および約20mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する、
(3)プライミング投薬が約8mgの第1のプライミング用量および約16mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する、
(4)プライミング投薬が約12mgの第1のプライミング用量および約12mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する、
(5)プライミング投薬が約8mgの第1のプライミング用量および約24mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与するか、または
(6)プライミング投薬が約4mgの第1のプライミング用量および約28mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(a)1週目に開始する、約32mg~約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬、あるいは
(b)1週目中のプライミング投薬および2週目に開始する第1の処置投薬であり、プライミング投薬が、(i)約4mgのSC~約32mgのSCの第1のプライミング用量および約12mgのSC~約44mgのSCの第2のプライミング用量であり、第1のプライミング用量および第2のプライミング用量は1週目に連続的に投与するか、または(ii)約24mg~約44mgのSCの単回のプライミング用量であり、第1の処置投薬は、2週目に開始する約32mg~約76mgのQ1W SCもしくは約32mg~約152mgのQ2W SCであり、第1の処置投薬の用量が、単回のプライミング用量、第1のプライミング用量および第2のプライミング用量のそれぞれの用量よりも高い、処置投薬
のPF-06863135を対象に投与することを含み、
1週目、2週目、および任意の続く週数目は、それぞれ対象にPF06863135を投与する第1、第2および任意の続く週数目を指し、PF06863135は、対象にPF06863135を含む医薬品として投与される、方法。
【請求項6】
対象にプライミング投薬を投与し、プライミング投薬が、1週目の、約24mgのSC、約32mgのSCまたは約44mgのSCの単回のプライミング用量である、または、プライミング投薬が、(i)約12mgのSCの第1のプライミング用量および約32mgのSCの第2のプライミング用量、(ii)約4mgのSCの第1のプライミング用量および約20mgの第2のプライミング用量、(iii)約8mgの第1のプライミング用量および約16mgの第2のプライミング用量、(iv)約12mgの第1のプライミング用量および約12mgの第2のプライミング用量、もしくは(v)約8mgの第1のプライミング用量および約24mgの第2のプライミング用量である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1の処置投薬が、約32mgのQ1W SCもしくは約32mgのQ2W SC、約44mgのQ1W SC、または約44mgのQ2W SCである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
対象に第1の処置投薬を少なくともサイクル1の終わりまでまたは少なくともサイクル6の終わりまで投与し、1サイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は1週目の1日目、2週目の1日目、または3週目の1日目に開始し、サイクル1、サイクル2および続くサイクル数は、それぞれ対象にPF06863135を投与する第1、第2および続くサイクル数を指す、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
対象にPF06863135を、対象がすでに第1の処置投与を受け終わった後に、約32mg~約152mgのQ2W SC、約32mg~約152mgのQ3W SC、または約32mg~約152mgのQ4W SCの第2の処置投薬で投与することをさらに含み、第2の処置投薬はそれぞれの第1の処置投薬よりも低い頻度である投与頻度のものである、または第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い用量を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の処置投薬を少なくともサイクル6の終わりまで対象に投与した後、PF06863135の第2の処置投薬を対象に第1の処置投薬の代わりに投与するか、または対象に第1の処置投薬を投与し続けてよく、第2の処置投薬は、約32mg~約152mgのQ2W SC、約32mg~約152mgのQ3W SC、または約32mg~約152mgのQ4W SCであり、第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い頻度である投与頻度のものである、または第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い用量を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第1の処置投薬が、(i)約76mgのQ1W SC、(ii)約76mgのQ2W SC、または(iii)約76mgのQ1W SCを3週間の間、続いて約116mgのQ1W SCまたは(iv)約76mgのQ1W SCを3週間の間、続いて約152mgのQ1W SCである、請求項5または6に記載の方法。
【請求項12】
対象に、少なくともサイクル1の終わり、少なくともサイクル3の終わり、または少なくともサイクル6の終わりまで第1の処置投薬を投与し、1サイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は1週目の1日目、2週目の1日目、または3週目の1日目に開始し、サイクル1、サイクル2および続くサイクル数は、それぞれ対象にPF06863135を投与する第1、第2および続くサイクル数を指す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対象にPF06863135を、対象がすでに第1の処置投与を受け終わった後に、約44mg~約152mgのQ2W SC、約44mg~約152mgのQ3W SC、または約44mg~約152mgのQ4W SCの第2の処置投薬で投与することをさらに含み、第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い頻度である投与頻度のものである、または第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い用量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1の処置投薬を少なくともサイクル6の終わりまで対象に投与した後、約44mg~約152mgのQ2W SC、約44mg~約152mgのQ3W SC、または約44mg~約152mgのQ4W SCの第2の処置投薬を対象に第1の処置投薬の代わりに投与するか、または対象に第1の処置投薬を投与し続けてよく、第2の処置投薬はそれぞれの第1の処置投薬よりも低い頻度である投与頻度のものである、または第2の処置投薬は第1の処置投薬のものよりも低い用量を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
第1の処置投薬は約76mgのQ1W SCであり、第2の処置投薬は、約44mgのQ2W SC、約76mgのQ2W SC、約116mgのQ2W SC、約152mgのQ2W SC、約44mgのQ3W SC、約76mgのQ3W SC、約116mgのQ3W SC、約152mgのQ3W SC、約44mgのQ4W SC、約76mgのQ4W SC、約116mgのQ4W SCまたは約152mgのQ4W SCである、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
第1の処置投薬は約76mgのQ2W SCであり、第2の処置投薬は、約44mgのQ2W SC、約44mgのQ3W SC、約76mgのQ3W SC、約116mgのQ3W SC、約152mgのQ3W SC、約44mgのQ4W SC、約76mgのQ4W SC、約116mgのQ4W SCまたは約152mgのQ4W SCである、請求項13または14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
対象に、サイクル1の終わりまで第1の処置投薬におけるPF06863135を投与し、続いて第2の処置投薬を投与し、1サイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は1週目の1日目、または2週目の1日目、または3週目の1日目に開始し、サイクル1、サイクル2および続くサイクル数は、それぞれ対象にPF06863135を投与する第1、第2、および続くサイクル数を指す、請求項5から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
第2の処置投薬を少なくともサイクル6の終わりまで投与し、その後、約76mg~約152mgのQ3W SCもしくは約76mg~約152mgのQ4W SCの第3の処置投薬を対象に第2の処置投薬の代わりに投与するか、または対象に第2の処置投薬を投与し続ける、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第2の処置投薬をサイクル6の終わりまで投与し、第3の処置投薬における第1の用量をサイクル7に開始し、第3の処置投薬は116mgのQ4W SCまたは152mgのQ4W SCである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の処置投薬が約76mgのQ1W SCであり、第2の処置投薬が約116mgのQ2W SCであり、第3の処置投薬が約116mgのQ4W SCである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
第1の処置投薬が約76mgのQ1W SCであり、第2の処置投薬が約152mgのQ2W SCであり、第3の処置投薬が約152mgのQ4W SCである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項22】
がんを処置する方法であって、エルラナタマブ(PF06863135)を対象に、以下に示す投薬スケジュールに従って投与することを含み、投薬スケジュールは、週数、用量、およびそれぞれの週数に対応する投与頻度によって記載され、
(a)
【表1】
、(b)
【表2】
、(c)
【表3】
、(d)
【表4】
、(e)
【表5】
、または(f)
【表6】
表中、用量が1週目中に12mg+32mgである場合、12mgの用量をある日に投与し、続いて32mgの用量を別の日に投与し、A+Bは、4(A)+20(B)、8(A)+16(B)、12(A)+12(B)、または8(A)+24(B)であり、用量が1週目中にAmg+Bmgである場合、Amgの用量をある日に投与し、続いてBmgの用量を別の日に投与する、方法。
【請求項23】
対象にエルラナタマブ(PF06863135)を、以下に示す投薬スケジュールに従って投与する、請求項22に記載の方法。
(a)
【表7】
、(b)
【表8】
、(c)
【表9】
、(d)
【表10】
、(e)
【表11】
、または(f)
【表12】
【請求項24】
対象にPF06863135を投薬スケジュール(a)、(b)または(c)に従って投与し、投薬スケジュール(a)、(b)、および(c)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度が、(i)毎週、(ii)2週間毎、または(iii)毎週もしくは2週間毎である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対象にエルラナタマブ(PF06863135)を、以下に示す投薬スケジュールに従って投与する、請求項22に記載の方法。
(a)
【表13】
、(b)
【表14】
、(c)
【表15】
、(d)
【表16】
、(e)
【表17】
、または(f)
【表18】
【請求項26】
対象にPF06863135を投薬スケジュール(a)、(b)または(c)に従って投与し、投薬スケジュール(a)、(b)、および(c)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度が、(i)毎週、(ii)2週間毎、または(iii)毎週もしくは2週間毎である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対象にエルラナタマブ(PF06863135)を、以下に示す投薬スケジュールに従って投与する、請求項24に記載の方法。
(a)
【表19】
、(b)
【表20】
、(c)
【表21】
、(d)
【表22】
、(e)
【表23】
、または(f)
【表24】
【請求項28】
対象にPF06863135を投薬スケジュール(a)、(b)または(c)に従って投与し、投薬スケジュール(a)、(b)、および(c)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度が、(i)毎週、(ii)2週間毎、または(iii)毎週もしくは2週間毎である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1週目中の用量および投与頻度は、まとめてプライミング投薬と称され、対象にプライミング投薬において1回用量のみのエルラナタマブを投与する場合、そのような1回用量は単回のプライミング用量と称され、1週目中に対象に2回用量のエルラナタマブを連続的に投与する場合、2回用量はそれぞれ第1のプライミング用量および第2のプライミング用量と称され、それぞれの投薬スケジュール(a)および(d)、(b)および(e)ならびに(c)および(f)におけるそれぞれ2~24週目、2~25週目および2~26週目中の用量および投与頻度は、それぞれの投薬スケジュールにおいて、まとめて第1の処置投薬と称され、それぞれの投薬スケジュール(a)および(d)、(b)および(e)ならびに(c)および(f)における25週目中およびそれ以降、26週目以降、ならびに27週目以降の用量および投与頻度は、それぞれの投薬スケジュールにおいて、まとめて第2の処置投薬と称される、請求項22から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
対象に第2の処置投薬のPF06863135を6~18サイクルの間投与し、その後、対象にPF06863135の第3の処置投薬を皮下で投与し、第3の処置投薬は、32mgのQ2W、32mgのQ4W、44mgのQ2W、44mgのQ4W、76mgのQ2W、76mgのQ4W、116mgのQ2W、116mgのQ4W、152mgのQ2W、または152mgのQ4Wであり、1サイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は1週目1日目、2週目1日目、または3週目1日目に開始する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
i)第1の処置投薬が32mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が32mgのQ1Wもしくは32mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が32mgのQ2Wもしくは32mgのQ4Wである、(ii)第1の処置投薬が32mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が32mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が32mgのQ4Wである、(iii)第1の処置投薬が44mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が44mgのQ1Wもしくは44mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が44mgのQ2Wもしくは44mgのQ4Wである、(iv)第1の処置投薬が44mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が44mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が44mgのQ4Wである、(v)第1の処置投薬が76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が76mgのQ1Wもしくは76mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が76mgのQ2Wもしくは76mgのQ4Wである、(vi)第1の処置投薬が76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が76mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が76mgのQ4Wである、(vii)第1の処置投薬が116mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が116mgのQ1Wもしくは116mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が116mgのQ2Wもしくは116mgのQ4Wである、(viii)第1の処置投薬が116mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が116mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が116mgのQ4Wである、(ix)第1の処置投薬が152mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が152mgのQ1Wもしくは152mgのQ2Wであり、第3の処置投薬が152mgのQ2Wもしくは152mgのQ4Wである、または(x)第1の処置投薬が152mgのQ1Wであり、第2の処置投薬が152mg Q2Wであり、第3の処置投薬が152mgのQ4Wである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
がんを処置する方法であって、エルラナタマブ(PF06863135)を対象に、以下に示す投薬スケジュールに従って投与することを含み、投薬スケジュールは、週数、用量、およびそれぞれの週数に対応する投与頻度によって記載され、
【表25】
表中、用量が1週目中に12mg+32mgである場合、12mgの用量をある日に投与し、続いて32mgの用量を別の日に投与し、A+Bは、4(A)+20(B)、8(A)+16(B)、12(A)+12(B)、または8(A)+24(B)であり、Amgの用量をある日に投与し、続いてBmgの用量を別の日に投与する、方法。
【請求項33】
対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する、請求項32に記載の方法。
【表26】
【請求項34】
対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する、請求項32に記載の方法。
【表27】
【請求項35】
1週目中の用量および投与頻度は、まとめてプライミング投薬と称され、対象にプライミング投薬において1回用量のみのエルラナタマブを投与する場合、そのような1回用量は単回のプライミング用量と称され、1週目中に対象に2回用量のエルラナタマブを連続的に投与する場合、2回用量はそれぞれ第1のプライミング用量および第2のプライミング用量と称され、2~4週目中の用量および投与頻度は、まとめて第1の処置投薬と称され、5~24週目中の用量および投与頻度は、まとめて第2の処置投薬と称され、25週目中およびそれ以降の用量および投与頻度は、まとめて第3の処置投薬と称される、請求項32から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
がんを処置する方法であって、エルラナタマブ(PF06863135)を対象に、以下に示す投薬スケジュールに従って投与することを含み、投薬スケジュールは、週数、用量、およびそれぞれの週数に対応する投与頻度によって記載され、
【表28】
表中、用量が1週目中に12mg+32mgである場合、12mgの用量をある日に投与し、続いて32mgの用量を別の日に投与し、A+Bは、4(A)+20(B)、8(A)+16(B)、12(A)+12(B)、または8(A)+24(B)であり、Amgの用量をある日に投与し、続いてBmgの用量を別の日に投与する、方法。
【請求項37】
対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する、請求項36に記載の方法。
【表29】
【請求項38】
対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する、請求項36に記載の方法。
【表30】
【請求項39】
対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する、請求項36に記載の方法。
【表31】
【請求項40】
対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する、請求項36に記載の方法。
【表32】
【請求項41】
1週目中の用量および投与頻度は、まとめてプライミング投薬と称され、対象にプライミング投薬において1回用量のみのエルラナタマブを投与する場合、そのような1回用量は単回のプライミング用量と称され、1週目中に対象に2回用量のエルラナタマブを連続的に投与する場合、2回用量はそれぞれ第1のプライミング用量および第2のプライミング用量と称され、2~4週目中の用量および投与頻度ならびに5~12週目中の用量および投与頻度は全て、まとめて第1の処置投薬と称され、13~24週目中の用量および投与頻度は、まとめて第2の処置投薬と称され、25週目中以降の用量および投与頻度は、まとめて第3の処置投薬と称される、請求項36から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
がんが多発性骨髄腫である、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ササンリマブを対象に投与することをさらに含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
レナリドミドを対象に投与することをさらに含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
ダラツムマブを対象に投与することをさらに含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
対象にイサツキシマブを投与することをさらに含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
対象に、PF06863135の単回のプライミング用量、第1のプライミング用量、第2のプライミング用量、または第1の処置用量の第1の用量を対象に投与する日に、少なくとも1つの前投薬の用量を投与することをさらに含み、前投薬が、アセトアミノフェン、ジフェンヒドラミン、またはデキサメタゾンである、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
対象に放射線療法を投与することをさらに含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんおよび/またはがん関連疾患の処置に有用な、単剤および組合せ療法のどちらにも関する。具体的には、本発明は、BCMA×CD3二重特異性抗体を含む単剤および組合せ療法に関する。
【背景技術】
【0002】
B細胞成熟抗原(BCMA、CD269、またはTNFRSF17)は、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバーである。BCMAは、t(4;16)転座を含有する悪性ヒトT細胞リンパ腫において同定された。この遺伝子はB細胞系統中で選択的に発現され、抗体分泌細胞である形質芽細胞および形質細胞中での発現が最も高い。BCMAは、2つのリガンド、すなわちB細胞活性化因子(BAFF)(Bリンパ球刺激因子(BLyS)およびAPOL関連の白血球に発現されるリガンド(TALL-1)とも称される)および増殖誘導リガンド(APRIL)と、それぞれ1μMおよび16nMの親和性で結合する。APRILまたはBAFFとBCMAとの結合は、NF-カッパB、Elk-1、c-Jun N末端キナーゼおよびp38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼが関与するシグナル伝達カスケードを促進し、これは細胞の生存および増殖のためのシグナルを生じる。BCMAはまた、悪性B細胞、ならびに多発性骨髄腫、形質細胞腫、ホジキンリンパ腫、および慢性リンパ球性白血病を含めた、Bリンパ球が関与しているいくつかのがんでも発現される。全身性エリテマトーデス(SLE)および関節リウマチなどの形質芽細胞が関与している自己免疫疾患では、抗体産生細胞を発現するBCMAは、自己を攻撃する自己抗体を分泌する。BCMAはまた、多発性骨髄腫患者の末梢血中で可溶形(すなわち可溶性BCMAまたはsBCMA)でも見つかり、BCMA特異的治療の沈没をもたらす場合がある。いくつかのBCMA特異的治療が現在開発中であるが、多発性骨髄腫は依然として難病のままであり、ほとんど全ての患者がこれらの薬剤に対して耐性を発生し、最終的に再発する。
【0003】
プログラム死1(PD-1)受容体ならびにPD-1リガンド1および2(それぞれPD-L1およびPD-L2)は免疫調節において不可欠な役割を果たす。活性化T細胞上で発現されるPD-1は、間質細胞、腫瘍細胞、または両方によって発現されるPD-L1(B7-H1としても知られる)およびPD-L2によって活性化され、T細胞死および局所的免疫抑制を開始させ(Dongら、Nat Med 1999;5:1365~69、Freemanら J Exp Med 2000;192:1027~34)、腫瘍の発生および成長のための免疫寛容環境を潜在的に提供する。逆に、この相互作用の阻害は、非臨床的動物モデルにおいて局所的T細胞応答を増強させ、抗腫瘍活性を媒介することができる(Iwai Yら Proc Natl Acad Sci USA 2002;99:12293~97)。がんを処置するために、PD-1とそのリガンドPD-L1およびPD-L2のうちの一方または両方との相互作用を阻害するいくつかの抗体が現在開発中である。
【0004】
Notch経路は、細胞運命決定、増殖、血管形成、およびアポトーシスに寄与する保存的シグナル伝達経路である。Notch経路のユニークな特徴は、リガンド(Jagged-1、2およびデルタ-1、3、4)ならびに受容体(Notch-1、2、3、4)がどちらもI型膜タンパク質であることである。細胞間の直接接触の後、notch受容体はγ-セクレターゼによって切断され、核内に移行して転写をモジュレートする細胞内ドメイン(NICD)を放出する。γ-セクレターゼ阻害剤(GSI)が、アルツハイマー病およびがんなどのいくつかの疾患のために開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多発性骨髄腫などのがんおよび/またはがん関連疾患の処置のための、改善された治療の必要性が依然として残る。さらに、既存の治療よりも高い有効性を有する治療の必要性が存在する。本発明の好ましい組合せ療法は、いずれかの治療剤を単独で用いた処置よりも高い有効性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、がんおよび/またはがん関連疾患の処置のための、組合せ療法を含む治療に関する。対象においてがんおよび/またはがん関連疾患を処置する方法を、本明細書において提供する。また、悪性細胞を有する対象において腫瘍の成長または進行を阻害する方法も提供する。また、対象において悪性細胞の転移を阻害する方法も提供する。また、悪性細胞を有する対象において腫瘍回帰を誘導する方法も提供する。
【0007】
対象に第1の治療剤および第2の治療剤を含む併用療法を投与することを含む、対象においてがんおよび/またはがん関連疾患を処置する方法を、本明細書において開示する。本明細書において開示する本発明は、対象においてがんおよび/またはがん関連疾患の処置において使用するための、第1の治療剤および第2の治療剤を含む医薬にさらに向けられる。本発明は、対象においてがんおよび/またはがん関連疾患の処置において使用するための第1の治療剤にさらに向けられており、第1の治療剤は第2の治療剤と組み合わせて投与する。
【0008】
一部の態様では、第1の治療剤はB細胞成熟抗原(BCMA)特異的治療剤である。一部の態様では、第2の治療剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、免疫調節剤、またはガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)である。
【0009】
一部の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体である。一部の態様では、第2の治療剤は抗PD-1抗体である。別の態様では、第2の治療剤は抗PD-L1抗体である。別の態様では、第2の治療剤は免疫調節剤である。別の態様では、第2の治療剤はGSIである。
【0010】
一部の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体であり、第2の治療剤は抗PD-1抗体である。別の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体であり、第2の治療剤は抗PD-L1抗体である。別の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体であり、第2の治療剤は免疫調節剤である。別の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体であり、第2の治療剤はGSIである。
【0011】
一部の態様では、併用療法は第3、第4または第5の治療剤をさらに含む。一部の態様では、併用療法は化学療法剤をさらに含む。一部の態様では、治療剤は、対象に同時に、別々に、または連続的に投与する。
【0012】
一部の態様では、BCMA二重特異性抗体はPF-06863135であり、抗PD-1抗体はササンリマブであり、免疫調節剤はレナリドミドもしくはポマリドミドであり、および/またはGSIはニロガセスタットもしくは薬学的に許容されるその塩である。一態様では、BCMA二重特異性抗体はPF-06863135である。一態様では、抗PD-1抗体はササンリマブである。一態様では、免疫調節剤はレナリドミドである。別の態様では、免疫調節剤はポマリドミドである。一態様では、GSIはニロガセスタットまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0013】
一部の態様では、治療剤のうちの少なくとも1つを、静脈内(IV)、皮下(SC)または経口用量で対象に投与する。
【0014】
一部の態様では、治療剤のうちの少なくとも1つを、約0.01μg/kg、0.02μg/kg、0.03μg/kg、0.04μg/kg、0.05μg/kg、0.06μg/kg、0.07μg/kg、0.08μg/kg、0.09μg/kg、0.1μg/kg、0.2μg/kg、0.3μg/kg、0.4μg/kg、0.5μg/kg、0.6μg/kg、0.7μg/kg、0.8μg/kg、0.9μg/kg、1μg/kg、2μg/kg、3μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、6μg/kg、7μg/kg、8μg/kg、9μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、110μg/kg、120μg/kg、130μg/kg、140μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、400μg/kg、500μg/kg、600μg/kg、700μg/kg、800μg/kg、900μg/kg、1000μg/kg、1200μg/kgもしくは1400μg/kgまたはそれより高い用量で対象に投与する。
【0015】
一部の態様では、治療剤のうちの少なくとも1つを、約1mg/kg~約1000mg/kg、約2mg/kg~約900mg/kg、約3mg/kg~約800mg/kg、約4mg/kg~約700mg/kg、約5mg/kg~約600mg/kg、約6mg/kg~約550mg/kg、約7mg/kg~約500mg/kg、約8mg/kg~約450mg/kg、約9mg/kg~約400mg/kg、約5mg/kg~約200mg/kg、約2mg/kg~約150mg/kg、約5mg/kg~約100mg/kg、約10mg/kg~約100mg/kg、もしくは約10mg/kg~約60mg/kgの用量で対象に投与する。
【0016】
一部の態様では、治療剤のうちの少なくとも1つを、約0.05μg、0.2μg、0.5μg、1μg、10μg、100μg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、350mg、700mg、750mg、800mg、900mg、1000mg、もしくは1500mgまたはそれより高い固定用量で対象に投与する。
【0017】
一部の態様では、治療剤のうちの少なくとも1つを、少なくとも毎日1回、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、2日毎に1回、3日毎に1回、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、30日間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、1カ月に1回、2カ月毎に1回、3カ月毎に1回、または4カ月毎に1回、対象に投与する。
