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特表2023-540801燃料ポンプ装置、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】燃料ポンプ装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/44 20060101AFI20230919BHJP
   F02M 39/02 20060101ALI20230919BHJP
   F02M 59/36 20060101ALI20230919BHJP
   F02M 63/00 20060101ALI20230919BHJP
【FI】
F02M59/44 S
F02M39/02 B
F02M59/36 F
F02M59/44 Z
F02M63/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516086
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-10
(86)【国際出願番号】 US2021049057
(87)【国際公開番号】W WO2022055807
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/076,753
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504244623
【氏名又は名称】カミンズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【弁理士】
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】ムノス,ロベルト・エム
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】クォック,イップ
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー,トーマス・エム
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AC09
3G066BA46
3G066CD02
3G066CD04
3G066CE02
(57)【要約】
本明細書では、高圧燃料ポンプの設計及び特徴に関連するデバイス、システム、及び方法が開示されている。高圧燃料ポンプ組立体は、本体、カムシャフト、及びエンボスを含む。本体は、前端とその反対側の後端を有し、低圧燃料ポンプに結合するように構成されている。カムシャフトは、本体の中央ボア内で回転移動可能であるように、本体の中央ボアの内部に受け入れて固定される。カムシャフトのカプラ端部は、低圧燃料ポンプのドライブシャフトに連結するように構成される。エンボスは、低圧燃料ポンプを高圧燃料ポンプ組立体に結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボスを含む。エンボスは、エンボスでの幾何学的変形を引き起こす熱応力がエンジン温度作動条件の範囲にわたって減少するように、本体の後端に形成される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧燃料ポンプに結合するように構成された高圧燃料ポンプであって、
前端と、前記前端の反対側の後端とを有し、前記後端は、前記低圧燃料ポンプに結合するように構成された、本体、及び
前記低圧燃料ポンプを前記高圧燃料ポンプに結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボスを含み、幾何学的変形を生じさせる熱応力がエンジン温度の動作条件の範囲で減少するように、前記本体の前記後端に形成される、エンボス、
を備える、前記高圧燃料ポンプ。
【請求項2】
前記エンボスが、前記エンボスの内面に圧入組立体が圧入される前記本体のプレスゾーン上に形成される、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項3】
前記エンボスの直径は、前記エンボスの長さの約4倍である、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのファスナボスの外面部分が、前記エンボスの外周壁の輪郭に概ね沿う、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの前記ファスナボスが、前記エンボスの下部に配置されたコネクタを包囲するように、前記エンボスの前記下部に配置される、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項6】
