(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】2つ以上のレンズ構成要素を有する反射屈折レンズアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G02B 17/08 20060101AFI20230919BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230919BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20230919BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230919BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
G02B17/08
G02B3/00
G02B5/22
G02B5/30
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516065
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 IB2021057484
(87)【国際公開番号】W WO2022053891
(87)【国際公開日】2022-03-17
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ティモシー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジョン ディー.
【テーマコード(参考)】
2H087
2H148
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2H087KA14
2H087LA01
2H087TA01
2H087TA04
2H148AA05
2H148CA04
2H148CA14
2H148CA20
2H148CA24
2H149AA00
2H149AA01
2H149AB01
2H149BA02
2H149BA03
2H149BA11
2H149DA02
2H149DA04
2H149DA12
2H149FA12Z
2H149FD09
2H149FD10
2H149FD46
2H149FD47
2H149FD48
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA63
2H199CA64
2H199CA65
(57)【要約】
光学レンズアセンブリが、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含み、レンズがそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、眼用レンズの湾曲した第1の主面に配置され、眼用レンズの第1の主面に実質的に適合する。第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、眼用レンズの湾曲した第2の主面と中間レンズの湾曲した第1の主面との間に配置され、眼用レンズの湾曲した第2の主面及び中間レンズの湾曲した第1の主面のそれぞれに実質的に適合する。第1のリターダ層が、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に配置され、中間レンズの第2の主面及びディスプレイレンズの第1の主面のそれぞれに実質的に適合し、第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、ディスプレイレンズの湾曲した第2の主面に配置され、ディスプレイレンズの第2の主面に実質的に適合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、
眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、前記眼用レンズ及び前記ディスプレイレンズに接合された中間レンズであって、前記レンズがそれぞれ、前記ディスプレイによって放たれた前記画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有し、それにより、少なくとも、対応する前記有効レンズ領域にわたって、
前記眼用レンズが、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも2倍未満小さい最小厚さtmin1とを有し、
前記中間レンズが、湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、tmax1よりも少なくとも1.5倍大きい最大厚さtmax2とを有し、
前記ディスプレイレンズが、第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する、中間レンズと、
前記眼用レンズの湾曲した前記第1の主面に近接して配置され、前記眼用レンズの湾曲した前記第1の主面に実質的に適合する、第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムと、
前記眼用レンズの湾曲した前記第2の主面と前記中間レンズの湾曲した前記第1の主面との間に配置され、前記眼用レンズの湾曲した前記第2の主面及び前記中間レンズの湾曲した前記第1の主面のそれぞれに実質的に適合する、第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルムと、
前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間に配置され、前記中間レンズの前記第2の主面及び前記ディスプレイレンズの前記第1の主面のそれぞれに実質的に適合する、第1のリターダ層と、
前記ディスプレイレンズの湾曲した前記第2の主面に配置され、前記ディスプレイレンズの湾曲した前記第2の主面に実質的に適合するようになっている、第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルムと、を備え、
実質的に垂直な入射光、かつ約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、前記少なくとも部分的に光透過性の第1から第3の層がそれぞれ、第1の偏光状態を有する前記実質的に垂直な入射光の少なくとも30%を伝達し、前記少なくとも部分的に光透過性の第2及び第3の層がそれぞれ、直交する第2の偏光状態を有する前記実質的に垂直な入射光の少なくとも30%を阻止する、光学レンズアセンブリ。
【請求項2】
前記第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、ラミネーション、電気めっき、無電解めっき、真空蒸着、物理蒸着、プラズマ強化化学蒸着、及び印刷のうちの少なくとも1つにより、前記ディスプレイレンズの湾曲した前記第2の主面に配置される、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項3】
前記眼用レンズの湾曲した前記第1及び第2の主面の少なくとも一方が、互いに直交する2つの方向に湾曲している、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項4】
前記中間レンズの湾曲した前記第1の主面が、互いに直交する2つの方向に湾曲している、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項5】
前記中間レンズの前記第2の主面が、実質的に平面状である、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項6】
前記中間レンズの前記第2の主面が、少なくとも1つの方向に湾曲している、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項7】
前記中間レンズの前記第2の主面が、実質的に円筒形である、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、前記眼用レンズの前記第1の主面に配置され、前記眼用レンズの前記第1の主面に実質的に適合する、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、接合層によって前記眼用レンズの湾曲した前記第1の主面に接合される、請求項8に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項10】
前記実質的に垂直な入射光、かつ前記可視波長範囲内の前記少なくとも1つの波長に対して、前記第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、前記第1及び第2の偏光状態のそれぞれに対して前記実質的に垂直な入射光の少なくとも80%を伝達する、請求項2に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項11】
前記実質的に垂直な入射光、かつ前記可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、前記第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、前記第1の偏光状態を有する前記実質的に垂直な入射光の少なくとも50%を伝達し、前記第2の偏光状態を有する前記実質的に垂直な入射光の少なくとも30%を吸収する、請求項1に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項12】
ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、
眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、前記眼用レンズ及び前記ディスプレイレンズに接合された中間レンズであって、前記レンズがそれぞれ、前記ディスプレイによって放たれた前記画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有し、それにより、少なくとも、対応する前記有効レンズ領域にわたって、
前記眼用レンズが、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面を有し、前記眼用レンズの前記主面がそれぞれ、第1の処方された表面プロファイルから第1の最大山対谷だけ逸脱する実際の表面プロファイルを有し、前記第1の最大山対谷の逸脱が、約10マイクロメートルよりも小さく、前記眼用レンズが、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有し、
前記中間レンズが、前記眼用レンズの前記第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面とを有し、前記中間レンズの前記第1及び第2の主面の少なくとも一方が、第2の処方された表面プロファイルから第2の最大山対谷だけ逸脱する実際の表面プロファイルを有し、前記第2の最大山対谷の逸脱が、約15マイクロメートルよりも大きく、前記中間レンズが、tmax1よりも少なくとも2倍大きい最大厚さtmax2を有し、
前記ディスプレイレンズが、前記中間レンズの前記第2の主面に接合された第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有するようになっている、中間レンズと、
前記眼用レンズの湾曲した前記第2の主面と前記中間レンズの湾曲した前記第1の主面との間に配置され、前記眼用レンズの湾曲した前記第2の主面及び前記中間レンズの湾曲した前記第1の主面のそれぞれに実質的に適合する反射偏光子であって、実質的に垂直な入射光、かつ約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、第1の偏光状態を有する前記実質的に垂直な入射光の少なくとも50%を伝達し、直交する第2の偏光状態を有する前記実質的に垂直な入射光の少なくとも50%を反射する、反射偏光子と、を備える光学レンズアセンブリ。
【請求項13】
ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、
眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、前記眼用レンズ及び前記ディスプレイレンズに接合された中間レンズであって、前記レンズがそれぞれ、前記ディスプレイによって放たれた前記画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有し、それにより、少なくとも、対応する前記有効レンズ領域にわたって、
前記眼用レンズが、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、前記眼用レンズの第1の箇所における最大厚さtmax1と、前記第1の箇所から距離d1だけ離間した前記眼用レンズの第2の箇所における最小厚さtmin1とを有し、tmin1が、tmax1よりも約30%未満小さく、(tmax1-tmin1)/d1が、約0.1よりも小さく、
前記中間レンズが、前記眼用レンズの前記第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有し、tmax2が、tmax1よりも少なくとも30%大きく、前記中間レンズが、約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して約15nmよりも小さい最大複屈折を有し、
前記ディスプレイレンズが、前記中間レンズの前記第2の主面に接合された第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有するようになっている、中間レンズと、
前記眼用レンズの湾曲した前記第2の主面と前記中間レンズの湾曲した前記第1の主面との間に配置され、前記眼用レンズの湾曲した前記第2の主面及び前記中間レンズの湾曲した前記第1の主面のそれぞれに実質的に適合する反射偏光子であって、実質的に垂直な入射光、かつ前記可視波長範囲内の前記少なくとも1つの波長に対して、第1の偏光状態を有する前記実質的に垂直な入射光の少なくとも50%を伝達し、直交する第2の偏光状態を有する前記実質的に垂直な入射光の少なくとも50%を反射する、反射偏光子と、を備える光学レンズアセンブリ。
【請求項14】
ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、
眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、前記眼用レンズ及び前記ディスプレイレンズに接合された中間レンズであって、前記レンズがそれぞれ、前記ディスプレイによって放たれた前記画像を前記光軸に沿って透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有し、それにより、少なくとも、対応する前記有効レンズ領域にわたって、
前記眼用レンズが、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有し、
前記中間レンズが、前記眼用レンズの前記第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有し、tmax2が、tmax1よりも少なくとも30%大きく、
前記ディスプレイレンズが、前記中間レンズの前記第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有するようになっている、中間レンズを備え、
前記中間レンズ及び前記ディスプレイレンズの前記有効レンズ領域が、前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間の空間を画定し、1つ以上の光学要素が、前記空間を満たし、前記中間レンズと前記ディスプレイレンズを互いに接合し、前記空間において、前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間の最小間隙がGminであり、前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間の最大間隙がGmaxであり、Gmax-Gmin≧20マイクロメートルである、光学レンズアセンブリ。
【請求項15】
前記空間を満たす前記1つ以上の光学要素が、1つ以上の接着剤層を備える、請求項14に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項16】
前記空間を満たす前記1つ以上の光学要素が、リターダ層を備える、請求項14に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項17】
前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間の前記空間の間隙が、前記空間にわたって不規則に変化している、請求項14に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項18】
ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、
眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、前記眼用レンズ及び前記ディスプレイレンズに接合された中間レンズであって、前記レンズがそれぞれ、前記ディスプレイによって放たれた前記画像を前記光軸に沿って透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有し、それにより、少なくとも、対応する前記有効レンズ領域にわたって、
前記眼用レンズが、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有し、
前記中間レンズが、前記眼用レンズの前記第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有し、tmax2が、tmax1よりも少なくとも30%大きく、
前記ディスプレイレンズが、前記中間レンズの前記第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有するようになっている、中間レンズを備え、
前記中間レンズ及び前記眼用レンズの前記有効レンズ領域が、前記中間レンズの前記第1の主面と前記眼用レンズの前記第2の主面との間の空間を画定し、1つ以上の光学要素が、前記空間を満たし、前記中間レンズと前記眼用レンズを互いに接合し、前記空間において、前記中間レンズの前記第1の主面と前記眼用レンズの前記第2の主面との間の最小間隙がHminであり、前記中間レンズの前記第1の主面と前記眼用レンズの前記第2の主面との間の最大間隙がHmaxであり、Hmax-Hmin≧20マイクロメートルである、光学レンズアセンブリ。