【0018】
一部の態様では、がんおよび/またはがん関連疾患は、B細胞関連がんおよび/またはがん関連疾患である。一部の態様では、B細胞関連がんおよび/またはがん関連疾患は、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーレル病および骨髄腫症、形質細胞白血病、多発性骨髄腫を伴った骨および髄外性の形質細胞腫、固形骨および髄外性の形質細胞腫、意義不明のモノクローナル高ガンマグロブリン血症(MGUS)、くすぶり型骨髄腫、軽鎖アミロイド症、骨硬化性骨髄腫、B細胞前リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、骨髄性白血病、ワルデンストレームのマクログロブリン血症(macroglobulienemia)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、縦隔(胸腺)原発大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性(lymphoplasmactyic)リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(下肢型)、高齢者のEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症に関連するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽細胞性リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病を生じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫の中間の特長を有する未分類のB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫の中間の特長を有する未分類のB細胞リンパ腫、ならびに他のB細胞関連リンパ腫から選択される。一部の態様では、B細胞関連がんは多発性骨髄腫である。一部の態様では、多発性骨髄腫は再発性/不応性の多発性骨髄腫である。
【0019】
また、対象に第1の治療剤および第2の治療剤を含む併用療法を投与することを含む、対象において多発性骨髄腫を処置する方法であって、第1の治療剤はB細胞成熟抗原(BCMA)二重特異性抗体であり、第2の治療剤は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、免疫調節剤またはガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)である、方法も本明細書において提供される。また、対象において多発性骨髄腫を処置する方法において使用するための第1の治療剤であって、第1の治療剤はB細胞成熟抗原(BCMA)二重特異性抗体であり、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、免疫調節剤またはガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)から選択される第2の治療剤と組み合わせて投与する、治療剤も本明細書において提供される。一部の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体であり、第2の治療剤は抗PD-1抗体である。別の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体であり、第2の治療剤は抗PD-L1抗体である。別の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体であり、第2の治療剤は免疫調節剤である。別の態様では、第1の治療剤はBCMA二重特異性抗体であり、第2の治療剤はGSIである。
【0020】
また、対象に第1の治療剤および第2の治療剤を含む併用療法を投与することを含む、対象において多発性骨髄腫を処置する方法であって、第1の治療剤はPF-06863135であり、第2の治療剤はササンリマブである、方法も提供する。
【0021】
また、対象に第1の治療剤および第2の治療剤を含む併用療法を投与することを含む、対象において多発性骨髄腫を処置する方法であって、第1の治療剤はPF-06863135であり、第2の治療剤はレナリドミドである、方法も提供する。
【0022】
また、対象に第1の治療剤および第2の治療剤を含む併用療法を投与することを含む、対象において多発性骨髄腫を処置する方法であって、第1の治療剤はPF-06863135であり、第2の治療剤はポマリドミドである、方法も提供する。
【0023】
また、対象に第1の治療剤および第2の治療剤を含む併用療法を投与することを含む、対象において多発性骨髄腫を処置する方法であって、第1の治療剤はPF-06863135であり、第2の治療剤はニロガセスタットである、方法も提供する。
【0024】
また、対象においてがんを処置する方法であって、投薬レジメンに従って対象にPF-06863135を投与することを含む、方法も提供する。
【0025】
一部の実施形態では、投薬レジメンは以下の通りである:
(a)0.1、0.3、1、3、10、30、50もしくは100μg/kgの毎週(Q1W)の静脈内(IV)、
(b)0.1、0.3、1、3、10、30、50もしくは100μg/kgの2週間毎に1回(Q2W)のIV、
(c)約0.5~10mgのQ1W IVもしくはQ2W IV、
(d)約0.5、1、2、3、4、5、6、7、7.5もしくは8mgのQ1W IVもしくはQ2W IV、
(e)約0.5、1、2、3、4、5、6、7.5もしくは8mgのQ1W IVの単回のプライミング用量を1週間の間のプライミング投薬、続いて約6、7、7.5、8、9もしくは10mgのQ1W IVもしくはQ2W IVの第1の処置投薬であり、プライミング用量は処置投薬中の単回用量未満である、処置投薬、または
(f)約0.5、1、2、3、4、5、6、7、7.5もしくは8mgのQ1Wの単回のプライミング用量を1週間の間のプライミング投薬、続いて約6、7、7.5、8、9もしくは10mgのQ1W IVの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約6、7、7.5、8、9もしくは10mgのQ2W IVの第2の処置投薬であり、プライミング用量は第1の処置投薬中の単回用量未満である、処置投薬。
【0026】
本発明の別の態様では、投薬レジメンは以下の通りである:
(a)80、130、215、360、600もしくは1000μg/kgのQ1Wの皮下(SC)、
(b)80、130、215、360、600もしくは1000μg/kgのQ2W SC、
(c)約16~80mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(d)約16~20、40~44、もしくは76~80mgのQ1W SC、
(e)約16~20、40~44、もしくは76~80mgのQ2W SC、
(f)約40mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(g)約44mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(h)約76mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(i)約80mgのQ1W SCもしくはQ2W SC、
(j)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、もしくは約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、続いて約76mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(k)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、続いて約80mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(l)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、もしくは約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(m)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1~4週間の間、続いて約80mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約80mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(n)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(o)約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(p)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約80mgのQ1W SCもしくはQ2W SCの第1の処置投薬、
(q)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(r)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を23週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(s)約44mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を24週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬
(t)約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬、
(u)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約80mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、続いて約80mgのQ2W SCの第2の処置投薬、または
(v)約40mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約80mgのQ1W SCの第1の処置投薬を23もしくは24週間の間、続いて約80mgのQ2W SCの第2の処置投薬。
【0027】
一部の実施形態では、プライミング投薬は、44mgのQ1W SC、40mgのQ1W SCまたは32mgのQ1W SCの単回のプライミング用量を1週間の間だけ投与する。
【0028】
また、対象にPF06863135を、(a)約32mgのSCもしくは約44mgのSCの単回のプライミング用量を1週目に、または約12mgのSCの第1のプライミング用量および約32mgのSCの第2のプライミング用量の両方を1週目に、ならびに(b)約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬を、2週目に開始して投与することを含む、対象においてがんを処置する方法であって、1週目、2週目、および任意の続く週数目は、対象にPF06863135を投与する第1、第2および任意の続く週数目を指し、PF6863135は、対象にPF06863135を含む医薬品として投与される、方法も提供する。
【0029】
一部の実施形態では、対象に、約44mgのSCの単回のプライミング用量のPF06863135を1週目に投与する。一部の実施形態では、対象に、約12mgのSCの第1のプライミング用量を1週目の1日目に、および約32mgのSCの第2のプライミング用量を1週目の4日目に投与する。
【0030】
一部の実施形態では、本方法は、対象にPF06863135を、約76mgのQ2W SCの第2の処置投薬で25週目またはサイクル7の1週目に開始して投与することをさらに含み、第1の処置投薬におけるPF06863135は、24週目の終わりまたはサイクル6の終わりまで投与し、1サイクルは28日間であり、サイクル1、サイクル2および続くサイクル数は、対象にPF06863135を投与する第1、第2および続くサイクル数を指す。
【0031】
一部の実施形態では、対象にPF06863135を、約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬で投与し、少なくとも23週間のそのような第1の処置投薬を受けた後に、対象にPF06863135を76mgのQ2Wの第2の処置投薬で投与するか、または第1の処置投薬におけるPF06863135を投与し続ける。一部の実施形態では、医薬品のそれぞれの規制ラベルに従って、または対象の応答に従って、少なくとも23週間の第1の処置投薬を受けた後に、対象にPF06863135を第2の処置投薬において投与する。一部の実施形態では、対象が、少なくとも6サイクルの処置を受けた後に、部分奏効以上のIMWG応答を実証し、応答が少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクルまたは少なくとも3サイクルの間持続しない限りは、対象に、少なくとも23週間の第1の処置投薬を受けた後に、第1の処置投薬におけるPF06863135を投与し続け、それぞれのサイクルは28日間であり、第1のサイクルは、対象にPF06863135の単回のプライミング用量または第1のプライミング用量を投与した日に開始される。
【0032】
また、対象においてがんを処置する方法であって、以下の投薬レジメン:
(a)約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約44mgのQ1W SCの第1の処置投薬、
(b)約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約44mgのQ2W SCの第1の処置投薬、
(c)約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約44mgのQ1W SCの第1の処置投薬を2~20、21、22、23、24、25~46、47もしくは48週間の間、および約44mgのQ2W SCの第2の処置投薬、または
(d)約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約44mgのQ1W SCの第1の処置投薬を23もしくは24週間の間、および約44mgのQ2W SCの第2の処置投薬
に従って対象にPF-06863135を投与することを含む、方法も提供する。
【0033】
一部の実施形態では、PF-06863135を対象に、約32mgのQ1W SCのプライミング投薬で1週間の間、続いて約44mgのQ1W SCの第1の処置投薬で投与する。一部の実施形態では、PF-06863135を対象に、約32mgのQ1W SCのプライミング投薬を1週間の間、続いて約44mgのQ1W SCの第1の処置投薬を23もしくは24週間の間、続いて約44mgのQ2W SCの第2の処置投薬で投与する。
【0034】
また、対象においてがんを処置する方法であって、PF-06863135を対象に皮下で、第1の処置投薬を23、24または25週間の間、続いて第2の処置投薬を投与することを含む、方法も提供する。
【0035】
一部の実施形態では、第1の処置投薬は約4mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約4mgのQ1Wまたは約4mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約12mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約12mgのQ1Wまたは約12mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約24mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約24mgのQ1Wまたは約24mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約32mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約32mgのQ1Wまたは約32mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約44mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約44mgのQ1Wまたは約44mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約76mgのQ1Wまたは約76mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約4mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約4mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約12mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約12mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約24mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約24mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約32mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約32mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約44mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約44mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約76mgのQ2Wである。
【0036】
一部の実施形態では、第1の処置投薬の用量が32mg以上である場合、本方法は、対象にPF06863135をプライミング投薬において投与し、プライミング投薬を1週間の間投与し、第1の処置投薬における第1の用量を、プライミング投薬を投与する週の直後の週に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、プライミング投薬は単回のプライミング用量であり、単回のプライミング用量は約24mgである。一部の実施形態では、プライミング投薬は約4mgの第1のプライミング用量および約20mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する。一部の実施形態では、プライミング投薬は約8mgの第1のプライミング用量および約16mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する。一部の実施形態では、プライミング投薬は約12mgの第1のプライミング用量および約12mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する。一部の実施形態では、プライミング投薬は約8mgの第1のプライミング用量および約24mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する。一部の実施形態では、プライミング投薬は約4mgの第1のプライミング用量および約28mgの第2のプライミング用量を含み、2つのプライミング用量は2つの異なる日に投与し、第1のプライミング用量は、第2のプライミング用量を投与する前に投与する。
【0037】
一部の実施形態では、対象に第2の処置投薬のPF06863135を6~18サイクルの間投与し、1サイクルは21日間または28日間であり、その後、対象にPF06863135の第3の処置投薬を皮下で投与する。一部の実施形態では、第3の処置投薬は約4mgのQ2Wまたは約4mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第3の処置投薬は約12mgのQ2Wまたは約12mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第3の処置投薬は約24mgのQ2Wまたは約24mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第3の処置投薬は約32mgのQ2Wまたは約32mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第3の処置投薬は約44mgのQ2W、約44mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第3の処置投薬は約76mgのQ2Wでありまたは約76mgのQ4Wである。
【0038】
一部の実施形態では、第1の処置投薬は約4mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約4mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約4mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約12mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約12mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約12mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約24mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約24mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約32mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約32mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約32mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約24mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約44mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約44mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約44mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約76mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約76mgのQ4Wである。
【0039】
また、対象においてがんを処置する方法であって、
(a)1週目に開始する、約32mg~約76mgのQ1W SCの第1の処置投薬、あるいは
(b)1週目中のプライミング投薬および2週目に開始する第1の処置投薬であり、プライミング投薬は、(i)約4mgのSC~約32mgのSCの第1のプライミング用量および約12mgのSC~約44mgのSCの第2のプライミング用量であり、第1のプライミング用量および第2のプライミング用量は1週目に連続的に投与するか、または(ii)約24mg~約44mgのSCの単回のプライミング用量であり、第1の処置投薬は、2週目に開始する約32mg~約76mgのQ1W SCもしくは約32mg~約152mgのQ2W SCであり、第1の処置投薬の用量は、単回のプライミング用量、第1のプライミング用量および第2のプライミング用量のそれぞれの用量よりも高い、処置投薬
のPF-06863135を対象に投与することを含み、
1週目、2週目、および任意の続く週数目は、それぞれ対象にPF06863135を投与する第1、第2および任意の続く週数目を指し、PF06863135は、対象にPF06863135を含む医薬品として投与される、方法も提供する。
【0040】
一部の実施形態では、対象に、約24mgのSC、約32mgのSCまたは約44mgのSCの単回のプライミング用量のプライミング投薬を1週目に投与する。一部の実施形態では、対象に、約12mgのSCの第1のプライミング用量および約32mgのSCの第2のプライミング用量のプライミング投薬を1週目に投与する。一部の実施形態では、対象に、約4mg、約8mg、約12mg、または約24mgの単回のプライミング用量のプライミング投薬を1週目中に投与する。一部の実施形態では、対象に、第1のプライミング用量および第2のプライミング用量のプライミング投薬を投与する。一部の実施形態では、第1のプライミング用量は約4mgであり、第2のプライミング用量は約20mgである。一部の実施形態では、第1のプライミング用量は約8mgであり、第2のプライミング用量は約16mgである。一部の実施形態では、第1のプライミング用量は約12mgであり、第2のプライミング用量は約12mgである。一部の実施形態では、第1のプライミング用量は約8mgであり、第2のプライミング用量は約24mgである。
【0041】
一部の実施形態では、第1の処置投薬は約32mgのQ1W SCまたは約32mgのQ2W SCである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約44mgのQ1W SC、または約44mgのQ2W SCである。一部の実施形態では、対象に第1の処置投薬を少なくともサイクル1の終わりまでまたは少なくともサイクル6の終わりまで投与し、1サイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は1週目の1日目、2週目の1日目、または3週目の1日目に開始し、サイクル1、サイクル2および続くサイクル数は、それぞれ対象にPF06863135を投与する第1、第2および続くサイクル数を指す。
【0042】
一部の実施形態では、本方法は、対象にPF06863135を、対象がすでに第1の処置投与を受け終わった後に、約32mg~約152mgのQ2W SC、約32mg~約152mgのQ3W SC、または約32mg~約152mgのQ4W SCの第2の処置投薬で投与することをさらに含み、第2の処置投薬はそれぞれの第1の処置投薬よりも低い頻度である投与頻度のものである、または第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い用量を有する。一部の実施形態では、第1の処置投薬を少なくともサイクル6の終わりまで対象に投与した後、PF06863135の第2の処置投薬を対象に第1の処置投薬の代わりに投与するか、または対象に第1の処置投薬を投与し続けてよく、第2の処置投薬は、約32mg~約152mgのQ2W SC、約32mg~約152mgのQ3W SC、または約32mg~約152mgのQ4W SCであり、第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い頻度である投与頻度のものである、または第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い用量を有する。一部の実施形態では、(i)第1の処置投薬は約32mgのQ1W SCであり、第2の処置投薬は、約32mgのQ2W SC、32mgのQ3W SC、32mgのQ4W SC、44mgのQ2W SC、44mgのQ3W SC、44mgのQ4W SC、76mgのQ3W SC、76mgのQ4W SC、116mgのQ4W SCもしくは152mgのQ4W SCである、または(ii)第1の処置投薬は約32のQ2W SCであり、第2の処置投薬は、約32mgのQ3W SC、32mgのQ4W SC、44mgのQ3W SC、44mgのQ4W SC、76mgのQ3W SC、76mgのQ4W SC、116mgのQ4W SCもしくは152mgのQ4W SCである。一部の実施形態では、(i)第1の処置投薬は約44mgのQ1W SCであり、第2の処置投薬は、約44mgのQ2W SC、44mgのQ3W SC、44mgのQ4W SC、76mgのQ2W SC、76mgのQ3W SC、76mgのQ4W SC、116mgのQ4W SC、もしくは約152mgのQ4W SCである、または(ii)第1の処置投薬は約44mgのQ2W SCであり、第2の処置投薬は、約32mgのQ2W SC、44mgのQ3W SC、76mgのQ3W SC、116mgのQ3W SC、152mgのQ3W SC、32mgのQ4W SC、44mgのQ4W SC、76mgのQ4W SC、116mgのQ4W SC、もしくは約152mgのQ4W SCである。一部の実施形態では、医薬品のそれぞれの規制ラベルに従って第2の処置投薬を対象に投与する。一部の実施形態では、第1の処置投薬に対する対象の応答に従って第2の処置投薬を対象に投与する。一部の実施形態では、対象が第1の処置投薬を受けている間に、対象が部分奏効以上のIMWG応答を実証し、応答が少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクルまたは少なくとも3サイクルの間持続しない限りは、対象に第1の処置投薬を投与し続ける。
【0043】
一部の実施形態では、第1の処置投薬は、(i)約76mgのQ1W SC、(ii)約76mgのQ2W SC、または(iii)約76mgのQ1W SCを3週間の間、続いて約116mgのQ1W SCまたは(iv)約76mgのQ1W SCを3週間の間、続いて約152mgのQ1W SCである。一部の実施形態では、対象に、少なくともサイクル1の終わり、少なくともサイクル3の終わり、または少なくともサイクル6の終わりまで第1の処置投薬を投与し、1サイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は1週目の1日目、2週目の1日目、または3週目の1日目に開始し、サイクル1、サイクル2および続くサイクル数は、それぞれ対象にPF06863135を投与する第1、第2および続くサイクル数を指す。一部の実施形態では、本方法は、対象にPF06863135を、対象がすでに第1の処置投与を受け終わった後に、約44mg~約152mgのQ2W SC、約44mg~約152mgのQ3W SC、または約44mg~約152mgのQ4W SCの第2の処置投薬で投与することをさらに含み、第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い頻度である投与頻度のものである、または第2の処置投薬は第1の処置投薬よりも低い用量を有する。一部の実施形態では、第1の処置投薬を少なくともサイクル6の終わりまで対象に投与した後、約44mg~約152mgのQ2W SC、約44mg~約152mgのQ3W SC、または約44mg~約152mgのQ4W SCの第2の処置投薬を対象に第1の処置投薬の代わりに投与するか、または対象に第1の処置投薬を投与し続けてよく、第2の処置投薬はそれぞれの第1の処置投薬よりも低い頻度である投与頻度のものである、または第2の処置投薬は第1の処置投薬のものよりも低い用量を有する。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ1W SCであり、第2の処置投薬は、約44mgのQ2W SC、約76mgのQ2W SC、約116mgのQ2W SC、約152mgのQ2W SC、約44mgのQ3W SC、約76mgのQ3W SC、約116mgのQ3W SC、約152mgのQ3W SC、約44mgのQ4W SC、約76mgのQ4W SC、約116mgのQ4W SCまたは約152mgのQ4W SCである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ2W SCであり、第2の処置投薬は、約44mgのQ2W SC、約44mgのQ3W SC、約76mgのQ3W SC、約116mgのQ3W SC、約152mgのQ3W SC、約44mgのQ4W SC、約76mgのQ4W SC、約116mgのQ4W SCまたは約152mgのQ4W SCである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は約76mgのQ2Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ2Wであり、第2の処置投薬は約76mgのQ4Wである。一部の実施形態では、医薬品のそれぞれの規制ラベルに従って第2の処置投薬を対象に投与する。一部の実施形態では、第1の処置投薬に対する対象の応答に従って第2の処置投薬を対象に投与する。一部の実施形態では、対象が第1の処置投薬を受けている間に、対象が部分奏効以上のIMWG応答を実証し、応答が少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクルまたは少なくとも3サイクルの間持続している場合は、第2の処置投薬を対象に投与する。
【0044】
