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  • 特表-ベルトリトラクタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20230920BHJP
   B60R 22/343 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B60R22/46 166
B60R22/343
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513905
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021073824
(87)【国際公開番号】W WO2022049013
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】102020211208.8
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】シェーンヒェン、アーント
(72)【発明者】
【氏名】ヤブッシュ、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】グレーサー、アント-クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】チルステア、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】エーラス、イェンス
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018GA01
3D018MA01
(57)【要約】

本発明は、車両に固定され得るフレーム(7)内で回転可能に装着され、安全ベルトが巻き付けられ得るベルトリール(4)と、ベルトリール(4)の機械側に配置され、特定の安全ベルト引き出し加速度及び/又は車両減速度を超えたとき、及びその結果として強制的に安全ベルトの引き出し方向に作動されたときにベルトリール(4)をブロックするブロック装置(18)と、ベルトリール(4)を回転させるための電気モータ(5)と、電気モータ(5)からの回転運動をベルトリール(4)に伝達するギア機構(6)とを備え、電気モータ(5)及びギア機構(6)が、ベルトリール(4)の回転軸と同軸に、かつベルトリール(4)に対して直列に配置されている、ベルトリトラクタ(1)に関し、ベルトリール(4)の回転軸と同軸に、かつベルトリール(4)と直列に配置された伝達ロッド(13)が設けられており、その第1の端部(14)がベルトリール(4)の機械側でベルトリール(4)に回動可能に固定され、その第2の端部(15)がプロファイル部を介してギア機構(6)の出力ギアに回動可能に固定され、伝達ロッド(13)が第1のブロック装置(18)を通って延びている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記車両に固定され得るフレーム(7)内で回転可能に装着されており、安全ベルトが巻き付けられ得る、ベルトリール(4)と、
前記ベルトリール(4)の機械的端部に配置され、予め設定されたベルト引き出し加速度及び/又は車両減速度を超え、それによって前記安全ベルトの引き出し方向への作動がトリガされたときに、前記ベルトリール(4)をロックする第1のロック装置(18)と、
前記ベルトリール(4)を回転運動で駆動するための電気モータ(5)と、
前記電気モータ(5)から前記ベルトリール(4)に回転運動を伝達するギア機構(6)と、を備える、ベルトリトラクタ(1)であって、
前記電気モータ(5)及び前記ギア機構(6)が、前記ベルトリール(4)の回転軸と同軸に、かつ前記ベルトリール(4)と直列に配置され、
前記ベルトリール(4)の前記回転軸と同軸に、かつ前記ベルトリール(4)と直列に配置された伝達ロッド(13)が設けられており、前記伝達ロッド(13)が、その第1の端部(14)で前記ベルトリール(4)の前記機構端部において回動可能に固定された状態で前記ベルトリール(4)に接続され、その第2の端部(15)で、プロファイルを介して前記ギア機構(6)の出力ギアに接続されており、前記第1のロック装置(18)を通って延びている、
ベルトリトラクタ(1)。
【請求項2】
前記第1のロック装置(18)が、回転可能に装着された第1の制御ディスク(16)を有し、前記伝達ロッド(13)が前記第1の制御ディスク(16)の中央開口部を通って延びている