【請求項19】
前記空間を満たす1つ以上の前記光学要素が、1つ以上の接着剤層を備える、請求項18に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項20】
前記空間を満たす1つ以上の前記光学要素が、反射偏光子を備える、請求項18に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項21】
前記中間レンズの前記第1の主面と前記眼用レンズの前記第2の主面との間の前記空間の間隙(136)が、前記空間にわたって不規則に変化している、請求項18に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項22】
光学レンズアセンブリであって、
ディスプレイレンズに隣接して配置され、前記ディスプレイレンズに接合された中間レンズであって、湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmaxと、tmaxよりも約30%超小さい最小厚さtminとを有し、前記ディスプレイレンズが、前記中間レンズの前記第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する、中間レンズと、
前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間に配置され、前記中間レンズの前記第2の主面及び前記ディスプレイレンズの前記第1の主面の少なくとも一方に接合された光学フィルムと、を備え、
前記中間レンズの前記第2の主面及び前記ディスプレイレンズの前記第1の主面が、前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間に空間を画定し、前記空間において、前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間の最小間隙がGminであり、前記中間レンズの前記第2の主面と前記ディスプレイレンズの前記第1の主面との間の最大間隙がGmaxであり、Gmax-Gmin≧20マイクロメートルである、光学レンズアセンブリ。
【請求項23】
前記光学フィルムが、前記光学アセンブリに埋め込まれ、前記中間レンズの前記第2の主面及び前記ディスプレイレンズの前記第1の主面の一つとインサート成形される、請求項22に記載の光学レンズアセンブリ。
【請求項24】
前記光学フィルムが、リターダ、反射偏光子、吸収偏光子、又はポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである、請求項22に記載の光学レンズアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含む光学レンズアセンブリが提供される。レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。対応する有効レンズ領域にわたって、眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも2倍未満小さい最小厚さtmin1とを有し、中間レンズは、湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、tmax1よりも少なくとも1.5倍大きい最大厚さtmax2とを有し、ディスプレイレンズは、第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する。第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、眼用レンズの湾曲した第1の主面に近接して配置され、眼用レンズの第1の主面に実質的に適合する。第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、眼用レンズの湾曲した第2の主面と中間レンズの湾曲した第1の主面との間に配置され、眼用レンズの湾曲した第2の主面及び中間レンズの湾曲した第1の主面のそれぞれに実質的に適合する。第1のリターダ層が、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に配置され、中間レンズの第2の主面及びディスプレイレンズの第1の主面のそれぞれに実質的に適合する。第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、ディスプレイレンズの湾曲した第2の主面に配置され、ディスプレイレンズの第2の主面に実質的に適合する。実質的に垂直な入射光、かつ約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内(すなわち、人間にとって可視)の少なくとも1つの波長に対して、少なくとも部分的に光透過性の第1から第3の層はそれぞれ、第1の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも30%を伝達し、少なくとも部分的に光透過性の第2及び第3の層はそれぞれ、直交する第2の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも30%を阻止する。
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含み、レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する、光学レンズアセンブリが提供される。少なくとも、対応する有効レンズ領域にわたって、眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面を有し、眼用レンズの主面はそれぞれ、処方された表面プロファイルから第1の最大山対谷(peak-to-valley)だけ逸脱する実際の表面プロファイルを有し、第1の最大山対谷の逸脱は、約10マイクロメートルよりも小さく、眼用レンズは、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有し、中間レンズは、眼用レンズの第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面とを有し、中間レンズの第1及び第2の主面の少なくとも一方は、処方された表面プロファイルから第2の最大山対谷だけ逸脱する実際の表面プロファイルを有し、第2の最大山対谷の逸脱は、約15マイクロメートルよりも大きく、中間レンズは、tmax1よりも少なくとも2倍大きい最大厚さtmax2を有し、ディスプレイレンズは、中間レンズの第2の主面に接合された第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する。反射偏光子が、眼用レンズの湾曲した第2の主面と中間レンズの湾曲した第1の主面との間に配置され、眼用レンズの湾曲した第2の主面及び中間レンズの湾曲した第1の主面のそれぞれに実質的に適合する。実質的に垂直な入射光、かつ約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、反射偏光子は、第1の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも50%を伝達し、直交する第2の偏光状態を有する実質的に垂直な入射光の少なくとも50%を反射する。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含み、レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する、光学レンズアセンブリが提供される。少なくとも、対応する有効レンズ領域にわたって、眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、眼用レンズの第1の箇所における最大厚さtmax1と、第1の箇所から距離d1だけ離間した眼用レンズの第2の箇所における最小厚さtmin1とを有し、それにより、tmin1は、tmax1よりも約30%未満小さく、(tmax1-tmin1)/d1は、約0.1よりも小さくなる。中間レンズは、眼用レンズの第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有し、それにより、tmax2は、tmax1よりも少なくとも30%大きくなる。中間レンズは、約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して約15nmよりも小さい最大複屈折を有する。ディスプレイレンズは、中間レンズの第2の主面に接合された第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する。反射偏光子が、眼用レンズの湾曲した第2の主面と中間レンズの湾曲した第1の主面との間に配置され、眼用レンズの湾曲した第2の主面及び中間レンズの湾曲した第1の主面のそれぞれに実質的に適合する。