(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】ベルトリトラクタ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/28 20060101AFI20230920BHJP
B60R 22/46 20060101ALI20230920BHJP
B60R 22/343 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B60R22/28 107
B60R22/46 166
B60R22/343
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513906
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021073832
(87)【国際公開番号】W WO2022049015
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】102020211209.6
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】バド、アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】シェーンヒェン、アーント
(72)【発明者】
【氏名】ペッターソン、レナート
(72)【発明者】
【氏名】ヤブッシュ、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ラングホフ、ハンス-イェルク
(72)【発明者】
【氏名】グレーサー、アント-クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】チルステア、アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】マティアソン、エリアス
(72)【発明者】
【氏名】エーラス、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン、ヤンネ
(72)【発明者】
【氏名】アクスブロム、パー
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018DA07
3D018GA01
3D018MA01
(57)【要約】
本発明は、フレーム内に回転可能に取り付けられたベルトリール(1)を取り囲み、少なくとも1つの塑性変形可能な第1のトーションロッド(9)を有する力制限装置(2)を備えるベルトリトラクタであって、第1のトーションロッド(9)は、ベルトリール(1)に回転的に固定された第1の端部(11)と、プロファイルヘッド(7)に回転的に固定された第2の端部(12)であって、プロファイルヘッド(7)が車両に対して第1のブロック装置を介して固定されるようにブロックされ得る第2の端部(12)と、を有するベルトリトラクタに関する。ベルトリール(1)と、第1のトーションロッド(9)と、プロファイルヘッド(7)とは、互いに同軸に、かつ互いに対して直列に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム内に回転可能に取り付けられたベルトリール(1)と、
少なくとも1つの塑性変形可能な第1のトーションロッド(9)を有する力制限装置(2)と、
を備えたベルトリトラクタであって、
前記第1のトーションロッド(9)は、前記ベルトリール(1)に回転的に固定された第1の端部(11)と、プロファイルヘッド(7)に回転的に固定された第2の端部(12)であって、前記プロファイルヘッド(7)が車両に対して第1のブロック装置を介して固定されるようにブロックされ得る、第2の端部(12)と、を有し、
前記ベルトリール(1)と、前記第1のトーションロッド(9)と、前記プロファイルヘッド(7)とは、互いに同軸に、かつ互いに対して直列に配置されていること、
を特徴とするベルトリトラクタ。
【請求項2】
前記第1のトーションロッド(9)は、前記ベルトリール(1)と前記プロファイルヘッド(7)との間に直列に配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載のベルトリトラクタ。
【請求項3】
前記プロファイルヘッド(7)と前記ベルトリール(1)とは、互いから軸方向の距離をあけて、別個のラジアル軸受内に取り付けられていること、
を特徴とする請求項2に記載のベルトリトラクタ。
【請求項4】
