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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】塩基編集酵素
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20230919BHJP
   C12N 9/22 20060101ALI20230919BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20230919BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230919BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230919BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230919BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230919BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230919BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N9/22 ZNA
C12N15/55
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516057
(86)(22)【出願日】2021-09-10
(85)【翻訳文提出日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 US2021049962
(87)【国際公開番号】W WO2022056324
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/077,057
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/222,351
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】522185863
【氏名又は名称】メタゲノミ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン,ジュン-リャン
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス,アラン
(72)【発明者】
【氏名】バターフィールド,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】カステレ,シンディー
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA26X
4B065AA93X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4H045AA10
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA89
4H045FA74
(57)【要約】
【解決手段】本開示は、際立ったドメイン特徴を有するエンドヌクレアーゼ酵素と、上記のような酵素またはその変異体を使用する方法とを提供する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作された核酸編集系であって、前記操作された核酸編集系は、
(a)RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、
(b)前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
(c)前記エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、
i.標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、
ii.前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列、を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、
を含む、操作された核酸編集系。
【請求項2】
前記RuvCドメインは、ヌクレアーゼ活性を欠いている、請求項1に記載の操作された核酸編集系。
【請求項3】
前記エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される、請求項1に記載の操作された核酸編集系。
【請求項4】
前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む、請求項1または2に記載の操作された核酸編集系。
【請求項5】
前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項6】
前記クラス2、タイプIIのエンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号71、72、または74に対する残基13、配列番号73に対する残基12、配列番号75に対する残基17、配列番号76に対する残基23、または配列番号597に対する残基10においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項7】
前記エンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号72に対する残基13、または配列番号75に対する残基17においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項8】
操作された核酸編集系であって、前記操作された核酸編集系は、
(a)配列番号70~78、596、または597~598のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼと、
(b)前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
(c)前記エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、
i.標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、
ii.前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列、を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、
を含む、操作された核酸編集系。
【請求項9】
操作された核酸編集系であって、前記操作された核酸編集系は、
(a)配列番号360~368または598のいずれか1つあるいはその変異体を含む、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成されたエンドヌクレアーゼであって、
前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、
前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、
(b)前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
(c)前記エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、
i.標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、
ii.前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列、を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、
を含む、操作された核酸編集系。
【請求項10】
前記エンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む、請求項9に記載の操作された核酸編集系。
【請求項11】
前記エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される、請求項9に記載の操作された核酸編集系。
【請求項12】
前記クラス2、タイプIIのエンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号71、72、または74に対する残基13、配列番号73に対する残基12、配列番号75に対する残基17、配列番号76に対する残基23、または配列番号597に対する残基10においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む、請求項9に記載の操作された核酸編集系。
【請求項13】
前記塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項9に記載の操作された核酸編集系。
【請求項14】
前記塩基エディターは、配列番号50~51または385~390のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項9に記載の操作された核酸編集系。
【請求項15】
前記エンドヌクレアーゼはヌクレアーゼ活性が欠けているRuvCドメインを含む、請求項8~14のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項16】
前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する、請求項8~15のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項17】
前記エンドヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼに対して80%未満の同一性を有する、請求項8~16のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項18】
前記エンドヌクレアーゼはHNHドメインをさらに含む、請求項8~17のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項19】
前記操作されたガイドリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体の非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1~18のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項20】
操作された核酸編集系であって、前記操作された核酸編集系は、
(a)操作されたガイドリボ核酸構造であって、前記操作されたガイドリボ核酸構造が、
(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、
(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列を含み、
前記操作されたリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体の非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、
(b)前記操作されたガイドリボ核酸に結合するように構成された、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼと、
(c)前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
を含む、操作された核酸編集系。
【請求項21】
前記エンドヌクレアーゼは、配列番号360~368または598からなる群から選択されたプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成される、請求項20に記載の操作された核酸編集系。
【請求項22】
前記塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項1~21のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項23】
前記塩基エディターは、配列番号50~51または385~390のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項1~22のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項24】
前記塩基エディターはアデニンデアミナーゼである、請求項1~22のいずれかつに記載の操作された核酸編集系。
【請求項25】
前記アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、57、385~443、448~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項23に記載の操作された核酸編集系。
【請求項26】
前記塩基エディターはシトシンデアミナーゼである、請求項1~22のいずれかつに記載の操作された核酸編集系。
【請求項27】
前記シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447、594、または58~66のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項26に記載の操作された核酸編集系。
【請求項28】
前記エンドヌクレアーゼまたは前記塩基エディターに連結されたウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤(UGI)を含む、請求項1~27のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項29】
前記ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤(UGI)は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項28に記載の操作された核酸編集系。
【請求項30】
前記操作されたガイドリボ核酸構造は、少なくとも2つのリボ核酸ポリヌクレオチドを含む、請求項1~29のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項31】
前記操作されたガイドリボ核酸構造は、前記ガイドリボ核酸配列と、エンドヌクレアーゼに結合するように構成された前記リボ核酸配列とを含む1つのリボ核酸ポリヌクレオチドを含む、請求項1~29のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項32】
前記ガイドリボ核酸配列は、原核生物、細菌、古細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、またはヒトのゲノム配列に相補的である、請求項1~31のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項33】
前記ガイドリボ核酸配列は、15~24ヌクレオチド長である、請求項1~32のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項34】
前記エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)をさらに含む、請求項1~33のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項35】
前記NLSは、配列番号369~384から選択されたものまたはその変異体に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項34に記載の操作された核酸編集系。
【請求項36】
前記エンドヌクレアーゼは、前記塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して前記塩基エディターに共有結合される、請求項1~35のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項37】
ポリペプチドは前記エンドヌクレアーゼと前記塩基エディターを含む、請求項36に記載の操作された核酸編集系。
【請求項38】
前記エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される、請求項1~37のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項39】
前記核酸編集系は、Mg2+の供給源をさらに含む、請求項1~38のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項40】
a)前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70、71、73、74、76、78、77、または78のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含み、
b)前記ガイドRNA構造は、配列番号88、89、91、92、94、96、95、または488のいずれか1つの非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含み、
c)前記エンドヌクレアーゼは、配列番号360、361、363、365、367、または368のいずれか1つを含むPAMに結合するよう構成され、あるいは、
d)前記塩基エディターは、配列番号58または595あるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含む、
請求項1~39のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項41】
a)前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70、71、または78のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含み、
b)前記ガイドRNA構造は、配列番号88、89、または96の少なくとも1つの非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含み、
c)前記エンドヌクレアーゼは、配列番号360、362、または368のいずれか1つを含むPAMに結合するよう構成され、あるいは、
d)前記塩基エディターは、配列番号594またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含む、
請求項1~39のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項42】
前記配列同一性は、BLASTP、CLUSTALW、MUSCLE、MAFFT、またはSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される、請求項1~41のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項43】
前記配列同一性は、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびイグジステンス11、エクステンション1でのギャップコストを設定するBLOSUM62スコアリングマトリックスのパラメータを使用して、および条件付き構成スコアマトリックス調整を使用する前記BLASTP相同性検索アルゴリズムによって決定される、請求項42に記載の操作された核酸編集系。
【請求項44】
前記エンドヌクレアーゼは、触媒的に死滅するように構成される、請求項1~43のいずれか1つに記載の操作された核酸編集系。
【請求項45】
生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸であって、前記核酸は、塩基エディターに連結したクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼをコードし、前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する、核酸。
【請求項46】
生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸であって、前記核酸は、塩基エディターに連結した配列番号70~78のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼをコードする、核酸。
【請求項47】
前記エンドヌクレアーゼは、前記エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)をコードする配列を含んでいる、請求項44~46のいずれか1つに記載の核酸。
【請求項48】
前記NLSは、配列番号369~384から選択されたものまたはその変異体に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項47に記載の核酸。
【請求項49】
前記生物は、原核生物、細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、げっ歯類、またはヒトである、請求項44~48のいずれか1つに記載の核酸。
【請求項50】
塩基エディターに連結されたクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を含むベクターであって、前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する、ベクター。
【請求項51】
請求項44~49のいずれかに記載の核酸を含むベクター。
【請求項52】
前記ベクターは、前記エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造をコードする核酸をさらに含み、前記操作されたガイドリボ核酸構造は、
a)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、
b)前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列を含む、
請求項50~51のいずれかに記載のベクター。
【請求項53】
前記ベクターは、プラスミド、ミニサークル、CELiD、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のビリオン、またはレンチウイルスである、請求項50~52のいずれかに記載のベクター。
【請求項54】
請求項50~53のいずれかに記載のベクターを含む細胞。
【請求項55】
請求項54に記載の細胞を培養する工程を含む、エンドヌクレアーゼを製造する方法。
【請求項56】
二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを改変するための方法であって、前記方法は、
複合体に前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを接触させる工程を含み、前記複合体は、
a.RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記RuvCドメインはヌクレアーゼ活性を欠いている、エンドヌクレアーゼと、
b.前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
c.前記エンドヌクレアーゼおよび前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドに結合するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造であって、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドがプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、
を含む、方法。
【請求項57】
RuvCドメインとHNHドメインとを含む前記エンドヌクレアーゼは、前記塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して前記塩基エディターに共有結合される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
RuvCドメインおよびHNHドメインを含む前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
前記エンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号71、72、または74に対する残基13、配列番号73または78に対する残基12、配列番号75に対する残基17、配列番号76に対する残基23、配列番号77に対する残基8、あるいは配列番号597に対する残基10においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む、請求項56~57のいずれか1つに記載の方法。
【請求項60】
前記エンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号72に対する残基13、または配列番号75に対する残基17においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む、請求項56~57のいずれか1つに記載の方法。
【請求項61】
二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを改変するための方法であって、前記方法は、
複合体に前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを接触させる工程を含み、前記複合体は、
クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼと、
前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
前記エンドヌクレアーゼおよび前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドに結合するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造と、
を含み、
ここで、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドがプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含み、前記PAMが配列番号70~78または597からなる群から選択された配列を含む、方法。
【請求項62】
前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、前記塩基エディターに共有結合されるか、リンカーを介して前記塩基エディターに共有結合される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595から選択される配列あるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
前記塩基エディターはアデニンデアミナーゼを含み、
前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはアデニンを含み、および、
前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリペプチドの改変は、前記アデニンをグアニンに変換することを含む、請求項61~63のいずれか1つに記載の方法。
【請求項65】
前記アデニンデアミナーゼは、配列番号50~51、57、385~443、448~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記塩基エディターはシトシンデアミナーゼを含み、
前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはシトシンを含み、および、
前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリペプチドの改変は、前記シトシンをウラシルに変換することを含む、請求項61~63のいずれか1つに記載の方法。
【請求項67】
前記シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447、594、または58~66のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記複合体は、前記エンドヌクレアーゼまたは前記塩基エディターに連結されたウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤をさらに含む、請求項61~67のいずれか1つに記載の方法。
【請求項69】
前記ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、前記操作されたガイドリボ核酸構造の配列に相補的な配列を含む第1の鎖と、前記PAMを含む第2の鎖とを含む、請求項61~69のいずれか1つに記載の方法。
【請求項71】
前記PAMは、前記操作されたガイドリボ核酸構造の前記配列に相補的な前記配列の3’末端に直接隣接する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas14エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、Cas12bエンドヌクレアーゼ、Cas12cエンドヌクレアーゼ、Cas12dエンドヌクレアーゼ、Cas12eエンドヌクレアーゼ、Cas13aエンドヌクレアーゼ、Cas13bエンドヌクレアーゼ、Cas13cエンドヌクレアーゼ、またはCas13dエンドヌクレアーゼではない、請求項61~71のいずれか1つに記載の方法。
【請求項73】
前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、未培養の微生物に由来する、請求項61~72のいずれか1つに記載の方法。
【請求項74】
前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、真核生物、植物、真菌、哺乳動物、げっ歯類、またはヒト二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドである、請求項61~73のいずれか1つに記載の方法。
【請求項75】
標的核酸遺伝子座を改変する方法であって、前記方法は、前記標的核酸遺伝子座に、請求項1~44のいずれか1つに記載の前記操作された核酸編集系を送達する工程を含み、前記エンドヌクレアーゼが、前記操作されたガイドリボ核酸構造と複合体を形成するように構成され、前記複合体は、前記標的核酸遺伝子座に結合すると、前記標的核酸遺伝子座のヌクレオチドを改変するように構成される、方法。
