(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】エッチングマスクを用いることによってエンボス加工装置を製造する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B29C 59/04 20060101AFI20230920BHJP
C23C 16/27 20060101ALI20230920BHJP
C23C 16/56 20060101ALI20230920BHJP
B29C 33/38 20060101ALI20230920BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20230920BHJP
【FI】
B29C59/04 C
C23C16/27
C23C16/56
B29C33/38
B23K26/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507443
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2021058003
(87)【国際公開番号】W WO2022049511
(87)【国際公開日】2022-03-10
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522022214
【氏名又は名称】ボエグリ-グラビュール エスエー
【氏名又は名称原語表記】BOEGLI-GRAVURES SA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ボエグリ, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥミトル, ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4E168
4F202
4F209
4K030
【Fターム(参考)】
4E168AD18
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA46
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4F202AF01
4F202AG05
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4F209PQ03
4K030BA28
4K030BB12
4K030CA16
4K030DA08
4K030FA01
(57)【要約】
エンボス加工システムのための構造化されたエンボス加工シリンダの製造方法を提供する。この方法は、円筒状コアと、硬質コーティング層とを有するエンボス加工ローラを用意するステップであって、硬質コーティング層が1μm~10μmの間の範囲内の厚さを有する、ステップと、硬質コーティング層にマスキング層を成膜するステップであって、マスキング層が100nm以下の厚さを有する、ステップと、マスキング層から材料を除去して開口を形成するステップと、マスキング層の開口においてエッチングして硬質コーティング層から材料を除去して、開口において硬質コーティング層に表面キャビティを形成するステップであって、表面キャビティが硬質コーティング層中に構造的エンボス加工特徴部を形成することによりエンボス加工シリンダを形成する、ステップと、を含む。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス加工システムのための構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法であって、
円筒状コアと、前記円筒状コアに、(真空チャンバ内での)第1の(プラズマ増速)気相成長による構造当たり層とを有する、硬質コーティングしたエンボス加工ローラを用意するステップであって、前記構造当たり層が1μm~10μmの間の範囲内の厚さを有するとともに、100nm未満の表面粗さ値Raを有する、ステップと、
第2の(プラズマ増速)気相成長によって、前記構造当たり層にハードマスキング層を成膜するステップであって、前記ハードマスキング層が100nm以下の厚さを有する、ステップと、
前記ハードマスキング層から材料を除去して少なくとも1つの開口を形成するステップと、
前記ハードマスキング層の前記少なくとも1つの開口においてエッチングして前記構造当たり層から材料を除去して、前記少なくとも1つの開口において前記構造当たり層に表面キャビティを形成するステップであって、前記表面キャビティが前記構造当たり層中に構造的エンボス加工特徴部を形成することにより、前記構造化されたエンボス加工シリンダを形成する、ステップと、
を含む、構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項2】
前記構造当たり層が、プラズマ増速化学気相成長成膜させたダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含む、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項3】
前記ハードマスキング層の厚さが5nm超~50nm未満である、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項4】
前記ハードマスキング層が無機材料を含む、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項5】
前記ハードマスキング層から材料を除去する前記ステップがレーザアブレーションによって行われる、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項6】
前記ハードマスキング層から材料を除去する前記ステップが電子ビーム構造化によって行われる、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項7】
前記ハードマスキング層に前記レーザアブレーションを行う前記ステップが、直接レーザアブレーションを用いて、レーザビームのマスク投影を用いて、又は空間光変調器(SLM)を用いてレーザビームを整形することを含む、請求項5に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項8】
電子ビーム構造化を行う前記ステップにおいて、前記ハードマスキング層が50nm以下の厚さを有する、請求項6に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項9】
前記構造当たり層をエッチングする前記ステップが、プラズマアシスト反応性イオンエッチングを含む、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項10】
エッチングする前記ステップが、ウェットエッチングを含む、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項11】
エッチングする前記ステップにおいて形成された前記表面キャビティが、50nm超~7μm未満の深さを有する、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項12】
前記第1及び前記第2の(プラズマ増速)気相成長が、前記真空チャンバ内で連続して処理される、請求項1に記載の構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項13】
円筒状コアと、前記円筒状コアに、真空チャンバ内での第1の(プラズマ増速)気相成長による構造当たり層と、を有する、硬質コーティングしたエンボス加工ローラを用意するステップであって、前記構造当たり層が1μm~10μmの間の範囲内の厚さを有するとともに、100nm未満の表面粗さ値Raを有する、ステップと、
第2の(プラズマ増速)気相成長によって、前記構造当たり層にハードマスキング層を成膜するステップであって、前記ハードマスキング層が100nm以下の厚さを有する、ステップと、