ことを特徴とする、請求項1に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項3】
前記第1の制御ディスク(16)が前記伝達ロッド(13)に装着されていることを特徴とする、請求項2に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項4】
作動時に、前記ギア機構(6)の一部を車両に固定されるようにブロックし、それによって前記ギア機構(6)を第1の力伝達経路から第2の力伝達経路にシフトする、第2のロック装置(19)が設けられており、
前記第2のロック装置(19)が、回転可能に装着された第2の制御ディスク(17)を有し、
前記伝達ロッド(13)が前記第2の制御ディスク(17)の中央開口部を通って延びている、請求項1~3のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項5】
前記第2の制御ディスク(17)が前記伝達ロッド(13)上に装着されていることを特徴とする、請求項4に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項6】
前記第1及び第2の制御ディスク(16,17)が互いに隣接して平行に配置され、それらの回転軸が互いに同軸であることを特徴とする、請求項2又は3のいずれか一項、及び2つの請求項4又は5のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項7】
前記第1及び第2の制御ディスク(16,17)が共通のロックレバーによってロックされ得ることを特徴とする、請求項6に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項8】
前記ベルトリール(4)が、前記第1のロック装置(18)によって車両に固定されるようにロックされ得るベルトリール本体(9)及びプロファイルヘッド(10)と、前記ベルトリール本体(9)と前記プロファイルヘッド(10)との間に配置された力制限装置(8)とを有する2つの部分に設計されており、
前記伝達ロッド(13)の前記第1の端部(14)が、回動可能に固定された状態で前記プロファイルヘッド(10)に接続されている
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項9】
前記力制限装置(8)が、前記ベルトリール(4)の回転軸と同軸に配置された少なくとも1つのトーションバー(11,12)を備え、その第1の端部(20)が、前記ベルトリール本体(9)の外面上に配置されたレセプタクル(22)内に回動可能に固定され、その第2の端部(21)が、前記プロファイルヘッド(10)内のレセプタクル(23)内に回動可能に固定されている、請求項8に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項10】
前記伝達ロッド(13)が前記力制限装置(8)よりも低い変形抵抗を有している、
ことを特徴とする、請求項8又は9のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【請求項11】
前記伝達ロッド(13)がプラスチック製である、
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有するベルトリトラクタに関する。
【0002】
ベルトリトラクタは、基本的構成要素として、耐荷重フレームと、ベルトリールとを有し、ベルトリールは、フレーム内で回転可能に装着されており、安全ベルトがベルトリール上に巻き付けられ得る。フレームは、ベルトリールの装着のために機能するだけでなく、ベルトリトラクタを座席構造体又は車両構造体に締結するためにも機能し、このために、フレームは、U字形状フレームに屈曲した対応する厚さの鋼板から作製されている。更に、第1のブロック装置がベルトリール上に設けられ、それによって、特定のベルト引き出し加速度及び/又は車両減速度を超えたときに、ベルトリールを引き出し方向にブロックし得る。第1のブロック装置は、基本的な構成要素として、フレームに対する第1のブロック装置の作動時にベルトリールをブロックする第1のブロック爪を備える。更に、第1のブロック装置は、ベルトリールに対してばね荷重をかけ、ベルトリールと共に回転する第1の制御ディスクを備え、第1の制御ディスクは、第1のブロック爪が制御ピンを有して支えられる制御輪郭を有する。更に、第1のブロック装置は、特定のベルトストラップ引き出し加速度又は車両減速度を超えたときに、ベルトリールに対して第1の制御ディスクを停止させ、それによって、制御輪郭及びその上に支えられている制御ピンを介して第1のブロック爪のブロック運動を強制する1つ又は2つのセンサ装置を備える。第1のブロック装置が配置されるベルトリールの側は、機械側と呼ばれる。