【請求項76】
前記操作された核酸編集系は、アデニンデアミナーゼを含み、前記ヌクレオチドはアデニンであり、前記標的核酸遺伝子座を改変することは、前記アデニンをグアニンに変換することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記操作された核酸編集系は、シチジンデアミナーゼおよびウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤を含み、前記ヌクレオチドはシトシンであり、前記標的核酸遺伝子座を改変することは、前記アデニンをウラシルに変換することを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記標的核酸遺伝子座は、ゲノムDNA、ウイルスDNA、または細菌DNAを含む、請求項75~77のいずれか1つに記載の方法。
【請求項79】
前記標的核酸遺伝子座は、インビトロである、請求項75~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項80】
前記標的核酸遺伝子座は、細胞内にある、請求項75~78のいずれか1つに記載の方法。
【請求項81】
前記細胞は、原核細胞、細菌細胞、真核細胞、真菌細胞、植物細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、霊長類細胞、またはヒト細胞である、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞は動物内にある、請求項80~81のいずれか1つに記載の方法。
【請求項83】
前記細胞は蝸牛内にある、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記細胞は胚内にある、請求項80~81のいずれか1つに記載の方法。
【請求項85】
前記胚は2細胞胚である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記胚はマウス胚である、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記標的核酸遺伝子座に前記操作された核酸編集系を送達することは、請求項46~49のいずれかに記載の核酸、あるいは請求項50~53のいずれかに記載のベクターを送達することを含む、請求項75~86のいずれか1つに記載の方法。
【請求項88】
前記操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達することは、前記エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を送達することを含む、請求項75~87のいずれか1つに記載の方法。
【請求項89】
前記核酸は、前記エンドヌクレアーゼをコードする前記オープンリーディングフレームが動作可能に連結されたプロモーターを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達することは、前記エンドヌクレアーゼをコードする前記オープンリーディングフレームを含むキャップされたmRNAを送達することを含む、請求項75~89のいずれか1つに記載の方法。
【請求項91】
前記操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達することは、ポリペプチドを送達することを含む、請求項75~86のいずれか1つに記載の方法。
【請求項92】
前記操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達することは、リボ核酸(RNA)ポリIIIプロモーターに動作可能に連結された前記操作されたガイドリボ核酸構造をコードするデオキシリボ核酸(DNA)を送達することを含む、請求項75~86のいずれか1つに記載の方法。
【請求項93】
操作された核酸編集ポリペプチドであって、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、
RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記RuvCドメインはヌクレアーゼ活性を欠いている、エンドヌクレアーゼと、
前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
を含む、操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項94】
前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項93に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項95】
操作された核酸編集ポリペプチドであって、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、
配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼはヌクレアーゼ活性が欠けているRuvCドメインを含む、エンドヌクレアーゼと、
前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
を含む、操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項96】
操作された核酸編集ポリペプチドであって、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、
配列番号360~368または598のいずれか1つを含む、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成されたエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼは、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼはヌクレアーゼ活性が欠けているRuvCドメインを含む、エンドヌクレアーゼと、
前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、
を含む、操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項97】
前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する、請求項95または請求項96に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項98】
前記エンドヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼに対して80%未満の同一性を有する、請求項93~97のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項99】
前記エンドヌクレアーゼはHNHドメインをさらに含む、請求項95~98のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項100】
前記tracrリボ核酸配列は、配列番号88~96、488、および489のいずれか1つから選択される約60~90個の連続したヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、請求項95~99のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項101】
前記塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項93~100のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項102】
前記塩基エディターはアデニンデアミナーゼである、請求項93~101のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項103】
前記アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、57、385~443、448~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項102に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項104】
前記塩基エディターはシトシンデアミナーゼである、請求項93~101のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項105】
前記シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447、594、または58~66のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項104に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項106】
操作された核酸編集ポリペプチドであって、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、
ヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、
前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターであって、前記塩基エディターは、配列番号1~51、385~386、387~443、444~447、488~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む、塩基エディターと、
を含む、操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項107】
前記エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される、請求項106に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項108】
前記エンドヌクレアーゼは、触媒的に死滅するように構成される、請求項106に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項109】
前記エンドヌクレアーゼは、Casエンドヌクレアーゼである、請求項106~108のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項110】
前記Casエンドヌクレアーゼは、クラスII、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼ、またはクラスII、タイプVのCasエンドヌクレアーゼである、請求項109に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項111】
前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項106に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項112】
前記Casエンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む、請求項109~111のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項113】
前記Casエンドヌクレアーゼは、配列番号70に対する残基9、配列番号71、72、または74に対する残基13、配列番号73に対する残基12、配列番号75に対する残基17、配列番号76に対する残基23、または配列番号597に対する残基10においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む、請求項112に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項114】
前記エンドヌクレアーゼは、配列番号360~368または598からなる群から選択されたプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成される、請求項109~113のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項115】
前記塩基エディターはアデニンデアミナーゼである、請求項106~114のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項116】
前記アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、385~443、448~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項115に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項117】
前記アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、385~390、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項116に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項118】
前記塩基エディターはシトシンデアミナーゼである、請求項106~114のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項119】
前記シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447のいずれか1つまたはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項118に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項120】
前記エンドヌクレアーゼまたは前記塩基エディターに連結されたウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤(UGI)をさらに含む、請求項106~119のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項121】
前記ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む、請求項120に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項122】
前記エンドヌクレアーゼを含むポリペプチドは、前記エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)を含む、請求項106~121のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項123】
前記NLSは、配列番号369~384から選択されたものまたはその変異体に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項122に記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項124】
前記エンドヌクレアーゼは、前記塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して前記塩基エディターに共有結合される、請求項106~123のいずれか1つに記載の操作された核酸編集ポリペプチド。
【請求項125】
生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸であって、前記核酸は、配列番号1~51、385~386、387~443、444~447、488~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列をコードする、核酸。
【請求項126】
前記生物は、原核生物、細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、げっ歯類、またはヒトである、請求項125に記載の核酸。
【請求項127】
請求項125~126のいずれかに記載の核酸を含むベクター。
【請求項128】
前記ベクターは、プラスミド、ミニサークル、CELiD、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のビリオン、またはレンチウイルスである、請求項127に記載のベクター。
【請求項129】
請求項127~128のいずれかに記載のベクターを含む細胞。
【請求項130】
請求項129に記載の細胞を培養する工程を含む、塩基エディターを製造する方法。
【請求項131】
系であって、
(a)請求項106~124のいずれか1つに記載の核酸編集ポリペプチドと、
(b)前記核酸編集ポリペプチドと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、
i.標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、
ii.前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列、を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、
を含む、系。
【請求項132】
前記操作されたガイドリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つの非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、請求項131に記載の系。
【請求項133】
標的核酸遺伝子座を改変する方法であって、前記方法は、前記標的核酸遺伝子座に、請求項106~124のいずれか1つに記載の前記操作された核酸編集ポリペプチド、あるいは請求項131~132に記載の系を送達する工程を含み、前記複合体は、前記標的核酸遺伝子座に結合すると、前記標的核酸遺伝子座のヌクレオチドを改変するように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年9月11日に出願された「BASE EDITING ENZYMES」という表題の米国仮特許出願第63/077,057号、および、2021年7月15日に出願された「BASE EDITING ENZYMES」という表題の米国仮特許出願第63/222,351号の利益を主張するものであり、上記文献はそれぞれ全体として本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
Cas酵素は、それらに関連するClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats(クラスター化され、規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し)(CRISPR)ガイドリボ核酸(RNA)とともに、原核生物免疫系の広範な(細菌の約45%、古細菌の約84%)成分であると思われ、CRISPR-RNAガイド核酸切断によって感染ウイルスおよびプラスミドなどの非自己核酸に対してその微生物を守る役割を担う。CRISPR RNAエレメントをコードするデオキシリボ核酸(DNA)エレメントは、構造および長さにおいて比較的保存され得る一方で、そのCRISPR関連(Cas)タンパク質は非常に多様であり、様々な核酸相互作用ドメインを含む。CRISPR DNAエレメントは1987年に発見されているが、CRISPR/Cas複合体のプログラム可能なエンドヌクレアーゼ切断能力は比較的最近になって認識され、多様なDNA操作や遺伝子編集用途に組換えCRISPR/Cas系が使用されるようになっている。
【0003】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照により全体として本明細書に組み込まれる配列表を含んでいる。2021年9月9日に作成された前記ASCIIのコピーは、55921-715_601_SL.txtという名称であり、705,305バイトのサイズである。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、前記エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列、を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。いくつかの実施形態では、前記RuvCドメインは、ヌクレアーゼ活性を欠いている。いくつかの実施形態では、前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む。いくつかの実施形態では、前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号71、72、または74に対する残基13、配列番号73に対する残基12、配列番号75に対する残基17、配列番号76に対する残基23、または配列番号597に対する残基10においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号72に対する残基13、または配列番号75に対する残基17においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、前記エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列、を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、配列番号360~368または598のいずれか1つあるいはその変異体を含む、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成されたエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、前記エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列、を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。いくつかの実施形態では、前記クラス2、タイプIIのエンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号71、72、または74に対する残基13、配列番号73に対する残基12、配列番号75に対する残基17、配列番号76に対する残基23、または配列番号597に対する残基10においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターは、配列番号50~51または385~390のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記RuvCドメインは、ヌクレアーゼ活性を欠いている。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼに対して80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼはHNHドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記操作されたガイドリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体の非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、操作されたガイドリボ核酸構造であって、前記操作されたガイドリボ核酸構造が、標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列を含み、前記操作されたリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体の非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、前記操作されたガイドリボ核酸に結合するように構成された、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターは、配列番号50~51または385~390のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、配列番号360~368または598からなる群から選択されたプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターはアデニンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、前記アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、57、385~443、448~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターはシトシンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、前記シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447、594、または58~66のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、系は、前記エンドヌクレアーゼまたは前記塩基エディターに連結されたウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記操作されたガイドリボ核酸構造は、少なくとも2つのリボ核酸ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記操作されたガイドリボ核酸構造は、前記ガイドリボ核酸配列と前記tracrリボ核酸配列とを含む1つのリボ核酸ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイドリボ核酸配列は、原核生物、細菌、古細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、またはヒトのゲノム配列に相補的である。いくつかの実施形態では、前記ガイドリボ核酸配列は、15~24ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、前記エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)を含む。いくつかの実施形態では、前記NLSは、配列番号369~384から選択されたものまたはその変異体に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、前記塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して前記塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号71、72、または74に対する残基13、配列番号73または78に対する残基12、配列番号75に対する残基17、配列番号76に対する残基23、配列番号77に対する残基8、あるいは配列番号597に対する残基10においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号72に対する残基13、または配列番号75に対する残基17においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは前記エンドヌクレアーゼと前記塩基エディターを含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。いくつかの実施形態では、システムは、Mg2+の供給源をさらに含む。いくつかの実施形態では、(a)前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70、71、73、74、76、78、77、または78のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含み、(b)前記ガイドRNA構造は、配列番号88、89、91、92、94、96、95、または488のいずれか1つの非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含み、(c)前記エンドヌクレアーゼは、配列番号360、361、363、365、367、または368のいずれか1つを含むPAMに結合するよう構成され、あるいは、(d)前記塩基エディターは、配列番号58または595あるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、(a)前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70、71、または78のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含み、(b)前記ガイドRNA構造は、配列番号88、89、または96の少なくとも1つの非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含み、(c)前記エンドヌクレアーゼは、配列番号360、362、または368のいずれか1つを含むPAMに結合するよう構成され、あるいは、(d)前記塩基エディターは、配列番号594またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、前記配列同一性は、BLASTP、CLUSTALW、MUSCLE、MAFFT、またはSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。いくつかの実施形態では、前記配列同一性は、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびイグジステンス11、エクステンション1でのギャップコストを設定するBLOSUM62スコアリングマトリ
ックスのパラメータを使用して、および条件付き構成スコアマトリックス調整を使用する前記BLASTP相同性検索アルゴリズムによって決定される。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、触媒的に死滅するように構成される。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。
【0005】
いくつかの態様において、本開示は、生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸を提供し、前記核酸は、塩基エディターに連結したクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼをコードし、前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。
