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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】印刷方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20230920BHJP
   B41F 13/02 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
B41F33/00 290
B41F13/02 263
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514055
(86)(22)【出願日】2021-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 EP2021073852
(87)【国際公開番号】W WO2022049021
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】20194441.0
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】オルソン、スヴェルケル
(72)【発明者】
【氏名】アレニウス、 ヨハネス
【テーマコード(参考)】
2C250
【Fターム(参考)】
2C250EA37
2C250EA42
2C250EB24
2C250EB26
(57)【要約】
包装材料製造システム(10)で使用する印刷ステーション(100)が提供される。印刷ステーション(100)は、包装材料(12)上の事前設定位置にプリント(40)を提供する印刷ユニット(110)と、印刷ユニット(110)の下流に配置され、基準位置と提供されたプリント(40)との間の実際の横方向距離(Xc)を決定する検出ユニット(130)と、プリント(40)と基準位置との間の所望の横方向距離を記憶し、所望の横方向距離と実際の横方向距離(Xc)との比較に基づいて、後続のプリント(40)の事前設定位置を調整する制御ユニット(150)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料製造システム(10)で使用する印刷ステーション(100)であって、
包装材料(12)上の事前設定位置にプリント(40)を提供する印刷ユニット(110)と、
前記印刷ユニット(110)の下流に配置され、基準位置と前記提供されたプリント(40)との間の実際の横方向距離(Xc)を決定する検出ユニット(130)と、
前記提供されたプリント(40)と前記基準位置との間の所望の横方向距離を記憶し、前記所望の横方向距離と前記実際の横方向距離(Xc)との比較に基づいて、後続のプリント(40)の事前設定位置を調整する制御ユニット(150)と
を備える、印刷ステーション(100)。
【請求項2】
前記基準位置が、前記包装材料(12)の基準特徴(60)の実際の位置である、請求項1に記載の印刷ステーション(100)。
【請求項3】
前記基準特徴(60)は、事前印刷されたオブジェクトである、請求項2に記載の印刷ステーション(100)。
【請求項4】
前記事前印刷されたオブジェクトは、折り目線印刷又はレジスタマークである、請求項3に記載の印刷ステーション(100)。
【請求項5】
前記プリント(40)は、二次元コードである、請求項1~4のいずれか一項に記載の印刷ステーション(100)。
【請求項6】
前記制御ユニット(150)は、前記印刷ユニット(110)の位置を移動させることによって、後続のプリント(40)の事前設定位置を調整する、請求項1~5のいずれか一項に記載の印刷ステーション(100)。
【請求項7】
前記印刷ユニット(110)は、複数の横方向に分散した印刷装置(114)を備え、各印刷装置(114)は、固有の事前設定された位置でプリント(40)を提供する、請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷ステーション(100)。
【請求項8】
前記検出ユニット(130)は、横方向に分散した複数の検出装置(132)を備え、各検出装置(132)は、固有の基準位置と提供されたプリント(40)との間の実際の横方向距離(Xc)を決定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の印刷ステーション(100)。