前記第1のトーションロッド(9)は、前記第1の端部(11)が、軸方向外側に向かって開口する前記ベルトリール(1)のレセプタクル(15)内にある状態で、回転的に固定する方式で保持されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のベルトリトラクタ。
【請求項5】
少なくとも1つの第2のトーションロッド(10)が、前記第1のトーションロッド(9)と前記プロファイルヘッド(7)との間に、前記ベルトリール(1)に対して同軸かつ直列に配置されていること、
を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のベルトリトラクタ。
【請求項6】
前記第2のトーションロッド(10)と前記第1のトーションロッド(9)とは、異なる塑性変形限界を有すること、
を特徴とする請求項5に記載のベルトリトラクタ。
【請求項7】
切り替え可能な第2のブロック装置(3)を介して、前記ベルトリール(1)に対して回転的に固定する方式で固定されたトルクチューブ(16)が設けられ、
前記トルクチューブ(16)は、前記第1のトーションロッド(9)と前記第2のトーションロッド(10)の互いに対向する2つの端部(12、13)を、回転的に固定する方式で互いに接続すること、
を特徴とする請求項5又は6のいずれか1項に記載のベルトリトラクタ。
【請求項8】
軸方向に突出する突出部(17)が前記ベルトリール(1)に設けられ、前記突出部(17)に対して、前記トルクチューブ(16)が前記切り替え可能な第2のブロック装置(3)を介して固定されていること、
を特徴とする請求項7に記載のベルトリトラクタ。
【請求項9】
前記軸方向の突出部(17)は環状であり、
前記トルクチューブ(16)は、環状突出部(21)内に半径方向内向きに突出する、又は前記環状突出部(21)の半径方向外側を取り囲むこと、
を特徴とする請求項8に記載のベルトリトラクタ。
【請求項10】
軸方向に突出する環状突出部(21)が前記プロファイルヘッド(7)に設けられ、
前記トルクチューブ(16)は、前記環状突出部(21)内に半径方向内向きに突出する、又は前記環状突出部(21)の半径方向外側を取り囲むこと、
を特徴とする請求項7~9のいずれか1項に記載のベルトリトラクタ。
【請求項11】
前記ベルトリール(1)は、中実シャフトとして設計されていること、
を特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のベルトリトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有するベルトリトラクタに関する。
【0002】
ベルトリトラクタは、基本的構成要素として、耐荷重フレームと、ベルトリールとを有し、ベルトリールは、フレーム内に回転可能に取り付けられており、安全ベルトがベルトリール上に巻き付けられ得る。フレームは、ベルトリールの装着のためだけに機能するのではなく、ベルトリトラクタを座席構造体又は車両構造体に締結するためにも機能し、このために、フレームは、U字形状フレームに曲げられた相応の厚さの鋼板から作製されている。
【0003】
さらに、現代のベルトリトラクタには、乗員の負荷を低減するための力制限装置が設けられており、この力制限装置は、例えば、事故の場合に乗員がエアバッグによって捕捉されるまで、力制限型ベルトストラップ引き出しを可能にする。この目的のために、塑性変形可能なトーションロッドが有効であることが証明されている。トーションロッドは、一つの端部がベルトリールに回転的に固定され、他の端部は、事故の場合に車両に対して固定されるように、第1のブロック装置を介してブロックされ得る部品(プロファイルヘッド)に固定されている。このようなトーションロッドにおいて、力制限型ベルトストラップ引き出しの力制限レベルは、その塑性変形限界によって予め決定される。
【0004】
独国特許出願公開第199 27 427 A1号は、異なる塑性変形限界を有する2つのトーション区間を備えた2段階のトーションロッドを有するベルトリトラクタを開示している。2段階のトーションロッドは、より高い力制限レベルを有するトーション部分の端部を形成する自由端部において、プロファイルヘッドに回転的に固定されている。他方の自由端は、ベルトリールに回転的に固定されている。さらに、切り替え可能な第2のブロック装置にはトルクチューブが設けられている。トルクチューブは、プロファイルされた中央部分においてトーションロッドのプロファイル部に接続され、トーションロッドのプロファイル部は2つのトーション部分を互いに隔てている。