前記ハードマスキング層の上の設けられた電子ビームレジスト層への電子ビーム描画を行うステップと、
電子ビームレジスト層を現像及び除去して前記ハードマスキング層を露出させるステップと、
前記ハードマスキング層を、前記構造当たり層に影響を及ぼさないエッチング液でエッチングするステップと、
前記構造当たり層をエッチングして前記構造当たり層中に表面キャビティを形成するステップであって、前記表面キャビティが前記構造当たり層中に構造的エンボス加工特徴部を形成する、ステップと、
を含む、エンボス加工システムのための構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法。
【請求項14】
ベースと、
前記ベースに接着層と、
前記接着層に、1μm~10μmの間の範囲内の厚さ及び100nm未満のRa粗さ値を有する構造当たり層と、
前記構造当たり層に、100nm未満の厚さを有する無機ハードマスキング層と、
前記構造当たり層の表面に配置された、前記ハードマスキング層を横断するエンボス加工構造化部と、
を備える、構造化されたエンボス加工装置であって、
前記エンボス加工構造化部によって形成された表面キャビティの深さが、50nm~7μmの間であり、前記表面キャビティの幅が、100nm~10μmの間である、構造化されたエンボス加工装置。
【請求項15】
前記キャビティの前記深さと前記幅との比が、0.1~2の間の範囲内である、請求項14に記載の構造化されたエンボス加工装置。
【請求項16】
前記ベースが、金属、セラミック、又は複合材料から作製されるシリンダを含む、請求項14に記載の構造化されたエンボス加工装置。
【請求項17】
前記ベースが、金属、セラミック、又は複合材料から作製されるプレートを含む、請求項14に記載の構造化されたエンボス加工装置。
【請求項18】
前記エンボス加工構造化部を形成する前記表面キャビティが、溝又はトレンチの形態である、請求項14に記載の構造化されたエンボス加工装置。
【請求項19】
前記エンボス加工構造化部を形成する前記表面キャビティが、回折格子を含む、請求項14に記載の構造化されたエンボス加工装置。
【請求項20】
ベースと、
前記ベースに接着層と、
前記接着層に、1μm~10μmの間の範囲内の厚さ及び100nm未満のRa粗さ値を有する構造当たり層と、
前記構造当たり層に、100nm未満の厚さを有する無機ハードマスキング層と、
前記構造当たり層の表面に配置された、前記ハードマスキング層を横断する成形キャビティと、
を備える、射出金型であって、
前記成形キャビティによって形成された表面開口の深さが、50nm~7μmの間であり、表面キャビティの幅が、100nm~10μmの間である、射出金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、エンボス加工ローラ、ロール、ドラム、プレート及びシリンダなどのエンボス加工装置の分野に関し、より詳細には、エンボス加工構造を外側表面に有するエンボス加工装置を製造する方法、及び、例えばエンボス加工包装材料用エンボス加工装置のための対応する製造システム、そのようなエンボス加工包装材料用エンボス加工装置の使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]先行技術において、種々の用途分野のためのエンボス加工ローラを製造する種々の方法が提案されている。例えば、エンボス加工された又は構造化された包装フォイルは、様々な包装業種において、例えば、タバコ製品、チョコレート、菓子、キャンディーなどの食品のために、また、電子部品及び電子機器などの装置、宝石類、腕時計のためにも、又は、あらゆる小売業のためのギフト包装用のラッピング包装フォイルとして用いられている。例えば、美的及び保護目的のために紙巻きタバコ、葉巻、チョコレートに巻くことができる、特定のパターンを有するいわゆるインナーライナーが用いられている。エンボス加工ローラは、金属要素、透明導電性要素、非金属要素、誘電性要素などの要素を含むことができる薄フォイルが、エンボス加工されたパターンでエンボス加工される、連続ロールツーロール(R2R)製造プロセスで使用することができる。別の用途分野は、例えばR2R又はロールツープレート(R2P)プロセスによる、ホットエンボス加工プロセス、例えば熱可塑性ポリマーフィルムのホットエンボス加工による、熱可塑性フィルムを用いた、エンボス加工されたパターンの創出である。例えば、Pengら著、「Micro Hot Embossing of Thermoplastic Polymers:a Review」、Journal of Micromechanics and Microengineering、第24巻、第1号、013001頁、2013年を参照のこと。
【0003】
[0003]互いに協働する対のローラのための、レーザプロセスによるエンボス加工ローラ又はドラムの製造に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,579,924号は、構造的要素が線形寸法及び角度寸法の意図的な偏差に対して特定の構造的特徴部を有する、雄型ローラ及び雌型ローラを有する1組のエンボス加工ローラを、製造する方法を記載している。1組のエンボス加工ローラの構造化部が、レーザ12と、ビームスプリッタ及び音響光学若しくは電気光学モジュレータ又はポリゴンミラーを含み得る偏向ユニット14と、を有するレーザ装置L12によって、独立的に作製される。偏向ユニット14、集光光学系15、及び偏向ミラー16が、x軸線において線形変位可能である彫刻ユニット17を形成する。ワークピースが駆動部23によって駆動され、それが回転角度φで表されている。彫刻ユニットの線形変位とローラの回転との組み合わせによって、均一加工を可能にする一定の螺旋ラインSLがもたらされる。
【0004】
[0004]さらに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,435,373号が、材料の除去及び/又は添加によって可撓性基板に所望のパターンを形成する異なるR2Rプロセス/装置を記載しており、そこでは、複数の材料により、ポリマー3次元(3D)レリーフパターンを形成するのに適した様々な技法によって作製することができる、例えばインサイチュマスク層のために、ロールツーロールエンボス加工プロセスにおけるエンボスによるエンボス加工表面を有する回転パターニングツールが実施される。
【0005】
[0005]さらに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,993,895号では、エンボス加工ローラに刻設するレーザ加工方法が記載されており、それらエンボス加工ローラは、非常に硬質の表面コーティング、例えばテトラヘドラルアモルファスカーボン(Ta-C)でコーティングされて、1マイクロメートルよりも小さい寸法を有することができる、好ましくは300nmの深さを有する、2つの重なった非常に小さいエンボス加工構造をもたらされる。これにより、種々の可視的な多彩色の光回折効果を有するエンボス加工フォイルが可能となる。
【0006】
[0006]さらに、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0066079号では、基板表面へのフェムト秒又はピコ秒レーザビーム(2)のマスク投影のための装置が記載されており、そこでは、レーザビーム2が、光軸線のある位置において、拡大したレーザビーム断面を有するレーザビームパルス又は縮小したレーザビーム断面を有するレーザビームパルスを生成し、特定の真空キュベット18、20、23を使用して、レーザ焦点17、19、22の位置でのプラズマ形成を回避し、真空キュベットのうちの1つの真空キュベット20が、基板13のうち、レーザアブレーションを受ける表面12である、ワークピースの近くに、ピンホール穴26を有している。
【0007】