【0006】
いくつかの態様において、本開示は、生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸を提供し、前記核酸は、塩基エディターに連結した配列番号70~78のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼをコードする。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、前記エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)をコードする配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、前記NLSは、配列番号369~384から選択されたものまたはその変異体に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記生物は、原核生物、細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、げっ歯類、またはヒトである。
【0007】
いくつかの態様において、本開示は、塩基エディターに連結されたクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を含むベクターを提供し、前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。
【0008】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載される態様または実施形態のいずれかの核酸を含むベクターを提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、前記エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造をコードする核酸を含み、操作されたガイドリボ核酸構造は、標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミド、ミニサークル、CELiD、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のビリオン、またはレンチウイルスである。
【0009】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される態様または実施形態のうちのいずれかのベクターを含む細胞を提供する。
【0010】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される態様または実施形態のうちのいずれかの細胞を培養する工程を含む、エンドヌクレアーゼを製造する方法を提供する。
【0011】
いくつかの態様では、本開示は、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを改変するための方法を提供し、上記方法は、複合体に前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを接触させる工程を含み、前記複合体は、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、前記エンドヌクレアーゼおよび前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドに結合するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造であって、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドがプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、を含む。いくつかの実施形態では、RuvCドメインとHNHドメインとを含む前記エンドヌクレアーゼは、前記塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して前記塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、RuvCドメインおよびHNHドメインを含む前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0012】
いくつかの態様では、本開示は、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを改変するための方法を提供し、上記方法は、複合体に前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを接触させる工程を含み、前記複合体は、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、前記エンドヌクレアーゼおよび前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドに結合するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造とを含み、ここで、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含み、前記PAMは配列番号70~78または597からなる群から選択された配列を含む。いくつかの実施形態では、前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、前記塩基エディターに共有結合されるか、リンカーを介して前記塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595から選択される配列あるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターはアデニンデアミナーゼを含み、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはアデニンを含み、および、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリペプチドの改変は、前記アデニンをグアニンに変換することを含む。いくつかの実施形態では、前記アデニンデアミナーゼは、配列番号50~51、57、385~443、448~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターはシトシンデアミナーゼを含み、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはシトシンを含み、および、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリペプチドの改変は、前記シトシンをウラシルに変換することを含む。いくつかの実施形態では、前記シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447、594、または58~66のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記複合体は、前記エンドヌクレアーゼまたは前記塩基エディターに連結されたウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、前記操作されたガイドリボ核酸構造の配列に相補的な配列を含む第1の鎖と、前記PAMを含む第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、前記PAMは、前記操作されたガイドリボ核酸構造の前記配列に相補的な前記配列の3’末端に直接隣接する。いくつかの実施形態では、前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas14エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、Cas12bエンドヌクレアーゼ、Cas12cエンドヌクレアーゼ、Cas12dエンドヌクレアーゼ、Cas12eエンドヌクレアーゼ、Cas13aエンドヌクレアーゼ、Cas13bエンドヌクレアーゼ、Cas13cエンドヌクレアーゼ、またはCas13dエンドヌクレアーゼではない。いくつかの実施形態では、前記クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、前記二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、真核生物、植物、真菌、哺乳動物、げっ歯類、またはヒト二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドである。
【0013】
いくつかの態様において、本開示は、標的核酸遺伝子座を改変する方法を提供し、前記方法は、前記標的核酸遺伝子座に、本明細書に記載されるいずれかの態様または実施形態の前記操作された核酸編集系を送達する工程を含み、前記エンドヌクレアーゼが、前記操作されたガイドリボ核酸構造と複合体を形成するように構成され、前記複合体は、前記標的核酸遺伝子座に結合すると、前記標的核酸遺伝子座のヌクレオチドを改変するように構成される。いくつかの実施形態では、前記操作された核酸編集系は、アデニンデアミナーゼを含み、前記ヌクレオチドはアデニンであり、前記標的核酸遺伝子座を改変することは、前記アデニンをグアニンに変換することを含む。いくつかの実施形態では、前記操作された核酸編集系は、シチジンデアミナーゼおよびウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤を含み、前記ヌクレオチドはシトシンであり、前記標的核酸遺伝子座を改変することは、前記アデニンをウラシルに変換することを含む。いくつかの実施形態では、前記標的核酸遺伝子座は、ゲノムDNA、ウイルスDNA、または細菌DNAを含む。いくつかの実施形態では、前記標的核酸遺伝子座は、インビトロである。いくつかの実施形態では、前記標的核酸遺伝子座は、細胞内にある。いくつかの実施形態では、前記細胞は、原核細胞、細菌細胞、真核細胞、真菌細胞、植物細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、霊長類細胞、またはヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記細胞は動物内にある。いくつかの実施形態では、前記細胞は蝸牛内にある。いくつかの実施形態では、前記細胞は胚内にある。いくつかの実施形態では、前記胚は2細胞胚である。いくつかの実施形態では、前記胚は、マウス胚である。いくつかの実施形態では、前記標的核酸遺伝子座に前記操作された核酸編集系を送達することは、本明細書に記載されるいずれかの態様または実施形態の核酸、あるいは本明細書に記載されるいずれかの態様または実施形態のベクターを送達することを含む。いくつかの実施形態では、前記操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達することは、前記エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を送達することを含む。いくつかの実施形態では、前記核酸は、前記エンドヌクレアーゼをコードする前記オープンリーディングフレームが動作可能に連結されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、前記操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達することは、前記エンドヌクレアーゼをコードする前記オープンリーディングフレームを含むキャップされたmRNAを送達することを含む。いくつかの実施形態では、前記操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達することは、翻訳されたポリペプチドを送達することを含む。いくつかの実施形態では、前記操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達することは、リボ核酸(RNA)ポリIIIプロモーターに動作可能に連結された前記操作されたガイドリボ核酸構造をコードするデオキシリボ核酸(DNA)を送達することを含む。
【0014】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0015】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、配列番号360~368または598のいずれか1つを含む、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成されたエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼに対して80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼはHNHドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記tracrリボ核酸配列は、配列番号88~96、488、および489のいずれか1つから選択される約60~90個の連続したヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターはアデニンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、前記アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、57、385~443、448~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターはシトシンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、前記シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447、594、または58~66のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0016】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、ヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、前記エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターであって、前記塩基エディターは、配列番号1~51、385~386、387~443、444~447、488~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む、塩基エディターとを含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、触媒的に死滅するように構成される。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、Casエンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、前記Casエンドヌクレアーゼは、クラスII、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼ、またはクラスII、タイプVのCasエンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記Casエンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む。いくつかの実施形態では、前記Casエンドヌクレアーゼは、最適に整列した際、配列番号70に対する残基9、配列番号71、72、または74に対する残基13、配列番号73に対する残基12、配列番号75に対する残基17、配列番号76に対する残基23、または配列番号597に対する残基10においてアスパラギン酸からアラニンへの変異を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、配列番号360~368または598からなる群から選択されたプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターはアデニンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、前記アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、385~443、または448~475のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、385~390、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記塩基エディターはシトシンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、前記シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447のいずれか1つまたはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、前記エンドヌクレアーゼまたは前記塩基エディターに連結されたウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、前記エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)を含む。いくつかの実施形態では、前記NLSは、配列番号369~384から選択されたものまたはその変異体に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、前記塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して前記塩基エディターに共有結合される。
【0017】
いくつかの態様において、本開示は、生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸を提供し、前記核酸は、配列番号1~51、385~386、387~443、444~447、または488~475のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列をコードする。いくつかの実施形態では、前記生物は、原核生物、細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、げっ歯類、またはヒトである。
【0018】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載される態様または実施形態のいずれかの核酸を含むベクターを提供する。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミド、ミニサークル、CELiD、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のビリオン、またはレンチウイルスである。
【0019】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される態様または実施形態のいずれか1つのベクターを含む細胞を提供する。
【0020】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される態様または実施形態のいずれか1つの前記細胞を培養する工程を含む、塩基エディターを製造する方法を提供する。
【0021】
いくつかの態様では、本開示は、系を提供し、前記系は、(a)本明細書に記載される態様または実施形態のいずれかの核酸編集ポリペプチドと、(b)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、前記エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列を含む、前記核酸編集ポリペプチドと複合体を形成するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。いくつかの実施形態では、前記操作されたガイドリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つの非縮重ヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。
【0022】
いくつかの態様において、本開示は、標的核酸遺伝子座を改変する方法を提供し、前記方法は、前記標的核酸遺伝子座に、本明細書に記載される態様または実施形態のいずれかの前記操作された核酸編集ポリペプチド、あるいは本明細書に記載される態様または実施形態のいずれかの前記系を送達する工程を含み、前記複合体は、前記標的核酸遺伝子座に結合すると、前記標的核酸遺伝子座のヌクレオチドを改変するように構成される。
【0023】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、(a)RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、RuvCドメインはヌクレアーゼ活性を欠いている、エンドヌクレアーゼと、(b)エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、(c)エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたtracrリボ核酸配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0024】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、(a)配列番号70~78のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼであって、ヌクレアーゼ活性が欠けているRuvCドメインを含む、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたtracrリボ核酸配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。
【0025】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、(a)配列番号360~368を含むプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成されたエンドヌクレアーゼであって、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、エンドヌクレアーゼが、ヌクレアーゼ活性が欠けているRuvCドメインを含む、エンドヌクレアーゼと、(b)エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、(c)エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたtracrリボ核酸配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼに対して80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼはHNHドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、tracrリボ核酸配列は、配列番号88~96、488、および489のいずれか1つから選択される約60~90個の連続したヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。
【0027】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、(a)(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたtracrリボ核酸配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造であって、tracrリボ核酸配列は、配列番号88~96、488、および489のいずれか1つから選択される約60~90個の連続したヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、操作されたガイドリボ核酸構造に結合するように構成されたクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼと、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号360~368からなる群から選択されたプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、配列番号1~51および385~475のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはアデニンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、配列番号57に対して少なくとも約95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはシトシンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号58に対して少なくとも約95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号59~66のいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系は、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、操作されたガイドリボ核酸構造は、少なくとも2つのリボ核酸ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、操作されたガイドリボ核酸構造は、ガイドリボ核酸配列とtracrリボ核酸配列とを含む1つのリボ核酸ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ガイドリボ核酸配列は、原核生物、細菌、古細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、またはヒトのゲノム配列に相補的である。いくつかの実施形態では、ガイドリボ核酸配列は、15~24ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)を含む。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドはエンドヌクレアーゼと塩基エディターを含む。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号370を含む。いくつかの実施形態では、システムは、Mg2+の供給源をさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号70に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号88に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号360を含むPAMに結合するように構成される。
【0032】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号71に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号89に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号361を含むPAMに結合するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号73に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号91に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号363を含むPAMに結合するように構成される。
【0034】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号75に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号93に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号365を含むPAMに結合するように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号76に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号94に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号366を含むPAMに結合するように構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号77に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号95に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号367を含むPAMに結合するように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号78に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号96に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号368を含むPAMに結合するように構成される。
【0038】
いくつかの実施形態では、塩基エディターはアデニンデアミナーゼを含む。いくつかの実施形態では、アデニンデアミナーゼは、配列番号57を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはシトシンデアミナーゼを含む。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号58を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された核酸編集系は、ウラシルDNAグリコシル化阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、ウラシルDNAグリコシル化阻害剤は、配列番号67を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、配列同一性は、BLASTP、CLUSTALW、MUSCLE、MAFFT、またはSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。いくつかの実施形態では、配列同一性は、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびイグジステンス11、エクステンション1でのギャップコストを設定するBLOSUM62スコアリングマトリックスのパラメータを使用して、および条件付き構成スコアマトリックス調整を使用する前記BLASTP相同性検索アルゴリズムによって決定される。