【請求項9】
装飾印刷システム(20)と、前記装飾印刷システム(20)の下流に配置された請求項1~8のいずれか一項に記載の印刷ステーション(100)とを備える、包装材料製造システム(10)。
【請求項10】
印刷ステーションによって包装材料にプリントを提供する方法であって、
印刷ユニットを起動し、前記包装材料上の事前設定位置にプリントを提供し、
前記包装材料上の基準位置と前記提供されたプリントとの間の実際の横方向距離を決定し、
前記基準位置と前記提供されたプリントとの間の所望の横方向距離と、実際の横方向距離との比較に基づいて、後続のプリントの事前設定位置を調整する
ことを含む、方法。
【請求項11】
前記印刷ステーションを通して前記包装材料のウェブを供給することをさらに含み、前記印刷ユニットの起動、前記実際の横方向距離の決定、及び前記事前設定位置の調整が繰り返し実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記包装材料が複数の連続した基準特徴を備え、各基準特徴は固有の基準位置を画定し、前記包装材料上の前記事前設定位置にプリントを提供するために前記印刷ユニットを起動することが、前記印刷ユニットを通過する前記各基準特徴に対して繰り返し実行される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記印刷ユニットを起動することは、複数の横方向に分散した印刷装置を起動することを含み、各印刷装置は、固有の事前設定された位置でプリントを提供する、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記実際の横方向距離を決定することは、横方向に分散した複数の検出装置を作動させることによって行われ、各検出装置は、固有の基準位置と提供されたプリントとの間の実際の横方向距離を決定する、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
装飾印刷システムを通して包装材料のウェブを送り、それによって、前記包装材料に装飾を提供し、その後、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法を実行することにより、前記包装材料にプリントを提供することを含む、包装材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法及びシステムに関する。特に、本発明は、包装材料の高速生産において印刷オブジェクトの位置を制御するための解決策に関する。
【背景技術】
【0002】
食品(例えば液体又は半液体)用の一回限りの使い捨てタイプの包装容器は、多くの場合、板紙又はカートンをベースとする包装材料から製造される。この公知の包装容器の包装材料は、典型的には、紙又は板紙のバルク層と熱可塑性樹脂の外側の液密層を含む積層体として製造される。
【0003】
積層体の内側、すなわち積層体から製造される包装容器に充填された食品内容物に面する側には、ヒートシール可能な熱可塑性ポリマーを含む1つ以上の内層が存在する。
【0004】
また、積層体には、包装容器内部への光やガスの透過を避けるためのバリア層、例えばアルミニウムのような金属層を有してもよい。
【0005】
上記の包装材料から製造された包装容器の外観は、包装容器の外側を形成する包装材料の外層に印刷された装飾に依存する。印刷された装飾は、従来、高速フレキソ印刷プロセスによって適用される。これらの印刷プロセスは、例えば包装材料製造工場において数メートルの幅広基材ウェブを高速で印刷するために設計されている。
【0006】
フレキソ印刷では、印刷する色ごとに印刷版が作成され、回転する印刷シリンダーの円周上に取り付けられる。包装材料の製造の場合、印刷版には印刷されるパターンの繰り返しが含まれる。印刷版が取り付けられたときの印刷シリンダーの円周に等しい繰り返し長さは、通常、3~6個の包装容器印刷に対応し、例えば450~800mmの間で変化する。
【0007】
印刷版の幅は、典型的には、装飾が複数のレーンに同時に印刷されるように選択され、各レーンは、最終的に分離されて包装容器製造機で使用される。したがって、フレキソ印刷プロセスに入る包装材料のウェブには、繰り返し印刷されたパターンが提供され、各印刷パターンは、製造される単一の包装容器用に設計されている。
【0008】