一部の実施形態では、対象に、サイクル1の終わりまで第1の処置投薬におけるPF06863135を投与し、続いて第2の処置投薬を投与し、1サイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は1週目の1日目、または2週目の1日目、または3週目の1日目に開始し、サイクル1、サイクル2および続くサイクル数は、それぞれ対象にPF06863135を投与する第1、第2および続くサイクル数を指す。一部の実施形態では、第2の処置投薬を少なくともサイクル6の終わりまで投与し、その後、約76mg~約152mgのQ3W SCもしくは約76mg~約152mgのQ4W SCの第3の処置投薬を対象に第2の処置投薬の代わりに投与するか、または対象に第2の処置投薬を投与し続ける。一部の実施形態では、第2の処置投薬を少なくともサイクル6の終わりまで投与し、その後、約76mg~約152mgのQ3W SCまたは約76mg~約152mgのQ4W SCの第3の処置投薬を投与する。一部の実施形態では、第2の処置投薬をサイクル6の終わりまで投与し、第3の処置投薬における第1の用量をサイクル7に開始し、第3の処置投薬は116mgのQ4W SCまたは152mgのQ4W SCである。一部の実施形態では、医薬品のそれぞれの規制ラベルに従って、または対象の応答に従って、第2の処置投薬を少なくともサイクル6まで受けた後に、対象にPF06863135を第3の処置投薬において投与する。一部の実施形態では、対象が第2の処置投薬を受けている間に、対象が部分奏効以上のIMWG応答を実証し、応答が少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも1サイクル、少なくとも2サイクルまたは少なくとも3サイクルの間持続しない限りは、対象に第2の処置投薬におけるPF06863135を少なくともサイクル6まで投与し続ける。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ1W SCであり、第2の処置投薬は約116mgのQ2W SCであり、第3の処置投薬は約116mgのQ4W SCである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は約76mgのQ1W SCであり、第2の処置投薬は約152mgのQ2W SCであり、第3の処置投薬は約152mgのQ4W SCである。
【0045】
一部の実施形態では、本方法は、対象に、約32mgのQ1Wの第1の処置投薬を23、24または25週間の間、続いて約32mgのQ1Wまたは約32mgのQ2Wの第2の処置投薬を6~18サイクルの間、続いて約32mgのQ2Wまたは約32mgのQ4Wの第3の処置投薬を投与することを含み、1サイクルは21または28日間である。一部の実施形態では、第2の処置投薬は約32mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約32mgのQ4Wである。
【0046】
一部の実施形態では、本方法は、対象に、約44mgのQ1Wの第1の処置投薬を23、24または25週間の間、続いて約44mgのQ1Wまたは約44mgのQ2Wの第2の処置投薬を6~18サイクルの間、続いて約44mgのQ2Wまたは約44mgのQ4Wの第3の処置投薬を投与することを含み、1サイクルは21または28日間である。一部の実施形態では、第2の処置投薬は約44mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約44mgのQ4Wである。
【0047】
一部の実施形態では、本方法は、対象に、約76mgのQ1Wの第1の処置投薬を23、24または25週間の間、続いて約76mgのQ1Wまたは約76mgのQ2Wの第2の処置投薬を6~18サイクルの間、続いて約76mgのQ2Wまたは約76mgのQ4Wの第3の処置投薬を投与することを含み、1サイクルは21または28日間である。一部の実施形態では、第2の処置投薬は約76mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約76mgのQ4Wである。
【0048】
一部の実施形態では、本方法は、対象に、約116mgのQ1Wの第1の処置投薬を23、24または25週間の間、続いて約116mgのQ1Wまたは約116mgのQ2Wの第2の処置投薬を6~18サイクルの間、続いて約116mgのQ2Wまたは約116mgのQ4Wの第3の処置投薬を投与することを含み、1サイクルは21または28日間である。一部の実施形態では、第2の処置投薬は約116mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約116mgのQ4Wである。
【0049】
一部の実施形態では、本方法は、対象に、約152mgのQ1Wの第1の処置投薬を23、24または25週間の間、続いて約152mgのQ1Wまたは約152mgのQ2Wの第2の処置投薬を6~18サイクルの間、続いて約152mgのQ2Wまたは約152mgのQ4Wの第3の処置投薬を投与することを含み、1サイクルは21または28日間である。一部の実施形態では、第2の処置投薬は約152mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は約152mgのQ4Wである。
【0050】
一部の実施形態では、対象がQ1WまたはQ3Wの投薬頻度のPF06863135を受けている場合は、1サイクルは21日間であり、対象がQ2WまたはQ4Wの投薬頻度のPF06863135を受けている場合は、1サイクルは28日間である。一部の実施形態では、患者がQ3Wの投薬頻度のPF06863135を受けていない限りは、1サイクルは28日間である。一部の実施形態では、サイクル1および対象が第1の処置投薬を受けている最終サイクルの終わりまで、1サイクルは21日間である。
【0051】
また、がんを処置する方法であって、エルラナタマブ(PF06863135)を対象に、以下に示す投薬スケジュールに従って投与することを含み、投薬スケジュールは、週数、用量、およびそれぞれの週数に対応する投与頻度によって記載される、方法も提供する。
(a)
【0052】
【表1】
【0053】
、(b)
【0054】
【表2】
【0055】
、(c)
【0056】
【表3】
【0057】
、(d)
【0058】
【表4】
【0059】
、(e)
【0060】
【表5】
【0061】
、または(f)
【0062】
【表6】
【0063】
表中、用量が1週目中に12mg+32mgである場合、12mgの用量をある日に投与し、続いて32mgの用量を別の日に投与し、A+Bは、4(A)+20(B)、8(A)+16(B)、12(A)+12(B)、または8(A)+24(B)であり、用量が1週目中にAmg+Bmgである場合、Amgの用量をある日に投与し、続いてBmgの用量を別の日に投与する。
【0064】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブ(PF06863135)を、以下に示す投薬スケジュールに従って投与する。
【0065】
(a)
【0066】
【表7】
【0067】
、(b)
【0068】
【表8】
【0069】
、(c)
【0070】
【表9】
【0071】
、(d)
【0072】
【表10】
【0073】
、(e)
【0074】
【表11】
【0075】
、または(f)
【0076】
【表12】
【0077】
一部の実施形態では、対象にPF06863135を投薬スケジュール(a)、(b)または(c)に従って投与し、投薬スケジュール(a)、(b)、および(c)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度は、(i)毎週、(ii)2週間毎、(iii)3週間毎、(iv)4週間毎、(v)毎週もしくは2週間毎、(vi)毎週もしくは3週間毎、または(vii)毎週もしくは4週間毎である。一部の実施形態では、対象にPF06863135を投薬スケジュール(d)、(e)または(f)に従って投与し、投薬スケジュール(d)、(e)、および(f)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度は、(i)2週間毎、(ii)3週間毎、(iii)4週間毎、(iv)2週間毎もしくは3週間毎、または(v)2週間毎もしくは4週間毎である。
【0078】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブ(PF06863135)を、以下に示す投薬スケジュールに従って投与する。
【0079】
(a)
【0080】
【表13】
【0081】
、(b)
【0082】
【表14】
【0083】
、(c)
【0084】
【表15】
【0085】
、(d)
【0086】
【表16】
【0087】
、(e)
【0088】
【表17】
【0089】
、または(f)
【0090】
【表18】
【0091】
一部の実施形態では、対象に12mgのエルラナタマブを1週目の1日目に、続いて32mgのエルラナタマブを1週目の4日目に投与する。一部の実施形態では、対象にPF06863135を投薬スケジュール(a)、(b)または(c)に従って投与し、投薬スケジュール(a)、(b)、および(c)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度は、(i)毎週、(ii)2週間毎、(iii)3週間毎、(iv)4週間毎、(v)毎週もしくは2週間毎、(vi)毎週もしくは3週間毎、または(vii)毎週もしくは4週間毎である。一部の実施形態では、対象にPF06863135を投薬スケジュール(d)、(e)または(f)に従って投与し、投薬スケジュール(d)、(e)、および(f)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度は、(i)2週間毎、(ii)3週間毎、(iii)4週間毎、(iv)2週間毎もしくは3週間毎、または(v)2週間毎もしくは4週間毎である。
【0092】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブ(PF06863135)を、以下に示す投薬スケジュールに従って投与する。
【0093】
(a)
【0094】
【表19】
【0095】
、(b)
【0096】
【表20】
【0097】
、(c)
【0098】
【表21】
【0099】
、(d)
【0100】
【表22】
【0101】
、(e)
【0102】
【表23】
【0103】
、または(f)
【0104】
【表24】
【0105】
一部の実施形態では、対象に32mgのエルラナタマブの単回用量を1週目中に投与する。一部の実施形態では、対象に12mgのエルラナタマブを1週目の1日目に、続いて32mgのエルラナタマブを1週目の4日目に投与する。一部の実施形態では、対象にPF06863135を投薬スケジュール(a)、(b)または(c)に従って投与し、投薬スケジュール(a)、(b)、および(c)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度は、(i)毎週、(ii)2週間毎、(iii)3週間毎、(iv)4週間毎、(v)毎週もしくは2週間毎、(vi)毎週もしくは3週間毎、または(vii)毎週もしくは4週間毎である。一部の実施形態では、対象にPF06863135を投薬スケジュール(d)、(e)または(f)に従って投与し、投薬スケジュール(d)、(e)、および(f)におけるそれぞれ25週目以降、26週目以降、および27週目以降の投与頻度は、(i)2週間毎、(ii)3週間毎、(iii)4週間毎、(iv)2週間毎もしくは3週間毎、または(v)2週間毎もしくは4週間毎である。
【0106】
一部の実施形態では、1週目中の用量および投与頻度は、まとめてプライミング投薬と称され、対象にプライミング投薬において1回用量のみのエルラナタマブを投与する場合、そのような1回用量は単回のプライミング用量と称され、1週目中に対象に2回用量のエルラナタマブを連続的に投与する場合、2回用量はそれぞれ第1のプライミング用量および第2のプライミング用量と称され、それぞれの投薬スケジュール(a)および(d)、(b)および(e)ならびに(c)および(f)におけるそれぞれ2~24週目、2~25週目および2~26週目中の用量および投与頻度は、それぞれの投薬スケジュールにおいて、まとめて第1の処置投薬と称され、それぞれの投薬スケジュール(a)および(d)、(b)および(e)ならびに(c)および(f)における25週目中およびそれ以降、26週目以降、ならびに27週目以降の用量および投与頻度は、それぞれの投薬スケジュールにおいて、まとめて第2の処置投薬と称される。
【0107】
一部の実施形態では、対象に第2の処置投薬のPF06863135を6~18サイクルの間投与し、その後、対象にPF06863135の第3の処置投薬を皮下で投与し、第3の処置投薬は、32mgのQ2W、32mgのQ4W、44mgのQ2W、44mgのQ4W、76mgのQ2W、76mgのQ4W、116mgのQ2W、116mgのQ4W、152mgのQ2W、または152mgのQ4Wであり、1サイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は1週目1日目、2週目1日目または3週目1日目に開始する。
【0108】
一部の実施形態では、第1の処置投薬は32mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は32mgのQ1Wまたは32mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は32mgのQ2Wまたは32mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は32mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は32mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は32mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は44mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は44mgのQ1Wまたは44mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は44mgのQ2Wまたは44mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は44mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は44mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は44mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は76mgのQ1Wまたは76mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は76mgのQ2Wまたは76mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は76mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は76mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は76mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は116mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は116mgのQ1Wまたは116mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は116mgのQ2Wまたは116mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は116mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は116mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は116mgのQ4Wである。一部の実施形態では、第1の処置投薬は152mgのQ1Wであり、第2の処置投薬は152mgのQ1Wまたは32mgのQ2Wであり、第3の処置投薬は152mgのQ2Wまたは152mgのQ4Wである。
【0109】
また、がんを処置する方法であって、エルラナタマブ(PF06863135)を対象に、以下に示す投薬スケジュールに従って投与することを含み、投薬スケジュールは、週数、用量、およびそれぞれの週数に対応する投与頻度によって記載される、方法も提供する。
【0110】
【表25】
【0111】
表中、用量が1週目中に12mg+32mgである場合、12mgの用量をある日に投与し、続いて32mgの用量を別の日に投与し、A+Bは、4(A)+20(B)、8(A)+16(B)、12(A)+12(B)、または8(A)+24(B)であり、Amgの用量をある日に投与し、続いてBmgの用量を別の日に投与する。
【0112】
一部の実施形態では、対象に12mgのエルラナタマブを1週目の1日目に、続いて32mgのエルラナタマブを1週目の4日目に投与する。
【0113】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する。
【0114】
【表26】
【0115】
一部の実施形態では、25週目中以降の投与頻度について、投与頻度は4週間毎である。
【0116】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する。
【0117】
【表27】
【0118】
一部の実施形態では、25週目中以降の投与頻度は4週間毎である。
【0119】
一部の実施形態では、1週目中の用量および投与頻度は、まとめてプライミング投薬と称され、対象にプライミング投薬において1回用量のみのエルラナタマブを投与する場合、そのような1回用量は単回のプライミング用量と称され、1週目中に対象に2回用量のエルラナタマブを連続的に投与する場合、2回用量はそれぞれ第1のプライミング用量および第2のプライミング用量と称され、2~4週目中の用量および投与頻度は、まとめて第1の処置投薬と称され、5~24週目中の用量および投与頻度は、まとめて第2の処置投薬と称され、25週目中およびそれ以降の用量および投与頻度は、まとめて第3の処置投薬と称される。
【0120】
また、がんを処置する方法であって、エルラナタマブ(PF06863135)を対象に、以下に示す投薬スケジュールに従って投与することを含み、投薬スケジュールは、週数、用量、およびそれぞれの週数に対応する投与頻度によって記載される、方法も提供する。
【0121】
【表28】
【0122】
表中、用量が1週目中に12mg+32mgである場合、12mgの用量をある日に投与し、続いて32mgの用量を別の日に投与し、A+Bは、4(A)+20(B)、8(A)+16(B)、12(A)+12(B)、または8(A)+24(B)であり、Amgの用量をある日に投与し、続いてBmgの用量を別の日に投与する。一部の実施形態では、対象に12mgのエルラナタマブを1週目の1日目に、続いて32mgのエルラナタマブを1週目の4日目に投与する。
【0123】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する。
【0124】
【表29】
【0125】
一部の実施形態では、13~24週目中の投与頻度は2週間毎である。一部の実施形態では、25週目中およびそれ以降の投与頻度は4週間毎である。
【0126】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する。
【0127】
【表30】
【0128】
一部の実施形態では、13~24週目中の投与頻度は2週間毎である。一部の実施形態では、25週目中以降の投与頻度は4週間毎である。
【0129】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する。
【0130】
【表31】
【0131】
一部の実施形態では、13~24週目中の投与頻度は2週間毎である。一部の実施形態では、25週目中およびそれ以降の投与頻度は4週間毎である。一部の実施形態では、13~24週目中の投与頻度は2週間毎であり、25週目中以降の投与頻度は2週間毎または4週間毎である。
【0132】
一部の実施形態では、対象にエルラナタマブを以下の投薬スケジュールに従って投与する。
【0133】
【表32】
【0134】
一部の実施形態では、13~24週目中の投与頻度は2週間毎である。一部の実施形態では、25週目中以降の投与頻度は4週間毎である。
【0135】
一部の実施形態では、1週目中の用量および投与頻度は、まとめてプライミング投薬と称され、対象にプライミング投薬において1回用量のみのエルラナタマブを投与する場合、そのような1回用量は単回のプライミング用量と称され、1週目中に対象に2回用量のエルラナタマブを連続的に投与する場合、2回用量はそれぞれ第1のプライミング用量および第2のプライミング用量と称され、2~4週目中の用量および投与頻度ならびに5~12週目中の用量および投与頻度は全て、まとめて第1の処置投薬と称され、13~24週目中の用量および投与頻度は、まとめて第2の処置投薬と称され、25週目中以降の用量および投与頻度は、まとめて第3の処置投薬と称される。
【0136】
本発明は、本明細書中に定義した投薬レジメンを用いてがんを処置する方法において使用するためのエルラナタマブ(PF-06853135)にさらに向けられる。
【0137】
一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、がんは進行性多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、がんは再発性または不応性の多発性骨髄腫である。
【0138】
一部の実施形態では、がんはトリプルクラス不応性多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、対象の多発性骨髄腫は、以下の多発性骨髄腫治療の3種類全てに対して不応性である:(1)プロテアソーム阻害剤を含む先行の多発性骨髄腫治療、(2)免疫調節剤を含む先行の多発性骨髄腫治療、および(3)抗CD38抗体を含む先行の多発性骨髄腫治療。
【0139】
一部の実施形態では、がんはダブルクラス不応性多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、対象の多発性骨髄腫は、以下の3種類の多発性骨髄腫治療のうちの少なくとも2つに対して不応性である:(1)プロテアソーム阻害剤を含む先行の多発性骨髄腫治療、(2)免疫調節剤を含む先行の多発性骨髄腫治療、および(3)抗CD38抗体を含む先行の多発性骨髄腫治療。
【0140】
一部の実施形態では、がんは新しく診断された多発性骨髄腫である。一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫であり、対象は幹細胞移植を受けている。一部の実施形態では、対象は自己幹細胞移植を受けている。一部の実施形態では、対象は自己幹細胞移植またはアロジェネイック幹細胞移植を受けている。一部の実施形態では、対象は、幹細胞移植後に微小残存病変陽性である。
【0141】
一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫であり、一部の実施形態では、対象は進行性であり、または確立されている多発性骨髄腫治療に対して不耐性である。一部の実施形態では、確立されている多発性骨髄腫治療は、プロテアソーム阻害剤、IMid薬物、および抗CD38抗体からなる群から選択される少なくとも1つの薬物を含む。
【0142】
一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫であり、対象は少なくとも4つの先行の治療を受けており、対象の多発性骨髄腫は、(1)プロテアソーム阻害剤を含む先行の多発性骨髄腫治療、(2)免疫調節剤を含む先行の多発性骨髄腫治療、および(3)抗CD38モノクローナル抗体を含む先行の多発性骨髄腫治療に対して不応性または再発性であり、対象は最終治療に対して疾患進行を実証している。これらの実施形態の一態様では、対象はBCMA標的ADCまたはBCMA標的CAR-Tの先行の治療を受けている。これらの実施形態の別の態様では、対象は、BCMA標的ADCまたはBCMA標的CAR-Tのいかなる先行の治療も受けていない。
【0143】
一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫であり、対象は少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも4つの先行の多発性骨髄腫治療を受けており、対象の多発性骨髄腫は、(1)プロテアソーム阻害剤を含む先行の多発性骨髄腫治療、(2)免疫調節剤を含む先行の多発性骨髄腫治療、および(3)抗CD38抗体を含む先行の多発性骨髄腫治療に対して不応性または再発性であり、対象は最終多発性骨髄腫治療に対して疾患進行を実証している。本実施形態の一態様では、対象は少なくとも3つの先行の多発性骨髄腫治療を受けている。本実施形態の別の態様では、対象は少なくとも4つの先行の多発性骨髄腫治療を受けている。
【0144】
一部の実施形態では、対象が受けた先行の多発性骨髄腫治療はBCMAに向けられたADC治療またはBCMAに向けられたCAR-T細胞治療を含む。一部の実施形態では、対象が受けた先行の多発性骨髄腫治療はBCMAに向けられた治療を含む。
【0145】
一部の実施形態では、対象が受けた先行の多発性骨髄腫治療はBCMAに向けられたADC治療またはBCMAに向けられたCAR-T細胞治療を含まない。一部の実施形態では、対象が受けた先行の多発性骨髄腫治療はBCMAに向けられた治療を含まない。
【0146】
一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫であり、対象は少なくとも1つまたは少なくとも2つの先行の多発性骨髄腫治療を受けており、対象の多発性骨髄腫は、(1)プロテアソーム阻害剤を含む先行の多発性骨髄腫治療および(2)免疫調節剤を含む先行の多発性骨髄腫治療に対して不応性または再発性である。一部の実施形態では、対象は最終多発性骨髄腫治療に対して疾患進行を実証している。
【0147】
一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫であり、対象はいかなる先行の多発性骨髄腫治療も受けていない。一部の実施形態では、対象は多発性骨髄腫の診断後にいかなる先行の多発性骨髄腫治療も受けていない。一部の実施形態では、対象は幹細胞移植不適格である。一部の実施形態では、がんは多発性骨髄腫であり、対象は幹細胞移植不適格である。一部の実施形態では、対象は自己幹細胞移植不適格である。一部の実施形態では、対象はアロジェネイック幹細胞移植不適格である。一部の実施形態では、対象は自己幹細胞移植に不適格であり、アロジェネイック幹細胞移植にも不適格である。
【0148】
一部の実施形態では、(i)対象が毎週もしくは3週間毎の投与頻度のPF06863135を受けている場合は、1サイクルは21日間であり、対象が2週間毎もしくは4週間毎の投与頻度のPF06863135を受けている場合は、1サイクルは28日間である、または(ii)患者が3週間毎の投与頻度のPF06863135を受けていない限りは、1サイクルは28日間である。
【0149】
一部の実施形態では、本方法は、ササンリマブを対象に投与することをさらに含む。
【0150】
一部の実施形態では、PF-06863135およびササンリマブの両方を、4週間の処置サイクルにおいて、少なくとも第1の処置サイクルの間投与し、PF-06863135のプライミング投薬を投与する場合は、第1の処置サイクルは、単回のプライミング用量またはプライミング投薬の最終用量を投与した後の7日目に開始し、ササンリマブは300mgのQ4W SCの用量で投与する。
【0151】
一部の実施形態では、ササンリマブの第1の用量を第1の処置サイクルの1日目に投与する。一部の実施形態では、処置サイクルにおけるPF-06863135の第1の用量を、処置サイクルの1日目に投与する。
【0152】
一部の実施形態では、1週目およびサイクル1は、単回のプライミング用量もしくは第1のプライミング用量を対象に投与する日に開始する、または、対象にPF06863135のプライミング投薬もしくはプライミング用量を投与しない場合は、1週目およびサイクル1は、PF06863135の第1の処置投薬における第1の用量を対象に投与する日に開始し、1サイクルは28日間であり、ササンリマブは300mgのQ4W SCの用量で投与する。一部の実施形態では、対象にPF6863135の少なくとも1つのプライミング用量を投与し、ササンリマブを対象にそれぞれのサイクルの8日目に投与する。
【0153】
一部の実施形態では、本方法は、レナリドミドを対象に投与することをさらに含む。
【0154】
一部の実施形態では、PF-06863135およびレナリドミドの両方を、4週間の処置サイクルにおいて、少なくとも第1の処置サイクルの間投与し、PF-06863135のプライミング投薬を投与する場合は、第1の処置サイクルは、単回のプライミング用量またはプライミング投薬の最終用量を投与した後の7日目に開始し、レナリドミドは、25mgの毎日経口の用量で、それぞれの処置サイクルの1日目~21日目に投与する。
【0155】
一部の実施形態では、レナリドミドは、25mgの毎日経口の用量で、それぞれの処置サイクルの1日目~21日目に、デキサメタゾンなしで投与する。
【0156】
一部の実施形態では、処置サイクルにおけるPF-06863135の第1の用量を処置サイクルの1日目に投与する。
【0157】
一部の実施形態では、PF6863135のプライミング投薬を投与し、1サイクルは28日間であり、レナリドミドは、約5mg、約10mg、約15mg、約20mgまたは約25mgの毎日経口用量で、第1のサイクルの8~28日目または15~28日目、ならびに第2および第3のサイクルの1~28日目に投与し、その後、第4のサイクルに開始して、レナリドミドを、それぞれのサイクルの1~28日目に、第3のサイクル中に投与したものよりも約5~10mg高い毎日経口用量で投与するか、または第3のサイクルのものと同じ毎日経口用量で投与し続ける。
【0158】
一部の実施形態では、PF06863135のプライミング投薬を投与し、レナリドミドは、約10mg、または約15mgの毎日経口用量で、サイクル1の8日目に開始して、それぞれのサイクルにおいて少なくとも連続10日間の間投与する。
【0159】
一部の実施形態では、PF06863135のプライミング投薬を投与せず、レナリドミドは、約10mg、約15mg、約20mgまたは約25mgの毎日経口用量で、それぞれのサイクルにおいて連続して少なくとも10、少なくとも14または少なくとも21日間の間投与する。
【0160】
一部の実施形態では、対象にPF06863135を誘導相、続いて維持相で投与し、誘導相はPF06863135のプライミング投薬における第1の用量を投与する日に開始する、または、PF06863135のプライミング投薬を投与しない場合は、誘導相はPF06863135の第1の処置投薬における第1の用量を投与する日に開始し、対象が第1の処置投薬を受けている場合、誘導相は最終週の最終日、または最終サイクルの最終日のどちらか遅い方に終わり、誘導相において、レナリドミドは、約5mg~約25mgの毎日経口用量のレナリドミド誘導相投薬で、誘導相におけるそれぞれのサイクル中の少なくとも連続10日間の間投与し、維持相では、PF06863135は第2の処置投薬で投与し、レナリドミドは、約5mg~約25mgの経口毎日用量のレナリドミド維持投薬で、1サイクル中の少なくとも連続10日間の間投与し、それぞれのサイクルは21日間または28日間であり、誘導相は1~10サイクル持続する。一部の実施形態では、本方法は、対象にデキサメタゾンを誘導相において、約10mg~約40mgの毎日経口のデキサメタゾン投薬で、誘導相における第1のサイクルの少なくとも1日目および8日目に投与することをさらに含む。
【0161】
一部の実施形態では、誘導相におけるそれぞれのサイクルは21日間または28日間であり、サイクル1は3週目1日目に開始し、レナリドミド誘導相投薬は約5mg、約10mg、約15mg、約20mgまたは約25mgの毎日経口であり、誘導相におけるそれぞれのサイクル中の1日目~14日目、または1~21日目に投与し、デキサメタゾンを投与する場合は、これは約20mgの毎日の投薬で、誘導相の第1のサイクルおよび第2のサイクル中の1、8、および15日目に投与し、維持相におけるそれぞれのサイクルは28日間であり、維持レナリドミド投薬を、経口で約5mg、約10mg、または約15mg、維持相におけるそれぞれのサイクルの1日目~28日目に毎日行う。一部の実施形態では、誘導相は24~26週間後に終わる。一部の実施形態では、誘導相は12~14週間後に終わる。
【0162】
一部の実施形態では、本方法は、ポマリドミドを対象に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、PF06863135およびポマリドミドの両方を、4週間の処置サイクルにおいて、少なくとも第1の処置サイクルの間投与し、PF-06863135のプライミング投薬を投与し、第1の処置サイクルは、単回のプライミング用量またはプライミング投薬の最終用量を投与した後の7日目に開始し、ポマリドミドは、4mgの毎日経口の用量で、それぞれの処置サイクルの1日目~21日目に投与する。一部の実施形態では、ポマリドミドは、4mgの毎日、3mgの毎日、2mgの毎日、または1mgの毎日経口の用量で、それぞれの処置サイクルの1日目~21日目に、デキサメタゾンなしで投与する。一部の実施形態では、処置サイクルにおけるPF-06863135の第1の用量を処置サイクルの1日目に投与する。
【0163】
一部の実施形態では、本方法は、ダラツムマブを対象に投与することをさらに含む。一部の実施形態では、ダラツムマブは、約1800mgのダラツムマブ投薬で、毎週、2週間毎、3週間毎、または4週間毎に皮下投与する。一部の実施形態では、ダラツムマブ投薬は、サイクル1中に約1800mgを毎週、約8用量で開始し、続いて約1800mgを2週間毎、約8~約10用量の間、続いてそれ以降は約1800mgを4週間毎である。
【0164】
一部の実施形態では、本方法は、対象にイサツキシマブを投与することをさらに含む。一部の実施形態では、イサツキシマブは、約5mg~約10mg/kgのイサツキシマブ投薬で、Q1W IV、Q2W IV、Q3W IVまたはQ4W IVで投与する。一部の実施形態では、イサツキシマブを対象に投与するイサツキシマブ投薬は、対象がPF06863135のプライミング投薬、第1の処置投薬、第2の処置投薬、または第3の処置投薬を受けている間、同じまたは異なるものであることができる。
【0165】
一部の実施形態では、本方法は、対象に、PF06863135の単回のプライミング用量、第1のプライミング用量、第2のプライミング用量、または第1の処置用量の第1の用量を投与する日に、少なくとも1つの前投薬の用量を対象に投与することをさらに含み、前投薬は、アセトアミノフェン、ジフェンヒドラミンまたはデキサメタゾンである。一部の実施形態では、デキサメタゾンは、約10mg~約40mgのデキサメタゾン投薬で、毎日経口または静脈内で投与する。一部の実施形態では、デキサメタゾンは、約10mg~約40mgのデキサメタゾン投薬で、毎日、経口、または静脈内で、少なくともPF06863135の第1の処置投薬の第1の用量を対象に投与する日に投与する。一部の実施形態では、デキサメタゾンを対象に前投薬として投与するデキサメタゾン投薬は、対象がPF06863135のプライミング投薬、第1の処置投薬、第2の処置投薬、または第3の処置投薬を受けている間、同じまたは異なるものであることができる。
