(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】静電噴霧乾燥装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F26B 3/14 20060101AFI20230920BHJP
F26B 25/16 20060101ALI20230920BHJP
F26B 21/04 20060101ALI20230920BHJP
F26B 21/08 20060101ALI20230920BHJP
B01J 2/04 20060101ALI20230920BHJP
B01D 1/18 20060101ALI20230920BHJP
B01D 1/20 20060101ALI20230920BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20230920BHJP
B05B 5/025 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
F26B3/14
F26B25/16
F26B21/04
F26B21/08
B01J2/04
B01D1/18
B01D1/20
B01D5/00 Z
B05B5/025 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513619
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 US2021048349
(87)【国際公開番号】W WO2022047356
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595170502
【氏名又は名称】スプレイング システムズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シュザプ, ジョゼフ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ, クリストファー ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
3L113
4D076
4F034
4G004
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB02
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3L113DA01
4D076AA02
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4G004EA02
4G004EA06
(57)【要約】
帯電した液体を乾燥チャンバ内に導くための静電噴霧ノズルと、乾燥ガスが同時に導かれる乾燥ガス入口と、乾燥ガス及び同伴する乾燥粉末を接続導管を介して粉末分離プレナムを含むフィルタに導くために受けるための円錐形粉末方向プレナムとを備える、静電噴霧乾燥システム。粉末方向プレナム及び接続導管はそれぞれ、周囲のウォータージャケット熱交換器を有し、この熱交換器を通じて、冷却水が、乾燥ガス及び粉末を粉末分離プレナムに入る前に損傷温度未満に冷却するために導かれる。粉末分離プレナムは、分離された乾燥ガスをシステム内で再利用するために凝縮器、ブロワ、及びヒータを介して乾燥チャンバに向け直すための戻りラインを有し、凝縮水は、粉末方向プレナム熱交換器の入口及び/又は冷却水供給源に選択的に向け直される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を乾燥して粉末形態にするための静電噴霧乾燥システムであって、
直立位置に支持される長尺構造体と、
前記長尺体内に乾燥チャンバを形成するための、それぞれ前記長尺体の対向する上端部及び下端部における上端部閉鎖装置及び下端部閉鎖装置と、
前記上側閉鎖装置内に支持される静電噴霧ノズルと、
を備え、
前記静電噴霧ノズルが、液体を前記乾燥チャンバ内に導くための排出噴霧チップを下流側端部に有するノズル本体を含み、
前記静電噴霧ノズルが、前記乾燥チャンバ内に排出されるべき液体の供給源に結合するための液体入口と、前記噴霧ノズルを通過する液体を前記排出噴霧チップから前記乾燥チャンバ内に微細な液体粒子として排出するために帯電させるための電源に結合するための電極とを有し、
前記上側閉鎖装置が、排出された液体粒子を乾燥させて粉末にするために加熱された乾燥ガスを前記乾燥チャンバ内に導くための乾燥ガス入口を有し、
前記下側閉鎖装置が、乾燥ガス及び同伴粉末を前記乾燥チャンバから受けて該粉末を粉末収集容器に導くための粉末方向プレナムを含み、