印刷速度を上げるために、印刷版の幅は12レーンに相当する場合がある。その結果、印刷版が1回転すると、包装材料には、最大12×6個の包装容器に対応する領域に印刷パターンが提供されることになる。
【0009】
印刷版の構成は静的であり、つまり、同じ印刷版を使用して製造されるすべての包装容器について、印刷パターンが同じであることを意味する。しかし、近年、製造された包装容器の消費者がアクセスすることができるダイナミックプリント(dynamic print)を包装材料に設けることも提案されている。一例として、ダイナミックプリントは、特定の情報を含む二次元コードである。
【0010】
このようなダイナミックプリントは、繰り返しの性格上、既存のフレキソ印刷プロセスを使って得ることができない。その代わりに、フレキソ印刷処理装置の下流に別個の印刷ステーションを設けることが提案されている。別個の印刷ステーションは、例えばインクジェット技術を実装することによって、インラインで固有の印刷を提供することができ、それによって、固有の二次元コード又は他のダイナミックオブジェクトを包装材料の領域に印刷することができ、最終的な各包装容器はダイナミックプリントを有する。
【0011】
ダイナミックプリント、すなわち別個の印刷ステーションによって印刷されるパターンの位置は、フレキソ印刷プロセスの印刷と位置合わせするように見当を合わせる必要がある。ダイナミックプリントの読み取りを可能にするために、フレキソ印刷のデザインには、ダイナミックプリントを収容するため、通常は非印刷又は特定の背景色で提供される特定の領域を含んでもよい。ダイナミックプリントの位置がずれると、ダイナミックプリントの正しい読み取りが不可能になるか、少なくともより困難になる大きなリスクがある。
【0012】
ダイナミックプリントの正しい位置決めは、いくつかのパラメータに影響される。重要な要因の1つは、包装材料が包装材料製造工場、特に別個の印刷ステーションを含む装飾印刷装置を通過する際に、包装材料の寸法が変化する可能性である。例えば、シワが存在する可能性があり、ダイナミックプリントの位置の調整を必要とする。包装材料のウェブの寸法に影響を与えるもう一つの問題は、包装材料の湿度及び含水率である。特に薄い包装材料は、フレキソ印刷プロセスの直後に適用される乾燥熱などにより、水分量が変化すると横方向に膨張・収縮する。また、ウェブ幅が最大12レーンと非常に大きいため、包装材料の幅にばらつきがあると、特に外側のレーンではダイナミックプリントの位置決めに不具合が生じる可能性がある。さらに考慮しなければならないのは、包装材料のウェブの横方向の動きである。このような動きは一般的にスネークと呼ばれ、包装材料のウェブ全体の横方向の位置が少しずれる原因となる。
【0013】
これら全ての要因が、包装材料の装飾に対する印刷の配置に影響を与える可能性がある。
【0014】
したがって、包装材料の寸法や位置が生産中に変化しても、包装材料状の既存の特徴に対して印刷パターンの正確な位置決めを保証する、印刷のための改良された方法及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上記で特定された制限の1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。特に、印刷されるオブジェクトの正しい位置を自動的に決定すること、及びオブジェクトが包装材料ウェブ上の所望の位置に印刷されるように専用の印刷ユニットを調整することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的を解決するために、印刷ステーションが提供される。印刷ステーションは、包装材料製造システムで使用されるように構成され、事前設定位置でプリントを提供するように構成される印刷ユニットを備える。印刷ステーションは、印刷ユニットの下流に配置され、基準位置と提供されたプリントとの間の実際の横方向距離を決定するように構成された検出ユニットをさらに備える。制御ユニットは、プリントと基準位置との間の所望の横方向距離を記憶し、所望の横方向距離と実際の横方向距離との比較に基づいて、後続のプリントの事前設定位置を調整するように構成される。
【0017】
印刷ユニットは複数あってもよく、互いに独立に制御されてもよい。
【0018】
印刷ステーションは、印刷の位置を包装材料上のすでに利用可能な基準特徴に基づいて決定することができ、印刷のずれを即座に検出して修正し、それによって包装材料の欠陥の量を効果的に減らすことができるという点で有利である。