さらに、切り替え可能な第2のブロック装置は、ベルトリトラクタのフレームに対してトルクチューブをブロックする2つの解放可能なブロック爪を備えている。したがって、より低い塑性変形限界を有する、すなわち、力制限型ベルトストラップ引き出しの開始時により低い力制限レベルを有するトーション部分は架橋され、より高い塑性変形限界を有するトーション部分の塑性変形によって、より高い力制限レベルでの力制限型ベルトストラップ引き出しが可能になる。第2のブロック装置が切り替えられると、トルクチューブのロックが解除され、更なる力制限型ベルトストラップ引き出しが、より低い力制限レベルにおける、より低い塑性変形限界を有するトーション部分の塑性変形によって可能になる。2段階のトーションロッドは、トルクチューブと共にベルトリールのキャビティ内に配置される。これにより、相応に大きなキャビティ及び相応に大きな外径を有するベルトリールが提供されなければならない。
【0005】
さらに、シートベルト装置のうちの少なくともベルトリトラクタが車両シートの背もたれに締結された一体型安全ベルト装置を車両シートに設けることが知られている。この場合、耐荷重Bピラーの欠如に起因して、及び後座席へのアクセスに関する理由から、又は後部車両構造体からの距離に関する理由から、ベルトリトラクタが車両座席の背もたれ内に組み込まれているのが好ましく、したがって、これはまた、拘束の場合に作用する引張力を吸収するように設計されなければならない。ベルトリトラクタ自体は、標準的なベルトリトラクタの全ての基本的構成要素を有し、自己整合性慣性センサなどの、特に背もたれ内の設置のために設けられた様々な追加的サブアセンブリのみを装備する。背もたれへの設置は、利用可能な設置空間が非常に小さく、背もたれが設置のために所望通りに拡大されず、それらの基本構造において所望通りに変更され得ないという点で問題がある。この場合、背もたれの構造は、特に、可能な限り低い自重で可能な限り剛性である構造を形成するように意図されたブレースで作られた構造物を用いて、事故の場合に拘束力を吸収するように設計される。この要件から、可能な限り連続しており、背もたれの内部を複数の細長い自由空間に分割する、長い支柱を有する構造が必然であり、変更は限られた範囲に限られる。
【0006】
ベルトリトラクタの場合、特に、背もたれ内に設置するためにベルトリトラクタが提供される場合、ベルトリトラクタは可能な限りコンパクトに設計されなければならず、特に、非常に狭く細長い設置空間に設置するためにも設計されなければならないという問題が生じる。
【0007】
目的を達成するために、請求項1の特徴を有するベルトリトラクタが提案されている。更なる好ましい実施形態は、従属請求項、図、及び関連する説明において見出され得る。
【0008】
本発明の基本概念によれば、ベルトリール、第1のトーションロッド、及びプロファイルヘッドが、互いに同軸に、かつ互いに対して直列に配置されることが提案される。
【0009】
提案された解決策によってベルトリトラクタの細長く狭い基本構造を実現することができる。従来技術から知られている解決策と比較して、第1のトーションロッドが、ベルトリールから取り出されて、ベルトリールと同軸に配置されている。その結果、トーションロッドの配置のために従前ベルトリール内に必要とされた空洞が省略されるので、ベルトリールの外径をより小さく設計できる。さらに、車両に対して固定されるように第1のブロック装置を介してブロックすることができるプロファイルヘッドを、同様にベルトリールに対して同軸かつ直列に配置し、その結果、プロファイルヘッドは同様にベルトリールから解放される。したがって、この理由のためにプロファイルヘッドはベルトリールにもはや直接配置されないので、ベルトリールを小さく寸法決めすることもできる。さらに、3つの基本構成要素の同軸直列配置は、非常に狭く細長いベルトリトラクタの基本構造を可能にし、その結果、ベルトリトラクタは、背もたれ又は車両構造の既存の狭く細長い設置スペースにより容易に配置することができる。しかしながら、既存の設置スペースが十分でない場合には、それらをわずかに修正して適合させることもできる。
【0010】
第1のトーションロッドは、ベルトリールとプロファイルヘッドとの間に直列に配置されることが好ましい。第1のトーションロッドは、実質的に、プロファイルヘッドとベルトリールとの間の接続部を形成する。プロファイルヘッドがブロックされるとき、第1のトーションロッドの第2の端部がブロックされ、第1のトーションロッドの第1の端部は、第1のトーションロッドの第1の端部と第2の端部との間に配置された部分の塑性変形下で、ブロックされたプロファイルヘッドに対してベルトリールと共に回転することができる。これにより、可能な限り直線的な力の流れを有する単純かつ明確な基本構造が得られ、その結果、ベルトリトラクタを、拘束力を吸収するために非常にコンパクトに設計することができる。