前記粉末方向プレナムが、損傷温度への粉末の曝露を低減するために、乾燥ガス及び同伴粉末を前記乾燥チャンバからの排出時に前記粉末方向プレナム通過中において冷却するために前記粉末方向プレナムに対して周囲に配置される外側ウォータージャケット熱交換器を含み、前記粉末方向プレナムウォータージャケット熱交換器が、冷却水供給源に結合される一端部に隣接する冷却水入口と、前記冷却水供給源からの冷却水が前記熱交換器を通って連続的に流れるように前記熱交換器の反対側の端部に隣接する冷却水出口とを含む、
静電噴霧乾燥システム。
【請求項2】
前記粉末方向プレナム及び周囲のウォータージャケット熱交換器が、下流側方向で内向きに円錐状に先細っている、請求項1に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項3】
前記ウォータージャケット熱交換器が、円錐形の冷却流路を画定する内側及び外側円錐壁を備える、請求項2に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項4】
前記冷却水入口が前記粉末方向プレナム熱交換器の上端部に隣接し、前記冷却水出口が前記粉末方向プレナム熱交換器の下端部に隣接する、請求項2に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項5】
前記冷却水供給源が4.5℃~12.8℃の温度に冷却された水の供給源である、請求項1に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項6】
前記粉末方向プレナムの下流側の粉末分離プレナムと、粉末方向プレナムから出る乾燥した粉末及びガスを前記粉末分離プレナムに導くための前記粉末方向プレナムと前記粉末分離プレナムとの間の接続導管とを含み、前記粉末分離プレナムが、乾燥ガスから乾燥粉末を分離して分離された乾燥粉末を前記粉末収集容器に導きながら分離されたガスを前記粉末分離プレナムのガス出口に導くための少なくとも1つのフィルタ要素と、前記接続導管に対して周囲に環状冷却水通路を画定する接続導管ウォータージャケット熱交換器と、前記環状冷却水通路の一端部に隣接する冷却水入口と、前記環状冷却水通路の反対側の端部に隣接する冷却水出口とを含み、それにより、前記ウォータージャケット熱交換器の前記冷却水入口に供給される冷却水が、前記環状冷却水通路を通って連続的に導かれて、前記粉末分離プレナムに入って前記粉末収集容器に向かう前に前記粉末方向プレナムから出る乾燥ガス及び粉末を更に冷却する、
請求項1に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項7】
前記粉末方向プレナムウォータージャケット熱交換器の前記冷却水出口が、前記粉末方向プレナムウォータージャケット熱交換器から出る冷却水を前記接続導管ウォータージャケット熱交換器を通じて導くために、前記接続導管ウォータージャケット熱交換器の前記冷却水入口に結合される、請求項6に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項8】
前記接続導管が、前記粉末方向プレナムの下端部と前記粉末分離プレナムの上端部との間で連通する、請求項6に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項9】
前記冷却水供給源が4.5℃~12.8℃の温度に冷却された水の供給源であり、60℃~90℃の温度で前記乾燥チャンバから排出する加熱ガス及び粉末が前記粉末分離プレナムに向かう前に25℃~50℃の温度に冷却されるように前記粉末方向プレナム及び粉末分離プレナムウォータージャケット熱交換器が動作可能である、請求項6に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項10】
加熱ガスを前記加熱チャンバ内に向け直すために前記粉末分離プレナムガス出口と前記乾燥チャンバガス入口との間に結合されるガス戻りラインと、前記ガスを前記加熱チャンバ内に向け直す前にガスを再加熱するために前記ガス戻りライン内に配置されるヒータとを含む、請求項6に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項11】
前記ガス戻りラインが、液体蒸気を前記ヒータへ向かう前に前記ガスから除去するための前記ヒータの上流側の凝縮器を含む、請求項10に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項12】
前記凝縮器が、凝縮水を前記粉末方向プレナムウォータージャケット熱交換器の前記冷却水入口に導くための水出口ラインを有する、請求項11に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項13】
