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特表2023-540940不織布を製造するための方法、および不織布
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-27
(54)【発明の名称】不織布を製造するための方法、および不織布
(51)【国際特許分類】
   D21H 27/00 20060101AFI20230920BHJP
   D04H 1/4266 20120101ALI20230920BHJP
   D04H 1/72 20120101ALI20230920BHJP
   D21H 19/82 20060101ALI20230920BHJP
   D21H 23/50 20060101ALI20230920BHJP
   D21H 19/34 20060101ALI20230920BHJP
   D21H 11/20 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
D21H27/00 E
D04H1/4266
D04H1/72
D21H19/82
D21H23/50
D21H19/34
D21H11/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023514056
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 NL2021050524
(87)【国際公開番号】W WO2022045889
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】2026370
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523069371
【氏名又は名称】ネッファ ホールディング ビーヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ホイティンク,アニエラ マリア
【テーマコード(参考)】
4L047
4L055
【Fターム(参考)】
4L047AA28
4L047AA29
4L047AB02
4L047AB07
4L047BA22
4L047CA02
4L047CA05
4L055AF08
4L055AF09
4L055AF13
4L055AF46
4L055AG34
4L055AG44
4L055BE08
4L055EA03
4L055EA16
4L055EA24
4L055EA32
4L055EA40
4L055FA22
4L055FA30
4L055GA01
4L055GA39
4L055GA50
(57)【要約】
本発明は、不織布を製造するための方法を提供し、方法は、i)分散媒およびバイオベースの第1の繊維(110)を含む分散液の層を支持体上に塗布することであって、バイオベースの第1の繊維(110)が、液体培地中で培養された微生物に由来する繊維であり、前記塗布の前に、可塑剤が分散液に添加されている、塗布することと、ii)分散液の層上に強化用の第2の繊維(120)を堆積させることであって、強化用の第2の繊維(120)が生地の一部ではない別の繊維であり、第2の繊維が第1の繊維の平均長さの少なくとも10倍である平均長さを有する、堆積させることと、iii)分散媒を除去して、バイオベースの第1の繊維(110)のウェブを含む不織布(100)を形成することとを含む。不織布、およびそのような不織布を含むシームレス製品も提供される。
【選択図】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布(100)を製造するための方法であって、
i)分散媒およびバイオベースの第1の繊維(110)を含む分散液の層を支持体上に塗布するステップであって、前記バイオベースの第1の繊維(110)が、液体培地中で培養された微生物に由来する繊維であり、前記塗布の前に、可塑剤が前記分散液に添加されている、塗布するステップと、
ii)前記分散液の前記層上に強化用の第2の繊維(120)を堆積させるステップであって、前記強化用の第2の繊維(120)が生地の一部ではない別の繊維であり、前記第2の繊維が前記第1の繊維の平均長さの少なくとも10倍である平均長さを有する、堆積させるステップと、
iii)前記分散媒を除去して、バイオベースの第1の繊維(110)のウェブを含む前記不織布(100)を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップi)における前記分散液の前記層が、噴霧によって塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不織布を前記支持体から取り除くことをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記可塑剤が、糖アルコール、ポリオール、ポリオールエステル、および/またはαヒドロキシ酸、またはそれらの組合せである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記可塑剤が、ソルビトールとクエン酸との組合せを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記可塑剤が、グリコール類、グリセリルトリアセテート、高分子ポリオール、キラヤ、蜂蜜、糖蜜、アロエベラ、ヒマシ油、グリセリド、トリグリセリド、および他の鉱油または有機油のうちの1つ以上を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップi)が、
-バイオベースの第1の繊維(110)の分散液を供給することであって、前記第1の繊維(110)が分散媒に分散される、供給することと、