前記コネクタが、ブラケットを前記エンボスに結合するように構成されたコネクタ部分を備える、請求項5に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項7】
前記エンボスが、前記少なくとも1つのファスナボスの一部を形成する少なくとも1つの切欠きを含む、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの切欠きが、前記エンボスの外周壁から前記エンボスの側壁まで延在する、請求項7に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項9】
前記エンボスが略トロイダルの形状を有する、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項10】
前記エンボスの外周壁は、前記エンボスの上部で略平坦な部分に移行する、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項11】
高圧燃料ポンプ組立体であって、
前端と、前記前端の反対側の後端とを有し、前記後端は、低圧燃料ポンプに結合するように構成された、本体、
カムシャフトであって、中央ボアの内部で回転移動可能であるように、前記本体の前記中央ボアの内部に受け入れられて固定され、前記カムシャフトのカプラ端部は、前記低圧燃料ポンプのドライブシャフトに結合するように構成された、前記カムシャフト、及び
前記低圧燃料ポンプを前記高圧燃料ポンプ組立体に結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボスを含み、幾何学的変形を生じさせる熱応力がエンジン温度の動作条件の範囲で減少するように、前記本体の前記後端に形成される、エンボス、
を備える、前記高圧燃料ポンプ組立体。
【請求項12】
前記エンボスが、前記エンボスの内面に圧入組立体が圧入される前記本体のプレスゾーン上に形成される、請求項11に記載の高圧燃料ポンプ組立体。
【請求項13】
前記カムシャフトの前記カプラ端部が前記圧入組立体の内部に受け入れられる、請求項12に記載の高圧燃料ポンプ組立体。
【請求項14】
前記圧入組立体が、前記カムシャフトのカプラ端部を受け入れるように構成されたブッシングの外面の周りに配置されたスリーブを含む、請求項12に記載の高圧燃料ポンプ組立体。
【請求項15】
前記エンボスの直径は、前記エンボスの長さの約4倍である、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのファスナボスの外面部分は、前記エンボスの外周壁の輪郭に概ね沿い、前記エンボスの下部に配置されたコネクタを包囲するように、前記エンボスの前記下部に配置される、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項17】
前記エンボスが、前記少なくとも1つのファスナボスの一部を形成する少なくとも1つの切欠きを含み、
前記少なくとも1つの切欠きが、前記エンボスの外周壁から前記エンボスの側壁まで延在する、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項18】
低圧燃料ポンプに結合するように構成された高圧燃料ポンプ用のハウジングであって、
前端、前記前端の反対側の後端、中央ボア、及び前記中央ボアから延びる少なくとも1つのシリンダを有する本体であって、前記後端は前記低圧燃料ポンプに結合するように構成され、前記中央ボアは、カムシャフトが前記中央ボア内で回転移動可能であり、前記少なくとも1つのシリンダの内部に配置されたプランジャを周期的に作動するように前記カムシャフトを受け入れて固定するよう構成される、前記本体、及び
略トロイダルの形状であり、前記低圧燃料ポンプを前記高圧燃料ポンプに結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボスを含み、幾何学的変形を生じさせる熱応力がエンジン温度の動作条件の範囲で減少するように、前記本体の前記後端に形成される、エンボス、
を備える、前記ハウジング。
【請求項19】
前記エンボスは、前記エンボスの内面に圧入組立体が圧入される前記本体のプレスゾーン上に形成され、
前記圧入組立体は、前記カムシャフトのカプラ端部を受け入れるように構成されたブッシングの外面の周りに配置されたスリーブを含み、前記カムシャフトのカプラ端部が前記圧入組立体の内部に受け入れられる、請求項18に記載のハウジング。
【請求項20】
前記エンボスが、前記少なくとも1つのファスナボスの一部を形成する少なくとも1つの切欠きを含み、
前記少なくとも1つの切欠きが、前記エンボスの外周壁から前記エンボスの側壁まで延在し、