【0166】
一部の実施形態では、本方法は、対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、第2の治療剤は抗がん剤である。一部の実施形態では、第2の治療剤はGSIである。一部の実施形態では、第2の治療剤はニロガセスタットまたは薬学的に許容されるその塩である。
【0167】
一部の実施形態では、本方法は、対象に放射線療法を投与することをさらに含む。
【0168】
本明細書中に記載の処置方法に言及する態様および/または実施形態において、そのような態様および/または実施形態は、その処置方法において使用するための治療剤または複数の治療剤、あるいは、その処置において使用するための医薬または複数の医薬の製造において使用するための、定義した治療剤または複数の治療剤の使用に関するさらなる態様および/または実施形態でもある。
【図面の簡単な説明】
【0169】
図1図1は、BCMAxCD3二重特異性抗体を用いた処置後のCD8+T細胞上でのPD-1発現の誘導を描写する。
図2図2Aおよび図2Bは、A)同所性MM.1S-Luc-PDL1多発性骨髄腫モデルおよびB)皮下MM.1S-PD-L1多発性骨髄腫モデルにおける抗PD1抗体と組み合わせたBCMAxCD3二重特異性抗体の治療活性を描写する。
図3-1】
図3-2】図3A図3Eは、GSIを用いた処置後の多発性骨髄腫細胞の細胞表面上のBCMA発現の上方調節を描写する。
図4-1】
図4-2】図4A図4Eは、GSIを用いた処置後の、時間依存的様式での、多発性骨髄腫細胞の細胞表面上のBCMA発現の上方調節を描写する。
図5-1】
図5-2】図5A図5Eは、GSIを用いた処置後の多発性骨髄腫細胞系中での可溶性BCMA(sBCMA)の放出の減少を描写する。
図6-1】
図6-2】図6A図6Eは、GSIを用いた処置が、多発性骨髄腫細胞系におけるBCMAxCD3二重特異性抗体媒介性細胞死滅を改善することを描写する。
図7図7A図7Bは、A)GSIを用いた処置後のRajiリンパ腫細胞の細胞表面上のBCMA発現の上方調節およびB)上方調節が時間依存的様式であることを描写する。
図8図8は、GSIを用いた処置が、リンパ腫細胞系におけるBCMAxCD3二重特異性抗体媒介性細胞死滅を改善することを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0170】
本出願は、がんおよび/またはがん関連疾患の処置に関する。ある特定の態様は、個体に、BCMAxCD3二重特異性抗体である第1の治療剤と、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体もしくはγ-セクレターゼ阻害剤(GSI)、またはその薬学的に許容される塩である第2の治療剤との併用療法を投与することによる、がんまたはがん関連疾患を有する個体の処置に関する。
【0171】
I.定義
本発明をより容易に理解するために、ある特定の技術用語および科学用語を、以下で具体的に定義する。本文献中の他の箇所で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される他の全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業界における通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味を有する。
【0172】
添付の特許請求の範囲を含む、本明細書で使用される場合、「a」、「an」および「the」などの単数形の単語は、本文が別途明確に指示しない限り、その対応する複数の参照を含む。
【0173】
数字として定義されるパラメーター(例えば、BCMAxCD3二重特異性抗体の用量、または本明細書に記載の併用療法を用いた処置時間の長さ)を修飾するために使用される場合の「約」は、そのパラメーターが、そのパラメーターに関する記述された数値の10%程度下または上で変化してもよいことを意味する。例えば、約5mg/kgの用量は、4.5mg/kg~5.5mg/kgの間で変化してもよい。
【0174】
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域内に位置した少なくとも1つの抗原認識部位によって標的、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される場合、この用語は、無傷のポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、その断片(例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(ScFv)およびドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ科抗体を含む)、および抗体を含む融合タンパク質、ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成も包含する。抗体としては、任意のクラスの抗体、例えば、IgG、IgA、もしくはIgM(またはそのサブクラス)などが挙げられ、抗体は、任意の特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと称される。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および3次元構成は、周知である。
【0175】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、所与の抗原に特異的に結合する能力を保持する無傷抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能を、無傷抗体の断片によって実行することができる。抗体の「抗原結合断片」という用語内に包含される結合断片の例としては、Fab;Fab’;F(ab’)2;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;単一ドメイン抗体(dAb)断片(Wardら、Nature 341:544~546、1989)、ならびに単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0176】
「二重特異性抗体」または「二特異性抗体」は、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗体である。二重特異性抗体の2個の抗原結合部位は、同じか、または異なるタンパク質標的上に存在してもよい、2つの異なるエピトープに結合する。
【0177】
「B細胞成熟抗原二重特異性抗体」または「BCMA二重特異性抗体」は、BCMAおよび別の抗原に特異的に結合する二重特異性抗体である。
【0178】
「ヘテロ二量体」、「ヘテロ二量体タンパク質」、「ヘテロ二量体複合体」または「ヘテロ多量体ポリペプチド」は、第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含む分子であり、第2のポリペプチドは、少なくとも1個のアミノ酸残基が第1のポリペプチドとアミノ酸配列において異なる。
【0179】
標的(例えば、BCMAタンパク質)に「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書では互換的に使用される)抗体、二重特異性抗体、またはポリペプチドは、当業界でよく理解された用語であり、そのような特異的または優先的結合を決定するための方法も、当業界で周知である。分子は、それが特定の細胞または物質と、それが代替の細胞または物質と反応または会合するより、頻繁に、急速に、長い継続時間で、および/または大きい親和性で反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を呈すると言われる。抗体または二重特異性抗体は、それが他の物質に結合するより、大きい親和性、アビディティーで、容易に、および/または長い継続時間で結合する場合、標的に「特異的に結合する」、または「優先的に結合する」。例えば、BCMAエピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、それが他のBCMAエピトープまたはBCMAエピトープに結合するより、大きい親和性、アビディティーで、容易に、および/または長い継続時間でこのエピトープに結合する、抗体である。例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的または優先的に結合することができる、または結合することができないことも、この定義を読むことによって理解される。そのため、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を必ずしも要求しない(しかし、これは排他的結合を含んでもよい)。一般に、しかし必ずしもではないが、結合への言及は、優先的結合を意味する。
【0180】
抗体の「可変領域」は、単独で、または組合せで抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。当業界で公知のように、重鎖および軽鎖の可変領域はそれぞれ、超可変領域としても知られる3個の相補性決定領域(CDR)によって接続された4個のフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖中のCDRは、FRによってごく近くに一緒に保持されると共に、他の鎖に由来するCDRは、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための少なくとも2つの技術が存在する:(1)種間配列可変性に基づく手法(すなわち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版、1991、National Institutes of Health、Bethesda、MD));および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づく手法(Al-lazikaniら、1997、J.Molec.Biol.273:927~948)。本明細書で使用される場合、CDRは、いずれかの手法または両手法の組合せによって定義されるCDRを指してもよい。
【0181】
可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothiaの定義、KabatとChothiaの両方の蓄積、AbM、接触、および/またはコンフォメーション定義または当業界で周知のCDR決定の任意の方法に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基である。抗体CDRを、Kabatらによって元々定義された超可変領域として同定することができる。例えば、Kabatら、1992、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、NIH、Washington D.C.を参照されたい。また、CDRの位置を、Chothiaその他によって元々記載された構造ループ構造として同定することもできる。例えば、Chothiaら、Nature 342:877~883、1989を参照されたい。CDR同定に対する他の手法としては、KabatとChothiaとの妥協案であり、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウェア(現在はAccelrys(登録商標))を使用して誘導される「AbM定義」、またはMacCallumら、J.Mol.Biol.、262:732~745、1996に記載された、観察された抗原接触に基づくCDRの「接触定義」が挙げられる。CDRの「コンフォメーション定義」と本明細書で呼ばれる別の手法では、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー的寄与をする残基として同定することができる。例えば、Makabeら、Journal of Biological Chemistry、283:1156~1166、2008を参照されたい。さらに他のCDR境界定義は、上記手法の1つに厳密には従わないが、それにもかかわらず、これらは、特定の残基または残基の群またはさらにはCDR全体が抗原結合に有意に影響しないという予測または実験的知見を踏まえると短くまたは長くされ得るが、Kabat CDRの少なくとも一部と重なるであろう。本明細書で使用される場合、CDRは、手法の組合せを含む、当業界で公知の任意の手法によって定義されるCDRを指してもよい。本明細書で使用される方法は、これらの手法のいずれかに従って定義されるCDRを利用することができる。1つを超えるCDRを含有する任意の所与の態様について、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、接触、および/またはコンフォメーション定義のいずれかに従って定義され得る。
【0182】
「単離された抗体」および「単離された抗体断片」は、精製状態を指し、そのような文脈では、命名された分子が、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物などの他の生体分子、または細胞破片および増殖培地などの他の材料を実質的に含まないことを意味する。一般に、用語「単離された」は、それらが本明細書に記載の結合化合物の実験的または治療的使用を実質的に妨げる量で存在しない限り、そのような材料の完全な非存在または水、緩衝剤、もしくは塩の非存在を指すことを意図しない。
【0183】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」は、実質的に均質な抗体の集団を指す、すなわち、集団を構成する抗体分子が、少量で存在してもよいあり得る天然に存在する突然変異を除いて、アミノ酸配列において同一であることを指す。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、典型的には、異なるエピトープに特異的であることが多い、その可変ドメイン、特に、そのCDR中に異なるアミノ酸配列を有する多数の異なる抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の生産を必要とすると解釈されるべきでない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature、256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することができるか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製することができる。「モノクローナル抗体」を、例えば、Clacksonら(1991)Nature 352:624~628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol.222:581~597に記載された技術を使用してファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。Presta(2005)J.Allergy Clin.Immunol.116:731も参照されたい。
【0184】
「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種(例えば、ヒト)に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか、または相同であるが、鎖の残りの部分が、別の種(例えば、マウス)に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか、または相同である抗体、ならびに断片が所望の生物活性を示す限り、そのような抗体の断片を指す。
【0185】
「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。ヒト抗体は、マウス中で、マウス細胞中で、またはマウス細胞に由来するハイブリドーマ中で産生される場合、マウス炭水化物鎖を含有してもよい。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」は、それぞれ、マウスまたはラット免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
【0186】
「ヒト化抗体」は、非ヒト(例えば、マウス)抗体ならびにヒト抗体に由来する配列を含有する抗体の形態を指す。そのような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全部または実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全部または実質的に全部がヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含むであろう。ヒト化抗体はまた、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部を含むであろう。接頭辞「hum」、「hu」または「h」は、ヒト化抗体と、親のげっ歯類抗体とを区別するために必要に応じて抗体クローン名に付加される。ヒト化形態のげっ歯類抗体は、一般に、親のげっ歯類抗体の同じCDR配列を含むが、親和性を増大させるため、ヒト化抗体の安定性を増大させるため、または他の理由のために、ある特定のアミノ酸置換を含有させることができる。
【0187】
用語「がん」、「がん性」または「悪性」は、典型的には、調節されない細胞増殖を特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指す、またはそれを記述する。「がん」または「がん組織」は、腫瘍を含んでもよい。がんの例としては、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、白血病、骨髄腫、芽腫、および肉腫が挙げられる。がんは、限定されるものではないが、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーラー病および骨髄腫症、形質細胞白血病、多発性骨髄腫を伴う骨性および髄外性形質細胞腫、固形骨性および髄外性形質細胞腫、意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)、くすぶり型骨髄腫、軽鎖アミロイドーシス、骨硬化性骨髄腫、B細胞前リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、骨髄性白血病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(脚型)、高齢者のEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症を伴うびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病において生じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間型の未分類のB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間型の未分類のB細胞リンパ腫、および他のB細胞関連リンパ腫を含む、B細胞関連がんおよび/またはがん関連疾患を含む、がんおよび/またはがん関連疾患を含んでもよい。がんおよびがん関連疾患の例は、本明細書にさらに記載される。
【0188】
「化学療法剤」は、がんおよび/またはがん関連疾患の処置において有用な化学的化合物である。化学療法剤のクラスとしては、限定されるものではないが、アルキル化剤、代謝拮抗剤、キナーゼ阻害剤、紡錘体毒植物アルカロイド、細胞傷害性/抗腫瘍性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、光増感剤、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、抗プロゲステロン剤、エストロゲン受容体下方調節剤(ERD)、エストロゲン受容体アンタゴニスト、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト、抗アンドロゲン剤、アロマターゼ阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、および異常な細胞増殖または腫瘍成長に関与する遺伝子の発現を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。化学療法剤は、本明細書にさらに記載される。
【0189】
本明細書で使用される場合、「化学療法」は、がんおよび/またはがん関連疾患の処置のための、上で定義された化学療法剤、または2、3もしくは4つの化学療法剤の組合せを指す。化学療法が1つより多い化学療法剤からなる場合、化学療法剤を、同じ処置サイクル中の同じ日に、または異なる日に患者に投与することができる。
【0190】
本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される場合、「から本質的になる(consists essentially of)」および「から本質的になる(consist essentially of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変形は、任意の記載された要素または要素群の含有、および特定の投薬量レジメン、方法、または組成物の基本的な、または新規の特性を実質的に変化させない、記載された要素以外の類似するか、または異なる性質の他の要素の必要に応じた含有を示す。
【0191】
「多発性骨髄腫療法」は、(1)多発性骨髄腫の処置に関して米国食品医薬品局(USFDA)もしくは欧州医薬品庁によって認可されている、または(2)多発性骨髄腫の処置に関して米国もしくは欧州において臨床試験中である、もしくはあった、1つの薬物、2つ以上の薬物の組合せを指す。
【0192】
「確立された多発性骨髄腫療法」は、1つの薬物、2つ以上の薬物の併用療法であってよい、USFDAまたは欧州医薬品庁によって認可された多発性骨髄腫療法を指す。
【0193】
本明細書で使用される場合、「IMiD薬」、「imid薬」、または「免疫調節剤」は、互換的に、多発性骨髄腫の処置の文脈でIMiD薬または免疫調節剤として多発性骨髄腫を処置する医師によって理解される薬物を指す。IMid薬または免疫調節剤の例としては、限定されるものではないが、サリドマイド、レナリドミドおよびポマリドミドが挙げられる。
【0194】
「BCMA指向性ADC療法」は、抗体がB細胞成熟抗原(BCMA)に結合する、抗体薬物コンジュゲートを含む多発性骨髄腫療法を指す。BCMA指向性ADCの例としては、限定されるものではないが、USFDAによって認可され、商標名BLENREPの下で上市された、ベランタマブマホドチン-blmfが挙げられる。
【0195】
本明細書で使用される場合、「BCMA指向性CAR-T細胞療法」または「抗BCMA CAR-T細胞」は、互換的に、キメラ抗原受容体がB細胞成熟抗原(BCMA)を認識する、キメラ抗原受容体T細胞を含む多発性骨髄腫療法を指す。「BCMA標的化CAR-T療法」または「抗BCMA CAR T細胞療法」の例としては、限定されるものではないが、イデカブタジェンビクルユーセル(ide-cel;またはbb2121)およびLCAR-B38Mとしても知られるJNJ-4528が挙げられる。
【0196】
「BCMA指向性療法」は、活性成分がB細胞成熟抗原に結合する成分を含む多発性骨髄腫療法を指す。BCMA指向性療法としては、BCMA指向性ADC療法、BCMA指向性CAR-T療法、およびBCMA二重特異性抗体を含む多発性骨髄腫療法が挙げられる。
【0197】
「新しく診断された多発性骨髄腫」は、患者(対象)が多発性骨髄腫の診断のためのいかなる処置もまだ受けたことがない多発性骨髄腫を指す。
【0198】
「相同性」は、2つのポリペプチド配列が最適にアラインメントされた場合の、それらの間の配列類似性を指す。2つの比較される配列の両方における位置が同じアミノ酸単量体サブユニットによって占有される場合、例えば、2つの異なるAbの軽鎖CDR中の位置がアラニンによって占有される場合、2つのAbはその位置で相同である。相同性のパーセントは、比較される位置の総数で除算した、2つの配列によって共有される相同位置の数x100である。例えば、2つの配列中の10個の位置のうちの8個が、配列を最適にアラインメントした場合に一致するか、または相同である場合、2つの配列は80%相同である。一般に、2つの配列をアラインメントさせて最大の相同性パーセントを得る場合に比較が行われる。例えば、アルゴリズムのパラメーターが、それぞれの参照配列の全長にわたってそれぞれの配列間で最大の一致を得るように選択される、BLASTアルゴリズムによって、比較を実施することができる。
【0199】
以下の参考文献は、配列分析のために使用されることが多いBLASTアルゴリズムに関するものである:BLAST ALGORITHMS:Altschul,S.F.ら(1990)J.Mol.Biol.215:403~410;Gish,W.ら(1993)Nature Genet.3:266~272;Madden,T.L.ら(1996)Meth.Enzymol.266:131~141;Altschul,S.F.ら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389~3402;Zhang,J.ら(1997)Genome Res.7:649~656;Wootton,J.C.ら(1993)Comput.Chem.17:149~163;Hancock,J.M.ら(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67~70;ALIGNMENT SCORING SYSTEMS:Dayhoff,M.O.ら、「A model of evolutionary change in proteins.」、Atlas of Protein Sequence and Structure(1978)vol.5、suppl.3.M.O. Dayhoff(編)、pp.345~352、Natl.Biomed.Res.Found.、Washington,DC;Schwartz,R.M.ら、「Matrices for detecting distant relationships.」、Atlas of Protein Sequence and Structure(1978)vol.5、suppl.3.M.O.Dayhoff(編)、pp.353~358、Natl.Biomed.Res.Found.、Washington,DC;Altschul,S.F.(1991)J.Mol.Biol.219:555~565;States,D.J.ら(1991)Methods 3:66~70;Henikoff,S.ら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915~10919;Altschul,S.F.ら(1993)J.Mol.Evol.36:290~300;ALIGNMENT STATISTICS:Karlin,S.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264~2268;Karlin,S.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873~5877;Dembo,A.ら(1994)Ann.Prob.22:2022~2039;および
Altschul,S.F.、「Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.」、Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai、編)(1997)pp.1~14、Plenum, New York。
【0200】
「患者」、「対象」または「個体」は、がんおよび/またはがん関連疾患などの、本明細書で提供される治療剤または組成物または組合せの投与によって防止または処置することができる状態に罹患する、またはその傾向がある任意の生物を指し、ヒトと動物との両方を含む。用語「患者」、「対象」および「個体」としては、限定されるものではないが、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)が挙げられ、好ましくは、ヒトである。
【0201】
「持続的応答」は、本明細書に記載の治療剤、または併用療法を用いた処置の停止後の持続的治療効果を意味する。一部の態様では、持続的応答は、処置期間と少なくとも同じである、または処置期間よりも少なくとも1.5、2.0、2.5、もしくは3倍長い持続時間を有する。
【0202】
本明細書で使用される場合、「投与」は、当業者には公知の様々な方法および送達系のいずれかを使用する、治療剤の対象への送達を指す。例示的な投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄、または例えば、注射もしくは輸注による、他の非経口投与経路が挙げられる。本明細書で使用される語句「非経口投与」は、通常は注射による、腸および局所投与以外の投与様式を意味し、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病変内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および輸注、ならびにin vivoでの電気穿孔が挙げられる。治療剤を、非経口経路により、または経口的に投与することができる。他の非経口経路としては、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻内、膣内、直腸、舌下または局所が挙げられる。投与を、例えば、1回、複数回、および/または1以上の延長期間にわたって実施することもできる。
【0203】
本明細書で使用される場合、がんおよび/またはがん関連疾患を「処置する」または「処置すること」は、がんを有する、またはがんと診断された対象、患者または個体に、本発明による併用療法を投与して、例えば、がん細胞数の減少、腫瘍サイズの減少、末梢臓器へのがん細胞浸潤速度の減少、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長の速度の減少、そのような用語が適用される障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の逆転、軽減、その進行の阻害、または防止などの、少なくとも1つの正の治療効果を達成することを意味する。本明細書で使用される用語「処置」は、別途指摘しない限り、直上で定義される「処置すること」としての処置の行為を指す。用語「処置すること」はまた、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置も含む。本発明の目的に関して、有益な、または所望の臨床結果としては、限定されるものではないが、以下の1つまたは複数:新生物もしくはがん性細胞の増殖の減少(もしくは破壊);転移もしくは新生物細胞の阻害;腫瘍サイズの縮小もしくは減少;がんの寛解;がんの結果生じる症状の減少;がんに罹患する者の生活の質の増大;がんを処置するのに必要とされる他の薬剤の用量の減少;がんの進行の遅延;がんの治癒;がんの1つもしくは複数の耐性メカニズムの克服;および/またはがん患者の生存の延長が挙げられる。がんにおける正の治療効果を、いくつかの方法で測定することができる(例えば、W.A.Weber、J.Nucl.Med.50:1S~10S(2009)を参照されたい)。一部の態様では、本発明の組合せによって達成される処置は、部分奏功(PR)、完全奏功(CR)、全奏功(OR)、客観的奏功率(ORR)、無進行生存期間(PFS)、放射線PFS、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)のいずれかである。「腫瘍進行までの時間」とも称されるPFSは、がんが増殖しない、処置中および処置後の時間の長さを示し、患者がCRまたはPRを経験した時間量、ならびに患者が安定疾患(SD)を経験した時間量を含む。DFSは、患者が疾患を有しないままである、処置中および処置後の時間の長さを指す。OSは、ナイーブな、または未処置の対象または患者と比較した平均余命の延長を指す。一部の態様では、本発明の組合せに対する応答は、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST1.1)の応答基準(Eisenhauerら、E.A.ら、Eur.J Cancer 45:228~247(2009))を使用して評価される、PR、CR、PFS、DFS、ORR、ORまたはOSのいずれかである。一部の態様では、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)基準を使用する、全奏功率(ORR)、奏功までの時間(TTR)、完全奏功率(CRR)、奏功期間(DOR)、完全奏功期間(DoCR)、安定疾患期間(DOSD)、無進行生存期間(PFS)、全生存期間(OS)によって抗骨髄腫活性を評価することができる。がん患者を処置するのに有効である本明細書に提供される併用療法のための処置レジメンは、患者の疾患状態、年齢、および体重、ならびに療法が対象において抗がん応答を惹起する能力などの因子に応じて変化してもよい。本発明の態様のいずれかの態様は、全ての対象において正の治療効果を達成するのに有効でない場合もあるが、限定されるものではないが、Coxのログランク検定、Cochran-Mantel-Haenszelのログランク検定、Studentのt検定、カイ2乗検定、MannおよびWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、Jonckheere-Terpstrat検定およびWilcon
on検定などの、当業界で公知の任意の統計学的検定によって決定されるような、統計的に有意な数の対象においてそうすべきである。用語「処置」はまた、例えば、細胞の、試薬、診断化合物、結合化合物による、または別の細胞による、in vitroおよびex vivoでの処置も包含する。