【0019】
本発明の印刷ステーション及び印刷ステーションを使用する方法は、最終的に包装容器上で視認される二次元コードなどのダイナミックデザイン要素及び/又はマークを印刷するための横方向制御のためのインライン見当合わせシステムを提供する。本明細書で説明する印刷ステーションは、セットアップ時間及び廃棄物を大幅に削減することによって、コスト削減をサポートする。この印刷ステーションは、印刷ユニットの閉ループ横方向制御と、インラインの個別レーン収縮補正に使用される。印刷ステーションは、包装材料のウェブの個々のレーンに対するウェブの収縮の影響に関係なく、常に所望の位置にデザイン要素を印刷することが証明されている。
【0020】
一実施形態において、基準位置は、包装材料の基準特徴の実際の位置である。このような基準特徴は、例えば、折り目線プリント又はレジスタマークなどの予め印刷されたオブジェクトであってよい。好ましくは、基準位置は、基準特徴のエッジ、又はコーナーに対応する横方向位置として決定されてもよい。オプションとして、基準位置は、基準特徴の中心位置として決定されてもよい。
【0021】
プリントは、ダイナミックプリントであってもよく、すなわち、プリントのデザインは、プリント動作中に変化するような非静的なものであってもよい。例えば、2つの連続するプリントは、同一ではなく、ある程度変化する。ダイナミックプリントを可能にすることによって、消費者に情報を提供するようにプリントを設計してもよい。情報は平文でも数字でもよいが、QRコード(登録商標)のような二次元コードとして提供することが好ましい。
【0022】
一実施形態では、制御ユニットは、印刷ユニットの位置をシフトすることによって、後続のプリントの事前設定位置を調整するように構成される。印刷ユニットの直線運動を極めて高い精度で制御できるため、非常に堅牢であることが証明されている。
【0023】
印刷ユニットは、横方向に分散した複数の印刷装置を備えてもよく、各印刷装置は、固有の事前設定位置にプリントを提供するように構成される。これは、複数の隣接するレーンとして製造される包装材料の幅広ウェブに、印刷ユニットを使用できる点で有利である。これにより、横方向に分散されたダイナミックプリントを可能にし、横方向に隣接する2つのプリントを異なる印刷装置によって同時に印刷することができ、プリントデザインが異なってもよい。
【0024】
検出ユニットは、横方向に分散した複数の検出装置を備えてもよく、各検出装置は、固有の基準位置と提供されたプリントとの間の実際の横方向距離を決定するように構成される。包装材料の幅広ウェブの場合、これは特に有利であることが証明されている。特に、包装材料のウェブの横幅が、例えば、包装材料の含水率の変化による影響として変化する場合、事前設定位置の調整は、包装材料の幅全体において、すなわち、異なるレーンに対して、必ずしも一定であるとは限らない。したがって、事前設定位置のそれぞれを個別に制御することが好ましく、複数の独立した検出装置を設けることによって利用可能となる。
【0025】
第2の態様によれば、包装材料製造システムが提供される。包装材料製造システムは、装飾印刷システムと、第1の態様による印刷ステーションとを備える。印刷ステーションは、装飾印刷システムの下流に配置される。
【0026】
第3の態様によれば、印刷ステーションによって包装材料にプリントを提供する方法が提供される。この方法は、包装材料上の事前設定位置にプリントを提供するために印刷ユニットを起動すること、包装材料上の基準位置と提供されたプリントとの間の実際の横方向距離を決定すること、基準位置と提供されたプリントとの間の所望の横方向距離と、実際の横方向距離との比較に基づいて、後続のプリントの事前設定位置を調節すること、を含む。
【0027】
本方法は、包装材料の連続ウェブを印刷ステーションに供給することをさらに含み、印刷ユニットを起動し、実際の横方向距離を決定し、事前設定位置の調整を繰り返し実行する。したがって、印刷ステーションは、インライン生産で使用することができ、それによって、高速印刷が可能になる。
【0028】
包装材料は、複数の連続した基準特徴を備えてもよく、各基準特徴は、固有の基準位置を画定する。印刷ユニットを起動させて包装材料上の事前設定位置にプリントを提供することは、印刷ユニットを通過する各基準特徴について繰り返し実行される。
【0029】
印刷ユニットを起動することは、横方向に分散した複数の印刷装置を起動することを含んでもよく、各印刷装置は、固有の事前設定位置でプリントを提供するように構成されてもよい。