-前記支持体上にウェブを形成するために、前記分散媒の少なくとも一部を除去することとを含むステップに先立って行われ、このステップが少なくとも1回実行され、ステップi)が、分散液の前記層を前記ウェブに塗布することを含む、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、ステップii)とステップiii)との間に、前記分散液の前記層の上にさらなる分散液のさらなる層を塗布するステップをさらに含み、前記さらなる分散液が、さらなる分散媒およびバイオベースの第3の繊維を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記バイオベースの第1の繊維(110)が、真菌の菌糸体、酵母、藻類、細菌、培養動物または植物細胞、液体培地中で培養された動物および/または植物細胞に由来する繊維から選択される生物学的材料の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記バイオベースの第1の繊維(110)は化学的処理されない、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の繊維(120)が、天然繊維、再生繊維、再生繊維、合成繊維、機能繊維、またはそれらの任意の組合せから選択され、好ましくは、前記第2の繊維(120)は親水性である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記分散液中の第1の繊維の濃度が、少なくとも0.1%w/v、好ましくは少なくとも5%w/v、より好ましくは少なくとも10%w/v、最も好ましくは少なくとも15%w/vである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の繊維が、直径が50マイクロメートル未満、より好ましくは25マイクロメートル未満、さらにより好ましくは15マイクロメートル未満、最も好ましくは8マイクロメートル未満である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の繊維(120)が、互いに対して等方的に添加される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の繊維(120)が、互いに対して異方的に添加される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
すべての他のステップの後に、コーティングを塗布するステップが、前記不織布(100)の少なくとも1つの露出表面、好ましくはすべての露出表面に対して行われる、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記分散液が、油滴をさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、少なくとも1つの構成要素を前記ウェブに塗布し、接着するステップを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの構成要素が、LED照明、センサ、RFIDタグもしくはNFCチップ、または装飾品、例えば、シークイン、ビーズ、コード、アップリケ、およびレースの群から選択され、
前記少なくとも1つの構成要素が、前記構成要素を前記不織布に接着または縫製することなく、前記不織布に埋め込まれる、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、染色ステップをさらに含み、好ましくは、染料または顔料が、前記第1および第2の繊維から選択される少なくとも1つと共塗布され、より好ましくは、前記分散液以外の液体は、前記染料および/または顔料を塗布するために使用されない、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ステップiii)において、前記分散媒は水性である、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の繊維の周面が、ミクロフィブリル化されている、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の繊維が、円筒形の断面を有し、直径が100マイクロメートル未満であり、より好ましくは15~50マイクロメートルの範囲である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の繊維が、少なくとも0.3ミリメートル、好ましくは少なくとも2ミリメートル、より好ましくは少なくとも5ミリメートル、より好ましくは少なくとも10ミリメートルの長さである、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記支持体が、3次元の非平坦な平面を有する、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ウェブの面に平行に投影された平面において、前記第2の繊維が、前記平面にある前記第1の繊維の全表面の10%~75%を覆う、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記分散媒がアルコール系であり、および/または他の有機揮発性流体に基づく、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ステップii)が実行され、ステップi)の開始から2時間以内に、好ましくは0.5時間以内に完了する、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ステップiii)が実施され、ステップii)の開始から72時間以内に、好ましくは5時間以内に完了する、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
不織布(100)であって、前記不織布(100)が、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法によって取得される、不織布(100)。
【請求項31】
バイオベースの第1の繊維および強化用の第2の繊維を含み、前記第1および第2の繊維が可塑剤を含む非晶質マトリックス中に不可逆的に埋め込まれており、
前記バイオベースの第1の繊維(110)が、液体培地中で培養された微生物に由来する繊維であり、
前記第2の繊維が、前記第1の繊維の平均長さの少なくとも10倍である平均長さを有する、
好ましくは請求項30に記載の不織布。
【請求項32】
前記可塑剤が、ヒドロキシ酸およびポリオールから形成される、請求項30または31に記載の不織布。
【請求項33】
前記第1の繊維が、前記不織布の20~80重量%を含み、
前記第2の繊維が、前記不織布の1~40重量%を含み、
前記可塑剤が、前記不織布の5~50重量%を含み、