[0007]しかしながら、ローラ、ドラム、又はシリンダなどのエンボス加工装置を製造するプロセス、及び種々の用途分野に対するあらゆる改善にもかかわらず、特に、実質的に向上した耐久性及び耐用年数を有するローラ又はシリンダなどのエンボス加工装置をもたらすために、新規の実質的に改善された方法及びその結果得られるエンボス加工装置が依然として望まれている。例えば、1つの課題は、例えばレーザ彫刻又はアブレーションによって、レーザベースの方法により材料を除去する場合、例えば、特に、エンボス加工構造自体の内側にある表面に関して、最終的にエンボス加工されたフィルム及びフォイルにおいて、高い摩滅及び所望でない光学効果、例えば、これらの構造の光学的ぼかしの形成及び光学的品質の低減を引き起こす可能性がある、幾分高い表面粗さが、他の場合では平坦な又は湾曲した内側表面に存在することである。別の問題は、レーザベースの方法により材料を除去する場合の、過度の熱に起因する影響であり、これは、コーティング層の材料特性の変化を引き起こす可能性があることにより、表面硬度及び構造的完全性に悪影響を及ぼしかねない。したがって、構造化されたエンボス加工又は成形工具、例えば、エンボス加工シリンダ、ローラ又はドラムを製造する、大幅に完全された方法が望まれている。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明の一態様によれば、エンボス加工システムのための構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法が提供される。方法は、円筒状コアと、この円筒状コアに、硬質コーティング層と、を有する、硬質コーティングしたエンボス加工ローラを用意するステップであって、硬質コーティング層が1μm~10μmの間の範囲内の厚さを有するとともに、100nm未満の表面粗さ値RAを有する、ステップと、硬質コーティング層にマスキング層を堆積ないしは成膜するステップであって、マスキング層が100nm以下の厚さを有する、ステップと、を含むことが好ましい。さらに、方法はさらに好ましくは、マスキング層から材料を除去して少なくとも1つの開口を形成するステップと、マスキング層の少なくとも1つの開口において硬質コーティング層から材料を除去して、少なくとも1つの開口において表面キャビティを形成するステップであって、表面キャビティが硬質コーティング層中に構造的エンボス加工特徴部を形成することにより、構造化されたエンボス加工シリンダを形成する、ステップと、を含む。本発明のさらに別の態様によれば、マスク層から材料を除去するステップがレーザアブレーションによって行われることができるか、又は電子ビーム構造化によって行われることができる。
【0009】
[0009]本発明の別の態様によれば、構造化されたエンボス加工装置が提供される。構造化されたエンボス加工装置は、ベースと、ベースに接着層と、接着層に、1μm~10μmの間の範囲内の厚さ及び100nm未満のRA粗さ値を有する硬質コーティング層と、硬質コーティング層に、50nm未満の厚さを有するマスキング層と、硬質コーティング層の表面に配置された、マスキング層を横断するエンボス加工構造化部と、を備えることが好ましい。さらに、エンボス加工構造化によって形成された表面キャビティの深さが、50nm~10μmの間であり、表面キャビティの幅が、100nm~10μmの間であり、キャビティの深さと幅との比が、0.1~2の間の範囲内であることが好ましい。
【0010】
[00010]本発明のなおも別の態様によれば、エンボス加工システムのための構造化されたエンボス加工シリンダを製造する方法が提供される。方法は、円筒状コアと、円筒状コアに硬質コーティング層と、を有する、硬質コーティングしたエンボス加工ローラを用意するステップであって、硬質コーティング層が1μm~10μmの間の範囲内の厚さを有するとともに、100nm未満の表面粗さ値RAを有する、ステップと、硬質コーティング層にマスキング層を成膜するステップであって、マスキング層が100nm以下の厚さを有する、ステップと、マスキング層の上の設けられた電子ビームレジスト層への電子ビーム描画を行うステップと、電子ビームレジスト層を現像及び除去してマスキング層を露出させるステップと、マスキング層を、硬質コーティング層に影響を及ぼさないエッチング液でエッチングするステップと、硬質コーティング層をエッチングして硬質コーティング層中に表面キャビティを形成するステップであって、表面キャビティが硬質コーティング層中に構造的エンボス加工特徴部を形成する、ステップと、を含むことが好ましい。
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、射出金型が提供される。射出金型は、ベースと、ベースに接着層と、接着層に、1μm~10μmの間の範囲内の厚さ及び100nm未満のRA粗さ値を有する硬質コーティング層と、硬質コーティング層に、100nm未満の厚さを有する無機マスキング層と、硬質コーティング層の表面に配置された、マスキング層を横断する成形キャビティと、を備え、成形キャビティによって形成された表面開口の深さが、50nm~7μmの間であり、表面キャビティの幅が、100nm~10μmの間であることが好ましい。本発明のいくつかの好ましい実施形態を示す添付の図面を参照しながら、以下の説明及び添付の特許請求の範囲の検討から、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点、並びにそれらを実現するやり方がより明らかとなるとともに、本発明はそれ自体、最もよく理解されるであろう。
【0012】
[00011]本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の現在好ましい実施形態を示し、上記に提示した全体的な説明及び以下に提示する詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】エンボス加工装置200、200aを製造する例示的な方法のフローチャートを示し、本発明の一態様による、エンボス加工装置200、200a、図示の変形例ではエンボス加工シリンダ、ローラ又はドラム200或いはエンボス加工プレート200aを製造する方法のステップの概略外観図である。
【
図1B】エンボス加工装置200、200aを製造する例示的な方法の態様を示し、金属シリンダ、コア又はベース10の上の(硬質)コーティング20、30、32、34、36、40の基本的な層状化を示す図である。
【
図2A】多層構造として複数の層が成膜されている、加工されたシリンダ、ドラム、又はローラのベース10の断面図を示し、接着層20と、硬質材料コーティングから作製された第1の内側構造当たり層32と、第1のマスキング層42と、第2の外側構造当たり層36と、第2のマスキング層46と、を含む層から、いかなる材料も除去する前の多層構造であって、マスキング層42、46それぞれの部分を除去する連続したマスク除去ステップと、構造当たり層32、36の材料を除去するエッチングステップとによって、エンボス加工装置中に多層化3次元開口を形成することを可能にする、多層構造の断面図である。
【
図2B】多層構造として複数の層が成膜されている、加工されたシリンダ、ドラム、又はローラのベース10の断面図を示し、連続したレーザアブレーションステップ及びエッチングステップよって、多層構造化部210が形成されているエンボス加工ドラム、ローラ又はシリンダ200を示す図である。
【
図2C】多層構造として複数の層が成膜されている、加工されたシリンダ、ドラム、又はローラのベース10の断面図を示し、多層構造の断面図である。
【
図3A】エッチング攻撃が全くない、幾層にも加工された多層硬質コーティングを有する、加工されたベース、ドラム又はローラ10の例示的な断面図である。
【
図3B】1つのエッチングされた層を有する、幾層にも加工された多層硬質コーティングを有する、加工されたベース、ドラム又はローラ10の例示的な断面図である。
【
図3C】3つのエッチングされた層を有する、幾層にも加工された多層硬質コーティングを有する、加工されたベース、ドラム又はローラ10の例示的な断面図である。
【