【0040】
いくつかの態様において、本開示は、生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸を提供し、核酸は、塩基エディターに連結したクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼをコードし、エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。
【0041】
いくつかの態様において、本開示は、生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸を提供し、核酸は、塩基エディターに連結した配列番号70~78のいずれか1つに対して少なくとも70%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼをコードする。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、前記エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)をコードする配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、生物は、原核生物、細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、げっ歯類、またはヒトである。
【0042】
いくつかの態様において、本開示は、塩基エディターに連結されたクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を含むベクターを提供し、前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、ベクターは本明細書に記載される核酸を含む。いくつかの実施形態では、ベクターはさらに、エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造をコードする核酸を含み、操作されたガイドリボ核酸構造は、標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、およびエンドヌクレアーゼに結合するように構成されたtracrリボ核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミド、ミニサークル、CELiD、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のビリオン、またはレンチウイルスである。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載されるベクターを含む細胞を提供する。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される細胞を培養する工程を含む、エンドヌクレアーゼを製造する方法を提供する。
【0043】
いくつかの態様では、本開示は、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを改変するための方法を提供し、上記方法は、複合体に二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを接触させる工程を含み、前記複合体は、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、RuvCドメインはヌクレアーゼ活性を欠いている、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、エンドヌクレアーゼおよび二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドに結合するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造であって、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドがプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼは、塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼは、配列番号70~78のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0045】
いくつかの態様では、本開示は、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを改変するための方法を提供し、上記方法は、複合体に二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを接触させる工程を含み、前記複合体は、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、エンドヌクレアーゼおよび二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドに結合するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造とを含み、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含み、PAMは配列番号360~368からなる群から選択された配列を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、塩基エディターに共有結合されるか、リンカーを介して塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、配列番号1~51および385~475から選択される配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはアデニンデアミナーゼを含み、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはアデニンを含み、および、二本鎖デオキシリボ核酸ポリペプチドの改変は、アデニンをグアニンに変換することを含む。いくつかの実施形態では、アデニンデアミナーゼは、配列番号57に対して少なくとも約95%の同一性を有する配列を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、塩基エディターはシトシンデアミナーゼを含み、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはシトシンを含み、および、二本鎖デオキシリボ核酸ポリペプチドの改変は、シトシンをウラシルに変換することを含む。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号58に対して少なくとも約95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号59~66のいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、複合体は、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、操作されたガイドリボ核酸構造の配列に相補的な配列を含む第1の鎖と、前記PAMを含む第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、PAMは、操作されたガイドリボ核酸構造の配列に相補的な配列の3’末端に直接隣接する。
【0049】
いくつかの実施形態では、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas14エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、Cas12bエンドヌクレアーゼ、Cas12cエンドヌクレアーゼ、Cas12dエンドヌクレアーゼ、Cas12eエンドヌクレアーゼ、Cas13aエンドヌクレアーゼ、Cas13bエンドヌクレアーゼ、Cas13cエンドヌクレアーゼ、またはCas13dエンドヌクレアーゼではない。いくつかの実施形態では、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、真核生物、植物、真菌、哺乳動物、げっ歯類、またはヒト二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドである。
【0050】
いくつかの態様において、本開示は、標的核酸遺伝子座を改変する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載される操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達する工程を含み、エンドヌクレアーゼは、操作されたガイドリボ核酸構造と複合体を形成するように構成され、複合体は、標的核酸遺伝子座に結合すると、標的核酸遺伝子座のヌクレオチドを改変するように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系は、アデニンデアミナーゼを含み、ヌクレオチドはアデニンであり、標的核酸遺伝子座を改変することは、アデニンをグアニンに変換することを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系は、シチジンデアミナーゼおよびウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤を含み、ヌクレオチドはシトシンであり、標的核酸遺伝子座を改変することは、アデニンをウラシルに変換することを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸遺伝子座は、ゲノムDNA、ウイルスDNA、または細菌DNAを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸遺伝子座は、インビトロである。いくつかの実施形態では、標的核酸遺伝子座は、細胞内にある。いくつかの実施形態では、細胞は、原核細胞、細菌細胞、真核細胞、真菌細胞、植物細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、霊長類細胞、またはヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は動物内にある。
【0052】
いくつかの実施形態では、細胞は蝸牛内にある。いくつかの実施形態では、細胞は胚内にある。いくつかの実施形態では、胚は2細胞胚である。いくつかの実施形態では、胚はマウス胚である。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、本明細書に記載される核酸または本明細書に記載されるベクターを送達することを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を送達することを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、核酸は、エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームが動作可能に連結されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含むキャップされたmRNAを送達することを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、翻訳されたポリペプチドを送達することを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、リボ核酸(RNA)ポリIIIプロモーターに動作可能に連結された操作されたガイドリボ核酸構造をコードするデオキシリボ核酸(DNA)を送達することを含む。
【0054】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、RuvCドメインはヌクレアーゼ活性を欠いている、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む。
【0055】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、配列番号70~78のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼであって、ヌクレアーゼ活性が欠けているRuvCドメインを含む、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。
【0056】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、前記操作された核酸編集ポリペプチドは、配列番号360~368を含むプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成されたエンドヌクレアーゼであって、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、エンドヌクレアーゼが、ヌクレアーゼ活性が欠けているRuvCドメインを含む、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼに対して80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼはHNHドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、tracrリボ核酸配列は、配列番号88~96、488、および489のいずれか1つから選択される約60~90個の連続したヌクレオチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、配列番号1~51および385~475のいずれか1つに対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはアデニンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、配列番号57に対して少なくとも約95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはシトシンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号58に対して少なくとも約95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、アデノシンシトシンデアミナーゼは、配列番号59~66のいずれか1つに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0058】
本開示のさらなる態様および利点は、以下の詳細な記載から当業者に容易に明白となり、ここでは、本開示の例示的な実施形態のみが示され、記載されている。理解されるように、本開示は、他の実施形態および異なる実施形態においても可能であり、その様々な詳細は、そのすべてが本開示から逸脱することなく様々な明白な点で修正することができる。したがって、図面および説明は本来、例示的なものとしてみなされ、限定的なものであるとはみなされない。
【0059】
引用による組み込み
本明細書で言及されるすべての公開物、特許、および特許出願は、あたかも個々の公開物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により本明細書に具体的かつ個別に組み込まれるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明の新規な特徴は、とりわけ添付の請求項で説明される。本発明の特徴と利点は、本発明の原理が用いられる例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面(本明細書では「図(“Figure”および“FIG.”)」とも称される)とを参照することにより、より良く理解されるであろう。
図1】様々なクラスおよびタイプのCRISPR/Cas遺伝子座の典型的な組織を描く。
図2】本明細書に記載される系のT7プロモーター駆動発現を含む塩基エディタープラスミドの構造を示す。
図3】本明細書に記載される系のプラスミドマップを示す。MGAはTadA*(ABE8.17m)-SV40 NLSを含んでおり、MGCは、ウラシルグリコシラーゼ阻害剤およびSV40 NLSに連結された(BE3からの)APOBEC1を含んでいる。
図4】ニッカーゼ酵素を生成するためにヌクレアーゼ活性を破壊するように突然変異した、本明細書に記載される選択されたエンドヌクレアーゼのRuvCIドメインにおける予測される触媒残基を示す。
図5】単一ガイドRNA発現カセットを本明細書に記載される系にクローニングするための例示的な方法を描いている。1つの断片はT7プロモーター+スペーサーを含む。他の断片は、スペーサー+単一ガイド足場配列+双方向性ターミネーターを含む。断片は発現プラスミドに組み入れられ、sgRNAと塩基エディターを同時に発現できる機能的構築物が生じる。
図6A】大腸菌におけるlacZ標的化のためのsgRNA設計を示す。本明細書に記載される系に使用されるスペーサー長は、22ヌクレオチドであった。本明細書に記載される選択された系について、編集ウインドウを決定するために、大腸菌のlacZを標的とする3つのsgRNAを設計した。
図6B】大腸菌におけるlacZ標的化のためのsgRNA設計を示す。本明細書に記載される系に使用されるスペーサー長は、22ヌクレオチドであった。本明細書に記載される選択された系について、編集ウインドウを決定するために、大腸菌のlacZを標的とする3つのsgRNAを設計した。
図7】選択された突然変異したエフェクターのニッカーゼ活性を示す。両方の5’末端にフルオロフォア(6-FAM)で標識した600bpの二本鎖DNA断片を、それらの同族sgRNAを補充した精製された酵素とインキュベートした。反応生成物を10%TBE-Urea変性ゲルで分解した。二本鎖切断により、400塩基と200塩基のバンドが得られる。ニッカーゼ活性により、600塩基と200塩基のバンドが得られる。
図8A】本明細書に記載される選択された系による塩基編集を実証するサンガーシーケンシング結果を示す。
図8B】本明細書に記載される選択された系による塩基編集を実証するサンガーシーケンシング結果を示す。
図8C】本明細書に記載される選択された系による塩基編集を実証するサンガーシーケンシング結果を示す。
図9】本明細書に記載される系が、本明細書に記載されるエンドヌクレアーゼおよび塩基エディターを用いて塩基編集能力をどのように拡大するかを示している。
図10A】TadA(ABE8.17m)およびMGニッカーゼを含むアデニン塩基エディター(ABEs)の塩基編集効率を示す。TadAは、tRNAアデニンデアミナーゼであり、TadA(ABE8.17m)は、大腸菌TadAの操作された変異体である。TadA(ABE8.17m)と融合した12個のMGニッカーゼを構築し、大腸菌で試験した。3つのガイドはlacZを標的とするように設計された。ボックス内に示された数字は、Edit Rによって定量化されたAからGへの変換のパーセンテージを示す。ABE8.17mは実験の陽性対照として用いられた。
図10B】TadA(ABE8.17m)およびMGニッカーゼを含むアデニン塩基エディター(ABEs)の塩基編集効率を示す。TadAは、tRNAアデニンデアミナーゼであり、TadA(ABE8.17m)は、大腸菌TadAの操作された変異体である。TadA(ABE8.17m)と融合した12個のMGニッカーゼを構築し、大腸菌で試験した。3つのガイドはlacZを標的とするように設計された。ボックス内に示された数字は、Edit Rによって定量化されたAからGへの変換のパーセンテージを示す。ABE8.17mは実験の陽性対照として用いられた。
図11A】ラットAPOBEC1、MGニッカーゼ、およびバチルススブチリスバクテリオファージのウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI(PBS1))を含むシトシン塩基エディター(CBEs)の塩基編集効率を示す。APOBEC1はシトシンデアミナーゼである。N末端にrAPOBEC1を、C末端にUGIを融合させた12個のMGニッカーゼを構築して、大腸菌で試験した。3つのガイドはlacZを標的とするように設計された。ボックス内に示された数字は、Edit Rによって定量化されたCからTへの変換のパーセンテージを示す。BE3は実験の陽性対照として用いられた。
図11B】ラットAPOBEC1、MGニッカーゼ、およびバチルススブチリスバクテリオファージのウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI(PBS1))を含むシトシン塩基エディター(CBEs)の塩基編集効率を示す。APOBEC1はシトシンデアミナーゼである。N末端にrAPOBEC1を、C末端にUGIを融合させた12個のMGニッカーゼを構築して、大腸菌で試験した。3つのガイドはlacZを標的とするように設計された。ボックス内に示された数字は、Edit Rによって定量化されたCからTへの変換のパーセンテージを示す。BE3は実験の陽性対照として用いられた。
図12】CBEの塩基編集活性に対するMGウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)の効果を示す。パネル(a)は、N末端のAPOBEC1、MG15-1ニッカーゼ、およびC末端のUGIを含む、MGC15-1および変異体の塩基編集活性を示すグラフを描いている。大腸菌におけるシトシン塩基編集活性の改善について3つのMG UGIを試験した。パネル(b)は、N末端のrAPOBEC1、SpCas9ニッカーゼ、およびC末端のUGIを含む、BE3の塩基編集活性を示すグラフである。HEK293T細胞におけるシトシン塩基編集活性の改善について、2個のMG UGIを試験した。編集効率はEdit Rによって定量化した。
図13A】A0A2K5RDN7、MGニッカーゼ、およびMG UGIを含むシトシン塩基エディターの編集効率を示す編集部位のマップを描いている。構築物は、N末端のA0A2K5RDN7、MGニッカーゼ、およびC末端のMG69-1を含む。簡略化のために、図にはMGニッカーゼの同一性のみを示している。塩基編集の陽性対照としてBE3を使用した。陽性対照には、空のベクターを使用した。3つの独立した実験が異なる日に行われた。略語:Rはリピート、NEGは陰性対照である。
図13B】A0A2K5RDN7、MGニッカーゼ、およびMG UGIを含むシトシン塩基エディターの編集効率を示す編集部位のマップを描いている。構築物は、N末端のA0A2K5RDN7、MGニッカーゼ、およびC末端のMG69-1を含む。簡略化のために、図にはMGニッカーゼの同一性のみを示している。塩基編集の陽性対照としてBE3を使用した。陽性対照には、空のベクターを使用した。3つの独立した実験が異なる日に行われた。略語:Rはリピート、NEGは陰性対照である。
図14】大腸菌におけるTadA特徴付けのための陽性選択方法を示す。パネル(a)は、TadA選択に使用される1つのプラスミド系のマップを示す。このベクターは、CAT(H193Y)、CATを標的とするsgRNA発現カセット、およびABE発現カセットを含む。この図では、大腸菌由来のN末端のTadAと、化膿性連鎖球菌由来のC末端のSpCas9(D10A)が示されている。パネル(b)は、大腸菌細胞に導入/形質転換すると、CAT(H193Y)の鋳型鎖のA2位が編集され、H193Y変異体が野生型に戻り、その活性を回復させることを実証するシーケンシングトレースを示す。略語:CATはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼである。
図15】TadAによって引き起こされる変異がクロラムフェニコール(Cm)の高い耐性を可能にすることを示す。パネル(a)は、大腸菌の抗生物質耐性を選択するために、異なる濃度のクロラムフェニコールが使用された成長プレートの写真を示す。この例では、大腸菌由来のTadA(EcTadA)の野生型と2つの変異体とが試験された。パネル(b)は、変異型TadAを有するABEが野生型よりも高い編集効率を示すことを実証する結果の概要表を示す。これらの実験では、0.5μg/mL以上のCmを有するプレートからコロニーを採取した。簡略化のために、デアミナーゼの同一性のみを表に示す。
図16A】陽性選択におけるMG TadA活性を調査するための成長プレートの写真を示す。8つのMG68 TadA候補を、0~2μg/mLのクロラムフェニコールに対して試験した(ABEは、N末端のTadA変異体とC末端のSpCas9(D10A)ニッカーゼを含んでいた)。簡略化のために、デアミナーゼの同一性のみを示す。この試験では、0.5μg/mL以上のCmを有するプレートからコロニーを採取した。
図16B】MG TadA候補の編集効率を要約したものであり、MG68-3およびMG68-4がアデニンの塩基編集を駆動したことを実証する。
図17】MG68-4におけるD109N突然変異を介するMG68-4_nSpCas9の塩基編集効率の改善を示す。パネル(a)は、野生型MG68-4およびその変異体を0~4μg/mLのクロラムフェニコールに対して試験した成長プレートの写真を示す。簡略化のために、デアミナーゼの同一性のみを示す。この実験におけるアデニン塩基エディターは、N末端のTadA変異体とC末端のSpCas9(D10A)ニッカーゼを含む。パネル(b)は、MG TadA候補の編集効率を示す概要表を示す。パネル(b)は、MG68-4およびMG68-4(D109N)がアデニンの塩基編集を示し、D109N変異体が活性の増加を示すことを実証している。この試験では、0.5μg/mL以上のCmを有するプレートからコロニーを採取した。
図18】MG68-4(D109N)_nMG34-1の塩基編集を示す。パネル(a)は、N末端のMG68-4(D109N)およびC末端のSpCas9(D10A)ニッカーゼを含むABEが、0~2μg/mLのクロラムフェニコールに対して試験された実験の成長プレートの写真を示す。パネル(b)は、sgRNAを用いた場合と用いない場合の編集効率を描いた概要表を示す。この試験では、1μg/mL以上のCmを有するプレートからコロニーを採取した。
図19】MG68-4-nMG34-1塩基編集活性(配列番号448~475)の改善のために設計された28個のMG68-4変異体を示す。酵素の編集を改善するために、12個の残基が標的化変異誘発のために選択された。
【0061】
配列表の簡単な記載
本明細書とともに提出された配列表は、本開示にかかる方法、組成物、および系において使用するための例示的なポリヌクレオチドおよびポリペプチドの配列を提供する。以下は、その中の配列の例示的な説明である。
【0062】
配列番号1~47は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なMG66デアミナーゼの完全長ペプチド配列を示す。
【0063】
配列番号48~49は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なMG67デアミナーゼの完全長ペプチド配列を示す。
【0064】
配列番号50~51は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なMG68デアミナーゼの完全長ペプチド配列を示す。
【0065】
配列番号52~56は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤の配列を示す。
【0066】
配列番号57~66は、参照デアミナーゼの配列を示す。
【0067】
配列番号67は、参照ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤の配列を示す。
【0068】
配列番号68は、アデニン塩基エディターの配列を示す。
【0069】
配列番号69は、シトシン塩基エディターの配列を示す。
【0070】
配列番号70~78は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なMGニッカーゼの完全長のペプチド配列を示す。
【0071】
配列番号79~87は、本明細書に記載されるインビトロニッカーゼアッセイで使用されるプロトスペーサーおよびPAMを示す。
【0072】
配列番号88~96は、本明細書に記載されるインビトロニッカーゼアッセイで使用される単一ガイドRNAのペプチド配列を示す。
【0073】
配列番号97~156は、大腸菌lacZを標的とする場合のスペーサーの配列を示す。
【0074】
配列番号157~176は、部位特異的突然変異誘発を行う場合のプライマーの配列を示す。
【0075】
配列番号177~178は、lacZシーケンシングに関するプライマーの配列を示す。
【0076】
配列番号179~342は、増幅中に使用されるプライマーの配列を示す。
【0077】
配列番号343~345は、lacZシーケンシングのためのプライマーの配列を示す。
【0078】
配列番号346~359は、増幅中に使用されるプライマーの配列を示す。
【0079】
配列番号360~368は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なプロトスペーサー隣接モチーフを示す。
【0080】
配列番号369~384は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切な核局在化配列(NLS’s)を示す。
【0081】
配列番号385~443は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なMG68デアミナーゼの完全長ペプチド配列を示す。
【0082】
配列番号444~447は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なMG121デアミナーゼの完全長ペプチド配列を示す。
【0083】
配列番号448~475は、本明細書に記載される操作された核酸編集系に適切なMG68デアミナーゼの完全長ペプチド配列を示す。
【0084】
配列番号476および477は、アデニン塩基編集エディターの配列を示す。
【0085】
配列番号478~482は、シトシン塩基エディターの配列を示す。
【0086】
配列番号483~487は、本明細書に記載される操作された核酸編集系をコードするのに適切なプラスミドの配列を示す。
【0087】