前記第1の繊維、前記第2の繊維、および前記可塑剤の合計重量%が、前記不織布の重量の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%であり、
前記第2の繊維の前記重量%が、前記第1の繊維の前記重量%未満である、
請求項30、31、または32に記載の不織布。
【請求項34】
油滴および/または脂肪滴が前記マトリックスに埋め込まれ、前記液滴が1μm~20μmの範囲の最大直径を有する、請求項30~33のいずれか一項に記載の不織布。
【請求項35】
請求項30~34のいずれか一項に記載の前記不織布を含む、着用される形状シームレス衣服、アクセサリもしくは履物、または任意の他の3次元シームレス不織布製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布はよく知られており、使い捨ておむつおよび手術用ガウンから、ウィンドストッパーおよびレインコート用の耐久性材料まで広く使用されている。
【0003】
不織布は、ウェットレイド法など様々な方法によって製造することができる。ウェットレイド法では、分散媒中の繊維の分散液が支持体の表面に塗布され、その後、分散媒が除去され、繊維がウェブを形成する。このウェブは、支持体の形状に適合し、したがって、所望の形状の3次元支持体の場合、不織布は、切断および縫製することなく、前記所望の形状を有する。不織布はまた、例えばエンボス加工された支持体が使用される場合、表面構造を有してもよい。
【0004】
不織布は、ポリエチレンを含む合成繊維などの様々な材料から作製することができるが、手触り(肌触り)の特徴を含む天然材料に基づく布地が望ましい。
【0005】
生物(すなわち、天然)由来の繊維であるバイオベース繊維から不織布を作製することは、当該技術分野において知られているが、それらは、所望の強度および/または耐久性を欠く場合がある。例えば、WO2020/006133A1では、織布層の形態の第2の材料がバイオベース繊維のマトリックス中に埋め込まれ、バイオベース繊維に強度を提供する。しかしながら、WO2020/006133A1によれば、真菌マトリックスの形態のバイオベース繊維を織布層に成長させ、これは時間のかかるプロセスであり、制御が困難であり、不織布の製造中にバイオベース繊維が生きていることが必要である。
【0006】
CA2,718,435A1は、繊維が製品材料に対して横方向に配向される等方性配向で繊維を塗布することを教示している。これらの横方向に配向された繊維は、特定の感触を提供することが意図されるが、製品材料の強度に実質的に寄与せず、特にこれらの繊維はウェブを形成しない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、肌触りを損なうことなく、簡単な方法で強化された強度および/または耐久性を有するバイオファイバベースの不織布を提供することである。
【0008】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は、方法を提供し、方法は、
i)分散媒およびバイオベースの第1の繊維を含む分散液の層を支持体上に塗布するステップと、
ii)分散液の層上に強化用の第2の繊維を堆積させるステップであって、強化用の第2の繊維が別の繊維である、堆積させるステップと、
iii)分散媒を除去して、バイオベースの第1の繊維のウェブを含む不織布を形成するステップとを含む。
【0009】
このようにして、強化された強度が、バイオベースの第1の繊維に基づく不織布に提供される一方で、
-方法の簡便性を実質的に維持し、
-支持体に面する不織布の側面における肌触りを実質的に持続する。
【0010】
第2の繊維は、典型的には、例えば、懸濁液として、ブラシを用いて、または噴霧によって、まとめて塗布される。本出願において、別の繊維とは、それらが個々の繊維であることを意味する。したがって、それらは、繊維が接着剤もしくは熱(繊維の溶融)によって、または接着剤もしくは架橋剤の添加によって相互接続されている、織布、不織布、または生地の一部ではない。
【0011】
最大でも、第2の繊維を第1の繊維の湿ったマトリックス中に埋め込むことができるようにするために、第2の繊維が塗布される前に、分散媒の一部が除去され得る。除去は、典型的には、例えば、乾燥空気を、吹き飛ばさないように注意しながら、分散液の層の表面にわたって通過させることによる乾燥を伴う。空気は、加熱された空気であってもよい。このようにして、重力下でステップi)で塗布される分散液の再分配または滴下が低減される。したがって、例えば分散液の滴下によって形成される不規則性を低減することができ、非水平面での不織布の製造が容易になり得る。
【0012】
バイオベース繊維または不織布の化学処理または化学修飾によって、強度が向上した不織布を作製することは、当技術分野で知られている。そのような処理は、肌触りに関して不織布の所望の特性を取り除く可能性がある。化学処理または修飾が化学物質の望ましくない使用を必要とする場合、本発明は、これらを回避することを可能にする。化学物質の使用の低減あるいは排除によって、この方法がより持続可能になる。
【0013】
不織布は、ウェブの形成後に第1の繊維を相互接続するステップiii)の後に、追加のステップなしで製造され得る。これによって、第1の繊維を互いに連結するために必要とされる化学的結合、熱的結合、機械的結合、または任意の他のステップの別のステップを回避することによって、不織布を製造するための作業が低減する。
【0014】
本出願において、バイオベースの第1の繊維という用語は、例えば、菌糸体、セルロースなど、精製されたバイオベースの第1の繊維だけでなく、例えば、ビスコースまたはリヨセルなど、化学的に製造または加工されたバイオベースの第1の繊維を含む。
【0015】
第1の繊維は、好ましくは、水性である分散媒に分散される。しかし、分散流体は、ウェットレイドプロセスに適した任意の流体であってもよく、他の揮発性液体、例えばメタノール、エタノール、もしくはプロパノールなどのアルコール、任意の他の有機揮発性流体、またはこれらの液体の組合せ、例えば水およびエタノールなどに基づき得る。このようにして、分散媒の除去が容易にされ得るか、または第1の繊維がより効果的に分散媒に分散され得る。好ましくは、分散媒は、無毒であり、および/または天然由来であり、および/または環境に対して非有害である。
【0016】