凝縮水を前記粉末方向プレナムウォータージャケット熱交換器の前記冷却水供給源又は前記冷却水入口に選択的に導くための選択的に動作可能な弁を、前記凝縮器の水出口ライン内に含む、請求項12に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項14】
前記粉末分離プレナム内の温度を感知するための前記粉末分離プレナム内の温度センサと、前記温度センサによって感知された温度に応じて前記弁を動作させるための制御装置とを含む、請求項13に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項15】
液体を乾燥して粉末形態にするための静電噴霧乾燥システムであって、
直立位置に支持される長尺構造体と、
前記長尺体内に乾燥チャンバを形成するための、それぞれ前記長尺体の対向する上端部及び下端部における上端部閉鎖装置及び下端部閉鎖装置と、
前記上側閉鎖装置内に支持される静電噴霧ノズルと、
を備え、
前記静電噴霧ノズルが、液体を前記乾燥チャンバ内に導くための排出噴霧チップをその下流側端部に有するノズル本体を含み、
前記静電噴霧ノズルが、前記乾燥チャンバ内に排出されるべき液体の供給源に結合するための液体入口と、前記噴霧ノズルを通過する液体を前記排出噴霧チップから前記乾燥チャンバ内に微細な液体粒子として排出するために帯電させるための電源に結合するための電極とを有し、
前記上側閉鎖装置が、排出された液体粒子を乾燥させて粉末にするために加熱された乾燥ガスを前記乾燥チャンバ内に導くための乾燥ガス入口を有し、
前記下側閉鎖装置が、前記乾燥チャンバから乾燥ガス及び同伴粉末を受けて乾燥ガス及び粉末を粉末分離プレナムに導くための粉末方向プレナムを含み、
前記粉末分離プレナムが、乾燥粉末を乾燥ガスから分離して分離された乾燥粉末を粉末収集チャンバに導きながら分離されたガスを粉末分離プレナムのガス出口に導くための少なくとも1つのフィルタ要素と、
前記粉末方向プレナムから出る乾燥した粉末及びガスを前記粉末分離プレナムに導くための前記粉末方向プレナムと前記粉末分離プレナムとの間の接続導管と、
前記接続導管に対して周囲に環状冷却水通路を画定する接続導管ウォータージャケット熱交換器を備え、前記接続導管ウォータージャケット熱交換器が、冷却水供給源に接続された一端部に隣接する冷却水入口と、反対側の端部に隣接する冷却水出口とを有し、それにより、前記冷却水供給源からの冷却水を、それが前記粉末方向プレナムから前記粉末分離プレナムに導かれるときに、乾燥ガス及び粉末を冷却するために、前記接続導管ウォータージャケット熱交換器を通じてその出口に連続的に導くことができる、
静電噴霧乾燥システム。
【請求項16】
前記冷却水入口が、前記接続導管ウォータージャケット熱交換器の上流側端部に隣接し、前記冷却水出口が、前記接続導管ウォータージャケット熱交換器の下流側端部に隣接する、請求項15に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項17】
前記接続導管が、前記粉末方向プレナムの下端部と前記粉末分離プレナムの上端部との間で連通する、請求項16に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項18】
前記冷却水供給源が4.5℃~12.8℃の温度に冷却された水の供給源である、請求項16に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項19】
前記粉末分離プレナムガス出口と前記乾燥チャンバガス入口との間に結合されるガス戻りラインであって、前記戻りラインからのガスを前記加熱チャンバ内に向け直すためのガス戻りラインと、前記ガスを前記加熱チャンバ内に向け直す前にガスを再加熱するために前記ガス戻りライン内に配置されるヒータとを含む、請求項15に記載の静電噴霧乾燥システム。
【請求項20】
前記ガス戻りラインが、液体蒸気を前記ヒータへ向かう前に前記ガスから除去するための前記ヒータの上流側の凝縮器を含み、前記凝縮器が、凝縮水を前記冷却水供給源に導くための水出口ラインを有する、請求項19に記載の静電噴霧乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]この特許出願は、参照により組み込まれる、2020年8月31日に出願された米国仮特許出願第62/072,582号の利益を主張する。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明は、静電噴霧乾燥機に関し、より詳細には、乾燥液を乾燥粉末形態に噴霧するための装置及び方法に関する。