実質的に垂直な入射光、かつ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、反射偏光子は、第1の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも50%を伝達し、直交する第2の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも50%を反射する。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含む光学レンズアセンブリが提供される。レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。少なくとも、対応する有効レンズ領域にわたって、眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有し、中間レンズは、眼用レンズの第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有し、それにより、tmax2は、tmax1よりも少なくとも30%大きくなり、ディスプレイレンズは、中間レンズの第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する。中間レンズ及びディスプレイレンズの有効レンズ領域は、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に空間を画定する。1つ以上の光学要素が、空間を満たし、中間レンズとディスプレイレンズを互いに接合する。空間において、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の最小間隙がGminであり、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の最大間隙がGmaxであり、それにより、Gmax-Gminは、約20マイクロメートル以上である。
【0005】
本明細書のいくつかの態様では、ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って観察者に表示するための光学レンズアセンブリであって、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含む光学レンズアセンブリが提供される。レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。少なくとも、対応する有効レンズ領域にわたって、眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有し、中間レンズは、眼用レンズの第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有し、それにより、tmax2は、tmax1よりも少なくとも30%大きくなり、ディスプレイレンズは、中間レンズの第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する。中間レンズ及び眼用レンズの有効レンズ領域は、中間レンズの第1の主面と眼用レンズの第2の主面との間に空間を画定する。1つ以上の光学要素が、空間を満たし、中間レンズと眼用レンズを互いに接合する。空間において、中間レンズの第1の主面と眼用レンズの第2の主面との間の最小間隙がHminであり、中間レンズの第1の主面と眼用レンズの第2の主面との間の最大間隙がHmaxであり、それにより、Hmax-Hminは約20マイクロメートル以上である。
【0006】
本明細書のいくつかの態様では、光学レンズアセンブリであって、ディスプレイレンズに隣接して配置され、ディスプレイレンズに接合された中間レンズであって、湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmaxと、tmaxよりも約30%超小さい最小厚さtminとを有し、ディスプレイレンズが、中間レンズの第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する、中間レンズと、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に配置され、中間レンズの第2の主面及びディスプレイレンズの第1の主面の少なくとも一方に接合された光学フィルムと、を含む光学レンズアセンブリが提供される。中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面は、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に空間を画定し、空間において、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の最小間隙がGminであり、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の最大間隙がGmaxであり、Gmax-Gmin≧20マイクロメートルである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】先行技術の典型的な2レンズ光学レンズアセンブリの破断側面図である。
【
図2】本明細書のある実施形態による光学レンズアセンブリの破断側面図である。
【
図3A】本明細書のある実施形態による、
図2の光学レンズアセンブリの側面図を提供し、更なる詳細を示す。
【
図3B】本明細書のある実施形態による、
図2の光学レンズアセンブリの側面図を提供し、更なる詳細を示す。
【
図4】本明細書のある実施形態による光学レンズアセンブリのレンズ境界面の詳細を示す。
【
図5】本明細書のある実施形態による光学レンズアセンブリの一部分のレンズ境界面の詳細を示す。
【
図6A】本明細書のある実施形態による光学レンズアセンブリの様々な層に関する垂直な入射光を定義する。
【
図6B】本明細書のある実施形態による光学レンズアセンブリの様々な層に関する垂直な入射光を定義する。
【
図6C】本明細書のある実施形態による光学レンズアセンブリの様々な層に関する垂直な入射光を定義する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0009】
偏光反射屈折(すなわち、光の反射と屈折の両方を伴う)レンズ系は、高い形状精度と低い複屈折の両方を同時に有するレンズを必要とする。典型的な反射屈折レンズ系では、2つの表面が反射性であり、反射面が、入射角の2倍でビームを偏向させるため、高い形状精度が必要とされる。反射時の大きなビーム偏差のため、形状誤差(局所的な傾斜誤差を作り出す)が、反射時に大きな波面誤差をもたらす。偏光反射屈折レンズが偏光変換を使用して光路を「折り曲げる」ため、低い複屈折が必要とされる。レンズ内に存在する複屈折は、偏光状態を理想的な状態から改変し、結果として、レンズアセンブリのコントラストを低下させ、効率を低下させ、一次画像の輝度を低下させる。
【0010】
コンパクトかつ広視野の偏光反射屈折レンズ系を設計する場合、厚さの変化が大きい極端なレンズ形状が必要となることがある。成形プラスチックレンズ内の大きな厚さ変化により、著しい形状誤差と著しい複屈折の両方がもたらされることが、当該技術分野において周知である。形状誤差及び複屈折は両方とも、形状変化を引き起こし、内部応力を増大させる、射出成形プロセスの冷却段階中の熱収縮による。固有の引張応力、圧縮応力及び剪断応力により、レンズの局所的な屈折率が変化し、複屈折をもたらす。
【0011】
本明細書のいくつかの態様によれば、光学レンズアセンブリであって、構成要素レンズ(すなわち、光学レンズアセンブリを作製するために組み立てられ得る2つ以上のレンズ)の少なくとも1つのレンズが、強い屈折力を有しないため、厳密でない形状精度を有することが可能になり、構成要素レンズの別のレンズが、より容易な射出成形及び形状誤差の著しい低減を可能にするように形作られる、光学レンズアセンブリが提供される。例えば、光学レンズアセンブリの眼側に配置される構成要素レンズ(眼側レンズ、又は単に「眼用レンズ」)は、レンズにわたってほぼ一定の厚さで構成されてもよい。厚さが実質的に一定になるように眼用レンズを構成することにより、非常に小さい形状誤差を伴う眼用レンズを射出成形することが可能になる。
【0012】
本明細書のいくつかの態様によれば、ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリが、眼用レンズ(すなわち、観察者の眼に最も近いレンズ)とディスプレイレンズ(すなわち、観察者に表示される画像を生成する、ディスプレイ又はピクチャ生成ユニットに最も近いレンズ)との間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含む。レンズ(構成要素レンズ)はそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、対応する有効レンズ領域にわたって以下が当てはまり得る。
眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約2倍未満、約1.9倍未満、約1.7倍未満、約1.5倍未満、約1.3倍未満、又は約1.1倍未満小さい最小厚さtmin1とを有してもよく、
中間レンズは、湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、tmax1よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍、少なくとも4.0倍、又は少なくとも5.0倍大きい最大厚さtmax2とを有してもよく、