分散液中の第1の繊維の濃度は、少なくとも0.1%w/v、好ましくは少なくとも5%w/v、より好ましくは少なくとも10%w/v、最も好ましくは少なくとも15%w/vである。好ましくは、分散液中の第1の繊維の濃度は、60%w/v未満である。
【0017】
一実施形態では、ステップiii)の後、第1の繊維が、不織布の20~80重量%を含み、第2の繊維が、不織布の1~40重量%を含み、可塑剤が、不織布の5~50重量%を含み、第1の繊維、第2の繊維、および可塑剤の合計重量%が、不織布の重量の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%であり、第2の繊維の重量%が、第1の繊維の重量%未満である。
【0018】
好ましくは、第1の繊維が、直径が50マイクロメートル未満、より好ましくは25マイクロメートル未満、さらにより好ましくは15マイクロメートル未満、最も好ましくは8マイクロメートル未満である。このようにして、支持構造体に面するウェブの面は、分散媒の除去後に滑らかなテクスチャを採用する。
【0019】
強化用の第2の繊維は、i)第1の繊維よりも高い引張強度を有する繊維、および/またはii)第1の繊維の平均長さの少なくとも3倍、好ましくは少なくとも10倍長い平均長さを有する繊維であってもよい。
【0020】
典型的には、第2の繊維は、円筒形の断面を有するが、平坦、湾曲、屈曲、または任意の他の細長い形態であってもよい。また、方法は、第2の繊維の周面がミクロフィブリル化されている第2の繊維を用いて実行され得る。このようにして、ウェブの強度および/または耐久性を改善することができる。
【0021】
第2の繊維は、好ましくは直径100マイクロメートル未満、より好ましくは15~50マイクロメートルの範囲である。このようにして、第2の繊維は、不織布に強度を提供するが、第1の繊維のより均質な分布も可能にする。
【0022】
第2の繊維は、好ましくは少なくとも0.3ミリメートル、より好ましくは少なくとも2ミリメートル、さらにより好ましくは少なくとも5ミリメートル、最も好ましくは少なくとも10ミリメートルの長さである。このようにして、本方法に従って製造された不織布の強度および耐久性が改善される。
【0023】
ウェブの面に平行に投影した平面において、第2の繊維は、典型的には、その平面に横たわる第1の繊維の全表面のうち、10~90%、好ましくは20~75%、より好ましくは30~50%を占めている。
【0024】
第2の繊維は、例えば、フロック加工、エアレイ加工、紡糸、またはエレクトロスピニングによって付加することができる。このようにして、第2の繊維の分布を正確に制御することができ、不織布の異なる部分に異なる堆積技術を使用することによって、不織布に異なる特性を有する部分を設けることができる。
【0025】
支持体の表面は、平坦な表面であってもよいが、3次元形状の表面、または構造化表面であってもよい。このようにして、2次元シート、3次元形状のウェブ、または構造体を有するウェブを製造することができる。支持体の表面は、型の表面によって提供されてもよいが、本発明による方法によって形成されるかどうかにかかわらず、金型上に先に形成されたウェブの表面であってもよい。型は、例えば、人の胴体であってもよい。
【0026】
不織布は、支持体から除去されてもよいが、これは、不織布を支持体に提供することが望ましい場合、すなわち、不織布が製品の一部である場合には行われない。不織布が支持体から除去される場合、支持体は、典型的には、布地の除去に役立つ表面(布地に過度に付着しないように選択される)を有する。製品の場合、逆が好ましい。
【0027】
好ましい実施形態によれば、ステップi)における分散液の層が、噴霧によって塗布される。
【0028】
分散液を噴霧することは、分散液の層および第1の繊維のより制御された塗布を可能にし、それによって、より高品質な不織布が得られる。例えば、気泡の形成のリスクはより小さくなり、それによって、より均質で均一な分散液の層、したがって、より高品質な不織布が得られる。
【0029】
好ましい実施形態によれば、ステップi)は、
バイオベースの第1の繊維の分散液を供給することであって、前記第1の繊維が分散媒に分散される、供給することと、
支持体上にウェブを形成するために、前記分散媒の少なくとも一部を除去することとを含むステップに先立って行われ、このステップが少なくとも1回実行され、ステップi)が、分散液の層をウェブに塗布することを含む。
【0030】
このようにして、より厚い不織布を、十分に制御された厚さで作製することができ、第2の繊維が支持体に面する生地の側に突出し、したがって、不織布の層間剥離のリスクが低減する。分散媒は、典型的には、蒸発によって除去され、これは、熱および/または乾燥空気の供給を使用して促進され得る。
【0031】
さらに、この実施形態は、比較的厚い層を一度に塗布するのとは対照的に、比較的薄い層のスタックを塗布し、乾燥させて、不織布の所望の厚さを得ることができるので、不織布を不水平配向で製造することを容易にする。典型的には、ステップは、少なくとも2回、好ましくは少なくとも5回、より好ましくは少なくとも10回実行される。
【0032】
好ましい実施形態によれば、方法は、ステップii)とステップiii)との間に、分散液の層の上にさらなる分散液のさらなる層を塗布するステップをさらに含み、前記さらなる分散液が、さらなる分散媒およびバイオベースの第3の繊維を含む。
【0033】
このようにして、本方法は、支持体とは反対側の生地の側面に、最後に塗布されたバイオベースの第3の繊維によって決定される肌触りを提供するさらなるウェブを提供する。
【0034】
生地の強度は、第2の繊維をより良好に埋め込むことによって改善することができる。
【0035】
さらなる分散液のさらなる分散媒は、分散媒と同じ分散媒であってもよく、異なる組成を有するものであり得る。さらに、バイオベースの第3の繊維は、第1または第2の繊維と同じ繊維であってもよく、または抗菌性もしくはスキンケア性などの異なる特性を有する繊維であってもよい。
【0036】
特に好ましい実施形態によれば、バイオベースの第1の繊維は、液体培地中で培養された微生物に由来する繊維である。
【0037】