前記少なくとも1つのファスナボスの外面部分は、前記エンボスの前記外周壁の輪郭に概ね沿い、前記エンボスの下部に配置されたコネクタを包囲するように、前記エンボスの前記下部に配置される、請求項18に記載のハウジング。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年9月10日に出願された「FUEL PUMP DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS」という名称の米国仮特許出願第63/076,753号に対する優先権を主張するものであり、その完全な開示が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して燃料ポンプに関し、特に、内燃機関に関連して使用される燃料ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
コモンレール燃料供給システムを備えた内燃エンジンは、高圧燃料ポンプを使用して、低いエンジン速度でレール内側の適切な燃料圧力を確保し、高いエンジン速度で良好な空気と燃料の混合をもたらしている。燃料を計量して加圧するために、高圧燃料ポンプは通常、高圧燃料ポンプ本体のバレルのボアの内部で往復運動する単一部品のポンピングプランジャを備えている。高圧燃料ポンプは通常、燃料タンクなどの燃料貯蔵庫から燃料を引き出す低圧燃料ポンプから燃料を受け取る。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、概して、ある範囲のエンジン動作温度において向上した信頼性を示す、内燃エンジン用の改良された高圧燃料ポンプ装置を含むデバイス、システム、及び方法に関する。本開示の原理に従って、高圧燃料ポンプハウジングの設計及び特徴が開示される。そのような設計及び特徴は、高圧燃料ポンプのプレスゾーン(例えば、ベアリング力及び熱応力が増加するゾーン)上にエンボスを有することによって、熱の作用に応答した高圧燃料ポンプの堅牢性を高めることができる。
【0005】
本開示の原理は、特に内燃機関に関連して使用される場合に、有利である。本開示の利点は、高圧燃料ポンプの設計が、エンジン温度作動条件の範囲を通じて、幾何学的変形をもたらす熱応力を軽減できることである。その他の利点には、熱の作用による歪みの減少、弾性抵抗の増加、及び大きなフープ応力に対応できることが含まれる。同様に、本開示によってもたらされる幾何学的変形の低減は、圧入組立体(ブッシングを介して高圧燃料ポンプの本体へのカムシャフト圧入を含むものなど)の構造的マージンの増加、及び望ましい空隙(カムシャフトとブッシングの間など)を維持できることに至る。本明細書で詳細に論じていない他の利点は、当業者に明らかであろう。
【0006】
本開示の実施形態によれば、高圧燃料ポンプは、低圧燃料ポンプに結合するように構成することができる。高圧燃料ポンプは、本体及びエンボスを含むことができる。本体は、前端及び前端の反対側の後端を有することができる。後端は、低圧燃料ポンプに結合するように構成することができる。エンボスは、低圧燃料ポンプを高圧燃料ポンプに結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボスを含むことができる。エンボスは、エンボスでの幾何学的な変形を引き起こす熱応力がエンジン温度作動条件の範囲にわたって減少するように、本体の後端に形成することができる。
【0007】
いくつかのそのような例では、エンボスは、圧入組立体がエンボスの内面に圧入される本体のプレスゾーン上に形成することができる。例において、エンボスの直径は、エンボスの長さの4倍である。例において、エンボスは、略トロイダルの形状を有することができる。例では、エンボスの外周壁は、エンボスの上部で略平坦な部分に移行することができる。例では、エンボスは、少なくとも1つのファスナボスの一部を形成する少なくとも1つの切欠きを含むことができる。例では、少なくとも1つの切欠きは、エンボスの外周壁からエンボスの側壁まで延びることができる。
【0008】
いくつかのそのような例では、少なくとも1つのファスナボスの外面部分は、エンボスの外周壁の輪郭に概ね沿うことができる。例では、少なくとも1つのファスナボスは、エンボスの下部に配置され得、エンボスの下部に配置されるコネクタを包囲するようにする。いくつかのそのような例では、コネクタは、ブラケットをエンボスに結合するように構成されたコネクタ部分を備える。
【0009】