【0030】
実際の横方向距離の決定は、横方向に分散した複数の検出装置を動作させることによって実行されてもよく、各検出装置は、固有の基準位置と提供されたプリントとの間の実際の横方向距離を決定するように構成されてもよい。
【0031】
第4の態様によれば、包装材料を製造するための方法が提供される。この方法は、装飾印刷システムを通して包装材料のウェブを供給し、それによって包装材料に装飾を提供し、その後、第3の態様による方法を実行することによって包装材料にプリントを提供することを含む。
【0032】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになる。
【0033】
以下、本発明の実施形態について、添付の概略図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態に係る包装材料製造システムの概略構成図である。
図2】包装材料製造システムの一部を構成する、一実施形態による印刷ステーションの概略側面図である。
図3】装飾とダイナミックプリントを施した包装材料の写真である。
図4】一実施形態による包装材料の製造方法を示す模式図である。
図5】一実施形態によるダイナミックプリントを提供するための方法を示す概略図である。
図6】一実施形態に係る印刷ステーションの上面図である。
図7】第1の実施形態の印刷ステーションによって処理される包装材料の概略図である。
図8】第2実施形態の印刷ステーションによって処理される包装材料の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照すると、包装材料製造システム10が示されている。包装材料製造システム10は、装飾印刷システム20と、装飾印刷システム20の下流に配置された印刷ステーション100とを備える。
【0036】
包装材料12のウェブは、ロール14に巻かれ、ブロック矢印の方向に包装材料製造システム10を通して連続的に供給される。包装材料12のウェブは、好ましくは、紙又は板紙のバルク層と熱可塑性プラスチックの外側の液密層、さらにヒートシール可能な熱可塑性ポリマーからなる1つ又は複数の内側層、及びバリア層を含むラミネートとして予め製造される。
【0037】
装飾印刷システム20は、好ましくは、一連のフレキソ印刷ユニット22a~dからなるフレキソ印刷システムである。各フレキソ印刷ユニット22a~dは、プレートシリンダ24a~dとインプレッションシリンダ26a~dを備える。プレートシリンダ24a~dと関連するインプレッションシリンダ26a~dは、包装材料12のウェブが通過するニップを形成し、それによってプレートシリンダ24a~dから包装材料12のウェブにインクが転写される。図示の例では、4つのフレキソ印刷ユニット22a~dが示されている。各フレキソ印刷ユニット22a~dは特定の色を担当し、一例では、フレキソ印刷ユニット22a~dはCMYK配色のそれぞれ1つを提供する。各フレキソ印刷ユニット22a~dは、当技術分野で周知のように、アニロックスローラー(anilox rollers)やファウンテンローラー(fountain rollers)などの追加の構成要素を備えてもよい。
【0038】
装飾印刷システム20は、オプションとして、乾燥ユニット28を備える。乾燥ユニット28は、フレキソ印刷ユニット22a~dの下流に配置される。乾燥ユニット28は、包装材料12のウェブにIR放射又は熱風を供給することによって動作し、包装材料12のウェブ上のインクを乾燥させてもよい。
【0039】
装飾印刷システム20は、フレキソ印刷システムに限定されず、包装材料12のウェブに装飾を提供するために他の周知の技術も使用できる。
【0040】
包装材料12のウェブに装飾が施されると、印刷ステーション100を通過する。印刷ステーション100は、印刷ユニット110と、印刷ユニット110の下流に配置された検出ユニット130と、制御ユニット150を備える。制御ユニット150は、図1に矢印で示すように、印刷ユニット110と検出ユニット130とに接続されている。オプションとして、印刷ステーション100は、検出ユニット130の下流に配置された乾燥ユニット170をさらに備えてもよい。乾燥ユニット170は、好ましくは熱風供給装置であり、加熱された空気流を包装材料12のウェブに向ける。
【0041】