これは、典型的には、広大な土地、殺虫剤、および高価な収穫と、それに続く繊維の広範な加工を必要とする、植物ベースの繊維の生産を回避することを可能にする。対照的に、バイオリアクターでの菌糸体などの微生物の増殖は、効率的に行うことができ、菌糸体は、単に(例えば、濾過によって)採取されてもよく、または、採取ステップを伴わずに、そのままであってもよく、液体培地が分散培地となる。任意選択で、菌糸体は、分散媒(水)中で希釈または再懸濁されてもよく、その後、不織布を形成する準備が整う。
【0038】
微生物は、例えば、真菌、原生動物、細菌または藻類であってもよい。
【0039】
さらに、または微生物に由来する代わりに、第1の繊維は、真菌の菌糸体、酵母、藻類、細菌、培養動物または植物細胞、ならびに液体培地中で培養された動物および/または植物細胞に由来する繊維に由来するバイオベースの材料を含んでもよい。培養された動物または植物細胞は、例えば、バイオリアクターで培養され得る。
【0040】
好ましい実施形態によれば、バイオベースの第1の繊維は、真菌の菌糸体、酵母、藻類、細菌、培養された動物または植物細胞、液体培地中で培養された動物細胞および/または植物細胞に由来する繊維、果実パルプ、葉からのパルプ、茎からのパルプ、革からの繊維、コラーゲン、ならびに/または上述の材料のいずれかの微粉化および/もしくはミクロフィブリル化形態から選択される生物学的材料の形態である。
【0041】
このようにして、ウェブを形成するための資源は、安価で入手が容易であり、製造のためにほとんど製造設備を必要としない可能性がある。
【0042】
好ましい実施形態によれば、バイオベースの第1の繊維は、化学的に処理されない。
【0043】
このようにして、不織布の製造は、化学的処理または化学修飾のステップが必要ではないので、より迅速でより安全に行うことができる。適切な生物学的材料は、例えば、収穫された真菌の菌糸体、藻類材料、細菌、培養された動物または植物細胞、液体培地中で培養された動物および/または植物細胞に由来する繊維、パルプ化された果実、葉および/または茎などのパルプ化された植物材料、コラーゲン由来の繊維であり得る。生物学的材料はまた、微粉化および/またはミクロフィブリル化されてもよく、それによって、繊維の毛羽立ちが増し、相互結合能力が向上する。
【0044】
好ましい実施形態によれば、第2の繊維は、天然繊維、再生繊維、再生繊維、合成繊維、機能繊維、またはそれらの任意の組合せから選択され、好ましくは、第2の繊維は親水性である。
【0045】
このようにして、所望の特性を不織布に提供する第2の繊維を選択することができる。天然繊維は、不織布が生分解性である必要がある場合に使用することができ、木材、草、葉、セルロースなどの植物材料、または羊毛、モヘア、カシミア、アンゴラ、絹、クモの糸などの動物材料に由来し得る。しかしながら、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アントフィライト、およびアクチノライトなどの鉱物材料も、第2の繊維として使用することができる。好ましくは、繊維は天然繊維である。再生繊維は、同じ目的に適していてもよく、ビスコース、リヨセル、酢酸セルロース、アズロン、または任意の他の変性セルロースなどの材料から作製されてもよい。さらに、再紡糸には短すぎ、織布の製造のために廃棄しなければならない再生繊維が使用されてもよい。合成繊維は、不織布のコストを低減することができ、好適な合成繊維は、ポリプロピレン、ポリエステル、エラスタン、ポリ塩化ビニルなどの材料から作製することができる。アラミド、液晶ポリマー(LCP)、炭素、ガラス、金属繊維から作製された第2の繊維を使用することによって、摩耗、引裂き、および/またはより高い温度などの環境条件に対する耐性などの特殊な特性を不織布に提供することができる。特殊な特性を有する繊維は、製造された不織布に抵抗性または導電性を与え、したがって、心拍数または筋肉機能などの生物学的機能を測定することの保護または有用性をユーザに与え得る。これらの材料のいずれかの繊維の混合物を使用して、複数の特性を付与することができる。親水性繊維は、第1のバイオベース繊維へのより良好な接着を提供する。
【0046】
好ましい実施形態によれば、第2の繊維は、互いに対して等方的に添加される。
【0047】
互いに対する第2の繊維の等方性配向は、例えば、ステップii)の前に第2の繊維をカーディングすることによって達成され得る。得られた等方的に配向された第2の繊維は、ステップii)において、手動で、または例えばロボットの使用によって、支持体に平行な方向に塗布され得る。このようにして、第2の繊維の等方性配向は、分散液の層に添加されるとき、不織布に改善された強度を提供する。
【0048】
CA2718435A1はまた、等方性配向で第2の繊維を塗布するが、これらの繊維は、支持体に対して横方向に配向され、したがって、不織布の強度に実質的に寄与しない。
【0049】
好ましい実施形態によれば、第2の繊維は、互いに異方的に添加される。
【0050】
これは、例えば、第2の繊維を添加しながら支持体上に電荷を印加する静電フロッキングによって達成することができる。これにより、第2の繊維の少なくとも一部が支持体に対して垂直に配向される。電荷を除去した後、垂直に配向された第2の繊維の少なくとも一部は倒れ、支持体に平行であるが互いにランダムな配向をとる。この異方性配向は、不織布の柔軟性を改善することができる。
【0051】
好ましい実施形態によれば、ステップi)の前に可塑剤が分散液に添加され、ここで可塑剤は、好ましくは糖、糖アルコール、ポリオール、ポリエステルおよび/もしくはαヒドロキシ酸、またはそれらの組合せ、より好ましくはソルビトールおよびクエン酸である。典型的には、得られる不織布は、5~50重量%、好ましくは10~30重量%の可塑剤含量を有する。
【0052】
可塑剤の添加は、得られた不織布を丈夫にし得る。可塑剤は、不織布が脆く、壊れやすく、および/または硬くなるのを防ぐことができる。可塑剤の例は、グリコール、グリセリルトリアセテート、高分子ポリオール、キラリアであるが、蜂蜜、糖蜜、アロエベラ、ヒマシ油、グリセリド、トリグリセリド、および他の鉱油もしくは有機油のような複合組成物またはこれらの任意の組合せでもよい。
【0053】
好ましい実施形態によれば、すべての他のステップの後に、コーティングを塗布するステップが、不織布の少なくとも1つの露出表面、好ましくはすべての露出表面に対して行われる。
【0054】