ディスプレイレンズは、第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有してもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、実質的に一定の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、中間レンズの湾曲した第1の主面は、互いに直交する2つの方向に湾曲していてもよい。いくつかの実施形態では、中間レンズの第2の主面は、実質的に平面状であってもよい。いくつかの実施形態では、中間レンズの第2の主面は、少なくとも1つの方向に湾曲していてもよい。いくつかの実施形態では、中間レンズの第2の主面は、実質的に円筒形であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズの湾曲した第1及び第2の主面の少なくとも一方は、互いに直交する2つの方向に湾曲していてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムが、眼用レンズの湾曲した第1の主面に近接して配置され、眼用レンズの第1の主面に実質的に適合する。いくつかの実施形態では、第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムは、眼用レンズの第1の主面に配置されてもよく、眼用レンズの第1の主面に実質的に適合してもよい。いくつかの実施形態では、第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムは、接合層(例えば、光学接着剤層)によって眼用レンズの第1の主面に接合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムは、吸収偏光子であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルムは、光学的に透明な層であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルム(例えば、反射偏光子)が、眼用レンズの湾曲した第2の主面と中間レンズの湾曲した第1の主面との間に配置され、眼用レンズの湾曲した第2の主面及び中間レンズの湾曲した第1の主面のそれぞれに実質的に適合する。第1のリターダ層(例えば、1/4波長板)が、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に配置され、中間レンズの第2の主面及びディスプレイレンズの第1の主面のそれぞれに実質的に適合する。
【0017】
いくつかの実施形態では、第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルム(例えば、50:50ビームスプリッタフィルム)が、ディスプレイレンズの湾曲した第2の主面に配置され、ディスプレイレンズの第2の主面に実質的に適合する。いくつかの実施形態では、第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルムは、ラミネーション、電気めっき、無電解めっき、真空蒸着、プラズマ強化化学蒸着、及び印刷のうちの1つ以上により、ディスプレイレンズの湾曲した第2の主面に配置されてもよい。
【0018】
この明細書の目的のために、「フィルム」という用語は、コーティング、薄膜、厚膜、単層フィルム、多層フィルム、ポリマーフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートすなわちPET)、又は層が隣接及び/若しくは接合される、レンズ若しくは構成要素と区別され得る任意の他の適切な層を意味し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光、かつ約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内(すなわち、人間にとって可視)の少なくとも1つの波長に対して、少なくとも部分的に光透過性の第1から第3の層はそれぞれ、第1の偏光状態を有する垂直な入射光(例えば、層の基準x軸に対して偏光された光)の少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%を伝達してもよく、少なくとも部分的に光透過性の第2及び第3の層はそれぞれ、直交する第2の偏光状態を有する垂直な入射光(例えば、x軸に直交するフィルムの基準y軸に対して偏光された光)の少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%を阻止する。いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光、かつ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、部分的に光透過性の第1の層(例えば、光学的に透明な層)は、第1及び第2の偏光状態のそれぞれに対して垂直な入射光の少なくとも80%を伝達してもよい。いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光、かつ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、少なくとも部分的に光透過性の第1の層(例えば、吸収偏光子)は、第1の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも50%を伝達してもよく、第2の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも30%を吸収してもよい。
【0020】
本明細書のいくつかの態様によれば、ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリが、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含み、レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、対応する有効レンズ領域にわたって以下が当てはまり得る。
眼用レンズ(すなわち、動作中に観察者の眼に最も近いレンズ構成要素)は、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面を有してもよく、眼用レンズの主面はそれぞれ、処方された表面プロファイルから第1の最大山対谷だけ逸脱する実際の表面プロファイルを有し、第1の最大山対谷の逸脱は、約10マイクロメートルよりも小さく、眼用レンズは、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有し、
中間レンズ(すなわち、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置されるレンズ構成要素)は、眼用レンズの第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面とを有してもよく、中間レンズの第1及び第2の主面の少なくとも一方は、処方された表面プロファイルから第2の最大山対谷だけ逸脱する実際の表面プロファイルを有し、第2の最大山対谷の逸脱は、約15マイクロメートルよりも大きく、中間レンズは、tmax1よりも少なくとも約2倍大きい最大厚さtmax2を有し、
ディスプレイレンズ(すなわち、ディスプレイに最も近く、観察者から最も遠いレンズ構成要素)は、中間レンズの第2の主面に接合された第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、反射偏光子が、眼用レンズの湾曲した第2の主面と中間レンズの湾曲した第1の主面との間に配置され、眼用レンズの第2の主面及び中間レンズの第1の主面のそれぞれに実質的に適合してもよい。いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光、かつ約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、反射偏光子は、第1の偏光状態(例えば、x軸)を有する垂直な入射光の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも70%を伝達してもよく、直交する第2の偏光状態(例えば、y軸)を有する垂直な入射光の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも70%を反射してもよい。
【0023】
本明細書のいくつかの態様によれば、ディスプレイによって放たれた画像を観察者に表示するための光学レンズアセンブリが、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含み、レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、対応する有効レンズ領域にわたって以下が当てはまり得る。
眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、眼用レンズの第1の箇所における最大厚さtmax1と、第1の箇所から距離d1だけ離間した眼用レンズの第2の箇所における最小厚さtmin1とを有してもよく、それにより、tmin1は、tmax1よりも約30%未満小さくなり、(tmax1-tmin1)/d1は、約0.1よりも小さくなり、