動作中、及び以下でさらに詳細に説明されるように、印刷ステーション100は、包装材料12のウェブにプリントを繰り返し提供するとともに、先行技術では不可能であったレベルの精度でプリントが装飾と整列されることを保証するように構成される。有利なことに、印刷ステーション100は、上流の装飾印刷システム20に沿って配置される。
【0042】
以下において説明するように、印刷ステーション100は、印刷ユニットの閉ループ横方向制御を可能にする。検出ユニット130は、例えば1つ以上のラインスキャナ又はカメラのいずれかとして提供され、装飾デザイン内の固定点とプリントの中心との間の距離を測定するように構成される。可能なエラー修正は、位置コントローラ、すなわち制御ユニット150にループバックされ、すべてのレーンは、好ましくは同時に検査される。
【0043】
図2には、印刷ステーション100のより詳細な例が示されている。包装材料12のウェブは、印刷ユニット110を通過する前に、様々なローラーを横切って搬送される。印刷ステーションに入ってすぐに印刷ユニット110を通過させない理由は、包装材料12のウェブの張力を正確に制御するためだけでなく、包装材料製造工程の初期に適用された装飾を十分に乾燥させるため、また、スプライシング、洗浄及びほこり除去などの追加の包装材料処理を印刷ステーション100内で行うためである。
【0044】
印刷ユニット110は、包装材料のウェブの走行方向に間隔をあけて配置された1つ以上の印刷ヘッド112a~cを備える。検出ユニット130は、印刷ユニット110のすぐ下流、及び一連の熱風乾燥機170の上流に配置される。印刷ステーション100を出た後、包装材料のウェブ12は、切断、巻取りなどのさらなる取り扱いのために準備される。
【0045】
印刷ステーション100は、特に装飾のデザインに関連したダイナミックプリントの正確な位置決めに関して、静的な装飾印刷と包装材料12のウェブへのダイナミックコンテンツの印刷の新規かつ著しく改善された組み合わせを可能にする。
【0046】
図3は、包装材料の一部を示している。写真は、消費者への情報提供や訴求力のあるデザインを実現するために、包装材料の外面側に装飾を施したものである。図3に示すように、包装材料は、アーモンドミルクを収納する包装容器を形成するために製造される。
【0047】
装飾デザインは、包装材料全体を覆っており、領域30を含む。この領域30内には、二次元コード40が印刷されている。図示の例では、領域30は明るい色を有し、二次元コードプリント40は暗い色を有している。装飾のデザイン上、印刷されたコード40の視認性及び可読性を確保するために、印刷されたコード40の正しい位置決めが重要である。装飾は装飾印刷システム20を用いて印刷されるが、二次元コード40は印刷ステーション100を用いて印刷される。
【0048】
次に、図4を参照し、包装材料を製造するための一般的な方法200を簡単に説明する。この方法200は、好ましくは、上述したような包装材料製造システム10を動作させることによって実行される。方法200は、包装材料を提供する第1のステップ202を含む。包装材料は、好ましくは、後に個々の液体食品包装容器となるように形成、充填及び密封されることを意図しており、典型的には、紙又は板紙のバルク層と、熱可塑性プラスチックの外側の液密層と、ヒートシール可能な熱可塑性ポリマーを含む1つ又は複数の内側層を備える。次のステップ204では、包装材料の外面側に装飾を印刷する。装飾は、好ましくは、後続のステップ300で提供されるプリントを収容するための少なくとも1つの領域を有する。
【0049】
プリントを提供するこの後続のステップ300は、図5を参照してさらに説明され、装飾がプリントされた後に、ダイナミックコードのようなプリントを包装材料に提供するための方法の概略図が示される。方法300は、方法200の一部を形成してもよい。
【0050】
基本原理として、方法300は、好ましくは、ダイナミックプリントのための基準として装飾デザインの特徴を使用し、装飾基準に対するダイナミックプリントの実際の位置のインライン検出(in-line detection)によって動作する。ダイナミックプリントの位置ずれを検出する場合、後続のダイナミックプリントの位置が調整される。方法300は、ダイナミックプリントの位置の閉ループ制御を適用する。
【0051】