コーティングは、例えば、可撓性、保護および/または補強コーティングであり得る。このように、不織布の耐久性は、ウェブおよび/またはさらなるウェブの連結後に、分散媒を保持すること、および/または可塑剤を不織布に保持することによって改善することができる。コーティングは、生物学的分解性および/または耐UV性があってもよく、任意選択で、着色顔料を含んでもよい。
【0055】
好ましい実施形態によれば、本方法は、少なくとも1つの構成要素をウェブに塗布し、接着するステップを含む。
【0056】
このようにして、追加の機能性を不織布に埋め込むことができる。技術的構成要素、例えば、LED照明、センサ、RFIDタグもしくはNFCチップ、または装飾品、例えば、シークイン、ビーズ、コード、アップリケ、およびレースなどの構成要素は、接着または縫製することなく、または構成要素を不織布に係止することなく直接組み込むことができ、強化された不織布の製造中のコストおよびステップ数が低減する。
【0057】
好ましい実施形態によれば、この方法は染色ステップを含む。このステップは、典型的には、ステップii)の前に、例えば、ステップi)で塗布される分散液に染料および/または顔料を混合することによって実施される。
【0058】
好ましくは、このステップにおいて、染料および/または顔料は、第1および第2の繊維から選択される少なくとも1つに共塗布される。このようにして、染料および/または顔料は、繊維と一緒に布地に取り込まれ、別個の染色ステップを回避する。特に、染料および/または顔料を布地に混合するために追加の液体は必要とされない。染料および/または顔料は、布地に埋め込まれ、布地を使用する際、布地の染料が痛みにくくなる。
【0059】
また、布地を洗浄して余分な染料を除去する必要がなく、これは、典型的には、最先端の布地の製造における面倒なステップである。
【0060】
一実施形態では、ステップii)が実行され、ステップi)の開始から2時間以内に、好ましくは0.5時間以内に完了する。したがって、本発明の方法のステップi)およびii)は、特に、真菌細胞などが第1の繊維を提供するのを待つ必要なしに、迅速に実施され得る。
【0061】
一実施形態では、ステップiii)が実施され、ステップii)の開始から72時間以内に、好ましくは5時間以内に完了する。特に、前の実施形態と組み合わせて、これにより、不織布を4日以内に製造することができる場合がある。
【0062】
第2の態様によれば、本発明は、不織布に関し、前記不織布は、前述の請求項のいずれかに記載の方法によって取得することができる。好ましくは、不織布は、シームレスな周面を有する。
【0063】
第3の態様によれば、本発明は、好ましくは本発明の方法を使用して取得される、バイオベースの第1の繊維および強化用の第2の繊維を含む不織布を提供し、前記第1の繊維および第2の繊維が、可塑剤を含むマトリックスに不可逆的に埋め込まれており、バイオベースの第1の繊維が、液体培地中で培養された微生物に由来する繊維であり、第2の繊維が、第1の繊維の平均長さの少なくとも10倍である平均長さを有する。
【0064】
可塑剤の他に、マトリックスは、典型的には、例えば、特許請求される方法のステップi)に従っていた可能性がある分散媒からのいくらかの水分をさらに含む。
【0065】
一実施形態では、前記可塑剤は、ヒドロキシ酸およびポリオールを含む非晶質マトリックスを含む。
【0066】
好ましい実施形態では、第1の繊維が、不織布の20~80重量%を含み、第2の繊維が、不織布の1~40重量%を含み、可塑剤が、不織布の5~50重量%を含み、第1の繊維、第2の繊維、および可塑剤の合計重量%が、不織布の重量の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%であり、第2の繊維の重量%が、第1の繊維の重量%未満である。
【0067】
一実施形態では、油滴および/または脂肪滴は、マトリックスに埋め込まれ、前記液滴は、1μm~20μmの範囲の最大直径を有する。例えば、油滴は、乾燥油または非乾燥油を含み得る。任意選択で、乾燥剤もマトリックスに含まれる。
【0068】
第4の態様によれば、本発明は、第2または第3の態様の不織布、および/または本発明の第1の態様に従って製造された不織布を含む、着用される形状シームレス衣服、アクセサリもしくは履物、または任意の他の3次元シームレス不織布製品を提供する。したがって、本発明は、シームレスである衣服、アクセサリ、履物、または他の製品を提供する。
【0069】
次に、本発明を、以下の例示的なセクションを参照し、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】不織布の断面の概略表現である。
図2図2A-図2C。本発明による不織布の別の実施形態の概略表現、ならびにその第1の詳細および第2の詳細をそれぞれ示す図である。
図3図3A-図3C。本発明による不織布のさらに別の実施形態の概略表現、ならびにその第1の詳細および第2の詳細をそれぞれ示す図である。
図4】本発明の方法に従って製造された、3次元の非平面形状を有し、バッグの形態の不織布の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、本発明に従って製造された第1の繊維110および第2の繊維120を含む不織布100の断面の概略表現を示す。第1の繊維110は、培養された菌糸体に由来し、分散媒に分散された。第1の繊維110を含む分散液の第1の層を支持体に塗布し、第2の繊維120を分散液の層に添加した。分散液の第2の層を分散液の第1の層の上に添加され、室温での蒸発によって分散媒が除去された。得られた不織布において、第1の繊維110は、分散液の第1の層に塗布された第1の繊維110と分散液の第2の層に塗布された第1の繊維110との間の区別可能な境界なしに、連続ウェブとして存在する。第2の繊維120は、第1の繊維110の連続ウェブに埋め込まれる。
【0072】
不織布を製造するために、担子菌類の群からのSchizophyllum communeの菌糸体の形の真菌バイオマスを、1リットルのデュランエルレンマイヤーで標準の麦芽抽出物で増殖させた。増殖手順は、30℃で、200rpmで振とうする標準的な培養手順に従った。菌糸体をブフナー濾過によって採取した。クエン酸およびソルビトールを水とあらかじめ混ぜ、その後、含まれる採取された菌糸体、および増殖培地の残りに加え、第1の繊維を含む分散液を形成した。
【0073】