【発明の背景】
【0003】
[0003]噴霧乾燥は、液体スラリーが乾燥チャンバ内へ噴霧されるよく知られた広く使用されるプロセスであり、液体を粉末状態に乾燥させるために加熱エアーが乾燥チャンバ内に導入される。スラリーは、一般に、水などの液体、食品、香料、又は、医薬品などの原材料、及び、キャリアを含む。乾燥プロセス中、液体が追い出されて、原材料が粉末形態でキャリア内に封入されたまま残る。また、噴霧乾燥は、様々な食品、添加物、及び、化学物質などの封入を必要としない粉末を製造する際にも使用される。
【0004】
[0004]静電噴霧乾燥は、従来の噴霧乾燥技術で一般的に達成可能な温度よりも低い温度での処理を可能にし、感熱性の医薬化合物、生物学的化合物、及び栄養補助食品化合物を乾燥粉末に処理するのによく適している。しかしながら、極めて熱に敏感な化合物の効力又は生存率は、35℃~75℃を超える温度で数秒を超える時間にわたって曝露した後に低下され得る。静電乾燥プロセスによって与えられるより低い動作温度能力にもかかわらず、乾燥粉末が最終的に収集されてプロセスの外部で冷却される前に、粉末は、これらの限界を超える損傷温度に数分間にわたって晒される可能性がある。これは、乾燥した粉末を乾燥ガスから分離する下流のフィルタ装置で特に発生する可能性があり、その場合、乾燥した粒子が長時間にわたってフィルタシステムに蓄積又は残留する可能性がある。
【発明の目的及び概要】
【0005】
[0005]本発明は、より効果的且つ効率的に感熱性粉末を噴霧乾燥するための静電噴霧乾燥装置及び方法を提供することを目的とする。
【0006】
[0006]他の目的は、従来の噴霧乾燥システムよりも実質的に高い生産速度で動作され得る上記特徴の静電噴霧乾燥装置及び方法を提供することである。
【0007】
[0007]更なる目的は、感熱性粉末を製造する場合であっても、より迅速且つより効率的な噴霧乾燥のためにより高温で動作され得る上記の種類の装置及び方法を提供することである。
【0008】
[0008]更に他の目的は、高温乾燥ガスに晒されることなく乾燥粉末が分離プレナム内で乾燥ガスから分離される前述のタイプの静電噴霧乾燥装置及び方法を提供することである。
【0009】
[0009]更に他の目的は、設計が比較的簡単であり、経済的な製造に役立つそのような静電噴霧乾燥装置を提供することである。
【0010】
[0010]本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を読んで図面を参照すると明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る例示的な噴霧乾燥システムの正面図である。
【
図2】
図1に示される噴霧乾燥システムの概略図である。
【
図3】図示の噴霧乾燥システムのウォータージャケット付き円錐形粉末方向プレナムの拡大垂直断面図である。
【
図4】図示の実施形態の粉末方向プレナムと粉末分離プレナムとの間を結合するためのウォータージャケット付き接続パイプの拡大正面図である。
【
図5】図示の噴霧乾燥システムの静電噴霧ノズルアセンブリの拡大垂直断面図である。
【
図6】図示の噴霧乾燥機システムの粉末分離プレナムの拡大部分垂直断面図である。
【0012】
[0017]本発明は、様々な修正及び代替の構成が可能であるが、その特定の例示的な実施形態が、図面に示されており、以下で詳細に説明される。しかしながら、本発明を開示された特定の形態に限定する意図はなく、逆に、その意図は、本発明の精神及び範囲内に入る全ての修正、代替構造、及び均等物を網羅することであることを理解すべきである。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0013】
[0018]ここで、
図1及び
図2の図面をより詳細に参照すると、処理タワー11を含む本発明に係る例示的な静電噴霧乾燥システム10が示され、処理タワー11は、直立した円筒体の形態を成す乾燥チャンバ12と、加熱ガス入口15(
図2)及び静電液体噴霧ノズルアセンブリ16を有する乾燥チャンバ12のためのカバー又は蓋14の形態を成す上端閉鎖装置と、乾燥チャンバ12の底部に支持された円錐の形態を成す粉末方向プレナム18を結合する下端閉鎖装置とを備える。フレームが、この場合には操作員用の階段20を含む直立状態で処理タワー11を支持する。管の形態を成す導管21が、乾燥ガス及び粉末の混合物を、粉末方向プレナム18から、処理タワー11に隣接するフレームによって直立位置に支持された粉末分離プレナム24に連通させて、乾燥ガスから粉末を濾過し、乾燥した粉末を粉末収集容器又はドラム25に導くとともに、濾過した乾燥ガスを戻りライン26に導く。
【0014】