【0011】
さらに、プロファイルヘッドとベルトリールとは、互いから軸方向の距離をあけて別個のラジアル軸受内に取り付けられる(mounted)ことが提案される。従前のベルトリール上のプロファイルヘッドの配置では、プロファイルヘッドは同時にベルトリールのラジアル軸受を形成し、トーションロッドとベルトリールのラジアル軸受とをプロファイルヘッド内に配置することにより、ベルトリールの比較的大きな外径がもたらされていた。提案された別個のラジアル軸受のおかげで、ベルトリールの取り付けを、より容易に、したがって設置空間に対して最適化された方法で実施することができる。さらに、設けられた2つの軸受及びラジアル軸受の軸方向間隔の結果として、取り付けをより安定させることができる。
【0012】
さらに、第1のトーションロッドは、第1の端部が、軸方向外側に向かって開口するベルトリールのレセプタクル内にある状態で、回転的に固定する方式で保持されることが提案される。これにより、第1のトーションロッドは、ベルトリールの外側の第1の端部に回転的に固定され、ベルトリールから外側へ軸方向に、レセプタクルから同軸に延びる。
【0013】
さらに、少なくとも1つの第2のトーションロッドが、第1のトーションロッドとプロファイルヘッドとの間に、ベルトリールに対して同軸かつ直列に配置されていることが提案される。第2のトーションロッドを設けることによって、作動のタイプに応じて、力制限型ベルトストラップ引き出しのより高い又はより低い力制限レベルを実現することができる。
【0014】
第2及び第1のトーションロッドは、好ましくは、異なる塑性変形限界を有することができ、その結果、2つのトーションロッドの逐次的な作動によって力制限特性の段階的な進行を実現することができる。
【0015】
ここでは、好ましくは、切り替え可能な第2のブロック装置を介して、ベルトリールに対して回転的に固定する方式で固定されたトルクチューブを設けることができ、トルクチューブは、第1のトーションロッドと第2のトーションロッドの互いに対向する2つの端部を回転的に固定する方式で互いに接続する。トルクチューブによって、第1のトーションロッドは、力制限の第1の段階において第2のトーションロッドを作動させるために意図的に架橋され得る。次いで、第1のトーションロッドが、第2のブロック装置の切り替えによって作動される。
【0016】
軸方向に突出する突出部がベルトリールに設けられ、突出部に対してトルクチューブが切り替え可能な第2のブロック装置を介して固定されることがさらに提案される。トルクチューブが支持される力伝達面は、軸方向に突出する突起によってベルトリール上に形成される。突出部の配置により、特にベルトリールの外径を増加させない力伝達面が形成され、ベルトリールに対するトーションロッドの同軸直列配置を特に簡単な方法で実現することができる。
【0017】
ここで、軸方向突出部は、好ましくは環状であり得、トルクチューブは、軸方向環状突出部内に半径方向内向きに突出し得る、又は軸方向環状突出部の半径方向外側を取り囲み得る。結果として、トルクチューブは、半径方向の支持を追加的に有し、特に、回転運動の実行中に、第2のブロック装置の切り替え及び解放の後、突出部上に半径方向にはめ込まれている。
【0018】
さらに、軸方向に突出する環状突出部がプロファイルヘッドに設けられ、トルクチューブは環状突出部内に半径方向内向きに突出する、又は環状突出部の半径方向外側を取り囲むことが提案される。提案された解決策は、トルクチューブがプロファイルヘッド上で環状突出部を介して支持を有し、関連する回転運動の実行中にプロファイルヘッドにはめ込まれているという点で有利である。これは、特に、本発明による解決策によって必要とされるベルトリトラクタの軸方向全長の増加に起因して、有利である。
【0019】
さらに、ベルトリールが中実シャフトとして設計されることが提案される。中実シャフトとしての形成の結果として、ベルトリールの非常に高い寸法安定性を同時に有する特にコンパクトな設計を実現することができる。例えば、ベルトストラップの結合に対応する確実なロック設計をベルトリールにおいて提供することができる。いずれの場合でも、トーションロッドを配置するために従来必要とされていたキャビティを省略することができる。さらに、ベルトリールを中実シャフトとして設計することによって、第1のトーションロッドの第1の端部を回転的に固定する方式で固定するための軸方向レセプタクルを特に容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明について、添付の図を参照して、好ましい実施形態を使用して以下で説明する。以下を図示する。