ステップ302から開始して、プリントの所望の位置が決定される。所望の位置は、事前設定位置として記憶され、好ましくは、2D座標系に相対して決定される。この座標系では、基準特徴の位置がよく知られており、プリントの所望の位置が基準特徴との関係で設定される。以下に説明するように、基準特徴は、好ましくは、包装材料の装飾的特徴である。
【0052】
ステップ304において、事前設定位置と基準特徴との間の横方向の距離が、所望の横方向距離として決定される。基準特徴の位置は、装飾デザインファイルから得ることができるため、包装材料の目視検査なしに自動的に行われる。
【0053】
包装材料のウェブが印刷ステーション100を通って搬送されると、ステップ306において、印刷ステーションの印刷ユニット110を作動させることにより、所望の事前設定位置にプリントが提供される。
【0054】
ステップ306でプリントが提供されると、ステップ308で、プリントと基準特徴の両方を含む画像データがキャプチャされる。
【0055】
この画像データから、ステップ310において、プリントと基準特徴との間の実際の横方向距離が決定される。実際の横方向距離は、ステップ312で所望の横方向距離と比較され、ステップ314で事前設定位置の調整が計算される。この新たに計算された事前設定位置は、方法300の初期ステップにフィードバックされ、印刷ステーション100の動作が実行される間に連続的に繰り返される。したがって、プリントの位置ずれは直ちに検出され、方法300の閉ループ制御特性によって補正が実行される。
【0056】
印刷ステーション100の機能性をさらに理解するために、図6を参照する。ここでは、包装材料12のウェブを上方から見た概略図が示されている。
【0057】
包装材料12は、装飾が施され、印刷ステーション100を介してブロック矢印の方向に供給されるものとする。先に説明したように、印刷ステーション100は、印刷ユニット110と、検出ユニット130と、制御ユニット150と、オプションとして乾燥ユニット170を備える。
【0058】
包装材料12の幅は、包装材料12が複数のレーン50に分割されるように選択される。レーン50は、最終的に包装容器製造機で個別に使用されるように分離され、各レーン50は、個別の包装容器を形成するために必要な包装材料のウェブ12の全幅に対応する幅を有する。図示の例では、包装材料のウェブは、12個のレーン50を有する。各レーン50の装飾は、長手方向に繰り返し52に分割されている。1つの単一の繰り返し52によって覆われている包装材料12のウェブは、最終的に1つの包装容器を形成することになる。
【0059】
図6に示されているとおり、各レーン50の各繰り返し52の装飾は、基準特徴60を備える。この基準特徴60は、図7及び図8を参照してさらに説明するように、様々なタイプのものとすることができるが、検出ユニット130によって検出可能であるとともに、包装材料12のウェブ上に十分に規定された位置を有することが好ましい。
【0060】
印刷ユニット110は、ここでは、包装材料12のウェブの幅を横切って、すなわち全てのレーン50を横切って延在する1つの印刷ヘッド112として示されている。しかしながら、図2に示されるように、印刷ユニット110は、いくつかの長手方向に間隔を空けて配置された印刷ヘッド112によって形成されてもよい。
【0061】
印刷ユニット110は、横方向に、すなわち包装材料12のウェブの幅に沿って間隔を空けて配置された複数の印刷装置114を備える。各印刷装置114は、包装材料12のウェブにプリント40を提供するように構成され、例えばインクジェット印刷装置の形態であってよい。
【0062】
制御ユニット150は、印刷装置114の動作を制御するように構成される。印刷装置114の動作は、プリント40のデザイン及びプリント40の位置を決定することによって行われる。インクジェット技術の本質的な特性により、印刷装置114は、繰り返し52にダイナミックプリントが提供されるように、印刷ステーション100の動作中にプリントのデザインを変化させることが可能である。
【0063】
各プリント40の位置は、事前設定位置を定義することによって決定される。事前設定位置は、典型的にはプリント40を担持することを意図した領域30(図3参照)を備えることができる装飾デザインによって最初に定義される。包装材料12のウェブの平面における座標系を定義し、包装材料12のウェブの想定位置と、領域30の想定位置を決定することによって、プリント40の横方向の事前設定位置が決定される。本明細書ではさらに詳細には説明しないが、包装材料12のウェブの速度を決定し、印刷装置112の起動のタイミングを設定し、プリント40が縦方向に正しく配置されるようにタイミングを調整することによって、プリント40の縦方向の事前設定位置が決定される。