[0019]乾燥チャンバ12及び静電噴霧ノズルアセンブリ16は、本出願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第10,286,411号明細書に開示されたタイプのものであってもよく、米国特許第10,286,411号明細書の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。噴霧ノズルアセンブリ16は、
図5に示されるように、液体スラリーを所望の粉末形態に迅速且つ効率的に乾燥させるために、静電的に帯電した粒子の噴霧を乾燥チャンバ12内に導くために加圧空気を利用する。図示の噴霧ノズルアセンブリ16は、ノズル支持ヘッド31と、ヘッド31から下流側に延びる長尺ノズルバレル又は本体32と、長尺ノズル本体32の下流側端部にある排出噴霧チップアセンブリ34とを含む。この場合のヘッド31はプラスチック又は他の非導電性材料で作られ、また、ヘッド31には、36の液体供給ラインと連通し、ひいては乾燥されるべき液体の供給源と連通する径方向液体入口通路35が形成される。
【0015】
[0020]この場合のノズル支持ヘッド31には、前記液体入口通路35の下流側に、適切な加圧空気供給源と連通する径方向加圧霧化空気入口通路39が更に形成される。液体入口通路35の上流側の径方向通路41は、ヘッド31内に軸方向で支持されて液体入口通路35の下流側に延びる電極48に対して電気的に接触する当接状態で高電圧ケーブル44を受ける。
【0016】
[0021]噴霧チップアセンブリ34への液体の通過を可能にするために、電極48には、液体を軸方向電極液体通路50から下流側排出噴霧チップアセンブリ34に連通させるためのステンレス鋼又は他の導電性金属で作られた液体供給管58と連通する径方向及び軸方向通路49,50が形成される。環状霧化空気通路60が、液体供給管58と噴霧ノズルアセンブリ16の外側円筒体32との間に画定され、霧化空気入口39から噴霧チップアセンブリ34に霧化ガスを導いて、噴霧チップアセンブリ34から排出液体噴霧を霧化する。乾燥チャンバ12の円筒体は、好ましくは、非導電性材料で作られ、この場合も先と同様に出願人の上記の特許に開示されているように、噴霧されるべき異なる液体間の切り替えを容易にするための取り外し可能で交換可能な内部ライナを含む。
【0017】
[0022]本実施形態の重要な態様を実行する際に、粉末方向プレナム18、及び粉末方向プレナム18と粉末分離プレナム24との間の接続導管21は両方とも、粉末の損傷温度への曝露を制限するために、ガスと同伴粉末との混合物を乾燥チャンバ12からの排出時に直ちに冷却するためのウォータージャケット構成の熱交換器を備える。下流方向で内向きに先細る円錐形粉末方向プレナム18は、乾燥チャンバ12から乾燥粉末及び加熱ガスを直接受けるために乾燥チャンバ12の下側に固定される。粉末方向プレナム18の内向きに先細る円錐壁は、円錐状冷却水流路66(
図2及び
図3)を画定する内側及び外側円錐壁65a,65bによって画定されるウォータージャケット構成の熱交換器65を備える。この場合、円錐形熱交換器65は、明らかになるように、冷却水供給源に結合されるホース69に接続されたその上端部に隣接する冷却水入口68と、出口ホース71に結合された熱交換器65の下端部に隣接する冷却水戻り出口70とを含む。冷却水入口68に導かれる好ましくは約4.5℃~12.8℃(すなわち、40°F~55°F)の温度に制御された冷却水は、円錐形熱交換器65の流路66を通って連続的に流れ、それにより、粉末方向プレナム18に導かれて熱交換器65と接触する粉末及び乾燥ガスは、乾燥チャンバ12からの排出時に直ちに冷却される。
【0018】
[0023]この実施形態を実施する際、粉末方向プレナム18と粉末分離プレナム24との間の接続導管21は、環状冷却水流路71を画定する内壁70a及び外壁70bを有するウォータージャケット構成の熱交換器70も備え、この場合、内壁70aは、ガスが粉末方向プレナム18から粉末分離プレナム24に全ての同伴粉末を効率的に搬送するように寸法付けられている。この場合の熱交換器70は、粉末方向プレナム18の下側側に結合された傾斜した上流側端部74と、予め冷却された粉末及び乾燥ガスをプレナム内に下向きに且つ接線方向で導くために粉末分離プレナム24の上端部の入口76に接続されてこれと連通する傾斜した上端部75とを有する。
【0019】