【0003】
安全ベルト装置を有する車両座席は、例えば、コンバーチブル内の前座席としての使用において既知であり、少なくとも、安全ベルト装置のベルトリトラクタは、車両座席の背もたれ内に締結されている。この場合、耐荷重Bピラーの欠如に起因して、及び後座席へのアクセスに関する理由から、又は後部車両構造体からの距離に関する理由から、ベルトリトラクタが車両座席の背もたれ内に組み込まれているのが好ましく、したがって、これはまた、拘束の場合に作用する引張力を吸収するように設計されなければならない。ベルトリトラクタ自体は標準的なベルトリトラクタの全ての基本的構成要素を有し、自己整合性慣性センサなどの、特に背もたれ内の設置のために設けられた様々な追加的サブアセンブリのみを装備する。
【0004】
車両座席の基本的設計において、車両座席は、いくつかの耐荷重構造部品から成る座席構造体を有し、耐荷重構造部品は、車両座席を車両構造体に締結するように機能する。座席構造体は座り心地を改善するためにばね及び緩衝材を装備し、座席構造体はまた、関連する電気モータを含む様々な座席調節機構などの更なる構成要素、並びに加熱装置、センサ、表示部、及びヘッドレストなどの様々な更なる構成要素の締結のために機能する。
【0005】
自律運転システムを有する現代の車両では、車両の乗員が、例えば、他の乗員とのより有意義なコミュニケーション、長時間のより集中的な休息期間、又は更には仕事のために、自律運転によって得られる自由を使用することができ、これに応じて車両座席を向けることができるように、様々な向き及び位置における車両座席のより大きい調節性の要求が高まっている。結果として、安全ベルト装置、及び、特にベルトリトラクタは、以前のように車両構造体に締結されるのではなく、むしろ、例えばコンバーチブルの前座席の場合に既にあるように車両座席に締結される必要がある。
【0006】
更に、現代の安全ベルト装置では、ベルトリトラクタに電気モータが設けられており、電気モータは、作動時に、例えば、巻き上げ方向にベルトを可逆的に締め付けるようにべルトシャフトを駆動する。そのため、電気モータは同様にフレームに締結され、ベルトシャフトの横方向に配置され、駆動シャフトがベルトシャフトの回転軸に平行に配向される。更に、ベルトシャフトと電気モータとの間にギア機構を提供することが既知であり、そのギア機構を介して、電気モータの回転速度がベルトシャフトの特定の回転速度に変換される。ギア機構の使用はまた、高い回転速度を有する可能な限りコンパクトな電気モータを使用することを可能にする。したがって、ギア機構によって可能になったコンパクトな電気モータの使用にもかかわらず、設置空間要件が増加したベルトリトラクタが全般に製造されている。このようなベルトリトラクタは、例えば、国際公開第03/099619(A2)号から既知である。
【0007】
ベルトリールが様々な回転速度及びトルクで駆動される場合、更なるギア段を設けなければならず、これは、設置スペース要件を更に増加させる。このようなベルトリトラクタは、例えば、独国特許第19927731(C2)号から既知である。
【0008】
車両座席の座席構造体、又は概して超小型車両上で利用可能な設置空間は、サイズが非常に限られており、設計上の理由で所望に拡張させることができず、車両座席上又は更には小型車両におけるそのようなベルトリトラクタの配置は基本的に問題をはらむ。
【0009】
この背景に対して、本発明は、非常に狭い設置スペースにさえ配置することができる、電気モータ及びギア機構を備えた、細長いベルトリトラクタを提供する目的に基づく。
【0010】
本発明によれば、請求項1の特徴を有するベルトリトラクタが、その目的を実現するために提案されている。本発明の更なる好ましい展開は、従属請求項、図面、及び関連する説明から得られ得る。
【0011】
本発明の基本概念によれば、電気モータ及びギア機構は、ベルトリールの回転軸に対して同軸に、かつベルトリールと直列に配置されており、
このベルトリールの回転軸と同軸に、かつベルトリールと直列に配置されている伝達ロッドが設けられ、その第1の端部がベルトリールの機械側でベルトリールに回動可能に固定され、その第2の端部がプロファイル部を介してギア機構の出力ギアに回動可能に固定されており、この伝達ロッドが第1のブロック装置を通って延びていることが提案されている。
【0012】