【0064】
検出ユニット130は、印刷ユニット110の下流に配置され、複数の検出デバイス132を備える。各検出装置132は、好ましくは、包装材料12のウェブが検出装置132の下を通過する際に画像をキャプチャするように構成されたカメラである。しかしながら、検出ユニット130は、包装材料12のウェブの全幅、すなわち全てのレーン50をカバーする単一のカメラのみを備えてもよい。
【0065】
キャプチャされた画像から、各繰り替えし52について、プリント40と基準特徴60との間の実際の横方向距離が計算される。制御ユニット150はさらに、実際の横方向距離と、プリント40と基準特徴60との間の所望の横方向距離とを比較するように構成され、この所望の横方向距離は、好ましくは、装飾設計データから決定される。実際の横方向距離と所望の横方向距離との間に何らかの偏差がある場合、制御ユニット150は、後続のプリント40の事前設定位置を調整して、これらがリピート52上に正しく位置決めされるように構成される。
【0066】
プリント40の事前設定位置の調整は、好ましくは、プリント40の装飾に対する、特に基準特徴60に対する位置ずれを補正するために、印刷ユニット110を横方向に移動させることによって実行される。複数の印刷装置114を用いる実施形態の場合、各印刷装置114は、印刷装置114の位置の別個の制御が可能であるように、個別に及び/又は独立して移動可能である。このために、各印刷装置114は、関連する印刷装置114の位置を横方向に移動させることができる駆動ユニット(図示せず)を備えてもよい。好ましくは、駆動ユニットは、サブmmレベルで横方向の位置を調整することが可能である。
【0067】
繰り返し52の例は、図7及び図8に示されている。これらの図面は、印刷された装飾とダイナミックプリント40を有する包装材料12のウェブの一部を示している。
【0068】
図7を参照すると、原線(origo)は、包装材料12のウェブの横方向端部に設定されている。基準特徴60は、印刷されたKマーク、すなわち、包装材料に形成された折り目線の整列を識別するために使用される特定のマークである。包装材料に折り目が付けられると、特定のKマーク折り目線は、装飾印刷工程中に同じKマークデザインを折り目線に印刷することによって、視覚的に強調される。原線とKマークの中心との間の横方向距離Xは、装飾デザインデータから決定され、その結果、プリント40と基準特徴60との間の所望の横方向距離も決定される。実際の横方向距離Xcは印刷ステーション100を使用して測定され、測定された横方向距離Xcは印刷ステーション100の制御ループに使用される。
【0069】
図8では、原線は、包装材料12のウェブの横方向端部にも設定されている。基準特徴60は、包装材料上のレジスタマークであり、好ましくは、装飾印刷工程で印刷される。原線とレジスタマーク60の横方向端部との間の横方向距離Xは、装飾デザインデータから決定され、その結果、この所望の横方向距離も装飾デザインデータによって決定されるので、プリント40と基準特徴60との間の所望の横方向距離もまた決定される。実際の横方向距離Xcは、印刷ステーション100を使用して測定され、測定された横方向距離Xcは、印刷ステーション100の制御ループに使用される。
【0070】
上述したように、制御パラメータXcは、プリント40と基準特徴60との間の横方向距離として測定される。一実施形態では、制御パラメータXcは、基準特徴部60の横方向端部からプリント40の中心まで測定される。別の実施形態では、制御パラメータXcは、基準特徴60の中心からプリント40の中心まで測定される。さらに別の実施形態では、制御パラメータXcは、基準特徴60の横方向端部からプリント40の横方向端部まで測定されるか、又はXcは、基準特徴60の中心からプリント40の横方向端部まで測定される。
【0071】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し、示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の請求項に定義された主題の範囲内で他の方法で具体化することも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】