図4A】プラズマエッチング機器400によってドライエッチングされるベース、ドラム、又はローラ10の配置に関して、円筒状装置をプラズマエッチングする例示的及び概略的なシステムを側面断面図である。
【
図4B】プラズマエッチング機器400によってドライエッチングされるベース、ドラム、又はローラ10の配置に関して、円筒状装置をプラズマエッチングする例示的及び概略的なシステムを上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[00016]本明細書において、可能な場合、図に共通の同一の要素を指定するために、同一の参照符号が使用されている。さらに、図面における図は、例示目的のため簡略化されており、縮尺通りに描かれていないことがある。
【0015】
[00017]最初に、エンボス加工、成形又は複製プロセスに使用することができる装置、例えば、エンボス加工ローラ、シリンダ若しくはドラム200、或いは、1つ又は複数の成形キャビティを有する金型200aを製造する方法の種々のステップを、例示的な実施形態により説明し、方法の例示的な概略的な図を
図1Aに示す。エンボス加工ローラ用のベースとして機能する円筒状金属シリンダ、コア又はベース10を用意する。円筒状金属シリンダ、コア又はベース10の直径は、50mm~500mmの間の範囲内にあるものとすることができるが、他の直径も可能である。次に、円筒状金属コア又はベース10を、滑らかな表面及び特定の硬度を有する円筒外側表面12を有するように加工する。金属コア又はベース10は、好ましくは100nm未満、より好ましくは10nm~50nmの間の範囲内にある表面プロファイル粗さパラメータ(RA)を有する表面粗さを有するように加工されていることが好ましい。硬度に関して、材料は、コア又はベース10に関して、円筒外側表面12が0.3GPa(300ビッカースに概ね等しい)超のある特定の硬度値を有するものとするように選択される。硬度値及び表面粗さ値は両方とも、これらの範囲にあるこれらの値が、特定の耐久性を有するエンボス加工ローラを製造することを可能にするとともに動作及び所望のニップ圧を可能にし、また、以下でさらに説明するように、ある特定レベルの粒度のエンボス加工構造を製造することも可能にするため、好ましい特徴である。例えば、円筒外側表面12の表面粗さは、作製されるエンボス加工パターンよりも実質的に良いものである、つまり、粗さがより少ないことを必要とする。本明細書に記載のいくつかの態様は、金属又はセラミックから作製されたシリンダ、コア若しくはベース10のような円筒状要素に基づいた種々の加工ステップを記載しているが、同様の方法により加工される外側表面12aを有する平らな装置10a、例えば、金属又はセラミック材料から作製されるプレート、シート、パネル、若しくは平坦基板を加工して、エンボス加工プレート、パネル、又はスタンプ、成形キャビティを有する射出金型、或いは成形鋳型200aを製造することも可能である。
【0016】
[00018]一変形例では、コア又はベース10は、その回転軸線に沿って横断穴を有する中空シリンダであり、そのため、重量が低減したエンボス加工装置200をもたらすことができ、或いは、エンボス加工又は他の種類の機械への設置のために、ボルト若しくはロッドに、より容易に取り付ける又は設置することができ、或いは、横断穴の内側に回転軸受を設置するために使用することができる。別の変形例では、コア又はベース10は、金属から作製される必要はなく、硬質金属材料、焼結材料、例えば限定しないがサーメット、などの複合材料とすることができる。
【0017】
[00019]その後、コア10の外側表面12を脱脂するとともに徹底的に洗浄する、洗浄ステップS10によって、円筒状金属シリンダ又はコア10を処理する。例えば、洗浄ステップS10は、円筒状金属コア又はベース10を洗浄装置に付すステップを含むことができ、そこでは、シリンダを、脱塩水浴における完全な浸漬と、超音波洗浄サイクルを生成することが可能な特殊な洗浄機における洗剤とによって洗浄し、その後、場合によっては、洗剤が表面から除去されると最後のすすぎステップにおいて酸化防止剤を使用する。次いで、洗浄した円筒状金属シリンダ又はコア10を、成膜システムの真空チャンバ、例えば、さらなる加工のためのコーティングチャンバを有する物理気相成長(PVD)装置又はシステムに供給する。
【0018】
[00020]次に、コーティングチャンバを真空引きするとともに加熱し、円筒状金属シリンダ、コア、又はベース10をその長手方向軸線の周りに回転させる。次に、円筒状金属シリンダ、コア、又はベース10の表面を、例えばアルゴンプラズマを使用してプラズマ洗浄プロセスに供して、コーティングを成膜する前に表面を活性化させ、表面に残っている有機微量を除去する。次に、成膜ステップS20において、接着層20を、PVD若しくは化学気相成長(CVD)の形態、例えば反応性スパッタ堆積によって、円筒状金属シリンダ又はコア若しくはベース10の円筒外側表面12に成膜する。このステップS20は、円筒状金属シリンダ、コア又はベース10をその回転軸線の周りに回転装置により回転させるとともに同時に、プラズマ処理チャンバに収容されているとともにプラズマ処理チャンバの上部電極と下部電極との間の磁界により維持されている高エネルギープラズマにベース10の円筒表面12を晒すことによって行うことができる。接着層20は好ましくは、無機材料、例えば、TiN又は別のタイプの窒化物若しくは酸化物、例えば限定しないがCrN、並びに、限定しないがCr及びTiなどの純金属層であり、厚さが数十~数百のナノメートルの間、例えば、好ましくは500nm未満、より好ましくは200nm未満、さらにより好ましくは100nm~200nmの間の範囲内にある材料とすることができる。
【0019】
[00021]次に、ステップS30において、接着層20を有する円筒状金属シリンダ又はコア若しくはベース10をその回転軸線の周りに回転させながら、
図1Bに示すように、硬質コーティング層又は構造化当たり層30を、好ましくは接着層20の成膜に使用した同じプラズマ処理チャンバ内で、例えば処理チャンバを開かずに接着層20に成膜する。構造化当たり層30は、接着層20よりも実質的に厚いが、20μm未満、例えば、1μm~10μmの間の範囲内の厚さを有することが好ましい。この層30は、種々のタイプの構造的特徴部を形成するために材料を除去して層30中に開口又はキャビティを形成するように後で加工されるため、本明細書において構造化当たり層30と呼ばれる。構造化当たり層30は好ましくは、硬質材料、好ましくは炭素系硬質材料、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)、より好ましくはTa-Cから作製される。これに関して、接着層20は、接着をもたらすことのほかに、非常に硬質の層、例えば、DLCから作製することができる構造化当たり層30に、比較的軟質の材料、例えば、鋼から作製することができるコア又はベース10を接合することの有害な機械的影響を減らすためにショックアブソーバー若しくは遷移層としても働く。これに関して、接着層20の硬度及び係数は、コア又はベース10の硬度及び係数と構造化当たり層30の硬度及び係数との間にあることにより、構造化当たり層30の割れを防止することができる。単一の構造化当たり層30の代わりに、外側構造化当たり層36及び後のマスキング層40も形成されるように繰り返すことができる、ステップS20、S30及びさらにはS40による、
図1Bの断面図に示すような、追加のDLC層32、34を有する多層構造の成膜があるものとすることができる。
【0020】
[00022]例えば、成膜ステップS20を好ましくは、プラズマ増速PVD(PEPVD)プロセスによって実行することができ、その後、成膜ステップS30を好ましくは、プラズマ増速CVD(PECVD)プロセスによって実行してDLCを成膜することができ、また、円筒状金属シリンダ又はコア若しくはベース10をその回転軸線の周りに回転装置により回転させるとともに同時に高エネルギープラズマに円筒表面12を晒すことによって、行うことができる。これに関して、DLCは好ましくは、PVDプロセスに使用することができる同じ機械、例えば同じ処理チャンバにおいてCVDプロセスを用いて、生成される。ベース10への構造化当たり層30の接合は、DLCが金属に直接接合しないため、構造化当たり層30とベース10の金属表面との接着を実質的に増大させるように接着層20を介して行われる。