ステップa)において、分散液の第1の層を、塗料を噴霧するために使用される噴霧機を用いて、固体および3D形状の支持体表面上に分散液を噴霧することによって、型上に塗布した。ステップb)では、室温での蒸発によって分散媒を除去した。分散媒を、支持体に接触すると乾燥した菌糸体(MYC)のウェブが形成されるまで蒸発させた。
【0074】
ステップa)およびb)をもう一度繰り返した。続いて、ステップc)において、分散液のさらなる層をウェブの上に塗布した。ステップd)において、個々の第2の繊維、例えばポリアミド(PA)100dtex、またはカーデッドレーヨン(CV)28dtexを、FK1-PROを用いてウェブ上にフロック加工することによって塗布し、カーデッドフラックス(LI)を手作業で塗布した。例えば、レーヨン繊維は、2つの端部の間に円形の周面が広がり、長さ12mmであった。第2のウェブの面に平行に投影された平面において、第2の繊維によって覆われた第1の繊維の面積は30~50%であった。
【0075】
次いで、ステップa)、b)、c)およびd)を2回繰り返し、最後に、ステップa)およびb)を1回行った。
【0076】
得られた不織布を型から取り出した。不織布の断面において、個々のウェブまたは第1の繊維は区別できず、むしろ第1の繊維の単一のウェブ内に第2の繊維が埋め込まれた第1の繊維の単一のウェブとして提示された。第2の繊維は、不織布において別個の連続した層として存在しない。代わりに、同じステップで塗布される第2の繊維は、不織布のいずれかの外面に実質的に整列しており、互いに接触していてもよく、また、様々な角度で互いに交差するだけでなく整列していてもよい。
【0077】
各不織布から、第2の繊維が不織布に及ぼす影響を評価するために、伸長およびピーク力を測定した。試験したサンプルの寸法が4×4cmであったことを除いて、EN13934-01に従って伸長およびピーク力を測定した。実験は、単一の実験として、または二重に実施した。対照として、純粋な菌糸体の不織布を使用した。
【0078】
表1は、伸長およびピーク力に対する様々な第2の繊維の影響を示す。
【表1】

【0079】
第2の繊維の添加によって、純粋な菌糸体からの不織布よりも1.6~6.8倍高いピーク力が得られ、これは、第2の繊維の添加が不織布に強度を付与することを示す。
【0080】
さらに、5人のパネルが不織布の肌触りを評価し、第2の繊維を含む不織布の肌触りを純粋な菌糸体からの不織布の肌触りと同じであると別々に評価した。
【0081】
図2Aは、本発明に従って製造された第1のバイオベース繊維210および第2の強化用の繊維220を含む別の不織布200の断面の概略表現を示す。断面において、布地200には上部外面201および下部外面202があり、第1の繊維および第2の繊維の間に配置されている。図示の例では、第1および第2の繊維は単一の融着層に埋め込まれているが、代わりに、不織布は、第1および第2の繊維の複数の融着層のスタックを含んでもよいことが理解されよう。第1の繊維は、第2の繊維によって強化されたウェブを形成する。
【0082】
図2Bは、図2Aの部分II-Bの詳細を示し、第1の繊維210および第2の繊維220がより詳細に示されている。わかるように、第1の繊維は、第2の繊維220よりも桁違いに小さい。図示の例では、図2Cにさらに詳細に示される第1の繊維210は、約2μmの平均直径を有し、第2の繊維220は、約100μmの平均直径を有する。わかるように、より大きい第2の繊維220は、それらの中心線がこれらの表面201、202に実質的に平行であるように、上部および下部外面201、202と実質的に整列される。はるかに小さい第1の繊維210は、実質的にランダムに配向され、第1および第2の外面と実質的に整列されない。
【0083】
第1および第2の繊維は、可塑剤を含むマトリクス230に埋め込まれ、これは、第1および第2の繊維を実質的に適所に保持するのを助けることに加えて、不織布を壊すことなく、それを曲げるまたは折り畳むことを可能にする程度の柔軟性も不織布に提供する。可塑剤は、好ましくは、完成した不織布の5~50重量%、好ましくは15~30重量%を含み、好ましくは、ソルビトールなどのポリオールと、クエン酸などのαヒドロキシ酸との混合物を含む。
【0084】
図3Aは、本発明によるさらに別の不織布300の断面の概略表現を示す。可塑剤および任意選択で任意の残りの分散媒を含むマトリックス330に埋め込まれるバイオベースの第1の繊維310および第2の強化用の繊維320に加えて。さらに、マトリックス330に埋め込まれ、様々なサイズを有することができる油滴340が示されており、各油滴の最大直径は、典型的には1μm~20μmの範囲である。油滴340は、有益な脂肪可溶性成分の遅延制御または制御放出のために使用することができ、本例では、良好な香りを提供するアロエベラの油を含む。油滴340は、典型的には、第1の繊維の平均長さよりも大きい、例えば、第1の繊維310の平均長さよりも少なくとも5倍大きい平均直径を有する。
【0085】
図4は、非平面形状として、ここではハンドバッグの形態で形成された、本発明による不織布400の斜視線図を示す。不織布400は、不織布400の正の形状を有する非平面支持体(図示せず)上に分散液の層を塗布することによって製造されている。層は、典型的には、分散液を支持体の非平面3D表面上に噴霧することによって、および/または分散液を支持体に塗布するためにブラシを使用することによって塗布される。分散媒、第1のバイオベース繊維、および可塑剤を含む分散液の層を塗布した後、強化用の第2の繊維の層を分散液の層上に堆積させ、その後、2つの層を乾燥させて不織布400を形成した。不織布400は、リッジ402およびディンプル403を備える周面401を備える。本例では、分散液の層を可撓性支持体上に塗布し、第2の繊維を塗布し、分散媒を除去して不織布400を形成した後、可撓性支持体を折り畳み、布地400の内側から取り外した。当業者には明らかなように、追加で、または代わりに、支持体からの不織布の容易な除去を可能にするために、例えば、鋳造プロセスで使用される鋳型と同様の方法で、1つ以上の支持体を使用して正または負の形状を作り出すことができる。1つ以上の支持体を使用することによって、最終製品は、縫い目または接着された継ぎ目などを含まずに製造することができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A-3B】
図3C