中間レンズは、眼用レンズの第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有してもよく、それにより、tmax2は、tmax1よりも少なくとも30%大きくなり、中間レンズは、約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して約15nmよりも小さい最大複屈折を有してもよく、
ディスプレイレンズは、中間レンズの第2の主面に接合された第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有してもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、反射偏光子が、眼用レンズの湾曲した第2の主面と中間レンズの湾曲した第1の主面との間に配置され、眼用レンズの第2の主面及び中間レンズの第1の主面のそれぞれに実質的に適合してもよい。いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光、かつ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、反射偏光子は、第1の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも70%を伝達してもよく、直交する第2の偏光状態を有する垂直な入射光の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも70%を反射する。
【0026】
本明細書のいくつかの態様によれば、ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って観察者に表示するための光学レンズアセンブリが、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含む。レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、対応する有効レンズ領域にわたって以下が当てはまり得る。
眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有してもよく、
中間レンズは、眼用レンズの第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有してもよく、それにより、tmax2は、tmax1よりも少なくとも30%大きくなり、
ディスプレイレンズは、中間レンズの第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、中間レンズ及びディスプレイレンズの有効レンズ領域は、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に空間を画定してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の光学要素が、空間を満たし、中間レンズとディスプレイレンズを互いに接合してもよい。いくつかの実施形態では、空間を満たす1つ以上の光学要素は、1つ以上の接着剤層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、空間を満たす1つ以上の光学要素は、リターダ層(例えば、1/4波長板)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の空間内の間隙が、空間にわたって不規則に変化している。すなわち、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に画定された空間は、1つ以上の光学要素で満たされていない(すなわち、光学要素が省略されている)ときに、空間の1つ以上の方向に沿って変化していてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の空間内に画定された最小間隙がGminであり、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の最大間隙がGmaxであり、それにより、Gmax-Gminは、約20マイクロメートル以上、約25マイクロメートル以上、又は約30マイクロメートル以上になる。
【0030】
本明細書のいくつかの態様によれば、ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って観察者に表示するための光学レンズアセンブリが、眼用レンズとディスプレイレンズとの間に配置され、眼用レンズ及びディスプレイレンズに接合された中間レンズを含む。レンズはそれぞれ、ディスプレイによって放たれた画像を光軸に沿って透過させるように構成された最大レンズ領域として画定された有効レンズ領域を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、対応する有効レンズ領域にわたって以下が当てはまり得る。
眼用レンズは、互いに反対側にある湾曲した第1及び第2の主面と、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満小さい最小厚さtmin1とを有してもよく、
中間レンズは、眼用レンズの第2の主面に接合された湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmax2と、tmax2よりも約30%超小さい最小厚さtmin2とを有してもよく、それにより、tmax2は、tmax1よりも少なくとも30%大きくなり、
ディスプレイレンズは、中間レンズの第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、中間レンズ及び眼用レンズの有効レンズ領域は、中間レンズの第1の主面と眼用レンズの第2の主面との間に空間を画定してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の光学要素が、空間を満たし、中間レンズと眼用レンズを互いに接合してもよい。いくつかの実施形態では、空間を満たす1つ以上の光学要素は、1つ以上の接着剤層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、空間を満たす1つ以上の光学要素は、反射偏光子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、中間レンズの第1の主面と眼用レンズの第2の主面との間の空間内の間隙が、空間にわたって不規則に変化していてもよい。すなわち、中間レンズの第1の主面と眼用レンズの第2の主面との間に画定された空間は、1つ以上の光学要素で満たされていない(すなわち、光学要素が省略されている)ときに、空間の1つ以上の方向に沿って変化していてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、中間レンズの第1の主面と眼用レンズの第2の主面との間の空間内に画定された最小間隙がHminであり、中間レンズの第1の主面と眼用レンズの第2の主面との間の最大間隙がHmaxであり、それにより、Hmax-Hminは、約20マイクロメートル以上、約25マイクロメートル以上、又は約30マイクロメートル以上になる。
【0034】
本明細書のいくつかの態様によれば、光学レンズアセンブリが、ディスプレイレンズに隣接して配置され、ディスプレイレンズに接合された中間レンズであって、湾曲した第1の主面と、反対側の第2の主面と、最大厚さtmaxと、tmaxよりも約30%超小さい最小厚さtminとを有し、ディスプレイレンズが、中間レンズの第2の主面に面する第1の主面と、反対側の湾曲した第2の主面とを有する、中間レンズと、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に配置され、中間レンズの第2の主面及びディスプレイレンズの第1の主面の少なくとも一方に接合された光学フィルムと、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、中間レンズの第2の主面及びディスプレイレンズの第1の主面の一つとインサート成形され、中間レンズの第2の主面及びディスプレイレンズの第1の主面の一方に埋め込まれてもよい(すなわち、光学フィルムは、中間レンズ又はディスプレイレンズのいずれかと一体化され、中間レンズとディスプレイレンズとの間に埋め込まれるように配置されてもよい)。いくつかの実施形態では、光学フィルムは、リターダ、反射偏光子、吸収偏光子、又はポリマーフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、中間レンズの第2の主面及びディスプレイレンズの第1の主面は、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間に空間を画定してもよく、空間において、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の最小間隙がGminであり、中間レンズの第2の主面とディスプレイレンズの第1の主面との間の最大間隙がGmaxであり、Gmax-Gminは、約20マイクロメートル以上、約25マイクロメートル以上、又は約30マイクロメートル以上である。