【0021】
[00023]ステップS20の接着層20及びステップS30の構造化当たり層30のコーティングは、1つの均質層、化学的若しくは構造的に異なる層のスタック、又は、層の内側のいくつかの異なる相が定められた相分離により形成される、内部ナノ構造化層のスタック、又は、それらの任意の組み合わせからなることができる。これら2つのステップS20及びS30は、後の成膜ステップS40とともに、それらステップが同じ成膜チャンバを共有する同じ成膜装置の内部で行われることができるため、1つの多層成膜ステップS50と呼ぶこともできる。
【0022】
[00024]方法におけるこの段階では、加工した円筒状金属コア又はベース10の最も外側の円筒状露出表面が、構造化当たり層30の外側表面又は多層構造の最後の層の外側表面のいずれかであるため、外側構造化当たり層36は好ましくは、優れた光学表面特性を有するために、100nm未満、より好ましくは50nm未満、さらにより好ましくは30nm未満の表面プロファイル粗さパラメータ(RA)を有することが好ましい、非常に小さい表面粗さを有する。この低い粗さ値は、上記のように、さらに低い表面プロファイル粗さパラメータRAを有する円筒状金属コア又はベース10を使用することでもたらされる。
【0023】
[00025]次に、方法は、硬質コーティング層、例えば
図1Bに示すような構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36にマスキング層40を成膜するステップS40を含み、マスキング層40は、100nm以下の厚さ、好ましくは5nm~50nm未満の間の範囲内、より好ましくは5nm~20nmの間の範囲内の厚さを有する。マスキング層40に用いられる材料は、DLC層、例えば構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36中に開口又はキャビティをエッチングするために後で使用される種々のタイプのエッチング液に耐えるのに適した材料である必要がある。例えば、マスキング層40は、Cr、CrO、Ti、TiO
2、又はSiO
2の薄層、好ましくは無機層、或いは1つ又は複数のそのような層の組み合わせから作製することができる。このステップは、例えば、ロール又はベース10を回転させながらマスキング層40を構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36の上に成膜する別のPECVD又はPEPVDステップを行うことによって、コンデンスドマター(condensed matter)層を生成することが好ましい。別の変形例として、マスキング層40は、例えばTiO
2又はAl
2O
3マスキング層を成膜するために、原子層成膜(ALD)によってもたらすことができる。
【0024】
[00026]この情況において、マスキング層40は、フォトレジスト又はポリマー材料から作製される従来のマスキング層ではなく、構造化当たり層30の形成と同様の成膜ステップによって形成されるコーティングでもあり、非常に薄くなるように作製され、(PE)PVD成膜を用いて無機材料から作製される。したがって、マスキング層40は、例えば同じ成膜機器を使用することによって、例えば、真空チャンバがステップS30とステップ40との間で不必要に排気されないとともに温度が不必要に変えられないように同じ真空チャンバを使用することによって、構造化当たり層30の成膜ステップS30の後にすぐ続く成膜ステップS40において形成されることが好ましい。これにより、構造化当たり層30との高い構造的連続性を有する、後に行われるエッチングステップS120のための組み込みマスキング層40をもたらすことが可能となるため、マスキング層40は、その結果得られるエンボス加工装置200のために除去される必要がない。
【0025】
[00027]次に、レーザアブレーションステップS90を
図2Bに示すように行うか、又は、マスキング層40に対して材料除去を行うことによってマスキング層40のいくつかの部分が除去される選択的なマスク除去ステップS100/S110を行って、エッチングのための少なくとも1つのエッチング開口45を形成する。エッチング開口45は、方法における後の段階において、構造化当たり層から材料を除去してエッチング開口45の領域にキャビティ又は開口を形成することによって、構造的エンボス加工特徴部210、220、210a、220aがロール又はベース10、10aの構造化当たり層30若しくは外側構造化当たり層36中に削られる位置に形成される。レーザアブレーションステップS90は、種々のタイプのレーザアブレーション技法によって、例えば、単一ガウス分布を有する集光した紫外線(UV)レーザビームによる直接レーザ彫刻S60によって、又は、プロファイルが空間光変調器(SLM)によって制御されていくつかの焦点を生成する地点S80により、行うことができる。このステップにおいて、構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36の表面に影響を及ぼすことなく、又は、表面積に微かに少ししか影響を及ぼさずに、ある特定の表面積においてマスキング層40の材料全体が除去されて、1つ又は複数のエッチング開口45を画定する。これは、好ましくは、マスキング層40のアブレーション時に起こる可能性がある熱効果を最小限にするために超高速レーザ源を使用することによって、又は、熱効果を、典型的にDLCによって形成された構造化当たり層30、36のいかなる大きな変化も回避するほど十分に低く保ちつつ、マスキング層40がレーザ出力の大部分を吸収するように波長及び出力が慎重に選択される、低出力ナノ秒レーザを使用することによって、行うことができる。
【0026】
[00028]例として、レーザアブレーションステップS90に関する超高速レーザ源は、250nm~1100nmの間の波長、100fs~10psの間のパルス持続時間、1kHz~10MHzの間の周波数、及び1W~100Wの間の出力を有するレーザとすることができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9,579,924号、米国特許第9,993,895号、又は米国特許出願公開第2017/0066079号に記載されているものなどの、レーザアブレーション機を、このタスクに使用することができる。マスキング層40が非常に僅かな厚さを有するように成膜されるため、同程度に低いレーザ出力であれば、通常の3次元レーザアブレーションに関してマスキング層を除去するのに十分である。構造化当たり層30、36中の構造的特徴部210、220、210a、220aの深さDE1、DE2は、
図2Cに示すように、マスクアブレーションステップS60、S100/S110又はそれらの組み合わせに続くエッチングステップS120によって、例えばプラズマプロセスによって達成される。
【0027】
[00029]変形例では、レーザアブレーションステップS90は、エッチング開口45におけるマスキング層40を完全に除去するように構成されるが、例えば、より強力なレーザを選択することによって又はアブレーション時間を増やすことによって、構造化当たり層30、36の上層の非常に少量の部分のグレージング、すなわち僅かな除去を生じさせるようにも構成される。その後、次のエッチングステップS120により、材料が構造化当たり層30、36の残りの部分から除去されて、エッチング開口45の位置において構造的特徴部210、220、210a、220aを形成する表面キャビティ又は開口を構造化当たり層30、36中に形成し、これら構造的特徴部は、エンボス加工装置200の構造的エンボス加工特徴部として機能することができる。この変形例では、構造化当たり層30、36は、ステップS90のアブレーションレーザによる加熱によるsp3炭素からの構造的損傷又は変化を最小限にしか受けないことで、例えば、DLCの表面におけるグラファイト及び他の熱により生じるアーチファクトの形成を回避するか又は最小限にし、そのため、ステップS120による、エッチング開口45におけるDLC材料のエッチングが影響を及ぼされないことが好ましい。グラファイトは、DLC材料を除去することができるエッチング液に化学的耐性があるが、その一方、エッチング時に、DLCの熱力学的に不安定なダイヤモンドが酸素と反応して例えばCo2又は異なるオキシカーボンを形成する可能性がある。上記に示したように、エッチングプロセスは、材料に損傷を与えることなく、すなわち、除去以外の構造相変化を引き起こすことなく、エッチング開口45における露出領域から材料を除去する。