[0024]接続導管熱交換器70は、粉末方向プレナム熱交換器65から冷却水を直接受けるために粉末収集プレナム18の下端部に隣接する出口81から連通する冷却水供給ライン79に結合された冷却水入口78を有する。したがって、乾燥チャンバ12から排出する加熱ガス及び粉末は、それが分離プレナム24内に導かれる前に冷却のために円錐形粉末方向プレナム熱交換器65及び接続導管熱交換器70の熱交換面と実質的に接触することが分かる。実際には、60℃~90℃の温度で乾燥チャンバから排出する加熱ガス及び粉末の混合物は、粉末分離プレナム24内に向かう前に、約25℃~50℃(すなわち、周囲温度に近い)の温度まで冷却され得る。そのような中間的且つ実質的な冷却は、非常に感温性の粉末への損傷さえも防止することが分かってきた。
【0020】
[0025]図示の粉末分離プレナム24は、
図6に示すように、本出願人の上記の特許に示されているタイプのものであってもよく、基本的に、前記粉末受け入れ入口76を有する上側円筒形プレナム90と、その下側に排気室92を画定する前記上側円筒プレナム90内に配置された下方に開口する円錐状に構成された排気プレナム91と、下側円筒プレナム94と、複数の周方向に離間したフィルタ98(そのうちの1つのみが
図6に示される)が支持プレート99のそれぞれの開口に依存して内部に支持される、下側円筒プレナム94内に同心に支持された円筒形フィルタ要素シュラウド95とを備える。
【0021】
[0026]噴霧乾燥システム10の動作中、粉末方向プレナム24内に導かれた乾燥ガス及び粉末は、円錐形排気プレナム91の周りで内側円筒形フィルタ要素シュラウド95の周りの環状通路100内に導かれ、収集チャンバ104内に収集するために粉末方向コーン102内に下方に導かれることが分かる。ガス流中に残っている乾燥粉末の大部分は粉末収集チャンバ104に移動するが、微細なガス空中浮遊粒子状物質は、明らかとなるように、乾燥ガスがフィルタ98を上方に通過して乾燥ガス排気プレナム91に入って乾燥チャンバ12への再循環のために乾燥ガス排気ポート105を通じて出るときに環状フィルタ98によって分離されて保持される。蓄積粉末のフィルタ98の定期的な洗浄のために、円筒形フィルタ98はそれぞれ、制御弁109によって周期的に動作されるそれぞれの逆方向ガスパルス洗浄デバイス108を有する。この場合、バタフライ弁110が、収集チャンバ104の上端部に取り付けられ、収集チャンバ104内への粉末の方向を制御するように動作可能である。
【0022】
[0027]分離プレナム24から出た乾燥ガスを再循環及び再利用するために、分離プレナム出口ポート105が再循環ライン26に結合され、再循環ラインは、凝縮器115、送風機116、及び乾燥ガスヒータ118(
図2)を介して乾燥チャンバ12の上端カバー14の加熱ガス入口ポート15に接続される。凝縮器115は、入口ライン117aを介して凝縮器と連通するそれぞれの冷水供給源117を有する冷水冷却凝縮コイル115aによって排気ガス流の流れから水蒸気を除去する。次いで、乾燥ガスは、凝縮器115で冷却された後の乾燥ガスを所定の加熱温度に再加熱するガスヒータ118を介して送風機116によって導かれ、特定の粉末乾燥は、元の加熱ガス入口ポート15に向け直して乾燥チャンバ12に入るように動作する。
【0023】
[0028]本実施形態の更なる特徴に従って、凝縮器115を出る冷却水は、全体的に又は部分的に、粉末方向プレナム18のウォータージャケット構成熱交換器65に再循環されてもよい。図示の実施形態において、凝縮器115は、凝縮器115からの冷却水を粉末方向プレナム熱交換器65の入口68又は再冷却のための水供給源122への戻りライン121に導くことができるようにする三方向分流弁120に結合される。この特徴を更に実行する際に、弁120の位置、及びそれに対応して冷却水流量は、粉末分離プレナムに配置された温度センサ125からの温度ベースの制御装置128によって制御される。したがって、粉末収集コーン熱交換器へ供給される冷却水の温度は、乾燥チャンバを出る粉末ガス混合物の所定の冷却のために選択的に制御され得る。
【0024】
[0029]以上から分かるように、粉末方向コーン及び粉末方向コーンと分離プレナムとの間の接続管の熱交換機構は、乾燥チャンバから出るガス及び同伴粉末の混合物をガス粉末分離装置に到達する前に即時冷却できるようにし、したがって、乾燥粉末の損傷温度への曝露を制限する。冷却水は、上流側の温度感知によって正確に制御することができる。このような即時ガス粉末及びガス冷却と組み合わせた静電噴霧乾燥は、このシステムを感熱性粉末の処理に適したものにする。即時生成物冷却は、最終的な乾燥生成物の効力の増大をもたらし、極めて熱に敏感な製剤に対するシステムの使用を可能にする。更に、乾燥ガスの入口温度を乾燥チャンバ内の蒸発速度を改善するより高い温度で動作させることができるため、乾燥粉末の生成を実質的に増大させることができる。その領域での曝露時間は最小限であるため、粉末は直ちに冷却セクションに到達することから、依然として保護されながら実質的により速い速度で粉末を製造することができる。
【国際調査報告】