【0204】
本明細書で使用される場合、「医薬品」は、活性医薬成分を含み、US FDA、EMAまたは他の市場における他の対応する規制当局によって規制される製剤を指す。医薬品は、治験薬または規制当局によってすでに認可された製剤であってもよい。
【0205】
用語「処置レジメン」、「投薬プロトコール」および「投薬レジメン」は、本発明の組合せ中のそれぞれの治療剤の用量および投与のタイミングを指すように互換的に使用される。
【0206】
本明細書で使用される場合、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効投薬量」または「有効量」は、任意の1つまたは複数の有益な、または所望の結果をもたらすのに十分な量である。予防的使用に関して、有益な、または所望の結果としては、疾患、疾患の発達中に呈するその合併症および中間の病理学的表現型の生化学的、組織学的、および/または行動的症状を含めた、疾患のリスクの排除もしくは低減、重症度の軽減、または発症の遅延が挙げられる。治療的使用に関して、有益な、または所望の結果としては、様々な疾患もしくは状態(例えば、がんなど)の1つもしくは複数の症状の発生の低減もしくは改善、疾患を処置するのに必要とされる他の薬剤の用量の減少、別の薬剤の効果の増強、および/または疾患の進行の遅延などの臨床結果が挙げられる。有効投薬量は、1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的に関して、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投薬量は、直接的にまたは間接的に予防的または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床状況において理解されているように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せて実現することができ、または実現されなくてもよい。かくして、「有効投薬量」は、1種または複数の治療剤の投与という状況で考慮することができ、単剤は、1種または複数の他の薬剤と併せて、望ましい結果が実現され得る、または実現されている場合、有効量で与えられていると見なすことができる。
【0207】
本明細書で使用される場合、「投薬」は、「投与量」、例えば、1mg、20mgと、「投与頻度」、例えば、1日1回(QD)、週1回(Q1WまたはQW)、2週毎(Q2W)、3週毎(Q3W)および4週毎(Q4W)との両方を指す。投薬はまた、例えば、そう特定された場合、皮下(SC)、静脈内(IV)、経口(PO)などの薬物の投与経路を含んでもよい。同様に、「プライミング投薬」、「1回目の処置投薬」、「2回目の処置投薬」などはそれぞれ、そのような投薬の投与量と投与頻度との両方を指し、必要に応じて、そう特定された場合、投与経路も含む。一部の実施形態では、投薬において1つの投与量と1つの投与頻度が存在する。一部の実施形態では、投薬において1より多い投与量、および/または1より多い投与頻度が存在する。
【0208】
本明細書で使用される場合、別途特定しない限り、「用量レベル」は、エルラナタマブ(PF06863135としても知られる)の投与量を記述するために使用される場合、以下の投与量の1つ:それぞれ、4mg、8mg、12mg、16mg、20mg、24mg、32mg、44mg、76mg、116mgおよび152mgを指し、ここで、8mg、12mg、16mg、20mg、24mg、32mg、44mg、76mg、116mgおよび152mgはそれぞれ、4mg、8mg、12mg、16mg、24mg、32mg、44mg、76mg、および116mgよりも高いそれぞれ1つの用量レベルである。
【0209】
本明細書で使用される場合、「医薬品のそれぞれの規制ラベル」は、医薬品の、米国食品医薬品局(FDA)からの有効期限が切れていない米国添付文書(USPI)、欧州医薬品庁(EMA)からの有効期限が切れていない製品概要(SMPC)または他の市場における規制当局からの医薬品の同様のラベルを意味する。一部の実施形態では、米国の特許または特許出願における「医薬品のそれぞれの規制ラベル」は、医薬品の有効期限が切れていないUSPIを指し、医薬品のEMA製造承認を採用する欧州各国の特許または特許出願におけるそれは、医薬品の有効期限が切れていないSMPCを指し、他の管轄においても同様である。
【0210】
本明細書で使用される場合、「対象の応答」は、単剤療法として、または第2の治療製品と共に、エルラナタマブ(PF006863135)を含む医薬品で処置される対象の、基礎となる処置に対する臨床応答を指す。「対象の応答」は、完全奏功、部分奏功および奏功期間などの臨床有効性に関する1つまたは複数の態様を含む。「対象の応答」はまた、毒性および有害事象などのさらなる態様を含んでもよい。
【0211】
本明細書で使用される場合、「IMWG応答」は、多発性骨髄腫を処置するための医薬品に対する患者(対象)の臨床応答を指し、完全奏功、または部分奏功などの応答は、国際骨髄腫ワーキンググループからの最新の定義に従って定義される。
【0212】
本明細書で使用される場合、その使用、投薬、または投薬スケジュールを含む、がんを処置する方法を記載する文脈で使用される場合の「サイクル」および「週」は、持続時間を指す。別途特定しない限り、対象が治療剤、エルラナタマブ(PF06863135)などのその医薬品、または単剤療法としての、もしくは第2の治療剤と組み合わせた、その医薬品で処置される場合、サイクルは21日または28日である。第1週は、別途特定しない限り、対象が方法の下、または投薬もしくは投薬スケジュールのいずれかの下で処置される場合の最初の週を指す。第2週は、第1週が終わる直後に開始し、第3週は、第2週が終わる直後に開始する、などである。別途特定しない限り、サイクル1は、第1週の最初の日、第2週の最初の日、または第3週の最初の日に開始する。別途記述しない限り、サイクル2は、サイクル1が終わる直後に開始し、サイクル3は、サイクル2が終わる直後に開始する、などである。
【0213】
本明細書で使用される場合、「幹細胞移植不適格」は、多発性骨髄腫と診断された患者が、多発性骨髄腫のための処置としての幹細胞移植に不適格であることを指す。
【0214】
「腫瘍」は、それが、がんと診断された、またはがんを有することが疑われる対象に適用される場合、任意のサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。固形腫瘍は、通常は、嚢胞または液性領域を含有しない、組織の異常な成長または塊である。異なる型の固形腫瘍が、それらを形成する細胞型について命名されている。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は一般に、固形腫瘍を形成しない(National Cancer Institute、Dictionary of Cancer Terms)。多発性骨髄腫は、形質細胞のがんである。
【0215】
「腫瘍量」とも称される「腫瘍負荷」は、身体中に分布する腫瘍材料の総量を指す。腫瘍負荷は、リンパ節および骨髄を含む、身体中のがん細胞の総数または腫瘍の総サイズを指す。例えば、ノギスを使用して、対象からの除去時に、または体内にある間は、イメージング技術、例えば、超音波、骨スキャン、コンピューター断層撮影(CT)もしくは磁気共鳴イメージング(MRI)スキャンを使用して、腫瘍の寸法を測定することによるなど、当業界で公知の様々な方法によって、腫瘍負荷を決定することができる。
【0216】
用語「腫瘍サイズ」は、腫瘍の長さおよび幅として測定することができる腫瘍の総サイズを指す。例えば、ノギスを使用して、対象からの除去時に、または体内にある間は、イメージング技術、例えば、骨スキャン、超音波、CTもしくはMRIスキャンを使用して、腫瘍の寸法を測定することによるなど、当業界で公知の様々な方法によって、腫瘍サイズを決定することができる。
【0217】
用語「免疫療法」は、免疫応答を誘導すること、増強すること、抑制すること、またはそうでなければ改変することを含む方法による対象の処置を指す。
【0218】
本明細書で使用される用語「免疫エフェクター細胞」または「エフェクター細胞」は、標的細胞の生存能力に影響するように活性化することができるヒト免疫系中の細胞の天然のレパートリー内の細胞を指す。標的細胞の生存能力は、細胞の生存、増殖、および/または他の細胞と相互作用する能力を含んでもよい。
【0219】
「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」は、本明細書に記載の組成物中に含有させることができ、対象に対して有意な有害毒性効果を引き起こさない成分を指す。
【0220】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、本明細書で互換的に使用され、同時翻訳的または翻訳後修飾の長さに関係なく、アミノ酸の任意のペプチド結合した鎖を指す。
【0221】
本明細書で使用される場合、「実質的に」または「本質的に」は、ほぼ全部または完全、例えば、95%またはそれより多い所与の量を意味する。
【0222】
用語「実質的に相同」または「実質的に同一」は、特定の対象配列、例えば、突然変異体配列が、1つまたは複数の置換、欠失、または付加によって参照配列から変化し、その正味の効果が、参照配列と対象配列との間で有害な機能的非類似性をもたらさないことを意味する。本明細書の目的に関して、所与の配列に対して95パーセントより高い相同性(同一性)、同等の生物活性(必ずしも生物活性の同等の強度ではない)、および同等の発現特性を有する配列は、実質的に相同(同一)であると見なされる。相同性を決定する目的に関して、成熟配列のトランケーションは無視すべきである。
【0223】
用語「相乗作用」または「相乗的」は、2つ以上の化合物、成分または標的薬剤の組合せの結果が、それぞれの薬剤の一緒の合計よりも高いことを意味するために使用される。用語「相乗作用」または「相乗的」はまた、2つ以上の化合物、成分または標的薬剤を使用するが、それぞれの化合物、成分または標的薬剤を個別に使用する場合よりも、処置される疾患状態または障害が改善されることを意味する。処置される疾患状態または障害のこの改善は、「相乗効果」である。「相乗量」は、「相乗的」が本明細書で定義される場合、相乗効果をもたらす2つの化合物、成分または標的薬剤の組合せの量である。1つまたは2つの成分の間の相乗的相互作用の決定、その効果のための最適範囲およびその効果のためのそれぞれの成分の絶対用量範囲を、様々なw/w(重量あたりの重量)比範囲および用量にわたる、処置を必要とする患者への成分の投与によって明確に測定することができる。しかしながら、in vitroモデルまたはin vivoモデルにおける相乗作用の観察は、ヒトおよび他の種における効果を予測することができ、in vitroモデルまたはin vivoモデルは、本明細書に記載のように、相乗効果を測定するために存在し、そのような試験の結果を使用して、薬物動態/薬力学的方法の適用によってヒトおよび他の種において必要とされる有効用量および血漿濃度比範囲および絶対用量および血漿濃度を予測することもできる。
【0224】
本明細書で使用される場合、PF-06863135は、エルラナタマブと互換的に使用される。PF06863135は、BCMAxCD3二重特異性抗体である。PF-06863135は、例えば、米国特許第9,969,809号に記載されている。PF-06863135の選択された配列は、表15に示される。
【0225】
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。本明細書および特許請求の範囲にわたって、単語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形は、述べた整数または整数の群の含有を暗示するが、任意の他の整数または整数の群の除外を暗示しないことが理解されるであろう。文脈によって別途要求されない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0226】
例示的な方法および材料を本明細書に記載するが、本明細書に記載のものと類似するか、または等価な方法および材料も、本発明の実施または試験において使用することができる。材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定的であることを意図したものではない。
【0227】
II.方法、使用および医薬
少なくとも第1の治療剤と、第2の治療剤とを含む併用療法を含む、対象におけるがんおよび/またはがん関連疾患を処置するための方法および組成物が、本明細書に提供される。
【0228】
BCMA特異的治療剤
一部の態様では、治療剤は、BCMA特異的治療剤であってもよい。別の態様では、BCMA特異的治療剤は、BCMA多特異性抗体(例えば、二特異性および三特異性)、BCMA抗体薬物コンジュゲートまたはBCMAキメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞療法であってもよい。B細胞成熟抗原(BCMA、TNFRSF17およびCD269としても知られる)は、二重特異性抗体に基づく免疫療法のための候補である。BCMA発現は、形質芽細胞および形質細胞へのB細胞成熟中に上方調節されるが、それは、ナイーブなB細胞、造血幹細胞または心臓、肺、腎臓、もしくは扁桃腺などの正常組織上では発現されない。多発性骨髄腫では、BCMA発現は、それぞれの疾患段階で、および異なる細胞遺伝学的リスクを有する患者上で同定された。さらに、BCMA発現は、自己幹細胞移植(ASCT)または化学療法を用いた処置によって影響されなかった。in vivoでは、BCMAに対する二重特異性抗体は、T細胞活性化を誘導し、腫瘍負荷を低減し、生存を延長させることが示されている。
【0229】
本発明の併用療法において有用であり得るBCMA多特異性抗体の例としては、限定されるものではないが、AMG420(BCMAxCD3二特異性T細胞エンゲージャー、BiTE(登録商標)、Amgen)、AMG701(BCMAxCD3 BiTE(登録商標)、Amgen)、CC-93269(BCMAxCD3二重特異性抗体、Celgene)、JNJ-64007957(Janseen)、PF-06863135(BCMAxCD3二重特異性抗体、Pfizer Inc.)、TNB-383B(TeneoBio/AbbVie)、REGN5458(BCMAxCD3二重特異性抗体、Regeneron)、AFM26(BCMAxCD16四価二重特異性抗体、Affimed GmbH)、HPN217(BCMAxALBxCD3三特異性、Harpoon Therapeutics)が挙げられる。
【0230】
一部の態様では、BCMA特異的治療剤は、BCMA二重特異性抗体分子である。BCMA二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原(例えば、BCMAおよびCD3)に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。
【0231】
一部の態様では、BCMA二重特異性抗体は、第1の抗体可変ドメインと、第2の抗体可変ドメインとを含み、第1の抗体可変ドメインは、CD3に特異的に結合し、第2の抗体可変ドメインは、BCMAに特異的に結合する。
【0232】
一部の態様では、本発明の併用療法における治療剤は、BCMA二重特異性抗体である。一部の態様では、BCMA二重特異性抗体は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれるWO2016166629に提供されたBCMA二重特異性抗体のいずれかの特徴または特性のいずれかを有してもよい。
【0233】
一部の態様では、第1の抗体可変ドメインは、CD3に特異的に結合する。CD3に関する情報は、例えば、UniProtKB #P07766を介して提供される。一部の態様では、第1の抗体可変ドメインは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)の3個のCDR、および/または配列番号9に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)の3個のCDRを含む。一部の態様では、VHは、配列番号2、3もしくは4に示される配列を含むVH CDR1、配列番号5もしくは6に示される配列を含むVH CDR2、配列番号7に示される配列を含むVH CDR3を含む、および/またはVLは、配列番号10に示される配列を含むVL CDR1、配列番号11に示される配列を含むVL CDR2、配列番号12に示される配列を含むVL CDR3を含む。一部の態様では、VHは、配列番号1に示される配列を含む、および/またはVLは、配列番号9に示される配列を含む。一部の態様では、例えば、第1の抗体は、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む重鎖、および/または配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0234】
一部の態様では、第2の抗体可変ドメインは、BCMAに特異的に結合する。BCMAに関する情報は、例えば、UniProtKB ID#Q02223を介して提供される。一部の態様では、第2の抗体可変ドメインは、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)の3個のCDR、および/または配列番号22に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)の3個のCDRを含む。一部の態様では、VHは、配列番号15、16もしくは17に示される配列を含むVH CDR1、配列番号18もしくは19に示される配列を含むVH CDR2、配列番号20に示される配列を含むVH CDR3を含む、および/またはVLは、配列番号23に示される配列を含むVL CDR1、配列番号24に示される配列を含むVL CDR2、配列番号25に示される配列を含むVL CDR3を含む。一部の態様では、VHは、配列番号14に示される配列を含む、および/またはVLは、配列番号22に示される配列を含む。一部の態様では、第2の抗体は、配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号26に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0235】
一部の態様では、BCMA二重特異性抗体は、エルラナタマブとしても知られる、PF-06863135である。本明細書に開示される実施例において使用されるBCMA二重特異性抗体は、別途指摘しない限り、PF-06863135であった。PF-06863135は、ヒンジ突然変異技術によって対形成した、1つのB細胞成熟抗原(BCMA)結合アームと、1つの分化抗原群(CD3)結合アームとを含むヘテロ二量体ヒト化完全長二重特異性抗体である。それは、改変されたヒトIgG2Δa断片結晶化可能(Fc)領域を利用する。PF-06863135は、例えば、あらゆる目的で本明細書に組み込まれる米国特許第9,969,809号に記載されている。PF-06863135の配列は、表19に示される。
【0236】
BCMA特異的治療剤の有効量を、本明細書に記載の用量に従って投与することができる。
【0237】
抗PD-1およびPD-L1抗体治療剤
一部の態様では、本発明の併用療法における使用のための治療剤は、抗PD-1または抗PD-L1抗体であってよい。プログラム細胞死1(PD-1)受容体ならびにPD-1リガンド1および2(それぞれ、PD-L1およびPD-L2)は、免疫調節において統合的な役割を果たしている。活性化T細胞上で発現される、PD-1は、間質細胞、腫瘍細胞、またはその両方によって発現されるPD-L1(B7-H1としても知られる)およびPD-L2によって活性化され、T細胞死および局在化免疫抑制を開始し(Dongら、Nat Med 1999;5:1365~69;Freemanら、J Exp Med 2000;192:1027~34)、潜在的には、腫瘍の発生および成長のための免疫寛容環境を提供する。逆に、この相互作用の阻害は、局部T細胞応答を増強し、非臨床動物モデルにおける抗腫瘍活性を媒介することができる(Iwai Yら、Proc Natl Acad Sci USA 2002;99:12293~97)。
【0238】
本発明の併用療法において有用であり得る抗PD-1および抗PD-L1抗体の例としては、限定されるものではないが、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、MPDL3280A、Roche Holding AG)、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標)、AstraZeneca PLC)、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標)、ONO-4538、BMS-936558、MDX1106、Bristrol-Myers Squibb Company)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、MK-3475、ラムブロリズマブ、Merck & Co.,Inc.)、BCD-100(BIOCAD Biopharmaceutical Company)、チスレリズマブ(BGB-A317、BeiGene Ltd./Celgene Corporation)、ゲノリムズマブ(CBT-501、CBT Pharmaceuticals)、CBT-502(CBT Pharmaceuticals)、GLS-010(Harbin Gloria Pharmaceuticals Co.,Ltd.)、シンチリマブ(IBI308、Innovent Biologics,Inc.)、WBP3155(CStone Pharmaceuticals Co.,Ltd.)、AMP-224(GlaxoSmithKline plc)、BI754091(Boehringer Ingelheim GmbH)、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb Company)、CA-170(Aurigene Discovery Technologies)、FAZ053(Novartis AG)、スパルタリズマブ(PDR001、Novartis AG)、LY3300054(Eli Lilly & Company)、MEDI0680(AstraZeneca PLC)、PDR001(Novartis AG)、ササンリマブ(PF-06801591、Pfizer Inc.)、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標)、REGN2810、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)、カムレリズマブ(SHR-1210、Incyte Corporation)、TSR-042(Tesaro,Inc.)、AGEN2034(Agenus Inc.)、CX-072(CytomX Therapeutics,Inc.)、JNJ-63723283(Johnson & Johnson)、MGD013(MacroGenics,Inc.)、AN-2005(Adlai Nortye)、ANA011(AnaptysBio,Inc.)、ANB011(AnaptysBio,Inc.)、AUNP-12(Pierre Fabre Medicament S.A.)、BBI-801(Sumitomo Dainippon Pharma Co.,Ltd)、BION-004(Aduro Biotech)、CA-327(Aurigene Discovery Technologies)、CK-301(Fortress Biotech,Inc.)、ENUM244C8(Enumeral Biomedical Holdings,Inc.)、FPT155(Five Prime Therapeutics,Inc.)、FS118(F-star Alpha Ltd.)、hAb21(Stainwei Biotech,Inc.)、J43(Transgene S.A.)、JTX-4014(Jounce Therapeutics,Inc.)、KD033(Kadmon Holdings,Inc.)、KY-1003(Kymab Ltd.)、MCLA-134(Merus B.V.)、MCLA-145(Merus B.V.)、PRS-332(Pieris AG)、SHR-1316(Atridia Pty Ltd.)、STI-A1010(Sorrento Therapeutics,Inc.)、STI-A1014(Sorrento Therapeutics,Inc.)、STI-A1110(Les Laboratoires Servier)、およびXmAb20717(Xencor,Inc.)が挙げられる。
【0239】
一部の態様では、本発明の併用療法における治療剤は、抗PD-1抗体である。一部の態様では、抗PD-1抗体は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれるWO2016/092419に提供された抗体のいずれかの特徴または特性のいずれかを有してもよい。
【0240】
一部の態様では、抗PD-1抗体は、配列番号27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)の3個のCDR、および/または配列番号31に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)の3個のCDRを含む。一部の態様では、VHは、配列番号28に示される配列を含むVH CDR1、配列番号29に示される配列を含むVH CDR2、配列番号30に示される配列を含むVH CDR3を含む、および/またはVLは、配列番号32に示される配列を含むVL CDR1、配列番号33に示される配列を含むVL CDR2、配列番号34に示される配列を含むVL CDR3を含む。一部の態様では、VHは、配列番号27に示される配列を含む、および/またはVLは、配列番号31に示される配列を含む。
【0241】
一部の態様では、抗PD-1抗体は、ササンリマブ(PF-06801591)である。ササンリマブは、PD-1受容体に結合するヒト化免疫グロブリンG4(IgG4)モノクローナル抗体(mAb)である。PD-L1およびPD-L2とのその相互作用を遮断することによって、免疫応答のPD-1経路媒介性阻害が放出され、抗腫瘍免疫応答をもたらす。ササンリマブに関する臨床抗腫瘍活性は、非小細胞肺がんおよび尿路上皮癌などの抗PD1感受性固形腫瘍型のパネルにおいて見られている。ササンリマブは、例えば、あらゆる目的で本明細書に組み込まれる米国特許第10,155,037号に記載されている。本明細書に開示される実施例で使用される抗PD-1抗体は、別途指摘しない限り、社内で調製された治療用ヒト化抗ヒトPD-1抗体(hIgG2a-D265A)であった。
【0242】
抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の有効量を、本明細書に記載の用量に従って投与することができる。
【0243】
ガンマセクレターゼ阻害剤治療剤
本発明の併用療法における使用のための治療剤は、ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)であってよい。用語「ガンマセクレターゼ阻害剤」、「γ-セクレターゼ阻害剤」および「GSI」は、本明細書では互換的に使用され、ガンマセクレターゼの生物活性を阻害する、または低減させる化合物(薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む)または他の薬剤を指す。膜結合型BCMAは、腫瘍細胞表面からのガンマセクレターゼのプロテアーゼ活性によって能動的に切断され、ガンマセクレターゼ媒介性放出を受けることができる。これは、BCMA特異的治療剤の腫瘍細胞上での標的密度を減少させ、BCMA特異的治療剤を阻害することができる可溶性BCMA(sBCMA)断片を放出することができる。ガンマセクレターゼを阻害することによって、膜結合型BCMAは保持され、sBCMAのレベルを低下させながら、標的密度を増加させることができる。かくして、GSIの投与は、BCMA特異的治療剤の活性を増強することができる。
【0244】
本発明の併用療法において有用であり得る低分子GSIの例としては、限定されるものではないが、ジペプチドクラスのGSI、スルホンアミドクラスのGSI、遷移状態模倣体クラスのGSI、ベンゾカプロラクタムクラスのGSI、および当業界で公知の他のGSIが挙げられる。例えば、GSIは、MK-0752(Merck & Co.,Inc.)、MRK-003(Merck & Co.,Inc.)、ニロガセスタット(PF-03084014、SpringWorks Therapeutics)、RO4929097(Roche)、セマガセスタット(LY450139、Eli Lilly & Company)、BMS-906024(Bristol-Myers Squibb Company)およびDAPT、または薬学的に許容されるそれらの塩から選択することができる。GSIのさらなる例としては、1-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド、WPE-III-31C、(S)-3-[N’-(3,5-ジフルオロフェニル-アルファ-ヒドロキシアセチル)-L-アラニニル]アミノ-2,3-ジヒドロ-1-メチル-5-フェニル-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン、および(N)-[(S)-2-ヒドロキシ-3-メチル-ブチリル]-1-(L-アラニニル)-(S)-1-アミノ-3-メチル-4,5,6,7-テトラヒドロ-2H-3-ベンザゼピン-2-オンが挙げられる。De Kloe & De Strooper(2014)、Small Molecules That Inhibit Notch Signaling、Bellen & Yamamoto(編)、Notch Signaling:Methods and Protocols,Methods in Mol.Biol.、vol1 187(pp311~322)、New York、NY:Springer-Science+Business Mediaを参照されたい。
【0245】
一部の態様では、本発明の併用療法における治療剤は、GSIである。一部の態様では、GSIは、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれるWO2005/092864に提供されたGSIのいずれかの特徴または特性のいずれかを有してもよい。一部の態様では、GSIは、ニロガセスタット(PF-03084014、SpringWorks Therapeutics)、または薬学的に許容されるその塩である。ニロガセスタットは、構造式:
【0246】
【化1】
を有する経口、選択的、低分子GSIである。
【0247】
ニロガセスタットは、例えば、あらゆる目的で本明細書に組み込まれる、米国特許第7,342,118号、米国特許第7,795,447号および米国特許第7,951,958号に記載されている。本明細書に開示される実施例において使用されるGSIは、別途指摘しない限り、ニロガセスタットであった。
【0248】
GSIの有効量を、本明細書に記載の用量に従って投与することができる。一部の態様では、GSIは、腫瘍細胞上でのBCMAの表面発現を上方調節するのに十分な用量で投与される。一部の態様では、GSIは、腫瘍細胞上でのBCMAの放出を減少させるのに十分な用量で投与される。一部の態様では、GSIは、sBCMAのレベルを低下させるのに十分な用量で投与される。一部の態様では、GSIは、BCMA特異的治療剤の活性を改善するのに十分な用量で投与される。
【0249】
治療剤
一部の態様では、本発明の併用療法における使用のための治療剤は、生物治療剤、化学療法剤、免疫調節剤(例えば、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イベルドミドおよびアプレミラスト)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブおよびイキサゾミブ)、コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾンおよびプレドニゾン)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、パノビノスタット)、および核外搬出阻害剤(例えば、セリネクソル)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。本発明の併用療法における使用のためのさらなる治療剤としては、がんワクチン、免疫細胞療法(例えば、CAR-T細胞に基づく療法)、放射線療法、ワクチン、サイトカイン療法(例えば、インターフェロン、インターロイキン、および造血増殖因子などの免疫応答を刺激する種々のシグナル伝達タンパク質を含む免疫刺激サイトカイン)、標的サイトカイン、他の免疫抑制経路の阻害剤、血管新生の阻害剤、T細胞アクチベーター、代謝経路の阻害剤、mTOR(ラパマイシンの機構的標的)阻害剤(例えば、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、シロリムス、テムシロリムス、エベロリムス、およびデフォロリムス)、アデノシン経路の阻害剤、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、ニロガセスタット)、限定されるものではないが、INLYTA(登録商標)、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)阻害剤(例えば、クリゾチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、およびスニチニブ)を含むチロシンキナーゼ阻害剤、BRAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブおよびダブラフェニブ)、PI3K阻害剤、HPK1阻害剤、エピジェネティック修飾剤、Treg細胞および/または骨髄由来抑制細胞の阻害剤または枯渇剤、JAK(Janus Kinase)阻害剤(例えば、ルキソリチニブおよびトファシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、およびウパダシチニブ)、STAT(転写シグナル伝達因子および活性化因子)阻害剤(例えば、STAT1、STAT3、およびSTAT5阻害剤、例えば、フルダラビン)、サイクリン依存的キナーゼ(CDK)または他の細胞周期阻害剤、免疫原性薬剤(例えば、弱毒化がん性細胞、腫瘍抗原、腫瘍由来抗原または核酸をパルスされた樹状細胞などの抗原提示細胞、MEK阻害剤(例えば、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、およびセルメチニブ)、GLS1阻害剤、PARP阻害剤(例えば、タラゾパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ)、腫瘍溶解ウイルス、直接的に、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)もしくはナノ粒子により送達されるDNA、RNAを含む遺伝子療法、自然免疫応答モジュレーター(例えば、TLR、KIR、NKG2A)、IDO(インドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ)阻害剤、PRR(パターン認識受容体)アゴニスト、および限定されるものではないが、GM-CSFなどの免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子をトランスフェクトされた細胞)が挙げられる。