本開示の例は、本体、カムシャフト、及びエンボスを含むことができる高圧燃料ポンプ組立体を含む。本体は、前端及び前端の反対側の後端を有することができる。後端は、低圧燃料ポンプに結合するように構成することができる。カムシャフトは、本体の中央ボアの内部で回転移動できるように、本体の中央ボアの内部に受け入れて固定することができる。カムシャフトのカプラ端部は、低圧燃料ポンプのドライブシャフトに連結するように構成することができる。例において、カムシャフトのカプラ端部は、圧入組立体の内部に受け入れられることが可能である。例では、圧入組立体は、カムシャフトのカプラ端部を受け入れるように構成されたブッシングの外面の周りに配置されたスリーブを含むことができる。エンボスは、低圧燃料ポンプを高圧燃料ポンプ組立体に結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボスを含むことができる。
【0010】
いくつかのこのような例では、エンボスは、エンボスでの幾何学的な変形を引き起こす熱応力がエンジン温度作動条件の範囲にわたって減少するように、本体の後端に形成することができる。例では、エンボスは、圧入組立体がエンボスの内面に圧入される本体のプレスゾーン上に形成することができる。例において、エンボスの直径は、エンボスの長さの4倍である。
【0011】
本開示の例は、低圧燃料ポンプに結合するように構成された高圧燃料ポンプ用のハウジングを含む。ハウジングは、本体及びエンボスを含むことができる。本体は、前端、前端の反対側の後端、中央ボア、及び中央ボアから延びる少なくとも1つのシリンダを有することができる。後端は、低圧燃料ポンプに結合するように構成することができる。中央ボアは、カムシャフトが中央ボアの内部で回転可能であり、少なくとも1つのシリンダの内部に配置されたプランジャを周期的に作動させるように、カムシャフトを受け入れて固定するように構成することができる。エンボスは、略トロイダルの形状とすることができる。エンボスは、低圧燃料ポンプを高圧燃料ポンプに結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボスを含むことができる。エンボスは、エンボスでの幾何学的変形を引き起こす熱応力がエンジン温度作動条件の範囲にわたって減少するように、本体の後端に形成することができる。
【0012】
いくつかのそのような例では、エンボスは、圧入組立体がエンボスの内面に圧入される本体のプレスゾーン上に形成することができる。圧入組立体は、カムシャフトのカプラ端部を受け入れるように構成されたブッシングの外面の周りに配置されたスリーブを含むことができる。カムシャフトのカプラ端部は、圧入組立体の内部に受け入れられることが可能である。例では、エンボスは、少なくとも1つのファスナボスの一部を形成する少なくとも1つの切欠きを含むことができる。例では、少なくとも1つの切欠きは、エンボスの外周壁からエンボスの側壁まで延びることができる。少なくとも1つのファスナボスの外面部分は、エンボスの外周壁の輪郭に概ね沿うことができ、エンボスの下部に配置されたコネクタを包囲するように、エンボスの下部に配置される。
【0013】
本開示の上記及び他の特徴、ならびにそれらを取得する方法は、添付の図面と併せて解釈される本開示の実施形態の以下の説明を参照することによって、より明らかになり、開示自体がよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体の斜視図である。
図1B】本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体のハウジングの側面図である。
図1C】本開示の態様による、図1AのA-A断面で得られる断面図である。
図2A】本開示の態様による、高圧燃料ポンプのハウジングの斜視図である。
図2B】本開示の態様による、高圧燃料ポンプのハウジングの後面図である。
図3A】本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体の後面図である。
図3B】本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体の後端の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面は、本開示による様々な特徴及び構成要素の実施形態を表すが、図面は必ずしも原寸に比例するものではなく、特定の特徴は、本開示をよりよく図示及び説明するために誇張されている可能性がある。本明細書に記載の例示は、本開示の実施形態を示しており、そのような例示は、本開示の範囲を決して限定するものと解釈されるべきではない。
【0016】
本開示の原理の理解を促進する目的で、下部にて説明する図面に例示された実施形態について、今より言及する。それでもなお、本開示の範囲がそれによって限定されないことを意図していることが理解されよう。本開示は、例示されたデバイス、説明された方法、及び本開示の原理のさらなる適用における任意の変更及びさらなる修正を含み、これらは、本開示と関連する当業者が通常想到することである。さらに、実施形態は、当業者が本開示を実施できるように説明するために選択されたものである。