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布(100)を製造するための方法であって、
i)分散媒およびバイオベースの第1の繊維(110)を含む分散液の層を支持体上に塗布するステップであって、前記バイオベースの第1の繊維(110)が、液体培地中で培養された微生物に由来する繊維であり、前記塗布の前に、可塑剤が前記分散液に添加されている、塗布するステップと、
ii)前記分散液の前記層上に強化用の第2の繊維(120)を堆積させるステップであって、前記強化用の第2の繊維(120)が生地の一部ではない別の繊維であり、前記第2の繊維が前記第1の繊維の平均長さよりも少なくとも10倍長い平均長さを有する、堆積させるステップと、
iii)前記分散媒を除去して、バイオベースの第1の繊維(110)のウェブを含む前記不織布(100)を形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップi)における前記分散液の前記層が、噴霧によって塗布され
前記方法は、好ましくは、前記不織布を前記支持体から取り除くことをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可塑剤が、糖アルコール、ポリオール、ポリオールエステル、および/またはαヒドロキシ酸、またはそれらの組合せであり、好ましくは、
前記可塑剤が、ソルビトールとクエン酸との組合せを含む、または
前記可塑剤が、グリコール類、グリセリルトリアセテート、高分子ポリオール、キラヤ、蜂蜜、糖蜜、アロエベラ、ヒマシ油、グリセリド、トリグリセリド、および他の鉱油または有機油のうちの1つ以上を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップi)が、
-バイオベースの第1の繊維(110)の分散液を供給するステップであって、前記第1の繊維(110)が分散媒に分散される、供給するステップと、
-前記支持体上にウェブを形成するために、前記分散媒の少なくとも一部を除去するステップとを含むステップに先立って行われ、このステップが少なくとも1回実行され、ステップi)が、分散液の前記層を前記ウェブに塗布することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、ステップii)とステップiii)との間に、前記分散液の前記層の上にさらなる分散液のさらなる層を塗布するステップをさらに含み、前記さらなる分散液が、さらなる分散媒およびバイオベースの第3の繊維を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記バイオベースの第1の繊維(110)が、真菌の菌糸体、酵母、藻類、細菌、培養動物または植物細胞、液体培地中で培養された動物および/または植物細胞に由来する繊維から選択される生物学的材料の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の繊維(120)が、天然繊維、再生繊維、再生繊維、合成繊維またはそれらの任意の組合せから選択され、好ましくは、前記第2の繊維(120)は親水性である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分散液中の第1の繊維の濃度が、少なくとも0.1%W/v、好ましくは少なくとも5%w/v、より好ましくは少なくとも10%w/v、最も好ましくは少なくとも15%w/vである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記分散液が、油滴をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、少なくとも1つの構成要素を前記ウェブに塗布し、接着するステップを含み、好ましくは、
前記少なくとも1つの構成要素が、LED照明、センサ、RFIDタグもしくはNFCチップ、または装飾品、例えば、シークイン、ビーズ、コード、アップリケ、およびレースの群から選択され、
前記少なくとも1つの構成要素が、前記構成要素を前記不織布に接着または縫製することなく、前記不織布に埋め込まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、染色ステップをさらに含み、好ましくは、染料または顔料が、前記第1および第2の繊維から選択される少なくとも1つと共塗布され、より好ましくは、前記分散液以外の液体は、前記染料および/または顔料を塗布するために使用されない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記支持体が、3次元の非平坦な平面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
不織布(100)であって、前記不織布(100)が、請求項1に記載の方法によって取得される、不織布(100)。
【請求項14】
前記バイオベースの第1の繊維および強化用の第2の繊維を含み、前記第1および第2の繊維が可塑剤を含む非晶質マトリックス中に不可逆的に埋め込まれており、
前記バイオベースの第1の繊維(110)が、液体培地中で培養された微生物に由来する繊維であり、
前記第2の繊維が、前記第1の繊維の平均長さよりも少なくとも10倍長い平均長さを有する、
好ましくは請求項1に記載の方法によって取得される、不織布。
【請求項15】
前記可塑剤が、αヒドロキシ酸およびポリオールから形成される、請求項13または14に記載の不織布。
【請求項16】
前記第1の繊維が、前記不織布の20~80重量%を含み、
前記第2の繊維が、前記不織布の1~40重量%を含み、
前記可塑剤が、前記不織布の5~50重量%を含み、
前記第1の繊維、前記第2の繊維、および前記可塑剤の合計重量%が、前記不織布の重量の少なくとも65%、好ましくは少なくとも80%であり、
前記第2の繊維の前記重量%が、前記第1の繊維の前記重量%未満である、
請求項13または14に記載の不織布。
【請求項17】
油滴および/または脂肪滴がマトリックスに埋め込まれ、前記液滴が1μm~20μmの範囲の最大直径を有する、請求項13または14に記載の不織布。
【請求項18】
請求項13または14に記載の前記不織布を含む、着用される形状シームレス衣服、アクセサリーもしくは履物、または任意の他の3次元シームレス不織布製品。
【国際調査報告】