【0250】
一部の態様では、本発明の併用療法における使用のための治療剤は、限定されるものではないが、抗CTLA-4抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD8抗体、抗4-1BB抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、抗TIGIT抗体、抗OX40抗体、抗IL-7Rアルファ(CD127)抗体、抗IL-8抗体、抗IL-15抗体、抗HVEM抗体、抗BTLA抗体、抗CD38抗体、抗CD40抗体、抗CD40L抗体、抗CD47抗体、抗CSF1R抗体、抗CSF1抗体、抗IL-7R抗体、抗MARCO抗体、抗CXCR4抗体、抗VEGF抗体、抗VEGFR1抗体、抗VEGFR2抗体、抗TNFR1抗体、抗TNFR2抗体、抗CD3二重特異性抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗Her2抗体、抗EGFR抗体、抗ICOS抗体、抗CD22抗体、抗CD52抗体、抗CCR4抗体、抗CCR8抗体、抗CD200R抗体、抗VISG4抗体、抗CCR2抗体、抗LILRb2抗体、抗CXCR4抗体、抗CD206抗体、抗CD163抗体、抗KLRG1抗体、抗FLT3抗体、抗B7-H4抗体、抗B7-H3抗体、KLRG1抗体、BTN1A1抗体、BCMA抗体、抗SLAMF7抗体、抗avb8抗体、抗CD80抗体または抗GITR抗体を含む抗体を含んでもよい。
【0251】
一部の態様では、本発明の併用療法における使用のための治療剤の他の例は、5T4;A33;アルファ葉酸受容体1(例えば、ミルベツキシマブソラブタンシン);Alk-1;BCMA(例えば、WO2016166629および本明細書に開示されるその他を参照されたい);BTN1A1(例えば、WO2018222689を参照されたい);CA19-9;CA-125(例えば、アバゴボマブ);カルボアンヒドラーゼIX;CCR2;CCR4(例えば、モガムリズマブ);CCR5(例えば、レロンリマブ);CCR8;CD3[例えば、ブリナツモマブ(CD3/CD19二特異性)、PF-06671008(CD3/P-カドヘリン二特異性)、PF-06863135(CD3/BCMA二特異性)];CD19(例えば、ブリナツモマブ、MOR208);CD20(例えば、イブリツモマブチウキセタン、オビヌツズマブ、オファツムマブ、リツキシマブ、ウブリツキシマブ);CD22(イノツズマブオゾガマイシン、モキセツモマブパスドトクス);CD25;CD28;CD30(例えば、ブレンツキシマブベドチン);CD33(例えば、ゲムツズマブオゾガマイシン);CD38(例えば、ダラツムマブ、ダラツムマブおよびヒアルロニダーゼ、ならびにイサツキシマブ)、CD40;CD-40L;CD44v6;CD47(例えば、Hu5F9-G4、CC-90002、SRF231、B6H12);CD52(例えば、アレムツズマブ);CD56;CD63;CD79(例えば、ポラツズマブベドチン);CD80;CD86;CD123;CD276/B7-H3(例えば、オムブルタマブ);CDH17;CEA;ClhCG;CTLA-4(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)、CXCR4;デスモグレイン4;DLL3(例えば、ロバルピツズマブテシリン);DLL4;E-カドヘリン;EDA;EDB;EFNA4;EGFR(例えば、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、ネシツムマブ、パニツムマブ);EGFRvIII;エンドシアリン;EpCAM(例えば、オポルツズマブモナトクス);FAP;胎児アセチルコリン受容体;FLT3(例えば、WO2018/220584を参照されたい);4-1BB(CD137)[例えば、ウトミルマブ/PF-05082566(WO2012/032433を参照されたい)またはウレルマブ/BMS-663513]、GD2(例えば、ジヌツキシマブ、3F8);GD3;GITR(例えば、TRX518);GloboH;GM1;GM2;HER2/neu[例えば、マルゲツキシマブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ;アド-トラスツズマブエムタンシン、トラスツズマブデュオカルマジン、PF-06804103(US8828401を参照されたい)];HER3;HER4;ICOS;IL-10;ITG-Av86;LAG-3(例えば、レラトリマブ、IMP701);Lewis-Y;LG;Ly-6;M-CSF[例えば、PD-0360324(US7326414を参照されたい)];(膜結合型)IgE;MCSP;メソテリン;MIS受容体II型;MUC1;MUC2;MUC3;MUC4;MUC5AC;MUC5B;MUC7;MUC16;Notch1;Notch3;ネクチン-4(例えば、エンホルツマブベドチン);OX40[例えば、PD-04518600(US7960515を参照されたい)];P-カドヘリン[例えば、PF-06671008(WO2016/001810を参照されたい)];PCDHB2;PD-1[例えば、BCD-100、カムレリズマブ、ペムブロリズマブ、ササンリマブ(PF-06801591、WO2016/092419を参照されたい)、シンチリマブ、スパルタリズマブ、STI-A1110、チスレリズマブ、TSR-042、および本明細書に開示される他のもの];PD-L1(例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、BMS-936559(MDX-1105)、LY3300054、および本明細書に開示される他のもの);PDGFRA(例えば、オララツマブ);形質細胞抗原;ポリSA;PSCA;PSMA;PTK7[例えば、PF-06647020(US9409995を参照されたい)];Ror1;SAS;SLAMF7(例えば、エロツズマブ);SHH;SIRPa(例えば、ED9、Effi-DEM);STEAP;sTn;TGF-ベータ;TIGHT;TIM-3;TMPRSS3;TNF-アルファ前駆体;TROP-2(例えば、サシツズマブゴビテカン);TSPAN8;VEGF(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ);VEGFR1(例えば、ラニビズマブ);VEGFR2(例えば、ラムシルマブ、ラニビズマブ);ならびにWue-1に対するものであるか、またはそれらを標的としてもよい。
【0252】
一部の態様では、本発明の併用療法における使用のための治療剤は、任意の好適な形式を有する治療抗体であってもよい。例えば、治療抗体は、本明細書の他の箇所に記載される任意の形式を有してもよい。一部の態様では、治療抗体は、裸の抗体であってもよい。一部の態様では、治療抗体は、薬物/薬剤に連結されていてもよい(「抗体-薬物コンジュゲート」(ADC)としても知られる)。ADC形式の抗体に連結することができる薬物または薬剤は、例えば、細胞傷害剤、免疫調節剤、イメージング剤、治療タンパク質、生体ポリマー、またはオリゴヌクレオチドを含んでもよい。ADC中に組み込むことができる例示的な細胞傷害剤としては、アントラサイクリン、アウリスタチン、ドラスタチン、コンブレタスタチン、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノ-ベンゾジアゼピン二量体、エネジイン、ゲルダナマイシン、メイタンシン、ピューロマイシン、タキサン、ビンカアルカロイド、カンプトテシン、チューブリシン、ヘミアステルリン、スプリセオスタチン、プラジエノリド、およびその立体異性体、等量式、アナログ、または誘導体が挙げられる。
【0253】
一部の態様では、特定の抗原に対する治療抗体を、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体または三特異性抗体)中に組み込むことができる。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。一部の態様では、二重特異性抗体は、第1の抗体可変ドメインと第2の抗体可変ドメインとを含み、第1の抗体可変ドメインは、ヒト免疫エフェクター細胞上に位置するエフェクター抗原に特異的に結合することによってヒト免疫エフェクター細胞の活性を動員することができ、第2の抗体可変ドメインは、本明細書に提供されるような標的抗原に特異的に結合することができる。一部の態様では、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプを有する。一部の態様では、抗体は、免疫学的に不活性なFc領域を含む。一部の態様では、抗体は、ヒト抗体またはヒト化抗体である。
【0254】
ヒト免疫エフェクター細胞は、当業界で公知の様々な免疫エフェクター細胞のいずれかであってもよい。例えば、免疫エフェクター細胞は、限定されるものではないが、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)、B細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む、ヒトリンパ球系列のメンバーであってもよい。免疫エフェクター細胞はまた、例えば、限定されるものではないが、単球、好中球性顆粒細胞、および樹状細胞を含む、限定されるものではないが、ヒト骨髄細胞系列のメンバーであってもよい。そのような免疫エフェクター細胞は、エフェクター抗原の結合による活性化の際に標的細胞に対する細胞傷害効果もしくはアポトーシス効果または他の所望の効果を有してもよい。
【0255】
エフェクター抗原は、ヒト免疫エフェクター細胞上で発現される抗原(例えば、タンパク質またはポリペプチド)である。ヘテロ二量体タンパク質(例えば、ヘテロ二量体抗体または二重特異性抗体)が結合することができるエフェクター抗原の例としては、限定されるものではないが、ヒトCD3(またはCD3(分化抗原群)複合体)、CD16、NKG2D、NKp46、CD2、CD28、CD25、CD64、およびCD89が挙げられる。標的抗原は、典型的には、疾患状態の標的細胞(例えば、がん細胞)上で発現される。二重特異性抗体における使用のための標的抗原の例は、本明細書に開示される。
【0256】
一部の態様では、本明細書で提供される二重特異性抗体は、同じ標的細胞上の2つの異なる標的抗原(例えば、同じ腫瘍細胞上の2つの異なる抗原)に結合する。そのような抗体は、例えば、目的の標的細胞(例えば、目的の2つの特定の腫瘍関連抗原を発現する腫瘍細胞)に対する増大した特異性を有するため、有利であり得る。例えば、一部の態様では、本明細書で提供される二重特異性抗体は、第1の抗体可変ドメインと、第2の抗体可変ドメインとを含み、第1の抗体可変ドメインは、本明細書で提供される第1の標的抗原に特異的に結合することができ、第2の抗体可変ドメインは、本明細書で提供される第2の標的抗原に特異的に結合することができる。
【0257】
一部の態様では、本発明の併用療法における使用のための治療剤は、対象における免疫応答を刺激することができる、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イベルドミドおよびアプレミラストなどの免疫調節剤を含んでもよい。さらなる免疫調節剤としては、パターン認識受容体(PRR)アゴニスト、免疫刺激サイトカイン、免疫細胞療法およびがんワクチンが挙げられる。
【0258】
パターン認識受容体(PRR)は、免疫系の細胞によって発現され、病原体および/または細胞損傷もしくは細胞死と関連する種々の分子を認識する受容体である。PRRは、自然免疫応答と、適応免疫応答との両方に関与する。PRRアゴニストを使用して、対象における免疫応答を刺激することができる。toll様受容体(TLR)、RIG-I様受容体(RLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NOD)様受容体(NLR)、C型レクチン受容体(CLR)、およびインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)タンパク質を含む、複数のクラスのPRR分子が存在する。
【0259】
本明細書で提供される例示的なTLRアゴニストとしては、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、およびTLR9のアゴニストが挙げられる。本発明の処置方法、医薬、および使用において有用であるRLRアゴニストの例としては、例えば、キャップされていない5’三リン酸を有する短い二本鎖RNA(RIG-Iアゴニスト);ポリI:C(MDA-5アゴニスト)、およびBO-112(MDA-Aアゴニスト)が挙げられる。本発明の処置方法、医薬、および使用において有用であるNLRアゴニストの例としては、例えば、リポソームムラミルトリペプチド/ミファムルチド(NOD2アゴニスト)が挙げられる。本発明の処置方法、医薬、および使用において有用であるCLRアゴニストの例としては、例えば、MD画分(グリフォラ・フロンドーサ(Grifola frondosa)からの精製可溶性ベータグルカン抽出物)およびImprime PGG(酵母由来ベータ1,3/1,6-グルカンPAMP)が挙げられる。本発明の処置方法、医薬、および使用において有用であるSTINGアゴニストの例としては、種々の免疫刺激核酸、例えば、合成二本鎖DNA、環状ジGMP、環状GMP-AMP(cGAMP)、合成環状ジヌクレオチド(CDN)、例えば、MK-1454およびADU-S100(MIW815)、ならびにP0-424などの低分子が挙げられる。他のPRRとしては、例えば、IFN調節因子のDNA依存的アクチベーター(DAI)およびAbsent in Melanoma 2(AIM2)が挙げられる。
【0260】
免疫刺激サイトカインとしては、限定されるものではないが、インターフェロン、インターロイキン、および造血増殖因子などの免疫応答を刺激する種々のシグナル伝達タンパク質が挙げられる。一部の態様では、例示的な免疫刺激サイトカインとしては、限定されるものではないが、GM-CSF、G-CSF、IFNγ、IFNα、IL-2(例えば、デニロイキンジフィトクス)、IL-6、IL-7、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、およびTNFαが挙げられる。免疫刺激サイトカインは、任意の好適な形式を有してもよい。一部の態様では、免疫刺激サイトカインは、野生型サイトカインの組換えバージョンであってもよい。一部の態様では、免疫刺激サイトカインは、対応する野生型サイトカインと比較して、1つまたは複数のアミノ酸変化を有する突然変異タンパク質であってもよい。一部の態様では、免疫刺激サイトカインを、サイトカインと、少なくとも1つの他の機能性タンパク質(例えば、抗体)とを含有するキメラタンパク質中に組み込むことができる。一部の態様では、免疫刺激サイトカインを、薬物/薬剤(例えば、あり得るADC成分として本明細書の他の箇所に記載される任意の薬物/薬剤)に共有結合により連結することができる。一部の態様では、サイトカインはPEG化されている。
【0261】
免疫細胞療法は、がん細胞を標的とすることができる免疫細胞を用いて患者を処置することを含む。免疫細胞療法としては、例えば、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)およびキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)が挙げられる。
【0262】
がんワクチンは、腫瘍関連抗原を含有し(または対象において腫瘍関連抗原を生成するために使用することができる)、かくして、腫瘍関連抗原を含有する腫瘍細胞を指向する、対象における免疫応答を誘発するために使用することができる種々の組成物を含む。がんワクチンに含有させることができる例示的な材料としては、弱毒化がん性細胞、腫瘍抗原、抗原提示細胞、例えば、腫瘍由来抗原または腫瘍関連抗原をコードする核酸をパルスされた樹状細胞などが挙げられる。一部の態様では、がんワクチンを、患者自身のがん細胞を用いて調製することができる。一部の態様では、がんワクチンを、患者自身のがん細胞に由来しない生物材料を用いて調製することができる。がんワクチンとしては、例えば、シプリューセルTおよびタリモジェンラヘルパレプベク(T-VEC)が挙げられる。
【0263】
本明細書で提供される併用療法は、1つまたは複数の化学療法剤を含んでもよい。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(cyclosphosphamide)など;スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなど;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパおよびウレドパなど;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロールオメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルアメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189およびCBI-TMIを含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;窒素マスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロソウレア(nitrosureas)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンファイI1、例えば、Agnew,Chem.Intl.Ed.Engl.、33:183~186(1994)を参照;ジネマイシンAを含むジネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなど;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎剤(anti-adrenal)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;フロリン酸などの葉酸補充剤;フォリン酸、5-FUおよびオキサリプラチンを含むFOLFOX;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デホファミン;デメコルシン;ジアジクォン;エルフォルミチン;エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えば、マイタンシンおよびアンサミトシンなど;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2、2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドキセタキセル;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ、例えば、カルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容できる塩、酸、または誘導体が挙げられる。
【0264】
一部の態様では、本発明の併用療法における使用は、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston)を含む、抗エストロゲン剤および選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)などの腫瘍に対するホルモン作用を調節する、または阻害するように作用する抗ホルモン剤;例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、エキセメスタン、ホルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール、レトロゾール、およびアナストロゾールなどの、副腎におけるエストロゲン産生を調節するアロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼ阻害剤であってもよい。
【0265】
一部の態様では、本発明の併用療法における使用のための治療剤は、抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、フルリジル、アパルタミド、エンザルタミド、シメチジンおよびゴセレリンなど;KRAS阻害剤;MCT4阻害剤;MAT2a阻害剤;チロシンキナーゼ/血管内皮増殖因子(VEGF)受容体阻害剤、例えば、スニチニブ、アキシチニブ、ソラフェニブ、チボザニブなど;alk/c-Met/ROS阻害剤、例えば、クリゾチニブ、ロルラチニブなど;mTOR阻害剤、例えば、テムシロリムス、ゲダトリシブなど;src/abl阻害剤、例えば、ボスチニブなど;サイクリン依存的キナーゼ(CDK)阻害剤、例えば、パルボシクリブ、PF-06873600、アベマシクリブおよびリボシクリブなど;erb阻害剤、例えば、ダコミチニブなど;PARP阻害剤、例えば、タラゾパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブなど;SMO阻害剤、例えば、グラスデギブ、PF-5274857など;EGFR T790M阻害剤、例えば、PF-06747775など;EZH2阻害剤または他のエピジェネティック修飾剤、例えば、PF-06821497など;PRMT5、例えば、PF-06939999阻害剤など;TGFRβr1阻害剤、例えば、PF-06952229など;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体であってもよい。
【0266】
処置
本発明の併用療法におけるそれぞれの治療剤を、標準的な薬務に従って、単独で、または治療剤と、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤および希釈剤とを含む医薬(本明細書では、医薬組成物とも称される)中で投与することができる。
【0267】
本発明の併用療法におけるそれぞれの治療剤を、同時的に(すなわち、同じ医薬中で)、併用的に(すなわち、任意の順序で他方の直後に投与される別々の医薬中で)、または任意の順序で逐次的に投与することができる。逐次的投与は、併用療法における治療剤が異なる剤形中にある(一方の薬剤が錠剤もしくはカプセル剤であり、他方の薬剤が滅菌液体である)および/または異なる投薬スケジュールで投与される場合に特に有用であり、例えば、化学療法剤は少なくとも毎日投与され、治療剤はそれより少ない頻度で、例えば、週1回、2週毎に1回、または3週毎に1回などで投与される。
【0268】
一部の態様では、併用療法における治療剤を、薬剤が同じがんを処置するための単剤療法として使用される場合に典型的に用いられるのと同じ投薬量レジメン(用量、頻度および処置期間)を使用して投与することができる。他の態様では、患者は、薬剤が単剤療法として、例えば、より小さい用量、より低頻度の用量、および/またはより短い処置期間で使用される場合よりも、併用療法における少なくとも1つの治療剤の低い総量を受けてもよい。
【0269】
本発明の併用療法における治療剤を、任意の好適な腸内経路または非経口投与経路によって投与することができる。投与の用語「腸内経路」は、胃腸管の任意の部分を介する投与を指す。腸内経路の例としては、経口、粘膜、頬、および直腸経路、または胃内経路が挙げられる。投与の「非経口経路」は、腸内経路以外の投与経路を指す。非経口投与経路の例としては、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内、膀胱内、動脈内、髄腔内、関節包内、眼窩内、心臓内、気管内、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内、皮下、または局所投与が挙げられる。本開示の治療剤を、経口摂取、経鼻胃管、胃瘻管、注射、輸注、埋込み型輸注ポンプ、および浸透圧ポンプなどの任意の好適な方法を使用して投与することができる。投与の好適な経路および方法は、使用される特定の治療剤、所望される吸収速度、使用される特定の製剤または剤形、処置される障害の型または重症度、特定の作用部位、および患者の状態などのいくつかの因子に応じて変化してもよい。非経口投与経路の例としては、骨内および胸膜内も挙げられる。
【0270】
治療剤の固体剤形の経口投与は、例えば、それぞれ、所定量の少なくとも1つの治療剤を含有する、硬質または軟質カプセル剤、丸剤、カシェ剤、トローチ剤、または錠剤などの個別単位で提供することができる。別の態様では、経口投与は、粉末または顆粒形態であってもよい。別の態様では、経口剤形は、例えば、トローチ剤などの舌下である。そのような固体剤形では、治療剤は通常、1つまたは複数のアジュバントと組み合わされる。そのようなカプセル剤または錠剤は、制御放出製剤を含有してもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は、緩衝剤を含んでもよいか、または腸溶コーティングを用いて調製することができる。
【0271】
別の態様では、治療剤の経口投与は、液体剤形であってもよい。経口投与のための液体剤形としては、例えば、当業界で一般的に使用される不活性希釈剤(例えば、水)を含有する、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。そのような組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、香味剤(例えば、甘味料)、および/または芳香剤などのアジュバントを含んでもよい。
【0272】
一部の態様では、治療剤は、非経口剤形で投与される。「非経口投与」としては、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、および輸注が挙げられる。注射可能調製物(すなわち、滅菌注射水性または油性懸濁液)は、好適な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁剤を使用して公知の技術に従って製剤化することができ、デポー製剤を含む。
【0273】
一部の態様では、治療剤は、局所剤形で投与される。「局所投与」としては、例えば、経皮パッチまたはイオントフォレシスデバイスなどによる経皮投与、眼内投与、または鼻内もしくは吸入投与が挙げられる。局所投与のための組成物としては、例えば、局所ゲル剤、スプレー剤、軟膏剤、およびクリーム剤も挙げられる。局所製剤は、皮膚または他の罹患した領域を介する活性成分の吸収または浸透を促進する化合物を含んでもよい。治療剤が経皮デバイスによって投与される場合、投与は、リザーバーおよび多孔膜型の、または固体マトリックス種のいずれかのパッチを使用して達成されるであろう。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、ドレッシング剤、気泡剤、フィルム、皮膚パッチ、ウェハー、インプラント、スポンジ、線維、包帯およびマイクロエマルジョンが挙げられる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱物油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。浸透促進剤を組み込むことができ、例えば、FinninおよびMorgan、J.Pharm.Sci.、88(10)、955~958(1999)を参照されたい。
【0274】
製薬業界で公知の他の担体材料および投与様式を、治療剤と共に使用することもできる。有効な製剤および投与手順に関する上記の考慮は、当業界で周知であり、標準的な教科書に記載されている。薬物の製剤は、例えば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1975;Libermanら(編)、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New
York、N.Y.、1980;およびKibbeら(編)、Handbook of Pharmaceutical Excipients(3.sup.rd.Ed.)、American Pharmaceutical Association、Washington、1999で考察されている。
【0275】
本発明の併用療法のための投薬量レジメン(本明細書では投与レジメンとも称される)の選択は、実体の血清または組織回転率、症状のレベル、実体の免疫原性、および処置される対象中での標的細胞、組織または臓器の接近可能性を含む、いくつかの因子に依存してもよい。好ましくは、投薬量レジメンは、許容されるレベルの副作用と一致して、患者に送達されるそれぞれの治療剤の量を最大化する。したがって、組合せ中のそれぞれの治療剤または化学療法剤の投与量および投薬頻度は、特定の治療剤、処置されるがんの重症度、および患者特性に一部依存する。抗体、サイトカイン、および低分子の適切な用量の選択における指針が利用可能である。例えば、Wawrzynczak(1996)Antibody Therapy、Bios Scientific Pub.Ltd、Oxfordshire、UK;Kresina(編)(1991)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis、Marcel Dekker、New York、NY;Bach(編)(1993) Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases、Marcel Dekker、New York、NY;Baertら(2003)New Engl.J.Med.348:601~608;Milgromら(1999)New Engl.J.Med.341:1966~1973;Slamonら(2001)New Engl.J.Med.344:783~792;Beniaminovitzら(2000)New Engl.J.Med.342:613~619;Ghoshら(2003)New Engl.J.Med.348:24~32;Lipskyら(2000)New Engl.J.Med.343:1594~1602;Physicians’ Desk Reference 2003(Physicians’ Desk Reference、第57版);Medical Economics Company;ISBN:1563634457;第57版(November 2002)を参照されたい。医師であれば、適切な投薬量レジメンの決定を、例えば、処置に影響する、または処置に影響すると予測される、当業界で公知の、または疑われるパラメーターまたは因子を使用して行うことができ、それは例えば、患者の病歴(例えば、先行の療法)、処置されるがんの型およびステージならびに併用療法における1つまたは複数の治療剤に対する応答のバイオマーカーに依存するであろう。
【0276】
一部の態様では、本発明の併用療法における治療剤を、約0.01μg/kg、0.02μg/kg、0.03μg/kg、0.04μg/kg、0.05μg/kg、0.06μg/kg、0.07μg/kg、0.08μg/kg、0.09μg/kg、0.1μg/kg、0.2μg/kg、0.3μg/kg、0.4μg/kg、0.5μg/kg、0.6μg/kg、0.7μg/kg、0.8μg/kg、0.9μg/kg、1μg/kg、2μg/kg、3μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、6μg/kg、7μg/kg、8μg/kg、9μg/kg、10μg/kg、15μg/kg、20μg/kg、25μg/kg、30μg/kg、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、50μg/kg、60μg/kg、70μg/kg、80μg/kg、90μg/kg、100μg/kg、110μg/kg、120μg/kg、130μg/kg、140μg/kg、150μg/kg、200μg/kg、250μg/kg、300μg/kg、400μg/kg、500μg/kg、600μg/kg、700μg/kg、800μg/kg、900μg/kg、1000μg/kg、1200μg/kg、または1400μg/kg以上の用量で対象に投与することができる。
【0277】
一部の態様では、本発明の併用療法における治療剤を、約1mg/kg~約1000mg/kg、約2mg/kg~約900mg/kg、約3mg/kg~約800mg/kg、約4mg/kg~約700mg/kg、約5mg/kg~約600mg/kg、約6mg/kg~約550mg/kg、約7mg/kg~約500mg/kg、約8mg/kg~約450mg/kg、約9mg/kg~約400mg/kg、約5mg/kg~約200mg/kg、約2mg/kg~約150mg/kg、約5mg/kg~約100mg/kg、約10mg/kg~約100mg/kg、または約10mg/kg~約60mg/kgの用量で対象に投与することができる。
【0278】