【0017】
ここで図を参照すると、図1A~1Cは、本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体100の様々な見え方を示している。図1Aは、本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体100の斜視図を示す。図1Bは、本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体100のハウジング125の側面図を示す。図1Cは、本開示の態様による、図1AのA-A断面で得られる断面図である。これらの図に示されている例の特徴は、下部で詳しく説明する。
【0018】
カム駆動の高圧燃料ポンプ組立体は、直噴内燃エンジンで使用されるコモンレールで高圧燃料を生成するための一般的な解決策になっている。カムシャフト110は、高圧燃料ポンプ組立体100のハウジング125の本体122を通って延びる中央ボア120の内部に収容され、固定されて、中央ボア120の内部で回転移動可能であるようにする。カムシャフト110は、カムシャフト110の回転運動を往復運動に変換するカム112を含む(例えば、カム112の長方形の形状を介して)。高圧燃料ポンプ組立体100などの高圧燃料ポンプ組立体は、通常、中央ボア120から延びるシリンダ126の内部で往復運動するプランジャ(図示せず)などのポンピング要素を含む。プランジャの往復運動は、典型的には、カムシャフト110が回転すると、対応するカム112に追従するプランジャに接続されたカム従動子を使用して達成される。高圧燃料ポンプ組立体100の2つのブッシング130は、カムシャフト110の側面に位置して中央ボア120の内部でカムシャフト110を支えることができる。ブッシング130は、高圧燃料ポンプ組立体100の前端127に配置され、スリーブ132内のブッシング130は、高圧燃料ポンプ組立体100の後端128に配置される。カムシャフト110のカプラ端部116は、高圧燃料ポンプ組立体100の後端128に結合された低圧燃料ポンプ(図示せず)のドライブシャフトに結合するように構成することができる。低圧燃料ポンプは、カムシャフト110によって駆動され、加圧される燃料を高圧燃料ポンプ組立体100に供給することができる。これらの状況下では、高圧燃料ポンプ組立体100の作動及び組立ては、組合わされた複雑な負荷及び熱の作用を及ぼす可能性があり(例えば、エンジン作動温度の範囲にわたって)、高圧燃料ポンプ組立体100の作動及び信頼性を損なう可能性がある。
【0019】
本開示は、内燃機関のコモンレール用の高圧燃料ポンプ組立体に関する。より具体的には、本明細書に開示されるのは、マルチシリンダでカム駆動である高圧燃料ポンプ組立体において、軸受の歪みを低減し、ブッシング130とスリーブ132の保持力を高めるためのデバイス、組立体、及び方法である。本開示の原理によれば、第1の燃料ポンプ組立体100(例えば、高圧燃料ポンプ組立体100)は、本体122、カムシャフト110、及びエンボス150を含むことができる。本体122は、前端127と、前端127の反対側の後端128とを有することができる。本明細書でさらに詳細に説明するように、カムシャフト110は、中央ボア120の内部で回転移動できるように、本体122の中央ボア120内部で受け入れられて固定することができる。後端128は、第2の燃料ポンプ組立体(例えば、低圧燃料ポンプ組立体)(図示せず)に結合するように構成することができる。カムシャフト110のカプラ端部116は、例えば後端128で低圧燃料ポンプのドライブシャフトに連結するように構成することができる。取り付けられた低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプ組立体100自体の構成要素からの組合わされた負荷、及びエンジン動作条件の範囲にわたる温度の変化などの要因により、高圧燃料ポンプの動作と耐久性にリスクをもたらす局所的なホットスポットが生成される。
【0020】
例において、エンボス150は、図1B及び1Cに示すように、圧入組立体135がエンボス150の内面121に圧入される本体122のプレスゾーン(「PZ」)上に形成することができる。プレスゾーンPZは、高圧燃料ポンプ組立体100の本体122の内部に圧入される内部構成要素(例えば圧入組立体135)により増加した力(例えば軸受力)を受ける燃料ポンプの一部分として定めることができる。プレスゾーンPZで受ける力は、低圧燃料ポンプなどの高圧燃料ポンプ組立体100に結合された構成要素によって、ならびに高調波、負荷、及びエンジン作動中の高圧燃料ポンプ組立体100や結合された構成要素が受ける動作温度の範囲によって、悪化する可能性がある。動作温度の範囲(例えば、華氏約220度まで)に特有の幾何学的変形は、温度の上昇に起因する場合があり、幾何学的変形の領域(例えば、プレスゾーン、PZ)で熱応力を引き起こす可能性がある。