配列番号488および489は、MG15-1およびMG34-1のsgRNA足場配列を示す。
【0088】
配列番号490~522は、大腸菌およびHEK293T細胞においてゲノム遺伝子座を標的とするために使用されるスペーサーの配列を示す。
【0089】
配列番号523~585は、増幅およびサンガーシーケンシング中に使用されたプライマーの配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明の実施形態が本明細書中で示され、記載されているが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。ここで、本発明から逸脱することなく、多数の変更、変化、および置換がなされることが、当業者によって理解され得る。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が利用され得ることを理解されたい。
【0091】
本明細書で開示されるいくつかの方法の実施は、特段の定めのない限り、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクス、および組換えDNAの技術を利用する。例えば、Sambrook and Green, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4th Edition (2012); the series Current Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubel, et al. eds.); the series Methods In Enzymology (Academic Press, Inc.), PCR 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds. (1995)), Harlow and Lane, eds. (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, and Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique and Specialized Applications, 6th Edition (R.I. Freshney, ed.(2010))(引用により本明細書に完全に組み込まれる)を参照。
【0092】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明白に示していない限り、複数形を同様に含むことが意図されている。さらに、「含むこと(including)」、「含む(includes)」「有すること(having)」、「有する(has)」、「とともに(with)」という用語またはその変形が、詳細な記載および/または請求項のいずれかで使用される程度まで、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語に類似した方法で含まれるように意図されている。
【0093】
「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値の許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、その値がどのように測定または決定されるか、つまり、測定系の制限に部分的に依存している。例えば、「約」とは、当該技術分野での実践につき1または1を超える標準偏差を意味し得る。代替的に、「約」は、任意の値の最大20%、最大15%、最大10%、最大5%、または最大1%の範囲を意味することができる。
【0094】
本明細書で使用されるように、「細胞」は通常、生体細胞を指す。細胞は、生体の基本的な構造的、機能的、および/または生物学的な単位であり得る。細胞は、1つ以上の細胞を有する任意の生物に由来してもよい。いくつかの非限定的な例としては、原核細胞、真核細胞、細菌細胞、古細菌細胞、単細胞真核生物の細胞、原虫細胞、植物からの細胞(例えば、植物作物、果物、野菜、穀物、大豆、トウモロコシ(corn)、トウモロコシ(maize)、小麦、種子、トマト、米、カッサバ、サトウキビ、カボチャ、干し草、ジャガイモ、綿、大麻、タバコ、顕花植物、針葉樹、裸子植物、シダ類、クラブモス類、ツノゴケ類、肝臓植物、コケ類)、藻類細胞、(例えば、ボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、クラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii)、ナンノクロロプシス・ガディタナ(Nannochloropsis gaditana)、クロレラ・ピレノイド(Chlorella pyrenoidosa)、ヤツマタモク(Sargassum patens C. Agardh)など)、海草(例えば、コンブ)、真菌細胞(例えば、酵母細胞、キノコの細胞)、動物細胞、無脊椎動物(例えば、ミバエ、刺胞動物、棘皮動物、線虫など)の細胞、脊椎動物(例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物など)の細胞、哺乳動物(ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、齧歯類、ラット、ネズミ、非ヒト霊長類、ヒトなど)の細胞などが挙げられる。細胞は、天然生物に由来しない細胞(例えば、合成的に作られた細胞、しばしば人工細胞と呼ばれることもある)である。
【0095】
「ヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用されるように、一般に、塩基-糖-リン酸の組み合わせを指す。ヌクレオチドは合成ヌクレオチドを含んでいてもよい。ヌクレオチドは合成ヌクレオチドアナログを含んでいてもよい。ヌクレオチドは、核酸配列(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA))の単量体単位であり得る。ヌクレオチドという用語は、リボヌクレオシド三リン酸アデノシン三リン酸(ATP)、ウリジン三リン酸(UTP)、シトシン三リン酸(CTP)、グアノシン三リン酸(GTP)、およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸、例えば、dATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP、またはその誘導体を含み得る。そのような誘導体は、例えば、[αS]dATP、7-デアザ-dGTP、および7-デアザ-dATP、ならびに、それらを含有している核酸分子に対するヌクレアーゼ耐性を与えるヌクレオチド誘導体を含み得る。本明細書に使用されるようなヌクレオチドという用語は、ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸(ddNTPs)およびそれらの誘導体を指すこともある。ジデオキシリボヌクレオシド三リン酸の例示的な例としては、限定されないが、ddATP、ddCTP、ddGTP、ddITP、およびddTTPが挙げられ得る。光学的に検出可能な部分(例えば、フルオロフォア)を含む部分を使用するなどして、ヌクレオチドは非標識であり得るか、検出可能なように標識され得る。標識化も量子ドットを用いて行なわれてもよい。検出可能な標識としては、例えば、放射性同位体、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、および酵素標識が挙げられ得る。ヌクレオチドの蛍光標識は、限定されないが、フルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、2’7’-ジメトキシ-4’5-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、ローダミン、6-カルボキシルローダミン(R6G)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシルローダミン(TAMRA)、 6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、4-(4’ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、カスケードブルー、オレゴングリーン、テキサスレッド、シアニン、および5-(2’-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)を含んでもよい。蛍光標識されたヌクレオチドの特定の例は、Perkin Elmer(Foster City, Calif)から入手可能な[R6G]dUTP、[TAMRA]dUTP、[R110]dCTP、[R6G]dCTP、[TAMRA]dCTP、[JOE]ddATP、[R6G]ddATP、[FAM]ddCTP、[R110]ddCTP、[TAMRA]ddGTP、[ROX]ddTTP、[dR6G]ddATP、[dR110]ddCTP、[dTAMRA]ddGTP、および[dROX]ddTTP、Amersham(Arlington Heights, Ill.)から入手可能なFluoroLink DeoxyNucleotides、FluoroLink Cy3-dCTP、FluoroLink Cy5-dCTP、FluoroLink Fluor X-dCTP、FluoroLink Cy3-dUTP、およびFluoroLink Cy5-dUTP、Boehringer(Mannheim, Indianapolis, Ind.)から入手可能なフルオレセイン-15-dATP、フルオレセイン-12-dUTP、テトラメチル-ローダミン-6-dUTP、IR770-9-dATP、フルオレセイン-12-ddUTP、フルオレセイン-12-UTP、およびフルオレセイン-15-2’-dATP、ならびに、Molecular Probes(Eugene, Oreg.)から利用可能な染色体標識されたヌクレオチド、BODIPY-FL-14-UTP、BODIPY-FL-4-UTP、BODIPY-TMR-14-UTP、BODIPY-TMR-14-dUTP、BODIPY-TR-14-UTP、BODIPY-TR-14-dUTP、カスケードブルー-7-UTP、カスケードブルー-7-dUTP、フルオレセイン-12-UTP、フルオレセイン-12-dUTP、オレゴングリーン 488-5-dUTP、ローダミングリーン-5-UTP、ローダミングリーン-5-dUTP、テトラメチルローダミン-6-UTP、テトラメチルローダミン-6-dUTP、テキサスレッド-5-UTP、テキサスレッド-5-dUTP、およびテキサスレッド-12-dUTPを含み得る。ヌクレオチドはさらに化学修飾によって標識またはマークされ得る。化学修飾された単一ヌクレオチドは、ビオチン-dNTPであり得る。ビオチン化dNTPのいくつかの非限定的な例としては、ビオチン-dATP(例えば、バイオ-N6-ddATP、ビオチン-14-dATP)、ビオチン-dCTP(例えば、ビオチン-11-dCTP、ビオチン-14-dCTP)、およびビオチン-dUTP(例えば、ビオチン-11-dUTP、ビオチン-16-dUTP、ビオチン-20-dUTP)を挙げることができる。
【0096】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、一般に、一本鎖、二本鎖、または多鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、あるいはそれらのアナログの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指すために交換可能に使用される。ポリヌクレオチドは、細胞に対して外来性であっても内因性であってもよい。ポリヌクレオチドは、細胞を含まない環境において存在することができる。ポリヌクレオチドは、遺伝子またはその断片であってもよい。ポリヌクレオチドはDNAであってもよい。ポリヌクレオチドはRNAであってもよい。ポリヌクレオチドは任意の三次元構造を有してもよく、任意の機能を果たしてもよい。ポリヌクレオチドは1つ以上のアナログ(例えば、変化した骨格、糖、または核酸塩基)を含んでいてもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前または後で与えられ得る。アナログのいくつかの非限定的な例としては、5-ブロモウラシル、ペプチド核酸、ゼノ核酸、モルホリノ、ロックド核酸、グリコール核酸、トレオース核酸、ジデオキシヌクレオチド、コルジセピン、7-デアザ-GTP、フルオロフォア(例えば、糖に結合したローダミンまたはフルオレセイン)、チオール含有ヌクレオチド、ビオチン結合ヌクレオチド、蛍光塩基アナログ、CpG島、メチル-7-グアノシン、メチル化ヌクレオチド、イノシン、チオウリジン、プソイドウリジン、ジヒドロウリジン、ケオシン、およびワイオシンが挙げられる。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖解析から定義される遺伝子座(複数の遺伝子座)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、無細胞DNA(cfDNA)と無細胞RNA(cfRNA)を含む無細胞ポリヌクレオチド、核酸プローブ、およびプライマーが挙げられる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断されてもよい。
【0097】
「トランスフェクション」または「トランスフェクトされた」という用語は一般に、非ウイルスベースまたはウイルスベースの方法による細胞への核酸の導入を指す。核酸分子は、完全なタンパク質またはその機能的部分をコードする遺伝子配列であってもよい。例えば、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 18.1-18.88を参照。
【0098】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は一般に、ペプチド結合によって結合された少なくとも2つのアミノ酸残基のポリマーを指すために、本明細書で互換的に使用される。この用語は、ポリマーの特定の長さを意味するものではなく、ペプチドが組換え技術、化学的または酵素的な合成を使用して生成されたか、あるいは天然に存在するかを示唆または区別することを意図するものでもない。この用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーだけでなく、少なくとも1つの修飾アミノ酸を含むアミノ酸ポリマーにも適用される。場合によっては、ポリマーは非アミノ酸によって中断されてもよい。この用語は、完全長タンパク質を含む任意の長さのアミノ酸鎖、ならびに、二次構造および/または三次構造(例えば、ドメイン)を有するまたは有していないタンパク質を含んでいる。この用語はさらに、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、酸化、および標識成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作によって修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。「アミノ酸」および「アミノ酸」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、限定されないが、修飾アミノ酸およびアミノ酸アナログを含む天然および非天然のアミノ酸を指す。修飾アミノ酸は、アミノ酸上に天然には存在しない基または化学部分を含むように化学修飾された、天然のアミノ酸および非天然のアミノ酸を含み得る。アミノ酸アナログはアミノ酸誘導体を指すこともある。「アミノ酸」という用語は、D-アミノ酸およびL-アミノ酸の両方を含む。
【0099】
本明細書で使用されるように、「非天然」とは、一般に、天然の核酸またはタンパク質では見られない核酸またはポリペプチドの配列を指すことができる。非天然とはアフィニティタグを指すことがある。非天然とは融合を指すことがある。非天然とは、変異、挿入、および/または欠失を含む天然に存在する核酸またはポリペプチドの配列を指すことがある。非天然配列は、非天然配列が融合された核酸および/またはポリペプチド配列によっても示され得る活性(例えば、酵素活性、メチルトランスフェラーゼ活性、アセチルトランスフェラーゼ活性、キナーゼ活性、ユビキチン化活性など)を示すおよび/またはコードすることができる。非天然核酸またはポリペプチド配列は、キメラ核酸および/またはポリペプチドをコードするキメラ核酸および/またはポリペプチド配列を生成するために、遺伝子操作によって天然に存在する核酸またはポリペプチド配列(またはその変異体)に連結され得る。
【0100】
「プロモーター」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、遺伝子の転写または発現を制御し、RNA転写が開始されるヌクレオチドまたはヌクレオチドの領域に隣接または重複して配置され得る制御性DNA領域を指す。プロモーターは、しばしば転写因子と呼ばれるタンパク質因子に結合する特定のDNA配列を含むことができ、遺伝子の転写につながるDNAへのRNAポリメラーゼの結合を容易にする。「基本プロモーター」は、「コアプロモーター」とも呼ばれ、一般に、動作可能に連結されたポリヌクレオチドの転写発現を促進するために必要なすべての基本的なエレメントを含むプロモーターを指すことがある。真核生物の基本プロモーターは、必ずしもそうではないが、典型的には、TATA-ボックスおよび/またはCAATボックスを含む。
【0101】
「発現」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、核酸配列またはポリヌクレオチドがDNA鋳型から(mRNAまたは他のRNA転写物などに)転写されるプロセス、および/または、転写されたmRNAがその後、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写産物およびコードされたポリペプチドはまとめて「遺伝子産物」と呼ばれることがある。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は真核細胞中にmRNAのスプライシングを含むことがある。
【0102】
本明細書で使用されるように、「動作可能に連結された」、「動作可能な連結」、「作動可能に連結された」、またはその文法的な同等物は一般に、遺伝要素、例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化配列などの並置を指し、これらのエレメントは、期待される方法で動作することを可能にする関係にある。例えば、プロモーターおよび/またはエンハンサー配列を含み得る調節エレメントは、調節エレメントがコード配列の転写を開始するのを助ける場合に、コード領域と作動可能に連結される。この機能的関係が維持される限り、調節エレメントとコード領域との間に介在する残基が存在してもよい。
【0103】
「ベクター」は一般に、本明細書で使用されるように、ポリヌクレオチドを含むか、またはポリヌクレオチドと会合する高分子または高分子の会合を指し、ポリヌクレオチドの細胞への送達を媒介するために使用され得る。ベクターの例としては、プラスミド、ウイルスベクター、リポソーム、および他の遺伝子送達ビヒクルが挙げられる。ベクターは一般に、標的における遺伝子の発現を促進するために遺伝子に作動可能に連結された遺伝要素、例えば、調節エレメントを含む。
【0104】
本明細書で使用されるように、「発現カセット」および「核酸カセット」は、一緒に発現されるか、または発現のために動作可能に連結される核酸配列または要素の組み合わせを指すために一般的に交換可能に使用される。場合によっては、発現カセットは、調節エレメント、およびそれらが発現のために動作可能に連結されている遺伝子または複数の遺伝子の組み合わせを指す。
【0105】
DNAまたはタンパク質配列の「機能的断片」とは一般に、完全長DNAまたはタンパク質配列の生物学的活性に実質的に類似する生物学的活性(機能的または構造的のいずれか)を保持する断片を指す。DNA配列の生物学的活性は、完全長配列に起因することが知られている方法で発現に影響を及ぼすその能力であり得る。
【0106】
本明細書で使用されるように、「操作された」物体は一般に、その物体がヒトの介入によって改変されたことを示す。非限定的な例によると、核酸は、その配列を、自然界に存在しない配列に変えることによって修飾されてもよい。核酸は、自然界では会合しない核酸にライゲーションすることで修飾されてもよく、ライゲーションした生成物が元の核酸に存在しない機能を有するようになる。操作された核酸は、自然界に存在しない配列でインビトロで合成されてもよい。タンパク質は、そのアミノ酸配列を、自然界に存在しない配列に変えることによって、修飾されてもよい。操作されたタンパク質は、新しい機能または特性を獲得することがある。「操作された」系は、少なくとも1つの操作された成分を含んでいる。
【0107】
本明細書で使用されるように、「合成」および「人工」は、天然に存在するヒトタンパク質に対して低い配列同一性(例えば、50%未満の配列同一性、25%未満の配列同一性、10%未満の配列同一性、5%未満の配列同一性、1%未満の配列同一性)を有するタンパク質またはそのドメインを指すために交換可能に使用される。例えば、VPRおよびVP64ドメインは、合成のトランス活性化ドメインである。
【0108】
「tracrRNA」または「tracr配列」という用語は一般に、本明細書で使用されるように、野生型の例示的なtracrRNA配列(例えば、S.pyogenes S.aureusなど、または配列番号:*_*からのtracrRNA)に対して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%の配列同一性および/または配列類似性を有する核酸を指すことができる。tracrRNAは、野生型の例示的なtracrRNA配列(例えば、S.pyogenes S.aureusなどに由来するtracrRNAなど)に対して最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の配列同一性および/または配列類似性を有する核酸を指すことができる。tracrRNAは、欠失、挿入、または置換、変異、突然変異、またはキメラなどのヌクレオチド変化を含むことができるtracrRNAの修飾形態を指してもよい。tracrRNAは、少なくとも6個の連続するヌクレオチドのストレッチにわたって、野生型の例示的なtracrRNA(例えば、S.pyogenes S.aureusなどに由来するtracrRNAなど)配列に対して少なくとも約60%同一であり得る核酸を指してもよい。例えば、tracrRNA配列は、少なくとも6個の連続するヌクレオチドのストレッチにわたって野生型の例示的なtracrRNA(例えば、化膿性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などに由来するtracrRNA)配列に対して少なくとも約60%同一、少なくとも約65%同一、少なくとも約70%同一、少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約98%同一、少なくとも約99%同一、または100%同一であり得る。タイプIIのtracrRNA配列は、隣接するCRISPRアレイの反復配列の一部と相補性を有する領域を同定することにより、ゲノム配列上で予測することができる。
【0109】
本明細書で使用されるように、「ガイド核酸」は一般に、別の核酸にハイブリダイズし得る核酸を指すことができる。ガイド核酸はRNAであってもよい。ガイド核酸はDNAであってもよい。ガイド核酸は核酸の配列に部位特異的に結合するようにプログラムされていてもよい。標的とする核酸、すなわち、標的核酸は、ヌクレオチドを含んでもよい。ガイド核酸はヌクレオチドを含んでもよい。標的核酸の一部はガイド核酸の一部に相補的であってもよい。ガイド核酸に相補的であり、ガイド核酸とハイブリダイズする二本鎖の標的ポリヌクレオチドの鎖を、相補鎖と呼ぶことがある。相補鎖に相補的であり、したがってガイド核酸に相補的ではない可能性のある二本鎖標的ポリヌクレオチドの鎖を、非相補鎖と呼ぶことがある。ガイド核酸はポリヌクレオチド鎖を含んでもよく、「シングルガイド核酸」と呼ばれることがある。ガイド核酸は2つのポリヌクレオチド鎖を含んでも良く、「ダブルガイド核酸」と呼ばれることがある。特に指定がない限り、「ガイド核酸」という用語は、シングルガイド核酸およびダブルガイド核酸の両方を指す、包括的なものであってもよい。ガイド核酸は、「核酸標的化セグメント」または「核酸標的化配列」と呼ぶことができるセグメントを含んでもよい。核酸標的化セグメントは、「タンパク質結合セグメント」または「タンパク質結合配列」または「Casタンパク質結合セグメント」と呼ぶことがあるサブセグメントを含んでもよい。
【0110】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」または「パーセント同一性」という用語は一般に、配列比較アルゴリズムを使用して測定されるように、局所的または全体的な比較ウインドウにわたって最大の対応について比較しておよび整列させたときに、同じであるか、または同じであるアミノ酸残基または核酸を特定の割合で有する2つの(例えば、ペアワイズアライメントにおいて)または複数の(例えば、多重配列アライメントにおいて)配列を指す。ポリペプチド配列の好適な配列比較アルゴリズムとしては、例えば、ワード長(W)が3、期待値(E)が10、および、イグジステンス11、エクステンション1でのギャップコストを設定するBLOSUM62スコアリングマトリックスのパラメータを使用して、および30残基よりも長いポリペプチド配列の条件付き構成スコアマトリックス調整を使用するBLASTP、ワード長(W)が2、期待値(E)が1000000、30残基未満の配列に対して、ギャップを開くギャップコストを9、ギャップを拡張するギャップコストを1に設定するPAM30スコアリングマトリックスを使用するBLASTP(これらは、https://blast.ncbi.nlm.nih.govで入手可能なBLAST一式のBLASTPのデフォルトパラメータである)、マッチ2、ミスマッチ-1、およびギャップ-1のスミス-ウォーターマン相同性検索アルゴリズムのパラメータを使用するCLUSTALW、デフォルトのパラメータを使用するMUSCLE、retree:2、maxiterations:1000のパラメータを使用するMAFFT、デフォルトのパラメータを使用するNovafold、デフォルトのパラメータHMMER hmmalignが挙げられる。
【0111】
本明細書で使用されるように、「RuvC_IIIドメイン」という用語は一般に、RuvCエンドヌクレアーゼドメイン(RuvCヌクレアーゼドメインは、RuvC_I、RuvC_II、およびRuvC_IIIという3つの不連続なセグメントで構成される)の第3の不連続セグメントを指す。RuvCドメインまたはそのセグメントは一般に、既知のドメイン配列へのアラインメント、注釈付きドメインを有するタンパク質への構造的アラインメント、または既知のドメイン配列に基づいて構築された隠れマルコフモデル(HMM)(例えば、RuvC_IIIに対するPfam HMM PF18541)との比較によって特定することができる。
【0112】
本明細書で使用されるように、「HNHドメイン」という用語は一般に、特徴的なヒスチジンおよびアスパラギン残基を有するエンドヌクレアーゼドメインを指す。HNHドメインは一般に、既知のドメイン配列へのアラインメント、注釈付きドメインを有するタンパク質への構造的アラインメント、または既知のドメイン配列に基づいて構築された隠れマルコフモデル(HMM)との比較(例えば、ドメインHNHに対するPfam HMM PF01844)により特定することができる。
【0113】
本明細書で使用されるように、「塩基エディター」という用語は一般に、二本鎖切断の生成および修復を必要とすることなく、1つの標的塩基または塩基対を別のものに変換する(例えば、A:TからG:C、C:GからT:A)触媒する酵素を指す。いくつかの実施形態では、塩基エディターはデアミナーゼである。
【0114】
本明細書で使用されるように、「デアミナーゼ」という用語は一般に、脱アミノ化反応を触媒するタンパク質または酵素を指す。いくつかの実施形態では、デアミナーゼは、アデニンまたはアデノシンの加水分解的脱アミノ化を触媒するアデノシンデアミナーゼである(例えば、DNA中のアデノシンを脱アミノ化する操作されたアデノシンデアミナーゼ)。いくつかの実施形態では、デアミナーゼまたはデアミナーゼドメインは、シチジン(またはシトシン)あるいはデオキシシチジンの、ウリジン(またはウラシル)あるいはデオキシウリジンへの加水分解的脱アミノ化をそれぞれ触媒する、シチジン(またはシトシン)デアミナーゼである。いくつかの実施形態では、デアミナーゼまたはデアミナーゼドメインは、シトシン(またはシトシン)の、ウラシル(またはウリジン)への加水分解的脱アミノ化を触媒する、シチジン(またはシトシン)デアミナーゼドメインである。いくつかの実施形態では、デアミナーゼまたはデアミナーゼドメインは、生物、例えば、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、サル、ウシ、イヌ、ラット、マウス、または細菌(例えば、大腸菌)由来の天然に存在するデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、デアミナーゼまたはデアミナーゼドメインは、自然界に存在しない生物由来のデアミナーゼの変異体である。
【0115】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「最適に整列された」という用語は一般に、例えば、最高または「最適化された」パーセント同一性スコアをもたらす整列によって決定されるように、アミノ酸残基またはヌクレオチドの最大限の対応関係に整列した2つの(例えば、ペアワイズアラインメントで)またはそれ以上の(例えば、多重配列アラインメントで)配列を指す。
【0116】
1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する、本明細書に記載される酵素のいずれかの変異体変種が本開示に含まれている。そのような保存的置換は、ポリペプチドの三次元構造または機能を破壊することなく、ポリペプチドのアミノ酸配列において行われ得る。保存的置換は、互いに類似する疎水性、極性、およびR鎖長を持つアミノ酸を置換することにより達成することができる。さらにまたは代替的に、異なる種からの相同タンパク質の整列させた配列を比較することにより、保存的置換は、コードされたタンパク質の基本機能を変えることなく、種間で変異したアミノ酸残基(例えば、保存されていない残基)の位置を突き止めることにより特定され得る。このような保存的に置換された変異体は、本明細書に記載されるエンドヌクレアーゼタンパク質配列のいずれか1つに対して少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の同一性を有する変異体を含み得る。いくつかの実施形態では、そのような保存的に置換された変異体は、機能的変異体である。そのような機能的変異体は、エンドヌクレアーゼの1つ以上の重要な活性部位残基またはガイドRNA結合残基の活性が破壊されないような置換を有する配列を包含することができる。