伝達ロッドは、その第1の端部でベルトリールに回動可能に固定され、ベルトリールの回転軸と同軸に第1の端部から外向きに延び、したがって実際にはベルトリールの軸方向延長部を形成する。伝達ロッドは、ベルトリールが伝達ロッドを介してギア機構の出力ギアに回動可能に固定されるように、その第2の端部で、プロファイル部を介してギア機構の出力ギアに回動可能に固定される。これにより、伝達ロッドは、ベルトリトラクタの機械側の第1のブロック装置を通って延び、それによって、電気モータを備えたギア機構の、その機械側のベルトリールへの狭い同軸直列配置を可能にする。したがって、第1のブロック装置は、伝達ロッドと交差する平面内に配置することができ、したがって、第1のブロック装置は、コンパクトな設計でトーションバーの周囲に配置される。提案された解決策は、その第1の端部がベルトリールの機械側に接続されていることにより、第1のブロック装置を介してベルトリールをブロックする際に、伝達ロッドが、安全ベルトを横切って加えられる張力の力の流れから直接かつ完全に除去され、張力が、そのブロック中に第1のブロック装置の第1のブロック爪を介して車両構造に直接導入される、という更なる利点を有する。伝達ロッドは更に、第1のブロック装置がベルトリールとギア機構との間に配置されているにもかかわらず、ベルトリールのギア機構への接続を可能にする。
【0013】
そのため、第1のブロック装置は、好ましくは、第1の回転可能に装着された制御ディスクを有し、伝達ロッドは第1の制御ディスクの中央開口部を通って延びる。第1の制御ディスクは、第1のブロック装置の第1のブロック爪を制御するように機能し、中央開口部を通って延びる伝達ロッドと共にコンパクトな構造を形成し、ギア機構とベルトリールとの間の伝達ロッドによって形成された自由空間の利用が改善される。更に、伝達ロッドは、具体的には第1の制御ディスクが配置される平面を介して、ベルトリールのギア機構への接続を可能にする。
【0014】
それによって、第1の制御ディスクは、好ましくは、ベルトリールをギア機構に接続するというその実際の機能に加えて、伝達ロッドが第2の機能、すなわち第1の制御ディスクの装着を更に引き継ぎ、更に又は以前に必要であった第1の制御ディスクを別の方法で装着することが省略されるような方法で、伝達ロッドに装着することができる。
【0015】
更に、作動時にギア機構の一部を車両に固定されるようにブロックし、それによってギア機構を第1の力伝達経路から第2の力伝達経路にシフトする、第2のブロック装置が設けられ、この第2のブロック装置が回転可能に装着された第2の制御ディスクを有し、伝達ロッドが第2の制御ディスクの中央開口部を通って延びることが提案される。第2のブロック装置はギア機構をシフトするために機能し、この目的のために、第2の制御ディスクを有し、この第2の制御ディスクは、第1の制御ディスクと同じ原理に従って、第2のブロック装置の作動時に、第2のブロック爪を車両に固定された歯への従動運動に付勢し、それによって、第2の力伝達経路をシフトするためのギア機構の部分をブロックする。したがって、第2の制御ディスク及び第1の制御ディスクは、伝達ロッドと共にコンパクトなアセンブリを形成し、伝達ロッドによって橋渡しされた自由空間は、コンパクトな設計において、第1の制御ディスクの配置と第2の制御ディスクの配置との両方に使用される。
【0016】
これにより、第2の制御ディスクも同様に伝達ロッドに装着することができ、その結果、第1の制御ディスクを装着した場合と同じ利点が得られる。
【0017】
第1の制御ディスク及び第2の制御ディスクは隣接して平行に配置され、それらの回転軸は互いに同軸である。これにより、第2の制御ディスクは、好ましくは、第1の制御ディスクに平行に配置され、その回転軸は第1の制御ディスクの回転軸と同軸であり、2つの制御ディスクが、伝達ロッドが通って延びる共通の回転軸を有する、コンパクトなアセンブリを形成する。
【0018】
2つの制御ディスクのこの平行な配置は、第1の制御ディスク及び第2の制御ディスクが共通のブロックレバーによってブロックされ得るという点で、そのコンパクトな設計を更に発展し得る。これにより、そうでない場合に必要とされる第2のブロックレバー、及び第2のブロック装置のための関連する作動機構が省かれ得る。共通のブロックレバーを使用することによって、第1の制御ディスク及び第2の制御ディスクは、ベルトリールに対して、又は事前締め付け時に第1の力伝達経路内で回転するギア機構に対して、常に同時に停止される。しかしながら、第1の制御ディスクが引き出し方向にブロックされ、ベルトリールが引き出し方向に更に回転するときにのみ、第1のブロック装置のブロックがトリガされるものの、ベルトリールが締め付けられると、電気モータ及びギア機構を介して引き込み方向に駆動されるので、第1の制御ディスクにおける共通のブロックレバーの係合は、ギア機構の係合時に第1のブロック装置の作動をもたらさない。逆の場合、ベルトストラップ引き出し加速度及び車両減速度の特定の値を超えたときに、第2の制御ディスクにおける共通のブロックレバーの係合は、同様に不利ではない。なぜなら、ベルトリールは、引き出し方向における第1のブロック装置の作動によっていずれにしてもブロックされるからである。