【0021】
ブッシング130及びスリーブ132は、圧入組立体135に含めることができ、高圧燃料ポンプ組立体100の他の構成要素と係合することができる。例では、圧入組立体135は、カムシャフト110のカプラ端部116を受け入れるように構成されたブッシング130の外面131の周りに配置されたスリーブ132を含むことができる。カムシャフト110のカプラ端部116は、圧入組立体135の内部、例えばブッシング130の内部に受け入れられることが可能である。このように、圧入組立体135は、外側シリンダとして機能する本体122、中間シリンダとして機能するスリーブ132、及び中間シリンダとして機能するブッシング130の部分を含む3シェルタイプの圧入組立体135とすることができる。圧入組立体135は、高圧燃料ポンプ組立体100の後部、例えばプレスゾーンPZであることができる。高圧燃料ポンプ組立体100のこの部分で、エンボス150は熱応力を緩和することができ、エンジン温度作動条件の範囲を通じて幾何学的変形を均等化する。
【0022】
図2A及び2Bは、高圧燃料ポンプのハウジング125の様々な見え方を示す。図2Aは、本開示の態様による、高圧燃料ポンプのハウジング125の斜視図を示す。図2Bは、本開示の態様による、高圧燃料ポンプのハウジング125の後面図を示す。このような高圧燃料ポンプは、本明細書の別の場所で論じる高圧燃料ポンプ組立体で使用することができる。これらの図に示されている例の特徴について、下部で説明する。
【0023】
これらの図に示されている例は、本明細書の他の場所で説明されているものと同様であり得る。例えば、高圧燃料ポンプ用のハウジング125は、低圧燃料ポンプに結合するように構成することができ、本体122及びエンボス150を含むことができる。本体122は、前端127、前端127の反対側の後端128、中央ボア120、及び中央ボア120から延びる少なくとも1つのシリンダ126を有することができる。例では、エンボス150は、圧入組立体がエンボス150の内面121に圧入される本体122のプレスゾーン上に形成することができる。後端128は、低圧燃料ポンプに結合するように構成することができる。中央ボア120は、カムシャフトが中央ボア120の内部で回転移動可能であり、少なくとも1つのシリンダ126の内部に配置されたプランジャを周期的に作動させるように動作するように、カムシャフトを受け入れて固定するように構成することができる。圧入組立体は、任意選択で、カムシャフトのカプラ端部を受け入れるように構成されたブッシングの外面の周りに配置されたスリーブを含むことができる。カムシャフトのカプラ端部は、圧入組立体の内部に受け入れられることが可能である。組立てられると、圧入組立体は、プレスゾーンPZ内のハウジング125の内面(例えば、エンボス150の内面121)に押し付けることができる。
【0024】
いくつかの例では、エンボス150はプレスゾーンPZを囲み、改善された構造上のマージンを設けて弾性抵抗をもたらして、大きなフープ応力に適応し、熱の作用による歪みを低減することができる。エンボス150は、本体122の後端128に形成することができ、エンボス150で幾何学的変形を引き起こす熱応力が、ある範囲のエンジン温度動作条件を通じて低減されるようにする。例えば、エンボス150は、略トロイダル(例えば、リングまたはドーナツ)形状を有することができ、ハウジング125の一部にわたって(例えば、後端128で)輪郭を呈することができる。このように、エンボス150は、直径D及び長さLによって画定することができる。例では、エンボス150の直径Dは、その長さLよりも大きい。例えば、直径Dは、エンボス150の長さLの2倍、3倍、4倍、または5倍などとすることができる。例において、長さLは、プレスゾーンPZの長さであり得る。
【0025】
エンボス150の設計は、高圧燃料ポンプの構成要素間の空隙を維持する幾何学的変形を制御しながら工学的設計基準を達成するための寸法と表面の特徴のバランスとすることができる。上述のように、エンボス150の直径D及び長さLを規定することができる。追加的または代替的に、エンボス150は、低圧燃料ポンプを高圧燃料ポンプに(例えば、ハウジング125で)結合するためのファスナ(図示せず)を受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボス260を含むことができる。例において、エンボス150の外周壁252は、全体的に円形であり得る。他の例では、ここに示されるように、外周壁252は部分的に円形であり得る。いくつかのそのような例では、エンボス150の外周壁252は、エンボス150の上部251で略平坦な部分254に移行することができる。