【0028】
[00030]一変形例では、レーザアブレーションステップはまた、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0018993号及び米国特許出願公開第2017/0066079号に示すような、少なくとも1つのエッチング開口45において別個のレーザマスクによりマスクされたマスキング層40をレーザビームにより選択的にアブレーションするマスク投影技術S70によって行うことができる。以下に記載するように多層化コーティングが使用される場合、アブレーションステップS60、S100/S110又はそれらの組み合わせ及びエッチングステップS120は、
図2A及び
図2Bに示すように、また、以下でさらに論じるように、表面の種々の位置に任意の回数繰り返されて階層的多層化構造210を創出することができる。
【0029】
[00031]一変形例では、マスキング層40に対する材料除去は、レーザアブレーションによって行われるのではなく、エッチング開口45を形成する別のプロセス、例えば電子ビーム構造化S100を含むか、或いは、例えばマスキング層40から材料を除去する別個のエッチングステップによって、又は集光イオンビームによって行われる。
【0030】
[00032]エッチング開口45はそれ自体、多様な形状を有することができ、例えば、シリンダ又はローラ10の中心軸線CAに対して平行な、構造化当たり層30の表面に形成された複数の長手方向開口と、中心軸線CAに対して垂直な、接線方向における構造化当たり層30の表面に形成された複数の横断開口とを有する配列レイアウトを形成することができる。これにより、第1の角度配向での複数の第1の溝と、第1の角度配向に対して略垂直な第2の角度配向での複数の第2の溝と、を含む回折構造を、構造的特徴部210、210aとして、構造化当たり層30中に形成することが可能である。例として、深さが50nm~10μmの間であり、幅が100nm~10μmの間であり、周期性が0.1μm~10μmの間の範囲内にあり、深さと幅との比が0.25~1.2の間の範囲内にある回折構造を含む、構造的特徴部210、210aが形成されることが可能である。
【0031】
[00033]一変形例では、本発明の別の態様によれば、適切に調整され、形状が数ナノメートルまで正確である、プラズモン構造を、方法により基板又は円筒ベース10に形成することが可能である。この変形例では、ハードマスキング層40は、構造化されたフォトレジスト/エッチングの組み合わせのいかなる使用もなく、電子ビームにより構造化する方法によって直接アブレーションすることができる。直接の電子ビームアブレーションに使用される極薄ハードマスキング層40は、好ましくは50nm未満、より好ましくは30nm未満、さらにより好ましくは5nm~20nmの範囲内の厚さを有する。
【0032】
[00034]別の変形例では、ステップS10~S50を行った後、電子ビーム描画又は構造化ステップS100を行って、好ましくは、極薄で、無機性であり、非導電性の、構造化された電子ビームレジスト層50を、マスキング層40の上に設ける。第1の中間ステップにおいて、ハードマスキング層40を、(光)感受性レジストによって、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング又は任意の他の適した方法によって完全に被覆して、均一な、ボイド/ピンホールのないレジスト層をもたらす。次いで、極めて微細に集束された電子ビームを用いて、必要とされる構造を均一なレジスト層に描画することによって、レジストはその構造的完全性を変更される。レジスト材料は典型的に、液状で用意される有機及び/又はポリマーベースの材料からなる。次いで、このように露光した電子ビームレジスト層50を現像し、レジスト層の化学的性質に適合された化学浴を用いてマスク現像ステップS105において選択的に除去し、マスキング層40を露出させる。次いで、マスキング層40を、マスキング層40の直接アブレーションを行う代わりに、用いるマスキング層40のタイプに応じて、例えばウェットエッチング又はドライエッチングによって、ステップS110においてエッチングする。ステップS110のエッチング液は、下にある構造化当たり層30の材料に対して反応性がないように選択されるため、露出したマスキング層40のみが除去される。これらのステップS105及びS110は、
図1Aの破線の矩形ボックスに示された、この段落で論じた実施形態の任意選択的なステップである。
【0033】
[00035]上記に挙げたような電子ビーム技術によってマスキング層40が構造化されると、方法は、上記で論じたエッチングステップS120、例えばプラズマステップを行って、例えば、O2を用いて又はDLCをエッチングすることができる別のタイプのプラズマを用いてDLC材料をエッチングすることによって、構造化当たり層30から硬質材料をエッチングして構造的特徴部210、210aを形成する。次いで、その結果得られるエンボス加工ローラ200を使用して、金属紙又はフォイルにプラズモン構造をエンボス加工することができる。さらに、別の例として、本明細書に記載のエンボス加工装置200、例えばエンボス加工シリンダ又はローラを使用して、熱可塑性フォイル又はプレートの熱可塑性ホットエンボス加工によってマイクロ流体回路の高速複製のための微細構造を製造することが可能であり、ここではエッチング開口45はマイクロ流体回路の形状とすることができる。かかる方法の1つの利点は、エンボス加工ローラ200が、露出した硬質材料、例えばDCLを有するということであり、このことは、表面キャビティを形成する構造的特徴部210の内側で成形されると何らかの熱可塑性物質の解放を高めることができる。本明細書に記載のエンボス加工装置200により他の用途も可能である。例えば、電気回路の輪郭、例えば構造的特徴部210としてローラに前に刻設された無線周波数識別(RFID)アンテナを、導電性材料、例えば金属材料にエンボス加工することによって形成することができる。例えば、金属層を有する何らかの特別なラミネート紙を用いる場合、ローラ200を使用してラミネート紙をエンボス加工して、金属層を出現させて電気回路又は装置を複製することができる。
【0034】
[00036]構造的エンボス加工特徴部210の形成のためにマスキング層40の材料を複数のエッチング開口45において除去すると、
図2Bに示すように、開口45の位置において、エッチングステップS120、好ましくはプラズマを用いるドライエッチングステップによって、構造的エンボス加工特徴部210が形成される。このステップS120において、エッチングを行って、マスキング層40の少なくとも1つの開口において、材料、具体的には、構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36のDLC材料を除去して、ある特定の深さの硬質コーティング層40中に構造的エンボス加工特徴部210を形成する表面キャビティを、少なくとも1つの開口において形成することにより、構造化されたエンボス加工シリンダ200を形成する。構造的エンボス加工特徴部210の深さは、50nm超~7μm未満の深さを有することが好ましく、より好ましくは3μm未満である。構造的エンボス加工特徴部210の幅に関して、1つの特徴部210の幅は、100nm~20μmの間の範囲内、より好ましくは1.5μmまでとすることができる。ステップS120のエッチングプロセスはそれ自体、例えば、限定しないが酸素(O