【
図1】種々の付加的なサブアセンブリを有するベルトリトラクタの断面図である。
【
図2】力制限装置を有するベルトリトラクタを示す。
【0021】
図1は、フレーム8に回転可能に取り付けられたベルトリール1を有するベルトリトラクタを示しており、このベルトリトラクタには、様々な追加のサブアセンブリが設けられている。したがって、力制限装置2、電気モータ5、トランスミッション4、及び不可逆火工式締付け装置19が設けられている。ベルトリトラクタは、フレーム8及びその中に取り付けられたベルトリール1を用いて、更なる追加サブアセンブリと共に上位のハウジング20内に取り付けられている。ハウジング20は、ベルトリトラクタを車両シートの背もたれ又は車両構造体の細長い設置スペース内に締結するのにも役立つ。電動モータ5は、可逆的なベルト締付け及び他の種々の快適機能のために、例えば巻取り補助手段として、ばね調節手段として、又はベルト操作手段として設けられている。電気モータ5の駆動回転運動は、トランスミッション4を介して変換され、伝達バー6を介して力制限装置2に伝達され、次に力制限装置2がベルトリール1を駆動する。
【0022】
図2では、ベルトリール1及び力制限装置2と共にベルトリトラクタを拡大図で認識することができる。フレーム8はハウジング20上に支持され、ハウジング20は、車両又は座席上に取り付けられた位置においてフレーム8のための車両固定当接部を形成する。力制限装置2は、ベルトリール1の回転軸と同軸の向きでベルトリール1の端面に配置され、ベルトリール1に接続されている。
【0023】
力制限装置2は、第1のトーションロッド9と、第2のトーションロッド10と、プロファイルヘッド7と、第2の切り替え可能なブロック装置3とを備える。プロファイルヘッド7は、第1のブロック装置を形成するブロック爪(図示せず)のキャリアであり、ベルトストラップ引き出し加速度を感知するセンサ装置及び/又はベルトリール1に巻き取られた安全ベルト(同じく図示せず)の引き出し方向の車両加速度を感知するセンサ装置の作動中にプロファイルヘッド7をブロックする。ベルトリール1はフレーム8に回転可能に取り付けられ、次にフレーム8はハウジング20内で回転的に固定する方式で固定されており、車両又は背もたれに締結されることができる。プロファイルヘッド7は、ハウジング20に固定されたウェブ22内に軸方向の間隔をあけて半径方向にはめ込まれている。したがって、これまで用いられてきた基本原理と一線を画して、ベルトリール1とプロファイルヘッド7とは、互いに独立して取り付けられ、互いに軸方向に離隔されている。したがって、フレーム8内のベルトリール1とウェブ22内のプロファイルヘッド7は、軸方向に離隔された別個のラジアル軸受を有する。その結果、ベルトリール1と力制限装置2とで構成されるサブアセンブリは、全体としてより安定した構成で取り付けることができ、これは特に力制限装置2の作動中に有利である。
【0024】
ベルトリール1は、外側に向かって軸方向に開口するプロファイルレセプタクル15を有する。第1のトーションロッド9は、その第1の端部11でレセプタクル15内に回転的に固定され、この目的のために、レセプタクル15のプロファイルに対応する外側プロファイルを有する。レセプタクル15は、ベルトリール1の端面から軸方向に離れて延びる環状突出部17によって囲まれている。さらに、突出部17に係合し、第1のトーションロッド9を取り囲むトルクチューブ16が設けられている。トルクチューブ16は、2つのブロック爪を介して切り替え可能な第2のブロック装置3を介して突出部17に回転的に固定され、ブロック爪は、第DE 199 27 427 A1号に記載されている切り替え原理に従って解放される。
【0025】
トルクチューブ16は、同時に、第1のトーションロッド9の第2のプロファイル端部12を第2のトーションロッド10の第1のプロファイル端部13に回転的に固定して接続する役割を果たす。この目的のために、トルクチューブ16は、半径方向内側に向けられた突起を有する中央部分を有し、第1のトーションロッド9の第2の端部12と第2のトーションロッド10の第1の端部13の外側プロファイルに係合し、それによって、両端部を互いに回転的に固定する。
【0026】