【0026】
エンボス150の周りに配置されたファスナボス260は、低圧燃料ポンプなどの構成要素を高圧燃料ポンプに結合することを容易にすることができる。エンボス150の平坦な部分254は、エンボス150の他の部分と同様に、1つまたは複数のファスナボス260の内部に配置された1つまたは複数のファスナ孔262を含むことができる。エンボス150は、低圧燃料ポンプを高圧燃料ポンプに結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボス260を含むことができる。ファスナボス260は、構成要素(低圧燃料ポンプなど)を高圧燃料ポンプに結合するためのファスナまたはインサートを受け入れるように構成されたファスナ孔262を含むことができる。ファスナボス260の数は、ファスナ孔262の数に一致するか、または異なることができる。例では、少なくとも1つのファスナボス260の外面部分264は、エンボス150の外周壁252の輪郭に概ね沿うことができ、エンボス150の下部255に配置されたコネクタ270を包囲するように、エンボス150の下部255に配置することができる。
【0027】
切欠き280は、エンボス150の周りに配置することができ、ファスナボス260などのエンボスの特徴を形成することができる。例では、エンボス150は、少なくとも1つのファスナボス260の一部を形成する少なくとも1つの切欠き280を含むことができる。少なくとも1つの切欠き280は、エンボス150の外周壁252から、例えば、エンボス150の側壁256まで延びることができる。このようにして、切欠き280は、エンボス150の周縁においてベベルの形態であり得る。他の例では、切欠き280は、側壁256からエンボス150に至る凹部の形にすることができる。例では、エンボス150は、少なくとも1つのファスナボス260の一部を形成する少なくとも1つの切欠き280を含むことができる。このようにして、ファスナボスの外面部分264は切欠きによって形成することができる。少なくとも1つのファスナボス260の外面部分264は、エンボス150の外周壁252の輪郭に概ね沿うことができる。このようにして、少なくとも1つのファスナボス260の外面部分264は、エンボス150の下部255に配置され得、エンボス150の下部255に配置されるコネクタ270を包囲するようにする。コネクタ270は、構成要素を高圧燃料ポンプに結合するために使用することができる。
【0028】
図3A及び3Bは、ブラケット390を有する高圧燃料ポンプ組立体100の様々な見え方を示す。図3Aは、本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体100の側面図を示す。図3Bは、本開示の態様による、高圧燃料ポンプ組立体100の後端128の斜視図を示す。これらの図に示されている例の特徴について、下部で説明する。
【0029】
これらの図に示されている例は、本明細書の他の場所で説明されているものと同様である。例えば、高圧燃料ポンプ組立体100は、低圧燃料ポンプに結合するように構成することができ、本体122及びエンボス150を含むことができる。本体122は、前端127と、前端の反対側の後端128とを有することができ、任意選択で、低圧燃料ポンプに結合するように構成することができる。エンボス150は、低圧燃料ポンプを高圧燃料ポンプ組立体100に結合するためのファスナを受け入れるように構成された少なくとも1つのファスナボス260を含むことができる。エンボス150は、本体122の後端128に形成することができ、エンボス150で幾何学的変形を引き起こす熱応力が、ある範囲のエンジン温度動作条件を通じて低減されるようにする。エンボス150は、任意選択に、略トロイダルの形状を有することができ、任意選択に、圧入組立体がエンボス150の内面121について圧入される本体122のプレスゾーンPZ上に形成することができる。エンボス150の直径Dは、その長さLの数倍(例えば、約2、3、4、または5倍の)より大きくすることができる。例では、少なくとも1つのファスナボス260の外面部分264は、エンボス150の外周壁252の輪郭に概ね沿うことができる。例では、エンボス150は、少なくとも1つのファスナボス260の一部を形成する少なくとも1つの切欠き280を含むことができる。例では、少なくとも1つの切欠き280は、エンボス150の外周壁252からエンボス150の側壁256まで延びることができる。
【0030】