【0019】
ベルトリールが、ベルトリール本体と、第1のブロック装置によって車両に固定されるようにブロックされ得るプロファイルヘッドと、ベルトリール本体とプロファイルヘッドとの間に配置された力制限装置とを有する2つの部分で形成され、伝達ロッドの第1の端部がプロファイルヘッドに回動可能に固定されることが更に提案されている。この構成の利点は、一方の側で伝達ロッドに回動可能に固定され、力制限装置がプロファイルヘッドとベルトリール本体との間に配置されていることにより、第1のブロック装置を介して車両に固定された状態でブロックされ得るプロファイルヘッドが、伝達ロッドと力制限装置との間に構造的インタフェースを形成し、それにより、加えられた引張力がプロファイルヘッド及び第1のブロック装置を介して車両構造に導入されるので、プロファイルヘッドがブロックされると、伝達ロッドと力制限装置とが自動的に互いに分離される。
【0020】
それによって、力制限装置が、ベルトリールの回転軸と同軸に配置された少なくとも1つのトーションロッドを備え、トーションロッドの第1の端部が、ベルトリール本体の外側に配置されたレセプタクルに回動可能に固定され、トーションロッドの第2の端部が、プロファイルヘッドのレセプタクルに回動可能に固定されることが更に提案される。したがって、トーションバーは、ベルトリール本体と同軸かつ直列に配置され、したがって、ベルトリールの第1の部分を形成するベルトリール本体から、プロファイルヘッドによって形成されるベルトリールの第2の部分まで、ベルトリールを細長く伸びた狭いアセンブリへと延ばしている。伝達ロッドがプロファイルヘッドに回動可能に固定され、伝達ロッドがベルトリール及びベルトリール本体に対して同軸に配置され、トーションバーがベルトリール本体に対して同軸に配置されるので、トーションバーも結果的に伝達ロッドに対して同軸に配置され、ベルトリールに関連して更に細長く伸びた狭いアセンブリを形成する。
【0021】
更に、この場合、伝達ロッドが力制限装置よりも低い変形強度を有することが提案される。それによって、力制限装置が安全ベルトの締め付け時に最初に事前作動され、それにより、力制限されたベルトストラップ伸長の開始時に依然として初期状態にあることを防止することができる。更に、それによって、締付け力が力制限装置の作動によって低減されることを防止することができる。プロファイルヘッドのブロックによって、伝達ロッドは、力制限の開始時に力の流れから自動的に取り外されるので、その低い変形強度も、この点で不利ではない。それによって、より低い変形強度は、例えば、より低い強度を有する材料の目標とされた選択を介して達成することができる。
【0022】
特に好ましい解決策は、伝達ロッドがプラスチックから作製されていることであり、その理由は、それによって伝達ロッドを所望の強度値で非常に簡単に設計することができ、更に射出成形プロセスでの大規模生産において、費用効率よく製造することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明について、添付の図を参照して、好ましい実施形態を使用して以下で説明する。以下を図示する。
図1】本発明によるベルトリトラクタの分解組立図である。
図2】本発明によるベルトリトラクタの断面図である。
【0024】
図1において、本発明によるベルトリトラクタ1は、2つのハウジング半体2及びハウジング半体3と共に示されており、これらのハウジング半体は、明確にするために切欠きでのみ示されている。完全なハウジング半体2及びハウジング半体3は、ベルトリトラクタ1の外側を包み込み、追加して、例えば車両シートの狭い設置空間にベルトリトラクタ1を締結するために機能する。ベルトリトラクタ1において、力制限装置8を有するベルトリール4と、電気モータ5と、ギア機構6と、不可逆火薬式締付装置24とが、基本アセンブリとして設けられている。
【0025】
ベルトリール4は、フレーム7内で回転可能に装着されており、このフレーム7は、ハウジング半体2又はハウジング半体3の少なくとも一方に固定されている、又はハウジング半体2とハウジング半体3との間にクランプされた状態で保持されており、それによってハウジング半体3に回動可能に固定された状態で支持されている。
【0026】