【0117】
本開示には、酵素の活性を減少または除去するために1つ以上の触媒残基の置換を有する本明細書に記載される酵素のいずれかの変異体(例えば、活性低下型変異体)も含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるタンパク質としての活性低下型変異体は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべての触媒残基の破壊的置換を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるエンドヌクレアーゼのいずれかは、ニッカーゼ変異を含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるエンドヌクレアーゼのいずれかは、ヌクレアーゼ活性を欠くRuvCドメインを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるエンドヌクレアーゼのいずれかは、二本鎖標的デオキシリボ核酸の一方の鎖を切断するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるエンドヌクレアーゼのいずれかは、エンドヌクレアーゼ活性を欠くか、または触媒的に死滅するように構成され得る。
【0118】
機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は、様々な文献から入手可能である(例えば、Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W H Freeman & Co.; 2nd Edition (December 1993))を参照。以下の8つのグループは、それぞれ互いに保存的な置換であるアミノ酸を含んでいる。
1)アラニン(A)、グリシン(G)、
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)、リジン(K)、
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、
7)セリン(S)、トレオニン(T)、および、
8)システイン(C)、メチオニン(M)
【0119】
概要
【0120】
固有の機能性および構造を有する新しいCas酵素の発見は、デオキシリボ核酸(DNA)編集技術をさらに破壊し、速度、特異性、機能性、および使いやすさを改善する可能性を提供することができる。微生物およびまさに多種多様な微生物種におけるCRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)(クラスター化され、規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し)系の普及が予測されるなか、文献には機能的に特徴づけられたCRISPR/Cas酵素は比較的少ない。これは、膨大な数の微生物種が実験室での培養が容易ではないことも理由の一つである。多くの微生物種を代表する自然環境ニッチからのメタゲノム配列決定により、新たなCRISPR/Cas系の既知数が飛躍的に増加し、新たなオリゴヌクレオチド編集機能の発見を加速する可能性がある。このようなアプローチの有用性を示す最近の例は、2016年に天然微生物群集のメタゲノム解析からCasX/CasY CRISPR系が発見されたことである。
【0121】
CRISPR/Cas系は、微生物における適応免疫系として機能することが記載されているRNA指向性ヌクレアーゼ複合体である。その自然の文脈では、CRISPR/Casシステムは、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)オペロンまたは遺伝子座で起こり、これは一般に2つの部分、(i)RNAベースの標的化エレメントをコードする、同じく短いスペーサー配列で区切られた短い反復配列(30~40bp)のアレイ、および、(ii)アクセサリータンパク質/酵素と一緒にRNAベースの標的化エレメントによって指向されるヌクレアーゼポリペプチドをコードするCasをコードするORFを含む。特定の標的核酸配列の効率的なヌクレアーゼ標的化は一般に、(i)標的の最初の6~8個の核酸(標的シード)とcrRNAガイドとの間の相補的なハイブリダイゼーション、および、(ii)標的シードの定義された近傍にプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列が存在すること(PAMは通常、宿主ゲノム内で一般的に表されない配列である)の両方を必要とする。系の正確な機能と組織に応じて、CRISPR-Cas系は一般的に、共有の機能的特徴と進化的類似性に基づいて、2つのクラス、5つのタイプ、および16のサブタイプに整理されている(図1参照)。
【0122】
クラスI CRISPR-Cas系は、大型マルチサブユニットエフェクター複合体を有し、I、III、およびIタイプVを含む。
【0123】
タイプIのCRISPR-Cas系は、成分の点で中程度の複雑さを有すると考えられる。タイプIのCRISPR-Cas系では、RNA標的化エレメントのアレイは、長い前駆体crRNA(プレcrRNA)として転写され、これは、リピートエレメントで処理されることで、短い成熟したcrRNAを遊離させ、crRNAはプロトスペーサー-隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる適切な短いコンセンサス配列が後に続くときに、ヌクレアーゼ複合体を核酸標的に向ける。この処理は、カスケードと呼ばれる大型エンドヌクレアーゼ複合体のエンドリボヌクレアーゼサブユニット(Cas6)を介して生じ、この複合体は、crRNA指向性ヌクレアーゼ複合体のヌクレアーゼ(Cas3)タンパク質成分も含んでいる。Cas Iヌクレアーゼは主にDNAヌクレアーゼとして機能する。
【0124】
タイプIIIのCRISPR系は、CsmまたはCmrタンパク質サブユニットを含むリピート関連ミステリアスタンパク質(RAMP)と並んで、Cas10として知られる中央ヌクレアーゼの存在によって特徴付けられることがある。タイプIの系と同様に、成熟crRNAはCas6様酵素を用いてプレcrRNAから処理される。タイプIおよびタイプIIの系とは異なり、IタイプIIの系は、DNA-RNA二重鎖(RNAポリメラーゼの鋳型として使用されているDNA鎖など)を標的として切断すると思われる。
【0125】
タイプIVのCRISPR-Cas系は、高度に減少した大型サブユニットヌクレアーゼ(csf1)、Cas5(csf3)とCas7(csf2)の基のRAMPタンパク質に対する2つの遺伝子、および、場合によっては予測される小さなサブユニットに対する遺伝子からなるエフェクター複合体を有し、このような系は一般的に内因性プラスミド上に存在する。
【0126】
タイプIIのCRISPR-Cas系は一般に、単一ポリペプチドマルチドメインヌクレアーゼエフェクターを有し、タイプII、タイプV、およびタイプVIを含む。
【0127】
タイプIIのCRISPR-Cas系は成分の点で最も単純であると考えられている。タイプIIのCRISPR-Cas系では、CRISPRアレイの成熟crRNAへの処理は、特別なエンドヌクレアーゼサブユニットの存在を必要とせず、むしろアレイ反復配列に相補的な領域を有する小さなトランスコードされたcrRNA(tracrRNA)を必要とする。tracrRNAは、対応するエフェクターヌクレアーゼ(Cas9など)および反復配列の両方と相互作用して前駆体dsRNA構造を形成し、これは内因性RNAse IIIによって切断されることで、tracrRNAとcrRNAの両方を負荷した成熟エフェクター酵素が生成される。Cas IIヌクレアーゼは、DNAヌクレアーゼとして知られている。タイプ2のエフェクターは一般に、RNase Hフォールドを採用したRuvC様エンドヌクレアーゼドメインと、RuvC様ヌクレアーゼドメインのフォールド内に挿入された挿入された無関係なHNHヌクレアーゼドメインからなる構造を示す。RuvC様ドメインは標的(例えば、crRNAの相補体)DNA鎖の切断を担い、HNHドメインは変位したDNA鎖の切断を担う。
【0128】
タイプVのCRISPR-Cas系は、RuvC様ドメインを含むタイプIIのエフェクターと同様のヌクレアーゼエフェクター(例えば、Cas12)構造を特徴とする。タイプIIと同様に、ほとんどの(すべてではないが)タイプVのCRISPR系は、プレcrRNAを成熟crRNAへと処理するためにtracrRNAを使用する。しかしながら、プレcrRNAを切断して複数のcrRNAにするためにRNAse IIIを必要とするタイプIIの系とは異なり、タイプVの系はプレcrRNAを切断するためにエフェクターヌクレアーゼ自体を使用することができる。タイプIIのCRISPR-Cas系のように、タイプVのCRISPR-Cas系は再度、DNAヌクレアーゼとして知られている。タイプIIのCRISPR-Cas系とは異なり、いくつかのタイプVの酵素(例えば、Cas12a)は、二本鎖標的配列の最初のcrRNA指向切断によって活性化される強固な一本鎖非特異的デオキシリボヌクレアーゼ活性を有すると思われる。
【0129】
タイプVIのCRIPSR-Cas系は、RNAガイドされたRNAエンドヌクレアーゼを有する。RuvC様ドメインの代わりに、タイプVIの系の単一ポリペプチドエフェクター(例えば、Cas13)は、2つのHEPNリボヌクレアーゼドメインを含む。タイプIIおよびタイプVの系とは異なり、タイプVIの系も、プレcrRNAをcrRNAへと処理するためにtracrRNAを必要としないと思われる。しかしながら、タイプVの系と同様に、いくつかのタイプVIの系(例えば、C2C2)は、標的RNAの最初のcrRNA指向性切断によって活性化される強固な一本鎖非特異的ヌクレアーゼ(リボヌクレアーゼ)活性を有すると思われる。
【0130】
より単純なアーキテクチャであることから、クラスII CRISPR-Casは、デザイナーヌクレアーゼ/ゲノム編集用途としての操作および開発のために最も広く採用されている。
【0131】
インビトロでの使用のためのこのような系の初期の適応の1つは、Jinekら(Science. 2012 Aug 17;337(6096):816-21。参照により本明細書に完全に組み込まれる)で見つけることができる。Jinekの研究は、最初に、(i)化膿性連鎖球菌SF370から単離した組換え発現した、精製された完全長Cas9(例えば、クラスII、タイプIIのCas酵素)、(ii)切断される標的DNA配列に相補的な約20ntの5’配列と、その後の3’tracr結合配列とを有する精製された成熟した約42nt crRNA(全crRNAは合成DNA鋳型からインビトロ転写されている)、(iii)T7プロモーター配列を運ぶ合成DNA鋳型からインビトロ転写された精製されたtracrRNA、および、(iv)Mg2+を含んでいた系を記載した。Jinekは後に、(ii)のcrRNAがリンカー(例えば、GAAA)によって(iii)の5’末端に結合されて、それ自体でCas9を標的に導くことができる単一の融合合成ガイドRNAsgRNA)を形成する、改良型の操作された系を記載した。
【0132】
参照により本明細書に完全に組み込まれるMaliら(Science.2013 Feb 15; 339(6121):823-826.)はその後、以下、(i)C末端核局在化配列(例えば、SV40 NLS)および適切なポリアデニル化シグナル(例えば、TK pAシグナル)を有する適切な哺乳動物プロモーター下でコドン最適化Cas9(例えば、クラスII、タイプIIのCas酵素)をコードするORF、および、(ii)適切なポリメラーゼIIIプロモーター(例えば、U6プロモーター)下で、sgRNAをコードするORF(Gで始まる5’配列と、その後の、3’tracr結合配列、リンカー、およびtracrRNA配列に連結した20ntの相補的標的核酸配列とを有する)をコードするDNAベクターを提供することにより、哺乳動物細胞で使用するためにこの系を適合させた。
【0133】
塩基編集
【0134】
塩基編集とは、二本鎖切断の生成と修復を必要とすることなく、ある標的塩基または塩基対を別のものに変換することである(例えば、A:TからG:C、C:GからT:A)。塩基編集は、DNAまたはRNAのいずれかにおいて、特定の部位に点変異を導入することを可能にするDNAおよびRNA塩基エディターの助けを借りて達成され得る。一般に、DNA塩基エディターは、触媒的に不活性なヌクレアーゼと、一本鎖DNA(ssDNA)にのみ作用する触媒的に活性な塩基修飾酵素の融合体を含み得る。RNA塩基エディターは、同様のRNA特異的な酵素で構成され得る。塩基編集は、DNAのオフターゲットおよびランダムな変異を減少させつつ、遺伝子修飾の効率を増加させることができる。
【0135】
DNA塩基エディターは、細胞や生物における一塩基置換のためのツールとして機能する、操作されたリボ核タンパク質複合体である。この複合体は、塩基修飾酵素と、dsDNAを切断することはできないが、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に依存的なやり方でdsDNAを展開することができる触媒的に欠損したCas変異体とを融合することによって作成することができ、ガイドRNAがssDNA切断部位を示すためにその補完ターゲットを見つけることができるようにする。ガイドRNAは相補的なDNAにアニールし、ssDNAの断片をずらし、Casの「はさみ」を塩基修飾部位に向かわせる。細胞修復機構は、相補的な編集鋳型からの情報を用いて、切れ目の入った非編集鎖を修復する。
【0136】
これまで、2種類のDNAエディター、シトシン塩基エディター(CBE)とアデニン塩基エディター(ABE)が開発されている。これらは、オフターゲットDNA編集を最小限に抑えつつ、DNAの点変異を効率的かつ正確に編集することが示された(Nat Biotechnol. 2017;35:435-437, Nat Biotechnol. 2017;35:438-440、およびNat Biotechnol. 2017;35:475-480を参照。上記文献の各々は参照により完全に本明細書に組み込まれる)。しかしながら、最近の知見は、オフターゲット修飾がDNAに存在し、多くのオフターゲット修飾がDNA塩基エディターによってRNAにも導入されることを示している。
【0137】
MG塩基エディター
【0138】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、(a)RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、(b)エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、(c)エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。場合によっては、RuvCドメインは、ヌクレアーゼ活性を欠いている。場合によっては、エンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む。場合によっては、エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。場合によっては、エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列は、tracr配列を含む。
【0139】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、(a)配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。場合によっては、エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列は、tracr配列を含む。場合によっては、RuvCドメインは、ヌクレアーゼ活性を欠いている。場合によっては、エンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む。場合によっては、エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。
【0140】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、(a)配列番号360~368または598のいずれか1つを含む、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成されたエンドヌクレアーゼであって、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、(b)エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、(c)エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造であって、(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造とを含む。場合によっては、エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列は、tracr配列を含む。場合によっては、エンドヌクレアーゼは、ニッカーゼ変異を含む。場合によっては、RuvCドメインは、ヌクレアーゼ活性を欠いている。場合によっては、エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。
【0141】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼに対して80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼはHNHドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、tracrリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体から選択される約60~90個の連続したヌクレオチドに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、tracrリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体の非縮重ヌクレオチドに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0142】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集系を提供し、前記操作された核酸編集系は、(a)操作されたガイドリボ核酸構造であって、前記操作されたガイドリボ核酸構造が、(i)標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、および、(ii)エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたtracrリボ核酸配列を含み、tracrリボ核酸配列が、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体の非縮重ヌクレオチドに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、操作されたガイドリボ核酸構造に結合するように構成されたクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼと、を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは配列番号360、362、または368のいずれか1つを含むプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはアデニンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、57、385~443、448~475、または595あるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはシトシンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447、594、または58~66のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系は、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、操作されたガイドリボ核酸構造は、少なくとも2つのリボ核酸ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、操作されたガイドリボ核酸構造は、ガイドリボ核酸配列とtracrリボ核酸配列とを含む1つのリボ核酸ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ガイドリボ核酸配列は、原核生物、細菌、古細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、またはヒトのゲノム配列に相補的である。いくつかの実施形態では、ガイドリボ核酸配列は、15~24ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)を含む。
【0146】
NLSは、以下の表1の配列のいずれか、またはその組み合わせを含むことができる。
【0147】
【表1】
【0148】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される酵素またはドメインのいずれかを連結するリンカーは、SGGSSGGSSGSETPGTSESATPESSGGSSGGS、SGSETPGTSESATPESA、GSGGS、SGSETPGTSESATPES、SGGSS、またはGAAA、あるいは本明細書に記載される任意の他のリンカー配列に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列の1つまたは複数のコピーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドはエンドヌクレアーゼと塩基エディターを含む。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは二本鎖標的のデオキシリボ核酸の1つの鎖を切断するように構成される。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、システムは、Mg2+の供給源をさらに含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号70またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号88の少なくとも1つに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号360を含むPAMに結合するように構成される。
【0150】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号71またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号89の少なくとも1つに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号361を含むPAMに結合するように構成される。
【0151】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号73またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号91の少なくとも1つに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号363を含むPAMに結合するように構成される。
【0152】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号75またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号93の少なくとも1つに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号365を含むPAMに結合するように構成される。
【0153】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号76またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号94の少なくとも1つに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号366を含むPAMに結合するように構成される。
【0154】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号77またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号95の少なくとも1つに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号367を含むPAMに結合するように構成される。
【0155】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号78またはその変異体に対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、ガイドRNA構造は、配列番号96の少なくとも1つに対して少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%同一である配列を含み、エンドヌクレアーゼは、配列番号368を含むPAMに結合するように構成される。
【0156】
いくつかの実施形態では、塩基エディターはアデニンデアミナーゼを含む。いくつかの実施形態では、アデニンデアミナーゼは、配列番号57またはその変異体を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはシトシンデアミナーゼを含む。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号58またはその変異体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される操作された核酸編集系は、ウラシルDNAグリコシル化阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、ウラシルDNAグリコシル化阻害剤は、配列番号67またはその変異体を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、配列同一性は、BLASTP、CLUSTALW、MUSCLE、MAFFT、またはSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。いくつかの実施形態では、配列同一性は、3のワード長(W)、10の期待値(E)、およびイグジステンス11、エクステンション1でのギャップコストを設定するBLOSUM62スコアリングマトリックスのパラメータを使用して、および条件付き構成スコアマトリックス調整を使用する前記BLASTP相同性検索アルゴリズムによって決定される。
【0158】
いくつかの態様において、本開示は、生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸を提供し、核酸は、塩基エディターに連結したクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼをコードし、エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。
【0159】
いくつかの態様において、本開示は、生物における発現のために最適化された操作された核酸配列を含む核酸を提供し、核酸は、塩基エディターに連結した配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼをコードする。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、前記エンドヌクレアーゼのN末端またはC末端に近接する1つ以上の核局在化配列(NLS)をコードする配列を含んでいる。いくつかの実施形態では、生物は、原核生物、細菌、真核生物、真菌、植物、哺乳動物、げっ歯類、またはヒトである。
【0160】
いくつかの態様において、本開示は、塩基エディターに連結されたクラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼをコードする核酸配列を含むベクターを提供し、前記エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、ベクターは本明細書に記載される核酸を含む。いくつかの実施形態では、ベクターはさらに、エンドヌクレアーゼと複合体を形成するように構成された、操作されたガイドリボ核酸構造をコードする核酸を含み、操作されたガイドリボ核酸構造は、標的のデオキシリボ核酸配列にハイブリダイズするように構成されたガイドリボ核酸配列、およびエンドヌクレアーゼに結合するように構成されたtracrリボ核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、プラスミド、ミニサークル、CELiD、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のビリオン、またはレンチウイルスである。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載されるベクターを含む細胞を提供する。いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される細胞を培養する工程を含む、エンドヌクレアーゼを製造する方法を提供する。
【0161】
いくつかの態様では、本開示は、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを改変するための方法を提供し、上記方法は、複合体に二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを接触させる工程を含み、前記複合体は、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、RuvCドメインはヌクレアーゼ活性を欠いている、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、エンドヌクレアーゼおよび二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドに結合するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造であって、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドがプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含む、操作されたガイドリボ核酸構造と、を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼは、塩基エディターに直接共有結合されるか、リンカーを介して塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0163】