さらにプロファイルヘッド7は中心部のプロファイルレセプタクル18を有しており、このプロファイルレセプタクル18は軸方向に延びる環状の突出部21によって取り囲まれている。第2のトーションロッド10の第2の端部14は、レセプタクル18のプロファイルに対応する外側プロファイルを備えており、プロファイルヘッド7に対してレセプタクル18内に回転的に固定されている。さらに、トルクチューブ16は、環状突出部21の半径方向外側を取り囲み、プロファイルヘッド7上に支持されている。次に、プロファイルヘッド7は、ベルトリール1とは別個に取り付けられているので、トルクチューブ16のためのフレームに固定された当接部を形成する。
【0027】
所定のベルト引き出し加速度又は車両減速度が超過されるとき、力制限装置2を作動させるために、プロファイルヘッド7が第1のステップにおいて、第1のブロック装置を介して車両に対して固定されるようにブロックされる。ここで、所定の限界値の超過は上述のセンサ装置によって検出される。
【0028】
事故の際に慣性により乗員が前方に移動すると、安全ベルトが引き出され、したがって拘束力が安全ベルトの張力を増大させる。その結果、ベルトリール1は、回転運動がプロファイルヘッド7によるブロック更なるによってブロックされるまで、安全ベルトの引き出し方向に回転する。その後、更なるベルトストラップの引き出しは、そのようなベルトの引き出しが2つのトーションロッド9及び10の塑性変形によって可能になる場合にのみ可能である。
【0029】
第2のブロック装置3が切り替えられる前に、トルクチューブ16は、ベルトリール1、突出部17、第1のトーションロッド9の第2の端部12、及び第2のトーションロッド10の第1の端部13に回転的に固定されており、その結果、第1のトーションロッド9は力の流れから切り離されている。したがって、この段階において安全ベルトの引き出し力が第2のトーションロッド10の力制限レベルによって規定される引き出し力を超えると、第2のトーションロッド10はその長手方向軸線を中心に塑性変形する。第2のトーションロッド10は、第1のトーションロッド9よりも高い力制限レベルを有しており、その結果、力制限のこの段階においては高い力制限レベルが作用する。この場合、トルクチューブ16はブロックされたプロファイルヘッド7に対して回転し、プロファイルヘッド7の環状突出部21にはめ込まれている。
【0030】
第2のブロック装置3を切り替えることによって、トルクチューブ16の突起17への接続が解除される。したがって、第1のトーションロッド9が次に力の流れの中に配置される。第1のトーションロッド9は第2のトーションロッド10よりも低い力制限レベルを有するので、第2のトーションロッド10は固定軸受として作用し、第1のトーションロッド9の第2の端部12も第2のトーションロッド10の第1の端部13への接続により、トルクチューブ16によってブロックされる。その結果、第1のトーションロッド9の第1の端部11は、ブロックされた第2の端部12に対して回転し、第1のトーションロッド9は、その長手方向軸線を中心として塑性変形する。ここでは、より低い力制限レベルが作用している。この場合、トルクチューブ16は、第2のトーションロッド10の第1の端部13への確実なロック接続によってブロックされ、ベルトリール1はトルクチューブ16に対して回転し、ベルトリール1の突出部17は、トルクチューブ16のための軸受をさらに形成する。
【0031】
本発明が、段階的な力制限特性を可能にする2つのトーションロッド9及び10を有する力制限装置2に関して説明された。2つのトーションロッド9及び10は、互いに同軸にかつ互いに直列に配置されており、その結果、それらの配置によって外径が増大することはない。したがって、ベルトリトラクタがわずかに長いだけである。
【0032】
代替的な実施形態では、ベルトリトラクタは、第1のトーションロッド9のみを有する力制限装置2を備えることもできる。この場合、第1のトーションロッド9の第2の端部12は、プロファイルヘッド7のレセプタクル18内に回転的に固定されている。したがって、第2の切り替え可能なブロック装置3、トルクチューブ16、及び第2のトーションロッド10を省略することができる。この場合、第1のトーションロッド9が、第1のトーションロッド9の塑性変形限界に達するまで、ベルトリール1のプロファイルヘッド7への回転的に固定された接続を提供することになる。この例示的な実施形態においても、ベルトリトラクタは細長い基本構造を有することになり、ベルトリール1は、外側にシフトされた第1のトーションロッド9によって、その外径をかなり小さくすることができる。安全ベルトの端部のためのレセプタクルを別にして、ベルトリール1は中実シャフトとして設計することができ、したがって、可能な限り小さい外形寸法で、最大の剛性を有することができる。
【国際調査報告】