図2では、組み立てられた状態のベルトリトラクタが断面図で示されている。ベルトリール4は、第1のブロック装置18を介して車両に固定されるようにブロックすることができるベルトリール本体9及びプロファイルヘッド10を有して、2つの部分で形成される。ベルトリール本体9は安全ベルト(図示せず)を巻き取るために機能し、一方、プロファイルヘッド10はベルトリール4をブロックするように機能し、この目的のために、特定のベルト引き出し加速度又は車両減速度を超えたときに、第1のブロック装置18及び関連するセンサ装置を介して車両に固定されるようにブロックすることができる。ベルトリール本体9及びプロファイルヘッド10は、力制限装置8を介して互いに回動可能に固定され、したがって、力制限装置8の作動まで回動可能に固定された接続でベルトリール4を形成する。したがって、プロファイルヘッド10の側面は、ベルトリール4の機械的側面を形成する。
【0027】
また、ベルトリトラクタ1の右側には電気モータ5が見えており、この電気モータ5は、ハウジング半体2及びハウジング半体3の一方又は両方に回動可能に固定された状態で支持されている。電気モータ5から導出された駆動シャフトは、ギア機構6の出力ギアに回動可能に固定されている。また、プロファイルヘッド10に第1の端部14を回動可能に固定され、ギア機構6の出力ギアに第2の端部15を回動可能に固定された伝達ロッド13も設けられる。ベルトリール本体9、力制限装置8、プロファイルヘッド10、伝達ロッド13、ギア機構6、及び最後に電気モータ5は、互いに対して狭く細長く伸びた配置で、互いに直列に、かつベルトリール4の回転軸と同軸に配置される。更に、力制限装置8は、直列に配置された2つのトーションロッド11及びトーションロッド12によって形成され、これらのトーションロッドは、異なる塑性変形限界を有し、例えば、独国特許第19928427(C2)号に記載されているような切替装置によって切り替えることができる。力制限装置8は、トーションバー11及びトーションバー12の同軸直列配置を有するベルトリール本体9をプロファイルヘッド10まで延ばして、細長いベルトリール4を形成する。
【0028】
第1のブロック装置18は、プロファイルヘッド10に枢動可能に装着された第1のブロック爪と、第1のブロック爪が制御ピンで静止する制御輪郭を有する第1の制御ディスク16とを備える。ギア機構6は、枢動可能に装着された第2のブロック爪を有する第2のブロック装置19と、第2のブロック爪が制御ピンで静止する制御輪郭を有する第2の制御ディスク17とを備える。
【0029】
第1のブロック装置18を作動させるために、第1の制御ディスク16はベルトリール4に対して、又はプロファイルヘッド10に対して停止され、プロファイルヘッド10上の第1のブロック爪は、位置制御動作において、ベルトリトラクタ1の車両に固定されている歯の中に押し込まれ、それによって、プロファイルヘッド10、及び(力制限装置8が作動していない場合には)ベルトリール本体9もが、ベルトリール本体9に巻かれた安全ベルトの引き出し方向への更なる回転に対してブロックされる。第1の制御ディスク16を停止させるために、第1の制御ディスク16に枢動可能に装着されたばね荷重慣性質量の形態のセンサ装置を設けることができ、この慣性質量は、特定の引き出し加速度を超えたときにばね力に対して偏向され、それによって車両に固定された歯に打ち込まれ、その後、第1の制御ディスク16がベルトリール4に対して保持され、第1のブロック爪のブロック運動をトリガする。車両に対して感度の良いセンサ装置はまた、特定の車両減速度を超えたときに偏向され、それによって第1の制御ディスク16の歯に打ち込まれ、ベルトリール4に対する第1のブロック爪のブロック運動をトリガするために第1の制御ディスク16を停止させるブロックレバーを備えることができる。これにより、第2のブロック装置19は、第2の制御ディスク17がギア機構6に対して停止されることによって作動され、それによって第2のブロック爪のブロック運動及びギア機構6のシフトを強制する。例えば電磁石を介して偏向可能なブロックレバーを備えた電気的に制御可能なセンサ装置が、第1のブロック装置16の車両減速度感応ブロックのために設けられている限りにおいて、この電気的に制御可能なセンサ装置は、ブロックレバーが第2の制御ディスク17をブロックするためにも使用されるという点において、第2のブロック装置19をブロック及び制御するためにも使用可能である。次いで、第1の制御ディスク16及び第2の制御ディスク17は共通のブロックレバーを介してブロックされ、それによって、第2のブロック装置19が別個の制御を必要としないので、ベルトリトラクタ1のコンパクトな設計が更に改善される。ここで、第2のブロック装置19は、ギア機構6のシフトのために機能し、ギア機構6は、第2のブロック装置19が作動していない場合、電気モータ5の駆動速度の変換が行われることなく、アセンブリとして駆動される。第2のブロック装置19が作動されると、ギア機構6のハウジング又はギア機構6の別の部分が、車両に固定された状態でブロックされるという点でギア機構6がシフトされ、ギア機構6の作動及びギア機構6の歯車の互いに対する回転運動によってのみ、例えば1:36又は1:80の対応する変速比で、電気モータの回転運動を伝達ロッド13に、更にベルトリール4上に伝達することができる。