いくつかの態様では、本開示は、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを改変するための方法を提供し、上記方法は、複合体に二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドを接触させる工程を含み、前記複合体は、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、エンドヌクレアーゼおよび二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドに結合するように構成された操作されたガイドリボ核酸構造とを含み、ここで、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を含み、PAMは配列番号360~368または598、あるいはその変異体からなる群から選択された配列を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、塩基エディターに共有結合されるか、リンカーを介して塩基エディターに共有結合される。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、配列番号1~51、57~66、385~443、444~475、または594~595から選択される配列あるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはアデニンデアミナーゼを含み、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはアデニンを含み、および、二本鎖デオキシリボ核酸ポリペプチドの改変は、アデニンをグアニンに変換することを含む。いくつかの実施形態では、アデニンデアミナーゼは、配列番号57またはその変異体に対して少なくとも約95%の同一性を有する配列を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、塩基エディターはシトシンデアミナーゼを含み、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドはシトシンを含み、および、二本鎖デオキシリボ核酸ポリペプチドの改変は、シトシンをウラシルに変換することを含む。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号58またはその変異体に対して少なくとも約95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号59~66のいずれか1つまたはその変異体に対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、複合体は、ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記ウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤は、配列番号52~56または配列番号67のいずれか1つあるいはその変異体に対して少なくとも70%、80%、90%、または95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、操作されたガイドリボ核酸構造の配列に相補的な配列を含む第1の鎖と、前記PAMを含む第2の鎖とを含む。いくつかの実施形態では、PAMは、操作されたガイドリボ核酸構造の配列に相補的な配列の3’末端に直接隣接する。
【0167】
いくつかの実施形態では、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、Cas9エンドヌクレアーゼ、Cas14エンドヌクレアーゼ、Cas12aエンドヌクレアーゼ、Cas12bエンドヌクレアーゼ、Cas12cエンドヌクレアーゼ、Cas12dエンドヌクレアーゼ、Cas12eエンドヌクレアーゼ、Cas13aエンドヌクレアーゼ、Cas13bエンドヌクレアーゼ、Cas13cエンドヌクレアーゼ、またはCas13dエンドヌクレアーゼではない。いくつかの実施形態では、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼは、未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドは、真核生物、植物、真菌、哺乳動物、げっ歯類、またはヒト二本鎖デオキシリボ核酸ポリヌクレオチドである。
【0168】
いくつかの態様において、本開示は、標的核酸遺伝子座を改変する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載される操作された核酸編集系を前記標的核酸遺伝子座に送達する工程を含み、エンドヌクレアーゼは、操作されたガイドリボ核酸構造と複合体を形成するように構成され、複合体は、標的核酸遺伝子座に結合すると、標的核酸遺伝子座のヌクレオチドを改変するように構成される。
【0169】
いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系は、アデニンデアミナーゼを含み、ヌクレオチドはアデニンであり、標的核酸遺伝子座を改変することは、アデニンをグアニンに変換することを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系は、シチジンデアミナーゼおよびウラシルDNAグリコシラーゼ阻害剤を含み、ヌクレオチドはシトシンであり、標的核酸遺伝子座を改変することは、アデニンをウラシルに変換することを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸遺伝子座は、ゲノムDNA、ウイルスDNA、または細菌DNAを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸遺伝子座は、インビトロである。いくつかの実施形態では、標的核酸遺伝子座は、細胞内にある。いくつかの実施形態では、細胞は、原核細胞、細菌細胞、真核細胞、真菌細胞、植物細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、霊長類細胞、またはヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は動物内にある。
【0170】
いくつかの実施形態では、細胞は蝸牛内にある。いくつかの実施形態では、細胞は胚内にある。いくつかの実施形態では、胚は2細胞胚である。いくつかの実施形態では、胚はマウス胚である。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、本明細書に記載される核酸または本明細書に記載されるベクターを送達することを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を送達することを含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、核酸は、エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームが動作可能に連結されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、エンドヌクレアーゼをコードするオープンリーディングフレームを含むキャップされたmRNAを送達することを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、翻訳されたポリペプチドを送達することを含む。いくつかの実施形態では、操作された核酸編集系を標的核酸遺伝子座に送達する工程は、リボ核酸(RNA)ポリIIIプロモーターに動作可能に連結された操作されたガイドリボ核酸構造をコードするデオキシリボ核酸(DNA)を送達することを含む。
【0172】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、操作された核酸編集ポリペプチドは、RuvCドメインとHNHドメインとを含むエンドヌクレアーゼであって、エンドヌクレアーゼが未培養の微生物に由来し、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼを含む。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0173】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、操作された核酸編集ポリペプチドは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するエンドヌクレアーゼであって、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。
【0174】
いくつかの態様において、本開示は、操作された核酸編集ポリペプチドを提供し、操作された核酸編集ポリペプチドは、配列番号360~368または598のいずれか1つを含む、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に結合するように構成されたエンドヌクレアーゼであって、エンドヌクレアーゼが、クラス2、タイプIIのCasエンドヌクレアーゼであり、前記エンドヌクレアーゼがヌクレアーゼ活性が欠けるように構成される、エンドヌクレアーゼと、エンドヌクレアーゼに連結された塩基エディターと、を含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは未培養の微生物に由来する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼはCas9エンドヌクレアーゼに対して80%未満の同一性を有する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼはHNHドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体から選択される約60~90個の連続したヌクレオチドに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼに結合するように構成されたリボ核酸配列は、配列番号88~96または488~489のいずれか1つあるいはその変異体の非縮重ヌクレオチドに対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターは、配列番号70~78または597のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはアデニンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、アデノシンデアミナーゼは、配列番号50~51、57、385~443、448~475、または595のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、塩基エディターはシトシンデアミナーゼである。いくつかの実施形態では、シトシンデアミナーゼは、配列番号1~49、444~447、594、または58~66のいずれか1つあるいはその変異体に対して、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0176】
本開示の系は、例えば、核酸編集(例えば、遺伝子編集)、核酸分子への結合(例えば、配列特異的結合)などの様々な用途に使用され得る。そのような系は、例えば、対象の疾患を引き起こし得る遺伝的に受け継がれた変異に対処(例えば、除去または置換)するために、細胞におけるその機能を確認するべく遺伝子を不活性化するために、疾患を引き起こす遺伝要素を検出する診断ツールとして(例えば、逆転写したウイルスRNA、または疾患を引き起こす変異をコードする増幅DNA配列の切断を介して)、特定のヌクレオチド配列(例えば、抗生物質耐性を細菌にコードする配列)を標的として検出するためのプローブと組み合わせた不活性化酵素として、ウイルスゲノムを標的とすることによってウイルスを不活性化するか、宿主細胞に感染できないようにするために、遺伝子を追加するか、代謝経路を修正することで価値ある低分子、高分子、または二次代謝産物を生成するように生物を操作するために、進化的選択のための遺伝子駆動要素を確立するために、バイオセンサーとして外来低分子やヌクレオチドによる細胞障害を検出するために、使用することができる。
【0177】
【表2-1】
【0178】
【表2-2】
【0179】
【表2-3】
【実施例
【0180】
実施例1.-塩基エディターのためのプラスミド構成
塩基編集を標的とするためにCRISPR機能を利用する塩基編集酵素を作成するために、Casエフェクター酵素を、様々な構成で、本明細書に記載される例示的なデアミナーゼに融合した。このプロセスは、融合酵素の生成に適切なベクターを構築する第一段階を含んでいた。2つのエントリープラスミドベクター、MGA、およびMGCをまず構築した。
【0181】
T7プロモーターHisタグ-TadA*(ABE8.17m)-SV40 NLSを含むMGA(Metagenomiのアデニン塩基エディター)エントリープラスミドを構築するために、pAL6から3つのDNA断片を増幅した。T7プロモーター-Hisタグ-APOBEC1(BE3)-UGI-SV40 NLSを含むMGC(Metagenomiのシトシン塩基エディター)エントリープラスミドを構築するために、pAL9からAPOBEC1とUGI-SV40 NLSを増幅し、pAL6からベクターバックボーンの2つのピースを増幅した(図3参照)。
【0182】
エフェクターに変異を導入するために、MG1-4、MG1-6、MG3-6、MG3-7、MG3-8、MG4-5、MG14-1、MG15-1、またはMG18-1のエフェクター遺伝子配列を含むソースプラスミドを、適切な変異を組み込んだフォワードプライマーとリバースプライマーを有するQ5 DNAポリメラーゼによって増幅した。その後、直鎖DNA断片をリン酸化し、ライゲーションした。DNA鋳型は、製造元の説明書に従って、KLD Enzyme Mix(New England Biolabs)を用いて、DpnIで消化された。
【0183】
pMGAおよびpMGC発現プラスミドを生成するために、変異エフェクターを運ぶプラスミドから遺伝子を増幅し、それぞれXhoI部位とSacII部位を介してMGAとMGCのエントリープラスミドにクローニングした。T7プロモーター-sgRNA-双方向性ターミネーターを含むsgRNA発現カセットをBE発現プラスミドにクローニングするために、1セットのプライマー(フォワードプライマーとしてP366)を用いてT7プロモーター-スペーサー配列を増幅する一方で、別のプライマーセット(リバースプライマーとしてP367)を用いてスペーサー配列-sgRNA足場-双方向性ターミネーターを増幅し、pTCMプラスミドは鋳型として使用された(図2参照)。この2つの断片を、XbaI部位を介してpMGAとpMGCに組み入れ、それぞれpMGA-sgRNAとpMGC-sgRNAが得られた。
【0184】
【表3-1】
【0185】
【表3-2】
【0186】
すべての増幅DNA断片をQIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)により精製し、NEBuilder HiFi DNA Assembly(New England Biolabs)を介して組み立て、得られた集合体を製造元の説明書に従ってEndura Electrocompetent cell(Lucergen)を介して増殖させた(図4および5参照)。すべてのクローニングした遺伝子のDNA配列は、ELIM BIOPHARMで確認された。
【0187】
【表4】
【0188】
実施例2.-タンパク質の発現および精製
【0189】
上記実施例1に記載されるそれぞれのプラスミドの各々で形質転換することにより、pMGAおよびpMGCプラスミド中のT7プロモーター駆動変異エフェクター遺伝子を、製造元の説明書(Thermo)に従って、Magic Media中の大腸菌BL21(DE3)細胞中で発現させた。16℃で40時間インキュベートした後、形質転換細胞を収集し、溶解バッファー(HisTrap 平衡バッファー:20mMのトリス(Sigma T2319-100 ML)、300mMの塩化ナトリウム(VWR VWRVE529-500 ML)、5%グリセロール、10mMのMgCl、10mMイミダゾール(Sigma 68268-100 ML-F)、pH7.5)、およびEDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤(Pierce))に懸濁し、-80℃の冷凍庫内で冷凍した。その後、親和性精製の前に、細胞を氷上で解凍し、超音波処理し、清澄化し、および濾過した。製造元の仕様に従って、タンパク質をAkta Avant FPLC上のCytiva 5 ml HisTrap FFカラムに適用し、20mMのトリス(Sigma T2319-100 ML)、300mMの塩化ナトリウム(VWR VWRVE529-500 ML)、5%グリセロール、10mMのMgCl、および250mMのイミダゾール(Sigma 68268-100 ML-F)pH7.5の均一濃度の溶出液中に溶出した。Hisタグ付きエフェクタータンパク質を含む溶出画分を濃縮し、50mMのトリス-HCl、300mMのNaCl、1mMのTCEP、5%グリセロール、pH7.5へとバッファー交換した。タンパク質濃度は、ビシンコニン酸アッセイ(Thermo)により決定し、Image Lab(Bio-Rad)のSDS PAGEデンシトメトリーにより相対純度を決定した後に調整した(図7参照)。
【0190】
実施例3-インビトロニッカーゼアッセイ
【0191】
IDTによって合成された6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)標識プライマーP141およびP146(配列番号179および180)を用いて、Q5 DNAポリメラーゼを用いてエフェクターの標的配列を含むLacZの直鎖断片を増幅した。T7プロモーターと、その後に20bpまたは22bpのスペーサー配列を含むsgRNAを含むDNA断片を、製造元の説明書に従ってHiScribe T7 High Yield RNA Synthesis Kit(New England Biolabs)を用いてインビトロで転写した。配列表の命名されたsgRNAに対応する配列を有する合成sgRNAを、ユーザーマニュアルに従ってMonarch RNA Cleanup Kit(New England Biolabs)により精製し、濃度をNanodropによって測定した。
【0192】
DNAニッカーゼ活性を決定するために、精製された変異エフェクターの各々にまずその同族sgRNAを補充した。反応は、10mMのトリスpH7.5、10mMのMgCl、および100mMのNaCl、150nMの酵素、150nMのRNA、および15nMのDNAを含む15μLの反応混合物中に直鎖DNA基質を加えることにより開始された。反応を37℃で2時間インキュベートした。AMPure XP SPRI常磁性ビーズ(Beckman Coulter)を用いて、消化させたDNAを精製し、6μLのTEバッファー(10mMのトリス、1mMのEDTA、pH8.0)で溶出した。切れ目を入れたDNAを10%TBE-尿素変性ゲル(Biorad)上で分解し、ChemiDoc(Bio-Rad)で画像化した(図7を参照。これは、描かれた酵素が、野生型酵素の場合に、600塩基と200塩基対400塩基と200塩基に対してのバンドの生成によってニッカーゼ活性を示すことを示している)。その結果、図7において試験したニッカーゼ変異体はすべて、結論には至らなかったMG4-5(D17A)を除いて、野生型の切断活性ではなく、予想されるニッカーゼ活性を示すことが示された。
【0193】
実施例4-大腸菌への塩基エディターの導入
【0194】
プラスミドは、製造元の説明書に従い、LucergenのエレクトロコンピテントBL21(DE3)細胞に形質転換された。エレクトロポレーション後、細胞を37℃で1時間、発現回復培地で回収し、100L/mgのアンピシリンと0.1mMのIPTGを含むLBプレート上に広げた。37℃で一晩増殖後、コロニーを採取し、プライマーP137およびP360を用いてQ5 DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)によりlacZ遺伝子を増幅した。得られたPCR産物を精製し、ELIM BIOPHARMでサンガーシーケンシングにより配列決定した。塩基編集は、シトシン塩基エディターまたはアデニン塩基エディターについてそれぞれ、標的としたプロトスペーサー領域にCからTへの変換またはAからGへの変換が存在するかどうかを調べることによって決定された。
【0195】
大腸菌での編集効率を評価するために、プラスミドをエレクトロコンピテントBL21(DE3)(Lucergen)に形質転換し、エレクトロポレーションした細胞を発現回復培地にて37℃で1時間回収した。次に、回収した細胞10μLを、96ウェルのディープウェルプレートに入れた100μL/mgのアンピシリンと0.1mMのIPTGを含む990μLのSOBに接種し、37℃で20時間増殖させた。塩基エディター発現のために誘導した1μLの細胞を、プライマーP137およびP360を用いた20μLのPCR反応(Q5 DNAポリメラーゼ)においてlacZ遺伝子の増幅に使用した。得られたPCR産物を精製し、ELIM BIOPHARMでサンガーシーケンシングにより配列決定した。編集効率の定量化を、実施例12に記載されるように、Edit Rで処理した。
【0196】
【表5】
【0197】
実施例5.-哺乳動物細胞中のタンパク質ヌクレオフェクションとアンプリコンシーケンス(予測的)
【0198】
ヌクレオフェクション(Nucleofection)は、Lonza 4Dヌクレオフェクター(nucleofector)とLonza SF Cell Line 4D-Nucleofector X Kit S(cat. no. V4XC-2032)を用いて、製造元の推奨に従って哺乳動物細胞(例えば、K-562、Neu-2A、またはRAW264.7)において実施する。SFヌクレオフェクションバッファーを製剤化した後に、1回のヌクレオフェクションにつき20万個の細胞を5μlのバッファーに再懸濁する。ヌクレオフェクションあたり残りの15μlのバッファーにおいて、Synthegoからの20pmolの化学修飾sgRNAを、18pmolの塩基エディター酵素(例えば、ABE8e)と組み合わせ、室温で5分間インキュベートして複合化する。細胞を20μlのヌクレオフェクションキュベットに加え、その後、タンパク質溶液を加え、混合物を粉砕して混合する。細胞をプログラムCM-130でヌクレオフェクションし、その直後に80μlの温めた培地を各ウェルに加えて、回収する。5分後、各サンプルから25μlを48ウェルのポリ-d-リジンプレート(Corning)中の250μlの新鮮な培地に加える。その後、細胞を上記のリポフェクション細胞と同様に処理し、さらに3日間培養した後にゲノムDNAを抽出する。
【0199】
Illuminaのバーコーディングの後に、PCR産物をプールし、30μlのHOで溶出するMonarch DNAゲル抽出キット(Gel Extraction Kit)(New England Biolabs)を用いて、2%アガロースゲルで電気泳動することにより精製する。DNA濃度をQubit dsDNA高感度アッセイキット(High Sensitivity Assay Kit)(Thermo Fisher Scientific)で定量化し、製造元のプロトコルに従ってIllumina MiSeq器具(ペアエンドリード、R1:250~280サイクル、R2:0サイクル)で配列決定する。
【0200】
MiSeq Reporter(Illumina)を用いて、シーケンシングリードをデマルチプレックスし、FASTQファイルはCRISPResso2を用いて解析される。個々の対立遺伝子における二重編集は、Pythonスクリプトによって解析される。塩基編集値は、異なる研究者によって収集されたn=3の独立した生物学的複製を代表しており、平均±s.d.で示されている。塩基編集値は、整列した全リードに対するアデニン突然変異誘発を有するリードの数の割合として報告される。
【0201】
実施例6.-哺乳動物細胞におけるプラスミドヌクレオフェクションおよび全ゲノムシーケンス(予測的)
【0202】
すべてのプラスミドは、ウラシル特異的切除試薬(USER)クローニング法によって組み立てられる。SpCas9、SaCas9、およびすべての操作された変異体のためのガイドRNAプラスミドが組み立てられる。哺乳動物細胞トランスフェクション用のプラスミドは、ZymoPUREプラスミドMidiprepキット(Zymo Research Corporation)を用いて調製される。HEK293T細胞(ATCC CRL-3216)は、10%ウシ胎児血清(ThermoFisher Scientific)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(Corning)で培養し、37℃にて5%CO2で維持する。
【0203】
HEK293T細胞を、同じ培養培地中で48ウェルのポリ-d-リジンプレート(Corning)に播種する。細胞は、トランスフェクション対照として、750ngの塩基エディタープラスミド、250ngのガイドRNAプラスミド、および10ngの緑色蛍光タンパク質を用いて、1.5μlのリポフェクタミン2000(ThermoFisher Scientific)でプレーティング後、12~16時間トランスフェクションされる。細胞を初日後に培地交換しながら3日間培養し、Å~1 PBS(ThermoFisher Scientific)で洗浄し、その後、100μlの新しく調製した溶解バッファー(10mMのトリス-HCl、pH7.5、0.05%SDS、25μg ml-1 プロテイナーゼK(ThermoFisher Scientific))をトランスフェクトした各ウェルに直接添加することによってゲノムDNAを抽出する。混合物を37℃で1時間インキュベートし、その後、80℃で30分間熱不活性化する。ゲノムDNA溶解物はその後、ハイスループットシーケンシング(HTS)のためにすぐに使用される。
【0204】
HEK293T細胞からのゲノムDNAのHTSが実行される。Illuminaのバーコーディングの後に、PCR産物をプールし、30μlのHOで溶出するMonarch DNAゲル抽出キット(Gel Extraction Kit)(NEB)を用いて、2%アガロースゲルで電気泳動することにより精製する。DNA濃度をQubit dsDNA高感度アッセイキット(High Sensitivity Assay Kit)(ThermoFisher Scientific)で定量化し、製造元のプロトコルに従ってIllumina MiSeq器具(ペアエンドリード、R1:250~280サイクル、R2:0サイクル)で配列決定する。
【0205】
実施例7.-編集ウインドウを決定する(予測的)
【0206】
編集ウインドウ領域を調べるために、指定されたsgRNAにおいて最も高いC-T変換頻度を示すシトシンを1に正規化し、同じsgRNAのPAM配列の30nt上流から10nt下流(合計43bp)にわたる位置の他のシトシンもその後に正規化する。次に、正規化したC-T変換頻度を、指定された塩基エディターの試験されたすべてのsgRNAについて、その位置に従って分類および比較する。包括的編集ウインドウ(CEW)は、正規化後に0.6を超える平均C-T変換効率を有する位置にまたがるように定義される。
【0207】
各シチジンデアミナーゼの基質選択性を調べるために、C部位は、最初にsgRNA標的領域におけるそれらの位置に応じて分類され、0.8以上の正規化C-T変換頻度の少なくとも1つのC部位を含むそれらの位置が、その後の解析に含まれる。選択されたC部位は、編集されたシトシンの上流または下流の塩基タイプ(NCまたはCN)に応じて比較される。エンドヌクレアーゼのN末端とC末端の両方で効率的なC-T変換を示すシチジンデアミナーゼについては、それぞれのNT-CBEとCT-CBEを一緒に組み込むことで基質選択性を評価する。統計解析には一元配置分散分析が使用され、p<0.05を有意とみなす。
【0208】
実施例8a.-哺乳動物細胞における全ゲノムシーケンシングとトランスクリプトミクスによるオフターゲット解析の試験(予測的)
【0209】
HEK293T細胞を、抗生物質を含まないDMEM+GlutaMAX培地(Thermo Fisher Scientific)中でウェルあたり3.104細胞の密度でリポフェクションの16~20時間前に48ウェルのポリ-d-リジンコーティングプレート上にプレーティングする。750ngのニッカーゼまたは塩基エディター発現プラスミドDNAを、15μlのOpti-MEM+GlutaMAX中で250ngのsgRNA発現プラスミドDNAと組み合わせる。これを、1ウェルあたり1.5μlのリポフェクタミン2000と8.5μlのOpti-MEM+GlutaMAXを含む10μlの脂質混合物と組み合わせる。トランスフェクションの3日後に細胞を採取し、DNAまたはRNAのいずれかを採取する。DNA解析のために、細胞をPBSで1回洗浄し、製造元の説明書に従って100μlのQuickExtract Buffer(Lucigen)に溶解させる。RNAの採取には、MagMAX mirVanaの全RNA単離キット(Total RNA Isolation Kit)(Thermo Fisher Scientific)をKingFisher Flexとともに使用する。
【0210】
哺乳動物細胞からのゲノムDNAを断片化し、製造元の説明書に従って、96ウェルプレートのNexteraインデックスプライマー(indexing primers)(Illumina)を用いて、Nextera DNA Flex Library Prep Kit(Illumina)を用いて、アダプターライゲートする。ライブラリーのサイズと濃度をFragment Analyzer(Agilent)によって確認し、DNAをNovogeneに送り、Illumina HiSeqシステムを用いてWGSを行う。
【0211】
標的としたNGSデータはすべて一般的な4つの工程、(1)アラインメント、(2)重複マーキング(duplicate marking)、(3)変異体コール(variant calling)、および、(4)アーチファクトや生殖系列突然変異を取り除くための変異体のバックグラウンドフィルタリングを実施することによって分析される。変異基準および代替対立遺伝子は、参照ゲノムのプラス鎖に対して報告される。
【0212】