一部の態様では、本発明の併用療法における治療剤を、少なくとも0.05μg/kg、0.2μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、10μg/kg、100μg/kg、0.2mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、5.0mg/kg、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kg体重以上の用量で対象に投与することができる。例えば、Yangら(2003)New Engl.J.Med.349:427~434;Heroldら(2002)New Engl.J.Med.346:1692~1698;Liuら(1999)J.Neurol.Neurosurg.Psych.67:451~456;Portieljiら(20003)Cancer Immunol.Immunother.52:133~144を参照されたい。
【0279】
一部の態様では、約または少なくとも約0.05μg、0.2μg、0.5μg、1μg、10μg、100μg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、75mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、350mg、700mg、750mg、800mg、900mg、1000mgまたは1500mg以上の治療剤の固定用量を患者に投与することができる。固定用量を、例えば、毎日、1日置き、週3回、または各週、2週、3週、月に1回、2カ月毎に1回、3カ月毎に1回、4カ月毎に1回などの間隔で投与することができる。
【0280】
経口投与のために、治療剤(例えば、典型的には、低分子化学療法剤)を、錠剤の形態で、本明細書に記載の治療剤の用量で提供することができる。
【0281】
一部の態様では、本発明の併用療法における治療剤を、少なくとも毎日1回、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、2日毎に1回、3日毎に1回、週1回、2週毎に1回、3週毎に1回、4週毎に1回、30日毎に1回、5週毎に1回、6週毎に1回、月1回、2カ月毎に1回、3カ月毎に1回、または4カ月毎に1回、経口、IVまたはSC用量で投与することができる。
【0282】
本明細書に記載の処置方法は、患者のケアを監督する医師が、処置方法が有効であると見なす限り、継続することができる。処置方法が有効であることを示す非限定的なパラメーターとしては、以下:腫瘍縮小(重量および/または体積を単位とする);個々の腫瘍コロニー数の減少;腫瘍除去;および無進行生存期間のうちのいずれか1つまたは複数が挙げられる。腫瘍サイズの変化を、イメージングなどの任意の好適な方法によって決定することができる。コンピューター断層撮影(CTスキャン)、二重エネルギーCDT、ポジトロン放射断層撮影、超音波、CATスキャンおよびMRIなどの、当業界で周知の様々な診断イメージングモダリティを用いることができる。一部の態様では、本発明の併用療法は、触診によって、またはMRI、超音波、もしくはCATスキャンなどの、当業界で周知のイメージング技術によって発見するのに十分な大きさである腫瘍を処置するために使用される。
【0283】
療法の経過と関連する時間の例示的な長さとしては、約1週間;約2週間;約3週間;約4週間;約5週間;約6週間;約7週間;約8週間;約9週間;約10週間;約11週間;約12週間;約13週間;約14週間;約15週間;約16週間;約17週間;約18週間;約19週間;約20週間;約21週間;約22週間;約23週間;約24週間;約7カ月間;約8カ月間;約9カ月間;約10カ月間;約11カ月間;約12カ月間;約13カ月間;約14カ月間;約15カ月間;約16カ月間;約17カ月間;約18カ月間;約19カ月間;約20カ月間;約21カ月間;約22カ月間;約23カ月間;約24カ月間;約30カ月間;約3年間;約4年間および約5年間が挙げられる。
【0284】
本明細書に記載される組合せおよび方法を使用して、がんおよび/またはがん関連疾患などの、本明細書で提供される方法によって治療または防止することができる任意の状態に罹患している患者を処置することができる。
【0285】
一部の態様では、状態は、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、白血病、骨髄腫、芽腫、および肉腫を含むがんである。一部の態様では、がんは、限定されるものではないが、多発性骨髄腫、悪性形質細胞新生物、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫、カーラー病および骨髄腫症、形質細胞白血病、形質細胞腫、意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)、くすぶり型骨髄腫、軽鎖アミロイドーシス、骨硬化性骨髄腫、B細胞前リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、骨髄性白血病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫、縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、T細胞/組織球性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(脚型)、高齢者のEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、炎症を伴うびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫、形質芽球性リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病において生じる大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との中間型の未分類のB細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との中間型の未分類のB細胞リンパ腫、および他のB細胞関連リンパ腫を含む、B細胞関連がんおよび/またはがん関連疾患を含む、がんおよび/またはがん関連疾患を含んでもよい。
【0286】
一部の態様では、がんは、胃(gastric)がん、小腸がん、頭頸部がん(例えば、頭頸部扁平上皮がん)、胸腺がん、上皮がん、唾液腺がん、肝臓がん、胆管がん、神経内分泌腫瘍、胃(stomach)がん、甲状腺がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん)、中皮腫、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、腎臓がん、食道がん、膵がん、グリオーマ、腎がん(例えば、腎細胞癌)、膀胱がん、子宮頸がん、子宮がん、外陰がん、子宮内膜がん、陰茎がん、精巣がん、肛門がん、絨毛癌、結腸がん、結腸直腸がん、口腔がん、皮膚がん、メルケル細胞癌、神経膠芽腫、脳腫瘍、骨がん、眼がん、黒色腫、または高頻度マイクロサテライト不安定性がん(MSI-H)である。
【0287】
本発明の併用療法を、腫瘍を除去するための外科手術の前または後に使用することができ、放射線療法の前、間または後に使用することができる。
【0288】
一部の態様では、本発明の併用療法は、治療剤または化学療法剤で以前に処置されたことがない、すなわち、処置にナイーブである患者に投与される。他の態様では、併用療法は、治療剤または化学療法剤を用いた療法の前後に持続的応答を達成することができなかった、すなわち、処置を経験した患者に投与される。一部の態様では、対象は、腫瘍を処置するための先行の療法を受けたことがあり、腫瘍は再発しているか、または不応性である。
【0289】
望ましくない、または有害な効果を低減させる、または回避しながら、付加的効力または付加的治療効果を有する併用療法が、本明細書で提供される本発明によって包含される。本発明はまた、望ましくない、または有害な効果が低減されるか、または回避されながら、治療有効性が付加的なものよりも大きい相乗的組合せも包含する。ある特定の態様では、本明細書で提供される方法および組成物は、疾患および障害の処置または防止を可能にし、処置は、i)処置の有効性を少なくとも維持しながら、治療剤の別々の投与によって引き起こされる望ましくない、または有害な効果の発生を低減させるため;ii)患者のコンプライアンスを増大させるため、およびiii)抗腫瘍処置の有効性を改善するため、のうちの少なくとも1つのために、併用療法における少なくとも治療剤のより低いおよび/またはより少ない頻度の用量を使用して増強された抗腫瘍応答によって改善される。
【0290】
キット
本発明の併用療法の治療剤は、組成物の同時投与にとって好適なキットの形態で都合良く組み合わせることができる。
【0291】
一態様では、キットは、少なくとも第1の容器および第2の容器および添付文書を含む。第1の容器は、併用療法の、少なくとも1用量の第1の治療剤を含有し、第2の容器は、少なくとも1用量の第2の治療剤を含有する。添付文書/ラベルは、治療剤を使用してがんおよび/またはがん関連疾患に関して患者を処置するための使用説明書を含む。第1および第2の容器は、同じか、または異なる形状(例えば、バイアル、シリンジおよびボトル)および/または材料(例えば、プラスチックまたはガラス)を含んでもよい。キットは、希釈剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジなどの治療剤を投与するのに有用であり得る他の材料をさらに含んでもよい。
【0292】
臨床試験
標準療法から再発した、またはそれに対して不応性である進行性多発性骨髄腫を有する成人患者における、PF-06863135の第1相、非盲検、多用量、多施設、用量漸増、安全性、薬物動態(PK)および薬力学試験が進行中である(NCT03269136)。これは、パート1においてはPF-06863135の用量レベルの増加の安全性おおび忍容性を評価するため、ならびにパート2においては推奨第2相用量(RP2D)を確立するための2パート試験である。この第1相試験は、実施例10に記載される。PF06863135(エルラナタマブ)単剤療法の2つのさらなる臨床試験は、実施例11および実施例12に記載される。
【0293】
本明細書に開示される治療剤のいずれかと組み合わせたPF-06863135のさらなる臨床評価を行うことができる:抗PD-1/PD-L1抗体(例えば、ササンリマブ/PF-06801591)と組み合わせたPF-06863135、免疫調節剤(例えば、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、イベルドミドおよびアプレミラスト)と組み合わせたPF-06863135、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、ニロガセスタット)と組み合わせたPF-06863135、他の処置、例えば、生物治療剤(例えば、CD38抗体ダラツムマブ、ダラツムマブおよびヒアルロニダーゼ、およびイサツキシマブ、およびSLAMF7抗体エロツズマブ)、化学療法剤(例えば、メルファラン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、エトポシド、ドキソルビシン、リポソーム性ドキソルビシン、およびデンダムスチン)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブおよびイキサゾミブ)、コルチコステロイド(例えば、デキサメタゾンおよびプレドニゾン)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、パノビノスタット)、ならびに核外搬出阻害剤(例えば、セリネキソル)などと組み合わせたPF-06863135。実施例12~16は、PF-06863135(エルラナタマブ)のいくつかの計画された併用療法臨床試験を記載する。
【0294】
一般的方法
分子生物学における標準的な方法は、Sambrook、FritschおよびManiatis(1982&1989、第2版、2001、第3版)Molecular Cloning, A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;SambrookおよびRussell(2001)Molecular Cloning、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Wu(1993)Recombinant DNA、Vol.217、Academic Press、San Diego、CAに記載されている。標準的な方法は、Ausbelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1~4、John Wiley and Sons,Inc.New York、NYにも見られ、細菌細胞中でのクローニングおよびDNA突然変異誘発(Vol.1)、哺乳動物細胞および酵母中でのクローニング(Vol.2)、糖コンジュゲートおよびタンパク質発現(Vol.3)、ならびにバイオインフォマティクス(Vol.4)を記載している。
【0295】
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、および結晶化を含むタンパク質精製のための方法が記載されている(Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science、Vol.1、John Wiley and Sons,Inc.、New York)。化学分析、化学的修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の生産、タンパク質のグリコシル化が記載されている(例えば、Coliganら(2000)Current Protocols in Protein Science、Vol.2、John Wiley and Sons,Inc.、New York;Ausubelら(2001)Current Protocols in Molecular Biology、Vol.3、John Wiley and Sons,Inc.、NY、NY、pp.16.0.5~16.22.17;Sigma-Aldrich,Co.(2001)Products for Life Science Research、St.Louis、MO;pp.45~89;Amersham Pharmacia Biotech(2001)BioDirectory、Piscataway、N.J.、pp.384~391を参照されたい)。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の生産、精製、および断片化は、記載されている(Coliganら(2001)Current Protocols in Immunology、Vol.1、John Wiley and Sons,Inc.、New York;HarlowおよびLane(1999)Using Antibodies、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;HarlowおよびLane、上掲)。リガンド/受容体相互作用を特徴付けるための標準的な技術は、利用可能である(例えば、Coliganら(2001)Current Protocols in Immunology、Vol.4、John Wiley,Inc.、New Yorkを参照されたい)。
【0296】
モノクローナル、ポリクローナル、およびヒト化抗体を調製することができる(例えば、SheperdおよびDean(編)(2000)Monoclonal Antibodies、Oxford Univ.Press、New York、NY;KontermannおよびDubel(編)(2001)Antibody Engineering、Springer-Verlag、New York;HarlowおよびLane(1988)Antibodies A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、pp.139~243;Carpenterら(2000)J.Immunol.165:6205;Heら(1998)J.Immunol.160:1029;Tangら(1999)J.Biol.Chem.274:27371~27378;Bacaら(1997)J.Biol.Chem.272:10678~10684;Chothiaら(1989)Nature 342:877~883;FooteおよびWinter(1992)J.Mol.Biol.224:487~499;米国特許第6,329,511号を参照されたい)。
【0297】
ヒト化に対する代替手段は、トランスジェニックマウス中のファージまたはヒト抗体ライブラリー上にディスプレイされるヒト抗体ライブラリーを使用することである(Vaughanら(1996)Nature Biotechnol.14:309~314;Barbas(1995)Nature Medicine 1:837~839;Mendezら(1997)Nature Genetics 15:146~156;HoogenboomおよびChames(2000)Immunol.Today 21:371~377;Barbasら(2001)Phage Display:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York;Kayら(1996)Phage Display of Peptides and Proteins:A Laboratory Manual、Academic Press、San Diego、CA;de Bruinら(1999)Nature Biotechnol.17:397~399)。
【0298】
抗原の精製は、抗体の生成にとって必須ではない。動物を、目的の抗原を担持する細胞で免疫することができる。次いで、脾細胞を免疫した動物から単離し、脾細胞を骨髄腫細胞系と融合して、ハイブリドーマを生産することができる(例えば、Meyaardら(1997)Immunity 7:283~290;Wrightら(2000)Immunity 13:233~242;Prestonら、上掲;Kaithamanaら(1999)J.Immunol.163:5157~5164を参照されたい)。
【0299】
抗体を、例えば、低分子量薬物分子、酵素、リポソーム、ポリエチレングリコール(PEG)にコンジュゲートすることができる。抗体は、治療、診断、キットまたは他の目的にとって有用であり、例えば、染料、放射性同位体、酵素、または金属、例えば、コロイド金に結合させた抗体が挙げられる(例えば、Le Doussalら(1991)J.Immunol.146:169~175;Gibelliniら(1998)J.Immunol.160:3891~3898;HsingおよびBishop(1999)J.Immunol.162:2804~2811;Evertsら(2002)J.Immunol.168:883~889を参照されたい)。
【0300】
蛍光活性化細胞選別(FACS)を含むフローサイトメトリーのための方法が利用可能である(例えば、Owensら(1994)Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice、John Wiley and Sons、Hoboken、NJ;Givan(2001)Flow Cytometry、第2版;Wiley-Liss、Hoboken、NJ;Shapiro(2003)Practical Flow Cytometry、John Wiley and Sons、Hoboken、NJを参照されたい)。例えば、診断試薬としての使用のための、核酸プライマーおよびプローブ、ポリペプチド、ならびに抗体を含む、核酸を修飾するのに好適な蛍光試薬が利用可能である(Molecular Probes(2003)Catalogue、Molecular Probes,Inc.、Eugene、OR;Sigma-Aldrich(2003)Catalogue、St.Louis、MO)。
【0301】
免疫系の組織学の標準的な方法が記載されている(例えば、Muller-Harmelink(編)(1986)Human Thymus:Histopathology and Pathology、Springer Verlag、New York、NY;Hiattら(2000)Color Atlas of Histology、Lippincott、Williams、およびWilkins、Phila、PA;Louisら(2002)Basic Histology:Text and Atlas、McGraw-Hill、New York、NYを参照されたい)。
【0302】
例えば、抗原性断片、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能的ドメイン、グリコシル化部位、および配列アラインメントを決定するためのソフトウェアパッケージおよびデータベースが利用可能である(例えば、GenBank、Vector NTI(登録商標)Suite(Informax,Inc、Bethesda、MD);GCG Wisconsin Package(Accelrys,Inc.、San Diego、CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.、Crystal Bay、Nevada);Menneら(2000)Bioinformatics 16:741~742;Menneら(2000)Bioinformatics Applications Note 16:741~742;Wrenら(2002)Comput.Methods Programs Biomed.68:177~181;von Heijne(1983)Eur.J.Biochem.133:17~21;von Heijne(1986)Nucleic Acids Res.14:4683~4690を参照されたい)。
【実施例
【0303】
(実施例1)
BCMAxCD3二重特異性抗体で処置したMM.1S多発性骨髄腫細胞と同時培養したCD8+T細胞上でのPD-1誘導のin vitro試験
本実施例は、BCMAxCD3二重特異性抗体を用いた処置が、CD8T細胞上でPD-1発現を誘導することを示す。
【0304】
PBMC由来CD3+T細胞(Stem Cell Technologies)を、EasySep Human T細胞富化キット(Stem Cell Technologies)を使用して陰性選択した。ルシフェラーゼを発現する10,000個の標的多発性骨髄腫MM.1S細胞(MM.1S-luc)を、透明の96ウェルV底プレート中に、50,000個のCD3Pan T細胞と共に播種した。細胞を1nMのBCMAxCD3二重特異性抗体で処置し、BCMAxCD3二重特異性抗体の添加後、3、24、48および72時間でPD-1発現を分析した。特定の時点で、細胞をウェルから収集し、PBS+2%FBSで洗浄し、室温で20分間、PBS中のZombieNIR Viability色素(Biolegend)で染色した後、ヒトCD8およびPD-1に対する抗体(Biolegend)で染色した。試料を、FlowJoフローサイトメトリー分析ソフトウェアを使用して分析した。ZombieNIR陰性集団をゲーティングすることによって、死滅した細胞を分析から除去した。試料を、CD8陽性集団上でさらにゲーティングした。PD-1細胞のパーセンテージを、CD8集団内のPD-1陽性細胞として表す。図1および表1にまとめられる結果は、BCMAxCD3二重特異性抗体によるBCMAを発現するMM.1S多発性骨髄腫細胞の処置が、CD8+T細胞上でPD-1発現を誘導することを示す。
【0305】
【表33】
【0306】
(実施例2)
MM.1S-PDL1同所性および皮下マウスモデルにおける抗PD-1抗体と組み合わせたBCMAxCD3二重特異性抗体のin vivo試験
本実施例は、BCMAxCD3二特異性または抗PD-1抗体のみと比較した、(A)同所性MM.1S-Luc-PD-L1および(B)MM.1S-PD-L1多発性骨髄腫モデルにおける、抗PD-1抗体と組み合わせたBCMAxCD3二重特異性抗体の併用有効性を示す。
【0307】
A.同所性マウスモデル
MM.1S-Luc多発性骨髄腫細胞を遺伝子操作して、PD-L1を発現させた。これをMM.1S-Luc-PD-L1と称する。MM.1S-Luc-PD-L1細胞を、NSGマウスへの静脈内(IV)接種のために5x10個の細胞の単一細胞懸濁液として調製した。
【0308】
DPBS中のルシフェリン溶液の腹腔内(IP)注射による発光イメージングによって腫瘍成長をモニタリングし、Perkin Elmer IVIS Spectrumカメラシステムを使用してイメージングした。腫瘍細胞接種の19日後、2x10個の拡大されたヒトT細胞をIVにより動物に投与した。T細胞投与の2日後、単回用量のBCMAxCD3二重特異性抗体(10μg/kg)を、ボーラスIV注射として投与した。抗PD-1抗体を、合計6回の注射について5mg/kgでのボーラスIP注射として週2回投与した。
【0309】
腫瘍成長を、週2回収集されたイメージング測定によりモニタリングした。自動パラメーター決定および3分の最大イメージング時間を用いるPerkin Elmer IVIS Spectrumカメラシステムを使用して、マウスをイメージングした。Living Imageソフトウェアを使用して、データを収集した。対象領域(ROI)を、マウスの全身の周りに集め、尾をできるだけ多く除いた。麻酔マニホールド上で測定したバックグラウンド光束を、それぞれのROIから差し引く。腫瘍測定値を、光子/sec(p/s)で表した全光束として表す。腫瘍接種後40日目に試験を終了させた。図2Aおよび表2にまとめられる結果は、BCMAxCD3二重特異性抗体および抗PD-1抗体を用いた処置が、二重特異性抗体での処置または抗体処置のみと比較してより有効であることを示す。
【0310】
【表34】
【0311】
B.皮下マウスモデル
MM.1S多発性骨髄腫細胞を操作して、PD-L1を発現させた。これをMM.1S-PD-L1と称する。MM.1S-PDL1腫瘍細胞の皮下(SC)接種後、19日目に、予め活性化し、拡大されたT細胞(20x10個)を投与した。BCMAxCD3二重特異性抗体(0.3もしくは1mg/kg)または陰性二重特異性抗体(1mg/kg)を、21日目にIV投与し、Q7Dx3で投薬した。抗PD-1 mAbを、21日目に開始して週2回、5mg/kgで腹腔内(IP)投与した。腫瘍測定値を、デジタルノギスを使用して、週2~3回記録した。N(試験開始時)は、1群あたり5~12匹の動物である。図2Bおよび表3にまとめられる結果は、BCMAxCD3二重特異性抗体および抗PD-1抗体を用いた処置が、二重特異性抗体での処置または抗体処置のみと比較してより有効であることを示す。
【0312】
【表35】
【0313】
(実施例3)
ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)で処置した多発性骨髄腫細胞系における細胞表面BCMA発現を検出するためのin vitro試験
本実施例は、GSIで処置した多発性骨髄腫細胞系における細胞表面BCMAの上方調節を示す。
【0314】
多発性骨髄腫細胞(MM.1S、OPM2、H929、Molp8、RPMI8226)を、40,000細胞/ウェルで96ウェルU底プレート中に播種した。RPMI(0.1%DMSO)中で希釈したGSIの存在下で24時間にわたって細胞をインキュベートした。以下の濃度のGSIを試験した:1000nM、500nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM、2.5nM、1nM、0.1nM、0.01nM。24時間後、細胞を収集し、PBS+2%FBSで洗浄した後、室温で20分間、PBS中で1/500希釈したZombieNIR Viability Dye(Biolegend)で染色した。次に、細胞をPBS+2%FBSで洗浄し、4℃で30分間、PBS+2%FBS中に希釈した抗BCMA PE標識抗体(Biolegend)で染色した。細胞を、BD Flow Cytometer上で獲得し、FlowJoフローサイトメトリー分析ソフトウェアを使用して分析した。ZombieNIR陰性集団をゲーティングすることによって、死滅した細胞を分析から除去した。BCMA平均蛍光強度(MFI)を、GSI濃度に対してプロットして、EC50を確立した。
【0315】
図3A図3Eおよび表4にまとめられる結果は、GSI処置が、それぞれ、多発性骨髄腫細胞系MM.1S、OPM2、H929、Molp8、およびRPMI8226の細胞表面上でのBCMA発現を上方調節することを示す。
【0316】
【表36】
【0317】
(実施例4)
GSIで処置した多発性骨髄腫細胞系における時間依存的様式での細胞表面BCMA発現を検出するためのin vitro試験
本実施例は、多発性骨髄腫細胞系のGSIによる処置が、時間依存的様式でBCMA細胞表面発現を増加させること、およびGSIを培養物から除去した後、BCMA表面レベルがベースラインに戻ることを示す。
【0318】
多発性骨髄腫細胞(MM.1S、OPM2、H929、Molp8、およびRPMI8226)を、RPMI培地(0.1%DMSOを含む)中で1μMに希釈したGSIと共に、800,000細胞/2ml/ウェルで6ウェルプレート中に播種した。細胞を収集して、ベースライン、次いで、GSIの添加後、3時間、6時間および24時間での細胞表面BCMA発現を評価した。GSIと共に24時間インキュベートした後、細胞をPBS中で2回洗浄し、新鮮な6ウェルプレート中に再播種した。GSIを洗浄除去した後、3時間、6時間および24時間で、染色のために細胞をさらに収集した。示された時点で、室温で20分間、PBS中で1/500に希釈したZombieNIR Viability色素(Biolegend)で試料を染色し、PBS+2%FBSで洗浄し、4℃で30分間、PBS+2%FBS中に希釈した抗BCMA PE標識抗体でさらに染色した。試料を、BD Flow Cytometer上で獲得し、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。ZombieNIR陰性集団をゲーティングすることによって、死滅した細胞を分析から除去した。BCMA MFIを、ヒストグラムとしてプロットした。
【0319】
図4A図4Eおよび表5にまとめられる結果は、GSIが、時間依存的様式で、それぞれ、MM.1S、OPM2、H929、Molp8、およびRPMI8226細胞上で細胞表面BCMA発現を上方調節すること、ならびに上方調節された表面BCMA発現が、培養物からGSIを除去した後は持続しないことを示す。
【0320】
【表37】
【0321】
(実施例5)
GSIで処置した多発性骨髄腫細胞系における可溶性BCMA(sBCMA)レベルを検出するためのin vitro試験
本実施例は、GSIで処置した多発性骨髄腫細胞系におけるsBCMAの放出の減少を示す。
【0322】
多発性骨髄腫細胞(MM.1S、OPM2、H929、Molp8、RPMI8226)を、40,000細胞/ウェルで96ウェルU底プレート中に播種した。RPMI培地(0.1%DMSO)中で希釈したGSIの存在下で24時間にわたって細胞をインキュベートした。以下の濃度のGSIを試験した:1000nM、500nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM、2.5nM、1nM、0.1nM、0.01nM。24時間後、細胞培養培地を収集し、製造描写の使用説明書に従ってHuman BCMA/TNFRSF DuoSet ELISAキット(R&D Systems)を使用して、上清中のsBCMAの濃度を測定した。
【0323】
図5A図5Eおよび表6にまとめられる結果は、GSI処置が、それぞれ、多発性骨髄腫細胞系MM.1S、OPM2、H929、Molp8およびRPMI8226中でのsBCMAの放出を遮断することを示す。
【0324】
【表38】
【0325】
(実施例6)
多発性骨髄腫におけるGSIと組み合わせたBCMAxCD3二重特異性抗体
本実施例は、GSIと組み合わせたBCMAxCD3二重特異性抗体を用いた処置が、BCMAxCD3二重特異性抗体のみと比較して、ヒトT細胞と共に培養した多発性骨髄腫細胞中で細胞死滅の増強を示すことを示す。
【0326】
PBMC由来CD3T細胞(Stem Cell Technologies)を、EasySep Human T細胞富化キット(Stem Cell Technologies)を使用して陰性選択した。ルシフェラーゼを発現する多発性骨髄腫細胞(MM.1S-luc、OPM2-luc、H929-luc、Molp8-luc、RPMI8226-luc)を、1μMのGSI 10,000で処置した。24時間後、透明な96ウェルV底プレート中、細胞を50,000個のCD3 pan T細胞と共に播種した。1μMのGSIを含む、または含まない一定範囲の濃度のBCMAxCD3二重特異性抗体で細胞をさらに処置した。処置の60時間後、処置した細胞中のルシフェラーゼ活性を、NeoLite試薬キット(Perkin Elmer)を使用して分析し、VictorXマルチモードプレートリーダー(Perkin Elmer)上で獲得した。処置した細胞のルシフェラーゼ活性を未処置の対照(BCMAxCD3二重特異性抗体を添加しない)のルシフェラーゼ活性で除算することによって細胞生存能力を算出した。
【0327】
図6A図6Eおよび表7~表8にまとめられる結果は、GSIによる処置が、ヒトT細胞と共に培養した場合、多発性骨髄腫細胞系(それぞれ、MM.1S(21x)、OPM2(21x)、H929、Molp8、RPMI8226(24x))におけるBCMAxCD3二重特異性抗体(表7および表8における「BCMAxCD3」)媒介性細胞死滅を増強することを示す。
【0328】
【表39】
【0329】
【表40】
【0330】
(実施例7)
GSIで処置したリンパ腫細胞系における細胞表面BCMA発現を検出するためのin vitro試験
本実施例は、GSIで処置したリンパ腫細胞における細胞表面BCMA発現の上方調節を示す。
【0331】