2)プラズマ又はCF
4プラズマを使用して、エッチング装置400の内部で反応性イオンエッチング(RIE)によって行うことができ、また、
図4の断面図に例示的に示すように、ベース又はロール10を第1のケージ電極430の中心に配置し、好ましくは冷却された電極420を、プラズマチャンバ410の中央における熱電接続イネーブラ(enabler)421を介して、プラズマチャンバの高周波(RF)発生器(図示せず)に接続することで、ケージ電極430とベース又はロール10との間にプラズマを均一に発生させることを確実にすることによって行うことができる。さらに、ステップS120のためのエッチングマスクとして機能したマスキング層40を、追加の任意選択的なステップS120において除去することができるか、又は構造化当たり層30に残したままにしてさらなる加工を回避してコスト及び時間を節約することができる。マスキング層40は、エンボス加工装置200の使用の間に使い果たされ徐々に研磨除去されてもよい。マスキング層40は非常に薄くなるように選択することができるため、その存在は、エンボス加工装置200の機械的な特性に影響を全く与えないか又は僅かしか与えない。
【0035】
[00037]
図2Cの断面図に例示的に示すように、ステップS120によるこのタイプのエッチングは、エッチング開口45の縁において、構造的エンボス加工特徴部210の急峻な側壁、例えば、上面に対する角度が90°に近い、例えば75°~90°の間の範囲内である側壁をつくり出すことを可能にする。さらに、エッチングステップS120は、幅に対する深さの比に対して高いアスペクト比、例えば、限定しないが0.1~2、より好ましくは0.25~1.2の間の範囲内のアスペクト比を有する構造的エンボス加工特徴部210をもたらすこと、換言すると、接線方向又は軸方向のより小さい幅に比して、半径方向に比較的深い構造的エンボス加工特徴部210を創出すること、例えば、構造化当たり層30中に任意の方向に配置された、そのようなアスペクト比を有する比較的深い長手方向溝、チャネル、又はトレンチをつくることを可能にする。しかしながら、より小さいアスペクト比を有する構造的エンボス加工特徴部210も可能である。さらに、ステップS120は、構造化当たり層30の上面が円筒形状又は円弧形状を有することを考慮すると、その上面からの構造的エンボス加工特徴部210の深さが略同じであることを確実にすることを可能にする。
【0036】
[00038]追加のレーザ彫刻又はアブレーションステップに全体的に取って代わることができるか、又は、さらなるレーザ除去又は洗浄技法と組み合わせて用いることができるエッチングステップS120を用いることによって、例えば、構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36がDLC材料から作製される場合に、構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36へのレーザアブレーションの熱によって引き起こされる可能性がある影響を実質的に低減又はさらには完全に排除することができる。これに関して、構造的特徴部を形成するために構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36からの材料除去の位置、例えば熱影響域(HAZ)での、レーザアブレーション時の発熱は、DLCの特性を変化させる可能性があり、この変化は、四面体sp3結合材料がかなりの割合を占める最初の相からより軟質のsp2結合リッチな材料の形成をもたらす。例えば、Yasumaruら著、「Glassy carbon layer formed in diamond-like carbon films with femtosecond laser pulses」Applied Physics A、第79巻、第3号、425~427頁、2004年、及び、Miyajiら著、「Nanostructuring with Femtosecond Laser Pulses on Patterned DLC Surface」、JLMN-Journals of Laser Micro/Nanoengineering、第3巻、第2号、84~87頁、2008年を参照のこと。sp3結合炭素が結合及び硬度に関してダイヤモンド様特性を呈するのに対し、sp2結合炭素の主相は、それら相を、高アスペクト比の微細構造、例えば本明細書で論じた構造的エンボス加工特徴部210のような、硬度及び全体的な構造的完全性を必要とする用途にとって、不適切なものにさせる、大幅に低減した硬度及びシート様形態を含む炭素様特性を呈する。その結果、構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36の硬度は、単なる直接レーザ彫刻又はアブレーション後に著しく減少する可能性がある。構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36の所望の特性は、機械的応力下での硬度及び構造的完全性とすることができ、これらの特性は、そのsp3結合に直接よるものとすることができ、sp2結合の存在の増大に関連したsp3結合の割合の低減は、高い構造的完全性及び硬度が必要とされる構造的エンボス加工特徴部210及び構造化されたエンボス加工装置又はシリンダ200のいかなる用途にも望ましくない。
【0037】
[00039]さらに、レーザアブレーションステップS90によりエッチング開口45をマスキング層40中に形成する場合、成膜ステップS40によりマスキング層40を成膜するとともに設けること、及び、アブレーション又は彫刻レーザのためにアブレーションパラメータを調整することにより、構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36中へのsp2結合リッチな相の形成の最小化をもたらすことができ、構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36の構造的完全性に対する他の悪影響を低減する又は最小にすることもできる。ステップS120によりプラズマエッチングプロセスを用いて、構造的エンボス加工特徴部210のある特定の深さDE1、DE2を得ることによって、例えば限定しないが酸素プラズマを用いる反応性エッチングによる材料除去が、直接レーザ彫刻又はアブレーションの場合におけるような熱分解によるのではなく主として化学反応により達成されるため、構造的エンボス加工特徴部210の周りの構造化当たり層30、36の炭素系材料からのグラファイト形成の可能性が防止される。
【0038】
[00040]さらに、マスキング層40を成膜するステップS40により、マスキング層40が例えばエッチング開口45が存在しない領域において構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36の非構造化部分の表面にあるままとすることができるとともに従来のポリマー(マスキング材料)又は他の場合では有機マスキング材料とは違って特に除去される必要がないいう利点を有する極薄無機コーティングを、マスキング層40として設けることが可能である。エッチングステップS120による構造化の後、マスキング層40を除去するために、又は、本明細書に記載のマスキング層40とは異なる別のタイプのマスクの除去のためにさらなる剥離及び/又は洗浄ステップを行う必要がないことは、加工時間を大幅に減らすことができ、重要なコスト削減要素とすることができ、従来の有機マスキング層を除去するために用いられる典型的な溶剤及び剥離液によって引き起こされるプロセスの環境的影響を低減することもできる。マスキング層40の極度に薄い厚さは、マスキング層40が構造化当たり層30又は外側構造化当たり層36の表面にあるままである場合、エンボス加工装置200によって形成される、結果として得られるエンボス加工ツールの機械的性能に影響を及ぼさないようなものである。例えば、ほんの数ナノメートルの範囲内の非常に薄い厚さは、マスキング層40のアブレーションによる任意のタイプの表面に対する汚染が最小であるとともに目立ちにくいことをさらに意味する。