全トランスクリプトームシーケンシングのために、mRNAの選択は、NEBNext Poly(A)mRNA磁気単離モジュール(Magnetic Isolation Module)(New England BioLabs)を用いて行われる。RNAライブラリー調製は、NEBNext Ultra II RNA Library Prep Kit for Illumina(New England BioLabs)を用いて行われる。RNA入力量に基づいて、アダプターライゲートされたDNAのPCR濃縮には、12のサイクル数が使用される。NEBNextのサンプル精製ビーズ(Sample Purification Beads)(New England BioLabs)は、本方法によって実施されるサイズ選択のすべてに使用される。NEBNext Multiplex Oligos for Illumina(New England BioLabs)は、プロトコルに概説されているPCRレシピに従って、マルチプレックスインデックスに使用される。シーケンシングの前に、4200 TapeStation System(Agilent)のHigh Sensitivity D1000 ScreenTapeを使用して、サンプルの品質をチェックする。ライブラリーをプールし、NovaSeq(Novogene)を用いて配列決定する。その後、標的としたRNAシーケンシングが行われる。相補的なDNAは、製造元の説明書に従って、EZDnaseを有するSuperScript IV One-Step RT-PCR System(Thermo Fisher Scientific)を用いて、単離したRNAからの逆転写を伴うPCR(RT-PCR)により生成される。
【0213】
以下のプログラム、12分間58℃、2分間98℃、その後の、CTNNB1とIP90について、アンプリコンによって変化するPCRサイクル、32サイクルの(10秒間98℃、10秒間60℃、30秒間72℃)を使用する。組み合わせたRT-PCRの後に、アンプリコンをバーコード化し、上記のようにIllumina MiSeqシーケンサーを使用して配列決定する。各アンプリコンのフォワードプライマーの終了後の最初の塩基から始まる各アンプリコンの最初の125塩基を参照配列に整列させ、各アンプリコンにおける最大A対I頻度の解析に使用する。オフターゲットDNAシーケンシングを、プライマーを用いて、2段階PCRとバーコーディング法を用いて行うことで、上記のようにIllumina MiSeqシーケンサーを用いるシーケンシングのためのサンプルを調製する。
【0214】
実施例8b。-全ゲノムシーケンシングとトランスクリプトミクスによるオフターゲット編集の解析(予測的)
【0215】
実施例8aのように調製されたトランスフェクト細胞を3日後に採取し、製造元の説明書に従ってAgencourt DNAdvance Genomic DNA Isolation Kit(Beckman Coulter)を用いてゲノムDNAを単離する。オンターゲットおよびオフターゲットの関心対象のゲノム領域は、隣接するHTSプライマーペアを用いたPCRにより増幅される。PCR増幅は、5ngのゲノムDNAを鋳型として、製造元の説明書に従って、Phusion高忠実度DNAポリメラーゼ(high-fidelity DNA polymerase)(ThermoFisher)を用いて行われる。サイクル数は、反応が増幅の線形範囲で停止したことを確認するために、各プライマーペアについて別々に決定する(EMX1、FANCF、HEK293部位2、HEK293部位3、HEK293部位4、およびRNF2プライマーについて、それぞれ30、28、28、28、32、および32サイクル)。PCR産物はRapidTips(Diffinity Genomics)を用いて精製される。精製したDNAを、シーケンシングアダプターを含むプライマーでPCRにより増幅させる。産物をゲル精製し、Quant-iT(商標)PicoGreen dsDNA Assay Kit(ThermoFisher)とKAPA Library Quantification Kit-Illumina(KAPA Biosystems)を使用して定量化する。サンプルは、前述したようにIllumina MiSeqで配列決定する。
【0216】
シーケンシングリードを、MiSeq Reporter(Illumina)を用いて自動的にデマルチプレックスして、個々のFASTQファイルはカスタムMatlabスクリプトで解析される。Smith-Watermanアルゴリズムを使用して、各リードを適切な参照配列にペアワイズアライメントする。Qスコアが31未満のベースコール(base call)はNに置き換えられ、ヌクレオチド頻度を計算する際に除外される。この処理により、予想されるMiSeqのベースコールエラー率は約1,000分の1となる。リードと参照配列にギャップがないアラインメント配列は、アラインメント表に保存され、そこから各遺伝子座について塩基頻度が作表された。インデル頻度は、カスタムMatlabスクリプトで定量化された。
【0217】
シーケンシングリードは、インデルが発生する可能性のあるウインドウの両側に隣接する2つの10bp配列と正確に一致するようにスキャンされる。完全な一致が見つからなかった場合、そのリードは解析から除外される。このインデルのウインドウの長さが参照配列と完全に一致する場合、リードはインデルを含まないものとして分類される。インデルウインドウが参照配列よりも2塩基以上長いか短い場合、シーケンシングリードは、それぞれ挿入または欠失として分類される。
【0218】
実施例9.-マウス編集実験(予測的)
【0219】
新規のデアミナーゼドメインと融合した新規のDNA標的化ヌクレアーゼドメインからなる塩基エディターが、疾患の適切なマウスモデルでの試験により治療候補として検証できることが想定される。
【0220】
適切なモデルの一例は、例えば、Herbertら(10.1161/ATVBAHA.110.204040)により記載されているように、ヒトPCSK9タンパク質を発現するように操作されたマウスを含む。PCSK9タンパク質は、LDL受容体(LDLR)レベルを調節し、血清コレステロールレベルに影響を与える。ヒトPCSK9タンパク質を発現しているマウスは、コレステロールレベルの上昇と、動脈硬化の急速な進行を呈する。PCSK9は、血漿中の脂質濃度が異常に高いため、心血管疾患のリスクが増加している人々の脂質レベルを低下させる有効な薬物標的である(https://doi.org/10.1038/s41569-018-0107-8)。ゲノム編集によりPCSK9のレベルを低下させることで、個人の生涯にわたって脂質レベルを恒久的に低下させ、心血管疾患のリスクを生涯にわたって低下させることが期待される。1つのゲノム編集アプローチは、未成熟停止コドンを作成し、PCSK9 mRNAの機能的タンパク質への翻訳を防ぐために配列を編集することを目標として、PCSK9遺伝子のコード配列を標的とすることを含むことができる。コード配列の5’末端に近い領域を標的とすることは、タンパク質の大部分の翻訳をブロックするために有用である。高い効率と特異性で停止コドン(TGA、TAA、TAG)を作成するために、PCSK9コード配列の領域を標的とする必要があり、最も頻度の高い編集事象が停止コドンをもたらすように、編集ウインドウが適切な配列上に配置される。したがって、幅広いPAMを有する複数の塩基編集系、または縮重PAMを有する塩基編集系の利用可能性は、PCSK9遺伝子のより多くの潜在的な標的部位にアクセスするのに有用である。さらに、オフターゲット編集の頻度が低い(例えば、オンターゲット編集事象の1%以下の範囲)追加の編集系も、この文脈で遺伝子編集を行うのに有用である。
【0221】
治療効果に必要な塩基編集の効率は、血漿脂質レベルの有意な減少を達成するために50%以上の範囲にある。PCSK9遺伝子中の停止コドンを作成するための塩基エディターの使用の例は、Carrerasら(https://doi.org/10.1186/s12915-018-0624-2)のものであり、PCSK9対立遺伝子の10%~34%が停止コドンを作成するために編集された。このレベルの編集は、マウスにおける血漿脂質レベルの測定可能な減少をもたらすのに十分であったが、ヒトにおける治療的使用には、より高い編集効率が必要とされるであろう。
【0222】
PCSK9遺伝子における停止コドンの導入に最適な塩基編集(BE)系およびガイドを同定するために、Hepa1-6細胞などのマウス肝細胞株でスクリーニングを実施することができる。インシリコスクリーニングはまず、利用可能な様々なBE系でPCSK9遺伝子を標的とするガイドを同定するために使用され得る。多数の可能なガイドの中から選択するために、インシリコ解析を実施することで、編集時に停止コドンを作製することができる配列を包含する編集ウインドウを有するガイドを決定することができる。その後、コード配列の5’末端に近いガイドを優先することができる。得られたガイドとBEタンパク質のセットを、リボ核タンパク質複合体(RNP)を形成するために組み合わせ、Hepa1-6細胞にヌクレオフェクションすることができる。72時間後、標的部位における編集の効率は、NGS分析によって決定することができる。これらのインビトロの結果に基づいて、停止コドン形成の頻度が最も高い1つ以上のBE/ガイドの組み合わせを、インビボの試験用に選択することができる。
【0223】
ヒトの治療に応用するために、塩基エディターとガイドRNAとを含む塩基編集成分を安全かつ効果的に送達する方法が必要である。インビボでの送達方法は、ウイルス性または非ウイルス性の方法に分けることができる。ウイルスベクターの中でもアデノ随伴ウイルス(AAV)は、その安全記録、複数の組織や細胞種への効率的な送達、および確立された製造プロセスから、臨床で使用される最適なウイルスである。大きなサイズの塩基エディター(BE)はAAVのパッケージング能力を超えるため、単一のアデノ随伴ウイルスにパッケージングすることが妨げられる。スプリットインテイン(split intein)技術を使用してBEを2つのAAVにパッケージングするアプローチは、マウスで成功することが実証されているが(https://doi.org/10.1038/s41551-019-0501-5)、2つのウイルスが必要なため、開発および製造が複雑になる。AAVのさらなる欠点は、ウイルスが宿主細胞のゲノムへの組み込みを促進する機構を持たず、AAVゲノムのほとんどがエピソームのままである一方で、AAVゲノムの一部は細胞内で自然に発生するランダム二本鎖切断で組み込まれるということである(Curr Opin Mol Ther. 2009 August; 11(4): 442~447)。これにより、BEを発現する遺伝子配列が生物の一生にわたって存続する可能性がある。さらに、AAVゲノムは、形質転換された細胞の核内にエピソームとして残存し、何年も維持される可能性があり、その結果、これらの細胞においてBEが長期的に発現し、ゆえに、オフターゲット事象が発生するリスクは、編集酵素が活性である時間に応じるため、オフターゲット効果のリスクが増大する。Ad5などのアデノウイルス(Ad)は、DNAペイロードを哺乳動物の肝臓に効率的に送達することができ、最大45kbのDNAをパッケージングすることができる。しかしながら、アデノウイルスは哺乳動物において強い免疫反応を引き起こすことが知られており(http://dx.doi.org/10.1136/gut.48.5.733)、患者においても、死亡を含む重大な有害事象を引き起こすことがある(https://doi.org/10.1016/j.ymthe.2020.02.010)。
【0224】
脂質ナノ粒子および高分子ナノ粒子を含む非ウイルス性送達ベクター(doi:10.1038/mt.2012.79でレビュー)は、ウイルス性送達ベクターと比較して、免疫原性が低いことや核酸カーゴの一過性の発現などのいくつかの利点を有する。非ウイルス性送達ベクターにより誘発された一過性の発現は、オフターゲットの事象を最小限に抑えることが期待されるため、特にゲノム編集の応用に適している。加えて、ウイルスベクターとは異なり、非ウイルス性送達は治療効果を達成するために繰り返し投与することが可能である。また、非ウイルス性ベクターにパッケージングできる核酸分子のサイズに理論的な制限はないが、実際には、核酸のサイズが大きくなるにつれパッケージングの効率が悪くなり、粒子サイズが大きくなることがある。
【0225】
BEは、BEをコードする合成mRNAをガイドRNAとともにLNPにカプセル化することにより、脂質ナノ粒子(LNP)などの非ウイルス性ベクターを用いてインビボで送達することができる。これは、例えば、Finnら(DOI:10.1016/j.celrep.2018.02.014)、またはYinら(DOI:10.1038/nbt.3471)に記載されているように、当技術分野で周知の方法論を用いて実施することができる。通常、LNPは、主に肝臓の肝細胞にそのカーゴを送達し、これは、PCSK9遺伝子の発現を妨害しようとする場合の標的器官/細胞タイプでもある。このアプローチの概念実証を示すために、デアミナーゼドメインと融合した新規ゲノム編集タンパク質で構成されるBEを合成mRNAにコードし、マウスのPCSK9遺伝子の選択部位を標的とする適切なガイドRNAとともにLNPにパッケージ化することを想定している。ヒトPCSK9遺伝子を発現するように操作されたマウスの場合、ガイドはヒトPCSK9遺伝子のみを標的とするか、またはヒトおよびマウスのPCSK9遺伝子の両方を標的とするように設計することができる。これらのLNPの注入後、肝細胞のゲノム内のオンターゲット部位における編集効率は、アンプリコンシーケンシングまたは分解によるインデルの追跡などの他の方法によって分析することができる(doi:10.1093/nar/gku936)。生理的影響は、標準的な方法を用いて、総コレステロールおよびトリグリセリドレベルを含む、マウスの血液中の脂質レベルを測定することによって決定することができる。
【0226】
新規BEを評価するためにマウスでモデル化することができる疾患の別の例は、原発性高シュウ酸尿症I型である。原発性高シュウ酸尿症I型(PH1)は、アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼという酵素をコードするAGXT遺伝子の欠損によって起こる稀な常染色体劣性遺伝疾患である。その結果、グリオキシル酸代謝に異常が生じ、毒性代謝物であるシュウ酸が蓄積される。この疾患を処置する1つのアプローチは、グリコール酸からグリオキシル酸を生成する酵素グリコール酸オキシダーゼ(GO)の発現量を減らし、それによってシュウ酸の生成に利用できる基質(グリオキシル酸)の量を減らすことである。PH1は、AGXT遺伝子の両コピーをノックアウトしたマウス(agxt -/-マウス)でモデル化することができ、その結果、尿中のシュウ酸濃度が野生型の対照に比べて有意に3倍上昇する。このため、agxt -/-マウスを用いて、内因性マウスGO遺伝子のコード配列に停止コドンを作製するように設計した新規の塩基エディターの有効性を評価することができる。BE系およびGO遺伝子における停止コドンの導入に最適なガイドを同定するために、Hepa1-6細胞などのマウス肝細胞株でスクリーニングを実施することができる。インシリコスクリーニングはまず、利用可能な様々なBE系でGO遺伝子を標的とするガイドを同定するために使用され得る。多数の可能なガイドの中から選択するために、インシリコ解析を実施することで、編集時に停止コドンを作製することができる配列を包含する編集ウインドウを有するガイドを決定することができる。その後、コード配列の5’末端に近いガイドを優先することができる。得られたガイドとBEタンパク質のセットを、リボ核タンパク質複合体(RNP)を形成するために組み合わせ、Hepa1-6細胞にヌクレオフェクションすることができる。72時間後、標的部位における編集の効率は、NGS分析によって決定することができる。これらのインビトロの結果に基づいて、停止コドン形成の頻度が最も高い1つ以上のBE/ガイドの組み合わせを、マウスにおけるインビボの試験用に選択することができる。
【0227】
BEとガイドは、BEを発現させるためのスプリットインテイン系と、ガイドを送達するための第3のAAVを有するAAVウイルスを使用してマウスに送達され得る。代替的に、アデノウイルスの40Kbを超えるパッケージング能力のため、アデノウイルス5型を使用して、BEとガイドを単一のウイルスで送達することができる。さらに、BEは、適切なLNPにパッケージングされたガイドRNAとともにmRNAとして送達されることもある。LNPをagxt -/-マウスに静脈注射した後、尿中のシュウ酸レベルを経時的にモニタリングすることで、BEが活性で期待通りの治療効果があったことを示し得るシュウ酸レベルの低下があったかどうかを調べることができる。BEが停止コドンを導入したかどうかを判定するために、処理したマウスと対照マウスの肝臓から抽出したゲノムDNAからGO遺伝子の適切な領域をPCR増幅することができる。得られたPCR産物は、次世代シーケンシングを用いて配列決定することで、配列変化の頻度を決定することができる。
【0228】
実施例10.-新規なデアミナーゼの遺伝子発見
【0229】
多様な環境(土壌、堆積物、地下水、好熱性、ヒト、および非ヒトの微生物群)から得られた4Tbp(テラ塩基対)の独自仕様のおよび公開の組み立てられたメタゲノム配列決定データをマイニングすることで、新規デアミナーゼを発見した。既知のデアミナーゼのHMMプロファイルを構築し、HMMER3(hmmer.org)を用いてすべての予測されたタンパク質を検索して、我々のデータベースからデアミナーゼを同定した。予測されたデアミナーゼと参照(例えば、真核生物のAPOBEC1、細菌のTadA)のデアミナーゼをMAFFTとアラインメントして、FastTree2を用いて系統樹を推論した。本明細書で開示した配列で構成されるクレードを同定することにより、新規ファミリーおよびサブファミリーを定義した。候補は、酵素機能を示す重要な触媒残基の存在に基づいて選択した(例えば、配列番号1~51、385~386、387~443、444~447、または488~475を参照)。
【0230】
実施例11.-プラスミド構築
【0231】
遺伝子のDNA断片は、Twist BioscienceまたはIntegrated DNA Technologies(IDT)のいずれかで合成された。プラスミドDNAは、Enduraエレクトロコンピテント細胞(Lucigen)で増幅し、QIAprep Spin Miniprep Kit(Qiagen)によって単離した。ベクターバックボーンはプラスミドの制限酵素消化により調製された。Elim BIOPHARMまたはIDTから取り寄せたプライマーを用いて、Q5高忠実度(High-Fidelity)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)により、挿入物を増幅した。ベクターバックボーンと挿入物の両方を、Gel DNA Recovery Kit(Zymo Research)を用いてゲル抽出により精製した。NEBuilder HiFi DNAアセンブリ(New England Biolabs)を介して1つまたは複数のDNA断片をベクターに組み入れた(配列番号483~487)。
【0232】
実施例12.-シーケンシングによる大腸菌における塩基編集効率の評価
【0233】
実施例4と同様に調製した5ngの抽出DNAを鋳型として使用し、プライマー(P137およびP360)を用いてPCR増幅を行い、得られた産物をELIM BIOPHARMでのサンガーシーケンシングに供した。シーケンシングに用いたプライマーを表6および表7に示す(配列番号523~531)。
【0234】
【表6-1】
【0235】
【表6-2】
【0236】
【表6-3】
【0237】
【表6-4】
【0238】
【表6-5】
【0239】
【表7】
【0240】
図8は、サンガーシーケンシングによって評価されるような、この実験によって調べられる酵素による例示的な塩基編集を示す。
【0241】
図10は、表3に従ってTadA(ABE8.17m)(配列番号596)およびMGニッカーゼを用いたアデニン塩基エディター(ABEs)の塩基編集効率を示す。TadAは、tRNAアデニンデアミナーゼであり、TadA(ABE8.17m)は、大腸菌TadAの操作された変異体である。TadA(ABE8.17m)と融合した12個のMGニッカーゼを構築し、大腸菌で試験した。3つのガイドはlacZを標的とするように設計された。ボックス内に示された数字は、各位置におけるEdit Rによって定量化されたAからGへの変換のパーセンテージを示す。ABE8.17mは実験の陽性対照として用いられた。
【0242】
図11は、ラットAPOBEC1、MGニッカーゼ、およびバチルススブチリスバクテリオファージのウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI(PBS1))を含むシトシン塩基エディター(CBEs)の塩基編集効率を示す。APOBEC1はシトシンデアミナーゼである。N末端にrAPOBEC1を、C末端にUGIを融合させた12個のMGニッカーゼを構築して、大腸菌で試験した。3つのガイドはlacZを標的とするように設計された。ボックス内に示された数字は、Edit Rによって定量化されたCからTへの変換のパーセンテージを示す。BE3は実験の陽性対照として用いられた。
【0243】
図12は、CBEに加えた場合の塩基編集活性に対するMGウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)の効果を示す。(a)MGC15-1は、N末端のAPOBEC1、MG15-1ニッカーゼ、およびC末端のUGIを含む。大腸菌でシトシン塩基編集活性の改善について3つのMG UGIを試験した。(b)BE3はN末端のrAPOBEC1、SpCas9ニッカーゼ、およびC末端のUGIを含む。HEK293T細胞におけるシトシン塩基編集活性の改善について、2個のMG UGIを試験した。編集効率はEdit Rによって定量化した。
【0244】
実施例13.-細胞培養、トランスフェクション、次世代シーケンシング、および塩基編集解析
【0245】
HEK293T細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(Gibco)を補充したダルベッコ改変イーグル培地+GlutaMAX(Gibco)中で37℃、5%CO2で増殖させ、継代した。5×10個の細胞を細胞接着のために処理した96ウェル細胞培養プレートに播種し(Costar)、20~24時間培養し、トランスフェクションの直前に使用済み培地を新しい培地でリフレッシュした。製造元の説明書に従って、1ウェルあたり200ngの発現プラスミドと1μLのリポフェクタミン2000(ThermoFisher Scientific)をトランスフェクションに使用した。トランスフェクトした細胞を3日間培養し、採取し、製造元の説明書に従ってQuickExtract(Lucigen)を用いてgDNAを抽出した。表8および表9に列挙したプライマー(配列番号538~585)と抽出したDNAを鋳型として、Q5高忠実度(High-Fidelity)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いて塩基編集の標的とする領域を増幅した。
【0246】
【表8】
【0247】
【表9-1】
【0248】
【表9-2】
【0249】
【表9-3】
【0250】
【表9-4】
【0251】
PCR産物は、HighPrep PCR Clean-up System(MAGBIO)を用いて、製造元の説明書に従って精製した。候補酵素の塩基編集に対するウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)の効果は、PCR産物をElim BIOPHARMに提出してサンガーシーケンスを行うことで解析され、その効率をEdit Rによって定量化した。A0A2K5RND7-MG ニッカーゼ-MG69-1の塩基編集を解析するために、KAPA HiFi HotStart ReadyMix PCR Kit(Roche)とTruSeq DNA Library Prep Kits(ilumin)に適合するプライマーとを用いてその後のPCR反応によって、次世代シーケンシング(NGS)に使用するアダプターをPCR産物に付加した。得られた産物のDNA濃度をTapeStation(Agilent)によって定量化し、サンプルをまとめてプールしてNGS解析用のライブラリーを調製した。得られたライブラリーを、Aria Real-time PCR System(Agilent)を用いてqPCRによって定量化し、製造元の説明書に従ってIllumina Miseq装置でハイスルーシーケンシングを行った。配列決定データは、Cripresso2によって塩基編集について解析された。
【0252】
図13は、CMP/DCMPタイプのデアミナーゼドメイン含有タンパク質(uniprot accession A0A2K5RDN7)、MGニッカーゼ、およびMG UGIを含むシトシン塩基エディターの塩基編集効率を示す塩基エディターによって標的とされる部位のマップを示す。構築物は、N末端のA0A2K5RDN7、MGニッカーゼ、およびC末端のMG69-1を含む。簡略化のために、図にはMGニッカーゼの同一性のみを示している。塩基編集の陽性対照としてBE3(APOBEC1)を使用した。陽性対照には、空のベクターを使用した。3つの独立した実験が異なる日に行われた。略語:Rはリピート、NEGは陰性対照である。
【0253】
【表9-5】
【0254】
実施例14.-大腸菌中の塩基エディター変異体の陽性選択
【0255】
図14は、大腸菌におけるTadA特徴付けのための陽性選択方法を示す。パネル(a)は、TadA選択に使用される1つのプラスミド系のマップを示す。このベクターは、CAT(H193Y)、CATを標的とするsgRNA発現カセット、およびABE発現カセットを含む。この図では、大腸菌由来のN末端のTadAと、化膿性連鎖球菌由来のC末端のSpCas9(D10A)が示されている。パネル(b)は、大腸菌細胞に導入/形質転換すると、CAT(H193Y)の鋳型鎖のA2位が編集され、H193Y変異体が野生型に戻り、その活性を回復させることを実証するシーケンシングトレースを示す。略語:CATはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼである。
【0256】
10ng/μLの濃度のプラスミド溶液1μLを25μLのBL21(DE3)エレクトロコンピテント細胞(Lucigen)に形質転換し、37℃で1時間、975μLの発現回復培地で回収した。得られた細胞50μLを、100μg/mLカルベニシリン、0.1mMのIPTG、および適量のクロラムフェニコールを含むLB寒天プレートに広げた。コロニーが採取できるようになるまで、プレートを37℃でインキュベートした。コロニーPCRを使用して塩基編集を含むゲノム領域を増幅し、得られた産物をELIM BIOPHARMでのサンガーシーケンシングのために提出した。PCRとシーケンシングに使用したプライマーを表10に列挙する(配列番号532~537)。
【0257】
【表10】
【0258】
図15は、TadAによって引き起こされる変異がクロラムフェニコール(Cm)の高い耐性を可能にすることを示す。パネル(a)は、大腸菌の抗生物質耐性を選択するために、異なる濃度のクロラムフェニコールが使用された成長プレートの写真を示す。この例では、大腸菌由来のTadA(EcTadA)の野生型と2つの変異体とが試験された。パネル(b)は、変異型TadAを有するABEが野生型よりも高い編集効率を示すことを実証する結果の概要表を示す。これらの実験では、0.5μg/mL以上のCmを有するプレートからコロニーを採取した。簡略化のために、表にはデアミナーゼの同一性のみを示すが、エフェクター(SpCas9)および構築物の構成は上記の図に示す。
【0259】
図16は、陽性選択におけるMG TadA活性の調査を示す。パネル(a)はある実験からの成長プレートの写真を示し、ここでは、8つのMG68 TadA候補を、0~2μg/mLのクロラムフェニコールに対して試験した(ABEは、N末端のTadA変異体とC末端のSpCas9(D10A)ニッカーゼを含んでいた)。簡略化のために、デアミナーゼの同一性のみを示す。パネル(b)は、MG TadA候補の編集効率を示す概要表を示す。パネル(b)は、MG68-3およびMG68-4がアデニンの塩基編集を駆り立てたことを実証している。この試験では、0.5μg/mL以上のCmを有するプレートからコロニーを採取した。
【0260】
図17は、MG68-4におけるD109N突然変異を介するMG68-4_nSpCas9の塩基編集効率の改善を示す。パネル(a)は、野生型MG68-4およびその変異体を0~4μg/mLのクロラムフェニコールに対して試験した成長プレートの写真を示す。簡略化のために、デアミナーゼの同一性のみを示す。この実験におけるアデニン塩基エディターは、N末端のTadA変異体とC末端のSpCas9(D10A)ニッカーゼを含む。パネル(b)は、MG TadA候補の編集効率を示す概要表を示す。パネル(b)は、MG68-4およびMG68-4(D109N)がアデニンの塩基編集を示し、D109N変異体が活性の増加を示すことを実証している。この試験では、0.5μg/mL以上のCmを有するプレートからコロニーを採取した。
【0261】
図18は、MG68-4(D109N)_nMG34-1の塩基編集を示す。パネル(a)は、N末端のMG68-4(D109N)およびC末端のSpCas9(D10A)ニッカーゼを含むABEが、0~2μg/mLのクロラムフェニコールに対して試験された実験の成長プレートの写真を示す。パネル(b)は、sgRNAを用いた場合と用いない場合の編集効率を描いた概要表を示す。この試験では、1μg/mL以上のCmを有するプレートからコロニーを採取した。
【0262】
図19は、MG68-4-nMG34-1塩基編集活性の改善のために設計された28のMG68-4変異体を示す。酵素の編集を改善するために、12個の残基が標的化変異誘発のために選択された。
【0263】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないことが当業者に明らかであろう。本発明が明細書内で提供される特定の例によって制限されることは意図していない。本発明は前述の明細書に関して記載されているが、本明細書中の実施形態の記載および例示は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。当業者であれば、多くの変更、変化、および置換を、本発明から逸脱することなく思いつくだろう。さらに、本発明のすべての態様は、様々な条件および変数に依存する、本明細書で説明された特定の描写、構成、または相対的な比率に限定されないことが理解されよう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替物が、本発明の実施に際して利用され得ることを理解されたい。それゆえ、本発明は、任意のそのような代替物、修正物、変形物、または同等物にも及ぶものと企図される。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその同等物の範囲内の方法および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
【配列表】
2023540797000001.app
【国際調査報告】