【0036】
ここで図面を参照すると、
図1は、先行技術の典型的な2レンズ光学レンズアセンブリの破断側面図である。2構成要素(又は「2レンズ」)光学レンズアセンブリにおける先行技術のレンズ150は、観察者側レンズ又は観察者レンズ15に配置され、それに接合されたディスプレイ側レンズ又はディスプレイレンズ50を特徴とする。ディスプレイレンズ50は、ディスプレイ10(「ピクチャ生成ユニット」又はPGU)に隣接して配置され、ディスプレイは、知覚画像12として観察者20の眼によって観察される、レンズアセンブリ150を透過する画像11を生成する。観察者レンズ15は、湾曲した第1の主面14及び実質的に平面状の第2の主面16を有する。この破断側面図において、第1の主面14及び第2の主面16は、観察者レンズ15にわたって厚さが変化している断面を画定する。観察者20に最も近い観察者レンズ15の第1の主面14は、その上に配置された反射偏光子(図示せず)を典型的に有する。観察者レンズ15にわたる厚さの著しい変化のため、レンズは、高い残留成形応力を有することが予想され、結果として高い複屈折をもたらす可能性がある。観察者レンズ15は、部品にわたる熱収縮の差による大きな形状誤差も有する。
【0037】
加えて、観察者レンズ15がインサート成形又は「成形同時加飾(in-mold decoration)」プロセスによって製造される場合(すなわち、反射偏光子がインサート成形プロセス中に第1の主面14上に配置される一方、レンズが冷却される)、レンズは、弾性係数及び熱膨張係数(CTE)などの異方性の高い熱機械特性による大きな形状誤差を有することがある。
【0038】
図2は、本明細書による光学レンズアセンブリのある実施形態の破断側面図であり、
図3A及び
図3Bは、
図2の光学レンズアセンブリの側面図を提供し、追加の詳細及び層を示す。光学レンズアセンブリを高いレベルで示す
図2をまず見ると、光学レンズアセンブリ200は、ディスプレイレンズ50と眼側レンズ又は眼用レンズ40との間に配置され、それらに接合された中間レンズ30を含む。すなわち、
図1において単一構成要素の観察者レンズ15として実装されたものが、
図2の実施形態では2つのレンズ構成要素、すなわち中間レンズ30及び眼用レンズ40に分割される。レンズアセンブリを3つのレンズ構成要素として実装することにより、眼用レンズ40を厚さが実質的に一定の薄いレンズとして構成することが可能であり、
図1の先行技術の実施形態に見られる、厚さが変化している単一部品の観察者レンズ15にわたる形状誤差が大幅に低減される。
図1の観察者レンズ15などの先行技術のレンズ構成要素と比較して、眼用レンズ40は、より低い複屈折、減少した反り、減少した形状誤差、減少した非点収差、及び増加した信頼性を有し得る。例えば、眼用レンズ40は、形状又は形態の著しい変化を伴わずに、極端な温度範囲及び湿度変動に耐える改善された能力を有し得る。加えて、中間レンズ30は、厳しい形状公差を有する必要がなく、厳しい形状公差を維持するための過度の努力なしに低い複屈折のために最適化できるので、成形がより容易である。いくつかの実施形態では、中間レンズ30の嵌合面(すなわち、眼用レンズ40及びディスプレイレンズ50に接合される表面)は、強屈折面でも反射面でもなく、例えば、接合されるレンズ構成要素と同様の屈折率を伴う、光学セメント等の光学的に透明な接着剤を使用して、眼用レンズ40及びディスプレイレンズ50に接合することができる。
【0039】
図3A及び
図3Bは、
図2の光学レンズアセンブリ200に関する更なる詳細を提供し、これらの図を以下の説明のために一緒に確認されたい。光学レンズアセンブリ200は、眼用レンズ40とディスプレイレンズ50との間に配置され、それらに接合された中間レンズ30を含む。いくつかの実施形態では、中間レンズ30は、湾曲した第1の主面32と、反対側の第2の主面33とを有する。いくつかの実施形態では、ディスプレイレンズ50は、第1の主面52と、反対側の湾曲した第2の主面53とを有する。いくつかの実施形態では、眼用レンズ40は、互いに反対側にある湾曲した第1の主面42及び湾曲した第2の主面43を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、眼用レンズの主面42、43はそれぞれ、処方された表面プロファイルから第1の最大山対谷値だけ逸脱する実際の表面プロファイルを有してもよく、第1の最大山対谷の逸脱は、約10マイクロメートルよりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、中間レンズ30の第1の主面32及び第2の主面33の少なくとも一方は、処方された表面プロファイルから第2の最大山対谷値だけ逸脱する実際の表面プロファイルを有してもよく、第2の最大山対谷の逸脱は、約15マイクロメートル、約20マイクロメートル、又は約25マイクロメートルよりも大きい。
【0041】
図3Bを見ると、いくつかの実施形態では、眼用レンズは、最大厚さtmax1と、tmax1よりも約30%未満、約25%未満、約20%未満、又は約15%未満小さい最小厚さtmin1とを有してもよい。いくつかの実施形態では、tmax1は、眼用レンズ40の第1の箇所に位置し、tmin1は、眼用レンズ40の第2の箇所に位置し、第2の箇所は、第1の箇所から距離d1にある。いくつかの実施形態では、(tmax1-tmin1)/d1の値は、約0.1よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、中間レンズ30は、最小厚さtmin2及び最大厚さtmax2を有してもよく、tmax2は、tmax1よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも4倍大きい。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルム60が、眼用レンズ40の湾曲した第1の主面42に配置され、それに実質的に適合する。いくつかの実施形態では、この第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルム60は、吸収偏光子であってもよい。いくつかの実施形態では、この第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルム60は、光学的に透明なフィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルム60は、接合層110によって眼用レンズ40の湾曲した第1の主面42に接合されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルム70が、眼用レンズ40の湾曲した第2の主面43と中間レンズ30の湾曲した第1の主面32との間に配置され、眼用レンズ40の湾曲した第2の主面43と中間レンズ30の湾曲した第1の主面32のそれぞれに実質的に適合する。いくつかの実施形態では、第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルム70は、反射偏光子であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルム70は、1つ以上の接着剤層83によって、眼用レンズ40の湾曲した第2の主面43及び中間レンズ30の湾曲した第1の主面32に接合されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、眼用レンズ40は、実質的に一定の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズ40は、射出成形又はインサート成形プロセスを使用して作製されてもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズ40は、眼用レンズ40の両側にある第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルム60及び第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルム70と成形されてもよい。これにより、互いに反対側にある湾曲した第1の主面42及び湾曲した第2の主面43に配置された内側コア及び外側「スキン」を有する「サンドイッチ」構造が作り出される。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1のリターダ層80が、中間レンズ30の第2の主面33とディスプレイレンズ50の第1の主面52との間に配置され、それらのそれぞれに実質的に適合してもよい。いくつかの実施形態では、第1のリターダ層80は、1つ以上の接着剤層81、83によって、中間レンズ30の第2の主面33及びディスプレイレンズ50の第1の主面52に接合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のリターダ層80は、中間レンズ30又はディスプレイレンズ50のいずれかとインサート成形(すなわち、一体化)されてもよい。そのような実施形態では、第1のリターダ層80は、中間レンズ30とディスプレイレンズ50との間に埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態では、第1のリターダ層80は、1/4波長板であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルム90が、ディスプレイレンズ50の湾曲した第2の主面53に配置され、それに実質的に適合してもよい。いくつかの実施形態では、第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルム90は、50:50のビームスプリッタフィルムであってもよい。