【0030】
その回動可能に固定された端部14及び15により、伝達ロッド13は、ギア機構6の出力ギアへの回動可能に固定されたベルトリール4の接続を形成する。それによって、伝達ロッド13は、ベルトリール4の機械側から、したがってプロファイルヘッド10から、第1のブロック装置18がその第1の制御ディスク16と共に配置される平面を通り、第2のブロック装置19の第2の制御ディスク17を通って、ギア機構6まで軸方向に延びる。第1の制御ディスク16及び第2の制御ディスク17は、それによって、好ましくは、それぞれの中央開口部の周りで伝達ロッド13に装着され、互いに平行に配置される。したがって、伝達ロッド13は、細長く伸びた狭い設計で、2つのブロック装置18及びブロック装置19を有するベルトリトラクタ1のコンパクトな構造を可能にする。
【0031】
ギア機構6が1:1の伝達比でアセンブリとして駆動されるとき、伝達ロッド13は、電気モータ5の駆動回転運動を第1の力伝達経路でベルトリール4に伝達する。第2のブロック装置19が作動されると、伝達ロッド13は、ギア機構6において既に変換された回転運動を、1:36又は1:80の伝達比でベルトリール4に伝達する。これにより、伝達ロッド13は、ギア機構6から、第1のブロック装置18及び第2のブロック装置19を介して、ベルトリール4へコンパクトな設計で回転運動を伝達することを可能にする。換言すれば、第1のブロック装置18及び第2のブロック装置19を配置するための中間スペースは、特にその制御ディスク16及び制御ディスク17を有する伝達ロッド13によって達成される。いずれにしても、伝達ロッド13並びに2つの制御ディスク16及び制御ディスク17は、コンパクトな設計を形成するように、ベルトリトラクタ1のハウジング内の設置空間を最適に利用して、互いを補う。2つの制御ディスク16及び制御ディスク17は、コンパクトな設計が得られるように、好ましくは互いに平行に配置され、伝達ロッド13の長手方向軸に対して垂直に配置される。更に、それによって、2つの制御ディスク16及び制御ディスク17は、それらの間に配置された軸方向のベアリング上で伝達ロッド13上に軸方向に装着することができる。
【0032】
伝達ロッド13は、好ましくは、力制限装置8によって規定される力制限レベルよりも低い塑性変形限界を有し、それにより、力制限装置8は、安全ベルトの締め付け中又は快適機能の実行中に最初に意図せずに作動されず、実際には、その作動の開始時に依然としてその初期状態にある。第2に、電気モータ5の駆動回転運動は、それによって力制限装置の可能な作動によって意図せずに低減されることはなく、したがって、例えば締付け力は低減されない。本例では、トーションバー11及びトーションバー12の使用は、伝達ロッド13の塑性変形限界がトーションバー11及びトーションバー12の塑性変形限界より意図的に低いことを意味する。これは、例えば、伝達ロッド13が、鋼から作られたトーションバー11及びトーションバー12よりも、対応して低い強度を有するプラスチックから作製されていることによって実現され得る。更に、プラスチックは、非常に好ましい材料であり、大規模生産において、例えば射出成形プロセスにおいて処理され、それにもかかわらず、締付け力の伝達及び快適機能の回転運動の伝達のために十分な強度を有する。伝達ロッド13は、その第1の端部14でプロファイルヘッド10に接続されているので、第1のブロック装置18が作動されると、力の流れから自動的に分離され、それによって、その後、もはや荷重が加えられない。これにより、伝達ロッド13は、その第2の端部15において、例えば歯の形態のプロファイル部を形成するように形成され、伝達ロッド13は、ギア機構6の出力ギアの形状嵌合レセプタクル内に回動可能に固定される。プロファイルヘッド10又はベルトリール4とギア機構6との間に架け渡される距離に応じて、対応する長さの伝達ロッド13を、ギア機構6、特にその出力ギア、及びベルトリール4又はプロファイルヘッド10を構造的に適合させる必要なしに使用することができる。
図1
図2
【国際調査報告】