【0039】
[00041]さらに、一変形例では、構造化当たり層30を形成する、例えばPECVD成膜ステップであるステップS30と、例えばPEPVDによる、マスキング層40を成膜する成膜ステップS40との複数の一連の成膜を行って、接着層20、硬質材料コーティングから作製される第1の内部構造当たり層32、第1の内側マスキング層42、硬質材料から作製される第2の外側構造当たり層36、及び第2の外側マスキング層46を示す、
図2Aの断面図に示すように、交互のマスク層及び構造化当たり層による多層構造を接着層20の上に創出することができる。この多層構造は、マスキング層46、42それぞれの部分を除去するための連続マスク除去ステップS90、S100/S110又はそれらの組み合わせと、構造当たり層36、32の材料を除去するためのエッチングステップS120と、によって、多層化3次元開口又は構造的特徴部210をエンボス加工装置200中に形成することを可能にする。換言すると、これは、
図2Bに示すように、マスキング層46、42のマスク部分を除去してエッチング開口45、47それぞれを形成する順次のレーザ除去ステップS90と、構造当たり層36、32のうち、エッチング開口45、47それぞれにおける部分を除去するエッチングステップS120との使用によって、多層化構造的特徴部210をエンボス加工装置200中に創出することを可能にする。図示の変形例では、例示的に、互いに交互になった2つのマスキング層42、46及び2つの構造化当たり層32、36が示されているが、より多くの複雑な多層化構造的特徴部210をもたらすために2つよりも多くの対のそのような層、例えば3つ、4つ、5つ、又はそれよりも多くのマスキング層対及び構造化当たり層対があるものとすることができる。例えば、多層化構造的特徴部210を用いて、エンボス加工装置200の表面に開口又はキャビティとして、例えば、種々のタイプの鋳造プロセスのための金型キャビティを有する射出金型装置として、複雑な3次元(3D)形状を形成することができる。複数のマスキング層/DLCスタックの場合、最も外側のDLC層上の最外層とはならないマスキング層は、窒化物、酸化物又は炭化物などの主として非金属特性の材料から構成されて、次にくるDLC層の接着を確実にする。
【0040】
[00042]
図2Bは、エンボス加工装置200中に形成された多層化構造的特徴部210を示し、各特徴部210が、外側構造化当たり層36と外側マスキング層46の外側エッチング開口45とに形成された第1のより広い構造化部210.1と、内側構造化当たり層32と内側マスキング層42の内側エッチング開口47とに形成された第2のより狭い内側構造化部210.2とからなる。多層化構造的特徴部210を形成するために、第1のレーザアブレーションステップS90を行って、外側マスキング層46の所望の位置においてエッチング開口45をあける。その後、第1のエッチングステップS120を行って、内側マスキング層42の上面に達するまで外側構造化当たり層36の材料を除去して、より広い構造化部210.1を形成する。次に、第2のレーザアブレーションステップS90を行って、内側マスキング層42の所望の位置においてエッチング開口47をあける。エッチング開口47は、より広い構造化部210.1によって形成された開口に比して、表面がより小さい、例えば、幅がより狭い、及び/又は、長さがより短いことが好ましい。その後、第2のエッチングステップS120を行って、内側構造化当たり層32の材料を除去して、より狭い構造化部210.2を形成する。このステップは、
図2Bに示すように、半径方向における、より狭い構造化部210.2の深さ又は厚さが、アブレーション層20の上面に達しないようなものであるように選択的に行われる。より多くのマスキング層対-構造化当たり層対が存在する場合、エンボス加工装置200の半径方向の深さ方向にさらなる構造的特徴部を形成するために、より多くのステップS90、S100/S110又はそれらの組み合わせ及びステップS120を繰り返すことができる。
【0041】
[00043]本発明の別の態様によれば、好ましくは本明細書に記載の方法によって製造された装置が提供され、この装置は、モールド型装置、例えば、本明細書に記載の装置又はシリンダ200に基づいた、離型若しくは熱可塑性ホットエンボス加工のための射出金型又は円筒金型である。この変形例では、1つ又は複数の成形キャビティを構造的エンボス加工特徴部210によって形成することができる。
【0042】
[00044]本発明の少なくともいくつかの態様によれば、エンボス加工装置200、例えばエンボス加工シリンダ、ドラム、又はローラを製造する、本明細書に提示の方法、及び、対応するエンボス加工装置200は、例えばナノ秒レーザ又は超高速レーザを使用することによって硬質層を直接アブレーションして硬質コーティング中に構造的特徴部を形成する先行技術に比べ、いくつかの利点をもたらす。効率的な直接レーザ加工には常に、熱影響域(HAZ)の出現が伴う。HAZの広がりはナノ秒レーザの場合に非常に重大な影響を有する。超高速レーザ、ピコ秒レーザ及びフェムト秒レーザの場合、HAZは減少するが、依然として存在し、考慮すべき要因である。いくつかの硬質層、特にDLC、例えばTa-Cの変形は、酸素と組み合わさった過度の加熱が炭素格子をダイヤモンド様構造からより弱い構成に変える可能性があるため、熱の影響を受けやすい。したがって、DLCの加工には、加工が行われる環境条件下で引き起こされる、構造化当たり層の材料の構造相変化に必要な温度までの加熱がない、本質的に非熱プロセスを必要とする。
【0043】
[00045]本発明の態様によれば、レーザアブレーションをステップS90により行って、マスキング層40、42、46にだけ影響を及ぼすとともにその下の構造当たり層30、32、36には影響を及ぼさない低出力を用いてエッチング開口45、47をつくる。構造的特徴部210を形成するための、構造当たり層30、32、36に対する実際の刻設又は材料除去は、1つ又は複数のステップS120においてエッチングすることによって行われるため、過度の加熱に耐えることがなく、DLCの結晶格子の完全性は損なわれない。したがって、構造当たり層30、32、36を形成する硬質コーティングの物理的特性が変わらないままである。
【0044】
[00046]本発明のいくつかの他の態様によれば、レーザアブレーションステップS90を単一パスで行って、マスキング層40、42、46の部分を除去する。エッチングステップS120による深彫り又は材料除去を、単一ステップにおいて例えばプラズマエッチング機器により表面全体にわたって並行して行う。これは、大きなピースに関して、構造当たり層30、32、36の硬質材料中に所望の構造深さを達成するために同じ場所にわたって数回通す必要がある、レーザアブレーション又はレーザ材料除去によって刻設又は材料除去が行われるプロセスに比して、1つ又は複数のエッチングステップS120の持続時間に対応する刻設又は材料除去時間を劇的に減らすことができることを意味する。さらに、ステップS120におけるプラズマエッチングによって行われる、構造の刻設は、エッチングの深さDE1、DE2にわたる非常に微細な制御を可能にし、また、硬質層の異方性エッチングにより非常に高いアスペクト比の構造を得ることを可能にする。
【0045】
[00047]本発明を特定の好ましい実施形態を参照しながら開示したが、添付の特許請求の範囲及びその均等物に定義されるような、本発明の領域及び範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に対して多くの改変、変更及び変形が可能である。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲の文言によって定義された完全な範囲を有することを意図している。
【国際調査報告】