リンパ腫細胞(Raji細胞系)を、40,000細胞/ウェルで96ウェルU底プレート中に播種した。RPMI培地(0.1%DMSO)中で希釈したGSIの存在下で24時間にわたって細胞をインキュベートした。以下の濃度のGSIを試験した:1000nM、500nM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM、2.5nM、1nM、0.1nM、0.01nM。24時間後、細胞を収集し、PBS+2%FBSで洗浄した後、室温で20分間、PBS中で1/500希釈したZombieNIR Viability Dye(Biolegend)で染色した。次に、細胞をPBS+2%FBSで洗浄し、4℃で30分間、PBS+2%FBS中に希釈した抗BCMA PE標識抗体(Biolegend)で染色した。細胞を、BD Flow Cytometer上で獲得し、FlowJoフローサイトメトリー分析ソフトウェアを使用して分析した。ZombieNIR陰性集団をゲーティングすることによって、死滅した細胞を分析から除去した。BCMA MFIを、GSI濃度に対してプロットして、EC50を確立した。
【0332】
図7および表9にまとめられる結果は、GSI処置が、Rajiリンパ腫細胞の細胞表面上でのBCMA発現を上方調節することを示す。
【0333】
【表41】
【0334】
(実施例8)
GSIで処置したリンパ腫細胞系における時間依存的様式での細胞表面BCMA発現を検出するためのin vitro試験
本実施例は、リンパ腫細胞系のGSIによる処置が、時間依存的様式でBCMA細胞表面発現を増加させること、およびGSIを培養物から除去した後、BCMA表面レベルがベースラインに戻ることを示す。
【0335】
リンパ腫細胞(Raji)を、RPMI培地(0.1%DMSOを含む)中、1μMに希釈したGSIと共に、800,000細胞/2ml/ウェルで6ウェルプレート中に播種した。細胞を収集して、ベースライン、次いで、GSIの添加後、3時間、6時間および24時間での細胞表面BCMA発現を評価した。GSIと共に24時間インキュベートした後、細胞をPBS中で2回洗浄し、新鮮な6ウェルプレート中に再播種した。GSIを洗浄除去した後、3時間、6時間および24時間で、染色のために細胞をさらに収集した。示された時点で、室温で20分間、PBS中で1/500に希釈したZombieNIR Viability色素(Biolegend)で試料を染色し、PBS+2%FBSで洗浄し、4℃で30分間、PBS+2%FBS中に希釈した抗BCMA PE標識抗体でさらに染色した。試料を、BD Flow Cytometer上で獲得し、FlowJoソフトウェアを使用して分析した。ZombieNIR陰性集団をゲーティングすることによって、死滅した細胞を分析から除去した。BCMA平均蛍光強度(MFI)を、ヒストグラムとしてプロットした。
【0336】
図7Bおよび表10にまとめられる結果は、GSIが、時間依存的様式でRaji細胞上で細胞表面BCMA発現を上方調節すること、ならびに上方調節された表面BCMA発現が、培養物からGSIを除去した後は持続しないことを示す。
【0337】
【表42】
【0338】
(実施例9A)
リンパ腫細胞におけるGSIと組み合わせたBCMAxCD3二重特異性抗体
本実施例は、GSIと組み合わせたBCMAxCD3二重特異性抗体を用いた処置が、BCMAxCD3二重特異性抗体のみと比較して、ヒトT細胞と共に培養した低BCMA発現リンパ腫細胞中で細胞死滅の増強を示すことを示す。
【0339】
PBMC由来CD3T細胞(Stem Cell Technologies)を、EasySep Human T細胞富化キット(Stem Cell Technologies)を使用して陰性選択した。ルシフェラーゼを発現する10,000個の標的リンパ腫細胞(Raji-luc)を、1μMのGSIで処置した。24時間後、透明な96ウェルV底プレート中、細胞を50,000個のCD3 pan T細胞と共に播種した。1μMのGSIを含む、または含まない一定範囲の濃度のBCMAxCD3二重特異性抗体で細胞をさらに処置した。処置の60時間後、処置した細胞中のルシフェラーゼ活性を、NeoLite試薬キット(Perkin Elmer)を使用して分析し、VictorXマルチモードプレートリーダー(Perkin Elmer)上で獲得した。処置した細胞のルシフェラーゼ活性を未処置の対照(BCMAxCD3二重特異性抗体を添加しない)のルシフェラーゼ活性で除算することによって細胞生存能力を算出した。
【0340】
図8および表11Aにまとめられる結果は、GSIによる処置が、ヒトT細胞と共に培養した場合、リンパ腫細胞系(Raji)中でBCMAxCD3二重特異性抗体媒介性細胞死滅を増強することを示す。
【0341】
【表43】
【0342】
(実施例9B)
ガンマセクレターゼ阻害剤作用は同時培養アッセイにおいて多発性骨髄腫細胞に対するBCMAxCD3二重特異性抗体PF06863135のin vitroでの細胞傷害効果を増加させる
本実施例は、in vitro同時培養アッセイにおいて細胞傷害性Tリンパ球(CTL)中のBCMAxCD3抗体のみと比較してGSIおよびBCMAxCD3二重特異性抗体PF06863135(エルラナタマブ)で多発性骨髄腫細胞を処置する併用利益を示す。
【0343】
ルシフェラーゼを発現する多発性骨髄腫細胞系(H929-Luc、Molp8-Luc、OPM2-Luc、およびRPMI8226-Luc)を、1mMのGSIと共に37℃および5%COで24h培養したか、または未処置のまま放置した。次いで、骨髄腫細胞を回収し、陰性選択Pan T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を使用してヒトPBMCから富化した50,000個のCD3T細胞/ウェルと共に10,000細胞/ウェルで96ウェルU底プレート上に移した。BCMAxCD3二重特異性抗体PF06863135の連続希釈液を含有する、1mMのGSIを含む、または含まない培地をウェルにさらに添加した後、37℃および5%COで72h、プレートをインキュベートした。インキュベーション期間の終わりに、Bright-Glo基質(Promega)をウェルに添加し、SpectraMaxプレートリーダー上で発光を測定した。それぞれの試験ウェルについて発光シグナル値を取り、抗体で処置しない対照ウェルに由来する平均シグナルで除算した後、100を掛けることによって、細胞生存率(%)を算出した。GraphPad Prismを使用して細胞生存能力データの4パラメーター用量応答曲線適合対抗体用量濃度を生成することによって、EC50値をさらに算出した。表11Bは、GSIによる処置が、ヒトT細胞との同時培養物中で処置された多発性骨髄腫細胞(H929、Molp8、OPM2、およびRPMI8226)のBCMAxCD3抗体媒介性死滅を改善することを示す。
【0344】
【表44】
【0345】
(実施例10)
BCMAxCD3二重特異性抗体エルラナタマブ(PF-06863135)の最初のヒト第1相臨床試験
本実施例は、標準療法から再発したか、または標準療法に対して不応性である進行性多発性骨髄腫を有する成人患者における、単剤療法としての、およびササンリマブ、レナリドミドまたはポマリドミドと組み合わせた、PF-06863135(BCMAxCD3二重特異性抗体)の進行中の第1相非盲検、多施設臨床試験を示す。この試験は、識別子NCT03269136と共にClinicalTrials.gov上に登録され、2017年8月に初めて掲載された。治験のパート1および試験の追加治療群に関する試験結果が、本実施例に記載される。
【0346】
試験治療群および初期投薬設計は、表12に簡単に記載される。それぞれの試験治療群について、薬物による処置は、疾患進行、患者の拒絶(同意の撤回)または許容できない毒性が生じるまで継続する。
【0347】
【表45】
【0348】
次いで、パート1の臨床転帰に基づいてRP2D用量を決定し、最初の維持用量の1週間前に投与された44mg SCの単回プライミング用量と共に76mg Q1W SCの維持投薬となるように選択した。
【0349】
パート1の併用用量発見において、対象は、プライミング用量の1週間後に開始する維持用量と共に、固定用量のPF06863135を投与され、出発用量は、単剤RP2Dの1レベル下であり、RP2D用量に上昇させるか、またはRP2D-2レベルに漸減させることが決定された。表12Aは、PF06863135と第2の治療剤との併用試験における潜在的な固定用量レベルを記載する。パート1Cについて、レナリドミドの出発用量を、PF06863135のプライミング用量の7日後に開始する28日サイクルの1~21日目に15mg QD経口に改変した。
【0350】
【表46】
【0351】
試験のパート1は、静脈内(IV)投与による0.1、0.3、1、3、10、30、および50μg/kg Q1Wの用量レベル、ならびに皮下(SC)投与による80、130、215、360、600および1000μg/kg Q1Wの用量レベルでPF-06863135単剤用量漸増群である。最大耐量(MTD)/最大投与量(MAD)の到達時に、患者を、この段落に記載された前記用量レベルから選択される用量レベルで、Q2W投与についてはMTD/MADより下の用量レベルで、IVとSCとの両方で処置して、推奨された第2相用量(RP2D)決定をさらに支援した。試験のために、用量制限毒性観察期間を、Q1W投薬については21日およびQ2W投薬については28日に設定する。Q1W投薬についての処置サイクル、別名サイクルは、3週間であり、Q2W投薬については4週間である。
【0352】
試験のパート1の臨床転帰。2020年4月15日の時点で、合計23人の患者が試験のパート1に登録され、0.1(N=2)、0.3(N=3)、1(N=2)、3(N=3)、10(N=2)、30(N=5)、および50(N=6)μg/kgで静脈内(IV)投与されるPF-06863135で処置した。2020年8月21日の時点で、合計30人の患者が試験のパート1に登録され)、80(N=3)、130(N=4)、215(N=4)、360(N=4)、600(N=6)、および1000(N=6)μg/kgで皮下(SC)投与されるPF-06863135で処置した。安全性および有効性データは、IMWG(国際骨髄腫ワーキンググループ)基準に従う23人のIVおよび30人のSC処置された患者において入手可能であった。
【0353】
IVコホートの患者のうち、2人の患者(30μg/kgコホートの1人の患者および50μg/kgコホートの1人の患者)は、等級3の発熱性好中球減少症の用量制限毒性(DLT)および等級1の心電図QT延長を経験した。SCコホートの患者はDLTを経験しなかった。サイトカイン放出症候群(CRS)が、最も一般的な有害事象として報告された。IVコホートでは、CRSは、10、30、および50μg/kgコホートの1人(50.0%)、4人(80.0%)、および6人(100%)の患者において観察された。全てのIV処置患者のうち、6人(26.1%)が、最大で等級1のCRSを経験したが、5人(21.7%)が最大で等級2のCRSを経験した。CRSは、CRSを有する11人の患者のそれぞれについて投薬の最初の2日以内に始まった。50μg/kgの3人の患者においては、CRSはまた、1人の患者については第2の用量後、1人の患者については第2および第3の用量後、および1人の患者については第3および第4の用量後に生じた。
【0354】
SCコホートでは、CRSは、それぞれ、80、130、215、360、600および1000μg/kg群において、3人(50.0%)、2人(50.0%)、3人(75.0%)、3人(75.0%)、6人(100%)および6人(100%)の患者において観察された。全てのSC処置患者のうち、18人(60.0%)が、最大で等級1のCRSを経験したが、5人(16.7%)が最大で等級2のCRSを経験した。CRSは主に、投薬の最初の2日以内に始まった。表13は、SCコホートにおけるCRSのさらなる詳細を記載する。
【0355】
【表47】
【0356】
IVコホートでは、2人の患者が、3μg/kgおよび50μg/kg IVで最小応答を達成し、1人の患者が、50μg/kg IVで完全奏功を達成した。IVコホート(0.3~50μg/kg)の10人の対象は、安定疾患の最良応答を達成した。
【0357】
SCコホートにおける、有効性の結果は、下の表14にまとめられる。
【0358】
【表48】
【0359】
これらの結果は、600および1000μg/kg SCの最高用量レベルで、多くの患者において臨床有効性が見られ、毒性が許容可能かつ管理可能であり、IV処置患者に対してSC処置患者において全用量曝露が高いにもかかわらず、SC処置患者において生じるCRSの重症度が低かったことを示す。
【0360】
試験のパート1.1は、PF-06863135単剤に関する代替的な維持用量漸増群である。過剰の毒性が生じるか、または最大耐量(MTD)/最大投与用量(MAD)が上記の試験のパート1において望まれたものよりも早い用量レベルに到達する場合、プライミング用量は、この用量レベルで、およびパート1.1のために開始される用量漸増における全てのその後の用量レベルについて、用量(維持用量)のサイクル1の投与の1日目の1週間前に投与されるであろう。プライミング投薬は、維持用量よりも低い用量レベルであろう。
【0361】
試験のパート1.1の臨床転帰。2021年2月4日の時点で、合計20人の患者が登録され、試験のパート1.1における処置は、600μg/kgのプライミング用量、次いで、1000μg/kg Q1Wの投薬の7人の患者コホート、および600μg/kgのプライミング用量、次いで、1000μg/kg Q2Wの投薬の13人の患者コホートに関するものであった。これらの2つのコホートにおけるCRSは、表13に記載されている。プライミング用量の導入は、CRSの中間持続期間を、4日から2日まで、50%ずつ減少させた。試験のパート1.1における投与頻度(Q1WとQ2W)は、CRSに対して影響しなかった。試験のパート1.1の患者応答は、表14に記載されている。
【0362】
試験のパート2Aは、PF-06863135単剤の用量拡大群である。単剤用量漸増臨床データに基づくと、プライミングおよび維持用量、ならびにQ1WまたはQ2W投薬のいずれかを含む、IVまたはSC投与のいずれかが、試験のパート2Aのために選択されるであろう。特に、プライミング用量を含まない、Q1WもしくはQ2Wで215、360、600もしくは1000μg/kgの用量レベルでのSC投与、または維持用量のものよりも低い用量レベルでのサイクル0の1日目でのプライミング用量を含む、Q1WもしくはQ2Wで215、360、600もしくは1000μg/kgの維持用量レベルでのSC投与は、第2A相試験のためのRP2Dとして有望と思われる。
【0363】
予備的薬物動態(PK)分析により、体重がPF-06863135曝露に関して臨床的に関連する因子ではないことが示された。したがって、PF-06863135の投薬にとっては、固定用量が好適である。試験のパートIから得られた有望な有効性データおよび安全性データに基づくと、試験のパート2Aのための有望なRP2Dは、Q1WまたはQ2WのいずれかでのPF-06863135の1000μg/kgに相当する固定用量(すなわち、76mg)であり得た。600μg/kgに相当する固定用量(すなわち、44mg)はおそらく、サイクル0の1日目にプライミング用量として使用されるであろう。44mgの初期用量は、プライミング用量として働き、より後の76mg用量のCRS症状を軽減するように設計されている。試験のパート1の結果に基づくと、CRSは主に、初期用量の後に生じる。その後、44mg(プライミング)および76mg(維持)を、単剤RP2D用量として選択した。患者は、44mg SCのPF06863135の単回プライミング用量、次いで、76mg Q1W SCまたは単回プライミング用量の7日後に開始する、76mg Q2Wの維持用量を投与される。
【0364】
試験のパート1Bおよびパート2Bは、PF-06863135と、PD-1抗体であるササンリマブとの併用療法である。処置サイクルは28日である。ササンリマブは、サイクル1の1日目に開始して、300mg SC Q4Wで投与される。PF-06863135は、サイクル1の1日目の1週間前のプライミング用量を用いて、または用いずに、サイクル1の1日目に開始して、Q1WまたはQ2Wで、選択された用量でSCまたはIV投与される。
【0365】
パート1Bでは、PF-06863135の用量は、上記の試験のパート2Aについて記載されたRP2D、またはMTD/MAD-1レベルの、いずれか低い方で開始して、試験のパート1およびパート1.1の結果に基づいて決定される。併用レジメンが良好に忍容されない場合、より低い用量レベルへのPF-06863135の漸減を行って、パート2Bのための用量レベルを選択する。
【0366】
パート2Bでは、PF06863135は、パート1Bの結果に基づく用量レベルで投与される。
【0367】
試験のパート1Cおよびパート2Cは、PF-06863135とレナリドミドとの併用療法である。処置サイクルは28日である。レナリドミドは、サイクル1の1日目に開始して、デキサメタゾンを用いずに、25mgの経口(PO)で1~21日目に毎日投与される。PF-06863135は、サイクル1の1日目の1週間前のプライミング用量を用いて、または用いずに、サイクル1の1日目に開始して、Q1WまたはQ2Wで、選択された用量でSCまたはIV投与される。
【0368】
パート1Cでは、PF-06863135の用量は、試験のパート1およびパート1.1の結果に基づいて決定され、初期計画は、上記の試験のパート2Aについて記載されたRP2D、またはMTD/MADの、いずれか低い方で開始することであった。併用レジメンが良好に忍容されない場合、より低い用量レベルへのPF-06863135の段階的縮小を行って、パート2Cのための用量レベルを選択する。次いで、表12Aに記載された単剤RP2Dの1レベル下であるPF06863135の用量レベルで開始することが決定された。レナリドミドの出発用量を、PF06863135のプライミング用量の7日後に開始する28日サイクルの1~21日目に15mg QD経口に改変した。
【0369】
パート2Cでは、PF-06863135は、パート1Cの結果に基づく用量レベルで投与される。
【0370】
試験のパート1Dおよびパート2Dは、PF06863135とポマリドミドとの併用療法である。処置サイクルは28日である。ポマリドミドは、サイクル1の1日目に開始して、デキサメタゾンを用いずに、4mgのPOで1~21日目に毎日投与される。PF-06863135は、サイクル1の1日目の1週間前のプライミング用量を用いて、または用いずに、サイクル1の1日目に開始して、Q1WまたはQ2Wで、選択された用量でSCまたはIV投与される。
【0371】
パート1Dでは、PF-06863135の用量は、上記の試験のパート2Aについて記載されたRP2D、またはMTD/MADの、いずれか低い方で開始して、試験のパート1およびパート1.1の結果に基づいて決定される。併用レジメンが良好に忍容されない場合、より低い用量レベルへのPF06863135の段階的縮小を行って、パート2Dのための用量レベルを選択する。次いで、表12Aに記載された単剤RP2Dの1レベル下であるPF06863135の用量レベルで開始することが決定された。
【0372】
パート2Dでは、PF-06863135は、パート1Dの結果に基づく用量レベルで投与される。
【0373】
患者登録基準。本明細書に記載の試験の全治療群について、患者登録基準は、患者が、組み合わせて、または単剤として認可され、入手可能である場合、プロテアソーム阻害剤、免疫調節性imid薬(ImiD)および抗CD38 mAbを含む、多発性骨髄腫において臨床利益を提供することが知られる確立された療法上で進行したに違いないか、またはそれに耐えられないこと、ならびに患者が、治験担当医師の判断に基づく再発性または不応性多発性骨髄腫において臨床利益を提供することが知られるレジメンの候補であってはならないことを含む。
【0374】
試験の主目的および副次的目的は、(1)RP2DでのPF-06863135の予備的臨床有効性を評価すること、(2)安全性および忍容性をさらに特徴付けること、(3)RP2DでのPF-06863135のPKを評価すること、(4)PF-06863135の免疫原性を評価すること、(5)全身可溶性免疫因子に対するPF-06863135の影響を特徴付けることを含み、(1)~(5)はそれぞれ、単剤療法としての、およびササンリマブ、レナリドミド、またはポマリドミドと併用したPF-06863135に関するものである。
【0375】
(実施例11)
少なくとも1つのプロテアソーム阻害剤、1つのIMiDおよび1つの抗CD38モノクローナル抗体に不応性である多発性骨髄腫を有する参加者におけるBCMAxCD3二重特異性抗体PF-06863135の第2相臨床試験
この試験は、少なくとも1つのプロテアソーム阻害剤(PI)、1つのIMiDおよび1つの抗CD38 mAbに不応性である再発性/不応性多発性骨髄腫(RRMM)参加者におけるPF-06863135の有効性および安全性を評価するための非盲検、多施設、非無作為化、第2相試験である。PF-06863135単剤療法への応答に対する以前のBCMA指向性療法の効果を決定するために、この試験は、一方はBCMA指向性療法に対してナイーブである参加者を含み(コホートA;約90人の参加者)、他方は認可されたか、または治験薬である、以前のBCMA指向性ADCまたはBCMA指向性CAT-T細胞療法を受けたことがある参加者を含む(コホートB;約60人の参加者)、2つの独立した、並行コホートを登録する。それぞれの独立したコホートのための主目的は、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)によって定義された、盲検独立中央判定(BICR)によって評価される、PF-06863135の有効性(すなわち、ORR)を決定することである。試験設計スキームは、以下の表15に示される。
【0376】
【表49】
【0377】
投薬:それぞれのコホートにおける参加者は、サイクル1の1日目(C1D1)にPF-06863135の44mgの初期用量を皮下注射(SC)によって投与される。それぞれの処置サイクルは28日である。44mgの初期用量は、プライミング用量として働き、初期用量後に主に予想される、CRS症状を軽減すると予想される。プライミング用量は、12mgのPF06863135がC1D1に投与され、次いで、32mgのPF06863135がC1D4に投与されるように後に改変された。PF-06863135の用量は、参加者が以下に記載される3つの基準の全てを満たす限り、サイクル1の8日目に開始して、76mg SC Q1Wに増加させるべきである:
(1)ANC≧1.0x10/L;
(2)血小板数≧25x10/L;および
(3)処置関連非血液毒性のベースラインまたは等級1以下(もしくは、参加者にとって安全性のリスクがないと考えられる場合、治験担当医師の裁量で、等級2以下)の重症度への回復。
【0378】
参加者がサイクル1の8日目にこれらの基準を満たさない場合、これらの基準が満たされるまで、76mgを用いる投薬の開始を延期すべきである。参加者が少なくとも6サイクルにわたってQ1Wの投薬を受け、少なくとも2カ月間持続する応答と共にPRまたはそれより良いIMWG応答を達成した場合、これらの参加者における疾患負荷の低減を考慮すると、応答を維持するためにはより低い用量強度で十分であり得るため、用量の間隔をQ1WからQ2Wに変更すべきである。しかしながら、参加者は、治験担当医師の医学的判断に基づいて、および治験出資者との相談後に、Q1Wスケジュールに留まってもよい。Q2Wの間隔への変更後、治験担当医師の医学的判断に従って、投薬間隔をQ1Wに戻してもよい。
【0379】
それぞれの試験コホートについて、PF-06863135を用いた処置は、疾患進行、患者の拒絶(同意の撤回)または許容されない毒性が生じるまで継続する。全ての参加者が試験介入を中止し、その後、少なくとも2年間にわたって全生存期間(OS)があった場合、試験を完了する。
【0380】
主要評価項目:国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)による盲検独立中央判定(BICR)による全奏功率(ORR)を決定すること。
【0381】
副次的評価項目:(1)IMWGによるBICRおよび治験担当医師による奏功期間(DOR);(2)IMWGによるBICRおよび治験担当医師による累積完全奏功率(CCRR);(3)IMWGによる治験担当医師によるORR;(4)IMWGによるBICRおよび治験担当医師による累積完全奏功期間(DOCCR);(5)IMWGによるBICRおよび治験担当医師による無進行生存期間(PFS);(6)全生存期間(OS);(7)IMWGによるBICRおよび治験担当医師による奏功までの時間(TTR);(8)IMWGによる微小残存病変(MRD)陰性率(中央検査室);(9)NCI有害事象共通用語基準(CTCAE)v5.0によって等級付けられるAEおよび検査値異常;(10)米国移植・細胞療法学会(ASTCT)基準に従って評価されるCRSおよび免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)の重症度;(11)PF-06863135の投薬前後の濃度ならびに(12)PF-06863135に対するADAおよびNAb。
【0382】
(実施例12)
再発性/不応性多発性骨髄腫を有する参加者におけるエルラナタマブ(PF-06863135)単剤療法の2つの漸増プライミング用量およびより長い投薬間隔を評価するための第1/2相、非盲検、多施設試験
この試験の目的は、エルラナタマブを2つの漸増プライミング用量および前投薬の投薬レジメンを用いて投与する場合の等級2またはそれより高いCRSの比率を評価することである。さらに、この試験は、再発性/不応性多発性骨髄腫(RRMM)を有する参加者において異なる投薬間隔(QW、Q2WおよびQ4W)を用いて76mgより高い用量のエルラナタマブの安全性、忍容性、PKおよび予備的抗骨髄腫活性を評価する。6サイクルにわたる76mg QW、次いで、Q2W(パート2)のエルラナタマブ完全用量のレジメンも評価する。サイクル1は、1回目のプライミング用量が参加者に投与される日に始まる。
【0383】
エルラナタマブの全用量を、皮下(SC)投与する。
【0384】
エルラナタマブ処置の最初のサイクル(C1)においては、試験の全ての参加者について以下のレジメンを評価する:
【0385】
C1D1:前投薬+エルラナタマブ12mg;C1D4:前投薬+エルラナタマブ32mg;C1D8:前投薬+エルラナタマブ76mg;C1D15およびC1D22:エルラナタマブ76mg。
【0386】
エルラナタマブのプライミング用量(C1D1およびC1D4)と、1回目の完全用量(C1D8)との両方の約60分前に、前投薬が必要である。使用される前投薬は、アセトアミノフェン650mg(またはパラセタモール500mg)、ジフェンヒドラミン25mg、経口またはIV、およびデキサメタゾン20mg(または等価物)経口またはIVである。
【0387】
サイクル2以降について、以下を評価する:
【0388】
パート1A。用量レベル1のコホートにおいては、参加者は、C2~C6については116mg Q2Wを投与され、必要に応じて、Q2Wで少なくとも2サイクルにわたってPRまたはそれより良いIMWG応答を示す参加者については、116mg Q4Wに切り替える。用量レベル1が忍容される場合、用量レベル2のコホートにおいて、参加者に、C2~C6については152mg Q2Wを投与し、必要に応じて、Q2Wで少なくとも2サイクルにわたってPRまたはそれより良いIMWG応答を示す参加者については、152mg Q4Wに切り替える。用量レベル1と用量レベル2との両方について、Q4W間隔に切り替えた後、参加者が続いてIMWG基準によるPDとしてまだ定性化されていない疾患負荷の増加を有し始める場合、投薬間隔は同じ用量レベルでQ2Wに戻すべきである(例えば、152mg Q4Wから152mg Q2Wに)。
【0389】
パート1B。それは、潜在的なMTD/RP2Dがパート1Aから同定されたら開始し、選択された用量レベルの用量拡大コホートである。
【0390】
パート1C。それは、パート1Aにおける用量レベル1と用量レベル2との両方が忍容される場合にのみ開始する。ここで、C2~C3について、参加者は、116mg Q1Wまたは152mg Q1Wを投与される。C4~C6について、C2およびC3でPRまたはそれより良いIMWG応答を示す参加者については、116mgまたは152mg Q2Wが投与される。C7以降について、Q2Wで少なくとも2サイクルにわたってPRまたはそれより良いIMWG応答を示す参加者については、116mgまたは152mg Q4Wが投与される。
【0391】
パート2:76mg Q1Wが、C2からC6まで投与される。Q1Wで少なくとも2サイクルにわたってPRまたはそれより良いIMWG応答を示す参加者については、76mg Q2WがC7以降について投与される。Q2W間隔に切り替えた後、参加者が続いてIMWG基準によるPDとしてまだ定性化されていない疾患負荷の増加を有し始める場合、投薬間隔は76mgでQ1Wに戻すべきである。
【0392】
(実施例13)
再発性/不応性多発性骨髄腫(RRMM)を有する参加者におけるエルラナタマブ(PF06863135)およびダラツムマブの有効性および安全性を評価するための非盲検、多施設、無作為化第3相試験
この試験のパート1の目的は、組合せのためのRP3Dを選択するためにエルラナタマブ+ダラツムマブのDLT、安全性および忍容性を評価することである。パート2の目的は、エルラナタマブ(A群)、およびエルラナタマブ+ダラツムマブの組合せ(B群)と、それぞれ、対照群であるダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾンの併用療法(C群)との有効性を比較することである。この試験のパート1の目的はまた、エルラナタマブのみ、または組合せが、前投薬と共に2つの漸増プライミング用量で投与される場合の等級2およびそれより上のCRSの比率を評価することも含む。試験処置は、表16に記載される。サイクルは28日である。
【0393】
【表50】
【0394】
エルラナタマブ投薬:パート1、用量レベル-1では、参加者はサイクル6の終わりまで44QWにあった後、少なくとも2サイクルにわたって持続するPRまたはそれより良いIMWG応答を示す参加者については、その後、44mg Q2Wを投薬すべきである。同様に、76mg QWを、パート1、用量レベル1において、76mg Q2Wパート1に切り替え、同様に、パート2においては、QWをA群およびB群においてQ2Wに切り替える。続いて、疾患負荷の増加(IMWG基準によるPDとして定性化されていない)が観察される場合、投薬間隔をQWに戻すべきである。
【0395】
ダラツムマブ投薬:FDAに認可されたダラツムマブおよびヒアルロニダーゼ-fihj製品のUSPI投薬スケジュールに従って、Q1W、次いで、Q2W、次いで、Q4Wで、1800mgの皮下注射を使用する。
【0396】
エルラナタマブのプライミング用量(C1D1およびC4D1)と、1回目の完全用量(C1D8)との両方の約60分前に、前投薬が必要である。また、処置レジメンのデキサメタゾン成分をダラツムマブの前に投与すべきであり、前投薬として働く、パート2のC群を除いて、ダラツムマブの各用量の1~3時間前に前投薬が必要である。エルラナタマブおよびダラツムマブを同じ日に投与しようとする場合、エルラナタマブとダラツムマブとの両方の投薬の前のその日に1回だけ前投薬を与えるべきである。使用される前投薬は、アセトアミノフェン650~1000mg(もしくはパラセタモール500mg)、ジフェンヒドラミン25~50mg、経口もしくはIV、またはデキサメタゾン20mg(もしくは等価物)経口もしくはIVである。
【0397】
(実施例14)
自家幹細胞移植(ASCT)を受けた後に微小残存病変(MRD)陽性である新しく診断された多発性骨髄腫(NDMM)を有する患者におけるエルラナタマブ(PF-06863135)+レナリドミド対レナリドミドの無作為化、2群間、第3相試験
この試験の目的は、エルラナタマブ+レナリドミド併用療法(A群)とレナリドミド(B群)との有効性を比較すること、ならびにエルラナタマブ+レナリドミド併用療法の安全性および忍容性を決定することを含む。試験の参加者は、自家幹細胞移植を受けた後に微小残存病変(MRD)陽性である、新しく診断された多発性骨髄腫を有する者である。以下の表16は、試験のそれぞれの治療群に関する計画された投薬レジメンを記載する。
【0398】
【表51】
【0399】
エルラナタマブのプライミング用量(C1D1およびC1D4)と、1回目の完全用量(C1D8)との両方の約60分前に、前投薬が必要である。使用される前投薬は、アセトアミノフェン650mg(またはパラセタモール500mg)、ジフェンヒドラミン25mg、経口またはIV、およびデキサメタゾン20mg(または等価物)経口またはIVである。
【0400】
(実施例15)
幹細胞移植に不適格である新しく診断された多発性骨髄腫(NDMM)を有する患者におけるエルラナタマブ(PF06863135)およびレナリドミド対対照の無作為化、対照、2群間第3相試験
この試験の目的は、エルラナタマブ+レナリドミド併用療法(A群)と、レナリドミド対照群との有効性を比較すること、ならびにエルラナタマブの安全性および忍容性を決定することを含む。試験の参加者は、幹細胞移植に不適格である新しく診断された多発性骨髄腫を有する者である。以下の表17は、試験のそれぞれの治療群に関する計画された投薬レジメンを記載する。
【0401】
【表52】
【0402】
(実施例16)
再発性/不応性多発性骨髄腫(RRMM)を有する参加者における、他の抗がん処置と組み合わせた、エルラナタマブ(PF06863135)の第1bおよび2相、非盲検、アンブレラ型試験
試験の目的は、組合せのためのRP2Dを選択するためにRRMMを有する参加者における他の抗がん療法と併用したエルラナタマブの安全性および忍容性を評価することを含む。表18は、この試験のいくつかの例示的な併用療法試験設計を記載する。
【0403】
【表53】
【0404】
配列
表19は、BCMAxCD3二重特異性抗体PF-06863135およびPD-1抗体ササンリマブの配列、ならびに本明細書に記載の対応する配列番号を列挙する。配列番号1~13は、PF-06863135のCD3群の配列であり、配列番号14~26は、PF-06863135のBCMA群の配列である。配列番号27~34は、PD-1抗体ササンリマブの配列である。
【0405】
【表54-1】
【0406】
【表54-2】
【0407】
【表54-3】
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7
図8
【配列表】
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【国際調査報告】