【0047】
これらのレンズ構成要素(すなわち、中間レンズ30、眼用レンズ40、及びディスプレイレンズ50)はそれぞれ、有効レンズ領域を有し、有効レンズ領域は、観察者20の眼によって知覚画像12として観察される、ディスプレイ10によって放たれた画像11を光学レンズアセンブリ200に透過させるように構成された最大レンズ領域として画定される。これらの有効レンズ領域は、ディスプレイレンズ50の有効レンズ領域51、眼用レンズ40の有効レンズ領域41、及び中間レンズ30の有効レンズ領域31を含む。
【0048】
例示的な一実施形態では、画像11は、画像光線95としてディスプレイ10によって伝達される。画像光線95は、ディスプレイ10から光学レンズアセンブリ200に向けて伝達され、最初に50:50ビームスプリッタフィルム90に入射し、ディスプレイレンズ50を透過する。次いで、画像光線95は、1/4波長板80を通過し、反射偏光子70によって反射され、1/4波長板80を通過して戻り、ビームスプリッタフィルム90によって反射され、最後に1/4波長板80を通過して戻り、反射偏光子70(ここでは通過に適切な偏光状態にある)を通って、眼用レンズ40を通って出て、観察者20の眼に知覚される画像12を光軸120に沿って作り出し得る。様々なレンズ構成要素を通る画像光線95の経路は、有効レンズ領域51、31及び41のそれぞれを画定する。有効レンズ領域51、31及び41の境界をより良く示すために、
図3Aには、最も外側の画像光線95のみが例として示されていることに留意されたい。
【0049】
いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光101(入射光101、
図6Bを参照)、かつ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長(例えば、約450nm~約650nmに及ぶ範囲内の人間にとって可視の光)に対して、反射偏光子は、第1の偏光状態(例えば、フィルムのx軸に一致する)を有する垂直な入射光の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも65%を伝達してもよく、直交する第2の偏光状態(例えば、フィルムのy軸に一致する)を有する垂直な入射光の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、又は少なくとも65%を反射する。
【0050】
いくつかの実施形態では、実質的に垂直な入射光、かつ約450nm~約650nmに及ぶ可視波長範囲内の少なくとも1つの波長に対して、少なくとも部分的に光透過性の第1から第3の層はそれぞれ、第1の偏光状態(x軸)を有する垂直な入射光の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%を伝達し、少なくとも部分的に光透過性の第2及び第3の層はそれぞれ、直交する第2の偏光状態(y軸)を有する垂直な入射光の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも45%を阻止する。第3の少なくとも部分的に光透過性のフィルム90への垂直な入射光102の定義については、
図6Aを参照されたい。第2の少なくとも部分的に光透過性のフィルム70への垂直な入射光101の定義については、
図6Bを参照されたい。第1の少なくとも部分的に光透過性のフィルム60への垂直な入射光100の定義については、
図6Cを参照されたい。
【0051】
図4は、ディスプレイレンズ50と中間レンズ30との間の境界面に関する更なる詳細を示す光学レンズアセンブリ200の代替図を示し、
図5は、眼用レンズ40と中間レンズ30との間の境界面に関する更なる詳細を示す。
図4及び
図5における構成要素の多くは、
図3から繰り返されており、同様の番号が付された構成要素は、明示的に別様に述べない限り、本明細書の他の箇所ですでに説明したのと同様の機能を有するものと想定される。
【0052】
図4をまず見ると、光学レンズアセンブリ200が、眼用レンズ40とディスプレイレンズ50との間に配置され、それらに接合された中間レンズ30を含む。ディスプレイレンズ50と中間レンズ30との間の境界面は、詳細を誇張して示されており、(ディスプレイレンズ50の)表面52及び(中間レンズ30の)表面33が著しい表面プロファイル誤差を有し得ることを示している。すなわち、中間レンズ30及びディスプレイレンズ50は、強い屈折力を有しないので、厳密でない形状精度を有することが可能になり、ディスプレイレンズ50及び中間レンズ30のそれぞれの有効レンズ領域51及び31により、これらのレンズ構成要素の間に空間130がそれぞれ画定され、1つ以上の光学要素(例えば、接着充填材及び/又はリターダ層)によって満たされ得る。この空間130において、中間レンズ30の第2の主面33とディスプレイレンズ50の第1の主面52との間の最小間隙がGminであり、中間レンズ30の第2の主面33とディスプレイレンズ50の第1の主面52との間の最大間隙がGmaxであり、それにより、Gmax-Gminの値は、約20マイクロメートル以上、約25マイクロメートル以上、又は約30マイクロメートル以上である。いくつかの実施形態では、空間130内の中間レンズ30とディスプレイレンズ50との間の間隙131が、空間130にわたって不規則に変化していてもよい。
【0053】
図5は、眼用レンズ40と中間レンズ30との間の境界面に関する同様の詳細を示す。明確さのために、光学レンズアセンブリ200Aの一部分のみが示され、眼用レンズ40と中間レンズ30との間の境界面に焦点が当てられていることに留意されたい。眼用レンズ40と中間レンズ30との間の境界面は、詳細を誇張して示されており、(眼用レンズ40の)表面43及び(中間レンズ30の)表面32が、著しい表面プロファイル誤差を有し得る。すなわち、中間レンズ30及び眼用レンズ40の少なくとも表面43は、厳密でない形状精度を有し得る。眼用レンズ40及び中間レンズ30のそれぞれの有効レンズ領域41及び31により、これらのレンズ構成要素の間に空間135が画定され、1つ以上の光学要素(例えば、接着剤充填材及び/又は反射偏光子)によって満たされ得る。この空間135において、中間レンズ30の第1の主面32と眼用レンズ40の第2の主面43との間の最小間隙がHminであり、中間レンズ30の第1の主面32と眼用レンズ40の第2の主面43との間の最大間隙がHmaxであり、それにより、Hmax-Hminの値は、約20マイクロメートル以上、約25マイクロメートル以上、又は約30マイクロメートル以上である。いくつかの実施形態では、空間135内の中間レンズ30と眼用レンズ40との間の間隙136が、空間135にわたって不規則に変化していてもよい。
【0054】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。特定の値の約、ほぼとして与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、本明細書に使用及び記載されている文脈において当業者にとって明らかではない場合には、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0055】
「実質的に(substantially)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。「実質的に等しい(substantially equal)」の使用が、これが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に等しい」は、ほぼ等しいことを意味し、ほぼ(about)は上記のとおりである。「実質的に平行(substantially parallel)」の使用が、これが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に平行」は、平行の30度以内を意味する。互いに実質的に平行として記載されている方向又は表面は、いくつかの実施形態では、平行の20度以内、若しくは10度以内であり得る、又は平行若しくは名目上平行であり得る。「実質的に位置合わせされている(substantially aligned)」の使用が、これが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に位置合わせされている」は、位置合わせされている対象の幅の20%以内で位置合わせされていることを意味する。実質的に位置合わせされていると記載されている対象は、いくつかの実施形態では、位置合わせされている対象の幅の10%以内又は5%以内で位置合わせされてもよい。
【0056】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0057】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】