低圧燃料ポンプの他に、またはそれに加えて、ブラケット390などの他の構成要素を、高圧燃料ポンプ組立体100に結合することができる。例では、少なくとも1つのファスナボス260は、エンボス150の下部255に配置され得、エンボス150の下部255に配置されるコネクタ270を包囲するようにする。いくつかのそのような例では、コネクタ270は、ブラケット390をエンボス150に結合するように構成されたコネクタ部分272を備える。これらの状況下で、コネクタ部分272は、エンボス150からの突出部の形態であることができ、ブラケット390をコネクタ部分272に結合するためのファスナを受け入れるように構成された1つまたは複数のファスナ孔を含むことができる。
【0031】
本明細書に含まれている様々な図に示されている繋がりのある線は、例示的な機能的関係、及び/または様々な要素間の物理的結合を表すことを意図している。実際のシステムに多くの代替または追加の機能的関係または物理的接続が存在し得ることに留意されたい。しかし、利益、利点、及び問題に対する解決策、ならびにいずれかの利益、利点、または解決策を生じさせ得る、またはより顕著にし得る、いずれかの要素は、重大、必要、または不可欠な特性または要素として解釈されないものとする。したがって、その範囲は、添付の特許請求の範囲以外の何物によっても限定されるべきではなく、単数形の要素への言及は、明示的に述べられていない限り、「唯一無二」を意味するものではなく、むしろ「1つまたは複数」を意味することを意図している。さらに、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」に類似する語句が特許請求の範囲で使用される場合、その語句は、Aのみが実施形態に存在することができること、Bのみが実施形態に存在することができること、Cのみが実施形態に存在することができること、または要素A、B、またはCの任意の組合わせ、例えば、AとB、AとC、BとC、AとBとCが単一の実施形態に存在することができることを意味すると解釈されることが意図される。
【0032】
本明細書の詳細な記述において、「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などへの言及は、記載の実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、あらゆる実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含まなくてもよいことを示す。その上、かかる言いまわしは、同一の実施形態を必ずしも指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、実施形態に関連して記述されているとき、かかる特徴、構造、または特性を、他の実施形態に関連させて達成することは、明確に記載されているか否かにかかわらず、本開示の利益に関連する当業者の知識に含まれると考えられる。説明を読んだ後、関連技術分野の当業者(複数を含む)には、どのようにして代替的な実施形態において本開示を実装するかが明らかであろう。
【0033】
さらに、本開示の要素、構成要素、または方法のステップは、要素、構成要素、または方法のステップが特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかに関係なく、公共に捧げられることを意図していない。本明細書のクレーム要素は、「の手段」という語句を使用して要素が明示的に列挙されていない限り、35 U.S.C 112(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。本明細書において使用される際、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」という用語、またはそのいずれかの他の変形は、要素の一覧を含む、プロセス、方法、物品、もしくは装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明白に列記されていないか、またはかかるプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含を網羅することが意図される。
【0034】
実施形態は、例示的な設計を有するものとして説明されてきたが、本開示は、本開示の精神及び範囲の中でさらに修正することができる。したがって、本願は、その一般原則を使用して、本開示のあらゆる変形、使用、または適応を網羅することを意図している。さらに、本願は、本発明が関係する技術分野において既知または慣例の範囲内にあるような、本開示からの逸脱を網羅することを意図している。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
【国際調査報告】